スポンサーリンク
フィクション(Novel)ヘルモード~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~読書感想

小説「ヘルモード11 プロスティア帝国(魚人)編2」感想・ネタバレ

スポンサーリンク
ヘルモード11の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

ヘルモード 10巻 レビュー
ヘルモード 全巻 まとめ
ヘルモード 12巻 レビュー

スポンサーリンク
  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. プロスティア帝国潜入
    2. 聖魚マクリスの伝説
    3. 魔族シノロムの暗躍
    4. 商人ペロムスの消失
    5. ペロムスの救出と結婚
    6. 召喚獣マクリスの誕生
  6. 登場キャラクター
    1. アレン軍(廃ゲーマー)
      1. アレン
      2. セシル=グランヴェル
      3. ソフィアローネ
      4. シア=ヴァン=アルバハル
      5. ペロムス
      6. クレナ
      7. ドゴラ
      8. メルル
      9. フォルマール
      10. ルークトッド
      11. ルド将軍
      12. イワナム将軍
      13. キール=フォン=カルネル
      14. タムタム
    2. プロスティア帝国
      1. ラプソニル=プロスティア
      2. グロウデル=ヴァン=イグノマス
      3. ロザリナ
      4. ディアドラ
      5. アジレイ宰相
      6. カサゴマ
      7. ドレスカレイ公爵
      8. ヒューゲル=ヴァン=プロスティア
      9. アラーナ=プロスティア
      10. カマスラジナ辺境伯
    3. アルバハル獣王国
      1. ベク
      2. ムザ獣王
      3. ヨゼ
    4. クレビュール王国
      1. カルミン王女
    5. 勇者軍(セイクリッド)
      1. ヘルミオス
      2. ロゼッタ
      3. ドベルグ
      4. クラシス
      5. ベスター
    6. 威風凜々
      1. マッカラン
      2. イスタール
      3. ネネビー
      4. グレッサ
      5. オルバース
    7. 魔王軍
      1. シノロム
      2. キュベル
      3. バスク
      4. ビルディガ
      5. ラモンハモン
      6. ラモン
      7. ハモン
      8. ギイ
      9. レドラゴック
      10. ティマラド
      11. オルドー
      12. マーラ
      13. ガンディーラ
      14. ゼルディアス
    8. アレンの関係者・その他
      1. フィオナ
      2. チェスター
      3. グランヴェル伯爵
      4. ゼノフ騎士団長
      5. デボジ
      6. セバス
      7. ムハト塾長
      8. バートン執事長
      9. ガッツン
      10. ドロシー
      11. エナ
      12. マルコ
      13. エリック
      14. ガハト村長
      15. ジョー
      16. アヒム
    9. 神・精霊・聖獣・召喚獣
      1. マクリス
      2. アクア
      3. 海の怪物
      4. マリア
      5. メルス
      6. ルプト
      7. ゲイル
      8. ピグミー
      9. ドライアド
      10. ニンフ
      11. ローゼン
      12. フレイヤ
      13. ファーブル
      14. アリポン
      15. オヌバ
      16. ファルネメス
      17. ガルム
      18. テッコウ
      19. エルメア
      20. アクシリオン
    10. 集団
      1. アレン軍
      2. 勇者軍
      3. 混成アイアンゴーレム狩り組
      4. 魔王軍の魔獣たち
      5. 第1帝国軍
      6. 第2帝国軍
      7. 近衛騎士団
      8. ゴーレム隊
      9. ドルフィン部隊
      10. プロスティア帝国宮廷音楽隊
      11. エルフ、ダークエルフ、獣人、ドワーフたち
      12. 威風凜々
  7. 展開まとめ
    1. 第一話 プロスティア帝国物語
    2. 第二話 シノロム導師の影
    3. 第三話 商人ペロムスの消失
    4. 第四話 歌姫コンテストの来訪者
    5. 第五話 魔王軍の強襲
    6. 第六話 水晶花の上での激戦
    7. 第七話 商人ペロムスの戦い
    8. 第八話 プロスティア帝国を守る者
    9. 第九話 魔王の悲願と邪神の尾
    10. 第十話 聖魚マクリスの涙
    11. 特別書き下ろしエピソード ① オルバースと脾臓料理と威風凜々
    12. 特別書き下ろしエピソード② ヘルモード外伝 ~勇者ヘルミオス英雄譚~ ⑤町外村の救済編前編
    13. 商人ペロムスの結婚式会場
    14. 淀んだ牢獄の中で決意したこと
  8. ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 一覧
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『ヘルモード 11~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~』は、ハム男による異世界ファンタジー小説である。本作は、現代日本から未調整の最高難易度「ヘルモード」の召喚士として異世界に転生した元・廃ゲーマーの主人公が、自らの知識と検証を駆使して理不尽な世界設定を攻略していく物語である。 第11巻では、獣王国の内乱の首謀者であるベクを追って、海底にある魚人の国「プロスティア帝国」へと舞台を移す。軍のクーデターによって帝位が簒奪された異常事態の中、アレンたちは国を救うため、そして希少なアイテム「マクリスの涙」を手に入れるため、「歌姫コンテスト」での優勝を目指して新たなクエストに挑むこととなる。

■ 主要キャラクター

  • アレン:本作の主人公。前世のゲーマー知識と飽くなき検証精神を持ち、星8つの最高難易度職業「召喚士」を極める少年である。魔王軍討伐のため、パーティー「廃ゲーマー」を率いて常に効率的な攻略を推し進める。
  • ペロムス:アレンの旧友であり、有能な商人である。プロスティア帝国での任務同行中、コンテスト直前に行方不明となるトラブルに見舞われる。
  • ロザリナ:プロスティア帝国の歌姫である。アレンにスカウトされ、コンテスト優勝の鍵を握る重要な役割を果たす。
  • ベク:アルバハル獣王国の内乱を引き起こした首謀者である。アレンたちが海底都市へ潜入するきっかけを作った逃亡者として描かれている。

■ 物語の特徴

本作の最大の魅力は、絶望的なまでに成長が遅い「ヘルモード」という制約の中で、主人公がゲーム的な検証・効率化・戦術構築を徹底して行い、逆境を覆していくプロセスにある。単なる無双ではなく、泥臭い努力と緻密な計算に裏打ちされた強さが説得力を持たせている。 また、本巻では海底都市という新たなフィールドにおける変装劇やコンテストでの謀略など、純粋な戦闘以外のゲーム的課題(クエスト)の攻略プロセスも色濃く描かれており、やり込み要素を好む読者にとって非常に惹きつけられる展開となっている。

書籍情報

ヘルモード 11~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~
著者:ハム男 氏
イラスト: 氏
出版社:アース・スターノベル
発売日:2025年3月14日発売

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

海底都市に迫る魔王軍の影……!!アルバハル獣王国の内乱の首謀者とされるベクを追うため、海底にある魚人の国『プロスティア帝国』へと潜入するアレンたち。召喚獣の能力で魚人に変身し入国すると、帝国は軍によるクーデターにより帝位が簒奪されていたことが発覚した。アレンは国の内情を探りつつも、もう一つの目的である「マクリスの涙」を手に入れるため行動を開始する。「歌姫コンテスト」というイベントで「マクリスの涙」が手に入ることを知ったアレンは、トラブルを起こしていた歌姫ロザリナをスカウトし、優勝を狙う。しかし、歌姫コンテストを前にして、突如ペロムスが行方不明になってしまう。召喚獣の効果が切れてしまえば、水中で魚人姿から人間に戻ってしまい、ペロムスの命はない。焦るアレンの一方、ある場所で窮地に追い込まれていたペロムスは勇気を振り絞り、彼なりの戦いに身を投じるのだった。弱気な商人ペロムス、一世一代の大奮闘!

ヘルモード 11~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~

感想

海底の陰謀と宿命の歯車

物語の当初、アレンたちの目的は逃亡したベクの追跡と、ペロムスの求婚に必要な聖魚マクリスの涙の獲得であった。しかし、海底国家プロスティア帝国に潜入した彼らを待ち受けていたのは、帝国の支配権を巡る内乱だけではない。事件の裏で暗躍する魔王軍の存在に気づいたときから、物語は国家の存亡と世界の命運を懸けた壮大な戦いへと一気に加速していく。個人的な目的から始まり、それが世界規模の巨大な陰謀へと繋がっていく緊迫した構成には、ただただ圧倒されるばかりである。

ペロムスの一世一代の大奮闘と熱い友情

本作において、何よりも心揺さぶられたのは商人ペロムスの驚くべき成長と覚悟だ。普段は弱気な彼が、シノロムと上位魔神キュベルの密談を立ち聞きして拉致されるという窮地の中で、見事な機転を見せてくれた。牢獄で出会ったベクは、四肢を奪われ魔王軍の贄とされる悲惨な状況であったが、ペロムスはアレンから託された魔導袋の天の恵みや香味野菜といったアイテムを駆使して彼を回復させ、共に脱出を試みる。ベクが自らの命を懸けて魔族や上位魔神ティマラドに立ち向かい、獣王の証をペロムスに託したシーンは涙なしには読めない。友情と使命感が一人の凡人を真の英雄へと変えていく過程には、胸が熱くなるものがあった。

極限の戦いと絶望の邪神復活

歌姫コンテストの裏で繰り広げられた魔王軍との攻防は、これまでにないスリルに満ちている。コンテストの司会者になりすましていたキュベルが本性を現し、10万もの魔獣が帝都に迫る展開には息をのんだ。アレンは冷静に戦力を分散させ、アレン軍や勇者軍を迎撃に当たらせるが、捕らえられたベクが魔剣オヌバで貫かれ、その血によって邪神の尾(法の神アクシリオン)が復活させられた場面は、この上ない絶望感に満ちていた。強大な上位魔神たちとの死闘は一進一退であり、ページをめくる手が止まらなくなるほどの緊張感に満ちあふれている。

伝説の顕現と、魔王の恐るべき超越

この最悪の窮地を救ったのが、決死の覚悟で生還したペロムスがもたらした聖獣石であった。アレンが管理者権限を得て召喚したSランク召喚獣マクリス(魚S)の神々しさは、本巻最大のハイライトと言ってよい。全長100メートルの巨大な白鯨が魅せる「ロイヤルガード」や「ロイヤルオーラ」といった桁外れのバフ・デバフスキルはまさに圧巻であり、それまでの息詰まる戦局を一気に引っくり返す爽快感を味あわせてくれた。 しかし、勝利の予えに浸る間もなく現れた「おわりの魔王ゼルディアス」の姿には背筋が凍るような衝撃を覚える。アレンたちを無視し、復活した邪神の尾を自身のスキル「暴食」で喰らって超越者へと至るその姿は圧倒的だ。限界を超えた力に苦しみながらも魔王城へと撤退していったその執念を見るに、魔王自身もまた過酷なヘルモードに至ったのではないかと思わせる。実に手強い、底知れぬ強敵である。

戦後の希望と愛の結末

大激突の末に得られたプロスティア帝国の奪還劇は、悲しみの中にも確かな希望を感じさせるものであった。帝位を簒奪したイグノマスがアレンの手で制圧された後、恩赦を得て最前線のアレン軍に加わることになり、ラプソニル皇女のもとで帝国が正式に5大陸同盟へと参加する流れは、大局的な人間関係の修復として非常に見応えがある。 そして何よりも、ペロムスの恋の結末に救われた。ベクの死という哀しい別れを乗り越え、マクリスから手渡された「聖魚マクリスの涙」を胸に、種族の壁を超えた大演奏会の祝福の中でフィオナへプロポーズを成功させた姿には、深い安堵と感動を覚えずにはいられない。泥臭い戦いと、心温まる人間ドラマが見事に融合した、極めて満足度の高い一冊である。

最後までお読み頂きありがとうございます。

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

ヘルモード 10巻 レビュー
ヘルモード 全巻 まとめ
ヘルモード 12巻 レビュー

考察・解説

プロスティア帝国潜入

アレンたちによる「プロスティア帝国潜入」は、当初の目的であった追跡劇から、帝国の存亡、そして魔王軍の巨大な陰謀へと巻き込まれていく壮大なエピソードである。
本稿では、潜入の背景から魔王軍との決戦、そして結末までを解説する。

潜入の目的と帝国の異変

  • アレンたちが海底国家プロスティア帝国へ向かった当初の目的は、アルバハル獣王国で内乱を起こし、「獣王の証」を奪って逃走したベク獣王太子の追跡であった。
  • アレンは、属国クレビュール王国のカルミン王女の特命全権大使アレクになりすまし、帝都パトランタへ潜入する。しかし、宮殿ではすでに将軍イグノマスが反乱を起こし、皇帝を討って帝位を簒奪しているという異常事態が起きていた。
  • アレンたちはイグノマスに言葉巧みに取り入りつつ、幽閉されていたラプソニル皇女らを秘密裏に保護し、事態の把握とベクの捜索を進める。

「歌姫コンテスト」とマクリスの涙

  • アレンたちのもう一つの重要な目的は、「聖魚マクリスの涙(聖珠)」の獲得であった。これは、商人ペロムスが愛するフィオナとの結婚の条件を満たすために必要不可欠なアイテムであった。
  • アレンは、年に一度開催される「歌姫コンテスト」で優勝すればこれが手に入ると知り、偶然出会った歌姫ロザリナをプロデュースする。商人たちから過去の「購入記録」というビッグデータを買い集め、マクリスの好みを分析して徹底的な対策を練った。
  • 一方で、セシルたちはラプソニル皇女から、聖魚マクリスの悲しい過去(醜い「豚の皇子」と呼ばれていたこと)や、帝都パトランタの基部である巨大水晶花が「海の怪物」を封印しているという『プロスティア帝国物語』の真実を知ることになる。

魔王軍の暗躍とペロムスの決死の戦い

  • 調査を進める中、アレンはイグノマスを裏で操っていた「シノロム導師」の正体が、魔王軍の幹部(魔族)であることに気づく。
  • その頃、水晶の種の消失を調べていたペロムスは、シノロムと上位魔神キュベルの密談を聞いてしまい、魔王軍の拠点へ拉致されてしまう。牢獄でペロムスが出会ったのは、四肢を切断され「贄」として囚われていたベクであった。
  • ペロムスはアレンから渡されていた魔導袋のアイテム(天の恵みや香味野菜など)を駆使してベクを回復させ、共に脱出を図る。ベクは自身の命を懸けて魔族や上位魔神ティマラドと戦い、「獣王の証」をペロムスに託して、彼をプロスティア帝国へと逃がした。

歌姫コンテスト会場の死闘と邪神復活

  • 歌姫コンテストの当日、魔王軍の真の狙が明らかになる。
  • コンテストの司会者に化けていたキュベルが正体を現し、Aランクを含む10万の魔獣の群れが帝都に迫る。キュベルの目的は、コンテストに集まった人々の血と魂を捧げ、封印されている「海の怪物」すなわち「邪神の尾」を復活させることであった。
  • アレンは冷静に戦力を分断し、帝都の北方にアレン軍・勇者軍を展開させて10万の魔獣を迎撃させる。そして自身とドゴラ、クレナたち精鋭で、キュベルと3体の上位魔神(バスク、ビルディガ、ラモンハモン)に挑む。
  • しかし、上位魔神の力は強大で、さらにキュベルは捕らえてきたベクを魔剣オヌバで貫き、その血と魂を巨大水晶花に捧げてしまう。これにより、ついに「邪神の尾(法の神アクシリオン)」が復活してしまった。

魚S召喚獣マクリスの顕現と魔王の降臨

  • 絶望的な状況の中、自力で帰還したペロムスが、魔王軍から奪い取った「聖獣石」をアレンに渡す。
  • 魔導書の解析により、アレンは聖獣石の管理者権限を獲得し、ついにSランク召喚獣「マクリス(魚S)」の封印を解除し、召喚することに成功する。
  • 全長100メートルの白鯨として顕現したマクリスは、「ロイヤルガード」や「ロイヤルオーラ」といった桁外れのバフ・デバフスキルで戦局を完全に引っくり返し、アレンたちは連携攻撃で上位魔神ラモンハモンを打ち砕く。
  • 勝利が見えたその時、六大魔天を従えて「おわりの魔王ゼルディアス」が自ら姿を現す。
  • 魔王の目的はアレンたちとの戦闘ではなく、復活した「邪神の尾」を自らのスキル『暴食』で喰らうことであった。邪神を取り込み「超越者」へと至った魔王は、限界を超えた力に苦しみながらも、キュベルらと共に魔王城へと撤退していった。

結末と新たな旅立ち

  • 多大な犠牲を出しながらも、アレンたちはプロスティア帝国を魔王軍の脅威から守り抜いた。
  • 帝国の奪還:イグノマスはアレンの手で制圧され、ラプソニル皇女が新たな女帝として即位する。イグノマスは恩赦を受け、贖罪のためにアレン軍に加わり最前線で戦うことになった。プロスティア帝国は正式に5大陸同盟への参加を表明する。
  • ペロムスの恋の結末:ベクの死という悲しい別れを乗り越えたペロムスは、フィオナの前でマクリス(召喚獣)から直接「聖魚マクリスの涙」を受け取り、種族の壁を越えた大演奏会の祝福の中で、見事にプロポーズを成功させた。

まとめ
魔王が「超越者」という未知の領域(ヘルモード)へ至ったことを察知したアレンは、仲間たちをさらに強化し、世界の真実が眠る「神界」と「審判の門」を目指すという、新たな冒険の決意を固めるのであった。

聖魚マクリスの伝説

プロスティア帝国において語り継がれる「聖魚マクリスの伝説」は、単なる美しいおとぎ話ではなく、一人の皇子の過酷な生い立ちと、国と愛する人を守るための自己犠牲の真実が隠されている。
本稿では、その伝説の表と裏、そして彼のその後の運命について解説する。

絵本として語り継がれる「表」の伝説

  • 地上では『プロスティア帝国物語』という絵本として人族にも広く知られている。
  • その内容は、「マクリス皇子はある日、町の酒場で歌姫ディアドラに出会い、一目惚れした。しかし身分違いの恋を皇帝に反対され、さらに『海の怪物』が目覚めて都が危機に陥ったため、マクリスはディアドラを守るべく水の神アクアと契約して『聖魚』となり、怪物を封印した」という、美しくも悲しい物語である。

「豚の皇子」と呼ばれた隠された真実
しかし、皇族のみが知る原版には、絵本には書かれていない残酷な真実が記されていた。

  • 醜い容姿と孤独:マクリスは生まれた時から非常に醜い容姿をしており、実の父である皇帝からさえ「豚の皇子」と蔑まれていた。誰からも恐れられ、縁談も全て断られた彼は、ついに皇帝から「顔を隠して生きるように」と命じられ、深く絶望して宮殿を飛び出す。
  • ディアドラとの出会い:街を彷徨い、顔を隠したまま入った場末の酒場で、彼はディアドラの美しい歌声に出会う。不審がられながらも通い詰めたマクリスが、ある日ついに覚悟を決めて素顔を晒した時、ディアドラだけは彼を恐れも嘲笑もせず、普通の客として優しく接した。
  • 身分を捨てた愛:誰からも蔑まれてきた自分を受け入れてくれたディアドラに、マクリスは強く惹かれる。彼は皇帝の怒りを買い、外出を禁じられても、あらゆる抜け穴を使って彼女に会いに行き、ついには「皇位継承権を放棄する」とまで宣言するほどの強い愛を貫いた。

海の怪物(邪神の尾)の封印と聖魚への転生

  • 二人の純粋な思いが皇帝の心を動かしかけたその時、数百年の眠りから「海の怪物」が目覚め、帝都パトランタを壊滅の危機に陥れた。
  • この怪物の正体は、水の神アクアですら倒すことのできない「邪神の尾」と呼ばれる不死の存在であった。
  • マクリスは愛するディアドラを守るため、決して元には戻れないことを承知の上でアクアと契約し、巨大な白鯨のような「聖魚」へと転生する。そして怪物を弱らせて、現在の帝都の基部である「巨大水晶花」に封じ込めることに成功したのである。

「歌姫コンテスト」とマクリスの涙

  • 巨大水晶花は、年に一度「水晶の種」を放出する際に封印の力が弱まってしまう。
  • そのため、マクリスは毎年その時期に都を訪れて封印を見守っている。魚人族は彼を称え、少しでも封印の力を強めるために、彼が愛した「美しく装った女性の歌」を捧げる「歌姫コンテスト」を開催するようになった。
  • そして、極めて高い知力を持つマクリスの目に留まった優勝者には、彼自身の目からこぼれ落ちた結晶「マクリスの涙(聖珠)」が授けられるのである。

まとめ
この伝説的な存在であるマクリスであるが、アレンたちがプロスティア帝国を訪れた年の「歌姫コンテスト」において、邪神復活を企む魔王軍の襲撃を受ける。マクリスは帝都を守るために戦うが、上位魔神バスクの凶刃に倒れ、その命を落としてしまった。
しかし、彼の魂はペロムスが魔王軍から奪取した「聖獣石」に吸収される。アレンがその聖獣石の管理者権限を獲得したことで、マクリスはSランク召喚獣「魚S」として奇跡の復活を遂げた。
召喚獣となっても「魚人たちはおいらが守る」という強い意志を持ち、桁外れのバフ・デバフ能力でアレンたちを勝利へ導いた。
戦いの後、召喚獣となったマクリスはアレンたちと共にグランヴェルの街の上空に現れ、自らの涙を求めて命懸けで戦い抜いたペロムスと、その想い人であるフィオナの前に姿を見せる。そして、彼自身の目から直接フィオナの手へと「マクリスの涙」をこぼし落とし、二人の永遠の愛を祝福するという、伝説の聖魚にふさわしい粋な計らいを見せたのである。

魔族シノロムの暗躍

魔王軍の幹部である魔族「シノロム」は、武力による侵攻だけでなく、姿を変えて各国の中枢に潜入し、内部から国を崩壊させる知能犯として暗躍している。魔王軍の中では呪いや魔法、魔術兵器の研究開発を担当しており、長年にわたる巨大な陰謀の裏で糸を引いていた。
本稿では、シノロムの主な暗躍とその目的について解説する。

各国での内乱工作
シノロムは姿を変える能力を持ち、異なる種族として各国の有力者に取り入り、内乱を扇動していた。

  • アルバハル獣王国(獣人「ロム」としての暗躍):かつて、獣王武術大会で敗北し挫折していたベク獣王太子の前に、鳥人王国の紹介状を持つ薬師「ロム」として現れた。彼はベクの体と心の傷を癒す薬師として信頼を得て、急進的な政策の具申や貴族への根回しを行い、最終的にベクに内乱を起こさせた。
  • プロスティア帝国(老魚人「シノロム導師」としての暗躍):プロスティア帝国では、優秀な魔導具研究者としてアジレイ宰相に招かれ、宮殿に入り込んだ。ヒューゲル皇帝の怒りを買い投獄された近衛騎士団長イグノマスの前に現れた彼は、「お前が死ねば帝国は滅びる」と巧みな言葉で唆し、皇帝を討たせて帝位を簒奪させる反乱を起こさせた。

邪神復活計画と「聖獣石」の開発

  • 彼の真の目的は、単なる国家転覆ではなく、プロスティア帝国の巨大水晶花に封印されている「邪神の尾」を復活させるための準備であった。
  • シノロムは、巨大水晶花から放出された魔除けのアイテム「水晶の種」を3000個も盗み出した。
  • そして、それを神々の眷属の魂を封じ込める「聖獣石」へと加工する研究を行っていた。
  • この聖獣石に聖魚マクリスの魂を封印することで、復活した邪神を意のままにコントロールしようと企んでいたのである。

ペロムスの拉致と実験の画策

  • 水晶の種の行方を追って倉庫にやってきた商人ペロムスに見つかったシノロムは、上位魔神キュベルと共に彼を捕らえる。
  • その際、ペロムスが「天秤」という希少なエクストラスキルを持っていることに気づいたシノロムは、彼を殺さずに自身の「実験材料」として魔王軍の拠点へ拉致し、牢獄に閉じ込めた。

過去の因縁:ドベルグとの関わり

  • シノロムの暗躍は最近に始まったことではない。
  • 50年以上前、勇者軍の剣士ドベルグの妻であり「聖女」の才能を持っていたクラシスを、「時空の実験」と称して攫った張本人でもある。
  • その際、シノロムが連れていた「触手のある目玉の化け物」の攻撃により、ドベルグは回復魔法を打ち消す呪いを片目に受けている。

暗躍の結末と逃亡

  • シノロムの計画は、ペロムスと彼に救出されたベクによって狂わされる。
  • ペロムスに完成間近の「聖獣石」を奪われ、目玉の化け物(ギイ)をけしかけるも、獣神化したベクの圧倒的な力の前に圧倒される。
  • 最終的に、奪われた聖獣石を使ってアレンが規格外のSランク召喚獣として「聖魚マクリス」を復活させると、シノロムは「亜神と同格ではないか!こんなものとやり合うなんてごめんじゃ!」と叫び、真っ先に転移の魔法陣で逃亡していった。

まとめ
魔王軍の幹部であるシノロムは、武力だけでなく策略を用いて各国の転覆や邪神復活を目論む危険な存在であった。過去から現在に至るまで様々な悲劇の元凶となっていたが、アレンと仲間たちの活躍によってその計画は打ち砕かれ、最終的に逃亡を余儀なくされることとなった。

商人ペロムスの消失

商人ペロムスの消失事件は、プロスティア帝国に潜入していたアレンたちを大きく動揺させ、魔王軍の巨大な陰謀が明らかになる重要な転換点となった。
本稿では、ペロムスがなぜ消失したのか、その裏で何が起きていたのか、そして決死の脱出劇について解説する。

水晶の種の調査と単独行動

  • 「歌姫コンテスト」の前日、アレンとペロムスはパトランタ宮殿の資料室で、昨年納入されたはずの3000個の「水晶の種」が帳簿上で100個しか記録されていない不審な事実を調査していた。
  • アレンはS級ダンジョンにいる仲間へ装備を届けるため、ペロムスに魚人化の「擬態」と状態異常を防ぐ「香味野菜」をかけ直して一時的にその場を離れる。
  • 一人になったペロムスは、倉庫管理の役人から「3000個の水晶の種は一晩で東倉庫から消失し、アジレイ宰相の指示で捜索が打ち切られた」という情報を引き出し、単独で東倉庫の調査に向かった。

魔王軍との遭遇と拉致

  • 東倉庫に忍び込んだペロムスは、そこで上位魔神キュベルと老魚人シノロム導師の密談を聞いてしまう。
  • 彼らは盗み出した水晶の種を、神の眷属の魂を封じて操る「聖獣石」に加工し、明日の儀式(邪神復活)に用いる計画を企てていた。
  • ペロムスは盗み聞きに気づかれ、キュベルに殺されそうになるが、シノロムがペロムスの持つ希少なエクストラスキル「天秤」に気づき、「実験材料にしたい」と懇願したため、命を奪われる代わりに魔王軍の拠点にある牢獄へと拉致・転移させられてしまった。

アレンの焦燥と奇妙な討伐ログ

  • ペロムスが姿を消したことに気づいたアレンは、宮殿内を捜索し、イグノマスや宰相に探りを入れた結果、彼らがペロムス失踪に関与しておらず、シノロム(魔王軍)の仕業であることを確信する。
  • 魚人化の「擬態」の効果が切れるタイムリミット(翌朝10時)が迫り、アレンがコンテストの中止まで検討し始めたその時、アレンの魔導書にとんでもないログが連続して表示された。
  • 「魔族を1体倒しました」「上位魔族を1体倒しました」といった内容であり、他の仲間が魔族と交戦していない状況から、アレンはペロムスが単独で魔王軍と戦い、生き延びていることを悟る。
  • 仲間を信じたアレンは、自身はコンテスト会場での魔王軍迎撃の準備を優先する決断を下した。

牢獄でのベクとの邂逅と脱出劇

  • 魔王軍の牢獄に放り込まれたペロムスは、そこで四肢を切断され「邪神復活の贄」として鎖につながれた獅子の獣人、アルバハル獣王国の元獣王太子ベクと出会う。
  • ペロムスはアレンから預かっていた四次元ポケットのような「魔導袋」を没収されていなかったため、中に入っていた回復アイテム「天の恵み」を使ってベクの四肢を完全再生させた。
  • さらに「香味野菜」でベクの麻痺を解き、武器の「古代樹の算盤」で自らも戦いながら、ベクと共に牢獄からの脱出を開始した。

聖獣石の奪取と決死の生還

  • 道中、二人はベクの装備である「獣王の証」を回収し、さらに奥の研究室で巨大な水槽に浮かぶ「聖獣石」を発見する。
  • ペロムスがスキル「天秤」で鑑定した結果、「金貨9999億9999万9999枚」(計測不能)という異常な価値が示され、この石が邪神をコントロールするための恐るべき道具であることを知ったペロムスは、水槽を割ってこれを奪取した。
  • その後、シノロムや目玉の化け物(ギイ)、上位魔神ティマラド、そしてかつてベクを破った異形の魔神ラモンハモンと次々に激突する。
  • 戦闘の最中にペロムスの「擬態」のタイムリミットが切れ、人族の姿に戻ってしまうが、重傷を負ったベクはペロムスを咥えて転移室の扉へ投げ込んだ。
  • 「獣王の証を守ってほしい」とペロムスを逃がしたベクは、究極形態である「獣神化」を発動し、単身でラモンハモンに立ち向かう。
  • ペロムスはシノロムと目玉の化け物の追撃を間一髪でかわし、転移装置を起動してプロスティア帝国のコンテスト会場(アレンたちの元)へと生還を果たした。

まとめ
ペロムスが決死の脱出劇の末に持ち帰った「聖獣石」は、その後の戦局を大きく覆す切り札となった。商人ペロムスの消失事件は、魔王軍の巨大な陰謀を明らかにし、アレンたちに反撃の機会をもたらした重要な出来事であった。

ペロムスの救出と結婚

商人ペロムスは、愛する人との結婚条件を満たすために訪れたプロスティア帝国で魔王軍の陰謀に巻き込まれ、絶体絶命の危機に陥るが、決死の脱出劇を経て見事に生還し、最終的に愛するフィオナとの結婚という最大の目標を達成する。
本稿では、ペロムスの脱出からプロポーズ、そして結婚式に向けた動きまでを解説する。

魔王軍の牢獄からの脱出とベクの自己犠牲

  • 魔王軍の拠点に拉致されたペロムスは、牢獄で四肢を切断されたアルバハル獣王国の元獣王太子ベクと出会う。
  • ペロムスは没収されていなかったアレンの「魔導袋」から回復アイテム「天の恵み」を取り出し、ベクの手足を完全に再生させた。
  • 二人は牢獄から脱出し、次々と現れる魔族の看守や上位魔族レドラゴックを打ち倒して進む。道中、ペロムスは魔王軍が邪神復活のために用意していた「聖獣石」を水槽から奪取し、ベクは奪われていた「獣王の証」を身につけた。
  • しかし、最上階で異形の魔神ラモンハモンとの死闘の最中、ペロムスにかけてあった「擬態」の魔法が限界を迎え、人族の姿に戻ってしまう。
  • 重傷を負ったベクは、自らの命を懸けてペロムスを転移室へ投げ込み、「獣王の証」を託して彼を逃がした。ベク自身は究極形態「獣神化」を発動し、一人で魔神に立ち向かい命を落とした。

戦場への帰還と英雄としての証明

  • ペロムスは転移装置を使ってプロスティア帝国へ帰還し、光り輝く深海の戦場に飛び出す。
  • 人族の姿のまま海底を駆け抜け、奪い取った「聖獣石」をアレンに手渡した。この聖獣石の奪取が、魔王軍の邪神完全復活の計画を狂わせ、アレンたちが反撃に転じる最大の切り札となった。
  • 戦いの後、ペロムスはベクを蘇生させるようキールに頼むが、肉体の損傷が激しく蘇生は失敗に終わる。
  • ペロムスは涙ながらに、ベクが命懸けで守り抜いた「獣王の証」を妹のシアに返還した。

グランヴェルの街でのプロポーズ大作戦

  • 魔王軍との戦いが終わった12月、ペロムスは豪商チェスターの娘フィオナにプロポーズするため、グランヴェルの街の中央広場に彼女を呼び出す。
  • ペロムスが「誰の手にも触れられていない聖魚マクリスの涙を渡す」と宣言すると、アレンの計らいにより、Sランク召喚獣として復活した巨大な白鯨「聖魚マクリス」が上空に出現した。
  • マクリスは「試練を乗り越えたペロムスへのご褒美」として、フィオナの手に直接自らの涙を落とし、光り輝く結晶「マクリスの涙」を授けた。
  • これを受け取ったフィオナに、ペロムスは「必ず幸せにする。僕と結婚してほしい」とプロポーズし、フィオナは涙ながらに承諾して口づけを交わした。

種族を超えた祝福と結婚式への軌跡

  • 二人の口づけの瞬間、広場にはロザリナの歌声とともに、プロスティア帝国宮廷音楽隊、エルフ、ダークエルフ、獣人、ドワーフたちによる盛大な祝福の音楽が鳴り響いた。
  • これはアレンが発案し、1ヶ月かけて準備されたサプライズであった。
  • 特に獣人たちは、ペロムスがベクを最後まで救おうとし、彼を裏切り者ではなく世界を救った英雄として死なせてくれたことに深い恩義を感じ、進んで演奏に参加していた。
  • なお、このプロポーズの前にペロムスとフィオナは結婚式の会場について悩んでおり、グランヴェル伯爵に相談していた。
  • しかし、ペロムスが「プロスティア帝国を救った英雄」であり、プロポーズの立会人としてラプソニル女帝までもがラターシュ王国を訪れるという噂が広まった結果、国王や貴族たちから「結婚式をラターシュ王国の王城で開催すべきだ」という国家規模の提案が寄せられる事態に発展していた。

まとめ
絶望的な状況でも決して諦めず、約束を果たしたペロムスは、一人の村の少年から世界を救う英雄となり、種族を超えた祝福の中で愛する人との永遠の幸せを掴み取ったのである。

召喚獣マクリスの誕生

プロスティア帝国の守護者であった「聖魚マクリス」が、魔王軍の凶刃に倒れた後、アレンの「魚S召喚獣」として奇跡の誕生(復活)を遂げるまでの経緯は、神界の介入とアレンのシステムが交差する劇的な展開として描かれている。
本稿では、召喚獣マクリス誕生のプロセスを解説する。

聖魚マクリスの死と魂の吸収

  • 「歌姫コンテスト」の会場上空で、帝都を守るために魔王軍と戦っていた聖魚マクリスであったが、上位魔神バスクが振るう魔剣オヌバの一撃を受け、頭部を真っ二つに切り裂かれて命を落としてしまう。
  • マクリスが光る泡となって消えゆく中、魔王軍の研究所から決死の脱出を果たしたペロムスが会場に帰還し、奪い取ってきた「聖獣石」をアレンに向けて投げ渡した。
  • その瞬間、マクリスの魂の光は、神の眷属の魂を封じて操るための道具である聖獣石へと吸収されていった。

魔導書による解析と神界の介入

  • アレンが聖獣石を自身の魔導書の収納に入れると、自動的に解析が開始される。
  • その過程で、水の神アクア(神界スタッフ)からアレンにメッセージが届き、聖獣石に封印されたマクリスの魂の解放に成功したこと、そして水の神アクアとマクリス本人の間で「新たな契約」に向けた交渉が行われたことが通知された。
  • マクリスは「たとえ何になっても、ディアドラの愛したこの街も魚人たちも守る」という強い意志を示し、契約内容の変更を承諾した。

管理者権限の移行と特例による封印解除

  • マクリスの魂の構造が再構築されると、聖獣石の管理者権限が魔王軍(シノロム)からアレンへと上書きされ、ついに「魚S召喚獣」の封印が解除される。
  • 本来、Sランクの召喚獣を生成するにはシステム上で「聖珠ポイント」が必要(魚系統の場合は15ポイント)であった。
  • しかし今回は、「マクリスの魂を直接聖獣石に吸収した」という特殊な状況であったため、特例としてポイントを消費せずに召喚が可能となった。

まとめ
準備が整ったアレンが「マクリス、召喚!」と唱えると、全長100メートルにも達するシロナガスクジラのような巨大な白鯨の姿で、Sランク召喚獣としてマクリスが顕現した。召喚獣となっても「魚人たちはおいらが守る!」という自我と使命感を強く残しており、極めて高いステータスと「ロイヤルガード」「ホワイトアウト」「ロイヤルオーラ」などの桁外れのバフ・デバフスキルを駆使して、絶望的な戦況を一気に覆す切り札として活躍することになるのである。

ヘルモード 10巻 レビュー
ヘルモード 全巻 まとめ
ヘルモード 12巻 レビュー

登場キャラクター

アレン軍(廃ゲーマー)

アレン

パーティー「廃ゲーマー」のリーダーであり、アレン軍の総帥。知力を駆使して戦況を分析し、召喚獣を活用した独自の戦術で戦いを主導する。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍総帥。召喚士。
・物語内での具体的な行動や成果
 プロスティア帝国へ潜入して情報収集を行い、魔王軍の強襲時には軍を指揮して防衛戦を展開した。上位魔神との戦闘では召喚獣を駆使して戦線を維持し、聖獣石の管理権限を獲得して聖魚マクリスを召喚した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レベルが100に到達して「超越者」へと至る可能性が示唆され、魔王ゼルディアスからも一目置かれる存在となった。

セシル=グランヴェル

アレンの仲間であり、強力な魔法攻撃を担当する。アレンの突飛な行動に呆れつつも、彼を信頼して戦いを支援する。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍。魔導王。
・物語内での具体的な行動や成果
 離宮へ潜入してラプソニル皇女と接触し、彼女からマクリスの過去や帝国の真実を聞き出した。戦闘ではアレンの指示に従い、上位魔神へ魔法攻撃を集中させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ロザリナの歌やマクリスの加護を受けてステータスが上昇し、より高精度の魔法攻撃が可能になった。

ソフィアローネ

エルフの精霊使いであり、アレン軍のサポート役を担う。ラプソニル皇女から帝国の歴史を聞き、その悲劇に心を痛める。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍。大精霊使い。
・物語内での具体的な行動や成果
 離宮でラプソニル皇女と交流し、帝国が抱える封印の事情を理解した。魔王軍との戦いでは精霊たちを顕現させて仲間の能力を底上げし、防御や回復の支援を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 精霊王の祝福を発動して味方全体を強化し、上位魔神との戦闘において重要な役割を果たした。

シア=ヴァン=アルバハル

アルバハル獣王国の獣王女であり、近接戦闘を得意とする。兄であるベクの行方を追い、彼を救いたいと願っている。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍。拳獣王。
・物語内での具体的な行動や成果
 離宮でラプソニル皇女から情報を集めつつ、イグノマスから皇女を守る姿勢を見せた。戦闘ではビルディガへ肉薄して攻撃を仕掛け、ベクが殺害された際には深い悲しみを露わにした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 兄の死を経て、ペロムスから「獣王の証」を受け継ぎ、獣王女としての責務を新たにした。

ペロムス

アレン軍の商人であり、フィオナとの結婚条件を満たすために「聖魚マクリスの涙」を求めている。戦闘は不慣れだが、機転と交渉術に長ける。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍。豪商。
・物語内での具体的な行動や成果
 単独で東倉庫を調査中に魔王軍の計画を知り、牢獄へ拉致されてベクと出会う。彼を回復させて共に脱出し、聖獣石を奪取してアレンのもとへ生還した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 マクリスの涙を入手してフィオナへ求婚し、王国を挙げて結婚式が開催されることとなった。

クレナ

大剣を操る前衛の戦士であり、素早い動きで敵を攻め立てる。アレンと共に戦うことを喜び、純粋な心を持つ。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍。剣帝。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビルディガとの戦闘で苦戦を強いられたが、調停神ファルネメスの背に乗り、超突撃を放って敵の外骨格を貫通した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 調停神の神域へ招かれて「開放者」となり、新たなスキルを獲得して戦闘力を向上させた。

ドゴラ

斧を振るう前衛の戦士であり、仲間の盾として機能する。アレン軍の中でも高い攻撃力を誇り、敵の強烈な一撃にも耐える。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍。破壊王。
・物語内での具体的な行動や成果
 上位魔神バスクと激しく打ち合い、アレンの囮作戦に乗じて強力な一撃を叩き込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レベル99に到達して成長限界を迎え、火の神フレイヤからの神力増強を受けて新たなスキルを解放した。

メルル

ゴーレムを操縦するドワーフの少女であり、後方から強力な火力を提供する。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍。
・物語内での具体的な行動や成果
 モード「ドルフィン」のゴーレム部隊と共に帝都北部の防衛戦へ参加し、勇者軍と協力して魔獣の群れを迎撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 タムタムの右腕を巨大な砲台へ変形させ、無属性のビームを放って上位魔神へダメージを与えた。

フォルマール

エルフの弓使いであり、正確な射撃で敵の急所を狙う。常に冷静に状況を判断する。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍。弓王。
・物語内での具体的な行動や成果
 マクリスの放った氷の槍に合わせて矢を射出し、上位魔神バスクの片目を射抜いて致命的な隙を作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 マクリスの「シューティングスター」効果により、遠距離攻撃を必中させる能力を得た。

ルークトッド

ダークエルフの精霊使いであり、ファブラーゼの王子。アレンの決定に従い、魔王軍との戦いへ身を投じる。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍。黒魔導士。
・物語内での具体的な行動や成果
 精霊王ファーブルの力を借りて「精霊王の障壁」を発動し、上位魔神たちのステータスを低下させるデバフ空間を展開した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 戦闘での貢献を通じてアレン軍内での役割を確立し、上位魔神戦を支える重要な戦力となった。

ルド将軍

アレン軍の獣人部隊を率いる将軍。かつてアルバハル獣王国で親衛隊長を務めていた経歴を持つ。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍。
・物語内での具体的な行動や成果
 アレンの指示を受け、シノロム導師に関する調査を行い、彼がかつてベクの側近「ロム」として暗躍していた事実を報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ベクの暴走を止められなかったことを後悔しつつも、アレン軍の一員として情報収集へ貢献した。

イワナム将軍

アレン軍の隊長を務める。戦闘力が高く、指揮官としての能力も備える。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍。剣豪。
・物語内での具体的な行動や成果
 カルミン王女の滞在先である邸宅にてアレンからの事情説明を受け、魔王軍との戦いへ備えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

キール=フォン=カルネル

アレン軍の回復役であり、冷静に戦況を俯瞰する。負傷した仲間を瞬時に治療し、戦線の崩壊を防ぐ。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍。聖王。
・物語内での具体的な行動や成果
 上位魔神との戦闘で回復魔法を連発して仲間を支え、戦局を維持するためのデバフ使用をルークへ指示した。戦後、ベクの蘇生を試みた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ベクの肉体が崩壊していたため、エクストラスキル「神の雫」による蘇生は失敗に終わった。

タムタム

メルルが操縦する巨大なゴーレム。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍。
・物語内での具体的な行動や成果
 帝都北部の防衛戦へ参加し、その後に花柱の上へ出現して上位魔神へ無属性ビームを放った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

プロスティア帝国

ラプソニル=プロスティア

プロスティア帝国の皇女。聖魚マクリスの血を濃く引き、帝国を守る強い使命感を持つ。

・所属組織、地位や役職
 プロスティア帝国皇女。のち女帝。
・物語内での具体的な行動や成果
 離宮に幽閉されながらもセシルたちへ帝国の歴史を語り、内乱終結後には新たな女帝として政務を引き継いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 皇帝の地位を継承して女帝となり、アレンたちと協力関係を結んで五大陸同盟への参加を決定した。

グロウデル=ヴァン=イグノマス

プロスティア帝国最強の槍使いであり、近衛騎士団長から皇帝の座を簒奪した男。ラプソニル皇女へ強い執着を抱いている。

・所属組織、地位や役職
 プロスティア帝国新皇帝(自称)。のち逆賊。
・物語内での具体的な行動や成果
 シノロムに唆されて内乱を起こしたが、魔王軍の襲撃時に真実を知り、帝都防衛のため第1帝国軍を率いて出撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 戦後にアレンに制圧されて拘束され、国外追放を条件に魔王軍と最前線で戦う道を選んだ。

ロザリナ

オレンジの髪を持つ魚人の歌姫。自信家であり、己の歌声と美貌に絶対の誇りを持つ。

・所属組織、地位や役職
 プロスティア帝国の平民。歌姫。
・物語内での具体的な行動や成果
 アレンの支援を受けて歌姫コンテストへ出場し、第一幕で見事入賞して「マクリスの涙」を獲得した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 上位魔神との戦闘時に歌でアレンたちを強化し、ペロムスの結婚式でも祝福の歌を披露した。

ディアドラ

300年前に存在した魚人の歌姫。マクリスの醜い容姿を気にせず、彼を一人の客として優しく扱った。

・所属組織、地位や役職
 プロスティア帝国の平民(過去の人物)。
・物語内での具体的な行動や成果
 マクリスと惹かれ合い、彼が身分を捨てる決意を固めるきっかけを作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 海の怪物の脅威から彼女を守るため、マクリスは水の神アクアと契約して聖魚となった。

アジレイ宰相

プロスティア帝国の宰相。皇帝やイグノマスを補佐し、帝国の政務を取り仕切る。

・所属組織、地位や役職
 プロスティア帝国宰相。
・物語内での具体的な行動や成果
 イグノマスと共にアレンからベク帰還の報告を聞き、魔獣襲撃時には非常事態対応を行おうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 キュベルが呼び出した上位魔神の攻撃を受け、首を刎ねられて死亡した。

カサゴマ

プロスティア帝国の魔法屋の店主。商人としての計算高さを持つ。

・所属組織、地位や役職
 プロスティア帝国の魔法屋。
・物語内での具体的な行動や成果
 ペロムスと交渉し、歌姫コンテスト参加者の「購入記録」を高値で売却した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ドレスカレイ公爵

プロスティア帝国の貴族。

・所属組織、地位や役職
 プロスティア帝国貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
 内乱終結後、離宮で開かれたアレンたちをもてなす会食へ同席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カルミン王女との婚姻が進められていることが示唆された。

ヒューゲル=ヴァン=プロスティア

プロスティア帝国の前皇帝。ラプソニル皇女の父であり、政務に厳格な態度を取る。

・所属組織、地位や役職
 プロスティア帝国皇帝。
・物語内での具体的な行動や成果
 ギガントバラクーダを討伐したイグノマスへ褒賞を与えようとしたが、彼がラプソニルへ求婚したため激怒して投獄した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 シノロムに唆されたイグノマスの反乱によって討たれ、命を落とした。

アラーナ=プロスティア

プロスティア帝国の前皇后。ヒューゲル皇帝の妻。

・所属組織、地位や役職
 プロスティア帝国皇后。
・物語内での具体的な行動や成果
 イグノマスの謁見へ皇帝と共に同席し、彼の求婚を聞いて驚愕した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 内乱を生き延び、アレンたちの会食へ同席した。

カマスラジナ辺境伯

アティカを治めるプロスティア帝国の貴族。

・所属組織、地位や役職
 プロスティア帝国辺境伯。
・物語内での具体的な行動や成果
 年頃になった娘の婿として、イグノマスを迎え入れたいという親書を皇帝へ送っていたことが語られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

アルバハル獣王国

ベク

アルバハル獣王国の元獣王太子。シノロムに騙されて反乱を起こし、魔王軍へ利用された。

・所属組織、地位や役職
 元アルバハル獣王国獣王太子。
・物語内での具体的な行動や成果
 牢獄でペロムスと出会い、彼と共に脱出して魔族たちを撃破するが、ラモンハモン戦でペロムスを逃がして単独で戦い敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔剣オヌバに貫かれて邪神復活の贄となり、その命を落とした。

ムザ獣王

アルバハル獣王国の現国王。シアやベクの父親。

・所属組織、地位や役職
 アルバハル獣王国国王。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去に獣王武術大会でベクの能力を評価しており、アレンが過去にムザ獣王と戦ったことが言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ヨゼ

アルバハル獣王国の獣王子。「拳獣聖」の才能を持つが、短気で尊大な性格。

・所属組織、地位や役職
 アルバハル獣王国獣王子。威風凜々のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 マダラキングスネーク討伐作戦に参加し、大蛇の尾を掴んで攻撃の軌道を逸らす活躍を見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

クレビュール王国

カルミン王女

クレビュール王国の王女。アレンたちを特命全権大使として帝国へ連れてきた。

・所属組織、地位や役職
 クレビュール王国王女。
・物語内での具体的な行動や成果
 離宮へ潜入してラプソニル皇女と共に過ごし、内乱終結後の会食でもアレンたちの活躍を喜んでいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クレビュール王国が帝国の属国から友好国へ格上げされ、ドレスカレイ公爵との婚姻が進められている。

勇者軍(セイクリッド)

ヘルミオス

勇者軍を率いる「勇者」の才能を持つ戦士。常に冷静で仲間を大切にする。

・所属組織、地位や役職
 勇者軍指揮官。セイクリッドのリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
 帝都北部の防衛戦で部隊を指揮し、水龍閃牙で魔神を討ち取った後、オルドー総司令との因縁の対決に臨んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 かつてオルドーからエクストラスキル「神切剣」を獲得していた事実が判明した。

ロゼッタ

「怪盗王」の才能を持つ女盗賊。軽口を叩きながらも状況を的確に把握する。

・所属組織、地位や役職
 セイクリッドのメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 アレンの突然の指示へ文句を言いながらも、エクストラスキル「強奪手」でバスクの足輪を奪い取り、敵の弱体化へ貢献した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ドベルグ

「剣王」に転職した隻眼の戦士。妻クラシスを連れ去ったシノロムを深く憎んでいる。

・所属組織、地位や役職
 セイクリッドのメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 シノロムの姿を見つけて激怒し、彼を守るビルディガへ向けて剣を振り下ろした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去にシノロムの連れていた目玉の化け物によって、回復魔法を無効化する呪いを片目に受けていたことが明かされた。

クラシス

ドベルグの妻であり、「聖女」の才能を持っていた女性。

・所属組織、地位や役職
 ドベルグの妻(過去の人物)。
・物語内での具体的な行動や成果
 魔王軍との戦いの中でシノロムに連れ去られ、時空の実験材料にされたことが示唆されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ベスター

「騎士王」の才能を持つ戦士。味方の守りを強固にするバフスキルを操る。

・所属組織、地位や役職
 セイクリッドのメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビルディガの攻撃で吹き飛ばされたドベルグのダメージを、スキル「聖光盾」によって軽減した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 「聖騎士」から「騎士王」へ転職し、防御支援の能力を大幅に向上させた。

威風凜々

マッカラン

Aランク冒険者パーティー「威風凜々」のリーダー。「拳聖」の才能を持つ豪快な性格の男。

・所属組織、地位や役職
 威風凜々リーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
 マダラキングスネーク討伐作戦を指揮し、急所である喉元へ「爆砕昇撃」を叩き込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ネネビーの調理ミスによって毒の残った脾臓料理を食べ、口から泡を吹いて倒れた。

イスタール

「聖人」の才能を持つエルメア教の神官。温和な性格で料理の副担当も務める。

・所属組織、地位や役職
 威風凜々のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 二日酔いの仲間たちを回復魔法で治療し、毒に倒れたマッカランを「オールキュア」で救命した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ネネビー

「魔岩将」の才能を持つドワーフの女性。料理好きだが味覚のセンスが壊滅的。

・所属組織、地位や役職
 威風凜々のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 マダラキングスネークの頭部をミスリルゴーレムの熱線で焼き切り、討伐後に女将直伝の脾臓料理を作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レシピの読み間違いによって毒を残したまま料理を提供し、マッカランから激怒された。

グレッサ

「大魔導士」の才能を持つ人族の女性。冷静な判断力でパーティーを支える。

・所属組織、地位や役職
 威風凜々のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 マダラキングスネークの顔へ向けて「フレイムランス」を放ち、敵の意識を逸らして仲間の攻撃をアシストした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

オルバース

ダークエルフの里ファブラーゼを出た精霊魔法使い。外の世界の刺激を楽しんでいる。

・所属組織、地位や役職
 威風凜々のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 風の精霊の力を借りてマダラキングスネークを誘き出す囮役を務め、解体時には風の刃で肉を切断した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 毒入りの料理を魔導袋へ隠して食べたふりをし、仲間を思いやる優しさを見せた。

魔王軍

シノロム

魔王軍の研究所長を務める老魔族。呪いや魔法の研究を担い、各国の内乱を裏で操る。

・所属組織、地位や役職
 魔王軍研究所長。
・物語内での具体的な行動や成果
 イグノマスやベクを唆して内乱を起こさせ、水晶の種を盗み出して聖獣石へ加工した。ペロムスを拉致して実験材料にしようとしたが逃亡された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 聖魚マクリスが召喚獣として復活した姿を見て恐怖し、魔法陣で真っ先に逃亡した。

キュベル

魔王軍の参謀を務める道化師姿の魔神。邪神復活のためならば数百万の命すら躊躇なく奪う。

・所属組織、地位や役職
 魔王軍参謀。第一天使キュプラス。
・物語内での具体的な行動や成果
 歌姫コンテストの司会者へ化けて潜入し、アジレイ宰相を殺害して儀式を開始した。ベクの命を奪って邪神の尾を復活させ、魂を注ぎ込んで暴走させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 かつて法の神アクシリオンに仕える第一天使であったことが判明した。

バスク

「修羅王」の二つ名を持つ元人族の上位魔神。戦闘狂であり、常に強敵との戦いを楽しむ。

・所属組織、地位や役職
 上位魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
 魔剣オヌバを振るってドゴラやアレンと激戦を繰り広げ、上空へ飛翔して聖魚マクリスの頭部を切り裂いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ロゼッタに足輪を奪われ、ドゴラの猛攻によって深い傷を負うなど、次第に劣勢へ追い込まれた。

ビルディガ

金属的な光沢を放つ巨大な甲虫の上位魔神。物理攻撃を完全に無効化する防御力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 上位魔神。六大魔天の一角。
・物語内での具体的な行動や成果
 クレナやシアの攻撃をことごとく弾き返し、長大な鎌状の前足で反撃を加えてアレンたちを苦しめた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アリポンのギ酸やクレナの超突撃によって外骨格を破られ、次第にダメージを蓄積させていった。

ラモンハモン

男女が背中合わせに合体した双頭の上位魔神。ラモンが魔法を、ハモンが格闘を担当する。

・所属組織、地位や役職
 上位魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
 牢獄を脱出したベクを圧倒し、重傷を負わせて再び捕獲した。アレンたちとの戦闘でも回復魔法と連携攻撃で優位に立った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 マクリスの「フリーズキャノン」を受けて全身が凍結し、粉々に砕け散って死亡した。

ラモン

ラモンハモンの女性側。強力な魔力球や回復魔法を操る。

・所属組織、地位や役職
 上位魔神の一部。
・物語内での具体的な行動や成果
 ベクの攻撃を防ぐハモンの背後から魔力球を放ち、バスクの負傷を回復魔法で瞬時に治療した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 フリーズキャノンの直撃を受けて凍結し、死亡した。

ハモン

ラモンハモンの男性側。四本の腕と強靭な足で近接戦闘を担う。

・所属組織、地位や役職
 上位魔神の一部。
・物語内での具体的な行動や成果
 ベクの猛攻を四本の腕で完璧にいなし、強力な蹴りでベクを壁へ叩きつけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 フリーズキャノンを防ごうとして腕ごと凍りつき、死亡した。

ギイ

無数の触手を持つ巨大な目玉の化け物。シノロムに付き従う。

・所属組織、地位や役職
 シノロムの配下。
・物語内での具体的な行動や成果
 ペロムスを捕らえようと触手を伸ばしたが、獣神化したベクに白目を切り裂かれて後退した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

レドラゴック

槍を得意とする上位魔族。牢獄の上階で警備を指揮していた。

・所属組織、地位や役職
 上位魔族。
・物語内での具体的な行動や成果
 槍兵部隊を三重に配置してベクを待ち受けたが、突破されて撃破された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ベクのオリハルコンのナックルによる一撃で粉砕され、死亡した。

ティマラド

キュベル直属の魔神。遠距離から魔力球を乱射して対象を削る戦法を得意とする。

・所属組織、地位や役職
 キュベル直属の魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
 逃走中のベクとペロムスを襲撃し、魔力球を連射してベクを追い詰めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 獣帝化を発動したベクの速度に対応できず、頭部を切り裂かれて死亡した。

オルドー

魔王軍の総司令を務める巨漢の魔神。極めて高い戦闘能力と統率力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 魔王軍総司令。六大魔天。
・物語内での具体的な行動や成果
 邪神の尾を攻撃しようとしたヘルミオスの前に立ち塞がり、「神切剣」を放って宮殿を半壊させるほどの威力を見せつけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去にヘルミオスと交戦しており、あえて敗北を演じていたことが判明した。

マーラ

漆黒の翼を持つ女性の上位魔神。強力な全体回復魔法を操る。

・所属組織、地位や役職
 上位魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
 魔王ゼルディアスと共に現れ、回復魔法でビルディガやバスクの傷を一瞬で治療した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ガンディーラ

アダマンタイトと思しき漆黒の鉱物でできた体を持つ上位魔神。鉄壁の防御力を誇る。

・所属組織、地位や役職
 上位魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
 マクリスの放ったフリーズキャノンを「フルカウンター」の盾で受け止め、完全に砕き散らした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ゼルディアス

世界を終わらせる存在として君臨する魔王。真紅の髪と瞳を持つ。

・所属組織、地位や役職
 魔王。
・物語内での具体的な行動や成果
 戦場へ自ら現れると、腹部に開いた巨大な口で邪神の尾を丸呑みにして体内に取り込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 邪神の力を吸収して限界を超えた「超越者」へと至ったが、制御に失敗して苦しみながら撤退した。

アレンの関係者・その他

フィオナ

豪商チェスターの娘であり、ペロムスの婚約者。

・所属組織、地位や役職
 チェスターの娘。
・物語内での具体的な行動や成果
 ペロムスから「聖魚マクリスの涙」を受け取り、プロポーズを承諾して口づけを交わした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女の結婚式が、ラプソニル女帝の来訪をきっかけにラターシュ王国の王城で開催される方向へ進展した。

チェスター

ハウルデンの町や領都グランヴェルで名を馳せる豪商。フィオナの父親。

・所属組織、地位や役職
 豪商。
・物語内での具体的な行動や成果
 ペロムスのプロポーズに立ち会うか迷うフィオナへ、彼が約束を守る強い男であることを説いて背中を押した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

グランヴェル伯爵

セシルの父親であり、アレンの恩人。大貴族としての責任と領民への愛情を持つ。

・所属組織、地位や役職
 ラターシュ王国伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 領都へ戻り、ペロムスとフィオナの結婚式会場について相談を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 伯爵へ昇進し、ラターシュ王城での公務に追われる立場となった。

ゼノフ騎士団長

グランヴェル伯爵に仕える騎士団長。長年魔王軍と戦ってきた歴戦の戦士。

・所属組織、地位や役職
 グランヴェル伯爵家騎士団長。のち男爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 伯爵の領都帰還に随行し、ペロムスのプロポーズの立会人として彼を広場へ連れてきた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 伯爵の嘆願により、男爵位を授与された。

デボジ

ペロムスの父親であり、クレナ村の村長。

・所属組織、地位や役職
 クレナ村村長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ペロムスの結婚式に関する相談のため、グランヴェル伯爵邸の応接間へ同席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

セバス

グランヴェル伯爵家に仕える執事長。

・所属組織、地位や役職
 グランヴェル伯爵家執事長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ペロムスの相談中に、グランヴェル伯爵を応接間へ案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ムハト塾長

領都ハウルデンにある「才能塾」の塾長。子供たちを守るために尽力している。

・所属組織、地位や役職
 才能塾塾長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヘルミオスたちへ外出許可証と護身用の武器を貸し与え、町外村へ近づかないよう警告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 元は帝都の役人や教師であったが、才能狩りから子供たちを守るために塾長へ志願したことが明かされた。

バートン執事長

ハウルデン子爵邸の執事長。

・所属組織、地位や役職
 ハウルデン子爵邸執事長。
・物語内での具体的な行動や成果
 自警団に追放されそうになっていた町外村の親子を助け、教会の世話になれるよう手配した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ガッツン

ヘルミオスの友人であり、「才能塾」で共に学ぶ少年。

・所属組織、地位や役職
 才能塾の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヘルミオスと共にハウルデンの町外へ出かけ、ゴブリン被害者の治療を間近で目撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ドロシー

コルタナ村の教会出身の少女。「才能塾」でヘルミオスたちと共に学ぶ。

・所属組織、地位や役職
 才能塾の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 神官ではないヘルミオスが回復魔法を使ったことに驚き、教義に反するのではないかと心配した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

エナ

コルタナ村の農奴出身の少女。「才能塾」でヘルミオスたちと共に学ぶ。

・所属組織、地位や役職
 才能塾の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 町の外で角ウサギを発見すると、弓で瞬時に仕留め、慣れた手つきで血抜きと解体を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

マルコ

「才能塾」で学ぶ年長の少年。面倒見が良く、下級生へ食べ物を分け与える。

・所属組織、地位や役職
 才能塾の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 放棄村での収穫手伝いで得たガロ芋を、空腹のガッツンたちへこっそり分け与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

エリック

「才能塾」で学ぶ年長の少年。マルコと行動を共にする。

・所属組織、地位や役職
 才能塾の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 マルコと共に放棄村で収穫を手伝い、ヘルミオスたちへガロ芋を提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ガハト村長

町外村の村長であり、ムハト塾長の双子の兄。難民たちの生活を支えている。

・所属組織、地位や役職
 町外村村長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヘルミオスへ、魔王軍との戦争によって地方の村が壊滅し、難民が都市から締め出された結果として町外村ができた背景を語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ジョー

ゴブリンに襲撃されて重傷を負った町外村の少女。

・所属組織、地位や役職
 町外村の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
 父親に抱えられてヘルミオスの元へ運ばれ、「ヒーリングレイン」によって一命を取り留めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

アヒム

町外村でガハト村長の護衛を務める男性。

・所属組織、地位や役職
 町外村村長の護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヘルミオスたちをガハト村長の元へ案内し、彼らが村人を治療した事実を報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

神・精霊・聖獣・召喚獣

マクリス

プロスティア帝国を守護する聖魚。かつては帝国の皇子であったが、愛する者を守るために魚の姿となった。

・所属組織、地位や役職
 聖魚。のち魚S召喚獣。
・物語内での具体的な行動や成果
 バスクの攻撃で命を落としたが、聖獣石へ魂を吸収された後、水の神アクアと再契約を結んでアレンの召喚獣として復活した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魚S召喚獣となり、絶大な補助能力で戦局を逆転させる活躍を見せた。

アクア

水を司る神。プロスティア帝国と魚人たちへ加護を与えている。

・所属組織、地位や役職
 水の神。
・物語内での具体的な行動や成果
 マクリスの魂を再構築し、アレンへ聖獣石の管理権限を譲渡して魚Sの召喚を許可した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

海の怪物

プロスティア帝国の巨大水晶花の下へ封印されている存在。その正体は邪神の一部である。

・所属組織、地位や役職
 邪神の尾。
・物語内での具体的な行動や成果
 キュベルがベクの血と魂を注ぎ込んだことで復活し、巨大な怪物へと変貌して暴走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔王ゼルディアスの『暴食』によって丸呑みにされ、吸収された。

マリア

アレンが使役する霊Cの召喚獣。フランス人形のような可愛らしい姿をしている。

・所属組織、地位や役職
 霊C召喚獣。
・物語内での具体的な行動や成果
 バウキス帝国のS級ダンジョンで、メルスと共に大量の回復薬を生成する作業を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

メルス

元第一天使であり、アレンの召喚獣。冷静に戦況を分析し、強力な戦闘力と支援能力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 天使A召喚獣。
・物語内での具体的な行動や成果
 帝都北部の防衛戦でアレン軍を指揮して13体の魔神を討伐し、その後キュベルたちとの戦闘へ合流した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王化によってステータスが大幅に上昇し、単独で魔王軍の軍勢を圧倒する戦果を挙げた。

ルプト

メルスの双子の妹であり、現在の第一天使。

・所属組織、地位や役職
 第一天使(神界)。
・物語内での具体的な行動や成果
 メルスが休暇中に彼女へ会おうとしたが、神界へ入れず叶わなかったことが言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ゲイル

ソフィーが使役する風の幼精霊。

・所属組織、地位や役職
 風の幼精霊。
・物語内での具体的な行動や成果
 アレンの仲間たちへ素早さを上昇させる加護を与え、風の刃で敵を攻撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ピグミー

ソフィーが使役する土の幼精霊。

・所属組織、地位や役職
 土の幼精霊。
・物語内での具体的な行動や成果
 仲間へ耐久力を上昇させる加護を与え、土の防壁を作り出して敵の攻撃を防いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ドライアド

ソフィーが使役する木の幼精霊。

・所属組織、地位や役職
 木の幼精霊。
・物語内での具体的な行動や成果
 仲間へ体力を上昇させる加護を与え、木の幹や枝で敵の動きを拘束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ニンフ

ソフィーが使役する水の幼精霊。

・所属組織、地位や役職
 水の幼精霊。
・物語内での具体的な行動や成果
 仲間へ魔力を上昇させる加護を与え、水の塊をぶつけて敵の行動を妨害した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ローゼン

エルフの信仰対象である精霊神。エビの姿に擬態してソフィーへ付き従う。

・所属組織、地位や役職
 精霊神。
・物語内での具体的な行動や成果
 上位魔神との戦闘中、「精霊王の祝福」を発動してアレンたちのステータスを大幅に引き上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

フレイヤ

火を司る神。ドゴラへ神器カグツチを授け、彼に力を貸している。

・所属組織、地位や役職
 火の神。
・物語内での具体的な行動や成果
 水の神アクアから神力の分譲を受け、ドゴラの加護を強化して新スキル「爆炎撃」を解放させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ファーブル

ダークエルフの守護者である精霊王。カニの姿に擬態してルークの頭に乗っている。

・所属組織、地位や役職
 精霊王。
・物語内での具体的な行動や成果
 ルークへ力を貸し、「精霊王の障壁」を発動させて上位魔神たちのステータスを低下させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

アリポン

アレンが「成長」スキルで限界まで強化した虫Bの召喚獣。

・所属組織、地位や役職
 虫B召喚獣。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビルディガへ「ギ酸」を吹きかけて外骨格を腐食させ、「産卵」で大量の子アリポンを生み出して敵を包囲した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ステータスが三万を超え、上位魔神相手にも通用するデバフ要因として活躍した。

オヌバ

バスクが背負う漆黒の魔剣。自らの意思を持ち、血をすすることで力を増す。

・所属組織、地位や役職
 魔剣。
・物語内での具体的な行動や成果
 バスクの武器としてドゴラやアレンへ襲いかかり、最終的にキュベルによってベクの胸へ突き刺された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 邪神復活のための儀式道具として利用された。

ファルネメス

法の神へ仕える調停神。馬の姿をしている。

・所属組織、地位や役職
 調停神。
・物語内での具体的な行動や成果
 クレナを背に乗せてビルディガへ突撃し、自らの神域へ彼女を招き入れて「開放者」へと覚醒させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 力を失いつつあるが、邪神の尾を元の法の神へ戻すために自らを犠牲にして戦い続ける決意を見せた。

ガルム

獣人たちに信仰される獣神。

・所属組織、地位や役職
 獣神。
・物語内での具体的な行動や成果
 ベクが「獣神化」を発動した際に、その力がガルムに由来するものであると言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

テッコウ

アレンが使役する石Cの召喚獣。

・所属組織、地位や役職
 石C召喚獣。
・物語内での具体的な行動や成果
 バスクがペロムスへ投擲した大剣の軌道上へ召喚され、「自己犠牲」を発動して攻撃を防いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 大剣の威力を相殺して消滅した。

エルメア

この世界を創造した最高神。

・所属組織、地位や役職
 創造神。
・物語内での具体的な行動や成果
 キールがベクを蘇生させるため「神の雫」を発動した際、祈りの対象として名を呼ばれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

アクシリオン

法の神であり、邪神の尾の本来の姿。

・所属組織、地位や役職
 法の神。
・物語内での具体的な行動や成果
 封印から復活した直後は記憶を失っていたが、調停神ファルネメスの呼びかけによって少しずつ自我を取り戻しかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 キュベルによって無数の魂を注ぎ込まれて暴走し、魔王ゼルディアスに吸収された。

集団

アレン軍

アレンが設立した多種族混成の軍隊。魔王軍打倒のため厳しい訓練を積んでいる。

・所属組織、地位や役職
 アレンの私兵部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 勇者軍と共に帝都北部の迎撃戦へ投入され、マクリスの支援を受けながら魔獣の群れを次々と撃破した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

勇者軍

ヘルミオスが率いる精鋭部隊。

・所属組織、地位や役職
 ギアムート帝国軍。
・物語内での具体的な行動や成果
 アレン軍と連携して帝都北部に防衛線を構築し、魔神やSランク魔獣の猛攻を押し返した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

混成アイアンゴーレム狩り組

S級ダンジョンで経験値を稼ぐために編成されたアレン軍と勇者軍の合同部隊。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍と勇者軍の混成部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 バウキス帝国のS級ダンジョン最下層でアレンが耳飾りを配った際、休憩中の姿が描かれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

魔王軍の魔獣たち

魔王軍が使役する魔獣の群れ。AランクやSランクも多数含まれる。

・所属組織、地位や役職
 魔王軍。
・物語内での具体的な行動や成果
 十万の軍勢となって帝都パトランタへ進軍したが、アレン軍や勇者軍の迎撃によって甚大な被害を出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

第1帝国軍

プロスティア帝国の主力部隊。

・所属組織、地位や役職
 プロスティア帝国軍。
・物語内での具体的な行動や成果
 イグノマスの指揮下で帝都北方へ展開し、アレン軍と勇者軍の共同戦線へ合流して魔獣を押し返した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 マクリスの「ロイヤルガード」による支援を受け、無事に防衛線を維持した。

第2帝国軍

プロスティア帝国の防衛部隊。

・所属組織、地位や役職
 プロスティア帝国軍。
・物語内での具体的な行動や成果
 帝都内部の四方へ展開し、魔獣の侵入に備えて最終防衛ラインを構築した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

近衛騎士団

プロスティア帝国皇帝直属の精鋭部隊。

・所属組織、地位や役職
 プロスティア帝国近衛騎士団。
・物語内での具体的な行動や成果
 イグノマスに従って帝都北部の防衛へ向かい、戦闘終了後にはアレンたちの手によってイグノマスを拘束された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ラプソニル女帝の指揮下へ入り、帝国の再建へ従事することとなった。

ゴーレム隊

メルルが所属するドワーフのゴーレム操縦部隊。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍。
・物語内での具体的な行動や成果
 モード「ドルフィン」の機体で前線を形成し、水流攻撃や巨大な質量を活かして魔獣の群れを食い止めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ドルフィン部隊

水中戦に特化したモード「ドルフィン」を使用するゴーレム部隊の一部。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍。
・物語内での具体的な行動や成果
 口から強力な水流「スクリューダイバー」を放ち、海竜やクラーケンなどの大型魔獣を圧倒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

プロスティア帝国宮廷音楽隊

プロスティア帝国の公式楽団。

・所属組織、地位や役職
 プロスティア帝国。
・物語内での具体的な行動や成果
 ラプソニル女帝の命令でラターシュ王国へ派遣され、ペロムスのプロポーズの際に伴奏を務めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

エルフ、ダークエルフ、獣人、ドワーフたち

ヘビーユーザー島に暮らす多種族の住人たち。

・所属組織、地位や役職
 アレン軍およびヘビーユーザー島の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ペロムスとフィオナの結婚を祝うため、一ヶ月間練習した楽器演奏を広場で披露した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 種族の壁を越えて協力し合い、アレン軍全体の一体感を強めた。

威風凜々

マッカランが率いるAランク冒険者パーティー。

・所属組織、地位や役職
 Aランク冒険者パーティー。
・物語内での具体的な行動や成果
 ギャリアット大陸の村を脅かすマダラキングスネークの討伐作戦を実行し、見事な連携で撃破した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

ヘルモード 10巻 レビュー
ヘルモード 全巻 まとめ
ヘルモード 12巻 レビュー

展開まとめ

第一話 プロスティア帝国物語

歌姫コンテスト攻略のための情報収集

アレンは、離宮に潜入しているセシルたちへ、鳥Gの召喚獣を通じて情報共有を行っていた。アレンは魚人の歌手ロザリナを「歌姫コンテスト」で優勝させるため、過去の参加者たちの「購入記録」を集めようとしていた。参加者がどの装飾品を購入し、どのような格好で入賞したかという情報は、聖魚マクリスの好みを分析する上で重要であり、商人たちにとっても価値の高い情報であった。

ラプソニル皇女は、「購入記録」はコンテストを管理する役人が扱っている可能性が高いと説明した。アレンは役人側から探るよりも、すでに記録を所持している商人から買い取る方が早いと判断し、魔法屋の店主カサゴマとの交渉を進めた。

一方で、セシルたちは、アレンから送られてくる情報を頼りに衣装の調整役を任されることになった。女性の装いについて知識のないアレンに代わり、セシルたちは、分析結果を元により良い衣装や装飾品を選ぶ役割を引き受けることとなった。

マクリスとディアドラの真実

シアは、聖魚マクリスがどのような女性を好んでいたのかをラプソニル皇女へ尋ねた。すると彼女は、マクリスが生前「豚の皇子」と呼ばれていたという衝撃的な真実を語り始めた。

マクリスは生まれた時から醜い容姿を理由に父である皇帝から嫌悪され、宮殿内でも嘲笑の対象となっていた。舞踏会でも誰からも相手にされず、縁談も全て断られていた。さらには皇帝から顔を隠して生きるよう命じられ、自身もまた容姿に強い劣等感を抱いていた。

そんな中、宮殿を抜け出して彷徨っていたマクリスは、酒場で歌うディアドラと出会った。彼女だけは、マクリスの素顔を見ても恐れず、嘲笑もしなかった。ディアドラは彼を特別扱いせず、ただ一人の客として接したのである。その優しさに、マクリスは強く惹かれていった。

ディアドラもまた、周囲から醜いと蔑まれるマクリスを、自分だけでも受け入れたいと考えるようになった。二人は次第に親しくなり、マクリスは皇位継承権を放棄してでも彼女と共に生きようと決意するほど深く愛するようになっていた。

海の怪物と聖魚マクリスの誕生

ラプソニル皇女は、300年前に封印されていた「海の怪物」が目覚めた事件についても語った。その怪物は、水の神アクアですら倒せなかった存在であり、プロスティア皇家は代々、その封印を維持する役目を担っていた。

「海の怪物」が暴れ出し、帝都パトランタが滅亡の危機に陥った時、マクリスは愛するディアドラを守るため、水の神アクアと契約を交わした。そして自らを聖魚へ変貌させ、命を賭して怪物を弱らせた上で、アクアが再封印を施したのであった。

現在、帝都パトランタが築かれている巨大な水晶花こそ、その封印の要であった。だが水晶花は毎年「水晶の種」を放出する際に封印の力が弱まり、その時期には再び怪物が目覚める危険が生じる。そのため、年に一度、聖魚マクリスが都を訪れ、封印を見守っているのである。

「歌姫コンテスト」は、マクリスを称え、その力によって封印を安定させるために行われる神聖な儀式でもあった。セシルたちは、長く絵本として語り継がれてきた『プロスティア帝国物語』の真実を知り、深い感銘を受けていた。

イグノマスの宣言

感傷的な空気が漂う中、離宮へイグノマスが突然現れた。彼はラプソニル皇女へ、自分の后として迎える準備が整ったと一方的に宣言した。

ラプソニル皇女が激しく拒絶すると、イグノマスは、従わないなら彼女やその血族に価値はないと脅迫した。セシルは怒りのあまり飛び出しかけたが、シアとソフィーに制止された。

イグノマスは高笑いしながら離宮を去っていったが、その場に残されたセシルたちは、ラプソニル皇女と共に強い怒りを抱いていた。

第二話 シノロム導師の影

回復薬生成と召喚獣の強化

アレンはバウキス帝国のS級ダンジョン最下層を訪れ、霊Cの召喚獣マリアや、元第一天使メルスたちが大量の回復薬を生成している様子を確認した。中央大陸北部で虫Aの召喚獣が多数失われた結果、召喚可能枠に余裕ができたため、アレンは霊系統の召喚獣を増員し、メルスの補助に回していた。

また、召喚レベルと「成長」スキルの検証により、「成長」で強化されるのはステータスのみであり、加護や覚醒スキルは増加しないこと、「指揮化」や「王化」は召喚ランクによってのみ決まることが判明していた。アレンはこれらの仕様を踏まえ、召喚獣の編成を効率化していた。

さらに、同系統の加護は重複せず、上位加護が優先されるという法則も理解しており、実戦検証を通して合理的な戦術を組み立てていた。

耳飾り装備の配布

そこへクレナたちアレン軍のメンバーが昼休憩に現れ、アレンはプロスティア帝国の宮殿から回収した耳飾りを披露した。

耳飾りには、物理攻撃強化型と魔法攻撃強化型の二種類が存在し、装備するとステータス値が大きく上昇する。クレナやドゴラは実際に装備してその力を体感し、興奮した様子を見せた。

アレンは限られた数の高性能耳飾りを前衛と後衛に配分し、不足分については一般的な耳飾りで補っていた。アレン軍は装備強化を進めていたが、その裏では魔石の大量消費によって資金繰りが苦しくなり始めてもいた。

一方で、アレン軍が市場へ流した魔法具によって冒険者全体の戦力底上げも進んでおり、人類側の総合戦力は徐々に向上していた。

歌姫コンテスト潜入計画

アレンは勇者ヘルミオスたちへ、プロスティア帝国潜入の現状を説明した。翌日に迫った「歌姫コンテスト」へ向け、ロザリナの衣装や装飾品の準備も完了していた。

アレンは、過去の購入記録から聖魚マクリスの好みを分析し、その結果をセシルたちへ伝達していた。鳥Fの召喚獣の覚醒スキル「伝令」によって、離宮に潜入している仲間たちとも視覚情報を共有できたため、遠隔地でも衣装調整が可能になっていた。

さらにアレンは、偽造した参加証を正式登録するため、「歌姫コンテスト」管理用の魔導具を一時的に本物とすり替え、魔導技師団に細工させるという大胆な工作まで実行していた。

しかし、偽造が発覚すれば大騒動になる危険もあり、アレンはヘルミオスたちにも脱出準備をしておくよう警告した。

シノロム導師への疑念

その後、ルド将軍がアレンのもとを訪れ、「シノロム導師」に関する調査結果を報告した。

ルド将軍によれば、アルバハル獣王国では、かつて「ロム」という老人がベク獣王太子の側近として仕えていたという。その老人は鳥人王国レームシールの紹介状を持つ薬師で、体だけでなく心の傷まで治すと語り、ベクへ様々な助言を行っていた。

ロムは独り言が多く、時折会話が通じなくなるという奇妙な性格をしていたが、後にベクの急進的な政策や反乱の裏で暗躍していた可能性が浮上していた。

その特徴は、プロスティア帝国で見かけたシノロム導師と酷似していた。アレンは、姿を変えて各国へ潜入し、有力者を操る存在ではないかと考え始める。

魔王軍との繋がり

アレンはヘルミオスたちへ、姿を変える魔族や魔神について尋ねた。すると、勇者パーティーの隻眼の剣士ドベルグが、シノロムの名に反応した。

ドベルグは、かつて「目玉の化け物」を連れた老齢の魔族と遭遇し、その時に片目へ回復不能の呪いを受けたと明かした。その魔族こそがシノロムであり、さらにドベルグの妻クラシスを連れ去った張本人でもあった。

シノロムは「時空」や「実験」について語っていたらしく、魔王軍内で特殊な研究や兵器開発を担当している可能性が浮上した。

アレンは、ローゼンヘイムで見た蝙蝠の羽を持つ目玉の化け物を思い出し、それらがシノロムの配下か兵器なのではないかと推測する。

ペロムス失踪

そしてアレンは、シノロムの危険性に気づいた瞬間、プロスティア帝国へ残してきた仲間たちの安否確認を始めた。

セシル、ソフィー、シアたちは無事だった。しかし、資料室に残していたペロムスの姿だけが消えていた。

アレンは魚Dの召喚獣を増やして宮殿全域を捜索させたが、ペロムスはどこにも見つからなかった。アレンは、事態が深刻化したことを察するのであった。

第三話 商人ペロムスの消失

ペロムス失踪の発覚

アレンは離宮にいるセシルたちへ、ペロムスが行方不明になったことを伝えた。ペロムスは魚人ペロニキとして活動しており、宮殿内を自由に動き回れる立場にあった。最後に確認されていたのは、水晶の種の保管場所を調べるため、倉庫管理担当の役人へ会いに向かった時であった。

アレンはすぐにペロムスのステータスを確認し、生存していることを把握した。ペロムスは豪商の才能を極め、各種装備品によって高い耐久力と生存能力を持っていたため、普通の騎士程度では容易に倒されない状態であった。

しかし、魚Aの召喚獣による「擬態」が切れれば、魚人姿のペロムスは人族へ戻ってしまう。その状態で海底に放置されれば溺死は避けられなかった。アレンは、シノロムや魔王軍が関与している可能性を強く疑い始める。

宮殿内での捜索

アレンは急ぎパトランタ宮殿へ戻り、役人たちへ聞き込みを行った。すると、1時間ほど前にペロムスを見かけたという役人が現れ、アレンは案内されて倉庫へ向かった。

だが、そこにペロムスの姿はなかった。争った痕跡もなく、何らかの手がかりも見つからない。アレンは、単なる失踪ではなく、意図的に連れ去られた可能性を考えるようになった。

その間も、セシルたちは鳥Gの召喚獣を通じて状況を共有しており、必要ならば強行突破も辞さない構えを見せていた。しかしアレンは、今はまだ情報収集を優先すべきだと判断していた。

イグノマスへの接触

アレンは、ペロムス失踪の裏にイグノマスやシノロムが関わっている可能性を探るため、イグノマスへの謁見を申し出た。

玉座の間でアレンは、ベク獣王太子がアルバハル獣王国へ戻ったという偽情報を伝え、イグノマスとアジレイ宰相の反応を観察した。

突然の報告に、イグノマスとアジレイ宰相は明らかに動揺した。アレンはその反応から、ベクとプロスティア帝国が繋がっていることを確信する。

さらに、アジレイ宰相はクレビュール王国へ確認を取らせたが、その返答を行ったのは、事前に仕込んでいた鳥Gの召喚獣であった。鳥Gの特技「声まね」により、クレビュール側を装っていたのである。

その結果、イグノマスたちはベク帰還の情報を真実だと思い込み、シノロムへ責任追及を始めた。

シノロムの失踪

アジレイ宰相はすぐに騎士たちへ命じてシノロムを呼び出そうとした。しかし、騎士たちは宮殿内を探してもシノロムを見つけられなかった。

アレンはこの時点で、シノロムこそがプロスティア帝国内乱とアルバハル獣王国内乱の両方を裏で操っていた存在だと考えるようになる。

さらに、イグノマスとアジレイ宰相の様子から、彼ら自身はペロムス失踪について何も知らないことも見抜いた。つまり、ペロムスを攫ったのは、イグノマスたちではなく、シノロムか魔王軍側である可能性が極めて高くなったのである。

魔王軍との全面対決への準備

アレンは宮殿を後にすると、ただちに霊系統の召喚獣を通じてアレン軍全軍へ指令を送った。ヘビーユーザー島へ集結し、魔王軍との戦闘準備を急ぐよう命じたのである。

さらに、勇者ヘルミオスにも連絡を取り、勇者軍の協力も取り付けた。状況はすでに、局地的な事件では済まない段階へ進みつつあった。

邸宅へ戻ったアレンは、ルークやフォルマール、イワナム将軍らへ事情を説明した。ルークは、自分たちも魔王軍との戦いへ参加するのかと確認し、アレンは戦う可能性が高いと答えた。

アレンは、魔王軍との戦いには死の危険が常につきまとうことを改めて伝えた。それでもルークは迷うことなく参加を表明する。

アレンは、水晶花の光が徐々に弱まり、夜を迎えようとしているパトランタ市街を眺めながら、迫りつつある大きな戦いを静かに見据えていた。

ペロムス救出か大会阻止か

魚Dの召喚獣を帝都中へ放って一晩中捜索しても、ペロムスは発見できなかった。朝7時を過ぎ、アレンは焦燥を募らせていた。

「歌姫コンテスト」は朝9時開始であり、その1時間後には、ペロムスへかけられている魚Aの召喚獣の覚醒スキル「擬態」が解除されてしまう。人族へ戻ったペロムスは、海底で溺死する危険が極めて高かった。

アレンは仲間を救うため、「歌姫コンテスト」を強制的に中止へ追い込む案まで考え始める。しかし、ルークから冷静になるよう諭され、コンテストを壊してもペロムス救出へ繋がる保証はないと気づく。

さらに、もしコンテストを妨害すれば、プロスティア帝国全体だけでなく、聖魚マクリスまでも敵に回す可能性があった。

ペロムスの戦闘開始

その時、突如としてアレンの魔導書が自動的に現れ、ログが表示された。

『魔族を1体倒しました。経験値420万取得しました』

アレンは驚愕し、すぐに召喚獣たちの戦況を確認した。しかし、どの召喚獣も魔族とは交戦していなかった。

続けて同様のログが次々と表示され、アレンは、それらがペロムスによる討伐であると気づく。

ペロムスのステータスを確認すると、体力が激しく減少した直後、「天の恵み」によって回復している様子が確認できた。つまり、ペロムスはどこかで魔族と戦い続けていたのである。

さらに戦闘ログは増え続け、ついには、

『上位魔族を1体倒しました。経験値3600万取得しました』

という記録まで現れた。

上位魔族は、かつてアレンたちを苦戦させた強敵であり、本来ならペロムス単独で倒せる相手ではない。アレンは、ペロムスが何らかの特殊な状況下で戦っていると推測し始める。

魔王軍への対処優先

アレンは、この状況から、ペロムスが時間を稼いでいるのだと考えるようになった。

もし魔王軍が何らかの大規模行動を起こそうとしているなら、今優先すべきは「歌姫コンテスト」の破壊ではなく、それへの備えである。

アレンは決断し、ロザリナとの待ち合わせ場所へ向かった。

ロザリナの出場準備

待ち合わせ場所では、ロザリナがセシルたちの選んだ美しい衣装へ身を包み、参加証を受け取るのを待っていた。

アレンが参加証を渡すと、ロザリナは喜びに満ちた様子で、ついに自分の歌声と美貌が世界へ知れ渡る日が来たと意気込む。

アレンは、場合によっては騒動が起きるかもしれないと警告したが、ロザリナはそれを軽く受け流し、自信満々に控室へ向かっていった。

歌姫コンテスト開幕

アレンは、浄水の魔導具披露役として、イグノマスのいる王侯貴族席へ移動した。

巨大水晶花の花柱上に築かれたコンテスト会場には、次々と参加者たちが集結していた。ラプソニル皇女もイグノマスの隣へ座らされ、その周囲にはカルミン王女やセシルたちも控えていた。

やがて司会者による開会宣言が行われ、魚人たちは水の神アクアへ祈りを捧げ始める。

その祈りに応えるように、巨大水晶花の各所から無数の「水晶の種」が発生し、幻想的な光景が帝都パトランタを包み込んだ。

アレンは、その光景を見ながらも、今なお戦い続けているペロムスのことを考え続けていた。

聖魚マクリスの出現

その時、巨大な水流と共に、帝都全体へどよめきが広がった。

光り輝く無数の水晶の種の中を切り裂きながら、巨大な影がゆっくりと近づいてきたのである。

アレンは、その姿を見上げながら、小さく呟いた。

それは、300年にわたり『プロスティア帝国物語』で語り継がれてきた存在――聖魚マクリスであった。

第四話 歌姫コンテストの来訪者

聖魚マクリスの本性

無数の水晶の種が漂う幻想的な空間をかき分けながら、全長30メートルを超える巨大な白いイルカ――聖魚マクリスが会場へ姿を現した。

その姿は神秘的で美しく、かつて「豚の王子」と蔑まれていた面影は感じられなかった。観客たちはその姿に見惚れ、毎年「歌姫コンテスト」が熱狂的に開催される理由の一端を、アレンは理解する。

しかし、会場を旋回したマクリスは突然、いやらしい笑みを浮かべながら、かわいい女性がたくさんいると下品な言葉を口にした。

神聖な存在として語られていたマクリスの実態に、会場中の魚人たちは困惑し、空気が凍り付く。アレンは、マクリスは聖魚になっても本質は変わっていないのだと考える。

イグノマスへの無関心

司会者の進行によって、「歌姫コンテスト」の開会宣言が行われた。イグノマスは、自らをプロスティア帝国新皇帝として誇らしげに名乗り、マクリスへ美女たちの歌を捧げると宣言した。

だがマクリスは、イグノマスの名を聞いても「誰なのら?」と無関心な反応を示した。

イグノマスは慌てて自分が新皇帝であると説明したものの、マクリスは興味なさそうに流してしまう。その様子を見た魚人貴族たちは落胆し、逆にイグノマスは、否定されなかったことへ安堵していた。

アレンは、その空気から、内乱を起こしたイグノマスの失脚を望んでいる貴族が少なくないと察する。

歌姫コンテスト第一幕

やがて「歌姫コンテスト」第一幕が開始された。

1000人の参加者たちは、一斉に歌い始めた。しかし、テンポも歌詞もばらばらで、会場は統一感のない不協和音に包まれる。

アレンは困惑したが、観客たちは誰も驚いていなかった。マクリスは、混沌とした歌声を聞き分けながら、参加者たちを細かく観察していた。

アレンは、マクリスが極めて高い知力を持ち、それぞれの歌やスキルを同時に分析しているのだと理解する。

ロザリナの選出

やがてマクリスは、一人の参加者の上へ逆立ちするように接近した。

その相手はロザリナだった。

アレンは、彼女へ大量の資金を投入して装備や装飾品を強化していた。歌スキルはステータス値依存であることを理解していたため、能力上昇系装飾品を優先的に与えていたのである。

マクリスはロザリナを高く評価し、「マクリスの涙」を授けた。

ロザリナは踊りを止めず、おしゃれな魔導袋で涙を受け止める。観客席からは祝福の泡が大量に降り注ぎ、ロザリナは優雅に応えていた。

こうして第一幕は終了し、ロザリナは準決勝進出を果たした。

聖珠ポイントの発見

ロザリナから「マクリスの涙」を受け取ったアレンは、それを魔導書の収納へ入れた瞬間、これまで見たことのないログを確認した。

『魚系統の聖珠が収納されました。聖珠ポイントに変換すると、総計は15ポイントになります』

アレンは即座に分析を開始した。

聖珠は系統ごとにポイント換算されており、その数値は対応する召喚獣生成に必要な魔石数と一致していた。魚系統は15ポイントであり、他系統にも同様の法則が存在すると推測する。

アレンは、新たな召喚システムの可能性へ強い関心を抱くが、今はペロムス救出が優先だと判断して考察を中断した。

魔獣軍接近の報告

その時、小型魔導船で到着した騎士が、イグノマスへ緊急報告を行った。

帝都北方100キロの街ピュローレ付近に、約10万体規模の魔獣群が出現したというのである。Aランク魔獣も多数含まれており、現在の速度なら1時間ほどで帝都近郊へ到達する見込みであった。

アレンは、シノロムや魔王軍の存在が判明した時点で何か起こると予想していたが、ここまで直接的な大軍侵攻は想定していなかった。

すぐに鳥Aと鳥Eの召喚獣を使い、北方へ転移拠点と索敵網を展開し始める。

歌姫コンテスト中止決定

イグノマスは、第1帝国軍を北面へ、第2帝国軍を帝都防衛へ展開させるよう命令した。

さらに帝都全域へ非常警報を発令し、市民避難を開始させる。

そして、「歌姫コンテスト」を中止すると宣言した。

マクリスは、その報告を聞いて都の北方をじっと見つめていた。

司会者の正体

観客たちが混乱し始める中、アレンはヒトデ面の司会者へ違和感を抱く。

アジレイ宰相が非常事態宣言のため拡声魔導具を渡すよう命じると、司会者はそれを拒否し、不気味な本音を語り始めた。

彼は、多数の人間が集まったこの場こそ、邪神復活に最適な「血と魂の供物」であると笑ったのである。

直後、司会者の背後へ魔法陣が展開し、そこから現れた3体の影のうち1体が大剣を振るった。

その一撃によって、アジレイ宰相の首は切り飛ばされた。

会場は、絶叫と混乱に包まれることとなった。

第五話 魔王軍の強襲

キュベルと上位魔神の出現

アジレイ宰相が殺害された直後、会場は大混乱に陥った。

ヒトデ面の司会者は騒ぎを面白がるように笑い、その側では、深紅の肉体を持つ巨漢や巨大な甲虫、二つの頭を持つ異形の存在たちが姿を現していた。

アレンは、その双頭の異形が、かつて中央大陸北部で虫Aの召喚獣を壊滅させた上位魔神たちであると気づく。

やがて司会者の正体も明らかになった。煙のような魔力を放ちながら姿を変えたその存在こそ、魔王軍参謀キュベルであった。

アレンは、魔獣10万体の接近も含め、全てがキュベルの仕組んだ計画だったと理解する。

イグノマスへの真実暴露

イグノマスは怒りに満ちた表情でキュベルたちへ詰め寄った。

キュベルは、シノロムこそ自分たちの仲間であり、イグノマスの反乱も魔王軍によって誘導されたものであると暴露した。

この発言により、イグノマスは、自らが魔王軍へ利用されていた事実を初めて知る。

一方アレンは、その隙を利用し、鳥Gの召喚獣と「声まね」を使って、帝都全域へ非常事態宣言を発令した。帝都各地の魔導具から、イグノマスの声で避難命令と警戒指示が流されていく。

キュベルはその行動を見抜きながらも、余裕の態度を崩さなかった。

キュベルの目的

キュベルは、自分たちの目的が「邪神復活」であると明言した。

巨大水晶花の下へ封印されている「海の怪物」は、邪神の一部であり、今回の襲撃は、その復活に必要な血と魂を集めるための儀式であった。

さらにキュベルは、数十年前から続いていた「邪神教」の事件や、グシャラによるギャリアット大陸での暗躍、シノロムによる内乱工作までもが、全て同一計画の一部だったと語る。

アレンは、魔王軍が数十年単位で世界規模の陰謀を進めてきたことを理解し、その執念深さへ戦慄する。

イグノマスへの役割分担

アレンは、現在最優先すべきは帝都防衛であると判断した。

もしAランク魔獣を含む10万の軍勢が帝都へ到達すれば、無数の一般市民が犠牲になる。そのため、イグノマスには第1帝国軍と第2帝国軍を率い、魔獣本隊への対処を任せる必要があった。

イグノマスは、目の前にいる上位魔神たちを放置することへ強い不安を示した。しかしアレンは、自分たちがここで時間を稼ぐと説明し、帝都防衛を優先するよう説得する。

やがてイグノマスも決断し、第1帝国軍の指揮へ向かうことを承諾した。

その直後、アレンは鳥Aの召喚獣の覚醒スキル「帰巣本能」を発動し、イグノマスを帝都北部戦線へ強制転移させた。

迎撃戦準備

アレンは、帝都北100キロ地点へ第1帝国軍を配置し、その後方40キロ地点へアレン軍と勇者軍を展開する作戦を組み立てていた。

メルスの「天使の輪」によって、アレン軍5200人と勇者軍1000人は魚人へ擬態し、転移準備を進める。

だが、相手は魔神を含む10万の魔王軍であり、さらに上位魔神が4体も現れていた。魔王軍側が本気であることは明白であった。

アレンは、この戦いが単なる防衛戦ではなく、世界の命運を左右する戦いになると実感していた。

仲間たちの集結

アレンはまず、クレナ、ドゴラ、キール、フォルマール、ルークを「帰巣本能」で会場へ呼び寄せた。

突然転移させられたにもかかわらず、ドゴラとクレナは落ち着いて状況を確認し始める。経験の差によって、他の仲間たちよりも冷静さを保っていた。

こうして、花柱の上にはアレン、セシル、ソフィー、シアを含む9人が集結した。

彼らはこれから、キュベル率いる3体の上位魔神と対峙することになるのであった。

仲間たちへの戦闘支援

アレンは、集結した仲間たちの装備と役割を再確認していた。

セシル、キール、ソフィー、フォルマール、シア、ルークは、それぞれ高性能な魔法具や耳飾りを装備し、ステータスを大幅に強化されていた。メルルは勇者軍と共に帝都北部へ転移する予定であり、ヘルミオスやドベルグについても、必要に応じて上位魔神戦へ呼び戻す段取りが整えられていた。

そんな中、バスクは魚人へ擬態したドゴラを見つけ、かつての戦いを思い出すように楽しげな反応を示した。

キュベルの儀式開始

キュベルは戦闘を仲間へ任せ、自身は巨大水晶花の中央へ移動した。

そこで深皿状の器を取り出し、その上へ漆黒の炎を灯し始める。その光景は、かつて火の神フレイヤの神殿で行われた儀式を再現しているようであった。

アレンとキールは、キュベルを止めなければならないと理解する。

アレンは、ドゴラをバスク担当、クレナとシアをビルディガ担当とし、後衛には全体支援を命じた。一方、男女一体型の異形上位魔神については、自分が対処すると宣言する。

ロザリナとマクリスの加護

ロザリナも戦闘参加を申し出ると、自らの歌によって仲間たちへ強力な支援効果を付与した。

攻撃力と知力上昇に加え、体力・魔力の継続回復まで発生し、アレンは「歌姫」の才能の有用性へ驚く。

さらにロザリナはエクストラスキル『人魚の歌姫』を発動し、その場にいる仲間たち全員の全ステータスを5000上昇させた。

続いて聖魚マクリスも事態を理解し、『ロイヤルガード』を発動した。

巨大な水色の泡が帝都全域へ広がり、体力・耐久力上昇、全ダメージ軽減、継続回復効果が付与される。アレンは、この効果が帝都全体と第1帝国軍にまで届いていることを確認し、戦況が大きく安定したと判断した。

さらにソフィーが精霊たちを召喚し、各種ステータス上昇と支援能力を付与した。精霊神ローゼンによる『精霊王の祝福』も発動し、仲間たちの能力はさらに強化されていく。

ビルディガとの交戦開始

十分な支援を受けたクレナが、最初にビルディガへ突撃した。

水中特有の三次元機動を駆使し、オリハルコンの大剣を叩き込むが、ビルディガの外骨格は傷一つつかなかった。

続いてシアも攻撃を加えるが、やはり決定打にはならない。

アレンは、ビルディガが物理攻撃完全無効、あるいはそれに近い特性を持っていると分析する。

クレナはエクストラスキルを開放し、『覇王剣』で外骨格の隙間を狙う。しかし、それでもダメージは通らず、衝撃は舞台へ逃がされてしまった。

その直後、ビルディガは巨大な鎌状の前足を展開し、クレナへ反撃を放つ。シアが咄嗟に軌道を逸らしたことで致命傷は避けたものの、クレナは肩を負傷した。

セシルやソフィーも魔法攻撃を集中させたが、水中環境の影響もあってか、ほとんど効果を与えられなかった。

アリポンによる突破口

アレンは、新たに虫Bの召喚獣「アリポン」を投入した。

「成長」スキルによって厳選育成されたアリポンは、各種支援を受けて全ステータスが3万を超えており、特技『ギ酸』によってビルディガの外骨格を腐食させ始める。

ビルディガは初めて明確な反応を見せ、アリポンへ攻撃を仕掛ける。しかしアリポンは高い素早さで攻撃を回避し、『産卵』によって大量の子個体を生み出して包囲戦を展開した。

子アリポンたちは『兵化』によって強化され、次々とギ酸を浴びせていく。

アレンは、ビルディガには物理・魔法よりも、腐食や弱体化といったデバフ系統が有効なのではないかと推測し始める。

帝都北方での魔王軍迎撃戦

一方、帝都北方40キロ地点では、アレン軍と勇者軍が迎撃陣形を完成させていた。

ゴーレム部隊が前衛を務め、精霊使いたちや召喚獣が支援網を構築する中、魔王軍10万の大群がついに接近する。

海竜や巨大クラーケン型魔獣が突撃してくるが、ゴーレム隊と精霊使いたちの連携により押し返され、多数の魔獣が撃破されていった。

しかしその後方からは、13体の魔神とSランク海竜を伴う第2陣が出現する。

メルスが敵将へ問いかけた直後、アレンの合図によって投擲系エクストラスキルが一斉発動され、魔神1体が瞬時に撃破された。

さらにヘルミオスも『水龍閃牙』で魔神を討ち取り、味方全軍へ勝機を示す。

アレン軍と勇者軍は士気を高めながら、海底での大規模決戦へ突入していくのであった。

第六話 水晶花の上での激戦

ドゴラとバスクの激突

「歌姫コンテスト」会場では、ドゴラと上位魔神バスクの激戦が続いていた。

神器カグツチとオリハルコンの大斧を振るうドゴラに対し、バスクは圧倒的な素早さと技量で全てを受け流していく。さらにバスクは片足でドゴラを蹴り飛ばし、客席まで吹き飛ばした。

それでもドゴラは立ち上がり、神器カグツチを赤熱させながら再び突進する。バスクはその様子を楽しむように笑っていた。

アレンは、強化を重ねた現在のドゴラでも単独では厳しいと判断し、加勢を決める。

レベル上限到達と戦力分析

アレンは魔導書を確認し、自身がレベル100へ到達していること、ドゴラがレベル99で成長限界に達したことを知った。

ドゴラは長期間S級ダンジョンで戦い続け、スキルレベルも大幅に上昇していた。神器カグツチを含めた攻撃力は極めて高く、一撃火力だけならバスクを上回る可能性すらあった。

しかし、バスクは素早さでドゴラを圧倒していた。

さらにアレンは、バスクが全身へ巻き付けている漆黒の帯と、背中に背負った漆黒の魔剣へ注目する。

その魔剣は「オヌバ」と名乗り、自ら意思を持って喋り始めた。フレイヤもオヌバの名を知っており、かつての因縁を感じさせる会話が交わされる。

魔剣オヌバの脅威

バスクが魔剣オヌバを抜き放つと、その剣身は禍々しい形状へ変化した。

波打つ刃とノコギリ状の刃を併せ持つその魔剣は、ただの武器ではなく、生きた凶器そのものであった。

アレンは、ドゴラへ致命傷が入る前に割って入り、バスクの注意を自分へ向けさせる。

だが、バスクは極めて高い戦闘経験と反応速度を持っており、アレンの攻撃を回避しながら的確に反撃を放ってきた。

アレンは、バスクとの正面戦闘では勝負にならないと理解し、ある作戦を実行する。

アレンの囮作戦

アレンはわざと正面から突撃し、魔剣オヌバの攻撃を受け止めた。

そして、ギザギザの刃へ剣を食い込ませた瞬間に武器を手放し、自ら鎧ごと斬撃を受けることで、バスクへ大きな隙を作り出した。

オヌバはアレンの鎧と肉を切り裂き、大量の血が海中へ広がる。しかし、召喚獣から得ている多数の加護によって、アレンは即死を免れる。

その瞬間、ドゴラがエクストラスキル『全身全霊』を発動した。

神器カグツチの刃がかつてない輝きを放ち、バスクの脇腹へ直撃する。咄嗟にオヌバが防御へ回ったことで致命傷は避けられたものの、闇の魔力と神器の神力が衝突し、大爆発を起こした。

バスクは大きく吹き飛ばされ、初めて深い傷を負う。

ラモンハモンの回復

しかし、異形の上位魔神ラモンハモンが回復魔法『エビルリカバリー』を発動し、バスクの傷はすぐに塞がっていく。

アレンは、このままでは消耗戦で押し負けると理解する。

メルスを呼び戻せば戦力不足になる帝都北部戦線も崩壊しかねず、アレンは苦悩していた。

一方、セシルはバスクへ魔法攻撃を浴びせ続けていたが、漆黒の帯によって大部分が防がれていた。キールは戦況分析の末、分断された戦場構造そのものが、キュベルによる召喚阻止策であることに気づく。

精霊王の障壁

キールはルークへ『精霊王の障壁』発動を提案した。

精霊王ファーブルの力を借りたそのエクストラスキルにより、会場床へ紫色の泥が広がり始める。

その泥沼は上位魔神たちの全ステータスを低下させる効果を持っており、バスクとビルディガの動きもわずかに鈍った。

アレンは、決定打にはならなくとも、有効な弱体化手段であると判断する。

聖魚マクリスの参戦

その時、聖魚マクリスがついに攻撃へ参加した。

巨大な氷槍『アイスジャベリン』が放たれ、フォルマールの『剛弾』と同時にバスクへ命中する。

氷槍は会場を貫き、バスクを床へ縫い付けた。さらにフォルマールの矢が片目へ深く突き刺さる。

キュベルは聖獣であるマクリスの攻撃を警戒し始めるが、それでもなお余裕を崩さなかった。

アレンは、ラモンハモンを先に倒すべきか考えるものの、バスクとビルディガの猛攻を無視して突撃する余裕はないと判断する。

調停神ファルネメスの登場

そこへ、ヘビーユーザー島にいた調停神ファルネメスが姿を現した。

バスクは、かつて自ら抜き取った「魔神石」によってファルネメスが自我を取り戻したことを知り、驚きを見せる。

キュベルとビルディガも調停神へ警戒を示した。

ファルネメスは、自分の意思で魔王軍を止めると宣言し、クレナへ背に乗るよう促す。

クレナは大剣を構えたままファルネメスへ騎乗し、調停神は海水を全く乱さぬ異様な速度でビルディガへ突撃した。

だが、ビルディガは長大な鎌状の前足で二人を吹き飛ばす。

それでもファルネメスは諦めず、再び立ち上がると、クレナへ静かに声を掛けた。

次の瞬間、クレナの視界は一変するのであった。

調停神の神域

ビルディガへ突撃した直後、クレナの視界は突然ヘビーユーザー島へ変わった。

困惑するクレナへ、調停神ファルネメスは、ここは島ではなく自らの「神域」であり、人間であるクレナの認識が島の形として見せているのだと説明した。

ファルネメスは馬小屋へクレナを案内し、その扉を開けてほしいと頼む。そして、その扉を開くことで、自分の力をクレナへ与えると告げた。

クレナは、自分だけが仲間たちから取り残されているように感じていたことを思い出し、力を得られるならやりたいと即答した。

開放者への覚醒

ファルネメスは、現在の自分には使徒を作れるほどの神力は残っていないが、共に戦う時だけ力を発揮できる新たなスキルを与えることは可能だと語った。

さらにアレンは「超越者」であり、最上位神の力でしか到達できない特別な存在であるとも明かされる。

クレナは神域の内部へ入り、石造りの部屋中央へ立った。その瞬間、足元から莫大な力が流れ込み、魂そのものが神力に触れて揺らぐ感覚を覚える。

そして現実へ戻った時、クレナの体を覆っていた「限界突破」の陽炎は消え、代わりに薄い青い光が全身を包んでいた。

ファルネメスは、クレナが「開放者」になったと宣言する。

剣帝クレナ誕生

アレンは即座に魔導書を開き、クレナの変化を確認した。

クレナは職業が「剣帝」となり、新たに「調停神(中)」の加護を獲得していた。さらに『真斬撃』『真鳳凰破』『真覇王剣』『超突撃』などの真系統スキルも発現していた。

アレンは、ドゴラと同じく、クレナもエクストラモードへ到達したのだと理解し、大きく興奮する。

一方、ビルディガは、力を失った調停神が神域へ人間を迎え入れた事実へ驚きを見せていた。

超突撃による突破

クレナは『真斬撃』でビルディガへ斬りかかるが、スキルレベルが低いこともあり、外骨格を突破できなかった。

しかしファルネメスは、『超突撃』を使うよう促す。

クレナが大剣を構えると、ファルネメスは海水を全く揺らさず高速疾走を開始した。青い光の矢となった二人は、ビルディガの側面を一瞬で駆け抜ける。

その瞬間、クレナの突きがビルディガの外骨格を貫通した。

ビルディガは膝をつき、紫色の血を海中へ漏らす。キュベルはその様子を見ながら、まだ迷いがあるのかと意味深な言葉を投げかけた。

上位魔神たちの本気

キュベルは、計画完遂のため、バスクとビルディガへ「力を解放しろ」と命じた。

するとバスクの肉体はさらに巨大化し、ビルディガも隠していた四対の脚や巨大な角、凶悪な口腔を展開する。

強化された二体は圧倒的な力を見せ、ドゴラやクレナたちを再び吹き飛ばした。

セシルやソフィーの魔法も通用しづらくなり、シアまでも反撃で傷を負う。

アレンは、せっかく戦況が好転しかけたところで、魔王軍側も本気を出したのだと理解する。

ラモンハモンの離脱

キュベルはラモンハモンへ、シノロムを迎えに行くよう命じた。

さらに「贄」と「聖獣石」が必要だと語り、ラモンハモンは魔法陣を使ってその場から姿を消す。

アレンは回復役が消えたことを警戒しつつも、それだけで戦況が覆るわけではないと考える。

聖魚マクリスの死

キュベルはバスクへ、聖魚マクリスを始末するよう促した。

バスクは狂気じみた雄叫びと共に、漆黒の魔力をまとって超高速で上空へ飛翔する。

マクリスの『フリーズキャノン』を回避したバスクは、魔剣オヌバによる必殺の一撃を叩き込んだ。

その斬撃によって、聖魚マクリスの頭部はほぼ真っ二つに切り裂かれる。

巨大な白いイルカの姿は、無数の光る泡へ変わって消えていった。

キュベルは淡々と、何をしても無駄であり、この世界には絶望しか残らないと告げるのであった。

第七話 商人ペロムスの戦い

水晶の種消失の調査

「歌姫コンテスト」前日、アレンとペロムスはパトランタ宮殿の資料室で、水晶の種の帳簿を調査していた。

巨大水晶花から毎年放出される「水晶の種」は、海底を照らす水晶花へ育つ貴重な資源であり、帝国に莫大な利益をもたらしていた。しかし帳簿には、昨年納入されたはずの3000個の水晶の種が、わずか100個しか記録されていなかった。

アレンは、イグノマスが密かに売却した可能性を考えていたが、断定はできなかった。そこでペロムスは、倉庫管理を担当する役人から直接話を聞くことを決める。

アレンは別行動を取る前に、魚Aの召喚獣による「擬態」をペロムスへ再付与した。

役人から得た情報

ペロムスは、顔見知りとなっていた役人へ接触した。

役人は、イグノマスが内乱後も旧政権時代の役人たちを粛清せず、そのまま宮殿へ残していたことを語る。さらに、アレンがイグノマスへ約束した「3ヶ月で金貨1000万枚」の件について、宮殿内で賭けの対象になっていることまで明かした。

ペロムスは商人としての交渉術を使いながら、水晶の種の件へ話を誘導する。

すると役人は、昨年納入された3000個の水晶の種が、一晩で全て消失したと打ち明けた。しかも、その捜索は宰相アジレイの命令で途中打ち切りになっていた。

保管場所は東倉庫であり、現在も今年分を納めるため空になっていると聞いたペロムスは、単独で倉庫の調査へ向かう。

キュベルとシノロムの密談

倉庫内部を調べていたペロムスは、突然入ってきた二人組の会話を聞いてしまう。

一人は上位魔神キュベル、もう一人は老魚人の姿をしたシノロムだった。

二人の会話から、水晶の種3000個を盗んだ犯人が魔王軍側であること、さらにそれらを「聖獣石」へ加工し、翌日の「復活の儀式」に使う予定であることが判明する。

シノロムは、水晶の種の管理権限が水の神アクアにあるため、聖獣石へ変換するには権限書き換え作業が必要だったと説明していた。

ペロムスは、魔王軍が巨大水晶花の封印へ干渉しようとしていると理解し、急いでアレンへ知らせようとする。

しかしその瞬間、キュベルから盗み聞きを見抜かれてしまった。

ペロムス捕縛

恐怖に駆られたペロムスは必死に逃げ出そうとするが、道化師の仮面をつけたキュベルに捕まってしまう。

キュベルはペロムスを殺そうとするが、シノロムが割って入り、ペロムスの「天秤」の才能へ強く興味を示した。

シノロムは、過去に同じ才能を持った者が商王となった事例まで知っており、この珍しい才能を研究材料として欲しがる。

キュベルは聖獣石調整を優先条件として許可を出し、シノロムは大喜びでペロムスを攫っていった。

魔王軍の牢獄

転移させられた先は、空気の存在する石造りの施設だった。

ペロムスは、ここが海底都市ではなく、魔王軍の拠点であると察する。やがて彼は、魔族たちに守られた牢獄へ閉じ込められた。

そこでペロムスは、四肢を切断され、鎖へ繋がれた獅子の獣人を発見する。

その正体は、アルバハル獣王国の元獣王太子ベクだった。

ベクとの邂逅

ペロムスは、シアが今もベクを探していることを伝えた。

ベクは、シノロムから、自分の血が邪神復活に必要だと聞かされていたと語る。魔王軍は、巨大水晶花の封印解除にベクを利用しようとしていたのである。

ベクは、自らの傲慢さによって国も仲間も失ったと後悔していた。しかしペロムスは、シアの思いを無駄にしてはならないと説得した。

その中でペロムスは、自分の魔導袋が没収されていないことに気づく。

袋の中には、アレンから渡されていた大量の回復薬、強化装備、食料、魔導具などが残されていた。

ペロムスは、それらを使えば脱出の可能性があるかもしれないと考え始める。

そして、自分にも守りたい仲間がいることを思い出しながら、絶望しかけていた心へ再び火を灯すのであった。

牢獄からの脱出計画

ペロムスとベクは、魔導袋の中身を利用しながら脱出計画を立てていた。

ベクは、魔王軍に奪われた「獣王の証」を取り戻したいと望み、ペロムスはシノロムが調整している「聖獣石」を破壊、あるいは奪取したいと考えていた。

さらに、二人は転移装置のある場所まで辿り着き、そこから脱出することを最終目標に定める。

その間、ペロムスは看守たちへ怯えた囚人を演じ続け、疑いを逸らしていた。

ベクの再生

朝になり、二人は脱出を開始した。

ペロムスは魔導袋から「天の恵み」を取り出し、ベクへ使用する。すると、切断されていたベクの両手両足が、光る泡に包まれながら完全再生した。

さらに攻撃力上昇の装備を身につけたベクは、首輪付きの拘束鎖を力ずくで引きちぎる。

しかし直後、首輪に仕込まれていた拘束機構が発動し、ベクは麻痺状態へ陥ってしまう。

そこへ看守の魔族二体が牢内へ突入し、ペロムスを殴り飛ばして踏みつけた。

香味野菜による逆転

看守たちは、ベクの四肢再生へ驚きながら、ペロムスを口封じに殺そうとする。

絶望しかけたペロムスだったが、フィオナの笑顔を思い出し、死ぬわけにはいかないと奮起する。

そして魔導袋から「香味野菜」を取り出して使用した。

次の瞬間、麻痺から回復したベクが動き出し、二人の看守の頭部を握り潰した。

助け起こされたペロムスは、震えながらも脱出継続を決意する。

魔族たちとの戦闘

牢獄を出た二人は、次々と現れる魔族兵と戦いながら進んでいく。

ベクは圧倒的な身体能力で魔族たちを瞬殺し、ペロムスは「古代樹の算盤」を手に後方支援を続けた。

しかし、ペロムス自身は戦闘向きではなく、曲刀を持つ魔族へ捕まってしまう。

その窮地を救ったのはベクだった。

ベクは槍の穂先を投げて敵の隙を作り、その間にペロムスを脱出させると、敵魔族を拳で粉砕した。

ペロムスは「天の恵み」でベクの傷を癒しながら進軍を支え続ける。

獣王の証の回収

途中の部屋で、ベクはオリハルコン製のナックルと聖珠の腕輪、「獣王の証」を発見した。

しかしベクは、自分はそれを身につける資格がないと語り、持つことを拒もうとする。

ペロムスは、将来ふさわしい者へ渡すまで、ベク自身が守るべきだと説得した。

その言葉に心を動かされたベクは、再び獣王の証を装備する。

さらに、ベクはペロムスの交渉力と人を動かす力を高く評価し、彼なら大切な相手の心も変えられるだろうと語った。

レドラゴック撃破

上階では、上位魔族レドラゴック率いる槍兵部隊が待ち構えていた。

槍衾による迎撃陣形が敷かれていたが、クワトロの聖珠によって強化されたベクの速度はそれを上回る。

ベクは金色の疾風となって敵陣へ飛び込み、次々と魔族を粉砕した。

レドラゴック本人も、オリハルコンのナックルによる一撃で撃破される。

聖獣石の発見

さらに奥の研究室で、二人は巨大な水槽の中に浮かぶ「聖獣石」を発見した。

ペロムスがエクストラスキル「天秤」で価値を測定すると、『金貨9999億9999万9999枚』という異常な数値が表示される。

研究員の魔族を脅して尋問した結果、聖獣石は神々の眷属の魂を封印し、その力を支配するための道具であることが判明した。

魔王軍は、聖魚マクリスの魂を封じることで、邪神封印を維持する力そのものを支配しようとしていたのである。

その計画を知ったペロムスは、水槽を破壊し、聖獣石を魔導袋へ回収した。

シノロムとの再戦

そこへシノロムが現れ、巨大な目玉の魔獣「ギイ」をけしかける。

ベクは「獣王化」を発動し、金色の獅子の姿へ変身した。

ギイの無数の触手を引き裂きながら圧倒するベクに対し、シノロムは慌てて逃走する。

しかしその直後、魔神ティマラドが立ちはだかった。

魔神ティマラド撃破

ティマラドは遠距離から大量の魔力球を連射し、ベクを牽制する。

ベクはペロムスを庇いながら戦っていたため、防戦を強いられる。

ペロムスは「天の恵み」で必死に回復支援を続けるが、このままでは押し切られる状況だった。

そこでベクは、あえて防御姿勢を取り、敵へ隙を見せる。

ティマラドが接近した瞬間、ペロムスが「古代樹の算盤」で足を殴打し、その隙にベクが「獣帝化」を発動した。

巨大な獣へ変貌したベクは、金色の風となって駆け抜け、ティマラドの頭部を一撃で切り裂いた。

ラモンハモンとの激突

最上階では、シノロムと異形魔神ラモンハモンが待ち受けていた。

ラモンハモンは二つの頭と四本の手足を持つ魔神であり、かつてベクを敗北へ追い込んだ相手でもあった。

ベクは、かつてシノロムへ騙された自分と同じように、お前たちも利用されているだけだと語りかける。

しかしラモンハモンはそれを否定し、戦闘へ突入した。

ハモンが近接戦を担当し、ラモンが魔力球で援護する連携は極めて強力であり、ベクは押し込まれていく。

それでもペロムスは回復を続け、二人は辛うじて戦線を維持していた。

正体露見と別れ

戦闘中、魚Aの「擬態」が限界を迎え、ペロムスは人族の姿へ戻ってしまう。

その隙を突き、重傷を負ったベクはペロムスを咥えて転移室へ投げ込んだ。

ペロムスは、自分の正体を知ったベクに殺されるかもしれないと覚悟する。

しかしベクは、悲しげな目を向けながらも、先へ行けと告げた。

ペロムスは涙を流しながら、「獣王の証」を守ってほしいと託し、ベクへ深く頭を下げる。

ベクはシアを助けてやってくれと答え、ペロムスを逃がすため、一人でラモンハモンへ立ち向かう。

そしてベクは、究極形態「獣神化」を発動するのであった。

転移装置への到達

幾度も角を曲がりながら逃走を続けた末、ペロムスはようやく『転移室』と書かれた扉を発見した。

ここへ辿り着くまで、ペロムスは遭遇した魔族たちを戦わず回避し続けていたため、単純な走行以上に消耗していた。喉は焼けるように痛み、全身から力が抜けそうになっていたが、それでも最後の力を振り絞って扉へ飛び込む。

室内には巨大な魔導具が設置され、その周囲には複数の魔法陣が描かれていた。

転移装置の起動

ペロムスが魔導具へ近づくと、機械的な声が響いた。

その音声は、かつてS級ダンジョンで遭遇した転移用キューブを思い出させるものであった。

ペロムスが、かすれた声でプロスティア帝国へ戻りたいと告げると、転移装置は登録済みの転移先であると認識し、光っている魔法陣へ乗るよう指示した。

床を見ると、複数の魔法陣のうち一つだけが淡く発光していた。

ペロムスは、ついに脱出できるかもしれないという希望を抱きながら、その魔法陣へ向かう。

シノロムの追撃

その直後、背後からシノロムの叫び声が響いた。

振り返ったペロムスは、シノロムと巨大な目玉の化け物が転移室へ突入してくる姿を目撃する。

目玉の化け物は無数の触手を伸ばし、ペロムスへ襲いかかった。

ペロムスは慌てて光る魔法陣へ飛び乗り、転移装置へ急ぐよう叫ぶ。

すると転移装置は、プロスティア帝国への転移開始を告げた。

深海戦場への帰還

次の瞬間、ペロムスの視界から転移室もシノロムも目玉の化け物も消え去った。

代わりに現れたのは、光り輝く深海の戦場だった。

ペロムスはついに魔王軍の拠点から脱出し、再びプロスティア帝国へ帰還したのである。

第八話 プロスティア帝国を守る者

聖魚マクリスの死と戦況悪化

魔剣オヌバによって聖魚マクリスが討たれ、その断末魔が「歌姫コンテスト」会場へ響き渡った。

アレンは、キュベルがマクリス撃破のタイミングを狙っていたことに気づく。同時に、帝都北方ではアレン軍と勇者軍が魔王軍十万と戦い続けており、すでに六万体を討伐していたものの、依然として多数のAランク・Sランク魔獣と魔神が残っていた。

一方、水晶花上空の戦場でも、クレナたちはビルディガに押され、ドゴラもバスクの猛攻を防ぐだけで精一杯となっていた。キールによる回復で辛うじて前線が維持されている状況であり、いつ崩壊してもおかしくなかった。

アレンは、撤退、現状維持、主力招集という三つの選択肢を検討し続けていた。

ペロムスの帰還

その最中、ラモンハモンが消えた場所に再び魔法陣が出現した。

キュベルはラモンハモンの帰還を期待したが、そこから現れたのはボロボロになったペロムスだった。

魚人への擬態が解けた人族の姿のまま、ペロムスはアレンへ向かって走り出す。キュベルは慌ててバスクへペロムス抹殺を命じ、バスクはオリハルコンの大剣を投擲した。

しかしその瞬間、ペロムスはシアへ向けてベクに会ったと叫びながら、水色に輝く石をアレンへ投げ渡した。

アレンは石Cの召喚獣「テッコウ」の『自己犠牲』で大剣を防ぎ、ペロムスを救出する。

聖獣石と神界からの干渉

アレンが受け取った石は「聖獣石」であった。

聖魚マクリスの魂を吸収したその石を見た瞬間、キュベルは初めて余裕を失った様子を見せる。

聖獣石は自動的に魔導書へ収納され、解析が始まった。さらに、水の神アクアの神界スタッフからメッセージが届き、火の神フレイヤへ神力を分譲したことが知らされる。

その影響で、ドゴラへ与えられていたフレイヤの加護は「中」から「大」へ強化された。

神器カグツチはさらに赤熱し、新スキル『爆炎撃』も解放される。ドゴラは強化された力でバスクを押し返し始めた。

ベクの死と邪神復活

その後、ラモンハモンが重傷のベクを連れて帰還した。

アレンは、ベクこそが邪神復活の「贄」であったことを理解する。

キュベルは魔剣オヌバをバスクから奪い取り、ベクの胸へ突き刺した。シアは泣き叫びながら止めようとするが、ラモンハモンに阻まれて届かない。

キュベルは、悲しみも苦しみも全て終わらせるためだと優しい口調で語りながら、ベクの血を巨大水晶花へ吸収させた。

直後、「歌姫コンテスト」会場は崩壊し、巨大水晶花の花柱からどす黒い人型存在――「邪神の尾」が出現した。

法の神アクシリオン

調停神ファルネメスは、その存在を「法の神アクシリオン」と呼んだ。

「邪神の尾」は記憶を失っていたが、ファルネメスを見て懐かしさを覚え、自らがアクシリオンであることを少しずつ思い出していく。

さらにキュベルの正体も、法の神に仕える第一天使「キュプラス」であることが明かされた。

しかしキュベルは、アクシリオン復活は目的ではなく過程に過ぎないと語り、蓄積していた無数の魂を「邪神の尾」へ注ぎ込む。

その結果、「邪神の尾」は暴走し、巨大な怪物へ変貌し始めた。

総力戦への移行

クレナとファルネメスは、暴走したアクシリオンを止めるため戦う決意を固める。

アレンも、ここからは総力戦だと判断し、帝都北方の主力部隊を撤退させた上で、自らの元へ転移させた。

メルス、ヘルミオス、メルル、ドベルグ、ロゼッタ、さらにイグノマス率いる近衛騎士団まで戦場へ集結し、三体の上位魔神と邪神を相手取る戦いが始まった。

ロゼッタはエクストラスキル『強奪手』で、バスクの足輪型魔法具を奪取し、弱体化に成功する。

その隙を突き、ドゴラはバスクを押し返し始めた。

聖魚マクリスの復活

やがて、聖獣石の解析が完了した。

水の神アクアと聖魚マクリスは、新たな契約を締結し、アレンは聖獣石の管理権限を獲得する。

その結果、封印されていた「魚S」の召喚獣が解放された。

アレンが「マクリス召喚」を発動すると、全長百メートルに達する巨大な白鯨が出現する。

マクリスは、自分がプロスティア帝国を守る者であると叫びながら、再び戦場へ舞い戻った。

魚S召喚獣マクリスの力

魚S召喚獣となったマクリスは、『ロイヤルガード』『ホワイトアウト』『ロイヤルオーラ』などの強力な補助能力を持っていた。

『ロイヤルガード』は帝都北方の共同戦線にまで届き、全軍を強化する。

『ホワイトアウト』は敵の命中率やクリティカル率を低下させ、上位魔神たちの攻撃精度を落としていった。

さらに『ロイヤルオーラ』によって、仲間全員の能力が大幅に上昇し、戦況は一気に好転する。

ラモンハモン撃破

最後にアレンは、『シューティングスター』と『フリーズキャノン』を組み合わせた攻撃を実行した。

『シューティングスター』によってラモンハモンへ弱点標識が付与され、メルスが属性付与で氷弱点化を成功させる。

そこへ放たれた『フリーズキャノン』は、一度回避された後に軌道を変えて追尾し、ラモンハモンへ直撃した。

氷は瞬く間に全身へ広がり、二つの頭を持つ上位魔神は絶叫しながら氷像となり、粉砕される。

アレンは上位魔神討伐によって大幅にレベルアップしながらも、なお戦いは終わっていないと理解していた。

その時、キュベルは、すでに手遅れだと静かに告げる。

アレンが振り返ると、「邪神の尾」は動きを止め、不気味にうずくまっていたのであった。

第九話 魔王の悲願と邪神の尾

邪神の尾とマクリスの激突

「邪神の尾」は巨大な赤い目を開き、咆哮と共に本格的に動き出した。

アレンは邪神が暴走する前に倒そうと判断し、マクリスへ突撃を命じる。マクリスは巨体同士の激突で海水を吹き飛ばし、そのまま邪神の喉元へ噛みついた。

キュベルはビルディガとバスクへ迎撃を命じるが、Sランク召喚獣となったマクリスは二体の上位魔神を逆に弾き飛ばしてしまう。

アレンはマクリスの圧倒的な能力値と、『ロイヤルガード』『ロイヤルオーラ』による強化効果を確認し、すでに上位魔神を凌駕する存在へ到達していることを理解した。

共同戦線の反撃

マクリスの支援能力は帝都北部の共同戦線にも影響を与えていた。

アレン軍、勇者軍、プロスティア帝国軍は、強化された状態で魔獣を次々と撃破していく。メルスもバスクを圧倒し始め、「廃ゲーマー」の後衛たちは『シューティングスター』の必中効果によって高精度の攻撃を連続命中させた。

アレンは、キュベルへ新たな行動を許さぬよう、短期決戦を狙って総攻撃を指示する。

ドベルグの『ガードブレイク』を起点に、セシルとソフィーの遠距離攻撃、メルスたちの連携攻撃、さらにタムタムの無属性砲撃まで重ねられた。

その流れの中で、勇者ヘルミオスは『神切剣』で「邪神の尾」へ攻撃を試みたが、神聖属性がまったく通用しないことが判明する。

不死属性の判明

キュベルは、「邪神の尾」が「不死属性」であると明かした。

アレンは聞き慣れない属性に警戒しつつも、マクリスの攻撃自体は通用していることから、そのまま押し切ろうと判断する。

しかしその直後、ビルディガが突如動きを止め、そこへ新たな上位魔神たちが現れた。

現れたのは六大魔天の一角、魔王軍総司令オルドーであった。

魔王ゼルディアスの登場

さらに新たな魔法陣が展開され、真紅の髪と瞳を持つ男が姿を現した。

上位魔神たちは跪き、その男を迎える。アレンたちは、その存在が魔王であることを察する。

キュベルは魔王へ「邪神の尾」の復活成功を報告するが、最後の聖獣石をアレンたちに奪われたため、邪神が不安定状態であることも説明した。

アレンは魔王へ名を問う。魔王は、自らを「おわりの魔王ゼルディアス」と名乗った。

しかしゼルディアスはアレンたちと戦う意思を示さず、「腹が減っている」とだけ語り、「邪神の尾」の元へ歩き出す。

魔王の『暴食』

アレンはマクリスへ『フリーズキャノン』を命じるが、ガンディーラの『フルカウンター』によって防がれる。

オルドーは、魔王の悲願達成のため時間を稼げと六大魔天へ命令した。

一方、ヘルミオスはオルドーこそ過去に仲間を殺した仇敵であると気づき、激しい怒りを露わにする。

オルドーは、かつて勇者に敗北したのもキュベルの作戦で意図的だったと語る。ヘルミオスは怒りのまま攻撃するが、オルドーの『神切剣』に圧倒され、アレンの援護によって辛うじて致命傷を免れた。

その頃、ゼルディアスは「邪神の尾」の前へ到達していた。

魔王は腹部に巨大な口を出現させ、『暴食』を発動する。

海水すら巻き込む強烈な吸引によって、「邪神の尾」は抵抗も虚しく歪みながら吸い込まれ、魔王へ喰われてしまった。

超越者への到達

「邪神の尾」を取り込んだゼルディアスは、自らが限界を超え、「超越者」になったと歓喜した。

しかし直後、体内の邪神の力が暴走し始め、キュベルは聖獣石が無かったため制御に失敗したのだと説明する。

ゼルディアスは苦しみながらも撤退を決断し、キュベルは別れの言葉を残して魔王軍全軍を転移撤退させた。

戦いが終わると、アレンは魔王の目的が「邪神を喰らい超越者になること」だったと推測する。

その側でクレナは、調停神ファルネメスと共に必ず魔王を倒すと誓った。

さらにクレナは、調停神からアレン自身も「超越者」であると聞かされていたことを明かす。

アレンは、「超越者」とはヘルモードの到達者を意味するのではないかと推測し始めた。

ベク蘇生の失敗

戦後、ペロムスはキールへベクの蘇生を依頼した。

キールは『神の雫』を発動し復活を試みるが、ベクの肉体は崩壊し、蘇生は失敗する。

アレンは、魔剣オヌバによる特殊な攻撃によって、通常蘇生が成立しない状態になっていた可能性を考えた。

シアは深い悲しみを抱えながらも現実を受け止める。

ペロムスは、ベクが最後まで聖鳥クワトロの聖珠を守り抜いていたことを語った。ベクは、自分に相応しくないと感じながらも、ペロムスとの約束を守るため命を賭けていたのである。

イグノマス拘束と帝国奪還

戦後、イグノマスがアレンへ事情説明を求める。

しかしアレンは、今なお自分たちの目的は終わっていないと告げた。

アレンたちの本来の目的は、プロスティア帝国を本来の皇家へ取り戻すことであった。

アレンはイグノマスへ投降を要求するが、イグノマスは槍を向けて抵抗する。

アレンはその攻撃を素手で受け止め、反撃の一撃でイグノマスを制圧した。

その後、アレンたちはイグノマスを拘束したまま離宮へ向かい、ラプソニル皇女へ帝国奪還成功を報告する。

ラプソニル皇女は深く感謝し、直ちに宮殿掌握へ向けて動き始めた。

第十話 聖魚マクリスの涙

戦後三日後の離宮招待

魔王軍との激戦から三日が経過し、アレンたちは改めて離宮へ招かれた。

宮殿はオルドー総司令の一撃で半壊していたため、現在の政務は離宮で行われていた。この三日間でラプソニル皇女側はイグノマス派を一掃しており、イグノマス本人が拘束済みであったことも大きく影響していた。

アレンは、プロスティア帝国での主要な問題は概ね解決したと感じつつも、イベント達成報酬のように残された要素を整理し始めていた。

離宮では、前皇后やカルミン王女、ドレスカレイ公爵、大臣たちが列席し、盛大な会食が開かれる。

ラプソニル皇女との会談

ラプソニル皇女は、アレンたちへ逆賊イグノマスから帝国を取り戻したことへの感謝を述べ、帝国随一の料理でもてなした。

クレナは相変わらず猛烈な勢いで料理を食べ続けており、その様子をカルミン王女が楽しげに見守っていた。

その中でアレンは、ベクだけが邪神復活の贄となった理由について考えていた。ラプソニル皇女も聖魚マクリスの血を引いているはずだが、なぜ対象にならなかったのかは、メルスにも分からなかった。

そんなアレンを、ラプソニル皇女の尾ひれへ視線を向けていると誤解したセシルが、脇腹へアイアンクローを食い込ませる一幕もあった。

帝国との新たな協力関係

会食の中でラプソニル皇女は、帝国として改めて礼をしたいと申し出た。

しかしアレンは、内乱によって国庫が空に近い状態であることを理解しており、逆に浄水の魔導具を新女帝誕生祝いとして進呈すると申し出る。

貴族たちは、その価値の高さに動揺した。だがアレンは、それ以上に重要なのは今後の協力関係だと語る。

プロスティア帝国には、魔王軍との戦いに必要な武具や素材が多数存在しており、それらを「廃課金商会」を通じて取引したいと提案した。

ペロムスも正式に挨拶を行い、ラプソニル皇女は今後の取引協力を約束する。

イグノマスの処遇

さらにアレンは、イグノマス自身を戦力として引き取りたいと要求した。

食事後、拘束されたイグノマスが連行される。アレンは、牢へ閉じ込められるよりも、魔王軍との最前線で戦う方が有意義だと説得した。

イグノマスは、自分を受け入れてよいのかと問い返すが、アレンは寝首を掻けるものならやってみろと挑発する。

やがてイグノマスは、自分は英雄として戻ってくると宣言し、その上でラプソニル皇女へ改めて求婚した。

父を殺されたラプソニル皇女は激昂するが、イグノマスは、許されるとは思っていないからこそ戦場へ行くのだと答えた。

アレンは、この状況で愛を語るとはさすが愛の国だと半ば呆れながら場を収める。

聖魚マクリスの涙

アレンは、プロスティア帝国へ来た本来の目的の一つが『聖魚マクリスの涙』であると説明した。

これは、ペロムスが愛する相手との未来のために必要としていた品であり、帝国へ協力を依頼する。

ラプソニル皇女は了承し、今後ペロムスと詳細を話し合うことを約束した。

歌姫コンテスト継続と5大陸同盟参加

続けてラプソニル皇女は、帝国側から二つの願いを申し出る。

第一に、来年以降も『歌姫コンテスト』を継続開催したいため、召喚獣となったマクリスへ再び参加してほしいというものであった。

アレンは快諾する。

第二に、プロスティア帝国も5大陸同盟へ正式参加したいと申し出た。

今回、帝都パトランタが魔王軍に襲撃されたことで、もはや対岸の火事では済まなくなったのである。

アレンはその申し出を受け入れ、ソフィーも次回会議への参加手配を約束した。

こうして、内乱を乗り越えた新生プロスティア帝国は、正式に魔王軍との戦いへ加わることとなった。

グランヴェル帰還と5大陸同盟準備

12月となり、アレンたちが帝都パトランタで魔王と遭遇してから約1ヶ月が経過していた。

グランヴェル伯爵は、年明けにラターシュ王国で開催される5大陸同盟会議へ参加するため、王都から領地グランヴェルへ一時帰還していた。伯爵は、大貴族となった後も支えてくれた地元有力者たちへ挨拶するため、高級宿の宴会場で会合を開く。

そこでは、ゼノフ騎士団長が男爵へ叙爵されたことも祝われていた。中央大陸北部で長年魔王軍と戦い、領地発展へ尽力した功績が認められたのである。

フィオナへの呼び出し

会合の最中、豪商チェスターの娘フィオナは、アレンたちが戻ってきたのかをグランヴェル伯爵へ尋ねた。

伯爵は、アレンたちは間もなく帰還すると答えた上で、ゼノフへある人物を連れてくるよう命じる。

その直後、ラプソニル女帝の勅命で仕立てられた礼服を身につけたペロムスが現れた。

ペロムスは会場中へ響き渡る声で、聖魚マクリスの涙を持ってきたので結婚してほしいとフィオナへ告白する。

フィオナは本当なのかと震えながら問い返し、ペロムスは外へ出てほしい、誰の手にも触れられていない「聖魚マクリスの涙」を渡すと宣言した。

チェスターの後押し

会場を出た後、チェスターは動けずにいるフィオナへ静かに語りかけた。

ペロムスはこれまで約束したことを必ず守ってきた男であり、それは信用を何より重んじる商人として極めて大きな価値を持つと説明する。

さらにチェスターは、フィオナ自身がかつて「強い男が好きだ」と語っていたことを思い出させた。

理想通りには生きられない世界で、それでも約束を守り続けてきたペロムスこそ、本当に強い男なのではないかと問いかける。

その言葉を受け、フィオナは会場を飛び出していった。

聖魚マクリスの涙

中央広場では、アレン、セシル、シア、ソフィーたちが見届け人として集まっていた。

ペロムスはフィオナへ、誰の手にも触れられていない本物の「聖魚マクリスの涙」を渡すと改めて宣言する。

そして空を指差すと、夕焼け空の向こうから巨大な白鯨が接近してきた。

それは魚S召喚獣となった聖魚マクリスだった。

マクリスは、頑張って試練を乗り越えたペロムスへの褒美として、フィオナへ手を差し出すよう求める。

フィオナが両手を差し出すと、マクリスの涙が空から落下し、光り輝く透明な結晶へ変化した。

それこそが『聖魚マクリスの涙』であった。

マクリスは、二人の愛が永遠に続くことを祈ると祝福を与える。

ペロムスとフィオナの結婚

涙を受け取ったフィオナは、潤んだ瞳でペロムスを見つめ返した。

ペロムスは必ず幸せにすると誓い、結婚してほしいと改めて告白する。

フィオナは涙声で了承し、ペロムスへ抱きしめられた。

さらにフィオナは自らペロムスへ身を寄せ、二人は広場の中央で口づけを交わす。

その瞬間、ロザリナの歌声が響き渡った。

島全体による祝福

ロザリナの歌へ合わせ、プロスティア帝国宮廷音楽隊、エルフ、ダークエルフ、獣人、ドワーフたちが一斉に演奏を始める。

これは、ヘビーユーザー島全体で1ヶ月かけて準備してきた、ペロムスへの祝福演奏だった。

ラプソニル女帝も宮廷音楽隊を派遣しており、今回の計画へ全面協力していた。

シアは、ペロムスがベクを英雄として死なせたことにより、獣人全体が再び世界から憎悪される未来を防いだと語る。

ソフィーも、エルフとダークエルフが愛の歌を共に演奏する日が来たことへ感慨を覚えていた。

アレンは、この催しによってアレン軍とヘビーユーザー島の結束がさらに強まったことを実感する。

新たな冒険への決意

祝福が終わると、ラプソニル女帝はイグノマスを従えながら宿へ戻っていった。

イグノマスは現在、ラプソニル女帝の側で働いており、処刑ではなく償いの道を歩み始めていた。

その光景を見送りながら、アレンはプロスティア帝国での冒険が本当に終わったのだと実感する。

しかし同時に、魔王ゼルディアスはすでに一歩先へ進んでいるとも理解していた。

アレンは、次なる目標が「神界」と「審判の門」であることを仲間たちへ告げる。

新たな真実と戦いを求め、アレンたちは再び前へ進み始めるのであった。

特別書き下ろしエピソード ① オルバースと脾臓料理と威風凜々

二日酔いの朝

オルバースは激しい頭痛と吐き気に苦しみながら目を覚ました。

原因は、Aランク冒険者パーティー『威風凜々』との酒宴であった。村近辺に出没したAランク魔獣マダラキングスネーク討伐のため、情報収集を兼ねて酒場へ赴いた結果、リーダーのマッカランが大いに盛り上がり、オルバースまで泥酔させられていたのである。

部屋では、獣王子ヨゼの凄まじいいびきが響き渡っていた。

そんな中、エルメア教神官イスタールは朝の祈りを済ませており、回復魔法『キュア』でオルバースとヨゼの二日酔いを治療する。

『威風凜々』の仲間たち

オルバースは、改めて『威風凜々』の個性的な仲間たちを見回していた。

リーダーのマッカランは豪快で喧嘩っ早いが仲間思いであり、ヨゼは獣王子らしい尊大さを持ちながらも実力は本物だった。

ドワーフのネネビーは料理好きでありながら壊滅的な料理下手で、グレッサとイスタールが毎回補助していた。

そんな騒がしいやり取りを交わしながら、一行は朝食の席へ向かう。

マダラキングスネーク討伐依頼

宿屋の女将は、Aランク冒険者である『威風凜々』へ期待を寄せていた。

朝食には香辛料の効いた焼き肉が用意されており、ネネビーは未知の香辛料「カリの実」へ強い興味を示す。

その中で女将は、もしマダラキングスネークを倒せたら脾臓を持ち帰ってほしいと頼んだ。

マダラキングスネークの脾臓には極めて危険な猛毒が含まれており、普通なら毒薬材料として扱われる代物だった。しかし女将は、適切に処理すれば極上の煮込み料理になると説明する。

ネネビーは強い関心を示し、熱心に調理法を聞き始めた。

討伐作戦開始

一行は情報収集を基に作戦を立て、マダラキングスネークの巣がある岩山へ向かった。

オルバースは囮役を担当することになる。

『精霊魔法使い』の才能を持つオルバースは、風の精霊の力で気配を消し、さらに風に乗って空を飛びながら岩山へ接近した。

里を出てからの1週間、オルバースは、これまで経験したことのない刺激に満ちた日々を送っていた。

千年間、全てが用意された環境で生きてきた彼にとって、自ら考え、自ら役割を果たし、仲間と協力する日常は新鮮な喜びだった。

マダラキングスネークとの遭遇

土の精霊の導きで巣穴を発見したオルバースは、マダラキングスネークを誘き出す。

現れたのは、巨大な黄土色の蛇型魔獣だった。

マダラキングスネークは猛烈な速度で追撃し、強酸性の毒液まで吐き出してくる。

オルバースは風の精霊の力で飛行しながら回避を続け、仲間たちが待ち伏せする谷間へ魔獣を誘導していった。

しかし、仲間の声に安心した瞬間、オルバースは致命的な隙を晒してしまう。

『威風凜々』の連携攻撃

オルバースへ致死級の毒液が放たれようとした瞬間、ヨゼが大蛇の尾を掴み、攻撃の軌道を逸らした。

さらにグレッサの『フレイムランス』が追撃し、マッカランが急所の喉元へ『爆砕昇撃』を叩き込む。

最後は、谷上に待機していたネネビーが、ミスリルゴーレムの『局所破壊砲』で頭部を焼き切った。

巨大なマダラキングスネークは、その連携の前に討伐された。

オルバースは、自分の失敗を仲間たちが補ってくれたことを実感しながら、彼らとの連携の強さへ驚いていた。

魔獣解体と脾臓料理

討伐後、一行は巨大な死体の解体作業へ入る。

ネネビーは真っ先に脾臓を確保し、さっそく料理へ取りかかった。

一方オルバースは、風の精霊の力を利用して風の刃を作り出し、大蛇の肉を効率よく切断していく。

マッカランとヨゼは言い争いながらも作業を進め、イスタールは毒血を浄化していった。

やがてネネビー特製の脾臓料理が完成する。

ネネビーの大失敗

最初に料理を食べたマッカランは、美味いと絶賛した直後、口から泡を吹いて倒れた。

原因は、ネネビーがレシピを読み間違え、毒抜きに必要な薬草を間違えていたことだった。

イスタールの『オールキュア』によってマッカランは回復するが、ネネビーは激しく叱責される。

その中で、オルバースは脾臓料理を全て食べてしまっていた。

仲間たちは慌ててオルバースへ回復魔法をかけるが、オルバースは平然としていた。

しかし実際には、オルバースは料理を魔導袋へ隠していただけで、本当は食べていなかった。

それでも仲間たちは、仲間の料理だから全部食べたのだと語るオルバースへ感動する。

オルバースは、その誤解を訂正しないまま胸にしまい込み、静かにこの秘密を守る決意をするのであった。

特別書き下ろしエピソード② ヘルモード外伝 ~勇者ヘルミオス英雄譚~ ⑤町外村の救済編前編

町外村への疑問

ヘルミオスは、ハウルデン子爵邸へ招かれた翌朝も、前日に出会った町外村の親子のことを忘れられずにいた。

ゴブリンに村を襲われ、命からがらハウルデンへ逃げ込んできた親子は、不法侵入者として自警団に追い払われそうになっていた。ヘルミオスは彼らを助けたものの、それで問題が解決したわけではないことを理解していた。

特に、疲れ果てた幼い姉妹の表情が、彼の胸に強く残っていた。

町の外への決意

朝食後、ヘルミオスは友人ガッツンに、町の外側を見に行きたいと打ち明けた。

同室の年長者マルコとエリックは、放棄村で収穫を手伝って得たガロ芋を分け与えながら、近年は冒険者不足によって魔獣被害が拡大し、捨てられた村が増えていると説明する。

魔王軍との長い戦争が、多くの土地を疲弊させていたのである。

その後、ヘルミオスはドロシー、エナ、ガッツンとともに、塾長ムハトから外出許可証と武器を借り、町の外へ向かった。

門で見た現実

門へ向かう途中、ヘルミオスたちは町へ入ろうとする一家と番兵の言い争いを目撃した。

町へ滞在するための許可証には多額の金が必要であり、貧しい移民たちは大きな負担を強いられていた。

しかし、父親が『才能』を持つ商人だと分かった途端、番兵の態度は露骨に軟化する。

その様子を見たヘルミオスは、『才能』の有無によって人の扱いが変わる現実を感じ取っていた。

町外村への接近

門番から町外村には近づくなと警告されながらも、ヘルミオスたちは東へ向かった。

途中、エナが角ウサギを発見し、見事に仕留める。

ヘルミオスはその時、自分だけに見える『仮想窓』が現れ、「経験値」を取得したことを知る。しかし文字を完全には読めず、その意味までは理解できなかった。

やがて4人は、腐りかけた塀と黒く淀んだ堀に囲まれた町外村へたどり着く。

そこには、湿った地面に粗末な掘っ立て小屋が密集し、疲弊した人々が生気のない表情で暮らしていた。

ゴブリン襲撃の被害者

村の奥から子供の泣き声を聞いたヘルミオスたちは、崩れた小屋の前へ辿り着いた。

そこでは、ゴブリンの襲撃によって子供が重傷を負っていた。

ヘルミオスは咄嗟に『ヒール』を発動し、子供と母親の傷を癒やす。

さらにその瞬間、『仮想窓』に新たな文字が現れ、『ヒーリングレイン』という魔法を覚えたことを知る。

奇跡の回復魔法

ゴブリン襲撃の負傷者が次々と運び込まれる中、ヘルミオスは新たに覚えた『ヒーリングレイン』を発動した。

温かな光の雨が村人たちへ降り注ぎ、重傷者の傷だけでなく、失われた手足までも再生させる。

本来の『ヒーリングレイン』を遥かに超える奇跡的な治癒力に、ドロシーは愕然としていた。

一方、村人たちは歓喜し、ヘルミオスへ感謝を捧げる。

しかしヘルミオス自身は、攫われた父親を助けられない現実に無力感を覚えていた。

町外村の村長

その後、ヘルミオスたちは村長の元へ案内される。

そこで待っていたのは、『才能塾』塾長ムハトと瓜二つの男、双子の兄ガハトだった。

ガハトは、自分が町外村の村長を務める理由を語る。

魔王軍との戦争によって『才能』を持つ者が北方戦線へ送られ続けた結果、地方から魔獣と戦える者が消え、多くの村が壊滅した。そして故郷を失った人々が都市へ流れ込み、今度は都市側が移民を追い出すようになったのである。

さらに、貴族たちは『才能』を持つ子供を確保するため、才能狩りまで行うようになっていた。

『才能塾』はそうした子供たちを守るために作られ、町外村は追い出された難民たちを受け入れるために作られた場所だった。

勇者の決意

ヘルミオスは、なぜ町外村を守る兵士がいないのか問いかける。

するとガハトは、『才能』を持つ兵士は全て戦場へ送られており、この村を守る余力は存在しないのだと涙ながらに語った。

ヘルミオスは、この世界が弱者を切り捨てながら成り立っている現実を知る。

それでも、自分には何かできるはずだと考えたヘルミオスは、また町外村へ来たいと願い出る。

ガハトは、まずは世界のことを学べと告げた。

こうしてヘルミオスは、自分が救うべき「この世」が、多くの弱者が虐げられる過酷な世界であることを知るのであった。

商人ペロムスの結婚式会場

結婚式会場の相談

ペロムスが命懸けで手に入れた『聖魚マクリスの涙』をフィオナへ渡し、正式にプロポーズしてから三日が経過していた。

現在、グランヴェル伯爵邸の応接間には、アレン、セシル、シア、ペロムス、フィオナ、さらに両家の父であるデポジとチェスターが集まっていた。

議題は、ペロムスとフィオナの結婚式会場についてである。

クレナ村で挙式するか、チェスター所有の領都グランヴェルのホテルを利用するかで話し合いは難航していた。そこへアレンが、功績ある者なら領主館やエルメア教会を借りることも可能だと提案し、グランヴェル伯爵へ相談する流れとなった。

セシルとフィオナの張り合い

待ち時間の間も、セシルとフィオナは互いに張り合い続けていた。

フィオナは『聖魚マクリスの涙』をわざと見せびらかし、セシルを挑発する。対するセシルも、アレンから聖珠を受け取っていると反論するが、フィオナは「仲間として貰っただけ」と意味深に言い返した。

アレンは巻き込まれまいと静かに茶を飲みながら、早めに日を改めた方が良いのではと提案する。

しかし、そのタイミングでグランヴェル伯爵が到着した。

結婚式会場問題

ペロムスは、フィオナ側の親族やチェスターの商人関係者まで招待したいと考えているため、交通の便が良い領都内での開催を希望していた。

その話を聞いたグランヴェル伯爵は、なぜか深刻な表情で黙り込む。

やがて伯爵は、実はこの件には簡単に決められない事情があると語り始めた。

王城での挙式案

グランヴェル伯爵は、ラターシュ王国の王族や貴族、大臣たちから、「ペロムスとフィオナの結婚式を王城で開催すべきではないか」という意見が出ていると明かした。

フィオナは突然の話に混乱する。

するとアレンは、グランヴェル伯爵が王城内で、聖魚マクリスの涙を手にした村長の息子の話を吹聴したのではないかと即座に察する。

伯爵は苦笑しつつも、原因はそれだけではないと説明した。

ラプソニル女帝が、ペロムスのプロポーズを見届けるためラターシュ王国へ来訪する予定であり、さらに5大陸同盟会議前に国王への謁見も希望していることが、すでに王城中へ知れ渡っていたのである。

その結果、「プロスティア帝国を救った英雄ペロムスの結婚式を、王国全体で祝うべきだ」という空気が形成されていた。

英雄としての評価

シアは、ペロムスはプロスティア帝国を救った英雄なのだから、国家規模で祝福されるのは当然だと断言した。

さらに、自らラプソニル女帝と共にラターシュ国王へ謁見し、王城使用を正式に願い出るとまで言い始める。

セシルも、フィオナのためなら王城へ行ってもいいと賛同した。

アレンも、どうせラプソニル女帝対応で国王は悩んでいるだろうから、ついでに事情説明と頭下げを兼ねて頼みに行くかと軽く口にする。

結婚式の大事化

しかし、当のペロムスとフィオナは完全に置き去りにされていた。

二人は、なぜ自分たちの結婚式が王家を巻き込む国家規模の話へ発展しているのか理解できず、揃って絶叫する。

こうしてペロムスとフィオナの結婚式は、王城開催へ向けて動き始めるのであった。

淀んだ牢獄の中で決意したこと

近衛騎士団長イグノマスの成り上がり

プロスティア帝国の辺境の貧村で生まれたイグノマスは、幼少期に希少な「槍王」の才能を発現した。

両親はその才能を伸ばすため、帝国軍駐屯地のある城塞都市へ移住する。イグノマスは軍の中で実力を磨き、守備隊、警邏隊、討伐隊と次々に功績を重ねた。

やがて第2帝国軍へ転属し、若くして部隊長、隊長へ昇進する。さらに帝国史上最年少の将軍となり、真紅のマントを許されるまでに至った。

その後、近衛騎士団へ取り立てられたイグノマスは、魔獣討伐や反乱鎮圧で数々の戦果を上げ続ける。

クラッシュクラブ一万匹の群れを殲滅し、帝都反乱計画を未然に防ぎ、さらにイビルクラーケン討伐後には近衛騎士団長へ就任した。

ギガントバラクーダ討伐

帝都近海へ出没し続けていたA級大型魔獣ギガントバラクーダは、長年第一帝国軍を苦しめていた。

イグノマスは新型魔導具を利用した追跡作戦を考案する。

発信魔導具を魔獣へ取り付け、各地の受信装置で位置を把握することで、素早く移動するギガントバラクーダを追跡したのである。

この作戦は成功し、ついにギガントバラクーダ討伐が達成された。

その功績によって、イグノマスは帝都宮殿へ帰還し、皇帝ヒューゲルから直々の褒賞を受けることとなった。

皇帝からの縁談

ヒューゲル皇帝は、これまで数々の褒賞を与えてきたイグノマスへ、さらに新たな恩賞を用意していた。

それは、東方属州アティカを治めるカマスラジナ辺境伯家への婿入りであった。

大臣や貴族たちは、平民出身のイグノマスがついに大貴族入りすると驚き、称賛する。

しかし、誰もが栄誉と考えたその縁談に対し、イグノマス本人が待ったをかけた。

ラプソニル皇女への求婚

イグノマスは、自分には心に決めた相手がいると宣言した。

ヒューゲル皇帝は、まずその相手へ想いを伝えてみよと応じる。

その言葉を受けたイグノマスは立ち上がり、自らの想い人がラプソニル皇女であると明かした。

さらに、その場で正式に求婚する。

突然の告白に、ラプソニル皇女は完全に困惑していた。

彼女は何度か武功話を聞いただけであり、恋愛関係など存在しなかった。しかしイグノマスは、初めて会った時から想い続けていたと熱弁し、ギガントバラクーダなど何体でも倒してみせるとまで宣言する。

皇帝の激怒

謁見の間は静まり返った。

ヒューゲル皇帝は、イグノマスへ厳しい現実を突きつける。

プロスティア皇家は、聖魚マクリスの血を引く存在であり、その婿となる者は、将来的に女帝を支えて帝国を共に統治する立場になる。

そこには武勇だけでなく、政治、知略、他者への配慮が求められる。

しかしイグノマスは、槍の腕なら誰にも負けないとしか答えられなかった。

それを聞いた皇帝は、槍だけで国を治められると思う愚か者だと断じ、激怒する。

牢獄への転落

ラプソニル皇女とアジレイ宰相は、イグノマスを庇おうとした。

しかし皇帝は、皇女へ軽率な接触が誤解を招いたのだと叱責し、離宮への謹慎を命じる。

さらにイグノマスには拘束命令が下された。

近衛騎士たちは、自らの団長へ槍を向けることに戸惑いながらも、皇帝の命令へ従わざるを得なかった。

イグノマスは、自分がなぜそこまで怒られているのか理解できないまま、牢へ連行されることとなった。

後にプロスティア帝国を揺るがす内乱の発端は、この瞬間から始まっていたのである。

牢獄での絶望

イグノマスは、自らの部下であった近衛騎士たちによって牢獄へ幽閉された。

水晶花の光すら届かぬ暗い牢の中、ミスリルの格子と鎖に繋がれ、食事も与えられないまま日々を過ごす。歴戦の勇士であるイグノマスでさえ衰弱し、五日目には横たわったまま動けなくなっていた。

そんな彼の前へ現れたのが、老魚人シノロム導師だった。

シノロムは、宮殿という伏魔殿では槍の腕だけでは生き残れないと語り、皇帝へ忠誠を尽くしてきたイグノマスを嘲るように笑う。

イグノマス自身も、自らの槍は通じず、主君の不興を買い、このまま死ぬのだと諦めていた。

シノロムの誘惑

しかしシノロムは、イグノマスを死なせるつもりはないと告げた。

牢の格子は既に開かれ、見張り兵は眠らされていた。さらにシノロムは、アジレイ宰相がイグノマスを待っていると語る。

その目的は、ヒューゲル皇帝を倒し、イグノマスを帝位へ就けることであった。

シノロムは、ヒューゲル皇帝はイグノマスの功績を正当に評価せず、民衆受けのためだけにギガントバラクーダ討伐を利用したと非難する。

そして、愛に生き、民を思うイグノマスこそ皇帝に相応しいと持ち上げた。

さらに、イグノマスの槍があれば、海底どころか地上世界すら支配できると囁き、そうなればラプソニル皇女も拒まないだろうと誘惑する。

ラプソニルのための決断

イグノマスは、その言葉を否定した。

力で世界を支配しても、ラプソニル皇女は喜ばないと理解していたからである。

するとシノロムは、もしイグノマスがこのまま死ねば、英雄の処刑によって帝国への不信が高まり、いずれ属州や属国が反乱を起こし、プロスティア帝国は滅びると語った。

その言葉を聞いたイグノマスは、長く沈黙する。

やがて彼は、ラプソニル皇女を悲しませることだけは許さないと条件を出し、シノロムへ自分を連れ出せと命じた。

イグノマスは、ラプソニル皇女のため、帝国を守るために立ち上がる決意を固めたのである。

過ちへの自覚

しかし、その選択は魔王軍の誘導だった。

後に再び牢へ囚われたイグノマスは、自分が槍だけで国を治められると思い込んだ愚か者だったと自嘲していた。

そんな彼の前へ現れたのが、父ヒューゲル皇帝の跡を継いだラプソニル女帝だった。

ラプソニルは、恩赦を与えるために来たと告げる。

イグノマスは確かに父を討ち、帝位を簒奪した逆賊である。しかし同時に、多くの民を救ってきた英雄でもあった。

そのため、罪を認め反省するなら国外追放で済ませるとラプソニルは提案する。

条件は、即位式で民衆へ罪を認め、自らの過ちを語ることであった。

変わらぬ想い

だがイグノマスは、その条件だけは受け入れなかった。

ヒューゲル皇帝を討ち、帝位を奪ったことは間違いだったと認める。しかし、ラプソニルを愛した気持ちだけは間違っていないと断言する。

それは今でも変わっていないのだと。

ラプソニルは、それなら処刑すると冷たく告げる。

しかしイグノマスは、お前の手で殺されるなら悪くないと答えた。

二人は長く視線を交わした後、ラプソニルは何も言わず牢を後にした。

国外追放処分

その後、イグノマスは完全な処刑ではなく、国外追放処分となった。

条件は、アレンと共に魔王軍と戦い、その戦いを終えるまで帝国外で戦い続けることであった。

こうしてイグノマスは、かつて守ろうとした帝国を離れ、罪を背負ったまま再び戦場へ向かうこととなった。

ヘルモード 10巻 レビュー
ヘルモード 全巻 まとめ
ヘルモード 12巻 レビュー

ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 一覧

『ヘルモード』第1巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 1の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
『ヘルモード』第2巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 2の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
『ヘルモード』第3巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 3の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
『ヘルモード』第4巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 4の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
『ヘルモード』第5巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 5の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
『ヘルモード』第6巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 6の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
『ヘルモード』第7巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 7の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
『ヘルモード』第8巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 8の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
『ヘルモード』第9巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 9の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
ヘルモード10の表紙画像(レビュー記事導入用)
ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 10の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。

ヘルモード11の表紙画像(レビュー記事導入用)
ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 11の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
ヘルモード12の表紙画像(レビュー記事導入用)
ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 12の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。

その他フィクション

フィクションの固定ページのアイキャッチ画像
フィクション(novel)あいうえお順

Share this content:

コメント

タイトルとURLをコピーしました