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とある魔術の禁書目録鎌池和馬

小説「新約 とある魔術の禁書目録 22」感想・ネタバレ

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新約とある魔術の禁書目録 22の表紙画像(レビュー記事導入用) とある魔術の禁書目録

新約 とある魔術の禁書目録(21)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(22)リバース レビュー

Table of Contents

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 大悪魔コロンゾン
    2. 上条当麻の右腕
    3. 幻想殺しの消失
    4. 浜面仕上の交渉
    5. スコットランドの至宝
    6. 魔術結社黄金の亡霊
    7. 一方通行の進化
    8. アンナの暗躍
  6. 登場キャラクター
    1. 学園都市
      1. 上条当麻
      2. 一方通行
      3. 御坂美琴
      4. 食蜂操祈
      5. 浜面仕上
      6. 滝壺理后
      7. 烏丸府蘭
      8. アレイスター=クロウリー
      9. カエル顔の医者
      10. 木原脳幹
      11. リリス(ニュイ=マ=アサヌール=ヘカテ=サッポー=イザベル=リリス)
      12. アネリ
    2. 王室派
      1. エリザード
      2. リメエア
      3. ヴィリアン
    3. 騎士派
      1. 騎士団長
      2. 女性騎士
      3. ミレーツ
    4. イギリス清教・天草式十字凄教
      1. インデックス
      2. 神裂火織
    5. 魔術結社『黄金』
      1. ミナ=メイザース
      2. ダイアン=フォーチュン
    6. 魔神・悪魔・その他の魔術勢力
      1. 大悪魔コロンゾン
      2. クリファパズル545
      3. オティヌス
      4. ネフテュス
      5. 娘々
      6. アンナ=シュプレンゲル
      7. マダム・ホロス
      8. 聖守護天使エイワス
    7. 集団
      1. クイーンブリタニア号の乗員たち
      2. エディンバラ市街の会社員たち
      3. ダンフリースの漁師や若者たち
      4. 輸送ヘリのパイロットたち
      5. 『騎士派』の騎士たち
      6. 『清教派』の神父や修道女たち
  7. 展開まとめ
    1. 序章(無題) ARCHENEMY_with_the_ABYSS. 
    2. 第一章 (無題) Break_a_Right_and_Hope. 
    3. 行間 一 
    4. 第二章(無題) Over_the_Checkmate. 
    5. 第三章(無題) World_Decomposer. 
    6. 行間 三 
    7. 第四章(無題) MAGICK_Warfare. 
    8. 終章 あるいは多くの傷を負いながら永き道のりを歩き通した末一人の男の人生に終止符が打たれるまでの物語 (Untitled) 
  8. 同シリーズ
    1. 新約 とある魔術の禁書目録
    2. とある魔術の禁書目録
    3. 外伝
    4. とある暗部の少女共棲
    5. 同著者シリーズ
    6. ヘヴィーオブジェクトシリーズ
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『新約 とある魔術の禁書目録(22)』は、科学と魔術が交差する世界を描く大人気SFファンタジーバトルライトノベルの第22巻である。本巻では、本性を現した大悪魔コロンゾンによる世界崩壊(万象の自然分解)の危機を阻止すべく、イギリス・スコットランドを中心とした総力戦が繰り広げられる。アレイスターが凶刃に倒れる絶望的な状況の中、上条当麻、一方通行、浜面仕上の三人の主人公たちが、それぞれの信念と大切な者を守るために立ち上がる。『新約』シリーズの全ての因縁が交差する、最大にして決死の決戦を描いた物語である。

■ 主要キャラクター

  • 上条当麻:右手に異能を打ち消す「幻想殺し」を持つ高校生。激戦の最中で右腕を失うという絶望を味わうも、決して諦めることなくコロンゾンと対峙する。終盤では切断された右肩から得体の知れない強大な力を解放し、事態を大きく動かす。
  • 一方通行(アクセラレータ):学園都市第一位の超能力者。クリファパズル545やミサカネットワークの力を借りて生命の樹にも邪悪の樹にも属さない「第三の樹」を構築し、コロンゾンの魂を実体から引き剥がす。戦いの後、アレイスターから学園都市の統括理事長の座を託される。
  • 浜面仕上:無能力者の少年。消滅した友人ダイアン=フォーチュンを救い出すため、敵である大悪魔コロンゾンとあえて行動を共にするという危険な賭けに出る。満身創痍になりながらも恋人の滝壺理后を守り抜き、見事にダイアンを帰還させる。
  • アレイスター=クロウリー:学園都市統括理事長。重傷を負いながらも愛娘リリスを犠牲にすることを拒絶し、持てる力と周囲の助力のすべてを駆使してコロンゾンを追い詰める。最期に学園都市を一方通行へ託し死亡したかに見えたが、コロンゾンの肉体を乗っ取って生き延びる。
  • コロンゾン:万象の自然分解を目論む強大な大悪魔。永遠に残り続けるものを許さず、クイーンブリタニア号を神殿としてイギリス全土の乗っ取りと世界の破滅を企てる。
  • アンナ=シュプレンゲル:歴史の裏に潜んでいた薔薇十字の令嬢。終盤でマダム・ホロスという偽者を排除して真の姿を現し、上条の右腕に潜む力「神浄の討魔」に興味を示す新たな脅威。

■ 物語の特徴

本作の最大の特徴は、長きにわたって描かれてきたアレイスターの因縁の決着と、『新約』シリーズの集大成とも言えるクライマックスが展開される点である。上条、一方通行、浜面の三人の主人公がそれぞれ全く異なるアプローチで絶対的な脅威に立ち向かう群像劇としての魅力が存分に発揮されている。また、アレイスターの死(表向きの国葬)と一方通行への統括理事長継承という「一つの時代の終わり」が描かれると同時に、上条の右手から飛び出した謎の力や、真のアンナ=シュプレンゲルの登場など、読者の予測を裏切る衝撃的な展開と次なる物語への強力な布石が用意されている点が非常に興味深い。

書籍情報

新約 とある魔術の禁書目録(22)
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA電撃文庫
発売日:2019年3月9日
ISBN:9784049123852

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

科学のアレイスターVS魔術のコロンゾン、ついに決着!!!
 大悪魔コロンゾンがその本性を現した。アレイスターは凶刃に倒れ、もはや世界の行方は誰にも分からない。上条当麻と一方通行は対抗するため立ち向かうが……。
 スコットランドを中心とした世界崩壊が迫るとき、美琴や食蜂が見た激突の結末は意外なもので――!!
 一方、全てを掌握するコロンゾンにも読みきれない誤算があった。
 浜面仕上。目の前で消えた『大切な友達』を救うため、正真正銘の『無能力者』にして予測不能のトリックスターが動き出す。
 世界の運命は、三人の主人公に委ねられた。『新約』の全てが交差する時、最大の決戦が始まる!!

新約 とある魔術の禁書目録 22

感想

科学と魔術が交差する物語の集大成と呼びたくなる一冊であった。

大悪魔コロンゾンが発動した「モアサイアの儀」によって、イギリスだけでなく世界全体が崩壊の危機へ追い込まれていく。

街や交通網、通信、魔術的な統治機構まで次々と破壊されていく展開には、思わず「もうやめて! イギリスのライフラインはもうゼロよ!」と叫びたくなった。

前巻でもイギリスはクロウリーズ・ハザードや『黄金』の魔術師たちによって散々な被害を受けていた。

それでもコロンゾンは止まらない。

長い時間をかけて積み重ねられてきた文明や生命を、不自然なものとして分解し、世界を何もない状態へ戻そうとする。

単に世界を支配したいのではなく、世界そのものを終わらせようとしている点が恐ろしい。

そんな絶望的な状況の中で、上条当麻、一方通行、浜面仕上という三人の主人公が、それぞれ異なる方法で誰かを救おうとする。

本巻で最も印象に残ったのは、三人の強さが決して同じ形ではなかったことである。

右腕を失っても立ち上がる上条当麻

上条当麻の戦いは、序盤からあまりにも苛烈である。

アレイスターを踏みにじり、自由を得たことを喜ぶコロンゾンに激怒した上条は、幻想殺しを握り締めて正面から突撃する。

これまで上条は、天使や魔神のような規格外の存在であっても、右手で触れることで超常の力を打ち消してきた。

しかし、肉体を得たコロンゾンには幻想殺しが通用しなかった。

すでに実体として成立した存在は、現在進行形の魔術現象ではない。

オティヌスから危険を警告されながらも、上条はコロンゾンの攻撃を右手で受けようとし、体ごと粉々に破壊されてしまう。

ここまで徹底的に上条が敗北する場面は、読んでいて息が詰まった。

御坂美琴と食蜂操祈が、もはや人間の形すら残っていない上条を必死に運ぶ描写も痛々しい。

戦う力を持っていても、失われていく命を救うことはできない。

美琴がA.A.A.を使いながら、その現実へ直面する場面が印象的だった。

そんな上条を救うため、アレイスターは幻想殺しが回復を妨げると判断し、A.A.A.のチェーンソーで右腕を切断する。

あまりにも乱暴な処置であり、美琴や食蜂が言葉を失うのも当然である。

しかし、右腕を切り離したことでアレイスターの奇跡が全身へ届き、上条は何とか命を取り戻す。

アレイスターが自分の血を使い、命を削りながら上条を助ける姿にも胸を打たれた。

これまで多くの人間を利用してきたアレイスターが、ここでは上条を生かすため、自分の持つものを差し出している。

二人の関係が、単なる利用する者と利用される者ではなくなったことが伝わってきた。

右腕の中から現れた得体の知れない力

上条の肉体は回復したが、切断された右腕だけは元に戻らなかった。

それだけでも大きな衝撃だったが、さらに恐ろしかったのは、その断面から得体の知れない力が現れようとした場面である。

赤黒い三角形の泡のようなものが連なり、その内側にはアレイスターすら驚く何かが潜んでいる。

これまで上条の右腕が切断された際には、竜のような存在が現れたことがあった。

しかし、今回出てきたものは、それとも異なる存在のように描かれている。

右腕を失ったことで、幻想殺しによって押さえ込まれていた何かが、外へ出ようとしている。

そのまま解放すれば、上条自身の肉体が耐えられない。

そこで食蜂操祈が心理掌握を使い、上条の脳に「右腕はまだ存在している」と誤認させる。

すると、暴れようとしていた力も静かに収まっていく。

力そのものを倒したのではない。

上条の認識を変えることで、体の中へ押し戻したのである。

あの極限状態で、アレイスターの指示を受けた食蜂が即座に対応した連携は見事だった。

食蜂にとって上条は、決して忘れることのできない相手である。

しかし上条は、食蜂のことを認識し続けることができない。

その切ない関係を考えると、彼女が上条の心へ働きかけ、命を救う場面には特別な重みを感じる。

幻想殺しの効果があるのは手のひらだけに見える。

それにもかかわらず、右腕を失ったことで肩から先全体に関係する異変が起きている。

上条の右手とは何なのか。

幻想殺しは力そのものなのか、それとも内部にある何かを封じる蓋なのか。

長く続いてきた謎が、さらに深まる展開であった。

幻想殺しがなくても上条当麻である

右腕を失った上条は、一時的に幻想殺しも使えなくなる。

これまでどれほど強大な敵が現れても、最後には右手で打ち消すという方法があった。

その最大の武器を失えば、普通なら戦いから降りてもおかしくない。

それでも上条は立ち上がる。

自分の覚悟が決まるまで、敵が待ってくれるわけではない。

誰かが次の攻撃を受ける前に、自分が動かなければならない。

その上条へオティヌスが、幻想殺しは上条当麻が持つ手段の一つでしかないと伝える。

何を救いたいのか。

どのような結末を望んでいるのか。

それを見失わなければ、右手がなくても上条当麻である。

この言葉が強く心に残った。

上条の強さは、幻想殺しという能力だけにあるのではない。

目の前で困っている人を見たら、損得を考える前に手を伸ばしてしまう。

何度倒されても、自分の望む結末を諦めない。

その姿勢こそが上条当麻の本質だったのだと感じた。

ついに解放された上条の未知の力

終盤では、コロンゾンによって上条の右腕が再び切断される。

食蜂の心理掌握によって一時的に抑えられていた力が、ついに外へ解放されてしまう。

アレイスターでさえ警戒していた、上条の中に潜む未知の存在。

それが現れた瞬間、巨大なクイーンブリタニア号そのものが破壊される。

人間同士の戦いや、一つの魔術を打ち消すという規模ではない。

巨大な儀式場を備えた船をまとめて破壊する力であり、そのスケールにはただ圧倒された。

上条本人が自由に制御しているわけではないところも恐ろしい。

これまで幻想殺しは、上条を助ける便利な力であると同時に、彼の中にある何かを押さえ込んでいたのかもしれない。

その正体も目的も分からない。

味方なのかどうかさえ判断できない。

上条の右腕に潜むものが、今後の物語でどのような意味を持つのか、ますます気になる展開であった。

統括理事長を託される一方通行

一方通行の進化も、本巻の大きな見どころである。

かつての一方通行は、学園都市の実験によって最強の能力者へ祭り上げられ、多くの命を奪った。

本人も、自分を悪党として扱い、光のある場所から遠ざかろうとしていた。

そんな一方通行が、アレイスターから学園都市統括理事長の全権を託される。

これは単に強い能力者へ権力を渡したという話ではない。

学園都市の暗部によって人生を壊された人物が、その学園都市を変える立場に立つのである。

かつて実験の中心にいた加害者であり、同時に学園都市に利用された被害者でもある。

その一方通行だからこそ、これまでの学園都市とは異なる道を選べるのかもしれない。

アレイスターから全権を受け取る場面は、一方通行が過去から逃げるのではなく、責任ごと背負う決意をした瞬間のように感じられた。

最強の能力者から、一つの都市を導く者へ。

一方通行が歩んできた長い変化を思うと、胸が熱くなる展開である。

クリファパズル545と作り出した第三の樹

一方通行は、人工悪魔クリファパズル545と共に魔術の領域へ踏み込んでいく。

科学の能力者である一方通行が、魔術を単純な異物として拒絶するのではなく、その力の流れを理解し、自分の演算へ組み込んでいく。

完成して動きを止めたコロンゾンに対し、自分たちはまだ新参者であり、ここからいくらでも学び、成長できると宣言する場面が印象的だった。

強さを完成された数字として見るのではない。

分からないものを学び、自分に足りないものをクリファパズル545に補ってもらう。

かつて他者を必要としなかった一方通行が、誰かと一緒に進むことを選んでいる。

その変化が頼もしい。

終盤では、一方通行とクリファパズル545が、人造の「第三の樹」を掌握する。

生命の樹でも邪悪の樹でもない、新しい領域へ踏み込むことで、コロンゾンの魂を肉体から引き剥がす。

単純な火力で相手を吹き飛ばすのではなく、悪魔の存在そのものへ干渉する。

科学と魔術の境界を越えた一方通行らしい決着であり、その圧倒的な姿には痺れた。

クリファパズル545も、コロンゾンに作られた道具としてではなく、一方通行と共に新しい道を作る存在になっている。

作られた目的から離れ、自分の力を誰のために使うのかを選び始めた。

二人の関係が、主人と使い魔という形だけではなく、互いに不足を補う相棒へ変わっていく点が魅力的だった。

勝てなくても目的を諦めない浜面仕上

浜面仕上の戦いは、上条や一方通行とは大きく異なる。

浜面には幻想殺しもベクトル操作もない。

魔術の知識もなく、ダイアン=フォーチュンをどうすれば取り戻せるのかさえ分かっていない。

魔神であるネフテュスと娘々からは、死者を元の生者へ戻すことは不可能だと告げられる。

それでも浜面は諦めなかった。

自分には分からないと認めたうえで、分かる者へ接触する方法を考える。

魔術を隠す者たちが無視できないよう、牧草地へ巨大なタロットの文字を刻む発想には驚かされた。

魔術の理屈を知らなくても、秘密にしている者の心理は分かる。

自分より強い相手を正面から倒せなくても、その相手が動かざるを得ない状況を作る。

浜面らしい泥臭い知恵である。

神裂火織に簡単に気絶させられても、それさえ予測して気付け薬を準備していた。

戦闘では確実に負ける。

しかし、勝つ必要はない。

必要なのは、ダイアンを救う方法を知る者へ近づくことだけである。

勝敗と目的を切り分けて考える浜面の姿が印象的だった。

大悪魔コロンゾンとの危険な取引

浜面はエディンバラ城の地下で国家の剣を手に入れ、それを交渉材料としてコロンゾンへ取引を持ちかける。

世界を滅ぼそうとしている大悪魔を相手に、ダイアンを助ける方法を求める。

あまりにも危険な賭けである。

コロンゾンが約束を守る保証などない。

知識を与えるふりをして、浜面を利用し、最後には捨てる可能性の方が高い。

それでも、他に方法がない以上は踏み込むしかない。

正しい道を選んで何も救えないのであれば、悪魔の手を借りる。

その選択には、浜面の切実さが表れていた。

浜面が滝壺を剣の鞘で殴り、気絶させる場面には驚かされた。

恋人を裏切ったように見せながら、実際にはこれ以上危険な道へ同行させないための行動だった。

コロンゾンにはその意図まで見抜かれていたが、それでも滝壺を戦いから外すことには成功する。

正しいだけでは誰も救えない。

自分が悪者になってでも、守るべき相手を危険から遠ざける。

浜面の戦いは、綺麗な英雄の物語ではない。

後悔や罪悪感を抱え、自分の顔を殴りながら、それでも前へ進む泥臭い戦いである。

救いは重力のようなもの

コロンゾンから、なぜ短い時間しか関わっていないダイアンをそこまで助けようとするのかと問われた浜面は、救いは重力のようなものだと答える。

救いは集まるところには集まる。

しかし、届かない人間にはまったく届かない。

助けを求める声を上げられる人。

周囲に仲間がいる人。

人から好かれ、注目される人。

そうした人物だけが救われる世界で良いのか。

ダイアンは、自分が消えることを仕方がないと受け入れていた。

泣き叫ぶことも、助けを求めることもせず、一人で諦めようとしていた。

だからこそ、無理にでも手を掴まなければならない。

この浜面の考え方が強く心に残った。

助けを求めていないから放っておく。

本人が諦めているから仕方がない。

そのように片づけてしまえば、本当に孤立した人間には永遠に救いが届かない。

浜面自身も、かつては路地裏の小さな世界だけがすべてだと思っていた。

麦野や滝壺との出会いによって、偶然そこから外へ出ることができた。

だから、自分の知らない幸せが存在することさえ知らない人間がいると分かっている。

隠された扉を開き、外に道があると伝える。

本人が手を伸ばせないのであれば、こちらから掴みにいく。

浜面がダイアンを救おうとする理由には、彼自身の過去が表れていた。

満身創痍で取り戻したダイアン

クイーンブリタニア号の神殿で、浜面はダイアンを構成していた七十八枚のタロットカードを使い、彼女を復活させようとする。

カードについた傷や折り目は、ダイアンが生きた記憶や人格そのものだった。

しかし、魔道書の原典としてカードが自己修復を始めたことで、その傷が消えようとしていた。

傷が消えるということは、ダイアンの存在も失われるということである。

ダイアンを戻すには、浜面自身の生命力を魔力へ変換し、カードへ流し込まなければならない。

能力者が魔術を使えば、体に大きな負担がかかる。

コロンゾンはその危険を十分に説明していない。

それでも浜面は、危険があることを理解したうえで挑戦する。

世界が滅びるという話を聞かされても、浜面が見ているのは目の前のダイアンである。

人類全体の未来よりも、一人の少女を戻すことを優先する。

それは視野が狭いとも言える。

しかし、世界を救うという大きな言葉の陰で、目の前の一人を見捨てるよりは、浜面らしい選択である。

満身創痍になりながらも、滝壺を守り、ダイアンを再び人の姿へ戻す。

強大な力を持たない浜面だからこそ、その結果には重みがあった。

リリスを犠牲にしないという選択

コロンゾンへ対抗できる唯一の存在として、アレイスターの娘リリスが示される展開も印象深い。

リリスは世界の外側に近い場所から戻ってきた、原罪を持たない存在である。

そのため、世界の外から干渉するコロンゾンへ届く可能性を持っていた。

しかし、コロンゾンと対消滅させれば、せっかく取り戻したリリスの命は再び失われてしまう。

世界を救うために娘を差し出すのか。

アレイスターはそれを拒絶する。

たとえ世界が滅びるとしても、娘を犠牲にはしない。

合理的な選択ではない。

これまで多くの人間を計画のために犠牲にしてきたアレイスターが、最後には自分の娘一人を世界より優先する。

その姿は身勝手であると同時に、とても人間らしかった。

そして上条は、リリスを犠牲にしない別の方法を探せと迫る。

英国王室、インデックス、美琴、オティヌス、ミナ。

それぞれが持つ情報や力を集めれば、盤面そのものを壊せるかもしれない。

一人で抱え込み、誰かを犠牲にするのではなく、全員で別の道を探す。

孤独に計画を進めてきたアレイスターにとって、それは思いつかなかった選択だったのかもしれない。

周囲の人々がリリスを守る側へ立ったことで、アレイスターは再び顔を上げる。

この場面は、アレイスター自身が救われた瞬間でもあったように感じた。

カエル顔の医者と木原脳幹の参戦

リリスを現世へ定着させるため、カエル顔の医者が招聘される展開も嬉しかった。

魔術的な奇跡に頼るだけではなく、科学的に説明できる肉体を作り、そこへリリスの魂を移す。

生命を作り出して部品として利用するのではなく、誰も犠牲にしない方法を選ぶ。

どれほど絶望的な状態であっても、患者を救う道を探し続けるカエル顔の医者らしい行動である。

さらに、瀕死の状態から復活した木原脳幹がA.A.A.を駆使して戦線へ現れる。

ここはまさに、男の子の心をくすぐる王道展開だった。

もう戦えないと思っていた人物が、最終決戦で再び立ち上がる。

木原脳幹のA.A.A.と御坂美琴のA.A.A.が並び、アレイスターがその力を利用してコロンゾンへ攻撃する。

これまで積み上げられてきた科学技術や人間関係が、最終決戦で一つにつながる。

思わずガッツポーズをしたくなる場面であった。

アレイスターは最後までアレイスターだった

物語の終盤では、アレイスターが命を落としたかのように見える。

長い計画も、娘を救う戦いも終わり、自分の命を使い切った。

そう思わせておきながら、アレイスターはただでは終わらない。

一方通行によって肉体から引き剥がされたコロンゾンの魂。

その隙を突き、アレイスターはコロンゾンの肉体を乗っ取って生存する。

あまりにも執念深い。

しかし、アレイスターらしい。

数え切れないほど失敗し、何度敗北しても、最後には別の道を見つけて生き残る。

善人とは言い難い。

素直に感動できる生き方でもない。

それでも、失敗を重ねながら前へ進み続ける姿には、妙な力強さを感じる。

コロンゾンの肉体で生き残ったアレイスターが、今後どのような行動を取るのかも気になるところである。

真のアンナ=シュプレンゲルの登場

すべての戦いが終わったかと思ったところで、真のアンナ=シュプレンゲルが姿を現す。

『黄金』の創設に関わったとされながら、長い間その実在さえ疑われていた人物である。

歴史上で名前だけが独り歩きし、偽物や詐欺師まで現れた。

その本人が、最後になって物語の表舞台へ出てくる。

しかも彼女が興味を示したのは、上条の右腕に潜む得体の知れない力だった。

コロンゾンとの戦いを終え、これまでの因縁に決着がついたという安心感は一瞬で消える。

上条の右腕の正体。

幻想殺しの奥に隠されているもの。

アンナがそれをどこまで知り、何をしようとしているのか。

新たな脅威がすぐそこまで迫っていることを感じさせるラストであった。

三人の主人公が示した異なる強さ

『新約 とある魔術の禁書目録 22』では、三人の主人公がそれぞれ異なる強さを見せている。

上条当麻は、幻想殺しを失っても、自分が望む結末を諦めなかった。

一方通行は、誰かと力を補い合い、学園都市の未来まで背負う立場へ進んだ。

浜面仕上は、勝てないと分かっていても、目の前の一人を救うために悪魔との取引へ踏み込んだ。

誰が最も強いのかという話ではない。

そもそも三人が見ているものは違う。

上条は、目の前で苦しむ者を放っておけない。

一方通行は、作られた役割によって命を使い潰される者を許さない。

浜面は、救いが届かず一人で諦めた者へ手を伸ばす。

それぞれが自分にしかできない方法で、誰かを救おうとしている。

三人の道が同じ事件の中で交差し、一つの結末へつながっていく構成が見事だった。

科学と魔術が交差した先に残ったもの

本巻では、科学と魔術のあらゆる要素が最終決戦へ集まっていく。

幻想殺し。

心理掌握。

A.A.A.

クリファパズル545。

学園都市統括理事長の権限。

『黄金』の魔道書。

イギリス王室の霊装。

リリスの魂と科学によって作られた肉体。

これまで別々の場所で描かれてきたものが、一つの戦場へ集まる。

それでも、最後に勝敗を決めたのは、単純な力の大きさだけではなかった。

誰を救うのか。

何を諦めないのか。

誰かを犠牲にする方法を受け入れるのか。

登場人物たちがそれぞれ選んだ答えが、物語を動かしていた。

コロンゾンとの因縁は、ひとまず決着した。

アレイスターも、メイザースとの過去や娘リリスをめぐる長い戦いに一区切りをつけた。

しかし、上条の右腕に潜む力や、アンナ=シュプレンゲルの目的は何も分かっていない。

大きな物語が終わった安心感と、新しい物語が始まる不安が同時に残る。

すべてが終わったように見えて、本当の未知はここから始まる。

早く続きを読みたいという気持ちを強く残す一冊であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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新約 とある魔術の禁書目録(21)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(22)リバース レビュー

考察・解説

大悪魔コロンゾン

大悪魔コロンゾンの本質と破滅の全貌

『新約 とある魔術の禁書目録』に登場する大悪魔コロンゾンについて、その本質や目的、作中での暗躍、および結末についての解説は以下の通りである。

自然分解と拡散を本質とする破壊の目的

コロンゾンは「三三三」の数価を持つ大悪魔であり、その本質は「拡散」である。

・世界の理の完全なる結合を妨げ、人々の関係や事象を引き裂き、万象を自然分解させることを目的としている。

・不滅の武器や書物、滅びを免れ続ける人類の文明など、自然の循環を妨げて長く残り続けるものを「世界の詰まり」と見なしている。

・それらを徹底的に破壊し、何一つ残らない更地にすることを目指していた。

メイザースによる密命と偽りの肉体

1909年にアフリカにて、三羽の鳩の血を用いた儀式でアレイスター=クロウリーによって召喚されたとされていたが、実際にはそれ以前から宿敵サミュエル=リデル=マグレガー=メイザースによって使役されていた。

・メイザースから「クロウリーに初めて召喚されたふりをして彼を破滅に導け」と命じられ、一世紀以上にわたって暗躍を続けていた。

・長らくイギリス清教の最大主教ローラ=スチュアートの肉体を乗っ取っているとされ、アレイスターの二人目の娘であると騙っていた。

・実際にはローラという娘は最初から存在せず、コロンゾンが外側の肉体も内面の人格もゼロから作り上げた完全な偽物であった。

モアサイアの儀と世界の土台破壊の画策

物語の終盤において、コロンゾンはその本性を現し、イギリス全土を掌握するモアサイアの儀を企てた。

・退役した王室専用船クイーンブリタニア号を巨大な神殿とした。

・スコットランドの至宝(国家の剣、即位の冠、統治の笏、スクーン石)を用いて全権を乗っ取ろうとした。

・人類を争わせた隙に世界の土台となる「物理・科学の層」を破壊し、全ての神話や宗教の位相ごと世界を崩壊させようと目論んでいた。

・本物のメイザースの遺体を隠し、自身を守る防衛装置として、かつての魔術結社「黄金」の魔術師たちをタロットカードを媒体にして復活させた。

肉体の乗っ取りと大悪魔の封印

クイーンブリタニア号での決戦において、アレイスターは神殿の力の流れをねじ曲げ、コロンゾンを人間の魔術で倒せるレベルにまで矮小化して削り落とした。

・コロンゾンは「血と肉の実体」を持っていたため完全には消滅せず、長い黄金の髪でアレイスターの胴体を貫いて致命傷を与えた。

・直後に体内から巨大な衝撃を受けて苦しみ始めることとなった。

・海中に残されたコロンゾンの肉体には、死んだはずのアレイスターの意識が宿っていた。

・過去にアレイスターがコロンゾンを体内に収めようとして中断された実験が、逆転した形で成立し、アレイスターがコロンゾンの肉体を支配した。

・アレイスターは力の象徴である大悪魔の長い金髪を切り落とし、コロンゾンは肉体の内側に閉じ込められるという結末を迎えた。

まとめ

大悪魔コロンゾンを巡る一連の全貌は、拡散と自然分解を目指す破壊の目的から始まり、メイザースによる密命と偽りの器の真相、モアサイアの儀による世界崩壊の企て、そしてアレイスターによる肉体の逆乗っ取りと封印に至るまで、絶対的な脅威の全容と結末を明瞭に示している。世界崩壊の危機や大悪魔の圧倒的な力という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権をアレイスターの果断な執念と智略によって完璧に確立するに至る、決戦と収束の記録である。本質の解明から、陰謀の露呈、儀式の阻止、そして肉体支配による決着へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

上条当麻の右腕

幻想殺しと右腕に潜む未知の力の全貌

『新約 とある魔術の禁書目録』において、主人公・上条当麻の右腕に宿る力「幻想殺し(イマジンブレイカー)」、およびその奥に潜む「得体の知れない力」は、物語の核心に関わる重要な要素である。幻想殺しの基本性質、切断と修復の特性、右手の奥に潜む未知の力、および上条当麻と右手との関係についての解説は以下の通りである。

魔術や超能力を打ち消す世界の修復点

上条当麻の右手は、魔術や超能力などの異能の力を全て打ち消す「幻想殺し」と呼ばれる力を持っている。

・その正体は、あらゆる魔術師たちの夢の集積体である。

・世界が歪んだ際にいつでもレストアできる「明確な修復点」や「世界の基準点(セーフティ)」として機能する。

・偶然上条に宿ったわけではなく、「神浄の討魔」という真名を持つ彼の魂の輝きや本質に吸い寄せられた結果であるとされる。

・上里翔流の右手に宿る「理想送り(ワールドリジェクター)」は、幻想殺しと表裏一体の存在とされている。

身体への定着と腕の切断・結合現象

幻想殺しは現在、上条当麻の右手として完全に定着しており、「持ち主の右肩から生えているものが右手である」という状態になっている。

・第三次世界大戦の終盤で右腕を切断された際は、何もない所から再び生み出され、元の幻想殺しを取り戻した。

・バゲージシティでオティヌスに右手首を握り潰され切断された際も、十数分のうちに再接続された。

・大悪魔コロンゾンとの決戦では、上条に回復魔術を施すためにアレイスターがA.A.A.の巨大なチェーンソーで意図的に上条の右腕を切断した。

・切り飛ばされた右腕は食蜂操祈が隠し持っていたが、後に彼女が投げ渡した右腕が上条の傷口に違和感なく繋がり、再び結合を果たした。

断面から噴出する正体不明の強大な存在

右腕が切断されたり、幻想殺しそのものが破壊されたりすると、その断面から「得体の知れない力」が噴出することがある。

・バゲージシティでの戦いでは、見えない力が吹き荒れたものの、不完全な状態の魔神オティヌスに握り潰された。

・上里翔流の「理想送り」と激突して右腕を抉られた際にも、幻想殺しの「奥」にあった別の何かが現れ、圧倒的な力を持つ上里を退けた。

・コロンゾンとの戦いで右腕が切断された際には、断面からテレビゲームのポリゴンのような赤黒い三角面が連なった泡が噴き出し、中には竜とも異なる正体不明の影が蠢いていた。

・この得体の知れない存在は上条の身体では収めきれないほど強大であったため、アレイスターの指示を受けた食蜂操祈が「心理掌握」によって上条の脳に右腕が存在すると誤認させ、一時的に中身の解放を抑え込んだ。

超越者たちの評価と上条当麻自身の人間性

魔神やアレイスターといった超越者たちは、長らくこの「右手」に注目し、時にはその力を利用しようとしてきた。

・上条当麻本人は「こいつは手札の一つであって、使うのは俺だ」と言い切り、右手に使われるのではなく自らの意志で使っていると語っている。

・理解者であるオティヌスも、「右手の力があるから誰かを救ってきたのか? 逆だろう」と指摘し、彼が危機に飛び込み人々を救うのは右手の有無に関わらない上条当麻自身の人間性によるものであるとしている。

・魔神である僧正も、事象の中心は右手に宿る力ではなく、上条当麻そのものにあると評価している。

まとめ

幻想殺しと右腕に潜む未知の力を巡る一連の全貌は、世界の基準点としての基本性質から始まり、異常な切断・結合の特性、断面から現れる規格外の未知の力、そしてそれらを行使する上条当麻という個人の本質に至るまで、物語の根幹をなす設定の全貌を明瞭に示している。右手に潜む異能や世界の運命という巨大な枠組みの檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を上条当麻自身の不屈の意志と選択によって完璧に確立するに至る、右腕の秘術と人間性の記録である。性質の定義から、自己修復、潜在能力の発露、そして人間の意志の証明へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

幻想殺しの消失

幻想殺しの消失と再生の全貌

『新約 とある魔術の禁書目録』において、主人公・上条当麻の右手に宿る「幻想殺し(イマジンブレイカー)」は、作中で何度か切断や破壊によって消失しているが、その都度特異な現象や修復を見せている。消失と再生の基本性質、バゲージシティにおける切断、コロンゾン戦での喪失と得体の知れない力、および右腕の結合と帰還についての解説は以下の通りである。

定着した右腕としての基本性質と再生メカニズム

上条当麻は過去、第三次世界大戦の終盤で右方のフィアンマによって右腕を切断されているが、その際は何もない所から新たな右腕が生み出され、元の幻想殺しを取り戻している。

・右方のフィアンマやオッレルスによれば、これは幻想殺しが今代の幻想殺しとして上条の右手に完全に定着しているためである。

・持ち主の右肩から生えているものが右手であるという状態になっている。

・身体の定着に伴い、切断されても元の状態へ復元される特異な性質を備えている。

バゲージシティにおける右手首の破壊と急速な再接続

新約第4巻の東欧バゲージシティでの戦いにおいて、上条は魔神オティヌスに右手首を握り潰され切断された。

・この時、切断面から見えない力が吹き荒れた。

・不完全な状態であったオティヌスによって血まみれの手で無造作に握り潰された。

・その後、切断された右手は十数分のうちに再び元通りに修復および再接続された。

コロンゾン戦での肉体粉砕と断面から現れた異形の存在

新約第22巻の大悪魔コロンゾンとの決戦では、上条はコロンゾンの魔術を受けて右腕ごと肉体を粉砕された。

・アレイスター=クロウリーは瀕死の上条を蘇生させる際、幻想殺しが治癒の妨げになると判断し、A.A.A.の巨大チェーンソーで上条の右腕を意図的に肘から切断した。

・この荒療治によって上条の肉体は回復したものの、切断された右腕だけはこれまでのように再生しなかった。

・オティヌスは理由について、止血のために傷口を焼いた影響か、あるいは攻撃に何かしらの特殊効果が付加されていたためではないかと推測している。

・その後の再戦で再び右腕を切り飛ばされた際、右肩の断面からテレビゲームのポリゴンのような赤黒い三角面の泡が連なって噴き出した。

・内部には竜とも異なる正体不明の影が蠢くという、上条の身体では収めきれないほどの強大な得体の知れない力が出現した。

食蜂操祈による保管と右腕の完全結合

アレイスターによって切り落とされた右腕は、実は食蜂操祈が密かに隠し持っていた。

・彼女は、幻想殺しがなければ上条が危険な戦いに飛び込むのを控えるのではないかと考えた。

・自身が彼に認識および記憶されないという特性を利用して、右腕を保冷容器に保存していた。

・右手を失ってもなお自分の危機に駆けつけ、身を呈して守ろうとする上条の姿を見た食蜂は、彼を止めることはできないと悟った。

・彼女が投げ渡した右腕は、上条の肘の先へと違和感なく結合し、幻想殺しは再び元の持ち主の下へと帰還を果たした。

まとめ

幻想殺しの消失と再生を巡る一連の全貌は、基本性質としての右腕の自動再生から始まり、バゲージシティでの急速な再接続、コロンゾン戦での異形なる能力の発露、そして食蜂操祈の手を経た完全な結合に至るまで、右腕の持つ異質さと復元プロセスを明瞭に示している。右腕の損失や異能の暴走という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を上条の不屈の戦意と大切な者の想いの共有によって完璧に確立するに至る、能力の帰還と克服の記録である。消失のメカニズムから、絶望的な粉砕、未知の力の露呈、そして完全なる修復へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

浜面仕上の交渉

浜面仕上における交渉術と決断の全貌

『新約 とある魔術の禁書目録』において、無能力者(レベル0)である浜面仕上の「交渉」は、彼の弱さを補い、強大な敵や超越的な存在から大切な者を守り抜くための最大の武器として描かれている。彼は圧倒的な力を持たない代わりに、相手の目的や因縁を鋭く見抜き、自らの命や覚悟、そして数少ない手札をチップにして絶対的な強者の土俵に食い込んでいく。大悪魔コロンゾンとの取引、統括理事長アレイスター=クロウリーへの恩赦要求、および学園都市第一位・一方通行との対峙についての解説は以下の通りである。

大悪魔コロンゾンとの命懸けの取引

消滅した魔術師ダイアン=フォーチュンを取り戻すため、浜面はあえて敵である大悪魔コロンゾンに交渉を持ち掛けた。

・重要アイテムである国家の剣を交渉材料とし、ダイアンを救う方法を教えるよう要求した。

・コロンゾンから捨て駒としての覚悟を試された浜面は、同行していた恋人の滝壺理后を鞘に収まった剣で突き、自らの手で気絶させた。

・これは滝壺を危険な交渉や魔術の領域から遠ざけるための保護であったが、同時に悪魔の要求を満たす決断でもあった。

・救いは集まる所にしか集まらないと語り、孤立したダイアンへ手を伸ばそうとする浜面の執念はコロンゾンの興味を引いた。

・結果として魔力精製という命を削る危険な手段を教わり、ダイアンを救出する道を開いた。

統括理事長アレイスターへの直談判と恩赦獲得

大熱波によって自身の安全を保障していたデータ「素養格付」を失った浜面は、イギリスでの戦いの終盤において、学園都市の統括理事長であるアレイスターに直接取引を迫った。

・上条当麻と一方通行がアレイスターの過去の悪行を糾弾している極限状況の中、浜面は折れた傘の先端を突きつけた。

・保護していたアレイスターの娘・リリスの命を事実上の盾とした。

・俺と滝壺とアイテムの仲間たちを暗部から確実に守ってもらえる恩赦を要求した。

・イエスならアンタを守るために命を懸けるし、ノーなら見殺しにするという究極の二択を突きつけた。

・アレイスターはこの要求に応じ、浜面の大切な人々を守る契約が成立した。

学園都市第一位・一方通行との対峙と交渉の限界

浜面は、学園都市最強の超能力者である一方通行に対しても、状況に応じた交渉や説得を試みている。

・暗部に狙われる少女フレメア=セイヴェルンを救うため、浜面は一方通行に協力を求めた。

・首を絞められながらも、浜面は一方通行がかつて殺害した駒場利徳の名前を出した。

・駒場が最期まで守りたかったのがフレメアであることを告げ、一方通行自身にも彼女を助ける理由と遺志を汲み取る義務があると訴えかけ、彼を動かすことに成功した。

・第22巻の暴走列車の屋上での対峙では、浜面が国家の剣を人質にして攻撃をためらわせようとしたものの、問題解決を最優先とする一方通行には一切通じず、一笑に付された。

・相手の目的次第では小細工や交渉が全く機能しないという厳しい現実も描かれている。

まとめ

浜面仕上の交渉術を巡る一連の全貌は、コロンゾンからの救出手段獲得、アレイスターとの取引による恩赦成立、そして一方通行との対峙と挫折に至るまで、泥臭い交渉と決断による生存戦略を明瞭に示している。弱者ゆえの無力さや圧倒的脅威という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を浜面の不屈の泥臭さと命懸けの覚悟によって完璧に確立するに至る、生存と救済の記録である。自己の弱さの認識から、執念の交渉、取引の成功、そして限界の察知へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

スコットランドの至宝

スコットランドの至宝の真実とイギリス全権争奪戦の全貌

『新約 とある魔術の禁書目録』において、「スコットランドの至宝(オナーズオブスコットランド)」は、イギリスの国家存亡と大悪魔コロンゾンの計画の中核に関わる極めて重要な魔術的アイテムとして描かれている。スコットランドの至宝の定義、統治システム乗っ取りの力、コロンゾンによる強奪と浜面の交渉、および儀式の失敗と至宝の返還についての解説は以下の通りである。

スコットランドの王権を示す四つのアイテム

スコットランドの至宝とは、国家の剣、即位の冠、統治の笏の三つの宝に、スクーン石を加えた四つのアイテムの総称である。

・スコットランド版の王権を示す品である。

・イングランドの戴冠剣カーテナの機能と競合する恐れがあるため、かつてはロンドンへ持ち去られて封印されていた。

・近年になってスコットランドへ返還された。

・エディンバラ城の地下深くにある聖マーガレット礼拝堂を中心とした迷宮に隠されていた。

カーテナを迂回する統治全権の乗っ取り機能

この至宝は、カーテナ系の統治システムに揺らぎが生じている状況下において真価を発揮する性質を持つ。

・イングランド、スコットランド、ウェールズ、北部アイルランドというイギリス四地方の中心から等距離となる地点(内海)で儀式を行う。

・カーテナとは別のシステムからメインフレームへ潜り込むことが可能となる。

・イギリス全土の全権を乗っ取ることができるほどの強大な力を持つ。

コロンゾンの狙いと浜面仕上の決断

第22巻において、大悪魔コロンゾンは世界を自然分解させるモアサイアの儀の呼び水としてイギリスの全権を掌握するため、エディンバラ城から至宝を強奪しようとした。

・地下迷宮へ潜り込んだ浜面仕上が、重傷を負った英国女王エリザードから国家の剣を託されて持ち出した。

・コロンゾンの手には三つしか渡らず、一時的に計画は頓挫した。

・浜面は消滅した魔術師ダイアン=フォーチュンを取り戻すための交渉材料として、あえて国家の剣をコロンゾンに明け渡す取引を行った。

新たな術式の構築と至宝の返還

全ての至宝を揃えたコロンゾンは、退役した王室専用船クイーンブリタニア号に隠された巨大な神殿に至宝をセットし、イギリス全土の乗っ取りとモアサイアの儀を起動させようとした。

・浜面によって救済の道を開かれたダイアン=フォーチュンが、残されたタロットカードを用いて黄金の新たな術式を構築した。

・コロンゾンの邪悪な命令を遮断した。

・スコットランドの地そのものが儀式を拒絶したため、乗っ取りは不発に終わった。

・激闘の末、クイーンブリタニア号が沈みゆく中、黒猫の魔女ミナ=メイザースが至宝を回収して女王エリザードへ返却した。

・イギリスを巡る国難は終止符を打つこととなった。

まとめ

スコットランドの至宝を巡る一連の全貌は、四つの王権アイテムに秘められた統治全権の乗っ取り機能から始まり、コロンゾンによる強奪の企て、浜面仕上による命懸けの交渉、そしてダイアンによる術式遮断とエリザード女王への返還に至るまで、国家の命運をかけた攻防の軌跡を明瞭に示している。国家の危機や大悪魔の野望という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を浜面の泥臭い取引と仲間たちの絆によって完璧に確立するに至る、国難収束の記録である。至宝の定義から、乗っ取りの危機、取引の展開、そして正常化へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

魔術結社黄金の亡霊

魔術結社黄金の亡霊たちの全貌

『新約 とある魔術の禁書目録』の終盤に登場する「魔術結社『黄金』の亡霊たち」について、彼らの正体や作中での役割、および結末についての解説は以下の通りである。

タロットカードを媒体とする防衛装置としての復活

物語において、100年前のブライスロードの戦いでアレイスターによって壊滅させられたはずの世界最大の魔術結社「黄金」の魔術師たちが、現代のウェストミンスター寺院の墓地で一斉に復活を遂げた。

・彼らは生前の肉体を取り戻して蘇ったわけではなかった。

・その正体は、大悪魔コロンゾンが本物のメイザースの遺体を隠し、自身を守るための防衛装置として作り出した存在であった。

・魔道書の原典の一種であるタロットカードを媒体として再構成された仮想的な肉体を持っていた。

・物理的な破壊が不可能な亡霊のような存在であった。

世代的矛盾の看破と資料からの再構成

復活した集団の中には、サミュエル=リデル=マグレガー=メイザースやウェストコットといった創設期のメンバーだけでなく、ダイアン=フォーチュンやイスラエル=リガルディといったブライスロードの戦いより後の世代に加入した魔術師たちも同時に存在していた。

・この明らかな矛盾から、アレイスターは彼らが一世紀を生き延びた本人たちではないと見抜いた。

・残された資料やタロットカードに刻まれた傷や折り目などの情報から作られた偽りの存在であると解明した。

集団魔術による圧倒的連携とクロウリーズハザードの殲滅

彼らは生身の人間ではないため、通常の能力や物理攻撃が通用しないという特性を持っていた。

・彼らの恐ろしさは、個々の力を補い合い、舞台演劇のように役割分担をして巨大な儀式魔術を構築するという黄金の真髄を発揮する点にあった。

・圧倒的な連携と実力により、ロンドンになだれ込んでいたアレイスターの分身クロウリーズ・ハザードの大群を一方的に殲滅する猛威を振るった。

支配からの脱却と地脈遮断による消滅

大悪魔コロンゾンの防衛装置として作られた彼らであったが、完全に操り人形だったわけではなかった。

・メイザースは完璧に再現されたがゆえに、自分なら創造主であるコロンゾンすらも使役するはずだと考え、与えられた支配から抜け出す方法を探っていた。

・ダイアン=フォーチュンは浜面仕上に助けられたことをきっかけに黄金を離反し、彼らを守るために独自に行動し始めた。

・アレイスターとメイザースの一対一の死闘において、アレイスターが神の子の術式を利用して膨大なエネルギーを放った。

・このエネルギーで空間が飽和したことにより、地脈からタロットカードへ活動のエネルギーを吸い上げていた黄金の魔術師たちは力の供給を絶たれた。

・メイザースをはじめ、スコットランド方面にまで展開していた黄金の魔術師たちは形を維持できなくなり、次々と無数のタロットカードへと崩れ落ちて消滅していった。

まとめ

魔術結社黄金の亡霊たちを巡る一連の全貌は、コロンゾンの防衛装置としての再構成から始まり、アレイスターによる資料再現の看破、圧倒的な集団魔術の行使、そして地脈からのエネルギー供給遮断による消滅に至るまで、再現された亡霊たちの異質さと決着の瞬間を明瞭に示している。大悪魔の支配や再現された運命という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権をアレイスターの放った術式と各自の意志の選択によって完璧に確立するに至る、100年越しの再臨と終焉の記録である。再現のカラクリから、圧倒的武力、支配への反発、そして消滅へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

一方通行の進化

一方通行の精神的進化と統括理事長就任の全貌

『新約 とある魔術の禁書目録』における一方通行(アクセラレータ)の進化は、単なる戦闘能力の向上に留まらず、精神面、魔術への適応、そして社会的立場の劇的な変化として描かれている。精神的成長と保護者としての覚悟、魔術への合理的アプローチと悪魔との契約、第三の樹とプラチナの翼の発現、および学園都市統括理事長への就任についての解説は以下の通りである。

闇からの脱却と打ち止めとの真の信頼関係

かつて学園都市の闇の中心にいた彼は、第三次世界大戦を経て闇と手を切り、黄泉川愛穂のマンションで平穏な日常に適応しようと葛藤した。

・新入生からフレメア=セイヴェルンを救出する過程で、かつての敵である駒場利徳の遺志を汲み取った。

・自らを、誰かの人生を良い結末へ導く手伝いができる存在と位置づけるようになった。

・以前は打ち止め(ラストオーダー)を自分の手の届かない場所へ遠ざけることを恐れていた。

・大悪魔コロンゾンとの決戦前には彼女を安全な場所に残し、必ず戻ると約束して単身で前人未到の戦場へ向かう信頼と強さを獲得した。

未知の法則への対策と人造悪魔との契約

科学サイドの頂点に立つ一方通行であるが、能力者が魔術を使用すると全身に深刻な副作用を受けるという致命的な弱点を持っていた。

・レイヴィニア=バードウェイから魔術の基礎理論を学んだものの、自身で未知の法則を扱う危険性を冷静に理解した。

・大悪魔コロンゾンの支配から人造悪魔クリファパズル545を救い出し、自らの手駒とした。

・自分が魔術に直接干渉するのではなく、必要な魔術の行使と未知の知識の補填を彼女に命じるという合理的な新しいアプローチへと進化を遂げた。

人造の樹の獲得と深淵を越えるプラチナの翼

大悪魔コロンゾンや魔神ネフテュスとの戦いにおいて、彼の能力は既存の枠組みを完全に超越した。

・契約したクリファパズル545がミサカネットワークと結びつくことで、生命の樹や邪悪の樹のどちらにも属さない人造の「第三の樹(クロノオト)」の案内人となった。

・ミサカネットワークの総体からの演算支援と悪魔の導きにより、一方通行は深淵を越えた。

・聖守護天使エイワスに匹敵する「青ざめたプラチナの翼」を発現させた。

・この未知の力を用いて、大悪魔コロンゾンの魂を肉体から強引に引き剥がす極限の偉業を成し遂げた。

暴力の象徴から学園都市の守護者への到達

彼の進化の最終的な到達点は、その社会的立場の変化に表れている。

・第22巻の終盤、全ての元凶であるアレイスター=クロウリーが瀕死となって倒れた際、一方通行は復讐としてトドメを刺すことを拒絶した。

・精神的な変化を認めたアレイスターから、大人たちを憎むのなら自らがトップに立ち、残された子供達が笑い合える正しい学園都市を作れと全権を託された。

・最強の兵器という暴力の象徴から、街全体を導き守護する統括理事長へと至った。

まとめ

一方通行の進化を巡る一連の全貌は、闇からの脱却と打ち止めとの信頼獲得から始まり、悪魔との契約による魔術への適応、第三の樹とプラチナの翼による深淵の超越、そして学園都市統括理事長への就任に至るまで、最強の能力者が歩んだ精神と存在の変革を明瞭に示している。過去の罪悪感や暴力装置としての呪縛という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を一方通行自身の選択と新たな覚悟によって完璧に確立するに至る、精神的脱却と責任の受容の記録である。暗部からの脱却から、異能の昇華、次元の超越、そして街の指導者への即位へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

アンナの暗躍

アンナ=シュプレンゲルの真実と復活の全貌

『新約 とある魔術の禁書目録』の終盤、特に第22巻において暗躍する「アンナ=シュプレンゲル」の動向と、その背後にある真実について解説する。歴史の裏に潜む存在、イギリス決戦への介入と戦場の攪乱、偽者の排除と真の復活、エイワスを使役する超越的な力、および神浄の討魔への興味についての解説は以下の通りである。

歴史の裏に潜む薔薇十字の令嬢の真実

アンナ=シュプレンゲルは、世界最大の魔術結社「黄金」の創設を許可したとされる、ドイツの薔薇十字系の令嬢である。

・歴史上では書簡の中に名前が登場するだけであった。

・その正体は架空の人物、あるいは詐欺師マダム・ホロスが騙っていた偽名に過ぎないと考えられていた。

・その名は「黄金」を通じて魔術世界全体に強い影響を与え続けてきた。

滝壺理后への接触と戦場の攪乱

大悪魔コロンゾンによって「黄金」の魔術師たちが操られ、互いに殺し合う惨状を憂いた彼女は、事態を収束させるために本格的な介入を開始した。

・赤いレオタードにロングスカートの姿で滝壺理后に接触した。

・魔道書を武器として機能させる水晶球を授けた。

・浜面仕上を救うための変則スクライングを教えることで滝壺を巧みに誘導した。

・戦場全体を攪乱していくこととなった。

偽者の排除と本物のアンナの復活

激闘の末、瀕死となったアレイスター=クロウリーの前に姿を現し、ミナ=メイザースやダイアン=フォーチュンなどの痕跡を完全に消し去ろうと企てた。

・その女の正体はアンナを騙っていた詐欺師マダム・ホロスであった。

・背後から聖守護天使エイワスに頭を貫かれて倒れた。

・直後、ホロスの肉体が内側へ吸い込まれるように変質した。

・10歳から12歳程度の幼い少女の姿をした「本物のアンナ=シュプレンゲル」が復活を遂げた。

聖守護天使エイワスを圧倒する絶対的権力

復活した真のアンナは、伝説的な存在であるエイワスの腹を素手で貫き、彼を椅子代わりにして座るという圧倒的な力を見せつけた。

・本来は高次存在から恩恵を受け取る「巫女」の立場であるはずであった。

・実際にはエイワスを顎で使うほど上位に位置していた。

・彼女にとって世界は小さすぎると感じており、己の力を振るう存在として歴史の裏で暗躍し続けていた。

上条当麻の右腕に潜む力への接触

イギリスでの決着を見届けたアンナは、遠方で異変を察知し、長い回り道の末に目的の瞬間へ間に合ったと喜んだ。

・上条当麻の右腕に宿る「幻想殺し」と、その奥に潜む「神浄の討魔」に対し、「世界は何色に見える?」と不敵に問いかけた。

・次なる物語の最大の脅威として、未知の局面へと足を踏み出していくこととなった。

まとめ

アンナ=シュプレンゲルを巡る一連の全貌は、歴史上の虚像から始まり、イギリス決戦での介入、偽者ホロスの排除と本物の復活、エイワスを圧倒する力の行使、そして上条当麻の真なる力への関心に至るまで、次なる絶対的脅威としての真価を明瞭に示している。歴史の欺瞞や偽者の影という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権をアンナ自身の絶対的な力と底知れぬ意志によって完璧に確立するに至る、新時代への幕開けの記録である。虚像の提示から、暗躍の展開、真の姿の受容、そして絶対的脅威の顕現へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確活たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

新約 とある魔術の禁書目録(21)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(22)リバース レビュー

登場キャラクター

学園都市

上条当麻

右手に異能を打ち消す「幻想殺し」を持つ高校生である。オティヌスを理解者として肩に乗せている。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の高校生。
・物語内での具体的な行動や成果
 コロンゾンとの初戦で右腕ごと肉体を粉砕された。アレイスターの治療で復活するが、右腕は再生しなかった。その後、御坂美琴のバイクでクイーンブリタニア号に乗り込み、コロンゾンと再び対峙して右腕を取り戻す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 右肩から赤黒い三角面の泡や正体不明の力を出現させ、神殿とクイーンブリタニア号を内側から破壊した。

一方通行

学園都市第一位の超能力者である。クリファパズル545と行動を共にしている。

・所属組織、地位や役職
 学園都市第一位の超能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
 エディンバラ城でコロンゾンと激突し、胸に傷を負った。その後、クリファパズル545の力を用いてネフテュスと交戦し、退けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 瀕死のアレイスターから統括理事長としての全権を預けられ、正しい学園都市を作るよう託された。

御坂美琴

学園都市第三位の超能力者である。A.A.A.を背中に纏って戦う。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の超能力者(第三位)。
・物語内での具体的な行動や成果
 エディンバラ城で粉砕された上条当麻を抱えて退避した。その後、超大型バイクに変形させたA.A.A.で上条をクイーンブリタニア号の甲板へ運んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 コロンゾンにA.A.A.の制御を乗っ取られ、意図せず上条を背後から攻撃して右腕を切断してしまった。

食蜂操祈

学園都市第五位の超能力者である。心理掌握の能力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の超能力者(第五位)。
・物語内での具体的な行動や成果
 アレイスターの指示で、上条に右腕が存在すると一時的に誤認させた。その後、アエティール・アバターの攻撃から上条に庇われ、隠し持っていた彼の右腕を返却した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自身が上条に認識されない特性を利用し、彼を戦いから遠ざけるために右腕を保冷容器に入れて隠し持っていた。

浜面仕上

滝壺理后を大切に想う無能力者の少年である。ダイアン=フォーチュンを取り戻すために行動する。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の無能力者(レベル0)。
・物語内での具体的な行動や成果
 エディンバラ城の地下から国家の剣を持ち出し、コロンゾンへ渡す代わりにダイアンを救う方法を聞き出した。クイーンブリタニア号の神殿では自らの魔力で儀式を補助し、ダイアンを再構築させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 コロンゾンに捨て駒として利用されたが、最終的に彼女が生まれた世界を壊さないようダイアンへ頼み込んだ。

滝壺理后

浜面仕上の恋人である。能力追跡の大能力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の能力者(レベル4)。
・物語内での具体的な行動や成果
 コロンゾンに同行しようとする浜面から、安全のためにみぞおちを突かれて気絶させられた。その後、アンナ=シュプレンゲルの手引きでエディンバラ城を脱出し、彼女と行動を共にする。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アンナの補助で変則スクライングを行い、水晶球を介して魔術を扱えるようになった。

烏丸府蘭

ウサギアンテナにパーカービキニ姿の少女である。インデックスと行動を共にしている。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の人間。
・物語内での具体的な行動や成果
 ロンドンから輸送ヘリでエディンバラへ向かう途中、コロンゾンの攻撃で墜落する機体からUFOバルーンを用いてインデックスと共に脱出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 墜落現場から安全に退避し、エディンバラ城の王室派との合流を目指した。

アレイスター=クロウリー

銀髪の少女の姿となった学園都市統括理事長である。ミナ=メイザースやカエル顔の医者と協力する。

・所属組織、地位や役職
 学園都市統括理事長。元魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
 上条の右腕を切断して回復魔術を施し、蘇生させた。クイーンブリタニア号の神殿でコロンゾンを矮小化して削り落とすが、反撃を受けて致命傷を負う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 瀕死の状態で一方通行へ統括理事長の全権を託して死亡したとされたが、実際には意識がコロンゾンの肉体を乗っ取って生き延びた。

カエル顔の医者

アレイスターの知人である医師である。ミナ=メイザースと行動を共にする。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の医師。
・物語内での具体的な行動や成果
 エジプトのキャンピングカーで、リリスのための新しい肉体を培養する作業を進めた。その後、エディンバラへ到着し、戦場に取り残された負傷者たちを医療用の糸と針で次々と治療した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 軍人と医者の罪深さについて言及し、神裂火織の案内で激戦地の最前線へ向かった。

木原脳幹

ゴールデンレトリバーの姿をした研究者である。アレイスターを支援する。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の木原一族。
・物語内での具体的な行動や成果
 エディンバラ城でコロンゾンのアエティール・アバターが襲撃してきた際、自身のA.A.A.を展開してアレイスターに提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アレイスターの決断を尊重し、魔術を根絶する側の存在でありながら彼を支え続けた。

リリス(ニュイ=マ=アサヌール=ヘカテ=サッポー=イザベル=リリス)

アレイスターの娘である。肉体を持たない魂として存在する。

・所属組織、地位や役職
 アレイスターの娘。
・物語内での具体的な行動や成果
 ミナ=メイザースに抱えられ、エディンバラ城からクイーンブリタニア号へ向かった。コロンゾンとの決戦において、因果を無視した奇跡を起こし、敵の攻撃を逸らした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自らを消費してコロンゾンを倒そうとしたが、アレイスターに制止され、魂を温存された。

アネリ

浜面の携帯電話に宿るサポートAIである。

・所属組織、地位や役職
 問答型思考補助式人工知能。
・物語内での具体的な行動や成果
 英語を理解できない浜面のためにダイアン=フォーチュンの言葉を通訳した。水晶球の攻撃から逃れる際には、浜面の身体動作をプログラムで補助した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 浜面の決断を後押しし、ダイアンを再構築するための重要な補助役を務めた。

王室派

エリザード

英国女王である。国難に対し自ら情報を整理し指揮を執る。

・所属組織、地位や役職
 英国女王。
・物語内での具体的な行動や成果
 エディンバラ城の地下迷宮で重傷を負いながらも、浜面に国家の剣を託した。その後、カーテナ=セカンドを掲げて国家戦力へ進軍の号令を下した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アレイスターの死亡確認後、これまでの経緯を考慮して彼を国葬として弔うことを決定した。

リメエア

英国の第一王女である。冷静な戦術判断で軍勢を支援する。

・所属組織、地位や役職
 英国第一王女。
・物語内での具体的な行動や成果
 雪上車の中から氷の大地へ無数の樹氷を発生させ、コロンゾンの砲撃から味方を守るデコイとして機能させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヴィリアンからの要請を受け、妹の成長を感じながら砲台としての役割に徹した。

ヴィリアン

英国の第三王女である。負傷者の救護に尽力する。

・所属組織、地位や役職
 英国第三王女。
・物語内での具体的な行動や成果
 激戦地で倒れた騎士たちを安全な場所へ移し、止血や手当てを行った。カエル顔の医者が到着すると、彼と神裂火織を支援して救護活動を拡大させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 リメエアへ樹氷の追加を命令するなど、王女としての自覚と指揮能力を強く発揮するようになった。

騎士派

騎士団長

騎士派を率いる指揮官である。冷静に戦況を分析する。

・所属組織、地位や役職
 騎士派の団長。
・物語内での具体的な行動や成果
 エディンバラ城で女王エリザードとともに作戦を練り、軍馬に乗って氷上を進軍した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 コロンゾンが清教派の戦術を熟知している点を警戒し、王室派への集中攻撃を懸念した。

女性騎士

銀の鎧を纏う騎士である。軍馬アレックスに乗る。

・所属組織、地位や役職
 騎士派の騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
 エディンバラ城でコロンゾンの攻撃を受け気絶したが、神裂火織に発見されて保護された。その後、アレックスに乗って氷上を進軍し、清教派との共闘を呼びかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去にコロンゾンの策へ乗ってしまった自身の弱さを認め、誇りを取り戻すために前線へ立った。

ミレーツ

氷上で負傷し倒れていた騎士である。

・所属組織、地位や役職
 騎士派の騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヴィリアンによる止血措置を受け、生きて勲章を受け取るよう命じられて頷いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

イギリス清教・天草式十字凄教

インデックス

十万三千一冊の魔道書を記憶する少女である。豊富な知識で戦況を分析する。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教の魔道書図書館。
・物語内での具体的な行動や成果
 輸送ヘリ墜落後、エディンバラ城でエリザード達と合流し、コロンゾンの目的が万象の自然分解であることを説明した。アレイスターとコロンゾンの決戦では、法の書を意図的に誤読してコロンゾンの術式を妨害した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 占術が封じられた状況において、イギリス側の重要な頭脳として重用された。

神裂火織

世界に二十人といない聖人の一人である。天草式十字凄教の女教皇を務める。

・所属組織、地位や役職
 天草式十字凄教の女教皇。
・物語内での具体的な行動や成果
 エディンバラ城の周辺で浜面と滝壺を拘束した。氷上での決戦では、アエティール・アバターの攻撃を切り裂き、負傷者を後方へ退避させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カエル顔の医者とともに激戦地の最前線へ向かい、救護活動の道を切り開いた。

魔術結社『黄金』

ミナ=メイザース

黒猫の魔女と呼ばれる魔道書の意識体である。アレイスターを補佐する。

・所属組織、地位や役職
 魔術結社『黄金』に関する魔道書。問答型思考補助式人工知能。
・物語内での具体的な行動や成果
 エジプトからキャンピングカーを空へ飛ばしてイギリスへ駆けつけた。アレイスターと共にクイーンブリタニア号へ突入し、コロンゾンの攻撃からリリスを守った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アレイスターの死後、彼からリリスの乳母役として指名された。

ダイアン=フォーチュン

タロットカードから構成された魔術師である。浜面と約束を交わした。

・所属組織、地位や役職
 魔術結社『黄金』の魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
 浜面の尽力によってタロットカードから再構成された。その後、残されたカードと魔道書を用いて黄金の新たな術式を構築し、コロンゾンの邪悪な命令を遮断した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 浜面のポケットからガムを取り出し、彼との約束を果たして帰還を告げた。

魔神・悪魔・その他の魔術勢力

大悪魔コロンゾン

世界の自然分解を目論む大悪魔である。ローラ=スチュアートの肉体を器としている。

・所属組織、地位や役職
 生命の樹の深淵に潜む大悪魔。
・物語内での具体的な行動や成果
 エディンバラ城から三つの宝とスクーン石を強奪し、クイーンブリタニア号の神殿でモアサイアの儀を起動させようとした。アレイスターの魔術で矮小化されたが、肉体を持っていたため完全には消滅せず彼へ致命傷を与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 海中に沈んだ肉体をアレイスターの意識に乗っ取られ、実体の内側へ閉じ込められた。

クリファパズル545

人造の悪魔である。一方通行と契約し彼を支える。

・所属組織、地位や役職
 第三の樹の案内人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ネフテュスの涙によって力を強制的に増幅され、暴走の危険にさらされた。しかしミサカネットワークの補助を受けて第三の樹を掌握し、一方通行へ深淵を越える力を与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一方通行との契約を通じて成長し、彼をただ支えるだけの存在から共に戦う相棒へと変化した。

オティヌス

上条当麻の理解者である魔神である。妖精ほどの大きさになっている。

・所属組織、地位や役職
 魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
 右腕を失った上条へ、幻想殺しは手札の一つであり目的を見失わなければ戦えると助言した。クイーンブリタニア号の戦闘でも上条の肩に乗り、戦術の解説を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔神としての知識を活かし、上条を導く戦争の神としての役割を強く発揮した。

ネフテュス

褐色の肌に包帯を巻いた魔神である。涙を流して感情や魔術を操作する。

・所属組織、地位や役職
 魔神。傍観者。
・物語内での具体的な行動や成果
 列車の屋根で浜面を蹴り落として逃がし、一方通行と交戦した。スプリンクラーの水を操り、涙を用いた強制精神共振でクリファパズル545を暴走させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一方通行の放った一撃によって長い銀髪を切り飛ばされ、再生不能のダメージを受けた。

娘々

ミニチャイナを着た魔神である。仙人の武具を無数に操る。

・所属組織、地位や役職
 魔神。尸解仙。
・物語内での具体的な行動や成果
 ダンフリース近郊の線路脇でコロンゾンと激突し、爆発と閃光をばら撒いて周囲をかき乱した。その後、厨房の壁にアレイスター達へのヒントとなる破壊痕を残した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 コロンゾンに敗北したが、戦いを楽しめたことに満足して退場した。

アンナ=シュプレンゲル

薔薇十字の令嬢である。圧倒的な力でエイワスを従える。

・所属組織、地位や役職
 ドイツ第一聖堂の支配者。
・物語内での具体的な行動や成果
 滝壺理后へ水晶球を与えて変則スクライングを行わせ、彼女を誘導した。その後、マダム・ホロスの偽装を解いて本来の幼い少女の姿を現した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 上条当麻の右手に宿る幻想殺しと神浄の討魔へ興味を示し、新たな脅威として暗躍を始めた。

マダム・ホロス

アンナ=シュプレンゲルを騙る詐欺師である。

・所属組織、地位や役職
 詐欺師。
・物語内での具体的な行動や成果
 赤いドレスの淑女として振る舞い、アレイスターの命を狙おうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エイワスに頭部を貫かれ、肉体の内側へ吸い込まれる形で本来のアンナ=シュプレンゲルの姿へと変質させられた。

聖守護天使エイワス

アレイスターが接触した超越存在である。アンナに従う。

・所属組織、地位や役職
 聖守護天使。
・物語内での具体的な行動や成果
 マダム・ホロスの後頭部を貫いて本来のアンナ=シュプレンゲルを復活させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 復活したアンナに腹を貫かれ、彼女の椅子代わりにされるなど、従属的な立場に置かれている。

集団

クイーンブリタニア号の乗員たち

王室専用船の警備や運航を担う人員である。

・所属組織、地位や役職
 英国の乗員や警備員。
・物語内での具体的な行動や成果
 コロンゾンの魔術によって船外の冷たい海へと次々に放り出された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 船の全権をコロンゾンに奪われ、完全に無力化された。

エディンバラ市街の会社員たち

スコットランドの都市で日常を送る人々である。

・所属組織、地位や役職
 一般市民。
・物語内での具体的な行動や成果
 クリファパズル545が街中で奇行を繰り返しても、立体映像などと勘違いして気にとめなかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

ダンフリースの漁師や若者たち

港町で活動する一般市民である。

・所属組織、地位や役職
 一般市民。
・物語内での具体的な行動や成果
 クイーンブリタニア号へ近づくコロンゾンが指を鳴らしたことで、次々と昏倒させられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

輸送ヘリのパイロットたち

インデックスと烏丸府蘭を移送していたパイロットである。

・所属組織、地位や役職
 英国の軍人。
・物語内での具体的な行動や成果
 コロンゾンの攻撃で機体が傾く中、市街地を避けて不時着させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 墜落後、烏丸府蘭の指示に従い、発火を防ぐため燃料を抜く作業を行った。

『騎士派』の騎士たち

英国の軍事を担う騎士たちである。

・所属組織、地位や役職
 英国の騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
 氷の大地を雪上車や軍馬で進み、コロンゾンの四十万発の弾幕を掻き潜ってクイーンブリタニア号へ肉薄した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 多数の死傷者を出しながらも、神裂やヴィリアン達の救護によって戦線を維持した。

『清教派』の神父や修道女たち

魔術戦闘を担うイギリス清教の構成員である。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教の神父や修道女。
・物語内での具体的な行動や成果
 エディンバラ城の中庭で報告や連絡を叫び続け、混乱する戦況の把握に努めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 最大主教の権限をコロンゾンに奪われたことで魔術施設の多くを使用不能にされ、大きな制限を受けていた。

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展開まとめ

序章(無題) ARCHENEMY_with_the_ABYSS. 

コロンゾンの正体

大英博物館では、ローラ=スチュアートがアレイスターの娘であるという説に疑問が呈された。ローラが歴史に現れた時期とリリスの誕生時期が一致せず、コロンゾンの証言だけを根拠とするには不自然であると考えられた。

暴かれた真実

エディンバラ城では、ローラ=スチュアートは最初からアレイスターの娘ではなく、コロンゾンが作り出した肉体に過ぎなかったことが明らかになった。コロンゾンはアレイスターが娘を見分けられなかったことを嘲笑し、自らの自由を喜びながらリリスを狙うと宣言した。上条は御坂と食蜂にアレイスターの救命を託し、自らコロンゾンを倒す決意を固めた。

クリファパズル545の救出

一方通行はクリファパズル545を救い出し、彼女は自分を助けた理由を尋ねた。一方通行は百年前から続く因縁に利用されるだけの存在で終わらせるつもりはなく、彼女の人生は自分が有意義なものにすると告げた。そしてコロンゾンの動きに対抗するため、スコットランドへ向かうことを決めた。

ダイアン奪還の決意

浜面はダイアン=フォーチュンを取り戻すと強く誓い、決して諦めない意思を示した。

怒りの爆発

夜が明けると、エディンバラ城の墓地で上条は怒りを抑え切れなくなっていた。コロンゾンはアレイスターに娘を刺したと思い込ませたまま絶望の中で死なせようとしていたが、実際にはローラは娘ではなく、すべてコロンゾンが作り上げた偽りだった。その悪意に激怒した上条は、幻想殺しでコロンゾンへ突撃した。

幻想殺しの限界

上条の拳はコロンゾンを捉えたものの、コロンゾンは自らがすでに実体を得た存在であり、幻想殺しでは消せないと告げた。オティヌスも現在のコロンゾンは魔神と同じく結果として存在する超常であり、幻想殺しでは倒せないと警告した。

炎の剣

コロンゾンは魔術を発動し、上条へ強烈な一撃を放った。オティヌスが制止する間もなく、その攻撃によって上条の右手ごと体は粉々に破壊された。

第一章 (無題) Break_a_Right_and_Hope. 

ダイアン救出への出発

浜面仕上と滝壺理后は、消失したダイアン=フォーチュンを取り戻すと決めた。ネフテュスと娘々は、死者を元の生者へ戻すことは世界そのものを作り変えない限り不可能だと説明したが、二人は協力を得られないなら別行動を取るとして四駆を降りた。浜面はダイアンを構成していた七八枚のカードと、彼女に膨らませ方を教えると約束した板ガムを持ち出した。

勝敗を捨てた目的

ネフテュスは、傍観者の立場を離れれば浜面は確実に敗北すると告げた。しかし浜面は、最初から綺麗に勝てるとは考えていないと答えた。ネフテュスは勝敗にこだわらず目的を見失わなければ可能性は残ると助言し、浜面と滝壺は冷たい朝の中へ歩き出した。

知識を持つ者への接触

浜面はダイアンを救う方法が分からないと認めたうえで、イギリスには魔術を理解する者がいると考えた。彼らが無視できない行動を起こし、向こうから接触させる方針を立てた。ネフテュス達へ無理に協力させれば敗北して救出の可能性を失うため、別の道を選んだのである。

射撃演習場への侵入

浜面と滝壺は屋外型の射撃演習場を見つけ、設備を壊して小屋へ侵入した。浜面は未知の相手へ備えて猟銃と弾薬を確保し、ダイアンのカードを輪ゴムでまとめた。さらに芝刈り機を発見し、衛星からも見える巨大な印を牧草地に刻むことで、魔術を隠している者達を呼び寄せようとした。

運命の文字

浜面はダイアンの大アルカナから無作為に一枚を選び、一〇番の運命に記された文字を巨大な形で地面へ刻み始めた。意味や魔術の仕組みは理解していなかったが、秘匿されている象徴を公然と残せば、知識を持つ勢力が動くと見込んでいた。

神裂火織の急襲

作業を終えた浜面が滝壺へ声をかけると、彼女の姿は消えていた。直後、浜面も神裂火織の手刀を受けて倒れた。神裂は二人をコロンゾンとの関係が不明な異常案件と判断し、拘束してエディンバラ城へ連行するよう手配した。

偽装された気絶

神裂が輸送ヘリを呼び寄せた後、倒れていた浜面は密かに目を開いた。浜面は襲撃を予測し、射撃場の弾薬を利用して気絶から回復する準備を整えていたのである。滝壺とタロットカードさえ奪われなければ、自身が捕らえられても構わないと考えていた浜面は、知識を持つ者との接触に成功したと判断し、再び気絶したふりを続けた。

上条当麻の救命

御坂美琴は、コロンゾンの攻撃で原形を失った上条当麻をA.A.A.の力で運び、食蜂操祈やオティヌスと共に石壁の裏へ退避した。しかし上条は致命的な状態にあり、美琴は現実を受け止めきれないまま必死に彼を抱えていた。

アレイスターの荒療治

重傷を負ったアレイスターは、上条の命が残っている限り救えると告げ、A.A.A.の制御を奪った。そして回復を妨げる幻想殺しを切り離すため、チェーンソーで上条の右腕を肘から切断した。美琴と食蜂は衝撃を受けたが、アレイスターは迷わず救命を優先した。

聖者の血による奇跡

アレイスターは自身の血を使い、ロンギヌスの伝承に基づく術を発動した。幻想殺しが失われたことで奇跡は上条の全身へ届き、崩壊していた肉体は元の姿を取り戻した。食蜂と美琴は、眠るように目を閉じた上条の顔を確認した。

失われた右腕

上条の胴体は回復したものの、切断された右腕だけは再生しなかった。アレイスターは、コロンゾンが残した傷は自身の術でも覆せないと告げ、力尽きて倒れた。食蜂に促された美琴は、上条の命を守るため放電で傷口を焼き、出血を止めた。上条の鼓動は弱いながらも残っていた。

迫り来るコロンゾン

美琴達が身を隠した場所には血の跡が残り、コロンゾンは不気味な笑い声と共に近づいてきた。A.A.A.では空から逃げられず、通常の手段で振り切れる相手でもなかった。美琴と食蜂は武器を構えたが、上条の幻想殺しさえ通じなかった大悪魔を前に、戦いが成立するかも分からない恐怖に包まれた。

惑星を揺らす衝撃

コロンゾンが目前へ迫る中、英国を起点とする巨大な衝撃が発生し、惑星全体を震動させた。

一方通行の参戦

エディンバラ城へ到達した一方通行は、クリファパズル545を伴ってコロンゾンへ飛び蹴りを叩き込んだ。コロンゾンが必殺の一撃や金髪から生み出した天使を放つと、一方通行はクリファパズル545から得た魔術の力の流れを演算へ組み込み、攻撃を相殺して天使を引き裂いた。

成長する新参者

コロンゾンは、一方通行がクリフォトの案内人を利用し、魔術の世界へ踏み込んだ新参者であると見抜いた。一方通行は、自分は完成して停滞したコロンゾンとは異なり、ここから知識を吸収して成長していく存在であると宣言した。

反撃の拳

コロンゾンの動きが鈍った隙を突き、一方通行は全力の拳を放った。しかしコロンゾンは金髪を幾重にも重ね、一本一本をしならせることで衝撃のベクトルを逃がした。さらに拳から伝わった反動を利用し、一方通行の心臓へ内側からダメージを与えた。

モアサイアの儀

一方通行が傷を負うと、コロンゾンは戦闘を切り上げ、かつて不死の王と噂されたジェームズ四世の城で目的を遂げるため、モアサイアの儀を行うと告げた。そして黄金の髪で竜巻を起こし、姿を消した。

消えた美琴達

コロンゾンが去った後、一方通行は石壁にもたれて傷の状態を確かめた。周囲には上条当麻を運んだ血痕が残っていたが、御坂美琴や食蜂操祈達の姿はすでになく、一方通行は追跡せず、コロンゾンの目的を調べ始めた。

スコットランドへの執着

クリファパズル545は、モアサイアがメイザースの名乗りに関係し、死後の人という意味を持つと説明した。一方通行は、メイザースがスコットランドへ執着していた背景に、イギリス全体の核心へ繋がる理由があった可能性を考えた。

スコットランドの王権

一方通行に問われたクリファパズル545は、エディンバラ城には国家の剣、即位の冠、統治の笏、スクーン石からなるスコットランドの王権を示す品があると答えた。スクーン石はかつてロンドンへ持ち去られて機能を封じられていたが、近年スコットランドへ返還されていた。カーテナの統治体制が揺らぐ現状では、四つの品を使うことで、別系統の王権からイギリスの全権を奪える可能性があった。

エディンバラ城への突入

神裂火織は輸送ヘリから先行してエディンバラ城へ降り、倒れていた騎士達の救護と状況確認を始めた。王室派が向かった地下には、国家の剣、即位の冠、統治の笏、スクーン石から成るスコットランド式の統治機構が隠されていた。

欠けた国家の剣

地下へ入ったコロンゾンは、即位の冠、統治の笏、スクーン石を手に入れた。しかしモアサイアの儀に必要な国家の剣だけが見つからず、計画の前提が崩れていた。

浜面仕上と女王エリザード

神裂達に拘束されていた浜面仕上と滝壺理后は、輸送ヘリの混乱に乗じて脱出し、地下へ潜り込んだ。そこで重傷を負った英国女王エリザードと出会い、コロンゾンの計画を止めるため国家の剣を持ち出した。エリザードは剣を地上へ運ぶよう託したが、浜面は彼女を囮にせず、滝壺と共に敵を引きつけながら逃走した。

コロンゾンとの取引

地上へ出た浜面達はコロンゾンに追いつかれ、国家の剣を渡すよう迫られた。浜面は剣と引き換えに、ダイアン=フォーチュンを救う方法を求めた。コロンゾンが自分こそダイアンを作った存在であると認めると、浜面は捨て駒として同行すると申し出た。

滝壺理后との別離

コロンゾンは浜面の覚悟を試すため、何を犠牲にできるか示すよう求めた。浜面は滝壺を危険から切り離すため、鞘に収めた剣で彼女のみぞおちを突いて気絶させた。コロンゾンはその意図を見抜きながらも、浜面を利用価値のある駒として受け入れた。

救いという重力

コロンゾンは、短い関わりしかないダイアンをなぜ救おうとするのか尋ねた。浜面は、救いは集まる者にだけ集まり、孤立した者には届かないと答えた。助けを求めず諦めた者であっても、外へ出る道を示し、無理にでも手を伸ばさなければ救われない者がいると考えていた。

地獄巡りの始まり

コロンゾンは浜面の考えを気に入り、モアサイアの儀へ同行させることを決めた。浜面は倒れた滝壺を振り返り、自らの顔を殴って決意を固めると、ダイアンの魂を取り戻すためコロンゾンと共に去った。

交差する三者の道

その後、神裂達は第一王女リメエアと合流して捜索を再開したが、残されていたのは倒れた滝壺だけだった。コロンゾン、国家の剣、浜面の姿は消え、モアサイアの儀を巡る三者の動きが交差し始めた。

行間 一 

アンナ=シュプレンゲルの名

アンナ=シュプレンゲルは、世界最大の魔術結社『黄金』に長く影響を与えてきた魔術師であった。『魔神』とは異なる超人的存在シークレットチーフと自由に接触できる特別な権限を持つとされていたが、その実在は曖昧であった。

シュプレンゲル書簡

アンナの名は、ウェストコットがドイツの薔薇十字系魔術結社から『黄金』創設の許可を得たとする書簡に初めて現れた。しかし本人の姿を見た者はおらず、筆跡鑑定から書簡自体を偽物とする説もあった。

重なる偽者の証言

アンナは、アンナ=キングスフォードをモデルとした架空の人物とも、メイザースに接触した詐欺師マダム・ホロスとも考えられていた。さらに、フェルキンが出会った人物の養女もアンナの姪を名乗っていたが、いずれも本人の証言以外に確かな根拠はなかった。

名前だけの令嬢

アンナ=シュプレンゲルを直接目撃した者はほとんどおらず、残された証言も信頼できるものではなかった。それでも彼女の名は『黄金』を通じて魔術世界全体へ強い影響を与え続け、メイザースやアレイスター以上の存在感を持っていた。

第二章(無題) Over_the_Checkmate. 

リリスの肉体形成

エジプトのオアシスに停められたキャンピングカーでは、カエル顔の医者とミナ=メイザースが、魂だけとなったリリスの新たな肉体を作っていた。細胞の増殖は始まっていたが、肉体を得る前にリリスが霧散する危険があり、慎重な作業が続けられていた。

コロンゾンの遠隔攻撃

異変を察知したミナは、キャンピングカーを急発進させた。直後、地中から巨大な金髪の束が塔や槍のように飛び出した。攻撃者は大悪魔コロンゾンであり、イギリスから地脈や龍脈を通じてエジプトへ干渉していた。

世界規模の襲撃

ミナは、コロンゾンが惑星全体を覆う力の流れを利用し、エジプトだけでなく複数の地域を同時に攻撃している可能性に気づいた。さらに、遠隔からガラス製の実験器具を振動させられれば、リリスの器を作る作業そのものが破壊されると危惧した。

砂漠の地雷

コロンゾンは地中に埋まっていた対戦車地雷を金髪で空中へ打ち上げた。地雷はキャンピングカーの近くで炸裂し、殺人的な衝撃波を周囲へ放った。

失われた右腕

エディンバラ城の医療用テントで目覚めた上条当麻は、右腕が肘から先まで失われていることに気づいた。オティヌスは、止血やコロンゾンの攻撃の影響かは不明だが、これまでのように右手は再生していないと説明した。

最初の一撃での敗北

オティヌスは、上条がコロンゾンの最初の一撃で全身を粉砕され、アレイスターの処置によって蘇生されたと告げた。幻想殺しも回復手段も失われた今後は、わずかな傷でも命を落とす本物の戦争になると警告した。

再び立ち上がる上条当麻

上条は動揺しながらも、他の者が同じ攻撃を受けることを防ぐためコロンゾンを止めると決めた。オティヌスは無謀さを責めつつも同行し、上条は慣れない左手と崩れた身体のバランスに苦しみながら寝台を離れた。

混乱するエディンバラ城

テントの外では、エジプト、プラハ、アテネでも被害が発生し、コロンゾンの所在も特定できていなかった。清教派の霊装や施設の多くは最大主教権限で封じられ、国家の剣も行方不明となっていたため、イギリスの三勢力すべてが装備を奪われる危険が生じていた。

総力戦の準備

ロンドンに残っていたインデックス達もエディンバラへ集められることになった。占術や神託が封じられた状況では、インデックスの膨大な魔道書の知識が重要視され、御坂美琴のA.A.A.も聖人以上の戦力として注目されていた。

世界の分解

オティヌスは、コロンゾンが単なる勝利や支配ではなく、長く残り続ける文明や生命を自然へ還すため、世界を徹底的に分解しようとしている可能性を示した。その目的は勝敗を超え、何も残らない更地を作ることにあると考えられた。

食蜂操祈との再会

食蜂操祈は上条を人目から隠し、無事を確かめようとした。しかし上条は彼女を覚えておらず、戸惑いを見せた。衝撃を受けた食蜂は無理に笑顔を作り、初対面を装って自らの名を告げた。

クリファパズル545の出現

エディンバラ市街へ出た一方通行は、人工悪魔クリファパズル545を呼び出した。人々が日常へ戻りつつある一方で、コロンゾンの脅威は増していた。一方通行はイギリス側と合流せず、市街に意図的な混乱を起こして、捜索手順を熟知するコロンゾンから想定外の反応を引き出そうとしていた。

コロンゾンの撤退理由

一方通行は、コロンゾンが未知の戦力を警戒して退いたというクリファパズル545の見解に疑問を抱いた。優位に立つ側なら、計画を乱す存在を早期に排除するはずであり、放置するのは不自然だったからである。一方通行は、コロンゾンが戦いを捨てたのではなく、より興味を引く対象を見つけたのだと推測した。

港に立つコロンゾン

浜面仕上はコロンゾンと共にエディンバラの港へ移動していた。船はすべて欠航していたが、コロンゾンは予定通りだと語り、王冠や笏、スクーン石を詰めたスーツケースを持って街を離れる準備を進めていた。浜面には国家の剣をそのまま持たせ、不安を抑えるための鍵として利用していた。

ダイアンを形作る傷

コロンゾンは、浜面が持つ七八枚のタロットカードには、ダイアン=フォーチュンが使い続けたことで生じた傷や擦れが刻まれていると説明した。それらは彼女の心や記憶、人格を形作る記録であり、元の姿へ戻すために欠かせないものだった。浜面はカードを一層慎重に扱い、ダイアンとの約束を守ろうとした。

悪魔の誘惑

コロンゾンは、自分が浜面を助けているのは情に動かされたためではないと明かした。悪魔は恐怖で遠ざけるのではなく、役に立ち、成功を与え、信頼させた末に全てを奪う存在であると語った。浜面への協力も、彼を深く引き込んでから地獄へ落とすための通常の手段だった。

万象の自然分解

コロンゾンは、モアサイアの儀によって世界を自然な状態へ戻すつもりだと語った。その本質は、あらゆる人や物、文明をいつか消滅させる万象の自然分解であった。不滅の武器や書物、滅びを免れ続ける文明が自然の循環を妨げていると考え、それらを世界ごと分解しようとしていた。

浜面仕上との隔たり

身近な人々と限られた人生を幸せに生きることを望む浜面は、人類や世界全体を尺度にするコロンゾンとの隔たりを痛感した。コロンゾンにとって、世界の危機を食い止めてきた者達は英雄ではなく、本来訪れるはずの滅びを妨げる不自然な存在だった。

幻想殺しと世界の基準

コロンゾンは、幻想殺しが受け入れ難い超常を破壊するのは、世界そのものが自然な状態を守るために牙を剥いている証だと語った。分解できない存在は、噛み砕いて分解可能な形へ戻されるべきだというのが、彼女の考える世界の循環だった。

囁きの真偽

コロンゾンは、これまで与えた知識のどこまでが真実で、どこからが誘惑だったかを見分けられたかと浜面に問いかけた。全てを信じればメイザースと同じ末路を迎えると警告し、クロウリーのように抗ってみせるよう促した。浜面には、歴史に名を残すほどの魔術師達ですら敗れた相手の言葉を見抜く術がなかった。

列車による逃走

一方通行とクリファパズル545は、コロンゾンが派手な魔術を使わずエディンバラを離れると予測し、警戒の薄い列車へ向かう可能性を見抜いた。一方、コロンゾンは浜面仕上に追っ手を振り切る試練を課し、ダイアン=フォーチュン救出へ進みたければ力を示すよう命じた。

満員列車の浜面仕上

浜面は国家の剣を抱えて列車へ乗り込み、追っ手を避けようとした。しかし屋根に一方通行が現れたことで、逃亡は困難となった。浜面はアネリに勝利ではなく別の逃げ道を探すよう求め、乗客を巻き込まない一方通行の性質を利用して時間を稼ごうとした。

レッサーの拘束

車内ではレッサーが浜面へ接近し、国家の剣を尻尾で押さえながら手首を拘束した。彼女は、素人が魔術の核心へ急接近すれば自意識を暴走させる危険があると警告し、次の駅で降りるよう求めた。浜面は窓を開けて車内へ強風を入れ、人の波に紛れて拘束を外すと、剣を奪い返して屋根へ逃れた。

国家の剣による奇策

屋根で一方通行と向き合った浜面は、国家の剣を人質に使おうとしたが通じなかった。一方通行が突進すると、浜面は剣で車両用エアコンの室外機を破壊し、噴き出した冷媒で屋根を急速に凍結させた。足場を滑らせることで突進の軌道を逸らし、一方通行を列車から落としたかに見えた。

ネフテュスの介入

一方通行は列車の側面へ食らいついており、再び屋根へ迫っていた。その時、ネフテュスが現れて浜面を列車から蹴り落とした。落下した浜面はコロンゾンの金髪に包まれて救われ、国家の剣を持ったまま逃走した。

傍観者の遊戯

ネフテュスは特定の陣営に味方するのではなく、勝敗が見えて退屈になった戦いをかき回す傍観者であると語った。一方通行がクリファパズル545へ魔術面の補助を命じると、ネフテュスは涙を使って人工悪魔の力を強制的に増幅した。

暴発した悪魔の力

増幅されたクリファパズル545の力は制御を失い、最も近くにいた一方通行へ襲いかかった。反射もベクトル操作も働かず、一方通行は吐血しながら列車から叩き落とされた。ネフテュスは浜面の行動に心を動かされつつも、勝手気ままに戦局を乱して去った。

クリファパズル545の涙

クリファパズル545は、自分の力で一方通行を傷つけたと思い込み、地面に倒れた彼へ泣きながらすがりついた。しかし一方通行はすぐに起き上がり、失敗を恐れず加減を覚えれば良いと告げた。さらに遅れを取り戻すためには彼女の力が必要だと伝え、改めて協力を求めた。

一方通行の最初の一歩

一方通行はネフテュスの正体を学びながら、上条当麻ならクリファパズル545の涙にどう向き合うかを考えた。ただ上条の足跡を追うのではなく、異なる視点から上条にはできないことを成し遂げる必要があると考えた。クリファパズル545と共に不足を補いながら進む、新たな一歩が始まった。

ネフテュスへの関心

コロンゾンは、ネフテュスの介入によって浜面仕上の試練を正確に評価できなかったものの、逃げずに一方通行と対峙した点は捨て駒として及第点だと考えた。また、浜面を介せば制御不能な魔神すら間接的に動かせる可能性があると見て、彼への関心を深めた。

娘々の襲撃

浜面とコロンゾンの前に、魔神の娘々が現れた。娘々はネフテュスのように浜面を助けるつもりはなく、結果の見えた戦いを退屈に感じたため、戦局を面白くする目的で大量の武具を放った。コロンゾンは浜面に宝を詰めたスーツケースを任せ、自ら娘々を迎え撃った。

アレイスターの復帰

エディンバラ城の医療テントで治療を受けていたアレイスターは、思考を鈍らせる麻酔を自ら中和し、傷を抱えたまま外へ出た。イギリス側が自分を処分せず治療した理由を、コロンゾンへの対抗戦力が不足しているためだと推測した。

上条当麻の右腕

上条当麻の右腕が失われていることに気づいたアレイスターは、断面を外気にさらさず押さえるよう叫んだ。直後、右腕の断面から赤黒い三角面の泡が連なって噴き出し、内部には正体不明の影が蠢いていた。それは竜とも異なる、上条の身体では収めきれない存在であった。

食蜂操祈の感覚操作

アレイスターは食蜂操祈に、上条の脳へ右腕が存在すると誤認させるよう命じた。食蜂が心理掌握を使うと、赤黒い泡の集合体は虚空へ消え、上条はその場に崩れ落ちた。しかし処置は一時的なものであり、アレイスターは今の段階で中身を解放すれば上条の身体が耐えられないと判断した。

滝壺理后への尋問

滝壺理后は聖マーガレット礼拝堂の懺悔室で、浜面や黄金、魔神達について尋問を受けていた。騎士団長が退出した後、別の女性が聞き役となったが、やがて周囲の物音が消え、その声も騎士とは異なるものへ変わった。

アンナ=シュプレンゲル

謎の女性は浜面を助けたいか、魔神や黄金の者達と再び関わりたいかと滝壺へ問いかけた。危険を感じながらも、滝壺が浜面を助けたいと答えると、女性は脱出を請け負うと告げた。そして自らを、黄金の創設を許可したドイツ第一聖堂の支配者アンナ=シュプレンゲルと名乗った。

第三章(無題) World_Decomposer. 

コロンゾンと娘々の激突

大悪魔コロンゾンと魔神・娘々の戦いは、線路や電線を破壊するほどの規模に達した。娘々は多種多様な仙人の武具と、それらの干渉から生じる火花を利用して攻めたが、コロンゾンはエノク魔術によって純粋な火属性を召喚し、さらに増幅して迎え撃った。人から神へ至った娘々を不自然な存在とみなすコロンゾンに対し、娘々も魔神の力を示して応戦した。

宝を運ぶ浜面仕上

浜面仕上は戦場から離れ、国家の剣と三つの宝、スクーン石を運んでいた。コロンゾンは娘々との戦闘を利用して探索を妨害し、その隙に浜面へ宝を移動させていたのである。浜面は、自分が裏切る可能性まで承知した上でコロンゾンが背中を預けたように感じ、調子を狂わされながらもダンフリースを目指した。しかしその行動は、悪魔の誘導に従って踏み出した一歩でもあった。

輸送ヘリの墜落

ロンドンからインデックスと烏丸府蘭を運んできた輸送ヘリは、地上からの攻撃を受けて制御を失った。落下したインデックスを府蘭がUFOバルーンで救助したが、ヘリは城の外周へ墜落した。二人は石壁へ逃れて直撃を免れ、乗員の無事を確認すると、エディンバラ城側への報告と合流へ向かった。

インデックスの合流

インデックスは上条当麻を案じて医療テントへ急いだが、右腕を失った上条が御坂美琴と食蜂操祈に世話をされている場面を目撃した。状況を理解できないまま怒ったインデックスは上条へ襲いかかり、上条はテントから逃げ出した。

幻想殺しを失った上条当麻

逃げた上条に対し、オティヌスは幻想殺しを失った恐怖を問いかけた。上条は覚悟が決まるまで敵が待つはずもないと答え、後退する意思を見せなかった。オティヌスは、幻想殺しは上条が持つ手段の一つに過ぎず、救いたいものと目指す結末を見失わなければ上条当麻であり続けられると告げ、自らが不足を補うと宣言した。

滝壺理后の魔術行使

アンナ=シュプレンゲルと城を脱出した滝壺理后は、彼女の補助によって水晶球を介した術式を使い、追跡してきた輸送ヘリを撃墜していた。アンナは、魔道書を武器として機能させ、地脈から力を得る仕組みを使えば、能力者でも肉体を損なわずに魔術を扱えると説明した。

浜面仕上への懸念

滝壺は、能力者が直接魔術を使えば全身を破壊されて死ぬと聞かされた。コロンゾンが浜面へ正しい知識を伝えているとは思えず、このままでは彼が自滅する危険があると考えた。すでに引き返せない状況にあった滝壺は、浜面へ安全な方法を伝えるためアンナについていくと決めた。

アンナ=シュプレンゲルの介入

アンナは浜面個人ではなく、コロンゾンに利用された『黄金』の惨状を問題視していた。自らが設立を許可した結社が、大悪魔に操られて互いに殺し合う状況を終わらせるため、本格的に介入すると語った。また、時代はホルスへ移り、従来の魔術の仕組みでは対応できないため、ルールそのものを更新する必要があると説いた。

海への同行

滝壺は浜面を救うため、自分の知らない領域へ進む覚悟を固めた。行き先を尋ねると、アンナは海だと答えた。

王室派の情報整理

エディンバラ城では、女王エリザードが集めた情報を自ら整理し、幻想殺しを失った状況では神裂火織とインデックスを切り札にするしかないと判断した。しかしコロンゾンには二歩以上先を行かれており、欠けた情報をインデックスの知識で埋める必要があった。

消えたクイーンブリタニア号

エリザードとリメエアは、三つの宝とスクーン石を最大限に使う儀式には、英国四地方の中心から等距離となる内海が適していると考えた。その過程で、退役後も巨大な魔術施設として残されていた王室専用船クイーンブリタニア号が、知らぬ間に港から消えていることに気づいた。最大主教だったコロンゾンが、混乱以前から船を内海へ移すよう仕込んでいた可能性が浮かんだ。

砂漠の逃走

エジプトでは、ミナ=メイザースが損傷したキャンピングカーを走らせ、コロンゾンの断続的な攻撃から逃げ続けていた。停止すればリリスの器を作る実験設備が破壊されるため移動を続けるしかなかったが、燃料には限りがあり、一度でも直撃を受ければ全てが終わる状況だった。

世界に広がる金色の異変

アテネ、プラハ、エジプトなど各地で、地中から巨大な金色の物体が現れたとの映像が次々に投稿されていた。魔術を隠す仕組みが崩れ、人々の間には根拠のない高揚や衝動が広がりつつあった。ミナは、コロンゾンが世界中の人間を内側から煽り、無秩序な行動へ向かわせていると考えた。

静かな躁の拡散

人々は自分なら成功できる、今なら勝てると思い込み、普段なら選ばない行動へ踏み出し始めていた。それは怒りや欲望そのものではなく、背中をわずかに押して判断を狂わせる力だった。ミナは、クロウリーズ・ハザード後に落ち着くはずだった世界を、コロンゾンが再び瞬間的な混乱へ引き戻していると見抜いた。

ダンフリースでの合流

ダンフリース近郊で待っていた浜面仕上のもとへ、娘々との戦いで傷を負ったコロンゾンが戻った。彼女は目的地の港にクイーンブリタニア号が移されていることを確認し、追跡を受ける前に船を奪うと告げた。

クイーンブリタニア号の制圧

コロンゾンは海底から巨大な金髪の化身を出現させ、その余波で船を浮かせた。さらに船内の警備員を次々に海へ放り出し、短時間でクイーンブリタニア号を無力化した。浜面には、戦闘というより虫を排除するような一方的な制圧に見えた。

港町の昏倒

港へ近づいたコロンゾンは、周囲の住民達を指を鳴らしただけで次々に昏倒させた。彼女は人払いと大差ない行為だと説明し、これから浜面が関わる世界では当然の技術だと告げた。

船上への侵入

巨大な船へ入る手段を持たない浜面は、コロンゾンの金髪に巻き取られ、彼女の翼によって甲板まで運ばれた。船内には直前まで人がいた痕跡が残っていたが、すでに抵抗する者はいなかった。

モアサイアの儀

コロンゾンは、クイーンブリタニア号が堅牢な城であると同時に巨大な神殿でもあると説明した。自分はモアサイアの儀を進め、浜面にはダイアン=フォーチュンの再形成を行わせるつもりだった。そして船へ到達した時点で第一段階は終わり、以後は分岐なく一気に状況が進むと告げた。

クイーンブリタニア号の防衛力

ダンフリース近郊でクイーンブリタニア号を発見した一方通行は、船内に人質がいなければ船ごと破壊しようと考えた。しかし飛来した巡航ミサイルと無人観測機は船から放たれた攻撃で瞬時に撃破され、強力な防衛機構が稼働していることが判明した。

単独で動く船

クリファパズル545は、クイーンブリタニア号の乗員がコロンゾンに従い続けるとは考えにくいため、彼女が長い金髪を船内へ張り巡らせ、一人で操船していると推測した。船は正午に英国四地方からの影響が等しくなる地点へ到達し、儀式が始まれば止められなくなる見込みだった。

殺せないコロンゾン

一方通行は船へ潜入してコロンゾンを倒せばよいと考えたが、クリファパズル545は、コロンゾンを完全に殺す方法はこの世界に存在しない可能性が高いと告げた。

船内の秘密基地

浜面仕上はコロンゾンと共に、宮殿のような設備が並ぶクイーンブリタニア号の奥へ進んだ。二人は厨房を通り、食事によって火の属性に対応する動物的な力を補充した。コロンゾンは娘々との戦いで負った傷を、光のケーキと包帯を使って処置した。

中央物資保管庫

厨房の奥には、船内各所へ物資を送る巨大な中央保管庫が存在した。コロンゾンは浜面を貨物用エレベーターへ乗せ、船の上層へ移動した。消毒と洗浄を受けた後、二人は大空と海に開かれた広大な一〇角形の場所へ到着した。

隠された神殿

一見するとヘリポートに見えた場所は、外部から認識できず、内部から出た物体の再侵入も拒む強固な神殿だった。船はこの儀式場を運ぶために城を畳んで造られており、船の構造より神殿の機能が優先されていた。

三つの宝の配置

コロンゾンは床に刻まれた複数の魔術的記号を確認し、国家の剣、王冠、笏、スクーン石を一定の位置へ配置した。浜面はダイアン=フォーチュンを救うため、交渉材料だった国家の剣を渡した。すると床の一部に白い光が走り、神殿が起動した。

神殿の浄化

コロンゾンは魔法円を設置し、五大属性、七惑星、十二星座、生命の樹の各領域が及ぼす影響を順番に排除した。儀式を終えると神殿は他の力から切り離され、ただ一つの目的のために機能する静寂な空間へ変化した。

消え始めたダイアンの記録

コロンゾンは浜面から七八枚のタロットカードを受け取り、ダイアン=フォーチュンを構成する傷や折り目を光によって可視化した。しかしカードは魔道書の原典として自動修復を始めており、ダイアンの人格を刻んだ傷が少しずつ消えていた。このままでは、カードは人格を持たない白紙の原典へ戻る状態だった。

魔力による再起動

コロンゾンは、カードが大地から力を吸い上げる流れを止め、人間の生命力から精製した魔力を通せば、原典ではなく霊装として機能し、自己修復を止められると説明した。ダイアンが再起動するまでの点火役として、浜面自身の魔力が必要だった。

危険を選ぶ浜面仕上

能力者が魔術を使う危険をコロンゾンは説明しなかったが、浜面はろくでもない結果へつながると理解した上で、ダイアンを救うため方法を教えるよう求めた。希望に目を曇らせたのではなく、危険を承知して選んだ浜面の態度は、過去にコロンゾンへ関わった魔術師達とは異なっていた。

共犯者の目的

コロンゾンは、浜面の魔力がモアサイアの儀を始動させるためにも必要であり、二人の作業はつながっていると明かした。彼女は世界中の人々を衝突させて自滅へ導き、最後に物理と科学の層を破壊することで、そこに重なる全ての位相を崩壊させようとしていた。

ダイアン救出の開始

世界の滅亡を告げられても、浜面は目前のダイアンを救う方法を尋ねた。互いの目的が達成されるまで利用し合う共犯者として、浜面はコロンゾンの指示に従い、魔力を精製するための姿勢と呼吸を学び始めた。

クイーンブリタニア号の防衛機構

エディンバラ城では、巡航ミサイルと無人観測機がクイーンブリタニア号に撃墜されたとの報告が届いた。騎士団長は、船の神殿が接続した霊装を攻撃用に増幅できるため、コロンゾンが三つの宝やスクーン石を利用すればさらに強力な防衛が可能になると判断した。神殿はすでに外部から見えなくなり、船の全権も掌握されていた。

自然分解の目的

インデックスは、大悪魔コロンゾンの本質が三三三の拡散であり、世界の自然分解を目的としていると説明した。コロンゾンは永遠に残る存在を認めず、対立する者同士を衝突させて共倒れへ導いてきた。最大主教としての権限も利用し、正義の名の下で都合の悪い者達を争わせていた可能性があった。

対となる存在の不在

インデックスは、世界の外側から全てを操るコロンゾンには、幻想殺しでも届かないと告げた。魔神や神威混淆、天使の力もコロンゾンと完全な対にはならず、正面から打ち消すことはできなかった。アレイスターは、世界の外から来て原罪を持たない存在だけが条件を満たすと理解したが、その答えを口にできなかった。

イギリスへ向かうリリス

エジプトを逃走していたキャンピングカーは、赤子のリリスの奇跡によって空へ浮かび、イギリスへ向かった。ミナ=メイザースは、コロンゾンが執拗に車を狙っていた理由が、リリスこそ唯一の対抗因子だからだと悟った。

最後の対抗因子

ミナはリリスを抱いてエディンバラ城へ現れた。リリスの魂はエイワスに保護され、百年以上も異なる位相に存在したため、原罪を持たず表層世界にも属していなかった。そのため、世界の外側にいるコロンゾンへぶつけられる唯一の存在であったが、対消滅にはリリスの命を差し出す必要があった。

娘を拒む犠牲

アレイスターは、救い戻した娘を再び失うことを拒絶した。エイワスが最初からリリスを対コロンゾン用の消費物として救った可能性を知り、自分の感情まで利用されていたことに激しく反発した。リリス本人は、自分が一度失われた命であり、世界を救うために使われることを受け入れようとしたが、アレイスターは世界より娘を選ぶと叫んだ。

上条当麻の提案

上条当麻は、リリスを使わずにコロンゾンを倒す方法を探すようアレイスターへ迫った。幻想殺しを失った自分ではなく、英国王室派、インデックス、御坂美琴、オティヌス、ミナらの情報と力を集め、アレイスター自身が盤面を壊せば娘を守れると訴えた。

リリスを守る連帯

エリザードは赤子へ罪を負わせるつもりはないと告げ、美琴も妹達を守るためなら規則に従わないと表明した。インデックスとオティヌスも別の方法を探すことを認め、ミナは自らを犠牲にしようとするリリスを叱りつけた。孤立していると思っていたアレイスターは、周囲がリリスを守る側に立っていることを知った。

アレイスターの再起

絶望から顔を上げたアレイスターは、リリスを犠牲にせずコロンゾンを倒すため、全員が持つ情報と技術を差し出すよう求めた。

木原脳幹の参戦

カエル顔の医者と木原脳幹は、リリスを科学で説明できる新たな肉体へ移すことが救済につながると考えた。直後、コロンゾンがリリスを排除するためエディンバラ城を攻撃したため、木原脳幹は自らのA.A.A.を展開し、アレイスターへ使うよう促した。

二つのA.A.A.

アレイスターは木原脳幹と御坂美琴のA.A.A.を利用し、コロンゾンのアエティール・アバターへ赤い閃光を放った。コロンゾンは古い時代の魔術では自分を傷つけられないと嘲ったが、アレイスターは過去の魔術を否定せず、積み重ねた因果を結び直して攻撃へ転化した。

法の書の誤読

インデックスは法の書を意図的に誤読し、アレイスターではなくコロンゾンの術式だけを混乱させた。揺らいだアエティール・アバターへ二つのA.A.A.の攻撃が重なり、巨大な金髪の怪物は内側から弾け飛んだ。しかし美琴には、自分の意思と無関係に兵器が動いた理由を理解できなかった。

食蜂操祈への奇襲

戦闘から離れた食蜂操祈は、城内の階段で別のアエティール・アバターに襲われた。まともに攻撃を受けた食蜂は、心理掌握で痛覚を弱めて動ける状態を作ったが、人の心を持たない怪物には能力が通じなかった。

隠された右腕

食蜂の保冷容器には、上条当麻から切断された右腕が保存されていた。彼女は幻想殺しがなければ上条が危険な戦いを控えると考え、自分が彼の記憶に残らないことを利用して右腕を隠していた。コロンゾンは右腕を渡すよう求めたが、食蜂は拒み、右腕ごと破壊されることを選ぼうとした。

上条当麻の救援

アエティール・アバターの一撃が食蜂へ迫った時、上条当麻が現れた。オティヌスの誘導を受けた上条は、食蜂を認識できないにもかかわらず、失われた右腕の断面で攻撃を受け止め、彼女の無事を確かめた。幻想殺しの有無や記憶とは関係なく、目の前の誰かを救うために駆けつけたのである。

幻想殺しの帰還

上条を止められないと悟った食蜂は謝罪し、保存していた右腕を投げ渡した。右腕は上条の傷口へ自然に結合し、幻想殺しが元の場所へ戻った。上条が右拳を振るうとアエティール・アバターは砕け散り、食蜂はかつて自分を救った力と少年が戻ったことを実感した。

行間 三 

海上のクイーンブリタニア号

アンナ=シュプレンゲルと滝壺理后は、マン島の南方からクイーンブリタニア号を観察した。滝壺は船から三次元を越えた異常な信号を感じ取り、アンナは見た目こそ無人でも、内部では人や道具が隠された神殿として機能していると説明した。

コロンゾンの世界破壊

アンナは、コロンゾンが三つの宝とスクーン石を用いてイギリス全域を掌握し、人類を争わせた隙に世界の土台となる層を破壊しようとしていると語った。最下層が失われれば、その上に重なる神話や宗教の位相も維持できず、世界全体が崩壊するのである。

神殿を利用する反攻

クイーンブリタニア号の神殿は、接続された魔術を増幅して攻撃へ転化する仕組みだった。そのためアレイスター側も神殿へ到達すれば、コロンゾンを害する術式を強化できる可能性があった。さらにアンナは、人工悪魔を切り分けた手順を逆用すれば、コロンゾンも人間が殺せる核だけを残す形へ矮小化できると推測した。

浜面仕上の危機

滝壺は、コロンゾンを倒す側にも守る側にも立てず、浜面仕上を害する全ての動きを見極めようとした。アンナは、浜面がダイアン=フォーチュンを救うために魔術を使おうとしており、能力者である彼がそのまま実行すれば最初の一度で命を落とす危険があると告げた。

変則スクライングの伝達

アンナは、自分が滝壺へ授けた変則スクライングの方法を浜面へ伝えれば、浜面もダイアンも救えると説明した。反対に、何も伝えなければ浜面は無意味に死に、ダイアンも助からないため、滝壺は動かざるを得なくなった。

混乱に乗じた潜入

アンナは、間もなくイギリス側の反攻が始まり、魔神達も加わって海上が混乱すると予測した。彼女はその隙を利用してクイーンブリタニア号へ潜入するつもりであり、そのために魔神達やエディンバラ城の戦力を全滅させず残していたと明かした。

第四章(無題) MAGICK_Warfare. 

反攻作戦の準備

エディンバラ城では、女王エリザードと第一王女リメエアがクイーンブリタニア号への攻撃計画を練っていた。幻想殺しやA.A.A.、アレイスター、カーテナ=セカンドなど利用可能な戦力を集め、王族自身も前線へ向かう方針を固めた。第三王女ヴィリアンは無謀な計画を戒め、負傷者に備えて大量の医薬品を用意した。

食蜂操祈の願い

負傷した食蜂操祈は医療用テントで治療を受けていた。御坂美琴は彼女の独断を責めながらも気持ちを理解し、戦場へ出ず休むよう告げた。食蜂は自分よりも上条当麻を案じ、必ず無茶をする彼を守ってほしいと美琴へ頼んだ。

幻想殺しの確認

上条当麻は戻った右手を握り開き、幻想殺しの状態を確かめた。オティヌスに力へ頼り過ぎるなと忠告されると、幻想殺しは手札の一つに過ぎず、使うのは自分だと答えた。

凍結した内海

午前十一時、イギリス側は内海を分厚い氷で覆い、岸からクイーンブリタニア号までの進軍路を作った。船は氷を砕きながら南下を続けたが、騎士派を中心とする国家戦力が氷上から接近できる状況となった。

浜面仕上の異変

神殿では、魔力を精製した浜面仕上が片目を開けられず、血を流して意識を朦朧とさせていた。能力者である浜面の肉体は魔術使用によって傷ついていたが、コロンゾンは儀式を維持し、神殿を守る盾として役立つよう命じた。

四十万発の弾幕

コロンゾンは国家の剣、統治の笏、即位の冠、スクーン石を神殿へ接続し、一度に四十万の標的を攻撃できる弾幕を展開した。正午までに船が目的地へ到達すれば人類の歴史が終わるため、エリザード率いる軍勢は軍馬や雪上車、スキーなどを用いて氷上へ進撃した。

騎士派と清教派の共闘

女性騎士と神裂火織は、かつてコロンゾンの策に利用されて人を傷つけた過去を共有していた。女性騎士は互いに奪われた名誉と生き方を取り戻すため、騎士派と清教派が共に戦うべきだと告げた。エリザードの号令により、集結した国家戦力が一斉にクイーンブリタニア号へ向かった。

四つの霊装による迎撃

船上には四つの光球が現れ、国家の剣による閃光、統治の笏による打撃、即位の冠による降下攻撃、スクーン石による衝撃波が氷上の軍勢へ襲いかかった。インデックスは各霊装の性質を伝え、正面から受ければ大損害が避けられないと警告した。

樹氷の囮

リメエアは氷の大地から無数の樹氷を発生させ、四十万発を上回る囮として利用した。攻撃は樹氷へ引き寄せられ、破壊されても氷から次々に再生されたため、騎士達はその隙間を進んで船へ肉薄した。しかし騎士団長は、コロンゾンが王族へ攻撃を集中させれば均衡が崩れると警戒した。

空からの観測

インデックスと烏丸府蘭はバルーンから戦場を観測した。神殿は世界の間に別の世界を挟むことで隔離されており、外から破壊するには魔神級の力か幻想殺しが必要だった。さらに船の力は地脈ではなく、コロンゾン自身が供給していると判明した。

クリファパズル545の竜巻

一方通行は、かつて混乱させたイギリスを救うようクリファパズル545へ命じた。クリファパズル545は砕けた氷や樹氷を集め、顕現を途中で止めた巨大な白い竜巻へ変化した。竜巻は船の攻撃を受けても氷を取り込みながら勢いを増し、壊せない巨大な囮としてコロンゾンの注意を引きつけた。

アエティール・アバターの壁

コロンゾンは氷の下から性質の異なる複数のアエティール・アバターを出現させ、騎士派の進軍を火力で阻んだ。しかし混乱の中、御坂美琴の大型バイクに乗った上条当麻達が戦線を抜け、船へ接近していた。

一方通行の参戦

上条達の突破を確認した一方通行は、最低限の成果だと認めた。さらに自らの電極を起動し、クリファパズル545へ制御を預けるよう命じ、クイーンブリタニア号をさらに激しく揺さぶるため戦闘へ加わった。

クイーンブリタニア号への突入

御坂美琴はA.A.A.を組み込んだ超大型バイクで船体を駆け上がり、上条当麻とオティヌスを甲板へ運んだ。別方向から侵入したアレイスター達と分かれ、上条と美琴は船を止めるため操舵室を目指した。船内に現れたアエティール・アバターを、上条の幻想殺しと美琴のA.A.A.で撃破しながら進んだ。

一方通行の船内侵入

外から船を揺さぶっても航路を変えられないと判断した一方通行は、クリファパズル545と共に船体を破って内部へ入った。二人は船を停止させるため機関室へ向かったが、その途中で魔力を精製し続け、重傷を負った浜面仕上と対峙した。

ネフテュスの介入

浜面はダイアン=フォーチュンを救うまで魔力の精製を止めないと訴えた。一方通行が彼を排除しようとした時、ネフテュスが現れて一方通行を蹴り飛ばした。ネフテュスは浜面には別の戦いがあると告げ、自ら一方通行を相手にして戦場から連れ去った。

滝壺理后との再会

浜面の前に滝壺理后が現れた。浜面は彼女に受け入れられれば緊張が切れ、魔力の精製を続けられなくなると考え、ダイアンを救うまで自分を突き放すよう頼んだ。しかし滝壺のそばには謎の水晶球が浮かび、彼女自身もその力を抑えられずにいた。

アンナの力

滝壺は、浜面を救う力を求めてアンナ=シュプレンゲルの手を取り、事件を最短で解決する力を与えられたと明かした。その力は滝壺の意思に反して水晶球から破壊光線を放ち、浜面を襲った。浜面は、自分が単独でコロンゾンに従ったために滝壺を追い詰めたと悟り、彼女を救うことを決意した。

水晶球への反撃

浜面はアネリの補助を受け、水晶球の攻撃をかわしながら接近した。防災用の斧を叩きつけたが、水晶球は破壊できず、至近距離から再び光線を放とうとした。滝壺は浜面に逃げるよう叫んだが、彼は退かなかった。

ダイアンの霊装

水晶球の光線が浜面へ直撃する寸前、飛来したタロットカードによって軌道が曲げられた。七八枚のカードは浜面の手元で黒い箱を形成し、ダイアン=フォーチュンの自己情報無限循環霊装として起動した。その霊装は水晶球を丸ごと取り込み、本来の機能を失わせた。

滝壺理后の救出

水晶球の支配が消えると、力を失った滝壺の体を浜面が抱き留めた。黒い箱は再びカードへ戻り、浜面の背後へ集まった。浜面は重傷を負いながらも、恋人を守るという目的を成し遂げた。

ダイアン=フォーチュンの帰還

カードから再構築されたダイアン=フォーチュンは、浜面のポケットから約束のガムを取り出し、恋人を救った彼を称えた。英語を理解できない浜面だったが、その存在を確かめると、滝壺を抱いたまま涙を流し、ダイアンへ帰還を告げた。

ネフテュスとの激突

一方通行はオペラハウスでネフテュスと正面から激突した。彼はスプリンクラーを作動させ、涙を見せて他者の感情を揺さぶるネフテュスの力を封じようとした。しかしネフテュスは肉体の大部分を失っても生命力の循環を切り替えて再生し、水分を集めた巨大な刃で反撃した。

涙による暴走

一方通行は水の刃を振り下ろされる前にネフテュスへ突撃し、攻撃の軌道を逸らした。しかし彼が覆いかぶさったことでネフテュスの頬から雨が遮られ、涙だけが明確になった。ネフテュスはその涙を利用し、クリファパズル545の力を強制的に増幅させた。

ミサカネットワークとの接続

暴走によって一方通行を傷つけることを恐れたクリファパズル545は、自らを破壊しようとした。その時、一方通行の脳を介してミサカネットワークが接触し、演算能力を貸し与えた。クリファパズル545は世界を覆う情報連結体を新たな樹として捉え、その管理者として一方通行へ力を与える道を選んだ。

深淵を越えた力

クリファパズル545は、七八枚の道筋とミサカネットワークの力を束ね、深淵の向こうにある知識を一方通行へ接続した。一方通行がその力をベクトル操作で槍へ変えて放つと、ネフテュスの銀髪は切断されたまま腐敗し、再生しなかった。二人は互いに傷つくことを恐れず、戦友として正面からネフテュスへ立ち向かった。

本物の涙

ネフテュスの作られた涙では、もはや一方通行とクリファパズル545の結びつきへ割り込めなかった。一方通行は、列車上で自責の涙を流したクリファパズル545を思い返し、本物の涙は血より重いと告げてネフテュスへ拳を向けた。

娘々の敗北と神託

一方、アレイスターは娘々を厨房まで吹き飛ばしていた。娘々は敗北の理由を理解できなかったが、自分を真正面から楽しませた礼として、破壊した厨房の扉へ秘密の握手法につながる痕跡を残した。アレイスター達はその情報を利用し、基幹集積所から神殿へ続く経路を割り出した。

神殿への到達

アレイスターとミナ=メイザースは、エレベーターシャフトを埋めるアエティール・アバターを焼き払い、残骸を足場にして上昇した。二人は一〇角形の神殿へ到達し、コロンゾンと対峙した。重傷を負うアレイスターはリリスを守るため倒れず、コロンゾンの視線から娘を庇った。

コロンゾンの救済観

コロンゾンは、自らを生と死の循環を正す存在だと語った。永く残り続けるものを世界の詰まりとみなし、アレイスターや幻想殺し、魔神、原典、復活したリリス、自分自身までも例外として排除しようとしていた。現在の世界を完全に破壊し、次に生まれる何者かへ全てを渡すことこそ救いだと考えていた。

アレイスターの拒絶

アレイスターは、今ある命を破壊して未来へつなぐコロンゾンの思想を話にならないと切り捨てた。二人は神殿上で激突し、アレイスターは棕櫚の杖でアエティール・アバターを断ち切った。コロンゾンは純粋な元素を操って攻撃し、さらにリリスを狙ったが、ミナが黒い獣の力で防いだ。

神殿を巡る攻防

コロンゾンは、リリスを守りながら自分と戦い、同時に神殿を奪えるなら試してみろとアレイスターへ挑発した。彼女は自分自身を含む全てを消滅させる必要があるため、アレイスターが自らを殺せる存在へ矮小化することさえ受け入れていた。

浜面仕上の呼びかけ

ダイアン=フォーチュンと滝壺理后を救った浜面仕上は、なお船内に残った。コロンゾンに助けられた事実へ義理を返すため、船内無線を使って戦いを終えるよう呼びかけた。敵が神殿へ侵入し、船内が破壊された今ならまだ引き返せるとして、殺される前に決着を収めるよう訴えた。

浜面仕上の呼びかけ

浜面の説得を聞いたコロンゾンは、彼がダイアンを救ったと悟り、わずかに笑みを浮かべた。しかしリリスに最後の選択を促されても、自らは人々の結びつきを断ち、世界を自然分解させる大悪魔であると改めて宣言した。アレイスターとの因縁を終わらせるため、戦いを続ける道を選んだのである。

炎の剣

コロンゾンは生命の樹を下降する力を利用し、あらゆる結合を断ち切るMagick:FLAMING_SWORDを放った。アレイスターでは防ぎ切れなかったが、リリスが因果を無視した奇跡を起こし、攻撃を円環へ閉じ込めた。アレイスターはリリスの魂をこれ以上消耗させないため、反動で隙を見せたコロンゾンへ踏み込んだ。

コロンゾンの矮小化

アレイスターは神殿の力の流れへ三つの赤い石を打ち込み、コロンゾンが扱える力を制限した。さらに彼女を必要最低限の存在へ切り分け、異なる世界へ強制的に送り返す儀式を実行した。コロンゾンは人間の魔術で倒せるほどに矮小化され、閃光の中で削り落とされていった。

肉体を持つ大悪魔

消滅したかに見えたコロンゾンは、黄金の髪でアレイスターの胴体を貫いた。彼女は肉体を持つ大悪魔であり、目に見えない力だけを切り分ける術式では、その実体を完全には崩せなかったのである。コロンゾンは自分に勝つ手段はないと嘲り、リリスの奇跡も肉体には届かないと断言した。

体内からの異変

コロンゾンが勝利を確信した直後、その体内から巨大な鼓動のような衝撃が発生した。苦しみ始めた彼女に対し、リリスは自分達の仕業ではないと告げた。世界で戦っているのは過去の因縁を持つ者だけではなく、誰もが自ら生き残るために戦う権利を持つと指摘した。

ヴィリアンの救護

氷上では、第三王女ヴィリアンが負傷した騎士達の止血と救護に奔走していた。彼女は倒れた者に生きて勲章を受け取るよう命じ、神裂火織が後方へ運んだ負傷者を次々に手当てした。しかし衛生兵だけでは救護が追いつかず、戦線はなお崩壊の危険にさらされていた。

カエル顔の医者

カエル顔の医者が現れると、医療用の糸と針を操り、通り過ぎるだけで負傷者を治療していった。彼は救った命を再び攻撃にさらす行為は救命ではないと警告したため、ヴィリアンはリメエアへ樹氷の追加を命じ、船からの砲撃を防がせた。

聖人と医者

神裂火織は激戦地に取り残された負傷者を救うため、カエル顔の医者へ協力を求めた。医者は遠慮せず命じればよいと答え、神裂と共に最前線へ向かった。殺傷のワイヤーと救命の糸を操る二人によって戦線は立て直されつつあったが、直後に戦場全体を揺るがす新たな異変が起きた。

ネフテュスの敗北

オペラハウスでは、ネフテュスが自らの包帯によって照明設備へ縛り上げられていた。一方通行も魔術を使った反動で血を流していたが、クリファパズル545と共に実験の成功を確認し、本来の目的へ移った。

人造の第三の樹

クリファパズル545は、自らを深淵を越える者へ力を与える案内人と定義した。彼女はミサカネットワークを、生命の樹にも邪悪の樹にも属さない人造の第三の樹として捉え、その全体を掌握して一方通行と同化した。ミサカネットワークも演算能力を貸し与え、一方通行の背中には青白いプラチナの翼が現れた。

コロンゾンの分離

クリファパズル545は大悪魔コロンゾンとのつながりを通じ、その魂の位置を捉えた。一方通行は第三の樹を宇宙規模で動かし、肉体に宿るコロンゾンの魂を外側から強引に引き剥がした。血肉の実体を失ったコロンゾンは、ただの悪魔として神殿の床へ倒れた。

上条当麻の到着

実体を失ったコロンゾンはなお抵抗しようとしたが、御坂美琴のA.A.A.が神殿の床を切り裂き、上条当麻を内部へ送り込んだ。リリスは、血肉を失った今のコロンゾンでは幻想殺しを正面から破れないと告げた。

スコットランド式の再起動

コロンゾンは操舵室と神殿を損傷されながらも、残された力でスコットランド式を起動し、イギリス全土を乗っ取ってモアサイアの儀へつなげようとした。完全な成功でなくとも、宇宙の一部を破壊し、残る領域を後から消すつもりだった。

浜面仕上の選択

浜面仕上は、コロンゾンに助けられた事実と彼女の破壊を止める必要との間で迷った末、世界を壊さないようダイアン=フォーチュンへ頼んだ。自分の説得が届かなかったことを受け入れ、それでもコロンゾンが生まれた世界を守る道を選んだのである。

黄金の防衛術式

ダイアンは残された七八枚のタロットカードと、かつてイギリスに現れて消えた黄金の魔術師達の魔道書を束ねた。彼女は現代まで知識をつないできた者として、身近な誰かを守る新たな黄金の術式を構築し、スコットランドの地へ流れ込む邪悪な命令を遮断した。

拒絶された儀式

スコットランド全体で無数のカードが巨大な渦を作り、土地そのものがコロンゾンの命令を拒んだ。その結果、イギリスの乗っ取りもモアサイアの儀も不発に終わった。コロンゾンは、自らが生み出したものに最後の局面で阻まれたと知った。

三つの要求

上条はコロンゾンへ、自分が彼女の頭に手を置き、もう大丈夫だと告げ、その言葉と行動に責任を持つという三つの条件を示した。敵を倒せたのは自分の強さではなく、多くの者が機会をつないできたからだと語り、終わらせるかどうかはコロンゾン自身が決めることだと迫った。

再びの炎の剣

コロンゾンは上条の言葉を拒み、再びMagick:FLAMING_SWORDを放った。かつては上条を粉砕した術式だったが、実体を失った今は同じ威力を保てず、幻想殺しによって正面から砕かれた。

A.A.A.の反逆

追い詰められたコロンゾンは、アレイスターと同系統の術式を利用して御坂美琴のA.A.A.を乗っ取った。七色の閃光が上条を背後から襲い、右腕を肩から切断した。幻想殺しは肉体から離れ、コロンゾンを殴る力を失った。

右肩から現れた力

勝利を確信したコロンゾンの前で、上条の右肩から赤黒い三角面の集合体が巨大な腕のように現れた。さらにその内部から、少年よりも大きな複数の存在が飛び出し、上条の全身を動かし始めた。

コロンゾンへの救い

自らの意思を超えた力に支配されながらも、上条はコロンゾンにも頼る相手がいるはずだと叫び、助けを求めに行くよう促した。直後、解放された力が神殿を内側から破壊し、クイーンブリタニア号を真っ二つに引き裂いた。

終章 あるいは多くの傷を負いながら永き道のりを歩き通した末一人の男の人生に終止符が打たれるまでの物語 (Untitled) 

国難の終結

正午、大悪魔コロンゾンが引き起こした二度目の国難は終わった。ミナ=メイザースは沈み始めたクイーンブリタニア号からスコットランド式の宝を持ち出し、女王エリザードへ返却した。彼女はリリスの新しい肉体が完成する頃だと告げ、コロンゾンとアレイスターの決着には立ち入らず戦場を去った。

浜面仕上の旅立ち

滝壺理后が目を覚ますと、浜面仕上は今後の居場所を考えた。アレイスターとの約束が守られる保証はなく、イギリスで拘束される危険もあったためである。滝壺は学園都市に留まらず、広い外の世界へ出ようと浜面へ告げた。

偽りのアンナ

瀕死のアレイスターの前に、アンナ=シュプレンゲルを名乗る女が現れた。彼女は滝壺へ力を与えて浜面の行動を誘導し、戦況を攪乱していたと明かした。さらに黄金の痕跡を消すため、ミナやダイアンも始末すると告げた。

エイワスの処刑

偽のアンナがアレイスターを殺そうとした時、エイワスが背後から彼女の頭を貫いた。その正体は、かつてアンナを騙っていたマダム・ホロスであった。エイワスは奪われていた器を取り戻し、幼い少女の姿をした本物のアンナ=シュプレンゲルを復活させた。

本物のアンナ

復活したアンナはエイワスを試すように腹を貫き、その力が一世紀の間に弱まっていると確認した。彼女は超越存在から恩恵を受ける立場でありながら、実際にはエイワスを従えるほどの力を持っていた。二人は新たな存在の接近を察知し、姿を隠してその場から立ち去った。

一方通行とアレイスター

一方通行は神殿で瀕死のアレイスターを発見した。アレイスターは、自分にとどめを刺せば復讐を果たせると促したが、一方通行は満足して死を受け入れる彼から奪えるものはないと拒絶した。アレイスターはその変化を認め、リリスと今後の脅威を託した。

統括理事長の継承

アレイスターは学園都市を解放する情報が入った端末を一方通行へ渡した。大人達を憎むなら、自ら統括理事長となり、残された子供達が笑える正しい学園都市を作るよう求めたのである。

アレイスターの死

午後一時五分、神裂火織はアレイスター=クロウリーの死亡を確認した。エリザードは、彼がいなければコロンゾンを止められなかったとして国葬を命じた。女王は遺体の瞼を閉じ、魔術と平和の国イギリスへ帰ってきた彼を迎えた。

逆転した契約

海中に残されたコロンゾンの肉体には、死んだはずのアレイスターの意識が宿っていた。過去に中断された実験が逆転した形で成立し、アレイスターがコロンゾンの肉体を支配したのである。彼は力の象徴である長い金髪を切り落とし、大悪魔を内側に閉じ込めたまま生き続けることになった。

新たな脅威

アレイスターは学園都市を一方通行へ、リリスをミナへ託し、自身は魔術と科学の外側へ潜ることを決めた。そして最大の問題は、上条当麻の右手から解放された力であり、もはや抑え切れないと結論づけた。

暴走する右腕

上条当麻は再生した右腕の内側で暴れる力を押さえながら、人のいない氷原へ走っていた。その力は上条の意思に関係なく周囲を殺す危険があり、右腕は再び内側から弾けた。

幻想殺しと神浄の討魔

遠方で異変を察知したアンナ=シュプレンゲルは、百年の回り道の末に目的の瞬間へ間に合ったと喜んだ。彼女は幻想殺しと、その奥に潜んでいた神浄の討魔へ呼びかけ、彼らに世界が何色に見えるのかと問いかけた。

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