新約 とある魔術の禁書目録(6)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(8)レビュー
物語の概要
■ 作品概要
『新約 とある魔術の禁書目録(7)』は、科学と魔術が交差する世界を描いた学園異能バトル・ファンタジーである。物語は、上条当麻が土御門元春の手引きによって、敵性魔術師の脅威から街を守るため、男子禁制の名門お嬢様学校エリア「学舎の園」へ箱詰めで潜入させられるところから幕を開ける。しかしそれは序章に過ぎず、事件の裏には学園都市統括理事会の一人・薬味久子が主導する「人的資源」プロジェクトが存在していた。8歳の少女フレメア=セイヴェルンを核(キュー)として、約7500人の「ヒーロー」たちを意図的に暴走させ、同士討ちを目論む巨大な陰謀が進行する。土御門元春の血みどろの暗躍、複数能力を操る怪物サイボーグ「恋査」の脅威、そして学園都市の超能力者(レベル5)たちが入り乱れる大規模な暴動が描かれる。
■ 主要キャラクター
- 上条当麻:右手に異能を打ち消す「幻想殺し(イマジンブレイカー)」を持つ少年。「学舎の園」への決死の潜入から始まり、フレメアを守るために巨大な陰謀と怪物サイボーグ「恋査」に真っ向から立ち向かう。
- 土御門元春:上条の悪友であり、科学と魔術の多角スパイ。義理の妹である舞夏を守るために自ら彼女の死を偽装し、破滅的な復讐鬼と化して「人的資源」プロジェクトの黒幕を血祭りに上げるべく暗躍する。
- フレメア=セイヴェルン:「人的資源」プロジェクトにおいて、ヒーローたちを操るための「庇護対象」として狙われる8歳の少女。事件の終盤では、ただ守られるだけの存在から脱却し、自らが皆を守る存在になることを決意する。
- 食蜂操祈:学園都市第五位の超能力者。精神系能力「心理掌握(メンタルアウト)」を操り、「学舎の園」に潜入した上条当麻の事情を汲んで行動を共にする。
- 薬味久子:学園都市統括理事会の一人で、「人的資源」プロジェクトの真の黒幕。人の命を玩具のように扱い、自らをAIM思考体へと深化させて新たな領域へ到達しようと企む狂気の研究者である。
- 恋査:脳以外のほぼ全身を機械化した女性型サイボーグ。人体配線を切り替えることで第一位から第六位までの超能力者の能力を引き出せる圧倒的な戦闘力を持ち、フレメアや上条たちの前に立ち塞がる。
- 浜面仕上:無能力者の少年。フレメアを守るため、仲間の黒夜海鳥と共闘し、強大な力を持つ恋査に決死の覚悟で挑む。
■ 物語の特徴
本作の最大の特徴は、学園都市に存在する「ヒーロー」と呼ばれる約7500人もの人間が、不自然な天啓によって誘導され、一人の少女を巡って大規模な同士討ち(共食い)を引き起こすという「人的資源」プロジェクトの恐るべきスケールにある。また、一方通行、垣根帝督、御坂美琴、麦野沈利、食蜂操祈、削板軍覇といった学園都市が誇る超能力者(レベル5)たちが一堂に会し、それぞれの信念に基づいて大暴動を制圧していく展開は、読者に強烈なカタルシスを与える。さらに、土御門元春がたった一人で暗部を相手に死闘を繰り広げるダークな群像劇や、使い捨てにされるサイボーグ「恋査」が抱える悲哀など、単なる勧善懲悪に収まらない重厚なドラマも本作の大きな魅力である。
書籍情報
新約 とある魔術の禁書目録 7
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA(電撃文庫)
発売日:2013年5月10日
ISBN:9784048916042
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あらすじ・内容
次なる『使命』は、あの常盤台中学を擁するお嬢様エリアへの潜入捜査!?
上条当麻が目覚めた場所は『暗闇の密室』だった。彼をそこに送り込んだのは、土御門元春。学園都市に潜入した敵性魔術師が、霊装で学園の壊滅を狙っているらしい。 大規模術式発動阻止の『使命』を受けた上条は、残り数時間で『暗闇の密室』から抜け出した!! ――のだが、目の前に広がったのは、名門お嬢様女子校の更衣室で……。 ド変態の烙印を押され、女学生たちから追われる中、必死で霊装探索を行う。 御坂美琴にも発見され、ついにチェックメイトかと思われたその瞬間……“幸運”にも、救いの手がさしのべられた。 常盤台中学、第五位の超能力者『心理掌握』の食蜂操祈。 この出会いは、偶然の産物か、それとも『何者か』による必然の産物か――。 科学と魔術が交差するとき、物語は始まる!
感想
読んでまず感じたのは、前半と後半の温度差の激しさである。
冒頭では、上条当麻が男子禁制の「学舎の園」へ箱詰めで運び込まれるという、いかにも禁書らしいコミカルな展開から始まる。「今回は少し息抜きの巻なのかな」と思っていたが、その予想はあっさり裏切られた。気付けば息つく間もなく、重く苦しい戦いへ引き込まれていた。
特に印象に残ったのは、土御門元春の戦いである。
義理の妹を守るために始まった行動が、いつしか復讐へ変わっていく。その過程がとても痛々しかった。
傷だらけになりながらも一人で進み続ける姿を見ていると、「そこまで一人で背負わなくてもいいのに」と感じずにはいられない。
だからこそ、上条と真正面からぶつかり合う場面は胸が苦しくなった。
敵同士ではなく、親友同士だからこそ殴り合うしかない。そのやるせなさが、この巻でも特に印象深い場面だった。
後半は一転して、物語のスケールが一気に広がっていく。
フレメアを起点に始まる『人的資源』プロジェクトによって、学園都市中のヒーローたちが同士討ちへ誘導される展開には驚かされた。
個人同士の戦いではなく、街全体が戦場になってしまう絶望感は、新約に入ってからの禁書らしいスケールの大きさを感じさせる。
そんな中でも、フレメアを助けようと必死に走り続ける浜面仕上の姿はやはり熱かった。
彼は特別な能力を持っているわけではない。
それでも、大切な人を守るために迷わず飛び込んでいく姿には、毎回心を動かされる。
さらに、一方通行や垣根帝督まで加わり、それぞれの立場で事件へ関わっていく展開には大きな盛り上がりを感じた。
主人公が一人だけではなく、それぞれのヒーローが自分の信念で動くところが、このシリーズの面白さなのだと思う。
そして、今回もう一人印象に残ったのが食蜂操祈である。
表紙では圧倒的な存在感を放っているにもかかわらず、上条の前には直接姿を現さない。
能力を使って他人を介しながら会話を進めていく構成は、彼女らしさがよく表れていて面白かった。
本人が前へ出なくても、しっかり存在感を残せるところが食蜂というキャラクターの魅力なのだろう。
終盤の恋査との戦いも迫力があり、最後まで緊張感が途切れなかった。
事件そのものは上条の活躍によって決着を迎える。
しかし、最後に描かれる不穏な展開を見ると、「これで終わりではない」という空気が強く伝わってくる。
読後に感じたのは、この巻は大きな事件を解決しながらも、さらに大きな物語への助走になっているということである。
コミカルな導入から始まり、友情、復讐、大規模な戦いへと一気に駆け抜ける構成は最後まで飽きることがなかった。
次はどれほど大きな騒動が待っているのか、不安と期待が同時に膨らむ一冊であった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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新約 とある魔術の禁書目録(6)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(8)レビュー
考察・解説
学舎の園
提供された資料に基づき、『新約 とある魔術の禁書目録(7)』に登場する「学舎の園(まなびやのその)」について解説する。
エリアの概要から、男子禁制を徹底する異常なセキュリティ、お嬢様たちの独特な生態、そして新約7巻の物語における緊迫した関わりにいたる詳細は以下の通りである。
最新テクノロジーが眠る五つの有名女子校による共同管理エリア
学舎の園は、常盤台中学を含む五つの有名女子校が共同管理しているエリアであり、乙女の花園とも呼ばれている。
・広さはおよそ二キロ四方程度である。
・その内部は超能力開発に関する重要な情報や、門外不出の最新テクノロジーが眠る宝庫となっている。
衛星地図非公開と厳重な非破壊検査による徹底された男子禁制
このエリアは完全な男子禁制であり、不法侵入すれば軍用犬に追われたり銃火器と対面したりするほどの厳重な防衛設備が敷かれている。
・その徹底ぶりは極端であり、教師陣を母体とするプロの治安維持要員である警備員であっても、男性であるという理由で立ち入りを拒否されるほどである。
・五つの学校は共同運営しつつもライバル関係にあるため、詳細な見取り図が公共の場に置かれることはなく、衛星地図も基本非公開となっている。
・ゲートでの荷物検査も厳しく、過去に印象派の絵画に機密チップを隠して持ち出そうとした事件があった。
・そのため、美術品や骨董品に対しては磁気やX線などの非破壊方式による別枠の検査が行われている。
男性の記号による判断と社会科実習を兼ねた独自の基礎労働
内部には敷地の外へ出ない純粋培養のお嬢様が多く生活している。
・彼女たちは防犯、安全講習を行う際にも男性警備員を招き入れることを拒む。
・そのため、精巧なレプリカ装備を使って女子生徒に警備員役を演じさせている。
・男性を見慣れていないため、顔ではなく服装などの記号で人を測る傾向がある。
・これにより、警備員の服を着ていれば大人だろうと素通りしてしまう危うさも持っている。
・また、将来の社会生活の困難を恐れるあまり、学校公式店舗で社会科実習を兼ねた基礎労働を行うなど、セレブゆえの浮世離れした一面も描かれている。
女子更衣室への送り込みと珍獣捜索隊からの逃亡劇
本作の序盤において、土御門元春は密教系魔術師である梅咲優雅の霊装である明王の壇の発動を阻止するという名目を立てる。
・その名目のもとで、上条当麻を箱詰めにして学舎の園の女子更衣室へ送り込んだ。
・上条はド級の変態や盗撮犯という冤罪を着せられ、フェンシングのサーブル片手に追ってくる珍獣捜索隊の女子生徒たちから逃げ回る過酷な状況に陥る。
・その後、学園都市第五位の超能力者である食蜂操祈と遭遇し、彼女に操られた生徒たちの協力で地図を集めたり、警備員の変装を利用して探索を進めたりした。
・しかし最終的に、この魔術師の脅威自体が、土御門が上条を隔離して自身の復讐劇から遠ざけるためのダミー情報であったことが判明する。
まとめ
学舎の園は、最高峰の機密と純粋培養のお嬢様たちを守るために極端な男子禁制と厳重なセキュリティを敷いた、学園都市内でも特異な聖域である。最新技術の防衛網や厳格な物品検査によって外部から遮断されているが、それゆえに男性を記号で判断してしまうといった独自の浮世離れした生態が形成されていた。新約7巻の序盤では、この閉ざされた空間が上条当麻を隔離するためのダミーの舞台として利用され、迫り来る珍獣捜索隊から逃れるコメディタッチな逃亡劇が繰り広げられるとともに、土御門の復讐劇の裏に隠された謀略の巧妙さを引き立てる重要な舞台設定となっている。
食蜂操祈の介入
提供された資料に基づき、『新約 とある魔術の禁書目録(7)』における学園都市第五位の超能力者である食蜂操祈(しょくほうみさき)の介入について解説する。
本作において彼女は物語の表紙を飾っているにもかかわらず、彼女本人が直接上条当麻の前に姿を現すことはなく、能力で別の少女を操って間接的にサポートするという非常に特異な立ち位置で介入している。その詳細な経緯や活躍の全容は以下の通りである。
別の少女を操る形での接触と過去の特別な縁を匂わせる動機
土御門元春の手引きによって男子禁制の学舎の園に箱詰めで送り込まれ、女子生徒たちからド変態の盗撮犯として追われていた上条当麻の前に、食蜂はおかっぱの少女を操る形で接触する。
・彼女が事件に介入した理由は、自分が中途半端に関わった事件を、尻切れトンボのまま放っておかれるのが癪だったからというものであった。
・魔術の存在など知らなくても上条の言葉を信じて協力する理由については、全く別のところにあると語る。
・これにより、上条との過去の特別な縁や因縁を匂わせている。
心理掌握による最大派閥のネットワークを駆使した手厚いサポート
学舎の園の内部で明王の壇を探す上条に対し、食蜂は自身の能力である心理掌握(メンタルアウト)を駆使して全面的に協力した。
・地図の収集と変装:プリセット済みの生徒たちを使って五つの学校の地図を集めさせ、全体見取り図を完成させる。さらに、純粋培養のお嬢様たちの記号で人を測る習性を利用し、上条を警備員のレプリカ装備に着替えさせて街中を堂々と歩けるようにした。
・情報収集と潜入:搬入ゲートの詰め所に押し入り、検査要員に指示を出して怪しい純和風の骨董品を持ち込んだ白羽社交応援会を特定する。さらに、上条を囮にして会員の少女から認証カードを鮮やかにスリ取り、ビルへの侵入経路を確保した。
リモコンを用いた同士討ちによる戦場制圧と御坂美琴との張り合い
上条が学舎の園を抜けて巨大複合施設である博覧百科へ向かった後も、食蜂は独自に彼の行方を追跡した。
・博覧百科では、人的資源プロジェクトによって暴走した数千人のヒーローたちがカオスな戦闘を繰り広げていた。
・食蜂は、私に攻撃する者は優先して排除しろ、あるいは、攻撃すべき対象は隣にいる少年だ、といった命令をリモコンで飛ばし、敵を同士討ちさせることで無傷のまま戦場を制圧していく。
・その最中、同じく上条を追ってきた御坂美琴と遭遇する。
・食蜂が逸らした攻撃が美琴に向かうなどして小競り合いとなり、二人は、先に上条のもとへ辿り着いた方が好きにする、と宣言して張り合うことになった。
まとめ
本作における食蜂操祈は、圧倒的な情報収集能力と心理掌握の力を駆使し、上条当麻の窮地を裏から救い出す頼もしいジョーカーとしての役割を果たしている。学舎の園での変装潜入ルートの確保から、博覧百科での巧妙なリモコン操作による同士討ちの誘導にいたるまで、そのサポートの質は極めて手厚い。しかし、上条本人には直接顔を見せられないという制約があり、美琴と張り合いながらも間接的な介入に留まるその姿は、彼女が抱える複雑な距離感と切ない魅力をより一層際立たせている。
土御門の復讐
『新約 とある魔術の禁書目録7』における土御門元春の復讐劇は、物語前半の大きな軸として描かれている。
舞夏の安全確保と復讐の始まりから、暗部関係者への容赦のない追跡、貝積の執務室で明かされた真実と死闘、そして上条当麻との悲痛な激突にいたる全容は以下の通りである。
妹の生存偽装と自分を追い込んだ元凶の抹殺を決意した破滅的動機
土御門の復讐は、義理の妹である土御門舞夏の死から始まるように見えたが、実際には舞夏は死んでいなかった。
・彼は人的資源(アジテートハレーション)プロジェクトを調査する中で、家族に危害が及ぶと判断する。
・そのため、先んじて舞夏を死亡したように偽装して身柄を隠し、自ら部屋に火を放った。
・しかし、土御門は、妹だけは裏の世界に関わらせない、という自身のルールを破る。
・闇の技術を使って妹に手を上げざるを得なかった状況そのものに絶望していた。
・その結果、自分をこのような状況に追い込んだ元凶すべてを殺すと決意し、破滅的な復讐鬼と化してしまった。
上条当麻の隔離と魔術行使による自身の肉体への深刻なダメージ
復讐を遂行するため、土御門はまず親友の上条当麻を事件から遠ざけようとした。
・ダミーの魔術師の情報を与え、彼を男子禁制の学舎の園へと箱詰めにして送り込む。
・その後、彼は武器商人の不願竜造を襲撃して情報を引き出し、暗部の仲介人である蜘蛛の女王から実動要員のリストを入手した。
・リストの人物たちは黒幕の口封じによって次々と蜂の毒であるギ酸などで窒息死させられており、土御門自身も狙撃の標的となる。
・彼は生き延びるために魔術を使ってビルを破壊し、自身の肉体に深刻なダメージを負いながらも追跡を続けた。
雲川芹亜との死闘と執務室で突きつけられた薬味久子の罠
統括理事会の一人である薬味久子を尋問して黒幕が貝積継敏だと推測した土御門は、彼のいる高層ビルへと向かった。
・そこで貝積のブレインである雲川芹亜と死闘を繰り広げ、銃撃を受けながらも二度目の魔術を行使して彼女を無力化する。
・トラップを避けるために外壁を素手で登り、貝積の執務室へ辿り着いた。
・しかし、そこで貝積から、自分と土御門を共倒れさせようとする第三者である薬味久子の罠である、という真実を知らされることとなる。
威圧感を欠いた拳の応酬と涙を流す上条当麻による殴り倒し
そこへ、事態の真相を追ってきた上条当麻が到着した。
・すでに満身創痍であり、すべてが敵の思惑通りだったと悟った土御門は、言葉を交わす余裕もなく上条と殴り合いを始める。
・しかし、その拳にはかつての圧倒的な威圧感はなく、ただの素人のように弱々しいものであった。
・上条は、土御門が自分に負けてしまうほどボロボロになっていたことに絶望と屈辱を感じ、涙を流しながら彼を殴り倒した。
まとめ
事件収束後、土御門は裏社会の落とし前をつけるため、雲川芹亜によって川へ撃ち落とされる処刑の儀式を受けた。しかしそれは血液入りのペイント弾を使った偽装であり、実際には生存して事態を切り抜けている。そして、彼が守ろうとした舞夏も無事なままであった。土御門元春の復讐劇は、妹を守るために自ら課した禁忌を破り、満身創痍になりながらも闇の核心へと突き進んだ、凄惨でありながらも妹への深い愛に裏打ちされた戦いであったと言える。
統括理事・薬味久子
『新約 とある魔術の禁書目録(7)』に登場する学園都市統括理事会の一人、薬味久子(やくみひさこ)について解説する。
学園都市の最高権力機関における概要と狂気の人物像から、人的資源プロジェクトの真の目的、自立の宣言に伴う計画の崩壊、そしてフロイラインによる捕食と木原の影にいたる凄惨な結末の全容は以下の通りである。
アンチエイジングによる若返りとハイスコアへの執着が生んだ狂気の研究
薬味久子は、学園都市の最高権力機関である統括理事会(12人のVIP)の一人であり、特に医療分野において絶大な影響力を持つ人物である。
・実年齢は70歳を超えているが、アンチエイジング技術によって30代程度の若い女性の姿(白衣に長いカールヘア)を保っている。
・医療の専門家でありながら延命や不老不死には全く興味がなく、人生の最高値(ハイスコア)をどこまで叩き出せるかという一点にのみ執着している。
・人の命を非常に軽く見ており、その日の気分で他人を闇に落としたり、非道な人体実験を嬉々として行ったりする。
・具体的には、サイボーグ恋査の製造や、食人ゴキブリ、暗殺兵器の開発などを手がける狂気の研究者である。
建前の計画の裏に隠された肉体の廃棄とAIM思考体への深化
彼女は本作における最大の陰謀である人的資源(アジテートハレーション)プロジェクトを主導した真の黒幕である。
・他の理事会メンバーには、不確定因子であるヒーローたちを共食いさせて消滅させる計画だと言い表していたが、それは彼女にとっての副産物(建前)に過ぎなかった。
・彼女の本命は、流体力学を応用した濃淡コンピュータの理論をAIM拡散力場に当てはめ、自らの肉体を捨ててAIM思考体へと深化することであった。
・自らを情報生命体へと昇華させ、自分を学園都市に繋ぎ止めている最後の楔であるフレメア=セイヴェルンを殺害することを画策する。
・最終的には全世界の空気を媒体とする巨大な思考回路へと進化し、科学の枠組みを超えたまだ見ぬ何か(想像を絶するもの)を目撃しようと企んでいた。
庇護対象からの自立による妨害と幻想殺しの一撃による粉砕
サイボーグ恋査を使ってフレメアの殺害を試み、自らはAIM思考体として高みの見物を決めていた薬味であったが、土壇場で計画は崩壊する。
・フレメアがただ守られるだけの存在であることを拒絶し、今度は私がみんなを守ると自立を宣言した。
・これにより、フレメアは人的資源の要である庇護対象という枠組みから外れることとなる。
・そして、無能力者でありながらAIM拡散力場を介して薬味久子のシステムに干渉し、見知らぬ他人の記憶や情報を流し込んで薬味の意識をパンクさせ、彼女を恋査の体内へと叩き落とした。
・その後、恋査の体内で暴走する薬味の意識は、上条当麻の幻想殺し(イマジンブレイカー)によって一撃で粉砕、消滅させられた。
フロイラインによる生きたままの捕食と木原のパトロンに過ぎなかった皮肉
一度は粉砕された薬味であったが、食人ゴキブリの群体移動が発する匂いを媒体演算のバックアップとして利用し、路地裏で情報生命体として復活を果たした。
・彼女は諦めずプロジェクトの再開を目論むが、そこに天敵である不死の少女、フロイライン=クロイトゥーネが現れる。
・物理法則を無視したフロイラインによって、友達を傷つけたお仕置きとして生きたまま捕食されてしまう。
・最後の一欠片だけを残され、複雑化も単純化もできないまま永劫にのたくるだけのモノとして永遠の地獄を味わうという凄惨な末路を迎えた。
・さらに事件の翌日、彼女の異常なまでの知的好奇心や狂気的な思考は、実は木原(リクルートスーツに白衣の女)によって暗闇の五月計画のような形で後天的に植え付けられたもの(嘘)であったことが示唆される。
・統括理事会という絶対的な権力者として振る舞っていた彼女もまた、木原にとっての資金や権限を引き出すための都合の良いパトロン(操り人形)に過ぎなかったという皮肉な事実が明かされている。
まとめ
薬味久子は、自己の知的好奇心を満たすためだけに肉体を捨て、世界規模の思考回路へと進化しようとした人的資源プロジェクトの真の黒幕である。フレメアの自立と上条当麻の幻想殺しによってその野望は打ち砕かれ、最終的にはフロイラインに捕食されて永遠に苦しみ続けるという悲惨な因果応報の結末を迎えた。最高権力者として君臨しながらも、その狂気そのものが木原によって都合良くデザインされたものであり、実態は単なる便利なパトロンに過ぎなかったという結末は、彼女の独善的な知略を根底から覆す極めて皮肉な幕引きとなっている。
サイボーグ恋査
『新約 とある魔術の禁書目録(7)』に登場するサイボーグ「恋査(れんさ)」について解説する。
看護師の姿に偽装された肉体構造から、第一位から第六位の超能力を再現するシステム、組み込まれた脳に宿る執念と戦術、そして作中での激闘と冷凍保存にいたる結末の全容は以下の通りである。
看護師の姿に偽装されたワンオフの機体と使い捨てられる脳の構造
恋査は、学園都市統括理事会の一人である薬味久子直属の女性型サイボーグである。
・表向きは看護師の姿に偽装しているが、その実態は脳以外のほぼ全身を機械化した兵器である。
・彼女の最大の特徴は、その肉体が、たった一つしか存在しない非常に高価なワンオフの機体(甲体)、である点に集約される。
・サイボーグとしてのボディを動かすための脳は使い捨てのパーツのように扱われており、脳が壊れるたびにストックされた別の脳へと交換される。
・この脳のストックは、人間の視床下部を切り取って詰め直したものである。
・作中では主に、以前の任務で失敗して片腕を爆発させた個体である番号028に代わり、新たに組み込まれた番号029が甲体を操って上条たちの前に立ち塞がった。
背中の編み棒による人体配線の切り替えと超能力の自在な発現
恋査の戦闘能力は、想定カタストロフ029、すなわち学園都市の超能力者七人が一斉に反旗を翻した場合の対応策として設計されている。
・これにより、第一位から第六位までの超能力者と、半径二〇〇メートル以内の任意の能力者から自在に能力を引き出すことが可能である。
・戦闘時には背中から巨大な花のような機構である複数の編み棒を展開させる。
・体内の人体配線を瞬時に物理的、数値的に切り替えることで、能力を発現させる噴出点の特性を変化させる仕組みを持つ。
・作中では黒夜海鳥の窒素爆槍をはじめ、垣根帝督の未元物質の白い翼、麦野沈利の原子崩し、御坂美琴の超電磁砲を次々と切り替えた。
・さらには、一方通行のベクトル制御による竜巻のブースターや反射、黒い翼までをも引き出して圧倒的な力を見せつけた。
近接高速戦闘への特化と恩人である薬味久子への絶対的な忠誠心
以前の脳である番号028は、複数の能力を遠距離から飛び道具として撃ちまくる安全地帯依存症であったため、能力切り替えの隙を突かれて自滅した。
・対して新しく組み込まれた番号029は、第一位の能力を応用した近接高速戦闘に特化している。
・自らを極限まで追い詰めることで一方通行の隠し球である黒い翼まで引き出すなど、大胆なギャンブラー気質を見せた。
・また、番号029を含む脳のストックたちは、自ら望んでこの非人道的なサイボーグ化に志願した過去を持っている。
・彼女たちにとって薬味久子は、絶望的な窮地から自分たちを救ってくれた世界で一番のヒーローであった。
・それゆえ、どれほど外道に走ってでも恩を返すという強烈な信念に基づいて行動している。
幻想殺しの能力複製に伴う配線破綻と病院での冷凍保存
人的資源プロジェクトの最終段階として、フレメアの殺害と黒夜海鳥への濡れ衣工作を実行するため、浜面仕上や黒夜海鳥を半死半生の目に遭わせる。その後、駆けつけた上条当麻や垣根帝督と音速を超える死闘を繰り広げた。
・しかし終盤、フレメアの無能力者としての干渉によって、AIM思考体となっていた薬味久子の意識が恋査の体内に叩き落とされてしまう。
・番号029は恩人である薬味を逃がすため、自壊する危険を承知で上条の幻想殺し(イマジンブレイカー)の能力をあえて引き出そうと試みた。
・結果として、異能を打ち消す特性を無理に引き出したことでシステムの人体配線が完全に破綻する。
・これにより恋査の体は内部から激しく膨張、崩壊して敗北した。
・戦いの後、使えなくなった番号028と番号029の脳、すなわち透明な円筒形容器に収められた赤い塊は、上条当麻によって回収された。
・彼女たちがいつか当たり前に街を歩ける解決策が見つかる日を願い、病院で冷凍保存されることとなった。
まとめ
恋査は、学園都市の超能力者たちが反乱を起こした際の抑止力として、第一位から第六位までの能力を瞬時に切り替えて再現できる究極の女性型サイボーグである。自らの脳を使い捨てのパーツとしながらも、創造主である薬味久子への狂信的な忠誠心によって駆動し、上条当麻らと音速を超える死闘を演じた。しかし、上条の持つ幻想殺しの能力を強引に複製しようとした結果、異能を打ち消す特性に機体が耐えきれず内部から崩壊するという結末を迎えた。戦いの後に回収された脳が未来の救済を信じて冷凍保存された描写は、彼女たちの歪んだ忠誠心の裏にある悲劇性を際立たせている。
人的資源プロジェクト
『新約 とある魔術の禁書目録(7)』における最大の陰謀「人的資源(アジテートハレーション)プロジェクト」について解説する。
計画の概要から、要となる庇護対象の少女、真の黒幕である薬味久子の目的、そして当事者の自立と不死の少女の介入にいたる計画崩壊の全容は以下の通りである。
ヒーロー同士を衝突させて共食いさせるビリヤードの仕組み
この計画の主な目的は、学園都市内に突発的、偶発的に出現する約7500人のヒーロー(不確定因子)たちを、最少の犠牲で迅速に共倒れさせ、消滅させることである。
・ヒーローは圧倒的な不利を覆す特異性を持つため、通常戦力での殺害は極めて困難であった。
・そのため、ヒーロー同士を衝突させて共食いさせる方法が考案される。
・この仕組みはビリヤードに例えられ、無数のヒーロー達をボールとし、彼らを意のままに動かすためのキューとして、庇護対象と呼ばれる存在を人工的に作り出すことが計画の要であった。
刷り込まれた弱者パラメータと役割を終えた庇護対象の殺害条件
ビリヤードのキュー(庇護対象)として選ばれたのは、8歳の無能力者の少女であるフレメア=セイヴェルンであった。
・過去に暗部組織である新入生が彼女の命を狙った事件なども、実はフレメアに、ヒーローに守られるべき弱者、という属性(パラメータ)を刷り込むための下準備であった。
・AIM拡散力場を介した不自然な天啓により、学園都市中のヒーロー達はフレメアを助けるため、そして邪魔をする者を徹底的に排除するために暴走し、大規模な同士討ちを始める。
・そして、このプロジェクトの完遂条件は、役割を終えた人造庇護対象であるフレメアを最終的に殺害(収穫)することであった。
濃淡コンピュータ理論の応用と世界規模の思考回路への進化
計画を主導したのは、学園都市統括理事会の一人である薬味久子である。
・しかし、彼女の真の狙いは、単にヒーローを消滅させることではなかった。
・彼女は流体力学を応用した濃淡コンピュータの理論をAIM拡散力場に当てはめ、自らの肉体を捨ててAIM思考体へと深化しようと企んでいた。
・プロジェクトを完遂し、自分を学園都市に繋ぎ止める最後の楔であるフレメアを殺害することで、最終的には全世界の空気を媒体とする巨大な思考回路へと生まれ変わることを目指す。
・これにより、科学の枠組みを超えたまだ見ぬ何かを目撃しようとしていた。
庇護対象からの自立宣言と天敵による捕食がもたらした終焉
上条当麻や浜面仕上、そして一方通行や垣根帝督といった超能力者たちが事態に介入し、ヒーローたちを圧倒していく中、計画の根幹を揺るがす出来事が起きる。
・常に誰かに守られる存在だったフレメア自身が、もうヒーローなんて待ち焦がれない、今度は私がみんなを守れるような私になってやる、と自立を宣言した。
・この瞬間、彼女は庇護対象以外の性質を獲得し、無能力者でありながらAIM拡散力場を介して薬味久子へ干渉する。
・これにより、薬味の意識をサイボーグである恋査の体内へと叩き落とした。
・その後、上条当麻らによって恋査は撃破される。
・薬味久子は最後のバックアップを用いて復活し、プロジェクトの再開を目論んだが、そこに現れた不死の少女であるフロイライン=クロイトゥーネに、友達を傷つけたお仕置き、として捕食され、彼女の野望は完全に潰えることとなった。
まとめ
人的資源プロジェクトは、学園都市の不確定要素であるヒーローたちを、フレメア=セイヴェルンという人工的な庇護対象を餌にして自滅させる冷徹な計画であった。その裏には、自らを情報生命体へと昇華させようとした薬味久子の狂気的な野望が隠されていたが、守られる側であったフレメアの精神的自立という予測不能な要素によってシステムの制御を失った。最終的に上条当麻らの実力行使と、天敵であるフロイライン=クロイトゥーネによる薬味の捕食という圧倒的な現実を前に、科学と陰謀が織り成した巨大プロジェクトは完全に瓦解する結末を迎えた。
新約 とある魔術の禁書目録(6)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(8)レビュー
登場キャラクター
学園都市の学生
上条当麻
右手に異能を打ち消す「幻想殺し」を持つ高校生である。土御門元春の悪友として事件に巻き込まれる。
・所属組織、地位や役職
学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
土御門元春によって学舎の園へ箱詰めで送り込まれた。フレメアを救うため、博覧百科でサイボーグの恋査と交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
幻想殺しを用いて恋査の暴走を止め、彼女を救う道を選んだ。
土御門元春
上条当麻のクラスメイトであり、学園都市の暗部で活動する多角スパイである。義理の妹である舞夏を守るために行動する。
・所属組織、地位や役職
学園都市の学生。イギリス清教の魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
妹を死亡扱いにして身を隠し、関係者へ復讐を行った。貝積継敏のビルへ乗り込んで雲川芹亜と戦った後、上条当麻と殴り合った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
雲川芹亜によって川へ落とされる処刑の儀式を受けたが、それは偽装であり生存した。
御坂美琴
学園都市第三位の超能力者である。上条当麻の不審な行動を追跡する。
・所属組織、地位や役職
常盤台中学の生徒。超能力者(レベル5)。
・物語内での具体的な行動や成果
学舎の園で上条当麻を発見し、磁力を使って彼を追いかけた。食蜂操祈と張り合いながら博覧百科へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
食蜂操祈が意図的に逸らした攻撃を受けて激怒した。
食蜂操祈
常盤台中学の最大派閥を管理する女王である。学園都市第五位の超能力を持つ。
・所属組織、地位や役職
常盤台中学の生徒。超能力者(レベル5)。
・物語内での具体的な行動や成果
学舎の園で他の生徒を操り、上条当麻の地図集めや変装に協力した。博覧百科ではリモコンを使ってヒーロー達を同士討ちさせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
事件に介入したが、直接上条当麻の前には姿を現さなかった。
浜面仕上
フレメアを保護する無能力者の少年である。自らを盾にして仲間を助けようとする。
・所属組織、地位や役職
学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
喫茶店からフレメアの寮を見張っていた。食人ゴキブリの群れを絹旗最愛に任せ、フレメアの元へ走った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
黒夜海鳥と共闘しようと飛びかかったが、恋査に叩き落とされて重傷を負った。
絹旗最愛
浜面仕上とルームシェアをする少女である。窒素装甲を操る能力を持つ。
・所属組織、地位や役職
学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
喫茶店で浜面仕上と共に寮を見張っていた。浜面仕上を先に行かせるため、一人で大量の食人ゴキブリを引き受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
食人ゴキブリを操る白衣の女を倒した。
滝壺理后
浜面仕上とペアを組む少女である。
・所属組織、地位や役職
学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
浜面仕上や絹旗最愛の会話の中で名前が言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
直接的な登場シーンは描かれていない。
一方通行
学園都市第一位の超能力者である。四本の竜巻を翼のように扱う。
・所属組織、地位や役職
学園都市の超能力者(レベル5)。
・物語内での具体的な行動や成果
博覧百科の上空から降下し、密集するヒーロー達を一網打尽にした。上条当麻と遭遇し、彼を先へ進ませた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
死者を出さずに数千人規模の集団を圧倒した。
垣根帝督
学園都市第二位の超能力者である。未元物質を操り、白いカブトムシの姿にもなる。
・所属組織、地位や役職
学園都市の超能力者(レベル5)。
・物語内での具体的な行動や成果
虫サイズに分割して爆弾のコードを切断した。白い少年の姿となり、上条当麻と共闘して恋査と戦った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
意識の主体を必要とせず、分割されてもそれぞれが行動できる。
麦野沈利
学園都市第四位の超能力者である。原子崩しを操る。
・所属組織、地位や役職
学園都市の超能力者(レベル5)。
・物語内での具体的な行動や成果
博覧百科に現れ、原子崩しで広告用トラックを吹き飛ばした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
直接の描写は少ないが、大破壊をもたらした。
黒夜海鳥
窒素爆槍を操る大能力者である。両腕を機械化したサイボーグの少女として登場する。
・所属組織、地位や役職
暗部組織「新入生」の元リーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
アタッシェケースの罠にかけられ、フレメアの元で恋査と交戦した。右腕を切断されて屋上から落とされ、浜面仕上と共闘しようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
浜面仕上の行動を疑ってしまったことを後悔し、慟哭した。
フレメア=セイヴェルン
金髪碧眼の小学生である。「人的資源」プロジェクトの庇護対象として狙われる。
・所属組織、地位や役職
学園都市の小学生。
・物語内での具体的な行動や成果
壊れたカブトムシを助けるため寮を飛び出し、博覧百科へ逃げ込んだ。もう守られるだけの存在をやめると宣言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
無能力者でありながらAIM拡散力場へ干渉し、薬味久子を恋査の中へ叩き込んだ。
削板軍覇
学園都市第七位の超能力者である。純白の学ランを着て行動する。
・所属組織、地位や役職
学園都市の超能力者(レベル5)。
・物語内での具体的な行動や成果
博覧百科の植物園に現れ、燃え盛る木々を拳の風圧で吹き消した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
人命救助のために行動し、根性のない者を巻き込まないと宣言した。
藍花悦
学園都市第六位の超能力者を名乗る少年である。
・所属組織、地位や役職
不明。
・物語内での具体的な行動や成果
黒いジャケットを着て、能力を使わずに徒手空拳でヒーロー達を倒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
食蜂操祈から第六位を騙っていると推測された。
扶桑彩愛
音響系能力を持つゲリラバンドの少女である。
・所属組織、地位や役職
学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
第一八学区から多数のトラックを従えて博覧百科へ現れた。拡声器型のマイクで大音響と衝撃波を放ち、紙袋のバニーガールと戦った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
騒音の中でしか生きられない性質を持つ。
アズミ
フレメアのクラスメイトである。メガネをかけたインテリ女子として描かれる。
・所属組織、地位や役職
学園都市の小学生。
・物語内での具体的な行動や成果
図書館でサンタクロースの追跡情報や黒いサンタクロースの話を持ち出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フレメアに怪人への恐怖を抱かせるきっかけを作った。
土御門舞夏
土御門元春の義理の妹である。メイド服を着る少女として知られる。
・所属組織、地位や役職
繚乱家政女学校の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
学生寮の火災で死亡したと報道された。事件後はインデックスと共に上条当麻への不満を口にしていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実際には土御門元春によって死亡を偽装されただけで生存していた。
学園都市統括理事会とその関係者
薬味久子
学園都市統括理事会の一人である。医療分野に強い影響力を持つ老人だが、アンチエイジングで若い姿を保つ。
・所属組織、地位や役職
学園都市統括理事会。
・物語内での具体的な行動や成果
「人的資源」プロジェクトを主導し、自らをAIM思考体へと深化させた。フレメアの干渉によって恋査の体内へ落とされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フロイラインに一口分だけ残して捕食され、永遠の地獄を味わう末路を迎えた。自らの知的好奇心が木原によって植え付けられたものだったと判明する。
恋査
薬味久子直属の女性型サイボーグである。看護師の姿に偽装している。
・所属組織、地位や役職
薬味久子の部下。
・物語内での具体的な行動や成果
黒夜海鳥や垣根帝督を圧倒し、上条当麻と交戦した。薬味久子を守るため自壊を覚悟で幻想殺しを引き出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
第一位から第六位までの能力を切り替えて使用できる。人体配線が破綻し、機能停止した。
貝積継敏
学園都市統括理事会の一人である。雲川芹亜をブレインとして従える。
・所属組織、地位や役職
学園都市統括理事会。
・物語内での具体的な行動や成果
第三学区の高層ビルで土御門元春を待ち受けた。人的資源の真の狙いが土御門元春と誰かの共倒れだと推測した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
土御門元春に気絶させられ、椅子に針金で拘束された。
雲川芹亜
貝積継敏のブレインである。人心掌握に長けた黒髪の少女として描かれる。
・所属組織、地位や役職
貝積継敏の部下。
・物語内での具体的な行動や成果
高層ビルで土御門元春を迎え撃ち、眼球を奪われながらも拳銃で反撃した。事件後、土御門元春を川へ落とす処刑の儀式を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
処刑はペイント弾を使った偽装であり、土御門元春を生存させた。
木原一族
リクルートスーツに白衣の女
木原一族の女性である。
・所属組織、地位や役職
木原一族。
・物語内での具体的な行動や成果
早朝のジョギングコースでゴールデンレトリバーと散歩しながら会話した。薬味久子に知的好奇心を植え付けたと明かした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
資金や権限を引き出すために薬味久子をパトロンとして利用していた。
ゴールデンレトリバー
木原一族の一人である。犬の姿をしているが人語を話す。
・所属組織、地位や役職
木原一族。
・物語内での具体的な行動や成果
白衣の女と散歩し、彼女の計画に助言を与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
各界に顔が利く存在であると言及される。
学園都市の大人・裏社会の住人
黄泉川愛穂
第七学区の警備員である。重大案件のヘルプとして活動する。
・所属組織、地位や役職
学園都市の警備員(アンチスキル)。
・物語内での具体的な行動や成果
第二三学区の空港へ出向し、松定博士の捜索を行った。ステファニーの乱暴な行動を止めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
松定博士の本を読み、濃淡コンピュータの真実に近づいた。
ステファニー=ゴージャスパレス
かつて傭兵やテロリストとして活動した女性である。
・所属組織、地位や役職
学園都市の協力者。
・物語内での具体的な行動や成果
巨大なガトリング銃を持ち込み、空港の扉や集配レーンを銃撃して松定博士を追い詰めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
牢にいたが一時的に現場復帰させられた。
松定博士
流体力学の権威である。濃淡コンピュータの理論を提唱した。
・所属組織、地位や役職
学園都市の研究者。
・物語内での具体的な行動や成果
空港から逃亡しようとしたが、捕獲される前に冬眠剤を噛んで昏睡状態になった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自分の研究がもたらす影響に強く怯えていた。
不願竜造
危険な兵器の図面を売る設計士である。
・所属組織、地位や役職
裏社会の武器商人。
・物語内での具体的な行動や成果
土御門元春に襲撃され、右膝を踏み潰されて尋問された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ハイエナ達に金塊を奪われた。
蜘蛛の女王
暗部の仲介人として知られる女性である。
・所属組織、地位や役職
裏社会の仲介人。
・物語内での具体的な行動や成果
廃コインランドリーで土御門元春と接触し、自分の管理を離れた駒の名前を渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
金塊につけられた匂いが安物だと知って激怒した。
破滅屋の男
計画に潜り込んで仲間を殺し、報酬を吊り上げる専門家である。
・所属組織、地位や役職
裏社会の工作員。
・物語内での具体的な行動や成果
第一五学区で土御門元春と交戦し、足を凍らせられて捕らえられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
狙撃蜂によるギ酸を撃ち込まれ、土御門元春に黒幕の名を告げて死亡した。
その他の個人
インデックス
完全記憶能力を持つシスターである。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教。
・物語内での具体的な行動や成果
事件後、土御門舞夏と共に上条当麻への不満を口にしていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
本編の事件には直接関与していない。
フロイライン=クロイトゥーネ
白いワンピースを着た不死の少女である。
・所属組織、地位や役職
不明。
・物語内での具体的な行動や成果
屋根でカブトムシの抱き枕を抱えて眠っていた。後に路地裏で薬味久子を捕食した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
薬味久子を一口分だけ残して永遠の地獄を与えた。
梅咲優雅
明王の壇を使用する密教系の魔術師である。
・所属組織、地位や役職
密教系魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
学園都市に侵入し、学舎の園で明王の壇を準備していると土御門元春から語られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実際には土御門元春が用意したダミーの情報だった。
土御門美秋
土御門元春の家族として名前を貸す人物である。
・所属組織、地位や役職
土御門家。
・物語内での具体的な行動や成果
学園都市への潜入にあたり、養護施設から少女を家族に加えるよう提案したと回想された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
直接の登場はない。
土御門冬頭
土御門元春の家族として名前を貸す人物である。
・所属組織、地位や役職
土御門家。
・物語内での具体的な行動や成果
美秋と共に学園都市の外にいる家族として名前が言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
直接の登場はない。
スポーツ用品店の店主
第七学区の店主である。
・所属組織、地位や役職
民間人。
・物語内での具体的な行動や成果
シャッターを壊して侵入した少年に対し、サインバットを持って立ち向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
少年から敵と見なされ攻撃を受けた。
紙袋を被ったバニーガール
バニーガールの衣装に紙袋を被った女である。
・所属組織、地位や役職
不明。
・物語内での具体的な行動や成果
ウォータージェットの薙刀を使い、第一三学区で扶桑彩愛と交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
声なき声を聞いてフレメアを助けるという理由で暴れていた。
ファンシーショップの女性店員
学舎の園の店員である。
・所属組織、地位や役職
民間人。
・物語内での具体的な行動や成果
侵入した上条当麻へ向けてブランド物の食器を投げつけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
御坂美琴に侵入者の状況を説明した。
司書のお姉さん
図書館の司書である。
・所属組織、地位や役職
図書館職員。
・物語内での具体的な行動や成果
小学生達の騒ぎを止めず、SF小説を読んでいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
巨乳であると描写されている。
集団
女子生徒達
学舎の園の生徒達である。
・所属組織、地位や役職
各女子校。
・物語内での具体的な行動や成果
箱から出てきた上条当麻を盗撮犯と見なし、悲鳴を上げて攻撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
男性の侵入に対して過剰に反応した。
珍獣捜索隊
上条当麻を探す有志の少女達である。
・所属組織、地位や役職
各女子校。
・物語内での具体的な行動や成果
フェンシングのサーブルなどを手に持ち、未登録の信号を追って上条当麻を捜索した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
上条当麻を新種のUMAや怪物体のように噂していた。
派閥の少女達
食蜂操祈に従う生徒達である。
・所属組織、地位や役職
常盤台中学。
・物語内での具体的な行動や成果
大きなドラムバッグを抱えて移動していた。上条当麻のために各校の地図を集めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
食蜂操祈のプリセットを受けて操られていた。
検査要員達
荷物搬入ゲートの職員である。
・所属組織、地位や役職
学舎の園の検査要員。
・物語内での具体的な行動や成果
食蜂操祈の偽情報に騙され、過去の搬入記録を調べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
プロの警備員とは別枠であると説明される。
白羽社交応援会の少女達
弓道の自主練集団を装う金融サロンのメンバーである。
・所属組織、地位や役職
白羽社交応援会。
・物語内での具体的な行動や成果
ビルへ入る際にカードを使用していた。上条当麻に牛乳をかけられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
食蜂操祈にカードをスリ取られた。
空港職員
第二三学区の空港スタッフである。
・所属組織、地位や役職
空港。
・物語内での具体的な行動や成果
黄泉川愛穂にマスターキーを渡そうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ステファニーの爆発から黄泉川愛穂に庇われた。
警備員
学園都市の治安維持組織のメンバーである。
・所属組織、地位や役職
アンチスキル。
・物語内での具体的な行動や成果
不願竜造のタンクローリー襲撃現場や、学生寮の点呼に駆けつけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
騒動の規模が大きいため後手に回っていた。
警備ロボット
無人警備兵器である。
・所属組織、地位や役職
学園都市。
・物語内での具体的な行動や成果
ステファニーのガトリング銃に接続され、自走式弾倉や脚部として利用された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
本来の用途とは異なる運用をされた。
ハイエナ達
金塊を狙う無法者達である。
・所属組織、地位や役職
裏社会。
・物語内での具体的な行動や成果
不願竜造のタンクローリーを襲撃し、金塊を奪ってコインランドリーへ運んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
蜘蛛の女王によって統括されていた。
ダーツバーの男達
繁華街にいる不良達である。
・所属組織、地位や役職
民間人。
・物語内での具体的な行動や成果
バイクを倒した少女に絡み、水の刃で腹を刺された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
少女の容赦ない攻撃に恐怖した。
施設警備の男女
博覧百科の警備員である。
・所属組織、地位や役職
施設警備。
・物語内での具体的な行動や成果
地下通路で上条当麻と遭遇し、ダストシュートの警報を教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
上条当麻に鍵束を奪われた。
飼育員
博覧百科の動物園スタッフである。
・所属組織、地位や役職
動物園。
・物語内での具体的な行動や成果
餌用機械の中に隠れていたが、上条当麻に無線カメラ網の裏技を教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
上条当麻と別れて安全な場所へ逃げた。
ヒーロー達
人的資源の影響を受けた学生達である。
・所属組織、地位や役職
学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
不自然な天啓に導かれ、フレメアを守るために同士討ちや破壊活動を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
七五〇〇人規模で大暴動を起こした。
食人ゴキブリ
人肉を好むように改造されたオオゴキブリである。
・所属組織、地位や役職
薬味久子の兵器。
・物語内での具体的な行動や成果
絹旗最愛を襲撃したが、誘引物質を逆利用されて薬味久子を食い殺した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自己増殖性はなく、群体として操られていた。
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新約 とある魔術の禁書目録(6)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(8)レビュー
展開まとめ
序章 甘い匂いの不可侵領域 Girl’s_School.
学舎の園への潜入
暗闇の箱
上条当麻は、真っ暗で狭い空間の中で目を覚ました。両手足をまともに伸ばせないほど窮屈で、冷蔵庫や地中に閉じ込められたのではないかと混乱した。
そこへ携帯電話が鳴り、光で周囲がわずかに照らされた。上条当麻は自分が箱のような場所に押し込められていると知り、土御門元春からの着信に出た。
密教系の魔術師
土御門元春は、学園都市に新手の魔術師が入り込んだと説明した。相手はグレムリンとは別口の密教系魔術師、梅咲優雅であり、本人は小者だが所持する霊装が危険だった。
その霊装は明王の壇という特殊な護摩壇だった。本来は使用者自身の精神を整える護摩壇だが、明王の壇は外部の他人へ干渉し、半径五キロ圏内の人間から知識や技術を吸い上げるものだった。
明王の壇の危険
明王の壇は知識や技術を奪うだけでなく、脳や神経に深刻な損傷を与えるものだった。発動すれば、呼吸や心臓の動かし方すら破壊され、多数の人命が失われる恐れがあった。
発動までの猶予は最悪二時間、長くても三時間ほどだった。梅咲優雅の狙う場所は分かっていたが、上条当麻や土御門元春にとって侵入が難しい場所だった。
学舎の園
土御門元春は、梅咲優雅が狙う場所が学舎の園だと明かした。そこは常盤台中学を含む五つの有名女子校が共同管理する区域であり、男子である上条当麻や土御門元春にとっては最悪の潜入先だった。
学舎の園には超能力開発に関する重要情報が眠っており、防衛設備も厳重だった。捕まれば事情を説明しても通じず、変態扱いされる危険が高かった。
箱詰めの侵入
土御門元春は、すでに手を打ってあると言って通話を切った。直後、上条当麻を閉じ込めていた箱が火薬で分解され、彼は外へ放り出された。
そこは細長いロッカーやベンチが並び、甘い匂いのする空間だった。さらに周囲には下着姿の少女達がいて、上条当麻は女子更衣室らしき場所に箱詰めで送り込まれていたと理解した。
冤罪の逃走
上条当麻は携帯電話を持っていたため、少女達から盗撮犯と誤解された。絶叫と共に攻撃が飛び交い、彼は炎や氷のようなものから逃げながら更衣室を飛び出した。
逃げても逃げても女子生徒ばかりに遭遇し、悲鳴を浴び続けた。やがて上条当麻は、自分が学舎の園の中に箱詰めで郵送されたのだと察した。
乙女の花園の捜索
上条当麻は、梅咲優雅が明王の壇の準備を進めていることを思い出した。発動すれば学園都市の技術情報と五キロ圏内の人命が奪われるため、立ち止まるわけにはいかなかった。
彼は変態扱いされる危険を背負いながらも、学舎の園を駆け回って梅咲優雅を捕らえるしかなかった。
第一章 明王の壇 Foreign_matter.
食蜂操祈との遭遇
珍獣捜索隊
上条当麻は、女子生徒達に追われながら路地に隠れていた。土御門元春へ電話をかけても繋がらず、彼は明王の壇の形も分からないまま、学舎の園で梅咲優雅を探すしかなかった。
上条当麻は、茶道部や華道部のような和風の骨董品があっても不自然ではない場所を候補に考えた。しかし表を歩けば捕まり、慎重に動けば時間を失うため、焦りを募らせていた。
屋上への退避
女子生徒達が路地へ入ってきたため、上条当麻は左右の壁を使ってビルの上へ逃れた。だが、女子生徒達は未登録の携帯電話の信号を追っており、彼は慌てて携帯電話の電源を切った。
女子生徒達は上条当麻が地下にいると誤解して走り去った。上条当麻は地上の移動を諦め、屋上伝いに移動しながら案内板などを探すことにした。
屋上の跳躍
上条当麻は、屋上から隣の建物へ飛び移ろうとした。命綱もなく、下を見れば落下の恐怖があったが、女子生徒達を避けるには屋上を進むしかなかった。
そこへ御坂美琴が現れた。美琴は男子禁制の学舎の園に上条当麻がいるのを見て激怒し、磁力を使って屋上へ上がり、彼を追いかけ始めた。
落下と脱出
上条当麻は隣の屋上へ飛び移ろうとしたが、美琴がベルトの金具を磁力で引いたため、跳躍の勢いが乱れた。結果として彼は建物の隙間へ落ちかけた。
上条当麻は窓沿いの手すりを掴んで助かり、窓から建物内へ逃げ込んだ。ファンシーショップの店員に見つかって攻撃を受けながらも、物置を抜けて通路へ出た。
オペラグラス
上条当麻は物置でオペラグラスを手に入れた。これがあれば、地上に降りずに道路の案内板を確認できる可能性があった。
しかし美琴や店員に居場所を知られたため、すぐに建物を移る必要があった。携帯電話も使えず、時間はすでに二〇分ほど経過していた。
階段の少女
上条当麻が階段へ向かうと、おかっぱ頭の少女が行く手を遮っていた。彼女は見た目こそ中学生ほどだったが、学舎の園の生徒である以上、強力な能力を持っている可能性があった。
少女は、収集力で情報を集めさせたと語った。その声や身振りは外見と噛み合わず、上条当麻は強い違和感を覚えた。
第五位の名乗り
おかっぱの少女は、両手を大きく振り、奇妙なポーズを取った。さらに瞳に星のようなものを宿しながら、上から目線の調子で名乗った。
彼女は、学園都市第五位の超能力者、食蜂操祈だった。
美琴の追跡
一方、御坂美琴はファンシーショップに入り、店員から上条当麻が四階の窓から侵入したと聞いた。彼女は磁力で建物の三階へ入り、上条当麻の行方を追った。
美琴は、表通りを歩く常盤台中学の少女達を見つけた。その中には食蜂操祈の派閥と思われる生徒達がおり、一人が大きなドラムバッグを抱えていた。
ドラムバッグの疑念
御坂美琴は、そのドラムバッグが大人一人を収められるほど大きいことに気づいた。食蜂操祈が上条当麻に接触する理由は分からなかったが、美琴は彼女なら知り合いだからというだけで介入しかねないと考えた。
上条当麻がなぜ学舎の園にいるのか分からない以上、食蜂操祈の思惑が加われば事態はさらに読みにくくなると、美琴は警戒を強めた。
復讐の時間
花束の中の上条当麻
御坂美琴が別方向へ走り去った後、食蜂操祈に操られたおかっぱの少女は、巨大な花束を抱えてファンシーショップから離れていた。その花束の中には上条当麻が隠れていた。
上条当麻は、なぜ食蜂操祈が自分に協力するのかを尋ねた。食蜂操祈は魔術を理解しているわけではなかったが、上条当麻の言葉を信じる理由は別にあると語った。
案内板の限界
食蜂操祈は上条当麻を学舎の園の案内板まで運んだ。しかし案内板は五つの学校の詳細をほとんど伏せており、梅咲優雅が明王の壇を隠しそうな場所を絞るには不十分だった。
上条当麻は、五つの学校すべての見取り図が必要だと考えた。食蜂操祈は、自分のプリセットを受けた生徒が全校にいるため、地図を集めることは難しくないと告げた。
警備員への変装
食蜂操祈は、地図を集める間に上条当麻を近くのビルへ連れていった。そこには警備員装備のレプリカが保管されており、彼女は上条当麻を警備員の格好へ着替えさせた。
警備員の姿になった上条当麻は外へ出たが、すぐに少女達と鉢合わせた。食蜂操祈は自分が風紀委員の応援であり、上条当麻も大規模事件対応のために呼ばれた男だと偽り、少女達を建物の中へ避難させた。
全体見取り図
食蜂操祈は派閥の生徒達から五つの学校の地図を集め、学舎の園全体の見取り図を完成させた。上条当麻は、純和風の器物や香炉のようなものが置かれていても不自然ではない場所を探そうとした。
食蜂操祈は、骨董品類ならゲートで別枠の検査を受けているはずだと指摘した。上条当麻は、まず荷物搬入ゲートの検査記録を確認することにした。
搬入記録の詰め所
上条当麻と食蜂操祈は、警備員を装って荷物搬入ゲートの詰め所へ入った。食蜂操祈は不審者が複数潜入しているという偽情報を使い、検査要員達に記録を調べさせた。
上条当麻は、最初の不審者発見から過去二四時間分の純和風骨董品を重点的に探すよう指示した。その結果、白羽社交応援会という学生主導の非公式サロンが浮上した。
白羽社交応援会
白羽社交応援会は、表向きは弓道の自主練集団だが、実際には金融取引を軸とした人脈作りを目的にする団体だった。リーダーの趣味で和風の品を多く扱っているらしく、明王の壇を隠すには都合がよかった。
上条当麻と食蜂操祈は、白羽社交応援会が入るビルへ向かった。強化ガラスの扉には認証カードが必要であり、上条当麻は会員の少女からカードを奪う方法を考えた。
牛乳と認証カード
上条当麻は警備員らしいあんパンと牛乳を持ち、白羽社交応援会の少女にわざとぶつかって牛乳をかけた。彼は上着を預かるふりをしてカードを探そうとしたが、うまくいかなかった。
その隙に食蜂操祈は、少女のスカート側から認証カードを抜き取っていた。上条当麻は犯罪に加担させられたことに疲弊しながらも、そのカードで白羽社交応援会のビルへ入った。
見つからない明王の壇
ビルの中は、外観とは違って畳と障子の座敷になっていた。上条当麻は明王の壇を探したが、それらしいものは見つからなかった。
食蜂操祈は、そもそも与えられた情報が正しいのか疑うべきだと指摘した。上条当麻は、土御門元春からの情報だけを頼りにしていたこと、そして土御門らしくないほど情報が少ないことに違和感を抱いた。
土御門舞夏の死
その時、飛行船のニュースに、第七学区の学生寮で火災が起き、土御門舞夏が死亡したという速報が表示された。上条当麻はその内容を受け止めきれず、思考が空白になった。
食蜂操祈は、上条当麻を学舎の園という檻へ閉じ込め、その間に学園都市で何かを起こそうとしている可能性を口にした。上条当麻は、土御門元春の行動がこの一件とどう繋がっているのか分からず呆然とした。
土御門元春の沈黙
第七学区では、土御門元春が火災のあった学生寮を遠くから見ていた。彼はニュースサイトに掲載された舞夏の死亡記事を確認し、ようやく彼女が死んだのだと実感した。
土御門元春は感情を表に出さず、抑え込める自分自身を軽蔑しながらも、平静を装った。絶対に失敗できない局面では、自分を押し殺す必要があると知っていたからである。
復讐の宣言
土御門元春の内側では、得体の知れない熱のようなものが制御不能になっていた。どうしてこうなったのか、何がいけなかったのかという思いを止めることはできなかった。
彼は一度だけ唇を動かし、復讐の時間だと告げた。もはや彼を縛る鎖も首輪もなく、奪った者はその意味を知るべきだった。
行間一
松定博士の逃亡
第二三学区の空港
学園都市第二三学区の国際空港で、黄泉川愛穂は松定博士の捜索に加わっていた。航空宇宙分野の権威である松定博士は、空港施設内へ逃げ込んでおり、外へ出た記録は確認されていなかった。
黄泉川の隣には、かつて学園都市を離れ、傭兵やテロリストとして活動したステファニー=ゴージャスパレスがいた。彼女まで現場復帰していることから、今回の案件の危険度が高いと判断されていた。
ゲテモノ兵器
ステファニーは、二〇ミリ弾を毎分四〇〇〇発撃ち出す巨大なガトリング銃を二丁持ち込んでいた。銃には脚部や弾倉を兼ねた警備ロボットが接続され、近接戦闘用の異常な重火器として扱われていた。
黄泉川はその装備に呆れたが、ステファニーは反動制御も可能だと説明した。まともな捕獲任務には見えない装備だったが、松定博士を相手にするためにはそれほどの戦力が投入されていた。
破壊された扉
空港職員は松定博士が業務用の積み荷集配レーンにいると説明し、マスターキーを渡そうとした。しかしステファニーは電子ロックのデータが書き換えられている可能性を見て、躊躇なく扉へ銃を向けた。
ガトリング銃の掃射で扉と壁は穴だらけになり、さらに仕掛けられていた爆発物が作動した。黄泉川は職員を庇いながら、ステファニーの乱暴なやり方に怒鳴った。
集配レーンの制圧
ステファニーは積み荷集配レーンへ入り、ベルトコンベアが張り巡らされた空間を確認した。彼女は視界や射線を確保しないまま銃弾をばら撒き、出入口の配線を断ち切った。
黄泉川は松定博士を殺すのではなく捕獲するのが目的だと怒った。ステファニーは、それで死ぬような相手なら自分が呼ばれるわけがないと返した。
怯える松定博士
やがて瓦礫の陰から、両手を挙げた松定博士が現れた。彼はステファニーの重火器ではなく、ここにはない何かに怯えている様子だった。
松定博士は、あれの影響下から逃れるには街の外へ出るしかなく、すでに変化は始まっていると語った。さらに、自分はあんなものを作るつもりはなく、ヒーローのいない世界で自分の作った仔の恐ろしさを誰よりも知っていると口にした。
冬眠剤
松定博士は奥歯に仕込んでいた薬を噛み、床へ崩れ落ちた。それは有人火星探査プロジェクトで開発されていた冬眠剤であり、彼は三ヵ月は目を覚まさない状態になった。
黄泉川とステファニーは、精神系能力で情報を引き出すことも難しいと見て、うんざりした。残された疑問は、松定博士が恐れていた研究成果が何だったのかという点だった。
第二章 彷徨う獣と檻の外 Dead_Girl.
人的資源への追跡
偽りの家族
土御門元春は、幼くして陰陽博士の称号を得るほどの魔術師だった。しかし学園都市への潜入任務では、科学サイドの超能力開発を受ける必要があり、魔術を捨てることに等しかった。
潜入には学生としての偽装だけでなく、家族という人間関係も必要だった。そこで、学園都市の情報分析を攪乱するため、魔術も科学も知らない少女を家族に加える案が出された。
土御門舞夏との契約
土御門元春は、書類上の偽装が容易だったという理由だけで、その少女を家族に選んだ。彼は、今の境遇に疑問を抱かなければ、叶えられる範囲で欲しいものを与えると告げた。
しかし少女は、そんなチケットがあるなら、もっと切迫している人に譲るべきだと笑って返した。その言葉は、魔術師としての全てを捨てる土御門元春の心に、予想外の刺激を与えた。
武器設計士への襲撃
不願竜造は、危険な兵器の図面をネットで売る設計士だった。彼は有毒殺虫剤のタンクローリーを偽装した移動金庫を使い、裏の稼ぎを金塊として運んでいた。
そこへ土御門元春が現れ、不願を襲撃した。土御門元春は、舞夏の死に使われた武器の図面が不願の手を経ていると見て、彼に情報を吐かせようとした。
拷問の予告
不願は自分は図面を売っただけだと訴えたが、土御門元春は彼が依頼後の使用状況も監視しているはずだと見抜いていた。土御門元春は工具を並べ、拷問の恐怖を与えて不願を追い詰めた。
不願は、自分が覗いてはいけないものを見たと話したが、相手の正体までは掴めていないと訴えた。土御門元春はそこで、不願の金塊の秘密を暗部の連中へ流し、別口から情報を追うことにした。
金塊の匂い
土御門元春は、不願の金塊に特殊な匂いを付けていた。彼は金塊の在り処を知らせることで、ハイエナ達を集め、その背後にいる大物を追跡するつもりだった。
さらに土御門元春は、不願の右膝を踏み潰した。図面が舞夏を死なせるために現実へ組み上げられた以上、自分だけ無関係では済まされないと突きつけた。
図書館のサンタクロース論争
一方、放課後の図書館では、フレメア=セイヴェルン達がサンタクロースの実在を巡って騒いでいた。いる派といない派が争い、図書館で調べれば分かるという流れになっていた。
しかし、NORADがサンタクロースを追跡しているという情報や、黒いサンタクロースの話が出てきたことで、議論はさらに混乱した。図書館は新たな恐慌に包まれた。
ハイエナの行き先
不願竜造のタンクローリーは、土御門元春の狙い通り数分で襲撃された。ハイエナ達は金塊を奪い、警備員が来る前に撤収した。
土御門元春は屋上から特殊な匂いを追跡し、逃走ルートが一つの場所へ集まっていくことを確認した。金塊を奪った者達を統括する大物がいると判断した。
蜘蛛の女王
ハイエナ達が金塊を預けた先は、第七学区の廃コインランドリーだった。そこへ現れた若い女は、暗部の仲介人として知られる蜘蛛の女王だった。
土御門元春は、人的資源プロジェクトに関わった者を尋ねた。蜘蛛の女王は、自分はその名の仕事を受けた覚えはないとしながらも、仲介人を通さず直接依頼を受けた駒がいる可能性を示した。
食べられるリスト
蜘蛛の女王は、自分の管理を離れていた駒の名前を、食べられる紙とチョコレートのインクで書いて渡した。土御門元春はそのリストを確認し、飲み込んだ。
蜘蛛の女王は、裏切った駒達はどう料理しても構わないと告げた。土御門元春は金塊に付けた香水の番号を教え、次の追跡へ進んだ。
黒幕への接近
蜘蛛の女王の怒り
土御門元春は、金塊につけた匂いが安物だったと知って激昂する蜘蛛の女王を笑いながら、廃コインランドリーを後にした。彼の腹の中には、一〇人ほどの名前が書かれたメモが収まっていた。
その中の誰か、あるいは全員が、土御門舞夏を死に追いやった可能性が高かった。土御門元春は、人的資源プロジェクトへ繋がる手がかりを追い始めていた。
黒いサンタクロース
第一三学区の通学路では、フレメア=セイヴェルン達が黒いサンタクロースの話に怯えていた。悪い子を袋に詰めて連れ去るという怪談を聞き、フレメア達は良い子か悪い子かでまた言い争いを始めた。
その時、ビルの屋上に黒い影が見えた。アズミはそれを黒いサンタクロースだと思い、フレメアは浜面仕上が危ないと考えた。
屋上の黒夜海鳥
屋上を移動していた黒夜海鳥は、地上の騒ぎを気にしながらも本業へ戻ろうとしていた。彼女の黒い服装と白いコートが、地上からは黒いサンタクロースのように見えていた。
その途中、黒夜海鳥は屋根で白いカブトムシの抱き枕を抱えて眠るフロイライン=クロイトゥーネを踏みかけた。彼女は異様な光景に呆れ、その場を離れた。
舞夏との生活
土御門元春は学園都市への潜入に成功したが、すぐにスパイであることを見抜かれ、多角スパイとして動くことになった。土御門舞夏とは別々の学生寮で暮らすことになったが、関係は少しずつ変わっていった。
舞夏は自分の持ち物を他人と分け合いたがり、人の役に立ちたがる性質を持っていた。土御門元春は当初、それを捨てられたくないという不安の裏返しだと分析していた。
家族としての気づき
舞夏は、みんなで笑って暮らせる手伝いができるなら、それ以上に素敵な夢はないと語った。その言葉によって、土御門元春は彼女を諜報活動の相手として読み解こうとしていた自分の誤りに気づいた。
舞夏は敵ではなく、裏を読んで先手を打つべき相手でもなかった。土御門元春は、本物の家族を守ると静かに誓った。
最後の生き残り
土御門元春は、舞夏の殺害に関わった可能性のある一〇人の実動要員を追っていた。そのうち九人はすでに不自然な窒息死を遂げており、彼は最後の一人を第一五学区で追跡していた。
男はグレネードランチャーで超音波内爆兵器を撃ち込み、土御門元春を足止めしようとした。土御門元春は弾体を撃ち落とし、男の肩を撃ち抜き、冷却スプレーを破裂させて足を凍らせた。
破滅屋
捕らえられた男は、自分が破滅屋だと明かした。大きな計画に末端として潜り込み、仲間を殺して報酬を吊り上げる存在だった。
九人を殺したのは黒幕による証拠隠滅ではなく、この男の仕業だった。彼は舞夏を襲った計画を中断させるつもりだったが、関係者が多すぎて計画はそのまま実行されたと語った。
蜂の毒の狙撃
土御門元春が黒幕の名を聞き出そうとした時、男の首へ投薬ケースのような矢が撃ち込まれた。弾は上空から落ちるような軌道で命中し、男の皮膚は赤紫に腫れ上がった。
それは大量のギ酸によるもので、男は気道を圧迫されて窒息死へ向かっていた。土御門元春は、黒幕が破滅屋と自分のどちらを消せば情報の糸を断てるか見極めたのだと判断した。
最後の名前
男は助けを求めたが、土御門元春には彼を救う方法がなかった。土御門元春は、歯磨き粉に含まれる炭酸マグネシウムで気道を確保できると偽り、男に飲ませた。
男は礼を言いながら、土御門元春が求めていた黒幕の名前を告げた。直後、歯磨き粉が喉を塞ぎ、彼は痛みと恐怖から早く解放される形で息絶えた。
雲川芹亜との対峙
屋上からの脱出
土御門元春は、狙撃手に存在を知られた以上、その場に留まれば何時間でも待ち伏せされると判断した。彼は危険を承知で魔術を使い、ビルの屋上の床を破壊して屋内へ逃れた。
魔術の反動で土御門元春の体は傷つき、血の味が口に広がった。それでも、狙撃手から黒幕へ連絡が行けば舞夏を死に追いやった元凶を逃す恐れがあるため、彼は救急車を呼ばずに移動を続けた。
特殊な病院
土御門元春が向かったのは、第一三学区にある特殊な大学付属病院だった。そこは表向き多くの患者を受け入れているが、実質的には一人の重要患者のために運用されている施設だった。
病院では、白衣の女性と看護師の恋査が会話していた。そこへ電源攻撃が起き、非常用電源へ切り替わったことで、最優先で復旧される重要設備の場所が露見した。
薬味久子の正体
白衣の女性は避難経路へ向かったが、そこには血まみれの土御門元春が待っていた。彼は女性を捕らえ、高圧電流の機材に叩きつけて脅した。
女性は自分がただの医師であるように振る舞ったが、土御門元春は彼女が統括理事会の一人、薬味久子であると見抜いていた。彼女は医療分野に強い影響力を持ち、アンチエイジングによって若い姿を保っていた。
統括理事への連絡先
土御門元春は、人的資源プロジェクトを動かしたのは薬味久子ではなく別の統括理事だと理解していた。彼は薬味久子を足掛かりにするため、危機的な殺人細菌であるワイルドカード球菌を使って交渉を迫った。
薬味久子は、土御門元春がすでに地下の保管庫から検体を奪っていたことを悟った。彼は統括理事同士の専用連絡先を要求し、薬味久子のスマートフォンから貝積継敏へ襲撃の知らせを送った。
貝積継敏と雲川芹亜
第三学区の高層ビルでは、貝積継敏と雲川芹亜が土御門元春の接近について話し合っていた。彼らの手元には、人的資源プロジェクト、不審火、関係者のリストなど、真相に関わる情報が揃っていた。
雲川芹亜は、通常の警備増強や逃走では土御門元春に利用されると判断した。そこで一般警備を下げ、土御門元春が正面突破するしかないようにルートを調整し、自分が直接迎撃することにした。
正面突破
土御門元春は、高層ビルの近くで盗聴を試みていたが、内部の物音が消えていることから誘いだと判断した。兵隊を下げたのは、紛れ込みを防ぎ、確実に死亡確認を取るためだと読んだ。
罠があっても、舞夏を死に追いやった元凶にとどめを刺す必要があった。土御門元春は盗聴機材を捨て、真正面からビルのエントランスへ踏み込んだ。
階段の雲川芹亜
エントランスには人影がなく、二階へ続く階段の上に雲川芹亜が立っていた。彼女は、土御門元春がこの入口を選ぶと読んでいたと告げた。
土御門元春は、雲川芹亜が銃器や暗殺術ではなく、話術による人心掌握で統括理事会に食い込んでいる存在だと理解していた。彼は人的資源プロジェクトが舞夏を死に追いやるほど重要なのかと問うたが、雲川芹亜は答える義理はないと返した。
通じない脅し
土御門元春はワイルドカード球菌を持っていることを示唆したが、雲川芹亜は彼がそれを実際に撒く気はないと見抜いていた。彼が闇の人間だけを巻き込んできたことから、無差別に人を殺す細菌を使うことはありえないと読んでいた。
土御門元春はその分析を認めつつも、雲川芹亜の計算には欠損があると告げた。二人は同時に、これ以上話すことはなく、相手を迅速に始末すべきだと結論づけた。
外れる銃弾
土御門元春は機関拳銃を抜き、雲川芹亜へ連射した。しかし雲川芹亜は人の心の癖を読み、射線からわずかに外れるだけで銃弾を避けながら階段を下りてきた。
土御門元春は、拳銃に偽装した手榴弾を投げ込んだ。だが爆発物にも人の心は残ると雲川芹亜は見抜き、灰色の粉塵の向こうから無事な声を響かせた。
雲川芹亜のターン
土御門元春は短く連射しながら階段へ向かったが、それは雲川芹亜をその場に釘づけにするための行動だった。武器による優位は失われ、粉塵はむしろ土御門元春の情報取得を妨げていた。
次に動くのは雲川芹亜だった。逃げるにしても殺すにしても、戦いの流れは彼女の手番へ移っていた。
ビリヤードの終着点
雲川芹亜の読み
雲川芹亜は、爆発物を回避したのではなく、土御門元春の狙いそのものをずらしていた。白い大理石の壁で距離感を狂わせ、事前に銃弾を避けて心理的圧迫を与えることで、土御門元春に判断ミスを起こさせていた。
彼女は粉塵の中を正面から抜けることで、自分の底を見せずに恐怖を維持しようとした。しかし土御門元春は目の前まで迫り、雲川芹亜の眼球を抉り取った。
雲川芹亜の一発
雲川芹亜は、眼球を奪われても笑っていた。彼女は至近距離なら素人でも当てられるとして、袖の中に隠した小型拳銃で土御門元春の脇腹を撃ち抜いた。
雲川芹亜は、土御門元春が恐怖に縛られて簡単な武器の可能性を見落としたと判断した。彼女は貝積継敏へ連絡し、欠けた体の部品を用意するよう求めた。
魔術の反撃
雲川芹亜の体には異変が起き、聴覚や重力感覚が乱れていった。階段に倒れていた土御門元春は、奪った眼球を使って呪いの魔術を発動していた。
土御門元春は、雲川芹亜が科学サイドの情報しか持っていないため、魔術サイドの攻撃までは読めなかったと告げた。二度目の魔術行使で土御門元春の体も限界に近づいていたが、雲川芹亜は無力化された。
外壁の選択
土御門元春は、貝積継敏のいる上階へ向かおうとした。しかし非常階段やエレベーターシャフトなど、普通に考えられる経路には雲川芹亜のトラップがあると判断した。
彼はビルの構造を確認し、外壁を登ることを選んだ。命綱なしで五〇階分の高さを登る無謀な手段だったが、雲川芹亜の予測の外へ出るためにはそれしかなかった。
雲川芹亜の送信
雲川芹亜は倒れたまま、土御門元春が外壁を登っていると気づいた。貝積継敏自身には戦う力がないため、彼女は今呼べる中で最も効果的な人物へ連絡を送った。
その人物を呼ぶことが本当に自分の意思だったのか、雲川芹亜は直後に疑念を抱いた。だが送信はすでに完了しており、彼女は携帯端末を落とした。
貝積継敏の覚悟
貝積継敏は、普段は飲まない酒を口にしていた。やがて強化ガラスを破って、血まみれの土御門元春が執務室へ入ってきた。
土御門元春は貝積継敏へ、長く苦しい死を覚悟したかと問うた。貝積継敏は、自分も大きな計画に関わり、多くの人生を左右してきた以上、覚悟はできていると答えた。
舞夏の真相
貝積継敏は、土御門元春が真実を理解していないと指摘した。土御門舞夏の学生寮に火を放ち、彼女を死亡扱いにしたのは、ほかならぬ土御門元春自身だった。
正確には、人的資源プロジェクトの調査中に家族へ危害が及ぶと判断した土御門元春が、先に舞夏を死んだことにして身柄を隠し、部屋に火を放ち、公的記録を書き換えたのだった。舞夏は実際には生きており、本人は自分が死亡扱いされたことも知らなかった。
壊れた歯車
土御門元春は、舞夏が本当に死んでいなくても、自分は妹を殺したのだと語った。闇で使う技術を家族へ向け、彼女を薄汚い世界に関わらせないという自分の線引きを壊されたことが、彼の怒りの根だった。
彼は、もう自分は駄目であり、駄目でも構わないと叫んだ。二本の足で立つことすら忘れる前に、この件に関わった者を巻き込むと決めていた。
貝積継敏の警告
貝積継敏は、人的資源プロジェクトは土御門元春が思うよりさらに深く、ここから先はもっと状況が悪くなると警告した。土御門元春は貝積継敏こそ黒幕だと睨み、彼を徹底的に苦しめようとした。
しかし貝積継敏は、自分にはもう手駒が残っていなくても、ヒーローは来ると断言した。それは都合の良い偶然ではなく、土御門元春が何に関わっていたのかを知るための出来事だと語った。
呼び込まれた上条当麻
エレベーターの到着音が鳴り、貝積継敏は、自分と土御門元春の共倒れではなく、土御門元春と別の誰かを共倒れさせることが狙いだったと悟った。土御門元春は、雲川芹亜との激突も貝積継敏との対峙も途中経過に過ぎなかったと理解した。
現れたのは上条当麻だった。彼は土御門元春に騙されて学舎の園へ閉じ込められ、そこから脱出した後、非通知の案内に従ってこのビルへ辿り着いていた。
友人同士の衝突
上条当麻は、血まみれの土御門元春と拘束された貝積継敏を見て困惑した。貝積継敏は上条当麻がまだ止まっているボールであり、土御門元春が動かなければ衝突は避けられると気づいたが、土御門元春に殴られて気を失った。
土御門元春は、復讐を続けると宣言し、上条当麻へ銃を向けた。しかし銃は弾切れであり、彼は言葉ではなく暴力しか残っていないとして上条当麻へ襲いかかった。
抜け殻の土御門元春
上条当麻は、土御門元春の攻撃を避け、防ぐことができてしまった。土御門元春の速度はまだ上条当麻以上だったが、かつてのような威圧感や芯がなく、ただ抜け殻が動いているだけだった。
上条当麻の拳は土御門元春に当たり、彼はよろめき、ついには床へ倒れた。上条当麻は勝ててしまうことに屈辱を覚え、こんなものが土御門元春であるはずがないと涙を流した。
薬味久子の名前
土御門元春はもう答えなかった。上条当麻は、部屋に散らばる資料を見て、人的資源プロジェクトや火災、土御門元春の行動記録に触れた。
その中に、人的資源プロジェクトを推進していた中心人物の名があった。学園都市統括理事会の究極のVIP、薬味久子である。
行間 二
薬味久子の最終フェイズ
設計室の薬味久子
第一三学区の大学付属病院には、普通の病院ではありえない設備が集められていた。その中の設計室で、薬味久子は笑い続けていた。
薬味久子は、本来なら土御門元春に死なない程度に撃たれるはずだったが、彼が貝積継敏へ向かったことで自分は生き残ったと語った。それによって、人的資源が許容誤差を超えず、誰にも止められない域に達したと判断していた。
最終フェイズへの移行
恋査は、実験には誤差が生じていると指摘した。しかし薬味久子は、自分が殺されなかった時点で成功だとし、人的資源プロジェクトを最終フェイズへ移行すると宣言した。
薬味久子にとって、実益の獲得が第一優先であることは理解していたが、それでも引っかき回す楽しみを持つ余裕は必要だと考えていた。
闇の臨床試験
薬味久子は、並行している仕事の進行状況を恋査に確認した。恋査は、血栓を作るデザイナーズ・ゲル、呼吸量を調整する低周波暗示療法、全身の骨だけを生きたまま溶かして生存させる技術などの進捗を報告した。
それらは暗殺、脅迫、制裁、あるいは特殊な趣味のために使われる危険な研究だった。薬味久子は人の命を軽く扱い、気に入れば救い、癇に障れば闇へ落とす程度の感覚で動いていた。
ホワイトボードの写真
設計室にはホワイトボードがあり、複数の写真が貼られ、太い線で繋がれていた。恋査は、フレメア=セイヴェルンの位置情報は取得済みであり、黒夜海鳥も誘導済みだと報告した。
薬味久子は、フレメアや黒夜海鳥に関する経過が順調であることを確認した。さらに恋査にも予定通り動くよう命じた。
狙撃蜂の標的
薬味久子は、机の上にあった黒と黄色の縞模様のダーツを手に取った。それは狙撃蜂と呼ばれる特殊弾丸の参考モデルであり、針先からはギ酸が滲んでいた。
薬味久子はそのダーツを投げ、ホワイトボードに貼られた写真を正確に貫いた。彼女は、まず標的の息の根を止めることで最終フェイズのきっかけを作ると語った。
世界を巻き込む一手
写真の額からは血ではなく、蜂の毒であるギ酸がどろりと溢れた。
薬味久子は、それが全てを巻き込み、世界を一新すると告げた。人的資源プロジェクトの最終フェイズは、彼女の楽しみと共に動き出していた。
第三章 ??? Agitate_Halation.
人的資源の正体
生き残った三人
第三学区の高層ビルで、上条当麻は倒れた土御門元春と椅子に固定された老人を前にして、救急車を呼ぼうとした。しかし老人は、救急無線や病院は敵に監視されており、救急車を呼べば土御門元春は別の場所へ連れ去られると止めた。
老人は、黒幕が人的資源の邪魔者同士を激突させて共倒れさせるつもりだったと説明した。本来なら土御門元春の持っていたワイルドカード球菌が漏れ、全員が感染して死ぬ筋書きだったかもしれないが、全員が生き残っている時点で計画はズレ始めていた。
土御門舞夏の行方
老人は、土御門元春が守ろうとしていたものは土御門舞夏だと語った。人的資源を巡る攻防で舞夏が交渉カードに使われることを恐れた土御門元春が、彼女を死んだことにしたのが今回の発端だった。
しかし人的資源を操る者達なら、舞夏の居場所を掴む可能性があった。土御門元春が動けない以上、上条当麻は舞夏を直接探すのではなく、黒幕の襲撃計画そのものを妨害するしかなかった。
プロジェクト資料
上条当麻は執務室に散らばっていた資料を持ち出し、エレベーターの中で人的資源プロジェクトの概要を読んだ。そこには、突発的に現れるヒーローと呼ばれる不確定因子を、庇護対象を使って共倒れさせる計画が記されていた。
資料では、弱者の中から庇護対象を作り出し、ヒーロー達をビリヤードのボールのようにぶつける構想が説明されていた。ヒーロー同士を衝突させるため、キューとなる庇護対象を人工的に作ることが目的だった。
フレメア=セイヴェルン
人的資源プロジェクトでは、武装無能力集団、新入生、垣根帝督を用いた計画が進められていた。そして最終的に捕獲するべき存在として、フレメア=セイヴェルンの名が挙げられていた。
計画の主導者は薬味久子であり、フレメア=セイヴェルンを人造庇護対象として収穫することで、プロジェクトは完遂されるとされていた。上条当麻は、薬味久子の一派が狙うであろう場所へ向かうことにした。
喫茶店の浜面仕上
第一三学区では、浜面仕上と絹旗最愛が喫茶店からフレメア=セイヴェルンの学生寮を見張っていた。新入生の残党がフレメアを狙う可能性を警戒していたが、カブトムシがそばにいることもあり、緊張感は薄れていた。
消灯時間を過ぎた後、フレメアの部屋だけに一度明かりが点いた。絹旗最愛が電話をかけてもフレメアは出ず、二人は何かが起きたと判断した。
壊れるカブトムシ
その少し前、フレメア=セイヴェルンは翌日の持ち物を確認していた。そばにいた白いカブトムシは、歯磨きセットの確認を促し、消灯前に窓から出ようとしていた。
その時、カブトムシの外殻に亀裂が走り、床へ落ちた。カブトムシは外部から未元物質へ干渉されていると察し、敵の狙いがフレメアを動揺させ、部屋の外へ誘い出すことだと理解したが、警告は声にならなかった。
部屋を出るフレメア
フレメア=セイヴェルンは、壊れたカブトムシを助けるため、浜面仕上に相談しようとした。しかし電話は繋がらず、彼女はカブトムシを抱えて外出着に着替え、安全な部屋を出てしまった。
非常ドアのベルが鳴り響き、フレメアは敵の思惑通りに動かされた。本来守り札であるはずの第二位のカブトムシが、彼女を闇へ引きずり出す一手として使われた。
黒夜海鳥の濡れ衣
一方、黒夜海鳥は薬味久子の依頼で金の移動を任されていたが、アタッシェケースは最初から空だった。これは黒夜海鳥に金を奪ったという濡れ衣を着せる罠だった。
黒夜海鳥は薬味久子を殺し、新入生再興の足場にしようと考えた。そこへフレメア=セイヴェルンが現れ、続いて薬味久子の使いである恋査が路地の奥から姿を見せた。
恋査の収穫宣言
恋査は、フレメア=セイヴェルンを発見したことで収穫を第一目標に設定した。黒夜海鳥にはフレメアを守る義理はなかったが、薬味久子に信用を踏みにじられた怒りから、恋査を殺すことを最優先にした。
恋査は、新入生がフレメアに恐怖や義憤などを入力するための悪役として用意された暗部組織だったと語った。黒夜海鳥はその言葉に激怒し、窒素爆槍で恋査へ襲いかかった。
複数の能力
黒夜海鳥の窒素爆槍は、恋査の同じ窒素の槍で受け止められた。さらに恋査は第一位の反射に似た力で黒夜海鳥の攻撃を跳ね返し、第二位の未元物質に似た白い翼まで使った。
黒夜海鳥は、恋査が異なる系統の能力を複数扱っていることに気づいた。それは一人の人間が複数の能力を持てないという原則に反する怪物のような存在だった。
七人への対応策
恋査は、自分が学園都市の七人の超能力者全員が統括理事会へ敵対した場合の対応策として作られた存在だと告げた。つまり、七人全てを個別に撃破する能力を与えられていた。
恋査は次に超電磁砲を使った。夜の闇を切り裂くオレンジ色の閃光と爆音が第一三学区に響いた。
浜面仕上の前の足止め
浜面仕上と絹旗最愛は、フレメアの学生寮で状況確認をしていたが、爆音を聞いて爆心地へ向かった。そこへ白衣の女性が現れ、フレメアに一番引きずられやすいヒーローは浜面仕上だと語った。
白衣の女性は、助けに行くなとは言わず、諦められる理由を用意すると告げた。周囲の電子機器が火花を散らして壊れ、マンホールから大量のゴキブリが溢れ出した。
食人ゴキブリ
白衣の女性は、それが森やジャングルで木材をかじるオオゴキブリであり、精神外科手術によって人肉に食欲を抱くよう誘導されたものだと説明した。
そのゴキブリ達は人肉だけでなく、木材、石材、ゴム、金属、ガラス、プラスチックも食べるという。浜面仕上と絹旗最愛は、建物へ逃げてもやり過ごせない包囲の中に置かれていた。
ヒーロー達の共食い
第一三学区への疾走
上条当麻は、フレメア=セイヴェルンが人的資源プロジェクトの中心に据えられていると知り、第三学区から第一三学区へ走っていた。しかしフレメアの正確な学生寮の場所は分からず、彼はインデックスに確認することも考えた。
その前に、街路樹が背後から斬られた。上条当麻が振り返ると、紙袋を被ったバニーガール風の女が、ウォータージェットの薙刀を構えて交差点に立っていた。
声なき声
紙袋の女は、声なき声を聞いてフレメア=セイヴェルンを助けると語った。敵味方の区別がつかないため、自分以外を全て潰せば刺客は近づけないという歪んだ理屈だった。
上条当麻は、これも人的資源の影響なのかと疑った。まるでフレメアを巡ってヒーロー同士をぶつける対戦カードが組まれているように見えた。
制裁ライブ
上条当麻が構えた直後、紙袋の女は横から衝撃波で薙ぎ払われた。四台の広告トラックを引き連れて現れた扶桑彩愛が、大音量のスピーカーと無線マイクを使い、制裁ライブと称して乱入した。
扶桑彩愛は、フレメア=セイヴェルンに近づく不確定因子をゲスト扱いし、対決形式のライブを始めた。紙袋の女はそれに激怒し、ウォータージェットで広告トラックの一台を切断した。
二人のヒーロー
紙袋の女は、切断した道路や標識や車を組み合わせ、巨大なバリスタを作り出した。扶桑彩愛もそれを煽り、二人は上条当麻を置き去りにして激突していった。
上条当麻は、人的資源がフレメアを庇護対象にすることでヒーローを振り回す計画だと考えた。しかしこの場では、上条当麻ではなく紙袋の女と扶桑彩愛がぶつけられており、誰の都合で動いているのか分からなくなった。
都合の良すぎる携帯電話
戦いの余波で、上条当麻のもとに携帯電話が落ちてきた。そこにはフレメア=セイヴェルンの学生寮の情報が記されていた。
上条当麻は、あまりに都合が良すぎると感じた。それでも二人が戦いに没頭している隙にその場を離れ、自分が誰に振り回されているのか分からないまま、フレメアのもとへ向かった。
倒れた黒夜海鳥
黒夜海鳥は、五階建てほどのビルの屋上で仰向けに倒れていた。右腕は二の腕から切断され、全身の力も把握できないほど大きな損傷を受けていた。
そこへ恋査が現れ、黒夜海鳥の失われた右腕を咥えていた。恋査は黒夜海鳥を殺すつもりはなく、彼女の窒素爆槍でフレメアを殺した場合、ヒーロー達が誰の仕業と判断するかを問うた。
フレメア殺害の目的
黒夜海鳥は、フレメアを殺すなら最初からそう依頼すればよかったと笑った。恋査は、人的資源とはフレメア自身の能力ではなく、外的要因によって彼女に宿らせたものの先に最終段階があると語った。
恋査の目的は、フレメアを殺すことで人造庇護対象の耐久試験を終え、対象を管理する鳥籠を作ることだった。黒夜海鳥にはフレメアを守る理由はなかったが、恋査が自分の右腕を持ってきたことが反撃の材料になった。
切断された右腕
黒夜海鳥は、切断された右腕を遠隔操作し、掌から窒素爆槍を噴出させた。さらに自分の左腕からも窒素爆槍を放ち、恋査へ同時攻撃を仕掛けた。
恋査は同じ窒素爆槍で対応し、爆発によって黒夜海鳥と右腕を吹き飛ばした。しかし黒夜海鳥は、恋査が第一位の反射を使わず、自分の爆風を受けたことに気づき、怪物の正体を見抜く足掛かりを得た。
怪物の元凶
黒夜海鳥は、恋査が怪物と呼ばれる元凶がその体そのものにあると察した。能力の切り替えや複数能力の正体に、突破口があると見たのである。
だが恋査は再び攻撃手段を切り替え、黒夜海鳥に凄まじい一撃を加えた。黒夜海鳥の体は宙に浮き、そのままビルの屋上から投げ出された。
恋査との遭遇
食人ゴキブリの包囲
浜面仕上と絹旗最愛の周囲では、開いたマンホールから大量の食人ゴキブリが迫っていた。絹旗最愛は、自分の窒素装甲なら直接噛まれずに済むとして、食人ゴキブリを引き受けようとした。
白衣の女は、絹旗最愛の能力が精神的疲弊によって乱れる可能性を示し、ゴキブリを選んだ理由もそこにあると語った。絹旗最愛はそれでも浜面仕上に、フレメア=セイヴェルンのもとへ向かうよう促した。
絹旗最愛の足止め
絹旗最愛は、フレメア=セイヴェルンを闇の光景に触れさせないため、浜面仕上が信頼に応えるべきだと告げた。浜面仕上は迷ったが、絹旗最愛に背を向け、爆心地へ向かって走り出した。
背後では、食人ゴキブリの群れと絹旗最愛の戦闘が始まった。浜面仕上は、仲間へ全てを押し付けて逃げた罪悪感と、生理的嫌悪感を抱えながら、叫びながら走り続けた。
落下した黒夜海鳥
爆心地の近くで、黒夜海鳥がビルの屋上から落下してきた。彼女は右腕を失い、全身に深刻な損傷を負っており、声を出すこともできなかった。
浜面仕上が近づくと、続いて恋査が自分の意思で地面へ着地した。彼女の体は、看護師の姿を装っていただけで、脳以外の大部分が機械化されたサイボーグだった。
恋査の構造
黒夜海鳥は、左手で地面に血文字を書き、恋査が自分よりも決定的に機械化の比率が高いサイボーグだと伝えた。恋査は背中の内部にある巨大な花のような機構を展開し、人体配線の設計図を切り替えることで、複数の能力者の特徴を再現できると説明した。
恋査は、第一位から第六位までの超能力者と、半径二〇〇メートル以内の任意の能力者の力を引き出せる存在だった。浜面仕上は、それが能力の才能ではなく工業技術で成り立っていることに戦慄した。
浜面仕上の推測
恋査は、浜面仕上を殺した後、黒夜海鳥を行方不明にし、フレメア=セイヴェルンを黒夜海鳥の能力で殺すことで罪を被せるつもりだった。
浜面仕上は、恋査がすぐに殺そうとせず行動を説明しながら近づく理由を考えた。彼は、恋査の本当の狙いが、自分達を追い立ててフレメアと合流させ、その後を尾行することだと推測した。
即興の共闘
浜面仕上は、黒夜海鳥の機械の左手を頬に当て、小声で作戦を伝えた。恋査は浜面仕上を生かして逃がしたいはずであり、その前提を利用して自分が飛びかかり、黒夜海鳥が窒素爆槍で恋査を撃つという作戦だった。
しかし黒夜海鳥は、浜面仕上が恋査に作戦を聞かせることで自分を囮にし、フレメアのもとへ逃げるつもりだと疑った。彼女は、浜面仕上への怒りではなく、自分が仲間を信じかけたことへの屈辱に支配された。
裏切られた信頼
浜面仕上が動いた瞬間、黒夜海鳥は彼が逃げると読んで槍の軌道を組んでいた。だが浜面仕上は逃げず、恋査へ真っすぐ飛びかかった。
浜面仕上は本当に黒夜海鳥と共闘するつもりだった。黒夜海鳥が軌道修正できない間に、恋査は未元物質の翼で浜面仕上を弾き飛ばし、彼は黒夜海鳥の近くへ叩き落とされた。
黒夜海鳥の慟哭
浜面仕上は血を吐きながら倒れ、黒夜海鳥は、彼が最後まで自分を信じていたことを理解した。彼女は自分の疑心暗鬼が浜面仕上を裏切ったのだと悟り、獣のような叫びを上げた。
恋査は、浜面仕上が誘導役として使えなくなったため、ここで殺害し、別の知り合いを利用すると判断した。浜面仕上は、信頼を得られなかったのは自分の努力不足だと黒夜海鳥に謝った。
上条当麻の到着
恋査は窒素の槍を振り上げ、浜面仕上達へとどめを刺そうとした。その直前、誰かが恋査の手首を掴んで動きを止めた。
現れたのは上条当麻だった。彼は恋査の右手首を掴み、これも予定通りなのかと問いかけた。
人的資源の完了
絹旗最愛の分担
浜面仕上と絹旗最愛の前には、食人ゴキブリの群れが迫っていた。絹旗最愛は窒素装甲で直接の咬傷を防げるとして、自分が群れを引き受け、浜面仕上をフレメア=セイヴェルンのもとへ向かわせようとした。
白衣の女性は、数え切れないゴキブリを潰し続けることで絹旗最愛の精神を削り、能力の演算を乱せると語った。それでも絹旗最愛は、フレメアに暗部用の悪趣味な光景を見せるべきではないとし、浜面仕上に走るよう命じた。
浜面仕上の逃走
浜面仕上は絹旗最愛に全てを押し付ける罪悪感を抱えながら、爆心地へ向かって走った。背後では、食人ゴキブリの群れが飛び立ち、絹旗最愛がそれを食い止めている音が響いていた。
浜面仕上は、嫌悪感と罪悪感の区別もつかないまま走り続けた。限界に達した内圧を逃がすように叫び、フレメアが関わっているであろう場所へ急いだ。
黒夜海鳥の落下
爆心地の近くで、黒夜海鳥がビルの屋上から落下してきた。彼女は血まみれで、機械化されていない部分にも深刻な損傷を負い、声を出すこともできなかった。
浜面仕上が声を聞こうとした直後、恋査が自らの意思で地面へ着地した。恋査は、浜面仕上が黒夜海鳥を敵と見なす状況を作れなくなったと判断しながらも、実験を続行しようとした。
恋査の機械化
恋査は、看護師の姿を装っていたが、脳以外のほぼ全身を機械化したサイボーグだった。黒夜海鳥は左手で血文字を書き、恋査は自分よりも機械化の比率が決定的に違うと伝えた。
恋査は背中の巨大な花のような機構を展開し、人体配線を切り替えることで複数の能力者の特徴を再現できると説明した。第一位から第六位までの超能力者と、半径二〇〇メートル以内の任意の能力者の力を引き出せる存在だった。
浜面仕上の作戦
恋査は、浜面仕上を殺し、黒夜海鳥を行方不明にした後、黒夜海鳥の能力でフレメアを殺して罪を被せるつもりだった。浜面仕上は、恋査がすぐ自分を殺さない理由を考え、自分達をフレメアのもとへ逃がして尾行する狙いだと推測した。
浜面仕上は黒夜海鳥の機械の左手を頬に当て、小声で共闘を提案した。自分が恋査へ飛びかかり、黒夜海鳥が背後から窒素爆槍を撃ち込むという作戦だった。
黒夜海鳥の疑心
黒夜海鳥は、浜面仕上が自分を囮にして逃げるつもりだと疑った。彼女は、浜面仕上がフレメアを守るためなら自分を利用して恋査と殺し合わせるはずだと考えた。
しかし浜面仕上は逃げず、恋査へ真っすぐ飛びかかった。黒夜海鳥は彼の信頼を疑ったために軌道修正できず、恋査は未元物質の翼で浜面仕上を叩き落とした。
浜面仕上の謝罪
浜面仕上は血を吐きながら倒れた。黒夜海鳥は、自分が疑心暗鬼で浜面仕上を裏切ったのに、彼が最後まで自分を信じていたことを理解した。
浜面仕上は、自分が信頼を得られなかったからこうなったのだと謝った。恋査は浜面仕上が誘導役に使えないと判断し、ここで殺害し、別の知り合いを利用する方針へ切り替えた。
上条当麻の介入
恋査が窒素の槍を振り下ろそうとした瞬間、上条当麻が背後から現れ、恋査の手首を掴んだ。上条当麻は、これも予定通りなのかと恋査に問いかけた。
恋査はすぐに未元物質の白い翼で背後を攻撃したが、上条当麻の右手によって翼は砕かれた。浜面仕上は、恋査が複数の能力を切り替えて使えるため、迂闊に触れるなと警告した。
恋査との接近戦
恋査は原子崩し、高圧電流、烈風、超電磁砲を切り替えながら上条当麻を殺そうとした。上条当麻は右手で攻撃を打ち消し、能力切り替えのラグと仕切り直しの癖を見抜いた。
上条当麻は、恋査は超能力者と同じことができるだけで、超能力者そのものではないと断じた。しかし恋査は、能力戦が不利と見ると機械の体を使った肉弾戦へ移り、上条当麻の喉を掴んで吊り上げた。
幻想殺しの異常
恋査は第一位の反射を起動し、上条当麻の血流と電気信号を逆流させようとした。しかし直前に、珍しい能力である幻想殺しを一度試したいという考えがよぎり、上条当麻の能力を引き出そうとした。
その瞬間、恋査の片腕が異常に膨張し、内部から崩壊した。幻想殺しを噴出点として再現しようとしたことで人体配線が破綻し、恋査は全身にノイズを走らせて倒れた。
フレメアへのGPS
上条当麻は恋査から解放され、浜面仕上と黒夜海鳥の状態を確認した。浜面仕上はすぐに死ぬわけではないとし、黒夜海鳥や絹旗最愛もそれぞれ何とかすると告げた。
浜面仕上は、フレメア=セイヴェルンの防犯ブザーと繋がった携帯電話を上条当麻に渡した。上条当麻は、自分は代理であり、本当にフレメアが待っているのは浜面仕上だと釘を刺して、GPSを追って走り出した。
絹旗最愛の勝利
絹旗最愛は、食人ゴキブリの群れを相手にしても戦意を失わなかった。彼女は、ゴキブリの誘引物質や匂いによる標的設定を見抜き、窒素操作によってその盤面を崩した。
白衣の女性は自分の作ったゴキブリに食われながらも笑っていた。彼女は、自分が殺されることも計画通りであり、フレメアを狙う悪党がヒーローに撃破されたという記号を作るためだったと語った。
最終フェイズの終了
白衣の女性は、人的資源プロジェクトは完遂と同時に終了し、ここから先はそれ以上のプロジェクトが始まると告げた。やがて彼女はゴキブリに呑み込まれ、骨も残らず消えた。
絹旗最愛は、女性がいつ死亡したのかも把握できなかった。残されたのは、ゴキブリの群れが散った後の何もない歩道だけだった。
フレメアの叫び
フレメア=セイヴェルンは、夜の街を走っていた。浜面仕上を巻き込んでしまったこと、自分のせいで彼がまた傷つくかもしれないことに追い詰められていた。
彼女の手の中の白いカブトムシは動かず、誰の声も届かない。フレメアは涙を浮かべ、誰か助けてと叫んだ。
動き出すヒーロー達
普段なら、フレメア=セイヴェルンの叫びは闇の中に埋もれていたかもしれなかった。しかし街の各所で、多くの人々が顔を上げた。
他の学区の、声が届くはずのない場所でも、人々は立ち上がった。彼らはヒーローと呼ばれるべき者達だった。
松定博士の本
一方、黄泉川愛穂は松定博士の目覚めを待ちながら、彼の著書を読んでいた。本には、流体の粘性や濃度を使う次世代演算装置、濃淡コンピュータの構想が記されていた。
黄泉川愛穂は、AIM拡散力場全体を濃淡コンピュータの媒体にすれば、参加している学生達を操れる可能性があると考えた。彼女はそれを突飛な話だと思いながらも、ある意味で真実に最も近づいていた。
行間 三
七五〇〇人のヒーロー
人的資源の構造
人的資源とは、フレメア=セイヴェルンをビリヤードのキューとして据え、無数のヒーロー達をボールのように衝突させる計画だった。
フレメアの命が利用された新入生の事件や、フロイライン=クロイトゥーネを巡る騒動では、彼女の都合に合わせて多くの者が味方として動いていた。人的資源はその性質を人工的に支配し、ヒーロー同士を共食いさせるための仕組みだった。
庇護対象の価値
人的資源の影響下では、フレメア=セイヴェルンが全てのヒーローの価値基準の中心に置かれた。彼女を直接知っているかどうかに関係なく、彼女に関わった物や人物には強い意味が与えられた。
もしフレメアの身柄を第三者が確保し、脳を壊して単純な問題だけを解かせ続ければ、ビリヤードのキューはその第三者の手に渡る。するとヒーロー同士の衝突を任意に引き起こせるはずだった。
水の刃を持つ少女
第一五学区の繁華街では、小柄な少女が大型バイクの列を倒し、男達に絡まれていた。男の一人が少女の肩を掴むと、少女はペットボトルの水を刃に変え、男の腹を刺した。
少女は、立ち塞がる者はフレメアを助けに行く邪魔であり、敵と判断するしかないと語った。彼女もまた、不自然な天啓に導かれたヒーローの一人だった。
金属バットの強奪
第七学区では、少年が建設重機でスポーツ用品店のシャッターを破り、金属バットを奪おうとしていた。店主は商品を暴力沙汰に使わせまいと抵抗した。
少年は、ヒーローは困った時に必要なものを借りていくものだと語った。店主がそれは悪党だと返すと、少年はフレメアを助ける動きを邪魔するなら仕方ないと判断し、店主を敵と見なした。
扶桑彩愛の参戦
第一八学区の劇場前では、扶桑彩愛が多数のトラックを従えていた。彼女は、自分の声を必要とする誰かがいるなら全力で応えるべきだと考え、騒ぎの方へ向かった。
扶桑彩愛は、フレメアを助けるためにATMを襲おうとしていた者を見つけ、音響能力で銀行のシャッターごと吹き飛ばした。彼女もまた、自分なりの正義として暴力的な介入を始めていた。
暴走するヒーロー達
夜の学園都市では、およそ七五〇〇人のヒーロー達が動き出していた。彼らは本来なら人や街や世界を救えたかもしれない者達だったが、正義感や保護欲を注入され、異なる方向へ突き進んでいた。
彼らはフレメアを助け、邪魔する者を全て潰すという天啓に導かれていた。止めに入った一般人や警備員さえも巻き込みながら、夜の街を練り歩いていった。
薬味久子の狙い
薬味久子の最終的な狙いは、人的資源を完成させたうえで、自らそれを破壊することだった。フレメア=セイヴェルンを黒夜海鳥が殺したという事実を作り出し、ヒーロー達の怒りを黒夜へ向けるためである。
新入生の事件を通じて、フレメアはヒーローに守られるべき存在というパラメータを入力されていた。黒夜海鳥は、その反作用として最適な悪役にされていた。
騒動の審判
フレメアを中心とした騒動は、七五〇〇人のヒーロー達を巻き込みながら拡大していた。
黒幕は、本当にこの騒動を制御できているのか。人的資源という巨大なビリヤードの審判は、間もなく下ろうとしていた。
第四章 予定調和の破壊 Total_Hero.
博覧百科への逃走
再起動した恋査
恋査は再起動し、上条当麻、浜面仕上、黒夜海鳥がすでにいないことを確認した。フレメア=セイヴェルン追跡の手がかりを失ったため、索敵用に性能を再分配しようとした。
そこへ薬味久子の声が届いた。薬味久子はすでに肉体を失い、AIM拡散力場を媒体とする濃淡コンピュータへ意識を移していた。
薬味久子の本命
薬味久子は、人的資源プロジェクトは表向きの説明であり、本命はAIM拡散力場を使って風斬氷華やドラゴンの領域へ踏み込むことだったと明かした。さらに彼女は、世界中の空気を媒体にすれば、AIM系思考体を超える存在へ生まれ変われると考えていた。
そのためには、薬味久子を学園都市に繋ぎ止める楔となっているフレメア=セイヴェルンを排除する必要があった。恋査は、これまで通りフレメアを殺せばよいと理解した。
カブトムシの追跡
恋査は、学園都市中のヒーロー達がフレメアを助けるために動いている状況への対処を確認した。薬味久子は、ヒーロー達は共闘せず、フレメアを見つければ自分の方法で助けようとして仲間割れすると見ていた。
薬味久子は、浜面仕上を尾行する必要はないと告げた。彼女達が乗っ取った白いカブトムシの反応を追えば、フレメアの位置は分かるはずだった。
博覧百科の赤い光点
上条当麻は、浜面仕上から受け取った携帯電話のGPSを頼りに、フレメア=セイヴェルンを追っていた。地図上の赤い光点は、第一三学区の巨大学術施設、博覧百科を示していた。
博覧百科は、図書館、美術館、水族館、プラネタリウムなどを一体化したテーマパーク型施設だった。上条当麻は、八歳のフレメアがどうやって忍び込んだのかを疑問に思ったが、警報を鳴らして警備員に助けを求めるつもりだったのかもしれないと考えた。
消えたGPS
上条当麻が博覧百科へ急いでいる途中、携帯電話の赤い光点が突然消えた。フレメアの居場所を示すGPS信号は失われ、画面を操作しても戻らなかった。
上条当麻は嫌な予感を膨らませながら、博覧百科へ向かって走り続けた。
正面ゲートのフレメア
フレメア=セイヴェルンは、博覧百科の正面ゲートに到着していた。彼女は小柄な体を利用し、金属格子の隙間を強引にくぐり抜けた。
敷地内に入った瞬間、巨大な屋外照明が点灯した。白いカブトムシは、見つかることより追っ手に注意すべきだと告げ、フレメアに防犯ブザーを壊すよう促した。
破壊された防犯ブザー
白いカブトムシは、GPS信号を盗まれる危険があると説明した。しかしその言葉は、第三者に操られたものだった。本来のカブトムシは、防犯ブザーを壊せば救援が来られなくなると抵抗していた。
操られたカブトムシは、浜面仕上からもらったものがフレメアを傷つければ浜面が苦しむと語り、彼女の心を抉った。フレメアは泣きそうになりながら防犯ブザーを踏み潰し、GPS信号は完全に失われた。
避雷針への誘導
カブトムシを操る何者かは、フレメアを博物館エリアがある高層複合ビル、避雷針へ向かわせた。屋外エリアには植物園や動物園、地下には水族館があり、避雷針には美術館、図書館、博物館が入っていた。
フレメアは、鍵のかかったビルへどう入るのか尋ねた。操られたカブトムシは、彼女の小さな体を利用できる抜け穴があるとして、東二の業務搬入口を目指すよう指示した。
押し寄せるヒーロー達
その時、人工林から紙袋を被ったバニーガール風の女が現れた。さらに、草葉を揺らしながら多くの男女が次々と姿を見せた。
彼らはフレメアを助けると言いながら、自分だけが助けると奪い合いを始めていた。フレメアはカブトムシの指示に従い、追っ手達の共食いのような争いから逃げる形で避雷針へ走った。
上条当麻の侵入
上条当麻は博覧百科へ到着し、警報がすでに鳴っていることを確認した。彼は三メートル近いフェンスをよじ登り、強引に敷地内へ侵入した。
動物園エリアを進む上条当麻は、空気に混じる煙の匂いと異様な濃さを感じた。丘の上へ出ると、植物園エリアが炎と煙に包まれ、避雷針を中心に数百から数千人規模の暴動が起きていた。
暴動の中心
上条当麻は、暴れている者達が人的資源の影響を受けた自称ヒーロー達だと考えた。彼らはフレメアを守るという同じ目的を掲げながら、誰が主導権を握るかで完全に分裂していた。
上条当麻は、暴動を一つずつ止める余裕はないと判断した。最優先はフレメアと合流し、黒幕を倒して人的資源そのものを潰すことだった。
飼育員の情報
上条当麻は施設警備員を探したが見つからず、食材保管庫で隠れていた中年の飼育員を見つけた。彼は動物用の餌を作る大型機械の中に隠れていた。
上条当麻は、フレメアを探すために監視カメラの映像が必要だと説明した。飼育員は、スマートフォンから施設の無線カメラ網に接続する裏技を使い、フレメアが正面ゲートをくぐって避雷針へ向かったことを確認した。
避雷針への道
飼育員は、避雷針が美術館や博物館を含むため、施設内でも特に頑強な場所だと説明した。上条当麻は、それでも大量のヒーロー達が先端科学や能力を使えば一晩耐えられるとは限らないと考えた。
上条当麻は飼育員に逃げ道を示し、自分は避雷針へ向かうことにした。二人はそれぞれ別の目的地へ向かって、強い照明に照らされた夜の動物園を走り出した。
避雷針の爆破
広場への接近
上条当麻は避雷針へ近づこうとしたが、周囲には人的資源の影響を受けたヒーロー達が増えていた。彼は野外美術館のオブジェに身を隠し、地下送電網を使って避雷針へ入る方法を考えた。
しかし火花を放つリボンやバトンを操る少女に見つかり、上条当麻は彼女を倒して逃げ出した。次々と別のヒーロー達も集まり、彼の逃げ道は徐々に塞がれていった。
集まる超能力者達
扶桑彩愛が広告トラックを従えて現れ、衝撃波で周囲を巻き込んだ。そこへ麦野沈利、絹旗最愛、滝壺理后が到着し、麦野沈利の原子崩しが広告トラックを吹き飛ばした。
さらに植物園では削板軍覇が現れ、炎を拳の一撃で吹き消した。別の場所では藍花悦を名乗る少年が、能力を使わずにヒーロー達を倒していた。
食蜂操祈と御坂美琴
食蜂操祈は、上条当麻を追って博覧百科へ来ていた。彼女はリモコンで周囲のヒーロー達を操り、同士討ちを起こしていた。
隣には御坂美琴もおり、食蜂操祈が逸らした攻撃を受けて怒っていた。二人は上条当麻の行方を追いながら、先に辿り着いた方が好きにすると言い合った。
一方通行の降下
博覧百科の上空に、一方通行が現れた。彼は四本の竜巻を翼のように背負い、ヒーロー達が密集する広場へ突撃した。
一方通行は着地だけで一〇〇〇人規模のヒーロー達を吹き飛ばしたが、死者は出していなかった。彼は上条当麻と遭遇し、やるべき事が分かっているなら行けと促した。
地下送電網
上条当麻は四角いマンホールを開け、地下送電網へ入った。地下通路は美術品や骨董品の避難経路も兼ねているらしく広く、蜘蛛の巣のように張り巡らされていた。
上条当麻は避雷針の地下へ出ると、施設警備員から東二のダストシュート集積所で不審な警報があったと聞いた。彼はフレメアがそこから潜り込んだと考え、鍵束を借りて博物館エリアへ向かった。
恐竜の口の中
博物館エリアは大きな吹き抜けになっており、巨大な肉食恐竜の骨格標本が展示されていた。上条当麻はフレメアの名を呼んだが、最初は返事がなかった。
そこで浜面仕上に頼まれて来たと告げると、フレメアは恐竜の骨格標本の口の中から顔を出した。上条当麻はエスカレーターを駆け上がり、ようやく彼女と合流した。
恋査の到着
その直後、博物館エリアの壁が砕け、投光器の光と共に恋査が飛び込んできた。以前と違い、彼女は薬味久子に操られているような口調で、上条当麻達を嘲った。
恋査は、人的資源プロジェクトは完成したが、主はその先を見るために完成したものを徹底的に壊そうとしていると語った。そして、自分は戦うためではなく、上条当麻達の死を見届けるために来たのだと明かした。
操られたカブトムシ
フレメアのポケットにいる白いカブトムシも、第三者に操られていた。操られた声は、カブトムシ自身が何度もフレメアを止めようとしていたことを暴露した。
上条当麻は、白いカブトムシが抵抗していたのに、その声が利用されてフレメアを誘導していたと知った。怒りがこみ上げる中、恋査はすでに全て終わっていると告げた。
爆破実行
恋査は、避雷針には事前に爆弾が仕掛けられており、建物ごと崩せると明かした。起爆信号はサイボーグの体から送られるため、上条当麻がすぐに奪えるものではなかった。
上条当麻は咄嗟にフレメアを庇おうとしたが、建物全体が崩れるなら意味はなかった。恋査はセーフティを解除し、パスワードを入力し、躊躇なく爆破を実行した。
恋査の再起動
不発の爆破
恋査は避雷針を爆破しようとしたが、起爆信号を送っても爆弾は作動しなかった。上条当麻はフレメア=セイヴェルンに覆い被さったまま、沈黙の中で異変に気づいた。
恋査は爆弾が全て不発になったことに動揺した。直後、外で待機していたヘリコプターに巨大な白いカブトムシが激突し、恋査の計画はさらに崩れた。
垣根帝督の分割
巨大なカブトムシは、未元物質の性質を利用されて行動を制限されていたと説明した。しかし垣根帝督は、主体を必要としない存在であり、分割されても個々に仮の意識を生み出し、合流すれば再び一つに戻るものだった。
フレメアが避雷針へ誘導されると察知した時点で、虫サイズに分割された垣根帝督達が潜入し、爆弾のコードを切断していた。巨大なカブトムシは、超能力者を甘く見るなと告げ、白い少年の姿へ変わった。
近接高速戦闘
恋査は、爆破の失敗も薬味久子の想定内だと悟り、戦闘に切り替えた。彼女は第一位のベクトル制御能力を使い、竜巻のような四本のブースターで近接高速戦闘に特化した。
屋外エリアでは、超能力者達が人的資源に操られたヒーロー達を圧倒し始めていた。だが、ヒーロー達も逆境で突破口を見つける性質を持っており、御坂美琴や食蜂操祈も予想外の対処を迫られていた。
上条当麻と垣根帝督の共闘
博物館エリアでは、垣根帝督と恋査が音速以上の速度で激突した。上条当麻はその速度についていけなかったが、右手で触れれば恋査の能力による高速移動を乱せると考え、戦闘圏内へ踏み込んだ。
上条当麻の存在によって恋査の動きがわずかに変わり、その隙に垣根帝督が攻撃を仕掛けた。上条当麻と垣根帝督は、直接の火力差を埋めるために互いの動きを利用して恋査を吹き飛ばした。
黒い翼
恋査は倒れたように見えたが、再び起き上がった。彼女は第一位が追い詰められた時に出した隠し球として、漆黒の翼を噴出させた。
黒い翼の一撃で垣根帝督は吹き飛ばされ、恋査は第一位と第二位の差を示したと笑った。しかし上条当麻は黒い翼を右拳で弾き上げ、ギリギリで生き残り続けた。
封じられた前兆
恋査は、上条当麻が一対一の状況で前兆を読みやすくなっていると見抜いた。そこで表情や呼吸、筋肉の微細な動きまで機械的に固定し、前兆を消した。
上条当麻は黒い翼への対応が遅れ、垣根帝督に突き飛ばされなければ致命傷を受けていた。恋査は、上条当麻が全てを救えるヒーローではなく、すでにノーミスクリアの道は閉じていると告げた。
恋査の中身
恋査は、小さな透明容器を上条当麻の足元へ転がした。中に入っていたのは、前の恋査の視床下部を切り取って詰めたものであり、恋査という甲体を操るための部品だった。
恋査の体は一つしかなく、脳が壊れるたびに新しいものへ交換されていた。少なくとも二七人以上が同じように脳を切り取られ、組み込まれ、使い潰されてきたことが示された。
救えなかった命
恋査を操る存在は、自分は被害者ではなく、自ら望んでこの道を選んだと語った。勝負に勝てても人を救えなくなる闇の人間と、幸せな人生を守るヒーローでは歩んできた道が違い過ぎると上条当麻に突きつけた。
さらに、人的資源が始まる前から犠牲はあり、今さら一人二人救っても取り返しはつかないと語った。それは上条当麻に救えなかった命の事実を突きつける言葉でもあった。
折れない拳
上条当麻は、救えなかった命があるからといって努力をやめる理由にはならないと返した。完全なヒーローはいないからこそ、小さな力を積み重ねなければ誰も守れないと考えた。
矛盾や嘘や間違いは自分が抱えればよく、助けられる側に押し付けるものではない。上条当麻は、答え合わせのために人を助けているわけではないと告げ、フレメアを守る盾として拳を握り直した。
フレメアの決意
願いの代償
フレメア=セイヴェルンは、自分が強く願ったせいで周囲の人々が傷ついているのではないかと考えていた。新入生の事件でも、フロイライン=クロイトゥーネの一件でも、誰かが自分のために動き、その代償はいつも自分以外の流血で支払われていた。
彼女は、自分の世界が誰かを踏みつけにして成り立っているように感じた。誰かに悪だと糾弾されていれば、助けを求めずに済んだかもしれないとまで思い詰めていた。
垣根帝督の否定
倒れた垣根帝督は、それはフレメアが心配することではないと告げた。自分は自分のやりたいように動いているだけであり、上条当麻も同じだと伝えようとした。
しかしフレメアは、だから誰かが自分の代わりに倒れてよいわけではないと感じた。彼女は涙を拭い、自分を害しようとする世界そのものへ向き合った。
守る側への宣言
フレメアは、もうヒーローを待ち焦がれないと口にした。ただ黙って殺されるのも嫌だが、そのために誰かが傷つくことはもっと嫌だった。
彼女は立ち上がり、今度は自分がみんなを守れるような自分になると宣言した。その言葉は、人的資源の根幹を揺るがすものだった。
薬味久子の不安
AIM拡散力場を媒体にしてAIM思考体へ深化していた薬味久子は、恋査の優勢を確信していた。フレメアを殺せば、自分を学園都市に繋ぎ止める最後の楔が外れ、世界へ広がる存在になれると考えていた。
しかしフレメアが薬味久子を捉え、ヒーローを待たずに自分が守ると宣言したことで、薬味久子は不安を覚えた。人的資源はフレメアを守られるべき弱者として成立していたため、彼女が庇護対象以外の性質を獲得すれば土台が崩れるからだった。
無能力者の干渉
フレメアは、無能力者の力はゼロではないと断言した。薬味久子は、AIM拡散力場を媒体にした濃淡コンピュータであれば、たとえ微小な力しか持たない無能力者でも、情報の最小単位として自分に干渉できると気づいた。
薬味久子の意識には大量のノイズが流れ込み、誰かの記憶が混ざり始めた。彼女は自分の情報の真偽すら掴めなくなり、フレメアに計画の全貌を理解していないと訴えた。
笑顔を返す願い
フレメアは、薬味久子の計画には興味がないと切り捨てた。彼女が求めたのは、浜面仕上、カブトムシ、そして皆の元の笑顔を返すことだけだった。
その言葉と共に、薬味久子という存在が恋査の内部へ叩き込まれた。恋査の体は膨張し始め、#029と薬味久子の声が重なりながら、人の形を失っていった。
終わりへの拳
垣根帝督は、もう終わりにしてやるべきだと上条当麻に告げた。上条当麻は右拳を握り、変わり果てていく恋査へ歩き出した。
恋査の中の#029は、薬味久子を手放すことは死ぬより辛いと拒んだ。薬味久子は自分達にとって世界で一番のヒーローであり、外道に走ってでも恩を返すと決めていたからだった。
ヒーローへの問い
上条当麻は、そこまで大事ならなぜもっと早く薬味久子を助けに行かなかったのかと叫んだ。ヒーローを待っても間に合わない現実があるとしても、間に合うまで戦っていれば結果は変わったかもしれないと突きつけた。
#029は、自分のような人間にヒーローの真似ができるのかと怒った。だが上条当麻は、今の#029はもうそれをやっていると返し、恋査をヒーローと呼んだ。
助けるための激突
#029は、自分は汚れた道具でよいと拒絶しながらも、純白の翼を出した。上条当麻は、薬味久子だけを消せば#029は助かると分かっていたが、それでは誰かを殺して誰かを救うだけで終わってしまうと考えた。
上条当麻は、それでも#029を助けると告げた。恋査は音速を超える速度で迫り、白い翼を振り下ろしたが、崩壊によって前兆が戻っていたため、上条当麻はその動きを読み切った。彼は翼を避け、恋査の顔へ拳を放った。
終章 終わってみれば to_the_Main_Line.
人的資源の終幕
薬味久子の復活
薬味久子は、第一三学区の路地裏で息を吹き返した。AIM思考体を維持するには演算装置が必要であり、彼女は食人ゴキブリの群体移動が発する匂いを媒体にして、最後のバックアップとして復活していた。
薬味久子は、自分が肉体を持たない情報生命体になった以上、何度でも挑戦できると考えた。彼女は人的資源プロジェクトを再開し、油断している今ならフレメア=セイヴェルンを確実に殺せると判断した。
フロイライン=クロイトゥーネ
薬味久子の前に、白いワンピースの少女が現れた。少女は悪い敵を見つけたと告げ、食人ゴキブリに群がられても傷一つ負わずに近づいてきた。
薬味久子は自分が肉体を持たない情報生命体だから物理攻撃は通じないと考えたが、少女はその存在を噛み千切った。フロイライン=クロイトゥーネは薬味久子を食べ、最後に一欠片だけを残した。
お仕置き
フロイライン=クロイトゥーネは、これは友達を傷つけたお仕置きだと告げた。薬味久子は消滅も完成もできず、永遠にのたくるだけの存在として残された。
フロイライン=クロイトゥーネは、薬味久子が長い時間をかけて本当に自分を見つめ直せたなら、最後の一切れも食べてやると告げた。そこで薬味久子の騒動は終焉を迎えた。
木原達の会話
一夜明けた第一三学区では、リクルートスーツに白衣の女がゴールデンレトリバーと散歩していた。犬の姿をした木原は、薬味久子に植え付けた知的好奇心が暗闇の五月計画と同じものだったと指摘した。
薬味久子の根幹を作っていた部分は、彼女自身のものではなかった。白衣の女は薬味久子を有用なパトロンとして見ていたが、失敗後は新たな隠れ蓑や影の支配者作戦を考え始めていた。
人的資源の評価
木原達は、人的資源が本当に失敗と呼べるのかを話し合った。薬味久子の意図に反して超能力者達が一堂に会し、幻想殺しも自らの意思で舞台に上がったことから、まだ何かが眠っている可能性があると見ていた。
白衣の女はその指摘に興味を示した。事件は終わったが、木原達はそこから新たな研究の可能性を見出していた。
土御門元春の処刑
土御門元春は、第七学区の鉄橋で雲川芹亜を待っていた。雲川芹亜は移植した片目が馴染んだと答え、土御門元春の覚悟を確認した。
直後、雲川芹亜は大型拳銃で土御門元春を撃ち、彼は川へ落ちた。貝積継敏への連絡では処刑が済んだと報告されたが、実際には血液入りのペイント弾を使った偽装であり、裏社会を納得させるための儀式だった。
病院の三人
浜面仕上は第七学区の病院で、車椅子の黒夜海鳥と話していた。そこへ上条当麻が現れ、三人とも包帯だらけの姿で互いの無事を確認した。
上条当麻は、恋査は撃破され、今後リベンジしてくることはないだろうと語った。ただし薬味久子の事件の真相は表に出ず、暗部にとってまずいものだけが隠される可能性が高かった。
回収された脳
上条当麻は、恋査を動かすために酷使されていた#028と#029の容器を回収していた。薬味久子の研究室には#040までのストックがあり、恋査の甲体に入らない限り彼らは自分の意思で考えることもできなかった。
上条当麻は、今は冷凍保存してもらい、いつか彼らが当たり前に街を歩ける方法が見つかるのを願うしかないと語った。彼は何度ゲームオーバーになっても、前へ進むと決めていた。
いつも通りの帰り道
病院へ向かう道では、インデックスと土御門舞夏が普段通りに憤慨していた。舞夏は課外学習の清掃で疲れたことを愚痴り、インデックスは上条当麻が丸一日帰らなかったことや食べ物の少なさに怒っていた。
二人は、いつも通りの会話を続けていた。その日常を守るためにどれだけの戦いがあったのか、彼女達は知らなかった。
前へ進むフレメア
第一三学区の小学校では、フレメア=セイヴェルン達がサンタクロースの実在を巡って騒いでいた。黒いサンタクロースの話が出ても、フレメアは以前のように怯えなかった。
フレメアは胸を張り、そんなものは自分が何とかすると言い切った。恐ろしい事件で多くのものが失われたが、彼女はそこで終わらず、前へ進めば掴み取れるものもあると示していた。
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