物語の概要
■ 作品概要
『転生したらスライムだった件(32)』は、異世界に転生したスライムである魔王リムルを中心とした、国家間の謀略や規格外の強者たちによる激しい戦闘を描く異世界ファンタジー作品である。 本作の世界観は、魔王や元勇者、原初の悪魔といった強大な力を持つ者たちが各地で勢力を築き、絶妙なパワーバランスの中で互いの思惑を巡らせている点にある。本巻のあらすじは、リムル一行が子供たちの演奏会のために神聖法皇国ルベリオスに滞在する中、ロッゾ一族の総帥グランベル・ロッゾが大聖堂を襲撃し、平和な都市が突如として戦場と化すところから大きく動き出す。 グランベルは偽情報を流して魔王レオンをルベリオスに誘き寄せ、異世界人召喚を巡る因縁を利用してリムルとレオンを同士討ちさせようと企む。しかし、リムルはその罠を見抜いてレオンに怒りの一撃を放ちつつも、事態を収拾するために彼と一時的な共闘関係を結ぶ。同時並行で、聖騎士団長ヒナタとグランベルの死闘、悪魔ディアブロと最強の魔王ギィ・クリムゾンの対峙、そして魔王ルミナスの出陣など、各所で激震が走る展開となっている。
■ 主要キャラクター
- [リムル]:魔国連邦の盟主たる魔王であり本作の主人公。かつての教え子である子供たちを守りながら、ルベリオス襲撃の裏で糸を引くグランベルの企てを阻止しようと奔走する。
- [レオン]:魔王の一柱。長年捜し続けている少女クロエを求めてルベリオスへ向かうが、グランベルの罠に巻き込まれる。過去の異世界人召喚の件でリムルから怒りをぶつけられるが、互いの意図を汲み取り共闘の姿勢を見せる。
- [グランベル・ロッゾ]:五大老の長にしてロッゾ一族の総帥。かつては人類のために尽くした元勇者だが、一族の希望であったマリアベルを失ったことで絶望し、ルベリオス襲撃と世界への復讐を目論む本騒動の黒幕である。
- [ヒナタ・サカグチ]:神聖法皇国ルベリオスの聖騎士団長。都市を防衛するため、老獪な戦術を駆使し相手の技術を逆手にとるグランベルと激しい死闘を繰り広げる。
- [ルミナス・バレンタイン]:ルベリオスを支配する魔王であり、ルミナス教で神として崇められる存在。聖地を荒らすグランベルとの長き因縁に決着をつけるべく自ら戦場へ赴く。
- [ディアブロ]:リムルに絶対的な忠誠を誓う悪魔(原初の黒)。原初の青であるレインを圧倒し、その後突如現れた最強の魔王ギィ・クリムゾンとも堂々と対等に渡り合う。
- [ユウキ]:中庸道化連を率いる黒幕の一人。グランベルと結託してルベリオス襲撃の機に乗じ、ルミナスが秘匿する究極の決戦兵器(封印された勇者)が眠る聖櫃を奪い取ろうと暗躍する。
■ あらすじ
魔王リムル一行はルベリオスに滞在し、ヒナタの案内で街を視察しながら平等社会について議論を交わしていた。一方、魔王レオンはリムルに関する偽情報の真意を探るためルベリオスへ向かう。同時に、ユウキと結託したグランベル・ロッゾがルベリオス大聖堂を襲撃する。
大聖堂は戦場と化し、ヒナタが老獪なグランベルと激闘を繰り広げる。内部では蟲型魔獣ラズルが出現し、シオンとランガが応戦する。また、ディアブロは原初の青レインを圧倒し、その後現れた原初の赤ギィとも対話して彼を退ける。地下では魔王ルミナスが中庸道化連と対峙し、グランベルとの直接対決へと向かう。
混迷を極める戦場にレオンが到着する。グランベルは異世界人召喚の件でリムルとレオンを対立させようと企むが、怒るリムルはレオンを一発殴って気を鎮める。リムルはグランベルこそが事態の黒幕であると見抜き、レオンもその意図を察して二人は共闘の姿勢をとるのであった。
書籍情報
転生したらスライムだった件(32)
著者:川上泰樹 氏
原作:伏瀬 氏
キャラクター原案:みっつばー 氏
出版社:講談社
出版社:シリウスKC
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あらすじ・内容
クロエを捜し続けている魔王レオン。
彼はエルメシアに協力を要請し、ルベリオスへと向かった。
一方、グランベル、ユウキはそれぞれの思惑を胸にルベリオスで行動を起こそうとしていた。
魔王や元勇者を始め多くの強者が集う中、タクト達のリハーサルの場が襲撃され、戦場と化したルベリオス。
現場に駆け付けたリムルが目にしたものとは――?
感想
魔王や元勇者といった規格外の強者たちが神聖法皇国ルベリオスに集結し、それぞれの思惑が激突する怒涛の展開に圧倒される一冊である。
まず印象に残ったのは、激しい戦いの前に描かれる日常パートの深みだ。魔王リムル一行がルベリオスに滞在し、ヒナタの案内で街を視察しながら「平等社会」について議論を交わす場面は非常に興味深い。完全管理社会の理想と残酷な現実について、子供たちやリムルがそれぞれの視点で考察する様子は、単なるファンタジーにとどまらない本作の魅力的な世界観を感じさせた。
しかし、その平穏は突如として破られる。絶望から暴走状態に陥ったグランベル・ロッゾの襲撃により、事態は一気に混迷を極めていく。彼に便乗するユウキたち中庸道化連の暗躍や、巧妙な偽情報によってルベリオスへと誘導される魔王レオン。そして狙われるルミナスとリムル。複数の勢力が複雑に絡み合い、平和なはずの聖地が混沌とした戦場へと変貌していく構成は見事というほかない。
戦闘シーンでは、何と言っても元勇者グランベルのマジで強すぎる実力に驚かされた。老獪な戦術でヒナタを追い詰める激闘は、手に汗握る迫力に満ちている。また、大聖堂内部に出現した圧倒的な力を持つ蟲型魔獣ラズルに対し、苦戦しながらも応戦するシオンとランガの奮闘も熱い。さらに、ディアブロが原初の青であるレインを神聖魔法で圧倒し、突如現れた最強の魔王ギィをも言葉巧みに対話で退ける場面は、彼の底知れぬ実力とリムルへの異常なまでの心酔ぶりが描かれており、最高に痛快であった。地下で中庸道化連と対峙し、因縁のグランベルとの直接対決へ向かう魔王ルミナスの静かな覚悟も見逃せない。
そして、物語の大きな山場となるのが、戦場に到着したレオンとリムルの対峙である。グランベルは過去の異世界人召喚の件を暴露し、二人を対立させて同士討ちを企む。その卑劣な罠に対し、激怒したリムルがレオンを思い切り一発殴るシーンは、これまでの因縁を思えば非常にスカッとする展開だ。しかし、ただ怒りに身を任せるのではなく、一撃で気を鎮めたリムルがグランベルこそが事態の黒幕であると冷静に見抜く。レオンも瞬時にその意図を察して二人は共闘の姿勢をとるのだが、この一連の流れは両者のトップとしての器の大きさを存分に感じさせた。
見事な連携を見せた二人だが、この共闘を経て、今後レオンのあの不器用で寡黙な態度がどのように崩れていくのか。彼らの関係性がこれからどう変化していくのかも、次巻に向けた大きな楽しみである。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
ルベリオスの社会制度
神聖法皇国ルベリオスの社会制度は、「神の庇護下による完全管理と平等」を基本としている。具体的には、食事や生活必需品が国から平等に現物支給される仕組みとなっており、街には飢餓や貧困に苦しむ者が存在しない。
社会制度に対する評価と疑問
リムルは、この制度を自らの国である「魔国連邦とは真逆の社会」と評している。この特異な社会制度に対して、リムルや視察を共にした子供たちは以下のような分析や疑問を抱いている。
・リムルの評価と分析
他者と自分を比較して惨めな思いをすることがない平和な世界であると評価する一方で、競争がないため悔しさをバネにした向上心や発展の原動力が生まれにくいと分析している。また、豪華な晩餐会と一般市民の生活レベルの差から、国の運営に関わる者や賓客は平等の枠外に置かれており、特権的な立場が存在する残酷で不公平な現実を見抜いている。
・アリスとケンヤの疑問
欲しいものを自由に買えないことや、努力した分だけ報酬を得たいという思いから、競争のない生活に物足りなさを感じている。
・クロエの指摘
住民たちが自力で生活を維持できず、ヒナタや聖騎士たちのような一部の強者に過度に依存して守られている状況を、「水槽の中で飼われているお魚さん」に例えている。一部の者だけが頑張るのではなく、皆で協力し合う社会の方が良いのではないかと指摘している。
まとめ
最終的にリムルは、幸福の形は人それぞれであり、人には才能や能力の差がある以上、弱者を含めた全員を見捨てないための社会のあり方としては一つの正解(アリ)であると結論づけている。ルベリオスの社会制度は、物質的な欲求が満たされることだけが幸福ではないという事実を、リムルや子供たちに再認識させることになった。
ロッゾ一族の陰謀
ロッゾ一族(特に総帥であるグランベル・ロッゾ)が企てた陰謀の全貌は、複数の目的と策謀が絡み合った大規模なものである。その詳細を以下のポイントに分けて解説する。
陰謀の背景とグランベルの動機
グランベル・ロッゾは千年以上もの間、人類のために尽くしてきた元勇者であるが、一族の希望であったマリアベルを失ったことで深く絶望し、正義や理性を手放してしまった。彼は、魔王リムルの存在がこれまでの人間社会と魔王たちの均衡を崩し、世界を混沌に陥れる脅威だと考えている。長年守ってきた世界に対する失望から、「奪うだけのこんな世界など滅んでしまえばよい」という破滅的な思想に至っている。
陰謀の具体的内容
・ユウキとの結託と究極の決戦兵器の奪取
グランベルは、中庸道化連を率いるユウキと一時的な共同戦線を結んだ。計画の核となるのは、魔王ルミナスがルベリオスの聖櫃に秘匿している「究極の決戦兵器(かつて暴風竜を封じた最強の勇者)」の奪取である。グランベル自身がルベリオスの大聖堂を襲撃して陽動を引き受け、その隙を突いてユウキに聖櫃を盗み出させるという作戦を立てている。
・魔王レオンと魔王リムルの同士討ちの画策
さらにグランベルは、魔王同士を争わせて共倒れさせる罠を仕掛けた。
- レオンの誘い出し:偽の情報を流し、長年クロエを捜している魔王レオンをルベリオスへと誘き寄せた。
- 過去の暴露と挑発:大聖堂の戦場にレオンが現れると、かつてレオンがロッゾ一族(シルトロッゾ王国)に対して「十歳に満たぬ異世界人の子供」の召喚を依頼していた事実を暴露した。
- 同士討ちの狙い:強制的な呪言で操られた不完全召喚の子供たちをリムルに見せつけることで、異世界人召喚を強く嫌悪するリムルを激怒させ、レオンと同士討ちさせようと企んだ。
・ルベリオスの破壊と魔王ルミナスとの決着
ロッゾ一族は、これまで北方の守護(悪魔への防波堤)として利用していた蟲型魔獣ラズルを放棄してルベリオスに投入し、大聖堂を破壊するよう命じた。また、大聖堂への襲撃は、ルベリオスの支配者である魔王ルミナスをおびき出すための陽動でもある。グランベルは、かつて愛した女性であるマリア(マリアベルに似た死人)を利用し、長年の因縁があるルミナスに直接対決を迫り、決着をつけようとしている。
まとめ
グランベルの巧妙な陰謀により、ルベリオスは敵味方が入り乱れる混沌とした戦場と化した。しかし、同士討ちを狙った罠については、激怒したリムルがレオンを殴り飛ばしたものの、リムル自身がこの場をコントロールしようとするグランベルの思惑を冷静に見抜いた。レオンもその意図を察知したことで、両者は敵対するのではなく一時的な共闘関係を結ぶに至っている。
原初の悪魔の動向
本作における「原初の悪魔」たちの動向と現状について解説する。現在、原初の悪魔たちの多くが魔王リムルの配下に加わっており、長年保たれてきた世界のパワーバランスを根底から覆す事態となっている。
各悪魔の動向
各悪魔の動向は以下の通りである。
・原初の黒(ノワール) / ディアブロ
リムルの配下としてルベリオスに同行し、大聖堂の襲撃事件に巻き込まれる。これまで彼は「強くなりすぎると戦いが一方的になりつまらない」という理由で進化を拒んでいた。しかし、成長を続けるリムルや仲間の姿に感化され、後れをとらないために「悪魔公(デーモンロード)」へと進化を果たしている。ルベリオスでは原初の青(レイン)と交戦するが、悪魔にとって天敵であるはずの神聖魔法「霊子崩壊」を自作の罠として使うなど、圧倒的な実力差を見せつけた。さらに、原初の白・黄・紫を「雑用を手伝う仲間が欲しい」という理由で勧誘し、リムルの配下に引き入れた張本人でもある。
・原初の赤(ルージュ) / ギィ・クリムゾン
原初の悪魔たちの頂点に立つ最強の魔王である。ディアブロとの戦闘で追い詰められたレインを回収するため、ルベリオスに顕現した。ディアブロとの対話の中で、リムルが残る原初(白・黄・紫)を従えただけでなく、生死に関わる危険な行為である「原初への名付け」まで行ったという事実を知らされ、激しく驚愕する。千数百年続いた勢力図を一人で滅茶苦茶にしたリムルという異常な存在に強い興味を抱き、近いうちに彼のもとへ遊びに行くと宣言して去っていった。
・原初の青(レイン) / 原初の緑(ミザリー)
魔王ギィの従者たちである。彼女たちが動くだけで西側諸国が壊滅しかねないと各国のトップから強く警戒されている。ルベリオスではレインが分身体「遍在」を使ってディアブロと戦うが、ディアブロからは「作業」「退屈」と評され、「進化前のテスタロッサにも及ばない」と終始見下される結果となった。
・原初の白(ブラン)、黄(ジョーヌ)、紫(ヴィオレ)
彼女たちは権力争いをしていたが、ディアブロの勧誘に乗って全員がリムル陣営に加わった。
- 原初の黄(カレラ):長年、魔王レオンの領地(黄金郷エルドラド)に干渉していたが、突突として気配が消失し、地獄門も封鎖された。レオン陣営は異常事態として困惑していたが、実はリムルの配下になったためである。
- 原初の白(テスタロッサ):北方の守りが手薄になった隙を突いて西側諸国で暴れようとするギィの配下たちに対処するため、ディアブロの指示で人材を率いて派遣されている。
- 原初の紫(ウルティマ):カレラやテスタロッサと同様に、リムルから名を与えられ、役割を用意されて配下として活動している。
まとめ
総じて、ディアブロの気まぐれな行動とリムルの規格外の器によって、7柱いる原初の悪魔のうち4柱(黒、白、黄、紫)がリムル陣営に集結するという、世界を揺るがす異常事態が進行している。
ルベリオスへの襲撃
神聖法皇国ルベリオスへの襲撃は、ロッゾ一族の総帥であり元勇者でもあるグランベル・ロッゾが首謀した大規模な陰謀である。襲撃の舞台となったのは、リムル一行が滞在し、タクトたちが演奏会の練習を行っていた大聖堂であった。
襲撃の概要と被害
敵勢力は百名近い規模で、教会側も把握していない抜け道を利用して侵入してきた。一般市民への被害は出なかったものの、対応が遅れた見習い騎士や法皇直属近衛師団からは数名の死傷者が出る事態となった。さらに、大聖堂内部には北方の守護として利用されていた蟲型魔獣ラズルが投入され、内部を派手に破壊して回った。
襲撃の目的
グランベルによる大聖堂襲撃は、主に以下の複数の目的が絡み合った緻密な作戦であった。
・究極の決戦兵器の奪取と陽動:中庸道化連のユウキと一時的な共同戦線を結び、彼が究極の決戦兵器(かつて暴風竜を封じた最強の勇者)が眠る聖櫃を盗み出すための隙を作る陽動として襲撃を行った。また、これはルベリオスの支配者である魔王ルミナスをおびき出し、彼女と直接決着をつけるための罠でもあった。
・魔王同士の同士討ちの画策:グランベルは偽情報を流して魔王レオンをルベリオスへ誘き寄せた。大聖堂の戦場にレオンが現れると、過去にレオンが十歳に満たぬ異世界人の子供の召喚を依頼していた事実を暴露し、強制的な呪言で操った不完全召喚の子供たちをリムルに見せつけた。異世界人召喚を強く嫌悪するリムルを激怒させ、レオンと同士討ちさせるという残酷な狙いがあった。
各所での戦闘と対応
この襲撃により、ルベリオスは敵味方が入り乱れる混沌とした戦場と化した。
・ヒナタ対グランベル:聖騎士団長ヒナタは、グランベルと激しい剣戟を繰り広げた。グランベルはヒナタが技を奪うことを前提に対策を練るなど、老獪な戦術で彼女の体力を削るが、ヒナタも本気を出して立ち向かった。
・大聖堂内部:圧倒的な魔素量を持つラズルに対し、リムルの命を受けたシオンとランガが応戦し、苦戦を強いられながらも奮闘している。
・リムルとレオンの共闘:グランベルの罠によって激怒したリムルはレオンを一発殴り飛ばした。しかし、リムルはグランベルがこの場をコントロールしようとしている思惑を冷静に見抜き、レオンもその意図を察知したことで、両者は敵対するのではなく一時的な共闘関係を結ぶに至った。
・魔王ルミナスの出陣:地下の夜想宮廷にいたルミナスは、大聖堂の騒ぎが自分をおびき出す陽動であると見抜いていた。しかし、グランベルからの挑戦状を受け、長年の因縁に決着をつけるために自ら戦場へと向かう決意を固めた。
まとめ
結果として、グランベルの襲撃はルベリオスに大混乱をもたらしたが、魔王たちの同士討ちという目論見は外れ、強者たちが各所で激突する全面対決へと発展している。
レオンとリムルの対峙
ルベリオスの大聖堂における魔王レオンと魔王リムルの対峙は、事態の黒幕であるグランベル・ロッゾが仕掛けた魔王同士の同士討ちの罠から始まったが、最終的には両者の冷静な判断により共闘へと至った。
詳細な経緯
・グランベルによる暴露と挑発
混沌とする大聖堂の戦場にレオンが到着すると、グランベルは倒れている異世界人の子供たちを指し示し、レオンの過去を暴露した。グランベルは、レオンが十歳に満たぬ異世界人の子供の召喚を長年依頼していた顧客であり、倒れている子供たちはシズエ・イザワのような強靭な戦士を求める過程で生み出された失敗作の成れの果てだと語った。これは、異世界人召喚を強く嫌悪するリムルを激怒させ、レオンと同士討ちさせるための卑劣な罠であった。
・リムルの激怒と一撃
シズが大切な人を失ったことや、クロエたちが死の恐怖に怯える日々を過ごした元凶がレオンであると確信したリムルは激怒する。智慧之王からグランベルが敵対させようとしていると警告を受けたものの怒りを抑えきれず、反撃の兆候がないことを確認した上でレオンに怒りの拳を叩き込んだ。対するレオンは回避も防御もせず、リムルの一撃を正面から無抵抗で受け止めた。
・リムルの冷静な状況判断
無抵抗で拳を受けたレオンに対し、リムルは彼が想像していたよりも人が好いと感じ、完全な悪人ではないという印象を抱いた。同時に、シズがレオンを憎みきれなかった理由(生きる術を教え、用済みになった後も放逐しなかったこと)を少し理解した。リムルは異世界人召喚についての追及はひとまず後回しにし、グランベルの思惑通りにレオンまで敵に回すのは得策ではないと冷静に判断した。
まとめ
リムルは言葉の上ではまだ俺の分が残っている、ゆっくり語り合うとしようと敵対しているように装いながら、視線で周囲を見て状況を把握しろとレオンに促し、グランベルが事態の黒幕であることを示した。レオンも瞬時にリムルの真意を汲み取り、リムルがこの場をコントロールするために、事態を共有し共闘する相手として自分を選んだのだと理解した。戦況を把握したレオンは、護衛に対して防戦に徹し相手を殺さないよう命じ、リムルを信じて一時的な共闘関係を結ぶ決断を下した。
聖櫃を巡る駆け引き
本作における聖櫃を巡る駆け引きは、ルベリオス襲撃事件の裏で進行している極めて重要な裏工作である。グランベル・ロッゾと中庸道化連のユウキによる奪取計画と、それを迎え撃つ魔王ルミナス陣営の攻防が描かれている。
詳細な経緯と現状
・聖櫃と究極の決戦兵器の正体
魔王ルミナスがルベリオスの夜想宮廷の奥深くにある玄室にて、聖櫃の中に秘匿している存在がある。それは、かつて暴風竜ヴェルドラを封印したとされる最強と名高き勇者である。グランベルはこれを究極の決戦兵器と呼び、マリアベルを失ったロッゾ一族の復讐を果たすための最強の手駒として利用しようと目論んでいる。
・グランベルとユウキの密約と作戦
グランベルは、中庸道化連を率いるユウキに一時的な共同戦線を持ちかけた。作戦の内容は、グランベル自身がルベリオスの大聖堂を襲撃して派手な陽動を行い、その隙を突いてユウキたちが聖櫃を盗み出すというものである。ユウキは、ルミナスに仕える立場でありながらこの危険な賭けに乗る価値があると判断し、部下たちと共にルベリオスへと潜入した。
・魔王ルミナスの警戒
一方、聖櫃を守る魔王ルミナスは、大聖堂でのグランベルの襲撃騒ぎが自分を外へ誘い出すための陽動であると冷静に見抜いていた。彼女は、かつてルベリオスの中枢に関わっていたグランベルが聖櫃の存在を知っているはずであり、封印された勇者を解放しようと狙ってくる可能性を警戒し、自ら夜想宮廷の奥深くで待機していた。
・玄室への侵入と激突
ルミナスの予想通り、大聖堂が戦場と化している裏で、ユウキの配下である中庸道化連のラプラスとフットマンが夜想宮廷の玄室へと侵入してきた。ルミナスが直々に守りを固めていたことに対し、ラプラスたちは怯むことなく戦意を見せた。結果として、ラプラスの後を吸血鬼のルイが追い、フットマンの相手をギュンターが引き受けるという形で、聖櫃が眠る神聖な場所でも強者同士の激しい戦闘が勃発することになった。
まとめ
このように、大聖堂での派手な戦闘の裏では、世界のパワーバランスを左右しかねない封印された勇者を巡る、騙し合いと裏を掻き合う高度な駆け引きが展開されている。
登場キャラクター
魔国連邦
リムル
魔国連邦の盟主であり、魔王である。子供たちや仲間を大切に思い、異世界人召喚を嫌悪している。
・所属組織、地位や役職
魔国連邦・盟主。魔王。
・物語内での具体的な行動や成果
ルベリオスを視察し、平等社会のあり方について考察した。大聖堂が襲撃された際は、シオンたちに子供たちの護衛を命じ、自身は外でグランベルと対峙した。操られている異世界人の子供たちにかけられた呪言を解呪している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
原初の悪魔たちに名を与えて配下とし、世界の勢力図を大きく変化させている。レオンと対峙した際には、冷静に状況を判断して共闘の道を選択した。
ディアブロ
リムルに絶対的な忠誠を誓う悪魔である。リムルの魂や姿を高く評価している。他の悪魔に対しては冷酷に振る舞い、自身の実力に自信を持っている。
・所属組織、地位や役職
魔国連邦。悪魔公。原初の黒。
・物語内での具体的な行動や成果
ルベリオス大聖堂の襲撃時、リムルの命で子供たちを守った。その後、原初の青であるレインと交戦し、神聖魔法である霊子崩壊を使用して圧倒した。ギィ・クリムゾンとも対等に言葉を交わしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
これまで進化を拒んでいたが、リムルや仲間の成長に感化されて悪魔公へと進化した。原初の白、黄、紫を勧誘してリムルの配下に引き入れた。
ヴェノム
ディアブロの配下である。主の命令に素直に従うが、厳しい扱いに動揺する様子も見せている。
・所属組織、地位や役職
魔国連邦。ディアブロの配下。
・物語内での具体的な行動や成果
ルベリオスを高所から見渡し、街の様子を観察した。ディアブロから子供たちの護衛を命じられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ディアブロから遅刻や失敗に対して斬首を宣告されるなど、厳しい扱いを受けている。
シオン
リムルの配下である。戦闘を好む性格を持ち、主の期待に応えようと奮闘する。
・所属組織、地位や役職
魔国連邦。第二秘書。
・物語内での具体的な行動や成果
大聖堂での襲撃時、転移扉から現れて楽団員たちを叱咤し、練習を続けさせた。大聖堂内部に出現した蟲型魔獣ラズルに対し、ランガと協力して戦闘を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
強敵との戦闘の機会を得たことについて、ディアブロに感謝を示している。
ランガ
リムルの配下である。主の命令に従い、仲間を的確に援護する。
・所属組織、地位や役職
魔国連邦。
・物語内での具体的な行動や成果
シオンの影から現れ、蟲型魔獣ラズルに対して黒き稲妻を放った。戦闘においてシオンを援護した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
強敵ラズルを相手に、シオンと連携して戦っている。
悪魔族
リムルたちの活動を支援する存在である。
・所属組織、地位や役職
魔国連邦。
・物語内での具体的な行動や成果
ルベリオスにおいて、演奏会準備の機材搬入を手伝った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
人手不足を補い、準備を円滑に進める役割を果たしている。
タクト
音楽に携わる人物である。異常な事態の中でも自らの役割を果たそうとする。
・所属組織、地位や役職
楽団のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
大聖堂での襲撃を受けて動揺したが、シオンの叱咤を受けて演奏会の練習を再開した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
混乱した状況下でも練習を続ける胆力を、リムルから評価された。
神聖法皇国ルベリオス
ルミナス・バレンタイン
ルベリオスを支配する魔王である。グランベルとは長年の因縁があり、リムルとの条約を守る意思を持っている。
・所属組織、地位や役職
神聖法皇国ルベリオス。魔王。
・物語内での具体的な行動や成果
夜想宮廷の玄室で聖櫃を守っていた。大聖堂の襲撃が陽動であると見抜いている。グランベルからの挑戦状を受け、マリアを伴って決着をつけるために向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ルミナス教の神として崇められている。聖櫃の中に究極の決戦兵器である勇者を秘匿している。
ヒナタ・サカグチ
ルベリオスを防衛する要である。冷徹な一面を持つが、子供たちには優しい表情を見せる。
・所属組織、地位や役職
神聖法皇国ルベリオス。聖騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果
リムルたちにルベリオスの平等な社会制度を説明した。大聖堂の襲撃に対し、グランベルと剣戟を交えた。能力である簒奪者を使用したが、グランベルの老獪な戦術に苦戦している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
グランベルから経験不足を指摘されたが、本気を出して立ち向かう決意を示した。
フリッツ
ルベリオスの体制を肯定的に捉えている人物である。ヒナタや聖騎士たちを尊敬している。
・所属組織、地位や役職
神聖法皇国ルベリオス。
・物語内での具体的な行動や成果
ルベリオスの街を視察中、誰も飢えない社会はヒナタたちが頑張っているおかげだと発言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ルイ
ルミナスの配下である。ロイに似た姿をしており、戦闘になると本性を抑えられない。
・所属組織、地位や役職
神聖法皇国ルベリオス。
・物語内での具体的な行動や成果
夜想宮廷に侵入した中庸道化連と対峙した。ロイを殺したのがラプラスであると断定し、彼を追って戦いを挑んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自分がロイより優秀であることを証明しようとしている。
ギュンター
ルミナスの配下である。神聖な場所を重んじる一方、戦闘時には血を抑えられない。
・所属組織、地位や役職
神聖法皇国ルベリオス。
・物語内での具体的な行動や成果
夜想宮廷に侵入したフットマンと対峙した。神聖な場所を汚さないために、表へ出て戦うことを提案している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
聖騎士
ルベリオスを守る兵士たちである。ヒナタの指揮に従い行動する。
・所属組織、地位や役職
神聖法皇国ルベリオス。聖騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
大聖堂への侵入者を報告した。グランベルの襲撃に対して魔法詠唱や連携攻撃で応戦したが、大規模攻撃を受けて倒れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
グランベルからは隊長格であっても実力不足であると評価された。
異世界人の子供たち
アリス
リムルが保護している子供の一人である。ルベリオスの管理社会に疑問を抱いている。
・所属組織、地位や役職
異世界人の子供たち。
・物語内での具体的な行動や成果
ルベリオスの視察中に、欲しいものを自由に買えない生活はつまらないと発言した。演奏会の練習を見学したいとリムルに頼んでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ケンヤ・ミサキ
リムルが保護している子供の一人である。努力に対する報酬を求めている。
・所属組織、地位や役職
異世界人の子供たち。
・物語内での具体的な行動や成果
ルベリオスの視察において、頑張った分だけ報酬を得たいという思いを語った。豪華な晩餐会と一般市民の生活の差に疑問を呈した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
クロエ・オベール
リムルが保護している子供の一人である。他者を思いやる優しい性格であり、レオンが長年捜し求めている少女である。
・所属組織、地位や役職
異世界人の子供たち。
・物語内での具体的な行動や成果
ルベリオスの人々が一部の強者に守られている状況を、水槽の中で飼われている魚に例えた。皆で協力し合う社会の方が良いと発言している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヒナタからその考えを優しいものとして評価された。
魔王レオン陣営
魔王レオン
クロエを長年捜し続けている魔王である。目的のためには手段を選ばず、悪名を被る覚悟を持っている。
・所属組織、地位や役職
魔王レオン陣営。魔王。
・物語内での具体的な行動や成果
エルメシアと面会し、クロエの所在とルベリオス襲撃の情報を得た。大聖堂でリムルから怒りの一撃を受けたが、抵抗せずに受け止めた。リムルの意図を汲み取り、共闘関係を結んでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
グランベルの罠にかけられ、過去の異世界人召喚の事実を暴露された。
クロード
レオンに仕える側近である。主の行動を肯定し、強く支持している。
・所属組織、地位や役職
魔王レオン陣営。騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
原初の黄が消滅した報告を受け、地獄門の封鎖について見解を述べた。レオンにもっと強引に振る舞うよう進言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
護衛
レオンに従う兵士たちである。主の命令に忠実に行動する。
・所属組織、地位や役職
魔王レオン陣営。護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
レオンと共にルベリオスの大聖堂に到着し、戦闘に巻き込まれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
レオンから防戦に徹し、相手を殺さないよう命じられた。
魔導王朝サリオン
エルメシア・エル・リュ・サリオン
魔導王朝サリオンの皇帝である。情報収集を趣味とし、各国の情勢を正確に把握している。
・所属組織、地位や役職
魔導王朝サリオン。皇帝。
・物語内での具体的な行動や成果
面会に来たレオンに対し、クロエがリムルに保護されていることを伝えた。ロッゾ一族によるルベリオス襲撃の情報をレオンに提供している。魔法士団を動員して北方の危機に対処する決断を下した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
レオンから原初の黄が消えたという情報を聞き、大きな衝撃を受けた。
ロッゾ一族
グランベル・ロッゾ
ロッゾ一族の総帥である。かつては人類のために尽くした元勇者だが、現在は世界への復讐を目論んでいる。
・所属組織、地位や役職
ロッゾ一族。総帥。五大老の長。
・物語内での具体的な行動や成果
ユウキと結託してルベリオス大聖堂を襲撃した。ヒナタと対峙し、老獪な戦術で彼女を追い詰めた。レオンを誘き寄せ、過去を暴露してリムルと同士討ちさせようと企んでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
マリアベルを失ったことで絶望し、かつての正義や理性を手放して破滅的な思想に至っている。
マリア・ロッゾ
グランベルに同行する女性である。マリアベルによく似た容姿をしている。
・所属組織、地位や役職
ロッゾ一族。
・物語内での具体的な行動や成果
グランベルからルミナスを捜し出して連れてくるよう命じられ、それに従った。ルミナスと共にグランベルの待つ場所へと向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
抵抗するならルミナスを殺しても構わないという命令を受けている。
ラズル
北方を悪魔の干渉から守護していた魔獣である。グランベルの命令でルベリオスを破壊する。
・所属組織、地位や役職
ロッゾ一族。蟲型魔獣の完全形態。
・物語内での具体的な行動や成果
大聖堂の内部に出現し、建物を派手に破壊して回った。圧倒的な魔素量を持ち、シオンとランガを相手に戦闘を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
悪魔族にとって天敵のような性質を持つ強力な存在である。
操られている異世界人たち
異世界から召喚された子供たちである。グランベルの呪言によって強制的に支配されている。
・所属組織、地位や役職
ロッゾ一族の支配下。
・物語内での具体的な行動や成果
大聖堂の戦場でリムルに襲い掛かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リムルによって無力化され、呪言を解除された。
中庸道化連
ユウキ
中庸道化連を率いる黒幕の一人である。世界征服の野望を抱いている。
・所属組織、地位や役職
中庸道化連。
・物語内での具体的な行動や成果
グランベルと一時的な共同戦線を結び、ルベリオスの聖櫃を奪取する計画を立てた。レオンに偽情報を流して目的を絞り込ませ、ルベリオスへ潜入している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
今回の騒動の責任をロッゾ一族に押し付けるつもりで行動している。
カガリ
ユウキの配下である。冷静に状況を分析し、ユウキの計画に対して意見を述べる。
・所属組織、地位や役職
中庸道化連。
・物語内での具体的な行動や成果
レオンが偽情報を鵜呑みにしてリムルと敵対するとは考えにくいと指摘した。血影狂乱や異世界人の戦士について言及している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ラプラス
中庸道化連の一員である。軽口を叩く性格だが、高い実力を持っている。
・所属組織、地位や役職
中庸道化連。「享楽の道化」。
・物語内での具体的な行動や成果
フットマンと共に夜想宮廷の玄室に侵入した。ルミナスに対してグランベルからの挑戦状を伝えた。ルイから戦いを挑まれて逃走し、彼を誘い出している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
かつて魔王ヴァレンタインを倒している。
ティア
中庸道化連の一員である。ユウキの計画について質問をする。
・所属組織、地位や役職
中庸道化連。
・物語内での具体的な行動や成果
レオンの目的やユウキの意図について疑問を呈し、説明を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フットマン
中庸道化連の一員である。戦闘を好む性格である。
・所属組織、地位や役職
中庸道化連。「怒った道化」。
・物語内での具体的な行動や成果
ラプラスと共に夜想宮廷の玄室に侵入した。立ち塞がったギュンターからの戦いの誘いを面白がり、対峙している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
魔王ギィ陣営
ギィ・クリムゾン
最強の魔王である。リムルの規格外の行動に強い興味を抱く。
・所属組織、地位や役職
魔王ギィ陣営。魔王。原初の赤。
・物語内での具体的な行動や成果
ルベリオスに顕現し、ディアブロと会話を交わした。ディアブロからリムルが原初の悪魔たちを配下にし、名付けまで行ったという事実を聞かされている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
長年保たれてきた勢力図を一人で変えたリムルの領地を訪問すると宣言した。
レイン
ギィの従者である。ディアブロの自由奔放な態度に強い苛立ちを感じている。
・所属組織、地位や役職
魔王ギィ陣営。原初の青。
・物語内での具体的な行動や成果
分身体を用いてルベリオスでディアブロと交戦した。ディアブロが使用した神聖魔法の罠に嵌まり、圧倒的な実力差を見せつけられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ディアブロから進化前のテスタロッサにも及ばないと評されている。
展開まとめ
第137話 グランベル・ロッゾー
ルベリオス視察と平等社会の議論
ルベリオスの街並みとヴェノムの評価
ヴェノムは高所からルベリオスの街を見渡し、犯罪や貧困がほとんど見当たらない安定した都市であると評価した。一方で、争いや競争の少ない環境に対して、住民は退屈しないのかと疑問も抱いていた。
その頃、ディアブロはヴェノムへ念話を送り、十分以内に配下を連れて来るよう命じた。遅れた場合は斬首に処すると告げられたため、ヴェノムは慌てて呼び出しに応じようとした。
演奏会準備と街の案内
ルベリオス滞在二日目となり、演奏会の機材搬入が行われていた。悪魔たちが作業を手伝っていたため準備は順調に進んでおり、リムルはその様子に感心していた。
その後、ヒナタはリムルたちに街を案内することを提案した。リムルはそれを快く受け入れ、一行はルベリオスの内部を見て回ることになった。
ルベリオスの平等な社会制度
ヒナタは、ルベリオスでは神の庇護の下で人々が暮らしており、食料や生活必需品が平等に配給されていると説明した。そのため飢餓や貧困に苦しむ者は存在しないという。
リムルは、その仕組みが魔国連邦とは正反対であると感じていた。競争の少ない平和な社会であり、他者と比較して劣等感を抱く機会も少ない一方で、向上心を生み出す原動力も弱くなるのではないかと考えていた。
子供たちが抱いた疑問
案内を受けた子供たちは、それぞれ異なる感想を抱いていた。
アリスは欲しい物を自由に買えない生活に疑問を示し、ケンヤも努力した分だけ報酬を得たいと語った。リムルは、最初から存在を知らなければ欲望による苦しみも生まれないと説明した。
さらにケンヤは、前日の豪華な晩餐会と一般市民の生活との差について疑問を投げかけた。ヒナタは客人だからこその待遇だと説明したが、リムルは国の運営に関わる者や賓客は平等の枠外にいることを認識し、完全な平等ではないと感じていた。
クロエの指摘
フリッツは、誰も飢えずに暮らせる社会は素晴らしいものであり、それはヒナタや聖騎士たちの努力によって支えられていると評価した。
それに対してクロエは、住民たちが自力では生活を維持できず、誰かに守られている状況を水槽の中で飼われる魚に例えた。ただし現在の生活を否定しているのではなく、皆で協力して支え合う方が望ましいと考えていることも伝えた。
ヒナタはその考えを優しいものとして受け止め、クロエを褒めた。
幸福と平等についてのリムルの考察
リムルは、幸福の形は人それぞれであり、クロエの考え方は理想的だと評価した。しかし現実には才能や能力の差が存在するため、全員を見捨てないことを重視するならば、ルベリオスのような社会も一つの選択肢であると考えた。
同時に、平等という理念の裏には残酷で不公平な現実も存在すると認識していた。ルベリオスの在り方は子供たちに多くの考えを抱かせただけでなく、リムル自身にも物質的な豊かさだけが幸福ではないことを再認識させた。
しかし魔国連邦は、自らの理想を実現するために発展してきた国家であり、今さらその方針を変えるつもりはないと改めて確認した。
原初の黄の消失
魔王レオンのもとへ、原初の黄ことジャウヌの気配が消失したとの報告が届いた。報告によれば、膨大な魔力を感知した直後、原初の黄と周辺の悪魔たちの反応が完全に消え去ったという。
さらに調査の結果、悪魔界への入口である地獄門そのものが封鎖されていることも判明した。地獄門は長年にわたり悪魔の侵入経路となっており、これまで何度も封鎖を試みて失敗していたため、レオンや配下たちは異常事態として受け止めていた。
魔国連邦からの怪しい報告
続いて魔国連邦へ派遣していた者からの報告が届けられた。内容は、リムルが異世界人の子供たちを連れて神聖法皇国へ向かい、魔王ルミナスとの取引材料にしているというものであった。
しかしレオンは、その情報を即座に信用しなかった。異世界人召喚を嫌悪するリムルが子供たちを利用するとは考えられないとして、報告者自身を監視するよう命じた。そして情報源が何者かに操られている、あるいは裏で別の勢力と繋がっている可能性を指摘した。
レオンの推理
レオンは、この偽情報の目的が自分とリムルを衝突させることにあると推測した。さらに、その策謀には魔王ルミナスまでも巻き込まれている可能性があると考えた。
一方で、自身が異世界人の子供たちを集めている事実を知る者は限られていることから、秘密結社・三巨頭の関与も疑った。しかし、彼らのやり口にしてはあまりにも稚拙であるとも感じていた。
その思考の中で、レオンは「クロエ・オベール」の名を思い浮かべていた。
黄金郷を託して出発
忠誠を誓う騎士たちは、どのような命令にも従うと申し出た。側近たちもまた、レオンがもっと強引に振る舞っても誰も不満を抱かないと進言した。
レオンは原初の黄の消失を好機か否か見極められないまま、しばらく国を離れる決断を下した。そして自らが戻るまで黄金郷エルドラドを守り抜くよう命じ、部下たちに後を託した。
ユウキの思惑
その頃ユウキは、レオンが動き出したことを知り、その目的がクロエである可能性が高いと分析していた。
しかしカガリは、レオンが流された情報をそのまま信じるとは思えず、仮にクロエを狙うならルベリオスへ向かうだけで、リムルと敵対するとは考えにくいと指摘した。
ラプラスもまた、自分たちが情報を流した時点で疑われるのは当然だと語った。
ロッゾ一族を黒幕に仕立てる計画
それに対しユウキは、疑われること自体が問題ではないと説明した。目的はレオンの行動方針を絞り込むことであり、それは既に達成されたという。
さらに、レオンが求めていた不完全召喚された異世界人の子供たちの供給源はシルトロッゾ王国であり、マリアベルを失ったことでロッゾ一族の力は大きく低下していると語った。現在のロッゾ一族には安定して召喚儀式を行う余力は残されていないという。
そこでユウキは、今回の一連の騒動の責任をロッゾ一族へ押し付けるつもりであることを明かした。
レオンの盲点
ユウキは、レオンは慎重な人物ではあるが、自らの力に強い自信を持っていると分析していた。そのため利用するだけの人間が自分を害せるとは考えておらず、ロッゾ一族について深く調べようともしないだろうと見ていた。
そして、ロッゾ一族の内部に本当の脅威が潜んでいることなど想像していないはずだと断言した。
ラプラスが、力を失ったロッゾ一族にそこまでの影響力が残っているのかと問い掛けると、ユウキは迷うことなく「ある」と答えた。
ユウキの次の標的
ユウキは、ロッゾ一族の汚れ仕事を担う組織「血影狂乱」や異世界人の戦士たち、さらに北方を悪魔の干渉から守護するラズルの存在を挙げた。そしてルベリオスへ向かう時が来たと告げ、以前グランベルから持ちかけられた「決戦兵器」の話を思い返した。
マリアベルの死とグランベルの決意
数週間前、ユウキはグランベルにマリアベルの死を伝えていた。グランベルはロッゾ一族の希望が失われたことを嘆き、その代わりにルミナスが隠している決戦兵器を使って復讐を果たすべきだと語った。
さらに彼は、ルミナス教が崇める神の正体が魔王ルミナスであることを明かし、その事実を理解しているはずだとユウキへ告げた。
人類の未来を巡る対立
グランベルは、人類の未来を託せる存在はユウキしかいないと評価していた。しかしユウキは、人類との共存を本気で望んでいるリムルが問題を解決するだろうと返した。
それに対しグランベルは、ルミナスが人間社会に無関心だったからこそ均衡が保たれていたのであり、リムルは違うと断言した。リムルは人々を堕落させ、世界の均衡を崩し、多くの流血を招く存在になると警告した。
ユウキが根拠を尋ねると、グランベルは元勇者としての勘だと答えた。
魔王への対抗を訴えるグランベル
グランベルは、人類同士で争っている場合ではなく、八星魔王の圧倒的な力に対抗するため人類が結束しなければならないと主張した。人類社会の存続そのものが危機に瀕していると考えていたのである。
しかしユウキは、その思想に共感しておらず、内心では面倒な老人だと感じていた。
究極の決戦兵器の正体
グランベルは共同戦線を提案し、その見返りとしてルミナスが秘匿している究極の決戦兵器を譲ると持ちかけた。
その正体は、かつて暴風竜ヴェルドラを封印した伝説の勇者であった。現在は聖櫃によって厳重に保護されており、手に入れれば最強の駒になると説明した。
ユウキは興味を示しつつも、その話を簡単には信用しなかった。
聖櫃奪取作戦
グランベルは、自らルベリオスの大聖堂を襲撃し、その隙にユウキが聖櫃を奪うという作戦を提案した。
ユウキは、ルミナスに仕える立場でありながらなぜそのような行動を取るのか疑問を呈した。するとグランベルは、自分は既に見捨てられた存在であり、人類の敵にならないという条件によってのみ関係が維持されていたと語った。
ユウキへの警告
グランベルは、マリアベルが未来を見通していた一方で、ユウキにはまだ見えていないものがあると指摘した。そしてリムルの台頭によって世界の均衡は崩れ、人類は危機に陥ると改めて警告した。
さらに、自らの勘がリムル討伐を訴えていることを理由に協力を求めたが、ユウキは依然として慎重な姿勢を崩さなかった。
ルベリオス侵入への決意
回想を終えたユウキは、グランベルから聞いた話を踏まえた上でルベリオスへ向かう決意を固めた。
その目的は、血影狂乱やラズル、そして聖櫃に秘められた存在を含め、ルベリオスで動き始めている様々な勢力と計画の真相を確かめることであった。
グランベルとユウキの同盟成立
グランベルは、リムルと手を組むのであればルミナスであっても敵に回す覚悟があると明言した。その覚悟を見たユウキは、老いた理想家だと思っていたグランベルにまだ力が残っていることを認め、この危険な賭けに乗る価値があると判断した。
こうして両者は、一時的かつ最後となる共闘を約束した。
千年抱き続けた理想
グランベルは千年以上もの間、人類の未来のために尽力してきた人物であった。
かつて仲間たちと語り合った理想や、死にゆく者たちへ誓った約束を胸に抱き続け、その実現はあと一歩のところまで近づいていると信じていた。
しかし、その理想は徐々に崩れ始めていた。
世界への失望
グランベルは、各地の脅威を思い浮かべていた。
北方ではギィ・クリムゾンが悪魔たちを自由に活動させ、西方ではダグリュールが人間社会へも関心を示していた。現在は夜魔の女王との衝突を避けているものの、それがいつまで続くかは分からないと考えていた。
さらに東の帝国にも、人類を超越した何者かの意思が介在しているように感じていた。眠る支配者が暗躍している可能性すら疑っていたのである。
理想からの転落
グランベルは、野望を抱く若者たちを嘲笑しながらも、自身の内面では深い疲労と絶望を抱えていた。
長年守ろうとしてきた世界は、自分から奪うばかりで何も返してくれなかったという思いが募り、もはや滅んでしまっても構わないとさえ考えるようになっていた。
その思いとともに鳥籠を倒したグランベルは、かつて抱いていた正義から完全に逸脱していた。
理性を失った元勇者
長き歳月の中で理想を追い続けたグランベルであったが、その執念は次第に憎悪と絶望へ変質していた。
かつて人類の守護者であった彼は、既に理性による判断を失い、自らの正義すら見失っていたのである。
第138話 西方動乱
魔導王朝サリオンでの会談
魔導王朝サリオンを訪れたレオンは、皇帝エルメシア・エル・リュ・サリオンと面会した。
エルメシアは相変わらず愛想のないレオンをからかいながらも、彼が何を尋ねに来たのかを最初から見抜いていた。レオンが探していたのは、かつての教え子であるクロエの消息であった。
クロエの所在判明
エルメシアは、クロエが魔王リムルに保護されている子供たちの中にいることをあっさりと明かした。
保護されている五人の子供の名を挙げ、その中にクロエ・オベールが含まれていると説明したのである。
レオンは驚きながらも、エルメシアが以前から全て把握していたことを知るのだった。
レオンの不器用な生き方
エルメシアは、レオンが誰にも本心を明かさず、全てを一人で背負い込もうとする性格を指摘した。
さらに、英雄シズエ・イザワとの関係にまで言及し、レオンが誤解されることを恐れずに行動してきた結果、周囲との距離を生んでいると語った。
しかしレオンは、自らの目的のために多くを犠牲にしてきたことを認めながらも、クロエを救うためならどのような悪名でも受け入れる覚悟があると断言した。
ルベリオスを巡る陰謀
レオンは、リムルと子供たちが現在ルベリオスに滞在していること、そして誰かが自分とリムルを衝突させようとしていると考えていることを打ち明けた。
エルメシアはその可能性として、ロッゾ一族、三巨頭、あるいは魔王ルミナスの名を挙げた。
しかし独自の情報網によれば、ルミナスはリムルとの条約を守る意思を持っており、聖騎士団長ヒナタの動向からもその事実は明らかであると分析した。
ロッゾ一族の危険な動き
エルメシアは、最も警戒すべき相手はロッゾ一族であると断言した。
北方の守備を放棄したうえで戦力を総動員し、ルベリオスへの大規模攻撃を準備しているという情報を掴んでいたのである。
その話を聞いたレオンは、事態が進めばギィが動く可能性を懸念した。
世界規模の危機への警戒
エルメシアは、正確にはギィ本人ではなく原初の緑と原初の青が動く可能性が高いと説明した。
それでも十分に危険であり、誰かが魔王ギィと対等に話し、彼らを抑えなければ西側諸国が壊滅しかねない状況であった。
レオンもギィへの干渉は逆効果になる恐れがあると認め、人類側が自ら努力する姿勢を示す必要があるという意見に同意した。
北方への支援と友情
北方の危機に対処するため、エルメシアは魔法士団を動員する決断を下した。
さらに、急ぐレオンを途中まで飛竜船で送り届けることを提案し、彼の行動を後押しした。
レオンは素直に礼を述べ、その助力に感謝した。
忠告とエルメシアの分析
出発を前に、エルメシアはレオンへ最後の忠告を与えた。
彼女によれば、ルミナスは本気でリムルとの約束を守ろうとしており、三巨頭は内部事情が複雑で判断が難しいものの、ロッゾ一族だけは明確に危険な存在であった。
さらにルベリオス襲撃の情報を伝え、西側諸国全体を巻き込む大混乱が迫っていることを警告したのである。
レオンからの警告
ルベリオス行きが罠であると理解しながらも、レオンは迷いなく向かう決意を示した。
その姿を見たエルメシアは、昔から変わらぬ不器用さに呆れながらも懐かしさを覚える。
別れ際、レオンは礼代わりとして「原初の黄が消えた」という重要な情報を伝えた。さすがのエルメシアも知らなかった情報であり、大きな衝撃を受けるのだった。
ルベリオス三日目
場面はルベリオスへ移る。
子供たちは演奏会の練習を見学したいとリムルへ頼み込み、リムルは許可を出した。しかし何が起こるかわからない状況を考慮し、ディアブロに護衛を命じる。
ディアブロはヴェノムへ子供たちの警護を任せ、子供たちに何かあれば命懸けで守れと厳命した。あまりにも物騒な言い回しに、リムルは改めて悪魔らしい考え方だと感じていた。
平穏な朝の終わり
朝食を楽しみながら穏やかな一日の始まりを感じていたリムルだったが、その平和は突然破られた。
聖騎士が駆け込み、大聖堂へ正体不明の集団が侵入し、現在も交戦中であると報告したのである。
しかも敵は百名近い規模であり、一般市民への被害こそ出ていないものの、見習い騎士や近衛師団には死傷者が発生していた。
グランベル襲来
敵はルベリオスの地理に精通しており、教会側も把握していない抜け道を利用して侵入していた。
その報告を聞いたヒナタは、ついにグランベル・ロッゾが動き出したと判断した。
リムルも事前に聞いていた情報と一致すると考え、状況を冷静に分析する。
大聖堂での混乱
その頃、大聖堂では壁が破壊され、演奏会の練習をしていた楽団員たちが混乱していた。
避難を提案する声も上がったが、その場へリムルの転移門を通じてシオンが現れる。
シオンは楽団員たちを一喝し、リムルが安全を保証すると言った以上、演奏に集中しろと命じた。
戦場で怯えるなと言われる楽団員たちを見て、リムルは内心で無茶な要求だと苦笑するのだった。
タクトたちの決意
シオンの叱咤を受けたタクトは、自分たちの動揺を認めながらも練習の再開を宣言した。
楽団員たちもそれに従い、恐怖を抱えながらも演奏会成功のために気持ちを立て直した。
その様子を見たリムルは驚きながらも感心する。
子供たちの無事を確認
クロエたち子供が無事であることを確認したリムルは安堵した。
そしてシオンとディアブロへ、子供たちと楽団員たちの護衛を命じる。
二人は即座に了承し、防衛にあたることとなった。
リムルの出撃
シオンから今後の行動を問われたリムルは、自らが大聖堂の外へ向かうと宣言した。
明日の演奏会を必ず成功させるためにも、混乱の原因となっている敵を排除すると決意したのである。
こうしてリムルは、ルベリオスを襲う陰謀へ直接立ち向かうため戦場へ向かった。
グランベルとの対峙
大聖堂の外へ出たリムルは、聖騎士と侵入者が入り乱れる激戦を目の当たりにした。
味方も混在している状況では広範囲攻撃は使えないと判断したリムルは、戦場の中心に立つ男へ視線を向ける。
ヒナタはその人物こそ五大老の長にしてロッゾ一族の総帥、グランベル・ロッゾであると告げた。
マリアに似た少女
グランベルの背後には、かつて敵対したマリアベルによく似た少女が控えていた。
リムルが驚く一方で、少女はマリアと呼ばれ、グランベルからルミナスの捜索を命じられる。
命令には抵抗するなら殺しても構わないという冷酷な内容が含まれていたが、少女は感情を見せることなく従った。
リムルはマリアベルとは別人だと理解しながらも、その異様な姿に違和感を覚えた。
因縁と挑発
グランベルはリムルを魔王と認めながらも、マリアベルの件を持ち出して敵意を向けた。
しかしリムルは、そもそも仕掛けてきたのは向こう側だと冷静に受け止める。
互いの正義を言葉で語っても無意味だと判断したリムルは、力で決着をつける意思を示した。
それに対しグランベルは、自ら戦う前に後進へ機会を与えると言い放ち、聖騎士たちを前へ出した。
聖騎士たちの連携攻撃
複数の聖騎士がリムルたちへ襲い掛かり、同時に後方では魔法の詠唱が進められた。
詠唱者が大規模攻撃魔法を完成させると、グランベルはその詠唱を評価しながら魔法の流れを観察していた。
危険を察したヒナタは即座に散開を命じる。
しかし次の瞬間、強烈な攻撃が戦場を飲み込み、多くの聖騎士が倒された。
圧倒的な実力
リムルは瞬時に『誓約之王』の絶対防御で仲間を守ったものの、ヒナタ以外の聖騎士たちは深刻な被害を受けた。
その結果を見たグランベルは失望したように隊長格の実力不足を嘆く。
リムルは、かつて勇者として名を馳せた男の実力が決して過去の栄光ではなく、本物であると認識した。
大聖堂内部の異変
その最中、大聖堂内部で巨大な爆発が発生した。
グランベルはラズルの仕業だと見抜き、大聖堂を破壊しろという命令を忠実に実行しているのだろうと語る。
リムルは中にいる子供たちや楽団員の安否を案じた。
グランベルの願い
グランベルは聖霊の御加護を欲すると語り、自らの願いを神へ届けるよう祈りを捧げ始めた。
その直後、巨大な魔法陣が展開され、周囲へ膨大な魔力が満ちる。
魔法の流れを読み取ったリムルは、その術式が極めて高度なものであると察知した。
ヒナタの迎撃
グランベルが放った術式に対し、ヒナタは即座に対応した。
ヒナタの号令で全員が散開し、攻撃の直撃を回避する。
さらにリムルとヒナタは連携し、周囲の聖騎士たちを巻き込まないよう注意しながら敵勢力を制圧していった。
その戦いぶりを見たグランベルは不敵な笑みを浮かべる。
勇者の実力を認めるリムル
グランベルは、聖騎士の隊長格であればもっと善戦すると思っていたと語った。
その態度からは余裕と自信が滲み出ていた。
リムルもまた、グランベルが歴史に名を残した勇者である理由を理解し始める。
かつてどれほどの英雄だったのかは知らないが、その力は間違いなく本物であると認めざるを得なかった。
新たな脅威の出現
戦いの最中にも大聖堂内部では破壊活動が続いていた。
グランベルはラズルが派手に暴れていると語り、内部の状況を当然のように把握していた。
リムルは子供たちや仲間たちの無事を確認するため、『誓約之王』による魔力感知を発動し、大聖堂内部の状況把握へ乗り出したのである。
蟲魔獣ラズルの出現
リムルは大聖堂内部で暴れる存在を感知し、その正体を目にして驚愕した。
現れたのは常識外れの魔素量を持つ蟲型の魔獣であり、その力はシオンとディアブロの魔素量を合わせたものをも上回るほどだった。リムルは魔王級を超えかねない隠し玉の存在に戦慄する。
そこでディアブロへ対処可能か尋ねると、ディアブロは問題なく倒せると答えた。
ラズルの正体
ディアブロはその魔物について、極めて珍しい蟲型魔獣の完全形態であると説明した。
本来であれば苦戦など許されない相手だが、悪魔族にとっては天敵に近い性質を持つため、多少時間がかかる可能性があるという。
さらに別の懸念もある様子だったが、リムルは既に次の指示を考えていた。
シオンとランガへの命令
リムルはランガがシオンの影に潜んでいることを確認すると、二人へラズル討伐を命じた。
自ら加勢したい気持ちはあったものの、グランベルとの戦いから離れることはできなかったのである。
シオンとランガは即座に命令を受諾し、主の期待に応えると力強く宣言した。
シオンの覚悟
リムルはディアブロへ、気になっている問題の解決を優先するよう命じた。
しかしディアブロは、目の前の敵の強さを懸念する。
その言葉を遮るようにシオンは、自分に任せて先へ行けと告げた。
ディアブロの方が強いことを認めながらも、リムルが悩まずに済むよう全ての敵を倒すのが自分たちの役目だと語る。そして、自分が引き受けた仕事は自分で果たすと宣言した。
その覚悟を聞いたディアブロは、珍しくシオンの名を呼び、彼女へ信頼を示して戦場を離れた。
原初の青との再会
ディアブロが向かった先には、一人の女性が待っていた。
彼女は原初の青レインであり、かつての名であるノワールを呼んでディアブロを迎える。
レインは長らく待ち続けていたことを告げたが、ディアブロは今はディアブロと呼ぶよう求めた。
さらに、原初の青であることを確認しながらも、かつてとは立場が変わったことを示した。
名前を巡る挑発
レインは、自分が原初たちの中でも最強とされる原初の赤ギィから名を授かった存在であると誇らしげに語った。
そして、どこの馬の骨とも知れない魔王から名を貰ったディアブロとは違うと挑発する。
それはディアブロにとって、主であるリムルへの侮辱に等しい発言だった。
ディアブロの怒り
レインの挑発を聞いたディアブロは、不敵な笑みを浮かべる。
しかしその瞳には明確な怒りが宿っていた。
主を愚弄する言葉を許すつもりはなく、まるでこの世から消滅したいのかと冷たく言い放ったのである。
こうして大聖堂ではシオンとランガによるラズルとの戦いが始まり、一方でディアブロは原初の青レインとの因縁の対峙へと突入した。
第139話 西方動乱2
グランベルの余裕
グランベルは倒れた聖騎士たちを見下ろし、隊長格でさえ情けない有様だと嘲笑した。さらに過去の剣聖たちにも及ばず、自分の敵ではないと断言する。
それに対しヒナタは挑発に乗る形で、自分が相手をしてやろうと応じた。
リムルへの足止め
リムルはグランベルの意識が自分ではなくヒナタへ向いていることを察した。
大聖堂内部で戦うシオンや子供たちのことを気に掛けていたが、グランベルはリムルの相手は別の者たちに任せると宣言する。
その直後、複数の少年少女が現れた。
召喚された子供たち
智慧之王の解析により、その子供たちは異世界から召喚され、呪言によってグランベルの支配下に置かれている存在だと判明した。
リムルはグランベルが、自分は子供を殺せないと見越して差し向けたのだと理解する。
襲い掛かってきた少年を戦闘不能にすると、智慧之王は呪言の解除に成功したと報告した。
命に別状はなかったものの、全員に同じ処置を施さなければならない状況にリムルは頭を抱える。
時間稼ぎの策略
グランベルは仲間や同郷の者がいるかもしれないと挑発した。
リムルはグランベル自身も、子供たちが自分を倒せるとは考えていないはずだと分析する。
目的は時間稼ぎだと理解しながらも、今は仲間を信じ、自分にできることをやるしかないと覚悟を決めた。
レインの不満
場面はディアブロとレインの戦いへ移る。
レインは逃げ回ってばかりでは戦いにならないと挑発するが、ディアブロは彼女程度に本気を出す必要がないだけだと平然と返した。
レインは受肉したばかりで力を出し切れないのだろうと指摘するが、内心では別の感情を抱いていた。
原初の悪魔としての価値観
レインはディアブロに強い苛立ちを抱いていた。
同じ原初の悪魔でありながら、派閥を築くこともなく、使命を背負うこともなく、悪魔族共通の願いである受肉への執着さえ見せないからである。
それでいてギィと引き分けた実績を持つディアブロの存在が、彼女には理解できなかった。
さらにギィが受肉によって絶大な力を得た後も、ディアブロが強さを追い求めることなく自由気ままに振る舞っていることが気に入らなかったのである。
ディアブロの生き方
レインは悪魔ならば正しいルールに従い、さらなる進化を目指すべきだと考えていた。
しかしディアブロはそうした価値観に縛られず、自らの興味と意思のまま行動していた。
その自由さこそがレインの反感を買う一方で、他の原初たちとは異なるディアブロの本質でもあった。
激化する戦い
レインは巨大な結晶を発生させながら攻撃を仕掛ける。
しかしディアブロは余裕を崩さず、その攻撃をかわし続けた。
レインは簡単に終わってもらっては困ると考えながら攻勢を強めるが、ディアブロは相変わらず本気を見せない。
その態度はレインの苛立ちをさらに増幅させていった。
ギィと並ぶ実力
ディアブロは戦いの最中でも冷静さを失わなかった。
レインは改めて、ディアブロがかつてギィと引き分けた実績を持つ存在であることを思い出す。
自由奔放でありながら、実力だけは紛れもなく本物。その事実が、彼女にとって最も腹立たしいことだったのである。
多段式霊子崩壊の完成
レインは突如として展開された巨大な魔法陣と鎖に拘束され、自身が知らぬ間に罠へ嵌められていたことに驚愕した。
ディアブロは、魔法陣はずっと目の前で描いていたにもかかわらず、まったく気付かれなかったため退屈だったと余裕を見せる。
レインは、自分の攻撃を回避し続けながら対悪魔用の神聖魔法まで完成させていた事実に戦慄した。
信仰が生み出す神聖魔法
レインは、悪魔にとって最悪の相性である神聖魔法をディアブロが扱っていることに理解が追い付かなかった。
自身の身体さえ砕きかねない術式をなぜ使えるのかと問い詰めるが、ディアブロは主への信仰が深ければ霊子すら支配できるのが常識だと平然と答えた。
当然ながらレインはそんな理屈を認められず、激しく動揺した。
圧倒的な実力差
ディアブロはリムルを愚弄した罪への罰としてレインへ裁きを下そうとする。
さらに今回の戦いを作業だったと切り捨て、勝敗の見えた戦闘は退屈だったと断言した。
直撃を避けたことだけは評価したものの、レインでは張り合いにならず、進化前のテスタロッサにも及ばないと辛辣に評する。
シオンへの信頼と誤解
レインとの決着が見えたことで、ディアブロは次の行動を考え始めた。
蟲型魔獣との戦いはシオンとランガでも苦戦するだろうと分析する一方で、シオンとの約束を破って加勢に戻るわけにはいかないと判断する。
さらにリムルは意図的にシオンたちへ格上との戦闘経験を積ませようとしているのではないかと勝手に推測し、自らの介入は主の考えを乱す失態になると結論付けた。
その見当違いな思考を、レインは呆れながら眺めていた。
分身体の正体
ディアブロはレインへ止めを刺そうとしたが、そこで別の存在の接近を察知する。
そしてレインの肉体が本体ではなく、遍在による分身体であることを見抜いた。
本体を現すよう要求すると、レインは悪魔公へ進化したばかりの存在にそこまで見抜かれたことへ驚きながら姿を消した。
ギィの登場
レインが退いた直後、巨大な光柱が降り注ぐ。
そこへ現れたのは原初の赤にして最強の悪魔、ギィ・クリムゾンであった。
ギィは旧名であるノワールと呼び掛け、久々の再会を喜ぶ。
それに対しディアブロも、かつての名であるルージュを口にした後、現在の名であるギィ・クリムゾンと呼び直した。
こうして原初の黒と原初の赤、かつて並び立った二体の頂点同士がついに相対することとなった。
レインの分身体を見抜いていた理由
ギィは、ディアブロが最初からレインの分身体である「遍在」を見抜いていたはずだと指摘し、なぜ多段式霊子崩壊などという大技を披露したのか問い掛けた。
ディアブロは、あえて気付いていない振りをしていたのだと説明する。自分を過小評価したレインが興味を失い、この場から立ち去ることを期待していたのである。
さらに霊子崩壊程度で原初の悪魔が倒せるはずもなく、自分にとっても切り札ですらない児戯だと言い放った。
進化を拒んでいた理由
話題は悪魔公への進化へ移った。
ギィは、原初の白・黄・紫が互いの足を引っ張り合った結果として進化していない一方、ディアブロは別の理由で進化を避けていたように見えたと語る。
ディアブロは、彼女たちは競争を楽しんでいただけだと説明した上で、自身が進化しなかった理由を明かした。
原初の悪魔たちは既に世界最強の存在であり、さらに進化してしまえば戦いが一方的になり、面白味がなくなる。だからこそ進化を望まなかったのである。
リムルによって変わった価値観
ギィは、その考えが変わった原因はリムルなのかと尋ねた。
ディアブロは即座に「スライム」呼ばわりを訂正させ、リムルへの敬意を強要する。
そして、リムルの魂や姿、声の素晴らしさについて延々と語り始めた。
あまりの熱弁にギィはうんざりし、リムルの話はもう十分だと話題を戻そうとする。
成長を続けるリムル陣営
本題へ戻ったディアブロは、リムルの下へ集った仲間たちが日進月歩で成長していることを語った。
その環境に触れたことで、自分も成長を止める理由がなくなったのだという。
周囲が進化し続ける状況では、自らだけが現状維持を選ぶ意味が失われていたのである。
ギィは、長い時を孤高に生きてきたディアブロが他者を主君として認めた事実に複雑な感情を抱いていた。
西側諸国への脅威
ギィは話題を変え、北方を守っていた蟲型魔獣が倒されたことで防衛が手薄になったと語る。
そして今頃、自分の配下が西側諸国で暴れているはずだと告げた。
西側諸国を支配下に置いたリムルにとっては深刻な問題だろうと挑発する。
しかしディアブロは、そんな事態を見通せないリムルではないと即座に否定した。
テスタロッサの名
ギィが対策の有無を尋ねると、ディアブロは既に人材を派遣済みだと答えた。
しかも、その者たちはテスタロッサの指示に従う者たちだという。
聞き覚えのある名前にレインが反応し、ギィも興味を示した。
そこでディアブロは、テスタロッサとは「原初の白」のことであると明かした。
原初への名付けという衝撃
ディアブロの言葉に、ギィは一瞬理解できず固まった。
原初の悪魔へ名付けを行える存在などいるはずがないからである。
しかしディアブロは冗談ではないと断言する。
リムルは原初の白だけでなく、彼女たち原初の悪魔にも実際に名を授けたのだと語った。
その事実は、原初の悪魔たちの常識を根底から覆す衝撃的な告白であった。
原初の悪魔たちへの命名
ディアブロから原初の白にも名が与えられたと聞かされたギィは、大きな衝撃を受けた。
さらにディアブロは、原初の紫がウルティマ、原初の黄がカレラという名を授かり、二人にもリムルが役割を与えていると説明した。
その事実を知ったギィは、長年保たれてきた原初たちの勢力図がリムル一人によって根底から変えられてしまったことに驚愕する。
ディアブロが原初たちを勧誘した経緯
ギィが原初たちを従えた経緯を尋ねると、ディアブロは仲間が欲しかったから誘っただけだと語った。
雑用を分担する仲間が欲しかったことに加え、暇を持て余していた彼女たちへ、無意味な権力争いを続けるよりリムルのために働く方が有意義だと勧めたのである。
その説明を聞いたギィは、事態の元凶がディアブロ自身だったことを悟り、内心で盛大に呆れていた。
リムルという異常な存在
しかしギィは、最終的に最も異常なのはリムルだと結論づけた。
原初の悪魔へ名を与える行為は、生死どころか存在消滅の危険すら伴う常軌を逸した行為であり、並の魔王には到底真似できない。
だからこそギィは、直接リムルと会って話をしてみたいと考えるようになった。
ギィのリムル訪問宣言
ギィは近いうちにリムルのもとを訪ねると宣言した。
ディアブロは面倒事が増えると露骨に嫌がったものの、ギィはディーノから聞いたというリムル領の繁栄にも興味を示し、その統治ぶりを自分の目で確かめたいと語った。
リムルを褒められたことで機嫌を良くしたディアブロは、最終的に歓迎すると答えた。
ギィの退去とディアブロの警戒
話を終えたギィは、リムルへの伝言を託して立ち去った。
レインは、ディアブロの相手をし続けたギィの忍耐力を称賛する。
二人を見送ったディアブロは、どうにかギィの介入を回避できたことに安堵していた。
もしギィが本格的に動けば事態がどう転ぶか予測できず、自分でも対応は容易ではないと認識していたのである。
そしてリムルの役に立つためにも、さらに強くならねばならないと決意を新たにした。
不機嫌なルミナス
場面は夜想宮廷の奥深くにある玄室へ移る。
そこで魔王ルミナス・バレンタインは、不機嫌そうな表情で待機していた。
大聖堂で起きた騒動はグランベルによる陽動であり、自分を外へ誘い出すための策だと見抜いていたのである。
さらにグランベルは聖櫃の存在も知っているはずであり、封印された存在を解放しようと考えている可能性もあると警戒していた。
ラプラスたちの襲来
そこへ中庸道化連のラプラスとフットマンが姿を現した。
ラプラスは、ルミナス自らがこの場所を守っていることから、自分たちの侵入が発覚していたのか、それとも単に守りが厳重なのかを問い掛ける。
一方のフットマンは、目の前の状況を見て楽しげに笑い、強敵との戦いを期待する様子を見せた。
こうして、夜想宮廷の奥で新たな対峙が始まろうとしていた。
ラプラスの名乗りと同行者の紹介
ルミナスの許可を得たラプラスは、自らを中庸道化連の「享楽の道化」と名乗り、同行していたフットマンを「怒った道化」と紹介した。
さらにもう一人の同行者がいると告げ、その人物を呼び入れる。
現れた女性を見たルミナスは、彼女がグランベルに愛されていたマリア・ロッソであると見抜いた。しかしマリアは遥か昔に死亡したはずの人物であり、その出現はルミナスに強い違和感を抱かせた。
グランベルからの挑戦状
ラプラスは、自分たちにもマリアが動いている理由は分からないと語ったうえで、グランベルからの伝言を伝えた。
その内容は「決着をつけよう」「上で待っている」という挑戦であり、さらに遅れれば大切な者たちが死ぬという警告まで含まれていた。
またラプラスは、今頃グランベルが大聖堂でヒナタと戦っているだろうと語り、勝敗を面白がるような態度を見せた。
ルイの追撃
ラプラスの言葉を聞いたルイは、ロイを殺したのがラプラスであると断定した。
ラプラスはその推測を否定せず、かつて自分が倒した魔王ヴァレンタインによく似ていると笑う。
敵討ちには興味がないとしながらも、ルイはロイ以上の実力を示す好機だと考え、ラプラスへ戦いを挑んだ。
それを見たラプラスは冗談めかして怖がる素振りを見せながら、その場から逃走する。
ギュンターとフットマンの対決
ラプラスを追ってルイが去ると、残されたギュンターがフットマンへ戦いを挑んだ。
神聖な場所を血で汚したくないとして表へ出るよう求めるギュンターに対し、フットマンは楽しそうに応じる。
こうして二人もまた、それぞれの戦場へ向かうことになった。
ルミナスの決意
配下たちの様子を見送ったルミナスは、ルイもギュンターも戦いになると本性を抑えられないと呆れた。
しかし同時に、自分自身もまた同じであると認める。
そして、既に死んだはずのマリアが現れた事実から、グランベルがまだ何かを諦めていないのだと悟った。
ルミナスは自ら決着をつける覚悟を固め、マリアを伴ってグランベルの待つ場所へ向かう。
聖櫃への案内
ルミナスはマリアへ同行を命じると、グランベルが待つ場所へ案内するよう指示した。
そして心の中で、どのような切り札を用意していようとも自分を止めることはできないと断言する。
こうしてルミナスは、長き因縁を終わらせるため、グランベルとの最終対決へ向けて歩み始めた。
第140話 西方動乱3
異世界人たちの制圧
リムルは、グランベルに操られて襲い掛かってくる異世界人たちを次々と無力化していた。
呪言による支配を解除しながら戦うため手間は掛かったものの、この程度の相手が何人いようと脅威にはならなかった。最後の一人を制圧したリムルは、異常な状況でも冷静さを失わないタクトたちの胆力に感心する。
その直後、リムルは近くで続くヒナタとグランベルの戦いへ意識を向けた。
簒奪者を見破るグランベル
激しい剣戟の最中、グランベルはヒナタの能力の正体を見抜いていた。
ヒナタが相手の能力や技術を奪う手段を持つこと、自分から既に技術を奪っていることまで言い当て、その力は同じ相手には何度も通用しないと断言する。
予想外の指摘にヒナタは動揺したが、それでも再び能力を使えば状況を打開できると考えた。
技術の簒奪と予想外の反撃
ヒナタはついに簒奪者を発動し、グランベルの技術を奪い取った。
しかし次の瞬間、グランベルは奪われたはずの技を平然と使用する。
複製ではなく完全に簒奪した以上、本来なら再使用できるはずがない。理解できない現象を前に、ヒナタは困惑を隠せなかった。
一方のグランベルは、その反応を見て余裕の笑みを浮かべていた。
体力を削る老獪な戦術
戦闘が続くにつれ、ヒナタは異常な疲労を感じ始めた。
自分ほどの実力者がこの程度の攻防で息を切らすはずがないと疑問を抱くが、グランベルはその理由を自ら明かす。
彼はヒナタが無理をしてでも攻撃を通せると思う状況を意図的に作り出し、少しずつ体力を削り続けていたのである。
同格の相手との戦いでは、先に消耗させた方が勝つ。その戦い方を、グランベルは実践していた。
戦闘の基本を説くグランベル
グランベルはさらに、戦闘で最も重要なのは相手を観察することだと語った。
ヒナタほどの強者に対して何の対策も講じていないと思ったのかと問い掛け、その油断を指摘する。
ヒナタは反発しながらも、グランベルが自分の能力を奪われる前提で準備を整えていた可能性に思い至った。
常識では考えられない発想だったが、目の前の老人はその常識の外側にいる存在だった。
経験の差による優位
グランベルはヒナタの才能を認めつつも、同格との戦闘経験が不足していると評した。
強者同士の戦いでは、技や力だけでなく心理戦や消耗戦も重要になる。長い年月を生き抜いてきたグランベルは、その経験を最大限に活用してヒナタを追い詰めていたのである。
ヒナタは自分が知らず知らずのうちに相手の術中へ嵌められていたことを理解し始める。
常識外れの対策への警戒
グランベルの説明を聞きながら、ヒナタは相手の異常性を再認識した。
奪われることを前提に技術のバックアップを用意するなど、本来なら不可能に近い発想である。
しかし目の前の男は、その不可能を可能にしている。
ヒナタは焦りを抱きながらも、これまでの常識が通じない相手と戦っていることを改めて悟るのであった。
ヒナタの本気宣言
グランベルから経験不足や未熟さを指摘されたヒナタは、その言葉を認めた上で、彼を倒すためには自分も本気を出すしかないと宣言した。
グランベルもまた、それでこそ良いと応じる。自分を超えたければ全力で挑めと告げ、二人は互いに本気の勝負へ踏み込んだ。
リムルの戦況判断
戦いを見守っていたリムルは、ヒナタとグランベルの実力がほぼ拮抗していると判断した。
下手に介入すればヒナタの足を引っ張るだけだと考え、まずは別の戦場へ目を向ける。そこでシオンとランガが苦戦している様子を確認した。
シオンとランガの苦戦
シオンは剛力丸による斬撃を叩き込み、ランガも魔法による援護を続けていたが、相手にはほとんど効果がなかった。
ランガが黒き稲妻を放って援護すると、吹き飛ばされたシオンは超速再生によって傷を回復する。
それでもシオンは悲観せず、これほどの強敵と戦える機会を与えてくれたディアブロへの感謝すら口にしていた。
レオンの登場
シオンたちを助けようとしたリムルだったが、その場へ新たな人物が現れた。
現れたのは魔王レオンであった。
突然の登場にヒナタは驚き、グランベルはまるで来訪を予期していたかのようにレオンへ声を掛ける。
グランベルとレオンの対面
初対面だった二人は言葉を交わした。
レオンは馴れ馴れしい態度を嫌悪したが、グランベルは自分をレオンが贔屓にしていた商人だと名乗る。
しかしレオンは、自分がここへ来た理由はグランベルではないと冷たく返した。
異世界人召喚の真相
そこでグランベルは倒れている異世界人たちを指し示した。
彼らはレオンが求める理想の商品にはなれなかったものの、レオンが伝えた召喚術式によって呼び出された者たちだと語る。
さらにレオンが現在も異世界人の子供たちを集め、シズエ・イザワのような優秀な戦士を得ようとしているのではないかと追及した。
シズへの言及
グランベルは、優れた異世界人を得るためにどれほど多くの失敗を重ねたのかと問い掛ける。
そして倒れている異世界人たちは、その失敗の果てに生まれた犠牲者であると指摘した。
シズエ・イザワの名を引き合いに出されたレオンは表情を変えずに聞いていたが、その言葉は場の空気を大きく変えることとなった。
リムルの正体への言及
グランベルはさらに、レオンが本当に用があるのは自分ではないだろうと語る。
そしてリムルこそが異世界人であり、倒れている者たちと同じく召喚によってこの世界へ来た存在であることを示唆した。
その発言を聞いたヒナタは驚きを隠せず、グランベルがどこまで事情を把握しているのか警戒を強めるのであった。
リムルの怒りと追及
グランベルの話を聞いたリムルは、シズだけでなく他にも異世界人の子供たちが召喚されていた事実に衝撃を受けた。
リムルはレオンへ、不安定な召喚によって子供たちが長く生きられないことを知りながら召喚を続けていたのかと問い詰める。しかしレオンが答えようとした瞬間、グランベルが口を挟み、レオンこそが幼い異世界人を求めていた張本人だと暴露した。
グランベルの挑発と智慧之王の警告
グランベルは、自分たち商人は求められればどんな商品でも用意すると語り、レオンが子供たちを利用していたかのように話を進めた。
その時、智慧之王はグランベルがリムルとレオンを敵対させようとしていると警告する。
だがリムルは警告を理解しつつも、シズやクロエたちが味わった苦しみを思い出し、怒りを抑えられなかった。
シズたちの苦しみへの怒り
リムルは、シズが大切な人を失ったことや、クロエたちが精霊を宿すまで死の恐怖に怯えながら生きていたことを思い返した。
さらに自分の知らない場所でも多くの異世界人が命を落としていた可能性を考え、この問題の元凶と思えるレオンを許せなくなる。
その怒りはついに限界を迎えた。
レオンへの一撃
智慧之王から反撃の兆候はないと告げられたリムルは、レオンへ拳を叩き込んだ。
レオンは回避も防御もせず、その一撃を正面から受け止める。
しかし魔王であるレオンへの打撃は決定打にはならず、リムル自身も相手の実力を見誤っていたことを悟った。
シズとレオンの関係への理解
拳を放った後も、リムルの怒りは完全には消えなかった。
それでも彼は、シズがレオンを憎み切れなかった理由を理解していた。突然異世界へ呼び出され、期待外れだと落胆されながらも、レオンはシズへ生きる術を教え、無用になった後も見捨てはしなかったのである。
だからこそシズは最後までレオンの本心を知りたかったのだとリムルは考えた。
レオンとの共闘を選択
レオンは殴られた後も冷静なまま、リムルへ気が済んだかと問い掛けた。
リムルは本心ではもっと殴りたいと思っていたが、防御もせず拳を受けたレオンに対し、想像していたほど悪人ではないという印象を抱く。
異世界人召喚の問題は後回しにし、まずは目の前の危機を乗り越えるべきだと判断した。
リムルからの宣戦布告
リムルはシズの思いは伝えたが、自分自身の言いたいことはまだ残っていると告げた。
そして後でじっくり話し合おうとレオンへ宣言しながら、実際には周囲の状況を把握して共闘するよう促していた。
これは単なる喧嘩ではなく、戦場の主導権を握るための演技でもあった。
レオンの理解
レオンはリムルの真意に気付いた。
リムルが自分を敵ではなく共闘相手として選び、この場をまとめ上げようとしていることを理解したのである。
その瞬間、二人の間には敵意だけではない新たな協力関係が生まれ始めていた。
レオンの状況分析
レオンは戦場全体を見渡し、グランベルの相手をしているのが聖騎士団長ヒナタ・サカグチであり、大聖堂内部ではリムルの配下たちが戦っていることを把握した。
さらに敵味方が入り乱れる混沌とした戦場になっていることを確認し、自らの護衛たちも戦闘へ巻き込まれていると判断した。
護衛への命令
状況を理解したレオンは護衛たちへ、防戦に徹し決して相手を殺してはならないと命じた。
混乱した戦場で無用な犠牲を増やさず、事態の推移を見極める方針を示したのである。
ルミナス不在への疑問
戦況を見ながら、レオンは聖地ルベリオスの支配者であるルミナスの姿が見えないことに疑問を抱いた。
聖地そのものが戦場になる異常事態を、ルミナスが容認するとは考えにくい。むしろ、ルミナスほどの実力者でさえ動けない状況に追い込まれている可能性へと思い至った。
黒幕への推理
レオンは、自分を聖地へ誘き寄せた人物と現在の混乱を作り出した人物が同一であると推測した。
その時、リムルが視線でグランベルを示したことで、レオンは全ての黒幕がグランベルであると理解した。
リムルへの信頼
リムルの意図を察したレオンは、グランベルこそが事態の元凶だと確信した。
そして敵対していたはずのリムルに対し、自分も信じることにしようと考え、共闘する意思を固めたのであった。
転生したらスライムだった件 シリーズ
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