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フィクション(Novel)最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い読書感想

小説「最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い12」感想・ネタバレ

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最強出涸らし皇子の 暗躍帝位争い 12の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

出涸らし11巻 レビュー
出涸らし13巻 レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. ヘンリック皇子の失態
    2. ウィリアム王子の策略
    3. レオナルト皇子の奇襲
    4. アルノルトの暗躍
    5. 北部諸侯連合の参戦
    6. 魔導爆弾と子供の救出
    7. 宿敵ウィリアムとの死闘
    8. 家族の悲劇と次代への決意
  6. 登場キャラクター
    1. アードラシア帝国
      1. アルノルト・レークス・アードラー(シルバー)
      2. レオナルト・レークス・アードラー
      3. ゴードン・レークス・アードラー
      4. ヘンリック・レークス・アードラー
      5. コンラート・レークス・アードラー
      6. エリク・レークス・アードラー
      7. ザンドラ・レークス・アードラー
      8. ヨハネス
      9. グスタフ
      10. ゾフィーア
      11. ビアンカ
      12. ゴードンの娘
      13. シャルロッテ・フォン・ローエンシュタイン
      14. ローエンシュタイン公爵
      15. グライスナー侯爵
      16. カトリナ
      17. ボルネフェルト子爵
      18. ゼンケル伯爵
      19. ロルフ・フォン・ホルツヴァート
      20. ギード・フォン・ホルツヴァート
      21. ライナー・フォン・ホルツヴァート
      22. セバス
      23. ヴィンフリート
      24. フィン・ブロスト
      25. ジーク
      26. リンフィア
      27. ラース
      28. ランベルト
      29. アリーダ
      30. フィデッサー将軍
      31. ルーマン将軍
      32. ハーニッシュ将軍
      33. ギュンター
    2. 連合王国
      1. ウィリアム
      2. ロジャー
    3. 魔王軍・魔奥公団
      1. 魔奥公団の魔導師
  7. 展開まとめ
    1. 第一章 忠義者
    2. 第二章 北部決戦
    3. 第三章 ゴードン
    4. エピローグ
  8. 最強出涸らし皇子 シリーズ
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する』は、ファンタジー世界を舞台にした宮廷暗躍ファンタジーである。

物語は、強大なアードラー帝国を舞台に展開される。主人公の第七皇子アルノルト・レークス・アードラーは、周囲から「出涸らし皇子」と見なされる無能な振る舞いを装いつつ、裏では大陸最高峰の冒険者「シルバー」として古代魔法を操る強者である。彼は、誠実な双子の弟レオナルトを次期皇帝にするため、帝位継承戦を影から支配し、障害を排除していく。

世界観は、魔法、魔導具、禁術といった能力が存在する中世風ファンタジーであり、大国同士の軍事的な緊張感や、領内の流民問題、貴族間の政治的暗闘が密接に絡み合う。単なる武力闘争ではなく、知略や外交、商会を用いた経済戦が物語の核心である。

■ 主要キャラクター

  • アルノルト・レークス・アードラー: 帝国の第七皇子。普段は「出涸らし皇子」を演じるが、本性は冷徹かつ極めて高い知略と古代魔法を操る冒険者。帝位争いに興味はないが、弟のレオナルトを帝位につけるため、影の支配者として暗躍する。
  • レオナルト・レークス・アードラー: 第八皇子であり、アルノルトの双子の弟。誠実で正義感が強く、民を救うための正攻法を好む。兄の影からの支えを受け、次第に有力な帝位継承候補者へと成長していく。
  • ヨハネス: アードラー帝国の現皇帝。帝位争いを容認し、自らの座を勝ち取るべきものと考える。息子アルノルトの覚悟を高く評価している。
  • ミツバ: 皇帝の第六妃。アルノルトらの母親。諸外国を巡った深い見識を持ち、アルノルトの真意を誰よりも深く理解する傑物。
  • エルナ: 勇爵家の令嬢。アルノルトに対する深い恩義と信頼から彼を見捨てないと誓っており、卓越した剣技でレオナルト陣営を武力面から支える。
  • フィーネ: 公爵令嬢。「蒼鴎姫」と称される美貌と純粋さを持つ。アルノルト陣営の有力な協力者として、その知名度を活かした商業戦略等で陣営の支持基盤拡大に貢献する。
  • リーゼロッテ・レークス・アードラー: 第一皇女。元帥の一人であり「常勝無敗の姫将軍」と称される実力者。かつての悲劇から周囲と距離を置いていたが、アルノルトやユルゲンとの向き合いを通じ、次第に変化を見せる。
  • ユルゲン・フォン・ラインフェルト: ラインフェルト公爵家の若き当主。二十年間にわたり第一皇女リーゼロッテを一途に想い続けている情熱的な男。武芸は苦手ながらも商才に長け、公爵としてレオナルト陣営の有力な支援者となる。

■ 物語の特徴

第三皇子ゴードンの反乱軍とレオナルト率いる討伐軍の戦いは、帝国北部で佳境を迎えた。
手柄を焦ったヘンリックが反乱軍の総大将となるも、レオナルトの奇襲とアルノルト率いる北部諸侯連合の介入により大敗を喫した。
その後、両軍はオスター平原での最終決戦へ臨む。 連合王国の竜王子ウィリアムが要衝を占拠するが、アルノルトは密かに背後へ回り込み敵陣を強襲する。
追い詰められたゴードンは子供を自爆兵器とする罠を仕掛けたものの、アルノルトが国宝「皇旗」を用いてこれを完全に阻止した。
空の戦いにおいてもレオナルトらがウィリアムを撃破し、反乱軍の敗北は決定的となる。
ウィリアムたち残存兵を逃がすため、ゴードンは裏切り者を粛清し、自ら殿としてレオナルト軍へ決死の突撃を敢行する。
兄弟による一騎打ちの末、成長したレオナルトがゴードンを討ち取り、ついに反乱は終結を迎えた。
戦後、アルノルトは兄を手にかけた弟を慮り、ゴードンの妻子が他国へ逃れるのを密かに見逃す。
かつての優しい兄姉を失った悲しみを胸に、彼は自らの命に代えても家族を守り抜くという強い決意を固めるのである。

書籍情報

最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 12 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する
著者:タンバ 氏
イラスト:夕薙 氏
出版社:KADOKAWAスニーカー文庫
発売日 :2023年9月29日
ISBN : 9784041141809

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

次なる暗躍は――アードラーの神髄を証明すべく、ゴードンを討て!
“雷神”ローエンシュタイン公爵家の協力を得て戦力を揃えたアルたちはレオ陣営と共にゴードンとの最終決戦を開始する。
 竜騎士、暗殺者、魔導師――互いの最大戦力がぶつかり合う中、勝利を確実にしようとするゴードン最悪の切り札が姿を現わす。絶望に染まる状況下……「俺が行く。諦めるな」最良の策略を巡らせた出涸らし皇子の希望の声が戦場に鳴り響く!
「俺もアードラーだからな。教えてやる、アードラーの神髄を」
 双黒の皇子と反逆者の兄。帝都から続く長い反乱の果てに、北の大地にて勝ち名乗りを挙げるのはどちらか――。
 最強皇子による縦横無尽の暗躍ファンタジー、決着の12巻!

最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い12 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する

感想

刊行速度の緩やかさから、かつて中断を余儀なくされた本作を、改めて一巻から読み直し、この第12巻の決着までたどり着いた。3年越しに積み上げてきた物語の重みは、この最終決戦において言葉以上の説得力を持って読者に迫ってくる。

物語は帝都から北の大地へと舞台を移し、アルノルトとレオナルトの陣営が、反逆者ゴードンとの最終決戦に挑む構成となっている。第一章で描かれた、補給を巡るウィリアムとヘンリックの対立は、ゴードン陣営の脆さを象徴する場面であった。無能なヘンリックをあえて生かすことで亀裂を広げ、戦局をコントロールしようとするレオナルトの冷静な判断力は、彼が単なる「誠実な皇子」ではなく、兄であるアルノルトの「暗躍」を真に理解し、自身の力で帝位を掴み取ろうとする頼もしい次期皇帝へと成長した証左と言える。

第二章におけるオスター平原での決戦は、本作の醍醐味である「二人の視点による読み合い」が極限まで高まっていた。激流が弱まる機を狙ったレオナルトの背後展開と、それを見越したかのようなアルノルトによる北部諸侯連合軍の突撃。双子の皇子が別々の場所で、しかし同じ未来を見据えて戦う姿には、圧倒的なカタルシスを感じずにはいられない。特に、戦場を支配する「涼風玉」や公爵家の「雷撃」を組み合わせた突破劇は、武力だけでなく、知略と魔導技術を融合させた本作独自の戦闘美が結実している。

心に残ったのは、ゴードンが切り札として放った「魔導爆弾」を巡る第三章のクライマックスである。子供たちを兵器として利用するという、アードラーの在り方とは対極にある非道な行い。それに対し、アルノルトが国宝「皇旗」を血の代償とともに発動し、奇跡に頼ることなく、自身の積み重ねてきた対策でそれを打ち消した場面は圧巻であった。かつてザンドラ陣営で同じ悲劇を経験したアルノルトが、その悔しさを糧に「次は二度と繰り返さない」という確かな準備をもって勝利をもぎ取る姿は、彼がどれほどの孤独と覚悟を背負って影から支配してきたかを如実に物語っている。

帝都での騒乱を先代皇帝に任せ、北部の戦場では双剣旗の下に結束する兵士たち。ゴードンとの最後の剣戟は、かつて憧れた兄の姿を取り戻すための儀式のようにも見えた。戦いの中に散ったゴードンが、最期に弟たちへ未来を託し、安らかな表情で逝ったことは、この壮絶な内乱の終わりとして唯一の救いであったろう。

アルノルトという「最強の出涸らし皇子」が影から支配した帝位争いは、単なる権力闘争ではなく、血の絆を持つ兄弟たちがそれぞれの正義をぶつけ合い、その末に「家族同士で殺し合わない未来」を勝ち取るための戦いであった。物語は一つの決着を迎えたが、ジャックを投入した新たな布石など、帝国の動向には依然として目が離せない。かつて読むことをやめてしまった空白の期間を埋めるに十分な、熱く、そして重厚な一冊であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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出涸らし11巻 レビュー
出涸らし13巻 レビュー

考察・解説

ヘンリック皇子の失態

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』第12巻において、第三皇子ゴードンの陣営に加わった第九皇子ヘンリックは、北部戦線の指揮において決定的な失態を犯し、自軍に甚大な被害をもたらした。その一連の経緯と結果は以下の通りである。

手柄の焦りとウィリアムの排除
ヘンリックは、レオナルトの軍を包囲していた連合王国の竜王子ウィリアムに対し、渡す手筈になっていた兵糧の引き渡しを拒否した。これは藩国の義賊による補給の遅れを口実にしたものであったが、真の狙いは以下の通りである。
・ウィリアムを前線から退かせる
・自分が総大将としてレオナルトを討つ手柄を独占する
ウィリアムはレオナルトを高く評価していたが、実戦経験の乏しいヘンリックは自らの能力を過大評価していた。結果としてウィリアムは自軍を率いて後方へ下がり、ヘンリックが包囲軍の指揮を執ることとなる。

無謀な総攻撃と見破られた意図
ウィリアムの功績を消したいヘンリックは、陣営の将軍たちの賛同を得て、レオナルトへの総攻撃を決定した。しかし、以下の理由により失敗に終わる。
・士気高揚のために全軍へ酒と食事を振る舞った
・その大量の炊事の煙を見たレオナルトに総攻撃の意図を完全に見抜かれてしまった

奇襲と本陣のみの逃亡
総攻撃当日の朝、以下の奇襲が展開されヘンリック軍は追い詰められた。
・レオナルト率いる五千の騎馬隊がヘンリック軍へ奇襲を仕掛けた
・前夜に酒を飲んでいたヘンリック軍は対応できなかった
・さらにシャルロッテ率いる北部諸侯連合軍の突入と雷魔法によって恐慌状態に陥った
この絶体絶命の状況下で、ヘンリックは側近のギードの進言を受け入れ、前線で戦う兵士たちや将軍たちを置き去りにし、本陣のみで撤退して逃亡するという最大の失態を犯した。総大将に見捨てられたことで軍の士気は完全に崩壊し、約七千もの兵力を失う大敗北を喫した。

まとめ
ラーゲの街へ逃げ込んだヘンリックは、敗戦の責任をウィリアムの撤退のせいにしようと責任転嫁を図った。しかし、ヴィスマールへ戻った後にウィリアムから厳しく指摘され、自身の未熟さを悟る。
その後、激怒したゴードンによって全軍の見せしめとして処刑されかけたが、ウィリアムが説得してこれを制止した。最終的にウィリアムの機転により、逃亡を進言したギードの片腕を切り落とし、それをヘンリックに挽回の機会を与えるために側近が差し出した忠節の証として軍の士気高揚に利用することで、ヘンリックは辛くも命を救われたのである。

ウィリアム王子の策略

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』第12巻において、連合王国の竜王子ウィリアムは、味方であるヘンリック皇子の失態をカバーし、ゴードン陣営の崩壊を防ぐために数々の冷酷かつ巧妙な策略を巡らせた。その主な策略は以下の通りである。

ラーゲの街における伏兵作戦
ウィリアムは、手柄を焦るヘンリックが包囲軍の指揮を執れば必ずレオナルトに敗北すると予測していた。そのため、以下の罠を仕掛けた。
・ヘンリックが敗走して逃げ込むであろうラーゲの街からあらかじめ住民を避難させた。
・空いた民家に自軍の兵士を伏兵として潜ませておいた。
この違和感(戦場になるはずの街が不自然に静かすぎること)に気づいたレオナルトは、罠であると見抜いて無理な追撃を断念し、撤退を選択した。ウィリアムは直接戦場にいなくとも、的確な予測と配置によってレオナルトの追撃を阻止し、ヘンリックの命を救ってみせたのである。

ギードを利用した軍の士気高揚と内部牽制
大敗北を喫して帰還したヘンリックに対し、激怒したゴードンは全軍への見せしめとして彼を処刑しようとした。しかしウィリアムは、「今ヘンリックを斬れば、他の将軍たちも粛清を恐れて軍が崩壊する」とゴードンを説得し、これを制止する。そして以下の策略を実行した。
・敗戦の責任をヘンリックの側近であるギード(ホルツヴァート公爵家の嫡男)に負わせる形をとった。
・本人の意思に関係なく強制的にギードの片腕を切り落とした。
・ゴードンにその腕を掲げさせ、「ギードがヘンリックに挽回の機会を与えるために自ら差し出した忠節の証」という美談に仕立て上げて全軍に演説させた。
これにより、敗戦で地に落ちていた軍の士気を劇的に回復させただけでなく、陣営内で裏切りを画策していたホルツヴァート公爵家を牽制し、不用意な動きを封じるという一石二鳥の策略を成し遂げた。

決戦場「オスター平原」の選定とハイナ山の要塞化
レオナルトとの決戦の場として、ウィリアムは北を山、南を川に囲まれた逃げ場の少ない「オスター平原」を自ら選定した。この地で以下の作戦を展開した。
・自らは竜騎士団を率いて要衝であるハイナ山を早期に占拠し、山中を要塞化して圧倒的な優位を築いた。
・万が一敵が自軍の背後に現れた事態に備え、移動式の弩砲(バリスタ)を山に温存しておいた。
実際にアルノルト率いる北部諸侯連合軍が背後から奇襲を仕掛けてきた際、ウィリアムは瞬時に迎撃態勢を整え、隠していた弩砲による射撃で敵の両翼に甚大な被害を与え、その突撃の勢いを食い止めることに成功した。

まとめ
ウィリアム王子の策略は、無能な味方の失態すらも利用して軍の引き締めと士気高揚を図り、常に最悪の事態を想定して二重三重の罠を張り巡らせるというものであった。他国の王子でありながらゴードン陣営の実質的な支柱として機能し、レオナルトやアルノルトにとって最大の脅威として立ち塞がったのである。

レオナルト皇子の奇襲

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』第12巻における「レオナルト皇子の奇襲」は、敵の総大将となったヘンリック皇子の隙を突き、長らく続いたディック城の包囲網を完全に崩壊させた鮮やかな逆転劇である。その経緯と詳細は以下の通りである。

奇襲の背景と意図の看破
連合王国の竜王子ウィリアムと対立したヘンリックは、ウィリアムを前線から退かせ、自らが総大将として包囲軍の指揮を執ることとなった。手柄を焦ったヘンリックはレオナルトへの総攻撃を決定し、士気高揚のために前夜から全軍へ酒と食事を振る舞った。
しかし、城から敵陣を観察していたレオナルトは、以下の状況から総攻撃の意図を完全に見抜いた。
・兵糧に余裕がないはずの敵陣から不自然に大量の炊事の煙が上がっている
・これが攻撃前の士気高揚であると判断した
敵が動く前に機先を制すべく、レオナルトは五千の騎馬隊を密かに後方の門から出撃させた。

奇襲の実行とヘンリックの逃亡
総攻撃当日の朝、レオナルト率いる騎馬隊はヘンリック軍に奇襲を仕掛けた。前夜に酒を飲み、自分たちが攻め込む側だと信じ切っていたヘンリック軍は全く対応できなかった。レオナルトは抵抗しない兵士には手を出さず、一直線に敵本陣のみを目指して突進した。
自らに迫るレオナルトの姿に恐怖したヘンリックは、側近ギードの進言を受け入れ、前線の将兵たちを置き去りにして本陣のみで撤退して逃亡するという総大将としてあるまじき愚行に走った。

北部諸侯連合軍の加勢と軍の崩壊
レオナルトの奇襲と同時に、以下の事態が重なり敵軍は容易く崩壊した。
・援軍として到着していたシャルロッテ率いる五千の北部諸侯連合軍が敵の右翼へ突入した。
・シャルロッテが放った大規模な雷魔法を見た敵兵たちは、雷神ローエンシュタイン公爵が現れたと勘違いして恐慌状態に陥った。
・シャルロッテが拡声魔法で本陣が撤退していることを告げ、見捨てられたと悟った兵士たちは戦意を喪失した。
本陣の逃亡、奇襲の混乱、そして雷魔法の恐怖が重なり、二万二千を数えたヘンリック軍の前線は完全に崩壊した。

追撃と包囲網の終焉
山中へ逃げ込んだヘンリックに対し、レオナルトは竜騎士フィンを投入して追撃をかけた。しかし暗殺者ギュンターらが山火事を起こして足止めを図ったため、レオナルト軍は山を迂回した。
その後、ヘンリックが逃げ込んだラーゲの街まで迫ったレオナルトだったが、戦場になるはずの街が不自然に静かすぎることから、ウィリアムがあらかじめ用意していた伏兵の罠であると看破した。無理な追撃は不要と判断したレオナルトは撤退を選択した。

まとめ
この奇襲と一連の戦いにより、ヘンリック軍は七千近い兵力を失って散り散りになった。結果としてレオナルトは自軍を縛り付けていた完全包囲網を打ち破り、窮地を脱することに成功したのである。

アルノルトの暗躍

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』第12巻におけるアルノルトの暗躍は、戦術的な奇襲から、事前の根回し、非道な罠の無力化、そして戦後の遺児の保護に至るまで、物語のあらゆる局面で多岐にわたって展開された。その主な暗躍の内容は以下の通りである。

北部諸侯連合軍の秘匿とオスター平原での背後強襲
アルノルトは自らが北部諸侯連合の盟主であることを敵に隠し、ローエンシュタイン公爵やシャルロッテを表に立てて行動した。その戦術的な暗躍は以下の通りである。
・ゴードンとウィリアムがオスター平原を決戦の地に選ぶと予測した。
・大軍では渡れないと思われていた激流の川が弱まるタイミングを見計らって渡河し、密かに敵の背後に回り込むことに成功した。
・戦闘開始時、キューバー技術大臣の失敗作である魔導具「涼風玉」の突風を利用して敵の弓矢による迎撃を無効化し、不利とされる騎士の正面突撃を成功させた。

先代皇帝を利用したシルバーによる帝都防衛
北部での決戦中、帝都では第四妃ゾフィーアによる同時多発的な放火と反乱が起きた。アルノルトは以下の対応を行った。
・事前にこの事態(皇帝暗殺や帝都の混乱)を予測していた。
・自らが北部を離れられない代わりに、帝剣城の隠し部屋にいる先代皇帝グスタフ(自身の曽祖父にして師匠)に協力を依頼していた。
グスタフは幻術でシルバーの姿に扮し、アルノルトの魔力を使って古代魔法の雨(ミスティック・レイン)を降らせて帝都の火災を一瞬で鎮火させ、被害を最小限に食い止めた。

国宝「皇旗」の無断持ち出しと魔導爆弾の無力化
ゴードンは魔奥公団と結託し、虹彩異色の子供たちを強制的に魔力暴走させて自爆兵器(魔導爆弾)とする非道な罠を本陣に仕掛けていた。これに対し、アルノルトは以下の行動をとった。
・南部での同様の事件から二度目の対策を練っていた。
・出発前に皇帝の許可を得ず、技術大臣や近衛騎士団長アリーダを巻き込んで国宝「皇旗」を密かに持ち出していた。
アルノルトは自らの血を代償に皇旗を発動させて戦場一帯の魔法を打ち消し、子供たちの命を救うとともに敵の最大の切り札を完全に無力化した。

アードラーの真の在り方の提示と心理戦
罠を無力化した後、アルノルトは拡声魔法を用いて、ゴードンが子供を兵器利用し、部下を見捨てようとした事実を戦場全体に暴露した。そして、以下の高度な心理戦を展開した。
・力で奪うだけのゴードンに対し、アードラーの神髄は心服であり、自らの在り方で心と誇りを得て、略奪したすべての守護者であり続けることだとアードラーの真の在り方を突きつけた。
・この言葉で自軍の怒りと士気を最高潮に高め、敵の戦意を削ぎ、総攻撃の合図を下した。

まとめ
反乱終結後、アルノルトはゴードンの幼い娘(姪)と妻ビアンカが、連合王国へ向かう先行船団に乗って逃れようとしていることを知る。反乱者の血筋として帝国から狙われる可能性があったが、アルノルトは以下の配慮と行動を見せた。
・自らの手で兄を討ったレオナルトに姪を捕らえさせるような残酷な真似はさせたくないと考えた。
・誰にも知らせず自らシルバーの仮面をつけて海上へ向かった。
・荒れる海に結界を張って密かに船団を護衛し、彼女たちが無事に逃げ延びるのを見届けた。
このようにアルノルトの暗躍は、戦局を覆すだけでなく、身内への深い配慮と保護にまで及ぶものであった。

北部諸侯連合の参戦

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』第12巻における「北部諸侯連合の参戦」は、オスター平原での決戦において敵の意表を突き、ゴードン軍を崩壊へと導いた決定的な作戦である。第七皇子アルノルトの指揮によるその詳細な展開は以下の通りである。

激流の渡河と背後への迂回
ゴードンとウィリアムは、北を山、南を川に囲まれたオスター平原を決戦の地に選んだ。彼らは北部諸侯連合軍がいまだ後方にいると誤認していたが、アルノルトは以下の行動をとった。
・数日に一度だけ激流が弱まるタイミングを利用して川を渡った
・山岳地帯を迂回して密かにゴードン軍の背後へと軍を展開した

アルノルトの檄と突撃の開始
レオナルト軍が正面から攻撃を開始したのを見計らい、アルノルトは一万を超える北部諸侯連合軍に突撃を命じた。その際、アルノルトは以下の言葉で騎士たちを鼓舞した。
・皇族への忠誠を強要せず、自分の心に素直に従い、好きなモノのために戦えと檄を飛ばした
・これにより、北部の騎士たちの士気を極限まで高めた

涼風玉と雷魔法による突撃支援
敵の後方軍を指揮するウィリアムは即座に弓兵を前に出し、矢の雨で迎撃しようとした。しかし以下の連携により、無傷の北部騎士団が敵後方軍を蹂躙することに成功する。
・アルノルトがキューバー技術大臣の失敗作である涼風玉を矢に括り付けて上空で発動させ、突風の壁を作って敵の矢の軌道を逸らした
・直後にローエンシュタイン公爵が巨大な雷魔法を敵陣に叩き込んで陣形を乱した

巧妙な陣形操作と第三陣の側面攻撃
戦局が膠着し始めると、アルノルトは自軍の右翼を後退させ、左翼を前進させる斜めの陣形を意図的に敷いた。
・右翼が押し込まれていると錯覚したゴードンが山側への攻撃を強化した
・側面の守りが薄くなった瞬間、アルノルトは山方面に待機させていた第三陣を敵の横腹へと突撃させた
これにより、山から下りようとする敵部隊と退却しようとする前線部隊の行き場がなくなり、ゴードン軍の陣形は完全に統制を失い大混乱に陥った。

シャルロッテへの世代交代
先鋒として奮戦していたローエンシュタイン公爵は、病と疲労により限界を迎え、魔法を発動できなくなってしまった。しかし以下の展開により、敵軍を山頂へと追い詰めていく。
・孫娘のシャルロッテが駆けつけ、代わりに雷魔法で敵の防御拠点を次々と破壊した
・ローエンシュタインの雷はいつでも北部と共にあると兵士たちを鼓舞した
・公爵は後方での指揮に回り、シャルロッテが前線を引き継いだ

まとめ
北部諸侯連合の参戦は、レオナルトとアルノルトの双黒の皇子による完全な挟撃体制を完成させるものであった。彼らの圧倒的な突撃力とアルノルトの戦術によってゴードン軍は退路を断たれ、内乱終結の決定打となったのである。

魔導爆弾と子供の救出

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』第12巻において、魔導爆弾による自爆罠の阻止と子供たちの救出劇は、ゴードンの非道さを浮き彫りにし、戦局を決定づける重要な転換点として描かれている。その詳細な経緯は以下の通りである。

魔導爆弾の正体と非道な罠
魔導爆弾は、ゴードンと結託した魔奥公団の魔導師が用意した使い捨ての大量破壊兵器である。その仕組みと罠の全容は以下の通りであった。
・虹彩異色の子供たち複数人を拘束し、意図的に魔力暴走を引き起こさせる。
・一人の強い魔力を持つ子供の暴走に周囲の子供たちの魔力が共鳴し、暴走を増幅させることで巨大な魔力爆発を起こす。
・山全体には巨大な結界が張られていた。
・ゴードン軍は撤退するふりをしてレオナルト軍や北部諸侯連合軍を本陣に誘い込み、子供たちごと吹き飛ばす自爆罠を仕掛けていた。

シャルロッテの発見と決死の防衛
敵の防陣を突破して本陣の天幕に踏み込んだシャルロッテは、拘束され猿轡を噛まされた子供たちを発見する。しかし、刺激すれば即座に暴走が進行するため、自力での救出は不可能であった。爆発が避けられないと悟ったシャルロッテは以下の行動をとった。
・拡声魔法で全軍に敵本陣の罠を警告し、遠方への撤退を命じた。
・少しでも被害を抑えるために天幕を雷の防壁で覆った。
・自らも防壁の中に残り、意識を覚醒させて暴走を止めるわずかな可能性に懸けて子供たちに語りかけ続けた。

二度目の対策と国宝皇旗の発動
かつて帝国南部でも悪魔による子供の兵器利用という同様の事件を経験していたアルノルトは、アードラーは二度も奇跡には頼らんと語り、確実な対策を講じていた。
・出陣前、皇帝の許可を得ずに技術大臣キューバーと近衛騎士団長アリーダを巻き込んだ。
・魔法を打ち消す力を持つ国宝である皇旗を宝物庫から密かに持ち出していた。
シャルロッテの警告を聞いたアルノルトは、フィンの飛竜ノーヴァに乗って敵の迎撃を強行突破し、敵本陣へ突入する。そして子供たちの魔力が臨界点に達した瞬間、自らの血を代償にして皇旗を発動させた。

まとめ
皇旗が放った眩い光が戦場全体を包み込み、魔導爆弾の魔力は完全に打ち消された。子供たちは衰弱して倒れていたものの命に別状はなく、シャルロッテも無事に救出された。救出された子供たちは、熊の姿のジークが拘束具を壊して保護し、嫌な記憶を思い出させないよう天幕ごと破壊するという配慮を受けて安全な場所へ運ばれた。
罠を完全に無力化したアルノルトは、拡声魔法で戦場全体に向けてゴードンが子供を兵器利用し、味方の殿部隊をも見捨てようとした事実を暴露する。この非道な振る舞いをアードラーの在り方ではないと激しく糾弾し、兵士たちの怒りと士気を最高潮まで高め、総攻撃の合図を下したのである。

宿敵ウィリアムとの死闘

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』第12巻における宿敵ウィリアムとの死闘は、オスター平原での決戦の行方を大きく左右する空の戦いとして描かれている。帝国第八皇子レオナルトと彼に仕える竜騎士フィンが、連合王国の竜王子ウィリアムと黒竜騎士隊隊長ロジャーと激突し、互いの意地と誇りがぶつかり合う総力戦となった。その詳細な展開は以下の通りである。

フィンとロジャーの死闘から二対二の決戦へ
空の戦いは当初、フィンとロジャーの一騎打ちとして始まった。
・ロジャーが、レオナルトと戦うウィリアムの姿に一瞬気を取られた。
・その隙を見逃さず、フィンは地面への激突すら辞さない決死の急降下からの超絶機動を見せた。
・すれ違いざまに放った雷撃でロジャーの右足を負傷させた。
これによりロジャーは単独での戦闘が困難になり、ウィリアムが加勢に入った。そこへレオナルトも合流し、一騎打ちはレオナルトとフィン対ウィリアムとロジャーの二対二のタッグマッチへと移行する。

雷撃の雨とウィリアムの危機
戦闘が再開すると、ウィリアムが前衛としてレオナルトに挑み、後方からロジャーが魔法で支援する見事な連携を見せた。しかし、以下の展開によりウィリアムは窮地に陥る。
・フィンがいつの間にか二人の側面に回り込み、雨のような雷撃の連射を浴びせた。
・ウィリアムはレオナルトを警戒するあまり雷撃への対応が遅れた。
・フィンが放った収束雷撃をまともに受けてしまった。
致命傷を避けるためにウィリアムは愛用の槍を手放さざるを得なくなり、武器を失った状態でレオナルトとの近接戦に引きずり込まれた。

ロジャーの自己犠牲とフィンの体当たり
握力も抜けたウィリアムの剣をレオナルトが弾き飛ばし、その首へ必殺の一撃を放った。ウィリアムがやられたと思った瞬間、ロジャーが自らの身を盾にしてレオナルトの剣を横腹に深く受け止めた。ロジャーは自らの大剣をウィリアムに渡し、自分ごとレオナルトを斬れと促す。
・友の覚悟を受け取ったウィリアムがレオナルトへ大剣を振り下ろそうとした。
・その時、フィンが愛竜ノーヴァごとウィリアムへ体当たりを敢行した。
フィンは弾き飛ばされたが、この一瞬の妨害によってウィリアムは追撃の機を失った。

空中跳躍による決着と竜騎士隊の退避
自由を取り戻したレオナルトは、以下の機転で勝負を決した。
・自らの鷲獅子ノワールを足場にして空中で跳躍した。
・大剣を構えたウィリアムの飛竜へと飛び移った。
・至近距離に潜り込んだレオナルトは、すれ違いざまに剣を振るい、ウィリアムの肩から横腹にかけて深い斬撃を浴びせた。
血を吐いて倒れ伏したウィリアムと重傷のロジャーに、レオナルトたちは追撃をかけようとした。しかし、彼らを守るために黒竜騎士隊が命懸けで立ちはだかり、二人をハイナ山へと退避させた。

まとめ
こうして、レオナルトの機転とフィンの決死の援護によって、宿敵ウィリアムとの空の死闘はレオナルト陣営の勝利という形で決着した。ウィリアムの戦線離脱により、戦局は決定的に帝国側へと傾くことになったのである。

家族の悲劇と次代への決意

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』第12巻のエピローグでは、血を分けた兄弟が殺し合わねばならなかった家族の悲劇と、その悲劇を乗り越えてアルノルトが抱いた次代への強い決意が描かれている。その詳細は以下の通りである。

かつての優しい兄姉と喪失の悲劇
反乱終結後、眠りについていたアルノルトは、皇太子が存命だった頃の過去の夢を見た。その出来事とアルノルトの心情は以下の通りである。
・モンスター被害を受けた街で大規模な山賊団に襲われた際、ザンドラとゴードンが身を挺してアルノルトとレオナルトを救い出してくれた。
・当時の二人は実績と人格を兼ね備え、時代が違えば皇帝になっていたかもしれないほどの逸材であった。
・しかし過酷な帝位争いが彼らを狂わせ、アルノルトとレオナルトはかつて自分たちを守ってくれた姉と兄を自らの手で討たねばならなかった。
アルノルトは目覚めた後、自分が無意識に涙を流していたことに気づき、姉に続いて兄を失った事実が自身の精神に深いダメージを与えていたことを自覚する。

ゴードンの遺児への配慮と密かな護衛
悲しみに暮れる間もなく、アルノルトはセバスからゴードンに幼い娘がいることを知らされる。反乱者の血筋である以上、帝国が彼女をそのまま生かしておくとは考えにくく、いずれ追手が差し向けられる運命にあった。
これに対してアルノルトは以下の行動をとった。
・自らの手で兄を討ち取ったレオナルトに、姪まで捕らえさせるような残酷な真似は絶対にさせたくないと考えた。
・誰にも知らせずにシルバーの仮面をつけ、ビアンカと姪が乗る先行船団を追って海上へ向かった。
・荒れ狂う海から船を結界で守り抜き、彼女たちが無事に連合王国へと逃げ延びるのを見届けた。

赤子の笑顔と次代への決意
結界の中から船の様子を見守っていたアルノルトに対し、甲板に出てきた赤子が手を伸ばして微笑みかけた。アルノルトもその笑みに応えるように手を伸ばしたが、自室へ帰還した後、以下の想いから重い罪悪感に苛まれ、訪ねてきたシャルロッテの前で涙を流してしまう。
・自らがその無邪気な赤子から父親を奪ってしまった。
・父親のいない人生を押し付けてしまった。
しかしアルノルトはその深い悲しみと後悔を胸に刻み込み、もう家族で殺し合うのはごめんだ、もう家族を失ったりはしない、たとえ誰が相手であろうと命に代えても家族を守ってみせると、一つの強い決意を固めた。

まとめ
第12巻の結末で描かれたこのエピソードは、帝位争いがもたらす残酷な悲劇を浮き彫りにしている。それと同時に、アルノルトの戦う理由が単なる帝位の獲得ではなく、自分の命に代えても家族を守り抜くことへと、より一層強く揺るぎないものに定まった重要な転換点となっている。

出涸らし11巻 レビュー
出涸らし13巻 レビュー

登場キャラクター

アードラシア帝国

アルノルト・レークス・アードラー(シルバー)

帝国第七皇子であり、北部諸侯連合の盟主として振る舞う存在である。裏の顔はSS級冒険者のシルバーであり、弟のレオナルトを勝たせるために暗躍している。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第七皇子。北部諸侯連合軍盟主。SS級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 激流を越えてゴードン軍の背後に北部諸侯連合軍を展開させた。国宝の皇旗を用いて魔導爆弾の暴走を阻止した。海上でゴードンの妻子が乗る船団を結界で護衛する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 皇帝に無断で国宝を持ち出した。家族を守り抜くという決意を固めた。

レオナルト・レークス・アードラー

帝国第八皇子であり、ゴードンを討伐するための討伐軍総大将を務める。数々の戦場を乗り越え、英雄皇子として軍を統率する。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第八皇子。討伐軍総大将。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヘンリック軍の総攻撃の意図を見抜き、五千の騎馬隊で奇襲を仕掛けた。空の戦いでウィリアムに重傷を負わせる。ゴードンとの一騎打ちを制し、反乱を終わらせた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 敗れたゴードンから将としての成長を認められた。

ゴードン・レークス・アードラー

帝国第三皇子であり、力による支配を肯定して強い帝国を目指す反乱軍の首魁である。勝利のために手段を選ばない姿勢を見せる。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第三皇子。反乱軍総大将。帝国将軍。

・物語内での具体的な行動や成果
 オスター平原でレオナルト軍との決戦に臨んだ。魔奥公団と結託して子供を兵器利用する罠を仕掛けた。決死隊を率いてレオナルト軍へ突撃を敢行する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レオナルトとの一騎打ちに敗れ、戦死した。

ヘンリック・レークス・アードラー

帝国第九皇子であり、コンラートの支持を受けてゴードン陣営に加わった。自己評価が高く、他者の助言を聞き入れない傾向を持つ。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第九皇子。

・物語内での具体的な行動や成果
 ウィリアムへの兵糧引き渡しを拒否し、彼を前線から退かせた。手柄を焦って総攻撃を仕掛けるも、奇襲を受けて本陣のみで逃亡する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ウィリアムから未熟さを指摘され、彼の下で学ぶことになった。

コンラート・レークス・アードラー

帝国皇子であり、エリクに協力してゴードン陣営に潜入していた。母親であるゾフィーアには愛情を抱いていない。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・皇子。

・物語内での具体的な行動や成果
 手勢を率いて帝剣城へ侵入し、ゾフィーアを背後から刺殺した。魔奥公団とゴードンの繋がりや、子供を利用した兵器の情報をヨハネスへ報告する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 潜入工作の功績を認められ、形式的な謹慎処分を受けた。

エリク・レークス・アードラー

帝国皇子であり、自らは安全圏に留まって戦功を得ようとする。皇国との交渉をまとめ、東部国境守備軍の準備を整えた。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・皇子。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝剣城でゾフィーアの前に立ち塞がった。ホルツヴァート公爵家へ指示を出し、ゴードン陣営へ潜入させていた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 直接戦闘には参加せず、政治的な立ち回りで利益を得ている。

ザンドラ・レークス・アードラー

帝国の第二皇女であり、アルノルトたちの姉である。かつては弟たちを助ける優しい存在であった。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第二皇女(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトの夢の中で、山賊に襲われた弟たちを単身で助ける姿が描かれた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去に反乱を起こして処刑されており、現在は故人である。

ヨハネス

アードラシア帝国の皇帝であり、アルノルトたちの父親である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・皇帝。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝都での火災に対応するため、近衛騎士隊を派遣した。玉座の間でゾフィーアの最期を見届ける。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルノルトの国宝持ち出しを知り、戦功がなければ罰すると宣言した。

グスタフ

先代皇帝であり、アルノルトの曽祖父にあたる。現在は帝剣城の隠し部屋に身を隠している。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・元皇帝。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトから依頼を受け、シルバーの姿に扮した。古代魔法で雨を降らせて、帝都の火災を鎮火させる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔奥公団から手に入れた魔導書が原因で、過去に悪魔に体を乗っ取られた経験を持つ。

ゾフィーア

第四妃であり、ゴードンとコンラートの母親である。剣術に優れ、強敵と戦うことを望んでいた。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第四妃。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝都で同時火災を起こし、帝剣城に侵入してアリーダと決闘した。息子のコンラートに背後から刺される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヨハネスの前で息を引き取った。

ビアンカ

ゴードンの妻である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・ゴードンの妻。

・物語内での具体的な行動や成果
 先行船団に乗って連合王国へ向かった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルノルトによって海上で密かに護衛された。

ゴードンの娘

ゴードンとビアンカの間に生まれた娘である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・皇族。

・物語内での具体的な行動や成果
 先行船団の甲板から空へ向かって手を伸ばした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルノルトによって密かに見逃された。

シャルロッテ・フォン・ローエンシュタイン

ツヴァイク侯爵の孫娘であり、ローエンシュタイン公爵の孫娘でもある。虹彩異色を持ち、アルノルトの母親と同じ病に侵されている。

・所属組織、地位や役職
 ツヴァイク侯爵家・名代。

・物語内での具体的な行動や成果
 五千の兵を率い、雷魔法でヘンリック軍を混乱させた。敵本陣で暴走する子供たちを発見し、雷の防壁を張って守り抜く。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 倒れた祖父から前線の指揮を引き継いだ。

ローエンシュタイン公爵

北部の有力貴族であり、雷神の異名を持つ。病に侵されているが、孫娘とアルノルトのために最期の力を振り絞る。

・所属組織、地位や役職
 北部諸侯連合軍・中央部隊指揮官。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトの指示で部隊を率いて敵後方へ突撃した。巨大な雷魔法で敵陣を破壊し、前線で戦い続ける。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 病の発作で限界を迎え、アルノルトに孫娘を託して息を引き取った。

グライスナー侯爵

北部の有力貴族であり、レオナルトを支える将軍の一人である。

・所属組織、地位や役職
 レオナルト陣営・将軍。

・物語内での具体的な行動や成果
 レオナルトの軍議に参加し、敵の動きについて意見を述べた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 シャルロッテと共に出撃の準備を行った。

カトリナ

グライスナー侯爵の娘であり、竜騎士団を率いる。状況を冷静に分析し、深追いを避ける判断力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 グライスナー侯爵家・竜騎士団指揮官。

・物語内での具体的な行動や成果
 ハイナ山の偵察に向かい、黒竜騎士隊と遭遇して撤退した。空の戦いで味方に生存を優先するよう指示を出す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ボルネフェルト子爵

北部の貴族である。

・所属組織、地位や役職
 北部諸侯連合軍・左翼先鋒。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトから左翼の先鋒を任された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ゼンケル伯爵

北部の貴族である。

・所属組織、地位や役職
 北部諸侯連合軍・右翼先鋒。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトから右翼の先鋒を任された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ロルフ・フォン・ホルツヴァート

ホルツヴァート公爵家当主であり、保身を第一とする。エリクの指示でゴードン陣営に潜入していた。

・所属組織、地位や役職
 ホルツヴァート公爵家・当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 ゴードン軍の先鋒を務めながら、意図的に防衛線を突破させた。撤退するゴードンを炎の魔法で攻撃する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ゴードンに首を絞められ、剣で両断されて死亡した。

ギード・フォン・ホルツヴァート

ロルフの長男であり、ヘンリックの側近である。

・所属組織、地位や役職
 ヘンリック陣営・側近。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヘンリックに本陣のみでの撤退を進言し、自らも逃亡した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 フィデッサーによって袋叩きにされ、ウィリアムの策で片腕を切り落とされた。

ライナー・フォン・ホルツヴァート

ロルフの息子である。

・所属組織、地位や役職
 ホルツヴァート公爵家・子息。

・物語内での具体的な行動や成果
 父と共にゴードン軍の先鋒に配置され、側面へ移動する計画を話し合った。敵が弱体化したタイミングでアルノルトたちへ攻撃を申し出る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルノルトから手柄を横取りしようとしていると警戒された。

セバス

アルノルトの執事であり、暗殺者としての高い技量を持つ。

・所属組織、地位や役職
 アルノルト陣営・執事。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトの指示でターレの街から発明品を運び込んだ。ギュンター率いる暗殺者たちを相手に一人で圧倒し、討ち取った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 体中の関節を自在に外すことができる。

ヴィンフリート

レオナルトの軍師であり、現実的で冷静な判断を下す。

・所属組織、地位や役職
 レオナルト陣営・軍師。

・物語内での具体的な行動や成果
 支城から千の兵を率いて出撃し、ヘンリック軍の左翼を弓隊で妨害した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ホルツヴァート公爵家の帰順申し出に対して証拠を求めた。

フィン・ブロスト

レオナルトに仕える竜騎士であり、特注の魔導杖である六二式を使いこなす。

・所属組織、地位や役職
 レオナルト陣営・竜騎士。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヘンリックの本陣を追撃し、ギュンターと交戦した。空の戦いでロジャーの足を負傷させ、ウィリアムたちに雷撃の雨を降らせる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルノルトと皇旗を乗せて敵本陣へ強行突破した。

ジーク

熊の姿をした人物であり、高い戦闘能力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 レオナルト陣営・戦士。

・物語内での具体的な行動や成果
 敵陣へ投げ込まれて槍を振るい、防陣を崩した。魔導師の頭上へ降下して討ち取り、子供たちの拘束具を壊して保護する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔法ではない要因で姿が変わっているため、皇旗の光を浴びても元の姿に戻らなかった。

リンフィア

レオナルト陣営の戦士である。

・所属組織、地位や役職
 レオナルト陣営・戦士。

・物語内での具体的な行動や成果
 百名を率いて敵将の暗殺を行った。槍を回転させて敵兵の集中力を奪い、防陣を突破する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルノルトの呼び方をアル様に変えた。

ラース

ネルベ・リッターの隊長である。

・所属組織、地位や役職
 ネルベ・リッター・隊長。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトの命令でシャルロッテの護衛として前線へ向かった。伏兵の可能性を指摘してシャルロッテを制止しようとした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ランベルト

第六近衛騎士隊隊長である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第六近衛騎士隊隊長。

・物語内での具体的な行動や成果
 空から降下して敵竜騎士団の足を止め、アルノルトたちの突入を援護した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 皇族の護衛として独自の判断で行動した。

アリーダ

近衛騎士団長であり、若くしてその地位に就いた剣士である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・近衛騎士団長。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝剣城でゾフィーアの剣を受け止め、激しい決闘を繰り広げた。アルノルトの皇旗持ち出しを黙認したことをヨハネスへ報告する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

フィデッサー将軍

ゴードン側の将軍であり、叩き上げの軍人である。最期までゴードンへの忠義を貫いた。

・所属組織、地位や役職
 ゴードン陣営・将軍。

・物語内での具体的な行動や成果
 ウィリアムと共に後方へ下がることを選んだ。ラーゲの街でギードを袋叩きにし、責任を押し付ける。ゴードンを庇って無数の矢を受けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ゴードンの盾となって命を落とした。

ルーマン将軍

ゴードン側の将軍である。

・所属組織、地位や役職
 ゴードン陣営・将軍。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヘンリックによって先鋒に指名された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ハーニッシュ将軍

帝国軍の将軍であり、レオナルト側に合流した。泥臭い役割を自ら引き受けた。

・所属組織、地位や役職
 レオナルト陣営・将軍。

・物語内での具体的な行動や成果
 先鋒隊としてハイナ山からの援護射撃に耐え、前線を維持し続けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ギュンター

ザンドラに仕えていた暗殺者であり、顔に大きな火傷の痕がある。

・所属組織、地位や役職
 ヘンリック陣営・暗殺者部隊リーダー。

・物語内での具体的な行動や成果
 フィンの追撃を足止めし、山火事を起こして撤退を妨害した。アルノルトを暗殺しようとしたが、セバスに敗北する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 死の間際にゴードンと怪しい魔導師の繋がりをアルノルトに伝えた。

連合王国

ウィリアム

連合王国の竜王子であり、ゴードンの親友にして同盟者である。軍略と武勇に優れる。

・所属組織、地位や役職
 連合王国・竜王子。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヘンリックと対立して後方へ退いた。ハイナ山を要塞化してレオナルト軍を迎撃し、ローエンシュタイン公爵の足止めを行う。空の戦いでレオナルトに敗れた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 重傷を負い、ゴードンから残存部隊と家族を託されて連合王国へ撤退した。

ロジャー

黒竜騎士隊隊長であり、特徴的な黒い髭を持つ。魔導杖を使用して戦う。

・所属組織、地位や役職
 連合王国・黒竜騎士隊隊長。

・物語内での具体的な行動や成果
 フィンとの空戦で右足を負傷した。レオナルトの必殺の一撃からウィリアムを庇い、大剣を託して倒れる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 重傷を負い、ハイナ山へ退避した。

魔王軍・魔奥公団

魔奥公団の魔導師

ゴードンに兵器を提供した魔導師であり、子供を道具としか見ていない。

・所属組織、地位や役職
 魔奥公団・魔導師。

・物語内での具体的な行動や成果
 子供の魔力を利用した魔導爆弾を用意した。防壁を張るシャルロッテを排除しようとした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レオナルトに首を斬り飛ばされて死亡した。

出涸らし11巻 レビュー
出涸らし13巻 レビュー

展開まとめ

第一章 忠義者

ウィリアムとヘンリックの対立

ウィリアムは、兵糧を渡さないヘンリックへ抗議したが、ヘンリックは補給不足を理由に責任を回避した。ウィリアムはレオナルトの危険性を訴えたが受け入れられず、前線を退く決断をした。フィデッサーはヘンリックではレオナルトを止められないと判断し、ウィリアムに同行した。

シャルロッテの出陣とアルノルトの備え

シャルロッテは北部諸侯連合の先行援軍として前線へ向かった。アルノルトは彼女を守るためネルベ・リッターを同行させ、自身は帝都から持ち込んだキューバーの発明品を切り札として準備した。また、帝位争いの異常さと魔奥公団の介入を疑い、内乱後に黒幕を突き止める決意を固めた。

レオナルトによる敵軍の異変看破

レオナルトは、竜騎士の撤退が罠ではなくウィリアムの前線離脱を示す可能性に気付いた。新たな指揮官がヘンリックなら好機、コンラートなら罠と判断し、偵察を強化した。ゴードン陣営が一枚岩ではないことも見抜き、反撃の策を練り始めた。

ヘンリックの総攻撃とレオナルトの迎撃準備

ヘンリックはウィリアムの功績を消すため、レオナルトへの総攻撃を決めた。敵陣の炊事の煙からその意図を読んだレオナルトは、騎馬隊と竜騎士隊を密かに動かし、奇襲の準備を整えた。シャルロッテも敵陣の異変を察知し、援軍として動ける態勢を取った。

ヘンリック軍の崩壊

ギードは奇襲を知ると前線を兵士に任せて本陣へ逃げた。レオナルトの騎馬隊が突入し、さらにシャルロッテの雷魔法と北部諸侯連合軍の参戦によって敵軍は恐慌状態に陥った。本陣だけが撤退したことで兵士たちは見捨てられたと悟り、ヘンリック軍は急速に崩壊した。

フィンとギュンターの攻防

フィンは逃げるヘンリックを追ったが、ザンドラの旧配下であるギュンターに阻まれた。ギュンターはヘンリック逃亡のために時間を稼ぎ、山火事を起こして追撃を妨害した。フィンはヘンリック追撃より味方の退避を優先し、レオナルト軍は山中から撤退した。

ラーゲでの追撃停止

レオナルトはラーゲへ逃げ込んだヘンリックを追い詰めたが、街に民の姿がないことから伏兵を見抜いた。無理な追撃を避けて撤退し、ヘンリックには生き延びたいならウィリアムを頼れと助言した。フィデッサーは伏兵を見破ったレオナルトと、それを用意したウィリアムの力量を認めた。

帝剣城での相談

アルノルトは帝剣城の隠し部屋で先代皇帝に相談した。帝都で皇帝暗殺を狙う陽動が起きる可能性を確認し、先代皇帝にシルバーとして帝都防衛を依頼した。さらに魔王軍の参謀ダンタリオンと魔奥公団の関係に疑念を深め、内乱後の調査を決意した。

北部諸侯連合軍の前進

グナーデの丘に一万二千の北部貴族軍が集結した。レオナルトが包囲を破ったことで戦局は変わり、アルノルトは北部諸侯連合軍を前線へ進めることを決めた。ただし、北部貴族が主役にならないよう、あくまでレオナルト支援の形を維持しようとした。

ウィリアムによるヘンリック救済

ウィリアムは敗走したヘンリックを救い、失敗から学ぶよう促した。ゴードンはヘンリックを処刑しようとしたが、ウィリアムは軍全体の士気崩壊を理由に止めた。代わりにギードが責任を負わされ、片腕を失ったことで、ヘンリックに再起の機会が与えられた。ゴードンはその忠義を利用して演説し、敗北で揺らいだ軍の士気を回復させた。

第二章 北部決戦

レオナルト軍と北部貴族軍の合流

シャルロッテはツヴァイク侯爵家の名代としてレオナルトと面会し、山火事の消火や援軍としての働きについて感謝を受けた。両者はアルノルトの存在を伏せたまま今後の戦局を協議し、敵が敗戦を取り戻すため決戦を望むと見て、こちらも兵力を集結させる方針で一致した。これにより、シャルロッテはレオナルトの側近として軍議に加わることとなった。

オスター平原への誘導

ゴードンとウィリアムは軍を再編し、決戦場としてオスター平原を選んだ。北のハイナ山と南の川に挟まれた地形であり、ハイナ山を押さえれば大きな優位を得られるためである。ウィリアムはアルノルトの介入を警戒していたが、具体的な対抗策はなく、最終的にゴードンの案に従って決戦準備を進めた。

レオナルトとアルノルトの背後奇襲構想

レオナルトは、ハイナ山のさらに北にある激流地帯を利用し、流れが弱まる時機を狙ってゴードン軍の背後へ回り込む策を立てた。一方、アルノルトも北部諸侯連合軍を率いて同じ背後奇襲を狙い、レオナルトが必ず適切な時機に動くと信じて進軍した。北部諸侯連合軍は激流を越え、ゴードン軍の背後へ密かに展開した。

北部諸侯連合軍の参戦

決戦が始まると、ウィリアムは後方の異変を察知し、北部諸侯連合軍の出現を見抜いた。さらに双剣旗の配色から、総大将がアルノルトであると判断した。ウィリアムは兵士たちへ警戒を呼びかけたが、北部諸侯連合軍は勢いを殺さず突撃を開始した。

涼風玉と雷撃による突破

アルノルトは、キューバー技術大臣の失敗作である涼風玉を弓矢に括り付け、敵の矢を突風で逸らす策を用いた。これにより騎士たちは矢の雨をほぼ受けずに突撃を継続できた。さらにローエンシュタイン公爵が巨大な雷撃で敵陣を崩し、北部騎士団はゴードン軍後方を突破した。

ウィリアムの反撃と戦線の膠着

ウィリアムは即座に戦線を下げさせ、竜騎士としてローエンシュタイン公爵の前に立ちはだかった。さらにハイナ山に隠していた移動式弩砲を使い、北部諸侯連合軍の両翼へ大きな被害を与えた。ローエンシュタイン公爵は無理攻めを避け、ウィリアムを拘束する役割に徹したため、戦況は一時膠着した。

シャルロッテの第二陣とウィリアムの急襲

レオナルト軍では、ハーニッシュ将軍の先鋒が山からの援護射撃に耐え続けていた。そこへシャルロッテ率いる第二陣が突撃し、雷魔法で敵陣を崩した。しかしフィデッサー将軍が重傷を負いながらも兵を鼓舞し、さらに試製回転式魔導連弩でシャルロッテを足止めした。そこへウィリアムが急襲したが、レオナルトが割って入り、二人は空中戦へ移行した。

アルノルトの第三陣による側面攻撃

アルノルトは、ゴードンが後方軍の指揮を引き継いだことを察知した。右翼を後退させ、左翼を前進させる斜め陣形で敵を誘導し、ゴードン軍が山側へ攻勢を集中した瞬間、第三陣を側面へ突撃させた。これによりゴードン軍は退路を失い、前線と山側の部隊が混乱し、再び立て直しを迫られた。

空中戦の主導権争い

空では、カトリナ率いる混成竜騎士隊が黒竜騎士隊と互角に戦っていた。上空ではフィンとロジャーの一騎打ちが続き、フィンは一瞬の隙を突いてロジャーの右足へ雷撃を命中させた。さらに地面すれすれの超絶機動で味方の士気を上げ、空中戦の流れを引き寄せた。

二対二の空中決戦

ウィリアムとロジャーは連携してレオナルトとフィンに挑んだ。ロジャーの火球とウィリアムの槍による攻撃は鋭かったが、フィンの精密な雷撃が戦場を支配し、ウィリアムは防戦に追い込まれた。レオナルトはその隙を突き、ウィリアムの武器を弾いて必殺の一撃を放った。

ロジャーの献身とウィリアムの重傷

ロジャーは自らの身体を盾にしてレオナルトの剣を受け止め、ウィリアムへ反撃の機会を作ろうとした。しかしフィンが体当たりで割り込み、その時間を稼いだ。レオナルトはノワールを足場にしてさらに踏み込み、ウィリアムの肩から横腹までを斬り裂いた。重傷を負ったウィリアムとロジャーは、黒竜騎士隊に守られながらハイナ山へ退避することとなった。

第三章 ゴードン

ウィリアム敗北後の戦況変化

アルノルトは空中戦の結果から、レオナルトとフィンがウィリアムを重傷に追い込んだことを察した。しかし討ち取りには失敗したと判断し、完全な勝利ではないと分析した。それでもウィリアムの離脱によってハイナ山と地上軍の連携は崩れ、ゴードン軍はさらに苦境へ追い込まれた。

その後フィンから、ホルツヴァート公爵家がレオナルト陣営への帰順を申し出たとの報告が届いた。背後にエリクがいることを見抜いたアルノルトは、その思惑を理解しつつも現状では受け入れるしかないと判断した。

帝都での反乱終結

北部で決戦が続く一方、帝都では同時多発火災が発生した。しかしグスタフがシルバーに変装して古代魔法を発動し、火災は短時間で鎮火された。

その裏では第四妃ゾフィーアが帝剣城へ侵入し、近衛騎士団長アリーダとの決闘に臨んだ。しかし戦闘の最中、援軍として現れた息子コンラートによって背後から刺される。コンラートは母ではなく皇帝ヨハネスと兄エリクを選んだと告げ、ゾフィーアはそのまま力尽きた。

さらにコンラートは、ゴードンが魔奥公団と結託し、虹彩異色の子供を利用した兵器開発に関与していることを報告した。ヨハネスは事態の深刻さを悟り、北部戦線への懸念を強めた。

魔導爆弾の発見

オスター平原では、撤退するゴードン軍を追撃していたシャルロッテが敵本陣へ到達した。

そこで発見したのは拘束された十人ほどの子供たちだった。彼らは栄養失調の状態で魔力を強制的に暴走させられており、巨大な結界によって山全体が包まれていた。

シャルロッテは、子供たちが魔導爆弾として利用されていることを見抜いた。刺激すれば即座に爆発する状況だったため、全軍へ退避命令を出し、自らは雷の防壁を展開して子供たちの傍に残った。

魔導師たちとの戦い

魔奥公団の魔導師たちは、防壁ごとシャルロッテを排除しようとした。しかしジークとリンフィアが救援に現れ、さらにレオナルトも合流した。

レオナルトたちは魔導師を次々と討ち取り、最後に残った黒ローブの魔導師もレオナルトが斬り伏せた。

それでも暴走は止まらず、シャルロッテは救出不能だと考えていた。しかしレオナルトだけは兄に解決策があると信じ続け、その場に留まった。

アルノルトの出撃

シャルロッテの警告を受けたアルノルトは、フィンの飛竜ノーヴァに乗り込み敵本陣へ向かった。

ゴードンは全軍へアルノルト阻止を命じたが、第六近衛騎士隊とレオナルトの航空部隊が迎撃部隊を押し止めたことで突破に成功した。

アルノルトはレオナルトたちと合流すると、暴走する子供たちの前へ進み出た。

皇旗の発動

ゴードンは皇旗では暴走を止められないと嘲笑した。

しかしアルノルトは、南部で同じ事件を経験したからこそ対策を準備していたと語った。そして国宝である皇旗を掲げ、自らの血を代償として発動した。

眩い光が戦場を包み込み、あらゆる魔力を打ち消した。

光が消えた後、子供たちは全員生存しており、暴走も完全に停止していた。魔導爆弾は無力化され、戦場は壊滅を免れた。

双黒の皇子による総攻撃

アルノルトは戦場全体へ向けて真実を明かした。

ゴードン軍が虹彩異色の子供たちを兵器として利用していたこと、皇旗がなければ全軍が壊滅していたことを説明したのである。

ゴードンは否定したが、勝利を約束するとしていた切り札について説明できなかった。兵士たちは動揺し、ゴードンへの信頼を失い始めた。

アルノルトは子供たちを犠牲にした行為を糾弾し、レオナルトと共に逆賊討伐を宣言した。双剣旗が掲げられ、帝国軍と北部諸侯連合軍は総攻撃を開始した。

ローエンシュタイン公爵の最後の戦い

病の発作に苦しみながらも、ローエンシュタイン公爵は先頭に立って進軍した。

その後シャルロッテが前線へ復帰し、公爵を支えながら敵拠点を次々と攻略していった。公爵は山岳戦の要点をシャルロッテへ伝え、自らは後方指揮へ回った。

しかし長年病と戦い続けた身体は限界を迎えていた。

アルノルトは最期を迎える公爵を見舞い、北部貴族の誇りを守ることと、シャルロッテを必ず守ることを約束した。

安心した公爵は静かに息を引き取り、その死を北部の騎士たちは深く悼んだ。

ゴードンの覚悟

一方のゴードンは敗北を悟っていた。

重傷のウィリアムへ残存兵力と家族を託し、自らは殿軍として戦うことを決意した。集まったのはわずか五百騎だったが、全員が死を覚悟した精鋭だった。

彼らは戦功を横取りしようとしていたホルツヴァート公爵家へ突撃し、数で圧倒されながらも防陣を突破した。

ゴードンはロルフを討ち取り、ホルツヴァート公爵家の軍を崩壊させた。その間にウィリアムは負傷兵を率いて撤退を開始した。

兄弟最後の決闘

ウィリアムを逃がした後、ゴードンは決死隊と共にレオナルト軍へ突撃した。

フィデッサー将軍は無数の矢からゴードンを庇って戦死したが、ゴードンはなお前進を続けた。

やがてレオナルトとの再戦が始まる。

死を覚悟したゴードンの剣は凄まじい迫力を持っていたが、レオナルトは正面から受け止め続けた。戦いの中でゴードンは弟の成長を認め、自らの過ちを悟った。

そして最後の突きを放った瞬間、レオナルトは懐へ飛び込み、剣でゴードンの心臓を貫いた。

反乱の終焉

致命傷を受けたゴードンは、レオナルトの成長を称えた。

さらにアルノルトへ視線を向け、未来を託すように微笑んだ後、レオナルトへ勝ち名乗りを求めた。

レオナルトは剣を掲げ、国家反逆者ゴードン・レークス・アードラーを討ち取ったと宣言した。

その言葉を聞きながらゴードンは静かに息を引き取った。

こうして帝位争い最大の反乱は終結し、オスター平原の決戦はレオナルトとアルノルトの勝利によって幕を閉じた。

エピローグ

反乱終結後の回想

アルノルトは眠りの中で、かつてゴードンとザンドラが自分とレオナルトを救った出来事を思い出していた。

モンスター被害を受けた街を訪問していた際、大規模な山賊団に包囲されたものの、ザンドラは単身で敵陣へ突入して山賊たちを圧倒した。続いてゴードンも精鋭部隊を率いて到着し、山賊を制圧したのである。

その後、ゴードンは皇族を守り抜いた騎士たちを称え、ザンドラと共に弟たちを気遣った。かつての二人は実績と人格を兼ね備えた存在であり、時代が違えば皇帝になっていたかもしれない逸材だった。しかし今では二人ともこの世を去っていた。アルノルトは夢から覚めた後、その喪失の大きさを改めて実感した。

北部の平定

ゴードンの死から一週間が経過し、レオナルトは北部東部一帯を完全に掌握していた。

反乱軍の残党はウィリアムに率いられて藩国へ逃れ、連合王国への帰還を目指していた。もはや反乱軍に逆転の余地はなく、北部にはようやく平和と復興の機会が訪れようとしていた。

ゴードンの遺児の存在

その中でセバスは、ゴードンに幼い娘がいることをアルノルトへ報告した。

反乱者の血筋である以上、帝国が放置するとは考えにくかった。しかしアルノルトは、自らの手で兄を討ったレオナルトに、その姪を追わせるような真似はさせたくなかった。

ビアンカと娘はすでに先行船団で連合王国へ向かっていると知り、アルノルトは彼女たちの安全を見届けることを決意した。

海上での見送り

アルノルトは仮面を身につけ、密かに海上の船団を見守った。

荒れ始めた海を結界で守りながら船団を追う中、ビアンカに抱かれた幼い娘の姿を見つけた。赤子は結界によって姿を隠しているはずのアルノルトへ向かって手を伸ばし、満足そうに微笑んだ。

アルノルトもまたその笑みに応えるように手を伸ばし、無事に港へ近づいたことを確認すると、その場を後にした。

家族を守るという決意

部屋へ戻ったアルノルトは、訪ねてきたシャルロッテに涙を見抜かれた。

ゴードンの娘から父親を奪ったのは自分であり、その事実が胸に重く残っていたのである。しかし同時に、もう二度と家族同士で殺し合う未来は繰り返したくないとも強く思っていた。

アルノルトは誰が相手であろうと家族を守り抜くことを改めて決意し、その覚悟を胸に刻んだ。

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