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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかフィクション(Novel)読書感想

小説【ダンまち外伝】「ソード・オラトリア 10」感想・ネタバレ

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ソード・オラトリア10の表紙画像(レビュー記事導入用) ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか

ソード・オラトリア 9レビュー
ソード・オラトリア 11レビュー

Table of Contents

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 異端児の出現
      1. 異端児(ゼノス)の正体と発生の背景
      2. 事件の発端と地上への進出
      3. 人類の常識の崩壊と【ロキ・ファミリア】の葛藤
      4. ベル・クラネルの「愚者」の選択
      5. まとめ
    2. ベルの異端な行動
      1. 常識に反する「怪物」の保護
      2. ダイダロス通りでの「蛮行」と名声の失墜
      3. 神の用意した二者択一と「第三の選択」
      4. 黒い猛牛との死闘と「英雄」への回帰
      5. まとめ
    3. フィンの自己超克
      1. 「人工の英雄」としての葛藤と怪物への憎悪
      2. ベル・クラネルの「愚行」への羨望
      3. 古代の英雄「フィアナ」の超克
      4. まとめ
    4. ロキファミリアの進攻
      1. ダイダロス通りへの布陣と二面作戦
      2. 「鍵」の奪取と奇襲への転換
      3. 「妖精部隊」による迷宮内部の蹂躙
      4. ダンジョン連絡路の発見と三つ巴の激戦
      5. まとめ
    5. アイズとベルの対立
      1. 対立の根本:怪物に対する「価値観」の決定的な違い
      2. ダイダロス通りでの激突と刃の交錯
      3. ウィーネの自己犠牲と「誓い」の崩壊
      4. まとめ
    6. イケロス・ファミリアの暗躍
      1. 暗躍の目的:モンスターの密輸と闇派閥との結託
      2. 団長ディックスの狂気と主神の娯楽
      3. 異端児への惨劇と狡猾な罠
      4. 暗躍の結末とファミリアの崩壊
      5. まとめ
    7. 人造迷宮の攻略
      1. 人造迷宮クノッソスの全貌と攻略の絶対条件「鍵」
      2. 「妖精部隊」による怒涛の奇襲と情報開拓
      3. 三つ巴の激戦と三首領の連携
      4. 本格攻略に向けた「異端児」との極秘の共闘
      5. まとめ
  6. 登場キャラクター
    1. ロキ・ファミリア
      1. ロキ
      2. フィン・ディムナ
      3. リヴェリア・リヨス・アールヴ
      4. ガレス・ランドロック
      5. ティオネ
      6. ティオナ
      7. アナキティ・オータム
      8. ラウル・ノールド
      9. アイズ・ヴァレンシュタイン
      10. レフィーヤ・ウィリディス
      11. ベート・ローガ
      12. アリシア
      13. エルフィ
      14. クルス
      15. ナルヴィ
      16. ラクタ
      17. ロックス
      18. ソニア
      19. アルク
    2. ヘスティア・ファミリア
      1. ヘスティア
      2. ベル・クラネル
      3. リリルカ・アーデ
      4. 春姫
    3. イケロス・ファミリア
      1. イケロス
      2. ディックス・ベルディクス
    4. フレイヤ・ファミリア
      1. フレイヤ
      2. オッタル
    5. ヘルメス・ファミリア
      1. ヘルメス
      2. ルルネ・ルーイ
      3. アスフィ・アル・アンドロメダ
    6. ディオニュソス・ファミリア
      1. ディオニュソス
      2. フィルヴィス
    7. ヘファイストス・ファミリア
      1. ヘファイストス
      2. 椿
    8. ガネーシャ・ファミリア
      1. ガネーシャ
      2. ハシャーナ・ドルリア
      3. ガネーシャ・ファミリアの警備
    9. 元イシュタル・ファミリア
      1. レナ・タリー
    10. ギルド
      1. ウラノス
      2. ロイマン・マルディール
      3. ギルド職員
    11. タナトス・ファミリア / 闇派閥(イヴィルス)
      1. タナトス
      2. バルカ
      3. アコーズ
    12. 異端児(ゼノス) / 地下勢力
      1. フェルズ
      2. ウィーネ
      3. リド
      4. レイ
      5. グロス
      6. 異端児(ゼノス)達
      7. 蜥蜴人
      8. 歌人鳥
      9. 半人半蛇
      10. 一角獣
      11. 巨人
    13. 怪人・モンスター
      1. レヴィス
      2. 仮面の人物
      3. 黒い猛牛
      4. 武装したモンスター
      5. 食人花
      6. 晶眼
      7. 人形兵
    14. 豊穣の女主人
      1. シル・フローヴ
    15. 孤児院・迷宮街の子供達
      1. オシアン
      2. ライ
    16. その他のキャラクター・集団
      1. ペニア
      2. 覆面の冒険者
  7. 展開まとめ
    1. プロローグ◆ある少女の独白
    2. 一章◆前表
    3. 二章◆その名は愚者
    4. 間章◆妖精憤怒
    5. 三章◆勇者の憂鬱剣姫の懊悩
    6. 間章 神々の密談
    7. 四章 ダイダロス前哨戦・裏
    8. 間章 それぞれの戦い
    9. 五章 ブレイブソウル!
    10. 間章 たばかりの行方
    11. 六章 勇者克己
    12. エピローグ 小少女の結末
  8. ダンまち シリーズ一覧
    1. ダンジジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア
  9. ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか  一覧
    1. アストレア・レコード
  10. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア10』は、大人気ライトノベル『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』(通称:ダンまち)のスピンオフ作品であり、ジャンルは異世界ファンタジーである。 本作は、広大な地下迷宮(ダンジョン)を有する迷宮都市オラリオを舞台に、神々とその恩恵を受けた冒険者たちの活躍を描く世界観を本編と共有している。 第10巻の物語は、本編の「異端児(ゼノス)編」にあたる出来事の裏側を描く。人造迷宮の『鍵』を探し求める【ロキ・ファミリア】に訪れる運命の契機と、地上に出現した『武装したモンスター』によってオラリオに動乱がもたらされる。あらゆる勢力が巻き込まれる中、モンスターを庇う『愚者』となった本編の主人公ベル・クラネルと、彼を討つべく立ち塞がる【ロキ・ファミリア】の激突、そして彼らが抱える懊悩と葛藤が描かれたあらすじとなっている。

■ 主要キャラクター

  • アイズ・ヴァレンシュタイン: 本作の主人公であり、【ロキ・ファミリア】の最強クラスの第一級冒険者(剣姫)である。かつての悲惨な過去からモンスターに対して強い憎悪を抱いており、武装したモンスターを庇い己の前に立ち塞がるベルの姿に激しく動揺し、苦悩しながらも彼と激突する。
  • フィン・ディムナ: 【ロキ・ファミリア】の団長を務める小人族(パルゥム)の第一級冒険者である。一族の復興のために「作られた勇者」としてのコンプレックスを抱えながらも、都市の平和と自身の使命の間で自問自答し、大きな決断を下す役割を担う。
  • ロキ: 【ロキ・ファミリア】の主神である。普段は飄々としておどけた態度を崩さないが、本巻では苦悩するフィンや眷族たちに対して深い怒りや親心を見せ、彼らを導く精神的支柱としての立ち位置を強調している。
  • ベル・クラネル: 本編の主人公であり、【ヘスティア・ファミリア】に所属する冒険者である。言葉を解するモンスター(異端児)を救うため、これまで築き上げた名声や立場を捨てて【ロキ・ファミリア】と対峙し、物語の大きな波乱を呼ぶ存在である。

■ 物語の特徴

本作の最大の特徴は、本編でも屈指の盛り上がりを見せた「異端児編」の激闘を、敵対することになった【ロキ・ファミリア】の視点から描いている点である。本編ではベルにとって圧倒的な強者であり、乗り越えるべき巨大な壁として描かれていたアイズやフィンたちが、裏側でどれほど深く傷つき、葛藤し、苦悩していたのかが詳細に描写されている。 「人と怪物の境界」という重いテーマに対し、絶対的な正義が存在しない中で各々が己の信念を懸けてぶつかり合う重厚な群像劇となっている。本編と併せて読むことで、双方の切実な想いが交錯するカタルシスを味わうことができ、物語の深みと理解が劇的に増す構成となっているのが読者にとって非常に興味深いポイントである。

書籍情報

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア10
(Is It Wrong to Try to Pick Up Girls in a Dungeon? On the Side: Sword Oratoria)
著者:大森藤ノ 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
キャラクター原案: ヤスダスズヒト 氏
出版社:SBクリエイティブGA文庫
発売日:2018年5月13日
ISBN:978-4-7973-9460-3

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あらすじ・内容

剣姫は懊悩し、 勇者は覚悟する。
「怪物のせいで誰かが泣くのなら──私は怪物を、殺す」
そして、『その日』はやって来た。
人造迷宮の『鍵』を探し求める【ロキ・ファミリア】に訪れる運命の契機、オラリオに動乱をもたらす異常事態。地上に出現した『武装したモンスター』によって、あらゆる勢力が巻き込まれる中、待ち望まれていた『英雄』は零落し――新たな『愚者』が生まれる。
剣姫は懊悩する。
勇者は覚悟する。
人と『怪物』を巡る戦いの中で、様々な想いが決戦の舞台、迷宮街で交錯する!

これは、もう一つの眷族の物語、
──【剣姫の神聖譚】──

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア10

感想

本編の九巻から十一巻にかけて描かれた、異端児(ゼノス)をめぐる騒動の裏側を描く物語として構成されていた。

オラリオが大きく揺れるなかで、ロキ・ファミリアの面々がどのように戦い、何を思っていたのかが、ありありと伝わってきた。

もっとも心に残ったのは、小人の勇者フィンと、剣姫アイズがそれぞれに抱える、深い葛藤だった。

フィンは、一族を導く光になろうとするがゆえに、つらい決断を迫られ、大きな苦悩を抱えていた。

作られた英雄としての彼の生きざまには、深く胸を打つものがあった。

いっぽうで、アイズの心境の変化は、さらに残酷なものであった。

異端児の登場によって、これまで信じてきた「怪物は倒すべきもの」という価値観と存在意義が根底から揺らぎ、彼女は深い絶望を味わうことになった。

ヘスティアと同じくらい、あるいはそれ以上にベルのことを信じ、期待していた彼女にとって、彼との対立はあまりにも衝撃的だったのだろう。

また、意外だったのは、彼女がベルに対して「うらやましい」という感情を抱いていたことにも驚かされた。

誰も自分を助けてくれなかったからこそ、自ら剣をとるしかなかったアイズ。

ベルの存在によって奈落の底に突き落とされた彼女の、心の闇の深さは計り知れないほどだった。

そして、彼らの心をそこまでかき乱したのは、ほかでもないベルの生きざまゆえであった。

彼のまっすぐな行動が、強大な冒険者たちに多大な影響を与える様子を見て、彼こそが真に英雄となりえる資格を持っているのだと、あらためて示されたように感じた。

人と怪物とのあいだで揺れ動く、複雑な想いが交差する、読みごたえのある一冊となっていた。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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ソード・オラトリア 9レビュー
ソード・オラトリア 11レビュー

考察・解説

異端児の出現

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』および外伝『ソード・オラトリア』において、「異端児(ゼノス)」の出現は、人類とモンスターの果てしない殺し合いの歴史に一石を投じ、登場人物たちの倫理観や価値観を根底から揺るがす決定的な転機として描かれている。

異端児(ゼノス)の正体と発生の背景

「異端児」とは、理知と心を備え、人語を解し、人類との共生を望むモンスターたちの総称である。

  • ウラノスの推測によれば、モンスターにも魂の輪廻があり、幾星霜の死と再生を繰り返す中で「地上の太陽や空を見たい」というような強い未練や憧憬が魂に刻まれた結果、理性と自我を帯びた個体として発生したとされている。
  • フェルズは彼らを「ダンジョンの異常事態」であり、下界が生んだ新たな「可能性」にして「希望」であると評している。
  • オラリオの創設神であるウラノスは、15〜16年前からフェルズを通じて彼らと接触し、極秘裏に保護と支援を行ってきた。

事件の発端と地上への進出

今回の都市を巻き込む大動乱は、一匹の竜女(ヴィーヴル)であるウィーネが迷宮に生まれ落ち、ベル・クラネルに保護されたことから端を発する。

  • 人語を話す希少なモンスターは、迷宮の闇で怪物を生け捕りにして密売を行う【イケロス・ファミリア】のディックスらに目を付けられた。
  • 彼らの罠によって同胞を惨殺・拉致された異端児たちは、怒りのあまり理性を失い、報復と奪還のために18階層『リヴィラの街』を壊滅させ、地上(オラリオ)への進出を強行したのである。
  • これが都市側には「武装したモンスターの襲来」として認識され、ギルドによる強制任務が発令される事態となった。

人類の常識の崩壊と【ロキ・ファミリア】の葛藤

地上に現れた異端児たちを迎撃した【ロキ・ファミリア】の第一級冒険者たちは、交戦の中で彼らの「異常性」に気付いていく。

  • 言葉を発し、連携し、何より同胞や人間の子供を自らの身を挺して庇う姿は、これまでの「殺戮本能のみに従う怪物」という常識を完全に覆すものであった。
  • 特に人造迷宮クノッソス内部では、フェルズがリヴェリアたちエルフの部隊に異端児を引き合わせ、共生に向けた交渉を持ちかけた。
  • リヴェリアは「現実的な方策と証明がない」として一度はこれを冷酷に拒絶したものの、直後の闇派閥との混戦において、歌人鳥のレイが自らの身を盾にしてエルフのアリシアを死の刃から守ったことで状況は一変する。
  • 敵であるはずの人間を守り、「お友達になりたかった」と涙を流す怪物を前に、潔癖なエルフたちの価値観は根本から打ち砕かれた。
  • これを受けた勇者フィンもまた、彼らの存在と意志を認め、自らの名声が地に堕ちるリスクを承知の上で異端児との一時的な共闘を受け入れる決断を下したのである。

ベル・クラネルの「愚者」の選択

異端児の出現によって最も過酷な運命に立たされたのは、彼らを最初に受け入れたベル・クラネルである。

  • 彼は人類の敵である怪物を白昼堂々と庇ったことで、都市の全住民から非難を浴びる「裏切り者」「愚者」へと零落した。
  • 男神ヘルメスはベルの失墜を憂い、異端児の一体(グロス)を暴走する悪役に仕立て上げ、ベルにそれを討たせることで「英雄」の座へ回帰させるという残酷な舞台を用意した。
  • しかしベルは、自らの保身のために怪物を切り捨てるという神の用意した二者択一を拒絶し、刃を収めて両腕を広げ、異端児を信じ抜くという「第三の選択」を勝ち取った。
  • 最終的にベルは、同じく異端児であり圧倒的な強者である黒い猛牛(アステリオス)との死闘を通じて、打算の一切ない純粋な「冒険」の姿を都市の衆目に焼き付けた。

まとめ

「異端児」の出現は、人間とモンスターの間に横たわる絶対的な境界線を曖昧にし、「何が正義で何が悪か」という根本的な問いをオラリオに突きつけた。彼らの存在は、ベル・クラネルという一人の少年の在り方を問い直し、フィンやアイズといった都市最強の冒険者たちの価値観すらも変革させる、大いなる希望と試練の象徴であったと言える。

ベルの異端な行動

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』および外伝『ソード・オラトリア』において、ベル・クラネルの「異端な行動」は、人類とモンスターの間に横たわる絶対的な常識を打ち破り、周囲に多大な波紋と変革をもたらす物語の核心として描かれている。以下に、その行動の経緯と周囲に与えた影響について論じる。

常識に反する「怪物」の保護

ベルの異端な行動の始まりは、ダンジョン19階層で遭遇した人型の竜種「ヴィーヴル(ウィーネ)」の保護である。

  • 人類の絶対的な敵であるはずのモンスターが恐怖に震え、涙を流す姿を見たベルは、常識や闘争本能よりも庇護の意識を優先し、彼女を地上へと連れ帰った。
  • これは人類と怪物の果てしない殺し合いの歴史において、まさに異端と言える選択であった。

ダイダロス通りでの「蛮行」と名声の失墜

ウィーネを含む「異端児(ゼノス)」たちが地上へ進出した際、ベルの行動はさらに過激なものとなる。

  • 彼は白昼堂々、【ロキ・ファミリア】や群衆の前に立ちはだかり、「自分の獲物だ」と主張してウィーネを庇った。
  • さらに、ウィーネを追撃しようとする冒険者たちに対して魔法「ファイアボルト」を放ち、同業者を攻撃するという常軌を逸した「奇行」に及ぶ。
  • これらの行動により、ベルは「怪物趣味」「私利私欲のために都市を危険に晒した」と見なされ、これまで積み上げてきた【リトル・ルーキー】としての名声は完全に地に堕ち、都市中から敵意と蔑みを向けられる「愚者」へと零落した。

神の用意した二者択一と「第三の選択」

名声を失ったベルを憂いた男神ヘルメスは、彼を再び「英雄」の座に回帰させるための残酷な舞台を用意する。

  • それは、異端児の一体であるガーゴイル(グロス)を暴走させ、エイナを襲わせることで、ベルに「大切な人を守るために怪物を討つ」という選択を強要するものであった。
  • しかし、ベルは祖父の教えを胸に、武器を収めて両腕を広げ、無防備な姿で怪物を「信じる」という破滅的な行動に出る。
  • 怪物を殺すことも、人を見捨てることもしないこの「第三の選択」は、神の意図さえも打ち砕くものであり、それを見ていたフィンに「神意さえ振り払った愚かで眩しい選択」と言わしめた。

黒い猛牛との死闘と「英雄」への回帰

その直後に現れた黒い猛牛(アステリオス)との死闘において、ベルの異端な在り方は一つの昇華を迎える。

  • 誰の目にも明らかなほどの打算のない純粋な闘争心、勝利への渇望だけで強大な敵に立ち向かう少年の姿は、彼を非難していた群衆や冒険者たちの心を強く打った。
  • 満身創痍になりながらも立ち上がり続ける彼の姿に、人々はいつしか非難を忘れ、熱狂的な声援を送るようになる。
  • 結果としてベルは敗北したものの、彼の打算なき「冒険」は、都市の衆目に「真の英雄(アルゴノゥト)」の姿を幻視させた。

まとめ

ベルの異端な行動は、己の保身や名誉よりも「純粋な想い」と「信じること」を貫き通した結果生み出されたものであった。その愚かでありながらも真っ直ぐな姿勢は、最終的に彼自身を真の英雄へと回帰させただけでなく、凝り固まっていた周囲の者たちの価値観をも変革する決定的な力となったのである。

フィンの自己超克

『ソード・オラトリア』第10巻におけるフィン・ディムナの「自己超克」は、「人工の英雄」としての殻を破り、計算や打算、そして個人的な憎悪を乗り越えて、真の英雄へと至る覚悟の過程として描かれている。

「人工の英雄」としての葛藤と怪物への憎悪

小人族(パルゥム)の再興という野望を抱くフィンは、一族の希望の「光」となるため、自ら神に掛け合って【勇者(ブレイバー)】の二つ名を得た「人工の英雄」である。

  • 彼は目的のために全てを計算し、冷徹に不要なものを切り捨てる現実主義者(奸雄)として振る舞ってきた。
  • また、その心の奥底には、幼い頃に両親をモンスターに惨殺された凄まじい憎悪が根付いており、怪物との融和など己の原点と存在意義を否定するに等しい行為であった。

ベル・クラネルの「愚行」への羨望

しかし、ダイダロス通りで異端児(ゼノス)を身を挺して庇うベル・クラネルの姿を目撃したことで、フィンの心に強い揺らぎが生じる。

  • 名誉や地位、冒険者としての信用という全てを天秤にかけ、それらをかなぐり捨ててまで怪物を守るベルの行動は、フィンなら絶対に選ばない破滅的な「愚行」であった。
  • しかしフィンは、自分にはもうできない純粋な決断を貫く少年を嘲笑できず、むしろ「眩しい」と羨望を抱いている自分に気が付く。
  • 孤児院の小人族の少年オシアンからベルについて問われた際も、フィンは彼を非難せず「僕は彼を尊敬している」と偽らざる本心を口にした。

古代の英雄「フィアナ」の超克

都市を巻き込むベルと黒い猛牛(アステリオス)の死闘を目の当たりにし、フィンはその熱狂の中に、古代の英雄時代を牽引した「アルゴノゥト(英雄の船頭)」の姿を幻視する。

  • これまでフィンは、小人族の偉大な先人である女神「フィアナ」を目指して戦ってきたが、ベルの姿に感化された彼は、先人を追うだけでは足りないと悟る。
  • 彼はオッタルに対し、「一族の英雄を超えなければならない」と宣言し、自分もまた全てを計算するだけの存在から脱却し、理不尽な天秤を自らの意志で打ち壊せる真の「英雄」になることを決意した。

まとめ

自己超克を果たしたフィンは、モンスターへの憎悪を心の底へ沈め、迷宮都市の崩壊を防ぐために異端児を率いるフェルズに「共闘」を持ちかけた。

  • もし怪物と手を結んだことが露見すれば、これまで積み上げてきた【勇者】としての名声は地に堕ち、一族の再興という野望も潰える危険があった。
  • しかしフィンは、「全てを失った時は、今度は怪物と融和を結んだ前代未聞の第一人者としてやり直す」と笑ってのけたのである。
  • 作られた神意や打算を超え、自らの意志で未知なる英雄への道を選んだフィンの姿は、もはや作られた偶像ではなく、真の【勇者】としての確かな歩みとなった。

ロキファミリアの進攻

『ソード・オラトリア』第10巻において、【ロキ・ファミリア】による進攻は、迷宮街「ダイダロス通り」での前哨戦から始まり、最大の脅威である「人造迷宮クノッソス」への怒涛の奇襲へと繋がる大規模な作戦として描かれている。

ダイダロス通りへの布陣と二面作戦

18階層『リヴィラの街』を壊滅させた「武装したモンスター」の群れが、ダイダロス通りに出現する。

  • フィンは、彼らが人造迷宮から地上へ出た以上、迷宮の「扉」を開ける「鍵(ダイダロス・オーブ)」を所持していると確信した。
  • そこで【ロキ・ファミリア】は、表向きはモンスター討伐と住民保護を掲げつつ、本命として「武装したモンスターを囮にし、人造迷宮に籠城する闇派閥(イヴィルス)残党を地上に釣り出して鍵を奪う」という作戦を立案し、ダイダロス通りに布陣する。

「鍵」の奪取と奇襲への転換

地上でモンスターの迎撃が進む一方、地下の隠し通路では闇派閥側が人造迷宮の扉を開け放ち、無尽蔵に食人花(ヴィオラス)などのモンスターを溢れ返させる消耗戦を強いてきた。

  • しかし、アナキティ率いる別動隊が、冒険者に変装して【ロキ・ファミリア】の動向を探っていた闇派閥の別動隊を罠にかけ、ついに念願の「鍵」を奪取することに成功する。
  • 鍵を手に入れた直後、フィンと地下部隊を指揮するリヴェリアは、守勢から一転して人造迷宮への「奇襲進攻」を決断する。
  • 鍵を奪われて敵が最も浮き足立つ瞬間を突くこの判断は、死神タナトスの予想を完全に裏切るものであった。

「妖精部隊」による迷宮内部の蹂躙

最硬金属(オリハルコン)の扉を開けて人造迷宮へ雪崩れ込んだのは、リヴェリア率いる11名のエルフで構成された「妖精部隊」であった。

  • 彼女たちの目的は敵の完全な殲滅ではなく、迷宮内部を荒らし回って敵を混乱させ、今後の本格攻略に向けた情報収集や地図作成(兎人のラクタが担当)、脱出経路の確保を行うことであった。
  • エルフたちは並行詠唱による魔法攻撃と短剣での近接戦を駆使し、さらにリヴェリアのレアスキル『妖精王印(アールヴ・レギナ)』によって魔法威力の増幅と精神力(マインド)の自動回復を受けながら、「移動要塞」と化して迷宮内を蹂躙する。
  • 途中で最強の怪人レヴィスに遭遇するが、リヴェリアとレフィーヤが極大の氷結砲撃『ウィン・フィンブルヴェトル』を同時発射し、通路ごとレヴィスを氷漬けにして足止めすることに成功した。

ダンジョン連絡路の発見と三つ巴の激戦

部隊はさらに進攻を続け、ダンジョン12階層へと繋がる連絡路(脱出経路)を発見する。

  • リヴェリアはここでレフィーヤをバベル経由で地上に走らせ、フィンたち本隊への援軍要請を託した。
  • しかし、タナトスの狡猾な誘導により、12階層で【ロキ・ファミリア】、闇派閥残党、そしてフェルズ率いる「異端児(ゼノス)」の三勢力が激突する三つ巴の乱戦が発生してしまう。

まとめ

混戦の最中、傷を癒やしたレヴィスが再び現れ、エルフ部隊は絶体絶命の危機に陥った。

  • しかし、そこにレフィーヤの報を受けたフィンとガレスが援軍として駆けつけた。
  • フィン、ガレス、リヴェリアの【ロキ・ファミリア】三首領による神がかった連携でレヴィスを押さえ込み、レフィーヤの特大炎柱『レア・ラーヴァテイン』によって敵陣を完全に崩壊させた。
  • 戦闘中、異端児の歌人鳥(レイ)が身を挺してエルフのアリシアを庇うという出来事があり、怪物に対するエルフたちの価値観は大きく揺さぶられることとなった。
  • これを見たフィンは、都市の崩壊を防ぐために私情を捨て、フェルズや異端児たちと今回限りの「共闘(交渉)」を結び、人造迷宮からの撤退を見事に成功させたのである。

アイズとベルの対立

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』および外伝『ソード・オラトリア』において描かれるアイズ・ヴァレンシュタインとベル・クラネルの「対立」は、人とモンスターの境界を問う物語の核心であり、二人の価値観と信念が激しく衝突する重大な転機として描かれている。

対立の根本:怪物に対する「価値観」の決定的な違い

対立の引き金となったのは、理知と心を持つモンスター「異端児(ゼノス)」である竜女ウィーネの存在である。

  • ベルは彼女と出会い、恐怖や孤独に涙する姿に触れたことで、種族を超えて「助けたい」という純粋な願いを抱く。
  • 一方のアイズは、幼い頃に両親をモンスターに奪われた凄惨な過去から、心の奥底に「怪物は絶対に殺す」という強い憎悪と誓いを抱いていた。
  • ベルから「怪物に人と変わらない感情があったらどうするか」と問われた際も、アイズは「怪物のせいで誰かが泣くのなら、私は怪物を殺す」と一切の迷いなく断言する。
  • この「怪物を守ろうとする者」と「怪物を殺そうとする者」という決定的な立場の違いが、二人を衝突へと導くのである。

ダイダロス通りでの激突と刃の交錯

地上に現れたウィーネを討伐しようとする【ロキ・ファミリア】に対し、ベルは白昼堂々、彼らの前に立ちはだかる。

  • アイズはベルのこの行動に強い困惑と動揺を覚えるが、ベルが怪物を庇う以上、もはや交渉の余地はないと悟り、武器を構えた。
  • 隠し通路の前での一騎打ちでは、第一級冒険者であるアイズが終始圧倒するが、ベルは何度打ち伏せられても決して道を譲らなかった。
  • アイズの「なぜそこまでするのか」という問いに対し、ベルは「ウィーネ達と笑って暮らせる居場所が欲しい」と叫ぶ。
  • アイズにとってそれは絶対に許容できない願いであり、二人の道が決定的に分かれたことを示していた。

ウィーネの自己犠牲と「誓い」の崩壊

激闘の末、アイズがベルに剣を突き付けたその時、隠し通路からウィーネが飛び出し、両腕を広げてベルを庇う。

  • アイズが「怪物は人を傷つけ恐怖をもたらす」と糾弾すると、ウィーネは自らの爪をへし折り、背中の片翼を引き千切り、血を流しながら「誰も傷つけたくない」「ベルを傷つけないで」と涙ながらに懇願した。
  • 絶対に人を襲い、情など持たないはずの「怪物」が自己犠牲の精神を見せ、孤独の痛みを語る姿は、アイズの中にあった「怪物は絶対悪である」という価値観を根底から打ち砕いた。
  • ウィーネの姿に、かつて全てを奪われて泣いていた幼い自分の姿を重ねたアイズは、ついに「私はもう、その竜女を殺せない」と剣を下ろす。
  • それは同時に、彼女を支え続けてきた「怪物を殺す」という誓いが壊れた瞬間でもあった。

まとめ

アイズは回復薬を残してその場を去り、ウィーネを討つことを断念する。
この対立は、ベルにとっては憧れの人と敵対してでも己の信念を貫く過酷な試練であり、アイズにとっては自らの憎悪とトラウマの根源と向き合わされる痛ましい出来事であった。しかし数日後、朝焼けの市壁の上で再会した際、ベルが「また戦い方を教えてください」と願うと、アイズは静かにそれに応じる。激しい対立と断絶の危機を乗り越え、二人の関係は新たな決意とともに再び結びつきを見せることになったのである。

イケロス・ファミリアの暗躍

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』および外伝『ソード・オラトリア』において、【イケロス・ファミリア】の暗躍は、迷宮都市オラリオをかつてない動乱へと巻き込んだ最大の元凶として描かれている。彼らの非道な行いは、「異端児(ゼノス)」の怒りを買い、武装したモンスターの地上進出という前代未聞の事態を引き起こした。

暗躍の目的:モンスターの密輸と闇派閥との結託

【イケロス・ファミリア】は、表向きは探索系派閥とされていたが、深層進出を境に記録が途絶え、長年地下に潜伏していた。

  • 彼らの真の活動は、ダンジョンで生け捕りにしたモンスターを都市外へ密輸し、「怪物趣味」を持つ物好きな王侯貴族に高値で売り払うことであった。
  • 彼らはオラリオの地下に広がる「人造迷宮クノッソス」を拠点とし、そこから都市外へ通じる地下通路を利用して密輸を行っていた。
  • また、この密輸で得た莫大な資金は、都市の破壊を目論む闇派閥(イヴィルス)への金策や、人造迷宮建造の資金として提供されていた。

団長ディックスの狂気と主神の娯楽

彼らの暗躍を主導していたのは、団長のディックス・ベルディクスである。

  • 彼は人造迷宮を建造した奇人ダイダロスの子孫であり、一族にかけられた「迷宮完成の衝動」という血の呪縛に囚われていた。
  • しかし、彼を真に突き動かしていたのは、それをも上回る「嗜虐の欲望」であった。
  • 彼は理知を持つモンスターである「異端児」を痛めつけ、絶望させることに歪んだ快楽を見出しており、主神のイケロスでさえ「今のディックスは人造迷宮の完成など眼中にない」と語るほど、狂気に満ちた獣と化していた。
  • 一方、主神であるイケロスは、退屈を紛らわせる「娯楽」のためだけに彼らの悪行を放置し、楽しんで観望していた。

異端児への惨劇と狡猾な罠

彼らの暗躍が決定的な破滅を呼んだのは、「異端児」である竜女ウィーネらを狙った密猟である。

  • 彼らは18階層で異端児たちを待ち伏せし、凄惨な手段でラーニェなどの同胞を惨殺・拉致した。
  • さらに、怒りに駆られた異端児たちが人造迷宮クノッソスへ乗り込んでくると、ディックスは自らの超短詠唱の呪詛【フォベートール・ダイダロス】を放った。
  • これにより異端児たちの理性を強制的に奪い、同士討ちという地獄絵図を作り出し、彼らを精神的にも肉体的にも追い詰めたのである。

暗躍の結末とファミリアの崩壊

しかし、彼らの悪逆非道な暗躍は、二つの要因によって完全に崩壊する。

  • 一つは、異端児を救うために飛び込んできたベル・クラネルの存在である。ベルとの激闘の末、ディックスは追い詰められ、呪詛も破られた。その後、逃走を図ったディックスだが、黒い猛牛(アステリオス)の強襲を受け、死亡したことが示唆されている。
  • もう一つは、【ロキ・ファミリア】や【ヘルメス・ファミリア】による追及である。主神イケロスはガレスによって拿捕され、フィンからの厳しい尋問を受けた後、ギルドへと引き渡された。
  • 最終的に、モンスター密輸の全責任を負わされたイケロスは全財産と眷族を失い、オラリオから「永久追放」されるという結末を迎えた。

まとめ

【イケロス・ファミリア】の暗躍は、単なる密輸や資金稼ぎの枠を超え、ディックスの個人的な嗜虐心とイケロスの退屈しのぎが結びついた、極めて悪質なものであった。彼らの行いは都市に未曾有の危機をもたらしたが、同時に「異端児」という存在をオラリオの表舞台に引きずり出し、ベルやフィンたちの価値観を大きく変革させる決定的な引き金となったのである。

人造迷宮の攻略

『ソード・オラトリア』第10巻および『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』第10巻・第11巻において、「人造迷宮クノッソス」の攻略は、迷宮都市オラリオの存亡を懸けた最大の課題として描かれている。その過程は、攻略に不可欠な「鍵」の奪取から、敵の虚を突く怒涛の奇襲、そして今後の本格攻略に向けた「異端児(ゼノス)」との極秘の共闘という流れで展開される。

人造迷宮クノッソスの全貌と攻略の絶対条件「鍵」

人造迷宮クノッソスは、名工ダイダロスの子孫たちが千年の歳月をかけて築き上げた「妄執」と狂気の産物であり、現在は都市の破壊を目論む闇派閥(イヴィルス)や怪人たちの根城となっている。

  • 最硬金属オリハルコンの「扉」やアダマンタイトの壁によって強固に守られているため、内部へ侵入するにはダイダロスの血筋の者の眼球を模した魔道具「ダイダロス・オーブ(鍵)」が不可欠であった。
  • フィンは、地上に現れた「武装したモンスター」を囮にし、人造迷宮から闇派閥の別動隊を釣り出すという「二面作戦」を立案する。
  • そして、リリルカの変身魔法を逆利用して罠を張り、見事闇派閥の別動隊を捕縛して念願の「鍵」を奪取することに成功した。

「妖精部隊」による怒涛の奇襲と情報開拓

鍵を手に入れた直後、フィンは「敵が最も浮き足立つ瞬間を突く」ため、守勢から一転して人造迷宮への奇襲進攻を決断する。最硬金属の扉を開けて迷宮へ雪崩れ込んだのは、リヴェリア率いるエルフで構成された「妖精部隊」であった。

  • 彼女たちの目的は敵の完全な殲滅ではなく、迷宮内部を荒らし回って敵を混乱させ、今後の本格攻略に向けた「情報収集」「地図作成」「脱出経路の確保」を行うことであった。
  • エルフたちはリヴェリアのレアスキル「妖精王印(アールヴ・レギナ)」による魔法威力増幅と精神力(マインド)自動回復の恩恵を受け、「移動要塞」と化して迷宮内を蹂躙する。
  • そして、兎人のラクタによる地図作成を進めながら、ダンジョン12階層へと繋がる連絡路(脱出経路)を発見するという大きな戦果を挙げた。

三つ巴の激戦と三首領の連携

一方、奇襲に狼狽した死神タナトスは、別ルートから人造迷宮へ侵入していたフェルズと「異端児」たちを12階層へ誘導し、【ロキ・ファミリア】と衝突させるという策に出る。

  • これにより、エルフ部隊、「異端児」、そして闇派閥の残党が入り乱れる大混戦が発生した。
  • さらに、最強の怪人レヴィスが参戦したことでエルフ部隊は絶体絶命の危機に陥るが、間一髪のところでフィンとガレスが援軍として駆けつける。
  • フィン、ガレス、リヴェリアの【ロキ・ファミリア】三首領による神がかった連携でレヴィスの反撃の芽を摘み、最後にレフィーヤが極大炎柱「レア・ラーヴァテイン」を放つことで敵陣を完全に崩壊させ、見事に撤退を成功させた。

本格攻略に向けた「異端児」との極秘の共闘

この奇襲と撤退戦の最中、歌人鳥(レイ)がエルフの少女を命懸けで庇う姿を目撃したフィンは、大きな決断を下す。

  • 迷宮都市の崩壊を防ぎ、全容が掴めない人造迷宮を完全に攻略するためには人手が足りないと判断した彼は、個人的な怪物への憎悪や【勇者】としての名声を失うリスクを飲み込む。
  • そして、フェルズたち「異端児」に対して今回限りの極秘の「共闘(交渉)」を持ちかけたのである。

まとめ

第10巻における「人造迷宮の攻略」は、単なる力任せのダンジョン探索ではなく、敵の意表を突く高度な情報戦・奇襲戦術として描かれている。この前哨戦において【ロキ・ファミリア】が得た「鍵」や「地図」といった情報的優位、そして人類と「異端児」による歴史的な「共闘関係」の結立は、来るべき人造迷宮の本格攻略に向けた最大の布石となったと言える。

ソード・オラトリア 9レビュー
ソード・オラトリア 11レビュー

登場キャラクター

ロキ・ファミリア

ロキ

おちゃらけた態度を見せるが、洞察力に優れる主神である。フィンたちの行動を遠くから見守っている。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア・主神。

・物語内での具体的な行動や成果
 ギルドのウラノスと交渉し、フィンへの干渉を防ぐ約束を取り付けた。迷宮街の尖塔から戦況を観察した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自ファミリアの活動を保障させ、戦局に影響を与えた。

フィン・ディムナ

小人族の勇者であり、人工の英雄を自称する指揮官である。冷静な判断力を持つが、ベルの行動に心を揺さぶられる。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア・団長。第一級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 人造迷宮の鍵を追う作戦を立案し、部隊をダイダロス通りに展開させた。人造迷宮への奇襲を指揮し、戦果を挙げた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ベルの行動に感化され、これまでの野望を優先する姿勢から変化を見せた。

リヴェリア・リヨス・アールヴ

厳格なハイエルフの王族であり、フィンの良き理解者である。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア・副団長。第一級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 人造迷宮にエルフ部隊を率いて奇襲をかけ、モンスターを殲滅した。フェルズの交渉を現実的な視点から拒絶した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 妖精王印(アールヴ・レギナ)などのスキルで部隊を支えた。

ガレス・ランドロック

豪快なドワーフの戦士である。フィンとリヴェリアを長年支えている。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア・首脳陣。第一級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 イケロスを拿捕し、ダイダロス通りの戦闘で敵を圧倒した。レヴィスとの戦いでは大戦斧で攻撃を防いだ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 前線で圧倒的な壁役として活躍する。

ティオネ

フィンを慕うアマゾネスの戦士である。直情的な面がある。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア。第一級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 ダイダロス通りの戦闘で蜥蜴人などのモンスターを迎撃した。黒い猛牛との戦闘で雷の魔剣による攻撃を受けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ティオナ

明るく直感に優れたアマゾネスの少女である。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア。第一級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 ダイダロス通りの隠し通路を発見するため壁を破壊した。竜女が子供を庇う姿を目撃し、攻撃を止めて見逃した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 怪物を単なる敵と見なす考えに疑問を抱くようになる。

アナキティ・オータム

冷静で有能な猫人の女性冒険者である。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア・副官。第二級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 フィンの指示で本陣の指揮を補佐した。闇派閥の別動隊を罠にかけて捕縛し、人造迷宮の鍵を奪取した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ラウル・ノールド

自己評価が低く凡庸な印象を持たれがちである。フィンを深く尊敬している。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア。第二級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 ダイダロス通りで部隊を指揮したが、偽のフィンに騙されて陣形を崩してしまった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アイズ・ヴァレンシュタイン

感情表現が乏しいが、怪物に対する強い憎悪を抱える少女剣士である。ベルとの対立に苦悩する。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア。第一級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 ダイダロス通りでベルを監視し、黒い猛牛の片腕を斬り落とした。竜女を守るベルと剣を交えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 竜女の涙と過去の自分を重ね合わせ、怪物を殺すという誓いが崩れ去った。

レフィーヤ・ウィリディス

ベルに強い対抗心を燃やすエルフの魔導士である。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア・魔導士。

・物語内での具体的な行動や成果
 人造迷宮の奇襲に参加し、強力な砲撃魔法でモンスターを殲滅した。黒い猛牛と戦うベルを応援した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ベルの戦う姿に感銘を受け、彼への認識を改めた。

ベート・ローガ

口が悪く好戦的な狼人の青年である。弱い者を嫌う。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア。第一級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 ダイダロス通りでモンスターを迎撃した。狐人の少女を圧倒し、逃げる者を追跡した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アリシア

エルフの女性冒険者である。リヴェリアを慕っている。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア。

・物語内での具体的な行動や成果
 人造迷宮の奇襲に参加した。戦闘中に歌人鳥に命を救われ、怪物に対する認識を改めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

エルフィ

レフィーヤと同室の魔導士である。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア・魔導士。

・物語内での具体的な行動や成果
 本陣で伝令役を務めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

クルス

犬人の青年冒険者である。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア。第二級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 地下通路で部隊を指揮したが、ヘルメスとの交渉に応じて撤退した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ナルヴィ

ヒューマンの女性冒険者である。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア。

・物語内での具体的な行動や成果
 ダイダロス通りでモンスターの迎撃に参加した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ラクタ

地図作成の素質を持つ兎人の少女である。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア。

・物語内での具体的な行動や成果
 人造迷宮の奇襲に同行し、迷宮の地図を作成した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ロックス

ファミリアの団員である。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア。

・物語内での具体的な行動や成果
 二七七番街で黒い猛牛に遭遇し、被害を受けたと報告された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ソニア

エルフの少女である。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア。

・物語内での具体的な行動や成果
 人造迷宮の戦闘でアリシアから回復を受けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アルク

ファミリアの団員である。

・所属組織、地位や役職
 ロキ・ファミリア。

・物語内での具体的な行動や成果
 フィンから部隊を引き上げるよう指示を受けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ヘスティア・ファミリア

ヘスティア

ベルたち眷族を深く愛する女神である。

・所属組織、地位や役職
 ヘスティア・ファミリア・主神。

・物語内での具体的な行動や成果
 ウラノスと密会し、異端児の存在を知った。ベルたちの異端児救出作戦を指揮した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ベル・クラネル

心優しい白髪紅眼の少年冒険者である。怪物を助けるために自らの名声を犠牲にする。

・所属組織、地位や役職
 ヘスティア・ファミリア。

・物語内での具体的な行動や成果
 異端児の竜女を保護した。ダイダロス通りで陽動を行い、黒い猛牛と激闘を繰り広げた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一度は名声が地に落ちたが、黒い猛牛との死闘を経て人々の認識を変えさせた。

リリルカ・アーデ

現実主義的な小人族の少女である。変身魔法を得意とする。

・所属組織、地位や役職
 ヘスティア・ファミリア・サポーター。

・物語内での具体的な行動や成果
 フィンに変身してロキ・ファミリアの陣形を崩した。闇派閥の別動隊を炙り出す囮に利用された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

春姫

心優しい狐人の少女である。

・所属組織、地位や役職
 ヘスティア・ファミリア。

・物語内での具体的な行動や成果
 階位昇華の魔法で仲間を支援した。竜女に懐かれ、保護に尽力した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

イケロス・ファミリア

イケロス

退屈を嫌い娯楽を追求する男神である。

・所属組織、地位や役職
 イケロス・ファミリア・主神。

・物語内での具体的な行動や成果
 闇派閥と結託し、モンスターの密輸に関与していた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 オラリオから永久追放された。

ディックス・ベルディクス

残虐で嗜虐的な性格の男である。ダイダロスの血筋を引いている。

・所属組織、地位や役職
 イケロス・ファミリア・団長。

・物語内での具体的な行動や成果
 異端児たちを捕獲し、呪詛で同士討ちをさせた。ベルと交戦して敗北した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 黒い猛牛の襲撃を受け、死亡したことが示唆された。

フレイヤ・ファミリア

フレイヤ

ベルに強い執着を抱く美神である。

・所属組織、地位や役職
 フレイヤ・ファミリア・主神。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヘルメスに人造迷宮の鍵を譲渡した。ベルの戦いを見守るためオッタルたちを動かした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

オッタル

フレイヤに忠誠を誓う猪人の武人である。

・所属組織、地位や役職
 フレイヤ・ファミリア。

・物語内での具体的な行動や成果
 ロキ・ファミリアの部隊を足止めした。ベルと黒い猛牛の戦場に大剣を投げ入れた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ヘルメス・ファミリア

ヘルメス

飄々としているが、裏で策を弄する男神である。ベルを英雄にすることを目論む。

・所属組織、地位や役職
 ヘルメス・ファミリア・主神。

・物語内での具体的な行動や成果
 偽の設計図で異端児たちを誘導した。ベルを英雄にするための舞台を整えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ルルネ・ルーイ

犬人の盗賊である。

・所属組織、地位や役職
 ヘルメス・ファミリア。

・物語内での具体的な行動や成果
 レフィーヤにイケロス・ファミリアの情報を伝えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アスフィ・アル・アンドロメダ

水色の髪を持つ有能な女性冒険者である。

・所属組織、地位や役職
 ヘルメス・ファミリア・副団長。

・物語内での具体的な行動や成果
 透明化の魔道具で隠密行動を取り、情報収集や工作を行った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ディオニュソス・ファミリア

ディオニュソス

葡萄酒を好む男神である。ウラノスに疑念を抱いている。

・所属組織、地位や役職
 ディオニュソス・ファミリア・主神。

・物語内での具体的な行動や成果
 ロキたちと同盟を組み、尖塔から戦況を見守った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

フィルヴィス

エルフの従者である。

・所属組織、地位や役職
 ディオニュソス・ファミリア。

・物語内での具体的な行動や成果
 ディオニュソスの傍に控え、ロキ・ファミリアの動向を観察した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ヘファイストス・ファミリア

ヘファイストス

思慮深い鍛冶の女神である。

・所属組織、地位や役職
 ヘファイストス・ファミリア・主神。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヘスティアから喋るモンスターについての相談を受けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

椿

右眼を眼帯で覆った最上級鍛冶師である。

・所属組織、地位や役職
 ヘファイストス・ファミリア。

・物語内での具体的な行動や成果
 ガレスが持ち込んだ魔剣について情報を提供した。戦場で魔剣を乱射して撹乱した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ガネーシャ・ファミリア

ガネーシャ

象の面を被った男神である。異端児の保護に協力している。

・所属組織、地位や役職
 ガネーシャ・ファミリア・主神。

・物語内での具体的な行動や成果
 ウラノスの意向に従い、都市の治安維持と異端児の秘密裏の保護に尽力した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ハシャーナ・ドルリア

ファミリアの団員である。

・所属組織、地位や役職
 ガネーシャ・ファミリア。

・物語内での具体的な行動や成果
 椿から購入した魔剣を使用していたが、リヴィラで惨殺された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 死亡した。

ガネーシャ・ファミリアの警備

集団として治安維持にあたる。

・所属組織、地位や役職
 ガネーシャ・ファミリア。

・物語内での具体的な行動や成果
 都市の治安維持や避難誘導を行った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

元イシュタル・ファミリア

レナ・タリー

ベートにつきまとうアマゾネスの少女である。

・所属組織、地位や役職
 元イシュタル・ファミリア。

・物語内での具体的な行動や成果
 ベートと一緒にダイダロス通りを探索した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ギルド

ウラノス

オラリオの創設神である。人類と怪物の共存を望む。

・所属組織、地位や役職
 ギルド・最高神。

・物語内での具体的な行動や成果
 異端児を保護し、ヘスティアに真実を明かした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ロイマン・マルディール

肥満体質のギルド長である。

・所属組織、地位や役職
 ギルド・ギルド長。

・物語内での具体的な行動や成果
 フィンにダイダロス通りからの撤退を要求したが、条件付きで駐屯を認めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ギルド職員

集団として行動する職員である。

・所属組織、地位や役職
 ギルド。

・物語内での具体的な行動や成果
 避難誘導や負傷者の救護に奔走した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

タナトス・ファミリア / 闇派閥(イヴィルス)

タナトス

退廃的な雰囲気を纏う死神である。オラリオの破壊を目論む。

・所属組織、地位や役職
 タナトス・ファミリア・主神。

・物語内での具体的な行動や成果
 人造迷宮内でモンスターを放ち、ロキ・ファミリアと異端児を同士討ちさせようと企んだ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

バルカ

ダイダロスの系譜を継ぐ人物である。

・所属組織、地位や役職
 闇派閥。

・物語内での具体的な行動や成果
 大紅玉を操り、人造迷宮内の扉を開閉してモンスターを誘導した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アコーズ

タナトスを狂信している男である。

・所属組織、地位や役職
 闇派閥・別動隊。

・物語内での具体的な行動や成果
 冒険者に扮して鍵を奪取したが、アナキティに捕縛され尋問された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

異端児(ゼノス) / 地下勢力

フェルズ

黒衣と手袋を纏う魔術師である。ウラノスの私兵として動く。

・所属組織、地位や役職
 地下勢力。

・物語内での具体的な行動や成果
 異端児たちを率いて人造迷宮を進み、ベルたちを支援した。禁忌の蘇生魔法でウィーネを生き返らせた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ウィーネ

竜の少女(ヴィーヴル)である。ベルに深く懐いている。

・所属組織、地位や役職
 異端児。

・物語内での具体的な行動や成果
 ベルに救われ、共に地上へ出た。暴走した後に致命傷を負うが、フェルズの魔法で蘇生した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

リド

長直剣と曲刀を扱う蜥蜴人である。異端児たちのリーダー格として動く。

・所属組織、地位や役職
 異端児。

・物語内での具体的な行動や成果
 ティオネと交戦し、フェルズと共に地下を進行した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

レイ

金翼を持つ美しい歌人鳥である。

・所属組織、地位や役職
 異端児。

・物語内での具体的な行動や成果
 ロキ・ファミリアとの戦闘でアリシアを庇い、重傷を負った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

グロス

石竜(ガーゴイル)の異端児である。

・所属組織、地位や役職
 異端児。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヘルメスの策に乗り、暴走を演じてベルに討たれようとした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

異端児(ゼノス)達

集団として行動する理知あるモンスターである。

・所属組織、地位や役職
 異端児。

・物語内での具体的な行動や成果
 地上への帰還を目指し、ロキ・ファミリアや闇派閥と交戦した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

蜥蜴人

集団として地下通路での戦闘に参加する。

・所属組織、地位や役職
 異端児。

・物語内での具体的な行動や成果
 地下通路で戦闘に参加した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

歌人鳥

集団として地下での戦闘に参加する。

・所属組織、地位や役職
 異端児。

・物語内での具体的な行動や成果
 地下で戦闘に参加した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

半人半蛇

集団として地下での戦闘に参加する。

・所属組織、地位や役職
 異端児。

・物語内での具体的な行動や成果
 地下で戦闘に参加した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

一角獣

集団としてフェルズと行動を共にする。

・所属組織、地位や役職
 異端児。

・物語内での具体的な行動や成果
 フェルズの背後でリヴェリアたちを見つめていた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

巨人

集団として行動する異端児の一部である。

・所属組織、地位や役職
 異端児。

・物語内での具体的な行動や成果
 負傷した歌人鳥を抱きかかえ、フィンに頭を下げた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

怪人・モンスター

レヴィス

赤髪と緑眼を持つ怪人である。圧倒的な戦闘力を誇る。

・所属組織、地位や役職
 怪人。

・物語内での具体的な行動や成果
 人造迷宮内でリヴェリアたちを襲撃したが、フィンの援軍に阻まれた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 片腕を氷結魔法で失ったが、後に再生させた。

仮面の人物

紫の外套と仮面を身につけた怪人である。

・所属組織、地位や役職
 怪人。

・物語内での具体的な行動や成果
 レヴィスの追撃を制止し、エニュオの指示を伝えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

黒い猛牛

漆黒の体軀と巨大な両刃斧を持つモンスターである。純粋に闘争を求める。

・所属組織、地位や役職
 モンスター。

・物語内での具体的な行動や成果
 ダイダロス通りで冒険者たちを蹂躙し、ベルと激しい一騎打ちを繰り広げた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ベルに勝利した後、再戦を誓ってダンジョンへ帰還した。

武装したモンスター

集団として冒険者たちと交戦する。

・所属組織、地位や役職
 モンスター。

・物語内での具体的な行動や成果
 ダイダロス通りや人造迷宮で冒険者たちと交戦した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

食人花

集団として怪人たちに利用される。

・所属組織、地位や役職
 モンスター。

・物語内での具体的な行動や成果
 人造迷宮内でエルフ部隊の弾幕の盾として利用された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

晶眼

集団として奇襲を仕掛ける小型モンスターである。

・所属組織、地位や役職
 モンスター。

・物語内での具体的な行動や成果
 人造迷宮やダイダロス通りで奇襲を行った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

人形兵

集団として配置された超硬金属のゴーレム魔道具である。

・所属組織、地位や役職
 モンスター。

・物語内での具体的な行動や成果
 ダイダロス通りでティオナに一刀両断された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

豊穣の女主人

シル・フローヴ

薄鈍色の髪を持つ少女である。

・所属組織、地位や役職
 豊穣の女主人・店員。

・物語内での具体的な行動や成果
 孤児院の子供たちを迎えに来て、フィンに言葉をかけた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

孤児院・迷宮街の子供達

オシアン

フィンに憧れる小人族の孤児である。

・所属組織、地位や役職
 孤児院。

・物語内での具体的な行動や成果
 ベルの行動に裏切られたと感じ、フィンに不満をぶつけた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ライ

ヒューマンの孤児の少年である。

・所属組織、地位や役職
 孤児院。

・物語内での具体的な行動や成果
 ベルを非難するオシアンに掴みかかり、怒りを見せた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

その他のキャラクター・集団

ペニア

貧窮を司る老婆の女神である。

・所属組織、地位や役職
 不明・主神。

・物語内での具体的な行動や成果
 ダイダロス通りでアイズと遭遇し、皮肉を交えて言葉を交わした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

覆面の冒険者

義理堅い性格のエルフの女性冒険者である。

・所属組織、地位や役職
 不明。

・物語内での具体的な行動や成果
 アイズの追跡を阻むため、路地裏で木刀を用いて足止めを行った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アイズに敗北して意識を失った。

ソード・オラトリア 9レビュー
ソード・オラトリア 11レビュー

展開まとめ

プロローグ◆ある少女の独白

言葉にできない感情の発生

少女は、自身の内に生じた感情の正体を理解できずにいた。それは悲しみや怒り、絶望といった既存の言葉では捉えきれないものであり、剣や斧による傷よりも鋭く深く、心そのものを破壊する衝撃として彼女を襲っていた。存在を否定されたかのような喪失感により、心は空虚となり、意味を持たない思考だけが嵐のように渦巻いていた。

「怪物」への拒絶と排斥

少女は目の前の存在に強い拒絶を抱き、それを自分のそばから遠ざけようとしていた。傍にいてほしいと願う相手に対しても、その存在だけは決して許されないものとして扱っていたのである。少女にとってそれは醜悪で忌むべき略奪者であり、寄り添うことなどありえない存在であった。そして彼女は、その正体をはっきりと「怪物」だと断じていた。

信頼の崩壊と裏切りの自覚

しかし少女は、信じていた相手がその「怪物」を庇っている現実に直面し、激しい混乱と絶望に陥った。互いに通じ合っていたはずだという認識は崩れ去り、自分の理解そのものが間違っていたのではないかと疑い始めた。なぜそこにいるのか、なぜ庇うのかと問いかけながら、裏切られたという感情が彼女の心を支配していった。

崩壊する心と孤独の露呈

少女の内面では絶叫が止まらず、剣を構える手は震え続けていた。身体は傷つき、血を流しながら、過去の記憶と結びついた冷たい感覚に包まれていった。かけがえのない存在を失ったことで、自分が孤独であるとあらためて思い知らされ、かつて封じ込めた言葉が再び口をつきかけた。そして最後には、誰かに救ってほしいという願いだけが、かすかに浮かび上がっていた。

一章◆前表

「鍵」捜索の停滞と危機認識

【ロキ・ファミリア】本拠「黄昏の館」において、フィンは人造迷宮クノッソスの扉を開く魔道具「ダイダロス・オーブ」が未発見である現状を問題視していた。リヴェリアやガレス、ロキもこの状況を重く受け止めていた。都市滅亡を狙う闇派閥残党や地下勢力の存在を踏まえれば、迷宮攻略にはこの「鍵」が不可欠であったが、探索は難航しており、危機意識が強まっていた。

フレイヤ派閥への疑念と対立の可能性

情報により「鍵」がかつてイシュタルの手にあったことが判明し、さらに【フレイヤ・ファミリア】の関与が疑われていた。ロキはフレイヤこそが鍵を握る存在と見ていたが交渉は進まず、フィンは必要であれば抗争も辞さない姿勢を示した。都市の双頭とも呼ばれる両派閥の衝突は甚大な被害を招く恐れがあり、緊張が高まっていた。

人型モンスター出現の報告

その折、ラウルから都市西部で発生した騒動が報告された。人型のモンスターが出現したという情報であり、通常ではありえない異常事態であった。ハーピィやセイレーンといった有翼種の可能性が示され、ギルドも調査を開始していたことで、都市は混乱に包まれていた。

アイズの受け止めと方針の共有

アイズはこの異常事態に疑問を抱きつつも、フィンの指示に従い情報収集の必要性を認識した。モンスターを発見した場合は可能な限り生け捕りとし、被害が出る場合は処分するという方針が共有され、アイズはそれを受け入れた。都市防衛の観点から、この問題を看過できないと判断していた。

ベート達による追跡開始

ベートとアナキティはガレスの指示により、人型モンスターの追跡を開始した。獣人の嗅覚を活かして調査を進める中で、モンスターが単独で行動しているのではなく、人間に匿われている可能性に気付いた。目撃証言からも、モンスターがエルフの少女によって連れ去られた事実が浮かび上がっていた。

痕跡の発見と不審な状況

現場から路地裏へと進んだベート達は、消臭用アイテムの痕跡を発見した。これはモンスター単独の行動では説明できず、人間の関与を強く示すものであった。さらに調査を進めた彼らは、瓦礫と化した教会跡に辿り着き、そこに残る異様な気配に強い違和感を覚えていた。

イケロス・ファミリアの情報と密輸の実態

三日後、レフィーヤは路地裏で【ヘルメス・ファミリア】のルルネと接触し、【イケロス・ファミリア】に関する情報を得た。彼らは港町での密輸を通じて闇派閥残党の資金源となっており、主な取引品はモンスターであった。捕獲したモンスターを王侯貴族へ売り払っていた証拠も存在し、その実態にレフィーヤは強い驚愕と嫌悪を抱いた。

疑念の拡大と不自然な証言

さらに資料から、イケロス派閥は長年消息を絶っていた探索系派閥であり、過去に闇派閥との関与も疑われていたことが判明した。これにより怪人勢力との繋がりが濃厚となった。一方でルルネは、人型モンスター出現は彼らの仕業ではないと断言し、その言い方から【ヘルメス・ファミリア】が事態の真相を把握しているかのような違和感を残した。

ヘルメスへの不信と情報の遮断

ルルネはヘルメスの余裕のなさを示唆しつつ情報を伝えたが、レフィーヤはロキの指示により人造迷宮に関する情報の共有を避けた。【ロキ・ファミリア】はヘルメスに対して不信を抱いており、重要な情報を渡さない姿勢を取っていた。

ディオニュソスの内面と停滞への焦燥

一方、【ディオニュソス・ファミリア】では、ディオニュソスが地下室で現状の停滞を嘆いていた。手がかりを得ても進展しない状況に苛立ち、自らを無力と責めながらも、子供の仇を討つために前へ進む決意を固めていた。その姿は普段見せない弱さと執念を露わにしていた。

ロキとディオニュソスの対立

ロキはイケロス派閥の情報を共有し、ヘルメスへ人造迷宮の情報を渡す案を提示したが、ディオニュソスはこれを拒絶した。彼はヘルメスをウラノスの配下と見なし、信用できないと断言した。ロキはその執着に違和感を覚え、理由を問うたが、ディオニュソス自身も明確な理由を説明できず、ただ本能的な嫌悪を語るに留まった。

人型モンスターがもたらす転機

都市に現れた人型モンスターの存在は、まだ多くの者に認識されていないまま、停滞していた状況を動かす契機となりつつあった。無為に過ぎていた時間に変化をもたらし、局面に波紋を広げる存在として機能し始めていた。

それぞれの思惑の進行

この変化の兆しは各陣営にも影響を及ぼしていた。フィンは微かな予兆を感じ取り、ロキは騒動を利用しようと画策し、アイズは怪物討伐の意志を強めていた。それぞれが異なる思惑を抱えながら動き始めていた。

決定的な日の到来

人型モンスター出現の報から五日が経過した時、ついに状況を大きく動かす決定的な日が訪れたのであった。

二章◆その名は愚者

穏やかな日常とアイズの任務

オラリオは快晴のもと平穏な日常を保っていたが、アイズはダンジョン18階層での情報収集任務を考えていた。食人花の脅威は排除されていたものの、人造迷宮との繋がりを探る調査は継続されており、警戒は解かれていなかった。

人々の不安とアイズの思考

街では人型モンスターの噂が広まり、人々の間に不安が残っていた。アイズは、戦う術を持たない住民にとってモンスターが絶対的な恐怖であることを理解し、その脅威を取り除く必要性を強く意識していた。

ベルとの再会と問いかけ

ダンジョンへ向かう途中、アイズはベルと遭遇したが、その様子に異変を感じ取った。静かな場所で対話したベルは、怪物にも感情や生きる理由があるとしたらどうするのかと問いかけた。アイズはその問いに向き合いながらも、最終的に怪物が人を傷つけるならば討つと断言した。

断絶の発生

アイズの答えはベルの内面を深く打ち砕き、二人の間には決定的な隔たりが生じた。互いの価値観は交わることなく、関係の断絶を予感させる緊張が漂っていた。

緊急警報と都市の混乱

その直後、ギルドからの緊急警報が都市全域に響き渡った。18階層リヴィラが武装したモンスターによって壊滅し、大規模なモンスター移動が発生したと知らされ、都市は一気に混乱へと陥った。全ファミリアには強制任務が発令され、状況は一変した。

武装モンスターの脅威と待機命令

壊滅した現場の証言から、武装した異種のモンスター集団が襲撃したことが判明した。ギルドは討伐を【ガネーシャ・ファミリア】に一任し、他の派閥には待機命令を下したが、この対応に【ロキ・ファミリア】は強い違和感を抱いていた。

フィンの推理と第三の可能性

フィンは、この事態が闇派閥の計画によるものではなく、想定外の異常事態であると判断した。さらにギルドやウラノス、【ヘルメス・ファミリア】が何らかの情報を秘匿していると見抜き、事件の裏に別の真相があると推測した。

イケロス・ファミリアへの着目

ベートの証言などから、フィンは【イケロス・ファミリア】が人造迷宮に関与し、モンスターの密輸や運搬を行っていた可能性を導き出した。そして今回の事件が人造迷宮と繋がる重要な手掛かりであると確信した。

ダイダロス通りへの出撃

フィンは地上から動くべきと判断し、団員達にダイダロス通りへの出撃を命じた。表向きは治安維持であったが、実際には敵の動向を探る布石であり、地上と地下の双方に圧力をかける戦略であった。

ペニアとの邂逅と価値観の衝突

監視中のアイズは女神ペニアと再会した。ペニアは貧困と苦難こそが人を輝かせると語り、現在の平穏なダイダロス通りを否定した。その価値観はアイズに強い違和感を与え、受け入れ難いものであった。

怪物の出現と戦闘開始

直後、半人半竜の怪物が出現し、フィンが先制攻撃によって制圧に成功した。【ロキ・ファミリア】が集結したことで住民は歓喜したが、その場にいたベル達は逆に絶望を抱いていた。

怪物の正体と排除判断

フィンは怪物をヴィーヴルと見抜き、理性を失った危険な存在と判断した。人命を優先するため、排除以外の選択肢はないと即断した。

ベルの決断と対立の成立

その時、ベルは怪物を庇うように立ちはだかった。震えながらもナイフを構え、討伐を阻止しようとする姿は、明確に【ロキ・ファミリア】への敵対を示していた。この瞬間、アイズとベルは完全に対立する立場となった。

愚者の誕生

フィンはベルの行動を理解しつつも、それがこの場では決して許されない選択であると認識した。怪物を救おうとする意思は、本人にとって正義でありながら、結果として破滅へと繋がる愚行であった。こうしてベルは、すべてを敵に回す「愚者」として歩み出した。

ベルの離脱と新たな脅威

ベルは怪物を連れてその場を離脱したが、その直後、武装したモンスターの大群が出現した。異様な連携と知性を持つ彼らに対し、【ロキ・ファミリア】は迎撃に乗り出した。

異質なモンスターと戦場の混乱

戦闘の中で、モンスター同士が庇い合う異様な光景が確認され、従来の常識が揺らいだ。さらに超硬金属の人形兵が出現し、戦況は混乱を極めていった。

漆黒の猛牛と戦姫の覚醒

そこへ現れた漆黒の猛牛は圧倒的な力を誇り、戦場を蹂躙した。アイズはこれを正しい「怪物」と認識し、迷いを振り払うように全力で討伐へと向かった。風を纏う剣で猛攻を加え、戦姫としての本質を露わにしていった。

ベルとの断絶の確信

猛牛との戦いの中で、アイズは自らの信念が正しいと再確認した。怪物は討つべき存在であるという確信は強まり、ベルの選択は完全に受け入れられないものとなった。こうして両者の隔たりは決定的なものとなっていた。

間章◆妖精憤怒

竜女追跡と団員達の反発

【ロキ・ファミリア】の本隊が黒い猛牛と交戦する中、レフィーヤは団員達とともにダイダロス通り南方へ向かい、逃走した竜女の追跡に当たっていた。団員達は、怪物を庇った上に利益目的とも取れる行動を見せたベルに強い反感を抱いていた。一方でレフィーヤは、ベルの人柄を知っているがゆえにその行動を私欲と結びつけることができず、真意を語らぬまま誤解を招く振る舞いを続ける彼に対して戸惑いと不満を募らせていた。

ベルの蛮行とレフィーヤの衝撃

やがて一行は、悲鳴が響く路地の先で竜女とそれを追うベルの姿を捉えた。団員達が包囲を試み、レフィーヤも魔法詠唱に入ろうとしたその瞬間、ベルは冒険者達へ向けてファイアボルトを放った。不意を突かれた冒険者達は武器を破壊され、火傷を負い、叩きつけられて倒れた。【ロキ・ファミリア】の団員達も例外ではなく、その行為は蛮行として激しい怒りと罵声を招いた。

真意を語らないベルへの焦燥

ベルはなおも魔法を放ち続け、追跡者を排除するように竜女の後を追った。レフィーヤは全力で追いつき、行動の理由を問いただしたが、ベルは一瞥するのみで何も答えず、対話を拒絶した。弁解も説明もせず、ただ悲壮な表情で竜女のみを追う姿に、レフィーヤは強い焦燥と困惑を覚えていた。

被害拡大と魔法による阻止

その間にも暴走した竜女による被害は拡大し、冒険者達が次々と倒れていった。これ以上の被害を防ぐため、レフィーヤは竜女の排除を決断した。走りながら並行詠唱を行い、追尾魔法アルクス・レイを発動した。

魔法の爆散と深まる困惑

しかしベルはそれを察知し、竜女への直撃を防ぐため自ら射線上に飛び込んだ。レフィーヤは咄嗟に魔法を爆散させ、直撃を回避したものの、爆風によりベルは吹き飛ばされた。それでも彼はすぐに立ち上がり、再び竜女を追い続けた。その姿を前に、レフィーヤは理解の及ばぬ行動に強い困惑を抱いた。

説明を求める妖精の叫び

ベルは最後まで振り返ることなく走り去り、レフィーヤの呼びかけにも応じなかった。取り残されたレフィーヤは、抑えきれない感情のまま事情の説明を求めて叫んだ。その切実な声は、夕暮れの空へと響き渡っていた。

三章◆勇者の憂鬱剣姫の懊悩

イケロスへの尋問と迷宮の鍵の行方

夕暮れの廃屋において、フィンはロキとともに拘束した神イケロスを尋問していた。イケロスは人造迷宮の鍵ダイダロス・オーブが既に闇派閥残党に奪われたと語り、迷宮の詳細や設計図も失われたことを明かした。さらに武装したモンスターについて問われると核心を避け、フィンに自ら確かめるよう示唆する態度を取った。

武装モンスターと各派閥の繋がり

リヴェリアは黒い猛牛が使用していた魔剣の出所を辿り、それが【ガネーシャ・ファミリア】を経由していた事実を突き止めた。これにより、武装したモンスターが複数の派閥と繋がっている可能性が浮上し、事態は単なる暴走ではなく組織的な関与が疑われる段階へ進んだ。

レフィーヤの焦燥とベルへの追及

レフィーヤはベルの監視任務に就いていたが、その内心では彼が何も語らず怪物を庇ったことへの怒りと困惑が膨れ上がっていた。ついに彼女は任務を放棄し、直接ベルに説明を求めて詰め寄ったが、混乱の末に取り押さえられ、監視から外される結果となった。

人造迷宮侵入と密輸拠点の痕跡

ガレスとティオナは隠し通路を破壊して人造迷宮へ侵入し、破壊された檻と死体が散乱する空間を発見した。そこはモンスター密輸の中継地点であり、捕らえられていたモンスターが反乱を起こして脱走した痕跡であった。これにより、事件の裏に存在する構造の一端が明らかとなった。

フィンの焦燥と鍵確保への執着

フィンはダイダロス通りへの戦力集中を指示し、鍵の確保を最優先とする方針を徹底した。しかしその判断の裏には、機会を逃すまいとする焦りが存在しており、リヴェリアはその異変を見抜き、休息を促した。

ベルとの接触と疑念の確信

フィンはベルに接触し、事件の核心に関わる情報を引き出そうと試みた。対話の中でベルが何かを知っていると確信するが、ヘルメスの介入によって追及は中断される。この出来事により、フィンはウラノスとヘルメス、そしてベルが同一の問題に関与していると判断した。

理知ある怪物という仮説と揺らぐ内心

一人となったフィンは、武装したモンスターが知性と感情を持つ存在である可能性に思い至った。それはベルの行動とも符合する仮説であったが、たとえ真実であっても討伐の判断は変えられないと結論付けた。それでもなお、ベルの選択に対する動揺は消えなかった。

人工の英雄としての自己認識と葛藤

フィンは自らが作られた英雄であることを認識しており、現実と野望の上に立つ存在であると理解していた。そのため、破滅を覚悟してなお他者を守るベルの姿に対し、否定しきれない感情を抱いた。それは羨望ではなく、眩しさとして自覚されていた。

子供達との対話とベルへの敬意

孤児達との会話の中で、フィンはベルを非難する言葉を否定し、彼を尊敬していると語った。その言葉は建前ではなく本心であり、ベルの在り方を認めていることの表れであった。

剣姫アイズの迷いと選択

一方、アイズはロキから問いを突きつけられ、自身の迷いと向き合うことを強いられた。それでも彼女は「怪物を討つ」という意志を選び続ける決断を下し、内面の葛藤を抱えながらもその道を離れないことを確認した。

怪物との共存否定と勇者の決断

フィンは理知あるモンスターとの共存の可能性を否定し、討伐という選択を維持した。その背景には、過去に怪物へ家族を奪われた記憶と、勇者としての立場を守る意志が存在していた。

愚者を認めつつ進む覚悟

ベルの選択を眩しいものと認めながらも、フィンは自らの道を変えないと決意した。英雄としての役割と責務を優先し、迷いを断ち切る形で前進する覚悟を固めた。

作戦立案と多重戦場の形成

フィンは武装モンスターを囮として闇派閥を誘い出す作戦を立案した。複数勢力が入り乱れる極めて危険な戦場を前提とした計画であり、団員達に高度な対応を求めた。

最後の不確定要素としてのベル

作戦の締めくくりとして、フィンは最大の不確定要素がベルであると断言した。これまで幾度も予測を覆してきた存在であり、今回もまた事態を大きく動かす可能性を秘めていると認識されていた。その名は、アイズの胸にも深く残り続けていた。

間章 神々の密談

ヘルメスによる真相の開示

夜のバベル最上階において、ヘルメスはフレイヤへ今回の事件の全容を語った。理知あるモンスターの存在が騒動の根幹であり、それはウラノス達が秘匿してきた事実であると明かしたうえで、武装したモンスターや人造迷宮、闇派閥、さらには【ロキ・ファミリア】の動向までを包み隠さず伝えた。しかしフレイヤは冷淡に受け止め、関心は終始ベル・クラネルのみに向けられていた。

零落するベルへの危惧

ヘルメスは、ベルがこれまで築いてきた名声を失い、英雄としての道から転げ落ちている現状を憂いていた。彼はその輝きが潰えることを恐れ、フレイヤに協力を求めたが、フレイヤは過去に利用された件を忘れておらず、静かな怒りをにじませながら応じていた。

見守りと逆転劇の提案

ヘルメスは謝罪も弁明もせず、ただベルの行く末を見守ることを求めた。それは自らが仕掛ける逆転の筋書きを見届けてほしいという意図であり、そのために人造迷宮の鍵を必要としていた。鍵を用いて理知あるモンスターの問題に決着をつけ、ベルを再び英雄へ押し上げる舞台を整えると語った。

フレイヤの判断と鍵の譲渡

フレイヤはしばし思案した後、手元にあったダイダロス・オーブをヘルメスへ渡す決断を下した。それは信頼によるものではなく、ベルが試練を乗り越え、より価値ある光景を見せる可能性に賭けた選択であった。命を受けたオッタルが鍵を運び、ヘルメスへ引き渡した。

岐路となる神の選択

鍵を受け取ったヘルメスは礼を述べて立ち去った。フレイヤはその背を見送りながら、全てを理解したつもりで足元を掬われるなと、届かぬ警告を呟いた。この選択は単なる気まぐれではなく、今後の情勢を大きく左右する分岐点となっていた。

フレイヤが求める英雄像

ヘルメスが去った後、フレイヤは夜空を見上げながら本心を明かした。彼女は作られた英雄には興味を持たず、神々の思惑すら超える未知の英雄を求めていた。停滞した世界を打ち破る存在こそが必要であり、その役割を担う者としてベルの可能性を静かに見定めていた。

四章 ダイダロス前哨戦・裏

本陣移動と作戦展開

【ロキ・ファミリア】は迷宮街中央の高所に本陣を構え、全域を見渡す体制を整えた。フィンは各部隊を計画通り配置し、ヘスティア・ファミリアの動きが確認されたことで、戦局が動き出すと判断していた。

敵の手口と潜伏の見立て

フィンは、怪物側が直接接触せず連絡を取っている点から、魔道具などの間接手段を用いていると推測した。また、武装したモンスターを統率する存在についても、単なる調教師ではなく高位の魔術師であると見抜き、すでに迷宮街内部へ潜伏していると判断した。

アイズの決意と監視任務

アイズはベルの監視役を自ら志願した。フィンはその感情的な傾向を懸念したが、彼女が責務としてベルを止める意志を示したため、任務を委ねる決断を下した。

開戦を告げる咆哮

夜が深まる中、迷宮街に怪物の遠吠えが響き渡り、戦いの開始が告げられた。ディオニュソスはその様子を高所から観察し、戦況の推移を見極めようとしていた。

陽動としての一角兎とベルの行動

南方では武装した一角兎が現れ、冒険者達の注意を引き付けた。同時にベルも動き出し、混乱の中で姿を消した。多くの冒険者が錯乱する中、アイズのみがその異常を見抜き、単独で追跡を続けた。

覆面冒険者による足止め

アイズの前に覆面の冒険者が現れ、彼女の進行を阻んだ。相手は第一級に匹敵する実力を持ち、アイズは応戦を強いられたことでベルの追跡を断念することとなった。

本陣での状況判断と陣形維持

本陣では情報が錯綜していたが、フィンはベルの動きを陽動と断じ、包囲陣形の維持を優先した。敵の挑発に乗らず、迷宮の封鎖を崩さない判断であった。

地下通路への奇襲と消耗戦の開始

地下では食人花の大群が突如出現し、団員達を襲撃した。これは敵の意図的な消耗戦であり、ガレスは侵入を罠と見抜いて防戦に徹した。

南東戦線の激戦とリヴェリアの奮戦

リヴェリアの部隊も同様に猛攻を受け、激戦となった。彼女は自ら囮となりつつ並行詠唱で応戦し、部隊を支え続けた。

タナトスの策略と扉操作

迷宮内部ではタナトスが状況を掌握しており、バルカによる扉操作でモンスターを流出させ続けていた。目的はロキ・ファミリアの疲弊であり、その間に別動隊が鍵を回収する計画であった。

偽フィンによる命令攪乱

地上ではフィンに変装した存在が現れ、ラウル達に誤った指示を与えた。これにより防衛線が崩れ、敵の侵入を許す結果となった。

フィンの看破と戦術転換

本陣で異常を察知したフィンは、変身能力による偽命令と看破した。敵が設計図を持つ可能性も考慮し、当初の誘導作戦を放棄して地上での捕縛へと方針を転換した。

再編成と主導権の奪還

フィンは即座に陣形を再編し、地下部隊を地上へ転用するなど大胆な配置転換を行った。敵に主導権を握らせ過ぎたことを認めつつ、戦局の主導権を取り戻そうとした。

アナキティの追跡と少女の正体露見

迷宮街では変装した少女が情報収集を行っていたが、アナキティに捕捉された。匂いの欠如や体格の一致から正体を見抜かれ、完全に包囲されるに至った。

捕縛と少女の絶望

少女は逃げ場を失い、捕縛された。その中で彼女はベルの名を呟き、自らの敗北と終わりを悟っていた。

間章 それぞれの戦い

覆面の冒険者との再戦

迷宮街南東の路地裏で、アイズは覆面の冒険者と対峙した。相手は名乗ることを拒みつつも非礼を詫び、最初から全力で挑むと告げて戦闘を仕掛けた。覆面の冒険者は広い路地と周囲の木箱や樽、廃材を利用しながら、高速移動による一撃離脱を繰り返してアイズを翻弄した。

高速戦闘の中で見えた相手の正体

覆面の冒険者の攻撃は、回数を重ねるごとに威力を増していった。アイズは疾走に伴って能力を高めるスキルの存在を推測し、さらに相手の体から立ち上る光粒を見て、かつてイシュタル・ファミリアと戦った際の超強化を思い出した。同時に、覆面と木刀、外套、鋭い剣筋、そして強い眼差しから、かつて一度交戦したことのある相手だと直感した。

時間稼ぎを狙う足止め

覆面の冒険者は絶妙な緩急と地形利用によってアイズの追撃を拒み続けた。木箱や樽を破壊して破片を撒き散らし、視界を妨げながら四方から攻撃を加える戦法は、アイズをこの場に縫い止めるためのものであった。アイズは、相手がベル側の人間である以上、その目的が時間稼ぎにあると理解していた。

アイズの逆転と決着

やがてアイズは右手に剣、左手に鞘を持ち、待ちの姿勢を取った。覆面の冒険者はそれを迎撃狙いと見て攪乱を続けたが、それこそがアイズの仕掛けた揺さぶりであった。思考の隙を生じさせた瞬間、アイズは一気に踏み込み、相手の迎撃を見切って弾き返した。覆面の冒険者は強かったが、数々の死闘を潜り抜けた現在のアイズとの実戦差は明確であった。

手加減の上での勝利

アイズは、相手が右から迎撃してきたことで、剣ではなく鞘で決着を付けられることに安堵した。そのまま神速の一撃を腹部へ叩き込み、覆面の冒険者を壁まで吹き飛ばして意識を断った。空色の瞳に無念を滲ませながら崩れ落ちる相手を見届けた後、アイズはごめんなさいと呟き、その場を去った。

三分間の意味

この戦闘に費やされた時間は三分であった。それは誰にも知られぬまま、覆面の冒険者が命懸けで稼いだ僅かな時間であり、アイズはその代償を背に再びベルを追った。

ティオネの追撃と颶風による妨害

ティオネはフィンの命で斥候兼遊撃として動いている中、迷宮街西区に現れた武装したモンスター達を追撃していた。中央地帯へ東進する敵の背後に迫り、投擲武器で追い詰めて捕縛寸前まで持ち込んだが、突如発生した凄まじい風の砲撃によって吹き飛ばされた。その風はアイズの風でも再現できないほどの颶風であり、ティオネとティオナは敵から大きく引き離された。

隠し玉への怒りと敵の推測

ティオネは、姿を隠した護衛が氷撃だけでなく風の隠し玉まで用意していたことに激怒した。そしてその力の出所を、ヘスティア・ファミリア、あるいは魔剣鍛冶師ヴェルフの関与ではないかと推測した。

ティオナの進路変更

吹き飛ばされた後も姉妹はすぐ再追撃に移ったが、中央地帯寄りから漆黒の霧が北西へ伸びているのを見たティオナは、そこからモンスターが避難しきれていない住民のいる北西外縁部へ抜ける危険を察した。そのため独断で進路を北西へ変え、ティオネはそれを命令違反だと怒鳴りながら後を追った。

ガレスの奮戦と黒霧の混戦

中央地帯付近では、地上へ上げられたガレスが武装したモンスター達を強襲していた。彼は敵の統率者である黒衣の魔術師を狙って追い込んだが、氷の魔剣による砲撃に阻まれた。しかもその出力から、魔剣は椿が関与しているのではないかと察した。さらに黒霧の中から極彩色のモンスターが現れ、闇派閥残党まで乱入したことで、主戦場は三つ巴の混戦へと変貌した。

ガレスへの集中攻撃と敵の離脱

黒霧の中では、ガレスの存在があらゆる勢力にとって脅威となっていた。闇派閥の雑兵も、極彩色のモンスターも、氷砲を撃つ鍛冶師達までもがガレスを押さえ込もうとし、彼は何度も氷漬けにされながら暴れ続けた。その間に武装したモンスター達は主戦場から離脱し、ロキ・ファミリアは取り逃がす結果となった。

ティオナが見た竜女の真実

北西区画へ向かったティオナは、濃霧を抜けた先で一匹のヴィーヴルを発見した。それは最初に都市へ現れた人型モンスターと同一の存在だと考えられた。追跡の最中、十字路でハーフエルフの子供の頭上へ建物が崩れ落ちそうになった時、ヴィーヴルは自ら駆け込み、片翼を広げて子供を押し倒し、瓦礫から庇った。

ティオナの認識の変化

その光景を正確に見たティオナは、ヴィーヴルが子供を襲ったのではなく守ったのだと理解した。団員達が矢を放つ中、ティオナは仲間に子供達の保護を任せ、自分一人で竜女を追うことを決めた。そして以前の事件も実際は襲撃ではなく庇護だったのではないか、ベルが守ろうとした理由もそこにあるのではないかと直感し、胸のもやもやが消えていった。結局ティオナは、追い詰めた先で竜女を見逃した。

ベートの追走と春姫の足止め

同じ頃、ベートは予備隊として待機していたが、南西から北西へ縦断する音を捉え、命令違反を承知で単独追跡を開始した。透明化した何者かを獣人の知覚で追い詰め、迷宮街北西の路地裏へ辿り着く。そこで現れたのは、かつてイシュタル・ファミリアにいた狐人の春姫であった。彼女は一人だと主張しながら、背後の二つの気配を逃がすため、自ら殿としてベートの前に立ちはだかった。

春姫の覚悟とベートの認知

春姫は怯えながらも退かず、逃げた存在を守るために毅然と立っていた。ベートはそんな彼女に苛立ちを覚えつつも、その揺らがない翠の瞳と退かない意志を認めた。彼は拳ではなく脚で地を叩いて衝撃を与え、威勢だけではない覚悟を見せろと罵倒した。春姫は震えながらも再び立ち向かい、詠唱を始めた。

春姫の敗北とベートの再出発

その後の戦いは一方的であった。ベートは、歯向かう存在として春姫を正式に敵と認め、容赦なく叩き伏せた。涙を流しながらなお抗う春姫に無力感と屈辱を叩き込みながら、彼は逃げた存在を追うため再び路地の奥へ走り去った。

五章 ブレイブソウル!

フィルヴィスの状況判断と東の異変

迷宮街西で戦闘が激化する中、フィルヴィスは戦場へ向かわず、【ロキ・ファミリア】の陣形観察を優先していた。やがて団員達の動揺と移動から異変を察知し、東側の警備部隊が壊滅し、武装したモンスターと黒い猛牛の関与が疑われていることを知った。彼女は鍵を持つ敵を逃がせないと判断し、レフィーヤの捜索よりも戦局への介入を選択した。

晶眼の奇襲と進軍阻止

しかし直後、フィルヴィス達の周囲に無数の晶眼が出現し、戦闘を強いられた。これらは事前に仕込まれていた罠であり、東への急行を阻むための明確な妨害であった。フィンもこれを即座に見抜き、敵の罠であると断じた。

偽装された鍵と別動隊の誘導

一方で、隠し通路ではリリルカが武装したモンスターに変装し、「鍵」の複製を持って行動していた。これはフィンの策であり、敵の別動隊を炙り出すための囮であった。闇派閥の別動隊はこれに食いつき、鍵の奪取を狙って襲撃したが、アナキティ率いる部隊によって制圧された。

リリルカの解放と作戦の全容

捕縛されたリリルカは、自分が利用されていたことを知り動揺した。アナキティは怒りを見せつつも、勇気を評価して今回は見逃すと伝え、彼女を解放した。リリルカは自らが完全に掌の上で動かされていた事実を痛感しながら離脱した。

別動隊の尋問と鍵の奪取

その後アナキティは別動隊の頭目を拘束し、自爆を阻止したうえで尋問を開始した。男は抵抗したものの、やがて全ての情報を吐き出して気絶した。これにより、人造迷宮の鍵の所在が明らかとなった。

地下通路での消耗戦と反撃準備

地下通路ではリヴェリア率いるエルフ部隊が食人花の群れと戦い続けていた。長時間の戦闘で消耗が蓄積していたが、撤退せずに耐え続けていた。そこへアナキティが鍵を持って帰還し、状況は一変した。

レフィーヤの主砲と反撃開始

リヴェリアは反撃を決断し、温存されていたレフィーヤに魔法の発動を命じた。アルクス・レイの一撃が通路を貫き、モンスター群を一掃したことで進路が開かれ、部隊は守勢から攻勢へ転じた。

人造迷宮への奇襲進攻

リヴェリアは鍵を用いて扉を開き、エルフ部隊はそのまま人造迷宮へ突入した。内部の闇派閥残党は虚を突かれ、抵抗する間もなく押し込まれていった。これは戦況を一気に反転させる奇襲となった。

タナトスの狼狽と戦況の転換

迷宮内部ではタナトスがこの反撃に動揺した。鍵を奪われたこと以上に、即座に攻勢へ転じたフィンの判断は想定外であり、完全に主導権を奪われる形となった。

本陣の熱狂とフィンの再配置

地上の本陣では侵攻成功の報が伝わり、団員達の士気は大きく高まった。フィンは即座に配置を再編し、追撃よりも迷宮侵攻を優先する方針へ切り替えた。

ロキが語るフィンの本質

ロキは、フィンが最初から守るつもりではなく、鍵を得た瞬間に攻めることを狙っていたと語った。敵が最も動揺する瞬間を突いたこの判断こそが勝機であり、フィンの本質であった。

レヴィスの登場と迷宮内の脅威

迷宮深部では怪人レヴィスが動き出し、闇派閥幹部を容赦なく処分しながら戦場へ向かった。彼女の存在は、迷宮内における最大の脅威であった。

妖精部隊の進撃と怪人との遭遇

リヴェリア率いるエルフ部隊は迷宮内を進撃し続け、ついにレヴィスと遭遇した。魔法と連携による圧倒的火力で応戦し、レヴィスの腕を破壊することに成功したが、完全撃破には至らなかった。

脱出経路の確保と再侵攻の決断

部隊はダンジョンへの連絡路を発見し、一時的に脱出を果たした。しかしリヴェリアはここで退かず、さらなる戦果を狙って再侵攻を決断した。レフィーヤには援軍を連れて戻る役目が託された。

アイズの確信とベルとの再会

一方でアイズは、ベルが自らの危惧していた道を選んだことを悟っていた。北西部でベルと再び対峙し、その傍らに竜女が生きている事実を目の当たりにしたことで、理知ある怪物の存在を認めざるを得なくなった。

決裂と戦いの開始

それでもアイズは、自らの信念を曲げることはできなかった。怪物を許さないという意志を貫き、ベルもまた退くことはなかった。互いに異なる答えを選んだ二人は、もはや引き返せない地点に立ち、刃を交えるに至ったのである。

間章 たばかりの行方

北西通路の静寂と戦況の変化

ダイダロス通り地下北西側では、人造迷宮からのモンスターの流出が突如止まり、【ロキ・ファミリア】の部隊は士気を回復させていた。部隊長クルスは、リヴェリア率いるエルフ部隊の侵入によって敵拠点が混乱し、この一帯の防備が手薄になったと判断する。一方で、武装したモンスターの行方が不明であることから、持ち場を離れるべきか迷い、本陣へ指示を仰ごうとした矢先、突如ヘルメスが単身で現れた。

ヘルメスの交渉と鍵の提示

ヘルメスはロキからの依頼を果たしたとして「ダイダロス・オーブ」を提示し、引き渡しと引き換えにこの場から撤退するよう要求した。その条件は不可解であったが、鍵の価値を理解するクルスは動揺する。団長の指示を仰ごうとするも、ヘルメスは即決を迫り、拒めば鍵を他者へ渡すと告げた。クルスは葛藤の末、最優先事項である鍵の確保を優先し、部隊の撤退を決断する。こうしてロキ・ファミリアは地下通路から引き上げた。

ヘルメスの真意と密約の露見

ロキ・ファミリアの撤退後、透明化していたアスフィが周囲の安全を報告し、ヘルメスは武装したモンスターの一団を呼び寄せた。ヘルメス達はモンスター側と密約を結び、彼らを人造迷宮へ送り届ける役割を担っていたのである。モンスター達は静かに通路を進み、開かれた扉の先へと消えていく。その過程で、ヘルメスは石竜の犠牲に報いるため契約を履行したと語り、モンスター達の苦悩を受け止めながらも淡々と行動を続けた。

英雄を巡る神の思惑

すべてのモンスターが迷宮へと消えた後、ヘルメスは自らの狙いを示唆する。世界は英雄を必要としていると語り、そのための布石として今回の行動を選択していたのである。アスフィ達が沈黙する中、ヘルメスは意味深な言葉を残し、その場を後にした。

六章 勇者克己

武装モンスター失踪とフィンの自己認識

ダイダロス通り中央の本陣において、武装したモンスターを見失ったとの報告を受けたフィンは、自らの判断ミスを認めた。ヘスティア・ファミリアの力を過小評価し、戦力配分を誤った結果、鍵の確保やベルの制圧を同時に達成する計画は崩壊していた。それでもフィンは即座に思考を切り替え、モンスターと黒い猛牛の追跡に向けて新たな指示を下した。

二十番街の違和感と有翼モンスターの出現

フィンは、モンスターが消えた二十番街周辺に強い違和感を抱いていた。その最中、有翼モンスターが突如出現し、北西外縁部へ飛び去るという異常な動きを見せた。この行動から第三者の介入を察知したフィンは、危機を直感し、自ら小隊を率いて北西へ向かう決断を下した。

人造迷宮内部の混乱とタナトスの焦燥

一方、人造迷宮内部ではリヴェリア達の侵攻により戦況が混乱していた。タナトスは戦力の分断とレヴィスの負傷により即応できない状況に焦りを見せたうえ、竜女を含む別勢力の侵入まで発覚し、事態の複雑化に直面していた。

侵入者同士を衝突させるタナトスの策

タナトスは自軍で押さえ込むことを諦め、侵入者同士を衝突させる策へと切り替えた。扉を操作して晶眼を誘導し、複数の侵入者を同一地点へ集めることで、時間と戦況の優位を確保しようとしたのである。

フェルズの侵入とゼノスの決意

フェルズはゼノスを伴い、人造迷宮へ侵入した。仲間を見捨てることを拒むリドに対し、フェルズはベルへの信頼を示し、前進を続けた。道中で敵の抵抗が薄いことから、内部で異常が起きていると察知していた。

誘導された進路と十二層への到達

進行中、扉が意図的に開かれていることに気付いたフェルズは、敵の誘導を理解しつつも速度を優先して突破を選択した。やがて十二層へ到達した一行は、そこで別勢力と遭遇することとなった。

リヴェリアとの対峙と交渉開始

十二層でフェルズ達はリヴェリア率いるエルフ部隊と対峙した。フェルズは戦闘を避けるため交渉を提案し、理知あるモンスターの存在を示しながら共存の可能性を訴えた。異端児たちは自らの言葉で敵意がないことを語り、場に動揺を生んだ。

理想と現実の対立による交渉決裂

しかしリヴェリアはその理想を退けた。怪物に奪われた者たちを納得させる現実的手段が示されない限り、その理想は成立しないと断じ、交渉は決裂した。理想と現実の隔たりが明確に示された瞬間であった。

闇派閥の乱入と三つ巴の戦闘

交渉決裂の直後、闇派閥残党が乱入し、場は三つ巴の戦闘へと移行した。リヴェリアは退路確保を命じ、フェルズも迎撃を指示し、それぞれが生存と目的達成のために戦う状況となった。

フィンの戦況再構築と北西への進出

地上ではフィンが状況を立て直すべく指揮を取り直し、戦力再編を進めていた。有翼モンスターの異常行動を受け、自ら北西へ赴き、戦場の核心へ踏み込む決断を下した。

北西広場の混乱と仕組まれた舞台

北西外縁部では避難民が混乱し、ベルはギルド職員を庇いながら石竜と対峙していた。フィンはその構図から、ヘルメスによる演出であり、ベルを英雄へ戻すための舞台であると看破した。

ベルの選択と石竜の停止

戦闘の最中、ベルは攻撃も防御も選ばず、石竜を信じて両腕を広げた。すると石竜は自ら攻撃を止め、退いた。この行動は強制ではなく意思によるものであり、フィンはその事実を見抜いた。

第三の道と勇者の在り方

ベルは怪物も人も殺さないという第三の選択を示した。それは従来の二者択一を超えるものであり、フィンの予測を覆すものであった。その愚かでありながらも揺るがぬ意志に、フィンは強い衝撃を受けた。

極限の予兆と戦いの転換点

ベルの選択を目の当たりにした瞬間、フィンの親指は最大級の警鐘として疼いた。それは戦場における重大な転換点の到来を示すものであり、戦いが新たな局面へ移行する兆しであった。

間章 たばかりの行方

間章 たばかりの行方

ヘルメスの交渉とクルスの撤退決断

地下通路北西側では、リヴェリア達の侵攻によって人造迷宮側からのモンスター流出が止まり、ロキ・ファミリアの士気が高まっていた。そこへ単身で現れたヘルメスは、ロキから受けていた依頼が片付いたと称してダイダロス・オーブを示し、その報酬としてこの場からの撤退を要求した。クルスはその不自然さに強い警戒を抱いたが、フィンが最優先としていたのは鍵の確保であったため、最終的に団長の方針に従って撤退を決断したのである。

ゼノスの帰還支援と英雄回帰の舞台作り

クルス達が去った後、ヘルメスは透明状態を解いたアスフィの確認を受け、武装したモンスター達を地下通路へ導いた。彼らはヘルメス・ファミリアの陽動と隠密に支えられてここまで運ばれてきており、ヘルメスは人造迷宮への入口を開くことで、ゼノス達に帰還の道を与えた。魔術師から真意を問われた彼は、世界は英雄を欲していると答え、ベルを再び英雄へと回帰させる舞台を整える意図を露わにしたのであった。

フィンの罠と闇派閥別動隊の炙り出し

その一方で、フィンは闇派閥が冒険者に紛れた別動隊を潜ませていると見抜いていた。彼は東で武装したモンスターが発見されたという偽情報を意図的に流し、それに反応して動き出した別動隊を地下通路で捕捉した。彼らは鍵を持つ赤帽子を襲撃し、鍵を奪取したつもりになっていたが、そこにいたのはリリルカが変身魔法で姿を偽った囮であり、鍵も複製品に過ぎなかった。こうしてアナキティ達は闇派閥の別動隊を一網打尽にし、頭目から本物の鍵の在処を吐かせることに成功したのである。

リリルカの敗北感とアナキティの怒り

アナキティは、リリルカがラウルを騙し、フィンに成りすまして陣形を乱したことに強い怒りを抱いていた。彼女はその能力を利用して闇派閥を誘い出した後、今回は見逃すが次はないというフィンの伝言を伝えた。ロキ・ファミリアを出し抜いたつもりでいたリリルカは、実際には自分もまたフィンの掌の上で踊らされていたことを思い知り、恐怖と敗北感を抱えたまま、その場から全速力で逃げ去ったのであった。

レフィーヤの帰還と黒い猛牛との死闘の目撃

レフィーヤはリヴェリア達と十二階層で別れた後、宣言通り驚異的な速度でダンジョンを踏破し、バベルを飛び出してダイダロス通りへ急行した。援軍を呼ぶことだけを考えて走っていたが、都市を震わせる大咆哮を耳にしたことで、それが黒い猛牛のものだと確信し、進路を北西外縁部へ向けた。現地で彼女が目にしたのは、ベル・クラネルと黒い猛牛が一対一で死闘を繰り広げる光景であり、これまで抱いていたベルへの違和感が、実は本隊を逃がし、猛牛の意志にも応えるための行動だったのだと悟るに至った。

ベルの戦いが呼び起こした群衆の熱狂

レフィーヤは、ベルが打算や私欲ではなく、ただ意志と渇望だけで猛牛と向き合っていることを理解した。その姿は住民や冒険者達の胸を打ち、最初は立ち尽くしていた群衆の中から、次第に声援が生まれ始めた。子供達の叫びや住民達の応援は大きなうねりとなり、広場全体がベルの冒険に熱狂する空間へと変わっていった。レフィーヤ自身もまた、その戦いを見て胸を震わせ、気付けばベルを励ます声を上げていたのである。

フレイヤ・ファミリアの妨害とオッタルの介入

その熱狂の裏では、ロキ・ファミリアの部隊がフレイヤ・ファミリアによって足止めされていた。フィンはこの時点で、黒い猛牛をここまで導き、他の冒険者や自軍の介入を妨げていたのがオッタル達であることを見抜いた。全てはベルと猛牛の戦いを成立させるためのものであり、オッタルは主の望みのままに動いていたのである。さらに彼は大剣を広場中央へ投げ込み、ベルにそれを握らせることで、猛牛との死闘をさらに激しいものへと変えていった。

黒い猛牛の真意とフィンの認識の変化

戦いを見つめる中で、フィンは自らの認識が誤っていたことを悟った。黒い猛牛は理知なき破壊の象徴ではなく、ただ一つの死闘を、ベルとの闘争そのものを求めていた存在だったのである。その一戦は観衆の心を燃え上がらせ、フィンにはベルの姿が古代の異端の英雄アルゴノゥトと重なって見えた。愚かで滑稽でありながらも人々を導き、後に続く者達を奮い立たせる存在として、ベルはまさに英雄の船頭のような役割を果たしていたのであった。

フィアナ超克への決意

フィンはオッタルに対し、自分がこれまで目指してきたのは、一族に光をもたらすフィアナのような英雄であったと語った。だが、ベルの姿を見たことで、その理想の延長では足りないと悟ったのである。先人の英雄に並ぶだけではなく、それを超える存在にならなければ、一族に新たな希望をもたらすことはできないと理解した彼は、ベルに感化され、自分もまた秤を壊せる英雄にならねばならないと決意した。切り捨てることを当然としてきたこれまでの在り方を超えることこそ、自らに必要な変化だと認めたのであった。

石竜の勇気とフィンの転身

フィンは、ベルのために命を捧げた石竜の行動を目の当たりにし、その姿に本物の勇気を見た。モンスターへの憎悪に基づく判断を今だけは退け、その勇気を正面から受け止めたのである。そしてこの場でベルの結末を見届ける必要はないと判断し、オッタル達に阻まれる以上は撤収し、別の案件へ移ることを選んだ。ベルがこれから成し遂げることはもう理解しており、自らもまた新たな賭けではなく冒険へ踏み出すのだと決めて、その場を後にしたのであった。

戦況整理と北西異変への対処

本陣では、フィンが武装したモンスター失踪の報を受けながら、自らの失策を冷静に整理していた。地上戦では敵の力を侮り、ヘスティア・ファミリアの介入を読み切れず、黒い猛牛の所在も掴めなかったため、計画通りに全てを掌握できなかったことを認めていたのである。それでも人造迷宮への奇襲自体は成果を挙げていたため、不毛な後悔を切り捨て、戦いの収束へ向けて思考を切り替えた。

北西外縁部への自発的出撃

二十番街付近でモンスターの足取りが途絶えた中、石竜の群れが北西外縁部へ飛び立つという異変が発生した。フィンはその挙動に一貫性のなさと第三者の介入を感じ取りつつも、住民避難が終わっていない以上、自ら小隊を率いて現地へ向かうことを決めた。ラウルに本陣を任せたのは、戦況が新たな局面へ移ったと判断したためであり、自分の目で見極めるべき時が来たと受け止めたからであった。

十二層への誘導とフェルズ達の遭遇

一方、人造迷宮ではタナトスがリヴェリア達への対処を迫られていた。彼は戦力不足を補うため、別方向から侵入していたフェルズ達異端児を十二層へ誘導し、リヴェリア率いるロキ・ファミリアと衝突させる策を取った。フェルズは罠を疑いながらも、脱出路が目前にある以上進むほかなく、その結果として十二層でリヴェリア達と遭遇することとなった。これは双方を足止めし、時間を稼ぐための死神の狙いであった。

フェルズの交渉とリヴェリアの拒絶

十二層で対峙したフェルズは、異端児が理知を持ち、人類との共生を望んでいることを語り、ウラノスの神意を盾にロキ・ファミリアとの交渉を試みた。蜥蜴人や歌人鳥が人語で願いを述べたことで、アリシア達エルフは激しく動揺し、怪物に対する価値観が揺らぎ始めた。しかしリヴェリアは、理想や情緒ではなく、実際に人と怪物の溝を埋める現実的手段が示されていないことを突きつけた。彼女はフィンの思考を代弁するように、証明も方策もない夢物語では受け入れられないと断じ、交渉を拒絶したのである。

三つ巴の乱戦と歌人鳥の自己犠牲

交渉が決裂した直後、タナトスの眷族が大挙して押し寄せ、ロキ・ファミリア、異端児、闇派閥の三つ巴の乱戦が始まった。混戦の中でレヴィスも現れ、戦場は一気に壊滅寸前まで追い込まれた。そんな中、レヴィスの呪剣がアリシアを狙った瞬間、歌人鳥がその前に割って入り、自らの身を貫かせて彼女を庇った。瀕死となりながらも友達になりたかったと微笑むその姿は、アリシアだけでなくエルフ達の価値観そのものを打ち砕き、怪物を絶対悪として見なしていた認識を根底から揺さぶったのである。

フィン達の救援と脱出成功

レヴィスが戦場を蹂躙しようとしたその時、フィンとガレスが増援を率いて到着し、リヴェリアも合流した。ロキ・ファミリアの三首領は阿吽の呼吸でレヴィスを食い止め、フィンが技と駆け引きで隙を削ぎ、ガレスが力で押さえ込み、リヴェリアが支える連携を見せた。さらにレフィーヤが特大の炎の魔法を投下して混戦を崩壊させたことで、ロキ・ファミリアは脱出経路を確保し、異端児やフェルズをも巻き込む形で十二層からの撤退に成功したのであった。

異端児との交渉開始とフィンの新方針

ダンジョン十二階層まで撤退した後も、団員達は異端児に強い警戒を向けていた。しかしフィンは武装解除を命じ、リヴェリアに歌人鳥の治療をさせたうえで、フェルズに交渉を持ちかけた。理知あるモンスターの存在を多くの団員が見てしまった以上、それをなかったことにはできず、しかも黒い猛牛の力を今後の人造迷宮攻略に利用できると判断したからである。彼は私情やモンスターへの悪感情を捨て、都市崩壊阻止を最優先に据えたうえで、今回限りの共闘という条件を提示したのであった。

変化したフィンと新たな課題

フェルズに何が自分を変えたのかと問われたフィンは、答えは一つしかないと決めつけるのをやめ、子供心を取り戻しただけだと穏やかに答えた。その言葉どおり、彼は以前のように理だけで切り捨てるのではなく、複数の可能性を見据えたうえで選択を下せるようになっていた。もっとも、その決断を団員全員がすぐに受け入れられるわけではなく、とりわけ怪物への殺傷をためらうようになった者達への配慮が必要であることも理解していた。そして今後の最大の課題は、異端児の存在を前に最も強く揺らぐであろうアイズをどう説得するかにあると、フィンはリヴェリアとガレスに告げたのであった。

エピローグ 小少女の結末

ベルの執念とアイズの動揺

アイズはベルに対し、剣腹による峰打ちで容赦なく斬撃を浴びせ続けた。ベルは何度も倒れかけながらも隠し扉の前から退かず、むしろ果敢に攻め続けた。当初、アイズはベルと戦うこと自体を苦しく感じていたが、竜女を守るために立ち向かい続けるベルを前にするうち、優勢であるはずの自分が押されている感覚に陥った。ベルの強さが、自分の教えた技術ではなく、誰かを守るための意志から生まれていることを、彼女は否応なく感じ取っていた。

ベルの成長が示した意志ある力

アイズは自分が間違っていないと信じ、怪物は殺さなければならないと心の中で叫びながら、ベルを打ち倒そうとした。しかしベルは、アイズから学んだ技や駆け引きを成長の糧として用い、ついにはアイズの胸当てを掠める一撃を与えた。それはベルの意志に力が伴った証であり、アイズにとっては目を背けていた現実を直視させられる敗北であった。彼女がついに問いを投げかけると、ベルはウィーネ達が笑って暮らせる居場所が欲しいと本心を告げた。その願いはアイズの許容を超えており、二人の道が決定的に分かれたことを明らかにした。

ウィーネの出現とアイズの憎悪の噴出

ベルが退かず、アイズも最後通告を口にした時、隠し扉が開き、ウィーネが飛び出してベルを庇った。ウィーネはベルを傷つけないでほしいと訴え、ベルと一緒にいたいと願いを口にした。その姿はアイズにとって受け入れ難いものであり、彼女の背中に刻まれた黒い炎のような憎悪を呼び起こした。アイズは怪物が人を傷つけ、恐怖をもたらし、災厄の種となる存在であると糾弾し、両親や故郷を奪われた過去の記憶を一気に噴出させた。彼女は叫びもせず暴れもせず、ただ怒りと悲しみを剣に乗せて、ウィーネを見逃せないと突きつけたのであった。

ウィーネの自傷と孤独の告白

追い詰められたウィーネは、自分の爪が人を傷つけ、翼が人を恐れさせ、紅石が多くの人を殺してしまうと指摘された後、自らその爪を折り、翼を引きちぎった。ベルが悲鳴を上げる中、ウィーネは血を流しながら、自分がもし再び自分でなくなるなら今度はちゃんと消えると告げた。さらに彼女は、ずっと暗く寒い場所で一人ぼっちだったこと、誰にも助けてもらえず、誰にも抱きしめてもらえなかったこと、斬られて痛くて怖かったこと、寂しかったことを涙ながらに語った。その言葉と涙は、アイズの中にあった怪物への単純な憎悪を崩し、彼女の視界から怪物の輪郭を溶かしていった。

アイズが過去と向き合った瞬間

ウィーネの叫びを聞いたことで、アイズは過去の自分と今の現実とを結びつけてしまった。全てを奪われた少女だった自分と、今ベルに助けられたウィーネの姿が重なり、胸の中にいたもう一人の幼い少女が泣きじゃくるように蘇ったのである。アイズは、怪物を殺すと誓ったあの日の自分と、怪物を庇うベルの姿を重ね、どうして自分が信じていたものがそこにないのかと激しく揺らいだ。そしてついに、ウィーネを殺すことはできない、ベルとウィーネは間違っていないと思ってしまった以上、自分はもう彼らとは戦えないと認めた。こうしてアイズの中で、怪物を殺すという誓いは壊れたのであった。

アイズの断念とベル達の離脱

アイズは戦う意志を失い、万能薬を取り出して地面に置き、自分はここにいるから行けとベルに告げた。ベルは一瞬手を差し伸べようとしたが、守るべきウィーネを抱き直し、礼を述べてその場を去った。アイズは振り向かず、ただ背を向けたまま月明かりの下に立ち尽くした。その姿は、剣姫でも冒険者でもなく、約束を失い、自分の誓いが壊れたことを受け止めきれない一人の少女のものであった。

ベートの立ち会いと救いを求める声

ベル達が去った後、ベートが姿を現し、一部始終を見ていたことを示した。彼はアイズに短く声を掛けたものの、責めることはせず、そのまま先に戻っていった。静寂の中に一人残されたアイズは、月夜を見上げ、自分の中で崩れたものの大きさを噛み締めた。そして最後に、誰か自分を助けてほしいと、かすかな声で救いを求めたのであった。

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