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フィクション(Novel)読書感想領民0人スタートの辺境領主様

小説「領民0人スタートの辺境領主様 XI(11) 碧海の旅人」感想・ネタバレ

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領民0人スタートの辺境領主様11の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

領民0人10巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人12巻レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. アースドラゴン討伐
    2. 辺境領の開拓
    3. 領兵達の婚約
    4. ゴブリン族との交流
    5. 不思議な絨毯
    6. 荒野の水路整備
    7. 巨大メーアの出現
  6. 登場キャラクター
    1. メーアバダル領
      1. ディアス
      2. エイマ
      3. ダレル夫人
      4. ヒューバート
      5. エリー
      6. ゴルディア
      7. クラウス
      8. モント
      9. ジョー
      10. ロルカ
      11. リヤン
      12. マヤ婆さん
      13. スーク婆さん
      14. セナイ
      15. アイハン
      16. サナト
      17. ナルバント
      18. サーヒィ
      19. リーエス
      20. ビーアンネ
      21. コルム
      22. シェフ
      23. セドリオ
      24. マーフ
      25. フランシス
      26. フランソワ
      27. エゼルバルド
      28. 領兵達
      29. 婦人会
      30. マスティ氏族
      31. センジー氏族
      32. アイセター氏族
      33. シェップ氏族
      34. 洞人族
      35. 鷹人族
      36. 犬人族
      37. メーア達
      38. 六つ子達
      39. 新参メーア達
      40. 巨大メーア
    2. 神殿
      1. ベン(ベンディア)
      2. フェンディア
      3. パトリック
      4. ピエール
      5. プリモ
      6. ポール
      7. オリアナ
      8. 神官達
      9. 神官兵
    3. 鬼人族
      1. アルナー
      2. ゾルグ
      3. 鬼人族の女性
      4. 鬼人族の戦士達
    4. ゴブリン族(鮫人族)
      1. イービリス
      2. ゴブリン達
    5. ペイジン商会
      1. ペイジン・ド
      2. ペイジン・ドシラド
      3. オクタド
    6. マーハティ領
      1. エルダン
      2. ジュウハ
      3. カマロッツ
      4. スーリオ
      5. リオード
      6. クレヴェ
      7. 斑模様の獣人
    7. サンセリフェ王国
      1. リチャード王子
      2. ナリウス
      3. エルアー伯爵
      4. アールビー子爵
      5. フレデリック・サーシュス公爵
      6. エーリング・シグルザルソン伯爵
      7. ヘレナ
      8. イザベル
    8. 獣人国
      1. 獣王
      2. キコ
      3. ヤテン
      4. セキ
      5. サク
      6. アオイ
    9. モンスター・その他
      1. メーアモドキ
      2. トカゲ
      3. 小人型モンスター
      4. アースドラゴン
      5. アクアドラゴン
  7. 展開まとめ
    1. 暗闇の中で
    2. 何処かの大入り江で――ゴブリン達
    3. 一面の荒野で ゴブリン達
    4. 広場に用意した宴席で ディアス
    5. 広場に集まり言葉を交わし―――― ディアス
    6. 襲来への備えをしながら
    7. 激闘が終わり―
    8. 書き下ろし碧海の旅人
    9. イービリスとフランシス、 ゴブリン達とメーア達
  8. 同シリーズ
    1. 領民0人スタートの辺境領主様
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

本作は、アース・スターノベルより刊行されている人気ライトノベルシリーズ『領民0人スタートの辺境領主様』の第11巻である。ジャンルは内政・領地経営ファンタジーに属する。 不毛の草原から始まった開拓地「イルク村」が舞台であり、主人公のディアスが多様な種族の領民たちと協力し、泥臭くも温かい理想郷を築き上げていく物語が展開される。 第11巻のあらすじとしては、領民一丸となって襲来した強敵アースドラゴンを撃退した後のエピソードが描かれる。討伐後、謎の存在「メーアモドキ」から新たな有用植物の存在を教えられたり、商人ギルドの長・ゴルディアの働きで待望の酒場が建設されて盛大に宴が催されたりと、村は平和な活気に包まれる。領兵たちの婚約や新たな移住者の到着により、領民数はついに230人を超える規模へ拡大。しかし、メーアバダル領の急成長を警戒し、敵意を持って接触を図ろうとする王国の貴族「エルアー伯爵」と「アールビー子爵」が村へ到来し、ディアスは慣れない貴族の礼儀や政治的交渉という新たな戦いへ直面することになる。

■ 主要キャラクター

  • ディアス(ディアス・メーアバダル): 本作の主人公。平民の志願兵から「救国の英雄」へと上り詰め、現在はメーアバダル領を治める公爵となった。圧倒的な戦闘力と純朴な人柄を併せ持つが、貴族としてのマナーや政治交渉を苦手とする。しかし、領民を守り導くために不慣れな礼儀作法にも真摯に向き合い、驚くべき成長を見せる。
  • アルナー: ディアスの妻であり、イルク村の精神的支柱でもある鬼人族の少女。他者の悪意や嘘を見破る固有魔法「魂鑑定」の使い手。村を訪れた不穏な貴族たちの本性を見極めることで、内政と防諜の双方からディアスを完璧にサポートする。
  • ダレル夫人: 第11巻よりイルク村へ新しく加わった「領主の教育係」。王都の貴族社会において百戦錬磨の立ち回りを演じてきた癖の強い老婦人であり、ディアスや村の子供たちに貴族のマナーを叩き込む。武力偏重だったメーアバダル領に社交と政治の基盤をもたらす。
  • ゴルディア: ディアスの孤児時代からの旧友であり、現在は強力な物流網を統べる商人ギルドの長。第11巻ではイルク村の中に立派な酒場を建設し、自慢の絶品料理を振る舞って盛大な宴をプロデュースした。さらに村の憩いの場として神殿を建設する計画を推進する。
  • エルアー伯爵: メーアバダル領の急成長を警戒し、不穏な意図を持って調査に訪れたサンセリフェ王国の貴族。当初は敵意を抱いていたが、ディアスの高潔な人柄や異種族を従える建国王の再来のような姿、さらに公爵としての完璧な対応を目の当たりにして圧倒される。最終的には態度を改め、ディアスに深く心酔して王都での「根回し役」として臣従を誓う。

■ 物語の特徴

  • 「武力無双」から「政治・社交無双」への進化と差別化 これまでの防衛戦や魔物討伐といった武力による解決だけでなく、第11巻では「不慣れな貴族としての外交・政治交渉」が中心的なテーマとして描かれる。教育係のダレル夫人の論理的な指導と鬼人族の魔法を武器に、悪辣な貴族たちを正面から圧倒していく展開は、従来の領地経営作品に見られる権謀術数とは一線を画す。主人公の誠実さと公爵としての威厳が、そのまま最強の政治的武器になるカタルシスが本作の大きな魅力である。
  • 着実なインフラの拡充と経済圏の拡大 領民が急増していく中で、酒場や地下酒蔵、養蜂場や鉱山に続き、神殿の建設計画までが動き出すなど、村から「都市」へと発展していくプロセスが緻密に描かれている。他国や隣領との国境管理、街道整備、物流網の確立といった内政のディテールがロジカルに描写されており、読者の知的好奇心を刺激する。
  • 戦友たちの幸福と「家族」としての繋がり ディアスを慕って集まった領兵たちと鬼人族の女性たちとの間で、一挙に7組もの婚約が成立する。戦場を生き抜いた男たちが辺境の地で穏やかな家庭を築き、領民全員が種族の壁を超えて一つの「大きな家族」として祝宴を共にする泥臭くも温かい空気感は、本作にしかない独自の魅力となっている。

書籍情報

領民0人スタートの辺境領主様 XI 碧海の旅人
著者:風楼 氏
イラスト:キンタ  氏
出版社:アース・スターノベル
発売日:2024年3月15日発売

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あらすじ・内容

海を目指して、荒野開拓中!エルアー伯爵から貰ったラクダとともに南の荒野の調査に来たディアス達は、荒野の先にあるはずの海に想いを馳せる。時を同じくして荒野の反対側でも「ゴブリン族」を名乗る集団が荒野の先に興味を持ち始め……。アースドラゴン討伐と避難民の保護のお礼にやってきたペイジン・ドとその息子ドシラド。お礼の品の一つであるペイジン家の家宝――絨毯にディアスが触れると……!?サーヒィが荒野の見回りをしていると、「ゴブリン族」が荒野を北上しているのを発見し、ディアス達は彼らとの交流を試みるが……。さらには「アクアドラゴン」との戦いでディアス最大の危機に!?不毛の荒野に足を向け、メーアバダル領さらに拡大中!!

領民0人スタートの辺境領主様 XI 碧海の旅人

感想

不毛の草原から始まった開拓地が、多種多様な人々を巻き込みながら一つの巨大な共同体へと飛躍していく様子に、今回も胸が熱くなった。本作はディアスを中心とした一行が領地を発展させつつ、新たな勢力との関係構築や、次なるドラゴンの脅威へと立ち向かっていく過程が非常に高密度で描かれている。

前半の見どころは何と言っても、襲来したアースドラゴンを領民総出の協力で見事に撃退する戦闘シーンである。強敵を退け、被害を最小限に抑えて討伐に成功した姿からは、村の防衛力が一段と強固になったことを実感させられた。戦いの後に、薬効が高くメーアも喜ぶ白い花の存在を知らされるという報酬も、この作品らしい温かさがある。

さらに内政やインフラ整備の描写が緻密で、知的好奇心を大いに刺激してくれた。ゴルディアの提案で新たに酒場が建設され、完成後の賑やかな酒宴で領民たちが楽しむ姿には心が和む。迎賓館や鉱山、養蜂場や地下酒蔵など、多様な施設が次々と整備されていくプロセスは、単なる開拓村から一大交易拠点への着実な進化を物語っていた。

人間関係の広がりと深化も魅力的である。領兵たちと鬼人族の女性たちによる見合いが行われ、複数組の婚約が同時に成立して新しい家族が増えていく場面は、読んでいて非常に幸せな気持ちになった。また、ダレル夫人による熱心な貴族教育や礼儀作法の指導が始まり、ディアスたちがタジタジになりながらも学ぶ姿は微笑ましい。敵意を持って来訪したエルアー伯爵とアールビー子爵に対し、ダレル夫人の助言やアルナーの魔法を武器に完璧な外交対応をやりきり、最終的にエルアー伯爵に忠誠を誓わせる展開は実に痛快であった。

物語の舞台が南の荒野へと広がっていくスケール感にも圧倒された。調査の過程で判明するラクダの有用性が素晴らしく、頑丈で人懐っこいだけでなく、大量に出すミルクが美味で高い滋養や薬効を秘めているという設定にはワクワクさせられる。洞人族による水路工事で荒野へ水を導き、植物の種を流して草地化を狙う工夫や、将来的な海の産物の輸送を見据えた氷の貯蔵庫の運用など、ロジカルな開拓計画には感心するばかりである。

新勢力であるゴルディアが言及していた「鮫のようなゴブリン族」との邂逅は、本作で最も印象深いエピソードの一つとなった。海の住民でありながら、乾燥する陸地に身体を濡らしながら突き進んでくる彼らの姿は、不気味でありながらもどこかユーモラスである。普通なら野垂れ死にする過酷な荒野を突き進む彼らを、偵察に出ていたサーヒィが発見して保護し、カエルの商人であるペイジンから乾燥を防ぐ塗り薬を融通してもらうなどの救援体制が実に見事であった。イルク村での盛大歓迎を経て、約定に基づいたディアスとの手合わせを行い、戦いの後に友好同盟と交易が成立する流れは胸が躍る。大入り江の港整備や航路構想が一気に具体化していく様子には、次なる発展への期待が膨らんだ。

さらに、西側関所の完成に伴い、ペイジン商会から謝礼品として贈られた家宝の古い絨毯を巡るエピソードも興味深い。ディアスが力を込めることで驚異的な治癒能力が発現するものの、使用できるのが彼一人であり魔力消費も大きいという、絶妙な制限が良いアクセントになっている。乱用や軍事利用の危険をしっかり議論した上で、治療や出産、大怪我などの緊急時限定で運用するという決断に、共同体としての成熟を感じた。

終盤に向けて描かれるアクアドラゴンとの激闘は、手に汗握る展開の連続であった。多彩な能力を持つ強敵に対し、占いによる予告をもとに多種族が結集して挑む総力戦の連携は見応え十分である。ディアスが「ザリガニ」と連呼するせいで一瞬何のドラゴンか分からなくなりそうになったが、その圧倒的な水流攻撃や自己再生能力の凶悪さは本物であり、二体目の出現によって一時撤退を余儀なくされるほどの死闘に緊張感が走った。

そして、その窮地に地中から現れた巨大な白いメーアの介入には度肝を抜かれた。圧倒的な力でアクアドラゴンを瞬殺する姿はまさに神秘そのものであり、その正体や目的についての推測が進む中、村人や異種族たちの間で「神」として崇拝が広がっていく熱狂の渦には鳥肌が立った。

王都で進行するリチャード王子の改革や、イルク村で整備されていく教育・神殿・学び舎の様子など、世界が大きく動き出していることを実感できる。釣りを楽しむゴブリンやメーアたちとのブラッシングを巡る日常の騒動といった微笑ましい余話も含め、戦い、内政、人間関係のすべてが高い次元で融合した、極めて読み応えのある一冊であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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領民0人10巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人12巻レビュー

考察・解説

アースドラゴン討伐

『領民0人スタートの辺境領主様』において、アースドラゴン討伐は主人公ディアスの規格外の強さを示すだけでなく、領民との絆を深め、領地の発展を大きく後押しする重要なイベントとして描かれている。本稿では、作中に登場する主に2つの大きな討伐戦について解説する。

最初のアースドラゴン討伐と男気の証明
ディアスが領主となって間もない頃、アルナーと共に北の岩山の麓へモンスター狩りに赴いた際に、巨大な亀のような姿をしたアースドラゴンと遭遇した。

  • アースドラゴンは強固な甲羅の中に籠城したが、ディアスは愛用の戦斧でひたすらに甲羅を殴り続けるという愚直な戦い方を貫いた。
  • 驚異的な硬さに戦斧の刃にヒビが入っても、不思議な力で武器を自己修復させながら日没近くまで甲羅を叩き続けた。
  • ついに甲羅が割れるとアースドラゴンは巨大な火球を吐いて反撃に出たが、離れた場所で見守っていたアルナーに狙いを定めた瞬間、ディアスは激しい怒りを爆発させ、一気に甲羅へ駆け上がり、割れた部分に全力の一撃を叩き込んで討伐を果たした。
  • この圧倒的な武勇は、鬼人族にとって男の価値を決める男気の類を見ない証明とみなされ、ディアスとアルナーが婚約する決定打となった。
  • また、この経験からディアスは強固な甲羅を一撃で真っ二つに割る必殺技である戦斧竜甲断を編み出している。

アースドラゴンの大侵攻と二体同時の討伐
その後、異常に長い地震を前兆として、複数体のアースドラゴンが王国北部や獣王国周辺へ同時に侵攻してくる未曾有の危機が発生した。

  • ディアスによる単独討伐:草原の北部に現れた一体に対し、ディアスは単騎で迎撃した。アースドラゴンは無数の火球を連射してくるが、新たに得たオリハルコンの全身鎧の力でそれを全て弾き返し、一切怯むことなく接近して戦斧による猛攻で甲羅を破壊し、飛び出してきた首を斬り落として単独での討伐を成し遂げた。
  • 領兵たちによる組織的討伐:獣人国の東端から関所予定地へと誘導されてきたもう一体は、隻脚の教官モントの指揮のもとジョー達領兵が相対した。彼らは投槍器を使って甲羅に無数の槍を突き立てて動きを鈍らせ、大盾で火球を防いで敵の体力を消耗させた。
  • そして火球が止まった隙を突いて大網で拘束し、巨大な落とし穴に突き落とすという、人間ならではの道具と知恵を駆使した戦術で見事に討伐した。

まとめ
犠牲者を一人も出さずに二体のアースドラゴンを討伐したこの出来事は、メーアバダル領の防衛力の高さを証明した。

  • ディアスが単独で一体を倒し、短期間で鍛え上げた領兵達がもう一体を倒したという功績は、王国中から圧倒的な評価を受けることとなった。
  • 討伐によって得られた魔石や強固な素材は、領民たちの優れた武具や防具に加工されたほか、一部を売却することで領地と周辺地域の経済を大いに潤す結果をもたらしたのである。

辺境領の開拓

『領民0人スタートの辺境領主様』第11巻において、辺境領(メーアバダル領)の開拓は、イルク村のインフラ整備にとどまらず、南に広がる過酷な荒野の踏破と、その先にある海を見据えた国家規模の壮大なプロジェクトへと発展している。本稿では、第11巻における辺境領の開拓状況について解説する。

新たな要獣ラクダの導入とその有用性
荒野の開拓と探索において、エルアー伯爵から贈られたラクダが極めて重要な役割を果たし始めている。

  • ラクダは夏の荒野の凄まじい暑さや砂埃の中でも平然と歩き続けられるだけでなく、毎日巨大な壺一杯分(メーアの十倍以上)もの膨大なミルクを出す。
  • このミルクは脂分が強くチーズやバターにすると非常に美味しい上に、砂漠では病気にも効く薬のように扱われるほど滋養に富んでいる。
  • ディアスたちは過酷な環境に耐え、荷物も運べて栄養豊富な食料までもたらすラクダを高く評価し、頭数を増やして荒野開拓の主戦力にしたいと考えている。

洞人族による水路整備とセナイ達の緑化計画
荒野の環境を改善するため、洞人族の手によって小川から荒野へ水を引き込む工事が進められている。

  • ただ溝を掘るだけでなく、川の両岸を焼いた土や石壁で補強し、流れを速くして水量を増やす工夫が凝らされており、荒野の入り口には石造りの立派なため池が完成した。
  • さらにこの水路を利用してセナイとアイハンが、草を編んだ小舟に種を乗せて流すという方法で、水と共に草花を荒野へ広げる緑化計画を実行している。
  • ディアスや同行した獣人たちもため池の周囲に種を蒔き、ラクダの食料となる緑地を少しずつ広げていく地道な開拓が進められている。

海への到達目標とゴブリン族との港整備構想
荒野を越えた南に海があるという推測のもと、新鮮な海魚を求める獅子人族のスーリオ達が開拓への協力を熱望するなど、海への関心が高まっている。

  • 南の海から荒野を越えてやってきたゴブリン族(鮫人族)との友好的な交流が始まった。
  • ディアスやヒューバートは、彼らの故郷である南の大入り江に共同の港を整備し、そこからイルク村までの街道を繋ぐという構想を提案した。
  • 大型船に必要な巨大なマスト用の木材が手に入らないという課題も、水中移動に長けたゴブリン族が海中から船を牽引するという方法で解決できることが判明した。
  • これにより風に頼らず安全かつ高速な海運が可能となり、莫大な利益を生む物流網の構築が現実味を帯びてきた。
  • 同時にゴブリン族の悲願である陸地での安全な子育て施設を整備するため、洞人族を荒野へ先行派遣する案も検討されている。

船の往来を見据えた大規模な水路構想
港町構想に加え、ゴブリン族のリーダーであるイービリスから、小川の水深と水量を増やせば海から直接泳いだり船で遡上したりできるという意見が出た。

  • これに対し、洞人族のサナトは山の地下水脈を利用して新たな水路を掘削し、水量を増やすことは可能だと説明した。
  • 地質調査などが必要な半年以上がかりの大規模工事になるが、この水路が完成すれば海とイルク村を直接繋ぐ一大物流ルートが完成することになる。

まとめ
このように、第11巻における辺境領開拓は単なる土地の拡張を越え、他種族の能力と知恵を結集して未踏の荒野を切り拓き、海運をも取り込んだ巨大な交易・物流ネットワークの構築へと大きく舵を切っているのである。

領兵達の婚約

『領民0人スタートの辺境領主様』において、ジョーやロルカをはじめとする元戦友の領兵達と、鬼人族の女性達との婚約は、種族を超えた絆の広がりと、メーアバダル領の治安維持・防衛力強化に繋がる重要なエピソードである。本稿では、婚約に至る経緯とその後の展開について解説する。

馬上での激しいお見合いと男気の証明
鬼人族の村でヤギの販売会が行われた際、そのついでとしてジョー達領兵と鬼人族の女性達とのお見合いが開催された。

  • 鬼人族の女性達は、結婚相手に対し働きぶりや財産に加え、乗馬の腕前などの馬の扱いを重視していた。
  • そのためお見合いは、馬上から矢を放って逃げる鬼人族の女性達をジョー達が馬で追いかけて捕まえるという、非常に激しく実戦的な形式で行われた。
  • 当初ジョー達は苦戦したものの、長年の戦場で培った連携を無意識に発揮し、まるで狼の群れのように女性達を追い詰めることに成功した。
  • この見事な狩りの腕前と男気に女性達は恐れるどころか好感を深め、多くの者が結婚に対して前向きな姿勢を見せることとなった。

イルク村見学と生活環境による後押し
お見合いの結果、11人もの女性が結婚の意思を示したが、未知のイルク村での暮らしに対する不安を解消するため、村全体の見学が行われた。

  • 女性達が特に歓喜したのは、冬でも暖を取りながら煮洗いや洗濯ができるように整備された洗濯場と竈場であった。
  • さらに、村で飼育されているガチョウや白ギー、ヤギなどによる肉やチーズが食べ放題という豊かな食糧事情を知ると、興奮のあまりその場でイルク村に嫁ぐと結婚を即決する者まで現れた。
  • ジョー達は女性陣の元気すぎる勢いにすっかり圧倒され、複雑な表情で立ち尽くすほどであった。

七組の婚約成立と関所での新たな任務
これらの結果、ジョーやロルカを含めた七人の領兵達と鬼人族の女性達の婚約が無事に成立した。

  • 婚約した鬼人族の女性達は、正式な結納前であるにもかかわらず仕事があるならと前向きにイルク村および関所周辺への移住を決めた。
  • 彼女達は新たに建設される関所において、鬼人族特有の魂鑑定魔法を用いて来訪者の嘘や悪意を見抜く重要な警備任務を担う予定となっており、報酬も支払われることになっている。

まとめ
このように、領兵達の婚約は単なる個人の幸せに留まらず、イルク村の優れたインフラが異種族の心を掴んだ証でもあり、同時にメーアバダル領の防衛・情報戦体制をより強固なものにする重要な出来事となったのである。

ゴブリン族との交流

『領民0人スタートの辺境領主様』第11巻における「ゴブリン族との交流」は、過酷な荒野を越えてやってきた海の民と、イルク村の人々が種族の壁を越えて強い絆を結び、壮大な交易ネットワークの構築へと至る重要なエピソードである。本稿では、ゴブリン族との交流の経緯とその内容について解説する。

ゴブリン族の正体と悲願
南の海に棲む彼らは鮫人族の系統であり、古代に存在した恐ろしいサメに憧れて自らをゴブリン族と名乗っている。

  • 彼らが過酷な荒野を北上してきたのは、純粋な冒険心に加え、古代の賢人の弟子と交わした死の大地に城が再建される時に力を貸すという古の約定を確認するためであった。
  • 海の中は危険が多いため、陸地に安全な子育ての拠点を持つことが彼らの長年の悲願でもあった。

手合わせを通じた信頼関係の構築
冒険心のあまり水が尽き遭難寸前だった彼らは、空から偵察に来たサーヒィに発見され、イルク村からの迅速な支援によって命を救われた。

  • イルク村へ到着した彼らは、豊かな光景と偏見のない歓迎に深く感動した。
  • 宴の席でリーダーのイービリスは、ディアスが約定を結ぶに足る人物かを見極めるため手合わせを申し込み、一対六の戦いで見事な連携を見せるも本気を出したディアスに圧倒された。
  • ディアスの力を認めた彼らは、支配や臣従ではなく友好と交易を望むディアスの姿勢に感銘を受け、固い握手を交わした。

港町構想の成立と共闘
交流が深まる中、大入り江に共同で港を整備し、海運ネットワークを構築する計画が持ち上がった。

  • 大型船の巨大なマスト調達という課題も、水中移動に優れたゴブリン族が海中から船を牽引することで解決できると判明した。
  • その対価として、彼らの悲願である陸地の拠点を整備することが約束され、強固な協力関係が築かれた。
  • 北の山にアクアドラゴンが現れた際には討伐隊として共闘し、強烈な水流攻撃を利用して空中に飛び上がり強烈な一撃を決めるなど高い戦闘力を発揮した。
  • 直後に現れた巨大メーアの圧倒的な力も目撃し、イルク村が陸の神々に愛された安住の地であると確信を深めることとなった。

子供達やメーア達との日常交流
戦いの後、イービリスはイルク村の子供達に釣りを教えながら、誰も到達したことのない未知なる深海や美しく色鮮やかなサンゴの森など、海の世界の魅力を語って聞かせた。

  • 目を輝かせる子供達に、惜しげもなく美しいサンゴを砕いてプレゼントする一幕もあった。
  • メーアの長であるフランシスとも意気投合し、ゴブリン達が皆でメーアの毛の心地よさに恍惚となって埋もれるという、種族を超えた微笑ましい交流も描かれている。

まとめ
ゴブリン族との出会いは、イルク村の人々に未知なる海の世界の魅力をもたらし、種族の壁を超えた深い信頼関係を築き上げる契機となった。互いの力と願いを尊重し合うことで結ばれたこの絆は、過酷な荒野を越えて海へ至る壮大な物流ネットワークの基盤となり、メーアバダル領の未来を大きく切り拓く重要な一歩となったのである。

不思議な絨毯

『領民0人スタートの辺境領主様』第11巻において、ペイジン商会からディアスに贈られた不思議な絨毯は、驚異的な治癒能力を持つマジックアイテムとして登場する。本稿では、その特徴や物語における役割について解説する。

入手経緯と隠された力
不思議な絨毯は、獣人国のペイジン商会長オクタドが、メーアバダル領との友好の証としてイルク村の関所へ持ち込んだペイジン家の家宝である。

  • 古い色合いながら妙に頑丈でほつれず、持っていると家が没落しないという縁起の品として伝わっていた。
  • 赤い鳥とそれを囲う炎が描かれたその絨毯に対し、ディアスが力を込めると鳥の模様が赤く光る。
  • 上に乗った犬人族の傷ついた肉球やヒューバートの荒れた手を綺麗に治し、モントがナイフで自らつけた切り傷すらも、血が流れると同時に完全に塞いでしまうという驚異的な治癒能力を発揮した。

使用条件と魔力の制約
この絨毯を起動できるのは、戦斧や火付け杖などと同様にディアスのみであり、他の者が試しても一切反応しなかった。

  • 怪我の程度に応じて魔力を消費し、切り傷を治すだけでもかなりの魔力を必要とするため、効率は決して良くない。
  • しかし、使わなかった魔力を絨毯に少しずつ溜め込む性質があるため、緊急時の大怪我に備えておくことができる。

平和利用の決定と安産絨毯としての活躍
この強力なアイテムの使い道について、イルク村の代表者たちで会議が開かれた。

  • 領兵隊長のクラウスは、怪我が綺麗に治るからと無茶な戦い方をするようになり、結果的に悲惨な事態を招くと警告し、軍事目的での利用を強く反対した。
  • これに対し、マヤ婆さんがお産で命の危険がある母親や赤ん坊を救うために使うべきだと提案し、全員が賛同した。
  • 結果として、絨毯は軍事行動を前提とした運用はせず、普段はマヤ婆さんたちの腰痛などを和らげる憩いの場として、また大怪我や出産の際の緊急用として活用されるルールが決まった。

まとめ
後にこの絨毯は村人たちから安産絨毯と呼ばれるようになり、人間や亜人だけでなく、馬など動物の怪我を治すためにも使われるようになった。強力な治癒アイテムを安易に戦争に利用するのではなく、領民の命と平和な生活を守るために活用するディアスたちの堅実で優しい姿勢を象徴するエピソードとなっている。

荒野の水路整備

『領民0人スタートの辺境領主様』第11巻において、荒野の水路整備は過酷な死の大地を切り拓き、将来的には南の海へと繋ぐための極めて重要な国家規模のプロジェクトとして描かれている。本稿では、荒野の水路整備の現状と今後の構想について解説する。

洞人族による小川の治水とため池の完成
荒野の環境を改善するため、洞人族たちが村の側を流れる小川から荒野へ向かって水を引く工事を進めている。

  • かつてセナイとアイハンが荒野で出会った、メーアモドキの同種と思われる喋る不思議なトカゲから助言を受けた場所へ向かって水路が造られている。
  • 洞人族の技術により、小川の両岸を焼いた土や固い粘土、石壁などで補強することで、不思議なことに川の流れが速くなり、水量まで増えるという工夫が施されている。
  • そうして少しずつ荒野まで水を引っ張ってきた結果、水路の先にはしっかりと石で囲い固められた立派なため池が完成し、荒野の開拓に不可欠な水資源の確保に成功している。

水路を利用した緑化計画
水路に水が通ったことで、セナイとアイハンは草を編んで作った小さな船に植物の種を乗せて流すという方法で、水と共に草花の種を荒野の奥へと広げる緑化計画を実行している。

  • ディアスや同行していた獣人たちも、完成したため池の周囲の土を柔らかくして種を蒔き、水をかける地道な作業を行っている。
  • 荒野に水が流れ草が生えれば、過酷な環境に強いラクダや馬の食料となり、さらに南にある海へと探索を進めるための重要な足がかりとなる。

海との往来を見据えた大規模水路構想
南の海からやってきたゴブリン族(鮫人族)との交流が始まると、リーダーのイービリスから、小川にもう少し深さと水量があれば水の中を泳いだり船を使ったりして移動できるという意見が出された。

  • 水中であれば体力消耗が抑えられ、移動速度も飛躍的に上がり、魚が棲み着けば食料調達も可能になるためである。
  • これに対し洞人族のサナトは、山の地下水脈を利用して新たな水路を掘削し、水量を増やすことは可能だと説明した。
  • 現在の生活用水である小川に影響が出ないよう地質調査や計画が必要であり、イルク村まで水を引くのに半年以上、荒野から海まで繋ぐとなると数倍の手間と時間がかかる大工事になるが、実現すれば海と村を直接結ぶ巨大な物流ルートとなる。

アクアドラゴンによる影響の可能性
サナトは水路造りに関連して、水を好み地下湖などに棲むアクアドラゴンの存在に言及している。

  • アクアドラゴンが地上に出る際に山を壊して作る通り道を上手く利用できれば、水路造りがいくらか早く進む可能性があるとしている。
  • 水源を壊されるリスクもあるため狙ってできるものではないが、イービリスはこの海にも存在する伝説級の強敵との戦いを望んでおり、今後の水路開拓と関わってくる可能性が示唆されている。

まとめ
このように、荒野の水路整備は単なる水源確保の枠を超え、緑化による環境改善や海とイルク村を結ぶ巨大な物流ルートの構築へと発展している。多種族の知恵と技術を結集し、時には未知の強敵との遭遇も視野に入れながら、メーアバダル領の未来を拓く壮大な開拓が着実に進められているのである。

巨大メーアの出現

『領民0人スタートの辺境領主様』第11巻における巨大メーアの出現は、絶体絶命の危機を救うだけでなく、これまでメーアバダル領(ネッツロース草原)に隠されていた最大の謎を解き明かし、新たな信仰を生み出す決定的な出来事として描かれている。本稿では、巨大メーアの出現とその後の影響について解説する。

絶体絶命の危機と圧倒的な力による討伐
北の山際での激闘の末、ディアスたちは多大な労力をかけて一体目のアクアドラゴンを討伐することに成功した。

  • 息つく暇もなく奥から二体目のアクアドラゴンの咆哮が響き渡り、疲弊しきった仲間たちを逃がすため、ディアスは一人で殿を務める決意を固めた。
  • 二体目のアクアドラゴンがディアスに襲い掛かろうとしたその瞬間、凄まじい地響きと共に地面を突き破り、白くモコモコとした毛に覆われた巨大すぎる程に巨大なメーアが出現した。
  • 巨大メーアはディアスの背丈ほどもある丸まった角でアクアドラゴンの腹を突き上げると、そのまま空中に飛び上がり、頑丈な甲殻を真っ二つに引き裂いて瞬時に討伐してしまった。
  • その後ディアスたちを一瞥すると、再び地面を砕いて地中へと潜り去っていった。

巨大メーアの正体と草原の謎の解明
この出来事を通じて、ディアスたちは草原にまつわる数々の謎の答えに辿り着いた。

  • 大地の力を吸う存在:かつてセナイとアイハンが、この草原の地中には力を吸っている何かがいるから木々が育たないと語っていたが、その正体こそが地中に潜む巨大メーアであった。
  • ドラゴンの失踪理由:長年鬼人族はドラゴンが現れても戦わずに隠れてやり過ごしていたが、それでもドラゴンはいつの間にか姿を消していた。それは巨大メーアが人知れずドラゴンを討伐し続けていたからだと判明した。
  • 傷ついた主:以前ディアスの前に現れた謎の存在メーアモドキが、主の傷が癒えると語っていたことから、巨大メーアは過去のドラゴンとの戦いで重傷を負っており、回復のために地中で大地の力を吸収し続けなければならない状態だったのだと推測された。
  • ディアスが代わりにドラゴンを討伐したことでその傷が癒え、姿を現すことができたと考えられる。

陸の神としての神格化と信仰の広がり
巨大メーアの圧倒的な力と奇跡的な救済を目の当たりにしたマスティ氏族の犬人族が、ドラゴンを倒してくれる神様だ、神殿に祀られているじゃないかと叫んだことをきっかけに、巨大メーアは一気に神格化されていった。

  • ベン伯父さんの発案でイルク村の神殿にメーアが祀られていたという偶然も重なり、村人たちの熱狂は頂点に達した。
  • その場に居合わせたゴブリン族や獣人国のペイジン、獅子人族のスーリオ達も、陸の神に愛された安住の地だ、陸の神と邂逅できたと深い感動と興奮を覚えた。
  • ディアス自身は神の存在に対して懐疑的であり、神殿も方便として利用していた面があったため戸惑うが、エイマから祈るのは自由だと諭され、皆の熱狂を受け入れることになった。

まとめ
この巨大メーアの出現と大メーアとしての神格化は、イルク村の結束をさらに強固なものにしただけでなく、噂となって隣領や獣人国、そして王国全土にまで波及した。結果として、ディアスとメーアバダル領の権威を飛躍的に高める歴史的な転換点となったのである。

領民0人10巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人12巻レビュー

登場キャラクター

メーアバダル領

ディアス

メーアバダル領の領主であり、救国の英雄と呼ばれる人物である。周囲から深く慕われ、彼自身も領民を大切にしている。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領主。公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 アースドラゴンやアクアドラゴンの討伐を指揮し、自らも戦闘に参加して活躍した。ゴブリン族の使者と面会し、友好関係と交易の約束を取り付けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 他国や異種族からも英雄として認知されつつある。ペイジン商会から治癒の力を持つ絨毯を贈られた。

エイマ

ディアスの行動を補助する立場にある。戦闘時などにはディアスの懐に潜り、状況を報告する役割を担う。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 アクアドラゴンとの戦闘中、ディアスに敵の瘴気魔法や行動を報告した。学び舎では自然学を教えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 情報処理能力が高く、内政官のヒューバートからも頼りにされている。

ダレル夫人

イルク村に到着した新たな領民である。貴族としての礼儀作法に精通し、教育熱心な性格を持つ。

・所属組織、地位や役職
 領主の教育係。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスやアルナー、セナイたちに貴族の礼儀作法を指導した。エルアー伯爵らが来訪した際にはディアスに助言を与え、完璧な対応を支援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 学び舎で貴族の作法を教えており、村人たちの教育において中心的な役割を果たしている。

ヒューバート

イルク村の内政を担う文官である。仕事熱心であり、領地の発展を真剣に考えている。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の内政官。
・物語内での具体的な行動や成果
 地図の作成や毎月の収支記録などの書類仕事をこなした。ゴブリン族との交易において、港の共同整備や海路の確保を提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 学び舎で物語を通じた読み書きや法律の基礎を教えている。

エリー

イルク村における商取引を担当する人物である。現実的な視点を持ち、利益や影響を冷静に判断する。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の商人組。
・物語内での具体的な行動や成果
 洞人族が作った鉄鍋の商品化について、重量や鉄資源の重要性から慎重な意見を出した。西側関所でペイジン商会の応対を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ギルドを通じた物資の流通に携わり、領地の経済を支えている。

ゴルディア

商人ギルドの長であり、料理も得意な人物である。交易や利益の分配などを管理する立場にある。

・所属組織、地位や役職
 商人ギルドの長。
・物語内での具体的な行動や成果
 領内に酒場を建設し、そこで振る舞う料理を作った。アクアドラゴンの希少な素材を売却し、参加者へ利益を分配する計画を立てた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 酒場の建設により、領民たちに新たな交流の場を提供した。

クラウス

ディアスに従う領兵隊長である。真面目で現実的な考えを持ち、戦争の恐ろしさを理解している。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領兵隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
 治癒の力を持つ絨毯について、戦争に利用すれば無謀な作戦が横行すると反対した。アクアドラゴン討伐では小人型モンスターの群れを掃討した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アースドラゴンの素材を使った強力な装備を与えられ、部隊の戦力を向上させた。

モント

ディアスに従う領兵の一人である。義足を使用しており、実戦の経験が豊富である。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領兵。西側関所の警備担当。
・物語内での具体的な行動や成果
 西側関所の警備を指揮した。治癒の絨毯の力を見るため、自らの腕をナイフで傷つけて実験を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 西側関所の主としてペイジン商会の応対を行うなど、責任ある立場を任されている。

ジョー

領兵としてディアスに従う人物である。鬼人族の女性と婚約し、村での生活に根付き始めている。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 西側関所でディアスやペイジン商会を出迎えた。アクアドラゴン討伐に向けた戦いで小人型モンスターと戦った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 鬼人族の女性との婚約が成立し、イルク村の領民として新たな家族を築くことになった。

ロルカ

ジョーと同じくディアスに従う領兵である。鬼人族の女性と婚約し、村の防衛に尽力している。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 西側関所で来客の応対を行った。アクアドラゴン討伐の際はクラウスと共に小人型モンスターの群れを相手に戦った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 鬼人族の女性と見合いをして婚約が成立した。

リヤン

ディアスに従う領兵の一人である。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領兵。東側関所の警備担当。
・物語内での具体的な行動や成果
 西側関所でディアスたちを出迎えた。アクアドラゴン討伐時には、クラウスの代わりに東側関所の警備を任された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アースドラゴンの素材から作られた装備を与えられた。

マヤ婆さん

イルク村に住む老人であり、占いが得意な人物である。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 北の山からディアスが苦戦するほどの強大なドラゴンが現れると予言した。治癒の絨毯に座り、腰や関節の痛みを和らげてもらった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 絨毯を出産時の母子救命に使うべきだと提案し、周囲の賛同を得た。

スーク婆さん

イルク村の老人であり、ミルクが好きという特徴を持つ。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 エルアー伯爵から贈られたラクダの乳搾りを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ラクダから大量のミルクが出続けたため、最終的に乳搾りの担当を別の者に譲ることになった。

セナイ

森人族の双子の姉である。明るい性格で、森の植物に関する知識を持つ。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野に水路ができると、草編みの小舟に種を乗せて流した。宴の席でペイジン・ドとドシラドに薬湯を手渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ダレル夫人の指導により、貴族令嬢としての礼儀作法を身につけつつある。

アイハン

森人族の双子の弟である。姉のセナイと共に行動することが多い。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 セナイと共に荒野へ種を流した。ドシラドや他の子供たちと湖畔で釣りを楽しんだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 セナイと同じくダレル夫人から礼儀作法の指導を受けている。

サナト

洞人族の若者である。物作りや建築に関して高い技術を持つ。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。洞人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 鉱山で採掘した鉄を用いて、蒸し料理用の黒鉄鍋を作った。小川の水を増やし、人工的な水路を建設する案を説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アクアドラゴンというモンスターの生態についてディアスたちに情報を提供した。

ナルバント

洞人族の老人であり、工作技術と料理に長けた人物である。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。洞人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴブリン族を迎える宴のために、腸詰めなどの肉料理を用意した。港を造るために必要な船のマストについて課題を説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 洞人族が岩のように眠ることで何千年も生きられるという特性を語り、周囲を驚かせた。

サーヒィ

空を飛ぶことができる鷹人族の戦士である。自信家であり、偵察などの任務をこなす。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。鷹人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野を北上するゴブリン族を上空から発見した。ディアスからの手紙と軟膏を持ってゴブリン族の元へ向かい、交流のきっかけを作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ウィンドドラゴンの素材で作られた防具を装備している。

リーエス

鷹人族の女性である。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。鷹人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 北の山で何かが山肌を突き破ろうとしているとディアスたちに報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アクアドラゴンの出現をいち早く村に伝えた。

ビーアンネ

鷹人族の女性である。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。鷹人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 ドラゴン以外の正体不明のモンスターが多数現れたことを報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 洞人族がモンスターに追われている状況を的確に伝達した。

コルム

犬人族のアイセター氏族長である。動物の世話を担当している。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。アイセター氏族長。ラクダの世話係。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野でディアスたちと共にラクダの様子を観察した。ラクダの性格や有用性を評価し、頭数を増やしたいと語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 軍馬の教育なども担当する予定である。

シェフ

犬人族のシェップ氏族長である。家畜の世話を担当し、楽天的な性格を持つ。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。シェップ氏族長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ガチョウを三百羽に増やして丸焼きの祭りをするという夢を語った。人手が足りなければ氏族長を増やせばいいと提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 その言葉が、ディアスに領民をさらに増やす決断を促すきっかけとなった。

セドリオ

犬人族の氏族長の一人である。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。犬人族の氏族長。
・物語内での具体的な行動や成果
 治癒の絨毯の使い道を話し合う会議に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 馬を他の貴族などに売るための護衛任務を志願した。

マーフ

犬人族の氏族長の一人である。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。犬人族の氏族長。
・物語内での具体的な行動や成果
 治癒の絨毯の用途を決める会議に同席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 遠方への馬の取引があれば護衛を務めると発言した。

フランシス

メーアの群れのリーダー格である。ディアスやアルナーに懐いている。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の動物。メーアの長。神の使い。
・物語内での具体的な行動や成果
 広場でイービリスと触れ合い、背中を撫でられた。ディアスとアルナーの結婚に賛成する鳴き声を上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村では神の使いとして扱われている。

フランソワ

フランシスと行動を共にするメーアである。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の動物。神の使い。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランシスと共にディアスたちの会話を聞き、結婚を肯定する反応を見せた。六つ子たちを背中に乗せて運んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 神殿の関連で神の使いとしての扱いを受けている。

エゼルバルド

イルク村にいるメーアの一頭である。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の動物。
・物語内での具体的な行動や成果
 妻たちと共に広場へ現れ、イービリスに撫でられるのを待った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

領兵達

ディアスの下で働く兵士たちである。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の兵士。
・物語内での具体的な行動や成果
 アースドラゴン装備を身につけ、小人型モンスターとの戦闘に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 数名が鬼人族の女性と婚約を結んだ。

婦人会

イルク村の女性たちで構成される集団である。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒューバートのユルトで掃除や書類整理などを手伝った。ゴブリン族の歓迎に向けた準備に尽力した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 村の運営において実務的な支援を担っている。

マスティ氏族

犬人族の氏族の一つで、戦闘や警備を得意とする。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。犬人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴブリン族が村へ向かう際の護衛を務めた。アクアドラゴン討伐の戦いにも参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 巨大メーアを目撃し、それを神として称える声を上げた。

センジー氏族

犬人族の氏族の一つである。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。犬人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスたちが西側関所へ向かう際、周囲の護衛を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

アイセター氏族

犬人族の氏族の一つで、動物の世話を担当している。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。犬人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 ラクダの世話や、メーアたちのブラッシングを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 氏族長のコルムがラクダの管理を任されている。

シェップ氏族

犬人族の氏族の一つで、家畜の世話を担当している。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。犬人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 厩舎で家畜の世話を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 氏族長のシェフがガチョウの飼育数を増やす計画を進めている。

洞人族

北の山の鉱山開発や建築を担う種族である。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野に水路を建設した。アクアドラゴン討伐に向けた鉄の装備を製造した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 岩のように眠ることで長期間生きられるという独自の生態を持つ。

鷹人族

空を飛ぶ能力を持つ種族である。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴブリン族へ水や食料を空から輸送した。北の山の巡回を行い、モンスターの出現を知らせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 偵察や輸送において重要な役割を果たしている。

犬人族

様々な氏族に分かれ、多種多様な作業をこなす種族である。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 宴の準備や配膳、施設の整理などを手伝った。治癒の絨毯の力を身をもって証明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 村の労働力として欠かせない存在となっている。

メーア達

羊のような姿をした動物である。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の動物。
・物語内での具体的な行動や成果
 広場に集まり、イービリスやゴブリン達からブラッシングを受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 その毛が村の特産品として大きな価値を生んでいる。

六つ子達

メーアの子供たちである。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の動物。
・物語内での具体的な行動や成果
 神殿の側にある学び舎で授業に参加した。擦り傷を治すために治癒の絨毯の上で転がった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 神官たちから可愛がられている。

新参メーア達

イルク村に新しく加わったメーアである。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の動物。
・物語内での具体的な行動や成果
 他のメーアたちと共に広場へやってきて、撫でられるのを待った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

巨大メーア

地中から現れた巨大な白いメーアである。圧倒的な力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 不明。
・物語内での具体的な行動や成果
 地中から現れ、二体目のアクアドラゴンを角で引き裂いて討伐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 その姿を見た多種族から「神」として熱狂的に崇拝されるようになった。

神殿

ベン(ベンディア)

ディアスの伯父であり、イルク村の神殿を管理する人物である。新しい教えを広めようとしている。

・所属組織、地位や役職
 神殿の管理者。神官。
・物語内での具体的な行動や成果
 メーアを神の使いとする新しい教えを考案し、村人たちに受け入れさせた。神殿の建設を指導した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過酷な聖地巡礼を経験したという事実が、新しい教えを広める上での強みとなっている。

フェンディア

イルク村に到着した女性神官である。手紙の代筆なども行える。

・所属組織、地位や役職
 神殿の神官。
・物語内での具体的な行動や成果
 神殿の飾り付けや整備に尽力した。ディアスが手紙を書く際、神殿の情報交換における手紙の重要性を説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

パトリック

神殿を守る神官兵の一人である。信仰心が厚く、真面目な性格である。

・所属組織、地位や役職
 神殿の神官兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野の調査に同行し、ラクダの乳搾りも手伝った。墓地の建設についてディアスに質問し、その考えに感銘を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ダレル夫人から礼儀作法の授業を受けることになった。

ピエール

イルク村に到着した神官兵の一人である。

・所属組織、地位や役職
 神殿の神官兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 フェンディアたちと共にイルク村へ到着した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

プリモ

イルク村に到着した神官兵の一人である。

・所属組織、地位や役職
 神殿の神官兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 フェンディアたちと共にイルク村へ到着した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

ポール

イルク村に到着した神官兵の一人である。

・所属組織、地位や役職
 神殿の神官兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 フェンディアたちと共にイルク村へ到着した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

オリアナ

神殿の神官の一人である。

・所属組織、地位や役職
 神殿の神官。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルナーに貴族社会の裏側や習慣について教えた。討伐隊が出発する際に見送りの挨拶をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

神官達

大神殿などに所属する神官たちである。

・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国の大神殿に所属する神官。
・物語内での具体的な行動や成果
 王都の部屋で酒宴を開き、ディアスやギルドへの不満を口にした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 不満を漏らすだけで、具体的な対策を講じることはなかった。

神官兵

イルク村の神殿に仕える兵士たちである。

・所属組織、地位や役職
 神殿の兵士。
・物語内での具体的な行動や成果
 メーア布で作られた装備を身につけ、アクアドラゴン討伐の戦いに参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 戦闘に参加し、戦力の一部として貢献した。

鬼人族

アルナー

ディアスの婚約者であり、鬼人族の女性である。戦闘能力が高く、面倒見の良い性格である。

・所属組織、地位や役職
 鬼人族。ディアスの婚約者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスたちに貴族の礼儀作法を一緒に学んだ。アクアドラゴン討伐では騎射を用いて小人型モンスターを倒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 人間族との結婚について不安を抱いていたが、ディアスの言葉で安堵した。

ゾルグ

アルナーの兄であり、鬼人族の戦士である。妹思いで、村の将来を考えている。

・所属組織、地位や役職
 鬼人族の戦士。次期族長候補。
・物語内での具体的な行動や成果
 アクアドラゴン討伐に参加し、馬で戦場を踏み荒らして敵を倒した。治癒の絨毯を馬の治療にも使ってほしいと頼み込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ディアスに対し、族長になった際にはより良好な関係を築きたいと伝えた。

鬼人族の女性

鬼人族の村に住む女性たちである。

・所属組織、地位や役職
 鬼人族の村人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ジョーたち領兵と見合いを行い、七組が婚約した。治癒の絨毯の魔力検証に協力した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村の領民との関わりを深めている。

鬼人族の戦士達

鬼人族の村の戦闘員たちである。

・所属組織、地位や役職
 鬼人族の戦士。
・物語内での具体的な行動や成果
 アースドラゴンの素材から作られた弓矢を使い、アクアドラゴン討伐に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 治癒の絨毯が馬にも使えると知り、大きな歓声を上げた。

ゴブリン族(鮫人族)

イービリス

ゴブリン族のリーダーである。冒険心に溢れ、未知の世界に強い興味を持つ。

・所属組織、地位や役職
 ゴブリン族の頭目。
・物語内での具体的な行動や成果
 死の大地を探索してイルク村に到達し、ディアスと手合わせを行った。アクアドラゴンとの戦いでは槍を使って活躍した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ディアスと友好と交易の合意を結び、海路を使った輸送計画を提案した。

ゴブリン達

イービリスと共に旅をする戦士たちである。

・所属組織、地位や役職
 ゴブリン族の戦士。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野で水が尽きかけたところを助けられ、イルク村で歓待を受けた。アクアドラゴン戦では水流の中を泳ぐ独自の戦法を見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 宴で酒を飲みすぎて倒れるという一面も見せた。

ペイジン商会

ペイジン・ド

ペイジン商会の一員であり、友好的な商人である。利益よりも人情を大切にすることがある。

・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会の商人。オクタドの息子。
・物語内での具体的な行動や成果
 西側関所を訪れ、大量の謝礼品と家宝の絨毯をディアスに贈った。アクアドラゴンの戦闘時には、自身の舌を使ってディアスを救出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 神が現れたという話を獣王に報告し、獣人国内で噂が広まるきっかけを作った。

ペイジン・ドシラド

ペイジン・ドの長男である。幼く無邪気な性格をしている。

・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会。
・物語内での具体的な行動や成果
 父親と共に西側関所を訪れ、王国語で挨拶をした。ディアスのことを獣人国のおとぎ話に登場する空の英雄と呼んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 セナイやアイハンたちとすぐに打ち解けて遊んだ。

オクタド

ペイジン商会の長であり、大商人である。

・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会の長。
・物語内での具体的な行動や成果
 自身の勘に基づき、家宝の絨毯をディアスへ贈ることを決定した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 直接の登場はないが、その決断がイルク村に強力な治癒アイテムをもたらした。

マーハティ領

エルダン

マーハティ領の領主である。ディアスを深く尊敬している。

・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の領主。公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスからアクアドラゴンの素材を受け取り、大いに喜んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 神殿への支援を公的に正当化できるようになり、新道派への対策を整えた。

ジュウハ

マーハティ領で兵学者として働く人物である。

・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の兵学者。
・物語内での具体的な行動や成果
 宴席でディアスの異常な強さや、卑劣な手段を使う者への苛烈な報復について語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼の語る話により、獣人たちにディアスの恐ろしさを理解させた。

カマロッツ

マーハティ領で働く人物である。

・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 エルダンの執務室で、吹き飛んだ書類を拾い集めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

スーリオ

獅子人族の戦士である。暑さや乾燥に強い。

・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の使者。獅子人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野の調査に同行し、海魚への興味から開拓への協力を申し出た。アクアドラゴン討伐の戦いにも参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 巨大メーアを目撃し、エルダンへの土産話ができたと興奮した。

リオード

獅子人族の戦士の一人である。

・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の使者。獅子人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 海魚を食べるために荒野開拓への協力を申し出た。アクアドラゴン討伐に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

クレヴェ

獅子人族の戦士の一人である。

・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の使者。獅子人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 スーリオたちと共に荒野開拓の手伝いを志願した。アクアドラゴン討伐に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

斑模様の獣人

マーハティ領の宴席に参加していた獣人である。

・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の獣人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスを敵に回した場合、人質を取るなどの対抗策はないかとジュウハに質問した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ジュウハの警告を受けて縮み上がった。

サンセリフェ王国

リチャード王子

サンセリフェ王国の第一王子である。国を立て直すため、強引な改革を推し進めている。

・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国の第一王子。
・物語内での具体的な行動や成果
 非協力的な貴族の領地を没収して騎士団領とし、新たな人材を王城に大量に送り込んだ。内政官に声をかけ、国を立て直すための協力を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王城内の実権を握りつつあり、その政策は平民から圧倒的な支持を集めている。

ナリウス

リチャード王子の側近として仕える人物である。

・所属組織、地位や役職
 リチャード王子の側近。
・物語内での具体的な行動や成果
 リチャードの背後で堅い表情を作りながら、その改革の意図や影響について内心で考察した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 改革の方向性を見極めつつ、行けるところまで王子についていく覚悟を決めている。

エルアー伯爵

サンセリフェ王国の貴族である。

・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国の貴族。伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスに敵意を持って領地を訪れたが、対応を受けて態度を改め、忠誠を誓った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 領地を没収されまいと抵抗する貴族に対し、償いをしていないと非難する側に回った。

アールビー子爵

サンセリフェ王国の貴族である。

・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国の貴族。子爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 エルアー伯爵と共にディアスのもとを訪れたが、最終的に逃げるように退散した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

フレデリック・サーシュス公爵

サンセリフェ王国の貴族である。

・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国の貴族。公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 国家国民のために戦ってこそ貴族だと主張し、ディアスへの尊敬の念を公言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ディアスに反発する貴族たちの誘いを一蹴した。

エーリング・シグルザルソン伯爵

サンセリフェ王国の貴族である。

・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国の貴族。伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスに敵対する理由はないと述べ、騒ぐ貴族たちを冷たくあしらった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヘレナがディアスの活躍を称える歌の制作に励んでいることを明かした。

ヘレナ

サンセリフェ王国の王族である。

・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国の王女。
・物語内での具体的な行動や成果
 アクアドラゴン討伐と新たな神を称える歌の制作に取り組んでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 直接の登場はないが、ディアスの名声を高める活動を行っている。

イザベル

サンセリフェ王国に関わる人物である。

・所属組織、地位や役職
 イザベル派閥の中心人物。
・物語内での具体的な行動や成果
 派閥の思惑から、ディアスを非難するような動きを抑えていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 直接の登場はない。

獣人国

獣王

獣人国を統べる王である。

・所属組織、地位や役職
 獣人国の王。
・物語内での具体的な行動や成果
 アースドラゴン討伐と避難民保護の件で、ディアスに称賛の言葉を贈った。ペイジン・ドからの神の出現報告を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 直接の登場はないが、ディアスに対する好意的な評価を示している。

キコ

獣人国の参議である。

・所属組織、地位や役職
 獣人国の参議。
・物語内での具体的な行動や成果
 直接の登場はないが、ディアスと友誼を結んでいる人物として名が挙がった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 その息子たちを代表に据えることで、海運計画において獣人国の協力を得やすくなる可能性が示された。

ヤテン

獣人国の関係者である。

・所属組織、地位や役職
 獣人国の関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
 直接の登場はないが、ディアスに対して消極的ながら好意的な評価をしていると噂されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

セキ

獣人国生まれの若者である。

・所属組織、地位や役職
 商人見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
 直接の登場はないが、いずれ一人前の商人になり、港や船を使った交易に関わることが期待されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 キコの息子であるため、獣人国との取引で重要な役割を果たすと見込まれている。

サク

獣人国生まれの若者である。

・所属組織、地位や役職
 商人見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
 直接の登場はないが、セキと共に商売の修行を積んでいると言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 将来的に交易の拠点となる港での活躍が期待されている。

アオイ

獣人国生まれの若者である。

・所属組織、地位や役職
 商人見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
 直接の登場はないが、セキやサクと共に一人前の商人になるため修行中である。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

モンスター・その他

メーアモドキ

不思議な力を持つ存在である。

・所属組織、地位や役職
 不明。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスに白い花の存在と、その花が持つ薬効やメーアの好物であることを教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ディアスが巨大メーアの正体を推測する際、過去の発言が重要なヒントとなった。

トカゲ

荒野に現れた不思議な生物である。

・所属組織、地位や役職
 不明。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴブリン族の前に現れ、北の方角を見るように促してから光と共に姿を消した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 この存在がきっかけで、ゴブリン族は死の大地の探索を本格化させた。

小人型モンスター

北の山に現れた緑色の肌を持つモンスターである。

・所属組織、地位や役職
 不明。
・物語内での具体的な行動や成果
 アクアドラゴンに追いやられて山から現れ、連携や武器を使ってディアスたちと戦った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 集団で襲いかかったが、討伐隊によって掃討された。

アースドラゴン

過去にディアスたちが倒したドラゴンである。

・所属組織、地位や役職
 モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 直接の登場はないが、その素材がクラウスたちや討伐隊の強力な防具や武器として活用された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 残された素材がメーアバダル領の戦力強化に大きく貢献している。

アクアドラゴン

山中の地下水脈などに生息する特殊なドラゴンである。

・所属組織、地位や役職
 モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 巨大なザリガニのような姿で現れ、水流や瘴気魔法、素早い触角の攻撃でディアスを苦しめた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一体目はディアスたちに討伐され、二体目は地中から現れた巨大メーアによって引き裂かれた。

領民0人10巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人12巻レビュー

展開まとめ

アースドラゴンとの戦い

ディアス達は領民と協力し、襲来したアースドラゴンの撃退に成功した。

強敵との戦いではあったが、領民達が互いを支え合いながら奮戦したことで被害を抑え、無事に討伐を果たす。

その後、再び現れたメーアモドキから白い花の存在を教えられる。

その花は香りが良く、様々な薬効を持つ上、メーア達の好物でもあるという非常に有用な植物だった。

酒場の建設と酒宴

ゴルディアの提案と働きによって、領内へ新たに酒場が建てられる。

完成後には盛大な酒宴が開かれ、ゴルディア自慢の料理が振る舞われた。

料理はどれも絶品で、領民達は賑やかで楽しい時間を過ごす。

さらに今後は神殿も建設される予定となっており、イルク村には新たな憩いの場が増えつつあった。

領兵達の婚約

ジョーやロルカを始めとする領兵達と、鬼人族の女性達との見合いが行われる。

その結果、七組もの婚約が成立し、イルク村には新たな家族達が生まれることとなった。

戦場を共にした男達が、この地で新たな人生を築き始めたのである。

新たな仲間達の到着

イルク村へは新たな領民達も到着する。

貴族教育を担当するダレル夫人、神官であるフェンディア、さらに屈強な神官兵であるパトリック、ピエール、プリモ、ポール達が加わった。

ダレル夫人は早速、ディアスやアルナー、セナイとアイハンへ貴族としての礼儀作法や振る舞いを教え始める。

慣れない作法に苦労しながらも、ディアス達は真剣に学び続けた。

エルアー伯爵とアールビー子爵

そんな中、敵意を持った二人の貴族、エルアー伯爵とアールビー子爵がメーアバダル領を訪れる。

ディアスはダレル夫人の助言と鬼人族達による魂鑑定の助けを受けながら、貴族として完璧な対応を見せる。

その結果、アールビー子爵は逃げるように去っていった。

一方でエルアー伯爵は、ディアスの姿勢や人柄を目の当たりにしたことで態度を改め、最終的には忠誠を誓うまでになる。

広がり続けるイルク村

多くの仲間や施設が加わったことで、イルク村はさらに発展を続けていった。

新たに加わった施設は酒場を含め、迎賓館や鉱山、養蜂場、酒蔵など多岐に渡り、領地としての基盤も着実に強化されていく。

そしてディアスは、仲間達を守り導くため、苦手だった貴族の礼儀や政治にも向き合い続けるのだった。

暗闇の中で

荒野調査とラクダの有用性

エルアー伯爵の来訪から数日後、ディアスはラクダの性能確認と荒野開拓の準備状況を確かめるため、南の荒野へ向かった。

同行したのはエイマ、パトリック、スーリオ達獅子人族三人、そしてラクダの世話役であるコルムだった。

夏の荒野は凄まじい暑さで、砂埃が肌へまとわりつく過酷な環境だったが、エイマは故郷の砂漠と比べれば涼しいくらいだと平然としていた。パトリック達も修行の成果か問題なく耐え、獅子人族のスーリオ達も暑さへの強さを見せる。

コルムはラクダ達の性格や性能を絶賛し、さらに頭数を増やしたいと語る。

ラクダは人懐っこく頑丈で、荒野でも平然としており、莫大な量のミルクまで出す優秀な動物だった。

ラクダのミルク騒動

ディアスはラクダを受け取った直後の騒動を思い出していた。

メスのラクダから大量のミルクが出ることが判明し、ミルク好きのスーク婆さんが乳搾りを行ったところ、巨大な壺一杯分もの量が取れたのである。

しかも翌日以降も同量が出続け、ラクダ自身は平然としていた。

そのため現在は体力のあるディアス達やパトリック達が乳搾りを担当していた。

ラクダのミルクは脂分が強く、そのままでは癖があるものの、チーズやバターに加工すると非常に美味しくなった。

さらにエイマによれば、砂漠では薬のように扱われるほど滋養に富み、病気にも効く特別なミルクだという。

荒野への水路整備

一行は、以前セナイとアイハンが奇妙なトカゲと出会った場所へ向かう。

そこでは洞人族達による水路整備が進められていた。

小川を焼いた土や石壁で補強しながら流れを変え、荒野まで水を引き込んでいたのである。

やがて北から水が流れ込み始め、水路を通って石造りのため池へと注がれていく。

それを見たラクダ達は早速水を飲み始め、コルムも好きにさせてやってほしいと願い出る。

さらにセナイ達が流した草編みの小舟が現れ、その上には草花の種が積まれていた。

水と共に植物を広げ、荒野へ草地を作ろうという工夫だった。

ディアス達もそれを真似し、ため池周辺へ種を蒔き始める。

南の海への夢

作業を終えたディアスは、さらに南へ進めば海へ到達できるかもしれないと語った。

海では大量の魚が獲れ、新鮮な海魚は塩漬けとは比べ物にならないほど美味いらしいと聞いていたのである。

その話を聞いたスーリオ達獅子人族は強く反応する。

彼らは魚好きであり、新鮮な海魚への憧れを抱いていた。

ディアスは、内陸へ運ばれてくる塩タラが保存性に優れるため主流なのだと説明する。

するとスーリオ達は、氷の貯蔵庫を持つメーアバダル領なら海魚の輸送も可能になるのではないかと考え、荒野探索と開拓への協力を申し出た。

ディアスは海に本当に魚がいるのか、漁が可能なのかなど問題点も多いと考えていたが、興奮するスーリオ達を見ながら、しばらくは好きに盛り上がらせておくことにするのだった。

何処かの大入り江で――ゴブリン達

ゴブリン達の死の大地探索

大入り江へ到着したゴブリン達は、死の大地の探索を開始した。

彼らは夜目を活かして円陣を組みながら進み、乾ききった荒野に生物の痕跡を探す。

しかし足跡も巣も見当たらず、見間違いだったのではないかという空気が流れ始める。

その時、岩山の上に鱗をぼんやりと光らせる小さなトカゲが現れた。

ゴブリン達が戦闘態勢を取る中、トカゲは穏やかな態度のまま北を見やる。

次の瞬間、トカゲの光は膨らんで弾け、その姿は完全に消失した。

痕跡すら残らなかったその存在に強く興味を惹かれたゴブリン達は、死の大地の本格探索を決定するのだった。

ヒューバートの内政業務

イルク村では、ヒューバートが大量の書類に囲まれながら内政を進めていた。

婦人会の犬人族達が掃除や整理を担当してくれているおかげで、ヒューバートは仕事に集中できていた。

現在のメーアバダル領は、岩塩とメーア布によって黒字を維持していたが、将来的な需要低下への懸念も抱えていた。

そんな中、洞人族のサナトが鉱山で採掘した鉄を用いて作った鉄鍋を持ち込む。

それは蒸し料理用の特殊な鍋であり、ディアスが隣領で食べた蒸し鍋料理を再現するためのものだった。

ヒューバートは商品化を考えるが、エリーは重量や鉄資源の重要性を理由に慎重な姿勢を見せる。

その直後、ペイジン商会来訪の報せが届き、一同は西側関所へ向かう準備を始める。

西側関所への移動

荒野から戻ったディアスは、西側関所へ向かうための準備を整える。

アルナーは遠出用の装備一式を用意し、ディアスへ保存食や簡易ユルトなどを持たせる。

ヒューバートは乗馬に不慣れなため、ダレル夫人と同乗することになった。

完成しつつある街道と関所を進み、一行は日暮れ頃に西側関所へ到着する。

そこには以前とは比較にならないほど立派な関所が完成していた。

石畳や歩廊、櫓まで整備され、砦のような姿へ変貌していたのである。

ペイジン商会の来訪

関所には多数の馬車と共にペイジン商会が到着していた。

ペイジン・ドは関所の完成を喜びながら、アースドラゴン討伐と避難民保護への感謝を伝える。

さらに長男ドシラドをディアスへ紹介した。

ドシラドはカエルの子供らしい姿をした幼いフロッグマンで、王国語で一生懸命に挨拶を行う。

その姿を見たディアス達は温かな気持ちになる。

続いてペイジン・ドは、食料や酒、宝石や布など大量の謝礼品を記した目録を渡す。

さらに家宝として代々伝わる古い絨毯を贈呈した。

治癒の絨毯の発見

ディアスが絨毯へ力を込めると、赤い鳥の紋様が光り始める。

最初は何も起きなかったように見えたが、犬人族達が飛び込んで寝転がると、足裏の傷がみるみる治癒していった。

さらにヒューバートの荒れた手やモントの傷も回復し、この絨毯が強力な治癒能力を持つことが判明する。

検証の結果、この絨毯を起動できるのはディアスだけであり、大量の魔力を消費することも分かった。

ただし大怪我や緊急時には非常に有効な道具であると判明する。

ディアスは危険すぎる品だとして返却を考えるが、ペイジン・ドは一度贈った物を返してもらう訳にはいかないと強く主張する。

その結果、絨毯は正式にイルク村へ渡されることになった。

空の英雄という言葉

絨毯を見たドシラドは、ディアスを「空の英雄」だと呼ぶ。

ペイジン・ドによれば、獣人国には「空」という言葉を用いた古い思想があり、何も持たないからこそ全てを救える者を意味しているらしかった。

ディアスは意味を理解できなかったが、ドシラドの無邪気な様子を微笑ましく見守る。

絨毯の利用法を巡る会議

イルク村へ戻った後、ディアスは絨毯をマヤ婆さん達へ試してみる。

すると腰や関節の痛みが和らぎ、年寄り達は大いに喜ぶ。

その後、代表者を集めた会議が開かれる。

クラウスは戦争利用を強く反対した。

この絨毯が存在すれば、無茶な戦法や無謀な戦争が横行する危険があると考えたのである。

その一方でマヤ婆さんは、出産時の母子救命へ使うべきだと提案する。

アルナーやダレル夫人も賛同し、ヒューバートは人口増加や家畜繁殖への利用価値に気付く。

最終的に絨毯は、老人達の治療や出産、大怪我など緊急時限定で運用する方針となった。

ペイジン・ドとセナイ達

宴の最中、セナイとアイハンはドシラドと仲良く遊び始める。

さらに二人は、サンジーバニー入りの薬湯をペイジン・ドとドシラドへ手渡した。

かつて自分達を保護してくれたペイジン・ドへの感謝と情が、そこには込められていた。

ペイジン・ドもまた、元気になったセナイ達を見て深い感慨を抱く。

ディアスとペイジン・ドは、セナイ達の過去や現在について語り合いながら、イルク村の賑やかな光景を見守るのだった。

ジュウハによるディアス評

一方マーハティ領では、ジュウハが獣人達との宴席でディアスについて語っていた。

獣人達は、もしディアスが敵になった場合の対処法を尋ねる。

ジュウハは、ディアスへ卑劣な手段を使うのは最悪の悪手だと断言する。

ディアスは普段穏やかで寛大だが、人質など逆鱗に触れる行為を受けた際には制御不能な激昂を見せるからだった。

帝国ですら二十年戦い続けた末に、最善策は「早く降伏すること」だと理解したのである。

真正面から戦い、降伏した相手には寛大。

だが卑劣な行為には徹底的な報復を行う。

ジュウハは、その異常な強さと在り方こそがディアスを英雄たらしめているのだと語るのだった。

一面の荒野で ゴブリン達

ゴブリン達の荒野探索

南海に住むゴブリン族達は、未知の地を求めて荒野を北上していた。彼らは水入りの樽や干し魚を用意し、乾燥へ備えながら進軍していた。恐怖や不安を抱えつつも、勇者としての誇りと冒険心によって前進を続け、未知の猛者や文化との出会いへ胸を高鳴らせていた。

サーヒィによる発見と報告

荒野を進むゴブリン達の上空をサーヒィが飛行し、その姿を確認した。ゴブリン達は巨大な鷹であるサーヒィへ警戒しつつも敵意を示さず、その特徴を観察していた。イルク村へ戻ったサーヒィは、紺色の鱗や楯鱗と呼ばれる体の特徴、干し魚を携帯していることなどを報告し、ペイジン・ド達は彼らが南海の鮫人族系統であり、自らをゴブリン族と名乗る存在だと推測した。

ペイジン・ドの助言と交流計画

ディアス達は、乾燥へ弱い魚人族が荒野を越える危険性を考慮し、直接接触ではなく手紙による交流を試みることになった。ペイジン・ドは、魚人族には乾燥を防ぐ軟膏が有効だと説明し、自らの商会が陸と海の交流を仲介して発展した経緯を語った。その経験から、まず贈り物と共に友好を示すことが重要だと提案した。

ディアスによる手紙作成

ディアスはアルナーやダレル夫人、フェンディア達に見守られながら、ゴブリン族へ送る手紙を書き始めた。神殿では手紙作法が重視されていることも語られ、フェンディアは情報交換を支える神殿の役割を説明した。ディアスは詩的で丁寧な長文を書き上げたが、ペイジン・ドから魚人族には回りくど過ぎると指摘され、最終的には簡潔で分かりやすい内容へ書き直すことになった。

サーヒィとゴブリン族の初接触

翌朝、サーヒィは手紙と軟膏を持って荒野へ向かい、北上を続けるゴブリン達を発見した。ゴブリン達はサーヒィの鎧姿を称賛し、敵意ではなく純粋な感動を示した。サーヒィが友好の使者であると名乗ると、ゴブリン達は武器を置き歓迎を表明した。彼らはディアスからの手紙を読み、友好や交流を望む内容を理解した上で、まずディアスがどれ程強い戦士なのかを確認したがった。サーヒィがアースドラゴン討伐などの功績を語ると、ゴブリン達は猛者が王であるという噂に歓喜した。

遭難寸前だったゴブリン達

会話の中で、ゴブリン達は既に水が尽きかけており、遭難寸前だったことが判明した。彼らは未知の大地を見たいという冒険心だけで進み続けていたのであり、サーヒィは呆れながらも大急ぎで水や食料を届ける必要を感じた。ゴブリン達はこの出会いを神々の導きだと喜び、サーヒィは急ぎイルク村へ帰還した。

イルク村総出での歓迎準備

サーヒィの報告を受けたディアス達は、鷹人族へ協力を依頼し、水や食料の輸送を開始した。アルナーを中心とした婦人会は、遠方からの旅人を盛大にもてなす鬼人族の風習に従い、歓迎準備へ奔走した。旅人への歓待は村の評判や将来の交流へ直結するため、ヒューバートやダレル夫人も総出で支度を進めた。ナルバント達洞人族も酒宴用の料理作りへ参加し、イルク村全体が祭りのような活気に包まれていった。

ゴブリン達のイルク村到着

数日後、鷹人族の支援によって回復したゴブリン達は、ヒューバート達の案内で北上を続けた。荒野には徐々に草や虫、小屋や轍が現れ始め、人の営みによる変化が生まれていた。やがて彼らは川と広大な草原を目にし、その先で賑やかなイルク村へ到着した。花飾りや大量の料理、人々の好奇心に満ちた歓迎を受けたゴブリン達は、死を覚悟した旅の果てに辿り着いた豊かな光景へ深い感動を覚えた。そしてディアス本人が堂々と姿を現し、力強い歓迎の言葉をかけたことで、ゴブリン達はその圧倒的な存在感へ感嘆しながら、冒険の成功を実感するのだった。

広場に用意した宴席で ディアス

ゴブリン族への盛大な歓迎

イルク村では、遠方から訪れたゴブリン族へ盛大な歓迎の宴が開かれた。旅人を歓待することは領主や村の義務であり、特に遥かな地から訪れた者へ力を入れてもてなすことは、領地の名声を広める意味も持っていた。ゴブリン達は料理や酒を楽しみながら、旅路や故郷について語り始め、荒野の南方に巨大な入り江が存在することや、その地で暮らしていることを明かした。

古の約定とゴブリン族の目的

ゴブリン族の頭目は、死の大地にはかつて人間族の王の城が存在し、その城が再建される時には力を貸すという約定を、古代の賢人の弟子と先祖が交わしていたと語った。ゴブリン族にとって死の大地は特別な場所であり、今回の旅はその約定を確かめる意味も持っていたのである。ディアスが関所建設の話をすると、頭目はそれを城に近い存在と認識し、より強い興味を示した。

ディアスへの手合わせ要求

頭目は、約定に基づいて力を貸すべき相手かを見極めるため、ディアスへ手合わせを求めた。ディアスは怪我を避ける条件で了承したが、ゴブリン達もまた本気の戦いを望んでいた。村人達は余興として広場を囲み、アルナーは手合わせ用の武器を準備し、宴の場は一転して試合会場のような空気となった。

ディアスとゴブリン達の戦い

戦いは六人のゴブリン達による連携攻撃から始まった。彼らの技量は高く、槍捌きも鋭かったが、ディアスは余裕を持って回避し続けた。水中でこそ真価を発揮するであろうゴブリン達は、不利な陸上でも笑みを絶やさず戦いを楽しんでいた。ディアスも彼らの期待へ応えるべく本気を出し始め、次第にゴブリン達を圧倒していく。最終的には全員が力尽きて倒れ込み、頭目はディアスへ深い敬意を示した。

友好と交易への合意

戦いの後、頭目はディアスへ何を望んでいるのか問いかけた。ディアスは支配や臣従ではなく、友好と交易だけを望んでいると率直に答えた。海産物や交易路による交流を理想として語るディアスへ、ゴブリン達は驚きを見せた。更にヒューバートは、入り江に港を整備し、街道を繋げる構想を伝えた。ゴブリン族が海上防衛を担えば安全な航路が確保できるため、王国側としても大きな利益になるという話であった。これを聞いたゴブリン達は大笑いしながら友好を受け入れ、ディアスと固い握手を交わした。

王都で進むリチャード王子の改革

一方王都では、リチャード王子による急進的な改革が進められていた。戦争に非協力的だった貴族達から領地を没収し、騎士団領として再編する政策によって、王城の内政官達には膨大な業務が押し寄せていた。しかしリチャードは新たな人材を大量に登用し、古いやり方を改めて効率化するよう命じたことで、王城の業務体制そのものを変革していった。

改革を支える新たな人材

リチャードは貴族の次男三男や元志願兵など、多様な人材を集めて王城へ送り込み、既存の内政官達へ改革を迫った。最初は反発もあったが、実際に業務効率が改善され始めたことで、多くの者がこの改革の成果を認め始める。ある内政官は、リチャードから直接声をかけられ、この国を立て直すため力を貸して欲しいと誘われた。その言葉を受けた内政官は、王国が一度滅びかけた事実を再認識し、王子が新たな国家体制を築こうとしているのだと理解するに至った。

ナリウスの見たリチャードの本質

その様子を見守っていたナリウスは、リチャードが国を立て直そうとしている一方で、古い伝統や権威を徹底的に壊そうとしていることも理解していた。改革によって没落した貴族達が盗賊化するなど問題も生まれていたが、それでもリチャードの政策は平民達の生活を改善し、国力を増そうとしているのは事実だった。ナリウスは、来年以降リチャードが更に大きな目的へ向けて本格的に動き出すだろうと予感しながら、その背を追い続けるのだった。

広場に集まり言葉を交わし―――― ディアス

港と交易計画の本格始動

ゴブリン族を迎えた宴から数日後、イルク村では今後の方針を決める話し合いが行われた。議題は、荒野南部をゴブリン族の領域として認めることと、大入り江に港を共同整備する計画についてであった。ディアスは港を造るなら船も必要になると考え、船の建造や購入について尋ねる。するとナルバントは、船体自体は洞人族で造れるものの、大型船に必要な巨大なマスト用木材の調達が困難だと説明した。

ゴブリン族による船の牽引案

その問題に対し、ゴブリン族のリーダーであるイービリスは、立派なマストが無くとも自分達が海中から船を引けば問題ないと提案した。ゴブリン族は水中での移動能力に優れており、多人数で船を牽引すれば風に頼らず航行できるというのである。ヒューバートやゴルディア達は、この仕組みによって安全で高速な海運が可能になると気付き、莫大な利益を予想して興奮し始めた。

ゴブリン族の陸地への願い

イービリスは、ゴブリン族にとって陸地の確保が長年の悲願であったことを明かした。海中は子育てに危険が多く、本来は陸上で子を育てたいが、人間族は彼らを恐れて受け入れなかったのである。そのためディアスは、港だけでなく子育て用の施設も整備する必要があると考え始めた。ナルバントは、必要なら洞人族を先行派遣して施設建設を進める案まで提示した。

洞人族の長寿とヒューバートの興奮

ナルバントは、洞人族は岩のように眠ることで何千年でも生き延びられると語った。その話を聞いたヒューバートは、ナルバントが建国以前の歴史を知っている可能性に気付き、大興奮する。しかしナルバント本人は、人間族の暦には詳しくないとして曖昧に笑うだけだった。

海運計画と秘密保持

話し合いの中で、ゴブリン族が関わっていた港町が王国南部に存在する可能性が浮上した。ヒューバートは、この事実を王にだけ秘密裏に報告したいと提案する。海路を利用できれば、王家にとっても重要な逃走路や交易路になる可能性があるからである。ディアスは細かい部分をヒューバートへ任せることにした。

水路構想の浮上

後日、イービリスは小川を利用した水路整備の可能性を語った。ゴブリン族にとって水路は陸路より遥かに効率的な移動手段であり、海からイルク村までの移動日数を大幅に短縮できるというのである。そこへ洞人族のサナトが現れ、地下水脈を利用すれば人工水路の建設も可能だと説明した。ただし山の地質調査や水源管理が必要で、大規模工事になる見込みだった。

アクアドラゴンの存在

サナトは更に、水中を好む特殊なドラゴン「アクアドラゴン」の存在を語った。地下湖や山中に棲み、山を破壊しながら地上へ現れることもあるという。イービリスは、その存在を海の勇者伝説級の強敵だと語り、もし討伐できれば大英雄として語り継がれるだろうと興奮を見せた。

神殿と学び舎の発展

神殿の建設も順調に進んでおり、その隣には子供達のための学び舎が作られていた。ペイジンは算術や商売、ヒューバートは物語を通じた読み書きや法律理解、エイマは自然学、ダレル夫人は礼儀作法や貴族教育を教えていた。セナイとアイハンは特に優秀で、既に王都の社交界でも通用するほどの礼儀作法を身につけつつあった。

墓地構想とディアスの考え

パトリックは、神殿近くへ墓地を造るというディアスの案に疑問を呈した。するとディアスは、亡き仲間達へ恥じない決断が出来ているかを問い直す場として、墓地と神殿を近くに置きたいのだと説明した。その考えにパトリックは感銘を受けるが、ダレル夫人からは説明不足や礼儀について厳しく指摘されることとなった。

アルナーの不安とメーア信仰

アルナーは、人間族と鬼人族の結婚が王国貴族社会で問題視されるのではないかと不安を漏らした。しかしディアスは、新たに広まりつつあるメーア信仰なら種族差別を認めないと説明し、神の使いであるフランシス達も結婚を肯定する声を上げた。アルナーはその言葉に深く安堵し、ディアスへの想いを改めて強めるのだった。

ゾルグとの将来の約束

鬼人族のゾルグは、領地経営の重圧を理解し始めたことで、ディアスへ今後も協力していきたいと語った。もし自分が族長になったなら、これまで以上に良好な関係を築きたいと申し出る。その言葉を受け、ディアスは鬼人族との絆が更に深まったことを実感する。

新たなドラゴン襲来の予兆

その穏やかな空気の中、マヤ婆さんが現れ、近いうちに北の山から新たな大型モンスター、おそらくドラゴンが現れると予言した。しかも今回はディアスですら苦戦する可能性があるという。しかし同時に、今のイルク村には多くの頼れる仲間がいるため、大きな問題にはならないだろうとも告げた。その言葉にゾルグは肩を落とし、ディアス達は再び訪れる戦いへ備えることになるのだった。

襲来への備えをしながら

ドラゴン襲来への大規模準備

マヤ婆さんの占いを受け、イルク村では来週以降に現れるというドラゴンへの備えが急速に進められた。占いではディアスが苦戦するものの、最後には勝利するとされていたが、周囲の者達は「ディアスが苦戦する相手」という事実を重く受け止め、大規模な準備へ動き出した。

討伐隊にはディアスを中心に、クラウス、アルナー、エイマ、鷹人族、ジョー達領兵、神官兵、マスティ氏族、洞人族、鬼人族、獅子人族、更にはゴブリン族やペイジン・ドまで加わることになった。結婚を控えたジョー達やゾルグは特に士気が高く、男気を示す絶好の機会だと意気込んでいた。

軍馬不足と領民拡大の必要性

討伐準備の最中、ディアスは軍馬不足という深刻な問題に直面した。現在の頭数では全員分を賄えず、家畜管理を担う氏族達も既に多忙を極めていたのである。

そんな中、シェップ氏族長シェフは、ガチョウ三百羽計画を楽しげに語りながら、人手が足りなければ増やせば良いという単純明快な発想を示した。その言葉を受けたディアスは、イルク村の発展には更なる領民増加と役割分担が必要なのだと考え直す。クラウス達へ権限を委ねることで、今後より大きな共同体を築ける可能性を見出したのである。

アースドラゴン装備の完成

洞人族達は総出で討伐用装備の製作を進めた。以前倒したアースドラゴンの素材が活用され、既存装備とは比較にならない高性能な武具が完成していく。クラウス達の鎧や槍も改良され、ゴブリン族には錆びにくい鉄槍、ペイジンには専用のショートソードが用意された。

ディアス自身はオリハルコンの鎧兜と戦斧を装備し、アルナーはいつも通りカーベランに騎乗して参戦することになった。各勢力は完成した装備で鍛錬を重ね、陣形や合図の確認も進められた。

小人型モンスターとの遭遇

ドラゴン出現が近づいた頃、北の山を巡回していた鷹人族から異変の報告が入った。討伐隊が現場へ急行すると、洞人族達が大量の小人型モンスターに追われていた。

緑色の小人達は小柄ながらも素早く、武器を扱い、集団で狡猾な連携を見せる厄介な相手だった。しかしクラウス達、鬼人族、ゴブリン族、洞人族らはそれぞれの特性を活かして優勢に戦いを進める。特にゴブリン族は、同じ小柄な体格を活かして圧倒的な戦果を上げていた。

一方ディアスは、戦斧による大振りな戦闘が小人相手では噛み合わず、珍しく戦いづらさを感じていた。そこでクラウスから先行を促され、ディアスはスーリオ達、ゴブリン族、ペイジンと共にドラゴン本体のもとへ向かう。

アクアドラゴンとの激闘

山際へ到達したディアス達の前に現れたのは、巨大なザリガニのような姿をしたアクアドラゴンだった。見た目は滑稽ですらあったが、その実力は凶悪だった。

アクアドラゴンは高速移動する巨大な脚、再生する触角と脚、水流攻撃、瘴気魔法など多彩な能力を持っていた。ディアスはオリハルコンの鎧の力を頼りに正面から激突し、脚や触角を破壊し続ける。

途中、水流攻撃によって鎧の魔力が尽きかけた際には、ペイジンが舌を使ってディアスを救出した。またゴブリン族は、水流の中を泳いで突撃する独自戦法や、水魔法を利用した空中突撃によってアクアドラゴンへ致命傷を与えた。

最終的にディアスは、ゴブリン族の援護で弱ったアクアドラゴンの頭部を戦斧で叩き割り、ついに討伐へ成功する。

二体目のアクアドラゴンと巨大メーア

しかし戦いは終わらなかった。奥から二体目のアクアドラゴンの咆哮が響き、疲弊した一行は撤退を余儀なくされる。ディアスは仲間を逃がすため殿を務めようと決意した。

その時、地面を突き破って巨大な白いメーアが出現する。巨大メーアはアクアドラゴンを角で突き上げ、そのまま真っ二つに引き裂いて瞬時に討伐してしまった。

巨大メーアは最後に一声鳴くと、そのまま地中へ潜り去っていった。あまりにも圧倒的な存在を前に、ディアス達はただ呆然と見送ることしか出来なかったのである。

激闘が終わり―

巨大メーアの正体への推測

アクアドラゴン討伐後、ディアス達は突如現れた巨大メーアについて考察を始めた。洞人族達は地面を調査し、通常の地中移動とは異なる痕跡を確認する。

エイマは、以前セナイ達が「この草原の地下には力を吸う何かがいる」と話していたことを思い出し、その存在こそ巨大メーアではないかと推測する。ディアスも、昔から鬼人族がドラゴンを倒さず隠れてやり過ごしていたこと、にもかかわらずドラゴンがいつの間にか消えていた事実を繋ぎ合わせ、巨大メーアこそが長年ドラゴンを討伐していた存在なのではないかと結論づけた。

さらにディアスは、以前現れたメーアモドキが「主の傷が癒える」と語っていたことから、巨大メーアはドラゴンとの戦いで重傷を負い、大地の力を吸収し続けなければ生き延びられない状態だったのではないかと推測する。

巨大メーア神格化の広がり

マスティ氏族の一人が「ドラゴンを倒してくれる神様だ」と叫んだことをきっかけに、巨大メーアは一気に神格化されていった。村人達は、神殿に祀られていたメーアが本当に神だったのだと熱狂し、鬼人族や鷹人族、ゴブリン達、ペイジン達までもが巨大メーアを神として称え始める。

ディアス自身は、神殿や教えの重要性は理解しながらも、神そのものについては懐疑的だった。しかし周囲の熱狂は止まらず、エイマも「祈るのは自由だ」と諭したことで、ディアスは流れを受け入れるしかなくなる。

戦勝祝いの大宴会

イルク村へ帰還した後、広場では盛大な宴が始まった。ナルバントは冷やしたぶどう酒を運び込み、セナイとアイハンは蜂蜜入り果実水を用意し、広場には料理や絨毯が並べられていく。

アルナー達は怪我人へ冷やし薬湯を飲ませ、洞人族達は酒に酔い潰れたゴブリン達を手際良く介抱した。フランシス達は、擦り傷を治そうと絨毯で転がる六つ子メーアを回収していき、広場は終始賑やかな空気に包まれていた。

またゾルグは、安産絨毯が馬の怪我も治せることを知り、大怪我を負った馬も助けられるよう頼み込む。鬼人族達はそれを聞いて大歓声を上げ、絨毯への信頼をさらに深めることとなった。

アクアドラゴン素材の価値

ゴルディアは、今回入手したアクアドラゴン素材が極めて希少価値の高い物だと説明した。水中に生息するため遭遇自体が困難であり、討伐例もほぼ存在しないため、素材は好事家達が高値で求める品になるという。

ディアスは、その利益を討伐参加者全員で分配する方針を示し、ドラゴン魔石の一部は国王やナルバント達へ渡すことを決める。ゴルディアは扱いを誤れば危険だと警戒しつつも、ギルド総出で慎重に流通させる決意を固めた。

エルダンと新神殿支援

数十日後、隣領マーハティ領では、エルダンが巨大メーアと新神殿の噂を歓迎していた。新道派に対抗する手段を模索していた彼にとって、ディアスが旗手となる新たな教えの誕生は大きな救いだったのである。

さらにディアスから送られたアクアドラゴン素材は、新神殿支援を正当化する格好の材料となった。新道派から反発を受けても、「返礼として支援する必要がある」と主張できるためである。エルダンは、面倒事への対策が整ったことを大いに喜んだ。

獣人国で広がる『大メーア』信仰

獣人国でも、巨大メーアの噂は急速に広まった。獣人国には数え切れない神々が存在するため、新たな神が増えること自体への抵抗は少なかった。さらに、誠実な人物として知られるペイジン・ドが「自ら見た」と報告したことで、噂は事実として受け入れられていく。

獣人達は、亜人と共に暮らすディアスが神に認められたのだと好意的に解釈し、『大メーア』の名は獣人国中へ広がっていった。

王都での騒動と反発

王都でも、ディアスが神を得たという噂は大きな話題となった。一部貴族達は、新道派や第一王子を軽視しているのではないかと問題視し、派閥形成を試みた。

しかし国王は「公爵なら多少の悪ふざけは許される」と一蹴し、リチャード王子やフレデリック公爵、シグルザルソン伯爵達もディアスへの敵対を拒否したため、騒動は勢いを失っていく。

一方、大神殿内部では神官達が酒宴の最中にディアスやギルドへの不満を漏らしていたが、酒に溺れて本格的な対策を取る様子は見せなかった。

ベン伯父さんと新たな教え

数日後、ディアスは神殿を見ながら、ベン伯父さんへ新道派との対立について尋ねた。するとベン伯父さんは、旧道の教えには既に時代に合わない部分があること、そして聖人がそれを見越して対策を残していたことを語る。

さらに、自身が聖地巡礼経験者であり、実際に神と出会ったディアスという存在もいる以上、問題はないと自信を見せた。ディアスは細かなことは分からなかったものの、ベン伯父さん達を信頼して任せることに決め、いつも通り村の見回りへ向かうのだった。

書き下ろし碧海の旅人

湖畔で始まったゴブリン族の釣り

ザリガニ戦の翌日、湖のほとりではイービリスが釣りを楽しんでいた。ゴブリン族にとって魚とは水中へ潜って捕まえるものであり、釣りという娯楽は初めての経験だったため、イービリスは強い興味を抱いていたのである。

その周囲にはセナイやアイハン、他の子供達も集まっており、イービリスは釣りをしながら海の世界について語り聞かせていた。

深海という未知の世界

イービリスは、海には様々な種族が暮らしており、潮流や水温によって縄張りが分かれていることを説明した。

さらに海の底には、自分達ゴブリン族ですら到達できない深海が存在すると語る。そこは光も届かず、水圧が体を押し潰す死の世界でありながら、時折そこから奇妙な生物達が現れるという。

異様な姿をした魚やエビ、カニ達の話に、子供達だけでなくディアスまでもが聞き入っていた。

イービリスは、深海には魔力も瘴気も存在せず、むしろ清浄な世界なのではないかと考える者達すらいると語った。そして不可能と知りながらも深海へ挑み続ける冒険者達を、自分達と同じ勇者だと称えるのだった。

美しい海への憧れ

イービリスは続けて、海には恐ろしいだけでなく、言葉にできないほど美しい光景も存在すると語った。

翡翠色に輝く海、透明な海、色鮮やかな魚やクラゲ、サンゴが森のように広がる海中世界。その幻想的な情景を聞いたセナイ達はすっかり目を輝かせ、海への憧れを強くしていく。

そしてイービリスは、いつか海へ来たならその景色を見せると誓った。

サンゴの贈り物

話を聞いていた子供達の反応を見て、イービリスは腰袋から真っ赤なサンゴを取り出した。

宝石のように美しいそれを、彼は躊躇なく石に叩きつけて砕き、欠片を一人ずつ子供達へ配っていく。

価値よりも、冒険への憧れを共有した子供達へ贈ることを優先したのである。

セナイやアイハン達は大喜びで礼を言い、イービリスもまた心から嬉しそうに笑っていた。

大物との格闘

その直後、イービリスの釣り竿が大きくしなった。

魚の強烈な抵抗に対し、イービリスは興奮しながらも冷静に対応し、水を知り尽くした技術で見事魚をいなしていく。

そして絶妙なタイミングで竿を振り上げ、大物を綺麗に編み籠へ放り込むことに成功した。

その瞬間、子供達から大歓声が上がった。

子供達の釣り体験

イービリスの釣果を見た子供達は、自分達も釣りをしたくなり、それぞれ釣り竿を持って湖畔へ散っていく。

ディアスが湖へ落ちないよう注意すると、子供達は元気よく返事をして釣りを始めた。

イービリスも再び釣り糸を垂らしながら、今度は海の魚料理や美味しい魚の話を始める。

未知の海の話は、子供達だけでなくディアス自身の冒険心までも刺激し続け、夕暮れまで楽しい時間が続いていくのだった。

イービリスとフランシス、 ゴブリン達とメーア達

イービリスとフランシスの交流

ある日の昼下がり、広場ではイービリスがフランシスを前に膝をつき、感心した様子でメーア達について語っていた。

地上の者達が全身を毛で覆われているだけでなく、その毛を衣服や寝具、網などへ活用し、大きな価値を生み出していることに強い驚きを抱いていたのである。

それに対しフランシスは誇らしげな態度で応じ、メーア達がこの草原で重要な存在であることを堂々と示していた。

メーアの毛への感嘆

イービリスは、海の民が牙や楯鱗を誇るように、メーア達もまた自らの毛を誇る存在なのだと理解していく。

特にメーアの毛で作られた網の性能へ強い興味を示し、いつか海でも使ってみたいと語った。

その言葉にフランシスも満足そうに応じ、二人は次第に打ち解けていった。

撫で回しの時間

やがてイービリスはフランシスの背中を撫で始め、その柔らかな毛並みへ感動する。

海にも似た生物は存在するが、乾いた地上で触れる毛の感触はまるで別物であり、地上世界ならではの特別な体験だと感嘆していた。

さらに偶然触れた角の硬さから、メーア達がただ守られる存在ではなく、戦士としての力も備えていると理解する。

フランシスも当然だと言わんばかりに応じ、二人はますます親しげになっていった。

広がるメーアの群れ

その様子を見ていた他のメーア達も次々と集まり、自分達も撫でて欲しいとイービリスへ群がり始める。

フランソワや六つ子達、新参メーア達まで加わった結果、イービリスは完全に毛の海へ埋もれてしまった。

ディアスも加勢してメーア達を撫で始めるが、圧倒的な数の前に手が足りなかった。

ゴブリン達の参戦

そこへ他のゴブリン達も駆けつけ、事情も分からぬままメーア達を撫で始める。

するとその手触りの良さに魅了され、恍惚とした表情を浮かべながら毛の中へ沈んでいく者まで現れ始めた。

さらに伯父さんやアイセター氏族の若者達も加わり、ブラシを使った本格的なブラッシング大会へ発展していく。

メーア達に認められたイービリス

そんな大混乱の中でも最後までしっかり動き続けていたのはイービリスだった。

彼はアイセター氏族から受け取ったブラシを使い、多くのメーア達を丁寧にブラッシングしていく。

そして最後にはブラシを高く掲げ、まるで勝利宣言のようなポーズを決めた。

それを囲むメーア達は一斉に歓声を上げ、イービリスを称賛するように鳴き声を響かせるのだった。

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