物語の概要
■ 作品概要
『転生したらスライムだった件 31巻』は、伏瀬による同名のライトノベルを原作とし、川上泰樹が漫画を担当する異世界ファンタジー作品の最新刊である。 本巻では、魔王としての地位を確立した主人公リムル=テンペストのもとに、新たな戦力とトラブルが舞い込む様子が描かれる。 特に、魔王ディーノの来訪と地下迷宮での強制労働、暴風竜ヴェルドラの助手として復活したイフリート(カリス)、そしてディアブロが連れ帰った「原初の悪魔」三人娘の加入という、テンペストの戦力図を劇的に塗り替える重要イベントが収録されている。物語は、リムルが意図せぬ形で世界最強クラスの軍団「黒色軍団(ブラックナンバーズ)」を結成してしまう過程を中心に展開する。
■ 主要キャラクター
リムル=テンペスト: 本作の主人公。スライムに転生した元人間であり、魔王。人材不足に悩んでいたが、ディアブロの勧誘により規格外の戦力を抱え込むこととなり、その制御と運用に頭を抱える。
ディアブロ: 「原初の黒」であり、リムルの筆頭秘書。リムルへの狂信的な忠誠心を持ち、最強の戦力である「原初の悪魔」たちを勧誘し、リムルの配下へと加える手引きを行った。
魔王ディーノ: 「眠る支配者」の異名を持つ魔王。ダグリュールのもとを追い出され、働かない生活を求めてテンペストへ転がり込むが、地下迷宮の研究施設で助手として酷使される運命となる。
カリス(イフリート): かつてシズと同化していた炎の上位精霊。ヴェルドラの介入により、新たな肉体(竜気魔鋼製の魔人形)と名を与えられ、復活を果たした。現在はヴェルドラの助手として仕える。
テスタロッサ(原初の白)、ウルティマ(原初の紫)、カレラ(原初の黄): ディアブロによって連れてこられた、悪魔界の頂点に立つ「原初の悪魔」たち。リムルによって名付けられ「悪魔公(デーモンロード)」へと進化し、テンペストの新たな最高戦力となる。
■ 物語の特徴
本作の最大の特徴は、圧倒的な「戦力インフレ」と、それがもたらす「コメディ」の融合である。 本巻では、本来であればラスボスクラスの存在である「原初の悪魔」たちが、リムルの配下として喜々として加わる異常事態が描かれる。世界を揺るがす戦力増強が、リムルの「やれやれ」という日常的な苦悩として描写される点が、本作特有の魅力である。 また、魔王ディーノが地下迷宮の労働環境(ブラック職場)に組み込まれていく様子や、ヴェルドラとカリスの主従関係など、キャラクター同士の掛け合いによるユーモアも健在であり、シリアスな設定と軽快な読み口のバランスが絶妙である。
書籍情報
転生したらスライムだった件(31)
著者:川上泰樹 氏
原作:伏瀬 氏
キャラクター原案:みっつばー 氏
出版社:講談社
出版社:シリウスKC
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
雑事を任せられる配下を探しに出ていたディアブロ。
旧友である原初の黄(ジョーヌ)、原初の紫(ヴィオレ)、原初の白(ブラン)に交渉を持ち掛けるが一筋縄ではいかないよう。
一方、テンペストの地下迷宮の研究施設ではラミリスも助手を探していた。
そこに八星魔王の一人ディーノがテンペストを訪れて来たが――。
ディアブロの配下探し、八星魔王ディーノの訪問、人材不足問題を抱えるテンペストの前途は!?
感想
物語の時系列としては、原作小説の第十一巻の序盤から中盤あたりにあたるだろうか。しかし、冒頭の第百三十三話で描かれた魔界でのエピソードは、小説では読んだ記憶がない。
おそらく漫画版オリジナルの展開だと思われるが、ここが今回、もっとも読みごたえがあり、面白かった部分でだった。
ディアブロが同格であるはずの「原初」たちを勧誘し。
原初の黄(ジョーヌ)には力で分からせ、原初の紫(ヴィオレ)には受肉という利益をちらつかせ、原初の白(ブラン)には「他の二人も乗った」と流れで引き込む。
三者三様の口説き方が描かれており、ディアブロのしたたかさがよく表れていた。
一方で、テンペストの地下迷宮における日常パートも、相変わらず騒がしくて楽しかった。人手不足の研究施設に、行き場をなくした魔王ディーノが転がり込んでくる。
本来なら恐れられるべき魔王に対して、「関係ありませんよ」と仕事を押し付けるベスターの姿からは、過労による一種の悟りのようなものが感じられた。
文句を言いながらも、なんだかんだで仕事に馴染んでいくディーノの様子は、見ていて微笑ましい。
また、イフリートの関係に決着がついたのも感慨深い。
ヴェルドラが助手を欲しがったことがきっかけで、リムルの中にいたイフリートが復活することになる。かつてのシズとの因縁を思えば、リムルとしても割り切れない部分はあっただろう。
だが、長い時間をリムルの胃袋の中で共に過ごした二人の絆を認め、受け入れる形におさまったのは、物語としてきれいな着地だったと思う。「カリス」という名を与えられ、ヴェルドラの良き相棒として収まる姿には納得感があった。
ディアブロが連れ帰った三人娘への名付けシーンも印象的だ。スーパーカーに由来するテスタロッサ、ウルティマ、カレラという名は、響きもよく彼女たちに似合っている。
彼女たちがそれぞれ外交、検察、司法といった国の重要機関を握ることで、テンペストの統治機能は盤石なものとなった。七百体もの悪魔が加わったこともあわせ、内政面での安心感が一気に増したように感じる。
物語の後半、第百三十六話での子供たちの成長も見逃せない。
ヒナタとハクロウという厳しい師匠に鍛えられた彼らは、たくましくなっていた。
迷宮の守護者であるはずのクマラが、子供たちと仲良く過ごしている様子には癒やされるものがある。
いや、ヒナタもキュンしてたからな・・
次はルベリオスでの音楽会に向けた話が進んでいくようだ。グランベルという不穏な影も見え隠れしており、続きが気になるところである。
小説ですでに内容は知っているとはいえ、今回のようなオリジナルな補完が入ることで、作品の世界観がより深まっていると感じた。やはり、悪魔たちの勧誘劇が描かれた冒頭部分が、この巻一番のハイライトであった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
登場キャラクター
リムル=テンペスト
魔国連邦テンペストの盟主であり、元人間のスライム。人材不足に悩みつつも、配下の行動によって想定外の戦力増強に振り回される苦労人である。
・所属組織、地位や役職 魔国連邦テンペスト・盟主。八星魔王の一柱。
・物語内での具体的な行動や成果 地下迷宮の研究施設で人手不足の解消に奔走し、魔王ディーノを確保して労働力として投入した。ディアブロが連れ帰った大量の悪魔族に対し、依り代となる肉体を用意して受肉させた。原初の悪魔を含む彼らに名付けを行い、戦力化を完了させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 意図せずして世界最強クラスの悪魔軍団「黒色軍団(ブラックナンバーズ)」の主となった。子供達との模擬戦では、その成長ぶりに冷や汗をかきつつも勝利し、威厳を保った。
ディアブロ
「原初の黒」であり、リムルの第二秘書。リムルに対して絶対的な忠誠心を持ち、主の利益のためには手段を選ばない狂信的な一面を持つ。
・所属組織、地位や役職 魔国連邦・第二秘書。「黒色軍団(ブラックナンバーズ)」総帥。
・物語内での具体的な行動や成果 他の原初の悪魔たち(白・黄・紫)を勧誘し、配下の悪魔たちを含めた約700名をテンペストへ連れ帰った。自身がスカウトした悪魔たちの序列を統制し、リムルへの謁見を実現させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 新設された最強部隊「黒色軍団」の指揮権をリムルから一任された。ルベリオスの重鎮に対しても物怖じせず、主への侮辱には即座に敵意を示す。
ヴェルドラ=テンペスト
「暴風竜」の異名を持つ竜種であり、リムルの盟友。奔放な性格だが、リムルやラミリスには頭が上がらない場面も見られる。
・所属組織、地位や役職 迷宮の守護者。ラミリスの研究助手。
・物語内での具体的な行動や成果 細かい作業を嫌って逃亡を図るも、連れ戻され作業に従事した。培養カプセルへの魔素注入を行い、事故により「竜気魔鋼」を誕生させるきっかけを作った。友であるイフリートの復活をリムルに嘆願し、実現させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 自身の魔素によって変質した素材や依り代は、極めて強力な性能を持つに至った。
ラミリス
精霊の女王であり、地下迷宮の運営者。研究熱心だが、常に人手不足に悩まされている。
・所属組織、地位や役職 地下迷宮・創造主。魔王。
・物語内での具体的な行動や成果 リムルと協力して依り代の研究開発を進め、悪魔族の受肉を成功させた。樹妖精や樹人族の受肉も計画しており、そのための量産体制確立を目指している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 リムルの斡旋により、新たな助手として魔王ディーノを獲得した。
ディーノ
「眠る支配者」と呼ばれる堕天族の魔王。怠惰な性格で働かないことを信条としているが、根は単純な一面がある。
・所属組織、地位や役職 八星魔王の一柱。ラミリスの助手。
・物語内での具体的な行動や成果 ダグリュールの元を追い出され、リムルを頼ってテンペストを訪れた。当初は無償での居候を希望したが拒否され、ベスターやリムルに言いくるめられて研究室で働くこととなった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 魔王という立場でありながら、地下迷宮の研究施設で過酷な労働環境に組み込まれた。
ベスター
ドワーフ王国の元大臣であり、現在はテンペストの研究者。研究に対する情熱は凄まじく、相手が魔王であっても物怖じしない。
・所属組織、地位や役職 地下迷宮・研究員。
・物語内での具体的な行動や成果 人手不足の研究現場において、新たに配属されたディーノを即座に戦力として組み込んだ。魔王の権威を盾にするディーノに対し、ヴェルドラの労働風景を見せることで反論を封じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 魔王すら使いこなす現場監督としての手腕を発揮している。
カリス(イフリート)
かつてシズと同化していた炎の上位精霊。リムルの胃袋の中でヴェルドラと交流を深め、友情を育んでいた。
・所属組織、地位や役職 ヴェルドラの助手。炎の精霊魔霊王(フレイムロード)。
・物語内での具体的な行動や成果 リムルが用意した竜気魔鋼製の魔人形に受肉し、復活を果たした。ヴェルドラから名付けを受け、種族進化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 復活後は、命の恩人であるヴェルドラへの忠誠を誓い、助手として仕えることとなった。
テスタロッサ(原初の白)
「原初の悪魔」の一柱。優雅で知的な振る舞いを見せるが、その本性は冷徹である。
・所属組織、地位や役職 魔国連邦・外交武官。悪魔公(デーモンロード)。
・物語内での具体的な行動や成果 ディアブロの勧誘に応じ、リムルの配下となった。リムルから名を与えられ進化し、外交部門の統括役を任された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 証拠を残さずに敵対者を処理する能力を買われ、対外的な交渉や諜報の要となる地位に就いた。
ウルティマ(原初の紫)
「原初の悪魔」の一柱。可憐な少女の姿をしているが、残忍さと陰湿さを併せ持つ。
・所属組織、地位や役職 魔国連邦・検事総長。悪魔公(デーモンロード)。
・物語内での具体的な行動や成果 地下牢獄でのディアブロとの交渉を経て、リムルの配下となった。名付けにより進化し、国内の巨悪を裁く役職を与えられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 悪魔としての洞察力を活かし、法の番人として裏社会の監視を行うこととなった。
カレラ(原初の黄)
「原初の悪魔」の一柱。好戦的で破壊を好む性格であり、大規模な魔法を行使する。
・所属組織、地位や役職 魔国連邦・最高裁判所長官。悪魔公(デーモンロード)。
・物語内での具体的な行動や成果 ディアブロとの戦闘に敗北し、リムルに興味を持って配下となった。名付けにより進化し、司法の頂点に立つ役職に就いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 圧倒的な武力を背景に、公平な裁きを下す存在として位置づけられた。
ヴェノム
ディアブロに拾われた若き悪魔。特別なユニーク個体であり、派手な服装を好む。
・所属組織、地位や役職 ディアブロの配下。上位魔将(アークデーモン)。
・物語内での具体的な行動や成果 ディアブロに挑み敗北を繰り返したが、その気概を認められて配下となった。リムルから名を与えられ進化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 原初の悪魔たちに比べれば若輩だが、ディアブロの直属として期待されている。
ヒナタ・サカグチ
西方聖教会聖騎士団の団長。冷静沈着かつ冷徹な性格で、リムルとは協力関係にある。
・所属組織、地位や役職 西方聖教会・聖騎士団長。法皇直属近衛師団・筆頭騎士。
・物語内での具体的な行動や成果 お忍びでテンペストを訪れ、子供たちの成長をリムルに見せるために模擬戦を仕組んだ。部下のフリッツが失言した際には、背後から無言の圧力をかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 リムルに対し、音楽交流会の開催を急かすなど、対等な友人としての交流を深めている。
クロエ・オベール
異世界から召喚された子供の一人。卓越した剣の才能を持ち、リムルやヒナタを慕っている。
・所属組織、地位や役職 自由学園の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果 模擬戦において、ヒナタの剣技を模倣した鋭い攻撃を繰り出し、リムルを本気にさせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 子供たちの中で最強の実力者と目されており、その才能はハクロウをも戦慄させた。
クマラ
かつてクレイマンに操られていた九尾の魔獣。リムルに救われ、現在は迷宮内で生活している。
・所属組織、地位や役職 地下迷宮・第90階層守護者。
・物語内での具体的な行動や成果 リムルに存在を忘れられていたことにショックを受け、名誉挽回のために戦いを挑んだ。本来の姿に戻り配下を召喚して善戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ルベリオスへの旅行に同行することとなった。
ルミナス・バレンタイン
神聖法皇国ルベリオスの真の支配者であり、魔王。リムルとは文化交流を通じて友好関係にある。
・所属組織、地位や役職 八星魔王の一柱。吸血鬼族の女王。
・物語内での具体的な行動や成果 メイド服姿でリムルを歓待し、敵対するグランベル・ロッゾについての情報共有を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 自国の危機に際しても余裕を崩さず、音楽交流会を楽しみにしている。
出来事一覧
第133話 悪魔の囁き
過去の暴行に関する主張
- 当事者: ある魔族 vs ディアブロ
- 発生理由: 過去にディアブロに一方的に倒されたことに対する怨恨。
- 結果: 魔族は「暴行を受けた」と吹聴し、ディアブロへの復讐を誓って行方を探し始めた。
ディアブロと原初の黄の戦闘
- 当事者: ディアブロ vs 原初の黄(ジョーヌ)
- 発生理由: 勧誘に訪れたディアブロに対し、原初の黄が挑発し大規模な魔法陣を展開したため。
- 結果: ディアブロが魔法の発動を妨害し、肉弾戦でも原初の黄を投げ飛ばして地面に叩きつけ、圧倒した。
原初の黄の報復と巻き添え事故
- 当事者: 原初の黄(ジョーヌ) vs 復讐を誓う魔族(一方的な被害)
- 発生理由: 原初の黄がディアブロへの腹いせに魔法を放った際、タイミング悪く復讐を誓う魔族が現れたため。
- 結果: ディアブロが払った迎撃魔法の余波と原初の黄の魔法に巻き込まれ、魔族は一瞬で消滅した。
地下牢獄での衝突
- 当事者: ディアブロ vs 原初の紫(ヴィオレ)
- 発生理由: 原初の紫が計画を失敗し機嫌を損ねていたところへ、ディアブロが勧誘に現れ、態度を指摘したため。
- 結果: 原初の紫が殺意を向けて襲いかかったが、ディアブロが報酬(受肉)を提示したことで動きを止め、交渉に移った。
謎の悪魔による襲撃(複数回)
- 当事者: ディアブロ vs ある悪魔(後のヴェノム)
- 発生理由: 悪魔がディアブロに実力を認めさせるため、また恐怖を教えるために挑みかかった。
- 結果: 悪魔は何度も挑むが惨敗。最終的にディアブロに気概を評価され、配下となることを受け入れた。
第134話 新しい仲間達
ヴェルドラの逃亡
- 当事者: ヴェルドラ vs リムル・ラミリス
- 発生理由: リムルがラミリスの手伝いについてヴェルドラに水を向けた際、細かい作業を嫌がったため。
- 結果: ヴェルドラは「急用」と言い残し、その場から逃亡した。
ディーノの居候交渉
- 当事者: ディーノ vs リムル
- 発生理由: ダグリュールの元を追い出され無一文になったディーノが、リムルの国で養ってもらおうとしたため。
- 結果: リムルは即座に拒否し「働け」と突き放したが、ギィからの手紙(押し付け)により断れず、受け入れざるを得なくなった。
ディーノの労働強制
- 当事者: ディーノ vs ベスター
- 発生理由: リムルがディーノを研究室の助手として連れてきたが、ディーノが魔王の立場を利用して労働を拒否しようとしたため。
- 結果: ベスターが「暴風竜も働いている」という事実を突きつけ、ディーノを論破。ディーノは渋々作業に加わることとなった。
培養カプセルの破損騒動
- 当事者: ヴェルドラ・ラミリス vs リムル
- 発生理由: ヴェルドラが素体の成長を早めようと魔素を直接注入し、カプセル内の濃度が異常に高まり爆発寸前になったため。
- 結果: リムルが駆けつけ、二人を正座させて説教した。
第135話 黒色軍団
カレラの威圧(回想)
- 当事者: カレラ vs リムル(およびディアブロ)
- 発生理由: 謁見の際、カレラがリムルの器量を試そうとして威圧を放ったため。
- 結果: リムルは受け流したが、不敬な行為としてディアブロがカレラを殺しかけた(未遂)。
名付けによるカプセル破壊
- 当事者: 三人の原初(テスタロッサ、ウルティマ、カレラ) vs 培養カプセル
- 発生理由: リムルによる名付けで大量の魔素が流入し、進化に伴うエネルギーにカプセルが耐えきれなくなったため。
- 結果: カプセルが粉砕され、三人が進化した姿で現れた。
第136話 子供達の成長
教室での口論
- 当事者: アリス vs ケンヤ
- 発生理由: 掃除当番をサボって遊んでいたケンヤに対し、アリスが注意したため。
- 結果: 言い争いになったが、周囲は「女帝」アリスが勝つと見ていた。
聖騎士の失言と威圧
- 当事者: フリッツ vs ヒナタ
- 発生理由: フリッツが子供達の前で「ヒナタの過酷な訓練から逃れる口実でここに来た」と発言し、背後にいたヒナタに聞かれたため。
- 結果: ヒナタが笑顔で威圧し、フリッツは恐怖に戦いた。
リムルと子供達の模擬戦
- 当事者: リムル vs ケンヤ、リョウタ、ゲイル、アリス、クロエ
- 発生理由: ヒナタとハクロウが子供達の成長をリムルに見せるため、実戦形式の試験を提案した。
- 結果: 子供達は予想以上の連携と実力を見せた。特にクロエの剣技に対し、リムルは本気で対応して勝利した(冷や汗をかく結果となった)。
クマラの乱入と模擬戦
- 当事者: リムル vs クマラ
- 発生理由: リムルに存在を忘れられていたクマラがショックを受け、名誉挽回のために戦いを挑んだため。
- 結果: クマラは本来の姿に戻り配下を召喚して襲いかかったが、リムルが勝利した。
ディアブロとルベリオス重鎮の対立
- 当事者: ディアブロ vs ルイ・ギュンター
- 発生理由: 敵対者グランベルへの警戒を促すルイ達に対し、ディアブロが「雑事」「くだらない」と侮る発言をしたため。
- 結果: 一触即発の空気になったが、リムルがディアブロを制止して収めた。
展開まとめ
第133話 悪魔の囁き
復讐を誓う魔族と、悪魔界の事情
魔界の片隅で、かつてディアブロに瞬殺されたある魔族が意識を取り戻した。彼はディアブロに一方的に痛めつけられたことを根に持ち、「暴行を受けた」と周囲に喚き散らしながら、復讐のためにディアブロの行方を捜し始めた。
一方、ナレーションでは「悪魔界」の理(ことわり)が語られる。精神世界である悪魔界の住人は、通常、依り代がなければ物質世界へ行けない。しかし、魔素溜まりにある「地獄門」を通れば、一時的に自力で顕現が可能だ。魔王レオンの領土にある地獄門からは、たびたび『原初の黄(ジョーヌ)』が現れ、憂さ晴らしに核撃魔法を放ってはレオンを悩ませていた。
ディアブロ vs 原初の黄(ジョーヌ)
場面は変わり、ディアブロは勧誘のため『原初の黄』のもとを訪れる。
突然現れた上位者(ディアブロ)に対し、『黄』は挑発的に大規模な魔法陣を展開するが、ディアブロは極小の魔法陣だけでその術式をいとも簡単に妨害・無効化してみせた。
魔法戦では勝てないと悟った『黄』は肉弾戦に切り替えるが、そこでもディアブロが圧倒する。彼は『黄』を片手で軽々と投げ飛ばし、地面に巨大なクレーターができるほど叩きつけた。
悪魔の勧誘
地面に伏した『黄』に対し、ディアブロは涼しい顔で一方的に通告する。
「君たちを迎えに来てあげるから、それまでに態度を改めて準備しておきなさい」
そう言い残し、彼はその場を去っていった。
残された『黄』は屈辱に悪態をつきながらも、ディアブロが仕える「スライムの魔王」に興味を抱き始める。退屈なレオンへの嫌がらせよりも、そのスライムと関わる方が面白いかもしれない――そう考えを改めたのだ。
哀れな巻き添え
配下の悪魔たちと「受肉(肉体を得ること)」の利点について話し合った『黄』は、ディアブロへの腹いせに、彼が去った方向へ追撃の魔法を放つことにした。
その直後、冒頭の「復讐を誓う魔族」がディアブロの前に現れる。「見つけたぞ!」と因縁をつけようとした瞬間、『黄』が放った魔法が着弾。ディアブロが何気なく払ったその迎撃魔法の余波に巻き込まれ、魔族は一瞬で消滅。首輪のアクセサリーだけが虚しく残された。
ディアブロは「何か羽虫が巻き込まれたかな?」程度の認識で気にも留めず、颯爽と帰路につくのだった。
地下牢獄の『原初の紫(ヴィオレ)』
ディアブロが次に向かったのは、城の地下深くに存在する牢獄だった。
門番に用件を問われた彼は、「主への『良い話』を持ってきた」と告げ、中へと足を踏み入れる。そこでは『原初の紫』が、失敗を犯した配下の悪魔たちに対し、苛烈な制裁を加えている最中だった。
忙しいからと邪険に追い払おうとする『紫』に対し、ディアブロは「私の名はディアブロだ」と、新たな名を誇示するように訂正しつつ、彼女の余裕のなさを挑発的に指摘した。
計画の失敗と、悪魔の甘い誘い
『紫』が機嫌を損ねていた理由は明確だった。彼女は物質世界へ受肉するため、長い年月をかけて依り代(人間)を育成するという緻密な計画を立てていたが、配下の失態によってそれがすべて水の泡となったのだ。
その話を聞いたディアブロは、「ならば、新たな仕事を与えよう」と持ちかける。
『紫』は「余計なお世話だ」と激昂し、殺意を込めてディアブロに襲いかかるが、彼は動じることなく一言付け加えた。
「もちろん、タダ働きではない。相応の『報酬』を用意している」
揺れる『紫』の内心
「報酬(受肉の機会)」という言葉に、『紫』はピタリと動きを止めた。興味を惹かれた彼女との交渉を一通り終え、ディアブロは颯爽と地下牢獄を後にする。
嵐が去った後、生き残った配下が「あいつの話は本当なのか」と恐る恐る尋ねた。
『紫』は「あの黒(ノワール)の言うことなど信用できない」と口では否定しつつも、内心では動揺していた。あのプライドの高い『原初の黒』が誰かの配下になり、あまつさえ「名付け」を受け入れたという事実。それは、その主人が尋常ならざる存在であることの何よりの証明だったからだ。
諦めない羽虫と、最後の難関
一方、ディアブロの行く手には、またしてもあの因縁の魔族が現れた。
「恐怖を教えてやる!」と泣き叫びながら襲いくる魔族の攻撃を、ディアブロはそよ風のように受け流しながら、次なる相手へと思考を巡らせていた。
直情的な『黄』や、利益に聡い『紫』は、扱いが単純で御しやすかった。だが、最後に残る『原初の白(ブラン)』――「白の女王」だけは一筋縄ではいかない。
決意と排除
考え込んだ末、ディアブロが出した結論は「心からの誠意を見せること」だった。策を弄するよりも、真摯に願えば彼女も理解してくれるはずだ、と。
方針が決まれば、もはや目の前の邪魔者は不要だった。
ディアブロは、自身の思考を妨げる羽虫(魔族)を適当に叩き伏せると、気合を入れ直し、最後の交渉相手である『原初の白』のもとへと向かうのだった。
ディアブロの帰還と、しつこい挑戦者
最難関と思われた『原初の白(ブラン)』との会談も無事に終え、ディアブロは彼女の領地を後にする。
すると、そこには「また」彼が待ち受けていた。冒頭から何度もディアブロに挑み、その度に軽くあしらわれてきたあの悪魔だ。
彼は今度こそとばかりに名乗りを上げ、「俺の相手をしろ!」と決死の覚悟で襲いかかる。
対するディアブロは、その執念に少しだけ向き直る。
「私は魔王リムル様に仕える『四天王』が一柱」
そう名乗り返した瞬間、圧倒的な威圧感が周囲を支配した。
敗北と勧誘
力の差は歴然だった。悪魔は威圧だけで押し潰されそうになりながらも果敢に牙を剥くが、ディアブロには指一本触れることすらできず、惨めに地面へ這いつくばることとなる。
それでも彼の目は死んでいなかった。「いつか必ず、俺の実力を認めさせてやる!」と、悔し涙を流しながら叫ぶその姿――。
「その気概だけは評価しましょう」
ディアブロは意外な言葉を口にする。そして、強くなりたいのならば自分の配下になれと提案したのだ。
力及ばず敗北を悟った悪魔は、再戦の誓いを胸に秘めつつ、ひとまずはその提案を受け入れ、ディアブロへの忠誠を誓うのだった。
動き出す原初たち
一方、ディアブロの勧誘を受けた原初たちは、それぞれの思惑を巡らせていた。
『原初の黄(ジョーヌ)』は、あのディアブロが心酔する「スライムの魔王」という未知の存在に目を輝かせ、会える時を心待ちにしていた。
『原初の紫(ヴィオレ)』もまた、「一度会ってみるのも悪くない遊びね」と、気軽な口調で興味を示している。
そして『原初の白(ブラン)』。彼女は静かに思考を巡らせる。
「誇り高い『黒(ノワール)』にあそこまで言わせる魔王……もし私の期待外れだったら、その時は――」
彼女が浮かべた妖艶かつ不敵な笑みに、傍に控える側近たちは背筋を凍らせ、冷や汗を流すしかなかった。
魔王の予感
時を同じくして、テンペストの魔王リムル。
彼は突然、背筋を走る悪寒に身震いしていた。
「なんか……すごく嫌な予感がする」
理由は定かではないが、言い知れぬ不安を感じ取るリムル。
最強にして最悪の「原初の悪魔」たちの視線が、一斉に自分へと向けられ始めていることなど、彼はまだ知る由もなかった。
第134話 新しい仲間達
迷宮の研究室にて
場面は地下迷宮100階層、リムルの研究施設。
リムルは「依り代(魔人形)」作成の研究を手伝ってくれるラミリスに対し、「そっちも忙しいだろうに悪いな」と労いの言葉をかける。
ラミリスは「いいのいいの、面白そうだし!」と快諾しつつも、自身の迷宮運営については「アタシの方は人手不足でちょっと停滞気味」と、さらりと現状をぼやいた。
頼れる助手たちは今
リムルが「トレイニーやベレッタはどうした?」と尋ねると、ラミリスは肩を落とす。
トレイニーは迷宮管理の仕事で手一杯、頼みの綱であるベレッタも、そのパワーを見込まれて他の研究ラボから引っ張りだこなのだという。
師匠(ヴェルドラ)の逃亡
「じゃあ、ヴェルドラは?」
リムルがその場にいたヴェルドラに視線を向けた瞬間だった。
「クハハハハハ! 我、急用!!」
ヴェルドラは「細かい作業」を頼まれると察知した瞬間、笑いながらドロンと姿を消してしまった。ラミリス曰く、師匠はいつもこうらしい。
軽はずみな約束と、重い現実
あてが外れて困っているラミリスを見かねて、リムルはつい提案してしまう。
「それじゃあ、ラミリスを手伝える人材を見繕っておくよ」
その言葉に「マジで!? ありがとうリムル!!」と歓喜するラミリス。
しかし、研究室を出てスライム姿に戻ったリムルは、すぐに頭を抱えることになった。
「――と軽く約束したものの……適任者が思い浮かばない」
ラミリスの助手は拘束時間が長く、既存の幹部たちにこれ以上の兼任をさせるわけにもいかない。
ポツンと廊下を進みながら、リムルは「我が国の人材不足はかなり深刻だ…」と、解決策のない現実にため息をつくのだった。
招かれざる客
執務室で書類仕事に追われていたリムルのもとへ、シュナが「お客様です」と報告に来た。
相手はなんと、名指しでリムルを訪ねてきたという。
「ただ、初めて見る方でしたし、油断のできない気配を纏っていました」
シュナの言葉に警戒心を抱きつつ名前を聞くと、その正体は――『ディーノ』。
「八星魔王(オクタグラム)」の一柱であり、「眠る支配者(スリーピング・ルーラー)」の異名を持つ、あの堕天族の魔王だった。
ダメ魔王の居候志願
客室へ向かうと、そこには他人の家のソファで堂々と寝転がり、くつろぎきっているディーノの姿があった。
「よう久しぶり。魔王達の宴(ワルプルギス)以来だな」
彼は悪びれる様子もなく片手を挙げる。
「お前、いいとこ住んでるなー」
リムルが呆れながら訪問の理由を尋ねると、ディーノは茶をすすりながら、とんでもないことを言い放った。
「実はダグリュールの所を追い出されてしまってね。俺って家がなくてさ。ついでに言うと無一文でね」
そして結論として、こう続けた。
「という訳だから、俺も『ここで』お世話してほしい!」
即答:お断りです
「いや、お断りですけど?」
リムルの返答は早かった。
「ちょ、ちょっと待ってほしい! 俺に野垂れ死ねと?」
「いや働けよ」
焦るディーノに対し、リムルは正論で切り返す。しかし、この魔王は伊達ではなかった。
「無茶を言うな! 俺は働かない事に美学を持っている! ここ数百年、自分で金を稼いだ事はないし、自分の金で飲み食いした事もない!」
「くっコイツ…『くっコイツ』はこっちのセリフだよ!」
あまりの堂々たるニート宣言に、リムルも頭を抱えるしかなかった。
ギィからの「紹介状(押し付け)」
問答の末、ディーノは懐から一通の手紙を取り出した。
「ここに手紙がある。最も古き魔王、ギィ・クリムゾンがお前に宛てて書いたものだ」
漂う妖気から本物だと確信し、リムルが封を開けると、そこにはたった一言だけ記されていた。
『ディーノの面倒を見てやってくれ』
要するに、「ババを押し付けられた」ということだ。
「いやいやいやいや」と現実逃避するリムルだが、最強の魔王ギィからの頼みを無視して事を構えるのは避けたい。状況は完全に「詰み」だった。
堕落する魔王、そして閃き
「参ったな……」と悩むリムルの横で、ディーノは出されたシュークリームを一口食べ、その味に衝撃を受けていた。
「こんな美味いものを毎日食べられるなら、俺、ここん家の子になる! どんな事でもしよう、何なりとご命令を!」
「(シュークリームにつられただけだろ……)」
プライドも何もない発言に呆れるリムルだったが、ふとあることに気がついた。
「ん? ……人材?」
ただでさえ人材不足で悩んでいるこの状況。目の前には、腐っても「魔王」という超ハイスペックな無職がいる。
「こんなのを受け入れてる場合じゃ――」と思いかけたリムルの脳裏に、起死回生のアイデアが閃いたのだった。
甘い言葉と地下への案内
「案内しよう」というリムルの言葉に、ディーノは心を弾ませていた。
『衣食住完備、仕事なし』という夢の生活が待っていると信じて疑わなかったからだ。
しかし、連れてこられたのは地下迷宮の最深部、100階層にある研究施設だった。
「え――ッ」
目の前に広がる培養カプセルの列と、異様なまでの魔素濃度にディーノは絶句する。
逃げ場のない「職場」
そこにいたのは、ラミリスとベスターだった。
「ディーノちゃんじゃん! なになに、どうしてここにいるワケ?」
ラミリスの問いに、リムルは満面の笑みで答える。
「今日からラミリスの助手として働いてくれるそうだ!」
「マジで!?」と歓喜するラミリスに対し、ディーノは「いやあ、本当は働きたくないんだけど…」と抵抗を試みる。
しかし、そんな彼の意思などお構いなしに、外堀は埋められていく。
ベスターの苦悩と歓喜
一方、現場監督のような立場にいたベスターは、突然の増員に涙を流して喜んだ。
「助かる~! 寝ずに働ける人材が欲しかったのよね」
「え…寝ずに?」
ディーノが聞き返す隙も与えず、ベスターは現状を語る。カプセル内で形成された「人型骨魔人形(ボーンゴーレム)」に様々な処置を施すため、片時も目が離せない過酷な状況だったのだ。
魔王vs研究者
早速ディーノを使おうとするベスターに対し、ディーノは最後の抵抗を試みる。
「いやでも俺は魔王でね?」
自分が魔王であることを明かせば、恐れ多いとして免除されるはず――そんな淡い期待は、ベスターの冷徹な眼鏡の奥の光によって打ち砕かれた。
「だから?」
「え…」
「ここでは肩書は関係ないのです。ご覧なさい、かの暴風竜の働く姿を」
ベスターが指差した先では、あのヴェルドラが「せっせ」と手作業に勤しんでいた。
「いやそれはここに来てからずっと驚いてるけど」と突っ込むディーノだったが、暴風竜ですら労働しているという事実は、抗弁の余地を完全に奪うものだった。
観念した魔王
「納得して頂けたようで何よりです。さあ、それでは始めますぞ」
有無を言わせぬベスターの圧力と、逃げ場のない状況に、ついにディーノは観念した。
「…………はい」
リムルは心の中で「強いなベスター」と感心しつつ、新たな労働力の確保に成功したことを喜ぶのだった。
こうして、新たな仲間(労働力)が加わり、数日が経過する――。
実験失敗! 雷を落とすリムル
「ぬおおお! カプセルにヒビがぁ!?」
「あわわわわッ」
地下の研究施設に、ヴェルドラとラミリスの悲鳴が響き渡る。培養カプセルから危険な光が漏れ出し、今にも爆発しそうな緊急事態だ。
そこへ「何をやってるんだお前ら!」とリムルが駆けつける。
現場を押さえられた二人は、当然のごとく正座させられ、リムルからたっぷりとお説教(おこられ)を食らう羽目になった。
失敗から生まれた「竜気魔鋼」
反省会で語られた原因は、あまりに短絡的なものだった。
「素体の成長を早めるために、ヴェルドラの魔素を直接注入した」というのだ。その結果、濃度が高まりすぎて暴走寸前になっていた。
本来なら叱責ものだが、リムルはそこで驚くべきデータに気がつく。
カプセル内の「人型骨魔人形(ボーンゴーレム)」が、ヴェルドラの波動を浴びて変質し、最高位の金属である『生体魔鋼(アダマンタイト)』の一種――仮称『竜気魔鋼(ドラゴタイト)』へと進化していたのだ。
怪我の功名とはいえ、思わぬ成果にリムルは感心するしかなかった。
3. ラミリスの願い
なぜそんなに完成を急いだのか? その問いにラミリスは理由を明かす。
「トレイニーさんや樹人族に、身体を与えたかったの」
精神生命体である彼らは、本体(樹木)から遠く離れることができない。だが、この依り代があれば、彼らは自由に行動できるようになる。
それを聞いたリムルは呆れつつも笑った。
「そういう事なら相談しろよ。ディアブロが連れてくる悪魔用の依り代だけど、培養カプセルなんだから、足りなくなったらまた量産すればいい」
太っ腹な魔王と、不憫な竜
「いいの!? ありがとうリムル! 超・太っ腹だよね~!」
リムルの快諾に、ラミリスは諸手を挙げて大喜びする。
その和やかな空気に便乗し、隣で正座していたヴェルドラも口を開いた。
「リムルよ、我も頼みがある」
「いや――残念だけどさ」
リムルはヴェルドラの方を見もせずに、即答で遮った。
「ならば遠慮はいらんな」
「待て待て待てェーーイ! まだ何も言っておらぬが!?」
話を聞く前に却下されるという、あまりに理不尽な扱いに絶叫するヴェルドラ。
こうして騒がしい研究室の一幕は、ヴェルドラの悲鳴と共に幕を閉じるのだった。
ボクも助手が欲しい!
ラミリスが新たな助手(ディーノ)をゲットしたのを見て、ヴェルドラが黙っているはずがなかった。
「自分にも助手がほしいー?」
リムルが「お前の相手をしてる暇なヤツはいない」と一蹴しようとするが、ヴェルドラは食い下がる。「迷宮の守護(という名の遊び)で忙しい我を、褒め称えて癒やす助手が必要だ!」と。
胃袋の中の「メル友」
リムルが「そんな人材いない」と断ろうとすると、ヴェルドラは意外なことを口にする。
「リムルの『胃袋』にいた頃からの友がいる。そいつに肉体をやってほしい」
リムルが首をかしげると、ラファエル(智慧之王)が助け舟を出した。
『告。上位精霊イフリートであると推測します』
かつてシズさんを苦しめ、リムルが捕食したあのイフリートだ。なんとヴェルドラは、胃袋の中で隔離されていたイフリートに干渉し、ずっと友情を育んでいたのだという。
ペットをねだる子供のように
「イフリートか……」
リムルは難色を示す。シズさんの件もあるし、元は魔王レオンの配下だ。復活させても裏切らない保証はない。
しかし、ヴェルドラは「本人に確認したから大丈夫だ!」と自信満々。さらに弟子のラミリスも加勢する。
「師匠はすごいんだよ! 魔導列車用の火炎蜥蜴(サラマンダー)も、イフリートに頼んで召喚させたんだから」
既に陰ながら貢献していたという実績と、二人の猛プッシュ。
「最後まできちんと責任を持てよ?」
リムルは、まるで「ペットを飼いたい」とせがむ子供に根負けした親のような心境で、ついに復活を許可した。
超豪華な依り代と、まさかの美女化
許可が出れば話は早い。リムルは先ほど完成したばかりの『竜気魔鋼(ドラゴタイト)』製の骨魔人形を依り代に指定し、核(コア)として『暴風大妖渦(カリュブディス)』の魔核を使用する。
実験は成功し、煙の中から現れたのは――かつての厳つい炎の魔人ではなく、神秘的な美しさを湛えた「女性型」の精霊だった。
カリュブディスの性質とヴェルドラの魔素により、炎と風を操る美女へと変貌していたのだ。
過去の清算と新たな忠誠
見た目は変われど、中身はイフリート。彼はシズへの後悔を語りつつも、今の忠誠はレオンではなく、自分を救ってくれたヴェルドラにあると明言する。
「今の私が命を賭してお仕えしたいのは、ヴェルドラ様なのです」
その誠実な言葉を聞き、リムルは彼を正式にヴェルドラの助手として迎え入れた。
名付け、そしてすれ違う主従
「それではイフリートよ、貴様は今日より『カリス』と名乗るがいい!!」
ヴェルドラの名付けにより、劇的な進化が起きる。光が収まった時、そこに立っていたのは――女性型から一転、執事服の似合いそうな理知的な美青年(男性)だった。
「元の見た目に戻ってしまうとは予想外であったわ……」
ヴェルドラは露骨にガッカリした。せっかく美女になっていたのに、名付けでまた男に戻ってしまったことが残念でならないらしい。
それを見たカリスは、真面目な顔で答える。
「やはりそうでしたか。女性の姿など、ヴェルドラ様への嫌がらせ(不本意)だろうと考え、私の願望(忠実な執事姿)を優先させました」
カリスは気を利かせたつもりだったが、ヴェルドラの邪な期待とは完全にすれ違っていた。
「まあ、いつでも女性型にもなれますが…」
カリスが補足すると、ヴェルドラはパァっと表情を明るくし、現金な反応を見せる。
「よいよい! からかっただけよ、好きにすればよい!」
(……絶対、女性型がよかったんだな)
リムルが呆れる横で、カリスは「御意」と深く頭を下げるのだった。
魔王ディーノの常識崩壊
そんな主従のやり取りを横で見ていたディーノは、開いた口が塞がらなかった。
「ちょっ…あれ何? いつの間にあんなの仲間にしたの?」
目の前で誕生したのは、上位精霊をも凌駕する『炎の精霊魔霊王(フレイムロード)』だ。そんな超常的な存在が、雑談ついでに爆誕している。
「よくある事ですよ」
眼鏡を光らせたベスターが、ディーノの肩を叩く。
「こんな事で驚いていたら、ここではやっていけませんよ? さあ、仕事に戻りましょう」
「ええ……!?」
常識の通じないテンペストの洗礼を受け、魔王ディーノは再び強制労働へと引き戻されていくのだった。
ディアブロの帰還
カリス誕生の騒動から数日後。
執務室にいたリムルのもとに、シュナから「ディアブロ様がお戻りです」と報告が入る。
入室してきたディアブロは、相変わらずの恭しさで深く礼をした。
「第二秘書ディアブロ、ただいま戻りました」
リムルが「心配しちゃいなかったけど無事でなによりだ」と軽く労うと、ディアブロは感無量といった様子で、「身に余るお言葉、魂に刻み込ませて頂きます」と、相変わらず重い忠誠心を見せた。
(そうだった、こういうヤツだった……)
リムルは若干引きつつも、「刻むな刻むな」とツッコミを入れ、仲間集めの結果を尋ねた。
謎の三人の女性
「ええ、つつがなく。リムル様にお目通りするだけの資格を有すると、私が判断した者達を連れてまいりました」
ディアブロが扉を開け招き入れると、そこには三人の女性が控えていた。
白、黄、紫を基調とした装いの彼女たち。
唖然とするリムル
その三人が居る部屋に入る。
リムルは彼女たちの姿を見て、目を丸くして驚いた表情を浮かべた。
ディアブロがいったいどんな「面接」をして、どんな基準でこの三人を連れてきたのか――。
言葉を発することなく、ただただその光景に驚き、見つめるリムルの顔で、第134話は静かに幕を閉じる。
第135話 黑色軍団
完璧な擬態
ディアブロに連れられ、リムルの前に現れた三人の女性たち。
一見すると普通の人間だが、リムルの眼(正確には智慧之王)は誤魔化せなかった。
(魔素で作った仮初の物質体が完璧だな。普通の人間(・)にしか見えないよ)
彼女たちは、リムルと同様に「魔素量を極限まで抑え込み、人間になりすます」という高度な擬態を行っていたのだ。
リムルは「智慧之王(ラファエル)先生がいなければ騙されるところだった」と冷や汗をかきつつ、余裕の笑みを浮かべて指摘する。
リムルの指摘と、悪魔たちの戦慄
「彼女達は『上位魔将(アーク・デーモン)』だろ」
リムルがそう告げた瞬間、三人の表情が凍りついた。
「うそ…見破られた!?」
「かなり魔素量を秘めているようだけど、一切表に出していない。制御は完璧だね」
彼女たちにとって、その擬態は完璧なはずだった。それを一瞬で見抜き、あまつさえ「制御は完璧」と皮肉(※リムルは褒めているつもり)まで言われたことで、彼女たちはリムルの底知れぬ眼力に戦慄する。
さすがはリムル様
(クフフ、さすがはリムル様。やはり簡単に見抜かれましたね)
ディアブロは、主の慧眼を鼻高々に誇っている。
一方のリムルは、内心でディアブロに詫びていた。
(度し難い事に、この者達はリムル様の御力に懐疑的でしたので――)というディアブロの言葉を聞き、「変な奴らを連れてきたんじゃないか」と疑っていた自分を反省したのだ。
「ああ、気にしてないよ」
リムルは鷹揚に許しを与え、彼女たちの実力を認めた。
悪魔たちの心酔
リムルの「全てを見通す眼」に、三人は完全に落ちた。
白い髪の女性は、頬を染めてうっとりと語る。
「見事な慧眼に感服いたしましたわ。先ほどから胸のトキメキが治まりませんもの」
紫の髪の少女も「ボクも同じだよー!」と続き、金髪の女性も「私も異議なし!」と力強く宣言する。
彼女たちは、それぞれの配下である「上位悪魔」を含む軍勢二百、合計六百名の悪魔を引き連れ、リムルの軍門に降ることを誓った。
黒色軍団(ブラックナンバーズ)の結成
「いいだろう。君達とその配下を、テンペスト魔国連邦へ迎え入れる」
リムルの許可が下りると、彼女たちは嬉々として「は!!」と跪く。
リムルは彼女たちをディアブロの直轄部隊とし、その力を存分に振るうよう命じた。
こうして、最強最悪の戦力となる悪魔の軍団が、リムルの配下として正式に誕生したのだった。
地下迷宮での顕現
場所は地下迷宮100階層、ヴェルドラの間。
ディアブロの「姿を見せる事を許す、顕現せよ!」という号令と共に、空間に黒い亀裂が走り、膨大な数の悪魔たちが湧き出した。
その数、およそ700体。
「ななひゃく……」
リムルは冷や汗を流す。上位の悪魔が軍団規模で現れるなど、世界の常識ではあり得ない光景だった。
規格外の幹部たち
先頭に立つ三人の娘(原初)の後ろには、さらに風格のある「上位魔将(アーク・デーモン)」が六体も控えていた。
「いやちょっと待った。700体も大概だけど、それよりとんでもないのは六体の上位魔将だ」
通常、上位魔将といえば災害級の強さであり、そう簡単にお目にかかれるものではない。それがバーゲンセールのように並んでいる。
智慧之王(ラファエル)の解説によれば、悪魔族には魔素量の成長限界があり、ある程度長く生きた悪魔はみな「上位魔将」で頭打ちになるため、階級だけでは強さが測れないのだという。
「つまり、あの三人娘やディアブロは、同じ上位魔将でも『経験値(レベル)』が桁違いってことか……」
ラファエルは、ディアブロと三人娘を『支配者階級』であると推定。リムルは「とにかく超ヤバイ」と理解し、頭を抱えた。
「スカウト」の実態
ディアブロは涼しい顔で、後ろの六体について説明する。
「是非ともお役に立ちたいと、泣いて懇願するもので同行を許しました」
しかし、その列の端には、なぜか**ボロボロに傷ついた悪魔(後のヴェノム)**が混ざっていた。
(嘘つけ、絶対力技だろ……)
その若き悪魔の悲痛な心のツッコミなど知るよしもなく、ディアブロの「平和的な勧誘(物理)」によって集められた精鋭たちは、一糸乱れぬ動きでリムルに忠誠を誓う。
悪魔軍団の誕生
ズラリと跪く700体の悪魔たち。
「我等は魔王リムル様の忠実なる下僕です」
その壮観かつ恐ろしい光景を前に、リムルは引きつった笑顔で「お、おう…ヨロシクな」と答えるのが精一杯だった。
(図らずも悪魔軍団ができてしまった……ディアブロが敵じゃなくて本当によかった)
リムルが心底からの安堵と恐怖を同時に噛み締めたところで、最強の戦力『黒色軍団(ブラックナンバーズ)』の結成が完了したのである。
桁違いの「年季」
地下迷宮の研究施設。
ディアブロが連れてきた悪魔たちを「人型骨魔人形(ボーンゴーレム)」に憑依させる作業が進む中、リムルは培養カプセルに入った三人娘(原初)を見ながら、ふと口にした。
「彼女達なんて千年以上生きてるみたいでさ」
すると、智慧之王(ラファエル)から即座に訂正が入る。
『否。解釈の違いです。千年以上ということは、三万年以上生きていても不思議ではないのです』
「三万年!?」
リムルは絶句する。千年どころの話ではなかった。
(……まあホラ、女性に年齢は聞きづらいし、生きたかなんてそんなに重要じゃないだろ)
リムルは「すごい悪魔が仲間になっただけ」と自分に言い聞かせ、いらぬ怒りを買わないよう、この話題(年齢)から全力で目を逸らすことにした。
命名:スーパーカー・シリーズ
「それじゃあ君達に名を与えようか」
リムルは、ディアブロと同じく**「スーパーカー」**に関連する名前を与えることに決める。
(ここはディアブロと同じくスーパーカーシリーズでいこう)
• テスタロッサ(原初の白)
• ウルティマ(原初の紫)
• カレラ(原初の黄)
「いいだろう」「私も異議なし!」「はい!!」
三柱はそれぞれの名を受け入れ、その瞬間、カプセル内で劇的な変化が始まった。
カプセル崩壊と、ヴェノムの戦慄
名付けによる魔素の流入は凄まじかった。
「ボボボボボ」という音と共にカプセル内の液体が沸騰し、頑丈なはずの強化ガラスに亀裂が走る。
ドパァーン!!
カプセルが内側から粉々に砕け散り、三柱が飛び出した。
そのあまりの出力と衝撃波に、その場にいた若き悪魔(後のヴェノム)は冷や汗を流して戦慄する。
(この魔素量……旧魔王連中――カリオンでさえも相手にならないだろ)
リムルが与えた名によって、彼女たちは次元の違う存在へと新生したのだ。
悪魔公(デーモンロード)三人娘
煙が晴れると、そこには新たな衣装を纏った三人の姿があった。
• カレラ: 軍服のような凛々しい衣装。「貴方の期待に応えてみせよう」と不敵なウィンクを見せる。
• テスタロッサ: 上品なドレス姿。「今後とも忠誠を誓う事、是非ともお許しくださいませ」と優雅に微笑む。
• ウルティマ: 可愛らしいゴシック調のミニスカート。「ボクもです! リムル様に全力でお仕えするよ!」と無邪気に笑う。
三者三様の美女(中身は最凶の原初)が揃い踏みした光景に、リムルは「流石に上位魔将三柱への名付けは消耗した」と疲労を滲ませる。
規格外の副官たち
続いて、彼女たちの腹心である六名の上位魔将にも名が与えられた。
• テスタロッサの腹心
• モス: 見た目は少年だが、「数万年敗北を知らない悪魔界の大公爵」が進化した姿。
• シエン: 300年無敗の男爵級。知的な執事風の青年。
• ウルティマの腹心
• ヴェイロン: 4000年以上生きる老獪な侯爵。「悪魔公」へと進化。
• ゾンダ: 300年無敗の男爵級。コック服のような姿。
• カレラの腹心
• アゲーラ: 300年前の特殊個体で刀使い。和装の侍のような姿。
• エスプリ: 500年無敗の子爵級。現代風のパーカーを着た少女。
そして最後に、ディアブロのお気に入りである若き悪魔も**「ヴェノム」**と名付けられ、上位魔将へと進化した。
火力過多への嘆きと、軍団の始動
「っていうかまた悪魔公(モスとヴェイロン)になったのがいるんだけど!? しかも二体も!!」
リムルは頭を抱えた。
「俺としては政治経済に強い人材を確保したいんだけど、なんか火力ばかり強くなっていくな…」
そんな主の悩みを知ってか知らずか、残りの700体の悪魔たちも次々と受肉・名付けを完了させる。
こうして、ディアブロの指揮下に『黒色軍団(ブラックナンバーズ)』が正式に発足した。
リムルは、整列する最凶の軍団を見渡し、
「この上なく危険そうな悪魔の軍団は、ディアブロに託す事にしたのだった」
と、全てを丸投げする(諦める)ことで心の平穏を保つのだった。
書庫での品定め
名付けと進化を終えた後、場面はテンペストの書庫へと移る。
そこには、リムルから与えられた役割の合間に、優雅に読書や調べ物をするテスタロッサ、ウルティマ、カレラの姿があった。
彼女たちは、主となったリムルについて改めて評価を語り合う。
「クロ――いいえ、ディアブロ。貴方が心酔した理由がわかったわ」
ウルティマは本を閉じながら呟く。自分たちの正体(原初)を見抜いた上で、脅威とみなさず「断じるに足らぬ」と判断されたこと。その器量の大きさに感服していたのだ。
魔王ディーノとの比較
カレラも同意し、呆れ半分に語る。
「古き魔王であるディーノでさえも、我々を見て青ざめていたというのにな」
最強の存在である自分たちを前にしても、リムルは動じるどころか、カレラが試しに放った『威圧』をまるで子猫をいなすように受け流してみせた。
「あの御方は凄い。主君と仰ぐのも面白い、そう思わせてくれたよ」
彼女たちは、リムルの底知れぬ実力と精神性に、心からの興味と敬意を抱いていた。
3. 破壊よりも楽しいこと
テスタロッサは優雅に微笑む。
「国を堕とすゲームを繰り返すよりも、あの方を見ている方が楽しいわ」
ウルティマもそれに続く。
「調子に乗ってる悪魔達を拷問するより、この国で働く方がもっと楽しめそうな気がするよ」
彼女たちにとって、永い退屈を紛らわせる最大の娯楽は、もはや破壊や暴力ではなく、リムルという特異な魔王に仕えることへと変化していた。
ディアブロの釘刺し
そんな彼女たちの会話を聞いていたディアブロは、不敵に笑いながら釘を刺す。
「あの時は貴女(カレラ)を殺しかけましたよ? ハハハ」
かつてカレラがリムルに向けて不用意に威圧を放った際、ディアブロが即座に粛清しようとした事実に触れつつ、今後の序列を通告する。
「これからはリムル様だけでなく、私の命令にも従ってもらいますよ」
黒色軍団の序列
最強のプライドを持つ彼女たちだが、ここには明確な上下関係が存在した。
「仕方ありませんわね。リムル様に引き合わせてくれた恩は返しましょう」
テスタロッサとウルティマは、「仲介料」として渋々ながらも承諾する。
カレラだけは「リムル様の役に立ち、君を追い落とせば済む話だしね」と野心を隠さず豪快に笑い飛ばすが、ディアブロは涼しい顔で受け流す。
こうして、ディアブロを頂点とし、三柱の悪魔公がそれに続くという、テンペスト最強の『黒色軍団(ブラックナンバーズ)』の指揮系統が――火花を散らしつつも――盤石なものとして確立されたのだった。
悪魔三人娘への無茶振りと、まさかの即答
数日後。リムルは執務室にテスタロッサ、ウルティマ、カレラの三人娘を呼び出し、ある提案を持ちかけた。
「俺の全権代理たる外交武官」「国内の巨悪を捜査する検事総長」「物事を公平に裁く最高裁判所長官」。
どれも国家の根幹を揺るがしかねない重職であり、正直なところ「もし適性がなければ断ってくれればいい」という程度の、リムルなりの無茶振りだった。
しかし、リムルの予想に反して三人はやる気満々だ。「拝命致しますわ」と優雅に微笑むテスタロッサに続き、ウルティマは「ボク以上の巨悪? ワクワクするね!」と目を輝かせ、カレラもまた死を与える権利(=裁き)に興味津々。
(いや、なんかノリで決まりそうだけど、この娘等本当にわかってるのか?)
スライム姿のリムルから冷や汗が流れるのをよそに、彼女たちはとんとん拍子で話を進めていく。
「証拠は残しません」は採用動機になりません
特にテスタロッサの優秀さと危うさは紙一重だった。彼女はすでに策定中の法令を丸暗記しており、リムルの名代として評議会に出席する気満々だ。
心配になったリムルが「短気だけは起こさぬように」と釘を刺すと、彼女は花が咲くような笑顔でこう答えた。
「万が一の場合でも、手を下したという証拠は残しません」
(そういう問題じゃないと思うんだけど!?)
リムルの心のツッコミも虚しく、傍に控えていたディアブロまでもが「聡明な女性です、適任だと私も保証しますよ」と謎の太鼓判を押す始末。証拠を残さない=やってない、という悪魔的論法により、なし崩し的に採用が決まってしまった。
続いてウルティマとカレラも、六法全書の暗記や「悪魔だからこそ契約の抜け道を見抜ける」という説得力(物理)のあるアピールを展開。「また賄賂に靡くこともなし」と豪語するカレラに対し、リムルは(やや過激な人選かもしれないが、舐められるよりは強気で行こう)と腹を括り、三人の採用を高らかに宣言したのだった。
ちっちゃなスパイと、国を滅ぼしかける外交官
役職を振ってから数日後。リムルはテスタロッサと優雅にティータイムを過ごしていた。
彼女の報告によれば、各国の反応は「歓迎」が半数以下。未だに魔国連邦を利用しようと画策する国もあるという。
「それはドコ情報?」と尋ねるリムルに示されたのは、テーブルの上にちょこんと立つ、手のひらサイズの少年――なんと、あの実力者・モスだった。
「ちっちゃ! コイツこんなんだったっけ?」
驚愕するリムルをよそに、モスは小さな分身体を各地に飛ばし、完璧な諜報活動を行っていたらしい。テスタロッサに「(リムル様に褒められて)嫉妬しそうです」と弄られ、苦労人(?)のモスからは疲労感が漂っている。
そんな和やかな空気の中、テスタロッサはさらりと爆弾発言を投下した。敵対的な国家への対処について、彼女は小首をかしげてこう尋ねたのだ。
「落としどころは、国家の滅亡でしょうか?」
「違います!!」
リムルは食い気味に否定した。なるべく血が流れない方法で、と念押しされたテスタロッサは「御心のままに」と微笑み、評議会へと旅立っていく。
数ヶ月悩んだ人選問題が解決し、一安心するリムル。
こうして魔国連邦は法治国家としての体裁を整えた……はずなのだが、その実態は「最恐の悪魔たちが合法的に暴れ回る」体制が整っただけなのかもしれない。
第136話 子供達の成長
悪魔の人事完了、いざ癒やしの学園へ
頭を悩ませ続けていた「外交武官(テスタロッサ)」「検事総長(ウルティマ)」「最高裁判所長官(カレラ)」という、字面だけで胃が痛くなるような重要ポストの人選がついに決着した。
「一気に解決した」と言えば聞こえはいいが、要は核兵器級の悪魔たちを解き放ってしまったに等しい。
(あいつらに任せて本当に大丈夫か……?)
一抹の不安を抱えつつも、リムルは現実逃避……もとい、久しぶりの視察を兼ねて、ケンヤやクロエたち子供の様子を見に行くことにした。ヒナタからも話があると言われていたし、可愛い子供たちに癒やされたい。そんな軽い気持ちだったのだが。
教室の「女帝」と、アイドルすぎる魔王様
魔国連邦の学園に到着すると、そこでは微笑ましい(?)喧嘩が勃発していた。
「遊んでないで掃除しなさいよ!!」と仁王立ちするのはアリス。対してケンヤは「やりたいヤツがやりゃいいんだよ!」と反発するが、クラスメイトの目線は冷ややかだ。
「今日はどっちが勝つと思う?」「そりゃあ『女帝』だろ」「ケンヤはアリスに惚れてるからな」
ませたガキんちょ……もとい子供たちの冷静な分析通り、ケンヤに勝ち目はない。
そこへ「よっ」とリムルが顔を出すと、空気は一変した。
「リムル先生!?」
真っ先に飛びついてくるクロエと、抜け駆けはずるいと続くアリス。さらには「本物だ!」「握手してください!」と、人間・魔物問わず生徒たちが殺到する。開国祭以降、人間の移住者が増えたことで学園は賑わっていたが、どうやらリムルは彼らにとって「国民的アイドル」のような扱いらしい。
(もみくちゃにされるのは悪い気はしないが、人気者は大変だな……)
リムルは満更でもない表情で、子供たちの熱烈な歓迎を受け入れるのだった。
聖騎士の失言と、背後に立つ「魔王より怖い人」
そんな騒ぎの中、助け船を出したのは聖騎士のフリッツだった。
「助かったよフリッツ」
「まあね、コイツ等に会いに来たんだけど」
フリッツたち聖騎士にとって、ここでの特別講師任務は「団員の間でも取り合い」になるほどの人気案件らしい。理由は単純、子供たちから尊敬されるし、何より「飯が美味い」から。
すっかり魔国の食事情に餌付けされている聖騎士に呆れつつ、リムルがお忍びで来たことを話していると、フリッツが口を滑らせた。
「ぶっちゃけヒナタ様の過酷な訓練から逃れるのに、絶好の口実っていうか……」
その瞬間、周囲の温度が急激に下がった気がした。
笑顔の捕食者、ヒナタ・サカグチ
「へぇ……」
フリッツの背後から、凍てつくような、しかし美しい声が響く。
「私の訓練に不満があったとは気づかなかったわ」
振り返った先には、モデルのような私服姿で、極上の(そして目が笑っていない)笑みを浮かべるヒナタが立っていた。
「ヒッ、ヒナタ様!?」
悲鳴を上げるフリッツに対し、ヒナタはさらに追い打ちをかける。
「貴方達の力量に合わせて手加減していたのだけど、要らぬお節介だったみたい」
フリッツの命運が尽きるのを察し、リムルは心の中で合掌する。平和な学園生活に、魔王よりも恐ろしい「真の支配者」が降臨した瞬間だった。
地下迷宮への移動と、ヒナタの鎌かけ
フリッツへの「教育」を終えた(あるいは放置した)後、場面は地下迷宮の第一階層・訓練場へと移る。
「悪いわね、時間作ってもらって」
先程の修羅場が嘘のように冷静なヒナタに対し、リムルは「いや大丈夫、重要ポストは決まったし」と応じる。
だが、ヒナタの洞察力は甘くなかった。
「人手不足で何かと忙しいのでしょう? 貴方の事だから、とんでもない人選で解決したんじゃないの?」
(ギクッ)
図星を突かれたリムルは、冷や汗をかきながら「ははは…」と乾いた笑いで誤魔化す。まさか「原初の悪魔」を要職に就けました、とは口が裂けても言えない。
師匠たちの提案
リムルの引きつった笑いを見て、ヒナタはそれ以上追求せず本題に入った。
傍に控えていたハクロウと共に、彼女はこう切り出す。
「ハクロウ殿と二人で指導していたのだけど、貴方にもこの子達の成長ぶりを見てもらいたいのよ」
「きっと驚くわよ」
二人の師匠が自信満々に語る子供たちの成長。
リムルはその言葉を受け、実際に彼らの実力を確かめることになるのだった。
成長という名の「脅威」
「一時間後」――模擬戦が始まると、リムルの余裕は消し飛んだ。
「いやいやいや! ちょっとマジで成長しすぎて怖いんですけど!?」
ケンヤの剣技は並の聖騎士を凌駕し、リョウタは水と風の精霊魔法を器用に使いこなす。ゲイルは土の精霊で鉄壁の守りを固めていた。
そして「女帝」アリス。彼女は無数の人形(ゴーレム)と宙を舞う剣を操り、全方位からリムルを追い詰める。
(『未来攻撃予測』がなければ まともに喰らってたかもしれない)
リムルは冷や汗をかきながら、彼らの猛攻を必死に回避する羽目になった。
最強の教え子・クロエ
だが、真の恐怖はここからだった。
「――!」
乱戦を切り裂いて突っ込んできたのはクロエだ。
彼女の動きだけ次元が違う。放たれた剣撃は、ヒナタを彷彿とさせる……いや、それ以上の鋭さを秘めていた。
(なんならヒナタ以上――)
可愛らしい気合の声とは裏腹な必殺の一撃に、リムルは咄嗟に「本気」を出して対応してしまう。
カァン! と剣を弾き飛ばし、なんとか勝利したリムル。
「負けちゃった…」と悔しがるクロエに「ありがとうございました」と礼を言われるが、リムルの内心は(正直、本気にならなければ負けていただろう)と心臓バクバクだった。
忘れられた少女の逆襲
クロエ戦の直後、安堵するリムルに一人の少女が詰め寄る。
「君は誰かな?」
その不用意な一言が、悲劇を生んだ。
「ガーン」とショックを受ける少女に、「酷いわね。自分で私に預けたくせに忘れたの?」と呆れるヒナタ。
「リムル様、わっちの事忘れてしまってたでありんすか?」
涙目で抗議されてようやく、リムルは彼女がクマラ(以前名付けをした狐の魔獣)の人型だと気づく。
「わっちも戦いたいでありんす!」
名誉挽回とばかりに、クマラは本来の姿である「九尾の魔獣」へ変化。八体の配下(魔獣)を召喚し、軍団ごとき物量でリムルへ襲いかかった。
「ちょ……ッ 多い!!」
リムルの悲鳴が迷宮に響き渡る。
勝利のポーズと冷や汗
激闘の末、どうにか全員を相手にし終えたリムルは、スポットライトの下で「WIN」のポーズを決めていた。
地面に伏したクマラと、集まる子供たち。
「でもさ 本当にすごいのはクロちゃんだよね」「私 女帝とか言われてるけど一度も勝てないもん」
子供たちの評価も、やはりクロエが頭一つ抜けているようだ。
「――いや 本当 強くなりすぎだろお前ら」
リムルは教師としての顔で子供たちを褒めるが、その背中は冷や汗でびっしょりだった。
(自信満々に試験しに来たけど、あと少し遅かったらボコボコにされてたな……)
魔王の威厳を保てたことに安堵しつつ、リムルは子供たちの末恐ろしい才能に身震いするのだった。
ケンヤの必殺技(漫画由来)と、末恐ろしい才能
模擬戦を終え、話題は子供たちの戦い方へと移った。
「ケンヤもすごいけどな」
そう評価する声に対し、ヒナタは冷静にダメ出しをする。「構えが漫画みたいに大袈裟で無駄な動きが多いんだよ」
その言葉を聞いたケンヤは、悪びれもせずに言い返した。
「だって仕方ないだろ!? マサユキさん直伝なんだからさ!」
(アイツのせいかよ! じゃあ本当にマンガ由来の構えじゃねーか!!)
リムルは心の中で、とある「勇者」に盛大なツッコミを入れた。
一方で、クロエの評価は別格だった。
「クロエの剣技はヒナタそっくりだな」
「うん! シズ先生と同じだったから私 頑張って真似したの!」
無邪気に笑うクロエだが、ヒナタは「そう簡単に真似できるものではない」と舌を巻き、ハクロウに至っては「あの娘ほどの才能を持つ者を見たことがありません」と戦慄する。
「末恐ろしいとは まさにこの事ですな」
強くなりすぎた子供たちが歪んで育たないか心配するヒナタに対し、リムルは「この町には多くの先輩がいる」と、彼らの未来を楽観的に保証するのだった。
意外な弱点と、音楽会の招待状
「そうそう 話は変わるのだけど」
一息ついたところで、ヒナタが本題を切り出した。
「ルミナス様がね 音楽交流会はまだかって煩いのよ」
どうやら魔王ルミナスは、開国祭での演奏会をいたく気に入ったらしい。
リムルは楽団のレパートリーが増えていることを伝えつつ、譜面の書き起こしについては「智慧之王(ラファエル)先生頼み」であることを明かす。
「おっと ヒナタにも苦手なものがあったか」
音符も読めないリムルに対し、ヒナタは勝ち誇ったようにニヤニヤと笑う。
(なんか腹立つわね…)
ともあれ、移動の大変な楽団については、聖騎士を派遣して『拠点移動(ワープポータル)』で数名ずつ運ぶというVIP待遇が提案され、話はスムーズにまとまった。
「僕も!」「私も!」おねだり大連鎖
「それじゃあ近いうちにお邪魔させてもらおうかな」
リムルがそう締めくくろうとした時、背後から小さな影が忍び寄る。
「リムル先生 ヒナタお姉ちゃんとどこかに行くの?」
クロエだ。
「私も行きたい!」
その一言が、導火線となった。
「えっ なに? 演奏会やるの? 私だって行きたい!」とアリスが騒ぎ出し、ケンヤも「二人が行くなら俺も行っこかなー」と続き、リョウタまで「ボクも!」と手を挙げる。
「ケンヤ達だけ行かせたら何をしでかすか不安ですし」と、もっともらしい理由をつけているが、要は全員遊びに行きたいだけである。
さらに、リムルの袖を引く控えめな感触。
「わ わっちも行きたいでありんす……」
上目遣いでお願いしてくるクマラに、リムルは視線をヒナタへ送る。
「ふむ……ま いいか」
ヒナタは優しくクマラの頭を撫で、許可を出した。
「よし じゃあ皆で行くか」
こうして、ルベリオスへの音楽交流会は、子供たち全員を引き連れた賑やかな「修学旅行」になることが決定したのである。
満腹の晩餐会と、夜の招待状
その後の晩餐会も豪華だった。
小さなスプーンに乗せられた一口サイズの料理の数々。最初は「うまいけど少ない」と不満顔だったケンヤたちも、次々と運ばれてくる皿に、終盤にはすっかり満腹顔になっていた。
「先生 おやすみ~」
満足した子供たちを部屋へ送り出し、保護者としての務めを終えたリムル。
「とりあえず俺は部屋にいようかな」
バーも魅力的だが、移動の疲れもある。しかし、シオンとディアブロは何かを察していた。
「あの人の事だから そろそろ声を掛けてきそうな気もするんだよね」
その予言通り、部屋の前にはメイドが待機しており、最上階のバーへの招待を告げた。しかも「晩餐会にルミナスはいなかった」という事実が、この呼び出しがただの親睦会ではないことを示唆していた。
最上階のバーにて
最上階の貸し切りバーに入ると、そこにはメイド服姿でグラスを傾ける魔王ルミナス・バレンタインの姿があった。
「――なんじゃ もっと驚くかと思っておったのに」
「いやー そろそろ何かありそうだと予想してたからね」
本人がメイド姿で来るとまでは想定していなかったが、リムルは動じることなく席に着く。ルミナスの勘の鋭さに感心されつつ、話はまず「不在の同居人」のことに及んだ。
「それに あの邪竜(ヴェルドラ)を連れて来なかった事 褒めて遣わすぞ」
バーテンダーを務める執事のギュンター、そして法皇ルイ。ルベリオスの重鎮たちが揃うこの場に、トラブルメーカーのヴェルドラがいれば大惨事は免れなかっただろう。
また、ヒナタがこの場に呼ばれていない理由についても語られた。
「ヒナタは超人ではないのじゃ」
彼女は現在、人間から精神生命体に近い肉体構造へ変わる過渡期にあり、睡眠が必要な状態だという。改めて「魔物の進化って異常なんだな…」とリムルは実感する。
忍び寄る「光」の影
「それで 何か用があるんだろ?」
単刀直入に切り出すと、ルミナスは特製パウンドケーキをつまみながら本題に入った。
「グランベルが生きていた事は把握しておるな?」
日曜師(グラン)ことグランベル・ロッゾ。彼が三日後の演奏会を妨害しに来るという情報を、ルミナスは掴んでいた。
「ルベリオスの守りは鉄壁でございます」
ギュンターは自信を見せるが、問題は軍勢による侵攻ではない。
「問題は我等の把握していない『抜け道』の存在だよ」
グランベルは長年、七曜の長としてこの地に君臨していた「元身内」だ。彼ならルミナスたちすら知らない侵入経路を知っている可能性がある。
「しかも彼奴はかつてルミナス様と戦った経験を持つ光の勇者」
地の利に精通し、実力も知略も兼ね備えた元勇者が本気で潜入してくれば、察知することは困難を極める。それがルミナスたちの懸念だった。
黒の衝動、主の制止
敵の脅威を強調するルイたちの言葉に、リムルの背後に控えていたディアブロがピクリと反応した。
「くだらない」
冷たく言い放つディアブロ。
「そんな雑事でリムル様の御心を乱さないでほしいものです」
「なんだと…?」と色めき立つルイとギュンターに対し、ディアブロは不敵な笑みを浮かべる。「この目で見ても未だに信じられぬわ」「本気でリムルに飼いならされたのじゃな」とルミナスは面白がるが、空気が張り詰める。
「私には リムル様より頂戴した素晴らしい名前が――」
暴走しかけた忠誠心を、リムルは静かに制した。
「控えろ ディアブロ」
「そんな風に呼ばないで頂きたい。ルミナスとは友好関係を築いているし 今後もそれを継続したいんだ」
主の言葉に、ディアブロは「御意」と恭しく下がる。
(まったく、ウチの配下は好戦的すぎて困る……)
リムルは冷や汗をかきつつ、ルベリオスとの協調路線を守り抜くのだった。
ディアブロの暴走未遂と、ヒナタ不在の理由
「その者…ディアブロが申すのも正論よな」
一触即発の空気を収めたのは、他ならぬルミナスだった。「確かに客人にすべき話ではない」と認めつつも、彼女には話しておきたい理由があった。
それは、敵対するグランベル・ロッゾの正体についてだ。
「グランベルは“勇者”――それも“勇者の卵が孵った者”、“真なる勇者”なのじゃ」
その言葉に、同席していたヒナタが呼ばれなかった理由も繋がる。
「雛鳥は成長し巣立っておる。この妾にも、あの者がどれほど強くなったのかわからぬのじゃ」
かつての師であるルミナスですら底知れないほど、グランベルは成長していたのだ。
真なる勇者=覚醒魔王級
「そもそも勇者ってどのくらい強いものなんだろうか」
素朴な疑問を抱くリムルに対し、ルミナスは解説する。
“勇者の卵”が孵化することは“種の同定(発芽)”に相当し、それは魔王種が“真なる魔王”へと覚醒するのと同義である、と。
つまりグランベルは、覚醒魔王級の強さを持つ存在なのだ。
「魔王と勇者は対になる存在」
「もしかしてヒナタよりも強いとか?」と冷や汗をかくリムルに、ルミナスは断言する。
「……是じゃ。あの者は間違いなくカリオンら旧来の魔王連中よりも強者であろうよ」
(カリオンより強いってマジかよ……)
リムルは事態の深刻さを改めて認識する。
マリアベルの死と、反転した正義
なぜ、かつて人類の守護者だったグランベルが暴走し始めたのか。
「今動き出したのはマリアベルの死が原因かな」
執事ギュンターの推測に、ルミナスも同意する。
グランベルにとって、マリアベルは自身の野望――「人類の生存圏を守り抜く」という悲願を成就させるための鍵だった。
彼が長年、七曜の長として裏から手を回し、西方諸国評議会を誕生させ、小国が富み栄えるシステムを築き上げたのも、全ては人類のためだった。
「妾とグランの利害は対立せぬ。故に妾はあの者を飼いならし――言うてみれば妾の切り札の一つとして温存しておったのよ」
だが、その切り札が今、くるりと裏返ってしまった。
希望(マリアベル)を失ったグランベルは、かつて守ろうとした人類(平和)を根絶やしにしてでも、ルミナスたち魔王との共存関係を否定しようとしているのだ。
黒幕ユウキ・カグラザカの影
さらに厄介な情報がもたらされた。
グランベルの背後に、あの「神楽坂優樹(ユウキ・カグラザカ)」がいるというのだ。
「もちろん 色々と暗躍してるようだからな」とっくに気づいていたリムルに対し、シオンから報告が入る。
「そのユウキがグランと接触しておる。両者は何らかの協定を結んだようじゃな」
つまり、今回の騒動はグランベルとユウキ、二人の黒幕による合作ということになる。
「つまりグランとやらとリムル様を戦わせる事が、あの小僧の狙いという事ですね」
シオンの指摘に、ディアブロも「クフフフ」と不敵に笑う。
「甘すぎますね。我等四天王が二人も護衛についているのです。どのような企みも無駄に終わる事でしょう」
頼もしいが、外で「四天王」と自称するのは恥ずかしいのでやめてほしいリムルだった。
「まあ 念の為に警戒はしておけ」
ルミナスの言葉で、夜の密会は幕を閉じた。
彼女としては、グランベルを脅威だと認めつつも、三日後の演奏会を無事に楽しみたいというのが本音らしい。
「グランを脅威だと言いつつ 自分の娯楽を優先させる。この余裕 見習いたいよね」
リムルはそんなことを思いつつ、ルベリオス滞在初日の夜は更けていくのだった。
転生したらスライムだった件 シリーズ
漫画版

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。
小説版

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。
その他フィクション

コミックス(外伝含む)
『「転生したらスライムだった件~魔物の国の歩き方~」(ライドコミックス)』
『転生したらスライムだった件 異聞 ~魔国暮らしのトリニティ~(月刊少年シリウス)』
『転スラ日記 転生したらスライムだった件(月刊少年シリウス)』
『転ちゅら! 転生したらスライムだった件(月刊少年シリウス)』
『転生したらスライムだった件 クレイマンREVENGE(月刊少年シリウス)』
TVアニメ
転生したらスライムだった件 3期(2024年4月から)
劇場版
PV
OP
ED
Share this content:

コメントを残す