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フィクション(Novel)薬屋のひとりごと読書感想

小説「薬屋のひとりごと 16 疱瘡編」感想・ネタバレ

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薬屋のひとりごと 16巻の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

薬屋 15巻レビュー
薬屋 全巻まとめ
薬屋 17巻レビュー

Table of Contents

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  1. 物語の概要
    1. 主要登場人物
      1. 猫猫
      2. 壬氏(華瑞月)
      3. 克用
      4. 末摘花
      5. 姚(魯姚)
      6. 馬閃
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察
    1. 疱瘡の流行と対策
      1. 疱瘡の発生と初動対応
      2. 終生免疫を持つ者の動員
      3. 予防策の模索
      4. 流行の裏に潜む悪意
      5. まとめ
    2. 呪いの壺事件
      1. 事件の発端と呪いの壺の正体
      2. 事件の背景と皇太后からの依頼
      3. 猫猫の調査と真犯人の残酷な思惑
      4. 正妻・末摘花の献身と復讐
      5. まとめ
    3. 豪の娘と毒
      1. 事件の発端と呪いの壺の正体
      2. 毒を盛っていた真犯人とその動機
      3. 正妻・末摘花の沈黙と牛乳による救済
      4. 事件の結末と梔子の保護
      5. まとめ
    4. 翡翠翁の替え玉
      1. 羅半の拉致と莫大な賠償請求
      2. 猫猫が感じた違和感と替え玉の推理
      3. 商会側の真の意図と羅半の思惑
      4. 事件の結末
      5. まとめ
    5. 克用の過去と本性
      1. 凄惨な過去:人体実験の対象と弟の悲劇
      2. 開拓村での活動と追放
      3. 克用の本性:彭侯と呼ばれる鏡の性質
      4. 猫猫の戦慄と葛藤
      5. まとめ
  6. 登場キャラクター
    1. 医局・宮廷(医官・官女)
      1. 猫猫
      2. 王旺(わんわん先輩)
      3. 天祐
      4. 劉医官
      5. 老医官(公公)
      6. 燕燕
      7. 李医官
      8. 長紗
      9. 若手医官
      10. 漢羅門(羅門)
      11. 上級医官
      12. 医官たち
    2. 皇族・武官
      1. 壬氏(月の君 / 皇弟)
      2. 皇帝
      3. 卯純
    3. 馬の一族・壬氏の宮
      1. 馬閃(馬)
      2. 麻美
      3. 水蓮
      4. 壬氏の護衛たち
    4. 羅の一族(羅漢邸)
      1. 羅半兄
      2. 羅半
      3. 俊杰
      4. 四番
      5. 五番
      6. 六番
      7. 三番
      8. 二番
      9. 羅漢(変人軍師)
      10. 音操
      11. 羅漢の部下たち・屋敷の使用人たち
      12. 緑青館・花街
      13. 左膳
      14. 趙迂
      15. やり手婆
      16. 妓女たち
      17. 右叫
      18. 梓琳
      19. 白鈴
      20. 門番
    5. 皇太后の実家(豪の屋敷)
      1. 末摘花(豪の正妻 / 奥方)
      2. 豪の妾(梔子の母)
      3. 来(豪の息子 / 三男)
      4. 梔子
      5. 屋敷の使用人たち・出迎えの列
    6. 紅梅館
      1. 里樹
      2. 門番
      3. 厩の男
      4. 道士たち
      5. 牛の世話係の男
    7. 翡翠翁の商会
      1. 翡翠翁(替え玉)
      2. 翡翠翁の側近たち
      3. 翡翠翁の配下の男たち(破落戸たち)
    8. その他(民間・村落など)
      1. 克用
      2. 小蘭
      3. 飯屋の店員
      4. 村長(暴漢)
      5. 老医官の奥方
      6. 老医官の屋敷の使用人たち
  7. 展開まとめ
    1. 序話
  8. 薬屋のひとりごと 一覧
    1. 小説
    2. 漫画
  9. 類似作品
    1. 虚構推理
    2. 後宮の烏
    3. 准教授・高槻彰良の推察
    4. 全裸刑事チャーリー
  10. その他フィクション

物語の概要

本作の主人公は、宮廷の医局で医官付きの官女として働く猫猫である。
彼女は都の診療所で投薬の実験を行いながら、仲間たちと穏やかな日々を過ごしていた。ところが、都の平穏を守ろうとする彼女のもとに、地方で水ぶくれを伴う疱瘡(天然痘)が流行しているという知らせが届く。
都の医療体制は、にわかに緊張に包まれることとなった。

この危機を受け、過酷な人体実験を生き延び、顔に痘痕を残す民間医師・克用が招かれる。
一方、皇太后の実家である豪家では、娘の梔子が呪いの壺と毒によって衰弱させられる不穏な事件が起きていた。
猫猫は事件の背後にある実母の歪んだ虚栄心を暴き、正妻・末摘花による十年越しの静かな復讐の真相を見抜く。

中盤では、取引相手の沈没をめぐって拉致された羅半を救うため、調査が始まる。猫猫は「翡翠の輝き」と人間の健康状態、すなわち皮脂の関係に着目する。
その結果、有名な商人・翡翠翁はすでに病死しており、商会が替え玉を立てていた事実を鮮やかに暴き出す。

物語のクライマックスは、里樹が静養する紅梅館で、牛馬の疱瘡を調べている最中に訪れる。
克用の暗殺を狙う通り魔――かつて克用を追放した開拓村の村長――が、刃に疱瘡の膿を塗り込んだ小刀で襲いかかったのだ。
馬閃がすぐに取り押さえたものの、頬を傷つけられた馬閃は感染の疑いから隔離を余儀なくされる。

最終的に、通り魔事件の背景を通して、克用の「彭侯(鏡のような性質)」が浮き彫りになる。
彼は他者の善意も悪意も、鏡のようにそのまま返してしまう人物だった。
猫猫はその真実を胸に秘めたまま、干からびた公務に苦しむ壬氏の宮を訪れる。
静かな平民として自由に暮らすことへの憧れを共有しながら、二人はそっと寄り添い、新たな日常へ一歩を踏み出す。

主要登場人物

猫猫

  • 立場・所属:宮廷の医局に所属する見習いの医官付官女でした。
  • 主人公との関係:物語の主人公でした。
  • この巻での主な役割:皇太后の実家で起きた、呪いの壺と梔子への毒殺未遂事件を解決した。さらに翡翠のくすみから翡翠翁の替え玉の正体を暴き、羅半を救出したのである。紅梅館での通り魔の襲撃や克用の過去の真実、馬閃の隔離生活も見守った。
  • この巻での主な変化・行動:克用が持つ鏡のような本性を看破した。彼はかつて自らの手を汚さずに師を破滅へと導いた過去を隠していました。危険性と有用性を天秤にかけた末、真実を口外せず見守る覚悟を決めた。巻末では精神的な疲弊から壬氏に寄り添い、静かな安らぎを得ていた。

壬氏(華瑞月)

  • 立場・所属:茘の宮廷に所属する皇弟(月の君)でした。
  • 主人公との関係:猫猫を深く信頼し、生涯の伴侶として愛を寄せていた。
  • この巻での主な役割:皇太后から依頼された実家の「呪いの壺」の調査を、猫猫や馬閃、麻美らに託して解決を図ったのである。
  • この巻での主な変化・行動:里樹の様子を案じ、顔半分に痘痕を作る変装をして猫猫と共に紅梅館を忍び歩いた。事件後、実家で毒を盛られていた梔子を羅漢の屋敷の居候として受け入れる代替案を現実的に手配したのである。巻末では疲弊した猫猫を優しく抱き止め、平民になって責任から解放されたいという素朴な自由への願望を共有した。

克用

  • 立場・所属:顔の右半分に深い痘痕を残す、非常に優秀な民間の医師でした。
  • 主人公との関係:猫猫の知己であり、医療の協力者でした。
  • この巻での主な役割:都周辺での疱瘡の発生に伴い、終生免疫を持つ人物として日給銀三枚で宮廷の派遣医師として契約した。牛や馬の疱瘡を用いた予防実験の資料を猫猫に譲渡したのである。
  • この巻での主な変化・行動:相手から受けた仕打ちをそのまま返す、彭侯の性質を持つ本質を暴かれた。かつて奴隷として人体実験の苗床にされた恨みから、師匠に強毒の膿を仕込んで破滅させた過去を有していた。自分を追い出した開拓村に対しても、治療を施さずに見捨てることで静かに復讐を果たしたのである。

末摘花

  • 立場・所属:皇太后の実家である豪の屋敷を実質的に切り盛りする、鼻の赤い正妻でした。
  • 主人公との関係:事件の依頼主の親戚であり、猫猫の優れた知性を見極めた相手でした。
  • この巻での主な役割:実家の崩壊と夫への復讐のため、わざと呪いの壺の噂を皇太后に流して事態を動かした。
  • この巻での主な変化・行動:歪んだ愛で娘を病弱に留めていた妾の企みに気づきながらも、梔子に毒を中和する牛乳を十年間与え続けて命を救っていたのである。梔子を皇弟の元へ引き取らせることで夫を将来的に破滅させ、同時に娘を安全な場所へ逃がすという長期的な復讐計画を完了させた。

姚(魯姚)

  • 立場・所属:宮廷の医局に所属する見習いの医官付官女でした。
  • 主人公との関係:猫猫の友人であり同僚でした。
  • この巻での主な役割:羅漢の屋敷で、新たな居候となった梔子の看病やしつけを担当した。
  • この巻での主な変化・行動:羅半に対する不器用な恋心やこれまでの甘えを、後輩の長紗から食事会で手厳しく非難されたのである。自己の未熟さと燕燕への過度な依存を自覚した。来年からは羅漢の屋敷を出て実家に戻り、叔父の不在中に実権を掌握することを固く決意したのである。

馬閃

  • 立場・所属:宮廷の衛兵隊に所属する壬氏直属の護衛武官でした。
  • 主人公との関係:猫猫の同僚であり、里樹との縁談の当事者でした。
  • この巻での主な役割:呪いの壺を調査中、誤って握り潰して壊してしまった。紅梅館の視察においては里樹と再会したのである。
  • この巻での主な変化・行動:突如現れた暴漢の小刀を素手で叩き落として制圧した。しかし仕込まれていた疱瘡の膿によって頬を傷つけられ、診療所に一時隔離されたのである。隔離期間中に里樹からの温かい見舞いの手紙や家族からの心配を受け、二人の距離を大きく縮めた。

書籍情報

薬屋のひとりごと 16
著者:日向夏 氏
イラスト:しのとうこ 氏
出版社:主婦の友社
レーベル:ヒーロー文庫
発売日:2025年5月30日
ISBN:978-4-07-461876-7

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

累計4000万部突破! TVアニメ大好評放送中! 原作最新刊は流行病の発生がテーマ。猫猫は感染拡大の秘密に迫れるのか?

皇帝の手術を無事に終えてから半月、季節も冬へと近づいていた。術後の治療を上級医官に替わってもらったおかげで、猫猫(マオマオ)の日常は忙しくも平常運転へと戻っていた。そんなある日、老医官に届いた文を読んだ妤(ヨ)の顔色が変わった。「怖いことになるかもしれない」。その文には水膨れができた患者が増えていると書かれていたのだ。嫌な予感がする猫猫だったが、その心配は当たってしまった。「疱瘡(ほうそう)の発生」。感染力、致死率が高く、顔や身体に痕が残りやすく恐れられている流行り病だ。特効薬はなく、猫猫でも今から見つけることは不可能だろう。感染が広まれば村一つが閉鎖することもあるという。そんな絶望的な状況に一筋の光を放ったのは——。

薬屋のひとりごと 16

ヒーロー文庫

感想

『薬屋のひとりごと16』感想|疱瘡流行で猫猫がまさかの戦力外。羅門に完全に行動を読まれていたw

15巻では皇帝の手術という大仕事を終えた猫猫。

ようやく少し落ち着くのかと思ったら、今度は農村で疱瘡が発生する。

感染力も致死率も高い病。

当然、医官たちは対応に追われるのだが、ここで思わぬ問題が起きる。

派遣できるのは、

過去に疱瘡へ罹患した経験がある者。

つまり猫猫。

戦力外通告!

本人としては絶対に現地へ行きたかっただろうな。

さらに羅門から、

猫猫が疱瘡になったら、自分が看病する。

と深〜く釘を刺される。

羅門自身は疱瘡に罹患していない。

猫猫が無茶をすれば、養父まで危険にさらすことになる。

これは効く。

毒なら喜んで舐めそうな娘の扱いを、育ての親はよく分かっている。

仕方なく都に残った猫猫だが、周囲では皇太后の実家を巡る騒動、羅半の監禁、克用の過去、馬閃と里樹の関係など色々と起きる。

戦力外と言われても、

結局全然暇じゃないな。

疱瘡が流行。でも猫猫は何もできない。羅門の釘の刺し方が上手すぎる

地方から届いた、

水膨れの患者が増えている。

という報告。

疱瘡を経験している老医官と好は、すぐに危険性へ気づく。

現地へ向かって確認した結果、

本当に疱瘡。

村を封鎖し、患者を隔離。

そこへ追加の医官や武官を送ることになるが、条件は一度疱瘡にかかった経験があることだった。

猫猫は罹患経験なし。

劉医官もなし。

李医官もなし。

腕が良くても感染したら意味がない。

猫猫が現地へ行っても、むしろ患者を増やす可能性がある。

理屈では分かる。

でも猫猫としては悔しいだろうな。

そこで推薦するのが克用。

顔半分に疱瘡の痕があり、自身も過去に罹患している。

しかも疱瘡について独自に調べ続けている。

面接では、

師匠による人体実験。

双子の弟。

強毒と弱毒。

という普通に重い過去が出てくるのだが、本人の口調が軽すぎる。

その温度差が怖い。

能力は本物なので、日給銀三枚で採用。

好とともに疱瘡対策へ向かう。

猫猫は行けない。

しかも羅門からも、

もし感染したら自分が看病する。

と釘を刺される。

自分だけなら無茶する。

でも羅門まで巻き込むとなると動けない。

さすが育ての親。

完全に猫猫の性格を読んでるなw

皇太后の実家で毒騒動。娘を病弱にしていたのが実の母親って酷すぎる

疱瘡に動けない猫猫へ、今度は雀が厄介事を持ってくる。

皇太后の実家で、

呪いの壺が見つかった。

壬氏のところへ持ち込まれた壺を調べると、中身は呪いではなく毒。

濃い茶を長期間発酵させたものだった。

しかも馬閃。

壺を開けようとして、

握り潰す。

やっぱり壊れ物を任せちゃ駄目だろww

調査を進めると、屋敷には十四歳の梔子という娘がいる。

食が細く、身体もほとんど成長していない。

猫猫が診察すると、

長期間毒を盛られている可能性が出てくる。

犯人は、

実の母親。

娘を病弱なままにしておけば、豪から同情され、自分も捨てられない。

だから少しずつ毒を与えていた。

娘を自分の立場を守る道具にする。

何とも嫌な話である。

ただ、正妻の末摘花も全部気づいていた。

そして梔子に牛乳を与え続け、毒の影響を和らげながら十年も生かしていた。

助けるなら、もっと早く止めろよとも思う。

でも末摘花には夫への復讐もある。

善意だけではない。

悪意だけでもない。

この辺の人間関係が『薬屋のひとりごと』らしい。

最終的に梔子は豪の屋敷を離れ、

羅漢邸へ。

また羅の家に変なのが増えたw

羅半は監禁され、馬閃は隔離。なのに恋愛だけは少しずつ進んでいる

そして羅半まで監禁される。

相手は大商人の翡翠翁。

船の沈没を巡って莫大な賠償を要求されているらしい。

猫猫が屋敷へ行くと、

何かがおかしい。

翡翠翁本人が喋らない。

さらに身につけている翡翠がくすんでいる。

そこで猫猫が気づく。

これ、

本人じゃない。

本物の翡翠翁はすでに死亡。

商会を混乱させないために替え玉を置いていた。

そして羅半は、

それに気づいた上で商会側と取引していた。

……普通に仕事してたのかよ。

助けに行った側が拍子抜けである。

その一方、馬閃と里樹も少しずつ進む。

雀は相変わらず、

義弟と里樹をくっつけよう。

と完全に面白がっている。

馬閃と里樹が会話していても、

進まない。

天気の話。

家鴨の話。

雀も途中から勝手に台詞を作る。

分かる。

見ている方がじれったいw

ところが後半、克用を狙った男が疱瘡の膿を塗った小刀で襲撃。

馬閃が止めるが、

頬を切られてしまう。

感染の可能性があるため十日間隔離。

そこへ里樹から見舞いの手紙が届く。

こういう事件がないと進展しないのか、この二人。

でも里樹は今も出家の身。

馬の一族も周囲から少しずつ外堀を埋めているが、まだ簡単にはいかない。

馬閃。

気張れ。

一番怖かったのは克用かもしれない。雀さんは相変わらず元気で安心したw

終盤で分かる克用の本質が、なかなか怖かった。

彼は基本的に人当たりがいい。

金には細かいが、正当に評価してくれる相手にはきちんと応える。

猫猫にも好意的。

左膳とも普通に付き合う。

ところが逆も同じ。

自分を酷く扱った相手には、

相応のものを返す。

克用を人体実験に使った師匠。

彼を追い出した村。

本人が直接手を下したようには見えなくても、相手へ返すものはかなり冷たい。

猫猫はそれを、

鏡のような人間。

と見抜く。

優しいから怒らないのではない。

執着が薄いから、相手にされたことをそのまま返せる。

そう考えるとちょっと怖い。

猫猫も真相を知って気疲れしたのか、最後は壬氏のところへ行く。

壬氏も相変わらず仕事に追われて干からびている。

二人とも、

平民だったら楽なのにな。

みたいなことを考えている。

皇弟と変人軍師の娘。

今さら普通の平民になるのは難しいだろうけど。

それでも壬氏の前なら猫猫も少し力を抜けるようになった。

関係は進んでいる。

本当に少しずつだけど。

そして雀さん。

片腕に後遺症が残っているのに、

相変わらず元気。

馬閃と里樹を覗き見。

猫猫を連れ回す。

余計なことを企む。

うん。

元気そうで何よりw

疱瘡というかなり重い話から始まった16巻だったが、猫猫自身はまさかの戦力外。

その代わり、周囲の人物が大きく動いた巻だった。

何より、

猫猫を止めるには本人を説得するより羅門を人質にする。

これが一番効くんだなw

最後までお読み頂きありがとうございます。

薬屋 15巻レビュー
薬屋 全巻まとめ
薬屋 17巻レビュー

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考察

本書では、帝の手術成功後に訪れた平穏な日常から一転し、都や地方を揺るがす疱瘡の脅威と、宮廷内外で交錯する様々な事件の真相が描かれる。主人公・猫猫の類まれな洞察力と薬学知識を軸に、複雑な人間関係や隠された悪意が浮き彫りとなっていく物語の流れを以下にまとめる。

ストーリー・プロット

  • 第1幕:嵐の前の静けさと疱瘡の不穏な影現皇帝の手術が無事に成功してから半月が経過し、都は冬の寒さを迎えようとしていた。猫猫は上級医官に帝の術後管理を託し、自身は都の診療所での投薬実験や日常業務に戻る。ある日、仕入れの相談をしていた猫猫は、王旺から前回の手術で失態を演じた天祐を煽って反省させるよう依頼された。大好物である鶏の解体を口実に雑務を任せ、その後医官たちと鶏料理を囲む和やかな時間を過ごす。しかし直後、その直後、地方で水ぶくれの症状を訴える患者が増えているという急報が届く。疱瘡の経験がある老医官と好は流行の兆候をいち早く察知し、感染防止のため現地へ出張した。
  • 第2幕:紅梅館での再会と不器用な二人好たちが出発した休日、猫猫の宿舎を訪れた雀は、馬閃と里樹妃の様子を探る外出への同行を求める。二人が訪れた郊外の紅梅館は、古びた寺院の外観を持つ一方、不老不死や食による健康長寿を研究する裕福な道士たちの自給自足の里であった。そこで家鴨の世話をしながらたくましく成長した里樹妃と、仕事名目で訪れた馬閃のぎこちないやり取りを見守る。周囲が二人の縁談を後押ししていることを知りながらも、里樹妃の健康回復を確認した猫猫は、土産の皮蛋を手に宿舎へ戻った。
  • 第3幕:呪いの壺と実母の狂気地方の村が閉鎖されたとの報告を受け、人手不足の医局に猫猫は民間の優秀な医師・克用を日給銀三枚で推薦・雇用する。そんな折、雀を介して壬氏の元に持ち込まれた呪いの壺の調査を依頼された。馬閃が誤って壺を割ったことで流出した液体は、濃い茶を用いた遅効性の発酵毒であった。壺が発見された皇太后の実家・豪の屋敷では、妾の娘である十四歳の梔子が妃を呪った疑いをかけられていた。変装して診察に赴いた猫猫は、極度に衰弱した梔子の薬湯やお茶に毒が盛られていることを見抜き、妾が当主に捨てられないよう娘を十年間毒殺しかけていた事実を暴く。
  • 第4幕:正妻の静かな復讐と羅漢邸の居候正妻の末摘花はすべてを把握しており、夫への激しい嫌悪から噂を皇太后に流して騒ぎを大きくしていた。彼女は妾の毒殺行為を知りつつ、梔子に牛乳を与えて命を繋ぎ止め、彼女を壬氏の元へ引き取らせて夫への復讐と息子たちの実権掌握を狙っていた。事態を把握した壬氏は、入内を回避しつつ命を救うため、医療知識と作物が豊富な羅漢の屋敷へ梔子を居候させる。羅半兄や姚、燕燕たちの手厚い看護と猫猫の指導により、梔子は徐々に健康を取り戻していった。
  • 第5幕:翡翠翁の死と替え玉の露呈羅漢の部下・三番から、羅半が商人の翡翠翁に船の沈没責任を問われて監禁されたと知らされる。屋敷へ向かった猫猫は、翡翠翁が無言を貫き側近が一括払いに固執する点、身につけた翡翠の装飾品が油分を失いくすんでいる点に着目した。健康な人の脂が通っていないことから本物の翡翠翁が病死しており、目の前にいる人物が替え玉であることを見抜く。羅半は倒産防止と商談成立のために替え玉計画へ協力していたのであり、猫猫は武力衝突を回避して事態を穏便に収拾した。
  • 第6幕:紅梅館の襲撃と馬閃の隔離疱瘡の感染源調査のため、猫猫、克用、変装した壬氏らは紅梅館へ向かい、馬閃や王旺と合流する。家畜に異常はなく視察は順調に進むが、突然、克用への私怨を抱く開拓村の元村長が小刀を持って乱入した。馬閃が見事に取り押さえるも、小刀の刃先には疱瘡の膿が塗られており、宙を舞った刃で頬に軽傷を負ってしまう。馬閃は診療所の特別室へ十日間隔離され、好の看護と里樹妃からの見舞いの手紙を受けながら無事に隔離期間を乗り切った。

主要な転換点

  • 皇太后の実家における呪いの壺と毒殺未遂の解決壺の中身が発酵毒であると特定され、妾による十年の毒殺未遂と、正妻・末摘花による牛乳を用いた救命および夫への復讐計画が判明した。これにより梔子は羅漢邸へ保護され、新たな環境で回復を図ることとなった。
  • 翡翠のくすみによる翡翠翁の替え玉の看破装飾品の輝きの喪失から本人の病死と替え玉の存在が露呈した。商会の破綻を防ぐため裏で手を組んでいた羅半の意図が明らかとなり、武力介入を避けた安全な救出と円滑な世代交代が実現した。
  • 紅梅館での元村長襲撃と馬閃の負傷・隔離元村長の刃に塗られた膿により馬閃が感染の危機に瀕し、十日間の隔離措置が取られた。この危機を経て里樹妃との手紙のやり取りを通じ、二人の距離が急速に縮まる契機となった。

主人公を中心とした人物関係の変化

  • 猫猫と壬氏避妊薬草を巡る緊迫した対峙を経て距離を置いていたが、一連の事件の解決や紅梅館視察を通じて知恵を頼り合う関係へ戻る。克用の真実を知り精神的に疲弊した猫猫を受け入れ、肩に頭を預け合って平民の自由を夢見るなど、言葉少なに甘えを許し合える唯一無二の信頼関係が確立された。
  • 猫猫と克用有能な民間医師として敬意を払っていたが、彼が相手の悪意や行為を鏡のようにそのまま返す非情な復讐者であることを知る。悪意のなさを理解しつつも、その底知れぬ報復の冷徹さに強い恐怖を覚え、真実を胸に秘めて見守る複雑な距離感となった。
  • 猫猫と姚医官付官女の同僚として過ごす中、羅漢邸での看護を通じて姚の自立への葛藤を観察する。後輩からの指摘を受け、実家に戻り自力で実権を握ると決意した姚に対し、確固たる尊敬と深い友情を築いた。

主人公の認識と周囲の評価

  • 主人公自身の認識自らを薬や毒に異常な執着を持つだけの平凡な薬師と捉えている。権力闘争や後宮の騒動に自ら首を突っ込む意思はなく、報酬や職務のために動いているに過ぎないと考えている。
  • 周囲からの評価壬氏や高順は並外れた知識と洞察力を持つ唯一無二の存在として重宝し、劉医官や羅門もその正確な技術を深く信頼している。周囲の仲間たちも、いかなる窮地でも合理的な解決策を導き出す頼もしい賢女として全幅の信頼を置いている。
  • 認識の差が現れた場面翡翠翁の屋敷で翡翠のくすみを指摘した際、周囲は場違いな奇行と受け取ったが、猫猫にとっては死後硬直と脂の欠如を示す科学的証拠であり、事態を無血で解決するための冷静な観察に基づいていた。

クライマックスの展開

  • 発生原因と状況開拓村を追放された元村長が、名声を得る克用への嫉妬から殺害を計画し、紅梅館の厩に乱入して小刀で突進した。
  • 一同の行動と危機猫猫が克用を引き倒して守り、壬氏が猫猫を保護する中、馬閃が体術で暴漢を取り押さえた。しかし、はたき落とされた小刀が馬閃の頬をかすめ、刃に塗られた疱瘡の膿による感染危機が生じる。
  • 決着とその後壬氏の命令と猫猫の提案で馬閃は即座に隔離され、好の看護と里樹妃の手紙に励まされながら無症状で十日間を乗り切った。拘束された元村長は牢内で自死し、事件は終息を迎えた。

巻末時点の状況

  • 主人公の所在と立場壬氏の宮を訪れて休息を得た後、女子宿舎に戻り日常業務を再開した。数々の難事件を解決しつつ、克用の危険な真実を胸に秘めて生きる立場にある。
  • 主要人物の動向壬氏とは深い精神的安らぎを共有し、姚は実家へ戻る決意を固めて引っ越し準備を進めている。左膳や趙迂の平穏な日常も陰から支えられている。
  • 解決した問題梔子への十年越しの毒殺未遂事件の解決、翡翠翁の替え玉看破による商会と羅半の救出、紅梅館での襲撃事件の収束と馬閃の隔離満了。
  • 継続中の課題と今後の要素周辺地域での疱瘡流行と隔離村での過酷な医療活動、後宮内における皇太后派と皇后派の勢力争いが継続している。さらに、克用が提示した牛の疱瘡を用いた予防法の実証、姚の実家での実権掌握、雀から授けられた護衛道具の活用などが今後の展開への鍵となる。

全体のプロット構造

  • 開始地点:都の診療所における平穏な日常業務と投薬実験。
  • 発端:地方からの疱瘡流行の兆候報告。
  • 展開:克用の招聘、紅梅館の視察、皇太后実家での毒殺未遂解決、翡翠翁の替え玉看破。
  • 中盤の転換:紅梅館での元村長による襲撃と馬閃の負傷。
  • クライマックスへの導線:馬閃の隔離生活と里樹妃との絆の深化。
  • クライマックス:村長の自死と、克用の鏡のような復讐の過去の露呈。
  • 到達地点:克用の本性に疲弊した猫猫が壬氏の宮で安らぎを得て、平民の自由に思いを馳せながら日常へ帰還する。

平穏な日常の裏で進行していた疫病の影と、複雑に絡み合う人間の愛憎や復讐劇が、猫猫の観察眼によって次々と解き明かされた。数々の事件を経て、登場人物たちの関係にも確かな変化が生まれる。新たな課題と希望を抱えながら、物語は次の展開へと続いていく。

疱瘡の流行と対策

地方の農村で発生した疱瘡(天然痘)の流行と、それに対する宮廷の迅速な対応、および新たな予防法の模索について解説する。

疱瘡の発生と初動対応

地方の農村で水膨れの症状を伴う疱瘡の感染が確認されると、宮廷の医官たちは即座に事態を重く受け止めた。

・感染の拡大を防ぐため、直ちに該当する村を封鎖した。
あわせて感染者を隔離し、外部への流出を最小限に抑える初動対応を行った。

終生免疫を持つ者の動員

現場で治療や対策にあたるには、二次感染を防ぐため、一度疫病にかかると二度とかからない終生免疫を持つ人員の確保が急務となった。

・猫猫(マオマオ)の提案を受け、かつて疫病を患い、顔に痘痕が残る民間医・克用(コクヨウ)を雇い入れた。
さらに、以前に克用の処置で命を救われ、同じく免疫を持つ官女の妾(ヨ)を、老医官の補佐として現場に派遣した。

予防策の模索

疱瘡に対抗するため、克用や猫猫は現代の種痘に相当する弱毒化を用いた予防策を模索した。

・克用は以前から、健康な者の体内に弱毒化した疫病の種を入れ、免疫をつける処置を行っていた。
より安全な方法を求めて牛の疫病である牛痘にも着目し、人への免疫効果を探るため、牛や馬の飼育状況を視察した。

・発見された禁書『華佗の書』に記された疫病に関する記述を確認し、知識の整理と研究に役立てた。

流行の裏に潜む悪意

今回の疱瘡の流行は、自然発生だけでなく、人為的にばら撒かれていた側面が明らかになった。

・都の周辺で起きていた通り魔事件では、小刀の刃先に疫病の種を塗りつけ、意図的に感染を広げていた。通り魔の正体は、かつて克用を開拓村から追放した元村長だった。
克用の医術への強い嫉妬と劣等感から凶行に及んだ結果、自身の見栄が疫病を再流行させるという皮肉な結末を招いた。

まとめ

疱瘡の脅威に対し、宮廷は隔離という伝統的な手法に加え、終生免疫保持者の動員や牛痘という新たな医学的知見を導入することで立ち向かった。
人為的な悪意による感染拡大という困難はあったものの、過去の禁書や現場の知恵を総動員したことが、被害の抑制と将来的な予防法の確立に向けた大きな一歩となったのである。

呪いの壺事件

皇太后の実家で起きた「呪いの壺」事件。その真相と、背後にあった人々の愛憎、そして事件の結末を解説する。

事件の発端と呪いの壺の正体

壬氏のもとに「呪いの壺」の調査依頼が持ち込まれ、猫猫(マオマオ)は厳重に保管されていた壺を調べることになった。

・猫猫の調査により、壺の中身は濃い茶をベースにした、熟成途中の毒だったことが判明する。

・作り手は毒に詳しくなかったらしく、壺に貼られた呪いの札も、実効性のない偽装か迷信の産物と考えられた。馬閃が誤って壺を割ってしまう事故はあったものの、そのおかげで中身の鑑定は迅速に進んだ。・

事件の背景と皇太后からの依頼

事件の舞台は、皇太后の実家である当主・豪の屋敷だった。

・妾の娘である梔子(しし)が、妃に呪いをかけた疑いをかけられ、追放の危機に瀕していた・・

猫猫の調査と真犯人の残酷な思惑

猫猫たちは屋敷を訪れ、壺が見つかった庭の湿地帯の調査および病弱な梔子の診察を行った。

・妾(梔子の実母)が用意した薬湯の匂いと味から、妾自身が実の娘に毒を盛り続けている事実が判明した・元妓女である妾は、娘が後宮に入れないと悟った後、自らが見捨てられることを恐れて犯行に及んだ・病弱な娘を看病する哀れな母親を演じることで当主の同情を買い、自らの立場を保持しようとしたのである・毒の渋みを隠すために使われた生薬の荊芥(けいがい)が猫の好む匂いであったため、埋められた壺が掘り返されたのが事件の真相であった

正妻・末摘花の献身と復讐

虐待に気づいていた当主の正妻・末摘花(すえつむはな)も、ひそかに行動していた。

・夫である豪に虐待を訴えたものの、嫉妬による妄言だと決めつけられ、聞き入れてもらえなかった。そのため末摘花は沈黙を守りつつ、飢えた梓子を哀れんで、ひそかに牛乳を与え続けていた。牛乳に含まれる成分が毒を中和し、致死量に達するのを防いでいたため、梓子は命をつないでいたのだ。・飢えた梔子を哀れみ、密かに牛乳を与え続けていた・牛乳に含まれる成分が毒を中和し致死量を下回らせていたおかげで、梔子は命をつないでいたのである

・末摘花は家の再興と無理解な夫への復讐を兼ねて、梔子を壬氏のもとで引き取ってほしいと懇願した

まとめ

壬氏は末摘花の要望に対し、梔子の病状を回復させるための現実的な解決策を選択した。

・医療知識のある姚や燕燕がおり、新鮮な作物がある羅漢邸に梔子を預けることとなった
・権力と保身が絡み合った事件は、梔子が安全な環境で保護され、人間らしい活力を取り戻していく形で決着を見た・末摘花の覚悟と猫猫の洞察が、一人の少女の命を不遇な環境から救い出す結果となったのである。

豪の娘と毒

皇太后の弟である豪(ゴウ)の屋敷で発生した、娘の梔子(シシ)と呪いの壺を巡る事件の全容について解説する。
この事件は、複雑な家庭環境における保身と、周囲の女性たちによる沈黙の救済が交錯する特異な経緯を辿った。

事件の発端と呪いの壺の正体

事の発端は、豪の屋敷の庭から封印された呪いの壺が発見されたことであった。
この壺の出現により、豪の妾の娘である梔子が呪いをかけたとの嫌疑をかけられ、追放の危機に瀕していた。

・皇太后からの依頼を受けた壬氏(ジンシ)は、梔子の無実を証明するために猫猫(マオマオ)を伴って屋敷を調査した
・猫猫が壺の中身を鑑定した結果、それは呪術的な品ではなく、濃い茶を基に作られた熟成途中の毒物であることが判明した

・壺の表面に貼られていた呪いの札は、毒物の存在を隠すための偽装、あるいは作成者の迷信によるものであった

毒を盛っていた真犯人とその動機

14歳になる梔子は極端に発育が悪く、常に生気に欠ける病弱な状態にあった。
猫猫の診察と観察により、この異常な健康状態の真相が明らかになった。

・梔子に長年にわたって毒を盛り、意図的に病弱に仕立て上げていた真犯人は、実の母親である妾であった
・元妓女である妾は、病の娘を看病する哀れな母親を演出することで、当主である豪の同情と関心を惹きつけ続けていた
・梔子が政略結婚の道具として後宮に入れないことが判明したため、妾は自身の立場の維持のために娘を小道具として扱い、継続的に毒を摂取させていた
・毒の渋みを消すために使われた生薬が猫の好む匂いを持っていたため、埋められていた壺を猫が掘り返したことが事件発覚の引き金となった

正妻・末摘花の沈黙と牛乳による救済

この事件において、豪の正妻である末摘花(すえつむはな)は、真実に気づきながらも独自の手段で梔子を守り続けていた。

・末摘花は妾の犯行に気づいていたが、夫である豪が妾の言葉のみを盲信していたため、直接的な告発を断念していた
・彼女は飢えと毒に苦しむ梔子を哀れみ、密かに牛乳を与え続けていた

・牛乳に含まれる成分が胃腸を保護し、毒の成分を中和して致死量を下回らせていたおかげで、梔子は奇跡的に命を繋ぎ止めていた

事件の結末と梔子の保護

末摘花は、無理解な夫への復讐と梔子の未来を守るため、壬氏に対して彼女を引き取ってほしいと強く懇願した。
これを受け、壬氏は彼女の回復に最適な環境を選択した。

・医療知識を持つ者がおり、新鮮で栄養価の高い作物が手に入る羅漢邸(羅半たちのいる屋敷)の離れへと保護することを決定した
・羅漢邸に移った後の梔子は、燕燕(エンエン)や姚(ヤオ)たちの看病を受け、徐々に生命力を取り戻している
・かつての虚弱な姿からは想像できないほどの旺盛な食欲を見せるなど、回復の兆しは顕著である

まとめ

権力と保身のために実の娘を犠牲にしていた妾の悪行は、猫猫の洞察によって暴かれた。
しかし、梔子が今日まで生き延びることができたのは、正妻である末摘花が密かに与え続けた牛乳という救済があったからに他ならない。
劣悪な環境から救い出された梔子が本来の活力を取り戻していく過程は、この悲劇的な事件における唯一の希望といえる。

翡翠翁の替え玉

南方の貧民街近くに屋敷を構える有力者・翡翠翁(ひすいおう)のもとで起きた、当主の替え玉騒動を解説する。猫猫(マオマオ)の鋭い観察眼によって、莫大な賠償請求の裏に隠されていた商会の苦肉の策と、当主の死が明らかになった事件である。

羅半の拉致と莫大な賠償請求

ある日、猫猫は変人軍師(羅漢)の部下である三番(さんばん)に連れられ、翡翠翁の屋敷を訪れた。

・屋敷内では羅半(ラハン)が拘束され、当主の側近から船の沈没に伴う莫大な賠償金を現金で支払うよう求められていた。

・三番は身柄の引き換え条件として銀錠を提示したが、側近はこれを拒否。交渉は難航を極めた。

・拉致されたはずの羅半は異様なほど落ち着いており、周囲の状況を冷静に観察しているように見えた。

猫猫が感じた違和感と替え玉の推理

緊迫した交渉の場において、猫猫はいくつかの物理的な不自然さに注目した。

・当主であるはずの翡翠翁が一切口を開かず、側近がすべてのやり取りを代行していたこと。

・翡翠翁が身に着けていた翡翠の装飾品が、不自然にくすんでいたこと。

・翡翠には、持ち主の肌の脂(皮脂)が浸透することで艶を保つ性質がある。体格の良い当主が日常的に身に着けていれば、特別な手入れをしなくても皮脂が行き渡り、艶が出るはずである。

・急に他人の翡翠を身に着けた場合や、手入れの行き届いていない品を着用した場合に生じるくすみから、猫猫は目の前の人物が本物の翡翠翁ではないと見抜いた。

商会側の真の意図と羅半の思惑

騒動の背景には、商会の存続に関わる重大な事実が隠されていた。

・本物の翡翠翁はすでに病没していた。しかし、大規模な商談を控えていた商会は混乱を避けるため、当主の死を隠していた。

・替え玉を用意して時間を稼ぎ、その間に商談を成立させようとしたのは、商会にとっての苦肉の策だった。

・羅半はその事実に気づいたため拘束されたが、経済的な混乱を防ぐため、あえて拘束されているふりをして商会側に協力していた。

事件の結末

猫猫は、羅漢(ラカン)が介入することで商会の計画が破綻し、市場に不必要な混乱が生じることを危惧した。

・猫猫は翡翠の手入れを口実に三番を説得し、彼らが強硬手段に出るのを防ぎつつ、一時的な撤退を選んだ。

・後日、商会側の準備が整った段階で、翡翠翁の死は正式に公表された。

・愛用の翡翠は当主とともに棺へ納められ、一連の騒動は大きな混乱を招くことなく収束した。

まとめ

翡翠翁の替え玉事件は、猫猫の宝石に関する専門知識と、羅半の冷徹なまでの商業的判断によって、最小限の混乱で解決へと導かれた。私情よりも大局的な利益を優先した羅半の行動と、その意図を察して場を収めた猫猫の機転が、茘(リー)の国の経済的な安定を守ることにつながったのである。

克用の過去と本性

高い医術を持ちながら、顔の半分に凄惨な疱瘡の痕(痘痕)を持つ青年、克用(コクヨウ)の過酷な過去と、その内に秘める本性について解説する。

凄惨な過去:人体実験の対象と弟の悲劇

克用はかつて、北亜連出身の師匠の下で奴隷として扱われていた背景を持つ。

・幼少期に双子の弟と共に、疱瘡の予防策である種痘の生きた実験台にされた
・弟には弱毒化した種が植え付けられたが、克用には強毒の膿が用いられたため、高熱に苦しみ顔の半分に消えない痘痕が残った
・実際には、この実験の際に克用自らが膿を入れ替えるという報復を行っていたことを、後に猫猫(マオマオ)に告白している
・その後、弟は師匠を殺害した後に自ら命を絶つという悲劇的な最期を遂げた

開拓村での活動と追放

克用は北西の開拓村において、医者として活動していた時期がある。

・村の子どもたちに読み書きや薬の作り方を教え、秘密裏に疱瘡の弱毒化処置(種痘)を施していた
・しかし、村が食糧難に陥ると、呪い師の嫉妬や村長の思惑によって理不尽に村を追放された
・克用を失った村は後に疱瘡の流行によって滅亡したが、彼が事前に処置を施していた一部の家族のみが生き残ることとなった

克用の本性:彭侯と呼ばれる鏡の性質

克用を追ってきた村長は、彼のことを木霊の一種である彭侯(ほうこう)と呼んで忌み嫌っていた。
これは彼の特異な本性を言い表したものである。

・彼の本質は、相手にされたことをそのまま返すという鏡のような性質にある
・善意には善意で応えるが、悪意にはそれと同等かそれ以上の悪意を容赦なく返す
・村の滅亡に関しても、自ら手を下すのではなく、必要な医療支援を一切行わないという消極的な報復によって村を見捨てたのが実態であった

猫猫の戦慄と葛藤

猫猫は、克用の報復の姿勢に含まれる狂気と非情さに強い恐怖を感じている。

・理不尽な暴力に対する仕返しという理屈は理解しつつも、その過剰な報復心に戦慄を覚えた
・しかし、彼の高い医術は現在の宮廷における疱瘡対策において不可欠なものであった
・猫猫は彼の本性を秘匿し、彼の周囲にこれ以上の悪意が集まらないことを願うという複雑な立場をとることとなった

まとめ

克用は、過酷な人体実験の生存者でありながら、受けた悪意を冷徹に返すという独自の倫理観を持つ人物である。彼の存在は、医療という人命を救う行為の裏側に潜む、人間の執念と報復の恐ろしさを象徴している。
その高い技術と危うい本性は、今後の物語においても重要な意味を持ち続けることとなるだろう。

薬屋 15巻レビュー
薬屋 全巻まとめ
薬屋 17巻レビュー

登場キャラクター

医局・宮廷(医官・官女)

猫猫

薬や毒に対して並外れた好奇心と知識を持つ。冷静で合理的な思考の持ち主である。面倒事を避けたがる一面がある。周囲の人物から強い信頼を寄せられている。
・所属組織、地位や役職
宮廷の医官手伝い。
・物語内での具体的な行動や成果
豪の屋敷で見つかった呪いの壺が茶の毒であると見抜いた。末摘花と対話し事件の真相を解明した。翡翠翁が替え玉であることを見破った。克用の過去と本性を問いただした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
変人軍師の娘としての立場を周囲に認知されつつある。

王旺(わんわん先輩)

温厚で人当たりが良い性格である。血を見る作業を苦手としている。猫猫や李医官と良好な関係を築いている。
・所属組織、地位や役職
医官。診療所の投薬実験の管理者。
・物語内での具体的な行動や成果
猫猫に薬剤の発注指示を出した。天祐への処罰状況を猫猫に説明した。紅梅館の視察に同行し克用の話を聞いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
診療所の管理者を務めている。

天祐

飄々として反省の色を見せない性格である。解剖や腑分けに対して強い執着を持つ。周囲の医官たちから煽られている。
・所属組織、地位や役職
医官。
・物語内での具体的な行動や成果
皇帝の手術で重大な失敗をやらかした。猫猫に頼まれて水汲みや洗濯を行った。鶏の解体を見事な包丁さばきで行った。好に疱瘡遺体の解剖について執拗に尋ねた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
半年間の減給と外科手術禁止の処分を受けている。劉医官の指示で十回ずつの分割による百回の鞭打ち刑を受けている。

真面目で辛抱強い性格である。過去に疱瘡を患った経験がある。克用に対して恩義を感じている。
・所属組織、地位や役職
医官手伝いの官女。
・物語内での具体的な行動や成果
老医官と共に疱瘡の発生した村へ派遣された。面接で克用を劉医官に推薦した。診療所で隔離された馬閃の世話と看病を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
猫猫と同じ部署に正式に配属された。

劉医官

厳格で判断力に優れた名医である。感情に流されず理性的に行動する。天祐の監督責任を引き受けている。
・所属組織、地位や役職
上級医官。
・物語内での具体的な行動や成果
疱瘡対策の会議を取り仕切った。克用の面接を行い雇用条件を決定した。通り魔事件の真相について猫猫に意見を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
漢羅門と並び称される高い医療技術を持つ。

老医官(公公)

温和で場を和ませる性格である。疱瘡にかかった経験がある。好や克用を温かく見守っている。
・所属組織、地位や役職
医官。
・物語内での具体的な行動や成果
地方から届いた疱瘡の報告書を確認した。好を伴って疱瘡流行地域の最前線へ向かった。克用の面接官を務めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
劉医官に引けを取らない医療技術と決断力を有している。

燕燕

几帳面で家事全般が得意である。主人である姚に強い忠誠心と執着を抱いている。
・所属組織、地位や役職
医官手伝いの官女。姚の従者。
・物語内での具体的な行動や成果
羅漢邸の離れで梔子の食事の管理と看病を行った。好に対して休養の大切さを説いた。食事会で長紗から痛烈な指摘を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

李医官

筋肉質で鍛え抜かれた体躯を持つ。わんわん先輩と同期である。天祐の天敵として制裁を加える。
・所属組織、地位や役職
医官。
・物語内での具体的な行動や成果
猫猫が出した甘藷を食べた。天祐が受けている鞭打ち刑の状況を猫猫に教えた。好に近づく天祐に拳骨と関節技を食らわせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

長紗

観察眼が鋭く毒舌な性格である。優れた嗅覚と味覚を有している。薬の知識が豊富である。
・所属組織、地位や役職
後輩の官女。
・物語内での具体的な行動や成果
猫猫の作った粥の具材を正確に言い当てた。猫猫から克用の研究資料を見せてもらった。食事会で姚と燕燕の関係性の問題を論理的に指摘した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

若手医官

感染症に対して不安を抱く若い医官である。
・所属組織、地位や役職
若手の医官。
・物語内での具体的な行動や成果
医官会議で疱瘡の状況について不安の声を上げた。劉医官から厳しい言葉を返された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

漢羅門(羅門)

温厚で虫も殺さないような人柄である。卓越した医療技術を持つ。猫猫の養父である。
・所属組織、地位や役職
後宮の医官。
・物語内での具体的な行動や成果
克用の面接官を務めた。猫猫に手紙を送り現場に行かないよう注意を促した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
後宮内の情勢維持のために外出を控えている。

上級医官

宮廷内で重い責任を担う医官である。
・所属組織、地位や役職
上級医官。
・物語内での具体的な行動や成果
皇帝の術後治療を引き継いだ。克用の面接官を務めた。克用の医療資料の価値を認めて銀五十枚を支払うことに同意した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

医官たち

宮廷の医療に従事する官吏たちである。
・所属組織、地位や役職
宮廷医官たち。
・物語内での具体的な行動や成果
天祐を悔しがらせることを流行らせていた。医官会議に出席して感染対策の議論を聞いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

皇族・武官

壬氏(月の君 / 皇弟)

思慮深く情に厚い指導者である。国政と治安維持に強い責任感を抱く。猫猫を深く信頼している。
・所属組織、地位や役職
皇弟。
・物語内での具体的な行動や成果
豪の屋敷から持ち込まれた呪いの壺の調査を猫猫に依頼した。顔に変装の化粧を施して紅梅館の視察に同行した。暴漢に襲われた馬閃の隔離措置を迅速に命じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
胸の焼き印や後宮との関係など複雑な立場を抱えている。

皇帝

国の最高権力者である。
・所属組織、地位や役職
茘の皇帝。
・物語内での具体的な行動や成果
物語の直前に外科手術を受けた。豪の振る舞いに対して怒りを示したと噂された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

卯純

腰が低く世渡り上手な武官である。里樹の異母兄にあたる。
・所属組織、地位や役職
武官。
・物語内での具体的な行動や成果
訓練で頭部を負傷した武官に付き添って医務室を訪れた。猫猫に対して深々と頭を下げて挨拶した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
武官たちの間で立ち回りを続けている。

馬の一族・壬氏の宮

明るくお調子者を装うが冷徹な判断力を持つ。読唇術や情報収集など多彩な特技を備える。馬閃の義姉である。
・所属組織、地位や役職
馬の一族の嫁。壬氏の配下。
・物語内での具体的な行動や成果
猫猫を誘って紅梅館の馬閃と里樹の様子を見張った。豪の屋敷の牛小屋や料理人から情報を集めた。医官手伝いたちの食事会を企画した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
過去の事件により右手に麻痺が残っている。

馬閃(馬)

生真面目で不器用な武人である。優れた怪力と武術の腕前を持つ。自己肯定感が低い傾向にある。
・所属組織、地位や役職
武官。壬氏の側近。
・物語内での具体的な行動や成果
力の加減を誤り呪いの壺を割ってしまった。紅梅館で里樹と会話を交わした。小刀を持った村長を一撃で取り押さえた。診療所に十日間隔離された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
村長の小刀により頬に軽傷を負った。

麻美

弟思いで厳格な性格である。馬閃の姉にあたる。
・所属組織、地位や役職
馬の一族の女性。壬氏の側近。
・物語内での具体的な行動や成果
壺を壊した馬閃に制裁を加えた。豪の屋敷に同行し末摘花との交渉に立ち会った。壬氏に対して率直な意見を述べて方針を質した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

水蓮

細やかな気配りを見せる老女である。壬氏に対して過保護な一面を持つ。
・所属組織、地位や役職
壬氏の宮の筆頭侍女。
・物語内での具体的な行動や成果
倉庫に火鉢や毛氈を用意して壬氏の環境を整えた。宮を訪れた猫猫に温かい食事を提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

壬氏の護衛たち

忠誠心の高い警備要員である。
・所属組織、地位や役職
壬氏の護衛武官たち。
・物語内での具体的な行動や成果
倉庫の外で見張りを担当した。紅梅館で暴漢が現れた際に剣を抜いて警戒した。取り押さえられた村長を縛り上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

羅の一族(羅漢邸)

羅半兄

素朴で勤勉な農業の玄人である。作物の栽培と研究に没頭している。羅半の義兄である。
・所属組織、地位や役職
農家。
・物語内での具体的な行動や成果
羅漢邸の庭を耕して畑にした。赤茄子の乾燥加工を試みた。離れに運ばれた梔子を心配して野菜を差し入れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
西都での活躍に続き王都でも農業を続けている。

羅半

極めて計算高く数字に潔癖な性格である。商才に長けている。羅漢の養子である。
・所属組織、地位や役職
羅の一族の当主代理。
・物語内での具体的な行動や成果
月の君の依頼を受けて梔子を屋敷に引き取った。翡翠翁が替え玉であることを見抜いた。商会側に身柄を拘束されたが秘密を守り協力を選んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

名家のお嬢様でプライドが高い。責任感が強く精神的に幼い一面を持つ。
・所属組織、地位や役職
医官手伝いの官女。
・物語内での具体的な行動や成果
屋敷の離れで梔子の看病と食事の世話を引き受けた。食事会で長紗から指摘を受け自立を決意した。実家に戻り家の掌握を目指す方針を固めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
過去の毒見役の後遺症により味の濃いものが食べられない。

俊杰

素直で働き者な平民の少年である。実家に仕送りをしている。
・所属組織、地位や役職
羅漢邸の使用人。
・物語内での具体的な行動や成果
四番たちと共に離れの掃除を行った。羅半兄の農作業や荷物運びを手伝った。変人軍師の出陣騒動に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

四番

大人びていて他人の心の機微を読むのが得意である。孤児出身である。
・所属組織、地位や役職
羅漢邸の使用人。
・物語内での具体的な行動や成果
離れの掃除を取り仕切った。俊杰に掃除の仕事を割り振った。梔子たちと庭で一緒に遊んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
羅漢に拾われて屋敷で暮らしている。

五番

素直な性格の少女である。四番と常に行動を共にしている。
・所属組織、地位や役職
羅漢邸の使用人。
・物語内での具体的な行動や成果
離れの壁の穴を見つけて四番に報告した。変人軍師の集会に加わった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
四番と共に羅漢に引き取られた。

六番

拙い言葉づかいの幼い少年である。五番の真似をすることが多い。
・所属組織、地位や役職
羅漢邸の使用人。
・物語内での具体的な行動や成果
掃除の最中に五番の言葉を繰り返した。梔子や四番たちと屋敷内で遊んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
羅漢に拾われて命を救われた。

三番

声が非常に大きく忠誠心が強い女性である。羅半の補佐役を務めている。
・所属組織、地位や役職
羅漢邸の使用人。羅半の側近。
・物語内での具体的な行動や成果
捕まった羅半を救出するため猫猫を迎えに来た。翡翠翁の屋敷で大声を出して門番を圧倒した。猫猫に粥を給仕し事情を説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
幼少期に歌を習っていた経験を持つ。

二番

死んだような目をしているが凄腕の護衛である。
・所属組織、地位や役職
羅漢邸の護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
猫猫と三番に同行して翡翠翁の屋敷へ向かった。三番が大声を出す際に猫猫の耳を保護した。猫猫の背後で護衛を務めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
名持ちの会合でも羅漢の護衛を務めていた。

羅漢(変人軍師)

奇抜な行動で周囲を振り回す軍師である。猫猫を異常なほど溺愛している。
・所属組織、地位や役職
軍師。羅の一族の当主。
・物語内での具体的な行動や成果
猫猫が攫われたと誤解し救出部隊を結成した。馬から落ちて猫猫の前に現れた。猫猫に引かれた白い線の内側で食事を取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
宮廷内で強い影響力を持っている。

音操

変人軍師の奇行に苦労させられている副官である。
・所属組織、地位や役職
羅漢の部下。
・物語内での具体的な行動や成果
救出集会の先頭で呆れた顔をして立っていた。猫猫に羅漢を労うよう頼んだが断られた。羅漢の卓で一緒に食事を取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

羅漢の部下たち・屋敷の使用人たち

変人軍師の号令に動員される人々である。
・所属組織、地位や役職
羅漢の配下および使用人。
・物語内での具体的な行動や成果
武器や道具を手に集会に集まった。猫猫の解散指示を受けて唖然とした。猫猫たちのために大部屋の食事を準備した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

緑青館・花街

左膳

自分に自信が持てない性格である。元は貧しい農家の出身である。猫猫から薬屋の仕事を任されている。趙迂の面倒を見ながら暮らしている。克用を深く信頼している。
・所属組織、地位や役職
花街の薬屋の店番。
・物語内での具体的な行動や成果
趙迂に朝食を作り、生薬の記帳を確認した。右叫に頼まれた葛根の粉を渡した。克用から生薬を仕入れた。克用を連れて行かないよう猫猫に手紙で嘆願した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
子北州から逃げ出してきた過去を持つ。

趙迂

食欲が旺盛な少年である。元は身分の高い家の子供である。身体の半身に麻痺が残っている。頭の回転が速く絵を描く才能がある。
・所属組織、地位や役職
花街の居候。
・物語内での具体的な行動や成果
左膳の作った朝食を一気に平らげた。緑青館の妓女たちの姿絵を描いた。妓女から金品を受け取り絵を美化して描いている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
数え年で十三歳になり身体が成長している。

やり手婆

金銭に細かく計算高い性格である。緑青館の経営を仕切っている。趙迂の養育費を管理している。
・所属組織、地位や役職
緑青館の経営者。
・物語内での具体的な行動や成果
左膳に妓女を勧めようとした。趙迂に妓女の絵を描かせた。過去の妓女の事件について雀に情報を伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
花街の生き字引として過去の出来事に精通している。

妓女たち

華やかな香りを放つ花街の女性たちである。
・所属組織、地位や役職
緑青館などの遊女。
・物語内での具体的な行動や成果
薬屋に常備薬や堕胎剤を買いに来る。美化して描いてもらうため趙迂に袖の下を渡している。克用が不在で落ち込む左膳を慰めに来た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

右叫

面倒見が良い性格である。左膳を気遣い便宜を図っている。
・所属組織、地位や役職
緑青館の男衆の頭。
・物語内での具体的な行動や成果
左膳に葛根の調達を依頼した。葛根の加工を手伝うため暇な男衆の派遣を申し出た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

梓琳

緑青館で働く妓女である。
・所属組織、地位や役職
緑青館の妓女。
・物語内での具体的な行動や成果
失敗を起こしたため人気順位を落とした。克用に布団を貸し出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

白鈴

緑青館を代表する高級妓女である。
・所属組織、地位や役職
緑青館の三姫の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
物語内では直接の行動は描かれていない。猫猫と雀の会話の中で言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

門番

花街の入口を守る番人である。
・所属組織、地位や役職
花街の門番。
・物語内での具体的な行動や成果
小蘭から預かった猫猫宛ての手紙を左膳に渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

皇太后の実家(豪の屋敷)

童顔で面の皮が厚い性格である。人を見る目に欠けており浅はかな面がある。皇太后の異母兄にあたる。
・所属組織、地位や役職
皇太后の実家の当主。
・物語内での具体的な行動や成果
屋敷を訪れた壬氏を過剰に出迎えた。病気の離れに案内する役目を息子の来に押し付けた。過去に何度も妾を囲っては手切れ金で出してきた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
帝の怒りを買ったと噂されている。

末摘花(豪の正妻 / 奥方)

思慮深く忍耐強い性格である。自身の赤い鼻に強い劣等感を抱いている。屋敷の実質的な女主人である。
・所属組織、地位や役職
豪の正妻。
・物語内での具体的な行動や成果
衰弱した梔子にこっそり温めた牛乳を与えて延命させた。皇太后を通じて呪いの壺の件を相談した。猫猫たちに真相を認め梔子の引き取りを要請した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
後宮の牛を管理していた旧家の出身である。夫に対する復讐を開始した。

豪の妾(梔子の母)

男の同情を引く術に長けた元妓女である。利己的で娘を利用する歪んだ性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
豪の側室。
・物語内での具体的な行動や成果
自身への同情を維持するため娘の梔子に毒入りのお茶を飲ませ続けた。猫猫たちに対して儚げな母親を演じた。軒下に毒の壺を埋めて熟成させていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
十七年前に花街で禿を毒で衰弱させていた過去を持つ。

来(豪の息子 / 三男)

控えめで謙虚な性格である。言われたことだけを忠実にこなす。
・所属組織、地位や役職
豪の息子(三男)。
・物語内での具体的な行動や成果
壬氏と猫猫を壺の見つかった軒下と梔子の部屋へ案内した。離れの梔子に牛乳を差し入れて見舞った。羅漢邸に通い妹の様子を確認した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

梔子

長年の虐待により発育が遅れた娘である。食への強い執着を見せる。
・所属組織、地位や役職
豪と妾の娘。
・物語内での具体的な行動や成果
毒入りの茶で衰弱し寝台に伏せっていた。羅漢邸に移送された後、燕燕の鍋に飛びついた。猫猫から渡されたするめを噛んで空腹に耐えた。四番たちと遊ぶまで回復した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
健康を取り戻しつつあるが子供を産めない体質となっている。

屋敷の使用人たち・出迎えの列

屋敷の日常業務を担う使用人たちである。
・所属組織、地位や役職
豪の屋敷の使用人たち。
・物語内での具体的な行動や成果
壬氏の来訪に合わせて門前に整列した。末摘花の指示に従って屋敷を切り盛りしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
末摘花に対して高い信望を寄せている。

紅梅館

里樹

過酷な境遇を乗り越えて逞しく成長した女性である。以前よりも表情が明るくなっている。
・所属組織、地位や役職
出家した元上級妃。紅梅館の居住者。
・物語内での具体的な行動や成果
紅梅館で家鴨や家畜の世話に従事した。訪れた馬閃と初々しい会話を交わした。傷を負った馬閃に手ぬぐいを差し出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
不老不死を研究する道士たちの施設で健康を取り戻した。

門番

紅梅館の入口を警備する男である。
・所属組織、地位や役職
紅梅館の門番。
・物語内での具体的な行動や成果
雀の提示した書状を確認して一行を通した。暴漢となった村長に突き飛ばされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

厩の男

目つきは鋭いが仕事に実直な性格である。
・所属組織、地位や役職
紅梅館の厩の世話係。
・物語内での具体的な行動や成果
馬の毛並みを櫛で丁寧に整えていた。雀たちの馬を連れてきて引き渡した。里樹に対する認識を語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

道士たち

食養生や不老不死を論理的に探求する人々である。
・所属組織、地位や役職
紅梅館に集まる道士・研究者たち。
・物語内での具体的な行動や成果
自給自足の農場や薬作りの施設を運営している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
富裕層の後援を受けて施設を補修・維持している。

牛の世話係の男

家畜の衛生と健康を徹底管理する男である。
・所属組織、地位や役職
紅梅館の牛の飼育係。
・物語内での具体的な行動や成果
牛の健康管理体制について猫猫たちに説明した。病気の鳥類を殺処分する方針を語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

翡翠翁の商会

翡翠翁(替え玉)

恰幅の良い体型をした老人である。本物の不在を隠すために用意された。
・所属組織、地位や役職
翡翠翁の替え玉。
・物語内での具体的な行動や成果
部屋の奥に座り威厳を保って無言を通した。猫猫に耳飾りを外して手渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
本物の翡翠翁が病死したため一時的に立てられていた。

翡翠翁の側近たち

商会の実務と交渉を取り仕切る男たちである。
・所属組織、地位や役職
翡翠翁商会の側近。
・物語内での具体的な行動や成果
羅半に対して船の沈没賠償金を現金で要求した。三番と激しい交渉を繰り広げた。猫猫から油紙を受け取り翡翠の装飾品を磨いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
本人の死を隠し商談を成立させるため強硬手段に出た。

翡翠翁の配下の男たち(破落戸たち)

粗暴な態度で威圧する用心棒たちである。
・所属組織、地位や役職
商会の門番および用心棒。
・物語内での具体的な行動や成果
屋敷の前で三番たちを威嚇した。客間で羅半を取り囲んで監視した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

その他(民間・村落など)

克用

軽薄な態度を見せるが高度な医術の知見を持つ。相手の好意には好意を、悪意には悪意を返す鏡のような性質を持つ。
・所属組織、地位や役職
民間の薬師。
・物語内での具体的な行動や成果
左膳に生薬を卸した。劉医官たちの面接を受け地方の疱瘡治療に派遣された。牛や馬の疱瘡を用いた種痘の有効性を研究した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
幼少期に師匠の人体実験により右顔面に重い痘痕を負った。

小蘭

明るく前向きな元後宮の下女である。猫猫の友人である。
・所属組織、地位や役職
民間の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
花街の門番を通じて猫猫に近況の手紙を送った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
後宮を出て民間で暮らしている。

飯屋の店員

宿舎近くの料理店で働く給仕である。
・所属組織、地位や役職
飯屋の店員。
・物語内での具体的な行動や成果
猫猫たちの個室に餃子や汁物、家鴨の丸焼きを運んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

村長(暴漢)

自己顕示欲が強く克用を激しく憎悪する男である。
・所属組織、地位や役職
滅びた開拓村の元村長・呪い師。
・物語内での具体的な行動や成果
種痘を真似て子どもたちを刃物で切り付け疱瘡を拡散させた。紅梅館で克用と誤認して壬氏らに襲いかかった。牢の中で帯を使って首を吊り自害した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
取り調べの後に処刑が決定していた。

老医官の奥方

穏やかで優しい雰囲気を持つ老婦人である。
・所属組織、地位や役職
老医官の正妻。
・物語内での具体的な行動や成果
屋敷を訪れた猫猫たちに対して柔らかく微笑みかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

老医官の屋敷の使用人たち

礼儀正しく屋敷を管理する人々である。
・所属組織、地位や役職
老医官の屋敷の使用人たち。
・物語内での具体的な行動や成果
皇弟の命で来訪した猫猫たちに深々と頭を下げて出迎えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

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展開まとめ

序話

花街の薬屋暮らし

左膳は花街の薬屋を任され、趙迂と猫猫のあばら家で暮らしていた。趙迂は身体に麻痺を抱えながらも妓女の姿絵で収入を得ており、左膳は薬草の仕入れや調合、緑青館とのやり取りに追われていた。

克用との協力

克用は薬草を仕入れ、泊まり込みで左膳たちを助けることもあった。左膳は猫猫がなかなか帰ってこないことに不満を抱きつつも、趙迂や克用と支え合う花街での暮らしに馴染んでいた。

一話 嵐の前の静けさ

診療所の日常

皇帝の術後管理を離れた猫猫は、診療所と宮廷を行き来しながら投薬実験や通常業務を続けていた。武官同士の争いも減り、医務室には比較的穏やかな日常が戻っていた。

天祐の扱い

猫猫は天祐に鶏の解体を餌として示し、水汲みや洗濯などの雑務を任せた。天祐は解体を楽しみに働き、猫猫もその扱いに慣れていた。

疱瘡の報せ

医務室では鶏料理の準備が進み、妤や老医官も協力した。その最中、老医官が受け取った文に水膨れを伴う患者の情報があり、猫猫と妤は疱瘡の可能性を察した。

二話 羅半の系譜

妤の派遣

疱瘡が疑われる患者を確認するため、罹患経験のある妤が老医官とともに派遣された。猫猫は感染経験者を選んだ合理的な人選だと考えた。

羅半家の甘藷

羅半兄が育てた甘藷が医務室へ届き、その栽培には羅半父も関わっていた。猫猫は羅半一族の農業への実直さに感心しながら、届いた芋の扱いに悩んだ。

卯純との再会

負傷した武官に付き添って卯純が現れた。里樹の異母兄である卯純は以前と変わらず低い立場で立ち回っており、猫猫はその姿を淡々と見ていた。

三話 紅梅館

馬閃と里樹の見物

休日の猫猫は雀に誘われ、馬閃と里樹の様子を見るため紅梅館へ向かった。紅梅館は長寿と健康を研究する富裕層向けの施設で、清潔な環境や食生活は理にかなっていた。

進まない二人

猫猫と雀は隠れて馬閃と里樹の会話を見守ったが、二人は当たり障りのない話しかせず、関係はほとんど進展しなかった。猫猫は馬閃の自信のなさが障害になっていると感じた。

皮蛋の土産

猫猫は雀の覗き見に付き合いきれず撤退を決めた。帰り際に皮蛋を渡され、それを口止め料として受け取った。

四話 薬草粥

寒い朝

猫猫は宿舎で寒さに目を覚まし、遅番の朝を迎えた。長紗とともに、根菜やどくだみ、茶、葛粉を入れた癖の強い薬草粥を食べ、皮蛋も分けた。

姚たちの近況

妤はまだ出張から戻っておらず、姚には新たな求婚者が現れ、燕燕が警戒を強めていた。猫猫は職場にまで持ち込まれる恋愛事情に呆れていた。

五話 医官会議

疱瘡の発生

老医官と妤が戻り、地方の村で疱瘡が確認されたと報告した。村は封鎖され、患者の隔離と追加の医官や武官の派遣が必要となっていた。

民間医の起用

感染経験者の人手が不足する中、猫猫は民間の医者を使えないか提案した。妤も自分を救った医者の存在を証言し、提案は受け入れられた。

六話 面接

克用の招聘

猫猫は克用に連絡を取り、疱瘡対策への参加を求めた。左膳からは引き止めの文が届いたが、猫猫と妤はそのまま話を進めた。

克用の過去

面接で克用は、師の実験によって疱瘡に感染し、弟と師を失った過去を語った。顔に痘痕を残しながら生き延び、自ら疫病の資料をまとめていた。

契約成立

克用は一度罹患すると再発しにくい現象を終生免疫と説明し、医官たちから高く評価された。報酬は銀三枚と待遇の整備で合意し、隔離勤務にも応じることになった。

七話 資料

疱瘡現場への準備

妤は老医官の補佐として疱瘡の村へ派遣されることになり、克用も必要な準備を進めた。妤は自身の痘痕を隠さず、現場に立つ覚悟を示した。

克用の資料

猫猫は克用がまとめた疱瘡資料を銀十枚で購入した。上級医官なら銀五十枚を出すほどの内容であり、猫猫は高額でも迷わず手に入れた。

姚の恋心

長紗は姚が羅半に想いを寄せている可能性を指摘した。燕燕との同居や引っ越し問題にも感情が絡んでおり、猫猫たちは第三者の助言が必要かもしれないと話した。

呪いの壺

その後、雀が現れ、壬氏のもとで起きた呪いの壺に関する調査を猫猫へ頼んだ。

八話 呪いの壺

封印された壺

猫猫は壬氏、馬閃、麻美らが待つ倉庫で、呪いの札が貼られた壺を調べた。中身には毒物の可能性があり、馬閃が調査中に壺を割ったため、猫猫が液体を詳しく確認した。

茶を使った毒

壺の中身は濃い茶を利用した熟成途中の毒で、作り手は毒に詳しくないと考えられた。呪いの札も偽装か信仰によるものだった。

皇太后の依頼

事件は皇太后の実家に関係し、妾腹の娘が妃を呪ったとして家から追い出されようとしていた。壬氏はその娘の無実を証明して命を救うため調査しており、猫猫は現地確認を求めた。

九話 当主の娘 前編

豪の屋敷

猫猫は壬氏と皇太后の実家を訪れ、当主の豪、その正妻や妾と対面した。豪は家を十分に統率できておらず、猫猫は複雑な家庭事情を感じ取った。

呪いの壺の発見場所

豪の息子・來に案内され、壺が見つかった湿地を確認した。壺は棚の下に埋まっており、妾の娘が後宮入りする際に譲られた猫が掘り返したことで発見されていた。

梔子の診察

十四歳の梔子は極端に発育が悪く、生気に乏しかった。猫猫は妾が飲ませている薬湯から、眠りを誘う生薬と毒を隠すための成分が混ざっている可能性を感じ取った。

十話 当主の娘 後編

母親への疑い

猫猫は帰路で、梔子に毒を盛っているのは実母である妾だと推測した。梔子だけ別の茶を飲まされており、症状も毒の影響と合致していた。

荊芥と猫

茶に含まれた荊芥は毒の渋みを隠す一方、猫が好む匂いを持っていた。そのため猫が壺を掘り出し、事件が発覚したと考えられた。

妾の演技

正妻が母子を虐げた形跡は乏しく、むしろ元妓女である妾が哀れな母親を演じて同情を集めていた可能性が高かった。猫猫は証拠集めを進めるため、雀には花街での調査を頼み、牛小屋にも注目した。

十一話 梔子と末摘花

毒を盛った母

猫猫は正妻の末摘花と会い、呪いの壺が梔子を狙った毒であり、作ったのが妾だと告げた。末摘花はすでに事情を察していた。

梔子を救った牛乳

末摘花は、飢えて蛙まで食べようとした梔子を見て、密かに牛乳を与えていた。妾から毒を盛られていた梔子は、その牛乳によって致死量に達せず生き延びていた。

梔子の引き取り

夫の豪は妾の演技を信じ、末摘花の訴えを嫉妬としか受け取らなかった。末摘花は梔子を守るため、壬氏のもとで引き取ってほしいと頼んだ。梔子が子を産めない身体であることも明かし、自らの家族と豪への復讐を見据えていた。

十二話 厄介払い

月の君への報告

麻美と雀は梔子の引き取りについて月の君へ報告した。麻美は壬氏が受け入れを検討していることに怒ったが、壬氏は現実的な保護先を考えていた。

羅漢邸への移動

梔子には医療知識を持つ者と栄養のある環境が必要だったため、壬氏は羅漢邸を候補に挙げた。雀も条件が適していると認め、梔子をそこへ移す方向で準備が進んだ。

十三話 赤茄子

羅漢邸の畑

羅漢邸では羅半兄が庭を畑として使い、俊杰たちが新しい居候を迎えるため離れを掃除していた。干されていた赤い実は、観賞用から食用へ利用が模索されている作物だった。

燕燕とのすれ違い

羅半兄は燕燕の新しい髪飾りに気づかず、農作物の話ばかりしてしまった。燕燕は落胆したものの、完全には見限っていなかった。

梔子を迎える準備

十四歳の梔子を受け入れるため、姚や燕燕も世話に加わることになった。羅半兄たちは羅半を梔子へ近づけないよう確認した。

十四話 姚の成長

梔子の食欲

羅漢邸を訪れた猫猫は、食事を求めて暴れる梔子を姚とともに抑えた。長期間の飢餓状態から急に大量の栄養を取るのは危険なため、するめなどで食欲を落ち着かせながら慎重に回復させていた。

姚の葛藤

姚は羅半への気持ちにも、羅漢邸に残ることにも迷っていた。一方、梔子から必要とされることで自分の価値を感じていることも自覚していた。

屋敷を出る決意

姚は梔子が回復した後に羅漢邸を出るつもりだと猫猫へ明かした。猫猫は姚の成長を認め、医官手伝いとして別の場所でも経験を積むよう勧めた。

十五話 書簡

燕燕と克用からの文

燕燕は梔子の回復や姚の引っ越し予定を報告した。克用からは疱瘡現場の厳しさと妤の状態が伝えられ、牛や馬の飼育場所について情報を求められた。

周囲からの便り

雀からは奇妙な案内文、羅半からは梔子や三男の近況と農家紹介の依頼、羅門からは疱瘡の現場へ行かないよう忠告する文が届いた。猫猫は羅半の頼みには即座に断りを返した。

壬氏と小蘭の文

壬氏からは本文のない文と高級茶葉が届き、猫猫は肉球印を押して返した。小蘭からの近況を知らせる手紙も届いたが、猫猫は彼女の平穏を守るため返事を書けないことを惜しみ、大切に保管した。

十六話 長紗無双

妤の帰還

克用と妤が一時的に都へ戻り、猫猫は痩せた妤の姿に驚いた。妤は働き続けようとしたが、休養が必要と判断された。

六人の会食

猫猫、妤、長紗、姚、燕燕、雀は食事会を開いた。妤は最初遠慮していたが、周囲に促されて徐々に食事を楽しめるようになった。

隔離村の現状

妤は村の六割ほどが隔離され、死者も出ていると話した。猫猫は牛の疱瘡による予防効果に関心を示したが、妤はまだ確実ではないと答えた。

長紗の諫言

長紗は姚と燕燕に、互いへの甘えや同居生活を見直すよう厳しく指摘した。姚には実家へ戻って家を担う道も示し、羅半への感情についても整理するよう促した。

十七話 翡翠翁 前編

羅半の拘束

食事会の翌朝、三番が現れ、羅半が翡翠翁に捕らえられたと告げた。猫猫は半ば脅される形で同行し、翡翠翁の屋敷へ向かった。

巨額の賠償

屋敷では羅半が拘束され、翡翠翁の船が沈んだとして巨額の賠償を求められていた。側近ばかりが話し、翡翠翁本人が一言も発しないことに猫猫は違和感を覚えた。

翡翠翁への疑念

翡翠翁の装飾品は以前と違ってくすんでおり、本人の態度も不自然だった。猫猫は何かを確信し、三番へ今は羅半を残して撤退すべきだと告げた。

十八話 翡翠翁 後編

替え玉の翡翠翁

羅漢邸へ戻った猫猫は、翡翠翁が偽物だと説明した。普段から本人が多くを部下に任せていたため、口を開かず翡翠を身につければ替え玉でも装えたが、装飾品の状態が正体を暴いていた。

羅半の協力

本物の翡翠翁はすでに死亡しており、商会は大きな商談を控えて混乱を避けるため死を隠していた。羅半は事情を見抜いたため一時拘束されたものの、商会の意図を理解して協力していたと猫猫は考えた。

翡翠翁の死の公表

その後、翡翠翁の死は公表されたが、商会に大きな混乱は起こらなかった。愛用していた翡翠も棺へ納められ、一件は収束した。

十九話 劉医官の懸念

通り魔への疑惑

劉医官は猫猫に克用を信用できるか尋ねた。最初の疱瘡患者には刃物による傷があり、周辺でも同じような通り魔事件が起きていたため、克用による感染実験の可能性が疑われていた。

克用への信頼

猫猫は克用の住居や資金、行動範囲を根拠に疑いを否定した。ただし、悪意による犯行という前提なら断言はできず、自分の判断が主観を含むことも認めた。

紅梅館への派遣

劉医官は猫猫を克用とともに紅梅館へ派遣し、さらに壬氏の体調確認も命じた。壬氏が他の医者を受け入れないため、猫猫が診ることになった。

二十話 世間話

壬氏の診察

猫猫は壬氏の宮を訪れ、水蓮が用意した夕餉を食べながら体調を確認した。壬氏には特に異常がなく、猫猫は疱瘡の通り魔と克用について説明した。

克用ではない犯人

猫猫は克用の行動には医学的な目的があり、通り魔とは性質が違うと述べた。犯人は克用の処置を真似た知識の乏しい人物ではないかと考えた。

小蘭への沈黙

猫猫は小蘭からの手紙に返事をしない理由も壬氏へ話した。監視や検閲によって小蘭の平穏を壊さないため、文通が自然に終わることを受け入れていた。

二十一話 通り魔 前編

紅梅館への視察

猫猫は変装した壬氏と馬車で紅梅館へ向かった。壬氏は里樹の件への責任から視察に同行しており、猫猫には疱瘡をばら撒く通り魔の行動範囲を示す地図も見せた。

克用の研究

紅梅館では克用、馬閃、わんわん先輩と合流した。克用は牛や馬の疱瘡が人間の病に影響する可能性を研究しており、自身がかつて奴隷として実験に使われた過去も語った。

馬閃と里樹

里樹は家鴨の世話をしながら健康的に暮らしていた。壬氏は直接会うことを避け、馬閃が一人で挨拶へ向かった。猫猫は二人の仲を後押しするように振る舞った。

二十二話 通り魔 後編

健康な牛と馬

克用が紅梅館の牛を調べたが、疱瘡の痕跡はなかった。管理が徹底されていたため、続いて馬も調査することになった。

村長の襲撃

厩の前で不審な男が小刀を持って襲いかかり、馬閃が制圧した。男は以前克用を村から追い出した村長で、克用への嫉妬と劣等感から追ってきていた。

疱瘡を塗った刃

小刀には疱瘡の種が付けられている可能性があり、頬を切られた馬閃は感染の恐れから隔離されることになった。里樹は強く動揺し、猫猫はその気持ちを隠さず行動するよう促した。

二十三話 隔離

馬閃の隔離生活

馬閃は診療所へ隔離され、妤が世話を担当した。馬閃は外へ出ようとして妤と何度も揉め、部屋では筋力維持の訓練まで続けていた。

彭侯の意味

妤は、村長が克用を彭侯と呼んでいたことについて、木霊のように呼びかけへ応じる妖怪を指す言葉だと説明した。

村長の死

隔離終了時、雀から村長が牢内で自殺したと知らされた。猫猫と雀は、克用には悪意を向けた人物でも、村人からは必ずしも悪い村長と思われていなかった可能性について話した。

二十四話 彭侯

克用の鏡

猫猫は克用を訪ね、彭侯の意味を伝えた。克用は、自分は善意には善意を、悪意には悪意を返す鏡のような存在だと語った。

弟と師への仕返し

克用は双子の弟とともに実験台にされ、自らが重症化する一方で弟が生き残った過去を明かした。弟は後に師を殺して自死し、克用自身も師への仕返しとして実験用の膿を入れ替えていた。

猫猫の沈黙

猫猫は克用の行動を正しいとは思えなかったが、断罪する立場にもないと考えた。役に立ち、害を及ぼさない限りは見守ることを選び、雀にも真実を話さなかった。

終話

食欲を失った猫猫

克用の話を抱えた猫猫は壬氏の宮を訪れたものの、用意された夕餉にも食欲が湧かなかった。壬氏に話せば重い責任を負わせると考え、事情は伏せた。

壬氏の肩

猫猫は精神的な補充が必要だと告げ、壬氏の肩へ頭を預けた。壬氏は何も追及せず、静かに背中を撫でたため、猫猫は少しずつ落ち着きを取り戻した。

平民という選択肢

猫猫は壬氏に平民になってみてはどうかと問い、二人は責任から離れた生活について話した。現実には難しいと分かりながらも、その会話によって互いの人間らしい部分に触れた。

温かな夕餉

猫猫はやがて食事に手を伸ばし、温かな料理を口にした。先の問題は起きた時に考えればよいと気持ちを切り替え、壬氏はそんな猫猫を静かに見守っていた。

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