望まぬ不死の冒険者5巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者7巻
どんな本?
『望まぬ不死の冒険者』は、丘野優 氏による日本のライトノベル作品。
小説家になろうにて2016年9月22日より連載されており、オーバーラップノベルスより刊行されている。
イラストはじゃいあん 氏が担当。
物語は、銅級冒険者のレント・ファイナが水月の迷宮で龍に食われて不死の魔物として蘇るところから始まる。
レントは魔物を食らうことで進化していき、骨人から屍食鬼、下級吸血鬼となる。
レントは自分の境遇に苦しみながらも、冒険者としての夢を捨てずに、魔物と人間の狭間で生きることを決意する。
しかし、レントの存在は世界の秩序を揺るがす危険なものとして、様々な勢力の注目を集めてしままう。
この作品は、コミカライズやテレビアニメ化もされており、人気の高いファンタジー作品。
コミカライズは中曽根ハイジが作画を担当し、コミックガルドにて連載中。
テレビアニメは2024年1月より放送予定。
読んだ本のタイトル
#望まぬ不死の冒険者 6巻
著者:#丘野優 氏
イラスト:#じゃいあん 氏
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あらすじ・内容
不死者、自身のルーツを語る
故郷ハトハラーの村に辿り着いた、『不死者』であり冒険者のレントと、学者で魔術師のロレーヌ。
望まぬ不死の冒険者 6
久しく顔を見せていなかったレントの帰省を受け、村を挙げて歓迎の宴が催されることに。
準備のため留守番を任されたロレーヌの元へ、昔のレントを知る者たちが訪れる。冒険者としてのレントの様子を聞かれたロレーヌは、骨巨人やタラスクとの戦闘を魔術で再現し……!?
その後、始まった宴の最中、レントの姿が見当たらないことに気づいたロレーヌ。探し当てた墓所には、レントの姿があった。
そして『不死者』は自身のルーツを語り出す――
「ああ、そうだ。あれは村の特産品を売りに隣町に行くときのことだったな……」
かつての幼馴染との交流と、神銀級を目指す契機となった事件を。
強大な魔物と戦い、多くの謎を解き、そして強くなる。
死してもなお遙かなる神銀級を目指す、不死者レントの『冒険』、第6弾――!
感想
レントとロレーヌ、ふたりの旅人が、レントのふるさとであるハトハラー村を訪れる。村の門で若者に止められるも、レントの里帰りと分かり、彼らは村への入村を許される。ロレーヌはレントとともに村人たちにあいさつを交わす。
村では、レントがロレーヌと婚約したとの噂が広まる。レントは誤解を解こうとするが、村人たちは既にそれを信じ込んでいる。彼らはレントの義理の両親である村長夫婦の家を訪れ、レントの両親は彼の安全を喜びつつも、彼とロレーヌの関係について誤解していることが明らかになる。
ロレーヌは、レントの家を出た後、村長宅でリリとファーリという若い女性たちから質問を受ける。彼女はレントの冒険について語り、魔術を使って魔物の幻影を見せる。リリとファーリは驚くが、ロレーヌの説明により安心する。
物語ではレントとロレーヌの親密さ、レントの故郷への帰還、そして村人たちとの交流が描かれる。ロレーヌはレントの人間関係や村の文化について学び、理解を深める過程も描かれる。
レントは、村から都会へ向かう途中での問題に直面する。彼はロレーヌと共に、亡くなった両親の墓を訪れる。ロレーヌはレントの両親に対して敬意を示し、彼らの記憶に語りかける。物語はレントの過去のエピソードや彼の村での生活に焦点を当て、彼が現在の状況に至った経緯を詳細に描写する。
レントは幼い頃、ジンリンという子供とともに村外への冒険に出る。彼らは隣町への旅に出るが、途中でジンリンが木から落ちそうになり、レントが彼女を救う。物語は二人の子供時代の冒険と友情、夢への願望を中心に展開する。
レントはジンリンとともに旅をしていたが、帰り道で馬車が横転し、大人たちは亡くなり、彼らだけが生き残る。しかし、その後、魔物に襲われ、ジンリンも命を落とす。この出来事で、レントは深い悲しみに打ちひしがれる。
助けに来たヴィルフリートとアゼルによって、レントは村に帰ることができる。彼はジンリンの夢だった冒険者になることを心に決める。
レントは、幼い頃にジンリンが将来冒険者になりたいと話していたことをきっかけに、自身も冒険者を目指すようになる。彼は村を出て、ヴィルフリートとアゼルに出会い、冒険者としての指導を受ける。
レントは村の外れにある祠を修理し、そこから聖気を得る。この力は、食べ物の保存に役立つ。10年間冒険者としてスキルを磨いた後、レントは村に戻る。村の人々との再会とともに、薬師ガルブとの再会もあり、ガルブは魔術師であることが明らかになる。
レントとロレーヌは、放置されていた祠を掃除する。掃除が終わり、二人は祠で祈りを捧げる。その時、レントが以前作った人形が動き始め、植物神ヴィロゲトの分霊として話し始める。分霊はレントとロレーヌに加護を与え、ロレーヌには聖気を授ける。
ガルブとカピタンに案内されて、レントとロレーヌはハトハラー村の秘密を探る旅を続ける。彼らは、ハトハラー村が古代の王国の末裔であり、村の住人が特殊な血を持っていることを知る。この血が転移魔法陣の鍵であり、彼らは古代の迷宮都市を訪れる。
レントとロレーヌは新たな転移魔法陣を使い、下水道に隠された秘密の部屋を探索する。彼らはガルブとカピタンに案内されて、ハトハラー村の秘密に関わる古い下水道を通り、王都ヴィステルヤに到着する。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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望まぬ不死の冒険者5巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者7巻
考察・解説
ハトハラー村の帰郷
吸血鬼狩りのニヴ・マリスから距離を置きつつ、自身の持つ聖気のルーツである祠について調べるため、レントは学者ロレーヌを伴って故郷へ里帰りした。この帰郷を通じて明かされるレントの過去、神銀級冒険者を目指す理由、そしてハトハラー村が抱える重大な秘密について解説する。
帰郷と歓迎の宴
ハトハラー村に到着したレントとロレーヌであるが、村の門番である幼馴染のジャルとドルは、ロレーヌを見るなりレントが嫁を連れて帰ってきたと勘違いし、村中に言いふらしてしまう。村長宅でレントは、村長インゴと妻ジルダが義理の両親であること、実の両親はレントが5歳の時に魔物に襲われて亡くなったことをロレーヌに明かした。
その夜、レントの帰郷を祝う村を挙げての宴が開かれた。そこでロレーヌは、レントの秘密を隠しつつ威厳を保つため、幻影魔術を使って骨巨人やタラスクとの戦闘を建国神話の英雄並みに過剰演出して上映した。その結果、村人や幼馴染の少女リリとファーリから、レントは凄腕の英雄として尊敬の眼差しを向けられることとなった。
悲劇の過去と神銀級を目指す理由
レントは墓所でロレーヌに対し、自らのルーツと過去の悲劇を語った。
5歳の時、実の両親、村長の母プラヴダ、そして半ば許嫁であり冒険者になって世界を見て回りたいという夢を持っていた村長の娘ジンリンと共に隣町へ出かけた帰路、一行は邪悪な銀狼の魔物に襲撃された。プラヴダと実の両親は殺され、レントも襲われるが、彼を庇ってジンリンが狼の爪に貫かれ、息絶えてしまう。
絶望の中、棒切れで狼に立ち向かったレントを救ったのが、偶然駆けつけた神銀級冒険者ヴィルフリート・リュッカーであった。この悲劇の象徴である銀狼を打ち砕ける存在になりたいという思いと、ジンリンが叶えられなかった冒険者という夢を代わりに叶えるため、レントはヴィルフリートと同じ神銀級冒険者になることを強く決意し、村の大人たちに頼み込んで血滲むような修行を始めたのである。
祠の清掃と神霊ヴィロゲトの降臨
翌日、レントとロレーヌは聖気の源である廃屋の裏の小さな祠を訪れ、綺麗に清掃して祈りを捧げた。すると、ロレーヌの腹部にしまってあったレントの手作りの木彫り人形を依代にして、植物神ヴィロゲトの分霊が降臨した。
分霊は、信徒であるレントに加護を与え続けていたことを語り、その場にいたロレーヌにも聖気の加護を授けた。さらに、レントが身につけている外れない仮面が呪物ではなく神具であることを看破し、詳細を知りたければ鑑定神の本神殿へ行くことを勧めた。時間切れで分霊が去ると、依代となった人形は砂のように崩れ落ちた。
ハトハラー村の真の秘密と古代の地下都市
祠の調査を終えた後、レントとロレーヌは薬師ガルブと狩人頭カピタンに連れられ、危険な北の森の奥深くにある古い砦へ向かった。砦の最奥には、現代の技術では作れないはずの転移魔法陣が隠されていた。
魔法陣に乗って転移した先は、レルムッド帝国の領域にある迷宮《古き虫の迷宮》の第60階層、通称「善王フェルトの地下都市」であった。村の体制や秘密に関する詳細は以下の通りである。
- ハトハラーの村人たちは、この古代都市を築いた古王国の末裔であり、彼らの血こそが転移魔法陣や、都市を守護する魔物「黒王虎(シヤホール・メレフナメル)」を動かす鍵であること
- この途方もない秘密は村長、薬師、狩人頭の三役職にのみ代々受け継がれてきたこと
- 帝国が迷宮の調査を本格化させる動きがあるため、身軽に動けるレントとロレーヌにも管理者に加わってほしいと頼まれたこと
二人は新たな転移陣を描くことができる古代の魔道具(青い石と赤い石)を託され、確認済みの転移先の一つからヤーラン王国の王都ヴィステルヤへと向かうこととなった。
まとめ
ハトハラー村への帰郷は、レントの目的であった聖気のルーツ解明を達成しただけでなく、彼の原点となった過去の悲劇や、村に隠された壮大な秘密を浮き彫りにする結果となった。
今回の帰郷における主な成果は以下の通りである。
- 祠の清掃を通じて植物神ヴィロゲトの分霊と対話し、仮面が神具であるという重要な手がかりを得たこと
- 自身の過去をロレーヌに共有し、神銀級冒険者を目指す決意を新たにしたこと
- 村の正統な末裔として古代地下都市の管理者に指名され、新たな移動手段と魔道具を獲得したこと
これらの出来事を経て、レントとロレーヌは古代の秘密を守る立場となり、王都ヴィステルヤへと次なる一歩を踏み出すこととなった。
幼馴染の勘違い
幼馴染の勘違いにおける発端とレントの朴念仁ぶり
主人公レントが学者ロレーヌを伴って故郷のハトハラー村に帰省した際、門番をしていた幼馴染たちの間でユーモラスな勘違いが発生した。この勘違いの発端と、それが浮き彫りにしたレントの鈍感さについて解説する。
ロレーヌを嫁だと思い込むジャルとドル
レントとロレーヌがハトハラー村の門に到着すると、村の門番をしていた幼馴染の若者、ジャルとドルに止められた。最初はレントの怪しいローブと仮面姿を訝しむが、彼がレントであることに気づくと、今度は隣に立つロレーヌに注目する。ロレーヌが自己紹介のために握手を交わすと、二人は彼女を、レントが連れて帰ってきた嫁あるいは婚約者だと完全に勘違いしてしまった。興奮したドルは、レントが否定する間もなく、村長へ報告するために村の中へと走り去っていった。
リリとファーリへの影響と男たちのチャンス
一人残ったジャルは、村でもそれと知られた朴念仁がまさか嫁を連れて帰ってくるとはと呆れつつも、村で評判の美人である幼馴染のリリとファーリが悲しむだろうと呟いた。実はこの二人の少女は昔からレントに好意を寄せていた。しかしジャルは、レントが嫁を連れてきたことで彼女たちがレントを諦めるだろうと考え、お陰で俺たち村の男にはチャンスが生まれたとちゃっかり喜んでいた。
明らかになるレントの朴念仁ぶり
ジャルからリリとファーリの好意を聞かされたレントであるが、彼には全く心当たりがなかった。ジャルから指摘された具体的な過去のアプローチ内容は以下の通りである。
- 女性から告白できる「聖アルトの祝祭日」にハチミツ菓子をもらったこと
- 恋愛成就の言い伝えがある村の「名もなき祭り」で湖に誘われたこと
これらの明確なアプローチがあったにもかかわらず、七つも年下である二人を妹のようにしか見ていなかったレントは、それらの行動の真意に全く気づいていないという生粋の朴念仁ぶりを露呈した。
勘違いの放置
レントがジャルと話しているところへロレーヌ本人が現れたため、会話は中断されてしまう。レントはロレーヌが嫁ではないと訂正する機会を逸するが、リリとファーリのことを考えればこのまま勘違いさせておいた方が都合がいいかもしれないと考え、無理に訂正することなく村へ入っていった。その結果、この嫁を連れてきたという勘違いは村中に広まることになった。
まとめ
ハトハラー村への門前で起きたユーモラスな一幕における主要な要点は以下の通りである。
- 門番のジャルとドルがロレーヌをレントの嫁と誤認し、否定する間もなく村中にその情報が拡散されたこと
- 勘違いをきっかけに、幼馴染の少女リリとファーリがレントに昔から好意を寄せていた事実が浮き彫りになったこと
- 過去の明確なアプローチを全て見落としていたレントの圧倒的な鈍感さが発覚したこと
- 少女たちの関係を考慮したレントの判断により、あえて誤解が訂正されずに放置されたこと
この勘違いは、長年村を離れていたレントの帰郷を賑やかに彩るだけでなく、彼の卓越した冒険者としての能力とは対照的な、私生活における極端な朴念仁ぶりをロレーヌの前で証明するエピソードとなった。
ロレーヌの幻影魔術
ロレーヌの幻影魔術における性質とハトハラー村での上映成果
学者ロレーヌの卓越した魔術の技量を示す幻影魔術は、主人公レントの故郷ハトハラー村で彼の威厳を高めるために大いに活用された。幻影魔術の一般的な性質とロレーヌの実力、村での具体的な上映の様子、そしてその結果について解説する。
幻影魔術の性質とロレーヌの規格外の実力
幻影魔術は、地図や構造物などを中空に投影する魔術である。しかし、構成が非常に難しく、維持するために多くの魔力と大量の魔石を必要とする。そのため非常にコストがかかり、通常は各国の高級劇場などで専門の魔術師によって運用される代物である。
これに対し、ロレーヌは自身で魔法陣や構成を研究して魔力消費を大幅に抑えることに成功している。さらに、彼女自身の膨大な魔力量と緻密な制御力によって、単独で大規模な幻影を長期間維持するという規格外の実力を有している。
ハトハラー村での披露と過剰な演出
ロレーヌはハトハラー村において、レントの幼馴染であるリリとファーリに冒険者がどのような魔物と戦っているかを伝えるため、幻影魔術を披露した。
最初に巨大な骨巨人の幻影を出現させて安全であることを証明した後、さらに強大なタラスクの幻影を投影した。そこにレントの幻影も追加し、両者の戦闘を劇のように再現してみせた。
この幻影劇で再現された戦闘には、ロレーヌによってかなりの過剰演出が施されていた。具体的な演出内容やその意図は以下の通りである。
- 実際の戦闘では眷属のエーデルの助けや切り札を用いて泥臭く勝利したのに対し、幻影内では単独でタラスクを圧倒し、ほぼ無傷で首を斬り落とす英雄として描いたこと
- レントの不死者としての特性や秘密の切り札を隠しつつ、村における彼の威厳を保ち高めるための気遣いとして演出を構成したこと
これを見たリリとファーリは目を輝かせ、レントに畏敬と尊敬の念を抱くようになった。
歓迎の宴での上映とレントの逃亡
ロレーヌは、この過剰演出された幻影劇をレントの帰省を祝う夜の歓迎の宴でも村人たちに向けて上映した。宴の際には演出がさらに3割増しになっており、これを見た村人たちは大いに沸き立ち、レントを村の英雄として称賛した。
しかし、実際の泥臭い戦いを知るレント本人は、この度を越した美化と過剰な演出にげんなりしてしまい、上映が終わるやいなや広場から逃げ出し、一人で村の墓所へと向かうこととなった。
まとめ
ロレーヌの幻影魔術がもたらした効果と村での状況をまとめると以下の通りである。
- 専門の魔術師が複数人で扱う高度な幻影魔術を、ロレーヌが単独かつ低コストで制御し運用の場を設けたこと
- 劇的な過剰演出により、レントの不死者としての秘密を守りつつ、村人たちの前で彼の冒険者としての威厳を確立したこと
- 演出の肥大化によって村全体が英雄の帰還に沸き立つ一方で、当事者であるレントが困惑して席を外すという結果を生んだこと
ロレーヌの幻影魔術は、彼女の魔法使いとしての高い実力を証明すると同時に、秘匿と名誉を両立させる手段として村の夜を大きく賑わせる結果となった。
ジンリンの悲劇
ジンリンの悲劇における過酷な過去とレントの原点
ジンリンの悲劇は、主人公レントが5歳の時に経験した過酷な過去であり、彼が神銀級冒険者という途方もない夢を生涯をかけて追い求めることになった最大の原動力にして原点となるエピソードである。ジンリンの人物像や夢、銀狼の襲撃、そしてこの悲劇がレントの人生に与えた影響について解説する。
ジンリンという少女と彼女の夢
ジンリンは、レントの故郷ハトハラー村の村長夫妻(インゴとジルダ)の一人娘であり、レントとは親同士が結婚を約束していた半ば許嫁のような関係の幼馴染であった。引っ込み思案だった当時のレントとは対照的に、男勝りで活発な性格をしていた。
レントが5歳の時、彼の両親やジンリンの祖母プラヴダと共に隣町へ旅をした際、ジンリンは木に引っかかった妖精(ティルヤ)を助けるために危険を顧みず木に登るようなやんちゃさと優しさを見せた。そしてその日の夜、彼女はレントに、大人になったら冒険者になって、空の島から落ちる滝や、水に囲まれた街など、世界を見て回りたいという強い夢を語っていた。
邪悪な銀狼の襲撃と絶望
悲劇は隣町からの帰路で起こった。突如として馬車が横転し、血走った目に黒黒とした邪悪なオーラを纏う巨大な銀色の狼が一行を襲撃した。ジンリンの祖母プラヴダが杖で魔術を用いて立ち向かったが、狼の爪に貫かれて死亡し、レントの両親もすでに息絶えていた。生き残ったレントとジンリンは必死に逃げたが、子供の足では逃げ切れるはずもなく、狼に遊び半分で追い詰められてしまった。
自己犠牲と最期の言葉
もはや逃げ場がないと悟ったレントは、自分が犠牲になって殺されている間にジンリンを逃がそうと、彼女を庇って狼の前に立ち塞がった。しかし、狼が前足を振り下ろしたその瞬間、ジンリンはレントを押しのけ、彼に代わって狼の爪に胸を貫かれてしまった。
血の海に倒れ伏したジンリンは、パニックになって叫ぶレントに対し、両親への謝罪と、レントには生きてほしいという願いを託した。そして、本当はいつかレントと結婚したかった、自分が死んでも他の誰かと幸せになってと言い残し、命を落とした。
悲劇がレントの人生に与えた影響
すべてを失い絶望したレントは、棒切れ一つで狼に立ち向かったが、そこに駆けつけた神銀級冒険者ヴィルフリート・リュッカーに命を救われた。
この凄惨な出来事を経て、レントの心境や決意は以下のように固まることとなった。
- ジンリンがなろうとしてなれなかった冒険者という夢を自分が代わりに叶えなければならないと強く決意したこと
- 両親やジンリンの命を奪った悲劇の象徴である銀狼を打ち砕けるような存在、すなわちヴィルフリートと同じ神銀級冒険者になることを生涯の目標として定めたこと
まとめ
このジンリンの悲劇と彼女から託された想いこそが、レントが才能の壁にぶつかり万年銅級と言われても、さらには魔物(不死者)に成り果ててさえも決して夢を諦めない、彼の強靭な精神力の根源となっている。彼女の犠牲と最期の言葉は、レントの歩む冒険者としての道に消えることのない強い光を与え続けている。
神銀級への決意
神銀級への決意における精神力の根源と才能の壁を越えた希望
神銀級(ミスリル)への決意は、主人公レント・ファイナの行動原理であり、彼がどれほどの絶望や困難に直面しても決して折れない強靭な精神力の根源である。その決意の原点、才能の壁と10年間の執念、不死者となってから見出した希望、そして周囲の反応について解説する。
決意の原点:ジンリンの悲劇とヴィルフリートとの出会い
レントが神銀級冒険者を生涯の目標としたのは、彼が5歳の時に経験した悲劇がきっかけである。故郷ハトハラー村で隣町へ出かけた帰路、一行は邪悪な銀狼の魔物に襲撃された。その際、冒険者になって世界を見て回りたいという夢を語っていた幼馴染のジンリンが、レントを庇って命を落とした。絶望の中で棒切れを手に魔物に立ち向かったレントを救ったのが、神銀級冒険者のヴィルフリート・リュッカーであった。
レントは、ジンリンが叶えられなかった冒険者という夢を自分が代わりに叶えること、そして悲劇の象徴である銀狼を打ち砕けるよう、ヴィルフリートと同じ神銀級冒険者になることを強く決意し、血滲むような修行を始めた。
才能の壁と10年間の執念
冒険者となったレントであるが、彼には魔力、気力、聖気の素養がわずかにあるものの、どれも中途半端で決定的な才能が不足していた。15歳で冒険者になってから10年間(修行期間を含めれば約20年)ひたすらに努力を続けても、銅級下位にとどまり続けた。
多くの者が己の才能を見限って引退していく中、レントは神銀級への夢をどうしても諦めることができず、日々しょぼい依頼をこなしながら鍛錬を続けていた。マルトの冒険者たちはレントの目標を知っており、才能がないため神銀級など夢のまた夢だと考えつつも、彼の圧倒的な知識や経験、そして地道な努力を認めていたため、無理に止めようとはしなかった。
不死者となって見出した新たな希望
低位迷宮《水月の迷宮》で強大な《龍》に遭遇し、喰われて最弱の魔物「骨人(スケルトン)」になってしまったレントであるが、それでも神銀級への夢を諦めなかった。魔物には経験を積んで上位種へ進化する《存在進化》という特性があり、それを利用すればいつか人間に近い姿に戻れるかもしれないと考えたためである。
実際に魔物を倒して進化を重ねるうちに、人間時代にはどれだけ修行しても上がらなかった身体能力や魔力、気、聖気の力が劇的に上昇していくことを実感した。魔物になったことで皮肉にも才能の壁を越え、神銀級に手が届くかもしれないという希望を見出したレントは、さらなる強敵に挑み、強くなる決意を新たにした。
共通の夢を持つ者と周囲の理解
レントの神銀級への強い思いは、他者の心も動かしている。レントを取り巻く主要な人物の反応や背景は以下の通りである。
- 冒険者組合長ウルフ・ヘルマン:レントの二重登録を見抜いた際、自らもかつて周囲に笑われながら本気で神銀級を目指していた過去を明かし、同じ夢を追うレントに自分を重ねて期待を寄せた
- 吸血鬼狩りの金級冒険者ニヴ・マリス:目標を聞いた際に頭ごなしに否定せず、どちらが先になるか勝負すると答えた
- 商人シャール・ステノ:神銀級になった際には店で支援したいと語り、有望なレントの将来性に投資する姿勢を示した
自身の夢が笑われなかったことに、レントは不思議な感慨と、夢が現実になりつつある手応えを覚えることとなった。
まとめ
レントが抱く神銀級への決意と、それを取り巻く環境の要点は以下の通りである。
- 幼馴染の犠牲と神銀級冒険者との出会いが、生涯にわたる強い行動原理の原点となったこと
- 凡庸な才能という過酷な現実に対しても、10年以上の歳月を鍛錬に捧げる圧倒的な執念を維持したこと
- 魔物化という絶望的な状況を存在進化による成長の好機と捉え、才能の壁を打破する希望に変えたこと
- その真っ直ぐな意思がウルフやニヴ、シャールといった実力者たちに認められ、確かな支持を得るに至ったこと
絶望から始まったレントの挑戦は、存在進化という新たな力を得たことで、周囲を巻き込みながら確実に神銀級という頂点へ向けて加速している。
ヴィロゲトの分霊
神霊ヴィロゲトの分霊における正体とレントたちへの助言
レントの故郷ハトハラー村にある廃屋の裏の小さな祠に祀られていたヴィロゲトの分霊は、かつてレントが打ち捨てられていた祠を修理したことで彼に聖気の加護を与えた、レントの力の根源とも言える神霊である。この分霊の正体、性格、そしてレントたちにもたらした影響について解説する。
正体と顕現の経緯
この神霊は、植物や肥沃、戦争と収穫を司る神「ヴィロゲト」の分霊である。本殿や本体は別の場所にあり、本体から長く離れて独立しているため、どちらかといえば精霊に近い存在となっている。
ハトハラー村に帰郷したレントとロレーヌが祠を清掃し祈りを捧げた際、ロレーヌの服の中にあった木彫り人形を依代にして顕現した。この人形は、魔力を帯びた素材でレントがロレーヌを象って作ったものであった。
気さくな性格と人間臭い振る舞い
神霊でありながら、伝説に語られるような威厳や神々しさは全くない。非常にフランクで軽い口調で話し、ロレーヌという新たな信徒が増えたことを喜ぶと、お神酒を持ってきてほしいと要求し、供えられたハトハラーの火酒を一気に飲み干すなど、どこか人間臭い一面を見せる。また、自身の名前すら持っておらず、ヴィロゲト様の分霊ということでヴィロでもゲトでも適当に呼んでよいと語るほどの適当さを持っている。
ロレーヌへの加護の授与
本体から離れているうえ、信徒がレントとロレーヌの二人しかいないため、自身の力が弱くしょぼい加護しか与えられないと自認している。それでも信徒には力を貸したいと考えており、その場でロレーヌにも聖気の加護を授けた。これにより、魔術師であるロレーヌもわずかながら聖気を扱えるようになる。
レントの仮面に関する重要な助言
分霊は、自分が与えた加護が弱いにもかかわらずレントの聖気が異常に増加していることに気づき、レントが身につけている外れない骸骨の仮面が原因ではないかと推測した。分霊の指摘や助言に関する要点は以下の通りである。
- 仮面からは神の気配が感じられ、呪いの品ではなく加護を増幅させる神具である可能性が高いこと
- 仮面の詳細や作った神について知りたいのであれば、鑑定神の本神殿へ行くべきであること
この言葉が、彼らの次の旅の大きな目的となる。
時間切れと依代の崩壊
色々な情報を伝えた後、突如として時間切れが迫っていると焦り始めた。次に呼ぶ時はもっと魔力を含んだ良い素材で人型の依代を作るよう言い残し、空気に溶けるように消え去った。神霊が去った直後、依代として使われた木彫り人形は黒ずみ、細かい砂のように崩れ落ちてしまった。
まとめ
ヴィロゲトの分霊との対話において得られた成果と状況は以下の通りである。
- 祠の清掃をきっかけに神霊が顕現し、ロレーヌにも新たに聖気の加護が授けられたこと
- レントの仮面が呪物ではなく神具であるという事実と、鑑定神の本神殿を目指すという次の指針が示されたこと
- 顕現には魔力を含む人型の依代が必要であり、使用後は崩壊するという性質が判明したこと
威厳こそないものの、この神霊の登場はレントの仮面の謎を解き明かす大きな手がかりとなり、二人の新たな旅の目的を決定づける重要な転機となった。
古代の地下都市
古代の地下都市における全貌とハトハラー村の秘密
レントの故郷ハトハラー村の近郊にある古い砦の転移魔法陣から繋がっている古代の地下都市は、とてつもない秘密を秘めた広大な遺跡である。その全貌とハトハラー村との深い関係について解説する。
地下都市の正体と古王国の技術
転移魔法陣で到達する先は、地上ではなく巨大な地下空間に広がる街である。天井には星のように輝く柔らかな光があり、街中には魔力灯が点在する幻想的で美しい都市となっている。
この場所の正体は、レルムッド帝国の領域に存在する迷宮《古き虫の迷宮》の第60階層であり、通称「善王フェルトの地下都市」と呼ばれる遺跡である。魔法の袋などを造り出したとされる超技術文明「古王国」の末裔が築き上げたものであり、帝国でも調査が進んでいない未踏の領域であった。
ハトハラー村の住人の血という鍵
ハトハラー村の住人こそが、この都市を築いた古王国の末裔である。都市の機能や守護魔物に関する特徴は以下の通りである。
- 現代の技術では造り出せない転移魔法陣を稼働させられること
- 討伐には白金級から神銀級の腕が必要とされる強大な魔物「黒王虎(シヤホール・メレフナメル)」を、猫のように従えることができること
これらを可能にしているのは、ハトハラーの住人の血がシステムを動かす鍵となっているためである。
村の役職者による血塗られた過去
この秘密は、村の役職者(村長、薬師、狩人頭)によって代々隠し通されてきた。かつて、村の役職者には国王(村長)、魔術師長(薬師)、騎士団長(狩人頭)のほかに、宰相、司法大臣、神官が存在していた。
約50年前、地下都市を公開して村を豊かにしようと主張する公開派(宰相ら3名)と、外部組織に利用される危険を恐れて秘匿を主張する秘匿派(村長ら3名)の間で意見が対立し、武力衝突へと発展した。結果として公開派の3人が死亡し、生き残った秘匿派も重傷を負うという凄惨な争いがあった。
レントとロレーヌへの管理者勧誘
長年秘密を守ってきた薬師ガルブと狩人頭カピタンであるが、近年、レルムッド帝国がこの迷宮地下都市の調査を本格化させる動きがあるため、今まで通りの秘匿では限界が来ると判断した。
そこで彼らは、身軽に動けて実力もあるレントとロレーヌに対し、新たな管理者の一員として加わってほしいと頼み、新たな転移魔法陣を描き出せる古代の秘宝(赤い石と青い石のペア)を託した。二人はこの石を活用し、王都ヴィステルヤへと向かうこととなる。
まとめ
ハトハラー村近郊の砦から繋がる古代の地下都市は、古王国の超技術の結晶であり、村の存続に関わる重大な秘密であった。
今回の調査と管理者勧誘における重要な要点は以下の通りである。
- 遺跡が帝国の未踏領域である《古き虫の迷宮》の第60階層に位置し、ハトハラー村の住人の血によって管理されている事実が判明したこと
- 過去に秘密の公開を巡る凄惨な内部闘争があり、現在も秘匿の方針が維持されていること
- 帝国の調査進展に対抗するため、レントとロレーヌが新たな管理者に指名され、古代の移動魔道具を託されたこと
この途方もない秘密を共有し、新たな魔道具を得たレントとロレーヌは、地下都市の管理者という重責を担いながら王都ヴィステルヤへと旅立つこととなった。
望まぬ不死の冒険者5巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者7巻
登場キャラクター
主人公とその関係者
レント・ファイナ
不死者であり、神銀級を目指す冒険者である。ロレーヌとは友人の関係にある。インゴとジルダを義理の両親としている。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・銅級冒険者。ハトハラー村出身。
・物語内での具体的な行動や成果
故郷のハトハラー村へ帰郷した。過去に魔物に両親や幼馴染を殺された出来事を墓所でロレーヌに語っている。廃屋の裏の祠を修理した結果としてヴィロゲトの分霊から加護を受けた。ガルブとカピタンから村の秘密である地下都市と転移魔法陣について教えられている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
吸血鬼の体質を持つ。身に着けている外れない仮面が呪物ではなく神具である可能性を神霊から指摘された。
ロレーヌ・ヴィヴィエ
レントの友人であり、マルトで活動する魔術師である。レルムッド帝国の出身という経歴を持つ。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・銀級冒険者。学者。魔術師。錬金術師。
・物語内での具体的な行動や成果
レントと共にハトハラー村を訪れた。リリとファーリに向けて幻影魔術を用い、レントの戦闘を再現して見せている。ヴィロゲトの分霊から新たに聖気の加護を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
膨大な魔力量を誇る。
ハトハラー村
インゴ・ファイナ
ハトハラー村の村長であり、レントの義理の父親である。村の秘密を知る管理者の一人を担っている。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・村長。
・物語内での具体的な行動や成果
レントの帰省を喜び、村を挙げての歓迎の宴を主催した。レントが墓所にいることを、彼を探していたロレーヌに教えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
かつては「国王」と呼ばれていた役職の末裔にあたる。
ジルダ・ファイナ
インゴの妻であり、レントの義理の母親である。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・村長夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
行方不明と聞いていたレントが無事に帰還したことに涙を流して喜んだ。歓迎の宴の準備のために村人たちへ声をかけて回っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ジャル
ハトハラー村の門番を務める若者である。細身の体型をしている。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・門番。
・物語内での具体的な行動や成果
村に帰ってきたレントを止めたが、正体に気づいて驚きを示した。隣に立つロレーヌをレントの嫁だと完全に勘違いしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ドル
ハトハラー村の門番を務める若者である。背が小さい体型をしている。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・門番。
・物語内での具体的な行動や成果
ロレーヌの姿を見て、レントが嫁を連れて帰ってきたと勘違いした。村長に報告するため、慌てて村の中へ走り去っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
リリ
茶色の髪を二つに結び、少しきつい目つきをした少女である。昔からレントに好意を寄せている。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・村人。
・物語内での具体的な行動や成果
留守番中のロレーヌを訪ね、都会や冒険者の話を聞いた。ロレーヌの幻影魔術でレントの活躍を見た結果、彼を強く尊敬するようになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
狩人から《気》の技術を教わっている。
ファーリ
青みがかった黒髪のショートカットで、おっとりした性格の少女である。リリと同様にレントへ好意を寄せている。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・村人。薬師ガルブの弟子。
・物語内での具体的な行動や成果
リリと共にロレーヌから都会の話を聞き出した。幻影魔術の劇を見て、冒険者という職業に憧れを抱いている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
僅かな魔力を持っており、ガルブから錬金術を教わる予定となっている。
村の女性たち
ハトハラー村で暮らす女性たちである。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・村人。
・物語内での具体的な行動や成果
歓迎の宴のために大量のご馳走を作って広場に並べた。レントからマルトで流行っている装飾品などの土産を受け取っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
狩人のおっさんたち
ハトハラー村で狩猟を担う男たちである。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・狩人。
・物語内での具体的な行動や成果
歓迎の宴の食事として、自ら狩ってきた鳥獣の丸焼きを提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
村の若者たち
ハトハラー村の若い男たちである。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・村人。
・物語内での具体的な行動や成果
宴でレントから都会の流行や美人の話を聞き出した。ロレーヌが近づいてくると、気まずくなって慌てて逃げ出している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ロクスタ
レントの実の父親である。元は他所者であり、村に落ち着くまでは旅をして暮らしていた。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・村人。
・物語内での具体的な行動や成果
村の特産品を売るため、隣町へ向かう馬車の御者を務めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
帰路で邪悪な銀狼の襲撃を受け、命を落とした。
メリサ
レントの実の母親である。相当な美人であり、村でよく求婚されていた過去を持つ。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・村人。
・物語内での具体的な行動や成果
隣町へ向かう旅に同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
帰路で邪悪な銀狼の襲撃を受け、命を落とした。
プラヴダ
前村長の母親であり、ガルブの姉である。穏やかな雰囲気だが、いざという時には厳しい一面も見せる。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・村長一族の名代。
・物語内での具体的な行動や成果
隣町への旅に同行し、レントとジンリンに魔物の危険性を説いた。帰路で遭遇した銀狼から子供たちを逃がすため、杖を持って魔術で立ち向かっている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
銀狼の爪に貫かれて死亡した。
ジンリン
インゴとジルダの一人娘であり、レントの半ば許嫁のような幼馴染である。男勝りで活発な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・村長の娘。
・物語内での具体的な行動や成果
危険を顧みず木に登り、枝に引っかかった妖精ティルヤを助けた。将来は冒険者になって世界を見て回りたいという夢をレントに語っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
銀狼の襲撃に際し、レントを庇って爪に貫かれ、命を落とした。
ガルブ・ファイナ
ハトハラー村の薬師であり、レントの大叔母である。意地の悪そうな表情をしているが、弟子の育成には熱心である。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・薬師。地下都市の管理者の一人。魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
レントに祠の様子を見に行くよう促した。レントとロレーヌを北の森の奥にある古代の地下都市へ案内している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
かつては「魔術師長」と呼ばれていた役職の末裔にあたる。
カピタン
ハトハラー村の狩人頭であり、レントの師匠である。飄々とした性格をしている。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・狩人頭。地下都市の管理者の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
ガルブと共にレントたちを地下都市へ案内した。転移魔法陣を新たに描ける青い石の秘宝をレントとロレーヌに譲渡している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
高度な《気》の使い手であり、かつては「騎士団長」と呼ばれていた役職の末裔にあたる。
冒険者・商人
ヴィルフリート・リュッカー
神銀級の冒険者である。子供に優しい性格をしている。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・神銀級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
銀狼に襲われていたレントの前に大剣を持って現れ、狼を退かせた。冒険者になりたいと望むレントに対し、必要な修行や知識について実践的な助言を与えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
アゼル・ゴート
ヴィルフリートの仲間である行商人である。優男風で、貴族や神官のような雰囲気を漂わせている。
・所属組織、地位や役職
行商人。冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
高価な布を惜しみなく使って亡くなったジンリンたちの遺体を包んだ。自身の馬車で彼らをハトハラー村へ運んでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
いずれ自身の商会である「ゴート商会」を作りたいとレントに語った。
神霊・妖精・魔物
骨巨人の幻影
ロレーヌの幻影魔術によって中空に投影された存在である。
・所属組織、地位や役職
魔物の幻影。
・物語内での具体的な行動や成果
村長宅の前に出現し、その巨大さでリリとファーリを驚かせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
物体に干渉する力を持たない安全な幻影である。
タラスクの幻影
ロレーヌの幻影魔術によって作られた亜竜の存在である。
・所属組織、地位や役職
魔物の幻影。
・物語内での具体的な行動や成果
幻影劇の中で毒の息を吐き、レントの幻影と戦闘を繰り広げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
レントの幻影によって首を斬り落とされた。
妖精ティルヤ
十五センチほどの背丈で、蜻蛉のような羽を持つ存在である。人間とは根本的に異なる考え方を持つ。
・所属組織、地位や役職
妖精。
・物語内での具体的な行動や成果
隣町の高い木の枝に引っかかって助けを求めていた。木に登ってきたジンリンに助けられ、礼を言って飛び去っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
邪な銀狼
邪悪なオーラをまとい、血走った目をした巨大な銀色の魔物である。遊び半分で獲物を追い詰める残忍さを見せる。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
ハトハラー村への帰路にあった馬車を襲撃し、ロクスタ、メリサ、プラヴダ、ジンリンの命を奪った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
駆けつけたヴィルフリートとの戦闘で胸元に傷を負わされ、逃走した。
ヴィロゲトの分霊
植物や肥沃を司る神ヴィロゲトから分かたれた存在である。フランクで人間臭い口調で話す。
・所属組織、地位や役職
神霊(分霊)。精霊。
・物語内での具体的な行動や成果
ロレーヌの服の中にあった木彫り人形を依代にして顕現した。自身の信徒とみなしたロレーヌに聖気の加護を授けている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
レントの身に着けている仮面が神具である可能性を見抜いた。
ゴブリン
北の森に生息する低級な魔物である。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
錆びた短剣を振りかぶってカピタンに殺到した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カピタンの剣鉈によって首を切り落とされた。
大蜘蛛(ガドール・アカヴィツシュ)
北の森に生息する巨大な蜘蛛の魔物である。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
ガルブに攻撃を加えようと残った足を伸ばした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ガルブの風刃によって足を切断された。
黒王虎(シヤホール・メレフナメル)
全身黒色の虎柄を持つ巨大な魔物である。ハトハラーの村人の血に懐く性質を持つ。
・所属組織、地位や役職
魔物。地下都市の守護者。
・物語内での具体的な行動や成果
洞窟の出口近くに現れ、ガルブやレントに猫のようにじゃれついた。広い背中に四人の人間を乗せ、地下都市を駆け抜けている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
本来は討伐に白金級から神銀級の実力が必要とされるほど強力な魔物である。
望まぬ不死の冒険者5巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者7巻
展開まとめ
第一章 故郷・ハトハラー
ハトハラー村の帰郷とロレーヌの幻影劇
村の門番
レントとロレーヌはハトハラー村の門に着き、見張りのジャルとドルに止められた。レントが里帰りだと名乗ると、二人は彼だと気づいたが、怪しいローブと仮面に驚いた。ロレーヌを紹介すると、二人は彼女をレントの嫁だと勘違いし、ドルは村長へ知らせに走っていった。
嫁騒動
ジャルは、レントがロレーヌを連れて帰ったことで、村のリリやファーリが悲しむだろうと話した。二人は昔からレントに好意を示していたらしいが、レントは幼い頃から知る妹のような存在としてしか見ていなかった。ロレーヌが近づいたため話は中断され、二人は村の中へ入った。
村の暮らし
村人たちはロレーヌを見て、ほとんどが嫁かと反応したが、否定すると一応は受け入れた。ロレーヌは村の産業について尋ね、レントは農耕や狩猟に加え、薬草園と薬師の加工品が村を支えていると説明した。ロレーヌは、レントが冒険者の仕事に初めから馴染んでいた理由を村の生活に見出した。
村長宅の出迎え
レントはロレーヌを連れて村長宅を訪ねた。出迎えたジルダ・ファイナは、冒険者組合からレントが行方不明だと聞いて心配していたため、彼の帰還に涙した。レントはジルダが自分の母であり、村長インゴが父であることをロレーヌに明かした。
義理の両親
村長宅での雑談は、村人たちの結婚話へ移った。ジルダは、レントが誰に言い寄られても訓練ばかりしていたため結婚できないのではと心配していたと語った。ロレーヌがマルトでの女性の知り合いを挙げると、話題はさらに膨らみかけたが、インゴとジルダは歓迎の宴の準備に向かった。
レントの過去
ロレーヌは、自分が何かまずいことを言ったのかと尋ねた。レントは、インゴとジルダが実の親ではなく義理の親であり、実の両親はレントが五歳の時に魔物に襲われて亡くなったのだと話した。冒険者を目指した理由にも関わる話をした後、レントは涙を見せまいとして村を歩くために家を出た。
残されたロレーヌ
ロレーヌは、レントの過去に踏み込み過ぎたのではないかと感じた。十年の友人関係の中で、レントが自分にとって大きな存在になっていたことを自覚しつつ、今はその感情に深く踏み込むべきではないと考えた。そこへリリとファーリが村長宅を訪ねてきた。
リリとファーリ
リリとファーリは、レントを訪ねて来たが、家にいたロレーヌに驚いた。ロレーヌは自分をレントの友人だと名乗り、留守番中であるため家には入れられないと伝えた。二人は外の丸太の椅子で、ロレーヌから都会やレントの話を聞きたいと頼んだ。
村の才能
リリとファーリは、レントがマルトでどんな冒険者をしているのか尋ねた。ロレーヌは、レントが新人たちに慕われている有名な冒険者だと話した。会話の中で、ファーリは薬師ガルブから薬作りを学び、魔力も持っていることが分かった。リリも狩人から《気》を使う技を学んでおり、ロレーヌはこの村が普通の山村ではないと感じた。
冒険者の現実
ロレーヌは、冒険者の仕事は魔物を倒すだけでなく、薬草採取一つにも知識と経験が必要だと説明した。季節、採取方法、保存状態を誤れば報酬を得られず、依頼によっては違約金を取られることもあると語った。二人は、冒険者が思っていたよりも幅広い知識を求められる仕事だと知った。
骨巨人の幻影
リリとファーリに分かりやすく伝えるため、ロレーヌは幻影魔術で骨巨人を出現させた。二人は本物のような巨大な姿に怯えたが、ロレーヌが幻影だと示すと次第に落ち着いた。ロレーヌは、レントがこうした魔物と戦い、勝ってきたのだと語った。
タラスク討伐劇
ロレーヌは続いてタラスクの幻影を作り、レントがタラスクを討伐する姿を劇のように再現した。実際の戦いよりもかなり美化され、レントは毒の息をものともせず、冷静に甲羅へ飛び移り、首を斬り落とす英雄のように描かれた。リリとファーリはその姿に目を輝かせ、レントを強く尊敬するようになった。
戻ったレント
村を歩いて気持ちを落ち着けたレントが戻ると、リリとファーリは彼を尊敬の目で見ていた。レントはロレーヌが幻影魔術で自分の戦いを見せたのだと察した。二人は都会やレントの強さへの憧れを強めていたため、レントはマルトが化け物だらけの街だと誤解されないよう、滞在中に認識を改めさせようと考えた。
夜の上映予定
リリとファーリは宴の準備のため去り、夜にも幻影を見せてほしいと頼んだ。レントはロレーヌに、二人へ見せた幻影を自分にも確認させてほしいと頼んだ。実際に見た幻影は美化が過剰で、エーデルの助けもなく、レントがほぼ無傷でタラスクを倒す内容だった。ロレーヌは夜の宴でも上映するつもりだと答え、レントは真実の姿をどう伝えるべきか悩むことになった。
第二章 歓迎、そしてレントの根源
ハトハラーの宴とジンリンの記憶
帰省祝いの宴
ハトハラー村の広場では、燃える櫓を囲んでレントの帰省を祝う宴が開かれた。村人たちは料理を食べながら談笑し、レントに都会の流行やマルトの話を尋ねた。レントは女性たちに土産の装飾品を配り、男たちには都会の店の話をして喜ばせた。
都会の美人
ロレーヌがレントと村の若者たちの会話に入ると、若者たちは慌てて逃げていった。レントは女性には聞かせにくい話をしていたのだと説明し、ロレーヌを見た村の男たちが都会に憧れすぎると困ると話した。意味が分からないロレーヌはリリとファーリに尋ね、二人から自分が美人だからだと説明された。
レントの昔
リリとファーリは、レントが昔の出来事のせいで恋愛に鈍いままなのではないかと口にした。ロレーヌはその先をレントのいない場所で聞くべきではないと考え、話を止めた。彼女は、レントの過去を知るなら本人から聞くべきだと判断し、あとでそれとなく尋ねるつもりでいた。
幻影魔術の準備
ロレーヌは、リリとファーリに見せたレントの活躍の幻影を宴でも披露することにした。ただし、突然魔物の幻影を出せば村人が驚くため、二人は村長に話を通し、事前に周知してもらった。ロレーヌはハトハラーの強い火酒を何杯も飲んでいたが、まったく酔った様子を見せず、二人を驚かせた。
過剰な幻影劇
ロレーヌは、レント対骨巨人とレント対タラスクの幻影劇を、以前よりもさらに演出を強めて村人たちに見せた。村人たちは、レントが冒険者として立派に活躍していることに感心し、彼を見直した。ロレーヌはやりすぎたかもしれないと思ったが、反応は大好評だった。
消えたレント
上映後、ロレーヌはレントの姿が見えないことに気づいた。リリも、レントは逃げたのかもしれないと考えた。ロレーヌが村の中を探していると、村長インゴが声をかけ、レントがいそうな場所として村の奥を示した。
墓所のレント
ロレーヌが村の奥へ進むと、教会の裏手にある墓所でレントを見つけた。そこにはレントの実の両親が眠っており、レントは帰省のたびにここで時間を忘れてしまうのだと話した。レントは、ロレーヌにも両親へ挨拶してほしいと頼んだ。
ロレーヌの祈り
ロレーヌは石碑の前に跪き、レントの両親に自分を十年来の友人として紹介した。彼女はマルトでの思い出を語り、これからも続く二人の道を見守ってほしいと祈った。レントは、ロレーヌの言葉を聞いて、自分たちの十年を改めて振り返った。
死霊への期待
レントは、不死者になったことで死霊が見え、両親に会えるかもしれないと少し期待していたと明かした。しかし墓所に来ても何も見えず、その期待は外れた。ロレーヌは、多くの魂は死者の門を潜るため、死霊として残るとは限らないと話した。
両親の旅
レントは、五歳の頃に実の両親ロクスタとメリサが亡くなった出来事を語り始めた。冬を前に現金収入と必需品の仕入れが必要になり、レントの両親、レント、村長の母プラヴダ、村長夫妻の娘ジンリンが隣町へ向かった。ジンリンはレントの半ば許嫁のような存在でもあった。
引っ込み思案のレント
幼い頃のレントは、今とは違って引っ込み思案で、木剣を振るより家で静かに遊ぶことを好む子供だった。対してジンリンは男勝りで、冒険者ごっこでも自分が冒険者役を選ぶような少女だった。プラヴダは魔物に遭ったら必ず逃げるよう二人に強く言い聞かせた。
隣町の散策
一行は隣町に着いたが、ジンリンは馬車酔いで外の空気を吸いたがった。レントは彼女を少しだけ離れた場所へ連れていったが、ジンリンは町を見て歩きたいと言い、プラヴダの忠告を破って走り出した。レントは止めきれず、彼女に引っ張られるまま町へ入った。
妖精の声
レントとジンリンが町を歩いていると、助けを求める甲高い声が聞こえた。二人が声の主を探すと、高い木の枝に十五センチほどの妖精が引っかかっていた。大人たちに助けを求めても妖精の姿は見えず、二人は自分たちで助けるしかないと考えた。
木に登るジンリン
ジンリンは危険を承知で木に登り、枝の先にいる妖精を助けに行った。レントは危ないからやめるよう叫んだが、ジンリンは止まらなかった。彼女は妖精の服を枝から外したが、その瞬間に枝が折れ、妖精を胸元に抱いたまま落下した。
受け止めたレント
レントはジンリンの落下地点へ走り、地面より自分の体の方が柔らかいと考えて下で受け止めた。五歳の体では支えきれず二人とも倒れたが、大きな怪我はなかった。レントはジンリンに、もう危ないことはしないでほしいと告げ、彼女は素直に謝った。
妖精ティルヤ
ジンリンが手を開くと、助けた妖精は無事だった。妖精はティルヤと名乗り、助けてくれた礼を言って、また会ったらお礼をすると告げて飛び去った。ジンリンはもっと話したかったと不満を漏らしたが、その直後、二人の背後に怒ったプラヴダが現れた。
プラヴダの説教
プラヴダは、知らない場所で勝手に離れた二人を厳しく叱った。村の外には人さらいや危険な者もいると告げ、信頼を裏切ったことを強く責めた。長い説教の後、プラヴダは二人の無事を喜んで抱きしめたが、ジンリンはもう二度と同じことはしないと疲れ切っていた。
ジンリンの夢
宿に戻った夜、ジンリンは大人になったら冒険者になり、世界を見て回りたいと語った。空の島から落ちる滝、水に囲まれた街、蜃気楼のように消える城を見たいのだと話した。レントはそれを夢物語のように感じ、村長になる勉強をすべきだと言って眠りについた。ジンリンは、レントを一緒に連れていかないと拗ねるように言い残した。
第三章 悲劇と根源
神銀級を目指した理由と祠の分霊
帰路の馬車
レントは、ジンリンが将来冒険者になりたいと語った翌日のことをロレーヌに話し始めた。一行は隣町での用事を終え、ハトハラー村へ戻るため馬車に乗った。前日の説教が効いていたため、レントとジンリンはプラヴダの言葉に素早く従っていた。
妖精への忠告
帰り道、レントとジンリンは前日に妖精を助けた話をプラヴダにした。プラヴダは、妖精は人間とは考え方が違い、取り替え子のような危険もあるため近づくべきではないと忠告した。二人は妖精ティルヤに感じた違和感を思い出し、プラヴダの言葉を受け止めた。
横転した馬車
酔い止めの眠気で眠っていたレントは、大きな音と衝撃で目を覚ました。馬車は横転し、荷物が散乱していた。レントはまずジンリンを探し、荷物の下から助け出したが、ロクスタ、メリサ、プラヴダが来ないことに不安を覚えた。
邪な銀狼
馬車の前方では火柱が上がり、プラヴダが巨大な銀色の狼と対峙していた。その狼は邪悪な気配をまとい、血走った目をしていた。プラヴダはレントとジンリンに逃げるよう叫んだが、その直後に狼の爪に貫かれて命を落とした。レントは両親もすでに倒れていると悟り、ジンリンを連れて逃げた。
追いつめられた二人
レントとジンリンは必死に逃げたが、狼は二人を追い詰めるように先回りしていた。レントは自分が犠牲になってジンリンを逃がそうとし、狼の前に立った。しかしジンリンは逃げず、狼の爪が振り下ろされる瞬間にレントを押しのけた。
ジンリンの最期
ジンリンはレントの代わりに狼の爪を受け、胸を貫かれた。レントは彼女を助けようと叫んだが、ジンリンは両親への謝罪を託し、レントに生きてほしいと告げた。さらに、いつかレントと結婚したかったと打ち明け、他の誰かと幸せになってほしいと言い残して息絶えた。
棒切れの抵抗
レントはすべてがどうでもよくなり、棒切れを手に狼へ向かった。勝てるはずはなかったが、死ぬなら戦って死のうと考えた。狼は初めて本気で構え、レントはその口を狙って棒を突き出し、わずかに傷をつけた。
神銀級冒険者ヴィルフリート
狼がレントを噛み砕こうとした瞬間、大剣を持つ男が割って入り、牙を受け止めた。その男はヴィルフリート・リュッカーと名乗る神銀級冒険者だった。ヴィルフリートは狼と互角に戦い、胸元に傷を負わせたことで狼を退かせた。
救助者への怒り
助かったレントは、なぜもっと早く来てくれなかったのかとヴィルフリートに言ってしまった。ヴィルフリートは責められる理由などなかったが、ジンリンの死を見て謝り、レントを抱きしめた。レントはそこで大声で泣いた。
アゼルの馬車
ヴィルフリートは、仲間の行商人アゼル・ゴートが馬車で来るため、亡骸を村へ運べると説明した。レントは遺品を集めるよう頼まれ、気を紛らわせながら待った。夜になってアゼルの馬車が到着し、アゼルは高価な布を惜しまず使って、ジンリンたちの亡骸を包んだ。
村への帰還
翌日、レントはヴィルフリートとアゼルに連れられ、亡骸とともにハトハラー村へ戻った。村ではロクスタ、メリサ、プラヴダ、ジンリンの死が告げられ、葬式が行われた。その後、レントはインゴとジルダの養子になった。ヴィルフリートとアゼルは、危うい状態のレントを見守るため、しばらく村に残った。
冒険者への道
レントは、ジンリンが叶えられなかった夢を自分が見なければならないと考え、ヴィルフリートに冒険者になる方法を尋ねた。ヴィルフリートは、十五歳になるまで武術、読み書き、計算、植物、魔物、生存技術を身につけるよう実践的に助言した。レントはその言葉を受け、冒険者になるための修行を始めた。
神銀級への決意
ヴィルフリートとアゼルが村を去った後、レントは義両親や狩人、職人、薬師ガルブに頼み込み、さまざまな知識と技術を学んだ。ジンリンの夢を継ぐこと、邪な狼という悲劇の象徴を打ち砕ける存在になること、そしてヴィルフリートのような神銀級冒険者を目指すことが、レントの修行の原動力となった。
ヴィルフリートと謎の狼
ロレーヌは、神銀級と互角に戦う狼型の魔物がこの周辺にいるのかと尋ねた。レントは、あれ以来その魔物を見ておらず、図鑑でも該当する存在を見つけられなかったと答えた。ロレーヌは新種か特殊個体の可能性を考え、ヴィルフリートなら何か知っているかもしれないと見た。
薬師ガルブ
レントとロレーヌの前に、薬師ガルブが現れた。ガルブは宴の主役であるレントを呼び戻しに来たのだと話した。ロレーヌはガルブが魔術師であることに気づき、ガルブもファーリに錬金術を教えるつもりでいることを明かした。
西の祠
レントは、かつて聖気を授けられるきっかけになった西の廃屋裏の祠についてガルブに尋ねた。ガルブはその祠を知っている様子を一瞬見せたが、はぐらかすように答えた。レントが昔修理したことを話すと、ガルブはそれが聖気の源なのだと察し、明日祠を見た後で自分の家に来るよう告げた。
祠の掃除
翌日、レントとロレーヌは村の西端へ向かい、廃屋の裏にある祠を見つけた。祠は蔦や汚れに覆われていたが、レントが昔見つけた時よりは形を保っていた。二人は祠へ感謝を示すため、自分たちの手で掃除を始め、夕方までかけて綺麗にした。
祈りの声
掃除を終えたレントとロレーヌは、祠の前で祈った。レントが信徒は二人だけだと考えると、どこからかそれを否定するような声が聞こえた。声の主は見えなかったが、やがてロレーヌの腹部で、以前レントが作ったロレーヌ人形が動き出した。
ヴィロゲトの分霊
動き出した人形には、植物神ヴィロゲトの分霊が宿っていた。分霊は、自分は本体から離れて独立した精霊に近い存在であり、祠を訪れる者がいなかったため、レントとロレーヌを信徒だと扱った。さらに、ロレーヌにも加護を与え、彼女の体に聖気を宿らせた。
聖気の加護
ロレーヌは初めて聖気を得たが、その量はごくわずかだった。分霊は、自分の力が弱いため加護もしょぼいと説明した。一方で、レントの聖気が以前与えた時の百倍ほどに増えていることに驚き、その理由はレントの仮面にあるのではないかと話した。
神具の仮面
分霊は、レントの外れない仮面から神の気配を感じると述べた。仮面は呪物ではなく神具であり、自分が与えた加護を増幅している可能性があるという。さらに、仮面の正体を詳しく知りたいなら、鑑定神の本神殿に行けば神自ら見てくれるかもしれないと助言した。
新たな依代
分霊は時間切れになり、次に呼ぶ時はもっとよい素材で人型の依代を作るよう告げた。名前はなかったため、ヴィロでもゲトでも適当に呼べばいいと言い残し、人形から去った。依代となった人形は黒ずんで砂のように崩れ、ロレーヌは残念がった。
鑑定神の本神殿
レントとロレーヌは、仮面の正体を知るため、いずれ鑑定神の本神殿へ向かう必要があると考えた。ただし本神殿は他国にあり、竜血花の採取やアリゼの教育など、マルトでの用事との調整が必要だった。祠での用事を終えた二人は、日が暮れた後だったが、ガルブの家へ向かうことにした。
第四章 ハトハラーの秘密
ハトハラーの秘密と古王国の地下都市
ガルブの家の客
レントとロレーヌがガルブの家を訪ねると、そこには狩人頭のカピタンがいた。カピタンはレントに剣鉈や弓、森での歩き方を教えた師であり、ガルブは薬師としての師であった。二人は、レントの成長やロレーヌが見せた幻影魔術の戦いぶりについて話したうえで、ハトハラー村の秘密を明かすと告げた。
村の責任者たち
ガルブとカピタンは、ハトハラーが大半の村人にとっては普通の村である一方、村長インゴ、薬師ガルブ、狩人頭カピタンにとっては少し違う場所だと説明した。詳しい話は翌日に回され、その日はガルブの料理を食べて終わった。レントとロレーヌは、村に隠された秘密への期待を抱いた。
北の森への出発
翌朝、レントとロレーヌはガルブの家へ向かった。ガルブは外套をまとい、カピタンは狩装束に弓矢と剣鉈を携えていた。二人は北の森の奥へ行くと告げた。北の森はハトハラーでも危険な場所とされており、レントは二人が完全武装している理由を理解した。
北の森の魔物
北の森では、ゴブリンや大蜘蛛などの魔物が次々と現れた。カピタンは剣鉈でゴブリンを軽々と倒し、ガルブは風刃の魔術を放ちながら機敏に動いて大蜘蛛を切り裂いた。レントとロレーヌは本職の冒険者でありながら出番がなく、二人の実力に改めて驚いた。
古い砦
森の奥に辿り着くと、そこには緑に覆われた古い石造りの砦があった。レントとロレーヌは、村の近くに古代の遺跡があることに驚いたが、それだけなら大きな秘密とは言い切れないとも感じた。ガルブとカピタンはさらに奥へ進み、砦の内部へ二人を案内した。
転移魔法陣
砦の奥には、床一面に青白く光る巨大な転移魔法陣があった。転移魔法陣は通常、迷宮でしか見つからず、人の手で作る方法は分かっていない代物であった。レントとロレーヌが驚く中、ガルブは人の手で作れないという説の一部が間違っていると告げ、カピタンと共に魔法陣へ乗って消えた。
転移の先
レントは転移魔法陣に乗ることをためらったが、ロレーヌに引かれて魔法陣へ入った。二人が転移した先は洞窟の中であり、ガルブとカピタンが無事に待っていた。洞窟の出口へ向かう途中、巨大な黒い虎が現れ、レントとロレーヌは武器を抜いたが、ガルブはその魔物を猫のように撫でた。
黒王虎
巨大な虎は黒王虎と呼ばれる強力な魔物であり、討伐には白金級や神銀級の腕が必要な存在だった。だが黒王虎は、ガルブだけでなくレントにも懐いた。ガルブは、黒王虎は自分に懐いているのではなく、血に懐いているのだと説明した。ロレーヌもガルブの許可を得て黒王虎に触れ、危害を受けなかった。
地下の古代都市
洞窟の出口から見えたのは、地上ではなく巨大な地下空間に広がる古代都市だった。天井には星のような光があり、街には魔力灯が輝いていたが、人の気配はなかった。ガルブは、ここが古王国の末裔によって造られた街であり、ハトハラーの住人はその血を継いでいると明かした。
善王フェルトの地下都市
ロレーヌは、その光景がレルムッド帝国にある《古き虫の迷宮》六十階層、通称《善王フェルトの地下都市》だと気づいた。そこは彼女の故郷側に存在する迷宮都市であり、帝国でも調査が進んでいない場所だった。レントは、自分の故郷ハトハラーの転移魔法陣が他国の迷宮都市へ繋がっていたことに衝撃を受けた。
血を鍵とする技術
ガルブは、転移魔法陣も黒王虎もハトハラーの住人の血を鍵として動くのだと説明した。ロレーヌは、それが古王国の高度な技術によるものだと考えた。ハトハラーの役職者は、かつて国王、魔術師長、騎士団長などと呼ばれており、村の秘密はその末裔たちによって守られてきたものだった。
村の過去の争い
ガルブは、かつて村の役職者たちがこの地下都市を公開して利用するか、秘匿し続けるかで争ったと語った。公開派は村を豊かにするために活用を主張したが、秘匿派は外部勢力に利用される危険を恐れた。最後は武力衝突となり、薬師、狩人頭、村長側が勝ち残ったが、大きな傷を負い、反対側の三人は命を落とした。
管理者への勧誘
ガルブは、帝国がいずれ地下都市の調査を本格化させる可能性があるため、今まで通りの隠し方では安全ではないと考えていた。そこで、身軽に動けるレントとロレーヌにも管理者として加わってほしいと告げた。二人は、あまりに大きな秘密を託されることに戸惑った。
転移石
カピタンは赤い石を床に叩きつけ、そこに新たな転移魔法陣を描かせた。対になる青い石を別の場所で割れば、そこが転移先になるという秘宝であった。ガルブとカピタンは、その転移石をレントとロレーヌに渡し、ハトハラーや地下都市への移動に使えるようにした。
王都への転移
ガルブは、確認済みの転移先の一つへレントとロレーヌを案内した。転移した先は強烈な臭気のする下水道の隠し部屋であり、そこから外へ出ると、ヤーラン王国の王都ヴィステルヤが見えた。ガルブとカピタンは偽名の銅級冒険者証を使って王都に入るつもりであり、レントとロレーヌもそれぞれの身分を使って王都へ向かうことにした。
望まぬ不死の冒険者5巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者7巻
同シリーズ
望まぬ不死の冒険者
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