転生したらスライムだった件 シリーズ

三上悟は通り魔から後輩を庇って致命傷を負い、死の間際に得た「賢者」は「大賢者」へ進化する。異世界でスライムとして転生し、「捕食者」と「大賢者」に導かれ洞窟で力を磨く。暴風竜ヴェルドラを取り込み、水刃などの技を確立して地上へ出る。ゴブリンの救援要請に応じ、牙狼族を撃退し、服従させたうえで命名により仲間を進化させる。村には不殺・不和・不侮蔑の規律を敷き、ドワーフの名工カイジンらを招いてインフラ整備と街づくりを開始する。宮廷での騒動は王ガゼルの裁可で国外追放となるが、関係は断絶せず、交易の芽は残る。
一方、レオンに召喚されイフリートを宿した井沢静江は、多くの喪失を抱えつつ冒険者として歩む。やがてリムルと邂逅し、暴走したイフリートはリムルが捕食して沈静化する。静江は最期に自らを食べて欲しいと望み、リムルはその願いとレオンへの因縁を継承する。彼は静江由来の人型へ擬態する術と炎系能力を得て、魔王情報の収集を次の課題に据える。外伝ではゴブタが幸運と機転で旅を成し遂げ、成長の端緒をつかむ物語となる。
転生したらスライムだった件2

リムルの町はリグルドらの統治とドワーフの技術で発展し、本人は仮面と新装備を得て能力統合を進め、『黒炎』『多重結界』などで攻守を強化したのである。そこへ大鬼族が来訪し、誤解から交戦となるも鎮静し、紅丸・朱菜・白老・蒼影・紫苑・黒兵衛の六名を配下に迎えた。命名により彼らは鬼人へ進化し、軍事・諜報・製作の要として職掌を得るに至る。折しもジュラの大森林では二十万の豚頭族が侵攻し、湿地のリザードマンは戦士長ガビルの独断で窮地に陥った。リムルは少数精鋭で救援に向かい、紅丸・紫苑・ランガらが戦線を切り開いたが、背後では魔人ゲルミュッドの策動によりオークロードが魔王種へ変貌したのである。激闘の末、リムルは『大賢者』の最適化と自らの勘を併用して魔王ゲルドを撃破し、その罪と飢えを『暴食者』として引き受けた。戦後、各種族会議でオークの処罰を行わず相互補完の大同盟を樹立し、食糧・居住・労働を分担する体制を整えたのである。十五万への命名と配備が完了し、ハイオークや新生軍団が建設と流通を担い、町は人口一万超の安住の地へ成長した。ガビルは破門ののち配下と再起を期し、森の騒乱は終息へ向かったのである。
転生したらスライムだった件 3

魔王クレイマンが主催した会談では、ゲルミュッド失敗を口実に新勢力への探りが始まり、ミリム、カリオン、フレイが情勢を注視する展開になった。クレイマンは他の魔王を誘導する計画を密かに進めており、ジュラの大森林に対する不可侵撤廃が決まったことで、状況は大きく揺れ始める。
一方、森ではリムルの国造りが本格化し、ドワルゴン王ガゼルの来訪と試合を経て相互承認に達したことで、「ジュラ・テンペスト連邦国」が成立した。技術協定や人材交流も進み、回復薬の量産体制が整いつつあったところへ、魔王ミリムが来訪する。彼女は圧倒的な力を見せつけながらも蜂蜜を気に入り、友好へ傾いた結果、町にとっての“抑止力”であり“厄介な同居人”という微妙な立場に収まる。
人間側ではブルムンドのフューズやファルムス王国の伯爵らが利害を探り、辺境調査団長ヨウムはリムルと協力して“オーク討伐の英雄”という物語を共有の資産へ変えていく。裏ではクレイマン配下のミュウランが偵察を続け、カリオン麾下の三獣士フォビオは中庸道化連に唆され、カリュブディスの器となる事態へ発展した。
カリュブディス襲来では、魔力妨害と超再生によって戦いが長期化するものの、各部隊の連携でメガロドン群を処理し、最後はミリムが本体を一撃で沈めた。フォビオは救出され、カリオンはテンペストとの不可侵協定に応じる。騒動後、テンペストはドワルゴン、ブルムンド、ユーラザニアとの友好を得て安定しつつあったが、舞台裏ではクレイマンとフレイの思惑が続いており、新たな火種が静かに芽を出し始めていた。
転生したらスライムだった件 4 巻

異世界に来た聖騎士ヒナタ・サカグチの冷徹な過去と復讐心が示され、彼女の暗躍が動き出すところから物語は始まる。
一方リムルはユーラザニアとの交易開拓を進めるため使節を派遣し、来訪した三獣士との試し合いを通じて相互理解を得た。宴や物資交換から具体的な利を見いだし、技術研修や治安協力へと話を進めていく。
続いてリムルはドワルゴンに国賓として招かれ、ガゼル王と会談して友好宣言を結ぶ。回復薬や通行制度を軸に経済圏の構築を進め、国際的信用を高めた。
さらにブルムンドでは男爵と条約を締結し、安全保障と関税運用を整えることで流通と人的往来の基盤を広げた。
その後、夢に導かれてイングラシアへ向かい、自由組合総帥ユウキと会見する。リムルはSクラスの教導官となり、召喚児を救う方法を探るため「精霊の棲家」に挑んだ。
迷宮では魔王ラミリスの協力を得て上位精霊の力を分け与え、特にクロエには時を越える存在が宿ることで危機回避の道が開けた。守護者創造の代価も払い、子供たちの崩壊を一時的に食い止めることに成功する。
帰路、結界の発動によって転移を封じられ、仲間と隔絶されたリムルの前に西方聖教会最強のヒナタが現れる。魔物封殺の結界下で戦うしかない状況となり、新たな脅威との死闘が幕を開けた。
転生したらスライムだった件 5 巻

魔王ミリムが獣王国ユーラザニアへ一方的に宣戦し、当日カリオンを圧倒して都市を竜星爆炎覇で消し飛ばす。背後ではフレイが奇襲で介入し、獣人国は滅亡へと追い込まれた。
一方、クレイマン配下のミュウランはテンペストへ潜入し続け、命令に従って広域対魔法結界を展開する。それに呼応してファルムス王国と西方聖教会が先遣隊を送り込み、街は通信断絶と多重結界の混乱に包まれ、多くの住民が犠牲となった。リムルは外でヒナタと交戦し撤退を選ぶが、帰還後にシオンらの死を知り、真なる魔王への進化を決意する。
リムルは二万の軍勢を新術式“神之怒(メギド)”で殲滅し、悪魔ディアブロを召喚した。進化の眠りの間に『智慧之王』と『暴食之王』が確立し、配下への祝福を伴う“収穫祭”によって百名以上の完全蘇生が実現する。さらにヴェルドラを解放して抑止力を確保し、配下の再編と外交・軍事体制の整備を進めた。次に狙うべき相手はクレイマンである。
終盤、計画が崩れつつあることに焦るクレイマンは、操るミリムや教会・諸国の対立を利用して覚醒を狙う。暗躍の糸は依然として途切れず、次なる決戦の気配が濃くなっていく。
転生したらスライムだった件 6巻

ラプラスは西方聖教会潜入で吸血鬼魔王ヴァレンタインの存在を察知し、法皇と同一である可能性をカザリームと特定した。少年はこの情報を切り札として教会切り崩しへ軸足を移し、クレイマンには当面の自重を命じたが、当人は覚醒狙いの大量虐殺策に固執したのである。抑止と撹乱のため「魔王達の宴(ワルプルギス)」開催が仕掛けられ、同時にテンペストでは人魔会談が開かれ、ドワルゴンとサリオンが国交を明言、ブルムンドも同盟線に加わった。リムルはファルムス処理を内乱誘導とヨウム擁立で図り、対教会は静観と情報戦で応じる構えとなる。
一方クレイマンは三万を以てユーラザニア侵攻を開始するが、リムルは軍団転送で避難と戦力展開を同時達成し、ベニマルを総大将として誘引殲滅戦に移行した。アルビスは空間制圧で本陣を麻痺させ、ヤムザのカリュブディス化はベニマルの黒炎獄で瞬焼された。別働のシュナは霧の結界を解析し、ワイトキング・アダルマンを“浄化の反転”で下して拠点機構を無力化、降将を取り込むことに成功する。
新月の宴では、クレイマンが詭弁でリムルを糾弾するも、映像証拠で論破され決闘に雪崩れ込む。ミリム“支配”は虚偽であり、ヴェルドラが時間を稼ぐ間に戦況は整った。九頭獣は解呪で幼狐に戻り、ベレッタも参陣して前線が安定する。最終的にシオンが“喜狂の道化”と化したクレイマンを粉砕し、フレイと生還したカリオンの証言で真相が確定したのである。こうして連合は対教会を睨みつつ対クレイマン戦を完勝で終え、次の局面へ歩を進めた。
転生したらスライムだった件 7巻

クレイマン戦後、道化連は敗北と喪失を受け入れ、魔王勢への拙速な敵対を避けて時機を待つ策へ転じた。リムルは八星魔王として宴に参じ、交流と情報収集を進めつつ、帰国後は国力誇示と外交通商を加速させる。並行してディアブロがファルムス王国を心理と制度の両面から掌握し、賠償と王位交代を梃子に内紛を誘導、ヨウム擁立の地ならしを整えた。テンペストでは捕虜処理・街道整備・対魔結界や自動発動機の導入が進展し、祭による開国アピールが決定した。
一方ルベリオス側では、聖人ヒナタが秩序維持のため不介入を選ぶも、七曜の老師ら旧勢力が謀略を巡らす。ヒナタは単騎で和解を模索する過程でリムルと再会、互角の一騎討ちを経て決着寸前に外乱が介入する。七曜が大規模殲滅を企図するが、ディアブロとリムルが阻止し、神として君臨する魔王ルミナスが真姿を示して事態を収束させ、ヒナタも救済された。
最終的にテンペストとルベリオスは不可侵を締結し、誤解は解消へ向かう。ヨウムの即位も確定し、西側国際秩序は再編段階へ入った。
転生したらスライムだった件 8巻

ダムラダとグランベルは自らの策が破綻したことを総括し、ダムラダは三巨頭総帥ユウキの方針に従い、リムルとの正面衝突を避けつつ利得を確保する路線を確認する。奴隷商会の整理や重要商品の継続取引など、商業面の再編が中心となった。
一方、ルミナスの正体が明らかになった後、テンペストは聖騎士団を入浴と饗応で迎え入れ、ヒナタの謝罪を受けて不可侵と国交樹立を果たす。七曜の粛清や黒幕の残存を共有しつつ、百年規模の交流計画や技術協力、武具解析が始動した。
各国へ招待状が届き、ガゼルは協調路線を選び、サリオンも外遊を決断する。商人ミョルマイルは財務・商務・広報を担う要職として臣従し、開国祭と武闘大会、円形闘技場の構想が動き出す。
同時にラミリスの地下迷宮計画が本格化し、ヴェルドラが魔素炉兼最下層の“王”として参加する。迷宮は百階規模の訓練兼観光施設として整備され、ミリムも竜の捕獲で地形効果層を強化し、蘇生や帰還アイテムの販売も含めた経済循環が設計されていく。
謁見では諸種族が恭順を示し、ダグリュールの息子たちが修行入りを志願する。テングとの通行協定や、モミジに関わる婚姻話は保留となりつつも関係は改善に向かった。
終盤の総括会議では開国祭の全体像と迷宮ボス配置が確定し、勇者マサユキの奴隷商会壊滅と“討伐”の噂に対する警戒を残しつつ、祭の開幕を迎えることとなった。
転生したらスライムだった件 9巻

本城正幸ことマサユキは異世界に召喚され、「英雄覇道」の効果で言語とカリスマを獲得し、周囲から“勇者”として担ぎ上げられる。ユウキの依頼で奴隷商会を壊滅させた件が誤解を生み、魔王リムルを討伐したという噂が広まった。開国祭前夜にはブルムンド王、ガゼル、エルメシアら各国要人との応対が続き、歌劇や饗応が外交の舞台となった。深夜には「四天王」構想や武闘大会の枠組みが固まり、金貨不足という攪乱策もガゼルとサリオンの支援で処理される。
武闘大会はゴズール対メズールの激戦で開幕し、マサユキは消耗した相手との再戦を迷宮側に譲った。準決勝ではゴブタが獅子覆面(カリオン)を巧妙な策で場外へ導き、決勝はマサユキの自宣敗北によってゴブタが優勝する。こうしてゴブタは四天王に列せられ、ミリムによる苛烈な鍛錬を受けることが決まった。
リムルはマサユキと和解し、迷宮広報への協力を取り付ける。迷宮お披露目では復活の腕輪の実演や各隊の攻略配信が成功し、観光と訓練の基盤が整備された。祭の後には商人団の揺さぶりが正貨の山で一蹴され、物流網構想や聖騎士団の迷宮修行が合意に至る。東の商人とユウキへの警戒が強まる中、策を読み違えたミューゼの失敗を受け、評議会側は強欲のマリアベルを前面に押し出す段に入った。
転生したらスライムだった件 10巻

ユウキは開国祭の結果を受け、対リムル方針を道化達と再検討し、正面衝突を避ける路線へ切り替えた。精霊と子供達の問題、古代遺跡アムリタの動向を踏まえ、監視と浸透を優先する姿勢が固まる。
一方テンペストでは迷宮運営が本格化し、訓練場やチュートリアル、褒賞制度に加えて商業導線が整えられた。マサユキの名声が追い風となり挑戦者が急増し、地図対策やアイテムドロップの導入で循環型の運営が機能し始めた。
しかし聖騎士ヒナタの急進撃で中核守護が損耗し、リムルは仮魔体部隊を使って迎撃手法を学習する。四十九階層では分断と罠、思念連携によって精鋭“緑乱”を撃退することに成功した。
評議会では加盟審議が陰謀と狙撃により混乱したが、ヒナタとシュナがこれを制圧し、証拠提示と国王の謝罪によって収束する。結果として魔国連邦の承認が可決された。暗殺者グレンダは確保されて解呪され、ソウエイの配下として再出発する。
黒幕は強欲者マリアベルと祖父グランベルであり、ユウキはその支配下に置かれていた。リムルは誘い出し作戦として遺跡調査に向かい、混沌竜の陽動と機構起動の渦中で、マリアベルとユウキらとの決戦へ進む。
ユウキは精神干渉から解放され、マリアベルは暴走の果てに敗北する。計画は崩れたものの、事態の余熱は残り、次の局面への火種が散らされたままとなった。
転生したらスライムだった件 11巻

魔王レオンが、失われた少女クロエを探し続ける執念を軸に、西方から東方へ広がる政戦両面のうねりが描かれる。レオンは召喚を繰り返すものの成果は乏しく、道化連の撤退通告と「クロベ・ホエール」という名に動揺する。戦雲と原初級悪魔の覚醒を警戒し、方針を改めざるを得なくなった。
対するリムル陣営は、孔空き武器や魔玉、神話級金属の直刀、精霊魔導核、魔導列車などの技術革新を重ね、迷宮では竜ガイアの育成を進めていた。国家制度も三権分立へ整備が進み、ディアブロは冥界から上位悪魔を勧誘し、テスタロッサ・ウルティマ・カレラを中核とする「黒色軍団」を組織する。
やがてルベリオスの音楽祭で勇者グランベルが蜂起し、異世界人の一団や刺客ラズルが戦場を混乱させた。ディアブロは原初の青レインを制し、テスタロッサは評議会を救って影響力を確立する。しかしその裏でユウキが聖櫃を破り、“勇者であって勇者でない”クロノアを解き放つ。
時間停止すら裂く刃が会場を薙ぎ、ルミナスは色欲之王へ覚醒し、レオンはクロエの影に心を乱される。陰謀はレオン・リムル・ルミナス・ギィを一つの盤上に巻き込み、均衡は静かに崩れ始めた。世界は新たな秩序をめぐる決戦の入口に立つこととなった。
転生したらスライムだった件 12巻

異世界に召喚された神楽坂優樹が「創造者」と「強欲者」を得て世界改変を志す一方、魔王リムル陣営が帝国侵攻に備えて体制を整えていく過程を描く群像劇である。ユウキは呪術王を屈服させて配下に加えるが、魔王ギィには完敗し、交渉へ転じて見逃しを確保した。野望は捨てず、その後『強欲之王』へ進化し、帝国では混成軍団長としてクーデターを企図するに至る。
対するリムルは、ルミナスやレオンと会談して未来戦争の知見を共有し、原初の悪魔たちを組織的に運用しながら「恐怖ではなく経済による支配」を掲げ、西側統治と防衛制度を固めていく。軍は右翼が常備軍、左翼が配備軍へと再編され、教育・入国管理・交通網・魔導列車が整えられた。地下迷宮は多機能要塞として都市ごとの避難を可能にする盾へと進化する。
帝国では皇帝ルドラのもと、機甲・魔獣・混成の三軍が百余万規模で動員され、迷宮攻略が競争命令として下された。ガドラは戦争回避のため内通を図るが、暗殺未遂に遭う。迷宮ではアダルマンが『聖魔反転』で異世界人三名を圧倒し、七十階層守護へ昇格。監視魔法『神之瞳』と連動する管制体制が完成した。
こうして両陣営は、情報・経済・軍備を絡めた総力戦へ向け、静かに歩を進めることとなった。
転生したらスライムだった件 13巻

帝国侵攻をめぐり、魔国連邦と東の帝国が総力戦へ突入し、決着に至るまでの戦いを描く物語である。序盤、暗殺未遂に揺れた老魔導士ガドラは、ユウキとリムルの双方に情報を送る決断を下し、帝国側の不穏を示す転機をつくった。
テンペスト側は管制室で全戦域を統制し、テスタロッサを使者兼切札として前面に据えつつ、迷宮への誘導と分断殲滅を主軸とした作戦を展開する。帝国は機甲軍の戦車や飛空戦力で圧力をかけるが、ゴブタとランガの同一化、ガビルの竜戦士化、ウルティマの急襲で空軍が瓦解し、ハクロウ隊が補給線を断ち、テスタロッサが「死の祝福」で司令中枢を沈黙させた。
その後、帝国主力七十万は迷宮へ雪崩れ込み、十傑による階層ごとの迎撃戦で五十三万超が壊滅する。中核ではゼギオンが近衛精鋭すら寄せつけず、迷宮制圧の構想は完全に崩れた。
地上では幹部の出撃が許可され、カレラの「重力崩壊」、ゲルドの堅陣、シオン親衛隊とモミジの大術が残存戦力を掃討した。総大将カリギュリオは覚醒して聖人級へ至ったものの、技量不足のままディアブロに敗れ、帝国機甲軍は潰走する。
こうしてテンペストは被害を最小限に抑えながら大勝し、次の政治戦へ向けて確かな布石を打つこととなった。
転生したらスライムだった件 14巻

帝国は百万近い遠征軍が壊滅した事実をまだ把握しておらず、道化連はユウキの主導で情勢を改めて見直すことになる。ダムラダの真意をめぐる駆け引きの末、彼らは帝都クーデターという選択肢へ舵を切った。
テンペストでは祝勝会が開かれ、リムルは得た魂を用いて幹部の覚醒を進め、ベニマルらを「守征王」「天龍王」などへ進化させ、悪魔三名にも王号を授ける。ゼギオンやアピトら迷宮勢の強化も進み、十二守護王の体制が整った。同時にガビル隊や捕虜となった帝国将兵の処遇が決まり、和平と抑止を両立させる布石が並べられる。
魔王ギィが来訪し、情報と利害が交錯する中で、ヴェルグリンドが帝国の“元帥”として動いていた可能性や、魂の供給による覚醒支援が明らかになる。帝国側では近藤がミーシャを粛清し、道化連幹部を拘束。ダムラダは操られるが、ユウキによってその影響を解かれた。そこにルドラとヴェルグリンドが姿を現し、圧倒的な存在感を示す。
前線ではヴェルグリンドが混成軍を蹂躙し、ガゼルが迎撃に向かう。リムルはユウキと連携して帝都へ進むが、宮中で罠にかかり、ルドラとの対峙に追い込まれる。終盤、ヴェルドラとヴェルグリンドの激突が続く中、近藤の亜光速弾が戦局を揺らし、ルドラは支配の完成を宣言する。リムルは敗北と仲間との断絶を噛み締めながら、帝国への反攻を誓うこととなる。
転生したらスライムだった件 15巻

ヴェルグリンドが単騎でテンペストを急襲し、ヴェルドラが迎撃に出る。竜姉弟は空で激突し、ヴェルグリンドは並列存在と重力崩壊を振るうが、ヴェルドラも究明之王を得て互角へ持ち込む。地上ではドワルゴン連合にリムルの援軍が到着し、悪魔三人娘らが時間を稼ぐ一方、帝国側は近藤や四騎士を軸に反撃する。近藤はガゼルを圧倒し、各戦域で激戦が続く。やがて近藤の神滅弾でヴェルドラが支配され、リムルは怒りのまま封鎖空間を突破して出現、智慧之王を「シエル」として覚醒させ総力戦に移行する。リムルはヴェルドラを捕食して心核を救出し、自らは竜魔粘性星神体へ進化、ヴェルグリンドを圧倒する。並行してガドラの転生、ガビルの心理之王獲得、ベニマルの陽炎之王覚醒、カレラと近藤の死闘と契約、ウルティマによるダムラダ継承など勢力図が塗り替わる。終盤、ヴェルグリンドはミカエル=ルドラの支配下と判明し、シエルの改変で炎神之王を得て解放される。フェルドウェイが撤退を選び、戦は小康へ。ヴェルグリンドは世界を巡りルドラの魂片を追うに至る。
転生したらスライムだった件 16巻

異界では妖魔族・蟲魔族・幻獣族が拮抗し、最古の意志体フェルドウェイは、創造神不在の世界でヴェルダナーヴァ復活を至上命題と定めていた。彼は『正義之王』ミカエルと結びつき、ルドラを器として運用しながら最終的な解放を狙う計画を進めていた。脅威となる魔王リムルと、勇者候補マサユキの排除がその作戦の核心である。
テンペスト不在の隙を突き、フェルドウェイ配下のザラリオと、堕天したディーノらが迷宮へ急襲を仕掛け、標的をマサユキに定めた。ラミリス側はトレイニーや竜王、ゲルド、クマラらが迎撃し、ディーノはベレッタとアピトを追い詰めるが、幽幻王ゼギオンの介入で攻勢は止まる。並行してコルヌがマサユキへ迫るが、マサユキ自身が『英雄覇道』を深化させ、『英雄之王』へ覚醒するに至った。そこへ時空を越えてヴェルグリンドが現れ、マサユキをルドラの再来と認めて介入し、コルヌを排して戦線は沈静化する。
帰還したリムルは事態を総括し、幹部面談でベレッタ、ゲルド、ランガ、クマラらの強化を断行し、勢力の底上げを図った。続く三国会談では、帝国の新皇帝をマサユキとし、魔国連邦とドワルゴンが同盟を締結、賠償は保留とする政治決着に至る。脅威となるミカエル=ルドラと妖魔王フェルドウェイへの警戒継続も確認された。
終章では、始原期のギィ・クリムゾンの来歴が語られ、ヴェルザードとの死闘や、勇者ルドラとの因縁、「配下のみで覇を競う」という約定が明かされる。長き勝負の結末は、天魔大戦の幕開けへとつながっていく。
転生したらスライムだった件 17巻

本作は、経済、異世界戦記、政局、悪魔史、人物回想が交錯する群像劇である。
第一章では商人ミョルマイルの視点から、リムルと天帝エルメシアらの密約「三賢酔」を梃子に「四ヶ国通商連盟」を拡張し、租界構想と物流網の整備によって覇権を狙うプロセスが描かれる。裏社会の有力者を取り込みつつ規律を改め、強圧ではなく安定志向の統治へ切り替えた点が要所となる。
第二章では灼熱竜ヴェルグリンドが複数世界を巡ってルドラの魂片を集め、戦乱世界へ直接介入する。五カ国首脳会談を強引に成立させ、妖魔の拠点を奇襲して爆弾計画を潰し、仙華ら人間勢力を鍛えて侵略の核を断つことで、一時的な平和へ導いたといえる。
第三章は帝国将カリギュリオの更生譚である。彼はテスタロッサと協力して治安と貴族統治を再整理し、マサユキの即位を支える立場へ転じる。個人としても過去の誤解を解いて元妻と和解し、国内の安定に寄与していく。
第四章ではレインが悪魔史と原初勢力の力学を語り、ギィへの忠誠や自らの立ち位置を見つめ直す。リムル勢の脅威を認めたことで、自身の進化へ踏み出す章となっている。
第五章はベスターの悔悟と再出発である。リムル配下で実務を担いながら、ガゼル王への報告に悩みつつも、責任の分担と現実的な制度運用へ落とし込んでいく姿が描かれる。
こうして経済、外交、軍政、冥界の諸レイヤーが収束し、次の局面へ向かう布石が整う物語となっている。

獣王国跡で天空城を監督する三妖帥オベーラがミリムに臣従し、敵陣に残る密偵として〝滅界竜〟の監視を引き受ける場面から物語は始まる。
第一章では八星魔王会談が開かれ、天使系と悪魔系の究極能力体系が整理され、「天使長の支配」が最大の脅威として共有される。天使系究極能力を持つレオンは要監視扱いとなり、転移網の整備や各領域への援軍計画が決められる。狙いがヴェルダナーヴァ復活というより「竜の因子」にある可能性も示される。幕間では、レオンが天帝エルメシアに協力を求める。
第二章では、五か月の猶予期間の間にリムルが各国との連携を強化し、迷宮修行・都市整備・評議会や帝国との協調を進める。しかし、その準備に終わりを告げるように不穏な報せが届く。
第三章は異界〝天星宮〟での受肉儀式である。カガリらは熾天使を宿し〝妖天〟へと変貌し、フェルドウェイとミカエル陣営は本格侵攻の方針を固めていく。
第四章では黄金郷エルドラドが奇襲を受け、外ではギィ対ヴェルザード、上空ではディアブロ対ザラリオ、城内ではヴェガらが暴れて混戦となる。カガリは離反を試みるが支配に絡め取られ、師シルビアの介入とラプラスによる『支配之王』奪取で一時戦局が動く。しかし切り札ジャヒルが姿を現し、状況は再び逆転する。
終章では、ユウキ一行が時間稼ぎを覚悟のうえで戦線に残り、救援を待ちながらも破滅的な攻撃が迫るところで幕が下りる。
転生したらスライムだった件 19巻

創造神復活を至上とするミカエルが配下オベーラの離反を知り、逆賊討伐に乗り出す導入で始まる。異界前線で両軍が激突し、忠誠供与者不在で「王宮城塞」が弱体化したミカエルは被弾するも、灼滅の反撃で戦線を荒らすに至る。
一方、極寒の黄金郷ではギィ対ヴェルザード、上空でディアブロ対ザラリオが並行し、リムルはフェルドウェイと拮抗しつつ各戦場を観測する。ベニマル対ジャヒルは劣勢、ランガはヴェガを退け、クマラはオルリアを屠る。ソウエイは奇襲でアリオスを仕留めるに至った。フェルドウェイは撤退を選択し、魔王側は辛くも持ち直す。
幕間で天界は再編され、「三星帥」にフェンらが就任し、対ミリム圏・対迷宮の総攻勢が決定される。地上では世界会議が開幕するが、ゼラヌス軍侵攻とイングラシア地下施設の闇が露見する。ダグリュールは弟フェンと対峙の末に和解し、巨人軍を糾合するに至る。
王都ではヒナタがライナーと一騎打ち、ヴェガの邪龍獣が戦況を攪乱する。マサユキに宿ったルドラが顕現し、フェルドウェイを剣技で撃破する。モスは本気を解放して前線を支え、ヒナタは新たな勇者資格を得る。
リムルはミカエルの時間停止に対し、クロエの介入とシエルの「緊急対応」で停止世界を突破する。最終的に『虚空之神』でミカエルを消滅させ、天使系情報を掌中に収める。終章では万超の魂を喰らったイヴァラージェが「憎しみ」を得て邪神へと進化し、次なる災厄の胎動を示して締めくくられる。
転生したらスライムだった件 20巻

ルドラに敗れたフェルドウェイが天星宮へ退避し、ミカエルの死を悟って孤独と怒りを抱えつつも、王として再起を誓う場面で幕を開ける。彼はヴェガの進言を受け入れ、本来の力を解放して体制を立て直すのである。
旧ユーラザニアでは、エスプリとフォビオが反射・分裂能力を持つピリオドに苦戦するが、悪魔契約と増援で活路を開く。フレイやガビルも各個撃破に成功し、皇妃たるピリオドはカレラと近藤の「神滅弾」で討たれる。ゼラヌスは撤退し、ミリムはヴェルザードとの決戦に備え“竜皇女”として覚醒する。
フェルドウェイは戦略を改め、狙いをヴェルドラの“竜の因子”へ絞る。ルベリオス側では迎撃準備が進み、同時に不毛の大地の長壁ではダグリュール軍とアダルマンらが激突する。禁術と大魔法が飛び交うも巨人軍は健在で、ダグリュールが戦場を支配するが、ヴェルドラの介入で最悪は回避された。
一方リムルは、ミリム暴走とサリオン急襲に対処すべく動き、ベニマルらを分派。サリオンではシルビア・カガリ・ティアらの連携とベニマルの采配でジャヒルを退け、ザラリオは共闘へ傾く。エルメシアはザラリオと和平を結び、対フェルドウェイ戦線を強化するに至る。
終盤、リムルはミリムを不毛の地へ誘導するが、フェルドウェイが再び支配を強行し、「時空跳激震覇」でリムルを異域へ転移させる。総力戦は次段の決着へ雪崩れ込む構図である。
転生したらスライムだった件 21巻

魔物の国はリムル消失の報を受け騒然となり、幹部らは依存を戒めつつ自立して任務を分担する決意を固めたのである。ゼギオンは迷宮守護、テスタロッサは救出行、ディアブロは防衛強化に就いた。
時を止めた世界ではヴェルドラがダグリュールに挑み、シオンは自己最適化を重ね「暴虐之王」へ進化した。封印解除や援軍参戦を経て、最終的にヴェルドラの権能が砂漠を緑へ変え、ダグリュールは封印となる。
幕間ではゼラヌスが『生命之王』で眷属の力を回収し超越へ至る描写が挟まる。
迷宮攻略ではフェルドウェイ配下のディーノ隊とヴェガが侵蝕を試みるが、ベニマル側は罠で掌握していた。ディーノは苛烈な制裁を受けつつ改心の兆しを見せ、シュナは権能『導之巫女』へ覚醒する。
やがてゼギオンが出撃し、ヴェガを圧倒。侵入したゼラヌスも新技「崩羽」で鎮圧されたが、ヴェガは死骸を喰らいしぶとく延命した。
決戦ではディアブロが暴走強化したヴェガを退け、ディーノは神霊武装で邪龍獣を斬破する。最終的に舞衣の『星界之王』がヴェガを時空の狭間へ放逐し、国境を越えた協力体制が固まったのである。
一方、果ての世界へ飛ばされたリムルはシエルと共に舞衣の系譜を解析して「時空間跳躍」を完成。無時間領域で準備を尽くし、過去へ戻ってフェルドウェイの連鎖を断つ覚悟を定めた。
転生したらスライムだった件 22巻

滅界竜イヴァラージェが七色の繭から進化し、捨てられた記憶への憎悪を初感情として世界滅亡を志すに至る。母体の悪意を受け継いだ従僕カケアシ・ハバタキ・スイームを名付け進化させ、天星宮を抜け基軸世界へ侵攻を開始したのである。対する各陣営は混戦へ。氷雪の結界下ではギィとヴェルザードが拮抗し、テスタロッサは究極能力「白き清浄なる世界」を軸に立ち回ってトワイライト・バレンタインを看破し、策で封殺した。神樹方面ではミリム暴走に対し、勇者クロエが時空の権能で時間稼ぎを選択し、ヴェルドラを指揮して増幅を抑制する。別戦場ではユウキが復帰し、ジャヒルを撃滅。ディアブロは虚無と再生を併せ呑む戦術でフェルドウェイを圧倒し、逃走へ追い込んだ。臨界の瞬間、リムルが帰還して竜星爆炎覇を無害化し、ミリムの支配も解いた。各国・魔族・聖騎士は天通閣を囲む結界戦と四方の迎撃網を整え、総力決戦の体制に入る。やがて戦場に援軍としてベニマル軍が到着し形勢は揺れ動くが、イヴァラージェは「人の姿」を望み更なる変貌を開始。従僕にも波及する進化の気配を撒き散らしつつ、自ら地上に降り立ち、終末の本番を告げたのである。
転生したらスライムだった件 23巻

フェルドウェイはディアブロに敗れ、天星宮へ退いた。自分の必殺技がリムルに届かない事実や、ディアブロとゼギオンの強さによって、リムル陣営が想定外の脅威へ成長したことを痛感していた。そこへ迷宮攻略を諦めたディーノ達が戻り、ヴェガと蟲魔王ゼラヌスがゼギオンに討たれ、さらに星王竜ヴェルダナーヴァとルシアの聖遺骸までも滅界竜イヴァラージェに奪われた可能性が浮上する。イヴァラージェが聖遺骸を喰らって進化したとすれば、世界破壊計画そのものが揺らぎかねない状況だった。
地上では、ルミナス率いる連合軍が三体の従僕との四方面作戦を展開した。従僕達は人型へ進化して勢いを増すが、ウルティマ、カレラ、ヴェルドラ、シオンらの連携によって各個撃破が進み、戦線は次第に安定していく。ルミナス自身は復活したトワイライトと対峙し、記憶の断片をつなぎ合わせながら血槍を取り込み、真祖としての自分を取り戻す。彼女は戦場全体を支える大規模再生を展開し、崩れかけた各地の部隊に立て直しの機会を与えた。
別の戦場では、暴走したヴェルザードの精神世界へギィが踏み込み、積もり積もった不満や想いを受け止めることで彼女を正気へ戻した。ヴェルザードはヴェルダナーヴァ復活の真実を語り、リムルへの協力を選ぶ。リムルは彼女の権能を再構築し、氷神之王として新たな力を持たせた。この異例の改変能力を前に、ギィはリムルの規格外さを認めざるを得なかった。
天通閣内部では、ミリムとクロエがイヴァラージェと激突していたが、相手の底知れない力に押され、ついにはミリムが戦線を離脱する。ほどなくして地上に姿を現したイヴァラージェは、人型に近い「ルシア」の姿へ変化し、戦場に新たな恐怖を広げた。
そして最悪の事態として、ヴェルダナーヴァその人が姿を現し、現世界を「失敗作」と断じて選別を開始しようとする。フェルドウェイは主の狂気を前に剣を向けるが歯が立たず、瀕死のまま墜落した。リムルは彼を治療し、一時的な協力関係を結んだうえで、創造神と邪神の双方を止めるため最終決戦へ向かう覚悟を固めた。
この時点で各陣営の思惑は収束し、リムルは仲間と世界を守るため、神々の企図に真正面から挑む段階へ踏み込んでいく。
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