新約 とある魔術の禁書目録(20)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(22)レビュー
物語の概要
■ 作品概要
『新約 とある魔術の禁書目録(21)』は、科学と魔術が交差する世界を描くSFファンタジーバトル作品である。大悪魔コロンゾンを打破する手がかりを求めて、アレイスターたちはウェストミンスター寺院の墓地へたどり着く。そこへ100年前に両断したはずの宿敵サミュエル=リデル=マグレガー=メイザースが復活して立ちはだかった。彼が率いる魔術結社『黄金』の魔術師たちも一斉に牙を向く。圧倒的な魔術戦力を前に、アレイスターは自らが学園都市で積み上げてきた科学技術の成果を用いて迎え撃つ。上条当麻や一方通行らも、メイザースとの死闘に身を投じる。やがて舞台はロンドンからスコットランドへと移る。魔術と科学、そして100年越しの因縁に決着をつける戦いが繰り広げられる。
■ 主要キャラクター
- 上条当麻:右手に異能を打ち消す「幻想殺し」を持つ高校生である。馬車の車列の上でメイザースと正面から激突した。過去の因縁に囚われるアレイスターを叱咤激励する。
- 一方通行(アクセラレータ):学園都市第一位の超能力者だ。衛星軌道からの光学攻撃を反射し、無敵を誇ったメイザースに初めての手傷を負わせた。大悪魔の支配から人造悪魔クリファパズル545を救い出す。
- アレイスター=クロウリー:銀髪の少女の姿となった学園都市統括理事長である。かつての宿敵メイザースと対峙する。憎悪してきた十字教の聖書を手に取り、命懸けの一騎打ちに挑んだ。
- サミュエル=リデル=マグレガー=メイザース:魔術結社『黄金』の長だ。タロットカードを媒体として復活を遂げた。多彩な象徴武器と絶大な魔術でアレイスターたちを圧倒する。
- コロンゾン:世界を混乱へと導く大悪魔である。器としていた「ローラ=スチュアート」が最初から存在せず、すべてが自身の作り出した偽物であったという事実を突きつける。アレイスターに致命傷を与えた。
- 浜面仕上:無能力者の少年である。傷ついた『黄金』の魔術師ダイアン=フォーチュンを救助した。アレイスターの魔術の余波で彼女が消滅してしまった後、彼女を取り戻す決意を固める。
■ 物語の特徴
本作の最大の特徴は、アレイスターとメイザースによる100年前から続く宿縁の対決が描かれる点である。頂上決戦でありながら、やがて泥臭い殴り合いへと収束していく展開は読者の心を熱くさせる。
魔術を憎悪していたアレイスターが、大切な者を守るために自ら聖書を手にする。
そして「神の子」の術式を行使する姿は非常に印象深い。さらに、長年イギリス清教の最大主教として暗躍してきたローラの正体が、コロンゾンの作った完全な偽物であったという事実が明かされる。これは物語の前提を根底から覆す驚愕の展開だ。
また、消滅したダイアンを救うと誓う浜面や、悪魔に生きる意味を与える一方通行の姿も描かれる。
極限状況下で己の信念を貫くキャラクターたちの群像劇としての魅力も存分に詰まっている。
書籍情報
新約 とある魔術の禁書目録(21)
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA(電撃文庫)
発売日:2018年10月10日
ISBN:9784049120257
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あらすじ・内容
科学対魔術。100年越しの決着が今ここに……!
アレイスターはついに大悪魔コロンゾン打破のキーポイント、ウェストミンスター寺院の墓地にたどり着く。そこで目撃したのは――
世界最大の魔術結社『黄金』の長、メイザース。100年前、因縁の地・ブライスロードで両断したはずの男だった。
メイザースだけではない。彼が率いていた強大な『黄金』の魔術師たちも一斉に科学の長に牙を向ける。魔術の腕ではメイザースに勝てない。なす術もないアレイスターだが、科学の地を作り、そこで積み重ねた一〇〇年は無駄ではなかった。
上条当麻と一方通行。科学の総本山・学園都市で積み重ねた努力の『成果』である二人が、ついに最大最強のメイザースに立ち向かう――!
感想
読み終え、魔術と科学が交錯する戦いが、いよいよ理解の追いつかない領域へ入ったと感じた。
世界最大の魔術結社『黄金』の魔術師たちが復活し、アレイスター=クロウリーへ襲いかかる。さらに大悪魔コロンゾンも独自に行動を始め、上条当麻、一方通行、浜面仕上たちも、それぞれ異なる場所で戦いへ巻き込まれていく。
正直なところ、魔術の仕組みや歴史的な背景は難解であり、用語を追うだけで精いっぱいになる場面も多かった。
それでも、登場人物たちの感情や覚悟は強く伝わってくる。
過去から逃れられないアレイスターと、そのアレイスターを守ろうとする上条。作られた存在へ生きる意味を与える一方通行。そして、目の前の誰かを見捨てられない浜面。
複雑な魔術理論の奥にある、人を救おうとする意志が印象に残る一冊であった。
復活したメイザースと『黄金』の魔術師たち
序盤で描かれるのは、ウェストミンスター寺院で待ち受けていたメイザースとの再会である。
アレイスターたちは、大悪魔コロンゾンを止めるため、すでに死亡しているはずのメイザースの遺体を利用しようとしていた。
しかし、墓に収められていた遺体は本人のものではなかった。
それどころか、死んだはずのメイザース本人が『黄金』の魔術師たちを率いて現れ、アレイスターへ再戦を突きつける。
かつての師であり、友人であり、最大の宿敵でもある人物が目の前に立っている。
アレイスターにとっては、単に強い敵が復活しただけではない。
自分が過去に終わらせたはずの戦いも、勝利したという記憶も、すべてが揺らいでしまう出来事だった。
メイザースから娘リリスの救済を否定された時、アレイスターが激しく動揺する姿も心に残る。
普段は何重もの計画を巡らせ、他者を利用するアレイスターであっても、娘のことになると冷静ではいられない。
その姿からは、統括理事長や大魔術師という肩書では隠し切れない、人間らしい痛みが感じられた。
難解でも圧倒される『黄金』との魔術戦
『黄金』との戦いは、正直に言えば理解できなかった部分も多い。
四大元素や象徴武器、タロット、惑星霊、儀式場など、次々と魔術的な仕組みが登場する。
一人ひとりの魔術師が異なる術式を持っているだけでなく、それらを集団で組み合わせることで、さらに大きな力を生み出している。
細かな理屈を完全に理解するのは難しかった。
しかし、世界最大の魔術結社と呼ばれるだけの圧倒的な存在感は十分に伝わってくる。
特に驚かされたのは、イギリスを壊滅寸前まで追い込んだクロウリーズ・ハザードが、『黄金』の魔術師たちによって一方的に殲滅される場面である。
一体でも厄介だった怪物の大群が、まるで雑草でも刈り取るように倒されていく。
アレイスターの生み出した怪物ですら時間稼ぎにしかならないという事実から、『黄金』の異常な強さが感じられた。
また、『黄金』の魔術師たちは個人の強さだけで戦っているわけではない。
互いの術式を補い、増幅し、一つの巨大な儀式として完成させている。
個人戦ではなく、組織そのものが一人の魔術師のように動いているのである。
理解は追いつかなくても、規模の大きさと恐ろしさには圧倒された。
日用品から科学兵器を作るアレイスター
魔術では『黄金』に勝てないと判断したアレイスターは、自分が築き上げた学園都市の科学技術を使って対抗する。
ピカデリーサーカスの商業施設へ入り、鋼管やガスボンベ、工具、コンプレッサーなどを集め、即席の兵器を作り始める展開が面白かった。
身近な日用品や工具が、アレイスターの知識によって恐ろしい兵器へ変わっていく。
極超音速の衝撃波を撃ち出す装置まで組み立て、『黄金』の魔術師へ攻撃を仕掛けるスケールには驚かされた。
アレイスターはもともと魔術師である。
それでも、メイザースとの戦いでは魔術に固執せず、自分が百年をかけて作り上げた科学を選ぶ。
学園都市は多くの犠牲や嘘の上に築かれた場所である。
しかし同時に、それはアレイスターが長い年月をかけて残した成果でもあった。
かつての師が率いる『黄金』へ、現代の学園都市の技術をぶつける。
単なる科学対魔術ではなく、アレイスターが歩んできた百年間そのものを、過去へ叩きつける戦いのように感じられた。
メイザースとの一対一の決着
舞台がスコットランドへ移った後、アレイスターとメイザースはついに一対一で向き合う。
二人の関係は、単純な敵同士ではない。
メイザースはアレイスターを育てた師であり、その才能を最も高く評価していた人物でもある。
一方のアレイスターも、メイザースを憎みながら、完全に無関心になることはできなかった。
互いを誰よりも理解しているからこそ、相手の弱点も考え方も分かってしまう。
それでも決して同じ道を歩むことはできない。
過去のブライスロードの戦いから続いていた因縁が、ここで改めて決着へ向かう展開には胸が熱くなった。
印象に残ったのは、アレイスターが最初から圧倒的に優位だったわけではないことである。
何度も追い詰められ、恐怖を植えつけられ、それでも失敗から情報を集めて立ち上がる。
一度で勝とうとせず、失敗すら次の手掛かりにする。
何度失敗しても諦めず、最後には勝利へつなげる姿こそ、アレイスターの強さなのだと感じた。
メイザースとの戦いは、魔術の強さだけを競うものではない。
過去に支配され続けるのか、それとも自分が積み上げてきた現在を信じるのか。
アレイスターが自分の人生そのものを懸けた戦いだったように思う。
オルソラの優しさに救われるアレイスター
人間関係の描写で特に心に残ったのは、傷ついたアレイスターへオルソラ=アクィナスが手を差し伸べる場面である。
前巻のオルソラは、神威混淆の影響を受け、普段の穏やかな姿からは想像できないほど激しく暴れ回っていた。
その印象が残っていたからこそ、本巻で見せる優しさとの落差が大きい。
ここでのオルソラは、まるで本物の聖女のようである。
相手が何をしてきたのか、どれほど多くの人を利用してきたのかを理由に見捨てるのではない。
傷つき、倒れている者がいるから助ける。
その姿勢には迷いがなかった。
アレイスターは、自分が救われる価値などないと思っていても不思議ではない人物である。
しかし、オルソラはその本人の判断さえ越えて救いの手を伸ばす。
過去の罪を消すことはできなくても、今ここで苦しんでいる者を助けることはできる。
その慈愛の深さに強く惹きつけられた。
戦闘力ではアレイスターやメイザースに遠く及ばなくても、傷ついた人間を立ち上がらせるという点では、オルソラにしかできない役割があったのだと思う。
ローラをめぐる残酷な真実
エディンバラ城でコロンゾンから突きつけられた真実も、非常に残酷であった。
アレイスターは、大悪魔コロンゾンが自分の娘ローラの肉体を器として利用していると考えていた。
しかし、そこで明かされたのは、アレイスターが娘だと思っていたローラという存在そのものが、最初から用意された偽りだったという事実である。
守ろうとしていた娘は、本当に存在していたのか。
これまで抱いてきた後悔や怒りは、何に向けられたものだったのか。
アレイスターの人生を支えてきた感情の根元が、一瞬で破壊されてしまう。
メイザースとの戦いを終えた直後でありながら、休む間もなく、さらに残酷な真実を突きつけられる。
ようやく過去の因縁に決着をつけたと思ったところへ、別の形で過去そのものを否定される展開には言葉を失った。
アレイスターが致命傷を負う中、上条当麻がコロンゾンの前へ立つ。
相手が大悪魔であろうと、世界を壊せる存在であろうと関係ない。
目の前で誰かが傷つけられたなら、その幻想を右手で打ち砕く。
上条の行動はいつもと変わらない。
しかし、アレイスターが背負ってきた長い歴史と絶望を見た後だからこそ、その変わらなさが頼もしく感じられた。
作られた悪魔を救う一方通行
一方通行と人工悪魔クリファパズル545の関係も、本巻の大きな見どころである。
クリファパズル545は、コロンゾンによってアレイスターを殺すために作られた存在だった。
本人も、自分は目的のために作られ、利用され、最後には使い潰されるものだと考えている。
その姿は、かつて実験のために作られた妹達や、一方通行を壊すために送り込まれた番外個体と重なる。
一方通行は、そんなクリファパズル545へ、生まれてきた以上は人生を楽しめと言い放つ。
悪魔らしい生き方など知らない。
作られた目的に従って死ぬことも許さない。
日なたで笑って生きることさえ、自分が決めたのだから疑うなと迫る。
言葉だけを見れば、相変わらず乱暴で横暴である。
しかし、その根底にあるのは、誰かに決められた役割のために命を使い潰されることへの強い怒りだ。
一方通行自身も、学園都市から最強の能力者という役割を押しつけられ、多くの命を奪ってきた。
だからこそ、作られた存在が自分の人生を諦めることを許せないのだろう。
救いの言葉にはまったく聞こえないのに、クリファパズル545にとっては、誰よりも強い救済になっている。
一方通行らしい不器用な優しさが表れた名場面だった。
ダイアンを取り戻そうとする浜面
浜面仕上とダイアン=フォーチュンの関係も印象深い。
浜面は、道路に倒れていたダイアンの正体を知らない。
彼女が『黄金』の魔術師であり、少し前までアレイスターたちを襲っていたことも理解していない。
ただ、傷ついた少女が倒れていたから助けた。
危険かもしれない。
滝壺まで巻き込むかもしれない。
それでも、目の前の人間を見捨てることはできなかったのである。
浜面は特別な力を持っていない。
魔術の知識もなく、周囲にいる魔神や『黄金』の魔術師がどれほど危険なのかも完全には理解できていない。
それでも、人を助けるという一点では迷わない。
その行動によって、敵だったはずのダイアンとの間に新しい関係が生まれていく。
ダイアンが消滅した後、浜面が必ず取り戻すと決意する姿にも胸を打たれた。
魔術的に可能かどうかは分からない。
周囲から無理だと言われても不思議ではない。
それでも、助けた相手が消えたからといって、簡単に諦めることはできない。
上条や一方通行とは違う形で、浜面もまた自分の目の前にいる一人を救おうとしている。
何の力も持たないからこそ、その決意が強く感じられた。
三人に共通する「見捨てない」という選択
本巻では、上条当麻、一方通行、浜面仕上がそれぞれ別の場所で行動している。
戦い方も、考え方も、背負っているものも違う。
それでも三人には、目の前の誰かを見捨てないという共通点がある。
上条は、致命傷を負ったアレイスターを守るため、コロンゾンの前へ立つ。
一方通行は、利用されるために作られたクリファパズル545へ、生きることを命令する。
浜面は、敵か味方かも分からないダイアンを助け、消えた後も取り戻すことを諦めない。
世界全体を救うという大きな理想ではない。
今、目の前で傷ついている一人を助ける。
その小さく見える選択が、複雑な計画や巨大な魔術を狂わせ、物語を動かしていく。
難解な魔術理論が続く中でも、この部分は非常に分かりやすく、強く心に残った。
過去の因縁から未知の戦いへ
『新約 とある魔術の禁書目録 21』は、アレイスターとメイザースの過去に決着をつけながら、さらに大きなコロンゾンとの戦いへ進んでいく一冊である。
『黄金』の魔術や歴史は非常に複雑であり、正直に言えば、すべてを理解できたとは言い難い。
登場する魔術師の人数も多く、一人ひとりの術式や関係を追うだけでも苦労した。
それでも、物語の勢いは凄まじい。
死んだはずの宿敵の復活。
世界最大の魔術結社と学園都市の科学技術の衝突。
一世紀を越えた師弟対決。
ローラをめぐる残酷な真実。
そして、コロンゾンへ立ち向かう上条当麻。
理解が追いつかないままでも、次々と押し寄せる展開に圧倒され、読み進める手を止められなかった。
特に印象に残ったのは、救われる価値があるかどうかを本人に判断させない登場人物たちの姿である。
オルソラはアレイスターへ手を差し伸べる。
上条は、そのアレイスターを守るために立つ。
一方通行はクリファパズル545へ人生を楽しめと命じる。
浜面は消えたダイアンを取り戻そうとする。
過去に何をしたのか。
何のために作られたのか。
敵なのか味方なのか。
そうした条件より先に、今ここにいる相手を救おうとする。
その姿勢が、複雑な物語の中に一本の分かりやすい軸を作っていたように感じられた。
魔術と科学が交錯する激闘は、まだ終わっていない。
むしろ、アレイスターとメイザースの決着を経て、本当の戦いが始まったばかりである。
上条は大悪魔コロンゾンを止められるのか。
一方通行とクリファパズル545は、どのような反撃を見せるのか。
浜面は消滅したダイアンを取り戻せるのか。
それぞれの戦場が次巻でどのようにつながっていくのか、期待が大きく膨らむ一冊であった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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新約 とある魔術の禁書目録(20)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(22)レビュー
考察・解説
黄金夜明結社の再臨
新約とある魔術の禁書目録第21巻における黄金の再臨と決着の全貌
『新約 とある魔術の禁書目録』第21巻において、かつてアレイスター=クロウリーによって壊滅させられた世界最大の魔術結社「黄金(黄金夜明)」が、現代のイギリスに再臨し、アレイスターや上条当麻たちの前に立ちはだかる。ウェストミンスター寺院での復活、再臨した黄金の正体、集団魔術による圧倒的な脅威、学園都市(科学)と黄金(魔術)の激突、および100年越しの決着と黄金の消滅についての解説は以下の通りである。
ウェストミンスター寺院における伝説の魔術師たちの出現
大悪魔コロンゾンに対抗するため、アレイスターはサミュエル=リデル=マグレガー=メイザースの遺体を求めてウェストミンスター寺院の墓地へ向かった。
・遺体はなく、代わりに死んだはずのメイザース本人が姿を現した。
・ウェストコットをはじめ、ダイアン=フォーチュン、イスラエル=リガルディ、ロバート=ウィリアム=フェルキン、アーサー=エドワード=ウェイトなど「黄金」の重鎮たちが一斉に復活を遂げた。
・彼らはアレイスターへの復讐を宣言した。
タロットカードを媒体とする再構成体の真実
彼らは生前の肉体を取り戻して蘇ったわけではなかった。
・大悪魔コロンゾンによって防衛装置として作られた存在であった。
・魔道書の原典の一種であるタロットカードを媒体として再構成された肉体を持っていた。
・通常の方法では破壊不可能という特性を備えていた。
・創設期のメンバーと後世の世代が同時に存在している矛盾から、アレイスターは彼らが資料から再構成された存在であると見抜いた。
集団魔術と圧倒的連携によるクロウリーズハザードの殲滅
復活した「黄金」の魔術師たちは、個人の力にとどまらない真髄を見せつけた。
・互いの力を補い合い、舞台演劇のように役割分担をして大規模な儀式魔術を構築した。
・圧倒的な連携と力により、ロンドンになだれ込んでいたアレイスターの分身「クロウリーズ・ハザード」の大群を一方的に殲滅した。
科学の総本山と魔術の頂点による正面衝突
魔術の腕では全盛期の「黄金」に勝てないアレイスターには、一世紀をかけて築き上げた「学園都市」という成果があった。
・アレイスターが生み出した上条当麻と一方通行(アクセラレータ)が左右に並び立った。
・科学の総本山の成果物として、魔術の頂点である「黄金」の魔術師たちと正面衝突を開始した。
スコットランドでの激闘とタロットカードへの崩壊
戦いの舞台がスコットランドへと移る中、アレイスターとメイザースは一対一の死闘を繰り広げた。
・アレイスターは自身が憎悪していた十字教の聖書を手に取り、神の子の力を利用して自らを純化させ、莫大なエネルギーを放った。
・一撃の余波によって空間がエネルギーで満たされ、地脈からタロットカードへの力の供給が絶たれた。
・スコットランド方面まで押し寄せていた「黄金」の魔術師たちは次々とタロットカードへと崩れ落ち、消滅していった。
・浜面仕上に救出され彼を守る道を選んだダイアン=フォーチュンも、浜面に見守られながら無数のカードとなって散っていった。
・再臨した「黄金」はこうしてその役割を終えた。
まとめ
新約とある魔術の禁書目録第21巻における「黄金」の再臨を巡る一連の全貌は、ウェストミンスター寺院での復活から始まり、タロットカードによる肉体再構成のカラクリ、圧倒的な集団魔術の威力、学園都市の科学力との激突、そして地脈からの供給遮断による消滅に至るまで、歴史的魔術結社との因縁の決着を明瞭に示している。
過去の因縁や大悪魔の罠という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権をアレイスターの果断な決断と科学の成果たる者たちの共闘によって完璧に確立するに至る、歴史的死闘の記録である。
復活の衝撃から、正体の解明、科学と魔術の激突、そして100年越しの消滅へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
アレイスターとメイザース
アレイスターとメイザースの因縁と決着の全貌
『新約 とある魔術の禁書目録』において、学園都市統括理事長アレイスター=クロウリーと、サミュエル=リデル=マグレガー=メイザースの関係は、魔術サイドの歴史を大きく動かした因縁深いものである。師弟にして親友であり最大の宿敵としての関係、ブライスロードの戦いと黄金の壊滅、一世紀越しの再会とスコットランドでの決戦、および互いへの羨望と死闘の結末についての解説は以下の通りである。
師弟にして親友であり最大対立を深めた宿敵
19世紀末から20世紀初頭にかけて存在した世界最大の魔術結社「黄金」において、メイザースとアレイスターは中心的な存在であった。
・メイザースはアレイスターを庇護した師匠であり、親友でもあったが、魔術思想を巡って争う最大の敵でもあった。
・魔術の発展のためには多少の犠牲はやむを得ないと考えるメイザースに対し、アレイスターはそれを決して許すことができず、両者は決定的に対立した。
ブライスロードの戦いと魔術絶滅への誓い
1900年、ロンドンで両者は「ブライスロードの戦い」と呼ばれる武力衝突を起こした。
・アレイスターはメイザースをはじめとする黄金の魔術師たちを内側から追い詰め、結社を事実上の壊滅状態へと追いやった。
・アレイスターの愛娘リリスが病死した裏には、魔術の使用によって生じる位相の衝突の火花という偶発的な余波があった。
・メイザースらがそれを知りながら黙認していたことが、アレイスターが黄金を滅ぼし、すべての魔術を絶滅させようと誓う大きな要因となった。
ウェストミンスター寺院での再会と結婚式場前での決戦
第21巻において、大悪魔コロンゾンに対抗するためメイザースの遺体を求めてウェストミンスター寺院へ向かったアレイスターの前に、死んだはずのメイザースがタロットカードを媒体として復活を遂げ、立ちはだかった。
・戦いの舞台がスコットランドへと移る中、アレイスターとメイザースは死闘を繰り広げた。
・かつてアレイスターが妻ローズと結婚式を挙げた小さな教会の前で、一対一の死闘を展開した。
互いの葛藤の露呈と100年越しの消滅
教会の前での戦いは、大規模な魔術戦から、骨と肉を削り合う泥臭い殴り合いへと収束していった。
・激闘の中で、二人は互いに抱いていた本音をさらけ出した。
・アレイスターは、才能ある仲間や理解者に恵まれたメイザースをずっと羨んでいたと告白した。
・メイザースは、財産も才能も持たなかった自分が、妻であるミナを支える価値ある存在になるために、地位や結社、魔術にすがるしかなかったのだと明かした。
・アレイスターは、メイザースがミナからの愛情を正しく受け取れなかったのだと悟り、魔力は生命力から生まれ、魔術とは人を大切に想う気持ちへ形を与える技術であると結論づけた。
・情も目的も失ったメイザースには魔術を使う資格がないと宣告し、自らの肉体を神の子と同調させて聖痕を現した。
・アレイスターが放った莫大なエネルギーによって、地脈からタロットカードへ送られる力が遮断された。
・人の形を維持できなくなったメイザースは、ついに白い光へと呑まれて消滅し、100年にわたる因縁に決着がついた。
まとめ
アレイスターとメイザースの因縁を巡る一連の全貌は、かつての黄金における愛憎入り交じる師弟関係から始まり、娘の死を発端とするブライスロードの壊滅劇、タロットカードを介した一世紀ぶりの再臨、そして旧約の結婚式場前での本音のぶつかり合いと消滅に至るまで、魔術史の根幹をなす因縁の結末を明瞭に示している。
過去の執着や誤解が生んだ悲劇の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権をアレイスターの到達した真理と覚悟の力によって完璧に確立するに至る、歴史的対決の記録である。
宿怨の勃発から、結社の壊滅、再会での死闘、そして100年越しの決着へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
リリスの器
リリスの器の正体と構築に向けた過程の全貌
『新約 とある魔術の禁書目録』において、「リリスの器」とは、アレイスター=クロウリーの亡き愛娘リリスの魂を現世に完全に定着させるために必要とされた肉体のことを指す。実体を持たない魂とその脆弱性、ミナの提案と冥途帰しの倫理、および倫理を遵守した器の構築についての解説は以下の通りである。
実体を持たない魂の脆弱性とエイワスの真意
リリスは本来、生後間もなく命を落とす運命にあったが、聖守護天使エイワスによって生まれる前にその構造を読み込まれ、別の位相へと退避させられていた。
・現代に顕現した彼女は、肉体や細胞を持たず、原罪のない魂だけで存在している状態であった。
・高い霊格によって一時的に現世に留まってはいたものの、実体となる肉の器がないため、いつ魂が霧散してもおかしくない脆弱な状態に置かれていた。
・エイワス自身も、剥き出しの生命力は不安定であり、そのまま現世に返しても長持ちしないことを熟知していた。
・エイワスは、アレイスターが科学を発展させ、万能細胞などの技術を用いてリリスの肉の器を自ら作れるようになるまで、あえて彼に茨の道を進ませていた。
クローン利用案と冥途帰しによる倫理的拒絶
第21巻において、リリスを護衛していたミナ=メイザースは、エジプトのオアシスで学園都市の医師「冥途帰し(ヘヴンキャンセラー)」と合流した。
・ミナはリリスの魂を定着させるため、失われた記憶や経験、人格を肉体へ移植する方法を尋ねた。
・手っ取り早い解決策として、学園都市のクローン技術を用いてリリスのための新しい肉体を用意しようと提案した。
・冥途帰しはこの提案を強く否定し激怒した。
・いくら目の前の命を救うためであっても、別の命(クローン)を作り出して部品として使い潰すような、倫理を捨てる行為は絶対に認めなかった。
体細胞増殖による生命倫理を侵さない肉体生成
クローン技術に頼らない代案として、冥途帰しが提示したリリスの器の構築方法は、胚や別の人間を犠牲にするのではなく、体細胞を増殖させて必要な部位だけをゼロから作り出すものであった。
・テロメアや酵素を用いて無秩序な細胞増殖を制御し、異常な細胞を正常化していくことで、生命の倫理を侵すことなくリリスのための肉体を用意できると結論づけた。
・限られた道具しかないキャンピングカーの中でありながら、即席で高度な医療環境を構築した冥途帰しによって、リリスを完全な形で現世に繋ぎ止めるための器の準備が進められることとなった。
まとめ
「リリスの器」を巡る一連の全貌は、実体なき魂として存在していたリリスの脆弱な状況から始まり、クローン技術を利用した簡易的な肉体形成への冥途帰しによる激しい倫理的拒絶、そして命を尊ぶ正規の体細胞増殖による器の構築に至るまで、生命の尊厳を保ちつつ娘を救うための科学的プロセスを明瞭に示している。
安易な生命の消費や犠牲という倫理的破綻の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を医師としての不屈の信念と高度な医療技術によって完璧に確立するに至る、命の救済の記録である。
魂の顕現から、倫理の衝突、代替手段の提示、そして命を救う技術の確立へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
近代西洋魔術の再現
近代西洋魔術の構築とシステム的特徴の全貌
『新約 とある魔術の禁書目録』において、「近代西洋魔術」は19世紀末から20世紀初頭にかけて魔術結社「黄金」やアレイスター=クロウリー、メイザースらによって構築・編纂された魔術体系として描かれている。工作キットやアプリ開発ツールとしての魔術、視覚的・グラフィカルな補助による直感的な操作、異文化のフィルターを通した再現と取り込み、およびアレイスターの編纂とシステムに潜む裏口についての解説は以下の通りである。
アプリ開発ツールに類似した拡張性の高い魔術環境
「黄金」が目指していたのは、一部の限られた者だけが使える難解な魔道書や、十字教の聖書のように奇跡の種類があらかじめ固定されたものではなかった。
・ベーシックな呪文や記号を並べ替えることで、誰もが自分の望むアイデアを具現化できる環境を構築しようとしていた。
・終わりの見えないボードゲームのような工作キットや、アプリ開発ツールに近い構造を持っている。
・自由な組み合わせによって多様な奇跡を引き出す柔軟性を実現した。
直感的なビジュアル化と普及可能性
文字の羅列による叡智の復古を目指したメイザースに対し、芸術家であった妻のミナ=メイザースは、魔術に直感的でグラフィカルな補助を組み込む試みを行った。
・ビジュアル的な解説を織り込む試みがなされた。
・完全に成功していれば、難解な言語を学ばなくてもパズルを組み合わせるだけで奇跡を起こせるようになっていたとされる。
・現代のパソコンやスマートフォンのように「もう一つの魔術」が世界中に普及していた可能性が指摘されている。
異文化解釈におけるフィルターと偏見の介入
近代西洋魔術は、ヨーロッパの文化やルールだけでは行き詰まると、チベットやアフリカなどの異文化に解決策を求める傾向があった。
・エジプト神話などがタロットや儀式に深く取り込まれた。
・これらは純粋な古代の伝承をそのまま再現したものではなかった。
・ギリシャ人が自らの神話に当てはめたり、西洋人が自分たちの理解できる形に処理したりしたフィルターを通した解釈であった。
・偏見や先入観が織り込まれた歪な形での再現となっていた。
アレイスターによる編纂とバックドアの存在
アレイスター=クロウリーはこれらの魔術を分かりやすく切り分け、近代西洋魔術の理論として世界に再配布した。
・彼が編纂した技術体系には、開発者であるアレイスター自身が全容を把握し、自由に介入できる裏口(バックドア)や脆弱性が存在する。
・近代西洋魔術の理論に従ってどれほど強力な術式や霊装を再現・行使しても、根底のシステムを握っているアレイスターを傷つけることはできない。
・魔術そのものを暴発させられたり無効化されたりしてしまう絶対的な優位性が確保されている。
まとめ
近代西洋魔術の構築とシステム的特徴を巡る一連の全貌は、開発ツールに例えられる高度な汎用性から始まり、視覚化による普及の試み、異文化フィルターを介した歪な再現、そして管理者であるアレイスターによるバックドアの構築に至るまで、魔術体系としての合理性と戦略的な構造を明瞭に示している。
旧来の難解で固執的な魔術の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を近代的なシステム構築と絶対的な管理構造によって完璧に確立するに至る、技術革新と支配の記録である。
体系化の着想から、操作性の改革、異文化の取り込み、そして管理システムの完成へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
魔道書の肉体化
魔道書の肉体化と自律稼働システムの全貌
『新約 とある魔術の禁書目録』において、「魔道書の肉体化(自律稼働)」は、本来は物体である魔道書の「原典」が自律的な意識や仮想的な肉体を獲得した状態を指す。肉体化の仕組みと特性、該当する主な存在、および魔道書の肉体化の致命的な弱点についての解説は以下の通りである。
地脈からの力抽出と物理破壊不能の特性
通常の魔術師は自身の生命力を魔力に精製して魔術を行使するが、肉体化および自律稼働する魔道書の原典は生体ではないため、自ら魔力を精製する機能を持たない。
・禁忌の記述そのものが周囲の地脈や龍脈から力を吸い寄せることで、半ば防衛機能のように魔術を自動行使する。
・実体を持つかのような仮想的な肉体を構築および維持している。
・原典をベースとしているため、通常の方法では物理的に破壊することが不可能である。
・血液や生体電気の循環といった通常の生命活動を行っていないため、一方通行による血液操作など生体構造を直接狙う攻撃も通用しない。
・基本的に上条当麻の幻想殺しのような特殊な力でしか直接的な干渉はできないとされる。
原典やタロットカードを媒体とする肉体化の事例
魔道書の肉体化や自律稼働に該当する主な存在は以下の通りである。
・ミナ=メイザースはアレイスターが構築した問答型思考補助式人工知能であり、トートタロットの原典の意識体である。窓のないビルの巨大な演算機器から、エイワスの手引きで白紙のルーズリーフに大量の記述を移し黒猫祭祀秘録として再編されることで、移動の自由を持つ肉体を獲得した。
・復活した黄金の魔術師たちは、メイザースをはじめとしてウェストミンスター寺院で復活した者たちであり、生前の肉体が蘇ったわけではなくタロットカードを媒体として再構成された肉体を持つ自律稼働する魔道書の一種である。
・クリファパズル545は大悪魔コロンゾンによって邪悪の樹をベースに生み出された人造悪魔であり、彼女もまた魔道書の原典と同様に地脈から力を吸い上げて稼働する性質を持っていた。
外部供給遮断による無効化と強制支配の解除
物理的破壊が不可能な彼らであるが、その存在を維持するためのエネルギー供給システムそのものが弱点となる。
・彼らは活動のエネルギーを地脈や龍脈といった外部からの供給に完全に依存している。
・空間全体を莫大なエネルギーで飽和させ、大地から魔道書への力の伝達経路を阻害することで、人の形や意識を保てなくなり活動停止に追い込むことが可能である。
・アレイスターはこの理屈を用いて自身の魔術で空間をエネルギーで満たし、メイザースをはじめスコットランド方面まで押し寄せていた黄金の魔術師たちを一挙に機能不全に陥らせ、カードの姿へと崩壊させた。
・一方通行もこの理屈を応用し、ベクトル操作によって周囲のエネルギーを集束させてクリファパズル545に叩き込み、存在自体を潰さない絶妙な出力調整を行うことで、大悪魔コロンゾンからの強制的な支配だけを引きちぎって救出した。
まとめ
魔道書の肉体化と自律稼働を巡る一連の全貌は、地脈吸い上げによる物理破壊不能な身体の獲得から始まり、ミナや復活した黄金の魔術師たちに見られる実例、そしてエネルギー供給経路の断絶という絶対的な弱点に至るまで、原典が持つ特殊な存在形態と攻略法を明瞭に示している。
不死身の防衛機能や概念的障壁という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を物理的打撃ではなくシステムの根本を突く知性と術式によって完璧に確立するに至る、魔術理の解明と攻略の記録である。
仕組みの解析から、該当者の特定、供給網の遮断、そして支配からの解放へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
科学と魔術の決戦
科学と魔術の決戦と100年越しの決着の全貌
『新約 とある魔術の禁書目録』における「科学と魔術の決戦」とは、物語の終盤、特に第20巻から第21巻にかけて描かれる、学園都市の統括理事長アレイスター=クロウリー率いる科学サイドと、復活した世界最大の魔術結社「黄金」を中心とする魔術サイドとの全面対決を指す。決戦の背景と黄金の復活、学園都市の成果物との共闘、科学技術を駆使した迎撃、および100年越しの因縁の結末についての解説は以下の通りである。
イギリス侵攻とウェストミンスター寺院での黄金の再臨
大悪魔コロンゾンを完全に打倒するため、自らの根城である学園都市を放棄したアレイスターは、魔術大国イギリスへ大規模な侵攻を開始した。
・コロンゾン打破の鍵となるメイザースの亡骸を求めてウェストミンスター寺院の墓地へ向かった。
・そこには、かつてアレイスター自身が内側から壊滅させたはずの宿敵メイザースをはじめとする「黄金」の魔術師たちが復活して待ち受けていた。
上条当麻と一方通行の参戦による正面衝突
「黄金」の魔術師たちは、互いの術式を補い合う集団魔術によって圧倒的な脅威を見せつけた。
・純粋な魔術の腕では全盛期の彼らに勝てないアレイスターであったが、彼には一世紀をかけて築き上げた「学園都市」という科学技術の成果があった。
・アレイスターの窮地に駆けつけた上条当麻と一方通行は彼の左右に並び立ち、アレイスターの成果物として共闘を宣言した。
・上条や一方通行といった科学の総本山で積み重ねた成果物と、魔術の頂点である「黄金」との、どちらが生き残るかを決める正面衝突が幕を開けた。
衛星軌道攻撃とベクトル操作の連携
アレイスターは魔術に頼るだけでなく、学園都市の全機能を解放し、科学技術を駆使して「黄金」を迎撃した。
・衛星軌道から強烈な光学攻撃を降らせ、それを一方通行の能力で反射および集束させてメイザースに叩き返す戦術を展開した。
・この科学と超能力を組み合わせた一撃により、それまで無傷を誇っていたメイザースに初めての手傷を負わせることに成功した。
スコットランドでの肉弾戦と地脈遮断による消滅
戦いの舞台がスコットランドへと移る中、アレイスターはメイザースと一対一の死闘を繰り広げた。
・大規模な魔術戦はやがて骨と肉を削り合う泥臭い殴り合いへと収束した。
・二人は互いに抱いていた本音や羨望をさらけ出し合った。
・激闘の末、アレイスターは自らが憎悪していたはずの十字教の聖書を手に取り、「神の子」の力を利用して自らの肉体を純化させた。
・彼が放った莫大なエネルギーによって地脈からの力の供給が遮断された。
・タロットカードを媒体としていたメイザースや「黄金」の魔術師たちは次々と崩壊し、消滅していった。
・これにより、科学と魔術の決戦、そして100年にわたる因縁に完全な決着がつくこととなった。
まとめ
科学と魔術の決戦を巡る一連の全貌は、イギリス侵攻に伴う「黄金」の復活から始まり、学園都市の成果たる上条や一方通行との共闘、科学技術と能力を複合させた迎撃、そしてスコットランドでの泥臭い決闘と地脈遮断による消滅に至るまで、二つの勢力が誇りと存在をかけて激突した歴史的結末を明瞭に示している。
旧来の魔術体系や因縁の連鎖という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を科学の成果たる者たちの絆と覚悟の決断によって完璧に確立するに至る、時代を画する決戦の記録である。
決戦の勃発から、科学の総力結集、因縁の対峙、そして100年越しの消滅へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
悪魔コロンゾンの正体
大悪魔コロンゾンの正体と暗躍の全貌
『新約 とある魔術の禁書目録』に登場する大悪魔コロンゾンの正体と、その背後にある真実について解説する。コロンゾンの本質、召喚の経緯と真の目的、ローラ=スチュアートという偽りの器、および圧倒的な脅威と暗躍についての解説は以下の通りである。
拡散を本質とする三三三の大悪魔
コロンゾンは「三三三」の数価を持つ大悪魔であり、その本質は「拡散」である。
・世界の理の完全なる結合を妨げる性質を持つ。
・人々の関係や事象を引き裂く。
・無尽蔵の混乱と破壊をもたらす存在として描かれている。
メイザースによる先行使役と一世紀におよぶ密命
1909年にアフリカにて、三羽の鳩の血を用いた儀式でアレイスター=クロウリーによって召喚されたとされていた。
・実際にはクロウリーが召喚する以前から、彼の宿敵であるサミュエル=リデル=マグレガー=メイザースによってすでに使役されていた。
・メイザースから、クロウリーに初めて召喚されたふりをして彼を破滅に導けという命令を受けていた。
・一世紀以上にわたってその命令を果たすために暗躍し続けていた。
実在しなかった娘とローラ=スチュアートの虚構
長らくイギリス清教の最大主教ローラ=スチュアートの肉体を霊媒として乗っ取っているとされてきた。
・ローラはアレイスターの二人目の娘であると騙られていた。
・娘の体を使って父親を嘲笑い、絶望させる残酷な悪魔だと思われていた。
・インデックスが過去の記録を調べたことで、アレイスターの娘であるローラ=スチュアートという人物は最初から存在していないことが判明した。
・コロンゾンが器としていた外側の肉体も、そこに宿る人格も、すべてコロンゾン自身が悪意を持って作り出した完全な偽物であったことが突き止められた。
絶対的巨悪としての画策と多角的な暗躍
大天使エイワスをも凌駕するほどの強大な力を持つコロンゾンは、物語の終盤で最大の脅威として立ちはだかった。
・アレイスターを破滅へ導くため、学園都市の機能を奪って大混乱に陥れた。
・イギリス連邦全域を巻き込む規模の危機を引き起こした。
・人造悪魔クリファパズル545を生み出して他者を操った。
・死んだはずのメイザースをはじめとする黄金の魔術師たちを、タロットカードを媒体とした防衛装置として復活させた。
・狡猾で容赦のない手段を駆使して上条当麻やアレイスターたちを極限まで追い詰めた。
まとめ
大悪魔コロンゾンを巡る一連の全貌は、拡散という本質から始まり、メイザースによる密命の受託、ローラ=スチュアートという架空の存在を用いた欺瞞、そして歴史の裏で繰り広げられた絶大なる暗躍に至るまで、物語の根底を支える陰謀と脅威の正体を明瞭に示している。
偽りの血縁や歴史の裏操作という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を真実の解明と果断な対峙によって完璧に確立するに至る、巨悪との長きにわたる闘争の記録である。
本質の提示から、密命の開露、虚像の破棄、そして脅威の克服へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
新約 とある魔術の禁書目録(20)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(22)レビュー
登場キャラクター
学園都市
上条当麻
右手に異能を打ち消す「幻想殺し」を持つ高校生である。オティヌスを理解者として肩に乗せている。
・所属組織、地位や役職
学園都市の高校生。
・物語内での具体的な行動や成果
アレイスターと共にウェストミンスター寺院の墓地でメイザースと交戦した。その後、女性騎士の軍馬に同乗して王室派の馬車へ飛び乗り、メイザースと対峙する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
コロンゾンが正体を現した際、幻想殺しで敗北の結末を覆す決意を示した。
一方通行
学園都市第一位の超能力者である。クリファパズル545と秘密裏に行動を共にしている。
・所属組織、地位や役職
学園都市第一位の超能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
アレイスターの指示に従いメイザースに攻撃を加えた。その後、大型トラックの荷台でバッテリーを充電し、力を温存する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
クリファパズル545をコロンゾンの支配から解放し、自身の支配下に置いた。
アレイスター=クロウリー
銀髪の少女の姿となった学園都市統括理事長である。かつて魔術結社『黄金』を崩壊させた。
・所属組織、地位や役職
学園都市統括理事長。かつての『黄金』の魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
メイザースの遺体を求めてウェストミンスター寺院へ向かう。その後スコットランドの平原でメイザースと一対一の死闘を繰り広げ、彼を消滅させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
魔術を嫌悪していたが、自ら聖書を手に取り『神の子』の力を引き出して勝利を収めた。
御坂美琴
学園都市の超能力者である。食蜂操祈と共にA.A.A.に搭乗している。
・所属組織、地位や役職
学園都市の超能力者(第三位)。
・物語内での具体的な行動や成果
バリ島からA.A.A.でロンドンへ飛行し、御坂旅掛を救出した。その後、上条当麻を救出し、メイザースへ液状被覆超電磁砲を放つ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
コロンゾン襲来時、A.A.A.の翼で防壁を展開した。
食蜂操祈
学園都市の超能力者である。御坂美琴と共にA.A.A.に搭乗している。
・所属組織、地位や役職
学園都市の超能力者(第五位)。
・物語内での具体的な行動や成果
A.A.A.に同乗してロンドンへ向かった。不時着後、自販機でレインコートを入手して寒さをしのぐ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アレイスターの治療を手伝うよう上条から頼まれた。
浜面仕上
滝壺理后を大切に想う不良少年である。魔術の知識は持たない。
・所属組織、地位や役職
武装無能力者集団の所属。
・物語内での具体的な行動や成果
大英博物館前でダイアン=フォーチュンを救出した。その後、四駆でスコットランド方面へ向かう。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
目の前で消滅したダイアン=フォーチュンを取り戻す決意を固める。
滝壺理后
浜面仕上の恋人である。特殊な受信体質を持つ。
・所属組織、地位や役職
不明。
・物語内での具体的な行動や成果
浜面と共に四駆で移動する。スコットランド方面からの魔術的な通信を察知して苦しむ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ダイアン=フォーチュンに対し、浜面への感謝を示すよう忠告した。
烏丸府蘭
ウサギアンテナの少女である。インデックスと行動を共にしている。
・所属組織、地位や役職
学園都市の人間。
・物語内での具体的な行動や成果
大英博物館の修繕室でインデックスの調査を補助する。オルソラに棕櫚の杖を託し、通信網の回復を図る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
通信術式の回復により、インデックスの発見を上条たちへ伝達した。
冥途帰し
カエル顔の医師である。アレイスターの友人である。
・所属組織、地位や役職
学園都市の医師。
・物語内での具体的な行動や成果
キャンピングカーでミナ=メイザースと合流した。生活用品を医療器具に改造し、リリスの肉体を作る準備を進める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アラン=ベネットを名乗り、ミナを安心させて治療に集中させた。
木原脳幹
魔術の根絶を望む研究者である。冥途帰しと会話を交わす。
・所属組織、地位や役職
学園都市の木原一族。
・物語内での具体的な行動や成果
冥途帰しがアラン=ベネットの偽物であることを指摘した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自身を破壊を生む存在と位置づけ、医療の道へは進まないと宣言する。
御坂旅掛
御坂美琴の父親である。ロンドンの路地裏に身を潜めていた。
・所属組織、地位や役職
一般のビジネスマン。
・物語内での具体的な行動や成果
浜面たちを逃がすため、アニーとウェストコットの前に工事用資材を崩して立ちふさがった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ウェストコットの攻撃で吹き飛ばされ、肩の関節を外す。
リリス
アレイスターの娘である。肉体を持たず魂だけで存在する。
・所属組織、地位や役職
アレイスターの娘。
・物語内での具体的な行動や成果
エジプトのキャンピングカーでミナに保護されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
冥途帰しによって肉体を用意される段階にある。
アネリ
サポートAIである。浜面の携帯電話に宿っている。
・所属組織、地位や役職
問答型思考補助式人工知能。
・物語内での具体的な行動や成果
学園都市の機能解放に伴い再起動した。浜面とダイアン=フォーチュンの会話を通訳する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ミナ=メイザースのダウングレード版であるため、フォーチュンから恐れられる。
魔術結社『黄金』
サミュエル=リデル=マグレガー=メイザース
魔術結社『黄金』の長である。アレイスターの師であり宿敵である。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『黄金』の長。
・物語内での具体的な行動や成果
ウェストミンスター寺院で復活し、アレイスターたちを攻撃した。その後スコットランドの平原でアレイスターと交戦する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アレイスターの魔術によって地脈からの力の供給を絶たれ、消滅した。
ミナ=メイザース
黒猫の魔女である。メイザースの妻であり、アレイスターを補佐する。
・所属組織、地位や役職
自律稼働する魔道書。
・物語内での具体的な行動や成果
エジプトのキャンピングカーでリリスを護衛する。冥途帰しとリリスの肉体構築について協議した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アレイスターの魔術の閃光を遠方から察知する。
ウィリアム=ウィン=ウェストコット
創設期の魔術師である。半不死の術式を持つ。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『黄金』の創設メンバー。インペレーターの役を担う。
・物語内での具体的な行動や成果
アニーと共に天草式や御坂旅掛を攻撃した。王室派の馬車列を追撃する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ダイアン=フォーチュンの魔術によって退けられ、最終的にタロットカードとなって消滅した。
アニー=エリザベス=フレデリカ=ホーニマン
古い時代の家庭教師のような姿の魔術師である。他者の魔術を調律する。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『黄金』の魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
白と黒の棍を用いてウェストコットの魔術を増幅する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アレイスターの魔術の余波を受け、消滅を受け入れた。
ダイアン=フォーチュン
赤いショートヘアの魔術師である。黒い箱を用いて予測不能な魔術を扱う。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『黄金』の魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
ピカデリーサーカスでアレイスターに吹き飛ばされた後、浜面に救助された。アニーやウェストコットから浜面を守る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
浜面との出会いを経て『黄金』と敵対し、最終的にカードとなって消滅した。
イスラエル=リガルディ
『黄金』の魔術師である。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『黄金』の魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
アレイスターの潜伏先を探索する斥候として動く。王室派の馬車列を追撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アレイスターの魔術の余波でカードとなって消滅する。
ロバート=ウィリアム=フェルキン
純白の礼服と外套を着た魔術師である。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『黄金』の魔術師。プレモンストレーターの役を担う。
・物語内での具体的な行動や成果
王室派の車列を追撃する。上条の陽動によりブロディ=イネスと衝突し、軍馬に踏まれる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
最終的にカードとなって消滅した。
アーサー=エドワード=ウェイト
仕立て屋風の中年男性である。タロットを武器として用いる。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『黄金』の魔術師。記録と予備の役を担う。
・物語内での具体的な行動や成果
ピカデリーサーカスでアレイスターの首を切断したかに見えたが、反撃を受けて体内で化学反応を起こされる。王室派の車列を追撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アレイスターの魔術の余波で消滅する。
ジョン=ウィリアム=ブロディ=イネス
黒衣の裁判官のような姿の魔術師である。陣形操作を得意とする。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『黄金』の魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
ピカデリーサーカスでアレイスターを追撃する。王室派の車列を追撃し、キュティアの魔術を逆流させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フェルキンと衝突して軍馬に踏まれ、最終的に消滅した。
エドワード=ベリッジ
魔術医療の専門家である。メイザースの忠臣である。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『黄金』の魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
メイザースの指示を仰ぎ、猟犬としてアレイスターを追跡した。一方通行の反射攻撃からメイザースを庇う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
メイザースを庇った結果、消滅する。
ネッタ=フォルナリオ
『黄金』の魔術師である。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『黄金』の魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
アレイスターの潜伏先の窓に張り付いていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一方通行の不可視の打撃によって吹き飛ばされる。
チャールズ=ロシャー
『黄金』の魔術師である。仮面舞踏会の君の配下である。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『黄金』の二重結社スフィアに属する。
・物語内での具体的な行動や成果
ハイドパークの湖上で陣形を組み、惑星霊の召喚を補助する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フレデリック=リー=ガードナー
テニスウェア姿の魔術師である。仮面舞踏会の君の配下である。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『黄金』の二重結社スフィアに属する。
・物語内での具体的な行動や成果
ハイドパークで惑星霊の召喚を補助した。王室派の車列を追撃し、女性騎士の攻撃を迎撃する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
軍馬アレックスに蹴り飛ばされて戦線から脱落し、最終的に消滅した。
仮面舞踏会の君
赤いドレスを着た仮面の美女である。二重結社スフィアを率いる。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『黄金』の二重結社スフィアの長。
・物語内での具体的な行動や成果
ハイドパークの湖上で惑星霊タフサーサーラスを召喚し、ピカデリーサーカスへ落下させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
最終的にカードとなって消滅した。
イギリス清教・天草式十字凄教
インデックス
完全記憶能力を持つ少女である。上条当麻を心配している。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教の魔道書図書館。
・物語内での具体的な行動や成果
大英博物館の修繕室で資料を調べ、ローラの正体がコロンゾンであることを突き止める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
調査結果を上条へ伝達し、コロンゾンの正体を暴く決定打となった。
オルソラ=アクィナス
ローマ正教式の修道服を着た女性である。アレイスターを救護する。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教のシスター。
・物語内での具体的な行動や成果
スコットランドの教会で重傷のアレイスターを治療し、助言を与えた。棕櫚の杖を地脈に刺し、通信網を回復させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アレイスターが迷いを断ち切るきっかけを作る。
神裂火織
世界に20人といない『聖人』の一角である。クロウリーズ・ハザードとの戦いで人を殺したことに苦悩している。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教の女教皇。
・物語内での具体的な行動や成果
オルソラと共にスコットランド方面へ向かう。地脈の測量を担当する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
オルソラの言葉を受け、正しき道に戻ることを願う。
アニェーゼ=サンクティス
小さなシスターである。ロンドンの被害状況を確認する。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教のシスター。
・物語内での具体的な行動や成果
大英博物館で被害状況を自発的に計算し直す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アンジュ=カタコンベ
クラシックなメイド服を着た女性である。スーツケースを自走させて戦う。
・所属組織、地位や役職
必要悪の教会。
・物語内での具体的な行動や成果
王室派の馬車列を護衛する。高速道路に投げ出されたキュティアを救出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
キュティア=バージンロード
錆びた回転刃を操る魔術師である。アンジュと共に馬車列を護衛する。
・所属組織、地位や役職
必要悪の教会。
・物語内での具体的な行動や成果
メイザースの『蠅の王』を迎撃しようとしたが、ブロディ=イネスの魔術で自身の術式を逆流させられる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アンジュに救助された。
建宮斎字
大剣フランベルジェを操る大男である。天草式十字凄教を率いる。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教の教皇代理。
・物語内での具体的な行動や成果
ロンドン市内でアニーとウェストコットに遭遇し、交戦する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ウェストコットの反撃を受けて吹き飛ばされた。
五和
槍を操る少女である。建宮と共に戦う。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
アニーの魔術の性質を看破し、建宮を守るために槍を構える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ウェストコットの打撃を受けて吹き飛ばされた。
牛深
建宮と行動を共にする青年である。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
吹き飛ばされた建宮を支える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
諫早
建宮と行動を共にする人物である。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
牛深と共に建宮を支える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
王室派
エリザード
英国女王である。ロンドンに残って戦う意思を持つ。
・所属組織、地位や役職
英国女王。
・物語内での具体的な行動や成果
ロンドンで戦おうとするが、側近たちに制止されてスコットランドへ向かう。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
リメエア
第一王女である。冷静な戦術判断を下す。
・所属組織、地位や役職
英国第一王女。
・物語内での具体的な行動や成果
王室派の撤退を決定し、カーテナ=ロストを用いてメイザースを迎撃する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヴィリアン
第三王女である。国民を心配している。
・所属組織、地位や役職
英国第三王女。
・物語内での具体的な行動や成果
王室派の撤退作戦による被害拡大を懸念する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
女性騎士
銀の鎧を着た騎士である。軍馬アレックスに乗る。
・所属組織、地位や役職
英国の騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
上条当麻を馬に乗せて高速道路へ向かう。メイザースたちの陣形に突撃してガードナーを蹴り飛ばした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
上条と共に王室派の車列へ合流し、護衛を務める。
魔神・悪魔・その他の魔術勢力
大悪魔コロンゾン
ローラ=スチュアートの肉体を乗っ取る大悪魔である。世界の自然分解を目論む。
・所属組織、地位や役職
大悪魔。
・物語内での具体的な行動や成果
メイザースの遺体を守るため『黄金』を復活させた。A.A.A.の構造を利用してエディンバラ城へ落下する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アレイスターに正体を暴かれ、メイザースの棺を燃やしてアレイスターを攻撃した。
クリファパズル545
人造の悪魔である。一方通行と行動を共にする。
・所属組織、地位や役職
人造悪魔。
・物語内での具体的な行動や成果
一方通行の指示で浜面を捜索中、A.A.A.と衝突した。その後、一方通行の睡眠中に警戒を担う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一方通行によってコロンゾンとの契約を断ち切られ、自由を得た。
オティヌス
小さな姿の魔神である。上条当麻の理解者である。
・所属組織、地位や役職
魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
上条の肩に乗って魔術の解説や助言を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ネフテュス
全身に包帯を巻いた魔神である。浜面の車に同乗している。
・所属組織、地位や役職
魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
負傷したフォーチュンを治療し、魔神としての威圧感で彼女を牽制する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
娘々
ミニチャイナを着た魔神である。ネフテュスと共に行動する。
・所属組織、地位や役職
魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
浜面へ助言を与え、フォーチュンの霊装の性質を看破する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
レイヴィニア=バードウェイ
『明け色の陽射し』を率いる金髪の少女である。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『明け色の陽射し』の長。
・物語内での具体的な行動や成果
ガソリンスタンドで浜面やフォーチュンと遭遇する。フォーチュンの態度に失望し、生メイザースを確認しに行く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
レッサー
『新たなる光』に属する少女である。バードウェイと行動する。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『新たなる光』のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
ガソリンスタンドで浜面たちと遭遇し、フォーチュンの姿にショックを受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
集団
クロウリーズ・ハザード
アレイスターが解き放った異形の群れである。メイザースたちを襲うが殲滅される。
・所属組織、地位や役職
アレイスターの生み出した怪物。
・物語内での具体的な行動や成果
ウェストミンスター寺院で『黄金』の魔術師たちに一方的に破壊される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
『黄金』の魔術師たち
大悪魔コロンゾンによって復活した魔術師の集団である。タロットカードを媒体とする。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『黄金』。
・物語内での具体的な行動や成果
アレイスターや王室派の馬車列を追撃し、集団魔術を用いて圧倒的な戦闘力を示す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アレイスターの魔術の余波により、次々とタロットカードとなって消滅した。
天草式十字凄教のメンバー
建宮や五和が所属する集団である。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教。
・物語内での具体的な行動や成果
ロンドンでクロウリーズ・ハザードの消失を確認しようとする。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
イギリス清教のシスターたち
大英博物館周辺に集まる集団である。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教。
・物語内での具体的な行動や成果
ロンドン市内で被害状況の確認などを行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
王室派の馬車の車列
英国王室のメンバーを乗せた馬車の集団である。
・所属組織、地位や役職
英国王室および護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
スコットランド方面へ向けて北上する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エディンバラ城の役人や騎士たち
エディンバラ城で待機していた集団である。
・所属組織、地位や役職
エディンバラ城の職員および護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
到着した王室派の馬車列を出迎える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
新約 とある魔術の禁書目録(20)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(22)レビュー
展開まとめ
冥途帰しとアラン=ベネット
砂漠の訪問者
エジプトのオアシス近くに停められたキャンピングカーで、ミナ=メイザースは赤子のリリスを守りながら留守を預かっていた。誰も居場所を知らないはずの車を何者かが訪ねたため、ミナはパレットナイフを手に警戒した。
無防備な気配
扉の向こうには一人の人物がいたが、武器も魔力を練る気配もなかった。ミナが殺意を込めてパレットナイフを扉へ突き刺しても、相手は純粋に音へ驚いただけであり、戦闘の専門家とは思えなかった。
冥途帰しの到着
扉を開けると、そこには学園都市で伝説的な医師とされる冥途帰しが立っていた。彼は負傷したゴールデンレトリバーを治療していたため到着が遅れたと説明し、アレイスターから緊急時にはここへ来るよう伝えられていたと明かした。
リリスの脆弱な魂
リリスは肉体や細胞を持たず、原罪のない魂だけで存在していた。高い霊格によって一時的に自身を現世へ留めていたが、実体となる器がないため、いつ魂が霧散してもおかしくない状態であった。
新たな肉体の必要性
ミナはリリスを完全に定着させるため、新たな肉体が必要だと説明した。そのために科学技術を利用し、失われた記憶や経験、人格を肉体へ移植する方法について冥途帰しへ尋ねた。
医療と魔術の協力
冥途帰しは記憶や人格の移植について、脳や神経、内臓、ホルモンなど扱う部位によって可能性が変わると答えた。ミナは生命力や魔力の説明を加え、リリスの魂を肉体へ完全に定着させる方法を共に探ろうとした。
アレイスターの友人
冥途帰しは、現在のミナがアレイスターを支える者ならば、自分も彼の数少ない友人として本当の名を明かしてよいと告げた。その言葉から、ミナはアレイスターの過去に関わる伝説的な人物を思い出した。
アラン=ベネットの過去
その人物はアレイスターが唯一師と認めた最大の親友であり、未熟な医療によって阿片中毒となっていた。ブライスロードの戦いで最初に敗れ、西洋の権力争いから離れた後、治療のためセイロンでヨガを学び、健康を取り戻していた。
東西を歩む救済者
冥途帰しは、自らを黄金の魔術師アラン=ベネット、または仏門の僧侶スワミ=マイトラナンダと名乗った。西洋で受けた毒を東洋で抜き、今も人々を救う道を歩み続ける者であると明かした。
序章 黄金、 その遍歴 True_Wizards.
『黄金』との再戦
世界最大の魔術結社
十九世紀末から二十世紀初頭に存在した魔術結社『黄金』は、活動期間こそ短かったが、現代でも世界最大と称されていた。薬剤師や舞台女優、検視官、作家から無職や世捨て人まで、多様な人間を集めた結社であった。
二人の傑物
『黄金』の中心には、アレイスター=クロウリーとサミュエル=リデル=マグレガー=メイザースがいた。二人は師弟であり親友でありながら、異端者や宿敵として対立し、互いに異なる魔術理論を掲げていた。
ブライスロードの戦い
魔術に犠牲は避けられないと考えたメイザースと、それを許せなかったクロウリーは、一九〇〇年四月にロンドンで衝突した。ブライスロードの戦いを経て、『黄金』の魔術師たちは殺されるか、成功する可能性を奪われ、純粋な結社として消滅していた。
偽りの亡骸
ウェストミンスター寺院では、コロンゾンを止めるために求めていたメイザースの亡骸が、本人のものではないと判明した。その直後、死んだはずのメイザース本人が姿を現し、クロウリーへ再戦を挑んだ。
蘇ったメイザース
現れた男は、スコットランド式の軍服と魔女のような帽子や外套を身につけ、かつて多くの魔道書を翻訳して西洋魔術を広めたメイザースその人であった。彼はクロウリーを庇護した師であると同時に、魔術思想を争った最大の敵でもあった。
失われた娘たち
メイザースが疑心暗鬼に陥り、コロンゾンを呼び出して『黄金』の頂点を脅かす者を襲わせなければ、リリスや二人目の娘が犠牲になることはなかった。復活したメイザースは過去を悔いることなく、アレイスターの娘は救われるべきではなかったと言い放った。
揺らぐ勝利
悪意の中心がコロンゾンだと信じていたアレイスターは、メイザースの出現によって過去の理解を覆された。これまで支えとしてきた勝利の意味さえ揺らぎ、動揺しながらも、娘を否定する言葉だけは受け入れなかった。
蘇った『黄金』
敵として立ちはだかったのはメイザースだけではなかった。ウェストコット、フォーチュン、リガルディ、フェルキンら、それぞれ独自の伝説を持つ『黄金』の魔術師たちが再び集結していた。
学園都市という成果
アレイスターも一世紀を無為に過ごしてはいなかった。戦後の首都復興を隠れ蓑に、極東へ巨大な学術機関である学園都市を築き、かつてシチリア島で潰えたテレマの僧院の理想を、科学として偽装しながら形にしていた。
科学と魔術の決戦
嘘から始まった学園都市には多くの人々が集まり、創設者の想像を超える存在へ成長していた。アレイスターが築いた成果そのものが戦力として立ち上がり、『黄金』との戦いは、科学と魔術のどちらが生き残るかを決める全面対決へ進もうとしていた。
第一章 狂乱 Welcome_to_GD_Paradise!!
墓地を揺らす爆発
十二月深夜、ウェストミンスター寺院の墓地でアレイスターは地下のガス管を破壊し、漏れ出した天然ガスを操って大爆発を起こした。しかしメイザースは爆炎を容易に吹き飛ばし、傷一つ負わなかった。
科学による観察
アレイスターは一度の攻撃で倒すことを目的とせず、成功と失敗の両方を記録し、メイザースの性質を分析すると宣言した。学園都市を築いた時と同じく、実験と観察を積み重ねて攻略法を探ろうとしていた。
幻想殺しへの対応
上条当麻は爆炎に紛れて接近し、右拳でメイザースを殴ろうとした。メイザースは幻想殺しを魔術で受け止めるのではなく、水の性質を利用して拳の軌道をわずかに逸らし、過去の敗北から得た経験によって回避した。
一方通行の一撃
上条を火の杖で仕留めようとしたメイザースへ、一方通行が横から拳を叩き込んだ。メイザースは墓石を砕きながら吹き飛んだが、一方通行が血管や神経を破壊するつもりで加えた攻撃にも傷を負わず、平然と立ち上がった。
メイザースの威圧
メイザースは、自分が欧州へカバラを広め、粛清に大悪魔まで利用した人間だと語り、科学や学園都市を軽視した。コロンゾンさえ再び召喚できると脅し、恐怖そのものを見せつけようとした。
クロウリーズ・ハザード
アレイスターが指を鳴らすと、異形の肉塊や巨大昆虫、人形などで構成されたクロウリーズ・ハザードが墓地へ押し寄せた。制御不能の群れでメイザースたちを襲わせ、その間にも戦力と術式の情報を集めようとした。
『黄金』の集団魔術
屋根や尖塔にいた『黄金』の魔術師たちは迅速に動き、クロウリーズ・ハザードを一方的に殲滅した。個々の術式は異なっていたが、互いの力を補い合う儀式として調和し、世界最大の魔術結社として圧倒的な力を示した。
墓地からの撤退
アレイスターはクロウリーズ・ハザードで勝てるとは考えておらず、魔術師たちの術式を記録するための目眩ましとして利用していた。メイザースの遺体確保にも失敗したため、上条へ撤退を促した。
一方通行の救出
メイザースが逃走を許さないと告げる中、上条は一方通行へ救援を求めた。一方通行は二人を抱えて墓地から離脱し、直後にメイザースの火炎が周囲の異形や墓地の設備をまとめて焼き払った。
学園都市の技術
墓地を離れたアレイスターは、魔術で『黄金』へ挑むのは無意味だと説明した。メイザースは四大元素という基本だけで世界のあらゆる現象を表現するため、超常へ超常で対抗しても勝ち目はなかった。
ピカデリーサーカス
アレイスターは、魔術に科学で抗うための準備場所としてピカデリーサーカスへ向かうと決めた。大規模な商業施設を利用し、押し寄せる『黄金』を迎え撃つ籠城拠点にしようと考えていた。
異形の焼却
墓地ではメイザースが土の盤でクロウリーズ・ハザードの残骸を防ぎ、火と風を操って血肉も灰も消し去った。『黄金』の魔術師たちは地上へ降り立ち、その功績を全て長であるメイザースへ捧げた。
エドワード=ベリッジ
忠臣エドワード=ベリッジは片膝をつき、次の指示を求めた。メイザースは出し惜しみせず、配下を猟犬としてアレイスターたちの追跡へ放った。
『黄金』の追跡者
『黄金』の魔術師たちは屋根から屋根へ飛び移り、獲物を追う猟犬のようにロンドンの街へ散った。ベリッジは五分もかからずアレイスターたちを噛み殺せると断言したが、メイザースは結果を決めつけず、意味ありげに笑った。
消えたクロウリーズ・ハザード
ロンドンへ後退していた天草式十字凄教は、クロウリーズ・ハザードが北方へ集中した後、突然消滅したことに困惑した。建宮斎字たちは、イギリス清教が制御不能な切り札を解き放った可能性を警戒し、民間人の確認も兼ねてウェストミンスター方面へ向かおうとした。
アニーとウェストコット
建宮たちの背後へ、アニー=ホーニマンとウィリアム=ウィン=ウェストコットが現れた。建宮のフランベルジェはウェストコットの首を深く切り裂いたが、彼は傷を押さえることもなく、建宮が殺傷を避けるため刃を鈍らせていたことまで見抜いた。
ソロモン神殿の儀式場
アニーは白と黒の棍を立て、ソロモン神殿を模した儀式場を展開した。彼女自身が直接戦うのではなく、共演者の魔術を調整して増幅することで、ウェストコットの一撃を強化し、天草式の武器をまとめて砕いて五和を吹き飛ばした。
五和の推察
五和は倒れながらも、アニーの術が『黄金』の集団儀式を支える舞台そのものだと見抜いた。アニーはその推察を認め、個人の功績ではなく、複数の魔術師を組み合わせることこそ『黄金』の本質だと語った。
天草式への警告
アニーは天草式の実力が自衛のために排除する水準へ達していないと判断し、戦闘を打ち切った。アレイスターとの関係も薄く、倒しても本人へ打撃を与えられないため、クロウリーズ・ハザードの脅威が去ったことを周囲へ伝える役目を与えた。
『黄金』の二人
建宮の問いに対し、二人はウィリアム=ウィン=ウェストコットとアニー=エリザベス=フレデリカ=ホーニマンと名乗った。彼らは天草式を解放した後、禁域へ近づく者を恐怖で追い返す子供部屋のボーギーとしてロンドンを巡回した。
メイザースへの不満
アニーは、友人ミナを養えないまま魔術研究へ金を浪費したメイザースを昔から軽蔑していた。今回も彼の命令に従いながら反感を抱き、ウェストコットへメイザースに対抗するよう焚きつけた。
市民を遠ざける役目
クロウリーズ・ハザードの消失によって安心した市民が外へ出る危険が高まっていた。アニーとウェストコットは、直接的な人払いが機能しにくい異常なロンドンで、怪異を演じて人々を危険地帯から遠ざけようとした。
『黄金』の術式分析
一方、アレイスターは撮影した映像から『黄金』の魔術師たちを分析した。ブロディ=イネスの陣形操作、フェルキンの精神干渉、ベリッジの魔術医療、アニーの術式調整などを確認し、集団戦の要となる人物を選別した。
ショッピングセンターへの侵入
上条当麻たちはピカデリーサーカスの商業施設へ到着し、黄金の棺を即席の破城槌として裏口の鉄扉を破壊した。アレイスターは籠城ではなく、『黄金』を科学技術で攻撃するための材料を調達する目的だと説明した。
日用品と戦争兵器
アレイスターは、毒ガスや焼夷兵器などが身近な薬品や燃料から作られてきた歴史を挙げ、軍事技術と民生品の境界は薄いと語った。単純な銃器や爆薬ではメイザースを倒せないため、学園都市の次世代技術を即席で再現しようとした。
統括理事長の科学兵器
溶接器具、鋼管、ガスタンク、工具、コンプレッサーなどを集めながら、アレイスターは魔術ではなく学園都市の独自技術で『黄金』を狩ると宣言した。一方通行には能力使用を控えさせ、決戦に備えてバッテリーを温存させた。
クリファパズル545
一方通行は人目を避け、人工悪魔クリファパズル545を呼び出した。彼女はゴミを媒介として姿を現し、ローラ=コロンゾンによって作られた存在として、一方通行の命令に従っていた。
アレイスターの真意
クリファパズル545は、アレイスターが『黄金』について述べた内容に虚偽はないと判断した。一方通行は、危機に陥っても彼が自分たちへハッタリを使わない理由を疑い、上条当麻にまだ何かをさせる意図があるのではないかと考えた。
クロウリー抹殺の使命
クリファパズル545は、コロンゾンが世界を制御できなくなった場合、自律的にアレイスターを殺すため起動する存在だと明かした。一方通行は、自分を精神的に破壊するため作られた番外個体との共通性を感じ取った。
さらなる陰謀
一方通行は、アレイスター、コロンゾン、メイザースが同じ魔術世界から生まれた以上、単純な正面攻撃だけで終わるはずがないと断定した。現在の襲撃の裏には、さらに悪質な仕掛けが隠されていると警戒した。
『黄金』の襲撃と惑星霊の落下
ダイアン=フォーチュンの突撃
『黄金』の魔術師ダイアン=フォーチュンは、ウェイトやブロディ=イネスと共にピカデリーサーカスへ向かった。彼女は黒い箱へ薔薇十字の記章を投入し、結果を予測できない即興魔術によって炎を噴射しながらショッピングセンターへ突撃した。
極超音速衝撃波圧縮打撃砲
アレイスターは鋼管、燃焼ガス、コンプレッサーなどから、極超音速の衝撃波を放つ兵器を組み上げていた。収束させれば槍、拡散させれば壁となる攻撃を連射し、飛来したフォーチュンを建物の壁まで吹き飛ばした。
不死性への疑問
フォーチュンは強烈な衝撃と落下を受けても何度も立ち上がり、やがて黒い箱から展開した障壁で攻撃を逸らした。アレイスターは、メイザースやウェストコットと同様の異常な耐久性が『黄金』全体に共通する可能性を疑った。
ウェイトの奇襲
アーサー=エドワード=ウェイトは『塔』のカードを刃として使い、アレイスターの首を切断した。しかし斬られた少女は偽物であり、本物のアレイスターは認識の曖昧さを利用して姿を誤認させ、ウェイトの口へ化学薬品を詰め込んだ。
体内の高熱反応
アレイスターはウェイトの体内で酸化鉄とアルミニウムを反応させ、全身の穴から高熱の炎を噴き出させた。それでも倒せるとは考えず、攻撃を目眩ましとして次の陣地へ移動した。
十字聖別の猟犬
天井の鉄骨にはブロディ=イネスが現れ、様々な十字の光を展開した。アレイスターは、彼が倒されたウェイトの役割を引き継ぎ、仮面舞踏会の君を支えるために時間を稼いでいると見抜いた。
仮面舞踏会の君
ハイドパークの湖上では、仮面舞踏会の君がチャールズ=ロシャーとフレデリック=リー=ガードナーを従えていた。彼女は『黄金』内部に選ばれた者だけの二重結社を築き、メイザースとは異なる支流の女帝として強い影響力を持っていた。
不在のアラン=ベネット
陣形には本来加わるはずだったアラン=ベネットの代わりに、銀の杖が置かれていた。仮面舞踏会の君は、アレイスターが唯一認めた師であるアランさえ配下の駒として扱いながら、その不在によって単調さを感じていた。
惑星霊タフサーサーラス
仮面舞踏会の君は配下と四角形の陣を組み、わらべ歌のような呪文を唱えた。水星に対応する元素と天球の理を操り、惑星霊タフサーサーラスを巨大な力として呼び出した。
ショッピングセンターへの墜落
形を保てないほど巨大な惑星霊は、自壊しながら一直線にピカデリーサーカスへ向かった。アレイスターたちが立てこもるショッピングセンターへ、天体規模の攻撃が落下しようとしていた。
イシス=ウラニア別館への帰還
惑星霊の直撃
惑星霊タフサーサーラスが落下し、ピカデリーサーカスのショッピングセンターは木端微塵となった。衝突の直前、アレイスターは能力を使おうとした一方通行を床へ引き倒し、上条にも伏せるよう叫んだため、三人は破壊の渦を生き延びた。
何もしない防御
アレイスターは、タフサーサーラスが実際の水星ではなく、地球を循環するエネルギーから水星の象徴に対応する要素を抜き取り、架空の一点へ噴出させる術だと説明した。幻想殺しや一方通行で対抗すれば敵対関係を強めて威力を増すため、何もせず攻撃の対象から外れることが正しい対処であった。
アランの教え
アレイスターが初見で術の性質を見抜けたのは、仮面舞踏会の君が参考にした古い文献について、かつてアラン=ベネットから教えを受けていたためであった。アレイスターは、自分を救った過去の縁が一世紀を経ても残っていたことに、わずかな感慨を抱いた。
崩壊した商業施設
攻撃後、巨大なショッピングセンターは壁も天井も失い、均等に広がる瓦礫の山へ変わっていた。周辺の建物にもガラスや石材が降り注いでいたが、深夜の厳戒態勢によって一般人の被害は避けられていた。
『黄金』の生死
ショッピングセンターにはウェイト、ブロディ=イネス、フォーチュンが侵入していたが、惑星霊の攻撃後の生死は分からなかった。アレイスターは、仮面舞踏会の君が配下を使い潰すこともためらわないため、彼らが巻き込まれた可能性を認めた。
死を装った猶予
アレイスターは、攻撃によって自分たちも死亡したと思われている可能性を利用しようとした。『黄金』が生死を確認するまでの時間を安全な猶予と捉え、確かめたい場所へ移動することを決めた。
『黄金』の始まり
上条はブライスロードの儀式場や武器庫を探るのだと考えたが、アレイスターは否定した。向かう先は『黄金』が最初に設営した聖堂イシス=ウラニアの別館であり、敵を理解するために全ての始まりから調べ直そうとしていた。
ナンバー03の由来
最初の聖堂でありながらナンバー03と呼ばれたのは、ウェストコットが『黄金』を古代から続く薔薇十字の正統な英国支部に見せかけたためであった。彼はドイツの結社から許可を得たという書簡と、実在しないアンナ=シュプレンゲルという人物を作り上げ、欠番を利用して歴史と権威を捏造していた。
消えゆくエジプト
ロンドンでは神威混淆の崩壊によって、エジプト神話を思わせる巨石や異形の景色が徐々に消えていた。クロウリーズ・ハザードの脅威も去ったが、それを容易に殲滅した『黄金』の力が、イギリス清教を上回るほど強大であることも明らかになった。
理解者の役目
上条は魔術の説明についていけず、一方通行へ同意を求めたが、逆に理解力の差を突きつけられた。オティヌスは、分からないことは自分へ尋ねればよいと内心で考えながら、頼ろうとしない上条の不器用さへ苛立っていた。
石造りの別館
一行は、ロンドンのありふれた石造りのアパートメントへ到着した。そこは一世紀前から残るイシス=ウラニア別館であり、上条が追体験した『黄金』の歴史と現実が重なる場所であった。
聖地への侵入
アレイスターは、メイザースやウェストコットにとって始まりの聖地である別館は手放せないと考えた。危険を承知しながら正面の扉を迷わず潜り、上条たちも『黄金』の本質を探るため、その後を追った。
クリファパズル545の工作
一方通行は、惑星霊タフサーサーラスの攻撃を早めるようクリファパズル545へ命じていた。戦争参加者の狂熱を高める彼女の力で『黄金』を勇み足にさせ、万全の奇襲を避けようとしたのである。
浜面仕上の捜索
アレイスターの説明に虚偽がないと確認した一方通行は、クリファパズル545を別行動へ向かわせた。統括理事長の計画から外れた危険因子でありながら、ロンドンで完全に気配を消した浜面仕上の所在を調査するよう命じた。
時の止まった部屋
アレイスターたちはイシス=ウラニア別館の一室へ入った。そこは一世紀前にウェストコットやメイザースたちが集った場所と変わらない間取りであったが、家具にはシートが掛けられ、照明も外され、長く誰も立ち入っていない状態で保存されていた。
使われていない聖地
上条は『黄金』が別の拠点を築いた可能性を考えたが、アレイスターは慎重に室内を調べた。始まりの聖地でありながらメイザースたちが利用していない状況から、予想外の事実へ気づき始めた。
大英博物館への潜入
上条を再び見失ったインデックスと烏丸府蘭は、闇雲な捜索をやめて大英博物館へ向かった。インデックスは次に再会した際、確実な助言を与えるため、ロンドンと世界で起きている出来事を整理しようとした。
修繕室の資料
大英博物館では、アニェーゼたちが自主的にロンドンの被害状況を調べていた。インデックスは完全記憶能力を持ちながらも、記憶した文字だけでは錯綜する情報を整理できないとして、奥の修繕室に保管された資料の閲覧を求めた。
届かない報告
ウェストミンスター寺院では、アレイスター追撃を命じられた魔術師たちから報告が届かなかった。エドワード=ベリッジは確認に時間がかかっているだけだと弁明したが、メイザースは二度にわたって、もうよいと切り捨てた。
アレイスターの生存
メイザースは、コロンゾンを放っても殺し切れなかったアレイスターが、今回の攻撃で簡単に死ぬはずはないと断定した。死体を確認する前から失敗を見抜き、ベリッジの自信と期待を容赦なく打ち砕いた。
スフィアへの牽制
メイザースは、仮面舞踏会の君の独断によってアレイスターを仕留め損ねた結果を、二重結社スフィアへの牽制として利用した。自らの『黄金』を切り取り、独自の勢力を築こうとする彼女の動きを抑えられたため、今回の失敗を不問とした。
最も優れた弟子
メイザースはベリッジへ、アレイスターは自分が直接育てた一番の弟子であると告げた。それは慰めではなく、師である自分の教えを受けた相手を甘く見たベリッジへの、殺意以上に痛烈な叱責であった。
苛烈な期待
メイザースは見込みのない者を無視する一方、成長の可能性がある者には容赦なく試練を与えていた。崖から蹴落としても這い上がる者だけを認める彼の期待に、これまで応えられたのはアレイスターただ一人であった。
行間 一
メイザースの軍事思想とミナの理解
『黄金』と古典翻訳
サミュエル=リデル=マグレガー=メイザースは、世界最大の魔術結社『黄金』の創設と、難解な魔道書の翻訳によって欧州へ魔術文化を広めた人物であった。彼が手掛けた書物は、禁書目録からも重要な金字塔として評価されるほど大きな影響を残していた。
ジオラマの戦場
貧しい暮らしの中でも、メイザースは新聞紙や絵の具、コルクを使って立体的な戦場を作っていた。彼はチェスが人口や資源、地形の違いを無視していることに不満を抱き、より現実的な戦争を再現する独自の遊戯を考えていた。
赤貧の夫婦
メイザースは研究や工作へ夢中になる一方、ミナ=メイザースとの生活は月末までわずかな金で過ごさなければならないほど困窮していた。ミナは現実的な生活を気に掛けたが、メイザースは心の豊かさを語り、飢えさえ精神論で乗り切ろうとしていた。
東洋幻想への反発
メイザースは、インドやチベットの名を出せば何でも神秘的に説明できると考える自称魔術師たちを嫌悪していた。本物の文化や経典を知らないまま、阿片や乱交まで東洋の秘儀として扱う態度を強く批判したが、その正義感は妻の困窮へ向けられなかった。
水を制する戦争
メイザースは塹壕や飛び道具だけでなく、水や海上輸送が戦争を左右すると考えていた。石炭が帆船を変え、石油が自動車を兵器へ変えようとする時代を見据え、魔術が戦場で生き残るためにも軍事と輸送を学ぶ必要があると考えていた。
フランス軍書の翻訳
メイザースは主要な魔道書より以前に、フランス軍の指南書を翻訳していた。ミナはその文章に粗削りながら温かみを感じ、単なる殺人の手引きではなく、広く理解されるよう工夫された知識として評価した。
ミナの視覚的補助
文字と翻訳を得意とするメイザースに対し、芸術家であるミナは直感的で視覚的な表現によって魔術を補助していた。難解な文字列へ図像や分かりやすい構造を加える試みが成功していれば、魔術は現代のコンピュータのように世界へ普及していた可能性があった。
メイザースの理解者
ミナはメイザースの悪態や癇癪の奥にある意図を取り違えない、数少ない理解者であった。彼女は軍事書さえ使い方次第だと受け止め、メイザースが誰にでも理解できる言葉を選んだ理由に、人を守る意図を見いだそうとしていた。
軍事への執着
メイザースには軍服や古戦場、銃剣や大砲に心を躍らせる子供のような部分があった。同時に、一つの対象へ集中すると周囲が見えなくなる危うさも抱えており、その執着が最悪の形で破裂した結果がブライスロードの戦いであった。
軍を率いる魔術師
卓越した魔術だけでなく、軍事を研究し集団を指揮する才能まで備えていたなら、メイザースの脅威は個人の範囲に収まらなかった。彼が率いる『黄金』は、敵として向き合う者にとって圧倒的な軍勢となる可能性を秘めていた。
第二章 ヒトの叡智が編み上げたモノ Grimoire_Nova.
大英博物館前の浜面仕上
浜面仕上は滝壺理后と共に盗難車へ乗り、ネフテュスや娘々を連れて大英博物館前にいた。周囲ではシスターたちが動き回っていたが、何らかの連絡を受けたためか、先ほどまでの切迫感は薄れていた。
娘々の警告
娘々は浜面に、西へ進めば面白いものが見られると告げた。浜面は危険を察して拒絶したが、このままではその何かが大英博物館へ接近し、周囲のシスターたちを巻き込むと聞かされ、逃げるように車を発進させた。
ピカデリーサーカスへの疾走
浜面は滝壺を助手席へ押し込み、四駆をピカデリーサーカス方面へ走らせた。途中で盗難車だと指摘されたものの、説明する余裕はなく、その場を離れた。
道路上の赤毛の少女
浜面は道路にうずくまる少女を発見し、急ブレーキをかけた。少女は白と桜色のドレスを身につけていたが、赤い髪も衣服も焼け焦げ、意識を失いかけるほど傷ついていた。
焦げたドレスと鈴
少女の手からは紐のついた鈴がこぼれ落ちていた。助けを求めるために使っていたと思われたが、応じる者はなく、少女は黒い箱を腹に抱えたまま倒れていた。
傷ついた黒い箱
少女が庇っていた黒い箱も大きくへこみ、銀色の砂に汚れていた。浜面はロンドンで起きている事情を理解しておらず、クロウリーズ・ハザードか防衛側の攻撃で傷ついた一般人だと考えた。
少女の救出
浜面は危険な場所から離れるため、少女を抱き上げて車へ運ぼうとした。滝壺を巻き込む不安を抱えながらも、重傷者を見捨てることはできなかった。
ダイアン=フォーチュン
浜面が病院や連絡手段について問い続けると、少女は自分の名前を聞かれたと受け取った。かすかな声で、ダイアン=フォーチュンと名乗った。
取り残された御坂旅掛
御坂旅掛は、傷ついた少女を助けた浜面仕上たちの四駆に声を掛ける機会を逃し、物陰へ身を潜めていた。ロンドンを徘徊する存在が素人の隠密で凌げる相手ではないと悟りながらも、負傷者を押しのけて自分を助けろとは言えなかった。
アニーとウェストコット
御坂旅掛の背後には、アニー=ホーニマンとウェストコットが現れた。二人は浜面が保護したダイアン=フォーチュンと、四駆の中に潜む強大な二つの歪みを察知し、大規模な儀式場が必要になると判断した。
旅掛の覚悟
触れれば即死すると直感した御坂旅掛は、静かに退くのではなく、工事用資材を崩して二人の進路を塞いだ。浜面たちへ逃げるよう叫び、自分の娘を思い浮かべながら、見知らぬ若者と傷ついた少女を逃がす側へ回った。
ウェストコットの一撃
ウェストコットは暗号術を応用した攻撃で即席の障害物を粉砕し、御坂旅掛を大通りの反対側まで吹き飛ばした。旅掛は関節を外されながらも痛みに耐え、浜面の四駆が立ち止まったことに焦りを募らせた。
死の儀式場
アニーは白と黒の棍を地面へ立て、ウェストコットの力を調律する巨大な儀式場を展開した。御坂旅掛は、周囲一帯が触れただけで死へ繋がる見えない糸に埋め尽くされたような圧力を感じ、呼吸さえ危険な状態へ追い込まれた。
空からの砲撃
直後、上空から連続砲撃が降り注ぎ、儀式場と見えない死の圧力を引き裂いた。ウェストコットとアニーは不意を突かれたものの致命傷には至らず、街を抉る砲火さえ目眩ましにしかならない強さを示した。
浜面たちの離脱
砲撃によって拘束が弱まると、御坂旅掛は浜面たちへ再び逃走を促した。自ら別の路地へ飛び込むことで四駆を安心させ、浜面たちがその場を離れたことを確認した。
父親の応急処置
危機を脱した御坂旅掛は、壁へ肩を打ちつけて外れた関節を自力で戻した。満身創痍になりながらも、今回の出来事を酒場で語る新たな自慢話として受け止めようとした。
A.A.A.の旋回
謎の航空兵器は旋回し、ウェストコットたちへ再び照準を合わせた。その機体にはA.A.A.とAnti-Art-Attachmentの文字が刻まれ、多数の重火器と推進装置が組み込まれていた。
兵器の中の少女
御坂旅掛が注目したのは兵器そのものではなく、その中心に組み込まれた少女であった。理性では他人の空似だと否定しようとしたが、父親としてその顔を見間違えることはできず、予想外の再会に思考を失った。
二人乗りのA.A.A.
御坂美琴と食蜂操祈は、分解したA.A.A.を前衛芸術として国外へ運び出し、バリ島から二人乗り仕様へ組み直してロンドンへ向かった。美琴が操縦を担い、食蜂は索敵や照準を補助する予定であったが、実際には美琴の能力へ大きく依存していた。
ロンドンへの超高速飛行
美琴は空気の組成と流れを電気で操り、摩擦熱や酸欠を防ぎながらA.A.A.をマッハ六で飛行させた。短時間しか維持できない危険な移動であったが、二人は英国沿岸から短時間でロンドンへ到達した。
御坂旅掛の発見
ロンドン上空へ入った美琴は、携帯電話の識別電波から御坂旅掛の位置を特定した。父親が二人の異常な存在に襲われていると知り、建物への被害を抑えながら大通りに沿って砲撃を開始した。
A.A.A.の集中砲火
A.A.A.は一二〇ミリ砲弾を連続して地上へ撃ち込み、アニーとウェストコットを怯ませた。しかし二人は戦車を破壊できるほどの砲撃を受けても倒れず、美琴は父親を逃がすため再攻撃へ移った。
空中の衝突
旋回したA.A.A.は、高度三〇〇メートルで半透明の悪魔クリファパズル545と正面衝突した。機体は均衡を失ってロンドン上空から墜落し、美琴は人間の少女とクラゲやコウモリを混ぜたような異形の存在を目撃した。
クリファパズル545の不時着
浜面仕上を捜していたクリファパズル545も衝撃で吹き飛ばされ、近くの建物の屋上へ落下した。上空から安全に街を監視するつもりであったが、同じ高度を飛ぶA.A.A.の存在までは予測していなかった。
増え続ける不確定要素
クリファパズル545は、浜面がダイアン=フォーチュンを回収し、周辺に『黄金』の魔術師や魔神、A.A.A.まで集まった状況を整理した。浜面は弱い個人でありながら、周囲の計画を次々と狂わせる不確定要素になっていると考えた。
浜面追跡と報告の選択
クリファパズル545は、逃走した浜面を引き続き追うか、A.A.A.という新たな存在を一方通行へ報告するか迷った。契約外の自由な行動を楽しんでいた悪魔にとって、判断の結果は報酬と処罰を分けるものでもあった。
即席の医療設備
エジプトのキャンピングカーでは、冥途帰しが生活用品や家電を改造し、蒸留器、遠心分離機、消毒装置、隔離作業台、計測機器などを次々と作り上げた。限られた道具だけで高度な医療環境を構築する技量は、無人島でも人を救えるほどであった。
肉体を作る倫理
ミナ=メイザースは、リリスの魂を定着させる新しい肉体を学園都市のクローン技術で用意しようとした。しかし冥途帰しは、別の命を作り出して部品として使い潰す方法を強く否定し、救命のためでも倫理を捨てることは認めなかった。
細胞からの器
冥途帰しは、胚や別の人間を犠牲にせず、体細胞を増殖させて必要な部位を作る方法を説明した。無秩序な増殖をテロメアや酵素で制御し、異常な細胞を正常化すれば、リリスのための肉体を一から用意できると考えていた。
アラン=ベネットの偽装
木原脳幹は、冥途帰しがアラン=ベネットを名乗ってミナを欺いていることを指摘した。冥途帰しは、警戒心の強いミナから攻撃されないよう、アレイスターの書き置きに従って役を演じただけであり、本物のアランについては何も知らないと明かした。
木原脳幹の信念
木原脳幹は魔術の根絶を望みながらも、目的のためなら何をしてもよいという考えを否定した。自分も破壊を生む木原の一員であり、医療へ進んでも救いを歪めるだけだとして、冥途帰しからの誘いを退けた。
人格の移植
冥途帰しは、魔術の専門知識を理解できなくても、記憶や人格、無意識の反応まで別の肉体へ移せれば目的は果たせると整理した。その発想と確信に触れた木原脳幹は、偽者と分かっていながらも、彼が本当にアラン=ベネットではないかと疑いたくなった。
救命者の演技
冥途帰しは、患者の不安を取り除き治療効果を高めることも医師の仕事だと語った。アランを演じた行為も、ミナを安心させて救命へ集中させるための手段であり、その徹底した姿勢は木原脳幹さえ呑み込むほど強固であった。
察知された潜伏
イシス=ウラニア別館で調査を続けていたアレイスターは、『黄金』に所在を察知されたと告げた。ネッタ=フォルナリオやイスラエル=リガルディら斥候との小競り合いを避け、本命であるメイザースの出鼻を挫くために移動を決めた。
斥候への一撃
アレイスターは一方通行へ、漂う埃から空気の流れを読み取るよう助言した。一方通行は能力を起動し、窓の外に張り付いていたフォルナリオを不可視の打撃で吹き飛ばした。アレイスターは直前の発言を平然と覆し、上条を呆れさせた。
メイザースの侵入
階段から重い足音が響き、メイザースが単身で現れた。姿を認めたアレイスターは激情に駆られて前へ出たが、メイザースは青い杯と緑の盤を操り、即座に魔術を発動した。
蠅の王の呪い
メイザースは床へ豆を撒き、それらを腐敗させて黒い糸で大悪魔ベルゼビュートとアレイスターの名を結びつけた。黒い汚染はアレイスターの心臓や血管へ侵入し、肉体を殺す前に恐怖で精神を折る呪いとなった。
宙吊りのアレイスター
恐怖に屈しかけたアレイスターは膝をつき、メイザースに首を掴まれて持ち上げられた。メイザースは、かつて『黄金』を内部崩壊させた呪いの味を再び受け入れろと迫った。
床下への退避
上条は一方通行へ床を破壊するよう叫んだ。二人は下の階へ落ちることで、メイザースが放った炎の奔流を回避した。続く風の刃も床を挟んだため軌道がわずかに乱れ、致命傷を免れた。
幻想殺しへの誘導
上条は下階から一方通行をメイザースへ突撃させ、床を破壊して幻想殺しの射程へ落とそうとした。しかしメイザースは床を踏み潰して一方通行を撃墜し、自身の死因に繋がる右手への接近を防いだ。
アレイスターの反撃
メイザースの注意が逸れた瞬間、アレイスターは顎へ膝蹴りを叩き込んだ。しかしメイザースは微動だにせず、この程度で終わるなと挑発した。それでもアレイスターは笑い、攻撃の結果から『黄金』の秘密へ近づいたと確信した。
共通する半不死性
アレイスターは、フォーチュンを手掛かりとして、ウェストコット以外の『黄金』の魔術師にも異常な耐久性が備わっている理由を暴くと宣言した。メイザースは心臓から全身を汚染し、苦しませながら殺すと告げた。
科学への信頼
アレイスターは、魔術ではなく自らが百年かけて築いた科学へ命を預けると答えた。メイザースに壁へ叩きつけられ、さらに床へ投げつけられそうになりながらも、スマートフォンを取り出して学園都市の全機能を解放した。
衛星兵器の直撃
衛星軌道から強烈な光学攻撃が降り注ぎ、メイザースへ直撃した。しかし彼は四大元素の象徴武器で耐え、宇宙からの攻撃程度では倒せないと嘲笑した。
一方通行の反射
衛星攻撃の本当の狙いはメイザースではなく、下階にいる一方通行であった。一方通行は光学攻撃を反射して集束し、威力を増した光を下からメイザースへ叩き返した。
初めての損傷
反射された光はメイザースの防御を飽和させ、風の短剣を弾き飛ばした。メイザースは初めて痛みを表情に浮かべ、帽子や外套、軍服だけでなく、傷を受け付けなかった肉体までも焼け崩れ始めた。
魔神たちに囲まれたフォーチュン
浜面仕上の四駆では、目を覚ましたダイアン=フォーチュンをネフテュスと娘々が手当てしていた。狭い車内で二柱の魔神に挟まれたフォーチュンは、相手の正体と力量を察し、強い警戒を見せた。
『黄金』と魔神の力関係
ネフテュスと娘々は、『黄金』の魔術師が人間の領域に留まりながら、集団魔術によって魔神にも届き得ると説明した。ただし両者の勝敗は単純な力比べではなく、知略や連携、相性によって左右されるものであった。
フォーチュンの反発
浜面が負傷したフォーチュンを気遣い、猛獣に囲まれた子鹿のようだと評すると、彼女は侮辱されたと受け取った。黒い箱を浮かべ、自分を馬鹿にするなと怒鳴って戦意を示した。
運を巡る絶望的な相性
娘々は、フォーチュンの黒い箱が術式を予測不能に変化させ、敵味方を純粋な運の勝負へ引きずり込む霊装だと見抜いた。しかし神を相手に運勢で競えば、人間であるフォーチュンに勝ち目はなく、勝負を始めた時点で敗北が決まると告げた。
ネフテュスとの不適合
ネフテュスは、『黄金』の術式がエジプト神話を取り込んでいる以上、本来の神格である自分へそのままぶつけても通じないと説明した。特に死や悲嘆に結びつくネフテュスの神格は、フォーチュンの独演魔術と致命的に相性が悪かった。
戦意の喪失
ネフテュスから死にたいのかと問われると、フォーチュンは黒い箱を落とし、戦意を失った。浜面は事情を理解できないまま、彼女が被害者なのか加害者なのか、どこへ送り届ければよいのかを尋ねた。
滝壺の忠告
滝壺理后は、フォーチュンへ浜面が危険を冒して救助した事実を伝え、最低限の感謝を示すよう求めた。フォーチュンは返答しようとしたが、羞恥と混乱に耐え切れず、再び意識を失った。
ベリッジの犠牲
イシス=ウラニア別館では、一方通行が反射した衛星攻撃によってメイザースの体が焼かれた。しかし完全に焼き切られる前にエドワード=ベリッジが体当たりし、メイザースを光の直撃から救っていた。
カードで作られた肉体
焼け落ちたメイザースの腕は、無数のタロットカードへ変化してから再構成された。アレイスターは、ミナ=メイザースやクリファパズル545と同様に、彼らが自律稼働する魔道書として作られた存在だと看破した。
破壊不能の原典
『黄金』の魔術師たちはウェストコットのような半不死の術式を使っていたのではなく、最初から破壊不能とされる魔道書の原典を肉体としていた。そのため通常の生体構造を狙う一方通行の攻撃は通じず、幻想殺しだけは避ける必要があった。
世代の違う魔術師たち
アレイスターは、フォーチュンやリガルディ、フォルナリオがブライスロードの戦いより後の世代であり、創設期のメイザースたちと共に一世紀潜伏していたはずがないと指摘した。彼らは同じ時代を生き延びた本人たちではなく、資料から再構成された存在であると結論づけた。
孤独な再会
『黄金』の正体を暴いたアレイスターは、懐かしい顔に囲まれても本物は一人もおらず、自分だけが過去から残されたと嘲った。しかしメイザースは、その理解だけで思考を止めるなら容易に仕留められると警告した。
戦争の狂気への干渉
メイザースは、自分の精神へ戦争の狂気が忍び込んでいたことを察知し、外部の人造悪魔による干渉を排除した。アレイスターはクリファパズル545を思い浮かべたが、すでに殺したはずの存在が動いていることに疑問を抱いた。
メイザースの撤退
メイザースは、アレイスターを必ず殺すと宣言しながらも、その場で決着をつけずに立ち去った。砂嵐で通路を埋め、別の重要な事態へ対処するため姿を消した。
『黄金』の正体
上条当麻と一方通行が合流すると、アレイスターは『黄金』の正体をほぼ看破し、一体を撃破したと説明した。ただし正体が分かっても魔術の実力が落ちる訳ではなく、戦闘が続いていれば自分が殺されていたと内心では認めていた。
優先された異変
アレイスターは、メイザースが忠臣ベリッジを傷つけられても自分との戦いを中断したことを重視した。自分を殺してからでは間に合わないほど重大な事態が起きていると考え、上条と一方通行へ心当たりを出すよう求めた。
返された鈴
浜面仕上は、道路でダイアン=フォーチュンと共に拾った鈴を返した。救難信号が誰にも届かなかった苦しさを察し、助けを求めた事実そのものに意味があり、いくらでもやり直せると語った。言葉が通じなくても、自分の思いを伝えることを選んだのである。
傷ついたクリファパズル545
クリファパズル545は、メイザースから受けた反撃によって輪郭を乱され、イシス=ウラニア別館の外へ落下していた。同じ手段で再び『黄金』を勇み足にさせようとした失敗を悟りながらも、悪魔として辛うじて回復し、再び空へ浮かび上がった。
王室派の馬車列
上空からロンドンを見渡したクリファパズル545は、四頭立ての馬車が各地から集まり、バッキンガム宮殿へ向かう様子を発見した。『王室派』が移動を始めたと判断し、新たな異変を察知した。
書物に残る癖
大英博物館の修繕室では、インデックスたちが『原典』そのものに残された折り目や汚れ、傷を調べていた。何度も使われた書物には持ち主の好みや思考が反映され、それらの物理的な癖から内面を読み取れる可能性があった。
見えない情報の複製
府蘭は、書物の文字だけでなく細かな傷や癖まで完全に把握すれば、白紙の本へ目に見えない情報を移せるのではないかと推測した。しかし大英博物館の資料だけでは足りず、遠方に保管された書物との照合が必要となった。
スコットランドへの通信網
通信手段が不調だったため、府蘭はスコットランドへ棕櫚の杖を運び、地脈を利用した臨時の通信網を構築しようとした。オルソラは自ら現地へ向かうと申し出て、インデックスたちには大英博物館で調査を続けるよう頼んだ。
本物のメイザースの遺体
アレイスターは、コロンゾンが守ろうとしていたのは、ウェストミンスター寺院には存在しなかった本物のメイザースの遺体だと推測した。現在の『黄金』とは別に遺体が残されており、それを利用されることを恐れたため、コロンゾンは過剰な防衛装置を展開していたのである。
スコットランドの墓所
メイザースが埋葬地として選びそうな場所はロンドンではなく、強く執着していたスコットランド方面であった。上条当麻たちは、以前の騒動で『王室派』を安全なスコットランドへ移送する計画が進められていたことを思い出した。
王室派の北上
車載ラジオから北へ向かう幹線道路の封鎖が伝えられ、ネフテュスは『王室派』がスコットランドへ撤退を始めたと推測した。エディンバラ城へ王室派が到着すれば、その強大な魔術的象徴によって地下墓所を隠す結界が破壊され、本物のメイザースの遺体が露出する恐れがあった。
遠隔からの呼び声
ダイアン=フォーチュンへ、仲間からスコットランドへ合流するよう遠隔通信が届いた。その信号は周囲へ激しい頭痛を与え、特殊な受信能力を持つ滝壺理后にはさらに深刻な負荷となった。滝壺は北西に二つの発信源があり、決して接触してはならないと警告した。
アニーとウェストコットの襲来
浜面が滝壺を守るため車外へ出ると、アニー=ホーニマンとウェストコットがすでに接近していた。浜面は一撃で倒されながらも、二人を車内の魔神たちへ近づけないため抵抗した。
フォーチュンの離反
ダイアン=フォーチュンは浜面を守るため黒い箱を操り、アニーとウェストコットを吹き飛ばした。二人が車内の強大な歪みを調査しようとすると、民間人を危険から遠ざける役割に従うべきだとして拒絶し、『黄金』へ戻る意思を示さなかった。
半不死を崩すアクシデント
ウェストコットとアニーは連携して攻撃したが、フォーチュンは黒い箱によって術式を分解し、予測不能な別の現象へ変化させた。安定した半不死性さえ偶発的な変化で崩せると脅されたウェストコットは、アニーを連れて撤退した。
浜面からの感謝
創設期の魔術師二人を退けたフォーチュンは、『黄金』全体を敵に回したことに動揺した。しかし滝壺を救われた浜面は彼女へ抱きつき、涙を浮かべて感謝した。言葉は通じなかったが、その気持ちはフォーチュンへ確かに伝わった。
新たなプライド
フォーチュンは、鈴を鳴らしても仲間が来なかった一方、利害のない浜面たちが自分を救ってくれたため守ったのだと明かした。『黄金』に属することだけではなく、誰かを助けて得られる誇りもあると感じ始めた。
スコットランドへの集束
本物のメイザースの遺体を隠す結界は、『王室派』がスコットランドへ到着すれば崩壊する可能性があった。その事態を防ぐため、防衛装置として作られた『黄金』の魔術師たちは、ロンドンでの戦いを中断して北方へ動き始めていた。
行間 二
六番目の聖堂アメン=ラー
北方への進出
約一〇〇年前、メイザースは『黄金』の六番目の聖堂をアメン=ラーと名付け、スコットランド方面へ新たな拠点を設けようとした。エディンバラ城やネス湖に強い関心を抱き、ロンドンから通う手間を省くためにも北方の聖堂が必要だと主張した。
スコットランドへの執着
メイザースは自らをハイランダーの末裔であり、スコットランド貴族グランストラエ伯爵だと称していた。根拠のない主張であったが、ウェストコットは彼の実力なら家系や土地との結びつきさえ魔術で作り上げかねないと考えていた。
目立ち過ぎる魔術師
メイザースは昼間から帯剣して街を歩き、スチュアート王朝の復活を叫ぶなど、秘密結社の一員とは思えない振る舞いを繰り返していた。表の職を持つウェストコットは、自分まで当局に睨まれるとして、その無遠慮な行動を厳しく戒めた。
無職のメイザース
メイザースはアニーが用意した博物館管理人の職を一年も続けず、生活費まで彼女に頼っていた。金がないため移動にも苦労していたが、表社会の仕事を失ったことを気にせず、自由な生活を楽しんでいた。
アニーの怒り
ウェストコットがメイザースの生活を支えているのはアニーだと指摘すると、彼女は呪詛の人形を持ち出すほど激怒した。周囲が騒ぎを収めようとする中でも、メイザースは意に介さず、スコットランドへの思いを語り続けた。
求める全ての土地
メイザースはスコットランドには自分の求める全てが揃っていると確信していた。その土地への執着は単なる研究対象への興味を超え、自らの理想や出自を重ねた特別な思いであった。
第三章 ハイウェイ・ロックオン Speed_Freaks.
学園都市への帰還
学園都市の封印が解かれ、ローラ=スチュアートの肉体を使う大悪魔コロンゾンが地中から這い出した。同時に都市全域の電力が復旧したが、それはアレイスターがメイザースへ反撃するために学園都市の機能を解放した結果であった。
『黄金』の破損
コロンゾンは、携帯用の画材から作られたカードを通じて、防衛装置である『黄金』の状態を確認した。メイザースたちは損傷し、ベリッジは消失していたため、アレイスターに正体を見抜かれ始めたと警戒した。
A.A.A.の魔術構造
学園都市を完全には掌握できないコロンゾンは、倉庫に保管されたA.A.A.の修理部品へ長い髪を侵入させた。機械部分ではなく内部に組み込まれた魔術的な記号を解析し、その構造を応用してコウモリのような光の翼を作り上げた。
大悪魔の出発
コロンゾンは学園都市に留まる理由を失い、アレイスターが本物のメイザースの遺体へ近づいたことを阻止しようとした。光の翼で倉庫の天井を突き破り、大気圏外を経由してイギリスへ向かった。
神裂火織の迷い
スコットランドへ向かう輸送ヘリには、オルソラ=アクィナスと神裂火織が同乗していた。神裂はクロウリーズ・ハザードを倒したことで人を殺した罪悪感を抱き、自らの魔法名に反したとして、戦い続ける指針を見失っていた。
オルソラの支え
オルソラは安易に慰めず、神裂が立ち直るまで自分が守ると告げた。自身も取り返せない過ちを犯したと認めた上で、失敗したからと歩みを止めるのではなく、正しい道を願いながら進むことが人の道だと伝えた。
カード製作の痕跡
大英博物館の修繕室では、インデックスと烏丸府蘭が、顔料入りの木炭やパンくず、蠟、厚紙の切れ端を発見した。それらは本の修復ではなく、タロットなどのカード一式を新たに作った痕跡であった。
ローラへの疑惑
修繕室へ出入りし、資料へ加工を施せる者は限られていた。府蘭は最大の権限を持つローラ=スチュアートを疑い、インデックスも彼女がいつから最大主教となり、どのようにイギリス清教の頂点へ上り詰めたのかを調べ始めた。
『黄金』の追撃陣形
メイザースはウェイト、ブロディ=イネス、フェルキンらを率い、四大元素と儀式道具の配置を絶えず変えながらロンドンを高速で移動した。個人の力を役割分担と集団儀式で補い、一つの巨大な術式として標的を追跡していた。
王室派への標的変更
本来イギリスを守るために作られた『黄金』は、スコットランドへ移動する王室派を攻撃対象に定めた。王室派がエディンバラ城へ到着し、本物のメイザースの遺体を隠す結界を破壊する事態を防ぐためであった。
コロンゾンへの反逆
タロットから再現されたメイザースは、自分がコロンゾンに作られた存在であっても、『黄金』の長であることを疑わなかった。完璧に再現された自分なら、創造主であるコロンゾンさえ踏みつけて使役するはずだと考え、与えられた軛から外れ始めていた。
キツネ狩り
メイザースは、自らの遺体へ接近する者を誰であろうと排除すると決めた。その対象には国家元首である王室派さえ含まれており、彼は英国の伝統になぞらえてキツネ狩りの開始を宣言した。
王室派の北上
バッキンガム宮殿を出た王室派は、多数の馬車を連ねてスコットランド方面へ向かっていた。女王エリザードはロンドンに残って戦おうとしたが、側近たちは拘束して制止した。
女王の撤退
第一王女リメエアは、女王が倒れれば国民全体が退けなくなり、被害が拡大すると説いた。王室派がロンドンを離れれば、複数の敵対勢力の関心を首都から逸らし、市民への無差別攻撃を減らせると考えていた。
長距離の戦線
リメエアは王室派を囮として敵を北へ引きつけ、長距離移動によって集団の速度差を広げようとしていた。密集した敵を分断し、スコットランドへ到達する前に各個撃破する計画であったが、ヴィリアンは倒し切れなければ北方まで戦火が広がることを懸念した。
アレイスターの単独追跡
イシス=ウラニア別館を出たアレイスターは、マントに仕込んだ小型ジェットエンジンでメイザースを追った。上条当麻と一方通行には自力で移動手段を確保するよう告げ、そのまま夜空へ飛び去った。
取り残された上条
一方通行もメイザースを追わず、別方向へ立ち去った。飛行手段を持たない上条はロンドンに取り残されたが、肩にいたオティヌスを見つけ、孤独ではないことに安堵した。
アネリの再起動
橋の下へ四駆を隠した浜面仕上は、王室派の馬車列が通過する様子を目撃した。その直後、停止していたはずの携帯電話が起動し、サポートAIのアネリが復旧したため、浜面は学園都市の機能が解放された可能性を考えた。
フォーチュンへの尋問
車内では、ネフテュスと娘々がダイアン=フォーチュンをくすぐり、何を書こうとしていたのか聞き出そうとしていた。フォーチュンは魔道書の執筆や雑誌への寄稿、講演など幅広く活動していたことを誇らしげに語った。
アネリへの恐怖
フォーチュンは浜面の携帯電話に宿るアネリを見て、ミナ=メイザースと誤認した。かつてミナから黒猫を使った苛烈な攻撃を受けた経験があり、アネリの沈黙だけで激しく怯え、浜面への協力を申し出た。
『黄金』の通過
橋の上から大きな振動と連続音が響き、フォーチュンはメイザースたち『黄金』の魔術師が王室派を追って通過したと察した。袂を分かった後も仲間への情を残していたため、彼らの情報を明かすことを拒んだ。
強引な情報収集
フォーチュンが沈黙を守ろうとすると、ネフテュスが彼女を押さえ、浜面はアネリを表示した携帯電話を頬へ押しつけた。ミナへの恐怖を利用し、『黄金』の追跡について情報を聞き出そうとした。
墜落後のA.A.A.
御坂美琴と食蜂操祈はA.A.A.ごとロンドン北部へ墜落していた。美琴が機体の修復に集中する一方、水着姿の食蜂は十二月の寒さに耐えられず、防寒具を求めていた。
レインコートの調達
美琴はマイクロ波で自分の体を温めていたため、食蜂だけが寒さに苦しんでいた。二人は自販機でレインコートを入手し、A.A.A.の飛行機能を直すまで地上で行動する準備を整えた。
女性騎士と上条当麻
二人は、女性騎士の馬へ同乗して移動する上条当麻を目撃した。女性騎士が弱みを握られて命令されているような言葉を口にしたため、美琴と食蜂は事情を誤解し、上条を追跡することを決めた。
モンスターバイクへの変形
美琴はA.A.A.を飛行機械から大型バイクへ組み替えた。飛行能力が不安定でも地上を走ることは可能であり、二人はレインコートを羽織って上条の後を追った。
女性騎士との交渉
少し前、移動手段を失った上条は、『王室派』へ合流できず迷っていた女性騎士を見つけた。道案内と引き換えに馬へ乗せてもらおうと近づいたが、背後から大声をかけたため馬に蹴り飛ばされた。
負い目による同乗
女性騎士は自分の馬が上条を蹴ったことへ責任を感じ、彼を後ろへ乗せて高速道路を目指した。馬のアレックスは第二王女キャーリサから預かった軍馬であり、魔術による強化も施されていた。
王室派への道筋
オティヌスは、王室派が陸路で北上するなら、スコットランドへ続く主要道路を目指せば自然に車列へ追いつけると指摘した。女性騎士は迷っていたことを認めつつ、高速道路の入口へ向かった。
後方の爆音
高速道路へ上がった直後、背後からロケットエンジンのような爆音が響いた。美琴たちのA.A.A.は入口へ乗り損ねて下の道へ進んだが、上条たちはその正体に気づかず、王室派の追跡を優先した。
路上の負傷者
高速道路には、修道服を着た少年が倒れていた。女性騎士は間一髪で避け、発煙筒を投げて後続へ危険を知らせた。
始まった襲撃
倒れていた少年が『清教派』の者だと分かり、上条は『黄金』ではなく王室派側の護衛がすでに攻撃を受けていると悟った。王室派の車列を巡る戦いは、彼らが追いつく前から始まっていた。
タロットで作られた『黄金』
ダイアン=フォーチュンは、メイザースたちが大悪魔コロンゾンによって作られた防衛装置であり、タロットカードを媒体とした存在だと説明した。メイザースはその状態から抜け出し、自由に活動する方法を探っていたらしいが、浜面仕上と滝壺理后には話の意味がほとんど伝わらなかった。
メイザースへの訪問案
浜面は、コロンゾンが敵ならメイザースと協力できる可能性もあると考え、スコットランド方面へ向かって直接話を聞こうとした。フォーチュンは創設期の魔術師たちの危険性を訴えて止めようとしたが、浜面は深刻さを理解しないまま出発を決めた。
ガソリンスタンドへの立ち寄り
一行は盗んだ四駆を走らせ、深夜でも利用できる無人のガソリンスタンドへ入った。長距離移動に備えて燃料と食料を確保しようとしたところ、スクーターへ給油している二人の少女を見つけた。
バードウェイとレッサー
少女たちは『明け色の陽射し』を率いるレイヴィニア=バードウェイと、『新たなる光』のレッサーであった。浜面はバードウェイの名前を思い出せず、体格をからかったため、容赦なく殴られた。
フォーチュンとの対面
車内から飛び出してきたフォーチュンを見たバードウェイとレッサーは、世界最大の魔術結社『黄金』に属した本物の魔術師だと気づき、言葉を失った。フォーチュンは後継者たちの反応に気を良くし、オリジナルの『黄金』を目撃できたことを誇るように振る舞った。
後継者たちの失望
バードウェイとレッサーは、長年研究してきた『黄金』の実物が、目の前で尊大にはしゃぐフォーチュンであることに強い衝撃を受けた。技術と本人の人格は別だと考えようとしたが、理想との落差に耐え切れず、内心で落胆していた。
メイザースへの不安
バードウェイは、メイザースまでフォーチュンと同じような人物ではないかと不安を抱き、彼女へ問い詰めた。浜面が止めに入ると、フォーチュンがなぜ一行へ同行しているのか改めて疑問が生じたが、彼女は浜面や滝壺に対してすでに情を持っていた。
生メイザースの確認
『黄金』の後継を自任するバードウェイは、自らの目で本物のメイザースを確認すると決めた。レッサーは英国の安全を優先しようとしたが、バードウェイに脅され、同行を受け入れた。
スコットランドへの移動手段
浜面がスクーターでの長距離移動を心配すると、バードウェイは自家用ジェットを用意できると明かした。レッサーは、それなら最初から自分のスクーターへ同乗する必要はなかったと不満を漏らした。
高騰した燃料代
給油を終えた浜面たちは、ガソリン価格が一リットル当たり一・三ポンドを超えていると知った。日本円では一八〇円以上に相当すると聞かされ、浜面は戦時下の物価高に衝撃を受けた。
王室派車列への襲撃
北上する王室派の馬車列では、アンジュ=カタコンベとキュティア=バージンロードが護衛に当たっていた。すでに仲間のニクスは撃墜され、正体不明の敵が時速一八〇キロで車列へ並走していた。
『黄金』の追走
メイザースを中心とする『黄金』の魔術師たちは、路面や街灯を足場にしながら高速で車列を追っていた。役割と陣形を維持したまま移動し、王室派を逃がさず攻撃できる状態を保っていた。
『蠅の王』への抵抗
メイザースは初手から『蠅の王』を発動し、標的の名と魔王の名を結びつける黒い糸を放った。キュティアは錆びた回転刃で術式の足場を噛み砕こうとしたが、単独で防ぎ切れる相手ではなかった。
リメエアのカーテナ=ロスト
第一王女リメエアはカーテナの切っ先を組み込んだ長柄武器を使い、王室派の車列を守った。自称スコットランド貴族であるメイザースへ王家に従うよう命じ、その設定を逆手に取って攻撃を鈍らせた。
清教派への勅命
車列の維持だけで消耗していたリメエアは、アンジュたちへ反撃を命じた。キュティアは死者の残留思念を利用して攻撃の矛先を逸らそうとしたが、メイザースとの力の差は大きく、回転刃は破壊された。
縄による反撃
キュティアは壊れた回転刃に代わり、縛り首を象徴するリードを操った。死者の意味を重ねてメイザースを拘束しようとしたが、『黄金』は別の魔術師へ役割を切り替えた。
ブロディ=イネスの転換
ブロディ=イネスは魔法陣や記号に含まれる交差点へ作用し、魔力の流れを別方向へ切り替えた。その結果、キュティアの術式から赤い獣が生まれ、使い手自身へ襲いかかった。
アンジュの救出
赤い獣に噛みつかれたキュティアは高速道路へ投げ出された。アンジュは自走式スーツケースを足場にして彼女を救い、別のスーツケースで獣を飲み込んで封じた。
炎の奔流
メイザースは二人が自分の魔術へ対応している隙を突き、火の杖から路面一帯を焼き尽くす炎を放った。アンジュとキュティアには回避する時間がなく、そのまま飲み込まれるはずであった。
幻想殺しの介入
女性騎士の軍馬に乗った上条当麻が割って入り、右拳で炎の魔術を打ち消した。メイザースは初めて上条へ明確な注意を向け、天敵として照準を定めた。
メイザースへの挑発
上条はメイザースへ正面から戦いを挑んだ。オティヌスはメイザースの言葉を意図的にふざけて訳し、上条へ相手の高慢な態度を叩き折るようけしかけた。
北上する四駆
浜面仕上は眠る滝壺理后を助手席に乗せ、盗んだ四駆でスコットランド方面へ向かっていた。検問や警察を警戒して高速道路沿いの一般道を進み、車内ではネフテュスと娘々もダイアン=フォーチュンにもたれたまま眠っていた。
眠れないフォーチュン
『黄金』全体を敵に回した可能性を恐れるフォーチュンだけは眠れず、メイザースとの対面を不安視していた。浜面から眠気覚ましのガムを渡されると受け取り、起きたまま夜明け前の移動に付き合った。
アネリの通訳
浜面がメイザースの人柄を尋ねたものの言葉が通じず、アネリが文字による通訳を担った。フォーチュンはアネリをミナ=メイザースと重ねて怯えていたが、浜面は危害を加えないと宥めた。
ガム風船の練習
浜面はフォーチュンがガムを膨らませられないことに気づき、方法を教えようとした。戦いや魔術から離れた何気ない交流を通じ、出会い方が違えばウェストコットやアニーとも別の関係を築けたのではないかと考えた。
ミナへの苦手意識
フォーチュンは、アレイスターやメイザースとも会話を成立させたミナを本気で怒らせた魔術師は自分くらいだと語った。浜面は彼女とアネリの間にあるすれ違いを解消するため、携帯電話を持たせてアネリと継続的に話させようとした。
フォーチュンの約束
携帯電話を持つことへ反発したフォーチュンだったが、浜面から関係を修復する機会になると説かれた。しばらく迷った末、プライドを抑えて提案を受け入れ、アネリと向き合うことを約束した。
スコットランドへの到着
オルソラ=アクィナスと神裂火織を乗せた輸送ヘリは、スコットランド方面へ到着した。二人は魔術側の通信網を回復させるため、烏丸府蘭から預かった棕櫚の杖を地脈へ設置する準備を始めた。
地脈の測量
オルソラと神裂は湖を挟んで周辺を調査し、地形だけでなく地下の人工物による影響も考慮して地脈の流れを確かめた。近くの教会を拠点とし、オルソラは鎖とガラスの錘を使って反応地点を地図へ記録した。
通信拠点の設置
複数の測定結果から地脈の正確な経路を割り出したオルソラは、適切な地点へ棕櫚の杖を突き刺した。『神威混淆』で失敗した後も、自分を受け入れた国と人々のため、直接戦う以外の方法で再び行動を始めた。
馬車上の対峙
王室派の車列がマンチェスターを抜ける中、上条当麻は女性騎士の軍馬から馬車の屋根へ飛び移り、メイザースと対峙した。幻想殺しが相手の魔術に通じると確信し、足場を失えば死ぬ状況でも距離を詰めようとした。
メイザースへの批判
メイザースは馬車を破壊すれば上条を倒せると告げたが、上条は百年前のアレイスターとの因縁しか見ていないと批判した。現在の世界を受け入れたミナ=メイザースとの違いを突きつけ、作られた存在であっても別の道を選べると訴えた。
乱れた『黄金』の陣形
上条が仲間の存在を示すように視線を逸らさせると、ブロディ=イネスとフェルキンが衝突し、軍馬アレックスに踏み飛ばされた。舞台演劇のように連携していた『黄金』の陣形が乱れ、二人は一時的に戦線を離脱した。
メイザースへの接近
部下の混乱を利用し、上条はメイザースの懐へ踏み込もうとした。しかしメイザースは振り返ることなく、火の元素を発動して迎撃に移った。
一方通行の待機
一方通行はスコットランド方面へ向かう大型トラックの荷台に潜み、電極のバッテリーを充電していた。アレイスターの指示に従って全員が同じ標的を追う必要はないと考え、追跡を他の者へ任せて戦力を温存していた。
時間差の布陣
一方通行は、王室派を守る戦いだけで事態が終わるとは限らないと警戒していた。アレイスターの作戦が失敗した場合に備え、自分たちを遅れて投入する二段構えの保険と位置づけた。
託された警戒
一方通行はクリファパズル545へ周囲の警戒を命じ、そのまま眠りに入った。裏切る可能性のある悪魔へ無防備な状態を預けた行為は、必要な回復を優先した結果であると同時に、彼女への信頼を示すものでもあった。
クリファパズル545の見張り
クリファパズル545は任された事実に戸惑いながら、一方通行の隣へ座って肩に頭を預けた。自分も眠ることはせず、契約者の警戒を引き受けた。
炎を破る幻想殺し
メイザースが放った巨大な炎の壁を、上条は幻想殺しで正面から打ち消した。しかしメイザースは火の破壊を前提に、残る元素の不安定さを利用した白い閃光を続けて放った。
御者の援護
回避不能だった閃光は、御者が馬車を急に揺らしたことで上条の顔を外れた。メイザースは御者へも注意を向けたが、上条は日本語で急ブレーキを叫び、相手に何かが起きると思わせて重心を崩した。
車列ごとの破壊命令
上条が懐へ迫ると、メイザースは自分もろとも馬車を攻撃するよう『黄金』の魔術師たちへ命じた。車列全体を吹き飛ばす集団魔術が準備され、王室派や上条をまとめて排除しようとした。
女性騎士の突撃
女性騎士は青白い巨大な槍を作り、軍馬アレックスの速度を乗せて『黄金』へ突撃した。しかしガードナーの魔術によって槍を消され、精神にも干渉を受けた。
隠されたボウガン
魔術を破られても女性騎士は退かず、残された小型ボウガンを発射した。魔力を伴わない攻撃がガードナーを警戒させ、その一瞬の硬直を利用して横を駆け抜けた。
アレックスの蹴撃
女性騎士の合図を受けたアレックスは、後ろ脚でガードナーを蹴り飛ばした。ガードナーは高速戦から脱落し、『黄金』は再び役割と布陣を変更することになった。
二段加速の石礫
メイザースは仲間の離脱に動揺せず、石礫を放った後、突風でさらに加速させた。速度の変化に対応できなかった上条は全身へ直撃を受け、馬車の屋根から時速一八〇キロの路面へ投げ出された。
A.A.A.による救出
御坂美琴と食蜂操祈は、超大型バイクへ変形させたA.A.A.で王室派の車列へ追いついた。美琴は馬車から落下した上条当麻の真下へ機体を滑り込ませ、食蜂と自分の間に受け止めた。
敵味方の判別
上条は、美琴たちへ王室派を守り、『黄金』の魔術師を倒す必要があると説明した。敵味方の見分け方を尋ねられると、優勢な側が『黄金』で、押されている側が王室派だと伝えた。
液状被覆超電磁砲
美琴はメイザースへ液状被覆超電磁砲を放った。猛烈な衝撃と熱で周囲の視界が乱れる中、上条は再び馬車の屋根へ戻る準備を進めた。
標的の選別
美琴は周囲の反応から『黄金』の魔術師を判別し、上条の携帯電話の識別電波を利用して彼のいる位置を射撃対象から外そうとした。敵の連携を崩すため、上条が離れた後は周囲の魔術師を順番に攻撃する方針を決めた。
無傷のメイザース
液状被覆超電磁砲の直撃を受けても、メイザースは馬車の屋根に立ち続けていた。上条は相手を怪物と評し、メイザースもそれを賛辞として受け取った。
水刃の回避
メイザースは超高水圧の刃で上条の腰を狙った。上条は幻想殺しを使えば次の攻撃へ繋げられると読み、右手を使わず馬車の屋根へ身を投げて回避した。
アレイスターの接近
上条がメイザースの目前へ迫ると、メイザースは彼ではなく遠い夜空へ注意を向けた。そこには高度から急降下してくるアレイスターの気配があった。
ベイバロンの一撃
アレイスターは高度一〇〇〇メートルから、これまで封じていたベイバロンの象徴を用いた魔術を発動した。女性原理と創造の力を赤い光へ変え、自らを弾丸としてメイザースへ落下させた。
『蠅の王』による迎撃
メイザースは水と風で上条の位置をずらしながら、『蠅の王』を発動した。黒い糸でアレイスターの赤い光へ干渉し、落下軌道を折り曲げて平原へ墜落させた。
上条の激励
アレイスターが撃ち落とされても、上条は攻撃を続けるよう叫んだ。メイザースとの決着をつけ、娘を救い、自分の人生を取り戻せと背中を押した。
A.A.A.への転送
メイザースは、アレイスターの赤い魔術がA.A.A.へ送られる可能性に気づいた。A.A.A.は元来、遠隔地へアレイスターの魔術を送り出すために作られた兵器であった。
横からの直撃
上空の一撃を迎撃したことで生じた隙へ、A.A.A.が同じ赤い光を真横から放った。攻撃はメイザースの脇腹へ直撃し、その体を車列から遠くへ吹き飛ばした。
平原への墜落
アレイスターはメイザースに撃ち落とされ、スコットランドの平原へ墜落していた。深い傷を負いながらも、A.A.A.から放たれた二撃目によってメイザースが自分の方角へ吹き飛ばされたと判断した。
本線から外れた二人
王室派や上条たちはエディンバラ城へ向かい、本物のメイザースの遺体を巡る事態を進めていた。アレイスターとメイザースはその流れから外れ、救援のない場所で一対一の決着をつける状況となった。
結婚式の教会
アレイスターは近くにある小さな教会が、かつてローズ=ケリーと結婚式を挙げた場所だと気づいた。思い出に動揺して立ち上がれずにいると、教会からオルソラ=アクィナスが現れ、傷だらけの彼女を助けた。
オルソラの救護
アレイスターは危険が迫っているとして逃げるよう求めたが、オルソラは拒んで教会へ連れ込んだ。自分には神の領域へ入る資格がないと語るアレイスターに対し、オルソラは人が諦めても神は見捨てないと告げた。
傲慢と自信のなさ
オルソラは、アレイスターの悪態の根底には認められない才能と自信のなさがあると見抜いた。他者より優位に立つことで自分を守るのではなく、自分を理解してもらう努力と他人を愛することを勧めた。
愛した末の破綻
アレイスターは、他人を愛そうとしてリリスを失い、ローズも壊れてしまったと振り返った。自分が何も求めず孤独でいれば悲劇は起きなかったと考え、愛した結果が現在の破滅へ繋がったと受け止めていた。
赦しへの問い
アレイスターはオルソラへ、罪が赦される時は来るのかと尋ねた。オルソラは答えを求めれば必ず得られるものではなく、人は日々を正しながら神の審判を待つしかないと答えた。
奇跡への憎悪
アレイスターは、自らの計画が偶然によって破綻し、死ぬはずだった者が救われる場面を何度も見てきた。自分には与えられなかったその力が奇跡の正体だと認め、だからこそ神を嫌っていると吐き捨てた。
聖書という武器
迷いを振り切ったアレイスターは衣服と外套を身につけ、魔術師として立ち上がった。教会に残されていた一冊の聖書を手に取り、メイザースとの最後の戦いへ備えた。
行間 三
アンナ=シュプレンゲルの名
メイザースは、かつて『黄金』を崩壊寸前まで追い込んだアンナ=シュプレンゲルを思い起こした。彼女は実際に姿を現したことがなく、ウェストコットの書簡に記された名前だけの存在であったが、『黄金』にとって致命的な弱点となる呪いのような名であった。
マダム・ホロスへの憎悪
メイザースは相手の正体をアンナ=シュプレンゲルではなく、下劣な詐欺師マダム・ホロスだと見抜いた。ベルゼビュートやテュホン=セトすら通じなかった彼女へ、ウェストコットやアレイスターに対するものとは異なる激しい怨恨を向けた。
第四章 メサイアにはなれない Battle_of_Scotland.
教会での対峙
メイザースは仲間の応答が途絶えたことを受け入れ、集団儀式を捨ててアレイスターとの一対一を望んだ。教会から現れたアレイスターもまた決着を求め、二人は互いの傷と覚悟を見定めながら向かい合った。
反抗という目的
アレイスターは、本物ではないメイザースが過去の因縁に執着する理由を問うた。メイザースは世界や自分の未来には興味がなく、コロンゾンの防衛装置として作られた状態から自分の意思で抜け出し、屈服しないものをねじ伏せること自体が目的だと答えた。
失われたミナへの想い
メイザースはミナの名を迷いなく口にしたが、その存在に感情を示さなかった。かつてミナと寄り添う姿に家族への憧れを抱いていたアレイスターは、目の前のメイザースが愛情を失った存在であることを哀しく感じ、倒す決意を固めた。
聖書を用いた純化
アレイスターは教会で手にした聖書を開き、神と人を繋ぐ聖五文字を用いて自らの肉体を純化した。十字教への反発や過去の傷を乗り越え、背後の教会とそこにいる者を守るため、白い翼と光を纏った。
メイザースの応答
メイザースも即興で十字教の言葉を組み立て、同じ条件で肉体を純化した。予想外の成長を見せたアレイスターを認め、夜明けに染まる世界で正面から競い合うことを選んだ。
天使と地獄の業火
メイザースは四大天使を呼び出したが、アレイスターは正典から外された天使の名を利用して四角の調和を崩した。地獄の炎で天使を消し去ったものの、その炎はメイザースによって青銅の豚へ変えられ、逆にアレイスターへ襲いかかった。
白い花びら
アレイスターは邪悪とされた力も神の被造物であり、扱い方によって善悪が決まると唱えた。世界を焼く炎は甘い香りを放つ白い花びらへ変わり、背後の教会には傷一つつかなかった。
拳による競演
互いの魔術を認めた二人は、至近距離で拳を交えた。大規模な術式を捨て、骨と肉を削り合う殴り合いの中で、二人は互いに抱いていた羨望や欠落をさらけ出した。
互いへの羨望
アレイスターは、才能ある仲間と理解者に囲まれたメイザースを羨んでいたと告白した。メイザースは、財産と才能を持ちながら何も成し遂げられなかったアレイスターを、生活に苦しんだ自分が羨んでいたと返した。
満たされなかった家庭
アレイスターは、ミナという愛する妻がいながらスコットランドや『黄金』へ執着したメイザースを責めた。メイザースは、才能も財産も人望も持たない自分が、ミナを支える価値ある存在になるために地位と魔術へすがったのだと明かした。
受け取れなかった愛情
アレイスターは、メイザースもまた愛情を持たなかったのではなく、ミナから注がれていた愛情を受け取れなかったのだと悟った。力や結社は目的を持たなければ価値のない道具に過ぎず、今のメイザースには守るべきものが何もないと断じた。
聖痕の出現
激闘によってアレイスターの四肢と胴体から血が噴き出したが、それはメイザースの攻撃による傷ではなかった。『神の子』と肉体が同調したことで現れた聖痕であり、傷の増加は敗北ではなく純化の完成を示していた。
魔術の根源
アレイスターは、魔力は生命力から生まれ、魔術とは人を大切に想う気持ちへ形を与える技術だと結論づけた。情も目的も持たないメイザースには魔術を使う資格がないと宣告し、莫大な力で周囲の空間を満たした。
メイザースの消滅
地脈や龍脈から『原典』へ送られる力が遮断され、メイザースは人の形を維持できなくなった。彼は『黄金』という枠組みから魂を解放されたかのように笑い、アレイスターを真の秩序の破壊者と認めて白い光へ呑まれた。
遠方のミナ
白い閃光は大気圏を越えるほど広がった。遠くエジプトにいたミナ=メイザースは異変を感じ取り、夫へ呼びかけるように声を漏らした。
魔術の反動
勝利後もアレイスターは構えを解かず、発動した魔術の反動を自ら受け止めた。見知らぬ誰かへ犠牲を押しつけることを拒み、血を吐きながら全ての歪みを引き受けて初めて勝利だと笑った。
崩壊する『黄金』
メイザースを消した一撃の余波はスコットランド方面まで広がり、地脈から力を得ていた『黄金』の魔術師たちは次々とタロットカードへ崩れていった。ウェストコットやアニーたちは王室派への攻撃を止め、自らの終わりを受け入れた。
最後の会話
ウェストコットが消滅への恐怖を尋ねると、アニーはミナが同じ場で苦しんでいるなら世界を壊してでも止めただろうと答えた。離れた場所にいたブロディ=イネスたちも、アレイスターの力を前に、直撃を受けるより余波で消える方がましだと笑った。
ダイアン=フォーチュンの別れ
遠く離れた四駆の中でも、ダイアン=フォーチュンの体が崩れ始めた。浜面仕上の呼びかけに、彼女は事情を説明せず困ったように笑い、そのまま無数のカードとなって散っていった。
終章 こんな結末許せるか Go_for_Broke!!
エディンバラ城への到着
王室派の馬車列は朝日が昇る頃、無事にエディンバラ城へ到着した。上条当麻は身元を問われることを避け、御坂美琴と食蜂操祈を連れて城内の墓地へ向かった。
本物のメイザースの遺体
墓地では、傷だらけのアレイスターがすでに棺を掘り出していた。遺体が本物のサミュエル=リデル=マグレガー=メイザースであると確認し、四種の道具を用いて大悪魔コロンゾンへ停止命令を送る中継器を構築し始めた。
コロンゾンの急襲
大気圏外にいたコロンゾンは、メイザースの遺体を利用される前に阻止しようとエディンバラ城へ落下した。美琴のA.A.A.が衝撃から一同を守り、アレイスターは遺体との繋がりを利用してコロンゾンの動きを封じた。
ローラの帰還
アレイスターはコロンゾンへ、ローラの内側から離れて深淵へ戻るよう命じた。大悪魔が消えた後、残された少女を抱き留め、自らの娘ローラが戻ったと信じて迎え入れた。
父親への刺突
少女はアレイスターを抱き返すことなく、隠し持っていたナイフで刺した。父親を嫌っていたと告げたため、上条たちは救出されたローラ自身が犯行に及んだように見せかけられた。
ローラの正体
大英博物館で調査していたインデックスは、ローラがアレイスターの娘だという根拠がコロンゾンの証言しかないことに気づいた。最大主教ローラが記録に現れた年代と、リリス誕生の時期を比較し、成長した二人目の娘であるはずがないと突き止めた。
通信網から届いた真実
オルソラが設置した棕櫚の杖と府蘭が復旧させた通信術式によって、インデックスの発見は上条まで伝わった。上条はローラ=スチュアートという娘は最初から存在せず、外側の肉体も内部の存在もコロンゾンが作ったものだったと見抜いた。
焼かれた棺
正体を暴かれたコロンゾンは黒い炎でメイザースの棺を焼き、契約を完全に断ち切った。アレイスターを踏みつけ、娘の顔すら見分けられなかったと嘲笑し、自由を得た後はリリスを殺すと宣言した。
アレイスターの救命
瀕死のアレイスターがなお動いていることを見た上条は、美琴と食蜂へ治療を任せた。自らはコロンゾンと向き合い、確定したかに見える敗北と悲劇を幻想殺しで覆すと宣言した。
クリファパズル545の苦痛
大型トラックの荷台では、一方通行が目を覚ますまで、クリファパズル545が複数の契約の衝突に耐えていた。コロンゾンの命令に操られて一方通行を傷つけないよう自分を抑え、壁や床へ情報を刻みながら限界を迎えていた。
契約からの解放
一方通行は周囲の力を集束させ、クリファパズル545を壊さない強さで叩きつけた。地脈から供給される力の伝達だけを乱し、コロンゾンとの契約を切断して彼女を救った。
生きることへの命令
助けた理由を問われた一方通行は、約束を守ったクリファパズル545を使い潰させるつもりはないと告げた。作られた悪魔であっても人生を楽しみ、仲間や平穏を得ることを自分が許すと強く言い渡した。
反撃への準備
一方通行は、コロンゾンによって混乱したイギリスをクリファパズル545自身の手で救わせると決めた。死を覚悟して残した記録ではなく、生き残った本人の口からコロンゾンについて知る全てを話すよう求めた。
ダイアンを失った浜面
遠く離れた四駆では、浜面仕上が消えたダイアン=フォーチュンのいた後部座席を見つめていた。彼女が仕方のない結末として受け入れ、泣き叫ぶことさえしなかった姿に怒りと悲しみを募らせた。
果たされなかった約束
浜面は、ガム風船の作り方を教えることや、携帯電話を買ってアネリとの関係を改善させる約束を思い返した。フォーチュンが未来を得られないと知りながら頷いた可能性を考え、その終わりを受け入れることを拒んだ。
ダイアン奪還の決意
浜面は傍観者の立場や力の不足を理由に諦めず、ダイアン=フォーチュンを必ず取り戻すと宣言した。孤独なまま消滅を受け入れた彼女を救うため、再び自ら事件の中心へ踏み込むことを決めた。
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外伝


とある暗部の少女共棲

同著者シリーズ
ヘヴィーオブジェクトシリーズ

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