ソード・オラトリア 10レビュー
ソード・オラトリア 12レビュー
物語の概要
■ 作品概要
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア11』は、大人気ライトノベル『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』のスピンオフ作品であり、ジャンルは異世界ファンタジーである。 本作は、広大な地下迷宮(ダンジョン)が存在する迷宮都市オラリオを舞台に、神々とその恩恵を受けた冒険者たちの活躍を描く世界観を共有している。 第11巻の物語は、本編の「異端児(ゼノス)編」直後から幕を開ける。ベル・クラネルとの激闘を経て、「怪物を殺す」という誓いが揺らいだアイズは、己の戦う意味に思い悩みながらも再び立ち上がる。そして作戦開始から十日後、ついに【ロキ・ファミリア】を中心とした神々と冒険者たちの連合軍による、人造迷宮(クノッソス)の完全攻略作戦が発動する。闇派閥(イヴィルス)の残党や怪人、そして都市の破壊者たる黒幕『エニュオ』を討つべく迷宮へ突入するが、そこで待ち受けていたのは想像を絶する悪夢と悲劇的な結末へと向かうあらすじとなっている。
■ 主要キャラクター
- アイズ・ヴァレンシュタイン: 本作の主人公であり、【ロキ・ファミリア】に所属する最強クラスの第一級冒険者(剣姫)である。本編でのベルとの衝突や異端児の涙を経て、これまで抱いていた怪物への価値観が揺らぎ、自身の戦う意味を自問自答しながら人造迷宮の死闘へと身を投じる。
- レフィーヤ・ウィリディス: 【ロキ・ファミリア】に所属するエルフの魔導士である。本作では親友であるフィルヴィスと共に迷宮攻略に挑むが、敵の冷酷な罠により凄惨な悲劇を目の当たりにし、心に深い傷を負う過酷な立ち位置にある。
- フィルヴィス・シャリア: 【ディオニュソス・ファミリア】に所属するエルフの冒険者である。レフィーヤの親友として共に人造迷宮へ突入するが、主神の死という不測の事態に巻き込まれ、物語において最も衝撃的で悲劇的な役割を担う。
- フィン・ディムナ: 【ロキ・ファミリア】の団長を務める小人族(パルゥム)の勇者である。連合軍の指揮官として人造迷宮攻略を主導するが、敵の狡猾な罠と圧倒的な絶望の前に、これまでにない苦難と決断を強いられる。
■ 物語の特徴
本作の最大の特徴は、主人公たちが圧倒的な敗北と絶望を味わう、シリーズ屈指の「ダークで凄惨な展開」である。常に勝利を収めてきた【ロキ・ファミリア】が、姿を見せぬ黒幕『エニュオ』の罠によって阿鼻叫喚の地獄絵図に叩き落とされる描写は、読者に強烈な衝撃を与える。 また、主神の死が眷族にどのような影響を及ぼすのかというシステム上の残酷さが克明に描かれており、主要キャラクターの理不尽な死や喪失が容赦なく描かれている点も他作品や本編とは一線を画す差別化要素である。さらに、異端児(ゼノス)たちが裏で協力する熱い展開も含まれており、絶望の中にも本編とのリンクによるカタルシスが仕込まれているのが非常に興味深いポイントである。
書籍情報
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア11
(Is It Wrong to Try to Pick Up Girls in a Dungeon? On the Side: Sword Oratoria)
著者:大森藤ノ 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
キャラクター原案: ヤスダスズヒト 氏
出版社:SBクリエイティブ(GA文庫)
発売日:2019年1月13日
ISBN:978-4-8156-0026-6
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あらすじ・内容
「斬れなかった……モンスターを」
ベルとの戦いを経て、失意に沈むアイズは思い悩んでいた。己の戦う意味、破られた誓い、怪物の涙。全てを自覚した上で少女はもう一度少年に会いに行く。
「作戦開始は――十日後だ」
そして時計の針は進む。
迫りくる人造迷宮攻略作戦。垣根が取り払われた神々は結託し、冒険者達は意志を一つにし、異端の怪物達もまた、その運命の日に集う。待ち受けるは闇派閥残党、怪人達、そして――都市の破壊者。迷宮都市の命運をかけた戦いが今、幕を切る!
これは、もう一つの眷族の物語、
──【剣姫の神聖譚】──
感想
まず、前巻でベルとの戦いを経て、すっかり自信を失っていたアイズが、オッタルとの特訓を通じて再び剣をとる場面は、本当に胸が熱くなる展開であった。
しかし、後半から始まる人造迷宮の攻略戦は、言葉を失うほど悲惨なものである。なかでも、ディオニュソス・ファミリアの約八十名が、一人残らず全滅してしまう描写は、あまりにもむごかった。ロキ・ファミリアやヘルメス・ファミリアがその残酷な事態に直面するさまは、本編でのベルの苦難以上に、凄まじい絶望を感じてしまったほどだ。
なんとか立ち直ったアイズとは対照的に、今度はレフィーヤが大切な親友を奪われ、心を壊されてしまうのが、見ていてとても辛かった。さらに、あれほど目覚ましい大活躍を見せていたアミッドまでもが、道半ばでリタイアしてしまったことには、大きな衝撃を受けた。
一方で、外伝ならではの面白さもたくさん詰まっていた。とくに、酒の神であるソーマが、思わぬ形で活躍する姿には、暗い展開のなかでも思わず笑みがこぼれてしまった。
神々や冒険者、そして異端児たちが手を取り合う総力戦は見どころばかりだが、最後まで読んでも最大の謎は残されたままであった。あれほどあくどい罠を仕掛け、恐ろしい葡萄酒を醸造している「犯神」は、いったい誰なのだろうか。
次の巻で、この深い絶望から彼らがどう立ち上がるのか、早く続きが読みたくなる、恐ろしくも魅力的な一冊だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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ソード・オラトリア 10レビュー
ソード・オラトリア 12レビュー
考察・解説
人造迷宮攻略作戦
『ソード・オラトリア』第11巻において展開される「人造迷宮(クノッソス)攻略作戦(第一進攻)」は、都市の存亡を懸けた総力戦であり、フィンの神算鬼謀と黒幕の悪辣な罠が激突する大規模な戦闘として描かれている。以下に、その作戦の全容と結末について論じる。
作戦の目的と「二段階進攻」の構想
フィン・ディムナは、広大で未知の領域である人造迷宮の攻略を二段階に分ける方針を立案した。
- 今回の作戦である「第一進攻」は「威力偵察」と位置づけられ、迷宮構造の把握(地図作成)、敵戦力の削減、そして敵の首魁であるタナトスやバルカの拿捕を目的としていた。
- 本命である「精霊の分身」の討伐は、この第一進攻で迷宮を丸裸にした後の「第二進攻(総力決戦)」で行うという、犠牲を最小限に抑えつつ確実な勝利を目指す周到な計画であった。
「異端児」との結託と挟撃
作戦の大きな鍵となったのは、フィンが怪物への個人的な憎悪を乗り越え、理知あるモンスター「異端児(ゼノス)」と秘密裏に結託したことである。
- 地上から【ロキ・ファミリア】や【ディオニュソス・ファミリア】等の派閥連合が進攻する一方、地下のダンジョン18階層からはフェルズに率いられた異端児たちが侵入した。
- 上下からの「挟撃」を行うことで、闇派閥の戦力を分散させ下層からのモンスター供給を断つことに成功した。
大部隊の「陽動」と【ヘルメス・ファミリア】の暗躍
フィンの真の狙いは、怒涛の勢いで進軍する大部隊そのものを「囮(陽動)」とすることにあった。
- 敵の注意が第一級冒険者たちに向けられている隙に、透明化の魔道具を装備した【ヘルメス・ファミリア】を不可視の「別動隊」として暗躍させた。
- アスフィは自らの手で作り出した新たな「鍵」を用いて敵の重要施設へ潜入し、人造迷宮の全容が記された設計図「ダイダロスの手記」を奪取するという決定的な戦果を挙げた。
- また、最大の脅威である怪人レヴィスに対しては、アイズの「風」を精霊を探る探知機(レーダー)として使用することでレヴィスを誘い出し、本隊から隔離して足止めするという高度な戦術が取られた。
バルカの怪物化と聖女の「解呪」
追い詰められた名工の系譜バルカは、自らの体に「宝玉の胎児」と複数の呪剣を突き刺し、「バルカの怪物」へと変貌した。
- 強力な呪詛の血を撒き散らす怪物を前に前衛部隊は壊滅の危機に瀕するが、【ディアンケヒト・ファミリア】の治療師アミッドが最高位の回復魔法を「解呪」に絞って怪物へ直接放つという機転を見せた。
- 彼女が身を挺して呪詛の力を完全に打ち消したことで、フィンやティオネたちの攻撃が通り、怪物は討ち果たされた。
黒幕の罠と「緑肉」の氾濫
作戦は派閥連合の完全勝利で終わるかに見えたが、「都市の破壊者(エニュオ)」と呼ばれる黒幕の罠が発動する。
- ディオニュソス・ファミリアのフィルヴィスが仮面の人物(エイン)によって殺害され、同時期に神ディオニュソスが精神を崩壊させて天へ送還された(または自ら送還された可能性が示唆されている)。
- この「神の送還」を起動合図(トリガー)として、人造迷宮全体に配置されていた「精霊の分身」が共鳴し、迷宮の空間を埋め尽くす「緑肉」の濁流を発生させた。
- 緑肉は冒険者や残党を問わず全てを捕食・吸収し始め、迷宮は脱出不可能な地獄へと変貌した。
まとめ
迫り来る緑肉から逃れるため、冒険者と異端児たちは決死の撤退を余儀なくされた。
- 能力を封印された【ディオニュソス・ファミリア】の団員たちは逃げ遅れ、全滅するという悲劇に見舞われた。
- 最終的に、黒幕に利用されていたことを悟ったタナトスが意地で自害し、彼が送還されたことによって生じた光柱の大穴を通じて、ロキやフィンたちは間一髪で地上への脱出を果たした。
- この第一進攻は、闇派閥を壊滅させタナトスを送還するという成果を挙げたものの、約八十名と神一柱の犠牲を出し、攻略したはずの人造迷宮が手出し不能の「魔城」と化すという、事実上の「敗走」として幕を閉じることとなった。
アイズの迷い
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』外伝『ソード・オラトリア』第10巻および第11巻において、「アイズの迷い」は、彼女を冒険者たらしめていた根本的な価値観の崩壊と、そこからの再生を描く極めて重要なテーマとして描かれている。
以下に、アイズの迷いの発生から、新たな決意に至るまでの経緯を論じる。
怪物の概念の揺らぎと自己正当化
アイズの迷いの根本には、幼い頃に両親を奪われた凄惨な過去から生じた「怪物は人を傷つける絶対悪であり、必ず殺す」という強い誓いがある。
- ベルから「怪物に人と変わらない感情があったらどうするか」と問われた際も、彼女は「怪物のせいで誰かが泣くのなら、私は怪物を殺す」と一切の迷いなく断言した。
- しかし、ダイダロス通りでの攻防戦において、彼女の価値観は揺さぶられる。武装したモンスター(異端児)たちがまるで冒険者のように互いを庇い合い、助け合って戦う姿を目撃し、アイズは強い困惑と動揺を覚えた。
- だからこそ、純粋な破壊と殺戮の本能をまき散らす「黒い猛牛(アステリオス)」が出現した際、アイズは「あれこそが私の知る正しい怪物だ」と強烈な安堵を覚え、自分の誓いが間違っていないことを証明するかのように、狂気的な戦姫としての力を解放して猛牛を斬り伏せたのである。
ベルとの対立と「誓い」の崩壊
しかし、アイズの必死の自己正当化は、ベルとの直接対決によって完全に打ち砕かれる。
- 竜女(ウィーネ)を討とうとするアイズの前に立ちはだかったベルは、アイズから教わった技術と「誰かを守るための強さ」をもって、彼女の剣を防ぎきった。
- そして、ベルを庇って飛び出したウィーネに対し、アイズが「怪物の爪や翼が人を傷つける」と糾弾すると、ウィーネは自ら爪をへし折り、片翼を引き千切り、血を流しながら「誰も傷つけたくない」と孤独と悲しみを訴えた。
- 泣きじゃくる竜の少女の姿に、かつて全てを奪われて泣いていた幼い自分の姿を重ねてしまったアイズは、もはや剣を突きつけることができなくなる。
- 「私はもう、その竜女を殺せない」「君達は間違っていないと思ってしまったから」と剣を下ろした瞬間、彼女を支え続けてきた「怪物を殺す」という誓いは音を立てて崩壊した。
懊悩からの脱却と新たな強さへの覚悟
己の行動原理を失ったアイズは、自室で一人塞ぎ込み、深い懊悩の牢に囚われる。
- しかし、副団長であるリヴェリアから「答えは一つではない」「迷え。考えろ。納得が行くまで」と、迷うことそのものを肯定され、深い愛情を向けられたことで、彼女の心は救われた。
- その後、アイズは朝焼けの市壁でベルと再会する。彼が絶望を乗り越え「強くなりたい」と再び前を向いている姿を見たアイズは、彼に置いていかれないよう、自らも迷いを越えて走り出すことを決意したのである。
己の剣の本質の自覚
アイズは強さを求め、敵対派閥である【フレイヤ・ファミリア】のオッタルに特訓を申し込む。
- 過酷な打ち合いの中で、オッタルはアイズの弱点を見抜いた。それは、アイズの剣の本質が「怪物を殺す剣」であるにもかかわらず、怪人(レヴィス)を「人」として捉え、無意識に迷いが生じているという点であった。
- オッタルからの「己の全てをつぎ込まずして、何故強大な敵を打ち倒せる?」という発破を受け、アイズは自分の中にある黒い炎を、単なる憎悪に呑まれるのではなく、「仲間や家族を守るために統べる」ことを学んだのである。
まとめ
アイズの迷いは、単なる強さの停滞ではなく、「怪物を憎むだけの復讐者」から脱却するための不可欠な試練であった。
- ベルの愚直な想いとウィーネの自己犠牲によって一度は心が壊れかけるが、周囲の支えと少年への憧憬を糧に、彼女は自らの意志で剣を振るう「守るための戦姫」へと成長する第一歩を踏み出したと言える。
異端児との共闘
『ソード・オラトリア』第10巻終盤から第11巻にかけて描かれる「異端児(ゼノス)」との共闘は、人類とモンスターの果てしない殺し合いの歴史において、種族の壁を越えた歴史的な転換点として描かれている。迷宮都市の存亡を懸けた「人造迷宮クノッソス」の攻略において、この共闘は必要不可欠なものとなった。
以下に、その経緯と作戦における連携の様子を論じる。
共闘のきっかけとフィンの決断
共闘の直接的な契機となったのは、人造迷宮での撤退戦の最中、異端児の歌人鳥(レイ)が身を挺してエルフの少女(アリシア)を敵の凶刃から庇った出来事である。
- これを目撃したフィンは、武装したモンスターたちが理知と他者を思いやる心を持っていることを悟る。
- 全容が掴めない魔窟を攻略するには人手が足りないと判断したフィンは、怪物に両親を殺された個人的な憎悪や、【勇者】としての名声が地に堕ちるリスクを自らの内に飲み込んだ。
- そして、都市の崩壊を防ぐため、異端児を率いるフェルズに対して「今回限りの共闘」を申し出たのである。
【ロキ・ファミリア】内部の葛藤と意思の統一
フィンは本拠地で全団員を集め、異端児との結託を宣言する。
- 家族や仲間をモンスターに奪われた団員たちは、当初激しい戸惑いと反発を示した。
- しかし、副官のアナキティがフィンの「彼らを信用する」という偽らざる本心を引き出し、命を救われたアリシアが「あれは気高き献身であり、彼らを認めなければ自分たちが魔物に堕ちてしまう」と涙ながらに告白したことで、派閥の空気は大きく変わる。
- 最終的に、フィンが示した「迷宮都市の平和のためならば罪人にもなる」という壮絶な覚悟と、首脳陣のフォローにより、ファミリアは脱退者を一人も出すことなく、毒を飲む覚悟で共闘を受け入れた。
人造迷宮攻略における「挟撃」と連携
作戦の実行に際して、感情的な軋轢を避けるため、冒険者と異端児は混成せず、別々の部隊として運用されることになった。
- 【ロキ・ファミリア】を中心とした派閥連合が地上の「ダイダロス通り」から進攻する一方、リドやレイが率いる異端児の部隊はダンジョン18階層側から人造迷宮へ侵入し、上下からの「挟撃」を行った。
- 異端児たちは、同胞を狩っていた【イケロス・ファミリア】や闇派閥に対する強い怒りを力に変え、凄まじい勢いで下層の敵拠点を蹂躙する。
- 彼らが人造迷宮下層でモンスターを生産する「簡易苗花」を破壊し、敵の防衛戦力を一手に引き受けたおかげで、中層以上を進む冒険者たちの負担は激減した。
「眼晶(オクルス)」による戦術的優位
この共闘を盤石なものにしたのが、フェルズから提供された通信用の魔道具「眼晶」である。
- これにより、広大な迷宮内で物理的に離れている地上部隊と地下部隊がリアルタイムで情報を共有できるようになった。
- フィンは得られた情報を元に正確な指示を飛ばし、人と怪物の連合軍はまるで一つの生き物のように連携して、人造迷宮の奥深くへと突き進むことができたのである。
まとめ
「異端児との共闘」は、フィンが過去の呪縛や名誉を乗り越えて掴み取った「最善以上の最高の手」であった。互いに言葉を交わし共に戦うことはなくとも、人間と怪物が同じ目的のために別々の戦場で背中を預け合うこの作戦は、敵である闇派閥を大いに追い詰め、オラリオの歴史に新たな可能性を提示する出来事となった。
フィンの覚悟
『ソード・オラトリア』第10巻および第11巻において、フィン・ディムナの「覚悟」は、彼が自らを縛っていた「作られた英雄」としての殻を破り、真の英雄へと至るための精神的な脱却と決断のプロセスとして描かれている。
人工の英雄としての自己認識と野望
フィンは、自らが「人工の英雄」であり「奸雄」であると明確に自覚していた。
- 小人族の再興という一族の悲願のため、主神に掛け合ってまで「勇者」の二つ名を得て、名声を築き上げてきた。
- 彼は理想ではなく野望を抱き、必要なものと不要なものを冷徹なまでに秤にかけて切り捨てる現実主義者であった。
- モンスターに両親を殺された過去を持ち、怪物への憎悪を抱える彼にとって、怪物を切り捨てることは自己の存在証明でもあった。
少年の愚行と「英雄」への憧憬
そのフィンの価値観を大きく揺さぶったのが、竜女ウィーネを庇い、己の全てを投げ打ったベル・クラネルの姿である。
- 人々の信頼も名誉も地位も怪物の命と天秤にかけず、神の用意した二者択一さえも打ち砕いて第三の道を選んだ少年の姿に、フィンは衝撃を受けた。
- 打算に塗れた自分にはできないその選択を、フィンは愚行だと断じながらも、同時に目も眩むほど「眩しい」と感じ、尊いものとして受け止めていた。
フィアナの超克と「秤を壊す」決意
ベルの姿に感化されたフィンは、己の目標としてきた古代の英雄「フィアナ」の延長線上にいるだけでは足りないと悟る。
- 一族に真の希望をもたらすためには、先人に並ぶだけでなく、神意さえ振り払う異端の英雄へと自らを昇華させなければならないと理解した。
- これまで切り捨てることを当然としてきた自身の「秤」を壊し、自らも新たな賭けではなく「冒険」に出ることを決意する。
- 個人的な怪物への憎悪を心の底へ沈め、石竜が命を懸けてベルを庇った姿に本物の「勇気」を見出し、ベルの結末を見届けずに自らの戦いへ赴く判断を下した。
罪人となる覚悟と理想の追求
新たな覚悟を決めたフィンは、これまでの現実主義とは異なる次元の決断を下していく。
- ファミリアの全団員を集め、都市の存亡を懸けた戦いに勝利するため、私情を捨てて異端児と結託することを宣言した。
- 繋がりが露見して名声が地に堕ち、迷宮都市の平和のために「罪人」と呼ばれることになっても、再び英雄へ返り咲いてみせると言い切った。
- 人造迷宮攻略においても、犠牲を前提とした「最善」ではなく、誰一人切り捨てずに勝利を掴むという「最高の理想」を追求する姿勢へと変化した。
- バルカの怪物との死闘では、自ら先頭に立ち、かつて己を死の淵まで追いやった呪詛の雨の中へ盾も持たずに突撃することで、自らの背中で団員達に「勇気」を示した。
まとめ
フィンの覚悟は、計算された英雄像から脱却し、真に人々を導くリーダーへと至るための試練であった。少年の純粋な意志に触発された彼は、自らの弱さや過去の憎悪を乗り越え、切り捨てることのない理想を掲げて神意さえも超える「勇者」としての在り方を確立したのである。
ディオニュソスの本性.
『ソード・オラトリア』第10巻および第11巻において、男神ディオニュソスの「本性」は、表面上の高潔で紳士的な振る舞いと、天界時代からの狂気、そして黒幕によって仕組まれていた「操られた道化」という悲劇的な実態の多面的な層として描かれている。
以下に、彼にまつわる複雑な本性と、事件の裏に隠されていた真相について論じる。
表面上の顔:神望あふれる貴公子と復讐に燃える主神
表向きのディオニュソスは、葡萄酒を愛し、常に気障で貴公子然とした振る舞いを見せる男神である。
- 彼は迷宮街の子供たちや商人から広く慕われており、ロキが驚くほど都市の住人から厚い「神望」を集めていた。
- また、「極彩色のモンスター」の事件で失った眷族たちの仇を討つため、強い義憤と執念を抱いている。
- 冒険者墓地で散った眷族たちに花を手向け、「全てを仕組んだ神に、報いを受けさせる」と神の瞳に強い意志を滲ませてロキに共闘を申し出る姿は、偽りのない真実の誓いであり、ロキもその想いだけは本物であると確信していた。
裏の顔:天界時代の「病気」と狂気
しかし、彼には同郷のヘスティアだけが知る危うい本性が隠されていた。
- 天界にいた頃のディオニュソスは、周囲が「怖い」と感じるほど過激であり、些細な理由で神々に食ってかかり、神々同士の殺し合いを扇動しかねない「病気(発作)」を抱えていた。
- 下界に降りてからは温厚になったかのように見えたが、ギルドのウラノスに対しては理屈に合わないほどの過剰な不信感を抱き続け、派閥連合の足並みを乱す一因となっていた。
迷宮での自己崩壊と狂気の顕現
彼の本性の危うさは、人造迷宮クノッソスの攻略戦(第一進攻)の最中に完全に露呈する。
- 彼は「仇」の気配を感じ取り、ロキの制止を振り切って単独で迷宮の暗闇の奥へと進んでしまう。
- しかし、後ろに付き従っていたはずの眷族フィルヴィスの姿が幻のように消え失せた瞬間、ディオニュソスの精神は破綻する。
- 自分が誰で何処にいるのかも分からなくなり、過呼吸と涎を垂らしながら、自身を演者・観客・脚本の全てとする「道化」であると悟る。
- この酩酊し、闇に酔う狂気の姿こそが、彼に潜んでいた異常性であった。
まとめ
狂乱の末、彼はついに現れた「仇」すなわち「都市の破壊者(エニュオ)」の正体を目撃し、自身が何のために躍らせていたのかを理解した直後、殺害されて天へと送還されてしまう。
- 彼が送還された後、ロキとソーマの調査によってディオニュソスの「本性」と一連の異常行動の真相が明らかになる。
- ディオニュソスの本拠地の酒蔵には、ソーマでさえ「神さえも完全に酔わせる」と驚嘆する未知の「神酒(葡萄酒)」が隠されていた。
- すなわち、ディオニュソスの天界からの「病気」や、ウラノスへの不信感、そして迷宮での狂乱は、彼が日常的にこの神酒を飲まされ、本人の自覚がないまま酩酊(洗脳)状態に置かれていた結果であった。
- 彼は真の黒幕(エニュオ)が暗躍するための「隠れ蓑(スケープゴート)」として生贄に選ばれ、狂気を演じさせられていた哀れな操り人形(道化)に過ぎなかったことが示唆されている。
ソード・オラトリア 10レビュー
ソード・オラトリア 12レビュー
登場キャラクター
ロキ・ファミリア
ロキ
フィン達の決断を見守る主神である。ディオニュソスと共闘し、作戦の裏にある真相に迫る。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア・主神。
・物語内での具体的な行動や成果
タナトスを追い詰め、彼の言葉から黒幕の存在を疑った。ソーマと接触してディオニュソスの酒蔵を調査し、彼が神酒で操られていた可能性に辿り着いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フィン・ディムナ
人工の英雄から脱却し、真の勇者を目指す小人族の指揮官である。作戦の全容を立案し、自ら陣頭に立つ。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア・団長。第一級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
異端児との共闘を派閥内に宣言した。人造迷宮攻略作戦では部隊を指揮し、呪詛の雨が降る中で自ら盾を持たずに突撃して団員を鼓舞した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
理想を追い求める覚悟を示し、首脳陣や団員からの信頼を一層強固なものとした。
リヴェリア・リヨス・アールヴ
フィンの良き理解者であり、アイズの精神的な支えとなるハイエルフである。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア・副団長。第一級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
アイズの迷いを肯定し、彼女が答えを見つけるまで見守る姿勢を示した。作戦中は魔法円を展開してレヴィスの接近を察知し、部隊の撤退を指揮した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ガレス・ランドロック
豪快なドワーフの第一級冒険者である。南西の部隊を率いて作戦を遂行する。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア・首脳陣。第一級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
ロキとディオニュソスを護衛し、迷主の間を目指して進撃した。タナトスを追い詰めた後、緑肉の浸食から団員を抱えて地上へ脱出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ティオネ
フィンを慕うアマゾネスの戦士である。妹のティオナと共に前衛で戦う。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア。第一級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
異端児との共闘にはフィンの決定として迷わず従った。バルカの怪物との戦いでは、長柄武器を用いて敵の巨躯をかち上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ティオナ
直感に優れたアマゾネスの少女である。怪物の行動に価値を見出している。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア。第一級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
異端児の行動を見て共闘に賛同した。バルカの怪物に対して大双刃で突撃し、敵の迎撃を力でねじ伏せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ベート・ローガ
好戦的な狼人の青年である。現実的な判断を下し、無駄な不満を切り捨てる。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア。第一級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
異端児との共闘に不満を抱く団員を一喝し、議論を収束させた。作戦中は南東部隊の先頭に立ち、圧倒的な力でモンスターを駆逐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アイズ・ヴァレンシュタイン
怪物を殺す誓いが揺らぎ、自身の在り方に苦悩する少女剣士である。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア。第一級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
ベルとの再会を経て強くなることを決意し、オッタルに訓練を申し込んだ。作戦では単独で先行して魔法を放ち、レヴィスを誘い出す役割を果たした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
オッタルとの特訓を経て、剣の本質を自覚し決意を新たにした。
アナキティ・オータム
冷静な猫人の女性冒険者である。団員の代弁者としてフィンの真意を確認する。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア・副官。第二級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
フィンの覚悟を確認し、共闘への賛同を示して派閥の意思を統一させた。作戦中はベートの後続を指揮し、退路の確保を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ラウル・ノールド
自己評価は低いが、指揮官としての責任を果たす青年である。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア。第二級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
敵の自爆戦術を前に動揺する団員を叱咤し、部隊の戦意を維持させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
レフィーヤ・ウィリディス
強力な魔法を操るエルフの魔導士である。ベルの成長に強い対抗心を抱いている。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア・魔導士。
・物語内での具体的な行動や成果
フィルヴィスからの退避勧告を断り、作戦への参加を決意した。仮面の人物の奇襲を受けた際、フィルヴィスが殺害される光景を目撃し魔力を暴走させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フィルヴィスの死により深刻な精神的打撃を受け、心を閉ざしてしまった。
クルス
犬人の青年冒険者である。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア。第二級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
ガレスの指示を受け、敵の退路封鎖を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アリシア
エルフの女性冒険者である。異端児の行動に心を動かされている。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア。
・物語内での具体的な行動や成果
怪物に命を救われた経験を語り、ファミリアの意見を共闘へと傾けた。作戦中は小隊を率いて迷宮を進軍した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エルフィ
レフィーヤの同室である魔導士の少女である。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア・魔導士。
・物語内での具体的な行動や成果
アリシアの部隊に同行し、壁の隙間に潜む単眼の怪物を見つけて悲鳴を上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ナルヴィ
女性の冒険者である。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア。
・物語内での具体的な行動や成果
南西の部隊でガレスの指示を受け、退路の警戒にあたった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ラクタ
地図作成の素質を持つ兎人の少女である。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア。
・物語内での具体的な行動や成果
南東部隊に同行し、ダンジョンの出入り口を発見して現在地を特定した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アークス
ファミリアの団員である。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア。
・物語内での具体的な行動や成果
アイズが後退する先の広間で武装隊として待機した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
モレル
猫人の女性団員である。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア。
・物語内での具体的な行動や成果
アナキティの指示を受け、地上部隊への連絡と補給路構築のため伝令に走った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
シンシア
魔導士兼サポーターの少女である。
・所属組織、地位や役職
ロキ・ファミリア・魔導士、サポーター。
・物語内での具体的な行動や成果
ティオネの指示に従い、特殊武装を彼女に手渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヘスティア・ファミリア
ヘスティア
ベルを深く愛する女神である。
・所属組織、地位や役職
ヘスティア・ファミリア・主神。
・物語内での具体的な行動や成果
ロキと口論し、天界時代のディオニュソスが抱えていた異常性について語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ベル・クラネル
白髪紅眼の少年冒険者である。猛牛との戦いを経て大きな成長を遂げる。
・所属組織、地位や役職
ヘスティア・ファミリア。
・物語内での具体的な行動や成果
アイズと市壁で再会し、再び戦い方を教えてほしいと懇願した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
Lv.4に昇格し、ギルドから遠征の強制任務を与えられた。
フレイヤ・ファミリア
フレイヤ
美と魅了を司る女神である。
・所属組織、地位や役職
フレイヤ・ファミリア・主神。
・物語内での具体的な行動や成果
本拠地に現れたアイズの覚悟を認め、見返りとして個人的な「借り」を要求しつつ訓練を許可した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
オッタル
都市最強と謳われる猪人の武人である。
・所属組織、地位や役職
フレイヤ・ファミリア。第一級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
アイズに実戦形式の苛烈な特訓を課し、彼女の剣が怪物を殺すことに特化していると指摘した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アレン・フローメル
好戦的な猫人の青年である。
・所属組織、地位や役職
フレイヤ・ファミリア。第一級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
アイズが本拠地に現れたことに激怒し、槍を突きつけて殺意を露わにした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヘルン
フレイヤに付き従う団員である。
・所属組織、地位や役職
フレイヤ・ファミリア。
・物語内での具体的な行動や成果
フレイヤの従者として馬車に同乗し、その場を離れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヘルメス・ファミリア
ヘルメス
策を弄する男神である。事件の裏で独自の調査を進める。
・所属組織、地位や役職
ヘルメス・ファミリア・主神。
・物語内での具体的な行動や成果
ベルを戦いから遠ざけるため、彼に遠征任務を与えるようギルドに提案した。作戦後はロキと共に黒幕の正体について推理を交わした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アスフィ・アル・アンドロメダ
万能者と呼ばれる有能な女性冒険者である。
・所属組織、地位や役職
ヘルメス・ファミリア・団長。
・物語内での具体的な行動や成果
透明化の魔道具で別動隊を率い、バルカを奇襲して設計図を奪った。独自に作成した人造迷宮の鍵を用いて作戦に貢献した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ルルネ・ルーイ
犬人の盗賊である。
・所属組織、地位や役職
ヘルメス・ファミリア。
・物語内での具体的な行動や成果
奪取した手記を広げ、眼晶を用いて各部隊へ迷宮の構造や敵の拠点の情報を伝達した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ファルガー
虎人の男性冒険者である。
・所属組織、地位や役職
ヘルメス・ファミリア。
・物語内での具体的な行動や成果
前衛の壁役として盾を構え、アミッドを敵の攻撃から守り抜いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
メリル
小人族の魔導士である。
・所属組織、地位や役職
ヘルメス・ファミリア・魔導士。
・物語内での具体的な行動や成果
アスフィの指示に従い、ファルガーに庇われながら支援魔法の詠唱に徹した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
セイン
ファミリアの団員である。
・所属組織、地位や役職
ヘルメス・ファミリア。
・物語内での具体的な行動や成果
アスフィの指示を受け、前衛から下がって支援に回った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ディオニュソス・ファミリア
ディオニュソス
葡萄酒を愛する男神である。眷族の仇討ちに強い執着を見せる。
・所属組織、地位や役職
ディオニュソス・ファミリア・主神。
・物語内での具体的な行動や成果
自ら人造迷宮へ赴き、単独で仇を追って闇の奥へ進んだ。しかし現実と幻覚の区別がつかなくなり、天へ送還された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
神酒によって記憶や認識を操作されており、黒幕の隠れ蓑として利用されていた。
フィルヴィス・シャリア
ディオニュソスに心酔するエルフの少女である。
・所属組織、地位や役職
ディオニュソス・ファミリア・団長。
・物語内での具体的な行動や成果
レフィーヤに都市からの離脱を提案したが拒絶された。ディオニュソスの送還によって恩恵を失い、仮面の人物に首を折られて死亡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
死亡した。
アウラ・モーリエル
潔癖な性格のエルフの女性である。フィルヴィスに対し強い反発心を抱く。
・所属組織、地位や役職
ディオニュソス・ファミリア・副団長。
・物語内での具体的な行動や成果
私怨を抑えてロキ・ファミリアへの協力を誓い、迷宮内で伝令や指揮を行った。しかし緑肉の波から逃げ切れず、命を落とした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
死亡した。
ガネーシャ・ファミリア
ガネーシャ
群衆を守ることに重きを置く男神である。
・所属組織、地位や役職
ガネーシャ・ファミリア・主神。
・物語内での具体的な行動や成果
復讐を望む眷族たちを諭し、迷宮街の包囲と警備に徹するよう命じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
シャクティ・ヴァルマ
冷静沈着な女性冒険者である。
・所属組織、地位や役職
ガネーシャ・ファミリア・団長。
・物語内での具体的な行動や成果
ダイダロス通りの警備を指揮し、一般人の立ち入りや逃亡者の阻止を徹底した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
イルタ
感情的なアマゾネスの戦士である。
・所属組織、地位や役職
ガネーシャ・ファミリア。
・物語内での具体的な行動や成果
作戦の第一陣に参加できないことに不満を漏らしたが、ガネーシャの言葉に従った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ディアンケヒト・ファミリア
アミッド・テアサナーレ
都市最高位の能力を持つ治療師の少女である。
・所属組織、地位や役職
ディアンケヒト・ファミリア。
・物語内での具体的な行動や成果
全癒魔法で呪詛を無効化し、部隊の戦線を一人で維持した。バルカの怪物に対して解呪魔法を直接放ち、呪詛の力を完全に消滅させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
マルタ
ファミリアの治療師である。
・所属組織、地位や役職
ディアンケヒト・ファミリア・治療師。
・物語内での具体的な行動や成果
アミッドが解呪魔法に専念する間、代わって部隊の回復支援を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ベルナデット
ファミリアの治療師である。
・所属組織、地位や役職
ディアンケヒト・ファミリア・治療師。
・物語内での具体的な行動や成果
アミッドの指示を受け、マルタと共に戦線の維持に努めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ソーマ・ファミリア
ソーマ
神酒の醸造に没頭する男神である。
・所属組織、地位や役職
ソーマ・ファミリア・主神。
・物語内での具体的な行動や成果
ロキから自身が作っていない神酒の匂いを嗅ぎ取り、ディオニュソスの酒蔵を調べ上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ギルド
ウラノス
オラリオの地下で神意を巡らせる創設神である。
・所属組織、地位や役職
ギルド・最高神。
・物語内での具体的な行動や成果
フェルズからの報告を受け、黒幕が闇派閥を残党ごと切り捨てる計画を立てていたと推測した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
異端児(ゼノス) / 地下勢力
フェルズ
黒衣で全身を覆う魔術師である。ウラノスの手足として動く。
・所属組織、地位や役職
地下勢力。
・物語内での具体的な行動や成果
異端児を率いてダンジョン側から進攻し、眼晶をロキ・ファミリアに提供して作戦を連携させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
リド
異端児のリーダー格である蜥蜴人である。
・所属組織、地位や役職
異端児。
・物語内での具体的な行動や成果
下層でのモンスター掃討を指揮し、人造迷宮の生成器官を破壊して敵の補給を断った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
レイ
金翼を持つ歌人鳥である。
・所属組織、地位や役職
異端児。
・物語内での具体的な行動や成果
反響定位を用いて迷宮の構造を把握し、異端児の部隊を先導した。地上への脱出時、フィンを掴んで救出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ウィーネ
人語を解する竜女である。ベルに救われた恩を返すために戦う。
・所属組織、地位や役職
異端児。
・物語内での具体的な行動や成果
自ら作戦への参加を志願し、優れた五感を活かして探索に貢献した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
グロス
石竜の異端児である。
・所属組織、地位や役職
異端児。
・物語内での具体的な行動や成果
リドから後方の残敵掃討を任され、その場に残って戦い続けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
蜥蜴人
集団として行動するモンスターである。
・所属組織、地位や役職
異端児。
・物語内での具体的な行動や成果
リドの号令に従い、極彩色のモンスターを切り伏せて進軍した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
石竜
集団として行動するモンスターである。
・所属組織、地位や役職
異端児。
・物語内での具体的な行動や成果
グロスと共に残敵の掃討を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
歌人鳥
集団として行動するモンスターである。
・所属組織、地位や役職
異端児。
・物語内での具体的な行動や成果
レイの反響定位に付き従い、迷宮内を飛翔して探索を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
タナトス・ファミリア / 闇派閥(イヴィルス)
タナトス
死を司る退廃的な男神である。
・所属組織、地位や役職
タナトス・ファミリア・主神。闇派閥。
・物語内での具体的な行動や成果
バルカに自死の概念を吹き込み、彼を利用した。最後は黒幕に使い捨てられたことを悟り、意地で自らの胸を刺して天へ送還された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
天へ送還され、下界から退場した。
バルカ・ペルディクス
迷宮の完成に執着するダイダロスの末裔である。
・所属組織、地位や役職
闇派閥・幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
アスフィ達に奇襲されて設計図を奪われ、敗北を悟って自らの体を呪詛の刃で刺した。宝玉の胎児と融合し、呪詛を振りまく怪物に変貌した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
怪物と化した後、アミッドの解呪魔法を受けて絶命した。
死神の使徒
タナトスを信仰する団員たちである。
・所属組織、地位や役職
闇派閥。
・物語内での具体的な行動や成果
捕虜になることを防ぐため、ロキ・ファミリアの前で次々と自爆戦術を決行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
怪人・モンスター
仮面の人物(エイン)
紫紺の外套を纏う怪人である。
・所属組織、地位や役職
怪人。
・物語内での具体的な行動や成果
タナトスに見切りをつけて主の言葉を伝えた。フィルヴィスの首を折って殺害し、食人花を操ってレフィーヤたちを襲撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
レヴィス
赤髪と緑眼を持つ怪人である。
・所属組織、地位や役職
怪人。
・物語内での具体的な行動や成果
アイズの魔法を察知して十二層へ向かうが、戦闘を行わず緑肉の波の奥へと消えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
黒い猛牛
漆黒の体躯を持つ強力なモンスターである。
・所属組織、地位や役職
モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
ベルとの激闘を終えた後、制止を振り切ってダンジョンの深層へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ギルドの公式発表でLv.7相当と認定された。
バルカの怪物
バルカが宝玉の胎児と融合した異形の存在である。
・所属組織、地位や役職
モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
広範囲に強力な呪詛の血を撒き散らし、冒険者たちに甚大な被害を与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アミッドの魔法によって呪詛を消滅させられ、機能を停止した。
精霊の分身
迷宮全域を緑肉で満たす強大な存在である。
・所属組織、地位や役職
モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
神の送還を合図に覚醒し、迷宮の通路を緑肉で埋め尽くして冒険者たちを捕食した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
宝玉の胎児
穢れた精霊へと成長する種である。
・所属組織、地位や役職
モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
バルカの胸部に埋め込まれ、彼の肉体を媒介として怪物を生み出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
食人花
無数の触手を持つモンスターである。
・所属組織、地位や役職
モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
仮面の人物に操られ、レフィーヤたち冒険者の部隊に襲い掛かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
晶眼
緑色の結晶を持つ小型モンスターである。
・所属組織、地位や役職
モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
簡易苗花から生み出され、前衛の突撃によって殲滅された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
水黽型の極彩色モンスター
迷宮の下層に出現するモンスターである。
・所属組織、地位や役職
モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
大通路で進行を妨げようとしたが、ベートの蹴撃で粉砕された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ゴブリン
ダンジョンの下級モンスターである。
・所属組織、地位や役職
モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
ダンジョン三階層で壁を破って現れたロキ・ファミリアに驚き、呆然としていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
その他のキャラクター・集団
ガンド
迷宮街の商店街に住む男性である。
・所属組織、地位や役職
迷宮街の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
ディオニュソスに大壺製法で作った酒を勧めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ジェーナ
迷宮街の商店街で働く醸造家である。
・所属組織、地位や役職
迷宮街の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
ディオニュソスと親しげに言葉を交わした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
スゥ
ジェーナの子供である。
・所属組織、地位や役職
迷宮街の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
ディオニュソスに呼ばれて近寄った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ホリィ
ジェーナの子供である。
・所属組織、地位や役職
迷宮街の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
ディオニュソスの姿を見て歓声を上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
リーナ
ジェーナの子供である。
・所属組織、地位や役職
迷宮街の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
ディオニュソスに呼ばれて近寄った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ソード・オラトリア 10レビュー
ソード・オラトリア 12レビュー
展開まとめ
プロローグ◆苦悩の夜、おぞましき闇
少年と猛牛の激闘を見つめるアイズ
少年と猛牛は、都市全体を揺るがすほどの声援の中で激闘を繰り広げていた。ナイフと両刃斧が打ち合わされ、命を賭けた戦いは新たな英雄の誕生を期待させるものとなっていた。アイズは、その凄烈な光景を静かに見つめていた。
三ヶ月前の戦いとの重なり
アイズは、三ヶ月前にダンジョンで少年が猛牛と戦った時のことを思い出していた。あの時と同じように、少年の咆哮と意志は周囲の者たちの心に火を灯していた。しかし、アイズの胸は以前のように高鳴らず、闇に塞がれているようであった。
少年の答えとアイズの孤独
アイズは、自分とは異なる答えを出した少年が、何を思い、何のために怪物と戦っているのかを考えていた。その戦いは殺し合いでありながら、少年とモンスターが互いを求め、分かり合っているようにも見えた。その光景の中で、アイズだけが取り残されているようであった。
折れた誓いと揺らぐ剣
アイズは、怪物は殺すという自らの誓いが、少年の意志とぶつかって敗れたことを自覚していた。その結果、彼女の剣には迷いが生じていた。少年がこの夜を越えてさらに強くなり、英雄の道を歩み出す一方で、アイズは自分も同じように走り出せるのかと問い続けていた。
答えのない夜
アイズは、少年の勇姿に今の自分を重ねることができなかった。強くなれるのか、走り出せるのかという問いに答えはなく、縋るような思いも消えていった。夜空の月も星も、彼女の問いに答えることはなかった。
混沌に満ちた闇と「影」の存在
淀んだ冷気と耳鳴りを伴う静寂の中、闇は生き物のように蠢き、混沌に満ちていた。その現実とも幻ともつかぬ場所に、「影」はただ佇み、来るべき時を待ち続けていた。
仮面の人物の出現と呼びかけ
不意に鋭い光が差し込み、種族も性別も不明な仮面の人物が現れた。その声は複数の肉声が重なったような不気味なものであり、「エニュオ」と名を呼びかけた。
人造迷宮の報告と「影」の反応
仮面の人物は【ロキ・ファミリア】と人造迷宮に関する報告を伝えた。それを受けた「影」は唇を歪め、大詰めであると告げた。その声音には愉悦と寂しさ、期待が入り混じり、感情が揺れ動いていた。
狂乱の幕開け
仮面の人物が沈黙する中、「影」は背を向けたまま両手を広げ、まるで指揮者のように振る舞った。そして、美しき狂乱の始まりを宣言し、事態の進行を示した。
一章◆だから私も走り出す
異例の宣言と団員達の動揺
黄昏の館に集められた団員達の前で、フィンは武装したモンスターと結託する方針を宣言した。その内容は常識を逸脱しており、団内には困惑や反発が広がり、統率された派閥としては異例の混乱状態に陥った。
知性ある存在としてのモンスター認識
フィンは迷宮街攻防戦で確認した事実を基に、武装したモンスターが高い知性と意思疎通能力を持つ存在であると説明した。さらに地上進出にもかかわらず犠牲者が出ていない点を挙げ、従来のモンスターとは異なる存在であると断じた。
結託の決断と覚悟の表明
フィンは既に交渉を終えていることを明かし、この決断が首脳陣の総意であると示した。都市の平和と人造迷宮攻略のためであれば、自身が罪を背負う覚悟を持つと宣言し、その強い意志は団員達に衝撃を与えた。
アナキティによる意思確認
混乱の中でアナキティはフィンに対し、建前ではなく本心を問いただした。フィンはモンスターを信用すると明言し、その偽りのない言葉を受けてアナキティは従う姿勢を示し、団内の空気は次第に統一へと傾いた。
アリシアの証言による認識の変化
アリシアは武装したモンスターに命を救われた経験を語り、その行動に友愛に近い意思を感じたと述べた。この証言は団員達の価値観を揺さぶり、モンスターへの絶対的敵対意識に疑問を生じさせた。
異端児との共闘条件の提示
フィンは武装したモンスターを「異端児」と定義し、人造迷宮勢力と敵対する存在であると説明した。その上で今回の共闘は利害一致による一時的なものであり、過度な信頼は禁物であると強調した。
提案としての決断と各自の選択
この決断は命令ではなく提案として提示され、団員達は各自の判断を委ねられた。脱退も認められたが、秘密保持のみが条件とされ、団員達は動揺を抱えたまま解散した。
議論の継続と中間層の苦悩
解散後も団員達は大食堂に残り、激しい議論を続けた。ラウルは下位団員達の声を受け止め続けて疲弊し、中間に立つ者としての重圧を背負っていた。
団員達の本音と葛藤
団員達は仇討ちや恐怖、不安といった感情の間で揺れ動いていた。モンスターと手を組むことへの抵抗を抱えつつも、明確な結論を出せないまま葛藤を深めていた。
ベートの現実的判断
ベートは都市崩壊を防ぐためならば共闘もやむを得ないと割り切り、戦いの後に感情をぶつければよいと断じた。その現実的な判断は、団員達の混乱を一時的に鎮めた。
双子の対照的な姿勢
ティオナは異端児との共闘に肯定的であった一方、ティオネは団長の決定に従う姿勢を貫いた。両者の対照的な態度は、団内の多様な価値観を象徴していた。
レフィーヤの告白と認識の深化
レフィーヤは恐怖を抱きながらも異端児に嫌悪感を持たなかったと語り、彼らに仲間を想う心を感じたと述べた。その言葉は周囲に影響を与え、団員達は迷宮街での出来事を再認識した。
アイズの不在と孤独
議論の最中、アイズがその場にいないことが明らかとなった。彼女は部屋で一人思い悩み、戦いに対する迷いを抱えていた。
リヴェリアとの対話と葛藤の吐露
リヴェリアはアイズに問いかけ、アイズは竜女を斬れなかった理由とベルへの感情を語った。怪物を斬るという誓いを破ったことに苦悩し、自身の迷いを明かした。
迷いの肯定と支え
リヴェリアはその迷いを否定せず、答えは一つではないと諭した。迷うこと自体に意味があると伝え、アイズを支える姿勢を示した。
再起の兆しと決意
リヴェリアの言葉によりアイズはわずかに心を取り戻し、前に進む決意を固めた。迷いを抱えたままでも歩みを止めない意思が芽生えた。
ベルとの再会と共鳴
アイズは市壁でベルと再会し、彼の迷いのない意志に触れた。自分と同じものを感じ取りながらも、その成長に置き去りにされた感覚を覚えた。
強さへの意志の共有と出発
ベルの強くなりたいという言葉はアイズの心を打ち、彼女自身の決意を呼び起こした。答えは出ていないままでも、前に進むことを選び、さらなる力を求めて走り出した。
二章◆決戦インターミッション
アイズのフレイヤ・ファミリア訪問
アイズは強さを求め、オラリオ南方第五区画にある【フレイヤ・ファミリア】の本拠へ赴いた。単身で「戦いの野」に踏み込んだ彼女は、アレンをはじめとする団員達に包囲され、一触即発の状況に置かれた。
フレイヤの介入と訓練の許可
アレンが攻撃しようとした直前、フレイヤが現れて場を収めた。アイズはオッタルに訓練を願い出て、怪人に再び敗れないための覚悟を示した。フレイヤはその願いを認める代わりに借りを求め、アイズは個人としてそれを受け入れた。
オッタルとの修行開始
オッタルはアイズの訓練を引き受け、情報の秘匿が命じられた。アイズはフィンに無断で動いたことに不安を抱きつつも、迷いを越えるために修行へ入った。
アイズの回復と作戦会議
リヴェリアはアイズからの手紙で修行開始を知り、彼女が立ち直りつつあることに安堵した。一方、【ロキ・ファミリア】では人造迷宮攻略の作戦会議が開かれ、異端児との共闘を受け入れたうえで団の結束が確認された。
二段階作戦と理想への転換
フィンは攻略を二段階に分け、第一進攻で地図作成と敵戦力の把握を行い、第二進攻で精霊の分身を討つ方針を示した。さらに犠牲を前提としない戦いを目指すと明言し、現実主義だけではなく理想を追う姿勢を示した。
戦力集結と準備方針
攻略には他派閥の協力が必要とされ、ガネーシャ、ヘルメス、ディアンケヒトらの協力が想定された。作戦実行までの間、人造迷宮への圧力と呪詛対策の秘薬準備を進めることが決定された。
異端児側との連携確立
ウラノスとフェルズは【ロキ・ファミリア】の作戦案を受け入れ、異端児を地下から、冒険者を地上から進攻させる挟撃体制に同意した。フェルズは連絡用の眼晶を提供し、戦力面では猛牛不在ながら約三十体の異端児が参加する見込みとなった。
ベルの遠征任務と保護
ヘルメスは、ベル達【ヘスティア・ファミリア】を人造迷宮攻略から遠ざけるよう提案した。ベルの急成長とLv.4到達を踏まえ、ギルドの強制任務として遠征へ向かわせることで、過酷な戦いから切り離す方針が決まった。
最終決戦への意志統一
ヘルメスは自らのファミリアも作戦に参加し、裏方として「エニュオ」の正体を暴くと宣言した。ウラノス達もこれに同意し、各勢力は人造迷宮攻略に向けて最終準備へ入った。
作戦開始日の通達
その後、【ロキ・ファミリア】の団員達に攻略作戦の全容が伝えられた。レフィーヤはベルのLv.4到達に衝撃を受けつつ、リヴェリアから作戦開始が十日後であると告げられ、決戦が目前に迫っていることを知った。
三章◆神の素顔
冒険者墓地での邂逅と告白
朝霧に包まれた冒険者墓地にて、ディオニュソスはフィルヴィスと共に亡き眷族へ花を手向けていた。そこへロキとレフィーヤが訪れ、対面したディオニュソスは、自らの眷族を失ったことへの謝罪のため墓地に通っていると語り、無意味と知りつつも続けるその行為に、強い想いを滲ませた。
仇討ちへの執念と参加願い
ディオニュソスは都市にいる神々すら疑うほどの執念を抱き、眷族の仇を必ず討つと誓った。そして人造迷宮攻略作戦への参加を願い出て、黒幕である「都市の破壊者」を暴くためには神の力が必要であると主張した。その切実な願いを受け、ロキは最終的に同行を認めた。
街中で見せる意外な素顔
墓地を後にした一行は朝の街を歩き、ディオニュソスは市民から親しげに声をかけられる姿を見せた。葡萄酒を通じた交流などにより多くの信頼を得ており、その無邪気な振る舞いは貴公子然とした印象とは異なる一面であった。
都市の危機と過去の因縁
ディオニュソスは迷宮都市の崩壊と「オルギア」の到来を語り、迫る危機を示した。道中で出会ったヘスティアとの会話では、天界時代の関係や恩義が明かされる一方、かつて彼が狂気に陥り神々に敵意を向けていた過去も語られた。その事実にロキは違和感を抱き、内心に疑念を残した。
フィルヴィスの警告と決別の提案
作戦前、レフィーヤと再会したフィルヴィスは、高台にて戦いから離れ都市を去るよう提案した。今回の戦いで命を落とす危険を確信し、レフィーヤを守るための選択であった。
恐れと決意の衝突
フィルヴィスはレフィーヤを失うことへの恐怖を告白し、これまでとは異なる感情を露わにした。しかしレフィーヤはそれを拒絶し、逃げずに戦う決意を示した。自身の未熟さと向き合い、仲間の力になるため強くなると誓った。
互いの誓いと未来の約束
レフィーヤの覚悟を受け、フィルヴィスは彼女を守ると誓った。二人は戦いを乗り越えて共に帰還すること、そして未来を共にする約束を交わし、それぞれの覚悟を胸に前へ進むことを選んだ。
アイズの苛烈な修行と限界の自覚
一方、アイズはフレイヤ・ファミリアの地でオッタルとの過酷な訓練に身を投じていた。圧倒的な実力差の前に己の未熟さを痛感し、魔法を使わずとも完封される現実に直面した。
対人戦の弱点と剣の本質の露呈
オッタルはアイズの剣が対人戦に適していないことを指摘し、その本質が怪物を斬るためのものであると断じた。怪人を人として捉えている限り勝てないと告げ、彼女の認識の甘さを突きつけた。
迷いの克服と戦意の再燃
さらにアイズの迷いを見抜いたオッタルは、内に秘めた意志を思い出すよう促した。それは憎しみではなく守るための力であった。アイズはその言葉を受け入れ、迷いを押し切る形で再び戦う意志を燃え上がらせた。
四章◆アベンジャーズ~Knossos War~
アイズの成長と覚悟の確立
人造迷宮攻略作戦当日、アイズは【ステイタス】の更新結果を確認し、過酷な修行の成果として大幅な成長を実感していた。その結果を自ら焼き捨てることで過去と迷いを断ち切り、戦いに臨む覚悟を固めた。
作戦開始と都市封鎖
ダイダロス通りはガネーシャ・ファミリアとギルドによって封鎖され、完全な包囲網が構築されていた。ガネーシャは復讐ではなく都市防衛を優先する方針を示し、後方部隊は警備と封鎖維持に専念した。
突入部隊の編成と進攻開始
複数派閥による混成部隊が編成され、各入口から同時に突入が開始された。アミッドを中心とした治療体制と呪詛対策が整えられ、フィンの号令とともに冒険者達は人造迷宮へ進攻した。
異端児との連携による挟撃
同時に地下では異端児達が進軍を開始し、地上と地下からの挟撃が成立した。眼晶による情報共有により連携は円滑に進み、人と怪物の連合軍は総力戦へと突入した。
各戦線の進展と突破
南東・南西部隊は拠点を確保しながら進軍し、地図作成と制圧を同時に進めた。一方、北東部隊は呪道具による奇襲を受けるも、アミッドの回復によって戦線を維持し、攻勢へと転じた。
タナトス側の劣勢と焦燥
迷宮最奥ではタナトスが戦況を把握し、各方面からの侵攻により防衛線が崩壊しつつある現状に動揺していた。鍵を集約して防衛を試みるも、敵の進行を止めることはできなかった。
アイズ部隊の奇襲と高速侵攻
アイズは鍵を用いて扉を次々と解放し、圧倒的な速度で深部へ侵入した。広域魔法による索敵を行いながら精霊の分身の位置を探り、同時に敵中枢を誘い出す囮として行動していた。
レヴィスの判断と迎撃決定
アイズの意図を見抜いたレヴィスは、精霊の位置が暴かれる危険を察知し、自ら迎撃に向かうことを決断した。フィンの策略であると理解しつつも放置はできず、十二層へ急行した。
フィンの戦略と短期決戦への転換
フィンはアイズを陽動として活用し、敵主力を引き離すことで戦局を有利に導いた。長期戦を避け、速度を最優先とする短期決戦を選択し、進軍そのものを敵への圧力として機能させた。
後続部隊の苦戦と現実
ラウル率いる後続部隊は自爆戦術に苦しめられ、精神的にも大きな負担を受けていた。闇派閥は情報漏洩を防ぐため徹底した自爆を行い、戦場は苛烈さを増していた。
異端児の活躍と戦局への貢献
異端児達は下層でモンスターを引き受け、供給源を断つことで戦局を支えた。生成器官の破壊など重要な戦果を挙げ、連合軍の進撃を大きく後押しした。
レヴィス誘導の成功と総攻勢
リヴェリアはレヴィスの接近を察知し部隊を撤退させ、陽動は成功した。最大の脅威が分断されたことで、フィンは全軍に総攻撃を命じ、戦局は決定的な段階へと移行した。
五章◆迷執顕現
人造迷宮の崩壊とバルカの動揺
バルカは、人造迷宮が半日で急速に攻略されていく現実に直面し、その異常な進行速度に驚愕していた。冒険者達は過去の戦闘経験と情報を基に的確に進軍し、防衛網を次々と突破していた。
情報戦による戦術優位の確立
戦況を決定づけていたのは眼晶による情報共有であった。各部隊はリアルタイムで連携し、指揮系統を統一することで、迷宮攻略を飛躍的に加速させていた。
バルカの本質と歪んだ存在
バルカは誕生時から「ダイダロスの手記」を刻まれ、迷宮建設のための存在として育てられていた。感情や倫理を持たず、千年の妄執を継承することのみを目的として行動していた。
崩壊装置起動の逡巡と隙
侵入者殲滅のため迷宮崩壊装置の起動を試みるが、自らの悲願を損なう行為に迷いが生じた。この一瞬の逡巡が致命的な隙となった。
ヘルメス・ファミリアの奇襲
その隙を突き、アスフィ率いるヘルメス・ファミリアが透明化魔道具による奇襲を成功させた。重要拠点は制圧され、幹部は捕縛された。
陽動作戦の真意と設計図奪取
大規模攻略戦は陽動であり、真の目的は「ダイダロスの手記」の奪取であった。ヘルメス・ファミリアは新たな鍵を作成することで迷宮制約を突破し、設計図を確保した。
戦局の決定と戦略転換
精霊の分身の位置が判明すると、フィンは敵拠点制圧を優先する方針へ転換した。各部隊は連携して九層へ進軍し、出入口を制圧して完全包囲を成立させた。
タナトスの敗北認識と追い詰められるバルカ
戦況を見ていたタナトスは敗北を悟り、迷宮深部ではフィン率いる主力部隊がバルカを追い詰めた。勝敗は既に決していた。
バルカの異常行動と融合の開始
バルカは自らの身体に呪剣を突き刺し、「宝玉の胎児」を取り出して自身に埋め込んだ。これにより精霊の力との融合が始まった。
異形への変貌と執念の顕現
肉体は急速に崩壊と再構築を繰り返し、バルカは完全な怪物へと変貌した。迷宮完成への執念を叫びながら、その意思は最後まで途絶えることはなかった。
怪物バルカとの戦闘開始
フィンの号令により冒険者達は恐怖を振り払い、怪物と化したバルカへ総攻撃を開始した。圧倒的な威圧の中で戦闘は激化した。
呪詛攻撃による戦線崩壊
怪物は血液を散布し、それに触れた者に強力な呪詛を付与した。多くの前衛が瞬時に戦闘不能となり、戦線は崩壊寸前に追い込まれた。
回復依存による危険な均衡
アミッドの回復魔法により戦線は辛うじて維持されたが、彼女への依存が極端に高まり、均衡は極めて不安定な状態となった。
援軍拒否と戦略維持
フィンは援軍要請を否定し、戦力分散による崩壊を防いだ。作戦目的を再確認させ、各部隊に役割の遂行を徹底させた。
勇者の突撃と士気の再生
フィンは自ら先頭に立ち、呪詛の中へ突撃した。その姿は団員達の士気を再び奮い立たせ、恐怖を打ち破る契機となった。
総攻撃への再転換
ティオナやティオネも攻勢に加わり、部隊全体が再び前進した。絶望的な状況の中でも冒険者達は戦意を取り戻し、戦局は最終決戦へと突入した。
六章◆そして、神は笑った
不穏な遭遇とレヴィスの沈黙
迷宮内でエルフィは壁の隙間に潜む血走った単眼を目撃したが、戦況の逼迫により調査を中断した。一方、十二層ではアイズ達がレヴィスを迎え撃つ布陣を敷いたものの、レヴィスは戦意を見せず、ただアイズを見つめるだけであった。その異様な静寂は、後に起こる惨劇の前兆であった。
バルカの怪物との決着
九層ではバルカの怪物との激戦が続いていた。圧倒的な耐久力と呪詛攻撃により戦線は崩れかけたが、アミッドが解呪に特化した魔法を怪物へ直接放ち、呪いの根源を断った。呪詛を失った怪物は同時に生命を絶ち、戦場には救済とも喪失ともつかない静寂が訪れた。
最終局面への部隊展開
ガレスは九層で部隊を分散させ、タナトスの確保と「都市の破壊者」の捜索を進めた。ロキを中心とする本隊は迷主の間へ向かい、レフィーヤには仮面の人物への警戒任務が与えられた。
ディオニュソスの離脱とタナトスの裏切られた理解
ディオニュソスは闇の通路に誘われるように単独行動を始め、仇を討つという確信に従って進んだ。一方、タナトスは仮面の人物から、自分達が都市の破壊者に利用されていたことを告げられ、精霊の分身の使用も拒まれた。タナトスは自らが贄にされる立場だと悟り、怒りと自嘲を込めて笑った。
ロキとタナトスの対峙
ロキはタナトスを追い詰めたが、彼は自分が都市の破壊者ではないと明かした。人造迷宮は砦ではなく祭壇であり、自分達こそ生贄だったと告げられ、ロキは勝利目前の盤面そのものが罠であった可能性に気付いた。
ディオニュソスの幻覚と送還
ロキの制止にもかかわらず、ディオニュソスは闇の奥へ進み続けた。護衛としていたはずのフィルヴィスが実際には側にいないことを突きつけられ、彼の認識は崩壊した。やがて彼は真の仇の姿を見て全てを悟り、ロキに謝罪した直後、神の送還が発生した。
フィルヴィスの死とレフィーヤの崩壊
神の送還によってディオニュソス・ファミリアの恩恵は封印され、フィルヴィスは常人同然となったまま仮面の人物へ突撃した。彼女は容易く捕らえられて殺され、レフィーヤはその光景を目の当たりにして心を崩壊させた。その慟哭に呼応するように、人造迷宮の祭壇が起動した。
精霊の分身の覚醒と迷宮の侵食
人造迷宮各地に配置された六体の精霊の分身が共鳴し、緑肉を急速に増殖させた。緑肉は迷宮全域を埋め尽くし、冒険者、モンスター、闇派閥残党を無差別に呑み込み、養分として吸収した。迷宮は侵入者を捕食する異質な魔城へ変貌した。
敗走とディオニュソス・ファミリアの全滅
フィンの予感による戦線後退により多くの冒険者は脱出できたが、恩恵を封じられたディオニュソス・ファミリアは逃げ切れなかった。アナキティはレフィーヤを抱えて撤退する苦渋の選択をし、助けを求める者達を見捨てざるを得なかった。ディオニュソス・ファミリアは例外なく緑肉に呑み込まれ、壊滅した。
タナトスの反逆と脱出口の形成
ロキ達も緑肉に追い詰められたが、タナトスは都市の破壊者に利用されたまま終わることを拒み、自ら胸を刺して送還を引き起こした。二度目の光柱は迷宮を貫き、地上への大穴を作った。ロキ達はその穴から脱出を図った。
決死の脱出と歌人鳥の救出
冒険者達は緑肉に追われながら光柱の通り道を跳び上がり、地上を目指した。途中、フィンはロキを逃がすため食人花に対応して遅れたが、歌人鳥に救出され、辛くも地上へ帰還した。
第一進攻の成功と失敗
人造迷宮攻略作戦『第一進攻』は、闇派閥の壊滅とタナトスの送還という戦果を挙げた。しかし同時に、ディオニュソス・ファミリアの全滅と派閥連合の敗走を招いた。攻略されたはずの人造迷宮は、新たな魔城へと変質した。
エピローグ◆Whodunit
作戦後に残された犠牲と喪失
人造迷宮攻略作戦の犠牲は、約八十名と神一柱に及んだ。【ロキ・ファミリア】と【ヘルメス・ファミリア】は死者を出さなかったが、それは【ディオニュソス・ファミリア】を見捨てて得た結果であり、派閥連合の士気は大きく低下した。特にレフィーヤはフィルヴィスの死によって心を砕かれ、外界に反応しない状態となっていた。
黒幕の存在と悪辣な計略
冒険者達と神々は、人造迷宮攻略を達成したにもかかわらず、その成果を根底から覆された事実を認めざるを得なかった。一度も表舞台に現れなかった「都市の破壊者」こそが真の敵であり、闇派閥もタナトスもディオニュソスも、その計略の中で利用された存在であった。
ロキとヘルメスの推理
ロキとヘルメスは情報を突き合わせ、一時はディオニュソスを黒幕と疑っていたことで一致した。彼の動きには不自然な点が多く、事件の中心に近すぎたためである。しかし彼の言葉や眷族への想いは本物であり、最終的に二柱は、ディオニュソスが黒幕ではなく操られていた存在であった可能性へ行き着いた。
神酒による支配の可能性
ロキはソーマの指摘によって、ディオニュソス・ファミリアの本拠に保管されていた未知の神酒を発見した。それはソーマをも上回るほど完成された神酒であり、神すら完全に酔わせる力を持つものだった。この神酒を日常的に飲まされていたならば、ディオニュソスは自覚のないまま酩酊し、黒幕の意図通りに動かされていた可能性があった。
黒幕へ繋がる香りの記憶
ロキはその葡萄酒の香りに覚えがあることに気付いた。記憶を辿るうち、ディオニュソスが「あの神」の隣で葡萄酒を飲んでいた場面へと思い至る。これにより、黒幕は遠い影ではなく、既にロキ達の前に姿を見せていた存在である可能性が浮上した。
異界と化した人造迷宮
フェルズは調査の結果、人造迷宮が「異界」と化したと報告した。緑肉は精霊の奇跡に類する現象であり、迷宮全体が侵入者を排除する意思を持つかのように変質していた。複数の精霊の分身による寄生が原因と推測され、人造迷宮はより強靭で醜悪な魔城へと生まれ変わっていた。
再侵入不能と都市崩壊の危機
変質した人造迷宮を短期間で突破することは不可能となった。精霊が潜む階層へ到達するには膨大な時間と労力が必要であり、都市崩壊の危機が進む中で、主導権は敵側へ移っていた。
闇派閥を利用した二重構造の計画
ウラノスは、黒幕の計画が二重構造であったと見抜いた。人造迷宮が攻略されなければ都市破壊の時を待ち、攻略された場合は闇派閥残党を生贄として祭壇を起動させる構想であった。闇派閥の壊滅すら、黒幕にとっては計画の一部に過ぎなかった。
天上だけが知る真相
黒幕の正体と計画の全貌は、下界ではまだ完全に明かされていなかった。人造迷宮の変貌と一連の惨劇は、神々すら翻弄する規模の計略であり、その答えは天上だけが知っているかのように残された。
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