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フィクション(Novel)最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い読書感想

小説「最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い13」感想・ネタバレ

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最強出涸らし皇子の 暗躍帝位争い 13の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

出涸らし12巻 レビュー
出涸らし14巻 レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ あらすじ
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 北部全権代官
    2. 皇族の過去と呪い
    3. 帝位争いの舞台裏
    4. 北部復興支援
    5. 藩国侵攻と王女亡命
    6. 勇者の親子と訓練
    7. ミアとジャック
  6. 登場キャラクター
    1. アードラシア帝国
      1. ヨハネス・レークス・アードラー
      2. アメリア・レークス・アードラー
      3. ミツバ
      4. ズーザン
      5. ゾフィーア
      6. ヴィルヘルム・レークス・アードラー
      7. リーゼロッテ・レークス・アードラー
      8. ザンドラ・レークス・アードラー
      9. クリスタ・レークス・アードラー
      10. アルノルト・レークス・アードラー(シルバー)
      11. レオナルト・レークス・アードラー
      12. ゴードン・レークス・アードラー
      13. エリク・レークス・アードラー
      14. トラウゴット・レークス・アードラー
      15. コンラート・レークス・アードラー
      16. ヘンリック・レークス・アードラー
      17. ビアンカ
      18. ゴードンの娘
      19. フランツ(宰相)
      20. セバス
      21. イネス・ラウク
      22. フィーネ・フォン・クライネルト
      23. クライネルト公爵
      24. テオバルト・フォン・アムスベルグ
      25. エルナ・フォン・アムスベルグ
      26. ユルゲン・フォン・ラインフェルト
      27. シャルロッテ・フォン・ローエンシュタイン
      28. ローエンシュタイン公爵
      29. マルク
      30. エーゴン・フォン・ブロイアー
      31. ブロイアー伯爵
      32. フィン(飛竜ノーヴァ)
      33. ラファエル・ベレント
      34. アリーダ
      35. ハーニッシュ将軍
    2. ペルラン王国
      1. レティシア
    3. イーグレット連合王国
      1. 現王
      2. ウィリアム
      3. ロジャー
    4. コルニクス藩国
      1. ザカリア・フォン・コルニクス
      2. マリアンヌ・フォン・コルニクス
      3. ミア(ヴァーミリオン)
      4. トラヴィス
      5. テッド
      6. パティ
      7. パーシヴァル侯爵
      8. エイブラハム
    5. 冒険者ギルド・冒険者
      1. ジャック(ファーター)
      2. エゴール
      3. ソニア・ラスペード
    6. ドワーフ
      1. マカール
  7. 展開まとめ
    1. 第一章 北部全権代官
    2. 第二章 侵攻準備
    3. 第三章 亡命の王女
    4. エピローグ
    5. 特典 書き下ろし短編『シャルの電気マッサージ』
  8. 最強出涸らし皇子 シリーズ
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する』は、ファンタジー世界を舞台にした暗躍型の異世界宮廷ファンタジーである。

物語の舞台は、大陸三強の一角を占め、ペルラン王国やソーカル皇国との軍事的な緊張感を抱える強大なアードラー帝国である。主人公である第七皇子アルノルト・レークス・アードラーは、周囲から「出涸らし皇子」と見なされる無能な振る舞いを装いつつ、裏では大陸最高峰の冒険者「シルバー」として驚異的な古代魔法の力を操る。彼は、誠実な双子の弟レオナルトを次期皇帝に就けるため、壮絶な帝位継承戦を影から支配し、障害を排除していく。

本作では、大国同士の軍事外交のみならず、帝国辺境における流民問題や、人攫い組織、宮廷内の呪い魔法による暗殺疑惑といった深刻な内憂外患が複雑に絡み合う。単なる武力闘争にとどまらず、商会を用いた経済戦や、領主・他国との高度な知略戦・政略戦が展開される点が物語の大きな特徴である。

■ 主要キャラクター

  • アルノルト・レークス・アードラー: アードラー帝国の第七皇子。普段は自堕落な「出涸らし皇子」を演じているが、本質は冷徹かつ極めて高い知略と強力な古代魔法を操る最高位冒険者「シルバー」である。自らが皇帝になる気はなく、双子の弟であるレオナルトを帝位につけるため、あらゆる謀略を引き受け影から支える。過去にエルナの罪を被って牢に入った経験を持つ。
  • レオナルト・レークス・アードラー: 第八皇子であり、アルノルトの双子の弟。誠実で正義感が強く、周囲から自然と協力を得られる高い人間性とカリスマ性を備える。民を救うための「正攻法」を好み、兄の支えと自身の英雄的行動によって、名実ともに帝位争いの有力な候補者へと成長していく。本作では南部辺境の流民問題を調査する巡察使に任命される。
  • ヨハネス: アードラー帝国の現皇帝。「帝位は勝ち取るもの」という信念に基づき、子供たちの帝位争いを容認している。かつて幼いアルノルトが見せた覚悟とその決断力を高く評価している。親としても皇帝としても誇り高く威厳ある姿を維持しようと努めるが、過労や内乱の心労を抱えている。
  • ミツバ: 皇帝の第六妃であり、アルノルトとレオナルト、そしてクリスタの母親。元踊り子で諸外国を旅した経験から、宮廷の他の妃とは一線を画す非常に深い見識と強い精神力を持つ。子供の自立を重んじる教育方針を貫き、アルノルトの暗躍や覚悟を誰よりも正確に理解し、皇帝に対しても辛辣な正論を述べて揺さぶりをかける。

■ あらすじ

反乱終結後、アルノルトは皇帝から「北部全権代官」に任命され、北部の復興を担うことになった。
大雨による水害危機をエルナの聖剣で回避し、ラインフェルト公爵やドワーフの支援を得て再建は順調に進む。
そんな中、勇爵が使者として訪れ、帝位争いの背後に潜む陰謀を暴くための囮役をアルノルトに持ちかけた。
一方、隣国のコルニクス藩国では、マリアンヌ王女が民を救うため帝国への亡命を企てていた。
義賊のミアやジャックの協力で脱出を図るが、裏切り者エイブラハム率いる追手に追い詰められてしまう。
しかし、伝令の少年テッドの報せを受けたアルノルトが国境へ急行した。
リーゼロッテ率いる大軍も合流して敵を撃破し、無事に王女の保護を果たす。
戦後、アルノルトは重傷を負ったミアを密かに治療し、父ジャックと藩国の腐敗を正す約束を交わした。
王女の亡命を大義名分として帝国は藩国への侵攻を開始し、アルノルトは王女を伴って帝都へ帰還するのである。

書籍情報

最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 13 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する
著者:タンバ 氏
イラスト:夕薙 氏
出版社:KADOKAWAスニーカー文庫
発売日 :2024年3月29日
ISBN : 9784041147733

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

次なる暗躍は――リーゼロッテ&エルナと共に藩国攻略を成せ!
 ゴードンを討ち長い反乱を終わらせたアル陣営。戦功報酬として北部全権代官に任命され、北部の復興を任されたアルは同時に藩国攻略という難題に取り組むことになる。さらには……
「北部の王に任じられたも同然なのよ? シャキッとしなさい」
「こちらに気を遣わない奴は嫌いだが、過度では鬱陶しい」
 最強の幼馴染エルナと最強の姉リーゼロッテが派遣されてくるというアルにとって悪夢のような状況に陥り!? 扱いづらさはともかく戦力は十分過ぎるほど。しかし藩国侵攻準備の最中、藩国王女マリアンヌの帝国への亡命という急報が舞い込み――。
 最強皇子による縦横無尽の暗躍ファンタジー、守戦の13巻!

最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い13 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する

感想

ゴードンを討ち果たし、帝都を揺るがした大内乱にひとつの決着がついた直後から始まる本作は、これまでの攻勢から一転して「守戦」と「地盤固め」に焦点を当てた、極めて密度の高い一冊である。前巻までの張り詰めた戦場とは異なる、政治劇と日常の緩急が織りなす独特の空気感が心地よい。

まず印象に残るのが、アルノルトが「北部全権代官」として本格的に領地経営に乗り出す展開だ。大雨による水害という自然の脅威に対し、かつては戦闘の主役であったエルナの聖剣を治水に利用する発想が非常に面白い。ラインフェルト公爵やドワーフの技術といった、これまで築いてきた人脈や経済的基盤が再建のために次々と結集していく様子には、確かな積み重ねを感じさせられた。

しかし、そんな復興の最中、アルノルトの前に現れる「二人の天敵」が日常パートを最高に盛り上げてくれる。幼馴染のエルナと、最強の姉リーゼロッテの襲来は、最強の暗躍者であるはずのアルノルトを完全に形無しにさせていた。書類仕事で凝り固まったアルノルトの肩を揉むエルナとのエピソードはコミカルであり、エルナの力強さに「肩揉みで死にそうになる」というくだりには思わず笑みがこぼれる。そんな天敵の一人であるリーゼロッテが、長年の関係を経てついに結婚を決意するという大きな人間関係の進展も見逃せない。戦いの中に生きる彼女が、一人の女性として未来を選ぶ姿は非常に感慨深かった。

物語の後半からは、隣国コルニクス藩国の王女マリアンヌの亡命という緊迫した外交問題へとシフトしていく。ここでも藩国の義賊であるミアやジャックといった面々が深く関わり、追手との手に汗握る逃亡劇を繰り広げる。少年の報せを受けて国境へと急行するアルノルトの素早い決断力、そしてリーゼロッテ率いる大軍との合流は圧嫌の一言だ。戦後、重傷を負ったミアをアルノルトが密かに治療するシーンでは、彼の優しさと底知れなさが改めて際立っていた。同時に、父ジャックとの間で藩国の腐敗を正す約束を交わす場面では、ジャックがアルノルトの「真の正体」に気づいたかのような含みを持たせており、鳥肌が立つほどの緊迫感を味わえた。

王女の亡命を大義名分とし、次なる藩国逆侵攻への布石を打ち終えたアルノルトが、王女を伴って帝都へと帰還するラストは、次章への期待を最大限に高めてくれる。内乱で削られた帝国の足元を救うため、自らが囮となる覚悟をも秘めた出涸らし皇子の暗躍は、まだまだ終わらない。激しい戦闘から高度な外交戦、そしてクスリとさせる日常まで、本作の魅力を多角的に堪能できた素晴らしい守戦の巻であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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出涸らし12巻 レビュー
出涸らし14巻 レビュー

考察・解説

北部全権代官

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』シリーズにおける「北部全権代官」とは、ゴードンの反乱終結後、帝国北部を立て直すために第七皇子アルノルトが皇帝ヨハネスから任命された臨時の最高責任職である。

その就任経緯や役割、アルノルトの活動の詳細は以下の通りである。

就任の経緯
ゴードン討伐後、弟のレオナルトは帝都へ凱旋したが、アルノルトはあえて北部に留まった。アルノルトは皇帝ヨハネスへ手紙を送り、ローエンシュタイン公爵を失い不安定な北部の支えとなること、そして北部貴族たちの戦功を正当に認め、褒賞と今後の尊重を約束することを求めた。
ヨハネスはこれをアルノルトからの牽制と理解しつつも、北部との関係修復の好機と捉えた。結果として北部貴族の名誉回復が宣言され、アルノルトの戦功への報酬として、皇帝の名代である「北部全権代官」に任命され、北部の統治が一任されることとなった。

権限と役割
北部全権代官は、皇帝の代理として北部全域の貴族と領民を統括する絶大な権限を持つ。アルノルト自身はこれを「北部の復興と藩国への侵攻が終われば帝都に戻る臨時の役職」と認識していたが、その権限を最大限に行使して次々と難題に対処した。

主な活動と実績
・北部復興の推進:東部のラインフェルト公爵(ユルゲン)の協力を得て、商人を通じた食料問題の解決を図った。また、ドワーフの技術を借りて避難民のための街を建設し、北部の精強な軍馬を特産品として売り出すことで経済再建の道筋を立てた。
・自然災害の阻止:大雨によりツヴァイク侯爵領の川が氾濫の危機に陥った際、皇帝の名代としての権限を行使し、勇者エルナに聖剣の使用を許可した。強大な聖剣の力で雨雲を切り裂き、水害を未然に防ぐという離れ業をやってのけた。
・藩国の難民保護:コルニクス藩国のマリアンヌ王女や義賊ミア(朱月の騎士)が帝国へ逃れてきた際、追撃してきた藩国の部隊に対し、「俺は北部全権代官! この北部において皇帝に全権を預かった! ゆえに領内に流れ着いた民は俺の領民だ!」と宣言し、彼らを強固に庇護した。

激務と北部貴族からの過剰な期待
文官が不足している状況下で、アルノルトは膨大な書類仕事や現場視察、貴族との折衝を自らこなさなければならず、過酷な激務に追われることとなった。
一方で、北部の貴族たちからは絶大な信頼を集め、「帝位争いに本格参戦してほしい」「北部総督としてずっと留まってほしい」といった熱烈な要望が寄せられるようになった。しかし、これらが皇帝から「第二のゴードン(反逆者)」と見なされる危険な火種になり得ると警戒したアルノルトは、エルナやシャルロッテを通じて即座に牽制し、北部貴族の暴走を抑え込んだ。

まとめ
総じて、北部全権代官としてのアルノルトの活動は、単なる無能を演じる皇子の枠を超え、為政者としての極めて高い統治能力と決断力を遺憾なく発揮する場となった。

皇族の過去と呪い

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』シリーズにおける「皇族の過去と呪い」は、かつては優しかった兄姉たちが残虐な性格へと変貌し、血を分けた兄弟で殺し合う悲劇を生み出した根本的な原因として描かれている。その後宮に渦巻く愛憎と、外部組織による暗躍の詳細は以下の通りである。

帝位候補者たちの変貌と呪いの仮説
帝位争いが本格化して以降、第二皇女ザンドラはより残虐に、第三皇子ゴードンはより暴虐な性格へと顕著な変化を遂げた。かつての彼らは他者の助言に耳を傾ける一面を持つなど、反乱を起こすほど愚かではないと評価されていたため、周囲の者たちはその急激な変貌に違和感を抱いていた。
この異常性について、第六妃ミツバは以下の仮説を立てた。
・人格を変えるほどの強力な魔法や呪いが存在したとしても、アードラーの強い血を持つ皇族へ直接作用させることは難しい。
・そのため、標的となる皇族に直接呪いをかけるのではなく、親しい人物(彼らの母親である妃など)を介して間接的に精神を歪める影響を与えたのではないか。

第二妃アメリアの犠牲と遺言
この呪いの最も大きな被害者となったのが、リーゼロッテとクリスタの母であり、皇帝ヨハネスの寵妃であった第二妃アメリアである。その経緯は以下の通りである。
・第五妃ズーザンは第二妃に対する強い嫉妬から、リーゼロッテと幼いクリスタを標的にして呪いを放った。
・アメリアは娘たちを守るために魔導具を用いてその呪いを意図的に自らへ集中させ、身代わりとなって命を落とした。
・アメリアは自らの死を予期しており、死の直前に皇帝ヨハネス宛てにミツバ以外の妃は信じてはいけないという遺書を残していた。
ミツバが子供たちへ干渉しない人物であったからこそ彼女だけを信用し、後宮に蔓延する呪いと悪意に対する警告を皇帝へ遺していたのである。

魔奥公団の暗躍とザンドラの狂気
ズーザンの怨念と呪いは、実の娘であるザンドラにも深い影を落とした。その詳細は以下の通りである。
・ズーザンは自らの素質を受け継いだザンドラを帝位につけることで、間接的に自らが権力を握ろうと画策し、究極の呪いを完成させるようザンドラに命じた。
・ザンドラもまた母の期待に応えようとしたが、その過程で犯罪組織である魔奥公団と接触することになった。
・当初は帝国をより良い魔法国家にしたいという純粋な理想を持っていたザンドラだったが、魔奥公団と繋がった母が変わり果てていくのと同じように、いつしか彼女自身も人を呪うための禁術研究へと目的がすり替わっていった。
死の間際、ザンドラはいつの間にか母の言動や人を呪うことに疑問を持たなくなったと語った。自らもまた魔奥公団や呪いの影響によって人格を歪められ、狂わされていたことを示唆して息を引き取ったのである。

まとめ
アードラー皇族を巡る呪いは、皇帝の寵愛を巡る妃たちの嫉妬や権力欲という人間の業と、それに乗じて帝国を内側から崩壊させようとする魔奥公団の暗躍が結びついた結果であった。この呪いによって有能であった皇族たちは正気を失い、最終的にアルノルトやレオナルトが自らの手で兄や姉を討たねばならないという、残酷な過去の悲劇を引き起こすこととなったのである。

帝位争いの舞台裏

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』における帝位争いの舞台裏は、単なる兄弟間の権力闘争にとどまらず、他国の介入、謎の犯罪組織の暗躍、そして皇族たちの精神を歪める呪いといった複雑な陰謀が絡み合った恐るべき事態として描かれている。

その舞台裏で進行していた主な思惑や事象は以下の通りである。

皇太子ヴィルヘルムの不審死と候補者たちの変貌
帝位争いの発端となったのは、誰もが認める理想の後継者であった皇太子ヴィルヘルムが国境の戦闘で命を落としたことである。
・凄腕の側近たちに守られていた皇太子が流れ矢などで容易く戦死するとは考えにくい。
・前皇帝グスタフや第四皇子トラウゴットらは、帝国の内情に詳しい者による暗殺であったと推測している。
さらに、皇太子の死後に帝位候補となったエリク、ゴードン、ザンドラの三人は、それまでの優秀な姿から一変し、より冷徹に、暴虐に、そして残虐な性格へと顕著な変貌を遂げた。かつては他者の助言を聞き入れていたゴードンまでもが周りの声に耳を貸さなくなり、その劇的な人格変化には、母親である妃たちを介した呪いなどの外部からの意図的な介入があったと疑われている。

犯罪組織である魔奥公団と悪魔の暗躍
帝位争いを裏で操り、混乱を拡大させている元凶の一つが魔奥公団である。
・ザンドラやゴードン陣営と結託し、彼らに禁術や非道な兵器(虹彩異色の子供たちを利用した魔導爆弾など)を提供していた。
・過去に悪魔の研究を行っており、前皇帝グスタフを悪魔に取り憑かせた魔導書も彼らから流出したものであった。
勇者に討ち漏らされた魔王軍の残党や大悪魔ダンタリオンが関与している可能性も示唆されており、彼らの真の目的は帝位争いを利用して帝国そのものを内側から崩壊させることであった。

帝国弱体化を狙う諸外国の介入
帝位候補者たちは、優位に立つために諸外国の力まで借りるようになる。
・ゴードンはイーグレット連合王国やコルニクス藩国と結託した。
・ザンドラはペルラン王国の反帝国派(第一王子など)と手を組んだ。
しかし、諸外国の真の狙いは候補者を勝たせることではなく、帝国に内乱を起こさせて弱体化させることであった。連合王国の竜王子ウィリアムは、同盟は極めて脆弱であり、最終的には帝国の領土を分割・奪取することが各国の目的であることを理解しながらゴードンに協力していた。

皇帝の容認と出涸らし皇子の対抗
皇帝ヨハネスは、こうした血みどろの争いを通して強い皇帝が選ばれることが帝国を守るために必要だと考え、帝位争いを容認していた。しかし、国益を損なうレベルの暴走には苦悩を深めていく。
そうした泥沼の舞台裏で、家族や民を守るために立ち上がったのが第七皇子アルノルトである。
・表向きは無能な出涸らし皇子を演じている。
・裏ではSS級冒険者シルバーとして暗躍している。
彼はこれらの黒い陰謀や他国の介入をことごとく阻止しつつ、弟レオナルトを次期皇帝の座へと導くために孤独な戦いを続けていた。

まとめ
このように、表面上は皇族たちの華やかな、あるいは苛烈な勢力争いに見えるが、その裏側では帝国を食い物にしようとする外部の悪意と、それを秘密裏に叩き潰そうとするアルノルトの暗躍が激しく火花を散らしているのが、本作の帝位争いの本質と言えるのである。

北部復興支援

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』シリーズにおける「北部復興支援」は、ゴードンの反乱による内乱と、その直後に発生した大規模な自然災害(大雨による水害など)によって甚大な被害を受けた帝国北部を立て直すため、北部全権代官に就任したアルノルトを中心に進められた。その具体的な支援内容と復興のプロセスは以下の通りである。

ラインフェルト公爵(ユルゲン)による東部からの大規模支援
大雨により避難村が壊滅的な被害を受け、食料や物資が不足し、領主たちも限界を迎えつつある中、東部諸侯を代表してラインフェルト公爵ユルゲンが到着した。ユルゲンの支援内容は以下の通りである。
・アルノルトの要請に応え、東部の商人たちを大量に動員して事前に費用を支払った
・北部全域に食料を配給させて当面の食料問題を解決した
・復興の要となるドワーフの職人たちと、有事に備えた二万の騎士も連れて来援した

避難民の定住とドワーフ王マカールによる街づくり
家や故郷を失った避難民たちに新たな拠り所を提供するため、アルノルトは避難民を一つの場所に集め、新たな街を建設する計画を立てた。
・優れた技術を持つドワーフ王マカール率いるドワーフたちが建設に協力した
・すべてドワーフ任せにするのではなく、自らの手で作ってこそ愛着が湧くというユルゲンの助言を受けた
・避難民の中から有志を募り、彼らとドワーフが共に街づくりを進める方式が採用された
・ドワーフたちは自治領が手狭になっていた事情もあり、アルノルトの提案によって北部への入植が進められることになった

経済再建と特産品「軍馬」の選定
北部の経済を早期に立ち直らせるためには、他地域(特に東部)の商人たちとの取引を活発化させる必要があった。しかし、当時の北部には外へ売る食料の余裕はなかった。
・北部が心から誇れるものは何かというユルゲンの問いかけに対し、シャルロッテは内乱で活躍した北部の騎士の精強さを挙げた
・これを受けたユルゲンとアルノルトは、騎士ではなく彼らが操る質の高い北部の軍馬を特産品として売り出すことを決定した
・戦争中の帝国において軍馬の需要は高く、東部の騎士に演習を行わせて軍馬の質をアピールすることで、商人の行き来を生み出すことに成功した

皇帝領の譲渡による未来への投資
皇帝ヨハネスは、北部が他国や他地域からの移民・入植(ドワーフや藩国の難民など)を積極的に受け入れることを条件に、鉱山などの貴重な利権を含む直轄地である皇帝領を手放す決断を下した。
・これは冷遇されてきた北部に対する皇帝からの償いであると同時に、利権を得た北部がより一層栄えるための投資でもあった
・ヨハネスは、その皇帝領の分配をアルノルトに一任した
・皇帝が与えたのではなく、アルノルトが北部のために勝ち取った成果として貴族たちに受け入れさせやすくする配慮を見せた

まとめ
このように北部の復興支援は、アルノルトの統括の下、ユルゲンの圧倒的な財力と商才、シャルロッテの地元貴族としての尽力、そしてドワーフたちの技術が結集することで、絶望的な状況から急速な回復を遂げることとなった。

藩国侵攻と王女亡命

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』第13巻における藩国侵攻と王女亡命は、帝国の戦略と、苦しむ民を救いたいと願う藩国王女、そしてそれを支援する義賊たちやアルノルトの決断が交錯する重要なエピソードである。その詳細な展開は以下の通りである。

藩国侵攻の計画とマリアンヌ王女の決意
帝国は王国へ戦力を集中するため、宰相とエリクによる調略を用いてコルニクス藩国を短期決戦で落とそうと計画していた。その状況下で、マリアンヌ王女は以下の決断を下す。
・長年連合王国の人質となっており、藩国の圧政を憂う良識派の代表として帝国への亡命を希望した
・戦争によって民が犠牲になることを防ぐため、自らの亡命と引き換えに逃亡を希望する民を帝国側へ逃がすことを決意する

亡命計画の前倒しと義賊たちの暗躍
藩王からの監視が厳しくなったため、マリアンヌ王女は予定を早めて亡命を決行した。その際、藩国で活動する二人の義賊が協力している。
・青い仮面のファーターことジャックが囮となって王都からの追手軍を単独で足止めした
・朱色の仮面のヴァーミリオンことミアが王女と約200人の民の護衛を担当する

エイブラハム大佐の追撃と絶体絶命の危機
しかし、帝国側が用意していた国境の護衛部隊と宰相の諜報員である宰相の影は、魔剣の血命を持つ元帝国軍人の裏切り者、エイブラハム大佐によって全滅させられていた。窮地に陥ったミアは以下の行動をとる。
・少年テッドを伝令としてアルノルトのもとへ走らせた
・自らはマリアンヌと共に囮となってエイブラハムの騎馬隊を引き付ける
・重傷を負いながらも王女を守り抜こうと奮戦した

アルノルトの救援とマリアンヌの亡命宣言
テッドから急報を受けたアルノルトは、リーゼロッテやラインフェルト公爵ユルゲンの軍勢を国境に向かわせつつ、自らはエルナとフィンの飛竜ノーヴァを連れて空から急行する。
・エイブラハムに追い詰められていたマリアンヌとミアを、エルナが高度な風魔法で間一髪救出した
・救出されたマリアンヌが正式に亡命と救援を願い出ると、アルノルトはそれを受諾する

逆賊エイブラハムの討伐と藩国侵攻の開始
マリアンヌの身柄を要求するエイブラハムに対し、アルノルトはかつて父ヨハネスが放った、帝国には一度迎え入れた者を追い出す習慣はないという言葉を模倣して言い放ち、皇帝の名代として藩国軍との開戦を宣言した。
・合流したユルゲンが退路を断った
・リーゼロッテが一騎打ちの末にエイブラハムの魔剣を持つ腕ごと斬り落とし、討ち取っている
国境での戦闘に勝利した後、アルノルトの命令により、リーゼロッテは東部諸侯連合軍と北部国境守備軍を率いて藩国への侵攻を開始した。

まとめ
マリアンヌ王女の亡命は、帝国にとって藩国へ侵攻するための完璧な大義名分となった。同時に、皇帝の名代として全責任を負い、即座に軍を動かして民と王女を救ったアルノルトの決断力と統治能力が遺憾なく発揮されたエピソードと言える。

勇者の親子と訓練

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』第13巻において描かれた、アムスベルグ勇爵家の当主であるテオバルトと娘エルナの護衛訓練は、勇者の血を引く親子の圧倒的な実力と、エルナの精神的・技術的成長、そしてアルノルトとの強い絆を浮き彫りにする重要なエピソードである。その詳細は以下の通りである。

暗殺を想定した常軌を逸する護衛訓練
アルノルトが北部全権代官として活動する中、皇帝の使者として勇爵が訪れた。勇爵は周囲の目を欺き、エルナを鍛え直すという名目で突然木剣で攻撃を仕掛けた。その攻防の様子は以下の通りである。
・今からアルを暗殺するから頑張って防ぎなさいと宣言した。
・両者は木剣を使用しているにもかかわらず、剣圧だけで突風が巻き起こった。
・アルノルトの目では追いきれないほどの常人離れした速度と威力で攻防が繰り広げられた。

勇爵の厳しい指摘と実戦の厳しさ
訓練の中で、勇爵は常に実力で圧倒するだけだから苦手がいつまでも克服できないと指摘し、エルナを厳しく叱責した。
・エルナには駆け引きや冷静さ、相手の動きを読む鋭さが足りない。
・帝都で裏切った近衛騎士隊長ラファエルを逃したのは失態である。
・戦闘中に正々堂々なんて言葉が通じるのは誇りを抱く者だけである。
・生きるために何でもする敵に対して、卑怯と叫ぶだけなら勇爵家など必要ない。
このように、実戦における非情さと勇爵家としての覚悟をエルナに突きつけたのである。

アルノルトの擁護と真っ向勝負
苦戦し言葉に詰まるエルナを見たアルノルトは、勇爵に対して反論した。
・ラファエルを逃したのは勇爵家として失態かもしれないが、あの日帝都で俺の傍に来たのはエルナであり、あなたではないと擁護した。
・俺が至らなければエルナが助け、エルナが至らなければ俺が助けるという互いへの絶対的な信頼を語った。
アルノルトの言葉によって迷いを振り払ったエルナは、すぐには身につかない駆け引きや読みを捨て、純粋な戦闘能力では劣っていないと判断して勇爵に真正面からの力勝負を挑んだ。エルナの猛攻に対し勇爵も防戦しながら同じ箇所を狙い続け、最終的に互いの木剣が同時に折れる形で引き分けとなった。

聖剣の選択と親子の結末
木剣が折れた後、勇爵は成長を見ないことには帝都には帰れないと言い放ち、空に向けて手を掲げた。
・エルナもそれに応じ、二人の勇者が同時に伝説の聖剣である極光を召喚しようと試みた。
・空から降ってきた光が銀色の剣へと変わり、最終的に聖剣が選んでその手に握らせたのはエルナの方であった。

まとめ
聖剣に選ばれたエルナを見た勇爵は、それなりには成長していると認めようと評価した。しかし同時に、私は十五の頃には親から聖剣を奪っていたと負けず嫌いな一面を見せ、帝都へと帰還していった。このエピソードは、勇者としての過酷な教えと親子の絆、そしてアルノルトとエルナの揺るぎない信頼関係を明確に示す出来事となっている。

ミアとジャック

『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』におけるミアとジャックは、互いに正体を明かさぬまま戦場で交錯する、不器用で感動的な親子関係として描かれている。二人の関係性と物語の展開は以下の通りである。

二人の正体と隠された親子関係
ミアは藩国で圧政に苦しむ民を救うために暗躍する義賊、朱月の騎士(ヴァーミリオン)であり、強力な魔弓の使い手である。一方のジャックは以下の事情を抱えていた。
・大陸に5人しかいないSS級冒険者の一人、放浪の弓神である
・若き日に冒険者としての活動に傾倒しすぎた結果、妻と娘に逃げられた過去を持つ
アルノルトからの情報で藩国に赴いたジャックは、もう一人の義賊であるファーター(青い仮面)として活動する。その中でミアの弓の引き方が自分に酷似していることから、彼女が自分の娘であると確信した。しかし、自分には父親を名乗る資格がないと考え、正体を明かさずに影から娘を支援し続けていた。

王女亡命での共闘と不器用な愛情
マリアンヌ王女を帝国へ亡命させる作戦において、二人は以下の役割を担った。
・ミアが王女と民の護衛を担当した
・ファーターことジャックは王都からの追手を単独で引き受ける危険な囮役を志願した
ミアがなぜそこまで命を懸けるのかと尋ねると、ジャックは藩国には娘がおり、父として娘のためにやれることはやりたいと真摯に答えた。ミアもその言葉に嘘はないと感じ取っている。
影では娘に嫌われたくないと自分の汗の匂いを気にしたり、藩国の貴族から良い香水を奪おうと画策したりするなど、ジャックの不器用ながらも深い愛情が描かれている。

ミアの危機と父親の涙
国境への逃避行の中、ミアは裏切り者エイブラハムとの激闘の末、呪いを持つ魔剣で体を貫かれ、通常の治癒魔法が効かなくなる致命的な重傷を負ってしまった。
その際のジャックの様子は以下の通りである。
・囮役を務めていたためミアの傍で守ってやれず、自分の無力さに激しい絶望と後悔を抱いた
・アルノルトの前で仮面を外し、人目もはばからず涙を流した
・駄目な親だと思わないかと自嘲しつつも、娘が立派に誰かを守れる子に育ってくれたことへの感謝を口にした

アルノルトの粋な計らいと未来への約束
そんなジャックを見たアルノルトは、自身の古代魔法による治癒結界でミアの命を救った。そしてその功績を、ファーターが高価な薬を提供してくれたおかげという筋書きにして、ジャックに花を持たせている。
さらに、アルノルトとジャックの間には以下の取引があった。
・ジャックが藩国で暗躍して国を混乱させる見返りとして、帝国が藩国へ侵攻した際には腐敗貴族たちを真っ先に処罰する

まとめ
藩国がまともな国になれば、ミアが自らを危険に晒してまで義賊を続ける理由がなくなり、彼女を裏社会から解放できる。これこそが、父親であるジャックの真の目的だったのである。

出涸らし12巻 レビュー
出涸らし14巻 レビュー

登場キャラクター

アードラシア帝国

ヨハネス・レークス・アードラー

アードラシア帝国の現皇帝である。帝位は勝ち取るものという信念を持ち、子供たちの争いを容認している。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・皇帝。

・物語内での具体的な行動や成果
 過労で倒れながらも、反乱や他国の侵攻に対して各軍へ的確な指示を出した。帝都で起きたゴードンの反乱に対し、自らおとりとなって敵軍を惹きつけた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 子供たちを愛しつつも、皇帝としての責務を第一に考えて行動する。

アメリア・レークス・アードラー

皇帝ヨハネスの第二妃である。リーゼロッテとクリスタの母親である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第二妃。

・物語内での具体的な行動や成果
 物語開始時点ですでに故人となっている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 死因には呪いなどの陰謀が関わっていると噂されている。

ミツバ

皇帝ヨハネスの第六妃である。アルノルト、レオナルト、クリスタの母親である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第六妃。

・物語内での具体的な行動や成果
 皇帝が倒れた際に素早く介護態勢を整え、城内の混乱を最小限に抑えた。フィーネに子供たちのことを頼んだ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 元踊り子で諸外国を旅した経験を持ち、皇帝に対しても自らの意見をはっきりと述べる。

ズーザン

皇帝ヨハネスの第五妃である。ザンドラとヘンリックの母親である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第五妃。

・物語内での具体的な行動や成果
 南部の反乱に際して皇帝から軟禁処分を受けた。ザンドラの反乱に加担し、ミツバやフィーネと対峙した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 南部最大の貴族であるクリューガー公爵の妹である。

ゾフィーア

皇帝ヨハネスの第四妃である。ゴードンとコンラートの母親である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第四妃。

・物語内での具体的な行動や成果
 ゴードンの反乱に乗じて東門へ現れ、護衛兵を斬り伏せた。皇帝ヨハネスの命を狙ったが、アリーダに阻まれた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 実の息子であるコンラートに背後から斬られ、命を落とした。

ヴィルヘルム・レークス・アードラー

アードラシア帝国の第一皇子である。かつての皇太子であり、多くの者から理想の君主として期待されていた。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第一皇子(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果
 物語開始の三年前に北部国境で戦死している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼の死が現在の帝位争いの発端となっている。

リーゼロッテ・レークス・アードラー

アードラシア帝国の第一皇女である。皇族最強の将軍として、他国からも恐れられている。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・元帥。東部国境守備軍司令官。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトの要請で東部から軍を率いて帝都へ駆けつけた。反乱を起こしたゴードンやザンドラを鎮圧した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 「常勝無敗の姫将軍」と称され、軍内で絶大な影響力を持つ。

ザンドラ・レークス・アードラー

アードラシア帝国の第二皇女である。魔法に優れ、帝国各地の魔導師から支持を集めている。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第二皇女。

・物語内での具体的な行動や成果
 魔奥公団や王国と結託し、ゴードンと共に帝都で反乱を起こした。城の制圧を試みたが、リーゼロッテに首を締め落とされて気絶した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 反乱失敗により、皇帝から帝毒酒による処刑を宣告された。

クリスタ・レークス・アードラー

アードラシア帝国の第三皇女である。未来視という先天魔法を持つ。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第三皇女。

・物語内での具体的な行動や成果
 皇帝が倒れる未来を予知し、事前に対策を講じる時間を与えた。反乱時にはトラウゴットやアルノルトの助けで城内を逃げ延びた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルノルトに強く懐いている。

アルノルト・レークス・アードラー(シルバー)

アードラシア帝国の第七皇子である。表向きは無能な出涸らし皇子を演じているが、裏ではSS級冒険者シルバーとして暗躍している。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第七皇子。北部全権代官。SS級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 双子の弟であるレオナルトを皇帝にするため、他国の要人や冒険者ギルドと交渉を重ねた。反乱時には自ら囮となり、城内の皇族や要人たちを脱出させた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 北部での戦功が認められ、北部全権代官に任命された。

レオナルト・レークス・アードラー

アードラシア帝国の第八皇子である。アルノルトの双子の弟であり、文武に優れた英雄肌の青年である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第八皇子。帝都守備隊名誉将軍。

・物語内での具体的な行動や成果
 南部での悪魔騒動を鎮圧し、帝都での反乱時には外部から軍を率いて駆けつけた。民を救うために常に最前線で戦った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 数々の戦功により、重臣会議への参列を許可され、有力な帝位候補者となった。

ゴードン・レークス・アードラー

アードラシア帝国の第三皇子である。好戦的なタカ派であり、軍部内で最大の勢力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第三皇子。将軍。

・物語内での具体的な行動や成果
 ザンドラや他国と結託して帝都で反乱を起こした。妹のクリスタを人質に取り、皇帝に降伏を迫った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 反乱に失敗し、北部へと敗走した。

エリク・レークス・アードラー

アードラシア帝国の第二皇子である。文官を束ねる知能派であり、最も帝位に近いとされる人物である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第二皇子。外務大臣。

・物語内での具体的な行動や成果
 他国との外交交渉を行い、皇国が反乱に乗じて攻め込んでくるのを防いだ。自らは直接反乱に加わらず、冒険者ギルドを動かして有利な状況を作り出した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 常に冷静に状況を分析し、他の候補者たちを出し抜いて最大勢力を維持している。

トラウゴット・レークス・アードラー

アードラシア帝国の第四皇子である。皇太子ヴィルヘルムの同母弟であり、芸術を愛する変人として知られている。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第四皇子。

・物語内での具体的な行動や成果
 皇帝の名代として南部へ赴き、エルナに聖剣の使用許可を出した。帝都の反乱時には、亡き皇太子の側近たちを呼び寄せてクリスタの護衛を務めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 帝位には興味を示さないが、家族を救うために実力を発揮する。

コンラート・レークス・アードラー

アードラシア帝国の第六皇子である。ゴードンの同母弟であり、飄々とした態度で世渡りをする青年である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第六皇子。

・物語内での具体的な行動や成果
 ゴードン陣営に属しているように見せかけ、裏ではエリクと内通していた。実の母であるゾフィーアを背後から斬り捨てた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 情報提供の功績により、形式的な謹慎処分のみで済まされた。

ヘンリック・レークス・アードラー

アードラシア帝国の第九皇子である。ザンドラの同母弟であり、プライドが高くレオナルトをライバル視している。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第九皇子。

・物語内での具体的な行動や成果
 連合王国軍との合流時にウィリアム王子と対立し、独自に行動した結果、レオナルトの奇襲を受けて敗走した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 反乱失敗により、罪を問われる立場となった。

ビアンカ

ゴードンの妻である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・ゴードンの妻。

・物語内での具体的な行動や成果
 先行船団に乗って連合王国へ向かった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルノルトによって海上で密かに護衛された。

ゴードンの娘

第三皇子ゴードンの娘である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・皇族。

・物語内での具体的な行動や成果
 ゴードンの敗走後、ウィリアムと共に藩国へ逃れたことが報告されている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 反乱者の遺児として、帝国から命を狙われる立場にある。

フランツ(宰相)

アードラシア帝国の宰相である。平民出身でありながら、皇帝の右腕として国政を支えている。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・宰相。

・物語内での具体的な行動や成果
 皇帝が倒れた際に会議を主導し、事態の収拾を図った。裏では宰相の影と呼ばれる諜報員を使役し、情報収集や調略を行っている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 皇帝の意図を正確に汲み取り、的確な助言を行う。

セバス

アルノルトに仕える老執事である。かつては大陸全土に名を轟かせた凄腕の暗殺者であった。

・所属組織、地位や役職
 アルノルト陣営・執事。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトの指示で情報収集や裏工作を行った。襲撃してきた暗殺者たちを単独で返り討ちにした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルノルトの最大の理解者であり、シルバーとしての活動も支援している。

イネス・ラウク

第十一近衛騎士隊の隊長である。武人肌の者が多い近衛騎士の中で、珍しく穏やかで愛嬌のある性格をしている。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第十一近衛騎士隊隊長。

・物語内での具体的な行動や成果
 外交任務を主とし、冒険者ギルド本部でフィーネの護衛を務めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 皇帝からの信頼が厚く、柔軟な対応力を持つ。

フィーネ・フォン・クライネルト

クライネルト公爵の長女である。蒼鴎姫の異名を持つ絶世の美女であり、アルノルトやレオナルトを傍で支える。

・所属組織、地位や役職
 クライネルト公爵家・令嬢。帝国大使。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝国大使として冒険者ギルド本部へ赴き、シルバーの査問を阻止した。帝都で反乱が起きた際は、冒険者たちを説得して治安維持への協力を取り付けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 その美貌と知名度を活かし、レオナルト陣営の支持基盤拡大に大きく貢献している。

クライネルト公爵

帝国西部に領地を持つ公爵である。フィーネの父親であり、温厚な性格で民や貴族からの評判が良い。

・所属組織、地位や役職
 クライネルト公爵家・当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝都での反乱時にアルノルトからの情報を受け、騎士を率いて帝都の救援に駆けつけた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルノルトを深く信頼しており、レオナルト陣営の強力な後ろ盾となっている。

テオバルト・フォン・アムスベルグ

アムスベルグ勇爵家の当主である。エルナの父親であり、気さくな笑顔の裏に圧倒的な実力を隠し持つ。

・所属組織、地位や役職
 アムスベルグ勇爵家・当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 皇帝の使者として北部を訪れ、アルノルトに勅命を伝えた。エルナに対して厳しい指導と助言を行った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 皇帝の代わりに地方の反帝国組織を壊滅させる役割を担っている。

エルナ・フォン・アムスベルグ

アムスベルグ勇爵家の跡取り娘である。アルノルトとは幼馴染であり、彼に強い恩義を感じている。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第三近衛騎士隊隊長。

・物語内での具体的な行動や成果
 聖剣を用いて北部の水害を防いだ。反乱時にはアルノルトを狙う敵兵を次々と打ち倒し、彼の護衛を完遂した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 十一歳で近衛騎士に入団した天才剣士であり、帝国最強の剣として恐れられている。

ユルゲン・フォン・ラインフェルト

ラインフェルト公爵家の若き当主である。リーゼロッテに一途な思いを寄せており、彼女にふさわしい男になるため修練を積んでいる。

・所属組織、地位や役職
 ラインフェルト公爵家・当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトの要請に応じ、莫大な資金を使って東部の商人と二万の騎士を北部の復興支援に動員した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 商才に長け、東部諸侯をまとめ上げる高い人望と統率力を持つ。

シャルロッテ・フォン・ローエンシュタイン

ローエンシュタイン公爵の孫娘である。ツヴァイク侯爵の孫娘として育てられており、優れた雷魔法の使い手である。

・所属組織、地位や役職
 ツヴァイク侯爵家・名代。

・物語内での具体的な行動や成果
 北部の復興業務においてアルノルトを補佐した。北部諸侯連合の結成を提案し、自ら陣頭に立って貴族たちをまとめた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 皇族を深く憎んでいたが、アルノルトの行動を見て彼を信頼するようになった。

ローエンシュタイン公爵

北部最大の貴族であり、かつては雷神と恐れられた猛将である。シャルロッテの祖父にあたる。

・所属組織、地位や役職
 ローエンシュタイン公爵家・当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 重い病に侵されながらも、アルノルトの覚悟を認めて北部諸侯連合への参加を決断した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 極度の皇族嫌いであるが、北部を守るために再び戦場へ立つことを選んだ。

マルク

第三近衛騎士隊の副隊長である。エルナの部下であり、冷静な判断力を持つ熟練の騎士である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第三近衛騎士隊副隊長。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトの指示に従い、危険を顧みず川の氾濫現場で彼の体を支えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エルナの無茶な行動に呆れつつも、忠実に任務をこなす。

エーゴン・フォン・ブロイアー

ブロイアー伯爵の子息である。童顔の少年であり、初陣でアルノルトと共に戦った。

・所属組織、地位や役職
 ブロイアー伯爵家・子息。

・物語内での具体的な行動や成果
 北部復興の状況をアルノルトに報告し、彼への強い憧れと忠誠心を示した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 父の負傷により、将来の家督継承が予定されている。

ブロイアー伯爵

北部の東側を領地とする貴族である。

・所属組織、地位や役職
 ブロイアー伯爵家・当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 ゴードンの反乱に抵抗して重傷を負い、家臣によって退却させられた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 民から慕われており、息子のエーゴンへ家督を譲ることを考えている。

フィン(飛竜ノーヴァ)

グライスナー侯爵家の竜騎士である。白い飛竜ノーヴァに騎乗し、アルノルトの指示で伝令役などを務める。

・所属組織、地位や役職
 グライスナー侯爵家・竜騎士。

・物語内での具体的な行動や成果
 空からの偵察でマリアンヌ王女の居場所を特定し、アルノルトを戦場へ送り届けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 孤児であった自分を救ってくれた侯爵令嬢への深い恩義を抱いている。

ラファエル・ベレント

第十近衛騎士隊の隊長である。皇帝に拾われた孤児でありながら、若くして隊長に抜擢された天才剣士である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第十近衛騎士隊隊長。

・物語内での具体的な行動や成果
 反乱時に皇帝を裏切り、宰相の影を斬り捨てた。ザンドラと共に玉座の間の制圧に向かった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 皇帝への強い忠誠を持っていたはずだが、不可解な裏切りに多くの者が動揺した。

アリーダ

第一近衛騎士隊の隊長であり、近衛騎士団長を務める女性である。帝国最強の剣士の一人として数えられている。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・第一近衛騎士隊隊長。近衛騎士団長。

・物語内での具体的な行動や成果
 玉座の間に押し寄せる反乱兵を圧倒的な力で斬り捨て、皇帝と要人たちを守り抜いた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 弟が皇帝に楯突いて処刑された過去を持つが、皇帝への忠誠を貫いている。

ハーニッシュ将軍

北部国境守備軍の将軍である。

・所属組織、地位や役職
 アードラシア帝国・将軍。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトの伝令を受け、藩国軍への侵攻準備を始めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ペルラン王国

レティシア

ペルラン王国の聖女である。伝説の聖杖を持ち、王国を救った英雄として民から慕われている。

・所属組織、地位や役職
 ペルラン王国・聖女。

・物語内での具体的な行動や成果
 王国側の反帝国派と魔奥公団によって誘拐され、暗殺されたように偽装された。レオナルトによって救出される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 親帝国派の中心人物であり、王国と帝国の関係改善を望んでいる。

イーグレット連合王国

現王

イーグレット連合王国の国王である。

・所属組織、地位や役職
 イーグレット連合王国・国王。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝国の弱体化を狙い、ゴードンの反乱に協力するようウィリアムに指示を出した。帝都へ守護聖竜を送り込んだ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ウィリアム

イーグレット連合王国の第二王子である。竜王子の異名を持ち、ゴードンの親友である。

・所属組織、地位や役職
 イーグレット連合王国・第二王子。

・物語内での具体的な行動や成果
 本意ではないながらも祖国のためにゴードンの反乱に加担した。帝都でシルバーによって二体の守護聖竜を討伐され、敗走した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 反乱失敗後はゴードンの遺児を連れて藩国へ逃れた。

ロジャー

黒竜騎士隊の隊長である。

・所属組織、地位や役職
 イーグレット連合王国・黒竜騎士隊隊長。

・物語内での具体的な行動や成果
 空の戦いでフィンと消耗戦を繰り広げた。致命傷を負って退却した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

コルニクス藩国

ザカリア・フォン・コルニクス

コルニクス藩国を統治する藩王である。民の苦境を顧みず、自らの富と保身のみを優先する。

・所属組織、地位や役職
 コルニクス藩国・藩王。

・物語内での具体的な行動や成果
 マリアンヌ王女の亡命を知り、帝国の侵攻を恐れて軍に追撃を命じた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 圧政を敷いており、良識派の娘マリアンヌを疎んじている。

マリアンヌ・フォン・コルニクス

コルニクス藩国の王女である。長く連合王国の人質となっていたが、民を救うために行動を起こす。

・所属組織、地位や役職
 コルニクス藩国・王女。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝国の内側から国を変えるのは不可能と判断し、民を伴って帝国への亡命を決行した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女の亡命が、帝国による藩国侵攻の大義名分となった。

ミア(ヴァーミリオン)

藩国で圧政に苦しむ民を救う義賊である。魔弓を操る少女であり、ジャックの娘である。

・所属組織、地位や役職
 義賊・朱月の騎士。

・物語内での具体的な行動や成果
 マリアンヌ王女の亡命を護衛し、エイブラハム率いる追手と激戦を繰り広げた。魔剣による重傷を負うが、アルノルトに救われた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルノルトと協力関係を結び、城ではメイドとして情報収集も行った。

トラヴィス

ミアの魔弓の師匠である。森の奥の屋敷で孤児たちを育てている。

・所属組織、地位や役職
 元武人。

・物語内での具体的な行動や成果
 ミアからの亡命計画の報告を受け、テッドに子供たちの出発準備を命じた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 かつては名を知られた人物であったが、現在は老いにより現役を退いている。

テッド

トラヴィスに育てられている孤児の少年である。生意気だが、賢く行動力がある。

・所属組織、地位や役職
 孤児。

・物語内での具体的な行動や成果
 ミアの指示で馬に乗り、帝国領まで救援を求めて走った。アルノルトとユルゲンを国境へ案内した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

パティ

トラヴィスに育てられている孤児の少女である。

・所属組織、地位や役職
 孤児。

・物語内での具体的な行動や成果
 テッドに絵本を読んでもらっていた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

パーシヴァル侯爵

帝国国境付近に領地を持つ藩国の貴族である。

・所属組織、地位や役職
 コルニクス藩国・侯爵。

・物語内での具体的な行動や成果
 マリアンヌ王女の要請を受け、亡命する民たちの受け入れと護衛に協力した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 藩国に残る数少ない良識派の貴族である。

エイブラハム

魔剣を扱う元帝国軍人の大佐である。素行に難があるが、高い戦闘能力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 コルニクス藩国・大佐。

・物語内での具体的な行動や成果
 藩王の命を受け、マリアンヌ王女の亡命を阻止するため千人の部隊を率いて追撃した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 かつて帝国軍を裏切り、藩国へ亡命した過去を持つ。

冒険者ギルド・冒険者

ジャック(ファーター)

放浪の弓神の異名を持つSS級冒険者である。藩国で青い仮面の義賊ファーターとしても活動している。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・SS級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 実の娘であるミアの護衛を助けるため、単独で王都からの追手部隊を引き受けて壊滅させた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルノルトと取引をし、藩国の後方攪乱を行うことを引き受けた。

エゴール

迷子の剣聖の異名を持つ最古のSS級冒険者である。極度の方向音痴であるが、義理堅く面倒見が良い。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・SS級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 シルバーの要請でソニアとその家族を保護し、ドワーフの自治領へ匿った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 齢三百を超えるドワーフの長老である。

ソニア・ラスペード

ハーフエルフの少女である。天才参謀と呼ばれた養父を持ち、自身も優れた軍略の才能を持つ。

・所属組織、地位や役職
 ゴードン陣営・軍師。

・物語内での具体的な行動や成果
 養父を人質に取られてゴードンに従っていたが、裏ではアルノルトへ情報を流していた。シルバーとエゴールによって救出される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 救出後はエゴールの付き人として行動を共にしている。

ドワーフ

マカール

ドワーフの王である。豪快な性格で酒を愛し、優れた技術を持つ職人たちの長である。

・所属組織、地位や役職
 ドワーフ自治領・王。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルノルトの要請に応じ、北部避難民のための街づくりにドワーフの職人たちを派遣した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 皇国への侵攻を装って東部国境に軍を進め、皇国を牽制する作戦に協力した。

出涸らし12巻 レビュー
出涸らし14巻 レビュー

展開まとめ

第一章 北部全権代官

レオナルトの凱旋とアルノルトの北部残留

ゴードン討伐から二週間後、レオナルトは反乱を終結させた英雄として帝都へ凱旋した。皇帝ヨハネスは功績を称えた一方、アルノルトが帰還していないことに不満を示した。レオナルトが差し出した手紙には、北部を支えるために残る必要があること、戦功は北部貴族のものとして褒賞と尊重を求めることが記されていた。

北部貴族の名誉回復と北部全権代官への任命

ヨハネスはアルノルトの要求を牽制と受け止めながらも、北部との関係改善の機会と判断した。北部貴族へ褒賞を与え、今後は功労者として扱うことを宣言した。その後、アルノルトを北部全権代官へ正式に任命し、皇帝の名代として北部統治を任せた。

北部統治と藩国侵攻への準備

アルノルトは北部全権代官として、シャルロッテの侯爵位継承、北部貴族への対応、藩国侵攻の準備を進めた。エルナとフィーネには戦力や侵攻路の調査を命じ、ユルゲンには東部諸侯の協力を求める手紙を書いた。北部の戦力を温存しつつ、東部の力を借りて藩国へ備えようとしたのである。

皇帝とミツバの疑念

帝剣城では、ヨハネスとミツバが第二妃アメリアの死について話し合っていた。アメリアは死の前に、ミツバ以外の妃を信じてはならないという警告を残していた。二人は、妃を通じて皇族の人格に影響を与える魔法や呪いが存在した可能性を考え、皇太子ヴィルヘルムの死を再調査する必要を感じていた。

北部貴族の期待と危険な発言

北部では、アルノルトへの期待が高まっていた。ブロイアー伯爵の息子エーゴンは、アルノルトに帝位争いへ参加してほしいと発言した。しかしそれはレオナルトとの対立を招きかねない危険な言葉であり、エルナは厳しく制した。シャルロッテは北部貴族への対応を引き受け、アルノルトは彼女に北部のまとめ役としての立場を固めさせようとした。

豪雨による危機と聖剣の使用

北部復興中、大雨と暴風が北部を襲った。ツヴァイク侯爵領の大河川が氾濫寸前となり、アルノルトは現地へ向かった。応急補強だけでは限界があると判断したアルノルトは、自らの危機を演出して皇帝の名代としてエルナに聖剣使用を命じた。エルナは聖剣で雨雲を切り裂き、氾濫の危機を退けた。

東部からの支援と復興の希望

豪雨後、避難民の村は大きな被害を受け、北部はさらに苦境に陥った。そこへユルゲンが東部の商人、二万を超える騎士、ドワーフたちを率いて来援した。商人たちは食料と物資を運び、ドワーフたちは復興の担い手として期待された。ユルゲンの支援によって、北部復興に希望が生まれた。

避難民の街づくりと北部の特産品

ユルゲンは、避難民を一か所に集め、新たな街を作るべきだと提案した。アルノルトもそれに同意し、ドワーフだけでなく避難民自身にも街づくりへ参加させる方針を決めた。さらに北部の特産品として軍馬を売り出す案が固まり、北部騎士の名声を利用して経済再建を進めることになった。

シャルロッテの成長と復興への始動

ユルゲンはシャルロッテに、復興は他者に背負ってもらうものではなく、自ら立ち上がるものだと教えた。シャルロッテは北部の誇りとして騎士の強さを挙げ、その答えが軍馬を売り出す方針につながった。彼女はユルゲンへ領主としての知識を学びたいと願い出て、北部を担う者として新たな一歩を踏み出した。

第二章 侵攻準備

北部復興と藩国侵攻準備

リーゼロッテの来訪

リーゼロッテが北部へ到着し、アルノルトは歓迎の準備を整えて出迎えた。しかしリーゼロッテは、非常時に兵を歓迎行事へ動員したことを厳しく叱責し、民のために兵力を使うべきだと説いた。

その後、フィーネが用意した菓子を受け取ったリーゼロッテは、自分の分を少しだけ残し、残りを北部の子供たちへ配るよう頼んだ。さらにアルノルトへ過剰な機嫌取りは好まないと忠告し、北部国境の防衛体制再建を急ぐよう命じた。

藩国侵攻計画の共有

リーゼロッテは、宰相とエリクが藩国貴族への調略を進めており、多くの貴族が帝国側へ寝返る準備を進めていることを明かした。また、藩国の王女が帝国への亡命を望んでいることも説明した。

藩国侵攻は国境防衛体制の再建後に実施する方針であり、リーゼロッテは東部騎士を率いて参戦する予定であった。別れ際には、ゴードンとの戦いを称賛し、アルノルトを弟として誇りに思うと伝えた。

コルニクス藩国の現状

コルニクス藩国では貧富の差が広がり、多くの民が苦しんでいた。帝国との戦争でゴードンと協力したものの敗北し、帝国侵攻への不安が高まっていた。

そんな中、義賊ヴァーミリオンことミアは貴族から財宝を奪い、民のために使う活動を続けていた。一方で、もう一人の義賊ファーターも兵糧輸送を妨害して藩国上層部を混乱させていた。

ファーターの正体

ファーターの正体はSS級冒険者ジャックであった。ジャックはシルバーとの約束に従い、藩国内で暗躍していた。

また、ヴァーミリオンの正体が娘のミアであることにも気付いていた。しかし正体を明かすことで危険を招くことを恐れ、遠くから見守ることを選んでいた。

ドワーフ王との会談

避難民の街づくりは順調に進み、アルノルトはドワーフ王マカールと会談した。

マカールはドワーフの人口増加による土地不足を語り、領地を求めていることを明かした。そこでアルノルトは北部への入植を提案した。マカールはその案を評価し、人間とドワーフの共存による問題も王として向き合うべき課題だと語った。

また、アルノルトは藩国の民を守る約束をしていることを明かし、マカールはその考え方を高く評価した。

勇爵テオバルトの来訪

北部復興が進む中、皇帝の使者として勇爵テオバルトが訪れた。

テオバルトはシャルロッテと初対面を果たし、エルナには護衛としての未熟さを厳しく指摘した。エルナは反省し、さらなる成長を誓った。

アルノルトはエルナを擁護したが、テオバルトは二人の関係が昔から変わっていないことを指摘した。その後、テオバルトはリーゼロッテへの挨拶へ向かった。

皇帝の真意と新たな疑念

テオバルトは皇帝がドワーフ入植を認める代わりに、今後も移民や入植者を受け入れる方針を北部へ求めていることを伝えた。

さらに皇帝は皇帝領の一部を北部へ与える考えを持っており、その配分をアルノルトへ委ねるつもりだった。

その後、テオバルトは帝位争いの裏で何者かが皇族へ干渉している可能性について語った。第二妃の遺言やゴードンたちの変化を根拠に、皇族が長年攻撃を受けている疑惑が浮上していた。

皇帝は敵をあぶり出すため、アルノルトに皇太子の死の再調査を主張させ、囮役を務めてほしいと考えていた。アルノルトは条件付きでその役目を引き受けた。

勇者親子の訓練

テオバルトはエルナへ護衛としての訓練を行った。圧倒的な実力同士の戦いの中で、エルナは力だけに頼る欠点を指摘された。

アルノルトはエルナを擁護し、自分とエルナは互いに支え合う関係だと語った。その言葉を受けたエルナは全力で戦い、木剣での勝負は引き分けとなった。

続いて聖剣が召喚され、聖剣はエルナを選んだ。テオバルトはその成長を認めた後、帝都へ帰還した。

リーゼロッテの結婚宣言

ある日、リーゼロッテは自らの結婚について語り始めた。

長年想い続けてきたユルゲンを受け入れ、数年以内に結婚するつもりだと明かしたのである。アルノルトは驚きながらも祝福した。

一方でリーゼロッテは、アルノルトにも結婚を勧めた。藩国王女との婚姻話が持ち上がる可能性にも言及したが、アルノルトは結婚する意思はないと答えた。

しかし内心では、レオを皇帝にするためなら自身の自由や人生を差し出す覚悟が必要になるかもしれないと考えていた。

マリアンヌ王女の亡命計画

藩国王女マリアンヌは、自国の体制に失望しながらも民を守る道を模索していた。

そこでヴァーミリオンを呼び出し、一週間後に帝国へ亡命する計画を明かした。同時に、戦争による被害を避けるため、希望する民を帝国側へ避難させたいと依頼した。

さらにファーターも協力を申し出て、自ら囮となり藩国軍の動きを妨害すると約束した。こうして王女の亡命と民の避難計画が動き始めた。

藩国侵攻作戦の開始

その頃、宰相直属の諜報員である宰相の影がアルノルトのもとを訪れた。

藩国貴族への調略が順調に進み、一週間後に王女を亡命させる計画が整ったことが伝えられた。そして亡命後に藩国へ侵攻してほしいという命令が下された。

皇帝は現場の全権限をアルノルトへ委ねており、不測の事態への対応もすべて任されていた。

リーゼロッテは、藩国攻略を足掛かりとして王国へ圧力をかけることが皇帝の狙いだと説明した。アルノルトは連合王国やウィリアムの動向にも注意を払いながら、藩国侵攻に向けた準備を本格化させたのであった。

第三章 亡命の王女

藩国の王女と義賊たち

亡命計画への協力

ミアは森の屋敷へ戻ると、トラヴィスへ藩国の王女が帝国へ亡命することを報告した。そして自身も計画に協力し、帝国へ向かう予定であると説明した。

テッドは王族や貴族への不信感から反発したが、ミアは人を見る目には自信があると語り、王女を信頼していた。

藩国への失望とアルノルトへの信頼

ミアとトラヴィスは、王女もミアも藩国を変えようと努力してきたにもかかわらず、藩王や貴族たちは変わらなかったことを振り返った。そのため、藩国を内側から変えることは不可能だと認識していた。

一方でミアは、アルノルトは口約束であっても守ろうとする人物だと確信しており、藩国の民を守るという約束も必ず果たそうとすると信じていた。

亡命準備と国境への懸念

ミアは三日後の亡命に備えて荷造りを進めた。また、アルノルトから受け取っていた資金を利用し、民を国境付近へ誘導する計画も立てていた。

トラヴィスは国境軍の存在を危惧したが、ミアは帝国軍の対応に期待しつつ、必要なら自ら足止めすると語った。

藩国脱出と皇帝の思惑

故郷を離れる子供たち

パーシヴァル侯爵領へ向かう馬車の中で、テッドは幼い頃の貧しい生活を思い出していた。

かつて病気になったパティを救ったのはミアとトラヴィスであり、その恩があったからこそ、テッドは亡命計画に不満を抱きながらも二人を責めることはできなかった。

藩国侵攻準備の報告

帝剣城では、宰相がヨハネスへ藩国貴族の調略が順調であり、一週間後には侵攻を開始できると報告した。

しかし宰相は、リーゼロッテが皇太子の死への執着から暴走する危険を懸念していた。

リーゼロッテを任せた理由

ヨハネスは、自分が責任者になってもリーゼロッテは止まらないと語った。そのため、アルノルトへ責任を委ねることで、リーゼロッテを制御できる可能性に賭けていた。

また、アルノルトが本気を見せれば、リーゼロッテも弟ではなく対等な皇族として認めるようになるだろうと考えていた。

帝位争いの本質

宰相から誰を皇帝にしたいのかと問われたヨハネスは、玉座は勝ち取る意思を持つ者のものであり、自分の好みで決まるものではないと答えた。

帝位争いとは、玉座に座る覚悟を持つ者を選ぶためのものであった。

夜空の下の対話

リーゼロッテの過去の傷

夜、フィーネはバルコニーで一人佇むリーゼロッテへ紅茶を差し出した。

リーゼロッテは星空を見ると、母アメリアを失った夜と、皇太子の亡骸を抱いた夜を思い出すと語った。どちらも守りたかった人を守れなかった夜であり、その無力感は今も消えていなかった。

アメリアへの想い

リーゼロッテは、アメリアが穏やかで優しく、人を守る大切さを教えてくれた存在だったと語った。

フィーネは、アメリアがリーゼロッテにとって師匠のような存在だったのだと受け止めた。

激情との決着への決意

フィーネから最悪の記憶を思い出していた理由を問われると、リーゼロッテは当時の激情を思い出すためだと答えた。

そして、その感情と決着をつけるために今回の戦いへ臨む決意を明かした。フィーネはその想いを否定せず、静かに見守った。

連合王国の分裂

ウィリアム処遇を巡る対立

連合王国では、国王と第一王子がウィリアムへ敗戦の責任を負わせようとしていた。

しかし軍部や多くの貴族は反対し、ウィリアムは王都近郊での謹慎処分に留まっていた。

ヘンリックの自殺未遂

ウィリアムは、自害しようとしていたヘンリックを止めた。

ヘンリックは多くの兵士を死なせた罪悪感に苦しんでいたが、ウィリアムは死による逃避を許さず、生きて償うべきだと諭した。

王都進軍の決断

ウィリアムは、死んだ兵士たちやゴードンの想いを背負い、自らの役目を果たすことを決意した。

そして竜騎士たちを率いて王都への進軍を開始した。

王女逃亡

藩王の焦り

マリアンヌ王女の逃亡が発覚すると、藩王ザカリアは激怒した。

王女の亡命は帝国へ侵攻の大義名分を与えるため、王女を捕らえるべく部隊を総動員するよう命じた。

追撃を受ける王女一行

マリアンヌを乗せた馬車は帝国兵の護衛を受けながら移動していたが、藩国軍の騎馬隊による追撃を受けた。

護衛兵たちは少数であり、苦戦を強いられていた。

ファーターの援軍

そこへファーターが現れ、追撃部隊への対応を引き受けた。

ファーターは圧倒的な弓技で騎馬隊を次々と撃破し、王女一行へ先へ進むよう促した。

追撃軍との激戦

ファーターは一人で追撃軍の前に立ち塞がり、驚異的な連射によって敵を迎撃した。

それでも新たな騎馬隊が到着したが、ファーターは動じることなく戦い続けた。

藩国侵攻前の準備

北部貴族への配慮

シャルから北部貴族の若者たちが参戦を望んでいると報告を受けたアルノルトは、彼らを自身の直下部隊として編成し、リーゼロッテへ貸し出す方針を決めた。

これにより北部貴族の面目を保ちながら、東部貴族との摩擦も避けようとした。

リーゼロッテへの不安

アルノルトはエルナへ、リーゼロッテが長兄の死への怒りを三年間抱え続けていることを語った。

そのため藩国侵攻の機会を奪えば、かえってリーゼロッテが壊れてしまうかもしれないと考えていた。

エルナの励まし

エルナは、アルノルトの真っ直ぐな想いはリーゼロッテにも届くはずだと励ました。

アルノルトはその言葉を受け、少しだけ表情を和らげた。

宰相の影の壊滅とラファエルの暗躍

王女亡命前倒しの影響

王女亡命が前倒しされたことで、宰相の影たちは急いでアルノルトへの連絡を行っていた。

しかし国境へ向かう途中で追手に襲われ、次々と消息を絶っていった。

ラファエルの襲撃

最後に残った宰相の影の前へ現れたのはラファエルだった。

ラファエルは宰相の影を倒し、王女護衛部隊の居場所を探るため追跡を続けた。

護衛部隊の壊滅

ラファエルは護衛部隊の陣地を襲撃し、兵士たちを次々と殺害した。

隊長が自爆覚悟の攻撃を仕掛けてもラファエルは無傷で生き残り、最終的に部隊を全滅させた。

隠された素顔

ラファエルは戦いの最中、一時的に偽装を解いて本来の翡翠色の瞳と桜色の髪を見せた。

隊長はその意味に気付いたが、直後に首を刎ねられた。ラファエルは再び偽装を施し、その場を去った。

王女亡命と国境の動き

パーシヴァル侯爵領への到着

マリアンヌはパーシヴァル侯爵領へ到着し、侯爵から避難してきた民が約二百名であると報告を受けた。

マリアンヌは数の少なさを惜しみながらも、集まった民を守る決意を固めた。

連絡途絶による異変

しかし護衛部隊や宰相の影との連絡が途絶えており、帝国側は異常事態を察知した。

何らかの問題が発生していることは明らかであった。

ミアの護衛申し出

ミアは自ら正体を明かし、王女と民を護衛すると申し出た。

そしてアルノルトなら困っている民を見捨てないと語り、マリアンヌもその言葉を信じて国境への移動を決断した。

藩国軍の出撃

一方、藩国軍も王女亡命の報を受けて動き出した。

将軍は王女を捕らえるため、北部国境で謹慎中だったエイブラハムを呼び戻し、追撃部隊の指揮を任せることを決定した。

偵察体制の変更提案

ユルゲンの提案

ユルゲンは検問を緩和し、その代わりに偵察部隊を増やす案をアルノルトへ提案した。

流通の停滞を解消しながら監視能力を高める内容であり、アルノルトは即座に承認した。

リーゼロッテを認めさせる方法

アルノルトはユルゲンへ、リーゼロッテに認められる条件を尋ねた。

ユルゲンはリーゼロッテが特殊な存在であると前置きしつつ、現在は二人が求める結果そのものが異なっていると指摘した。

葛藤と助言

アルノルトはリーゼロッテの激情を否定できないと語った。

ユルゲンは、それなら誰かを真似るのも手だと助言し、かつての皇帝ヨハネスの名を挙げた。アルノルトはその言葉を胸に刻んだ。

国境への調査命令

その直後、セバスから宰相の影との連絡が途絶えたと報告が入った。

異変を察したアルノルトは即座に行動を決断し、エルナへ国境の状況確認を命じた。エルナは事態の深刻さを理解し、ただちに国境へ向かって飛び立ったのであった。

国境での異変の発見

護衛部隊壊滅の痕跡

国境へ向かったエルナは、空からの調査では異常を発見できなかった。しかし森へ降りると、大規模な爆発の痕跡と多数の死体を発見した。

死体の状況から、護衛部隊は少数の手練れによる奇襲で壊滅させられたと判断した。そして、その手口からラファエルの関与を察知し、姿を現すよう呼びかけた。

エルナとラファエルの戦い

呼びかけに応じて現れたラファエルとエルナは激しく剣を交えた。

速度は互角だったが力ではエルナが優勢であり、ラファエルは徐々に押し込まれていった。ラファエルはアルノルト暗殺の可能性を示唆して動揺を誘おうとしたが、エルナはそれを見抜き、冷静さを失わなかった。

奥義の破綻とラファエルの窮地

追い詰められたラファエルは反撃を狙う特殊な構えを見せた。

しかしエルナはその仕組みを理解したうえで攻撃し、逆にラファエルの剣を砕いた。ラファエルは首を掴まれて地面へ叩きつけられ、捕縛寸前まで追い込まれた。

黒衣の人物の介入

その時、黒いローブをまとった人物が突如として現れた。

エルナの攻撃を容易く受け流したうえで蹴り飛ばし、エルナは相手がラファエル以上の実力者だと悟った。黒衣の人物は共闘を拒否してラファエルへ撤退を促し、転移の魔導具によって二人はその場から消え去った。

未知の強敵の存在

追跡手段を失ったエルナは、黒衣の人物の存在を重大な脅威と判断した。

そして情報を伝えるため、一刻も早くアルノルトのもとへ戻ることを決めた。

魔剣に魅入られたエイブラハム

魔剣が変えた人生

エイブラハムは元々平凡な軍人だったが、魔剣「血命」を手に入れたことで大佐へ出世していた。

しかし魔剣の影響によって人格も変質し、血への異常な執着を抱くようになっていた。王女亡命阻止の命令と共に魔剣を返還されたエイブラハムは歓喜し、騎馬隊を率いて出撃した。

護衛部隊壊滅の発見

マリアンヌたちは帝国国境付近で壊滅した護衛部隊の拠点を発見した。

帝国兵たちは計画が敵に察知された可能性を指摘したが、もはや引き返せる状況ではなく、そのまま前進するしかなかった。

アルノルトへの救援要請

ミアは帝国軍との合流を待つよりも、アルノルトへ直接救援を求めるべきだと提案した。

敵が伝令を狙う可能性を考慮し、複数の伝令を送る必要性を説明したうえで、自ら推薦する人物を伝令役に選んだ。

テッドへの託された使命

伝令役に選ばれたのはテッドだった。

ミアは子供であることが敵の警戒を避ける利点になると説明し、アルノルトへ助けを求める重要な役目を託した。テッドは不満を抱きながらも任務を引き受け、帝国へ向けて出発した。

エイブラハムの追跡開始

追跡の開始

エイブラハムは一部の兵を帝国側へ潜入させて伝令の抹殺を命じ、自身は王女一行の痕跡を追っていた。

やがて馬車の痕跡を発見し、帝国側が用意した逃走路だと見抜いて追跡を開始した。

逃走経路の見破り

途中で足跡の数が減っていることに気づいたエイブラハムは、相手が二手に分かれたと判断した。

さらに馬車による移動が囮であり、徒歩で移動する少人数の集団こそ本命だと見抜き、本隊への追撃を続けた。

囮となったマリアンヌたち

ミアとマリアンヌは森の奥へ進み、時間稼ぎを優先した。

敵が民を追わなかったことで、民を危険に巻き込まずに済んだことへ安堵しながらも、自分たちが囮となって救援到着まで耐える覚悟を固めた。

助けを待つ側から助けを呼ぶ側へ

ミアは、かつて帝国で助けを待った経験を思い出していた。

今度は自分たちが助けを呼び、その到着まで耐える立場になったのだと感じながら、マリアンヌを導いて森を進み続けた。

伝令として走り続けるテッド

孤独な伝令行

テッドは兵士たちと別れ、一人で帝国領を目指した。

休むことなく走り続けた末に領都デュース近くまで到達したが、その直前で馬が力尽きて倒れた。

貴族との衝突

徒歩で街を目指したテッドは、騎士たちの馬を借りようとして取り押さえられた。

事情を説明しても信じてもらえず、怒りを爆発させて貴族たちを非難した。

ユルゲンの説得

そこへ現れたユルゲンは、テッドが自分以外の誰かを助けるために必死で走ってきたことを見抜いた。

そして役目を果たしたいなら争っている場合ではないと諭した。テッドは葛藤の末に頭を下げ、馬を貸してほしいと頼んだ。

アルノルトのもとへ

ユルゲンは自らの馬へテッドを乗せ、アルノルトの屋敷へ向かった。

門が開き切る前に強引に突破しながらも、一刻を争う状況のため全速力で走り続けた。

王女亡命の報告

救援要請の到着

アルノルトはエルナからラファエルとの戦闘や黒衣の人物について報告を受けていた。

そこへテッドが到着し、王女亡命の状況と護衛部隊壊滅を必死に訴えた。

ミアからの手紙

テッドはミアから託された袋を渡した。

中にはアルノルトが以前ミアへ渡した金貨と手紙が入っており、アルノルトは差出人がミアであることを理解した。

出陣の決断

アルノルトはミアへの恩義を理由に、即座に出陣を決断した。

危険や責任は自分が背負うと宣言し、救援の準備を開始した。

フィーネの励まし

フィーネは疲弊したテッドへ水と食事を渡し、ミアの無事を祈っていると伝えた。

その言葉を受けたテッドは希望を取り戻した。

救援軍の出発

ユルゲンは東部諸侯連合軍へ向けて演説を行い、戦う覚悟のある者だけが続けと呼びかけた。

その結果、即応できた騎士たちがアルノルトの後を追い、救援軍は国境へ向かった。

森の包囲網とミアの反撃

森での持久戦

ミアは包囲の薄い箇所を突いて奇襲を繰り返し、藩国軍を翻弄していた。

兵士たちの恐怖は増し、捜索の精度も低下していたが、エイブラハムは冷静に包囲網を縮め続けた。

追い詰められるマリアンヌ

逃亡生活によってマリアンヌは極度に疲弊していた。

ミアはその様子を見ながらも、必ず命を守り抜くと決意し、戦いへ備えた。

エイブラハムとの遭遇

包囲網完成後、ミアはついにエイブラハムと対面した。

魔弓による攻撃で応戦したが、エイブラハムは防ぎ切り、王女を連れている以上いずれ限界が来ると判断して追撃を続けた。

追撃戦とミアの決断

森を抜けた逃走

ミアたちは帝国領へ入ったが、森を抜けたことで隠れる場所を失った。

追撃するエイブラハムとの距離は縮まり続けていた。

魔弓と魔剣の激突

ミアは魔弓で戦いながら、エイブラハムの異常な反応が魔剣によるものだと見抜いた。

しかしエイブラハムは魔剣に支配され、血への執着だけを追い求めていた。

マリアンヌの捕縛

戦闘中、先回りしていた兵士たちがマリアンヌを拘束した。

その隙を突かれたミアは重傷を負い、戦闘不能へ追い込まれた。

最後の反撃

それでもミアは誇りを失わず、最後の力で反撃した。

仕込んでいた矢によってエイブラハムへ一撃を与え、マリアンヌを拘束していた兵士たちも射抜いた。

救援到来の兆し

マリアンヌは逃げずにミアの前へ立った。

エイブラハムが勝利を宣言する中、空から飛竜の鳴き声が響き、戦場に新たな変化が訪れた。

国境への強行軍

リーゼロッテとの合流

アルノルトは国境へ向けて強行軍を続けた。

途中でリーゼロッテが合流し、事態の深刻さを理解したうえでアルノルトの判断を見守ることを決めた。

亡命民との遭遇

一行は国境付近で約二百人の亡命民と遭遇した。

アルノルトは反対意見を退け、自ら責任を負う形で全員の受け入れを決定した。

飛竜による救援

フィンと飛竜ノーヴァが到着すると、アルノルトは騎士たちの指揮をリーゼロッテへ任せ、自ら飛竜で救援へ向かった。

マリアンヌ亡命の承認

現場へ到着したアルノルトは、エルナとフィンの援護によってミアとマリアンヌを救出した。

その後、マリアンヌは正式に亡命を願い出て、アルノルトはそれを受け入れた。

国境の対峙とアルノルトの宣言

亡命者を守る決意

アルノルトは、亡命したマリアンヌと民たちは帝国の保護下にあると宣言した。

そして北部全権代官として、自らの領民を守る責任があると断言した。

藩国討伐の宣言

リーゼロッテ率いる大軍が到着すると、アルノルトは皇帝の名代として藩国討伐を宣言した。

民を顧みない王や貴族を討つための戦争であると告げ、帝国軍は突撃を開始した。

リーゼロッテの覚悟

リーゼロッテはヴィルヘルムの仇討ちだけでなく、民を救うために戦うと誓った。

一方で消えない怒りも認め、その感情をエイブラハムへ向けた。

エイブラハムの最期

包囲されたエイブラハムは逃走を試みたが、ユルゲンに動きを封じられた。

その隙にリーゼロッテが魔剣を持つ腕を斬り落とし、最後は首を貫いて討ち取った。

北部侵攻の開始

藩国侵攻の命令

戦後、アルノルトはリーゼロッテへ藩国侵攻を命じた。

マリアンヌ亡命の成功と藩国内の混乱を利用し、帝国は先手を取って進軍を開始することになった。

ミアの危機

ミアは魔剣の力によって治癒魔法が阻害され、命の危険に晒されていた。

近衛騎士たちにも有効な手立てはなく、状況は深刻だった。

ジャックの後悔

ファーターことジャックは、自分が傍にいればミアを守れたかもしれないと後悔していた。

そして父親として責任を果たせなかった過去を悔い、無力感を吐露した。

アルノルトによる治療

アルノルトは治癒結界を展開し、魔剣の影響を打ち消した。

その結果、ミアの傷は回復へ向かい、近衛騎士たちの治癒魔法も正常に機能するようになった。

帝都への帰還命令

その後、アルノルトは皇帝からマリアンヌを伴って帝都へ帰還するよう命じられた。

アルノルトはその命令を受け入れ、マリアンヌを連れて帝都へ戻ることを決意したのであった。

エピローグ

帝都帰還への憂鬱

アルノルトは屋敷の一室でフィーネの淹れた紅茶を飲みながら、帝都へ戻った際に皇帝から叱責されない方法はないかと漏らしていた。

フィーネは、皇帝は怒るのではなく功績を誇りに思っているはずだと答えた。アルノルトは多少の説教は覚悟していたものの、マリアンヌの後ろ盾になるためにも帰還を避けられない状況を受け入れていた。

フィーネの言葉

フィーネは、皇帝もアルノルトに会いたがっているのだろうと語った。

さらに、自分もアルノルトに会いたくて北部へ来られたことを嬉しく思っていると打ち明けた。その優しい言葉を聞いたアルノルトは、帝都へ帰ることへの気持ちが少し軽くなった。

また、アルノルトが自分を上手く乗せるようになったと指摘すると、フィーネはそれだけアルノルトを理解できているということだと喜んだ。

フィーネへの想いと現状維持の選択

穏やかな時間を過ごす中で、アルノルトはリーゼロッテから聞かされたマリアンヌとの縁談の話を思い出していた。

その際は意中の相手はいないとして断っていたが、今はフィーネの存在を特別に感じていた。フィーネの傍は居心地が良く、この穏やかな空間を失いたくないと思っていたのである。

しかし、フィーネを意中の相手として公言すれば新たな面倒が生じることも理解していた。そのため、アルノルトは現状維持を望み、この時間を大切にしたいと考えていた。

穏やかなひととき

フィーネに紅茶のおかわりを勧められると、アルノルトはそれを受け取った。

暗躍を続ける日々の中で、フィーネと過ごすこの場所だけが心を休められる場所であり、その穏やかな時間を守りたいと願いながら、アルノルトは再び紅茶を口にしたのであった。

特典 書き下ろし短編『シャルの電気マッサージ』

肩の凝りと束の間の休息

北部全権代官としての激務

アルノルトは夜遅くまで書類の山と向き合いながら、疲労を感じていた。

北部全権代官となったことで、領地運営や現場視察、貴族との折衝に加え、大量の書類仕事を抱えるようになっていた。本来なら補佐する人材が必要な役職だったが、帝国内では文官が不足しており、多くの業務を自ら処理しなければならなかった。そのため仕事は終わらず、休む時間も十分に取れない状況だった。

シャルの気遣い

そこへシャルが紅茶を持って部屋を訪れ、休むよう勧めた。

アルノルトは仕事を減らしたいと考えていたが、シャルは無理をして倒れては意味がないと諭した。さらに、自分は大した助けができていないと申し訳なさそうに語った。

しかしアルノルトは、シャルも領地運営のために十分働いていると認め、お互いに苦労を分かち合える仲間が必要だと話した。

肩こり解消の試み

愚痴として肩こりを訴えたアルノルトに対し、シャルは肩揉みを申し出た。

長時間の書類仕事で凝り固まった肩はなかなかほぐれず、シャルは呆れながらも丁寧に揉み続けた。運動不足を指摘されても、アルノルトは鍛えるより戦場に出ない方法を考える方が良いと答えた。

その後、シャルはより効果的な方法として雷の魔法を利用した刺激を与えることを提案した。過去に親族や自分自身にも行ったことがあると説明しつつ、皇子相手に魔法を使うことへ抵抗を見せた。

友人としての想い

アルノルトが北部にとってだけでなく、自分にとっても重要な存在かと問い返すと、シャルは少し戸惑いながらも大事な友人だからだと答えた。

その言葉を聞いたアルノルトは満足そうに笑い、自分が必要とされていることを喜んだ。しかし照れ隠しのようにシャルは雷の刺激を強め、アルノルトは痛みに悲鳴を上げることになった。

肩こり解消と新たな決意

シャルは健康のためだと言いながら電気を流し続け、アルノルトの抗議を聞き流した。

翌日になると肩こりは見事に解消されていた。しかしアルノルトは、その効果を認めつつも二度と同じ方法は受けまいと心に誓ったのであった。

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