どんな本?
『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する』は、ファンタジー世界を舞台にした暗躍型の異世界宮廷ファンタジーである。
物語の舞台は、周辺国との軍事的な緊張感や、深刻な内憂外患を抱える強大なアードラー帝国である。主人公のアルノルト・レークス・アードラーは、双子の弟であるレオナルトを帝位につけるため、自らは「出涸らし皇子」と呼ばれる無能な皇子を演じつつ、裏では大陸最高峰の冒険者「シルバー」として驚異的な能力を振るい、壮絶な帝位継承戦を影から支配していく。
基本的な世界観は、魔法や魔導具、古代魔法、禁術が存在する中世風ファンタジーである。大国間での外交政略、領主の腐敗、宮廷内の暗殺疑惑といった複雑な陰謀が絡み合い、武力闘争のみならず、経済戦や高度な知略戦が展開される点が物語の大きな特徴である。
■ 物語の特徴
帝国北部で反乱軍を追う第八皇子レオナルトは、竜王子ウィリアムの大軍に包囲され、兵糧攻めの危機に陥った。 第七皇子アルノルトは弟を救うべく、精鋭である第六近衛騎士隊を率いて密かに北部へと向かう。 現地で不遇の竜騎士フィンを見出したアルノルトは、彼に新兵器「魔導戦杖」を授けた。 フィンの規格外の機動力による奇襲と、近衛騎士隊の集中砲火で敵竜騎士団を打ち破り、空からの兵糧輸送を見事に成功させる。
次なる目的として、アルノルトは皇族への不信から中立を保つ北部貴族の説得へ乗り出す。 大恩あるツヴァイク侯爵の病死という事態に直面するも、孫娘シャルロッテの協力を得て、北部最大の実力者ローエンシュタイン公爵との対面に成功。 自らの地位と自由を懸けたアルノルトの誓約により、死期を悟る公爵は残された命を燃やして出陣を決意した。
公爵の呼びかけで開かれた会議の場で、アルノルトは正体を明かし、領地を守り抜いてきた北部の誇りを訴え激しい檄を飛ばす。 その熱意に打たれた諸侯はついに団結し、内乱終結へ向けて確固たる士気を持つ「真の北部諸侯連合」が誕生したのである。
読んだ本のタイトル
最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 11 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する
著者:タンバ 氏
イラスト:夕薙 氏
出版社:KADOKAWA(スニーカー文庫)
発売日 :2023年3月1日
ISBN : 9784041127841
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
次なる暗躍は――北部の戦場を制すため、雷神の力を手にせよ!
北部に逃れたゴードンたちに反撃を受け、窮地に立たされたレオ本隊を救うべくアルの出した秘策とは――帝国最速だが、戦力外とされた竜騎士の力を得ることだった!?
最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い11 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する
「問おう、竜騎士フィン。戦えるなら……夢を捨てられるか?」
さらに、必要なのは北部の貴族たちの力。北部最大の公爵家“雷神”ローエンシュタインの協力が不可欠だが、彼らが最も憎むのは皇族の血。雷神の孫娘、シャルロッテとの邂逅を果たしたアルは過去の因縁を断ち切るべく暗躍を開始する!
「虐げられた思い出合戦なら俺も負けないからな」
最強皇子による縦横無尽の暗躍ファンタジー、選択の第11巻
感想
帝都で起こった皇族のザンドラ、ゴードンの内乱。
首謀者の1人ザンドラは亡くなり、ゴードンは北の辺境に逃亡。
双子の弟レオが軍を率いてゴードンを追ったが、北の連合国からウィリアム王子が率いる援軍が来てレオ率いる軍は敗走し包囲されて籠城するハメになってしまう。
包囲はウィリアム王子に任せてゴードンは、北部の別方面へ侵攻しようとしたが、若き将軍が率いる帝国軍が進路を塞いで膠着状態になる。
皇族嫌いな北部貴族達は北部を舞台にした内乱を傍観。
ゴードンは連合国から増援が来ることを期待し。
皇帝は東部の公国と和平を結び、東部守護のリーゼロッテを北部に派遣しようと動く。
そんな時に、帝都で暗躍したがザンドラの部屋を荒らした際にヘマをして長い眠りについた。
出涸らし王子のアルが一月以上の眠りから覚めてレオの窮地を救うために行動を始める。
ただ、軍は率いないで出涸らし王子は帝都でまだ寝ているという事にして裏で動くと言う。
手始めに籠城してるレオに補給物資を届けるために、儀礼用にしか起用されて無い天隼の航空戦力。
第六近衛騎士隊を起用すると言う。
それに反発する大臣達。
反発を跳ね除けて皇帝はアルの案を採用する。
だが、アルが上手く行かなかったら皇帝は勇爵と共に動くと言う。
内乱に巻き込まれて混沌としている北部はさらに荒廃してしまう。
ただでさえ皇族に反発している北部貴族との関係が崩壊してしまう。
北部の代表的な貴族、ツヴァイク侯爵か侮辱されるのを耐えながら中央との関係を維持していた努力が水疱になってしまう。
そうならないためにアルは密かに北部へ赴く。
包囲されてるレオに補給物資を届けるため、グライスラー家の竜騎士を借りて空輸でレオを支援する。
其処で小柄な身体の飛竜ノヴァと竜騎士フィンに出会う。
旧来の戦法ではなく魔法を放つ魔導兵器を十全に活かせる小回りとスピードを持つ飛竜と竜騎士をアル直属の騎士に引き抜いて、秘密兵器の魔道具を彼に与える。
そして、ネルヴェリッター達を使い、包囲してる反乱軍の補給物資を焼いて、包囲している軍の飛竜隊を陽動して手薄になった包囲してる軍の飛竜を離陸する前に大打撃を与え、追跡して来る竜騎士を引き付ける。
第六近衛騎士隊が襲いかかる。
そしてお互いに陣形を整えて突撃と思ったら。
逃げていた小型飛竜のフィンが先頭を飛ぶ飛竜を撃墜して相手陣形を崩す。
そして、制空権を奪取した帝国軍は補給物資を受け取るが、、
制空権を取り返すために連合国の竜騎士のウィリアム王子が逆襲して来る。
第六近衛騎士隊を率いるレオがウィリアム王子と戦士として戦闘する。
さらにウィリアムの部下の黒竜騎士達を小型飛竜を駆るフィンが倒していくが、、
ウィリアム以上の技量を持つ黒竜騎士のロジャーがフィンに襲い掛かる。
戦争の流れが変わり、レオはウィリアムをこの場に引き付ける事になる。
そしてネルヴェリッターと共に北部のツヴァイク侯爵の下にに行くのだが、、
皇族嫌いの北部の貴族達を束ねるために尊敬している侯爵の元に行ったら侯爵は亡くなっており。
さらに素行の悪い部下が裏切り山賊を領都に入れて略奪が始まる直前だった。
そんな奴等から街を護るツヴァイク侯爵の孫娘のシャルが立ち塞がるが、、
彼女は病の発作で戦える状態では無かった。
其処に傭兵団長のシュヴァイクと、名乗るアルが現れて裏切り者を拘束する。
だが、シャルが古参の家臣達から傭兵を助けたと聞いた事が無いと調べてアルの正体が発覚。
シャルは皇族は嫌いだが、北部のために帝国側に付くと約束する。
キーマンはシャルのもう1人の祖父のローエンシュタイン侯爵。
彼を此方の味方に付けないといけないが、、、
彼は大の皇族嫌いだった。
そして、傭兵団長シュヴァイクとしてローエンシュタイン侯爵に会ったのだが、、
ローエンシュタイン侯爵はアルの顔を覚えていた。
交渉はコレまでかと思ったら、ローエンシュタイン侯爵の部下がクーデターを起こして帝国のために動くなと言うのだが、、
それをアルがネルヴェリッターを使って制圧する。
そして、侯爵はアルの御膳立てを知り孫娘のシャルの未来のため、北部の安寧のために北部貴族をまとめてゴードンを討伐すると決める。
ただ、ローエンシュタイン侯爵は重病で戦に出たら生きて帰って来る事は無い。
確実に戦場で死ぬとわかっていながらも北部連合軍の旗頭となって出陣する。
もう2度と屋敷に帰って来れずに死ぬとわかっていながら、、
アカン、、、
泣けて来た。。
最後までお読み頂きありがとうございます。
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
考察・解説
北部戦線の救援
第11巻における「北部戦線の救援」は、敵軍の完全な包囲網を打ち破り、絶体絶命の危機に陥っていた第八皇子レオナルトを救うための大規模な軍事・輸送作戦である。その詳細な経緯と結末は以下の通りである。
北部戦線の危機的状況
第三皇子ゴードンらの反乱軍を相手に、レオナルトは軍を用いて包囲網を敷いていたが、以下の理由により戦線が崩壊した。
・連合王国や藩国の援軍の参戦
・竜王子ウィリアムの参戦
これにより北部諸侯連合が敗走し、レオナルトはディック城への籠城を選択した。しかし、ウィリアム率いる大軍と竜騎士団によって地上と空を完全に封鎖され、兵糧攻めを受けるという危機的状況に陥っていた。
アルノルトの出陣と作戦立案
長い昏睡から目覚めた第七皇子アルノルトは、レオナルトを救うために自ら動くことを決意した。大軍を率いて正面から向かえばウィリアムの警戒を買い、真っ先に標的にされると考えたアルノルトは、表舞台ではなく暗躍による救援作戦を立案した。
・皇帝を説得して帝国最強の航空戦力である「第六近衛騎士隊(天隼部隊)」を預かる。
・精鋭部隊「ネルベ・リッター」を伴って密かに北部へと向かう。
空輸作戦と敵兵糧基地への陽動
アルノルトの策は、グライスナー侯爵家が育成していた大型飛竜を利用し、空からディック城へ兵糧を届けるというものであった。しかし、そのままでは敵の竜騎士団に撃ち落とされるため、以下の行動をとった。
・アルノルトはネルベ・リッターに敵軍の後方にある兵糧基地を襲撃・放火させた。
・ウィリアムはこれが陽動である可能性を疑いながらも、自軍の兵糧や補給路を失うわけにはいかず、竜騎士団の大部分を率いて防衛へ向かわざるを得なくなった。
制空権の確保と空輸の成功
敵の空の警戒が手薄になった隙を突き、以下の奇襲が展開された。
・アルノルトが見出した新たな竜騎士フィンと白い飛竜ノーヴァが単騎で敵陣へ突入した。
・フィンは最新鋭の試作兵器「六二式魔導戦杖」による雷撃で敵の竜舎を破壊し、激怒して追跡してくる敵の竜騎士たちをディック城の上空へと誘導した。
・そこに雲の中に潜んでいた第六近衛騎士隊が一斉に降下し、火球による集中砲火を浴びせて敵の竜騎士団を壊滅状態に追い込み、制空権の確保に成功した。
救援作戦の結果
安全が確保された空から大型飛竜が兵糧の入った巨大な籠を投下し、兵糧不足に苦しんでいた籠城軍は生存と反撃の希望を得て士気を大きく取り戻した。
その後、罠に気づいて引き返してきたウィリアムや最強の黒竜騎士隊との間で激しい空戦が繰り広げられたが、ウィリアムは近衛騎士から魔導杖を一つ奪取するにとどまり、兵糧輸送作戦自体を阻止することはできず撤退を余儀なくされた。
この救援の成功によりレオナルトの窮地を救ったアルノルトは、次なる目的である北部貴族の説得と「北部諸侯連合」の結成へ向けて行動を開始していくこととなる。
第六近衛騎士隊
「第六近衛騎士隊」についての詳細を以下に解説する。
第六近衛騎士隊(天隼部隊)の概要
第六近衛騎士隊は、アードラシア帝国最強の航空戦力であり、以下の特徴を持っている。
・白と黒の毛色を持つ幻獣「天隼(てんしゅん)」に騎乗するおよそ50人の部隊である。
・天隼は連合王国の飛竜や王国の鷲獅子よりも速く飛べる圧倒的な機動力を誇るが、調教が難しく数が少ない。
・かつて帝国内で崇拝の対象であったため、主に祭事などで活躍する「儀礼部隊」として温存されており、本格的な戦闘に参加することは避けられてきた。
・隊長は、前線での戦闘任務を強く望んでいたランベルト・フォン・マイアーが務めている。
新兵器「六一式魔導戦杖」の導入
出陣に先立ち、技術大臣キューバーが開発した新兵器「六一式魔導戦杖」を装備した。
・魔力を流し込むだけで炎系統の魔法(火球)を発射できる杖である。
・これを装備したことで、第六近衛騎士隊は中距離からの強力な射撃が可能な「空飛ぶ魔導師部隊」としての機能を手に入れた。
北部戦線への投入と制空権の確保
第八皇子レオナルトが北部で敵軍に包囲され、兵糧攻めの危機に陥った際、皇帝の命によって第七皇子アルノルトに第六近衛騎士隊が預けられた。アルノルトは彼らを直接的な輸送役にはせず、大型飛竜による輸送部隊の護衛と制空権の確保に専念させる作戦を立案した。作戦本番では以下の通りに行動した。
・アードラーの竜騎士フィンが囮となって敵の竜騎士団をディック城上空に誘導したところへ、雲の中に潜んでいた第六近衛騎士隊が猛禽の狩りのように一斉に降下した。
・六一式魔導戦杖による火球の集中砲火を浴びせて敵の陣形を崩壊させた。
・機動力を活かした各個撃破で敵竜騎士団を壊滅状態に追い込み、見事に制空権を確保した。
黒竜騎士隊との激戦
その後、連合王国の竜王子ウィリアム率いる最強の精鋭「黒竜騎士隊」が姿を現した。指揮を引き継いだレオナルトのもと、第六近衛騎士隊は互角の激しい乱戦を展開した。しかし、敵の真の狙いが帝国の新技術である魔導戦杖だとレオナルトが見抜く。護衛のために隊を密集させたものの、以下の事態が発生した。
・乱戦で孤立した一騎の近衛騎士が標的となった。
・その騎士は杖を奪われないよう自ら天隼から飛び降りたが、空中でウィリアムとロジャーに討たれ、腕ごと魔導戦杖を奪取されてしまった。
まとめ
兵器の技術を一つ奪われるという代償は払ったものの、敵軍はそれ以上の攻撃を諦めて撤退した。結果として、第六近衛騎士隊は絶体絶命の危機にあった味方への兵糧輸送作戦を成功に導くという最大の目的を果たしたのである。
兵糧輸送作戦
第11巻における「兵糧輸送作戦」は、敵軍に完全に包囲され、兵糧攻めの危機に陥っていた第八皇子レオナルトを救うため、第七皇子アルノルトが立案・指揮した大規模な救援作戦である。その詳細な経緯と結末は以下の通りである。
作戦の背景と目的
第三皇子ゴードンら反乱軍と戦うレオナルトは、以下の理由により包囲網を破られ、ディック城への籠城を余儀なくされていた。
・連合王国や藩国の援軍の参戦
・竜王子ウィリアムの参戦
ウィリアム率いる大軍と竜騎士団によって地上と空は完全に封鎖され、レオナルトの軍は深刻な兵糧不足による危機的状況に陥っていた。この窮地を救うため、アルノルトが密かに北部へと向かった。
空輸作戦の立案と陽動
アルノルトは、大軍による正面突破ではなく、約三百頭の大型飛竜を使って空から兵糧を届ける作戦を立案した。しかし、鈍重な大型飛竜の輸送隊では敵の竜騎士団に撃ち落とされる危険があるため、空の警戒を手薄にさせる必要があった。そこで以下の陽動を実行した。
・精鋭部隊「ネルベ・リッター」に敵後方の山中に隠された兵糧基地を奇襲・放火させた。
・偽の補給路にも煙を上げさせ、次の兵糧も狙われていると敵に錯覚させた。
ウィリアムはこれが陽動である可能性を疑いながらも、大軍を維持するための兵糧を失うわけにはいかず、竜騎士団の大部分を率いて防衛へ向かわざるを得なくなった。
制空権の確保
敵の空の警戒が手薄になった隙を突き、以下の奇襲が展開された。
・アルノルトが見出した竜騎士フィンと小型飛竜ノーヴァが単騎で敵陣に突入した。
・フィンは最新鋭の試作兵器「六二式魔導戦杖」による雷撃で敵の竜舎を破壊し、激怒して追跡してくる連合王国の竜騎士たちをディック城の上空へと誘導した。
・そこに雲の中に潜んでいた「第六近衛騎士隊(天隼部隊)」が一斉に降下した。
・「六一式魔導戦杖」による火球の集中砲火を浴びせて敵の陣形を崩壊させ、機動力を活かした各個撃破で敵竜騎士団を壊滅状態に追い込み、見事に制空権を確保した。
兵糧の到着と黒竜騎士隊との激戦
安全が確保された空から、大型飛竜たちが巨大な籠に入った兵糧を次々と城へ投下し、兵糧不足に苦しんでいた籠城軍は生存と反撃の希望を得て歓喜した。
しかしその後、罠に気づいて引き返してきたウィリアム率いる精鋭「黒竜騎士隊」が姿を現した。指揮を引き継いだレオナルトの下、第六近衛騎士隊と黒竜騎士隊による激しい乱戦が展開された。敵の真の狙いが帝国の新技術である魔導戦杖だとレオナルトが見抜いて護衛を固めたものの、以下の事態が発生した。
・乱戦で孤立した一騎の近衛騎士が標的となった。
・その騎士は杖を奪われまいと自ら飛竜から飛び降りたが、空中で討たれ、腕ごと魔導戦杖を奪取されてしまった。
まとめ
魔導戦杖の技術を一つ奪われるという代償は払ったものの、兵糧輸送を阻止できないと判断したウィリアムは撤退を命じた。結果として兵糧輸送作戦は無事に成功し、レオナルトの籠城軍は生き延びるための糧を得るという最大の目的を果たしたのである。
魔導戦杖の開発
第11巻における「魔導戦杖」の開発は、帝国の軍事力、特に航空戦力を大きく変革する重要な要素として描かれている。その開発背景や各モデルの特徴について解説する。
開発の背景と目的
魔導戦杖は、魔導師でなくても魔力を流し込むだけで魔法が使えるようになる魔導具である。これまでも簡単な魔法を再現するものはあったが、兵士に対して有効な攻撃を行える実戦レベルのものは存在しなかった。魔法大国である皇国に対抗するため、帝国は「技術大臣」というポストを用意して凄腕の研究者であるキューバーを招き、いち早くこの研究に取り組んできた。
六一式魔導戦杖の完成
技術大臣キューバーの開発により、ついに実戦に耐えうる「六一式魔導戦杖」が完成した。
・特徴と性能:魔力を流し込むだけで炎系統の魔法(火球)を発射でき、対人には十分な威力を誇る。
・欠点:内部構造の小型化ができず、一般的な長槍よりやや短い程度の大きさで、腕だけでは支えきれないほどの重量がある(近衛騎士たちはベルトに固定して使用している)。
・運用方法:宰相フランツの提案により、帝国最強の航空戦力である「第六近衛騎士隊(天隼部隊)」に配備された。これにより、強力な射撃が可能な「空飛ぶ魔導師部隊」が誕生し、接近戦が基本だった空戦において圧倒的な優位を確保できるようになった。なお、現在は馬に乗った人間が扱えるレベルへの小型化研究も進められている。
アルノルト専用試作「六二式魔導戦杖」
キューバーは、魔力は豊富にあるものの魔法の才能(細かな魔力コントロール)がないアルノルトのために、専用の試作兵器「六二式魔導戦杖」も開発していた。
・特徴と性能:炎ではなく雷系統の魔法を発射し、威力・速度ともに六一式をすべての性能で上回っている。また、一本の雷魔法を放つ「通常モード」と、魔力を多く消費する代わりに複数の雷魔法を同時に放ち多数の敵を一度に倒せる「拡散モード」が備わっている。
・欠点:魔力の消費量が非常に多い点である。
・試し撃ちの結果:アルノルトが試し撃ちを行ったが、彼の魔力コントロールが大雑把(必要以上の魔力を流し込んでしまう)なため、魔導具が耐えきれず真っ二つに折れて壊れてしまった。
実戦への投入と新時代の幕開け
六二式は二本試作されていたため、予備が一本残っていた。アルノルトはこれを弟のレオナルトに使わせるつもりで前線へ持ち込んだが、グライスナー侯爵領の都市ターレで出会った小柄な竜騎士フィン・ブロストの圧倒的な飛行技術を見出し、彼に六二式を与えた。
速度と機動力に優れる小型飛竜ノーヴァと、高い技量と魔力を持つフィン、そして中・遠距離からの強力な雷撃と拡散射撃が可能な六二式の組み合わせは、これまでの「空戦は近接戦」という常識を覆し、新時代の空戦を切り開く象徴的な力となった。
竜王子との空戦
『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』第11巻における「竜王子との空戦」は、絶体絶命の危機にあった第八皇子レオナルトへの兵糧輸送作戦の最終局面において繰り広げられた、帝国と連合王国の最高峰の航空戦力による激突である。その詳細な展開と結末は以下の通りである。
黒竜騎士隊の登場とレオナルトの出陣
第七皇子アルノルトの策により、竜騎士フィンと第六近衛騎士隊(天隼部隊)が敵の竜騎士団を壊滅させ、見事に空の制空権を確保して城への兵糧輸送が開始された。しかしその直後、以下の事態が発生した。
・連合王国の竜王子ウィリアムが自ら赤い竜に騎乗し、精鋭部隊である「黒竜騎士隊」を率いて姿を現した。
・強敵の出現に対し、籠城戦の指揮に専念し一度も空に上がっていなかったレオナルトが自ら空へ出陣し、第六近衛騎士隊の指揮を引き継いだ。
ウィリアムもまた大軍の指揮官という束縛から解放され、両者は戦士として空で激突することとなる。
拮抗する乱戦とフィンの死闘
帝国最強の天隼部隊と連合王国最強の黒竜騎士隊の戦いは、互いに高い技量を持つため決定打が生まれず、激しく拮抗した乱戦となった。その中で以下の出来事が展開された。
・ウィリアムとレオナルトが刃を交える中、別の黒竜騎士がレオナルトの首を狙って突撃してきた。
・これを防いだのが、アルノルトに見出された竜騎士フィンであった。フィンは魔導戦杖の雷撃で精鋭の黒竜騎士を撃墜し、その規格外の実力を戦場に示した。
・すると、黒竜騎士隊長のロジャーが兵糧護衛の任務を放棄してフィンに決闘を挑んできた。
ロジャーは圧倒的な経験と技術でフィンと相棒の飛竜ノーヴァの機動力を封じ、大剣で雷撃を防ぎながらフィンを劣勢へと追い詰めていった。
ウィリアムの真の狙いと魔導戦杖の奪取
激しい空戦が続く中、レオナルトは敵の真の狙いが自分の首ではなく、帝国側の新技術である「魔導戦杖」の奪取にあることに気づいた。レオナルトは護衛を固めさせたが、以下の通り防ぎきれない事態となった。
・乱戦の中で一騎の近衛騎士が孤立してしまい、ウィリアムとロジャーの挟撃を受けてしまった。
・その近衛騎士は帝国の大切な兵器を奪われまいと自ら天隼から飛び降りたが、空中でロジャーの剣に貫かれた。
・最終的に、ウィリアムに腕ごと魔導戦杖を切り落とされて奪取されてしまった。
空戦の結末
魔導戦杖という新技術を手に入れたウィリアムは、これ以上の兵糧輸送阻止は困難であり、自軍の損害を増やすのは無意味だと判断して全軍に撤退を命じた。レオナルトも無用な被害を避けるため追撃を制止した。
ウィリアムは「兵糧はくれてやろう。その代わり技術はもらう」と言い残し、ロジャーもフィンに「勝負はお預けだ」と告げて戦場から去っていった。
結果として、帝国側は新技術を一つ奪われるという代償を払ったものの、最大の目的であった籠城軍への大規模な兵糧輸送作戦を無事に成功させ、生き延びるための糧を得るという勝利を収めたのである。
北部諸侯連合
『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』第11巻において、「北部諸侯連合」の再建は第七皇子アルノルトの最大の目的の一つであり、物語の戦局を大きく左右する重要な要素として描かれている。その背景から真の結成に至るまでの詳細を解説する。
以前の北部諸侯連合と包囲網の崩壊
当初、第八皇子レオナルトは反乱を起こしたゴードンを討つため、自軍の本隊や配下の将軍の軍勢に加え、「北部諸侯連合」を用いて包囲網を敷いていた。しかし、以下の理由により包囲網はあっけなく崩壊することとなる。
・連合王国や藩国からの援軍への対応の遅れ
・竜王子ウィリアムの参戦
彼らが積極的に戦わなかった理由は、三年前の皇太子戦死の責任を押し付けられ、帝都から不当に冷遇され続けてきたことによる皇族への強い不信感があったためである。また、北部最大の勢力であるローエンシュタイン公爵家が中立を保っていたことも、彼らの士気の低さとまとまりのなさに拍車をかけていた。
アルノルトの暗躍と真の目的
長い昏睡から目覚め、レオナルトが籠城に追い込まれた危機を知ったアルノルトは、ただ兵糧を届けるだけでは根本的な解決にならないと判断した。内乱を早期に終わらせるためには、以下の行動が必要だと考えたのである。
・皇族に冷遇されてきた北部諸侯の不満を解消する
・一丸となって戦う「真の北部諸侯連合」を作り直す
アルノルトは「出涸らし皇子」として虐げられてきた自分と、冷遇に耐えてきた彼らの立場が似ているため、自分なら話を聞いてもらえるはずだと確信し、密かに北部へと向かった。
ツヴァイク侯爵の遺志とローエンシュタイン公爵の説得
アルノルトは、北部のまとめ役として長年尽力していたツヴァイク侯爵を頼ろうとしたが、侯爵はすでに病死していた。しかし、侯爵の孫娘でありローエンシュタイン公爵の孫でもあるシャルロッテと協力関係を結び、中立を保つ「雷神」ローエンシュタイン公爵の説得に挑む。
公爵は皇族への恨みが深く、説得は困難を極めたが、アルノルトは以下の策を提示した。
・「空からの兵糧輸送作戦」の手柄をすべて公爵に譲る
・北部諸侯が最初から帝国のために動いていたという名目を作る
・彼らの名誉回復と戦後の安全を保障する
そして、重い病により自らの死期を悟っている公爵に対し、アルノルトは自身の皇子としての地位や自由を担保にして誓約を立てた。この覚悟に心を動かされた公爵は、残された命を懸けて戦場に立つことを決意した。
グナーデの丘での決起と真の連合誕生
公爵の呼びかけにより、五百年前に悪魔を退けた北部の聖地「グナーデの丘」に、レオナルトの陣営にいない北部四十七家門のうち四十家が集結した。
会議の場でシャルロッテがゴードン討伐のための北部諸侯連合結成を提案し、アルノルトが自らの正体を明かした。アルノルトは、彼らが長年の冷遇に耐え忍んだのは北部の地と民を守る誇りがあったからだとその忍耐を称賛しつつ、「領地が荒らされている今、いつまで耐えるだけの弱者でいるつもりか」と激しく檄を飛ばした。
この熱い演説に心を打たれたシャルロッテや若い貴族たちが次々と賛同の意を示し、最後にローエンシュタイン公爵が膝をついたことで、北部四十七家門のすべてがアルノルトとレオナルトに従うことを誓った。
まとめ
こうしてアルノルトが仮初めの盟主となり、全権をローエンシュタイン公爵に委ねる形で、確固たる士気と大義を持った真の北部諸侯連合が誕生し、ゴードン討伐へ向けて動き出すこととなる。
登場キャラクター
アードラシア帝国
アルノルト・レークス・アードラー(シュヴァルツ)
帝国第七皇子であり、出涸らし皇子と呼ばれている。裏の顔は暗躍を得意とする存在だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第七皇子。
・物語内での具体的な行動や成果
レオナルト救援のため第六近衛騎士隊とネルベ・リッターを率いて出陣した。フィンを見出して六二式魔導戦杖を授け、兵糧輸送作戦を成功へ導く。その後はシュヴァルツと名乗ってシャルロッテに接触し、北部諸侯を説得している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
皇帝から正式に任務を命じられ、北部諸侯連合の盟主となった。
セバス
アルノルトの執事であり、手紙の偽造などを得意としている。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・アルノルトの執事。
・物語内での具体的な行動や成果
アルノルトの指示で敵軍の配置を探り、情報収集を行った。ロアの屋敷では護衛を無力化し、ローエンシュタイン公爵名義の偽手紙を作成して交渉を後押ししている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
隠密行動から偽造まで多岐にわたる能力でアルノルトの暗躍を支え続けている。
レオナルト・レークス・アードラー
帝国第八皇子であり、英雄皇子と称される人物だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第八皇子。
・物語内での具体的な行動や成果
北部戦線で敵軍に包囲され、ディック城へ籠城していた。兵糧輸送作戦の際は自ら空へ上がり、ウィリアムと激しい空戦を繰り広げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アルノルトの救援によって窮地を脱し、北部諸侯連合からも次代の皇帝として支持を受けている。
ヨハネス
アードラシア帝国の皇帝であり、アルノルトの父にあたる。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・皇帝。
・物語内での具体的な行動や成果
レオナルトの救援にあたり、アルノルトへ第六近衛騎士隊を預ける決断を下した。出陣前にはアルノルト専用の軍旗を渡し、父親としての心配も見せている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
皇族の責任を果たすために戦地に赴く息子を認め、武運を祈って送り出した。
フランツ
帝国の宰相であり、冷静な判断力を持つ存在だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・宰相。
・物語内での具体的な行動や成果
第六近衛騎士隊に魔導戦杖を装備させる運用を提案した。アルノルトの出陣に際してはネルベ・リッターを合流させる手配を行っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
皇帝の側近として帝国の軍事や内政を支え続けている。
ゴードン・レークス・アードラー
帝国第三皇子であり、反乱を起こして北部へ逃げ込んだ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第三皇子。反乱軍の総大将。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴィスマールを拠点とし、ハーニッシュ将軍と対峙している。ハーニッシュへ直筆の手紙を送り、調略を試みていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ウィリアムや連合王国の支援に依存しており、かつての誇りを失いつつある。
トラウゴット
西部戦線で総大将を務める皇族だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・皇族。西部戦線総大将。
・物語内での具体的な行動や成果
皇帝の命により西部へ出向いた。レティシアやエルナと共に王国軍の侵攻を牽制している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼が存在することで西部戦線は膠着状態を維持している。
レティシア
トラウゴットの補佐として西部戦線へ参戦している。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・皇族。
・物語内での具体的な行動や成果
西部へ同行し、王国軍の侵攻を牽制した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
聖剣の存在と共に連合王国から警戒されている。
エルナ
アルノルトの幼馴染であり、勇爵家の令嬢だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・勇爵家令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
トラウゴットとレティシアの護衛として西部戦線へ同行している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
連合王国から強く警戒されている。
クリスタ
帝都にいる皇族の一人である。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・皇女。
・物語内での具体的な行動や成果
幼いため前線へ出陣することはなく、帝都に留まっている。オリヴァーの最期の言葉を皇帝へ伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ルーペルト
帝都にいる皇族の一人だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・皇子。
・物語内での具体的な行動や成果
幼いため前線へ出陣することはなく、帝都に留まっている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エリク
皇国との外交を担当している皇子である。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・皇子。外務大臣。
・物語内での具体的な行動や成果
皇国との同盟交渉を進めており、軍事力ではなく外交によって功績を重ねている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
帝位争いにおいて絶対的な優位を築きつつある。
ヘンリック・レークス・アードラー
ザンドラの弟である第九皇子だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第九皇子。
・物語内での具体的な行動や成果
ゴードン陣営に加わり、ウィリアムへの援軍として前線へ赴いた。他国の王子であるウィリアムの指揮下に入ることを拒み、独自に陣を構えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
帝国内に居場所がなく、ゴードンに利用されている。
リーゼロッテ
東部国境守備軍を率いる帝国元帥である。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・帝国元帥。
・物語内での具体的な行動や成果
皇国への牽制として東部国境に留まっている。北部にいる弟たちを心配し、皇国への先制攻撃を主張することもあった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼女が国境にいるだけで皇国を牽制する強い影響力を持つ。
コンラート
ゴードンの陣営に属する皇族だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・皇族。
・物語内での具体的な行動や成果
母である第四妃と共にゴードンとは離れて行動している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ザンドラ
すでに死亡している皇女であり、ヘンリックの姉にあたる。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・元第二皇女。
・物語内での具体的な行動や成果
本巻では死亡していることが言及されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
皇太子
三年前に北部国境で戦死した人物だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・元皇太子。
・物語内での具体的な行動や成果
本巻の出来事より過去に死亡している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼の死が北部諸侯への冷遇と対立の原因となった。
第四妃
ローエンシュタイン公爵の娘であり、ゴードンの母である。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第四妃。
・物語内での具体的な行動や成果
ゴードンのために各地の貴族に助力を求めていた。現在は隠密任務に就いている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
かつては剣士として生きることを望んでいた過去がある。
勇爵
エルナの父であり、強大な軍事力を持つ存在だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・勇爵。
・物語内での具体的な行動や成果
彼が出陣すれば戦争規模が拡大するため、皇帝と共に動かず控えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ユルゲン
リーゼロッテの側近であり、冷静な分析を行う。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・リーゼロッテの側近。
・物語内での具体的な行動や成果
焦るリーゼロッテに紅茶を淹れ、弟たちの無事を説いてなだめた。皇国がすぐには動けない状況を論理的に説明している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リーゼロッテへ率直に意見を言える数少ない人物である。
キューバー
技術大臣を務める変人の研究者だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・技術大臣。
・物語内での具体的な行動や成果
実戦レベルの六一式魔導戦杖や、アルノルト専用の六二式を開発した。アルノルトが試作品を壊した際は激しく嘆いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼の発明が帝国の航空戦力に革命をもたらした。
ランベルト・フォン・マイアー
第六近衛騎士隊を率いる隊長である。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第六近衛騎士隊隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
アルノルトの指揮下でレオナルトへの兵糧輸送作戦の護衛を担当した。天隼部隊を率いて敵の竜騎士団を壊滅させ、制空権を確保する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
親友オリヴァーの仇討ちよりも任務を優先する忠誠心を持つ。
オリヴァー
反乱時に戦死した近衛騎士隊長だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・元近衛騎士隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
過去の反乱において体を張って足止めを行い、死亡したことが語られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ラファエル
オリヴァーを殺害した裏切り者の近衛騎士隊長である。
・所属組織、地位や役職
反乱軍・近衛騎士隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
ゴードン側へ寝返り、オリヴァーを背後から討ったことが言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ラース
ネルベ・リッターを率いる指揮官だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・大佐。
・物語内での具体的な行動や成果
アルノルトと共に北部へ赴き、敵の兵糧基地を奇襲した。デュースの街では山賊を速やかに制圧し、ロアの屋敷へも潜入している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アルノルトの命令を忠実に実行する高い実力を持つ。
ヴィンフリート
レオナルトの軍師であり、ヴィンと呼ばれている。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・軍師。
・物語内での具体的な行動や成果
敵の指揮所に潜入し、バルテル将軍を暗殺して混乱を引き起こした。さらにジークを城へ向かわせる判断を下す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自己評価は低いが、臨機応変な戦術で確かな成果を挙げている。
リンフィア
ヴィンフリートと共に行動する伝令役だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・兵士(伝令に扮装)。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴィンフリートの作戦を見事だと称賛した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ジーク
言葉を話す愛らしい子熊である。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・所属不明。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴィンフリートの指示で城へ向かい、背後を取られたフィンを間一髪で救出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ハーニッシュ
ゴードン軍と対峙する帝国軍の将軍だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・将軍。
・物語内での具体的な行動や成果
一万三千の兵を率いてゴードンの二万の軍勢を引き付けている。ゴードンからの調略の手紙を焼き捨てて無視した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エストマン将軍への忠義からゴードンへの怒りを抱いている。
エストマン
片足を失い半ば引退状態にある将軍である。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・将軍。
・物語内での具体的な行動や成果
ハーニッシュに慕われており、部下をレオナルトの下へ送ったことが語られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
バルテル
ゴードン配下の将軍だ。
・所属組織、地位や役職
反乱軍・将軍。
・物語内での具体的な行動や成果
ウィリアムへ総攻撃を具申したが退けられた。その後、ヴィンフリートの奇襲によって暗殺された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フィデッサー
ゴードン配下の将軍であり、バルテルと共に行動している。
・所属組織、地位や役職
反乱軍・将軍。
・物語内での具体的な行動や成果
ウィリアムへ総攻撃を求めたが拒否され、不満を抱いていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
シャオメイ
ライナーの元へ情報を伝えに来た侍女だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・侍女。
・物語内での具体的な行動や成果
ライナーの工作の進捗を確認し、ホルツヴァート公爵家が表返る準備ができているという伝言を預かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
第六近衛騎士隊
天隼に騎乗する帝国最強の航空部隊である。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・近衛騎士隊。
・物語内での具体的な行動や成果
六一式魔導戦杖を装備し、空輸部隊の護衛と制空権の確保を担った。敵竜騎士団を壊滅させる活躍を見せている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
儀礼部隊としての扱いから一転し、実戦で圧倒的な力を証明した。
ネルベ・リッター
帝都防衛を担う精鋭部隊だ。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・精鋭部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
アルノルトと共に敵兵糧基地を奇襲し、陽動作戦を成功させた。ロアの街や屋敷への潜入でも活躍している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
東部国境守備軍
リーゼロッテの指揮下にある軍勢である。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・軍勢。
・物語内での具体的な行動や成果
皇国への備えとして国境に駐屯しており、士気を高く保っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼らが動けば大規模な戦争に発展する可能性が示唆された。
帝国北部諸侯
ヴィクトール・フォン・ローエンシュタイン
北部最大の勢力を誇るローエンシュタイン公爵だ。
・所属組織、地位や役職
北部諸侯・ローエンシュタイン公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
重い病を隠しながら中立を保っていたが、アルノルトの覚悟とシャルロッテの説得を受け入れた。余命を削って出陣を決意する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
北部四十七家門を代表してアルノルトに忠誠を誓い、北部諸侯連合を成立させた。
シャルロッテ・フォン・ローエンシュタイン
ローエンシュタイン公爵の孫であり、強力な魔導師である。
・所属組織、地位や役職
北部諸侯・公爵家令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
ツヴァイク侯爵の葬儀でアルノルトと出会い、北部諸侯をまとめるために協力した。ローエンシュタイン公爵の屋敷でゴルトベルガーの裏切りを鎮圧している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
戦後にツヴァイク侯爵家を継ぐ約束をアルノルトと交わした。
アダム・フォン・ツヴァイク
北部のまとめ役として尽力したツヴァイク侯爵だ。
・所属組織、地位や役職
北部諸侯・ツヴァイク侯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
病により本巻ではすでに死亡している。生前にアルノルトを称賛し、大きな影響を与えていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ハーゲン・フォン・グライスナー
飛竜の育成を進めてきたグライスナー侯爵である。
・所属組織、地位や役職
北部諸侯・グライスナー侯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
レオナルトの本隊に合流し、籠城戦を支えている。到着した兵糧と大型飛竜の運用を見て驚愕した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
親皇族派であり、レオナルト陣営の重要な支柱となっている。
バーナー・フォン・グライスナー
ターレの領主代理を務めるグライスナー侯爵の長男だ。
・所属組織、地位や役職
北部諸侯・領主代理。
・物語内での具体的な行動や成果
アルノルトがフィンを皇族直下の竜騎士として引き抜いたことに強く抗議した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
カトリナ・フォン・グライスナー
グライスナー侯爵家の長女であり、竜騎士隊の隊長である。
・所属組織、地位や役職
北部諸侯・竜騎士隊隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
到着した兵糧を飛竜に与えて再起を図った。敵竜騎士が輸送隊へ迫った際は自らの身を挺して足止めを行っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フィン・ブロスト
白い小型飛竜ノーヴァを駆る竜騎士だ。
・所属組織、地位や役職
アードラーの竜騎士(元グライスナー侯爵家竜騎士)。
・物語内での具体的な行動や成果
アルノルトから六二式魔導戦杖を託され、単騎で敵陣へ突入した。敵竜騎士団をディック城上空へ誘導し、ロジャーとも互角に渡り合った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アルノルトの騎士となり、新時代の空戦を象徴する存在となった。
ロルフ・フォン・ホルツヴァート
ゴードン陣営の重鎮であるホルツヴァート公爵である。
・所属組織、地位や役職
反乱軍・ホルツヴァート公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
ゴードンへ持久戦を提案し、陣営の方針を誘導した。ヘンリックとギードを前線へ送るよう進言している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
現実主義者であり、一門の存続を最優先に行動している。
ギード・フォン・ホルツヴァート
ロルフの長男であり、ヘンリックの側近として出陣した。
・所属組織、地位や役職
反乱軍・ホルツヴァート公爵家長男。
・物語内での具体的な行動や成果
かつてアルノルトを虐めていた過去がある。戦場へ出陣するも実力はなく、ウィリアムに対して無礼な態度をとった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ライナー・フォン・ホルツヴァート
ロルフの次男であり、ヴィスマールの内政を担う存在だ。
・所属組織、地位や役職
反乱軍・ホルツヴァート公爵家次男。
・物語内での具体的な行動や成果
兵糧管理を効率よくこなしながら、ゴードン陣営を内部から崩壊させるための工作を進めていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ゴルトベルガー
ローエンシュタイン公爵の側近である。
・所属組織、地位や役職
北部諸侯・公爵の側近。
・物語内での具体的な行動や成果
皇族への憎しみから公爵を拘束し、反乱を企てた。しかしアルノルトに大義のなさを指摘されて戦意を喪失している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
謹慎処分となり、公爵の最期の出陣に同行できなくなった。
シリングス
ツヴァイク侯爵領の騎士だ。
・所属組織、地位や役職
反乱軍(元ツヴァイク侯爵領騎士)。
・物語内での具体的な行動や成果
ゴードン側に寝返り、ツヴァイク侯爵の葬儀に山賊を引き入れて街を襲撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ネルベ・リッターによって制圧された。
ボルネフェルト子爵
北部諸侯の一人である。
・所属組織、地位や役職
北部諸侯・子爵。
・物語内での具体的な行動や成果
アルノルトの檄にいち早く応じ、忠誠を誓った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ゼンケル伯爵
北部諸侯の一人だ。
・所属組織、地位や役職
北部諸侯・伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
アルノルトの檄にいち早く応じ、先鋒を任せてほしいと申し出た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
連合王国
ウィリアム
連合王国の竜王子であり、優れた指揮官である。
・所属組織、地位や役職
連合王国・竜王子。総司令官。
・物語内での具体的な行動や成果
ゴードンを支援してレオナルトの包囲網を築いた。兵糧輸送作戦の際は自ら出撃し、魔導戦杖を奪取して撤退している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アルノルトの存在を警戒し続けている。
ビアンカ
ゴードンの妻であり、ウィリアムの友人だ。
・所属組織、地位や役職
連合王国・ゴードンの妻。
・物語内での具体的な行動や成果
娘を出産したばかりであり、ウィリアムの手配で連合王国へ移送される予定となっていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
反乱を起こした夫に対して複雑な思いを抱いている。
ロジャー
黒竜騎士隊を率いる隊長である。
・所属組織、地位や役職
連合王国・黒竜騎士隊隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
フィンとの一騎打ちに臨み、圧倒的な経験と技術で彼を追い詰めた。撤退時には再戦を約束している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
黒竜騎士隊
ウィリアム直属の精鋭部隊だ。
・所属組織、地位や役職
連合王国・竜騎士部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
空戦において第六近衛騎士隊と激しい乱戦を繰り広げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
連合王国軍
ゴードンを支援する軍勢である。
・所属組織、地位や役職
連合王国・軍勢。
・物語内での具体的な行動や成果
ウィリアムの指揮下でレオナルトの包囲に参加している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
藩国
藩国軍
ゴードンを支援する軍勢だ。
・所属組織、地位や役職
藩国・軍勢。
・物語内での具体的な行動や成果
レオナルトの包囲に参加し、兵糧の輸送を行っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
その他勢力
山賊たち
デュースの街を襲撃した無法者たちである。
・所属組織、地位や役職
その他勢力・山賊。
・物語内での具体的な行動や成果
シリングスと結託してツヴァイク侯爵の葬儀を荒らしたが、ネルベ・リッターに鎮圧された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
展開まとめ
第一章 アードラーの竜騎士
北部戦線の危機
北部諸侯連合の敗走によってレオナルトの包囲網は崩壊し、レオナルトは城へ籠城して敵軍に包囲されていた。北部諸侯は長年の冷遇から皇族への不信を抱いており、積極的な支援を行わなかった。一方で西部戦線は膠着状態にあり、皇帝は出陣できる皇族不足に悩まされていた。
アルノルトへの救援任務
アルノルトは大軍を率いることを避け、得意とする暗躍によってレオナルトを救援する方針を示した。皇帝は第六近衛騎士隊を預け、北部救援を正式に命じた。アルノルトは北部諸侯を再結集させ、ゴードン討伐と戦局の立て直しを目指した。
新兵器と出撃準備
アルノルトは第六近衛騎士隊の新兵器である魔導戦杖の試験に立ち会った。自身は扱えなかったものの、戦力強化の可能性を確認した。またランベルトへ任務優先を徹底させ、第六近衛騎士隊とともに北部へ向かう準備を整えた。
北部への潜入と決意
アルノルトは正体を隠しながら北部へ向かい、皇帝から軍旗を託された。父子は皇族としての責任について語り合い、アルノルトは家族や仲間を守るために戦う決意を改めて固めた。
敵陣営の状況
ゴードンの妻ビアンカは生まれた娘を安全な場所へ避難させることを望んでいた。ウィリアムは友人であるゴードンを支援したことへの複雑な思いを抱きながらも協力を続けていた。一方でウィリアムは、アルノルトとレオナルトの再合流を最大の脅威として警戒していた。
フィンの加入
北部へ到着したアルノルトは、特異な飛竜ノーヴァを操る少年フィンと出会った。戦力として評価されていなかったフィンの才能を見抜いたアルノルトは、新兵器を与える代わりに自身の騎士となることを求めた。フィンは仲間を救うためにその申し出を受け入れた。
レオナルト救援作戦
アルノルトは敵軍の兵糧基地を襲撃して後方を混乱させ、その隙に飛竜輸送隊でレオナルトへ兵糧を届ける作戦を立案した。さらにフィンを囮として敵竜騎士団を誘い出し、第六近衛騎士隊で迎撃する計画を策定した。こうしてレオナルト救援作戦が本格的に動き始めた。
敵後方攪乱作戦の開始
アルノルトはネルベ・リッターを率いて敵後方への潜入を開始した。出発前にはフィンへ助言を与え、守りたいもののために戦う覚悟を確認した。フィンはその言葉を受け、自らの決意を固めた。
ウィリアムを動かす陽動
アルノルトは兵糧基地への襲撃と補給路への偽装工作を実施した。補給を脅かされたウィリアムは対応を強いられ、包囲軍上空の戦力を分散させることになった。
フィンによる敵陣奇襲
フィンはノーヴァと共に敵陣へ急襲を仕掛けた。六二式魔導戦杖による雷撃で竜舎や飛竜部隊へ大打撃を与え、追撃してきた敵竜騎士団をディック城上空へ誘導した。
第六近衛騎士隊の迎撃
雲中に待機していた第六近衛騎士隊は、上昇中の敵竜騎士団へ奇襲を仕掛けた。敵航空戦力は大きな損害を受け、帝国側は制空権の確保に成功した。
兵糧輸送の成功
制空権を確保したことで大型飛竜による兵糧輸送は成功した。籠城中だったレオナルト軍は補給を受けて士気を回復し、飛竜部隊も再び戦える状態となった。
黒竜騎士隊との激戦
ウィリアム率いる黒竜騎士隊が出撃し、第六近衛騎士隊との激戦が始まった。フィンは黒竜騎士を撃墜して戦果を挙げたが、黒竜騎士隊長ロジャーとの戦いでは経験差に苦しめられた。
仲間を救うための決断
輸送隊を守るため戦うカトリナたちが危機に陥ると、フィンは危険を承知で救援へ向かった。落下しながら雷撃を放って敵竜騎士を撃墜し、その後はノーヴァとの再騎乗にも成功した。さらにジークの援護によって窮地を脱した。
地上での攪乱工作
地上ではヴィンが敵将バルテルの暗殺を成功させた。敵軍は指揮系統の混乱に陥り、攻城戦の進行は大きく遅れた。
作戦の完遂
兵糧輸送は成功し、レオナルト軍は立て直しに成功した。一方でウィリアムは魔導戦杖を回収して撤退した。帝国側は補給と制空権を確保し、今後の反撃へ向けた基盤を築いた。
第二章 シュヴァルツ
ツヴァイク侯爵の死とシャルロッテとの出会い
アルは北部貴族をまとめるため、恩人であるツヴァイク侯爵の協力を求めて領都デュースへ向かった。しかし到着した街は反乱に襲われており、ツヴァイク侯爵が既に亡くなっていたことを知った。アルは悲しみを抱えながらもネルベ・リッターに鎮圧を命じ、侯爵の孫娘シャルロッテと出会った。シャルロッテから侯爵の最期を聞いたアルは葬儀へ参列し、侯爵の遺志を継ぐ必要性を感じた。
北部貴族をまとめるための新たな道
ツヴァイク侯爵の死によって当初の計画は崩れたが、アルはシャルロッテとの対話を通じて活路を見出した。シャルロッテは北部貴族と皇族の双方へ不満を抱いていたが、侯爵が残した手紙の存在を明かした。さらに彼女がローエンシュタイン公爵の孫であることが判明し、アルは侯爵がシャルロッテへ北部を繋ぐ役目を託したのではないかと考えた。シャルロッテも次第にその可能性を受け入れ、祖父の遺志と向き合い始めた。
アルノルトの正体とシャルロッテの決断
シャルロッテは祖父の教えに従ってシュヴァルツの正体を疑い続けていた。問い詰められたアルは、自らが第七皇子アルノルトであることを明かした。シャルロッテは皇族への反感を隠さなかったが、アルが正体を偽り続けず誠実に向き合ったことを評価した。そしてゴードンに祖父の遺志を踏みにじらせたくないという思いから、ツヴァイク侯爵家としてアルへ協力することを誓った。代わりに戦後は自らがツヴァイク侯爵家を継ぐことを望み、アルはその願いを受け入れた。
ゴードン陣営の思惑
一方で北部戦線では、ハーニッシュがゴードン軍を引き付け続けていた。ゴードンは調略によってハーニッシュを取り込もうとしたが失敗する。さらにロルフから戦況報告を受けたゴードンは、兵糧輸送を許したものの依然として優勢だと判断し、ヘンリックとギードをウィリアムの援軍として送り出すことを決めた。ゴードンはなお勝利を確信していた。
北部貴族への根回し
アルはシャルロッテと共にローエンシュタイン公爵領へ向かいながら、各地の北部貴族へ手紙を送り続けた。これは公爵が動いた際に北部諸侯を集結させるための布石だった。その道中でアルは、ツヴァイク侯爵への恩を返すことは皇族としての責務であると語り、北部問題の解決に取り組む理由を明かした。シャルロッテはその考えに触れ、少しずつアルへの理解を深めていった。
ローエンシュタイン公爵との交渉
ロアへ到着したアルたちは、北部最大の実力者であるローエンシュタイン公爵と面会した。公爵は最初からアルの正体を見抜いており、北部貴族が受けてきた冷遇への怒りをぶつけた。アルはレオの未来と北部の名誉回復のために協力を求め、自身の功績をすべて公爵の手柄にするという策まで提示した。しかし公爵は戦後に約束が反故にされる可能性を疑い、皇帝か宰相の正式な誓約状を持ってくるよう要求した。交渉は決裂したが、アルは公爵が病を抱えていることを察し、その真意を探ろうと考えるのだった。
第三章 北部諸侯連合
ローエンシュタイン公爵の病とアルの決断
アルはローエンシュタイン公爵が重い病を抱え、死期を悟っていることを見抜いた。公爵が誓約状に固執するのは、自らの死後も北部が軽視されない保証を求めているためだと理解する。一方でアルは、その現実を踏まえた上でシャルロッテ自身が将来を決めるべきだと考え、彼女の決断を尊重する姿勢を示した。
ロア騒乱とアルの信念
その頃、ロアでは賊による騒乱が発生した。アルはこれを陽動だと見抜いたが、混乱に乗じて屋敷へ侵入することを拒否した。目的は公爵を屈服させることではなく信頼を得ることだと考えていたからである。さらに街の騎士たちへ協力を呼びかけ、大通りと細道を利用した制圧作戦を成功させたことで騎士たちの信頼を獲得した。
シャルロッテ救出と公爵の真実
アルは屋敷へ潜入し、監禁状態に置かれていたシャルロッテを救出した。そしてゴルトベルガーが裏切り、公爵を拘束している事実を知る。さらに公爵もシャルロッテと同じ病を抱えていることが明らかとなった。アルは北部の未来のためには公爵を再び表舞台へ立たせる必要があると告げ、その覚悟をシャルロッテへ問うた。シャルロッテは迷わず北部のために戦う決意を示し、アルも彼女を真の後継者として認めた。
ゴルトベルガーとの対決
シャルロッテはゴルトベルガーと対峙し、北部独立を目指す彼の主張を否定した。アルもまた、彼が北部の未来ではなく皇族への憎しみに囚われているだけだと指摘する。さらに皇族が殺されれば北部全土が戦火に包まれると警告し、北部貴族が守ってきた理念を踏みにじっていると厳しく非難した。その結果、ゴルトベルガーは自らの過ちを認め、抵抗をやめた。
ローエンシュタイン公爵の出陣決意
アルは病床の公爵と改めて交渉した。誓約状は用意できないと認めた上で、自分自身が北部への約束の担保になると宣言し、皇族としての立場すら失う覚悟を示した。その真意がツヴァイク侯爵への恩返しにあることも明かした。公爵はシャルロッテへ自らの生き方を問い、彼女は雷神として最後まで戦う祖父を望むと答えた。その言葉を受け、公爵は最後の出陣を決意した。
ゴードン陣営の亀裂
一方、ヴィスマールではライナーが密かにアル側と通じていた。彼はゴードン陣営内部を崩壊させるため、ヘンリックやギードを前線へ送り出し、将来的な離反の準備を進めていた。その後前線へ到着したヘンリックとギードは、総司令官であるウィリアムを軽視して独自行動を宣言し、連合王国軍との間に大きな亀裂を生じさせた。
北部諸侯連合の成立
グナーデの丘で開かれた北部諸侯会議には、多くの北部貴族が集結した。彼らは皇帝にもゴードンにも不満を抱いていたが、反逆者へ与する意思は持っていなかった。そこでシャルロッテがツヴァイク侯爵の名代として北部諸侯連合の結成を提案し、続いてアルノルトが正体を明かした。アルは北部貴族たちの忍耐と誇りを称えた上で、ゴードン討伐のため立ち上がるよう訴えた。その言葉に呼応して諸侯は賛同し、ローエンシュタイン公爵も忠誠を誓った。こうして北部諸侯連合が正式に成立し、ゴードン討伐へ向けた反攻が始まった。
エピローグ
東部国境での焦燥
東部国境では、皇国への備えとして東部国境守備軍が万全の態勢を維持していた。
将兵たちの士気は高く、いつ戦闘になっても対応できる状態だった。しかし総司令官であるリーゼロッテは、その状況に満足していなかった。あまりにも戦意を見せすぎれば敵に警戒され、攻め込む隙を与えなくなると考えていたのである。
だが彼女が焦っていた理由は皇国ではなかった。
弟たちを案じる姉
帝都の反乱後、リーゼロッテは東部国境へ戻っていた。
彼女が国境にいるという事実そのものが皇国への牽制となり、エリクの外交交渉を有利に進める役割を果たしていた。
しかしリーゼロッテ自身は、北部で戦うレオナルトとアルノルトのことが気がかりで仕方なかった。
ユルゲンは紅茶を勧めながら、リーゼロッテが国境にいるからこそ弟たちは安心して北部に集中できるのだと説得した。
それでもリーゼロッテは、最前線で苦労している弟たちを思い、自分だけが嗜好品を楽しむことに抵抗を感じていた。
皇国への先制攻撃案
ユルゲンは皇国がすぐには動けない状況を説明した。
皇国は最近モンスター被害を受けており、大規模な侵攻を行う余裕はないと分析していたのである。
それを聞いたリーゼロッテは、自ら皇国へ攻め込み壊滅的な打撃を与える案を口にした。
しかしユルゲンは、現在の帝国はすでに二正面作戦を強いられているため、新たな戦線を開くのは愚策だと断言した。
リーゼロッテは反論されたことに不満を抱きながらも、その指摘を否定できなかった。
弟たちへの信頼
リーゼロッテは、包囲下のレオナルトと北部貴族の説得に向かったアルノルトを案じ続けた。
だがユルゲンは、補給作戦が成功したことやアルノルトも北部で動いていることを説明し、近いうちに情勢は大きく動くはずだと語った。
そして何より、二人はリーゼロッテの弟なのだから必ず乗り越えると断言した。
その言葉を聞いたリーゼロッテはようやく椅子に腰を下ろし、ユルゲンが淹れた紅茶と菓子を受け入れた。
弟たちへの信頼を再確認した彼女は、しばしの間だけ戦況への焦りを脇に置き、ユルゲンとの穏やかな時間を過ごすことにしたのであった。
最強出涸らし皇子 シリーズ












その他フィクション

Share this content:


コメント