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フィクション(Novel)読書感想領民0人スタートの辺境領主様

小説「領民0人スタートの辺境領主様 XIII(13) 賢鼠の冒険」感想・ネタバレ

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領民0人スタートの辺境領主様13の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

領民0人12巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人14巻レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 辺境領の冬備え
    2. アクアドラゴンの討伐
    3. 荒野の川開通
    4. ゴブリン族との交易
    5. 鉱山開発とメーア鋼
    6. 獣人国への遠征
  6. 登場キャラクター
    1. メーアバダル領
      1. ディアス
      2. エイマ
      3. ダレル夫人
      4. ヒューバート
      5. エリー
      6. ゴルディア
      7. アイサ
      8. イーライ
      9. クラウス
      10. モント
      11. ジョー
      12. ロルカ
      13. マヤ婆さん
      14. セナイ
      15. アイハン
      16. ナルバント
      17. バーナイト
      18. マーフ
      19. カーリッツ
      20. サーヒィ
      21. ビーアンネ
      22. 領兵達
      23. ジョー隊
      24. ロルカ隊
      25. リヤン隊
      26. 婦人会
      27. マスティ氏族
      28. アイセター氏族
      29. シェップ氏族
      30. 洞人族
      31. 鷹人族
      32. 犬人族
      33. フランシス
      34. フランソワ
      35. エゼルバルド
      36. エゼルティア達
      37. フラン
      38. 六つ子達
      39. 野生のメーア
      40. 巨大メーア
      41. メーア達
    2. 神殿
      1. ベン(ベンディア)
      2. フェンディア
      3. パトリック
      4. 神官兵
    3. 鬼人族
      1. アルナー
      2. ゾルグ
      3. モール
      4. 鬼人族
    4. ゴブリン族(鮫人族)
      1. イービリス
      2. ゴブリン族
    5. ペイジン商会
      1. オクタド
      2. ペイジン・ド
      3. ペイジン・レ
      4. フロッグマン
      5. ペイジン商会の者達
    6. マーハティ領
      1. エルダン
      2. ジュウハ
      3. グリン
    7. サンセリフェ王国
      1. 国王
      2. リチャード王子
      3. ナリウス
      4. シルド
      5. 内政官達
    8. 獣人国
      1. 獣王
      2. ヤテン・ライセイ
      3. キコ
      4. セキ
      5. サク
      6. アオイ
      7. 血無しと呼ばれる者達
      8. 暗闇の中の男
    9. 帝国
      1. アルハル・ゲール
      2. 若い重騎士
      3. 中年従者
      4. ニャーヂェン族
    10. その他・モンスター
      1. トカゲ
      2. 旅芸人
      3. 荒くれ者達
      4. アクアドラゴン
      5. フレイムドラゴン
      6. アースドラゴン
      7. ウィンドドラゴン
  7. 展開まとめ
    1. 川で船を眺めながら――ディアス
    2. 関所に向かいながら ディアス
    3. 関所の食堂で ディアス
    4. 荒野で
    5. 船を見送って
    6. 手紙を読み終えて
    7. それから準備が進み
    8. 報告書を読み進めながら
    9. 広場に置かれた椅子に座り、エイマの報告書を読みながら ディアス
    10. 書き下ろし 賢鼠の冒険
    11. 特別書き下ろし。戦利品の吟味
  8. 同シリーズ
    1. 領民0人スタートの辺境領主様
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『領民0人スタートの辺境領主様 XIII(13) 賢鼠の冒険』は、広大なファンタジー世界における開拓と、多種族間の融和を描いた内政ファンタジーライトノベルである。 物語の舞台は、かつて熾烈な大戦が繰り広げられた歴史を持つ世界。戦争の英雄でありながら不毛な辺境の地を与えられた主人公の青年・ディアスが、様々な背景を持つ亜人や人間たちと手を取り合い、理想の領地を作り上げていく。 本作(第13巻)では、前巻で奇蹟的に湧き出た水脈によって誕生した「川」が物語の大きな軸となる。水資源を得たメーアバダル領は、開拓地から「海へと繋がる広大な交易拠点」へと本格的な歩みを進める。川を下って故郷の海を目指すゴブリンたちの旅立ちや、新たに登場する「賢鼠(けんそ)」と呼ばれる種族との遭遇と冒険が、イルク村にさらなる文化の発展と新たなネットワークをもたらしていく。

■ 主要キャラクター

  • ディアス: 本作の主人公であり、メーアバダル領の辺境領主。圧倒的な武力を誇りながらも、素朴で私欲のない誠実な人柄で多くの領民や亜人から絶大な信頼を寄せられている。湧き出た川を活かした新たな交易路の開拓や領内の調整に、領主として奔走する。
  • アルナー: ディアスの妻であり、誇り高き鬼人族の女性。領主の妻として多種族が混在する村の生活を優しく、かつ力強く支える。今巻でも、変化していく村の環境や新たな住民たちの受け入れにおいて高い統率力を発揮する。
  • フランシス(およびメーアたち): 神の使いとして領内で愛される羊のような生き物「メーア」の群れの長。今巻でも彼らの存在は領民たちの精神的支柱であり、その特別な「毛」は村の経済や防寒インフラを支える貴重な資源として機能し続ける。
  • ゴブリンの民(海の民): これまで領内で暮らしていたが、新しく生まれた川をきっかけに、ドワーフたちがザリガニの殻で作った船を用いて故郷の海へと帰る大移動を決意する。
  • 賢鼠(新キャラクターの一族): 高い知性を持ち、独自の文化や情報網を持つネズミのような亜人。彼らの登場と冒険が、メーアバダル領の物流や情報収集の能力をさらに引き上げるきっかけとなる。

■ 物語の特徴

本作の最大の魅力は、武力による制圧ではなく、徹底した「対話・内政・共生」によって辺境の荒野を豊かな国家規模の拠点へと変貌させていくプロセスにある。他の異世界ファンタジーにありがちなご都合主義的なチート展開とは一線を画し、各種族の生態や特技をパズルのように組み合わせた、極めて説得力のある領地開拓が楽しめる。 第13巻においては、前巻の「奇蹟の湧水」がもたらした生態系や経済への影響がダイナミックに描かれている点が興味深い。ただ水が出たという結果に留まらず、川を利用した船旅や「賢鼠」という新種族との出会いを通じて、辺境領が未開の地から外の世界(海や他国)へと物理的・経済的につながっていく「開拓の真のスケール感」を味わえるのが、他作品との大きな差別化要素であり魅力となっている。

書籍情報

領民0人スタートの辺境領主様 XⅢ 賢鼠の冒険
著者:風楼 氏
イラスト:キンタ  氏
出版社:アース・スターノベル
発売日:2025年4月15日

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あらすじ・内容

旅芸人を連れたオクタド達により盛大に開かれた祝いの宴は、エルダン達の計らいによってディアスとアルナーのダンスも披露されることとなり、大いに盛り上がった。ある日ついに船が完成し、ゴブリン族のイービリス達が海へ帰ることとなった。新たにできた川によって安全に故郷の海へと帰ったイービリス達は、再び新たな一族とたっぷりの海産物を手にイルク村に戻ってきて――。ヤテンの失脚により獣人国で内乱が起きつつあり、その解決への助力を借りられないか、とペイジンからの手紙を受け取ったディアス。さすがに隣国に出兵するわけにはいかないと悩むディアスだが、領民たちとの議論や助言の末、エイマを中心に、モント率いる領兵やゾルグ率いる鬼人族などを集めた少数精鋭で秘密裏に獣人国へと入国することに。しかし潜入して早々、猫耳の生えた少女が男達に襲われている場面に遭遇し……。ディアスは留守番! 小さな指揮官エイマ率いる遠征隊、獣人国で大活躍!?

領民0人スタートの辺境領主様 XⅢ 賢鼠の冒険

感想

遠征隊の鮮やかな活躍と、それを凌駕する主人の理不尽な戦闘結果

本作を読んで最も衝撃を受け、思わず笑ってしまったのは、物語の終盤にもたらされたあまりにも規格外な戦果の報告である。

今巻のメインは、ディアスを馬鹿にする不遜な獣人族への対策や内乱阻止のため、小さな指揮官・エイマが率いる少数精鋭の遠征隊が隠密入国して繰り広げる大冒険であった。ディアス自身は領地に残り、大人しく留守番をしているものとばかり思っていた。ところが、遠征隊が命がけで作戦を遂行して帰還した直後、ディアス達が留守中に「フレアドラゴン3匹を倒した」という事実が描写なしのダイジェスト形式で唐突に発表される。エイマ達の知略を尽くしたゲリラ戦の活躍が瞬時に吹き飛ぶほどの、あまりにインパクトが大きすぎるリザルト(結果)には、主人公の持つ理不尽なほどの英雄性を改めて見せつけられた。

また、そもそも獣人族が反乱を起こした理由の理不尽さや身勝手さにも、思わず頭を抱えたくなると同時に、人間味のある混沌とした政治劇としての面白さを強く感じた。緊迫する周辺国の情勢のなかで、サンセリフェ王国や獣人国の政治的緊張が高まり、対外支援要請がディアスのもとへ届く流れは、辺境の一開拓地が国際社会の台風の目になっていくワクワク感に満ちていた。

海へと繋がる水路の開通と、多種族がもたらす大いなる富

前巻からの大きな流れである「奇蹟の川」がもたらした恩恵と、多種族による交易路の確立プロセスには、内政ファンタジーとしての確かな知恵とロマンが詰まっている。

ベンの祈りによって荒野に川が生み出され、そこからさらに村の施設や生活基盤が急速に拡充されていく様子は実に見事である。念願の船が完成し、ゴブリン族を海へと送るための川下りの旅立ちや、荷船の建造計画が語られる場面からは、未開の荒野が世界へ開かれていく確かな手応えが伝わってきた。

特に胸が熱くなったのは、故郷の海へと帰ったゴブリン達の早期の帰還劇である。彼らは単に戻ってきただけでなく、大量の塩漬け魚などの海産物と、素晴らしい土産話を携えてイルク村へ帰ってきた。さらに、港となる大入江の周辺に新たな村を築くという未来の提案まで行う。この海産物交易の本格化は、これまでの肉や農産物中心だった領内の食料事情を劇的に豊かにするものであり、今後のさらなる経済発展への期待を大きく膨らませてくれた。

こうした偉業を成し遂げた一方で、来訪者たちを迎えて開かれた大規模な祝宴において、ディアスとアルナーのダンスが披露される温かい日常パートの描写も素晴らしい。激動の開発劇の合間に描かれる、夫婦の深い絆や領民たちの笑顔には、読者としても深い安心感を覚える。

激戦の記憶と、歴史を塗り替えるメーアたちの躍動

今巻で語られる過去の戦いやメーアたちのエピソードも、物語の密度を非常に濃いものにしている。

素早さと高い再生能力を持つアクアドラゴンとの激戦の振り返りでは、ディアスがゴブリン族や神官兵らと泥臭く共闘し、総力戦で立ち向かう姿に手に汗を握らされた。そこへ突如として介入した「謎の巨大メーア」の圧倒的な存在感は、今なお領内に神秘的な余韻を残している。

また、妊娠した野生のメーアから「はぐれた夫を探してほしい」と依頼され、即座に捜索隊が編成されるエピソードも実に微笑ましい。まだ幼いメーアのフランが、特別に用意された飛行カゴに乗って空からの探索に参加する姿はとても愛らしかった。このフランが「史上初めて空を飛んだメーア」として歴史にその名を刻む瞬間には、領地のマスコット的な癒やしだけでなく、種族としての新たな可能性の広がりを感じ、胸が弾む思いであった。

護衛の獣人グリンが騒動を起こすといった人間関係の軋轢やトラブルもありながら、それをベンの宗教的な教誨や、神殿の建立といった文化的・精神的なアプローチで乗り越えていく過程からは、武力だけでは成し得ない「真の統治」の姿が丁寧に描写されていた。

小さな指揮官の知略が光る、獣人国隠密遠征の緊迫感

ディアスの超常的な戦果によって最後は驚きに包まれるものの、本作の大きな見どころであるエイマの指揮による獣人国遠征作戦は、極めて高い緊張感とエンターテインメント性を持っていた。

少数精鋭で挑んだこの作戦は、真っ向勝負ではなく、隠密・攪乱・物資の横取りといった、まさにエイマの冷徹かつ的確な知略が冴え渡る泥臭いゲリラ戦として展開される。モント率いる領兵や、ゾルグ率いる鬼人族たちが、それぞれの高い戦闘技術を活かして裏舞台で敵を翻弄していく様子には、集団戦ならではのゾクゾクするような面白さがあった。

作戦の途中で、敵に襲われていた帝国海軍の女性アルハルを鮮やかに救出し、彼女を副官として味方に引き入れる手際の見事さにも深く感心させられた。外部の有能な人材を巻き込みながら着実に成果を上げていくプロセスは、遠征隊の頼もしさをこれ以上ない形で証明している。

最終的には敵軍の大規模な進軍を察知し、深追いせずに撤退計画へと移行する引き際の鮮やかさも含め、エイマの指揮官としての才能が光り輝いていた。留守番中にドラゴンを3匹も狩ってしまう規格外の主君・ディアスと、知略を尽くして国際社会の裏で立ち回る優秀な領民たち。この両者のバランスが絶妙に絡み合い、メーアバダル領が今後どのような巨大な勢力へと変貌を遂げていくのか、彼らの未来への期待が最高潮に達する読後感であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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領民0人12巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人14巻レビュー

考察・解説

辺境領の冬備え

『領民0人スタートの辺境領主様』第13巻における冬備え(冬支度)は、過去の過酷なサバイバルを思わせる冬支度とは大きく様変わりし、領地の飛躍的な発展と人々の心身の余裕を象徴する明るいイベントとして描かれている。本稿では、第13巻における冬備えの状況について解説する。

圧倒的な余裕と行楽気分の冬備え
これまでの冬備えは厳しい冬を生き抜くための死活問題であったが、今年は状況が一変している。

  • ジョー達領兵が領民に加わったことで人手が十二分に確保されたうえ、地下倉庫や保存壺による長期保存技術の確立、各地の畑の順調な収穫が重なった。
  • さらに、神殿建立祝いで隣領のエルダンやペイジンから山ほどの食料が贈られたこともあり、冬を越すための備蓄にはかなりの余裕が生まれている。
  • そのため、アルナーやセナイ達が向かう森での採集・狩りも、かつてのような切迫したものではなく、なんとも楽しげな行楽気分で行われている。

森の手入れの成果とキノコの大豊作
森人族のセナイとアイハンが丹念に手入れをした結果、森の環境は劇的に改善された。

  • 木を伐採して陽の光と風を通したことで、木々は枝が折れそうになるほどの実をつけ、草や木の実を食べる動物の数も大幅に増加した。
  • さらに、昨年から柵を作って育成を進めていた特別なキノコ(黒く丸っこい独特の香りのキノコ)も、地面が温かくなる環境を作ったことで驚くほど大量に収穫でき、冬備えは大豊作に沸き返っている。

人手が余ったことによる新たな活動
冬備えが効率的に進み、人手に余力が生まれたことで、領民たちは他の活動にも時間を割けるようになっている。

  • ディアスの鉱山・関所視察:領主であるディアスは自ら冬備えに付きっきりになる必要がなくなったため、新しく本格稼働を始めた鉱山や、西側関所の畑の視察に時間を充てることができた。
  • 婦人会の礼儀作法の授業:冬備えで手が空いた婦人会の犬人族の女性達は、神殿近くの学び舎でダレル夫人から礼儀作法の授業を受けている。彼女たちは驚くほど素直で物覚えが良く、この出来事は将来的に学者を招いて学び舎を本格的な研究・教育施設へと発展させる構想へと繋がっていく。

まとめ
第13巻における冬備えは、過酷な自然との戦いから脱却し、メーアバダル領が豊かな領地へと確実に成長を遂げたことを証明する出来事となっている。人々の心と生活の余裕が、領地全体をさらなる発展の段階へと押し上げていることが窺えるのである。

アクアドラゴンの討伐

『領民0人スタートの辺境領主様』において、アクアドラゴンの討伐は、イルク村の住民や滞在中の客人など多種族が結集した総力戦であり、最終的に神と呼ばれる超常的な存在が顕現する、物語における非常に重要なエピソードである。本稿では、アクアドラゴン討伐の経緯と激闘の詳細について解説する。

占いによる予言と大規模討伐隊の結成
事の発端は、マヤ婆さんの占いによって北の山からディアスすら苦戦するほどの強大なドラゴンが現れると予言されたことであった。

  • これを受け、ディアスを中心に、クラウス達領兵、アルナー達鬼人族、鷹人族、神官兵、マスティ氏族や洞人族に加え、滞在していた獅子人族のスーリオ達、ゴブリン族、そして商人のペイジン・ドまでもが参戦を表明し、かつてない規模の討伐隊が結成された。
  • 洞人族は過去に倒したアースドラゴンの素材を利用し、討伐に向けた強力な新装備を急ピッチで製作した。

小人型モンスター群との前哨戦
討伐隊が北の山へ向かうと、緑色の肌を持ち、小柄ながらも素早く狡猾に連携する小人型モンスターの群れと遭遇した。

  • これらはアクアドラゴンによって住処を追われた雑魚モンスターであった。
  • 数が多く厄介であったが、クラウス達の連携や鬼人族の騎射、そして小柄な体格を活かしたゴブリン族の活躍により優勢に戦いを進めた。
  • しかし、大振りな戦斧を使うディアスはこの小人相手に戦いづらさを感じていたため、群れの掃討をクラウス達に任せ、少数のメンバーと共に先行してドラゴンの元へと向かった。

ザリガニ型のアクアドラゴンとの死闘と多種族の連携
ディアス達の前に現れたアクアドラゴンは、巨大なザリガニのような異様な姿をしていた。

  • 滑稽な見た目とは裏腹に、高速移動する多数の脚、驚異的な速度で再生する触角と脚、強烈な水流攻撃、そして濃密な瘴気魔法を操る極めて凶悪なモンスターであった。
  • ディアスはオリハルコンの鎧の力を頼りに正面から突撃し、戦斧で脚や触角を破壊し続けるが、ドラゴンの凄まじい水流攻撃を受けて鎧の魔力が尽きかけてしまう。
  • その危機を、ペイジン・ドが自身の長い舌を使ってディアスを引っ張り出すことで救出した。
  • さらに、水中に生息するアクアドラゴンの討伐を海の勇者の誉れと考えるゴブリン族が真価を発揮した。
  • 彼らはドラゴンの吐き出す水流の中を泳いで突撃したり、水魔法を利用して水柱を作り出し、空から槍を突き刺すという独自の戦法でアクアドラゴンに致命傷を与えた。
  • その隙を突いてディアスが全力で突撃し、戦斧で頭部を何度も叩き割って、ついに一体目を討伐することに成功した。

二体目の出現と巨大メーアによる瞬殺
しかし安堵したのも束の間、奥から二体目のアクアドラゴンが咆哮を上げて現れた。

  • 激戦で疲弊しきっていた一行は撤退を余儀なくされ、ディアスは仲間を逃がすために一人で殿(しんがり)を務める決意を固める。
  • 二体目のアクアドラゴンがディアスを噛み砕こうと襲いかかったその瞬間、地面を突き破ってディアスの背丈ほどある角を持った巨大な白いメーアが出現した。
  • 巨大メーアは圧倒的な力でアクアドラゴンの腹を角で突き上げ、そのまま真っ二つに引き裂いて瞬時に討伐してしまった。
  • 巨大メーアは一声鳴くと再び地中へ潜って姿を消し、その常識外れな光景にディアス達はただ呆然と見送ることしかできなかった。

まとめ
このように、アクアドラゴンの討伐は多種族の連携による激闘の末に成し遂げられた。そして、この戦いの終盤における圧倒的な存在の顕現により、多種族の間で巨大メーアは神として熱狂的に崇拝されるようになっていくのである。

荒野の川開通

『領民0人スタートの辺境領主様』において、不毛の地であった南の荒野に海まで続く川が開通した出来事は、神の奇跡によってもたらされた領地発展の重大な転換点として描かれている。本稿では、荒野の川開通の経緯とその後の影響について解説する。

ベン伯父さんの祈りと奇跡の顕現
南の荒野の開拓と、海からやってきたゴブリン族の帰還ルート確保が課題となる中、ベン伯父さんはエルダンや獣人のグリンらと共に荒野へ赴き、神々に祈りを捧げた。

  • ベンが聖地に至りし神官として海に繋がるほどの水を乞うと、地面が割れて巨大なトカゲの姿をした神に連なる存在が現れた。
  • トカゲは一生に一度どころか数百年に一度、その国に一度だけのものと思うが良いと念を押し、地面から大量の水を噴き出させ、海まで続く新たな川を作り出した。
  • この圧倒的な奇跡を目の当たりにしたエルダンは腰を抜かし、グリンは神の存在を確信して大粒の涙を流した。

ゴブリン族の歓喜と新たな治水計画
荒野に川ができ、海まで繋がったという報告はイルク村を大いに沸かせた。

  • 特に乾燥による死の危険を冒して荒野を踏破してきたゴブリン族のイービリスたちは、神々が我らのために海までの道を作ってくださったと歓喜した。
  • また、洞人族のサナトは即座に新たな治水計画を立案した。
  • それはアクアドラゴンが地中から現れた際にできた大穴から湧き出る水を新しい湧き水へと誘導し、村の小川も整備して荒野にため池を作るという、水量を安定させるための壮大な構想である。

荒野の巨大農地化への期待
奇跡の川によって最大の問題であった水不足が解消されたことで、荒野の農地化計画は一気に進展した。

  • 森人族の双子セナイとアイハンは、荒野は大雨や大風の被害がなく土壌改良に役立つ葉肥石が豊富にあるため、水さえあれば素晴らしい畑になると大喜びした。
  • 水源の周辺には早くも鳥や虫、ネズミなどが姿を見せるようになり、セナイ達による種まきも行われた。
  • 春には様々な草木が生える豊かな土地へと変わりつつある。

交易船の建造と海運ネットワークの確立
川の開通により、ゴブリン族が安全に海へ帰還することが可能になった。

  • 彼らのために洞人族が急ピッチで専用の船を建造した。
  • この船は立派なマストを持たず、水中のゴブリン達が直接牽引して進むという特殊な構造で、完成した船に乗って彼らは海へと出航した。
  • その後ゴブリン族は約束通り、大量の塩漬け魚などの海の恵みを船に満載して川を遡り、再びイルク村を訪れた。

まとめ
このように、不毛の地であった荒野の川開通は、ゴブリン族の安全な帰還を実現しただけでなく、メーアバダル領と海を直接結ぶ強力な物流・交易ネットワークを構築する結果となった。神の奇跡と多種族の知恵や労働力が結集することで、領地はさらなる発展の段階へと飛躍したのである。

ゴブリン族との交易

『領民0人スタートの辺境領主様』において、南の海に住む鮫人族(ゴブリン族)との交易は、不毛とされた荒野を越えた出会いから始まり、メーアバダル領の食糧事情や経済を劇的に飛躍させる一大プロジェクトへと発展する。本稿では、ゴブリン族との交易の始まりとその全貌について解説する。

奇跡の出会いと友好・交易の約束
ゴブリン族は、未知の大地への冒険心と喋る巨大なトカゲ(神)の導きにより、死の大地と呼ばれる南の荒野を踏破して北上してきた。

  • 水が尽き遭難寸前だった彼らを鷹人族のサーヒィが発見し、ディアス達が水と食料を提供して救助した。
  • イルク村で盛大な歓迎を受けたゴブリン族のリーダーであるイービリスは、ディアスの人柄と村の豊かさに感銘を受けた。
  • 古代の約定と戦士としての好奇心からディアスに手合わせを挑み、ディアスの圧倒的な強さを認めたことで、深い敬意と共に正式な友好と交易関係が結ばれた。

尽きることのない海の恵みとメーアバダル領の対価
ゴブリン族は海での漁を日常としており、適切な資源管理を行っているため不漁という概念がない。

  • 彼らが一族総出で漁を行えば、王都周辺の港町を凌駕するほどの莫大な海産物をもたらすことが判明し、ヒューバートやエリーら商人組を驚愕させた。
  • ゴブリン族は獲れた魚を海中で素早く解体して血抜きを行い、塩漬けにして鮮度を保つ。
  • この作業をより効率化するため、洞人族のナルバントが海中でも錆びず切れ味が落ちない魚用ハサミを開発・提供した。
  • ゴブリン族はこの鉄器(メーア鋼などの武具や道具)やメーア布の網を対価として受け取り、大きな利益を得ることになる。

マスト不要の交易船と川を利用した物流ネットワーク
交易を本格化させるため、トカゲの神が荒野に作り出した川を利用した海運ネットワークが構築された。

  • 洞人族はゴブリン族専用の船を急ピッチで建造した。
  • この船は風に頼るマストを持たず、水中のゴブリン達が直接ロープで牽引・操作するという特殊な構造をしている。
  • これにより天候や風向きに左右されず、海賊やモンスターの脅威もゴブリン族が排除できるため、極めて安全で高速な水上輸送が可能となった。

大入り江の村(港)の整備と広域経済への影響
交易の拠点として、荒野の南端にある大入り江にゴブリン族の村および港を共同で整備する計画が持ち上がった。

  • ゴブリン族は土地の所有権までは望まず、メーアバダル領の土地として管理を委ねたため、一種の自治領のような形で居住が認められた。
  • 持ち込まれた良質な塩魚は、エリーやセキ達の商隊(ギルド)を通じて隣領や獣人国へと流通する。
  • これによりイルク村は食料不足を完全に解消するだけでなく、魚の油や残滓を肥料として活用することも可能となり、領地全体に莫大な富と恩恵をもたらす巨大な交易拠点を確立することになった。

まとめ
このように、ゴブリン族との交易は、ディアスたちの無償の救助と温かい歓待から生まれた信頼を基盤としている。ゴブリン族の海運力、洞人族の鍛冶・造船技術、犬人族の嗅覚による品質管理、そしてエリーたちギルドの販売網という、多種族の長所が完璧に噛み合うことで、メーアバダル領を飛躍させる最強の物流・経済ネットワークとなっているのである。

鉱山開発とメーア鋼

『領民0人スタートの辺境領主様』において、北の山における鉱山開発とそこで生み出された新素材メーア鋼は、メーアバダル領の防衛力と経済力を飛躍的に引き上げる重要な要素として描かれている。本稿では、鉱山開発の経緯とメーア鋼の特徴について解説する。

獣人国からの投資と洞人族の目覚め
鉱山開発のきっかけは、獣人国からの使者ヤテンとの交渉により、鉱山開発に向けた莫大な投資が約束されたことであった。

  • この開発を担うため、洞人族の老人ナルバントが名乗りを上げた。
  • 冬眠のような眠りについていた彼らの一族30人以上が酒造りを条件に一斉に目覚め、鉱山開発や西側関所の建設といった大工事に総出で取り組むことになった。

モンスター地帯での開発と厳重な防衛網
鉱山が作られた北の山は、アースドラゴンなどの強力なモンスターが棲息する危険地帯である。

  • そのため、洞人族の若者で鉱山主に任命されたバーナイトの指揮のもと、鉱山までの道には魔石式のバリスタを備えた岩の砦や防壁が築かれた。
  • さらに周囲にはアースドラゴン用の罠が仕掛けられるなど、軍事施設並みの防衛網が敷かれている。
  • また、魔石が多いため瘴気が濃い環境であるが、洞人族の髭には瘴気や毒を浄化する作用があるため、彼らにとっては安全に採掘や製錬が行える理想的な職場となっている。

新素材メーア鋼の誕生と特性
鉱山に作られた製錬所では、採掘した鉄鉱石に少量の炭と砕いた魔石を混ぜ合わせた特殊な合金が作られた。

  • 大昔は魔鋼とも呼ばれたこの合金を、バーナイトは領地にちなんでメーア鋼と名付けた。
  • メーア鋼の最大の特徴は、錆びにくく硬いにもかかわらず、地金(鋳塊)の状態では少し曲がりやすいなど加工がしやすいという点である。
  • この特性により、武器や防具、農具など様々な道具を効率良く、高品質で作ることが可能になった。

交易品としての活用とゴブリン族への提供
メーア鋼は、鉄の塊としてそのまま売るのではなく、道具や武具として完成させてから販売する方針が取られている。

  • これは利益率を高めるためだけでなく、敵国に質の良い鉄が渡り、武器として悪用されるのを防ぐという安全保障上の理由からである。
  • 特に錆びにくいという特性は、海で活動するゴブリン族(鮫人族)にとって非常に相性が良い。
  • 海中でも錆びずに使える魚用ハサミや武具として加工され、塩魚などと取引するための強力な交易品として大活躍することになる。

まとめ
このように、洞人族の技術と労働力によって実現した鉱山開発は、領内のインフラ整備を加速させた。そしてそこで生み出されたメーア鋼は、強固な武具を生み出して防衛力を高めるだけでなく、他国や異種族との交易における最大の武器の一つとして、メーアバダル領の経済を大きく支えているのである。

獣人国への遠征

『領民0人スタートの辺境領主様』において、獣人国への遠征は、内乱の危機に瀕した獣人国を秘密裏に救うために実行された大規模な工作活動である。本稿では、遠征の背景や活動内容について解説する。

遠征の背景と活動名「羊角」の結成
獣人国では参議ヤテンが失脚の危機に陥り、国境安定化で暇を持て余した兵士たちが冬を前に内乱を起こそうと物資の徴発を行っていた。

  • 獣人国出身のセキたちから助力を求められたディアスは他国への侵入に否定的であったが、アルナーが鬼人族の隠蔽魔法を使えば秘密裏に動けると提案し、モントが内乱勢力への妨害工作と物資奪取を主張した。
  • 話し合いの結果、エイマが遠征班長として大方針を決定し、モントが軍事指揮を担当することになった。
  • モント、ジョー達領兵、鬼人族、マスティ氏族などで構成された部隊は、ゴブリン族の船で海から獣人国へ上陸した。
  • 現地ではペイジン商会のフロッグマンと合流し、人間族や鬼人族であることを隠すために獣人風の耳付きフードと尻尾を装備して、活動名「羊角」を名乗った。

帝国人アルハルの救出と砦の制圧
進軍の途中、エイマの耳が女性の悲鳴を捉え、獣人に追われていた黒髪の女性アルハルを救出した。

  • 彼女は帝国海軍の軍人で、難破して獣人国へ運ばれた後、差別対象である「血無し」に似ていたため牢に入れられていたところを脱走してきたのであった。
  • アルハルの情報から、近くの砦が内乱に向けた物資の中継地であることが判明した。
  • エイマたちは鬼人族の隠蔽魔法で接近し、見張りを制圧して門を開け、一気に内部へ侵入して砦を制圧することに成功した。

隠蔽魔法による大軍の攪乱作戦
内乱勢力の主力である二千人もの大軍に対し、エイマとモントは鬼人族の隠蔽魔法を駆使した攪乱作戦を展開した。

  • 鬼人族たちは、本来あるはずの道を林に見せかけ、存在しない景色を作り出すことで敵軍を誤誘導し、山中で迷わせ廃村へ野営させた。
  • 夜になると、隠蔽魔法を維持したまま夜警や就寝中の兵士を次々と拘束して森へ連れ去り、大量の物資を奪取した。
  • 集団脱走が起きたと錯覚し大混乱に陥った敵軍の上官たちは、完全に打ちのめされて撤退を余儀なくされた。

帰還と圧倒的な戦果
奪取した膨大な物資は海岸へ運ばれ、ゴブリン族の協力でペイジン商会の船へ積み込まれた。

  • こうして内乱勢力を大幅に弱体化させるという目的を達したエイマたちは、誰一人負傷することなく、敵の死者も出さずにイルク村へ帰還した。
  • ディアスはエイマからの報告書を読んで、被害ゼロで事態を解決したその常識外れな成果に驚愕した。
  • 一方で留守中のイルク村ではディアスがフレイムドラゴン3体を討伐しており、村に積み上がったドラゴン素材を見たエイマやアルハルが逆に絶叫するという結末を迎えた。

まとめ
獣人国への遠征は、エイマの的確な方針決定とモントの軍事指揮、鬼人族の隠蔽魔法、ゴブリン族やペイジン商会の連携が見事に噛み合った作戦であった。これにより、メーアバダル領は隣国の内乱という危機を未然に防ぎつつ、大量の物資を獲得するという大成功を収めたのである。

領民0人12巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人14巻レビュー

登場キャラクター

メーアバダル領

ディアス

メーアバダル領の領主。アクアドラゴンなどを討伐し、多くの種族と交流を持つ。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領主。公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 獣人国の内乱危機に対し、遠征の指揮をエイマに任せた。村ではメーアの出産を支える役目に専念した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 三体のフレイムドラゴンを撃退した。獣人国の王からその力を恐れられている。

エイマ

ディアスの相談役であり、優れた知性を持つ。獣人国への遠征班長を務める。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。遠征班長。
・物語内での具体的な行動や成果
 遠征先でアルハルを救出し、副官に任命した。内乱勢力の物資を横取りする成りすまし作戦を立案し実行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 専用のドレス鎧と投げナイフを与えられた。

ダレル夫人

犬人族の女性達に礼儀作法を教える。エイマの装備の意匠案を練る。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 学び舎で授業を行い、生徒の上達ぶりに感心した。学び舎を研究施設へ発展させる構想を語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エイマ用のドレス鎧の意匠を考案した。

ヒューバート

メーアバダル領の内政官。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の内政官。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴブリン族の漁の規模を聞いて衝撃を受けた。魚が油や肥料になることを指摘した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 海産資源による領地発展の可能性を見出している。

エリー

イルク村の商人。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の商人組。
・物語内での具体的な行動や成果
 イービリスに対し、イルク村を通さず他所に海産物を売っても良いと伝えた。遠征の別働隊として獣人国へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魚の安定供給による食料事情の改善を期待している。

ゴルディア

商人ギルドの長。

・所属組織、地位や役職
 商人ギルドの長。
・物語内での具体的な行動や成果
 獣人国遠征の後援を引き受けた。別働隊として獣人国で情報収集を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 獣人国の領主から行商許可証を獲得した。

アイサ

イルク村の領民。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 海を使った交易の話題で盛り上がった。別働隊として獣人国へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

イーライ

イルク村の領民。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 海運の話に興味を示した。別働隊として獣人国へ赴いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

クラウス

東側関所を守る領兵隊長。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領兵隊長。東側関所の主。
・物語内での具体的な行動や成果
 関所の警備に集中するため、遠征に関する会議を欠席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

モント

西側関所で指揮を執る。元帝国兵の経験を持つ。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領兵。西側関所のまとめ役。
・物語内での具体的な行動や成果
 獣人国遠征の軍事指揮を担当した。成りすまし作戦を実行し、敵の砦を制圧した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 セナイ達を追放した森人族に対し、イルク村の力を示す意図を持っていた。

ジョー

ディアスに従う領兵。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 鬼人族の女性と合同結婚式を挙げた。遠征に参加し、物資の運搬作業を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 複合武具を装備して戦力に貢献した。

ロルカ

ディアスに従う領兵。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 鬼人族の女性と結婚した。獣人国で物資を海岸へ運搬した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 複合武具を与えられた。

マヤ婆さん

イルク村に住む老人。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 遠征の会議に参加した。隠蔽魔法を長時間維持することへの懸念を指摘した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 海魚を食べることを楽しみにしている。

セナイ

森人族の双子の姉。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 森を手入れし、大量の木の実やキノコを収穫した。収穫した大きなニンジンをディアスへ見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 同族によって追放された過去を持つ。

アイハン

森人族の双子の弟。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 セナイと共に森の恵みを収穫した。ニンジンをゴブリン族へ配った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 同族から追放された過去がある。

ナルバント

洞人族の老人。技術に長けている。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。洞人族の長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴブリン族専用の船や、海中で使う魚用ハサミを製作した。遠征に備えて魔石による魔力補給を提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 メーア鋼の地金を受け取る立場にある。

バーナイト

若い洞人族。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。鉱山主。
・物語内での具体的な行動や成果
 鉱山の施設や防衛網を整備した。魔石を混ぜたメーア鋼を開発した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 鉱山の責任者として発展に貢献している。

マーフ

犬人族の氏族長。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。マスティ氏族長。
・物語内での具体的な行動や成果
 獣人国への遠征会議に参加した。遠征ではエイマを頭に乗せて運んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

カーリッツ

シェップ氏族の若者。エイマの授業を受けた一人。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 在庫確認などの書類仕事をこなした。輸送隊を率いて荒野へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 成人したばかりだが、落ち着きと責任感を見せている。

サーヒィ

鷹人族の戦士。空からの連絡役。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。鷹人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴブリン族の帰還を知らせた。獣人国への遠征で上空から敵兵の数を数えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 妻が卵を産んだ。

ビーアンネ

鷹人族の女性。サーヒィの妻。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 産屋に滞在した。無事に卵を産んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 婦人会に世話を引き受けてもらっている。

領兵達

ディアスの部下。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の兵士。
・物語内での具体的な行動や成果
 関所前で広い畑を耕作した。ドラゴン装備を身につけて遠征に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

ジョー隊

領兵の部隊。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 遠征に参加する人員を選抜した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

ロルカ隊

領兵の部隊。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 遠征班に人員を出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

リヤン隊

領兵の部隊。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 別働隊の護衛として獣人国へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

婦人会

イルク村の女性達。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 ダレル夫人から礼儀作法を学んだ。海産物を手際よく調理した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ビーアンネの世話を担当している。

マスティ氏族

犬人族の氏族。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。犬人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 妊娠中のメーアの周囲で見張りと護衛を行った。遠征班や別働隊に護衛として参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 竜牙や竜鱗のマントを装備している。

アイセター氏族

犬人族の氏族。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。犬人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 ラクダの世話を引き受けた。合同結婚式でダンスの余興を披露した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

シェップ氏族

犬人族の氏族。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。犬人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 黒い液体の匂いを好意的に評価した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カーリッツがこの氏族に属している。

洞人族

北の山で働く種族。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 防衛設備や鉱山を整備した。ゴブリン族の船や複合武具を製作した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 髭が瘴気や毒気を浄化する特性を持つ。

鷹人族

空を飛ぶ能力を持つ種族。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 関所の畑でカカシの上に止まり鳥よけをした。野生のメーアの捜索に協力した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 卵で子を産む生態である。

犬人族

嗅覚に優れる種族。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 匂いで塩漬け魚の品質を判断した。合同結婚式で新郎達を見せびらかした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 能力が商売の品質管理に役立っている。

フランシス

メーアの群れのリーダー。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の動物。
・物語内での具体的な行動や成果
 六つ子達と共に寝床へ入った。合同結婚式で大合唱を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

フランソワ

フランシスと行動を共にするメーア。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の動物。
・物語内での具体的な行動や成果
 六つ子達と共に寝床へ入った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

エゼルバルド

イルク村にいるメーア。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の動物。
・物語内での具体的な行動や成果
 妻達の近くで草を食んでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

エゼルティア達

エゼルバルドの妻達。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の動物。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスに対して涙ぐんだような鳴き声を上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 妊娠中で冬に出産を控えている。

フラン

幼いメーア。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の動物。
・物語内での具体的な行動や成果
 カゴに乗って空を飛び、父メーアの捜索を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 史上初めて空を飛んだメーアとなった。

六つ子達

メーアの子供達。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の動物。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランシス達と共に寝床へ入った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

野生のメーア

イルク村を訪れたメーア。

・所属組織、地位や役職
 野生の動物。
・物語内での具体的な行動や成果
 はぐれた夫を探してほしいと頼み込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 妊娠している。

巨大メーア

地中から現れた謎のメーア。

・所属組織、地位や役職
 不明。
・物語内での具体的な行動や成果
 アクアドラゴンとの戦いに介入して勝利をもたらした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 獣の神として崇められている。

メーア達

羊に似た動物。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の動物。
・物語内での具体的な行動や成果
 妊娠中の個体が神殿側の草地に集まっている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 毛を使ったメーア布が特産品となっている。

神殿

ベン(ベンディア)

ディアスの伯父。イルク村の神殿を管理している。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の神殿。神官。
・物語内での具体的な行動や成果
 トカゲの姿をした神を呼び出し、荒野に川を生み出した。ディアスに村の改良に専念するよう助言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 神官兵達に教えを説いている。

フェンディア

神殿の女神官。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の神殿。
・物語内での具体的な行動や成果
 イービリス達の訓練の際に茶を配った。産屋で妊婦達の相談役を務めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

パトリック

神殿を守る神官兵。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の神殿。神官兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 イービリス達と連係訓練を行った。セナイ達からニンジンを受け取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アクアドラゴン討伐に貢献した。

神官兵

パトリック達と共に神殿を守る。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の神殿。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴブリン族と訓練を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

鬼人族

アルナー

ディアスの婚約者。

・所属組織、地位や役職
 鬼人族。ディアスの婚約者。
・物語内での具体的な行動や成果
 宴でディアスとダンスを披露した。ゴブリン族が持ってきた海魚を様々な料理に仕上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ハルジャ種の馬を気に入り確保しようとした。

ゾルグ

アルナーの兄。

・所属組織、地位や役職
 鬼人族の戦士。
・物語内での具体的な行動や成果
 遠征班に参加して獣人国へ向かった。隠蔽魔法を使って敵軍の進軍を妨害した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 同族である森人族が敵にいることへ複雑な感情を抱いた。

モール

鬼人族の族長。

・所属組織、地位や役職
 鬼人族の族長。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルナーに海魚の調理法を教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 直接の登場はない。

鬼人族

魔法や弓矢を得意とする種族。

・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領民。鬼人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 遠征で隠蔽魔法を使って敵軍を廃村へ誘導した。領兵達と合同結婚式を挙げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魂鑑定魔法で商売上の不正を見抜くことができる。

ゴブリン族(鮫人族)

イービリス

ゴブリン族の頭目。

・所属組織、地位や役職
 ゴブリン族の頭目。
・物語内での具体的な行動や成果
 船で海へ帰り、約束通り海産物を持ってイルク村を訪れた。大入江の所有権を望まず自治管理を申し出た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魚用ハサミを受け取り、より高品質な塩魚を作れると喜んだ。

ゴブリン族

海に住む種族。

・所属組織、地位や役職
 ゴブリン族。
・物語内での具体的な行動や成果
 川を下って海へ帰り、大量の魚をイルク村へ届けた。水魔法を使って木箱を濡らさずに船へ積み込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 適切な資源管理を行っており、不漁という概念を持たない。

ペイジン商会

オクタド

ペイジン商会の長。

・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会の長。
・物語内での具体的な行動や成果
 神殿建立を祝うため旅芸人を連れてイルク村を訪れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヤテンとの距離を置いた。

ペイジン・ド

ペイジン商会の一員。

・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会。
・物語内での具体的な行動や成果
 アクアドラゴン討伐の際に神の姿を目撃した。獣王にディアスの人柄を報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

ペイジン・レ

ペイジン商会の一員。

・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会。
・物語内での具体的な行動や成果
 関所の近くで待機し、エイマ達と連絡を取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

フロッグマン

ペイジン商会の関係者。

・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会の関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
 獣人国でエイマ達を出迎え、道案内をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 隠密行動に長けている。

ペイジン商会の者達

ペイジン商会に所属する商人達。

・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会。
・物語内での具体的な行動や成果
 獣人国でエイマ達を支援し、港の工作や船の手配を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

マーハティ領

エルダン

マーハティ領の領主。

・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の領主。公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 神殿建立の祝いに訪れた。ディアスとアルナーのダンスを企画した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 妻達の安産祈願を行った。

ジュウハ

マーハティ領の兵学者。

・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の兵学者。
・物語内での具体的な行動や成果
 情報管理の重要性を説いていると言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 直接の登場はない。

グリン

エルダンの護衛。人間族を警戒している。

・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の護衛。猪人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルク村で騒動を起こした。奇跡を目の当たりにして信仰心を高めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ベンから教誨を受けた。

サンセリフェ王国

国王

サンセリフェ王国の王。

・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国の国王。
・物語内での具体的な行動や成果
 改革から取り残され、自らの立場が失われつつあることに苦悩した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王位を捨てて西の辺境へ隠居することを思い描いている。

リチャード王子

サンセリフェ王国の第一王子。

・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国の第一王子。
・物語内での具体的な行動や成果
 革新的な政策を推し進め、納税額を増加させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王城内での実権を掌握しつつある。

ナリウス

リチャード王子の部下。

・所属組織、地位や役職
 王国の内政官。
・物語内での具体的な行動や成果
 王城の空き部屋で休息を取っていた。シルドから仕事を命じられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

シルド

老齢の騎士。

・所属組織、地位や役職
 王国の騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
 ナリウスに仕事の指示を出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

内政官達

王国で実務を担う者達。

・所属組織、地位や役職
 王国の内政官。
・物語内での具体的な行動や成果
 大量の納税品が届いたことを喜んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 予算増加による国力向上を期待している。

獣人国

獣王

獣人国を統べる王。

・所属組織、地位や役職
 獣人国の王。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヤテンの報告に疑問を持ち、体調を崩した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ディアスの力を神の助力によるものと勘違いしている。

ヤテン・ライセイ

獣人国の参議。

・所属組織、地位や役職
 獣人国の参議。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスを過小評価し、静観する方針をとった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 方針の誤りから失脚の危機に直面している。

キコ

獣人国の参議。

・所属組織、地位や役職
 獣人国の参議。
・物語内での具体的な行動や成果
 息子達をイルク村に預け、ディアスを高く評価した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヤテンの処分をとりなした。

セキ

獣人国の商人見習い。キコの息子。

・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会。
・物語内での具体的な行動や成果
 ハルジャ種を購入して帰還し、獣人国の情勢悪化をディアスに伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 別働隊として獣人国での活動を支援した。

サク

セキの兄弟。

・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会。
・物語内での具体的な行動や成果
 ペイジン商会がハルジャ種を譲ってくれた理由を説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

アオイ

セキやサクの兄弟。

・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会。
・物語内での具体的な行動や成果
 獣人国の行商で海魚を食べて感動した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

血無しと呼ばれる者達

獣人国で差別されている人々。

・所属組織、地位や役職
 獣人国の民。
・物語内での具体的な行動や成果
 飢餓から盗賊となり、海岸付近を徘徊していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エイマ達から食料を施された。

暗闇の中の男

獣人国の内乱に関わる人物。

・所属組織、地位や役職
 不明。
・物語内での具体的な行動や成果
 見えない相手の言葉に苛立ち、暴れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

帝国

アルハル・ゲール

帝国海軍の軍人。ニャーヂェン族の女性。

・所属組織、地位や役職
 帝国海軍の軍人。エイマの副官。
・物語内での具体的な行動や成果
 獣人国で捕らえられていたが、脱走してエイマ達に救出された。砦の内部構造を教え、制圧作戦に貢献した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村でディアスを見て絶叫した。

若い重騎士

帝国南部の港町にいる人物。

・所属組織、地位や役職
 帝国の重騎士。ニャーヂェン族の長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴブリン族の協力を得て海軍を増強しようと目論んだ。ゴブリン族がディアスの宴へ向かったと聞き、計画が崩れて膝から崩れ落ちた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一族を挙げて異動してきた。

中年従者

若い重騎士に仕える人物。

・所属組織、地位や役職
 帝国の従者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴブリン族とは協力関係を築くべきだと進言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

ニャーヂェン族

身軽で柔軟な種族。

・所属組織、地位や役職
 帝国の種族。
・物語内での具体的な行動や成果
 重騎士と共に港町へ異動し、新鮮な魚を食べて喜んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルハルや重騎士がこの種族に属している。

その他・モンスター

トカゲ

神と呼ばれる超常的な存在。

・所属組織、地位や役職
 不明。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野の地面を割って大河を生み出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ゴブリン達を北へ導いた。

旅芸人

オクタドに連れられてきた集団。

・所属組織、地位や役職
 旅芸人一座。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルク村の宴で芸を披露し、場を盛り上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

荒くれ者達

獣人国の海域に現れた者達。

・所属組織、地位や役職
 不明。
・物語内での具体的な行動や成果
 エイマ達の船に接近したが、ゴブリン族を見て退却した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 海においてゴブリン族を恐れている。

アクアドラゴン

過去に討伐されたモンスター。

・所属組織、地位や役職
 モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 巨大メーアによって引き裂かれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 その素材が複合武具の関節部などに使用された。

フレイムドラゴン

イルク村を襲撃したモンスター。

・所属組織、地位や役職
 モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 三体で襲来し、バリスタやディアスによって討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 素材が複合武具の軽量化などに使用された。

アースドラゴン

過去に討伐されたモンスター。

・所属組織、地位や役職
 モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 素材が硬さを要する部位の武具に活用されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 遠征班の装備を強化している。

ウィンドドラゴン

過去に討伐されたモンスター。

・所属組織、地位や役職
 モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 素材がサーヒィ達の装備や複合武具の軽量化に利用されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特に変化はない。

領民0人12巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人14巻レビュー

展開まとめ

エイマのレポート

アクアドラゴンとの戦い

ディアスは、ゴブリン族のイービリスや神官兵のパトリック達、ペイジン、鬼人族、そして領民達と共にアクアドラゴンとの戦いに挑んだ。素早い動きと高い再生能力を持つアクアドラゴンとの戦いは激戦となったが、最後には謎の巨大メーアが介入し、勝利を収めたのであった。

野生メーアの依頼とフランの飛行

ある日、妊娠した野生のメーアが現れ、はぐれた夫を探してほしいと頼み込んできた。そこで鬼人族と鷹人族を中心に捜索隊が編成されることとなった。

その最中、幼いメーアであるフランが名乗りを上げ、サーヒィと共に空から捜索を行うこととなった。こうしてフランは、史上初めて空を飛んだメーアとなったのである。

エルダンの来訪とグリンの騒動

神殿建立を祝うため、隣領からエルダンがイルク村を訪れた。しかし護衛として同行していた獣人グリンは、人間族であるディアスを信用しておらず、領内で騒動を引き起こした。

そこで神官ペンはエルダンと共にグリンを連れ出し、教誨を行った。そしてその場で、巨大なトカゲの姿をした「神」を呼び出し、荒野に川を生み出すという奇跡を起こしたのであった。

エイマは、犬人族達から突然川が出来たと聞いた際には信じられなかったが、実際に立派な川が流れている光景を目にし、腰が抜けそうになるほど驚いたのであった。

祝宴とディアス達のダンス

神殿建立とディアスの神との邂逅を祝うため、ペイジン商会の長であるオクタドが旅芸人を連れて来訪し、大規模な宴が催された。

宴では、エルダン達の計らいによってディアスとアルナーのダンスが披露され、場は大いに盛り上がった。二人の仲睦まじい様子は多くの者達を喜ばせ、夫婦仲はますます良好なものとなっていった。

イルク村の発展

メーアバダル領イルク村には、新たに川が加わることとなった。

既存のユルト、倉庫、厠、井戸、飼育小屋、集会所、広場、厩舎、畑、溜池、草原東の森、魔石炉、岩塩鉱床、関所、迎賓館、水源小屋、氷の貯蔵庫、養蜂場、酒蔵、鉱山、酒場、氷溜め池と合わせ、村はさらに豊かに発展していくのであった。

川で船を眺めながら――ディアス

ゴブリン族の帰還準備

宴が終わり、エルダン達や旅芸人、ペイジン達が帰った後のイルク村では、ゴブリン族を海へ送り届けるための川下りの準備が進められていた。伯父さんやヒューバート、サーヒィの調査によれば、出来たばかりの川はまだ不完全ではあるものの、水量と深さは十分であり、川下りは可能との判断が下されていた。

草原側の小川も整備され、動物達が水を飲みやすい場所まで設けられていた。草原の流れは荒野の川と合流し、やがて海へ繋がる大河となる予定であった。また、神々が奇跡を起こした水源を聖地として保全するため、小川は直接ではなく川へ合流させる形で整備されていた。

そんな中、ゴブリン族のための荷船が完成間近となっており、ディアスは屋根付きの船を見ながらナルバントと会話を交わした。ナルバントは、日光を苦手とするゴブリン族のために簡易的な日除けを設けたのだと説明し、将来的な船の運用や交易についても語ったのであった。

収穫されたニンジンとゴブリン達への贈り物

船の確認をしていたディアスのもとへ、セナイとアイハンが大きなニンジンを抱えて駆け寄ってきた。二人は育った畑の成果だと誇らしげに語り、皆に食べてほしいと勧めた。

そのニンジンは甘みが強く、生でも美味しく食べられるほど品質が良かった。セナイ達は保存性や栄養価についても説明し、ゴブリン族の船旅用の食料として積み込んでほしいと頼み込んだ。

ディアスはゴブリン達の反応を確かめるため、セナイ達と共に神殿へ向かった。そこではイービリス達がパトリック達と連係訓練を行っており、鍛錬後にセナイ達がニンジンを配って回った。

パトリック達が美味さに感心する一方、イービリス達は感慨深げな様子を見せた。イービリスは、地上で得た経験や温かなもてなしを思い返し、故郷の海へ帰らねばならない寂しさを吐露したのであった。

領民の証とゴブリン達の決意

イービリス達の言葉を受けたディアスは、一度ユルトへ戻り、自作の領民の証である首飾りを持ってきた。そして、海に住むゴブリン族は正式な領民にはなれないかもしれないが、ここを故郷と思うならいつでも帰って来れば良いと語り、その首飾りを贈った。

イービリス達は震える手で首飾りを受け取り、深い感謝を表した。そして、海の恵みを必ずイルク村へ届けると誓い、ここへの帰還を前提とした旅立ちであると決意を新たにしたのであった。

ゴブリン族の出航

多くの人々に見送られながら、積み荷を満載した船が川を下り始めた。ゴブリン達はメーアバダル草原への愛着を口にしながら、再び戻ってくることを誓った。

船には二人のゴブリンが船底監視として張り付き、一人が大縄を引いて進路を調整するなど、独自の方法で安全を確保していた。彼らは洞人族が短期間で造り上げた船へ深い感謝を抱きつつ、海へ向けて船を進めていった。

船と交易の未来

ゴブリン達を見送る中、ディアスはナルバントと船の将来性について語り合った。ナルバントは、ゴブリン族にとって船とは荷物を濡らさず運び、体を休めるためのものに過ぎないと説明した。

一方で、ゴブリン族の護衛付きの船は安全性が高く、人や物資の輸送手段として大きな価値を持つ可能性があるとも語った。海上輸送や木材輸送、さらには商人達の活用法まで話が広がり、ゴルディア達もその可能性に大きな関心を示したのであった。

冬の訪れ

ゴブリン達を見送った後、アルナーが空を見上げ、渡り鳥の姿を見つけた。冬備えの始まりだというアルナーの言葉に、セナイとアイハンも歓声を上げた。

こうして、少し寂しさを帯びていた見送りの場は再び賑やかさを取り戻し、イルク村には新たな季節の訪れが感じられるのであった。

関所に向かいながら ディアス

冬備えと鉱山視察

今年のイルク村は人口増加や保存技術の発展、各地の畑の順調な収穫に加え、神殿建立祝いとして大量の食料も贈られたことで、例年より余裕のある冬備えとなっていた。森へ向かうアルナー達も、昨年ほど切迫した様子ではなく、行楽気分で冬支度を楽しんでいた。

一方ディアスは、鉱山の本格稼働を確認するため、ベイヤースに跨って西側関所方面へ向かっていた。鉱山では質の良い鉄鉱石が大量に採掘されているらしく、洞人族達がその成果をぜひ見てほしいと願っていたのであった。

洞人族の鉱山防衛設備

鉱山へ続く道には、洞人族による防衛設備が築かれていた。低く厚い石壁や、魔石式のバリスタが道沿いに配置され、アースドラゴン級のモンスターを迎撃する構えとなっていた。

さらに山道には岩山をくり抜いたような砦も点在し、洞人族達が本気で山の防衛を考えていることが窺えた。ディアスはその規模と完成度に驚き、洞人族の技術力に改めて感心していた。

鉱山主バーナイトとの対面

鉱山に到着したディアスは、鉱山主を任された若い洞人族バーナイトと対面した。バーナイトはトロッコを使って現れ、鉱山や施設について誇らしげに説明した。

彼は山を削って平地を作り出し、さらに鉱山を拡張していく予定だと語った。また、周囲にはアースドラゴン用の罠まで設置されており、モンスター対策も徹底されていたのであった。

瘴気と魔力の関係

バーナイトは鉱山の案内を続ける中で、瘴気と魔力が表裏一体の関係にあることを説明した。魔法を使うことで周囲の瘴気を魔力へ変換し、逆に濃すぎる瘴気は毒となるというのである。

洞人族は髭によって瘴気や毒気へ強い耐性を持っており、鉱山労働に適していることも語られた。ディアスはその知識に驚きながら、魔法や瘴気について新たな理解を深めていった。

メーア鋼の誕生

製錬所では、魔石を混ぜ込んだ特殊な鋼材が試作されていた。バーナイトはそれを「メーア鋼」と呼び、錆びにくく硬度も高い特別な素材だと説明した。

ディアスが試しに力を込めると、鋳塊がわずかに曲がってしまい、バーナイトは驚愕した。今後このメーア鋼が武具や道具として加工されれば、イルク村の発展に大きく貢献するだろうと語られたのであった。

関所前の大農地

鉱山視察を終えたディアスは、西側関所へ向かった。関所前には広大な畑が広がっており、犬人族や鷹人族も作業を手伝っていた。

モントによれば、この大農地は帝国式の考え方によるもので、余剰食料を領主が買い上げ、孤児や傷病者へ配る制度を前提として広く耕作しているのだという。ディアスはその制度に感心しつつ、将来的にはイルク村にも似た仕組みを作れるかもしれないと考えるのであった。

帝国海軍とゴブリン族

帝国南部では、海軍増強を任された若い重騎士が、ゴブリン族の協力による海軍構想を進めていた。彼は海中を自在に動くゴブリン族の力を高く評価し、彼らとの良好な関係を築く重要性を理解していた。

しかしある日、ゴブリン族達は突然仕事を放棄し、西方海域で開かれる大宴へ向かうと言い出した。それは神々と邂逅し、偉大なる勇者と友誼を結んだ英雄を祝う宴だという。

その勇者が「メーアどうとか」と呼ばれていると知った若者は、またしてもディアスが関わっていることを悟り、膝から崩れ落ちるのであった。

王国の動揺と国王の願望

サンセリフェ王国では、リチャード王子の改革が成功し、王城全体が活気づいていた。一方で国王は、自らの立場が失われつつある現状に苦悩していた。

そんな中、国王は西の辺境から届けられたメーア布に癒やしを見出し、ディアスの領地へ思いを馳せていた。そして王位を捨て、辺境で静かな余生を送るという空想に次第に心を傾けていくのであった。

獣人国ヤテンの苦悩

獣人国では、参議ヤテン・ライセイがディアスの勢力拡大に頭を悩ませていた。草原への影響力を確保するため様々な工作を行っていたが、関所の整備や鬼人族の変化によって、その多くが無力化されていた。

ペイジン商会への圧力なども検討していたが、国内問題も抱える中で大胆な行動は取れず、静観する方針を選ぶ。しかし後にディアス達が未知なる神と邂逅したとの報を聞き、その判断を深く後悔することになるのであった。

暗闇の男の苛立ち

暗闇の中では、何者かの男が見えない相手と言葉を交わしていた。男は「あの連中と仲良くなられては困る」と不満を漏らし、器を見極めているという相手の言葉に激しく反発した。

会話は噛み合わず、男の苛立ちは収まることなく、暗闇の中で暴れ続けるのであった。

関所の食堂で ディアス

西側関所の変化

ディアスは西側関所で一泊したことで、関所内に貴賓室が作られていることや、獣人達が下働きとして雇われていることを知った。貴賓室は装飾や家具も豪華で、想像以上に快適な空間となっていた。

また、獣人達は楽しげに働いており、子供達まで良い待遇で雇われていた。ディアスは他国の者を関所に出入りさせることへ不安を抱いたが、モントは情報を管理した上で交流を行うことが外交になると説明し、互いの不安や偏見を減らすためにも必要なことだと語った。ディアスはその考えに納得し、関所の在り方について新たな理解を得るのであった。

セナイ達の故郷への警戒

モントはディアスを自室へ呼び出し、獣人国に住む森人達の話を切り出した。セナイとアイハンを追放した同族達が、イルク村での彼女達の暮らしを知れば、何らかの接触を図ってくる可能性があるというのである。

ディアスは、何の罪もないセナイ達を追い出した相手と交流するつもりはないと断言し、必要なら追い返せば良いと語った。モントはその言葉を聞き、関所側で上手く対処すると応じるのであった。

礼儀作法の授業

イルク村へ戻ったディアスは、神殿近くの学び舎でダレル夫人が犬人族の女性達へ礼儀作法を教えている場面に出会った。婦人会の面々は熱心に授業へ取り組んでおり、その上達ぶりにダレル夫人自身も驚いていた。

彼女は、小柄な獣人達には特定分野へ強く適応する才能があるのではないかと考察し、エイマの優れた知性もその一例ではないかと語った。さらに将来的には、学び舎を発展させ、学者を招いて研究や教育を行う施設へ発展させても良いのではないかという話にまで広がっていった。ディアスは孤児院構想とも結び付けながら、その未来像へ思いを巡らせるのであった。

イルク村発展の次の段階

ベン伯父さんは、イルク村が必要最低限の施設を整える段階を終え、これからは改良と発展の段階へ移るのだと語った。

竈場や洗濯場、厩舎、酒場、学び舎、迎賓館など、あらゆる施設をより便利で立派なものへ変えていく必要があるというのである。鉄や木材が揃えば、村全体をさらに発展させることが可能になると聞いたディアスは、今後は生活をより豊かにする方向で領地運営を考えるべきだと教えられるのであった。

改良された森と豊かな実り

翌日、ディアスはアルナー達と共に冬備えのため森へ向かった。森はセナイ達による手入れによって大きく様変わりしており、陽光と風が通る豊かな森へと変貌していた。

木々には大量の実がなり、動物も増えていたため、採集も狩りも去年とは比較にならないほど順調に進んでいった。さらに森の奥では、去年育成を始めた特別なキノコが大量に収穫され、セナイ達は誇らしげにその成果を見せた。ディアス達は五日間にわたって森へ通い、豊かな実りを集め続けるのであった。

ゴブリン族帰還の報せ

冬備えが続く中、ある早朝にサーヒィが、荒野に出来た川をゴブリン族の船が遡ってきていると報告した。

予想より遥かに早い帰還に、ディアス達は驚きと困惑を覚え、何か異変が起きたのではないかと不安を抱く。そして急いで身支度を整え、ベイヤースに跨って荒野へ向かうのであった。

荒野で

ゴブリン族の早期帰還

ディアスは、来春以降になると思っていたゴブリン族の帰還が予想外に早かったことへ驚きながら、ベイヤースに跨って荒野へ向かった。荒野では水源を中心に小屋や休憩所などの整備が進み、水が湧いたことで鳥や虫、小動物の姿まで見られるようになっていた。

船着き場予定地へ向かったディアスは、サーヒィの案内によって川を遡ってくるゴブリン達の船を迎えた。船は多くのゴブリン達によって曳かれ、イービリスは無事の再会を喜びながら、海の恵みを持ってきたと報告した。

海産物とゴブリン族の提案

荷下ろしの後、イービリスは塩漬け魚や海辺の木の実、さらに木材の確保について説明した。そして荒野南部の大入江へゴブリン族の村を築きたいと申し出る。

ディアス達は以前からその構想を考えており、自治的な形で居住地を認める方向で話を進めていた。しかしイービリスは、土地そのものを所有する意思はなく、あくまでメーアバダル領の土地として管理して欲しいと語った。

ディアスはその考えを受け入れ、港の使用権を双方で共有する形の自治領として扱う方針を示した。イービリスはその寛大な対応へ深く感謝し、同行していたゴブリン達も安堵の様子を見せるのであった。

海産物交易の可能性

会談の中で、エリーは海から丸一日でここまで来られると知り、生きた海産物や新鮮な魚を内陸へ運べる可能性へ強い関心を示した。

イービリスは、生きたまま運ぶのは難しいが、血抜きをして冷やせば十分鮮度を保てると説明した。それを聞いたエリーは、新たな商機になると興奮し、鉄器や網との交易についても考え始める。

さらにヒューバートが漁獲量を確認すると、ゴブリン族の漁は王国南部の港町を超える規模であることが判明した。海の魚は適切に管理されており、不漁の概念すら薄いというゴブリン族の文化に、ヒューバート達は大きな衝撃を受けるのであった。

海魚料理による歓迎

そこへアルナー達と婦人会が到着し、塩漬け魚を使った料理でもてなしを始めた。婦人会は即席の竈を組み、焼き魚や魚のスープ、揚げ物などを次々に作り上げていく。

アルナーはモールから聞いた調理法を参考にしながら、海魚を様々な料理へ仕立て上げた。その味はゴブリン族達すら驚かせるほどであり、イービリスは同じ魚とは思えないと感嘆した。

宴の場では、ゴブリン達が大海の恵みに感謝を捧げながら料理を味わい、イルク村側もまた海魚の美味しさへ驚きを隠せなかった。こうして交流の場は、大きな賑わいと笑顔に包まれていくのであった。

魚資源がもたらす未来

イービリスは、必要なら追加の魚をいくらでも運べると豪快に語った。さらにヒューバートは、魚は食料だけでなく油や肥料にもなると説明し、大量の海産資源が領地へ莫大な恩恵をもたらすと指摘した。

エリーもまた、鉄器やメーア毛の網を対価に魚を安定供給してもらえるなら、イルク村の食料事情は一気に改善すると語った。氷の貯蔵庫や港の整備が進めば、更なる交易拡大も見込める。

魚資源によって領地の未来が大きく変わる可能性を感じながら、ディアス達は新たな発展への期待を膨らませるのであった。

船を見送って

ゴブリン族との帰還と交流

ディアス達は、塩を詰めた樽を積んで海へ戻る船を見送った後、交易拠点となる水源周辺の片付けを行った。家具や絨毯は今後の交易を見越して小屋へ残し、食器だけはアルナーの方針で丁寧に手入れした上で持ち帰ることとなった。

イルク村への帰路では、ゴブリン族の子供達や若者達が陸上の暮らしへの期待を隠せず、馬や飲み物、火を使った暮らし、メーアへの興味などを口々に語っていた。イービリスもまた、短期間でありながらイルク村へ懐かしさを覚えており、再びあの村へ向かうことを喜んでいた。

イルク村での歓迎の宴

イルク村へ到着すると、ゴブリン族歓迎の宴が開かれた。大量の魚料理が並ぶ中、宴の中心となったのはイービリスによる冒険譚であった。

イービリスは、大入江へ帰還した際の仲間達の歓声や、海へ戻った時の感動を語り始める。そして荒野の過酷さ、謎のトカゲとの遭遇、サーヒィとの出会い、緑豊かなイルク村とディアスの人柄について熱く語っていった。

さらに、ドラゴン討伐や神々との邂逅についても語られ、その壮大な内容にゴブリン族達は熱狂した。宴は日没まで続き、多くのゴブリン族が陸上世界への強い憧れを抱くようになるのであった。

海産物交易の本格化

その後、一部のゴブリン族はイルク村へ滞在し、残りの者達は船を使った荷運びを続けた。塩漬け魚や貝、エビなどが次々に運び込まれ、イルク村の食卓は大きく豊かになっていく。

そんな中、以前から働いていた鬼人族の女性達と、ジョー達領兵との結婚が正式に決定したとの報告が入る。結婚式は三日後にまとめて行われることになり、セキ達は家畜の買い付けへ向かっていた。

鬼人族の女性達は、それぞれ馬やヤギ、ガチョウ、白ギーなど、自分達の生活に必要な家畜を望んでおり、それらは夫婦ごとの個人財産として扱われることになった。ディアスは、共有財産ばかりだったイルク村にも、今後は個人所有の概念や価格設定が必要になるのだと考えるのであった。

獣人国の不穏な情勢

三日後、セキ達は大量の家畜を連れて帰還した。しかしセキの表情は暗く、獣人国の情勢悪化について報告してくる。

その内容によれば、獣人国の参議ヤテン・ライセイが失脚しかけており、国内の均衡が崩れ始めているというのであった。ディアスはペイジンからの手紙を受け取り、その詳細を知ることになる。

まず、ペイジン商会がヤテンとの距離を取ったことで、他の商会までヤテン陣営を避け始め、ヤテンの立場は急激に悪化していた。

さらに、獣王はペイジンやキコから聞いたディアス像と、ヤテンが語ったディアス像の違いに困惑していた。ヤテンはディアスを取るに足らない人物と評していたが、実際には関所建設やドラゴン討伐、さらには神との邂逅まで果たしており、その報告の誤りがヤテンへの不信感を強める結果となっていた。

内乱の危機と出兵要請

さらに問題となっていたのは、国境の安定化であった。メーアバダル領との約定によって王国との争いが減り、獣人国では余剰兵力が発生していた。

その結果、暇になった兵士達を国内へ向けようとする動きが広がり、各地で不穏な空気が生まれていた。ヤテンは本来、その均衡を保つ役目を担っていたが、失脚によって抑えが利かなくなりつつあった。

ペイジン達や獣王は内乱を避けようと動いているものの、最悪の場合にはディアスへ助力や出兵を求める可能性まで示されていた。

隣国への出兵というあまりにも重大な話を前にしたディアスは、理解を超えた状況へ戸惑いながら、ただ困惑するしかないのであった。

手紙を読み終えて

獣人国への助力案

セキは、出兵は無理でも助力だけでもしてほしいとディアスへ頼み込んだ。獣人国では冬を前に内乱の気配が強まっており、各地で食料徴発まで行われているという。ディアスは、弱った国で内乱を起こせば周辺国に狙われるだけだと呆れるが、セキは獣人国では王位継承が不安定であり、有力氏族同士の争いが繰り返されてきた歴史を説明した。

ハルジャ種の到着と鬼人族達の熱狂

ペイジン商会から届けられたハルジャ種の馬は二十五頭にも及び、その巨体と穏やかな性格はイルク村の者達を驚かせた。特に鬼人族の女性達は、自分の馬にしようと抱きついて離れず、セキ達もその人気ぶりを見て苦笑していた。

そこへアルナーも駆けつけ、大型で力強いハルジャ種に大興奮する。鬼人族達から好きな馬を選ぶよう勧められたアルナーは、夢中になって馬を見定め始めるのであった。

十一組合同の結婚式

その後、ジョー達領兵と鬼人族女性達による合同結婚式が盛大に執り行われた。ディアスは神官服へ着替え、本職であるベン達に指導を受けながら聖句を担当することとなる。

式にはイルク村の住民だけでなく、鬼人族やゴブリン族、洞人族達まで集まり、大規模な宴となった。犬人族の独特な祝いの風習や、洞人族特製の強烈な酒も振る舞われ、場は大いに盛り上がる。

海産物料理も大量に並び、セキ達はイービリス達が持ち込んだ魚の美味さへ感動していた。宴の終盤、ディアスは疲れて眠くなったセナイ達を寝かしつけ、自身も眠りへ落ちるのであった。

魚用ハサミと新たな商機

翌朝、ナルバントは海中で魚を解体するための専用ハサミをイービリスへ渡した。イービリスは、魚は締めた直後に解体した方が鮮度と味が保たれると説明し、このハサミによってより高品質な塩魚が作れると喜ぶ。

さらに犬人族の嗅覚、鬼人族の魂鑑定魔法も商売に役立つと判明し、イルク村ならではの交易体制が形になり始める。イービリス達も、その優れた塩魚を各地へ広めることで、大きな利益になるだろうと悪い笑みを浮かべるのであった。

モントの思惑

モントはジョーへ、自分が獣人国へ興味を持った理由を語った。それは、セナイ達一家を追放した森人族へ、イルク村の力を見せつけるためであった。

直接報復する気はないが、メーアバダルの力を知らしめることで、余計な手出しを防ぎたいと考えていたのである。モントは、自分達が囮となって関所へ意識を向けさせることも視野に入れていた。

エリーとイービリスの交易方針

エリーはイービリスへ、イルク村を通さず他国へ直接魚を売っても構わないと伝えた。ゴブリン族が豊かになれば、結果的にイルク村にとっても利益になるからである。

その寛大な姿勢にイービリスは深く感動し、当面はメーアバダルとの取引を優先すると約束した。両者は、互いに利益をもたらす良い商いを続けていこうと確認し合うのであった。

獣人国支援会議

その後、ディアス達は集会所で獣人国への対応を協議した。ディアスは他国への侵入には否定的だったが、アルナーは隠蔽魔法を利用すれば秘密裏に動けると提案する。

さらにモントは、内乱勢力への妨害工作や物資奪取などを行い、獣人国の混乱拡大を防ぐべきだと主張した。ナルバントは魔石による魔力補給案を提示し、マヤ婆さんも隠蔽魔法運用の問題点を指摘するなど、具体的な議論が進んでいく。

そんな中、エイマは自ら遠征班長を務めると申し出た。モントが軍事指揮を担当し、エイマがディアスの代弁者として全体方針を決める体制が採用されることとなる。ディアスも最終的にその案を了承し、イービリス達へ協力を依頼するのであった。

ベンディアによる助言

会議後も迷いを抱えていたディアスへ、ベンディアは言葉をかけた。ディアスは、自分の身近な者を守る戦いには迷いなく動けるが、今回のように隣国の内乱へ介入する話には心が乗り切れていないのだと指摘する。

さらにベンディアは、エゼルティア達メーアの出産が近いことを挙げ、ディアスにはこちらを守る役目があるのだと語った。

その言葉を受けたディアスはようやく迷いを整理し、獣人国の件はエイマ達へ任せ、自分はイルク村と出産を支える役目に徹する決意を固めるのであった。

それから準備が進み

獣人国遠征の準備

獣人国への遠征準備は驚くほど順調に進んでいた。鬼人族は協力要請を快諾し、ディアス達が行かないなら自分達だけでも向かうと言うほど積極的な姿勢を見せたため、ゾルグ率いる六人が遠征班へ加わることとなった。

さらにペイジン達との連絡も円滑に進み、上陸地点の確保や物資調達、正体を隠すための工作など、多方面で協力を得ることに成功した。船については洞人族が急造しており、定員は二十人が限界だったものの、ゴブリン族の協力によって帆などを省略できたため、実用上は十分な性能を備えていた。

遠征班にはアースドラゴンやウィンドドラゴンなど、複数のドラゴン素材を組み合わせた複合武具が用意された。ジョー達領兵だけでなく、エイマ専用の装備も製作され、軽量かつ機動性を重視したドレス鎧や投げナイフが準備された。

また、別働隊としてセキ達による行商部隊も編成された。表向きは塩魚を運ぶ商隊でありながら、実際には情報収集や負傷者救護など、遠征班を支援する役割を担うこととなっていた。

エイマへの信頼とカーリッツの成長

遠征準備を進める中、ディアスはエイマの指揮能力に感心していた。倉庫で在庫確認を手伝っていたシェップ氏族の若者カーリッツは、エイマに任せておけば問題ないと断言し、ディアスには村を守る役目があるのだと語った。

カーリッツはエイマの授業を受けて育った若者であり、書類仕事や計算を得意としていた。成人したばかりとは思えない落ち着きと責任感を見せるその姿に、ディアスは成長を実感していた。

遠征隊の出立

船と装備が完成し、先行してエリー達が獣人国へ向かった後、ついにエイマ達の出立の日が訪れた。湖の岸辺では見送りが行われ、マーフの頭上に乗ったエイマは任せてほしいと力強く宣言した。

イービリス率いるゴブリン族もドラゴン装備を身につけて参戦し、更に十名ほどの仲間が輸送を支援することとなった。ジョー達の妻やセナイ、アイハンが大きく手を振り、パトリック達が祈りを捧げる中、船は湖を離れ、川を下っていった。

見送りを終えた後、ディアスはセナイとアイハンを連れて村へ戻った。道中ではラクダの世話を若者へ任せ、エイマの土産話を楽しみにするセナイ達と言葉を交わしながら歩みを進めていった。

産屋での日々とビーアンネの産卵

村へ戻ったディアスは、神殿の側に設けられた産屋を訪れた。そこでは妊婦達が集められ、ベン伯父さんやフェンディアが相談役を務めていた。

その中には鷹人族のビーアンネもおり、卵を産む鷹人族特有の出産を控えて不安を抱えていた。サーヒィが遠征中であるため、婦人会の面々が彼女の世話を引き受けていた。

数日後、ビーアンネは無事に産卵を終えた。産卵は驚くほど安産で、安産絨毯の奇跡が必要になることもなかった。そこへサーヒィが飛び込んできて、卵の誕生を心から喜び、ビーアンネへの感謝を叫んだ。

エイマから届いた報告書

ビーアンネの出産を祝う中、サーヒィはエイマから届いた報告書をディアスへ手渡した。封筒には大量の書類が詰め込まれており、一枚目には遠征全体の概略が記されていた。

そこには、獣人国への上陸後にペイジン側の部隊と合流し、反乱勢力の砦三箇所を制圧、物資倉庫五箇所を確保し、更には帝国人捕虜を救出したことなどが簡潔にまとめられていた。

しかも双方に被害はなく、全て順調に進行していると記されており、その内容を理解しきれなかったディアスは、首を傾げながら何度も報告書を読み返すのだった。

報告書を読み進めながら

エイマからの報告書

ディアスはエイマから届いた報告書の概略を読んだものの、内容があまりにも常識外れだったため、理解しきれず頭を抱えていた。そこへセナイとアイハンがやってきて、エイマ達の無事を尋ねたため、ディアスは皆元気であり、この調子なら予定より早く帰還するかもしれないと伝えた。二人を見送った後、ディアスは改めて詳細な報告書へ目を通し始めた。

獣人国への上陸

報告書によれば、エイマ達はゴブリン達の完璧な操船によって快適な船旅を続け、疲労もないまま獣人国へ上陸していた。上陸後はペイジン家のフロッグマン達と合流し、獣人国での活動名として「羊角」を名乗ることになった。

エイマ達は隠蔽魔法を維持するため密集隊形を組み、獣人風の耳付きフードと尻尾を装備して、人間族や鬼人族であることを隠したまま林の中を進んでいった。

悲鳴との遭遇

休憩中、エイマだけが遠くから聞こえた女性の悲鳴を察知した。声を漏らしてしまったことでジョー達が殺気立ち、救助を前提とした空気が生まれてしまう。

エイマは偵察隊を編成し、モントやジョー、鬼人族達と共に声の方向へ向かった。そこで彼らは、獣人達に追われていた黒髪の女性と遭遇する。ジョー達は即座に獣人達を制圧し、鬼人族の矢も加わったことで敵は瞬く間に無力化された。

ニャーヂェン族の女性アルハル

救出された女性はアルハル・ゲールと名乗った。彼女は帝国海軍の作戦行動中に難破し、魚人達に救助された末、獣人国へ運ばれていた。しかし外見が「血無し」と呼ばれる差別対象に似ていたため、妄想を語る危険人物と扱われ、牢へ閉じ込められていた。

その後、牢番達を出し抜いて脱走したところをエイマ達に救助されたのだった。

エイマはアルハルから事情を聞き、帝国へ送り返す方法を模索する。モントは、一度イルク村へ連れ帰り、その後海路で帝国へ戻せば良いと提案した。アルハル自身も、恩を返すため作戦へ協力すると申し出て、エイマの副官として行動することとなった。

砦への潜入と制圧

アルハルは内乱勢力の砦について詳しい情報を持っていた。砦は物資集積所として運用されており、警備は緩く兵士の練度も低かった。

その情報を受け、モントは隠蔽魔法を利用した奇襲作戦を立案した。アルハルとペイジン家の者達が先行して内部へ潜入し、門を開放した後、エイマ達が一気に侵入するという作戦である。

作戦は驚くほど順調に進み、アルハルの激しい復讐心もあって、砦は短時間で制圧された。エイマは被害が出なかったことを確認しつつ、砦を壊さず維持するよう命じた。

成りすまし作戦の開始

エイマは制圧した砦をそのまま利用し、物資輸送拠点として運用する計画を提案した。砦の管理者や運搬係に成りすまし、内乱勢力へ送られる物資を横取りするという大胆な作戦だった。

ペイジン家の者達も協力を申し出て、港の管理者の買収や隠蔽工作まで引き受けることとなった。モントも、運搬隊に偽装して他の砦へ侵入できる可能性を認め、作戦は本格的に動き始める。

こうしてエイマ達は、内乱勢力の補給線を奪うという大規模な工作活動を開始した。

物資横取り作戦の成功

作戦開始から数日後、砦には大量の物資が集積されていた。食料はペイジン商会を通じて周辺住民へ安価で販売され、武器や防具は鹵獲品として持ち帰ることになった。

エイマは、予想以上の成果に驚きつつも、今度は大量の物資をどう輸送するかという新たな問題へ頭を悩ませることとなった。アルハルは港と船の確保の難しさを指摘したが、エイマはゴブリン達の存在を踏まえ、船さえ用意できれば何とかなると考えていた。

アルハルとの交流

アルハルは精神的に不安定な様子を見せていたが、エイマには強く懐いていた。エイマが離れたり、男性陣が近付いたりすると不機嫌になる一方、甘い菓子の話題には素直に喜びを見せた。

エイマはそんなアルハルへ気遣いを向け、共に菓子と茶を楽しもうと誘う。アルハルは嬉しそうに耳と尻尾を動かし、軽快な足取りで休憩所へ向かっていった。

エイマは物資輸送や内乱勢力への対策を考えながらも、今はアルハルとの穏やかな時間を楽しむことにするのだった。

広場に置かれた椅子に座り、エイマの報告書を読みながら ディアス

第三通目の報告書

ディアスの元へ、サーヒィによって三通目となるエイマの報告書が届けられた。前回までの報告書では、内乱勢力の砦制圧や成りすまし作戦の経緯が記されていたが、今回はさらに事態が大きく動いていた。

報告書の概略には、成りすまし作戦が順調に進み過ぎた結果、内乱勢力本隊に察知され、約二千人規模の軍勢が進軍してきていることが書かれていた。また、港湾組合や盗賊達も不穏な動きを見せ始めたため、エイマ達は撤退を決定していた。

さらにエイマは、撤退と同時に攪乱工作を行い、内乱抑止を達成する見通しであると記していた。ディアスは到底無茶な計画に思えたものの、エイマの「全て想定通り」という言葉を信じ、続きを読み進めることとなった。

物資運搬と撤退準備

エイマ達は荷車へ積んだ物資を海岸へ運び出していた。海上にはペイジン商会が慌てて用意した商船が停泊しており、ゴブリン達が水魔法を駆使して木箱を濡らさず船へ積み込んでいた。

ペイジン商会は船ごとメーアバダル領へ譲渡することを決めており、エイマは大きな利益になったと考えていた。

そんな中、アルハルはサーヒィがどうやって二千人もの兵を数えたのか疑問を口にする。エイマは一部分だけを数えて全体数を推測する方法を説明し、サーヒィ達がその方法で敵兵数を把握したことを明かした。

さらにアルハルが、二千人相手への攪乱工作は無理ではないかと問うと、エイマは半日でも時間を稼げれば十分であり、大軍を動かした時点で敵側は既に大きな損耗を抱えていると説明した。

鬼人族による攪乱作戦

一方、ゾルグ率いる鬼人族達は隠蔽魔法を使い、敵軍を山中で迷わせる作戦を実行していた。

敵軍の中には森人族の兵士もおり、ゾルグはセナイ達の同族が内乱側に加担していることへ複雑な感情を抱く。しかしエイマの命令を優先し、攪乱に徹することを選んだ。

鬼人族達は隠蔽魔法で本来存在する道を林に見せかけ、逆に存在しない景色を作り出すことで敵軍を誤誘導した。兵士達は地図と景色の違いに混乱しながらも、自分達の勘違いだと思い込み、誤った道を進んでしまう。

その結果、敵軍は廃村へ迷い込み、そこで野営を行うこととなった。

夜襲と物資奪取

夜になると、鬼人族達は隠蔽魔法を維持したまま夜警を一人ずつ拘束し、森へ連れ去っていった。

兵士達は仲間が消えていることに気付いても、脱走だと思い込み、大きな騒ぎにしなかった。その結果、夜警だけでなく就寝中の兵士達まで次々に捕らえられ、さらには大量の物資まで奪われることとなった。

混乱した敵軍は夜明け前に撤退を開始するが、再び隠蔽魔法に翻弄され、山中を延々と彷徨う羽目になる。ようやく辿り着いた先が、前夜に野営した廃村だったことで、上官達は完全に打ちのめされてしまった。

物資輸送の完了

ゾルグ達は攪乱作戦を成功させた後、膨大な物資の運搬を続けていた。森人族の弓がほとんど加工されていないことに驚きつつも、隠蔽魔法を維持しながら慎重に海岸へ向かう。

その頃、海岸ではエイマとアルハルが獣人国について語り合っていた。アルハルは、獣人達が種族ごとに分断され、互いを見下し合っていることが獣人国最大の欠点だと語る。

エイマは、もし種族ごとの特性を活かして協力できていれば凄い国になっていたはずだと応じる。そしてアルハルは、帝国でもかつて圧倒的な強者に敗北し、その存在を恐れて軍再建が難航していることを明かした。

その会話を交わしながら、エイマ達は最後の積み込み作業を進めていった。

血無し達との遭遇

作業中、ジョー達は薄汚れた服を纏った血無し達と遭遇した。彼らは盗賊となっていたが、酷く痩せ衰えていた。

エイマは彼らの境遇を察し、武器は渡せないが食料だけは残していこうと提案する。その提案に異論を唱える者はおらず、エイマ達は食料を残したまま獣人国を後にした。

ゴブリン達による海上支配

出航直後、荒くれ者達を乗せた複数の船がエイマ達へ接近してきた。しかし海中にいるゴブリン達を見た途端、相手は即座に退却する。

ゴブリンは、自分達と敵対すれば海で仕事が出来なくなるため、海の者達は自分達を恐れているのだと語った。

ジョーとロルカは、その情報も全てディアスへ伝えるべきだと考え、船酔いに苦しみながらも必死に記録を書き続けた。

イルク村への帰還

イルク村ではサーヒィ達が先に帰還し、カーリッツ率いる輸送隊がエイマ達を迎えに向かっていることが伝えられた。

さらに別働隊も帰還し、獣人国での情報収集や行商許可証の獲得といった成果が報告される。

その翌日、ついにエイマ達本隊が帰還した。しかしエイマ達を待っていたのは、村中に積み上がったドラゴン素材だった。

ディアスは、フレイムドラゴン三体が襲来し、洞人族のバリスタと自身の戦いによって撃退したことを説明する。

それを聞いたアルハルは、目の前のディアスが帝国で語られていた「メチャクチャなやつ」本人だと気付き、絶叫するのだった。

慰労会と再会

その後、家族達との再会によって場は大きく盛り上がり、そのまま慰労会が始まった。

エイマはアルハルと共に酒を飲みながら騒ぎ続け、長い遠征を終えたイルク村の面々は、久しぶりの平穏と再会を楽しむのだった。

書き下ろし 賢鼠の冒険

エイマの小さな屋敷

アルハルがイルク村で暮らし始めてから一ヶ月余りが経過した頃、アルハルはいつものようにエイマと雑談をするため、ディアス達のユルトを訪れていた。

ユルトの中には、エイマの体格に合わせて作られた小さな木造屋敷が置かれていた。以前は木箱を部屋代わりにしていたエイマのため、洞人族の女性が家具作りに凝った結果、本格的な屋敷へと発展したのである。

屋敷には机や本棚、クローゼット、鏡台などが備え付けられており、エイマはその掃除をしていた。広すぎて一人では大変だと言われたアルハルは、屋根や部屋を取り外しながら掃除を手伝うことになった。

思い出の品々

掃除の最中、アルハルは棚に並べられた様々な品々に気付く。クルミの殻の食器や空のインク壺、薬草の切れ端や岩塩の欠片など、一見するとガラクタにしか見えない物も多かった。

しかしエイマは、それらは全て思い出の品なのだと説明した。岩塩は初めて鉱床へ行った時の物であり、ミツバチの巣の破片は巣箱完成の記念、骨の欠片は学び舎の生徒達から贈られた物だった。

さらにエイマは、アルハルと出会った時に拾った綺麗な石も保管していると語り、その石を嬉しそうに見つめるのだった。

エイマの過去と現在

エイマは、砂漠にいた頃は何も成せない小娘だったと振り返った。しかし王国で本に触れ、知識を得たことで世界が変わり、この草原に来てからは知識を活かしながら毎日を冒険のように楽しめるようになったのだと語る。

今では公爵令嬢の教育係であり、公爵家の相談役であり、村の教師でもある自分の立場を、故郷の誰も信じないだろうと笑いながら話していた。

アルハルが故郷へ帰りたくならないのかと尋ねると、エイマは即座に否定した。故郷へ戻れば再びただの小娘に戻ってしまうため、帰る気はないのだという。ただし、鷹人族達に頼んで手紙を届けてもらうくらいはしたいと考えていた。

冒険譚を書く提案

アルハルは、それならいっそ草原での暮らしを書き記した本を故郷へ送れば良いと提案した。

その言葉を受けたエイマは、本当に本を書いてみるのも面白いかもしれないと考え始める。タイトルについて話し合う中で、エイマは「賢鼠の冒険」という題名を挙げ、自分の正体には誰も気付かないだろうと笑った。

さらにアルハルが、エイマと一緒に王国へ来た者達の話を聞きたがると、エイマはまず掃除を終わらせようと箒を掲げて話を打ち切った。

賢鼠の冒険の始まり

掃除を終えた後、エイマは屋敷の前に机と椅子を用意し、紙束とインク壺を並べる。そして本の下書きを始めるかのように、尻尾で文字を書きながら、初めて草原へやって来た頃の話を語り始めた。

その「賢鼠の冒険」の物語に、アルハルは笑い、怒り、驚きながら耳を傾け、これまでにないほど楽しい時間を過ごすのだった。

特別書き下ろし。戦利品の吟味

獣人国の戦利品

エイマ達が獣人国から帰還した後、アルハルを連れてきたことと並び、多数の戦利品を持ち帰ったことも大きな話題となっていた。

戦利品の大半はペイジン商会へ渡されていたが、それでも残された品は相当な量と価値を持っていたため、広場で内容確認と目録作成が進められていた。最終的には獣人国へ赴いた者達で分配される予定ではあったが、それでも整理と確認は必要な作業だった。

並べられた品々は、これまでペイジン商会を通して見てきた商品とは異なり、獣人国の内向け文化を感じさせる物ばかりだった。独特な臭気を放つ調味料や保存食、干物類が多く、茶色いペーストや黒い液体に漬け込まれた食品も存在していた。

ディアスは、それらが商品として外に出回らなかった理由を、強烈な匂いによって理解していた。

獣人国の食文化への興味

保存食の多さは、冬の行軍物資であることを考えれば当然だったが、米が大量に含まれていたことにはディアスも驚いていた。

さらにセナイとアイハンは、大粒の栗を見つけて大喜びし、美味しそうだと目を輝かせていた。こちらの栗より遥かに大きな実を見て、ディアスは米より人気が出そうだと考えていた。

一方でアルナーは、獣人国の白く濁った酒を試していたが、独特の臭みがあるとして微妙な反応を示していた。しかし洞人族達はその酒を気に入り、機嫌良く味わっていた。

黒い液体の活用

そんな中、シェップ氏族の若者が黒い液体の入った壺を持ち、良い匂いだと語った。

その言葉に興味を持ったアルナーは、黒い液体を使って肉を焼き始める。完成した肉は香ばしい匂いを漂わせており、ディアス達が食べてみると、単なる塩味ではない複雑な旨味を持っていた。

ディアスは、獣人向けの味付けと思い込んでいたが、使い方次第で十分美味しくなるのだと理解するのだった。

サンゴと子供達の玩具

その後、犬人族の子供が赤い枝のような物体を持ってきて、それが何なのか尋ねてきた。

ディアスが首を傾げていると、通りがかったイービリスがそれを見て笑い、それは海にある「サンゴ」だと説明した。

イービリスによれば、海ではありふれた存在であり、大した価値もなく、きっと子供の玩具として紛れ込んだのだろうとのことだった。

その説明を受け、サンゴは子供達の玩具として扱われることになった。噛み応えがあるらしく、子供達の間で人気となっていた。

しかし後日、それを見たペイジン達は、高価なサンゴを玩具扱いしている光景に驚愕し、顎を外さんばかりに動揺することになるのだった。

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