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とある魔術の禁書目録フィクション(Novel)読書感想

小説「新約 とある魔術の禁書目録(2)」感想・ネタバレ

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新約とある魔術の禁書目録 2の表紙画像(レビュー記事導入用) とある魔術の禁書目録

新約 とある魔術の禁書目録(1)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(3)レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. ラジオゾンデ要塞
    2. 上条当麻の帰還
    3. 魔術の基礎講義
    4. 魔術結社グレムリン
  6. 登場キャラクター
    1. イギリス清教
      1. 神裂火織
      2. アニェーゼ
      3. シェリー=クロムウェル
      4. アンジェレネ
      5. ルチア
    2. 天草式十字凄教
      1. 五和
      2. 建宮斎字
      3. 香焼
      4. 牛深
      5. 対馬
    3. アイテム
      1. 浜面仕上
      2. 滝壺理后
      3. 麦野沈利
      4. 絹旗最愛
    4. グループ
      1. 一方通行
      2. 結標淡希
      3. 海原光貴
      4. 土御門元春
    5. 新入生
      1. 黒夜海鳥
      2. シルバークロース=アルファ
    6. 明け色の陽射し
      1. レイヴィニア=バードウェイ
      2. マーク=スペース
    7. 新たなる光
      1. レッサー
      2. ランシス
    8. アステカ系魔術組織
      1. ショチトル
      2. トチトリ
    9. グレムリン
      1. 投擲の槌
    10. 学園都市統括理事会
      1. 老人
      2. アレイスター=クロウリー
    11. その他のキャラクター
      1. 上条当麻
      2. 御坂美琴
      3. フレメア=セイヴェルン
      4. インデックス
      5. スフィンクス
      6. 月詠小萌
      7. 姫神秋沙
      8. 雲川芹亜
      9. 打ち止め
      10. 番外個体
      11. 土御門舞夏
      12. 雲川鞠亜
      13. 御坂美鈴
      14. 上条詩菜
    12. 集団
      1. 黒服達
      2. クルー
      3. シスター達
  7. 展開まとめ
    1. 序章 使途不明、それでも脅威 Radiosonde_Castle.
    2. 第一章 新たな領域、のちに魔術 Lecture_One.
    3. 行間 一
    4. 第二章 変わらぬ日々、時折異質 Lecture_Two.
    5. 行間 二
    6. 第三章 受け入れる者、だが不穏 Lecture_Three.
    7. 行間 三
    8. 第四章 招待状、そしてその名は Lecture_Four(and_More).
    9. 終章 休息、しかし暗部で交錯 Birdway’s_Speech.
  8. 同シリーズ
    1. 新約 とある魔術の禁書目録
    2. とある魔術の禁書目録
    3. 外伝
    4. とある暗部の少女共棲
    5. 同著者シリーズ
    6. ヘヴィーオブジェクトシリーズ
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『新約 とある魔術の禁書目録(2)』は、科学と魔術が交差する世界を描いたライトノベルである。 前巻での事件を経て、学園都市に帰還した上条当麻、一方通行、浜面仕上の三人がついに顔を合わせる。彼らは、北極海から上条を救出した魔術結社『明け色の陽射し』のボス、レイヴィニア=バードウェイから、「魔術」の基礎知識と、第三次世界大戦を経て誕生した新たなる脅威「グレムリン」の存在について説明を受ける。 一方、高度5万2000メートルの上空には、地球に壊滅的な被害をもたらしかねない謎の浮遊構造物『ラジオゾンデ要塞』が出現し、イギリス清教の神裂火織が単身でその対処に挑んでいた。次なる世界規模の危機を前に、三人の少年たちがそれぞれの決意を胸に新たな戦いへと足を踏み出していく物語である。

■ 主要キャラクター

  • 上条当麻:あらゆる異能を打ち消す「幻想殺し(イマジンブレイカー)」を右手に宿す高校生である。北極海で死んだと思われていたが、無事に学園都市へ帰還する。自身の右手の正体と、それが世界に及ぼす影響を知るため、再び争いの中心へ向かう覚悟を決める。
  • 一方通行(アクセラレータ):学園都市最強である第一位の超能力者である。暗部組織から抜け出し平穏を取り戻しつつあるが、未知の脅威が自分の守るべき領域に及ぶことを危惧し、バードウェイの魔術の講義に耳を傾ける。
  • 浜面仕上:無能力者(レベル0)の不良少年である。大切な仲間たちとの平穏な日々を守るため、自分自身の非力さを自覚しながらも、理不尽な状況に立ち向かう熱い心を持つ。
  • レイヴィニア=バードウェイ:魔術結社『明け色の陽射し』のボスである12歳程度の金髪の少女である。上条らを北極海から救出し、科学サイドの彼らに対して魔術の仕組みや新たな敵「グレムリン」についての講義を行う。
  • 神裂火織:イギリス清教『必要悪の教会』に所属する「聖人」の魔術師である。人類滅亡の危機を防ぐため、ロケットで宇宙空間へ上がり、『ラジオゾンデ要塞』へと降下する過酷な任務を遂行する。
  • 御坂美琴:学園都市第三位の超能力者である。行方不明だった上条の生存を確認して安堵し、再び彼が危険な戦いへ向かうことを察しながらも「今度は一人じゃない」と声をかける。

■物語の特徴

本作の大きな特徴は、科学サイドの住人である一方通行や浜面仕上が、これまで深く関わってこなかった「魔術」のルールや組織構造について、バードウェイの講義を通じて学んでいく点である。これにより、読者にとっても世界観や魔術の設定の復習と整理ができる構成となっている。 また、第三次世界大戦という大きな区切りを経て、科学サイドと魔術サイドの戦いから、新たなる脅威「グレムリン」が登場し、物語のスケールが地球規模へと拡大していく点が興味深いポイントである。神裂火織による大気圏外からの単身降下作戦や、謎の魔術師『投擲の槌』との超絶的なバトルなど、スケールの大きいアクションシーンも本作の大きな魅力である。さらに、上条当麻の帰還によって巻き起こる、彼を心配していた少女たちとの騒動などの日常(コメディ)パートも、作品に彩りを与えている。

書籍情報

新約 とある魔術の禁書目録 2
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA電撃文庫
発売日:2011年8月10日
ISBN:9784048707381

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

11月5日の学園都市。上条当麻と一方通行(アクセラレータ)、そして浜面仕上の三人が、ついに交わった。しかしそれは、三者三様の 『アンタ等何やってた訳』 的、彼らを心配していたオンナノコたちへの落とし前イベント勃発を意味していた……! 上条は、形見のゲコ太ストラップを握りしめ意気消沈中の美琴に妙なテンションで声をかけ、超電磁砲地獄を見る。さらに、同じノリでインデックスにも話しかけ……。浜面は、『負けたら屈辱のバニーだ! ゲーム』 を続けていた麦野たちにようやく発見される。しかしその傍らには今は亡き 『アイテム』 元メンバー・フレンダにうり二つの少女がいて……。一方通行は、押しかけてきた打ち止め(ラストオーダ―)と番外個体(ミサカワースト)に辟易するが、いつもちょっかいをかけてくる番外個体が上条の前では大人しくなり、何故かそれに苛立ちを覚え……。科学と魔術が交差するとき、日常の物語(コメディパート)は始まる ──!

新約 とある魔術の禁書目録(2)

感想

読んでまず感じたのは、ようやく上条当麻が帰ってきたという安心感である。

前巻では浜面仕上と一方通行を中心に物語が進んでいたが、本巻ではついに上条も本格的に復帰する。さらに三人の主人公が同じ事件に関わり、それぞれの立場から動き出す展開には大きな盛り上がりを感じた。

序盤で描かれる「帰還後の落とし前イベント」も印象的だった。

上条の無事を喜ぶより先に、彼の行動に振り回されたヒロインたちから容赦ない制裁が飛んでくる流れには思わず笑ってしまう。

第三次世界大戦という重い物語を終えた直後だからこそ、こうした日常パートにはどこか安心感があった。

しかし、その平穏は長く続かない。

本巻で最も驚かされたのは、新たな魔術組織「グレムリン」の異常さである。

特に印象に残ったのは、上条当麻を捜索するためだけに巨大なラジオゾンデ要塞を落下させるという発想だった。

読んでいて思わず「そこまでするのか」と驚かされた。

一人の少年を探し出すために世界規模の被害を引き起こしかねない手段を選ぶあたりに、この組織の危険性がよく表れているように感じる。

また、上条が魔術サイドからどれほど重要視されている存在なのかも改めて実感させられた。

戦闘シーンも非常に見応えがあった。

特に印象的だったのは神裂火織の活躍である。

宇宙空間から要塞へ降下し、その内部で戦い続ける展開はスケールが大きく、読んでいてワクワクさせられた。

改めて神裂の規格外の強さを実感した場面でもある。

一方で、地上では上条、一方通行、浜面の三人がそれぞれ別の場所で行動している。

彼らが直接肩を並べて戦うわけではないが、それぞれの行動が結果として一つの目的へ繋がっていく構成が非常に面白かった。

読んでいて感じたのは、本巻は三人の主人公が本格的に同じ舞台へ立つための物語だったということである。

それぞれが異なる立場や考え方を持ちながらも、結果的に同じ危機へ立ち向かう流れには大きな高揚感があった。

また、バードウェイによる魔術講座も印象に残っている。

正直なところ、説明の途中で場面転換が入ることも多く、完全に理解できたとは言い難い。

それでも、新約から登場する新たな勢力や魔術体系を知るうえでは興味深い内容だった。

これまでの魔術サイドとは異なる脅威が動き始めていることが伝わってくる。

そして終盤では、グレムリンの次なる目的地がハワイであることが明かされる。

大戦が終わったからといって平和が訪れたわけではなく、むしろ新たな戦いが始まろうとしているのだと感じさせられた。

読んでいて感じたのは、本巻は新約シリーズにおける本格的なスタート地点となる物語だったということである。

上条の帰還、三人の主人公の再集結、そしてグレムリンという新たな脅威。

旧約の後始末を終え、新しい物語が大きく動き出したことを実感できる一冊だった。

次なる舞台であるハワイでどのような事件が待ち受けているのか。続きが気になって仕方がない読後感だった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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新約 とある魔術の禁書目録(1)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(3)レビュー

考察・解説

ラジオゾンデ要塞

『新約 とある魔術の禁書目録(2)』に登場する「ラジオゾンデ要塞」について解説する。

第三次世界大戦の終結後に突如として現れたこの高高度浮遊建造物は、世界を巻き込む新たな脅威の幕開けとなった。その詳細と迎撃作戦の結末は以下の通りである。

1. ラジオゾンデ要塞の概要と形状

ラジオゾンデ要塞は、高度5万2000メートルの中間圏を浮遊する巨大な構造物である。

・縦横の長さはおよそ20キロメートルにも及び、世界中から聖堂や神殿をかき集めて組み合わせたような十字型の形状をしている。
・実際には一種類の石材を型に押し込んで作ったような均一な造りである。
・要塞の下方には200から300ほどの巨大な金属製バルーン(球形タンク)が設置されており、内部に充填されたガスの浮力によって高高度を漂っている。
・全体として魔術サイドの要塞であるベツレヘムの星を模して造られたような雰囲気をまとっている。

2. 真の目的と脅威

この大質量の要塞が地球に落下すれば、地球規模の氷河期を招くなど、地球人類壊滅規模の損害を生じさせる危険性があった。しかし、その真の目的は単なる大量破壊ではない。

・真の目的は、行方不明になっていた上条当麻(幻想殺し)の全世界規模でのサーチおよび追尾であった。
・新たなる脅威である魔術組織「グレムリン」は、たった一人の高校生を捜索しているという事実を隠蔽しようとした。
・そのため、惑星レベルの壊滅的なリスクを突きつけることで世界の目をそらすという極端な手段を取った。

3. 追尾の仕組み(地脈・龍脈への干渉)

要塞が上条当麻を追尾する仕組みは、地球の地脈や龍脈のシステムへの干渉を利用したものであった。

・上条の幻想殺しが地脈や龍脈のエネルギーを打ち消し、それが修復されるサイクルに乗じる形がとられた。
・これにより、要塞にだけ感知できる魔術的な目印(発信器)が地中に自動生成されるよう、惑星規模の細工が施されていた。
・発信器はおよそ50キロ間隔で作られていくが、それにはリミットがあった。
・最後の発信器が学園都市の地下に敷設されたため、そのままでは要塞が学園都市へ落下する危険が迫っていた。

4. 迎撃作戦と結末

科学サイドの弾道ミサイルによる撃墜は要塞の制御不能な墜落を招く恐れがあったため、イギリス清教の聖人である神裂火織が対処にあたった。

・彼女はイギリスの潜水艦から発射されたロケットで宇宙空間へ上がり、大気圏再突入の形で要塞上面に着地する。
・最下層へ向かった神裂は、掘削用の霊装を用いて金属製バルーンに穴を空け、徐々にガスを抜くことで要塞を安全に降下させる作戦を実行した。
・要塞内部には投擲の槌(ミョルニル)と呼ばれる魔術師が潜んでおり、神裂を妨害して要塞を学園都市へ直接落下させようと試みたが、激闘の末に神裂によって撃破された。
・一方、地上では上条当麻と浜面仕上が第七学区の中央ハブ変電施設へ潜入し、建設重機を使って分厚いコンクリートの床を掘り進め、地下に埋まっていた赤い結晶(発信器)を破壊することに成功する。
・これにより要塞の追尾機能は完全に失われ、学園都市上空を通過したラジオゾンデ要塞は、千葉外房沖の海上に被害を出すことなく安全に着水した。
・着水後の要塞の壁には、グレムリンからのメッセージが赤いスプレー塗料によって書き殴られており、この未曾有の危機すらも彼らからの挨拶に過ぎなかったことが判明した。

まとめ

ラジオゾンデ要塞の出現は、地球人類を人質に取った前代未聞の上条当麻捜索作戦であった。神裂火織による空中での決死の減気工作と、地上での上条・浜面による発信器破壊の連携によって学園都市への激突は回避され、千葉外房沖への安全な着水という結末を迎えた。しかし、残されたメッセージが示す通り、この事件は魔術組織グレムリンによる宣戦布告の一端に過ぎず、世界はさらなる激動の渦へと巻き込まれていくこととなる。

上条当麻の帰還

『新約 とある魔術の禁書目録(2)』における上条当麻の帰還について解説する。

第三次世界大戦の終結と共に行方不明となり、死んだとされていた上条当麻の帰還劇と、それを取り巻く周囲の反応は以下の通りである。

1. 帰還と上条の心境

北極海へ消え、世間では死んだことになっていた上条当麻は、魔術結社である明け色の陽射しに救出され、学園都市への帰還を果たす。

・しかし、多くの人たちを心配させてしまったという負い目がある。
・そのため、どの面下げて会いに行けば良いのか、とひどく落ち込んでいた。

2. 泥酔状態での騒動(落とし前イベント)

どうしても会うしかないなら酒を飲んでテンションを上げろという浜面仕上の提案を受け、上条は行動に出る。

・彼はネクタイを額に巻き、寿司の折詰を提げた泥酔状態(昭和の酔っ払いスタイル)で街に現れた。
・彼を本気で心配し、生死を確かめるために学園都市の闇へ踏み込むことすら考えていた御坂美琴は、そんなふざけた姿の上条と遭遇し混乱する。
・勝手にいなくなって勝手に戻ってきた彼に怒り、雷撃を放って追いかけ回すことになった。
・さらに上条の周囲には、月詠小萌、姫神秋沙、結標淡希、雲川芹亜など次々と少女たちが集結し、騒動へと発展していく。

3. インデックスとの再会

一方、上条の部屋である学生寮では、インデックスがここにいればいつかは帰ってくる、と信じて待ち続けていた。

・行動を起こそうと彼女が部屋の外へ出ようとした矢先、上条が多数の少女たちを引き連れて玄関から戻ってくる。
・ずっと心配していたのに知らない人たちまで連れ込んできた上条に対し、インデックスは怒って彼に噛み付くという、いつも通りの再会を果たすことになった。
・最終的に、集まった少女たちはバードウェイの部下の黒服たちによって丁重に帰された。

4. 鉄橋での再会と美琴の言葉

その後、深夜にメールで呼び出された上条は、第七学区の鉄橋で美琴と再会する。

・彼女は忘れ物として、上条が北極海でなくしたはずのカエルのストラップを投げ渡した。これには切れていた紐が別の色で直されている。
・上条は、新たな脅威であるグレムリンが自分を狙った過程で学園都市を巻き込んだ以上、放っておくことはできないと語り、再び過酷な戦いへ向かう覚悟を示した。
・そんな彼に対し、美琴は引き留めることはしなかった。
・しかし、ふらりと離れようとする彼の手を掴み、今度は一人じゃない、と告げ、彼を支える姿勢を示した。

まとめ

上条当麻の学園都市への帰還は、前半のコミカルな騒動から後半のシリアスな決意表明へと繋がる劇的な幕開けとなった。インデックスとの日常への復帰を果たす一方で、御坂美琴から手渡されたストラップと彼女の言葉は、孤独に戦い続けてきた上条に新たな支えの存在を実感させるものとなった。新たな敵であるグレムリンの出現を前に、周囲との絆を再確認した上条は、次なる戦いへの歩みを進めることとなる。

魔術の基礎講義

『新約 とある魔術の禁書目録(2)』において、魔術結社「明け色の陽射し」のボスであるレイヴィニア=バードウェイは、上条当麻の部屋で一方通行と浜面仕上に対して魔術の仕組みを解説した。これは、未知の法則を使う新たな脅威であるグレムリンに対策を講じるため、科学サイドの住人である彼らに世界のもう片側である「魔術」の基礎知識を教えるためのものである。インデックスの補足を交えながら語られた魔術の基礎講義の要点は以下の通りである。

1. 魔術の起源と超能力との違い

魔術は、才能のない人間が、才能のある人間(天然の能力者や宗教的奇跡)に追いつくために作られた技術である。

・その始まりは、自分も特別になりたいという羨望である。
・能力が基本的に一人一個である超能力とは異なり、目的さえ明確であれば自由に異能をセッティングできるという利点がある。
・ただし、学園都市の能力開発を受けている科学サイドの人間が魔術を使おうとすると、フォーマットの違いから全身の血管や神経に莫大な負荷がかかり、最悪の場合は死に至る。
・そのため、彼らが魔術を直接使うことはできない。

2. 魔力の精製と伝説の利用(コマンド)

魔術の基本は、人間の体内に流れる生命力(原油)を、呼吸法や瞑想、食事制限などによって魔力(ガソリン)へと精製することから始まる。

・精製した魔力を望む現象へと変換するためにはコマンドが必要になる。
・魔術をゼロから構築することも不可能ではないが、長い歴史の中で淘汰されずに残ってきた既存の神話や伝説、エピソードを参考にする方がはるかに効率的である。
・それらが魔術を操作するための指針として利用される。

3. 霊装と外部エネルギー

魔術は身振り手振りだけでも使えるが、精密な儀式を行うためには専用の道具が用いられる。

・伝説の槍の魔術を使うなら、実際に槍の形に加工した道具を使う方が効率的であり、形と役割さえ整っていればビニール傘などでも代用できる。
・このような加工された道具を霊装と呼び、魔術師はこれを握ることで体の一部とし、魔力を循環させて効果を発動させる。
・また、個人の魔力以外にも、地脈や龍脈、天使の力といった外部エネルギーが存在する。
・これらは個人の魔力を信管のように使って呼び込む形で発動し、大規模な術式を扱えるが、力が大きい分だけリスクも増大する。

4. 魔法名と魔術師のアイデンティティ

魔術師を理解する上で最も重要なのが、彼らが魔術を振るう目的である魔法名である。

・魔術師となる者は、過去の挫折(大切な人を救えなかったなど)を理由に物理法則を超えようとし、その個人の目的をラテン語の魔法名として己に刻んでいる。
・彼らにとって、魔術結社などの組織は、個人の目的(魔法名)を実現するためのブースターに過ぎない。
・本物の魔術師は、自身の魔法名のためであれば組織の規約を無視して暴走し、世界全体を巻き込むような事態を引き起こすこともためらわない存在であると語られた。

まとめ

バードウェイによって明かされた魔術の基礎は、科学の合理性とは異なる独自の歴史とエゴイズムによって構築された体系であった。科学サイドの人間には使用できないという制約があるものの、神話の応用や魔法名に秘められた強固な意思など、魔術師たちが世界の裏側で振るう強大な力の源泉が網羅されている。この講義は、一方通行や浜面仕上がこれまでの常識を捨て去り、世界規模の超常的な抗争へと本格的に足を踏み入れるための重要な道標となっている。

魔術結社グレムリン

『新約 とある魔術の禁書目録(2)』に登場する新たな脅威「魔術結社グレムリン」について解説する。

第三次世界大戦の終結によってもたらされた偽りの平穏を切り裂くように現れたこの組織は、世界を再び未曾有の混乱へと陥れる危険性を秘めている。その正体や目的、次なる動向は以下の通りである。

1. グレムリンの正体と成り立ち

レイヴィニア=バードウェイが「ヤツら」と呼んでいた組織の正式名称が魔術結社グレムリンである。

・第三次世界大戦が終わったことで目的を果たせなくなり、終戦や新しい世界を否定する者たちによって結成された。
・自己の目的のためなら、世界規模の悲劇を生み出すことも厭わない魔術師の集団である。
・グレムリンという名前は、機械の誤作動を誘発し兵器を使い物にならなくさせると信じられてきた妖精に由来する。
・機械という概念が生まれてから語り継がれるようになった新世代のオカルトであり、戦勝者として広がりを見せる科学サイドを蝕む象徴としてこの名を冠している。

2. 目的と極端な手段

彼らの当面の目的は、第三次世界大戦を終わらせた中心人物である上条当麻(幻想殺し)の生存確認と、その全世界規模でのサーチであった。

・しかしその手段は、地球人類壊滅規模の損害(地球規模の氷河期など)を生じさせかねない巨大なラジオゾンデ要塞を落下させるという極端なものであった。
・これは、たった一人の高校生を捜索しているという事実を隠蔽するため、惑星レベルの壊滅的なリスクを突きつけて世界の目をそらす(木の葉を隠すなら森を作る)ための偽装工作であった。
・さらに、要塞が海上に着水した後、その壁には「おかえりなさいヒーロー Welcome home, hero.」「グレムリンより From “GREMLIN”.」というメッセージが残されていた。
・この未曾有の危機すら彼らにとっては単なる挨拶に過ぎなかったことが判明している。

3. 次なる狙い

上条当麻の生存を確認したグレムリンの次の標的は、アメリカ合衆国のハワイ諸島である。

・すでに何人かの魔術師が上陸しているとの情報をバードウェイが掴んでいる。
・彼らが上条の右手を欲しているのか、それとも警戒しているのかは不明であるが、右手を強く意識していることは間違いない。
・グレムリンが本格的に動き出せばその混乱は世界規模に達するとされている。
・上条の右手に対する対策を講じた上で、科学と魔術の双方を巻き込む新たな死闘が始まろうとしている。

まとめ

魔術結社グレムリンは、大戦後の新しい世界秩序を拒絶する魔術師たちが集い、科学サイドへの浸食を目論む極めて危険な組織である。たった一人の高校生を探すために地球規模の要塞を動かすという常軌を逸した行動力と冷酷さは、これまでの敵とは一線を画している。上条当麻の生存を確認した彼らがハワイ諸島を次の標的に定めたことで、世界の均衡は崩れ、科学と魔術が真っ向から衝突する新たな世界大戦の火種が燃え上がろうとしている。

新約 とある魔術の禁書目録(1)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(3)レビュー

登場キャラクター

イギリス清教

神裂火織

東洋人の魔術師である。第三次世界大戦を終結させた上条当麻へ強い思いを抱いている。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教。「必要悪の教会」。
・物語内での具体的な行動や成果
 潜水艦からロケットで宇宙空間へ上がり、ラジオゾンデ要塞の上面に着地した。最下層でバルーンのガスを抜き、要塞の降下速度を調整している。要塞内部で「投擲の槌」と交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 世界で二〇人もいないとされる「聖人」の一人である。「七天七刀」を使用し、「Salvare000」という魔法名を持つ。

アニェーゼ

小柄な修道女である。かつてはローマ正教に属していた。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教。
・物語内での具体的な行動や成果
 聖ジョージ大聖堂で神裂と通信し、ラジオゾンデ要塞の状況を報告した。落下目標地点の設定やバルーンの性能把握のサポートを行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 鉛筆程度の太さの三つ編みをたくさん施した髪をしている。

シェリー=クロムウェル

通信用の霊装を用いて作戦を支援する魔術師である。科学サイドと魔術サイドの戦争を起こすため、単身で学園都市に乗り込んだ過去を持つ。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教。
・物語内での具体的な行動や成果
 神裂と会話を行った。ラジオゾンデ要塞への干渉方法として、ロケットの使用を説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自身の魔法名のためであれば、世界を巻き込むこともためらわない存在として言及される。

アンジェレネ

金髪のシスターである。日本の文化に対して誤解を抱く。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教。
・物語内での具体的な行動や成果
 聖ジョージ大聖堂で五和と建宮のやり取りを見てはしゃいでいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ルチアとともに行動している。

ルチア

金髪のシスターである。アンジェレネとともに野次馬に加わっていた。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教。
・物語内での具体的な行動や成果
 作中でアンジェレネから話しかけられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 日本の武術に関する知識が独特である。

天草式十字凄教

五和

日本の宗派に属する少女である。上条当麻に好意を寄せている。

・所属組織、地位や役職
 天草式十字凄教。
・物語内での具体的な行動や成果
 聖ジョージ大聖堂で神裂に上条の帰還を伝えた。建宮斎字に真剣白刃取りの練習相手として木刀や大業物を振り下ろした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 本来の武器は槍を使用する。

建宮斎字

長身の男である。五和の思考の最適化を手伝おうと気遣う。

・所属組織、地位や役職
 天草式十字凄教。元教皇代理。
・物語内での具体的な行動や成果
 五和に竹刀を放り投げて稽古をつけようとした。真剣白刃取りに失敗して頭を打たれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 天草式の技術は実戦に特化しているため、真剣白刃取りの技術は空白となっている。

香焼

天草式の構成員である。建宮の失敗を楽しんでいる。

・所属組織、地位や役職
 天草式十字凄教。
・物語内での具体的な行動や成果
 野次馬に混ざり、五和に模造刀を手渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 確信犯的なアシストを行う。

牛深

天草式の構成員である。

・所属組織、地位や役職
 天草式十字凄教。
・物語内での具体的な行動や成果
 建宮と五和のやり取りを見て、ニヤニヤしながら野次馬に加わっていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特記事項なし。

対馬

ふわふわの金髪の女性である。

・所属組織、地位や役職
 天草式十字凄教。
・物語内での具体的な行動や成果
 五和に大業物「伴天連奉納兼光透晶」を手渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 最適なタイミングで武器を提供する。

アイテム

浜面仕上

滝壺理后を恋人として大切に思っている。無能力者であり、平凡な人間である。

・所属組織、地位や役職
 新生アイテム。無能力者(レベル0)。
・物語内での具体的な行動や成果
 新入生を撃破してフレメアを助け出した。中央ハブ変電施設で建設重機を操縦し、コンクリートの床を破壊した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 学園都市の能力開発を受けているため、魔術は使用できない。

滝壺理后

浜面の恋人である。常にピンク色のジャージを着用している。

・所属組織、地位や役職
 新生アイテム。
・物語内での具体的な行動や成果
 浜面がフレメアを膝に乗せているのを見て、ドアノブを握り潰した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 「体晶」に蝕まれている。

麦野沈利

フレンダを自らの手で殺害した過去を持つ。

・所属組織、地位や役職
 新生アイテム。第四位の超能力者(レベル5)。
・物語内での具体的な行動や成果
 浜面の顔面を蹴って罰ゲームを回避した。フレメアに姉を殺害した女だと自己紹介した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一方通行と短い会話を交わした。

絹旗最愛

アイテムのメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 新生アイテム。
・物語内での具体的な行動や成果
 罰ゲームを回避するため、麦野と競争して浜面に突撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 足の長さで麦野に劣った。

グループ

一方通行

悪党としての在り方を模索する少年である。打ち止めや番外個体と同居している。

・所属組織、地位や役職
 学園都市第一位の超能力者(レベル5)。元グループ。
・物語内での具体的な行動や成果
 新入生を撃破した。中央ハブ変電施設における力の淀みを発見し、上条らに伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 首筋の電極のスイッチを切り替えて能力を使用する。第三次世界大戦を経て、世界の暗部に気づき始めている。

結標淡希

かつて対立していた上条当麻を心配する女子高生である。

・所属組織、地位や役職
 元グループ。
・物語内での具体的な行動や成果
 上条当麻の周囲に集まった少女達の一人として登場した。ファミレスで向かいの少女と会話した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 学園都市の「闇」の戒めが解かれたことに困惑を覚える。

海原光貴

偽りの顔を使用する少年である。

・所属組織、地位や役職
 元グループ。
・物語内での具体的な行動や成果
 学園都市の病院でショチトルとトチトリを見舞った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アステカ系の魔術組織にルーツを持つエツァリという人物である。

土御門元春

一方通行の隣の部屋に住んでいる。科学と魔術の双方に関わるスパイである。

・所属組織、地位や役職
 元グループ。
・物語内での具体的な行動や成果
 ベランダ越しに一方通行へ話しかけ、自分のスタンスを確立しておくよう助言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 学園都市の「闇」が解体されても活動を継続する。

新入生

黒夜海鳥

一二歳程度の少女である。一方通行の攻撃性を移植されている。

・所属組織、地位や役職
 新入生。サイボーグ。
・物語内での具体的な行動や成果
 ユニットバスで拘束された状態で上条と会話した。左腕を自ら外して上条に攻撃を仕掛けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 掌から窒素爆槍を生み出す能力を持つ。

シルバークロース=アルファ

新入生の一員である。

・所属組織、地位や役職
 新入生。
・物語内での具体的な行動や成果
 フレメアを利用して一方通行や浜面を抹殺しようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 作中ではすでに撃破されている存在として言及される。

明け色の陽射し

レイヴィニア=バードウェイ

一二歳程度の金髪の少女である。上条らを北極海から救出した。

・所属組織、地位や役職
 魔術結社「明け色の陽射し」。ボス。
・物語内での具体的な行動や成果
 上条の部屋で魔術の基礎講義を行った。ラジオゾンデ要塞の追尾方法を解説した。アレイスターに挑発の言葉を投げかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 黄金系では最強ランクの魔術結社を率いる。「Regunm771」という魔法名を持つ。

マーク=スペース

バードウェイの部下である。

・所属組織、地位や役職
 魔術結社「明け色の陽射し」。
・物語内での具体的な行動や成果
 バードウェイにシンデレラを提供した。上条と協力してチリソース入りのドリンクを作成した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 「Armare091」という魔法名を持つ。

新たなる光

レッサー

小悪魔少女である。黒いレザー衣装を好んで着用する。

・所属組織、地位や役職
 新たなる光。
・物語内での具体的な行動や成果
 上条の帰還を知ってエディンバラの隠れ家で騒いだ。ランシスにスクール水着を着るよう迫った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 上条をイギリスの利益になる方向へ誘導しようとしている。

ランシス

レッサーの仲間である。

・所属組織、地位や役職
 新たなる光。
・物語内での具体的な行動や成果
 エディンバラのアパートで英字新聞を読んでいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レッサーからの要求を拒絶した。

アステカ系魔術組織

ショチトル

ウェーブのかかった黒い髪の少女である。生粋の日本人ではない。

・所属組織、地位や役職
 アステカ系魔術組織。死体職人。
・物語内での具体的な行動や成果
 病院のベッドで海原光貴の見舞いを受けていた。海原の偽りの顔に怒って顔を引っかいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 オカルティックな武器は没収されている。

トチトリ

ショチトルと同郷の少女である。

・所属組織、地位や役職
 アステカ系魔術組織。
・物語内での具体的な行動や成果
 病院のベッドで海原とショチトルをからかっていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 海原をエツァリお兄ちゃんと呼ぶよう提案する。

グレムリン

投擲の槌

目的を失っている魔術師である。雷神トールの大槌を模している。

・所属組織、地位や役職
 グレムリン。
・物語内での具体的な行動や成果
 ラジオゾンデ要塞の内部で神裂火織と交戦した。要塞の三分の一を吹き飛ばした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 肉体を立方体や十字架の形に変形させる。

学園都市統括理事会

老人

統括理事会の一角である。雲川芹亜に対して助言を与える。

・所属組織、地位や役職
 学園都市統括理事会。
・物語内での具体的な行動や成果
 携帯端末を通じて雲川芹亜に通信し、役割をまっとうするよう促した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 学園都市の外から来る脅威には無力であると語る。

アレイスター=クロウリー

学園都市を統括する人物である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市統括理事会。
・物語内での具体的な行動や成果
 バードウェイの独白を聞き、彼女の髪を切断する警告を与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 第三次世界大戦による「プラン」の誤差に苦しんでいるとされる。

その他のキャラクター

上条当麻

行方不明となっていた少年である。インデックスを同居させている。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の高校生。
・物語内での具体的な行動や成果
 学園都市へ帰還し、泥酔して美琴たちの前に現れた。中央ハブ変電施設で発信器を破壊した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 あらゆる異能を打ち消す「幻想殺し」という力を持つ。

御坂美琴

上条の生死を確かめるため行動しようとしていた少女である。

・所属組織、地位や役職
 常盤台中学。第三位の超能力者(レベル5)。
・物語内での具体的な行動や成果
 泥酔した上条を追いかけた。鉄橋で上条にカエルのストラップを手渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 高圧電流を操る超電磁砲である。

フレメア=セイヴェルン

フレンダにうり二つの少女である。一〇歳前後の金髪幼女である。

・所属組織、地位や役職
 無能力者(レベル0)。
・物語内での具体的な行動や成果
 浜面の膝の上で眠っていた。バードウェイと相撲のように掴み合った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一方通行や浜面に助け出された存在である。

インデックス

上条の部屋の居候である。腰まである長い銀髪を持つ。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教。
・物語内での具体的な行動や成果
 上条の帰還を待っていた。魔術の基礎講義で補足説明を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 完全記憶能力を持つ。

スフィンクス

マイペースな三毛猫である。

・所属組織、地位や役職
 ペット。
・物語内での具体的な行動や成果
 ペットフードを食べていた。フレメアに遊ばれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 インデックスとともに上条の部屋で暮らしている。

月詠小萌

身長一三五センチの女教師である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の教師。
・物語内での具体的な行動や成果
 夜の街を歩きながら上条の出席日数を心配していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 姫神秋沙を下宿させていた過去を持つ。

姫神秋沙

長い黒髪の少女である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 小萌と一緒に夜の街を歩いていた。上条の周囲に集まった少女の一人でもある。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 現在は女子寮に移っている。

雲川芹亜

上条と同じ学校の制服を着た少女である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 上条の周囲に集まった後、マンションで下着一丁で眠っていた。老人の通信を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 非常に頭の良い人物である。

打ち止め

見た目は一〇歳前後の少女である。一方通行の周囲にいる。

・所属組織、地位や役職
 妹達の司令塔。
・物語内での具体的な行動や成果
 上条の部屋に踏み込み、浮気調査のように騒いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 説明不能な第六感で居場所を奪われたと感じていた。

番外個体

打ち止めに似た少女である。

・所属組織、地位や役職
 第三次製造計画の個体。
・物語内での具体的な行動や成果
 黒夜海鳥を猫耳肉球グローブで改造しようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ミサカネットワークの悪意の塊である。

土御門舞夏

土御門元春の妹である。

・所属組織、地位や役職
 繚乱家政女学校。
・物語内での具体的な行動や成果
 清掃ロボットの上に正座して学園都市を移動していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 メイド服を着用している。

雲川鞠亜

舞夏の同級生である。雲川芹亜と名字が同じである。

・所属組織、地位や役職
 繚乱家政女学校。
・物語内での具体的な行動や成果
 舞夏に話しかけ、自身のプライドについて語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 縦ロールの黒髪を持つ。

御坂美鈴

御坂美琴の母である。現役の女子大生でもある。

・所属組織、地位や役職
 フィットネスクラブの客。
・物語内での具体的な行動や成果
 室内プールで上条詩菜と会話した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 年齢より若く見える。

上条詩菜

上条当麻の母である。

・所属組織、地位や役職
 フィットネスクラブの客。
・物語内での具体的な行動や成果
 室内プールで息子の帰還について独り言を呟いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ニコニコの笑顔が恐ろしい陰影を刻む。

集団

黒服達

バードウェイの部下である。

・所属組織、地位や役職
 明け色の陽射し。
・物語内での具体的な行動や成果
 上条の部屋に集まった少女達を丁重に帰らせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 高圧電流でアフロにされそうになった者もいる。

クルー

漆黒の潜水艦の乗組員である。

・所属組織、地位や役職
 イギリスの潜水艦の乗組員。
・物語内での具体的な行動や成果
 神裂に時間であることを告げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔術というものを正しく理解していない。

シスター達

聖ジョージ大聖堂に集まった修道女達である。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教等。
・物語内での具体的な行動や成果
 五和と建宮の真剣白刃取りを野次馬として見ていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 日本の文化を誤解している節がある。

新約 とある魔術の禁書目録(1)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(3)レビュー

展開まとめ

序章 使途不明、それでも脅威 Radiosonde_Castle.

ラジオゾンデ要塞

聖ジョージ大聖堂の召集

イギリスのロンドンにある聖ジョージ大聖堂には、大勢の神父や修道女、実態としては魔術師達が集まっていた。彼らは普段の大聖堂の静寂を破る勢いで行き交い、情報交換や遠隔地との通信を行っていた。

神裂火織は状況を尋ね、アニェーゼは対象の高度が先ほどより上がり、高度五万二〇〇〇メートルでイギリス上空を通過し、フランスへ差し掛かろうとしていると報告した。

十字型の浮遊構造物

アニェーゼが映像を映し出すと、酸素もほとんどない高度に、十字の形をした構造物が浮遊していた。その縦横の長さはおよそ二〇キロであり、その高さから落下すれば地球規模の氷河期を避けられないと見られていた。

神裂は、その形状や規模、空中に浮かぶ特性から、かつて世界を混乱に陥れた要塞を思い浮かべた。科学サイドからの情報では、この高度では飛行機は揚力を確保できず、ロケットも到達はできてもその場に留まれないため、人員を要塞へ送るのは難しい状況だった。

ラジオゾンデ要塞の呼称

アニェーゼは、学園都市製の観測用風船ならこの高度を漂えると説明した。映像を拡大すると、十字状の要塞の下面には、二〇〇から三〇〇ほどの金属製の球体が設置されていた。

彼女達はその対象を便宜上、ラジオゾンデ要塞と呼称していた。浮力を発生させている第一候補はそのバルーン群だったが、このサイズと数のタンクで必要な浮力を与えられるガスについて、科学サイドにも具体的な心当たりはないとされていた。

正体不明の脅威

神裂は、今度の敵が科学か魔術かも分からないまま、いきなり地球を壊滅させるほどの手を打ってきたと受け止めた。アニェーゼは、上層部が別動隊を編成し、アイスランドから浮上した出所を調べていると説明した。

神裂に任された仕事は、ラジオゾンデ要塞の問題を解決することだった。敵がどこへ落とすつもりなのかは分からないが、黙って見ているわけにはいかなかった。

浮力解析の任務

アニェーゼは、科学サイドが弾道ミサイルによる撃墜も考えたものの、浮力を与える仕組みが確定していないため、下手に刺激すれば要塞が小惑星のように墜落する危険があると説明した。

神裂は、要塞へ乗り込み、浮力の正体を確認する必要があると理解した。任務は、最低でも浮力の正体を解析し、乗組員の有無や迎撃用の兵器、霊装を確認することだった。可能であれば、その場で浮力の源へ干渉し、要塞を少しずつ安全に降下させることが最善とされた。

接触手段の不在

神裂は、飛行機もロケットも使えないなら、どうやってラジオゾンデ要塞へ接触するのかと疑問を呈した。魔術による飛行も、撃ち落とす魔術が正確すぎるため推奨されなかった。

今回の事態には黒幕がいると考えられており、相手が魔術師であれば、神裂の飛行魔術を妨害してくる可能性が高かった。失敗すれば人類滅亡にもつながる状況で、神裂が不安定な方法を取るわけにはいかなかった。

あの少年への思い

神裂は、ラジオゾンデ要塞の映像を睨みながら、自分の感情を制御しきれていないことを自覚していた。世界の危機へ対応することは、第三次世界大戦を終結させるために北極海へ消えたあの少年が、いつも抱えていたものなのかもしれないと考えていた。

科学か魔術かも分からない相手に取り組む今回の状況では、魔術サイドという安定した箱庭での経験が通用しにくかった。しかしあの少年は、科学と魔術の二つの世界を行き来し、足場の安定しない場所で悲劇を阻止し続けていた。

上条当麻の帰還

神裂は、プロの魔術師として不謹慎だと思いながらも、あの少年がこの場にいれば流れが変わると感じていた。北極海へ沈んだ少年にはもう頼れないため、彼のいない世界で戦い続けるしかないと考えていた。

その時、五和が携帯電話のマイクを覆いながら神裂へ話しかけた。五和は、上条当麻が学園都市に帰ってきたという連絡があったと告げた。神裂は驚き、なぜなのかと声を上げた。

第一章 新たな領域、のちに魔術 Lecture_One.

三人の連絡先交換と魔術の基礎説明

三人の合流

上条当麻、一方通行、浜面仕上は、新入生を撃破してフレメア=セイヴェルンを助けた後、携帯電話のアドレスを交換していた。浜面は駆動鎧から普段着へ戻り、上条は携帯電話のストラップが千切れていることを不幸だと嘆いた。

バードウェイは、今後の領域についていくなら、科学サイドだけでなく魔術というもう片側の世界も見なければならないと告げた。黒夜海鳥やシルバークロース=アルファの行動も、ヤツらと戦うための体制づくりに関わっていると説明した。

上条の帰宅

バードウェイは、新入生に狙われた一方通行や浜面の関係先にはリスクがあるため、別の場所で話すべきだと判断した。そして、第三次世界大戦の影響で死んだことになっている上条の家へ向かうことになった。

上条は、多くの人に心配をかけたかもしれないと落ち込み、どの面を下げて会えばいいのか悩んでいた。バードウェイは、生きているなら帰らない理由はないと促し、上条は浜面の提案で酒を飲み、泥酔状態で帰還した。

美琴との再会

御坂美琴は、上条の生死を確かめるために学園都市の闇へ踏み込むことまで考えていた。そこへ泥酔した上条が現れ、美琴は北極海で死んだはずの彼がなぜここにいるのか混乱した。

上条は寿司を渡して済ませようとしたが、美琴は勝手に消えて勝手に戻ってきた彼を逃がすまいと追いかけた。怒りで雷撃を放ちかけたものの、上条は泥酔者らしい不自然な動きで回避し、美琴はさらに追いかけることになった。

少女達の集結

上条の周囲には次々と少女達が集まっていった。美琴は、割り込まれたように感じ、男女比や胸の大きさに苛立ったが、上条は自分の周囲に人が集まっていることを正しく認識していなかった。

一方、インデックスは上条の部屋に残っていた。彼女は本来の所属を考えればこの部屋に居続けるべきではなかったが、ここにいれば上条が戻ってくるかもしれないという思いから離れられずにいた。

インデックスの決意

インデックスは、上条から渡されていた〇円携帯電話を見て心を揺らした。もし使い方が分かっていれば、上条との繋がりを得られたかもしれない通信機器だったからである。

待つだけでは何も動かないと考えたインデックスは、スフィンクスを抱えて外へ出ようとした。しかしその直後、上条が一〇人以上の少女達を連れて玄関から戻ってきたため、インデックスは心配していた気持ちと怒りをぶつけた。

上条の騒動

一方通行と浜面は、上条が少女達を引き寄せる騒ぎを離れて眺めていた。一方通行は、結標淡希まで混じっていることに呆れつつ、上条が単なる戦闘要員ではない一面を見せていると感じていた。

浜面は深く考えずに上条を師匠と呼ぼうとしたため、滝壺理后は浜面が悪の道へ進もうとしていると反応した。少女達は黒服達によって丁重に帰され、上条の部屋ではバードウェイ、上条、一方通行、浜面がコタツに入り、説明会が始まる流れになった。

病室の海原

海原光貴は、学園都市の病院でショチトルとトチトリを見舞っていた。ショチトルは来るよう頼んだ覚えはないとしたが、トチトリは海原が来なければショチトルが荒れると茶化した。

海原は、学園都市の闇に縛られていた戒めが急速に解けつつあると感じていた。病室を監視していた清掃員も消え、グループのメンバーとも連絡がなく、第三次世界大戦後に学園都市の闇が後退したのだろうと考えていた。

偽りの顔

ショチトルは、同郷の者しかいない病室でも海原が偽りの顔を使い続ける理由を尋ねた。海原が説明しようとすると、トチトリは美形の方が得をするから潜入先の女に取り入っているのだと面倒なことを言った。

ショチトルは海原の顔や敬語に苛立ち、トチトリがさらにエツァリお兄ちゃんと呼べばいいと煽ったため、海原に今すぐその顔を何とかしろと迫った。海原は曖昧に笑ったが、顔を引っかかれた。

魔術の土壌

バードウェイは、ヤツらを説明する前に、その土壌である魔術や魔術師を説明すると告げた。上条はすでに知っているため驚かず、主な聞き手は一方通行と浜面だった。

魔術とは科学法則とは無関係なオカルトであり、火や水を生み、傷を癒やしたり腐らせたりできるものだった。インデックスは、魔術は一部の例外を除き、才能のない人間が才能ある人間に追いつくために存在すると補足した。

羨望の起源

バードウェイは、魔術の始まりは羨望だったと語った。科学とオカルトが分かれていなかった時代、奇跡や天然の能力者に憧れた人間が、自分も特別になりたいと考えたことが出発点だった。

魔術と宗教は厳密には別枠であり、真の奇跡に人の手で追いつこうとする考えを不遜と見る向きもあった。しかしインデックスは、世界の神秘が人間のために都合よく働くとは限らないため、魔術は公に振るわれているのだと説明した。

能力者との対比

バードウェイは、科学的な能力が基本的に一人一個であるのに対し、魔術にはその制限がないと説明した。一方通行は、能力者はベースとなる能力を応用して攻撃パターンを変える必要があると補足した。

上条は、魔術にはその制限がないと語った。バードウェイは炎と水球を出して見せ、魔術にもケルトや北欧のようなベースはあるが、文化や神話を自由に取り込めると説明した。

使用不能の理由

浜面は、魔術を使えれば滝壺、麦野、絹旗、フレメアを守れるかもしれないと考えた。しかしインデックスは、浜面達は魔術を使ってはならないと告げた。

バードウェイは、魔術は才能のない人間のために作られた技術であり、学園都市の技術で頭をいじられた能力者や無能力者が使えば、血管や神経に莫大な負荷がかかると説明した。上条も、自分やスキルアウトの浜面は魔術を使えないはずだと語った。

対策知識

一方通行は、使えない魔術についてなぜ説明するのかと問うた。バードウェイは、ヤツらが魔術を使って牙を剥いているため、対策には法則を知る意味があると答えた。

一方通行は、ロシアで羊皮紙をもとにそれらしい現象を起こした経験があり、具体的な手順を尋ねた。バードウェイは、魔術の基本は生命力を魔力へ精製することから始まると説明した。

魔力精製

バードウェイは、人間の体に流れる生命力を原油とすれば、魔術を使うにはそれをガソリンへ精製する必要があると例えた。インデックスは、呼吸法、瞑想、準備運動、食事制限などで血液や内臓のリズムを操る方法を挙げた。

バードウェイは、体内器官が自動で動いているのは危険を避けるためであり、知識なくいじればしっぺ返しを受けると補足した。魔力を得た後は、望みに合わせて魔力を操る必要があった。

伝説の運用

バードウェイは、魔力を操るには目的に合った仕組みとコマンドが必要だと語った。ゼロから構築するより、既存の伝説やエピソードを参考にした方が効率的だった。

インデックスは、右手で文字を書く文化の例を用いて、長い時間の中で淘汰されなかった伝説は最適化された解答なのだと説明した。魔術では、そうした伝説が操作のための指針になっていた。

霊装

バードウェイは、魔術は身振りだけでも使えるが、精密な儀式には道具が使われると語った。伝説の槍を使う魔術なら槍を持つ方が効率的であり、形と役割が整っていればビニール傘や物干し竿でも代用できた。

しかし細部を整えた方が失敗の確率は減るため、加工された道具が用いられることもあった。そうした道具が霊装であり、魔術師が魔力を流し込んで循環させることで効果が発動するのだった。

外部エネルギー

バードウェイは、個人の魔力以外に、地脈、龍脈、天使の力などの大きなエネルギーも存在すると説明した。これらは強大である一方、最初から属性が与えられていることが多く、力の質に合わせて魔術を選ぶ必要があった。

こうした外部の力は、人の魔力を使って呼び込む形で発動した。個人の魔力では不可能な大規模術式を扱えるが、規模が大きい分だけリスクも増えた。

魔法名

バードウェイは、魔術師を理解するうえで最も重要なのは、何の目的で魔術を振るうかというアイデンティティだと語った。魔術師は組織に属していても、基本的には個人の目的のために力を振るう存在だった。

彼らは挫折を抱え、物理法則を超えようとする理由を持ち、その目的をラテン語の魔法名として己に刻んでいた。バードウェイは自分の魔法名をRegunm771、マークの魔法名をArmare091だと示した。

組織と個人

バードウェイは、魔術師にとって組織は魔法名を実現するためのブースターにすぎないと語った。役に立つなら忠誠を誓うが、役に立たなければ切り捨てるものだった。

一方通行は、そんな個人本位の力で組織が成立するのかと疑った。インデックスは、魔術サイドにも大儀式の役割分担や追撃部隊はあるが、それでも魔法名の前では関係ないと説明した。

魔法名の暴走

バードウェイは、シェリー=クロムウェルやリドヴィア=ロレンツェッティを例に、巨大な組織に属していてもやる者はやると語った。本物の魔術師は、自分の魔法名が世界のシステムを砕き、他の世界を巻き込むとしてもためらわない存在だった。

一方通行は、ヤツらもそうした魔法名を持つ連中なのかと問うた。バードウェイは、そのためにヤツらの前に魔術の根本を説明する必要があったと答えた。

三人の沈黙

学生寮には沈黙が落ちた。上条は、科学と魔術が衝突した時、どちらか片方のルールに傾けば双方が納得する結末にはならず、どちらにも属さない三つ目を作る必要があると考えていた。

一方通行は魔術自体に興味はなかったが、知らない場所で動く連中の余波が自分の知る領域に届くなら話は別だと判断していた。彼はヤツらについて詳しい情報を得る必要があると考えた。

浜面の脱線

浜面は、説明を聞くべき場面で、インデックスが皿の中身を食べる三毛猫を眺めながら、おまんまという言葉について考えていた。バードウェイは無表情になり、浜面の頬を叩いた。

バードウェイは浜面が途中から寝ていたのではないかと問い詰めた。浜面は聞いていたと弁明したが、説明内容が牛乳や胸の話へ脱線したため、バードウェイはそれを挑戦と受け取り、顔を洗ってこいと怒った。

行間 一

ランズエンド岬近海の発射準備

潜水艦上の神裂

神裂火織は、イギリス南西のランズエンド岬近海で、海面に浮かぶ漆黒の潜水艦の上にいた。周囲は三六〇度すべて海であり、足元は波のリズムに合わせてわずかに上下していた。

神裂は、魔術師である自分が潜水艦の世話になるとは思わなかったと呟いた。通信用の霊装の向こうにいるシェリー=クロムウェルは、今のイギリスには地上から弾道ミサイルを発射する施設も、ロケット施設もないため、潜水艦を使うしかないと説明した。

潜水艦発射の理由

イギリスの弾道ミサイルは、潜水艦発射式が主流だった。有人ロケットを潜水艦から飛ばすのは前代未聞だったが、技術的には不可能ではなかった。

通常の有人ロケットなら発射地点を隠す必要はなく、事前通達なしに発射すればミサイルと誤認される危険もあった。それでも神裂がこの方法を取るのは、地上発射施設が存在しないためだった。

ラジオゾンデ要塞への接触

神裂は、高度五万二〇〇〇メートルにあるラジオゾンデ要塞への干渉方法がロケットでよいのか確認した。シェリーは、飛行機もロケットもその高度での運用には適さず、相手はそこを狙っていると説明した。

そのため、一度ロケットで宇宙まで上がり、大気圏へ再突入してラジオゾンデ要塞の上に着地するしかなかった。神裂は大雑把な作戦だと評したが、シェリーは、その大雑把を押し切れる聖人だからこそ声がかかったのだと答えた。

再突入の課題

シェリーは、宇宙線、大気圏再突入時の高温、気圧や酸素の問題、ラジオゾンデ要塞へ正確に着地する姿勢制御など、多数の課題があると語った。

単に軌道上から要塞へロケットを落とすだけでは足りなかった。魔術による飛行は妨害される恐れがあり、科学技術のロケットも魔術に対しては無防備であるため、再突入には魔術で防護できる環境を整える必要があった。

正体不明の要塞

神裂は、ラジオゾンデ要塞が魔術か科学か、どちらの技術によるものなのかを確認した。しかしシェリーは、オルソラ達が調べているものの、発射までには間に合わないだろうと答えた。

要塞がどちらの技術で作られているのか、何のために浮かんでいるのか、浮かばせることに意味があるのか、落とすことに意味があるのかさえ分かっていなかった。犯行声明もなく、相手の顔が分かる保証もない状態だった。

飛翔ではなく落下

神裂は、魔術で防護することは理解したが、魔術による飛行が妨害される点を改めて確認した。シェリーは、今回の方法は安定した飛翔ではなく、衛星軌道までは科学のロケットで向かい、そこから神裂が落ちるだけだと説明した。

ペテロ関連の迎撃術式は、飛んでいるものを墜落させることに重点を置いていた。元から落ち続けるものには適用できないため、そこに抜け道があるという話だった。神裂は、抜け道を探し、それが塞がれればまた別の抜け道を探す構造が、魔術サイド全体を動かしているのだと受け止めた。

発射管への移動

潜水艦のハッチが開き、クルーが神裂へ時間が来たと告げた。神裂は中へ入り、メンテナンス用の通路を通ってミサイル発射管へ向かい、ロケットへ乗り込むことになった。

神裂は了解したが、クルーは困惑していた。潜水艦は女王エリザードの命令で借り受けたものだったが、クルーは魔術を正しく理解していなかったためである。

宇宙服なしの出撃

クルーは、潜水艦に宇宙服などの装備は積まれていないが、神裂が手荷物として持ち込んでいるのかと尋ねた。神裂は、いいえと簡単に答えた。

その返答にクルーは混乱し、まさかジーンズのまま向かうつもりなのかと驚いた。神裂は、普通の宇宙服が通用する事件ではなさそうだと平然と答えた。

第二章 変わらぬ日々、時折異質 Lecture_Two.

三人の合流と魔術講義

連絡先の交換

上条当麻、一方通行、浜面仕上は、新入生を撃破し、フレメア=セイヴェルンを助け出した後、携帯電話の連絡先を交換していた。浜面は駆動鎧から普段着へ戻り、駆動鎧は隠して回収させるつもりでいた。

上条の携帯電話には千切れたストラップの跡があり、上条は不幸だと嘆いた。バードウェイは、北極海に落ちて手足が揃っているだけでも奇跡だと呆れていた。

魔術への入口

バードウェイは、これから先の領域についていくなら、科学サイドだけを見ていては追いつけないと告げた。黒夜海鳥やシルバークロース=アルファがフレメアを利用して一方通行や浜面を抹殺しようとしたのも、ヤツらと戦うための体制を整える目的だったと説明した。

そのもう片側の世界とは、科学サイドの対となる魔術だった。一方通行は情報収集の必要は認めたが、脅威が取り除かれたわけではない以上、悠長に長話をする気はないと述べた。

上条の家

バードウェイは、一方通行や浜面の関係先には新入生に狙われるリスクがあるため、別の場所で話すべきだと判断した。そこで示された場所は上条の家だった。

上条は、第三次世界大戦の騒動で自分が死んだことになっていたらしいため、多くの人に心配をかけたのではないかと落ち込んでいた。バードウェイは、生きているなら帰らない理由はないと促した。

泥酔した帰還

浜面は、会いにくいなら酒を飲んでテンションを上げればよいと提案した。その結果、上条は泥酔し、ネクタイを額に巻き、折詰の寿司を下げて学園都市へ戻った。

御坂美琴は、上条が北極海で死んだはずなのに現れたことに混乱した。上条は土産の寿司で済ませようとしたが、美琴は勝手にいなくなって勝手に戻った上条を逃がすまいと追いかけた。

少女達の騒動

上条の周囲には次々と少女達が集まっていった。美琴は自分の場面に割り込まれたように感じ、男女比や胸の大きさに苛立った。

上条は泥酔しており、自分の周囲に人が集まっていることも正しく認識していなかった。一方通行と浜面はその様子を離れて見ており、浜面が上条を師匠と呼ぼうとしたため、滝壺理后は浜面が悪の道へ進もうとしていると反応した。

待ち続けたインデックス

インデックスは、上条の部屋に残っていた。本来の所属を考えれば学園都市や上条の部屋に居続けるのは好ましくなかったが、ここにいれば上条が戻ってくるかもしれないと思い、離れられなかった。

上条から渡された〇円携帯電話を見たことで、インデックスの心は揺れた。使い方を理解していれば上条との繋がりを得られたかもしれないと思い、待つだけでは何も動かないと考えて外へ出ようとした。

玄関の混乱

インデックスが外へ出ようとした時、上条が一〇人以上の少女達を引き連れて戻ってきた。インデックスは、上条がずっといなくなって心配していたのに、知らない人達まで連れてきたことへ怒りをぶつけた。

上条は泥酔していて説明できる状態ではなく、場は混沌としていた。その後、少女達はバードウェイの部下である黒服達によって丁重に帰され、上条の部屋ではバードウェイ、上条、一方通行、浜面がコタツに入って説明を聞く流れになった。

海原の見舞い

海原光貴は病院でショチトルとトチトリを見舞っていた。ショチトルは来るよう頼んだ覚えはないと言ったが、トチトリは海原が来なければショチトルが荒れると茶化した。

海原は、学園都市の闇が自分を縛るために使っていた戒めが急速に解かれていると感じていた。監視役も消え、グループの仲間とも連絡がないことから、第三次世界大戦後に学園都市の闇が後退したのだろうと考えた。

偽りの顔

ショチトルは、同郷の者しかいない病室の中でも海原が偽りの顔を使い続ける理由を尋ねた。海原が説明しようとすると、トチトリは美形の方が得をするから女に取り入って情報を得ているのだと茶化した。

ショチトルは海原の顔や敬語に苛立った。トチトリがさらにエツァリお兄ちゃんと呼べばよいと煽ったため、ショチトルは今すぐその顔を何とかしろと迫り、海原は曖昧に笑ったところで顔を引っかかれた。

魔術の土壌

バードウェイは、ヤツらを説明する前に、まず魔術や魔術師について話す必要があると告げた。上条はすでに魔術を知っているため、主な聞き手は一方通行と浜面だった。

魔術とは科学的法則とは無関係なオカルトであり、火や水を生み、傷を癒やしたり腐らせたりできるものだった。インデックスは、魔術は一部の例外を除き、才能のない人間が才能ある人間に追いつくために存在すると補足した。

羨望の起源

バードウェイは、魔術の始まりは羨望だったと語った。科学とオカルトの区別がなかった時代に、宗教的奇跡や天然の能力者に憧れた者が、自分も特別になりたいと願ったことが出発点だった。

魔術と宗教は厳密には別枠だった。真の奇跡へ人の手で追いつこうとする考えは不遜とも見なされたが、それでも世界の神秘が人間に都合よく働くとは限らないため、魔術は存在していた。

能力者との対比

バードウェイは、科学的な能力が基本的に一人一個であるのに対し、魔術にはその制限がないと説明した。一方通行は、能力者が攻撃パターンを変えるには、ベースとなる能力をどう応用できるかが重要だと補足した。

バードウェイは指先に炎を灯し、続けて水球を出して見せた。魔術にもケルトや北欧といったベースはあるが、厳密な区分はなく、文化や神話を自由に取り込めるものだった。

使用不能の理由

浜面は、魔術を使えれば滝壺、麦野、絹旗、フレメアを守る力を得られるかもしれないと考えた。しかしインデックスは、浜面達は魔術を使ってはならないと告げた。

バードウェイは、魔術は才能のない人間のために作られた技術であり、学園都市の技術で頭をいじられた能力者や無能力者が使えば、血管や神経に莫大な負荷がかかると説明した。上条も、自分や浜面は魔術を使えないはずだと語った。

対策知識

一方通行は、使えない魔術についてなぜ説明するのかと問うた。バードウェイは、ヤツらが魔術を使う以上、対策のために法則を知る意味があると答えた。

一方通行は、ロシアで羊皮紙をもとにそれらしい現象を起こした経験があったため、具体的な手順を尋ねた。バードウェイは、魔術の基本は生命力を魔力へ精製することから始まると説明した。

魔力精製

バードウェイは、人間の体に流れる生命力を原油に例え、魔術を使うにはそれをガソリンへ精製する必要があると語った。インデックスは、呼吸法、瞑想、準備運動、食事制限などで血液や内臓のリズムを操る方法を挙げた。

バードウェイは、体内器官が自動で動いているのは危険を避けるためであり、知識なくいじればしっぺ返しを受けると補足した。魔力を得た後は、それを望む形に操る必要があった。

伝説の運用

バードウェイは、魔力を操るには目的に合った仕組みとコマンドが必要だと説明した。ゼロから構築するより、既存の伝説やエピソードを参考にした方が効率的だった。

インデックスは、長い時間の中で淘汰されなかった伝説は最適化された解答なのだと説明した。魔術では、そうした伝説やエピソードを使って魔力を目的の形へ導くのだった。

霊装

バードウェイは、魔術は身振りだけでも使えるが、精密な儀式には道具を使うことが多いと語った。伝説の槍に関する魔術なら、実際に槍を振る方が効率的である。

形と役割が整っていれば、ビニール傘や物干し竿でも代用できた。しかし細部を整えた方が失敗率は下がるため、加工された道具が用いられ、それらは霊装と呼ばれた。魔術師が霊装へ魔力を流し込み循環させることで、初めて効果が発動するのだった。

外部エネルギー

バードウェイは、個人の魔力以外にも、地脈、龍脈、天使の力といった大きなエネルギーが存在すると語った。これらは大きな力を持つ一方で属性があるため、力の質に合わせて魔術を選ぶ必要があった。

こうした力は、人の魔力を信管のように使って呼び込む形で発動した。個人の魔力では不可能な大規模術式を扱えるが、規模が大きい分だけ危険も増した。

魔法名

バードウェイは、魔術師を理解する上で最も重要なのは、何の目的で魔術を振るうのかというアイデンティティだと語った。魔術師は組織に属していても、基本的には個人の目的のために力を振るう存在だった。

彼らは挫折を抱え、物理法則を超えようとする理由を持ち、その目的をラテン語の魔法名として己に刻んでいた。バードウェイは自分の魔法名をRegunm771、マークの魔法名をArmare091だと示した。

組織と個人

バードウェイは、魔術師にとって組織は魔法名を実現するためのブースターにすぎないと語った。役に立つなら忠誠を誓うが、役割を果たさなければ切り捨てるものだった。

一方通行は、そのような個人本位の力で組織が成立するのかと疑った。インデックスは、大儀式の役割分担や裏切り者への追撃部隊などはあるが、それでも魔法名の前では関係ないと説明した。

魔法名の暴走

バードウェイは、シェリー=クロムウェルやリドヴィア=ロレンツェッティを例に、巨大な組織に属していてもやる者はやると語った。本物の魔術師は、自分の魔法名が世界のシステムを砕き、魔術サイド以外まで巻き込むとしてもためらわない存在だった。

一方通行は、ヤツらもそうした魔法名を持つ連中なのかと問うた。バードウェイは、だからこそヤツらを説明する前に魔術の根本を説明する必要があったと答えた。

三人の沈黙

学生寮には沈黙が落ちた。上条は、科学と魔術が衝突した時、どちらか一方のルールへ傾けば双方が納得する結末にはならず、どちらにも属さない三つ目を作る必要があると考えていた。

一方通行は魔術そのものに興味はなかったが、知らない場所で動く連中の余波が自分の知る領域に届くなら話は別だと判断していた。彼はヤツらについて詳しい情報を得る必要があると考えた。

浜面の脱線

浜面は、説明を聞くべき場面で、インデックスが皿の中身を食べる三毛猫を眺めながら別のことを考えていた。バードウェイは無表情になり、浜面の頬を叩いた。

浜面は聞いていたと弁明したが、説明内容が牛乳や胸の話へ脱線したため、バードウェイはそれを挑戦と受け取った。彼女は浜面へ顔を洗ってこいと怒った。

休息の夜道

月詠小萌は、夜の街を姫神秋沙と歩きながら、上条当麻の出席日数について頭を抱えていた。小萌は、上条には出席日数という概念がないのではないかと嘆き、冬休みの補習を使っても危ないかもしれないと考えていた。

姫神は、上条が今まで何とかなってきた方が不思議だと評した。小萌は、上条の頭の中には授業とは別の何かが詰め込まれているのかもしれないと考え、平穏に暮らすための知識を入れておくべきだと嘆いた。

シンデレラ

バードウェイは講義の休憩を入れ、黒服のマークにシンデレラを作るよう命じた。上条がそれを知らないと、バードウェイはノンアルコールカクテルの代表格だと胸を張った。

マークが、実際には複数のジュースを混ぜたミックスジュースだと上条へ教えたため、バードウェイは怒ってマークの脛を蹴った。

フレメアと三毛猫

フレメアはコタツの近くで三毛猫と遊んでいた。上条が猫がまた大きくなったようだと言うと、バードウェイは子供の成長とはそういうものだと返した。

フレメアは、バードウェイをお姉さんには見えないと評した。バードウェイは一〇歳と一二歳には大きな溝があり、フレメアとは住む世界が違うと張り合った。

子供同士の張り合い

フレメアは、自分は豆電球なしの真っ暗な夜でも眠れるほど大人であり、サンタクロースが本当にいることも知っていると主張した。バードウェイはそれを別の情報と誤解し、学園都市製の子供は侮れないと警戒した。

さらにフレメアがブラをつけているから勝ち組だと言うと、バードウェイは激昂した。彼女は自分が強大な魔術結社を率いる立場であり、浜面しか従えられないフレメアに振り回される必要はないと強がった。

浜面を巡る決闘

バードウェイが浜面を馬鹿っぽい奴と呼ぶと、フレメアは怒って決闘を宣言した。バードウェイもそれに応じ、二人は相撲のように掴み合った。

戻ってきたマークは、金髪の少女二人が取っ組み合っている場面を目撃した。やがてバードウェイはフレメアを抱え、ジャーマンスープレックスでベッドへ叩き落とした。

辛味の反撃

上条とマークは、ロンドンにいるバードウェイの妹へ連絡し、バードウェイの苦手なものを確認した。妹は、大きなウサギを描かれたパンツか辛い物全般だと答えた。

その情報を得た上条とマークは、シンデレラへ大量のチリソースを入れた。二人は、バードウェイを苦しめるために特製の激辛ドリンクを用意した。

雲川芹亜の休息

雲川芹亜は、第八学区のマンションで下着姿のままソファに寝そべっていた。先ほど上条と遭遇して少し熱くなったため、一度頭を冷やそうとして帰宅し、そのまま眠っていた。

携帯端末が床に落ちた拍子に通話が繋がり、画面に老人が映った。老人はまず身なりを整えるよう呆れ、上条との関わりを再開するなら自堕落を直す必要があるのではないかと告げた。

止められない悲劇

雲川は、自分は止められる悲劇なら止めてきたが、止められない悲劇は止められなかったと語った。二万人の軍用クローンが実験で使い潰されると知りながら何もできなかったことを挙げ、自分の権威の意味を疑っていた。

老人は、雲川が無駄でも火中へ飛び込む上条を気にかけているのだと指摘した。さらに、統括理事会の一角である自分達にも干渉できない領域があり、学園都市の外から来る脅威には無力だと語った。

先輩の役割

老人は、雲川達には関われない問題がある一方、上条のような人間にも対処できない問題があると告げた。胸を張りたいなら、まず自分の役割を果たすべきであり、それが先輩というものだと諭した。

雲川は、戦争が終わった後も学園都市が問題を抱えているのかと尋ねた。老人は面倒臭いことになっていると答え、雲川に行動を促した。

魔術結社

休憩後、バードウェイは激辛シンデレラで唇をやられ、少し舌足らずになりながら講義を再開した。彼女は、魔術師個人については語ったため、次は魔術師の集団について説明すると告げた。

浜面が学園都市のようなものかと尋ねると、バードウェイは否定した。一般的な魔術結社は、巨大組織が特殊な力を分け与えて管理する科学サイドとは違い、元から特殊な力を持つ者達が集まって巨大な組織を作るものだった。

宗教と結社

インデックスは、魔術結社は神話やオカルトと密接に絡むため、宗教的組織として認識されることが多いと補足した。宗教的組織の一部門として、秘密裏に魔術組織が構成される場合もあった。

上条がローマ正教のような巨大宗教と魔術結社の違いを尋ねると、バードウェイは、親組織の利益を優先することへ個人全員が了承しているものと、個人的な目的を持つ者が集まったものの違いだと説明した。

多数派と異物

バードウェイは、最大の違いは大多数の人間に認められているかどうかだと語った。民衆の多くは魔術を正しく認識していないが、神話やオカルトの倫理観なら知っている場合が多かった。

その倫理観が土地に染みつけば神聖なものとして扱われ、染みつかなければ排除すべき異物とされる。バードウェイは、裏技のような近代西洋魔術結社も、会員が地球人口の半分を超えれば最大宗派になり得ると説明した。

組織化の利点

一方通行は、ヤツらが複数形である以上は組織なのだろうと考え、個人の行動を組織規約が邪魔するなら、なぜ群れるのかと問うた。

バードウェイは、周囲も集団を作っているためだと答えた。単純な闘争では個人より集団の方が強く、役割分担が必要な大儀式や、広範囲の情報収集でも魔術師が集まる理由になるのだった。

ヤツらの組織規模

浜面は、ヤツらが集団を作っているなら、役割を分けなければ実現できない目的があるのではないかと尋ねた。バードウェイはその見方を認めた。

反抗分子は隠れている方が有利であり、組織は小さいほど情報漏れの危険も減る。それでもヤツらがメンバーを募った以上、そのリスクを背負ってでも得るべきメリットがあるのだと説明した。

新たなる光

イギリスには、国家に貢献するもの、転覆を狙うもの、個人のトップのために動くもの、全体利益のために動くものなど、様々な魔術結社があった。

その中で、新たなる光のレッサーはエディンバラ市内の隠れ家へ戻り、上条が学園都市で確認され、明け色の陽射しと行動しているらしいとランシスへ叫んだ。レッサーは、上条をイギリスのためになる方向へ誘導しようとしていたのに、英国王室と対立する魔術結社と繋がったことに憤った。

レッサーの誤解

レッサーは、教育しかないと言って黒いレザー衣装へ着替え、乗馬用の鞭を振り回した。ランシスは呆れながら、まず敵情視察をしたらどうかと促した。

レッサーは傍受写真を確認し、黒夜海鳥、フレメア、レイヴィニア=バードウェイへの小さいという注釈を見て、上条の趣味が変わったのではないかと青ざめた。彼女はランシスに白いスクール水着で学園都市へ行くよう迫ったが、ランシスは拒絶した。

結標淡希の不安

結標淡希はファミレスで高価なサラダを食べながら、向かいの少女と話していた。その少女は、本来なら学園都市の少年院の地下区画に幽閉されているはずの存在だった。

結標は、第三次世界大戦の終結と共に戒めが解かれたこと自体は喜ぶべきだと感じていた。しかし、その理由や経緯が分からなければ不安は残った。少女は、難しい問題は分解して一つずつ並べればよいと助言した。

フレメアの目覚め

コタツで眠っていたフレメアが目を覚ますと、浜面は近くにおらず、黒服の外国人、ツンツン頭の少年、白い修道服のシスターなどがいた。

フレメアの額には、浜面が自販機にジュースを買いに行ったというメモが貼られていた。心細くなったフレメアは、床に転がってコタツに下半身を入れ、近くを通ったバードウェイの足へ手を伸ばした。

バードウェイのゲーム

バードウェイは、フレメアに付き合っている暇はないと言ったが、手には携帯ゲーム機を握っていた。彼女はマークに、攻略サイトの新情報を確認し、早くログインするよう命じた。

バードウェイ達は無線電波を求めてベランダへ移動した。眠いのに眠れず暇を持て余したフレメアは、次に通りかかった一方通行の足へ手を伸ばした。

一方通行とフレメア

フレメアは、一方通行に自分を助けてくれた人かと尋ねた。一方通行は、フレメアのヒーローは自分ではなく、命を張って矢面に立った者だけがその立場を得るのだと吐き捨てた。

それでもフレメアは、一方通行も助けに来てくれたと眠たげに答えた。一方通行は、善人になれたとは思わないが、誰かの人生を良い結末へ運ぶ手伝いができたのかもしれないと考えていた。

打ち止めと番外個体

夜の学園都市で、打ち止めは自分の居場所が取られたような説明不能の第六感に震えて絶叫した。番外個体もミサカネットワークからの干渉を受け、意味もなく絶叫した。

フレメアが一方通行に触れたことで、打ち止め達にも何らかの反応が伝わっているようだった。二人はそれぞれの感情に振り回されていた。

第三次世界大戦

休息が終わると、バードウェイの説明が再開された。彼女は、ヤツらについて話す前にもう一つ大きな事柄を説明しなければならないと告げた。

一方通行が要点を求めると、バードウェイは第三次世界大戦と答えた。上条、一方通行、浜面は、その言葉にわずかに動きを止めた。彼らはいずれもその戦争の深い場所を走り回っていたからである。

魔術と科学

バードウェイは、第三次世界大戦は単なる科学技術を抱えた国家同士の戦争ではなく、もっと大きな枠組みでの争いが深部にあったと語った。

その枠組みは魔術と科学だった。一方通行が、ヤツらは戦争を起こしたもう片側に関わっているのかと問うと、バードウェイはその通りだと認めた。第三次世界大戦を経てヤツらは浮上したため、戦争の深部を説明する必要があった。

黒夜の拘束

上条は、長い話の前にユニットバスへ向かった。手にはサンドイッチとミネラルウォーターがあり、それは拘束されている黒夜海鳥のためのものだった。

黒夜はパンク調の衣服の紐を利用して手足を拘束されていた。掌から窒素爆槍を生み出せないよう、両手は交差させられ、能力を使えば自分の上半身を傷つける形になっていた。

黒夜の皮肉

黒夜は、サイボーグである自分は体内の信号を操り、細胞単位の仮死を誘発できるため、一週間ほど水も要らないと皮肉を言った。上条は、代謝に干渉できるなら食べるに越したことはないと返した。

黒夜は、自分が新入生であり、一方通行と浜面仕上をラインで繋いで皆殺しにするため、フレメアの命を狙った人間だと告げた。もっと緊張感を持って接するべきだと訴えた。

争う理由

上条は事情を知った上で、それなら自分とは争う理由がないのではないかと口にした。黒夜は一瞬納得しかけたが、最後に邪魔をした上条は勝敗に直接関わった敵だと否定した。

上条がどうやって八つ裂きにするのか尋ねると、黒夜はサイボーグセラピーについて語った。サイボーグを求める人間には欠点や劣等感の排除への意識があり、注文内容から深層を覗けるのだと説明した。

外れる左腕

黒夜は、自分の場合の焦点は腕だったと語った。窒素爆槍は掌からしか発射できないため、発射点が多ければ有用だったが、腕が二本しかなかったことで自分という烙印を押されたのだった。

黒夜は、二本の腕と肩甲骨、上半身のコネクタが主な加工部位だと説明した。そして、腕が邪魔なら取り外せばいいと叫び、左腕を肩から外した。

幻想殺しの一振り

黒夜は長い手袋で繋がった左腕を振り回し、自由になった右腕を上条の顔へ向けた。そして、悪党をなめていたのではないかと言いながら窒素爆槍を放った。

上条は右手を軽く振り、幻想殺しで窒素の槍を薙ぎ払った。黒夜は自分の力があっさり消されたことに愕然とした。

もう片方の腕

上条は、取り外し自由ならもう片方の腕も外せば能力を使えないのではないかと考えた。黒夜は、そんなに簡単に外せるものではなく、ロックも多いと必死に止めた。

さらに黒夜は、一二歳の少女をバスルームに監禁して両腕を取り外す絵面は、闇の人間が言っても相当猟奇的だと訴えた。

サイボーグへの興味

上条は外れた左腕を戻そうとしたが、うまく接続できなかった。黒夜は、古いテレビのように叩けば直るものではなく、コネクタの金具が変に接触すると痛覚神経にノイズが走ると怒鳴った。

黒夜は左腕を奪い返し、特殊な手順で再接続した。上条は出血がないため生々しさよりも興味を覚え、サイボーグは便利そうだと呟いたが、黒夜は精密機器の寿命を例に挙げて反論した。

猫耳の想像

上条は、魚の鰓をつければ水中で生活できるのではないか、猫の耳をつければ広範囲の聴覚情報を得られるのではないかと想像した。

猫耳という言葉を聞いた黒夜は動きを止め、拘束されたまま後ずさった。彼女は、自分は闇であり、フードを被っていたのは猫耳を隠すためだったなどという展開はないと必死に否定した。

一方通行の恐怖

ユニットバスから聞こえる騒ぎを聞き、一方通行は青ざめていた。闇や悪党と呼ばれる者達は、クールな雰囲気を壊されたら終わるという共通点を持っていた。

通常なら雰囲気を壊す相手は暴力で排除できるが、上条には幻想殺しの右手があった。排除できなかった場合を想像するだけで、一方通行には恐ろしかった。

別の道の黒夜

黒夜は一方通行の思考の一部、特に攻撃性を移植された存在であり、一方通行が別の道を進んだ場合のような姿でもあった。失敗すればああなると、一方通行は受け止めていた。

すでに悪や闇から離れつつある一方通行だったが、黒夜のように上条の混乱へ巻き込まれる事態だけは避けようと心に誓った。

行間 二

宇宙空間からの降下

船外活動の準備

神裂火織は、完全な無重力下で通信用の霊装を使い、五和と連絡を取っていた。打ち上げまでは科学の力を借りたが、ここから先は魔術の領分だった。

神裂は規定の霊装との接続が完了したことを伝え、五和は信号を確認し、接続不良などのミスもないと答えた。地球上での魔術行使とは条件が異なるため、神裂は方位や土地の条件の代わりに、細かな数値変動を厳密にモニタするよう求めた。

宇宙空間の魔術条件

五和は、他天体からの影響や、太陽から流れて地球の周囲を旋回することで属性が変動するタットワ関係の力も含めて、変動は誤差範囲内だと報告した。突然の太陽フレアや莫大な太陽風が発生しない限り、作戦行動に支障をきたすエラーは起こらないと推測されていた。

神裂は通信を維持したまま、宇宙船のハッチへ向かった。歩くというより壁を蹴って漂うような感覚であり、彼女の体には和風の甲冑の胸当てのような霊装が装着されていた。背中には折り畳まれた金属パーツのような装置も備わっていた。

ハッチの開放

神裂は装備確認を終え、船内に酸素が残ったままハッチを開けても構わないか確認した。五和は、船内設備が気圧差で破損する恐れはあるが、宇宙船は使い捨ての機材であり問題ないと伝えた。

神裂は、外へ出ることや大気圏へ再突入することに耐えられない霊装なら、この程度で破損するはずがないと判断した。五和は、宇宙船が三〇分後に大気圏へ再突入し、消滅する角度で燃え尽きるよう設定されていると説明した。神裂はその報告を受け、迷わずハッチのハンドルを回した。

漆黒の外

ハッチに隙間が空いた直後、船内に残っていた酸素が気圧の低い外へ流れ込み、ハッチそのものを漆黒の空間へ吹き飛ばした。しかし神裂はバランスを崩さなかった。装着している胸当てが自動的に姿勢を保っていたためである。

神裂は外へ身を乗り出しながら、日本の神話にある空を飛ぶ首や、それを追尾する刀の話を思い浮かべた。彼女は、自分の霊装も北欧やケルトなどに伝わる自動的に戦う武具の一種に分類されるのだろうと考えていた。

宇宙船の姿

神裂が振り返ると、自分が乗っていた宇宙船の全貌が見えた。船体は円錐形に近く、銀より鉛に近い色合いをしていた。基本的な形は冷戦当時の宇宙船とあまり変わらないように見えたが、内部技術は大きく変化しているようだった。

宇宙船は太陽光を浴び、眩い光を照り返していた。大気のない宇宙空間では光や宇宙線の減衰が少なく、表面温度は四〇〇度近くに達しているはずだった。それでも神裂には苦痛の色はなく、鮮やかな月や星の海にわずかな感慨を覚える余裕があった。

ラジオゾンデ要塞の確認

五和が問題はないか確認すると、神裂は今のところ問題ないと答えた。ただし船外活動は初めての経験であるため、モニタ側でも注意を払うよう求めた。

神裂は足元に目をやった。上も下もない場所ではあったが、感覚的には見下ろす形になっていた。地球の青さと白い雲の中に、十字の形をした巨大構造物が浮かんでいた。大気の影響を受けにくい高度にあるため、その輪郭は地上の大陸よりもくっきりしているように見えた。

鋼鉄の羽

神裂は全身に流れる魔力を分岐させ、胸当てへ新たな魔力を通した。循環が確認されると、背中に折り畳まれていた金属パーツが大きく開いた。

それは鋼鉄でできた天使の羽のようにも、日本刀のような鋭さと曲線を持つものにも見えた。神裂は降下を始めると告げ、五和は再突入の角度をモニタすると答えた。

母星への降下

神裂は、大気圏さえ無事に越えられれば、ラジオゾンデ要塞へ着地できるだろうと判断した。相手はあまりにも巨大であり、外す方が難しいほどだった。

神裂は母星へ向かってゆっくり移動し始めた。その速度は徐々に、しかし確実に増していった。

第三章 受け入れる者、だが不穏 Lecture_Three.

神の右席とヤツらの名

十字教の対立

レイヴィニア=バードウェイは、十字教の旧教にはローマ正教、イギリス清教、ロシア成教という巨大な三組織があると説明した。対立の直接的な引き金は、クロウリーの魔道書を解読できるとされたオルソラ=アクィナスを巡る騒動であり、ローマ正教が彼女の暗殺を図り、イギリス清教が学園都市の力を借りて妨害したことで、明確な対立構造が生まれていた。

その後、ローマ正教は学園都市へ何度も攻撃を仕掛けたが、上条当麻の右手によって阻止された。上条は、その一つ一つが失敗すれば大勢の命を奪いかねない事件だったことを思い返し、それらの積み重ねが大戦の火種になった事実に憤りを覚えていた。

神の右席

ローマ正教は劣勢を感じ、科学サイドへの恐怖を利用してロシア成教との交渉を進めた。その過程で、ローマ正教の最暗部である神の右席が表に出てきた。

神の右席は兵隊としての闇ではなく、兵隊を裏で操る側の闇に近かった。彼らは神と同等、あるいはそれ以上の質を手に入れようとしており、生きたまま原罪を洗い流す例外を人工的に成立させようとしていた。

幻想殺しとの激突

バードウェイは、学園都市の住人の大半が昏倒した異常事態、アビニョンの事件、第二二学区に壊滅的被害を与えた事件が、神の右席と上条の幻想殺しとの激突の一部だったと語った。浜面仕上や一方通行は、自分達の関わった事件すら、大きな爆発の波紋のようなものだったと知らされ、これから踏み込む領域の深さを思い知らされた。

神の右席にとって、ローマ正教は研究と改造に都合の良い基盤だった。しかし、その基盤を揺さぶるイギリス清教、学園都市、そして両者を繋ぐ上条の右手が障害になっていた。

右方のフィアンマ

浜面は、神の右席が第三次世界大戦を起こしたのかと尋ねたが、バードウェイはそれを否定した。神の右席全体は十字教の枠組みの中で行動していたが、その中で一人だけ思想が突出し、十字教の外へ飛び出した者がいた。

バードウェイは、その元凶が右方のフィアンマだと告げた。フィアンマは、上条とは違うもう一つの右腕を持つ男であり、ローマ正教や神の右席の思惑からも外れた目的のために戦争を起こした存在だった。

五和と白刃取り

聖ジョージ大聖堂では、五和が上条の生存を知ったことで動揺し、情報分析の効率を落としていた。建宮斎字は思考整理を手伝うため、五和に竹刀を渡したが、周囲のシスター達が真剣白刃取りを期待したため、建宮は引くに引けなくなった。

五和が竹刀を振ると、建宮は受け止められず頭を打たれた。五和は建宮を立てようとして練習だと取り繕ったが、そのせいで二度目、さらに模造刀、本物の大業物へと事態が悪化していった。建宮は危機感を抱きつつも、無理に覚醒の機会だと思い込もうとしていた。

一方通行と土御門

一方通行は学生寮のベランダで、学園都市だけが世界の全てではないという事実を思い知らされていた。そこへ隣室のベランダから土御門元春が声をかけた。

土御門は、学園都市の闇が解体されても自分にはまだやることが残っていると語った。彼は科学サイドだけでなく、一方通行が踏み込みかけている領域の闇にも関わっており、今後も同じように続けるのだと述べた。

善悪を超える道

土御門は、一方通行が自分達まで拾い上げようとした行為には感謝すると告げた。そのうえで、闇から足を洗うなら自分のスタンスは自分で確立すべきだと助言した。

善悪を超越することは、どちらつかずの半端な立場に逃げる言い訳ではなかった。むしろ、分かりやすい善悪へすがるより厳しい道なのだと土御門は語った。

打ち止めと番外個体

打ち止めは、黒服達の制止を無視して上条の部屋へ飛び込んできた。浮気調査のような勢いで現れた打ち止めに、一方通行は面倒そうにしていた。

番外個体は、新入生の根城で見つけた猫耳肉球グローブで黒夜海鳥を改造しようと提案した。その言葉にユニットバスから黒夜の絶叫が上がったが、番外個体は上条を見ると一方通行の背後へ隠れた。打ち止めは番外個体が一方通行に近いことに気づき、自分の中に敵がいたと騒ぎ始めた。

舞夏と雲川鞠亜

土御門舞夏は、ドラム缶型清掃ロボットの上に正座して夜の学園都市を移動していた。そこへ雲川鞠亜が声をかけた。

雲川鞠亜は、自分には才能があるため滅多に窮地に陥らず、いざ大きな危機に備えてプライドを折れない程度に傷つける必要があると語った。舞夏は何度も聞いた話だと流したが、雲川鞠亜はその反応すら自分の強度を上げる刺激だと喜んでいた。

右方のフィアンマの目的

バードウェイは、右方のフィアンマについてさらに語った。フィアンマは神の右席のトップであり、制約を外した後には、学園都市やイギリス清教、ローマ正教、ロシア成教と並べてもよいほどの力を備えていた。

フィアンマは右腕に宿った力を一〇〇%解放するため、ローマ正教を恐怖で操り、ロシア成教と手を組み、学園都市やイギリス清教と争った。第三次世界大戦の真相は、その右腕を完成させるための条件を整えることだった。

世界を救うという歪み

浜面がフィアンマの目的を尋ねると、バードウェイは、不平等を正し、悲劇を止め、世界を平和にし、皆を幸せにしたかったのだと答えた。フィアンマは右腕が完成すれば世界を丸ごと救えると本気で信じており、その方法しか見えなくなっていた。

戦争は終わったが、世界に安っぽい平和が訪れたわけではなかった。フィアンマの思惑とは別に、それぞれの目的で戦争に関わった者達が存在し、彼らは自分達の目的が果たされるまで終戦を受け入れられなかった。

ヤツらの誕生

バードウェイは、終戦を否定する者、新しい世界を否定する者、自己の目的のためなら世界規模の悲劇も厭わない者達が存在すると語った。彼らこそがヤツらだった。

第三次世界大戦を経てヤツらは生まれ、世界の暗い場所で、多くの者には法則も分からない力を振るい始めていた。バードウェイは、いよいよ本題に入ることができたと告げた。

フレメアと浜面

コタツで眠っていたフレメアは、浜面が出かけようとした気配で目を覚まし、退屈だからここにいてほしいと上着を掴んだ。そこへ滝壺理后が現れ、浜面の膝にフレメアが座っている光景を目撃した。

滝壺は無表情のままドアノブを握り潰し、浜面を問い詰めた。浜面は浮気ではないと弁明したが、余計な発言でさらに事態を悪化させた。寝ぼけたフレメアが浜面をかばうと、滝壺は浜面の良さは自分が一番分かっていると叫んだ。

アイテムの乱入

絹旗最愛と麦野沈利も部屋へ飛び込んできた。二人は浜面へ先に触れた方が罰ゲームを回避できる勝負をしていたが、麦野は足の長さを利用して浜面の顔面へ蹴りを入れた。

その騒ぎでフレメアが目を覚ますと、麦野と絹旗はフレンダに似た幼女を見て混乱した。浜面はフレメアがフレンダの妹らしいと説明したが、麦野はためらわず、自分はフレメアの姉を殺害した女だと名乗った。浜面は慌てて麦野を引き離そうとした。

第一位と第四位

一方通行が戻ると、麦野は昔殺した女の身内に遭遇したところだと説明した。闇が関わる事例である以上、法的な処分は望みにくく、罪の清算があるならここだと考えていた。

一方通行は、綺麗ごとは好きにすればよいが、それで他人を闇へ引きずり込むなら本末転倒だと告げた。麦野は、引きずり込まれないよう準備すると答えた。

ヤツらへの問い

浜面は、話を進めるためアイテムの面々を外へ出そうとしたが、余計なことを言ったせいで気味悪がられた。彼がコタツへ戻ると、バードウェイの話はいよいよ核心に入った。

一方通行は、ヤツらとは何なのか、どこから出てきた組織なのか、名前は何なのかと尋ねた。バードウェイは、その背景を語るにはさらに下準備が必要だが、まずは名前から入るべきだと判断した。ヤツらの名は、この世界に何を示したいかを表すための、極めてシンプルなものだった。

行間 三

ラジオゾンデ要塞の降下作業

要塞上面への着地

神裂火織は、巨大構造物ラジオゾンデ要塞の上面に着地した。高度が高すぎるため雲は存在せず、上下は藍色と黒の中間のような色で、はるか下方に地球の青がわずかに見えるだけだった。

足元は石に近い感触だった。十字架の形をしたラジオゾンデ要塞は、複数の聖堂や神殿を組み合わせたような造りだったが、建築様式がばらばらな一方で石材の傷み具合は均一だった。神裂は、世界中から聖堂や神殿を集めたように見せるため、一種類の材料を型に押し込んで作ったもののようだと見た。

バルーン干渉の開始

神裂は着地を報告し、要塞最下層へ向かってバルーン群への干渉を始めると伝えた。アニェーゼは、落下速度に応じてインド洋と太平洋の二か所に落下目標地点を設けると答え、まずバルーンの一つを破壊して浮力の減少を確認するよう指示した。

ラジオゾンデ要塞の下方には、二〇〇以上の巨大な金属製バルーンが設置されていた。一つを潰しただけで即座に墜落するとは考えにくく、神裂は要塞内部を走り、急な階段を駆け下りて最下層を目指した。

無人の要塞

神裂は、移動中に乗組員らしき存在と遭遇しなかった。着地時にも魔術や対空火器による妨害はなく、要塞が広大すぎるため断定はできなかったが、不気味さを覚えた。

ラジオゾンデ要塞はベツレヘムの星を模しているように見えたが、神裂はそこに明確な目的を感じ取れなかった。浮かばせるためなのか、落とすためなのか、合理的な狙いが見えないことが、何か大きな思い違いをしているのではないかという不安を招いていた。

最下層の光景

神裂は最下層へ到着した。そこには分厚い石の天井があり、足元には遠く下方の空が広がっていた。目の細かい網のような通路が、天井の石材から吊り下がっていた。

全長数十メートルの巨大な球形タンクが、果物のように巨大な石材からぶら下がっていた。アニェーゼは、浮遊の方式は未だに不明であり、ガスが使われている場合には可燃性の可能性も考慮するよう伝えた。神裂は、爆発が起きれば周囲の足場や石材が巻き込まれる危険があると判断した。

最初の破壊

神裂は上層へ繋がる階段を退避経路として確保し、刀の鞘に収納された七本の細いワイヤーへ手を伸ばした。アニェーゼは、下方がユーラシア大陸中央付近の原野であり、民間・軍用・魔術施設は見当たらず、ロシア成教からの許可も取れていると報告した。

神裂は七閃を放ち、金属製バルーンの周囲の足場とバルーンを切り裂いた。火花は出ず、無数の残骸はバルーンのあった場所を中心に全方向へ吹き散らされた。バルーンにはガスのようなものが充填されていたと分かったが、それだけで浮力を維持しているかはまだ断定できなかった。

浮力の確認

バルーン破損後、要塞はわずかに揺れ、一〇センチほど沈降した。アニェーゼはその高度変化を確認し、バルーン一つごとの性能を把握したと報告した。タンク内の気体が浮力の元であることも明らかになった。

ただし、派手に破壊しすぎると降下速度が予想外に増した場合に制御できなくなるため、以後はバルーンに穴を空けて徐々にガスを抜く方式を取ることになった。神裂はその手順を受け取り、破壊した足場を迂回しながら次のバルーンへ向かった。

掘削用の霊装

神裂は、次の金属製バルーンの側面へ到達した。アニェーゼは、いきなり穴を空ければガスの圧力で開口部が広がるため、まずバルーンの壁面を強化するよう指示した。

神裂は濡れた布のように張り付く紙をバルーン表面に押し付け、何重にも重ねて三メートル四方を厚い紙の装甲で覆った。さらに木の棒を木綿の紐で縛った掘削用の霊装を取り付け、魔力を通した。

ガス抜きの成功

掘削用の霊装は、ガリガリと不快な音を立てながらバルーンへ穴を開けていった。アニェーゼは開口を確認し、設定値のガス流出が維持され、ラジオゾンデ要塞の降下速度もわずかに増していると報告した。

神裂は、問題がある場合は連絡するよう伝えた。掘削に使った杭を膨らませれば穴を塞げるためである。成功を確認した神裂は、一つ一つの作業を最後まで見届けることをやめ、霊装を設置してすぐに次のバルーンへ向かう方式へ切り替えた。

高度低下と進路

神裂は次々とバルーンへ干渉し、七〇基目まで作業を進めた。アニェーゼは、ラジオゾンデ要塞が高度一万一〇〇〇メートルまで降下し、気圧対策用の術式に負担がかかっていると報告した。

神裂が落下地点を尋ねると、アニェーゼは、現在要塞が韓国上空を通過中であり、今からでは太平洋へ落とすしかないと答えた。落下予定地点はミッドウェイ諸島から北北西へ一七〇〇キロの海域だった。

学園都市上空の危機

神裂は現在位置から落下地点までのルートを思い描き、その経路が日本上空、さらに学園都市の上空を突っ切る可能性に気づいて顔色を変えた。ラジオゾンデ要塞が落とすために建造されたものなら、黒幕の標的は学園都市かもしれなかった。

神裂はアニェーゼに、バルーンへ干渉してルートを迂回させる方法を計算するよう緊急で求めた。しかしその直後、激しい雑音が通信を襲い、霊装を使った魔術的な通信は遮断された。

通信妨害

神裂は、余計なことを話させないための外部干渉だと判断した。ラジオゾンデ要塞は本体を地表へ叩きつけるだけでなく、細かく分解して地上へ雨のように降らせることでも大規模被害を生み出せる構造だった。

学園都市へ大規模な空爆を行い、本体だけは安全に着水させることも可能だった。相手が思想を優先する魔術師なら、何も考えず要塞そのものを学園都市へ落とす可能性も否定できなかった。神裂は、それを止めるために自分達必要悪の教会が存在していると認識していた。

内部の敵

神裂は、通信妨害がこのタイミングで行われたことから、遠隔観測だけでは実行できず、敵の一角が要塞内部に搭乗している可能性を考えた。

その直後、クリスタルのグラスをぶつけるような甲高い音が不規則に鳴り響いた。神裂が上からの気配に気づいて後ろへ飛び下がると、直前まで立っていた足場へ何かが落下した。

石の円筒

落ちてきたものは人間ではなかった。直径五五センチ、高さ一メートルほどの重い石材でできた円筒形の物体だった。

それは自分の意思を持つドラム缶のように動き、神裂の方へ向きを直した。

第四章 招待状、そしてその名は Lecture_Four(and_More).

神の右席からグレムリン出現まで

魔術と科学の火種

レイヴィニア=バードウェイは、十字教旧教の巨大組織としてローマ正教、イギリス清教、ロシア成教を挙げ、三者の対立がオルソラ=アクィナスを巡る騒動から明確化したと説明した。ローマ正教は支配体制を守るためにオルソラの暗殺を図り、イギリス清教は学園都市の力を借りてそれを妨害したため、科学サイドと魔術サイドの衝突へ繋がる火種が生まれていた。

その後、ローマ正教は学園都市へ攻撃を仕掛けたが、上条当麻の右手によって阻止され続けた。上条は、自分が関わった事件が失敗すれば多くの命を奪いかねないものだったこと、さらにその積み重ねが第三次世界大戦へ繋がったことを知り、自分自身への憤りを覚えていた。

神の右席と右方のフィアンマ

ローマ正教は、学園都市に世界のバランスを奪われるという恐怖を利用してロシア成教と交渉し、その過程で最暗部である神の右席を表へ出すことになった。神の右席は兵隊としての闇ではなく、兵隊を裏で操る側の闇であり、神と同等かそれ以上の質を手に入れようとしていた者達だった。

しかし第三次世界大戦は、神の右席全体の思惑からも外れた事態だった。右方のフィアンマは十字教の枠組みを逸脱し、右腕に宿る力を解放するため、ローマ正教、ロシア成教、学園都市、イギリス清教を巻き込んだ大戦を起こした。彼は世界を救う力が右腕にあると信じていたが、その方法しか見えなくなっていた。

戦争後の残響

バードウェイは、右方のフィアンマの計画は成就しなかったが、戦争に関わった者達が全員矛を収めたわけではないと語った。戦争にはそれぞれ異なる目的で参加した者達が存在し、その目的が果たされなければ終戦を受け入れられない流れが生まれていた。

終戦を否定する者、新しい世界を否定する者、自己の目的のためなら世界規模の悲劇を生み出しても構わない者達が、第三次世界大戦を経て浮上していた。バードウェイは、それらこそがヤツらであり、世界の暗い場所で法則の分からない力を振るい始めていると説明した。

それぞれの休息

五和は上条の生存を知って動揺し、聖ジョージ大聖堂での情報分析に集中できなくなっていた。建宮斎字は彼女の思考整理を手伝おうとしたが、真剣白刃取りを期待するシスター達の前で失敗を重ね、竹刀から模造刀、さらに大業物の伴天連奉納兼光透晶へと事態を悪化させていった。

一方通行は、学園都市だけが世界の全てではなかったことを痛感し、土御門元春から、闇を離れるなら自分のスタンスを確立すべきだと助言された。打ち止めと番外個体が乱入し、番外個体は黒夜海鳥を猫耳肉球グローブで改造しようとしたため、黒夜の絶叫がユニットバスから響いた。

浜面とフレメア

浜面仕上の膝で眠っていたフレメア=セイヴェルンは、浜面が外出しようとしたことで目を覚まし、そばにいてほしいと訴えた。そこへ滝壺理后が現れ、浜面の膝にフレメアがいる光景を見て動揺し、ドアノブを握り潰した。

さらに絹旗最愛と麦野沈利も乱入し、浜面へ先に触れた方が罰ゲームを回避できる勝負を始めた。麦野は浜面を蹴り飛ばして勝負を制したが、目覚めたフレメアがフレンダの妹だと知り、浜面は麦野の紹介に悩んだ。麦野は自分がフレメアの姉を殺害した女だと率直に名乗り、浜面を慌てさせた。

ラジオゾンデ要塞の到来

バードウェイがヤツらの名を告げようとした時、夜空に巨大なラジオゾンデ要塞が現れた。要塞は上条の幻想殺しを追っており、右方のフィアンマを倒して第三次世界大戦を止めた上条の生存を確認するため、惑星規模の危機を引き起こしていた。

バードウェイは、要塞の追尾には地脈や龍脈が利用されていると説明した。幻想殺しが地脈や龍脈の力を削り、それが修復される過程で、要塞にだけ分かる目印が残るよう惑星そのものへ細工されていた。最後の発信器は学園都市地下に敷設される可能性が高く、それを破壊すれば要塞は学園都市を素通りするはずだった。

上条を止めた二人

上条は、学園都市と身近な人々を守るため発信器を破壊しようとした。しかし浜面は、世界は上条に借りがあるのだから、これ以上その借りを膨らませる必要はないと遮った。

一方通行も同意するように動き、電極のスイッチを切り替えて屋上へ飛び上がった。浜面も上条へ待っていろと告げて玄関へ向かった。上条は、特別な力を持つからといって常に盾になる必要はないと考えさせられたが、必要なピースがなければ死ぬものは死ぬというバードウェイの言葉で、結局気を抜けなくなった。

投擲の槌

ラジオゾンデ要塞では、神裂火織が黒い石の円筒形の敵と対峙していた。敵は円筒形、球体、立方体、十字架状の展開図へと形を変え、ボウガンや火縄銃、高圧電流を用いて神裂を攻撃した。

神裂は、敵が単なる霊装ではなく、自身の肉体を変形させた魔術師本人であると看破した。敵の本質は北欧神話のミョルニルに対応する鉄槌であり、投擲の槌は青白い雷光の嵐を放ち、さらに巨大な円を描いてラジオゾンデ要塞の三分の一を消滅させた。

神裂の迎撃

神裂は、投擲の槌が学園都市へ要塞を落とすはずなのに要塞の一部を迷わず破壊したことから、すでに目的を失った存在なのではないかと考えた。彼女は、失うことは悲しいが、それは歪みを正当化する免罪符にはならないと断じた。

神裂は、自らの魔法名である救われぬ者に救いの手を名乗り、飛行を禁じるペテロ系統の迎撃術式を発動した。投擲の槌は制御を失って墜落し、立体へ戻ることもできず、小さな展開図の群れへ分裂して空へ散った。神裂は、いつか救うとしても、今はまだ自分にやるべきことがあると意識を切り替えた。

発信器の破壊

一方通行は屋上から人の流れを観測し、地脈や龍脈の歪みを間接的に捉えた。彼は第七学区の中央ハブ変電施設の中心に、ねじくれて滞った力の淀みがあると見抜き、上条達へ連絡した。

上条は中央ハブ変電施設へ侵入し、発信器が地下にあると気づいたが、幻想殺しではコンクリートを破壊できなかった。そこへ浜面が地下ケーブル用のボーリングマシンで壁を突き破って現れ、重機で床を掘り進めた。重機の杭は赤い結晶に弾かれたが、上条は穴へ腕を伸ばし、痛みを無視して発信器へ指を届かせた。

グレムリンの名

発信器が壊れたことで、ラジオゾンデ要塞は学園都市上空を通過し、千葉外房沖へ着水した。上条と浜面は変電施設から逃げ出し、一方通行も合流した。バードウェイは、危機は一応解決したが、まだ本題であるヤツらの名前に入っていないと告げた。

神裂は着水した要塞の中で、真っ赤なスプレー塗料による乱雑なメッセージを発見した。そこには、おかえりなさいヒーロー、Welcome home, hero. と書かれ、末尾にはグレムリンよりと記されていた。バードウェイは、ヤツらの名はグレムリンだと告げた。機械を蝕む新世代のオカルトが、科学サイドの広がる世界で産声を上げていた。

終章 休息、しかし暗部で交錯 Birdway’s_Speech.

グレムリンの次なる狙い

ハワイへの上陸

学生寮に戻った上条当麻達に、バードウェイはグレムリンの次の狙いがアメリカ合衆国らしいと告げた。彼女は、何人かの魔術師がすでにハワイ諸島へ上陸している情報を掴んでいた。

今回のラジオゾンデ要塞の一件は、グレムリンにとって上条の生存確認と、自分達の存在を知る者へ知らせるための挨拶に過ぎなかった。バードウェイは、グレムリンが本格的に動けば混乱は世界規模に達するため、潰すなら今のうちだと語った。

一方通行の拒絶

一方通行は、自分はここまで聞きたいことがあったから話を聞いていただけで、これからバードウェイ達の手駒として動くつもりはないと拒絶した。バードウェイは、自分達も一方通行の協力など求めていないと返した。

さらにバードウェイは、巻き込まれるのは迷惑だと言いながら戦力外通告されると不機嫌になるのかと挑発した。一方通行は、自分には自分の人生があると言って立ち去ろうとした。

ヒーローの方向性

一方通行は、バードウェイが取引材料として身近な人々を使う可能性を警戒した。しかしバードウェイは、自分は学園都市ではなく、強要も取引材料探しもしないと否定した。

バードウェイは、平穏をただ受け入れる者と、一度失いかけた平穏を自力で取り戻した者には決定的な違いがあると語った。フレメア=セイヴェルンに手を差し伸べた時点で一方通行の方向性は決まっており、彼は来るなと言われても来る人間になると告げた。一方通行は答えず、玄関から出て行った。

浜面への指摘

浜面仕上は、一方通行とバードウェイのやり取りに寒気を覚えていた。平穏の中にいるほど戦いへ向かう方向性が強くなるという言葉は、自分から闇へ向かっているようにも聞こえた。

バードウェイは浜面に、ネタバレしてほしいかと近づいた。そして、フレメアを無償で助けた浜面達は、我欲の強さでカリスマ性を示すようなヒーローよりはましな存在だと語った。

逃れられない戦い

バードウェイは、浜面がフレメアを助けたのは特別な理由があったからだとしても、同じ条件で別の誰かが苦しんでいれば、やはり助けていただろうと見抜いた。彼は損得なしで個人と世界を救う種類の人間であり、そのため戦いから逃れられないと告げた。

平穏を取り戻した強者は、自分には誰かを救う力があるのに見捨てていいのかという問いに苦しむ。たとえその行動が取り戻した平穏に亀裂を入れる危険を持っていても、浜面は同じように動いてしまうとバードウェイは語った。

幸せへの罪悪感

バードウェイは、浜面が滝壺理后、麦野沈利、絹旗最愛、フレメア、半蔵、郭達と平穏に暮らすほど、自分だけが幸せでよいのかと考えてしまうだろうと指摘した。

そのうえで、幸せになってよく、罪悪感を覚える必要はないと結論づけた。しかし、いざ危機が起きれば浜面達は聞き入れず、迷わず突き進むだろうとも語った。浜面は、自分が危険に出向く必要はなく、危険を取り除く組織や専門家がいるはずだと反発したが、フレメアのように無罪の人が目の前で苦しんでいた場合に見殺しにできるかという問いを抱えた。

浜面の退室

バードウェイは、できれば否定してもらった方が気が楽だと真摯な調子で告げた。否定できることを無駄と知りつつ祈ると言ったのである。

一方通行に続き、浜面も重い足取りで寮を出て行った。バードウェイは、最後に残ったのは上条だと目を向けた。

上条という異常

上条は、自分の家だから残っただけだと返した。バードウェイは、人の家の冷蔵庫を勝手に開けて魚肉ソーセージを食べながら、上条こそ一方通行や浜面とは比べものにならない異常を抱えていると語った。

バードウェイは、上条には導入が必要なく、情報収集や接点作りをしなくても自然に事件の中心へ立つと評した。彼の特徴は不幸そのものではなく、その不幸を切り返して自分の力に変える点にあると見ていた。

ハワイ行き

バードウェイは、しばらく上条の性質に甘えさせてもらうと言った。次はハワイであり、グレムリンは上条の生存を確認した以上、その右手への対策を講じたうえで行動を起こすだろうと見ていた。

これまで以上の死闘になるだろうが、いつも通り上条を巻き込ませてもらうと告げ、バードウェイは黒服達を連れて部屋を出た。後には上条とインデックスだけが残された。

インデックスの不安

インデックスは上条の名を呼び、また行ってしまうのかと尋ねた。彼女は、上条には必ず勝てる切り札も、必ず帰ってこられるルールもなく、勝てるか分からない勝負を繰り返すほど帰還の確率は減ると不安を口にした。

上条は、できれば繰り返したくないが、今回ばかりは無関係ではいられないと答えた。第三次世界大戦で右方のフィアンマが上条の右手を目的の一つとしていたこと、今回のグレムリンもラジオゾンデ要塞まで使って右手を意識していたことから、自分はまた分岐点に立っているのだと考えていた。

幻想殺しの正体

上条は、幻想殺しの正体を知りたいと語った。第三次世界大戦終盤で一度右腕を切断されたにもかかわらず、その腕は何もないところから再び生み出され、元の幻想殺しを取り戻す結果だけが示されていた。

グレムリンの動きが全世界規模に拡大しかねないなら、自分の右手がどう根幹に関わっているのかを理解し、どう動けば計画に影響を与えられるのかを導き出す必要があった。そのためには科学サイドと魔術サイドの両方から情報を得る必要があり、今の流れから取り残されるわけにはいかなかった。

自分のための戦い

上条は、自分自身のために殺し合いへ参加することになり、バーサーカーと大差ないと自嘲した。しかし、彼が立ち止まる様子はなかった。

インデックスは、たとえ右手の理由がなかったとしても、上条は再び騒乱の中心へ向かっただろうと考えた。ハワイ諸島で魔術事件が起こり、多くの人々が苦しむ可能性があると分かれば、上条には大仰な理由などなくても動き出すはずだった。

一方通行の道

一方通行は、現代的な杖をついて夜の街を歩いていた。周囲には打ち止めと番外個体が付き添い、二人は夜の街ではしゃぎながら口論していた。

一方通行は、それを取り戻すために悪の道を捨て、場違いなことでも何でもやると決めた。結果として守りたい者は守れたが、目の前の目標を掴み取った先にもまだ道があることに気づき、その道が何を意味し、どこへ向かうのかを静かに考えていた。

浜面の道

浜面仕上も夜の街を歩いていた。滝壺、麦野、絹旗も途中まで同じ帰路であり、フレメアは浜面の背中で眠っていた。

絹旗と麦野は、学園都市の闇がまだ粘りつくように残り、新入生以外にも復帰組が現れるかもしれないと話していた。浜面は、闇の速度を上げている原因の一端が学園都市の外にあるなら、グレムリンとの戦いは対岸の火事ではなく、自分達もすでに当事者なのではないかと考えた。

三人の問い

上条、一方通行、浜面は、それぞれ夜の街で思考していた。三人は、この道がどこへ続いているのかと考えていた。

それぞれが守りたいものを抱えながらも、世界の外側から迫る問題に直面し、今までの平穏の先にある道を見つめていた。

鉄橋の美琴

深夜、上条は携帯電話のメールで呼び出され、第七学区の鉄橋へ向かった。そこには御坂美琴が待っており、彼女は忘れ物だと言ってカエルのストラップを投げ渡した。

それは上条が北極海に沈んだ際になくしたはずのものであり、千切れていた紐には別の色の紐が通してあった。美琴は、一応お揃いなのだから簡単になくすなと言い、上条は謝って携帯電話へ取り付け直した。

一人ではない

美琴は、上条がまたどこかへ行くのかと尋ねた。上条は、今何が起きているか詳しく分かってはいないが、今回は学園都市を狙った過程で自分が巻き込まれたのではなく、自分を狙った過程で学園都市が巻き込まれた以上、放っておけないと答えた。

美琴は、言って聞く相手ではないと分かっているため止めないと言った。上条が別れを告げて鉄橋を離れようとすると、美琴はその手を掴んだ。そして、今度は一人ではないと告げた。

バードウェイの独白

バードウェイは第三学区の高級ホテルへ戻る道を、あえて車を使わず歩いていた。彼女は黒服達と、第三次世界大戦終盤に現れた黄金の腕や、それに伴う物質群、ベツレヘムの星を構成していた教会や聖堂のパーツ回収の進捗について確認していた。

大方の話が終わると、バードウェイはアレイスターへ向けて独り言を呟いた。彼女は、新入生の騒ぎやラジオゾンデ要塞の件から、アレイスターが自由に動けないことを確信していた。

プランの誤差

バードウェイは、アレイスターのプランの誤差が許容を超えたのだと見ていた。上条当麻を中心としたプランは右方のフィアンマとの接触で大きく狂い、アレイスターはどう力を加えれば元に戻るのか分からなくなっていた。

北極海に沈んだ上条を引き揚げられなかったこと、学園都市へ帰還した上条を確保できなかったこと、さらに上条達の人間関係を人質として使わなかったことも、安易な行動がプランへ及ぼす影響を計算できなくなっていたためだとバードウェイは考えていた。

アレイスターへの挑発

バードウェイは、アレイスターがかつて掲げていた古い世界を捨て、新たなる世界に目覚めよという思想を踏まえ、第三次世界大戦によって古いルールは取り除かれたと語った。その中には、アレイスター自身が支配していたものも含まれていた。

彼女は、世界が当たり前に人々の自由な動きで満ち、大局を見定められなくなった混沌を存分に楽しめと挑発した。その直後、乾いた音とともに、バードウェイの頬のすぐ横で金髪が数本切断された。

焦りの証明

黒服達は警戒したが、バードウェイは片手で制した。それはアレイスターからの挨拶だった。

バードウェイには何が起きたのか細かな原理は理解できなかったが、笑みは消さなかった。彼女は、今の一撃を警告に留める理由はなく、自分の首が落ちなかった時点でアレイスターの焦りは透けて見えると告げた。

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新約 とある魔術の禁書目録(10)

とある魔術の禁書目録

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【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ 一覧&考察

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