小説【魔法科】「続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー 1巻」感想・ネタバレ

小説【魔法科】「続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー 1巻」感想・ネタバレ

どんな本?

続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー」は、佐島勤 氏によるライトノベルシリーズで、司波達也の新たな物語を描かれてる。
達也は一般社団法人『メイジアン・カンパニー』の専務理事に就任し、その組織の目的は、魔法適性はあるものの実用レベルに至らない存在、メイジアンの人権保護の実現。
達也は魔法師が兵器ではなく人間として生活できる新時代へ向け、大学生ながら、確実に歩みを進めている。
彼の影響力は世界中から注目され、魔法師の結社「FEHR」から刺客が送り込まれるなど、新たな騒動が起こる。

読んだ本のタイトル

続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(1)
著者:佐島勤 氏
イラスト:石田可奈 氏

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あらすじ・内容

数多の強敵を打ち破り、波乱の高校生活に幕を下ろした司波達也。彼は新たな野望の実現のため動き始めていた。
 一般社団法人『メイジアン・カンパニー』。
 達也が専務理事に就任したその組織の目的は、魔法適性はあるものの実用レベルに至らない存在、メイジアンの人権保護の実現。魔法師が兵器ではなく人間として生活できる新時代へ向け、達也は大学生ながら、確実に歩みを進めていた。
 戦略級魔法師を凌駕する影響力を持つ達也の動向は、当然ながら世界中から注目を集める。USNAにある魔法師の結社『FEHR』から、達也の動向を探るべく刺客が送り込まれ……。
 司波達也の新たな伝説が幕を開ける――。

続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー

感想

新シリーズの序章となるこの巻。
卒業してから2年と少しの月日が流れ、達也は21歳になった。
という事は、大学3年生か。

魔法適性はあるものの実用レベルに至らない存在、メイジアンの人権保護の実現。
先ずは、インド・ペルシア連邦のチャンドラセカールと達也はイギリスの戦略級魔法師マクロードの立ち合いの元。
メイジアン・ソサイエティを設立した。
代表はチャンドラセカール、副代表に達也が就任した。

さらに日本で、恒星炉プラントの会社、ステラジェネレーターを設立して達也は社長に就任。
それと非営利団体メイジアン・カンパニーを設立した。
理事長に深雪。達也は専務に就く。
日本に帰化したリーナも役員として在籍し。
そこに国防軍を退職した藤林響子。
七草家から就職先が決まっていたが急遽カンパニーに就職するように命令された真由美。
FEHR[フェール]という組織からスパイとして来た遠上遼介がカンパニーのメンバーとなる。

新キャラが男性ってのは良いかもしれない。
メイジアン・ソサイエティ、メイジアン・カンパニーも高校1年生の頃から達也が目指していた事の延長線にあように見える。

パラサイトになった光宣も藤林と画面越しとはいえ再開して話もして、達也からUSNAのとある組織の調査を依頼されて忙しくしている。
コレにエリカ、レオ、幹比古、美月達が加わるとどんなストリートになるのだろうか?

これから凄く楽しみなシリーズだと思われる。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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ヒストリー

1999年に「最初の現代魔法師」と呼ばれる超能力者が現れて以降、二十一世紀を通じて国家は魔法師を兵器として育成・開発し続けた。しかし、二十一世紀の終わりごろ、国立魔法大学付属第一高校にイレギュラーとなる生徒が入学し、魔法師の歴史に大転回が起こる。この生徒が関与した数々の事件は、魔法師の戦力としての重要性を示すものであった。特に注目すべきは、朝鮮半島の海軍基地と艦隊をたった一人の魔法師が全滅させた「灼熱のハロウィン」事件である。この出来事は、個人が国家の軍事力に対抗できることを証明した。

司波達也という名の魔法師は、最終的に「兵器」から「生産者」へと魔法師の役割を変化させることに成功する。彼が発表した重力制御魔法式熱核融合炉「恒星炉」は、人類に再び大量のエネルギーを提供し、二十二世紀の社会を大きく変える。また、司波達也は「個人が国家に抗えない」という常識を覆し、世界に自らが単独で国家と対等に戦争ができる存在であることを認めさせた。しかし、彼が引き起こした変革はそれで終わりではなかった。

2100年4月24日、達也はインド洋上の公海で、イギリスロイヤルネイビー空母『デューク・オブ・エディンバラ』艦内に到着した。

彼が使用した小型ジェット機は恒星炉プラントが生産する水素を燃料にし、気流制御と慣性制御の魔法を利用する極超音速機である。

彼の目的は、インド・ペルシア連邦(IPU)の魔法学最高権威、アーシャ・チャンドラセカール、彼女の護衛アイラ・クリシュナ・シャーストリー、イギリスの国家公認戦略級魔法師ウィリアム・マクロードとの会合であった。

この会合で、魔法資質を持つ者の国際的な互助組織『メイジアン・ソサエティ』の設立手続きが行われた。

この組織は、軍事的に有用であるか否かにかかわらず魔法資質を持つ者の人権を守るために設立され、IPUとイギリスの支持と支援を背景にスリランカの都市ゴールに本部が置かれた。

メイジアン・ソサエティは、魔法協会の軍事利用を前提とした組織とは異なり、魔法師の人権を保護することを目的としている。

署名式の後、達也は空母で昼食会に出席し、午後二時に帰りのジェット機で日本へ向けて出発した。

達也専用機の操縦は、四八徹が担当しており、この機体は高い技術と魔法技能を要求する極超音速ジェット機である。

達也と彼の執事の花菱兵庫が安全に搭乗し、機体はすぐに出発した。

日本時間午後7時過ぎ、達也たちは極超音速機で巳焼島に戻った。

巳焼島は開発が進み、風景が変わっていたが、四葉家が実質的な所有者であることに変わりはなかった。

『西太平洋海上空港』は日米企業のジョイントベンチャーによるメガフロート上にあり、大型旅客機も就航可能な設備を有していた。

空港ビルでは深雪が達也を出迎え、安否を確認し合った。リーナも彼らを迎え、達也の無事を喜んだ。

リーナは米軍士官から四葉家の護衛、そして日本に帰化し、東道理奈と名乗るようになったが、依然としてアンジェリーナ・クドウ・シールズとして活動している。

空港でのやり取りでは、リーナの茶々をスルーする一幕があったが、達也のメイジアン・ソサエティ設立署名式が無事に終了したこと、そしてこれから設立されるカンパニーの話題に移行した。

達也はリーナと深雪に次なる計画、カンパニー設立の日程について話し合い、三人はこれからの行動について意見を交わした。

達也の誕生日である4月24日、彼は巳焼島の別宅で特別に準備されたバースデーケーキを前に深雪とリーナからお祝いを受ける。

この和やかなパーティーは彼らにとって日常的な風景である。

深雪とリーナは、互いにライバルでありながら親友として行動を共にしており、達也の前で美しいドレスを着て祝福を述べた。 

シャンパンで乾杯を行った後、達也のメイジアン・ソサエティ副代表就任を祝う。

会話はメイジアン・ソサエティの設立と、魔法師(メイジスト)の社会的地位や権利に関する話題に移り、達也はメイジアンが絶対的少数派であり、社会的弱者と見做されることは難しい現実を語る。

リーナは魔法師への反感に対して憤りを感じるが、達也と深雪は冷静に彼女を見守る。

この夜、リーナはシャンパンで酔いつぶれ、達也と深雪は彼女の様子を静かに見守りつつ、メイジアンの未来について話し合う。

この日は、達也にとって特別な誕生日であり、彼らが迎える新たな未来への一歩を象徴するものとなった。

達也、深雪、リーナの三人が4月25日の夜、東京都心の名門ホテルで開催される百人規模の立食パーティーに出席する。

このパーティーは達也が関わる恒星炉プラント事業の次の段階を祝うもので、主催者は北山潮が社長を務める投資会社である。

会場には様々な出資者や関係者が集まっており、達也たちは注目の的となる。

達也の大学時代の友人であるほのかと雫も出席している。

ほのかは達也に遅れてお誕生日を祝い、雫は達也と少しだけ打ち合わせをすることを提案する。達也はこれを承諾し、深雪とリーナも同行することになる。

パーティーは達也とその仲間たちにとって、恒星炉プラント事業の成功を共有し、今後の計画について話し合う場となる。

恒星炉プラント事業が黒字に転換し、新たな段階に進むことが発表されたパーティーで、北山潮は新会社「株式会社ステラジェネレーター」の設立を発表した。

達也が社長に就任することが明かされ、会場からは驚きの声が漏れた。達也は恒星炉技術の開発者であり、事業スキームの考案者でもあることが紹介され、彼の経営感覚と北山潮の全面的支援が強調された。

達也はさらに、メイジアン・ソサエティの発足を報告し、この新しい国際組織が魔法資質の持ち主の人権を守るために活動することを説明した。

スリランカ島が独立し、メイジアン・ソサエティの本部となったことも発表され、参加者からは興味深い反応が寄せられた。

その後、達也と深雪は、日本に設立される一般社団法人メイジアン・カンパニーの発表を行い、深雪が理事長に、達也が専務理事に就任することを明らかにした。

この新団体は、メイジアンの人権保護を目的とし、具体的な活動を行う予定である。

2

四月二十六日に、一般社団法人メイジアン・カンパニーの設立登記が町田市の法務局で行われた。社員は三名で、メイジアンという言葉はまだ一般的ではなかった。

この動きは、特に法務局員の間で大きな注目を集めることはなかった。

しかし、メイジアン・カンパニー設立は日本魔法界、特に十師族の間で大きな話題となり、真夜はその件で数件の電話を受けた。

電話の中で、魔法師の権利保護を目的とするメイジアン・カンパニーとメイジアン・ソサエティへの支持を表明しつつも、国益に反する行為がないかなど、各種の懸念が表明された。

特に、達也がインド・ペルシア連邦(IPU)と親しくしているという噂や、スリランカの独立に関して事前情報を政府に提供しなかった理由などについて問い合わせがあった。

真夜は、これらの問い合わせに対して、国益に反するような行為はしないとしつつ、IPUとの関係についてはチャンドラセカール博士との個人的な関係を強調し、スリランカの独立に関しては外務省の仕事であると回答した。

また、三矢家の身辺調査を行うことを葉山に指示し、政治家との癒着については調査するまでもないとコメントした。

七草家の当主、弘一はメイジアン・ソサエティとメイジアン・カンパニーの設立に際して、大きな動揺を見せることなく、一日を書斎で過ごした後、家族と夕食を共にした。

この夕食の席で、彼は娘たちにこれらの組織について話し合い、特に真由美にメイジアン・カンパニーの存在とその意義について質問した。

真由美はソサエティとカンパニーについて知っており、その設立背景や目的について家族に説明した。

ソサエティとカンパニーの目的は、従来の魔法師の概念を広げ、魔法資質を持つが魔法科高校を退学したり入学できなかったりした人々も含む広義の魔法因子保有者、すなわちメイジアンの権利保護であることが話された。

真由美は、達也が魔法師の地位向上と経済的必要性の実現を目指していることを家族に語り、彼らが何を意図しているのかについての興味を示した。

弘一は真由美にメイジアン・カンパニーへの転職を提案し、彼女がその提案に慎重に応じる様子を見せた。

彼女は自分が七草家から四葉家影響下の法人へ入ることの可能性について疑問を持ちつつも、父親の提案に最終的には同意した。

彼女は、達也に対する個人的な感情や、彼との関係に対する複雑な心情を抱えていることがうかがえた。

メイジアン・ソサエティおよびメイジアン・カンパニーの設立は、日本国内に留まらず、USNA旧カナダ領バンクーバーにある合法的な魔法師の結社『FEHR』にも影響を及ぼした。

FEHRのリーダーであるレナ・フェールは、日本人の遠上遼介に、メイジアン・カンパニーに関する情報収集を依頼した。

遼介は、日本人としてメイジアン・カンパニーへの就職が比較的容易だと見なされている。

FEHRは『Fighters for the Evolution of Human Race』の略で、魔法を人類進化の一部とみなし、魔法因子保有者の保護を目的としている。

レナは、メイジアン・ソサエティの設立に関与した司波達也との関わりに興味を示し、遼介に司波が設立したメイジアン・カンパニーの従業員になることを提案した。

この任務は、日本に飛び、可能であればメイジアン・カンパニーに潜入し、その活動や目的に関する情報を収集することを意味していた。遼介はこの指示を受け入れ、ベストを尽くすことを約束した。

メイジアン・カンパニーの本部は町田に設置されており、現在は暫定的な状態にある。

達也はこの日、カンパニーの従業員第一号として元独立魔装大隊の藤林響子を迎えた。

藤林はメイジアン・カンパニーにおいて、達也の下で働くことになり、彼女が持つ専門性がカンパニーの業務に大きく寄与することが期待されている。

達也と藤林は勤務条件や社宅の使用について合意に達し、藤林は社宅での生活を選択した。彼女の社宅案内は、四葉本家の私兵集団を統括する花菱兵庫が行うことになった。

藤林響子がメイジアン・カンパニーのために用意された社宅は、四葉家の施設が集中する地域に位置しており、彼女には十分快適な環境であると感じられた。

達也は藤林との会話で、九島光宣が宇宙ステーション「高千穂」にいることを明かす。

光宣は現在、彼が救った少女、桜井水波と共に生活しており、二人は健康であることが伺える。

また、高千穂は地球上空を自由に移動する能力を持つ可能性があるが、そのためには追加の魔法力が必要であることが議論される。

高千穂と巳焼島は「仮想衛星エレベーター」と呼ばれる疑似瞬間移動技術で繋がれており、成功すれば地球上の任意の場所への移動が可能になるかもしれない。

3

達也が魔法大学に約一週間ぶりに登校し、学業を進めている。

彼はNGOの副代表や一般社団法人の専務理事、新設会社の社長になるなど多忙ながらも、中途退学の意思はない。

キャンパス内で、達也は一条将輝とすれ違い、亜夜子から声をかけられる。

亜夜子は、達也とランチを共にしようとするが、彼女の提案は取り巻きたちによる反応を引き出す。
達也は深雪たちとのランチのため、亜夜子と別れることになる。

フードコートで深雪とリーナ、そして泉美が達也を待っていたが、亜夜子の参加により泉美が席を立ち、亜夜子も自ら席を譲る形で立ち去った。

達也は魔法大学の学生であり、NGOの副代表や一般社団法人の専務理事、新設会社の社長に抜擢されても、中途退学の意思はない。一週間ぶりに大学に登校し、学業を進めていた。

キャンパスで一条将輝とすれ違い、黒羽亜夜子に声をかけられる。亜夜子は達也をランチに誘い、その途中で深雪たちと待ち合わせたフードコートに向かう。

フードコートでは亜夜子と泉美が互いをライバル視しており、席が一つしか空いていないため、泉美が席を立つ。亜夜子も自ら席を譲る形で立ち去り、深雪とリーナ、そして達也だけが残る。

この一連の出来事は、亜夜子が泉美との関係に引け目を感じていること、そして彼らが四葉家との関係を重視していることを示している。

達也は、多忙な中でも魔法大学のゼミに出席しており、深雪とリーナも同じゼミに所属している。達也が出席できるよう、四葉家との関係が深い教授の研究室を選んでいる。

この教授は、四葉家のスポンサーから研究資金の援助を受けており、達也のために特別な配慮をしている。達也はゼミ内で活発に議論を展開し、他の学生もその様子を興味深く見守っている。

自宅に戻ると、達也は七草家の長女がメイジアン・カンパニーに就職を希望していることを知り、驚きの表情を見せる。深雪もこの報告に驚きを隠せなかった。

4

遠上遼介が五年ぶりに日本へ帰国し、東京の平和な光景に驚く一方で、その裏で種族間の対立が激化している世界情勢を感じ取る。

達也は学業と仕事のバランスを取りながら、メイジアン・カンパニーでの活動にも注力している。ある日、深雪とリーナは大学でランチタイムを過ごし、泉美が加わり、達也の不在を利用してカフェテリアで過ごす。

泉美は、達也がメイジアン・カンパニーの面接を担当していることを知り、七草家の長女が就職を希望していることに驚く。

彼女たちは七草家の動向に警戒しながらも、その真意を探ろうと決意する。

遠上遼介は、メイジアン・カンパニーの情報を容易に手に入れるが、求人情報は見つからなかった。

日本へ帰国した彼は、情報インフラの進歩を感じつつも、メイジアン・カンパニーへの就職は難しいと感じていた。

それでも彼はカンパニー本部へ直接行く決意を固める。本部に到着した遼介は入り方がわからず立ち往生してしまうが、七草真由美と遭遇し、彼女が面接に来ていたことを知る。 

遼介は面接への同席を頼むが、真由美にはその権限がなかった。その時、深雪とリーナが登場し、彼らは内部へと誘導される。

遼介はメイジアン・カンパニーで働く強い希望を持ち、達也に直接その意志を伝える機会を得る。達也は先に真由美の面接を行い、遼介を別室で待たせることにする。

遼介はこの機会を使って、メイジアン・カンパニーでの働き口を見つけようと試みる。

達也はメイジアン・カンパニーでの真由美の面接を行い、真由美はメイジアン・カンパニーへの転職動機を説明した。

真由美は、達也が何を企んでいるのかを知りたいと述べ、これは父親の指示によるものであると明かした。

達也は、メイジアン・カンパニーの目的は、魔法資質を持つ人々が社会で活躍できる道を提供することであると説明した。
真由美はこの計画に参加したいと強く申し出た。

深雪は真由美の参加を承認し、達也もこれを受け入れた。最終的に真由美はメイジアン・カンパニーへの加入を許可され、和やかな雰囲気の中、彼女は達也と深雪に感謝の意を表した。

達也はその後、リーナに遼介を呼びに行かせるメッセージを送った。

リーナと遼介が別室で過ごす間、リーナは外を見ているふりをしながら遼介を警戒していた。

遼介は、リーナが敵の戦力を推し量る視線を自分に向けていたことを感じ、リーナの戦闘能力を高く評価していることが明らかになった。

一方、リーナは遼介がスターズの指揮官との遭遇経験を持ち、メイジアン・カンパニーで働きたいと願っていることを知り、彼の意図を疑った。

リーナは遼介に自分がスターズの傭兵ではなく、四葉家に雇われた外国人魔法師でもないことを説明した。

遼介はリーナの戦闘力に興味を持っており、彼女の正体や目的について質問した。

達也からの呼び出しにより、二人の対話は終わり、リーナは遼介を再び達也のもとへと案内した。

遼介は達也との面接で緊張し、達也の戦闘能力の高さに衝撃を受ける。

遼介が自身の魔法と武術の修行に専念した経歴や、達也と白兵戦で対等に渡り合えるかという自負が揺らいでいたことが明かされる。

遼介は、メイジアン・カンパニーに入職したい理由として、魔法因子保有者の権利を守りたいという本心からの動機を述べる。

達也はメイジアン・カンパニーの目的が軍事活動ではなく、魔法を工業技術に利用する知識と方法を教える非営利法人であることを説明し、遼介がメイジアン・カンパニーの理念に合致しているかどうかを確認する。

遼介は達也から、自身が十の数字落ちの家系であることに関する懸念を提示され、過去にどのような経歴があってもメイジアン・カンパニーでは優遇も冷遇もしない方針を理解し、受け入れる。

この確認後、達也は遼介をメイジアン・カンパニーで雇用することを決定する。

リーナは四葉家東京本部ビルの自分の部屋で暗号通信機を用いて、スターズ時代の元同僚であり、現スターズ総司令官のベンジャミン・カノープスに連絡を取る。

リーナの依頼は、達也と四葉家に対して米国政府が重要視していること、そして達也との個人的な繋がりが政治的に価値があることが示される。

リーナは遼介(リョースケ・トオカミとして紹介)についての調査をカノープスに依頼し、遼介がバンクーバーから帰国した日本人男性であると情報を提供する。遼介が以前交換留学生だったことや、最近の職業がショッピングモールの警備員であったことが語られる。

カノープスはリーナの依頼を受けて遼介についての調査を開始し、リーナは通信を終えて眠りにつく。

5

四月三十日、真由美は町田のメイジアン・カンパニー本部に出勤し、藤林に出迎えられる。

藤林は十師族の一つ、九島家の孫であり、真由美の家族とも古い知り合いである。

藤林はこの日、真由美と遼介を、メイジアン・カンパニーが支援する「魔法工業技術専門学院」(略称:魔工院)へ案内する任務を担っていた。 

魔工院は魔法を工業技術に応用する技術を教育する無認可校で、その運営資金は多くの企業からの出資によって賄われている。

真由美と遼介は、そこで働くことになると藤林から告げられる。

また、彼らには社宅の利用が提案され、二人はこれを受け入れる。

魔工院の施設を見学後、藤林は二人に魔工院での教育を真に必要とする若者が優先的に入学できるような仕組み作りを最初の仕事として依頼する。

水面効果翼船「伊豆シャトル」を利用して、藤林は真由美と遼介を巳焼島にある恒星炉プラントへ連れて行った。

真由美は以前にも恒星炉プラントを見学したことがあるが、遼介にとっては初めての経験であった。

案内中、彼らは恒星炉の制御室で達也に出会い、翌日の株式会社ステラジェネレーター設立記念パーティーの準備について話を聞く。

藤林は真由美にパーティーでの接待役を依頼し、真由美はこれを受けることにしたが、家族に相談する必要があると述べた。

見学後、真由美は自宅に帰り、遼介は職員用宿舎に宿泊することにした。

弘一は真由美が株式会社ステラジェネレーターの設立パーティーで接待役を務めることを快諾し、必要であればドレスやアクセサリーを新調することも提案したが、真由美は持っているもので十分と答えた。

遼介は職員用宿舎に宿泊していたが、夜に不審な魔法の気配を感じ取り、恒星炉プラントを調査するために外出した。

プラント内で眼鏡型ゴーグルをつけた不審者二人を発見し、彼らが恒星炉に何かをしようとしているのを目撃する。

遼介は不審者を捕まえようとするが、突如として視界が奪われ、その隙に警備員に拘束されてしまった。

警備室に連れて行かれた遼介は、自身が不法侵入者の仲間ではないと説明するも、証明するものがなく疑われたままだった。

達也が到着し、遼介は事情聴取を受けた後、手錠を外されるが、カンパニーでの職は続けられないと告げられた。

遼介は恒星炉から何も盗まれていないことを確認し、侵入者を自ら捕まえることで潔白を証明したいと申し出た。
花菱兵庫は遼介が侵入者を助ける可能性を指摘したが、遼介は疑いを強く否定した。

達也は遼介にもう一度チャンスを与え、単独行動を禁じる条件で賊を捕らえる任務を許可した。遼介はその決定に従うしかなかった。

五月一日の早朝、遼介は港に向かい、衛星電話を用いてレナ・フェールに連絡を取った。

彼はメイジアン・カンパニーでの窃盗未遂事件に関わり、疑われていたが、レナはその犯人が『ジェイナス』という犯罪魔法師コンビである可能性が高いと推測した。

ジェイナスが使う特殊魔法『アラビアンナイト』は「開く」「閉じる」の概念に作用するが、その効果は長くは持続しない。

レナは遼介に、相手に魔法を撃たせないようにすることを勧めた。

遼介はこの情報を基に行動することを決め、レナは遼介に注意を促した。

五月一日の午後五時三十分に、株式会社ステラジェネレーターの設立式が終了し、立食パーティーが開始されました。

達也と共に挨拶を回っていたのは、ドレスアップした深雪とリーナでした。パーティーは、日帰りが可能なよう早めの時間に設定され、参加者にはアメリカ人も多く含まれていました。

特に注目を集めていたのは、真由美で、彼女のドレス姿が多くの男性の目を引きました。

その頃、裏方で働いていた遼介は、力仕事を担当していました。

一方で、警備は厳しく設定されており、恒星炉プラントに直接関係する施設の周囲は人がほとんどおらず、貨物船の入港も受け付けていなかった。そんな中、ある貨物船の甲板上では、恒星炉棟に侵入した賊と思われる中東系の男性二人組が、巳焼島を双眼鏡で観察していました。

彼らは恒星炉システムの心臓部であるパーツの製造データについて話し合っており、その製造ラインが別の場所にあると推測していました。

パーティーが終了後、達也は深雪、リーナと共に北西地区の別宅に戻りました。

その後、リーナは達也に、遠上遼介がFBIに監視されている政治結社FEHRのメンバーであることを明かしました。

リーナはFEHR代表のレナ・フェールについて、彼女が強力な精神干渉系魔法を持つ人物であると述べ、彼女のカリスマ性が狂信的な忠誠心を引き出している可能性があると指摘しました。

深雪は、リーナの懸念を理解しつつも、遼介がそのような危険な人物であるとは疑問に思っていましたが、達也はリーナの意見に反論しませんでした。

6

五月二日午前八時半に、達也と深雪の別宅に亜夜子から電話があり、早急に報告したいことがあると述べました。

達也は、この報告を受け入れました。

亜夜子は、遠上遼介がFEHRの代表、レナ・フェールの指示を受けて行動していると報告しました。

この情報は、達也たちが既に知っていることでしたが、遼介が恒星炉棟に侵入した賊「ジェイナス」に関連していることは新しい情報でした。

亜夜子は、遼介がレナ・フェールとの衛星電話の会話を盗聴し、その内容を達也たちに聞かせました。

達也は、恒星炉関連の最も価値があるデータは人造レリックの製造法であると指摘し、ジェイナスの狙いが人造レリックかもしれないと推測しました。

この盗聴により、遼介が狂信的な行動をとっているFEHRのメンバーであることが確認されましたが、彼らの関心はジェイナスの方向に移りました。

達也は、ジェイナスの次の目標がFLT(恒星炉の技術を開発している施設)である可能性が高いと結論付けました。

五月四日、遼介は達也の指示により、メイジアン・カンパニーの町田本部に派遣されていた。

巳焼島からの転勤は一時延期され、隣接するFLTの研究所職員用のビジネスホテルに滞在している。

遼介は、恒星炉プラントでの不法侵入者を捕らえる機会を失ったことに不満を持っていたが、真由美も同様に町田での勤務を命じられており、二人はパートナーとして指名されていた。

一方で、FLTでは藤林が人造レリック『マジストア』の秘密製造ラインの監視を行っており、ハッキングの兆候を察知する。

その後、二人組の『ジェイナス』が、ハッキングを通じてFLTのネットワークに侵入を試みていたことが明らかになる。

彼らはBS魔法師で、『アラビアンナイト』という特殊な魔法を用いてセキュリティを解除していた。

しかし、彼らの試みは藤林によって発見され、逆にカウンタークラックを受ける。結局、ジェイナスはネットワークから強制切断され、急いで逃走することになった。

この事件は、遼介が達也の命令で町田に派遣され、不法侵入者『ジェイナス』の捜索を行っていた背景と、FLTでの人造レリック『マジストア』関連のセキュリティ対策が効果的に機能していたことを示している。

藤林はジェイナスと呼ばれる犯罪者の潜伏先をほぼ特定し、その情報を四葉家の傭兵部隊統括である花菱執事に暗号通信で送った。

送信された内容は、賊が川崎市内のある簡易宿泊施設に潜んでいること、およびその大まかな位置情報である。

四葉家の調査部隊がその情報に基づいて行動し、ジェイナスが宿泊していた格安ホテルと、彼らが中東系の外見の男性二人組であるという情報を得た。

しかし、ホテルの監視カメラシステムが彼らの魔法「アラビアンナイト」によって操作され、映像データは入手できなかった。

この魔法は電子的情報ネットワークにも影響を与えるという興味深い発見であり、藤林はこの経験を自身の研究に役立てようと考えている。

7

達也は週一で通っている大学に来ていたが、一時限目が急遽休講となった。そこで文弥と偶然会い、一緒に近くの喫茶店へ行くことになる。

文弥は達也の再従弟で、身長が期待ほど伸びず、中性的な格好をしているが、これは彼が目立たないようにするためであり、黒羽家の諜報活動に適している。

二人が喫茶店で会話する中で、達也が忙しいこと、ジェイナスという犯罪魔法師コンビの捕獲任務が黒羽家に移っていることが明かされる。

文弥は夜に捜索活動に加わる予定であるが、昼間は目立ちすぎるため参加しない。達也自身も動けない状況であるため、文弥に協力を依頼する。

達也の動きは国防軍情報部や公安警察にも注目されており、彼が直接動くことは難しい状況である。

ジェイナスが所属する組織には日本に足場がなく、二人は窮地に陥っていた。

逃げたホテルからまだ一日しか経っておらず、追手に包囲されつつあると感じている。

彼らは自分たちが追い詰められることに理不尽さを覚えていた。現在、ある家族向けアパートのダイニングで食事をしており、その家には彼らが入る前から主婦がいた。

ジェイナスはセキュリティが緩い個人宅を狙い、魔法で侵入している。

彼らは自分たちが逃げ切ったにもかかわらず、なぜ追われているのか不思議に思っている。

バハドゥールとバフマンは、サイコメトリーで追跡されている可能性を考え、バフマンの魔法で残留思念の通り道を閉ざそうとする。

しかし、この方法は黒羽家の追跡方法に対して効果がなく、彼らの位置を特定することに成功している。

達也はメイジアン・カンパニー本部で真由美に協力を依頼し、賊が隣の研究所に侵入する可能性があると伝える。真由美は遼介と共に賊の追跡と警備に協力することを決める。

達也と真由美は、遼介がその夜の賊を捕まえるために必要な協力を認識し、彼の要求に応じる。

バハドゥールとバフマンは追跡者から逃れるため、首都圏の無法地帯である外国人街に潜入した。

この地域は警實際、現地の暴力団とヒスパニックマフィアが勢力争いをしており、警察も手を出さないことから、「入るのは簡単だが出るのは難しい」と言われている。

そこで二人はこれからの計画について話し合い、追い詰められている自覚のもと、FLTのラボへの再侵入を決意した。

バハドゥールは帰国の手配を、バフマンは車の調達をそれぞれ担当することにした。

一方、黒羽家の亜夜子と文弥はジェイナスの動向を監視しており、達也が彼らをFLTに誘い込む作戦を立てていると推測している。

また、文弥はこの作戦が遠上遼介の能力と信頼性を試すためのものではないかと予想している。

8

五月六日の午後六時、真由美はFLTラボに到着し、遼介に迎えられる。

真由美は活動的なパンツスーツを着ており、遼介は実用的なミリタリーファッションを身に着けていた。

午後八時過ぎ、真由美がマルチスコープという遠隔視系知覚魔法を使い、正面ゲートから二人組の男性が侵入したことを察知する。

二人はジェイナスが警備システムを回避して侵入してきたことを理解し、対応を開始する。

一方、ジェイナスのバハドゥールとバフマンはラボに侵入し、人が少ないことに不安を感じつつも、目的の製造ラインを見つけ出し行動を開始する。

達也はこの時点でゴーサインを送り、FLTラボの隣にあるメイジアン・カンパニー本部から外を見下ろしていた。
深雪とリーナも加わり、全員がジェイナスの対応に備える。

川崎港沖合では文弥が達也からのゴーサインを受け、亜夜子とともに行動を開始する準備を整える。
文弥は亜夜子からの激励を受けて、小型貨物船の方向へと進出する構えを見せる。

真由美と遼介は、FLTラボの二階の警備システム管制室から一階の正面ロビーへと急いでいたが、真由美が賊がエレベーターで上がってくると気づき、方向を変える。

賊のジェイナスはエレベーターを利用し、彼らを待ち伏せている警備員を出し抜く計画だった。

しかし、彼らが到着すると、真由美の魔法で照明が消え、バハドゥールとバフマンは一時的に視界を失う。

真由美はスプリンクラーから水を引き、氷の弾丸を作り出し、二人に攻撃を仕掛ける。

遼介は、障壁魔法『リアクティブ・アーマー』を用いて、バフマンの攻撃を無力化し、彼を無力化する。

その後、バハドゥールもエレベーターから脱出しようとするが、扉が閉まり、遼介はバフマンと対峙することになる。

遼介は合気の技でバフマンを床に叩きつけ、意識を奪う。しかし、エレベーターの扉が遼介の操作に反応せず、彼は閉じ込められることになる。

遼介はバフマンの魔法が効果を継続していると勘違いしており、本当の原因であるシステムのロックに気付けないでいた。

川崎港沖合で、文弥は百人以上を昏倒させて制圧した後、貨物船全体をシージャックする計画を亜夜子に伝えた。

亜夜子はその提案に同意し、船が犯罪組織に雇われている可能性が高いと考えた。

その後、バハドゥールは遼介によって無力化され、逃げ出そうとしたが、リーナの幻影に出くわし混乱する。

達也が現れ、バハドゥールの魔法を無効化し、深雪が精神干渉系魔法『アイシィソーン』で彼を眠らせた。

その後、バハドゥールが目覚めた際、達也は彼を黙らせ、深雪の新魔法の成功を祝った。

9

遼介はメイジアン・カンパニーに正式採用され、伊豆の社宅に引っ越した。

彼はレナ・フェールとの通話で、犯人ジェイナスの逮捕とその後の展開について報告した。

遼介はレナからのアドバイスが役立ったと感謝し、レナは彼の成功を祝福した。

その後、遼介はメイジアン・カンパニーでの職務とFEHRとの関係を引き続き調査することをレナに約束した。

達也は、遼介を採用した理由として、FEHRとの繋がりを利用し、協力関係を築く可能性を考慮していることを明らかにした。

これに対して、リーナは遼介の戦闘力を認めつつも、工作員としてのリスクに疑問を呈したが、達也は彼の能力やFEHRとのつながりを重視する姿勢を示した。

また、達也は四葉家の真夜に対し、ジェイナスが所属していた組織FAIRについての報告を行い、この組織が過激派であると同時に犯罪結社である可能性が高いと指摘した。

FAIRがBS魔法師や妖術師を多数抱えている可能性があり、これらの異能者の能力を侮れないと警告した。真夜は達也の提案に同意し、FAIRについての詳細な調査を指示した。

達也はこの調査について既に計画を持っていたが、その内容は明かさずにいた。

達也は日曜日に自宅から巳焼島に向かい、北西地区にある個人の研究室を訪れた。その目的は、アメリカでの調査を光宣に依頼することだった。

光宣と水波が住む衛星軌道居住施設『高千穂』と赤外線レーザー通信を用いて連絡を取り、達也は光宣にFAIRという魔法至上主義団体についての調査を依頼した。

光宣は過去にFAIRに一時的に匿われており、FAIRが顧傑に関連する団体であったことを達也に伝えた。

顧傑は達也や他の魔法師に追い詰められた無国籍華僑の怪老である。光宣はこの過去を清算するため、達也の依頼を受け入れた。

一方、FAIRの本部では首領ロッキー・ディーンと彼の右腕ローラ・シモンがジェイナスの失敗について話し合っていた。

ディーンはジェイナスの失敗を認め、四葉に対する直接的な行動を避けることを決意した。ディーンは人造レリックではなくオリジナルを手に入れることを計画しているようだった。

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こも

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