とある魔術の禁書目録(22)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(2)レビュー
物語の概要
■ 作品概要
本作は、科学と魔術が交差する世界を描いたライトノベルである。 第三次世界大戦が終結し、立役者である上条当麻が消失した後の世界が舞台となっている。魔術サイドは再編が進んで安息の日々が訪れ、科学サイドの総本山である学園都市でも、最強の超能力者・一方通行が学園都市の『闇』と手を切り、打ち止めや番外個体らと穏やかな日常を過ごしていた。また、無能力者の浜面仕上も、絹旗、滝壺、麦野と共に新生『アイテム』を結成し、平穏を手に入れたかに見えた。しかし、新たな暗部組織『新入生』が動き出し、一人の少女を巡って、彼らは再び熾烈な戦いに巻き込まれていくことになる。
■ 主要キャラクター
・浜面仕上(はまづらしあげ):無能力者(レベル0)の少年である。かつては不良集団「スキルアウト」に所属し、現在は新生『アイテム』の一員として活動している。能力を持たない三下であることを自覚しながらも、恋人の滝壺理后や仲間たちを守るためなら、死の危険が迫る『闇』にも自ら飛び込んでいく熱い心を持つ。
・一方通行(アクセラレータ):学園都市最強である第一位の超能力者(レベル5)である。ロシアでの激戦を経て暗部と手を切り、打ち止めや番外個体、黄泉川らと共に日常を過ごしている。ぶっきらぼうで冷徹な態度をとるが、理不尽な状況を見過ごせない一面を持つ。
・上条当麻(かみじょうとうま):前シリーズから続く主人公の一人だが、第三次世界大戦の終結とともに消失し、本作の序盤では不在となっている。あらゆる異能を打ち消す「幻想殺し(イマジンブレイカー)」を右手に宿す。
・フレメア=セイヴェルン:『アイテム』の元メンバーであるフレンダの妹であり、浜面たちの恩人である駒場利徳が命を懸けて守ろうとしていた10歳ほどの少女である。特別な能力や価値を持たない無能力者だが、『新入生』の標的として命を狙われる。
・黒夜海鳥(くろよるうみどり):新たな暗部組織『新入生』のメンバーである12歳程度の少女である。掌から「窒素爆槍」を生み出す大能力者(レベル4)であり、多数の人工の「腕」を自身に接続し、能力を増幅させるサイボーグ技術を駆使する残忍な性格の持ち主である。
・滝壺理后(たきつぼりこう):『アイテム』のメンバーであり、浜面の恋人である。ピンク色のジャージを愛用しており、常にマイペースな性格である。
・麦野沈利(むぎのしずり):第四位の超能力者(レベル5)であり、『アイテム』のメンバーである。過去の戦いの傷を隠すために特殊メイクや義眼・義手を使用している。
・絹旗最愛(きぬはたさいあい):大能力者(レベル4)であり、『アイテム』のメンバーである。映画マニアであり、窒素を操る「窒素装甲(オフェンスアーマー)」による絶対的な防御力を持つ。
・打ち止め(ラストオーダー) / 番外個体(ミサカワースト):一方通行と同居する「妹達(シスターズ)」の個体である。打ち止めは天真爛漫な10歳前後の少女であり、番外個体はミサカネットワークの悪意を抽出する腹黒い性格を持つ高校生ほどの少女である。
■物語の特徴
本作の最大の特徴は、絶対的な主人公であった上条当麻が「不在」の世界から物語がスタートする点である。超常的な力を持たない不良少年の浜面仕上と、最強の力を持ちながら過去の罪を背負う一方通行という、対照的な二人が物語を牽引していく群像劇として展開される。 彼らが日常を守るために、軍用の駆動鎧(パワードスーツ)やサイボーグ技術といった「科学の脅威」に立ち向かう異能バトルが大きな魅力である。読者にとっては、かつての敵が味方となり、絶望的な状況を機転と覚悟で覆していく泥臭い展開が興味深いポイントである。また、終盤での上条当麻の帰還と、彼を助けた魔術結社の登場により、「魔術」と「科学」の世界が再び交差する予兆が描かれており、次巻以降への期待を高める構成となっている。
書籍情報
新約 とある魔術の禁書目録 1
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA(電撃文庫)
発売日:2011年3月10日
ISBN:9784048703192
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あらすじ・内容
ローマ正教の暗部 『神の右席』 最後の一人、フィアンマがロシアから起こした第三次世界大戦は、上条当麻の活躍により終結した。彼の、消失と共に。 ここは上条当麻が存在しない世界。 魔術サイドは再編・改善がすすみ、信徒たちには安息の日々が訪れていた。 科学サイド総本山の学園都市では、最強の超能力者・一方通行が、『闇』 と手を切り、打ち止めや番外個体と共に騒がしくも穏やかな日常を過ごしていた。そこには 『グループ』 の影も無い。元スキルアウトの無能力者・浜面仕上は、ロシアで手に入れた『闇』との交渉材料を懐に、絹旗、滝壺、そして帰ってきた麦野と共に新生 『アイテム』 を結成、活動を再開する。闇からの 『卒業生』 たちは、平穏を手に入れたのだ。── 凶悪な 『新入生』 が、彼らの前に現れるまでは。
感想
読んでまず驚かされたのは、上条当麻が不在の状態で物語が始まることである。
旧約シリーズを通して物語の中心にいた主人公が姿を消したまま、新たな物語は浜面仕上と一方通行を中心に進んでいく。この大胆な構成には戸惑いもあったが、読み進めるうちに二人がしっかりと物語を支えていることが伝わってきた。
まず印象に残ったのは、戦争を生き延びた彼らの日常である。
浜面は滝壺と共に穏やかな時間を過ごし、一方通行も打ち止めや番外個体たちとの生活を送っている。
特に一方通行の変化は興味深かった。
かつては学園都市の暗部に君臨し、多くの人間を傷つけてきた彼が、今では暗部の子供たちを守ろうとしている。その姿からは、旧約を通して積み重ねてきた成長が感じられた。
読んでいて感じたのは、本巻は戦いの物語というよりも、彼らが戦争後にどのような人生を歩もうとしているのかを描いた物語でもあるということだった。
しかし、そんな平穏は長く続かない。
新たに動き出した「新入生」の存在によって、再び学園都市の闇が表面化していく。
特に印象的だったのは、フレンダの妹であるフレメアを守ろうとする浜面の行動である。
危険から逃げることもできたはずなのに、彼は再び暗部の世界へ足を踏み入れることを選ぶ。
その姿には、かつて自分のためだけに生きていた頃とは違う成長を感じた。
一方通行もまた独自に行動を開始する。
結果的に同じ敵へ立ち向かうことになる二人だが、決して肩を並べて戦うわけではない。
それぞれが別々の立場から動きながらも、結果として同じ方向を向いている関係性が非常に面白かった。
戦闘シーンも見応え十分である。
特に浜面の戦いは印象深かった。
圧倒的な力を持つ敵を相手に、知恵と根性だけで食らいついていく姿は実に浜面らしい。
敵の装備を利用しながら必死に戦う泥臭さには思わず引き込まれてしまった。
その一方で、一方通行の戦いは対照的である。
圧倒的な能力で敵を蹴散らしていく姿には爽快感があり、改めて彼の強さを実感させられた。
同じ戦いでも全く異なる魅力があるところが、本作の面白さだと思う。
そして何より印象に残ったのは終盤の展開である。
フレメアが絶体絶命の危機に陥ったその瞬間、行方不明だった上条当麻が何事もなかったかのように現れる。
あまりにも自然に登場したので思わず笑ってしまったが、それ以上に「やっぱり生きていたか」という安心感の方が大きかった。
上条の右手が敵の攻撃を打ち消した瞬間は、本巻最大の盛り上がりだったように思う。
しかし感動する間もなく、バードウェイに容赦なく扱われる流れには思わず笑ってしまった。
相変わらず上条らしい不憫さである。
読んでいて感じたのは、本巻は新シリーズの導入でありながら、新たな主人公たちの魅力をしっかり描いた物語だったということである。
浜面と一方通行の成長を描きつつ、最後には上条も帰ってくる。
旧約から続く物語の魅力を残しながら、新しい展開への期待を膨らませてくれる構成が見事だった。
そして最後に現れたバードウェイによって、科学と魔術が再び大きく動き出そうとしている。
これから始まる新たな戦いがどのようなものになるのか、続きが気になって仕方がない一冊だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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とある魔術の禁書目録(22)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(2)レビュー
考察・解説
第三次世界大戦後
『新約 とある魔術の禁書目録』における第三次世界大戦後の状況について解説する。
ローマ正教の暗部「神の右席」の最後の一人であるフィアンマがロシアで起こした第三次世界大戦は、わずか12日間で終結を迎えた。しかし、その立役者である上条当麻は消失し、物語は彼が存在しない世界として幕を開ける。
1. 魔術サイドと科学サイド(学園都市)の動向
魔術サイドは再編と改善が進み、信徒たちには安息の日々が訪れている。
・科学サイドの総本山である学園都市は、大戦における人的損害をゼロに抑えた。
・戦後の復興に莫大な資金を提供しているため、国際社会からは概ね受け入れられる態勢にある。
・しかし同時に、学園都市の持つ技術の専有性や軍事的リスクが世界中に露呈する結果にもなった。
・学園都市の上層部は、未知の新たな敵と戦うため、軍備の増強や内部体制の再構築を進めており、真の意味で大戦が終わったのかどうか不透明な状況にある。
・大戦が予想外に早く終わったため、実戦投入の機会を失ったドラゴンライダーのような最新の怪物軍用バイクが倉庫送りになるといった事態も生じている。
2. 学園都市の「闇」の解体と平穏
大戦の終結間際、一方通行(アクセラレータ)の働きかけにより、学園都市の暗部組織を縛っていた構造は撤廃され、闇のサイクルは一度崩壊した。
・激戦区ロシアから帰還した一方通行は、暗部と手を切り、打ち止めや番外個体らと共に穏やかな日常を過ごしている。
・浜面仕上は戦争の中で手に入れた学園都市の機密データである素養格付を交渉材料とした。
・これにより、絹旗、滝壺、麦野らと新生アイテムを結成する。
・かつて闇にいた彼ら卒業生たちは、一時的ながらも平穏を手に入れることになった。
3. 超常現象の爪痕と社会の反応
大戦終結間際に世界各地で発生したオカルト的な超常現象は、一般にはサードウォー症と呼ばれる、戦時下のストレスが生み出した集団ヒステリーとして処理されている。
・しかし、現実には各都市に巨大な黄金の輪や肋骨らしきものが残されている。
・国連はこれらを太平洋の無酸素海域に投棄し、海洋食物資源の復興に利用しようとする動きを見せている。
まとめ
このように、第三次世界大戦後は表向きには平穏が訪れたように見えるが、学園都市の新たな脅威への備えや、次なる暗部組織である新入生の暗躍など、水面下では次なる戦いの火種が渦巻いている状況だと言える。
学園都市の暗部
『新約 とある魔術の禁書目録』における「学園都市の暗部」について解説する。
学園都市の「暗部(闇)」とは、街の裏側で汚れ仕事を請け負う組織群のことであり、表側の科学とは異なる独自のエスカレートを遂げた技術や計画が存在する。第三次世界大戦を境にその構造は大きな変革期を迎えている。
1. 学園都市の暗部とその構造
学園都市の暗部は、強大な力を持ちながら社会生活を送るのが困難な者たちを縛り付けることで成り立っていた。
・対象者の知人を人質に取るという卑劣な手段が横行していた。
・あるいは、生活に必要な立場や書類と引き換えにする形で、無理矢理に汚れ仕事を依頼する構造が敷かれていた。
2. 主な暗部組織
作中には、街の調和を維持、あるいは破壊するために以下のような暗部組織が登場する。
・アイテム:第四位の超能力者である麦野沈利や大能力者の絹旗最愛、滝壺理后らが所属する少数精鋭の組織である。学園都市内の不穏分子の抹殺などを目的としていた。かつてはフレンダも所属していたが死亡しており、現在は無能力者の浜面仕上も深く関わっている。
・グループ:第一位の超能力者である一方通行(アクセラレータ)や、土御門元春、結標淡希、海原光貴(偽名)の4人1組で構成されていた組織である。
・新入生:第三次世界大戦後に新たに台頭した暗部組織である。黒夜海鳥やシルバークロース=アルファらが所属している。暗部からの卒業生である浜面や一方通行を罠に嵌め、上層部に彼らを反乱分子として認識させるためにフレメア=セイヴェルンを狙って暗躍する。
3. 暗部の技術と非人道的な計画
暗部では、個人の尊厳を無視した凄惨なプロジェクトや兵器開発が進められていた。
・暗闇の五月計画:学園都市第一位の思考パターンの一部を他者に強引に植え付けることで、能力の強度を飛躍的に高めようとした非人道的なプロジェクトである。絹旗最愛は防護性を、黒夜海鳥は攻撃性を植え付けられている。
・兵器とサイボーグ技術:新入生は、第三位の超能力者を超えるスペックを持つとされる無人駆動鎧であるファイブオーバーを投入する。さらに、大量の人工の腕を接続して能力を増幅させる黒夜のサイボーグ技術など、常軌を逸した兵器を駆使する。
4. 闇の解体と新たな火種
第三次世界大戦の終結間際、一方通行が上層部に牙を剥いて働きかけたことで、暗部の構造に変化が起きた。
・暗部の人員を縛っていた人質や交渉材料のシステムは撤廃され、暗部の構造は一度解体された。
・これにより、一方通行や浜面といった卒業生たちは一時的な平穏を手に入れることになる。
・しかし、新入生のように戦いの中でしか生きられない戦闘狂たちが自ら闇に戻り、新たな計画を企てている。
・さらに、学園都市上層部も外側からの脅威(魔術など)という全く異なる法則を使う敵に対抗するため、水面下で暗部を再編し、防衛体制をシフトさせようとしている。
まとめ
学園都市の暗部は、一方通行らの尽力によって旧来の人質システムが崩壊し、一度は解体へと向かった。しかし、戦いそのものを欲する新入生の台頭や、外部の超常的な脅威に対抗しようとする上層部の思惑により、闇は形を変えて再編成されつつある。表面上の平穏の裏側で、学園都市は次なる戦いに備えた新たな防衛体制へと急速に移行している。
新入生の襲撃
『新約 とある魔術の禁書目録』における新たな暗部組織「新入生」による襲撃事件について解説する。
第三次世界大戦の終結に伴い一度は解体された学園都市の「闇」へ自ら望んで戻ってきた戦闘狂たちによる、フレメア=セイヴェルンを標的とした大規模な襲撃劇の全容は以下の通りである。
1. 襲撃の目的
黒夜海鳥やシルバークロース=アルファらが所属する新入生は、暗部からの卒業を望む浜面仕上と一方通行を意図的に結びつける画策を行う。
・二人の卒業生を「一つの巨大な反乱分子」として上層部に認識させることが主目的であった。
・これにより、上層部に彼らの殺害を容認させ、自分たちの存在意義を誇示しようと企んでいた。
・そのための手段として、かつてのスキルアウトのリーダー駒場利徳や、アイテムのメンバーであったフレンダにゆかりのある無能力者の少女、フレメア=セイヴェルンが標的とされた。
2. 地下街での襲撃
襲撃はまず、第七学区の地下街で半蔵に匿われて逃走していたフレメアに対して行われた。
・シルバークロースが操る、滑腔砲と機関銃を備えた八本脚の巨大な軍用駆動鎧(パワードスーツ)が天井を破って急襲する。
・半蔵は砲撃を受けて絶体絶命の危機に陥る。
・しかし、間一髪で駆けつけた浜面仕上がリニアハンマーなどで駆動鎧の体勢を崩し、なんとか地上へと脱出することに成功した。
3. 個室サロンでの激闘と誘拐
浜面たちは第三学区の個室サロンに逃げ込むが、追跡してきた黒夜海鳥によって再び襲撃を受ける。
・黒夜は殺人チェーンソーを備えた多数の無人偵察機「エッジ・ビー」を放ち、さらに自身も窒素爆槍の能力を使って浜面を追い詰めた。
・しかし、アイテムの増援である絹旗最愛の介入を受けたため、黒夜は一時離脱する。
・一方、建物の外へ逃げたフレメアを、今度はシルバークロースが別の巨大駆動鎧で野次馬ごと轢き殺そうと急襲した。
・これは駆けつけた一方通行によって阻止される。
・だが、シルバークロースはマトリョーシカのように中から小型の駆動鎧(アルマジロ)を射出してフレメアを誘拐し、高速で逃走してしまった。
4. 追跡と反撃
フレメアを救出するため、浜面は居合わせた整備員から怪物軍用バイクであるドラゴンライダーと専用の操縦スーツを借り受け、地下鉄トンネルでシルバークロースを追跡した。
・激しいチェイスの末、浜面は駆動鎧同士の格闘戦でシルバークロースを撃破し、フレメアを奪還する。
・さらに、黒夜の指示で追加投入された第三位の超能力者をも超えるスペックの駆動鎧「ファイブオーバー」が立ちはだかる。
・浜面はLED照明を使った電磁波照射装置と対戦車ライフルの弾丸を組み合わせたゼロ距離での誘爆トラップを仕掛け、見事にこれをも撃破した。
5. 襲撃の結末
地上では、絹旗を退けた黒夜海鳥が一方通行と対峙していた。
・黒夜は大量の人工の腕を接続するサイボーグ技術を駆使し、数千の砲台から放たれる窒素爆槍で一方通行を追い詰めようとする。
・しかし、浜面が乗っ取ったファイブオーバーからのガトリングレールガンの不意討ち掃射を受け、黒夜は重傷を負い無力化された。
・最後のあがきとして、黒夜は残った腕の機能を集結させ、フレメアのいる廃ビルへ向けて数百メートルにも及ぶ巨大な窒素爆槍を放つ。
・万事休すかと思われた瞬間、ロシアから生還した上条当麻が突如として現れた。
・その右手(幻想殺し)で巨大な槍を完全に吹き散らし、新入生によるフレメア襲撃作戦は完全に失敗に終わることとなった。
まとめ
新入生による一連の襲撃事件は、解体された学園都市の暗部を再編し、生存目的を誇示しようとした戦闘狂たちの暴走であった。しかし、浜面仕上と一方通行という二人の卒業生による決死の反撃に加え、復帰した上条当麻の介入によってその陰謀は完全に粉砕された。この事件は、旧暗部たちの繋がりを強固なものにすると同時に、新たな学園都市の脅威に対する主人公たちの共同戦線の幕開けを象徴している。
フレメアの保護
『新約 とある魔術の禁書目録』におけるフレメア=セイヴェルンの保護とその経緯について解説する。
かつてアイテムに所属していたフレンダの妹であり、元スキルアウトのリーダーである駒場利徳が命を懸けて守ろうとしていた10歳ほどの無能力者の少女、フレメア=セイヴェルンを巡る保護劇の全容は以下の通りである。
1. フレメアが狙われた理由
新たな暗部組織である新入生は、彼女自身に特別な価値を見出したわけではなかった。
・彼女を襲撃することで、彼女とゆかりのある浜面仕上と、駒場を殺害した張本人である一方通行を意図的に結びつけることが狙いであった。
・二人を一つの巨大な反乱分子として上層部に認識させるための接点(餌)として利用した。
2. 襲撃と誘拐、あるいは奪還
最初は半蔵が彼女を匿い地下街を逃走していたが、シルバークロースの操る八本脚の駆動鎧に襲撃される。
・駆けつけた浜面らと共に個室サロンへ逃げ込むが、そこでも無人偵察機エッジ・ビーや黒夜海鳥の襲撃を受けた。
・混乱の中、建物の外へ出たフレメアは逃げ惑う野次馬の中で転倒し、シルバークロースが操る小型駆動鎧(アルマジロ)に誘拐されてしまう。
・しかし浜面は、偶然出会った整備員から怪物軍用バイクであるドラゴンライダーを借り受け、地下鉄トンネルでの死闘の末に駆動鎧のハッチをこじ開けた。
・この執念の追跡により、間一パックでフレメアを救出した。
3. 廃ビルでの籠城と指切りの約束
フレメアを奪還した浜面たちは、第19学区の廃ビルへ逃げ込む。
・そこで浜面は、分厚い扉を持つ元銀行エリアの大金庫の中にフレメアを隠し、安全を確保しようとする。
・駒場やフレンダなど大切な人が次々と自分の前から消えていった過去を持つフレメアは、もう誰もいなくなっちゃやだ、と泣き叫び、浜面たちから離れることを拒絶した。
・しかし浜面は、もう二度と失わせない、と決意を固める。
・絶対に帰ってくる、とフレメアと指切りを交わして彼女を大金庫に匿い、迫り来る無人駆動鎧の群れとの決死の迎撃戦に臨んだ。
4. 保護の結末
一方、駒場の遺志を汲み取った一方通行も独自に介入して黒夜海鳥を撃破する。
・追い詰められた黒夜が最後に放った巨大な窒素爆槍による一撃も、突如ロシアから帰還した上条当麻の幻想殺しによって完全に打ち消され、フレメアの安全は守り抜かれた。
・全ての戦闘が終了した後、一方通行が能力で大金庫の扉をこじ開け、フレメアを連れ出す。
・外側から強引に扉を開けられてパニックになりかけていたフレメアであったが、約束通り戻ってきてくれた浜面の顔を見ると安堵した。
・最後は泣きながら彼を強く抱き締めた。
まとめ
フレメア=セイヴェルンの保護は、新入生の陰謀によって仕組まれたものであったが、結果として浜面仕上や一方通行、そして上条当麻という、かつての敵味方の枠を超えた者たちの連携によって成し遂げられた。大切な人々を失い続けてきた少女が、命懸けで約束を守り抜いた大人たちの存在によって救われ、真の平穏へと一歩近づく重要なエピソードである。
駆動鎧との戦闘
『新約 とある魔術の禁書目録』における駆動鎧(パワードスーツ)との戦闘について解説する。
本作では、学園都市の兵器である駆動鎧が幾度も登場し、無能力者である浜面仕上がその圧倒的な暴力に立ち向かう泥臭い戦闘が描かれている。
1. 八本脚の駆動鎧(エネミーブラスター)との遭遇
新たな暗部組織である新入生のシルバークロース=アルファは、第七学区の地下街で半蔵とフレメアを襲撃する際、八本脚の駆動鎧「エネミーブラスター」を使用した。右腕に戦車用の滑腔砲、左腕に対人用の機関銃を備えた全高5メートル以上の怪物である。
・半蔵を大砲の衝撃波で追い詰めるが、複雑な地下街では電波の乱反射で精密照準に誤差が生じるという弱点があった。
・浜面はその隙を突き、警備員の装備であるリニアハンマーを使って駆動鎧の脚を払う。
・さらに滑腔砲の装填部を歪ませて砲撃を封じ、何とか地上へと逃げ延びた。
2. 無人偵察機「エッジ・ビー」との室内戦
浜面たちが逃げ込んだ個室サロンには、無人偵察機「エッジ・ビー」が複数機投入された。これは円盤型のプロペラ機で、外枠に殺人チェーンソーを備えており、壁や扉を容易く削り破って侵入してくる。
・浜面は、二重反転プロペラで姿勢制御を行っているという弱点を見抜いた。
・パラソルをプロペラに突き刺して破壊する。
・倒れた扉を上から被せて揚力を奪うなど、身の回りのものを駆使して3機のエッジ・ビーを撃墜し、フレメアを逃がす時間を稼いだ。
3. ドラゴンライダーでの超高速チェイス
フレメアを小型駆動鎧(アルマジロ)で誘拐し、高速逃走用モデル(ハイウェイチーター)で逃走したシルバークロースを追うため、浜面はトンネルで立ち往生していた輸送トレーラーから怪物軍用バイクであるドラゴンライダーと、操縦用の特殊な駆動鎧(ライダースーツ)を借り受ける。
・地下鉄トンネル内での時速数百キロに及ぶ死闘の中、浜面は補助ブースターのロケット燃料を意図的にパージして引火させ、大爆発を起こすことで敵の駆動鎧のバランスを崩した。
・そして並走しながら敵のハッチに飛び移り、強引にこじ開けてフレメアを奪還することに成功する。
4. 最新鋭機「ファイブオーバー」との死闘
廃ビルに逃げ込んだ浜面たちに対し、新入生は最新鋭の駆動鎧「ファイブオーバー・モデルケース・レールガン」を投入した。これは第三位の超能力者の超電磁砲を工学技術で再現・超越することを目的に作られたカマキリ型の兵器である。前脚に備えたガトリングレールガンは毎分4000発の金属弾を放ち、建物のフロアごと粉砕する絶望的な破壊力を誇った。
・対戦車ライフル(メタルイーターM5)でも正面からは太刀打ちできないと悟った浜面は、大量のLED照明をかき集めて即席の電磁波照射装置を作成する。
・ファイブオーバーの足元に散らばった対戦車ライフルの弾丸を強力な電磁波でゼロ距離から誘爆させ、ついにこの怪物を大破させることに成功した。
5. 奪取したファイブオーバーによる逆転
ファイブオーバーを沈めた浜面であったが、新入生のもう一人の刺客である黒夜海鳥が迫っていた。しかし浜面は、自分が着ているドラゴンライダーの操縦スーツが、学園都市製の駆動鎧としてファイブオーバーと同一規格であることに気づく。
・彼は大破したファイブオーバーの内部スペースに自身のスーツをケーブルで直結させ、緊急時の再起動モードでシステムを乗っ取る。
・油断していた黒夜に向けてガトリングレールガンを掃射し、彼女の背後に控えていた数千の人工の腕をまとめて粉砕し、形勢を完全に逆転させた。
まとめ
学園都市の最新科学を結集した駆動鎧や無人兵器の数々は、無能力者にとって絶望的な脅威として立ちはだかる。しかし浜面仕上は、兵器の構造的な弱点を見抜く洞察力と、周囲の資材を即席の武器に変える臨機応変な知恵、そして規格を逆手に取る大胆な戦術によってこれらを撃破した。圧倒的な技術格差を泥臭い執念で覆す一連の戦闘は、戦いの中でしか生きられない暗部組織への痛烈な反撃であり、浜面の持つ「可能性」を強く示すエピソードである。
暗部組織の再編
『新約 とある魔術の禁書目録』における「暗部組織の再編」について解説する。
第三次世界大戦の終結は学園都市に一時的な平穏をもたらしたように見えたが、水面下では新たな脅威に対応するための裏社会の再構築が進められていた。その背景と経緯は以下の通りである。
1. 闇の解体と新たな暗部の台頭
第三次世界大戦の終結間際、一方通行(アクセラレータ)が上層部に牙を剥いて働きかけたことで、学園都市の暗部組織で人員を縛っていた人質や交渉材料などのシステムは撤廃された。これにより、これまでの闇の構造は一度解体されている。
・一方通行や浜面仕上といった暗部からの卒業生たちは平穏を手にするチャンスを得た。
・しかし一方で、戦いの中でしか生きられない戦闘狂たちが自ら望んで闇に戻る事態を招く。
・その結果、新たな暗部組織である新入生が結成された。
2. 暗部再編の真の目的である外側からの脅威
学園都市上層部が新たな暗部を再編し、内部体制を固めようとしている背景には、切羽詰まった事情が存在する。
・それは、学園都市が掲げる科学的に開発される超能力とは全く異なる法則を用いる外側からの脅威、すなわち魔術を操る未知の敵に対抗するためである。
・学園都市は、来るべき新たな敵との戦いに備え、軍備の増強や防衛体制のシフトなどを進めている。
・この一連の準備期間の一環として、暗部組織の再構築が敢行された。
3. 卒業生の排除と内部の不安要素の一掃
新たな脅威に備えようとする学園都市上層部にとって、戦争を経て闇から離脱し、学園都市の裏事情を深く知る一方通行や浜面仕上は、目障りかつ危険な存在であった。
・新入生のシルバークロースや黒夜海鳥はそこに目をつけた。
・彼らは無能力者の少女フレメア=セイヴェルンを襲撃することで、意図的に浜面と一方通行を結びつける。
・これにより、上層部に彼らを一つの巨大な反乱分子として認識させ、交渉の余地を与えずに殺害許可を引き出すことに成功した。
・これは新入生たちの手柄への固執であった。
・と同時に、上層部が内部の不安要素をまとめて一掃し、体制を強固にしようとする暗部再編の動きと合致したものであった。
4. 拡大する被害と新たな戦いの予兆
この暗部再編と新入生の暗躍は、浜面や一方通行にとどまらず、麦野沈利や絹旗最愛ら新生アイテムの面々をも再び闇の抗争へ引きずり込む結果となった。
・このように、本作における暗部組織の再編は、単なる内部権力の入れ替わりではない。
・やがて本格化する科学と魔術の対立に向けた学園都市側の防衛・粛清機能の強化として位置づけられている。
まとめ
学園都市の暗部組織の再編は、一見すると戦後の覇権争いであるが、その本質は「科学と魔術」の全面衝突を見据えた上層部による防衛・粛清機能の強化である。一方通行や浜面仕上といった旧暗部の卒業生を排除し、好戦的な新入生を利用して体制を強固にしようとする動きは、都市内部の不和を拡大させた。この再編劇は、これから始まるより巨大な超常の戦いに向けた、科学サイドの冷酷な意思表示の幕開けとなっている。
魔術世界の提示
『新約 とある魔術の禁書目録』の結末において提示される「魔術世界」について解説する。
学園都市の内部抗争を生き抜いた者たちの前に、それまでの常識を覆す新たな世界の仕組みが提示される。その詳細と、次なる展開への契機となった出来事は以下の通りである。
1. 上条当麻の帰還と新たなる敵の存在
フレメアを巡る事件の終盤、黒夜海鳥が放った最後の一撃を完全に打ち消して現れたのは、第三次世界大戦の終結と共に行方不明となっていた上条当麻であった。
・彼は浜面仕上と一方通行に対し、学園都市の暗部である新入生が引き起こした事件や上層部の動きについて言及する。
・一連の騒動は、学園都市が新しい敵と戦うための準備期間の一環であったと語った。
2. 学園都市とは異なる法則である魔術
上条が語る新しい敵とは、かつて交戦したロシアのことではない。
・それは、学園都市が掲げる科学的に開発される超能力とは全く異なる法則を用い、超常現象を起こす連中のことであった。
・彼らは独自の組織を作り、世界の暗部で活動しながら学園都市と対立している。
・この説明を聞いた一方通行は、その未知の法則が魔術であることを即座に察した。
・これにより、世界の不思議な現象のすべてを学園都市だけが独占して扱っているわけではないという真実が提示される。
3. 魔術結社のボス、レイヴィニア=バードウェイの登場
上条が魔術の存在について説明している最中、突如として彼を北極海から引き上げて救出した恩人たちが姿を現す。
・その中心にいたのは、大勢の黒服の男たちを引き連れた12歳程度の金髪の少女、レイヴィニア=バードウェイであった。
・彼女は自らを魔術結社である明け色の陽射しのボスであると名乗る。
4. 科学の住人たちへの新しい世界の入口
学園都市の深い闇を知り、命懸けの戦いを生き抜いてきた浜面仕上と一方通行であったが、バードウェイはそんな彼らのことを、科学で無知な子供達、と呼ぶ。
・そして彼女が、新しい世界の入口へようこそ、と宣言する。
・これにより、これまでの科学サイド(学園都市内部)の抗争から、未知なる魔術結社が直接介入してくる新たな戦いの幕開けが提示され、物語は締めくくられる。
まとめ
物語の結末は、上条当麻の劇的な帰還と共に、それまで科学の法則に縛られていた浜面仕上や一方通行に対して魔術世界の存在が完全に開示される場となった。レイヴィニア=バードウェイの登場により、学園都市の暗部抗争はより広大な世界規模の対立へと昇華される。科学の常識が通用しない魔術結社という新しい世界の入口が示されたことで、物語は科学と魔術が本格的に交錯する次なる戦いへと舵を切ることになる。
とある魔術の禁書目録(22)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(2)レビュー
登場キャラクター
アイテム
浜面仕上
滝壺理后を恋人として大切に思っている。無能力者であるが、大切な人を守るために行動する。
・所属組織、地位や役職
新生アイテム。元スキルアウト。無能力者(レベル0)。
・物語内での具体的な行動や成果
地下街でシルバークロースの駆動鎧から半蔵とフレメアを救出した。個室サロンで無人偵察機エッジ・ビーや黒夜海鳥と交戦した。ドラゴンライダーを操縦してシルバークロースを追跡し、ファイブオーバーを奪取して黒夜海鳥を撃破した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
第三次世界大戦の激戦区を生き抜き、第四位の超能力者を倒した経験を持つ。
滝壺理后
浜面仕上の恋人である。常にピンク色のジャージを着用している。
・所属組織、地位や役職
新生アイテム。
・物語内での具体的な行動や成果
映画館やファミレスで浜面たちと過ごした。浜面を捜索するゲームに参加し、能力の予感で彼を探そうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
他人のAIM拡散力場を感知する能力を持つ。
麦野沈利
第四位の超能力者である。フレンダを自らの手で殺害した過去を持つ。
・所属組織、地位や役職
新生アイテム。第四位の超能力者(レベル5)。
・物語内での具体的な行動や成果
ファミレスで浜面に文句を言い、フレンダの墓参りを行った。不良少年に絡まれた浜面をからかいながら助けた。義眼を監視カメラに接続し、浜面を捜索した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
顔の三分の一を特殊メイクで隠し、片方は義眼である。
絹旗最愛
映画マニアである。大能力者として高い戦闘力を持つ。
・所属組織、地位や役職
新生アイテム。大能力者(レベル4)。
・物語内での具体的な行動や成果
ファミレスで映画や特殊メイクについて語った。浜面を捜索中、黒夜海鳥と遭遇して交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
空気中の窒素を操り、窒素装甲を展開する能力を持つ。暗闇の五月計画で防護性を植え付けられている。
スキルアウト
半蔵
浜面仕上の友人である。不良集団のスキルアウトに所属している。
・所属組織、地位や役職
スキルアウト。
・物語内での具体的な行動や成果
定食屋で浜面と食事をした。フレメアを匿って地下街を逃走中、駆動鎧の襲撃を受けた。紙飛行機型の超小型無人偵察機を作成し、浜面の追跡を支援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
人混みに紛れることや、隠れ家を用意することに長けている。
駒場利徳
スキルアウトの元リーダーである。争いを好まない性格であった。
・所属組織、地位や役職
スキルアウト。元リーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
作中ではすでに死亡している。生前は無能力者を守るために学園都市に反旗を翻す計画を企てていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フレメアが最後まで懐いていた人物である。
郭
忍者マニアの少女である。半蔵に好意を抱き、彼を追いかけている。
・所属組織、地位や役職
スキルアウト関連。
・物語内での具体的な行動や成果
街中で浜面と再会し、半蔵がフレメアを匿っていることを伝えた。廃ビルで浜面たちと合流し、トラップを仕掛けて敵を迎撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
丈の短いミニ浴衣を着ている。
新入生
シルバークロース=アルファ
新入生の一員である。自身の肉体に美的感覚を持たず、様々な駆動鎧を乗り換える。
・所属組織、地位や役職
新入生。
・物語内での具体的な行動や成果
八本脚の駆動鎧エネミーブラスターで地下街の半蔵とフレメアを襲撃した。小型駆動鎧アルマジロと逃走用のハイウェイチーターを使ってフレメアを誘拐した。地下鉄トンネルで浜面と交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
過去の制裁で顔を焼かれた経験がある。浜面との格闘戦の末、駆動鎧の制御コンピュータを破壊されて敗北した。
黒夜海鳥
新入生に所属する12歳程度の少女である。残忍な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
新入生。大能力者(レベル4)。
・物語内での具体的な行動や成果
個室サロンを襲撃し、エッジ・ビーを操って浜面たちを追い詰めた。絹旗最愛や一方通行と交戦した。フレメアに向けて最後の攻撃を放った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
掌から窒素爆槍を生み出す能力を持つ。暗闇の五月計画で攻撃性を植え付けられており、多数の人工の腕を接続するサイボーグ技術を使用する。
明け色の陽射し
レイヴィニア=バードウェイ
12歳程度の金髪の少女である。上条当麻を北極海から救出した。
・所属組織、地位や役職
魔術結社「明け色の陽射し」。ボス。
・物語内での具体的な行動や成果
物語の終盤、多数の黒服を引き連れて上条当麻とともに現れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
浜面と一方通行に対し、新しい世界の入口へようこそと告げた。
その他のキャラクター
一方通行
学園都市最強の超能力者である。黄泉川愛穂のマンションに居候している。
・所属組織、地位や役職
学園都市第一位の超能力者(レベル5)。元グループ。
・物語内での具体的な行動や成果
買い物帰りに不審な工作車両を制圧した。黒夜海鳥と交戦し、彼女の攻撃を反射した。フレメアを押し潰そうとした駆動鎧を破壊し、浜面と共にトンネルへ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
あらゆる力の向きを操作する能力を持つ。第三次世界大戦の終結間際に暗部を解体させた。
黄泉川愛穂
緑色のジャージを着た体育教師である。一方通行や打ち止めたちを自宅に居候させている。
・所属組織、地位や役職
警備員(アンチスキル)。体育教師。
・物語内での具体的な行動や成果
戦場から帰還した一方通行を殴り、抱き締めた。一方通行に買い物を頼んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
スタイルが良く、打ち止めから羨望の目を向けられている。
打ち止め
見た目は10歳前後の少女である。一方通行を慕っている。
・所属組織、地位や役職
妹達(シスターズ)の司令塔。
・物語内での具体的な行動や成果
黄泉川のマンションで番外個体とテレビゲームで対戦した。芳川が落とした豊胸マシンに興味を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一方通行と共に買い物へ行こうと懇願した。
番外個体
打ち止めに似た高校生ほどの少女である。常に悪態や嘲笑を浮かべている。
・所属組織、地位や役職
第三次製造計画の個体。
・物語内での具体的な行動や成果
テレビゲームで打ち止めを圧倒した。一方通行と共に買い物へ行き、新入生の見張りを制圧した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ミサカネットワークの悪意を抽出する特性を持つ。
芳川桔梗
元女性研究者である。黄泉川のマンションに同居している。
・所属組織、地位や役職
元研究者。
・物語内での具体的な行動や成果
番外個体に服を与えた。豊胸マシンを落として打ち止めと奪い合いになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ダイエット器具などを集める癖がある。
常盤台中学の少女
常盤台中学の制服を着た中学生である。
・所属組織、地位や役職
常盤台中学。
・物語内での具体的な行動や成果
第七学区の雑踏で浜面と肩がぶつかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ふらふらとした足取りで歩いていた。
フレメア=セイヴェルン
10歳前後の金髪の少女である。フレンダの妹にあたる。
・所属組織、地位や役職
無能力者(レベル0)。
・物語内での具体的な行動や成果
半蔵に匿われて地下街を逃走していた。シルバークロースに誘拐されたが、浜面に救出された。廃ビルの大金庫に保護された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新入生によって浜面と一方通行を結びつけるための標的とされた。
アルバイトの青年
個室サロンの受付カウンターで働いている。
・所属組織、地位や役職
個室サロンの従業員。
・物語内での具体的な行動や成果
黒夜海鳥に浜面たちの部屋を教えるよう要求され、最初は断った。エッジ・ビーで脅迫され、部屋番号とマスターキーを渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
マニュアル通りに対応しようとしたが、恐怖で屈した。
中年男
よれよれのスーツを着た男性である。家出した娘を探している。
・所属組織、地位や役職
一般の客。
・物語内での具体的な行動や成果
個室サロンの屋内射撃演習場に隠れていた。浜面の言葉に触発され、恐怖を振り切って娘を助けに行く決意をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
浜面からヒーローと呼ばれた。
丈澤道彦
兵器の整備員である。中年の男性。
・所属組織、地位や役職
整備員。
・物語内での具体的な行動や成果
トンネル内でトレーラーの荷台にいた。浜面に事情を聞き、ドラゴンライダーとその操縦用駆動鎧を貸し与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
使われずに倉庫へ送られる兵器が、一度でも人の役に立つことを望んだ。
トレーラーの運転手
ドラゴンライダーを輸送している運転手である。
・所属組織、地位や役職
輸送運転手。
・物語内での具体的な行動や成果
渋滞の中で丈澤と無線で会話した。浜面にドラゴンライダーを貸す際、固定具の解除を手伝った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
暗部による輸送ルートの変更に不満を抱いていた。
上条当麻
右手にあらゆる異能を打ち消す力を持つ少年である。
・所属組織、地位や役職
高校生。
・物語内での具体的な行動や成果
黒夜海鳥が放った巨大な窒素爆槍を右手で打ち消した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
第三次世界大戦の終結とともに行方不明になっていたが、帰還した。
集団
不良少年達
第一〇学区にたむろしている集団である。
・所属組織、地位や役職
不良グループ。
・物語内での具体的な行動や成果
墓地の前で浜面たちに絡んだ。麦野や絹旗に挑発され、浜面を襲おうとしたが逃げられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
無能力者ゆえに不良になったタイプである。
妹達
第三位の超能力者の体細胞から作られたクローンである。
・所属組織、地位や役職
クローン。
・物語内での具体的な行動や成果
ミサカネットワークを構築し、情報を共有している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
約一万人が存在している。
警備員
街の治安維持を担当する教師陣である。
・所属組織、地位や役職
アンチスキル。
・物語内での具体的な行動や成果
地下街で八本脚の駆動鎧に拳銃で応戦した。学生たちの避難誘導を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
駆動鎧の破片や衝撃波によって次々と倒された。
作業服を着た男達
新入生の下働きを行う部下たちである。
・所属組織、地位や役職
新入生関連の作業員。
・物語内での具体的な行動や成果
観光バスに偽装した工作車両内で倒れていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一方通行と番外個体によって制圧された。
黒服の男達
バードウェイに従う集団である。
・所属組織、地位や役職
明け色の陽射し。
・物語内での具体的な行動や成果
バードウェイとともに上条当麻の背後に控えていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ロシア国内に潜伏し、上条を北極海から救出する活動を行った。
とある魔術の禁書目録(22)レビュー
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展開まとめ
序章 何かの手違いで主役になった人達 War?
映画館でのひととき
浜面仕上は巨大スクリーンに映る映画を見ながら、ポップコーンを持つ手を震わせていた。
映画は巨大兵器オブジェクトに立ち向かう内容だったが、浜面は恋人と観る作品としては明らかに選択を誤ったと感じていた。
隣に座る滝壺理后も映画にはあまり興味を示しておらず、絹旗が勧めた映画だから仕方がないと呟いていた。
滝壺との会話
滝壺は映画の内容よりも、その後の予定を気にしていた。
浜面は食事を済ませた後、麦野沈利や絹旗最愛と合流し、予定されている用事を済ませることになると説明した。
そんな会話を交わしながらも、浜面は戦争を題材にした映画ではなく、自らが経験した本物の戦争を思い返していた。
生き残った実感
浜面は第三次世界大戦を生き延びたことを改めて実感していた。
そして、誰が物語の中心となるのかは最後まで分からないものだと考えていた。
第一章“彼”のいない平和的な学園都市 City.
学園都市の日常と再会
変わらない日常
学園都市は、科学技術の研究と超能力者の育成を担う巨大都市であった。第三次世界大戦の激戦区を生き抜いた浜面仕上は、数々の戦いを経験していたにもかかわらず、現在はファミレスでドリンクバーを往復させられていた。
浜面は戦争を越えても日常が大きく変わらず、自分の立場も以前と変わっていないことを実感していた。麦野沈利、絹旗最愛、滝壺理后も同じ場におり、絹旗は映画や特殊メイクの話題で盛り上がり、麦野は飲み物に文句をつけ、滝壺は疲れて眠っていた。
ファミレスの騒動
浜面はテーブルの下に落ちたパンフレットを拾おうとして騒動を起こし、滝壺に飲み物をかけてしまった。浜面は相変わらずアイテムの面々に振り回されながら、日常の延長にいるような時間を過ごしていた。
やがて四人は次の目的地へ向かうことになった。その行き先は、亡くなったフレンダの墓参りだった。
フレンダの墓参り
麦野は、かつて自らの手で殺害したフレンダの墓地へ一人で入った。浜面、滝壺、絹旗は外のベンチで待ち、フレンダの好物だったサバや、生前の様子について語っていた。
浜面はフレンダを過去形で語ることに違和感を覚えていた。しかし、その感情をどう受け止めればよいのか分からずにいた。
黄泉川宅の帰還
第三次世界大戦から帰還した一方通行は、黄泉川愛穂に殴られた後、抱き締められていた。黄泉川のマンションには打ち止め、番外個体、芳川桔梗も集まっており、打ち止めと番外個体はテレビゲームで対戦していた。
番外個体は圧倒的な強さで打ち止めを翻弄していた。その中で番外個体の服装や体格が話題となり、打ち止めは自分の将来に希望を見出していた。
豊胸マシン騒動
芳川が持っていた豊胸マシンらしき器具が床に落ちたことで、黄泉川宅では新たな騒動が起こった。打ち止めはその器具に興味を示し、芳川は慌てて弁明したが、うまく説得できなかった。
黄泉川が器具を取り上げたことで騒ぎはさらに広がった。打ち止めや芳川は黄泉川の体格を引き合いに出して大騒ぎし、一方通行は呆れながらそれを眺めていた。番外個体は、一方通行に装着して効果があるなら興味を持つかもしれないと冗談めかして答えていた。
麦野の区切り
墓地のビルから麦野が出てきた。表情に大きな変化はなかったが、彼女は中で何らかの思いを整理した様子で、終わったよと告げた。
実際には何も終わっていないのかもしれなかったが、麦野は一つの区切りをつけるようにその言葉を口にしていた。
不良達の絡み
墓地を後にしようとした浜面達の前に、不良少年達が現れた。浜面は相手の危険性を察しつつも、麦野と絹旗の実力を知っていたため、不良達へ関わらないよう忠告した。
しかし麦野と絹旗は面白がるように浜面へ抱きつき、滝壺も浜面に抱きついて自分のものだと宣言した。それを見た不良達は激怒し、浜面へ襲いかかろうとした。
包囲網の突破
浜面は状況の悪化を察し、花壇の土で目潰しを仕掛けた。その隙に包囲網を突破し、不良達から逃走した。
浜面は追っ手を振り切り、第七学区までたどり着いた。麦野達へ連絡することも考えたが、新たな面倒事に巻き込まれることを警戒し、思い直した。
平穏の違和感
一方通行は黄泉川のマンションでテレビを眺めていた。テレビでは、第三次世界大戦終結直前に起きた超常現象が集団ヒステリーとして報じられていた。
一方通行は隣で眠り始めた打ち止めに文句を言いながらも、番外個体から平穏の味を問われた。学園都市の闇に関わっていた一方通行は、自らその仕組みを崩壊させたことで情報網からも離れていた。そのため、戦争を生き延びた者達の安否も確かめられず、何かが欠けているような感覚を抱いていた。
買い物の依頼
黄泉川は一方通行に買い物を頼んだ。一方通行は不満を漏らしたが、黄泉川は誰の役にも立たず必要とされないことこそ苦しいのだと告げた。
その言葉を受け、一方通行は渋々買い物へ行くことを了承した。打ち止めは自分も同行すると主張し、番外個体もミサカネットワークを通じて広がった感情の影響から、一緒に買い物へ行きたい衝動を抑えられなくなっていた。
常盤台の少女
第七学区に逃げ込んだ浜面は、常盤台中学の制服を着た少女と肩をぶつけた。少女はふらついた様子のまま立ち去り、浜面は気にかけながらも深く関わろうとはしなかった。
浜面が飲み物を探して周囲を見回していると、突然声を掛けられた。振り向いた先には見知った人物が立っており、浜面は半蔵の名を口にした。
行間 一
スキルアウト
落ちこぼれ達の集団
学園都市にはスキルアウトと呼ばれる集団が存在していた。
学園都市では超能力開発が教育の基準となっており、その中で無能力者という烙印を押された少年少女達が集まって組織を形成していた。しかしスキルアウトは単一の組織ではなく、複数の集団をまとめて指す分類のような存在であった。
それぞれの組織は対立や連携を繰り返しながら複雑な関係を築いていたが、外部の人間からは学校では役に立たず迷惑ばかりかける集団として一括りに見られていた。
彼らには様々な事情や背景があったものの、その行動は社会的なモラルに反するものが多く、単に居場所を求めているだけでは説明できない問題も抱えていた。
駒場利徳の存在
複数存在するスキルアウトの組織は、それぞれリーダーの決め方や統治方法が異なっていた。
かつて、その一つの組織では駒場利徳という少年がリーダーとして君臨していた。しかし一一月現在、駒場利徳はすでに死亡していた。
第二章 これから先の事、選択するべき事 Dream.
第七学区の再会と闇への決断
定食屋の近況報告
浜面仕上と半蔵は、第七学区の安価な定食屋で再会した。二人は食事をしながら近況を語り合い、半蔵は最近忙しく、まともな食事も取れていなかったことを明かした。
浜面は恋人ができたことを話し、その関係を長く続けるためにも、これまでのような生き方ではなく、人を守るための力を身につけたいと考えていた。さらに、鍵開けの技術を合法的な仕事へ活かせないか模索していると語り、半蔵は適性を見極めて努力することは無駄にならないと助言した。
半蔵の仕事
会話の途中で半蔵の携帯電話に連絡が入り、半蔵は金儲けの話だとだけ告げて席を立った。それは浜面が求める守るための力ではなく、攻めの仕事であり、今の浜面には利益にならないものだった。
浜面は、半蔵と自分の進む道が少しずつ違ってきていることを感じた。しかし、その感傷は食い逃げを装った半蔵とのやり取りによって吹き飛ばされた。
平和な買い物
一方通行と番外個体は、黄泉川愛穂に頼まれた買い物をしていた。番外個体は平和な一般市民の生活に違和感を覚えていたが、一方通行は、それは平和な光景に慣れるためのものだと答えた。
二人は悪意や戦いの中で生きてきた存在であり、日常へ適応できなければ再び戦いの世界へ戻ってしまう危険があった。買い物中、番外個体は悪意ある発想を口にしたが、一方通行はそれを否定し、常識的に行動していた。その一方で、自分が常識を語る側になっていることに違和感を覚えながらも、それを悪いことではないと考えていた。
浜面捜索ゲーム
定食屋を出た浜面のもとへ、滝壺理后の携帯電話から連絡が入った。電話口では絹旗最愛と麦野沈利が話しており、三人で浜面探し競争を始めることを告げた。
一番遅く浜面を見つけた者が罰ゲームを受けるという内容であり、浜面は巻き込まれながらも彼女達とのつながりを実感していた。フレンダを失った後も、麦野、絹旗、滝壺との関係は残っており、その事実が浜面の支えになっていた。
浜面は、大切な人を守れる人間にならなければならないと改めて考えた。しかし肝心のゲームのルールが説明されておらず、浜面はその場で立ち往生した。
郭との再会
途方に暮れていた浜面は、郭と再会した。郭は半蔵を追い回していた頃とは少し様子が変わっていたが、依然として半蔵を気にかけていた。
浜面と郭は半蔵の食の好みについて意気投合し、その後、半蔵が関わっている仕事の話題へ移った。郭は、自分も半蔵の抱えている案件に関わっていることを明かし、その件について話し始めようとした。
買い物帰りの違和感
一方通行は、打ち止めへの土産として、ひよこのマスコット付きのふりかけを手に取った。番外個体はそれをからかったが、自分も無意識にマスコットへ視線を向けていることを指摘されて狼狽した。
買い物を終えた二人はスーパーを出た。番外個体は平和な日常に慣れないと語ったが、一方通行は、必要なものはすでに手に入れており、それを維持するためなら慣れないことも受け入れると答えた。さらに、誰かが決めた枠に適応して生きること自体が反抗になり得るという考えを示した。
工作車両の気配
一方通行と番外個体は、アイスクリームを食べながら帰路についていた。その途中、人混みの中で疲労した様子の銀髪の修道女を目撃した。
その後、番外個体は周囲に懐かしい嫌な気配を感じ取った。一方通行も違和感を覚え、観察の結果、観光バスに偽装された工作車両らしき存在を発見した。番外個体は、学園都市の暗部が再び動いている可能性を指摘し、安全のために見逃すか、危険を承知で排除するかを問うた。
一方通行は、暗部が契約を破って再び動き始めた以上、見逃すつもりはないと断言した。番外個体も危険な方を選び、二人は異変へ向き合うことを決めた。
郭の告白
浜面はビルの壁にもたれながら、郭から聞かされた話を思い返していた。郭は、半蔵がフレメア=セイヴェルンという少女を匿っていると語っていた。
さらに郭は、フレメアが学園都市の上層部から命を狙われており、外を歩けば短時間で殺されかねない状況だと伝えていた。学園都市の闇を知り過ぎた浜面は、自分も危険な立場にあり、第三次世界大戦で手に入れた素養格付のデータだけでは完全な安全を保証できないことを理解していた。
セイヴェルンの姓
浜面は、フレメアという名前に衝撃を受けた。セイヴェルンという姓に覚えがあったからである。
浜面は、フレメアがかつてアイテムの仲間だったフレンダの妹だと気づいた。さらに彼女は、駒場利徳が命を懸けて守ろうとしていた少女でもあった。半蔵がフレメアを匿っているのも、駒場の遺志を受け継いでいるためだと浜面は理解した。
合理性との葛藤
浜面は、滝壺やアイテムの仲間達を危険から遠ざけるためには、半蔵やフレメアを見捨てるのが最も合理的だと自分に言い聞かせた。戦争を乗り越えてようやく手に入れた大切なものを守るためには、その選択は間違っていないはずだった。
しかし同時に、半蔵は今も学園都市の闇と戦っており、フレメアの死は駒場利徳とフレンダの想いを踏みにじることになると気づいていた。そのため浜面は、この問題を単なる他人事として切り捨てることができなくなっていた。
闇への一歩
葛藤の末、浜面は見捨てることなどできないと叫んだ。合理性を捨て、大切な人達を守りたいという願いと、友人や死者達の想いを裏切れないという感情の間で苦しみながらも、自分の答えを出した。
浜面は壁に手をついて立ち上がり、死の危険にさらされている半蔵とフレメアを助けるため、学園都市の闇へ向かって歩き出した。
一人の覚悟
浜面は滝壺達へ連絡を入れなかった。学園都市との均衡が不安定な状況で、彼女達を巻き込むわけにはいかなかったためである。
浜面は必ず戻るという決意を胸に抱き、自分一人の問題として背負うことを選んだ。そして半蔵とフレメアを助けるため、学園都市の闇の中へ飛び込んでいった。
行間 二
駒場利徳とスキルアウトの変化
駒場の下で芽生えた一線
駒場利徳は大柄で筋肉質な外見から初対面の相手を怯えさせることも多かったが、争いを好まない性格の少年であった。
駒場がリーダーになったことで、無能力者たちが集まるスキルアウトの組織には、少しずつモラルのようなものが生まれていった。ただし、彼らは完全に善良な集団になったわけではなく、自分たちが学園都市から爪弾きにされたことを理由に悪事を正当化する面も残していた。
それでも、無意味な暴力を避けるようになり、何かしらの一線が芽生えつつあった。
無能力者を襲った異変
その変化が続く中で、スキルアウトの運命を左右する出来事が起きた。
強大な能力者の手によって、無能力者たちが次々と襲撃されていったのである。
第三章 わずかな余白と次へと繋がる予兆 Girl.
第七学区の再会と闇の匂い
地下街の逃走
半蔵はフレメア=セイヴェルンを連れて地下街へ向かった。フレメアは人形のように目立つ容貌であり、追われる立場では不利だった。
半蔵は多数の隠れ家を用意していたが、定期的な出入りを追っ手に捕捉されたと判断していた。そのため、隠れ家ではなく警備員の目がある地下街へ逃げ込むことで、追跡を振り切ろうとしていた。
八本脚の駆動鎧
半蔵の予想に反し、追っ手は警備員を気にせず地下街の天井を破って現れた。それは八本脚の駆動鎧であり、右腕には滑腔砲、左腕には機関銃を備えていた。
駆動鎧の砲撃で半蔵は吹き飛ばされ、意識を失った。しかし装備していたシールドAEDによって意識を取り戻した。周囲では学生が逃げ惑い、警備員も避難誘導に回るしかなかった。
通路角の退避
半蔵は床を這いながらフレメアを見つけ、彼女を抱き上げて通路の角へ逃げ込んだ。駆動鎧は砲弾を切り替えながら攻撃し、壁越しにも衝撃波を叩き込んできた。
半蔵は、地下街の複雑な構造による電波の乱反射で、駆動鎧の精密照準が乱れていると見抜いた。しかし砲撃のダメージで体力と平衡感覚を奪われており、フレメアを抱えて逃げ切るのは難しくなっていた。
浜面の奇襲
駆動鎧が左腕の機関銃を半蔵達へ向けた直後、無人の乗用車が地下街へ滑り込んだ。駆動鎧はそれを破壊したが、浜面仕上は砲撃直後の反動と衝撃波の隙を突き、背後から接近していた。
浜面は警備員の装備であるリニアハンマーを使い、駆動鎧の脚を叩いて体勢を崩した。さらに滑腔砲の装填部を歪ませて砲撃を封じ、灰皿を撃ち出して機関銃の狙いを逸らし、センサー群にも打撃を与えた。
地上への脱出
駆動鎧はなおも反撃し、浜面を叩きつけた。浜面は重傷を負いながらも半蔵に逃げろと言い、半蔵がフレメアだけを託そうとすると、半蔵も一緒に逃げるのだと拒んだ。
三人は炎上する廃車の脇を抜け、出口の階段へ向かった。駆動鎧は機関銃を撃ったが、精密照準は壊れており、赤外線装置も廃車の熱風で使えなくなっていた。最後は運にも助けられ、浜面、半蔵、フレメアは地上へ飛び出した。
終了命令
八本脚の駆動鎧をまとったシルバークロースは、右腕の調子を確かめた後、逃亡者を追うため出口の階段へ向かおうとした。そこで通信が入り、通信相手は作戦目的が達せられたとして終了を告げた。
シルバークロースは、必要だったのはフレメアと浜面の二人だけであり、三人目の護衛を生かしておけば再び脇道へ逸れる可能性があると訝しんだ。しかし通信相手は、あそこまでやれば十分であり、ここから再び分離するとは思えないと判断していた。
エネミーブラスターの意義
シルバークロースは、キャニスター弾を使えば一撃で終わらせられたと不満を漏らした。通信相手は、ロシア平原での野戦を想定した広域電波照準は、入り組んだ都市部では精度が落ちると指摘した。さらに火力が強すぎるため、殺さないようにするのも大変だったはずだと述べた。
シルバークロースは、今回重要だったのはインパクトであり、その点ではエネミーブラスターが最適だったと答えた。彼は右腕の復旧を諦め、帰還を考えながら、もう片方の状況を通信相手に確認した。
カメレオンの不応答
シルバークロースは、地上で待機しているサポート要員へ連絡を取った。彼らは観光用の大型バスに偽装した特殊車両を使い、街の風景に溶け込んでいた。
しかし、カメレオンと呼ばれた相手は応答しなかった。異変を察したシルバークロースに対し、通信相手は心配ないと告げ、向こうも動き出していると言った。その言葉には、シルバークロースを嘲笑する響きがあった。
工作車両の制圧
番外個体は、黒煙を上げる地下街出入り口ではなく、目の前の大型バスへ視線を向けていた。一方通行と番外個体は、暗部の工作車両をすでに制圧していた。
その車両は一見すると観光バスだったが、内部は巨大な何かを運ぶための空間になっていた。作業服の男達が倒れており、工具、砲弾、装甲板、巨大なバッテリーパックなどが保管されていた。床や壁、天井には留め具もあり、走行中に中身が倒れないようになっていた。
一方通行は、それが駆動鎧を運ぶための車両だと見抜いた。警備員の装備なら隠す必要がないため、暗部絡みの面倒な事態になっていると判断した。
新入生の名
工作車両の中で倒れていた男の一人が呻いた。一方通行は、闇は前の大戦の終結とともに解体され、人員を縛る人質や交渉材料も解放されたはずだと問い詰めた。
男は、自分達を新入生だと答えた。そしてすぐに分かると言い残し、手足から力を抜いて意識を失った。番外個体は、男の頭に傷痕があり、チップで意識を遮断しているようだと判断した。
一方通行は男を放置した。番外個体は意識のない男へ悪戯しようとしたが、一方通行は相手にせず、工作車両の壁に貼られた地図と写真へ目を向けた。
フレメアの写真
工作車両の壁には、建物や道が蛍光マーカーで色分けされた地図が貼られていた。何者かの行動範囲を調べているようであり、その横には写真もあった。
一方通行が写真を剥がすと、そこには金髪に青い瞳をした十歳ほどの少女が写っていた。写真には、フレメア=セイヴェルンという名前が書かれていた。
半蔵の怒り
浜面達は、駆動鎧を避けるため細い路地を何度も曲がった。しかし三人とも体力が続かず、途中で立ち止まった。
半蔵は浜面の襟首を掴み、なぜ自分から関わったのかと怒鳴った。その怒りは浜面へ向けたものではなく、浜面を巻き込んでしまった自分自身への怒りだった。半蔵は、浜面が女と出会い、先のことを考え、まともな道へ進もうとしていたはずだと訴えた。
浜面は、本当は闇に関わりたくなかったと答えた。しかし半蔵が危険なことに関わり、そこにフレメアが絡み、さらに駒場の顔やセイヴェルンという姓にまつわる事情が頭に浮かんだため、放っておけなかったのだと語った。
個室サロンの避難
半蔵は、使っている隠れ家はすべて使えないと考えた方がいいと判断した。郭に連絡すれば何とかなる可能性はあったが、彼女を待つ間にも安全な場所が必要だった。
浜面は、不良以外に関わりのある組織としてアイテムを思い出した。そして、かつてアイテムが隠れ家として使っていた第三学区の個室サロンなら使えそうだと答えた。
追跡の理由
一方通行と番外個体は工作車両を調べたが、駆動鎧の所有者や装備を使っている組織について、それ以上の情報は得られなかった。番外個体は、フレメアの写真を振りながら、どう見ても彼女を襲撃する意図だと述べた。
一方通行は、その少女に見覚えがあった。過去に学園都市の安全を脅かす敵として排除した駒場利徳が、最後まで守りたかった人間の一人だった。
番外個体は、フレメアは最終信号ではないと指摘した。一方通行は、守る理由は特にないが見捨てる理由にもならないと答えた。また、この街の闇の構図が知らないところで変動しており、新入生という言葉も気にかかるため、脅威の方向性を調べる必要があると判断した。
買い物袋の押しつけ合い
一方通行は番外個体に買い物袋を預け、地図を手がかりに追跡へ向かおうとした。番外個体は彼を引き止めるため、背後から頭に袋を被せた。
一方通行はチョーカー型の電極のスイッチを入れ、能力で袋を内側から引き裂いた。番外個体は、そこまでする義理があるのかと問い、フレメアは最終信号ではないと改めて指摘した。
一方通行は、自分の目的は脅威のレベルと方向性の確認であり、フレメアがどうなろうが知ったことではないと吐き捨てた。番外個体はそれを優しさとしてからかったが、一方通行は無視して歩き出した。
秘密基地の個室サロン
個室サロンは、時間ごとに部屋を借り、その中で自由に遊んだりパーティを開いたりできる学園都市特有のサービスだった。学生の多くが管理された学生寮で暮らし、大人の目にさらされるため、個室サロンは金で買える秘密基地のような役割を持っていた。
浜面達は、その巨大なビルの高層階の一室へ逃げ込んでいた。浜面は携帯電話のメモリに登録された滝壺、絹旗、麦野の番号を見ていた。彼女達なら素性の知れない敵に対する戦力になるはずだった。
しかし浜面は、フレメアがフレンダの妹である可能性を考えたうえで、アイテムの面々を闇に巻き込みたくないと判断し、携帯電話の電源を切った。
狙われる理由
半蔵は、電話をするならダミーのSIMを使えと浜面に声をかけた。浜面はそれを断り、フレメアがなぜ暗部に狙われているのかを半蔵に尋ねた。
半蔵は、正確な理由は分かっていないと答えた。フレメア自身に特別な何かがあるわけではなく、身体検査では無能力者扱いであり、DNAマップ関連で莫大な価値があるという線でもなさそうだった。本物の闇と接触する機会もなく、接点は半蔵や駒場利徳との関係が精一杯だった。
浜面と半蔵は、考えられる理由としてスキルアウト関連、または駒場利徳関連を挙げた。駒場はスキルアウトを率いて学園都市に反旗を翻す計画を企てており、半蔵も立案に深く関わっていた。そのため、駒場が別の脆弱性に関するヒントをフレメアへ託していたと見られている可能性があった。
フレンダ経由の線
浜面は、フレメアにはもう一つの接点があると考えていた。それは、フレンダとアイテムだった。
フレンダがアイテムの一員だった以上、フレメアがフレンダ経由で何かを手にしている可能性もあった。浜面は、フレンダの行動を二十四時間把握していたわけではないため、彼女が別のプロジェクトに関わっていた可能性も否定できなかった。
情報が少なすぎるため、浜面は逃げながらでもフレメアが狙われる理由を調べる必要があると判断した。半蔵は、反撃は安全を確保してからだと告げ、郭と連絡を取るために部屋を出た。
半蔵の感謝
半蔵は、個室サロンも安全とは言い難く、中継ポイントにすぎないと考えていた。郭のネットワークを使い、安全な隠れ家へ移動するつもりだった。
部屋を出る前に、半蔵は浜面へ声をかけた。そして、浜面が来てくれて助かったことを、不愉快だが認めると言い残した。浜面が何か答える前に、半蔵は部屋の外へ出て行った。
駒場を待つ少女
浜面は居心地の悪さを感じながら視線をさまよわせ、フレメアと目が合った。フレメアは、かつて駒場利徳が命を懸けて守ろうとした少女であり、フレンダの妹でもあった。
浜面は久しぶりと声をかけ、自分の顔を覚えているか尋ねた。フレメアは、駒場のお兄ちゃんと一緒にいる人だと答えた。浜面はその覚え方に少し笑い、浜面仕上だと名乗った。フレメアも自分の名前を名乗った。
浜面はフレメアの怪我を心配した。フレメアは、さっきまで耳が痛かったが今は大体何ともないと答えた。
駒場への嘘
フレメアは、これからどうするのかと浜面に尋ねた。浜面は、半蔵が仲間を呼んでいるため心配しなくていいと答えた。
しかしフレメアは、駒場のお兄ちゃんはどこにいるのかと尋ねた。電話にも出ず、いつもの道にも姿を見せないため、どこへ行ったのか知っているかと聞いた。
浜面は息を止めないよう努めながら、駒場は頭が悪く、今はずっと学校で補習を受けており、これをやらないと留年になるのだと嘘をついた。フレメアは沈んだ声で大体分かったと答えたが、その落ち込みは休日の遊びの約束ができなかった程度のものだった。
軽食の時間
フレメアはソファに座り、お腹が鳴りそうで鳴らないと言った。浜面が何か食べたいのかと尋ねると、彼女は小さく頷いた。
個室サロンには内線で料理を注文する仕組みがあり、浜面はフレメアの好みを知らないまま適当に注文した。そこへ半蔵が戻り、郭がもうすぐ来ると告げた。浜面が食事を注文していると知ると、半蔵は薩摩揚げも頼むように言った。
料理は一〇分ほどで届いた。フライドポテトや野菜スティックなどの軽食が並ぶ中、薩摩揚げだけが浮いていたが、半蔵は自分が独占するからいいと答えた。
グリーンピース騒動
フレメアはカニ玉の中に入っていたグリーンピースに気づき、それを浜面の小皿へ寄せた。浜面は、彼女がグリーンピースを嫌いなのだと察した。
浜面は、世の中は甘くないことを知った方がいいとして、グリーンピースを倍にして返した。フレメアは絶叫した。
その後も、半蔵がフライドポテトの大皿に直接塩を振って浜面と掴み合いになったり、野菜スティックをマヨネーズで食べるかドレッシングで食べるかで論争になったりした。駆動鎧に襲撃された直後であったが、部屋の暗い雰囲気は概ね払拭された。
アイテムの違和感
浜面達の動きに違和感を覚えている者は、他にもいた。麦野沈利達アイテムの面々は、街のどこかにいる浜面を捜すためにバラバラに行動していたが、それぞれの場所で、きな臭くも懐かしい闇の匂いを嗅ぎ取っていた。
麦野は情報収集のため、ビルの壁に寄りかかり、眼帯と一体化した義眼のケーブルを監視カメラへ接続していた。ビル自体に興味があったわけではなく、警備会社のネットワークに侵入し、映像アーカイブから浜面の影を探っていた。
義眼越しの探索
麦野は、生身の脳と機械の瞳を直結させることで、機械から直接情報を受け取っていた。人間が感知できる情報へ翻訳する必要があり、映像に頼る部分も大きかったため万能ではなかったが、高速検索は可能だった。
麦野は額の裏側で映像検索を続けながら、携帯電話でアイテムの面々と複数回線の通話を行っていた。彼女は、第七学区の地下街で駆動鎧が暴走した件に触れ、時間が経てば上が映像や噂を補正して、なかったことにしそうだと語った。
襲撃情報の共有
絹旗は、警備員の無線を傍受した方が早そうだと返した。最初に狙われたのは男女一組で、その後に男一人が追加され、三人は駆動鎧を振り切って地上へ逃走したという情報を得ていた。
麦野は、最初の二人は浜面ではないと判断したが、追加された男については煙のせいで人影しか見えず、分からないと答えた。ただし最初の二人組の男は浜面と話していた人物ではないかと考え、女の子の方にも見覚えがあるように感じていた。
絹旗は、麦野が浜面の交友関係まで調べていたことをからかった。麦野は、絹旗が近くにいることを把握していると返し、威嚇した。絹旗は浜面捜しを続ける方針を示し、監視カメラと無線情報のどちらが先に正解へたどり着くか見物だと笑った。
滝壺の予感
麦野は、罰ゲームのバニーは滝壺で決まりかと疑問を口にした。すると、それまで黙っていた滝壺理后が、北北東から信号が来ていると震えた声で言い、浜面が他の女とイチャイチャしている予感があると告げた。
絹旗は、こういう曖昧なチャネラーが一番恐ろしいと評し、浜面の前で無様なバニー姿をさらさないためにも、互いに全力で挑むべきだと麦野に呼びかけた。
郭の遅延
個室サロンでは、半蔵がソファにもたれながら、郭が遅いと口にした。浜面とフレメアは広い室内の備品を調べていた。棚にはカードゲームやボードゲームが収められ、大型テレビの近くには据え置き型のゲーム機が揃っていた。
テレビはブラウジングにも使えるようで、CSも入り、選べるチャンネルは三〇〇以上あった。しかし選択肢が多すぎるため、観たい番組を探すだけでも苦労する状況だった。放置された画面では、第三次世界大戦の終戦関連のニュースが流れ、不要になった兵器を第二学区や第二三学区へ移送していると伝えていた。
秘密基地の暇潰し
浜面はテレビを諦め、ソファでロードサービスの参考書を読んでいた。しかしフレメアに服の端を掴まれ、彼女のリクエストで複数人用のゲームを探すことになった。
このタイミングで遊び道具に目を向けるのは不謹慎にも見えたが、じっとしていて頭がおかしくなるのを避けるための心の防御反応でもあった。彼らの勝利条件は、無事に元の日々へ戻ることであり、得体の知れない八本脚と運命を共にすることではなかった。
ブラッド&デストロイ
フレメアは棚の上段にあるゲームソフトを取りたがったが、手が届かなかった。浜面が指示に従って棚を探していると、フレメアは浜面を梯子代わりによじ登った。
フレメアが選んだのは、ブラッド&デストロイという不穏なタイトルのゲームだった。パッケージにはいかつい男達とゾンビの銃撃戦が描かれており、説明文からすると操作する側は食べる側らしかった。浜面は別の穏やかなゲームを勧めたが、フレメアは譲らなかった。
浜面は却下しつつも、真っ赤なパッケージを抱えて見上げるフレメアの姿が面白かったため、写真を撮らせてほしいと言った。フレメアは抗議するように声を上げた。
長居への不安
浜面とフレメアがはしゃいでいると、半蔵がソファから立ち上がった。郭が遅すぎるため、もう一度連絡を取ると言ったのである。
フレメアが携帯電話の画面を覗き込んでいる隙に、浜面は半蔵へ、ここも長くはもたないという意味のジェスチャーを送った。半蔵は、それを分かっていると細く息を吐くように答えた。
偽装ダンプの整備場
巨大なダンプカーの中には、駆動鎧の整備場が隠されていた。荷台には黒い石の山が積まれているように見えたが、それは偽装であり、実際にはドーム状の空間の外側に貼り付けられているだけだった。
内部では、化学性スプリングの軋む音が響いていた。駆動鎧の中では、動くたびにこの音に包まれることになり、慣れない人間が聞き続ければ精神に変調をきたすという噂もあった。
枝の剪定
シルバークロースは準備ができていると告げたが、回りくどいやり方ではないかと疑問を呈した。通信相手は、今のままではまだラインが多く、もう少し枝を切っておいた方がいいと答えた。
シルバークロースは、ラインを限定するならアイテム関連を潰す方に回るべきではないかと指摘した。しかし通信相手は、潰せるものから順に潰す方が手っ取り早いと返し、以前の失敗を理由に、枝の伸びる方向が変わっても困ると述べた。
シルバークロースは、剪定の意義を忘れるなと念を押した。通信相手は、剪定の基本は強く太い枝を選ぶことであり、その意味では今回の枝が最も太く、扱いやすいと答えた。
浜面への接近
通信相手は予定を確認し、自分は浜面仕上へ向かい、シルバークロースには蜂でサポートするよう命じた。一方通行についてはまだ構わないとし、リスクは少ない方がいいと判断していた。
通信相手は、向こうも向こうで動き始めているため、外堀を埋めれば後は磁石のように自然と繋がると見ていた。シルバークロースは、先にアイテムを奇襲で潰しておいた方が安全だと懸念したが、通信相手は、そうなれば手間が省けるだけだと答えた。
暗闇の五月計画
シルバークロースは、懸念しているのは麦野沈利でも絹旗最愛でもなく、暗闇の五月計画だと告げた。通信相手は、それなら絹旗のことだと受け取り、不安は杞憂だと言い切った。
通信相手は、単純な攻撃性なら計画の当初から自分の方が上であり、今ではただの能力者の枠を超えていると語った。その言葉には侮蔑の調子が混じっていた。
ビーランチャー
通信相手は、シルバークロースが以前より地味になっており、サポート役とはいえ二本脚は珍しいとからかった。シルバークロースは、自分はTPOを弁えて着こなす人間だと答えた。
シルバークロースは、きちんと成果は出しており、今回も同じだと語った。どれが一番かではなく、エネミーブラスターにはエネミーブラスターの、ビーランチャーにはビーランチャーの使い方があると説明した。
通信相手とシルバークロースは、予定通りに動くことで合意した。通信相手はフレメア=セイヴェルンの名を挙げ、まったく大した人材だと嘲るように賞賛した。
行間 三
無能力者襲撃の発端
口論から広がる報復
無能力者が襲撃される原因は、スキルアウトにあった。最初に能力者達へ手を出したのはスキルアウト側だったが、実際に殴り合ったわけではなく、軽い口論のようなものだった。たまたまスキルアウト側が複数人いたため、不良少年側が強く出ただけであった。
しかし、その報復はスキルアウトだけに留まらなかった。街を歩く無能力者であれば、気に食わないという理由だけで矛先を向けられるようになった。実際に被害に遭っていたのは武装したスキルアウトではなく、何の罪もない無能力者達だった。
正当な報復の暴走
標的は小学生から大学生まで区別されず、暴力は凄惨なものになっていた。リスクのない暴力を楽しむ者達によって、被害の範囲は急速に広がっていった。
ネット上では、正当な報復という呼びかけに面白半分の反応が集中した。その過程で、強大な能力者達も次々と参加を表明した。もはや当事者かどうかは関係なく、暴れたい、殴りたい、罪悪感なくストレスを解消したいという理由だけで、多くの人間が闇討ちを始めていた。
小学校への矛先
やがて掲示板には、無能力者ばかりが通う学校を悪の権化と呼び、鉄槌を下す参加者を求める書き込みが現れた。提示されたのは、どこにでもあるような小学校だった。そこへ通う生徒達は、スキルアウトとは何の縁もない人々だった。
しかし、襲う側にはその理屈は通じなかった。彼らは、一度でも無能力者から馬鹿にされたこと自体を許せないという感情で動いており、矛先がどこへ向かうかは、矛を持つ本人達にも分かっていなかった。
駒場利徳の責任
駒場利徳は、本来争いを好まない性根であった。だが、無関係な無能力者達にまで被害が広がり、小学校にまで矛先が向けられたことで、これ以上の責任は自分達の手で取るべきだと考えるようになった。
第四章 善人になる権利と突っぱねる権利 Black.
個室サロン襲撃から新たな駆動鎧群まで
地下街の襲撃
半蔵はフレメア=セイヴェルンを連れて地下街へ逃げ込んだ。隠れ家の出入りを追っ手に捕捉されたと判断し、警備員の目がある場所なら追跡を振り切れると考えたためである。
しかし追っ手は警備員を気にせず、八本脚の駆動鎧で地下街の天井を破って現れた。駆動鎧は右腕の滑腔砲と左腕の機関銃で攻撃し、半蔵は砲撃で吹き飛ばされたが、シールドAEDによって意識を取り戻した。
浜面の救援
半蔵はフレメアを抱えて逃げようとしたが、砲撃によるダメージで体力と平衡感覚を奪われていた。駆動鎧が機関銃を向けた直後、無人の乗用車が滑り込み、駆動鎧がそれを破壊した隙に浜面仕上が背後から接近した。
浜面はリニアハンマーで駆動鎧の脚を叩き、体勢を崩させた。さらに滑腔砲の装填部を歪ませ、灰皿を撃ち出して機関銃の狙いとセンサーを狂わせた。浜面は重傷を負いながらも、半蔵とフレメアを連れて地上へ逃げ出した。
新入生の痕跡
八本脚の駆動鎧を着たシルバークロース=アルファは、逃亡者を追おうとしたが、通信相手から作戦終了を告げられた。通信相手は、浜面とフレメアの接点を作る目的は達せられたと判断していた。
一方通行と番外個体は、観光バスに偽装された工作車両を制圧していた。内部には駆動鎧を運ぶための設備や装備があり、倒れていた男は自分達を新入生と名乗った。一方通行は、車内の地図とフレメアの写真を見つけ、彼女が駒場利徳の守ろうとした少女だと気づいた。
個室サロンの避難
浜面、半蔵、フレメアは細い路地を抜け、第三学区の個室サロンへ逃げ込んだ。半蔵は他の隠れ家が使えないと判断し、郭と連絡を取るまでの中継地点としてそこを選んだのである。
浜面は滝壺、絹旗、麦野へ助けを求めることも考えたが、フレメアがフレンダの妹である可能性を考え、アイテムを闇に巻き込むことを避けた。半蔵と浜面は、フレメアが狙われる理由として駒場利徳やフレンダ経由の可能性を考えたが、確かな答えには辿り着けなかった。
フレメアとの時間
半蔵が郭を探しに部屋を出た後、浜面はフレメアと会話した。フレメアは浜面を、駒場のお兄ちゃんと一緒にいる人として覚えていた。
フレメアは駒場の所在を尋ねたが、浜面は駒場が学校で補習を受けていると嘘をついた。その後、浜面はフレメアのために軽食を注文し、半蔵も戻って薩摩揚げを頼んだ。食事中にはグリーンピースやフライドポテトを巡る騒ぎも起き、襲撃後の暗い空気は一時的に和らいだ。
アイテムの捜索
麦野、絹旗、滝壺は、それぞれ浜面を捜しながら、街に漂う闇の匂いを感じ取っていた。麦野は義眼を監視カメラへ接続し、警備会社の映像から浜面の影を探していた。
絹旗は警備員の無線から、地下街で男女一組と追加の男が駆動鎧に襲われた情報を掴んでいた。滝壺は明確な手がかりを持たないまま、北北東から信号が来ていると感じ、浜面が他の女と関わっている予感を口にしていた。
郭の不通
個室サロンでは、半蔵が郭と連絡がつかないことに苛立っていた。浜面は、郭が行きそうな監視されない道を逆に手がかりにできると考え、半蔵は安全地帯を地図へ書き込んでいった。
半蔵は郭を探しに行くことを決め、浜面にフレメアを託した。浜面は半蔵に郭を必ず連れてくるよう求め、二人は役割を分けた。
黒夜海鳥の侵入
黒夜海鳥は、目立つ姿のまま個室サロンへ正面から入った。彼女は受付で浜面とフレメアの部屋を尋ねたが、アルバイトの青年は個人情報を理由に拒んだ。
黒夜はエッジ・ビーで青年を脅し、部屋番号とマスターキーを得た。そして掌から窒素爆槍を噴き出させ、仕事を始めると口にした。
エッジ・ビーの襲撃
浜面が部屋で異変を感じた直後、扉を切断して三機のエッジ・ビーが侵入した。浜面はフレメアを出口へ走らせ、自分が機体を引きつけた。
浜面はパラソルをプロペラへ差し込み、扉を盾にしてエッジ・ビーを潰した。しかし一機はチェーンソーをタイヤ代わりにして床を走り、浜面へ迫った。その直後、窒素爆槍が壁を切り裂き、エッジ・ビーを粉砕したが、現れた黒夜は浜面にとってさらに危険な存在だった。
黒夜の分断
黒夜は窒素爆槍で壁や床を切り裂き、浜面とフレメアを分断した。浜面は防火シャッターを落として反撃しようとしたが、黒夜はそれを容易く破壊した。
フレメアは浜面の言葉に従い、非常階段へ向かった。黒夜はフレメアを追うため、通路の床を裂いて浜面の行く手を塞いだ。浜面はフレメアと合流するためには回り道と強力な武器が必要だと判断した。
ビーランチャーの包囲
第三学区の空白地帯では、シルバークロースが偵察型駆動鎧ビーランチャーを使っていた。背中の鉄柱には一〇〇機を超えるエッジ・ビーが収められ、すでにその半数が街へ放たれていた。
シルバークロースは、エッジ・ビーや警備ロボット、地下通信網の情報を使い、個室サロン周辺の逃げ道を封鎖していた。フレメアが逃げ切る可能性を潰すことが目的だった。
射撃演習場の武器
浜面はフレメアを助けるため、個室サロン内の屋内射撃演習場へ向かった。そこにはクロスボウや吹き矢、ゴム式ライフルなどの狩猟用品があるはずだった。
途中でエッジ・ビーに襲われた浜面は恐怖に呑まれかけたが、とっさに消火器を叩きつけて撃退した。爆発で釣り針を浴びながらも射撃演習場へ入り、電動補助式ブロウパイプを選んだ。
中年客の再起
射撃演習場には、よれたスーツ姿の中年男が隠れていた。彼は家出した娘を探しに来ていたが、本物の危機に直面し、自分が助かる方法しか考えられなくなっていた。
浜面は中年男を責めず、家族を守るために働き続けてきた彼こそ自分の憧れだと語った。その言葉で中年男は震えを止め、自分も娘を助けに行くと決めた。浜面はエッジ・ビーを引きつけるため、一人で通路へ飛び出した。
窒素爆槍との再戦
浜面は黒夜と再び対峙し、電動補助式ブロウパイプで攻撃した。黒夜は矢を避けたが、浜面は当たれば通じると見抜いた。
しかし黒夜は一気に距離を詰め、ブロウパイプを窒素爆槍で内部から破裂させた。浜面は床へ転がり、黒夜に悲鳴を上げさせるための標的にされかけた。
黒夜の離脱
黒夜が浜面にとどめを刺そうとした時、シルバークロースから通信が入った。問題が発生したため自分は外へ出る、施設内は引き継ぐという内容だった。
黒夜は相手がアイテムの増援ではなく、自分と相性の悪い力押しの存在だと知り、浜面から離れた。彼女は窓を破って外へ飛び出し、窒素の槍で気流を操作して空中へ留まった。浜面は、黒夜がアイテムにも何かを仕掛けるつもりだと察しながら、フレメアを追うため非常階段へ向かった。
一方通行と黒夜
黒夜は個室サロンの地上へ降り、オープンカフェで一方通行を迎えた。一方通行は工作車両で得た地図と写真、そして黒夜の闇の匂いを手がかりに辿り着いていた。
一方通行は、闇は消えたはずだと黒夜へ問い詰めた。黒夜は、確かに人質や条件による鎖は白紙に戻されたが、すべての人間が闇から出たいわけではないと答えた。そして一方通行の思考を移植した暗闇の五月計画の存在を示した。
野次馬への攻撃
黒夜は一方通行との正面対決では不利だと認めつつ、守ることへの弱さを突くため、野次馬へ窒素爆槍を向けた。一方通行は椅子から跳ね上がり、攻撃を吹き散らした。
黒夜は二つに裂けたフレメアの写真を示し、彼女の首を写真のように斬れるかと挑発した。黒夜の目的は、一方通行を力で倒すことではなく、フレメアを利用して浜面とのラインを確定させることにあった。
ビーランチャーの突撃
浜面は個室サロンの外へ出て、フレメアの声を聞いた。野次馬に紛れて彼女を探す中、ビーランチャーの巨体が路上の自動車を蹴散らして現れた。
駆動鎧はフレメアを押し潰そうとし、跳ね上げた自動車が彼女とベビーカーの上へ落ちかけた。フレメアは赤ん坊を見て逃げることをためらったが、一方通行が飛び蹴りで車を吹き飛ばし、フレメアと赤ん坊を救った。
アルマジロの奪取
シルバークロースは、ビーランチャーが一方通行に破壊されることを織り込み済みで動いていた。巨大な機体の前面が開き、中からアルマジロのような小型駆動鎧が飛び出した。
小型機は空中でフレメアの後ろ首を掴み、逃走用の四足駆動鎧へ乗り換えた。シルバークロースは状況に応じて最適なモデルを選び、後部プロペラを備えた機体で一気に街中を逃走した。黒夜は通信機へ、自分達の勝ちだと告げた。
浜面と一方通行
浜面は折れた鉄パイプを拾い、一方通行へ協力を求めようとした。しかし一方通行は浜面を地面へ叩きつけ、容易には手を組まなかった。
浜面は警備員の拳銃を掴み、打ち止めを脅迫材料にできる状況にあったが、引き金を引けなかった。彼は打ち止めが関係ないから撃つ理由がないと答えた。その後、浜面は駒場利徳の名を出し、一方通行にもフレメアを助ける理由があると訴えた。
攻撃許可の成立
黒夜は、浜面と一方通行を結びつけることに成功し、上層部から攻撃許可を引き出した。二人が結束すれば大きな反乱分子と見なされ、一方通行と浜面に関わる人材や資金、備蓄まで解体対象となる可能性があった。
一方通行は番外個体へ、打ち止め、黄泉川、芳川を守るよう警告した。そのうえで、罠に乗ったまま真正面から壊すのが駒場のやり方だと判断し、浜面と共にフレメアの追跡へ向かった。
スポーツカーの追跡
浜面はスポーツカーを盗み、一方通行を乗せて走り出した。二人は、フレメアをさらった四足駆動鎧が大型車へ格納される可能性を考え、半蔵へ連絡した。
郭は通信遮断されていただけで無事だった。半蔵は紙飛行機型の超小型無人偵察機を組み立て、空から大型車両を探した。映像を受けた一方通行は、偽装されたダンプカーと四足駆動鎧を発見した。
トンネルの攻防
四足駆動鎧はダンプカーへ格納されようとしていた。浜面はスポーツカーを斜め後ろから擦りつけ、暴走車両を止める警備員の技術を使ってダンプカーを壁へ押しつけた。
ダンプカーは制御を失って横転し、トンネルを塞いだ。しかし四足駆動鎧は、横転した車体と天井の隙間を飛び越えて逃走した。浜面達のスポーツカーは衝突して止まったが、トンネルを抜けたことで一方通行は能力を使える状況になり、天井を引き裂いてさらに追跡を始めた。
ドラゴンライダーの起動
トンネル内では、HsSSV-01ドラゴンライダーを積んだ大型トレーラーが立ち往生していた。整備員の丈澤道彦は、戦争で使われず倉庫行きになるその怪物軍用バイクについて、せめて一度くらい人の役に立ってほしかったと考えていた。
そこへ浜面が現れ、フレメアを助けるためにドラゴンライダーを貸してほしいと訴えた。丈澤は、フレメアの名前や特徴を具体的に叫ぶ浜面を当事者と認め、専用駆動鎧を着せてドラゴンライダーを託した。
亜音速の追跡
浜面はドラゴンライダーを発進させたが、最初はまともに操れているわけではなかった。駆動鎧が浜面の肉体を外側から補助し、さらに内側から認識や経験を補強することで、彼は時速四〇〇キロを超える車列の隙間を抜けていった。
トンネルを抜けると補助ブースターが展開し、速度は時速九〇〇キロへ達した。浜面は半蔵のMAVではなく、四足を追う一方通行を空から探せば標的に辿り着けると考えた。
ハイウェイチーターの逃亡
シルバークロースは、逃走用の四足駆動鎧ハイウェイチーターで時速七五〇キロに達していたが、一方通行の白い影に追われていた。黒夜の助言から、彼は一方通行がトンネル内の電波障害を嫌うと見抜き、地下鉄線路へ飛び込んだ。
地下トンネル内で追ってきたのは一方通行ではなく、浜面のドラゴンライダーだった。浜面は補助ブースターの燃料を放出し、ロケット燃料を起爆させて四足駆動鎧をトンネルの壁へ弾き飛ばした。
フレメアの救出
シルバークロースは小型のライフアーマーで離脱し、フレメアを四足駆動鎧の中に残した。浜面は四足を壁へ押しつけ、ハッチを塞ぐボルトを削り取ろうとしたが、損傷した機体のハッチが前方へ開き、フレメアが高速で放り出される危険が生じた。
浜面はドラゴンライダーから四足へ乗り移り、前面ハッチをこじ開けた。フレメアが転がり落ちる寸前、浜面は片手で彼女を抱き留めた。しかし四足のエンジンから黒煙が噴き、二人はなお危機の中にいた。
トンネルの逆転
一方通行はトンネル入口で追跡を止め、番外個体へ情報収集を指示した。打ち止めは黄泉川宅へ戻っており、番外個体は新入生の見張りをすでに処理していた。
一方、シルバークロースは爆発した四足の監視映像から、フレメアを抱えて生き延びた浜面を目撃した。彼は地下鉄の監視網へ接続して情報を探ろうとしたが、浜面が電子的な網を張って逆に位置を特定していた。フレメアは半蔵達へ預けられ、追う者と追われる者が逆転した。
シルバークロースの敗北
浜面は、シルバークロースがフレメアを再確保するため半蔵を襲うと読み、その迂回ルートを割り出して待ち伏せた。彼はアルマジロ型駆動鎧へ飛び蹴りを叩き込み、駆動鎧同士の格闘に持ち込んだ。
シルバークロースは駆動鎧の補強スクリプトを解析し、浜面の始動を五つに絞って迎撃する罠を作った。しかし浜面は最後にコンピュータの補助を切り、自分の手で範囲外の一撃を放った。その拳はシルバークロースの弱点を打ち抜き、全可動部を停止させた。
新たな駆動鎧群
浜面はシルバークロースを倒したが、暗いトンネルの奥から新たな駆動鎧群が現れた。壊れた駆動鎧の中で動けないシルバークロースは、あの女が自分のハンガーから勝手にコレクションを出撃させたのだと呟いた。
浜面のスーツは壊れ、運動量の増幅も思考補助も使えない状態だった。半蔵はフレメアを郭に任せていると告げ、近くの隠れ家へ向かうことになった。浜面は、フレメアを助けるためには新たな駆動鎧群を出し抜くしかないと答えた。
行間 四
駒場利徳の最後の一手
スキルアウトの計画
街の通信機能を一時的に麻痺させ、警備員や風紀委員へ通報できない状況を作ったうえで、凶悪な能力者達を集団で襲って無力化する計画は着々と進んでいた。
スキルアウトには様々な組織があったが、連絡を取るとおおむね賛同を得ることができた。人員、金銭、物資が計画の成就に必要な量へ達しつつあることを、駒場利徳や周囲の少年少女達は実感し、喜んでいた。
甘くない見通し
駒場利徳は、計画の進展を感じながらも、そう甘くはないと考えていた。大勢で取り囲んでも、強大な能力者を確実に排除できるとは限らず、一度の排除で全ての標的を無力化できるとも限らなかった。
さらに、この争いはすでに無能力者と能力者の対立の域を超えていた。駒場達の計画を妨害するため、学園都市の上層部や、この街の仕組みを維持する強大な力が動き出すだろうと、駒場は見ていた。
必要な一手
駒場利徳は、さらなる一手が必要だと考えていた。計画が成就しても失敗しても、どんな結末になっても、無能力者が襲撃される事件を確実に食い止める結果へつながる状況を整えなければならなかった。
しかし、駒場にはその一手の心当たりがなかった。そうしているうちに状況が動き、スキルアウトの計画を粉砕するため、学園都市の上層部が最悪の殺し屋を派遣してきた。
一方通行というピース
派遣されたのは、一方通行だった。彼は学園都市最強の超能力者であり、駒場とは全く別の角度から、この街を守るために戦い続けている存在だった。
一方通行を見て、彼と戦ったことで、駒場利徳は内心でわずかに笑った。駒場は、計画が成就しても失敗しても、無能力者が襲撃される事態を必ず解決してくれる最後のピースを手に入れたと考えた。
託された想い
決着の時、駒場利徳は学園都市に向けて、これで自分の勝ちだと心の中で呟いた。彼は、想いを託せる相手と出会えた幸運に感謝していた。
第五章 たとえヒーローにはなれなくても Knight(s).
ファイブオーバーの投入と幻想殺し
黒夜の追加投入
黒夜海鳥はデパートの屋上からシルバークロースの部下へ指示を出していた。浜面仕上とフレメア=セイヴェルンが逃げ込んだ廃ビルの位置は、新入生の下っ端達によって特定されつつあった。
黒夜はシルバークロースがもう使えないと判断し、彼のコレクションを全て出撃させるよう命じた。自動制御では動きが単調になる危険はあったが、相手に装甲を抜く火力がなければ問題ないと見ていた。
ファイブオーバーの運用
部下がファイブオーバーの投入に触れると、黒夜はそれを新入生向きの最新鋭の見本だと評した。ただし、その駆動鎧は完全自律AIではなく、人間の脳を演算のコアにするものだった。
黒夜は、死にかけのシルバークロースをファイブオーバーに詰め込み、演算のコアに設定すればよいと冷徹に命じた。浜面と一方通行のラインはすでに繋がっており、フレメアの役目は終わったと判断していたため、彼女の命の保証は必要ないと見ていた。
絹旗との対峙
黒夜は通話を切り、一方通行への対処を考えていた。暗闇の五月計画で一方通行の思考の一部を植え付けられた黒夜は、自分にも分があると考えていた。
そこへ絹旗最愛が現れた。絹旗は浜面を探している最中に、面倒な人間が関わっているのを見つけたと語った。黒夜は、絹旗が現れたことで、一方通行と浜面から派生したアイテム周辺のラインまで釣り上げられたと見なし、上層部が抹殺に動くほどの一大組織が実証されたと語った。
新入生の居場所
絹旗は、新しい枠組みに入れたことがそんなに嬉しいのかと問うた。黒夜は、嬉しいのではなく元の場所へ戻っただけであり、そこが自分の居場所だから壊し、殺すのだと返した。
黒夜は、新入生が再編された背景には、外側からの脅威であるヤツらの存在があると語った。それは浜面や一方通行ではなく、別の法則を使う制御不能な存在であり、そのために新入生が再編されたのだと説明した。
攻撃性と防護性
絹旗が暗闇の五月計画に触れると、黒夜は攻撃性の一点で最も近づけた個体が自分だと語った。黒夜は両腕から窒素爆槍を噴き出し、絹旗も窒素装甲で周囲の窒素を制御下に置いた。
黒夜の窒素爆槍は絹旗の腕の隙間をすり抜け、胸と腹の中央へ突き刺さった。しかし絹旗は致命傷を負わず、防護性なら自分の方が一流だと告げた。絹旗は窒素装甲で黒夜の槍を弾き、拳による連打へ移った。
増設された腕
黒夜は、絹旗が能力だけで戦うという基本から抜け出せていないと嘲った。イルカのビニール人形が爆ぜ、中から大量の人工の腕が現れ、黒夜の右上半身へ次々と接続された。
黒夜は、一定水準を超えたサイボーグは駆動鎧と変わらないと語った。人体一つにこだわる必要はなく、力の制御を人体の外部へ持ち込む技術は以前から仮組みされていたと説明した。
数千の砲台
黒夜は、自分というものが今ここにある体一つとは限らないと告げた。ビル屋上の四方の端から、同じ人工の腕が数百、数千と這い出してきた。
それらの腕は黒夜海鳥という人体を形作るパーツであり、窒素爆槍を生み出す砲台でもあった。黒夜は数千もの槍を同時に放ち、屋上の大気そのものをねじれた槍へ変質させた。その攻撃は絹旗を吹き飛ばし、彼女は数百メートル先の給水タンクへ直撃した。
第一九学区の廃ビル
浜面が地下鉄トンネルから地上へ出ると、そこは第一九学区だった。郭に先導され、浜面、半蔵、フレメアは再開発に失敗した寂れた街の廃ビルへ逃げ込んだ。
そこは元デパートであり、大きな吹き抜けや動かないエスカレーターが残されていた。半蔵は出入り口が多すぎることに苛立ったが、郭は本来なら逃げ場の多さが利点だったと反論した。
第一位へのサイン
郭は、籠城するなら時間を稼いだ先の勝算が必要だと指摘した。浜面は、一方通行なら駆動鎧がどれだけ現れても薙ぎ払えるため、時間を稼ぐ意味があると考えた。
浜面は一方通行の連絡先を知らなかったが、彼が独自の情報網を持っていると見ていた。そのため、屋上で焚き火をし、その横にドラゴンライダー用スーツのヘルメットを置くよう郭に頼んだ。目立つサインを出せば、一方通行に気づかせられると考えたのである。
隠し武器庫
郭が屋上へ向かう一方、浜面と半蔵は三階東フロアのコインロッカーへ武器を取りに向かった。フレメアも一人でいることに耐えられず、二人の後をついてきた。
ロッカーの中から銃器が次々と出てきたが、駆動鎧の装甲を破壊できそうなものは少なかった。最も大きなロッカーには、対戦車仕様のフルオートライフルであるメタルイーターM5が入っており、浜面はないよりましだと判断した。
大金庫の避難場所
浜面達は元銀行エリアを見つけ、そこに残された巨大金庫に注目した。大金庫は一度施錠すれば外部から開けにくく、暗証コードも必要な構造だった。
半蔵は、時間をかければ力技で破られる可能性もあるが、銃撃戦の中にフレメアを置くよりは安全だと見た。浜面も、最悪自分達が倒れても、大金庫が時間を稼げば一方通行が来るかもしれないと考えた。
フレメアの拒絶
浜面はフレメアに、大金庫の中で待っていれば安全だと説明した。しかしフレメアは嫌だと呟き、浜面に抱きついた。
フレメアは、浜面の目が嘘をついている人の目だと見抜いていた。駒場も帰ってこず、フレンダとも連絡がつかず、今の浜面と同じ目をしていた人達が自分の前からいなくなったと訴えた。彼女は、もう誰もいなくなってほしくないと泣いた。
浜面の決意
浜面は、駒場利徳とフレンダ=セイヴェルンのことを思い出した。二人が消えた時、浜面は当事者としてそこにいた。何も知らされず何もできなかったフレメアとは違い、浜面には何かを変えられた可能性があった。
浜面は、フレメアの心を傷つけているものの一端に自分の名があると自覚した。過去は変えられず、駒場もフレンダも戻らないからこそ、これ以上フレメアに失わせないと決めた。
小指の約束
浜面はフレメアと目線を合わせ、自分は駒場やフレンダのような真似はできず、舞台の真ん中に立てるような人間ではないと語った。それでも、自分はまだここにおり、簡単にいなくなったりしないと告げた。
フレメアは本当にいなくならないかと尋ね、小指を立てた。浜面は小指を絡め、約束だと告げた。フレメアは大金庫の中へ入り、扉が閉まる最後の瞬間まで浜面の目を見つめていた。
勝利条件
半蔵は、大金庫が強固な構造を備え、一二時間はどんな操作も受け付けないと説明した。作戦は、内部で時間を稼ぎ、警備員や一方通行が来るまで耐えるものだった。
しかし浜面は、それでは駄目だと言い切った。フレメアが助かっても、大金庫が開いた時に自分達の死体があれば、彼女はまた泣くことになる。それは勝ちではなかった。浜面は誰一人欠けることを許さず、フレメアを笑っているのが普通の世界へ帰すことを勝利条件に定めた。
半蔵の踏み止まり
浜面は、半蔵と郭は逃げてもよいと告げた。狙われているのは自分とフレメアであり、半蔵達が生き残ってくれればフレメアは笑ってくれると考えていた。
しかし半蔵は、逃げてもよいと思っているなら先ほどのやり取りを見せないでほしいと返した。幼女の涙と指切りは脅迫に近いとぼやきながらも、浜面と共に踏み止まった。二人はフレメアの涙を止めるため、対戦車ライフルを担いで敵を迎え撃つことにした。
最終防衛ポイント
最終防衛ポイントは、三階の元銀行エリアにある大金庫だった。浜面達はそこへ至るルートに罠を張り、待ち伏せる形で応戦することになった。
郭は有線処理の仕掛けを終え、ジャミングを受けても問題ないと報告した。浜面はフロアごと崩された場合を心配したが、郭は大金庫が独立した合金製の柱に支えられているはずだと答えた。
盾付き駆動鎧
一階部分に大量の粉塵が流れ込み、壁を破って駆動鎧が侵入してきた。現れたのは、右腕に巨大な盾を直結した二足歩行の駆動鎧だった。
盾には車輪があり、中央の穴から砲身が突き出ていた。砲身は浜面達へ向けられ、機関砲が回廊の床を貫きながら薙ぎ払った。郭は浜面を引きずって射線から逃がし、浜面、半蔵、郭は崩れる回廊に追われるように走った。
エスカレーターの滝
浜面は、階下で小柄な駆動鎧がエスカレーターを伝って上がってくるのを見つけた。浜面の指示で郭がスイッチを押すと、各階のエスカレーターとの接続部分が連続して爆発した。
エスカレーターは廃材の滝となり、小柄な駆動鎧は一階へ叩き落とされた。浜面はメタルイーターM5でその中心を撃ち、反動で自身も吹き飛ばされたが、弾丸は駆動鎧に命中していた。
増える無人機
半蔵は小柄な駆動鎧の内部スペースへ追撃を加え、完全に停止させた。彼は、シルバークロースのコレクションを片っ端から使い回しているのだろうと見抜いた。
しかし吹き抜けの下にはさらに五機の駆動鎧が姿を現した。浜面は、エスカレーターが崩れた以上、敵は別の階段やエレベーターを目指すはずだと考えた。
空中のカマキリ
浜面は建物の外に漂う巨大な影を見つけた。それは全長五メートルほどのカマキリに似た駆動鎧であり、背部の半透明の羽で空中に留まっていた。
浜面がメタルイーターM5を構えるより早く、カマキリ型の駆動鎧は窓を叩き割って突入してきた。その前脚には、三本の銃身を束ねたガトリングレールガンが取り付けられていた。
ガトリングレールガン
浜面は対戦車ライフルの反動を利用して横へ跳び、ガトリングレールガンの掃射を避けた。弾丸は浜面のいた通路を粉砕し、三階から地上まで一気に貫いた。
浜面は、カマキリの腹部に刻まれたファイブオーバー・モデルケース・レールガンの文字を見て凍りついた。それは第三位の超電磁砲を工学技術で再現し、さらに超えることを目指した駆動鎧だった。
崩落する回廊
ファイブオーバーは浜面へ照準を合わせた。半蔵の叫びを受けた浜面は、メタルイーターM5を放り捨て、三階回廊の手すりから飛び降りた。
弾丸は外れたが、回廊の床や壁を粉砕した。浜面は二階回廊に一度ぶら下がったが、頭上と足元の回廊がまとめて抜かれ、CDショップ跡地へ転がり込んだ。
床を抜く掃射
浜面は、ガトリングレールガンは貫通力こそ高いが精度はそこまで高くなく、細かく動けば逃げられるかもしれないと考えた。しかしファイブオーバーは空中で静止し、束ねていた銃身を分離して自由に動かし始めた。
ファイブオーバーは連射性を落とす代わりに、二階フロア全体をパノラマ状に蹂躙した。床がまとめて抜かれ、浜面は一階まで落下し、激痛とともに肺から空気を絞り出された。
標的の再確認
浜面は粉塵の中で這いながら、ファイブオーバーをどう倒すか考えた。メタルイーターM5は手元になく、持っているのは巨大なマガジンだけだった。
その時、浜面は追撃が来ないことに気づいた。敵の最優先目標は浜面ではなくフレメアだった。浜面は半蔵へ電話をかけ、ガトリングレールガンがフレメアを狙っているため、何としても足止めするよう頼んだ。
家計の味方
半蔵は、メタルイーターM5でファイブオーバーを貫くには近づく必要があり、台風のような連射の中では顔を出すのも危険だと答えた。浜面は完全破壊ではなく足止めなら可能かを確認した。
半蔵は一〇分程度なら足止めできるかもしれないと答えた。浜面はそれで十分だと判断し、建物内に生活用品や家電、LED照明が揃っているかを確認した。浜面は、今ある火力でファイブオーバーを撃ち抜くため、家計の味方で壊すと告げた。
三階への侵攻
ファイブオーバーは破壊された回廊を飛び越え、三階へ着地した。AIは建物全体を複数回走査し、フレメアの反応が得られないことを確認していた。
走査を受け付けず、標的が隠れられる場所は限られていた。最優先で確認すべき場所は、三階の銀行跡にある大金庫だった。
半蔵と郭の足止め
ファイブオーバーは弾丸消費を抑える条件で通路を進んでいたが、通路の角に潜む半蔵と郭を捕捉した。半蔵はメタルイーターM5で最低限の射撃を行い、すぐ角へ隠れた。
しかしAIは壁ごと撃ち抜く判断を下した。ガトリングレールガンの掃射によって遮蔽物は崩され、半蔵と郭の退路も破壊されていった。
手押し車の囮
ファイブオーバーが次の掃射を行おうとした時、背後から浜面が手押し車を流した。手押し車には段ボール箱が載せられており、AIは爆発物の可能性を判定して反転した。
ガトリングレールガンは段ボール箱を吹き飛ばし、中からリンゴやオレンジが飛び散った。果物は半球状に切られており、その中央にはメタルイーターM5の巨大な弾丸が突き刺されていたが、AIは発砲につながる因子がないとして危険を見落とした。
LED照明の電磁波
浜面は、主要フロアのLED照明をかき集めて作った電磁波照射装置を構えていた。ファイブオーバーは電磁波が電子機器に悪影響を与えることは認識したが、自身には対策があるため致命的ではないと判断した。
しかし浜面の狙いは、ファイブオーバーを電磁波で壊すことではなかった。強力な電磁波によって、果物に突き刺された弾丸の火薬を誘爆させることだった。
ゼロ距離の誘爆
ファイブオーバーが浜面を撃ち抜くより早く、弾丸の誘爆が起きた。半球状の果物によって上向きに固定された弾丸は、ファイブオーバーの真下から全方向へ飛び散った。
銃身で威力を整えていないため通常より威力は落ちていたが、距離はほとんどゼロ距離だった。装甲には亀裂が走り、外れた弾丸が天井へ甚大な損傷を与え、大量の建材が降り注いだ。ファイブオーバーはついに停止した。
絹旗の負傷
絹旗は、オフィスビルの屋上で給水タンクの残骸に引っ掛かり、逆さまにぶら下がっていた。窒素装甲がなければ挽き肉になっていたほどの衝撃を受けていたが、それでも生きていた。
そこへ一方通行が現れた。彼は、新入生が警備員の介入を阻止しようとしている通信を番外個体が傍受したと説明し、黒夜かシルバークロースに関わったかを絹旗に尋ねた。
一方通行の確認
一方通行の目的は、フレメアを狙う新入生の行き先を知ることだった。絹旗は、下っ端の通信を傍受できたなら分かるはずだと返した。
一方通行は、機密ランクの違いから全ての情報を掴めているわけではないと説明した。絹旗は心当たりがあり、ここからそう遠くはないはずだと答えた。
残る駆動鎧群
浜面がファイブオーバーを沈めると、半蔵が現れ、本当に倒したことに驚いた。しかし浜面は、敵はファイブオーバーだけではなく、他にも駆動鎧が残っていると指摘した。
弾は七発しか残っておらず、全ての駆動鎧を相手にするのは難しかった。複数の方向からサスペンションの軋む音が近づき、敵に囲まれる気配が迫っていたが、浜面は自分に考えがあると告げた。
黒夜の接近
黒夜は廃ビルの窓から粉塵が噴き出し、外壁に亀裂が走る様子を眺めていた。シルバークロースのコレクションは有効に機能しており、内部は破壊され尽くしていると見ていた。
黒夜は、肉眼で分かる程度に死体の形が残っているうちに中を確認しようとした。彼女の背後には、大量の人工の腕が付き従い、それらは窒素爆槍の砲台として機能していた。
第一位との対峙
黒夜の前に一方通行が現れた。黒夜は、彼が慎重に情報収集へ徹していたため間に合わなかったと挑発した。
黒夜は、浜面やフレメアはすでに死んでおり、ラインは確定していると語った。しかし一方通行は、黒夜を足りない力を無理矢理補い続けた成れの果てだと評した。
木原数多の再現
黒夜は、自分の背後にある人工の腕がサイボーグであることこそ本質だと語った。そして、過去に木原数多が一方通行の反射を逆手に取った事例を挙げた。
黒夜は、機械の腕へ木原数多のパラメータを挿入すれば、一方通行への対抗策になると主張した。大量の腕は窒素爆槍と気流制御を組み合わせ、数十万の攻撃パターンで反射を貫けると見ていた。
譲られた戦場
一方通行は黒夜の前から一歩横へ逸れた。黒夜はその意味を理解できなかった。
一方通行は、機械の兵器の特徴は完全に数値で操れることではなく、思想や主義を持たず、運用する側の意思で結果が決まることだと告げた。そして、自分は黒夜にではなく、別の相手に道を譲ったのだと示した。
奪われたファイブオーバー
廃ビルの三階の窓から、ひしゃげた駆動鎧が飛び出して黒夜の足元へ転がった。続いて、装甲に亀裂を走らせたファイブオーバーが窓から姿を現した。
浜面がまとっていたドラゴンライダー用スーツは学園都市製であり、操縦体系はファイブオーバーと同一規格だった。黒夜は、浜面がファイブオーバーを乗っ取ったのだと悟った。
黒夜への掃射
ファイブオーバーは黒夜へ向けてガトリングレールガンを掃射した。左右の弾丸の帯は、まず黒夜の背後に控える大量の腕を薙ぎ払った。
黒夜は残った腕で窒素爆槍を生み出し、暴風で弾丸の軌道を曲げ、腕を盾にして防いだ。しかし一方通行は、防戦ならまず反射であり、槍で弾丸の雨を弾くのは曲芸だと評した。攻撃に特化していた黒夜が本能的に防御を選んだ揺らぎによって、大量の腕は砕かれ、黒夜は路上へ叩きつけられた。
ファイブオーバーの再起動
浜面はファイブオーバーに乗り込んだまま廃ビルの外へ出た。一方通行は、残党は番外個体が片付けており、メインの二人は浜面が潰したようなものだと答えた。
浜面は、元の乗り手を引きずり出し、郭が手当てしていると説明した。一方通行は、浜面のスーツとファイブオーバー内部がケーブルで接続されているのを見て、同一規格だからこそ可能な緊急時の再起動だと理解した。
黒夜の最後の槍
浜面と一方通行がフレメアのいる大金庫や武器の処理へ意識を移した隙に、倒れていた黒夜が小さな右腕を伸ばした。壊れた腕の残骸は機能を補い合い、一〇〇前後の腕の塊として起動した。
狙いは浜面でも一方通行でもなく、フレメアだった。複数の気体の奔流は数百メートル級の巨大な槍となり、廃ビルそのものを両断できる威力を持っていた。
徹底不足の後悔
浜面は、勝負がついたと思ってファイブオーバーから降りたことを後悔した。黒夜を見てとどめを刺すことにためらい、中途半端な状況を選んだ結果、フレメアを危険にさらしたと悟った。
一方通行も、黒夜の生き様の揺らぎを嘲ったことで、彼女の攻撃性を再び呼び戻してしまったと理解した。二人は最後の選択で徹底が足りなかった。
幻想殺しの右手
巨大な槍が振るわれたが、廃ビルが倒壊する音は聞こえなかった。浜面が目を開けると、窒素の槍は確かに存在していたが、廃ビルには傷一つなかった。
その一撃を受け止めていたのは、上条当麻の右手だった。幻想殺しを宿す右手によって、黒夜の窒素爆槍はまとめて吹き散らされた。最後の負の希望を砕かれた黒夜は意識を失い、危険が取り除かれた静寂の中、上条は浜面と一方通行へ久しぶりと告げた。
終章 ささやかなる祝宴と招かれる暗雲 Witch.
三人の集結
大金庫からの救出
浜面仕上達は、危険がまだ取り除かれていないと判断し、フレメア=セイヴェルンを大金庫の中から連れ出すことにした。一方通行は能力で大金庫の扉の機構を強引に破壊した。
外側から扉がこじ開けられるのを見て、フレメアは最初パニックを起こしそうになった。しかし浜面の顔を見ると安堵し、緊張の糸が切れて倒れそうになった。浜面が抱き止めようとすると、フレメアは泣き声を上げながら、逆に浜面を強く抱き締めた。
上条当麻の事情
上条当麻は、いきなりで悪いが状況が分からないと尋ねた。一方通行は、状況を傍受して来たのではないのかと不審がったが、上条は久々に学園都市へ戻ったら騒がしかったため首を突っ込んだだけだと答えた。
浜面が状況を説明すると、上条の顔は曇っていった。一方で浜面は、黒夜海鳥の窒素爆槍を消した上条の右手に興味を示し、他人の能力を打ち消せるのかと尋ねた。上条は、浜面とは無能力者同士で殴り合ったため分からなかったのだと返した。
新入生の準備
一方通行は、科学の闇を知る自分達よりも深い世界で動いている上条が、なぜこのタイミングで学園都市へ戻ったのかを問いただした。上条は、今回浜面達を襲った新入生の動きは準備期間の一環だと思うと説明した。
その準備とは、新しい敵と戦うためのものだった。上条は、第三次世界大戦が本当に終わっているのか、それとも地続きなのか、新しい脅威なのかを調べる段階だと語った。学園都市はヤツらと戦うために、軍備を増強し、内部体制を固め、戦いやすい方向へ移行しようとしているのだと説明した。
魔術という法則
浜面は、学園都市の敵とはロシアのことなのかと尋ねた。上条は、学園都市の科学的に開発される超能力とは別に、超常現象を起こす法則が存在するという胡散臭い話を信じられるかと切り出した。
その異なる法則を自在に操る者達が組織を作り、世界の暗部で活動し、学園都市と対立していると上条は語った。学園都市だけが世界の不思議な現象を扱っているわけではないという説明に、一方通行は魔術かと呟いた。
上条は一方通行がその名を知っていることに驚いたが、自分も詳しく知っているわけではなく、学園都市の人間であり、外の組織に所属しているわけではないと話した。
急所への一撃
上条の説明は途中で途切れた。背後から小さな足が跳ね上げられ、上条の急所に勢いよくめり込んだからである。
その少女は、上条が偉そうに語る前に、頭を下げるべき人間へ頭を下げる仕事があったはずだと叱った。浜面と一方通行が背後を見ると、そこには多くの黒服の男達を引き連れた、一二歳程度の金髪の少女がいた。彼女は上条に、後の説明は自分がやるから、上条は泣かせた女への言い訳でも考えていろと告げた。
レイヴィニア=バードウェイ
上条は、その少女達が自分を北極海から引き上げてくれた人達だと説明した。ただし中心にいる少女ではなく、周囲の者達がロシア国内に潜伏してくれたおかげだとも付け加えた。
少女は、フレメアを見て自分の妹のような雰囲気があると呟きながら、浜面と一方通行へ視線を向けた。そして、自分はバードウェイだと名乗った。
彼女の名は、明け色の陽射しのレイヴィニア=バードウェイだった。彼女は魔術結社のボスをやっていると告げ、科学しか知らない子供達を、新しい世界の入口へ迎え入れるように語った。
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