小説【魔法科】「魔法科高校の劣等生 4巻 九校戦編〈下〉」感想・ネタバレ

小説【魔法科】「魔法科高校の劣等生 4巻 九校戦編〈下〉」感想・ネタバレ

どんなラノベ?

「小説家になろう」にて公開されていたWEB作品が名編集者・三木一馬 氏から見出されての商業デビュー。
キッカケは入学編〈上〉のあとがきにも書いてあった、第16回電撃小説大賞に応募した「ドウルマスターズ」だったらしい。

偶然に偶然が重なっての商業化デビュー。
詳細は「面白ければなんでもあり 発行累計6000万部――とある編集の仕事目録」著者:三木一馬 氏にて書いてある。

そのWEB版から知ってはいたが、いつでも読めると思い横浜編までしか読んでおらず、商業化に伴いWEB版が消されてしまい続きを読むのに数年待つ事になってしまった。
さらにラノベは電子書籍でしか読まない(家屋的事情)ので紙媒体のみの発売を悔やんだ覚えもある。

あれから10年経ったのか・・・

読んだ本のタイトル

魔法科高校の劣等生 九校戦編〈下〉
著者:佐島勤 氏
イラスト:石田可奈 氏

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あらすじ・内容

白熱の魔法合戦『九校戦』の行方は!?

 九校戦中盤の目玉、新人戦。一年生のみで繰り広げられるこの競技は、第一高校の主席生徒・司波深雪の可憐かつ優雅な勝利を披露するステージでもあった。
 兄である達也も、参加選手たちが使用するCAD《術式補助演算機》の技師としてチームに参加、妹の活躍する姿に頬を緩ませていた。
 劣等生であるはずの達也が調整したCADによって、第一高校生徒の華麗なる圧勝劇が演じられる中、とあるアクシデントによって彼自身も九校戦の選手として参加する羽目になる。
 魔法による直接戦闘競技『モノリス・コード』に出場することになった達也。対戦相手は、『クリムゾン・プリンス』と呼ばれる第三高校一年生のエース・一条将輝だった。

魔法科高校の劣等生(4) 九校戦編<下>

前巻からのあらすじ

学校内でのゴタゴタがひと段落したら、今度は全国の魔法科高校との九校戦が始まった。最初は他人事のように見ていた達也だったが、、

CADの調整をする人員が少なく困っていた時に、ふうきいいんさで辣腕を奮っている達也に白羽の矢がたった。

彼のCAD調整の腕を見込まれて半ば強引に参加させられる。

そこで1科生、2科生の弊害が勃発するも達也が実力で1科生を黙らすのだが、、

彼の実力がわかる人間が少ないせいで達也が担当するのは妹の伝で1年生の女子ばかりになってしまう。

それでも2科生で初めて九校戦代表に選ばれる快挙を仲間が祝福する。

感想

CADの整備する役目で九校戦代表になった達也だったが、彼が調整した選手が軒並み優秀な結果を出して達也は注目される。

特に三高の一条と吉祥寺が達也の特異性に気がついて彼を警戒していたが、あくまでもCADのエンジニアとしてのみだった。

そんな時に、新人戦のモノリス・コードで犯罪者組織の暗躍で大事故が発生。

その事故で大怪我をした一年生の男子に変わり、達也は競技にも出場させられる事になる。

最初は頑なに出場を断っていたが、出場を決めるとチームメイトにレオと幹比古を仲間に引き摺り込む。

顔を引き攣られせながら準備に勤しむ兄貴の後ろで満面の笑みを浮かべる妹。

順調にモノリス・コード予選を突破して、三高と決勝戦を戦う事になったのだが、、

ステージは三高の一条に有利な平原が選択されたが、達也は一条とタイマン。

幹比古は吉祥寺と対戦。

大苦戦の末に達也は、十師族の跡取りの一条将暉を観衆の下で倒してしまう。

こんな有望な魔法師は放置出来ないと、達也は十文字から七草家の婿候補となれるぞと聞かされてしまうが、達也は興味がないと言う。

さらに裏で九校戦に介入して来たマフィアを軍と公安の協力して貰いながら壊滅する。

誰だコイツを劣等生と評価した奴は!?

責任者出て来い!!ww

最後までお読み頂きありがとうございます。

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備忘録

7

九校戦三日目、男女ピラーズ・ブレイクと男女バトル・ボードの決勝が行われる。第一高校からは男子ピラーズ・ブレイクと男女バトル・ボードに各二人、女子ピラーズ・ブレイクに一人が勝ち残っていた。摩利のバトル・ボードのレース中、予期せぬ事故が発生し、彼女は意識を失う。達也は急いで摩利のもとへ駆けつけ、彼女を病院に運び、治療を手伝う。摩利が目を覚ますと、彼女は病院にいることを知り、レースの結果や自分の状態について尋ねる。レースは中断され、摩利は肋骨を折っていたが、全治一週間で日常動作には支障がない状態だった。

真由美は摩利に、レース中の事故が第三者による不正な魔法干渉の可能性があることを告げる。達也は大会委員会からビデオを借りて水面の波動解析を行う予定で、その結果が九校戦全体に関わる重要な問題かもしれないと指摘する。摩利はその情報を静かに受け止め、真剣に考え込む。

深雪がドアを開けると、上級生の男女、五十里先輩と千代田先輩が訪れた。達也は彼らを迎え、検証作業を進める。五十里先輩は脳波アシスト付モノクル型視線ポインタを使い、二人はビデオ映像とシミュレーション映像を分析する。事故の原因を探求し、第三者の介入を疑う。水面陥没の原因が外部ではなく、水中にあることを示す不明な力が見つかる。魔法師が水路内に潜んでいるという荒唐無稽な仮説と、精霊魔法の可能性について議論する。達也はクラスメイトの吉田と柴田を呼び、彼らの専門知識を借りて謎を解くために協力を求める。九校戦での不正行為とCADに細工された可能性を指摘し、大会委員に工作員がいるという衝撃的な推測をする。最終的に、CADが大会委員に引き渡される過程で細工が施された可能性に気づくが、具体的な手口は不明のままである。達也と深雪は警戒を怠らないことを決意する。

第一高校は三日目の成績で男女ピラーズ・ブレイクで優勝し、男女バトル・ボードでそれぞれ二位と三位の成績を収めた。第三高校も好成績であり、両校のポイント差は縮まっていた。大会前、摩利は新人戦のポイントが総合順位に大きく影響しないと達也に伝えていたが、予想とは異なり、新人戦の結果が重要になっていた。達也は真由美から呼び出され、深雪も同様に呼ばれていた。二人は重要な相談を受けるためにミーティングルームに向かった。

真由美は、新人戦を犠牲にしても本戦のミラージ・バットに戦力を注ぎ込むべきだとする作戦スタッフの結論を伝えた。深雪は摩利の代役としてミラージ・バットに出場し、達也はその担当エンジニアを務めることになった。これは、補欠が用意されていなかったことや、深雪が事前に練習を積んでいたことなどから、彼女が代役として選ばれた理由だった。摩利は達也の妹なら本戦でも優勝できるだろうと提案し、達也はそれを可能だと返答した。深雪は恥じらいながらも、代役を引き受けることに同意した。

8

大会の四日目からは、本戦が一旦休みとなり、五日間にわたって一年生のみで行われる新人戦が始まる。現時点で第一高校が三百二十ポイントで一位、第三高校が二百二十五ポイントで二位となっており、新人戦の成績によっては逆転の可能性もある。新人戦のポイントは総合順位に加算され、一年生にとっては栄誉なことである。今日の競技はスピード・シューティングとバトル・ボードの予選が行われ、特にスピード・シューティングは午前中に女子、午後に男子の競技が一気に決勝まで進む。エンジニアは選手のCADを試合間に調整する重要な役割を担い、同一競技で同じ学校の選手が重ならないようにスケジュールが調整されているが、重なる場合はメインとサブのエンジニアがつくこともある。

達也の担当は女子スピード・シューティング、ピラーズ・ブレイク、ミラージ・バットの三種目であり、これは一年生男子選手からの反発や女子選手からの強い要望によるものである。深雪はピラーズ・ブレイクとミラージ・バットに出場し、ほのかの出場種目はバトル・ボードとミラージ・バットに決まった。これは作戦上の要因と個人の希望、友人たちの口添えによるものである。ほのかは試合時間が重ならないことを強調するが、達也は時間的に可能であってもチーム事情により担当替えは無理であることを示唆する。今日は深雪がほのかの支援をしないため、達也はレースを傍で観ることを約束する。

スピード・シューティング専用のCADを手渡し、達也は雫に最終チェックを指示する。CADの交信機能が重要であり、トラブルがあれば予備機への交換やバグの修正が必要である。雫は万全のコンディションであると達也に報告し、彼女のCADメンテナンス契約を再度提案するが、達也はライセンス取得後に考えると答える。雫は大富豪の家庭に生まれ、現在この国で五指に入る魔工師にCADメンテナンスをしてもらっている。達也と雫は試合前の作戦を確認し、互いに頑張ることを約束する。

観客席では、深雪が仲間たちの間に加わり、ほのかの緊張を和らげようとする。ほのかは選手として午後のレースに出場予定であり、過度に緊張している。深雪と他の友人たちは、試合を忘れて雫を応援しようと励まし、ほのかを支える。美月の気遣いによる質問に、ほのかは緊張を隠せずにいた。

一年生たちの初々しい一幕から離れた場所で、生徒会プラス風紀委員長の三年生トリオが会話を交わしていた。真由美は音声通信用のレシーバーを耳に装着し、外出しても問題ないと説明する。この日、鈴音は女子スピード・シューティングの担当で、達也がその競技用CADの調整を一手に引き受けていたことが話題に上がる。選手団からの評価が高い達也の技術について、三年生は興味津々であった。また、達也が競技用CADを使った選手から私用のCAD調整の依頼を受けていることが明らかにされ、その人柄についても言及される。

達也は、自分の「ファンを増やしている」という話を聞いたら否定するだろうという話題も出るが、彼は雫が参加するシューティングレンジに集中していた。達也には特別な情報構造を読み取る力があり、自分が調整したCADに少しでも変化があれば、その結果を認識することができる。雫が競技に臨む姿を見守りながら、彼は安堵の思いを抱いていた。

スピード・シューティングの試技中、雫は領域内に存在する固形物に振動波を与える魔法で標的を砕いている。得点有効エリア内に震源を設定し、標的に仮想的な振動波を発生させて崩壊させる仕組みである。三年生トリオもこの話題について語り合い、達也が調整したCADの仕組みについて解説がなされる。この魔法は精度を犠牲にして速度を上げることを狙いとしており、選手はCADの補助に従ってポイントを設定するだけで標的を破壊することができる。試技はパーフェクトで終了し、魔法の固有名称は「能動空中機雷」であることが明らかになる。摩利はこの魔法を全方位に有効なアクティブ・シールドとして応用することに興味を示し、真由美との間で技術的な議論が交わされる。

達也はシューティングレンジから戻ってきた雫にタオルを渡し、労いの言葉をかけた。予選突破ラインは命中率八十パーセント前後だが、雫は全ての標的を破壊し、容易に決勝トーナメント進出を決めた。雫は、有効エリアの全域ではなく、外縁部をかすめるように設定された死角を利用していたが、予想通りに標的は適切な軌道で飛んできたため、問題はなかった。

予選と決勝トーナメントでは試合形式が異なり、予選は魔法の速度と確実性を競うが、決勝トーナメントでは相手の魔法に邪魔されずに標的を破壊する干渉力とテクニックが求められる。達也は雫に対し、決勝トーナメント用のCADの感触を確かめておくように指示した。

一方、真由美はスピード・シューティングの予選結果を見て、一年女子のレベルの高さに驚いた。予選二十四名の中から八名が決勝トーナメントに進出し、その中に同じ学校からエントリーした三名が含まれていることが珍しいと指摘される。また、バトル・ボードの結果も確認され、男子は二レースで予選落ちしたが、女子は予選突破が確実であることが話された。克人は技術者の育成に力を注ぐべきかもしれないとコメントした。

スピード・シューティングの準々決勝では、四つのシューティングレンジが使用され、同じ学校の選手が含まれている場合は試合が重ならないよう時間調整が行われる。第一高校女子チームから三名が準々決勝に進出したため、達也は忙しい準備を強いられていた。雫は達也から最終チェックを受け、予選で使用した機種とは異なるCADに違和感がないか確認される。雫は達也の準備に信頼を寄せ、優勝する決意を固める。

観客席では、雫の試合を前にして、美月が緊張し、深雪から落ち着くよう励まされる場面がある。幹比古は雫が持つCADについて、汎用型の可能性を指摘する。そのCADは達也のハンドメイドで、照準補助システムを利用するために特別に製作されたものであることが明らかにされる。エリカはその事実に驚愕し、試合のために特別なCADを作る達也の技術力に感嘆する。競技開始のシグナルが点り、観客の注目が試合に集中する。

スピード・シューティングの準々決勝で、雫は特定の空間内に紅のクレーを収束させる魔法を使用し、有効エリアの中央でクレーを砕く戦術を採用した。この収束系魔法は、紅のクレーの密度を高める一方で、白のクレーの密度を低下させ、対戦相手の攻撃を妨害する効果がある。この魔法により、紅のクレーが中央部に集まりやすくなり、白のクレーが的を外しやすくなる。雫の戦術は、相手の妨害と標的の破壊を組み合わせたものであり、高い事象干渉力を必要とする。彼女の使用するCADは、特化型に劣らない処理速度を持つ汎用型であり、特定の魔法に限定することで高速処理を可能にした。雫はこのCADを使い、パーフェクトスコアで勝利を収めた。

正午に第一高校の天幕では、スピード・シューティングの一年生女子チームが、一、二、三位を独占したことで浮ついた雰囲気に包まれていた。達也の功績が大きく貢献したことが認められ、彼に対して称賛の声が上がっていた。特に、雫が使用した新種魔法「能動空中機雷」は、国立魔法大学からインデックスに正式採用される可能性があると鈴音から発表され、そのニュースには驚きの声が上がった。一方、達也は自身が開発した魔法を使えないため、開発者として名前が登録されることを望んでいなかった。

第三高校では、一高の女子チームが上位を独占した事実が波紋を呼び、その成功が選手の個人技能だけでなく、エンジニアの技術によるものであることが推測された。特に、雫が使用したデバイスが汎用型でありながら特化型にも劣らない性能を発揮していたことが注目され、その技術が最新であることに驚きと畏怖の声が上がった。三高のチームは、今後一高との競技ではデバイス面でのハンディキャップを受け入れ、それに対処する必要があると考えていた。

ライバル校の選手に非凡な才能を持つ達也は、気づかぬうちに注目されていた。彼は女子バトル・ボードのコースで、ほのかのレースを待っていた。そこであずさと出会い、少し和やかなやり取りを交わす。達也はほのかのレースまで時間があるため、早く来すぎたことを説明し、その間に何か手伝えることがないかと提案する。ほのかは達也に自分のCADを見てもらいたいと頼む。達也はバトル・ボードのレースに向けて特別なゴーグルを提供し、光学系魔法を水面に仕掛ける独創的な作戦を立てていた。その作戦により、レース開始直後に他の選手が眩しさで視界を失い、ほのかが先頭に立つことができた。この作戦はルール違反ではなく、大会委員にも認められていた。

この快挙に対して、真由美たちは驚きながらも達也の工夫と独創性を高く評価する。摩利は、自分が思いつかなかった作戦に対して少し嫉妬していたが、その才能を認めざるを得なかった。一方で、この作戦が次の試合にどう影響するかについての疑問が浮上するが、達也がそれを考慮していないはずがないとの信頼が示された。

ほのかがバトル・ボードのレースで勝利した後、達也は彼女の勝利を祝うも、自分の戦略が彼女に悪影響を与えたかもしれないと苦悩していた。達也と深雪は、ほのかが他の選手から目立ちすぎることで不利になる可能性を案じていたが、あずさはその心配を笑い飛ばし、彼女たちがすでにマークされていることを明かした。水路から上がったほのかは達也に感謝を伝え、達也は彼女の感情表現に戸惑いながらも彼女を慰めようとする。ほのかは自分がいつも本番で弱いと話すが、雫はその話が小学校の頃のものであることを達也に示す。達也はほのかの勝利を彼女自身の力と認めながらも、彼女の過剰な感謝に対して複雑な心境を抱いていた。

ほのかがバトル・ボードで勝利したことに対して、達也は彼女の目立ちすぎる行動が今後の競技において不利になるかもしれないと懸念している。一方で、一高の幹部は男子スピード・シューティングの成績に失望し、チームの士気や今後の戦略について危機感を抱いている。深雪の競技前夜、達也は彼女を注意し、睡眠不足がパフォーマンスに悪影響を与えることを指摘する。深夜に深雪との会話で、達也は彼が『インデックス』への名前登録を避けている理由を明かし、それが四葉家との関係に起因していることを説明する。深雪は達也に支持を表明し、彼の味方であることを強調する。この深夜の会話は、二人の信頼と絆を強化し、達也が四葉家の影響下にある複雑な立場を受け入れながらも、自分の道を進む決意を新たにする瞬間を描いている。

九校戦の五日目、新人戦二日目の朝、達也は新人戦アイス・ピラーズ・ブレイク競技場前で準備を観察していた。その後、彼は深雪と共に控え室へ向かい、早く到着していた明智英美(アメリア=ゴールディ)と再会した。明智は前日のスピード・シューティングにも出場しており、今日も達也と組むことになっていた。達也は彼女の特化型CADをチェックし、微調整を行った。彼は明智が寝不足であることを見抜き、試合への影響を懸念して対策を講じる。達也は感覚遮断カプセルを使用して明智が試合前に休息を取れるよう手配することを深雪に依頼した。この一連のやり取りは、達也の責任感とチームメイトに対する配慮を示している。

第一試合で明智英美は勝利し、現在深い眠りについている。ピラーズ・ブレイクの二試合目では、雫が振袖姿で出場することに達也は懸念を示すが、雫は問題ないと返答する。この競技では選手の服装は競技結果に影響しないため、雫の和装は彼女の気合を示すものである。試合が始まると、雫の奇抜なスタイルが観客の注目を集めるが、彼女は平然と競技に臨む。ほのかは深雪が出場する試合を観戦しようとしない理由を尋ねるが、深雪は対戦する可能性があるため、手の内を盗み見ることは避けたいと説明する。ほのかは入学試験で深雪の圧倒的な魔法の才能に衝撃を受け、達也の魔法も美しいと感じたが、彼が一科生ではないことに失望し、敵意を抱いてしまったことを思い出す。

北山花音のアイス・ピラーズ・ブレイクの試合が始まる。彼女は普通のCADを使用し、観戦している真由美と摩利は彼女の戦術に注目している。試合では、雫の氷柱が相手の攻撃を受けるが、全く動じない。これは情報強化という魔法により、対象物のエイドス(情報体)の可変性を抑制し、攻撃を無効化していたためである。この戦術は正攻法としては一般的でなく、特に干渉力が強い魔法師には領域干渉が通常採用されるが、雫は情報強化を選択。その間に、敵陣の氷柱を共振破壊の応用で破壊する高度な技術を見せる。これは地面を媒体にして柱に直接魔法を仕掛けないことで対抗魔法を避け、共鳴点を探り出している。この技術は達也の指導によるものと推測されており、彼の魔法の振動数制御の技術が背景にあると見られる。

雫のアイス・ピラーズ・ブレイクの試合では、彼女の状態は良好であり、モニターのバイオリズム曲線は軽い疲労を示しているのみである。彼女は『情報強化』と『共振破壊』の魔法を練習以上にスムーズに使いこなしている。『共振破壊』は、雫が独自に練習し、達也が工夫した部分である。試合は雫の勝利で終わり、相手選手は全力を注いだ最後の攻撃で一本の氷柱を倒すが、それは形式上のものであった。一方、深雪の試合は一日の最後に行われ、彼女は和装で登場し、観客から大きな反響を得る。達也は深雪の装束に関して、雫の振袖とは異なり、何の疑問も示さない。彼の感性について、他の人々は疑問を感じるが、達也はそれに対して「日本人だから」と答える。彼のこの態度は、客観的に見ても不一致があると感じられる。

舞台裏の事情に気づかず、深雪は試合開始の合図を静かに待っていた。彼女は過度の気合でフライングしないように心がけており、その様子は外から見ると静謐なたたずまいと映る。試合が始まると、深雪の放つ強烈な魔法はフィールドを二つの季節に分け、敵陣の氷柱を融解させる一方で、味方陣は氷の霧に覆われる。深雪の使った魔法『氷炎地獄』は、熱エントロピーの逆転をもたらし、高難度の技術を要する。試合後、第一高校の夕食時には、男子生徒たちは落胆し、女子生徒たちは深雪の勝利を祝福していた。女子生徒たちは達也の担当した技術のおかげで良い成績が出せたと賞賛し、達也はそれに対して苦笑いする。一方で、森崎は食堂を後にし、その行動には周囲も気を止めた。

横浜の中華街で、高価な中華料理フルコースのテーブルを囲む男たちが、新人戦の結果について英語で話し合っている。第三高校が有利と見られていたが、第一高校が優勝しそうな状況に不満を漏らす。これらの男たちは胴元であり、大きな損失を抱えることになり、ボスによる粛清の恐れがあると危惧している。

新人戦は今年から男女別に分けられ、女子の競技への一般客の関心が高い。達也と深雪は、第三高校の生徒、一条将輝と吉祥寺真紅郎に遭遇する。彼らは達也に対して敵意を隠さず、将来的な対戦を示唆するが、達也は彼らを真剣なライバルとして捉えていない。深雪は達也が自己評価が低すぎることを諫め、他校が達也の技術に対抗心を燃やしていることを認識すべきだと指摘する。

バトル・ボード女子準決勝では、ほのか含む全選手が眩惑魔法対策として濃い色のゴーグルを装着していた。エリカと美月はこの対策について議論しているが、達也の戦略は単にゴーグルを使わせることではなく、水路に明暗を作り、視界が暗くなっている選手が暗い面に入らないようにしてコースを狭く使わせることだった。これにより、相手選手の実力を発揮させない戦術をとっていた。

一方、新人戦女子ピラーズ・ブレイクでは、第一高校が決勝リーグを独占。大会委員会からは、決勝リーグを行わず三人を同率優勝とする提案があったが、英美は棄権を選択し、雫は深雪との競争を望んだ。結果として、深雪と雫で決勝戦が行われることになった。

新人戦女子ピラーズ・ブレイク決勝リーグは、深雪と雫の間で行われ、観客席は超満員であった。試合は、互いの魔法をブロックしながら攻撃を仕掛け合う、技術的に高度な展開が見られた。雫は特化型のCADを使用して深雪に挑むが、深雪の冷却魔法『ニブルヘイム』により、最終的に雫の氷柱が倒され、深雪が勝利した。

その後、バトル・ボードで優勝したほのかは、雫とともにティーラウンジで深雪と達也に会い、雫は試合の反省をしながらも達也に感謝を表した。深雪は達也に自分を負かす意図を問うが、達也は二人に最善を尽くしたと答えた。試合後の空気は和やかで、達也は優勝と準優勝を祝ってほのかと雫の食事をご馳走することにした。

大会七日目、新人戦四日目はモノリス・コードの新人戦予選リーグが行われる日であるが、観客の関心はミラージ・バットに集中していた。この競技は女子のみを対象とし、カラフルで華やかなコスチュームが特徴である。達也は、自分が他校から注目され、警戒の的になっていることを里美スバルから指摘された。彼女は一科生で、達也とはそこまで親しくないが、鋭い観察眼を持っている。達也は自分が担当したCADを使用しているスバルが予選を勝ち抜くことを確信していた。

ミラージ・バットは予選六試合と決勝戦を行い、競技時間は九校戦中で最長である。選手は長時間、空中での活動を強いられ、スタミナ面で苛酷な競技であるため、予選と決勝の間に長いインターバルが取られている。この競技は本来ナイターで行われることが多く、そのための照明設備が整備されている。

達也は仮眠を取るためにホテルに戻り、ミラージ・バットの予選に出場するスバルとほのかが勝ち進むことを願っていた。彼は、一高のモノリス・コードの次の試合も順調に進むことを期待しながら、睡眠についた。

昼寝から覚めて競技エリアに戻った達也は、第一高校の天幕を中心に会場全体が動揺しているのを感じた。深雪と雫が達也に近づき、モノリス・コードでの重大な事故について報告した。四高の選手による故意の過剰攻撃があり、森崎たちが重傷を負ったという。この攻撃はルール違反であり、真由美は冷静に対応を呼び掛けたが、達也は事故が計画的なものであることを疑った。

真由美は達也に、この事件が先日のテロリスト事件の報復ではないかと心配していたが、達也は別の犯罪シンジケートの仕業だと説明し、真由美の心配を和らげた。達也はさらに、森崎たちの代わりにモノリス・コードに出場する選手を見つけることの難しさや、不正が行われたことを大会委員会に訴える戦略を考えていた。

最後に、中華街の某ホテルで、男たちが第一高校がモノリス・コードを棄権するしかないと話し合っている場面が描かれている。これにより、第一高校が大きな不利を被ることが示唆されている。

達也は、新人戦ミラージ・バットの決勝戦に備えてCADの調整に取り組んでいたが、具体的に一年生の女子選手たちにどのように協力すれば良いのか分からなかった。しかし、彼の平常心が、特にほのかを含む周囲の女子選手たちに精神的な安定を与えた。結局、ほのかとスバルがミラージ・バットでワンツーフィニッシュを果たし、達也はその成功を受け、ミーティング・ルームへ呼び出された。

ミーティングでは、第一高校の幹部たちが達也に対し、モノリス・コードにおいて森崎たちの代わりに出場してほしいと依頼した。達也は一度は拒絶の姿勢を示すが、克人からの強い説得により、代役を受け入れることになった。その後、達也にチームメンバーの人選権が与えられ、彼はクラスメートの吉田幹比古と西城レオンハルトを選んだ。達也はこの二人を選んだ理由として、彼らの実力と自分が良く知っていることを挙げた。

達也は、レオと幹比古にモノリス・コードの代役を引き受けさせた後、今後の段取りを説明するために、彼らを引き連れていた。レオと幹比古は突然の抜擢に戸惑い、準備が全くできていないと心配するが、達也はCADの調整を自ら行うと reassures them。達也の計画は、彼の規格外の技術で支えられ、彼はレオに特殊な武装デバイスを、幹比古には古式魔法の効率化を提案する。達也の技術は、幹比古の魔法のアレンジを通じて特に際立ち、あずさは達也の技術レベルが高校生を超えていることに気付く。達也は、レオのCADと武装デバイスを一時間で調整し、その後、幹比古のCADの調整にも同様に成功する。達也の行動は、彼がただの高校生ではなく、非常に高いレベルの技術を持つことを示している。

10

新人戦の五日目、第一高校の代理チームが登場し、その特異なメンバー構成と戦術が注目を集めた。前日のモノリス・コードでのルール違反により、第一高校は代理チームを立てて試合を続行することが認められた。代理チームには技術スタッフや新たに招集されたメンバーが含まれ、彼らの異例の参戦は他校からの困惑を招いた。特に、レオが腰に差した「剣」が武装一体型のCADであることや、達也の二丁拳銃スタイルと右腕のブレスレットが話題となった。達也はその技術で敵チームの攻撃を解体し、勝利へ導いた。また、幹比古は精霊魔法で敵を混乱させ、レオは武装デバイス『小通連』を駆使して対抗した。彼らの活躍により、第一高校は決勝トーナメント進出を果たしたが、摩利と真由美は喜びよりも複雑な感情を抱いていた。一方で、一高の女子選手たちは大いに喜び、応援席は勝利の興奮で満たされた。

一高対二高の試合は、短いインターバル後に開始された。将輝と吉祥寺は、先の試合で達也が見せた技能について話し合い、彼の戦闘技術と魔法技能を分析した。彼らは達也の魔法力に対しては特に「術式解体」以外は警戒する必要がないと結論付けたが、戦術と駆け引きには注意が必要とした。一方、一高の控え室では、幹比古が次の試合への緊張を抱えていた。達也は準備を進め、市街地ステージでの試合に備えた。試合では、レオと幹比古が達也のサポートを行い、達也の戦術が一高の勝利に貢献した。試合後、摩利は達也の戦い方に対して疑問を投げかけ、真由美は達也の限られた準備時間と戦術に対する理解を示した。観客席では、達也の技能について詳細な分析が交わされ、彼の魔法技能の深さについて考察された。エリカは幹比古の成長と回復に気付き、彼の自信の回復を願った。

決勝トーナメントの組み合わせが発表され、第一高校は第九高校と対戦することになった。トーナメントの開始は正午で、達也たちは第二試合に出場する。達也は深雪と共にホテルへ戻り、昼食をとった。その後、ロビーで摩利と彼女の年上の恋人と思しき人物、千葉修次に遭遇した。修次は「千葉の麒麟児」として知られ、魔法白兵戦技の英才である。エリカが修次に対して厳しく追及し、摩利への不満をぶつけた。達也たちはこの一幕を偶然目撃し、その後、エリカと美月が達也たちの部屋で昼食を共にした。エリカは修次のことを「バカ兄貴」と呼び、深雪からはブラザー・コンプレックスと指摘された。試合前にレオと幹比古と再会した達也は、少し気疲れした様子だったが、試合への意気込みを新たにした。

試合が始まると、三高と八高の対戦は一方的な展開になった。三高の一条将輝は、独りで「岩場ステージ」を進軍し、八高の攻撃を容易く無効化した。達也は将輝の技量を高く評価し、その実力を褒め称えた。将輝は「干渉装甲」や収束系の「偏倚解放」といった技術を駆使し、八高のオフェンスを撃退した。この試合で三高は、将輝以外の選手が一歩も動かずに勝利した。

一方、九高校との試合は「渓谷ステージ」で行われ、幹比古の独擅場となった。彼は霧を用いて九高の視界を奪い、達也が容易に九高陣地へ侵入し「鍵」を撃ち込むことを可能にした。この霧は幹比古がコントロールする精霊によるもので、一高は戦闘を交えることなく勝利を収めた。

決勝戦の準備中、幹比古はホテルの展望室でエリカと出会い、富士山の気吹を感じ取る訓練をする。エリカは幹比古に、彼が以前と同じように、事故前の「吉田家の神童」として魔法を使えていること、そしてそれ以上の実力を持っていることを告げる。幹比古は自分が回復していることに気づかされ、エリカの言葉に安堵する。

達也は決勝戦前に遥から電動バッグを受け取り、中には特殊なマントとローブが入っていた。これらには魔法が掛かりやすくなる効果が付与されており、達也はこれを使用して決勝戦に臨む予定である。また、達也は遥に「ノー・ヘッド・ドラゴン」の情報収集を依頼した。一方、三高と一高の反応は決勝戦のステージが「草原ステージ」に決定したことで対照的であった。三高は有利なステージと捉え、一高は遮蔽物の少ないフィールドでの戦いに不安を感じていたが、達也は一条選手が自分を意識し過ぎていることを利用し、接近戦に持ち込むことで勝機を見出すことを計画していた。達也は特殊な装備と自信を持って決勝戦に挑む。

新人戦モノリス・コード決勝戦において、異様な衣装で登場した一高の選手たちに観客は戸惑いつつも、その意図が気になっていた。達也はチームメイトたちと共に特殊な戦術を用い、観客と対戦相手を驚かせる。試合は魔法による激しい攻防が繰り広げられ、達也は一条将輝の攻撃を「術式解体」で撃ち落としつつ、自身も大ダメージを受ける。しかし、彼の自己修復能力により迅速に回復し、最終的には音波の増幅による攻撃で一条を戦闘不能に追い込む。一方、幹比古は精霊の力を借りた魔法で敵を翻弄し、最後はチームメイトの援護もあり三高を倒す。

試合後、一高は勝利を収め、その場は温かな拍手に包まれる。達也と彼のチームメイトたちは勝利を喜びつつも、戦いの疲れと共に、それぞれの成長と経験を感じ取っていた。試合を通じて、技術や魔法力だけでなく、身体の強靭さや精神力が勝利に大きく寄与したことが明らかになる。そして、達也たちの健闘を称える観客の拍手は、彼らの絆と努力を讃えるものであった。

11

新人戦優勝を果たした一高のパーティーは、総合優勝を決めるミラージ・バットの準備に集中するため、先送りにされた。一高は既に大きなポイント差で三高をリードしており、ミラージ・バットの結果次第で総合優勝が決定する可能性があった。選手たちは、コスチュームやCADの調整に忙しく、休む暇もなく準備に励んでいた。達也は右耳の鼓膜破裂を医務室で治療した後、自己修復術式で完治させたが、チームメンバーへの配慮からそれを隠していた。

一方で、一高の優勝を恐れる者たちは、不正な手段で一高の選手がミラージ・バットで棄権するよう画策していた。狂気に満ちた計画が進められる中、大会の天候は曇天で、ミラージ・バットには逆に好条件であった。達也は深雪を守る決意を新たにし、もし何かが起こっても彼女を守ることに全力を注ぐと語った。二人の間には、固い絆があることが伺える。

深雪の出番が第二試合に決まり、達也と深雪は第一試合を観戦した。第一試合は接戦となり、小早川がわずかな差でトップに立った。エリカと美月は観客席で試合を見守り、美月は霊子放射光過敏症を理由に通常はかけているメガネを外していた。美月は、自分の力に向き合い、魔法科高校で学んでいることの大切さをエリカと共有する。第二ピリオドが始まり、小早川は落下する危機に直面し、大会委員による減速魔法で辛うじて救われたが、心に深い影を落とす出来事となった。

その後、達也は不正工作を行った大会委員を取り押さえ、九島老人によって事態が収束された。九島老人は検査装置に紛れ込んだ異物が電子金蚕であることを指摘し、検査係が不正を行ったことを明らかにした。達也は競技場に戻り、九島老人との最初の直接遭遇を経験する。

達也が第一高校の本部に戻った際、彼に対する視線が微妙に変化していることを感じ取る。ただ一人、彼を忌避しない深雪は、達也が自分のために怒ったと感謝する。達也は、深雪のために本当に怒ることができると語り、彼女の涙を拭う。その後、達也に対する周囲の視線が再び変化し、生徒会長の真由美が彼を迎える。達也はエンジニアに割り当てられた作業室へ逃げ込む。

夜明け前から曇った空は、二試合目の始まる九時半になっても晴れる気配がない。達也と深雪の会話は、彼らが予選を通過し夜の決勝へ進むことを前提としている。一方、あずさは達也のことを考え、一科生と二科生の間の区別や自分の位置づけについて疑問を抱く。達也が不正な工作を加えたCADを持つ係員を取り押さえた事件を聞き、彼の決断力と責任感に驚く。

真由美は、達也のレベルが高いことを認めつつも、全ての面で彼に勝っているわけではないとあずさに語る。また、一科生と二科生の区別が実技の授業の都合上であり、制服の違いは制服の発注ミスから生じた勘違いが原因であることを明かす。この話は深雪には内緒にすることになる。

ミラージ・バットの試合において、深雪は特別なコスチュームとメイクで観客を魅了し、兄の達也から特別なサポートを受ける。試合開始と同時に、彼女は軽やかに舞い上がり、競技に臨む。深雪が着用する濃いマゼンタのコスチュームは、彼女の美貌を際立たせ、観客の注目を集める。試合中、深雪は達也が準備した特別なCADを使用し、飛行魔法のような技で空中を舞い、試合を圧倒する。この驚異的なパフォーマンスにより、彼女は大差で決勝への進出を決める。

一方、達也と深雪に対して危険な計画を持つグループは、彼女の飛行魔法の使用に驚き、さらなる対策を講じることを決定する。彼らはより強硬な手段を取ることに賛成し、大会を中止に追い込むために必要ならば多数の犠牲者を出すことも厭わない構えを見せる。この計画には、組織の制裁を恐れる声もあるが、最終的には行動を起こすことで合意する。

興奮の余韻が残る中、一人の男がスタンドから立ち去り、自己加速魔法を使って他の観客に攻撃を加えた。この男、「ジェネレーター」十七号は、独立魔装大隊大尉・柳連によって制御され、藤林響子に確保される。十七号は特殊な薬品と手術によって感情や意思を除去され、純粋な戦闘機械として機能するよう調整されていたが、柳連と真田繁留の技には敵わなかった。一方、達也はホテルで深雪と共に穏やかな時間を過ごし、彼女が決勝戦に臨むための準備を整える。

ミラージ・バット決勝戦では、深雪を含む六人の選手が飛行魔法を使用し、夜空を舞う。この技術は達也が開発したもので、他校も短時間で術式を習得していたが、深雪は達也の信頼とサポートに支えられ、他の選手を圧倒する。最終的に深雪は見事なパフォーマンスで優勝し、一高の総合優勝も確定する。この試合では、飛行魔法の安全性も証明され、深雪の舞は観客を魅了した。

12

第一高校が九校戦の総合優勝を決めた後、祝賀パーティはモノリス・コード決勝トーナメントの翌日に延期された。その代わり、深雪を中心にしたプレ祝賀会が開催され、女性選手やスタッフが参加し、男子生徒もわずかに参加していた。達也は参加しておらず、その理由について話題が出たが、彼は既に疲れて休んでいたとされる。エリカや他の生徒間での小さな交流や会話が描かれている。

達也はホテルを抜け出し、遥という女性と密会し、地図データなどを交換した。達也はその後、藤林と合流し、戦略的な準備を進めていた。

一方で、風間少佐は九島老人と会談し、司波達也の現状と彼の持つ特別な魔法能力について語り合っていた。達也が既に軍の重要な戦力であり、一条将輝とは異なる格の戦力であること、そして彼の魔法が戦略兵器に匹敵することが強調されている。

藤林が運転する電動車で、達也と共に横浜市内にある横浜ベイヒルズタワーに到着した。この超高層ビルは、横浜港を一望できる複合施設であり、日本魔法協会関東支部が置かれている。二人はこのビルを訪れ、非常口からハッキングを駆使して内部に侵入した。

一方、横浜グランドホテルの最上階では、香港系国際犯罪シンジケート「無頭竜」の東日本総支部が引越しの準備を進めていた。この部屋は犯罪活動の指令室として使われており、重要な極秘帳簿を持っているため、幹部たちが自ら荷造りをしていた。

達也と藤林は、横浜ベイヒルズ北翼タワーの屋上から無頭竜の活動拠点に対して達也の特殊な魔法「分解」を発動し、ジェネレーターと呼ばれる魔法発生装置を含む犯罪組織の幹部たちを元素レベルに分解した。その過程で、藤林は通信システムをハッキングし、達也が無頭竜に対して音声通信を開始した。

無頭竜の東日本総支部の幹部たちは、突如として自分たちを守るはずの魔法のフィールドが消失し、仲間が次々と消滅する様子を目の当たりにする。この攻撃を仕掛けているのは、遠くの高所から魔法を使う達也であった。達也は無頭竜に対して通信を行い、彼らが計画した大量殺人を阻止した事実を告げるも、自分たちが誰も殺していないと主張する無頭竜幹部に対して、達也は彼らが自分の逆鱗に触れたことが消滅の理由であると述べる。彼らが達也の感情を引き出したおかげで、「悪魔の力」を解き放つことができたと言い、達也は無頭竜幹部たちを次々と消滅させていく。最後には、無頭竜首領の側近であるダグラス=黄も達也の手によってこの世から消し去られた。

13

九校戦の最終日が迎えられ、モノリス・コードの決勝トーナメントが行われる予定である。試合終了後には表彰式と閉会式があり、その後には親睦を深めるパーティが開催される。第一高校の選手たちは、静かに決戦の時を待っている。達也は風間の部屋を訪れ、そこで藤林と共に朝食をとりながら待っていた。彼らは昨夜、無頭竜との闘いで重要な情報を得る任務を果たし、その結果について議論する。無頭竜が供給源である「ソーサリー・ブースター」は、人間の脳、特に魔法師の大脳を使用して製造される魔法増幅装置であることが明らかにされ、その非人道性と軍事的脅威について話し合われる。達也と風間たちは、ソーサリー・ブースターの製造と使用を止めるために行動していたのであった。

達也が応援席で空席を探していると、深雪から氷の礫が飛んできて、彼は彼女の近くの席に座ることになった。モノリス・コードの決勝トーナメント第一試合は、第一高校対第九高校で行われ、一高の選手たちはいつも通りの姿で試合に臨んだ。服部は複数の魔法を巧みに組み合わせ、九高の選手たちを圧倒。特に彼の魔法の使い方は、技術の高さを示しており、達也は服部の実力に改めて驚かされた。試合は一高の圧勝で終わり、達也と深雪たちは次の試合を待つ間、アイスクリームを食べに行くことにした。達也は一時的に高校生活を楽しむことに決め、犯罪シンジケートのことを忘れて過ごすことを選んだ。

モノリス・コード決勝戦は「渓谷ステージ」で行われ、第一高校は第三高校と対戦した。この試合は一方的な展開で、第一高校の克人が圧倒的な防御と攻撃を見せつけた。克人は多重防壁魔法『ファランクス』を使用し、あらゆる攻撃を防ぎながら敵陣に進み、最終的には敵選手を直接攻撃して勝利を収めた。この勝利は、十師族の強さを示すものであり、克人の力量の高さを証明した。達也はこの試合を見て、克人が示した絶対的な力と王者の風格に感心し、克人の勝利を称賛した。

14

モノリス・コード終了後の後夜祭合同パーティーは和やかな雰囲気で満たされていた。生徒たちは短期間の緊張から解放され、過度にフレンドリーな状態になっていた。ドレスコードは各学校の制服で、達也はダンスには不向きな制服の不便さを感じていた。達也と深雪は、会場での人気者として多くの注意を集めており、特に深雪には多くの少年たちが群がっていたが、まだダンスの相手を見つけてはいなかった。達也は一条将輝と会話し、彼が深雪と兄妹であることに驚く場面があった。最終的に深雪は一条とダンスをし、達也もパーティーで踊ることになったが、内心ではダンスに対する自信のなさを感じていた。パーティーが終わりに近づき、ラストのダンスでは深雪が達也と踊りたいと申し出た。二人は芝生の上で月と星の光の下、静かにダンスを楽しみ、お互いの存在に没頭していた。

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