望まぬ不死の冒険者11巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者13巻
どんな本?
『望まぬ不死の冒険者』は、丘野優 氏による日本のライトノベル作品。
小説家になろうにて2016年9月22日より連載されており、オーバーラップノベルスより刊行されている。
イラストはじゃいあん 氏が担当。
物語は、銅級冒険者のレント・ファイナが水月の迷宮で龍に食われて不死の魔物として蘇るところから始まる。
レントは魔物を食らうことで進化していき、骨人から屍食鬼、下級吸血鬼となる。
レントは自分の境遇に苦しみながらも、冒険者としての夢を捨てずに、魔物と人間の狭間で生きることを決意する。
しかし、レントの存在は世界の秩序を揺るがす危険なものとして、様々な勢力の注目を集めてしままう。
この作品は、コミカライズやテレビアニメ化もされており、人気の高いファンタジー作品。
コミカライズは中曽根ハイジが作画を担当し、コミックガルドにて連載中。
テレビアニメは2024年1月より放送予定。
読んだ本のタイトル
#望まぬ不死の冒険者12巻
著者:#丘野優 氏
イラスト:#じゃいあん 氏
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あらすじ・内容
不死者の弟子、護衛依頼を受ける。
王都で諸々の依頼を終えたレントとロレーヌは、総冒険者組合長ジャン・ゼーベックと合流し、彼を連れてマルトへ帰還することに。
望まぬ不死の冒険者 12
一方マルトでは、アリゼとともにイザークの指導を受ける鉄級冒険者リナの姿があった。
しかし周囲の実力者と比べてしまい強くなった実感を得られず、少し自信喪失気味のリナ。
見かねたイザークによって、一人で冒険者組合の依頼を受けることを勧められる。
シェイラの助けもあり、女性行商人ドロテアの護衛依頼を受注したリナ。
父親の反対を押し切って実家の商会から独り立ちしたドロテアだったが、多数のトラブルに遭っているために護衛を依頼したのだという。
行商の旅を無事に終えるべく、リナは己の技術、そして“吸血鬼”の力を振るうと決め――!?
強大な魔物と戦い、多くの謎を解き、そして強くなる。
死してもなお遙かなる神銀級を目指す、不死者レントの『冒険』、第12弾――!
感想
大きな戦いよりも登場人物たちの選択や成長が丁寧に描かれた一冊だった。本編だけでなく外伝も読み応えがあり、それぞれの人物の生き方に触れられる内容になっている。
まず印象に残ったのは、聖獣ポチの存在である。
前巻では突然喋り出して驚かされたが、今回はメルへ聖気を与える場面が描かれ、ただの不思議な存在ではないことがよく分かった。レントも自身の聖気について打ち明けることになり、少しずつ秘密を共有できる仲間が増えていく流れに安心感があった。
エルザから「強力な聖気使いが増えている」と聞かされた時は、この先の物語がさらに大きく動きそうな予感がしてワクワクした。
その一方で、夜には吸血鬼の王の孫に襲われるという緊迫した場面も描かれる。
しかし翌朝になると、食堂で冒険者に絡まれるという日常的な騒動へ切り替わる。この緩急が本作らしい。
特にロレーヌが魔術で相手を脅し、あっという間に土下座させる場面には思わず笑ってしまった。普段は理知的なのに、レントが絡むと容赦がなくなるところも彼女らしい。
マルトへ戻ってからの人間関係も印象深い。
総冒険者組合長ジャンを連れて帰ったことで、ギルド中が慌ただしくなる様子は見ていて面白かった。歓迎会を開きながらも、ウルフが戸惑っている様子には思わず苦笑してしまう。
さらに、新しい迷宮の出現によって研究者たちが集まり始め、街の雰囲気が変わっていく描写にも惹かれた。
ロレーヌが語る「迷宮は迷宮を呼ぶ」という仮説も興味深い。この世界にはまだ多くの謎が残されているのだと改めて感じた。
また、リリアンが王都へ戻る道ではなく、孤児院を守るためにマルトへ残る決断をしたことも心に残った。
派手な場面ではないが、自分の居場所を大切にする彼女の選択には強い意志を感じる。こうした日常の積み重ねが、この作品の温かさにつながっているのだと思う。
今回の楽しみの一つだったのが、新しい剣のお披露目である。
レントの血や聖気を吸って育った木から作られたという設定だけでも面白いが、気を流すことで切れ味が変わったり、魔力で土を耕せたりと、普通の武器にはない個性があって読んでいて楽しかった。
さらに《聖魔気融合術》も印象深い。
強力な力を発揮する一方で、大きな疲労という代償もある。その万能ではないバランスが、今後の戦闘をより面白くしてくれそうだと感じた。
その剣を実戦で試す骨人討伐も見応えがあった。
派手な大決戦ではないが、村人と協力しながら一体ずつ敵を倒していく戦いには冒険者らしい面白さがある。
レントが無理に目立とうとせず、着実に依頼をこなしていく姿は、やはりこの作品ならではの魅力だ。
外伝も非常に良かった。
リナを主人公に据えた物語では、護衛依頼を通して彼女の考え方や人柄が丁寧に描かれている。
商人ドロテアとのやり取りも温かく、危険な旅の中でも少しずつ信頼関係が築かれていく様子が微笑ましかった。
終盤で登場する吸血鬼アマポーラとの戦いも印象に残る。
敵として現れながらも、その孤独な境遇を知ると単純に倒して終わりとは思えなくなる。リナが処遇に悩む姿にも共感した。
最終的にイザークが彼女を保護し、新しい人生へ導く結末は後味が良く、安心して読み終えることができた。
今巻は派手な決戦よりも、世界の謎や登場人物たちの生き方が丁寧に描かれていた印象が強い。
新しい迷宮、新たな剣、聖気の秘密など、気になる要素も数多く残されている。これらが今後どのようにつながっていくのか、続きがますます楽しみになる一冊だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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望まぬ不死の冒険者11巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者13巻
考察・解説
聖気の加護
『望まぬ不死の冒険者』第12巻において、神霊や神獣が人に与える特別な力として、また今後の世界情勢に関わる重要な要素として語られる「聖気の加護」のエピソードは、主人公・レントの隠された過去と、世界規模で進行する激動の予兆を明らかにする重要な局面である。
祠の修理を契機にレントが授かっていた加護と聖獣ポチの言葉の理解、宗教団体の激しい勧誘からメルを守るためにエルザとリリアンが取った措置の背景、そして聖気使いの異常な増加と広範囲な治癒能力が戦争兵器へと転用される危険性にともなう時代激変の予兆にいたる全容は以下の通りである。
故郷の祠修理に伴う神霊からの加護付与と聖獣ポチの発話理解による聖気使いの露見
聖気の加護を宿す者は、神霊の仲間や神獣であるポチが話す言葉を理解できるという特徴がある。
・レントもかつて故郷の見捨てられた祠を修理した際に、気まぐれな神霊から聖気の加護を授かっていたため、ポチの言葉を聞き取ることができた。
・これにより、エルザに自身が聖気使いであることを見抜かれる結果となる。
宗教団体による激しい勧誘リスクの回避とメルを保護するための加護授与時期の遅延
ポチは元々、孤児院の責任者であるメルに聖気を授けるつもりであった。
・しかし、聖気使いが現れると様々な宗教団体から激しい勧誘が押し寄せるというリスクが存在する。
・そのため、エルザとリリアンはメルが加護を受ける時期を遅らせ、自分たちがメルや孤児院を勧誘の危険から守れるほど強くなるまで待つようポチを説得していた。
・結果として、エルザとリリアンはメルを守るという名目で、ポチから先んじて聖気の加護を与えられていた。
神々が使命を課すための加護付与と中規模領地を覆う強力な治癒能力の戦争兵器化への危惧
エルザによれば、神々や神霊が人に加護を与えるのは、その人物に何らかの役割や使命を背負わせるためだと考えられている。
・ポチがメルに加護を与えた理由の詳細は不明であるが、エルザは近年、特別な加護を授かる者が異常なペースで増加していることに気づいている。
・その中には、中規模領地一つを覆えるほどの広範囲かつ強力な聖気を持つ者も現れている。
・これがもし戦争での治癒などに利用されれば、数万の兵士を死なせずに戦わせ続ける「兵器」になり得ると危惧されている。
・エルザは、神々が加護を与えるハードルを下げてまで強力な聖気使いを増やしている現状から、世界がこれから激動の時代に突入するのではないかと推測し、レントにもいざという時の協力を求めている。
まとめ
聖気の加護を巡るエピソードは、レントがかつて故郷で行った素朴な善行が、聖獣ポチや聖女エルザとの邂逅において決定的な意味を持つに至った因縁の深さを示している。宗教団体の脅威からメルを守るためにエルザたちが盾となり、先んじて加護を得ていたという防衛策の背景は、王都の裏に潜む勢力争いの現実を浮き彫りにしている。強力な聖気使いの異常発生を世界の軍事バランスを揺るがす「兵器」の台頭と捉え、来たるべき「激動の時代」を予見したエルザの警告は、レントが今後、単なる一冒険者の枠を超えて国家や神々の意志が交錯する大乱の渦中へと巻き込まれていく絶対的な前兆であることを厳密に証明している。
吸血鬼の脅威
『望まぬ不死の冒険者』第12巻の記述に基づき、本作における「吸血鬼の脅威」について解説する。吸血鬼は単なる物理的な戦闘力だけでなく、人間の社会や精神に潜り込む狡猾な能力を持った極めて危険な存在として描かれている。
暗闇を見通す夜目と手足の切断を即座に修復する再生能力、四体の魔王と並び称されるアーク・タハドゥや空間を押しつぶす古代魔術を操る上位種の圧倒的戦闘力、劣等感を抱く者を精神操作して眷属化する魅了の異能、そして衝動を制御できず村を数日で全滅させるはぐれ吸血鬼の暴走と聖気による討伐の現実にいたる全容は以下の通りである。
完全な暗闇を見通す夜目と手足の切断を即座に結合する異常な再生能力に伴う戦意喪失の誘発
吸血鬼は、初見の人間を絶望させる圧倒的な肉体的特異性を有している。
・完全な暗闇でも昼間と変わらない視界を持つ夜目や、高い身体能力を誇る。
・首や手足を切り落とされても即座にくっつけて治癒できる異常な再生能力を持つ。
・初見の人間からすればいくら殺しても死なない化け物に見えるため、大半の相手は絶望して戦意を喪失してしまう。
・ただし、この再生力は無限ではなく、何度も致命傷を与え続けて力を枯渇させれば再生不能に追い込むことは可能である。
四体の魔王と並ぶ王アーク・タハドゥの系譜と古代魔術圧縮を操る上位種の規格外な戦闘力
吸血鬼の組織力と上位種の強さは、通常の冒険者の手に負える領域を遥かに超えている。
・四体の魔王と並ぶ大物として「吸血鬼の王」アーク・タハドゥという存在が語られている。
・王の孫にあたるような上位の吸血鬼となれば、不死者であるレントですら感知すら間に合わず喉の肉をえぐり取られる。
・空間ごと対象を押しつぶす古代魔術「圧縮」を使い、レントに手も足も出させないほど圧倒する規格外の脅威となる。
劣等感を抱く人間の精神を操作する魅了の異能と噛みつきによる不死者への眷属化
吸血鬼は直接的な暴力だけでなく、魅了という異能で人間の精神を操作して社会に潜伏する。
・この能力は、心に闇や強い劣等感を抱える人間に特に高い効果を発揮する。
・作中では、兄に強いコンプレックスを抱えていた商会の次男ディーグがはぐれ吸血鬼のアマポーラに操られ、無関係の行商人ドロテアを陥れるための駒として利用された。
・吸血鬼が人間に噛みついて血を送り込むことで、相手を「不死者」の眷属に変えて支配することも可能である。
吸血衝動を制御できず無差別に人間を襲うはぐれ吸血鬼による1週間以内の集落壊滅被害
吸血鬼にとって最も厄介で危険な状態が、属する群れや親を持たない「はぐれ吸血鬼」である。
・彼らは吸血鬼としての生き方や衝動の抑え方を学んでいないため、数日も経てば吸血衝動を抑えきれなくなり、無差別に人間の血を求めて暴走してしまう。
・その結果、一つの村を1週間もしないうちに滅ぼしてしまうほどの甚大な被害をもたらす。
吸血鬼狩りニヴによる追跡と上位種をも一瞬で灰化させる特効能力としての聖気の炎
放置すれば人間社会を脅かす存在であるため、吸血鬼の正体が露見すれば人間からは即座に討伐対象となる。
・とくに「吸血鬼狩り」と呼ばれる専門の討伐者たち(ニヴ・マリスなど)から執拗に追われることになる。
・吸血鬼への最大の対抗策は不死者に特効を持つ「聖気」であり、上位種でなければ聖気の炎や一撃で一瞬にして体を灰化させられてしまう。
・そのため、吸血鬼側にとっても人間社会に紛れて生き延びることは至難の業となっている。
まとめ
吸血鬼の脅威とは、不死身に近い再生力や魔王に匹敵する王たちの絶対的な武力にとどまらず、精神支配や眷属化によって人間社会の内部から崩壊を招く点にある。衝動を制御できないはぐれ吸血鬼が集落を短期間で滅ぼす狂暴性を持つ一方で、その発覚は専門の吸血鬼狩りや特効能力である聖気による即座の灰化討伐を呼び寄せる。この凄絶な対立構図の顛末は、吸血鬼が人間にとって防衛上決して容認できない天敵であると同時に、その強力な異能ゆえに人間社会の隙間に潜伏し続け、常に世界を脅かす絶対的な闇の勢力として君臨していることを厳密に証明している。
リナの単独依頼
『望まぬ不死の冒険者』第12巻において、レントとロレーヌの弟子であるリナが一人で女性行商人の護衛依頼を受け、様々な困難を乗り越えることで自らの成長を実感するエピソードは、弟子としての精神的自立と実戦における多大な成果を描いた重要な局面である。
ラトゥール家での厳しい修業による自信喪失とシェイラの斡旋による単独護衛依頼の受注、誠実な情報開示と最新の安全情報提案による行商人ドロテアとの信頼構築、多対一の戦闘訓練を活かした盗賊ガスター一味の鎮圧と吸血能力による情報抽出、首の切断と再生力の削り切りによって上位種はぐれ吸血鬼アマポーラを追い詰めた死闘、そしてイザークの保護による事態の決着と焦りを克服したリナの冒険者としての精神的成長にいたる全容は以下の通りである。
イザークの厳しい指導による自信喪失と受付係シェイラに見繕ってもらった単独護衛依頼
ラトゥール家でイザークから魔術と武術の厳しい指導を受けていたリナは、模擬戦でイザークに敗れ続け、周囲の実力者たちと自分を比べて自信を失いかけていた。
・見かねたイザークから一人で依頼を受けてみるよう勧められる。
・リナは冒険者組合の受付係シェイラに見繕ってもらい、若い女性行商人ドロテア・メローの護衛依頼を受けることとなった。
鉄級への不安を払拭した市場情報の開示と独自ルート変更によるドロテアの信用獲得
依頼主のドロテアは過去の経験から冒険者を警戒しており、現れたリナが若く華奢な鉄級冒険者であったことに最初は不安を抱いた。
・しかし、リナが市場の村人たちから独自に収集した最新の安全情報(魔物の営巣や橋の崩落)をもとにルート変更を提案する。
・黙っていれば報酬を増やせたはずの情報を誠実に伝えたことで、ドロテアは彼女を信用し、正式に護衛を任せた。
夜目の魔物感覚による暗い森での一味無力化と首筋への噛みつきによるガスターの限定支配
道中、二人は盗賊の首領ガスター率いる一味の襲撃を受ける。
・ガスターたちは鉄級冒険者一人なら容易に倒せると高を括っていたが、リナは夜目が利く魔物としての感覚と、ラトゥール家の使用人たちから受けた過酷な多対一の戦闘訓練の成果を存分に発揮した。
・リナは暗い森の中で盗賊たちを次々と無力化し、ガスターを気絶させて捕縛する。
・さらに、吸血鬼としての能力を使ってガスターの首筋に噛みつき、彼を限定的に支配して情報を引き出すことにも成功した。
無詠唱風魔術を操る女魔術師アマポーラとの遭遇と首や腕の連続切断による再生力枯渇
ガスターに依頼を出した黒幕はドロテアの元婚約者でありエソル商会の次男ディーグであったが、彼自身もまた、はぐれ吸血鬼の女魔術師アマポーラの魅了によって操られていた。
・アマポーラはリナを森におびき出し、無詠唱の風魔術で攻撃を仕掛ける。
・リナは反撃してアマポーラに致命傷を与えるが、彼女は首を落されても即座に再生する吸血鬼であった。
・しかし、リナは再生能力には限界があるという吸血鬼の弱点を知っており、何度も首や腕を切り落として再生力を削り切り、ついにはアマポーラを追い詰めて首だけの状態にした。
イザークの親としての介入と行商一からのやり直しに伴うリナの確固たる自信回復
アマポーラの処遇に迷うリナの前にイザークが現れ、七十年以上も人に見つからず生き延びてきた彼女の希少性を評価し、自らが親となってラトゥール家で保護し鍛え直すことを決めた。
・一方、ドロテア側でもガスターやディーグの脅威は去り、正気を取り戻したディーグはドロテアに謝罪する。
・最終的にディーグは実家を離れ、ドロテアと共に行商として一からやり直すことになり、事態は円満に解決した。
・マルトに帰還しイザークに報告を行ったリナは、一人で困難な依頼を完遂したことで、自分が以前よりも確実に戦えるようになり、周囲が見えるようになったと実感する。
・他の実力者と比べて無意味に焦る必要はないと気づき、彼女は冒険者としての自信を取り戻すことができた。
まとめ
リナの単独依頼エピソードは、偉大な師の陰に隠れていたリナが、自身の知略、戦闘技術、そして吸血鬼としての本質をフルに活用して難局を切り開いた劇的な成長の記録である。誠実な対人対応でドロテアの信頼を勝ち取り、過酷な訓練の成果によって盗賊や魅了の術者を次々と圧倒したプロセスは、彼女がすでに一人前の冒険者として十分な地力を備えていることを示している。再生力の上限を突いてはぐれ吸血鬼アマポーラを首だけの状態にまで追い詰めた凄絶な立ち回りと、イザークの後見による事後処理の顛末は、リナが周囲の天才たちに対する無益な劣等感を克服し、自らの歩幅で着実に最強の階段を上り始めていることを厳密に証明している。
新たな魔剣
『望まぬ不死の冒険者』第12巻において、鍛冶屋「三叉の銛」のクロープが主人公・レントのために作成した新たな魔剣(特注剣)は、特殊な素材と高い基本性能を備え、レントの有する複数の力を引き出すことで規格外の威力を発揮する至高の武器である。
魔鉄やタラスクの魔石、聖樹、レントの血液を組み合わせて鍛造された刀身の特異な性質、気・魔力・聖気を単体で注入した際に発現する固有の属性効果、そしてこれまで武器を破壊していた聖魔気融合術の複数回行使を可能にした驚異的な耐久性と特殊効果にいたる全容は以下の通りである。
レントの血液鍛造による吸血効果と金属鎧を真っ二つにする蛇腹状のしなりを帯びた刀身
この剣は、魔鉄、タラスクの魔石、聖気の影響を受けて育った樹木、そしてレント自身の血液を素材として作られている。
・刀身には木目や年輪のような文様が浮かび、赤みがかった邪悪な色合いを帯びている。
・少し硬めの蛇腹剣のようにしなる性質を持ちながらも非常に頑丈であり、何も力を込めずとも金属の鎧を真っ二つにするほどの凄まじい切れ味を誇る。
・レントの血を使用しているため、斬った相手の体力と魔力をわずかに吸収するという特異な効果も備わっている。
気による切断力強化と魔力による土砂操作および不死者を一瞬で灰化させる聖気の青い炎
レントが持つ3つの力をそれぞれ注ぐことで、剣は異なる特性を発揮する。
・気:注ぐほどにしなりが弱まって硬い剣となり、切断力がさらに増す。
・魔力:大地竜の魔力に浸った魔鉄の影響により、地面の土や砂を操り、岩の弾丸を生み出すことができる。ただし、魔力の消費は激しく燃費はあまり良くない。
・聖気:刀身に熱を持たない青い炎を纏う。この炎は聖気を持たない者には見えないが、不死者に対しては触れた部分から一瞬で灰化させるという絶大な特効を発揮し、レントは後の骨人討伐で実際にこの効果を実証した。
魔気融合術による土砂爆発と聖魔気融合術の負荷に耐え抜いた球状植物圧縮効果
複数の力を組み合わせる融合術の行使において、この剣は真価を発揮する。
・魔気融合術(気+魔力):硬化と土砂操作の効果が同時に強化され、爆発効果も生じるが、30秒ほど維持しただけで立てなくなるほど使用者の疲労が激しいという欠点がある。
・聖魔気融合術(聖気+魔力+気):斬った対象を小さく球状に圧縮し、土と植物の蔦で締め付けるように覆うという、相手を植物の栄養にするような恐ろしくも強力な効果を発揮する。
・最大の成果は、この剣が武器への負担が極めて大きい「聖魔気融合術」に耐えきったことである。
・これまで一度使えば武器が壊れる覚悟が必要だった最大の切り札を、複数回行使できる可能性が開けたことは、レントにとって非常に大きな戦力向上となった。
・魔剣かどうか確実な鑑定はされていないが、クロープが全身全霊を込めて作成した魔剣に近い会心の出来栄えとなっている。
まとめ
クロープ作の特注剣は、レントの不死者としての特性や多角的なエネルギー運用能力に完全に同調し、彼の戦闘力を飛躍的に引き上げる至高のマスターピースである。気、魔力、聖気の個別の性質を刀身に宿らせるだけでなく、それらを複合した魔気融合術や聖魔気融合術の凄まじい負荷を完全に受け止める耐久性を証明したプロセスは、この武器が持つ圧倒的な価値を示している。斬撃対象の球状圧縮や、これまで使い捨てに近かった最大切り札の連続行使を可能にした顛末は、この魔剣に近い特注剣の誕生がレントの戦術的限界を打破し、今後の世界情勢や強力な敵との戦いにおいて絶対的な優位性を確立するための強固な土台となったことを厳密に証明している。
骨人の村討伐
『望まぬ不死の冒険者』第12巻において、レントが新しく手に入れた剣の試し斬りを兼ねて、青年リブルから依頼されたクラスク村の骨人(スケルトン)討伐に向かうエピソードは、新たな武器の検証と新技の開拓、そして住人との連携によって的確に魔物の脅威を排除する重要な局面である。
マルトの冒険者不足に悩むリブルからの依頼受注と村長ジリスらによる弓の囮作戦、想定以上に戦闘技術の高い骨兵士の出現に伴う家屋の陰を利用した各個撃破と聖気による灰化効果の検証、聖気によって擬似的な刀身を作り出し間合いを凌駕した新技による骨弓兵士の破砕、そして槍持ち骨兵士との一騎討ち制圧と村の奪還にいたる全容は以下の通りである。
提示額低迷による放置依頼の受注と村長ジリスら志願住人への遠距離弓囮任務の割り当て
レントは新しい剣の試し斬りをするために手頃な依頼を探していたが、他の冒険者に先を越されてしまっていた。
・そんな時、マルトの冒険者不足と提示額の低さから依頼を断られかけていた青年リブルに遭遇し、彼の故郷であるクラスク村の骨人討伐を引き受けることとなる。
・村の近くでは、村を放棄して避難した村人たちのうち、村長ジリスをはじめとする男たちが監視を続けていた。
・彼らが自分たちの村を取り戻すために討伐への参加を強く希望したため、レントは近接戦での邪魔を避けるべく、彼らに遠くから弓を射て骨人の注意を引く囮役を任せることにした。
家屋の陰に潜伏した単独侵入と特注剣に込めた聖気による骨人の無音灰化実証
翌朝、レントが村の様子を確認すると、事前に聞いていた5体の骨人に加え、弓と槍を持つ「骨兵士(スケルトン・ソルジャー)」が1体ずつ増えていることが判明した。
・骨兵士は通常の骨人よりも判断力や戦闘技術が高く、特に弓持ちは村人にとって大きな脅威となる。
・レントは単独で村へ潜入し、家屋の陰に隠れながら骨人を各個撃破していく。
・気を込めた剣で骨人を倒すだけでなく、聖気を込めた剣を使うと、触れた部分から骨人が無音で灰化することが確認され、新しい剣と聖気の組み合わせが不死者に対して極めて有効であることが実証された。
広場警戒部隊への突入と魔力操作応用による擬似刀身新技を用いた骨弓兵士の頭部貫通
レントが数体を倒すと、残りの骨人と骨兵士は村の広場に集まり、警戒態勢を取った。
・厄介な弓持ちの骨兵士をいち早く仕留めるため、レントは広場に突入する。
・弓持ちの骨兵士が矢を放つ中、レントは手前の骨人の首を突き刺し、さらにその奥にいる骨弓兵士を同時に狙うという行動に出る。
・本来の剣の長さでは届かない距離であったが、レントは魔力操作の応用で「聖気によって擬似的な刀身を作り出し、剣のリーチを伸ばす」という新技を放ち、見事骨弓兵士の頭部を貫いて灰化させることに成功した。
遠隔矢による骨人の背後露出誘発と気を込めた踏み込みによる槍持ち骨兵士の一撃両断
その後、村人たちが遠くから放った矢は骨人に大きなダメージを与えられなかったものの、骨人の注意を村人たちへ向けさせる囮としての役割を十分に果たした。
・骨人がレントに背を向けた隙を見逃さず、レントは骨人を両断して撃破する。
・最後に残った槍持ちの骨兵士は、戦力差を冷静に判断して距離を取り一騎討ちの構えを見せたが、レントは出し惜しみをせずに気で自らを強化して踏み込み、一撃で骨兵士の頭を飛ばして村の討伐依頼を完了させた。
まとめ
クラスク村の骨人討伐エピソードは、レントが新調した特注剣の秘めたる性能を引き出し、対不死者戦闘における絶対的な優位性を確立した記念碑的な戦闘記録である。住人たちの熱意を安全な遠距離囮作戦へと誘導し、増援である骨兵士の狙撃能力を単独潜入によって封殺したプロセスは、レントの戦術的視野の広さを示している。聖気を用いた無音灰化の検証に加え、魔力操作の応用でリーチを延伸する「聖気の刃」を実戦で開拓し、広場の敵を殲滅した顛末は、レントが自身の能力を絶えず進化させ、辺境の危機を確実に解決する卓越した技量と知略を備えていることを厳密に証明している。
望まぬ不死の冒険者12巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者14巻
登場キャラクター
主人公とその関係者
レント・ファイナ
ロレーヌと同居し、オーグリーの友人である不死者の冒険者だ。リナとアリゼの師匠にあたる。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・銅級冒険者。不死者(魔物)。
・物語内での具体的な行動や成果
王都で吸血鬼の王の孫に襲撃されるが、ラトゥール家の御者に救われた。ジャンをマルトへ連れ帰り、新しくできた魔剣の試し斬りとしてクラスク村の骨人討伐を行っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
聖気の加護を持っている。《分化》や聖魔気融合術など複数の力を行使できる。
ロレーヌ・ヴィヴィエ
レントの相棒であり、魔術の研究を行っている学者兼魔術師である。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・銀級冒険者。学者。魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
レントと共に王都からマルトへ帰還した。《若返りの魔鏡》に擬態した《鏡魔スペクルム》の幻惑に取り込まれるが、自力で正体を見破り討伐する。リリアンに王都の土産と手紙を届けている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
魔力操作に長けており、かつて第一大学で働いていた過去を持つ。
オーグリー・アルズ
レントとロレーヌの旧友であり、彼らを気遣う性格の冒険者である。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・銀級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
王都の宿で、レントたちを馬鹿にした中年冒険者に対して彼らの実力を説明し、牽制を行った。マルトへ帰還するレントたちを見送っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
次に会う時までに自らも腕を上げると誓っている。
リナ・ルパージュ
レントとロレーヌの弟子である。自身の実力に自信を持てずにいたが、徐々に成長を見せている。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・鉄級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
ドロテアの護衛依頼を受け、ガスターたち盗賊団を撃退した。アマポーラと交戦して勝利し、行商の旅の安全を確保している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
吸血鬼としての能力を持ち、噛みつくことで相手を限定的に支配できる。
アリゼ
レントとロレーヌの弟子である。孤児院で力仕事をしており、体力に自信を持っている。
・所属組織、地位や役職
孤児院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
ラトゥール家でイザークから魔術と武術の指導を受けた。自信を失っていたリナに、自分の心配をせずに依頼を受けるよう背中を押している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ラトゥール家
御者の男
レントたちを王都まで送迎したラトゥール家の御者である。
・所属組織、地位や役職
ラトゥール家・使用人。ラウラの眷属の吸血鬼。
・物語内での具体的な行動や成果
王都の夜道でアーク・タハドゥの孫からレントを救い出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
下級吸血鬼と聞いていたが、実際はそれ以上の実力を持つと推測されている。
イザーク・ハルト
リナとアリゼの訓練を監督する立場にある吸血鬼である。
・所属組織、地位や役職
ラトゥール家・使用人。吸血鬼。
・物語内での具体的な行動や成果
リナに単独依頼を受けるよう勧めた。アマポーラを倒したリナの前に現れ、アマポーラをラトゥール家で保護し、鍛え直すことを決めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
七十年以上生き延びたアマポーラの《親》となり、彼女をラトゥール家のメイドとして雇用した。
東天教・孤児院
エルザ・オルガド
東天教の聖女であり、レントたちに聖気の加護や神霊についての情報を伝えた。
・所属組織、地位や役職
東天教・僧正。エフェス大寺院の責任者。聖女。
・物語内での具体的な行動や成果
レントに激動の時代が来る可能性を語り、孤児院を守るための協力を求めた。大寺院の僧侶たちに発見され、連れ戻されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ポチから聖気の加護を授かっている。
メルパティッシュ
子供たちを世話する心優しい孤児院の院長である。
・所属組織、地位や役職
王都第三孤児院・院長。僧侶。
・物語内での具体的な行動や成果
ポチから聖気の加護を与えられ、犬の言葉を理解できるようになった。子供たちにポチが喋ることを証明しようとして空回りしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ポチから加護を与えられたが、エルザたちによって勧誘の危険を避けるために時期を遅らせられていた。
ポチ
人間の言葉を話し、特定の人物に加護を与える神獣である。
・所属組織、地位や役職
王都第三孤児院の飼い犬。神獣(聖獣)。
・物語内での具体的な行動や成果
メルに聖気の加護を与え、会話できるようになった。メルの指示を無視して遠くへ行き、寝てしまっている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
聖気の加護を宿す者にしか言葉が聞こえない。
東天教の僧侶たち
大寺院の職務に従事している僧侶たちである。
・所属組織、地位や役職
東天教・僧侶。
・物語内での具体的な行動や成果
寺院を抜け出していたエルザを発見し、彼女を取り囲んで連れ戻した。レントとロレーヌに礼と詫びを伝えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
リリアン
エルザやメルの幼なじみであるマルトの司祭だ。
・所属組織、地位や役職
マルト第二孤児院・院長。司祭。
・物語内での具体的な行動や成果
レントとロレーヌからエルザの手紙と土産を受け取った。手紙を読んで安堵し、孤児院を離れるつもりはないと告げている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ポチから聖気の加護を授かっており、高い戦闘能力を持っている可能性がある。
孤児院の子供
マルトの孤児院で暮らす子供である。
・所属組織、地位や役職
マルト第二孤児院・子供。
・物語内での具体的な行動や成果
応接室にいるレントたちに紅茶を運んできた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ロレーヌが持ってきた土産の菓子を即座に平らげている。
冒険者組合・冒険者
ジャン・ゼーベック
圧倒的な気迫を持ち、自由奔放な行動をとる裏組織の長である。
・所属組織、地位や役職
ヤーラン王国冒険者組合・総冒険者組合長。裏組織の《長》。
・物語内での具体的な行動や成果
王都の冒険者組合職員から逃げるように馬車へ乗り込み、レントたちとマルトへ向かった。マルトで歓迎会を開き、乾杯の音頭をとっている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
過去にウルフをマルトの冒険者組合長に抜擢した。
冒険者組合の職員たち
総冒険者組合長を捜索している職員たちである。
・所属組織、地位や役職
王都冒険者組合・職員。
・物語内での具体的な行動や成果
王都の停留場でジャンの姿を探して声を上げていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
中年冒険者
王都の宿で他の冒険者を馬鹿にする傾向がある男だ。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
レントたちが通り魔にやられたという話を聞いて嘲笑した。オーグリーから実力を知らされ、ロレーヌに脅されて平謝りしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
冒険者たち
マルトの酒場に集まる者たちである。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
マルトの酒場で開かれたジャンの歓迎会に参加し、乾杯の声を上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
シェイラ・イバルス
レントの秘密を知る数少ない人物の一人である。
・所属組織、地位や役職
マルト冒険者組合・職員。
・物語内での具体的な行動や成果
悩むリナに行商人の護衛依頼を勧めた。ジャンの気迫に圧倒され、執務室への案内をレントたちに任せている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ウルフ・ヘルマン
マルトの冒険者たちから慕われている元冒険者である。
・所属組織、地位や役職
マルト冒険者組合・冒険者組合長。
・物語内での具体的な行動や成果
ジャンが突然マルトへやってきたことに頭を抱えた。マルト地下とモルズ村近くで迷宮が発見されたことをレントたちに報告している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ジャンによって冒険者組合長に抜擢された過去を持つ。
依頼を取った冒険者
マルトの冒険者組合にいる冒険者だ。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
レントが受けようとしたスライムの粘液採取の依頼を先に取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
三人組の女性パーティー
マルトを拠点にして依頼を受けている生徒たちである。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・冒険者。《学院》の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
レントが受けようとした骨人の魔石採取の依頼を先に取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
商人・商会関係者
ドロテア・メロー
父親に反発して家を出たが、商人としての誇りを持っている女性だ。
・所属組織、地位や役職
メロー商会会頭の娘。行商人。
・物語内での具体的な行動や成果
リナを護衛として雇い、村々を巡って素材を買い付けた。襲撃事件の真相を知った後、ディーグと共に行商をすることを決めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
これまでのトラブルがディーグたちによる妨害だったと判明した。
ディーグ・エソル
優秀な兄に対して劣等感を抱えている男である。
・所属組織、地位や役職
エソル商会・次男。
・物語内での具体的な行動や成果
アマポーラに操られ、ドロテアを妨害するためにガスターを雇った。正気に戻った後、エソル商会を辞めてドロテアとともに行商を始めることになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
過去にドロテアとの縁談が進んでいた。
ルドー
娘の行動を密かに見守っている商人である。
・所属組織、地位や役職
メロー商会・会頭。ドロテアの父親。
・物語内での具体的な行動や成果
ジュードとともにマルトの冒険者組合に現れた。娘を危険に遭わせたディーグの処分を求めず、二人がともに行商することを認めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ジュード
息子の不審な行動に気づき、マルトへやってきた商人だ。
・所属組織、地位や役職
エソル商会・会頭。ディーグの父親。
・物語内での具体的な行動や成果
息子がドロテアを危険な目に遭わせたことを詫び、処分をしようとした。ディーグが商会を辞めると申し出たため、それを認めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
盗賊・ならず者
ガスター
ムガという町周辺を拠点にしている盗賊の首領である。
・所属組織、地位や役職
ならず者の首領。
・物語内での具体的な行動や成果
ディーグからの依頼でドロテアを襲撃したが、リナに倒され捕縛された。牢屋から脱走した後に再びドロテアを襲ったが、ザインの矢で倒されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リナによって首筋に噛みつかれ、行動を限定的に支配されていた。
弓術師
盗賊稼業から引退を考えていた弓使いだ。
・所属組織、地位や役職
ならず者。弓使い。
・物語内での具体的な行動や成果
木の上からドロテアを狙って矢を放ったが、リナに弾かれた。リナの投げた短剣が胸に刺さって死亡している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ならず者たち
ガスターとともにドロテアを襲撃した者たちである。
・所属組織、地位や役職
ならず者。
・物語内での具体的な行動や成果
森の中でリナに次々と倒された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
そのまま森に放置され、魔物の餌食になったと推測されている。
村・町の住人、兵士
宿の店員
王都の宿で働いている店員である。
・所属組織、地位や役職
宿の店員。
・物語内での具体的な行動や成果
ドロテアの部屋を訪れ、依頼を受けた冒険者が到着したことを伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
兵士たち
小さな詰め所で勤務している者たちだ。
・所属組織、地位や役職
宿場町・兵士。
・物語内での具体的な行動や成果
リナからガスターを引き取って牢屋へ入れた。その後、アマポーラとガスターを引き渡され、簡易的な裁判を行っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
イザークの働きかけにより、通常ではあり得ない早さで処刑の報告を行った。
子供たち
植物を採取して小遣いを稼いでいる村の子供である。
・所属組織、地位や役職
山奥の村の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
ドロテアにズィマ草やポルトリンの花を売り、アフトグラスの群生地へ案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ザイン
森の歩き方や生活の知識を持っている村の狩人だ。
・所属組織、地位や役職
山奥の村の狩人。
・物語内での具体的な行動や成果
ドロテアの案内に同行し、見張りを担当した。ガスターが襲撃してきた際、弓でガスターを射抜いて倒している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リナの森での立ち回りを高く評価した。
リブル
マルトへ助けを求めに来たクラスク村の青年である。
・所属組織、地位や役職
クラスク村の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
マルトの冒険者組合でシェイラに討伐依頼を懇願し、レントに引き受けてもらった。レントをクラスク村の近くまで案内している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
村で一、二を争う狩りの名手である。
ジリス
村人たちをまとめ、村を取り戻そうとしている人物だ。
・所属組織、地位や役職
クラスク村・村長。
・物語内での具体的な行動や成果
丘の上で監視を行っており、レントが討伐を引き受けたことに感謝した。レントの指示に従い、弓で骨人の注意を引く囮役を務めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ズットガ
見張りを担当しているクラスク村の住人である。
・所属組織、地位や役職
クラスク村の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
ジリスたちとともに丘で村を監視していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リブルと並ぶ狩りの名手である。
鍛冶屋《三叉の銛》
クロープ
レントの特殊な体質を理解し、武器の作成に協力している鍛冶師だ。
・所属組織、地位や役職
鍛冶屋《三叉の銛》・店主。
・物語内での具体的な行動や成果
レントから王都の土産を受け取り、注文されていた剣を引き渡した。剣の試し斬りに立ち会い、聖魔気融合術に耐え抜いたことを確認している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ルカ
いつも微笑みを浮かべている鍛冶屋の妻である。
・所属組織、地位や役職
鍛冶屋《三叉の銛》・店員。
・物語内での具体的な行動や成果
鍛冶師組合から戻り、深刻な表情でクロープに手紙を渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
吸血鬼・魔物
アーク・タハドゥの孫の一人
紳士服にステッキを持ち、シルクハットを被っている吸血鬼だ。
・所属組織、地位や役職
吸血鬼の王の《孫》。
・物語内での具体的な行動や成果
王都の夜道でレントを襲い、《圧縮》の魔術で追い詰めた。ラトゥール家の御者に気づき、王都から逃走している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
認識阻害の能力を持っており、顔を視認することができない。
鏡魔スペクルム
《若返りの魔鏡》に擬態し、対象を記憶の世界へ引きずり込む魔物である。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
レントとロレーヌを幻惑の世界へ取り込んだ。ロレーヌに正体を見破られ、剣の柄で頭を叩かれて倒されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
アマポーラ
自らの生きる場所を確保するために行動している魔術師だ。
・所属組織、地位や役職
“はぐれ吸血鬼”。魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
ディーグを操り、ドロテアを実家に帰らせようとした。リナとの戦いで再生能力の限界を迎え、敗北している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
イザークに保護されて《親》を持ったことで、ラトゥール家の使用人として働くことになった。
骨人
クラスク村を占拠した、錆びた武器を持つ魔物である。
・所属組織、地位や役職
魔物(スケルトン)。
・物語内での具体的な行動や成果
村の中を徘徊していたが、レントによって次々と各個撃破された。村人たちの矢に反応して襲いかかろうとしたが、背後から斬られている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
骨兵士
弓と槍を装備し、戦略的な行動をとる魔物だ。
・所属組織、地位や役職
魔物(スケルトン・ソルジャー)。
・物語内での具体的な行動や成果
通常の骨人を守るように配置につき、レントを警戒した。弓持ちはレントの聖気の刃に貫かれ、槍持ちも一撃で頭を飛ばされて討伐されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
幻影(ロレーヌの記憶)
魔術師然とした老人
ロレーヌに魔術と学問を教えた魔術師である。
・所属組織、地位や役職
ロレーヌの師。
・物語内での具体的な行動や成果
記憶の世界で幼いロレーヌと杖の出来を巡って言い争い、魔術で彼女を気絶させた。その後、壁を修復し、ロレーヌをベッドへ運んでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
若い学者風の女性
ロレーヌの体を気遣っている第一大学の学者だ。
・所属組織、地位や役職
第一大学の学者。かつてのロレーヌの部下。
・物語内での具体的な行動や成果
記憶の世界で、働き詰めのロレーヌに休暇を取るよう勧めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
学者たち
ロレーヌに報告を行っている第一大学の学者たちである。
・所属組織、地位や役職
第一大学の学者。
・物語内での具体的な行動や成果
記憶の世界でロレーヌに研究の報告をしていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ロレーヌが人を見ていなかったため、のっぺらぼうの姿で現れている。
望まぬ不死の冒険者12巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者14巻
展開まとめ
第一章 増える聖者とマルトへの帰還
聖気の加護と王都出立
ポチの加護
エルザは、ポチの声が聞こえるのは聖気の加護を宿す者だけだと説明した。レントは、自分も故郷の祠を修理した際に神霊から聖気を授かったと認めた。エルザとリリアンも、孤児院にいた頃にポチから聖気を授けられており、本来はメルを守るために先に加護を与えられたのだと語られた。
メルを守る理由
ポチは最初からメルに加護を与えるつもりだったが、エルザとリリアンは、聖気持ちが宗教団体から狙われる危険を考えて時期を遅らせていた。二人は自分たちがメルと孤児院を守れるほど強くなってからの方がよいと判断していた。エルザは、メルに特別な役割があるのかもしれないと考えていたが、ポチは詳しい理由を語らなかった。
増える聖気使い
エルザは、近年になって強い加護を持つ者が増えていると話した。中には中規模領地を覆えるほどの聖気を持つ者もおり、その力は治癒や戦争に利用されれば国家規模の影響を及ぼしかねないものだった。エルザは、世界が激動の時代に入ろうとしているのではないかと見ていた。
エルザの依頼
エルザは、メルと孤児院を守るため、余裕がある時には力を貸してほしいとレントに頼んだ。レントはロレーヌと視線で相談し、確約はできないが、余裕があれば協力すると答えた。エルザはその返答を受け入れ、無理を承知で頼んでいるのだと頭を下げた。
連れ戻される僧正
孤児院では、聖気の加護を受けたメルがポチと話せるようになり、子供たちに信じてもらおうとして空回りしていた。レントたちは孤児院を後にしたが、その帰り道で東天教の僧侶たちに見つかり、エルザは大寺院へ連れ戻された。僧侶はレントたちに礼と詫びを伝え、エルザを取り囲んで連れていった。
夜の王都
その夜、レントは眠れず、王都の闇の中を一人で歩いた。魔物となった自分の体や、吸血衝動の弱さ、自分が何の魔物なのか分からない不安を考えていた。王都で強者や権力者と関わるようになり、銀級にも届きそうになっている一方で、ロレーヌのいる高みにすら届かない自分の弱さも感じていた。
闇の吸血鬼
レントは夜道で、紳士服の男に突然襲われた。喉を抉られ、男が巨大な口のような闇に変じて食らおうとしたため、レントは《分化》で逃れた。しかし男は《圧縮》で分化した体を押し潰そうとし、レントは抵抗できず、自爆に近い手段まで考えるほど追い詰められた。
ラトゥール家の御者
危機の直前、圧力が消え、男も姿を消した。現れたのは、王都まで馬車を運んだラトゥール家の御者だった。御者は、先ほどの男が吸血鬼の王アーク・タハドゥの《孫》の一人であり、ラウラの敵だと説明した。男はレントを狙ったわけではなく偶然遭遇しただけで、御者に気づいて王都を去ったという。
朝の食堂の騒動
翌朝、ロレーヌはレントの異変に気づいた。レントは夜道で通り魔に襲われたと軽く説明したが、それを聞いた王都の冒険者がマルト出身の二人を馬鹿にした。そこへオーグリーが現れ、レントとロレーヌは自分よりはるかに強いと告げると、男は態度を変えて謝罪した。ロレーヌは圧縮した魔力で脅し、相手を不用意に侮る危険を教えた。
吸血鬼への警戒
レントはロレーヌとオーグリーに、昨夜襲ってきた相手が吸血鬼の王の配下だったことを話した。顔は認識阻害のため見えず、ロレーヌは妙に目をつけられなかったことを幸運だと見た。レントは二度と会いたくないと考えたが、ロレーヌは聖気を鍛えて対策するべきだと助言し、《圧縮》という魔術にも興味を示した。
オーグリーとの別れ
オーグリーは、次に会う時までに自分も腕を上げると話した。レントもさらに強くなると答え、二人は握手を交わした。長く伸び悩んでいた二人が、それぞれ前に進んでいることを実感する別れだった。
遅れてきたジャン
レントたちは王都の停留場で、マルトへ同行するジャン・ゼーベックを待った。ジャンは遅れて現れ、戦争に行くような魔道具まみれの装備をしていた。彼はマルトの迷宮と《塔》《学院》を巡る陰謀を警戒していると説明した。
逃げる総冒険者組合長
ジャンが遅れた理由は、総冒険者組合長を探す職員たちから逃げていたためだった。彼は供をつけると旅行が息苦しくなると言い、職員に見つからないうちに馬車を出すよう急かした。レントたちは呆れつつも馬車を出し、ジャンはマルトでの休暇を楽しむような様子で幌の中から外を覗いていた。
第二章 その頃の弟子たち1
リナの単独依頼と行商人ドロテア
ラトゥール家の訓練
ラトゥール家の庭で、リナとアリゼはイザークの指導を受けて魔術と武術の訓練を続けていた。二人は模擬戦で毎回イザークに敗れていたため、自分の成長を実感できずにいたが、イザークは二人とも確実に力を伸ばしていると見ていた。特にリナは、自分では気づかないまま実力を上げていた。
依頼への勧め
リナが自信を失いかけていることに気づいたイザークは、一人で依頼を受けてみてはどうかと勧めた。リナはアリゼの世話を理由に迷ったが、アリゼは自分のことは心配せず行ってよいと背中を押した。イザークもアリゼの訓練は自分が見ると約束し、リナは久しぶりに冒険者として依頼を受けることにした。
掲示板の前の迷い
冒険者組合に着いたリナは、自分がまだ鉄級であることや、周囲にいるレント、ロレーヌ、イザーク、ラウラ、アリゼといった実力者たちと比べてしまい、依頼掲示板の前で迷っていた。自分は本当に強くなっているのかという不安が強く、どの依頼を選ぶべきか決められずにいた。
シェイラの見繕い
シェイラは、リナが長く掲示板の前に立っていることに気づき、声をかけた。リナが自信のなさを打ち明けると、シェイラは掲示板に出ていない依頼の中から、リナに合いそうなものを探してくれた。候補は《水月の迷宮》での荷物持ちと、女性行商人の護衛依頼だった。
行商人護衛の選択
リナは、迷宮で三日間野宿する荷物持ち依頼にはまだ自信が持てず、女性行商人の護衛依頼を選んだ。依頼主はドロテア・メローという若い女性で、女性冒険者限定の条件を出していた。シェイラは手続きを済ませ、リナに依頼主のもとへ行って打ち合わせるよう伝えた。
ドロテアの不安
ドロテアは、以前雇った男性冒険者に旅の途中で護衛料をつり上げられた経験から、冒険者への警戒を強めていた。父から女には行商人は難しいと言われた過去もあり、女性だから舐められる現実を痛感していた。それでも店を持つ夢のため、彼女は行商を続けるつもりでいた。
少女冒険者リナ
依頼を受けた冒険者として現れたリナを見て、ドロテアはその若さと華奢さに驚いた。リナは自分では不安だろうと先に謝ったが、ドロテアはその姿に、自分も女だからと侮られてきたことを重ねた。ドロテアは、冒険者組合が任せられると判断したならよいと答え、リナを正式に話し合いの席へ迎えた。
ルート変更の提案
ドロテアが予定している行商の行程を説明すると、リナはツート山付近を迂回し、ファガ街道ではなくラダー街道を通るべきだと提案した。理由は、ツート山では女面鳥が例年より早く営巣を始め、ファガ街道の橋も落ちているという最新情報を得ていたからだった。
市場で得た情報
ドロテアは商業ギルドや商人仲間から聞いた情報にはない話だったため驚いた。リナは、マルトに生活必需品を買いに来る近隣の村人たちと顔見知りになり、定期的に話を聞いていたのだと説明した。ドロテアは、その土地を拠点にする冒険者ならではの情報収集だと理解した。
信用された護衛
ドロテアは、リナが黙っていれば報酬を増やせたはずの情報を先に伝えたことから、彼女を信用することにした。リナは女面鳥の群れを相手にドロテアを守り切る自信はなかったと率直に語り、それでも自分は多分死なないと淡々と述べた。その言葉から、ドロテアはリナが見た目以上に死と隣り合わせの冒険者であることを感じ、正式に護衛を依頼した。
閑話 ロレーヌの選択
鏡魔スペクルムの幻惑
変わった若返りの魔鏡
レントは《水月の迷宮》で手に入れた《若返りの魔鏡》をロレーヌに見せた。鏡には若い頃のロレーヌとレントが映っていたが、やがて実際の二人とは違う動きを始め、鏡の中の二人は手を伸ばしてレントとロレーヌを引きずり込んだ。
暗闇の記憶世界
ロレーヌは何もない暗闇の空間で目を覚まし、レントの姿も見失った。やがて、幼い頃のロレーヌと師が言い争う光景が現れた。杖の出来を巡って反発した幼いロレーヌは師に杖を投げつけ、師は魔術で脅して気絶させたが、その後は怪我を確認してベッドへ運んでいた。
第一大学の執務室
次にロレーヌは、第一大学で働いていた頃の自分を見た。多くの学者の報告を聞いていたが、顔は思い出せず、レポートの内容だけは鮮明に読めた。かつてのロレーヌが人ではなく情報ばかり見ていたことを、今のロレーヌは冷静に受け止めた。
マルトに来なかった未来
小さなロレーヌは、もしマルトに来なかったらどうなっていたかを見せた。そこには研究で業績を重ね、出世し、学長の椅子に座るロレーヌの姿があった。小さなロレーヌは、その栄光を何度でも繰り返せると誘ったが、ロレーヌは今の自分にとって魅力はないと断った。
鏡魔スペクルム
ロレーヌは、頭をぼんやりさせる違和感から、相手が《若返りの魔鏡》ではなく《鏡魔スペクルム》だと見抜いた。鏡魔は幼いロレーヌの姿を捨て、痩せたゴブリンのような本性を現して襲いかかった。ロレーヌは剣の柄で鏡魔の頭を叩き、暗闇の世界ごと砕いた。
神銀級の幻
ロレーヌが戻ると、レントも居間に戻っていた。レントは神銀級になる幻を見せられていたが、幻惑だと分かりながら楽しんでいた。ロレーヌは大学の学長になる夢を見たと話し、今はその道を目指す気がなく、今の生活を気に入っていると語った。
今の生活
二人は夕食時に、鏡の中で見た幻について語り合った。ロレーヌは幻惑の分析から新しい魔術の手がかりも得て、満足していた。彼女は、かつてマルトに来る選択をしたからこそ今の生活にたどり着いたのだと感じ、その日々が続くことを願った。
第三章 その頃の弟子たち2
ドロテア護衛の襲撃と黒幕ディーグ
焚き火の会話
マルトを発って一日後、ドロテアとリナは野営の焚き火を囲みながら話していた。ドロテアは、父に認められる商人になることを目標にしており、いつか父の大店に負けない店を持ちたいと語った。リナは夢は頑張れば叶うと素直に励まし、ドロテアはその無邪気な言葉に笑いながらも、絶対に無理なことなどないと受け止めた。
多すぎる災難
ドロテアは、これまで行商中に巻き込まれた数々のトラブルをリナに話した。リナは、駆け出しで女性だからという理由を考慮しても、あまりに頻度が高すぎると疑問を持った。ドロテアは自分ではそれが普通だと思っていたが、リナの指摘によって、自分の不運に不自然さがあることを意識し始めた。
盗賊の襲撃
会話の途中、森から矢が飛んできた。リナは即座にドロテアと森の間に入り、剣で矢を弾き落とした。さらに短剣を投げて弓使いを仕留めると、相手は盗賊の類いだと判断し、ドロテアに馬車で待つよう告げて森へ入った。
ガスターの誤算
盗賊の首領ガスターは、ドロテアを脅す依頼を受けて森に潜んでいた。彼らは鉄級冒険者一人なら容易に押さえられると考えていたが、リナは矢を見切り、暗い森の中で仲間を次々と倒していった。ガスターは、鉄級という情報が当てにならない相手を狙ったことを悟ったが、逃げる間もなくリナに気絶させられた。
捕らえられた首領
リナはガスターを引きずって戻り、ドロテアに無事を知らせた。少し移動した後、リナはガスターを起こして尋問した。彼は素直に名乗り、依頼を受けてドロテアを襲ったことを話したため、ドロテアはこれまでの災難も誰かの差し金だった可能性を知って愕然とした。
続ける覚悟
リナは、ドロテアの父が黒幕ではないかと一度疑ったが、ドロテアは父が最後には自分の出奔を止めなかったことから否定した。リナは、犯人が捕まらない限り危険は続くため、行商を休むか続けるかを選ぶ必要があると告げた。ドロテアは、自分が行かなければ生活必需品に困る人々がいるとして、行商を続ける決意を示した。
吸血鬼の力
リナは、ドロテアを守るために冒険者としての技能だけでなく、ラトゥール家で学んだ魔物としての力も使うことにした。彼女は夜間訓練で多対一の戦い方を身につけ、ガスターには首筋に噛みついて限定的に行動を制御する力をかけていた。ドロテアには詳しく明かさず、ガスターを利用して黒幕に近づく手段を残していた。
宿場町の牢屋
リナとドロテアは宿場町でガスターを兵士に引き渡した。ガスターは不自然なほど無抵抗で、兵士たちは薬物患者のようだと感じたが、深く追及せず牢へ入れた。盗賊なら通常は即座に重刑となるところだったが、誰かに指示された疑いがあるため、背後関係を調べる必要があった。
依頼主の救出
夜、牢で目覚めたガスターのもとに、彼に依頼をした男と魔術師が現れた。男は口封じも目的の一つだと認めつつ、殺すのではなくもう一度働いてもらうつもりだと告げた。リナの強さを夜目の利く魔道具によるものと見て、昼なら倒せる可能性が高いと説明し、ガスターを牢から解放した。
山奥の村の商い
ドロテアは山奥の村で商品を売り、子供たちから薬草や花を買い取っていた。彼女は、子供たちに価値あるものを見つけて売る面白さを知ってもらい、将来の商品作物につながればよいと考えていた。リナは、その気の長い商人らしい計画に感心した。
村長との取引
村での取引では、村長が秤やワイン樽に細工をしていた。ドロテアはそれを見抜き、重い罪になり得ることを遠回しに伝えて訂正させた。リナは厳しく罰しなくてよいのかと尋ねたが、ドロテアは田舎の村人が危険をよく分かっていない面もあるため、今回は様子を見ると判断した。
近づく罠
リナは、噛みついたことで把握していたガスターの位置が大きく動き、自分たちに近づいていることを察知した。ドロテアが商人として仕事をする一方で、リナも護衛として自分の仕事を果たす時が来ていると感じた。
ディーグの縁談
エソル商会の次男ディーグは、かつてメロー商会の娘との縁談を父から告げられ、自分にも商人としての機会が来たと感じていた。兄に劣る立場に苦しみ、兄を排除したいほど黒い感情を抱えていた彼にとって、メロー商会を継げるかもしれない縁談は救いだった。
破談と黒い感情
ドロテアが行商人になるために出奔したことで、ディーグの縁談は破談となった。彼は最初、ドロテアの勇気を尊敬し、自分との婚約でその決意を邪魔すべきではないと受け入れた。しかし一年半後、メロー商会に息子が生まれた頃から再び心が黒く染まり始めた。
アマポーラの影
ディーグは、いつからか右腕のようにそばにいた旅の魔術師アマポーラの存在を思い浮かべた。彼は、ドロテアが行商人を辞めればミステラに戻り、自分との婚約が成立してメロー商会を継げると考えるようになっていた。しかし同時に、それが現実的ではないことにも気づきかけ、なぜ自分がそうなったのか分からず頭痛に襲われた。
第四章 その頃の弟子たち3
アフトグラス採取とアマポーラの決着
誠実な商い
三つ目の村でも、ドロテアは子供たちから植物や鉱石を買い取っていた。村長との取引では、提示額より高い正当な価格を示し、目先の得よりも信頼を重視した。リナはその姿から、レントに教わった冒険者の心得と同じく、人との関係を築く根本は商人も冒険者も共通しているのだと理解した。
アフトグラスの群生地
ドロテアは子供が持ってきた植物に注目し、採取場所へ案内してもらった。それは新しい魔物除けに使われるアフトグラスであり、近年になって高騰している素材だった。リナは、その魔物除けの開発にロレーヌが関わっている可能性を思い浮かべたが、深く考えるのをやめた。
村人と森の知恵
森には一面のアフトグラスが広がっていた。ドロテアと子供たちは取りすぎないよう配慮しながら採取し、子供たちは自分たちの知識を誇らしげに教えていた。狩人のザインは、リナの森の歩き方や植物知識を高く評価し、マルトの冒険者は王都の冒険者より村や森の生活を分かっていると語った。
誘い出されたリナ
採取中、リナは魔物ではなく意図的に放たれた殺気に気づき、ザインにドロテアと子供たちの護衛を任せて森の奥へ向かった。開けた場所にはローブ姿の女魔術師が待っており、彼女はガスターとの戦いを見てリナの感覚の鋭さを見抜き、わざと気配を放って呼び寄せたのだと明かした。
アマポーラの計画
女はアマポーラといい、ディーグにガスターを雇わせた者だった。彼女は、ドロテアを実家に戻してディーグと結婚させ、さらにドロテアの父を事故に見せかけて排除し、ディーグにメロー商会を握らせようとしていた。リナはそれを止めるつもりだったが、アマポーラはディーグとガスターがドロテアのもとにいることを示し、人質を盾にリナを縛ろうとした。
人質とディーグ
一方、アフトグラスの群生地にはディーグとガスターが現れ、ガスターは子供を人質に取っていた。ディーグはドロテアに実家へ戻って自分と結婚するよう迫り、断られると子供の指を落とすようガスターに命じた。しかしドロテアが、彼はそんなことをする人ではなかったはずだと叫ぶと、ディーグは頭痛に襲われ、正気を取り戻しかけた。
アマポーラとの戦闘
アマポーラは無詠唱の風魔術でリナを攻め続け、足を傷つけて倒れた隙にとどめを刺そうとした。だがリナは反撃し、アマポーラの腹を深く刺した。アマポーラは人間離れした力でリナを蹴り飛ばし、自分は人間ではなく、傷も首も再生できる存在だと明かした。
再生の限界
リナはアマポーラが同類に近い存在であることを理解し、首や腕を何度も斬り落として再生力を削っていった。やがてアマポーラの右腕は戻らなくなり、彼女は初めて自分の再生能力が無限ではないことを知った。リナは、自分たちの再生にも限界があると説明し、アマポーラの首を落として戦いを終わらせた。
はぐれ吸血鬼
リナはアマポーラを殺さず、首だけの状態で事情を聞いた。アマポーラは、居場所を得るためにディーグを操り、商会を隠れ蓑にしようとしていたのだと認めた。リナは、彼女が群れや家族を持たず、親から何も教えられないまま生きてきた“はぐれ吸血鬼”であると見抜いた。
イザークの保護
リナがアマポーラをどう扱うか迷っていると、イザークが現れた。彼は、七十年以上もはぐれのまま人に見つからず生きてきたアマポーラは稀な存在であり、ラトゥール家で保護して鍛えればよいと判断した。イザークはアマポーラの傷を治し、自分が《親》となって彼女を引き取ることにした。
人質の解放
ドロテアたちの側では、ガスターがザインに短剣を投げたが、影のような力がそれを弾き、ザインの矢がガスターを倒した。ディーグもアマポーラの支配が解けたことで気絶し、子供は無事に逃げた。リナが戻り、ディーグは吸血鬼に操られていただけで、不死者にはなっていないとイザークが説明した。
ディーグの謝罪
目覚めたディーグは、ドロテアに謝罪した。彼はアマポーラに操られていた間の行動を思い出し、本意ではなかったと語った。ドロテアは彼の本来の人柄を知っていたため受け入れ、アマポーラは何も答えなかった。
偽りの処刑
一行は地方都市でアマポーラとガスターを引き渡した。イザークの働きにより裁きは早く進み、表向きアマポーラは処刑され、残った灰が証拠として渡された。実際にはイザークが彼女を助け、公的には死んだことにして、吸血鬼狩りから守る形を整えたのだった。
父たちとの再会
マルトに戻ると、ドロテアとディーグの父たちが待っていた。ディーグの父は息子の異変に気づき、ドロテアの父とともに止めに来ていた。事情を聞いた二人は、ディーグが吸血鬼に操られていたことを理解し、ドロテアも処分を望まなかった。
二人の新しい道
ディーグは、自分の甘さが招いたことだとして、エソル商会を辞めて一から商人としてやり直したいと申し出た。ドロテアは、自分と組んで行商を学ばないかと誘い、ディーグはそれを受け入れた。二人の父親たちも複雑な思いを抱えながら認め、かつての縁談とは違う形で二人の道がつながった。
リナの成長
依頼を終えたリナは、ラトゥール家でイザークに報告した。イザークは、リナが確かに成長していると伝え、リナも一人で依頼をこなしたことで、自分が以前より戦えるようになったと実感していた。今後も無理のない範囲で一人の依頼を受け、ライズとローラが戻るまで自信を積み重ねようと考えた。
ラトゥール家のアマポーラ
アマポーラはラトゥール家のメイド服を着て現れ、すでに《分化》を使えるようになっていた。イザークは、彼女が長く生きて基礎を積んでいたため、吸収が早いのだと説明した。アマポーラはディーグを支配した理由について、彼の心の闇が魅了に向いていたこと、そして自分を匿ってくれた彼を助けたい気持ちもあったのだと語った。
第五章 久しぶりのマルトと鍛冶屋
マルト帰還と新たな剣
マルトへの帰還
レントとロレーヌは、ジャンを連れてマルトへ戻った。王都滞在は長くなかったが、二人には久しぶりに戻ったように感じられた。マルトには《塔》と《学院》の関係者が滞在しており、地下に新しく生まれた迷宮の調査が進んでいるため、以前とは少し状況が変わっていると予想された。
新迷宮への興味
ジャンは、マルト地下の新しい迷宮に強い興味を示した。レントとロレーヌは、自分たちが入った時には肉壁のような不気味な内部だったが、その後は石壁や土壁が増えていたと話した。ジャンは、自分の目で確かめることを楽しみにしていた。
ウルフの抜擢
道中、ジャンはかつてウルフをマルト冒険者組合長に抜擢した経緯を語った。ウルフは冒険者として白金級目前まで進んでいたが、負傷を機に引退しようとしていたため、ジャンがその経験を後進のために役立てるよう説得したのだった。現在のマルト冒険者組合の評判の良さは、ウルフの改革によるものだった。
マルト冒険者組合
ジャンは冒険者組合に着くと、受付を通さずウルフの執務室へ向かった。シェイラは総冒険者組合長の気迫に圧倒されて止められず、レントたちに助けを求めるような様子だった。レントとロレーヌは依頼完遂の報告のため、ジャンを追って執務室へ向かった。
ウルフとの再会
ジャンはウルフに久しぶりだと声をかけ、ウルフは頭を抱えた。ウルフは、レントたちを王都へ送れば断りの返事を持ち帰るだろうと見込んでいたが、ジャンはその意図を読んでおり、使者が来たら必ず通すよう王都側に命じていた。レントはジャンを連れてきたことで依頼を完遂した。
ジャンの歓迎会
その夜、マルトの酒場ではジャンの歓迎会が開かれた。ジャン自身が乾杯の音頭を取り、冒険者たちは盛り上がった。ウルフは呆れつつも、恩人であり上司でもあるジャンの来訪をどこか喜んでいた。レントとロレーヌは、ジャンの裏組織に関わる騒動でひどい目に遭ったことをウルフに話した。
新たな迷宮の発見
ウルフは、マルト地下の迷宮とは別に、モルズ村近くで新しい迷宮らしきものが見つかったと告げた。発見した銅級冒険者は迷宮が《拡大》する瞬間を見ており、迷宮特有の用途不明な魔道具も持ち帰っていた。ロレーヌは、迷宮が近くに新たな迷宮を生むという師の仮説を思い出し、今後さらに周辺で迷宮が見つかる可能性を指摘した。
増える仕事
ウルフは、迷宮が増えれば冒険者組合の仕事も増えると頭を抱えた。レントは収入が増える利点もあると述べたが、ウルフは休みがなくなることを嘆いた。彼は冗談交じりにレントにも手伝わせようとし、レントは本当に困った時なら手を貸すと応じた。
銀級昇格試験
レントはウルフに、銀級昇格試験について尋ねた。マルトで次に試験が行われるのは一年後だったが、鉱山都市ウェルフィアなら一か月後に試験があると教えられた。レントは神銀級への道がまだ遠いことを理解しつつも、まずは銀級への一歩を進めるため、ウェルフィアでの受験を考えることになった。
リリアンへの手紙
翌日、レントとロレーヌはマルト第二孤児院を訪ね、リリアンにエルザからの手紙を届けた。リリアンは、王都の孤児院やメル、ポチが元気だと聞いて安堵した。手紙には、東天教本部が落ち着いたため、王都に戻ることも訪ねることもできると書かれていたが、リリアンは今の孤児院こそ自分の居場所だと語った。
王都の土産
ロレーヌは、王都で買った菓子と紅茶をリリアンに渡した。リリアンは依頼主として恐縮したが、ロレーヌは近所の世話になっている相手への土産だと説明した。リリアンはそれを受け取り、後に菓子は孤児院の子供たちによってすぐになくなった。
三叉の銛の新剣
レントは鍛冶屋《三叉の銛》を訪ね、クロープに王都土産として珍しい魔物素材を渡した。続いて、以前から頼んでいた剣を受け取った。その剣は魔鉄、タラスクの魔石、聖気の影響を受けた樹木、レントの血を用いて作られたもので、クロープは会心の出来だと胸を張った。
しなる刀身
新しい剣の刀身には木目や年輪のような文様があり、赤みがかった邪悪な色合いを帯びていた。レントが素の状態で試し斬りをすると、藁や木だけでなく金属鎧を着た人形も斬れた。剣はしなる性質を持っていたが、レントはそれが切れ味を増しているようにも感じた。
気と魔力の効果
剣に気を込めると、刀身のしなりが弱まり、硬い剣として扱えるようになった。魔力を込めると、地面の土や砂に干渉でき、岩の弾丸を生み出すこともできた。大地竜の魔力に浸った魔鉄の性質によるものらしく、戦闘の幅を広げられる一方で、燃費の悪さも課題になった。
聖気の炎
聖気を込めると、刀身は青い炎のようなものを纏った。ただし熱はなく、聖気を持たない者には見えない性質もあった。切れ味の向上は通常の聖気強化と大きく変わらなかったが、不死者系に特に効く可能性があり、レントは《水月の迷宮》で骨人相手に試すことを考えた。
魔気融合術の負担
魔力と気を同時に込めると、剣の硬化と土砂操作の効果が同時に強化された。切断力も大きく増し、爆発させる効果も発生した。しかし維持する疲労は非常に大きく、三十秒ほどで立てなくなるほどだった。レントは、剣が強力なぶん使い勝手は難しいと感じた。
聖魔気融合術の威力
最後に聖気、魔力、気を同時に込めると、木や藁の人形は小さく圧縮され、土と植物の蔦に覆われた。鎧人形も球状に押し潰され、剣の効果は聖魔気融合術の圧縮力をさらに強化したものになっていた。レントは、相手を圧縮し植物の栄養にするような効果に不気味さを覚えつつ、今後は効果を制御する修練が必要だと考えた。
耐え抜いた剣
クロープが剣を詳しく調べると、聖魔気融合術を使った後でも剣に問題はなかった。レントは、これまで一度使えば壊れる覚悟だった切り札を複数回使える可能性に大きな手応えを感じた。クロープは、自分の武具作りを遠慮なく頼れと言い、レントもクロープが困った時は力になると約束した。
ルカの手紙
レントが剣を持って帰った後、クロープの妻ルカが鍛冶師組合から戻ってきた。彼女は深刻な表情で一通の手紙を差し出し、クロープはそれを読んだ。内容を確認したクロープは、早速レントに頼まなければならない用件ができたと受け止めた。
第六章 とある依頼
水月の迷宮前の依頼とクラスク村の骨人討伐
試し斬りの依頼探し
レントは新しい剣の試し斬りをするため、《水月の迷宮》へ向かうついでに手頃な依頼を探していた。スライムの粘液や骨人の魔石の依頼を狙ったが、他の冒険者や《学院》の生徒たちに先に取られてしまった。マルトでは新迷宮の影響で冒険者が不足しており、依頼の取り合いが起きやすい状況になっていた。
リブルの懇願
受付では、傷だらけの青年リブルがシェイラに依頼を受けてもらえないかと懇願していた。彼の依頼はクラスク村に現れた骨人の討伐だったが、今のマルトでは提示額が低く、受ける冒険者がいない可能性が高かった。レントは自分も依頼を取り損ねたため、運の悪い者同士の縁だとして話を聞くことにした。
クラスク村の事情
リブルの住んでいたクラスク村は、マルトから西に一日ほどの場所にある閉鎖的で小さな村だった。外との交流は少なかったが、誠実な行商人のおかげで不当に買いたたかれることもなく、平穏に暮らしていた。ところが最初に一体の骨人を村人だけで倒した後、さらに複数の骨人がいると分かり、村人たちは村を放棄して避難していた。
受けた討伐依頼
レントは、骨人の討伐が新しい剣の試し斬りに適していることもあり、リブルの依頼を受けることにした。ただし骨人が村の外にも発生している可能性があり、根源の調査も必要になると考えた。いざという時はロレーヌに応援を頼むことも視野に入れながら、リブルとともにクラスク村へ向かった。
村近くの見張り
レントとリブルは馬車を近くの町に置き、徒歩でクラスク村へ向かった。夕方、村を見下ろせる丘の近くで、村長ジリスを含む男たちと合流した。彼らは消耗しながらも村を監視し続けており、リブルが銅級冒険者を連れて戻ったことに安堵した。
村人たちの参加
ジリスたちは自分たちの村だから討伐に加わりたいと申し出た。レントは近接戦では邪魔になるとはっきり伝えたうえで、遠くから弓を射て骨人の注意を引く囮役を提案した。危険はあるが村を取り戻したいという思いは強く、村人たちはその役割を受け入れた。
増えていた骨兵士
翌朝、レントは丘から村の様子を確認した。事前に聞いていた五体の骨人に加え、弓と槍を持つ骨兵士が一体ずつ増えていた。骨兵士は通常の骨人より判断力と戦闘技術が高く、特に弓持ちは村人にとって危険だったため、レントは先に倒す必要があると考えた。
静かな各個撃破
レントは村の中へ一人で入り、家屋の陰を利用して骨人を一体ずつ仕留めた。最初の骨人は気を込めた剣で頭部を斬り、魔石を抜いて崩した後、骨を建材として使えるよう土に浅く埋めた。二体目には聖気を込めた剣を試し、触れた部分から骨人が灰化することを確認した。
聖気の消耗
聖気を込めた剣は骨人をほぼ無音で灰にでき、不死者に対して強力な効果を発揮した。しかし聖気の消耗は大きく、レントは多用できるものではないと理解した。それでも今回の村の掃除では、試し斬りと安全性の両面から聖気を使って経験を積むことにした。
村人への注意
三体目の骨人は村の外から現れ、村人たちを先に見つけた。レントはすぐに割り込み、聖気を込めた剣で骨人の頸骨を斬り、灰化させた。村人たちは弓を構えるだけで精一杯だったため、レントは敵を倒すことより命を守ることを優先するよう伝えた。
広場の骨人たち
残る骨人と骨兵士は村の広場に集まり、警戒態勢を取っていた。すでに仲間が戻らないことに気づいたらしく、骨兵士は戦略的に動ける個体だった。レントは弓持ちを早く倒すため、聖気で剣の射程を伸ばす方法を試すことにした。
聖気の刃
レントは広場へ突入し、骨弓兵士の矢を弾いた。目の前の骨人の首を突き、さらに聖気で伸ばした見えない刃で奥にいた骨弓兵士の頭部を貫いた。骨弓兵士は灰化し、レントはロレーヌの魔力操作やカピタンの気の技から着想した聖気の刃が実戦で使えることを確認した。
村人の囮と最後の骨兵士
村人たちの矢は骨人を大きく傷つけられなかったが、注意を引く役目は果たした。骨人が村人へ向かった隙に、レントは背後から斬って倒した。残った槍持ちの骨兵士は冷静に間合いを取り、一騎討ちの構えを見せたが、レントは気で身体を強化して踏み込み、出し惜しみせず一撃で頭を飛ばした。
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