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フィクション(Novel)望まぬ不死の冒険者

小説「望まぬ不死の冒険者 1巻」感想文・ネタバレ

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フィクション(Novel)

望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者2巻

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どんな本?

望まぬ不死の冒険者』は、丘野優 氏による日本のライトノベル作品。
小説家になろうにて2016年9月22日より連載されており、オーバーラップノベルスより刊行されている。
イラストはじゃいあん 氏が担当。
物語は、銅級冒険者のレント・ファイナが水月の迷宮で龍に食われて不死の魔物として蘇るところから始まる。
レントは魔物を食らうことで進化していき、骨人から屍食鬼、下級吸血鬼となる。
レントは自分の境遇に苦しみながらも、冒険者としての夢を捨てずに、魔物と人間の狭間で生きることを決意する。
しかし、レントの存在は世界の秩序を揺るがす危険なものとして、様々な勢力の注目を集めてしままう。
この作品は、コミカライズやテレビアニメ化もされており、人気の高いファンタジー作品。
コミカライズ中曽根ハイジが作画を担当し、コミックガルドにて連載中。
テレビアニメは2024年1月より放送予定。

読んだ本のタイトル

#望まぬ不死の冒険者 1
著者:#丘野優 氏
イラスト:#じゃいあん  氏
出版社:オーバーラップノベルス
発売日 2017年10月25日
ISBN 978-4-86554-240-0

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あらすじ・内容

最高の神銀級冒険者を目指し早十年。
おちこぼれ銅級冒険者のレントは、ソロで潜った《水月の迷宮》で《龍》と遭遇し、その圧倒的な力の前に為す術なく喰われた。

――そして、レントは“目覚めた”。

なぜか最弱モンスター「スケルトン」の姿で……!?
レントは討伐を回避するため、魔物の『存在進化』――魔物を倒して経験を積み、上位の魔物へ進化することを目指す。
存在進化して「グール」になれば、人間だと誤魔化せるかもしれない。
その最中、レントはついに人間の駆け出し冒険者リナ・ルパージュと出会う。
魔物からリナを助けたレントは、存在進化で得た新しい力の強さを知り……!?
強大な魔物と戦い、多くの謎に出会い、そして強くなる。
死してもなお遙かなる神銀級を目指して、不死者レントの『冒険』がいま、始まりを告げる――!

望まぬ不死の冒険者
望まぬ不死の冒険者特設サイト

感想

作者さんの名前で購入を決めた。

以前読んだ作品は『平兵士は過去を夢見る』『悪役一家の奥方、死に戻りして心を入れ替える。』の2作品。

順番では平兵士→望まぬ→悪役一家といった順番。

ちなみに、、

(WEB版)望まぬ不死の冒険者は読まないでいる。

先が気になるが、読むつもりは無い。
打ち切られたら読むかもしれないけど。。

そして、アニメ化だと?

最初は骸骨だぞ?
作画とか荒かったら絶対見ないでおこう。
続報が待ち遠しい。

才能が無く、10年ほど銅級冒険者として燻っている冒険者レント。

本人は底辺冒険者だと思っていたが、冒険者ギルドでは新人育成に定評があり死亡率低下に貢献しており。
さらに街の冒険者が粗暴な行動をすると制裁したりして、治安維持に貢献してくれる貴重な人材だった。

そんなレントは、通い慣れた低級ダンジョンで偶然に新しい通路を見つけて、軽い気持ちで探索したら、ドラゴンが現れて喰われてしまった。

そして、気が付いたら彼はスケルトンになっていた。

骨だけの存在になり、周りのスケルトンはレントを敵視して襲ってくる。

それを筋肉の無い状態で何とか剣を振って倒したレントは、死屍鬼へと存在進化して自身が進化出来ると知る。

何とか街に帰りたいと孤軍奮闘してるが死屍鬼になってしまったせいでなかなか帰る目処が立たない。

 そこに単独でピンチになってる新人冒険者に出会い、その冒険者の手助けで街に入る事が出来た。

 そしてかつての知り合い達と再会する。

大抵の連中は彼だと気が付いておきながらもソッとしておいてくれる。

唯一彼が頼ったロレーヌだけが彼を匿い共に住むようになる。

そして彼、レントは冒険者と再出発する。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者2巻

考察・解説

冒険者の魔物化

冒険者の魔物化は、本作の主人公であるレント・ファイナの身に起きた極めて特異な現象である。彼が経験した魔物化の経緯、能力の変化、存在進化のプロセス、そして魔物化による社会的な影響について解説する。

魔物化の経緯と特異性
銅級下位冒険者であったレントは、水月の迷宮の未発見の通路で遭遇した神に等しい存在である龍に食われてしまう。しかし、彼は確実に死んだにもかかわらず、肉も皮膚もない骨だけの魔物である骨人(スケルトン)として意識を取り戻した。一般的なアンデッドとの違いは以下の通りである。

  • 生前の記憶や意識、人格を完全に保持している
  • 人間であった頃の剣術の知識を使用できる
  • 生前持っていた魔力、気力、聖気の3つの力もそのまま使用できる

さらに、彼の顔には魔物化に関係していると思われる青白く発光する謎の刺青が刻まれていた。

魔物としての成長と存在進化
魔物には、年月や経験を積むことで上位の存在へと変化する存在進化という性質がある。レントは再び人間社会へ戻るために、より人間に近い外見を持つ上位の魔物への進化を目指して迷宮で魔物を狩り続けた。魔物化したレントは、他の魔物を倒すたびに相手の力を吸収し、生前には考えられなかったスピードで身体能力や魔力、気力、聖気を向上させていく。その結果、彼は以下のように存在進化を遂げた。

  • 屍食鬼(グール)への進化:スライムなどの魔物を倒し続けた結果、骨だけの体に干からびた肉がつき、屍食鬼へと進化した。これにより、かすれながらも声を出せるようになる。
  • 屍鬼への進化:その後、吸血鬼の眷属である屍鬼へと進化を果たす。外見は以前よりも人間に近づき、会話も格段に流暢になったが、同時に人間の血肉を求めるという魔物としての強い本能や渇望を抱えることになる。

学者であるロレーヌは、レントの存在進化について、魔物自身がなりたいと望む方向へ進化が進むのではないかという仮説を立てている。レントが人間に近い姿になりたいと強く望んだことが、屍鬼への進化に影響したと考えられる。また、魔物をただ倒すだけでなく、人間の血肉を摂取するといった特定の本能的条件を満たすことが進化のトリガーになる可能性も示唆されている。

魔物化した冒険者の社会的立場と生き残り
アンデッドは神の摂理に反する存在であり、人間社会では神官の浄化魔術や冒険者による討伐の対象となる。そのため、レントは魔物化した事実を隠さなければならなかった。人間社会で生き残るため、彼は以下の対策を講じた。

  • 黒いローブと仮面の着用:駆け出し冒険者のリナに依頼して体を隠すための黒いローブを用意してもらい、発光する顔を隠すために呪われて外れなくなった骸骨の仮面を被ることで、負傷した怪しげな冒険者を装った。
  • 偽名での再登録:元のレント・ファイナの姿のままでは冒険者組合で怪しまれるため、ロレーヌの助言を受け、彼女の親戚を装ってレント・ヴィヴィエという偽名で鉄級の新人冒険者として登録をやり直した。

まとめ
冒険者の魔物化は、命を落とした人間が討伐対象のアンデッドになってしまうという絶望的な状況である。しかし、レントはそれに屈することなく存在進化の仕組みを利用して人間に近づこうと奮闘し、神銀級冒険者になるという生前からの夢を追い続けている。

存在進化の追求

存在進化の追求は、魔物となってしまった主人公レント・ファイナが、人間社会への復帰と神銀級冒険者になるという生前からの夢を叶えるために行っている最も重要な活動である。彼がどのように存在進化を追求しているのか、その過程とメカニズムの仮説について解説する。

存在進化を目指す目的と初期の取り組み
龍に食われて不死系の魔物である骨人(スケルトン)として蘇ったレントは、そのままの姿では神官による浄化や他の冒険者からの討伐対象となってしまうため、街に戻ることができなかった。そこで彼は、魔物が年月や経験を積むことで上位の存在へと変化する存在進化という性質を利用することを思いつく。より人間に近い外見を持てば、ローブや仮面で体を隠すことで人間社会に紛れ込むことができると考えた彼は、以下の行動をとった。

  • 最初の目標を肉体を持つ屍食鬼(グール)に定める
  • 迷宮内で魔物討伐を開始する

屍食鬼から屍鬼への進化プロセス
レントは迷宮で他の骨人やスライムなどの魔物を倒し続け、そのたびに相手の魔力、気力、聖気を吸収して自身を強化していった。その結果、以下のプロセスで進化を遂げる。

  • 骨だけの体に干からびた肉が張り付き、念願の屍食鬼へと存在進化を果たす。これにより、不完全ながらも声を出せるようになった。
  • その後、自身の抑えきれない本能により、友人である学者ロレーヌの血と肉を口にしてしまう。
  • この出来事を経て、さらに上位の魔物であり、吸血鬼の眷属である屍鬼へと進化を遂げる。外見は以前よりも人間に近付き、会話も格段に流暢になるなど、大きな変化が現れた。

存在進化のメカニズムに関するロレーヌの仮説
学者であるロレーヌは、レントの進化プロセスを観察し、謎の多い存在進化のメカニズムについて2つの重要な仮説を立てている。

  • なりたい姿への進化:一般的に骨人の上位種には骨兵士や骨巨人など様々な魔物が存在するが、レントは屍食鬼や吸血鬼といった人間に近い姿への進化を辿っている。これを、環境への適応だけでなく、魔物自身がなりたいと望む方向へ進化が進むのではないかと推測している。
  • 進化のトリガーとなる条件:魔物を倒して力を蓄積するだけで進化できるなら、強力な骨巨人を倒した直後に進化が起きていたはずである。しかし実際に屍鬼へ進化したのは、レントがロレーヌの血と肉を取り込んだ後だった。このことから、進化には単なる力の蓄積だけでなく、魔物の本能や性質に従った特定の行動(条件)を満たす必要があると考えられている。

まとめ
一連の進化と考察を経て、レントは最終的な目標を人間に近づくことに定めた。もし存在進化が望む姿へ近づく現象であるならば、進化を続けることでいつか本当に人間に戻れる、あるいは人間と見分けがつかない吸血鬼などに至る可能性があると信じたためである。この目標を達成し、神銀級冒険者になるという夢を追うため、レントはレント・ヴィヴィエという新たな名前で鉄級冒険者として登録をやり直し、さらなる存在進化を求めてより難易度の高い迷宮への探索を続けていく決意を固めている。

少女リナとの遭遇

少女リナとの遭遇は、魔物となってしまった主人公レントが初めて人間との接触を果たし、人間社会への復帰に向けた大きな足がかりとなった重要な出来事である。遭遇の経緯や意思疎通のプロセスについて解説する。

遭遇の背景とリナの窮地
骨人から屍食鬼(グール)へと存在進化を果たし、不完全ながらも声を出せるようになったレントは、迷宮内で剣戟の音を聞きつける。孤独な迷宮生活で人恋しさを募らせていた彼は、少し様子を見るだけならと音のする方へ向かった。そこでは、鉄級の駆け出し冒険者である少女が、骨人(スケルトン)に追い詰められ絶体絶命の窮地に陥っていた。彼女が危機に陥った背景は以下の通りである。

  • 王都から辺境都市マルトへやってきたリナ・ルパージュという名の冒険者であった
  • 実際には十分な素養があったものの、女性で華奢な見た目や経験の浅さから誰ともパーティを組めなかった
  • 無謀にもソロで迷宮を探索していた

レントによる救出と実力の証明
魔物の姿になってはいても心は人間のままであるレントは、目の前で死にかけている後輩冒険者を見殺しにすることはできず、以下の行動をとった。

  • 自ら姿を現して骨人の注意を引く
  • 気力を込めた剣を振り下ろし、骨人を一撃で真っ二つにして彼女を救出する

かつての万年銅級時代には考えられなかった骨人を一刀両断するという成果に、レント自身も自分の成長に大きく驚くことになった。

魔物への恐怖と必死の意思疎通
一方のリナは、助けられたとはいえ、顔に青白く発光する謎の刺青を持つレントを見て強力な特殊個体の屍食鬼であると判断し、絶望と恐怖から剣を構えて拒絶する。もしこのままリナが逃げ帰り、冒険者組合(ギルド)に強力な魔物が出たと報告されれば、上位の冒険者による討伐隊が組まれてしまい、今のレントでは生き残れない。そのためレントは、喉の構造上うまく喋れない状態でありながらも、必死にたどたどしい言葉で自分は冒険者のレントであることや、死んで魔物になってしまったことを説明し続けた。

衣服の調達依頼と恩義の約束
レントの必死の説得と、襲いかかってこないという事実から、リナは徐々に警戒を解き、彼がかつて人間だったという事情を理解し始める。レントは人間社会に戻るために、魔物の体を隠すための服(ローブなど)を買ってきてほしいと頼み、迷宮内で拾い集めていた生前の自分の貯金を代金として渡した。リナは、相手が魔物の姿であっても命を救われた事実に変わりはないと考え、騎士の家の娘として、恩には報いますと約束し、服を調達するために街へと戻っていった。

まとめ
このリナというお人好しで誠実な少女との出会いと協力があったからこそ、レントはのちに人間社会(街)への侵入を果たすことができたと言える。

魔術師ロレーヌの協力

魔術師であり学者でもあるロレーヌ・ヴィヴィエの協力は、魔物(不死者)となってしまった主人公レントが人間社会で生き延び、冒険者としての活動を再開するために不可欠なものである。彼女の多岐にわたるサポートや協力関係について解説する。

現状の受容と生活拠点・ギルド業務の提供
レントが屍食鬼(グール)の姿となってロレーヌの家を訪れた際、彼女は驚きはしたものの、彼を拒絶することなく冷静に状況を受け入れた。そして、魔物の姿では冒険者組合(ギルド)に入れないレントに代わり、以下のサポートを行っている。

  • 迷宮で得た魔石や素材の換金の代行
  • 自身の家を当面の生活拠点としての提供

存在進化の研究と学術的な助言
ロレーヌは魔物や魔術を研究する学者であり、レントの保護と引き換えに彼自身の存在進化を研究対象として観察する協力を求めた。彼女は単なる観察にとどまらず、未解明な点が多い魔物の進化について、以下のような重要な仮説を提示し、レントが人間に戻るための道筋を知識面から支えている。

  • 魔物自身がなりたいと望む方向(人間に近い姿)へ進化が進むのではないか
  • 進化にはただ魔物を倒すだけでなく、特定の条件(血肉を摂取するなど)を満たす必要があるのではないか

血液の提供による吸血衝動の抑制
レントがロレーヌの血肉を口にして屍鬼へと進化した後、彼は人間の血に対する強い渇望(吸血衝動)を抱くようになった。この衝動によってレントが理性を失うのを防ぐため、ロレーヌは自身の血液に保存の魔術をかけ、瓶に入れて定期的に提供するようになった。これにより、レントは狂気に陥ることなく日常を送ることができている。

偽名による冒険者再登録の提案
レントが自らギルドで依頼を受けたいと望んだ際、ロレーヌは元のレント・ファイナの姿のままでは大騒ぎになると反対した。その解決策として、以下の抜け道を提案した。これによりレントは、再び冒険者としての第一歩を踏み出すことができた。

  • ロレーヌの親戚という設定でレント・ヴィヴィエという偽名を使う
  • 鉄級の新人冒険者としてギルドに登録し直す

魔道具の鑑定サポート
ロレーヌは冒険者組合認定の鑑定技能士の資格も有している。レントが迷宮の奥深くで謎の女性から譲り受けた魔道具であるアカシアの地図や漆黒のローブについて、以下のサポートを行った。

  • 呪いなどの異常がないかの鑑定
  • 地図の表示機能の仕組みの解明

まとめ
ロレーヌは、10年来の友人であるレントに対して、物理的な拠点や物資の提供を行うだけでなく、学者としての明晰な頭脳と魔術の腕を活かした分析で彼を導いている。彼女の協力がなければ、レントは人間社会との接点を失い、神銀級冒険者になるという夢を追い続けることは不可能だったと言える。

新たな身分の獲得

新たな身分の獲得は、魔物(不死者)となってしまったレントが、神銀級冒険者になるという夢を諦めず、再び冒険者として活動を再開するためにとった重要な手段である。

新たな身分が必要となった背景
レントは存在進化を経て、人間と強弁できなくもない姿に近づき、呪われて外れない骸骨の仮面を被ることで重傷を負った怪しげな冒険者を装って街に帰還できた。しかし、元のレント・ファイナという名前で冒険者組合に復帰することは不可能であった。理由は以下の通りである。

  • 万年銅級とはいえ、長年の経験から新人の指導や組合の雑務を完璧にこなしていた
  • マルトの街や組合内で非常に顔が広く、組合への就職話まで出ていたほど信頼されている存在だった

その怪しげな姿でレント・ファイナの冒険者証を出せば、途端に激しい詰問を受け、組合長や古株の冒険者たちを巻き込む大騒ぎになるとロレーヌから警告を受けたのである。

ロレーヌの提案と偽名の設定
それでも冒険者を続けることを望むレントに対し、ロレーヌは名前の姓を変えて、もう一度新人として登録し直すという抜け道を提案する。冒険者組合の登録システムには以下の特徴があった。

  • 本人の自己申告のみに頼っている
  • 偽名での登録が容易である
  • 嘘が判明しても罰則がない

レントはこれを利用し、下の名前であるレントは世間でよくある聖人の名前であるためそのまま残し、ロレーヌの姓を借りてレント・ヴィヴィエという新たな名前を作り出した。

組合での再登録と設定の偽装
レントは新たな名前で登録するため、かつて自分が指導した受付職員のシェイラのもとへ向かった。シェイラは登録用紙のレントという名前を見て、行方不明扱いになっているかつての恩人レント・ファイナを思い出し、悲しげな表情を浮かべた。レントは正体を悟られないよう、ロレーヌの家に宿を借りている遠方から来た親戚という設定を語る。ロレーヌの家に怪しげな人物が出入りしているという噂がすでに流れていたが、この親戚という設定によってシェイラを自然に納得させ、疑念を回避することに成功した。

まとめ
手続きを終えたレントは、一番下っ端の駆け出しであることを示す鈍色の鉄級の冒険者証を受け取った。十年間かけて積み上げた銅級冒険者としての実績をすべて捨てることになったが、彼にとって名前や階級は本質ではなく、神銀級を目指すという夢のためなら最初からのやり直しも苦ではなかった。新たな身分を得たレントは、さっそく鉄級としては難易度の高い豚鬼の討伐と素材納品依頼を選ぶ。シェイラは心配して引き留めようとするが、レントは国で倒した経験があると主張し、新たなレント・ヴィヴィエとしての冒険者生活を力強くスタートさせた。

未踏破区域の探索

未踏破区域の探索は、レントの冒険者人生を大きく変え、彼が魔物となる原因を作っただけでなく、その後の重要な出会いやアイテムの獲得をもたらした一連の出来事である。水月の迷宮における未踏破区域の探索の過程とその結果について解説する。

最初の探索と龍との遭遇
レントは、すでに探索し尽くされたと言われていた初心者向けの水月の迷宮で、未知の通路(未踏破区域)を発見する。高価な魔導具や名声への期待から警戒を怠って足を踏み入れた結果、以下の事態に見舞われた。

  • 通路の先の広場で神にも等しい存在である龍に遭遇する
  • 龍の圧倒的な威圧により身動きが取れなくなり、なす術もなく喰われる
  • 不死系の魔物である骨人(スケルトン)として目覚めるという数奇な運命を辿る

ロリスとの再探索と骨巨人の討伐
存在進化を経て屍鬼に近い姿になったレントは、未踏破区域にまだ龍がいるのかを確認するため、再び同じ場所へ向かった。その道中、借金に苦しみ無謀な迷宮探索をしていた男ロリスを助け、彼に未踏破区域発見の報酬を得させるために同行させる。レントの持つ詳細な地図と記憶を頼りに龍のいた広間に辿り着き、壁に隠し通路を発見した。その奥の広間での出来事は以下の通りである。

  • 誤って転移魔法陣を踏んだロリスを追ってレントも転移し、出入口の通路がない脱出不可能型のボス部屋に到達する
  • 骨人の上位種である骨巨人(ジャイアントスケルトン)に遭遇し苦戦を強いられるが、不死系の天敵である聖気を剣に注ぎ込むことで討伐に成功する
  • 討伐で得た金級相当の魔石を借金返済のためにロリスに譲る代わりに、街での買い物や冒険者組合への報告を代行してもらう協力関係を結ぶ

更なる深部の探索と謎の女性
後日、レントは骨巨人の部屋にあったもう一つの転移魔法陣を調べるため、単独で三度目の探索に赴いた。転移した先は、本棚やベッドがあり、白骨死体が静かに横たわる迷宮らしからぬ生活感のある部屋であった。そこへ白い髪と水色の瞳を持つ強力な女性が突然現れ、以下の展開となる。

  • 部屋を物色していたレントを泥棒と見なして強烈な火炎魔術で攻撃する
  • 魔術によって焼け焦げたローブの下から屍鬼の身体が露わになる
  • 女性はレントが自分と同じように特殊な事情を抱えている存在だと察し、敵意を収める

アカシアの地図の獲得と区域の消失
女性はこの大切な部屋を冒険者組合に報告しないようレントに求め、その代償として以下のアイテムを譲渡した。

  • 踏破した迷宮を自動的に記録および表示する国宝級の魔道具であるアカシアの地図
  • 魔法耐性に優れた漆黒のローブ

直後、レントは女性の魔術によって強制的に迷宮の入り口へ転移させられる。翌日、彼が再び手掛かりを求めて未踏破区域へ向かうと、昨日まで存在していた隠し通路の入り口は完全に消滅しており、ただの壁に戻っていた。

まとめ
未踏破区域は完全に失われてしまったが、レントは龍との遭遇、骨巨人の討伐、謎の女性との取引といった数々の危険な経験を、神銀級冒険者になるための本物の冒険であったと前向きに捉え、自らの目標に向けて歩み続ける決意を新たにしている。

望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者2巻

登場キャラクター

冒険者

レント・ファイナ(レント・ヴィヴィエ)

本作の主人公である。十年間冒険者を続けているが、才能に恵まれず低級にとどまっている。神銀級冒険者になるという夢を諦めていない。困っている人を見捨てられない性格を持つ。ロレーヌとは十年来の友人関係にある。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合。銅級下位冒険者。のちに鉄級冒険者として再登録する。
・物語内での具体的な行動や成果
 水月の迷宮で龍に喰われ、骨人として蘇生した。魔物を倒して存在進化を重ね、屍食鬼から屍鬼へと変化する。迷宮内でリナやロリスの命を救い、ロリスと協力関係を結んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 骨人、屍食鬼、屍鬼へと魔物として存在進化を果たす。正体を隠すためレント・ヴィヴィエの偽名を用いて鉄級冒険者として再登録した。新人指導や雑務をこなしており、冒険者組合の運営に貢献していた。

ロレーヌ・ヴィヴィエ

学者兼冒険者である。自堕落な生活を送っているが、魔物や魔術に関して深い知識を持つ。細かいことを気にしない大雑把な性格である。レントとは互いに不足を補い合う友人関係にある。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合。銀級相当の魔術師(銀級冒険者)。大博士。
・物語内での具体的な行動や成果
 十四歳でマルトへやってきて、レントから冒険者としての基礎を学んだ。屍鬼となったレントを自宅へ匿い、その存在進化について考察する。レントの素材の換金や偽名の提案など、彼の支援を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 十四歳で大博士の称号を得た。鑑定技能士の資格も持っている。

リナ・ルパージュ(リナ・ローグ)

王都から辺境都市マルトへやってきた若い少女冒険者である。真面目な性格をしている。騎士の家の娘であり、恩義を重んじる。レントに命を救われ、彼に協力するようになる。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合。鉄級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 水月の迷宮で骨人に追い詰められていたところをレントに救助される。レントの依頼を受け、彼のためにローブや仮面などの衣服を調達した。レントが街へ入る際に、門番に対して事情を説明し通行を助けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イドレス・ローグの妹であり、出奔して冒険者になった。

ザリド

マルトの冒険者組合に所属するベテランの剣士である。気さくな性格をしている。レントやロレーヌとも親しい関係にある。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合。銅級上位冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 酒場でロレーヌと酒を酌み交わし、彼女に絡んできた三人組の冒険者を注意しようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 顔に巨大な切り傷がある。

ユリス

新人冒険者である。レントから冒険者組合の新人講習を受けた経験がある。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合。新人冒険者パーティのリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
 新月の迷宮で三人組の冒険者から緑小鬼を擦り付けられそうになった。その際、レントの指示を受けて危機をやり過ごす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 リーダーとしてパーティを率いている。

ユリスたちのパーティ

ユリスが率いる新人冒険者の集団である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合。新人冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 迷宮で他の冒険者から魔物を擦り付けられる被害に遭った。レントの助けにより無事に逃げ延びる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

中年冒険者

マルトで活動する冒険者である。経験の浅い者を気遣う一面を持つ。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合。冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去に、実戦経験がないまま森へ向かおうとしていたロレーヌを心配した。ロレーヌの自尊心を傷つけないよう、荷物持ちという名目でレントを同行させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

三人組の冒険者

マルトで活動する若い冒険者たちである。新人冒険者に魔物を擦り付ける行為を繰り返す。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合。冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 酒場でロレーヌに酌取りを強要したが、レントの殺気を感じて逃走した。新人冒険者に魔物を押し付ける行為を繰り返していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レントの報復により街中で生活できなくなり、最終的に迷宮の入り口で被害者たちへ土下座して謝罪する。

冒険者組合

シェイラ・イバルス

冒険者組合の若い受付職員である。レントが新人時代に初めて担当した職員である。彼の人柄をよく知っており、行方不明になったレントを心配している。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合。職員。
・物語内での具体的な行動や成果
 リナの用件を聞き対応する。レント・ヴィヴィエとして再登録に来たレントの手続きを行った。彼が豚鬼討伐の依頼を受ける際、無理をしないよう忠告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 新人から抜け、一人前の職員として活動している。

冒険者組合長

都市マルトの冒険者組合の長である。レントの実務能力を高く評価している。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合。組合長。
・物語内での具体的な行動や成果
 直接の登場場面はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レントを組合の職員として引き抜こうと考えていた。

先代の冒険者組合長(酒場の店主)

冒険者が多く集まる酒場の店主である。現役時代は恐れられていた。

・所属組織、地位や役職
 酒場の店主。元冒険者組合長。
・物語内での具体的な行動や成果
 直接の行動の描写はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 現在は好々爺となっており、最近孫が生まれた。

冒険者組合職員

王都やマルトの冒険者組合で働く職員たちである。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合。職員。
・物語内での具体的な行動や成果
 王都の職員はリナに対して辺境の都市を紹介した。マルトの職員はリナの実力を考慮し、単独での迷宮探索に対して注意喚起を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ヤーラン王国第一騎士団

イドレス・ローグ

ヤーラン王国第一騎士団に所属する騎士である。礼儀正しい人物である。リナ・ローグの兄であり、妹を心配している。

・所属組織、地位や役職
 ヤーラン王国第一騎士団。騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
 鍛冶屋を出たレントとぶつかり、謝罪した。その後、妹のリナを探していることをレントに明かし、情報を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 休暇を取得して都市マルトへ妹を探しに来ている。

鍛冶屋《三叉の話》

クロープ

鍛冶屋《三叉の話》の店主兼鍛冶師である。ぶっきらぼうな口調だが、根は優しい性格をしている。仕事に対して強いこだわりを持つ。

・所属組織、地位や役職
 鍛冶屋《三叉の話》。店主兼鍛冶師。
・物語内での具体的な行動や成果
 レントからの特殊な武器の注文を引き受け、製作を開始した。骨巨人との戦闘で破損した剣の代わりに、新たな代用品を貸し与える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レントの正体に薄々気付いているが、深く追及せずに見守っている。

ルカ

鍛冶屋《三叉の話》の店頭に立つ女性である。クロープの妻であり幼馴染である。

・所属組織、地位や役職
 鍛冶屋《三叉の話》。店員。
・物語内での具体的な行動や成果
 仮面姿のレントを接客し、彼の剣の状態を確認する。レントを鍛冶場にいるクロープのもとへ案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レントが事情を抱えていることを察し、彼が頼ってくれないことを少し悲しんでいた。

赤竜亭

ロリス・カリエッロ

レストラン《赤竜亭》の店主である。騙されやすい性格をしている。借金返済のために無謀な迷宮探索を行った。

・所属組織、地位や役職
 レストラン《赤竜亭》。店主。
・物語内での具体的な行動や成果
 水月の迷宮でスライムに苦戦していたところをレントに助けられた。その後、魔法陣を踏んでボス部屋に転移し重傷を負うが、レントに治療される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 骨巨人の魔石を受け取る代償として、レントの冒険者組合への報告や買い物を代行する協力者となった。

イサベル

レストラン《赤竜亭》の店主の妻である。働き者の女性である。夫を深く心配している。

・所属組織、地位や役職
 レストラン《赤竜亭》。
・物語内での具体的な行動や成果
 迷宮から帰還したロリスを迎え、彼を助けたレントに深く感謝した。高価な魔石の受け取りを一度は拒否するが、事情を聞いて納得した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レントと握手を交わし、正式に取引を承認した。

ヤーラン王国・都市マルト関係者

門番の兵士

都市マルトの西門を警備する兵士である。職務に忠実である。

・所属組織、地位や役職
 都市マルト。門番。
・物語内での具体的な行動や成果
 街へ入ろうとしたレントとリナの冒険者証を確認した。レントの仮面に疑問を持ったが、リナの説明を聞き入れて通行を許可する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

衛兵

都市マルトの治安を維持する兵士たちである。

・所属組織、地位や役職
 都市マルト。衛兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 嫌がらせを受けた三人組の冒険者からの訴えに対し、自業自得であるとして取り合わなかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

その他・迷宮の存在

白い髪と水色の瞳の女性

水月の迷宮の深部にある部屋に住む謎の女性である。強力な魔力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 不明。
・物語内での具体的な行動や成果
 部屋を物色していたレントを泥棒とみなし、火炎魔術で攻撃した。レントの事情を察して謝罪し、口止めの代償として魔道具とローブを渡す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レントを迷宮の入り口へ転移させた後、部屋への隠し通路を完全に消滅させた。

望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者2巻

展開まとめ

プロローグ

日銭を稼ぐ万年銅級冒険者

レント・ファイナは、辺境国家ヤーラン王国の都市マルト近郊にある《水月の迷宮》で活動する銅級下位冒険者であった。十五歳から十年間冒険者を続けながらも高位には昇格できず、骨人やゴブリンを狩って素材や魔石を集め、その日暮らしに近い生活を送っていた。しかし彼は、いつか白金級や神銀級の冒険者になるという夢を捨てず、依頼後も訓練を続けていた。

未知の通路への探索

その日、レントは普段探索している迷宮内で、これまで存在しなかった新たな通路を発見した。探索し尽くされたはずの迷宮で新たな道が見つかったことに興奮した彼は、高価な魔導具や名声を得られるかもしれないと考え、慎重さを欠いたまま通路へ足を踏み入れた。

龍との遭遇

通路の先にあった広場で、レントは巨大な魔物と遭遇した。それは伝説上の存在である龍だった。龍は神銀級冒険者でさえ太刀打ちできないとされる超越的な存在であり、魔王にも匹敵すると語られていた。自分では到底勝てない相手だと理解したレントは即座に逃走を試みた。

圧倒的な威圧による拘束

しかし龍との圧倒的な実力差によって、レントの体は完全に硬直していた。強者が放つ威圧により身動きが取れなくなる現象を知っていた彼は、自分が龍の圧力によって拘束されていることを悟った。どうすることもできず、せめて見逃してほしいと願うことしかできなかった。

龍に喰われる最期

龍はレントを見つけると大きく口を開き、そのまま突進してきた。身動きの取れないレントは死を覚悟し、自らの十年間の冒険者人生を振り返った。夢半ばで終わる悔しさと、どこか諦めにも似た感情を抱きながら、彼は龍の口の中へ飲み込まれた。

骸骨としての目覚め

しかし死んだはずのレントは、しばらくして再び意識を取り戻した。困惑しながら自分の体を確認した彼は、手や足から肉や皮膚が消え去り、白い骨だけになっていることに気付いた。全身が同じ状態になっていることを理解したレントは、自分が冒険者ではなく骨人へ変わってしまったという信じ難い現実を突き付けられた。

理解不能な変貌への困惑

龍に喰われて確実に死亡したはずのレントは、なぜか意識を保ったまま骨だけの存在として蘇っていた。常識では説明できない状況を前に、彼は自分の身に何が起きたのか理解できず、ただ呆然とするしかなかった。

第一章現状把握と存在進化

酒場での再会

冒険者となって六年目のロレーヌは、都市マルトの酒場で一人酒を楽しんでいた。そこへベテラン冒険者のザリドが現れ、レントとの関係をからかいながら雑談を交わした。二人は結婚や冒険者の生き方について語り合い、穏やかな時間を過ごしていた。

無礼な三人組

その最中、若い三人組の冒険者が酒場へ乱暴に入り込み、ロレーヌへ酌取りを強要した。高圧的な態度で従わせようとする彼らに対し、ロレーヌは魔術で対処する準備を始める。しかし、その直前に酒場へ新たな客が現れた。

酒場を震わせた殺気

現れたのはレントだった。しかし普段の穏やかな様子とは異なり、今にも人を殺しそうな強烈な殺気を放っていた。その姿を見た三人組は一瞬で青ざめ、脱兎のごとく酒場から逃げ出した。ロレーヌは、レントがここまで怒る理由を理解できずにいた。

新人冒険者への擦り付け

事情を尋ねられたレントは、三人組が新人冒険者へ魔物を擦り付けていたことを明かした。今回も《新月の迷宮》でユリスたち新人冒険者へ緑小鬼の群れを押し付けて逃げようとしていたため、レントが介入して救助したのである。しかも調査の結果、この行為は少なくとも五回以上繰り返されていたことが判明していた。

力ではなく責任を教える決意

ザリドは三人を力ずくで懲らしめることを提案した。しかしレントはそれを拒否した。暴力で解決しても反発や復讐心を残すだけであり、本当の意味で反省させることにはならないと考えたからである。レントは自分なりの方法で決着をつけると告げて酒場を後にした。

社会的制裁の開始

その後レントは三人の宿泊先や出身地などを徹底的に調べ上げた。そして彼らの行為を街中へ知らせた結果、三人は宿屋を追い出され、他の宿にも泊まれなくなった。店では商品を売ってもらえず、鍛冶屋でも依頼を断られ、街中では白い目で見られるようになった。

追い詰められる三人

さらに嫌がらせや冷遇は続き、衛兵へ訴えても自業自得だと取り合ってもらえなかった。魔物の擦り付けは人命に関わる重大な禁忌であり、冒険者社会では決して許されない行為だったからである。精神的に追い詰められた三人は、自分たちをここまで追い込んだ人物がレントであることを悟った。

謝罪という条件

最終的に三人はレントへ謝罪した。しかしレントは、自分へ謝るだけでは不十分だと告げた。迷惑をかけた全員へ謝罪し、自らの罪を認めることが条件だったのである。三人はその言葉を受け入れ、被害者たちへ頭を下げることになった。

迷宮入口での謝罪

数日後、ロレーヌは《新月の迷宮》の入口で土下座を繰り返す三人の姿を目にした。彼らは訪れる冒険者一人ひとりへ、自らの擦り付け行為を謝罪していた。その様子は演技ではなく、本心から反省しているように見えた。

誰も死なせない解決

ザリドは、レントは本当に恐ろしい男だと語った。本来なら死人が出てもおかしくなかった事件を、誰も死なせることなく解決したからである。被害者たちの怒りも収まり、加害者たちも自らの罪を理解した。レントは暴力ではなく責任を背負わせる形で問題を終わらせたのであった。

第二章冒険者リナ

危機に陥った少女冒険者

レントは戦闘音の先で、骨人と戦う若い少女冒険者を発見した。装備や動きから鉄級になったばかりの駆け出し冒険者だと見抜いたが、少女は周囲への注意が足りず、徐々に追い詰められていた。そして背後を壁に塞がれたことで逃げ場を失い、骨人の一撃で命を落としかねない状況に陥った。

人間を見捨てられない決断

レントは屍食鬼の姿である以上、本来なら人間との接触を避けるべき立場だった。しかし目の前で人が死ぬのを見過ごすことはできなかった。魔物になっても心は人間のままであり、駆け出し冒険者である少女を救うため介入を決意した。

骨人の討伐

レントは大声を上げて姿を現し、骨人の注意を自分へ向けさせた。そして気力による身体強化を施し、一撃で骨人を両断した。あまりにも容易な勝利に、レント自身が最も驚いていた。存在進化と魔物討伐による成長によって、以前とは比較にならない力を得ていたのである。

少女との意思疎通

助けた後、レントは少女へ話しかけようとしたが、屍食鬼の姿で近づいたため激しく警戒された。それでも根気強く言葉を発し、自分が冒険者でありレントという名前であることを伝え続けた。やがて少女は少しずつ理解を示し始める。

リナ・ルパージュとの出会い

少女はリナ・ルパージュと名乗った。レントは自分が龍に喰われた結果、屍食鬼になったことを説明した。リナは半信半疑だったが、命を救われた事実と敵意を感じない態度から、徐々にレントを信用するようになった。

服の調達依頼

レントは人間社会で生き延びるため、体を隠せる服を買ってきてほしいと頼んだ。そして生前の貯金を渡し、代金に充ててほしいと依頼する。リナはその金額に驚きながらも、恩返しとして引き受けることを約束した。

辺境へ来た少女の事情

リナは十七歳の駆け出し冒険者であり、王都での将来に魅力を感じられず辺境都市マルトへ移住してきていた。しかし女性であることや見た目の印象から実力を過小評価され、誰ともパーティを組めず孤立していた。その結果、一人で迷宮へ挑み、今回の危機を招いていたのである。

シェイラの不安

その頃、冒険者組合職員のシェイラ・イバルスは、毎日規則正しく帰還していたレントが戻らないことを不審に思っていた。彼女はレントの担当職員として長年接しており、その人柄と功績を誰よりも理解していた。

組合を支える無名の冒険者

レントは低級冒険者でありながら、新人冒険者の指導や仲間探しの支援、迷宮での心得の教育などを行っていた。また悪質な冒険者の問題行動を未然に防ぐことも多く、組合や冒険者たちから厚い信頼を得ていた。そのため彼の失踪は多くの人々を不安にさせていた。

リナの帰還

迷宮で魔物を倒し続けていたレントは、自身の急激な成長を実感する一方、魔物の姿では冒険者を続けられない現実に苦悩していた。そんな中、約束通りリナが戻ってきた。彼女は服だけでなく、様々な品を持参していた。

黒いローブと少女の気遣い

リナが持ってきたのは、全身を覆える黒いローブだった。さらに手袋や靴、包帯まで用意しており、露出した体を隠せるよう配慮していた。レントは魔物になってから初めて受ける無償の親切に深く感謝した。

顔に刻まれた異変

リナが用意した鏡で自分の顔を確認したレントは、乾いた死体のような顔だけでなく、顔全体に青白く発光する複雑な刺青が刻まれていることを知った。その光は非常に目立ち、人間社会へ紛れ込む大きな障害となっていた。

呪われた仮面

刺青を隠すため、リナは骸骨を模した仮面も購入していた。ところがレントが装着した瞬間、仮面は顔へ吸い付くように張り付き、全く外れなくなった。調べた結果、それは呪いの品であり、装着した者へ作用する魔道具だったことが判明した。

浄化の失敗

レントは聖気を使って呪いを浄化しようと試みた。仮面は確かに反応したものの、呪いの力は予想以上に強く、聖気が尽きたことで解除には失敗した。それでもレントは、将来さらに強くなれば外せるかもしれないと前向きに考えた。

深まる信頼

責任を感じて謝罪するリナに対し、レントは気にする必要はないと告げた。リナもまた、恐怖を抱きながらもレントが善良な存在であることを理解し始めていた。そして彼を励ますため、自らその手を握ったのである。

街への帰還計画

その後リナは、ローブや仮面があれば街へ入れるのではないかと提案した。レントは不安を抱いていたが、リナは同行して説明役になることを申し出た。命を救われた恩を返したいという思いからだった。

門番との対面

二人は都市マルトの西門へ向かった。門番はレントの仮面に疑問を抱いたが、リナは魔物に顔と喉を傷付けられたこと、さらに仮面が呪われて外れなくなったことを説明した。門番自身が仮面を引っ張っても外れなかったため、その話を信じることになる。

人間社会への帰還

門番は高位の聖職者でなければ解除できない呪いだという説明にも納得し、二人の通行を許可した。こうしてレントは魔物となって以来初めて人間の街へ戻ることに成功した。リナの支えを受けながら、レントは再び都市マルトへ足を踏み入れたのであった。

第三章 不死者、街に侵入

故郷への帰還

レントは都市マルトへの入市に成功した。龍に喰われ、骨人となり、屍食鬼へ進化した数日間は、彼にとって永遠にも等しい時間だった。二度と戻れないかもしれないと思っていた街へ再び足を踏み入れたことで、深い感慨を覚えた。

リナとの別れ

街へ入る目的を果たしたレントは、これ以上リナを危険へ巻き込みたくないと考えた。感謝を伝え、人間らしい姿を取り戻したら必ず会いに行くと約束して別れを告げた。リナもまたレントの無事を願いながら、その背中を見送った。

ロレーヌの家へ

レントは今後の活動を支えてくれる協力者を求め、十年来の友人であるロレーヌ・ヴィヴィエの家を訪れた。家の中は相変わらず本や資料で埋め尽くされており、ロレーヌはいつものように無防備な姿で眠っていた。

正体の告白

目を覚ましたロレーヌは、仮面姿のレントへ疑問を抱いた。そこでレントは手袋を外し、自らが屍食鬼になった姿を見せる。そして龍との遭遇から現在に至るまでの出来事を詳しく語った。ロレーヌは信じ難い話だと感じながらも、目の前の現実を否定できなかった。

自分は本当にレントなのか

話を聞いたロレーヌは、今のレントが以前と同じ存在なのかという疑問を口にした。記憶も人格も変わっていないが、一度死んだ存在であることも事実だった。レント自身にも答えは分からず、この問題は結論を出せないまま保留となった。

冒険者を続けたい願い

レントは、それでも冒険者として生き続けたいと率直に語った。現在の姿では冒険者組合へ近づくことも難しいが、夢を諦めるつもりはなかった。ロレーヌはその思いを理解し、依頼受注や素材納入の代行を引き受けることを申し出た。さらに自宅を拠点として使うことも許可した。

研究協力という条件

その代わりとして、ロレーヌはレントの存在進化を研究させてほしいと頼んだ。魔物の存在進化は未解明な部分が多く、生きた研究対象を得られる機会は極めて貴重だったからである。レントはこれを受け入れ、互いに利益のある協力関係を築くことになった。

ロレーヌの過去

ロレーヌは幼少期から神童と呼ばれ、十四歳で大博士の称号を得た天才学者だった。しかし学問の世界に退屈を覚え、刺激を求めて辺境都市マルトへやって来た。そこで出会ったのが若き日のレントだったのである。

初めての冒険

当時のロレーヌは知識こそ豊富だったが、実践経験は皆無だった。アズールの森での採取依頼に向かった際、偶然同行することになったレントから、森での行動や素材採取、戦闘の基礎を学んだ。彼女は初めて、知識だけでは生きていけない世界があることを知ったのである。

十年の友情

それ以来、二人は互いに支え合う関係となった。レントは生活能力に乏しいロレーヌを助け、ロレーヌは学問や魔術の知識を提供した。そうして十年にわたり友情を育み、互いに欠かせない存在となっていった。

失踪への不安

レントが行方不明になった時、ロレーヌはこれまでにないほど動揺した。街中を探し回りたい衝動に駆られながらも理性で抑え、冒険者たちへ捜索依頼を出そうと考えるほどだった。そして聞き慣れたノッカーの音を耳にした時、訪問者がレントだと確信していた。

新たな装備を求めて

ロレーヌの協力で素材や魔石を換金したレントは、新しい武器を購入することを決めた。生前から使っていた剣は、魔力や気、聖気を流し続けたことで限界を迎えていたためである。一方、防具は身体を見せられない事情から購入を断念した。

鍛冶屋《三叉の話》

レントは馴染みの鍛冶屋《三叉の話》を訪れた。店番をしていたルカは仮面姿の客へ戸惑いながらも応対し、やがてクロープとの打ち合わせへ案内した。レントが魔力・気・聖気の三つを扱うことを知ったクロープは、市販品では対応できないと判断し、特注武器の製作を提案した。

武器製作の契約

クロープは予算や仕様を確認し、正式に依頼を引き受けた。レントも契約に同意し、二人は握手を交わした。こうしてレントは、自身の新たな力に見合う武器を手に入れるための第一歩を踏み出したのであった。

正体を察する夫婦

レントが去った後、ルカとクロープは仮面の客がレントであることを察していたと語り合った。彼が事情を隠しているのは、自分たちへ迷惑を掛けたくないからだろうとクロープは推測した。それでもレントは完全に距離を置いたわけではなく、自分だと気付ける手掛かりを残していた。二人はその気遣いを理解し、いつか本人が話してくれる日を待つことにした。

第四章 《水月の迷宮》と足手まとい

未発見区画への再挑戦

レントは鍛冶屋で武器の注文を終えた翌日、《水月の迷宮》の未発見区画へ向かった。龍の姿は消えていたものの、本当に危険が去ったのか確かめる必要があると考えたためである。クロープから借りた代用の剣を携え、再び迷宮探索を開始した。

借金を抱えた男との出会い

道中でレントはスライムに苦戦する中年男性を助けた。男は命を救われたことに感謝し、その後もなぜかレントの後をついてきた。事情を尋ねると、男はレストラン経営者であり、多額の借金を抱えて返済期限が迫っていることを打ち明けた。

人間らしさを守るために

レントは本来なら他人へ関わるべきではないと理解していた。しかし、困っている人を見捨てたくなかった。屍食鬼となった今でも人間としての心を失いたくないという思いがあり、人助けは自分がまだ人間であることを確かめる行為でもあった。

同行の許可

男の事情を聞いたレントは、未発見区画の発見報告を男に任せれば借金問題の解決につながるかもしれないと考えた。そして荷物持ち程度なら構わないとして同行を許可した。男は深く感謝しながらレントの後を追った。

未発見区画の探索

二人は龍と遭遇した広間へ到着した。何もないように見えた場所だったが、男が壁の隙間を発見したことで状況が変わる。レントが仕掛けを作動させると壁が開き、未発見区画のさらに奥へ続く隠し通路が姿を現した。

手柄を譲る決断

男は大発見に興奮したが、レントはその功績を男へ譲るつもりだった。正体を隠しているレントには報告が難しく、男の借金問題を解決できるならその方が有意義だと考えたのである。

魔法陣の広間

隠し通路を進んだ先には巨大な広間が存在していた。中央には大きな魔法陣が刻まれていたが、不思議なことにそれはレントにしか見えていなかった。同行していた男には何も見えておらず、ただの広間だと思い込んでいた。

突然の転移

相談しようと近づいた男は、見えていない魔法陣を踏み抜いてしまった。その瞬間、魔法陣が発光し、男は光に包まれて消失した。レントは咄嗟に止められなかったことを後悔しながらも、魔法陣が転移陣であると推測した。

救助の決意

男を見捨てて戻ることもできたが、転移陣の存在を認識していた自分にも責任があると考えた。さらに男には魔法陣そのものが見えていなかったため、自力で帰還することは困難だった。レントは覚悟を決め、転移陣へ足を踏み入れた。

絶望的な転移先

転移先は高い天井を持つ石造りの大広間だった。そこには重傷を負って倒れる男と、骨人の上位種である骨巨人が待ち構えていた。周囲に出口はなく、そこが脱出不可能型のボス部屋であることを悟ったレントは、戦う以外の選択肢がないと理解した。

骨巨人との激戦

レントは気の力を使って攻撃したが、骨巨人にはまったく通用しなかった。速度では勝っていても攻撃力が足りず、このままでは勝機がないことを痛感する。そこで彼は最後の切り札である聖気を武器へ流し込む決断を下した。

聖気による逆転

聖気を纏った剣は不死者である骨巨人へ絶大な効果を発揮した。レントは骨巨人の脚を切断し、倒れた隙に頭部へ駆け上がる。そして渾身の一撃で頭蓋を砕き、骨巨人を完全に討伐した。

大幅な成長

討伐後、骨巨人から流れ込んだ力によって、レントの魔力・気・聖気は大幅に強化された。これまで倒してきた低級魔物とは比較にならない成長を実感しながら、辛くも勝利を収めたことに安堵した。

初めての治癒術

重傷を負った男を救うため、レントは増大した聖気を用いて治癒術を試みた。本来は高位聖職者の領域だったが、傷は徐々に回復し、骨折していた箇所も正常な状態へ戻っていった。完全な確信は持てなかったものの、命の危険は去ったと判断した。

ロリスとの契約

目覚めた男はロリス・カリエッロと名乗った。《赤竜亭》というレストランの店主であり、借金返済に苦しんでいた人物だった。レントは骨巨人の魔石を譲る代わりに、自分の代わりに冒険者組合への報告や素材納入を行う協力者になってほしいと頼んだ。ロリスはその申し出を受け入れた。

赤竜亭での出会い

街へ戻ったレントはロリスの店を訪れ、妻イサベルと出会った。イサベルは高価な魔石を受け取ることに反対したが、ロリスはこれは施しではなく仕事の対価だと説明した。事情を理解したイサベルも協力を約束し、レントと正式な契約が成立した。

新たな協力者

別れ際、レントは自らの名前をロリスへ明かした。ロリスは秘密を守ることを誓い、今後もレントを「旦那」と呼ぶことを約束した。こうしてレントは、人間社会で活動するための新たな協力者と信頼関係を築いたのであった。

第五章 人外の証明

抑えきれない本能

ロリスと別れた後、レントは自分の中で人を食いたいという衝動が強まっていることに気付いた。悪人なら食べても構わないのではないかと考えていた自分に危機感を覚え、屍食鬼としての本能が理性を侵食し始めていることを自覚した。

ロレーヌへの襲撃

ロレーヌの家へ戻ったレントは、彼女の匂いを感じた瞬間から理性を失い始めた。そして気付けばロレーヌへ噛み付き、その血と肉を貪っていた。屍食鬼の本能に完全に支配され、人間としての判断力を失っていたのである。

ロレーヌの反撃

ロレーヌは突然の襲撃にも冷静さを失わなかった。まだレントが完全に理性を失っていないと判断した彼女は、強力な火炎魔術を放ってレントを吹き飛ばした。その後さらに眠りの魔術を施し、確実に行動不能にした。

謝罪と原因の考察

目覚めたレントは自らの行為を思い出し、ロレーヌへ謝罪した。ロレーヌは今回の件を屍食鬼としての本能が表面化した結果だと考え、レント自身も理性では制御できなかったことを認めた。二人はこの現象について分析を始めた。

聖気による治療

ロレーヌは肩に深い傷を負っていたが、レントは自らの聖気を用いて治療を行った。傷はみるみる回復し、最終的には傷跡すら残らないほど綺麗に治癒した。二人は聖気による治癒能力の高さを改めて認識した。

屍鬼への存在進化

その後、レントは自分の肉体に変化が起きていることに気付いた。骸骨の仮面は形状を変化させ、人間らしい肉付きも増していた。会話も以前より自然になっており、ロレーヌはレントが屍食鬼からさらに上位種である屍鬼へ進化した可能性を指摘した。

存在進化の仮説

ロレーヌは、存在進化は単なる力の蓄積だけではなく、本人が望む方向へ進む現象ではないかという仮説を語った。レントが人間に近い存在を望み続けていた結果、吸血鬼に近い屍鬼へ進化したのではないかと推測したのである。

進化条件への考察

さらにロレーヌは、存在進化には個別の条件が存在する可能性を示した。レントの場合はロレーヌの血と肉を摂取したことが進化条件だったのではないかと考えた。骨巨人討伐だけでは進化せず、その後に進化した事実がその根拠だった。

血への渇望と対策

調査の結果、レントは血液への強い欲求を持つようになっていた。しかし通常の食事でも衝動を弱められ、さらにロレーヌの血を少量摂取することで完全に落ち着くことが判明した。ロレーヌは保存魔術を施した自分の血を提供し、レントの生活を支援することになった。

新たな目標

レントは最終的に、人間へ近付くことを新たな目標として定めた。存在進化が望む姿へ近付く現象であるならば、いつか本当に人間へ戻れるかもしれないと考えたのである。そして再び迷宮へ挑む決意を固めた。

リナを探す騎士

鍛冶屋で剣を返却した帰り道、レントは第一騎士団所属の騎士イドレス・ローグと出会った。イドレスは家出した妹を探しており、その妹こそリナだった。レントは事情を知らない以上、勝手に居場所を明かすべきではないと判断し、情報を伏せた。

新しい身分の提案

その後ロレーヌと今後の活動について相談したレントは、《新月の迷宮》への挑戦を考えた。しかし現在の姿でレント・ファイナとして活動すれば大騒ぎになる可能性が高かった。そこでロレーヌは、新しい名前で冒険者登録をやり直す案を提案した。

レント・ヴィヴィエの誕生

冒険者組合を訪れたレントは、新たな名として「レント・ヴィヴィエ」を名乗った。ロレーヌの親戚という設定を利用し、別人として活動するためである。こうして彼は第二の冒険者人生を歩み始めることになった。

シェイラとの再会

受付を担当したシェイラは、目の前の人物がレント本人だとは気付かなかった。しかし登録書類の「レント」という名前を見て、行方不明になったレント・ファイナへの思いを語った。レントは正体を明かせないまま、その話を聞くことになった。

鉄級からの再出発

登録を終えたレントは、再び鉄級冒険者として活動を開始した。十年間かけて銅級へ到達した過去を思えば振り出しに戻った形だったが、彼は落胆しなかった。神銀級を目指す夢は変わっていなかったからである。

謎の女性との遭遇

その後、《水月の迷宮》の未踏破区域を再探索したレントは、転移陣の先で生活空間のような部屋を発見した。そこには白髪の女性が住んでおり、最初はレントを侵入者として攻撃した。しかし彼が屍鬼であることを知ると態度を改め、取引を持ち掛けた。

《アカシアの地図》の入手

女性は未踏破区域の存在を秘密にする代わりに、《アカシアの地図》という魔道具を譲渡した。この地図は踏破した迷宮を自動記録し、場合によっては内部の人物の位置まで把握できる国宝級の品だった。レントは取引を受け入れた。

失われた手掛かり

翌日再び訪れた時には、女性へ繋がる隠し通路は完全に消滅していた。正体も目的も分からないまま手掛かりは失われたが、レントは悲観しなかった。龍との遭遇や未踏破区域の探索、謎の女性との出会いは、まさに神銀級冒険者が経験するような本物の冒険だったからである。レントは再び彼女と出会う日を信じ、神銀級冒険者を目指して歩み続ける決意を新たにした。

番外編 レントが切れた日~冒険者ロレーヌ六年目~

酒場での語らい

冒険者となって六年目のロレーヌは、酒場で一人酒を楽しんでいた。そこへ銅級上位冒険者のザリドが現れ、レントとの関係をからかいながら話しかけてきた。二人は結婚や冒険者という生き方について語り合い、穏やかな時間を過ごしていた。

無礼な冒険者たち

その最中、若い三人組の冒険者が酒場へ入り込み、ロレーヌへ酌をするよう強要した。彼らは高圧的な態度で振る舞い、断られても引き下がろうとしなかった。ロレーヌは魔術で懲らしめることを考えたが、その直前に異様な気配を察知した。

酒場を凍らせた殺気

酒場へ入ってきたのはレントだった。しかし普段の穏やかな様子とはまるで異なり、周囲を震え上がらせるほどの強烈な殺気を放っていた。その姿を見た三人組は一瞬で顔色を変え、慌てて酒場から逃げ出した。ロレーヌはレントがそこまで怒る理由を理解できず、事情を尋ねた。

新人冒険者を救った理由

レントは三人組が新人冒険者へ魔物を擦り付けていたことを明かした。今回も《新月の迷宮》で新人冒険者ユリスたちへ緑小鬼の群れを押し付け、自分たちだけ逃げようとしていたため介入したのである。しかも調査の結果、この行為は今回だけでなく少なくとも五回以上繰り返されていたことが判明していた。

暴力を選ばない決断

ザリドは三人を力ずくで叩きのめせばよいと提案した。しかしレントはそれを否定した。暴力で解決しても恨みや反発を残すだけであり、本当の反省には繋がらないと考えていたのである。レントは自分なりの方法で決着を付けると告げ、その場を後にした。

変わり果てた三人

数日後、ロレーヌは《新月の迷宮》の入口で異様な光景を目にした。例の三人組が冒険者たちへ土下座し、自らの行為を謝罪していたのである。以前の尊大な態度は跡形もなく消え失せていた。

レントによる制裁

ザリドの話によれば、レントは三人の素性や宿泊先を徹底的に調べ上げたうえで、彼らの悪行を街中へ広めたという。その結果、宿屋から追い出され、店では商品を売ってもらえず、鍛冶屋にも出入りを断られた。さらに街中では冷たい視線を浴び続け、様々な嫌がらせまで受けるようになった。

追い詰められた末路

三人は衛兵へ助けを求めたが、自業自得だと一蹴された。魔物の擦り付けは人命に関わる重大な裏切り行為であり、冒険者社会では最も嫌われる行為の一つだったからである。やがて三人は、自分たちを追い込んだのがレントだと理解し、謝罪を申し出た。

全ての被害者への謝罪

しかしレントは、自分だけへ謝罪しても意味はないと告げた。そして迷惑を掛けた全員へ謝罪するよう命じたのである。その結果、三人は迷宮入口で冒険者たちへ頭を下げ続けることになった。こうして被害者たちの怒りも収まり、流血沙汰になることなく事件は解決した。

優しさを秘めた恐ろしさ

ザリドは、レントだけは敵に回したくない人物だと語った。本来なら死人が出ても不思議ではない問題を、誰も死なせずに解決してしまったからである。ロレーヌもまた、普段は温厚なレントの別の一面を知り、その恐ろしさと同時に根底にある優しさを改めて実感した。そして次に会った時には何か奢ってやろうと考えるのだった。

望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者2巻

同シリーズ

望まぬ不死の冒険者

小説版

望まぬ不死の冒険者 1巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
望まぬ不死の冒険者 1巻
望まぬ不死の冒険者 2巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
望まぬ不死の冒険者 2巻
望まぬ不死の冒険者 3の表紙画像(レビュー記事導入用)
望まぬ不死の冒険者 3
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望まぬ不死の冒険者  4
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望まぬ不死の冒険者  5
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望まぬ不死の冒険者  6
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望まぬ不死の冒険者  7
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望まぬ不死の冒険者  8
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望まぬ不死の冒険者  9
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望まぬ不死の冒険者  10
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望まぬ不死の冒険者  11
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望まぬ不死の冒険者  14

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フィクション(novel)あいうえお順

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