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フィクション(Novel)読書感想領民0人スタートの辺境領主様

小説「領民0人スタートの辺境領主様 VI(6) 蒼穹の狩人 」感想・ネタバレ

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フィクション(Novel)

領民0人5巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人7巻レビュー

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  1. どんな本?
  2. 読んだ本のタイトル
  3. あらすじ・内容
  4. 前巻からのあらすじ
  5. 感想
  6. 考察・解説
    1. 領地の冬支度
    2. 洞人族の移住
    3. 新内政官の着任
    4. フレイムドラゴン撃退
    5. 鷹人族の帰順
    6. 領地の拡大と調査
    7. 新たな領民の加入
    8. 過去の戦場「黄金低地」
    9. 貴族制度の学習
  7. 登場キャラクター
    1. イルク村(メーアバダル領)
      1. ディアス(ディアス・メーアバダル)
      2. アルナー(アルナー・メーアバダル)
      3. エイマ(エイマ・ジェリーボア)
      4. セナイ
      5. アイハン
      6. クラウス
      7. カニス
      8. エリー
      9. ヒューバート
      10. ベン
      11. マヤ
      12. アリダ
      13. ナルバント
      14. オーミュン
      15. サナト
      16. フランシス
      17. フランソワ
      18. エゼルバルド
      19. メアタック
      20. メァレイア
      21. リュアグイン
      22. リュアキリ
      23. アイーシア
      24. 犬人族達
      25. マスティ氏族
      26. 老婆達
      27. 婦人会の面々
      28. 子供達
      29. メーアの六つ子達
      30. 野生のメーア達
      31. 白ギー
      32. ガチョウ
    2. 鷹人族
      1. サーヒィ
      2. リーエス
      3. ビーアンネ
      4. ヘイレセ
      5. 巣の長
      6. 鷹人族達
    3. マーハティ領
      1. エルダン(エルダン・マーハティ)
      2. カマロッツ
    4. 鬼人族
      1. ゾルグ
      2. モール
    5. サンセリフェ王国
      1. リチャード
      2. イザベル
      3. ヘレナ
      4. ディアーネ
      5. サーシュス公
      6. ゴードン
      7. 建国王
      8. 聖人ディア
    6. 帝国(過去編)
      1. 猛将
      2. 智将
      3. 将軍
    7. 黄金低地の集落(過去編)
      1. 集落の長
      2. 集落の若者達
    8. ディアスの軍勢(過去編)
      1. ジュウハ
      2. ジョー
      3. ロルカ
      4. リヤン
    9. 商人・ギルド・その他
      1. 商人
      2. 隊商の者達
      3. 踊り子や詩人
      4. ペイジン
      5. フレイムドラゴン
      6. アースドラゴン
      7. ウィンドドラゴン
      8. 狼達
      9. 黒ギー
  8. 展開まとめ
    1. 大空を舞いながら????
    2. イルク村の広場で―――ディアス
    3. さらっとした雪を踏みしめながら――セナイとアイハン
    4. イルク村の広場で―――ディアス
    5. イルク村で アルナー
    6. イルク村の広場で―――ディアス
    7. 王都 リチャード王子のダンスホール――ゴードン
    8. 南の荒野で――エイマ・ジェリーボア
    9. イルク村で ディアス
    10. 森の中、領境付近の関所予定地で――クラウス
    11. 吹雪の中のユルトで――ディアス
    12. 過日、低地にある集落で ディアス
    13. 過日、東の大砦で ―ある将軍
    14. 過日、完成まで後少しとなった陣地で―――ディアス
    15. 過日、暗闇の中で――ジュウハ
    16. 過日、ある日の昼過ぎ、完成した陣地で――ディアス
    17. 吹雪の日のユルトで――ディアス
    18. イルク村で ディアス
    19. 書き下ろし 蒼穹の狩人
    20. 特別書き下ろし。妻達の夫自慢
    21. 穏やかな風の吹く竈場で アルナー
  9. 同シリーズ
    1. 領民0人スタートの辺境領主様
  10. その他フィクション

どんな本?

戦争で、孤児から救国の英雄に成ったディアス。

それを面白く思わない王族が横槍を入れて。

拝領した広大な草原には領民がおらず、住む家も無く、食料すら無い。
領地を与えると言いながらやってる事は流刑にしたような物。

その誰一人いないはずの草原で、ディアスは少女アルナーに出会う。
彼女は額に角がある鬼人だった。

読んだ本のタイトル

領民0人スタートの辺境領主様  VI 蒼穹の狩人
著者:風楼 氏
イラスト:キンタ  氏

Bookliveで購入 BOOK☆WALKERで購入

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

メーアバダル領
絶賛発展中!!

イルク村を上空から見下ろす、立派な翼を持つ一匹の鷹。
セナイとアイハンは鬼人族たちと協力してその大きな鷹を捕まえることに成功するが……。

草原の南に、岩塩が取れる広い荒野があることを知ったヒューバートは、貴重な資源を取れる土地を管理せずに放置していることに驚き、領地として確保するためにディアスを連れて測量に向かう。
しかし、すり鉢状になった岩塩鉱床の中心部は、なにやら怪しい雰囲気が。

――ある吹雪の一夜。外に出られずに退屈した双子にせがまれ、ディアスは傭兵時代のある村での出来事について語り始める。
そのエピソードは、周囲の人間には「黄金低地」という伝説的な武勇伝として語り継がれていて……。

ディアスの知られざる過去の大活躍が、
今明かされる!!

領民0人スタートの辺境領主様6 蒼穹の狩人

前巻からのあらすじ

どんどん領民が増えて遂にはドワーフまで来た。

あと、メアー達も冬限定だがかなり増えたが、、

そこにドラゴンが攻めて来たけど返り討ち。。

なんか凄い事になってるな、、

地龍より柔らかいとかドラゴン殺しだから言える事だよな、、

でも、今回は鬼人、ドワーフ、犬族、メアー達も総動員してのドラゴン狩。

ドワーフとディアスが突っ込んで、鬼人達が弓で援護。

メアー、犬族達は足の遅いドワーフ達をドラゴンの下に運ぶために協力してなかなか危ない事をする。

そしてトドメはディアスとドワーフ達が刺して終わるが、、

ディアスは火傷を負ってしまう。
だけど双子の作った薬草であっという間に治ってしまう。

感想

冬の寒さが厳しい時期。
草原も雪に埋もれて一面銀世界。

そんな銀世界に一部異物が、、
ディアス達に討伐されたファイヤードラゴンの遺骸があった。

そんな住人と鬼人達と倒したドラゴンの素材を国王に献上するため。

隣の領地のエルダンを経由して王へ献上してもらうようにお願いする。

そんな大きいドラゴンを解体している時に、新たな住民が増えた。

見た目は鷹。

でも獣人らしく話も出来る鷹の獣人のサーヒィ。
一面の銀世界に異物が見えたから様子を見に来たら、、

大きい鷹だと思って狩に来た、お子様のセナイとアイハンに捕まってしまう。

お子様に捕まってしまうのが情けないというか、、

空を飛ぶだけでも凄いけど、もうちょっと用心深くあって欲しかったw

でも、新たな住民になってくれた彼のおかげで広大になったディアスの領地メーアバルの警備に尽力してくれる事になる。

それに、異変があったらすぐに知らせてくれる凄く住民のためになる存在になってくれた。

でも、サーヒィだけだと範囲が広過ぎるので、干し肉を報酬として仲間を連れてきて欲しいと頼むと、、、

サーヒィの嫁として3人が増援されてきた。
サーヒィの部族ではかなり上位の女性であるらしく、サーヒィは恐縮していたが相手は既にその気らしくサーヒィはいつ捕食されてしまいそうな状態。

でも、まだ実績が無いからと彼女たちと距離を置きたがるサーヒィ。

そして、そんなサーヒィと共に鬼人達がいつも採取している岩塩の領有について調査をする。

無いとは思うが、他の国が岩塩を占領してきたら面白くない。

それならディアスが領有を宣言してしまった方がいいと、新たに文官の部下になったヒューバートの指示の元、ディアスとエマとサーヒィとで測量をしていく。

そこで魔力を持っている連中が気持ち悪くなってしまう短剣が発見される。
その短剣は一体何だったのだろか?

更なる疑問を残しながらもディアスは更に武器を手に入れた。

そして、後半は吹雪の中でディアスの過去の武勇伝が語られる。

昔は不毛の地だった所をディアスが豊穣の地に変えたという場所。

ディアスは全くそのつもりで動いていないから記憶にも残ってない。

ただ、義勇軍の食糧が村人達の負担にならないように農地開拓をして、攻撃目標だった砦を落としただけ。

それが現在、穀倉地帯と呼ばれており、村人達からは物凄く感謝されているとは本人は知らないww

本人は軍師のケツアゴの指示に従って全力でやってただけだから印象に残ってない。

そこがまた、ディアスの良いところなんだけどね。

最後までお読み頂きありがとうございます。

Bookliveで購入 BOOK☆WALKERで購入

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領民0人5巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人7巻レビュー

考察・解説

領地の冬支度

『領民0人スタートの辺境領主様』第6巻において、イルク村の冬の期間は単に寒さを凌ぐだけのものではなく、春からの飛躍に向けた準備や学び、そして村の賑わいが絶えない充実した時間として描かれている。厳しい冬の最中から雪解けが近づくまでの冬の過ごし方の全貌を解説する。

隣領との交易による物資と食料の充実
エリーが中心となり、討伐したフレイムドラゴンの素材を対価として隣領のエルダンとの交易が盛んに行われた。その詳細は以下の通りである。
・数度にわたる荷運びの結果、干し草150束、砂糖10壺、紅茶5瓶、干し肉20箱をはじめ、木の実、チーズ、バター、香辛料、建築資材など膨大な物資がイルク村の倉庫に運び込まれた。
・エリーが道中で仕留めた黒ギーの肉を、アリダ婆さんが塩や乾燥ハーブだけでなく、香辛料やニンニクをたっぷり使った新しい味付けの干し肉に加工した。
・これにより、冬の食生活は一段と豊かになっている。

ユルト内での「学び」と「制作」
雪に閉ざされ外仕事が減る冬は、村人たちにとって貴重な学びと制作の期間となった。具体的な活動は以下の通りである。
・アルナーはマヤ婆さんの下で、魔力で物理現象を直接起こすのではなく、神様に可能性を問いかけるという占いの魔法を学んでいる。
・領主であるディアスはベン伯父さんから、悪貴族から領地を守るための公爵としての在り方や、メーアを神の使いとして祀る新たな教義について厳しい座学を受けている。
・セナイやアイハンたちが制作したメーアバダル家の紋章「メーアの横顔」の刺繍は村中で大流行し、皆が暇な時間を利用して刺繍を作ったり身につけたりするようになった。

春の雪解けに向けたインフラ整備と領地拡大
春の訪れとともに本格化する活動に向けて、様々な事前準備が進められた。内容は以下の通りである。
・荒野の領地化:ヒューバートはエイマやサーヒィの協力を得て、岩塩鉱床や防腐塗料となる黒水(瀝青)が湧く南の荒野を正式な領地とするための測量を行い、王都へ提出する精巧な地図を完成させた。
・関所の建設:隣領との境に関所を設ける計画が立ち上がり、クラウスが図面を引いて準備を進めている。冬の間に隣領から働き手となる出稼ぎ労働者を雇い入れ、美味しい食事を振る舞いながら仮設の関所作りを開始した。
・廁の新設:村の人口増加に伴い、アルナーの提案で衛生面を考慮した新しい廁を複数建設することが決まり、ディアスが場所の選定や木材の準備を行っている。

洞人族による鍛冶と新たな「酒蔵」計画
ナルバントたち洞人族は、工房の魔石炉を使ってディアスの新しい鎧作りに奮闘している。計画の詳細は以下の通りである。
・フレイムドラゴンの素材と未知の石を混ぜ込んだ鉄の加工に苦戦しつつも、春の完成を目指して作業を進めている。
・息子のサナトの切実な要望により、労働の疲れを癒やすための酒を自前で製造する計画が持ち上がった。
・洞人族の技術でレンガ造りの酒蔵を建設し、春になったらセナイたちにミツバチ用の花畑を作ってもらうという村の新たな産業の種が蒔かれた。

吹雪の日の団欒と子どもたちの活気
厳しい気候の中でも、村の中では温かい時間が流れている。その様子は以下の通りである。
・猛吹雪でユルトに籠もる日には、退屈したセナイとアイハンのために、ディアスが過去の戦争の武勇伝である黄金低地の逸話を語って聞かせた。
・質の良いメーア布の冬服のおかげで寒さを克服したメーアの六つ子や犬人族の子どもたちは、大人たちが頭を抱えるほど元気に村中を駆け回った。
・ユルトに登って布を破るなどのイタズラを繰り返しているが、村の皆はそれを怒ることなく笑顔で見守っている。

まとめ
このように、イルク村の冬の過ごし方は、冬特有の悲壮感とは無縁の、賑やかで幸せな空気に包まれたまま春を迎える。ただ寒さを耐えるだけでなく、交易による物資の蓄え、知識や技術の習得、未来のインフラや産業への投資、 velvet と家族や子どもたちとの絆を深める時間として有効に活用されており、春に迎えるさらなる飛躍に向けた強固な土台となっているのである。

洞人族の移住

『領民0人スタートの辺境領主様』において、洞人族(ナルバント、妻オーミュン、息子サナト)の移住は、イルク村の産業や技術を飛躍的に発展させる重要な出来事となっている。これまでの経緯と描写に基づき、彼らの移住と村での活躍について解説する。

移住の経緯と約定
洞人族がイルク村へ移住するに至った経緯と約定の内容は以下の通りである。
・森人族の双子セナイとアイハンが森の中で老人ナルバントと出会ったことがきっかけとなった。
・ナルバントとその家族は、かつて彼の祖先と人間族の誰か(魔力を持たない只人)が交わした「再び只人が現れたら力を貸す」という大昔の約定を守るためにイルク村へとやってきた。
・ディアス自身は伝説の只人との関係を否定しつつも、彼らを一人の「領民」として温かく迎え入れた。

移住による技術的貢献と冬服の完成
彼らの移住は、イルク村の生活や生産力を大きく向上させた。具体的な貢献内容は以下の通りである。
・大陸一とも言える鍛冶や細工の技術を持つナルバントたちは「地機織り機」を作成し、これによってメーア布の生産性を劇的に向上させた。
・この生産力向上のおかげで、エリーがデザインしたディアスたちの冬服が無事に完成し、村人たちは厳しい冬を暖かく乗り越えることができた。
・冬の間、ナルバントたちは工房の魔石炉を使い、ディアスのための新しい鎧作りに励んでいる。
・フレイムドラゴンの素材や未知の石を混ぜ込んだ鉄の加工に苦戦しつつも、職人としての強いこだわりを持って妥協することなく作業を進めている。

サナトの直訴と新たな産業「酒造り」の幕開け
移住後、村に新たな産業が生まれるきっかけも描かれている。酒造り計画の詳細は以下の通りである。
・息子のサナトは、炉の熱でかく汗の水分補給や労働の疲れを癒やすために、洞人にとって酒が絶対に欠かせないとディアスに直訴した。
・倉庫の備蓄をすべて飲み干してしまった彼は、外部から買うだけでなく、自ら酒蔵を建てて酒造りを行いたいと提案した。
・サナトは、洞人の技術を用いれば土と岩だけで最高の酒蔵を作れると豪語した。
・馬乳酒の生産だけでなく、倉庫にある砂糖や、森でミツバチの巣を見つけてハチミツ酒を作る計画を熱く語った。
・これに伴い、セナイとアイハンにミツバチ用の花畑を作ってもらうという構想も生まれ、イルク村に新しい産業の種が蒔かれることとなった。

まとめ
このように、洞人族の移住はイルク村に技術革新と新たな活力をもたらした。彼らの卓越した鍛冶・細工の技術は日々の生活を支えるだけでなく、新しい鎧作りや酒造りといった未来の産業基盤を築く強力な原動力となっているのである。

新内政官の着任

『領民0人スタートの辺境領主様』において、新内政官ヒューバートの着任は、イルク村の行政機能と領地開拓を飛躍的に前進させる重要な出来事である。彼の着任の経緯や心情、そして村での具体的な活躍について解説する。

着任の経緯とイルク村への合流
ヒューバートがイルク村へ合流するに至った経緯は以下の通りである。
・王の勅命により辺境開拓の一翼を担うべくサンセリフェ王国から派遣された文官である。
・下賤とされる獣人の血を引いていたため、旧カスデクス領での迫害を恐れて荷馬車に隠れて移動せざるを得なかった。
・紆余曲折の末に冬の雪原で遭難してしまったが、雪原で行き倒れていたところをアルナーや犬人族たちに保護された。
・これにより無事にイルク村へとたどり着き、ディアスに内政官として仕えることとなった。

辺境開拓への熱意と内政官としての活躍
イルク村に合流したヒューバートは、優れた行政知識を活かしてすぐに頭角を現した。具体的な活躍は以下の通りである。
・それまでエイマやエリーが手探りで行っていた事務や交易管理などの業務を正式に引き継いだ。
・彼の着任により、村の事務処理能力が大きく向上した。
・学問しか取り柄がない自分を官職に登用してくれたことに深く感謝しており、何もない未開拓の地で自らの知識を存分に振るえることに大きなやりがいを感じている。
・岩塩や瀝青が採れる南の荒野を正式な領地とするため、サーヒィやエイマたちの協力を得ながら、精巧な地図作りと測量作業を熱心に推し進めた。

領主ディアスとの関係と信頼
ヒューバートが全力を尽くせる背景には、領主ディアスとの良好な信頼関係がある。その詳細は以下の通りである。
・王都の貴族社会や官僚組織の中で、嫉妬心をぶつける同僚や無能な上司に苦労してきたヒューバートにとって、ディアスは非常に好ましい人物であった。
・ディアスはヒューバートの初対面での提案を素直に聞き入れ、彼を信頼して仕事を任せた。
・ディアスは公爵としての知識が不足していることを自覚しつつも、決して怠けることなく勤勉に学び、ヒューバートの言葉にしっかりと向き合って感謝を返した。
・この姿勢を見て、ヒューバートはこの村が自分にとって非常に仕事がやりやすい居心地が良い場所であると確信した。

まとめ
このように、ヒューバートの着任はイルク村の近代化と領地拡大において決定的な転換点となった。彼の卓越した行政能力と、領主ディアスとの間に築かれた強固な信頼関係は、イルク村を開拓地から組織的な領地へと発展させる強力な原動力となっているのである。

フレイムドラゴン撃退

『領民0人スタートの辺境領主様』における「フレイムドラゴンの撃退」は、イルク村の領民と鬼人族が総力を挙げて立ち向かった一大決戦である。第6巻ではその激戦の直後から、討伐が村にもたらした多大な恩恵や新たな出会いが描かれている。フレイムドラゴン撃退とその後の影響について解説する。

鷹人族サーヒィの驚愕と村への加入
フレイムドラゴンの討伐直後、空から村の様子を窺っていた鷹人族のサーヒィは、瘴気の塊であるはずのドラゴンが狩られ、村の広場に残骸として転がっている光景を見て驚愕した。その後の経緯は以下の通りである。
・捕獲されたサーヒィが「一体誰が、どうやって狩ったんだ?」と問うと、ディアスは「村の皆と鬼人族で協力し、弓矢で射たりワゴンで突撃したりして、トドメは自分が刺した」と淡々と説明した。
・これを聞いたサーヒィは、ディアスたちが過去にアースドラゴンやウィンドドラゴンをも討伐していると知った。
・自身の「ドラゴンを狩って巣へ帰還し、嫁取りをする」という目的を果たすため、セナイとアイハンの狩り鷹としてイルク村の新たな領民に加わることを決めた。

ドラゴン素材の売却と膨大な物資の獲得
巨大なフレイムドラゴンの死体はナルバントやヒューバートの指揮の下で手際よく解体され、魔石や素材の一部はカマロッツを通じてエルダンへと引き渡された。売却によって得られた恩恵は以下の通りである。
・ドラゴン素材の売却益は凄まじく、エリーが隣領から干し草150束、砂糖10壺、紅茶5瓶、干し肉20箱といった膨大な物資を買い付けて帰還した。
・エリー自身も呆れるほどの量であり、これが村の冬の食生活や備蓄をかつてないほど豊かにした。

「神の使い」からの評価と報酬
フレイムドラゴンを犠牲者ゼロで討伐したことは、喋るメーア(神の使い)からも高く評価された。その際の出来事は以下の通りである。
・メーアモドキはセナイたちの前に姿を現し、「我が主を害さんとするドラゴンを退治し、我が子らを保護するよう務めなさい」と告げた。
・討伐の褒美として不思議な力を持つ宝石を授けた。
・この宝石は、後に強大な魔力を溜め込むことができる石であることが判明している。

野生のメーアたちへの影響
さらに、ディアスがフレイムドラゴンを一切の犠牲なく倒してみせた武勇と優しさは、野生のメーアたちにも大きな影響を与えた。その結果は以下の通りである。
・野生としての意地を張って家族を危険に晒すより、ディアスの下につく方が安全だと判断した。
・16頭の野生メーアたちが、正式にイルク村の領民(仲間)になることを決意した。

まとめ
このように、フレイムドラゴンの撃退は単なるモンスター討伐にとどまらない。サーヒィという強力な空の目の獲得、越冬のための莫大な物資、神の使いからの特別な報酬、 linen と新たなメーアたちの定住をもたらし、イルク村の発展を大いに加速させる起爆剤となったのである。

鷹人族の帰順

『領民0人スタートの辺境領主様』第6巻において、鷹人族のサーヒィとその妻たちの帰順は、イルク村の防衛力や調査能力(空の目)を飛躍的に向上させる重要な出来事である。彼らがイルク村の領民となる経緯とその活躍について解説する。

サーヒィとの出会いと「領民」への加入
フレイムドラゴン討伐の翌日、空を飛ぶ巨大な鷹をセナイとアイハンが見つけたことが始まりである。領民への加入経緯は以下の通りである。
・セナイとアイハンが美味しそうな鳥として狩ろうとし、ゾルグたちの隠蔽魔法によって捕獲された。
・捕獲された鷹は人語を話し、自らを鷹人族のサーヒィと名乗った。
・サーヒィの巣には「嫁取りに失敗した者はドラゴンを狩らないと巣に戻れない」という厳しい家訓があり、彼は巣を追い出されていた。
・すでに複数回のドラゴン討伐実績を持つディアスたちに目をつけ、将来ドラゴンを狩る際の参加と素材の分け前、外寝床と食事を条件に、イルク村の領民となることを自ら志願した。

狩りの相棒と、荒野調査における「空の目」
村の一員となったサーヒィは、すぐにその能力を発揮した。具体的な活躍は以下の通りである。
・セナイとアイハンの狩り鷹として共に雪原へと赴き、上空からの広い視野と急降下の奇襲を活かして狐を見事に仕留めるなど、狩りの相棒として活躍した。
・新内政官ヒューバートが進める南の荒野の調査と地図作成において、空の目としての任務を担った。
・上空から荒野が無人であることや地形を確認し、遠眼鏡や方位磁石を使うヒューバートと連携することで、高精度な地図作りをかつてない速度で推し進めた。

関所建設のための出稼ぎ要請と、三人の妻の合流
隣領との間に関所を設ける計画が立ち上がった際、さらなる空からの見張りが必要となった。その後の展開は以下の通りである。
・ベン伯父さんが空からの見張りを増やすため、サーヒィに故郷の巣から仲間を連れてくるよう命じた。
・豊富な干し肉を報酬として提示し、出稼ぎを勧誘しに巣へ戻ったサーヒィだが、立派な出稼ぎ先を見つけたことを巣の長が大いに喜んだ。
・その結果、なぜか巣の中で最強とされる三人の女性英雄であるリーエス、ビーアンネ、ヘイレセと結婚することになった。
・春までの間、この三人の妻たちも出稼ぎとしてイルク村に加わることになった。
・強力な空の目が増えたことで、アルナーやクラウスは関所の見張りとして大喜びし、ヒューバートは荒野の地図作りや領地境界の杭打ち作業が一気に楽になると歓喜した。

サーヒィの個人的な葛藤と村のサポート
順風満帆に見える鷹人族の加入であるが、サーヒィ自身は個人的な悩みを抱えている。その内容と村の対応は以下の通りである。
・妻であるリーエスたちは狩りの腕も強く、サーヒィを深く愛して猛アピールしてくれるが、サーヒィは「自分は彼女たちに釣り合う夫ではないのではないか」と気後れしている。
・ディアスは、サーヒィが調査や見回りで十分に村の役に立っていると評価している。
・いずれ時間をかけて彼の相談に乗り、夫婦関係をサポートしてやろうと温かく見守っている。

まとめ
このように、鷹人族のサーヒィとその妻たちの加入は、イルク村に空の目という測量と防衛の強力な手札をもたらした。彼らの卓越した飛行能力と偵察力は、ヒューバートの進める内政開拓を大きく前進させるだけでなく、村の防衛体制をより強固なものへと進化させる重要な原動力となっているのである。

領地の拡大と調査

『領民0人スタートの辺境領主様』第6巻における領地の拡大と調査は、新内政官ヒューバートの着任を機に、村の生活基盤と将来の利益を守るための重要な国家事業として本格的に動き出す。その経緯や開拓のプロセスについて解説する。

領地化のきっかけとヒューバートの危機感
事の始まりは、冬の間に村の塩の調達方法についてヒューバートがディアスに尋ねたことであった。背景と提案の詳細は以下の通りである。
・ディアスが「南の無人の荒野から犬人族が岩塩を拾ってきている」と答えると、ヒューバートは激しく動揺した。
・生活に不可欠な塩の産地を他国に占領されるリスクを危惧した。
・侵略者と見なされないための大義名分を得るべく、無人であることの調査、地図作成、そして王都への領有報告を急務として提案した。

資源を軸とした国境線の画定
ヒューバートはエイマと共に、どこまでを新たな領地(国境)とするかの議論を重ねた。領地選定の方針は以下の通りである。
・漠然とした地形ではなく、資源を軸に定める方針を固めた。
・巨大なスープ皿のような岩塩鉱床を領地に組み込むことを決定した。
・防水や防腐塗料として将来高い価値を生む、黒水(瀝青)が湧く一帯までを領地とすることを決定した。

「空の目」と測量器具による迅速な地図作成
調査と地図作成は、ヒューバートの専門知識と村の仲間たちの能力が見事に噛み合って進められた。具体的な進捗は以下の通りである。
・ヒューバートが倉庫にあった精巧な測量器具である遠眼鏡、方位磁石、象限儀などを駆使した。
・上空からは鷹人族のサーヒィが空の目として広範囲を偵察した。
・エイマが馬のアイーシアを乗りこなして高い機動力を得た。
・これらにより、広大な荒野の地図作りはかつてない速度で進展し、春を前に王都へ提出する精巧な地図が完成した。

領境の杭打ちと「関所」の建設
荒野の領地化と並行して、領地の境界を明確にするための施策がとられた。具体的な内容は以下の通りである。
・春に若草が生えた際の牧草地を巡るトラブルを防ぐため、作成した地図と空からの目を頼りに、鬼人族や隣領との境界に杭打ちを行う計画が進められた。
・隣領への不穏な勢力の流入を警戒したエリーの提案により、領境の森に関所が新設されることとなった。
・クラウスが設営を指揮した。
・妻のカニスが隣領から冬の出稼ぎ労働者を集めて仮設の関所作りを開始し、人や物の安全な行き来を管理する体制が整えられていった。

まとめ
このように、イルク村の領地拡大と調査は、ヒューバートの危機感と行政知識によって戦略的に進められた。各種族の特技を活かした効率的な地図作成や関所建設は、村の貴重な経済資源を守るだけでなく、今後の安全保障と持続的な発展を支える強固な土台となっているのである。

新たな領民の加入

『領民0人スタートの辺境領主様』第6巻において、イルク村には多種多様な背景を持つ新たな領民たちが次々と加わり、村の技術や防衛力、そして賑わいを飛躍的に向上させている。新たに加わった領民たちとその加入の経緯について解説する。

古の「約定」を守るためにやってきた洞人族一家
森の中でセナイとアイハンが出会った洞人族の老人ナルバントと、その妻オーミュン、息子のサナトの3人が新たな領民として加わった。彼らの特徴や村への貢献は以下の通りである。
・ナルバントの祖先と人間族の誰かが交わしたという大昔の約定を守るためにイルク村へとやってきた。
・彼らの加入は村の産業に革命をもたらした。
・ナルバントたちが作り上げた地機織り機によってメーア布の生産性が劇的に向上し、エリーのデザインによる冬服の完成へと繋がった。
・魔石炉を用いてディアスの新しい鎧作りに励んでいる。
・息子サナトの直訴により、洞人族の技術を活かしたレンガ造りの酒蔵を建設し、村で酒造りを始めるという新たな産業も生み出そうとしている。

辺境開拓に燃える新内政官・ヒューバート
雪原で行き倒れていたところをアルナーや犬人族たちに保護されたヒューバートも、ディアスに仕える内政官として迎え入れられた。彼の経緯と活躍は以下の通りである。
・獣人の血を引いているという理由で王都では不遇な扱いを受けていたが、王の勅命を受けて辺境開拓のために派遣された。
・ディアスが自らの言葉に真摯に耳を傾け、素直に行動に移してくれるその人柄に惹かれ、村をとても仕事がやりやすい居心地が良い場所と感じている。
・持ち前の知識を存分に発揮し、エイマたちと協力して南の荒野の測量と精巧な地図作りを熱心に推し進めた。

ドラゴン討伐の実績に惹かれた鷹人族のサーヒィと、三人の妻
フレイムドラゴンの死骸に驚き、空から村を観察していた巨大な鷹が、ゾルグたち鬼人族の隠蔽魔法によって捕獲された。彼らが加わった経緯と役割は以下の通りである。
・彼は鷹人族のサーヒィと名乗り、ドラゴンを狩るまで嫁取りもできず巣にも戻れないという家訓のために、既に複数のドラゴン討伐実績を持つディアスたちの仲間になることを志願した。
・セナイとアイハンの狩り鷹として活躍するだけでなく、ヒューバートの荒野調査において頼れる空の目として絶大な働きを見せる。
・関所防衛のために空からの見張りを増やすべく彼が故郷の巣へ仲間を勧誘しに戻ると、長に大歓迎され、巣の中でも最強の三人の女性英雄であるリーエス、ビーアンネ、ヘイレセと結婚することになった。
・彼女たちも春までは出稼ぎとしてイルク村に加わり、頼もしい戦力として村の安全と調査を支えることとなる。

庇護を求めて定住を決意した16頭の野生のメーアたち
雪原でモンスターに襲われていたところを保護された野生のメーアたちも、正式にイルク村の領民となった。その経緯と現在の様子は以下の通りである。
・彼らはフレイムドラゴンを一切の犠牲なく倒したディアスたちの強さと優しさを見て、野生としての意地を張って家族を危険に晒すよりも、彼の下につく方が安全だと判断した。
・群れの長はフランシスに任されることとなり、ディアスは6家族16頭のために新しいユルトを6軒建てた。
・ディアスからメアタックやメァレイアなど、家族の繋がりを意識した新しい名前を与えられた彼らは、六つ子たちと一緒になって元気に駆け回るなど、すっかり村に馴染んでいる。

まとめ
このように、イルク村に新しく加わった領民たちは、それぞれの持つ卓越した能力や独自の背景を活かして村の発展を支えている。技術、行政、防衛、資源のあらゆる面が強化されたことにより、イルク村は開拓地から自立した魅力的な共同体へとさらなる進化を遂げているのである。

過去の戦場「黄金低地」

『領民0人スタートの辺境領主様』第6巻において明かされた「黄金低地」の逸話は、ディアスが過去の戦争で成し遂げた中でも最も有名な功績であり、彼の武勇だけでなく、その温かい人柄が後の巨大な内政的成果に繋がったことを示す象徴的なエピソードである。

「黄金低地」という名前の由来
新内政官ヒューバート曰く、ディアスが敵の砦を落としたついでに荒れ地を開墾したというこの戦いは、王都でも有名な英雄譚であった。しかし、ディアス自身は黄金低地という呼び名を知らなかった。
この名は、ディアスたちが戦後の待機期間に耕した低地の畑に麦が植えられ、収穫期に黄金色に輝く麦穂が一面を覆って揺れる光景から生まれたものだとエイマは推測している。

帝国に搾取される集落の保護
ディアス、クラウス、兵学者ジュウハ、そして約1200人の志願兵たちが敵国である帝国の領土深くに進軍し、ある低地の集落に辿り着いたことから物語は始まる。その背景と経緯は以下の通りである。
・その集落は長年帝国から最下層の民として搾取されており、収穫した麦を全て差し出せと命じられて自暴自棄になっていた。
・集落の長は、どうせ滅ぶならとディアスたちを歓迎し、庇護を求めた。
・ディアスたちは略奪や狼藉を一切働かず、野営地を築いて行商人から対価を払って物資を買うなど、規律正しく振る舞い、集落の人々を驚かせた。

ジュウハの策とディアスの武勇による砦攻略
ジュウハは集落を囲む砦を各個撃破する策を立てた。攻略の詳細は以下の通りである。
・南の小陣地:ディアスが夜陰に紛れて単独で壁をよじ登り、見張りを次々と殴り倒して門を開け、無血で制圧した。
・北の砦(猛将と智将):北の石造りの砦を守る猛将には一騎打ちを申し込み、ディアスが戦斧の一撃で気絶させて降伏させた。それを見たもう一つの砦の智将は、戦わずして砦を明け渡して逃亡した。

泥濘の陣地と水計による敵軍壊滅
ジュウハは敵の主力である重装騎兵1400騎が戻るまでの1ヶ月間で、砦の廃材を利用した強固な対騎兵陣地と大長槍を用意させた。その決戦のプロセスは以下の通りである。
・陣地建設には、集落の若者たちも大工や石工の技術を学びながら自発的に参加した。
・迎えた決戦において、敵の将軍は騎兵突撃を命じたが、ジュウハが事前に水を引き込んで一帯を泥濘にしていたため、重装騎兵は機動力を失った。
・ディアスたちが大槍で敵を突き落とす中、最終的にジュウハが仕掛けていた北の湖の決壊による水計(濁流)が戦場を飲み込み、帝国軍は完全に壊滅した。

暇つぶしの開墾が王国一の穀倉地帯へ
戦勝後、他の軍と足並みを揃えるために5ヶ月間待機することになったディアスは、戦争前の日常を取り戻し、皆の心を休ませたいと考え、水浸しになった低地を全員で耕すことを提案した。その結果と影響は以下の通りである。
・ジュウハの水計によって、川から肥沃な土や養分が流れ込んでいたこともあり、兵士たちと集落の人々が協力して開墾したこの土地は、後に大豊作をもたらした。
・数年後、この黄金低地は王国一の穀倉地帯へと変貌を遂げた。
・視察に訪れた第一王女イザベルは、ディアスたちが敵地を略奪せず、人々に技術と知識を与えて数年で巨大な街を築き上げたこと、そして小川が養分を運ぶ仕組みを活かした見事な農法に感嘆した。
・これによりイザベルは、内政の素晴らしさを実感するとともに、ディアスを真の救国の英雄と絶賛した。

まとめ
このように、黄金低地の逸話はディアスの圧倒的な武勇だけでなく、敵地の民をも思いやる深い慈悲心と、ジュウハの知略が融合して生まれた奇跡である。ただの戦功にとどまらず、略奪をせずに人々に技術と知識を与え、持続可能な大穀倉地帯へと発展させたプロセスこそが、ディアスが真の英雄として称えられる所以となっているのである。

貴族制度の学習

『領民0人スタートの辺境領主様』第6巻において、ディアスがベン伯父さんから受ける貴族制度の学習は、彼が理想とする清廉な生き方と、腐敗した現実世界とのギャップを埋め、村を守るための重要な防衛準備として描かれている。貴族制度の学習の背景とその重要性について解説する。

学習のきっかけ:岩塩鉱床 of 利益とディアスの清廉さ
南の荒野に広大な岩塩鉱床が発見された際、ベンはそれを他領に売れば大金になったはずだと指摘した。その際の経緯は以下の通りである。
・ディアスは、両親やベンからの「働かないで稼ぐ金は毒」という教えを引き合いに出した。
・鬼人族にとって大切な塩を利用して利益を得るような真似は、貴族のすることではないと断言した。
・この発言を聞いたベンは、ディアスが理想的な貴族像しか知らず、現実の腐敗した貴族たちを全く理解していないと危惧した。
・これにより、悪貴族から村を守るための教育を強引に開始することとなった。

貴族制度の成り立ちと「悪貴族」の蔓延
ベンが語る貴族制度の歴史と現在の状況は以下の通りである。
・建国王が広大な国を一人で管理しきれなかったため、自らの意思を汲み取って動く忠臣に地方を任せたのが始まりであった。
・しかし、気の遠くなるような年月を経て制度は腐敗し、親から地位を継ぐだけの貴族たちは忠臣とは程遠い存在になってしまった。
・現在では、私欲のために権力闘争に明け暮れる悪貴族が王国を蝕む病となっており、善良な貴族を駆逐しているのが実情である。

春の脅威への備えとディアスの覚悟
ベンはディアスに悪貴族になれと言っているわけではなく、駆逐されたくないなら悪貴族にしっかりと備えろと説いている。その内容は以下の通りである。
・雪が溶けて春になり、隣領との街道が完成すれば外部との交流が増え、悪貴族と遭遇するリスクも確実に高まる。
・ベンは、アルナー、エリー、クラウス、ヒューバート、エイマなど村の仲間たちが既にディアスを支え、村を守るために自発的に動いていることを指摘した。
・ディアスにも子供じみた態度を捨てて、公爵として覚悟を決めるよう叱咤した。

「メーアの神殿」と新教義による法盾
悪貴族に対抗し領地を繁栄させるための具体的な策として、ベンはメーアの横顔の家紋を定め、メーアを神の使いとして祀る新しい神殿と教義を作る構想を明かした。その狙いと反応は以下の通りである。
・奴隷禁止や学問推奨など、良貴族に有利で悪貴族に不利となる教義を意図的に作り上げ、神の威光を政治的な武器として使い倒すという計画である。
・これを聞いたアルナーも、時代に合わせて教義を更新し、不要になれば捨てるという柔軟な考え方が、遊牧民として生きてきた鬼人族の生き方と通じる部分があると共感した。
・鬼人族の皆も同じ教義を受け入れるかもしれないと、肯定的な反応を示している。

まとめ
このように、貴族制度の学習は単なる座学にとどまらない。春以降に待ち受ける外部からの脅威に対し、公爵としての自覚を持ち、法や宗教といった内政的・政治的な武器を身につけるための重要な転換点となっているのである。

領民0人5巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人7巻レビュー

登場キャラクター

イルク村(メーアバダル領)

ディアス(ディアス・メーアバダル)

イルク村の領主である。公爵位を得てメーアバダルという家名を名乗る。アルナーの夫にあたる。
・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領主。公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野の調査を行い、岩塩鉱床を領地に組み込んだ。フレイムドラゴンとの戦闘に参加し、討伐を成し遂げる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王国から公爵位とメーアバダルという家名を与えられた。三年間の免税措置を受ける。

アルナー(アルナー・メーアバダル)

ディアスの妻である。鬼人族の出身にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。代表者の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
 マヤから魔法に関する知識を学んだ。逃亡するディアーネを弓で追い立てる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ディアスの妻としてメーアバダル家の一員となった。

エイマ(エイマ・ジェリーボア)

大耳跳び鼠人族の女性である。セナイとアイハンの教育係を担当する。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の教育係。書記。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野の調査に同行し、地図の作成に貢献した。エリーと共にペイジンとの取引をこなす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

セナイ

森人族の双子の一人である。アイハンの姉妹にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
 森で洞人のナルバントと出会った。メーアバダル家の紋章の刺繍を編み上げる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

アイハン

森人族の双子の一人である。セナイの姉妹にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
 森で洞人のナルバントと出会った。メーアバダル家の紋章の刺繍を編み上げる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

クラウス

元王国兵である。イルク村の領兵隊長を務める。カニスの夫にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領兵隊長。代表者の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
 フレイムドラゴンとの戦闘に参加した。関所の建設を指揮する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カニスと結婚し、村で祝宴を挙げた。

カニス

犬人族の女性である。クラウスの妻にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
 クラウスと結婚し、村の祝宴に参加した。隣領から出稼ぎの労働者を集めて関所建設を手伝う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クラウスと結婚した。

エリー

孤児ギルドの幹部である。ディアスの育て子にあたる。
・所属組織、地位や役職
 孤児ギルドの幹部。イルク村の交渉役。
・物語内での具体的な行動や成果
 フレイムドラゴンの素材を使ってエルダンと交渉し、大量の物資を手に入れた。冬服をデザインし完成させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ヒューバート

王国から派遣された文官である。真面目な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の内政官。文官。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野の測量を行い、精巧な地図を作成した。フレイムドラゴンの解体と素材の分配を指揮する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ベン

ディアスの父の兄にあたる人物である。元神官である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。相談役。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスに貴族の制度や公爵としての振る舞いについて指導した。メーアバダルという家名を考案する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去の神殿の教義を更新し、新しい教義を作る構想を練っている。

マヤ

棄民の老婆達のまとめ役である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の人間族代表者。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルナーに魔法に関する知識を教えた。魔法のパン作りに参加する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村の代表者の一人として選ばれた。

アリダ

棄民の老婆の一人である。干し肉作りが得意である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
 狩猟で得た黒ギーの肉を香辛料を使って新しい味付けの干し肉に加工した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ナルバント

洞人族の老人である。オーミュンの夫にあたる。サナトの父である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。鍛冶職人。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去の約定を守るためにイルク村に移住し、地機織り機を作成した。フレイムドラゴンとの戦闘でメーアワゴンに乗って突撃する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村の領民となった。

オーミュン

洞人族の女性である。ナルバントの妻にあたる。サナトの母である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 洞人族の髭が魔力を受け流す性質を持つことを説明した。フレイムドラゴンの解体作業を指揮する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村の領民となった。

サナト

洞人族の若者である。ナルバントとオーミュンの息子にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。鍛冶職人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ナルバントと共にメーアワゴンに乗り、フレイムドラゴンに突撃した。酒造りのために酒蔵を建設したいと提案する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村の領民となった。

フランシス

メーアの群れの長であるオスである。フランソワの番にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。メーアの長。
・物語内での具体的な行動や成果
 エゼルバルドとの歌の勝負に勝利した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 六つ子の父親となった。

フランソワ

メーアのメスである。フランシスの番にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 産屋で六つ子を出産した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 六つ子の母親となった。

エゼルバルド

大柄なメーアのオスである。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランシスとの歌の勝負に敗れ、自らフランシスの群れに合流した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 妻達と共に新しいユルトで暮らすことになった。

メアタック

新しくイルク村の仲間となった野生のメーアの一頭である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスから家族の繋がりを意識した名前を与えられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村の領民となった。

メァレイア

新しくイルク村の仲間となった野生のメーアの一頭である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスから名前を与えられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村の領民となった。

リュアグイン

新しくイルク村の仲間となった野生のメーアの一頭である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスから名前を与えられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村の領民となった。

リュアキリ

新しくイルク村の仲間となった野生のメーアの一頭である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスから名前を与えられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村の領民となった。

アイーシア

月毛の牝馬である。元はディアーネの乗馬だった。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の馬。
・物語内での具体的な行動や成果
 エイマに心を許し、背中に乗せて歩いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルナーによってアイーシアと名付けられた。

犬人族達

イルク村に移住してきた小型種の獣人たちである。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野の調査に同行し、嗅覚を活かして無人であることを確認した。関所建設や村のインフラ整備に従事する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村に定住した。

マスティ氏族

犬人族の氏族の一つである。黒毛でがっしりした体つきを持つ。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 クラウスの指揮下で戦闘訓練を行い、フレイムドラゴンの討伐に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

老婆達

カスデクス領から追放された棄民の女性達である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 ナルバントが作成した地機織り機を使ってメーア布を生産した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

婦人会の面々

犬人族の女性達の集まりである。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 戦場から武器や戦利品を回収した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

子供達

犬人族の子供達である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を元気に駆け回り、イタズラを繰り返して遊んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

メーアの六つ子達

フランシスとフランソワの子供達である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を元気に駆け回った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

野生のメーア達

冬の間にイルク村に滞在するメーア達である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の滞在者。
・物語内での具体的な行動や成果
 食料と宿を提供する対価として、村にメーア毛を提供した。フレイムドラゴン討伐後、正式にイルク村の領民となることを決める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村の領民として受け入れられた。

白ギー

山牛と呼ばれる家畜である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 シェップ氏族からブラッシングなどの世話を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 メスが妊娠していることが判明した。

ガチョウ

卵や肉、羽毛をもたらす鳥である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 飼育小屋と小さな池で飼育される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

鷹人族

サーヒィ

鷹人族の若者である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。狩り鷹。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野の調査で上空から偵察を行い、地図作成に貢献した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 巣の長に認められ、三人の女性英雄と結婚した。

リーエス

鷹人族の女性英雄である。
・所属組織、地位や役職
 鷹人族の巣の住民。出稼ぎ労働者。
・物語内での具体的な行動や成果
 出稼ぎとしてイルク村にやってきた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 サーヒィと結婚した。

ビーアンネ

鷹人族の女性英雄である。
・所属組織、地位や役職
 鷹人族の巣の住民。出稼ぎ労働者。
・物語内での具体的な行動や成果
 出稼ぎとしてイルク村にやってきた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 サーヒィと結婚した。

ヘイレセ

鷹人族の女性英雄である。
・所属組織、地位や役職
 鷹人族の巣の住民。出稼ぎ労働者。
・物語内での具体的な行動や成果
 出稼ぎとしてイルク村にやってきた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 サーヒィと結婚した。

巣の長

鷹人族の巣をまとめる存在である。
・所属組織、地位や役職
 鷹人族の巣の長。
・物語内での具体的な行動や成果
 サーヒィが出稼ぎ先を見つけたことを喜び、三人の女性英雄との結婚を認めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

鷹人族達

鷹人族の巣の住民である。
・所属組織、地位や役職
 鷹人族。
・物語内での具体的な行動や成果
 記載なし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

マーハティ領

エルダン(エルダン・マーハティ)

マーハティ領の領主である。半亜人の青年である。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領領主。公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 王都で王と交渉し、ディアスへの公爵位叙爵を取り付けた。ジュウハから統治や軍事に関する授業を受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 公爵位と新たな家名「マーハティ」を与えられた。

カマロッツ

エルダンの従者である。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の従者。
・物語内での具体的な行動や成果
 フレイムドラゴンの襲来時に援軍として駆けつけた。マイザー捕縛のための作戦で細剣を振るい奮戦する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

鬼人族

ゾルグ

アルナーの兄である。
・所属組織、地位や役職
 鬼人族の警備班長。族長候補。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスと共にウィンドドラゴンを討伐した。ディアスと領地の境界に関する約定を交わす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 モールから角細工を与えられ、族長候補および警備班の長となった。

モール

鬼人族の族長である。
・所属組織、地位や役職
 鬼人族の族長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゾルグに警備班の長を任せ、族長候補とした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

サンセリフェ王国

リチャード

第一王子である。冷徹で計算高い性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国第一王子。
・物語内での具体的な行動や成果
 ナリウスに命じてマイザーを監視・妨害させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王国最大の派閥を築いた。

イザベル

第一王女である。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国第一王女。
・物語内での具体的な行動や成果
 元帝国領土の開発を行っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ヘレナ

第二王女である。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国第二王女。
・物語内での具体的な行動や成果
 文化芸術の振興を行っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ディアーネ

第三王女である。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国第三王女。
・物語内での具体的な行動や成果
 建国王の王墓を荒らし、ディアスを討つために軍を動かした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王の怒りに触れ、神殿で幽閉されることが決まった。

サーシュス公

第一王女派閥の筆頭である。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国の公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスに友好的な立場をとっている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ゴードン

傭兵隊長である。
・所属組織、地位や役職
 王宮直属の正規兵(騎士)。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアーネ軍の左翼を担っていたが、ディアス相手には勝てないと判断して全軍を撤退させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 リチャードによって騎士に叙任された。

建国王

サンセリフェ王国の建国者である。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国の建国王。
・物語内での具体的な行動や成果
 流行病にかかった際、聖人ディアが神々に頼んでサンジーバニーを譲り受け、病を治したという逸話がある。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

聖人ディア

過去の聖人である。
・所属組織、地位や役職
 聖人。
・物語内での具体的な行動や成果
 建国王の病を治すため、神々に頼んでサンジーバニーを譲り受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

帝国(過去編)

猛将

帝国の将である。
・所属組織、地位や役職
 帝国の将。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスとの一騎打ちに敗れ、気絶させられて降伏した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

智将

帝国の将である。
・所属組織、地位や役職
 帝国の将。
・物語内での具体的な行動や成果
 猛将が敗れたのを見て、戦わずして砦を明け渡して逃亡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

将軍

東の大砦を預かる将である。
・所属組織、地位や役職
 帝国の将軍。
・物語内での具体的な行動や成果
 猛将と智将が逃げ込んできたことに苛立ちを感じている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

黄金低地の集落(過去編)

集落の長

低地の集落の長である。
・所属組織、地位や役職
 集落の長。
・物語内での具体的な行動や成果
 帝国からの搾取に耐えかね、ディアス達を歓迎して庇護を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

集落の若者達

集落の住民である。
・所属組織、地位や役職
 集落の若者達。
・物語内での具体的な行動や成果
 対騎兵陣地の建設に自発的に参加し、大工や石工の技術を学んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ディアスの軍勢(過去編)

ジュウハ

ディアスの戦友である。自称王国一の兵学者である。
・所属組織、地位や役職
 ディアスの軍勢の兵学者。
・物語内での具体的な行動や成果
 対騎兵陣地の建設と水計を立案し、帝国軍を壊滅させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ジョー

ディアスの軍勢の年配の兵士である。
・所属組織、地位や役職
 ディアスの軍勢の兵士。
・物語内での具体的な行動や成果
 捕縛した兵士の見張りと陣地の解体を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ロルカ

ディアスの軍勢の年配の兵士である。
・所属組織、地位や役職
 ディアスの軍勢の兵士。
・物語内での具体的な行動や成果
 捕縛した兵士の見張りと陣地の解体を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

リヤン

ディアスの軍勢の年配の兵士である。
・所属組織、地位や役職
 ディアスの軍勢の兵士。
・物語内での具体的な行動や成果
 捕縛した兵士の見張りと陣地の解体を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

商人・ギルド・その他

商人

隊商を率いる商人である。
・所属組織、地位や役職
 隊商の商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアス達の野営地を訪れ、食料や衣服などの物資を販売した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

隊商の者達

商人の部下達である。
・所属組織、地位や役職
 隊商の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアス達の軍勢に物資を販売した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

踊り子や詩人

隊商に同行している者達である。
・所属組織、地位や役職
 隊商の同行者。
・物語内での具体的な行動や成果
 兵士達相手に芸を披露した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ペイジン

行商人である。
・所属組織、地位や役職
 行商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリーやエイマと取引を行い、大量の物資をイルク村に販売した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

フレイムドラゴン

火炎を吐く巨大なモンスターである。
・所属組織、地位や役職
 モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルク村を襲撃しようとしたが、ディアス達の総力戦によって討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

アースドラゴン

過去に討伐されたモンスターである。
・所属組織、地位や役職
 モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去にディアスによって討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 討伐後、魔石がエルダンを通じて王に献上された。

ウィンドドラゴン

過去に討伐されたモンスターである。
・所属組織、地位や役職
 モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスとゾルグによって討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

狼達

雪山の狼である。
・所属組織、地位や役職
 野生の獣。
・物語内での具体的な行動や成果
 瘴気が消えた雪山で穏やかに過ごしている様子が描写された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

黒ギー

獣の一種である。
・所属組織、地位や役職
 野生の獣。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリー達が帰還途中に遭遇し、張り倒された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アリダによって干し肉に加工された。

領民0人5巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人7巻レビュー

展開まとめ

エイマのレポート

領民:125人→129人

【辺境の領主】ディアス達は、厳しい冬に備えた準備を進めながら、フランソワと犬人族達の出産を支えた。全員が無事に出産を終え、新たな命がイルク村に加わった。

【森人族の双子】セナイとアイハンは森で【洞人族の老人】ナルバントと出会った。ナルバントは妻オーミュン、息子サナトと共に、祖先と人間族が交わした約定を守るため、イルク村の領民へ加わった。

ナルバント達が作った地機織り機によってメーア布の生産性が大きく向上し、さらにエリーがデザインした冬服が完成したことで、村人達は厳しい寒さへ備えることが出来た。

雪原では、ディアスと犬人族達がモンスターに襲われていた野生のメーア二頭を保護した。

同じ頃、【鬼人族の少女】アルナーは、行き倒れていた【忠義に厚い文官】ヒューバートを発見し、保護した。ヒューバートはそのままディアスに仕える内政官となった。

とっても仕事熱心なヒューバートさんが来てくれたおかげで、ボクやエリーさんの仕事も手伝ってもらえて、すっごく助かってます!
ヒューバートさんに負けないように、ボクも頑張らないと!

さらに村へは強大なモンスター、フレイムドラゴンが襲来した。しかし領民全員が力を合わせて立ち向かったことで、大きな被害を出すことなく撃退に成功した。

領民達と支え合い、手を取り合いながら、冬を乗り越えていく領主様。次なる物語は――

メーアバダル領イルク村の施設一覧

【ユルト】
【倉庫】
【厠】
【井戸】
【飼育小屋】
【集会所】
【広場】
【厩舎】
【畑(野菜・樹木)】
【溜池】
【草原東の森】
【魔石炉】

大空を舞いながら????

雪山の狼達

大きな翼を持つ存在は、雪に覆われた山肌に沿うように優雅に空を舞っていた。

その視界には、山の中腹で群れる狼達の姿が映り込む。狼達は十分な獲物を得ているのか、以前よりもふっくらと太り、穏やかな様子で雪の上に寝そべっていた。周囲では子狼達が元気よく雪を蹴散らしながら遊び回っている。

その光景を見た存在は、以前より数こそ減っているものの、狼達に余裕と落ち着きがあることに違和感を覚えていた。

消えた瘴気への疑問

存在は上空を旋回しながら、周囲に瘴気がほとんど感じられないことに気付く。

少し前にドラゴンの姿を見かけたことで、この辺り一帯が瘴気に汚染されていると思っていた。しかし実際には空気は穏やかで、狼達にも異変は見られない。

まさか狼達がドラゴンを倒したとは考えられず、一体何が起きたのかと疑問を抱いていた。

雪原の村の発見

さらに高度を上げて周囲を見渡した存在は、山を下りた先の雪原に、人里らしき集落が築かれているのを発見した。

そこには様々な種族が共に暮らしており、さらに視界にはドラゴンの残骸まで映り込んでいた。

存在は、この小さな村の者達がドラゴンを討伐したのだと理解し、強い衝撃を受ける。

村への興味

驚きを抱いたまま、存在は村の上空を飛びながら、そこに暮らす者達を観察し始めた。

暖かな冬服を着込み、帽子の上の毛玉を揺らしている二人の子供――セナイとアイハンは、空を飛ぶ存在を見上げながら、美味しそうな鳥だと考えていた。

しかし空を舞う存在は、そんな子供達の物騒な思考に気付くことなく、そのまま悠々と村の上空を飛び続けるのだった。

イルク村の広場で―――ディアス

空を舞う大鷹

フレイムドラゴン討伐の翌日、広場で解体作業を見守っていたディアスの下へ、セナイとアイハンが弓を手に駆け寄ってきた。二人は空を見上げながら、大きく美味しそうな鳥がいると興奮気味に語る。

ディアス達が空を見上げると、そこには黒と茶と白の模様を持つ巨大な鷹が悠々と飛んでいた。ディアスは、その大きさと高さでは狩るのは難しいだろうと判断し、二人の好きにさせることにした。

カマロッツとの別れ

一方、広場ではナルバントとヒューバートの指揮の下、フレイムドラゴンの解体と素材分配が順調に進んでいた。そこへカマロッツが現れ、ドラゴン素材と魔石を預かったことを報告する。

ディアスは援軍として駆け付けてくれたことへの感謝を伝え、エルダン達に何かあれば自分達も助けに行くと約束した。カマロッツもその言葉に深く礼を返し、春になれば再び交流したいと語り合った後、森の方角へ帰還していった。

捕獲された鷹

カマロッツ達を見送った後、セナイとアイハンが大きな鷹を引きずるように抱えて戻ってきた。どうやって捕まえたのか分からぬまま、ぐったりした鷹を見たディアスが今夜は鷹の丸焼きかなと呟くと、その鷹は突然目を見開き、自分は鷹ではないと大声で抗議した。

突然喋り出した鷹に、ディアス達は揃って驚愕する。

隠蔽魔法による捕獲

事情を聞くと、ゾルグ達鬼人族が広場全体を隠蔽魔法で覆い、興味を持って降下してきた鷹人族を革袋で包んで捕獲したのだという。ゾルグは、本来これは狩り鷹を得るための方法であり、真面目に接すれば優秀な狩り鷹になると説明した。

しかしセナイとアイハンは鷹狩の意味を理解せず、美味しい肉が手に入ったと思い込んでディアスの下へ持ってきてしまったのである。

鷹人族サーヒィの提案

解放された鷹人族は、ユルトの屋根へ飛び移りながら、自分はサーヒィという名の鷹人族だと名乗った。ディアス達がフレイムドラゴンを討伐したこと、さらに過去にも複数のドラゴンを倒していることを知ると、強い興味を示す。

その後サーヒィは、セナイとアイハンへ狩り鷹になってやると申し出た。サーヒィの一族にはドラゴン討伐の家訓があり、ドラゴンを狩れぬまま巣を追い出された彼は、一緒に戦ってくれる仲間を探していたのである。

ディアスが領民になるのかと尋ねると、サーヒィはそれを認め、自分の名誉と帰郷、そして嫁取りのためにも力を貸して欲しいと語った。

新たな領民への歓迎

サーヒィはディアス達と握手を交わし、正式にイルク村へ迎え入れられた。村人達は既に鳩人族ゲラントを知っていたこともあり、特に驚くことなく笑顔で歓迎する。

しかしゾルグ達鬼人族だけは激しく動揺していた。言葉が通じ、大柄で優秀な狩り鷹となる鷹人族の存在は、冬場の狩りを劇的に変える存在だったからである。鬼人族達は目隠しや足輪、美味い肉まで用意すると必死に勧誘を始めた。

サーヒィは、自分は既にセナイとアイハンの狩り鷹だと拒絶しつつ、鬼人族達の勢いに恐れを抱き、ディアスの腕をしっかりと掴むのだった。

さらっとした雪を踏みしめながら――セナイとアイハン

サーヒィと初めての鷹狩り

鷹人族サーヒィが領民となって数日後、快晴の雪原でセナイとアイハンは初めての鷹狩りへ出かけた。同行したゾルグは、狐や狼の毛皮は高く売れることや、鹿や鳥を狙う狩りについて熱心に教えていた。

ゾルグにとってセナイとアイハンは妹同然のアルナーが育てた大切な子供達であり、二人もまたゾルグを狩りの師として慕っていた。そのため、ゾルグは嬉しさのあまり張り切り、鷹狩りについて上機嫌で語り続けていた。

ゾルグとサーヒィの微妙な緊張感

セナイとアイハンの杖の先には、主役であるサーヒィが止まっていた。少しでも負担を軽くするため魔力で体重を軽減しながら、周囲を鋭く観察していたサーヒィは、同時にゾルグを強く警戒していた。

ゾルグは以前からサーヒィを自分達の側へ引き込みたがっており、鷹人族の巣についても探ろうとしている気配があったためである。ゾルグもまた、セナイ達に嫌われたくないため自重していたが、優秀な鷹がもたらす利益を諦め切れていなかった。そうした事情から、二人の間には独特の緊張感が流れていた。

雪原に残された足跡

やがてサーヒィは、雪原に残るわずかな痕跡を見つけ、一行を止めた。晴天の日は雪が少し溶けるため足跡が見えやすく、むしろ狩りには向いていると説明しながら、狐らしき足跡を指し示す。

ゾルグやセナイ達はすぐに気付いたが、エイマ達には見えなかった。サーヒィは、足跡を追えば獲物に辿り着けると語り、静かに行動するよう指示を出す。

鷹人族の狩り

やがて遠方に雪を掘る狐の姿が見えた。サーヒィは杖から飛び立ち、滑空しながら静かに接近していく。狐が途中で気付き威嚇するも、サーヒィは一切怯まず、その鉤爪で首と胴を掴み、一瞬で仕留めてしまった。

狩りを終えたサーヒィは、狐へ敬意を示すように胸へ翼を当てた。その後、一同も祈りを捧げ、ゾルグを中心に解体作業が始まった。

命は巡るという教え

解体を眺めながらサーヒィが、子供達はこうした作業を嫌がらないのかと呟くと、セナイとアイハンは命は巡っているから大事なのだと答えた。

それを受けてゾルグは、狐は鼠を食べ、自分達は狐を食べ、自分達もまたいつか大地へ還るのだと語る。全ての命に意味があり、優劣はなく、だからこそ敬意と感謝を忘れてはならない。そして生きるためには強くあらねばならないと説いた。

その言葉を、セナイ達もエイマもサーヒィも静かに聞き入っていた。

クルミによるお礼

解体後、ゾルグはサーヒィへ生肉や内臓を謝礼として勧めたが、サーヒィは自分は鷹ではなく鷹人族であり、普通の料理も食べると呆れながら返した。

するとセナイとアイハンは、おやつ用に持ってきていた乾燥クルミを差し出した。サーヒィは餌付けみたいだと苦笑しつつも、結局それを受け取って食べる。その様子を見た二人は満面の笑みを浮かべた。

雪の下から現れた存在

その直後、今まで感じたことのない圧倒的な気配が周囲を包み込んだ。ゾルグ達は即座に臨戦態勢を取り、姿の見えない相手へ警戒を強める。

やがて雪の下から、白い毛と立派な角を持つ、メーアに似た存在が姿を現した。それは普通のメーアではなく、言葉を話し、強大な気配を纏っていた。

謎の存在からの褒美

エイマが何者なのか問いかけると、その存在は、自分の気配を感じ取れることへ感心しながら語り始めた。ディアスは気配を感じ取れないくせに野生の勘だけで自分に気付くため、村へ近付けなかったのだという。

さらに、サンジーバニーを正しく使い、フレイムドラゴンまで討伐したことを褒め、主の命令として褒美を与えると宣言した。そして、これからもドラゴンを倒し、メーア達を守るよう告げると、毛の中から麻袋を取り出してセナイ達へ投げ渡した。

その直後、一同は突然の目眩に襲われ、気付いた時にはその存在も巨大な気配も完全に消えていた。残された麻袋を前に、セナイとアイハンは恐る恐る手を伸ばすのだった。

イルク村の広場で―――ディアス

謎の石と赤い輝き

セナイとアイハンから渡された麻袋の中には、赤金色の光を放つ不思議な石が三つ入っていた。見た目は石に近いものの、明らかに普通ではなく、ディアスはこれが何なのか、どう扱うべきなのか分からず悩んでいた。

エイマ達はそれを宝石ではないと指摘し、ディアスは葉肥石のように畑へ撒くべきものかとも考えたが、正体不明のため軽率には扱えなかった。そこへ鉱石に詳しいナルバントが駆けつけ、石の鑑定を始める。

ベン伯父さんの助言

ナルバントも正体を見抜けずに唸っていると、野生のメーア達を連れたベン伯父さんが現れ、砕いて鉄へ混ぜるべきだと助言した。神殿の聖典で似た記述を見たことがあるという言葉に、ナルバントは強く頷き、その石をディアスの鎧へ混ぜ込むことを決めた。

頑固なナルバントが即座に意見を受け入れたことに、ディアスは驚きを覚えていた。

野生のメーア達の加入

その後ベン伯父さんは、野生のメーア達がイルク村への加入を望んでいると伝えた。フレイムドラゴンを犠牲なく倒したディアス達なら安心して従えると判断したのである。

群れの長はフランシスへ任されることとなり、ディアスは彼らへ感謝を伝えた。メーア達も友好的な態度を返し、イルク村の新たな仲間となった。

六家族のユルトと名付けの悩み

翌日、ディアスは新たに加わった六家族分のユルトを完成させた。しかし十八頭ものメーアへ名前を付ける必要があり、家族ごとの繋がりも考慮しなければならないため、大いに頭を悩ませていた。

六つ子達は新たな仲間が増えたことを誰より喜び、元野生のメーア達とじゃれ合いながら楽しげに過ごしていた。

ゾルグへの不安とアルナーの叱責

村へ戻ってきたゾルグは、またセナイ達へ狩りの話を熱心に聞かせていた。それを見たサーヒィは、ゾルグが仕事を放り出して入り浸るのではないかと不安を口にする。

しかしそこへアルナーが現れ、鬼人族の村での役目を果たさず何をしているのかと厳しく叱責した。ゾルグは慌てて鬼人族の村へ逃げ帰り、セナイ達はアルナーに優しく宥められるのだった。

エリー達の帰還

その直後、東から犬人族達の遠吠えが響き渡った。隣領との交易へ向かっていたエリー達が帰還したのである。

エリーから渡された目録には大量の干し草や砂糖、香辛料、建材資材などが記されており、ディアスは驚愕した。これはフレイムドラゴンの素材が高く評価された結果であり、今後も何度か往復して運び込む予定だという。

黒ギーの回収と干し肉作り

帰還途中、エリー達は黒ギーを倒していたが、重すぎて持ち帰れなかったため、ディアスは犬人族達と共に回収へ向かった。幸い狼などに荒らされた形跡はなく、村へ運び帰ることに成功する。

村ではアリダ婆さんが嬉々として解体を進め、塩や香辛料を大量に使った新たな干し肉作りへ挑戦し始めた。

塩の重要性と南の荒野

その作業中、ヒューバートは塩をどこから確保しているのかを質問した。犬人族達が南の荒野から岩塩を拾ってきていると知ると、彼は激しく動揺し、生活に不可欠な土地を領地化していないことを強く問題視した。

ディアスはそこまで考えていなかったが、ヒューバートの説明を受け、南の荒野を正式な領地とする必要性を理解する。

荒野調査の開始

翌日、ディアス達は荒野の調査へ向かった。ヒューバートは、無人確認、地図作成、王への報告など、領有権確保の手順を丁寧に説明する。

ディアスは、仮に荒野に住人がいたとしても敵対ではなく交易や協力を考えていた。その考え方にサーヒィは驚きながらも笑い、ディアスらしいと感じていた。

一方ヒューバートは、未開の土地を開拓し新たな領地を得るという仕事へ強い興奮を覚えていた。イルク村の環境は、彼にとって理想的な仕事場だったのである。

巨大な岩塩鉱床

やがてサーヒィが前方にとんでもないものがあると叫び、一行は巨大な岩塩鉱床へ辿り着いた。そこは大地が巨大な皿状にえぐれ、一面が岩塩で構成された圧巻の光景だった。

ヒューバートはその規模に圧倒され、膨大な価値を確信して拳を握り締める。

奇妙な体調不良と短剣

しかし鉱床内部へ進むと、サーヒィや犬人族、ヒューバートが突然体調不良を起こした。唯一平然としていたディアスは、一人で中央部へ向かい、岩塩の奥からサソリ模様の豪華な短剣を掘り出す。

短剣からは戦斧と同じ種類の違和感が漂っており、ディアスが念じると毒の魔法が停止した。どうやらこの短剣が周囲へ魔力を乱す力を放っていたのである。

短剣の力

その後の調査により、この短剣はディアスしか扱えないこと、対象を個人や種族単位で指定して毒の魔法を放てることが判明した。

ただし効果範囲は狭く、岩塩鉱床全体を守る用途には向かないため、鬼人族が意図的に設置したという説には疑問が残った。

モールの推測

鬼人族の村でモールへ相談した結果、彼女はこの短剣を知らないと断言した上で、興味深い推測を語った。

短剣は膨大な魔力を蓄積可能であり、もし大量の魔力を込めれば鉱床全体へ毒を撒くことも可能だったかもしれないという。そして、それほど魔力の価値を軽視できる存在は、魔力を持たない血族ではないかと推測した。

戦斧や火付け杖も同じ系統の武器であり、魔力を持たない者のために作られた可能性がある。その話を聞いたディアスは、今まで理解できなかった数々の謎が繋がったように感じるのだった。

イルク村で アルナー

アルナーの学びの時間

ディアス達を荒野へ見送った後、アルナーは家事と村の見回りを済ませ、集会所へ向かった。集会所ではマヤ婆さん達が地機織り機を操っており、アルナーはその輪に加わって織り機を動かしながら、マヤ婆さんから魔法について学んでいた。

ナルバント達との出会いを経て、アルナーは魂鑑定魔法だけに頼る危うさを感じていた。その悩みをベンに相談した結果、広く学べば新たな解決策が見えるかもしれないと助言され、冬の空き時間を学びに充てるようになったのである。

王国と帝国の魔法観

マヤ婆さんは、王国の魔法は戦争やモンスターとの戦いを念頭に研究されていたと語った。しかし研究者は戦場を嫌がり、戦闘訓練と魔法研究を両立させようとしても中途半端になりがちだった。

一方、帝国では早い段階で戦闘と魔法を切り離し、魔法は生活や生産に役立てるものとして発展させていた。アルナーは、鬼人族の魔法は帝国側の考え方に近いのかもしれないと理解した。

マヤ婆さんの占い魔法

アルナーがマヤ婆さんの占いについて尋ねると、マヤ婆さんはそれを王国寄りでも帝国寄りでもない魔法だと説明した。

マヤ婆さんの占いは、魔力で直接現象を起こすものではなく、聖地に眠る神へ問いかけ、未来に起こる可能性の高い出来事を知る魔法だった。ただし絶対ではなく、複数の問いを重ね、その答えを突き合わせて自分で考える必要があった。

アルナーは、その魔法を学べば魂鑑定魔法と併用し、相手をより正確に見極められるかもしれないと考え、マヤ婆さんへ弟子入りを申し出た。

マヤ婆さんの過去と秘密

アルナーは、マヤ婆さんが神話や王国、帝国の魔法に詳しい理由を尋ねた。

マヤ婆さんは、かつて偉い場所で働き、研究や占いをしていたのかもしれないと曖昧に答えた。占いは予言ではなく、外れることもあり、気に入らない結果を受け入れない者もいたため、嫌気が差したのかもしれないとも語った。

またマヤ婆さんは、ディアスが占いを知れば素直にその通り動いてしまうだろうから、この話は内緒だと告げた。アルナーは師の言葉としてそれを受け入れ、今日学んだことを反芻しながら、織り機を動かし続けるのだった。

イルク村の広場で―――ディアス

新たなメーア達への名付け

荒野の調査隊を見送った後、ディアスは新たにイルク村へ加わった十六人のメーア達へ名前を与えていった。

メアタックやメァレイアなど、家族ごとに特徴を持たせた名を付けられたメーア達は、その名前を喜んで受け入れ、家族や村人達のもとへ駆け寄っていった。そこへフランシス達やエゼルバルド達も現れ、広場はメーア達の祝福の鳴き声で満たされた。

ディアスは改めてメーア達の増加を実感し、今後さらに増えていく未来へ期待を抱いていた。

短剣の託付とアルナーの学び

広場へ現れたベンへ、ディアスは例の短剣を預けた。自分やクラウスが不在の際、火付け杖を扱えるベンなら村を守れると考えたのである。

その際ディアスは、アルナーがマヤ婆さんから新たな魔法を学ぶため、家事以外にも熱心に取り組んでいることを語った。珍しく自分のやりたいことへ打ち込むアルナーを、出来る限り支えたいとも考えていた。

岩塩鉱床と貴族の在り方

ベンは、岩塩鉱床を利益に変えなかったことを惜しんだが、ディアスは両親やベンから教えられてきた「働かずに得る金は毒」という価値観を口にした。貴族となった以上、鬼人族にとって大切な塩を利用して大金を得る真似はしたくないと考えていたのである。

しかしベンは、ディアスが理想的な貴族像しか知らず、現実の腐敗した貴族達を理解していないと察する。そこで自ら貴族制度や王国の実情を教えることを決め、今後ユルトへ通うよう命じた。さらにメーアを神の使いとして祀る神殿と、新たな教義を作る構想まで語り始めた。

貴族制度の腐敗

翌日からディアスは、ベンの下で本格的に貴族制度について学び始めた。ベンは、建国王が王だけでは国を管理しきれなかったため、忠臣へ地方を任せたことが貴族制度の始まりだと説明する。

本来は忠臣達による理想的な制度だったが、長い年月の中で腐敗し、今では多くの貴族が王国を蝕む存在になっているという現実も語られた。ディアスはそれでも悪貴族にはなりたくないと答えたが、ベンは善良であるだけでは生き残れないと告げ、悪貴族へ備える覚悟を持つよう求めた。

メーア神殿と新しい教義

ベンはさらに、メーアバダル家の紋章としてメーアの横顔を描いた旗を用意していた。これはメーア布やメーアバダル家を宣伝するだけでなく、将来的には神殿や教義の普及にも利用するつもりだった。

そしてベンは、古い教義へ固執せず、時代に応じて更新していく新しい宗教の形を構想していた。奴隷禁止や学問推奨、良き領主像を促す教えを盛り込み、神の威光を現実的な繁栄のために活用するつもりだったのである。

アルナーの理解

その夜、ディアスはアルナーへベンの構想を語った。アルナーは、鬼人族も自然や風雨へ敬意を抱いて生きてきたため、教義を暮らしへ合わせて変えていく考え方には理解できる部分があると語る。

また、鬼人族は遊牧によって必要なものを更新しながら生きてきた民族であり、その柔軟さはベンの考え方と通じるものがあるとも感じていた。教義次第では鬼人族達も受け入れられる可能性があると考え、ベンはそこまで見据えているのかもしれないと推測した。

イルク村の日常と未来

その後も、アルナーは魔法を学び、エリー達は交易を行い、ヒューバート達は地図作りを進め、村の者達はそれぞれの役割へ励み続けた。冬の最中にもかかわらず、イルク村は活気に満ちていた。

夕食後、ディアス達が今後について話していると、アルナーは村の人口増加によって廁や井戸の整備も必要になると指摘する。雪解け後には古い廁を埋め、新しいものを複数作る必要があると話し、ナルバント達とも相談するようディアスへ頼んだ。

だが真面目な話は長続きせず、セナイとアイハンが退屈したと騒ぎ始めたため、ディアス達はいつものように賑やかな団欒へ戻っていくのだった。

王都 リチャード王子のダンスホール――ゴードン

冬を越えた王都の静寂

収穫と納税の秋を終えた後、リチャード王子のダンスホールは以前より落ち着いた空気に包まれていた。

かつて大量の書類や机で埋め尽くされていた広間は整理され、暖炉の火が静かに揺れていた。しかし実際には、納税後の資金配分や開拓計画、凶作地と豊作地の均衡調整など、多くの事務処理が残されていた。

本来なら官僚達の役目であったが、旧臣達の多くが汚職や帝国との繋がりを疑われていたため、リチャードとその側近達が代わりに政務を担っていたのである。

ゴードンへの叙任

そんな中、傭兵隊長ゴードンがリチャードの前へ呼び出された。

処罰を覚悟していたゴードンだったが、リチャードから渡されたのは王宮直属の騎士への叙任状と、騎士の証となる短剣であった。

戦時中に略奪を禁じ、部下を統率していたことや、ディアーネの件で自制を見せたことが高く評価されていたのである。

実際にはディアスを恐れて略奪を避けていただけだったゴードンだったが、結果としてその行動がリチャードの目に留まっていた。

占領地再建への命令

リチャードは、増えすぎた傭兵達を野放しにすれば盗賊化や新たな戦乱の火種になると考え、騎士として抱え込む道を選んでいた。

ゴードンには従騎士となる部下達を率い、東の占領地でサーシュス公とイザベルの下につき、開発と砦の再建を進める任務が与えられた。

そこでゴードンは、古い帝国式の砦を無理に修復するより、新しい構造の砦を造るべきだと進言する。街や畑を守る配置にすることで、民を安心させ敵を牽制できると考えたのである。

その献策を聞いたリチャードは、ゴードンを想像以上に有能だと評価し、人員選定や予算投入まで許可した。

リチャードの本心

リチャードは、イザベルやヘレナを敵とは考えていなかった。

イザベルは内政、ヘレナは文化芸術によって王国を良くしようとしており、派閥争いをしていたのも理想国家実現のためだったのである。

だがディアスの暴走によって多くの邪魔者達が排除された結果、今では両者とも自らの理想実現へ専念し始めていた。

特にイザベルは、占領地開発へ夢中になっていると語られた。

騎士としての第一歩

ゴードンは、自分が試されていたことを悟る。

もし浮かれて何も提案しなければ、不合格となっていた可能性すらあると察し、全身に冷や汗を流した。

それでも騎士として認められた以上、堂々と振る舞わなければならないと覚悟を決める。

騎士らしい一礼をどうにか真似し、急ぎ人選と準備へ向かうため、青ざめた顔のまま王宮を後にするのだった。

南の荒野で――エイマ・ジェリーボア

荒野調査と領地拡張の検討

冬の晴れた日、エイマはヒューバートから助力を求められ、サーヒィや護衛の犬人族達と共に南の荒野へ赴いた。

ヒューバートは将来的な領地となる荒野の調査や測量、地図作りを進めていたが、何処までを領地と定めるべきかで悩んでいたのである。

あまり広げ過ぎれば管理が難しくなり、逆に狭すぎれば資源や発展の可能性を失う。そのうえ南方にはエイマ達の故郷である砂漠が存在する可能性もあり、国境問題へ発展する懸念まで抱えていた。

砂漠と荒野の境界

ヒューバートの相談を受けたエイマは、砂漠はエルダン領のさらに南に存在していたはずであり、この荒野の南が本当に砂漠へ繋がっているかは分からないと説明した。

そのうえで、曖昧な地形よりも資源を基準に領地を決めるべきだと提案し、以前発見された岩塩鉱床を一つの目安にしてはどうかと進言する。

ヒューバートはその意見を受け、岩塩鉱床だけでなく、アルナーから情報提供された「黒い油」が湧き出る地域も確保したいと語った。

瀝青という資源

エイマは、その黒い油を燃料目的で使うのかと尋ねた。

するとヒューバートは、油そのものは臭気が強く燃料には向かないが、そこから得られる瀝青には高い価値があると説明する。

瀝青は防水や防腐に優れており、船材へ塗布すれば耐久性の高い船を作れるほか、家屋にも利用可能であった。

現状では船を必要としていないものの、将来的な交易や建築資材として有望であり、今のうちに領有しておく価値があると判断していたのである。

未来を見据えた地図作り

エイマは、そうした重要事項である以上、自分達だけで結論を出すのではなく、後にディアスや村の代表達とも相談すべきだと語った。

ディアスは周囲の意見を素直に受け入れすぎる傾向があるため、事前に十分な検討を行う必要があると考えていたのである。

その後、ヒューバートは岩を机代わりにして地図を広げ、エイマと共に何処へ国境線を引くべきか、どの距離なら有事に対応可能かなどを熱心に議論し始めた。

二人は未来の領地運営を見据え、最良の形を求めて喉が枯れるほど話し合いを続けるのだった。

退屈するサーヒィ

一方その頃、空からの監視役として同行させられていたサーヒィは、岩の上で翼を休めながら退屈そうに大あくびをしていた。

荒野調査にはすっかり飽きてしまっており、セナイ達と一緒に狩りへ行きたいとぼやきながら、気だるげに空を見上げていた。

イルク村で ディアス

メーアバダル家の紋章と冬の村

メーアの横顔を模した刺繍がメーアバダル家の紋章として正式に定められると、セナイとアイハンは大喜びし、自分達で作った刺繍を抱えて村中を駆け回った。村人達へ「これが我が家の紋章だ」と誇らしげに見せて回った結果、イルク村全体へ紋章の存在が広まっていく。

その後、ベンが改めて正式な紋章であると宣言したことで、村人達も暇を見つけては刺繍を作り、飾り、身につけるようになった。

特にクラウスは強い関心を示し、大旗を作りたいとまで言い出す。カニスも良い布が手に入れば作ると応じたことで、紋章は村の象徴として急速に定着していった。

エリーの帰還と隣領の情報

冬の間、ディアスは南の荒野の件をヒューバート達へ任せ、自身は廁作りの準備へ取り組んでいた。そんな中、エリー達を護衛していた犬人族達の遠吠えが響き、エリー一行が隣領から戻ってきたことが知らされる。

フレイムドラゴン素材をエルダンへ送った返礼の輸送は今回で一区切りとなり、荷運びだけでなく市場調査やメーア布販路の下準備も概ね完了していた。

エリーはその過程で、隣領に不穏な勢力や危険な品物が流入している噂を耳にしていた。そのため、春に街道が完成した際、無制限に人や物が行き来する状況は危険ではないかと考えるようになっていたのである。

関所設置の決定

エリーは、信頼できる相手だけを通行させるため、森の中に関所を設置して出入りを管理すべきだと提案した。

メーア布の存在を広めたことで、メーアを狙う者が現れる危険も増していたのである。

そこへ現れたベンも関所設置へ賛同し、疫病流行時の封鎖や、犬人族の鼻、アルナーの魔法、鷹人族による空からの監視などを組み合わせれば、高度な管理体制を築けると説明する。

ディアスもその意見を受け入れ、村を守るために関所建設を進めることを決めた。

サーヒィの勧誘と鷹人族の来訪

空からの監視体制強化のため、ベンはサーヒィへ仲間の勧誘を命じる。

サーヒィは北の山にある故郷の巣へ戻り、出稼ぎとしてイルク村へ来ないかと声を掛けた。

その結果、サーヒィは巣で高く評価され、さらには三人の英雄級女性鷹人族との結婚まで決められてしまう。

リーエス、ビーアンネ、ヘイレセという三人は、いずれも優れた狩人であり、サーヒィ自身にとっても憧れの相手達であった。しかし、あまりに話が順調に進みすぎたことで、サーヒィは自分に釣り合うのか不安を抱えていた。

それでも三人はイルク村への協力を快諾し、干し肉を報酬として受け取りながら、巣と村を行き来する生活を始めることとなった。

忙しさを増す冬のイルク村

鷹人族達の協力により、ヒューバート達の地図作りや領境の杭打ち作業は大きく進展した。

クラウスは関所建設へ情熱を注ぎ、カニスは隣領との調整役として動き回る。サーヒィ達用の鳥小屋建設や廁作りも進み、イルク村は冬にもかかわらず活気に満ちていた。

さらに犬人族の子供達が成長し、自由奔放に村中を駆け回って悪戯を繰り返すようになる。

ユルトへ登って布を破ったり、動物達へじゃれついたりと騒動が絶えなかったが、村人達はそれを怒るどころか「子供が元気なのは良いことだ」と笑って受け入れていた。

アルナーの鞍完成とエイマの活躍

アルナーは試行錯誤の末、エイマ専用の鞍をついに完成させる。

固定方法や揺れ対策が徹底的に見直されたその鞍によって、エイマはアイーシアを自在に乗りこなし、遠方まで自由に移動できるようになった。

これにより、ヒューバートとの分担作業が可能となり、地図作りの効率は飛躍的に向上する。

ディアス自身も作業が一段落すると、ベンから強引に勉強へ引きずり込まれ、貴族や王国についての知識を学ばされる日々を送ることとなった。

洞人族と酒蔵計画

冬の終わりが近づいた頃、洞人族のサナトが深刻な表情でディアスのもとへ現れ、「酒が欲しい」と訴える。

ナルバント一家は鎧作りへ没頭していたが、洞人族にとって酒は単なる嗜好品ではなく、仕事を支える重要な存在であった。備蓄していた酒を全て飲み尽くしてしまい、このままでは作業に支障が出ると真剣に悩んでいたのである。

ディアスはその必死さを受け止め、エリーへ酒の追加調達を頼むことを決めた。

さらにサナトは、自分達で酒蔵を建てて酒造りを始めたいと提案する。砂糖やベリー、蜂蜜を利用した酒作り構想を熱弁し、洞人族は鍛冶だけでなく酒造にも優れているのだと胸を張った。

その情熱を見たディアスは、酒蔵建設を認めると同時に、ある別の建築物についても協力を頼むことを決めるのだった。

森の中、領境付近の関所予定地で――クラウス

関所作りと荒野調査

クラウスが関所作りの準備を進める

クラウスは森の仮設道沿いに小さなユルトを建て、関所作りの拠点としていた。資材の確認や簡単な図面作りを進めながら、妻カニスが隣領から人手を連れて戻るのを待っていた。

やがて犬人族達の遠吠えによってカニスの帰還が知らされ、クラウスは喜びながら出迎えた。

カニスが連れてきた働き手

カニスが連れてきたのは、老人や女性、子供を中心とした二十人ほどの人々だった。皆痩せこけ、生気の薄い様子であり、カニスは十分な働き手を集められなかったことを申し訳なく思っていた。

しかしクラウスは、それで問題ないと受け止めた。簡単な細工仕事や力のいらない作業を任せ、温かい食事と賃金を与えることで、イルク村の評判を広めてもらえば良いと考えていたのである。

ディアスのやり方を真似るクラウス

クラウスは、かつてディアスが占領地で行った方法を思い出していた。食事を与え、出来る仕事を任せ、少しずつ人を元気にしていくやり方である。

カニスは本当にそんなことが可能なのか半信半疑だったが、クラウスはまず食事だと声を上げた。犬人族達はすぐに動き出し、干し肉を使ったスープ作りを始めた。

荒野の地図作りが進む

一方、ヒューバートは荒野の地図作りを順調に進めていた。サーヒィ達鷹人族の空からの目、アイーシアに乗るエイマ、犬人族の鼻によって調査効率は大きく上がっていた。

岩塩鉱床から黒水の湧く一帯までを新領地とする方針で、無人確認や測量も進んでいた。あと数日で王都へ提出できる程度の地図が完成する見込みだった。

黄金低地の逸話

ヒューバートは、荒野に水源があれば開墾できたのにと惜しみ、ディアスの「黄金低地」の逸話を口にした。

エイマが興味を示すと、ヒューバートは、ディアスが敵地の民と麦畑を守り、敵兵を撃退し、砦を落とし、そのついでに荒れ地を開墾したという話を語ろうとした。

しかしその時、犬人族が星の出現を知らせたため、ヒューバートは測量を優先した。星を使った測量を好むヒューバートは器具を取り出し、無言で空と地図を見比べ始めた。

乗馬を楽しむエイマ

話を聞きそびれたエイマは、また機会があるだろうと考えた。

そしてヒューバートの測量が終わるまで、アイーシアに声をかけ、荒野を駆け回った。エイマは地図作りの仕事の合間にも、乗馬を存分に楽しんでいた。

吹雪の中のユルトで――ディアス

吹雪の日の退屈と語り部の始まり

吹雪によって閉じ込められる村人達

ナルバント達は酒を手に入れて以降、工房で鎧作りに励んでいた。山場を越えたことで作業は順調に進み、春までには完成させると繰り返しながら働いていた。

クラウス達やヒューバート達も負けじと働き、村全体が忙しく活気に満ちていた。しかし冬の厳しさは変わらず、ある日北から猛烈な吹雪が押し寄せた。

凍えるような吹雪の中では外で働くことも出来ず、村人達はユルトに籠もり、室内で出来る作業をして過ごすしかなかった。

退屈したセナイとアイハン

吹雪が三日続いた頃、編み物や薬草の勉強をしていたセナイとアイハンは、ついに退屈に耐えきれなくなった。

二人は床を転げ回りながら外で遊びたいと不満を漏らし、アルナーやフランソワに甘えた後、最後にはディアスの元へ転がってきた。

ディアスは、自分も暇で外へ出たい気持ちはあるが、この吹雪ではどうにもならないと語り、吹雪が収まるまで我慢するよう諭した。

お話を求める子供達

しかしセナイとアイハンは納得せず、ディアスにお話をしてほしいと頼み込んだ。

雨や嵐の夜に眠れない二人へ昔話を聞かせていたこともあり、二人にとって吹雪は「お話を聞ける機会」となっていたのである。

そこでディアスは、自分の好きな「竜殺しの英雄譚」を語ろうとした。

ドラゴン退治を経験した子供達

ところがセナイとアイハンは不満そうな顔を見せた。

二人にとってドラゴン退治は空想の英雄譚ではなく、自分達も参加した現実の出来事だったのである。フレイムドラゴンとの戦いで実際に活躍した二人にとって、竜殺しは特別な物語ではなかった。

その反応にディアスは困惑し、他に話せる話題を探し始めた。

黄金低地の話題

そこでエイマが、「黄金低地」の話をしてほしいと頼んだ。

ヒューバートから、ディアスが戦争で成し遂げた中でも特に有名な逸話だと聞かされていたのである。

アルナーやフランシス達まで興味を示し、皆が期待に満ちた視線を向けてきた。

しかしディアス自身には「黄金低地」という呼び名の記憶が無く、何の話か分からなかった。それでも低地に関する戦争の出来事には心当たりがあり、その話をすることにした。

低地での出来事の始まり

ディアスは、クラウスや自称王国一の兵学者ジュウハと共に、千二百人ほどの志願兵を率いて東方へ進軍していた頃の話を語り始めた。

彼らが辿り着いた低地には、広大な麦畑と小さな集落が存在していた。

集落の長は彼らを歓迎し、宴まで開いた。そしてその席で、帝国兵による略奪から自分達を守ってほしいと、必死に願い出たのだった。

過日、低地にある集落で ディアス

黄金低地 帝国支配下の集落との邂逅

帝国に搾取され続けた集落

ディアスとジュウハは、歓迎の宴を開いた集落の長から詳しい事情を聞くため、質素な小屋へと向かった。

長によれば、集落の祖先は元々帝国臣民ではなく、この地で静かに暮らしていた人々だった。しかし帝国の拡張によって支配下へ組み込まれ、最下層の臣民として扱われるようになっていた。

この土地では麦以外に価値ある産物が無く、帝国への貢献も出来ないため、長年最下層のままだった。近年は戦況悪化によって徴発が激化し、ついには収穫した麦を全て差し出せと命じられていた。

帝国から逃れたいという願い

長は、帝国へ逆らい勝利を重ねるディアス達へ強い憧れを抱いていた。

このままでは集落は滅ぼされるだけであり、どうせ滅ぶならば帝国から離反する道を選びたいと語り、ディアス達へ庇護を求めた。対価になる物は何も無いが、それでも守ってほしいと必死に願い出たのである。

ジュウハによる情報収集

その願いを受け、ジュウハはまず情報を対価として要求した。

集落周辺には複数の砦が存在しており、東には大規模な城塞、北と南には小規模な砦が配置されていた。大城塞には本来数千の兵がいたが、主力は東方反乱の鎮圧へ向かっているという噂だった。

ジュウハは長から地形や兵力、備蓄状況を細かく聞き出しながら地図を作成し、敵戦力の推測を始めた。重装騎兵が主力であること、現在はその多くが不在であることを読み取り、敵の狙いまで推察していく。

ジュウハの作戦立案

情報を整理したジュウハは、ディアスへ作戦を告げた。

まず南北の小砦を攻略し、敵兵はなるべく殺さず東の城塞へ逃がすこと。そして自軍は騎兵戦を苦手としているように見せかけ、士気や練度も低いように演じろと命じた。

さらに砦の武器・食料・資材を回収し、砦そのものも壊すのではなく丁寧に解体して再利用しろと指示した。

集落の長が見た異様な軍勢

長は当初、ディアス達も略奪や狼藉を働くものと思っていた。

しかし彼らは集落から何一つ奪わず、逆に畑仕事や力仕事を手伝い、規律正しく行動していた。理由を尋ねると兵士達は、ディアスが怒ると恐ろしいからだと口を揃えて語った。

さらに後日、巨大な隊商が到着し、兵士達へ食料や衣服を販売し始めた。ディアス軍は略奪ではなく、戦利品や貨幣で物資を購入していたのである。長は、自分達が知る軍隊との違いに困惑していた。

南の陣地の夜襲

その後ディアスは、夜陰に紛れて南の陣地へ単独潜入した。

見張り達は緩みきっており、まともな警戒もしていなかった。ディアスは一人ずつ背後から制圧し、門を開いてクラウス達を招き入れた。

こうして南の陣地は制圧され、多数の兵士が捕縛された。

北の砦への対応

残る北の砦は石造りであり、猛将と智将と呼ばれる二人の指揮官が守っていた。

話し合いの末、まず猛将側へ一騎打ちを申し込むことになった。敵将は巨大な鎧姿で現れたが、戦闘開始直後、ディアスの戦斧による一撃で吹き飛ばされ、そのまま気絶してしまった。

指揮官を失った兵達は降伏し、北の一つ目の砦は陥落した。

智将の降伏

もう一方の智将は、一つ目の砦が短時間で落ちたことを知ると、自ら降伏を申し出た。

ディアス達は武器や食料を置いて撤退することを条件に降伏を受け入れ、智将側は抵抗することなく砦を明け渡した。

ディアス達はその後も、自軍が騎兵戦を苦手としているという噂を意図的に流しながら行動を続けた。

対騎兵陣地の建設

北と南の砦を制圧した後、ジュウハは次の作戦を伝えた。

東の大城塞から重装騎兵隊が戻ってくるまで一ヶ月。その間に、麦畑東側へ長大な防衛陣地を築き、対騎兵用の大長槍を大量に用意しろと命じた。

ディアス達は捕獲した砦を解体して資材を確保し、全力で防衛陣地構築へ取り掛かることになった。

集落の若者達の変化

陣地建設が始まると、集落の若者達は自発的に作業へ加わるようになった。

彼らは大工や石工、鍛冶職から技術を学びながら働き、ディアス達の営みから多くを吸収していた。

こうして黄金低地では、戦争の只中にありながら、人々が支え合い、新たな共同体のような空気が生まれ始めていたのである。

過日、東の大砦で ―ある将軍

大砦の将軍 内部崩壊への苛立ち

重装騎兵の帰還を待つ男

東の大砦では、細面の将軍が重苦しい日々に耐えていた。

彼は常在戦場の心構えを崩さず、上質な鉄鎧を身に纏い、執務室で戦況を整理していた。周囲の小砦が全て陥落したこと自体は問題視していなかった。この大砦さえ健在ならば戦況は覆せると考えていたからである。

また、敗残兵達が逃げ込んできたことも、捨て駒が増えた程度にしか思っていなかった。彼にとって本当に頭痛の種だったのは、猛将と智将を名乗る二人の将が生き延びて戻ってきたことだった。

同格の将達への嫌悪

将軍は、猛将と智将を心底軽蔑していた。

彼らは家柄とわずかな功績だけで将の地位に就いた男達であり、自らの実力で成り上がった将軍にとっては相容れぬ存在だった。しかし帝国法では三人は同格と定められており、将軍は彼らを無視することも排除することも出来なかった。

本来この大砦を預かっているのは自分であるにもかかわらず、今後の方針は二人と話し合って決めねばならず、その事実が将軍を苛立たせていた。

猛将と智将の対立

猛将は、一騎打ちで敗北した屈辱から、すぐに全軍突撃を行いディアスへ復讐すべきだと叫び続けていた。

一方の智将は、自分が考えた複雑な策を実行すべきだと主張していた。しかしその策は回りくどく、実効性も不明瞭だった。

二人は自らの失態を認めず、責任を挽回しようと躍起になっており、将軍の現実的な判断をことごとく妨害していた。

重装騎兵への絶対的信頼

将軍にとって敵軍は、訓練不足の歩兵集団に過ぎなかった。

この砦には本来二千騎の重装騎兵が所属しており、現在は東方反乱の鎮圧へ出ているものの、その半数でも戻れば一度の突撃でディアス軍を壊滅させられると確信していた。

しかし、その騎兵隊は将軍自身の直轄戦力である。猛将や智将は、自分達の汚名返上のためだけに騎兵を利用しようとしており、それが将軍には耐え難かった。

砦内部の混乱

砦内の空気は日に日に悪化していた。

元々いた兵士達と敗残兵達は、減り続ける食料への不安から毎日のように衝突していた。統制維持のためには処罰や厳格な管理が必要だったが、猛将と智将がそれを妨害し続けていた。

将軍は、このままでは敵を迎え撃つ前に砦内部が崩壊すると危機感を抱いていた。

暗殺という決断

追い詰められた将軍は、ついに一つの結論へ至った。

猛将と智将を殺した方が帝国のためになる――そう考え始めたのである。

現在の混乱ならば戦死として処理することも可能であり、砦失陥の混乱に紛れれば隠蔽も容易だった。帝国にとって不要な存在を排除し、自らの指揮権を完全に確保すべきだと判断していた。

不毛な議論の始まり

そうして将軍が決意を固めた時、廊下の向こうから猛将と智将の怒鳴り合いが近づいてきた。

二人は今日も、自らの責任逃れのためだけの不毛な議論を続けるつもりだった。

その声を耳にした将軍は、ますます殺意を強めながら、二人を迎えるため静かに立ち上がるのだった。

過日、完成まで後少しとなった陣地で―――ディアス

黄金低地の戦い 防衛陣地の完成へ

盛土と防衛陣地の構築

ディアス達は、ジュウハの指示通りに盛土を築き上げていた。

完成した盛土の上を皆で行進し、踏み固め、形を整えた上で、解体した砦の資材を運び込み、それらを積み上げて陣地を構築していった。

そうして作業開始からおよそ二週間が経過した頃には、騎兵の突撃にも耐えられるのではないかと思える程の防衛線が完成しつつあった。

ジュウハ達の奇妙な行動

そんなある日、しばらく姿を見せていなかったジュウハ達が、陣地の向こう側の荒野に現れた。

彼らはディアス達に声をかけることもなく、地面を掘り返しながら南へ進んでいた。その様子を見たクラウスは、ジュウハの狙いに気付き、ディアスへ説明する。

川を引く作戦

クラウスは、ジュウハがどこかで見つけた水源から水を引き、この一帯をぬかるませるつもりなのだと推測した。

地面が泥濘になれば騎兵は機動力を失い、特に重装騎兵は突進力を発揮できなくなる。そうして足を止められた所を、大槍で突き落馬させる――それがジュウハの作戦だった。

ディアスの疑問

作戦の意図を理解したディアスは、その有効性に納得した。

しかし同時に、泥濘地帯を敵に迂回された場合はどうするのかという疑問も抱いていた。

陣地は北から南へ大きく広がっていたものの、騎兵ならば回り込むことも不可能ではなく、そのまま集落へ襲撃を仕掛けられる可能性もあった。もしそうなれば、これまでの準備が無駄になってしまう。

考えるより働くという選択

ディアスはその問題について考え込んだが、最終的には思考を打ち切った。

ジュウハならば、その辺りも含めて上手くやるのだろうと判断したのである。

そして今は何より、この防衛陣地を完成させることが先決だと考え、再び力仕事へ戻っていくのだった。

過日、暗闇の中で――ジュウハ

黄金低地の戦い 帝国砦の混乱

密会と報告

ある夜、人気のない場所でジュウハと帝国兵の男が密会していた。

帝国兵の男は砦内部の状況を報告していたらしく、その内容を聞いたジュウハは、事態が予想以上に都合良く進んでいることへ驚きを見せる。

更に、砦内部で殺し合いまで発生し、その結果として特定の人物が生き残ったことを知ったジュウハは、楽が出来そうだと皮肉混じりに語った。

ジュウハの逃亡提案

ジュウハは、これ以上砦に留まれば逃げ時を失う可能性があると男へ忠告した。

戦いが終わるまで身を隠し、その後に戻ってくれば、自分が生活の面倒を見ると約束し、金や家、畑など望む物を用意するとまで言い切る。

更に、戦場で敵として再会すれば容赦は出来ないとも告げ、このまま逃げるか、一度砦へ戻って準備してから逃げるかは自由だが、手遅れになる前に決断するべきだと促した。

帝国兵の決断

男は突然迫られた選択に大きく動揺していた。

砦へ戻るべきか、それとも今すぐ逃げるべきか悩み続け、何度もジュウハと後方の大砦を見比べる。

そしてついに決断した男は、先程まで自らの住居であり職場でもあった砦へ背を向け、そのまま暗闇の中へ駆け去っていった。

大砦を見つめるジュウハ

男を見送ったジュウハは、満足そうに頷き、小さく笑みを浮かべた。

その後、篝火によって巨大さと堅牢さを誇示している帝国の大砦を見つめる。

砦には多くの篝火が焚かれていたが、見張りの数は少なく、中からは戦の前祝いのような騒がしい宴の声まで響いていた。

その様子を見たジュウハは、呆れたように頭を振り、小さなため息を吐いてから、その場を後にするのだった。

過日、ある日の昼過ぎ、完成した陣地で――ディアス

黄金低地の戦い 決戦と大洪水

陣地完成と戦への備え

ジュウハが定めた一ヶ月が経過し、ディアス達の陣地はどうにか形になっていた。

敵砦から運び出した石材と木材を用いて壁を築き、大槍を突き出すための隙間や櫓まで整備されていた。完全な城壁には程遠かったが、騎兵相手でも持ち堪えられる程度の防御力は確保されていたのである。

正面以外にも壁は築かれていたものの、そちらは簡易的な作りであり、本命はあくまで正面防衛だった。

ジュウハからは、敵の重装騎兵約千四百騎と歩兵八百が既に大砦へ到着したとの報告が届いていた。しかしディアス側は八百人しかおらず、ジュウハが連れて行った四百人も未帰還のままだった。

それでも兵達の士気は高く、陣地内には不思議な程の活気が満ちていた。

帝国軍の進軍

やがて見張り達から敵襲の報告が上がる。

敵は歩兵を前面に押し出し、その後方に騎兵を控えさせていた。更に、以前ディアスと戦ったトゲ付き鎧の将の姿も確認された。

ディアスは兵達へ、敵が歩兵でも騎兵でもやることは同じだと叫び、大槍で敵を突き続けろと命じる。

その声は仲間達によって全軍へ伝えられ、兵達は雄叫びを上げながら戦闘態勢を整えた。

猛将の暴走

一方、帝国側では猛将を自称する男が指揮を執っていた。

彼は、帝国の戦とは正面から歩兵でぶつかり、その後に騎兵で叩き潰すものだと叫び、歩兵へ突撃を命じる。

策や被害軽減を考える者を臆病者と罵り、帝国の威を見せつければ勝利出来ると信じ切っていた。

前線からは、敵の士気が高く陣地を突破出来ないこと、地面が泥濘化して騎兵運用に不向きなこと、大槍による対騎兵準備が整っていることなどが報告された。

しかし男はそれでも騎兵突撃を命じ、帝国騎兵こそが戦場の道理だと叫び続けた。

泥濘地での騎兵戦

夕暮れ時、帝国重装騎兵が突撃を開始する。

しかし騎兵達は泥濘へ足を取られ、勢いを大きく失っていた。重装備と馬の重量によって足は深く沈み込み、本来の機動力を発揮出来なくなっていたのである。

そこへディアス達の大槍が突き出された。

鎧そのものを貫くことは難しくとも、関節部や落馬を狙うことで次々と騎兵を戦闘不能へ追い込んでいく。

それでも一部の騎兵は高台へ駆け上がり、陣地へ直接攻撃を仕掛けてきた。

馬の圧倒的な力と高所からの攻撃は凄まじく、突進力が十分であれば陣地は簡単に突破されていただろうとディアスは実感する。

ディアスの突撃

やがて歩兵までもが総攻撃に加わり、敵軍の圧力は陣地を押し潰し始めた。

ジュウハの策もまだ発動せず、ディアスは時間稼ぎが必要だと判断する。

大槍を捨てて戦斧を手にしたディアスは、敵陣へ単身突撃した。

直感のみを頼りに戦斧を振り回し続け、敵の攻撃を感覚だけで避け、受け止め、ただひたすら敵を薙ぎ倒していく。

やがて気付けば、ディアスを中心に大穴のような空間が戦場に出来上がり、周囲の敵兵達は恐怖で声を失っていた。

馬達の異変

陣地へ戻ったディアス達は、敵軍に奇妙な異変が起きていることへ気付く。

騎兵達の馬が一斉に北を向き、悲鳴のような嘶きを上げたかと思うと、騎手を振り落としてまで逃走を始めたのである。

帝国軍は混乱に陥ったが、ディアス達は好機と見て攻撃を継続した。

そしてその直後、北方から一度だけ戦鐘が鳴り響く。ジュウハによる待機命令だった。

ジュウハの水計

次の瞬間、北から凄まじい轟音と共に濁流が押し寄せた。

泥や石を巻き込みながら襲い来た洪水は、陣地前にいた帝国軍を一気に飲み込んでいく。最初は浅かった水も次第に深さを増し、やがて兵達は耐えきれず流されていった。

その正体は、ジュウハが北方の湖を破壊したことによる水計だった。

帝国軍は壊滅し、生存者は捕虜となる。逃走した騎兵や馬までもが、事前にジュウハが張っていた罠へ次々と掛かっていった。

更に東の大砦も、ジュウハの脅迫同然の開城交渉によって陥落する。

こうしてディアス達は、大砦と周辺地域の支配権を獲得することとなった。

黄金低地の誕生

戦後、ジュウハは大砦に残されていた大量の食料・装備・金貨銀貨を前に上機嫌となり、しばらくここで待機するとディアスへ告げる。

敵軍を撃破したものの、他戦線との足並みを揃える必要があったのである。

その中でディアスは、水浸しとなった低地を見て、暇つぶしに土地を耕そうと思いつく。

戦争前の日常を取り戻すため、皆で畑を作れば心も休まるのではないかと考えたのである。

ジュウハは呆れながらもそれを認め、結果として兵達は五ヶ月間、その低地で耕作や遊興を楽しみながら過ごすことになった。

後にその豊かな土地は、「黄金低地」と呼ばれるようになったのである。

吹雪の日のユルトで――ディアス

黄金低地の由来

ディアスが黄金低地での戦いと、その後の出来事を語り終えると、セナイ、アイハン、エイマの三人はくすくすと笑い始めた。

そしてエイマは、あの低地こそが「黄金低地」と呼ばれる理由なのだろうと語る。

ディアス達が耕した土地に麦が実り、その黄金色の穂が一面を覆った光景から、その名が生まれたのだろうと推測したのである。更に、洪水によって肥沃になった土地を活かし、集落の人々が技術と知識を学びながら発展していったのだろうとも話した。

アルナーもまた、春の若草が草原にとって黄金同然の価値を持つように、麦穂で満たされた低地が黄金と呼ばれるのも理解できると頷く。

皆が楽しげに話し合う中、外では強い風が吹き、吹雪の寒気がユルトの隙間から入り込んでくる。

するとセナイとアイハンはアルナーへ駆け寄り、アルナーは大きなメーア布で二人とエイマを包み込み、そのままディアスの側へ移動して皆で暖を取るのだった。

春を待つ子供達

メーア布の中でもぞもぞと動きながら、セナイとアイハンは早く春が来て欲しいと口にする。

それに対しアルナーは、恐らくこれが冬最後の吹雪なのだろうと語った。

春になれば家畜の世話、ユルトの建て替え、洗濯、薬草集め、黒ギー狩りなど、忙しい日々が始まると話すが、それでも子供達は春を待ち望んでいた。

そしてセナイとアイハンは、春が来たら畑や森の世話を頑張るのだと、即興の歌を吹雪の空へ向かって歌い始めるのだった。

黄金低地を視察するゴードン

場面は変わり、雪解けが始まった黄金低地。

かつて荒野だったその土地は、今や王国一の穀倉地帯となっていた。麦畑は地平線まで広がり、春の麦が少しずつ伸び始めている。

その景色を前に、騎士となったゴードンは緊張した面持ちで第一王女イザベルの話を聞いていた。

側には、この地を治めるサーシュス公の姿もある。

イザベルは、内政こそが国を豊かにし、人々を幸せにする素晴らしい営みだと語る。

しかし豊かさは争いを招くため、王は民と国を守れるだけの強さを持たねばならないとも続けた。

彼女は、兄であるリチャードを強い王に育てるため、自ら敵対者として立ちはだかってきたのだと明かす。

苦労と試練を与えることでこそ王は鍛えられるのであり、そのために派閥を築き、サーシュス公と共に行動してきたのだと語ったのである。

イザベルの王への思想

イザベルは、リチャードは悪人ではないが、まだ強い王には程遠いと断言する。

だからこそ、必要ならば自ら結婚し、その夫を新たな王位候補として立てることで、更なる試練を兄へ与えるつもりなのだと語った。

戦場で鍛えられた男か、父を殺してでも領主になろうとする男か、誰が相応しいかをサーシュス公とゴードンへ問いかける。

サーシュス公は、イザベルの理想と王に相応しい能力を兼ね備えた男を選ぶべきだと答えた。

しかしイザベルは、それでは駄目だと強く否定する。

大切なのは、自分の好みではなく、リチャードの前に立ちはだかり、彼を強い王へ鍛え上げる存在かどうかだと断言したのである。

不要になれば離縁すれば良いとまで言い切るイザベルの強烈な意思に、ゴードンは思わず息を呑むのだった。

黄金低地への賞賛

その後イザベルは、今日一日農民達と共に畑仕事をしたことで、この土地が豊かな理由を理解できたと語る。

北から流れてくる小川が、水だけでなく肥沃な土や様々な養分を運び、それを定期的に畑へ撒いているから土地が痩せないのだと見抜いていた。

更に、家畜の糞だけに頼らず、別の工夫まで加えている点を高く評価する。

そして、その知識と技術を与えたのがディアス達であると知り、敵地を略奪するのではなく、開墾を助け、人々へ技術を伝えたことへ感嘆する。

かつては貧しい集落に過ぎなかった場所が、数年で巨大な穀倉地帯へ変貌した現実を前に、イザベルは改めて内政の素晴らしさを噛み締めていた。

そして、そうした知識と経験を持つディアスこそ、救国の英雄に相応しい人物なのだと独り言のように呟くのだった。

イルク村で ディアス

春の気配と村の活気

吹雪が去った数日後、アルナーの言葉通りに寒さは緩み、太陽の光も強くなっていた。雪はまだ残っていたが表面は溶け始めており、ディアスは春が近づいていることを実感していた。

暖かさに誘われ、子供達は活発に外を駆け回るようになっていた。セナイとアイハンを先頭に、犬人族の子供達やメーアの六つ子達が続き、言葉も遊びも成長したことで、以前より複雑な遊びを楽しめるようになっていた。

順調に進む村の仕事

クラウス達の関所作りは、仮設ながらも関所として機能する形に近づいていた。小屋や大きな門、荷物を改める場所や屋根が整えられ、最低限の役割は果たせるようになっていた。

ヒューバート達が進めていた荒野の地図も完成し、一つは王都へ送り、一つはイルク村で保管することになった。岩塩採取小屋や立て札を整えれば、荒野は正式にメーアバダル領の一部となる見込みであった。

ナルバント達の鎧作りも難航しつつ順調に進み、ディアスは完成後に彼らを労う宴を開くのも良いと考えていた。

サーヒィの悩み

村全体が順調に春を迎えようとする中、ディアスが気にかけていたのはサーヒィ達のことだった。

サーヒィは三人の妻、リーエス、ビーアンネ、ヘイレセに好かれていたが、自分が夫として相応しくないと感じ、結婚生活に馴染みきれていなかった。

三人の妻達は、イルク村という安定した仕事場を作ってくれただけで十分だと考えていた。しかしサーヒィ自身は狩りでも意欲でも妻達に及ばないと悩んでいた。

ディアスは、互いに嫌い合っているのではなく、好き合っているからこその悩みであるため、時間をかければ解決できるだろうと考えていた。

倉庫に駆け込む子供達

ディアスが廁用資材の確認をしていると、犬人族の年少組が倉庫へ駆け込んできた。

子供達は遊び相手や楽しいものを探して目を輝かせていたが、ディアスは倉庫は危険なものも多く、遊び場ではないと優しく諭した。

叱られたと思ってしょんぼりする子供達に、ディアスは叱ったのではなく安全な場所で遊んでほしいだけだと伝え、一人一人の頭を撫でた。

春風の到来

撫でられて機嫌を直した子供達を、ディアスは少しずつ倉庫の外へ誘導した。

外へ出ると、暖かく力強く、土と青い草の匂いを含んだ風が吹いてきた。その風を受けて転ぶ年少組を見ながら、ディアスはようやく春風が来たのだと呟くのだった。

書き下ろし 蒼穹の狩人

春の花を見に行く一行

春風が吹き、雪解けが進む中、セナイとアイハンはサーヒィが見つけた花を見に行きたいとディアスへ頼んだ。

サーヒィは、森の近くに綺麗な花が咲いていることをベンへ話したところ、それを二人に聞かれてしまったと説明した。ディアスは天気も良く、特に急ぎの用事もなかったため、皆で花を見に行くことを決めた。

参加したのはディアス、アルナー、セナイ、アイハン、エイマ、サーヒィ、フランシス、フランソワ、六つ子達であった。

森の近くに咲く白い花

一行が森と草原の境目へ向かうと、雪が完全に溶け、青々とした草が顔を出した一帯に、白く小さな花が数え切れないほど咲いていた。

セナイとアイハンは花の側へ駆け寄り、香りを楽しんだ。六つ子達も真似をして匂いを嗅ぎ、やがて花を食べ始める。

セナイとアイハンは花を摘んで花かんむりを作り、アルナーはその編み方に感心しながら、この花は乾燥させると薬になると説明した。

サーヒィが聞き取った狼の声

花を楽しむ皆から少し離れた場所で、ディアスとサーヒィは周囲を見守っていた。

その時、サーヒィは北の山の方から狼の吠え声を聞き取る。春になり、餌を求めて動き出した狼達が、この花の咲く一帯へ向かっているらしかった。

ディアスは共に追い払おうとしたが、サーヒィは自分一人で十分だと告げた。ディアスにはその場に残り、皆を守ってほしいと頼んだのである。

サーヒィの決意

サーヒィは北へ飛び、八匹の狼の群れを発見した。

狼達は狩りに備えて神経を研ぎ澄ませており、一度の奇襲だけでは追い払えない可能性が高かった。反撃を受ければ、鷹人族であるサーヒィの体は簡単に切り裂かれる危険があった。

それでもサーヒィは、いつかドラゴンを狩る鷹人族の戦士である自分が、この程度で恐れてはいられないと奮い立った。セナイとアイハンを守るため、サーヒィは狼達へ急降下していった。

花かんむりと平和な時間

一方、花畑ではセナイとアイハンが花かんむりを完成させ、フランシスとフランソワの頭へ乗せた。

しかしフランシス達にとって花かんむりは美味しそうなごちそうでもあった。二頭は我慢できず、頭を振って花かんむりを落とし、そのまま食べてしまった。

セナイとアイハンは、食べては駄目だと笑いながら声を上げた。アルナーやエイマもその様子を微笑ましく見守り、六つ子達は周囲の花や草を夢中で食べ続けていた。

サーヒィの帰還

やがてサーヒィが空から戻ってきた。

ディアスが腕を上げると、サーヒィはそこへ降り立った。翼はぼろぼろになり、尾羽根も何本か抜けていたが、サーヒィは追い返してやったと誇らしげに告げた。

ディアスは心配の言葉を飲み込み、よくやってくれた、ありがとうと伝えた。

サーヒィはその言葉に満足し、セナイ達の笑顔を静かに見守った。傷つきながらも守りきった平和な光景を前に、サーヒィは胸を張り続けるのだった。

特別書き下ろし。妻達の夫自慢

穏やかな風の吹く竈場で アルナー

竈場での雑談時間

イルク村の竈場は、食事を支える仕事場であると同時に、昼過ぎになると女性達の雑談の場へと変わっていた。

家事を終えた女性達は椅子や敷物を持ち寄り、湯を沸かして茶を飲み、菓子を食べながら思い思いに会話を楽しんでいた。

男性陣も子供達も自然とそこへ近付かなくなり、竈場は女性達だけの賑やかな空間になっていた。

夫達を褒め合う女性陣

その日の話題は、アルナー、カニス、リーエス、ビーアンネ、ヘイレセを中心とした夫自慢であった。

話題に上がったのはディアス、クラウス、サーヒィであり、それぞれの良い所や好きな部分が次々と語られていった。

カニスは、ディアスは誠実で優しく、欠点が見当たらない良い旦那だと称賛した。

それを受けたアルナーも、ディアスは男気があり真面目で、仕事への愚痴も言わず、婚約を急がず三年待つと言ったことも、その真面目さゆえなのだと語った。

カニスは、その慎重さをアルナーが嬉しく受け止めていることに納得し、感心した様子を見せていた。

サーヒィへの微笑ましい不満

リーエス達もまた、サーヒィとの生活について語った。

まだ一緒に暮らし始めたばかりではあるものの、アルナーやカニスのような良い家庭を築きたいと願っていた。

一方で、サーヒィは真面目過ぎるせいか、もう少し積極的になって欲しいという不満も漏らされる。

しかしそれも、サーヒィが三人の妻を真剣に考えているからこその態度だと理解しており、不満というよりも微笑ましい悩みとして受け止められていた。

理想の夫婦としてのフランシスとフランソワ

そんな和やかな空気の中、静かに話を聞いていたフランソワが声を上げた。

フランソワは、夫フランシスが妊娠中も出産後も献身的に支えてくれたことを誇らしげに語る。

その仲睦まじさは村でも群を抜いており、既に子供達にも恵まれ、家族としても理想的な関係を築いていた。

さらに、また次の子供が出来るかもしれないという話まで飛び出し、アルナー達は思わず羨ましそうな声を漏らした。

こうして竈場では、幸せな家庭の話題と笑い声が、夕食の支度が始まる夕刻まで絶えることなく続いていった。

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