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とある魔術の禁書目録鎌池和馬

小説「新約 とある魔術の禁書目録 (22)リバース」感想・ネタバレ

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新約とある魔術の禁書目録 22-2の表紙画像(レビュー記事導入用) とある魔術の禁書目録

新約 とある魔術の禁書目録(22)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
創約 とある魔術の禁書目録(1)

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. ロンドン塔の戦後処理
    2. 薔薇十字のアンナ
    3. 拷問器具とエイワス
    4. 少女たちのドレス採寸
    5. ウィンザー城の祝勝会
    6. 上条当麻の分離
    7. 幻想殺しの強奪
    8. 学園都市の再編
  6. 登場キャラクター
    1. 学園都市
      1. 上条当麻
      2. もう一人の上条当麻(神浄の討魔)
      3. 御坂美琴
      4. 食蜂操祈
      5. 浜面仕上
      6. 滝壺理后
      7. 一方通行
      8. 土御門元春
      9. 烏丸府蘭
      10. カエル顔の医者
      11. 木原脳幹
      12. リリス
      13. アネリ
    2. 王室派・騎士派
      1. エリザード
      2. リメエア
      3. ヴィリアン
      4. 女性騎士
      5. ホレグレス=ミレーツ
    3. イギリス清教・天草式十字凄教
      1. インデックス
      2. 神裂火織
      3. ステイル=マグヌス
      4. 建宮斎字
      5. 五和
      6. オルソラ=アクィナス
      7. アニェーゼ=サンクティス
      8. ルチア
    4. 魔術結社『黄金』・薔薇十字
      1. アンナ=シュプレンゲル
      2. ダイアン=フォーチュン
      3. ミナ=メイザース
    5. 魔神・悪魔・その他の魔術勢力
      1. 聖守護天使エイワス
      2. オティヌス
      3. クリファパズル545
  7. 展開まとめ
    1. 序章 終戦までの流れ Road_to_the_Peace. 
    2. 第一章 笑顔 After Battle. 
    3. 行間 一
    4. 第二章 ささやかな栄冠 Party_for_Winners. 
    5. 行間 二 
    6. 第三章 リバースポジション Winged_Lizard. 
    7. 行間 三 
    8. 第四章 自己という関門を越えろ Break_the_Wall. 
    9. 終章 黄金と薔薇 Change_the_Rail. 
  8. 同シリーズ
    1. 新約 とある魔術の禁書目録
    2. とある魔術の禁書目録
    3. 外伝
    4. とある暗部の少女共棲
    5. 同著者シリーズ
    6. ヘヴィーオブジェクトシリーズ
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『新約 とある魔術の禁書目録(22) リバース』は、科学と魔術が交差する世界を描く大人気SFファンタジーバトルライトノベル『新約』シリーズの完結巻である。大悪魔コロンゾンとの総力戦を終え、祝勝ムードに沸くイギリス・ウィンザー城が舞台となる。しかし、上条当麻の失われた右腕から分離した「もう一人の上条当麻」が有翼のトカゲ(竜)の姿で突如として襲来する。過去の記憶を持つ「もう一人」と、記憶はないが現在の絆を持つ「上条当麻」が激突し、食蜂操祈の心の隙を突いて引き起こされた大混乱の中、上条は大切な人々を取り戻すために最後の死闘に挑む物語である。

■ 主要キャラクター

  • 上条当麻:右手に異能を打ち消す「幻想殺し」を持つ高校生。自身の右腕から分離した「もう一人の自分」に幻想殺しと過去の記憶を奪われるが、過去ではなく今の自分を信じてくれる人々のために立ち向かう。
  • もう一人の上条当麻(神浄の討魔):上条の切断された右腕から現れた存在。スカイブルーやショッキングピンクの竜の外殻を持ち、上条の失われた記憶を利用して周囲を揺さぶる。
  • 食蜂操祈:学園都市第五位の超能力者。かつて上条と過ごした夏の記憶を唯一共有できる「もう一人の上条」の言葉に心が揺らぎ、涙を流しながら能力を暴走させて城内の人々を支配してしまう。
  • 御坂美琴:学園都市第三位の超能力者。食蜂の能力支配から上条を逃がすため、A.A.A.を用いて彼を城外へ突き飛ばし、自らは支配下に落ちてしまう。
  • インデックス:イギリス清教の魔道書図書館。食蜂の暴走によって失われたはずの「自動書記」モードが強制起動し、上条たちを無差別に迎撃するようになる。
  • 一方通行(アクセラレータ):学園都市の新統括理事長に就任した第一位の超能力者。国民を守るために強硬手段をとる英国女王エリザードと真正面から激突し、頂点に立つ者としての覚悟を示す。
  • ダイアン=フォーチュン:『黄金』の魔術師であり魔道書の原典。上条にタロットの観点から助言を与え、戦後処理においてイギリス清教の新たな最大主教となることを女王に提案する。
  • アンナ=シュプレンゲル:薔薇十字の令嬢。処刑塔から事態を傍観して「神浄の討魔」の敗北を見届けた後、新たな脅威として暗躍を始める。

■ 物語の特徴

本作の最大の魅力は、『新約』シリーズの完結編として、主人公・上条当麻の「記憶喪失」という根源的な問題に一つの決着をつける点である。過去の記憶を盾にする偽物と、記憶がなくても現在の繋がりを重んじる本物との、自己の存在意義を懸けた泥臭い対決が熱く描かれている。また、報われない想いを抱えながらも過ちを犯してしまう食蜂操祈の切実な葛藤や、一方通行の統括理事長としての成長など、キャラクターたちの集大成となるドラマが展開される。戦乱の収束と学園都市への帰還を描きつつも、アンナ=シュプレンゲルの登場など次なる新シリーズへの強力な布石が用意されている点が、読者にとって非常に興味深いポイントとなっている。

書籍情報

新約 とある魔術の禁書目録(22)リバース
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA電撃文庫
発売日:2019年7月10日
ISBN:9784049126679

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

新約編――終幕。
コロンゾンに薄氷で勝利した上条当麻。彼はイギリス・ウィンザー城の祝賀会にて熱烈な歓迎を受ける。そこにはインデックスも美琴も食蜂もいて……。『新約』編の結末を見届けよ!

新約 とある魔術の禁書目録(22) リバース

感想

大悪魔コロンゾンとの凄絶な戦争が終わり、イギリスのウィンザー城では祝勝会が開かれていた。

上条当麻、インデックス、御坂美琴、食蜂操祈たちも、王室の用意した正装に着替え、ようやく訪れた平和な時間を過ごしている。

戦争で多くのものが失われた。

それでも、生き残った者は日常へ戻らなければならない。

英国女王エリザードも、犠牲者を悼みながら、生きて帰った者たちへ人生を楽しむよう呼びかける。

長く続いたコロンゾンとの戦いが、ようやく終わったのだと感じられる場面だった。

しかし、その平和な時間は長く続かない。

ウィンザー城へ正体不明の怪物が侵入し、その内部から上条当麻と同じ姿をした少年が現れる。

しかも、その少年は上条が失った過去の記憶と、右手の幻想殺しを持っていた。

記憶と能力を持つ「もう一人の上条当麻」。

異形の右腕を持ち、現在を生きてきた上条当麻。

二人の存在がぶつかり合うことで、祝勝会は再び命懸けの戦場へ変わっていく。

本巻で最も心に刺さったのは、食蜂操祈の切なすぎる立ち位置だった。

そして、過去を持たない上条が、今まで築いてきた関係を守るために、自分自身と戦う姿が強く印象に残った。

祝勝会で訪れた、わずかな平穏

物語の序盤では、戦争を終えた登場人物たちの穏やかな時間が描かれる。

御坂美琴、食蜂操祈、インデックスは、英国王室に仕えるメイドたちから祝勝会用のドレスを仕立ててもらう。

美琴は青いランジェリードレス。

インデックスは絵本のお姫様のようなドレス。

食蜂は腰の負傷を支える仕組みを組み込んだ、明るい黄色のドレスを身につける。

少女たちが服装に振り回され、紅茶の淹れ方を知らない上条へ美琴と食蜂が口を出す場面には、戦闘中にはなかった楽しさがある。

特に食蜂が、上条の紅茶の好みを覚えている場面が印象的だった。

上条は過去の食蜂を覚えていない。

それでも食蜂の側には、二人で過ごした時間が残っている。

砂糖を一つ入れた後、蜂蜜を加える。

そんな小さな好みまで覚えていることが、彼女の抱えてきた想いの深さを伝えていた。

上条が食蜂の名前を呼び、一緒に行こうと声をかける場面も心に残る。

上条本人にとっては、何気ない一言だったのかもしれない。

しかし、上条の記憶に残れない食蜂にとって、自分の名前を呼んでもらえることは小さな奇跡だった。

この時の食蜂は、戦争を生き延び、好きな相手と同じ場所に立てた幸福をかみしめていたのだと思う。

だからこそ、その後に起こる出来事があまりにも残酷だった。

食蜂操祈が恐れていた幸福の終わり

祝勝会の中で、食蜂は御坂美琴へ自分の恐怖を打ち明ける。

今目の前にある幸福な時間こそが、悪夢なのだという。

上条と一緒にいられる。

名前を呼んでもらえる。

同じテーブルで紅茶を飲み、会話を交わせる。

しかし、そんな時間はいつか必ず失われる。

上条は食蜂を記憶し続けることができない。

今は偶然認識できていても、少し目を離しただけで、再び自分を忘れてしまうかもしれない。

幸せであればあるほど、失った時の痛みは大きくなる。

食蜂はそれを理解している。

人の心を自由に操れる「心理掌握」を持ちながら、自分が最も望む相手の心には残れない。

能力を使って無理に記憶を作ればよいという話でもない。

彼女が欲しいのは、操った感情ではなく、上条が自分の意思で覚えていてくれる未来だからである。

食蜂の強さや華やかさの裏には、失うことへの強い恐怖がある。

常盤台中学で最大派閥を作り、多くの人間関係を管理しているのも、自分の知らないところでつながりを切られることが怖いからなのかもしれない。

そんな彼女の最も深い傷へ、「もう一人の上条当麻」が入り込んでくる。

右腕から生まれた、もう一人の上条当麻

祝勝会の途中、ウィンザー城へ有翼のトカゲのような怪物が侵入する。

怪物は上条の右手を執拗に狙い、幻想殺しへ触れたことで外殻を失う。

その内側から現れたのは、上条当麻とまったく同じ姿をした少年だった。

正直なところ、二人とも同じ顔をしているため、偽物の方には黄色いマフラーでも巻いてほしいと思ってしまった。

ただでさえ複雑な状況なのに、見た目まで同じでは読んでいる側も混乱する。

しかし、外見が同じで区別できないこと自体が、この戦いの恐ろしさでもある。

もう一人の上条は、過去の出来事を正確に語る。

上条が記憶喪失になる前の記憶も持っている。

さらに、上条を象徴する能力である幻想殺しまで右手に宿している。

一方、本体の上条には過去の記憶がない。

幻想殺しも奪われ、右腕には本人さえ正体を知らない異形の力が宿っている。

過去と幻想殺しを持つ少年。

現在の人格と異形の右腕を持つ少年。

どちらが本物の上条当麻なのか。

周囲の人々が迷うのも無理はない。

だが、物語が進むにつれて、この二人は本物と偽物という単純な関係ではなく、すでに別々の存在になっていることが見えてくる。

アレイスターの治療が生んだ分離

もう一人の上条が生まれた背景には、これまで上条が受けてきた損傷が関係している。

上条は過去に食蜂の能力やインデックスの魔術によって頭部へ深刻な傷を負い、科学と魔術の両面から不安定な状態にあった。

さらに、コロンゾンとの戦いでは右腕を何度も切断されている。

前巻でアレイスターが上条を回復させた時、幻想殺しを持つ右手が存在しない状態を前提として、身体と頭部のネットワークが再構築された。

その結果、不要なものと判断された右手の力や、失われた過去の記憶が行き場を失った。

それらが一つに固まり、独立した存在として形を得た可能性が示される。

つまり、もう一人の上条は突然現れた単なる偽物ではない。

上条自身から分離した、記憶と幻想殺しの集合体とも言える存在である。

本人は、自分は上条が望んだから生まれたのだと語る。

失った記憶を補い、幻想殺しをより正しく扱うために生まれた能力。

上条当麻の不足を埋めるために作られた存在だと主張する。

だからこそ、単純に偽物として片づけられない不気味さがあった。

食蜂操祈へ差し出された最悪の救い

もう一人の上条は、食蜂操祈へ自分を選ぶよう迫る。

彼は過去の記憶を持っている。

食蜂と過ごした時間も、彼女が大切にしている思い出も知っている。

現在の上条が何度会っても忘れてしまうことを、もう一人の上条は忘れない。

食蜂が長く求め続けてきたものを、すべて持っているように見える。

これは彼女にとって、あまりにも残酷な誘惑だった。

本物ではないかもしれない。

危険な存在かもしれない。

それでも、自分を覚えていてくれる。

自分との過去を共有できる。

ずっと欲しかったものを持つ相手が、上条と同じ姿で目の前に立っている。

食蜂が涙を流しながら心を揺らしてしまうのも無理はない。

頭では疑っていても、心が簡単に拒絶できるはずがない。

もう一人の上条は、食蜂の孤独と未練を正確に利用する。

食蜂は心理掌握を暴走させ、ウィンザー城にいる多くの人々を支配下へ置いてしまう。

結果として、インデックスや御坂美琴まで巻き込まれ、城内は大混乱へ陥る。

食蜂が仲間を裏切ったような形になってしまう展開は、読んでいて胸が痛んだ。

誰にも責められないからこそ苦しむ食蜂

食蜂は、自分の選択が正しかったとは考えていない。

祝勝会を壊し、仲間を操り、多くの人を危険へ巻き込んでしまった。

荒れ果てたダンスホールで、支配したインデックスの前に座り、自分の愚かさを悔やむ。

誰かに責めてもらえれば、まだ楽だったのかもしれない。

しかし、彼女の事情を知る者ほど簡単には責められない。

上条に忘れられ続ける痛み。

いつか現在の幸福が失われる恐怖。

その心の隙を利用された結果だったからである。

誰にも責められないため、食蜂は自分自身を許せなくなる。

自分で自分を追い詰め、一人で涙を流す。

そばにいるのは、心理掌握の影響を受けない三毛猫だけだった。

この場面が非常に切なかった。

常に多くの人間を従え、女王として振る舞う食蜂が、本当に苦しい時には一人になってしまう。

彼女が欲しかったのは、支配できる人間の数ではない。

ただ一人、自分を忘れない上条当麻だったのだと思う。

御坂美琴が託した最後の希望

食蜂が能力を暴走させる直前、御坂美琴はA.A.A.を使って、本体の上条をウィンザー城の外へ逃がす。

美琴自身も食蜂の支配を受ける。

それでも、最後の瞬間に上条へ希望を託した。

誰が本物か判断できない状況で、美琴が選んだのは、過去の記憶を持つ方ではなかった。

今まで自分と一緒に戦い、目の前の人間を救ってきた上条である。

過去を正確に語れるかどうかではない。

現在の行動を見て判断したのだと思う。

上条は城外へ投げ出され、食蜂に操られた警備隊や魔術師から追われる。

しかも幻想殺しはない。

代わりにあるのは、スカイブルーとレモンイエローの異形の右腕である。

本来なら不安しかない状況だった。

それでも、美琴が残した一度きりの機会を無駄にはできない。

上条はオティヌスと共に、もう一人の自分からすべてを取り戻すために動き始める。

幻想殺しを失った上条の異形の竜

本体の上条が使うのは、右腕へ宿った異形の力である。

力は竜のような外殻を作り、上条の身体能力や知覚を強化する。

これまで上条は、幻想殺しによって超能力や魔術を打ち消してきた。

本巻では、その最大の武器を失い、自分自身が超常の力を使う側になる。

この立場の逆転が「リバース」という題名にもつながっているように感じた。

幻想殺しを持つ敵と、異能を使う上条。

いつもとは正反対の構図である。

右腕の力は強力だった。

マンドラゴラの罠を突破し、追跡犬から逃れ、テムズ川を越えることもできる。

しかし、使うほど身体へ馴染んでいく。

便利になっていく一方で、自分が人間から遠ざかっているようにも見える。

オティヌスにも、その力の正体は分からない。

幻想殺しを失ったことで現れたものなのか。

これまでの戦いを経て新しく生まれたものなのか。

上条自身も理解できていない。

それでも、城内に残されたインデックス、美琴、食蜂を救えるのは自分しかいない。

上条は危険を承知で、その力を使う。

過去ではなく現在の自分を選ぶ

城外へ逃れた上条は、リメエア、一方通行、浜面仕上、滝壺理后、クリファパズル545、ダイアン=フォーチュンたちと合流する。

そこで上条は、過去の記憶を持たない自分の価値について悩む。

もう一人の上条は過去を知っている。

昔からの知人にとっては、そちらの方が本物に見えるかもしれない。

今の自分を見て、失望されるかもしれない。

記憶を失ってから築いてきた関係も、過去を持つ存在の前では否定されてしまうのではないか。

しかし、一方通行や浜面は、過去を知らなくても今ここにいる上条との関係は成立していると伝える。

オティヌス、クリファパズル、ダイアンも、記憶の有無だけで人間の本質は決まらないと語る。

この言葉によって、上条は現在の自分を優先すると決める。

過去を持っていないから価値がないのではない。

記憶を失った後も、自分で考え、選び、誰かを助けてきた。

その積み重ねは、もう一人の上条には奪えない。

上条は、自分が本物であることを証明するためではなく、自分が築いてきたつながりを守るために戦うと決意する。

この選択が非常に上条らしかった。

人のつながりを救いではなく武器にする存在

もう一人の上条は、上条が築いてきた人間関係を詳しく知っている。

誰が誰を大切にしているのか。

どの言葉を使えば心を揺らせるのか。

誰を人質にすれば、相手が動かざるを得ないのか。

その知識を、人を救うためではなく操るために使う。

英国女王エリザードには、カーテナや国防設備を破壊すれば国民が危険にさらされると脅す。

神裂火織やステイル、天草式、アニェーゼ部隊などにも、人間関係と責任感を利用して戦わせようとする。

上条当麻の記憶と能力を持ちながら、使い方がまったく違う。

本体の上条は、相手の弱さを知れば助けようとする。

もう一人の上条は、弱さを利用して従わせる。

同じ記憶を持っていても、選択が違えば別の人間になる。

二人の決定的な違いは、ここにあったように感じた。

城へ戻る上条と仲間たちの陽動

上条は一人でウィンザー城へ戻る。

ただし、完全に孤独な戦いではない。

一方通行や浜面、滝壺、リメエアたちが城の外で陽動を行い、上条が進む道を作る。

仲間の助けを当然だと思わず、感謝しながらも、自分の戦いは自分で決着をつける。

この姿勢も上条らしい。

城内では、食蜂に操られたステイルと神裂火織が待ち受けている。

幻想殺しを失った上条にとって、二人は非常に危険な相手である。

神裂の攻撃を異形の力で見抜き、マンドラゴラを使って動きを止める。

ステイルの魔女狩りの王とは正面から戦わず、肥料を炎へ投げ込んで刺激臭を発生させ、その隙を利用する。

圧倒的な力でねじ伏せるのではない。

その場にあるものを使い、相手の意表を突き、泥臭く突破する。

どれほど異形の力を持っていても、戦い方はいつもの上条だった。

食蜂が鳴らした警告のホイッスル

もう一人の上条は、食蜂へ御坂美琴とインデックスを操らせる。

しかし、美琴のA.A.A.には事前に細工が施されており、もう一人の上条へ攻撃を始める。

さらに食蜂は、インデックスの自動書記を復元して制御しようとする。

だが、それは完全に制御できるものではなかった。

自動書記は外部からの不正な干渉を敵と判断し、暴走する。

御坂美琴とインデックスが激突し、ウィンザー城全体を揺るがす戦いが始まる。

自分が取り返しのつかないことをしたと悟った食蜂は、胸元に入れていた防災ホイッスルへ手を伸ばす。

それは、かつて上条との間で交わした思い出につながるものだった。

食蜂が鳴らした笛の音を、上条は理屈では説明できないまま聞き取る。

記憶には残らなくても、何かが二人をつないでいる。

この描写が切なかった。

食蜂は、最後の最後では現在の上条へ助けを求めている。

過去を持つ存在へすがってしまったとしても、本当に信じていたのは今の上条だったのだと思う。

血に染まった食蜂操祈

上条がダンスホールへ到着すると、インデックスと御坂美琴は激しい戦いを続けている。

そのそばには、重傷を負った食蜂操祈が倒れていた。

食蜂は、自分が判断を誤ったことを認める。

それでも、本当は上条を信じていたと伝える。

最後まで笑顔を浮かべながら、意識を失う。

この場面は非常につらかった。

上条は食蜂の記憶を持っていない。

彼女が何を背負い、どれほど長く想い続けてきたのかを完全には理解できない。

それでも、目の前で傷ついた少女を見捨てることはできない。

オティヌスから、まだ助かる可能性があると告げられ、上条は希望をつなぐ。

自分の右腕の正体を調べることより、食蜂を救うことを優先する。

過去の記憶がなくても、今目の前で苦しんでいる彼女を助ける。

その選択こそが、現在の上条当麻だった。

一方通行と英国女王エリザードの激突

城外では、英国女王エリザードと一方通行が真正面から激突する。

エリザードは、国民を守るためなら手段を選ばない覚悟を示す。

国防設備や英国の魔術的な基盤を人質に取られた以上、自分の感情だけで動くことはできない。

一国の女王として、多くの国民の命を優先しなければならない。

一方通行もまた、学園都市の新しい統括理事長となる存在である。

彼はエリザードへ、頂点に立つ者は犠牲を強いるだけではなく、未来を示す存在であるべきだと告げる。

かつての一方通行は、学園都市の実験に利用され、暗部の中で暴力を振るっていた。

自分を悪党だと決めつけ、責任から距離を置こうとしていた人物でもある。

そんな彼が、一つの都市を背負う者として女王と向き合う。

この姿には確かな成長を感じた。

一方通行は学園都市の兵器や技術を総動員し、最後には自分の拳でエリザードを倒す。

ただし、とどめは刺さない。

今後のイギリスと学園都市の関係まで考え、対立を深めない形で戦いを終わらせる。

単なる最強の能力者ではなく、政治的な責任を負う人物になっていた。

良いようにやられ続けるイギリス

それにしても、今回もイギリスは大変な目に遭っている。

クロウリーズ・ハザードによって国中が混乱し、『黄金』の魔術師たちが暴れ、大悪魔コロンゾンによって世界の崩壊寸前まで追い込まれた。

ようやく戦争が終わり、祝勝会を開いていたところである。

それなのに、今度はウィンザー城へ怪物が侵入する。

城内の人々は食蜂の能力で操られ、国防設備まで人質に取られる。

城外では新統括理事長と英国女王が本気で激突する。

イギリスからすれば、休む暇がまったくない。

前巻から続けて読むと、「もうイギリスを休ませてあげてほしい」と思ってしまう。

それでもエリザードや王女たち、騎士や魔術師は、自分の国を守るために動き続ける。

何度壊されても、再び立て直そうとする。

被害の大きさだけでなく、国を支える者たちの覚悟も描かれていた。

肉弾戦へ持ち込む上条当麻

ダンスホールで、上条ともう一人の上条が再び激突する。

相手は幻想殺しを持っている。

異形の力で正面から攻撃しても打ち消される可能性が高い。

そこで上条は、幻想殺しが異能にしか効果を発揮しないことを利用し、肉弾戦へ持ち込む。

周囲にある調理器具や壊れた道具まで使い、相手を追い詰めていく。

格好良く勝つのではない。

傷だらけになり、床を転がり、使えるものは何でも使う。

自分と同じ顔をした相手へ拳を振るい続ける。

この泥臭さが上条当麻の魅力である。

相手は過去の記憶を持っている。

幻想殺しも持っている。

それでも、現在の上条には、記憶喪失後に積み上げてきた戦いの経験がある。

無数の強敵へ立ち向かい、何度も死にかけながら身につけた判断がある。

能力だけを比べれば不利でも、人として積み上げてきたものまでは奪われていない。

怒りに飲み込まれかける上条

食蜂が重傷を負ったことで、上条の怒りは頂点へ達する。

もう一人の上条は、食蜂やインデックス、美琴を救うために行動したのだと主張する。

自分が過去を持ち、幻想殺しを正しく使えば、失われた幸福を守れる。

だから、自分の行動は正しいのだという。

しかし、現実には食蜂は倒れ、インデックスと美琴は殺し合うように戦っている。

仲間を救うと言いながら、その人たちの心や命を道具として使っている。

上条は、悲劇を生んだ原因はお前自身だと突きつける。

怒りのあまり、相手を殺すとまで口にする。

普段の上条であれば、敵であっても救う道を探す。

しかし今回は、自分と同じ姿をした存在が、大切な人たちを踏みにじった。

そのため、上条自身も戻れない一線へ近づいていく。

相手を倒すだけでなく、本当に殺してしまうのではないか。

読んでいて、別の意味でも緊張した。

神浄の討魔との決着

もう一人の上条は、自分が上条の能力そのものだと語る。

失われたものを補い、幻想殺しをより上手く扱い、悲劇を修復するために生まれた存在。

アンナ=シュプレンゲルが興味を示していた「神浄の討魔」である。

しかし、どれほど理想的な能力を持っていても、人の心を無視してよい理由にはならない。

救う相手の意思を奪い、自分の考える幸福を押しつければ、それは救済ではなく支配である。

上条は水晶片を握り込んだ拳で相手の口内を傷つけ、最後にはカービングナイフで胸を貫く。

上条当麻らしい戦い方としては、かなり異質である。

それだけ追い詰められていたのだと思う。

敗れたもう一人の上条は、二度と同じ過ちを繰り返すなと言い残し、上条の右腕へ戻っていく。

幻想殺しも元の位置へ戻る。

単純に悪が消滅したという結末ではない。

もう一人の上条もまた、上条の中から生まれた存在である。

彼の間違いは、上条自身が抱えていた願いや不足と無関係ではなかった。

そのため、最後の言葉には警告のような重さがあった。

幻想殺しと日常の奪還

右腕を取り戻したからといって、戦いが終わったわけではない。

インデックスの自動書記は暴走を続け、御坂美琴との戦闘も止まっていない。

上条は傷だらけの身体で二人のもとへ向かう。

美琴自身がわずかに抵抗して時間を作り、上条はインデックスへ幻想殺しを叩き込む。

自動書記と、その奥に潜む黒い亀裂をまとめて打ち砕く。

意識を失ったインデックスを抱き止め、最後に残った悪意も右手で退ける。

そして、全員で学園都市へ帰ろうと誓う。

この瞬間、上条は右腕だけでなく、自分の日常も取り戻したのだと感じた。

幻想殺しは、強敵を倒すための能力であると同時に、上条が帰る場所へつながる象徴でもある。

誰かを救い、学生寮へ戻り、インデックスと暮らす。

世界規模の戦争が終わっても、上条が望んでいるのは特別な地位ではない。

いつもの日常である。

学園都市へ戻る人々

長い戦いが終わり、上条たちは学園都市へ帰還する。

避難していた住民も戻り、消えていた街の明かりが再び灯る。

一方通行、御坂美琴、食蜂操祈、浜面仕上、麦野沈利たちも、それぞれの傷や思いを抱えながら日常へ戻っていく。

すべてが元通りになったわけではない。

戦いで負った傷も残る。

人間関係の問題も消えてはいない。

それでも、生き残った者は次の日を迎える。

上条がインデックスと学生寮へ戻り、懐かしい部屋へ入る場面には、大きな安堵があった。

インデックスの「ただいま」という言葉によって、長く続いた戦いがようやく終わったのだと感じられる。

旧約から新約へ続いてきた長い物語の一区切りとして、感慨深い帰還だった。

遂に統括理事長となった一方通行

物語の最後では、学園都市の統括理事会が、アレイスターに代わる統括理事長を決めようとしている。

その会議へ、一方通行がコードリストを持って乗り込む。

そして、自分が新しい学園都市統括理事長だと宣言する。

この場面には「遂にここまで来たか」と胸が熱くなった。

かつての一方通行は、学園都市の実験に利用されていた。

最強の能力者として祭り上げられ、妹達を殺害する実験へ加担した。

その罪を背負い、自分を悪党として扱い続けてきた。

そんな彼が、今では学園都市の頂点に立つ。

都市に利用される存在から、都市の未来を決める存在へ変わった。

もちろん、統括理事長になればすべてが解決するわけではない。

学園都市の暗部や、過去の非人道的な実験をどうするのか。

能力者たちをどのように守るのか。

背負う責任は非常に重い。

それでも、一方通行なら過去と同じ学園都市にはしないだろうと思わせてくれる。

彼がこれからどのような都市を作るのか、強く期待したくなる場面だった。

ダイアン=フォーチュンとイギリスの再建

戦いを終えたダイアン=フォーチュンは、イギリスに残る。

混乱した清教派を立て直すため、自分が最大主教となる案を示し、エリザードやヴィリアン、烏丸府蘭たちと国の再建へ動き始める。

前巻で消滅しかけ、浜面によって救われたダイアンが、今度はイギリスを支える側へ回る。

敵として復活した『黄金』の魔術師が、戦後の国を再建するために力を使う。

この変化も興味深かった。

イギリスは本当に大きな被害を受けた。

それでも、新しい人材や関係を受け入れながら立て直していく。

戦争の終わりは、単に敵を倒した時ではない。

壊れた生活や組織を修復し、人々が安心して暮らせる状態へ戻すまで続く。

その先を描いている点も、本巻の良さだった。

アンナ=シュプレンゲルが見つめる神浄の討魔

一方で、すべてが平和に終わったわけではない。

歴史の裏側では、アンナ=シュプレンゲルが動いている。

彼女が興味を持っていたのは、上条当麻本人ではない。

上条の右手の奥に潜む神浄の討魔だった。

アンナは、もう一人の上条が生まれ、形を変え、敗北するまでを観察している。

今回の事件へ直接介入するのではなく、新しい存在がどのように形成され、何を選ぶのかを楽しむように眺めていた。

神浄の討魔が敗れても、世界にはまだ隙がある。

アンナはその隙へ入り込み、次の戦いを始めようとしている。

「新約」編の大きな因縁は決着した。

しかし、上条の右腕の謎は何も解決していない。

幻想殺しと神浄の討魔は、どのような関係にあるのか。

上条の中には、ほかに何が潜んでいるのか。

アンナは何を目的としているのか。

新しい物語へ向けた不穏な期待が、最後までしっかり残されていた。

食蜂操祈に救いはあったのか

本巻を読み終えても、最も心に残ったのは食蜂操祈だった。

上条は幻想殺しを取り戻した。

インデックスと美琴も救われた。

一方通行は統括理事長として、新しい道へ進み始めた。

しかし、食蜂と上条の問題は解決していない。

上条は今後も、食蜂を記憶し続けることができない。

今回、食蜂は自分を覚えてくれる存在へすがり、その結果として大きな過ちを犯した。

それでも彼女が求めていたものは、間違ったものではなかったと思う。

好きな人に覚えていてほしい。

一緒に過ごした時間を共有したい。

名前を呼んでほしい。

それは、とても普通の願いである。

しかし、食蜂にとっては、その普通の願いがどうしても届かない。

もう一人の上条は、その願いを利用した。

だから彼女は傷つき、仲間まで巻き込み、自分自身を責めることになった。

食蜂が完全に救われたとは言い難い。

それでも、最後に彼女が助けを求めた相手は、過去を持つ上条ではなく、現在の上条だった。

防災ホイッスルを鳴らし、本当は信じていたと伝えた。

その想いまで失われたわけではない。

いつか上条が食蜂を覚えられる日が来るのか。

それとも、別の形で彼女が前へ進むのか。

今後も見守りたいと思った。

過去の記憶よりも、現在の選択が人を作る

『新約 とある魔術の禁書目録 22 リバース』は、二人の上条当麻を通して、人間を作るものは何かを描いた一冊だった。

過去の記憶。

幻想殺し。

同じ顔と声。

それらを持っていれば、本物の上条当麻になれるのか。

もう一人の上条は、過去の記憶も能力も持っていた。

それでも、人の弱さを利用し、仲間を支配し、自分の考える幸福を押しつけた。

一方、現在の上条は過去を持っていない。

幻想殺しも一時的に失っていた。

それでも、目の前で傷ついた人を助けることを選び、自分が築いてきた関係を守るために戦った。

人を作るのは、記憶だけではない。

今この瞬間に何を選ぶのか。

誰を守ろうとするのか。

その積み重ねこそが、その人らしさになる。

上条がもう一人の自分を倒したことで、現在の自分を認められたように感じた。

新約編の完結にふさわしい一冊

本巻では、ウィンザー城での祝勝会から、二人の上条当麻の死闘、一方通行とエリザードの激突、学園都市への帰還まで、息をつく暇のない展開が続く。

食蜂操祈の孤独。

御坂美琴が託した希望。

幻想殺しを失った上条の異形の力。

過去を持つ神浄の討魔。

国を守る英国女王。

新たな統括理事長となる一方通行。

それぞれの立場と感情が絡み合い、群像劇としても読み応えがあった。

特に、過去の記憶を盾にする相手へ、現在の絆を守るため立ち向かう上条の姿が熱い。

異形の力を得ても、最後に頼るのは拳と知恵と執念である。

傷つきながらも仲間を救い、右腕と日常を取り戻す。

これぞ上条当麻だと感じられる決着だった。

そして、学園都市へ帰還する場面には、長く過酷だった「新約」編が終わったという感慨がある。

一方通行も遂に統括理事長となり、物語は新しい時代へ進み始める。

その一方で、アンナ=シュプレンゲルが次なる脅威として姿を見せ、上条の右腕の謎も残されたままである。

一つの物語をしっかり終わらせながら、次の物語への期待も高めてくれる。

新約編の完結巻として、非常に満足感の高い一冊であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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新約 とある魔術の禁書目録(22)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
創約 とある魔術の禁書目録(1)

考察・解説

ロンドン塔の戦後処理

ロンドン塔の崩壊と戦後処理の全貌

『新約 とある魔術の禁書目録』の終戦後(『新約22巻 リバース』序章)における、ロンドン塔(処刑塔)の状況と戦後処理について、破壊の真相、隠蔽と修繕作業、およびアンナ=シュプレンゲルの侵入の各点から解説する。

上条当麻による脱出と石壁崩壊の真相

大悪魔コロンゾンやクロウリーズ・ハザードによるイギリス侵攻の最中、ロンドン塔は重厚な石壁が内側から派手に崩落するという甚大な被害を受けた。

・被害は怪物の襲撃や古代エジプト遺跡の落着によるものではなかった。

・処刑塔に幽閉された上条当麻が、ロンドンを覆う三重四色の最結界を解除するために行動を起こした。

・右手の幻想殺しを用いて結界のコアとなる霊装や壁を次々と破壊して脱出したことが原因であった。

隠蔽術式と野次馬への事後処理

戦後、崩落したロンドン塔には目立たないように灰色の工事用シートが被せられ、当座の修繕作業が進められていた。

・英国の歴史的重要施設が崩壊した異常事態により、周囲には野次馬が集まりデジタルカメラやスマートフォンを向ける騒ぎとなった。

・写真がインターネット上に掲載された場合の混乱を避けるため、管理を担うイギリス清教の看守たちが対応に追われた。

・人払いを中心とした欺瞞と隠蔽の魔術を何重にも張り巡らせ、事後処理を急いだ。

超越者アンナの侵入と修繕中の監獄散策

看守たちが敷いた厳重な隠蔽術式も、超越者の前には全く通用しなかった。

・修繕作業の最中、真の姿を現した薔薇十字の令嬢アンナ=シュプレンゲルと聖守護天使エイワスが、誰にも気づかれることなく塔の奥深くへと侵入した。

・アンナはエイワスからコロンゾンとアレイスターの決着について報告を受けた。

・ロンドン塔に保管されていた無数の拷問処刑具を物色し、びっしりと釘が生えた審問椅子へと飛び込んで遊ぶなど、修繕中の大監獄を自らの遊び場として満喫した。

まとめ

ロンドン塔をめぐる一連の動向は、上条当麻の脱出に伴う内部からの破壊、イギリス清教による魔術的隠蔽と修繕作業、そして超越者アンナの侵入に至るまで、戦争直後の混乱と新たな脅威の動向を明瞭に示している。大規模な施設破壊や世間への情報漏洩という過酷な危機を、魔術的欺瞞と隠蔽工作によって封じ込めつつ、更なる上位の存在による潜入を許すに至る、戦後処理と新たな混迷の記録である。内部破壊の発生から、欺瞞術式の展開、事態の隠蔽、そして未知の脅威の接近へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、それぞれの思惑と冷徹な実行力によって物事が引き起こされ、新たな局面的展開へと至る過程が厳密に証明されている。

薔薇十字のアンナ

薔薇十字のアンナの正体と圧倒的な力の全貌

『新約 とある魔術の禁書目録』に登場する薔薇十字のアンナことアンナ=シュプレンゲルは、魔術側の歴史の裏で暗躍し続けてきた超越的な魔術師である。その正体や作中での行動についての解説は以下の通りである。

薔薇十字の令嬢としての真実

彼女は、世界最大の魔術結社黄金よりも格段に長い歴史を持つ薔薇十字のドイツ第一聖堂の支配者である。

・魔術の歴史上では、ウィリアム=ウィン=ウェストコットが黄金創設の許可を得たとされるシュプレンゲル書簡の中にのみ名前が登場していた。

・彼女の正体はウェストコットが捏造した架空の人物、あるいは詐欺師マダム・ホロスが騙った偽名に過ぎないと推測されていた。

・それらの偽情報のさらに裏側に、本物のアンナ=シュプレンゲルは確かに存在していた。

真の姿と圧倒的な超常の力

当初は赤いドレスを着た大人の女性(マダム・ホロス)の姿を隠れ蓑にしていたが、エイワスによって偽装が解かれたことで現れた本来の姿は10歳から12歳程度の少女である。

・赤みの強い金髪を平たく潰して複数のエビフライのようにした特徴的な髪型をしている。

・人間を超えた超常存在シークレットチーフそのものではなく、彼らと自由にコンタクトを取れる巫女の立場にある。

・その実力は常軌を逸しており、わらわの上に誰もいない、世界の方が小さすぎると豪語する。

・本来は恩恵を受け取るべき巫女でありながら、伝説的な聖守護天使エイワスの腹を素手で貫き、自らの椅子代わりにして座るなど、超越存在すらも従属させるほどの力を持っている。

イギリス決戦での暗躍と常軌を逸した挙動

大悪魔コロンゾンによって、自らが設立を許可した魔術結社黄金が操られ、互いに殺し合う惨状に陥ったことに腹を立てた彼女は事態へ本格的に介入した。

・滝壺理后に接触して水晶球を与え、変則的なスクライングを教えることで彼女を誘導し、浜面仕上を救う手助けをしつつ戦場を攪乱した。

・戦いの後には、厳重な隠蔽術式が張られたロンドン塔の奥深くへ誰にも気づかれずに侵入した。

・びっしりと釘が生えた禍々しい拷問器具である審問椅子へベッドのように飛び込んで遊んだ。

・強毒性のサンジェルマンのオリジナル(頭脳侵食細菌)をまるでお菓子のように食べてしまうなど、常人には理解不能な振る舞いを見せた。

新たなる脅威である神浄の討魔への執着

彼女の最大の関心事は、上条当麻個人ではなく、彼の右腕の奥に潜んでいる得体の知れない存在である神浄の討魔である。

・イギリスでの決着を見届けた彼女は、右腕を失った上条から現れた謎の力に対し、貴様達には世界は何色に見えるかと不敵に問いかけた。

・アレイスターやコロンゾンを巡る因縁が一段落した後の世界において、次なる最大の脅威として物語の前面へと姿を現すこととなった。

まとめ

薔薇十字のアンナを巡る一連の全貌は、偽情報の裏に隠された真の出自から始まり、幼い少女としての真の姿の開露、超越存在エイワスすら圧倒する絶対的な武力、イギリス決戦での事態攪乱、そして神浄の討魔への強い執着に至るまで、彼女が魔術世界の新たな中心軸として君臨する過程を明瞭に示している。既存の魔術体系や超常存在の秩序という不条理な檻を打ち破り、自らの圧倒的な力と底知れぬ狂気によって世界の主権を完璧に握るに至る、超越者の出現と暗躍の記録である。偽装の撤廃から、絶対的な力の顕現、裏工作の実行、そして新たな脅威への接近へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

拷問器具とエイワス

ロンドン塔の拷問器具とアンナの侵入の全貌

『新約 とある魔術の禁書目録 (22)リバース』の序章において、ロンドン塔(処刑塔)に保管されていた拷問器具と、そこに侵入したアンナ=シュプレンゲルおよび聖守護天使エイワスのやり取りについての解説は以下の通りである。

修繕中のロンドン塔への潜入と密室の拷問具

大悪魔コロンゾンとの決戦後、上条当麻の幻想殺しによって内部から破壊され、修繕作業中であったロンドン塔に、真の姿を現したアンナ=シュプレンゲルとエイワスが誰にも気づかれずに侵入した。

・塔の奥深くにある暗い石造りの密室が舞台となった。

・そこには、人の脂を吸い錆や風化から身を守ってきた刃や槌、棘や棒、鎖といった数々の拷問処刑具がずらりと並べられていた。

審問椅子への跳躍と衝撃的な光景

数ある拷問器具の中で、10歳程度の少女の姿をしたアンナが目を付けたのは、背もたれや肘掛けなど全面から太い釘がびっしりと突き出た審問椅子と呼ばれる鉄の椅子であった。

・エイワスが止める暇もなく、アンナは行動を起こした。

・まるでお気に入りのベッドに飛び込むような勢いで、無防備な背中やお尻からその釘だらけの椅子へ身を投げた。

舞台装置としての構造と無傷の理由

飛び込んだアンナであったが、その柔肌には傷一つつかなかった。

・この審問椅子は、数百単位の釘が密集しているため、座っても体重が分散されて無傷で済んでしまうという仮説がある代物であった。

・本来は、禍々しい空気で被疑者を呑み込み、パニックを起こさせて無駄な抵抗を防ぐための舞台装置であった。

・エイワスは、嬉々として拷問器具に飛び込むアンナの物好きさに呆れ果てた。

・アンナはバスタブでくつろぐかのように審問椅子の背もたれに体重を預け、リラックスした様子を見せた。

異様な空間で交わされた対話

アンナはこの禍々しい審問椅子に座ったまま、天井に逆さに立つエイワスと会話を交わした。

・コロンゾンとアレイスターの決着や魔術的記憶についての情報を整理した。

・上条当麻の右腕から現れた未知の力である神浄の討魔への強い興味を語り合った。

・異質な存在同士による異様な空間でのやり取りが描かれた。

まとめ

ロンドン塔の拷問器具とアンナの侵入を巡る一連の全貌は、隠密での潜入から始まり、審問椅子への飛び込み、仕掛けの構造、そしてエイワスとの密談に至るまで、超越者としての異質な存在感を明瞭に示している。厳重な管理や禍々しい拷問具の脅威という不条理な檻を打ち破り、自らの気まぐれと絶対的な力によって場を支配するに至る、超越者の散策と密談の記録である。潜入の実行から、審問椅子の検分、構造の証明、そして今後の展開に向けた対話へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

少女たちのドレス採寸

ウィンザー城でのドレス採寸と少女たちの交流の全貌

『新約 とある魔術の禁書目録 (22)リバース』において、大悪魔コロンゾンとの激戦を終えた後、ウィンザー城で行われる祝勝パーティに向けて、食蜂操祈、御坂美琴、インデックスの3人が王室付きの近衛侍女からドレスの採寸と仕立てを受ける場面が描かれている。王室の技術、少女たちの採寸とデザイン、および舞台裏の交流について解説する。

軍事用霊装アラクネ八式による即時ドレス生成

ドレスの制作には、型紙を作って布を裁断するといった一般的な手法は用いられなかった。

・近衛侍女は「アラクネ八式」と呼ばれる、背中から飛び出す8本の蜘蛛のようなアームを備えた霊装を使用した。

・本来は前線基地で破損した鎧や僧服を即座に修繕し、騎士や僧兵を戦場へ復帰させるための軍事用霊装である。

・この技術により、空気に透けるほど細い絹糸の一本一本から直接布を編み上げ、細部の装飾に至るまで一気にオーダーメイドのドレスを出力した。

個性に合わせた採寸とドレスデザイン

桜色の紙の下着一枚の姿で、それぞれの体型や事情に合わせたドレスが仕立てられた。

・食蜂操祈は、エディンバラ城での戦いで腰を痛めていたため、お腹の周囲をウレタン素材のコルセットで固める必要があった。腰回りのコルセットを隠しつつ視線を逸らす目的で、肩を大きく出しスリットを凝らした明るい黄色のカクテルドレスが用意された。

・御坂美琴は、採寸の際に胸囲の測定でメイドからアンダーバストの測定を省略される扱いを受けた。彼女には深い青をベースとし、おへそや脇腹などのシルエットの要所に透かしを織り交ぜたスカートの短いランジェリードレスがあてがわれた。

・インデックスは、幼い印象に合わせてセクシャルな要素を排したデザインが選ばれた。大きなスカートの中に何枚もペティコートを重ねてドームのように膨らませた、白地に明るい赤紫のラインが入ったプリンセスドレスが仕立てられた。

能力者たちの意外な素顔とA.A.A.の活用

普段は強大な能力を振るう少女たちであるが、年相応の素顔やコミカルなやり取りが描かれた。

・紙の下着一枚で採寸されることに対し、美琴や食蜂はプロポーションを指摘されたりコルセットを締め上げられたりと、年相応の羞恥心を見せた。

・インデックスは日本の着替え文化に疎いため無防備に脱ぎ着し、食蜂を慌てさせる場面もあった。

・美琴の大型兵器であるA.A.A.(対魔術式駆動鎧)はパーティ会場へ持ち込むために変形され、黒い箱型となった。

・この箱型A.A.A.は、腰を痛めている食蜂の移動用の椅子として活用されることとなった。

まとめ

ウィンザー城でのドレス採寸を巡る一連の全貌は、軍事用霊装アラクネ八式を用いた即時製衣から始まり、それぞれの体型や事情に応じたドレスの仕立て、そして年相応の反応を見せる少女たちの交流に至るまで、激戦の合間に訪れた束の間の出来事を明瞭に示している。戦火の混乱や能力者としての重責という不条理な檻を脱し、王室の特殊技術と年相応の無邪気なやり取りによってひとときの平和を完璧に享受するに至る、少女たちの休息と装いの記録である。特殊製法による仕立てから、デザインの決定、コミカルなやり取り、そして兵器の椅子への流用へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

ウィンザー城の祝勝会

ウィンザー城での祝勝会と波乱の幕開けの全貌

『新約 とある魔術の禁書目録 (22)リバース』において、大悪魔コロンゾンやクロウリーズ・ハザードによるイギリス侵攻が終結した後、ウィンザー城で開催された祝勝会は、物語の束の間の平穏と次なる波乱の幕開けを描く重要な舞台である。祝勝会の概要、参加者たちの様子、不在の者たちとその背景、および祝勝会の終焉と新たなる脅威の襲来について解説する。

英国女王の計らいとプライベートな祝勝会

英国女王エリザードの計らいにより、このパーティーは堅苦しい迎賓区画ではなく、王族のプライベートな居住区画を用いたアットホームな立食形式のホームパーティーとして開かれた。

・政財界の要人には公開せず、報道陣も完全に排除された。

・激戦を生き抜いた者たちが純粋に戦争の終わりを分かち合い、人生を楽しむための内々の催しであった。

・エリザードは自ら杯を掲げ、散っていった者達のためにも真摯な想いで祈りを捧げ、生きて帰ったこの命でもって人生を楽しむ心を忘れるなと乾杯の音頭を取った。

ドレス姿の少女たちと王女たちの動向

パーティーに参加した少女たちは、王室付きの近衛侍女たちの特殊な技術によって仕立てられたドレスを身に纏っていた。

・インデックスはお姫様のようなドレス姿で料理の並ぶテーブルへと駆け出した。

・御坂美琴と食蜂操祈は露出度の高いドレスを恥じらいながらも、和食コーナーに身を寄せた。

・第一王女リメエアは形式的なイベントを嫌い、お忍びで街の酒場へと繰り出した。

・第三王女ヴィリアンは多くの騎士たちに囲まれて支持を集めていた。

表舞台を離れた協力者たちとそれぞれの選択

イギリスの国難を救うために多大な貢献をした者たちの中には、会場に姿を見せない者も多かった。

・一方通行とクリファパズル545、消滅したダイアン=フォーチュンを取り戻すために行動した浜面仕上と滝壺理后、土御門元春や烏丸府蘭らは不参加であった。

・上条当麻は核心に迫った者ほど表舞台から離れていくことに複雑な思いを抱いた。

・美琴は、裁かれるリスクを承知でこの場に残ったことも自分たちの手でもぎ取った勝ちの形であると捉えていた。

もう一人の上条当麻の襲来と激戦への突入

和やかな祝勝会は長くは続かなかった。

・突如として窓ガラスが割れる音と共に正体不明の侵入者が現れた。

・侵入者の正体は、コロンゾンとの決戦で上条当麻から切断された右腕より分離したもう一人の上条当麻(神浄の討魔)であった。

・有翼のトカゲのような外殻を持つ怪物の襲来により、神裂火織や五和らも集結した。

・祝勝ムードに沸いていたウィンザー城は一転して、『新約』最後の激戦の舞台へと変貌した。

まとめ

ウィンザー城での祝勝会を巡る一連の全貌は、女王の主導による温かな宴の開幕から始まり、華やぐ参加者たちの姿、表舞台を離れた者たちの複雑な思惑、そして不穏な侵入者である神浄の討魔の襲来に至るまで、戦争直後の平和と新たな危機の到来を明瞭に示している。過酷な戦争の終わりと新たな混迷という不条理な檻を脱し、自らの手でもぎ取った勝利のひとときを噛み締めながらも次なる脅威へ立ち向かうに至る、平和の謳歌と新たな開戦の記録である。宴の開催から、参加者の歓談、不参加者の背景、そして脅威の乱入へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

上条当麻の分離

上条当麻の分離現象と二人の激突の全貌

『新約 とある魔術の禁書目録』の完結巻である『新約22巻リバース』において最大の焦点となる「上条当麻の分離」について、その原因、分離した存在の正体、本体の変化と葛藤、および二人の激突についての解説は以下の通りである。

分離の原因と肉体再構築のメカニズム

大悪魔コロンゾンとの決戦において、上条がコロンゾンの魔術を受け、右腕ごと肉体を粉砕されたことが事の発端となった。

・瀕死の上条を蘇生させるため、アレイスター=クロウリーは治癒の妨げになると判断した右腕を意図的に切断し、回復魔術を施した。

・右手の力がない状態が正しいという前提で、上条の身体と頭部のネットワークが再構築された。

・不要と判断された右手の力や、彼が失っていた過去の記憶が行き場を失い、独立した存在として動き出した。

・真のアンナ=シュプレンゲルは、この現象をサナギの中で古い身体を壊して新たな身体を形成する過程に例えた。

もう一人の上条当麻(神浄の討魔)の正体

上条の切断された右腕から出現した「もう一人の上条当麻」は、スカイブルーやショッキングピンク、エメラルドに輝く有翼のトカゲのような外殻を纏っていた。

・外殻の内部には上条当麻と全く同じ顔を持つ少年が存在した。

・本体から幻想殺しと失われた過去の記憶を奪い去っていた。

・上条当麻がもっとスマートに幻想殺しを扱えたらと望んだことによって生まれた存在である。

・失われた記憶を補い能力を上手く扱うために形を得た能力そのものであると主張した。

本体の変化と存在理由を巡る葛藤

幻想殺しを奪われた本体の上条当麻は、欠損した右肩からスカイブルーやレモンイエローの強靭な筋肉の束からなる異形の腕を発現させた。

・過去の記憶を持つもう一人の方が周囲の人間にとって価値があるのではないかと葛藤した。

・昔からの知人に失望されることを恐れた。

・一方通行や浜面仕上、オティヌスらから、記憶の有無で人間の本質は決まらないと諭された。

・今ここにいる自分を信じてくれる人々のために戦う決意を固めた。

ウィンザー城での激突と決着

祝勝ムードに沸いていたウィンザー城のダンスホールにて、二人の上条当麻は対峙した。

・もう一人は食蜂操祈に対し、自分だけが過去を共有できる本物だと語りかけ、心理掌握の能力を利用して城内の人々を支配下に置いた。

・本体の上条当麻は異形の力を振るい、操られた人々やインデックス、御坂美琴らを解放するために単身で城へ突入した。

・幻想殺しの特性を逆手に取り、周囲の環境や仲間からの支援を利用する肉弾戦を展開してもう一人を圧倒した。

・自己の存在意義と神浄の討魔の真髄を懸けた最大の死闘が繰り広げられた。

まとめ

上条当麻の分離と激突を巡る一連の全貌は、切断された右腕からの分離現象から始まり、神浄の討魔の出現、本体の葛藤と精神的覚醒、そしてウィンザー城での死闘に至るまで、主人公が己のアイデンティティを確立する過程を明瞭に示している。記憶の欠損やもう一人の自分という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を今を生きる決意と積み重ねてきた絆によって完璧に確立するに至る、自己の証明と決着の記録である。右腕の切断から、異形の腕の発現、過去の破棄、そして自らの手による決着へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

幻想殺しの強奪

幻想殺しの強奪と奪還の全貌

『新約 とある魔術の禁書目録 (22)リバース』における「幻想殺し(イマジンブレイカー)」の強奪とその奪還について、強奪の経緯、周囲の推測、上条の戦術、および物理的な決着の各点から解説する。

強奪の経緯ともう一人の出現

大悪魔コロンゾンとの戦いで右腕ごと肉体を粉砕された上条当麻は、アレイスター=クロウリーによる右腕の意図的な切断と回復魔術によって一命を取り留めた。

・右手の力がない状態が正しいという前提で身体が再構築された。

・切り離された右腕と失われていた過去の記憶が行き場を失い、独立した存在として具現化した。

・もう一人の上条当麻(神浄の討魔)が出現し、本体の上条から幻想殺しと記憶を強奪して動き出した。

・もう一人は、上条自身がもっとスマートに幻想殺しを扱えたらと未練を抱いたために生まれた、能力そのものが形を得た存在であると主張した。

幻想殺しの行方と理解者たちの推測

幻想殺しを奪われた上条は、失われた右肩からスカイブルーの異形の腕を発現させたが、絞りかすと感じるほど不完全なものであった。

・魔道書の原典であるダイアン=フォーチュンは、タロットカードの愚者のように、幻想殺しも時代によって人や物の間を行き来する性質があると説明した。

・もう一人に奪われたものが完全な幻想殺しとは限らず、両者とも欠けている不完全な状態である可能性を示唆した。

・魔神オティヌスは、アレイスターが右手に世界の基準点以上の全く別の何かを見出していたと語り、都合の良い普遍薬ではなく副作用をもたらす劇薬であると上条に警告した。

幻想殺しを失った上条の泥臭い肉弾戦術

異能を打ち消す最大の武器を奪われ、圧倒的に不利な状況に置かれた上条であったが、決してみくびることはなかった。

・幻想殺しは右の拳にしか宿らないという最大の弱点と欠点を熟知していた。

・相手の腰より低い姿勢を保って真っ直ぐに突進した。

・相手の反撃を上から下への打ち下ろしという実用性の低い一撃しか出せないように限定させる決死の肉弾戦を展開した。

・異能の力ではなく血まみれの泥臭い戦法を持ち込むことで、能力を奪った相手と互角に渡り合った。

物理的決着と右腕の完全なる帰還

死闘の末、上条は残された左手で料理用の大振りなカーヴィングナイフを握り込んだ。

・幻想殺しでは防ぐことができない純粋な物理攻撃によって、もう一人の胸を外側から貫き、決定的な致命傷を与えた。

・敗れたもう一人の少年は形を崩し、空中で渦を巻きながら、食い千切られた上条の右肩の断面へと吸い込まれていった。

・右腕は一滴の血も流さずに完全に繋がり、かつての肌色の五指とともに、幻想殺しは再び上条当麻の元へと帰還を果たした。

まとめ

幻想殺しの強奪と奪還を巡る一連の全貌は、切断された右腕からのもう一人の出現、能力の不完全性の暴露、肉弾戦による追いつめ、そして物理攻撃による決着と再結合に至るまで、主人公が異能に頼らず自身の足で立ち上がった戦いの軌跡を明瞭に示している。異能の不条理や自身から生まれた影という過酷な試練を、自らの肉体と知恵を振り絞った決死の決断によって打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの手で完璧に勝ち取るに至る、能力の真髄と生還の記録である。強奪の発生から、戦術の展開、物理的突破、そして右腕の再結合へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

学園都市の再編

学園都市の再編と新体制確立の全貌

『新約 とある魔術の禁書目録』の終盤、および完結巻『リバース』において描かれた「学園都市の再編」について、その経緯と新体制の確立についての解説は以下の通りである。

アレイスターの退場と全権の譲渡

長年にわたり学園都市を支配し、自身の計画のために都市を利用し続けてきた統括理事長アレイスター=クロウリーは、大悪魔コロンゾンとの決戦を経て表舞台から姿を消した。

・アレイスターは重傷を負った際、学園都市のロックを解除するコードリストが収められた端末を、第一位の超能力者である一方通行へ託した。

・大人たちを憎むのなら自らが統括理事長となり、残された子供達が笑い合える正しい学園都市を作れと全権を譲り渡した。

機能の復旧と帰還する人々

イギリスでの激戦が終結した後、インフラの不具合により暗闇に沈み、人々が避難していた学園都市は機能復旧のアナウンスを出した。

・アレイスターがネットニュースの暗号を通じて、学園都市は自身の手を離れ、アレイスター=クロウリーの影響はもうないと宣言した。

・街からは黒幕の存在も大仰な計画も消え去っていた。

・かつてアレイスターが作ったこの街に魅力を感じて捨てられなかった生徒や住人たちは、街に明かりが戻るとともに次々と帰還し、日常を取り戻し始めた。

統括理事会の権力闘争と介入

アレイスターの不在が確実視された学園都市の裏側では、統括理事会のメンバーたちが次なる王の座を巡って蠢いていた。

・彼らはアレイスターの職務能力喪失を理由に後任人事を進めようとした。

・実質的な支配権の鍵となるコードリストを誰が持っているのかを探り合っていた。

・彼らが秘密裏に集まっていた会議の場に、一方通行が直接乗り込んだ。

新統括理事長・一方通行の誕生と決意

コードリストを手にした一方通行は、統括理事会に対して自らが新たな学園都市統括理事長であることを宣言した。

・彼はすでにイギリスでの戦いの中で、科学サイドの仕組みを全部変え、子供たちが犠牲になるような事態が二度と起きない世界を作ると決意を固めていた。

・学園都市はアレイスターの支配から完全に脱却した。

・街を守る覚悟を決めた最強の超能力者を頂点とする、新たな体制へと再編されることとなった。

まとめ

学園都市の再編を巡る一連の全貌は、旧統括理事長アレイスターの退場から始まり、インフラの復旧と住民の帰還、統括理事会による権力闘争の発生、そして新統括理事長として一方通行が君臨するに至るまで、街の支配体系が根底から変化する過程を明瞭に示している。暗導者による計画や大人たちの身勝手な欲望という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を子供たち自身の手と最強の覚悟によって完璧に確立するに至る、新体制発足と再起の記録である。全権の譲渡から、日常の再生、権力闘争の粉砕、そして決意の宣誓へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

新約 とある魔術の禁書目録(22)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
創約 とある魔術の禁書目録(1)

登場キャラクター

学園都市

上条当麻

右手に異能を打ち消す「幻想殺し」を持つ高校生である。オティヌスを理解者として肩に乗せている。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の高校生。
・物語内での具体的な行動や成果
 祝勝会の会場で切断された右腕から出現した「もう一人の上条当麻」と対峙し、過去の記憶を盾にする偽物との死闘へ挑んだ。泥臭い肉弾戦を展開し、最終的に物理的な刃物を用いてもう一人を打ち倒す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 奪われた幻想殺しと日常の奪還を果たし、戦乱を収束させた。右腕を奪われている間は、異形の竜の力を発現させて戦っていた。

もう一人の上条当麻(神浄の討魔)

上条当麻の切断された右腕から独立した存在である。上条と同じ顔を持ち、過去の記憶と幻想殺しを強奪している。

・所属組織、地位や役職
 上条当麻から分離した存在。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城の祝勝会に乱入し、食蜂操祈の心の隙を突いて彼女を支配下に置いた。城内の人々を操って大混乱を引き起こし、本体の上条当麻と死闘を繰り広げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 スカイブルーやレモンイエローの有翼の竜のような外殻を纏う。最終的に上条に敗北し、右肩の断面へと吸い込まれて消滅した。

御坂美琴

学園都市第三位の超能力者である。上条当麻に好意を抱いている。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の超能力者(第三位)、常盤台中学の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 メイドに仕立てられた青いランジェリードレスを着用し、祝勝会に参加した。食蜂の能力支配から上条を逃がすため、A.A.A.を用いて彼を城外へ突き飛ばした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自身は食蜂の支配下に落ちてしまうが、A.A.A.の箱型形態は食蜂の椅子代わりに利用された。

食蜂操祈

学園都市第五位の超能力者である。記憶喪失以前の上条当麻と過去を共有している。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の超能力者(第五位)、常盤台中学の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城の祝勝会でメイドに黄色のカクテルドレスを仕立てられた。過去の記憶を持つもう一人の上条の甘い言葉に心が揺らぎ、能力を暴走させて城内の人々を支配してしまう。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エディンバラ城での戦いで腰を痛めており、コルセットを着用している。自身の未練と孤独につけ込まれる形となった。

浜面仕上

滝壺理后を大切に想う無能力者の少年である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の無能力者(レベル0)。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城の酒場で上条や一方通行らと合流した。過去を知らなくても今の関係は成立していると語り、上条の決断を後押しする。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 大悪魔コロンゾンとの戦いを経て生き残り、それぞれの戦いに身を投じている。

滝壺理后

浜面仕上の恋人である。彼と行動を共にしている。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の能力者(レベル4)。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城の酒場で浜面たちと同席した。過去の記憶について悩む上条の背中を押す場に立ち会う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ピンクジャージにもこもこニットの服装をしている。

一方通行

学園都市第一位の超能力者である。クリファパズル545と行動を共にしている。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の新統括理事長、第一位の超能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城の酒場で上条たちと対話し、記憶に頼らない現在の関係性を主張した。城外では、国民を守ろうとする英国女王エリザードと真正面から激突する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 戦後、学園都市の統括理事会に直接乗り込み、コードリストを提示して新統括理事長への就任を宣言した。

土御門元春

義理の妹である舞夏を大切にする多重スパイである。

・所属組織、地位や役職
 学園都市とイギリス清教の多重スパイ。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去の戦いにおいて、アレイスターからみんなを庇い、学園都市外へ逃亡する手続きを進めようとしていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 祝勝会の場には姿を見せていない。

烏丸府蘭

ウサギアンテナのパーカービキニ姿の少女である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の人間、イギリス清教の魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
 通信網が途絶する中、ヴィリアンと契約を結んで無線電波の繋ぎ役を買って出た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 上空からUFOバルーンで戦場を見渡し、イギリス側に貢献した。

カエル顔の医者

冥途帰しと呼ばれる医師である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の医師。
・物語内での具体的な行動や成果
 アレイスターの愛娘であるリリスをこの世に定着させるために招聘された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

木原脳幹

ゴールデンレトリバーの姿をした研究者である。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の木原一族。
・物語内での具体的な行動や成果
 瀕死の状態から復活し、カエル顔の医者とともにリリスの定着に関わった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

リリス

アレイスターの娘である。肉体を持たない魂として存在する。

・所属組織、地位や役職
 アレイスターの娘。
・物語内での具体的な行動や成果
 ミナ=メイザースに保護され、カエル顔の医者によって現世に定着させるための処置を受けている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アネリ

浜面仕上の携帯電話に宿るサポートAIである。

・所属組織、地位や役職
 問答型思考補助式人工知能。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城の酒場でも浜面とともに同席し、彼のポケットの中に常駐している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

王室派・騎士派

エリザード

英国女王である。国民を守る強い意志を持つ。

・所属組織、地位や役職
 英国女王。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城で祝勝会を開催し、乾杯の音頭を取った。その後、カーテナ=セカンドを掴み、一方通行と激突する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 国民を守るためなら強硬手段も辞さない姿勢を示す。

リメエア

英国第一王女である。片眼鏡の淑女である。

・所属組織、地位や役職
 英国第一王女。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城の酒場で上条たちと合流し、酔っ払いたちに強い酒を一斉に振る舞って場を沈静化させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ヴィリアン

英国第三王女である。

・所属組織、地位や役職
 英国第三王女。
・物語内での具体的な行動や成果
 烏丸府蘭と契約を結んで無線電波の繋ぎ役を担わせた。その後、鎮圧部隊を率いて一方通行たちの前に現れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

女性騎士

銀の鎧を纏う英国の騎士である。

・所属組織、地位や役職
 騎士派の騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城の祝勝会において軍馬に乗らず参加していた。騒動の中で負傷者の対応などを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ホレグレス=ミレーツ

小太りの騎士である。

・所属組織、地位や役職
 騎士派の重鎮。
・物語内での具体的な行動や成果
 祝勝会の最中に見回りを理由に持ち場を離れ、シスターを気絶させて刃物を奪った。その後、一方通行や浜面と遭遇して交戦姿勢を取る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 女王エリザードを支えるため、独自の正義感で行動している。

イギリス清教・天草式十字凄教

インデックス

十万三千一冊の魔道書を記憶する少女である。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教の魔道書図書館。
・物語内での具体的な行動や成果
 祝勝会でプリンセスドレスを着用し、料理を楽しんでいた。食蜂の暴走により「自動書記」モードが強制起動し、上条たちを迎撃する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 最終的に上条の拳によって制御陣を砕かれ、解放された。

神裂火織

天草式十字凄教の女教皇であり、聖人の一人である。

・所属組織、地位や役職
 天草式十字凄教の女教皇。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城の屋内警備を担当していた。もう一人の上条の不自然な証言に違和感を覚える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 和洋折衷のドレスを着用し、手帳で記録を取っていた。

ステイル=マグヌス

炎を操る魔術師である。

・所属組織、地位や役職
 必要悪の教会。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城の屋内警備を担当し、タバコを吸いながら状況を監視していた。もう一人の上条と交戦状態に入る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 フォーマルな燕尾服を着用している。

建宮斎字

天草式十字凄教を率いる人物である。

・所属組織、地位や役職
 天草式十字凄教。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城でステイルと会話を交わし、警備状況を確認した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

五和

天草式十字凄教の少女である。

・所属組織、地位や役職
 天草式十字凄教。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城の騒ぎで上条の安全を心配し、彼のもとへ駆けつけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 露出度の高いドレスを着用していた。

オルソラ=アクィナス

ローマ正教式の修道服を着た女性である。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教のシスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 騒動の際に上条が神裂に助けを求める言葉の中で名前が挙がった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アニェーゼ=サンクティス

元ローマ正教のシスターである。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教(元アニェーゼ部隊)。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城の衛兵詰め所で仲間たちと手作りボードゲームに興じていた。ホレグレスの行動を止めるよう忠告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ルチア

元ローマ正教のシスターである。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教(元アニェーゼ部隊)。
・物語内での具体的な行動や成果
 乱闘の音に応じて駆けつけ、もう一人の上条の証言に対して特に異議を出さなかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

魔術結社『黄金』・薔薇十字

アンナ=シュプレンゲル

薔薇十字の令嬢である。

・所属組織、地位や役職
 薔薇十字のドイツ第一聖堂支配者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ロンドン塔に侵入し、拷問器具である審問椅子に飛び込んで遊びながら状況を傍観した。神浄の討魔の敗北を見届けた後、次なる脅威として暗躍を始める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 上条の右腕に潜む力へ強い興味を示した。

ダイアン=フォーチュン

タロットカードから構成された魔術師である。

・所属組織、地位や役職
 魔術結社『黄金』の魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城の酒場で上条たちと同席し、タロットの観点から助言を与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 戦後処理において、自身をイギリス清教の新たな最大主教とするよう英国女王に提案した。

ミナ=メイザース

黒猫の魔女と呼ばれる魔道書の意識体である。

・所属組織、地位や役職
 問答型思考補助式人工知能。
・物語内での具体的な行動や成果
 アレイスターの娘リリスの世話をしており、カエル顔の医者とリリスの肉体構築について協議している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アレイスターからリリスの乳母役として指名された。

魔神・悪魔・その他の魔術勢力

聖守護天使エイワス

アレイスターが接触した超越存在である。アンナに従う。

・所属組織、地位や役職
 聖守護天使。
・物語内での具体的な行動や成果
 アンナとともにロンドン塔へ侵入し、アレイスターたちの動向について報告を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アンナに従属する立場にある。

オティヌス

上条当麻の理解者である魔神である。

・所属組織、地位や役職
 魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
 上条の肩に乗って酒場での議論に参加した。記憶の有無で人間の本質は決まらないと語り、上条を導く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一五センチのサイズで上条とともに行動している。

クリファパズル545

人造の悪魔である。一方通行と契約し彼を支える。

・所属組織、地位や役職
 人造悪魔。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンザー城の酒場で一方通行の傍らに寄り添う。ミサカネットワークの補助を受けて力を発揮する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一方通行との契約を維持している。

新約 とある魔術の禁書目録(22)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
創約 とある魔術の禁書目録(1)

展開まとめ

序章 終戦までの流れ Road_to_the_Peace. 

処刑塔への侵入

戦争終結後、アンナ=シュプレンゲルとエイワスは、ロンドンの処刑塔へ誰にも気づかれず侵入した。アンナは、自分の肉体を奪われていた間に起きた出来事をエイワスへ説明させ、コロンゾンがアレイスターを襲撃してクロウリーズ・ハザードが発生した経緯を聞いた。

コロンゾンの敗北

エイワスは、アレイスターやメイザースが抵抗を続け、コロンゾンがモアサイアの儀によって物理世界と全位相を破壊しようとしたと説明した。アンナはその顛末を当然の結果として受け止め、コロンゾンが最初からアレイスターを直接殺さなかったことを疑問視した。

拷問器具への興味

処刑塔の奥へ進んだアンナは、数々の拷問器具を楽しげに観察し、釘の生えた椅子へ自ら飛び込んだ。しかし彼女の身体には傷一つつかず、以前に試した別の拷問器具と大差ないと評した。エイワスはその行動に呆れながらも、世界が滅びずに続いていることを伝えた。

継続する世界

アンナは、世界が壊れずに続いていることを歓迎した。自らが支配し恩恵を与える女王ではなく、上位の存在から奇跡や力を与えられる側になりたいと語り、自分で選んだ場所なら牢獄であっても快適に過ごせると考えていた。

アンナの渇望

エイワスは、破滅より世界の継続を望むアンナが上条当麻に興味を持っているのかと尋ねた。しかしアンナはそれを否定した。彼女が焦がれていたのは上条当麻本人ではなく、その右手の奥に潜む神浄の討魔であった。

第一章 笑顔 After Battle. 

祝勝会の支度

ウィンザー城では、インデックス、御坂美琴、食蜂操祈が王室付きのメイド達から採寸を受け、祝勝会用のドレスを仕立ててもらっていた。腰を負傷していた食蜂にはコルセットを組み込んだ黄色のドレス、美琴には青いランジェリードレス、インデックスには白地のプリンセスドレスが選ばれた。メイド達は霊装を使って糸から衣装を短時間で編み上げ、魔術の存在も隠そうとはしなかった。

上条当麻との再会

着替えを終えた三人は、黒いタキシード姿の上条当麻と出会った。美琴は肌の露出が多い服装を見られて動揺したが、上条の記憶に残れないことを恐れていた食蜂は前へ出られなかった。しかし上条が食蜂の名を呼んで同行を促したため、食蜂はその小さな奇跡を受け入れ、思い出と防災ホイッスルを胸に歩き出した。

リメエアの感謝

祝勝会の前、上条は第一王女リメエアと二人で紅茶を飲んでいた。リメエアは肩書きではなく一人の人間として、英国を守った上条へ感謝を伝えた。上条は自分が戦いの中心ではなく、生き残っただけだと考えていたが、リメエアはアレイスターが最後まで戦えたのは上条達へ背中を預けられたからだと告げた。さらに、上条が見てきた人間としてのアレイスターを語り継ぐよう求め、勝って帰った時間を楽しむよう送り出した。

英国式の紅茶

上条達は祝勝会までの時間を紅茶で過ごした。紅茶の淹れ方が分からない上条に対し、美琴と食蜂が茶葉の選択や量、蒸らし方を教えた。食蜂は上条が砂糖と蜂蜜を入れる好みまで覚えており、美琴はその親しさを疑った。食蜂はインデックスの世話をする上条を眺めながら、過去の思い出を重ねていた。

戦勝の宴

エリザードはクロウリーズ・ハザードとコロンゾンによる国難の終結を宣言し、犠牲者を悼みながら生き残った者達が人生を楽しむよう呼びかけた。ウィンザー城の祝勝会は内輪の立食形式で開かれ、インデックスは料理へ駆け出し、美琴と食蜂は不慣れな英国料理を警戒して和食の一角へ集まった。

宴にいない者達

一方通行、クリファパズル545、浜面仕上、滝壺理后、土御門元春らは、それぞれの立場や事情から祝勝会へ姿を見せなかった。上条は戦いの核心に近づいた者ほど祝福の場から離れていることに棘を感じたが、美琴は、残る者も去る者も恐怖を抱えながら自分で選択した結果だと語った。そして自分達が裁かれる可能性を承知で英国に残り、事情を話した末に得た祝宴も、自ら掴んだ勝利の形だと考えていた。

女王の覚悟

エリザードは上条に、国を守るとは必要なことを必要なだけ続けることだと語った。国家も黙っていれば平和が続くものではなく、支え方を誤れば善悪の基準さえ傾くため、気を抜ける日はないと告げた。

食蜂操祈の恐怖

宴の中で食蜂は、上条が視界から消えるだけで、自分に関する記憶が再び失われるのではないかと不安を抱いた。腰の痛みを隠す食蜂に気づいた美琴は、A.A.A.を椅子代わりに動かして休ませた。二人は互いの弱さや悪夢について語り、食蜂は上条と共にいる現在の幸せな光景そのものが、いつか失われる悪夢だと打ち明けた。

酔ったオルソラ

化粧室へ向かった上条は、通路で泥酔したオルソラ=アクィナスを発見した。服装も乱れ、自力で歩けない彼女を上条は抱えて運ぼうとしたが、騒ぎを聞いた神裂火織に誤解されかけた。上条は事情を説明しながら助けを求めた。

ホレグレスの変化

衛兵詰め所にいたホレグレス=ミレーツは、城内から聞こえた異音を警戒し、再び見回りへ向かった。かつて他者を使い潰そうとしていた彼は、ヴィリアン達との出会いを経て、自ら危険を確かめる騎士へ変わっていた。アニェーゼと巡回する中、二人は直前までなかった巨大で禍々しい足跡を城の外で発見した。

竜の爪

化粧室から戻る途中、上条は二階の窓から風が吹き込んでいることに気づいた。振り返った彼は、通路に潜んでいた何者かへ、到着が遅かったと旧知の相手のように呼びかけた。返答の代わりに、青と黄色の異形から巨大な竜の鉤爪が飛び出した。

行間 一

ミナの抗議

戦争後、キャンピングカーで暮らすミナ=メイザースは、アラン=ベネットの正体を隠されていたことを知り、カエル顔の医者へ強く抗議していた。木原脳幹は原因はアレイスターの指示だったと理解しつつも、説明できない状況にあった。医者は機嫌を直そうとしたが、ミナは納得せず不満を募らせていた。

リリスとの暮らし

リリスは人間の肉体を得たことで赤子として哺乳瓶を必要とする存在となっていた。ミナは戦争とアレイスターの死を経た中でも、リリスの世話をしながら静かに日常を送っていた。

雲という考え方

ミナはウェストコットが黄金の仲間へ真実を隠すため、シュプレンゲル書簡を自ら偽造し、本物のアンナ=シュプレンゲルの存在を覆い隠そうとしていた可能性を語った。それを雲と呼び、わざと見せた嘘によって人々の視線を誘導し、その先にある真実を守ろうとした考え方だと説明した。

ウェストコットの信念

ウェストコットは自らが偽造書簡を作った事実を利用され、メイザース派との対立を引き起こされてもなお、本物のアンナの存在を明かさなかった。それほどまでに真実を秘匿しようとする信念を貫いていた可能性が示された。

終わりのない疑念

ミナは雲という理屈は、どのような新説も別の雲だと否定できる危うさを持つと語った。あらゆるものを疑い続ければ、最後には何も残らなくなるかもしれないと、その考え方の限界を口にした。

木原脳幹の違和感

木原脳幹はキャンピングカーの外へ出たものの、路上喫煙禁止のため葉巻を吸えず肩を落とした。その一方で、研究者としての直感から、木原という仕組みを支えていたアレイスターが死んだはずなのに、なお彼の存在の気配が残っていることへ強い違和感を覚えていた。

第二章 ささやかな栄冠 Party_for_Winners. 

窓からの侵入者

ウィンザー城でガラスが割られ、上条当麻は有翼のトカゲのような怪物に襲われた状況を神裂火織たちへ説明した。怪物は途中で痕跡を消して逃走しており、神裂たちは正体を断定せず警戒を強める一方、上条は竜という言葉に強く反応し、新たな脅威の存在を意識していた。

警戒態勢の継続

英国女王エリザードは城内の警備を優先し、外部捜索は別働隊へ任せる判断を下した。神裂は平常を保つこと自体が社会を守ることにつながると上条を諭し、彼をパーティへ戻らせた。

医務室の騒動

インデックスは上条のために救急用品を受け取りに医務室を訪れた。そこで酒に酔ったオルソラ=アクィナスを見つけ、励まそうとしたが、オルソラは酔いの勢いで甘え続けた。

美琴と食蜂のひととき

御坂美琴と食蜂操祈は別室で騒動の音を聞きながら過ごしていた。上条が無事に戻ってきたことに食蜂は安堵したものの、上条の不用意な発言から誤解が生じ、美琴と食蜂は再び上条へ攻撃を加えた。

ステイルの推測

ステイル=マグヌスは建宮斎字と現場を調査し、侵入者は魔術の痕跡をほとんど残しておらず、内部事情を熟知しているような動きを見せたことを不審視した。そして実行役とは別に、高度な知識を持つ協力者が存在する可能性を疑った。

学園都市への帰還

事件が一段落した後、上条はアレイスターとコロンゾンの消滅によって、自分たちの居場所も変わろうとしていることをインデックスへ打ち明けた。進むべき道を迷う上条に対し、インデックスは学園都市へ帰ろうと告げ、自分たちが命懸けで守った日常へ戻る決意を示した。

再び現れた怪物

互いの思いを確かめ合おうとした瞬間、有翼のトカゲが再び襲来した。御坂美琴の超電磁砲を受けても怪物は止まらず、上条の右手だけを執拗に狙った。しかし幻想殺しと接触した怪物の外殻は崩壊し、その内部から上条当麻と同じ姿をした少年が現れた。

右腕から現れたもう一人の上条

時間は戦争終結直前へ戻り、上条の右腕が肩から爆発し、その中から上条と同じ姿の存在が出現していたことが明かされた。その存在は幻想殺しを持ち去り、上条の右腕には異形の力が宿ることとなった。

二人の上条当麻

ダンスホールでは二人の上条当麻が対峙した。幻想殺しを持つ少年は過去の出来事を正確に語って自分こそ本物だと主張したが、異形の右腕を持つ上条は右腕の秘密こそ真相につながると訴えた。周囲は判断できず、場は混乱していった。

食蜂操祈の選択

幻想殺しを持つ少年は食蜂操祈へ味方するよう迫った。食蜂は記憶を失わず自分を覚えていてくれた存在への思いを捨てられず涙を流しながら能力を暴走させ、城中の人々を支配下へ置いた。御坂美琴は支配される直前、A.A.A.を操って異形の右腕を持つ上条を城の外へ逃がし、残された希望を託して意識を失った。

行間 二 

サンジェルマンの試食

処刑塔に滞在するアンナ=シュプレンゲルは、監獄に保管されていた強毒性のサンジェルマンを口にした。彼女は頭脳侵食細菌を菓子のように飲み込み、かつてより質が落ちたと評した。さらに、現代科学の起点となった思想も薔薇十字と無関係ではないとして、科学と魔術を分ける枠組み自体を重視しなかった。

ウィンザー城の箱庭

アンナは菓子の包装と縄を組み合わせ、跳び縄の残像を利用してウィンザー城を再現した。クリスチャン=ローゼンクロイツの墓所に伝わる世界のミニチュアを応用し、城内を動く人々を観察したのである。しかし彼女はすぐに介入せず、新たな存在が形成される過程には不用意に触れるべきではないと考えていた。

魔術的記憶

アンナとエイワスは、自分の記憶を遡ることで別人や前世の記憶へ到達するという魔術的記憶について語った。アレイスターはエリファス=レヴィの記憶と技術を継承したと考えていたが、アンナは記憶の有無だけで人の価値や正体を分ける考えを否定した。

上条当麻の損傷

アンナは、上条当麻が食蜂操祈とインデックスによって頭部へ重い損傷を受け、科学と魔術の双方から不安定な状態に置かれていたと整理した。さらにアレイスターが右手を切断した後で回復魔術を施したため、かろうじて保たれていた均衡が崩れたと推測した。

右手なき状態での再構築

アレイスターの回復魔術は、右手の力がない状態を正しい前提として上条の身体と頭部のネットワークを再構築した。そのため不要と判断された右手の力や記憶が行き場を失い、別の場所で一つに凝り固まった可能性が生じた。コロンゾンによる繰り返しの切断が、その分離を決定的にしたのである。

独立した別の存在

アンナは、幻想殺しを奪った存在が心身ともに上条当麻から独立していると結論づけた。記憶を持つ側と持たない側のどちらが本物かという判断基準は誤りであり、両者はすでに別々の存在として動き始めていた。

サナギの中の再構成

アンナは、サナギの中で古い身体を壊して新たな身体を形成する仕組みを、古い自分を裁いて新しい自己を得る過程に重ねた。人間が能力を操るという固定観念さえ覆る可能性を見据え、神浄の討魔が何を壊し、何を新たに形作るのかを観察しようとしていた。

第三章 リバースポジション Winged_Lizard. 

城外への逃走

ウィンザー城から放り出された上条当麻は、食蜂操祈に支配された警備隊から逃走した。右腕を覆う異形の力を竜の姿へ変え、オティヌスの助言を受けながらマンドラゴラの罠や追跡犬を振り切り、テムズ川を越えて城外へ脱出した。幻想殺しを失った上条は魔術を防げなくなった一方、竜の力が急速に体へ馴染み始めていることへ危機感を抱いた。

未知の右腕

オティヌスにも、スカイブルーの右腕の正体は分からなかった。それはオティヌスが世界を修復した時点では存在しなかった変化であり、幻想殺しから何かが増えたのか、失われたことで崩壊が始まったのかも判別できなかった。上条は危険を承知しながら、自分にしか救えない者達のため、奪われたものを取り戻すと決意した。

偽りの上条と食蜂

ウィンザー城では、幻想殺しを持つ少年が食蜂操祈の能力で操られた者達を調べ、魔術師の一部が意識を自動的に遮断して支配を免れていると分析した。食蜂は、その冷静な思考や自分の好みを知る言葉に、かつて共に過ごした上条を重ねた。さらに心理掌握が右手で打ち消されたため、目の前の少年を偽物と否定する理由を失っていった。

過去を持つ少年

幻想殺しを持つ少年は、竜の姿になった上条を、思い出を共有できず最後には全てを忘れる存在だと切り捨てた。そして食蜂が求める過去や記憶を持つのは自分だけだと告げ、彼女の未練と孤独を利用して支配を強めた。

夜の酒場の再集結

上条はオティヌスと共にウィンザーの酒場へ向かい、第一王女リメエア、一方通行、浜面仕上、滝壺理后、クリファパズル545、ダイアン=フォーチュンらと合流した。幻想殺しが機能していないことを確かめた上条は、城内の食蜂が人々を支配し、もう一人の自分が過去の記憶を利用している状況を説明した。

彷徨う愚者

ダイアン=フォーチュンは、タロットが術者の心や人間の設計図を表すことを踏まえ、上条の右腕が復活を繰り返す過程で構成の順序が崩れた可能性を示した。幻想殺しも時代によって人や物の間を移動する性質を持ち、二人の上条は互いに欠けた状態で分離した、彷徨う愚者のような存在かもしれないと推測した。

現在の自分

上条は、過去の記憶を持たない自分には価値がなく、昔からの知人に失望されることを恐れていた。しかし一方通行や浜面は、過去を知らなくても今ここにいる上条との関係は成立していると告げた。オティヌスやクリファパズル、ダイアンも、記憶の有無では人間の本質は決まらないと語ったため、上条は過去ではなく現在の自分を優先すると決めた。

奪還への決意

上条は、もう一人の自分が過去を利用して人間関係を壊し、インデックスや美琴、食蜂を犠牲にしていることへ怒りを燃やした。正しさではなく、自分が築いたつながりを守るために戦うと宣言し、幻想殺しや過去を奪い返すためウィンザー城へ戻る方針を固めた。

女王への脅迫

城内では、幻想殺しを持つ少年がエリザードを別室へ連れ出し、カーテナ=セカンドや英国の重要霊装を人質に取った。国防設備を破壊すれば一般国民が危険にさらされると理解した上で、食蜂の支配を免れた魔術師達を説得し、自分の戦力として差し出すよう迫った。エリザードは彼を英国の国難と断じながらも、国民を守るため要求を拒み切れなかった。

人のつながりの悪用

幻想殺しを持つ少年は、上条が築いてきた人間関係や相手の弱点を把握し、それらを救うためではなく操るために利用しようとした。神裂火織やステイル、天草式、元アニェーゼ部隊、ヴィリアンらの感情を揺さぶり、連鎖的に味方へ引き込む計画を進めた。

一人きりの食蜂

荒れ果てたダンスホールで、食蜂は支配したインデックスの前に座り、自分の選択を悔いていた。初めての魔術戦と、上条に忘れられる恐怖の中で、偽物かもしれない光へすがった結果、仲間も祝勝会も台無しにしてしまったのである。誰にも責められないからこそ自分を許せず、食蜂は自分の愚かさを嘆きながら一人で涙を流した。そばには、心理掌握の影響を受けなかった三毛猫だけが寄り添っていた。

行間 三 

化粧室の異変

ウィンザー城の化粧室で、タキシード姿の少年は鏡を前に体の異変を確かめていた。外傷はないはずだったが、体の内側を焼くような熱と感覚の鈍化が続き、右手の皮膚には亀裂が走ってショッキングピンクやエメラルドの鮮やかな色彩が現れた。

傷の履歴

少年は三毛猫や女性騎士、神裂火織の平手打ち、食蜂操祈の椅子の形をしたA.A.A.、エリザードの術式などの名を口にすると、それに応じて体の各所へ異なる傷跡が浮かび上がった。それらを傷の履歴として次々に切り替えながら、上条当麻からは一撃も受けていないことを皮肉混じりに笑った。

押し留める亀裂

少年は自分しかいない空間で、全身へ広がろうとするショッキングピンクとエメラルドの亀裂を強引に押し留めた。まだ制御は失われていないと判断しつつ、スカイブルーとレモンイエローとは対になる存在ではなく、噛み合わない独自性こそが完成へ近づく要素であると考えていた。

竜の象徴

少年はドラゴンを、善悪を超えて家や組織の象徴にもなる特異な存在として捉えていた。洗面台の薔薇の装飾にも普遍的な象徴性を重ね合わせ、人が築いた倫理や規範に不足があれば、それを覆して正義の傷を修復すべきだという思想を思い返した。

正義の修復

少年は、その思想が自分自身へ直結するものではないと考えながらも、上条当麻は外殻を操る程度が自分の正体だと思っているはずだと嘲笑した。そして人の心は本人にも全て理解できるものではないと踏まえ、不足を感じたなら正義の傷を修復し、人間と能力の関係そのものを入れ替えるように観測者の主観を変えることを思案した。

第四章 自己という関門を越えろ Break_the_Wall. 

女王の決意

エリザードは国民から届いた無数の励ましの言葉を前に、自らの判断で上条当麻や魔術師たちを戦わせてしまった罪を痛感していた。それでも国民だけは見捨てられないと決意し、王として戦い続ける覚悟を固めた。

戦場への突入

ウィンザー城では英国側の戦力が迎撃態勢を整え、上条当麻側も一方通行や浜面仕上らが陽動を開始した。上条は仲間の支援に感謝しながらも、それを当然と思う人間にはなりたくないと自戒し、自分の戦いは自分で決着をつけると誓って城へ突入した。

ステイルと神裂の迎撃

城内へ入った上条は、待ち構えていたステイル=マグヌスと神裂火織の連携攻撃を受けた。強化された知覚で神裂の奇襲を見抜くと、マンドラゴラで一時的に足止めし、ダイアン=フォーチュンの援護を呼び寄せて突破口を切り開いた。

魔女狩りの王の突破

ステイルが魔女狩りの王を召喚すると、上条は真正面から戦うことを避け、拾った肥料を炎へ投げ込んで強烈な刺激臭を発生させた。その隙に外殻の力で接近し、ステイルを打ち倒して先へ進んだ。

滝壺とリメエアの援護

テムズ川の対岸では滝壺理后が重機関銃で陽動を続け、リメエアは戦況を分析していた。二人はカーテナを手に戦うエリザードの姿を確認し、上条を生かすため援護射撃を継続した。

食蜂の苦悩

ダンスホールでは食蜂操祈が、もう一人の上条の指示で御坂美琴を操ろうとしていた。しかしA.A.A.は事前に細工されており、美琴ではなくタキシード姿の少年へ攻撃を開始した。さらに食蜂は自動書記を復元してインデックスを制御しようとしたが、それは予想外の暴走を引き起こしてしまった。

制御不能の始まり

自動書記が復活したインデックスは、外部からの不正な干渉を検知すると、対象を全て排除すると宣言した。食蜂は取り返しのつかない事態を悟り、防災ホイッスルへ手を伸ばした直後、ウィンザー城全体を揺るがす激しい衝撃が発生した。

警告の笛

上条当麻は城全体を揺るがす異変と笛の音を耳にし、説明できない不安を覚えながらも冷静さを保とうと努めた。そして震動の発生源と思われるダンスホールへ向かった。

血に染まる食蜂操祈

ダンスホールではインデックスと御坂美琴が激しく戦い続けており、その傍らでは重傷を負った食蜂操祈が倒れていた。食蜂は上条に、自分の過ちと本当は上条を信じていた思いを打ち明け、最後まで笑顔を浮かべたまま意識を失った。上条は何もできなかった無力感と怒りに打ちのめされた。

命を繋ぐ希望

オティヌスは食蜂がまだ救える可能性があると告げ、応急処置を施しながら時間を稼げば医師のもとへ運べると説明した。さらに幻想殺しには世界を癒やす普遍薬のような役割がある可能性を語る一方、それだけでは説明できない未知の危険も秘めていると警告した。しかし上条は自分の力よりも、目の前の仲間を救うことを優先すると決意した。

怒りの激突

もう一人の上条は心理掌握を失ったことを嘆きながらも戦意を失わず、上条は食蜂を守れなかった相手へ激しい怒りをぶつけた。一方で浜面仕上は女王エリザードに追い詰められるが、一方通行の介入によって窮地を脱した。

女王と第一位

エリザードは国民を守るためなら手段を選ばないと覚悟を示したが、一方通行はその考えを否定し、頂点に立つ者は未来を示す存在であるべきだと告げて真正面から対峙した。

死闘の再開

ダンスホールでは上条ともう一人の上条が再び激突した。上条は幻想殺しの特性を逆手に取って肉弾戦へ持ち込み、周囲の調理器具を利用しながら互角に渡り合った。しかし怒りは頂点に達し、ついには相手を殺すとまで口にするほど追い詰められていった。

神裂とフォーチュン

別の場所では神裂火織とダイアン=フォーチュンが交戦していた。神裂は地脈の流れを断って魔道書の力を奪おうとしたが、フォーチュンは独自の魔術でその術式を組み替えて対抗した。互いに相手の弱点を突く攻防を繰り広げた末、フォーチュンは神裂の躊躇を見抜き、至近距離から黒い箱で神裂を打ち倒した。

最終決戦

傷だらけの対峙

シャンデリアの破片で全身を傷つけられた上条当麻は、それでも囚われた少女たちを救うため立ち上がった。一方、もう一人の上条も傷を負いながら、食蜂操祈やインデックス、美琴を救うためだったと自らの行動を正当化し、互いの信念をぶつけ合った。

もう一人の上条の正体

もう一人の上条は、自分は上条が望んだから生まれた存在であり、失われた記憶を補い、幻想殺しをより上手く扱うために形を得た能力だと明かした。その言葉から上条は、能力と人格の関係や神浄討魔の本質について考えを巡らせた。

一方通行とエリザードの決着

一方通行は学園都市の技術を総動員し、軌道兵器やミクロ兵器、生体兵器まで投入してエリザードを追い詰めた。そして最後は自ら拳を振るって勝利するも、とどめは刺さず戦後の和解を優先した。さらにヴィリアンや烏丸府蘭と協力し、イギリスとの対立を深めない形で事態を収束させた。

互いを否定する二人

もう一人の上条は、自分こそが失われた幸せを守る存在だと主張した。それに対し上条は、悲劇を招いた原因は相手自身にあると断じ、互いに決して譲れない思いを胸に最後の激突へ踏み込んだ。

もう一人の上条との決着

上条は水晶片を握り込んだ拳で相手の口内を傷つけ、さらにカービングナイフで胸を貫いた。敗れたもう一人の上条は、二度と同じ過ちを繰り返すなと言い残して上条の右腕へ戻り、幻想殺しも元の姿を取り戻した。

インデックスの救出

上条は決着後も止まらないインデックスと御坂美琴の戦いを止めるため駆け出した。御坂自身がわずかに反応して時間を稼いだ隙を突き、上条はインデックスへたどり着いて幻想殺しを叩き込み、自動書記と黒い亀裂の奥に潜む存在をまとめて打ち砕いた。

平穏への一歩

意識を失ったインデックスを抱き止めた上条は、背後から迫る最後の悪意も幻想殺しで退けた。そして全員で学園都市へ帰ろうと誓い、長い戦いに終止符を打った。

終章 黄金と薔薇 Change_the_Rail. 

学園都市への帰還

芳川桔梗や打ち止めたちは学園都市へ戻り、街に明かりが戻った様子を喜んだ。避難していた人々も次々と帰還し、問題が解決したのは見えない場所で多くの者が尽力した結果であると示された。

再会と日常

一方通行や御坂美琴、食蜂操祈、麦野沈利、浜面仕上たちもそれぞれ学園都市へ戻った。戦いの傷や思いを抱えながらも日常へ戻り、それぞれが自分の生き方を受け入れて前へ進む決意を固めた。

学生寮への帰宅

上条当麻はインデックスと学生寮へ戻った。右手の秘密は今後確かめればよいと考え、懐かしい部屋へ足を踏み入れる。インデックスは笑顔でただいまと告げ、二人はようやく平穏な日常を取り戻した。

アレイスターからの警告

タヒチに身を隠していた土御門元春は、鳩を介した暗号通信からアレイスターの残した警告を受け取った。学園都市の外では新たな脅威が動き始めており、科学の外側にさらなる危険が待ち受けていると知らされた。

イギリスの再建

ダイアン=フォーチュンはイギリスへ残り、エリザードと戦後の復興について協議した。混乱した清教派を立て直すため、自ら最大主教となる提案を行い、烏丸府蘭やヴィリアンの協力も得ながら国の再建へ動き出した。

統括理事長の交代

アレイスター不在となった学園都市では統括理事会が後任選びを進めていた。しかし会議の最中、一方通行がコードリストを手に現れ、自らが新たな学園都市統括理事長であると宣言し、街の新たな指導者となった。

新たな脅威

神浄の討魔が敗れたことを見届けたアンナ=シュプレンゲルは、世界にはまだ隙が残っていると笑みを浮かべた。そして薔薇十字の名の下に、新たな戦いはこれで終わりではないと宣言し、物語は次なる局面を予感させて幕を閉じた。

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