スポンサーリンク
フィクション(Novel)望まぬ不死の冒険者読書感想

小説「望まぬ不死の冒険者 10巻」感想・ネタバレ

スポンサーリンク
望まぬ不死の冒険者 10の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

望まぬ不死の冒険者9巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者11巻

スポンサーリンク

どんな本?

望まぬ不死の冒険者』は、丘野優 氏による日本のライトノベル作品。
小説家になろうにて2016年9月22日より連載されており、オーバーラップノベルスより刊行されている。
イラストはじゃいあん 氏が担当。
物語は、銅級冒険者のレント・ファイナが水月の迷宮で龍に食われて不死の魔物として蘇るところから始まる。
レントは魔物を食らうことで進化していき、骨人から屍食鬼、下級吸血鬼となる。
レントは自分の境遇に苦しみながらも、冒険者としての夢を捨てずに、魔物と人間の狭間で生きることを決意する。
しかし、レントの存在は世界の秩序を揺るがす危険なものとして、様々な勢力の注目を集めてしままう。
この作品は、コミカライズやテレビアニメ化もされており、人気の高いファンタジー作品。
コミカライズ中曽根ハイジが作画を担当し、コミックガルドにて連載中。
テレビアニメは2024年1月より放送予定。

読んだ本のタイトル

#望まぬ不死の冒険者 10巻
著者:#丘野優 氏
イラスト:#じゃいあん  氏

あらすじ・内容

不死者、王女殿下に謁見する。

マルトで起きた事件を報告し、総冒険者組合長を迎えにいくべく、ふたたび王都へ向かったレントとロレーヌ。だが、冒険者組合にて申し出をしたところ、数日後まで不在だと告げられてしまう。
先にリリアンから頼まれた用事を済ませようと、二人は手紙を東天教の僧正エルザへ送り届けることに。
次いで以前襲撃から救ったジア第二王女殿下に謁見するため、旧知の銀級冒険者オーグリーと合流。王家の圧力をかわし続けたオーグリーに提案されたのは、塩漬けになった依頼の手伝いだった。
そしてジア王女との謁見にのぞんだ三人に告げられた、ヤーラン王国とエルフが住む古貴聖樹国、レントにまつわる因縁とは……!?
『人族が神具を持った者と縁を持つ。その者をここに連れてくるように』
強大な魔物と戦い、多くの謎を解き、そして強くなる。
死してもなお遙かなる神銀(ミスリル)級を目指す、不死者レントの『冒険』、第10弾――!

望まぬ不死の冒険者 10
望まぬ不死の冒険者特設サイト

感想

この物語では、レントたちが王都ヴィステルヤに到着し、宿泊し。
東天教の教会を訪れ、王城へ訪問し。
王都でオーグリーとパーティを組んで新たな依頼を受ける物語が描かれている。
後々の話への伏線が散りばめられており。
王都という新たな舞台でレント達の活躍は新たなステージへ向かっていく。

レントとロレーヌは、マルトと王都ヴィステルヤを比較し、王都の広さと繁栄に感心を示す。

ウルフからの任務でグランドマスターを迎えに王都を訪れた彼らは、目的の人物に会えず、最低でも5日の待機を余儀なくされる。

そして、リリアン僧侶からの依頼でエルザ僧正への手紙を届ける場面では、リリアン僧侶の名前を聞いた女性僧侶の反応と応接室での対応でリリアン僧侶が想定以上に凄い人だったのかと。
ロレーヌとレントはリリアンの階級や身分に関する疑問が浮かび上がる。

そして、手紙の宛先のエルザ僧正の見た目の若さと聖職者としての重要な地位は、リリアン僧侶との関係に疑問を植え付ける。
それでも、レントとロレーヌは、リリアン・ジュネからエルザ僧正への手紙を届けるという任務を果たし、エルザの聖気の使い方にレントは驚かされる。

この出会いは後の物で、エルザの過去と現在の立場、リリアンとマルトに関する背景にも光を当て行く。

次の用事のヤーラン王国王宮での出来事は、この物語の政治的な側面を強調する。

レント達は、オーグリーの定宿へ赴き。
オーグリーは何度も来る王女からの使者に辟易しており。
レント達の到着を歓迎するが、なんでこんなに日数が掛かるのか疑問にも思っていた。
そこで、マルトでの騒動をレントとロレーヌから聞き遅くなった理由に納得する。

そして、王女殿下とナウス殿に会うために門番を説得し、城内に入る場面は、冒険者としての彼らの適応力を示している。

出迎えに来た、あの時に出会った騎士団長のナウス・アンクロが迎えに来て。
彼の貴族としての立場と、より権力のある貴族と王族の関係は、この世界の権力構造と登場人物の背景を掘り下げる。

レントたちが王族や高位貴族との関わりに巻き込まれる状況は、物語の緊張感を高める。

ジア王女とその兄姉の間の政治的な対立は、国王の健康を守るための新たな王杖の製作とその重要性を浮き彫りにする。

この王杖が邪気を弱める力を持ち、老朽化して国王の生命力を過剰に消耗することが明らかにされ。
その解決のためにジア王女は、ハイエルフにお願いして新たな王杖を作成してもらう事となっていた。
その帰りにレント達に助けられたらしい。
そのハイエルフは、王女の前に神の遺物を持つ者が現れたら連れて来て欲しいと言われており。
レントの仮面を見て、ハイエルフが言っていた者がレントだと王女は判断した。

そのハイエルフからのメッセージは、レントたちの今後の役割に対するヒントとして重要で。

このメッセージが物語の中でどのような影響を与えるのか、今後の展開が楽しみになって来る。

そのヤーラン王国王宮での一連の出来事は、レントたちがエルフの国、古貴聖樹国への旅を断り、代わりに連絡を取り合うことに同意する事で終わる。

彼らはその後、オーグリーの定宿に戻り、冒険者ギルドのグランドマスターの帰りを待ちながら、いくつかの塩漬けになっている任務を引き受けることを決める。

そんな彼等に、ヤーラン王国のお家騒動の火の粉が降り掛かる。
ルーザ村へ向かう途中。
ヤツールと呼ばれる馬車の御者がレントたちを殺害しようとする。
食事に睡眠薬を混ぜてレント達を眠らせて殺そうとしていたのだが、、
ロレーヌ、オーグリーは寝てしまったが、不死者のレントが一切睡眠を取らずに一晩中寝ずの番をしてしまった。
おかげでヤツールことあ”ゴブリン”の作戦は失敗となる。

その《ゴブリン》には現状報告する同僚がおり。
通信相手の老人と”セイレーン”と呼ばれる者が暗殺に来ているとレント達は知る。

そして、ルーザ村では、そのセイレーンが住民が村人達を洗脳して、レント達を襲わせるが、、
冒険者としてベテランのレント達からしたら、村人達は脅威とはならなかった。
でも、数の暴力に屈しそうになった時。
オーグリーが、セイレーンを捕まえてロレーヌがセイレーンを調教して村人の洗脳を解いて一件落着となる。
この時、ロレーヌは何をした?((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

最後に、レントたちは新たな依頼に向かう準備を整え、村娘のフェリシの案内で飛竜が営巣している浮島へと向かう。

最後までお読み頂きありがとうございます。

望まぬ不死の冒険者9巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者11巻

考察・解説

王都への訪問

『望まぬ不死の冒険者』第10巻において、レントとロレーヌがマルトでの騒動を報告し、総冒険者組合長をマルトへ迎えに行くというウルフからの依頼を受けて王都ヴィステルヤに滞在するエピソードは、個人の任務から国家やエルフの預言が絡む重大な局面へと物語が拡張する重要な展開である。

総冒険者組合長の不在に伴う滞在猶予の発生、エフェス大寺院への手紙送達によって判明した聖女リリアンの過去、第二王女ジアへの謁見と国王の生命力を啜る王杖劣化の秘密、そして聖樹の預言に示された骸骨仮面を持つ者の存在と連絡先共有にいたる全容は以下の通りである。

総冒険者組合長ジャンの五日間にわたる留守と王都での他任務先行処理

王都に到着したレントとロレーヌは、王都冒険者組合を訪れた。

・目的の人物である総冒険者組合長ジャン・ゼーベックは留守にしていた。

・受付の職員から戻るのは五日後になると告げられたため、二人はその猶予を利用して、王都で済ませるべき他の用事を先に片づけることにする。

エフェス大寺院のエルザ僧正への手紙送達と明かされた辺境派遣聖女リリアンの過去

二人は最初の用事として、マルトの孤児院の責任者であるリリアンから預かった手紙を届けるため、東天教のヤーラン王国本部であるエフェス大寺院へ向かった。

・手紙の宛先であるエルザ僧正と面会したことで、リリアンが元々はエフェス大寺院で将来を嘱望されていた優秀な聖女であり、教団内部のごたごたが原因で辺境のマルトへ派遣されていたという過去が明らかになる。

・二人はエルザから、リリアンへの返信を運搬する依頼を新たに引き受けた。

第二王女ジアへの謁見と不死系統魔物抑制の代償として国王の命を啜る王杖の劣化

その後、王都を拠点とする知人の銀級冒険者オーグリーと合流したレントたちは、以前街道で魔物の襲撃から救った第二王女ジア・レギナ・ヤーランに謁見するため王宮へ向かった。

・謁見の場でジア王女は、現在のヤーラン国王の体調が思わしくなく、余命が一年も保たないかもしれないという国家の秘密を明かした。

・その原因は、国王が王位継承時に受け継ぐ「王杖」の劣化であった。

・ハイエルフから贈られたその王杖は、ヤーラン各地の不死系統の魔物の発生を抑える効果を持つものの、長年の酷使により劣化し、現在では国王の生命力を際限なく啜る危険な道具となっていた。

古貴聖樹国のハイエルフが授けた聖樹の預言と骸骨仮面を巡る人違いリスクの慎重審議

国王の命を救うため、ジア王女は新たな王杖の製作を依頼すべくエルフたちが住む古貴聖樹国へ赴いていた。

・彼女はそこでハイエルフから、エルフたちが敬う「聖樹」の預言を聞かされる。

・その預言とは、人族が神具を持った者と縁を持つ。その者をここに連れてくるように、というものであった。

・王女は、神具に近い骸骨仮面を持つレントこそがその該当者ではないかと考えた。

・レントたちは、人違いであった場合にエルフとの関係が悪化するリスクを指摘して慎重な判断を促し、即座の同行は避けられたものの、いつでも連絡が取れるよう冒険者組合の登録番号と住所をナウスに伝えることになった。

まとめ

王都への訪問エピソードは、総冒険者組合長の不在という偶発的な猶予を発端に、レントが宗教・王権・異種族の核心へと深く関与していくプロセスを描いた重要な転換点である。リリアンの知られざる過去の解明や、国家の存亡に関わる劣化王杖の秘密をジア王女から明かされた事実は彼の存在感の高まりを示している。ハイエルフの「聖樹の預言」にいう神具の持ち主として、レントの骸骨仮面が浮上し、リスクを考慮しつつも王家との連絡線を構築した顛末は、この訪問が単なる使者としての任務を超え、レントを世界規模の宿命とエルフの領域へと誘う絶対的な前兆となったことを厳密に証明している。

王女との謁見

『望まぬ不死の冒険者』第10巻において、レント、ロレーヌ、オーグリーの三人が王宮に招かれ、ジア・レギナ・ヤーラン第二王女から国家の秘密と重大な依頼を打ち明けられるエピソードは、王政の核心と異種族の預言がレントの存在に結びつく極めて重要な局面である。

骸骨仮面から放たれる聖気と王女らの懇願、ヤーラン全土の不死者発生を抑制する代償として国王の生命力を啜る劣化王杖の秘密、王位継承を巡る暗殺襲撃の真相とエルフの国への旅、聖樹の預言に示された神具を持つ者への該当疑惑、そして人違いのリスクを考慮した慎重な判断と連絡先の確保にいたる全容は以下の通りである。

祠の精霊に神具に近いと称された骸骨仮面から放たれる聖気と王女らの頭を下げての懇願

ナウスの案内で王女の部屋に通された三人は、それぞれ自己紹介を行った。

・王女はレントの骸骨仮面に強い興味を示し、レントはそれが顔の怪我を隠すためのものだったが外れなくなり、小さな祠の精霊から「神具に近い」と言われたことを明かし、実際に聖気を放って見せる。

・これを聞いた王女とナウスは目配せをし、突然三人に頭を下げて「力を貸してほしい」と懇願した。

全土の不死系統魔物を抑制するハイエルフ製王杖の劣化と民のために生命力を削る国王の覚悟

王女が語ったのは、ヤーラン国王カルステンの命が余命一年も保たないかもしれないという国家の秘密であった。

・原因は、国王が王位継承時に受け継ぐハイエルフ製の「王杖」の劣化である。

・王杖にはヤーラン全土の不死系統の魔物の発生を抑える効果があるが、長年の酷使による劣化で、国王の生命力を際限なく啜る危険な道具と化していた。

・国王は不死者の発生による民への被害を防ぐため、臣下の進言を退けて王杖を使い続けていた。

新王杖製作の帰路を狙った王位継承権争いに伴う第一王子らによる暗殺未遂の真相

王女は新たな王杖の製作を依頼するため、ハイエルフたちの住む古貴聖樹国へ赴いていた。

・以前レントたちが街道で王女を襲撃から救ったのは、まさにその帰路での出来事であった。

・ナウスの推測によれば、王杖の製作依頼を成功させた王女が王位継承者として指名される可能性があったため、それを恐れた第一王子か第一王女(あるいはその両方)が暗殺を企てた可能性が高いとのことであった。

人族が神具を持った者と縁を持つという聖樹の預言と仮面の男への同行要請

古貴聖樹国のエルフたちは王杖の製作を受け入れたものの、条件を提示した。

・その一つが、エルフたちが敬う「聖樹」の預言に関わるものであった。

・預言の内容は、人族が神具を持った者と縁を持つ。その者をここに連れてくるように、というものであった。

・王女は、神具らしき仮面を持つレントこそが預言の人物だと確信し、古貴聖樹国へ連れて行こうと考えた。

本物か不明な神具の不確定要素とエルフとの関係悪化リスクを考慮したマルト連絡先の開示

しかし、レントは自らの仮面が本物の神具かどうかわからないと慎重な姿勢を見せる。

・ロレーヌとオーグリーも、もし人違いであった場合にエルフとの関係が悪化し、問題が複雑化するリスクを指摘した。

・王女もこの進言を受け入れて即座の同行は見送ったが、今後確実に連絡が取れるよう、レントとロレーヌはマルトの冒険者組合の登録番号と住所をナウスに伝え、王城を後にした。

まとめ

王女との謁見エピソードは、レントの有する「骸骨仮面」という特異な存在が、ヤーラン王国の王位継承問題や国家の存亡、さらにはハイエルフの聖樹の預言にまで直結していることを明かした重大な転換点である。民の犠牲を防ぐために自らの生命力を捧げる国王の現状や、それを取り巻く宮廷の暗殺工作の真相が語られたプロセスは、物語の規模が中央政界へとシフトしたことを示している。仮面の該当性を巡り、エルフとの国際関係への影響を憂慮して慎重な保留を勝ち取りつつ、マルトへの連絡線をナウスとの間に確立した顛末は、レントが単なる一冒険者の枠を完全に超え、異種族の預言が導く絶対的な宿命の渦中へと足を踏み入れたことを厳密に証明している。

弟子たちの修行

『望まぬ不死の冒険者』第10巻の閑話において、レントとロレーヌの弟子であるリナとアリゼが、マルトで魔術の特訓に励む様子を描いたエピソードは、次代を担う魔術師たちの地道な研鑽を伝える重要な記録である。

ラトゥール家での攻撃魔術訓練におけるアリゼの無自覚な心酔、リナが苦手な土系統魔術で挑む短縮詠唱の精度改善、詠唱を剣術の型になぞらえたイザークの基礎重視の指導、そしてレントの我流魔術に対する評価とロレーヌによる師としての立ち位置の明確化にいたる全容は以下の通りである。

ラトゥール家の庭園で行われた攻撃魔術訓練とアリゼの無自覚な懐き

リナとアリゼは、ロレーヌから攻撃魔術の練習をするのであればラトゥール家のイザークの管理下で行うように、との指示を受けていた。

・二人はラトゥール家を訪れ、庭で訓練を行う。

・アリゼはそこが吸血鬼や不死者の集う屋敷であることには全く気づいておらず、美しい庭園や洗練された使用人たちにすっかり魅了され、懐いていた。

土系統魔術を用いた制御力鍛錬とリナが挑戦した短縮詠唱の成果

リナはすでに基本的な詠唱魔術を身につけているため、次の段階として短縮詠唱に挑戦していた。

・彼女は初心者用の杖に魔力を集め、短縮詠唱で「土の矢」を作り出して的へ放つ。

・矢は見事に的へ命中したものの、見守っていたイザークからは、初めての短縮詠唱にしては悪くないが、もう少し中心に当ててほしかった、と的確な評価を受けていた。

・特に彼女が苦手としている土系統の魔術を使うことで、魔力の制御力を鍛える狙いがあった。

剣術の型に例えた詠唱の重要性と我流の悪癖を回避するイザークの指導

リナの魔術を見たアリゼは、自分にも短縮詠唱ができるかイザークに尋ねた。

・イザークは、魔術には詠唱魔術、短縮詠唱、無詠唱の段階があり、後になるほど難しくなると説明する。

・魔術の詠唱を「剣術の型」にたとえ、初めから詠唱を疎かにして我流で魔術を使うと変な癖がついてしまうため、焦らずまずは詠唱魔術を完璧にするようアリゼを諭した。

・才能がないのかと不安がっていたアリゼも、この丁寧な説明により、失敗を恐れずに基礎の練習を続けるよう促された。

レントの我流技術に対する評価と教科書作成を通じたロレーヌの師としての役割

イザークの話を聞いたアリゼは、レントの魔力操作は上手だがロレーヌには「気持ち悪い」と言われていたことを思い出す。

・イザークはレントの魔術を「我流剣士」のようなものだと評しつつも、レント自身が基本の大切さを理解し、ロレーヌから学び直す姿勢を持っていることを高く評価した。

・イザークは二人が危険なことをしないか見守る役目であり、二人の正式な魔術の師匠は専用の教科書を作り上げたロレーヌであることが確認されている。

まとめ

リナとアリゼによる魔術の特訓エピソードは、高名な魔術師ロレーヌの下で学ぶ弟子たちが、イザークという経験豊富な不死者の視点を通して基礎の重要性を再確認する重要な補完的局面である。短縮詠唱という高度な技術習得において、詠唱を「剣術の型」として定義し、我流の弊害を説いたイザークの指導は、魔術師としての大成を狙う二人にとって極めて有益な指針となった。レントという規格外の才能を持つ先駆者の轍を踏まず、ロレーヌが編纂した教科書に従い着実に基礎を積み上げる二人の姿は、彼女たちが将来的に洗練された正規魔術師へと成長するための絶対的な土台が築かれていることを厳密に証明している。

刺客との攻防

『望まぬ不死の冒険者』において、王都からルーザ村へ向かう道中および現地にてレントたちが受けた、工作員たちによる周到な暗殺計画と催眠を用いた村人襲撃の罠、そしてその裏に隠された真の狙いの看破と解決を描いたエピソードは、敵の策略を逆手に取るレントたちの高い戦闘力と冷静な洞察力を示す重要な局面である。

御者ヤツールによるホブゴブリンの使役と眠り薬を用いた暗殺計画の失敗、森の追跡によって判明したセイレーンと老人の工作員組織の存在、薬と会話による催眠で操られたルーザ村の住人たちによる夜襲の無力化と犯罪者仕立て上げの罠の看破、そして香水の匂いを起点としたセイレーン本人の捕縛とヤツールを泳がせる事後処理にいたる全容は以下の通りである。

ゴブリン系を使役する御者ヤツールの裏切りと不死者レントの見張りによる眠り薬暗殺の霧散

王都からルーザ村へ向かう馬車の御者ヤツールは、実はレントたちを始末する任務を帯びた工作員ゴブリンであった。

・彼は生まれつきゴブリン系を使役できる異能を持っており、まずはホブゴブリンの群れを差し向けて三人の実力を測った。

・想定以上に三人が強かったため、彼はわざと道を間違えて野宿に誘導し、食事に強力な眠り薬を盛って暗殺しようと企てる。

・しかし、ロレーヌとオーグリーは薬を無毒化、またはレントによる解毒を行っており、そもそも不死者のレントには薬が効かず一晩中見張りをしていたため、この暗殺計画は失敗に終わった。

ヤツールの森における密会盗聴と若い女セイレーンら工作員グループの存在把握

翌日、ヤツールが用を足すふりをして森へ入った際、レントは密かに後を追い、彼が仲間と密会しているのを盗み聞きした。

・そこで、仲間に若い女セイレーンと老人がいること、そしてセイレーンが「この先で舞台を整える」と宣言しているのを確認する。

・これにより、レントたちはヤツールの正体に気づきながらも、あえて騙されたふりをして敵の出方をうかがう方針をとった。

村娘フェリシーらの色仕掛け夜襲と怪我をさせない無力化により看破した冒険者割認の罠

ルーザ村の宿に到着した夜、セイレーンの異能による本格的な罠が発動した。

・彼女は特定の薬や会話を通じて村人たちに深い催眠をかけ、レントたちを暗殺する駒として操る。

・まず、酒場で知り合った村娘フェリシーが色仕掛けでオーグリーの部屋に侵入しナイフで襲いかかったが、彼は無傷で彼女を取り押さえて気絶させた。

・同様に、レントとロレーヌの部屋にも別の村人が襲撃に訪れたが、二人とも難なく制圧し拘束する。

・さらに、宿の亭主が鉈を持って襲いかかり、宿の外では十数人の村人たちが待ち伏せして襲撃してきたが、レントとオーグリーは村人たちに怪我をさせないように的確に気絶させていった。

・最後の一人が自らの首を掻き切ろうとしたのを見たレントたちは、この罠の真の狙いが、冒険者に村人を殺傷させ、国に犯罪者として捕縛させること、だったと看破した。

王都製香水の匂いを辿った首謀者捕縛と眠らせたセイレーンを囮にする情報統制

混乱の中、オーグリーは襲撃者から王都でしか売られていない香水の匂いが移っていることに気づき、その匂いを辿って村のどこかに潜んでいたセイレーン本人を捕獲することに成功した。

・ロレーヌの尋問により、セイレーンの能力は魔力を介さない異能であり、術者が気絶すれば催眠も解けることが判明する。

・正気に戻ったフェリシーたちには催眠にかけられていた事実を説明し、村人たちにも自分たちが狙われたことは伏せつつ事情を説明して事態を穏便に収拾した。

・一方、セイレーンは魔術的な睡眠で眠らせて罠を張った部屋に放置し、工作員ゴブリン(ヤツール)には、犯人は捕まえたが何も聞き出せていない、と適当な情報を流すことで、彼らを泳がせつつ今後の動きを警戒することにした。

まとめ

刺客工作員によるルーザ村の一連の襲撃エピソードは、レントたちを物理的に抹殺するだけでなく、精神支配された村人を防衛殺傷させることで社会的、法的に破滅させようとした極めて陰湿な知略戦である。ヤツールの毒殺計画を見破る観察眼や、暴徒と化した住民を一人も殺めずに制圧したレントたちの卓越した実力は彼らの地力の高さを示している。王都特有の香水の痕跡から術者であるセイレーンを逆探知して拘束し、その催眠の仕組みを解明した顛末、そしてヤツールに虚偽の情報を与えてあえて組織を泳がせる形にした事後処理の実態は、レントたちが中央の刺客に対して完全な主導権を握り、さらなる背後の黒幕を引きずり出すための強固な布石を築いたことを厳密に証明している。

湖での素材採取

『望まぬ不死の冒険者』第10巻において、レント、ロレーヌ、オーグリーの三人が王都で受けた高難易度の依頼を達成するためペトレーマ湖へ赴くエピソードは、難治任務の攻略と現地協力者の能力によって鮮やかに成果を挙げる重要な局面である。

長期間放置されていた三つの高難易度依頼の背景、村人襲撃の罠から救った恩返しとして同行を申し出た村娘フェリシーの有する異能、フェリシーが使役する水色飛竜の背に乗って移動した巨大浮遊石での飛竜天麻採取、そしてレントとオーグリーの追い込みとロレーヌの電撃魔法陣による水猫の生け捕り量獲にいたる全容は以下の通りである。

長期間放置されていた三つの高難易度ターゲットと水色飛竜の巣に群生する飛竜天麻の脅威

三人が王都の冒険者組合で受けたのは、水猫(アクア・ハトウール)の生け捕り、泥魔導人形(ルトウム・ゴーレム)の泥か粘土の収集、飛竜天麻の採取という、生息場所の特定や捕獲が難しいため長期間放置されていた依頼であった。

・ペトレーマ湖にはこれら全てのターゲットが揃っているが、特に飛竜天麻は、繁殖期で気が立っている水色飛竜(マイム・ワイヴァーン)の生息地に行かなければならない。

・生息地は湖上の浮遊石の上であり、正面突破では極めて危険な任務であった。

魔力を用いず飛竜の警戒心を無効化するフェリシーの異能と案内への志願

湖へ出発しようとする三人のもとに、村娘のフェリシーが両親手作りの弁当を差し入れにやって来た。

・彼女は、自分を助け、村人たちを傷つけずに救ってくれたお礼として、水色飛竜の生息地を抜ける方法を案内すると申し出る。

・彼女は、飛竜に一切警戒されず、感覚的に安全かどうかを察知してある程度言うことも聞かせられるという、魔力を使わない異能の持ち主であった。

水色飛竜の背による巨大浮遊石への空中移動と市場流通を考慮した通常サイズ天麻の選別採取

フェリシーの呼びかけに応じた水色飛竜の背に乗せてもらい、三人は空を飛んでペトレーマ湖上に浮かぶ巨大な浮遊石へと辿り着いた。

・そこは飛竜の巣が集まる場所であり、飛竜の排泄物を肥料にして育つ飛竜天麻が、人間の背丈を超えるほどの異常な大きさで大量に群生していた。

・市場で怪しまれないよう、群生の端にある通常サイズのものを選んで採取し、三人は飛竜の力で無事に一つ目の依頼を達成する。

水の刃を放つ透明な水猫の袋小路追い込みとロレーヌの電撃魔法陣による気絶捕獲

続いてフェリシーの案内により、綺麗な水源に定住する性質を持つ水猫の泉へ向かった。

・水猫は透明な水で構成された猫の姿をしており、強力な「水の刃」を連発しながら素早く逃げ回る厄介な魔物であった。

・捕獲のため、魔術の使えないレントとオーグリーが攻撃を避けながら水猫を特定の方向へ追い込み、ロレーヌが事前に岩場へ仕掛けていた魔法陣の袋小路へと誘導する。

・魔法陣の電撃の網で水猫を気絶させ、逃げられない特殊な鳥かご型の檻に放り込むことで、二つ目の依頼である生け捕りにも見事成功した。

まとめ

湖での素材採取エピソードは、王都の組合で停滞していた高難易度依頼に対し、レントたちの確かな実力と、催眠から救い出したフェリシーの特殊な「異能」を組み合わせることで、危険を最小限に抑えて完遂した極めて合理的な攻略記録である。繁殖期の水色飛竜をフェリシーの異能によって手懐けて移動手段とし、巨大な群生からあえて市場で目立たないサイズを選別したレントの慎重さは彼の冒険者としての優れた判断力を示している。前衛二人の緻密な誘導とロレーヌの電撃魔法陣の連携によって敏捷な水猫の生け捕りを成功させた顛末は、この採取行が単なる力押しではなく、人脈と技術の融合によって不可能な任務を計画的に遂行する絶対的な実力を有していることを厳密に証明している。

望まぬ不死の冒険者9巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者11巻

登場キャラクター

主人公とその関係者

レント・ヴィヴィエ

ロレーヌと同居し、ともに行動する不死者の冒険者である。骸骨仮面を被っている。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合・銅級冒険者。不死者。

・物語内での具体的な行動や成果
 ウルフの依頼で王都を訪れ、ジア王女に謁見した。オーグリーの依頼でペトレーマ湖へ向かい、道中で工作員の罠を回避して魔物の捕獲を行った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 骸骨仮面が神具に近い可能性があると語っている。睡眠を必要としない体になっている。

ロレーヌ・ヴィヴィエ

レントと同居する魔術師であり学者である。知識豊富で合理的な判断を下す傾向にある。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合・銀級冒険者。学者。錬金術師。魔術師。

・物語内での具体的な行動や成果
 リリアンの手紙を東天教本部に届け、王女と謁見した。ヤツールの罠を見破り、村人を操るセイレーンを捕らえて尋問を行っている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 静音結界や探知魔術など高度な技術を使いこなす。

リナ・ルパージュ

レントとロレーヌの弟子である。アリゼとともに魔術の修行に励んでいる。

・所属組織、地位や役職
 冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 ラトゥール家の庭で初心者用の杖を使った。短縮詠唱で土の矢を放つ訓練を行っている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 土系統の魔術を苦手としている。

アリゼ

マルトの孤児院で暮らす少女である。レントとロレーヌの弟子だ。

・所属組織、地位や役職
 マルトの孤児院・孤児。

・物語内での具体的な行動や成果
 ラトゥール家の庭でリナの魔術訓練を見守った。イザークから詠唱の重要性について教えを受けている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 吸血鬼の屋敷とは気づかずにラトゥール家に魅了されている。

小鼠

エーデルの手下として動く魔物である。レントやロレーヌの指示に従う。

・所属組織、地位や役職
 エーデルの手下。

・物語内での具体的な行動や成果
 レントたちより先に王都や王宮へ潜入した。魔物感知の魔道具が反応しないか調査を行っている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 報酬として孤児院の地下に温度調整用の魔道具を要求した。

ラトゥール家

イザーク・ハルト

ラトゥール家で働く使用人である。リナやアリゼの訓練を見守る立場にある。

・所属組織、地位や役職
 ラトゥール家・使用人。吸血鬼。

・物語内での具体的な行動や成果
 リナの短縮詠唱を評価した。アリゼに魔術の基礎や型の大切さについて説いている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 吸血鬼であることを隠してマルトで生活している。

ラトゥール家の使用人たち

ラトゥール家で働く者たちである。

・所属組織、地位や役職
 ラトゥール家・使用人。

・物語内での具体的な行動や成果
 アリゼに洗練された振る舞いを見せ、彼女を魅了した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

東天教

エルザ・オルガド

東天教のヤーラン王国本部を預かる責任者である。リリアンとは昔からの知り合いだ。

・所属組織、地位や役職
 東天教・僧正。エフェス大寺院の責任者。聖女。

・物語内での具体的な行動や成果
 レントたちからリリアンの手紙を受け取り、聖気で封印を解いた。リリアンへの返信の手紙を運ぶようロレーヌに依頼している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 地位に見合わない若さを持つが、高度な聖気を使用できる。

女性僧侶

エフェス大寺院で働く僧侶である。

・所属組織、地位や役職
 東天教・僧侶。

・物語内での具体的な行動や成果
 レントたちに用件を尋ねた。リリアンの名を聞いて驚愕し、二人を応接室へ案内させている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 武術の心得がある気配を持っている。

僧侶見習いの少女

エフェス大寺院で働く見習いである。

・所属組織、地位や役職
 東天教・僧侶見習い。

・物語内での具体的な行動や成果
 レントたちを応接室へ案内し、お茶を出した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エルザのことは知っていたが、リリアンのことは知らなかった。

東天教の教徒たち

東天教を信仰する人々である。

・所属組織、地位や役職
 東天教・教徒。

・物語内での具体的な行動や成果
 エフェス大寺院の堂内で静かに祈りを捧げていた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

冒険者組合・冒険者

オーグリー・アルズ

レントやロレーヌの旧友である。派手な服装を好む性質にある。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合・銀級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 レントたちを王城へ案内し、ジア王女と謁見した。王都近郊の素材採取依頼をレントたちとともに受け、ペトレーマ湖へ向かっている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 匂いでセイレーンを見つけ出すなど、優れた感知能力を持つ。

受付の女性

王都の冒険者組合で働く職員である。丁寧な対応を行う。

・所属組織、地位や役職
 王都冒険者組合・職員。

・物語内での具体的な行動や成果
 レントに総冒険者組合長が留守であることを伝えた。オーグリーたちの臨時パーティー結成や塩漬け依頼の受注手続きを処理している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 総冒険者組合長の行動に頭を悩ませている。

ヤーラン王国・王宮

ジア・レギナ・ヤーラン

ヤーラン王国の王女である。冒険者に対しても誠実な態度で接する。

・所属組織、地位や役職
 ヤーラン王国・第二王女。

・物語内での具体的な行動や成果
 レントたちと面会し、国王の寿命や王杖の問題を打ち明けた。古貴聖樹国で受けた預言について語り、レントに協力を求めている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レントの仮面が預言にある神具かもしれないと考えている。

ナウス・アンクロ

ジア王女を護衛する騎士である。義理堅く、冒険者にも礼を尽くす性格だ。

・所属組織、地位や役職
 ヤーラン王国近衛騎士団・団長。アンクロ侯爵家・家長。

・物語内での具体的な行動や成果
 王城の待合室でレントたちを出迎え、王女の部屋へ案内した。王女が襲撃された背後関係について推測を述べている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レントの仮面が神具である可能性に驚きを示した。

王都の住人

宿の亭主

王都の宿である「鷹の羽休め亭」を経営する男性である。

・所属組織、地位や役職
 鷹の羽休め亭・亭主。

・物語内での具体的な行動や成果
 宿の中で女将とともに働いていた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

宿の女将

王都の宿である「鷹の羽休め亭」で働く女性である。

・所属組織、地位や役職
 鷹の羽休め亭・女将。

・物語内での具体的な行動や成果
 宿の中で亭主とともに働いていた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

宿の娘

王都の宿である「鷹の羽休め亭」で受付を担当する娘である。

・所属組織、地位や役職
 鷹の羽休め亭・従業員。

・物語内での具体的な行動や成果
 レントたちにオーグリーの部屋番号を案内した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

工作員

ヤツール

行商人として馬車を操る男である。裏の顔は工作員だ。

・所属組織、地位や役職
 工作員。通称《ゴブリン》。

・物語内での具体的な行動や成果
 レントたちを馬車に乗せ、ホブゴブリンを差し向けて実力を測った。食事に眠り薬を盛ったが、レントが眠らなかったため暗殺に失敗している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ゴブリンやホブゴブリンを使役する異能を持っている。

《セイレーン》

ヤツールとともに行動する工作員である。自信に満ちた若い女だ。

・所属組織、地位や役職
 工作員。

・物語内での具体的な行動や成果
 森の中でヤツールと密会し、ルーザ村で舞台を整えると告げた。村人を催眠で操ってレントたちを襲わせたが、オーグリーに捕らえられている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特定の薬や会話を通じて人間を操る異能を持つ。

老人

ヤツールやセイレーンの仲間である。しわがれた声を持つ。

・所属組織、地位や役職
 工作員。

・物語内での具体的な行動や成果
 森の中でヤツールに対し、問題があれば自分が尻拭いをすると伝えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 姿や正体は不明である。

ルーザ村の住人

フェリシー

ルーザ村に住む娘である。ペトレーマ湖に詳しい知識を持つ。

・所属組織、地位や役職
 ルーザ村の住人。

・物語内での具体的な行動や成果
 催眠で操られてオーグリーをナイフで襲った。正気に戻った後、飛竜の生息地を抜けるための案内役を買って出ている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 飛竜に警戒されず、感覚的に安全を察知する異能を持っている。

リオ

フェリシーの父親である。家族を守ろうとする責任感が強い。

・所属組織、地位や役職
 ルーザ村の住人。

・物語内での具体的な行動や成果
 夜遅くに帰宅した娘とオーグリーを見て、事情を問い詰めた。事件の真相を知ると、オーグリーに深く謝罪と感謝を行っている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

レノラ

フェリシーの母親である。

・所属組織、地位や役職
 ルーザ村の住人。

・物語内での具体的な行動や成果
 オーグリーへの恩返しとして、弁当を作ることを提案した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

魔物

ホブゴブリン

通常のゴブリンより一回り大きく、人に近い体形をした魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。

・物語内での具体的な行動や成果
 王都から離れた街道で十体ほどの群れで現れ、レントたちに襲いかかった。レントたちによって討伐されている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 工作員ヤツールの異能によって操られていた。

水色飛竜

ペトレーマ湖を繁殖地とする飛竜である。繁殖期は気が立っている状態にある。

・所属組織、地位や役職
 魔物(色飛竜)。

・物語内での具体的な行動や成果
 浮遊石の上で巣を作り、卵や雛を育てていた。フェリシーの呼びかけに応じ、レントたちを背に乗せて浮遊石まで運んでいる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 排泄物が飛竜天麻の肥料となる。

水猫

透明な水で構成された猫の姿をした魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。

・物語内での具体的な行動や成果
 ペトレーマ湖の泉で顔を洗うなどしていた。近づくレントたちに水の刃を放って抵抗したが、ロレーヌの魔術の檻に捕らえられた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 水の精霊の因子を持ち、綺麗な水源から大きく離れない性質がある。

望まぬ不死の冒険者9巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者11巻

展開まとめ

第一章 王都と東天教 

王都ヴィステルヤの教会と王宮訪問の準備

王都の宿

レントとロレーヌは、夕闇の王都ヴィステルヤを見ながら、マルトとの規模の違いを実感した。ロレーヌは王都の雰囲気に帝国を思い出しつつも、ヤーラン特有の緩やかさを感じていた。二人は御者と別れて宿に入り、夫婦のように見られたのか同室へ案内されたが、同じ家で暮らしているため特に問題にしなかった。

王都冒険者組合

翌日、二人は王都冒険者組合を訪れた。建物はマルトの組合よりはるかに大きく、昇降機まで備えていた。受付で総冒険者組合長ジャン・ゼーベックへの面会を求めたが、本人は留守で、五日後に戻ると言われた。レントはその間に他の用事を済ませることにした。

先に済ませる用事

ロレーヌは、王都で済ませるべきこととして、リリアンから預かった手紙の配達、王女への挨拶、リナたちへの土産を挙げた。レントは、時間の読めない王宮訪問より先に、手紙を届ける方がよいと判断した。オーグリーには後で連絡を取ることにし、二人は東天教の教会へ向かった。

エフェス大寺院

王都の東天教本山であるエフェス大寺院は、マルトの教会とは比べものにならないほど荘厳だった。堂内は華美ではないが神秘的で、東天教の教義に沿った石像や壁画、東方の天使を描いたステンドグラスが静かな空気を作っていた。レントは不死者でありながら何の異常もなく入れたため、自分には東天教の場が危険ではないと確認した。

エルザ僧正宛の手紙

ロレーヌは、リリアンから預かった手紙をエルザ僧正へ直接渡したいと女性僧侶に伝えた。受取人がエルザ僧正で、差出人がマルトのリリアン僧侶だと聞いた女性僧侶は大きく驚き、二人を応接室へ案内させた。案内した見習い僧侶はエルザ僧正のことは知っていたが、リリアンについては知らなかった。

若き僧正エルザ

応接室に現れたエルザ・オルガドは、僧正という地位に比べて非常に若く見える女性だった。彼女はレントたちに丁寧に礼を述べ、ロレーヌから手紙を受け取った。手紙を開封する際、エルザは聖気を用いた封印を解除し、リリアンの聖気にも反応する光を見せた。

リリアンの過去

エルザは、リリアンがかつてエフェス大寺院にいた強力な聖気を持つ聖女であり、将来を嘱望されていたと語った。リリアンがマルトへ行ったのは本人の責任ではなく、教団内部のごたごたが原因だった。エルザは、リリアンと長く連絡が途絶えていたため、今回の手紙を懐かしく、また嬉しく受け止めていた。

返信の依頼

エルザは、リリアンへの返事を冒険者組合を通した依頼として運んでほしいとロレーヌに頼んだ。レントたちは王都にしばらく滞在する予定だったため、急ぎでないなら帰るときに届けられると答えた。エルザはそれで構わないとし、手紙ができ次第、冒険者組合を通じて連絡すると伝えた。

王女への謁見準備

大寺院を出た後、レントとロレーヌは、残る用事が王女への謁見と土産の購入だと確認した。レントは、王女を助けた際に近衛騎士団長ナウスから預かったメダルを魔法の袋から取り出した。王宮の魔物感知に引っかからないか不安は残ったが、ロレーヌは既存の魔道具では反応しないと見ていた。

小鼠の偵察

ロレーヌは、エーデルから借りた小鼠を王都に先行させ、貴族街や王宮の警戒設備にラトゥール家の魔道具が通用するか調べさせていた。エーデルは報酬として孤児院地下への温度調整用魔道具の設置を求めており、ロレーヌはそれを承諾していた。二人は王宮へ行く前に、まずオーグリーの定宿を訪ねて連絡を取ることにした。

閑話 その頃の弟子たち 

ラトゥール家の庭の魔術訓練

リナの土の矢

リナはラトゥール家の庭で、初心者用の杖を握りながら魔力を集中させていた。彼女は短縮詠唱で土の矢を作り出し、通常の矢より遅い速度で的へ放った。矢は的の外側に当たり、イザークは初めての短縮詠唱としては悪くないが、もう少し中心を狙ってほしかったと評した。

ラトゥール家の訓練場

リナとアリゼは、ロレーヌから攻撃魔術の練習はイザークの管理下で行うよう指示されていたため、ラトゥール家を訪れていた。本来なら薔薇の迷路を越える必要がある屋敷だったが、二人はすんなり中へ案内された。アリゼは屋敷の正体に気づかず、美しい庭園や洗練された使用人たちに魅了されていた。

アリゼの疑問

アリゼは、リナの短縮詠唱を自分にもできるかとイザークに尋ねた。イザークは、いずれ可能だが今すぐは難しいと答え、魔術には詠唱魔術、短縮詠唱、無詠唱があり、後になるほど難しくなると説明した。アリゼは才能がないのかと不安になったが、イザークはそれを否定した。

詠唱という型

イザークは、詠唱は剣術における型のようなものだと説明した。型を身につけてから崩す者と、最初から我流で進む者では成長の仕方が違い、詠唱を身につける方が効率的だという話だった。アリゼは、レントの魔力の使い方が上手でありながら、ロレーヌに気持ち悪いと言われていたことを思い出した。

レントの我流

イザークは、レントはたとえるなら我流剣士の側に近いと見た。ただし、レントは基本の大切さを知っており、ロレーヌから魔術を学び直しているため、我流の強みを活かしながら基礎も身につけていくだろうと語った。アリゼは、レントが自分と一緒にロレーヌから魔術を学んでいることに納得した。

それぞれの段階

イザークは、リナは基本的な詠唱魔術を身につけているため、次の段階として短縮詠唱に挑戦しているのだと説明した。特に苦手な土系統の魔術を練習することで、制御力も鍛えていた。アリゼには焦らず詠唱魔術を完璧にするよう助言し、失敗を恐れず練習するよう促した。

続く二人の修行

イザークは二人の正式な師匠ではなく、危険がないよう見守り、必要な助言をしている立場だった。魔術の基礎はロレーヌが作った教科書を使って学んでおり、二人の師匠はあくまでロレーヌだった。リナとアリゼは、イザークの見守る庭で訓練を続けた。

第二章 王宮へ 

王宮の依頼と総冒険者組合長の噂

鷹の羽休め亭

レントとロレーヌは、オーグリーの定宿である鷹の羽休め亭を訪ねた。宿は古びているが手入れの行き届いた老舗であり、オーグリーは三の部屋にいた。扉を開けた彼は、相変わらず派手な服装だったが、レントとロレーヌの来訪に驚き、歓迎した。

遅れた理由

オーグリーは、王宮から何度も催促されて心労が重なっていた。レントは、マルトで起きた吸血鬼騒動や迷宮化の事件について、ラトゥール家周辺をぼかしながら説明した。オーグリーは、レントが来られなかった理由に納得し、責めるわけにはいかないと受け入れた。

オーグリーへの埋め合わせ

レントが迷惑をかけた礼をしたいと言うと、オーグリーは待っていたかのように素材採取やパーティー単位の依頼を持ち出した。ロレーヌにも協力を求め、ロレーヌは責任の一端があるとして受け入れた。これで、オーグリーは心労に見合う報酬を得た形になった。

小鼠の報告

王宮の警戒設備について、ロレーヌは事前に調査していると説明した。そこへエーデルの手下である小鼠が窓から戻り、レントに王宮内部への侵入結果を伝えた。小鼠は国王の私室まで到達しており、ラトゥール家の魔道具による対策が問題なく機能することが確認された。

王城の門

翌日、レント、ロレーヌ、オーグリーは王城へ向かった。レントは銅級冒険者として第二王女ジアに用があると告げたが、門番に怪しまれた。そこでナウスから預かったメダルを示すと、門番はアンクロ侯爵家の紋章とナウス本人の証であることに気づき、三人を王城内へ案内した。

ナウスとの再会

待合室に現れた近衛騎士団長ナウス・アンクロは、三人がようやく来たことを喜んだ。オーグリーは必ず連れてくると言っていたと胸を張ったが、ナウスは日にちも名前も曖昧だったため疑っていたと述べた。それでも三人が王城に入れたことを、後ろ暗いことがない証拠と見なした。

ジア王女への挨拶

ナウスに連れられ、三人はジア王女の部屋へ通された。ロレーヌは学者として、オーグリーは銀級冒険者として、レントは銅級冒険者として名乗った。ジア王女は、レントが銀級の二人と行動している理由や骸骨の仮面、ロレーヌと同じヴィヴィエ姓について興味を示した。

骸骨仮面の説明

レントは、骸骨仮面は顔の怪我を隠すために知人から受け取ったもので、今は外れなくなっていると説明した。さらに呪物ではなく神具に近いものらしいと語り、祠の精霊から聖気を得たことも明かした。ジア王女はその話に強く反応し、ナウスと目配せした後、三人に力を貸してほしいと頭を下げた。

国王の異変

ジア王女は、国王カルステンが今も政務を続けているが、近頃体調を崩し、このままでは一年も保たないかもしれないと語った。その原因は、王位継承時に受け継ぐ王杖にあった。王杖はハイエルフから贈られた品であり、真実の国王が持つことでヤーラン各地の不死系魔物の発生や力を抑えていた。

劣化した王杖

王杖は国王の生命力を力に変えて効果を発揮していたが、長年の酷使で劣化し、今では国王の命を大きく削る危険な道具になっていた。臣下たちは使用をやめるよう進言したが、国王は不死者の発生による民の被害を避けるため、王杖を使い続けていた。

古貴聖樹国への旅

ジア王女は、新たな王杖を作ってもらうため、古貴聖樹国へ向かっていた。先日レントたちが助けた襲撃は、その帰路で起きたものだった。襲撃者は魔物、盗賊、傭兵などで、ナウスは第一王子か第一王女、あるいはその両方が主導した可能性があると推測していた。

王位継承の危機

ジア王女が古貴聖樹国で王杖の製作依頼を成功させれば、王位継承者として指名される可能性があった。そのため、第一王子や第一王女にとっては早めに排除すべき存在になったと考えられた。王杖の修理は現在の王杖を持ち出す必要があるため難しく、新たな王杖の製作が現実的な選択だった。

聖樹の預言

ハイエルフたちは王杖の製作に条件を付けた。その一つは素材をジア王女側で集めることであり、もう一つは聖樹の預言に関わるものだった。聖樹は、人族が神具を持った者と縁を持つので、その者を連れてくるように告げたという。その言葉から、ジア王女は神具に近い仮面を持つレントが該当者ではないかと考えた。

慎重な判断

レントは、自分の仮面が本当に神具かどうかは分からないため、聖樹が求める人物とは限らないと主張した。ロレーヌとオーグリーも、もし違っていた場合にはエルフとの関係を悪化させる恐れがあるとして慎重な判断を勧めた。ジア王女はそれを受け入れ、すぐにレントを古貴聖樹国へ向かわせることは見送った。

連絡先の確保

ジア王女は、レントが預言の人物である可能性は残るとして、確実に連絡できる手段を求めた。レントとロレーヌは、冒険者組合の登録番号とマルトの住所をナウスに伝えた。王都に残るよう求められかけたが、依頼中であることから数日後には発つと告げ、三人は王城を後にした。

ジャン・ゼーベックの評判

オーグリーの宿に戻った後、三人は総冒険者組合長ジャン・ゼーベックについて話した。オーグリーは、ジャンが神出鬼没で、職員から逃げ回るような人物だと語った。一方でロレーヌは、彼が過去に大災害をいくつも鎮めた指揮者であることを挙げた。オーグリーも、ジャンは普段は困った老人のようでありながら、いざという時には常人離れした働きをするため、辞任を惜しむ者が多いと話した。

第三章 オーグリーとの依頼 

王都近郊の依頼と工作員の罠

戻らない総冒険者組合長

レントは、総冒険者組合長ジャン・ゼーベックが本当に五日後に戻るのか疑い始めた。オーグリーから聞いた人柄を考えると、王都の組合職員も内心では不安を抱えていた可能性があった。レントは、ウルフが自分に依頼を丸投げした理由を理解しつつも、王都に来たことでオーグリーと再会できたことは悪くないと受け止めた。

オーグリーの依頼

オーグリーは、王都の冒険者が敬遠しがちな素材採取系の依頼を一緒に受けたいと話した。以前の火精茜の採取も、服の染料だけでなく少女の母を助ける薬のためだった。今回は水猫の生け捕り、泥魔導人形の泥や粘土、飛竜天麻の採取など、見分け方や捕獲方法に工夫が必要な依頼を候補に挙げた。

臨時パーティー

三人は王都冒険者組合で臨時パーティーを組むことにした。受付職員はジャンの帰還に自信がないことを正直に話しつつ、依頼の受注を手続きした。レントは銅級であるため報酬を低めにするべきだと考えたが、オーグリーとロレーヌは戦闘以外の知識や技術を評価し、報酬は三等分になった。

塩漬け依頼

オーグリーが選んだ依頼はいずれも長く受注されていなかったものだった。職員は難易度の高さから心配したが、失敗しても達成率には影響しないと説明した。三人は依頼内容を確認し、無理ではないと判断して王都の外へ向かった。

街道のホブゴブリン

王都から離れた街道で、三人は十体ほどのホブゴブリンに襲われた。レントたちは素早く撃退し、魔石を取り出した後、死体をロレーヌの魔術で焼き払った。街道にホブゴブリンの群れが現れるのは不自然であり、ロレーヌは縄張り争いや大きな異変の可能性を考えた。

行商人ヤツール

三人が乗っていた馬車の御者ヤツールは、行商人でもあった。レントたちはホブゴブリンの魔石の一部をヤツールに売り、残りはロレーヌの錬金術用に残した。その後、馬車は再び進んだが、ヤツールは道がいつもと違うと戸惑い始めた。

幻惑の疑い

ロレーヌは、ヤツールが何らかの薬で幻惑を受け、方向感覚を狂わされている可能性を考えた。やがてヤツールは道を間違えたと認め、野宿を申し出た。ロレーヌは密かに調べ、ヤツールに薬が使われた形跡を見つけ、レントは解毒薬を食事に混ぜて飲ませた。

眠り薬の夜

夜の見張りはレントが引き受け、ロレーヌ、オーグリー、ヤツールは眠った。だが、ヤツールは実は行商人に化けた工作員《ゴブリン》であり、レントたちを始末する任務を受けていた。彼はホブゴブリンを操る異能を持ち、街道での襲撃も三人の実力を測るために仕組んだものだった。

失敗した暗殺計画

《ゴブリン》は保存食や煮込みに眠り薬を仕込み、三人を眠らせて始末するつもりだった。ロレーヌとオーグリーは眠ったが、レントだけは一晩中眠らず、計画は失敗した。《ゴブリン》は薬がうまく混ざらなかったのだと考え、まだ正体は気づかれていないと判断した。

静音結界の相談

翌朝、馬車の中でロレーヌは静音結界を張り、三人はヤツールの正体について相談した。レントたちはすでに薬の混入にも気づいており、あえて騙されたふりを続けていた。ロレーヌは、今捕まえても情報が不十分になるため、仲間を引き出してから対処する方がよいと考えた。

森の密会

ヤツールが用を足すふりをして森へ入ると、レントは密かに後を追った。そこには《ゴブリン》の仲間である若い女《セイレーン》と、名の分からない老人がいた。《ゴブリン》は仕掛けが通じなかったことを報告し、《セイレーン》はこの先で自分の舞台を整えると言い残した。

セイレーンの舞台

レントは馬車に戻り、仲間が三人であること、女が《セイレーン》と呼ばれていたことを伝えた。三人は、《ゴブリン》の名がホブゴブリン操作に関わるなら、《セイレーン》も男を惑わす力や舞台仕立ての罠を得意とする可能性があると推測した。次の目的地であるルーザ村では、女性に注意する方針になった。

第四章 到着 

ルーザ村の罠と操られた村人たち

ルーザ村への到着

レントたちは正しい道へ戻り、ようやくルーザ村に到着した。ヤツールは普通の行商人のように振る舞っており、道中で新たな仕掛けをしてくる様子はなかった。レントたちは、村で何かが起こる可能性を警戒しながらも、ペトレーマ湖での素材採取に向けて宿を取ることにした。

ペトレーマ湖の情報

レントたちは酒場で、湖に詳しい女性フェリシーから話を聞こうとした。ロレーヌは、水猫や泥魔導人形、飛竜天麻を採取するため、ペトレーマ湖の地形や生物の分布を知りたいと説明した。フェリシーは、今は水色飛竜の繁殖期であり、湖へ近づけば襲われると警告した。

飛竜の繁殖期

ロレーヌは、飛竜天麻は飛竜のいる場所でしか育たないため、危険は承知していると答えた。さらに、過去に繁殖期のルーザ村から飛竜天麻が出荷された記録があるため、何らかの安全に近づく方法があるのではないかと尋ねた。フェリシーは何かを知っている様子だったが、話すことを拒み、その場から逃げ出した。

正攻法の方針

交渉は失敗したが、レントたちは無理に聞き出すことはしなかった。オーグリーは、方法が分からないなら正面から挑めばよいと考えた。ロレーヌも、水色飛竜を無闇に倒すつもりはなかったが、必要なら風の魔術で落とし、レントとオーグリーが対処する方針を受け入れた。

オーグリーの郷愁

宿に戻ったオーグリーは、自分の故郷を思い出していた。彼は、誇りばかりで可能性を探らない人々に飽き、冒険者になった過去を振り返った。もう戻らないと決めた故郷だったが、レントやロレーヌと過ごすうちに、自分のルーツへ向き合う気持ちが生まれ、いつか二人を連れて祖父に会いに行こうと考えた。

夜のフェリシー

夜中、フェリシーがオーグリーの部屋を訪ねた。彼女は酒場の時とは違い、魅力的な服装で現れ、オーグリーに近づいた。しかし、甘い態度は罠であり、彼女は隠し持ったナイフでオーグリーを刺そうとした。オーグリーは即座に手首を押さえ、彼女を傷つけずに気絶させた。

セイレーンへの疑念

オーグリーは、フェリシーが《セイレーン》本人かと考えたが、その動きは素人そのものだった。彼女は工作員とは思えないほど未熟で、ナイフの扱いも拙かった。さらに、捕らえられた後は獣のように暴れたため、オーグリーは彼女が本人の意思ではなく、何者かに操られている可能性を疑った。

同じ罠

オーグリーがフェリシーを担いでレントの部屋を訪ねると、レントも同じように女性に襲われていた。女性は服を脱いで迫り、最後にはナイフを出したが、レントは《分化》で刺される部分を外し、拘束して気絶させていた。二人は、ロレーヌにも同じ罠が仕掛けられている可能性を考えた。

ロレーヌの部屋

レントとオーグリーがロレーヌの部屋へ向かうと、ロレーヌもすでに襲撃者を捕らえていた。相手は美男子であり、話があると言って部屋に入り、突然のしかかろうとしたため、ロレーヌは《土の矢》で気絶させ、魔術で拘束していた。三人は、襲撃者たちが《セイレーン》本人ではなく、操られた村人である可能性を強めた。

眠り続ける三人

ロレーヌは静音結界を張り、三人は襲撃者たちを調べた。彼らは魔術ではなく何らかの深い催眠にかかっているようで、どんな方法を使っても目を覚まさなかった。ロレーヌは強い刺激を与えても反応しないことを確認し、《セイレーン》本人を捕まえる必要があると判断した。

村人全員という舞台

三人は、《セイレーン》が言っていた舞台とは、村人たちを操ることではないかと考えた。フェリシーたちは巻き込まれただけの可能性が高く、人質に使われる恐れがあったため、《ゴブリン》をすぐ締め上げることは避けた。レントとオーグリーが村の様子を見に行き、ロレーヌは捕らえた三人を見張ることになった。

宿の亭主

宿の外へ出ようとしたレントとオーグリーは、鉈を持った宿の亭主に襲われた。亭主は正気を失った獣のような目をしており、二人は殺さないよう注意しながら対処した。オーグリーは鉈を受け止め、剣の柄で腹を打って亭主を気絶させた。

取り囲む村人たち

宿の外には、十人ほどの村人たちが待ち構えていた。彼らも操られているようで、一斉にレントたちへ襲いかかった。レントとオーグリーは怪我をさせないよう一人ずつ気絶させていったが、最後の一人が自分の首を切ろうとしたため、レントは慌ててナイフを弾き、男を気絶させた。

危険な仕掛け

村人たちは、ただ襲うだけでなく、自害までさせられる状態にあった。レントたちは、村人が死ねば自分たちが加害者として疑われる可能性もあると考えた。二人は、《セイレーン》の仕掛けが単なる色仕掛けではなく、村全体を使った危険な罠であることを実感した。

セイレーンの捕縛とフェリシーの帰宅

黒幕への推測

レントとオーグリーは、村人たちを傷つけさせることで自分たちを国に捕まえさせる狙いがあったのではないかと考えた。王女のもとへ行ったことが原因で、背後にいる相手も絞られてきたように感じていた。その途中、オーグリーは香料の匂いに気づき、突然どこかへ走っていった。

捕らえられたセイレーン

オーグリーは、妖艶な女性を抱えて戻ってきた。彼は、襲撃された青年から王都でしか売られていない香料の匂いがしたことに気づき、その匂いを辿って女性を見つけたのだった。ロレーヌは、村人に移った香りから王都の人間を特定したという説明に納得し、その女性が《セイレーン》である可能性を認めた。

尋問するロレーヌ

ロレーヌは、セイレーンの尋問を一人で行うことにした。レントはセイレーンの方を心配しつつ、オーグリーとともに部屋を出た。しばらくして戻ったロレーヌは、セイレーンが特定の薬や会話を通じて一度に二十人ほどを操る異能を持つと説明した。

催眠の解除

セイレーンの能力は魔術ではなく、魔力を介さない異能だった。催眠は術者の意識が失われると解除されるため、オーグリーがセイレーンを気絶させた時点で、村人たちはすでに正気に戻れる状態になっていた。三人は、まず事情を説明しやすいフェリシーを起こすことにした。

目覚めたフェリシー

フェリシーは目覚めると、骸骨仮面のレント、派手なオーグリー、ロレーヌを見て悲鳴を上げた。ロレーヌが縄を解き、直近の記憶を尋ねると、フェリシーは酒場を出て家に帰ろうとしたところまでしか覚えていなかった。ロレーヌは、彼女が催眠によってオーグリーを襲わされたのだと説明した。

フェリシーの謝罪

フェリシーは、自分がナイフでオーグリーを襲ったと聞いて強く動揺した。オーグリーは、彼女に悪意はなく、自分にも怪我はないと伝えた。さらに、気絶させて縛ったことによる傷や跡がないかを気遣い、フェリシーはそれを確認して少し落ち着いた。

村人への説明

フェリシーは、同じように催眠にかけられていた村人たちへの説明に協力した。彼女は、村人たちが何者かに催眠をかけられたことだけを話し、レントたちが狙われたことは伏せた。何人かは冒険者たちが原因だと察していたが、フェリシーの説明と、催眠を解いたという事実もあって、宿を追い出されることは避けられた。

セイレーンへの罠

村人たちが戻った後、ロレーヌはセイレーンを魔術的な睡眠で眠らせ、部屋には複数の罠を仕掛けていると説明した。レントとロレーヌは、セイレーンを助けに来る者がいれば捕らえられるし、逃げられても《ゴブリン》を追えると考えた。そのうえで、ヤツールにも事件が起きたことを知らせに行った。

ヤツールへの報告

レントとロレーヌは、ヤツールに村で催眠事件が起きたこと、犯人らしき者を捕らえたが詳しい話は聞けていないことを伝えた。ヤツールは驚いたふりをし、催眠など眉唾だと反応した。レントたちは、彼に情報を一部流すことで、《ゴブリン》たちの次の動きを誘うことにした。

フェリシーの帰り道

オーグリーはフェリシーを家まで送った。道中、彼は王都での依頼が退屈で、レントやロレーヌといると面白い出来事が起こると語った。フェリシーは危険のない平穏な生活の方が魅力的だと答え、オーグリーは自分がそう思えず、故郷を飛び出したのだと話した。

フェリシーの両親

フェリシーの家では、父リオと母レノラが娘の帰りを待っていた。リオは最初、オーグリーが娘を夜中に連れ回したのではないかと疑ったが、事件の説明を聞いて驚愕した。さらに、フェリシーがオーグリーを襲ったと知り、娘の責任を自分の命で償おうとまでした。

誤解の解消

オーグリーは、フェリシーに責任を求めるつもりはないと必死に説明した。リオたちはようやく誤解を解き、オーグリーが娘を殺さず助けたことに深く感謝した。オーグリーは礼を求めず、しばらく身の回りに気をつけるよう伝えて家を後にした。

家族の感謝

オーグリーが去った後、リオは、フェリシーが襲った相手が立派な銀級冒険者でよかったと語った。家族は、できる礼は少ないと考え、せめて村を出るときに弁当を作ろうと話した。フェリシーもまた、自分にできる礼を考えながら、暖かな家の中で休むことにした。

第五章 村娘のお礼 

ペトレーマ湖の採取依頼とフェリシーの異能

眠れない夜

オーグリーはフェリシーの両親への説明を終え、遅くに宿へ戻ってすぐ眠った。ロレーヌも依頼に備えて仮眠を取ったが、レントはすでに必要な睡眠を終えていたため、朝まで一人で時間を過ごした。夜に長く眠れない体を便利だと思いつつも、安寧を失った寂しさも感じていた。

依頼前の確認

朝になると、三人は宿の朝食を済ませ、武具と採取道具を整えた。荷物は《ゴブリン》や《セイレーン》を信用できないため、宿に残さず魔法の袋へ入れた。依頼内容は、水猫の生け捕り、泥魔導人形の泥か粘土の収集、飛竜天麻の採取であり、三人はそれぞれの手順を確認した。

飛竜天麻の難所

水猫はロレーヌが魔術で捕獲し、レントとオーグリーが追い込む予定だった。泥魔導人形は泥か粘土の個体に出会う運が絡み、飛竜天麻は水色飛竜の繁殖地を抜ける必要があった。三人は、正面突破も覚悟しながらペトレーマ湖へ向かおうとした。

フェリシーの弁当

出発しようとした三人のもとへ、フェリシーが駆け寄ってきた。彼女は両親が作った弁当を差し入れ、サンドイッチや野菜、果物が詰まったバスケットを渡した。レントたちは礼を言い、魔法の袋へ大切にしまった。

明かされた通り道

フェリシーはさらに、水色飛竜の生息地を抜ける方法を教えると言い出した。オーグリーは彼女に無理をしなくていいと念を押したが、フェリシーは命を助けてもらい、村人たちも傷つけられなかったことへの礼として、自分にできることを差し出す決意をしていた。三人は秘密を守ると誓い、彼女の案内を受け入れた。

浮遊石と水色飛竜

ペトレーマ湖の周囲には大小の浮遊石が漂い、その上や湖畔には無数の水色飛竜が巣を作っていた。正面突破しようとしていた自分たちを、レントは内心で馬鹿だと思うほどの数だった。フェリシーはその中へ無造作に歩き出し、水色飛竜たちは彼女にも三人にもまったく反応しなかった。

フェリシーの異能

フェリシーは、なぜ水色飛竜が襲ってこないのか自分でも原理は分からず、ただ大丈夫かどうか感覚で分かるだけだと話した。ロレーヌは、それを《異能》や《特異能力》と呼ばれる力だと考察した。フェリシーは自分の力が昔から存在する不思議な力の一種だと知り、少し安心した。

飛竜の背

フェリシーは水色飛竜を呼び寄せ、レントたちに背へ乗るよう促した。飛竜たちはフェリシーの頼みを聞き、三人を浮遊石まで運んだ。レントたちは野生の飛竜に乗るという貴重な経験をし、ロレーヌは空から地図を作りやすそうだと別の方向に感心していた。

飛竜の巣

浮遊石の上には、水色飛竜の巣がいくつもあり、卵や雛も見えた。ロレーヌは巨大な卵を目玉焼きにしてみたいと冗談を言ったが、フェリシーにたしなめられ、素直に謝った。三人はフェリシーの後を離れないようにしながら、飛竜天麻の群生地へ向かった。

巨大な飛竜天麻

群生地には、通常よりはるかに太く高い飛竜天麻が大量に生えていた。フェリシーは、普段は怪しまれないよう端に生えた小ぶりなものだけを採って出荷していたと説明した。ロレーヌは、飛竜の排泄物と浮遊石の環境がこの大きさを生んでいるのだろうと考えた。

飛竜天麻の採取

レントたちは、依頼用には小ぶりな飛竜天麻を採り、個人用には大きなものを少しだけ採取した。フェリシーは秘密にしてくれるなら構わないと答え、三人は深く頷いた。飛竜の協力によって地上へ戻り、最初の依頼は想定以上に早く片づいた。

水猫の居場所

次の依頼について話すと、フェリシーは水猫の居場所も知っていると言った。水猫は水の精霊に近い魔物で、綺麗な水源を見つけると大きく離れにくい。三人はフェリシーの案内を受け、彼女を守るためロレーヌが強めの《盾》を張ることにした。

泉の水猫

フェリシーが案内した泉には、体が水でできた透明な猫のような水猫が複数いた。水猫は仕草こそ猫そのものだったが、レントとオーグリーが近づくと、鋭い水の刃を放ってきた。二人は攻撃を避けながら距離を詰め、手袋型の魔道具で捕まえようとしたが、するりと逃げられた。

追い込み役

水猫は逃げながらも水の刃を放ち続けた。レントとオーグリーは攻撃を避けつつ、あらかじめ決めた方向へ水猫を追い込んだ。二人は全力で走り、ロレーヌの仕掛けた罠のある袋小路へ誘導した。

ロレーヌの檻

ロレーヌは岩に魔法陣を描き、水猫が入った瞬間に発動する網を用意していた。水猫が袋小路へ入ると、魔法陣から電撃のような光が走り、檻のように閉じ込めた。水猫は逃げようとして感電し、気絶した。

水猫の捕獲

ロレーヌは鳥かごのような専用容器を取り出し、気絶した水猫を中へ入れた。目覚めた水猫は体当たりしたが、電撃に阻まれて諦めた。フェリシーは少し可哀想に感じたが、ロレーヌは水猫が貴族令嬢のペットになる予定で、酷い扱いは受けないと説明した。

望まぬ不死の冒険者9巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者11巻

アニメ

PV

博報堂DY ミュージック&ピクチャーズ【Showgate】
博報堂DY ミュージック&ピクチャーズ【Showgate】

同シリーズ

望まぬ不死の冒険者

小説版

1f3cb6b5cebe2c0fcf29e1f184262e21 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
望まぬ不死の冒険者 1巻
832cb5f8270dbd8ca1b7797b7634dc8e 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
望まぬ不死の冒険者 2巻
52c1fb425a0df81f0a55ad4e1b98ca2a 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
望まぬ不死の冒険者 3
af922854e003cb25f4f06684830b8ee1 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
望まぬ不死の冒険者  4
31d810273a97f0b6dc050f019d85b1ff 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
望まぬ不死の冒険者  5
157821d6f08a6341c4f8b75141516743 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
望まぬ不死の冒険者  6
c13a8f9fbc1723a793a67315905b1fe0 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
望まぬ不死の冒険者  7
a3e37049382237f7e6bfd8bb8771455d 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
望まぬ不死の冒険者  8
b2994ce1c537f424dd660cf525e0509c 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
望まぬ不死の冒険者  9
cc91bd0746f6970cfb9c6c00401c5fdc 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
望まぬ不死の冒険者  10
001fbdc0282d4eb342e5d897514ef3e0 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
望まぬ不死の冒険者  11
e6bf40c829b44c9e79de038e623dfa54 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
望まぬ不死の冒険者  12

漫画版

414d46298481780f80005a8b7dd2de6e 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
望まぬ不死の冒険者  1
76e537b344980adf2d1d7c41541dac66 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
望まぬ不死の冒険者  2
6d02e5484b3b76aa9f7c9e9914cdbcb8 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
望まぬ不死の冒険者  3

その他フィクション

e9ca32232aa7c4eb96b8bd1ff309e79e 小説「望まぬ不死の冒険者 12巻」感想・ネタバレ
フィクション(novel)あいうえお順

Share this content:

コメント

タイトルとURLをコピーしました