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フィクション(Novel)望まぬ不死の冒険者読書感想

小説「望まぬ不死の冒険者 14巻」感想・ネタバレ

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望まぬ不死の冒険者14の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

望まぬ不死の冒険者13巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者15巻

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物語の概要

■ 作品概要

異世界を舞台に、最弱の不死者(アンデッド)から最高峰である神銀(ミスリル)級冒険者を目指す主人公の歩みを描いたファンタジー小説の第14弾である。銀級昇格試験を控えた不死者の冒険者レントは、師匠であるカピタンから《気》の扱いを鍛え直してもらうため、港湾都市ルカリスを訪れる。そこでレントを襲撃してきた荒くれ冒険者三人組を返り討ちにするが、彼らを見捨てず、冒険者として生き抜く術を教えることになる。レントはカピタンや呪物屋のディエゴ、そして冒険者三人組と共に、魔錆病に効く「海霊草」を求めて海底に存在する《海神の娘達の迷宮》へと挑む。迷宮核に保存された記憶の幻影や、強大な白髪の女との再会、そして海上での魔王の配下の暗躍など、世界の謎が交錯する冒険が繰り広げられる。同時に、レントの相棒であるロレーヌが義父インゴから未知の従魔術を学ぶエピソードも進行する。

■ 主要キャラクター

  • レント・ファイナ:本作の主人公。最弱の不死者から神銀級冒険者を目指している。ルカリスで迷宮探索に挑む傍ら、かつての自分のように限界で行き詰まっていた銅級冒険者三人組の面倒を見るお人好しな一面を持つ。
  • ロレーヌ・ヴィヴィエ:レントの同居人であり相棒。優秀な学者兼魔術師。レントの義父インゴから複雑な魔力操作を伴う特殊な従魔術を実践的に学び、スライムの「ロレン」を初の従魔とする。
  • カピタン:レントの師匠であり、ハトハラーの狩人。卓越した《気》の達人。海霊草を求めて迷宮に潜っており、レントと共にニーズ達やディエゴへ《気》や戦闘の立ち回りを指南する。
  • ディエゴ・マルガ:ルカリスで「マルガの呪物屋」を営む黒豹人の獣人であり、凄腕の鑑定士。母親が魚人の王族であり、迷宮探索に同行して呪物の知識でパーティーを支える。
  • ニーズ、ガヘッド、ルカス:ルカリスの銅級冒険者三人組。レントを襲撃するが、逆にレントやカピタンから素材採取の基礎や連携の取り方、戦闘技術を徹底的に叩き込まれることになる。
  • ペルーサ:魚人の王族「古き海の子」の血を引く少女。魔王カンヘルの配下がうろついているせいで海中街へ帰れずスリをしていたところをレントに捕まり、ディエゴの店で働くことになる。
  • 白髪の女:過去にレントを助けた絶大な力を持つ謎の存在。迷宮の記憶に取り込まれかけたレントを救い、海上では魔王カンヘルの配下クリック達を大津波の魔術で一掃する。

■ 物語の特徴

不死者という特異な体質を持つ主人公が、地道な努力と周囲との縁を大切にしながら成り上がっていく姿が本作の最大の魅力である。第14巻では、レント自身の成長だけでなく、能力の限界を感じて腐りかけていた底辺冒険者たちを導く「指導者」としての姿が強調されている。他者を育てることで自身の基礎を見つめ直すという深い成長描写は、読者にとって非常に興味深いポイントとなっている。 また、ルカリス沖で暗躍する魔王の軍勢や、迷宮核に保存された過去の記憶の謎など、ダークファンタジーとしての壮大な世界観の広がりも見どころである。さらに、相棒ロレーヌが未知の従魔術を体系的に解き明かしていく学者としての探求過程も緻密に描かれており、バトルと知的な謎解きの両面を楽しむことができる。

書籍情報

望まぬ不死の冒険者 14巻
著者:丘野優 氏
イラスト:じゃいあん  氏
出版社:オーバーラップ(オーバーラップノベルス
発売日:2024年12月25日
ISBN:978-4-8240-0766-7

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あらすじ・内容

最弱不死者(アンデッド)からめざす最強冒険者、第14弾
銀級冒険者への昇格試験を迎える前に、カピタンから《気》の扱いを学ぶため、港湾都市ルカリスを訪れた不死者・レント。
街の散策をしていると荒くれ冒険者三人組から襲撃を受けるものの、獣人で呪物屋のディエゴの加勢もあり難なく退ける。
その冒険者三人組にまだ見込みがありそうだと考えたレントは、彼らに冒険者として生きていく術を教えることに。
冒険者組合(ギルド)でカピタンと再会したレントは、魔錆(ましょう)病に効果を発揮する海霊草を採りに《海神の娘達の迷宮》を目指す。
カピタン、ディエゴ、冒険者三人組とともに迷宮に突入しようとしたが、そこでレントは予期せぬ再会を果たし――!?
「お久しぶりですね。屍鬼の人」
強大な魔物と戦い、多くの謎を解き、そして強くなる。死してもなお遙かなる神銀(ミスリル)級を目指す、不死者レントの『冒険』、第14弾――!

望まぬ不死の冒険者 14

感想

新たな舞台となる港湾都市ルカリスと海中迷宮を中心に、新鮮な冒険が描かれた一冊だった。これまでとは違う土地ならではの文化や人々との出会いも多く、読んでいて自然と物語の世界へ引き込まれていく。

今回、特に印象に残ったのはレントの人柄である。

街で襲ってきた銅級冒険者のニーズたちを返り討ちにするだけでは終わらず、彼らが一人前の冒険者になれるよう手を差し伸べる姿が実にレントらしかった。

普通なら見捨ててもおかしくない相手だが、かつて自分も壁にぶつかりながら冒険者を続けてきたからこそ、放っておけなかったのだろう。戦う強さだけでなく、人を育てる器の大きさも感じられる場面だった。

海中迷宮《海神の娘達の迷宮》の探索も面白かった。

カピタンやディエゴ、そして経験の浅いニーズたちと協力しながら探索を進める流れは、これまでとは違った緊張感がある。

浅い階層にもかかわらず、大鎧魚の特殊個体が現れた時は思わず身構えてしまった。強敵を連携して倒していく戦闘は見応えがあり、未知の呪物を手に入れる展開にも冒険らしいワクワク感があった。

さらに印象深かったのは、迷宮の記憶へ取り込まれそうになった場面である。

あの白髪の女性が再び姿を現した時は、「ここで繋がるのか」と驚かされた。正体はいまだ多くが謎のままだが、この世界の根幹に関わる存在なのではないかと思わせる場面だった。

一方で、海の裏側で進んでいる魔王軍の暗躍も気になる。

街では普段通りの日常が流れている一方で、海中では魚人たちの暮らしが脅かされている。この温度差が妙に現実味を感じさせた。

その中で、スリをしていた少女ペルーサが魚人の王族だったという展開には驚かされた。ディエゴの店で働くことになった彼女が、今後どんな形で物語に関わっていくのか楽しみである。

ロレーヌのエピソードも印象に残っている。

義父インゴから従魔術を学び、複雑な魔力操作に苦戦しながらもスライムとの契約に成功する姿は、新しい分野へ挑戦する研究者らしさがよく表れていた。

初めての従魔に「ロレン」と名前を付ける場面も微笑ましく、本編の緊張感とは違った穏やかな空気を楽しめた。

今巻は、新しい土地、新しい仲間、新しい迷宮と、新鮮な要素が詰まった一冊だった。レントたちの成長だけでなく、海に潜む魔王軍や迷宮の秘密など、世界そのものが少しずつ広がっていく感覚が心地よい。

これからルカリスでどのような事件が待ち受けているのか、そして白髪の女性や魚人たちの物語がどう繋がっていくのか、続きがますます楽しみになった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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望まぬ不死の冒険者13巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者15巻

考察・解説

弟子の育成

『望まぬ不死の冒険者』第14巻において、「弟子の育成」は物語の非常に重要なテーマとして描かれている。本作では、主人公レントが初めて本格的に他者を指導する側に回るエピソードに加え、彼自身の師匠たちが新たな技術を伝授する姿が描かれている。

レントによる底辺冒険者三人組への素材採取知識および特性に応じた戦術指導、狩人カピタンによる戦力増強を見据えた気の伝授と柔軟な指導方針、そして義父インゴによるロレーヌへの魔力操作および原初契約の実践的従魔術指導にいたる全容は以下の通りである。

かつての自分を重ねた底辺冒険者への品質維持採取ノウハウ伝授と個々の特性に応じた迷宮連携編成

レントは、ルカリスの路地裏で自分を襲撃してきた銅級冒険者の三人組(ニーズ、ガヘッド、ルカス)をただ官憲に突き出すのではなく、彼らに冒険者として生き抜く術を教え、育成することを決意した。

・長年銅級のまま限界を感じて燻っていた彼らに、かつての自分の姿を重ね合わせたことによる。

・素材採取の基礎知識として、ただ魔物を倒すだけでなく、日銭を稼ぐための知識として、魔力豊富な土地で育つ植物は魔石の欠片が混ざった土ごと採取するという、品質を保つための具体的なノウハウをルカスに教え込んだ。

・海神の娘達の迷宮での実戦を通じ、三人それぞれの特性を活かした戦術を指導する。

・直感型のニーズには確実に1匹ずつ敵を倒させ、防御型のガヘッドには他の敵の牽制を任せ、慎重なルカスには全体を見て立ち回りを考えさせるという役割分担を実践させた。

・弱い弟子たちが死なないように気を配りながら戦闘を支援することは非常に気疲れするものであった。

・レントは、かつて自分を指導したカピタンも同じ苦労をしたのだろうと師匠への感謝を新たにすると同時に、他人に基礎を教えることが自分自身の基礎を見直す良い勉強になると実感した。

成長限界による壁を逆手に取った気の基礎開花試みと秘匿を排したカピタンの開かれた指導方針

レントの師匠であり気の達人である狩人カピタンも、レントの育成に協力する。

・カピタンはニーズたちに戦闘技術を教える中で、彼らが成長限界に達して壁にぶつかっているからこそ、生命エネルギーである気に目覚めやすい状態にあると見抜いた。

・実戦経験から気の基礎を身につけさせようと試みる。

・同行する呪物屋のディエゴから気を教えてほしいと頼まれた際も、カピタンはあっさりと承諾した。

・有用な戦闘技術は秘匿するのが一般的であるが、カピタンは、信頼できる仲間に伝えてパーティーの戦力が増強されるならその方が良い、という柔軟で開かれた指導方針を持っている。

・達人でありながら決して驕らない優れた指導者としての器の大きさを見せている。

魔眼の素養を活かした座学免除の森潜入訓練と血液魔力媒体による原初契約のノーマルスライム使役

一方、レントの故郷ハトハラーでは、義父であるインゴがロレーヌに特殊な従魔術を指導している。

・インゴは、ロレーヌがすでに豊富な魔物の知識を持ち、魔力の流れを視認できる魔眼を持っていることを理解していた。

・そのため、不要な座学を飛ばし、最初から森に入って実践と観察を通じた指導を行う。

・自らの血液に魔力を溶け込ませ、それを媒介にしてスライムの体内に魔力の糸を通し、原初契約を結ぶという、既存の契約魔術とは根本から異なる高度な技術を実演した。

・血液に魔力を一定の濃度で溶け込ませる作業は本来数ヶ月から数年かかる難しいものであるが、ロレーヌが錬金術の応用で短期間のうちにノーマルスライム(後のロレン)を従魔にすることに成功する。

・インゴは、天から才能を与えられた者はいるのだな、と素直に称賛し、自身の秘密の魔物牧場へ案内するなど、優しく的確に弟子を導いた。

まとめ

弟子の育成を巡るエピソードは、レントが指導者としての立場を経験することで、かつて自身を育ててくれた師たちの苦労を追体験し、冒険者としての精神的基盤をより強固なものにした重要な記録である。底辺から抜け出せずにいたニーズたちに技術と役割を与えて再生への道を示したレントの指導力や、秘匿されがちな「気」を陣営の強化のために惜しみなく開示したカピタンの合理性は、優れた指導者たちの共通の器を示している。ロレーヌの魔術的素養を見抜いたインゴが原初契約の高等技術を効率的に伝承した顛末は、この育成の連鎖が単なる知識の横流しにとどまらず、教える側と教えられる側の双方が能力を拡張し、来たるべき激動の時代へ向けて強固な陣営と次世代の戦力を創出するための絶対的な土台となったことを厳密に証明している。

海神の娘達の迷宮

『望まぬ不死の冒険者』第14巻の舞台となる「海神の娘達の迷宮」は、港湾都市ルカリスの沖合に位置する、海底から陸上(中空)へと繋がる巨大な迷宮であり、幻想的な外観と独自の生態系、そして街の歴史に深く関わる伝承を秘めた重要な場所である。

海神娘の声に導かれた建国伝承と毎年開催される海神祭の信仰、侵入者を傀儡化する迷宮核の性質とディエゴの父母の出会いを映した過去の記憶、空気中を高速で泳ぎ小魚怪人を召喚する大鎧魚の特殊個体、そして海霊草や付加呪物の木札といった産出物と大量魔物召喚の防衛機構を秘めた転移装置にいたる全容は以下の通りである。

珊瑚や蔓が絡まり合う海底神殿の外観と港町ルカリスの発展を支えた娘の声の伝承

この迷宮は深い海底に存在し、石造りの巨大な神殿のような外観をしている。

・柱や屋根には珊瑚や地上の植物に似た蔓が絡まり合い、幻想的な風景を作り出している。

・ルカリスの街は、この迷宮があるからこそ発展したとされている。

・かつて戦から逃れてきた一団が、ここに港町を作り迷宮を目指せば豊かになれる、という美しい娘の声(海神の娘)に導かれたという伝承が残っている。

・そのため、迷宮は単なる魔物の巣窟としてだけでなく、街の豊かさの源として信仰に近い扱いを受けており、毎年「海神祭」が催されている。

一階層の海水地帯を抜けた空気空間と魔物レントを絡め取った迷宮核の記憶幻影

入口からしばらくの一階層部分は海水で満たされているが、そこを抜けると海上に繋がっているわけではなく、空気のある迷宮内部へと進むこととなる。

・迷宮の中枢にある「迷宮核」には、過去に迷宮で起きた出来事の記憶が保存されている。

・また、迷宮核は外から侵入してきた魔物に対して糸を伸ばし、迷宮の傀儡として取り込もうとする性質がある。

・魔物であるレントはこれに絡め取られかけ、過去にこの迷宮で窒息しかけていたディエゴの父親(ラウル)と母親(マリアーナ)が出会う光景を幻影として見るという体験をした。

強靭な鱗を持つ小魚怪人の群れと金属鱗を纏い空気中を高速で泳ぐ大鎧魚の特殊個体

浅層の通路では、ゴブリンほどの大きさで強靭な鱗を持つ魚人の魔物「小魚怪人(レッサー・サハギン)」が群れで出現する。

・浅層と中層を隔てるボス部屋には、金属製の鱗を纏った大鎧魚が出現する。

・本来は海に生息する魔物であるが、迷宮の力によって空気中を高速で泳ぎ回る。

・レントたちが遭遇した個体は通常よりもはるかに巨大で、魔法陣から小魚怪人を10体も同時に召喚する能力を持った非常に強力な特殊個体であった。

魔錆病に効く海霊草の深層自生と防衛機構の魔物転移罠を秘めた紫色水晶の転移装置

迷宮は特異な環境ゆえに、貴重な物資や機能的な仕組みを有している。

・カピタンは魔錆病に効く「海霊草」を求めて潜ったが、浅層では見つからず、さらに深く潜る必要があった。

・大鎧魚の討伐報酬として現れた蛸壺型の宝箱からは、迷宮武具に特定の属性や特殊効果を付与できる付加呪物の木札が産出されている。

・階層の区切り(中層入口など)には、紫色の水晶が置かれた小型神殿のような転移装置が存在する。

・一度これに触れると、迷宮の入口付近にある転移装置(緑色の水晶)が見えるようになり、以降は入口から直接中層へ飛ぶことができる便利な仕組みになっている。

・ただし、入口の装置を無理に持ち帰ろうとすると、防衛機構が働いて大量の魔物が転移してくるという危険な罠も仕掛けられている。

まとめ

海神の娘達の迷宮を巡るエピソードは、レントたちが南方の海に潜む強大な魔物や階層ボスを打破し、貴重な物資の確保と迷宮に秘められた血脈の記憶に触れた重要な探索の記録である。海水と空気の二層構造を攻略し、大鎧魚の特殊個体が仕掛ける数の暴力を連携によって制圧したプロセスは、レント一行の卓越した戦闘適応力を示している。付加呪物の確保や便利な転移装置の起動を進める一方で、迷宮核が放つ傀儡化の拒絶を通じてディエゴの父母の過去を垣間見たレントの体験は、この迷宮が単なる戦闘の場にとどまらず、ルカリスの歴史やそこに生きる人々の因縁を現在に繋ぎ止めている絶対的な中枢であることを厳密に証明している。

迷宮の記憶

『望まぬ不死の冒険者』第14巻における「迷宮の記憶」は、海神の娘達の迷宮を探索中にレントが直面した現象であり、迷宮の成り立ちや同行者ディエゴの過去、そして世界の理に深く関わる重要なエピソードである。

外部からの侵入魔物を傀儡化する迷宮核の性質とそれに伴う過去映像の発生、水中窒息の窮地を巡るディエゴの父母ラウルとマリアーナの出会い幻影、一体化寸前のレントを救出した白髪の女による警告と二つの精神的肉体的対策の伝授、そして同タイミングで気を失ったディエゴへの影響とパーティーの警戒方針にいたる全容は以下の通りである。

外部侵入魔物を傀儡化する迷宮核の糸と保存された過去映像の覗き見発生理由

迷宮の記憶とは、迷宮の中枢にある迷宮核に保存・記録されている、過去にその迷宮で起きた出来事の映像である。

・迷宮核は水源のようなものであり、外部から侵入してきた魔物に対して糸を伸ばし、迷宮の傀儡として取り込もうとする性質を持っている。

・魔物であるレントはその糸に絡め取られかけた。

・その結果、迷宮核に宿る記憶の一つを覗き見てしまうこととなる。

空気管の使用期限超過による海中窒息の窮地から始まったラウルとマリアーナの出会い

海中を進んでいたレントは、突然暗闇に呑まれ、過去の幻影を見た。

・それは、ラウルという男とマリアーナという少女の出会いの光景であった。

・ラウルは空気管の使用期限を間違えて海中で窒息しかけていたところを、この迷宮に詳しいマリアーナに助けられる。

・一攫千金を夢見て迷宮に挑んだ商人兼冒険者のラウルに対し、マリアーナが臨時パーティーを組むことを持ちかけるという内容であった。

・レントは彼らがディエゴの亡き両親であることに気づく。

水月の迷宮で助けられた白髪の女による同化窮地からの救出と外への退出を伴う二大対策

幻影を見ている間、レントの意識は迷宮と一体化して出られなくなる寸前の危険な状態にあった。

・しかし、かつて水月の迷宮でレントを助けた絶大な力を持つ白髪の女が干渉し、彼を幻影から引き戻して救出する。

・彼女は迷宮の仕組みを説明した上で、レントにはまだ迷宮核の糸が繋がっていると警告した。

・再び記憶を見て取り込まれないための対策として、幻影を見ても意志を強く持って振り切ること、一日に一度は必ず迷宮の外に出ること、を助言して姿を消した。

同一タイミングの気絶によるディエゴの幻覚体験と実際の過去証明に伴う慎重方針への転換

この現象はレントだけでなく、同行していたディエゴにも影響を及ぼしていた。

・ディエゴも同じタイミングで一瞬気を失い、幻覚を見ていた。

・カピタンなど他のメンバーは幻覚を見ていなかったため、レントはこの記憶がディエゴの両親という彼に近しい者の記憶であったからこそ、ディエゴにも見えたのではないかと推測する。

・ディエゴ自身は当初、自分の精神的な問題で幻を見たのだと思い込んでいた。

・しかし、レントから、あれは迷宮に保存された実際の過去の記憶である、と知らされ納得することになる。

・この出来事を通じ、危険な迷宮探索において再び同様の現象が起きることを警戒し、パーティーはより慎重に進む方針を固めた。

まとめ

迷宮の記憶を巡るエピソードは、レントが魔物としての性質ゆえに迷宮核の取り込み機構に捕捉され、ディエゴの血脈の起源に触れると同時に、迷宮の隠された危険性を浮き彫りにした重大な展開である。意識を迷宮に同化させられかけた極限の窮地を白髪の女の超常的な干渉によって脱し、強い意志の維持と日毎の迷宮脱出という具体的な生存対策を獲得したプロセスは、レントの探索能力のアップデートを示している。自身の体験をディエゴと共有してそれが精神の錯覚ではなく迷宮の記録した事実であると証明し、強大な防衛機構への警戒を共有して陣営の安全方針を確立した顛末は、レントたちが南方の海底迷宮の深部に潜む神霊的な罠を正確に把握し、未知の同化リスクを回避しながら確実に攻略を継続するための絶対的な指針となったことを厳密に証明している。

魚人の少女ペルーサ

『望まぬ不死の冒険者』において、ルカリスの大通りでレントから財布を掏り取ろうとした魚人の少女ペルーサのエピソードは、南方の都市が抱える亜人差別の現実や魔王の影を浮き彫りにすると同時に、主人公・レントの慈悲深さと将来を見据えた現実的な判断力を示す重要な局面である。

自らを古き海の子と名乗るペルーサの魚人王族としての出自、魔王カンヘルの配下の暗躍によって故郷の海中街へ帰還不能となった背景、亜人差別による困窮と生存のための窃盗行為、そしてレントの仲介によるディエゴの雑貨屋への雇用と海霊草不発時を見据えた関係構築にいたる全容は以下の通りである。

魚人の言葉で王族を意味する古き海の子の称号とルカリス大通りでのレントへの窃盗未遂

ペルーサはルカリスの大通りでレントから財布を掏り取ろうとした魚人の少女であったが、その素性は一介の浮浪児にとどまらない。

・彼女は単なる孤児やならず者ではなく、自らを古き海の子と名乗っている。

・同行者であるディエゴによれば、この言葉は魚人の言語において王族を意味する極めて格式高い称号であった。

魔王カンヘル配下による海中街周辺の占拠と故郷への帰還阻害に伴う亜人差別の困窮

彼女がスリに手を染めた背景には、個人の不品行ではなく、不可抗力による社会的な孤立と国際情勢の悪化が存在していた。

・魔王カンヘルの配下が海中街周辺をうろついているため、彼女は故郷の海へ帰れなくなったという事情を抱えていた。

・陸上の都市であるルカリスの街に取り残された彼女は、根強い亜人差別の影響もあって正当な仕事が見つからなかった。

・飢えを凌ぎ、生きるために仕方なく盗みを働いていたのが実態である。

官憲への引き渡し拒否とディエゴの雑貨屋での雇用手配および海霊草不発時への打算

事情を知ったレントは、犯罪者として彼女を官憲に突き出すことはしなかった。

・代わりにディエゴに頼み込み、彼の営む雑貨屋で彼女を働かせてもらうよう手配する。

・これはレントの困窮者を放っておけないお人好しな性格によるものであった。

・同時に、もし海底迷宮で目的の海霊草が見つからなかった場合、海中街の王族である彼女との繋がりが探索や交渉の役に立つかもしれないという現実的な打算も含まれていた。

まとめ

魚人の少女ペルーサを巡るエピソードは、レントが単なる犯罪の被害者としてではなく、背景にある魔王の脅威や亜人雇用の障壁を察知し、大局的な視野から救済の手を差し伸べた重要な記録である。窃盗を働いた少女を糾弾せず、ディエゴの店舗への就職を斡旋して生活基盤を保障したプロセスは、レントの深い包容力を示している。人道的な保護を行う一方で、海底の王族たる彼女との人脈を確保し、本命である海霊草の獲得が難航した際の代替ルートとして計算に組み込んだ顛末は、レントが優しさに流されるだけの冒険者ではなく、不測の事態に備えて常に布石を打つ冷徹な戦術家としての知略を兼ね備えていることを厳密に証明している。

ロレーヌの従魔術修行

『望まぬ不死の冒険者』第14巻における「ロレーヌの従魔術修行」は、レントの相棒である学者兼魔術師のロレーヌが、レントの義父であるインゴから未知の従魔技術を実践的に学ぶエピソードであり、高度な魔力操作の習得と新たな従魔の獲得、そして世界の理に基づく魔物運用の基礎を確立するための重要な局面である。

魔眼の素養を評価した座学免除の森潜入訓練と血液を媒介とする原初契約の具体的手順、吸血鬼の眷属化との類似性の推察および絆の魔力的繋がりを通じた思念指示の重要性、天才魔術師にとっても至難である精密な魔力操作の壁を越えたノーマルスライムの使役成功、そしてインゴの秘密の魔物牧場への案内と存在進化を促すためのロレンの命名にいたる全容は以下の通りである。

魔眼の素養を評価した室内座学の省略と血液魔力糸を媒介とする原初契約の高度な手順

修行はハトハラーの村の近くの深い森で行われた。

・通常、魔術の指導は安全な室内での座学から始まるが、インゴはロレーヌがすでに豊富な魔物の知識を持ち、魔力の流れを視認できる魔眼を持っていることを評価し、最初から実践による指導を選択する。

・インゴが受け継いできた従魔技術は、一般的なものとは根本から異なっていた。

・その手順は、自らの血液に魔力を一定の濃度で溶け込ませて試験管に入れ、それを対象の魔物であるスライムにぶつけることから始まる。

・血液が付着した部分から体内に魔力の糸を通し、足元に展開した従魔契約陣と繋げて立体化させ、体内に格納した上で原初契約の呪文を唱えるという高度なものであった。

吸血鬼系統の眷属作成技法との類似性と人間の音声ではなく絆を介した思念指示の重要性

この複雑な工程を観察したロレーヌは、術者の血と魔力を用いた支配構造の共通点を見出す。

・血液を媒介にして自他の魔力の境界を揺さぶり、魂を掌握するこの技法が、吸血鬼系統の魔物が眷属を作るやり方に極めて酷似していると推察した。

・契約が完了すると、魔物と従魔師の間に絆と呼ばれる恒常的な魔力的繋がりが形成される。

・インゴによれば、特に死霊系や海棲系の魔物は人間の言葉ではなく思念を感じ取るため、音声ではなくこの絆を通して思念で指示を伝えることが重要になると教えられる。

濃度強度の維持という精密魔力操作の壁と不純物のないノーマルスライムの初使役成功

理論を理解したロレーヌであったが、いざ実践となると、自らの血液に魔力を一定の濃度と強度で溶け込ませて保つという作業の難しさに直面した。

・錬金術の応用で魔力を溶かすこと自体はできても、従魔術に求められる異常なほどの精度を保つのは、天才と呼ばれる彼女にとっても至難の業であった。

・しかしインゴは、スライム相手であれば多少精度が低くても通用すると判断し、不純物のない透明なノーマルスライムを対象に実践を促す。

・ロレーヌは細心の注意を払いながら血液入りの試験管を命中させ、見事に魔法陣を展開・格納し、原初契約を成功させた。

・これにはインゴも、こんなに早く成功させるとは、と彼女の才能に驚愕する。

リンドブルムらが集う秘密の魔物牧場への立ち入りと存在進化を促すためのロレン命名

初めて従魔を得たロレーヌであるが、魔物をいきなり村に連れて帰ることは危険なため、インゴが管理する森の奥の魔物牧場へ案内された。

・そこにはスライムだけでなく、リンドブルムやグリフォン、ヘルハウンドなど、多様な魔物が飼育されていた。

・牧場には他のスライムも多数いるため、インゴから、見分けをつけるため、そして存在進化を促すために名前をつけるべきだ、と助言される。

・ロレーヌは自らの初めての従魔にロレンと名付けた。

まとめ

ロレーヌの従魔術修行エピソードは、彼女がインゴの秘匿された高等技術を驚異的な速度で吸収し、自身の魔法大系をさらに拡張させた重要な成長の記録である。室内での基礎座学を不要とするほどの魔術的素養を発揮し、吸血鬼の眷属化に似た原初契約をノーマルスライムに対して成功させたプロセスは、彼女の卓越した才能を示している。インゴの秘密の魔物牧場で世界の希少な魔物たちの生態に触れつつ、獲得した従魔に「ロレン」と命名して存在進化の端緒を開いた顛末は、この修行が単なる魔物使役の習得にとどまらず、レント一行が来たるべき激動の時代へ向けて独自の魔物戦力を育成・運用するための絶対的な基盤となったことを厳密に証明している。

望まぬ不死の冒険者13巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者15巻

登場キャラクター

主人公とその関係者

レント・ファイナ

お人好しな性格の不死者の冒険者である。カピタンの弟子であり、ロレーヌの相棒だ。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合・銅級冒険者。不死者(魔物)。

・物語内での具体的な行動や成果
 ルカリスで自分を襲撃したニーズたちを返り討ちにし、彼らを鍛えるために迷宮へ連れて行った。迷宮では魔気融合術を用いて大鎧魚の討伐に貢献している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 神銀級冒険者を目指している。《気》の絶対量が増加している。

ロレーヌ・ヴィヴィエ

レントの相棒であり、学者兼魔術師である。知識欲が旺盛で、未知の技術の習得に意欲的だ。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合・銀級冒険者。学者。魔術師。錬金術師。

・物語内での具体的な行動や成果
 インゴから特殊な従魔術の指導を受け、スライムを従魔にすることに成功した。そのスライムに「ロレン」と名付けている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔眼を持っており、複雑な魔力操作を行うことができる。

ハトハラー村

カピタン

レントの師匠であり、ハトハラー村の狩人である。《気》の達人であり、指導にも長けている。

・所属組織、地位や役職
 ハトハラー村・狩人頭。冒険者組合・銅級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 海霊草を探してルカリスの迷宮へ潜った。レントやニーズたち、ディエゴに《気》や戦闘技術を指導している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ディエゴの槍の一撃を《気》の鎧で弾き、腕ひしぎを決めるなど、高い戦闘能力を持っている。

インゴ・ファイナ

レントの義父であり、ハトハラーの村長である。穏やかな性格で、ロレーヌに従魔術を教えている。

・所属組織、地位や役職
 ハトハラー村・村長。従魔師。

・物語内での具体的な行動や成果
 ロレーヌに血と魔力を用いた従魔契約の方法を実演して教えた。彼女を秘密の魔物牧場へ案内している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 リンドブルムや大スライムなど、強力な魔物を従魔にしている。

ルカリスの冒険者・住人

ディエゴ・マルガ

ルカリスで呪物屋を営む黒豹人の獣人である。面倒見が良く、レントたちと迷宮探索に同行する。

・所属組織、地位や役職
 マルガの呪物屋・店主。鑑定士。獣人(黒豹人)。

・物語内での具体的な行動や成果
 レントに襲いかかったニーズたちを気絶させて自宅へ運んだ。迷宮で大鎧魚の討伐に参加し、宝箱から出た木札が呪物であると鑑定している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 母親が魚人であり、魚人の王族の知識を持っている。

ニーズ・ラブラ

ルカリスの底辺冒険者である。直情的な性格で、戦闘では直感で行動する傾向がある。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合・銅級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 ルカリスの路地裏でレントを襲撃したが敗北した。その後、レントたちに連れられて迷宮へ潜り、小魚怪人と戦った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 成長限界に達して腐っていたが、迷宮での戦闘を経て《気》に目覚める兆しを見せている。

ガヘッド・オーダン

ニーズの腐れ縁の友人である。長身で比較的冷静な性格をしており、戦闘では防御や牽制を得意とする。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合・銅級冒険者。槍使い。

・物語内での具体的な行動や成果
 ニーズとともにレントを襲撃して敗北した。迷宮での戦闘では、槍を使って小魚怪人を牽制する役割を担った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 泥酔した仲間を止める役割を日常的に果たしている。

ルカス・ゼイユ

ニーズの腐れ縁の友人である。小太りで臆病な性格だが、周囲を観察して指示を出す役割を担う。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合・銅級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 レントから薬草を採取する際の土の見分け方を教わった。迷宮ではニーズたちに指示を出し、連携して小魚怪人と戦っている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 薬草や素材についての知識を中途半端ながら持っている。

マズラック

ルカリスの老船乗りである。ディエゴの亡き父であるラウルと古くからの知り合いだ。

・所属組織、地位や役職
 船乗り。

・物語内での具体的な行動や成果
 カピタンと契約し、レントたちを船に乗せて《海神の娘達の迷宮》の近くまで運んだ。ケルピーライダーから船を走らせて逃げ切っている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ルカリスの海で個人で船を出している数少ない船乗りである。

金髪の吟遊詩人

ルカリスの酒場で歌っている美しい女性である。

・所属組織、地位や役職
 吟遊詩人。

・物語内での具体的な行動や成果
 男たちに囲まれながら、海に住まう妖精と港の男の悲恋の詩を落ち着いた様子で歌っていた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

男達

仕事終わりの男たちである。

・所属組織、地位や役職
 ルカリスの住人または冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 酒場で鼻の下を伸ばしながら金髪の吟遊詩人を囲んでいた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

魚人・魔王の配下

ペルーサ

ルカリスに取り残された魚人の少女である。生きるためにスリを行っていたが、根はまともな性格だ。

・所属組織、地位や役職
 古き海の子(魚人の王族)。スリ。

・物語内での具体的な行動や成果
 大通りでレントの財布を掏ったが、路地裏で捕まった。事情を話した後、ディエゴの店で働くことになった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔王カンヘルの配下の影響で海中街へ帰れなくなっていた。

クリック

魔王カンヘルに仕える蜥蜴人(竜人)である。主の怒りを恐れながら任務をこなしている。

・所属組織、地位や役職
 魔王の配下。蜥蜴人の氏族の元族長。隊長。

・物語内での具体的な行動や成果
 ケルピーに乗ってルカリス沖で冒険者の船を調べていた。白髪の女に遭遇して槍を構えたが、《大津波》によって押し流された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 数年前に迫害から逃れるため、魔王の配下に加わった過去を持つ。

クリックの部下達

クリックの部下である海蛇人の蜥蜴人たちだ。

・所属組織、地位や役職
 魔王の配下。

・物語内での具体的な行動や成果
 ルカリスから迷宮に向かう船を探し回り、中型船を見つけたとクリックに報告した。大津波に呑み込まれている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 海での活動に定評がある。

幻影(迷宮の記憶)

ラウル

ディエゴの父親である。一攫千金を夢見てルカリスにやってきた商人兼冒険者だ。

・所属組織、地位や役職
 商人。冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 迷宮の記憶の幻影の中で、《空気管》の使用期限を間違えて窒息しかけたところをマリアーナに助けられた。彼女と臨時パーティーを組んでいる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ディエゴが生まれる前に店を構えていたが、すでに亡くなっている。

マリアーナ

ディエゴの母親である。迷宮に詳しい少女だ。

・所属組織、地位や役職
 冒険者。魚人。

・物語内での具体的な行動や成果
 迷宮の記憶の幻影の中で、海中で窒息しかけていたラウルを助け、彼に臨時パーティーを組むよう持ちかけた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ラウルが亡くなった後、いなくなったと示唆されている。

魔物・その他

ケルピーライダー達

海棲馬(ケルピー)を乗騎とする魔物たちである。

・所属組織、地位や役職
 魔王の配下。

・物語内での具体的な行動や成果
 海上でカピタンとマズラックの船を追いかけたが、ある程度距離が離れると追跡を諦めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特定の海域を占拠している。

海騎士達

頭部が尖ったイカのようなシルエットを持つ魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物(シー・ナイト)。ケルピーライダー。

・物語内での具体的な行動や成果
 ケルピーの背に乗ってカピタンたちを追跡した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

白髪の女

かつてレントにローブと地図を与えた、絶大な力を持つ謎の存在である。

・所属組織、地位や役職
 不明。

・物語内での具体的な行動や成果
 迷宮核に取り込まれかけたレントを幻影から救い出した。海上でクリックたちに《大津波》の魔術を放って一掃している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔王カンヘルの名を呼び捨てにするほどの実力を持つ。

魚の魔物

海神の娘達の迷宮の一階層に出現する門番のような魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。

・物語内での具体的な行動や成果
 迷宮に侵入したレントたちに一直線に近づき襲いかかろうとした。カピタンの剣鉈によって一撃で首を落とされて討伐された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 大人を数人丸呑みできるほどの大きさがある。

小魚怪人達

強靭な鱗を持つ魚の魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物(レッサー・サハギン)。

・物語内での具体的な行動や成果
 迷宮の浅層でニーズたちと交戦した。大鎧魚によって魔法陣から10体同時に召喚されている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 首を落とされてもしばらくは動き続ける生命力を持つ。

大鎧魚

浅層と中層を隔てるボス部屋に出現する、金属製の鱗を纏った巨大な魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。ボス。特殊個体。

・物語内での具体的な行動や成果
 空中を泳ぎ回り、カピタンとディエゴの攻撃を弾いた。小魚怪人を召喚したが、レントの魔気融合術で鱗を剥がされ、討伐された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 通常の個体よりもはるかに大きく強力な特殊個体である。

大スライム

大人と同じ程度の体長を持つ巨大なスライムである。インゴに従順だ。

・所属組織、地位や役職
 魔物(グラン・スライム)。インゴの従魔。

・物語内での具体的な行動や成果
 インゴの指示に従い、森の中で地面に張り付くように隠れて待機していた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

リンドブルム

インゴが従えている強力な飛竜の魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。インゴの従魔。

・物語内での具体的な行動や成果
 魔物の牧場でインゴに頭を擦り付け、ロレーヌにも穏やかに接した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

グリフォン

ハトハラーの魔物の牧場で飼育されている強力な魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。インゴの従魔。

・物語内での具体的な行動や成果
 ロレーヌのスライムに足をつつかれても嫌がる様子を見せなかった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

ヘルハウンド

ハトハラーの魔物の牧場で飼育されている強力な魔物だ。

・所属組織、地位や役職
 魔物。インゴの従魔。

・物語内での具体的な行動や成果
 牧場を訪れたインゴに甘える様子を見せた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

ロレン

ロレーヌが初めて契約に成功した透明なスライムである。

・所属組織、地位や役職
 魔物(ノーマルスライム)。ロレーヌの従魔。

・物語内での具体的な行動や成果
 ロレーヌから血液と魔力を注がれて従魔となった。魔物の牧場でグリフォンの足に触れようとしている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ロレーヌによって「ロレン」と名付けられた。

望まぬ不死の冒険者13巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者15巻

展開まとめ

第一章 弟子と師匠 

聖気薬湯と海神の娘達の迷宮

聖気を込めた薬湯

レントはニーズに薬湯を飲ませ、体調が良くなったことを確認した。その薬湯はガルブに習った通常薬をもとに、聖気を込めて効果を高めた試作品だった。レントは小動物や魔物では安全性を確認していたが、人間への効果は未確認だったため、襲撃してきたニーズを実験体にしていた。

ニーズへの処遇

ニーズは、レントが自分を助けた理由を不思議がった。レントは、ニーズたちが根まで腐っているわけではないと見て、官憲に突き出さず利用することにした。ニーズは奴隷にされるのかと疑ったが、レントは彼らを迷宮に連れて行き、役に立つよう鍛えるつもりだと告げた。

買い出しと素材の基礎

ガヘッドとルカスは、レントに頼まれた品々を買って戻ってきた。ルカスは薬草や素材に多少詳しかったが、レントは彼が買ってきた鉢植えの薬草が粗悪品であることを見抜いた。魔力豊富な土で育つ薬草を、魔石を砕いた普通の土で一時的に元気に見せかけていたためであり、レントは素材採取の細かな見分け方を教えた。

鍛えられる三人

ニーズは、自分たちが迷宮に連れて行かれると知って悲観した。ガヘッドは、レントが彼らを肉盾にするのではなく、素材採取や冒険者として稼ぐ技術を教えるつもりだと説明した。レントは、ルカリスに居着く気がないため、自分の知る採取のコツを教えても損はないと考えていた。

カピタンとの再会

日が暮れ始めたため、レントは冒険者組合へ向かった。そこで《海神の娘達の迷宮》から戻ったカピタンと再会した。レントは銀級昇格試験に向けて鍛え直してほしいと頼み、カピタンは、レントが積み重ねてきたものを正しく評価するよう諭した。

海霊草探索の難航

カピタンは海霊草を探して《海神の娘達の迷宮》に潜っていたが、浅層では見つからず、より深層へ進む必要があると考えていた。魚人に頼む手段もあったが、魔王の手先らしき存在がルカリス沖に現れたため、魚人たちは海中街へ戻っていた。そのため、カピタンは自力で迷宮を探索するしかなくなっていた。

ケルピーライダーの出現

カピタンは迷宮から戻る途中、ケルピーライダーの集団に襲われた。船乗りマズラックの腕で逃げ切ることはできたが、敵はルカリスまで追わず、《海神の娘達の迷宮》周辺の海域だけを押さえているようだった。レントとカピタンは、魔王の目的が迷宮にあるのかもしれないと考えた。

修行と人手

レントは、海霊草探しを自分も手伝い、さらにニーズたちにも探索を手伝わせると提案した。カピタンは人手が増えることを歓迎し、レントの修行と同時にニーズたちの戦闘技術も見てやることにした。ニーズたちは素材採取の技術だけでなく、《気》の基礎も学ぶことになると決まった。

酒場での顔合わせ

レントはディエゴの店へ戻り、カピタンと船乗りマズラックとの顔合わせを兼ねた酒の席に誘った。ディエゴとニーズたちは同行し、酒場でカピタンとマズラックに会った。ニーズは老齢のマズラックを見て不用意な言葉を口にしたが、素直に謝り、マズラックはその態度に伸びしろを見た。

ディエゴとマズラック

マズラックは、ディエゴの父ラウルと古くからの知り合いだった。ラウルはかつて《海神の娘達の迷宮》に潜る冒険者で、ディエゴが生まれてから店を持ったのだと語られた。母マリアーナの話題が出ると、ディエゴは席を外し、マズラックは余計なことを言ったと反省した。

明日の迷宮行き

カピタンとレントは、翌日以降の《海神の娘達の迷宮》行きについて話した。マズラックの船にはカピタン、レント、ニーズ、ガヘッド、ルカスが乗る予定となった。ディエゴも呪物の確認のため潜る可能性があり、レントは彼の同行も考慮した。ニーズたちはカピタンの厳しい修行を受けることになり、不安を抱きながらも迷宮行きに備えることになった。

第二章 迷宮に潜る 

海神の娘達の迷宮と迷宮の記憶

吟遊詩人の唄

レントは酒場で席を外していたディエゴのもとへ行き、吟遊詩人の唄を聞きながら話した。唄は海に住む妖精と港の男の悲恋を歌った、ルカリスに昔から伝わるものだった。レントはディエゴに《海神の娘達の迷宮》へ潜るか尋ね、ディエゴはニーズ達の成長を見届けたいこともあり、都合が合う時は同行すると答えた。

出発前の緊張

翌朝、ニーズ、ガヘッド、ルカスは《海神の娘達の迷宮》へ向かう準備中に青い顔をしていた。レントは、装備の緩みや持ち物の選別を確認しながら、冒険者として必要な基礎を教えた。三人は海霊草探しだけだと思っていたが、レントは迷宮に潜る以上は戦闘も経験させるつもりだった。

ルカリスの海神信仰

ディエゴは、《海神の娘達の迷宮》がルカリスにとって特別な存在であることを説明した。戦から逃れてきた一団が海から聞こえた娘たちの声に導かれ、この地に港町を作ったという伝承があり、迷宮は街の豊かさの源として信仰に近い扱いを受けていた。そのため、ニーズ達が迷宮を恐れるのも無理はなかった。

港の異変

レントたちが港へ向かうと、早朝にもかかわらず多くの船が停泊していた。定期船も出ておらず、ルカリス沖に出現している魔王の手先の影響が出ているようだった。しかしマズラックは船を出す気で待っており、レントたちは彼の船で《海神の娘達の迷宮》へ向かった。

海底の神殿

マズラックの船で沖合へ到着した一行は、《空気管》と海灯を使って海中へ潜った。カピタンを先頭に、ディエゴ、ニーズ達、レントの順で海底を進むと、石造りの巨大な神殿のような《海神の娘達の迷宮》が姿を現した。神殿は珊瑚や地上の植物のような蔓に覆われ、幻想的な景色を作っていた。

水中の門番

一行が迷宮に入ると、大きな魚の魔物が一直線に近づいてきた。カピタンは先頭に立ち、水中であることを感じさせない動きで魚の魔物をかわし、一撃で首を落とした。ニーズ達はその技量に驚きながらも、死骸に魔物が寄る前に先へ進んだ。

迷宮の記憶

水中階層を抜けようとしたレントは、突然暗闇に呑まれた。そこで彼は、ラウルという男が《空気管》の期限を間違えて窒息しかけ、マリアーナという少女に助けられる過去の光景を見た。二人は臨時パーティーを組むことになり、レントはそれがディエゴの両親に関わる記憶であると気づいた。

白髪の女との再会

レントは記憶の光景から引き戻され、《水月の迷宮》で出会った白髪の女と再会した。女は、レントが迷宮核の糸に絡め取られかけ、迷宮と一体化する危険があったため助けたと語った。迷宮の記憶は核に保存されたものであり、レントはそれを覗いたのだと説明された。

迷宮核の糸

女は、外から入った魔物には迷宮核が糸を伸ばし、つながろうとすると説明した。レントにはまだ糸が残っているため、長く迷宮にいれば再び記憶を見たり取り込まれたりする危険があった。彼女は、意志を強く持てば振り切れること、一日に一度は外へ出た方がよいこと、さらにレントでなければ入れない場所があると助言して姿を消した。

戻ったレント

レントは水中に戻り、カピタンに引き上げられた。姿を消していた時間は二十分ほどだったが、レントにとってはもっと長く感じられた。カピタンは、ディエゴも一瞬気を失って幻覚を見たと話し、レントはその内容がディエゴに近しい者の記憶だったからではないかと考えた。

海上の蜥蜴人

一方、海上では蜥蜴人のクリックが、魔王カンヘルの命令で《海神の娘達の迷宮》周辺の冒険者を調べていた。彼らは目的の品を探すため、船を襲って冒険者の持ち物を確認していたが成果はなく、主の怒りを恐れていた。そこへ白髪の女が現れ、カンヘルの名を当然のように口にした。

大津波

クリックは主の名を軽々しく呼ばれたことに怒り、槍を構えた。白髪の女はクリックに迷宮へ潜るなら見逃すと告げたが、彼は拒んだ。女は強大な魔術で《大津波》を起こし、クリックたちをまとめて押し流した。彼女は命までは奪っていないと見て、レントのための時間稼ぎになったと独り言を残し、海上から姿を消した。

第三章 迷宮探索 

浅層探索と大鎧魚の特殊個体

海上の余波

《海神の娘達の迷宮》の遥か上で起きた戦闘の余波は、レントたちにも強大な魔力と揺れとして届いていた。原因は分からなかったが、揺れも魔力もすぐに収まり、場は落ち着いた。カピタンは、避けようのない異変は気にしすぎても仕方がないと判断し、探索を続行することにした。

戻った四人

奥の通路からディエゴとニーズたちが戻ってきた。ルカスは揺れに怯えて帰還を望んだが、夕方まで船は来ないため、レントは探索を続けると告げた。ニーズは拾った命だから仕方ないと笑い、ルカスもそれを受け入れた。

迷宮の記憶への警戒

レントはディエゴに、先ほど見た幻覚が精神的な問題ではなく、実際に迷宮に残された記憶らしいと説明した。ディエゴは、あれが本当にこの迷宮で起きたことだと理解した。再び同じ現象が起きれば戦闘中には危険であるため、一行は浅層で状況を見極めながら進む方針を取った。

ニーズたちの生存訓練

レント、カピタン、ディエゴは、ニーズたちを必ず生きて帰すため、浅層を自力で探索できる程度には鍛える必要があると考えた。特に逃げる技術は冒険者にとって重要であり、無理に戦うだけではなく、生き残るための判断を身につけさせる必要があった。まずは三人の実力と癖を見るため、小魚怪人と戦わせることにした。

ルカスの指示

ルカスは、小魚怪人五匹を前にして地獄だと感じていた。だが、レントに自分が全体を見て戦いを考える役割だと言われたことを思い出し、ニーズに一匹ずつ確実に倒すよう指示した。ガヘッドには他の小魚怪人を牽制させ、狭い通路を利用してニーズが一対一で戦える状況を作ろうとした。

三人の役割

ニーズは攻撃役として前に出て、ガヘッドとルカスは他の小魚怪人を抑えた。カピタンたちはその戦いを見守り、ルカスの観察力、ガヘッドの冷静な牽制、ニーズの踏み出す勇気をそれぞれ評価した。一方で、三人には決定力と経験が不足しており、長期戦には耐えきれないことも見えていた。

レントの加勢

ニーズは小魚怪人を二体倒したが、魔力を使い切って限界に達した。レントは戦いに入り、まずニーズを庇って小魚怪人を倒した。続いてガヘッドとルカスが相手をしていた小魚怪人も片付けたが、首を落としても魔物がすぐには止まらないことを二人に示す形になった。ルカスは油断しかけたが、レントの視線で気づいて回避し、ガヘッドは最後まで冷静に対処した。

指導者としての学び

レントは、ニーズたちを危険にさらさないよう見守りながら戦うことに疲労を感じた。かつて自分を教えていたカピタンの苦労を思い、改めて感謝した。カピタンはレントの対応に頷き、レントは教えること自体が自分の基礎を見直す機会にもなると理解した。

中層前の扉

一行は浅層と中層を隔てるボス部屋の扉へ到着した。ディエゴは、部屋に入れば扉が閉じることや、小魚怪人が定期的に召喚されることを説明し、ニーズたちには端で小魚怪人だけを警戒するよう指示した。三人は疲れていたが、安全地帯まで戻るのも難しいため、同行することを選んだ。

大鎧魚の特殊個体

ボス部屋には、金属の鱗を持つ巨大な大鎧魚が浮かんでいた。カピタン、レント、ディエゴは攻撃を仕掛けたが、通常なら通るはずの攻撃が弾かれた。ディエゴは以前の個体より明らかに強いと見抜き、カピタンは特殊個体だと判断した。

魔気融合術の突破口

大鎧魚は十体の小魚怪人を召喚し、戦場は一気に厳しくなった。レントは魔気融合術で大鎧魚の鱗の一部を内側から吹き飛ばし、そこをカピタンとディエゴが同時に攻撃した。二人の一撃は剥がれた部分に決まり、大鎧魚は浮力を失って落下した。レントは下敷きになりかけながらも避け、残った小魚怪人を処理した。

蛸壺の宝箱

大鎧魚を倒すと、蛸壺の形をした宝箱が現れた。中に入っていたのは木札のようなもので、ルカスたちは呪物だと聞いて慌てて距離を取った。ディエゴは、それがこの迷宮で得られる武器に属性や特殊効果を付与する呪物だと説明した。ただし、効果の判別には文様と図鑑の照合が必要だった。

中層への転移装置

カピタンは、海霊草はボス討伐報酬として出た例がないと知って落胆したが、まず中層入口へ向かうことにした。《海神の娘達の迷宮》には中層入口に転移装置があり、一度使えば入口から移動できるようになるという。ニーズたちは疲労困憊していたが、今日の探索を終えるため、もう少しだけ進むことになった。

第四章 帰還と拾いもの 

転移装置と魚人ペルーサ

中層入口の転移装置

レントたちは、中層入口にある小型神殿のような転移装置に到着した。中心には紫色の水晶が浮かんでおり、触れると迷宮入口へ戻れる仕組みだった。ディエゴは、一度触れた者だけが入口側の転移装置を見られることや、階層ごとに同様の装置があることを説明した。

情報の扱い

ディエゴは、転移装置の情報を外で不用意に広めるなとニーズたちに警告した。情報屋や冒険者組合は、実力不足の冒険者が危険な階層へ進まないよう、情報を絞っているからだった。ニーズたちは情報を売ろうとしていたらしく、警告を受けて怯えながら納得した。

入口への帰還

一行が水晶に触れると、視界が白く染まり、迷宮の入口近くへ転移した。入口側にも緑色の水晶があり、無理に持ち帰ろうとすれば魔物が大量に転移してくる防衛機構があるとディエゴは説明した。レントたちは装置を調べたい気持ちを抑え、海を泳いでマズラックの船へ戻った。

木札の鑑定

ディエゴの家に戻ると、ディエゴは蛸壺の宝箱から出た木札を図鑑と照合した。しかし文様は図鑑に載っておらず、効果は不明だった。木札は迷宮武具に効果を付与する呪物であり、実際に武具へ使わなければ効果を確かめられないものだった。

休養日と気の兆し

翌日、レントたちは《海神の娘達の迷宮》へ行かず休むことにした。ニーズたちは前日の探索で疲労困憊しており、無理に連れていけば大怪我や死につながる恐れがあった。一方で、限界近くまで戦ったことで《気》に目覚める兆しが見え、カピタンは翌日には最低限使えるようにするつもりだった。

大通りのスリ

レントは買い出しのためルカリスの大通りを歩いていたが、混雑の中で財布を掏られた。彼は人混みでは追いつめず、犯人が路地裏に入るまで静かに追跡した。そこで腕を掴んで奥へ連れて行き、財布を返すよう求めた。

魚人の少女

スリの犯人は、鱗とひれのような耳を持つ魚人の少女だった。彼女は魔王カンヘルの配下が海中街周辺をうろついているため帰れず、ルカリスでも仕事が見つからずに盗みをしていた。少女はペルーサと名乗り、レントは彼女を官憲に渡さず、ディエゴに相談することにした。

訓練場のカピタンとディエゴ

レントはペルーサを連れて冒険者組合の訓練場へ向かった。そこではカピタンとディエゴが模擬戦をしており、レントは邪魔せず見守った。ペルーサは槍を学んだ経験があり、二人の技量を見て楽しんでいた。

気の鎧と関節技

ディエゴは槍でカピタンに鋭い突きを放ったが、カピタンは《気》で体の表面に鎧のような防御を張り、槍を弾いた。さらに本気を出したカピタンは剣鉈を投げてディエゴの体勢を崩し、腕ひしぎを決めた。ディエゴは獣人の柔軟性でも外せず、負けを認めた。

古き海の子

レントはペルーサを紹介し、彼女は古き海の子と名乗った。ディエゴは、その名乗りが魚人の言葉では王族を意味すると説明した。ペルーサは海中街でも顔を知られておらず、地上で名乗っても騙りと思われるため、レントにしか名乗らなかったのだと話した。

ディエゴの母

ディエゴは、魚人の王族の名乗りを知っていた理由として、自分の母が魚人だったことを明かした。外見には魚人の特徴は出ていなかったが、彼は魚人の血を引いていた。レントは、種族や混血には自分のように分からないことが多いのだと感じた。

ペルーサの居場所

レントは、ペルーサをディエゴの店で働かせてもらえないか頼んだ。ディエゴは、ニーズたちに加えて一人増える程度なら構わないと受け入れ、ペルーサも役に立つと約束した。レントは彼女を助けるだけでなく、海霊草が見つからなかった場合に海中街とのつながりが役立つ可能性も見込んでいた。

気による固定

カピタンは、ディエゴに決めた関節技について、相手の体内の《気》を操って固定化する技術だと説明した。レントはそのえげつなさに驚き、カピタンは慣れればさらに凄いこともできると語った。

第五章 ロレーヌの従魔師修行 

ロレーヌの従魔術修行とスライムのロレン

森の従魔術講義

ロレーヌはハトハラー近くの深い森で、インゴから従魔術を教わることになった。インゴは大スライムを連れており、通常の従魔師では扱えないはずの魔物を従えていた。ロレーヌは座学から始めると思っていたが、インゴは彼女がすでに魔物の知識を十分持ち、魔眼で魔力の動きを観察できるため、実践から入るのが早いと判断した。

インゴの従魔技術

インゴは小さなスライムを見つけ、自らの血に魔力を溶かして試験管に入れた。それをスライムにぶつけ、血と魔力を媒介にして魔力の糸を体内へ通し、従魔契約の魔法陣を組み上げていった。ロレーヌは、その技法が吸血鬼系統の魔物が眷属を作る仕組みに近いのではないかと考えた。

原初契約

インゴはスライムの体内へ魔力を巡らせ、魔法陣を立体化させてから《原初契約》を唱えた。光が収まると、スライムはインゴに懐くように動き、従魔となっていた。ロレーヌは興奮して質問を重ね、インゴは契約によって作られる《絆》が恒常的な魔力的つながりであり、思念によって指示を伝えられるものだと説明した。

従魔の扱い

インゴは、従魔への指示は言葉ではなく《絆》を通した思念で行うのが基本だと語った。死霊系や海棲系の魔物は言葉が通じにくいため、《絆》による指示が特に重要になるのだった。また、従魔が死んだり消滅したりすれば《絆》も失われ、従魔師には心に穴が空くような感覚が残るため、従魔は大切にするべきだと教えた。

血と魔力の精度

ロレーヌは自分の血に魔力を溶け込ませる練習をしたが、必要な濃度や強度を一定に保つ難しさに苦戦した。錬金術の経験で魔力を溶かすこと自体はできたが、従魔術に求められる精度は高かった。インゴは、スライム相手なら今の精度でも挑戦できると判断し、ロレーヌを次の段階へ進ませた。

レントという相棒

修行の合間に、インゴはレントが他人と距離を取りがちなところがあると語った。ロレーヌは、レントが自分には遠慮なく踏み込んでくると答えた。インゴは、レントがマルトでよい相棒に出会ったのだと受け止め、ロレーヌもレントが自分にとって大切な相棒であると認めた。

透明なノーマルスライム

ロレーヌとインゴは、従魔にしやすい透明なノーマルスライムを見つけた。ロレーヌはこれまで何度か失敗していたが、今度は魔力を含ませた血液を命中させ、従魔契約陣を展開した。魔力はスライムの体内に通り、魔法陣は立体化して核と一体化した。

初めての従魔

ロレーヌが《原初契約》を唱えると、スライムは従魔となった。ロレーヌは、自分が体の外にもいるような不思議な感覚を覚え、《絆》が作られたことを理解した。インゴは、ここまで早く成功するとは思わなかったと驚き、ロレーヌの才能を認めた。

魔物の牧場

インゴは、従魔となったスライムをそのまま村へ連れていくのはまずいため、ロレーヌを森の奥にある魔物の牧場へ案内した。そこにはスライム、リンドブルム、グリフォン、ヘルハウンドなど多種多様な魔物がいた。魔物たちはインゴに懐き、ロレーヌにも穏やかに接した。

ロレンの命名

インゴは、ロレーヌのスライムを牧場に置くなら名前をつけた方がよいと助言した。名前をつけることは、魔物の《存在進化》にも良い影響があるとされていた。ロレーヌは自分のスライムにロレンと名づけ、インゴはその分かりやすい名に苦笑した。

望まぬ不死の冒険者13巻
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望まぬ不死の冒険者

小説版

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