物語の概要
本作は異世界転生・ファンタジー作品。主人公・リムル=テンペストが、人と魔物が共存する魔国「ジュラ・テンペスト連邦国」を築き、西方諸国評議会への加盟を目指す中、その策謀を巡る国家間の駆け引きと陰謀が描かれる。29巻ではテンペストの西方諸国評議会加盟が決定される一方、ロッゾ一族のマリアベルが深謀を巡らせて抗おうとする。
主要キャラクター
- リムル=テンペスト:本作の主人公。異世界でスライムとして転生し、人と魔物の共存を掲げる国家を築き上げた指導者である。
- マリアベル・ロッゾ一族:西方諸国の貴族。テンペストの評議会加盟に反発し、策謀を巡らせて対抗する存在である。
物語の特徴
- 国際政治の重厚な体系:国家間の駆け引きや評議会制度など、ファンタジーながらリアルな国際政治要素が強い点が特徴である。
- リムルの理想と挑戦:人魔共栄という理想を掲げつつ、西側諸国評議会加盟を果たしていく過程に、陰謀や裏切り、駆け引きが絡む構成が興味深い。
- 敵側の深みあるキャラクター描写:敵役であるマリアベルにも焦点が当てられ、単なる悪役ではなく“策謀を張る意志”が明確に描かれており、物語に奥行きを与えている。
書籍情報
転生したらスライムだった件(29)
著者:川上泰樹 氏
原作:伏瀬 氏
キャラクター原案:みっつばー 氏
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
幾重にも張り巡らされた罠をくぐり抜け、
テンペストは西側諸国と対等な関係で西方諸国評議会へ加盟することとなった。
リムルの理想とする人魔共栄圏の実現がまた一歩近づいたが、
面白くないのは自身の策謀がことごとく打ち破られてしまったロッゾ一族のマリアベル。
彼女はユウキすらも躊躇する奥の手を使うことを決心するが――。
感想
これまで張り巡らされてきた数々の伏線が少しずつ回収され始め、物語は次なる局面へと進みつつある。
まず強く印象に残ったのが、グレンダという人物の変化である。暗殺に失敗し、捕縛され、事情聴取の末にマリアベルの魂の縛りから解放された彼女は、そのまま追放されるかと思いきや、自らリムルの傘下に入ることを望む展開となった。
彼女が「金ではなくポイントに生きる」と語った場面は一見して心を入れ替えたようにも見えるが、根底の価値観が全く変わってないのは笑えた。
リムルはミリムと共に遺跡探索を行うことになるが、そこで想定していた通りマリアベルの罠に落ちてしまう。
ここで描かれる直接対決は、まさにリムルの強さを再認識させる場面であった。
戦闘描写には派手な演出こそあるものの、力と知恵の両面で圧倒する。
だがそこにマリアベルに操られてるユウキが参入してきてリムルを傷つける。
一方、同行していたミリムは旧友と対峙。
彼女の後悔醸し出す静かな緊張感を持っていた。
今巻もバトル・政治・信頼の三要素が巧みに織り交ぜられた一冊であった。個々のキャラクターが抱える背景や選択の重みが、単なる異世界ファンタジーの枠を超えて、心を揺さぶってくる。
本当の敵は誰なのか、物語の行方がますます見逃せなくなる一巻であった。次巻ではどのような決着が描かれるのか、期待せずにはいられない。
最後までお読み頂きありがとうございます。
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
登場キャラクター
テンペスト王国
リムル=テンペスト
魔王でありテンペストの支配者として、仲間と民の安全を最優先に行動する存在。
・テンペストの支配者であり、八星魔王の一柱
・ソウエイを通じて暗殺者グレンダを確保し、尋問と保護を実施
・魔法術式の解析、空間転移、精霊交信などの高度な魔法を駆使
・マリアベルの策略を見抜き、圧倒的な戦力で対抗
・ユウキとの戦闘で苦戦するも、決戦への覚悟を固めて刀を抜いた
ベニマル
テンペストの将軍で、リムルの信頼厚い配下として警備と指揮を任された。
・テンペストの軍を統括し、リムル不在時の防衛を担当
・議会中に怒りを抑え切れず暴走しかけたが、シュナの介入で抑制された
ソウエイ
リムルの隠密部隊の筆頭であり、冷静沈着に任務を遂行する諜報員。
・テンペストの隠密部隊に所属する実力者
・グレンダの狙撃を阻止し、接近戦で制圧した
・分身体を駆使して敵を包囲し、奇襲・陽動を得意とする
・尋問後、リムルに対しグレンダの能力とユウキの関係を報告
シオン
リムルの側近であり、対ユウキ戦での第一戦線を担ったが、敗北を喫した。
・テンペストの護衛隊長として、戦闘能力に優れる
・遺跡探索に同行し、軽装での移動に適応
・ユウキの攻撃で吹き飛ばされ戦闘不能となるも、意識は維持していた
シュナ
テンペストの姫巫女であり、冷静さと支援能力で組織を支える存在。
・ベニマルの暴走を抑え、会議の場を冷静に保った
・遺跡探索用の衣装を用意し、隊員から感謝を受けた
ゴブタ
リムル配下の戦闘員で、陽気な性格ながら遺跡調査でも活躍した。
・遺跡調査に同行し、拳銃を特別に与えられた
・ランガとの連携により敵と交戦し、成果を上げた
ランガ
リムルの使い魔で、ゴブタと融合して戦闘力を高めた存在。
・『魔狼合一』によりゴブタと合体し、人狼形態で戦った
・遺跡調査ではマフラーを装備し、新装備に適応した
グレンダ・アトリー
かつてヒナタに仕えた元傭兵で、命令によりリムル暗殺を試みたが、最終的にはテンペストに迎え入れられた。
・元はユニークスキル『狙撃者』を持つ暗殺者で、ヒナタの部下
・ディアブロとの過去の戦闘で敗北し、その記憶により恐怖を抱いていた
・ソウエイとの戦闘で分身体を破壊したが、本体に敗北
・尋問にて精神的揺さぶりを受け、マリアベル支配下であったことを告白
・智慧之王の力で呪縛を解除され、テンペストに採用される
・特務機関に配属され、拳銃開発の基礎技術を提供
聖帝国ルベリオス
ヒナタ・サカグチ
自らの正義と使命感を胸に抱く、冷静かつ強靭な魔法審問官。
・聖帝国ルベリオスに属し、魔王を狩る使命を帯びた元・聖騎士団長
・ルミナス直属の魔法審問官として召喚術や拷問呪術を操り、ロッゾ一族やユウキの支配背景を調査し暴いた
ロッゾ一族
マリアベル・ロッゾ
ロッゾ一族の策略家で、人類支配のために魔王リムルと敵対する思想を持つ存在。
・ロッゾ一族の血を引き、評議会と人類操作を主導する人物
・グレンダを捨て駒として利用し、魔法審問官の秘密を探った
・強欲を正義とし、支配を是とする思想を持つ
・『強欲者』のスキルにより魂を燃焼させ、限界を超えた力を行使
・リムルとの戦闘で劣勢となるも、ユウキに力を譲渡して形勢逆転を図る
自由組合
神楽坂ユウキ
かつての協力者であったが、現在はマリアベルに支配され、リムルと敵対する立場となった。
・自由組合のギルドマスターでありながら、マリアベルに支配されている
・精神支配下で行動しており、自我を制御されている描写がある
・リムルと互角に戦う能力を持ち、スキルや魔法を封殺する体質を持つ
・『能力殺封』によりリムルの攻撃を無効化し、絶対防御を破った
カガリ
遺跡調査において技術面と指揮を担当し、探索隊を支援する人物。
・自由組合所属の女性で、調査団の統括を担当
・魔法術式の分析や扉の開閉、地図作成に貢献
・突発的な事象に冷静に対応し、隊員の統制を維持した
展開まとめ
第125話 黒幕の正体
狙撃者グレンダの失敗とソウエイとの交戦
元傭兵のグレンダ・アトリーは、暗殺対象を狙って引き金を引いた。愛銃とユニークスキル『狙撃者』の能力により、視界内すべてを射程に変える彼女は、過去に無敗を誇っていた。だが、かつての戦闘でディアブロに手も足も出ず、本能的に逃亡を選ぶしかなかった。その経験を踏まえ、今回の暗殺も万全の準備で臨んだが、狙撃は突如として失敗に終わった。弾丸が消失し、リムルの部下である隠密・ソウエイが介入していたのであった。
ソウエイとの近接戦と奇襲戦術
任務の失敗と上層部からの処罰を恐れたグレンダは、即座の撤退を選ばず交戦を開始した。
ナイフと銃を使った連携攻撃を仕掛け、魔力弾を交えた不意打ちによってソウエイの肩を撃ち抜く。
一見優勢に立ったかに見えたが、グレンダは最後の一撃として五発の魔力弾を用いた多方向狙撃を放ち、ソウエイの肉体を粉砕させた。
勝利を確信したグレンダだったが、直後にソウエイが背後から現れたことで状況は一変した。
ソウエイの能力とグレンダの絶望
ソウエイは倒されたのではなく、あくまで「分身体」の一体が撃破されたにすぎなかった。
しかもグレンダを取り囲むように複数体が存在し、全てに実体があった。
逃亡は不可能と悟ったグレンダは、最後の抵抗として戦いに臨むが、その瞬間が彼女の絶望の始まりであった。
マリアベルたちの謀略と会話
場面は変わり、バルコニーではマリアベル、ヨハン、ユウキの三名が作戦の結果を語り合っていた。
グレンダの敗北はマリアベルにとっても予想外だったが、彼女の表情には余裕があった。
今回の失敗は想定内であり、グレンダを捨て駒として使って得た情報──魔法審問官の秘密を引き出すことが主目的だったと明かされた。
魔法審問官と魔王リムルの危険性
マリアベルは、魔法審問官が単なる魔人化した人間でしかないと結論づけ、あまり脅威とは見なしていなかった。
しかし、真の懸念は魔王リムルの存在であり、その戦力と支配力に危機感を抱いていた。
人類と魔王が対等であるという誤認を正すべく、マリアベルはロッゾ一族の悲願として、魔王リムルの排除を最優先に掲げていた。
新たな作戦と危険な決断
マリアベルは、遺跡調査に同行するユウキの部下に罠を仕掛ける計画を語る。
その場には魔王ミリムも参加予定であったが、マリアベルはあえて両名の魔王を標的とする作戦を強行しようとする。
反対するユウキとヨハンを退け、彼女はかつて竜の巣から得た「とある品」を使用することを決定する。
それは魔王ミリムに由来する強大な存在であり、暴走すれば人類にも甚大な被害を及ぼす可能性があるものであった。
魔王支配体制への懸念と最終判断
マリアベルは、万が一リムルが滅びて暴風竜ヴェルドラが暴れたとしても、魔王ルミナスがそれを制御するだろうと読んでいた。
むしろ魔王リムルの影響力が拡大する方が、人類にとっては脅威であると結論づけた。
そしてユウキとともに、魔王リムルを封殺するための最終的な作戦の立案へと動き出す。
ヨハンは蚊帳の外に置かれ、成り行きを見守るしかなかった。こうして、悪意に満ちた新たな謀略が静かに動き出すこととなった。
会議後の談話とソウエイの報告
長引いた会議を終え、リムルらは喫茶店で一息ついていた。
イングラシア王国の王子エルリックと、それを操っていたギャバンの陰謀が失敗に終わり、関係した議員たちは動揺していた。
ギャバンは魔法審問官に連行され、他の議員も失脚が確実と見なされた。
会議中の怒りを抑えていたベニマルは、シュナの介入がなければ暴走していたと明かし、一同を驚かせた。
やがてソウエイが戻り、犯人の確保を報告。相手はリムルを「悪魔野郎の主」と呼び、ディアブロに言及していたことから、暗殺者は彼と面識があると推測された。
ソウエイの戦闘記録とグレンダの能力
ソウエイの報告から、相手が強力なユニークスキル『狙撃者』を持つ女性であると判明した。
彼女は至近距離に銃弾を出現させる手段を持ち、ヒナタの元部下グレンダであることが分かった。
さらに、彼女は異世界由来の技術で爆発物を再現する能力をも有しており、『武器現実化』に類する権能を持っていた。
グレンダの記憶から具現化された武器が、ソウエイの分身体を破壊していたと推測された。
尋問における揺さぶりと黒幕の露見
グレンダは尋問の場で、命令されただけで詳細を知らないと主張したが、ヒナタの問いには終始口を閉ざした。
リムルは智慧之王の助けを借りて心理的揺さぶりをかけ、グレンダが強力なユニークスキルの影響下にありつつも完全には染まりきっていないと見抜いた。
続けてマリアベル・ロッゾの名を挙げると、グレンダは明確な反応を示し、ロッゾ一族の関与が明らかとなった。
ヒナタもその流れを受け、七曜の長であるグランベル・ロッゾの存在に言及し、今回の事件の黒幕として彼女の名を確定づけた。
呪縛の解除とグレンダの解放
グレンダは、召喚術により魂を縛られた存在であり、命令に逆らえば即座に破滅する運命にあったと明かした。
それを聞いたリムルは、智慧之王の力で呪術を解除。
マリアベルの支配から解放されたグレンダは動揺しつつも、リムルに雇用を懇願した。
彼女は報酬や地位ではなく、安全な暮らしを求めていた。
リムルはこの願いを聞き入れ、ソウエイの特務機関としての任務を与え、採用を決定した。
食事とグレンダの新たな忠誠
グレンダはテンペストの食事に感動し、ポイント制に生きると宣言。
形式的な尋問が終わった後、彼女は自らの知る限りの情報を提供した。
評議会は五大老によって掌握されており、その中心がグランベルであると判明した。
残る四名にはギャバン、ヨハン、シードル辺境伯、ドラン国王が名を連ねていた。
マリアベルはこの構造を利用し、内部対立を意図的に生じさせていた。
第126話 強欲の罠
ユウキの支配と情報操作の危険性
グレンダは、ユウキがマリアベルに完全に支配されていると告白した。
この情報により、リムルたちはユウキの行動が意図せぬまま敵対行為に繋がる可能性を懸念するようになった。
特に、近く予定されていた遺跡調査において陰謀が仕掛けられる可能性が示唆され、リムルはその機会を逆に利用し、敵の動きを誘い出す作戦へと転じた。
遺跡調査と対策の布陣
ミリムやシオン、ゴブタ、ランガらを同行者に指名し、強力な布陣を整えて遺跡調査の実施を決定。
リムルが不在となる間の警備はベニマル、シュナ、ソウエイらが引き受け、それぞれの分野で万全の備えを取ることとなった。
ヒナタはルミナスに報告のために帰還し、最後にリムルへ注意を促す言葉を残して去った。
今後の展望と慎重な姿勢
リムルは得られた情報をもとに、ユウキとロッゾ一族の両方に注意を払うよう方針を定めた。
特に、ユウキの支配下にあるという情報の重さを踏まえ、早急な対応の必要性が共有された。
敵の全容が明らかになったことで、今後の展開に備えた対策が本格化していくこととなった。
グレンダの紹介と拳銃の開発
幹部会議で新たに加わったグレンダの紹介が行われ、彼女は受け入れられると同時に監視対象ともなった。
カイジンとクロベエが彼女の拳銃を検分し、量産の可能性にも言及された。試作された拳銃は魔力による小爆発を活用し、魔鋼製の高耐性により特質級の威力を発揮していた。
この武器はロマンを追求する品であり、限定的な使用を前提としていた。
遺跡探索の出発準備と服装の評価
遺跡調査の当日、リムルらは新調した探検服に身を包み、武器や装備を整えた。
ゴブタには拳銃が特別に与えられ、ランガには代わりにマフラーが提供された。
シオンやミリムも新たな衣装に満足し、シュナへの感謝が口にされた。
意気揚々と一行はイングラシア王国の自由組合本部へと集合した。
移動とカガリ女史との合流
自由組合本部ではカガリ女史が待機しており、調査隊の紹介が行われた。
隊員達は重装備に身を固め、準備万端であったが、リムル一行の軽装との対比に戸惑いを見せた。
カガリ女史は馬車を用意していたが、リムルは空間転移を用いて一瞬で目的地であるジスターヴへ到着させ、隊員達を驚愕させた。
第127話 古代都市アムリタ
ジスターヴでの歓迎と遺跡の初見学
現地では黒妖耳長族の長が出迎え、ダークエルフ達による歓迎がなされた。リムル達は大部屋に荷物を置き、城の案内を受けた。
遺跡の入り口は城の内部にあり、三層構造で最下層は墳墓とされた。
上層部は居住区として利用されており、魔法による永続的な照明が機能していた。
魔法術式の扉と解析の実演
探索の途中、大型扉に施された防衛魔法術式を発見した。カガリ女史は警戒を促し、リムルは魔法術式の解析を開始した。
解析結果により扉の構造を解明し、隊員達に技術を共有した。
ミリムも扉の開封に成功し、調査団の士気は高まったが、夕刻のため調査は一時中断された。
中層部の調査開始と通路の構造
翌日、カガリ女史が扉を開き、中層部への進行が開始された。そこは天井が低く通路も狭く、石壁に魔法の明かりが灯る構造であった。
壁画も発見され、美術的価値や歴史的資料としての重要性が語られた。
罠の発動はなく、探索は順調に進行した。
昼食と衛生管理への配慮
昼休憩ではリムルの『胃袋』から取り出した弁当が振る舞われ、温かいスープと共に皆に喜ばれた。
リムルは火を使わない理由として地下構造での火事リスクを挙げ、配慮の深さを示した。
また、トイレ休憩のために『転移門』を設置し、隊員達の快適な探索環境を整えた。
精霊交信と魔法による地図作成
リムルは迷路対策として『精霊交信』を紹介し、呪術師の隊員にレクチャーした。
さらに、『想像念写』や『想像共有』といった魔法も活用し、地図作成と情報共有の効率を大幅に向上させた。
カガリ女史の注意喚起により、浮かれた雰囲気も引き締められた。
最下層への進行と調査の継続
隊員達は魔法と準備の成果を活かし、慎重に最下層への道を進んだ。夕方前には目的地へ到着し、本格的な調査に向けた布石が整えられた。
遺跡内での警戒と探索の継続
三日目、探索隊は最下層の扉前から活動を開始し、リムルは昨日の実演を踏まえて見守りに回った。
シオンは隊員にコーヒーを振る舞い、和やかな時間が流れたが、リムルはマリアベル勢力の襲撃や隊員への不信を警戒していた。
解析の結果、洗脳などの痕跡はなく、戦力的にも脅威にはならないと判断されたため、様子を見守る姿勢を維持した。
ゴーレムとの遭遇と高性能武具の発見
見回りに出ていたミリムらが大量の武具を持ち帰り、それが魔人形から得られた戦利品であることが判明した。
魔鋼が長年の魔素によって強化されており、特質級に相当する武器も含まれていた。
探索中には誤って罠が作動し、認識パターン外を排除する仕組みが発動していた。
これは登録者のみを通す防御機構であり、侵入者対策として高い有効性を備えていた。
謎の衝撃と遺跡防衛機構の発動
突如、局所的な巨大エネルギーが発生し、遺跡全体が揺れる衝撃が走った。
カガリ女史が指揮を執って隊員を落ち着かせ、リムルは魔力感知により遺跡の防衛機構が作動したことを確認した。
警報が鳴り響き、魔人形が起動すると同時に、侵入者の存在も察知された。カガリ女史の関与も疑われたが、ミリムの『竜眼』には反応がなく、真偽は不明のままであった。
防衛網の突破と避難行動
リムルは侵入者が自身を狙ったものであると判断し、隊員の安全確保を優先して迎撃態勢を整えた。
第二波の衝撃により、外部に強大な魔力反応が確認され、ミリムがその存在に気付き転移で現場を離れた。
彼女が封印したはずのカオスドラゴンが復活し、マリアベルの感情支配により操られていることが判明した。
最下層への退避と戦局の転換
リムルは敵襲に対応するため、ゴブタ・シオン・ランガを前線に送り出し、自身は最下層への扉を開いた。
隊員達を避難させた先には、広大な草原と柔らかな光に満ちた空間が広がっていた。
再度ゴーレムが襲来したが、広い空間で自由に戦えるようになったシオンが奮闘し、状況を立て直した。
リムルはこの事態を仕掛けたのがマリアベルであると断じ、迎撃に向けて全力戦闘態勢へと移行した。
第128話 強欲のマリアベル
敵幹部の出現と激突の開始
ゴーレムとの戦闘の最中、マリアベルが姿を現した。
従えていたのは、変貌したガイ、騎士服の男、そして神楽坂優樹であった。
ギルドマスターの裏切りに隊員達は動揺したが、ユウキは既に支配されており、問答には応じなかった。
リムルはマリアベルに服従を求めたが拒絶され、彼女の主義との違いが明確となった。
正義と支配を巡る思想の対立
リムルは誰もが機会を与えられるべきだと主張し、支配と搾取を是とするマリアベルの思想と激しく対立した。
マリアベルは弱肉強食こそ自然と主張し、議論は戦いによって決着をつける道へと進んだ。
思想の対立は妥協の余地なく、両者の正義がぶつかり合う構図が明らかとなった。
各陣営の戦闘とリムルの決意
戦闘はガイが先手を取って始まり、シオンがユウキと対峙した。ゴブタはランガと『魔狼合一』し、人狼の姿で騎士服の男と交戦した。
リムルはガイを一撃で葬り、圧倒的な力を見せつけた。マリアベルには冷徹な警告を与え、戦闘開始を宣言した。
マリアベルを敵と定めたリムルは、ミリムの援護へ向かう前にこの戦いを終わらせる覚悟を固めた。
魔王リムルとの圧倒的な力の差
マリアベルは、リムルが八星魔王の一柱であることを実感し、その力量に驚愕していた。
彼女が最大強化したガイは、魂のエネルギーを燃焼して戦ったが、リムルはそれを容易に葬った。
その力の差は、象とアリ以上に明白であり、マリアベルの戦意に影を落とした。
聖浄化結界と策略の崩壊
マリアベルは奥の手として、対魔物に特化した『聖浄化結界』を用意し、血影狂乱を配置していた。
しかし、リムルは事前に襲撃を予期して対策を講じており、結界は即座に無効化された。
リムルは逆にマリアベルを誘き出すために自らを囮とし、彼女の意図を完全に見抜いていた。
マリアベルの覚醒と攻撃の無効化
追い詰められたマリアベルは、自らの魂を燃焼させて限界を超えた力を引き出し、ユニークスキル『強欲者』を発動させた。
その力は、生への渇望を逆転させる強力なものであったが、リムルはすでに究極能力に覚醒しており、スキルの効果を無効化していた。
マリアベルの奥義は、リムルには通じなかった。
ユウキの登場とシオンの敗北
突如、ユウキが現れ、シオンを蹴り飛ばして戦闘不能に陥らせた。マリアベルは『強欲者』を介してユウキに力を譲渡し、彼の能力が強化された。
ユウキとリムルは激しくぶつかり合い、その力は互角に拮抗していた。
ユウキはマリアベルよりも身体能力で優れており、シオンが全く歯が立たなかったことでその強さが証明された。
リムルの優位と不意の逆転
リムルはマリアベルの魂波長を完全に掌握しており、どこへ逃げても見逃すことはなかった。
一方で、ユウキとの戦闘中、リムルの背後でマリアベルが行動を開始し、墓地の中央へと逃げようとしていた。
しかし、リムルはユウキの対応を優先し、マリアベルの捕縛は後回しにした。
ユウキの正体とリムルの苦境
シオンは意識を保っていたものの動けず、ユウキの強さが再認識された。
リムルの究極能力ですらユウキには通じず、彼の体質『能力殺封』によりスキルや魔法が無効化されていた。
これによりリムルの防御は突破され、絶対防御も破られた。精神の強度が問われる究極能力でさえ、ユウキの体質には効果が及ばなかった。
決戦への覚悟と武器の選択
ユウキの攻撃が通用する一方、リムルの攻撃が無力化される状況に直面し、リムルは同郷のよしみで生かすことも考えたが、もはや手加減できないと判断した。
覚悟を決めたリムルは漆黒の直刀を抜き、妖気を纏わせた。ユウキも同様に、両手に武器を構え、二人の本気の戦いが始まろうとしていた。
同シリーズ
転生したらスライムだった件 シリーズ
漫画版









小説版























その他フィクション

その他コミックス(外伝含む)
『「転生したらスライムだった件~魔物の国の歩き方~」(ライドコミックス)』
『転生したらスライムだった件 異聞 ~魔国暮らしのトリニティ~(月刊少年シリウス)』
『転スラ日記 転生したらスライムだった件(月刊少年シリウス)』
『転ちゅら! 転生したらスライムだった件(月刊少年シリウス)』
『転生したらスライムだった件 クレイマンREVENGE(月刊少年シリウス)』
TVアニメ
転生したらスライムだった件 3期(2024年4月から)
劇場版
Share this content:
コメントを残す