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フィクション(Novel)最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い読書感想

小説【出涸らし】「最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 10」感想文・ネタバレ

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フィクション(Novel)
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  1. どんな本?
    1. ■ 物語の特徴
  2. 読んだ本のタイトル
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. アルノルトの目覚め
    2. ザンドラの最期
    3. SS級冒険者の招集
    4. 帝位争いの情勢
    5. ギルド査問会議
    6. 異界竜と悪魔討伐
  6. 登場キャラクター
    1. アードラシア帝国
      1. アルノルト・レークス・アードラー(シルバー)
      2. フィーネ・フォン・クライネルト
      3. セバス
      4. ヨハネス
      5. ザンドラ
      6. ゴードン・レークス・アードラー
      7. レオナルト・レークス・アードラー
      8. レティシア
      9. エルナ・フォン・アムスベルグ
      10. リーゼロッテ
      11. エリク
      12. ズーザン
      13. 第二妃
      14. イネス・ラウク
      15. ヴィン
      16. 砦将
      17. 近衛騎士団第十一騎士隊
      18. 帝国軍
    2. 冒険者ギルド
      1. トロシン
      2. クライド
      3. ピットマン
      4. 事務長
      5. 外務長
      6. 本部長
      7. 若い女性職員
      8. エゴール
      9. ジャック
      10. ロナルド・リナレス
      11. ノーネーム
      12. ラジェフ
      13. 雷の勇兵団
      14. イグナート
      15. ギルド職員
    3. 皇国
      1. ヴェンゲロフ
      2. ニーナ
      3. ニーナの父親
      4. 西部駐屯軍第七師団
    4. 王国
      1. バルデュール
      2. 中年の男性
    5. ドワーフの里
      1. ソニア
      2. ドワーフの王
    6. 連合王国
      1. ウィリアム王子
    7. 藩国
      1. ミア(朱月の騎士)
    8. 魔王軍の残党・モンスター
      1. 魔王
      2. ガムジン
      3. 異界竜ニーズヘッグ
      4. 骸骨剣士
      5. モンスター群
      6. 骨鳥の群れ
      7. 鎧人形
      8. 海竜レヴィアターノ
      9. 霊亀
      10. 聖竜
    9. その他勢力・集団
      1. 魔奥公団
      2. 北部諸侯連合
      3. 勇者
      4. 仙姫
  7. 展開まとめ
    1. 第一章 目覚める皇子
    2. 第二章 査問会議
    3. 第三章 SS級合同
    4. エピローグ
  8. 最強出涸らし皇子 シリーズ
  9. その他フィクション

どんな本?

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する』は、ファンタジー世界を舞台にした暗躍型の異世界宮廷ファンタジーである。

物語の舞台は、周辺国との軍事的な緊張感や、深刻な内憂外患を抱える強大なアードラー帝国である。主人公のアルノルト・レークス・アードラーは、双子の弟であるレオナルトを帝位につけるため、自らは「出涸らし皇子」と呼ばれる無能な皇子を演じつつ、裏では大陸最高峰の冒険者「シルバー」として驚異的な能力を振るい、壮絶な帝位継承戦を影から支配していく。

基本的な世界観は、魔法や魔導具、古代魔法、禁術が存在する中世風ファンタジーである。大国間での外交政略、領主の腐敗、宮廷内の暗殺疑惑といった複雑な陰謀が絡み合い、武力闘争のみならず、経済戦や高度な知略戦が展開される点が物語の大きな特徴である。

■ 物語の特徴

アードラシア帝国の第七皇子アルノルトは、裏の顔であるSS級冒険者「シルバー」に対する不当な査問会議を乗り切るべく暗躍を開始する。彼はギルド評議会の目論見を打ち砕くため、大陸各地に散る曲者揃いのSS級冒険者たちを説得し、ギルド本部へ集結させた。

迎えた査問会議において、アルノルト陣営はフィーネの巧みな交渉術とSS級冒険者全員による威圧で評議会を圧倒。他国の圧力に屈していたギルド長を辞任へと追い込み、査問の無効化という勝利を収める。

その矢先、皇国西部に古の悪魔ガムジンと異界竜ニーズヘッグが出現したとの急報が舞い込んだ。未曾有の危機に対し、アルノルトたち5人のSS級冒険者は標的の都市へと急行。彼らは規格外の力で互いに張り合いながらも、地形の被害を最小限に抑えつつ悪魔と竜を見事に討伐するのである。

事件解決後、アルノルトは反乱軍側の後方攪乱を手配して帝都へと帰還した。一方、北部戦線で劣勢に立たされる弟レオナルトは、兄の援軍を信じて決死の籠城戦を耐え抜く覚悟を固めていく。

読んだ本のタイトル

#最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い10 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する
著者:タンバ 氏
イラスト:夕薙 氏
出版社:KADOKAWAスニーカー文庫
発売日 :2022年9月30日
ISBN : 9784041127797

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あらすじ・内容

ゴードンたちの反乱を終結させたアルであったが、戦争介入問題のためシルバーとして査問会への出席を命じられる。事を有利に運ぶべく全SS級冒険者の集結を目指し動き出すが――一筋縄ではいかない面子ばかりで!?

最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い10 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する

感想

ザンドラ、ゴードンが起こした王都での内乱が収束してゴードンは辺境に逃亡。

ザンドラは拘束されてアルが魔法の使いすぎで眠りに入ってる間に死罪となっていた。
ただ死罪と言っても7日間苦しんで死ぬ毒を飲ませる死罪で、アルが目覚めた時はザンドラが死亡する直前だった。

そのザンドラの死に際に立ち会うためにアルはシルバーに扮してザンドラの元に行くが。。

死に際のザンドラは、自身の行動に疑問を持ちながら死んで行く。

それを仮面を取って見送るアル。
彼の家族がまた1人減ってしまった。

そして、冒険者ギルドではSS級冒険者のシルバーを傘下にしようと、シルバーが帝国に肩入れしすぎだと査問会議を開く。

それに対してシルバーはSS級冒険者全員を集めて対抗する。

彷徨うドワーフの剣聖エゴール翁。
妻と娘に逃げられて人生に彷徨ってる弓神ジャック。
オネェな両極の拳仙のリナレス。
仮面を被った空滅の魔剣士のノーネーム。
そして古代魔法の使い手のシルバー。

全員マトモじゃない。
でも、それぞれ自身が1番まともだと思ってるのが笑えてしまう。

その5人で自身の行動を制限しようと企むギルド長達の企みを粉砕するため。
査問会に出席する。

そして、ギルト長が盛大に墓穴を掘ってくれるが、、、

シルバーが1番腹黒くないか??

最後までお読み頂きありがとうございます。

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出涸らし9巻 レビュー
出涸らし11巻 レビュー

考察・解説

アルノルトの目覚め

アルノルトの目覚めについては、以下の状況や出来事が描かれています。

1ヶ月半に及ぶ眠りとその原因
アルノルトは帝位争いに参加して以来、魔力の消費と疲労を蓄積し続けており、それが限界に達した結果、1ヶ月半もの間深い眠りに落ちていました。目覚めた時には激しい喉の渇きを覚え、傍らにはいつも通り執事のセバスが控えていました。なお、長期間眠り続けていた表向きの理由としては「ザンドラの部屋を調査した際に呪いを受けたため」とされており、帝都の混乱もあってその説明が疑われることはありませんでした。

セバスからの現状報告
目覚めたアルノルトは、セバスから帝国各地の緊迫した戦況について報告を受けます。ゴードンが帝国北部の三分の一を制圧していることや、西部での王国軍の本格侵攻、さらには内部の裏切りによって北部国境の一部が突破されたことなどを知らされます。また、冒険者ギルド本部が裏の顔である「シルバー」を査問にかけることを決定しており、フィーネが時間を稼ぐために帝国大使としてギルド本部へ赴いていることも報告されました。フィーネの的確な判断を知ったアルノルトは、シルバーとしての問題を片付けるべく自ら動くことを決意します。

ザンドラの処刑という衝撃
現状把握を終えたと思った矢先、セバスから最後に告げられたのは、姉であるザンドラに対する刑が執行されたという衝撃的な事実でした。彼女には大陸最悪の秘毒であり、7日間にわたって苦しみを与え続ける「帝毒酒」が飲まされており、アルノルトが目覚めたその日がまさに死を迎える最終日(7日目)だったのです。

この事実を聞いたアルノルトは、長期間の昏睡で衰えた体を無理やり動かし、シルバーの仮面を被って、ザンドラの最期を看取るために彼女が隔離されている部屋へと転移門を開き向かっていきました。

アルノルトの目覚めは、休息の終わりというだけでなく、帝国を取り巻く数々の危機への対処と、肉親の凄惨な最期に向き合うという過酷な再始動の瞬間となりました。

ザンドラの最期

第二皇女ザンドラの最期と、それに伴うアルノルトの行動について、以下の状況や出来事が描かれている。

ザンドラに下された過酷な刑罰
・皇帝へ弓を引いた反逆罪により、第二皇女ザンドラには大陸最悪の秘毒「帝毒酒」を飲まされるという凄惨な処刑が下された。
・この毒は、7日間にわたって絶対に死ねないまま極度の苦痛を与え続けるという恐ろしいものである。
・最初の3日間は見せしめとして帝都の民衆に公開されたが、そのあまりにも惨たらしい姿に民から嘆願が寄せられ、その後は部屋に隔離されていた。
・アルノルトが1ヶ月半に及ぶ長き眠りから目覚めたその日が、まさに死を迎える最終日(7日目)であった。

アルノルトによる最期の訪問と真実の吐露
・皇帝ヨハネスは「反逆者には孤独がふさわしい」として誰も看取ることを禁じていたが、アルノルトは衰えた体でシルバーの仮面を被り、転移門を使ってザンドラの隔離部屋へと向かった。
・部屋は血の臭いが充満しており、ザンドラはやせ細り死体同然の姿になりながらも辛うじて生きていた。
・アルノルトが背後にいる「魔奥公団」について問い質すと、ザンドラは隠し棚にある手記(幹部や支部の情報が書かれたもの)の存在を教えた。
・母である第二妃ズーザンが10年以上前から魔奥公団と繋がり、人を呪うために禁術を研究するように狂っていったこと、さらには自分自身もいつしかそれに疑問を持たなくなり、本来の「帝国を魔法大国にしたい」という理想から外れてしまったことを告白した。
・ザンドラは、血の繋がった妹を実験に使おうとしたことなど自身の凶行を振り返り、自分が狂っていたのだと自らの罪を深く悔やんでいた。

姉弟としての別れと最期の言葉
・ザンドラの罪は決して許されるものではなかったが、アルノルトの脳裏には、幼い頃に森で迷子になった自分を助けてくれたザンドラの温かい手の記憶が残っていた。
・一人孤独に死ぬのが当然だと言うザンドラに対し、アルノルトはその手を握り「昔の借りだ」として、最期を看取ることを告げた。
・アルノルトはシルバーの仮面を外し、自らの素顔を姉に明かした。最強の冒険者シルバーがなぜレオナルト陣営に肩入れしていたのか、その真実を悟ったザンドラは「さすが私の弟ね」と微笑んだ。
・最期の瞬間、ザンドラは「エリクに気をつけなさい」「お父様をお願いね」という言葉を残し、静かに息を引き取った。

残されたアルノルトの決意
・アルノルトは不自然さを残さないため遺体には触れずに自室へ戻った。
・ザンドラから託された手記をセバスに渡し、「魔奥公団を探れ。徹底的にだ」と強く命じた。

ザンドラの死と彼女の告白により、帝位争いの背後には想像以上の深い闇(魔奥公団の存在)があることを確信したアルノルトは、悲しみを胸の奥へ押し込み、決意を新たに暗躍を再開していくこととなる。

SS級冒険者の招集

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』第10巻における「SS級冒険者の招集」は、主人公アルノルト(シルバー)に対する冒険者ギルド評議会の不当な査問を無効化するための重要な暗躍である。この招集の経緯と結果について、以下の通り解説する。

招集の背景と目的
冒険者ギルド本部の評議会は、諸外国からの圧力を受け、シルバーが帝国の戦争や政争に介入したことを理由に査問会議を開くことを決定した。しかし、評議会の真の目的はシルバーに制約を課し、彼を前例として大陸の超戦力であるすべてのSS級冒険者を自分たちの管理下に置く(首輪をつける)ことであった。
アルノルトはこれを阻止するため、フィーネが帝国大使として評議会との交渉で時間を稼いでいる間に、大陸各地に散らばる他の4人のSS級冒険者全員を探し出し、査問会議に引っ張り出すという作戦を決意した。

各SS級冒険者の招集の経緯
アルノルトは極めて個性的で扱いづらいSS級冒険者たちを、それぞれ異なるアプローチで説得していった。

  • 「迷子の剣聖」エゴール
    アルノルトが最初に向かったのは、エゴールが滞在していたドワーフの里である。エゴールはドワーフたちと連日宴会を繰り広げており、アルノルトは余興(股間を桶で隠すエゴールに木の実を投げる遊び)に付き合わされる羽目になった。最終的にエゴールは査問への協力に応じ、さらに他のSS級冒険者(ジャック)の居場所に関する情報を提供した。
  • 「放浪の弓神」ジャック
    エゴールの情報をもとに、アルノルトは王国の酒の名産地バイユーへ向かった。そこで酒と遊女に溺れていたジャックを見つけたアルノルトは、問答無用で転移門を開き、彼を強引にドワーフの里へ拉致した。酔ったジャックはエゴールと乱闘を始めたが、アルノルトは彼らの武器と酒を人質に取って仲裁した。その後、ジャックが長年探している「逃げた妻と娘」の捜索を手伝うという条件(取引)を提示し、協力を取り付けた。
  • 「両極の拳仙」リナレス
    皇国辺境の霊峰シャングリラにいたリナレスの説得には、アルノルトの判断でフィーネが同行した。美意識が異常に高いリナレスはアルノルトの仮面を嫌っていたが、フィーネの美貌と自然な会話によって好感を抱いた。フィーネが「冒険者は人のために動くものであり、すべての負担を背負わせるのは不当だ」という正論を展開すると、リナレスはその論理と交渉力を認めて協力を約束した。ただし、代価としてアルノルトは一時的に仮面を外すことを要求された。
  • 「空滅の魔剣士」ノーネーム
    最後に皇国のダンジョンで接触したノーネームは、自身の魔剣「冥神」を成長させて聖剣を超えるという悲願を持っていた。実は、彼こそが新たなダンジョンを求めて帝国へ進出するため、シルバーを排除しようと評議会に査問を働きかけた張本人であった。しかし、フィーネが帝国大使として「目的が帝国の理念と相容れないため、帝国が受け入れることは絶対にない」と明確に拒絶した。帝国進出の望みが絶たれたノーネームは査問問題でシルバーと争う意味を失い、協力に応じた。その後、聖剣との力量差を測るためアルノルトに戦闘を要求し、激戦の末にその実力を確かめて同行を受け入れた。

招集の結果と影響
査問会議の当日、シルバーの弁護人としてフィーネが現れた直後、アルノルトの転移門から4人のSS級冒険者が次々と姿を現した。自由奔放で互いに協力することなどあり得ないと考えられていたSS級冒険者が全員揃った事態に、評議会の面々は言葉を失った。
圧倒的な武力を背景にした彼らの圧力により、トロシンギルド長の姑息な時間稼ぎは完全に封じられた。さらにフィーネの鮮やかな交渉によって評議会が諸外国の圧力に屈していた事実が暴かれ、最終的に全SS級冒険者の総意として評議会の解散とギルド長選挙のやり直しという完全勝利を収める結果となった。

帝位争いの情勢

第10巻時点におけるアードラシア帝国の帝位争い、およびそれに伴う各戦線の情勢は以下のようになっている。

帝位候補者たちの状況
・ザンドラ(第二皇女)の死亡と陣営消滅
皇帝へ弓を引いたザンドラは、大陸最悪の秘毒であり7日間にわたって苦しみを与え続ける「帝毒酒」を飲まされる処刑を受けた。彼女が息を引き取ったことで、ザンドラ陣営は完全に消滅した。
・ゴードン(第三皇子)の反乱継続
帝都での反乱に失敗して撤退したゴードンだが、依然として帝国北部の三分の一を制圧しており、そこを拠点に帝国北部全体を取りにかかっている。
・レオナルト(第八皇子)の総大将就任
皇帝ヨハネスは、ゴードンを討伐するためレオナルトを総大将として軍を派遣した。

帝国を取り巻く各戦線の状況
皇帝陣営は内乱に加えて諸外国からの侵攻も受けており、極めて厳しい状況に立たされている。
・北部戦線(対ゴードン・連合王国・藩国)
ゴードンの配下によって北部国境の砦将が暗殺され、指揮系統が乱れた隙を突かれて一部の国境防衛線が突破された。これにより、ゴードンは連合王国と藩国からの支援を受けられるようになった。さらに、連合王国の竜王子ウィリアムが率いる軍勢が、包囲網の一角を占めていた北部諸侯の軍を敗走させた。この影響でレオナルトが築いていた防衛線が崩壊し、本隊は後退して城への籠城を余儀なくされるという「反乱軍優勢」の危機的状況に陥っている。
・西部国境(対王国)
ゴードンの反乱失敗後も、王国軍は日和見を決めることなく本格的な侵攻を開始している。帝国側は大半の「信用できる軍」を西部へ回してこれを食い止めており、王国に大義がないことを説くために聖女レティシアが赴き、その護衛としてエルナも同行している。
・東部国境
第一皇女のリーゼロッテが戻り、防衛に当たっている。

皇帝ヨハネスのスタンス
帝国軍の全体規模からすれば、ゴードンの残存戦力程度はすぐに潰せるはずだが、皇帝は内通者や裏切りを極度に警戒しており、「信用できる軍」以外は使わないと決めている。前述の通りその多くが西部国境に回されているため、北部戦線ではレオナルト軍は十分な援軍を得られず、苦しい籠城戦を強いられる要因となっている。

このように、帝位争いは実質的に「反乱を起こしたゴードン」と「皇帝軍を率いるレオナルト」の一騎打ちの様相を呈しているが、背後で諸外国が介入しているため、国家の存亡を懸けた総力戦へと発展している。レオナルトは絶対絶命の状況下でも、兄アルノルトが必ず援軍に来ると確信し、反撃の機会を待っている。

ギルド査問会議

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』第10巻における「ギルド査問会議」は、主人公アルノルト(シルバー)と冒険者ギルド評議会の間で繰り広げられた重要な政治的対決である。この会議の背景から結末までの詳細を以下に解説する。

査問会議が開かれた背景と真の目的
冒険者ギルドの評議会は、シルバーが以下の行動をとったことを「目に余る違反行為」として、査問にかけることを決定した。
・帝国の帝位争いへの介入
・連合王国の守護聖竜の討伐
・王国軍や藩国軍の牽制

しかし、これは諸外国からの圧力を受けた口実にすぎない。真の目的は、シルバーに制約を課すことで前例を作り、最終的に大陸の超戦力であるすべてのSS級冒険者を評議会の管理下(首輪をつける状態)に置くことであった。

アルノルト陣営の対抗策
アルノルトが昏睡状態にある間、フィーネは帝国大使としてギルド本部へ赴き、巧みな交渉で査問会議の開催を引き延ばして時間を稼いでいた。目覚めたアルノルトは、評議会の目論見を完全に打ち砕くため、以下の作戦を実行した。
・フィーネが稼いだ時間を利用して、大陸各地に散らばる他の4人のSS級冒険者(エゴール、ジャック、リナレス、ノーネーム)全員を説得する。
・彼らを査問会議の場に引っ張り出す。

SS級冒険者は評議会への参加権利と投票権を持っているため、彼らが集結すれば会議の主導権を握ることができるからである。

査問会議の経過と形勢逆転
会議当日、シルバーの弁護人としてフィーネが現れた直後、転移門から4人のSS級冒険者が次々と姿を現した。自由奔放な彼らが集結した想定外の事態に、ギルド長トロシンや監査長ピットマンら評議員は言葉を失うこととなる。
・トロシンは査問を「軽い事情聴取」とし、長引かせることでSS級冒険者たちが飽きて帰るのを待とうと画策した。
・しかし、リナレスとフィーネが「今日中に終わらせる」と主張し、クライドの助け舟もあって「多数決」での進行を要求した。
・トロシンは抵抗を試みたが、リナレスをはじめとするSS級冒険者たちが圧倒的な武力を背景に「自分たちの命を賭けた決定にケチをつけるなら、そっちも命を賭けろ」と脅しをかけた。

これにより他の評議員が棄権し、即日進行の強行採決が決まった。

シルバーの弁明とフィーネの追及
査問が始まると、シルバーは第八皇子レオナルトへの肩入れをあっさりと認めた。しかしその理由は、短期間に帝国内で異常発生した高ランクモンスター(吸血鬼、海竜、霊亀など)や悪魔の脅威に対処するため、渦中にいるレオナルトと情報交換を行う必要があったからだと説明した。また、霊亀討伐の際にギルド側がシルバーを外そうとした失態を突き、「ギルドを信用していないから独力で解決した」と主張し、評議会を沈黙させた。

続いて、フィーネが帝国大使として評議会を厳しく追及した。
・霊亀戦でギルドが派遣したS級冒険者(雷の勇兵団、イグナート)が独断専行や魔奥公団への加担で帝国に多大な害を与えたことを指摘した。
・その危機を防いだシルバーを査問にかける評議会は「公正ではなく、中立性に欠ける」と断じた。
・最後に、「今回の査問は諸外国の圧力に屈したものか?」と、逃げ道のない二択を突きつけた。

これを認めればギルドの信用は失墜し、認めなければ帝国という巨大軍事国家を完全に敵に回すことになる。

ギルド長の自爆と完全勝利
追い詰められたトロシンは、査問を主導したピットマンに全責任を押し付けようとした。孤立したピットマンはたまらず連合王国からの圧力を認めてしまった。
トロシンは聖竜討伐の責任をシルバーに押し付けようとしたが、他のSS級冒険者全員が「自分でも討伐する」と答え、ノーネームからは「今の評議会は諸外国に舐められている」と切り捨てられた。
完全に孤立したトロシンに対し、シルバーは全SS級冒険者の総意として「評議会の解散とギルド長の辞任(再選挙)」を要求し、承認させた。

負け惜しみにトロシンは「次の選挙でも金と利益で冒険者たちを操って勝てる。冒険者は馬鹿だ」と暴言を吐いたが、シルバーは風の魔法でその音声をギルド本部中に拡散していた。それを聞いた本部内の冒険者や職員たちが激怒して会議室に詰めかけ、トロシンは自らの発言によって完全に失脚することとなった。

まとめ
結果として、査問会議はアルノルト陣営の鮮やかな完全勝利に終わり、評議会の不当な介入を完全に封じ込めることに成功した。

異界竜と悪魔討伐

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』第10巻における「異界竜と悪魔討伐」は、全SS級冒険者が集結して規格外の脅威に立ち向かう、本作のクライマックスを飾る大戦である。その詳細な経緯と結末について解説する。

異界竜と悪魔の出現、SS級冒険者の総出撃
・冒険者ギルドでのシルバーへの査問会議が一段落した直後、皇国西部で発掘中のダンジョンが崩壊し、中から巨大な黒竜が出現したという急報が飛び込んできた。
・迎撃に出た皇国軍はほぼ壊滅し、竜は皇国西部最大の都市カレリアへと進軍していた。
・各ギルド支部からSS級冒険者の派遣要請が出される中、査問のために本部「バベル」へ集結していたシルバー、ノーネーム、エゴール、リナレス、ジャックの全SS級冒険者5人は、この未曾有の危機に対し揃ってカレリアへ出撃することとなった。

カレリアの防衛と制約の多い討伐戦
・カレリアの領主ヴェンゲロフが民を帝国東部国境へ避難させる決断を下す中、竜が城壁を踏み潰そうと迫るが、到着したシルバーが結界でそれを防ぎ、全SS級冒険者による討伐を宣言した。
・敵の正体は魔界から来た「異界竜ニーズヘッグ」と、その頭上に乗る500年前の魔王軍の残党である死霊使いの「悪魔ガムジン」であった。
・圧倒的な戦力を誇るSS級冒険者たちだが、副ギルド長クライドから「地形を変えずに被害を最小限に抑えろ」という厳命を受けていたため、手加減が極度に苦手な彼らは思い切った攻撃ができず苦戦(というよりも持て余す状況)を強いられた。
・そこでシルバーは、悪魔ガムジンを先に討伐した者に自身の報酬を譲るという「ゲーム形式」の討伐競争を提案し、さらに地形を破壊した場合は自腹で補填するというルールを課すことで、彼らの破壊衝動をコントロールしつつやる気を引き出させた。

規格外の戦闘と決着
・戦闘が本格化すると、ガムジンは瘴気から大量の骨のモンスターや鳥を召喚し、街へ放った。
・しかし、遅れて合流したジャックが魔弓奥義「集束拡散光天雨」を放ち、万を超える光の矢で街へ向かう骨鳥を一撃で全滅させた。
・本体への攻撃では、ノーネームがガムジンの懐に潜り込んだ。途中、エゴールの斬撃でニーズヘッグの翼が切り落とされたことで足場が崩れ、ガムジンは空へ逃れるが、ノーネームはそのまま空中のガムジンに肉薄し、魔剣「冥神」で貫いて見事消滅させた。
・最後に残ったニーズヘッグに対し、シルバーは反発魔法で上空へ打ち上げた。そこへリナレスが正拳突きの連打で猛攻を加えるが、威力が強すぎてニーズヘッグをさらに高空へ吹き飛ばしてしまった。
・驚異的な再生力で翼を復活させようとする竜に対し、これ以上時間をかけられないと判断したシルバーは、空に向かって最上級魔法「グングニル」を放った。虹色に輝く神槍はニーズヘッグのブレスを容易く飲み込み、空高くで竜を完全に消滅させた。

討伐の結果
手加減や地形保護という制約のために時間はかかり、彼ら同士の喧嘩やいざこざは絶えなかったが、五人のSS級冒険者の規格外の力により、大陸を滅ぼしかねない脅威であった悪魔と異界竜は、地形や街に大きな被害を出すことなく無事に討伐された。

出涸らし9巻 レビュー
出涸らし11巻 レビュー

登場キャラクター

アードラシア帝国

アルノルト・レークス・アードラー(シルバー)

帝国の第七皇子であり、裏の顔はSS級冒険者シルバーである。弟のレオナルトに肩入れし、帝位争いで暗躍している。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第七皇子。冒険者ギルド・SS級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 ザンドラの最期を看取った後、シルバーへの査問会議を無効化するため他のSS級冒険者を説得して集めた。カレリアに出現した異界竜と悪魔の討伐戦を指揮し、最上級魔法でニーズヘッグを消滅させた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 査問会議で評議会を圧倒し、ギルド長トロシンを辞任へと追い込んだ。

フィーネ・フォン・クライネルト

帝国大使として冒険者ギルド本部へ派遣された貴族の令嬢である。アルノルトの暗躍を支える協力者だ。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・帝国大使。

・物語内での具体的な行動や成果
 ギルド本部で交渉を引き延ばし、アルノルトの目覚めを待った。査問会議では帝国大使として評議会の失態を厳しく追及した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 優れた交渉能力と人懐こさでリナレスやノーネームの協力を得る一助となった。

セバス

アルノルトの執事であり、秘密を共有する理解者である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・アルノルトの執事。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトが目覚めた際、帝国各地の戦況やシルバーへの査問問題、ザンドラの処刑について報告した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルノルトからザンドラの遺した手記を受け取り、魔奥公団を徹底的に調査するよう命じられた。

ヨハネス

アードラシア帝国の皇帝であり、アルノルトたちの父親である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・皇帝。

・物語内での具体的な行動や成果
 反逆したザンドラへ帝毒酒による処刑を下した。軍内部の裏切りを警戒し、信用できる軍だけを動員している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 帝都の民の不満が限界に達したため、ザンドラの処刑延期を断念した。

ザンドラ

帝国の第二皇女であり、アルノルトの姉である。母と共に魔奥公団と接触し、禁術の研究に手を染めていた。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・元第二皇女。

・物語内での具体的な行動や成果
 皇帝へ弓を引いた反逆罪により、帝毒酒による処刑を受けた。アルノルトの訪問を受け、魔奥公団の手記の隠し場所を教えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 最期は弟の素顔を知り、エリクへの警戒と父を託す言葉を残して死亡した。

ゴードン・レークス・アードラー

帝国の第三皇子であり、反乱を起こして帝国北部へ逃げ込んだ。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第三皇子。反乱軍の首魁。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝国北部の三分の一を制圧し、そこを拠点に勢力拡大を進めている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 連合王国と藩国からの支援を受けている。

レオナルト・レークス・アードラー

帝国の第八皇子であり、アルノルトの弟である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第八皇子。討伐軍総大将。

・物語内での具体的な行動や成果
 ゴードン討伐のための総大将として派遣され、睨み合いを続けている。北部諸侯連合が敗走したことで城での籠城を余儀なくされた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 絶体絶命の状況下でも、兄アルノルトが必ず援軍に来ると確信している。

レティシア

王国軍の本格侵攻に対応するため、西部国境へ向かった聖女である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・聖女(皇族)。

・物語内での具体的な行動や成果
 自らの生存と王国には大義がないことを説くため、西部国境で対応に当たっている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

エルナ・フォン・アムスベルグ

聖剣を持つ勇者であり、アルノルトの幼馴染である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・勇爵家令嬢(勇者)。

・物語内での具体的な行動や成果
 レティシアの護衛として西部国境へ向かった。過去には霊亀討伐にも参加している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 戦闘モードでは不意打ちがほぼ効かないほどの優れた反応速度を持つ。

リーゼロッテ

東部国境に配置された皇族である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・皇女(帝国元帥)。

・物語内での具体的な行動や成果
 東部国境に戻り、国境防衛に当たっている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

エリク

ザンドラが最期に警戒するよう言葉を残した人物である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・皇族。

・物語内での具体的な行動や成果
 本巻では名前のみ言及されている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ズーザン

ザンドラの母であり、帝国の妃の一人である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・妃。

・物語内での具体的な行動や成果
 十年以上前から魔奥公団と接触しており、禁術で第二妃を殺害したことが語られた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 徐々に変質し、皇族を侵食していた原因と推測されている。

第二妃

ズーザンに対抗していた妃である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第二妃。

・物語内での具体的な行動や成果
 ズーザンの禁術によって殺害されたことが言及された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

イネス・ラウク

近衛騎士団第十一騎士隊隊長であり、外交任務を得意とする。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・近衛騎士団第十一騎士隊隊長。

・物語内での具体的な行動や成果
 一般人に扮してギルド本部のある街に溶け込み、フィーネの滞在する宿を警備した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 柔軟な対応能力を持ち、皇帝の信頼を得ている。

ヴィン

レオナルトの軍師であり、現実的な分析を行う人物である。

・所属組織、地位や役職
 レオナルト陣営・軍師。

・物語内での具体的な行動や成果
 北部戦線の劣勢において、籠城して援軍を待つしかない状況を説明した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自分を三流と称し、当たり前のことしか提案できないと語る。

砦将

北部国境の守備を任されていた将軍である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・砦将。

・物語内での具体的な行動や成果
 ゴードン配下の者に刺されて負傷しながらも指揮を執り続け、敵軍に多大な損害を与えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 無理が祟り、そのまま命を落とした。

近衛騎士団第十一騎士隊

フィーネの護衛としてギルド本部へ派遣された部隊である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・近衛騎士団第十一騎士隊。

・物語内での具体的な行動や成果
 一般人に扮して高級宿を警備し、アルノルトが転移門から送り込んだノーネームや魔導具の対応に追われた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 外交使節の護衛や情報収集を任務とする。

帝国軍

アードラシア帝国の軍勢である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・軍隊。

・物語内での具体的な行動や成果
 反乱軍との睨み合いや各方面での防衛戦を担っている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 皇帝は裏切りを警戒し、信用できる軍しか動員していない。

冒険者ギルド

トロシン

冒険者ギルドを率いるギルド長であり、評議会議長である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・ギルド長。

・物語内での具体的な行動や成果
 シルバーへの査問を強行し、SS級冒険者を評議会の管理下に置こうと目論んだ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 全SS級冒険者から不信任を突きつけられ、ギルド長を辞任することになった。

クライド

冒険者ギルドの副ギルド長であり、元S級冒険者である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・副ギルド長。

・物語内での具体的な行動や成果
 査問の危険性を理解し、最後まで中止を訴え続けた。カレリアへの全SS級冒険者の参戦を許可した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 トロシンの辞任後、次期ギルド長の最有力候補とされている。

ピットマン

ギルドの監査長であり、トロシンの腰巾着と呼ばれる人物である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・監査長。

・物語内での具体的な行動や成果
 連合王国からの圧力を受けてシルバーへの査問を主導した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 トロシンから責任を押し付けられ、連合王国の圧力を自白した。

事務長

ギルド評議会を構成する各部署のトップの一人である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・評議員(事務長)。

・物語内での具体的な行動や成果
 査問会議に参加していたが、リナレスから命を賭けろと脅されて棄権を申し出た。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クライドの意向により、次期体制でも評議会に留まる見込みである。

外務長

ギルド評議会を構成する各部署のトップの一人である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・評議員(外務長)。

・物語内での具体的な行動や成果
 査問会議に参加していたが、リナレスの脅しを受けて棄権を申し出た。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クライドの意向により、次期体制でも評議会に留まる見込みである。

本部長

ギルド評議会を構成する各部署のトップの一人である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・評議員(本部長)。

・物語内での具体的な行動や成果
 査問会議に参加していたが、リナレスの脅しを受けて棄権を申し出た。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クライドの意向により、次期体制でも評議会に留まる見込みである。

若い女性職員

ギルド本部で働く職員である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・職員。

・物語内での具体的な行動や成果
 皇国西部でのダンジョン崩壊と竜出現の緊急事態を評議会室へ報告した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 全SS級冒険者が揃っている光景を見て震え上がった。

エゴール

「迷子の剣聖」の二つ名を持つSS級冒険者である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・SS級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトの説得に応じて査問会議に参加した。カレリアでは斬撃でニーズヘッグの翼を切断した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 極度の迷子癖があり、現在はドワーフの里に滞在している。

ジャック

「放浪の弓神」の二つ名を持つSS級冒険者である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・SS級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 バイユーで遊んでいたところを強引に転移させられ、査問に協力した。魔弓奥義で骨鳥の大群を全滅させた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 娘の情報を得て、藩国の貴族を相手に後方攪乱を行う取引に応じた。

ロナルド・リナレス

「両極の拳仙」の二つ名を持つSS級冒険者である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・SS級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 フィーネの交渉術を認めて査問に協力し、評議員を脅して会議の進行を主導した。正拳突きの連打でニーズヘッグのブレスを撃破した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 武と美を追求し、協力の対価としてアルノルトに一時的に仮面を外させた。

ノーネーム

「空滅の魔剣士」の二つ名を持つSS級冒険者である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・SS級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝国進出を狙っていたがフィーネに拒絶され、査問協力に応じた。カレリアでは悪魔ガムジンを魔剣で消滅させた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルノルトによって仮面をずらされ、白い肌と銀色の髪を持つ少女の素顔を見られた。

ラジェフ

カレリア支部に所属するA級冒険者の青年である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・A級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 黒竜を前に絶望しながらも、最期に意地を見せて剣を掲げた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 英雄になることを夢見ている。

雷の勇兵団

帝国へ派遣されたS級冒険者のパーティーである。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・S級冒険者パーティー。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝都への集合指示を無視し、勝手に霊亀へ攻撃を仕掛けて覚醒を早めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

イグナート

帝国へ派遣されたS級冒険者である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・S級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 魔奥公団に加担し、帝国内での策謀に協力していた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ギルド職員

冒険者ギルドの運営を支える者たちである。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・職員。

・物語内での具体的な行動や成果
 トロシンの暴言が広まった際、冒険者と共にギルド長へ会わせろと騒いだ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 次期ギルド長の選挙権を持つ。

皇国

ヴェンゲロフ

皇国西部最大の都市カレリアを治める領主である。

・所属組織、地位や役職
 皇国・カレリア領主。

・物語内での具体的な行動や成果
 黒竜の侵攻に対し、民を帝国東部国境へ避難させる決断を下した。自身は最後まで街の運命を見届ける覚悟を固めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 帝国との戦争経験を持つ武人である。

ニーナ

カレリアの小さな宿屋を切り盛りする少女である。

・所属組織、地位や役職
 皇国(カレリア)・宿屋の従業員。

・物語内での具体的な行動や成果
 モンスターが迫る中でも避難せず、病気の父と店を守る決意を示した。ジャックに酒とつまみを振る舞った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ジャックから代金として高額な虹貨を受け取った。

ニーナの父親

カレリアの宿屋の店主である。

・所属組織、地位や役職
 皇国(カレリア)・宿屋の店主。

・物語内での具体的な行動や成果
 病で寝込んでいたが、ジャックに娘を連れて逃げてほしいと頼んだ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 冒険者のために宿屋を開いた過去がある。

西部駐屯軍第七師団

皇国西部の防衛を担当する軍の部隊である。

・所属組織、地位や役職
 皇国・西部駐屯軍第七師団。

・物語内での具体的な行動や成果
 出現した黒竜の迎撃に当たったが、すぐに返り討ちに遭ってほぼ全滅した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

王国

バルデュール

バイユーで大きな酒屋を営む店主である。

・所属組織、地位や役職
 王国(バイユー)・酒屋の店主。

・物語内での具体的な行動や成果
 高いが美味いという評判の酒をアルノルトに売った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 宿を貸し切って豪遊する上客の存在をアルノルトに教えた。

中年の男性

バイユーで酒屋を営む男性である。

・所属組織、地位や役職
 王国(バイユー)・酒屋の店主。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトから高い酒が売っている場所を聞かれ、バルデュールの店を正直に教えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 その誠実さからアルノルトに情報料として金貨を渡された。

ドワーフの里

ソニア

ドワーフの里に滞在している少女である。

・所属組織、地位や役職
 ドワーフの里・滞在者。

・物語内での具体的な行動や成果
 飲み明かすドワーフの王やエゴールを窘め、エゴールの酒を没収した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ドワーフの里での生活に馴染んでおり、裏表のない笑顔を見せている。

ドワーフの王

ドワーフの里の指導者である。

・所属組織、地位や役職
 ドワーフの里・王。

・物語内での具体的な行動や成果
 東部国境から贈られた酒で連日宴会を開き、アルノルトとエゴールの勝負を煽った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

連合王国

ウィリアム王子

連合王国の竜王子である。

・所属組織、地位や役職
 連合王国・王子。

・物語内での具体的な行動や成果
 軍勢を率いて北部諸侯軍を撃破し、レオナルトの防衛線を崩壊させた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

藩国

ミア(朱月の騎士)

藩国の義賊であり、魔弓を使う少女である。

・所属組織、地位や役職
 藩国・義賊。

・物語内での具体的な行動や成果
 藩国の腐敗貴族や魔奥公団を相手に活動していることが語られた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ジャックの娘である可能性が示唆された。

魔王軍の残党・モンスター

魔王

五百年前の悪魔たちの指導者である。

・所属組織、地位や役職
 魔王軍・指導者。

・物語内での具体的な行動や成果
 人類に敗れ、討ち滅ぼされた存在として言及された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ガムジン

五百年前の魔王軍の残党である悪魔である。

・所属組織、地位や役職
 魔王軍の残党・悪魔。

・物語内での具体的な行動や成果
 ニーズヘッグと共に封印から目覚め、瘴気を用いて多数の骨のモンスターや鳥を召喚した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ノーネームの冥神によって完全に消滅させられた。

異界竜ニーズヘッグ

魔界から来た異界竜である。

・所属組織、地位や役職
 魔王軍の残党・異界竜。

・物語内での具体的な行動や成果
 カレリアへ進軍し、強力なブレスを放ってSS級冒険者たちと交戦した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 驚異的なタフネスと再生力を持っていたが、アルノルトの最上級魔法によって討ち滅ぼされた。

骸骨剣士

ガムジンの瘴気から召喚されたモンスターである。

・所属組織、地位や役職
 ガムジンの召喚獣。

・物語内での具体的な行動や成果
 達人級の剣技でノーネームの冥神を受け止め、足止めを行った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 最終的にはノーネームによって斬り伏せられた。

モンスター群

ガムジンの瘴気から召喚されたアンデッドの集団である。

・所属組織、地位や役職
 ガムジンの召喚獣。

・物語内での具体的な行動や成果
 千を超える数が召喚され、ノーネームの足を止めるために呼び出された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 シルバーの光弾によって焼き尽くされた。

骨鳥の群れ

ガムジンの瘴気から変化した骨だけの鳥の群れである。

・所属組織、地位や役職
 ガムジンの召喚獣。

・物語内での具体的な行動や成果
 数千の群れとなってカレリアの街へ向けて飛来した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ジャックの魔弓奥義で一撃の下に討ち落とされた。

鎧人形

ダンジョンの防衛機構である。

・所属組織、地位や役職
 ダンジョンの防衛機構。

・物語内での具体的な行動や成果
 実験物を守っていたが、ノーネームによって破壊された残骸として登場した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

海竜レヴィアターノ

公国の海域に出現した高ランクのモンスターである。

・所属組織、地位や役職
 モンスター。

・物語内での具体的な行動や成果
 レオナルトが公国に派遣された際に出現したことが言及された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

霊亀

帝国北部に出現した災害級のモンスターである。

・所属組織、地位や役職
 モンスター。

・物語内での具体的な行動や成果
 シルバー、エゴール、勇者、仙姫の共闘によって討伐された過去が語られた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

聖竜

連合王国の守護竜である。

・所属組織、地位や役職
 連合王国・守護聖竜。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝国への侵攻に利用され、反乱時にシルバーによって討伐されたことが査問会議で争点となった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

その他勢力・集団

魔奥公団

禁術の研究や皇帝暗殺を目論む闇の組織である。

・所属組織、地位や役職
 闇の組織。

・物語内での具体的な行動や成果
 ザンドラやズーザンと接触し、彼女たちを変質させた原因と推測されている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

北部諸侯連合

帝国北部の貴族たちによる連合軍である。

・所属組織、地位や役職
 帝国北部諸侯の連合軍。

・物語内での具体的な行動や成果
 レオナルトの包囲網を担っていたが、ウィリアム王子率いる軍勢に敗走した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 戦意が低く、信用に値しない存在と評価されている。

勇者

アムスベルグ家の血を引く存在である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・勇者。

・物語内での具体的な行動や成果
 霊亀討伐に参加したことが言及された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ノーネームが超えようとしている目標である。

仙姫

霊亀討伐に参加した実力者である。

・所属組織、地位や役職
 仙姫。

・物語内での具体的な行動や成果
 過去の霊亀討伐に協力したことが語られた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

出涸らし9巻 レビュー
出涸らし11巻 レビュー

展開まとめ

第一章 目覚める皇子

アルノルトの目覚めと帝国の危機

一か月半の眠りから目覚めたアルノルトは、セバスから帝国各地の戦況を知らされた。ゴードンは北部で勢力を拡大し、王国や連合王国も侵攻を開始していた。さらにシルバーへの査問が冒険者ギルドで決定されており、フィーネが時間稼ぎのため奔走していた。そんな中、ザンドラへの帝毒酒による処刑が最終日を迎えていることも知らされた。

ザンドラとの最後の別れ

アルノルトはシルバーとして瀕死のザンドラを訪ねた。ザンドラは魔奥公団の情報が記された手記を託し、自身と母ズーザンが魔奥公団によって歪められていった可能性を語った。アルノルトは罪を許さないとしながらも、幼少期に助けられた記憶から最期を看取り、正体を明かした。ザンドラは父ヨハネスとエリクへの警戒を託し、静かに息を引き取った。

シルバー査問の真相

冒険者ギルド本部を訪れたアルノルトは、副ギルド長クライドから査問の真意を聞かされた。評議会は帝国介入を口実に、シルバーを管理下へ置き、ひいてはSS級冒険者全体へ首輪を付けようとしていた。クライドとアルノルトは、その方針が大陸の均衡を崩しかねない危険なものだと認識を共有した。

フィーネとの再会と反撃準備

フィーネは評議会との交渉で成果を得られなかったものの、査問の延期には成功していた。アルノルトは査問を覆すため、SS級冒険者たちを集めることを決意した。SS級冒険者は評議会と同等の発言権を持つため、彼らの協力があれば査問の流れを変えられると考えたのである。

迷子の剣聖エゴールの勧誘

アルノルトはドワーフの里で宴会中のエゴールを訪ねた。相変わらず常識外れな行動を取るエゴールだったが、評議会の方針を聞くと協力を承諾した。さらに放浪の弓神ジャックの居場所を教え、アルノルトの仲間集めに協力した。

放浪の弓神ジャックとの再会

酒と女に溺れる生活を送っていたジャックは、当初査問への関与を拒否した。しかしSS級冒険者の立場が脅かされる危険性を理解し、協力を約束した。その代わり、自らの娘を探す手助けを求めた。アルノルトは心当たりを抱きながらも、この時点では真実を語らなかった。

両極の拳仙リナレスの説得

フィーネを伴って霊峰シャングリラを訪れたアルノルトは、リナレスと対面した。リナレスはシルバーへの批判に一定の理解を示しながらも、フィーネの論理的な説得によって評議会の考えに反対する立場へ傾いた。最終的に査問への参加を約束し、アルノルトへの協力を承諾した。

ノーネームとの激突

最後のSS級冒険者ノーネームは、聖剣を超えることを目標に冥神を鍛えていた。フィーネは帝国がノーネームを受け入れないことを明言し、シルバー支持の姿勢を示した。ノーネームは査問への協力を決めた後、アルノルトへ決闘を挑んだ。激戦の末、アルノルトはノーネームの実力を認めながらも、勇者エルナには及ばないと評価した。また戦闘中に仮面の下の素顔を見て、ノーネームの正体に疑念を抱いた。

査問への反撃体制完成

アルノルトは全てのSS級冒険者の協力を取り付けることに成功した。フィーネはノーネームとの関係改善を引き受け、アルノルトは評議会への反撃準備を進める。評議会はシルバーを追い詰めたつもりでいたが、その裏ではSS級冒険者たちが集結しつつあり、査問当日に向けた逆襲の布石が整えられていた。

第二章 査問会議

査問会議と評議会への反撃

シルバーは査問当日、冒険者ギルド本部バベルの評議会へ出席した。ギルド長トロシンや監査長ピットマンは、シルバーが帝国へ介入したことを問題視し、評議会の権限を強めようとしていた。一方でクライドだけは査問に反対し、評議会の方針へ疑問を抱いていた。

SS級冒険者全員の集結

シルバーは弁護人としてフィーネを呼ぶと見せかけ、転移門からエゴール、ジャック、リナレス、ノーネームを招集した。SS級冒険者全員が査問へ参加するという前代未聞の事態に、評議員たちは大きく動揺した。SS級冒険者たちは正式な参加権と投票権を主張し、評議会へ圧力をかけた。

査問理由への反論

ピットマンはシルバーが帝国の帝位争いへ介入したことを追及した。しかしシルバーはその事実を認めたうえで、帝国内で吸血鬼、海竜、悪魔、霊亀、聖竜といった災厄級の事件が連続発生していたことを説明した。その中心には常にレオナルトや帝位争いが関わっており、情報収集のために接触する必要があったと主張した。さらにゴードンやザンドラが危険な行為に関与していたことも明かし、自らの行動が大陸の安定につながっていたと訴えた。

フィーネによる評議会追及

フィーネは帝国大使として評議会へ反撃した。霊亀事件や魔奥公団事件で問題を起こした冒険者たちを派遣しておきながら、その被害を防いだシルバーを査問するのは不当だと指摘した。さらに今回の査問が諸外国の圧力によるものではないかと問い詰め、評議会の中立性そのものに疑問を投げかけた。

ピットマンの失脚

追い詰められたトロシンは責任をピットマンへ押し付けた。孤立したピットマンは、連合王国から圧力を受けていたことを認める。さらに聖竜討伐について問われると、エゴール、ジャック、リナレス、ノーネームの全員が同じ状況なら討伐すると断言した。評議会の主張は完全に崩れ去り、シルバー側の正当性が認められていった。

評議会解散要求

シルバーは、諸外国の圧力に屈した現評議会には運営資格がないとして評議会解散を要求した。トロシンは反発したものの、五人のSS級冒険者全員が不信任を表明したことで追い込まれる。最終的に評議会解散とギルド長辞任、そして再選挙の実施が決定された。

トロシンの自滅

追い詰められたトロシンは、冒険者たちは利益や都合で動く存在だと見下す発言を繰り返した。しかしシルバーは、冒険者たちは人々を救うため命を懸ける存在だと反論した。さらにクライドも、利益ばかりを追うトロシンは冒険者ギルドの長に相応しくないと批判した。実はシルバーが風魔法で会議の内容を本部中へ流しており、トロシンの発言は全て冒険者や職員たちへ伝わっていた。その結果、トロシンは支持を失い、再選の道を断たれた。

査問後の後始末

評議会解散後、クライドは新体制について語り、ノーネームもフィーネへ感謝されながら査問への協力を終えた。クライドは将来的にSS級冒険者全員の同意で評議会を解散できる制度の創設を提案し、再発防止策を模索した。

新たな竜討伐依頼

その直後、皇国西部のダンジョン崩壊によって竜が出現したとの緊急報告が届いた。皇国軍は敗北し、竜は大都市カレリアへ進軍していた。シルバーは即座に転移門を開き、エゴール、ジャック、リナレス、ノーネームも参戦を決定する。こうして五人のSS級冒険者は揃って新たな脅威へ立ち向かうことになった。

第三章 SS級合同

カレリアへ迫る異界竜

皇国西部最大の都市カレリアでは、ダンジョン崩壊によって出現した黒竜の脅威が目前に迫っていた。

領主ヴェンゲロフは、西部駐屯軍第七師団が壊滅状態に陥った報告を受け、事態の深刻さを理解していた。古代に封印された竜か悪魔に関係する存在だと推測されていたが、正体を確認する余裕すらなかった。黒竜は軍や冒険者の攻撃を寄せ付けず、圧倒的な力で都市へ迫っていた。

ヴェンゲロフの決断

ヴェンゲロフは子供や女性、老人たちの避難を決断した。

避難先には敵国である帝国東部国境を選んだが、それは長年の経験から帝国皇族なら民を見捨てないと確信していたためだった。特に姫将軍への信頼は厚く、現状で最も頼れる存在だと考えていた。

絶望する冒険者たち

A級冒険者ラジェフは、黒竜の前で人間の力の限界を痛感していた。

騎士や冒険者たちの攻撃は通用せず、竜は人間を脅威とすら認識していないようだった。それでもラジェフは最後まで抗う意思を捨てず、剣を掲げて立ち向かおうとした。

SS級冒険者全員の集結

黒竜が城壁を破壊しようとした瞬間、その巨体は突如吹き飛ばされた。

空には黒いローブと銀色の仮面を纏ったシルバーが立っていた。シルバーは敵の討伐をSS級冒険者五名で行うと宣言する。

それは大陸に存在する全SS級冒険者が集結したことを意味していた。ヴェンゲロフは安堵すると同時に、この脅威の危険性を改めて認識した。

異界竜ニーズヘッグの正体

ノーネームの冥神による一撃すら黒竜には通用しなかった。

シルバーとエゴールは異常な防御能力の存在を察し、古文書の記録から黒竜の正体を異界竜ニーズヘッグだと見抜いた。ニーズヘッグは魔界由来の存在であり、通常の竜を遥かに超える危険な存在だった。

しかしシルバーはクライドから地形を破壊するなと命じられていたため、周辺被害を最小限に抑えながら戦う方針を示した。

悪魔ガムジンの出現

ニーズヘッグとの戦闘中、瘴気が無数の骨鳥となって街へ襲いかかった。

さらにノーネームの全力攻撃を防いだ瘴気の正体を追ったシルバーは、ニーズヘッグの頭上に立つ骸骨の魔導師を発見する。

それは五百年前に封印された悪魔ガムジンだった。ガムジンは勇者や封印者亡き時代に復讐を果たすと宣言し、死霊を操る権能で膨大な軍勢を生み出した。

ジャックと宿屋の少女

ジャックは戦闘への参加を後回しにし、酒を探して街を歩いていた。

そこで病気の父に代わり宿屋を守る少女ニーナと出会う。ニーナは危険な状況でも宿を閉めず、父の店を守り続けていた。

ジャックは娘を持つ父親として彼女の覚悟を尊重し、高額な虹貨を治療費として残した。そして自らがSS級冒険者であることを明かして宿を後にした。

魔弓奥義による街の防衛

街へ侵入する骨鳥を目にしたジャックは戦場へ向かわず迎撃を優先した。

魔弓奥義・集束拡散光天雨を発動し、万を超える光矢によって骨鳥を一掃する。こうして街は守られ、ジャックも本格的に戦列へ加わった。

悪魔討伐競争の開始

ジャックの参戦後、シルバーはニーズヘッグを空中へ打ち上げる作戦を説明した。

しかしガムジンへの対処を巡ってジャックとノーネームが対立する。そこでシルバーは、先にガムジンを討伐した者を勝者とする勝負を提案した。

さらに地形破壊を禁じ、違反した場合は失格かつ補償を自費で行うという条件を課したうえで討伐競争を開始した。

ジャックとノーネームの激戦

討伐競争が始まると、リナレスやエゴールも援護に加わり戦場は混戦となった。

ノーネームは骸骨剣士たちに足止めされながらもガムジンへ迫り、ジャックは何度も射撃を試みる。しかしニーズヘッグや仲間たちの介入によって決定打を阻まれ続けた。

やがて空へ逃れたガムジンが再び骨鳥を放つと、ジャックは討伐よりも街の防衛を優先した。

その隙にノーネームが接近し、冥神によってガムジンを完全消滅させた。

ニーズヘッグへの総攻撃

ガムジン消滅後、シルバーは仕込んでいた反発魔法でニーズヘッグを空高く打ち上げた。

リナレスは全力に近い拳でブレスを打ち破りニーズヘッグを吹き飛ばしたが、威力が強すぎて追撃の機会を逃してしまう。

再生を始めたニーズヘッグを見たシルバーは決着を決意し、最上級魔法グングニルを発動した。

虹色の神槍はニーズヘッグの最大級のブレスを飲み込み、そのまま異界竜を完全に消滅させた。

戦後の変化

討伐後、ジャックとエゴールは口論を繰り広げた。

その中でノーネームは、ジャックが街を守るために行動したことを見抜いた。さらに戦後処理のため、ノーネームは自ら皇国へ残ることを申し出た。

こうしてシルバーたちは冒険者ギルド本部へ帰還した。

フィーネとの別れ

翌日、シルバーは帝都へ戻るフィーネと別れを交わした。

フィーネはゴードンとの交渉の可能性を尋ねたが、シルバーはもはや討つしかないと断言した。兄弟同士が戦わねばならない現実にフィーネは沈痛な表情を浮かべたが、互いの無事を願いながら別れた。

ジャックへの依頼

シルバーはリナレスとエゴールを送り届けた後、ジャックを藩国東部へ転移させた。

そこで朱月の騎士と呼ばれる義賊が、ジャックの娘かもしれない少女だと伝える。さらに藩国内の腐敗貴族を秘密裏に攪乱してほしいと依頼した。

藩国が混乱すれば連合王国とゴードン陣営の連携を妨害できるうえ、将来的には娘を義賊から解放できる可能性もあった。

ジャックはその取引を受け入れ、藩国へ向かった。

北部戦線の危機

帝都へ戻ったシルバーは、北部戦線の悪化を知らされた。

ウィリアム王子率いる軍勢によって北部諸侯軍が敗走し、レオナルトが維持していた戦線は崩壊寸前となっていた。

一方、包囲された城でレオナルトは軍師ヴィンと今後の方針を協議していた。ヴィンは籠城以外に有効な策はないと判断していたが、レオナルトは中央から援軍が来ると信じていた。

その理由は、兄アルノルトが必ず来るという確信だった。

新たな戦場へ

北部戦線の危機を知ったシルバーは、すぐに援軍へ向かう決断を下した。

皇帝は緊急会議を開いており、シルバーは皇族としての装いを整える。次なる舞台は異界竜との戦いではなく、帝国の命運を左右する内乱の戦場だった。

シルバーはセバスを伴い、玉座の間へ向かったのである。

エピローグ

北部戦線の危機

帝国北部の城で、レオナルトは皇国方面の空に現れた虹色の光を眺めていた。

何か大きな出来事が起きたと察したものの、ヴィンは今の北部戦線には関係のない話だと切り捨てる。そして目前の危機へ意識を向けさせた。

北部諸侯連合が予想以上に早く敗走したことで、レオナルト軍は後退を余儀なくされ、この城へ籠城していた。しかし敵軍の数は圧倒的であり、包囲も進行していた。

ヴィンの現実的な分析

ヴィンは地図の上に駒を並べながら現状を整理した。

北部諸侯連合は元々戦意が低く、信用に値しない存在だった。彼らの敗走によって帝国軍本隊も苦境に立たされている。

現在は敵軍の包囲網を突破するだけの戦力もなく、積極策を取れる状況ではなかった。籠城しながら援軍を待つ以外に有効な手段は存在しないと判断していた。

また、一流の軍師なら奇策で状況を覆せるかもしれないが、自分には現実的な選択肢しか提示できないと自嘲した。

レオナルトの信頼

レオナルトはヴィンの自己評価を否定した。

今の状況は無理な博打に出る段階ではなく、耐えながら逆転の機会を待つことこそ最善策だと考えていた。

さらに援軍を示す駒を盤上に置き、希望を捨てていないことを示した。

しかしヴィンは、中央軍の多くは軍部の影響下にあり、皇帝も信用できる軍だけを動かしているため、大規模な援軍は期待しにくいと指摘した。そして現実的には東部からの援軍が最有力だと考えていた。

兄への確信

それでもレオナルトは中央から援軍が来ると断言した。

ヴィンが根拠を尋ねると、レオナルトは兄が来る気がすると答えた。

理屈や情報ではなく、兄アルノルトなら必ず現れるという確信だった。

そう語ったレオナルトは微笑みながら帝国中央の方角へ目を向け、援軍の到来を信じ続けたのだった。

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