小説【転スラ】「転生したらスライムだった件 16」感想・ネタバレ

小説【転スラ】「転生したらスライムだった件 16」感想・ネタバレ

どんな本?

転生したらスライムだった件”とは、伏瀬 氏による日本のライトノベルで、異世界転生とファンタジーのジャンルに属す。

主人公は、通り魔に刺されて死んだ後、スライムとして異世界に転生。
そこで様々な出会いと冒険を繰り広げながら、魔物や人間との交流を深めていく。

小説は2014年からGCノベルズから刊行されており、現在は21巻まで発売されている。

また、小説を原作とした漫画やアニメ、ゲームなどのメディアミックスも展開されており。

小説のタイトルは「転生したらスライムだった件」だが、略称として「転スラ」と呼ばれることもある。

読んだ本のタイトル

転生したらスライムだった件 16
著者:伏瀬 氏
イラスト:みっつばー 氏

gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 小説【転スラ】「転生したらスライムだった件 16」感想・ネタバレBOOK☆WALKERで購入 gifbanner?sid=3589474&pid=890337671 小説【転スラ】「転生したらスライムだった件 16」感想・ネタバレ

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あらすじ・内容

帝国との戦いは残り火が燻りつつも、ひとまずの終結を向かえた。リムルはこれからの対策のために仲間の状況を確認することに……。

帝国との戦いに勝利を収めたリムルだったが、
ルドラの身体を乗っ取ったミカエル、妖魔王フェルドウェイの暗躍と、
やっかいな問題はまだ残ったままであった。
リムルが戦っていたその裏で起きていた、地下迷宮のラミリス防衛戦もまた不安を煽る。
とはいえ一先ず窮地は脱したことで、リムルはこの機に部下たちの面談を行うことに……。

転生したらスライムだった件 16

感想

帝国との戦いがひとまずの終結を迎えた後の世界で始まる。
リムルは、これからの対策を練るため、仲間の状況を確認することにする。
戦いには勝利したものの、ルドラを乗っ取ったミカエルや妖魔王フェルドウェイの暗躍が新たな問題として残る。
同時に、リムルが帝国と戦っている間に起きた地下迷宮ラミリスの防衛戦もまた、不安を煽る出来事であった。

この巻では、ダンジョンでの戦いや帝国との戦争の後始末にスポットが当てられる。
戦力のインフレが顕著になり、特にゼギオンの強さに驚かせる。
また、ヴェルグリンドとマサユキの出会いや、帝国の人々がマサユキを受け入れる過程など、新しい展開が描かれる。

感想としては、帝国との戦いの裏で行われた迷宮防衛戦や、戦力調査が注目される。
また、巻末の味方の強さの展示や、ステータスの紹介が出たことで、物語の説明的な側面が強くなっていると感じられる。
一方で、ルドラやギィとの関係や、ヴェルダナーヴァの復活を目指す天使との戦いに向けた伏線が、物語に深みを加えている。

結論として、この巻は、帝国との戦いの後の世界を描き、リムルと仲間たちの新たな挑戦が始まることを予感させる。
戦後処理や戦力の確認など、一息つく場面もあれば、新たな敵の暗躍による緊張感も漂う。
キャラクターたちの関係性や物語の展開に期待が高まる一冊で、次巻への期待を大いに膨らませている。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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備忘録

序章

異界では妖魔族、蟲魔族、幻獣族の三勢力が覇を競っていた。これらの勢力は、異次元からの侵略者も滅ぼすほどの力を持っていた。妖魔族と蟲魔族は階級社会を形成し、幻獣族は半精神生命体であり、個々に強大な戦闘能力を有していた。三勢力は互いに戦い続けていたが、幻獣族が暴走すると休戦し共闘していた。

フェルドウェイは異界で最初に生まれた意思ある存在で、ヴェルダナーヴァの助手として活動していた。しかし、ヴェルダナーヴァが消失し、彼の復活を望むフェルドウェイは、異界のバランスを変えようとする。ゼラヌスとの協力を求めるが断られ、フェルドウェイはさらに憎悪を募らせる。

ある時、フェルドウェイは自称ルドラから声をかけられる。この声の正体は究極能力『正義之王』であり、ヴェルダナーヴァの復活を目的としていた。フェルドウェイはこの声、自らミカエルと名付けた存在と協力し、ゼラヌスを説得する任をミカエルに託す。ミカエルは成功し、世界の半分を蟲魔族の支配地とする契約を結ぶ。フェルドウェイは、ヴェルダナーヴァの復活さえ果たせればそれで満足であった。

新たな関係が構築されてから千年以上が経過し、計画は順調に進んでいた。ミカエルを支配していたルドラは、転生を繰り返すことで力を削がれていた。この転生を経て、ミカエルの権能にかけられていた制限が解かれ、ルドラの影響が消えると、ミカエルは天使系の究極能力保有者を完全に支配下に置くことが可能となる。フェルドウェイとミカエルは、ルドラを排除すれば世界を手に入れ、ヴェルダナーヴァの復活を待つだけと考えていた。

ミカエルはフェルドウェイに、自身の受け皿となることを要請した。これにより、ルドラを利用しつつフェルドウェイも『正義之王』の権能を使用できるようになる。さらに、ルドラが消えた後にフェルドウェイが『正義之王』の新たな権能主となることで、妖魔族が強固なエネルギー源となり、フェルドウェイはルドラ以上に堅固な守りを得ることができる。この提案をフェルドウェイは受け入れ、フェルドウェイにも神智核である情報体が宿ることとなった。

決戦の日が到来し、ルドラは精神力で自己を保ちつつ、ギィとの最終勝負に臨んだ。フェルドウェイの計画では、魔王リムルを排除し、ヴェルドラを捕獲することにあったが、この計画は順調に進行していた。フェルドウェイにとって、帝国の損害や覚醒者の出現は無関係であり、重要なのはルドラを排除してミカエルを解放することだった。しかし、フェルドウェイには解決すべき不安が残っていた。それは、ルドラに容貌が似ており、『英雄覇道』を発現している「勇者」マサユキがルドラの代わりになり得る可能性があったことだ。この不安を払拭するためにフェルドウェイは行動を起こしたが、リムルという魔王によって計画に狂いが生じることは想定外だった。

第一章

皇帝ルドラ、現在はミカエルと名乗る者と妖魔王フェルドウェイが退去し、決着はつかなかったが、互いに痛み分けの結果となった。不安要素は残ったものの、現在は皆の無事を祝うことに重点を置いている。宴会を開催し、気分を高揚させることにしたが、ラプラスを招待しようとしたものの、すでに不在であった。その他、カリオンやフレイらが進化の眠りについていたため、テスタロッサに預けて送り届けるよう手配した。首都リムルに戻った魔王リムルは、町の一角が焼け落ちたという報告を受けるが、被害は限定的で人的被害は軽微であった。宴会場で大活躍した幹部たちと共に、今後の対策を話し合うことになる。ヴェルドラやベニマル、シオン、ディアブロなどが席に着き、報告の準備が整えられた。しかし、ヴェルドラは話を聞く気がなく、ラミリスは食事に夢中になっていた。ヴェルドラは、今回の戦いで勝てる自信があったが、ラミリスの発言で動揺する様子を見せた。最終的には、ヴェルドラの言い訳に終始し、ベスターへの関心が移った。

リムルが帝国へ向かった後、残された者たちは直ちに緊急態勢に移行した。ラミリスもリムル達の緊急出動により不安を抱いていた。迷宮が破壊された際、ラミリスは古い記憶を思い出し、ヴェルドラとその姉であるヴェルグリンドの力の差を思い知らされた。ヴェルグリンドが熱を司る炎属性を持つことから、ヴェルドラにとっては相性が最悪であったが、それ以上に強力な存在が長姉のヴェルザードであった。ラミリスはヴェルザードの真実を知っており、彼女が敵に回った場合、ヴェルドラに勝ち目はなかったと考えられる。ヴェルドラがヴェルグリンドに対して自信満々に出撃した後、ラミリスは管制室に残る者たちと共に状況を見守った。ラミリスは不安を抱えつつも、ヴェルドラとリムルを信じ、穏やかな日常を取り戻すことを願っていた。しかし、その直後に事件が発生した。

警告が発され、侵入者の存在が知らされると、アルファらオペレーターは戦闘態勢に入った。モニターに映し出されたのは、異質な存在を放つ天使であった。その存在値は推定で三百万以上と計測され、それに続く五体も四十万から七十万とのことで、〝管制室〟を驚愕させた。存在値は迷宮の隠された役割の一環として数値化されるが、実際の戦闘能力とは異なるため、参考程度に考えられていた。

魔国連邦では存在値を自由組合の等級と紐づけており、一万を超えるとA級、十万を超えると特A級とされ、特定の基準を超えると超級覚醒者と称される。この侵入者は超級覚醒者、即ち熾天使級の存在と見なされ、厄介な事態となることが予想された。

トレイニーとその姉妹、ドリスとカリスは迎撃を決意し、ラミリスを守る誓いを立てる。ラミリスは彼らを止めようとするが、他に手段がないため、彼らの決意を尊重することにした。ラミリスは全力でサポートすることを誓い、皆がそれぞれの役割に従って迅速に行動を開始した。

ラミリスたちが遭遇した侵入者の正体は、妖魔王フェルドウェイ配下の筆頭、ザラリオであった。彼は元熾天使で、現在は〝三妖帥〟の一人として妖魔族を率いている。フェルドウェイからヴェルグリンドが迷宮を破壊した好機を利用し、特定の目標を抹殺する絶対命令を受けていた。ザラリオは自ら五名の将軍を引き連れ、迷宮に侵入する。これらの将軍も元上級天使であり、魔王に匹敵する魔素量を持っていた。

迷宮内にて、ザラリオたちはトレイニーとカリス、竜王たちと遭遇する。トレイニーは最大限に強化されており、風の精霊王を宿して戦いに挑む準備ができていた。カリスや竜王たちも、それぞれの強化と準備を整え、戦いに臨んでいた。トライアとドリスも支援の準備をしていたが、ベレッタはラミリスの護衛として残っていた。

ザラリオは自己紹介をし、彼らの目的が本城正幸(マサユキ)の抹殺であることを明かす。トレイニーたちはこれを拒否し、戦闘が開始される。

トレイニーがザラリオに対して、空間属性の攻撃技術「不可視化断裂刃」を使用するが、ザラリオはその攻撃を空間歪曲防御領域で無効化する。ザラリオのこの行動は、トレイニーたちにとって予期せぬものであり、ザラリオの真の力を見極める上で重要な指標となった。トレイニーはカリスと共に戦略を変更し、ザラリオの消耗を待つ時間稼ぎの戦法に切り替える。

一方、ザラリオが連れてきた五名の将軍は、迷宮の戦力に苦戦していた。竜王勢は迷宮内での戦闘訓練の成果を発揮し、一方的な展開を演じていた。トレイニーは、この状況を利用し、全員でザラリオに挑めば勝利できると考えたが、ザラリオの余裕のある態度に不安を感じる。

その間に、トレイニーはラミリスに連絡し、マサユキの安全確認を依頼する。ラミリスはトレイニーの要請に応じ、マサユキが無事であることを確認する。マサユキは避難している町の住民を落ち着かせる役割を果たしていた。しかし、トレイニーは依然としてマサユキが敵に狙われる可能性に懸念を抱き、ラミリスに対策を講じるよう促す。これを受けて、マサユキはより安全な七十階層へ移動することになる。

マサユキはリムルやその他の上層部の行動に対して不満を抱えているが、シュナのように彼のことを心配してくれる人には感謝している。ラミリスからは、緊急状況を理由に七十階層への移動を命じられるが、マサユキはこの指示に不本意を感じていた。一方で、ヴェノムという青年とは意外にも親しくなっており、ヴェノムはマサユキの護衛を任されている。マサユキは、自分の存在が周囲にどのような影響を与えているのか、そしてリムルやラミリスが彼をどう見ているのかについて考え込んでいる。

その後、コルヌと名乗る敵が現れ、ヴェノムとマサユキを襲撃する。ヴェノムはマサユキを守るために立ち向かうが、コルヌの力は圧倒的で、ヴェノムは重傷を負う。この時、ミニッツとカリギュリオを含む数名が現れ、マサユキとヴェノムの救援に駆けつける。彼らの協力により、マサユキとヴェノムは一時的にコルヌからの攻撃をしのぐことができる。

ジウとバーニィがマサユキを別の場所へと誘導し、ジウがマサユキに化けることでコルヌを欺く作戦を立てる。マサユキは自分が行動することで仲間に迷惑をかけることを懸念しているが、彼らの計画に従って行動を開始する。この一連の出来事は、マサユキが自分と周囲の人々との関係、および自身の立場について深く考えるきっかけとなる。

第一章

管制室では、突如出現した敵の存在値が想定以上に高いことにより、混乱が発生していた。敵の一人であるザラリオは神話級を装着し、その存在値が二百八十万にまで跳ね上がっていた。ラミリスは、この状況に対処するため、避難計画の実行を急ぐ。しかし、ヴェノムやその他の味方達だけでは敵に対抗するのが難しい状況であった。

そんな中、地上部には新たな敵が現れ、これが堕天使であることが判明する。この堕天使達もまた、非常に高い存在値を持つ強敵であった。しかし、ゲルドが進化を遂げ、その存在値が二百三十七万を超えることで、状況に一筋の光が見え始める。ゲルドの加勢により、管制室内は勝利への希望が高まる。

さらに、クマラが現れ、彼女もまた高い存在値を持ち、戦いに参加する。ゲルドとクマラの参戦により、戦況は好転し、ゲルドの部下達が結界を張って町を守ることに成功する。しかし、フェルドウェイの真の狙いはまだ明らかになっておらず、これまでの戦いが陽動であった可能性が示唆される。

管制室での緊張が少し和らいだ中、ラミリスは大人しくなり、ベレッタは冷静に対応を続けている。シンジはこの状況を他人事のように冷静に見ており、ラミリスの動揺に対して内心ではもっと落ち着くべきだと思っている。シンジ自身、異世界人として特A級に相当する存在でありながら、この場にいる者たちと比べると際立って強いわけではないと感じている。特に、美人姉妹のオペレーターたちの存在値が十五万を超えていることに驚いている。

シンジは、現状で何とか勝負が成立していることを凄いと考える一方で、自身の強さについては気にするだけ無駄と考え、現実逃避に走っている。特に、シュナに対する憧れの感情を抱え、彼女のことを考えることで幸せを感じている。シュナとラミリスを比較してしまい、シュナの成熟した態度に惹かれる一方で、ラミリスの子供っぽさには苦笑いしている。

しかし、シンジの注意が他のことに向けられていたため、いつも気怠げにしているディーノが立ち上がっていることや、真面目な上司のベスターが机に突っ伏して眠っていることに気づく。シンジがディーノに何をしているのか問いかけたその行動が、この日の最大の功績となった。

ディーノは、ある人物からの依頼を受けて不本意ながら行動を起こそうとしたが、シンジの声によって計画が失敗に終わる。ベレッタによって阻止されたディーノは、自分の意図を隠しつつ、シンジの能力を認めつつも彼に対する不満を漏らす。ディーノの真の目的は、ラミリスを捕えてフェルドウェイの命令に従うことだった。ラミリスはこの提案を拒絶し、リムルが戻るまで迷宮を守る決意を示す。ディーノはかつて「始原の七天使」の一員として、フェルドウェイの命令に従って行動していたが、現在は堕天族として存在している。彼はフェルドウェイからの命令を無視することはできず、ラミリスの提案を断り、戦いを選ぶことになる。

ラミリスがベレッタに戦闘を命じ、ディーノとの戦いが始まる。ディーノは神話級の大剣「崩牙」を構え、その存在値は百万と報告される。ベレッタは素手でありながら、魔鋼の人形の身体を持ち、生体魔鋼へと変質しており、非常に強固な防御力を有している。しかし、ディーノの存在値が四十万から二百万に膨れ上がり、ベレッタとの間には大きな差が生じている。それでもベレッタはディーノの攻撃を回避し続け、機会を伺う。ディーノはベレッタを黒の眷属と評しつつも、その戦い方を褒めるが、ベレッタはこれを武器にして戦う。ディーノとベレッタの戦いは、技巧を凝らした攻防が繰り広げられていた。

ディーノはベレッタとの戦いにおいて有利な立場にありながらも、戦闘の長期化を予想していた。ベレッタは迷宮内での無限の復活能力と全力出力を維持できる環境の利を生かし、ディーノに対抗していたが、力の差は明らかであった。ディーノは自らの技量を発揮し、ベレッタの攻撃を回避しつつ、反撃の機会を伺っていた。しかし、ベレッタはディーノの攻撃を受けることなく冷静に対処し、攻撃を重ねていた。ディーノはベレッタの持つ聖と魔の属性を融合させた攻撃に苦戦を強いられていた。結局、ディーノはユニークスキル『怠惰者』を用いてベレッタを含む周囲を眠らせることに成功するが、この状況に対してベレッタはアピトに自らの〝聖魔核〟を破壊してもらい、無傷で復活する策を取る。アピトはベレッタの依頼を受け、迅速に行動してベレッタを復活させる準備を整える。この行動により、ディーノは完全勝利を収めることができず、戦いはさらに激化することとなった。

ディーノは、迷宮内でアピトやベレッタに対して有利な立場にありながら、彼らを殺すことができず、戦闘を長引かせていることに苛立ちを感じていた。アピトは進化によって得た高速の動きでディーノを翻弄し、ベレッタも復活して戦いに加わるため、ディーノが簡単に勝利することはできなかった。この状況に対処するため、ディーノは再びユニークスキル『怠惰者』を発動させようとするが、その準備には時間がかかる。

一方、ディーノはリムルとヴェルグリンドの戦いや、フェルドウェイの計画について考えを巡らせていた。リムルがヴェルグリンドに互角以上に戦っていること、フェルドウェイの計画が進行中であることがディーノには衝撃だった。フェルドウェイの作戦は、ラミリスの確保と迷宮の破壊を含んでおり、ディーノはその一環として〝管制室〟で活動していた。しかし、ディーノは自分がなぜこの作戦に深く関わっているのか、その違和感を抱えていた。

ディーノの思考は、フェルドウェイが指揮する作戦の他の参加者や戦況にも及んでいる。ディーノはフェルドウェイの作戦が順調に進んでいると一時は考えるが、自分が作戦に関わることへの違和感や嫌気がさしていることも感じていた。最終的に、ディーノはフェルドウェイからの命令に従うしかないと感じ、戦いに本気で取り組むことを決意する。

フェルドウェイは隠れ潜みながらコルヌの戦いを観察し、彼の過去の失敗に失望していた。一方、マサユキは自分一人だけが逃げることに納得がいかず、戦っている仲間たちに戻る決意をする。その瞬間、マサユキの内に「英雄的〝逃げない勇気〟」を確認し、ユニークスキル『英雄覇道』の隠された権能『英魂道導』が解放される。この新たな権能は、死者の魂を導き、マサユキを旗印とするものであるが、マサユキ自身はその効果を理解しにくく、役立たずのスキルではないかと感じる。それでも、彼は仲間たちのところに戻ることを選び、バーニィもそれに同意する。そして二人は仲間のもとへ戻るために動き出し、物語は次の展開へと進む。

フェルドウェイはバーニィを攻撃しようとするが、仮面の少女クロノアによって阻止される。クロノアは自らを「勇者」と名乗り、フェルドウェイと対峙する。二人の戦いは想像を超える速度で繰り広げられ、一時は勝敗がつかないかと思われたが、フェルドウェイは究極能力「『希望之王』」を使ってクロノアを支配下に置く。その後、フェルドウェイはクロノア(サリエルとして)にマサユキの殺害を命じ、自らは地上に用事があると言い残し、迷宮を後にする。この展開は、フェルドウェイが大きな判断ミスを犯した瞬間でもあった。

マサユキとバーニィが戻ってきたことで、ヴェノムは安堵した。コルヌは強敵だが、マサユキの存在により、仲間たちは勇気を得ていた。突如、サリエルと名乗る少女が現れ、コルヌの側につく。マサユキは混乱しつつも、サリエルの美貌に心奪われる。しかし、マサユキは真の愛を思い出し、究極能力『英雄之王』へと進化する。この新たな力により、仲間たちは大いに活躍し、戦闘は膠着状態になる。しかし、この状況下でもマサユキの究極能力により、勝敗はすでに決していた。そして、ヴェルグリンドがこの世界から消失し、運命の歯車が動き出す。

ヴェルグリンドが時空を超えて現れ、マサユキに抱きつき、キスを交わす。この突然の行動に、戦場は一時的に静まり返る。ヴェルグリンドはマサユキをルドラと呼び、深い愛情を示す。コルヌとサリエル(クロノア)は、この予期せぬ事態に困惑する。ヴェルグリンドの攻撃で、コルヌは消滅する。ヴェルグリンドは、サリエルが自らの意思でミカエルの支配に抵抗していることを認め、彼女を傷つけることはなかった。この出来事により、マサユキとヴェルグリンドの間の深い絆が、周囲に誤解されながらも、新たな平和の兆しを示す。

ヴェルグリンドの登場により戦闘が終息し、帝国軍の将兵は彼女の判断を待つ。バーニィはヴェルグリンドに謝罪し、将兵の帰国を願うが、ヴェルグリンドはマサユキを守ったことを評価し、帝国軍を守ることを約束する。マサユキの本当の名前と身元についての誤解が解け、彼はルドラではなく、マサユキとして受け入れられる。しかし、将兵たちはマサユキを皇帝として支持しようとする計画を進める。ヴェルグリンドはマサユキをルドラの魂の再来として愛し、彼女との関係を深めることにマサユキは決意する。マサユキの周りではさまざまな計画が進行中であり、彼の人生は新たな展開を迎えている。

ディーノは、ベレッタとアピトとの戦いで苦戦していたが、奥の手である究極能力『至天之王』を用いてユニークスキル『怠惰者』を『怠惰之王』へと進化させることで反撃の機会をうかがっていた。アピトとベレッタはディーノに対して効果的な攻撃を加えていたが、ディーノは自らの力を過信しており、その油断が苦戦の原因だった。しかし、ベレッタの支援魔法やアピトの直観力による攻撃に対し、ディーノは最終的に『怠惰之王』の力を解放し、『滅びへの誘惑』という能力で二人を破壊しようと試みる。この能力は対象者を自主的に滅びへと導くもので、物理的な防御手段では防ぎようがない。ディーノはこの力を用いて戦いの終結を図った。

ディーノは、究極能力『至天之王』を用いて『怠惰者』を『怠惰之王』に進化させ、ベレッタを強力な技で破壊し、一時的に戦闘から排除する。しかし、彼は自分が魔王リムルの配下と比べて中堅どころの強さであること、そして上位陣に比べれば勝てるか不確かな状況にあることを自覚していた。ラミリスに触れようとした時、彼女が光の粒子に変わり、幻覚であるかのようにディーノを嘲笑する。この事から、彼は戦いが監視されていることを悟る。

戦闘の最中、ゼギオンという名の〝幽幻王〟が登場し、ディーノの前に立つ。ゼギオンはヴェルドラがラミリスの護衛を託した最強の守護者であり、迷宮の最奥で幾重もの罠と共にラミリスを守っていた。彼の登場は、ラミリスの護衛が完璧であること、そして迷宮には最強の守護者がいることを示していた。この迷宮の絶対強者、ゼギオンが動き出し、ディーノに対する新たな脅威となる。

ゼギオンは繭となって能力を進化させていたが、意識は常に覚醒しており、迷宮内の状況を完璧に把握していた。彼は『絶対防御』の加護によってラミリスの安全を担保しており、ディーノはその事実を悟る。ディーノは自分の手の内を曝け出させる敵の目的に苦慮し、作戦の失敗を悟る。彼は、ゼギオンがラミリスをいつどのように逃がしたのか、そして自分が最初から幻覚と会話していた可能性に戸惑う。ディーノはゼギオンが精神攻撃を得意としている可能性について考え、その強さとリムルの寵愛を受けている事実に注目する。ゼギオンは物理的な戦い方に長けていたが、精神攻撃に関しては明確な証拠がなかった。ディーノはリムルが魔王リムルの配下達に進化の儀式を施し、彼らを強化したことについて考え、その異常さに戸惑う。ディーノはリムルとの関わりを避けようとしていたが、ゼギオンの強さは予想を超えており、彼が究極能力を獲得している可能性が高いことに気づく。

ディーノはゼギオンとの対決において、彼の強さを認識しつつも、自分の手の内を見せることに抵抗感を持っていた。ゼギオンの近接戦闘の強さと、彼が保有する可能性のある究極能力に不安を覚えるディーノは、自身の精神攻撃を駆使して戦うことを決意する。しかし、ゼギオンはディーノの攻撃を受け止め、彼の能力を無効化し、ディーノが放った「堕天の一撃」も直接受け止めてしまう。ディーノは、ゼギオンが精神攻撃に強いこと、また「幻想世界」の王として究極能力を持つ可能性に驚愕する。戦いはディーノの敗北で終わり、彼はゼギオンの「幻想次元波動嵐」によって消滅するが、何らかの方法で再生される気配があった。ディーノは、ゼギオンの圧倒的な強さと、自身の計画の失敗を認めざるを得なくなる。

ディーノは迷宮の外で目覚め、自身が生き残ったことに安堵する。彼は自分がラミリスの恩情で見逃されたと考え、安価な「復活の腕輪」のおかげで生き延びたと自嘲しつつ、その腕輪を見つめる。ディーノはこの事態をラミリスが生み出した商品のおかげとし、自分の命運をその腕輪に託していたが、天は彼に味方したと感じる。彼は作戦が失敗したことを認め、同僚との合流を急ぎ、ザラリオに作戦失敗を伝える。ディーノはゼギオンの強さに愚痴をこぼしつつ、フェルドウェイの作戦が失敗したことや、自分が最初から乗り気ではなかった作戦にどうして同意してしまったのかを疑問に思う。彼は迷宮での平和な日々を懐かしみ、ギィからの諜報任務を思い出しつつ、今後の行動について悩む。ディーノは自分が迷宮での快適な生活を送っていたことを回顧し、そこで過ごした時間を心から楽しんでいたことを認識する。彼は仲間たちとの別れを惜しみながら、彼らのもとへ急いで戻ることを決意する。

ディーノが仲間たちのもとに辿り着いた時、ゲルドとガラシャが互角の戦いを繰り広げていた。ディーノはゲルドの強さに驚き、彼の傷が直ぐに癒える様子から「超速再生」の能力を持っていると推測する。一方、空中ではクマラとピコが激しい戦いを展開しており、双方ともに互角の戦力を示していた。ディーノは撤退を決断し、ピコとガラシャに作戦失敗を伝える。ガラシャとゲルドは互いに認め合い、ピコとクマラも戦いを終えた。ディーノとその仲間たちは、戦場から撤退することに成功した。彼らはフェルドウェイの計画が完全に破綻したことを認識し、ディーノは迷宮での快適な生活に戻れないことを嘆く。

ザラリオは陽動の役割を完璧に遂行しており、迷宮内の戦いで敵と互角に渡り合っていた。彼女はカリスとトレイニーの強さを認識し、特にカリスの冷静な戦い方に警戒を強めていた。しかし、ザラリオは自身の実力に絶対的な自信を持っており、相手を圧倒する力を持っていると考えていた。その中で、アダルマンが登場し、ラミリスの安全が確保されていると告げると、ザラリオはディーノからの撤退命令を受け取る。ディーノからの一方的な報告により、ザラリオは戦いが無意味になったと判断し、撤退を決める。その後、ザラリオは場から転移し、迷宮を守った者たちは戦いを勝ち抜いた安堵感に包まれた。

迷宮からの脅威が去った後、ゼギオンは『幻想世界』の権能を解除し、ディーノがラミリス様の慈悲によって見逃されたことをベレッタと話し合った。ゼギオンはディーノが〝復活の腕輪〟を使って生き延びたことを知り、これをラミリス様の加護の実験として捉えた。ザラリオについては、アダルマンが対処し、敵はすでに撤退を決めた様子であると報告された。ゼギオンとベレッタはラミリス様がいなければ敗北していた可能性を認め、今後の警戒態勢を見直すことに同意した。迷宮の安全が確保された後、ゼギオンは自分の支配領域へ戻った。

第二章

迷宮での一連の事件が収束し、リムルはラミリス達からの報告を聞き終えた。クロエも安静にしており、問題はないとのことで、リムルは安堵した。今回の侵入者はラミリスから護衛を引き離す陽動とディーノの裏切りを企てたが、ゼギオンの間に合った行動によりラミリスは無事だった。ヴェルグリンドが戻ってきたことも判明し、今後の方針について話し合っているとのこと。リムルは、ディーノが本心から裏切ったわけではないと信じ、ベレッタやベスターの責任感の強さを慰めた。ベレッタは自らの敗北に責任を感じていたが、リムルは彼女の行動を適切と評価し、後で相談に乗ることを約束した。

リムルはゲルドやアダルマンからの報告を受け、今回の侵入者について理解を深めた。侵入者は、元は熾天使という最上位に位置する強大な天使であり、その中の一柱であるディーノを含む始原の七天使の一部だったと判明した。ディーノはゲルドやアダルマンとの戦いで、その強大さを示したが、彼らとは別勢力である可能性が高い。また、フェルドウェイとその配下である〝三妖帥〟についても触れられ、フェルドウェイがかつて〝始原の七天使〟の筆頭だったことが明らかにされた。リムルはディーノが操られている可能性を考慮し、彼を信じることを決意。ラミリスもディーノを許す意向を示した。リムルは、今後は妖魔王フェルドウェイとその一味を敵視し、警戒するよう皆に伝えた。

リムルとその仲間たちは、大きな報告を終えた後、宴を楽しんでいた。リグルドは皆の無事を喜び、ミョルマイルは隠し芸を披露し、参加者たちは大いに盛り上がっていた。ベニマルやガビルなどの幹部も自信に満ちた発言をしており、部下たちもその様子に大はしゃぎしていた。一方で、ヴェルドラは過去の敗北を他人事のように笑い飛ばしていたが、自身も敗北を認めず、言い訳をしている様子だった。カリスはヴェルドラの従者として、これからも認められるように精進すると述べていた。宴の中では、酒が振る舞われ、ディアブロやシオンがリムルに酒を注ぐ場面もあったが、シオンは酒癖の悪さから自制していると言い、ディアブロはワインを楽しんでいた。リムルはこの宴を全力で楽しむことにし、明日の問題は明日考えることにした。

翌日、リムルは幹部たちに休日を与え、リグルドたちに都市機能の確認と住民への説明を依頼した。リムル自身は、自分が素人であることを認めつつも、資料を読んで許可を出す役割を担っている。シエルさんの支援があるため、その業務をこなしている。その日、リムルは仕事を始める前にクロエを見舞った。クロエは戦いで『希望之王』が暴走しそうになったが、何ともなかったと報告し、現在は『時空之王』を完全に扱えない状況にあることを明かした。シエルさんは、クロエのスキルに干渉してミカエルの影響を取り除けると提案したが、クロエは自力でこの状況を脱することを選んだ。リムルはクロエの意思を尊重し、いつでも相談に乗ることを約束した。

クロエの見舞い後、リムルはベスターからガゼル王からの緊急連絡を受けた。ガゼル王はドワーフ王国を巻き込んだ大戦の後始末について説明を求めていた。リムルはベスターにガゼル王への対応を一任し、日程調整後に改めて相談することにした。その後、リムルは昼休憩を取り、シエルさんが幹部たちの能力向上の手助けをしていたことについて考えた。シエルさんはリムルのスキルを勝手に改造し、新たな究極能力『豊穣之王』を創り出していた。この権能により、リムルは魔物達に能力を付与できるようになっていた。シエルさんの行動はリムルの容量問題の解決と幹部たちの支援に大きく寄与しており、リムルはシエルさんに感謝した。

リムルは幹部たちとの個人面談を実施し、シオンとディアブロを部屋から退室させた。最初にベレッタと面談を行い、彼の敗北感を慰め、勝利と認めた。しかし、ベレッタは敗北を重く受け止めており、リムルは彼の進化をサポートすることで解決策を提供した。シエルの介入により、リムルはベレッタに〝十万個の魂〟を使用し、進化させることを決定。ベレッタは上位聖魔霊──聖魔金属生命体へと進化し、究極能力『機神之王』を得た。ベレッタの進化により、彼は金属を自由自在に操る能力を得て、リムルとラミリスの守護を誓った。この面談を通じて、ベレッタの悩みは解消され、リムルは彼のさらなる成長を期待した。

リムルは幹部たちとの個人面談を実施する間に、能力の本質について考察した。能力とは〝魂〟に根付く力であり、特定の条件下で〝世界の言葉〟によって授けられるものだと理解していた。しかし、ユニークスキルが特定の人物だけに与えられる特殊な力であること、そしてその能力が個々に異なり、強力であることから、能力の根本的な疑問が浮上した。リムルはスキルがこの世界だけの現象ではなく、異なる世界でも存在する可能性を示唆した。

ディーノの失敗例を取り上げながら、能力の正しい使用方法とその本質について詳細に述べた。ディーノはユニークスキル『怠惰者』を進化させたが、そのスキルを正しく理解・活用できずに失敗した。スキルの真価は、所有者の意志の強さとスキルの本質を正確に理解し、適切に使用することによって発揮される。リムルはスキルを単なる武器と誤解してはならないと強調し、能力を使いこなすことは自分自身を理解することと同等であると結論付けた。

リムルはベニマルとの個人面談を行い、戦力把握を目的としていた。面談では、ベニマルの存在値が非常に高く、究極能力『陽炎之王』を獲得していることが確認された。これには『思考加速・万能感知・魔王覇気・意思統制・光熱支配・空間支配・多重結界』などが含まれていた。ベニマルの強さは、〝三妖帥〟やディーノ達にも後れを取らないレベルであることが明らかになり、リムルはベニマルを非常に頼もしく思っていた。

面談では、魔物が子供を作ると一般的に弱くなるとされる問題についても触れられたが、ベニマルは逆に強くなっていることが示され、その理由については不明であった。この疑問はリムルにとっても、魔物社会にとっても重要な問題であり、今後の解決が望まれている。面談はこの疑問を残したまま終了し、次の面談者へと移行した。

ソウエイがリムルの部屋に入室し、個人面談が行われた。リムルはソウエイに対し、ベニマルをからかうのを控えるよう苦言を呈するが、ソウエイはベニマルの後継者問題について心配していたことを説明する。ソウエイの進化状態が確認され、彼は究極贈与『月影之王』を含む多彩な能力を持つことが明らかになる。リムルはソウエイに新たな称号「闇の盟主」と役割を与え、諜報活動を任せることを決める。また、リムルはソウエイに部下の大切さと適切な管理の重要性を説き、懇親会の開催を提案する。後日、ソウエイの部下たちから感謝の手紙が届き、リムルは満足感を覚える。

夕食後、ガビルがリムルの部屋を訪れ、個人面談が行われた。リムルはガビルの大活躍に感謝の意を表し、ガビルは感極まって涙を流した。ガビルが戦闘で究極贈与『心理之王』の力を発揮したことが語られ、その能力は戦闘だけでなく運命を変える可能性も秘めていた。リムルはガビルの武器、特質級の水渦槍を新生させる計画を提案し、ガビルは喜んでそれに同意した。武器が神話級に進化することで、ガビルの存在値も増加する見込みである。面談を通して、ガビルのさらなる成長と部下「天翔衆」の支援が期待される結果となった。

深夜、特別会員専用店の個室で、リムルはゲルドと対面し、彼の慰労として飲み明かすことを提案した。ゲルドはこの提案を心から喜び、リムルとの乾杯を楽しんだ。リムルはゲルドに対し、能力改変の提案を行い、ゲルドは強くなるためにこれを快く受け入れた。ゲルドが獲得した究極贈与『美食之王』は、多種多様な権能を含む強力なスキルである。これにより、ゲルドの能力は大幅に向上し、仲間を守る力も強化された。ゲルドの防具も神話級に進化し、彼自身の存在値が大きく跳ね上がった。リムルとゲルドは、今後もお互いを頼りにすることを誓い合い、笑い合った。

リムルは自室で明日の面談予定について考えており、まだ多くの面談が残っていること、特にアピトとの面談が必要であることを認識していた。深夜、リムルはゲルドとの飲み会を楽しんだ後、自室でランガが無事に目覚め、進化していたことを知る。ランガは大戦に間に合わなかったことを悔やんでいたが、リムルは彼を慰め、ランガの成長を褒め称えた。ランガの進化により、彼の存在値は大幅に増加し、究極能力『星風之王』を獲得していたことが明らかになる。この能力は天候を含む複数の要素を支配するものであり、ランガにとって非常に相応しいものである。リムルはランガの成長に満足し、彼のさらなる活躍に期待を寄せた。

リムルはクマラからスキルに手を加えて新たな権能を授けてほしいと頼まれる。シエルさんの提案により、リムルはクマラに適性があるスキルを提供することに決めた。クマラは究極贈与『幻獣之王』を獲得し、その権能には多数の強力な能力が含まれていた。クマラの種族は天星九尾に進化し、以前よりも強大な力を持つようになった。この新たな能力により、クマラは重力を含む広範囲を支配できるようになり、さらなる成長が期待された。

アピトがリムルのもとを訪れ、リムルにハチミツを贈り、自身のスキルに手を加えてほしいと頼む。リムルはシエルさんと相談し、アピトに対してスキル改変の提案を行う。アピトは、自身が先頭に立ちたいという意思を表明し、リムルからのスキル改変を受け入れる。シエルさんの手により、アピトのユニークスキル『女王崇拝』は究極贈与『女王祟拝』へと進化し、強化された。アピトはリムルへの忠誠を再度誓い、面談は終了する。

ゼギオンがリムルのもとを訪れ、腰かける際に外骨格でソファーを傷めないよう木製の椅子に座る気配りを見せる。リムルはゼギオンの覚醒前の実力と、今回の進化による更なる強さについて触れ、彼が味方であることに安堵する。ゼギオンは自身の進化や、ディーノとの戦いで見せた実力、さらにディーノに刻んだ「夢の終わり」という技術について語る。この技術はゼギオンが独自に編み出したもので、ディーノが仲間に対する殺意を持った瞬間に発動する自動型の刻印である。ゼギオンの究極能力『幻想之王』には、水雷支配、時空間操作、精神支配など複数の強力な権能が含まれており、彼の戦闘センスや技量はリムルの配下の中でもトップクラスであると評価される。リムルはゼギオンの成長と能力を高く評価し、彼の存在が自軍にとって大きな強みであることを再認識する。

アダルマンがリムルのもとを訪れ、熱心に感謝を表する。リムルは彼の現状を確認し、アダルマンが光属性を持つ死霊であることに皮肉を感じつつも、彼の進化を肯定的に評価する。究極贈与『魔道之書』を受け取り、アダルマンはその力に感謝し、様々な権能を得たことを喜ぶ。シエルは、アダルマンに与えた『魔道之書』が彼に適した知識と権能を提供していることを説明する。アダルマンの部下であるアルベルトとウェンティの状態も確認され、彼らもまた強力な能力を持つことが判明する。アダルマンとその部下たちは、不死性を持ち、互いに補完し合う関係にあることが強調される。リムルはアダルマンとその部下たちの存在を高く評価し、彼らの今後の活躍を期待して面談を終える。

昼食後に面談を再開し、シオンが訪れる。シオンの状態を確認し、彼女が強大な力を持つことを認識する。シオンはユニークスキル『料理人』以外に究極能力を持たず、その可能性を秘めつつも、シエルは彼女のスキル進化を躊躇している。その理由は、スキル強化によりリムルに害を及ぼす可能性があるからである。面談中、シオンはマサユキが悩んでいると報告し、リムルに相談するよう勧めた。これが新たな問題を引き起こし、リムルは頭を抱える。シオンはマサユキとの会談を既にセッティングしており、リムルは準備に追われることになる。

昼食後の面談では、ディアブロ、テスタロッサ、カレラ、ウルティマとその配下たちが予定されていたが、時間の都合上、全員とは面談できない状況であった。ディアブロが最初に面談を求める中、カレラとウルティマも参加を主張し、テスタロッサが仲裁に入る。テスタロッサは優雅に紅茶を用意し、その場の空気を変えた。四人は秘書の座を巡る争いをしていたが、結局、配下たちとの面談を省略することになり、彼ら自身がリムルに必要な情報を提供すると申し出た。リムルは彼らの提案を受け入れる形となった。

昼食後の面談は、悪魔勢のディアブロ、テスタロッサ、カレラ、ウルティマとその配下たちが予定されていたが、時間の都合上、配下たちは呼ばないことになった。ディアブロが最初の面談者として選ばれ、他の三人は部屋から退室した。ディアブロは存在値が666万6666と圧倒的で、究極能力『誘惑之王』を持ち、ほぼすべてを可能にする能力を誇っていた。ディアブロの配下には新たにガドラが加わり、彼は金属性悪魔族に転生させられた。シエルさんの干渉により、この特殊な転生が行われたことが明かされる。リムルはディアブロにガドラの面倒を見るよう言い渡した。ディアブロの配下はヴェノムとガドラの二名になった。

ディアブロに続き、テスタロッサが面談に入室した。彼女は秘書としての役割も適しているが、ディアブロを外交武官にすることになり、彼の暴走を懸念しているため、その案は棚上げされた。テスタロッサは自身の眷属の情報を提供し、自らの存在値が戦前と比べて大幅に増加していることを示した。彼女は究極能力『死界之王』を持ち、その戦闘能力が大幅に上昇している。テスタロッサは、マサユキ達との会談にも参加することを申し出て、帝国の処遇について話し合う予定である。リムルはテスタロッサの提案に感謝し、彼女の参加によって気分が楽になった。面談の最後に、テスタロッサは帝国の大将だったカリギュリオの助命嘆願についても言及し、リムルはその件に取り組むことを決めた。

夕食後、ウルティマが面談にやってきた。彼女の妹のような可愛らしさにリムルもほっこりとする。リムルはウルティマに自ら淹れたコーヒーを振る舞う。ウルティマの眷属、ヴェイロンとゾンダの情報を共有し、ウルティマ自身も大きく成長していることが明らかにされた。ウルティマの究極能力『死毒之王』には、敵を殺すのに最適な毒を生み出せる『死毒生成』や、精神生命体以外を無条件で殺せる『死滅世界』といった権能が含まれていた。しかし、リムルはウルティマに『死滅世界』の使用を禁止するよう言い渡す。ウルティマはすでにその権能を使うつもりがなかったため、すんなりと了承した。リムルはウルティマの納得に安心し、和やかな会話を楽しんだ。

最後の面談者、カレラは、近藤との戦いでリムルからの力を借りて勝利し、その恩に報いたいと忠誠を誓う。カレラの部下、アゲーラとエスプリも強力な存在であることが示される。カレラ自身の能力『死滅之王』は攻撃力に特化しており、彼女の戦闘能力が非常に高いことがうかがえる。カレラはリムルに対して、ルドラ(ミカエル)に対する復讐の意志を表明するが、リムルはルドラの正体について説明する。カレラは納得し、リムルに注意を促された後、アゲーラがハクロウの祖父であることを告げる。この驚きの事実を最後に投げかけた後、カレラは去っていく。リムルはこの情報に驚き、アゲーラと後で会うことを決意する。

リムルはアゲーラとの面談を後日に延期し、個人面談を終了させる。明日のマサユキたちとの会談に備え、仕事を終えてスライム状態で休息を取ることにする。この時、シエルからスキルに関する報告がなされる。リムルの存在値が著しく高く、『虚空之神』と『豊穣之王』の二つの究極能力に統合されたスキルセットが明らかにされる。『虚空之神』は、過去の複数の能力を統合し、改変して誕生したもので、強力な権能を持つ。『豊穣之王』については詳細が述べられていないが、リムルの能力が大幅に強化されたことが強調される。シエルは、リムルの演算系スキルを自身に統合し、より迅速な対応が可能になったことを説明する。リムルはこれらの変化に対し、戦いに必要な強化と受け入れ、遠慮や手加減なしに平和を目指す決意を新たにする。

リムルは自分の力を確認した後、ヴェルドラと比較することにした。ヴェルドラの存在値は8812万6579で、リムルと比べて圧倒的に高いが、これにはヴェルドラ自身が誤魔化しを試みたというエピソードが含まれる。リムル、ラミリス、ヴェルドラは「管制室」でヴェルドラの存在値を測定するが、ヴェルドラが重い装備を脱いだだけでは数値に変化がないことを確認する。この結果、ヴェルドラが数値を操作できないことが明らかになり、彼の誤解が解ける。

さらに、リムルは『捕食』したヴェルグリンドのエネルギーを自身の力に変えた結果、最大存在値がヴェルドラとヴェルグリンドの存在値を合算したものに等しいことを知る。しかし、リムルは最大パワーが戦闘において必ずしも意味を持たないと理解している。

最後に、ヴェルグリンドの現在の存在値は7435万87であり、『炎神之王』という究極能力を持つことが明らかにされる。これにより、リムルはヴェルグリンドに対して、慎重に接することを決意する。このようにして、リムルによる個人面談は終了し、彼はヴェルドラやヴェルグリンドとの関係に新たな理解を得る。

第三章

リムルはマサユキ達との重要な会談に備え、テスタロッサと合流し、参加予定のメンバーと共に会議室へ向かう。会談では、戦後の復興や戦争賠償などが主要な議題となりそうである。リムル達には帝国を支配する意志はなく、帝国の最高責任者であるヴェルグリンドとの話し合いに注力する構えである。ヴェルグリンドはリムルに直接話をすることを望み、二人での会話が設定された。

ヴェルグリンドはリムルにヴェルドラの様子を尋ね、彼の安否を確認する。リムルはヴェルドラがヴェルグリンドを苦手としていることに心を痛めつつも、ヴェルグリンドにその事実を伝える。用件を尋ねるリムルに、ヴェルグリンドは感謝の意を表し、ルドラを探す旅の楽しさを語る。彼女は異世界を旅し、リムルのいた世界にも訪れていた。リムルはヴェルグリンドの旅が時間跳躍を含むものであったことに気づき、シエルに解析を依頼する。ヴェルグリンドはマサユキがルドラの生まれ変わりであることを認めつつ、彼女自身がリムルと敵対することはないと誓う。リムルもマサユキを裏切らないことを誓い、ヴェルグリンドの要求に苦笑しながら応える。

ヴェルグリンドからの感謝を受けた後、リムルはドワーフ王国の元大臣であるベスターから、ガゼル王が訪問するという緊急連絡を受ける。ガゼル王の訪問の理由は不明だが、ベスターはドワルゴンから追放された後も公爵家の当主であり、ドワルゴンには未だに影響力を持っている。ガゼル王がリムルに事前の通告なしに訪問することに対し、リムルとベスターはどのように対応するか検討する。ガゼル王の訪問はドワルゴンと魔国連邦、および帝国との関係に影響を与える可能性があるため、リムルはガゼル王との会話で魔国連邦が帝国と組んでドワルゴンを攻める意図がないことを確認し、将来的に帝国と同盟を結んでもその条件を詳細に話し合うことを約束する。ガゼル王の訪問を受け入れたリムルは、ガゼル王との会談に向けて準備を整える。

会議室には三勢力が集まり、円卓のような机に各代表が座った。テスタロッサが司会進行を務め、会談がスタートした。この会談は、帝国との終戦協定を結び、ドワルゴンと新たな条約を締結することを目的としている。リムルは帝国の新皇帝を支持し、条件次第で全力で支援することを約束する。マサユキは新皇帝になることが示唆され、帝国は全面的な無条件降伏を受け入れる姿勢を見せた。ガゼル王はドワルゴンも帝国の新体制を支持し、見返りを期待している。リムルとマサユキは互いに理解し合い、公式な場でも砕けた会話を交わす。テスタロッサの提案で、会談は堅苦しさを捨て、本音でのトークが始まった。

マサユキの皇帝就任と、リムル達が後ろ盾になる方針が決まり、緊張感が和らいだ会談で、リムルはマサユキが皇帝になることについて帝国民が納得するかどうかを問いかけた。ヴェルグリンドは、帝国の守護竜としての認定が皇帝の資格であると述べ、マサユキの就任には問題ないとした。さらに、血統やDNAの問題についても、帝国の技術でカバーできると説明された。リムルとマサユキは、共に民衆が笑って暮らせる世界を目指すと話し合い、ガゼル王も彼らの理想論に対して最終的には支持を示した。会談は、マサユキの皇帝即位と、捕虜の解放、賠償問題の保留で合意に達した。ガゼル王はマサユキに対して、彼の政治主義を問いただし、マサユキはみんなで笑って暮らせる世界を目指すと答えた。この会談から、マサユキ・ルドラ・ナム・ウル・ナスカとしての新時代が始まることになる。

方針が定まった後、和やかな昼食会が開かれ、懐石料理が提供された。参加者たちは日本風の料理を楽しみ、酒が飲みたくなるものの、会談がまだ残っているため我慢した。会話は楽しい雰囲気で進み、シュナが食事を準備したことが明かされた。食事の途中で、カリギュリオが感情を露わにし、過去の部下を思い泣き出した。テスタロッサは迅速に対応し、カリギュリオが名前を挙げた部下たちを呼び出した。彼らは一度死んだが、テスタロッサが魂だけを回収し、人造人間に宿らせて生き返らせた。ザムドたちはカリギュリオと再会し、喜び合った。リムルは内心、戦争の愚かさを嘆き、平和を願った。

昼休憩後の午後三時に会談が再開された。午前中に定まった方針の再確認と各自の役割について話し合われた。テスタロッサが主導で、ドワルゴンと魔国連邦が新皇帝マサユキの即位を承認し、三国同盟成立を宣言すること、ドワルゴンが国境線付近の復興を担うこと、魔国連邦がマサユキを全面的に支援することが確認された。帝国との鉄道敷設計画も進められ、帝国内に大使館を設立し新時代の到来を示す計画が立てられた。テスタロッサが帝国内での腹黒い貴族たちとの対応に派遣され、ディアブロの眷属ヴェノムも護衛として同行することが決まった。

午後の会談では、帝国側がまとめた問題点が開示され、それについて対応策が検討された。この有意義な時間を通して、新皇帝マサユキの即位承認や三国同盟成立の方針が再確認され、ドワルゴンの国境線付近の復興や魔国連邦からの全面的な支援が話し合われた。しかし、ミカエルとその配下たちの脅威に対して勝てるかどうかという重要な問題が提起され、明確な答えは得られなかった。ヴェルグリンドは敵の戦力が不明であること、ミカエルの目的がヴェルダナーヴァ神の復活にあることを指摘し、警戒を促した。会談は、マサユキを含む全員が自覚を持って行動することの重要性を認識する中で終了した。

夕食にはイタリア料理のフルコースが提供され、参加者たちはその美味しさに言葉を失った。ビーツに似た野菜のスープから始まり、砂肝のコンフィ、ゼッポリーネ、クスクス、槍頭鎧魚の中トロ、戦車海老のパンナコッタ、戦艦魚のインボルティーニ、要塞ガニのスパゲッティなど、至高のメニューが続いた。デザートの白ワインヨーグルトが提供された後、参加者たちは料理を絶賛した。帝国勢は料理の美味しさに感謝を表し、ドワルゴン勢も料理の技術の向上を認め、シュナにレシピの教授を希望した。シオンとディアブロも、それぞれの役割を果たしながら、食事を楽しんだ。この夕食は、シュナ達の努力により、参加者たちを満足させることに成功した。

夕食後、参加者たちは談話室に移り、コーヒーを嗜みながら雑談を楽しんだ。その中でガゼルは、リムルが幹部を進化させたことについて話し合い、西側諸国や西方聖教会、サリオンなどへの経緯説明の必要性を指摘した。しかし、リムルはすでにエルメシアに事情を説明しており、問題ないと説明した。この話題にはカリギュリオやミニッツも参加し、帝国がサリオンを脅威として警戒していたことが明かされた。リムルとエルメシアの間には「携帯電話」と呼ばれる高性能な魔道具による直接通信が可能であることが判明し、これによりリムルがエルメシアと親しくなった経緯が話された。ガゼルや他の参加者は、リムルとエルメシアの関係の深さに驚いた。夜が更ける中、参加者たちはリムルの人間関係やコミュニケーション能力について改めて認識し、その日は終わった。

翌朝、ガゼル一行は帰国の準備を進め、カリギュリオ達は帝国の安定を最優先とし、工事の引き継ぎを行った。テスタロッサからの連絡を待ち、ドワーフ王国では防衛準備が整い、ガゼルには「携帯電話」とアゲーラの派遣が決定された。ファルメナス王国では、ディアブロがガドラを通じて情報提供を行い、西側諸国にはシエンとゾンダが配置された。最終的には、ギィから魔王達の宴の開催通知があり、リムルたちは準備を整えて参加することになった。レインが傷だらけで現れ、何か大きな問題が発生していることを示唆している。

終章

遥か昔、天地創造前の時代に、創造神ヴェルダナーヴァによって生まれた〝光〟の大聖霊から七柱の熾天使と、〝闇〟の大聖霊から派生した原初の七柱の悪魔王が存在した。その中の一柱が、冥界を統べる絶対的な強者であった。彼は自身の力を示すため、挑んできた他の悪魔王たちを容易く下したが、その過程で原初の者たちが心核を砕かれると復活し、敗者が勝者に従属することが判明した。

ある時、彼は地上に召喚され、そこで世界が文明を築いていることを知り、自分が魔法によって呼び出されたと気づいた。力が制限された状態であったが、彼は依然として強大な存在であり、召喚した魔法使いから超魔導帝国の敵を滅ぼすよう命じられた。彼は核撃魔法:死の祝福を使い、戦争を終結させた。この行動により、彼は「真なる魔王」へと覚醒し、名前「ギィ」を得る。

ギィはその後、自分に従う二柱の悪魔を召喚し、超魔導帝国を滅ぼすよう命じた。この二柱は原初の緑と原初の青であり、彼らに「ミザリー」と「レイン」という名前を与え、彼らも悪魔公へと進化した。これがギィとその眷属が人類史に影響を与え始めた最初の瞬間であった。

ギィとその眷属、ミザリーとレインは、この世界を旅しながら様々な文化に触れ、人間たちとの交流を楽しんでいた。彼らは人間の文明や創造物に興味を持ち、その価値を認めるようになった。ギィは人間を愚かだが愛すべき存在と見なし、各地で人間たちを助け、後の世に神話や伝説として語り継がれる行動をとった。その過程で、創造主ヴェルダナーヴァと出会い、彼に挑むも敗北し、自身の誇りを砕かれた。しかし、ヴェルダナーヴァはギィを隷属させることなく、彼にこの世界の調停者としての役割を依頼した。

ギィはこの世界を愛していたため、ヴェルダナーヴァの提案を受け入れ、人間たちに恐れられる「魔王」として君臨することを決意した。彼は人類が傲慢にならないように脅威を示し、平和を守る存在となる。これにより、ギィはユニークスキル『傲慢者』を獲得し、神に匹敵する力を持つ魔王として誕生した。ギィとヴェルダナーヴァは互いを対等な友と認め合い、この世界の保護者として共に行動することを誓った。

ギィは魔王として人類社会に適度な恐怖を与え、国々が団結する心を養う役割を果たしていた。その一方で、ミザリーとレインは一大勢力を築き、ギィのために諜報活動や粛清を行っていた。ギィ自身は、世界を放浪し、戦いを楽しんでいたが、時には自分の力の使い方について学ぶこともあった。

ギィがこの世界に召喚された場所、超魔導帝国の帝城を自らの居城に定めたとき、白い竜、ヴェルザードが挑んできた。ヴェルザードはヴェルダナーヴァの妹であり、ギィとの戦いによって大地が荒れ果てたが、その結果、永久凍土が常春の大地へと変わった。二人は三日三晩戦い、互いの力を認め合うことで、ギィは究極能力『傲慢之王』へと進化した。

ヴェルザードはギィの力を試すために挑んできたが、その結果から二人は共に歩むことになり、ギィの居城は氷に覆われ、さらに美しく変貌した。ヴェルザードはギィの居城の防衛を完璧なものにし、自分の魅力でギィを振り向かせることを心の奥底で誓った。

退屈を持て余していたギィのもとに、ルドラと名乗るナスカ王国の王太子とその仲間たちが来客として訪れた。ルドラは自らを勇者と称し、ギィに挑戦するも、その動機は財宝を狙うなど高潔からはほど遠いものだった。しかし、その欲望がギィには新鮮に映り、彼はルドラたちの挑戦を受け入れる。ギィはルドラたちがミザリーとレインを倒してきた実力者であり、ルドラに人間らしい欲望を感じて興味を持つ。

戦いが始まる中、ルドラの妹ルシアは支援魔法を使ってルドラの剣を強化し、ギィに挑む。ギィはルドラの挑戦を楽しむが、ルドラの装備を破壊することで彼を苛立たせる。しかし、ルドラは妹からの支援を受け入れ、さらに本気を出すことを宣言する。

その後、ルドラはギィに「真紅色」という新たな名前を提案し、ギィ・クリムゾンと命名する。この行為により、ルドラは神霊力を消耗し、生死の境をさまようが、結果としてギィとルドラの間に奇妙な因縁が生まれた。ギィは人間の欲望と行動力を持つルドラたちに興味を持ち、彼らの挑戦を楽しんだのである。

ルドラの回復後、ギィとルドラは何度も戦い、勝負はいつも拮抗していた。その中で、ヴェルザードやルシア、ヴェルグリンドなどの女性たちは、二人の戦いを楽しむようになる。日常の一部と化した勝負は、時に和やかな雰囲気で観戦され、給仕や茶の用意が行われるなど、一風変わった風景が繰り広げられた。一方で、ヴェルザードとヴェルグリンドの間では、教育方針を巡って姉妹喧嘩が勃発することもあった。

ある日、ギィはルドラになぜ最初の戦いでトドメを刺さなかったのかを問う。ルドラの回答は、自分が世界征服を目指しており、ギィを仲間にしたいというものだった。ルドラは『誓約之王』という自分の信念から生まれた究極能力を持ち、『正義之王』を借り受けているが、本来の性質は『誓約之王』により支配するよりも自らの力で勝負したいと考えていた。

しかし、ルドラがヴェルダナーヴァとルシアの間に子供が生まれ、ヴェルダナーヴァが人間と変わらない寿命を持つことになったという事実をギィに打ち明ける。これにより、二人はこれまでの遊びとは別の重大な事情を抱えることになる。ギィとルドラの関係は、戦いを超えた深い絆によって結ばれていることが明らかになった。

ギィはルドラを気に入っており、彼を殺す気にはなれず、本気で戦うつもりもないと語る。しかし、ヴェルダナーヴァから頼まれた役割、世界の天秤を傾けない〝魔王〟としての仕事は果たすと強調する。ルドラは、直接戦うのではなく、配下を使って世界の覇権を競い合う新たな勝負を提案する。この勝負は、ルドラの『正義之王』の権能を使い、世界を統一する夢を応援してもらうためである。ルドラは、違う考えの者同士が相手を尊重し合い、武力ではなく話し合いで決着をつける統一国家の構想を持っている。しかし、ギィは人間の欲深さを指摘し、ルドラの夢が叶わない可能性を示唆する。

ルドラは、『正義之王』に『天使之軍勢』という権能があり、それを使いこなして世界を救済し、理想的な世界を築くことを誓う。ギィは、ルドラの理想を否定するわけではなく、その結末を見届けることにする。ルドラは、ギィに人間が笑顔で暮らせる世界を作ることを願い、改心する機会を与えてほしいと頼む。ギィは、自分が虐殺を趣味としているわけではなく、気に喰わない者を始末するだけであり、罪には罰が必要だと答える。ルドラは、罪を犯す者が減るように、貧困や不平等をなくし、誰もが笑って暮らせる世界を作りたいという。

ギィはルドラの提案を受け入れ、直接対決を禁止し、配下のみで勝負するルールに同意する。ルドラの目標は、ギィがルドラに従うことであるが、ギィはルドラの動きを封じ、世界統一に向けて動き出す必要があると理解している。ギィはルドラの夢に賭けるが、成功する確率は極めて低いと冷徹に計算する。それでも、ルドラの強い信念と可能性に賭け、彼を本物の〝勇者〟と認める。

ギィとルドラの間の勝負は、多くの悲劇を伴いながら続いた。ヴェルダナーヴァとルシアの間に生まれた子供の直後、ナスカ王国でテロが発生し、二人は命を落とす。この出来事は、ルドラの夢を壊し、彼は目的を失った理想だけを持ち続けることになる。ルドラはギィとの勝負を続けることを選ぶが、その過程で繰り返される苦難の中で、ルドラは〝勇者〟としての資格を失い、理念を見失っていく。最終的には、ギィに勝つことだけが目的となり、より多くの血が流れる結果となる。

ギィはルールに従い、最後の審判を自分の手駒の中でもっとも未知数である存在に託すが、友の気配が消失し、ルドラの冥福を祈る。数千年に及ぶ勝負は終わりを告げ、ギィの心は悲しみに沈む。このゲームの終了が、世界規模の大戦争──〝天魔大戦〟の始まりとなる。

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転生したらスライムだった件 5 巻
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転生したらスライムだった件 6巻 
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転生したらスライムだった件 7巻 
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転生したらスライムだった件 8巻
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転生したらスライムだった件 9巻 
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転生したらスライムだった件 10巻
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転生したらスライムだった件 11巻
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転生したらスライムだった件 12巻
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転生したらスライムだった件 13巻
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転生したらスライムだった件 14巻
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転生したらスライムだった件 15巻
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転生したらスライムだった件 16巻
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転生したらスライムだった件 17巻
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転生したらスライムだった件 18巻
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転生したらスライムだった件 19巻
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転生したらスライムだった件 20巻
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転生したらスライムだった件 21巻
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転生したらスライムだった件 10th ANNIVERSARY BOOK

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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