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とある魔術の禁書目録フィクション(Novel)読書感想

小説「新約 とある魔術の 禁書目録 (5)」感想・ネタバレ

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新約とある魔術の禁書目録 5の表紙画像(レビュー記事導入用) とある魔術の禁書目録

新約 とある魔術の禁書目録(4)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(6)レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 一端覧祭
    2. グレムリンの正体
    3. 幻想殺しの正体
    4. 不死の少女
    5. 魔神オティヌス
    6. 窓のないビル
  6. 登場キャラクター
    1. 学園都市
      1. 上条当麻
      2. 御坂美琴
      3. 一方通行
      4. 垣根帝督
      5. 麦野沈利
      6. 浜面仕上
      7. インデックス
      8. 吹寄制理
      9. 月詠小萌
      10. 土御門元春
      11. 青髪ピアス
      12. 姫神秋沙
      13. 雲川芹亜
      14. 雲川鞠亜
      15. 御坂美鈴
      16. 芳川桔梗
      17. 打ち止め
      18. 番外個体
      19. 絹旗最愛
      20. フレンダ
      21. 黒夜海鳥
      22. 滝壺理后
      23. フレメア=セイヴェルン
      24. アレイスター
      25. 問答型思考補助式人工知能
    2. 学園都市の警備・医療・民間人
      1. 黄泉川愛穂
      2. 桃沢
      3. 八城
      4. 柿田
      5. カエル顔の医者
      6. 警備員
      7. 救急隊員
      8. 消防隊
      9. 看護師
      10. バイト学生
      11. 料理人
    3. 木原一族
      1. 木原病理
      2. リクルートスーツに白衣の女
    4. グレムリン
      1. オティヌス
      2. トール
      3. マリアン=スリンゲナイヤー
      4. 投擲の槌(ミョルニル)
      5. 木原加群(ベルシ)
      6. サンドリヨン
    5. オッレルス勢力
      1. オッレルス
      2. 右方のフィアンマ
      3. シルビア
      4. ブリュンヒルド=エイクトベル
      5. レイヴィニア=バードウェイ
    6. 神の右席
      1. 左方のテッラ
    7. その他の勢力
      1. フロイライン=クロイトゥーネ
      2. 優しい神父様
  7. 展開まとめ
    1. 序章 最大の命題 Question_01.
    2. 第一章 気がつけば開幕 Open_the_Festival.
    3. 行間 一
    4. 第二章 本当の敵は誰なのか Secret_Promise.
    5. 行間 二
    6. 第三章 開門 Impregnable.
    7. 行間 三
    8. 第四章 異形から見た平穏 Release_Monster.
    9. 終章 箍を外す Install…..Completion.
  8. 同シリーズ
    1. 新約 とある魔術の禁書目録
    2. とある魔術の禁書目録
    3. 外伝
    4. とある暗部の少女共棲
    5. 同著者シリーズ
    6. ヘヴィーオブジェクトシリーズ
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

本作は、KADOKAWAの電撃文庫から刊行されているライトノベル作品である。 ハワイ諸島、そして東欧バゲージシティでの死闘を経て、ついに学園都市へと帰還した主人公の上条当麻。学園都市では、すべての学校が参加する超大規模文化祭『一端覧祭』の準備が進められ、街はお祭りムードに包まれていた。 しかし、その平穏は突如現れた魔術結社「グレムリン」の雷神トールによって破られる。魔神オティヌス率いる「グレムリン」と、それを阻止しようとするオッレルス率いる怪物集団が、学園都市の心臓部「窓のないビル」に幽閉されている「不死の少女」フロイライン=クロイトゥーネを巡り、学園都市を舞台にした争奪戦を始めようとしていた。上条はフロイライン=クロイトゥーネを理不尽な状況から救うため、敵であるトールと一時的な共闘を結び、難攻不落の要塞の突破と、超常の怪物たちを欺く危険な罠に挑んでいく。

■ 主要キャラクター

上条当麻:本作の主人公。右手に宿る、あらゆる異能を打ち消す「幻想殺し」を持つ高校生。自身を操ろうとする様々な「思惑」に苦悩しながらも、幽閉された少女を救うため、限られた手札と機転を用いて強大な勢力に立ち向かう。

雷神トール:魔術結社「グレムリン」の直接戦闘担当。純粋な戦闘を好み、理不尽に幽閉されたフロイライン=クロイトゥーネを救うため、自らの組織を裏切って上条に共闘を持ちかける。

フロイライン=クロイトゥーネ:中世の魔女狩りにおける神明裁判を308回受けても無傷だった「不死の少女」。好奇心に従って行動し、周囲から情報を学習して際限なく変質(羽化)していく危険な性質を持つ。

オッレルス:「魔神」になるはずだった男。「グレムリン」の計画を止めるため、強力な魔術師たちを率いて学園都市に潜入する。上条に「幻想殺し」の真の正体を告げる。

御坂美琴:常盤台中学に通う第三位の超能力者(超電磁砲)。上条を心配してハワイ諸島での一件について詰め寄るが、トールの変装によってすれ違いが生じるなど、本作でも騒動に巻き込まれる。

打ち止め(ラストオーダー)&フレメア=セイヴェルン:迷子騒動の末に出会った少女たち。偶然フロイライン=クロイトゥーネと接触し「友達」になるが、それが彼女の爆発的な学習を促す最悪の引き金となってしまう。

■ 物語の特徴

本作の最大の魅力は、お祭りムードで浮き足立つ『一端覧祭』の平和な準備風景のすぐ裏側で、世界の命運を左右する魔神級の怪物たちが暗躍しているという、日常と非日常の強烈なコントラストである,。 また、核兵器も通じないはずの学園都市最大の要塞「窓のないビル」に対し、主人公たちが研究者の残したバックドアの演算と電動工具(掘削機)を使って泥臭く風穴を空けようとする攻略戦は非常にスリリングである,,。加えて、正面から戦えば勝ち目のない「グレムリン」と「オッレルス勢力」の両方を偽情報で罠にはめ、同士討ちや足止めを狙う上条の頭脳戦とタイムリミットサスペンスが展開される点も、他のバトル作品とは一線を画す面白さとなっている,,。 さらに、物語の核心である上条の右手「幻想殺し」の正体(魔神が歪めた世界を元に戻すための「基準点・バックアップ」)がオッレルスの口から明確に語られるなど、シリーズ全体にとっても非常に重要なターニングポイントとなる一冊である。

書籍情報

新約 とある魔術の禁書目録 5
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA電撃文庫
発売日:2012年10月10日
ISBN:9784048869782

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あらすじ・内容

11月。超巨大文化祭 『一端覧祭』 の季節がやってきた。そんなさなかに、ようやく学園都市に戻ってきた上条当麻。ロシアより勃発した第三次世界大戦を起因とする 『対グレムリン遠征』 を経て、ついにインデックスや御坂美琴とのほのぼのした平穏な日常が戻ってきた──。そう楽観していた上条当麻だが、意外な人物の登場で、その願いは虚しく霧散することに!? 彼の前に現れた最強の 『敵』 とは? セルフ迷子メーカーなフレメアの保護者となって学園都市内を走り回る浜面や、打ち止めの子守りでキレる平常運転な一方通行、リハビリついでに手料理を作る麦野沈利などなど…… 学園都市を舞台として、『新約』 シリーズは新展開に突入!

新約 とある魔術の 禁書目録 5

感想

読んでまず感じたのは、「ようやくいつもの学園都市へ戻ってきた」という安心感である。

これまで過酷な戦いが続いていただけに、『一端覧祭』という文化祭を舞台にした日常パートが始まるだけで、どこかホッとした気持ちになった。一方で、あれだけ学校を休み続けている上条当麻の出席日数は本当に大丈夫なのだろうかと、妙に現実的な心配までしてしまった。

ただ、穏やかな雰囲気とは裏腹に、不穏な空気は最初から漂っている。

冒頭の意味深な場面や、水面下で進むグレムリンとオッレルス勢力の駆け引きが、「この平和は長く続かない」と静かに予感させていた。日常と非日常が隣り合わせになっている禁書らしい雰囲気を、改めて楽しめた一冊でもある。

特に印象に残ったのは、上条とトールの関係である。

敵同士だった二人が、本音をぶつけ合いながら信頼を築いていく姿はとても熱かった。これまで周囲の大人たちに翻弄され続けてきた上条だからこそ、利害を超えて真正面から向き合ってくれるトールの存在は大きかったように感じる。

読んでいて、「ようやく同性の親友らしい相手ができたのではないか」と思わず嬉しくなった。

そんな二人が協力して『窓のないビル』へ挑む展開も見応えがあった。

しかし、一番驚かされたのは、幽閉されていたフロイラインが自ら外へ出てきた場面である。

誰かに救出されるのではなく、自力で強固な隔壁を破壊してしまう。その圧倒的な存在感には思わず息を呑んだ。

さらに、上条がレイヴィニア=バードウェイを相手に時間を稼ぐ場面も印象深い。

真正面から勝負するのではなく、偽情報を利用して相手を誘導する戦い方は、これまでの上条とは少し違う成長も感じさせてくれた。力だけではなく、状況を読みながら動く姿が頼もしく映る。

一方で、フロイラインとフレメア、そして打ち止めの交流には、不思議な温かさを感じた。

「友達」という存在を少しずつ理解していく姿は微笑ましい。しかし、その裏で彼女の学習能力が急激に加速し、怪物へ近付いていくという事実を知ると、一気に空気が変わる。

平和な日常が、そのまま絶望へのカウントダウンになっている構成は非常に印象的だった。

読後に強く感じたのは、この巻は大きな事件を解決する巻というより、本格的な決戦へ向けた助走の巻だということである。

だからこそ、文化祭の賑やかな雰囲気や仲間たちとの何気ない日常が、いつも以上に貴重な時間として心に残った。

この平和がどこまで続くのか。そして、暴走し始めたフロイラインを前に上条たちがどのような選択をするのか。次巻がますます楽しみになる一冊であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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新約 とある魔術の禁書目録(4)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(6)レビュー

考察・解説

一端覧祭

『新約 とある魔術の禁書目録』に登場する「一端覧祭(いちはならんさい)」は、学園都市で開催される大規模な文化的イベントであり、日常と非日常が交錯する物語の重要な舞台である。

一端覧祭が持つ本来の目的や、大覇星祭との決定的な違い、準備期間中に見られる独特の熱気、そして作中における魔術勢力との関わりの全容は以下の通りである。

学校の志望率に直結する大規模コマーシャルとしての概要

一端覧祭は、11月中旬に開催される学園都市のありとあらゆる学校が参加する超大規模な文化祭である。

・単なるお祭りにとどまらず、体験入学やオープンキャンパスの側面を強く持っている。

・各学校の次年度の志望率に直結する大規模なコマーシャルとしての役割を担っている。

・そのため各校の教師たちも厳しく睨みを利かせており、事前の準備にも極めて大きな力が注がれる。

最先端を知る学生を対象とする世界一難易度の高い文化祭

学園都市のもう一つの巨大イベントである体育祭の大覇星祭が世界中から外部の一般客を呼び寄せるのに対し、一端覧祭のメインターゲットは同じ学園都市の学生たちである。

・日常的に最先端の科学技術や超能力を当たり前に受け入れている目の肥えた学生たちを驚かせ、目を奪うような出し物を提供しなければならない。

・このような背景があるため、ある意味で世界で最も難易度の高い文化祭と評されている。

下校制限の撤廃と上条当麻に科されたサボりの罰

準備期間中は完全下校時刻の制限が撤廃されるなど、教師側も状況に応じて相当の融通を利かせる。

・学校での連泊は禁止という暗黙のルールはあるものの、クラス内でローテーションを組んで夜通し作業を行うことは認められている。

・街中には多くの屋台が並び、買い出しに走る学生たちで溢れ返るなど、学園都市全体が独特の浮き足立ったムードに包まれる。

・上条当麻のクラスでは実行委員の吹寄制理が実権を握っており、ハワイやバゲージシティでの死闘からようやく帰還した上条は、準備をサボっていた罰としてクラス全員分の食料調達や泊まり込み作業を命じられ、激しくこき使われることとなった。

文化祭の準備環境を逆利用した窓のないビルへの侵入作戦

新約第5巻は、まさにこの一端覧祭の準備期間が舞台となっている。

・不死の少女フロイライン=クロイトゥーネを巡り、魔術結社グレムリンとオッレルス勢力が学園都市内で暗躍する。

・その渦中において、上条当麻とグレムリンの雷神トールは、文化祭の準備を逆利用して行動を起こした。

・彼らは文化祭用として街中に溢れていた大工道具などを拝借し、窓のないビルへの侵入を試みる。

・さらに夜の学校の情報実習室に忍び込み、ポスター用の大型プリンターを使って敵対勢力を欺くための偽の指名手配書を作成し、罠を仕掛けた。

・文化祭の準備で賑わい平和を満喫する一般学生たちのすぐ裏側で、世界の命運を左右する魔術師や暗部組織が息を潜めて交錯するという、日常と非日常の激しいコントラストが描かれている。

まとめ

一端覧祭は、学園都市の学生自身をターゲットにすることで高いクオリティを要求される、独自の発展を遂げた文化祭である。下校制限の撤廃による夜通しの作業や街の賑わいは、学生たちの青春の熱気を象徴している。しかしその一方で、その喧騒や準備のために用意された機材が、上条当麻やトールによる窓のないビルへのアプローチや偽の手配書作成といった裏の作戦に利用される点など、平和な日常のすぐ隣に世界の危機が潜む本作ならではの構造を巧みに提示するイベントとなっている。

グレムリンの正体

『新約 とある魔術の禁書目録』に登場する敵対組織「グレムリン」は、第三次世界大戦の終結後に突然現れた、魔術と科学が融合した世界規模の巨大勢力である。

戦勝者となった科学サイドが世界の主導権を握る新しい世界を否定し、北欧神話の主神の別名を持つ純粋な魔神オティヌスを中心に結成されたこの組織の成り立ち、真の目的、各地での暗躍、そして組織構造にいたる全容は以下の通りである。

科学偏重の世界への反発と不平不満の受け皿となった成り立ち

グレムリンは、右方のフィアンマが起こした第三次世界大戦の後に発生した魔術結社である。

・彼らの思想の根底にあるのは、戦争の勝者が科学サイド(学園都市)に決まったことへの反発である。

・大戦において魔術サイドの代表格とされたローマ正教やロシア成教が勝手に敗北したことに対し、自分たちはまだ参戦もしていないのに敗戦の結果を押し付けられるのは納得いかないという強い不満を持っていた。

・伝統的な魔術結社のように明確な教義で統制されているわけではなく、大戦の過程で敗北ムードを嗅ぎ取った魔術師たちが、個人の不満や不平の受け皿として結集したのが組織の正体である。

・自分自身の目的を果たせないまま終戦を迎えさせられた者や、科学偏重の新しい世界を否定する者が集まっており、自己の目的達成のためであれば世界規模の悲劇を生み出すことも厭わない性質を持つ。

魔神オティヌスのジレンマと真の目的である神槍グングニルの創造

個人の不満の寄せ集めである彼らが巨大な勝者に対抗するため、魔術サイドを代表するに相応しい強大な象徴として据えたのが、純粋な魔神オティヌスである。

・オティヌスは世界を滅ぼすほどの力を持つが、無限の可能性を持つがゆえに成功する可能性と失敗する可能性を同時に抱え込み、常に成功率が50パーセントになってしまうというジレンマを抱えている。

・グレムリンの真の目的は、この50パーセントの制約を修正し、オティヌスが100パーセントの勝利を手に入れ、力を自在に振るえるようにすることである。

・そのために、主神の武力を象徴する霊装である神槍グングニルを完全な形で創造することを目指している。

世界規模のテロと槍の完成に向けた各地での暗躍

これまでグレムリンが各地で起こしてきた世界規模のテロや騒乱は、すべて神槍グングニルを完成させるための下準備(ピース集め)であった。

・ハワイ諸島での暗躍:合衆国政府を内部から操り、火山制御装置(起爆剤)を使ってキラウェア火山を人工的に大噴火させようとした。表向きはアメリカに打撃を与えて科学サイドの国同士を争わせる政治的空白の創出が目的と見られていたが、真の狙いは火山の炉心から槍の創造に必要なエネルギーを抽出、固化することであった。

・バゲージシティでの暗躍:学園都市から離反した機関の格闘大会に協力する裏で、大規模な戦闘によってミクロな異変を生み出す全体論の超能力開発実験を行った。この地球には存在しない新しい技術(法則)を獲得し、神槍グングニル完成のための最後のピースを揃えることが狙いであった。

目的最優先の非情な使い捨てスタンスと科学技術の導入

全体の思想よりも個人の目的が優先される面があり、目的達成のためなら学園都市の科学技術であっても積極的に取り込む柔軟さを持つ。

・組織のスタンスは極めて非情であり、犠牲が必要な時に集められた臨時雇用の魔術師や傭兵部隊を平然と使い捨てにしている。

・一部の正規メンバーだけで計画の真の中核を進める極端な切り捨て構造となっている。

名前の由来と科学を蝕む新世代オカルトとしての象徴

グレムリンとは本来、機械の誤作動を誘発し、飛行機などの兵器を使い物にならなくさせると信じられてきた妖精の名前である。

・神話の時代から存在する古い伝承ではなく、機械という概念が生まれてから人々の間で語り継がれるようになった新世代のオカルトである。

・これは、世界の片側(魔術)がもう片側(科学)を蝕む象徴とされている。

・第三次世界大戦を経て、科学サイドが世界に大きな広がりを見せるようになった時代において、まさにその科学の産物(機械)を喰らうオカルトとして産声を上げた組織の性質を端的に表している。

幻想殺しへの恐怖と次なる標的である学園都市

魔神オティヌスにとって、あらゆる魔術を打ち消す上条当麻の右手、幻想殺し(イマジンブレイカー)、は最大の邪魔者として認識されている。

・世界を自分の思い通りに極限まで歪めようとするオティヌスに対し、幻想殺しはどれだけ世界を歪めても元の世界を思い出すための基準点(バックアップ)として機能してしまう。

・世界を元に戻すための修復材料が残っていることは、命綱を断って前進することしか考えていないグレムリンにとって恐怖であり、排除すべき対象となっている。

・バゲージシティでの実験を経て、オティヌスは全体論の現象を普通の人間の脳で実行、管理するには限界がある(壁が生じる)と判断した。

・そのため、次の段階として魔術や学園都市の超能力開発の恩恵を受けていない天然素材でありながら並の人間を凌駕する性質を持つ、全体論を使える素体(フロイライン=クロイトゥーネ)の回収を決定する。

・その素体が学園都市の窓のないビルの基幹構造の中で眠っていると推測し、次なる標的を学園都市へと定めている。

まとめ

グレムリンは、第三次世界大戦の敗北が生んだ魔術師たちの不平不満を起点とし、魔神オティヌスの制約をなくす神槍グングニルの創造のために結集した、極めて危険で非情な魔術結社である。ハワイでの火山エネルギー抽出やバゲージシティでの全体論実験など、彼らの世界規模の暗躍はすべて槍を完成させるためのプロセスであった。世界を歪めようとする彼らにとって、元の世界の基準点となる上条当麻の幻想殺しは排除すべき最大の脅威である。全体論を制御する素体フロイライン=クロイトゥーネの獲得に向けて、次なる標的を学園都市に定めたグレムリンの動向は、科学と魔術のバランスを揺るがす最大級の火種となっている。

幻想殺しの正体

『新約 とある魔術の禁書目録』において、主人公である上条当麻の右手に宿る力「幻想殺し(イマジンブレイカー)」は、物語の核心に関わる極めて重要な存在である。

魔神になるはずだった男オッレルスによって語られたその正体や、各勢力から見た危険性、そして右腕にまつわる未知の性質にいたる全容は以下の通りである。

科学と魔術のどちらの枠組みにも属さないグレーな存在

上条の右手に宿る力は、学園都市にいるため科学サイドの超能力(学園都市の解釈)と思われがちであるが、実際には学園都市製の能力開発技術によって生み出されたものではない。

・純粋な魔術に属するものでもなく、科学と魔術のどちらにも属さない極めてグレーな位置にある存在である。

・第三次世界大戦では、右方のフィアンマが世界を救う力を外へ出力するための器としてこの右手を求め、戦争を引き起こす原因ともなった。

魔術師たちの怯えと願いが集約した世界の基準点(バックアップ)

オッレルスの解釈によれば、幻想殺しの正体は全ての魔術師達の怯えと願いが集約したもの、である。

・魔術を極めた魔神は世界を思い通りに歪めることができるが、歪めすぎた結果、元の世界がどんなものだったか分からなくなってしまうという懸念や恐怖(怯え)を抱えることになる。

・その恐怖に対する保険(願い)として機能するのが幻想殺しである。

・魔神が世界を歪め、長さや重さ、温度などがメチャクチャな世界になってしまったとしても、あらゆる魔術を打ち消す上条の右手を計測することで、元あった世界を思い出すことができる。

・つまり、方向性を曲げ過ぎてしまった世界をいつでも元に戻すことができる世界の基準点(バックアップ)であり、魔術師たちが好き放題に暴れるために用意した身勝手な命綱である。

武器や壁画として時代のあちこちに顔を出していた過去の形

この世界の基準点として機能する力は、今の時代に上条当麻の右手として初めて現れたわけではない。

・かつてそれとよく似た力は時代のあちこちに顔を出していた。

・武器の形となって英傑達の手に渡ったり、壁画の形となって悪病を払ったり、洞窟の形となって試練の装置として機能したりしていた。

・今の上条の手に宿っているものがそれらと地続きの一つの力なのか、失われるたびに別の形で自然発生する複数の力なのかは不明であるが、世界の基準点として機能していることは間違いない。

魔神オティヌスやグレムリンにとっての最大の邪魔者と露骨な対策

科学サイドが勝利した現在の世界を極限まで歪めようと考えている魔神オティヌスや魔術結社グレムリンにとって、世界を元に戻すための修復材料である幻想殺しは、利用価値がないどころか最大の邪魔者でしかない。

・彼らは命綱を断って前進することしか考えておらず、保険となる幻想殺しは恐怖の対象として排除しようとしている。

・そのため、グレムリンの魔術師であるサンドリヨンやサローニャは、異能の力ではなく銃器や体術(足潰しの高速戦闘など)といった物理的な手段で上条当麻を殺害しようとする、幻想殺し対策、を露骨に講じていた。

・また、グレムリンが地球人類を滅ぼしかねない巨大なラジオゾンデ要塞を飛ばしたのも、幻想殺しが地脈や龍脈のエネルギーを破壊し、それが修復される過程で生み出す目印を利用して、上条当麻の居場所を全世界規模でサーチ、追尾するためであった。

右腕の切断後に発生した見えない力と上条当麻への定着

第三次世界大戦の終盤で右腕を切断されたにもかかわらず、上条の右手は自ら再生して元の幻想殺しを取り戻すという不可解な結果を残している。

・バゲージシティの戦いにおいても、魔神オティヌスによって無造作に右手首を握り潰され切断されるが、その切断面から見えない力が吹き荒れた。

・この時はオティヌスによってその見えない力ごと握り潰されてしまうが、その後、切断されたはずの右手は何事もなかったかのように繋がっていた。

・オッレルスと右方のフィアンマによれば、今代の幻想殺しが上条当麻の右手として定着しているため、この持ち主の右肩から生えているものが右手である、として意味を成しているのだと推測されている。

歴史の分岐点に立つ上条当麻自身の決意

再びグレムリンという世界規模の脅威が自らの右手を意識していることを知った上条当麻は、自分が再び歴史の分岐点に立っていることを自覚する。

・彼は、グレムリンの計画に影響を及ぼし、これ以上の悲劇を食い止めるために、自分自身でこの右手の力の本当の正体を知らなければならないと決意した。

・そうして、魔術サイドと科学サイドの深い情報が交錯する過酷な戦いへと進んでいく。

まとめ

上条当麻の右手に宿る幻想殺しは、科学と魔術の領域を超え、歪められた世界を本来の姿へと引き戻すための世界の基準点(バックアップ)という重大な役割を秘めた存在である。それは、全能ゆえに元の姿を失うことを恐れた魔術師たちの怯えと願いが生んだ命綱であり、それゆえに世界を完全に塗り替えようとする魔神オティヌスやグレムリンにとっては排除すべき最大の障害となる。オティヌスによって右手首を握り潰された際に現れた見えない力や、持ち主の右肩から生えているものが右手であるという定着の法則など、いまだ多くの謎に包まれている。自らが歴史の分岐点にいることを受け入れ、その正体を突き止めるべく過酷な戦いへと身を投じる上条当麻の決意は、今後の世界の命運を大きく左右することになる。

不死の少女

『新約 とある魔術の禁書目録』に登場する「不死の少女」ことフロイライン=クロイトゥーネは、中世の魔女狩りの時代から生き続ける伝承の存在であり、物語における激しい争奪戦の核心となる人物である。

彼女が持つ驚異的な不死の伝承や、その真の正体と恐るべき学習能力、世界規模の勢力から標的とされる理由、そして学園都市の少女たちとの出会いがもたらした絶望的なタイムリミットにいたる全容は以下の通りである。

308回の拷問を無傷で生き延びた魔女狩りの不死伝承

フロイライン=クロイトゥーネは、中世ヨーロッパにおける魔女狩りの記録に名を残す女性である。

・当時の過酷な神明裁判という拷問を308回も受けながら、いかなる傷も負わず、顔色一つ変えなかった。

・火で炙られても、水底に沈められても、塔から吊るして落雷を浴びせられても死ぬことはなかった。

・あまりの異常さに当時の歪んだ司法は、彼女が傷つかないのは神に守られているからだ、と結論付けるしかなかった。

・善良で潔白なただの人間であると判定され、聖職者たちでさえ殺すことを諦めるほどであった。

自我を持たず好奇心を原動力とする無限の学習と変化の特性

彼女の不死性は、単に体が頑丈というだけのもので。遺伝子上は人間に分類されるものの、その本質は全く異なっている。

・精神や自我(自分だけの現実)を持たず、昆虫をさらに簡略化したような単純な思考回路と、それに不釣り合いな最適化された肉体を持つ。

・彼女の唯一の原動力は好奇心であり、好意でも悪意でも、向けられたものすべてに興味を示す。

・周囲の情報を吸収して際限なく学習し、自身の性質を変化させ続ける(羽化する)という恐るべき特性を秘めている。

全体論を管理する素体としての価値と世界規模の争奪戦

この危険な特性を重く見た学園都市統括理事長アレイスターは、彼女に外への興味を持たせないよう、難攻不落の窓のないビルの内部に完全な闇と静寂を与えて幽閉していた。

・しかし、バゲージシティで全体論の超能力実験を行った魔神オティヌス(グレムリン)が彼女に目を付ける。

・超能力開発や魔術の恩恵を受けていない天然素材でありながら、規格外の強度を持つ彼女を、全体論を実行、管理するための素体、として見出した。

・これにより、彼女を奪おうとするグレムリンと、それを阻止しようとするオッレルス勢力による激しい争奪戦が学園都市を舞台に引き起こされることとなった。

圧倒的な戦闘力と目にした技術を即座に模倣する吸収力

窓のないビルの外壁が破られ、外の世界へ出てしまったフロイラインは、常識を遥かに超えた行動を開始する。

・無人攻撃ヘリを素手で粉砕し、グレムリンの雷神トールや上条当麻を謎の一撃で昏倒させる圧倒的な力を見せた。

・さらに、街中でたこ焼きを焼く動作から、警備員の暴力的な制圧術まで、目にしたものを即座に吸収して実行していく。

友達という概念の獲得と脳の捕食を予測する3秒の爆発的加速

夜の学園都市を徘徊していた彼女は、迷子になっていたフレメア=セイヴェルンや打ち止め(ラストオーダー)と出会う。

・フレメアから防犯ブザーを渡されたフロイラインは、自分たちは友達であるという言葉を知識として受け入れた。

・しかし、ミサカネットワークの司令塔である打ち止めと接触してしまったことで、彼女の学習速度が爆発的に加速する。

・学園都市のAIは、彼女が2300年分の学習をわずか3秒で消化したと分析した。

・さらに、2時間以内には人間を捕食して脳の構造を自己の中に再現する怪物へと変貌してしまうという絶望的な予測を弾き出す。

・これにより、事態は一刻を争う最悪のフェイズへと突入していくこととなった。

まとめ

フロイライン=クロイトゥーネは、人間を越えた不死の肉体と、驚異的な速度で世界を吸収していく無限の学習能力を秘めた特異な存在である。魔神オティヌスに全体論の管理素体として狙われたことで、彼女を巡る戦いは学園都市全体を巻き込む大騒乱へと発展した。外の世界に触れたことで周囲の技術を瞬時に模倣し、打ち止めとの接触によって3秒で2300年分もの知識を消化した彼女は、人類の脅威となる怪物への変化というタイムリミットを突きつけられている。フレメアから送られた友達という純粋な好意の知識が、迫り来る人間の捕食という絶望的なバッドエンドを書き換える鍵となるのか、その動向は世界の命運を大きく揺るがす火種となっている。

魔神オティヌス

『新約 とある魔術の禁書目録』に登場する「魔神オティヌス」は、魔術と科学の融合組織「グレムリン」を束ねる、北欧神話の主神の別の読み方を冠した純粋な魔神である。

規格外の圧倒的な暴力や、無限の可能性がもたらす致命的な弱点、世界の基準点である幻想殺しとの敵対関係、そして次なる標的にいたる全容は以下の通りである。

隻眼の魔女としての容姿と幻想殺しすら握り潰す圧倒的な暴力

オティヌスは、先端の尖った鍔広の帽子を被り、右目を物々しい眼帯で覆った、黒い革装束に毛皮のコートを羽織る色白の隻眼の魔女である。

・彼女が振るう力は規格外であり、あらゆる異能を打ち消す上条当麻の右腕(幻想殺し)をいとも簡単に握り潰して切断する。

・さらに、上条の切断された断面から吹き荒れた、見えない力、さえも、血まみれの手で無造作に掴み取り、握り潰してしまうほどの圧倒的な暴力を有している。

成功率が五分五分になる無限の可能性のジレンマと神槍グングニル

世界を壊すほどの力を持つ魔神であるが、魔神になり損ねた男オッレルスによってその致命的な弱点が指摘されている。

・オティヌスは無限の可能性を持っているがゆえに、どのような行動を起こすにしても、成功する可能性、と、失敗する可能性、を同時に抱え込んでしまう。

・その結果、常に成功率が50パーセントになってしまうというジレンマを抱えている。

・彼女がこの不安定な確率を修正し、100パーセントの勝利を手に入れて力を自在に振るうための調整として求めているのが、主神の武力を象徴する霊装、神槍グングニル、である。

・ハワイ諸島やバゲージシティでの大規模な騒乱も、この槍を完全な形で組み上げるための下準備に過ぎなかった。

歪められた世界を元に戻す基準点としての幻想殺しへの敵対

科学サイドが勝利した現在の世界を極限まで歪めようと考えているオティヌスやグレムリンにとって、上条当麻の幻想殺しは最大の邪魔者である。

・魔神が世界を思い通りに歪めすぎた結果、元の世界が分からなくなってしまう懸念に対し、世界を元に戻すための基準点(バックアップ)として機能するのが幻想殺しである。

・しかし、命綱を断って前進することしか考えていないオティヌスたちにとって、この修復材料は利用価値がないどころか、排除すべき恐怖の対象となっている。

生死の境界への無関心と木原加群のエインヘルヤル化

オティヌスにとって、生きているか死んでいるかの違いは些細なものでしかない。

・バゲージシティでの騒乱後、彼女は死亡した木原加群(ベルシ)を、腐臭のしない死体として意のままに操る、死者の軍勢(エインヘルヤル)、の一部へと作り変えた。

・そうして、部下のマリアン=スリンゲナイヤーにその遺体を担がせて撤退した。

全体論の限界と窓のないビルに眠る天然素材の素体強奪計画

バゲージシティでの全体論の実験結果を受け、オティヌスはこの現象を一つの脳(普通の人間の脳)で実行、管理するには限界がある(壁が生じる)と判断した。

・そのため、次なる段階として、全体論を使える素体、の回収を決定する。

・魔術によって支えられた聖人やワルキューレではなく、学園都市の超能力開発も受けていない天然素材でありながら、並の人間を凌駕する性質を持ったその素体に目を付ける。

・その素体が、学園都市の窓のないビルの基幹構造の中で眠っていると推測し、次なる標的を学園都市へと定めている。

まとめ

魔神オティヌスは、上条当麻の右腕を容易に切断するほどの圧倒的な戦闘力を誇りながら、常に成功率が五分五分になるという無限の可能性ゆえのジレンマを抱えた存在である。その弱点を克服して100パーセントの絶対的な勝利を掴むために、彼女は神槍グングニルの創造を目論み、各地で大規模なテロを誘発してきた。世界を歪めるにあたって復元機能を持つ幻想殺しは排除すべき最大の脅威であり、さらに全体論を制御するための天然の素体フロイライン=クロイトゥーネの獲得に向けて、彼女はついに次なる標的を学園都市へと設定した。生死の概念すら超越した魔神の本格的な始動は、科学と魔術の境界を揺るがす未曾有の激動の幕開けを告げている。

窓のないビル

『新約 とある魔術の禁書目録』シリーズに登場する「窓のないビル」は、学園都市の心臓部とも言える極めて特異な建造物である。

学園都市のトップである統括理事長の居城としての役割や、核攻撃すら相殺する異常な防御構造、作中で展開された決死の攻略作戦、そして内側から破られた衝撃の結末にいたる全容は以下の通りである。

統括理事長の居城と不死の少女を完全幽閉する要塞としての役割

窓のないビルは、学園都市第七学区の中心に屹立する巨大な要塞であり、学園都市のトップである学園都市統括理事長アレイスター=クロウリーの居城とされている。

・新約第5巻においては、魔神オティヌスが全体論の超能力を実行、管理するための素体として目をつけた、不死の少女、フロイライン=クロイトゥーネが幽閉されていた。

・彼女に外部への興味を持たせないよう、完全な闇と静寂を与えられた一角がその幽閉場所であった。

核攻撃を相殺する複合素材と倒壊を防ぐ巨大な地下基部

この建物は、名前の通り出入口が一切存在せず、完全に密閉されている。

・人間はおろか液体や気体、X線やマイクロウェーブさえも通さず、内部の電力や各種インフラは完全に独立して循環している。

・演算型・衝撃拡散性複合素材(カリキュレイト=フォートレス):外壁を覆うこの装甲板は、全方位からの核攻撃の直撃にも耐える強度を誇る。単純に硬いだけでなく、電磁波や紫外線で向かってくる衝撃波のパターンを計測し、最適な振動を起こして波を相殺する可動式の装甲板である。

・巨大な地下基部:地下15メートル付近にある基部は周囲3キロ程度にまで広がり、太い柱が何本も地下深くまで埋め込まれている。そのため、核地雷などを埋めて地盤ごと破壊し、ビルを倒壊させるような手段も通用しない。

保冷車爆破による癖の解析と方程式を用いた掘削作戦

フロイライン=クロイトゥーネを巡り、真っ向からの暴力でビルを破壊しようとするグレムリンと、彼女をグレムリンに渡さないために外から呪い殺すかもしれないオッレルス勢力が迫る状況となる。

・その緊迫した状況下で、上条当麻はグレムリンの雷神トールと一時的に結託し、誰よりも早くビルに風穴を開けて彼女を救出する作戦に出た。

・装甲の癖の解析:トールはビルの周囲に配置した複数の保冷車を一斉に爆発させた。これはビルを壊すためではなく、爆風を受けた装甲板が衝撃を相殺する際のデータ(機械の癖)を採取するためであった。

・掘削機による攻撃:採取したデータと、亡き木原加群が遺したバックドアを通じてスパコンで算出された、装甲板では逃がし切れない衝撃波のパターン(方程式)、を用いる。上条とトールは巨大な杭を持つ電動工具(掘削機)で壁を連打した。

スパイクの破損とフロイラインの規格外の力による内側からの突破

上条たちの掘削機による攻撃は、装甲が想定以上に硬くスパイクが折れるなどの困難に直面し、さらに無人攻撃ヘリの群れが接近してくる絶体絶命の窮地に陥る。

・しかし最終的に、ビルの壁面に一辺10メートル以上の巨大な亀裂が走り、装甲板が破断して大きな穴が開いた。

・それは上条たちの外からの攻撃によるものではなかった。

・幽閉されていたフロイライン=クロイトゥーネ自身が、内側から演算型・衝撃拡散性複合素材をいとも容易く物理的に打ち破って外へ出てきたためであった。

・外部からのあらゆる攻撃を遮断し、難攻不落とされた要塞は、彼女の規格外の力によってあっさりと突破される結果となった。

まとめ

学園都市の象徴である窓のないビルは、核攻撃をも無効化する演算型・衝撃拡散性複合素材や、地盤からの破壊を阻む広大な地下基部を備えた、文字通り科学サイド最高の防御力を誇る要塞である。上条当麻とトールが保冷車の爆発データや木原加群の方程式を用いて外壁への穿孔を試みた攻略戦は、科学の隙を突いた緻密な作戦であった。しかし、その最高峰の科学的障壁すらも、内側に幽閉されていたフロイライン=クロイトゥーネという天然素材の不死の力によって、容易く内側から粉砕される結末を迎えた。この絶対的な防衛線の崩壊は、学園都市の安全神話を揺るがすとともに、人知を超えた存在がもたらす脅威の凄まじさを如実に物語っている。

新約 とある魔術の禁書目録(4)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(6)レビュー

登場キャラクター

学園都市

上条当麻

右手に「幻想殺し」を宿す少年である。魔神オティヌスやオッレルス勢力の思惑からフロイラインを救い出そうと奔走する。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
 雷神トールと共闘し、窓のないビルに穴を空ける。その後、レイヴィニア=バードウェイと対峙してわざと撃たれ、デコイの情報を掴ませた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 フロイラインを救うため、自らの危険を顧みずに行動する。

御坂美琴

学園都市第三位の超能力者である。ハワイ諸島で置き去りにされた件で上条に怒っている。

・所属組織、地位や役職
 常盤台中学の生徒。超能力者(レベル5)。
・物語内での具体的な行動や成果
 一端覧祭の準備期間中に上条の通う高校へ見学に訪れる。上条に遭遇するが、トールの変装と勘違いされて胸を触られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 単純な武力なら自分の方が上だと主張し、上条に頼るよう訴えかける。

一方通行

学園都市第一位の超能力者である。打ち止めの保護者役を担っている。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の超能力者(レベル5)。
・物語内での具体的な行動や成果
 姿を消した打ち止めを探すため、芳川桔梗と共に夜の学園都市を飛び回る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 打ち止めの勝手な行動に振り回され、不機嫌な様子を見せた。

垣根帝督

学園都市第二位の超能力者である。未元物質を用いて自身の内臓を作り出す方法を構築した。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の超能力者(レベル5)。
・物語内での具体的な行動や成果
 空間を未元物質の白い繭で埋め尽くした状態で、第三学区の地下施設に封鎖されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 リクルートスーツに白衣の女から、好きなように動くよう指示される。

麦野沈利

学園都市第四位の超能力者である。義手のリハビリを兼ねて料理に取り組んでいる。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の超能力者(レベル5)。暗部組織「アイテム」のリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
 通販のセットを用いて人体の部品を作り、浴槽でサンドリヨンを組み立てる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 買い出しに出たところでかつて手にかけた少女の姿をした存在と遭遇した。

浜面仕上

暗部組織に属する少年である。フレメアの保護者のような立場にある。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の人間。新生「アイテム」の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
 フレメアの虫歯治療に付き添う。その後、はぐれてしまった彼女を探して滝壺理后と共に夜の街を走り回った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 フレメアの身を案じて懸命に捜索を続ける。

インデックス

上条の部屋に居候している少女である。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教のシスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 広場で正座する上条に対し、彼の背中に張り付いている女の子の正体を問い詰める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 物語の序章において、上条が経験した出来事を引き出す役割を果たす。

吹寄制理

上条のクラスメイトである。一端覧祭の実行委員を務めている。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
 準備をサボっていた上条をダクトテープで拘束して学校へ連行した。クラス全員分の食料調達を命じる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 行方をくらませた上条に対して激しい怒りを見せる。

月詠小萌

上条のクラスの担任教師である。身長一三五センチの小柄な女性として描かれる。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の教師。
・物語内での具体的な行動や成果
 上条の無断欠席が続いていることを問題視する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 上条の現状を心配する様子を見せた。

土御門元春

上条のクラスメイトである。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
 クラスの出し物がたこ焼き屋台であることに不満を持つ。コスプレなどの要素が必要だと主張した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 青髪ピアスと同調して文化祭の企画に文句をつける。

青髪ピアス

上条のクラスメイトである。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
 屋台に立つ女子生徒は水着になるべきだと熱弁を振るう。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

姫神秋沙

上条のクラスメイトである。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
 吹寄から上条の行方を尋ねられる場面で名前が言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 直接的な登場シーンは描かれていない。

雲川芹亜

雲川鞠亜の姉である。統括理事会の一人のブレインを務める。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の人間。
・物語内での具体的な行動や成果
 面倒な案件を避けるため、携帯端末の着信を見ないようにしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 妹と軽口を叩き合う様子が描かれた。

雲川鞠亜

雲川芹亜の妹である。黄色と黒のメイド服を着ている。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
 一端覧祭の準備のため生鮮食品の入った段ボール箱を抱え、姉と会話する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 姉から上条当麻に惚れたのかと尋ねられ、動揺する。

御坂美鈴

御坂美琴の母親である。

・所属組織、地位や役職
 民間人。
・物語内での具体的な行動や成果
 打ち止めとフレメアの口論の中で、胸囲が大きい人物として言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

芳川桔梗

元研究者の女性である。現在は無職で黄泉川の部屋に居候している。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の元研究者。
・物語内での具体的な行動や成果
 理系大学の特別講師の仕事を見つけ、大学に入り直す準備を進める。水炊きの薬味を買いに出た打ち止めを一方通行と共に探した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

打ち止め

ミサカネットワークの司令塔である。見た目は一〇歳程度の少女として描かれる。

・所属組織、地位や役職
 学園都市のクローン。
・物語内での具体的な行動や成果
 薬味を買いに出たまま迷子になり、フレメアと出会って屋台尖塔で巨大な肉を食べる。その後、フロイラインと友達になる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 フロイラインと接触したことで、彼女の学習能力を加速させる要因となる。

番外個体

芳川の部屋に居候している少女である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市のクローン。
・物語内での具体的な行動や成果
 夜遊びで帰ってこないと言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

絹旗最愛

暗闇の五月計画の生存者である。防御に特化した窒素装甲を持つ。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の学生。新生「アイテム」の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
 黒夜海鳥の奥歯の異変を理由に、彼女を歯医者へ連れて行く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 麦野の部屋の片付けにも参加する。

フレンダ

かつて麦野沈利によって命を奪われた少女である。

・所属組織、地位や役職
 元「アイテム」の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
 買い出しに出た麦野の前に、彼女の姿をしたサンドリヨンが現れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 本人は死亡している。

黒夜海鳥

サイボーグの少女である。攻撃に特化した窒素爆槍を持つ。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の暗部組織「新入生」の中核。
・物語内での具体的な行動や成果
 機械の腕にガムを貼られて能力を使えなくなり、絹旗最愛に歯医者へ連行された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

滝壺理后

ピンクのジャージを着た少女である。浜面と同棲している。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の学生。新生「アイテム」の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
 フレメアの虫歯治療に付き添い、彼女が姿を消した後は浜面と共に捜索に出る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

フレメア=セイヴェルン

八歳ぐらいの金髪の少女である。自身が迷子であることを頑なに認めない。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
 虫歯治療の後に迷子になり、打ち止めと出会って共に巨大な肉を食べた。フロイラインに防犯ブザーを渡し、友達となる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アレイスター

学園都市統括理事長である。窓のないビルを居城とする。

・所属組織、地位や役職
 学園都市・統括理事長。
・物語内での具体的な行動や成果
 フロイラインを物理的・情報的に隔離し、彼女の変質を阻止していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 人工知能からフロイラインの危険性についての報告を受ける。

問答型思考補助式人工知能

アレイスターの思考を補助するシステムである。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の人工知能。
・物語内での具体的な行動や成果
 フロイラインの性質を分析し、彼女が二時間以内に打ち止めの脳を捕食する活動を開始すると推測する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

学園都市の警備・医療・民間人

黄泉川愛穂

学園都市の警備員である。芳川桔梗が居候している部屋の主として知られる。

・所属組織、地位や役職
 学園都市・警備員。
・物語内での具体的な行動や成果
 窓のないビル周辺の破壊現場で警備の指揮を執り、部下たちに単独で行動しないよう指示を出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

桃沢

学園都市の警備員である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市・警備員。
・物語内での具体的な行動や成果
 フロイラインを包囲し、手錠で拘束しようとしたが倒される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

八城

学園都市の警備員である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市・警備員。
・物語内での具体的な行動や成果
 車を回すよう指示されたが、フロイラインに倒された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

柿田

学園都市の警備員である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市・警備員。
・物語内での具体的な行動や成果
 桃沢らの班に所属しており、フロイラインにやられたと黄泉川の口から語られる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

カエル顔の医者

病院に勤務する医師である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の医師。
・物語内での具体的な行動や成果
 撃たれた上条当麻の緊急手術を成功させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

警備員

学園都市の治安維持を担う組織のメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 学園都市・警備員。
・物語内での具体的な行動や成果
 上条を連行して説教を行ったり、フロイラインを包囲して返り討ちに遭ったりした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

救急隊員

学園都市の医療従事者である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の救急隊員。
・物語内での具体的な行動や成果
 撃たれた上条をストレッチャーに乗せて搬送する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

消防隊

学園都市の消防組織のメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 学園都市・消防隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 保冷車の爆発を受けて現場に出動する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

看護師

病院に勤務する医療従事者である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の看護師。
・物語内での具体的な行動や成果
 カエル顔の医者から上条の容態に関する説明を受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

バイト学生

第七学区のたこ焼き屋台で働く学生である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
 フロイラインが自身のたこ焼きを焼く動作を真似し、その後警備員の動きから暴力を吸収する様子を目撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

料理人

第一〇学区の屋台尖塔で働く男性である。感情のない瞳を持つ。

・所属組織、地位や役職
 民間人の料理人。
・物語内での具体的な行動や成果
 打ち止めとフレメアに対して、巨大なチャーシューを一つだけ提供する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

木原一族

木原病理

木原加群が復讐の対象としていた研究者である。

・所属組織、地位や役職
 木原一族。
・物語内での具体的な行動や成果
 トールの会話の中で名前が挙げられる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

リクルートスーツに白衣の女

木原一族の女性である。

・所属組織、地位や役職
 木原一族。
・物語内での具体的な行動や成果
 垣根帝督が封鎖されている地下施設に現れ、彼に自由な行動を許可した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

グレムリン

オティヌス

魔神であり、グレムリンを束ねる存在である。

・所属組織、地位や役職
 グレムリンのリーダー。魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
 神槍グングニルの完成を目指し、学園都市の勝利という歴史を歪めようと画策する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女の思惑がグレムリン全体の動きに直結している。

トール

雷神と称される生粋の戦争代理人である。グレムリンを裏切ってでもフロイラインを救い出そうとする。

・所属組織、地位や役職
 グレムリンの正規構成員。直接戦闘担当。
・物語内での具体的な行動や成果
 上条と手を組んで窓のないビルへ侵入を試みる。その後フロイラインの攻撃を受けて昏倒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

マリアン=スリンゲナイヤー

銀の三つ編みと褐色の肌を持つ少女である。人体改造と破壊のエキスパートとして活動する。

・所属組織、地位や役職
 グレムリンの正規構成員。黒小人。
・物語内での具体的な行動や成果
 木原加群の死によって気力を失っていたが、自身の指名手配の通知を見て移動を開始する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 トールの仕掛けた罠によって誘導される。

投擲の槌(ミョルニル)

黒いドラム缶状の姿をした少女である。

・所属組織、地位や役職
 グレムリンの正規構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
 マリアンと共に行動し、彼女の感情に合わせてガタゴトと揺れる様子を見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

木原加群(ベルシ)

元研究者であり、グレムリンに所属していた人物である。

・所属組織、地位や役職
 グレムリンの正規メンバー。元学園都市の研究者。
・物語内での具体的な行動や成果
 本人は死亡しているが、彼が残したバックドアをトールが利用して窓のないビルの装甲の弱点を見つけ出す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

サンドリヨン

金髪に白い肌を持つ少女である。

・所属組織、地位や役職
 グレムリンの構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
 麦野沈利によって人体の部品から組み立て直された後、グレムリンへ復讐するために自らのドレスを作り始める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 小さくなった姿で麦野の前に現れ、フレンダと誤認された。

オッレルス勢力

オッレルス

魔神になるはずだった男である。

・所属組織、地位や役職
 オッレルス勢力のリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
 街路樹のそばで上条に接触し、幻想殺しの正体やグレムリンの目的について語る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

右方のフィアンマ

オッレルスと行動を共にする男である。

・所属組織、地位や役職
 オッレルス勢力の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
 オッレルスとの会話の中で、彼にディナーを奢らされそうになったと言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

シルビア

聖人である。

・所属組織、地位や役職
 オッレルス勢力の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
 オッレルスが学園都市へ連れてきた戦力の一人として名前が挙がる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ブリュンヒルド=エイクトベル

ワルキューレである。

・所属組織、地位や役職
 オッレルス勢力の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
 オッレルスが学園都市へ連れてきた戦力の一人として名前が挙がる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

レイヴィニア=バードウェイ

魔術結社「明け色の陽射し」のボスである。

・所属組織、地位や役職
 オッレルス勢力の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
 上条から電動ドリルを向けられるが、警備員の発砲で上条が倒れた後、彼の生徒手帳から偽の情報を入手する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 上条の仕掛けた罠にかかり、オッレルス勢力を別の場所へ誘導する役割を担った。

神の右席

左方のテッラ

光の処刑の術式を持つ男である。

・所属組織、地位や役職
 元「神の右席」の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
 幻想殺しの正体を知るために最も近かった人材として、オッレルスの口から語られる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

その他の勢力

フロイライン=クロイトゥーネ

中世の魔女狩りの記録に残る不死の女性である。

・所属組織、地位や役職
 不明。
・物語内での具体的な行動や成果
 自力で窓のないビルの装甲を破って脱出し、無人攻撃ヘリを全滅させる。その後、打ち止めやフレメアと出会い、友達という概念を学んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ミサカネットワークに接触したことで学習速度が跳ね上がり、打ち止めの脳を捕食する危険性が生じる。

優しい神父様

過去にフロイラインに神明裁判を行った人物である。

・所属組織、地位や役職
 不明。
・物語内での具体的な行動や成果
 あらゆる拷問を受けても傷つかないフロイラインを見て、彼女を怪物だと恐怖する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

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新約 とある魔術の禁書目録(4)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(6)レビュー

展開まとめ

序章 最大の命題 Question_01.

一端覧祭の始まり

一一月の学園都市

一一月中旬、学園都市第七学区の広場は、紅葉の終わりを迎えた銀杏の葉が残る晴天の下にあった。学園都市中の学校が参加する文化祭、一端覧祭の最中であり、広場は目的地へ向かう人々や待ち合わせの人々で賑わっていた。

正座する上条当麻

インデックスは広場で仁王立ちし、目の前で正座する上条当麻を問い詰めていた。上条当麻は大量の汗を流しながら、ハワイ諸島から東欧のバゲージシティへ向かい、魔神や魔神になるはずだった存在と遭遇して大変だったと説明しようとした。

背中の女の子

インデックスは上条当麻の事情説明を後回しにし、まず最初に確認したい疑問を投げかけた。彼女が指差したのは上条当麻の顔ではなく、その背中にへばりついている女の子だった。

一端覧祭の事件

インデックスは、上条当麻の背中にいる女の子が誰なのかと問い詰めた。そこから、一端覧祭で何が起こったのかを説明する流れへ入っていった。

第一章 気がつけば開幕 Open_the_Festival.

一端覧祭の準備とオッレルス

駅前の上条当麻

上条当麻は、学園都市の駅前ベンチで目を覚ました。ハワイ諸島からバゲージシティへ向かい、オティヌスに右手を握り潰された記憶まではあったが、その後どうやって学園都市へ戻ったのかは分からなかった。

東欧から学園都市まで意識不明の上条当麻を運び、痕跡を残さず消えた者がいるはずだった。上条当麻は右方のフィアンマやオッレルスを思い浮かべて警戒したが、背後から現れたのはクラスメイトの吹寄制理だった。

吹寄制理の連行

吹寄制理は、一端覧祭の準備をすっぽかした上条当麻に激怒していた。彼女は文房具や工具の入った袋で上条当麻を叩き、ダクトテープで両手を後ろ手に縛った。

上条当麻は学生寮やインデックスのことを気にしたが、吹寄制理は聞く耳を持たなかった。彼女は、クラスの屋台作りに人手が足りないとして、上条当麻を学校へ連行した。

フレメアの虫歯治療

別の場所では、フレメア=セイヴェルンが歯科医院で虫歯治療を受けていた。歯科医達は無表情に治療を進め、フレメアは恐怖に震えていた。

待合室にいた浜面仕上と滝壺理后は、フレメアの悲鳴を聞きながら会話していた。寝る前のホットチョコレートをやめなかった結果、フレメアは虫歯治療を受けることになっていた。

教室の屋台準備

学校では、月詠小萌が上条当麻の無断欠席を問題視していた。上条当麻は吹寄制理に連行され、教室へ放り込まれた。

教室は授業の場ではなく、一端覧祭の屋台準備の作業場になっていた。机は後ろへ寄せられ、ベニヤ板や工具が並び、当日に組み立てるための屋台用パネルが作られていた。

文化祭への不満

土御門元春と青髪ピアスは、クラスの出し物がたこ焼き屋台であることに不満を漏らした。文化祭なら喫茶店やお化け屋敷、水着やミスコンのような要素が必要だと騒いでいた。

上条当麻は、一端覧祭は内部向けの大規模な学校紹介イベントであり、教師達の目もあるため過激な出し物は難しいと考えた。しかし青髪ピアス達は聞く耳を持たず、吹寄制理の怒りを買った。

一端覧祭の性質

一端覧祭は、学園都市中の学校が参加する超大規模文化祭だった。大覇星祭が外部向けであるのに対し、一端覧祭は同じ学園都市の学生達を主な対象としていた。

そのため、一般人向けに粗相を避ける大覇星祭より肩の力は抜けるが、学園都市の科学や超能力に慣れた学生達を驚かせる必要があった。ある意味では、世界で最も難易度の高い文化祭だった。

食料調達係

吹寄制理は、準備をサボっていた上条当麻に泊まり込みを宣告した。さらに、昼食時の学食や購買が混雑しているため、上条当麻へクラス全員分の食料調達を命じた。

条件は一食二〇〇円以内で、できれば野菜も組み込むことだった。上条当麻は手押しカートを使い、大量購入できる店を探すため学校の外へ出た。

街路樹のオッレルス

食料調達へ向かう途中、上条当麻は周囲に溶け込みながらも異様な存在感を放つ何者かに気づいた。街路樹にもたれていたのは、バゲージシティで遭遇した魔神になるはずだった男、オッレルスだった。

オッレルスは、上条当麻がいつ自分に気づくかを右方のフィアンマと話していたと告げた。彼は、バゲージシティではできなかった話をしようとしていた。

幻想殺しの秘密

オッレルスは、グレムリン、オティヌス、魔神という存在、そして幻想殺しの正体について話すつもりだった。上条当麻にとって、それはあまりにも大きく、避けられない疑問へ踏み込む言葉だった。

しかし上条当麻は、一端覧祭の準備でようやく日常へ戻ったと実感し始めたところだった。彼は大きく息を吐くと、面倒で長くなりそうな話を避けるように、オッレルスから全速力で逃げ出した。

幻想殺しの正体

逃げ出した上条当麻

上条当麻は、幻想殺しの正体を話そうとするオッレルスから全速力で逃げ出した。昼食の買い出しを放り出せば、準備をサボった上に食料調達まで失敗したと扱われ、クラスメイト達にひどい目に遭わされると考えたのである。

オッレルスは、重要な話なのに食いつかない上条当麻に戸惑った。しかし上条当麻は、この手の専門家の話は長くなると判断し、巻き込まれる前に退散することを選んだ。

体育館裏の呼び出し

上条当麻は昼食の買い出しを終えた後、オッレルスに体育館裏へ呼び出された。上条当麻は喧嘩か告白かと身構えたが、オッレルスはバゲージシティでできなかった話を始めようとしていた。

オッレルスは、まず核心から話す方が早いとして、魔神オティヌスについて語り始めた。オティヌスは完全な魔神であり、グレムリンは彼女の力によって束ねられているため、彼女の思惑を知れば組織全体の動きも分かると説明した。

グレムリンの正体

オッレルスは、グレムリンを第三次世界大戦の後に生まれた魔術結社だと説明した。彼らは、戦争の勝者が科学サイドの学園都市と決められたことに反発し、魔術サイドの敗北を勝手に代表されたくない者達だった。

グレムリンは長い歴史を持つ結社ではなく、第三次世界大戦の敗北ムードに不満を抱いた魔術師達の受け皿だった。彼らは、学園都市という巨大な相手に対抗するため、魔神オティヌスを象徴として徹底的に強化しようとしていた。

五〇%の魔神

オッレルスは、魔神は何でもできるからこそ問題を抱えていると語った。無限の可能性とは、成功と失敗の可能性を同時に抱えることであり、魔神はどれだけ力を持っていても、成功と失敗が五〇%ずつになる存在だった。

オティヌスは、その不安定な可能性を一〇〇%の勝利へ近づけるため、調整を必要としていた。ハワイ諸島やバゲージシティでの騒乱は、そのための下準備に過ぎなかった。

神槍グングニル

オティヌスは、北欧神話の主神オーディンの別名であり、その性質を再調整するために神槍グングニルを求めていた。グングニルは主神の武力を象徴する霊装だった。

ハワイ諸島では炉の建造が進められ、バゲージシティでは黒小人や全体論の超能力者に関わる条件が集められていた。神槍グングニルが完成すれば、オティヌスは五〇%の制約に怯えず、全世界へ大きな行動を起こすことになるとされた。

幻想殺しへの疑問

上条当麻は、オティヌスが可能性を再調整したいなら、神槍グングニルではなく幻想殺しでも目的を果たせるのではないかと考えた。幻想殺しはあらゆる魔術を打ち消し、可能性を〇%へ固定する力のようにも見えたからである。

しかしオッレルスは、幻想殺しはオティヌスの思想とは相容れないと答えた。そこで彼は、上条当麻自身が幻想殺しの正体を知っているのかと問い返した。

オープンカフェのグレムリン

一方、学園都市のオープンカフェには、マリアン=スリンゲナイヤー、投擲の槌、トールがいた。三人は明らかに異物だったが、学園都市には奇妙な機械も多いため、大きな騒ぎにはなっていなかった。

マリアンは木原加群の死によって気力を失い、テーブルに突っ伏していた。トールは、彼女が自暴自棄に暴走しないよう、予防攻撃として人体改造を行うことを禁じた。

科学でも魔術でもない右手

オッレルスは、上条当麻の右手は学園都市製の能力開発で生まれたものではないと語った。学園都市が上条当麻を科学サイドの解釈で説明しただけであり、もし幼少期に魔術サイドに拾われていれば、上条当麻は自分を魔術サイドの常識で理解していたかもしれなかった。

上条当麻は、自分は一体何なのかと問いかけた。オッレルスは、幻想殺しとは全ての魔術師達の怯えと願いが集約したものだと説明した。

世界の基準点

魔神は世界を思い通りに歪められるが、歪めた後に元へ戻せるとは限らなかった。世界の長さや重さ、温度さえ変わってしまえば、元の世界がどのようなものだったのか分からなくなる恐れがあった。

幻想殺しは、そうした魔神達にとっての命綱であり、世界の基準点だった。どれほど世界を歪めても、右手があらゆる魔術を打ち消す限り、その長さや重さや温度を測ることで、元の世界を思い出す手がかりになるというものだった。

オティヌスとの不一致

オッレルスは、幻想殺しは本来、魔術師達が世界を戻すために願った保険のようなものだと説明した。しかしオティヌスは、学園都市が勝利した世界を極限まで歪めようとしており、元へ戻すためのバックアップを必要としていなかった。

そのため、オティヌスにとって幻想殺しは利用価値ではなく邪魔者だった。命綱を断って前進するグレムリンにとって、全てを打ち消す幻想殺しは、悪の誘惑に近い存在だった。

一端覧祭と雷神トール

夕方の学園都市

上条当麻は、一端覧祭の準備から一時的に解放され、夕方の学園都市を歩いていた。寮にはインデックスがいるはずだったが、オッレルスの目的やグレムリンの動きを考えると、すぐに帰れる状況ではなかった。

ハワイ諸島やバゲージシティの騒乱は、学園都市と地続きの問題だった。上条当麻は、グレムリンが学園都市へ来れば、この浮かれた街並みもバゲージシティのように変わるかもしれないと考え、強い危機感を抱いていた。

御坂美琴の怒り

上条当麻は人混みの中で御坂美琴を見つけた。彼女は常盤台中学の制服にコートをまとい、一端覧祭の準備で出歩いているように見えた。

上条当麻が声をかけると、御坂美琴はいきなり拳を落とした。彼女はハワイ諸島で置き去りにされたことに怒っており、謝罪だけでは足りないと詰め寄った。

力を借りる迷い

御坂美琴は、単純な武力なら自分の方が上なのだから頼れと訴えた。上条当麻は、もしグレムリンが学園都市へ来た時に彼女の力を借りるべきか、それとも巻き込ませないべきかを迷っていた。

上条当麻は、ハワイ諸島で暴れた相手が始まりに過ぎないような連中が来た場合、友達を矢面に立たせることが正しいのかと問いかけた。御坂美琴は、それをずるい質問だと評した。

変わった声色

直後、御坂美琴の声色が唐突に変わった。上条当麻は、彼女が最初に電撃ではなく拳を使ったことに違和感を覚え、目の前の相手が本物ではないと気づいた。

偽物の右手から眩い閃光が放たれ、五本の指からアーク溶断ブレードが伸びた。上条当麻は身を低くしてかわし、背後の風力発電のプロペラが切断されるのを見た。

偽物との攻防

偽物は左手からもアーク溶断ブレードを伸ばし、上条当麻へ突き込んできた。上条当麻は首を振って回避し、右拳で左腕を跳ね上げた。

その隙に上条当麻は一歩踏み込み、偽物の首を右手で掴んでベンチへ叩きつけた。そして、美琴ではないなら誰なのかと叫んだ。

雷神トール

御坂美琴の姿をした何かは、首を中心にひび割れていった。コートや髪飾りまで含めた像が粉々に砕け、その中から長い金髪と白い肌を持つ少年が現れた。

少年は、グレムリンの直接戦闘担当である雷神トールと名乗った。そして、自分達はすでに学園都市へ入り込んでいると上条当麻へ告げた。

行間 一

フロイライン=クロイトゥーネ

優しい神父様の試練

優しい神父様は、フロイライン=クロイトゥーネに焼けた石を持たせ、水底へ沈め、鳥籠に入れて塔から吊るすなど、数々の神明裁判を課した。彼は、彼女が潔白であれば主が守り、傷つくことはないと繰り返した。

傷つかない少女

フロイライン=クロイトゥーネは、どれほど過酷な試練を受けても傷つかなかった。小さな街の石畳の広場では人々がざわめき、優しい神父様は彼女が生きて輝く肌を保っていることに混乱した。

神父様の恐怖

優しい神父様は、湖へ沈めても、塔で雷に打たせても、炎で焼いても笑っているフロイライン=クロイトゥーネを怪物や魔女と呼んだ。彼は十字架を握り締め、彼女が主を語ることに激しく動揺した。

神明裁判の結果

フロイライン=クロイトゥーネは、神父様自身が潔白なら主が守ると言ったのではないかと返した。そして両手を広げ、全ての試練で傷つかなかった自分は、どのような扱いを受けるのかと穏やかに問いかけた。

第二章 本当の敵は誰なのか Secret_Promise.

一端覧祭とフロイライン=クロイトゥーネ

ハンバーガーショップのトール

上条当麻は、近所のハンバーガーショップでグレムリンの雷神トールと向かい合っていた。敵同士で食事をしている状況に上条当麻は戸惑ったが、トールは話をするだけだと軽く受け流した。

トールは、御坂美琴に化けていた術式について、北欧神話で雷神が女神に化けた伝承を基にしたものだと説明した。さらに、ハワイ諸島での上条当麻と御坂美琴のやり取りがグレムリン側に見られていたことも明かした。

オッレルスへの疑念

トールは、オッレルスから聞かされた情報だけを信じるべきではないと上条当麻に語った。グレムリンが黒幕であることは認めつつも、敵対するオッレルスが完全な善や正義を担っているとは限らないと指摘した。

さらに、オッレルスはシルビア、右方のフィアンマ、ブリュンヒルド=エイクトベル、レイヴィニア=バードウェイを連れて学園都市へ来ていると告げた。トールは、本当に学園都市を守るつもりなら外側に防衛線を張るはずであり、街の中を戦場にする構図は不自然だと語った。

学園都市を使う構図

トールは、オッレルス側にも目的があり、そのために学園都市を利用している可能性があると話した。グレムリンを街中で暴れさせれば、学園都市の防衛戦力が動き、グレムリンの連携を乱せるという見方だった。

上条当麻は、敵であるトールの言葉をそのまま信じることに抵抗した。だがトールは、信じろとは言っておらず、片側の情報だけに頼らず、自分の頭で判断材料を集めろと告げた。

争奪戦の景品

トールは、自分の目的を、グレムリンとオッレルス側が奪い合おうとしているものを、上条当麻と二人で先に助け出すことだと明かした。

その対象は魔術にも科学にも染まっていない人間であり、並の人間なら耐えられない改造にも耐えられるほど高い耐久性を持つ存在だった。トールは、その人物が中世の魔女狩りの記録に名を残す、殺すことを諦められたほど頑丈な女だと説明した。

フレメアの治療後

一方、フレメア=セイヴェルンは歯の治療を終えた直後にも、食べ物を求めていた。浜面仕上は、虫歯治療で泣き叫んだばかりの彼女がまるで懲りていないことに驚いた。

浜面仕上と滝壺理后は、フレメアを寮へ送ってから帰るつもりだった。しかしフレメアは雑踏の中で果物入りのマシュマロに惹かれて姿を消し、浜面仕上は再び彼女を追うことになった。

生き続ける女

トールは、魔女狩りの記録に残る女はまだ死んでいないと語った。火で焼かれても、巨大な重りで押し潰されても笑っていた女は、時間によっても衰えず、今も生きていると考えるべき存在だった。

その頑丈さは本質の一側面に過ぎず、正体は別にあるとトールは見ていた。そして、その女は十中八九、学園都市にいると告げた。

窓のないビル

上条当麻は、なぜその存在が学園都市にいるのかを問うた。トールは、殺して排除できない存在を自由に歩かせるわけにもいかないため、行動力を奪って隔離するしかなかったのだと説明した。

その隔離場所は、学園都市で最も堅牢な建物だった。トールは、学園都市統括理事長アレイスターの居城である窓のないビルの名を挙げ、そこにフロイライン=クロイトゥーネが幽閉されていると告げた。

フロイライン=クロイトゥーネ争奪戦

暗闇の五月計画の生存者

絹旗最愛と黒夜海鳥は、一端覧祭の準備期間で浮かれる学園都市を歩いていた。二人は暗闇の五月計画の生存者であり、一方通行の思考パターンを移植された能力者だったが、互いに仲間意識はなく、常に険悪な空気を漂わせていた。

絹旗最愛は防御に特化した窒素装甲、黒夜海鳥は攻撃に特化した窒素爆槍を操る存在だった。絹旗最愛は、浜面仕上が黒夜海鳥の奥歯の異変に気づいたとして、彼女を恐ろしい歯医者へ連れていこうとしていた。

黒夜海鳥の歯医者

黒夜海鳥は、自分はサイボーグだから奥歯を削る必要はなく、部品ごと交換すればよいと抵抗した。しかし絹旗最愛は、浜面仕上が黒夜海鳥の機械の腕にガムを貼り、接触不良を起こさせていたことを明かした。

黒夜海鳥は窒素爆槍を出せなくなり、無害な一般市民同然にされた。絹旗最愛は、涙目になった黒夜海鳥を引きずり、歯科医院へ入っていった。

窓のないビルへの潜入

雷神トールは、フロイライン=クロイトゥーネが窓のないビルに幽閉されていると上条当麻に説明した。グレムリンは彼女を手に入れるために窓のないビルを暴力で破壊しようとしており、オッレルス側も彼女をグレムリンへ渡さないためなら外から殺す可能性があった。

トールは、どちらの勢力に任せてもフロイライン=クロイトゥーネは危険だと考えていた。そのため、上条当麻と自分が誰よりも早く窓のないビルへ潜入し、彼女を確保するのが最善だと提案した。

裏切り前提の誘い

トールは、自分は上条当麻の味方ではなく、最後は裏切るに決まっていると明言した。そのうえで、上条当麻も適当な所で自分を使い捨てればよいと語った。

それでもトールは、フロイライン=クロイトゥーネには罪がなく、魔女狩りのような扱いや出口のない場所への幽閉は間違っていると訴えた。彼は、答えはイエスかノーかだと上条当麻に迫った。

疑う上条当麻

上条当麻は、トールの話には裏付けがなく、フロイライン=クロイトゥーネが本当に窓のないビルにいるかも分からないと指摘した。さらに、グレムリンにいたトールが組織を裏切る理由も信じられないと考えた。

上条当麻は、トールが嘘をつき、見えない思惑のために自分を誘導している可能性を疑った。その言葉を聞いたトールは、上条当麻が小さくなったと吐き捨て、突然彼の顔面をテーブルへ叩きつけた。

雷神トールの怒り

トールは、フロイライン=クロイトゥーネが幽閉されているという一点だけで助けに行くべきだと怒鳴った。裏の思惑や誰かの狙いを理由に、理不尽に苦しめられている女の子を見捨てるなら、それは自分が想定していた上条当麻ではないと詰め寄った。

上条当麻は、グレムリンこそが元凶であり、ハワイ諸島もバゲージシティも今回の件も、グレムリンが暴れなければ起きなかったと反論した。トールは、自分はグレムリンからはみ出してでもオティヌスの暴走を止めようとしているのだと返した。

選ぶことへの恐怖

トールは、上条当麻が慎重になっているのではなく、選ぶこととその結果を受け止めることを恐れているだけなら悪党だと告げた。そしてアーク溶断のような雷光の刃で上条当麻を斬ろうとした。

上条当麻は幻想殺しでその刃を打ち消し、トールの手首を掴んで膝蹴りを叩き込んだ。彼は、誰かを助けたはずの行動が、別の結果へねじ曲げられることが許せないのだと叫んだ。

殴り合いの答え

上条当麻は、助けたつもりが逆に苦しめていたという結末を誰にも押し付けたくないため、動く前に準備が必要なのだと訴えた。トールは、その言葉の中に上条当麻の悩みの段階が出ていると指摘し、気づけと怒鳴った。

二人はやがて複雑な理屈を失い、ただ殴り合った。トールはファストフード店を吹き飛ばすほどの魔術を使えたはずだが、あえて使わず、上条当麻と正面からぶつかった。

最善への選択

殴り合いの後、トールは上条当麻に助ける気があるのかと改めて尋ねた。上条当麻は、フロイライン=クロイトゥーネが本当に苦しめられているなら助けると答えた。

ただし、トールが自分を利用して利益を得ようとしているなら、その計画をご破算にしてでもフロイライン=クロイトゥーネを助けると宣言した。トールはそれを認め、今夜自分が動く場所を紙ナプキンに焦がして記し、協力するにせよ敵対するにせよ、その情報を使えと告げた。

行間 二

フロイライン=クロイトゥーネの伝説

娯楽としての処刑

古来の西欧では、公開処刑は民衆にとって大きな娯楽であった。書籍や音楽、演劇に触れられる者が限られていた時代に、広場で行われる処刑は日常に強い刺激を与える催しとして機能していた。

さらし刑の実態

さらし刑は、罪人を広場に縛って放置し、恥を与える刑罰だった。処刑人は直接手を下さなかったが、見物する民衆が石を投げ、棒で殴り、汚物を浴びせることは黙認されていた。

当時の捜査能力は杜撰であり、民衆は悪人ではなく、悪人にしてしまいたい隣人へ制裁を加える暗い喜びを得ていたとされた。

曖昧な罪と伝説

その時代には、罪状や伝説が後からいくらでも付け加えられた。些細な出来事が大盗賊や悪魔憑きの話へ変えられ、怪異じみた噂が公式記録に残るほど、情報の確度は低かった。

そのため、フロイライン=クロイトゥーネにまつわる伝説も、多くの不確かな話の中に埋もれていた。

三〇八回の神明裁判

フロイライン=クロイトゥーネは、拷問による自白の原型とされる神明裁判を三〇八回ほど受けた女性だった。熱した岩を持たされ、泉に沈められ、雷に打たれ、食料も水もない牢に放置されても、命を落とさず顔色も変えなかった。

当時の伝説では、彼女の正体や仕組みを結論づけることはできなかった。

潔白な人間という結論

神明裁判は、無罪なら神が守り、有罪なら傷つくという考えに基づいていた。後には神を試す仕組みとして否定され、拷問による自白へ変化していったが、フロイライン=クロイトゥーネの時代には神明裁判が機能していると見なされていた。

その歪んだ司法の場では、傷つかなかったフロイライン=クロイトゥーネは、善良で潔白なただの人間であると結論づけるしかなかった。

第三章 開門 Impregnable.

窓のないビルへの接近

御坂美琴の高校見学

御坂美琴は、一端覧祭の準備期間に上条当麻の通う高校へ足を運んだ。準備期間中の学校の様子から本性が見えるという噂を気にし、こっそり見学しようとしていたのである。

美琴は校門から敷地内へ入り、常盤台中学とは違う雑多な雰囲気に新鮮さを覚えた。そこで月詠小萌に声をかけられたが、彼女を見学組の小学生だと勘違いし、教師だとは気づかなかった。

逃げた上条当麻

美琴が小萌と校内を見て回っていると、吹寄制理が慌てて現れた。吹寄制理は、泊まり組のはずだった上条当麻が逃げたと怒り、姫神秋沙に居場所を尋ねていた。

その直後、上条当麻が警備員に捕まったという情報が入り、美琴は予想外の展開に反応した。

警備員の詰め所

上条当麻は、ファストフード店での乱闘によって警備員の詰め所へ連れて行かれていた。目撃証言から一方的に被害を受けていたことは分かりそうだったが、一端覧祭の準備期間でも羽目を外してはいけないと警備員から説教を受けた。

上条当麻は、今はこんなことをしている場合ではないと焦っていた。彼は演技で詰め所を抜け出し、夜になった街へ戻った。

廃ビルの雷神トール

上条当麻は、雷神トールが紙ナプキンに残した情報を頼りに、第七学区の廃ビルへ向かった。そこには雷神トールが待っており、上条当麻は適当な所で裏切ると告げた。

周囲には日曜大工用の道具が並んでいた。雷神トールは、窓のないビルを攻略するために必要な物を一端覧祭の準備に紛れて集めたのだと説明した。

麦野沈利の教材

一方、麦野沈利はルームシェアしている部屋で、通販の手作りお菓子セットのような段ボール箱を開けていた。彼女は義肢の細かな動きを調整するため、料理をリハビリとして行う必要があった。

麦野沈利はマニュアルに従って粉や液体を混ぜ、型に入れて加熱や冷却を進めた。しかし完成したものは菓子ではなく、骨や脂肪、眼球、内臓、血管や神経のような人体の部品だった。

組み上がったサンドリヨン

麦野沈利が部品を浴槽に配置すると、食塩水の中から裸身の少女が起き上がった。少女はサンドリヨンと名乗り、マリアン=スリンゲナイヤーに人間テーブルにされ、オッレルスに戻された影響で、自分を組み立て直せるようになったと説明した。

サンドリヨンは、グレムリン本隊の動きが活発化しており、ハワイ諸島で動いた者達と接触するのが効率的だと考えていた。彼女はさらにドレスの設計図を取り出し、麦野沈利に洋裁まで頼もうとして、麦野沈利を激怒させた。

本物の御坂美琴

上条当麻は、窓のないビル近くの立体駐車場へ向かう途中で御坂美琴に出会った。先ほどトールが御坂美琴に化けていたため、上条当麻は本物の美琴をトールの変装だと勘違いした。

上条当麻は確認のつもりで右手を伸ばし、美琴の胸に触れた。幻想殺しで変装を消そうとしたつもりだったが、相手は本物だったため、美琴は顔を真っ赤にして激しく動揺した。

合流地点の誤解

上条当麻は美琴をトールだと思い込んだまま、合流地点へ来るように告げて離れた。その後、立体駐車場で本物の雷神トールと合流した。

上条当麻はトールの冗談に付き合わされたと思っていたが、トールは怪訝な反応を示した。上条当麻は、その時点では自分が本物の御坂美琴に触れていたことに気づいていなかった。

保冷車の配置

上条当麻は、立体駐車場の五階から双眼鏡で窓のないビルを見張っていた。雷神トールは別行動で準備を進め、小型の保冷車を遠隔操作して窓のないビルの周囲へ配置していた。

窓のないビルには出入口がなく、液体や気体も通さない構造だった。フロイライン=クロイトゥーネを救出するには、ビルの壁に穴を開けるしかないというのが雷神トールの方針だった。

保冷車の爆破

上条当麻が周囲に人影がないことを確認すると、雷神トールは配置した保冷車を一斉に爆破した。爆発の衝撃は遠く離れた上条当麻の体をひっくり返すほどで、黒煙が立ち上った。

上条当麻は、核攻撃にも耐える窓のないビルに爆破が通じるはずがなく、周囲の店や人々に被害が出るだけだと怒った。雷神トールは一般人を巻き込まないつもりだったが、周辺被害への対策を怠ったことを認めた。

窓のないビル攻略作戦

第一段階の爆破

上条当麻は、保冷車の爆破では核にも耐える窓のないビルを破れるはずがなく、計画は失敗したと雷神トールへ訴えた。しかしトールは、窓のないビルの装甲が演算型・衝撃拡散性複合素材であると説明し、爆破は第一段階として成功していると告げた。

トールは上条当麻へ地図を送り、その順路で戻るよう指示した。順路を外れれば追跡を受け、自分は合流しないと念を押した。

雲川姉妹の夜道

雲川芹亜は本調子ではないまま、夜の歩道に姿を見せた。妹の雲川鞠亜は一端覧祭の準備で生鮮食品の段ボール箱を抱えており、姉が出てきたことを茶化した。

二人はミスコンや体型の話で軽口を交わした。芹亜は業務復帰を宣言していないため、携帯端末に届く厄介な案件を見ないようにしていたが、最後に鞠亜が東欧で上条当麻に惚れたのかと尋ね、鞠亜を慌てさせた。

監視網の死角

上条当麻は、ショッピングモール外の自販機前で雷神トールと合流した。トールは、学園都市の上層部には街中を監視する網があるため、作戦をその場で説明できなかったと語った。

二人は陸橋下の扉から、暗部組織新入生の母体となった施設の秘密通路へ入った。そこは学園都市の監視網から外れた空白地帯であり、トールは木原加群が残した情報を利用してこの場所を把握していた。

木原加群のバックドア

トールは、木原加群が木原病理との対決を見越し、学園都市を出る前にいくつかの仕掛けを残していたと説明した。先ほどの保冷車の爆破も、窓のないビルの装甲が衝撃を相殺する際の癖を測るためのものだった。

窓のないビルの装甲は単純に硬いのではなく、衝撃波のパターンを計測し、最適な振動で相殺する仕組みだった。トールは木原加群のバックドアを使って研究施設のスパコンに接続し、その癖を突破するための衝撃波の方程式を演算させた。

窓のないビルの至近

上条当麻と雷神トールは、新入生の施設跡を通って窓のないビルへ近づいた。二人は電動工具の詰まったバッグを持ち、監視網に再び捕まる前に装甲へ穴を開けるつもりだった。

トールは、目的は統括理事長の警備システムを破ることではなく、フロイライン=クロイトゥーネの救出だと確認した。マンホールを開ければ後戻りできない状況で、上条当麻は助けたいから助けるという理由だけで進むことを選んだ。

芳川桔梗の水炊き

芳川桔梗は、教職員向けマンションで水炊きの準備をしていた。部屋には打ち止めと一方通行もおり、芳川は無職の現状から抜けるため、理系大学の特別講師を足がかりに大学へ入り直す準備を進めていた。

芳川が薬味の細ネギがないと呟くと、打ち止めは買いに行くと宣言した。芳川と一方通行が話している間に、打ち止めは一端覧祭で賑わう夜の街へ勝手に飛び出していた。

打ち止めの外出

芳川桔梗は、打ち止めがいなくなったことに気づき、一方通行へ追いかけるよう頼んだ。一方通行は反発したが、玄関は半開きで、打ち止めの靴はなくなっていた。

一端覧祭の準備で夜の街が普段と違う空気になっている中、打ち止めは外へ出てしまった。芳川桔梗は保護者として一方通行に対応を押しつけた。

窓のないビルの破壊

装甲板への掘削

上条当麻と雷神トールはマンホールから地上へ出て、窓のないビルのすぐ傍へ到達した。上条当麻は装甲板に赤い円を描き、雷神トールが組み立てた掘削機で演算型・衝撃拡散性複合素材を破ろうとした。

二人は木原加群のバックドアで算出した衝撃パターンを使い、装甲板へ杭を連打して穴を開けようとした。しかし装甲は予想以上に硬く、雷神トールの掘削機はスパイクが折れてしまった。

接近する無人兵器

上条当麻は掘削機から異音がしていると思ったが、雷神トールは夜空から近づく無人兵器群に気づいていた。現れたのは無人操縦の攻撃ヘリであり、音響兵器や機銃、ミサイルを備えた危険な兵器だった。

雷神トールは無人兵器を相手にする時間がないと判断した。上条当麻は撤退を提案したが、ここで退けばフロイライン=クロイトゥーネを救出する手段が失われるため、二人は追い詰められていた。

内側からの亀裂

上条当麻が再び掘削機を動かすと、窓のないビルの壁面に巨大な亀裂が走った。それは二人の掘削によるものではなく、赤い円よりも大きな正方形を描くように、装甲板を内側から破断させるものだった。

壁の一部は支えを失って倒れ、上条当麻は慌てて横へ転がって避けた。破壊不能とされた演算型・衝撃拡散性複合素材は外側からではなく、内部から破られたようだった。

現れたフロイライン=クロイトゥーネ

粉塵の奥、窓のないビルの内部から一人の女性が現れた。彼女は二メートル近い長身で、足首近くまである銀髪と白い肌を持ち、薄いワンピースのような装束をまとっていた。

上条当麻は、彼女が人間とはどこか違う存在であるように感じた。雷神トールは茫然としながら、その女性をフロイライン=クロイトゥーネと呼んだ。

一撃の雷神トール

フロイライン=クロイトゥーネは、雷神トールへ軽く目を向けた。直後、雷神トールは赤黒い液体を吐き、路上へ崩れ落ちた。

上条当麻には何が起きたのか分からなかった。だが、グレムリンの直接戦闘担当である雷神トールが、たった一撃で行動不能にされたことだけは明らかだった。

回転する視界

上条当麻は雷神トールへ駆け寄ろうとした。しかしフロイライン=クロイトゥーネの注目を集めること自体が致命的だった。

彼女は上条当麻の方を見もしなかった。次の瞬間、奇妙なくぐもった音が響き、上条当麻の視界は大きく回転した。

行間 三

危機管理ファイル特別条項四四三一一一九号

フロイライン=クロイトゥーネの保全

危機管理ファイルでは、フロイライン=クロイトゥーネが学園都市と世界全体に関わるプランの障害になる存在とされていた。殺害が難しいため、彼女を箱の中の猫のように外界から隔離し、世界への影響を最小限に抑える方針が取られていた。

好奇心という原動力

フロイライン=クロイトゥーネを動かすものは思想ではなく好奇心だった。彼女は一度興味を持つと、自分の肉体がどれほど破壊されても、目的の物や場所や人物へ一直線に向かってしまう存在だった。

完全な闇と静寂

フロイライン=クロイトゥーネには好き嫌いの概念がなく、好意でも悪意でも向けられたものすべてに興味を示す性質があった。そのため、彼女を封じるには完全な闇と完全な静寂を与え、あらゆる興味を消失させることが最も有効だとされていた。

第一級警報のリスク

些細な光や音でも、一分以上続けばフロイライン=クロイトゥーネは強い興味を抱く危険があった。一度稼働すれば、彼女は高速思考によって演算型・衝撃拡散性複合素材を打ち破る方法を構築し、その後は通常の方法で殺害や行動不能にすることが難しくなるとされた。

盾と矛を得た存在

演算型・衝撃拡散性複合素材を打ち破る手段を得たフロイライン=クロイトゥーネが学園都市へ放たれることは、第一級警報に相当するリスクだった。彼女は防御と突破手段の両方を手にした、極めて危険な存在として扱われていた。

第四章 異形から見た平穏 Release_Monster.

フロイライン=クロイトゥーネの行方

目覚めた上条当麻

上条当麻は爆発音をきっかけに意識を取り戻した。傍には雷神トールがいて、無人攻撃ヘリの四枚羽はフロイライン=クロイトゥーネによって全て破壊されたと説明した。

雷神トールは、フロイライン=クロイトゥーネが微細な体組織のようなものを相手の内部へ潜り込ませ、生体なら拒絶反応を起こし、無機物なら内側から破壊するのではないかと推測した。しかし、その根幹にある法則までは理解できていなかった。

窓のないビルの誘惑

上条当麻と雷神トールは、窓のないビルの巨大な穴の奥に何かがあると感じた。そこには学園都市や世界の謎に関わるものがあるように思えたが、踏み込めば危険に呑まれる可能性が高かった。

二人は誘惑を振り切り、最優先すべきはフロイライン=クロイトゥーネの確保だと結論づけた。彼女が消えた先は、今も爆音が響いている方向だと判断した。

たこ焼きの屋台

フロイライン=クロイトゥーネは、体育座りでたこ焼き屋台を眺めていた。彼女はたこ焼きを回すバイト学生の手つきを興味深そうに見つめ、その動きを指先で真似ていた。

バイト学生は彼女を不気味に思いながらも、商品を勝手に与えるわけにもいかず困惑していた。やがて彼は、彼女が食べ物ではなく、自分の作業そのものに興味を示していることに気づいた。

警備員への興味

警備員達が現れ、フロイライン=クロイトゥーネを取り囲んだ。彼らは上層部らしき相手と無線で揉めながら、彼女をどこへ護送するべきか判断しようとしていた。

その間に、フロイライン=クロイトゥーネの指先の動きはたこ焼き作りから警備員達の動きへ変わっていった。バイト学生は彼女が警備員達から何かを吸収していると気づいたが、声をかける一瞬の迷いが遅れとなった。

警備員達の沈黙

警備員が手錠で拘束しようとした時、フロイライン=クロイトゥーネは音もなく立ち上がった。威嚇の声は間に合わず、直後に鈍い音が連続した。

彼女は警備員達の動きから吸収した暴力を使い、目の前の状況を一気に変えた。

迷子のフレメア

フレメア=セイヴェルンは、フルーツ入りマシュマロの屋台に気を取られ、浜面仕上や滝壺理后とはぐれていた。自分が迷子だとは認めず、むしろ浜面仕上を見つけてやるのだと決意した。

案内板を見ても現在地を把握できないまま、彼女は大きな円を描いて歩けば浜面仕上に会えると考えた。その直後、打ち止めとぶつかった。

打ち止めとの対決

打ち止めはフレメアを迷子と見なし、大人ぶって助けようとした。フレメアは自分の方がお姉さんだと反発し、ブラをしていることや自分で選んでいることを切り札のように叫んだ。

二人は子供扱いを巡って張り合ったが、飛行船の料理番組宣伝を見たことで興味が移った。迷子の浜面仕上や薬味の細ネギのことを忘れ、二人は学園都市の名店巡りで勝負することにした。

動き出すマリアン

学園都市の各所ではサイレンが鳴り響いていたが、一端覧祭の準備中の学生達はそれを自分達の枠内で気軽に解釈していた。その近くのベンチには、マリアン=スリンゲナイヤーと投擲の槌がいた。

マリアンは騒ぎの中心が移動していることに気づき、どうするかを軽く問いかけた。彼女が動けば都市の景色を破壊し尽くしかねなかったが、結局は面倒になり、やる気が出ないとしてふて寝した。

フロイライン=クロイトゥーネの追跡

黄泉川愛穂の現場指揮

黄泉川愛穂は、警備員の班がフロイライン=クロイトゥーネに倒された報告を受け、無線で怒鳴っていた。窓のないビルの破壊現場は青いシートで覆われ、警備員達は爆心地への立ち入りすら許されていなかった。

黄泉川愛穂は、フロイライン=クロイトゥーネが窓のないビルの装甲を内側から破壊し、無人攻撃ヘリを全て撃破したと見ていた。攻撃手段すら不明なため、発見しても単独で手を出すなと部下に命じた。

デコイの方針

近くに隠れていた上条当麻と雷神トールは、検問が強化される前に動く必要があると判断した。トールは、グレムリンもオッレルス側もフロイライン=クロイトゥーネの情報を確認している段階だと見ていた。

上条当麻は、今なら偽情報を流して両勢力を遠ざけられると考えた。フロイライン=クロイトゥーネの周囲に罠があると思わせれば、直接接触を遅らせられる可能性があった。

防火服の脱出

上条当麻は、包囲網を抜けるために消防車へ目をつけた。防火服なら顔や体格を隠せるため、人相や年齢を見抜かれずに警備の目を避けられると考えたのである。

二人は防火服を借り、警備員達に見つからないよう現場を離れた。

屋台尖塔

打ち止めとフレメア=セイヴェルンは、治安の悪い第一〇学区にある屋台尖塔へ来ていた。そこは立体駐車場に四〇〇から五〇〇もの屋台が入った場所で、階層が上がるほど個性的な店が増える仕組みだった。

第一〇学区の客達は見た目こそ物騒だったが、子供二人には意外と親切だった。打ち止めとフレメアは危険を気にせず、最上階の人気店を目指した。

漫画の肉

二人が向かった店では、巨大なチャーシューが皿いっぱいに出された。打ち止めは漫画のような巨大肉だと得意げに説明し、両端を手で掴んで豪快にかぶりついた。

フレメア=セイヴェルンはその食べ方に衝撃を受け、漫画のお肉だと感動した。二人は巨大肉料理を楽しみ、浜面仕上や薬味の細ネギのことを忘れていた。

二つの勢力への罠

上条当麻と雷神トールは、防火服を脱ぎ捨てて包囲網の外へ出た。二人は、フロイライン=クロイトゥーネ、グレムリン、オッレルス勢力の三者が学園都市内を動いている状況を整理した。

上条当麻は、まずグレムリンへ偽情報を流し、科学サイドとオッレルス側が同時に攻めてくると思わせる案を立てた。その変化を察知したオッレルス勢力にも別の偽情報を渡せば、双方が警戒して動けなくなると考えた。

綱渡りの時間稼ぎ

雷神トールは、その作戦はグレムリンとオッレルス勢力を物理的に近づける危険な綱渡りだと指摘した。失敗すれば、その場でフロイライン=クロイトゥーネを巡る争奪戦が始まりかねなかった。

上条当麻は、それでも時間を稼ぐしかないと判断した。最優先はフロイライン=クロイトゥーネを助けることだが、そのためには半日でも一日でも準備の時間が必要だった。

迷子の再開

満腹になった打ち止めとフレメア=セイヴェルンは、屋台尖塔を出た後で駅の方向が分からなくなった。二人は地図サービスを使う発想に至らず、第七学区は北だから歩けば着くと考えた。

しかしすぐに道に迷い、フレメアは近くにいた長い銀髪の女性へ第七学区の方向を尋ねた。その女性はフレメアの動きを真似ており、追われているはずのフロイライン=クロイトゥーネだった。

デコイ情報の仕込み

夜の学校への侵入

上条当麻と雷神トールは、グレムリンとオッレルス勢力を罠にかけるために必要な物を確保しようと、夜の学校へ向かった。一端覧祭の準備期間中で校内は出入りしやすく、大工道具や印刷機材も多く置かれていた。

しかし校庭には月詠小萌と吹寄制理がおり、上条当麻が戻っていないことを話していた。捕まれば作戦の予定が崩れると考えた上条当麻は、雷神トールを連れて裏手から校舎へ入り、情報実習室へ向かった。

情報実習室のプリンター

上条当麻と雷神トールは、情報実習室に忍び込んだ。そこには一端覧祭用のポスター作成に使える大型プリンターがあり、二人は第一段階に必要な準備を進めた。

雷神トールは、御坂美琴に化けた時と同じ魔術でマリアン=スリンゲナイヤーの外見を整え、その写真をもとに指名手配のような通知書を作った。細部に粗はあったが、学園都市の形式を知らないマリアンを動揺させるには十分なものだった。

動かされたマリアン

マリアン=スリンゲナイヤーは、雷神トールを名乗る電話を受け、駅前広場へ誘導された。彼女は掲示板に貼られた自分の指名手配風の通知を見つけ、自分の情報が学園都市内で公開されていると判断した。

マリアンは、オッレルス勢力に隠れ家のホテルを知られた可能性を警戒した。彼女は新しい隠れ家を探すため、投擲の槌と共に慎重に移動を始めた。

二つ目の罠

デパートの喫茶店から様子を見ていた上条当麻と雷神トールは、マリアンが動いたことを確認した。次の狙いは、その動きを怪しんで偵察に来るオッレルス勢力へ偽情報を掴ませることだった。

上条当麻は、自分だけで動くと決めた。雷神トールが出ればオッレルス勢力との戦闘になりかねず、さらにフロイライン=クロイトゥーネの攻撃に耐えて復帰できる切り札は雷神トールだけだったからである。

マリアンの追跡

上条当麻は、マリアン=スリンゲナイヤーの後を追いながら、彼女を追う者を探した。マリアンは警備員などを警戒して複雑な経路を取り、上条当麻はその後方全体に注意を向けた。

やがて上条当麻は、自販機の商品見本を覆う透明カバーに映った違和感に気づいた。彼は近くのビルの裏口へ隠れ、通り過ぎた人物がレイヴィニア=バードウェイであることを確認した。

フロイライン=クロイトゥーネとの友達

一方、打ち止めとフレメア=セイヴェルンは、フロイライン=クロイトゥーネに道を教えられて第七学区へ戻っていた。打ち止めは彼女に名前を尋ね、フロイライン=クロイトゥーネは自分の名を答えた。

フレメアは携帯電話を持たない彼女へ、防犯ブザーを貸した。紐を引けば登録された携帯電話へ位置情報が届く仕組みであり、会いたくなった時に使えばよいと説明した。打ち止めとフレメアは、それを友達の儀式のように扱い、フロイライン=クロイトゥーネも自分達は友達だと受け入れた。

バードウェイへの接触

上条当麻は、レイヴィニア=バードウェイの背後から近づき、電動ドリルを突きつけた。まともに戦えば勝てない相手でも、この状況なら自分の方が先に動けると考えたのである。

上条当麻は、ハワイ諸島やバゲージシティでの出来事を踏まえ、バードウェイを無条件では信じられないと告げた。彼女が自分の目的のためにバゲージシティを捧げた事実は変わらないと責めた。

警備員の発砲

バードウェイは冷徹な声色へ変わり、上条当麻との衝突を避ける気がない様子を見せた。その時、警備員が現れ、上条当麻がバードウェイに凶器を突きつけていると判断した。

警備員は発砲し、上条当麻の体に弾が命中した。上条当麻は激痛と出血で倒れ、意識が途切れかけた。

掴ませた偽情報

バードウェイは応急処置を行いながら、上条当麻の生徒手帳を手に入れた。そこには、上条当麻とマリアン=スリンゲナイヤーが繋がっており、グレムリンが第一二学区を根城にしているように見せかける情報が書かれていた。

それは上条当麻が仕込んだデコイだった。自分から伝えても信じられない情報を、相手に盗み取らせることで本物だと思わせるための罠である。バードウェイはその情報をオッレルス勢力へ伝え、上条当麻の意図通りに動き始めた。

稼がれた時間

上条当麻は、グレムリンとオッレルス勢力を別々の方向へ動かせたことを理解した。これで少なくとも、その瞬間にフロイライン=クロイトゥーネを挟んだ全面衝突は避けられた。

しかしフロイライン=クロイトゥーネはまだ野放しだった。上条当麻は、雷神トールが彼女を見つけて守ることを願いながら、救急車の中で意識を失った。

終章 箍を外す Install…..Completion.

一端覧祭の幕開け

友達という言葉

一端覧祭の準備期間が終わろうとする夜、フロイライン=クロイトゥーネは打ち止めやフレメア=セイヴェルンと別れた後も、友達という言葉を反芻していた。彼女にとってそれは知識としては知っていても、実感から遠い言葉だった。

手の中には、フレメアから渡された防犯ブザーがあった。それは紐を引くだけで人を呼べる、彼女にとって小さな繋がりだった。

警備員の襲撃

フロイライン=クロイトゥーネは警備員達に発見され、暴徒鎮圧用のスモークで包囲された。スモークは五感や呼吸を妨げ、機械による観測も阻むものだった。

警備員達は、彼女を統括理事長襲撃の容疑者として捕らえようとした。フロイライン=クロイトゥーネは無言のまま防犯ブザーを握り締め、暴力に呼応するように眼球を動かした。

地下の垣根帝督

第三学区地下の施設には、学園都市第二位の超能力者、垣根帝督が封鎖されていた。彼は未元物質によって失われた器官を補い、空間全体を白い繭や蜘蛛の巣のような物質で埋め尽くしていた。

リクルートスーツに白衣の女は、統括理事長のオモチャが外へ出たため、表向きの警備員では対処できないと説明した。彼女は垣根帝督に、木原の総意として好きなように動けと告げた。

一方通行と打ち止め

一方通行と芳川桔梗は、行方不明だった打ち止めを探し回った末に帰宅した。すると打ち止めはすでに戻っており、黄泉川愛穂のチョコレートを食べていた。

打ち止めは街でフレメアと出会い、帰り道を教えてくれた人と友達になったと話そうとした。しかし一方通行と芳川桔梗は、打ち止めだけが夕食を済ませていたことに反応した。

迷子のフレメア

一方、フレメア=セイヴェルンはまだ迷子だった。第七学区から第一三学区へ向かう方法が分からず、疲れもあって駅前広場のベンチに寝転がり、そのまま眠ろうとした。

浜面仕上と滝壺理后は、フレメアが学生寮に戻っていないことを確認し、再び夜の学園都市へ探しに出た。

麦野沈利の遭遇

麦野沈利と絹旗最愛は、部屋の片づけをしていた。麦野沈利がミネラルウォーターを買いに外へ出ると、闇の中から聞き覚えのある声が聞こえた。

現れたのは、かつて麦野沈利が倒したはずのフレンダに似た少女だった。その正体は、麦野沈利が分量を間違えて小さくなったサンドリヨンであり、彼女は麦野沈利への怒りを口にした。

サンドリヨンの準備

サンドリヨンは、第七学区で自分のドレスを製造していた。ドレスは彼女にとって変身の要であり、魔術の力で他者を圧倒する象徴だった。

彼女の目的は、ハワイ諸島で自分達を騙したグレムリンに決定的なダメージを与えることだった。そのために、上条当麻の周囲を追えばグレムリンへ近づけると考えていた。

病院を抜け出す上条当麻

カエル顔の医者は、上条当麻の銃創が急所を外れており、手術は成功したと判断した。上条当麻はICUで意識を取り戻したが、フロイライン=クロイトゥーネを巡る状況が解決していない以上、休んでいるわけにはいかなかった。

彼は体を動かすだけで激痛を覚え、長くは保たないと理解した。それでも死の危険を受け入れ、輸血チューブや電極を外して病院から抜け出した。

フロイライン=クロイトゥーネの分析

一端覧祭の準備期間が終わり、本番が始まろうとしていた。その裏で、人工知能はアレイスターに向けてフロイライン=クロイトゥーネの分析を開始した。

彼女は遺伝子上は人間に分類されるが、通常の人間とは異質な存在だった。自分だけの現実を持たず、周辺環境を走査して生体活動に適した方向を選ぶ、昆虫をさらに単純化したような思考回路を持つとされた。

羽化の危険

フロイライン=クロイトゥーネは、周辺環境から情報を学習し続けることで、今の形とは別の何かへ変貌する可能性があった。それは羽化のようなものであり、獲物と捕食者の関係を逆転させる危険を秘めていた。

通常なら変質に必要な情報量を得るには二三〇〇年ほどかかるとされた。しかし彼女はミサカネットワークの司令塔である打ち止めと接触していたため、その脳を利用すれば必要時間を三秒で消化できると推測された。

二時間以内の危機

人工知能は、フロイライン=クロイトゥーネが必要性を感じれば、人間を捕食し、その脳構造を自己の中に再現する性質を獲得すると予測した。個人的な感情や事情は、その捕食活動を止める要因にはならないとされた。

そして二時間以内に、彼女は捕食と吸収に必要な機能を獲得し、対象の脳を捕食する活動を始めると推測された。

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