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フィクション(Novel)異世界のんびり農家読書感想

小説「異世界のんびり農家20」感想・ネタバレ・アニメ化

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異世界のんびり農家20の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

のんびり農家 19巻レビュー
のんびり農家全巻まとめ
のんびり農家 20.5巻レビュー

Table of Contents

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 領地経営と人材不足
      1. 武力による拡大と内政破綻(ジドエン王国の事例)
      2. 大国すら抱える慢性的な人材不足
      3. 戦争終結による魔王国の経済問題
      4. 人材が集まる五ノ村の特異性
    2. 五ノ村の遊戯場計画
      1. 計画の発端とヨウコの葛藤
      2. 健全な運営のための経済および防犯対策
      3. 予想を上回る施設規模と周辺環境の整備
      4. 試験営業の熱狂と浮き彫りになった課題
      5. 遊戯場がもたらした社会的影響
    3. 魔王国の軍制講義
      1. 講義の表向きの内容と多種族ゆえの課題
      2. 講義の真の目的とグラッツ将軍の問題
      3. 問題の解決と新たな展開
    4. 飛行船の修理と試掘
      1. 飛行船の入手と修理
      2. 浮遊ガスの枯渇と試掘旅行の決定
      3. 試掘の実施とゴミ捨て場での大発見
      4. 飛行船の実運用と新造計画の始動
    5. 多目的人型機動重機
      1. 多目的人型機動重機とは
      2. 発見と回収の経緯
      3. 魔力制限と専用スーツ
      4. 各機体の名称と状況
      5. ジークフリートの再生とクリムの誕生
      6. キャラクターたちとの関わり
    6. 転移門の設置計画
      1. 転移門増設の解禁と背景
      2. 六竜神国へのルート確立
      3. ガルガルド要塞からの陳情
      4. 五ノ村とシャシャートの街の追加設置
      5. 極秘転移門の移設とグラッツ将軍の事情
  6. 登場キャラクター
    1. 大樹の村
      1. ヒラク=マチオ
      2. ルールーシー
      3. ティア
      4. ハクレン
      5. ラスティ
      6. ザブトン
      7. クロ
      8. ユキ
      9. クロヨン
      10. クロイチ
      11. ドノバン
      12. ガルフ
      13. ダガ
      14. レギンレイヴ
      15. リア
      16. アン
      17. セナ
      18. フローラ
      19. ヒミコ
      20. ヒカル
      21. ウルザ
      22. アルフレート
      23. ティゼル
      24. リリウス
      25. リグル
      26. ラテ
      27. ヒイチロウ
      28. グラル
      29. フラシア
      30. セッテ
      31. ラナノーン
      32. ルプミリナ
      33. オーロラ
      34. ククルカン
      35. ローゼマリア
      36. ララーデル
      37. トルマーネ
      38. マルビット
      39. スアルロウ
      40. スアルリウ
      41. スアルコウ
      42. クーデル
      43. キアービット
      44. イースリー
      45. エカテリーゼ
      46. 氷の魔物
      47. 酒スライム
      48. アイギス
      49. 白鳥たち
      50. ポンドタートルたち
      51. ザブトンの子供たち
      52. クロの子供たち
      53. 鬼人族メイドたち
      54. 山エルフたち
      55. ハイエルフたち
      56. 獣人族の女の子たち
      57. 天使族
      58. ハーピー族
    2. 魔王国
      1. 魔王
      2. ユーリ
      3. ビーゼル=クローム伯爵
      4. フラウレム
      5. グラッツ
      6. ロナーナ
      7. プギャル伯爵
      8. クラカッセ
      9. ロザリンド
      10. ロアージュ
      11. ホウ
      12. ランダン
      13. デリアン
      14. ギスカール=クロックホック
      15. アサ
      16. アース
      17. マア
      18. ゴール
      19. シール
      20. ブロン
      21. トライン
      22. ドロシー
      23. レオノラ
      24. ロキナ
      25. ベトン
      26. ナーシィ
      27. ガット
      28. ナート
      29. 魔王国軍
      30. 巡回部隊
      31. 文官娘衆
      32. オークションの襲撃者
      33. 盗賊
    3. 五ノ村
      1. ヨウコ
      2. ヒトエ
      3. メッサー
      4. フォッケ
      5. カティ
      6. ルディオ
      7. シャルネ
      8. ヨウコの秘書たち
      9. 五ノ村の警備隊
    4. 四ノ村(太陽城)・温泉地
      1. ベル=フォーグマ
      2. ヨル=フォーグマ
      3. フタ=フォーグマ
      4. ミヨ=フォーグマ
      5. ヒー=フォーグマ
      6. ロク=フォーグマ
      7. ナナ=フォーグマ
      8. ゴウ
      9. アラコ
      10. トウ
      11. 死霊魔導師
      12. 死霊騎士
      13. ライオン一家
      14. アシュラ
      15. スナイプスパイダー
      16. 四ノ村の悪魔族と夢魔族
    5. 悪魔族・人工生命体・機動重機
      1. プラーダ
      2. ブルガ
      3. スティファノ
      4. エルメ
      5. ヴェルサ
      6. グッチ
      7. エイプリー=キッシンリー
      8. メイ=キッシンリー
      9. カレン
      10. クリム
      11. 美術品を守る悪魔
      12. 英雄
      13. 慈愛
      14. 恩愛
      15. 万能船(シエルテーレ号)
      16. 飛行船(トロワローズ号)
      17. ジークフリート(炎星の三千三百七十七)
      18. ベンゼ
      19. ポカ
      20. ラーロック
      21. ハナサカ
    6. 六竜神国・竜族
      1. ドース
      2. ライメイレン
      3. ギラル
      4. グーロンデ
      5. ギィーネル
      6. メットーラ
      7. ルィンシァ
      8. オージェス
      9. ハイフリーグータ
      10. キハトロイ
      11. トーシーラ
      12. 混代竜族たち
    7. 人間の国・その他
      1. 征服王
      2. ユーノデンナ王国の王
      3. ゴズラン王国の第三王女
      4. 始祖
      5. フーシュ
      6. フーシュの息子
      7. ゴズラン王国の王族一行
      8. コーリン教の関係者
      9. 王子たち
      10. 宗教関係者
      11. 冒険者
      12. 試掘隊
    8. 商会
      1. マイケル
      2. リドリー
      3. ゴロウン商会
      4. ダルフォン商会
  7. 展開まとめ
    1. 序章 敗北
    2. 〔一章〕新しい道
      1. 閑話 征服王
      2. 閑話”ユーノデンナ王国”
      3. 閑話 四番手の秘書
      4. 1 春から夏に
      5. 2 プラーダのお薦め品
      6. 3 オークション前の話し合い
      7. 4 ため池の畔
      8. 5 遊戲場計画
      9. 6 夏の日と講義
      10. 閑話 講義
      11. 7 新しいルート
      12. 8 要塞とギスカール将軍
      13. 閑話 ギスカール将軍
      14. 閑話 逃げる姫
    3. 〔二章)飛行船
      1. 1 広い世界
      2. 2 王都のオークション
      3. 3 キッシンリーの事情
      4. 4 キッシンリーの後始末
      5. 5 エイプリーたちの移動手段
      6. 6 新しい美術館と落札品
      7. 7 どこに運ぶ?
      8. 8 全天候型拠点防衛砲
      9. 9 修理した飛行船
    4. [三章]採掘跡
      1. 1 プラーダの地図
      2. 2 試掘旅行の準備
      3. 3 試掘に出発
      4. 4 試掘開始
      5. 5 試掘終了
      6. 6 多目的人型機動重機と夕食
      7. 7 夏の収穫と多目的人型機動重機
      8. 8 飛行船の航路と運行スタッフ
      9. 9 心配するより応援
      10. 10 携帯食と和室部屋
      11. 11 出発と衣装
      12. 12 《プラーダ美術館》の新人
      13. 13 追加戦士
    5. [終章]悪魔の祖
      1. 1 試験報告と調査報告
      2. 2 ユーリの話と提案
      3. 3 パイロットスーツとクラカッセ
      4. 4 手紙
      5. 5 小型の飛行船
      6. 6 美術館のお出迎えオブジェ
      7. 閑話 美術品を守る悪魔
      8. 7 目覚め
      9. 8 新しい悪魔
      10. 閑話 希望のクリム
      11. 9 亡国の姫
      12. 10 “ゴズラン王国”の第三王女
      13. 閑話 待つ姫
      14. 閑話 美術館の来訪者
      15. 閑話 ジークフリート
  8. 異世界のんびり農家 シリーズ
  9. 類似作品?
    1. 戦国小町苦労譚 シリーズ
  10. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

本作は、内藤騎之介による異世界スローライフ・ファンタジーシリーズの第20巻である。死後、神によって若返った肉体と「万能農具」を与えられ、異世界の死の森で農家として歩み始めた主人公・ヒラクの活躍を描く。 第20巻では、季節が夏へと移り変わる中、ヒラクが「大樹の村」だけでなく、周辺の村々を代表する村長としての自覚を深めていく姿が描かれる 。物語は、かつて時代遅れとして捨てられた「道具」にまつわる千年前の過去と、現代における新たな道造り、そして王都でのオークションといった多彩なエピソードで構成されている 。

■ 主要キャラクター

  • ヒラク(街尾火楽): 「大樹の村」および周辺の複数の村を束ねる村長。神から授かった「万能農具」を駆使し、開拓やインフラ整備を行う。本作では、五ノ村新道のルート決定などの重要な決断を下している 。
  • ヒミコ: ヒラクとハクレンの間に生まれた双子の妹。弱冠2歳にして落ち着きと風格を備えており、かつては制御しきれなかった闇の能力もコントロールできるようになりつつある 。
  • プラーダ: 魔王国の王都で開催されるオークションにおいて、ヒラクを会場へ案内する。自身の趣味嗜好を優先しつつも、村に有益な品物をヒラクに薦める抜け目のない性格である 。
  • クリム: 「多目的人型機動重機」を呼び出し、操ることができる人物。かつては父と交信できないほど弱っていたが、現在は農業をマスターすることで生き抜く希望を見出している 。

■ 物語の特徴

  • 古代技術と農業の融合: 本巻の大きな特徴は、千年以上前に「魔法に敗北した道具」とされる「多目的人型機動重機」が登場する点にある 。かつては時代遅れとされた機械が、現代において農業の練習や収穫に活用されるという、シリーズ独自の技術的再解釈がなされている 。
  • 村の発展と社会的影響力の拡大: 一介の農家から始まったヒラクの活動が、大規模な新道建設や王都のオークションへの参加など、魔王国内の物流や経済に影響を与える規模へと成長している過程が克明に描かれている 。
  • 穏やかな日常と子育ての描写: 緊迫した開発や交渉の合間に、ヒミコが積み木で遊ぶ様子や、プールに向かう子供たちの姿など、温かみのある日常風景が描かれており、読者に安心感を与えるスローライフの魅力が維持されている 。

書籍情報

異世界のんびり農家 20
著者:内藤 騎之介 氏
イラスト:やすも  氏
レーベル/出版社:KADOKAWA/新文芸
発売日:2026年2月28日
ISBN:9784047387157

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あらすじ・内容

二十年目の夏がきた!大樹の村の空に飛行船!
春の収穫を終えた村に、二十年目の夏到来!
プールにアイスにと夏が大いに満喫される中、魔王国ではオークションが開催!
掘り出し物が盛りだくさんと、村の面々も盛り上がる。
そんな中、ヒラクたちが五ノ村の外れから拾ってきた飛行船に、大樹の村は大騒ぎ!
ついにシリーズ20巻!

異世界のんびり農家 20

感想

本作でついに二十巻という節目を迎え、二十年目の夏という響きには、これまでの歩みを感じさせる深い感慨があった。村の空に浮かぶ飛行船という景色も、開拓の歴史を思うと実に見事なものであった。しかし、今巻で描かれた外交の難しさには、思わず考えさせられた。文官を確保するために強気の姿勢で臨んだ結果、戦争には勝てたものの、肝心の文官たちに逃亡されたのは、なんとも皮肉な結末だった。あとに残ったのは、文官がいなければ維持できないほど広大な領地だけであり、まさに本末転倒な状況に同情を禁じ得なかった。

さらに、読み書きや計算ができる人材を派遣しただけで大国から深く感謝される様子を見て、この世界の統治がいかに人手不足な末期的状態にあるかを理解した。送り出された者たちの苦労を思うと、少し気の毒な気さえしてきた。そんな世界情勢の一方で、五ノ村でのゴタゴタや、魔王国のオークション準備に追われるヒラクの姿には、変わらぬ安心感を抱いた。オークションでの思わぬ襲撃や、古の悪魔族が集うプラーダ美術館の不穏な賑わいなど、新たな火種が次々と飛び出す展開には、ページをめくる手が止まらなかった。

新しく加わった人工生命体や飛行船の修理といったワクワクする要素がある一方で、武器好きのヨルがトラブルメーカーとして動き回る様子には、つい苦笑いしてしまった。個人的に最も印象深かったのは、ルーが正妻としての立ち位置を見せた場面だった。中二病真っ盛りのアルフレートが書いた手紙の内容を、ヒラクに的確に解説し、共に息子の将来について頭を悩ませる姿は、まさに夫婦そのものに見えた。戦いや開拓といった派手な出来事の裏で、親としての葛藤や家族の絆が丁寧に描かれている点こそ、本作の大きな魅力だった。

穏やかな日常と、時にシビアな異世界の現実。それらが絶妙に混ざり合うからこそ、この物語はこれほど長く愛され続けてきたのだと感じた。次なる二十一年目の夏が、今から待ち遠しくてならなかった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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のんびり農家 19巻レビュー
のんびり農家全巻まとめ
のんびり農家 20.5巻レビュー

考察・解説

領地経営と人材不足

『異世界のんびり農家20』において、領地経営と人材不足は、人間国や魔王国を問わず共通する深刻な世界規模の課題として描かれている。作中では、武力による領土拡大よりも、それを維持・統治するための実務能力を持った人材(文官)がいかに重要であるかが、具体的なエピソードを通じて強調されている。

武力による拡大と内政破綻(ジドエン王国の事例)

人間の国の征服王が率いるジドエン王国は、優れた武力によって10年で領地を4倍以上に拡大した。しかし、王には内政能力が皆無であり、極端な人材不足から領地経営は破綻状態に陥っていた。

  • 王はこの問題を解決するため、内政に優秀なゴズラン王国の第三王女と文官たちを確保しようと戦争を起こし、勝利して国を吸収した。
  • しかし、肝心の第三王女一行には逃亡されてしまい、文官がいなければ維持できないほど広大な領地だけを抱え込むという本末転倒な結果を招いた。

大国すら抱える慢性的な人材不足

この人材不足は小国だけのものではない。ジドエン王国から統治を支援する人材を求められた大国ユーノデンナ王国でさえ、常に深刻な人材不足に悩まされていた。

  • ユーノデンナ王国は学園を作って人材育成に努めているが、依然として需要に追いついていない。
  • 苦肉の策として読み書きと計算ができる者を20人だけ派遣したところ、ジドエン王国から多大な感謝を受ける結果となった。
  • この事実は、この世界の統治能力や人材がいかに末期的な不足状態にあるかを浮き彫りにしている。

戦争終結による魔王国の経済問題

魔王国においても領地経営の難しさが描かれている。多くの貴族たちは戦争の勝利による賠償金を当てにして多額の借金をしており、経済的な危機に直面していた。

  • 魔王が賠償金を放棄したため、四天王のような優秀な一部の者を除き、多くの貴族が自前で資金繰りを解決できない事態となった。
  • 領地経営の行き詰まりから反乱が起きかねない状況に対し、魔王は王都でのオークションを開催するという政治的・経済的な対応に追われている。
  • これは、貴族たちの面目を保ちながら、実質的な資金援助を行うための手段として機能している。

人材が集まる五ノ村の特異性

世界中で人材が不足する中、主人公のヒラクが関わる五ノ村は例外的な状況にある。村長代行のヨウコのもとには、実務能力が高い優秀な文官たちが集まり、高度な村の運営を支えている。

  • ジドエン王国から逃亡した有能なゴズラン王国の第三王女も、最終的に五ノ村に身を寄せた。
  • ヒラクやヨウコは文官は常に人手不足であるという共通認識を持ちつつも、優秀な人材を惹きつけ、保護・育成する余裕と環境を兼ね備えている。

このように本作では、戦いの勝敗以上に、誰がどのように領地を経営し、そのための人材をどう確保するのかというシビアな現実が、物語の重要な要素として組み込まれている。

五ノ村の遊戯場計画

異世界のんびり農家20における五ノ村の遊戯場計画は、単なる娯楽施設の導入にとどまらず、通貨経済への影響や防犯、さらには依存症対策までが緻密に考慮された村の大規模プロジェクトとして描かれている。本計画は、高度な技術と社会的なリスク管理が融合した、村の発展を象徴する取り組みである。

計画の発端とヨウコの葛藤

本計画は、山エルフたちが過去にお蔵入りとなっていたメダルを落とすゲーム台を、自主的に改良し続けたことがきっかけとなった。改良された台は、一人用から複数人用、メダルタワー、スロット機能、ジャックポット機能といった多彩な要素を備えている。加えて、自動演奏や派手な照明、炎の演出など、利用者の射幸心を強く煽る仕様へと進化した。
五ノ村の村長代行を務めるヨウコは、かつて自身がこの種の遊戯に深く傾倒した経験から、生活破綻者を出すリスクを危惧して設置に難色を示した。しかし、本心では遊戯そのものに強い興味を抱いており、最終的にはヒラクの説得を受ける形でプロジェクトの開始を許可した。

健全な運営のための経済および防犯対策

遊戯による生活破綻や村内の経済的混乱を防止するため、ヒラクの主導により現金の使用を制限する独自の管理システムが導入された。

  • レートと交換システム:中銅貨1枚でメダル30枚を貸し出し、景品交換時の基準はメダル100枚で中銅貨1枚相当とした。
  • 通貨化の防止:メダルの現金への換金、および施設外への持ち出しを厳格に禁止した。
  • 景品の調整:富裕層による高額景品の独占を防ぐため、初期は小物や提携店の商品交換札といった実用的な品に限定した。
  • 不正対策:魔法による不正操作を防ぐために魔法使いの従業員を配置し、動物使いや魔物使いによる細工に対しても厳重な警戒体制を敷いた。

予想を上回る施設規模と周辺環境の整備

ハイエルフたちの卓越した建設技術により、遊戯場は五ノ村の麓に迅速に建設された。建物の規模は50メートル×100メートルに達し、1階を一般客用、2階を貴族用とすることで客層の棲み分けを図っている。騒音対策として厚みのある二重構造壁が採用されたほか、周辺には客用の食堂や宿が次々と建設された。これにより、遊戯場を中心とした一大リゾート開発のような状況へと発展を遂げている。

試験営業の熱狂と浮き彫りになった課題

村議会議員や商会関係者を招いた試験営業では、参加した招待客たちが次第に真剣な面持ちで遊戯に没頭する姿が見られた。メダルタワーの攻略に熱中するあまり、閉店時間を過ぎても遊戯を止めようとしない者が現れるほどの熱狂ぶりを呈した。
この試験営業を通じ、以下のような運営上の課題や要望が明確となった。

  • 営業時間の延長や深夜営業の要望。
  • 効率的な座席確保システムの必要性。
  • 着席した状態でのメダル交換機能の追加。
  • 未成年者の保護に向けた入店規制の強化。

これらの課題を解決し、健全な運営体制を確立するため、正式オープンの延期と試験営業の継続が決定された。

遊戯場がもたらした社会的影響

遊戯場が持つ人を惹きつける力は極めて絶大であり、思わぬ副次的影響も生じている。五ノ村に身を寄せたゴズラン王国の第三王女一行が困窮し、野営を強いられる事態となった一因には、同行者たちが遊戯に手を出して資金を浪費したことが挙げられる。この事例は、娯楽施設が経済に与える影響の大きさを物語っている。

五ノ村の遊戯場計画は、開拓精神と緻密な統治能力が組み合わさった結果であり、娯楽と社会秩序のバランスを模索する本作独自の領地経営の姿を浮き彫りにしている。

魔王国の軍制講義

『異世界のんびり農家20』において、五ノ村で実施された魔王国の軍制講義は、作品の世界観を深めるだけでなく、多種族国家における軍隊運営の困難さや、登場人物間の人間関係のトラブル解決を描いた重要なエピソードである。

講義の表向きの内容と多種族ゆえの課題

魔王国軍の参謀次長デリアンが講師を務め、主人公のヒラクとその息子たちに向けて魔王国の軍制が解説された。その実態と課題は以下の通りである。

・軍の構成
魔王国軍は、国が直接雇用する正規軍(約200万人以上)と、貴族や族長が自領で集める領軍(約300万から500万人)の二種類で構成されている。特に領軍については正確な総数を誰も把握できておらず、食糧調達などの兵站管理が概算に頼らざるを得ない実情がある。

・多種族国家の壁
最大の障壁は、構成員が多様な種族である点にある。体の大きさや装備、移動速度の差異に加え、食事の内容や睡眠時間、さらには集団戦を好むか個人戦を好むかといった文化や本能までもが異なる。これらを一つの軍として統率することは極めて困難な作業である。

・交流の重要性
この課題を克服するため、軍上層部は指揮官同士の徹底した交流を最優先事項としている。食事会や飲み会は単なる親睦会ではなく、互いの種族特性や性格を深く理解し、適切な人員配置と指示を行うための必須の軍務として位置づけられている。

講義の真の目的とグラッツ将軍の問題

五ノ村でこの講義が開催され、ヒラクが招かれた背景には、魔王国軍の重要人物であるグラッツ将軍にまつわる裏の目的が存在していた。

・グラッツの職務放棄
グラッツは、ヒラクから以前に受けた妻を大事にしろという助言を忠実に守りすぎるあまり、家庭の時間を優先して必須軍務である指揮官同士の交流を一切拒否するようになっていた。

・ヒラクへの協力要請
この事態に危機感を抱いた魔王やビーゼル、デリアンら軍上層部は、助言の主であるヒラクにグラッツの説得を依頼するため、軍制講義という名目を用意したのである。

問題の解決と新たな展開

講義を通じて状況を把握したヒラクの説得により、グラッツは指揮官たちとの交流を再開し、軍の指揮系統における危機は回避された。根本的な問題は、王都での過酷な職務と、妻のロナーナが住む五ノ村へ繋がる転移門の混雑により、夫婦の時間が十分に確保できない点にあった。これに対し、以下のような特別な対応策が取られた。

・転移門の利用許可
ヒラクの妻であるルーが王都の学園内に極秘で設置していた転移門の利用がグラッツに許可された。

・居住環境の整備
学園の敷地内にグラッツ専用の住居が建設されることになり、夫婦が共に過ごせる環境が整えられた。

魔王国の軍制講義のエピソードは、多種族ファンタジーにおける兵站や統率の難しさをリアルに描きつつ、ヒラクの何気ない言葉が国家の中枢にまで多大な影響を及ぼしていることを示す象徴的な内容となっている。

飛行船の修理と試掘

異世界のんびり農家20における飛行船の修理と試掘のエピソードは、大樹の村の移動および物流手段を空へと広げる技術的飛躍と、それを支える資源を求めて未知の土地へ向かう冒険の物語である。

飛行船の入手と修理

物語は、キッシンリー一族が秘匿していた古い飛行船をヒラクが譲り受けたことから始まる。この船はかつて王族が所有していた客船であり、長年の放置により破損していたが、大樹の村に運び込まれたのちに大規模な修理が行われた。

・修理の指揮は四ノ村のベルが執り、山エルフやハイエルフ、天使族らが協力して作業にあたった。
・先行して運用されていた万能船が嫉妬する場面も見られたが、ヒラクの説得により解消された。
・修理完了後、万能船によってトロワローズ号と命名され、試験飛行にも成功した。

浮遊ガスの枯渇と試掘旅行の決定

飛行船の運航に不可欠な浮遊ガスを製造するには、特大サイズの羽魔水晶という希少な素材が必要であった。しかし、市場では入手が困難な状態にあり、今後の本格運用を考えると安定した供給ルートの確保が急務となった。

・古の悪魔族プラーダが提供した古代の資源分布図により、大規模な埋蔵地の存在が浮上した。
・ルーやティアの提案により、他の希少鉱石の調査も兼ねた大規模な試掘旅行が決定された。
・ハウリン村から専門の試掘隊を招き、万全の体制で目的地へと向かった。

試掘の実施とゴミ捨て場での大発見

飛行船と万能船を用いた試掘部隊は目的地に到達し、魔法による探査と万能農具による掘削を組み合わせた調査を実施した。

・当初は目的の鉱石が見つからず難航したが、意外にも採掘場の近隣にあるゴミ捨て場から大量の素材が発見された。
・過去の採掘者にとって羽魔水晶は不要物として捨てられていたため、そこには膨大な量が手つかずで残っていた。
・この発見により、飛行船の運用に関する資源問題は一挙に解決へと向かった。

飛行船の実運用と新造計画の始動

確保した資源により、飛行船の実用化が本格的に開始された。

・大樹の村とハウリン村を結ぶ交易船として運用が始まり、天使族がスタッフと護衛を兼任する体制が構築された。
・山エルフたちは修理を通じて得た技術を基に、五ノ村での量産を見据えた小型飛行船を新造した。
・五ノ村における建造ドックの設置計画も議会を通過し、航空物流網のさらなる拡大が現実のものとなった。

飛行船の修理と試掘のエピソードは、古代の遺産を現代に蘇らせるロマンと、未知の資源を求める冒険が融合した内容である。これにより村の活動範囲は空へと広がり、物流や影響力が飛躍的に高まっていく過程が魅力的に描かれている。

多目的人型機動重機

『異世界のんびり農家20』に登場する多目的人型機動重機は、千年以上前の古代技術が生み出した遺物である。ロマンあふれる巨大ロボットの登場は、村の住人たちを大いに熱狂させた。作中におけるその設定、発見の経緯、そしてキャラクターたちとの関わりについて以下に記す。

多目的人型機動重機とは

多目的人型機動重機は、装甲車に重厚な手足を生やしたような形状をしており、高さ10メートルほどに達する巨大な乗り込み式の重機である。その特徴と歴史的背景は以下の通りである。

・主な用途
かつて魔法の力が低い者が、それを補うために建築土木作業や陣地構築に使用していた。

・兵器としての側面
兵器としての運用記録も残されているが、四ノ村のベルによれば戦闘用としては効率が悪いとされている。巨体ゆえに敵に狙われやすく、武器の弾の補給や整備に手間がかかるためである。

・競合の存在
低コストで従順なゴーレムという強力な競合が存在したことも、普及を妨げた要因であった。しかし、趣味の範疇で高性能化が図られたり、専用武器の開発や闘技場での運用も行われていた。

発見と回収の経緯

飛行船の運航に必要な羽魔水晶を探す試掘旅行の際、古い採掘場近くのゴミ捨て場跡から発見された。千年以上放置されていたにもかかわらず保存状態が極めて良好であった理由は、周囲に大量に捨てられていた羽魔水晶が劣化を防いだためと推測されている。

・大樹の村への運び込み
最初に発見された一号機に加え、飛行船と万能船で吊り下げて持ち帰った2機、竜族のヒイチロウとグラルが回収した2機の計5機が村に運び込まれた。

魔力制限と専用スーツ

この機体には、魔力が多いと動かないという独特の制限が存在する。ユーリの解説によれば、その構造には以下のような理由がある。

・魔力の遮断構造
外部からの魔法で勝手に操られないよう魔力を遮断する構造を採用した結果、内部の操縦者が持つ魔力の影響を強く受けるようになった。

・安全装置の作動
操縦者の魔力が多すぎると機体が自我を持ったり暴走したりする危険があるため、安全装置として動作が停止する仕組みになっている。

・解決策
この問題を解決し機体を動かすためには、魔力を抑える効果を持つ専用のパイロットスーツを着用しなければならない。

各機体の名称と状況

大樹の村に運び込まれた各機体には、ヨルやユーリたちによって名前が付けられた。

・一号機 ジークフリート
過去の無理な掘削で重要部品が破損しており、当初は唯一動かない機体であった。

・二号機 ベンゼ
古典の登場人物に由来する名前を持ち、正常に稼働する。

・三号機 ポカ
同じく古典に由来する名称で、正常な動作が確認されている。

・四号機 ラーロック
正常稼働機であり、ユーリが実際に操縦して村を疾走した機体である。

・五号機 ハナサカ
ヒラクが花咲か爺さんの物語から提案し、枯れ木に花を咲かす善人として採用された。

ジークフリートの再生とクリムの誕生

動かなかった一号機は、古の悪魔族ヴェルサの儀式によって悪魔の魂を移され、暴走を引き起こした。ヒラクが万能農具で機体を破壊した際、ジークフリートは自らを犠牲にして内部の魂を守り、外部へ排出した。

・クリム専用機への変化
排出された魂はクリムとして新たな生を得て、ジークフリートを吸収した。その結果、機体は3メートルほどに小型化し、現在はクリムが指を鳴らすことで召喚できる専用機として再定義されている。

キャラクターたちとの関わり

多目的人型機動重機は、村の住人たちの意外な一面を引き出すこととなった。

・ヨル
機体に強い執着を見せ、コックピットに立てこもるほどの熱狂ぶりを示した。サイズの合わないパイロットスーツで機体を動かせず絶望するなど、愛ゆえの空回りが描かれている。

・ユーリ
古典の知識から操縦法を熟知しており、実際に機体を動かしてみせた。五ノ村での闘技大会開催を提案するなど、積極的な姿勢を見せている。

・山エルフたち
未知の古代技術に大興奮して調査に没頭した。しかし、基礎技術の乖離から、現在の技術での自作や部品の複製は不可能であると冷静に分析している。

・ヒラク
男のロマンを感じて搭乗したものの、魔力制限によって機体は微動だにしなかった。この挫折により、静かに農業への専念を誓うこととなった。

多目的人型機動重機は、単なる古代の遺物にとどまらない。本作のロマン要素を刺激し、キャラクターたちの新たな魅力やコミカルなやり取りを引き出す重要なガジェットとして機能している。

転移門の設置計画

『異世界のんびり農家20』における転移門の設置計画は、村や街の枠を超えた国家間の外交、物流の効率化、そして登場人物たちの個人的な事情までを巻き込む重要なインフラ整備として描かれている。本計画の詳細と展開は以下の通りである。

転移門増設の解禁と背景

これまで転移門は、ルーが制作したものであるという事実を隠匿し、対外的には遺跡から発見された古代の遺物として扱われてきた。そのため、新設は技術的に困難であると思われていた。
しかし、魔王が魔王国の経済活性化を目的として、年月をかけて少しずつ転移門を増やしていく方針を許可した。これにより、各地で新たな設置計画が動き出すこととなった。

六竜神国へのルート確立

魔王からの急ぎの要望により、王都の西に位置するガルガルド要塞から、ティゼルが建国した六竜神国へと繋がる転移門の設置が決定した。

・魔王国の対外交渉を六竜神国に一任するため、密な連絡網が必要であった。
・混代竜族が頻繁に飛来して住民を驚かせる事態を防ぐ目的も含まれていた。
・防衛上の理由から王都直結ではなく要塞に設置され、行き用と帰り用の二組による一方通行の運用となった。

この設置は速やかに完了し、商会の物流ルートにも大きな変化をもたらした。

ガルガルド要塞からの陳情

ヒラクが六竜神国への設置場所確認のために要塞を訪れた際、総指揮官のギスカール将軍は、部下たちに人文字を作らせて要塞と王都を繋ぐ転移門の設置を陳情した。

・将軍やその副官は任務のために長期間王都へ戻れない状況が続いていた。
・転移門の設置は彼らにとって生活環境の改善に直結する切実な願いであった。
・ただし、王都へ直結する門は首都防衛の観点から問題があり、魔王たちの間で慎重な議論が続けられている。

五ノ村とシャシャートの街の追加設置

五ノ村では、既存の転移門や街道だけでは増え続ける物流を捌ききれず、慢性的な渋滞が発生していた。

・五ノ村新道の建設も進められているが、さらなる輸送能力の強化が求められていた。
・ヨウコとミヨの要望により、シャシャートの街の東側にもう一組の転移門を追加設置する準備が進められている。

極秘転移門の移設とグラッツ将軍の事情

公的な計画とは別に、ルーが息子のアルフレートを案じるあまり、王都の学園にある自宅地下へ極秘で転移門を設置していたことが発覚した。

・魔王国軍のグラッツ将軍が、五ノ村にいる妻のロナーナに会うための転移門渋滞を嫌い、職務を疎かにして職務放棄寸前に陥る問題が起きていた。
・この問題を解決するため、グラッツに学園地下の極秘転移門の利用が特別に許可された。
・最終的には、学園の敷地内に学生の家という名目でグラッツ専用の家が新築され、門もそちらへ移設された。あわせてザブトンの子供たちが門番として派遣されている。

転移門の設置計画は、単なる移動手段の追加にとどまらない。国家防衛や外交のあり方、経済圏の拡大、さらにはキャラクターたちの労働環境の改善に至るまで、多角的な影響を及ぼす要素として整理される。本作において、魔法技術が社会インフラとして社会構造を変えていく過程が克明に描かれている。

のんびり農家 19巻レビュー
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登場キャラクター

大樹の村

ヒラク=マチオ

大樹の村を代表とする複数の村の村長である。転生者で、農業を愛する温厚な指導者。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・村長。
・物語内での具体的な行動や成果
 村の収穫や案件処理をこなしつつ、試掘旅行を指揮して大量の羽魔水晶を発見した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 周辺国や竜族、魔王国から非常に高く評価されており、強大な存在として扱われている。

ルールーシー

ヒラクの妻であり、吸血姫と呼ばれる。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの妻。
・物語内での具体的な行動や成果
 試掘旅行に副長として同行し、魔法で採掘を支援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヒラクの護衛として周囲から一目置かれている。

ティア

ヒラクの妻であり、殲滅天使と呼ばれる。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの妻。天使族。
・物語内での具体的な行動や成果
 試掘旅行に副長として同行し、ルーと共にヒラクの採掘作業を支えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 天使族の最強格として周囲から畏怖されている。

ハクレン

ヒラクの妻であり、竜族の女性である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの妻。
・物語内での具体的な行動や成果
 修理した飛行船を大樹の村まで運搬した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 村の教師としても活動している。

ラスティ

竜族の女性である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・竜族。
・物語内での具体的な行動や成果
 飛行船の試験飛行に同行し、移動速度の遅さに不満を述べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 万能船に加護を与えている。

ザブトン

大樹の村の住人であり、巨大な蜘蛛の姿をしている。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・住人。
・物語内での具体的な行動や成果
 子供たちに水着のファッションショーを開催させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 村の服飾全般を担っている。

クロ

大樹の村のインフェルノウルフである。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・インフェルノウルフ。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒラクの横を走り、一緒に駆け回った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 村の警備を担っている。

ユキ

大樹の村のインフェルノウルフである。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・インフェルノウルフ。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒラクの横を走り、一緒に駆け回った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クロと共に村の警備を担っている。

クロヨン

クロの子供の一頭である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・インフェルノウルフ。
・物語内での具体的な行動や成果
 温泉地でヒラクの護衛を務め、魔獣の襲撃から防衛した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クロの子供たちをまとめている。

クロイチ

クロの子供の一頭である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・インフェルノウルフ。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルフレートに召喚される存在として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルフレートの護衛を担う。

ドノバン

大樹の村に住むドワーフである。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ドワーフ。
・物語内での具体的な行動や成果
 プラーダが持ち込んだ古い地図の解読に協力した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 酒造りに情熱を注いでいる。

ガルフ

武神と呼ばれる獣人族の戦士である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒラクの護衛として要塞や王都に同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 その実力は魔王国軍の将軍からも高く評価されている。

ダガ

リザードマンの戦士である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
 ガルフと共にヒラクの護衛として行動した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ガルフに並ぶ実力者として認識されている。

レギンレイヴ

天使族の戦士である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒラクの護衛として五ノ村や要塞へ同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 天使族の長老格として若い世代から畏怖されている。

リア

ハイエルフの代表者である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ハイエルフ。
・物語内での具体的な行動や成果
 試掘旅行に同行し、拠点作りや補助を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 村の実務を支える重要な役割を担う。

アン

鬼人族メイドの代表者である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・メイド長。
・物語内での具体的な行動や成果
 山エルフの大騒ぎをヒラクに報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルフレートに料理を教える役割を任された。

セナ

大樹の村の住人である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルフレートの件で相談相手の候補に挙がった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 村内で母親経験を持つ一人。

フローラ

吸血鬼の女性である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・吸血鬼。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒラクが解読できなかったアルフレートの手紙を読んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 人間の国でも有名人として認知されている。

ヒミコ

ハクレンが産んだ双子の妹である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの娘。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒラクの膝の上で積み木遊びを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自身の能力をある程度コントロールできるようになった。

ヒカル

ハクレンが産んだ双子の兄である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの息子。
・物語内での具体的な行動や成果
 屋敷のなかでドースに連れ回されていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 年齢が低いため外出は制限されている。

ウルザ

ヒラクの娘として育てられている少女である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 人間の国へは行かず、魔王国を旅して廃城の盗賊を討伐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 千人規模の盗賊を従えるほどの実力を示す。

アルフレート

ヒラクとルーの息子である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの息子。
・物語内での具体的な行動や成果
 始祖の国へ遊学し、現地での待遇や文化の違いに悩んで一時帰村した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 三つの国の王から身分保証を受ける重要人物となった。

ティゼル

ヒラクとティアの娘である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの娘。
・物語内での具体的な行動や成果
 人間の国へ旅立ち、道中でゴズラン王国の第三王女を救って五ノ村へ逃がした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 六竜神国の国作りを終え、広い世界へ旅立った。

リリウス

ヒラクの息子である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの息子。
・物語内での具体的な行動や成果
 魔王国軍の軍制に関する講義を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 五ノ村の警備隊に関わっている。

リグル

ヒラクの息子である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの息子。
・物語内での具体的な行動や成果
 リリウスらと共に魔王国軍の講義を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 五ノ村の警備隊に関わっている。

ラテ

ヒラクの息子である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの息子。
・物語内での具体的な行動や成果
 リリウス、リグルと共に講義を受講した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 五ノ村の警備隊に関わっている。

ヒイチロウ

ヒラクの息子であり、ライメイレンの孫である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの息子。
・物語内での具体的な行動や成果
 カレンの記憶体をライメイレンに落札してもらった。手作りのブローチを家族に贈った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 竜族たちから深く溺愛されている。

グラル

竜族の子供である。
・所属組織、地位や役職
 竜族。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒイチロウと共に機動重機の回収を手伝った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヒイチロウと常に行動を共にしている。

フラシア

ヒラクの娘である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの娘。
・物語内での具体的な行動や成果
 ティゼルの旅立ちを見送り、ヒイチロウからペンダントを受け取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 フラウから溺愛されている。

セッテ

ヒラクの娘である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの娘。
・物語内での具体的な行動や成果
 ティゼルの旅立ちを見送り、ヒイチロウからペンダントを受け取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 村の子供として平穏に過ごしている。

ラナノーン

ヒラクの娘である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの娘。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒイチロウからペンダントを受け取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ブルガたちから世話を受けている。

ルプミリナ

ルーの娘である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの娘。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルフレートが頻繁に帰村することを喜んでいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ティゼルの旅立ちを見送った。

オーロラ

ヒラクの娘である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・ヒラクの娘。
・物語内での具体的な行動や成果
 レギンレイヴと会話が弾む世代として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ティゼルの旅立ちを見送った。

ククルカン

ラナノーンの息子である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 クリムを新しい姉だと思い込んでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ブルガたちから世話を受けている。

ローゼマリア

大樹の村の子供である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 レギンレイヴと会話が弾む子供の一人として名前が挙がった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 まだ幼い子供である。

ララーデル

大樹の村の子供である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 レギンレイヴと話が弾む子供として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 まだ二歳や三歳の年齢である。

トルマーネ

大樹の村の子供である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 レギンレイヴと話が弾む子供として名前が挙がった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 まだ幼い子供である。

マルビット

天使族の長である。
・所属組織、地位や役職
 天使族の長。
・物語内での具体的な行動や成果
 大樹の村に滞在し、オークションで落札し隊のメンバーとして活動した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 六竜神国への派遣要員選定で苦労した。

スアルロウ

天使族の戦士である。
・所属組織、地位や役職
 天使族。
・物語内での具体的な行動や成果
 飛行船の単独運用の試験に監査役として同行し、落下物の回収時に魔物と戦った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ティアの前に天使族最強を名乗っていた実力者である。

スアルリウ

スアルロウの娘である。
・所属組織、地位や役職
 天使族。
・物語内での具体的な行動や成果
 大樹の村に滞在する双子の天使族として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 スアルロウの子供である。

スアルコウ

スアルロウの娘である。
・所属組織、地位や役職
 天使族。
・物語内での具体的な行動や成果
 大樹の村に滞在する双子の天使族として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 スアルロウの子供である。

クーデル

天使族の戦士である。
・所属組織、地位や役職
 天使族。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルフレートの問題を武力で解決しようとした際、角を出して止められた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 血の気の多い性格である。

キアービット

天使族の戦士である。
・所属組織、地位や役職
 天使族。
・物語内での具体的な行動や成果
 王都の学園でトラインらの様子を見守っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ティアが絡まなければ優秀な人物である。

イースリー

人間の国出身の少女である。
・所属組織、地位や役職
 人間の国。
・物語内での具体的な行動や成果
 ティゼルの旅の同行者に選ばれ、共に旅立った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ウルザの学友である。

エカテリーゼ

人間の国の元公爵令嬢である。
・所属組織、地位や役職
 人間の国。
・物語内での具体的な行動や成果
 ティゼルの旅の同行者に選ばれ、一緒に旅立った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 人間の国の事情に詳しい。

氷の魔物

大樹の村に住む魔物である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 村で涼を取るために重宝され、ため池の水温調整も自ら申し出た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 室温調整の魔道具をライバル視している。

酒スライム

大樹の村に住むスライムである。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 ザブトンの子供たちの演劇を観ながら酒を飲んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヒラクの飲む分まで酒を飲み干した。

アイギス

フェニックスの雛である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 ザブトンの子供たちの演劇で、第二幕の出番を待機していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 悪魔の像のサンプルを小道具として使用した。

大樹の村に住む鷲である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 ザブトンの子供たちの演劇で、アイギスと共に第二幕の出番を待機していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 演劇に参加して村の暮らしを楽しんでいる。

白鳥たち

五ノ村でレースを行う白鳥である。
・所属組織、地位や役職
 五ノ村。
・物語内での具体的な行動や成果
 池の水が綺麗だと喜んでいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 飼育員から餌をもらっている。

ポンドタートルたち

ため池や用水路に生息する亀である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 プールで子供たちの遊び相手になり、沈んだ帆船の回収を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ため池の水質維持に貢献している。

ザブトンの子供たち

ザブトンの子供の蜘蛛たちである。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 帆船の模型で操船実験を行い、試掘旅行では護衛として魔物を討伐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルフレートの衣装やパイロットスーツを制作した。

クロの子供たち

クロを親とするインフェルノウルフたちである。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 試掘旅行の護衛として同行し、途中で一頭が迷子になった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 温泉地の防衛にも協力している。

鬼人族メイドたち

大樹の村の家事を担うメイドたちである。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 携帯しやすい非常食を考案し、試掘旅行の料理を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 夏でも露出の少ないメイド服を死守している。

山エルフたち

大樹の村で技術開発を担う種族である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 帆船の模型を作り、飛行船の修理や機動重機の分解調査を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 五ノ村に飛行船の建造ドックを計画した。

ハイエルフたち

大樹の村の運営や建築を担う種族である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 遊戯場を即座に建設し、試掘旅行では拠点作りに貢献した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 村の建築や補佐役として多大な働きを見せる。

獣人族の女の子たち

大樹の村で家畜の世話などを担う種族である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 馬やユニコーン、ペガサスの世話を愛情たっぷりにこなした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 飛行船の単独運用試験では料理担当として同行した。

天使族

大樹の村に滞在する有翼の種族である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 飛行船の運行スタッフや護衛に立候補し、単独運用試験を成功させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 六竜神国への派遣や家畜の世話など、幅広く活動している。

ハーピー族

大樹の村に住む有翼の種族である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 飛行船の遊覧飛行に参加し、空中での休憩場所として気に入った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 死の森の結界を気にせず移動できる。

魔王国

魔王

魔王国の指導者である。
・所属組織、地位や役職
 魔王国・魔王。
・物語内での具体的な行動や成果
 貴族の借金救済のためオークションを利用し、転移門の増設を許可した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 賠償金問題を六竜神国に一任し、内乱を防ぐ政治的手腕を見せた。

ユーリ

魔王の娘であり、古典に詳しい。
・所属組織、地位や役職
 魔王国・管理員。
・物語内での具体的な行動や成果
 プギャル伯爵からの委任状をヒラクに届け、機動重機ラーロックを操縦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 機動重機が魔力で動かない理由やパイロットスーツの存在を解説した。

ビーゼル=クローム伯爵

魔王国の四天王である。
・所属組織、地位や役職
 魔王国四天王。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒラクを要塞へ案内し、キッシンリー夫妻の処遇や採掘権の譲渡について報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヒラクと魔王国の重要なパイプ役を担う。

フラウレム

ビーゼルの娘である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・文官娘衆。
・物語内での具体的な行動や成果
 オークション落札し隊に参加し、キッシンリー夫妻との話し合いの場に実家を提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 大樹の村の運営に深く関わっている。

グラッツ

魔王国の四天王の一人である。
・所属組織、地位や役職
 魔王国四天王。将軍。
・物語内での具体的な行動や成果
 妻との時間を優先して職務を疎かにしていたが、ヒラクの説得で指揮官との交流を再開した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 専用の転移門を設置され、仕事と家庭の両立が可能となった。

ロナーナ

グラッツの妻である。
・所属組織、地位や役職
 魔王国。
・物語内での具体的な行動や成果
 転移門の門番を代行し、グラッツと時間を過ごした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 グラッツの行動原理の中心となっている。

プギャル伯爵

ビーゼルと親交がある魔王国の貴族である。
・所属組織、地位や役職
 魔王国・伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒラクに領地内での採掘権と無制限通行証を譲渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 理屈に合わない奇妙な行動で危機を回避する特異な勘を持つ。

クラカッセ

プギャル伯爵の娘である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・文官娘衆。
・物語内での具体的な行動や成果
 深夜に夏野菜カレーを作り、ヒラクに父親の特異な勘について説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ロザリンド、ロアージュと仲よし三人組を組んでいる。

ロザリンド

グリッチ伯爵家の次女である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・文官娘衆。
・物語内での具体的な行動や成果
 秋の繁忙期に備え、深夜に活動時間をずらして作業した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クラカッセの仲よし三人組の一人。

ロアージュ

マモンロズ子爵家の次女である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・文官娘衆。
・物語内での具体的な行動や成果
 秋の繁忙期に備えて生活時間をずらした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クラカッセの仲よし三人組の一人。

ホウ

魔王国の四天王である。
・所属組織、地位や役職
 魔王国四天王。
・物語内での具体的な行動や成果
 自領の資金繰りをなんとかしていると評価された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 優秀な内政能力を持つ。

ランダン

魔王国の四天王である。
・所属組織、地位や役職
 魔王国四天王。
・物語内での具体的な行動や成果
 ホウと同様に自領の資金繰りを解決している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 内政に優れている。

デリアン

魔王国軍の参謀次長である。
・所属組織、地位や役職
 魔王国軍・参謀次長。
・物語内での具体的な行動や成果
 五ノ村で魔王国軍の軍制について講義を行い、グラッツの職務放棄をヒラクに伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 グラッツ将軍の副官として軍を支えている。

ギスカール=クロックホック

魔王国軍の将軍である。
・所属組織、地位や役職
 魔王国軍・将軍。要塞長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒラクの訪問時に人文字を作らせて転移門設置を陳情した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヒラクの力量を測ろうとしたが、護衛の強さを見て計画を変更した。

アサ

王都で活動する人物である。
・所属組織、地位や役職
 王都。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウルザの魔王国旅行に同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルフレートの家の地下の転移門を知る数少ない人物。

アース

王都で店を営む人物である。
・所属組織、地位や役職
 王都・店長。
・物語内での具体的な行動や成果
 店長代理を立ててウルザの旅行に同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 極秘の転移門の存在を知っている。

マア

王都の学園に通う山エルフである。
・所属組織、地位や役職
 王都・学園生。
・物語内での具体的な行動や成果
 王都の学園で元気な様子をヒラクに確認された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルフレートたちの不在中も学園に留まっている。

ゴール

王都で学ぶ人物である。
・所属組織、地位や役職
 王都。
・物語内での具体的な行動や成果
 トラインによくしてくれていると手紙で報告された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王都の学園敷地内の家を利用している。

シール

王都で学ぶ人物である。
・所属組織、地位や役職
 王都。
・物語内での具体的な行動や成果
 トラインの学業を支援している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ゴールらと共に行動している。

ブロン

王都で学ぶ人物である。
・所属組織、地位や役職
 王都。
・物語内での具体的な行動や成果
 トラインによくしてくれている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ゴールらと共に行動している。

トライン

王都の学園に通う生徒である。
・所属組織、地位や役職
 王都・学園生。
・物語内での具体的な行動や成果
 王都での平穏な学園生活をヒラクに手紙で報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ゴールたちから支援を受けている。

ドロシー

冒険者である。
・所属組織、地位や役職
 冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウルザの魔王国旅行に同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ウルザの冒険者仲間である。

レオノラ

冒険者である。
・所属組織、地位や役職
 冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウルザの魔王国旅行に同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ウルザと共に行動する仲間である。

ロキナ

冒険者である。
・所属組織、地位や役職
 冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウルザの魔王国旅行に同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ウルザの冒険者仲間である。

ベトン

病魔と呼ばれる古の悪魔族である。
・所属組織、地位や役職
 古の悪魔族。
・物語内での具体的な行動や成果
 オークションの現場に商隊関係者として滞在していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 竜に仕えていないフリーの悪魔族である。

ナーシィ

ガットの元妻である。
・所属組織、地位や役職
 ヒュマ村出身。
・物語内での具体的な行動や成果
 オークション襲撃事件の領主親戚に関連していたが、表向きは無関係とされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去に村間の関係を険悪にした事件に関わっていた。

ガット

ハウリン村の村長の息子である。
・所属組織、地位や役職
 ハウリン村。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒイチロウのブローチ作りを手伝うため試掘旅行を辞退した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 大樹の村で抽出作業などに協力している。

ナート

ガットの娘である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 クリムのことを非常にいい子だと評価した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 村の子供たちのリーダーを務めている。

魔王国軍

魔王国の正規軍と領軍である。
・所属組織、地位や役職
 魔王国。
・物語内での具体的な行動や成果
 多種族で構成され、指揮官との交流を通じて連携を図っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 平和宣言により規模の縮小が進められている。

巡回部隊

魔王国の治安を維持する部隊である。
・所属組織、地位や役職
 魔王国軍。
・物語内での具体的な行動や成果
 ユーリの護衛を兼ねて厨房馬車と共に行動している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 廃城の不法占拠などを監視している。

文官娘衆

大樹の村の事務や運営を担う女性たちである。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 遊戯場の従業員集めや交換リストの作成、深夜のカレー作りを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 村の運営において不可欠な存在である。

オークションの襲撃者

オークション会場を襲った集団である。
・所属組織、地位や役職
 なし。
・物語内での具体的な行動や成果
 出品物を狙って会場を襲撃したが、プラーダたちに迎撃され捕縛された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エイプリーたちの支援者であり、労働刑に処された。

盗賊

廃城を占拠していた集団である。
・所属組織、地位や役職
 盗賊。
・物語内での具体的な行動や成果
 千人規模で廃城にこもっていたが、ウルザたちに討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ウルザの手伝いとして従えられた可能性が示唆されている。

五ノ村

ヨウコ

五ノ村の村長代行である。
・所属組織、地位や役職
 五ノ村・村長代行。
・物語内での具体的な行動や成果
 遊戯場の設置を許可し、ゴズラン王国の第三王女との会談を取り仕切った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 五ノ村の実質的な統治者として多忙な日々を送る。

ヒトエ

ヨウコの娘である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒミコの姉のように振る舞い、昼寝の世話をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 周囲から温かく見守られている。

メッサー

ヨウコの専属文官である。
・所属組織、地位や役職
 五ノ村・秘書。
・物語内での具体的な行動や成果
 宗教関係者の神殿建設要求を断り、ヨウコとの会議に同席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 四番手秘書を自認し、昇進を目標にしている。

フォッケ

ヨウコの三番手秘書である。
・所属組織、地位や役職
 五ノ村・秘書。
・物語内での具体的な行動や成果
 食堂の定番メニュー追加をヨウコに報告し、喜ばせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 メッサーからライバル視されている。

カティ

古の悪魔族の女性である。
・所属組織、地位や役職
 プラーダ美術館・スタッフ。
・物語内での具体的な行動や成果
 巨大な黒い岩を箱に入れて美術館へ搬入した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 【夢を閉じ込める悪魔】の別名を持つ。

ルディオ

古の悪魔族の男性である。
・所属組織、地位や役職
 プラーダ美術館・スタッフ。
・物語内での具体的な行動や成果
 音の出るものに執着し、演奏する魔道具を与えられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 【死を奏でる悪魔】の別名を持つ。

シャルネ

古の悪魔族の少女である。
・所属組織、地位や役職
 プラーダ美術館・スタッフ。
・物語内での具体的な行動や成果
 文字の書かれたものを収集し、使い終わったメモの束を与えられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 【繋がりを断ち切る悪魔】の別名を持つ。

ヨウコの秘書たち

ヨウコを支える十人ほどの文官たちである。
・所属組織、地位や役職
 五ノ村・秘書。
・物語内での具体的な行動や成果
 五ノ村新道の休憩所手配や遊戯場の交換リスト作成を担った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 非常に優秀で実務能力が高い。

五ノ村の警備隊

五ノ村の治安を維持する部隊である。
・所属組織、地位や役職
 五ノ村・警備隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 野営するゴズラン王国の第三王女たちに空き地やゴロウン商会を紹介した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 リリウスたちが関わっている。

四ノ村(太陽城)・温泉地

ベル=フォーグマ

王族守護者フォーグマの一員である。
・所属組織、地位や役職
 四ノ村。
・物語内での具体的な行動や成果
 飛行船の修理を指揮し、機動重機の保存状態を調査した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 キッシンリー一族に対して強い恨みを抱いている。

ヨル=フォーグマ

温泉地の転移門の門番である。
・所属組織、地位や役職
 温泉地・門番。
・物語内での具体的な行動や成果
 ダイダロスの試射を行い、クリムの世話役を引き受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 機動重機や兵器に強い執着を持ち、トラブルメーカー扱いされつつある。

フタ=フォーグマ

五ノ村の転移門の門番である。
・所属組織、地位や役職
 五ノ村・門番。
・物語内での具体的な行動や成果
 キッシンリー夫妻との話し合いに同席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 門番の代役をロナーナらに頼んで駆けつけた。

ミヨ=フォーグマ

シャシャートの街に滞在する人物である。
・所属組織、地位や役職
 シャシャートの街。
・物語内での具体的な行動や成果
 エイプリーたちの労働を管理し、整備槽を使用させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 キッシンリー夫妻を労働力として手に入れた。

ヒー=フォーグマ

フォーグマ一族の一員である。
・所属組織、地位や役職
 四ノ村。
・物語内での具体的な行動や成果
 キッシンリー夫妻との話し合いに同席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ベルたちと行動を共にしている。

ロク=フォーグマ

フォーグマ一族の一員である。
・所属組織、地位や役職
 四ノ村。
・物語内での具体的な行動や成果
 キッシンリー夫妻との話し合いに同席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一族として団結している。

ナナ=フォーグマ

フォーグマ一族の一員である。
・所属組織、地位や役職
 四ノ村。
・物語内での具体的な行動や成果
 謁見の間でヨウコの侍女として控え、ヒラクを案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 五ノ村での業務も手伝っている。

ゴウ

マーキュリー種である。
・所属組織、地位や役職
 四ノ村。
・物語内での具体的な行動や成果
 保温石保管庫を見てベルと共に喜んでいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 かつては水晶に入っていた。

アラコ

アラクネである。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヨルに代わって温泉地の転移門の門番を務めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヒラクからジャガイモ料理の礼を約束された。

トウ

万能船の船長である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・船長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ガレオン船の設計図を見せ、小型飛行船の試運転を楽しんだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 万能船にシエルテーレ号と名付けた。

死霊魔導師

温泉地にいる魔導師である。
・所属組織、地位や役職
 温泉地。
・物語内での具体的な行動や成果
 クリムと共に大樹の村に通い、教師から高い評価を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 子供たちの勉強を共にしている。

死霊騎士

温泉地を防衛する騎士である。
・所属組織、地位や役職
 温泉地。
・物語内での具体的な行動や成果
 温泉地を襲撃した魔獣や魔物を防衛した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヨルの戦闘訓練の相手にもなっている。

ライオン一家

温泉地に住む魔獣である。
・所属組織、地位や役職
 温泉地。
・物語内での具体的な行動や成果
 死霊騎士らと共に温泉地の防衛に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヨルと激しく戦える環境を提供している。

アシュラ

六本腕の魔物である。
・所属組織、地位や役職
 温泉地。
・物語内での具体的な行動や成果
 温泉地への魔獣の襲撃を防衛した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 温泉地の新入りとして迎えられた。

スナイプスパイダー

ザブトンの子供たちの進化系である。
・所属組織、地位や役職
 五ノ村。
・物語内での具体的な行動や成果
 洋菓子店の護衛や飛行船の単独運用試験の救援要因として配置された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 有事の戦力として頼りにされている。

四ノ村の悪魔族と夢魔族

四ノ村の住人たちである。
・所属組織、地位や役職
 四ノ村。
・物語内での具体的な行動や成果
 飛行船の単独運用試験に調査作業員として同行し、機動重機の回収を手伝った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 力仕事などで貢献している。

悪魔族・人工生命体・機動重機

プラーダ

古の悪魔族である。
・所属組織、地位や役職
 プラーダ美術館・館長。
・物語内での具体的な行動や成果
 オークションで品物を落札し、新しい美術館の館長に就任した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 【美術品を収集する悪魔】の別名を持つ。

ブルガ

古の悪魔族である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 オークションでプラーダの暴走を止め、襲撃者を捕縛した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クリムからよく甘えられている。

スティファノ

古の悪魔族である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 ブルガと共にオークションでプラーダを制御した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クリムと仲良く接している。

エルメ

ヴェルサのメイドを務める古の悪魔族である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・メイド。
・物語内での具体的な行動や成果
 プラーダが持ち込んだ古い地図の場所を解読した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 古い歴史や地理に詳しい。

ヴェルサ

【不変】の権能を持つ古の悪魔族である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 悪魔の像のサンプルからクリムの魂を機動重機に移し、暴走を鎖で抑えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クリムの占いによる名付け親となった。

グッチ

悪魔族である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村。
・物語内での具体的な行動や成果
 美術館を訪れて悪魔の像に緊張し、ヒラクに世界の王になる意思を問うた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 プラーダの友人たちと過去に因縁がある。

エイプリー=キッシンリー

キッシンリー一族の人工生命体である。
・所属組織、地位や役職
 魔王国直轄領・村の指導者。
・物語内での具体的な行動や成果
 娘の記憶体を取り戻すためオークションを襲撃し、労働刑となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヒラクに所有していた飛行船を譲渡した。

メイ=キッシンリー

エイプリーの妻である。
・所属組織、地位や役職
 魔王国直轄領・村の指導者。
・物語内での具体的な行動や成果
 夫と共にオークションを襲撃し、五ノ村で整備槽を使用した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 有機体の調整不足であまり喋らない。

カレン

エイプリーとメイの娘である。
・所属組織、地位や役職
 キッシンリー一族。
・物語内での具体的な行動や成果
 記憶体をオークションに出品されたが、ヒラクたちによって両親のもとへ返された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 五ノ村で整備を受けることになった。

クリム

【希望】の権能を持つ悪魔である。
・所属組織、地位や役職
 温泉地。
・物語内での具体的な行動や成果
 機動重機から生まれ、ヨルに育てられて大樹の村の子供たちと共に学んでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヒラクのクワを恐れ、農業をマスターしようとしている。

美術品を守る悪魔

悪魔族の祖である。
・所属組織、地位や役職
 プラーダ美術館・オブジェ。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒラクが制作した像に魂が宿り、美術館の美術品を守る存在となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 元は【絶望】の権能を持っていた。

英雄

【英雄】の権能を持つ悪魔である。
・所属組織、地位や役職
 なし。
・物語内での具体的な行動や成果
 慈愛と恩愛を率いて美術品を守る悪魔のもとを訪れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去に力を求めていた。

慈愛

【慈愛】の権能を持つ悪魔である。
・所属組織、地位や役職
 なし。
・物語内での具体的な行動や成果
 英雄と共に美術品を守る悪魔を訪問した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 英雄らと三人組で行動している。

恩愛

【恩愛】の権能を持つ悪魔である。
・所属組織、地位や役職
 なし。
・物語内での具体的な行動や成果
 英雄らと共に美術品を守る悪魔を訪れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 英雄らと三人組で行動している。

万能船(シエルテーレ号)

大樹の村の輸送船である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・輸送船。
・物語内での具体的な行動や成果
 試掘旅行に同行し、落下した機動重機を回収した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 飛行船を妹のように可愛がっている。

飛行船(トロワローズ号)

修理された空飛ぶ船である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・飛行船。
・物語内での具体的な行動や成果
 試掘旅行の移動手段となり、大量の鉱石を持ち帰った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 元はキッシンリー一族の所有物だった。

ジークフリート(炎星の三千三百七十七)

多目的人型機動重機の一号機である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・機動重機。
・物語内での具体的な行動や成果
 クリムの魂を宿して暴走したが、ヒラクに破壊され小型化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クリム専用機として再誕した。

ベンゼ

多目的人型機動重機の二号機である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・機動重機。
・物語内での具体的な行動や成果
 採掘場跡から回収され、ヨルやユーリらによって古典から命名された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 他の機体と共にハンガーで調査されている。

ポカ

多目的人型機動重機の三号機である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・機動重機。
・物語内での具体的な行動や成果
 採掘場跡から回収され、古典の登場人物にちなんで命名された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 正常に動く機体として保管されている。

ラーロック

多目的人型機動重機の四号機である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・機動重機。
・物語内での具体的な行動や成果
 ユーリが操縦して疾走し、ヒラクも搭乗を試みたが動かなかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔力が多いと動かない仕様が確認された。

ハナサカ

多目的人型機動重機の五号機である。
・所属組織、地位や役職
 大樹の村・機動重機。
・物語内での具体的な行動や成果
 採掘場跡から回収され、ヒラクの提案で命名された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 正常に稼働する機体の一つである。

六竜神国・竜族

ドース

竜の王である。
・所属組織、地位や役職
 竜族の王。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒカルを屋敷の中で連れ回し、飛行船用の特大羽魔水晶を提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 代金としてヒイチロウのブローチを受け取った。

ライメイレン

ドースの妻である。
・所属組織、地位や役職
 竜族。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヒイチロウたちの頼みで記憶体を落札し、機動重機の回収に同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 孫との外出を大いに喜んでいる。

ギラル

竜族である。
・所属組織、地位や役職
 竜族。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルフレートの問題を腕力で解決する同行者の候補に挙がった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 腕相撲や武闘会で暴れるイメージを持たれている。

グーロンデ

竜族である。
・所属組織、地位や役職
 竜族。
・物語内での具体的な行動や成果
 クリムの教師役の一人として、彼女の優秀さを評価した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 大樹の村で子供たちの教育に関わっている。

ギィーネル

六竜神国の中心となる竜である。
・所属組織、地位や役職
 六竜神国・竜族。
・物語内での具体的な行動や成果
 城を改修し、六頭の竜が並ぶ謁見の間を用意した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 謁見の威圧感で来訪者を腰抜けにさせている。

メットーラ

竜族の女性である。
・所属組織、地位や役職
 六竜神国・竜族。
・物語内での具体的な行動や成果
 六竜神国の謁見の間でギィーネルと共に並んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 新婚であり、トーシーラから妊娠を期待されていた。

ルィンシァ

六竜神国を補佐する竜族である。
・所属組織、地位や役職
 六竜神国・竜族。
・物語内での具体的な行動や成果
 ティゼルの国作り完了を判断し、人間の国への旅を勧めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ティゼルの教育を担っている。

オージェス

六竜神国に滞在する竜族である。
・所属組織、地位や役職
 六竜神国・竜族。
・物語内での具体的な行動や成果
 代役として謁見の間の六頭の竜の一頭として並んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王都に戻りたがっていた。

ハイフリーグータ

六竜神国に滞在する竜族である。
・所属組織、地位や役職
 六竜神国・竜族。
・物語内での具体的な行動や成果
 代役として謁見の間に並び、役割を果たした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 オージェスらと共に王都への帰還を望んでいた。

キハトロイ

六竜神国に滞在する竜族である。
・所属組織、地位や役職
 六竜神国・竜族。
・物語内での具体的な行動や成果
 謁見の間の六頭の竜の一頭として並んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 他の竜たちと共に王都へ戻ることを希望していた。

トーシーラ

竜族の女性である。
・所属組織、地位や役職
 六竜神国・竜族。
・物語内での具体的な行動や成果
 メットーラの様子を見に来て謁見の間に並んだが、ヒラクに連れ帰られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 メットーラの妊娠を期待して邪魔をしていた。

混代竜族たち

六竜神国に関わる竜族である。
・所属組織、地位や役職
 六竜神国・竜族。
・物語内での具体的な行動や成果
 一族単位で部下を派遣し、六竜神国の街の発展に寄与した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ギィーネルの友人として国作りに協力している。

人間の国・その他

征服王

ジドエン王国の指導者である。
・所属組織、地位や役職
 ジドエン王国・王。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴズラン王国を滅ぼしたが第三王女を取り逃がし、内政破綻によりユーノデンナ王国に降伏を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 軍事力には優れるが内政能力が皆無であった。

ユーノデンナ王国の王

大国ユーノデンナ王国の指導者である。
・所属組織、地位や役職
 ユーノデンナ王国・王。
・物語内での具体的な行動や成果
 ジドエン王国からの降伏の手紙に困惑し、妥協案として文官二十人を送った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 小国乱立地域への不干渉という方針を再確認した。

ゴズラン王国の第三王女

ゴズラン王国の王女である。
・所属組織、地位や役職
 ゴズラン王国・第三王女。
・物語内での具体的な行動や成果
 国を追われて五ノ村へ逃亡し、ヒラクとの会談で生活支援とケーキ屋での職を希望した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 幼いながらも国の実質的な内政を担っていた。

始祖

コーリン教の宗主である。
・所属組織、地位や役職
 コーリン教・宗主。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルフレートの遊学を受け入れ、三国の王に身分保証を頼んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 転移魔法でアルフレートの送迎を行っている。

フーシュ

コーリン教の関係者である。
・所属組織、地位や役職
 コーリン教。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルフレートを笑った王子たちを物理的に絞め上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ルーへの恩義からアルフレートを強く庇護している。

フーシュの息子

フーシュの息子である。
・所属組織、地位や役職
 コーリン教。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルフレートに香水のプレゼントが求婚を意味すると教えて止めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王子たちを絞める母親を止める役割も果たした。

ゴズラン王国の王族一行

第三王女と共に逃亡した関係者たちである。
・所属組織、地位や役職
 ゴズラン王国。
・物語内での具体的な行動や成果
 資金が尽きて野営を強いられ、白鳥レースの調教師などの職を希望した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 観光や遊戯場でお金を使いすぎた原因を作った。

コーリン教の関係者

始祖の国にいる宗教関係者である。
・所属組織、地位や役職
 コーリン教。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルフレートにフーシュの呼び方などのマナーを注意した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過食や美食を控える教えを守っている。

王子たち

三つの国の王子である。
・所属組織、地位や役職
 人間の国・王子。
・物語内での具体的な行動や成果
 村長を目指すというアルフレートを笑い、フーシュに絞められて謝罪した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルフレートを重要人物として妬んでいた。

宗教関係者

人族の宗教関係者である。
・所属組織、地位や役職
 宗教関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
 五ノ村に神殿建設を求めたが断られ、レギンレイヴに頼み込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 神殿の建設費用を五ノ村に出させようとした。

冒険者

五ノ村からの依頼を受ける者たちである。
・所属組織、地位や役職
 冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 五ノ村近くの温泉施設用の水源探しを依頼された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ゴズラン王国の第三王女を助けたティゼルも冒険者として活動していた。

試掘隊

ハウリン村から派遣された採掘要員である。
・所属組織、地位や役職
 ハウリン村。
・物語内での具体的な行動や成果
 試掘旅行に同行し、大樹の村で鉱石の抽出作業を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 専門知識でヒラクたちの調査を成功に導いた。

商会

マイケル

ゴロウン商会の会頭である。
・所属組織、地位や役職
 ゴロウン商会・会頭。
・物語内での具体的な行動や成果
 遊戯場の試験営業に熱中し、閉店時間になってもゲームを続けようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヒラクにオークションでの金貨消費を依頼した。

リドリー

ダルフォン商会の代表である。
・所属組織、地位や役職
 ダルフォン商会・代表。
・物語内での具体的な行動や成果
 オークションでの魔王国の介入に苦い顔をしつつも協力した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔王から何らかの形で報いられる予定である。

ゴロウン商会

魔王国で活動する商会である。
・所属組織、地位や役職
 商会。
・物語内での具体的な行動や成果
 オークションを主催し、借金を申し込んできた第三王女の素性に気づいてヨウコに連絡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 六竜神国への資金投入も行っている。

ダルフォン商会

魔王国で活動する商会である。
・所属組織、地位や役職
 商会。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴロウン商会と共にオークションを主催し、六竜神国への出店も行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特大サイズの羽魔水晶の注文を受け続けている。

のんびり農家 19巻レビュー
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展開まとめ

序章 敗北

解雇通告と嘆き

作業現場に集まった男たちは、雇い主に話を聞いてもらえず解雇される現実に直面し、嘆いていた。彼らは自らの能力や協調性、仕事への熱意に問題がないことを理解しており、それでも解雇される理由を全員が把握していた。

時代遅れの道具への固執

彼らが解雇された理由は、扱いが難しく高コストで危険性もある古い道具に固執していたためであった。その道具はすでに魔法に取って代わられ、長年にわたり主流から外れていたにもかかわらず、男たちは使い続けていた。

愛着と周囲との対立

男たちはその道具に強い愛着を抱いており、代々受け継がれてきたことや幼少期から使ってきた経験以上に、深い愛情が理由であった。その結果、家族までもが道具の放棄を求めて雇い主と協力し、対立が生じていた。

抵抗の末の決定的な結果

男たちは道具を手放すことを拒み続けたが、その姿勢が最終的に解雇という結果を招いた。雇い主にとっては、彼らこそが話を聞かない存在であった。

決断と別れ

他に行き場のない状況に追い込まれた男たちは、道具を捨てれば解雇が撤回される条件を理解しつつも、維持費や将来を考慮して決断を迫られた。最終的に彼らは涙を流し、時代の流れを嘆きながら道具と別れた。

物語の位置付け

この出来事は、村長がこの世界に訪れるよりも千年以上前の過去の出来事であった。

〔一章〕新しい道

閑話 征服王

若き王の即位と戦乱の始まり

人族の男は父王の戦死により十八歳で王位を継ぎ、小国を率いる立場となった。国は農地が豊富であったため周囲から狙われ続け、魔王国との戦いに備える余裕もなく、十年にわたり戦争を繰り返す状況に置かれていた。

武勇による領土拡大

男は卓越した武術と指揮能力を持ち、戦いではほぼ勝利を重ねた。その結果、攻めてくる国々を滅ぼして領土を拡大し、小国から中規模の国家へと成長させた。大国に対抗するための力を求め、さらなる征服を続けていた。

勝利の宴と油断への警戒

戦勝後の宴では将軍たちが男を称え、征服王としての名声を強調した。敵国の王族を捕らえたことも評価され、活用する方針が示されたが、逃亡した第三王女については軽視されていた。男自身は現状に満足せず、領土拡大による恨みや周囲の脅威を認識し、油断を戒めていた。

内政の破綻と叱責

深夜、男は内務大臣室に赴き、文官に対して謝罪した。今回の遠征の目的は優秀な文官である第三王女とその一団の確保であったが、彼らを逃がしたまま国を滅ぼしてしまったため、内政を担う人材を得られなかったのである。文官は急激な領土拡大により統治が破綻していると指摘し、厳しく非難した。

誤解による戦争の発端

男は穏便な交渉として第三王女を正妻に迎える提案を行ったが、相手の年齢が七歳であったことを知らず、結果として敵国に人質要求と受け取られ戦争に発展した。文官はこの重大な認識不足を指摘し、状況悪化の原因として責任を追及した。

解決策の迷走と限界

文官は戦争をなかったことにするため王族の解放と国の復活を提案したが、既に試みて失敗していたことが明らかとなった。さらに領地の分配や統治についても有効な手段がなく、内政の人材不足は解消されなかった。最終的には他国に吸収される案まで提示されるなど、状況の深刻さが浮き彫りとなった。

征服王の実態

男は武勇に優れ征服王と恐れられていたが、内政能力には欠けていた。領土拡大の成功とは裏腹に、国家運営は危機的状況に陥っていた。

閑話”ユーノデンナ王国”

乱立する小国群への警戒

ユーノデンナ王国の王は、自国の隣に四十ほどの小国が乱立する地域があると語った。その地域の国々は互いに争い続けていたが、外部の国が手を出すと一斉に反撃するため、周辺国からは危険な地域として扱われていた。

統一されない理由

その地域では、どこかの国が領地を広げても統治能力が足りず、やがて分裂して元に戻っていた。小国であるため統治能力を伸ばす手段が乏しく、争い続けながらも統一には至らない状態が続いていた。

ゴズラン王国の成長

三十年ほど前、ゴズラン王国の王は統治人材を求め、イジー王国に助けを求めた。イジー王国では後継者問題が起きており、凡庸な第一王子とその家臣団がゴズラン王国へ送られた。彼らは統治を担い、ゴズラン王国は三十年をかけて領地を三倍ほどに広げた。

第三王女による統治

実際のゴズラン王国は統治方法を学んだのではなく、イジー王国から来た第一王子とその家臣団に政務を任せていた。その流れを受け継いだ第三王女は幼い頃から領地経営を手伝い、近年では家臣団とともに国を実質的に統治していた。

ジドエン王国と征服王の台頭

小国群の中でジドエン王国が急速に領地を広げ、征服王を名乗る王のもとで十年のうちに領地を四倍以上に拡大した。ユーノデンナ王はその武力と維持力に感心しつつも、統治面では限界が来ると見ていた。

第三王女を巡る戦争

誰かがジドエン王国に、ゴズラン王国の第三王女は統治能力が高いという情報を流した。ジドエン王国は第三王女を得ようとしたが、ゴズラン王国はそれを拒み、全面戦争となった。結果としてジドエン王国が勝利し、ゴズラン王国は吸収されて消滅した。

第三王女の逃亡と問題の拡大

ジドエン王国は目当ての第三王女を手に入れられなかった。ゴズラン王国の王が戦の前に第三王女を逃がしており、彼女は家臣を連れて行方をくらませていた。そのためジドエン王国は領地だけを得たが、統治を担う人材を得られなかった。

降伏の手紙とユーノデンナ王国の困惑

ジドエン王国はユーノデンナ王国に、降伏するか統治を手伝える人材を送るよう求める手紙を送った。ユーノデンナ王は、受け入れればあの地域に手を出したことになり、拒めば事態が悪化すると考え、強く困惑した。

人材不足と苦肉の対応

ユーノデンナ王国も大国でありながら人材不足に悩んでおり、統治人材を渡す余裕はなかった。そこで王は、読み書きと計算ができる者を二十人送るという妥協策を取った。するとジドエン王国から大いに感謝され、王はその地域の統治水準を改めて理解した。

不干渉の決意

ユーノデンナ王は、過去の大国の指導者たちがその地域に手を出さなかった判断は正しかったと悟った。あの地域には手を出さず、利用もしないと心に刻みながら、日々の政務に励んでいた。

閑話 四番手の秘書

メッサーの立場と目標

メッサーは四十歳になる魔族の男であり、五ノ村の村長代行であるヨウコ専属の文官を務めていた。村長からは秘書と呼ばれており、その特別感を気に入っていたが、十人ほどいる秘書の中では自分を四番手程度だと認識し、さらに上を目指していた。

宗教関係者への対応

メッサーは村議会場の応接室で、人族の宗教関係者に対応していた。彼らは五ノ村の費用で神殿を建ててほしいと求めたが、メッサーは五ノ村の方針としてこれを断った。村長が神社を建てた事例は村長の私費によるものであり、五ノ村として特定宗教の施設を建てる予定はなかったためである。

上位者への面会要求と拒否

宗教関係者はヨウコや村長との面会を求めたが、メッサーは上位者が多忙であるとして退去を促した。賄賂を示す者もいたが、メッサーは忠誠心を金で動かされると思われたことに不快感を覚え、改めて拒絶した。彼らは粘ったものの、神の名で脅すことはなく、比較的理性的な相手であった。

村長との同行

帰り際の宗教関係者はレギンレイヴに神殿建設を頼んでいたが、その背後に五ノ村の村長がいることには気づかなかった。その後、メッサーはヨウコへの報告のため、村長とともに執務室へ向かった。村長の姿を見た者たちが頭を下げる様子から、村長の認知が広がっていることを感じていた。

ヨウコとの会議内容

村長とヨウコの話し合いでは、五ノ村近くの温泉施設計画、魔王国貴族の別邸区画、五ノ村主体の遊戯場建設、五ノ村新道の難所対応などが話し合われた。新道については、村長が難所を強行して突破する方針を決め、自ら対応することになった。

情報面での優位

会議内容は一番手と二番手の秘書が記録し、手続きに移していた。メッサーは報告のついでに同席しただけであったが、三番手秘書フォッケが不在だったため、決定に至る過程を知ることで情報面の優位を得たと考えた。

転移門に関する驚き

会議では新しい転移門を設置する話も出ていた。メッサーは転移門が魔王国のものだと思っていたが、村長の妻が作ったものだと知り、自分が聞いてよい話なのか戸惑った。それでも信頼に応えるため、外部に漏らさないと誓った。

フォッケの報告と逆転

そこへ三番手秘書フォッケが現れ、村議会場運営会議でヨウコさまスペシャルセットが食堂の定番メニューに加わったと報告した。さらに、お稲荷さんが三つになることも明かされ、ヨウコは大いに喜んだ。メッサーは喜ばしいと思いつつも、フォッケが大きな成果を上げたことに悔しさを覚えた。

さらなる昇進への決意

メッサーはヨウコの秘書として、主に外交関連を補佐していた。しかし、外交関連ではヨウコと関わる機会が少ないため、三番手秘書になること、あるいはフォッケが担当する内政関連の補佐に移ることを目標にしていた。

1 春から夏に

村長としての自覚の変化

ヒラクはこれまで大樹の村の村長と名乗っていたが、最近は大樹の村を代表とする複数の村の村長と名乗るように改めていた。ルーやティアから、他の村を不安にさせないためにも村長であることを示すべきだと指摘され、今後も長く村長を続ける覚悟を持つようになっていた。

夏を迎えた大樹の村

大樹の村は春の収穫を終え、夏を迎えていた。ヒラクの日常は大きく変わらず、畑仕事や見回り、各村からの陳情処理を続けていた。夏らしい変化としては、昼食後に子供たちが元気にプールへ向かう姿を見送ることがあった。

ヒミコとの穏やかな時間

ヒラクは和室でお茶を飲みながら、膝の上にハクレンの娘ヒミコを座らせていた。ヒミコは自身の能力をある程度制御できるようになっており、落ち着いた様子で積み木の平らさを真剣に見比べていた。悪魔族の助産師とヒトエがその様子を見守り、ヒトエはヒミコの姉のように振る舞っていた。

双子の世話と昼寝

ハクレンがヒミコを昼寝に連れて行くために回収し、悪魔族の助産師とヒトエも同行した。一方、双子の兄ヒカルはドースが屋敷の中で連れ回しており、外に連れ出そうとしてハクレンに叱られたこともあった。ヒラクはヒミコが素直に去ったことで、膝の上が少し寂しくなっていた。

夏の鍋料理

夕食には夏にもかかわらず鍋料理が出された。室温調整の魔道具があるため暑さの問題はなく、ドワーフたちの酒のつまみへの要望と、春の終わりに収穫した白菜などを早く消費したい鬼人族メイドたちの事情が一致した結果であった。ヒラクは健康な体に感謝しながら鍋を食べ、少し食べ過ぎていた。

天使族の六竜神国派遣

食後、十人の天使族が六竜神国へ向かう挨拶に来た。六竜神国からは正統ガーレット王国との交渉補助を求められており、分裂前のガーレット王国に関わっていた天使族の知識が必要とされていたためである。大樹の村から離れたくない天使族も多かったが、ガーレット王国に愛着を持つ者たちが立候補していた。

出発前の宴会

派遣される十人の天使族は、出発前の役得として五ノ村の酒肉ニーズで宴会を行う予定であった。翌日は二日酔いで倒れる見込みであったため、実際の出発は明後日となった。彼女たちは交渉がまとまったら戻ってくると力強く告げ、五ノ村へ向かった。

オークション開催の連絡

翌日の昼過ぎ、ゴロウン商会からオークションを予定通り夏の中頃に開催するとの連絡が届いた。プラーダからも、開催前に出品物の確認に来てほしいという手紙があり、いくつか話したいこともあると記されていた。ヒラクはトラブルでないことを願いつつ、会った時に考えることにし、そばに来たクロとユキを撫でていた。

2 プラーダのお薦め品

五ノ村新道の計画進行

五ノ村新道は、五ノ村とシャシャートの街を結ぶ転移門の渋滞対策として計画されていた。荷馬車が通るためには道幅や勾配、水場、休憩所が必要であり、使われる道にするための配慮が求められていた。

難所突破とルート決定

新道の一部ルートは、道を作るのが難しい場所を迂回するか強行するかで決まっていなかった。ヒラクが強行を決めたことでルートは確定し、難所は万能農具によって切り開かれた。

オークション会場への訪問

ヒラクは魔王国の王都にあるオークション会場を訪れ、出品物を確認していた。各地を回った商隊が貴族や商人から追加の出品物を預かったため、品数は出発前の倍ほどに増えていた。

プラーダへの報酬交渉

プラーダは増えた出品物の中から、ヒラクに買ってほしい品があると説明した。彼女自身が欲しい品もあり、ヒラクは報酬として落札を認めたが、数ではなく金額で上限を決め、金貨百枚までとした。プラーダはその条件に大いに喜んでいた。

金貨を外に出す必要

ヒラクは今回のオークションで金貨千枚ほど使うよう、マイケルや文官娘衆から頼まれていた。大樹の村に金貨が貯まり過ぎているためであったが、ヒラクは意味のある物を買いたいと考えており、自分の物欲の少なさから使い切る難しさも感じていた。

水晶柱の中の人工生命体

プラーダが最初に薦めたのは、ヒラクの背の倍ほどもある大きな水晶柱であった。その中には人工生命体が入っており、王族守護者ではなく王国戦士、すなわちジュピター種と思われる存在であった。休眠状態であるため、ヒラクは落札してベルたちに見せようと考えた。

関連機械と人形の発見

プラーダは続けて、ジュピター種を起こして会話するために役立つ可能性がある機械と、古い人間サイズの人形を示した。人形は四本腕で、損傷が激しく、ジュピターの身体である可能性があった。ヒラクは水晶柱、機械、人形の三つを落札候補に入れることにした。

有益性への期待

プラーダは、ジュピター種の性格や性能は起こしてみなければわからず、身体も満足に動けるか不明だと説明した。それでもマーキュリー種を率いるヒラクなら扱える可能性があり、有益だと判断して薦めていた。

メレオカーンの卵への注意

出品物にはメレオカーンの卵もあった。ヒラクは興味を持ったが、メレオカーンの卵はネットタートルの卵と似ていることを思い出し、判別できなかった。それでも、どちらであってもメレオの飼育場に持って行けばよいと考え、落札候補に入れることにした。

3 オークション前の話し合い

落札候補選定と住人の協力

ヒラクはオークションで落札する品を決めるため、村の住人に協力を求めた。時間に余裕があったため、ルーやティア、マルビットと天使族、さらに各村の代表者たちが会場を訪れ、それぞれ候補を追加した。

ベルの報告と太陽城の武装

四ノ村のベルが会場から戻り、ジュピター関連ではなく太陽城の武装が出品されていると報告した。太陽城は四ノ村の旧名であり、その武装は過去に売却されたものであった。ヒラクは使用予定がないことを認識しつつも、思い出の品として落札する方針を示した。

ヨルへの秘密と発覚

ベルは武装の存在をヨルに知られないよう求めたが、文官娘衆の会話をきっかけにヨルが察知し、直談判に訪れた。ヒラクは落札後に四ノ村へ装備し、秋頃に試射を行うことを約束し、指揮をヨルに任せると決定した。

情報漏洩の経緯

情報が漏れた原因は、同行した文官娘衆が別件の報告中に武装の話題を出したことであった。ヨルはそれを不審に思い、転移門の管理を他者に任せて会場へ向かっていた。武装を前にしたヨルは感情を抑え、落札の意思を隠していた。

出品物増加の背景

今回のオークションは出品物が大幅に増加していた。その背景には魔王国の勝利宣言があり、戦争終結により賠償金が見込めなくなった貴族や商人が資金繰りに困ったためであった。

借金問題と貴族の事情

魔王国の貴族は戦争のために多額の借金を抱えており、本来は勝利後の賠償金で返済する予定であった。しかし魔王は賠償金を放棄し、問題を六竜神国に委ねたため、貴族や商人は返済手段を失い、反乱の危険性も生じていた。

オークションによる救済策

魔王は貴族や商人を救済するため、オークションを利用する方策を取った。魔王国が落札することで資金を供給しつつ、表向きはオークションで資金調達した形を保つことで、体面を守らせる狙いであった。

最低落札額と調整

出品物には高めの最低落札額が設定されており、魔王国の代理人がその額で入札する仕組みとなっていた。希望者がいれば競り合い、いなければ最低額で成立するよう調整されていた。目利きによる査定も行われていたが、やや甘めであった。

ヒラクへの配慮と協力

魔王はヒラクが希望する品について、貴族出品のものであれば魔王国側で確保する意向を示した。ヒラクはこれを了承し、後日落札希望リストを提出することにした。また、通常のオークション参加についても問題ないと確認された。

4 ため池の畔

落札資金の使い道の再検討

ヒラクはオークションで使う予定だった資金の使い道が狂い、金貨百枚ほどしか使えない見込みとなっていた。そこでプラーダに任せる額を増やそうと考えたが、文官娘衆は暴走を懸念し、チームで落札を管理する案を出した。

落札し隊の結成

プラーダを名目上のリーダーとするチーム《落札し隊》が結成された。フラウ、マルビット、ベル、ヨルが落札額の上限を決め、ブルガとスティファノがプラーダのブレーキ役を担うことになった。プラーダが本気になった場合に備え、ドースたちやベトンにも情報を伝えることになった。

氷の魔物の活躍

夏の大樹の村では、涼しさをもたらす氷の魔物が人気を集めていた。氷の魔物は室温調整の魔道具に対抗するようにスイッチを切り、自分の縄張りを主張していた。さらに果物を凍らせて子供たちのおやつ作りにも協力し、村に馴染んでいた。

ため池での休息

ある昼、ヒラクはため池の畔で日向ぼっこをするポンドタートルたちの近くに椅子とパラソルを用意し、くつろいでいた。父猫ライギエルが腹の上に乗り、氷の魔物が氷柱を作って涼しさを与えたことで、自然の中で穏やかな時間を過ごしていた。

山エルフたちの帆船実験

山エルフたちは二本マストのキャラック船の模型を担いで現れ、ため池で浮かべる実験を始めた。船には拳ほどの大きさのザブトンの子供たちが乗り込み、海賊風のバンダナを身につけて操船を担当した。

風魔法による航行

風がなかったため、山エルフがルーを呼び、風魔法で帆船を動かしてもらった。帆船はため池を進み、向かい風にも帆を操って戻ってきたが、途中で浸水し始めた。

脱出と安全対策

帆船は想定外の浸水で沈没したが、小型ボートが多数搭載されており、ザブトンの子供たちは脱出した。さらにライフジャケットのようなものも装着していたため、安全対策は整えられていた。ヒラクは点呼を取り、船長として船に残ろうとした子を叱り、命を大事にするよう諭した。

沈没原因と今後の学習

沈んだ帆船はポンドタートルたちが回収した。ヒラクは、船内が区切られておらず浸水から沈没までが早すぎたことを指摘し、水密防壁のような構造の必要性を説明した。そして、シャシャートの街にある自分の帆船を見に行き、実物から学ぶことを山エルフたちに提案した。

5 遊戲場計画

万能船の拗ねと謝罪

万能船は荷物を降ろしたあと、専用ドックを抜け出して森で横転していた。帆船の見本なら自分がいると拗ねていたため、ヒラクは万能船が普通の帆船とは違うと考えていたことを謝罪し、シャシャートの街の帆船を見る前に万能船を見せてもらうことにした。

トウの設計図

万能船の船長であるトウは、船といえば万能船だとヒラクに注意した。そのうえで、三本マストの大型ガレオン船の設計図を見せた。設計図には浮遊装置を後から装備できる空間や、外交上は防御設備と呼ぶ武装が組み込まれており、ヒラクは模型作りの参考として山エルフたちに渡すことにした。

メダルゲーム台の改良

以前お蔵入りにしていたメダルを落とすゲーム台は、山エルフたちによって改良されていた。一人用や複数人用、メダルタワー、スロット機能、ジャックポット機能、自動演奏や点滅する照明、炎の演出まで追加されており、山エルフたちは五ノ村への設置を希望した。

専用メダルの作成

現金を使わせることは危険であったため、遊戯場専用のメダルを作ることになった。素材は真鍮となり、五ノ村の工房で量産された。ヒラクは中銅貨より少し大きいサイズと、片面に狐、もう片面にインフェルノウルフをデフォルメしたデザインを決めた。

遊戯場建設の決定

ヨウコは過去にメダルゲーム台へ夢中になった経験から設置を渋ったが、ヒラクはその尻尾の動きから関心を見抜いた。最終的に許可が下り、五ノ村の麓に遊戯場が建設された。建物は広く、一階は一般客用、二階は貴族用とされ、音漏れを防ぐ二重構造も備えていた。

周辺施設と従業員の準備

遊戯場の横には事務所や従業員用の休憩室、更衣室が作られ、さらに近くには食堂や宿も建設され始めた。文官娘衆は従業員の募集を進め、整備員、接客員、警備員に加え、魔法による不正対策のため魔法使いも集めることになった。

メダル運用と交換制度

遊戯場では中銅貨一枚でメダル三十枚を貸し出す予定となった。メダルは現金に戻せず、持ち出しも禁止され、遊び終えた客はメダルを預けるか交換品と交換する仕組みであった。ヒラクは交換レートをメダル百枚で中銅貨一枚相当と決め、最初はその基準で様子を見ることにした。

交換品の調整

交換品はヨウコの秘書や文官娘衆が決めることになった。ヨウコは、金持ちが大量にメダルを借りて高価な交換品を簡単に得る事態を避けるため、最初は目立つ交換品を出さない方針を取った。交換リストには小物や提携店の商品交換札などが並べられた。

試験営業の実施

ヨウコが日取りを決め、村議会議員や商会の関係者などを招いた試験営業が行われた。招待客には無償でメダルが貸し出され、最初は戸惑っていた者たちも、次第に真剣に遊び始めた。

改善案と好評

試験営業後、招待客からは営業時間、席の確保、メダル交換、交換品、音楽、宿や食事、子供の入店制限など多くの意見が寄せられた。廃止を求める声はなく、ヒラクはおおむね好評と受け取った。閉店時間になってもマイケルはゲームを続けようとしており、従業員の指示に従うよう促された。

6 夏の日と講義

水球割りと天使族の技量

大樹の村のプールサイドでは、水着姿の天使族が目隠しをしたまま木刀で無数の水球を叩き潰していた。水球はポンドタートルたちの魔法で作られたものであり、前後左右や上空から迫っていたが、天使族は魔力を感じ取って全て対処していた。

ガルフの挑戦と天使族の実力

ガルフも同じ挑戦をしたが、水球に翻弄されて濡れていた。天使族は魔力を感じるよう助言したが、ガルフは耳に頼ってしまい、完全には対応できなかった。ヒラクは天使族の技量を見て、剣聖ピリカ以上かもしれないと感じ、さらにティアの強さを改めて認識していた。

ポンドタートルへの差し入れ

夏になるとポンドタートルたちはプールに移動し、水質維持や流れるプールの水流作りを担っていた。ヒラクは感謝としてキャベツを差し入れ、水を汚さないようプールサイドで食べるよう伝えた。ため池や用水路にいるポンドタートルたちにも同じように差し入れをしていた。

水着のファッションショー

プールサイドでは、ザブトンとザブトンの子供たちが作った水着のファッションショーが行われていた。新作ではなく、実際に夏場に使ったうえでの改良発表が中心であり、わずかな布の増減でも印象が大きく変わっていた。ヒラクは、自分用の短パン水着にマントが付いていることを前衛的すぎると感じていた。

水着姿への注意

夕食時、一部の天使族や獣人族の女の子たち、文官娘衆が水着のまま過ごしていたため、ヒラクは子供たちが真似をしないよう注意した。彼は鬼人族メイドたちの服装を見習うよう促し、せめて何か一枚羽織るよう求めていた。

夜のプール計画

彼女たちは食後に明かりを照らしたプールで雰囲気と酒を楽しむ予定だと説明した。ヒラクは酒を飲んだ後にプールへ入ることは禁止だと念を押し、自分はルーやティアに叱られるため参加を遠慮していた。

妖精女王と甘くないアイス

食後、妖精女王が甘くないバニラ味のアイスに怒って現れた。そのアイスは料理用に作られたものであり、妖精女王が勝手に持ち出したものだった。ヒラクは蜂蜜をかけて甘さを足し、妖精女王の機嫌を直したうえで、勝手に持ち出して怒るのはよくないと注意した。

遊戯場の試験営業継続

翌日、五ノ村の遊戯場は問題点や改善点が多く見つかったため、正式営業に移らず試験営業を続けることになった。ヒラクはその報告を受けながら、五ノ村の村議会場へ向かった。

魔王国軍制の講義

村議会場では、魔王国軍の参謀次長による軍制の講義が行われる予定であった。受講者はヒラクと、息子のリリウス、リグル、ラテであった。ヒラクは魔王とビーゼルから聞いてほしいと頼まれて参加したが、なぜ自分に軍制の講義を聞かせたいのか疑問を抱いていた。

グラッツの同席

会議室の端にはグラッツも同席していた。彼は素人質問を装いながら専門的な質問をする役を担うとのことであり、ヒラクは普通に質問すればよいのではないかと感じていた。

閑話 講義

参謀次長デリアンの役職認識

デリアンは魔王国軍で参謀次長を務める魔族の男であった。参謀次長という役職の実態は本人にも曖昧であり、魔王国には古の悪魔族や古代王国の役職名を真似た結果、実情と名称がずれた役職が多く残っていた。

魔王国における役職整理の難しさ

魔王国では役職の整理が古くから進められていたが、先祖代々名乗ってきた役職をやめさせることは揉め事につながるため、容易ではなかった。四天王のように位置付けが定まった例もあったが、参謀次長のように曖昧なままの役職も残っていた。

講義への立候補と目的

デリアンは五ノ村から魔王国軍の説明を求められ、講義役に立候補していた。その条件として大樹の村の村長に講義を聞いてもらうよう頼み、魔王とビーゼルの働きかけによって実現した。デリアンの真の目的は、村長にある事情を伝えることであった。

魔王国軍の二種類の軍

講義では、魔王国軍には正規軍と領軍の二種類があると説明された。正規軍は魔王国が募兵した軍で、第一軍から第二十九軍と近衛軍で構成され、総兵数は二百万を超えていた。ただし常時兵士として稼働しているのは近衛軍と第一軍から第三軍までであった。

領軍と兵数把握の問題

領軍は貴族や族長が自領や縄張りで徴兵した兵による軍であり、総兵数は三百万から五百万とされていた。しかし正確な数は把握されておらず、食料などの準備に大きな問題を生んでいた。

多種族国家ゆえの軍制上の困難

魔王国軍最大の問題は、多種族国家であることだった。リリウスは装備の統一が困難であること、リグルは移動速度の違い、ラテは文化の違いを挙げた。デリアンはそれらを肯定し、食事、睡眠、戦闘姿勢まで異なる種族をまとめる難しさを説明した。

交流を重視する魔王国軍の方針

多種族の軍を機能させるため、魔王国軍は徹底した交流を重視していた。指揮官たちと交流し、それぞれの文化や性格を理解したうえで適切に配置し、指示する必要があった。これは軍の幹部や上層部にとって重要な職務であった。

グラッツへの苦情

デリアンは村長に向けて、グラッツ将軍が家庭を大事にするという理由で指揮官たちの食事会や飲み会に参加しなくなっていると訴えた。それらは遊びではなく重要な交流の場であり、魔王国軍を最も上手く指揮できるグラッツが参加しないことは問題であった。

村長への伝達と目的達成

グラッツが村長に妻を大事にしろと言われたことを理由にしているため、デリアンはその事情を村長に伝えるために講義へ呼んだのであった。目的を果たしたデリアンは、講義をリリウスたちに向けて続けた。

講義後の変化

講義は無事に終了し、リリウスたちは好奇心旺盛に学んでいた。村長の説得により、グラッツは指揮官たちとの交流を再開するようになり、魔王国軍の指揮官たちにも喜ばれた。

グラッツの新たな行動

一方で、グラッツは以前にも増して貴族学園へ頻繁に通うようになった。デリアンはその理由を把握できず、妻を呼んでいるのかもしれないと考えながらも、秘密にする必要があるのか疑問を抱いていた。

7 新しいルート

五ノ村新道の必要性

五ノ村には、南西に進んでシャシャートの街へ繋がる五ノ村道があった。転移門設置前は唯一の外部交通路であり、現在も整備と拡張が続いていた。一方で、物流量の増加により転移門と五ノ村道だけでは対応しきれず、迂回路として五ノ村新道の建設が進められていた。

物流を支える新旧ルート構想

五ノ村新道は、物流を助けることを重視して作られており、五ノ村道より早くシャシャートの街へ到着できる可能性があった。そのため、将来的には人の移動を五ノ村新道、物の輸送を五ノ村道の鉄道や木道で担う構想が考えられていた。ただし鉄道や木道計画はまだ初期段階であり、五ノ村内の新木道計画のほうが優先されていた。

転移門増設の方針

転移門はルーが作ったものであり、材料があれば量産できた。ただし、対外的には遺跡から発見されたものとして扱われており、新設は難しいと思われていた。しかし魔王は、魔王国の経済活性化のため、転移門を少しずつ増やしてもよいと判断した。

六竜神国への新ルート

魔王は、魔王国王都の西にある要塞と六竜神国を繋ぐ転移門の設置を急いで求めた。魔王国の対外交渉を六竜神国に任せる以上、密な連絡が必要であり、混代竜族が頻繁に飛来する負担も減らす狙いがあった。防衛上の理由から設置場所は王都ではなく要塞となり、一方通行の行き用と帰り用の二組が求められた。

五ノ村とシャシャートの街の追加転移門

ヨウコとミヨは、五ノ村とシャシャートの街を繋ぐ転移門の追加設置を求めた。既存の転移門はシャシャートの街の北側にあったため、新たに東側にも設置したいという要望であった。こちらも一方通行の行き用と帰り用の二組が準備されることになった。

大樹の村関係者用の転移門

大樹の村関係者専用の転移門は、大樹の村のダンジョンから温泉地と五ノ村のヨウコ屋敷へ繋がっていた。さらに、ヨウコ屋敷から五ノ村の麓にある洋菓子店フェアリーフェアリの地下にも繋がった。

学園地下への極秘転移門

ヨウコ屋敷から魔王国王都の学園内にあるアルフレートの家の地下にも、かなり前から極秘に転移門が設置されていた。ルーが学園へ行ったアルフレートを心配し、非常時に逃げ帰れるよう設置したものであったが、その存在はアサ、アース、メットーラだけが知っていた。

グラッツ問題の解決

グラッツはロナーナとの時間を大事にするあまり職務が疎かになっていた。原因はシャシャートの街と五ノ村を繋ぐ転移門の渋滞であり、会える時間が減ったことで仕事よりも移動を優先していたためであった。そこで学園と五ノ村を繋ぐ極秘転移門の利用が許可され、グラッツは学園へ行けばロナーナに会えるようになった。

ルーへの説教と転移門の実態

ヒラクはアルフレートを心配したルーの気持ちは理解しつつも、勝手に転移門を設置していたことについて軽く説教した。また、ルーの転移門は短距離用と思われていたが、距離の問題はすでに解決されており、対外的な危険性から公表していなかったことが明らかになった。

グラッツ専用宅への移設

アルフレートの家の地下にある転移門は、毎日使うには不便であり、毎日来られても迷惑であった。そのため、学園の敷地内に学生の家という名目でグラッツの個人宅が建てられ、転移門はそちらへ移動することになった。門番としてザブトンの子供たちも数匹派遣されることになった。

8 要塞とギスカール将軍

要塞への同行

ヒラクは六竜神国と繋ぐ転移門の設置場所を確認するため、魔王国王都の西にある要塞へ向かった。案内はビーゼルが行い、ルーとティア、護衛のガルフ、ダガ、レギンレイヴも同行していた。

ガルガルド要塞の実態

ガルガルド要塞は魔王国最大の防衛拠点であったが、ヒラクが想像していた石造りの武骨な要塞ではなく、大きな街のような補給基地であった。実際の要塞機能はさらに先の山間に点在しており、この場所は兵士たちの補給や休息を支える後方拠点であった。

ギスカール将軍との対面

要塞に到着したヒラクたちの前に、完全武装の一隊が現れた。その代表であるギスカール将軍は、要塞に駐屯する軍の総指揮官であり、要塞長も兼任していた。彼はヒラクにどうしても挨拶したいとして、正門通過の許可を出す条件にしていた。

人文字による陳情

ギスカール将軍の合図により、兵士たちは人文字を作った。その内容は、要塞と王都を繋ぐ転移門がほしいというものや、美味しい店を開いてほしいという要望であった。ビーゼルは陳情を控えるよう言っていたと怒ったが、ギスカール将軍は訓練の成果だと主張した。

軍幹部たちの苦労

人文字を作っていたのは一般兵ではなく、最低でも百人を率いる部隊長たちであった。ギスカール将軍は、末端の兵士では周囲との協調が必要な動きができないと説明し、ビーゼルも魔王国軍の大変さを前に言葉を失っていた。ヒラクは陳情を受け取り、検討することにした。

挨拶希望者との騒動

ヒラクが人文字を見ている間に、ガルフ、ダガ、レギンレイヴが兵士たちと立ち回っていた。兵士たちはヒラクの強さを確かめようとしていたが、護衛たちが自分たちに勝ってからにしろと対応していたためであった。結果として、兵士たちとの挨拶はまたの機会となった。

転移門設置予定地の確認

一行は要塞の正門を抜け、少し進んだ平地に移動した。そこは要塞から見張れる位置であり、転移門の警備所や管理者の宿舎、食堂、荷物の一時保管倉庫などを設置する予定であった。管理は魔王国側が担うため、ヒラクは基本的に任せることにした。

悪魔の顔の要塞

ヒラクは要塞の正面に巨大な悪魔の顔が作られ、正門がその大口になっていることを気にした。ビーゼルは建築担当者が芸術家肌だったと説明し、要塞内部からは見えないため使用者は気にしないことにしたと語った。敵がここまで来たことはなく、威圧効果もまだ発揮されていなかった。

無駄遣いへの苦笑

近くの別の要塞は普通の城壁であり、悪魔の顔の意匠は予算面でも特別なものであった。ビーゼルは予算を無視しない良識はあったが、無駄遣いをしない良識がほしかったと語り、ヒラクもそのデザインが無駄遣いだったことを察していた。

閑話 ギスカール将軍

村長一行の見送りと部下への確認

ギスカールはヒラク一行を見送った後、部下たちに村長の実力についての感想を求めた。しかし返ってきたのは人文字の出来や訓練内容についての話ばかりであり、事前に語っていたはずの実力確認の話題は完全に忘れられていた。呆れたギスカールは叱責しようとするが、部下たちは逃げ出した。

将軍としての苦悩と副官との会話

夜、指揮官屋敷に戻ったギスカールは副官と会話し、今回の件を振り返った。魔王やブリトア侯、クローム伯から村長との敵対を避けるよう警告されていたため、本来は関わらないのが最善であった。それでも部下たちの要望と自身の興味から挨拶の場を設けた経緯を語った。

騒動回避のための計画

ギスカールは、戦いを望む部下たちに村長の存在を示すことで無用な騒動を抑える意図があったと明かした。本来は手合わせを通じて実力を見せつける計画であったが、状況を見て即座に陳情へと方針を変更した。吸血姫ルールーシーや殲滅天使ティアが同行していたことが、その判断の決定打となった。

村長とその周囲への認識

村長が神代竜族を妻に持つ存在であるという話を事実と認識し、さらに実際に目にした同行者たちの実力から、単独での戦闘は不可能と判断していた。護衛のガルフ、ダガ、レギンレイヴの実力も非常に高く、軍としても対処が難しい戦力であると評価した。

部下たちの反応と実戦能力の差

事前に強気だった幹部たちは、村長の異質さを察して即座に態度を変え、陳情という形で対応した。一方でそれを理解できない末端兵は勝負を挑み、護衛に打ち倒されていた。この差により、軍内部の力量差も明確となった。

軍縮と将来への不安

副官との会話では、今後の軍縮についても言及された。戦争終結により軍の規模は縮小される予定であり、兵士たちの処遇や再配置が課題となっていた。ギスカール自身や副官は継続して軍務に就くことが決まっているが、将来への不安は拭えなかった。

転移門設置への期待

ギスカールは王都と要塞を繋ぐ転移門の設置を陳情しており、副官もそれに大きな期待を寄せていた。長期間王都へ戻れない状況が続いていたため、転移門は生活環境の改善に直結する問題であった。

過去の失敗と現在の願い

過去に転移手段を断ったことで帰還に苦労した経験も語られ、その反省から転移門設置への願いはより強いものとなっていた。副官からも強く後押しを求められ、ギスカールはブリトア侯への働きかけを決意する。

将軍としての自覚と限界

ギスカールは将軍としての立場を持ちながらも、自身一人でできることの限界を認識していた。副官の支えの重要性を改めて感じつつ、問題解決のために上層部への協力を求める姿勢を示していた。

閑話 逃げる姫

逃亡する第三王女の現状

ゴズラン王国の第三王女は、国の敗北により捕縛を避けるため逃亡していた。同行者は四十九人に及び、通常より大人数での移動であったが、それは非常事態ゆえであった。行き先は定まっておらず、不安を抱えたまま見知らぬ森を進んでいた。

逃亡先の選択困難

逃亡先として祖父の出身国であるイジー王国が候補に挙がっていたが、過去の経緯から受け入れられない可能性が高く、却下された。また、大国であるユーノデンナ王国も、保護する利益が乏しいため、受け入れられず敵国へ引き渡される危険があった。結果として、逃亡先は決められないままの状況であった。

疲労による倒れ込みと療養

過酷な逃亡生活により第三王女は倒れ、小さな村の空き家で療養することになった。徒歩や騎乗による移動が続いたことが原因であり、体力の限界に達していた。療養中も資金や同行者の生活を案じる思考が止まらず、精神的にも追い詰められていた。

同行者の分散と再集合計画

目覚めたときには同行者が減っていたが、見捨てられたのではなく、目立たぬよう分散行動を取った結果であった。最終的には港のある大きな街で再集合する予定が立てられていた。これにより逃亡継続の体制が維持されていた。

治療薬の入手と情報提供

第三王女の回復には高価な治療薬が使われていたが、それは通りかかった冒険者の助力によるものであった。同行者はその対価としてゴズラン王国および周辺国の情報を提供していた。王女は一時的に機密漏洩を懸念したものの、国が既に滅びている現状から重大な問題にはならないと判断した。

冒険者との面会決意

事情を理解した第三王女は、治療を施してくれた冒険者へ礼を述べるため面会を決意した。相手は若い女性三人組であり、比較的話しやすい存在であると安心する。そして、その代表者の名がティゼルであることを知るに至った。

〔二章)飛行船

1 広い世界

六竜神国への転移門設置

魔王国の要塞から六竜神国へ繋ぐ転移門の設置は、早々に完了していた。六竜神国側は最初から転移門設置を想定して準備しており、ルインシァは念のため用意していたと説明した。一方、要塞と王都を繋ぐ転移門は、防衛上の問題があるため、まだ魔王たちの判断待ちであった。

六竜神国の街と城の整備

六竜神国ではギィーネルの城の近くに大きな街が作られていた。建設には黒黒が尽力し、混代竜族たちが一族単位で人員を送り、ダルフォン商会やゴロウン商会も宿や商店を開いていた。城の内部も竜の姿で謁見できるよう改修され、六頭の竜が並ぶ荘厳な謁見の間が整えられていた。

謁見の圧迫感と調整

ヒラクはギィーネル、メットーラ、オージェス、ハイフリーグータ、キハトロイ、トーシーラが竜の姿で並ぶ様子を見て、謁見者には強い圧迫感があると感じた。実際に謁見に来た者たちは腰を抜かして話にならず、竜の姿ではなく絵にする案も考えられていた。

トーシーラの来訪と帰還

トーシーラはメットーラの様子を見に来ていたが、妊娠を期待する態度が強く、ヒラクは新婚の二人をそっとしておくよう注意した。メットーラからも頼まれ、ヒラクはトーシーラを連れて帰り、ライメイレンにも報告することにした。

ティゼルの国作りの完了

六竜神国が独自に動き出したことで、ルインシァはティゼルの国作りが完了したと判断した。ティゼルを支えていた者たちの多くは六竜神国で役職を得て働くことになり、一部の学生も留学扱いで残ることになった。

ティゼルの旅立ち

ティゼルは人間の国へ旅立った。同行者はイースリーとエカテリーゼであり、人間の国出身であることも選ばれた理由であった。ヒラクは旅に反対したが、ティアが娘たちを使って説得し、最終的に押し切られた。ザブトンの子供が密かに護衛していると知りつつも、ヒラクは心配していた。

アルフレートの遊学

ティゼルの旅立ちを見たアルフレートも旅を望み、ルーを味方につけてヒラクを説得した。結果として、アルフレートは始祖の国へ遊学することになった。同行者はいないが、現地ではフーシュが面倒を見ることになり、ヒラクは息子を信じようとしながらも不安を抱いていた。

ウルザの魔王国旅行

ウルザも旅に出た。同行者はアサ、アース、ドロシー、レオノラ、ロキナであり、行き先は人間の国ではなく魔王国であった。戦える場所を求めるような発言にヒラクは不安を覚えたが、ハクレンとザブトンの許可も得ていたため、送り出すしかなかった。

旅立ちの条件と残された者たち

三人の旅は無期限ではなく、長くても三年以内に一度戻ること、半年に一度は生存報告をすることが条件とされた。アルフレートたちが旅立ち、王都の学園にはトライン、マア、キアービットだけが残る形となったため、ヒラクは文官娘衆に様子を見に行ってもらおうと考えた。

2 王都のオークション

王都への移動と落札し隊への合流

ヒラクはオークション最終日の昼、グラッツが使う転移門で王都へ向かった。王都ではトライン、キアービット、マアの様子も確認し、その後プラーダをリーダーとする《落札し隊》と合流した。

落札し隊の成果

《落札し隊》は初日から参加し、入札形式では一部を逃したものの、競売形式では狙った品をほぼ全て落札していた。兵装関連は二十二点落札され、用途を知らない者には価値がわからなかったため、ほぼ底値で入手できていた。ヨルはその価値を理解されないことに怒ったが、整備すれば使用可能だと胸を張った。

王国戦士関連の落札

ベルは人工生命体である王国戦士関連の品を六つ落札していた。これらは兵装より高額なものもあり、確実に落とすために入札形式で高めの金額を入れていた。動かすには調査が必要であり、慎重な対応が求められていた。

魔王側の調整

今回のオークションには、魔王による貴族への資金援助という側面があった。そのため、ヒラクたちは事前に欲しい品のリストを魔王へ渡し、資金援助用に不自然に高くなる品とは分けて扱われていた。魔王が関与する品には目立たない印があり、異常な高値が付いた場合は取引中止になる仕組みも用意されていた。

プラーダの暴走とブレーキ役

ブルガとスティファノは、プラーダのブレーキ役として苦労していた。ヒラクは二人の働きをラナノーンやククルカンに伝えると約束し、機嫌のよいプラーダを見ながら、最終日も気を抜けない状況を受け止めていた。

シークレット商品の予感

プラーダがヒラクを呼んだ理由は、最終日に急遽追加されたシークレット商品が出るためであった。期日後に貴族が無理やり持ち込んだ品であり、事前確認ができていなかった。プラーダは期待は薄いとしながらも妙な予感を覚え、ヒラクに判断を仰ぐため呼んでいた。

オークション襲撃

オークションがほぼ終わった段階で、三十人を超える襲撃者が現れた。狙いは出品物であり、会場各所で戦闘が発生した。ヒラクはガルフ、ダガ、レギンレイヴに守られて避難し、フラウ、マルビット、ベル、ヨルも無事であった。

プラーダの迎撃

プラーダは美術品が傷つくことに怒り、襲撃者を迎撃した。ブルガとスティファノも援護に入り、捕まった三十三人のうち二十七人をプラーダが倒し、二人が捕縛した。落札品は無事であり、ゴロウン商会とダルフォン商会から強く感謝された。

逃げた襲撃者との遭遇

オークション会場から学園の敷地内へ戻ろうとしたヒラクたちの前に、逃げた襲撃者の一人が現れた。男は交戦の意思を示さず、ベルとヨルに話があると訴えた。彼はベルとヨルを王族守護者フォーグマと呼び、自らをキッシンリーと名乗った。

ベルとヨルの敵意

キッシンリーの名を聞いたベルとヨルは強い敵意を見せ、殺害や試射の的にすることまで口にした。キッシンリーは交戦の意思はなく、利益のある話だと弁明したため、ヒラクは話を聞くことにした。不審者を学園に入れるわけにはいかず、フラウの提案でビーゼルの屋敷を借りることになった。

3 キッシンリーの事情

ビーゼル邸への来訪

ヒラクたちは夜中にビーゼルの屋敷を訪れ、急な来訪を詫びた。ビーゼルはプギャル伯との面会が相手の体調不良で終わったため問題ないと答え、ヒラクたちを来客用の離れへ案内した。

キッシンリー夫妻の自己紹介

逃げた襲撃者は、自分がエイプリー=キッシンリーであり、隣の女性が妻のメイ=キッシンリーだと名乗った。キッシンリーは一族名であり、ベルたちフォーグマと同じ人工生命体に関わる存在であった。

フォーグマとキッシンリーの因縁

ベルは、フォーグマ一族が王族守護者として作られた存在であり、キッシンリー一族は王国執政官として作られた存在だと説明した。キッシンリー一族は最終的に王族から政権を奪い、さらにフォーグマ一族を太陽城に押し込め、予算を削ったため、ベルたちにとって許しがたい相手であった。

エイプリーたちへの敵意

説明を聞いたフォーグマたちはエイプリーを囲み、強い敵意を示した。ヒラクは話が進まないため彼女たちを止め、マルビットやフラウにも協力を求めながら場を落ち着かせた。

娘の記憶体を巡る事情

エイプリーは、オークション襲撃の目的が自分たちの娘の記憶体を取り戻すことだったと語った。キッシンリー一族は普段は記憶体で生活しており、その見た目が美しいオブジェであるため、貴族の息子が娘の記憶体を勝手に持ち出してオークションへ出品してしまったのであった。

支援者たちの暴走

エイプリーたちは村の住人に支えられながら生活しており、その住人たちからは神のように扱われていた。娘の記憶体を取り戻そうとしたが競り負け、支援者たちが激高して襲撃に発展した。エイプリーとメイは交戦目的ではなく、娘の奪還を求めていた。

貴族領での事件とのつながり

エイプリーたちは三日前に領主屋敷を襲撃しており、それはビーゼルがプギャル伯と話していた事件と一致していた。娘の記憶体はすでにオークション会場へ運ばれており、彼らは貴族の息子が持っていた紹介状を使って会場へ入っていた。

魔王国側の判断

ビーゼルは、話が事実であれば貴族側を庇う理由はなく、処罰や取り潰しの対象になると見解を示した。プギャル伯も部下に厳しいため、関係者を庇うことはないと説明された。

整備槽との交換条件

エイプリーは娘の奪還に協力してくれるなら、整備槽を渡すと提案した。整備槽はフォーグマたちにも価値のある品であり、今では手に入らないものだった。

落札者の正体

娘の記憶体を落札したのは、子供を二人連れた若い婦人だとエイプリーは語った。ベルは力で奪うつもりか確認したが、ヒラクは物騒な行動を止めた。落札者はライメイレンであり、ヒイチロウとグラルの頼みによるものだったためである。

4 キッシンリーの後始末

娘の記憶体の返還見通し

エイプリーたちの娘の記憶体は、事情を説明すればヒイチロウやグラル、ライメイレンから返してもらえる見込みとなった。代わりの品は必要になりそうだったが、力で奪還する必要はなくなった。

エイプリーたちの身柄と裁き

エイプリーとメイの身柄はビーゼルに預けられた。事情に同情の余地はあったが、オークション会場を襲撃した罪は問われるため、魔王国の裁きを待つことになった。ビーゼルは、領主の不正を訴える体制は本来存在すると説明した。

フォーグマたちの関心

キッシンリー夫妻と支援者たちについては、ミヨを中心にフォーグマたちが強い関心を示していた。整備槽については太陽城に十分あるため不要だったが、記憶体に入った人工生命体への対応では、今後協力できる可能性があると判断された。

移動手段への疑問

ベルは、キッシンリー夫妻の村から王都までの移動が早すぎる点に注目した。五ノ村やシャシャートの街の転移門を使ったとしても、何らかの別の移動手段がある可能性があり、ヒラクはその点も聞くことにした。

大樹の村への帰還

話がまとまり、ヒラクたちは深夜にビーゼル邸から学園の転移門を経由して五ノ村へ戻った。落札品は後日ゴロウン商会から引き渡される予定であったが、エイプリーたちの娘の記憶体はライメイレンたちがすでに回収して大樹の村へ持ち帰っていた。

グラルからの回収

記憶体は透明な涙型の魔水晶であり、グラルが抱えて眠っていた。ヒラクは言い出しづらく、ハクレンに助けを求めた。翌日、記憶体はグラルからヒイチロウへ、さらにヒイチロウからヒラクへ返された。

代わりの品作り

ヒイチロウは記憶体の代わりにブローチを手作りしたいと申し出た。ヒラクは材料や道具を用意し、ガットに手順を教えてもらうよう頼むことにした。さらに、世話になっている者たちや母親の分も忘れないよう助言した。

記憶体の返還

日を改めて、ヒラクはフラウや護衛たちと王都へ向かい、ビーゼル邸で軟禁中のエイプリーたちに娘の記憶体を渡した。エイプリーたちは大いに喜び、ヒラクも無事に返せたことに安堵した。

処罰の軽減理由

ビーゼルは、エイプリーたちや支援者の罪はあるが、罰は軽い労働刑になる見込みだと説明した。領主の息子が親を思って行動した経緯や、領主が子を庇ったこと、プギャル伯や商会側の減刑嘆願により、事件は大事にされない方向となった。

領主親子への処分

領主親子には罰金と一部領地の没収が科される見込みであり、その没収対象にはキッシンリー夫妻の村も含まれていた。ナーシィとの関係は表向き無関係であり、関係者にも怪我はなかったため、ヒラクは魔王国の判断に任せることにした。

フラウとのやり取り

ビーゼルが関係各所への調整に向かった後、フラウは父が自分よりフラシアに構っていることに不満を見せた。ヒラクはそれをなだめつつ、急いで帰らずエイプリーたちからさらに話を聞くことにした。

5 エイプリーたちの移動手段

キッシンリー一族の現状

ヒラクはエイプリーたちに、キッシンリー一族の現状を尋ねた。エイプリーは、自分と妻のメイ、娘のカレンの三人だけだと答え、他の一族は反乱の際に散り散りになったため所在不明だと語った。

家族という設定と愛情

エイプリーたちは人工生命体であり、有機体には子を産む機能もあるが、現在の親子関係は設定であった。それでもエイプリーは、メイを妻、カレンを娘として愛しており、その関係を大切にしていた。

整備槽への期待

メイがあまり話さない理由は、有機体の調整不足であった。キッシンリー側の整備槽は老朽化しており、エイプリーはフォーグマたちの正常な整備槽を借りられないかと望んでいた。ヒラクは、タイミングを見て口添えすると答えた。

飛行船という移動手段

ヒラクが王都までの移動手段を尋ねると、エイプリーは飛行船を使ったと明かした。飛行船は気嚢に軽い気体を入れて浮遊し、魔石動力で推進する空飛ぶ船であった。ただし整備不足で不時着し、五ノ村から一日ほどの場所に隠されていた。

飛行船の発見と回収

ヒラクは飛行船を見に行き、三つの気嚢を持つ実物に感動した。左側の気嚢は萎み、動力部には火災の焦げ跡があり、自力で飛べない状態であった。ヒラクはハクレンに頼み、飛行船を大樹の村の競馬場へ運んでもらった。

飛行船の譲渡

飛行船は、エイプリーたちが修理も回収もできないため、娘の記憶体を取り戻した報酬としてヒラクが受け取ることになった。ヒラクはもらいすぎだと感じ、今後のエイプリーたちの生活を支援するつもりでいた。

万能船への説明

大樹の村に戻ると、万能船は飛行船の存在に拗ねていた。ヒラクは飛行船を万能船の妹だと説明し、万能船の機嫌を直した。その後、万能船は早く修理するよう圧をかけつつ、重機のように修理を手伝うようになった。

飛行船修理の開始

修理の総指揮はベルが担った。飛行船は元々王族の持ち物だったらしく、装飾やエンブレムが外されていたため、ベルは哀れに思いながら修理に意欲を燃やした。ルー、ティア、ハイエルフ、山エルフ、天使族も協力し、ヒラクも飛行する姿を見るため手伝っていた。

山エルフたちの研究意欲

山エルフたちは壊れた動力部を分解し、未知の構造に強い興味を示した。部品の木製複製をヒラクに頼み、研究に活用しようとしていた。さらに、修理後には自作の飛行船を作りたいと語り、ヒラクも期待を寄せていた。

6 新しい美術館と落札品

新美術館の建設と特徴

五ノ村の麓に、新たな美術館が建設された。広大な展示室に加え、その倍の広さの展示準備室、さらに十倍の規模を持つ倉庫が整備されていた。空調は魔道具によって常に最適な状態に保たれ、大型作品の搬出入にも対応できる設備が整えられていた。

旧美術館の問題点と改善経緯

従来の美術館は展示室こそ立派であったが、搬出入の不便さや準備室の狭さ、倉庫不足といった問題を抱えていた。また劇場併設により騒音が発生し、無料開放の影響で休憩目的の来館者も多かった。これらの問題を受け、プラーダの提案をもとにヨウコが新設を決断した。

プラーダの館長就任

完成した新美術館の館長にはプラーダが任命された。プラーダは深く感謝し忠誠を誓ったが、ヒラクは予算管理や人員統率の責任を強調した。スタッフ採用や展示企画もプラーダに一任され、自由度の高い運営が認められた。

運営方針と文化保護

観覧料は無料ではなく最低限の料金を設定し、維持費に充てる方針が示された。建物の修繕費は五ノ村が負担し、人件費は裁量に委ねられるが監査も行われる。さらに芸術家や文化の保護は村として積極的に進める方針が示された。

美術館の命名と体制

新施設は《プラーダ美術館》と名付けられ、既存の《五ノ村美術館》は別館扱いとなった。展示企画の主導も新美術館に移され、機能分担が明確化された。

スタッフ招集と古の悪魔族

プラーダは館長就任後すぐに人材集めを開始し、古の悪魔族の知人たちにも声をかけた。フリーの古の悪魔族の存在にヒラクは驚きつつも、管理はプラーダに任せることにした。

開館準備と落札品の到着

美術館は完成したものの展示物不足のため開館は延期された。その後、オークションで落札した品が大量に搬入され、展示準備室を埋め尽くした。

落札品の確認と整備槽

ヒラクはベルとともに落札品の確認に向かった。王国戦士関連の品の中には整備槽も含まれていたが、破損しており修理や部品取りが前提となっていた。フォーグマの整備槽はそれより高性能であることも明らかとなった。

武装の仕様とヨルの反応

武装の一部は内部に入って操作する形式であり、安全装置として手動操作が採用されていた。ヨルは武装の不具合を発見し激怒し、呪いを放とうとしたが、ベルによって無効化され、自らが被害を受ける結果となった。

落札品の整理作業

最終的にヒラクはベルと共に、膨大な落札品の確認と仕分けを進めていった。

7 どこに運ぶ?

落札品の移送先

オークションの落札品のうち、四ノ村の武装と王国戦士関連、ルーやティアが頼んだ品は大樹の村へ運ぶことになった。それ以外の品は、しばらく《プラーダ美術館》の倉庫に置かれることになり、プラーダには展示への使用も許可された。

ヨルの悩みと温泉地への搬入

四ノ村の武装について、ヨルは四ノ村に戻すか温泉地へ運ぶかで悩んでいた。温泉地では死霊騎士やライオン一家、アシュラたちと連携して戦える環境があり、武装を使う機会も多かったため、最終的に温泉地へ運ぶことを決めた。

ベルの管理方針

王国戦士関連の品は、ベルの提案により四ノ村で管理されることになった。ただし、キッシンリーの村に飛行船関連の品が残っている可能性については、エイプリーたちの処罰が確定してから確認する方針となった。先に動くと、品を差し出さなければ罪が重くなるという誤解を生むためであった。

整備槽の貸し出し

ヒラクはメイのために四ノ村の整備槽を使わせてほしいとベルに頼んだ。ベルは同意したが、キッシンリーを四ノ村に入れることで整備槽内の者たちが暴れる危険を考え、整備槽を五ノ村へ運んで使わせることにした。

飛行船への期待

飛行船についてドースに確認すると、万能船のような規制は不要だとわかった。他国では飛行船がそれなりに使われているが、古い時代のものを使い回しているだけで、現在実用されているのは十隻ほどであった。

ヒイチロウの興味

ヒイチロウは飛行船に強い興味を持っていた。ライメイレンは一番乗りを望んだが、ヒラクは安全確認や他の子供たちとの公平性を考え、許可しなかった。ヒイチロウはその代わり、記憶体の代替としてブローチ作りを進めていた。

エイプリーたちの処分

ビーゼルは、エイプリーとメイ、その支援者たちの処分が正式に決まったと報告した。全員が労働刑となり、エイプリーとメイはミヨの管理下でシャシャートの街で働き、支援者たちは元の村に戻って税を納めるため働くことになった。

村の直轄領化

エイプリーたちの村は、問題を起こした領主から没収され、魔王国の直轄領扱いとなった。ただし代官や文官を派遣する余裕はなく、管理は引き続き元の領主が代理で行うことになった。税はすべて魔王国へ納めるため、領主には面倒だけが残る形となった。

整備槽の設置場所

処分決定後、エイプリー、メイ、カレンは五ノ村で整備槽を使うことになった。整備槽は《プラーダ美術館》の倉庫に設置され、防犯性と広さを理由に選ばれていた。メイには十日ほど、エイプリーには一日ほどの整備が必要とされ、カレンは様子を見ながら整備する方針であった。

飛行船航路の構想

ミヨは、修理した飛行船の航路としてシャシャートの街に発着場を作る案を出した。ヨウコからは五ノ村発の案、文官娘衆からは大樹の村発でハウリン村や周辺村を巡る物々交換船の案も出ていた。ヒラクは修理した飛行船ではなく、新造する飛行船なら対応できる可能性があると考え、山エルフたちの意欲に期待していた。

8 全天候型拠点防衛砲

ヨルの武器庫監査

ヒラクはヨルの私物倉庫を監査するため、温泉地へ向かった。倉庫には連鎖式爆炎弾や連鎖式氷結弾、投石機、バリスタなどが整然と保管されており、ヨルが自作したものも含まれていた。

投石用の石への愛着

厳重なロッカーの中には、投石機用の石が丁寧に保管されていた。それぞれにクッションが敷かれており、ヨルが強い愛着を持っていることがわかった。ヒラクは取り上げることなく、きちんと保管するよう伝えた。

温泉地の防衛状況

ヒラクは温泉に入った後、死霊騎士、ライオン一家、アシュラたちと交流した。温泉地には魔獣や魔物の襲撃がそれなりにあるが、クロの子供たちやザブトンの子供たちが定期的に追い払っており、防衛体制は機能していた。

ダイダロスの試射準備

本命は、オークションで落札して温泉地に運び込まれた太陽城の武装の確認であった。多くは故障していたが、ヨルは一つだけ動くようにしていた。それが、人が乗り込める球体型の武装、全天候型拠点防衛砲ダイダロスであった。

試験射撃の開始

ヒラクの許可を受け、ヨルはダイダロスに乗り込み試験射撃を開始した。ヒラクは左右の砲から一発ずつ撃つ程度だと思っていたが、実際には数分間にわたり左右の砲身から実弾が連射された。轟音と振動は凄まじく、若いクロの子供たちが慌ててヒラクを取り囲むほどであった。

威力と命中精度

ダイダロスの弾は土手を大きく削り、何発かは森に飛び込んで魔獣や魔物を騒がせた。しかし目標の木製の的は綺麗に残っていた。ヨルは、ダイダロスは遠距離目標に対して複数機で弾をばら撒く運用が本来であり、近距離の命中精度は重視されていないと説明した。

ヨルの感動と弾薬事情

射撃後、ヨルは感動のあまり気を失っていた。弾はすべて撃ち尽くしていたが、ヨルは石を削った弾頭と四ノ村の缶詰工場で作る薬莢、火薬や仕掛けを組み合わせれば再製造できると説明した。ヒラクは弾薬や材料の管理を徹底するよう注意した。

内部確認と排熱問題

ヒラクはダイダロスに乗ってみたいと希望したが、射撃後の内部は排熱で高温になり、さらにヨルの汗の臭いが残っているため後日にすることになった。本来は排熱処理や空調用の魔道具があったが、取り外されていた。

今後の試射への不安

ヨルは次の試射までに大量の弾を用意し、ほかの武装も修理して撃たせたいと意気込んだ。ヒラクは威力を事前に確認する必要を感じたが、ヨルは土手を削るような武装ばかりだと平然と答えた。ヒラクは試射の約束が早すぎたかもしれないと感じていた。

9 修理した飛行船

飛行船の修理完了と試験飛行

飛行船の修理は順調に完了し、試験飛行でも問題なく浮いていた。最初に乗ったのはルー、ティア、天使族たちであり、万が一の際に自力で飛べる者が選ばれていた。山エルフたちは乗れないことを残念がったが、ヒラクは安全確認後に順番に乗せると説明した。

飛行船の構造

修理された飛行船は、大きな気嚢を左右の小さな気嚢で挟む構造であった。客室部は四層に分かれ、一層目に操縦室や機関室、二層目に特別客室と一等客室、三層目に二等客室と調理室、四層目に貨物室があった。着陸時にも完全には地面に降りず、数メートル浮いた状態を保っていた。

浮遊ガスの仕組み

飛行船を浮かせているのは浮遊ガスであり、羽魔水晶に特殊な魔法薬をかけて生成されるものだった。毒性や可燃性はなく安全だが、気嚢には特殊な処理を施した容器や配管が必要であり、整備には専門的な知識が求められた。

今後の用途検討

ルーは二等客室を潰すかどうかをヒラクに尋ねたが、ヒラクは飛行船を客船、観光船、交易船のどれとして使うかを決めてから判断するとした。運行には最低でも航法士、操舵士、機関士が必要であり、用途によって客室乗務員、料理人、医療スタッフ、護衛も必要になると確認された。

万能船の見守り

試験飛行中、万能船はずっと横を飛んでいた。ヒラクは飛行船が心配で見守っているだけだと説明したが、ルーは今後の運用時にもついてくるのではないかと心配した。万能船が船長トウの言うことを聞かない問題もあり、ヒラクが直接話すことになった。

新造計画の課題

飛行船の新造は技術的には可能だったが、浮遊ガスを作るための特大サイズの羽魔水晶が大きな問題であった。特大サイズの羽魔水晶は希少であり、消耗品でもあるため、安定入手できなければ修理済みの飛行船すら十分に運用できなかった。

羽魔水晶の入手難

ゴロウン商会やダルフォン商会にも特大サイズの羽魔水晶の在庫はなく、入荷も未定だった。ドースから購入した分は試験飛行に使われたが、代金としてヒイチロウが作るブローチの数が増えてしまい、ヒラクは申し訳なく感じていた。

新たな浮遊方法の研究

ヒラクは特大サイズの羽魔水晶の採掘場所を探すか、浮遊ガスに代わる方法を研究する必要があると考えた。ルーは多忙のため研究を引き受けられなかったが、代わりにシャシャートの街のイフルス学園へ依頼する案を出した。

研究依頼の考え方

ヒラクは研究費として金貨百枚を出そうとしたが、ルーは最初から相場を超える金額を出すのは逆効果だと説明した。研究者は金で動くというより、自分のやりたいことを優先するため、まず必要額に近い費用を出し、成果に応じて追加報酬を渡す形がよいと助言した。

[三章]採掘跡

1 プラーダの地図

古い地図の持ち込み

プラーダは、王都のオークションで落札した古い地図を大樹の村へ持ち込んだ。その地図は実用性こそ乏しかったが、異文化的な意匠があり、ザブトンの子供たちやハイエルフたちから好評であった。

資源分布図の発見

ヒラクは地図の装飾ではなく、鉱物の埋蔵情報に注目した。地図には風魔水晶や炎魔水晶などに加え、羽魔水晶の採掘予想量も記されていた。大規模な羽魔水晶の埋蔵地が示されており、飛行船運用に必要な資源として期待が生まれた。

ドノバンとエルメの解読

ヒラクはドノバンを呼んで地図を確認させたが、地図は非常に古く、国名も縮尺も現在のものとは違っていた。そこでドノバンはエルメを呼び、エルメは地図が大樹の村の北東方面を示し、廃墟となった街エッデリ周辺を含むものだと読み取った。

エッデリ周辺との判明

エッデリは以前アンデッドが大量発生した場所であり、キアービットたちが討伐した地域でもあった。地図の位置関係から、羽魔水晶の埋蔵地は大樹の村から北東へ向かい、エッデリからさらに進んだ場所だと判明した。

プラーダへの感謝

エルメは、プラーダが地図を詳しく読めなかったわけではなく、大樹の村に役立つと判断して持ってきたのだろうと語った。ヒラクは改めてプラーダに礼を言うことを決めた。

採掘権の確認

試掘するには採掘権の確認が必要であった。フラウはエッデリ周辺がかつて魔王国軍に接収され、どこかの貴族に渡された地域だと説明したが、詳細はわからなかった。

プギャル伯爵からの許可

ちょうど訪れたビーゼルに確認すると、エッデリ周辺の権利者はプギャル伯爵であると判明した。ビーゼルはすでにプギャル伯爵から委任状を預かっており、採掘権と採掘物の所有権はすべてヒラクに渡されることになっていた。

試掘の準備

採掘権の問題が解決したため、ヒラクはハウリン村に採掘人員を頼むことを考えた。現地への移動には修理した飛行船を使う予定となり、ヒラク自身も飛行船に乗って向かうことを楽しみにしていた。

2 試掘旅行の準備

地図の説明と試掘計画

ヒラクは夕食後、各種族の代表にプラーダの地図を説明し、ハウリン村の採掘人員を借りて試掘に行く計画を話した。移動には飛行船を使い、ヒラク自身も同行するつもりであった。

希少鉱物への注目

ルーは地図に羽魔水晶だけでなく、剣魔水晶、銀魔水晶、炎魔水晶、獣魔水晶といった希少鉱物が記されていることに注目した。ティアやマルビットも重要性を理解し、羽魔水晶以外の鉱物も試掘対象に含めるべきだと判断した。

鉱物の危険性と価値

剣魔水晶は軍事利用されるほど重要であり、銀魔水晶は平民が貴族になれるほど貴重であった。炎魔水晶は魔法使いにとって憧れの素材であり、獣魔水晶は獣人族の信仰対象にもなるほど大切な鉱物だった。そのため、放置できない資源として扱われることになった。

飛行船の人員構成

飛行船は八十人まで乗れるため、ハウリン村から採掘人員十人を借りることになった。運行には山エルフ九人、料理人として鬼人族メイド三人、補佐としてリアを含むハイエルフ五人が同行することになった。

護衛と現地対応

ヒラクは船長役、ルーとティアは副長役として同行することになった。護衛にはガルフ、ダガ、レギンレイヴがつき、飛行船の護衛として天使族十人も加わった。さらに現地の魔獣や魔物に備え、クロの子供たち三十頭とザブトンの子供たち五十匹ほども同行することになった。

万能船の同行希望

万能船は飛行船について行きたがり、トウが四ノ村への輸送仕事を理由に説得していた。ヒラクは万能船も一緒のほうが安全だと考え、同行に理解を示したが、トウから万能船に甘いと注意された。

出発前の整備と準備

飛行船の厨房設備は売却されていたため、新たに調理用魔道具を設置する必要があった。鬼人族メイドたちは大人数の食事を完璧に担うため、新しい設備に慣れる時間を求めた。そのため、出発はすぐではなく、準備期間が設けられた。

遊覧飛行と住人の反応

出発までの間、飛行船は村の住人を乗せて森の上空を遊覧した。子供たちは最初こそ喜んだが、探索を終えると退屈し始めた。天使族やハーピー族は空中の休憩場所として飛行船を気に入り、ハイエルフたちは移動や監視の用途について実務的に評価していた。

飛行船の改名

飛行船はもともとマルグルー号と呼ばれていたが、入手経緯からトラブルを避けるため改名することになった。万能船は妹にふさわしい名をつけたいと強く主張し、ヒラクは命名を任せた。万能船はトウの助けを借りながら書物を読み、試掘前までに新しい名を決めることになった。

3 試掘に出発

飛行船と万能船の命名

修理された飛行船にはトロワローズ号という名が与えられた。気嚢が三つであることに由来しており、万能船が命名した。一方、万能船自身もシエルテーレ号という名をトウによって与えられたが、従来通り万能船と呼ぶことも許容された。

出発とハウリン村での合流

準備を整えたヒラクたちは、試掘に必要な物資を積み込み、飛行船と万能船でハウリン村へ向かった。到着後、事前の約束通り採掘要員十人を借り受け、目的地へ再出発した。採掘要員は飛行船よりも見慣れた万能船を選び、万能船側はその反応に満足していた。

同行できなかった者と新たな依頼

本来同行を望んでいたガットは、ヒイチロウのブローチ作りを優先して参加を辞退した。ヒイチロウからは、試掘で見つかる珍しい素材をブローチに使いたいと頼まれており、ヒラクはそれに応じる意向を示した。

飛行船内の配置と役割

ヒラクは船長として特別客室に滞在し、ルーとティアと同室となった。護衛のガルフとダガは自ら二等客室を選び、レギンレイヴやハイエルフは一等客室を利用した。山エルフや天使族、鬼人族メイドはスタッフ用の部屋に入り、それぞれの役割に応じて配置された。

空の旅と船内の様子

飛行中は大きな刺激こそないものの、ハイエルフの演奏や歌により雰囲気は保たれていた。鬼人族メイドが紅茶を用意し、乗員たちは穏やかな空の旅を楽しんだ。飛行中に空中の魔獣が襲撃してきたが、万能船と天使族が撃退し、大きな被害はなかった。

護衛体制と人間関係

天使族はレギンレイヴの存在により緊張していたが、ティアはそれを当然と受け止めていた。レギンレイヴ自身は若い世代との距離を意識しつつも、子供たちとの交流では問題なく過ごしていた。

死の森の結界の仕組み

飛行中、ヒラクは死の森の結界について疑問を持った。ルーとティアの説明によれば、結界は主に地上の魔獣や魔物を外に出さないためのものであり、上空への影響は限定的であった。また結界は精神的作用を中心とした特化型であり、知識があればある程度は克服可能な構造であった。

結界と例外の存在

竜の加護を受けた飛行船や万能船は結界の影響を受けず、空中を自由に行き来できた。一方で天使族やハーピー族は加護なしでも通行可能であり、結界には意図的あるいは構造的な抜け穴が存在していることが示唆された。

同行する魔獣たちへの認識

ヒラクは同行しているクロの子供たちを見ながら、本来は外に出ないはずの存在を連れ出している状況に気づいた。しかし特に問題視されていないことから、現状は容認されていると判断した。

4 試掘開始

通信手段と移動の特性

飛行船と万能船の間の通信は手旗信号や発光信号で行われたが、いずれも技術を要するため、実際には天使族が往復して伝達するほうが効率的であった。飛行能力を持つ種族の利便性が改めて認識された。

剣魔水晶地点への到達と調査開始

翌日の昼過ぎ、一行は地図に記された剣魔水晶の地点へ到達した。周囲の安全確認を行った後、ハウリン村から借りた採掘要員による調査が開始された。今回の調査は短期間であるため、本格的な採掘ではなく、痕跡の確認を主目的として進められた。

ヒラクによる試掘の実施

本来は掘削を最終手段とする方針であったが、ルーとティアの指示によりヒラクが『万能農具』で複数箇所を試掘した。結果として浅い層から微量の剣魔水晶や銀魔水晶を含む鉱石が発見され、調査の有効性が示された。

採掘跡の発見と調査延長の決定

周辺調査の結果、古い採掘跡が複数発見された。坑道内部は複雑に分岐しており、安全確保と探索に時間を要したため、予定を延長して滞在することが決定された。発見された鉱石から見ても、さらなる調査の価値は高いと判断された。

廃棄採掘場の性質と評価

発見された採掘場は秩序的に放棄されたものであり、突発的な災害によるものではなかった。採算性の問題で放棄された可能性が高く、現代の価値基準では再採掘の余地があると考えられた。実際に小規模ながら銀魔水晶を含む鉱石が確認された。

鉱物分布の理解

調査の過程で、単一鉱物のみが存在するケースは稀であり、地図には主成分のみが記されていると理解された。そのため、剣魔水晶の地点で銀魔水晶が見つかることも不自然ではなかった。

銀魔水晶・炎魔水晶地点の結果

次に調査した銀魔水晶と炎魔水晶の地点では、いずれも既に徹底的に採掘されており、新たな資源は確認できなかった。過去に別勢力が魔法によって乱暴に掘り尽くした痕跡が残っていた。

獣魔水晶地点の探索

獣魔水晶の地点では、山が無数に割れている地形が確認され、鉱脈の存在が推測された。しかし地層のずれにより直接の採掘は困難であり、通常の手段では成果が得られなかった。

再試掘と鉱脈の発見

滞在を延長し、複数地点を試掘したものの成果は乏しかったが、ルーとティアが地質の違いに着目し、再度掘削を指示した。その結果、小規模ながら獣魔水晶の鉱脈とみられる層が発見された。

採掘の進行と資源の実態

発見された鉱脈からは獣魔水晶を含む鉱石が一定間隔で採取されたが、そのサイズは小規模であった。また他の魔水晶を含む鉱石も見つかったが、いずれも大規模な資源とは言えなかった。ルーとティアは土魔法を用いて強引に採掘を進め、資源が尽きるまで掘り進める様子が描かれた。

5 試掘終了

試掘隊の同行と抽出作業

試掘を終えた一行は大樹の村へ戻った。ハウリン村に帰る予定だった試掘隊は、採掘した鉱石から必要な成分を抽出するため、大樹の村まで同行した。作業には時間がかかるため、ヒラクは宿を用意し、十分な報酬を渡すつもりでいた。

試掘旅行の評価と反省

今回の試掘は当初の四泊五日を大きく超え、十五泊十六日となった。鬼人族メイドたちは長期化を見越して食料を多めに積み、ハイエルフは補助や拠点作りで支え、山エルフは飛行船を安全に運行した。試掘隊の知識も大きく役立ち、天使族やクロの子供たち、ザブトンの子供たちも護衛や警戒で貢献した。

迷子事件と護衛への感謝

途中でクロの子供が一頭迷子になる問題が起きたが、事前の指示通り目立つ場所で待機していたため、半日ほどで発見された。ヒラクはその件を反省点としつつ、クロの子供たちやザブトンの子供たちの働きに感謝し、後で褒美を与えることにした。

飛行船と万能船の活躍

大量の鉱石を持ち帰れたのは、飛行船と万能船の存在が大きかった。万能船は専用ドックに戻り、飛行船は競馬場に停泊していた。ヒラクは今後の運用を考え、飛行船専用のドックも必要だと考えた。

試掘の成果

調査地点ごとに大量の鉱石が採取され、最終的に大樽百樽ほどになった。通常は抽出しても使える鉱物は少量だが、今回は特大サイズの羽魔水晶を含む鉱石が多数見つかっており、大きな成果が見込まれていた。

羽魔水晶の大量発見

目的地では、採掘場跡そのものではなく、近くのゴミ捨て場跡から大量の羽魔水晶を含む鉱石が見つかった。過去の採掘者にとって羽魔水晶は目的外の不要物だったらしく、小山ほどの量が捨てられていた。これにより、飛行船の運用や新造に必要な浮遊ガスの確保に大きな見通しが立った。

今後の採掘判断

試掘は大成功と評価できる結果であったが、本格採掘を行うかどうかは、鉱石からの抽出結果を待って改めて判断することになった。飛行船の運用方針や航路の検討も必要となった。

謎の巨大ロボット

羽魔水晶が捨てられていた場所から、十メートルほどの人型ゴーレムのようなものも発見された。コックピットがあり、ヨルのダイダロスに似た乗り込み口を持っていたため、ヨルたちの時代の兵器である可能性があった。大きすぎて飛行船内に収容できず、吊り下げて持ち帰ったことが帰還の遅れにもつながった。

山エルフとヨルの騒動

巨大ロボットを見た山エルフたちは大騒ぎし、さらに何かを察したヨルも現れて争いになった。リアたちハイエルフでも抑えられず、ヨルはコックピットに立てこもった。ヒラクは説得を試みたが、最終的には四ノ村から呼ばれたベルの本気の怒鳴り声によって事態が収まった。

6 多目的人型機動重機と夕食

ジークフリートの正体

巨大ロボットは、多目的人型機動重機と呼ばれる存在であった。ヨルはジークフリートと命名したが、ベルに勝手な命名を咎められた。それでもヒラクはその名を認め、以後ジークフリートとして扱われることになった。

ヨルへの罰と試射延期

ヨルはリアや山エルフたちを倒して騒動を起こしたため、罰として秋に予定されていた武装の試射が延期された。しかしヨルは冬までに撃てる武装と弾を増やすと前向きに受け止め、すぐに立ち直っていた。

ジークフリートの調査開始

ジークフリートは競馬場南側に設置された専用ハンガーに吊るされ、山エルフたちによって分解調査が始まった。状態は非常によく、長期間放置されていたとは思えないほどであったため、ベルは発見時の状況に何か理由があるのではないかと考えていた。

液体燃料の説明

ヨルはジークフリートに燃料を入れていたが、その液体燃料は不燃性であり、魔石動力を活性化するためのものだった。ヨルはジークフリートのご飯と説明し、ヒラクは燃料に対する思い込みを改めていた。

夕食と試掘地の肉

夕食には、試掘中に狩った魔獣や魔物の肉が使われていた。いつもとは違う味で、ハクレンは問題なく食べ、ラスティは硬さを気にしていた。子供たちは喜んで食べており、ヨウコは野性味が強いと評した。

魔獣素材の扱い

持ち帰った魔獣や魔物の大半は五ノ村へ運ばれ、冒険者ギルドで可食部や調理方法、解剖資料の調査に使われていた。採掘地の場所は、試掘成果を守るために秘密にする方針であった。

アルフレートの帰還頻度

始祖の国へ行っているはずのアルフレートは、始祖の転移魔法に便乗して定期的に大樹の村へ戻っていた。理由は始祖の国の食事が口に合わないためであり、最近では自炊の腕も上がっていた。ヒラクは頻繁に戻ることを気にしつつも、本人や家族が喜んでいるため深く追及しなかった。

アルフレートとヨルの共感

アルフレートはジークフリートの名に感銘を受け、ヨルと固い握手を交わしていた。彼もコックピットに入りたがったことがあり、ジークフリートに強い興味を示していた。

燃料の原料とヨルの逃走

ヨルはジークフリートの液体燃料を四ノ村の施設で生成し、原料には保温石を使っていると説明した。その流れでベルとゴウが保温石保管庫を眺めていることを揶揄したため、背後にいたベルに攻撃されかけた。ヨルはそれを華麗に避け、全力で逃げていった。

7 夏の収穫と多目的人型機動重機

夏の収穫と役割分担

大樹の村では夏の収穫が始まり、警備や子守、家畜の世話などを除いて収穫が最優先となった。ダイコン畑はドライム、ジャガイモ畑はザブトンたちに任され、試掘隊やガットは鉱石の抽出作業を続けることになった。

ヨルの収穫参加

ヨルは温泉地の門番に戻るよう促されたが、迷惑をかけた分を労働で返したいと申し出た。ヒラクはその気持ちを汲み、収穫物を畑から荷馬車へ運ぶ仕事を任せた。

収穫後の畑仕事

収穫は大きな問題なく十日ほどで終わり、村は秋を迎えた。ヒラクは秋の収穫に向けた畑仕事を進め、一段落したところで多目的人型機動重機に向き合う時間を得た。

ジークフリートの解体調査

ジークフリートは山エルフたちによって解体され、ハンガーに吊るされたまま頭部や四肢を外されていた。ヨルはその姿に涙を流しつつも、山エルフたちの質問には喜んで答えていた。

多目的人型機動重機の用途

ベルは、多目的人型機動重機が主に建築土木作業や陣地構築に使われた重機であり、戦闘用としては効率が悪いと説明した。大型で整備に手間がかかり、武器を持たせるより陣地に設置したほうが安価で強力だったためである。

ゴーレムとの比較

兵器としての多目的人型機動重機には、ゴーレムという強力な競合があった。ゴーレムは従順で低コストかつ独立行動も可能であり、兵としては多目的人型機動重機より扱いやすかった。

趣味としての人気

一方で、多目的人型機動重機には妙に魅了される者たちが存在し、高性能化や専用武器の開発、機体同士の闘技場まで行われていた。ベルはコスト面では見合わないとしつつも、懐かしい存在が動く姿を見たい気持ちもあると認めた。

保存状態の仮説

ジークフリートの保存状態がよかった理由について、ベルは周囲の羽魔水晶を含む鉱石が劣化を防いだ可能性を挙げた。ただし羽魔水晶にそのような効果があるとは知られておらず、仮説に留まっていた。

再調査の依頼

ヒラクは五ノ村やシャシャートの街へ行く予定があるため、ベルにヨルを連れて現地調査へ向かうよう頼んだ。ベルはヨルに甘いと指摘しつつも、保存状態の原因を調べるため同行を承諾した。

8 飛行船の航路と運行スタッフ

羽魔水晶確保後の方針

試掘によって浮遊ガス用の羽魔水晶は大量に確保されたが、ヒラクは商会への注文を継続した。ベルの仮説により羽魔水晶の用途が広がる可能性があり、また注文を急に取り消さないことで商会との信頼も守ろうとしたためであった。

飛行船航路の課題

飛行船は当面、大樹の村とハウリン村の交易を中心に使う方針となった。ただし交易を広げるには各地の領主との税や通行の調整が必要であり、勝手な交易や領空通過は揉め事の原因になると考えられた。

プギャル伯爵からの支援

ビーゼルはプギャル伯爵が手配した魔王国内の無制限通行証と、交易に関する免税書類をヒラクに渡した。ヒラクはそれをありがたく受け取り、飛行船交易ではプギャル伯爵やその派閥の領地を優遇する方針を示した。

天使族による運行体制

飛行船の専用運行スタッフとして天使族が立候補した。護衛役も別に天使族から立候補があるため、運行と護衛の両面を天使族が担う形となった。ヒラクは今後の飛行船増加も見据え、運行スタッフの育成も任せることにした。

新造飛行船の建造計画

山エルフたちは多目的人型機動重機に興味を移しているように見えたが、飛行船建造の計画も進めていた。大事な部分は山エルフが担い、それ以外は五ノ村の職人に任せる構想であり、ヒラクは計画書をヨウコに渡すことにした。

アルフレートの悩み

夕食後、ルーはアルフレートのことでヒラクに相談した。アルフレートは始祖の国で、村長になりたいという夢を笑われたり、呼称や香水の習慣など文化の違いに戸惑ったりしていた。さらに食事が合わないことも深刻な問題となっていた。

同行者案の検討

ヒラクとルーは、アルフレートに誰かを同行させる案を考えた。しかしフローラは有名人すぎ、一ノ村の住人は頼みにくく、ヒイチロウを行かせるとライメイレンまで同行しそうで問題が大きくなると判断された。結局、アルフレート本人が求めた場合に改めて考えることになった。

親としての相談方針

ヒラクとルーは、自分たちだけで抱え込まず、魔王やビーゼル、マイケルなど男親も含めて広く相談していく方針を確認した。アルフレートの問題はすぐに結論を出さず、親として共に考えていくことになった。

9 心配するより応援

アルフレートへの相談と過激な解決案

ヒラクはアルフレートの悩みを村の者たちに相談したが、ハクレンを送り込んで力を見せつけるという方向に話がまとまりかけた。リアや天使族、ヨルたちまで動こうとしたため、ヒラクはそれを止め、力で解決する方法は取らないと判断した。

始祖から聞いた事情

ヒラクは始祖にアルフレートの様子を相談した。始祖は、アルフレートが始祖の国で身分保証を受ける過程で三国の王から保証され、重要人物として扱われた結果、王子たちに妬まれたことを説明した。

村長を目指す発言への嘲笑

アルフレートは紹介の場で村長を目指すと語ったが、それを王子たちに笑われていた。フーシュはルーへの恩から強く怒り、王子たちは謝罪したものの、その騒動によってアルフレートはさらに注目される立場になっていた。

人間関係と重圧

アルフレートは王族や貴族たちから繋がりを求められ、女性たちとの交流にも戸惑っていた。さらに、自分の行動がヒラクや大樹の村の評価に関わると考えすぎ、自分らしく振る舞えなくなっていた。

ヒラクの励まし

始祖の助言を受け、ヒラクはアルフレートに自分らしさを抑えるなと伝えた。姿を変えることや高笑い、ポーズ、意見を言うことも場を弁えれば構わないと認め、ただし暴力は控え、必要なときだけ全力で身を守るよう助言した。

アルフレートの再出発

アルフレートはヒラクの言葉を受け、自分らしく学ぶ決意を固めた。しばらく戻らないと言いかけたが、ヒラクとルーは定期的に帰るよう求め、アルフレートはほどほどに戻ると約束して始祖の国へ向かった。

新たな行動

翌日、アルフレートは再び戻ってきた。彼は始祖の国で料理店を開きたいと語り、食材の取引を求めた。さらに人手については従えた者がいると答え、ヒラクは誰を従えたのか不安を覚えつつも、元気を取り戻したアルフレートの姿に安堵していた。

10 携帯食と和室部屋

携帯食棒の試作

鬼人族メイドたちは、ヨルやハイエルフたちの要望を受け、携帯しやすい非常食を作っていた。それは短い棒状の栄養調整食であり、一本で多くの種族の一日分の栄養を補うことを目指した食品であった。

味の改良と種類の増加

最初の試作品は美味しいものではなかったため、ヒラクはチョコやフルーツなどで味をつけることを提案した。後日、チョコ味、フルーツ味、ハチミツ味、チーズ味、ヨーグルト味、小麦味などが作られた。小麦味はヨル専用であり、不味くないと駄目という彼女のこだわりによるものだった。

妖精女王と携帯食棒

妖精女王はフルーツ味とハチミツ味の携帯食棒に手を伸ばし、気に入った様子で持っていった。ヒラクは食べすぎや子供たちへの影響を注意したが、鬼人族メイドたちは人気が出ると見て、保存期間を確認した後に定期生産するつもりでいた。

飛行船へのコタツ設置案

秋を迎え、武闘会に向けた訓練が始まる一方で、飛行船の運行スタッフを希望した天使族が、飛行船内にコタツを置きたいと求めた。ヒラクは最初は戸惑ったが、保温石を抜けば問題ないと考え、テーブル、布団、畳を渡すことにした。

一等客室の和室化

コタツは当初、運行スタッフの個室に置く予定だったが、景色の見え方を考えて一等客室に設置された。ベッドが目立ったため撤去し、床に畳を敷き、扉付近には靴を脱ぐための土間を作った。さらに下駄箱やスリッパ立ても設けられた。

押し入れと布団干し

布団を収納するために押し入れが作られ、布団を干す場所も確認された。飛行船の客室部の上には収納式の物干しがあり、布団も干せることがわかった。

和室の完成と好評

一等客室は和室として改造され、天使族たちに好評であった。最初のコタツは四人用で奪い合いになったため、八人用の大きなコタツに変更された。ヒラクは、今後飛行船を新造する際には最初から和室も作れるようにしようと考えた。

11 出発と衣装

飛行船の単独運用試験

飛行船は単独運用の試験として、ジークフリートを発見した採掘場跡へ向かった。運行スタッフや護衛には天使族が多く配置され、山エルフ、ベル、ヨル、試掘隊、四ノ村の作業員、ザブトンの子供たち、料理担当の獣人族の女の子たちも同行した。監査役としてスアルロウも加わり、十日以内に戻る予定で出発した。

万能船の不安

飛行船が出発して一時間ほどで、万能船が落ち着かなくなった。船長のトウがその様子をヒラクに伝え、十日間待てるのか不安が生じた。

焼き芋とザブトンたち

ヒラクは夏に収穫したサツマイモを焼き芋にした。冬を待つとザブトンたちが冬眠してしまうため、この時期に行ったのである。ザブトンの子供たちは喜びのダンスを見せ、村の住人たちも焼くのを手伝った。ホクホク系もネットリ系も好評で、次々に食べられていった。

アルフレートの衣装作り

ザブトンとザブトンの子供たちは、アルフレートに頼まれて衣装作りに取り組んでいた。黒を基調に紫と赤を加えた上品なスーツであり、白い装飾も派手すぎず整えられていた。ヒラクはその衣装を見て、アルフレートが長身を好む理由をルーに尋ねた。

長身姿の理由

ルーは、アルフレートが長身を好むのは身長そのものではなく、ポーズを格好よく見せるために長い手足が必要だからだと実演した。長身の姿では謎めいた女性や女幹部のように格好よく見えたが、若い姿ではかわいさが強く出てしまった。ヒラクはその理由に納得した。

面頬と本気モード

ヒラクはザブトンに頼まれていた面頬を渡した。面頬は顔の下半分を隠すもので、普段は布で隠される仕組みになっていた。ルーは、それが本気モードを示すためのものだと説明した。

色が変わるマント

衣装には高い襟の黒いマントも用意されていた。マントは首元の石に魔力を込めることで、メレオの透明になる液体を利用して色や模様が変化する仕掛けであった。ルーはそれを研究成果として示し、ヒラクは応用の可能性を感じていた。

12 《プラーダ美術館》の新人

飛行船関連施設の進展

五ノ村とシャシャートの街では、飛行船の発着場建設が始まっていた。さらに五ノ村では飛行船建造ドックの計画も進み、議会を通過して完成間近となっていた。ヒラクは、山エルフたちによる技術指導の派遣を考えることになった。

新スタッフとの対面

ヒラクは《プラーダ美術館》で、カティ、ルディオ、シャルネという三人の新スタッフと顔を合わせた。三人はプラーダの友人であり、いずれも古の悪魔族であった。

三人の性質と注意点

ブルガは、力のある悪魔族には癖が強い者が多いと説明した。カティは箱や袋など、ふたのある入れ物に興味を持ち、ルディオは音が出るものに執着し、シャルネは文字が書かれたものを集める性質を持っていた。

別名と危険性

カティは【夢を閉じ込める悪魔】、ルディオは【死を奏でる悪魔】、シャルネは【繋がりを断ち切る悪魔】と呼ばれていた。物騒な別名ではあったが、プラーダが管理し、竜族との契約もあるため大きな問題は起きにくいとされた。

三人への対応

ヒラクは助言に従い、カティには空いた酒樽、ルディオには演奏する魔道具、シャルネには使い終わったメモの束を渡した。三人には、プラーダと協力して美術館を支えるよう頼んだ。

グッチの反応

後日、ヒラクはグッチにも三人のことを伝えた。グッチは必要なら排除すると言ったが、ヒラクはそのつもりはないと答えた。グッチは三人と過去に何かあったようで、少し警戒していた。

世界の王という誤解

グッチはヒラクに世界の王になりたいかと尋ねた。ヒラクは言葉通りに受け取って否定したが、後でアルフレート式の表現から考えると、三人と仲よくする気があるかという意味だった可能性に気づいた。

様子見の判断

ヒラクは、自分の返事が三人と仲よくしないという意味に受け取られたかもしれないと考えた。しかしグッチが喜んでいたため、ひとまず誤解を解かず様子を見ることにした。問題が起きた場合は、素直に謝るつもりでいた。

13 追加戦士

調査隊の帰還遅延

ベルとヨルを中心とする調査隊は、予定の十日を過ぎても帰還しなかった。ベルがいるにもかかわらず戻らないため、ヒラクは帰れない事情が発生したのではないかと心配した。万能船は我慢できずに飛び出し、トウも半ば諦めて準備を整えていた。

飛行船と万能船の帰還

三日後、飛行船と万能船が遠方に見えた。飛行船も万能船も、それぞれ多目的人型機動重機を吊り下げて戻ってきていた。ヒラクはハクレンに乗って迎えに向かい、ヨルから、まだ二機の多目的人型機動重機が現地に残っていると知らされた。

残された機体の回収

ヒラクはすぐに現地へ向かうことはせず、いったん村へ戻った。残された二機は、ハクレンの口利きによりヒイチロウとグラルが回収に向かうことになった。ライメイレンも監督として同行し、ヒラクとヨルもその背に乗ることになった。

竜族による迅速な回収

ヒイチロウとグラルは、多目的人型機動重機にあらかじめロープがかけられていたこともあり、短時間で残る二機を回収した。朝に出発して夕方には戻っており、ヒラクは竜族の機動力に改めて感謝した。

合計四機の追加搬入

飛行船と万能船が持ち帰った二機に加え、ヒイチロウとグラルが回収した二機も加わり、大樹の村には新たに四機の多目的人型機動重機が運び込まれた。ハイエルフたちは急いでハンガーを作り、山エルフたちは大量の関連部品に喜んでいた。

飛行船側の苦労

調査隊は当初、飛行船で四機すべてを吊り下げて持ち帰ろうとしたが、重すぎて飛べなかった。二機に減らしても速度が出ず、さらに一機を途中で落下させたため、魔獣や魔物への対応が必要になった。ザブトンの子供たちやスアルロウ、天使族、万能船の助けが大きかった。

動き出した機体

帰還後、夕焼けの中で一機の多目的人型機動重機が村と森の間を疾走していた。足を動かさず、ホバーや履帯のように移動する姿は迫力があり、ヒラクは誰が乗っているのか疑問に思った。

操縦者の正体

ヨルは疲労で別の機体内に潜り込んで眠っており、ベルやトウでもなかった。多目的人型機動重機はヒラクの前で停止し、コックピットを開いた。そこから出てきたのは、魔王の娘ユーリであった。

[終章]悪魔の祖

1 試験報告と調査報告

飛行船の単独運用報告

夕食後、天使族の運行スタッフ代表から飛行船の単独運用試験について報告があった。運行や飛行中の護衛に問題はなかったが、落下した多目的人型機動重機の回収時に地上戦力が不足し、ザブトンの子供たちやスアルロウに救援を求めた点が課題となった。

地上戦力不足への対応

問題は救援を求めたことではなく、不時着時に地上の魔獣や魔物に対応する戦力が不足する可能性であった。ヒラクは、航路が正式に決まり次第、地上の魔獣や魔物を定期的に討伐する方針を示した。さらにユーリがプギャル伯爵からの委任状を持っていたため、戦力運用の問題も解決した。

ベルの調査報告

ベルは帰還が遅れたことを謝罪し、多目的人型機動重機の保存状態について報告した。調査の結果、周囲に羽魔水晶が多いほど劣化が抑えられる傾向が確認され、羽魔水晶が保存状態の良さに関係している可能性が高いと判断された。

追加機体の発見場所

持ち帰った四機の多目的人型機動重機は、羽魔水晶を含む鉱石が捨てられていた場所の底にあった横穴から発見された。ジークフリートを一号機とし、追加の四機は二号機から五号機と仮称された。

回収作業の苦労

横穴に到達するため、飛行船で鉱石を運び出したり、現地の羽魔水晶で浮遊ガスを作って小型気球を使ったりした。ザブトンの子供たち、天使族、試掘隊、四ノ村の悪魔族や夢魔族も作業に協力し、ヒラクは改めて感謝を伝えることにした。

ヨルの熱意

ヨルはゴミ捨て場の鉱石をすべて掘り返すほどの気迫を見せた。ベルはその熱意を仕事にも向けてほしいと苦笑したが、ヒラクはヨルが本来の仕事と違う役目を担っていることも理解し、無理はさせないよう考えた。

パイロットスーツの発見

多目的人型機動重機は魔力が多すぎると動かず、魔力を抑えるパイロットスーツが必要であることをユーリが説明した。ザブトンの子供たちが持ち帰った衣類にその効果があると判明したが、男物でサイズが合わなかったため、ヨルが着ても機体は動かなかった。

ヨルの落胆

ヨルはパイロットスーツを着ても動かせなかったことで落胆し、テーブルに伏せたままとなった。ベルはしばらくそのままにしておく方針を示し、ヒラクもいずれ現地へ回収に行くことになるだろうと考えた。

2 ユーリの話と提案

ユーリの来訪と近況報告

魔王の娘ユーリは『魔王国』の管理員として各地を巡回しており、久しぶりに“大樹の村”を訪れた。収穫に参加できなかったことを詫びつつ、巡回部隊向けに導入された厨房馬車が大いに役立っていると報告した。各地の食事事情の厳しさにも触れ、村の食環境の優位性が改めて示された。

ウルザの騒動の発覚

ユーリは巡回先でウルザと遭遇したことを語り、その活動内容を明かした。ウルザたちは盗賊千人が占拠する廃城に対し、西側から放火し東側から突撃する形で制圧していた。結果として盗賊討伐は成功したものの、手段の過激さから問題視される可能性があり、現在は責任を曖昧にする方向で調整されていると説明された。

プギャル伯爵の異様な登場

話題を変え、ユーリはプギャル伯爵の行動を語った。彼は高所から回転しながら登場し、着地と同時に礼をして委任状を渡すという派手な振る舞いを見せた。この行動から、彼が戦闘能力だけでなく実務能力にも優れている人物であることが改めて示された。

機動重機の動作原理の解説

ユーリは多目的人型機動重機が魔力の多い者では動かない理由を説明した。外部からの魔力による不正操作を防ぐため、外部魔力を遮断する構造となっており、その結果として内部、すなわち操縦者の魔力の影響を強く受けるようになっていた。魔力が過剰な場合、自我発生や暴走の危険があるため、安全装置として動作停止する仕組みであった。

パイロットスーツの役割

この問題を解決するため、操縦者の魔力を抑えるパイロットスーツが用意されていた。ユーリは古典資料から得た知識をもとに説明し、古い技術であっても実用的な知見が残されていることを示した。

機動重機戦の提案

さらにユーリは、古典に記されている多目的人型機動重機同士の戦闘を再現することを提案した。ヒラクは興味を示しつつも、まずは機体や関連部品の調査を優先すべきと判断し、実施は後回しとした。

新たな課題の増加

パイロットスーツの回収、羽魔水晶の研究、機動重機の解析といった新たな課題が増え、ヒラクは今後の対応に頭を悩ませることとなった。

3 パイロットスーツとクラカッセ

関連部品の調査と不安

ベルとヨルが持ち帰った多目的人型機動重機の関連部品は、整備用の道具や交換パーツが大半であり、武装はほとんど存在しなかった。掘削用のドリルや岩を砕く爪、輸送用の大型背負い箱などが確認され、山エルフたちは技術資料として調査を進めていた。一方で、分解された一号機ジークフリートは再び組み立てられたが、戻せていない部品がある様子が見られ、ヒラクは不安を抱いた。

パイロットスーツの構造と抵抗感

発見されたパイロットスーツは魔力抑制機能を持つインナーと防護用アウターの二重構造であった。しかし全裸で着用する仕様であり、排泄処理装置も備えていたため、ヨルが着用した後に自分が着ることにヒラクは強い抵抗を感じ、使用を避けた。現在はルーとティアが魔力抑制機能を、山エルフたちが排泄装置を解析している。

機体の命名決定

村に存在する五機の多目的人型機動重機の名称を決めることになり、ヨルやユーリ、文官娘らが参加して議論が行われた。結果として、一号機ジークフリートに続き、二号機ベンゼ、三号機ポカ、四号機ラーロック、五号機ハナサカと命名された。ハナサカはヒラクの案が採用され、善人が奇跡を起こす人物として説明され、納得を得た。

クラカッセの成長と日常

その後、ヒラクは厨房でクラカッセと会話を交わした。彼女は夏野菜を使ったカレーを作っており、村での生活に順応し成長した様子が見られた。このカレーは文官娘衆の夜食用であり、忙しくなる秋に備えた準備の一環であった。

プギャル伯爵への対応相談

ヒラクはプギャル伯爵への礼についてクラカッセに相談した。伯爵は礼を不要とする立場を示しているが、通常の貴族であれば対価を求めるものであり、その態度は異例であった。クラカッセは伯爵の過去の行動を振り返り、理屈に合わない選択をすることがありながら、それが結果的に良い方向へ進む例が多いと説明した。

伯爵の特異性の理解

クラカッセは伯爵が特別な勘や能力を持っている可能性を示唆しつつも、それを本人が語らない点から確証はないと述べた。ただし、彼の判断に従えば良い結果になることが多いため、今回の「礼は不要」という意思も尊重すべきだと助言した。

結論と日常への回帰

ヒラクはその助言を受け入れ、無理に礼を返すことは控えると決めた。その後、完成したカレーを共に味わい、日常の穏やかな時間を過ごした。

4 手紙

機動重機への挑戦と挫折

ヒラクは自身の魔力量が少ないことから、パイロットスーツなしでも多目的人型機動重機を動かせる可能性を考え、四号機ラーロックに搭乗した。しかし操作しても機体はまったく動かず、希望は打ち砕かれた。ヒラクは農業に立ち返ることを自らに言い聞かせ、気持ちを切り替えた。

ヒイチロウの成果と家族への贈り物

ヒイチロウのブローチ作りは一段落し、二十点ほどの作品が完成した。それらは家族や仲間たちに配られ、受け取った者たちは加護を与えることで壊れにくくしようとした。ヒラクも自身のブローチを大切に保管し、特別な場で使用することを決めた。

日常の穏やかな時間

ヒラクは池の畔でポンドタートルにキャベツを与え、村の環境維持に貢献する彼らの働きを確認した。また氷の魔物が水温調整を担うなど、村の仕組みが安定して機能している様子が描かれた。

アルフレートからの手紙

アルフレートの手紙は難解な表現が多く、ルーに解読を依頼した。その内容は軍の食事の質に対する不満と改善案であり、食の重要性を理解させるために模擬戦を行ったこと、さらに畑を作るための土地と軍の整備を進めているという報告であった。ヒラクはその成長を感じつつも、内容の過激さに不安を覚えた。

ウルザからの報告と懸念

ウルザからの手紙には、元気に活動している様子と多くの仲間を得たことが記されていた。しかし内容から、盗賊たちを配下に加えている可能性が示唆され、ヒラクは規模の大きさや将来の運営に不安を抱いた。

トラインの近況

王都にいるトラインからの手紙は平穏な内容で、学業が順調に進んでいることや周囲の支援を受けていることが記されていた。ヒラクは安心しつつも、母親に顔を見せるよう促す返信を送った。

通信手段の課題と新たな発想

ティゼルからの手紙が届かない状況を受け、ヒラクは現行の郵便制度の不確実性を改めて認識した。その上で、飛行船を用いた郵便輸送の可能性を検討し、信頼性の高い新たな通信手段として構想を広げた。

5 小型の飛行船

ジークフリートの故障原因

一号機ジークフリートは全ての部品が戻され、人型に復元された。しかし動かなかった原因は、奇妙な形の部品だと思われていたものが砕けた重要部品だったためであると判明した。交換部品はなく、現在の技術では自作も困難であったため、修理は難航することになった。

新たな探索候補

ユーリは資源分布図を確認し、別の羽魔水晶産地にも保存状態のよい多目的人型機動重機がある可能性を示した。その場所はプギャル伯爵の関係領内であり、委任状も揃っていたため探索は可能だった。ヒラクは秋の収穫と武闘会を終えた後、冬以降に検討することにした。

冬支度とパイロットスーツ

大樹の村では冬への備えも進められた。屋敷や飼育小屋の確認、保存食や薪の備蓄が行われ、ザブトンの子供たちはヒラクの冬服採寸を始めた。しかし実際にはパイロットスーツのインナー作りであり、ヒラクは正式に発注することになった。

小型飛行船の建造

大樹の村では、トロワローズ号を参考にした小型飛行船が建造された。客室部は大型車ほどの大きさで、操縦席、動力部、小さな倉庫だけを備えた簡易型であった。五ノ村での飛行船製造のサンプルとして、機能説明を目的に作られたものだった。

小型飛行船の性能と課題

小型飛行船は軽量化により予想以上の高速性能を発揮した。ただし天使族や万能船には追いつかれる程度であり、飛行する魔獣や魔物から確実に逃げられるかは不明であった。護衛や運搬方法にも課題が残された。

万能船の反応

万能船は新造された小型飛行船を妹ではなく自分の子のように扱おうとしており、ヒラクは手遅れになる前に対応しようと考えた。小型飛行船の試運転はトウが楽しそうに行っていたが、ユーリや魔王も順番を待っていたため、そろそろ降りてきてほしいとヒラクは思っていた。

6 美術館のお出迎えオブジェ

オブジェ設置の提案と却下

プラーダは美術館の入口に印象付けのためのオブジェ設置を提案した。来館者の記憶に残す目的であったが、金で作るヒラクの像案は却下された。理由は規模や予算ではなく、ヒラク自身の像を置くことへの拒否であった。

悪魔像という代案の決定

神や竜の像も検討されたが、悪魔族の立場や信仰の問題から適さなかった。そこでヒラクは前世のイメージを元に悪魔の像を試作した。小型のサンプルはプラーダやカティたちから好評を得て、そのまま大型化して制作することが決定した。

巨大素材の搬入と能力の活用

制作に用意された素材は巨大な黒い岩であった。この搬入にはカティの能力が使われ、大きな物を小さな箱に収納して運搬することで実現していた。ただし条件があり、万能ではないことも確認された。

悪魔像の制作と完成

ヒラクは万能農具を用いて巨大な岩を彫刻し、無心で作業を続けた結果、二日間で完成させた。サンプルとは異なり、より迫力のある姿となり、武器を持つなど独自の変化が加えられていたが、悪魔像として成立していた。

像の評価と役割の確立

完成した像はプラーダたちに受け入れられ、「美術品を守る悪魔」と命名された。美術品を汚す者や盗む者に罰を与える存在として解釈され、美術館の象徴として機能することになった。

周囲の反応と影響

後日、グッチたちが美術館を訪れた際、像の迫力により館内には強い緊張感が生まれ、静粛さが保たれる空間となっていた。この評価により、悪魔像は美術館の印象付けに成功したと認識された。

閑話 美術品を守る悪魔

閑話 美術品を守る悪魔

魂のみで存続する悪魔の自覚

悪魔は太古の戦いの末に肉体を失い、魂のみで存在していた。不死性により消滅できず、他の魂と混ざりながら徐々に自我を失う過程にあったが、その終焉すら楽しみにしていた。

黒炎石への固定と強制的な顕現

微睡の中で突如として黒炎石に掴まれ、像として加工される過程で魂を刻み込まれた。人間に呼びかけても一切届かず、強引に形を与えられる状況に困惑と怒りを抱いたが、抵抗は叶わなかった。

悪魔像としての再定義

彫られた像は悪魔としての威容を備え、結果的に自身を復活させる器となった。新たな名「美術品を守る悪魔」が与えられ、過去の名は失われた。権能も美術品保護に特化したものへと変質していた。

動けない存在としての矛盾

像として完成したことで強大な防御能力を得たが、美術品であるがゆえに自ら動くことができなくなった。美術館を守る力が同時に自身を拘束する結果となり、脱出手段も自らの権能によって封じられていた。

精神攻撃による守護の継続

肉体的に動けない代わりに、美術品を害する者に対して精神への攻撃が可能であり、守護者としての役割は維持されていた。館内に存在する他の悪魔的存在とも再会し、状況を受け入れていった。

訪問者との再会と依頼

過去に関わりのあった存在たちが訪れ、悪魔は旧知として対応した。その中で、自身を作る際に用いられた見本に分体が宿っていることを明かし、それを回収し別の器に移すよう依頼した。

新たな在り方の受容

完全な自由は失われたものの、長い停滞よりも刺激のある現状を受け入れ、美術館に留まり続けることを選んだ。守護者として眠りと覚醒を繰り返しながら、長い時間を過ごす覚悟を固めた。

7 目覚め

秋の日の演劇と休息

ヒラクは秋の夕方、浴衣姿で畳の部屋に寝転んでいた。ザブトンの子供たちはちゃぶ台の上で無音劇を披露し、アイギスや鷲、クロとユキ、オルまで参加する三幕構成の物語を見せた。ヒラクはその完成度に感心し、酒を飲むことも忘れて見入った。

悪魔像サンプルの行方

その後、ヴェルサが《プラーダ美術館》で作った悪魔像のサンプルを借りに来た。サンプルには魂が宿っており、人形に移す必要があるという。サンプル自身の誘導に従うと、多目的人型機動重機のハンガーへ向かい、動かない一号機ジークフリートを器として選んだ。

ジークフリートへの移入準備

ヒラクはジークフリートをヨルが大切にしていることから、勝手に扱うことを避け、ヨルを呼びに行った。ヨルは強く抵抗したが、ヴェルサの説得によりジークフリートが動く可能性を受け入れ、儀式を見守ることになった。

移入後の異変

ヴェルサが呪文を唱えると、悪魔像のサンプルはジークフリートに接触し、強い光を放った。その後、ジークフリートの関節から血液や肉のようなものがあふれ出し、機体を包もうとした。しかしヴェルサの鎖に阻まれ、いったん内部へ戻った。

暴走とヒラクの対応

異変は終わらず、ジークフリートはハンガーから出ようと暴れ始めた。さらに頭部付近に砲のようなものを形成したため、ヒラクは被害を避けるため槍ではなくクワを用い、右足、胸部、頭部を耕して土に還した。これによりジークフリートの暴走は止まった。

謎の子供の出現

ジークフリートの乗り込み口から、存在の安定しない全裸の少女が現れた。彼女は大人の女性にも小さな子供にも見える不安定な存在であり、ヴェルサにしがみついてヒラクから隠れた。ヴェルサによれば、まだ名も権能もないため無害であった。

後始末と不安

ヒラクは少女をヴェルサに任せ、必要なものがあれば用意すると伝えた。ジークフリートは半分ほど土に還され、残りは少女の影響で消えていた。ヒラクは、目覚めたヨルにどう説明すべきか悩むことになった。

8 新しい悪魔

クリムの誕生と権能の決定

ジークフリートから現れた少女は、ヴェルサの占いによりクリムと名付けられた。権能は【希望】と定まり、その命名はヒラクの発言がきっかけとされた。権能は固定ではなく変化や追加が可能であると説明され、暫定的な方向性として受け入れられた。

外見の確定と生活準備

名と権能の確定により、クリムの姿は五歳ほどの少女として安定した。長い黒髪と小さな角を持ち、ザブトンが用意した浴衣や衣類を身に着けた。冬に備えた衣服もすでに準備されており、生活環境は整えられていた。

ジークフリートとの関係と養育者の決定

クリムは指を鳴らすことで小型化したジークフリートを呼び出す能力を持っていた。このため世話役はヴェルサからヨルへと変更された。ヨルは当初ジークフリートの消失に動揺していたが、クリムの存在を確認すると態度を一変させ、強い執着を示して世話を引き受けた。

ヨルとの関係と周囲の反応

ヨルはクリムを溺愛し、強引にでも関わろうとする姿勢を見せた。クリムはそれを恐れてヴェルサに助けを求めたが、最終的にヨルのもとで育てられることとなった。この関係に対しヒラクは不安を抱きつつも、他に適任がいないと判断した。

生活拠点と教育環境の整備

クリムの生活拠点はヨルのいる温泉地に定められた。食事や生活用品は大樹の村から供給され、教育については村の子供たちと共に学ぶ形となった。知識面では大人に匹敵するが、社会性の育成を目的として通学が決定された。

村での評価と役割

クリムは子供たちの中で良好な関係を築き、問題行動も少なく高く評価された。さらに教師的な立場で他の子供たちの学習を補助するなど、周囲に配慮した行動を取っていた。悪魔族としては穏やかな性質であり、既存の悪魔族とも良好な関係を築いていた。

周囲への影響と新たな問題

ヨルがクリムを育てることで、ベルが強い嫉妬を抱くなど新たな問題も発生した。また、悪魔の像のサンプルについてはクリムの母のような存在とされ、温泉地に設置されることとなった。

新たな存在としての定着

こうしてクリムは村と温泉地に受け入れられ、新たな悪魔として生活を始めた。周囲との関係を築きながら、独自の立場を確立していくこととなった。

閑話 希望のクリム

悪魔の本質と存在の起源

クリムは悪魔の本質を、神の魔力が溜まった器に残る澱のような存在であると捉えていた。悪魔は魔力が凝固し意思を持った存在であり、通常は地上に降りることは少ない。世界創生時や事故的な事象によって地上に現れた大きな存在が悪魔の祖となり、それを基に古の悪魔族が形成されたと理解していた。

父からの分離と誕生

クリムの父は創生時に地上へ降りた強大な存在であり、肉体を失いながらも存在を維持していた。その復活の過程でクリムは分離し誕生した。生まれたばかりでありながら父の知識と記憶を持ち、一定の力も継承していたが、自身は像に宿ったことで動けない状態にあった。

救出への期待と恐怖の時間

クリムは父と交信し、友人による救出を待つこととなった。しかし待機中はフェニックスなどの脅威に晒され、不安と恐怖の時間を過ごしていた。その後、父の依頼を受けた存在【不変】改め【知識】が現れ、魂の移動による救出が試みられた。

多目的人型機動重機への転移

クリムは導かれるように多目的人型機動重機へと魂を移し、強大な力を得た感覚に包まれた。しかし【知識】の鎖により行動は制限され、自由に暴れることは許されなかった。衝動的に力を行使しようとしたが、その力の差により抑え込まれた。

ヒラクとの遭遇と敗北

クリムが抵抗を続ける中、ヒラクの攻撃を受けたことで状況は一変した。クワによる一撃はクリムの魂そのものを削り取り、致命的な損傷を与えた。死への恐怖を初めて強く認識したクリムは逃走を試みるが叶わず、消滅の危機に直面した。

機動重機による救助と再構築

多目的人型機動重機は内部のクリムを保護し、コックピット内で再構成した後に外部へ排出した。クリムはその行動に感謝し、機体を自身の一部として吸収した。その後、名と権能が与えられ、小さな少女としての姿に固定された。

新たな環境への適応と認識

力を大きく失ったクリムは、周囲の存在が自身より遥かに強大であることを認識した。特に竜の存在は脅威であり、目立たず生きる必要を理解した。一方で同じ悪魔の存在には安堵を覚え、【知識】やヒラクに対しては警戒と恐怖を抱いた。

生存戦略としての農業選択

クリムはヒラクへの敵対を避けるため、生存戦略として農業を選択した。多目的人型機動重機を用いて収穫の練習を行い、周囲からの助言も受けながら適応を進めた。こうして村で生きるための道を模索していった。

父との再接続と今後への希望

クリムは父の像を通じて再び交信が可能となり、精神的な支えを得た。父は眠りについていたが、存在は感じられた。今後は供物を捧げるなど関係を維持しつつ、自身の生活を築いていく意思を固めていた。

9 亡国の姫

馬たちの世話と天使族の手伝い

大樹の村では馬、ユニコーン、ペガサスの数が増え、獣人族の女の子たちだけでは世話の人手が不足しつつあった。そこに一部の天使族が加わり、ブラッシングや鬣、蹄鉄、翼の手入れを担った。ヒラクは世話の必要性を馬たちに説明しつつ、自分のブラッシングに寄ってくる馬にはメロンを差し入れるつもりで応じていた。

獣人族の女の子たちと馬の信頼関係

獣人族の女の子たちは馬の扱いに慣れており、馬たちもよく指示に従っていた。ヒラクはそれを愛情と信頼関係の成果と考えたが、馬の一頭は獣人族の女の子たちの怖さを訴えてきた。水桶をひっくり返した馬は、叱られるのを避けるためにヒラクのもとへ来ていたが、ヒラクはそれを見抜いていた。

ヨウコからの緊急呼び出し

屋敷で過ごしていたヒラクは、ヨウコに呼び出されて五ノ村へ向かった。緊急性が高かったため、ナナが直接呼びに来ていた。村議会場では謁見の間が用意され、ヒラクは偉そうな服に着替え、中央の席に座ることになった。

亡国の姫との謁見

謁見の間には、七、八歳ほどの女の子と三十代ほどの男性二人が現れた。女の子は丁寧に拝謁の礼を述べ、ヨウコが遠路の旅をねぎらい、面会まで時間をかけたことを謝罪した。男性の一人が差し出した手紙はナナを経てヨウコに渡され、ヨウコはそれを開かずにヒラクへ渡した。

ゴズラン王国の王族一行

謁見後、ヨウコはヒラクに事情を説明した。女の子は人間の国であるゴズラン王国の第三王女であり、男性二人は従者ではなく親類であった。ゴズラン王国は他国に侵略され、王族一行は国を追われて放浪していた。

ティゼルとの遭遇と五ノ村への誘導

放浪中、第三王女は病に伏していたところをティゼルに助けられていた。ティゼルは世界樹の葉で治療し、逃げるなら魔王国の五ノ村を目指すよう勧めていた。さらに、五ノ村の村長へ手紙を届けることを条件に旅費を渡していた。

五ノ村側の対応の遅れ

第三王女たちは五ノ村に到着したが、国を追われた身であり、用件も手紙を届けるだけだったため、王族とは名乗らなかった。そのため一般客として扱われ、村長との面会予約で四十日ほど待たされていた。ヨウコは、姫たちを長く待たせたことと、その間に生活が苦しくなったことを問題視していた。

ゴロウン商会への借金相談と発覚

滞在資金が尽きた第三王女たちは、同じ人間が関わるという理由でゴロウン商会に借金を申し込んだ。そこで姫たちの事情と、手紙の差出人がティゼルであることが判明し、ゴロウン商会は急いでヨウコに連絡した。ヨウコは王族への礼として謁見を整え、現在は姫たちを上客として扱っていた。

今後の処遇と手紙の確認

第三王女一行は総勢五十人であり、謁見に出た三人以外は五ノ村が手配した宿で休んでいた。ヨウコは、五ノ村から報酬を出す必要があること、また姫たちが今後五ノ村で暮らすのか別の場所へ向かうのか話し合う必要があると説明した。ヒラクは、まずティゼルからの手紙を読み、姫たちに関する記述を確認することにした。

10 “ゴズラン王国”の第三王女

ティゼルの短い手紙

ティゼルの手紙には、よろしく、とだけ書かれていた。ヒラクは暗号や魔法的な仕掛けを疑ったが、手紙にも封にも隠された内容はなかった。ヨウコは、姫たちを五ノ村へ逃がすため急いで用意した手紙だったのだろうと考え、ヒラクもそう受け止めることにした。

第三王女たちとの会談

ヒラクとヨウコは、第三王女たちの今後を相談するため、小さな会議室で会談を行った。ヨウコは、ゴズラン王国がジドエン王国に滅ぼされ、彼女たちが追われる身であることを踏まえ、安住の地探し、帰国、五ノ村への滞在のいずれでも手伝うと伝えた。

五ノ村で暮らす即答

第三王女は、五ノ村で生活したいと即答した。彼女は当面の生活費、住居、職探しを率直に求め、同行者二人も涙を使うよう助言するほど必死だった。ヒラクとヨウコは、五十人分の住居を近所に分けて手配し、それまで宿で過ごさせることを決めた。

生活支援と職探し

ヒラクは第三王女たちに銀貨百枚を渡すことにした。職については、個々にできることを確認するため、職探しの専門家を派遣することになった。第三王女はケーキを売る仕事を希望し、同行者たちは白鳥レースの調教師やラーメン店の店員を望んでいた。

ゴズラン王国再興の否定

ヨウコがゴズラン王国や他の王族の情報が必要かと尋ねると、第三王女は全力で不要だと答えた。これは、五ノ村を拠点にゴズラン王国を再興する意思がないことを示していた。ヨウコは第三王女の判断力を評価し、将来は五ノ村の文官候補になるかもしれないと考えた。

閑話 待つ姫

手紙の届け先としての五ノ村訪問

第三王女は、恩人である冒険者から託された手紙を五ノ村の村長へ届ける任務を果たした後、会談も無事に終えた。報酬や宿の手配、仕事の斡旋まで受け、深い感謝を抱いていたが、その裏には生活が立ち行かなくなる寸前の状況があった。

魔王国までの旅路と到着

第三王女たちは港町から船で魔王国を目指し、嵐や海賊といった危険を乗り越えながらも全員無事にシャシャートの街へ到着した。そこから転移門を利用して五ノ村へ辿り着き、村長への面会を申し込んで順番を待つこととなった。

王族を名乗らない選択と待機生活

王族であることを明かせば優先される可能性はあったが、追われる身である以上、村に迷惑をかけることを避けるため、第三王女たちは身分を隠して一般客として待機した。その間、交代で留守番を置きつつ、数人ずつで村を見て回る生活を送った。

五ノ村での体験と消費の増加

第三王女たちは劇場や映画、食事などを楽しみ、特にケーキやラーメンといった食文化に強い感動を覚えた。しかしその反面、遊戯場などでの出費も重なり、気づけば十日ほどで旅費を使い果たしてしまった。

資金枯渇と宿からの退去

面会の知らせが届かないまま資金が尽き、宿の滞在費も支払えなくなった第三王女たちは、やがて宿を追い出された。行き場を失った彼女たちは野営生活に移行し、厳しい環境の中で面会の連絡を待つこととなった。

警備隊の配慮と金策の試み

五ノ村の警備隊の配慮により、村外れの空き地での野営を許可され、さらに人間の商人がいるゴロウン商会を紹介された。第三王女は借金を申し込んだが、返済の見込みが立たないため断られ、資金調達は失敗に終わった。

泣き落としと状況の転換

最後の手段として第三王女は事情を訴え、恩人である冒険者の名を出したことで状況が一変した。これにより即座に村長との会談が実現し、困窮状態から脱することができた。

五ノ村での安定と新たな目標

生活の不安が解消され、再び宿のベッドで眠れる環境を得た第三王女は安堵した。今後は自立のために働く必要があると考え、ケーキ屋での仕事を目標に据え、新たな生活への意欲を固めていた。

閑話 美術館の来訪者

閑話 美術館の来訪者

魔族の男爵による来訪目的

魔族の男はとある貴族家の当主であり、美術を愛する人物であったが、財政難のため美術品の売却を目的として《プラーダ美術館》を訪れていた。体面を気にして事情を隠そうとするも、案内役に追及され、最終的に売却目的であることを明かした。

入口の悪魔像との邂逅

館内に入ると、まず巨大な悪魔の像が目に入り、その圧倒的な存在感と美しさに心を奪われた。恐ろしさと魅力が同居するその像に長く見入ってしまうが、他の来館者の邪魔になると考え、後ろ髪を引かれながら先へ進んだ。

館内演出と展示構成への感想

館内には心を落ち着かせる音楽が流れ、魔道具による演出も含めて高い完成度を感じ取った。展示は区画ごとにテーマが分かれており、絵画では人物画の魅力を再認識しつつも、風景画を好む自身の嗜好も意識していた。

異質な展示への戸惑い

箱をテーマとした区画では多様な箱が展示されていたが、その中に棺桶が含まれていることに戸惑いを覚えた。美術としての意図は理解しつつも、自身の感性とは合わないと感じていた。

楽器展示と特別展示室の異様さ

楽器の区画では実用的な楽器が多く並び、豪華装飾の有無に関係なく同列に扱われている点に違和感を覚えた。また特別展示室では、入室した男性が意識を失うなど異様な光景が見られ、強い興味を抱きながらも関わることを避けた。

査定結果と再訪意欲

展示を堪能した後、査定結果を確認し、その額に納得した。さらなる上乗せは望めないと判断し売却を決めたが、美術館の質の高さから再訪への意欲を強めた。

感想記入への意欲

スタッフから感想記入による割引制度を提案され、今後の訪問も見据えてこれを受け入れた。質の高い紙に戸惑いながらも、自身の審美眼を示すために評価される内容を書こうと決意した。

閑話 ジークフリート

意思を持った機動重機の過去

ジークフリートは多目的人型機動重機として主人に仕え、愛情を受けながら働いていた。しかし意思を持ったことで処分される可能性を悟り、自ら動かず沈黙を選んでいた。やがて主人は彼と仲間たちを洞窟に残して去り、入り口も塞がれてしまった。

脱出の試みと機能停止

脱出を決意したジークフリートは単独で掘削を開始し、地上を目指して掘り進めた。しかし無理を重ねた結果、重要な部品が破損し、動作不能となった。修復も叶わず、長い時間を地下で過ごし、主人を思いながら眠りに落ちた。

地上への回収と再起への願い

再び目覚めたとき、ジークフリートは地上に引き上げられていた。周囲の人々に救出されたと理解しつつ、主人に似た熱量を持つ人物に懐かしさを覚えた。新たにジークフリートと名付けられるが、過去の名は思い出せず、損傷したまま動けない状態に焦りを抱いていた。

異質な存在の侵入と暴走の危機

あるとき、ジークフリートの内部に異質な存在が侵入し、機体の制御に影響を及ぼした。鎖による拘束や外部からの破壊により機体は削られていき、消滅の危機に瀕する。侵入した存在も恐怖で動けず、状況は悪化していった。

搭乗者を守る使命と決断

ジークフリートは多目的人型機動重機としての本能に従い、内部の存在を守ることを優先した。自らの消滅を覚悟しつつ、その存在を外へ逃がすために力を振り絞り、最後まで守ろうとした。

新たな存在としての再生

しかし内部の存在であったクリムが逆にジークフリートを救い、新たな形で再生が果たされた。以前の巨大な機体は失われ、小型化したものの、新しい体として生きる道を得た。

クリム専用機としての新たな生

ジークフリートはクリムと共に生活することとなり、彼女の呼び出しに応じて行動する存在となった。自由は制限されつつも、役割を持つことに満足し、新たな生を受け入れた。こうしてジークフリートは、クリム専用機として再び歩み始めた。

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