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フィクション(Novel)僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場読書感想赤城大空

僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場(5)感想・ネタバレ

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僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場 5の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

最強女師匠4巻レビュー
最強女師匠まとめ
最強女師匠6巻レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 怪盗セラスの予告状
    2. 勇者エリシアの護衛
    3. 魔神崇拝者の襲撃
    4. クロスの誘拐と修行
    5. 死者の王の討伐
    6. 勇者のユニークスキル
  6. 登場キャラクター
    1. アラカルト派・孤児組
      1. クロス・アラカルト
      2. ジゼル・ストリング
      3. ダート
      4. エリン
      5. 孤児組の面々
      6. ギムレット・ウォルドレア
      7. リラ
      8. カトレア・リッチモンド
      9. ダリウス
      10. パブロフ
      11. カトレアの従者たち
    2. S級冒険者
      1. リオーネ・バーンエッジ
      2. リュドミラ・ヘイルストーム
      3. テロメア・クレイブラッド
    3. 勇者一族・アルメリア王国
      1. エリシア・ラファガリオン
      2. ガルグレイド・ラファガリオン
      3. 報告係の最上級剣士
      4. 英雄血統の者たち
    4. バスクルビアの学校・ギルド関係者
      1. サリエラ・クックジョー
      2. 最上級職の男性講師
      3. ギルド職員たち
      4. 最上級職の先生たち
      5. 冒険者たち
    5. 怪盗・裏社会
      1. セラス・フォスキーア
      2. ダムド・オーバーロック
      3. ダムドの連れの美女
      4. 裏の社交場の受付
      5. 暗黒街のボスたち
      6. 密輸産業の重鎮
      7. 裏カジノの支配人
      8. ベテラン詐欺師
      9. 腕利きの用心棒たち
      10. 顧客の私兵の大連合軍
    6. 魔神崇拝者
      1. ゴーレムの操縦者
      2. 魔神崇拝者たち
    7. サマンサ王国
      1. リッチー
      2. ギオルグ
      3. ギオルグの娘
      4. サマンサ王国の重装騎士たち
    8. 襲撃された町
      1. 町長
      2. 襲撃された町の人々
  7. 展開まとめ
    1. プロローグ 予告状 
    2. 第一章 アルメリアの至宝 
    3. 第二章 原石磨く二週間 
    4. 第三章 帰還と出発 
    5. 第四章 危険度9オーバー 
    6. エピローグ 
  8. 同シリーズ
  9. 同著者の作品
    1. 【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう
    2. 出会ってひと突きで絶頂除霊!
    3. 淫魔追放
    4. 下ネタという概念が存在しない退屈な世界
  10. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

本作は、才能ゼロの最弱職《無職》を授かった少年クロスが、世界最強のS級女冒険者たちの過保護な指導を受けて成り上がっていくヒロイックファンタジーの第5巻である。 冒険者の聖地バスクルビアに、大怪盗セラスから「満月の夜に“アルメリアの至宝”をいただく」という予告状が届いた。街は勇者の末裔エリシアを守るために厳戒態勢を敷くが、セラスの真の狙いは彼女ではなく、急速な成長を遂げるクロス自身であった。 誘拐され、不毛荒野のアジトへ連れ去られたクロスは、セラスから仕事のパートナーとして見初められ、彼女のもとで盗賊スキルの特訓を受けることになる。一方、愛弟子を奪われた師匠たちは激怒し、クロス奪還のために頂点職同士の規格外なバトルを繰り広げる。さらには、小国を裏から支配する危険度9の怪物・リッチーとの死闘も描かれ、物語は大きなうねりを見せる。

■ 主要キャラクター

  • クロス・アラカルト:レベル0の《無職》の少年。怪盗セラスに攫われるが、彼女との修行を通じて《心魂悟知》などの強力な盗賊スキルを習得した。実戦の中で、魔法と近接スキルを融合させた新たなエラースキル《魔装纏撃》を発現する。
  • リオーネ、リュドミラ、テロメア:クロスを溺愛するS級冒険者の女師匠たち。愛弟子を奪ったセラスに対して激しい怒りを燃やし、奪還のために大暴れする。リオーネは遠征先で最凶の怪物リッチーと対峙し、自ら開拓した未知のオリジナルスキルで圧倒した。
  • セラス・フォスキーア:頂点職《大怪盗》に至った猫獣人の美女。世間を騒がせるお尋ね者だが義賊的な一面も持つ。クロスを「最高の原石」と高く評価し、彼を自身のパートナーにすべく誘拐し、社交ダンスを用いた特訓などで盗賊の技術を教え込んだ。
  • エリシア・ラファガリオン:勇者の末裔たる最上級職の剣士。誘拐予告のターゲットだと誤認され、厳重な警護を受ける。クロスが攫われたと知り、激しく動揺して学校中を探し回るなど、彼への強い想いを見せる。
  • リッチー:サマンサ王国を裏から支配していた危険度9オーバーの死者の王。禁術によって人の身を捨てた怪物である。一度受けた近接攻撃に完全耐性を持つユニークスキル《再見殺し》を操るが、リオーネの規格外な連撃の前に敗れ去る。

■ 物語の特徴

本作の最大の魅力は、最弱職の主人公が多種多様なスキルを駆使して成り上がっていくカタルシスと、規格外の師匠たちとの過激なラブコメディの絶妙なバランスである。本巻では「怪盗による主人公の誘拐」という特異な展開が描かれ、敵対するはずの怪盗セラスが新たな師としてクロスに盗賊の技術を叩き込む過程が非常に興味深い。社交ダンスを通じた修行や、裏社会への女装潜入といった一風変わったアプローチが、物語に新鮮なスパイスを与えている。 また、後半にかけて展開されるS級冒険者の師匠たちによる激しい奪還劇や、最強の怪物リッチーとの常軌を逸したバトルシーンも圧巻だ。頂点職同士の神次元の戦いが描かれる中、クロス自身も極限の死闘を経て強力なエラースキル《魔装纏撃》を編み出し、冒険者としての次元をさらに一段階引き上げる熱い展開が見どころとなっている。

書籍情報

僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場(5)
著者:赤城大空 氏
イラスト:タジマ粒子  氏
出版社:小学館(ガガガ文庫)
発売日:2023年8月18日
ISBN:9784094531473

Audible(プレミアムプラン会員なら対象作品が聴き放題
無料体験後は月額¥1,500 で自動更新します。いつでも退会できます)
ナレーター/榊原優希 大久保瑠美 本泉莉奈 福緒唯 柴田芽衣 朝日奈丸佳 関山美沙紀 厚木那奈美 江田拓寛 櫻台遼己 

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

クロス、攫われる!?
【満月が最も高く昇る晩に”アルメリアの至宝”をいただきに参上する】

大怪盗セラスから学長宛に届いた予告状。
バスクルビアは騒然とし、勇者の子孫エリシアに厳重な警備がつくことに。クロスたちアラカルト派も護衛任務につくのだが――セラスの狙いは、まさかのクロスだった!!

「君の身体だけじゃなく……心も盗んでみせるよ、少年」
「はいっ!?」

当然、ぽっと出の“泥棒猫”に女師匠たちが黙っているわけもなく――。

いま、アルメリアを股にかけたクロス争奪戦が幕を開ける!

僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場(5)

感想

今巻は、これまでとは少し違う角度からクロスの成長が描かれており、新鮮な気持ちで楽しめた。新たな師匠との出会いに加え、規格外の戦いも用意されていて、最後まで飽きずに読むことができた。

まず驚いたのは、新たな指導者として怪盗セラスが登場したことだ。

勇者エリシアへ予告状を送りつけ、街中を大騒ぎにしておきながら、本当の狙いはクロスだったという展開には見事に騙された。

魔神崇拝者の襲撃に紛れてクロスをさらっていく手際も鮮やかで、「さすが怪盗」と思わず感心してしまった。

誘拐された先で始まる修行も印象的だった。

盗賊らしい技術を教えるだけではなく、社交ダンスを使って感知能力を鍛えるという発想が面白い。

最初は意外すぎる修行方法だと思ったが、相手の動きを読み、呼吸を合わせる訓練として考えると納得できた。

こうした積み重ねによって《心魂悟知》を習得していく流れは、クロスらしい成長の仕方だと感じる。

とはいえ、クロスを奪われた師匠たちが黙っているはずもない。

二週間後、違法ゴーレムを率いるダムドがアジトへ攻め込んできた時、愛弟子を取り返しに現れた師匠たちの強さは圧巻だった。

大量の敵をものともせず、一気に蹴散らしてしまう姿は見ていて爽快だった。普段は過保護すぎる三人だが、戦場ではやはり別格の存在だと改めて感じる。

後半は一転して、リオーネと共に危険な依頼へ向かう展開になる。

小国を裏から支配していた危険度9の《死者の王》リッチーとの戦いは、今巻最大の見せ場だった。

クロスが新たな不在スキル《魔装纏撃》を発現させる場面は熱い。

これまで学んできた魔法と近接戦闘が一つに繋がったように感じられ、成長の積み重ねがしっかり実を結んだ瞬間だった。

一方で、一番印象に残ったのはリオーネの活躍である。

リッチーの厄介な能力を前にしても動じず、自ら磨き上げたオリジナルスキルで押し切る姿は本当に格好良かった。

普段は師匠たちの存在感が強い作品だが、今回はリオーネの実力にも強く惹かれた。

最後には勇者エリシアの父が動き始め、新たな波乱を予感させる終わり方になっていた。

クロス自身の成長はもちろんだが、勇者一族との関係がこれからどう変わっていくのかも気になるところである。

新しい師との出会い、新たな力の習得、そして規格外の戦いまで楽しめる、読み応えのある一冊だった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

Audible(プレミアムプラン会員なら対象作品が聴き放題
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ナレーター/榊原優希 大久保瑠美 本泉莉奈 福緒唯 柴田芽衣 朝日奈丸佳 関山美沙紀 厚木那奈美 江田拓寛 櫻台遼己 

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最強女師匠4巻レビュー
最強女師匠まとめ
最強女師匠6巻レビュー

考察・解説

怪盗セラスの予告状

第5巻において、バスクルビアの街を大きく揺るがした「怪盗セラスの予告状」は、物語の急展開を呼ぶ重要な引き金となる。

赤いバラが添えられた封書による犯行予告とアルメリアの至宝を勇者の末裔とする世間の誤解、アラカルト派が参加した探知魔道具による厳重な警備網の構築、若手冒険者の集結に乗じた魔神崇拝者によるゴーレム襲撃、そしてエルフのニーナから正体を現した大怪盗セラスによるゴーレム瞬殺とクロス自身の誘拐にいたる全容は以下の通りである。

領主サリエラに届いた犯行予告とアルメリアの至宝を勇者の末裔エリシアとする世間の誤解

ある日、バスクルビアの領主であり冒険者学校の学長でもあるサリエラのもとに、赤いバラが添えられた一通の封書が届いた。

・それは、世界規模で手配されている頂点職である大怪盗のセラス・フォスキーアからの犯行予告であった。

・そこには、満月が最も高く昇る晩にアルメリアの至宝をいただきに参上する、と記されており、街中にもばら撒かれた。

・世間やギルドは、このアルメリアの至宝を歴代最強の勇者の末裔であるエリシアのことだと解釈し、バスクルビアは騒然となる。

中級職以上の緊急招集と新加入のエルフ女性ニーナを交えた外周区域の警備任務

事態を重く見たギルドは、中級職以上の冒険者を緊急招集し、エリシアの屋敷を中心に何重もの警備結界や探知魔道具を用いた厳重な警備網を敷いた。

・クロスもエリシアの力になりたいと考え、ジゼルやギムレットらアラカルト派とともに警備任務に参加し、最も外周の区域を担当することになった。

・なお、この時クロスのパーティには中級レンジャーのエルフの女性ニーナが割り当てられ、行動を共にすることになる。

魔神崇拝者による強力なゴーレム何十体の投下とギムレット戦闘不能に伴うクロスの孤立

しかし、予告された夜に襲撃を仕掛けてきたのは怪盗セラスではなかった。

・警備のために若手で有望な冒険者や貴族たちが一箇所に集まる状況を好機と見た魔神崇拝者たちが、違法に製造された強力なゴーレムを何十体も空から撃ち込んできた。

・危険度7にも迫るゴーレムの猛攻により外周区域はパニックに陥る。

・上級職のギムレットが戦闘不能になり、カトレアも撤退を余儀なくされる中、クロスは逃げ遅れたニーナを含む人々を守るため、一人でゴーレムとの死闘に身を投じた。

エルフのニーナから大怪盗セラスへの変身解除と無限の可能性を持つ無職少年の強奪

クロスが玉砕覚悟でゴーレムの核へ突っ込もうとした瞬間、突如ゴーレムがバラバラに切り刻まれた。

・ゴーレムを瞬殺したのは、クロスのパーティにいたエルフのニーナであった。

・彼女は大怪盗の変身スキルを解き、猫獣人の美女であるセラスとしての正体を現す。

・実は、予告状にあったアルメリアの至宝とはエリシアのことではなく、成長著しく無限の可能性を秘めた無職の少年クロス自身のことだった。

・セラスはクロスを自身の盗賊業を支える最高のパートナー(原石)として見初め、彼を連れ去るために予告状を出していた。

・彼女は便乗して場を荒らした魔神崇拝者たちを人知れず一網打尽にして負傷者たちを回復させると、抵抗するクロスを軽々と抱き上げる。

・二週間で君の身体だけじゃなく心も盗んでみせる、と宣言し、ジゼルの制止も振り切って、圧倒的な速度で夜の闇へとクロスを誘拐してしまった。

まとめ

怪盗セラスによる予告状の投函から始まった一連の事件は、標的の誤認による警備網の隙を突き、魔神崇拝者の急襲を利用して目的を完遂した、緻密かつ圧倒的な誘拐劇である。エリシアを囮にした厳重な包囲網の外側で、潜入スキルを駆使してクロスのパーティに潜り込み、危険度7に迫るゴーレムを瞬殺したプロセスは頂点職「大怪盗」の桁違いの武力を示している。便乗した敵を駆逐して周囲の安全を担保しつつ、無職の少年を真のアルメリアの至宝として指名し拉致した顛末は、セラスの行動が単なる窃盗にとどまらず、クロスの持つ異常なポテンシャルを誰よりも早く見抜き、自らの組織へ引き込むための絶対的な強奪作戦であったことを厳密に証明している。

勇者エリシアの護衛

第5巻において、「勇者エリシアの護衛」は怪盗セラスの予告状をきっかけに発足した大規模な警備任務であり、物語が大きく動く舞台となった。

大怪盗の予告状による標的の誤認と中級職以上の緊急招集、高級住宅エリアに敷かれた中心部から外周区域にいたる層の厚い警備体制、中級レンジャーのニーナを加えたクロスたちアラカルト派の参戦、若手集結に乗じた魔神崇拝者のゴーレム襲撃と中心部の無傷、そして真の標的がクロスであった事実の判明に伴うエリシアの激しい動揺と学校内捜索にいたる全容は以下の通りである。

大怪盗セラスの予告状に伴う標的の誤認と中級職以上の冒険者を対象とした緊急招集

事の発端は、頂点職に至った大怪盗セラス・フォスキーアから、満月が最も高く昇る晩にアルメリアの至宝をいただきに参上する、という予告状が届いたことであった。

・世間やギルドは、このアルメリアの至宝を歴代最強の勇者の末裔であるエリシアのことだと解釈し、バスクルビアは騒然となる。

・事態を重く見たギルドは中級職以上の冒険者を緊急招集し、エリシアの屋敷がある高級住宅エリアに厳重な警備網を敷くことを決定した。

最上級職による直接護衛から若手による探知結界維持にいたる三重の包囲体制

護衛体制は、対象であるエリシアを中心に、外側へ向かって層をなすように構築された。

・中心部(直接護衛):エリシアのすぐそばには、英雄血統の者たちや、最上級職のベテラン講師陣が配置された。

・中層部:中心部に近い場所には、ベテランの上級冒険者パーティが待機した。

・外周区域:緊急招集された中堅、若手冒険者(クロスたちを含む)が配置された。彼らの主な役割は、自身の魔力を提供して結界探知魔道具を全力稼働させ続けることや、レンジャーの探知能力を活かした不法侵入者の警戒であった。

志願したクロスたちと中級レンジャーのニーナを交えたカトレア一派との合流

クロスはエリシアの力になりたいと強く願い、自ら警備任務に志願した。

・ジゼル、ギムレットらと共に最も外周の区域に配置されたクロスたちのパーティには、ギルドの配慮で探知能力に優れた中級レンジャーのニーナが加わった。

・その後はカトレアの一派とも合流して任務にあたった。

若手集結に乗じた魔神崇拝者のゴーレム何十体投下と圧倒的実力による中心部での迎撃

しかし満月の夜、実際に襲撃を仕掛けてきたのは怪盗セラスではなかった。

・警備のために有望な若手冒険者や貴族が一箇所に集まっている状況を好機と見た魔神崇拝者たちが、違法に製造された強力なゴーレムを何十体も空から落下させた。

・これにより外周区域はパニックに陥り、クロスたちは逃げ遅れた人々を守るために死闘を繰り広げることになる。

・一方、エリシアや最上級職たちがいる中心部にも多くのゴーレムが落下したが、彼らの圧倒的な実力の前では時間稼ぎにしかならず、苦戦らしい苦戦はなかった。

犠牲者ゼロの結末と標的がクロスであったことによるエリシアの激しい動揺

最終的に、セラスが裏で魔神崇拝者を制圧し負傷者を回復させて回ったこともあり、この大規模な護衛任務において犠牲者は一人も出なかった。

・しかし、セラスの真の狙いがエリシアではなくクロスであり、彼が攫われてしまったという報告を受けたエリシアは、激しく動揺して手入れしていたサーベルを落としてしまう。

・本来護衛される側であった彼女であるが、その後はひどくクロスを心配し、彼が帰還したと聞くやいなや認識阻害の外套を羽織って学校中を探し回るという、彼女のクロスへの強い想いが浮き彫りになる結末を迎えた。

まとめ

勇者エリシアの護衛任務は、大怪盗セラスの精緻な誘導戦術によって引き起こされた、バスクルビアの防衛体制の限界を試す一大イベントであった。最上級職を配した中心部の圧倒的な迎撃能力とは対照的に、魔神崇拝者のゴーレム投下によって外周区域がパニックに陥り、クロスたちが死闘を余儀なくされたプロセスは敵の狡猾さを示している。任務自体は犠牲者ゼロで収束したものの、真の標的がクロスであり彼が拉致された事実がもたらしたエリシアの激しい動揺と外套を羽織っての学校内捜索にいたる顛末は、この護衛任務がエリシアを保護する場にとどまらず、クロスに対する彼女の強固な好意を白日の下に晒す絶対的な引き金となったことを厳密に証明している。

魔神崇拝者の襲撃

第5巻における「魔神崇拝者の襲撃」は、怪盗セラスの予告状によって生じた警備の隙を突いた大規模なテロ行為であり、クロスが自身の限界を超える死闘に身を投じるきっかけとなった事件である。

有望な若手冒険者や貴族の抹殺を狙ったテロの背景と目的、不可視かつ音速の衝撃波を備えた危険度7に迫る強力な違法ゴーレムの脅威、ギムレット戦闘不能の窮地でクロスが展開した極限の回避戦、大怪盗セラスの介入による操縦者の一網打尽と犠牲者ゼロの結末、そして裏社会の最上級魔道技師や死者の王リッチーが関与した莫大な資金援助にいたる全容は以下の通りである。

警備に集う若手冒険者と貴族の惨殺による勇者一派の威信失墜を狙ったテロ行為の勃発

怪盗セラスから、満月の夜にアルメリアの至宝をいただく、という予告状が届き、バスクルビアの高級住宅街には厳重な警備網が敷かれた。

・魔神の再臨と勇者の断絶を望む魔神崇拝者たちは、この状況を好機と捉えた。

・彼らの目的は勇者エリシアを直接狙うことではなく、警備のために集まった有望な若手冒険者や貴族たちをまとめて惨殺することであった。

・自らを守るための警備で多数の死者が出たという事実を作り、勇者一派の威信を地に落とすことを狙ったのである。

不可視で音速に等しい衝撃波を放つ危険度7の人造モンスターによる外周区域のパニック

満月の夜、魔神崇拝者たちは空から何十体もの強力な人造モンスター「ゴーレム」を警備エリア全体へ落下させた。

・これらのゴーレムは危険度7に迫るほどの戦闘力を持ち、高い防御力と再生力を備えていた。

・さらに、不可視で音速に等しい衝撃波を放つという初見殺しの凶悪な隠し兵装まで搭載されていた。

・これにより、外周区域の防衛にあたっていた近接職たちを一撃で吹き飛ばし、戦場を大パニックに陥れた。

核の破壊失敗に伴うギムレットの負傷と単独足止めを試みたクロスの心魂悟知の片鱗

外周区域に配置されていたクロス、ジゼル、ギムレットたちは、逃げ遅れた負傷者を守るためにゴーレムと交戦した。

・ギムレットの一迅百手やカトレアの二連凝縮爆撃魔法でもゴーレムの核を破壊するには至らず、ギムレットは衝撃波を受けて足を破壊され戦闘不能となる。

・カトレアたちが撤退を余儀なくされる中、ゴーレムは感知能力の高いニーナ(セラスの変装)を標的とした。

・クロスは全員が背を向ければ多くの犠牲が出ると判断し、単独でゴーレムの足止めに挑む。

・二重イージスショットでゴーレムの腕を粉砕してヘイトを自分に向けさせ、ジゼルの慢心の簒奪者の援護を受けながら、極限の集中状態で心魂悟知の片鱗を掴み、ギリギリの回避戦を展開した。

エルフのニーナから本来の姿へ戻ったセラスの介入と高級ポーションによる犠牲者ゼロの達成

クロスが相打ち覚悟でゴーレムの懐へ飛び込もうとした瞬間、エルフのニーナから本来の姿へと変身を解いた怪盗セラスが介入した。

・彼女は頂点職である大怪盗の圧倒的な速度と探知能力により、一瞬でゴーレムをバラバラに切り刻んで破壊した。

・さらに、セラスは隠れていた魔神崇拝者の操縦者たちを人知れず一網打尽にして拘束した。

・負傷者たちに高級ポーションを浴びせて回復させて回っていたため、この大規模なテロにおける犠牲者はゼロで終わった。

最上級魔道技師ダムドによる兵器製造とサマンサ王国を裏から支配する死者の王からの資金調達

のちに、この襲撃で使用された危険な違法ゴーレムを製造し、魔神崇拝者たちへ売り渡していた黒幕が判明する。

・その正体は、裏社会 of 最上級魔道技師であるダムド・オーバーロックであった。

・さらに、魔神崇拝者のような犯罪集団がこれほど高価で大量の兵器を購入できた背景には、サマンサ王国を裏から支配して搾取していた死者の王「リッチー」からの莫大な資金援助があったことが明かされた。

・これにより、点と点の事件が繋がっていくこととなった。

まとめ

魔神崇拝者によるバスクルビア襲撃は、大怪盗の予告によって一箇所に集められた防衛戦力を狙った、極めて悪質な大規模広域テロである。音速の衝撃波を放つ危険度7の違法ゴーレムを大量投下し、若手実力者を戦闘不能に追い込んだプロセスはテロ組織の脅威を示している。この窮地に対し、クロスが単独で足止めを敢行して「心魂悟知」の片鱗を覚醒させ、最終的に正体を現したセラスの超絶的な武力によって操縦者が制圧された顛末、そして背後に魔道技師ダムドの技術と死者の王リッチーの莫大な資金力が存在していた実態は、この襲撃が単なる狂信者の暴走にとどまらず、王国を揺るがす裏社会の巨悪が繋がった一大計画の始まりであったことを厳密に証明している。

クロスの誘拐と修行

第5巻における「クロスの誘拐と怪盗セラスによる修行」は、敵対するはずの頂点職から直接指導を受けるという異色の展開であり、クロスの感知能力と回避能力を飛躍的に高める重要なエピソードである。

無限の可能性を秘めた無職の少年を最高のパートナーとして見初めた大怪盗の目的と不毛荒野アジトへの連れ去り、先読みや消音の歩法を鍛え上げるために導入された男女ペアの社交ダンス特訓、短期間で発現した心魂悟知などの盗賊特殊スキル、そして令嬢への女装潜入を経て展開されたダムド地下工房でのゴーレムに対する無傷の完勝にいたる全容は以下の通りである。

ゴーレム瞬殺による大怪盗セラスの正体顕現と最高のパートナーとして見初められた少年の強奪

満月の夜、魔神崇拝者が投下したゴーレムから逃げ遅れた人々を守るため、クロスは玉砕覚悟で強敵に突っ込んだ。

・その瞬間、彼と同じ班にいたエルフのレンジャーであるニーナが変身を解き、大怪盗セラス・フォスキーアとしての正体を現した。

・セラスは一瞬でゴーレムを破壊し、予告状にあったアルメリアの至宝とは勇者エリシアのことではなく、無限 of 可能性を秘めたクロス自身のことだと明かす。

・彼女はクロスを自身の盗賊業を支える最高のパートナー(原石)として見初め、二週間で君の身体だけじゃなく心も盗んでみせる、と宣言して不毛荒野のアジトへ彼を誘拐した。

不毛荒野アジトでの説得と先読みおよび消音歩法を同時に鍛える男女ペアの社交ダンス特訓

アジトで目覚めたクロスは脱出を試みるが、頂点職のセラスから逃げ切ることは不可能であった。

・セラスから、盗賊スキルを学べば守る冒険者に近づける、二週間後に必ず帰す、と説得されたクロスは、その提案を受け入れて修行を開始する。

・セラスが感知と歩法の修行として取り入れたのは、男女ペアの社交ダンスであった。

・これは相手の動きの先読み、息を合わせる感覚、足音を消す特殊な歩法を同時に鍛えるための効率的な手段であり、クロスはセラスと密着しながら踊り続ける。

・修行は段階的に難易度を上げ、最終的には、目隠しをして視覚に頼らず、相手の魂や気配を読んで高速で踊る、という高難度の訓練へと移行していった。

完璧なリードと回復アイテムの支援に伴う心魂悟知および暗脚の獲得

セラスの完璧なリードと、気力や体力を回復させる希少アイテムの支援もあり、クロスはわずか十日余りで飛躍的な成長を遂げた。

・相手の魂の気配を察知して動きを超高精度で先読みする盗賊特殊スキル心魂悟知をはじめ、連射可能な静音加速スキル暗脚や中級挙動感知などを習得した。

裏社交場への女装潜入と不可視の衝撃波を見切ったダムド地下工房での無傷の完勝

修行の総仕上げとして、セラスは違法ゴーレムの製造者である老ドワーフのダムドを突き止めるため、クロスを令嬢の姿へ女装させて大都市の裏社交場へ潜入した。

・クロスは強い羞恥を覚えながらも、裏社会の大物たちの前で修行の成果である見事なダンスを披露する。

・その後、二人はダムドの地下工房へ侵入するが、警報によってバスクルビアを襲ったものと同型の凶悪なゴーレムが動き出した。

・セラスから単独での対処を任されたクロスは、心魂悟知でゴーレムの猛攻や不可視の衝撃波を完全に見切る。

・暗脚で懐に潜り込んでイージスショットで核を貫いた。

・かつては命懸けで相打ちを狙うしかなかった強敵に対し、ほとんど無傷で完勝するという結果を残し、怪盗による二週間の修行の凄まじい成果を証明した。

まとめ

怪盗セラスによる拉致と直接指導のエピソードは、クロスが頂点職の洗練された技術と理論を吸収し、対ゴーレム戦における圧倒的な戦闘猶予を獲得した極めて濃密な成長期間である。目隠し社交ダンスという常識外れの特訓を通じて、魂の挙動を捉える「心魂悟知」や静音加速の「暗脚」を十日余りでマスターしたプロセスは、クロスの卓越したポテンシャルを示している。この成果を裏社交場への女装潜入で実践し、地下工房の危険なゴーレムを相手に不可視の波形を完全掌握して無傷の完全勝利を収めた顛末は、セラスの施した修行がクロスの回避および感知能力を世界水準へと引き上げる絶対的な契機となったことを厳密に証明している。

死者の王の討伐

第5巻の終盤において描かれる「死者の王(リッチー)の討伐」は、絶望的な能力を持つ伝説級の怪物との死闘であり、クロスの新たなエラースキル発現と、S級冒険者リオーネの圧倒的な「頂点」の実力が示される重要なエピソードである。

秘禁術により人の身を捨てた危険度9オーバーの怪物の正体とサマンサ王国支配の悲劇、一度受けた近接スキルに永続的な超高耐性を得る再見殺しを所持したリッチーの絶望、眷属召喚の軍勢に対抗する中でクロスが目覚めさせた新たな不在スキル魔装纏撃の威力、リオーネが開拓した未知のオリジナル近接スキルによる完全蹂躙と魔衝爆散による内側からの爆散、そして死に際の報復呪詛を凍結・無害化したリュドミラとテロメアの事後処理にいたる全容は以下の通りである。

秘禁術による危険度9オーバーの伝説の怪物化と資金援助を伴うサマンサ王国の裏支配

リッチーとは、もはや失われたとされる秘禁術により人の身を捨てた最上級の魔導師や神官が至る、危険度9オーバーの伝説の怪物である。

・サマンサ王国に突如現れたリッチーは、一晩で王城を制圧し、10年以上の長きにわたり国を裏から支配して生贄を要求し続けていた。

・さらに、自身の秘密を知る王国上層部には呪詛をかけて反逆や密告を封じており、他国やギルドに助けを求めることもできない状態が続いていた。

・バスクルビアを襲った違法ゴーレムの購入資金を魔神崇拝者に援助し、国外からも質の高い生贄を運ばせていた黒幕でもある。

近接攻撃への永続的な超高耐性を得る再見殺しの発動とリオーネの闘神崩拳の無効化

採掘依頼の帰路、偶然にも生贄にされそうになっていた少女とその父親である騎士団指揮官ギオルグを助けたクロスとリオーネは、サマンサ王国の事情を知る。

・直後、リッチーが空から超巨大な岩塊を落下させてくるが、リオーネはこれを拳で粉砕し、上空での一騎打ちが始まった。

・しかし、リッチーは一度受けた近接攻撃スキルとその同系統上位スキルに永続的な超高耐性を得るという、反則的なユニークスキル再見殺しを所持していた。

・彼は王国騎士団から数百種もの近接攻撃を受け続けることで耐性を獲得しており、近接最強であるリオーネの闘神崩拳さえも完全に無効化してしまう。

眷属召喚のゾンビモンスター群れに対する魔法装填の武器流転と魔装纏撃の発現

リオーネの攻撃が通じない中、リッチーは眼下のクロスたちへ眷属召喚で大量のゾンビモンスターを差し向け、さらに死の刻印の呪詛でギオルグら騎士団を戦闘不能に追い込んだ。

・クロスは騎士たちを守るために単独で死者の軍勢と対峙するが、高い魔防と不死の特性を持つ大型ゾンビに苦戦を強いられる。

・その時、上空のリオーネから「アレやってみろ!」と発破をかけられたクロスは、極限の死闘の中で彼女の助言に従い、魔法装填の魔力を自身の武器に流し込むという無謀な試みに挑んだ。

・結果、魔法と近接スキルの性質を併せ持つ新たな不在スキル(エラースキル)魔装纏撃が見事に発現し、圧倒的な破壊力で大型ゾンビたちをまとめて消し飛ばすことに成功した。

この世に存在しない未知の近接技術の連打と魔衝爆散による死者の王の内側爆散

クロスが眷属を一掃した頃、リリオネはリッチーの再見殺しの弱点を見抜いていた。

・再見殺しは一度受けたことのあるスキルにしか耐性を得られないため、リオーネ自身が開拓した「この世に存在しない未知のオリジナル近接スキル」には全く対応できなかった。

・リオーネは牙王多重拳や双撃破轟掌といった独自のスキルを次々と叩き込み、リッチーを完全に蹂躙する。

・最後は、腹部に災害級の衝撃と魔力を叩き込む頂点特殊スキル魔衝爆散によって、死者の王を内側から爆散させ討伐を果たした。

黒い濁流として押し寄せる死に際の怨念凍結と魔神崇拝者拠点の特定壊滅

リッチーが倒れた直後、彼が死に際に仕込んでいた報復の呪詛が黒い濁流となって森を飲み込もうと押し寄せてきた。

・しかし、クロスの行方を追って駆けつけたリュドミラが頂点氷結魔法で呪詛を凍らせ、テロメアが魔力を吸収して無害化するという連携により、周囲への被害も完全に防がれた。

・この討伐によりサマンサ王国は呪縛から解放され、のちにリッチーの根城から見つかった物証によって魔神崇拝者の大規模な拠点が特定、壊滅されるという、大きな戦果へと繋がった。

まとめ

死者の王リッチーの討伐は、最弱職の少年クロスが新たな不在スキル「魔装纏撃」を覚醒させて軍勢を阻み、S級冒険者リオーネが人智を超えたオリジナル技術によって伝説級の存在を完膚なきまでに叩き潰した、第5巻最大の武功である。既存の近接技術を無力化する「再見殺し」に対し、世界に存在しない独自のスキルを創出して内側から爆散させたプロセスは、リオーネが文字通り世界の頂点に君臨する戦力であることを示している。死に際の報復呪詛をリュドミラとテロメアが完全に制圧し、王国解放と魔神崇拝者拠点の壊滅にいたる戦果をもたらした顛末は、クロスと師匠たちの有する戦闘能力と連携が、国家を裏から支配する危険度9オーバーの巨悪をも確実に滅ぼす絶対的な力であることを厳密に証明している。

勇者のユニークスキル

第5巻の終盤(エピローグ)において、勇者エリシアの父であるガルグレイドの口から語られる「勇者のユニークスキル」は、エリシアが背負う使命の秘密と、今後の物語の鍵を握る重要な要素である。

魔神を確実に討ち滅ぼすために一族に課された絶対の責務、過酷な戦闘や厳しい修行では決してレベルアップしない覚醒と成長の特別な条件、力の極致への到達に関わるとされる強い男との恋というトリガー、そして娘に覚醒の兆しが見られない現状を受けてバスクルビアへ向かう父親ガルグレイドの思惑と今後の波乱にいたる全容は以下の通りである。

魔神を確実に討ち滅ぼすために一族へ代々伝わる特有能力の覚醒と最大レベル到達への絶対的責務

アルメリア王国の勇者一族には、代々伝わる特有のユニークスキルが存在する。

・かつて世界を滅ぼしかけた魔神を確実に討ち滅ぼすためには、このユニークスキルを覚醒させ、最大レベルまで押し上げることが一族の絶対の責務とされている。

ダンジョン幽閉や回復禁止の格上戦でもレベルアップしない指導教育不能の厄介な性質

通常、冒険者のスキルは過酷な戦闘や厳しい修行によってレベルアップするが、勇者のユニークスキルは全く異なる。

・補給なしでダンジョンに閉じ込めたり、回復を禁じて格上と戦わせたりといった過酷な修行をいくら課しても、覚醒や成長には一切繋がらない。

・このスキルの覚醒は指導や教育で解決できる問題ではなく、下手に助言をすればむしろ逆効果にすらなるという厄介な性質を持っている。

勇者一族現当主ガルグレイドが示唆した他者への強い恋愛感情とバスクルビア滞在の真の理由

このユニークスキルを成長させる特別な条件について、勇者一族の現当主であるガルグレイド・ラファガリオンは、アレが強い男との恋にでも落ちてくれれば話は早いのだがな、とこぼしている。

・すなわち、勇者の力の覚醒と極致への到達には他者(強い男)への強い恋愛感情が深く関わっていることが示唆されている。

・歴代の勇者が修行の仕上げと伴侶探しを兼ねてバスクルビアに滞在する真の理由は、この条件を満たしてユニークスキルを完成させるためだと考えられる。

娘の状況確認に向けた世界最強の父親の介入決定と無職の少年クロスに対する特別な感情の行方

バスクルビアに滞在して数か月が経つものの、いまだエリシアに覚醒の兆しが見られないとの報告を受けたガルグレイドは、今後の指針をそれとなく示すために、自らバスクルビアへ向かい娘の様子を見る決意を固めた。

・折しもエリシアは無職の少年クロスに対して無自覚ながらも特別な感情(恋心)を抱き始めている最中である。

・厳格で世界最強である父親の介入によって、エリシアのユニークスキルの覚醒とクロスとの関係が今後どのように展開していくのか、次巻以降の大きな波乱を予感させる結末となっている。

まとめ

勇者のユニークスキルに隠された成長条件は、過酷な訓練ではなく「強い男との恋」をトリガーとする極めて特異な性質を有しており、エリシアの使命と少女としての感情が表裏一体であることを示している。いかなる戦闘修行によってもレベルアップせず、他者への強い恋愛感情こそが力の極致へ至る鍵であるというプロセスは一族の血脈の神秘を物語っている。エリシアがクロスに無自覚な恋心を抱く中、覚醒を促すべく世界最強の父ガルグレイドがバスクルビアへ介入を決意した顛末は、このユニークスキルの完成を巡る計画が、単なる戦力増強にとどまらず、クロスとエリシアの運命を王国の権力構造ごと激しく巻き込む絶対的な波乱の幕開けであることを厳密に証明している。

最強女師匠4巻レビュー
最強女師匠まとめ
最強女師匠6巻レビュー

登場キャラクター

アラカルト派・孤児組

クロス・アラカルト

孤児組に所属し、アラカルト派のリーダーを務める少年である。S級冒険者の弟子として修行に励む。エリシアに憧れを抱いている。
・所属組織、地位や役職
 アラカルト派、孤児組。レベル0の《無職》。
・物語内での具体的な行動や成果
 怪盗セラスに誘拐された。アジトで盗賊スキルの特訓を受けた。リオーネの遠征に同行し、サマンサ王国でリッチーの眷属を討伐する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 《心魂悟知》などの盗賊スキルを習得した。不在スキル《魔装纏撃》を発現させている。

ジゼル・ストリング

孤児組のメンバーである。クロスを心配し、ギムレットとはたびたび口論になる。
・所属組織、地位や役職
 アラカルト派、孤児組。《撃滅戦士》。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴーレム襲撃時に《慢心の簒奪者》を発動した。その結果、衝撃波を跳ね返している。クロスが誘拐されたことをリオーネたちに知らせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エリシアから特化型職業の修行方針について助言を受けた。

ダート

孤児組の少年である。
・所属組織、地位や役職
 孤児組。
・物語内での具体的な行動や成果
 怪盗セラスの予告状が貼り出されたことをクロスたちへ報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

エリン

孤児組の少女である。ジゼルとギムレットの口論を止める役割を持つ。
・所属組織、地位や役職
 孤児組。《レンジャー》。
・物語内での具体的な行動や成果
 クロスへ接触しようとするギムレットを制止した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

孤児組の面々

冒険者ギルド併設の孤児院で暮らす子供たちである。
・所属組織、地位や役職
 孤児組。
・物語内での具体的な行動や成果
 バスクルビアへ帰還したクロスへ一斉に駆け寄った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ギムレット・ウォルドレア

アラカルト派に所属する貴族の青年である。クロスに強い忠誠を誓う。
・所属組織、地位や役職
 公爵家出身。レベル50の《上級瞬閃剣士》。
・物語内での具体的な行動や成果
 クロスと模擬戦を行った。ゴーレムとの戦闘で衝撃波を受ける。その後、戦闘不能になった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

リラ

ギムレットに仕える従者の女性である。
・所属組織、地位や役職
 ギムレットの従者。《中級盗賊》。
・物語内での具体的な行動や成果
 カトレアが遠くから様子を窺っていることを報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

カトレア・リッチモンド

伯爵家の令嬢である。ギムレットからの派閥合流の誘いを保留している。
・所属組織、地位や役職
 貴族。中級魔導師。
・物語内での具体的な行動や成果
 屋上から二連の凝縮爆撃魔法《ゲイボルガ・エクスプロード》を放った。ゴーレムが再生したため撤退を指示する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ダリウス

カトレアの従者である。
・所属組織、地位や役職
 カトレアの従者。《撃滅騎士》。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴーレムへ大剣を投げつけた。これにより、ギムレットへの追撃を止める。カトレアの指示で撤退の先導をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

パブロフ

カトレアの従者である。
・所属組織、地位や役職
 カトレアの従者。《瞬閃騎士》。
・物語内での具体的な行動や成果
 カトレアの爆撃魔法が命中した際に勝ち鬨をあげた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

カトレアの従者たち

カトレアに仕える者たちである。
・所属組織、地位や役職
 カトレアの従者。
・物語内での具体的な行動や成果
 カトレアとともに警備任務に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

S級冒険者

リオーネ・バーンエッジ

クロスの師匠の一人である。近接戦闘に特化した力を持つ。
・所属組織、地位や役職
 S級冒険者。龍神族。
・物語内での具体的な行動や成果
 セラスのアジトへ駆けつけ、クロスを奪還した。サマンサ王国でリッチーと対峙する。頂点特殊スキル《魔衝爆散》で怪物を討伐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

リュドミラ・ヘイルストーム

クロスの師匠の一人である。魔法を得意とする。
・所属組織、地位や役職
 S級冒険者。ハイエルフ。
・物語内での具体的な行動や成果
 位置特定魔道具でセラスのアジトを突き止めた。セラスへ向けて広範囲火炎魔法を放つ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クロスに《魔法装填》のスキルを教えた。

テロメア・クレイブラッド

クロスの師匠の一人である。回復や呪詛などの邪法を扱う。
・所属組織、地位や役職
 S級冒険者。最上位吸血族。
・物語内での具体的な行動や成果
 自らの生首を投擲してセラスに《スピードアウト・ワールド》を放った。サマンサ王国でリッチーの報復呪詛を吸収する。その結果、呪詛を無害化させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クロスに《気力吸収》のスキルを教えた。

勇者一族・アルメリア王国

エリシア・ラファガリオン

世界を滅ぼしかけた魔神を打ち倒した勇者の末裔である。
・所属組織、地位や役職
 アルメリア王国の勇者一族。最上級職。
・物語内での具体的な行動や成果
 クロスが誘拐されたと知り、認識阻害の外套を羽織って学校中を探し回った。ジゼルへ特化型職業の修行について助言する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ガルグレイド・ラファガリオン

エリシアの父親である。
・所属組織、地位や役職
 勇者一族の現当主。頂点職。
・物語内での具体的な行動や成果
 娘の覚醒を促すため、バスクルビアへ赴く決意を固めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

報告係の最上級剣士

ガルグレイドへ報告を行う男である。
・所属組織、地位や役職
 王族の護衛を務める最上級剣士。
・物語内での具体的な行動や成果
 バスクルビアでのエリシアの様子をガルグレイドに報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

英雄血統の者たち

エリシアの直接護衛を担当する者たちである。
・所属組織、地位や役職
 アルメリア王国。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリシアの屋敷の中心部で警備にあたった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

バスクルビアの学校・ギルド関係者

サリエラ・クックジョー

バスクルビアの領主である。
・所属組織、地位や役職
 冒険者学校の学長。最上級職。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリシアの誘拐予告に対処するため、警備網の構築を指揮した。リオーネへリッチー討伐の報告書提出を求める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

最上級職の男性講師

冒険者学校の講師である。
・所属組織、地位や役職
 冒険者学校の講師。最上級職。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリシアの警備に協力する中級職以上の冒険者を緊急招集した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ギルド職員たち

冒険者ギルドの職員である。
・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド。
・物語内での具体的な行動や成果
 警備参加者の最終チェックを行った。負傷者を担いで離脱するよう指示を出す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

最上級職の先生たち

冒険者学校の講師陣である。
・所属組織、地位や役職
 冒険者学校の講師。最上級職。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリシアの直接護衛にあたった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

冒険者たち

バスクルビアに集まる冒険者たちである。
・所属組織、地位や役職
 バスクルビアの冒険者。中級職以上。
・物語内での具体的な行動や成果
 ギルドの招集に応じ、警備エリアの外周で魔力を提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

怪盗・裏社会

セラス・フォスキーア

頂点職に至った怪盗である。義賊的な一面も持つ。
・所属組織、地位や役職
 《大怪盗》。猫獣人。
・物語内での具体的な行動や成果
 クロスを誘拐し、社交ダンスを用いた特訓を行った。ダムドの地下工房へ侵入する。ゴーレムの素材と財宝を盗み出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ダムド・オーバーロック

違法ゴーレムを製造する老ドワーフである。
・所属組織、地位や役職
 《最上級魔道技師》。
・物語内での具体的な行動や成果
 魔神崇拝者へ違法ゴーレムを売り渡した。大軍を率いてセラスのアジトを襲撃する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ダムドの連れの美女

ダムドとともに行動する女性である。
・所属組織、地位や役職
 ダムドの同行者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ダムドとともに裏の社交場を訪れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

裏の社交場の受付

裏の社交場の受付を担当する者である。
・所属組織、地位や役職
 裏の社交場の受付。
・物語内での具体的な行動や成果
 変装したセラスとクロスをパーティ会場へ案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

暗黒街のボスたち

裏社会を支配する者たちである。
・所属組織、地位や役職
 暗黒街のボス。
・物語内での具体的な行動や成果
 裏の社交場で談笑していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

密輸産業の重鎮

密輸を行う大物である。
・所属組織、地位や役職
 密輸産業の重鎮。
・物語内での具体的な行動や成果
 裏の社交場に参加していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

裏カジノの支配人

裏カジノを取り仕切る者である。
・所属組織、地位や役職
 裏カジノの支配人。
・物語内での具体的な行動や成果
 裏の社交場に参加していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ベテラン詐欺師

詐欺を行う者である。
・所属組織、地位や役職
 詐欺師。
・物語内での具体的な行動や成果
 用心棒を連れて裏の社交場に参加していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

腕利きの用心棒たち

ダムドに雇われた者たちである。
・所属組織、地位や役職
 用心棒。
・物語内での具体的な行動や成果
 地下工房へ侵入したセラスたちを捕らえようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

顧客の私兵の大連合軍

ダムドの魔道具を必要とする顧客から派遣された兵士たちである。
・所属組織、地位や役職
 私兵の大連合軍。
・物語内での具体的な行動や成果
 セラスのアジトを襲撃した。リオーネたちによって攪拌され吹き飛ばされる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

魔神崇拝者

ゴーレムの操縦者

魔神崇拝者の一員である。
・所属組織、地位や役職
 魔神崇拝者。
・物語内での具体的な行動や成果
 空からゴーレムを投下した。その力で警備区域を攻撃する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

魔神崇拝者たち

魔神の再臨と勇者の断絶を望む者たちである。
・所属組織、地位や役職
 犯罪集団。
・物語内での具体的な行動や成果
 バスクルビアの警備区域を襲撃した。セラスによって拘束される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

サマンサ王国

リッチー

サマンサ王国を裏から支配する怪物である。
・所属組織、地位や役職
 死者の王。危険度9オーバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 空から巨大岩石を落下させた。ゾンビモンスターを呼び出す。ギオルグたちに死の刻印を発動した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 リオーネによって討伐された。

ギオルグ

サマンサ王国の軍を指揮する騎士である。
・所属組織、地位や役職
 サマンサ王国の重装騎士指揮官。最上級職。
・物語内での具体的な行動や成果
 娘を逃がすためにクロスたちへ引き渡しを要求した。リッチーの眷属と戦う。クロスを守ろうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ギオルグの娘

ギオルグの娘である。
・所属組織、地位や役職
 サマンサ王国の民。
・物語内での具体的な行動や成果
 生贄にされる前に逃げ出した。クロスたちに助けを求める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

サマンサ王国の重装騎士たち

ギオルグの部下である。
・所属組織、地位や役職
 サマンサ王国の騎士。上級職。
・物語内での具体的な行動や成果
 娘を追って森に現れた。リオーネの攻撃を受けて倒れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

襲撃された町

町長

ゴーレムに襲撃された町の代表である。
・所属組織、地位や役職
 山間部にある町の町長。
・物語内での具体的な行動や成果
 セラスからゴーレムの残骸と財宝を受け取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

襲撃された町の人々

ゴーレムによって家を失った人々である。
・所属組織、地位や役職
 町の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
 町長の家で寝泊まりしていた。セラスへ頭を下げて感謝する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

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ナレーター/榊原優希 大久保瑠美 本泉莉奈 福緒唯 柴田芽衣 朝日奈丸佳 関山美沙紀 厚木那奈美 江田拓寛 櫻台遼己 

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展開まとめ

プロローグ 予告状 

サリエラの学長室

バスクルビアの領主であり冒険者学校の長でもあるサリエラのもとに、勇者の末裔エリシアが式典の打ち合わせで訪れていた。サリエラは、磨き抜かれた宝剣のようなエリシアの実力と立ち振る舞いに感嘆しつつ、以前よりもわずかに雰囲気が柔らかくなっていることに気づいていた。

エリシアへの申し出

サリエラは、勇者の末裔が伴侶探しだけでなく修行の仕上げのためにもバスクルビアに滞在していると聞き、講師や修練場の提供を申し出た。しかしエリシアは、自主訓練と《深淵樹海》探索で問題ないと淡々と答え、学長室を去った。サリエラは、彼女の冷たさが和らいでも、他者との交流を拒む空気はまだ残っていると感じていた。

勇者の仕上げ

サリエラは、エリシアが十六歳にして最上級職へ至った歴代最強勇者であり、自分でも正面から勝てるかわからない相手だと考えていた。そのため、勇者の血筋がバスクルビアで修行の仕上げを行うという慣例に違和感を抱いていた。伴侶探しの名目は理解できたが、すでに最高講師陣すら凌駕するエリシアが何を仕上げるのかは読めなかった。

束の間の休息

サリエラは、勇者や魔神に関する事情には伏せられた情報も多いと考え、深く考えるのをやめた。問題児三人組の来訪やポイズンスライムヒュドラ襲撃、街道崩落などの騒動が続いたが、最近は大きな事件もなく、ようやく休めそうだと感じていた。

バルコニーの封書

サリエラがくつろいでいると、学長室のバルコニーから物音がした。最上級職の感知スキルにも人の気配はなかったが、手すりには赤いバラを添えた封書が貼り付けられていた。そこには、二日後の満月の夜にアルメリアの至宝をいただくという、怪盗セラス・フォスキーアからの予告状が入っていた。

怪盗の予告状

サリエラは一瞬見なかったことにしようとしたが、すぐに職員が駆け込み、街中に勇者エリシアの誘拐をほのめかす予告状がばら撒かれていると報告した。悪名高い怪盗の犯行声明はすでに多くの人の目に触れており、バスクルビアはたちまち大騒ぎになった。

第一章 アルメリアの至宝 

ギムレットとの模擬戦

短期遠征合宿を終えた翌日、クロスは冒険者学校の演習場でギムレットと模擬戦をしていた。クロスは成長した《中級体外魔力感知》と《中級気配感知》を使い、速度低下を受けていない《上級瞬閃剣士》の一撃を受け止められるようになっていた。ギムレットはその成長を大げさに称え、クロスも彼との研鑽に楽しさを感じていた。

ジゼルとギムレットの口論

模擬戦に熱中するクロスとギムレットを見て、ジゼルは不満げに声をかけた。ギムレットはジゼルが嫉妬していると挑発し、ジゼルも激しく反発した。クロスは二人を止めようとしたが、孤児組も巻き込まれ、乱闘模擬戦になりかけたところで、怪盗セラスが勇者エリシアを誘拐すると予告したという知らせが届いた。

怪盗セラスの予告状

学校の大掲示板には、満月の夜にアルメリアの至宝をいただくという怪盗セラスの予告状が貼られていた。予告状は街の各所にも届いており、バスクルビア全体がその話題で騒然となっていた。ギルドと学校は警備協力者を募集し、クロスはエリシアを助けるため、ジゼルやギムレットとともに警備任務へ参加することを決めた。

師匠たちの警戒

クロスが警備参加を報告すると、リオーネ、リュドミラ、テロメアはエリシアの名に反応して固まった。三人はクロスとエリシアの接近を警戒していたが、クロスが外周警備に回ると知ってひとまず安堵した。しかし今度は、警備任務で他の女性と関わる可能性に不安を抱き、ハニートラップへの警戒をもっともらしく教え始めた。

警備区域への招集

翌日、クロスはジゼル、ギムレット、リラとともに高級住宅エリアの警備区域へ入った。そこには侵入者を拒み、強行突破されても位置を知らせ続ける巨大な警備結界が張られていた。外周区域には多くの冒険者や貴族が集まっていたが、中心部ほど重要な配置ではないため、どこか祭りのような浮ついた空気もあった。

ニーナとの合流

クロスたちの班には、《中級レンジャー》のニーナ・ファラディーが加わった。ニーナはクロスとギムレットの主従関係に疑問を持ち、ギムレットはクロスが《無職》でありながら自分を決闘で下したと熱く語った。ニーナはクロスの珍しいスキル構成に興味を示し、近くで覗き込んだため、クロスは動揺し、ジゼルに叱られた。

カトレアの合流

遅れて、カトレア・リッチモンドも従者たちとともに現れた。彼女はギムレットの変わりように困惑し、クロスの下につくことには納得していなかった。ギムレットはカトレアの態度を叱り、ダリウスはクロスに過激な仕置きを止めるよう頼んだ。警備中にも関わらず場が騒がしくなる中、ニーナが空の異変に気づいた。

空から落ちるゴーレム

警報音とともに、警備結界を突破して何十もの岩塊が降ってきた。広場に落ちた岩塊は爆風を撒き散らし、多くの警備参加者に負傷者を出した。その正体は、強力な人造モンスターであるゴーレムだった。ゴーレムからは危険度7に匹敵する威圧感があり、警備区域全体に同じような怪物が撃ち込まれていた。

魔神崇拝者の襲撃

ゴーレムの操縦者は、自分たちが魔神の再臨と勇者の断絶を望む者だと宣言した。怪盗セラスの犯行ではなく、魔神崇拝者が勇者に協力する若手冒険者たちを殺し、勇者の名声を傷つけるために仕掛けた襲撃だった。ゴーレムは負傷者を守ろうとした近接職たちを一撃で吹き飛ばし、戦場は一気に混乱した。

ギムレットの足止め

ギムレットは《一迅百手》でゴーレムの足を集中攻撃し、負傷者への追撃を止めた。しかしゴーレムの防御と再生力は高く、致命傷には届かなかった。クロスは《スピードアウト・ブレイク》と《ガードアウト》を叩き込んだが、ゴーレムには弱体化スキルの効きが悪く、人工物に近い特性が影響しているとギムレットは見抜いた。

衝撃波の直撃

クロスとギムレットが即席の連携で攻めようとした矢先、ゴーレムは不可視の衝撃波を放った。クロスは発射の気配を感知して警告したが間に合わず、ギムレットは足を破壊されて戦闘不能になった。ゴーレムはさらにギムレットを踏み潰そうとしたが、カトレアがダリウスに大剣を投げさせ、攻撃を中断させた。

カトレアの爆撃魔法

カトレアは屋上から二連の凝縮爆撃魔法を放ち、ゴーレムに大きな損傷を与えた。だがゴーレムの核までは届かず、腕や身体のひびも再生し始めた。カトレアは勝てないと即座に判断し、恥も外聞も捨てて撤退を宣言した。その判断に周囲も続き、負傷者を抱えて全員が離脱を始めた。

ニーナへの突進

警備側はゴーレムの操縦者を探す方針に切り替えたが、ゴーレムは感知能力の高いニーナを最優先で狙った。ニーナが逃げ切れないところへ、クロスは遅延していた《風雅跳躍》を解放し、彼女を突き飛ばして救った。クロスは、全員が背を向ければ多くの犠牲が出ると判断し、一人でゴーレムを足止めすると決めた。

二重イージスショット

クロスはゴーレムの攻撃をかいくぐり、ニーナたちへ向かおうとする巨腕に《異形宝剣二重イージスショット》を叩き込んだ。ヴェアトロスは異形の棍棒へ変化し、ゴーレムの腕に二つの黒点を刻んで粉砕した。クロスは自分を無視できない存在として挑発し、ゴーレムの標的を自分へ向けさせた。

ジゼルの反射

ゴーレムが再び衝撃波を放とうとした瞬間、クロスは発動の気配を読み、ジゼルに合図した。ジゼルは《慢心の簒奪者》で衝撃波を跳ね返し、ゴーレムの胴に亀裂を入れた。これで衝撃波は封じられたが、ゴーレムは巨体そのものを使った猛攻に切り替え、クロスは感知スキルと回避でぎりぎり耐え続けた。

核の発見

極限の戦闘の中で、クロスの《中級気配感知》と《中級体外魔力感知》がさらに成長した。彼はゴーレムの動きをより鮮明に読み、ついに体内を移動する核の気配を捉えた。クロスは核を破壊するために懐へ飛び込んだが、ゴーレムは隠し腕を一斉に生やし、最終防衛機能で彼を叩き潰そうとした。

怪盗セラスの正体

クロスが相打ち覚悟で突っ込んだ瞬間、ゴーレムは突然バラバラに切り刻まれ、核も破壊された。その上に立っていたのは、ニーナの姿をしていた怪盗セラスだった。彼女は変身を解き、猫獣人の美女として正体を明かした。ニーナは《大怪盗》の変身スキルで作った仮の姿であり、セラスはクロスの戦いぶりに強く心を動かされていた。

アルメリアの至宝

セラスは、予告状に書いたアルメリアの至宝とはエリシアではなく、この大陸で最も価値ある若手冒険者、つまりクロスのことだと告げた。彼女はクロスを自分好みに育てたいと誘い、クロスがすでに師匠がいると断ると、二週間だけ自分のアジトで過ごし、その間に心まで盗むと言い出した。

クロス誘拐

ジゼルがクロスを連れていくなと止めたが、セラスはクロスを抱き上げたまま一瞬で姿を消し、魔神崇拝者たちを捕らえ、残りのゴーレムを破壊し、負傷者の治療まで済ませた。圧倒的な速度と探知能力を見せつけた彼女は、アルメリアの至宝はいただいたというカードを残し、クロスを抱えて夜の闇へ消えた。

第二章 原石磨く二週間 

師匠たちの異変察知

クロスが警備任務へ出かけた後、リオーネたちは遠くの戦闘音に気づいた。音はすぐに収まったが、戦闘範囲の広さに違和感を覚え、クロスの様子を見に行こうとした。そこへジゼルが必死に走ってきて、クロスが怪盗セラスに攫われたと告げた。

捨てられた位置特定魔道具

リュドミラは、クロスに密かに持たせていた位置特定魔道具で行方を追おうとした。しかし魔道具は近くの路地裏に捨てられており、カードには不要だと記されていた。リオーネたちはジゼルから逃走方向を聞き出し、クロスを救うために南東の空へ飛び出した。

エリシアの放心

一方、サリエラたちはゴーレム襲撃後の混乱に対応していた。ゴーレムはすべて破壊され、負傷者も謎の治療でほぼ救われていたため、エリシアは自分のために犠牲が出なかったことに安堵した。だが、クロスが怪盗セラスに攫われたと聞いた瞬間、彼女は手入れしていたサーベルを落とし、放心した。

セラスのアジト

クロスは怪盗セラスのアジトで目を覚ました。そこは不毛荒野の巨木をくりぬいた建物であり、周囲に人里は見えなかった。クロスは《気配遮断》や感知スキルを使って脱出を試みたが、セラスにはすぐ見抜かれ、逃げ出しても空中で捕まえられた。

二週間の修行提案

クロスは、自分を育てたい理由をセラスに問いただした。セラスは、自分にふさわしいパートナーを育てるためにクロスを選んだと語った。さらに、盗賊スキルを学べば守る冒険者に近づけると説明し、二週間後に帰りたいと言えば必ず帰すと約束した。クロスは無謀な逃走よりも修行を受けたほうがよいと考え、その提案を受け入れた。

社交ダンスの修行

セラスは、盗賊スキルの修行として社交ダンスを用いた。相手の動きを読む訓練や特殊歩法の鍛錬になるという説明を受け、クロスは戸惑いながらもダンスを始めた。最初は密着や言葉に動揺したが、セラスの指導は的確で、クロスは次第に修行へ夢中になっていった。

目隠しの盗賊訓練

修行は日を追うごとに難度を増し、クロスは目隠しをしてセラスの動きや足音、衣擦れの気配を読む訓練に挑んだ。セラスは感知スキルや足運びの要点を教え、クロスは苦戦しながらも高速のダンスに没頭した。十日以上が経つころには、クロスはセラスと完璧に息を合わせて踊れるまでに成長していた。

裏社交場への潜入

修行の仕上げとして、セラスはクロスを大都市の裏社交場へ連れていった。彼女はドーラ帝国宰相家の嫡男に変装し、クロスも変身スキルによって令嬢の姿にされていた。クロスは強い羞恥を覚えたが、裏社会の大物たちが集まる危険な場で騒ぎを起こせず、セラスに導かれてダンスを披露した。

ダムドとの接触

セラスは、裏社交場の大物である老ドワーフのダムド・オーバーロックに接触した。ダムドは最上級魔道技師であり、セラスは彼に核宝玉を見せて反応を探った。ダムドが核宝玉に強い執着を示したことで、セラスは彼が魔神崇拝者に違法ゴーレムを売った可能性が高いと判断した。

地下工房への侵入

翌夜、セラスは核宝玉に仕込んだ目印を追い、クロスとともにダムドの屋敷へ侵入した。屋敷には厳重な警備や魔法罠があったが、セラスは《大怪盗》のスキルで次々と突破し、地下工房へ到達した。そこにはバスクルビアを襲ったものと同型のゴーレムや、衝撃波を発生させる機構が残されていた。

ゴーレムとの実戦

セラスが核宝玉を回収すると警報が鳴り、地下工房のゴーレムたちが動き出した。セラスはほとんどを一瞬で無力化したが、残る一体をクロスに任せた。クロスは十日間の修行で得た《心魂悟知》と《暗脚》を使い、ゴーレムの攻撃や衝撃波を読み切り、最後は《イージスショット》で核を貫いて勝利した。

盗まれた地下工房

クロスがゴーレムを倒すと、用心棒たちが地下工房へ押し寄せた。セラスはクロスを抱えたまま警備をすり抜け、魔法防壁を宝刀で切り裂いて脱出した。さらに宝物庫や設計図、核宝玉をすべて盗み、怪盗セラスのカードを残して屋敷を去った。

壊れた町への返礼

セラスはその後、衝撃波ゴーレムに襲われた山間の町へ向かった。彼女はゴーレムの残骸を見せ、ダムドを突き止めて壊滅させたことを町の人々に伝えた。さらに、ダムドの財宝の一部を町の復興資金として渡した。クロスは、盗品を自分の懐にも収めるセラスに呆れつつ、義賊のような一面にも惹かれていた。

二週間後の返事

アジトに戻った後も、クロスはセラスと修行を続けた。二週間が過ぎる直前、セラスはこのまま自分と来るかを尋ねた。クロスは、セラスに感謝しながらも、自分を最初に認めて育ててくれたリオーネたちのもとで守る冒険者になりたいと考え、帰りたいと伝えようとした。

ダムドの襲撃

その返事の直前、ダムドが千人近い軍勢を率いてアジトを襲撃した。彼は地下工房に残ったクロスの血から居場所を突き止めていた。セラスが戦おうとしたところへ、リオーネ、リュドミラ、テロメアが現れ、巨大竜巻で軍勢を一掃した。

師匠たちとの再会

リオーネたちは、クロスの髪の毛から位置を探る魔道具を使い、アジトを突き止めていた。クロスは師匠たちの登場に驚き安堵したが、セラスが二人は魂の深い場所で何度も繋がった仲だと挑発的に言ったため、師匠たちは激怒した。クロスの説明は誤解を解くには間に合わず、戦闘が始まった。

頂点職同士の激突

リオーネ、リュドミラ、テロメアは、クロスを抱えるセラスへ猛攻を仕掛けた。セラスは《大怪盗》の感知と機動力、国宝級魔道具を駆使して攻撃を避け続けたが、テロメアの速度低下の呪いとリュドミラの弾幕、リオーネの近接攻撃により追い詰められた。ついにリオーネの拳がかすり、クロスはセラスの腕から離れた。

クロスの奪還

リオーネは宙に投げ出されたクロスをすぐに抱きとめ、テロメアやリュドミラも彼の無事を確認した。クロスは師匠たちが助けに来てくれたことに心から感謝し、安心した笑みを浮かべた。その表情を見たセラスは、クロスの気持ちが三人のもとにあることを悟った。

怪盗の撤退

リュドミラは遠慮なく広範囲火炎魔法を放ち、セラスを追い払おうとした。セラスはかろうじて回避し、さらに分身スキルで逃走した。リオーネたちは深追いすればクロスを再び狙われると判断し、追撃を断念した。

怪盗の予告

クロスは、セラスが残したメッセージカードに気づいた。そこには、今回は約束通りクロスを返すが、いつか必ず彼の心をいただきに参上すると書かれていた。クロスは全然わかっていないと慌てたが、厚意で自分を鍛えてくれた怪盗との縁を断ち切れず、そのカードを懐へ隠した。

執着の芽生え

遠くからクロスたちを見送るセラスは、クロスが最も守りの堅いお宝だと感じていた。彼女は、クロスの才能は複数の職業のもとで伸びると考え、今後はバスクルビアに潜伏してこっそり育成に関わるつもりでいた。セラスは、クロスへの愛着が執着へ変わりつつあることにまだ気づかないまま、最後には彼の心を盗むと決めていた。

第三章 帰還と出発 

帰還後の事情聴取

セラスとの一件が一応解決し、クロスはリオーネたちとともにバスクルビアへ戻った。しかし屋敷に帰ると、リオーネたちはクロスが攫われていた間に妙なことをされていないか、魔道具まで使って何度も確認した。クロスは女装やダンス修行のことまで包み隠さず話し、三人は一線を越えるようなことはなかったと判断して、ひとまず安心した。

新しい自衛スキル

テロメアは、クロスが誰かに捕まったり押し倒されたりした時に備え、触れた相手から気力を奪う《気力吸収》を教えることにした。リュドミラも、クロスがセラスとの二週間で《遅延魔法》を伸ばしていたことに着目し、《遅延魔法》の上位にあたる《魔法装填》を教えようとした。三人はセラスに対抗するように、クロスへ新しい修行方針を次々と示した。

学校への帰還

翌日、クロスは二週間ぶりに冒険者学校へ向かった。談話室を覗くと、ギムレットが涙ながらに突撃してきて、クロスを守れなかったことを激しく悔いた。孤児組もクロスの帰還に騒ぎ、ジゼルにも知らせようとしたところ、本人が現れた。

ジゼルの涙

ジゼルはクロスの姿を見るなり涙をこぼし、帰っていたならすぐ知らせろと怒った。彼女は、クロスが無事だったことに安堵しながらも、怪盗セラスに攫われた件について話を聞くため、クロスを食堂の半個室席へ連れ出した。クロスは、ジゼルにもセラスとの二週間の顛末をほぼ包み隠さず話した。

ジゼルの悔恨

ジゼルは、クロスがセラスに目を付けられたのは、自分がゴーレム戦で十分に援護できなかったせいかもしれないと悔いた。彼女は《撃滅戦士》として大きな才能を持ちながらも、クロスやギムレットに追いつく方法がわからず、伸び悩んでいる自分を情けなく思っていた。クロスは気持ちは理解できたが、安易な慰めも具体的な助言もできずに迷っていた。

エリシアの来訪

そこへ、エリシアが認識阻害の外套を羽織って現れた。彼女は、クロスが自分の警備に参加した結果攫われたと聞き、ずっと心配して学校中を探し回っていた。クロスは手を握られて大きく動揺したが、周囲に注目されるとエリシアの正体が露見する危険に気づき、落ち着くよう促した。

露見した密会

エリシアはクロスの隣に座り、以前一緒に行った店で改めてお詫びをしたいと話した。そこで同席していたジゼルは、クロスとエリシアが以前からこっそり会っていたことを知り、激しく詰め寄った。エリシアもジゼルを認識し、以前クロスと仲直りするためのお菓子選びに関わっていたことを口にしたため、ジゼルの疑念はさらに深まった。

撃滅戦士への助言

クロスは険悪になった空気を変えるため、ジゼルの修行方針についてエリシアに助言を求めた。エリシアは、《撃滅戦士》なら攻撃スキルと膂力強化系スキルを徹底して伸ばすのが最適だと断言した。ジゼルは、クロスやギムレットに惑わされて自分の職業の長所を見失っていたと気づき、何かを掴んだように演習場へ向かった。

短い再会

ジゼルが席を外したあと、クロスとエリシアは互いの無事を確認し、短い時間を過ごした。エリシアは、今回の誘拐事件について改めて詫びをしたいと伝え、時間ができたらまた誘うと告げた。クロスは彼女の気遣いをありがたく受け止めた。

近づく師匠たち

数日後、クロスは学校と修行のある日常に戻っていた。ただ、セラスの一件以降、リオーネたちとの距離が微妙に近くなったように感じていた。特にリュドミラのマッサージが以前より丁寧で、クロスは師匠たちを意識してしまう自分を戒めながら大浴場で汗を流していた。

浴室のテロメア

クロスが浴室にいると、タオル一枚のテロメアが現れ、最近大変だったクロスを労うために背中を流すと言い出した。クロスは大きく動揺しながらも、嫌ではないと答えた。しかし触れてくる手や鼓動の違和感から、テロメアが無理をしているのではないかと気づいた。

偽物のテロメア

その直後、脱衣所から本物のテロメアが現れた。クロスの背中を流していたテロメアは、セラスが変身していた偽物だった。セラスは、クロスの様子を見に来たのだと月下で笑ったが、駆けつけたリオーネとリュドミラも加わり、屋敷は大混乱となった。セラスは攻撃を避けきり、目的は果たしたとして闇夜へ逃げた。

セラスの牽制

セラスは、師匠たちの姿で過激な接触をしておけば、今後誰かがクロスへ強引に迫っても警戒されると考えていた。彼女は三人に比べて自分が不利な立場だと理解し、長期的にクロスの心を盗むための布石を打ったのだった。ただし、変身していたとはいえクロスに近づいたことで自分も緊張してしまい、しばらく顔を合わせられないと感じていた。

屋敷の警備強化

セラスが屋敷に侵入したことで、リオーネたちはさらに警戒を強めた。お風呂やトイレの入り口まで見張り、就寝時にも添い寝に近い距離で寝室を警護する状態になった。のちに感知系のマジックアイテムで屋敷の防衛は強化されたが、クロスはしばらく恥ずかしく申し訳ない状態を過ごすことになった。

リオーネとの依頼同行

ある週末、クロスは遠方の依頼に出かけようとするリオーネを見かけた。屋敷の警備強化で出費が重なっていたことを知り、クロスは少しでも手伝いたいと申し出た。リオーネは危険度やクロスとの時間を考えたうえで同行を認め、クロスはリュドミラとテロメアに書き置きを残して、リオーネとともにバスクルビアを出発した。

血塗られた祭壇

深い森の洞窟では、血にまみれた祭壇の前に骸が積み上がっていた。そこにいた影は、十数年かけて人の身を捨て、力を蓄え、禁術によって本来の力を得たと歓喜していた。影は頂点職さえ打ち破れると確信し、さらなる力を求めて命を啜り続けていた。

第四章 危険度9オーバー 

抜け駆けへの殺意

リュドミラとテロメアが屋敷に戻ると、そこにはクロスとリオーネの書き置きだけが残されていた。二人は、泥棒猫対策の最中にリオーネがクロスを連れて依頼へ出たと理解し、完全な無表情で怒りを滾らせた。リュドミラは位置特定魔道具を起動し、リオーネへの制裁を決めた。

幸運な採掘依頼

クロスとリオーネは、大陸東の危険地帯で特殊鉱石を採取する依頼を終え、予想より早く帰路についていた。危険度の高いモンスターが多く、鉱石の発見率も低い依頼だったが、クロスは採掘開始から短時間で二つも鉱石を見つけた。リオーネはクロスの幸運をからかいながらも、依頼への貢献を喜んでいた。

逃げてきた少女

森で休憩していたクロスたちの前に、白いワンピース姿の傷だらけの少女が逃げ込んできた。少女は捕まれば生贄にされると訴え、直後に重装騎士たちが追いついた。騎士の指揮官は少女の引き渡しを求めたが、リオーネは拒み、襲いかかってきた騎士たちを一瞬で叩き伏せた。

父親の正体

指揮官騎士は最上級職であり、リオーネの攻撃を受けても立ち上がったが、次の一撃で鎧ごと吹き飛ばされた。クロスが生死を確かめようとしたところ、少女はその騎士を父と呼んだ。リオーネは事情を聞くため、騎士団をポーションで回復させ、全員を正座させた。

サマンサ王国の怪物

指揮官ギオルグは、サマンサ王国が十年以上にわたり怪物に裏から支配され、生贄を要求され続けてきたと語った。その怪物は王城を一晩で制圧し、逆らえば何十倍もの民を殺したため、国は抵抗できなかった。怪物の存在を知る者には呪詛がかけられており、助けを求めることも密告することも許されなかった。

S級冒険者の証

ギオルグは、過去に事情を知って討伐に挑んだ実力者たちも全員帰ってこなかったと語り、リオーネにも手を引くよう頼んだ。しかしリオーネは、自分がS級冒険者である証を示し、その怪物にS級が挑んだことはあるのかと問い返した。ギオルグは初めて希望を抱き、リオーネなら王国を支配する死者の王を倒せるかもしれないと口にした。

空から落ちる岩山

その直後、空から山のような巨大岩塊が落下してきた。ギオルグたちは絶望したが、リオーネは《極限身体能力強化》と《極限膂力強化》を発動し、《闘神崩拳》で岩塊を正面から粉砕した。空には、サマンサ王国を支配するリッチーが浮かんでいた。

リッチーの再見殺し

リッチーは、禁術によって人の身を捨てた死者の王だった。リオーネは頂点土石魔法の弾幕を突破して拳を叩き込んだが、リッチーは魔法職とは思えない耐久で受け止めた。彼のユニークスキル《再見殺し》は、一度受けた近接攻撃スキルとその同系統上位スキルに永続的な超高耐性を得る力であり、リオーネの近接攻撃を次々と無効化した。

届かない拳

リッチーは、王国の騎士団から数百種もの近接スキルを受け続け、魔導師の弱点である近接攻撃への耐性を築いていた。リオーネは強化スキルを重ね、さらには岩石を投げつける力技まで試したが、それさえも耐性の対象として防がれた。リッチーは魔神崇拝者に資金を与え、国外からも生贄を運ばせていたことまで明かし、さらに力を増してきたと誇った。

灼熱の海

リッチーは頂点火炎魔法と頂点土石魔法を組み合わせ、灼熱のマグマでリオーネを飲み込んだ。リオーネは風圧でマグマを吹き飛ばして脱出したが、腕には軽い火傷が残っていた。クロスは、頂点職のリオーネにも明確なダメージが通ったことに危機感を覚えた。

死者の軍勢

リッチーは、クロスたちが動こうとしたことを見て《眷属召喚》を使い、ゾンビ化したモンスターの群れを地中から呼び出した。さらに《死の刻印》を発動し、呪詛を受けていたギオルグたちを苦しませた。ギオルグは命を削って戦おうとしたが、部下や娘を守りきるには力が足りず、クロスは彼らを守るため前に出た。

魔法装填の実戦

クロスはリュドミラから教わった《魔法装填》を使い、四肢に装填していた《トリプルウィンドランス》を解放してゾンビの群れを吹き飛ばした。さらに感知スキルと《暗脚》を駆使し、ギオルグを防御に専念させながら前衛として戦った。しかし大型ゾンビは非常にしぶとく、魔防も高いため、通常の剣戟や風魔法では決定打にならなかった。

魔装纏撃の発現

リオーネは、クロスに以前提案していた《魔法装填》を武器に乗せる試みを実戦で試すよう促した。クロスは師を信じ、危険な乱戦の中で《中級剣戟強化》と《魔法装填》を無理やり組み合わせ続けた。極限の集中の末、ヴェアトロスに風魔法を纏わせる不在スキル《魔装纏撃》が発現し、大型ゾンビ三体をまとめて消し飛ばした。

眷属の一掃

《魔装纏撃》は、魔法と近接スキルの性質を併せ持つ強力なエラースキルだった。クロスはその破壊力で大型ゾンビを次々と削り飛ばし、ギオルグと協力して死者の軍勢を一掃した。彼は《イージスショット》と《魔装纏撃》でリッチーを倒す方法を探ろうとしたが、その時にはリオーネもすでに敵の底を見切っていた。

リオーネの開拓スキル

リオーネは、リッチーの隠し球が《再見殺し》以外にないと見抜き、様子見をやめた。彼女は自ら開拓してきた未知の近接スキルを次々と叩き込み、《再見殺し》の耐性をすり抜けてリッチーを圧倒した。リオーネは、頂を進む冒険者は未知のスキルを自分で磨き見つけるものだとクロスに示した。

正道の拳

リッチーは、リオーネも禁術に手を出したのだと思い込み、秘術をよこせと叫んだ。しかしリオーネは、他者を食らって得た力ではその程度なのだと断じ、頂点特殊スキル《魔衝爆散》を叩き込んだ。災害級の衝撃と魔力がリッチーを内側から爆散させ、正道を極めたリオーネが邪道の怪物を真正面から打ち破った。

弟子からの称賛

戦いの後、リオーネは自分に新しい特殊スキルが閃かなかったことを少し不満に思ったが、クロスが《魔装纏撃》を発現したことで満足していた。クロスはリオーネの手を握り、反則のようなユニークスキルを真正面から破った彼女を興奮した様子で称えた。リオーネは、愛弟子からの純粋な好意と尊敬に大きく動揺した。

報復の呪詛

ギオルグたちはリッチーの死を理解し、王国が生贄から解放されたことに涙した。しかしその直後、森の奥からリッチーの報復の呪詛が黒い濁流となって押し寄せた。リオーネは全てを吹き飛ばそうとしたが、呪詛が飛散すれば周囲が汚染される状況だった。

追いついた二人

リュドミラとテロメアが追いつき、リュドミラは頂点氷結魔法で呪詛の濁流を凍らせた。テロメアは呪詛の魔力を吸収して無害化し、森を再生させた。二人はクロスの無事を確認すると、リオーネが抜け駆けしたことへの怒りから彼女へ攻撃を仕掛け、クロスは新たに始まった師匠たちの激突を慌てて止めに入った。

エピローグ 

リッチー討伐後の帰還

リオーネたちの争いはクロスの説得でどうにか収まり、ギオルグはリッチー討伐と報復呪詛の処理に深く感謝した。クロスたちは疲弊したサマンサ王国で歓待を受けることを辞退し、報酬は冒険者ギルドに適正額を算出してもらう形にして、いったんバスクルビアへ戻った。

リッチー討伐の報告

帰還後、クロスは《魔装纏撃》の検証と習熟を中心に修行へ戻った。しかし、リッチーが国を秘密裏に支配していた事件は重大だったため、サリエラは連日リオーネのもとを訪れ、詳細な報告書を求めた。リオーネは面倒がったが、サリエラはリッチーが放置すれば伝説級の脅威になり得る怪物だとして、禁術の出所や成った時期を特定する必要があると訴えた。

魔神崇拝者の拠点

リッチーの根城からは、魔神崇拝者との繋がりを示す物証が見つかっていた。そこから大きな拠点の一つが特定され、サリエラは報酬の良い仕事としてリオーネたちに伝えた。三人は誰がクロスと行くかでまた揉めかけたが、最終的に火事場泥棒を兼ねるような形で魔神崇拝者のアジトは一瞬で壊滅した。

屋敷の警備網

魔神崇拝者の拠点から得た追加報酬や警備アイテムにより、屋敷の盗賊対策は大きく強化された。リュドミラたちは最上級の警備アイテムと感知スキルを組み合わせ、世界最高レベルの防犯体制を整えた。クロスは、防犯ブザーまで渡され、師匠たちが自分のために築いた警備網の規模に言葉を失った。

さらなる修行

魔神崇拝者は長く暗躍してきた組織であり、今回潰したのは拠点の一つにすぎなかった。それでもリッチー討伐をきっかけに大きな打撃を与えられたのは確かだった。クロスは、どんな脅威からも人を守れるようになりたいと改めて思い、師匠たちやエリシアの力になれる日を目指して修行に励んだ。

一か月の成長

直近一か月で、クロスは剣戟、風魔法、感知、回避、気配遮断など多くのスキルを大きく伸ばしていた。さらに《暗脚》《中級挙動感知》《気力吸収》《心魂悟知》《魔法装填》《魔装纏撃》といった新しいスキルも発現していた。セラスとの修行やリッチー戦を経て、クロスの力は短期間で大きく進んでいた。

王城の報告係

アルメリア王国の王城では、最上級剣士の報告係が、エリシアに関する報告書を持って一人の男を訪ねていた。その男は、勇者一族の現当主であり、エリシアの父であるガルグレイド・ラファガリオンだった。報告係は、怪盗セラスの予告状に便乗した魔神崇拝者の襲撃をエリシアが無傷で切り抜けたと報告しようとしたが、ガルグレイドは雑多な情報は不要だと切り捨てた。

勇者の仕上げ

ガルグレイドが気にしていたのは、エリシアの修行の仕上げだった。報告係は、ユニークスキルの覚醒の兆しはまだないと伝えた。ガルグレイドは、勇者の一族に代々伝わるユニークスキルの覚醒は魔神を確実に滅するために必要な責務だと考えていた。

覚醒の条件

勇者のユニークスキルを最大まで押し上げるには、厳しい修行ではなく特別な条件が必要だった。ダンジョンに閉じ込めることや危険地帯で戦わせること、格上との戦闘を強制することでは解決できず、下手な助言は逆効果にもなり得た。ガルグレイドは、エリシアが強い男と恋に落ちれば話が早いと真面目に考えていた。

父の来訪予感

ガルグレイドは、これからの指針をそれとなく示す必要があると判断した。彼はエリシアの様子を見に行くことを考え、鋭い視線をバスクルビアの方角へ向けた。

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