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フィクション(Novel)僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場読書感想

僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場(2)感想・ネタバレ

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僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場 2の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

最強女師匠1巻レビュー
最強女師匠まとめ
最強女師匠3巻レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 三大派閥の勢力争い
    2. 無職の少年の成長
    3. 冒険者学校での交流
    4. ふわふわスライム討伐
    5. 練習場を賭けた決闘
  6. 登場キャラクター
    1. 孤児院組
      1. クロス・アラカルト
      2. ジゼル・ストリング
      3. エリン
      4. コリー
      5. 孤児組
    2. S級冒険者
      1. リオーネ・バーンエッジ
      2. リュドミラ・ヘイルストーム
      3. テロメア・クレイブラッド
    3. 勇者一行
      1. エリシア・ラファガリオン
      2. 勇者パーティの末裔
    4. ディオスグレイブ派
      1. ギムレット・ウォルドレア
      2. カトレア・リッチモンド
      3. ダリウス・ロックロンド
      4. パブロフ・ソルチマン
      5. 女性従者
      6. 中級レンジャー
      7. 中級聖職者
      8. 騎士
      9. 土石魔導師
    5. アルメリア王立冒険者学校・冒険者ギルド・その他
      1. サリエラ
      2. ギルド職員
      3. 決闘組合
      4. 審判
      5. 先生たち
      6. 緊急調査隊
      7. 上級レンジャー
      8. 音響魔導師
      9. 商人の女の子
      10. 荒くれ者の冒険者集団
      11. 酒場の女性マスター
      12. 剣士
  7. 展開まとめ
    1. プロローグ 動き出す猛者たち 
    2. 第一章 新しい日常 
    3. 第二章 討伐大会 
    4. 第三章 喧嘩売買 
    5. 第四章 魔法剣士 
    6. エピローグ 成長の証。 そして 
  8. 同シリーズ
  9. 同著者の作品
    1. 【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう
    2. 出会ってひと突きで絶頂除霊!
    3. 淫魔追放
    4. 下ネタという概念が存在しない退屈な世界
  10. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

本作は、レベル0のまま常識外れの成長を続ける《無職》の少年クロスが、世界最強のS級女冒険者たちによる過保護かつ過激な修行を受けながら、仲間とともに理不尽な強敵に立ち向かうヒロイックファンタジー第二弾である。 前巻での危険度4モンスター討伐の噂により、クロスと孤児院の同期ジゼルは要塞都市バスクルビアで注目の的となっていた。ジゼルと和解し新たなクエスト「ふわふわスライム討伐大会」に挑むクロスだったが、その活躍に目をつけた貴族の令嬢カトレア・リッチモンドから、理不尽な難癖とともに孤児組の練習場を賭けた決闘を挑まれてしまう。 一方、クロスの成長を巡って休日の奪い合いや下着事件などの修羅場を繰り広げる師匠たちは、クロスに魔法を習得させ「本物の魔法剣士」として育成する新たな修行を開始する。クロスは最強の師匠たちと培った確かな力と仲間との絆を武器に、圧倒的格上である中級職の貴族パーティとの決戦に挑む。

■ 主要キャラクター

  • クロス・アラカルト:本作の主人公。レベル0の《無職》という最弱の存在ながら、危険度4のモンスターを倒したことで周囲から注目を集める。師匠たちの過保護な修行のもと、近接と魔法を両立する「魔法剣士」として急成長を遂げ、仲間を守るために格上の中級職貴族たちとの決闘に挑む。
  • ジゼル・ストリング:クロスの孤児院の同期。危険度4との戦いを経て中級職《撃滅戦士》へクラスアップする。クロスと完全に和解して共に討伐大会へ参加するが、横暴な貴族カトレアから練習場を奪われそうになり、魔法反射スキル《慢心の簒奪者》を武器に決闘を受けて立つ。
  • リオーネ・バーンエッジ:クロスを育てるS級冒険者の一人。近接戦闘の機動力や回避技術をクロスに叩き込む。休日の息抜きとしてクロスを剣闘大会観戦に連れ出すが、絡んできた上級冒険者を路地裏で瞬殺するなど荒々しさは健在である。
  • リュドミラ・ヘイルストーム:クロスを育てるS級冒険者の一人。クロスの決闘に向けた特訓の中心を担い、彼を「本物の魔法剣士」にするべく強力な中級風魔法や集団戦の戦術を指導する。風魔法の修行と称してクロスを下着姿にし、空中から魔法を撃たせるなど過激な指導を行う。
  • テロメア・クレイブラッド:クロスを育てるS級冒険者の一人。回復や魔力増強でクロスの修行を支える傍ら、「悪いこと」に慣れさせる修行と称して夜のバスクルビアのいかがわしい酒場へクロスを連れ出し、彼を翻弄する。
  • カトレア・リッチモンド:ディオスグレイブ派の中堅貴族で、発展属性の爆撃魔法を操る《二重魔導師》。自身の勢力拡大のため、無職に負けた孤児組を標的に定め、理不尽なルールで決闘を仕掛けてくる。
  • エリシア・ラファガリオン:勇者の末裔である天才少女。クロスが冒険者を志すきっかけとなった憧れの存在。密会を通じて自らの戦闘経験をクロスに語り、二人の距離を少しずつ縮めていく。

■ 物語の特徴

本作の特徴は、レベル0の《無職》が最強の女師匠たちの常識外れな特訓により異常な速度で成長し、自身を見下す格上の貴族を圧倒的な実力で打ち破るという「成り上がりのカタルシス」にある。 また、主人公を巡るS級冒険者たちの水面下の牽制や、休日の独占を巡る大喧嘩、勘違いから生じた「下着事件」など、適度に過保護で規格外なラブコメ要素も健在である。主人公がひたむきな努力を重ね、一度はいがみ合った仲間たちとの絆を取り戻して共に巨大な壁(貴族の理不尽)に立ち向かう、王道のヒロイックファンタジーとしての熱い展開が読者を惹きつける魅力となっている。

書籍情報

僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場(2)
著者:赤城大空 氏
イラスト:タジマ粒子  氏
出版社:小学館(ガガガ文庫)
発売日:2021年1月19日
ISBN:9784094518818

Audible(プレミアムプラン会員なら対象作品が聴き放題)
ナレーター/榊原優希 大久保瑠美 本泉莉奈 福緒唯 柴田芽衣 朝日奈丸佳 関山美沙紀 厚木那奈美 江田拓寛 櫻台遼己 

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

強くなるのが恩返し。過保護な修行継続中!
「駆け出しの冒険者が危険度4のモンスターを倒した」
そんなニュースが要塞都市バスクルビアを駆け巡り、クロスとジゼルを注目の的としていた。
ジゼルとの仲もどことなく改善できたクロスは、パーティに加わり新しいクエストに。
だが、その話題に目を付けた貴族の子女、カトレア・リッチモンドが、歪な思惑をクロスたち孤児院の面々に向けていることを2人はまだ知らない。

一方、世界に9人しか存在しないと言われるS級冒険者の師匠たちの、過保護で過激な修行は次の段階へ。
クロスに魔法を覚えさせ、本物の魔法剣士の育成をはじめようとしていた。
そんなことをしながらも、一緒に闘技場に観戦にいったり、夜のお店で不思議な雰囲気を味わったり、たまには洗濯のお手伝いをしてみたり、クロスの日常は師匠たちによってどんどん充実したものに。

そしてしばらく、準備の整ったカトレアたちが、クロスたちの前に立ちはだかる。
新たな試練。
だがクロスには最強の師匠たちと培った、確かな力。
そして、ようやく得る事のできた、仲間との絆が今はある!

レベル0のまま駆け上がる、ヒロイックファンタジー第二弾!
女師匠たちのお婿さん育成計画は順調です!

僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場(2)

感想

読んでまず感じたのは、クロスの成長がはっきり形になってきたということだ。

第1巻では、どん底から這い上がるきっかけを掴んだ段階だった。だが今巻では、三人の師匠から受けた規格外の修行が、しっかり戦果として表れている。

その変化が読んでいて非常に気持ち良かった。

特に印象に残ったのは、カトレアが仕掛けてきた決闘である。

勇者の婿探しを巡って都市全体がざわつく中、評判を落としていたジゼルたち孤児組が狙われる。相手は傲慢な貴族令嬢カトレアであり、ルールも地形も自分たちに有利なようにねじ曲げてくる。

この横暴さには、読んでいてかなり腹が立った。

だからこそ、その理不尽をクロスが正面からひっくり返していく展開には、強い爽快感があった。

今回のクロスは、ただ根性で突っ込むだけではない。

師匠のリュドミラから魔法と近接戦闘を組み合わせた戦い方を学び、魔法剣士としての力を少しずつ形にしていた。

風魔法を使った跳躍で敵陣をかき乱し、森という不利な地形すら自分の武器に変えていく姿には、確かな成長を感じた。

中でも、撃滅騎士ダリウスとの一騎打ちは熱かった。

相手は明らかに格上である。

それでもクロスは、これまでの修行で得た技術と覚悟を総動員して食らいつく。

ただ才能に目覚めたから勝つのではなく、積み重ねてきたものを使って勝つところが良かった。

その後、敵の魔法職たちを次々と制圧していく流れも痛快だった。

そして最後に、かつて敵対していたジゼルたちと協力してカトレアを追い詰める展開には、素直に胸が熱くなった。

第1巻で衝突した相手と共闘する。

この変化があるからこそ、クロスがただ強くなっただけではなく、人間関係まで変えていることが伝わってくる。

決闘パートが熱かった一方で、師匠たちとの日常も相変わらず楽しい。

モンスター討伐大会で成果を上げたクロスが、報奨金で師匠たちへ感謝の品を贈る場面には心が温かくなった。

どれだけ力をつけても、クロスの素直さや人の良さは変わらない。

そこが読んでいて安心できるところである。

三人の師匠たちも、ただクロスを強くしたいだけではない。

彼を自分好みに育てたいという欲望がありつつも、少しずつ本気で大切に思っているのが伝わってくる。その過保護さと修羅場感が、本作らしい面白さになっていた。

ただ、今回の活躍によってクロスは完全に目立ってしまった。

貴族たちが彼を放っておくはずもない。

最弱の《無職》として見下されていた少年が、今度は有力者たちから狙われる存在になっていく。

その立場の変化にはワクワクすると同時に、少し不穏なものも感じた。

読んでいて感じたのは、本巻はクロスが「守られる側」から「守る側」へ一歩進んだ巻だったということだ。

ジゼルたちを救い、孤児組の未来を守り、師匠たちへの感謝も忘れない。

その真っ直ぐさがあるからこそ、周囲の人々も彼に惹かれていくのだと思う。

成長の爽快感と、師匠たちとの賑やかな関係性がしっかり楽しめる一冊であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

Audible(プレミアムプラン会員なら対象作品が聴き放題
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ナレーター/榊原優希 大久保瑠美 本泉莉奈 福緒唯 柴田芽衣 朝日奈丸佳 関山美沙紀 厚木那奈美 江田拓寛 櫻台遼己 

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最強女師匠1巻レビュー
最強女師匠まとめ
最強女師匠3巻レビュー

考察・解説

三大派閥の勢力争い

勇者の伴侶探しの舞台となっている要塞都市バスクルビアでは、世界中から若き才能や有力者が集結しており、世界の縮図ともいえる激しい「勢力争い」が繰り広げられている。この勢力争いの中心となっているのが、アルメリア王国の貴族家次期当主たちが集結する三大派閥である三王勢力である。

将来の領地運営を見据えた覇権争いの目的、有望株の取り込みと排除の号令、孤児組を標的としたカトレアの決闘、そして決闘の敗北が招いた他派閥による喧伝とクロスへの新たな火種にいたる全容は以下の通りである。

将来の領地運営を有利にするための武力誇示と勢力拡大の目的

貴族の若手たちが勢力拡大に手段を選ばないのは、勇者の伴侶の座を狙っているからだけではない。

・領地運営の大前提は領民を守る武力であり、強い貴族が治める安全な土地にこそ人や物が集まって発展するという実情がある。

・そのため、大陸中から人が集まるこの街で派閥の武力や影響力を誇示できれば、将来家督を継いだ際に自分たちの地位や領地運営が盤外に有利になるからである。

ディオスグレイブ派による有望株の取り込みと非情な排除の号令

様子見の段階が終わると、各派閥は一斉に手駒を増やすために動き出した。

・三大派閥の中でも随一の武闘派として知られるディオスグレイブ派の第四位である青年ギムレット・ウォルドレアが動く。

・彼は、いち早く手駒を増やし、傘下に下らない有望株は他派閥に取られる前に潰せ、と非情な号令をかけている。

カトレアによる孤児組への練習場強奪を口実とした決闘の仕掛け

ギムレットの従妹でありディオスグレイブ派の中堅貴族カトレア・リッチモンドは、一番槍の功績を上げるために行動を起こす。

・彼女は、手っ取り早く取り込めそうな標的としてジゼルたち孤児組に目をつけた。

・孤児組は無職のクロスに敗れて評判を落としていたため、反撃の恐れが少なく、傘下に加えるには容易だと判断されたのである。

・カトレアは孤児たちの練習場を奪うという口実で決闘を仕掛け、彼らを強引に配下へ組み込もうと画策した。

魔法剣士クロスの活躍による敗北とギムレットの身辺調査指令

しかし、この決闘は魔法剣士として覚醒したクロスとジゼルの連携により、孤児組の完全勝利に終わる。

・カトレアと敵対関係にある別の貴族派閥が、これ幸いと彼女の無様な敗北を喧伝し、その噂は広く世間に知れ渡ることとなった。

・結果として、カトレアの敗北を派閥の面汚しと激怒したギムレットが動く。

・決闘の勝敗を大きく左右した無職のクロスを危険視し、身辺調査を命じるという新たな火種を生むことになった。

まとめ

要塞都市バスクルビアにおける貴族たちの勢力争いは、単なる学園内の権力闘争に留まらず、将来の領地経営や国家の覇権を見据えた冷徹な政治戦である。ディオスグレイブ派のギムレットが放った非情な方針に基づき、カトレアは孤児組を容易な標的として取り込もうとしたが、覚醒したクロスらの前に完敗を喫した。この敗北はカトレア個人の失脚に留まらず、敵対派閥によるプロパガンダに利用されて派閥全体の威信を揺るがす事態へと発展している。無職でありながら決闘のバランスを破壊したクロスの存在がギムレットに捕捉され、身辺調査の対象となったことは、少年が貴族たちの巨大な政争の渦中へと完全に巻き込まれたことを意味している。

無職の少年の成長

主人公クロス・アラカルトの成長は、レベルが上がらずスキルも育たないとされる最弱職である無職の常識を覆す、異常な速度と成果を伴うものである。

レベル0からの成長を支えた固有スキルと贅沢な育成環境、基礎ステータスを底上げする魔法剣士スタイルの確立、そして不在スキルの発現と中級職貴族パーティの撃破にいたる全容は以下の通りである。

持たざる者の切望の覚醒とS級冒険者三人による無尽蔵の回復環境

クロスは14歳で無職を授かり、レベルもステータスもすべて0のまま冒険者学校を退学になるという絶望的な状況からスタートした。しかし、彼が異常な成長を遂げた背景には、大きく二つの要因が存在する。

・固有スキル「持たざる者の切望」の覚醒:ポイズンスライムヒュドラとの戦いなど、命懸けの極限状態をきっかけに覚醒したとされるこのスキルは、スキルの習得速度および習熟速度を常識外れに上昇させるという前代未聞の能力を持っていた。

・S級冒険者たちによる世界一贅沢な育成環境:世界最強クラスのS級女冒険者3人(リオーネ、リュドミラ、テロメア)による過保護で的確な指導も不可欠であった。テロメアによる魔力譲渡等での無尽蔵な回復による無限反復練習、リュドミラによる魔力開発マッサージや国宝級の秘薬の投与、および頂点職との激しい模擬戦が、クロスの成長を爆発的に後押しした。

基礎ステータスの補正底上げと複数系統の融合による本物の魔法剣士の確立

クロスは、すべての職業の基礎スキルを習得可能、という無職の唯一の特性を最大限に活かし、多角的に能力を伸ばしていった。

・近接スキルとステータス補正:最初はリオーネの指導で剣術と回避を鍛え、力補正、や、俊敏補正、といったステータス補正スキルを複数発現させることで、0である基礎ステータスを実質的に底上げした。さらに、回避と剣戟を統合させた下級特殊スキル「クロスカウンター」を習得し、復学試験では格上のジゼルを打ち破ることに成功する。

・魔法スキルと邪法の習得:続いてリュドミラの指導で風魔法(ウィンドシュートなど)を、テロメアから敵の防御を下げる邪法(ガードアウト)を習得した。これにより、高い機動力で敵を翻弄しながら強力な魔法を叩き込む、本物の魔法剣士、としての戦闘スタイルを確立していく。

世界に存在しない不在スキルの発現と風雅跳躍を用いた貴族パーティの撃破

過酷な実戦の中で、クロスの成長はさらに飛躍を遂げる。

・不在スキル「イージスショット」の発現:危険度4の強敵ロックリザード・ウォーリアーとの死闘において、クロスは極限の集中状態から戦士、魔法、邪法のスキルを統合させる。結果として、職業制限上この世に存在するはずのない不在スキル「イージスショット」(防御低下の霧と風を圧縮し、カウンターで弱点を貫く一撃)を発現させ、見事に怪物を討ち倒した。

・中級職パーティの撃破:カトレア率いる中級職中心の貴族パーティとの集団決闘では、身体能力強化、と中級風魔法「風雅跳躍」を組み合わせた驚異的な機動力で敵の防御陣を飛び越え、陣形を攪乱した。さらに、詠唱を囮にしてクロスカウンターを決め、強力な中級風魔法「トリプルウィンドランス」を放つことで、守りに秀でた撃滅騎士ダリウスや後衛の魔法職を次々と撃破し、孤児組を完全勝利へ導いた。

・討伐大会での躍進:その後の、ふわふわスライム討伐大会、でも、習熟したトリプルウィンドランスで大量のモンスターを一掃し、パーティを上位入賞へと導く大活躍を見せた。

まとめ

無職であるクロスの成長劇は、システムの制約を天賦の固有スキルと最高峰の教育環境、そして本人のひたむきな努力によって突破していく、規格外の下剋上プロセスである。レベルと基礎ステータスが0という絶望的なハンデを、各種補正スキルの獲得による実質的な能力底上げで克服し、近接・魔法・邪法を高い次元で複合させた魔法剣士スタイルへと昇華させた。西の森でのロックリザード・ウォーリアー戦における不在スキル「イージスショット」の発現や、集団決闘での風雅跳躍を用いた貴族パーティの蹂躙、討伐大会での躍進が示す通り、その進化の速度は既存の冒険者社会の常識を遙かに超越しており、最強への階段を猛烈な勢いで駆け上がっている。

冒険者学校での交流

アルメリア王立冒険者学校は、世界最高峰の冒険者総合訓練施設であり、ギルド併設の孤児院の子供たちから、各国の貴族、さらには勇者の末裔まで多様な身分の者が集う場所である。主人公のクロスは、この学校で様々な階層の生徒たちと交流し、時に衝突しながら関係性を変化させていく。

最弱職からの逆転劇によるジゼルとの和解、周囲の目を盗んだエリシアとの親密な密会、そして練習場の占有を巡る貴族パーティとの集団決闘にいたる全容は以下の通りである。

復学試験での勝利と西の森での共闘を経た孤児院組との仲間としての温かい交流

クロスは当初、孤児院の仲間たちとともに学校に通っていたが、レベルが上がらず角ウサギにも負ける落ちこぼれであった。14歳の職業授与式で最弱の無職と判定されたことで退学勧告を受け、孤児組のリーダーであるジゼルからは訓練の邪魔と暴力を振るわれるなど、厳しい迫害を受けていた。

・しかし、S級女冒険者たちの指導を受けて急成長したクロスは、復学試験でジゼルを打ち破り学校への復学を果たす。

・その後、西の森でのロックリザード・ウォーリアー討伐における共闘を経てジゼルと完全に和解した。

・和解後は、孤児組から討伐大会のパーティに誘われたり、孤児組が占有する練習場で連携練習に加わったりと、仲間としての温かい交流を深めていく。

・クロスはいままで混ざれなかった合同練習に対し、居心地の良さを感じていた。

ポイズンスライムヒュドラ事件による態度一変とお忍びカフェでの武勇伝共有

学校には今代の勇者の末裔であるエリシア・ラファガリオンも、将来の伴侶を探すために入学している。当初は雲の上の存在であり、クロスが退学になった際には冷たい言葉を放ったエリシアであったが、事件をきっかけに関係が激変する。

・ポイズンスライムヒュドラ事件でクロスに命を救われたことで、エリシアの態度は一変する。

・復学後のクロスとは、校内で待ち伏せをして声をかけたり、講義が休講になった時間に近くのカフェへ出かけたりと、周囲の目を盗んで密会を重ねるようになる。

・カフェではエリシアから彼女自身の武勇伝(戦闘報告)を聞くなど、身分を超えた親密な交流が行われている。

談話室や練習場の占有を巡るカトレアの横暴と縄張りを賭けた集団決闘の発端

冒険者学校は、勇者の伴侶の座や将来の領地運営をにらんだ貴族の若手たちによる勢力争いの場ともなっている。学校の談話室や練習場は、それぞれのグループや派閥によって占有、縄張り化されている。

・クロスたち孤児組が練習場を使っていた際、ディオスグレイブ派の中堅貴族であるカトレア・リッチモンド率いるパーティが乱入してくる。

・カトレアは孤児たちを羽虫と見下し、練習場を明け渡すか、自身の傘下に入るよう強要した。

・この身分を笠に着た横暴な振る舞いが引き金となり、平民の孤児組と貴族パーティの間で練習場を賭けた集団決闘へと発展する。

・このように、学校内では階級間の激しい対立も日常的に生じている。

まとめ

アルメリア王立冒険者学校でのクロスの歩みは、無職としての孤立やいじめというどん底の環境から、自らの実力と行動によって人間関係を再構築していく逆転のプロセスである。迫害の急先鋒であったジゼルとの和解や、憧れの勇者エリシアとの身分を超えた親密な密会は、クロスが命懸けで示した冒険者としての矜持がもたらした成果と言える。しかし同時に、カトレアら貴族階級からの理不尽な圧迫とそれに対抗する集団決闘の発生が示す通り、この学校は単なる教育機関ではなく、国家の縮図たる不条理な階級対立や権力闘争がリアルに渦巻く激動の舞台として機能している。

ふわふわスライム討伐

要塞都市バスクルビアにおける「ふわふわスライム討伐大会」は、作中でクロスと仲間たちが大きく成長するきっかけとなった重要なイベントである。

飛行能力を持つ危険度2モンスターの生態と迎撃の概要、第一回大会での想定外の物量への苦戦とカトレアの爆撃魔法による1位表彰、広域殲滅魔法の必要性と魔法剣士への成長、そして第二回大会でのトリプルウィンドランスを用いた優秀成績パーティとしての表彰にいたる全容は以下の通りである。

城壁を超える飛行能力を持つモンスターの迎撃と近接中級職の参加条件

ふわふわスライムは、危険度2の小型モンスターである。

・可愛らしい見た目に反して数週間おきに大量発生して大移動を行い、城壁を越える飛行能力で街を襲撃する生態を持っている。

・この被害を防ぐため、ギルドは毎回大量の冒険者パーティを募集し、街の北の草原で迎撃を行う「討伐大会」を開催する。

・報酬は1体倒すごとに上乗せされる完全出来高制であり、怪我をしてもすぐに街へ避難できるため、ローリスクハイリターンな美味しい依頼、とされている。

・ただし、安全性を考慮し、十人に一人以上の割合で近接中級職をパーティに入れておくこと、という参加条件が設けられている。

想定外の物量による陣形崩壊とディオスグレイブ派カトレアの固定砲台戦術

資金難に悩んでいたクロスは、中級職へとクラスアップしたジゼル率いる孤児組のパーティに加わり、初めての討伐大会に参加した。

・魔法職の先制攻撃で敵を地上に落とし、近接職が返り討ちにするという定跡で臨んだが、想定を上回るスライムの物量に押されて陣形を崩され、苦戦を強いられた。

・一方で、ディオスグレイブ派の貴族令嬢カトレア・リッチモンドのパーティは圧倒的な力を見せる。

・彼女が放つ発展属性の「爆撃魔法」で群れを一掃し、生き残ったスライムを護衛の中級近接職が完封するという、固定砲台、戦術で無傷のまま大量討伐を果たし、大会で1位表彰を受けた。

連携不足の痛感から繋がる集団決闘への布石と広域殲滅風魔法への挑戦

第一回大会の反省から、孤児組は近接職と魔法職の連携不足を痛感し、専用の練習場で特訓を行うことを決意する。

・これがのちに、練習場を奪おうとするカトレアたちとの集団決闘へと発展するきっかけになった。

・同時にクロスは、群れる飛行モンスターには、広域殲滅に長けた魔法スキル、が有効であることを学ぶ。

・リュドミラの指導のもとで中級風魔法の習得と、近接、魔法を両立する、魔法剣士、スタイルを目指すことになった。

トリプルウィンドランスによる群れの一掃と師匠たちへのお菓子贈呈

カトレアたちとの決闘に見事勝利した数日後、孤児組は二回目のふわふわスライム討伐大会に参加する。

・今回は、クロスが新たに習得した強力な中級風魔法「トリプルウィンドランス」によってスライムの群れを大きく削ることに成功した。

・残りを近接職が迎撃するという安定した連携が機能した。

・結果として孤児組は討伐数を飛躍的に伸ばし、カトレアのパーティが不参加だったことも重なって、見事、優秀成績パーティ、として壇上で表彰された。

・多額の報奨金を得たクロスは、自分を鍛え上げてくれた三人の師匠たちへ感謝の印として美味しいお菓子の詰め合わせを贈るのにつながった。

まとめ

ふわふわスライム討伐大会は、クロスとその仲間たちが実戦の課題を即座に克服し、一躍トップクラスのパーティへと成り上がるプロセスを描いた重要な一幕である。第一回大会での物量による敗北やカトレアの圧倒的な固定砲台戦術との格差は、クロスに魔法剣士としての明確なビジョンを与え、練習場を巡る集団決闘の火種ともなった。しかし、その逆境を乗り越えて習得した中級風魔法「トリプルウィンドランス」は、第二回大会において孤児組を優秀成績パーティの表彰台へと押し上げる原動力となった。報奨金で三人の師匠へ感謝の品を贈るなど、クロスの義理堅い一面が描かれつつ、無職という制約を超えて確固たる実力を証明した記念碑的なイベントとして機能している。

練習場を賭けた決闘

要塞都市バスクルビアにおける「練習場を賭けた決闘」は、貴族の勢力争いを背景に、カトレア・リッチモンド率いる貴族パーティと、クロスやジゼルが属する孤児組の間で行われた集団戦である。

将来の領地運営を見据えた覇権争いを発端とする決闘の背景、全員レベル20以上の中級職に対する圧倒的な戦力差と理不尽なルール、慢心の簒奪者による魔法反射から始まった激戦の経過、そしてカトレアの戦意喪失と孤児組の完全勝利にいたる全容は以下の通りである。

ディオスグレイブ派カトレアによる練習場明け渡し要求と占有権を賭けた集団戦の発端

勇者の伴侶探しを機にバスクルビアには世界中から有力者が集まり、貴族の若手たちは将来の領地運営を有利にするため、自派閥の武力や影響力を誇示する勢力拡大を狙っていた。

・ディオスグレイブ派の中堅貴族であるカトレア・リッチモンドは、手っ取り早く傘下を増やすため、無職のクロスに敗れて評判を落としていたジゼル率いる孤児組を最初の標的に定めた。

・カトレアは孤児組が優先的に使っている練習場に踏み込み、練習場を明け渡すか自らの配下になるよう横暴な要求を突きつける。

・これをジゼルが拒絶し、練習場の占有権を賭けた中規模パーティ戦(10対10)が成立した。

全員レベル20以上の中級職に対する下級職中心の構成と制限時間つき森フィールドの罠

カトレア側は全員がレベル20以上の中級職で構成され、爆撃魔法を操る二重魔導師のカトレアを中心に、中級魔法職と中級近接職を擁する高火力、鉄壁の部隊であった。

・一方の孤児組は、中級職に上がったばかりのジゼルと無職のクロス以外は、職業を授かったばかりの下級職という圧倒的な戦力差が存在した。

・さらに、カトレアの従者パブロフの根回しにより、決闘のルールは貴族側に有利な制限時間つきの殲滅戦かつ見通しの悪い森フィールドへと強引に変更された。

・制限時間内に決着がつかなければ練習場を折半するという条件が加えられたため、孤児組が練習場を守るためには格上の敵を全滅させるしか道はなくなってしまった。

・この絶望的な状況を打開するため、クロスは師匠のリュドミラから、風魔法による高い機動力と火力を併せ持つ魔法剣士の戦術を特訓し、決闘に備えた。

慢心の簒奪者による中級爆撃魔法の反射とトリプルウィンドランスを用いたダリウスの撃破

森の中で決闘が開始されると、カトレアは孤児組を一網打尽にするため、高威力の中級爆撃魔法を放つ。

・開戦と魔法反射:しかし、ジゼルの固有スキル「慢心の簒奪者」によってその魔法は反射され、カトレア陣営に直撃する。この一撃で回復役の中級聖職者が脱落し、貴族パーティは大きなダメージと混乱を被った。

・クロスの奇襲と魔法剣士の力:爆撃の混乱に乗じ、クロスは中級風魔法「トリプルウィンドランス」を放ちながら敵陣に急接近する。さらに風魔法「風雅跳躍」で敵の防御陣を飛び越え、敵大将であるカトレアに直接奇襲を仕掛けた。

・この攻撃は撃滅騎士のダリウスに阻まれるが、クロスは緊急回避などを駆使して敵陣を攪乱し、孤児組本隊が合流するまでの時間稼ぎを行う。

・ダリウスはカトレアたちを逃がし、単独でクロスの足止めに残る。防御に秀でたダリウスの重撃にクロスは苦戦するが、詠唱を囮にしてクロスカウンターを叩き込み、そのまま詠唱を完遂させたトリプルウィンドランスの直撃によって格上のダリウスを見事に打ち破った。

・反射の限界とクロスの合流:一方、ジゼルから逃げていたパブロフたちは、慢心の簒奪者が同時に2つの魔法しか反射できないという弱点を見抜く。部隊を3つに分け、三方向からの同時魔法攻撃を仕掛けることで、孤児組のメンバーを削り形勢を逆転させようとした。

・しかし、ダリウスを倒したクロスが風魔法の高い機動力で合流し、別動隊の魔導師たちを次々と撃破したことで、パブロフの策は完全に瓦解した。

全滅した従者たちの前での戦意喪失と無職クロスの覚醒による完全勝利の結末

従者たちが次々と脱落し、カトレアは恐怖のあまり一人で森の中を逃げ惑うが、やがて全滅した従者たちが倒れる場所へと追い詰められる。

・クロスとジゼルに発見されたカトレアは完全に戦意を喪失し、ジゼルが顔のすぐ横に剣を叩き込むと、恐怖で気絶してしまった。

・こうして、圧倒的な戦力差と理不尽な条件を押し付けられた決闘は、クロスの魔法剣士としての覚醒とジゼルたちの奮闘により、孤児組の完全勝利で幕を下ろした。

・この結果は街中に広く知れ渡り、決闘の勝敗を大きく左右した無職のクロスは、周囲から大きく注目を集めることとなった。

まとめ

練習場を賭けた集団決闘は、身分を笠に着た貴族の横暴に対し、無職のクロスが培った魔法剣士の技術とジゼルの固有スキルによって不条理な戦力差を覆した記念碑的な一戦である。パブロフの計略による理不尽なルール変更や格上揃いの中級職パーティという絶望的状況を、ジゼルの魔法反射とクロスの風雅跳躍による奇襲で打破した。特に、防御に優れた撃滅騎士ダリウスをクロスカウンターとトリプルウィンドランスの連携で単独撃破し、さらに機動力を活かして本隊の危機を救ったクロスの獅子奮迅の活躍は、貴族カトレアを戦意喪失に追い込み、孤児組に完全勝利をもたらした。この大逆転劇はバスクルビア中に知れ渡ることとなり、レベル0の無職でありながら戦場を支配したクロスの名声を決定づける結果となっている。

最強女師匠1巻レビュー
最強女師匠まとめ
最強女師匠3巻レビュー

登場キャラクター

孤児院組

クロス・アラカルト

お人好しでひたむきな性格である。エリシアを目標として冒険者を志している。リオーネらS級冒険者三人の弟子として育成を受ける。ジゼルと和解し、ともにカトレアらとの決闘へ挑む。

・所属組織、地位や役職
 孤児院出身。レベル0の《無職》。

・物語内での具体的な行動や成果
 ジゼルらとともにふわふわスライム討伐大会へ参加する。カトレアとの決闘では《トリプルウィンドランス》や《クロスカウンター》を駆使し、ダリウスを打ち破った。討伐大会で優秀成績パーティとして表彰され、報奨金で師匠たちに菓子を贈る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 《無職》でありながら魔法スキルと近接スキルを習得し、中級職相当の戦力へ成長した。決闘での活躍により周囲から注目を集め、ギムレットから警戒されるようになる。

ジゼル・ストリング

気が強く、孤児院を支配するリーダー格である。クロスとは危険度4モンスター討伐を機に和解する。仲間を守るため、カトレアからの決闘に応じる。

・所属組織、地位や役職
 孤児院出身。レベル20の中級職《撃滅戦士》。

・物語内での具体的な行動や成果
 ふわふわスライム討伐大会へ参加した。決闘では固有スキルでカトレアの爆撃魔法を反射し、逃げるカトレアを追い詰めて気絶させた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 危険度4討伐の経験を経て中級職へとクラスアップする。固有スキル《慢心の簒奪者》を所持している。

エリン

クロスの顔見知りである。ジゼルの指示に従って行動する。

・所属組織、地位や役職
 孤児院出身。下級職《レンジャー》。

・物語内での具体的な行動や成果
 ふわふわスライム討伐大会に参加する。決闘では索敵を行い、カトレアを追い詰めるジゼルをサポートした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

コリー

クロスの顔見知りである。

・所属組織、地位や役職
 孤児院出身。《水魔術師》。

・物語内での具体的な行動や成果
 ふわふわスライム討伐大会でクロスらと陣形を組み、魔法を放った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

孤児組

身寄りを失い、孤児院で暮らす子供たちである。ジゼルの統率下にある。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド併設の孤児院。

・物語内での具体的な行動や成果
 ふわふわスライム討伐大会へ参加する。練習場の占有権を賭けてカトレアたちと決闘を行い、勝利を収めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カトレアらに勝利したことで、街中にその名が知れ渡る。

S級冒険者

リオーネ・バーンエッジ

荒々しい性格だが面倒見が良い。クロスの近接戦闘や回避技術を中心に指導する。

・所属組織、地位や役職
 S級冒険者。龍神族の《崩壊級万能戦士》。

・物語内での具体的な行動や成果
 クロスへ模造刀を用いた模擬戦を行い、回避と速度上昇を教える。クロスとともに剣闘大会を観戦し、絡んできた上級冒険者を路地裏へ引きずり込んだ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クロスを伴侶にするため、他の二人と牽制し合っている。

リュドミラ・ヘイルストーム

理知的な性格である。クロスの魔法スキルの習得と魔力開発を指導する。

・所属組織、地位や役職
 S級冒険者。ハイエルフの《災害級魔導師》。

・物語内での具体的な行動や成果
 クロスに風魔法と魔防の補正スキルを教えた。カトレアらとの決闘へ向けて、クロスに魔法剣士の戦術を伝授する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 高等鑑定アイテムを用いて、クロスの固有スキルの存在を確認した。

テロメア・クレイブラッド

退廃的な雰囲気をまとう。回復や魔力譲渡などでクロスの修行を支える。

・所属組織、地位や役職
 S級冒険者。最上位吸血族の《終末級邪法聖職者》。

・物語内での具体的な行動や成果
 悪いことに慣れさせる修行と称して、夜のいかがわしい酒場へクロスを連れ出す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

勇者一行

エリシア・ラファガリオン

使命による重圧を抱えている。クロスが冒険者を志すきっかけとなった存在である。

・所属組織、地位や役職
 勇者の末裔。最上級職の剣士。

・物語内での具体的な行動や成果
 認識阻害の外套を羽織り、クロスとお菓子選びのために街を歩く。カフェで自身の戦闘報告をクロスへ語った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 将来の伴侶を探すため、冒険者学校へ入学している。

勇者パーティの末裔

エリシアを守るように付き従う傑物たちである。

・所属組織、地位や役職
 勇者パーティの末裔。

・物語内での具体的な行動や成果
 夜会にエリシアとともに参加した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼らを頭に据える各派閥が自信を持つ要因となっている。

ディオスグレイブ派

ギムレット・ウォルドレア

自信に満ちた青年である。他派閥に先立ち手駒を増やすよう号令をかける。

・所属組織、地位や役職
 ディオスグレイブ派第四位。上位貴族。

・物語内での具体的な行動や成果
 カトレアの敗北報告を受け、制裁を加えることを決定した。決闘の勝敗を左右したクロスについて調査を命じる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

カトレア・リッチモンド

傲慢な性格の貴族令嬢である。派閥の勢力拡大のため、孤児組を標的へ定める。

・所属組織、地位や役職
 ディオスグレイブ派の中堅貴族。リッチモンド伯爵家の次期当主。レベル26の《二重魔導師》。

・物語内での具体的な行動や成果
 孤児組から練習場を奪うため、殲滅戦ルールでの決闘を仕掛ける。決闘ではジゼルに追い詰められ、気絶した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 発展属性である爆撃魔法を操る。

ダリウス・ロックロンド

生真面目な武人である。カトレアの従者として彼女を護衛する。

・所属組織、地位や役職
 リッチモンド家の従者。レベル26の中級職《撃滅騎士》。

・物語内での具体的な行動や成果
 ふわふわスライム討伐大会でカトレアを守り抜く。決闘ではクロスの足止めを引き受け、一騎打ちの末に敗北した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

パブロフ・ソルチマン

神経質そうな細身の男である。カトレアの従者として陰湿な策を弄する。

・所属組織、地位や役職
 リッチモンド家の従者。レベル25の中級職《瞬閃騎士》。

・物語内での具体的な行動や成果
 決闘のルールを貴族側に有利な制限時間つきの殲滅戦に変更するよう根回しした。決闘ではジゼルの魔法反射の制約を見抜くが、クロスに敗北する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

女性従者

闇に紛れるような衣装を身に纏う。ギムレットに仕えている。

・所属組織、地位や役職
 ギムレットの従者。

・物語内での具体的な行動や成果
 カトレア敗北の顛末と調査結果をギムレットへ報告した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

中級レンジャー

カトレアのパーティメンバーである。索敵を担当する。

・所属組織、地位や役職
 カトレアのパーティメンバー。レベル20の《中級レンジャー》。

・物語内での具体的な行動や成果
 決闘において孤児組の居場所を探知した。その後、ジゼルとエリンの奇襲により脱落する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

中級聖職者

カトレアのパーティメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 カトレアのパーティメンバー。レベル20の《中級聖職者》。

・物語内での具体的な行動や成果
 森の中でカトレアのティーセットを運んだ。反射されたカトレアの爆撃魔法を受け、戦闘不能へ陥る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

騎士

カトレアのパーティメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 カトレアのパーティメンバー。レベル20の中級職《騎士》。

・物語内での具体的な行動や成果
 決闘においてパブロフの指示で隊を分け、クロスの風魔法により撃破された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

土石魔導師

カトレアのパーティメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 カトレアのパーティメンバー。レベル20の《土石魔導師》。

・物語内での具体的な行動や成果
 決闘においてパブロフの指示でカトレアとともに三方向から魔法を放つ。その後、クロスに撃破された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

アルメリア王立冒険者学校・冒険者ギルド・その他

サリエラ

冒険者学校の学長である。S級冒険者たちの身勝手な行動へ頭を悩ませている。

・所属組織、地位や役職
 アルメリア王立冒険者学校の学長であり、バスクルビアの領主。A級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 リオーネたちに関係者席を占拠され、冷や汗を流しながら決闘を見守った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ギルド職員

ギルドの指示に従って行動する。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド職員。

・物語内での具体的な行動や成果
 決闘の審判を務め、決闘前の挨拶を進行した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

決闘組合

バスクルビアの統治機構とは独立した組織である。貴族の息がかかっている。

・所属組織、地位や役職
 バスクルビアの決闘を管理する組合。

・物語内での具体的な行動や成果
 カトレア側に有利なルール変更を承認し、ジゼルの抗議を門前払いした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

審判

決闘の進行や判定を行う。

・所属組織、地位や役職
 決闘組合またはギルドの職員。

・物語内での具体的な行動や成果
 決闘の開始と終了を宣言した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

先生たち

冒険者学校で指導を行う。

・所属組織、地位や役職
 アルメリア王立冒険者学校の講師。

・物語内での具体的な行動や成果
 緊急調査隊に駆り出され、講義を一斉休講にした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

緊急調査隊

深淵樹海の異常を調査するために発足した。

・所属組織、地位や役職
 バスクルビアの調査隊。

・物語内での具体的な行動や成果
 深淵樹海の奥地が更地になった原因を調査するため出動した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

上級レンジャー

討伐大会で観測を行う。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド。上級職《レンジャー》。

・物語内での具体的な行動や成果
 ふわふわスライム討伐大会で高台から参加者の討伐数を観測した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

音響魔導師

声を拡声する役割を担う。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルドなど。《音響魔導師》。

・物語内での具体的な行動や成果
 討伐大会の号令や、決闘でのルール確認、終了の掛け声を拡声した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

商人の女の子

リッチモンド家と取引がある。クロスのステータスをバカにする。

・所属組織、地位や役職
 商人。下級職《商人》。

・物語内での具体的な行動や成果
 決闘前に《下位鑑定》を用いてクロスのステータスを読み取り、カトレアへ報告した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

荒くれ者の冒険者集団

賭博に負けて荒れている集団である。

・所属組織、地位や役職
 バスクルビアの冒険者。レベル50以上の《上級重戦士》や《上級瞬閃拳士》などで構成される。

・物語内での具体的な行動や成果
 クロスとリオーネに絡んだ結果、リオーネによって路地裏へ引きずり込まれ、同士討ちを命じられた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

酒場の女性マスター

テロメアたちに屈服している。

・所属組織、地位や役職
 いかがわしい酒場のマスター。

・物語内での具体的な行動や成果
 テロメアに苦言を呈したが、彼女の圧力に屈してすぐに引き下がった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

剣士

酒場の入り口に立っている。

・所属組織、地位や役職
 いかがわしい酒場の用心棒。

・物語内での具体的な行動や成果
 来店したテロメアに対して直角のお辞儀をした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

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ナレーター/榊原優希 大久保瑠美 本泉莉奈 福緒唯 柴田芽衣 朝日奈丸佳 関山美沙紀 厚木那奈美 江田拓寛 櫻台遼己 

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展開まとめ

プロローグ 動き出す猛者たち 

夜会のエリシア

要塞都市バスクルビアの豪邸で、貴族や上流階級の若者たちが集まる華やかな夜会が開かれていた。会場の中心には勇者の末裔エリシア・ラファガリオンがおり、厭世的な無表情と周囲を拒むような態度にもかかわらず、その美貌と最上級職に到達した実力で視線を集めていた。さらに勇者パーティの末裔と呼ばれる三人が付き従っていたため、エリシアは夜会の話題の中心となっていた。

三王勢力の火花

夜会にはアルメリア王国の貴族家次期当主たちが集まっており、その背後には三つの大派閥である三王勢力の思惑があった。勇者の末裔が長期滞在するバスクルビアは、有力者が集う勢力争いの場となっていた。若き貴族たちは笑顔を見せながらも、派閥の影響力を高めるために慎重に相手の出方をうかがっていた。

ディオスグレイブ派の号令

ディオスグレイブ派の青年は、夜会を機に勢力争いが本格化すると見て、配下に手駒を増やすよう命じた。傘下に下らない有望株がいれば、他派閥に取られる前に潰して構わないとも告げた。特に従妹であり、リッチモンド家の跡取りであるカトレアに期待をかけ、カトレアは兄の満足する成果を出すと胸を張った。

カトレアの標的

翌日、カトレア・リッチモンドは冒険者学校の談話室を従者たちと占有し、最初にどう動くか考えていた。そこへ、ジゼル・ストリングと無職の孤児が危険度4のロックリザード・ウォーリアーを討伐したという噂が耳に入った。カトレアはそれを平民の見え透いた嘘だと笑い、復学試験で無職に負けたジゼルが周囲に舐められないために虚勢を張ったのだと決めつけた。

孤児組への狙い

カトレアは、ジゼルたち孤児組を最初の標的に定めた。危険度4討伐の噂を滑稽なハッタリと見なしつつ、地元民である孤児たちは情報収集に使え、ジゼルには変わった固有スキルの噂もあると考えたためであった。カトレアは、ディオスグレイブ派の一番槍として版図を広げるため、従者たちにジゼルたちの動向を探らせた。

第一章 新しい日常 

イージスショットの検証

クロスは屋敷の中庭でリオーネと模擬戦を行い、危険度4との戦いで発現した不在スキル《イージスショット》を検証していた。《イージスショット》は防御低下の霧を風魔法で圧縮し、カウンターとして一点を貫く強力なスキルだったが、発動が難しく、成功率はまだ低かった。リオーネたちは、切り札として地道に磨きつつ、既存スキルを安定技として伸ばす方針を示した。

休日の奪い合い

病み上がりのクロスのため、その日の修行は早めに終わった。夕食準備を手伝うクロスに、リュドミラは休養日の息抜きとして読書や観劇を提案した。しかしリオーネは剣闘大会観戦を、テロメアは店巡りや屋敷での遊びを提案し、三人はクロスとの休日をめぐって対立した。三人はクロスを将来の恋人候補として育てているため、休日を独占する機会を譲れなかったのである。

深淵樹海の決着

三人は話し合いでは決着がつかず、屋敷を飛び出して戦いに向かった。クロスは理由がわからないまま待っていたが、やがて服をボロボロにした三人が戻ってきた。結果は引き分けであり、三人はクジで休日の同行者を決めた。その結果、クロスはリオーネと剣闘大会へ出かけることになった。

剣闘大会観戦

クロスとリオーネは、バスクルビアの円形闘技場で中級近接職による剣闘大会を観戦した。リオーネは《下位鑑定》で選手の職業やレベルを見抜き、勝敗予想をしながら試合の見どころを解説した。クロスはリオーネの説明によって試合の理解を深め、初めての大会観戦を大いに楽しんだ。

上級冒険者の絡み

大会後、クロスとリオーネは賭博で負けて荒れていた上級冒険者たちに絡まれた。クロスはリオーネを守ろうと前に出たが、相手は上級職の集団であり、彼自身では到底相手にならない存在だった。しかしリオーネは彼らを完全に無視し、リーダー格の男が《下位鑑定》を失敗して恐怖した直後、軽く肩を叩くだけで地面に叩き込んだ。

路地裏の死合い

リオーネはクロスと上級冒険者たちを一瞬で路地裏へ移動させた。彼女は、クロスとの休日を邪魔した罰として、冒険者たちに互いに本気で殺し合うよう命じた。恐怖に支配された上級冒険者たちは剣を交え始め、リオーネはそれを観戦教材にしようとしたが、クロスはやりすぎだと必死に止めた。

クロスの制止

クロスは、上級冒険者たちが大怪我をする前に止めてほしいとリオーネに訴えた。リオーネはあの手の者には躾として必要だと考えていたが、クロスに言われて渋々止めることにした。クロスは大事にならずに済んだことに安堵しつつ、上級冒険者を街中で誰にも気づかれず瞬殺するS級冒険者の強さを改めて思い知った。

ジゼルとの再会

クロスはリオーネとの剣闘大会観戦を楽しく思い返しながら、冒険者学校へ向かった。だが学校に近づくにつれ、ロックリザード・ウォーリアーの一件以来初めてジゼルと顔を合わせることが気がかりになった。講義室へ入ると、危険度4討伐の噂で周囲の視線が集まり、ジゼルはクロスと目が合うなり激しく顔を逸らした。

孤児組との和解

クロスが距離を置こうとすると、ジゼルは赤面しながら自分の近くの席に座れと促した。講義後、西の森でクロスを罠にかけた孤児組は一斉に頭を下げ、あの件を謝罪した。クロスは結果的に全員無事だったから気にしていないと答え、孤児組はそのお人好しぶりに呆れつつも安堵した。

危険度4討伐への質問

和解が済むと、孤児組はクロスが危険度4を倒したのかと一斉に質問した。クロスはジゼルと協力してどうにか勝っただけだと訂正したが、孤児組は短期間での急成長や魔法スキルの習得に興奮し、鍛錬の秘訣を聞こうとした。クロスはS級冒険者三人に師事している事実を隠す必要があり、返答に困った。

ジゼルの助け舟

ジゼルは、冒険者のスキルや鍛錬法を聞き出すのはルール違反だと孤児組を一喝した。彼女はクロスを廊下へ連れ出し、三人のS級冒険者に師事していることを秘密にするなら誤魔化す準備をしろと忠告した。クロスは事情を知ったうえで助けてくれたジゼルに感謝し、師匠たちのことを話せる相手が彼女でよかったと伝えた。

二人だけの秘密

ジゼルは照れながら、クロスがS級冒険者たちに世話になっていることは二人だけの秘密だと言った。クロスは、ジゼルと仲直りできていたことを実感して安堵した。ジゼルは恥ずかしさをごまかすように先に講義室へ戻り、クロスに少し時間を空けて戻るよう指示した。

エリシアの視線

ジゼルを見送ったクロスは、物陰から自分を見つめていたエリシアと目が合った。エリシアは、ジゼルと仲直りできたのかと尋ねた。クロスは少し大変なことがあったが仲直りできたと報告し、これまで相談に乗ってくれた礼を伝えた。

続くお礼とお詫び

エリシアは、お菓子選びが仲直りに直接役立ったわけではないなら、まだお礼とお詫びは済んでいないと言った。クロスは恐縮しながらも、変に遠慮するより何か願いを伝えた方がよいと考え、エリシアの武勇伝を聞きたいと願った。エリシアは自分の戦いに聞く価値などないと言いかけたが、クロスが強く否定すると、はにかむように了承した。

新たな金策

エリシアは、都合のよい日に美味しい食事をしながら話を聞かせると約束して去っていった。クロスはその表情に見とれたが、すぐに密会にはお金がかかることを思い出した。危険度4との戦いで壊れた装備も新調する必要があり、クロスはまた金策に悩むことになった。

第二章 討伐大会 

ジゼルからの依頼

クロスが講義室に戻ると、ジゼルは金に困っているなら一緒に依頼を受けろと誘った。彼女は西の森の一件の詫びも兼ねて、ふわふわスライム討伐依頼を持ってきていた。クロスはジゼルが危険度4との戦いで中級職《撃滅戦士》へクラスアップしていたことを知り、その成長を素直に称賛した。

ふわふわスライム討伐大会

翌日、クロスはジゼルたち孤児組とともに、街の北の草原で行われるふわふわスライム討伐大会に参加した。ふわふわスライムは可愛らしい見た目に反して大量発生して街に被害をもたらす危険度2のモンスターであり、冒険者たちは草原で迎撃態勢を整えていた。ジゼルの指示で、クロスたちは魔法職を守る陣形を組み、空から飛来する群れに備えた。

物量への苦戦

討伐が始まると、クロスは《ウィンドシュート》を放ち、ジゼルたち近接職も突進してくるスライムを切り捨てた。序盤は順調に討伐数を稼いだが、想定以上の物量に押され、陣形をすり抜けたスライムが魔法職の詠唱を妨害した。ジゼルは防御優先の密集陣形へ切り替えたが、討伐数は伸びず、パーティは苦戦した。

カトレアの爆撃魔法

戦場に爆発音が響き、カトレア・リッチモンドの爆撃魔法がスライムの群れを大きく吹き飛ばした。彼女はディオスグレイブ派の中堅貴族で、発展属性である爆撃魔法に目覚めた中級職《二重魔導師》だった。カトレアの周囲には中級魔法職や中級近接職がそろっており、その高火力と連携によって大量のスライムを討伐していた。

貴族への警戒

クロスはカトレアの実力に驚き、ジゼルが貴族の情報に詳しいことを不思議に思った。ジゼルは、勇者の末裔が伴侶探しのために滞在している今のバスクルビアでは、貴族の実力誇示や勢力争いが起きるため、情報収集は身を守る基本だと説明した。クロスは疑問を抱いたが、再び勢いを増したスライムへの迎撃に意識を戻した。

討伐後の反省会

第一陣を退けた後、参加者たちは討伐数に応じた報酬を受け取った。討伐数一位として表彰されたのは、カトレアを中心とする貴族パーティだった。一方、クロスたち孤児組は報酬を分けながら反省会を行い、ジゼルは近接職の連携不足が最大の課題だと分析した。

連携練習の約束

ジゼルは、二、三日休んだ後に孤児組専用の練習場で連携練習を行うと決め、クロスにも参加するよう念を押した。クロスは、師匠たちからも多様な職業との連携を学ぶよう言われていたため、喜んで受け入れた。孤児組はジゼルがクロスを練習に誘う口実を作ったのではないかと囁き、ジゼルは顔を赤くして怒った。

カトレアの視線

クロスは、討伐大会を通じてモンスターの種類ごとに違う対策が必要であることを実感し、ジゼルたちとの連携練習や師匠たちへの相談を通じてさらに強くなろうと決意した。そのとき、カトレアが扇子で口元を隠しながらクロスたちをじっと見つめていた。彼女はすぐに視線を外し、従者を連れて立ち去ったため、クロスはその意図をつかめず首をかしげた。

討伐大会の相談

クロスは屋敷へ戻った後、ふわふわスライム討伐大会で苦戦したことをリオーネたちに相談した。リオーネは手数を増やすために速度重視の近接スキルを鍛える案を出し、テロメアは広範囲に弱体化をばらまく邪法スキルを勧めた。二人は方針の違いで衝突しかけたが、リュドミラは群れた飛行モンスターには広域殲滅に長けた魔法スキルが有効だと結論づけた。

魔法剣士への道

リュドミラは、クロスが近接職と魔法職のスキルを併用できる希少な存在であり、中級魔法を習得すればパーティ全体の負担を大きく減らせると説明した。ロックリザード・ウォーリアー戦で火力不足が問題になったこともあり、安定した高威力の魔法スキルを伸ばすのは合理的だと示した。クロスは本物の魔法剣士を目指せるという言葉に心を動かされ、当面は魔法修行を中心に進めることになった。

リオーネの料理当番

リュドミラは、魔法修行に集中するため、食事や秘薬素材の準備をリオーネに任せると告げた。リオーネは不満げだったが、クロスがリオーネの修行も大好きだと伝え、彼女の料理を楽しみにしていると言うと、すぐに機嫌を直した。リオーネは龍神族料理を振る舞うと張り切り、屋敷を飛び出していった。

深淵樹海への飛行

リュドミラは風魔法の修行場所として、クロスとテロメアを連れて空飛ぶ杖で移動した。向かった先は、バスクルビアの北に広がる危険地帯《深淵樹海》だった。リュドミラは樹海上空を進み、人の気配が少ない場所を見つけると、上級火炎魔法と上級水魔法で森を一部焼き払い、巨大な円形広場を作り出した。

動くマト

リュドミラは低危険度モンスターをおびき寄せる危険な特殊アイテムを使い、ブラックグリズリーやマダラスネーク、エクストラ角ウサギなどを広場へ集めた。クロスはその危険物を当然のように使うリュドミラに絶句したが、彼女はそれを魔法修行用の動くマトとして用意しただけだった。さらにクロスは風を感じる訓練として下着姿にされ、リュドミラに抱きしめられながら魔法を撃つことになった。

空中の魔法修行

クロスはリュドミラから魔力を流し込まれ、全身で風を浴びながら、空中からモンスターへ《ウィンドシュート》を撃ち続けた。リュドミラは耳元で褒めながら改善点を伝え、クロスは羞恥に耐えつつも魔法発動の感覚を磨いていった。テロメアは空中で放置されたことに抗議しながらも、クロスへ《魔力譲渡》を行い、修行は日暮れまで続いた。

伸びた魔法スキル

恥ずかしい修行ではあったが、その効果は大きかった。ふわふわスライム討伐大会での成長も合わさり、クロスは一日で補正スキルや《身体能力強化》《ウィンドシュート》《体外魔力操作》《体外魔力感知》をさらに伸ばした。クロスは翌日以降もこの修行が続くことに顔を熱くしながらも、強くなるためには仕方ないと自分を納得させた。

テロメアの夜更かし

リオーネの肉だらけの夕食や夜のマッサージを終えた後、クロスは就寝前の《魔力吸収》中にテロメアから寝たふりをするよう囁かれた。しばらくすると窓の外にテロメアが現れ、クロスは促されるまま屋敷を抜け出した。テロメアは、リオーネやリュドミラばかりが修行でクロスと仲良くしているのはずるいとして、夜のバスクルビアへ誘った。

よろしくない酒場

テロメアが連れてきたのは、看板もなく薄暗い、いかがわしい雰囲気の酒場だった。クロスは店員や客の様子に目のやり場を失い、子供が来てはいけない場所ではないかと不安になった。テロメアは、そこがかなり際どい店だと説明してクロスをからかった後、悪いことに慣れておくのも戦いに必要な修行だと語った。店のマスターも苦言を呈したが、テロメアには逆らえず、クロスは閉店まで落ち着かない時間を過ごした。

夜の街歩き

店を出た後、クロスは寝静まった街と満天の星空に心を奪われた。テロメアとの夜の街歩きは気持ちよいと素直に伝えると、テロメアは強く動揺し、クロスを背後から抱きしめた。彼女が勢い余ってクロスにさらに近づこうとした瞬間、リオーネとリュドミラが現れ、テロメアを引き剥がした。クロスは二人に心配をかけたことを反省し、次から行き先を報告するよう言われた。

休講のカフェ

魔法強化の修行を始めて二日後、冒険者学校では《深淵樹海》の広大な更地化を受けて緊急調査隊が組まれ、講義が休講になった。空いた時間にエリシアが現れ、以前約束した武勇伝を話すため、クロスを近くのカフェへ誘った。クロスはエリシアと向かい合う状況に緊張しながらも、彼女の経験談を聞けることに胸を躍らせた。

エリシアの戦闘報告

クロスは、エリシアが苦戦したモンスターについて尋ねた。エリシアは基本的には苦戦しないと答え、格上にも致命傷を与えられるスキルがあることを漏らしかけた。その後、訓練や逃げる敵に手こずった経験をきっかけに、世界各地での戦いを語り始めた。クロスはその話に目を輝かせ、救われた人々や戦いの過酷さに素直な感嘆を返した。

意地悪な称賛

エリシアは、自分の戦闘報告にそこまで反応するクロスを不思議がりながらも、少しずつ笑顔を見せるようになった。彼女はクロスもヒュドラに立ち向かって自分を助けた格好いい子だと返し、クロスを赤面させた。クロスは、エリシアが自分の称賛への意趣返しをしていると気づき、二人の会話は次第に打ち解けたものになっていった。

人族という脅威

楽しい時間は過ぎ、別れ際にエリシアは、また時間ができたら続きを話すと約束した。クロスは彼女の戦いには対人戦が多いことを意外に感じたが、エリシアは冒険者として厄介なのはモンスターより人族だと感じることが多いと語った。クロスにはまだ実感しにくい言葉だったが、彼はすぐにその意味を思い知ることになるのだった。

ジゼルの待ちぼうけ

クロスはエリシアと別れた後、孤児組の談話室へ急いだ。するとジゼルは、休講後にどこへ行っていたのかと不機嫌そうに尋ねた。彼女は美味くて安い酒場を紹介しようとしていたらしく、クロスが先にいなくなったことに苛立っていたが、それ以上は追及せず、練習を始めるために一同を練習場へ向かわせた。

孤児組の練習場

孤児院の近くにある練習場は、代々孤児組の縄張りになっている穴場だった。そこでは討伐大会の参加者だけでなく、他の孤児たちも自主練をしていた。ジゼルはふわふわスライム戦を想定し、布で巻いた石を飛行モンスターに見立てて投げさせ、前衛が打ち落とし、魔法職が詠唱しながら回避する訓練を始めた。

初めての連携練習

クロスは近接と魔法の両方をこなせるため、石を打ち落としながら詠唱も行い、慣れない連携に追われていた。失敗も多く、ジゼルから全体をもっと見ろと何度も檄を飛ばされた。それでもクロスは、これまで遠くから眺めるだけだった集団練習に加われることを嬉しく感じ、孤児組と一緒に練習する時間に温かさを覚えた。

無遠慮な声

クロスは、討伐大会で良い結果を出せるように頑張ろうと決意し、ジゼルたちとの訓練に没頭していた。そんな中、練習場に突然、明るく無遠慮な声が響いた。声の主は、そこに良い練習場があると言いながら現れたのだった。

第三章 喧嘩売買 

カトレアの横取り

孤児組が練習している場に、カトレア・リッチモンド率いる貴族勢力が現れた。カトレアは練習場を気に入り、自分たちが使うのにちょうどよいと勝手に踏み込んできた。ジゼルは、ここは代々孤児組が優先的に使ってきた場所だと反発したが、カトレアは弱い平民には宝の持ち腐れだと嘲り、練習場を譲るよう迫った。

配下への勧誘

カトレアは、自分たちが使っていない時間なら練習場を使わせてもよいと告げ、さらに孤児組を他の貴族から守ってやると提案した。ただし条件は、ジゼルたちがカトレアの配下として従うことであった。ジゼルは、カトレアの本命が練習場ではなく傘下集めだと見抜き、守ってもらう必要はないと拒絶した。

決闘の成立

ジゼルは中級職《撃滅戦士》になったことを示したが、カトレアはその才能を認めるふりをしながら、無職のクロスに負けたことを嘲笑した。激怒したジゼルが実力を試すかと返すと、カトレアは練習場を賭けた十対十の中規模パーティ戦を提案した。クロスは止めようとしたが、ジゼルは売り言葉に買い言葉で決闘を受け、二週間後の対戦が決まった。

勢力争いの標的

クロスは、決闘を避けられないかとジゼルに訴えたが、ジゼルは貴族たちの本当の狙いを説明した。バスクルビアは勇者の末裔を巡って有力者が集まる場であり、貴族の跡継ぎたちは勢力拡大のために手駒を増やそうとしていた。カトレアたちは、無職に負けた孤児組なら簡単に取れると見て標的にしたのであり、一度目をつけられた以上、勝たなければ絡まれ続ける状況だった。

ジゼルの勝ち筋

ジゼルは、集団決闘は基本的に敵の大将を討ち取れば勝ちになるリーダー戦だと説明した。カトレアが魔法職である以上、ジゼルの固有スキル《慢心の簒奪者》で爆撃魔法を反射し、相手が混乱した隙に一斉攻撃を仕掛ければ勝機はあると考えていた。そのため、孤児組は討伐大会の練習を対人集団戦の練習へ切り替えることになった。

師匠たちへの相談

クロスは屋敷へ戻り、貴族との決闘が決まったことをリオーネたちに相談した。リュドミラは敵を、爆撃魔法を主軸に近接職が守る固定砲台型のパーティだと分析した。ジゼルの魔法反射だけで守りに特化した中級職を突破するのは難しいとしながらも、風魔法を用いた機動力と火力を併せ持つ魔法剣士スタイルを習得すれば、クロスは集団戦の特異点になれると示した。

魔法剣士修行の決定

リュドミラは、風魔法を発展させ、クロスが護衛なしに動き回りながら魔法を放てる長所を伸ばす方針を示した。クロスはその作戦に希望を見いだし、中級職パーティに対抗するため魔法剣士の修行を頼んだ。リュドミラ中心の修行になることでリオーネとテロメアは不満げだったが、クロスが二人の力も不可欠だと信頼を示すと、二人も機嫌を直して全力で指導する気になった。

集団戦修行の開始

カトレアたちとの決闘に備え、クロスは師匠たちとの集団戦対策に入った。ジゼルは、クロスが師匠たちのもとで別個に修行する方が効率的であり、孤児組は孤児組でやれることを進めると判断した。クロスは合同練習を最小限にし、三人の師匠による集中修行へ時間を割くことになった。

風魔法と魔防の鍛錬

リュドミラは、ジゼルが魔法反射を使えるとしても敵の魔法を完全に防げるとは限らないため、クロスに魔防の補正スキルを得させようとした。彼女は微弱な風魔法をクロスに当て、魔防の成長と風の感覚の定着を同時に狙った。クロスは敏感な箇所を狙われる羞恥に耐えながら、魔法スキルをさらに伸ばしていった。

回避と詠唱の同時訓練

風魔法の修行後、リオーネはクロスに攻撃を禁じ、格上を翻弄する回避と機動力の訓練を始めた。クロスは《身体能力強化》《緊急回避》《身体硬化》を使い分けながらリオーネの攻撃を避け、同時に呪文詠唱を試みた。複雑な攻防の中で魔法を構築するのは難しかったが、リュドミラは場数を踏めば息をするように詠唱できるようになると説いた。

乱戦への実戦練習

リュドミラは香り袋でモンスターを呼び寄せ、クロスに多対一の実戦練習を課した。テロメアは広範囲の弱体化スキルでモンスターの動きを鈍らせ、最初は二体だけを相手にする形へ調整した。クロスは師匠たちの支援を受けながら、攻撃をいなしつつ魔法のみで敵を倒す乱戦訓練を重ね、決闘に向けて修行を加速させた。

森の読書休息

数日後、リュドミラは休息も修行の定着に必要だとして、クロスをバスクルビア東の森へ連れていった。そこは清流の湧く静かな場所で、リュドミラはクロスの好みに合いそうな冒険譚や魔物図鑑を用意していた。クロスは本に夢中になったが、数日後に迫る決闘が頭をよぎり、どうしても落ち着けなかった。

休息方針の修正

リュドミラは、休むべきときに心から休むことも強者に必要な資質だと説明した。しかし、重要な戦いを目前にしたクロスに完全な脱力を求めるのは無理があったと認め、修行の足しにもなる息抜きへ切り替えるべきだったと謝った。クロスは、弟子の状態に合わせて方針を変えてくれる師匠たちに改めて感謝した。

風魔法の掃除訓練

屋敷へ戻った後、クロスは風魔法を使って掃除を行う訓練を始めた。埃や砂利だけを絡め取って外へ出す作業は、攻撃魔法とは違う繊細な操作を必要とした。クロスは《体外魔力操作》の成長もあって少しずつ風を扱えるようになり、疲労の少ない実用的な魔法修行として夕食まで練習を続けた。

夜の自主練と下着事件

その夜、クロスはもう少し練習しようと自室を抜け出し、洗濯物を風魔法で乾かす自主練を始めた。しかし操作を誤って女性用の下着を手にしてしまい、動揺しているところをテロメアに見つかった。テロメアとリオーネは盛大に誤解し、屋敷は大騒ぎになった。クロスは過剰な練習がよくないことを痛感したが、裏ではリュドミラが過剰鍛錬を控えさせるために仕込んだ計画だった。

カトレア勢力の情報

ジゼルは、決闘相手であるカトレアたちの戦力情報を集めていた。カトレアは爆撃魔法を扱う《二重魔導師》であり、従者のダリウスは《撃滅騎士》、パブロフは《瞬閃騎士》だった。さらに相手は中級魔導師、騎士、中級レンジャー、中級聖職者をそろえた強力な編成であり、クロスたちは改めて戦力差を思い知った。

決闘条件の発表

ジゼルたちは、管理組合に申請された決闘の詳細発表を待っていた。リーダー戦になるはずだと考えていたが、掲示板に出された条件は制限時間つきの殲滅戦だった。時間内に勝負がつかなければ練習場を折半する条件も加えられており、孤児組が練習場を守るには相手を全滅させるしかなくなった。

パブロフの根回し

貴族側の談話室では、カトレアがパブロフの根回しを称賛していた。パブロフは、カトレアに暴言を吐いた孤児組の心を折るため、貴族側に有利な条件を仕込んでいた。ダリウスは卑怯な条件に複雑な思いを抱いたが、カトレアは盤外戦術や後ろ盾も実力の一部だと笑い、決闘を楽しみにしていた。

人族の不条理

ジゼルは管理組合に怒鳴り込んだが、決闘条件の変更はほぼ不可能だった。森を舞台とすることも、高火力魔導師やレンジャーを持つカトレア側に有利な条件だった。クロスは、エリシアが語ったモンスターより人族のほうが厄介なこともあるという言葉を思い出し、その意味を痛感した。

クロスの焦り

クロスは屋敷へ戻り、理不尽な決闘条件をリュドミラたちに報告した。決闘まで三日しかなく、これ以上の修行時間も限られているため、自分のせいで孤児組が練習場を奪われるのではないかと追い詰められた。クロスは、自分の身体への負担を度外視してでも勝つ方法がないかとリュドミラに頼み込んだ。

リュドミラの断言

リュドミラは、クロスの身体を顧みない修行は不要だと告げた。彼女は最初から貴族側を一人残らず殲滅できる水準を目指して修行を組んでおり、森のフィールドも魔法剣士スタイルにはむしろ好都合だと説明した。クロスは、師匠たちの言葉で迷いを払われ、残り三日間の修行に全力で取り組む決意を固めた。

第四章 魔法剣士 

決闘当日の注目

カトレア勢力と孤児組の決闘当日、バスクルビアは大きな盛り上がりを見せていた。森での団体戦のため直接観戦は難しかったが、街の酒場では脱落者を示す《身代札》が並べられ、賭けの準備も進んでいた。演習林には《上級司祭》の祭壇スキルが張られ、致命傷でも一撃だけなら気絶で済む特殊空間が整えられていた。

決闘前の嘲笑

決闘前の挨拶で、ジゼルとカトレアは激しく睨み合った。カトレア側は《商人》の少女にクロスを鑑定させ、レベルもステータスも0であることをわざわざ確認して嘲笑した。クロスは反論したくなったが、油断させるなら好都合だとジゼルに止められ、修行で伸ばしたスキル欄をジゼルにだけ見せた。ジゼルはクロスの異常な成長に戦慄しつつ、絶対に勝つと檄を飛ばした。

カトレア側の油断

決闘開始位置についたカトレアたちは、勝利を疑わず、森の中でも緊張感を欠いていた。ダリウスだけは、クロスがジゼルを倒した事実から何か特殊な戦闘手段を持つと警戒していたが、カトレアとパブロフは戦力差が覆るはずがないと余裕を崩さなかった。やがて開始の合図が響き、カトレアたちは《中級レンジャー》の索敵を頼りに進軍した。

跳ね返った爆撃魔法

《中級レンジャー》が孤児組を発見すると、カトレアは一網打尽にするため中級爆撃魔法《イオルガン・エクスプロード》を放った。しかしその魔法の主導権は突然失われ、光球はカトレアたちの頭上へ戻ってきた。ジゼルの《慢心の簒奪者》によって反射された爆撃魔法はカトレア側を直撃し、《中級聖職者》を戦闘不能にし、部隊全体に大きな混乱と損害を与えた。

森を駆ける砲手

爆撃魔法の着弾と同時に、クロスは《身体能力強化【中】》を発動して敵陣へ向かった。すぐには斬り込まず、森の中を高速で動き回りながら近接職だと思わせ、その間に中級風魔法《トリプルウィンドランス》を詠唱した。三つの竜巻が絡み合う風の槍は敵陣を貫き、騎士を吹き飛ばし、森の要である《中級レンジャー》を守った騎士を脱落させた。

魔法剣士の奇襲

カトレア側は森の中を高速で動き回る魔法の砲手に翻弄され、部隊を二つに分けて対処しようとした。その隙にクロスは中級風魔法《風雅跳躍》を発動し、風の力で木々と騎士たちの防御陣を飛び越えた。彼は空中からカトレアを発見し、敵大将を討つため眼前へ着地した。完全な奇襲に見えたが、クロスのショートソードは紙一重で大ぶりな両手剣に阻まれた。

ダリウスの防御

クロスの奇襲はカトレアへ届く直前、ダリウスに防がれた。ダリウスは、風魔法による跳躍と先ほどの風魔法攻撃がクロスの仕業だと察し、無職であるクロスを侮っていた自分の失態を悟った。彼はカトレアを守るため、クロスを最優先で潰すよう味方に命じた。

時間稼ぎの回避戦

クロスは《身体能力強化》と《緊急回避》を使い、ダリウスたちの包囲を舞うようにかわし続けた。彼の狙いはカトレアをすぐに討つことではなく、ジゼルたち本隊が合流するまで敵陣の中心で時間を稼ぐことだった。ダリウスはその意図に気づき、カトレアたちを逃がし、自分だけがクロスの足止めに残った。

撃滅騎士との一騎打ち

クロスはダリウスを倒すために斬りかかったが、《撃滅騎士》であるダリウスは中級スキルを重ね、鎧ごと防御を高めて攻撃を受け止めた。ダリウスは防御を頼みに強引に距離を詰め、《巨岩落とし》でクロスを追い詰めた。クロスは防御に秀でた騎士の戦い方を、知性あるロックリザード・ウォーリアーのようだと感じた。

詠唱を囮にした反撃

クロスは《トリプルウィンドランス》の詠唱を始め、ダリウスに詠唱妨害を誘わせた。ダリウスは顔や喉、みぞおちを狙ってくるというリュドミラの教え通りに動き、クロスはその剣筋を読んで《クロスカウンター》を叩き込んだ。さらに彼はカウンター中も詠唱を途切れさせず、ダリウスが立て直す前に中級風魔法を完成させた。

ダリウスの脱落

《トリプルウィンドランス》は正面からダリウスを飲み込み、厚い鎧と高い防御を突破した。ダリウスは地面に投げ出されて動かなくなり、身代札によって脱落が確認された。クロスは、ジゼルの助力を受けた危険度4戦とは違い、本当の一対一で中級職を倒したことに胸を震わせ、リュドミラへ勝利を報告するように叫んだ。

逃げるカトレア

その頃、カトレアたちはジゼル率いる孤児組から必死に逃げ回っていた。カトレアは恐怖でまともに指揮を執れず、パブロフが代わって部隊をまとめていた。カトレア側は爆撃魔法の反射とクロスの風魔法で大きく消耗しており、孤児組の下級魔法にも追い立てられて、体勢を立て直せないまま森を逃げ続けていた。

慢心の簒奪者の制約

追い詰められたパブロフは、ジゼルの《慢心の簒奪者》に制約があるはずだと見抜いた。カトレアと二人の土石魔導師に属性をそろえた中級土石魔法を同時に撃たせると、ジゼルが反射できたのは二発だけだった。反射しきれなかった一発が孤児組を直撃し、三人が脱落した。

貴族側の反撃

ジゼルは《慢心の簒奪者》の限界を見抜かれたことを悟った。貴族側は反射されることを見越して砲撃地点から離れ、身代札にも脱落者は出ていなかった。完全に計算された反撃により、孤児組は一転して劣勢へ傾き、さらなる中級魔法の一斉砲撃がジゼルたちへ襲いかかった。

魔法反射の突破

パブロフは部隊を三つに分け、カトレアと二人の土石魔導師による三方向からの同時魔法攻撃で、ジゼルの《慢心の簒奪者》の限界を見抜いた。ジゼルが同時に反射できる魔法は二つまでであり、三発目を通せば孤児組を削れると判断したパブロフは、勝利を確信して中級土石魔法の一斉掃射を続けようとした。

クロスの到着

第二隊と第三隊からの魔法が止まり、パブロフが訝しんだ直後、負傷した騎士が茂みから転がり出てきた。続いて現れたのは、血に濡れた剣の柄を持つクロスだった。クロスはダリウスを倒した後、《風雅跳躍》による機動力でジゼルたちを追い越し、第二隊と第三隊の土石魔導師たちを撃破していた。

ジゼルの追撃

クロスの到着に混乱したカトレア側は、さらにジゼルとエリンの奇襲で《中級レンジャー》を失った。ジゼルは傷つきながらも戦意を失っておらず、カトレアへ殺気を向けた。パブロフは、カトレアさえ制限時間まで生き残れば引き分けにできると判断し、自分たちが時間を稼ぐ間に逃げるよう命じた。

森を逃げるカトレア

カトレアは恐怖に支配され、従者たちを置いて森の中へ逃げ出した。彼女は、孤児組など簡単に倒せるはずだったのに自分が泥まみれで逃げ回っている現実を受け入れられず、すべてをパブロフのせいにした。それでも制限時間まで逃げ切ればよいと自分を励まし、必死に森をさまよった。

全滅した従者たち

カトレアは森の中でパブロフらしき人影を見つけ、助かったと思って駆け寄った。しかしその身体はすでに力なく崩れ落ち、周囲には騎士やレンジャーたちも倒れていた。カトレアは自分が逃げ回った末に、従者たちが全滅した場所へ戻ってきただけだと知り、完全に追い詰められた。

カトレアの敗北

ジゼルとクロスは、エリンの索敵と痕跡を追ってカトレアを発見した。魔法を封じられたカトレアは抵抗できず、痛いのは嫌だと泣き叫んだ。ジゼルは恐怖を刻み込むため、カトレアの顔のすぐ横へ《巨岩斬り》を叩き込んだ。カトレアは攻撃がかすっただけで気絶し、試合終了が告げられた。

孤児組の完全勝利

ジゼルは気絶したカトレアにさらに手を出そうとしたが、クロスが試合無効の口実を与える危険を指摘して必死に止めた。最後に一悶着はあったものの、理不尽な条件を押しつけられた決闘は、クロスたち孤児組の完全勝利で幕を下ろした。

エピローグ 成長の証。 そして 

二回目の討伐大会

カトレアたちとの決闘から数日後、クロスたちは守り切った練習場で連携訓練を重ね、二回目のふわふわスライム討伐大会に参加した。魔法職の攻撃で群れを引きつけた後、クロスは《トリプルウィンドランス》で大量のスライムを撃ち落とした。前回とは違い、魔法で敵の数を大きく減らしてから近接職が迎撃する流れが安定し、孤児組は練習の成果を発揮して討伐数を伸ばした。

入賞と報奨金

大会後、クロスたちのパーティは優秀成績パーティとして表彰された。カトレアたちが不参加だったこともあり、順位は繰り上がったが、前回から大きく躍進した成果であった。クロスは中級風魔法の活躍によって多額の報奨金を受け取り、装備の新調やエリシアとの密会費用にも困らないほどの金額に驚いた。

師匠たちへの贈り物

孤児組から祝勝会に誘われたクロスは、報奨金の最初の使い道を決めているとして断り、急いで街へ向かった。屋敷に戻ったクロスは、討伐大会と決闘で勝てた礼として、リオーネ、リュドミラ、テロメアに菓子の詰め合わせを差し出した。クロスは、無職の自分を拾って育ててくれた三人へ、せめて感謝だけは伝えたいと思っていた。

喜びすぎた三人

三人はクロスからの贈り物に強く喜び、テロメアは抱きつき、リオーネは照れ、リュドミラは修行を中止して茶会を始めようとした。だが三人は菓子の取り分やクロスとの時間をめぐってまた争いかけ、クロスは必死に説得することになった。それでも三人に喜んでもらえたことで、クロスは幸せな気持ちになり、いつか本当の意味で恩返しできるほど強くなりたいと願った。

さらに伸びたスキル

クロスが眠った後、リオーネたちは彼の急成長を改めて確認した。決闘と討伐大会を経て、クロスは中級剣戟強化や中級クロスカウンターを発現させ、《身体能力強化》《緊急回避》《トリプルウィンドランス》《風雅跳躍》なども大きく伸ばしていた。三人は、《持たざる者の切望》がLv1でありながらなお異常な効果を発揮していることに驚いた。

広がる噂

バスクルビアでは、孤児のパーティが貴族を正式な決闘で返り討ちにした話題が広まっていた。カトレアと敵対する貴族派閥も彼女の敗北を喧伝したため、噂は街中に広く流れた。その結果、無職でありながら決闘の勝敗を大きく左右したクロスは、出過ぎた杭として方々から注目されることになった。

ギムレットの敵意

豪奢な屋敷では、ディオスグレイブ派第四位のギムレット・ウォルドレアが、カトレア敗北の報告を受けていた。彼はカトレアを派閥の面汚しと吐き捨て、自ら制裁を加えると決めた。そして従者に、カトレアを下した孤児たち、特に決闘の勝敗を大きく左右した無職の少年クロスについて念入りに調べるよう命じた。

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