新約 とある魔術の禁書目録(14)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(16)レビュー
- 物語の概要
- 書籍情報
- あらすじ・内容
- 感想
- 考察・解説
- 登場キャラクター
- 上条勢力・学園都市の生徒たち
- 上里勢力
- 上里翔流
- 去鳴(サロメ)
- 絵恋(エレン)
- 暮亞(クレア)
- 獲冴(エルザ)
- 府蘭(フラン)
- 冥亞(メイアルカ)
- 琉華(ルカ)
- 愛燐(アイリーン)
- 雷矛(ライム)
- 理沙(リサ)
- 芽李(メリー)
- 杏奈(アンナ)
- 入洲(イリス)
- 丹南(ニナ)
- 銘撫(メイヴ)
- 江梨(エリ)
- 鞍蘭(クララ)
- 出洞(デボラ)
- 妹伊(メイ)
- 聳愛(ソフィア)
- 精錬(セイレーン)
- 燦泥(サンデイ)
- 魔鈴(マリン)
- 露去(ロザリー)
- 好楽(スカラー)
- 夢肖(ユニ)
- 零紋(レモン)
- 賑多(ニキータ)
- 麗美(レミ)
- 牧納(マキナ)
- 傘厘(キャサリン)
- 蕩輝(ドロテア)
- 宛那(アテナ)
- 夢厨(ミューズ)
- 米璃(ベリー)
- 数斬(スーザン)
- 姪龍(メロン)
- 診華(ミルカ)
- 瑛魅(エイミ)
- 麟堕(リンダ)
- 比阿(フィーア)
- 好応(スノウ)
- 来夏(ライカ)
- 覇尼(ハニー)
- 威舞(イヴ)
- 織雛(オリビア)
- 木原一族・統括理事会
- アイテム・その他の能力者
- 間借り先の学校
- 魔神・イギリス清教
- その他の集団
- 展開まとめ
- 同シリーズ
- その他フィクション
物語の概要
■ 作品概要
『新約 とある魔術の禁書目録(15)』は、科学と魔術が交差する学園都市を舞台にしたSFファンタジーバトル作品である。前巻で魔神・僧正の暴走により通っていた学校の校舎を破壊された上条当麻は、留年を阻止すべく中高一貫校へ間借りすることになる。しかし、その転校先には「理想送り(ワールドリジェクター)」を右手に持つ上里翔流が潜り込んでいた。二人の少年が奇妙な日常を送る中、地肌に半透明のレインコートを纏った上里の義妹、「絶滅犯」去鳴(サロメ)が襲来し、上条の周囲の人間関係を狙って暴れ回る。さらに、木原脳幹の復讐を誓う木原唯一が上里から「理想送り」を強奪したことで、事態は極限の死闘へと発展していく。
■ 主要キャラクター
- 上条当麻:右手に異能を打ち消す「幻想殺し(イマジンブレイカー)」を持つ少年。校舎倒壊による留年の危機に怯えつつも、襲来した去鳴の標的となったクラスメイトや友人たちを守るために奔走する。
- 上里翔流:「理想送り」を右手に宿していた少年。周囲の少女たちが自分に付き従うのは右手の影響だと思い込み、魔神への復讐を目論んでいた。しかし、木原唯一に右手を奪われたことで、少女たちの思いが自分自身に向けられた本物の絆であると気づき、右手の奪還を決意する。
- 去鳴(サロメ):「絶滅犯」と呼ばれる上里翔流の義理の妹。地肌に直接レインコートを着た狂人であり、破壊した武具を神に捧げて力を得る「外的御供」などのケルト魔術を操る。兄を狂わせている「上里勢力」を解体し、上条の拳で兄を正気に戻すため、上条の人間関係を切り崩そうと暗躍する。
- 木原唯一:リクルートスーツに白衣を着た研究者。恩師・木原脳幹の復讐のため、上里翔流に接近して「理想送り」の右手を手首から切断して奪い取る。サンプル=ショゴスやサンジェルマンウィルスを利用して魔神の力まで偽装し、己のロマンと復讐のために上条や上里たちを絶望の淵へ追い詰める。
- 御坂美琴:学園都市第三位の超能力者(レベル5)。上条たちとの次元の違いに強い焦燥感を抱え、もがいている。上条を救いたいという悲痛な願いから、決して触れてはならない木原脳幹の兵器「対魔術式駆動鎧(A.A.A.)」のシステムを書き換えて強引に装着し、破滅的な道への第一歩を踏み出してしまう。
- 浜面仕上:無能力者(レベル0)。銀行で去鳴と遭遇するが、特別な存在になれずとも普通のレールから外れないことこそが最強であるという確固たる意志を示し、去鳴の標的から外れる。
■ 物語の特徴
本作の最大の魅力は、上条当麻と上里翔流という極大のイレギュラー同士の対立構造に、「絶滅犯」去鳴と復讐鬼・木原唯一が乱入し、予測不能な三つ巴、四つ巴の激闘が展開される点にある。
特に、木原唯一の底知れぬ狂気と執念は際立っており、恩師の復讐というただ一つの目的のために己の肉体を改造し、宿敵の最大の武器である右手を奪い取って蹂躙する姿は読者に強烈な絶望感を与える。
また、上里翔流が右手を失うことで自分を取り巻く少女たちとの「本物の絆」に気づく胸を打つ展開の一方で、御坂美琴が上条に追いつきたいがために狂気的な未知の兵器(A.A.A.)に手を染めて「変質」していく危うい描写が対比的に描かれており、キャラクターたちの深い人間ドラマと先の読めない緊迫感が大きな見どころである。
書籍情報
新約 とある魔術の禁書目録(15)
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA(電撃文庫)
発売日:2016年8月10日
ISBN:9784048922517
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あらすじ・内容
科学と魔術が交差するとき、物語は始まる――!
転校先にも、右手に『理想送り』を持つ上里は現れた。
『上条の日常』が、音を立てて崩れていく――!
「ぼくの『理想送り(ワールドリジェクター)』ときみの『幻想殺し(イマジンブレイカー)』。ぶつかったらどっちが勝つのかな?」
神をも凌駕する右手を持つ少年二人の激突から一夜明け。
上条当麻と上里翔流は、譲れない想いを胸に、学校の食堂で献立片手に睨み合う!?
説明しよう。魔神・僧正の暴走により学校を破壊された上条は、留年阻止のため別の学校に通うことに。そこには非常に頼りないミニマム生徒会長女子・ビクビクウサギさんと、因縁の相手である上里がいて……!?
世界を賭けた戦いよりも留年の脅威を感じ、それどころではない上条。一方の上里も、なぜかフレンドリーに接してくる。これは意外にも熱き友情路線にルート変更か? と感じた刹那。
街に半裸レインコートの少女が現れた。
少女は、圧倒的な力で学園都市の超能力者(レベル5)たちを手玉に取っていく……!
その半裸少女の正体は、謎の第三勢力……ではなく、あの上里さえも畏怖する妹・去鳴(サロメ)で――!?
感想
笑える日常と息苦しい非日常が何度も入れ替わる、緩急の効いた一冊だった。
前巻の激闘を終えたばかりだというのに、魔神・僧正が残した置き土産によって校舎は使えなくなり、上条当麻たちは別の学校へ通うことになる。
新しい環境での生活はどこか新鮮で、食堂で上里翔流と繰り広げる献立バトルには思わず笑ってしまった。
限られた材料を前に、何とか食事を確保しようと知恵を絞る上条の姿は相変わらずである。
こうした何気ない日常が描かれるからこそ、『禁書目録』らしい空気を感じられる。
その一方で、タイトルヒロインであるインデックスの出番がかなり少なく、少し寂しく感じた。土御門も依然として姿を見せず、今後どのような形で物語へ戻ってくるのか気になるところである。
しかし、そんな穏やかな時間は長く続かない。
今巻で最も印象に残ったのは、上条がクラスメイトの中で孤立していく場面だった。
これまで敵との戦いでは何度も命の危険にさらされてきた上条だが、教室という日常の空間で居場所を失っていく展開は、それとは違う怖さがある。
殴り合いや魔術ではなく、人間関係によって追い詰められる。
身近な人たちから少しずつ距離を置かれていく様子は現実味があり、読んでいて苦しくなった。
戦闘では、去鳴と木原唯一の激突が圧巻だった。
恩師を失った怒りを抱えながら暴走する木原唯一は、敵でありながら、その狂気の裏にある悲しみも見えてくる。
上里から奪った右手を利用し、異形の力や偽の魔神の力まで扱う姿は圧倒的だった。
去鳴もまた簡単には引かず、互いの執念がぶつかり合う戦いは最後まで緊張感が途切れなかった。
そして、そこへ飛び込んできた御坂美琴の姿も印象深い。
これまで何度も上条の戦いを目の当たりにしながら、自分には何もできないという焦りを抱えてきた彼女は、ついに「対魔術式駆動鎧」を装着して戦場へ踏み込む。
巨大な一撃で木原唯一を退けた場面は爽快だった。
しかし同時に、その力を手に入れる過程には危うさも感じる。
勝つためなら未知の兵器にも手を伸ばく。
その焦燥感は、美琴が少しずつ無理を重ねている証拠のようにも見えた。
強くなろうとする姿は応援したい。
それでも、このまま危険な方向へ進んでしまうのではないかという不安の方が大きかった。
終盤では、右手を失った上里の姿も印象的だった。
これまで彼を支えていた少女たちとの絆が、本物だったと気づく。
その上で、右手を取り戻すために立ち上がる姿には素直に胸が熱くなった。
上条とは違う考え方を持つ人物ではある。
それでも、大切なものを守ろうとする気持ちだけは共通しているのだと感じられる場面だった。
誰もが自分なりの正義や願いを抱えているからこそ、このシリーズの人間ドラマは単純な善悪では語れないのだろう。
そして最後には、ついにアレイスターが本格的に動き始める。
これまで裏から世界を操ってきた人物が表舞台へ姿を現したことで、物語はさらに大きく動き出しそうな気配を感じた。
笑える日常から始まり、人間関係の恐怖、激しい戦闘、そして新たな波乱へとつながる締めくくりまで、最後まで飽きることなく読み進められた一冊だった。次巻でアレイスターがどのような役割を果たすのか、ますます目が離せない。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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新約 とある魔術の禁書目録(14)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(16)レビュー
考察・解説
上条当麻と上里翔流
上条当麻と上里翔流の対立構造
上条当麻と上里翔流は、共にどこにでもいる平凡な高校生を自称しながら、幻想殺し(イマジンブレイカー)と理想送り(ワールドリジェクター)という表裏一体の右手を宿す対極の存在として激突する。彼らの対立について、救済のあり方、上里の冷酷な戦術、妹の去鳴から見た環境の狂気、という3つの観点から解説する。
自己犠牲の肯定と全員生存を求める第三の道の衝突
二人の思想の違いは、寄生生命体に蝕まれたパトリシア=バードウェイと、彼女を救うために自らを犠牲にしようとする姉レイヴィニアのバードウェイ姉妹を巡る局面で明白になる。
・上里は、パトリシアが姉のために死を受け入れるブレない意思に敬意を払い、彼女の自己犠牲の道を手伝うことを選択した。
・過酷な現実の中で一つの道を貫く姿勢を尊び、悲劇的な結末であってもそれを救いとして肯定するスタンスを取った。
・しかし上条は、これを悲劇を美徳にすり替える安易な逃げとして真っ向から否定した。
・どれほど泥臭く無様であっても、たった一人もこぼさず、全員で笑って帰るという理想を掲げた。
・姉妹が殺し合うような状況を看過する上里を、何も選べず両方失う愚か者と激しく非難し、両者が生存する第三の道を強引に切り拓いた。
敵対者の罪を誘う勇み足戦術と、孤立を狙った夜の学校の焼却炉誘導
第15巻においては、上里の恐るべき戦術眼と冷酷な策略が描かれることとなる。
・上里の妹である去鳴によれば、上里が好んで使うのは、敵対者に自ら罪を犯させ、その罪の重さで陣営内の結束を内部崩壊させる勇み足という手法である。
・上里は、上条のクラスメイト達を密かに誘導し、夜の学校の使われていない焼却炉に火を入れさせる計画を仕向けた。
・生徒会長が閉じ込められていると錯覚したクラスメイト達が殺人犯になるのを防ごうと、上条は孤軍奮闘した。
・結果として上条は、クラスメイト達から空気が読めない異物として孤立させられることとなった。
・最終的に焼却炉は空であったが、上里の真の目的は、上条の右腕を切断し、その奥から飛び出す得体の知れないものをクラスメイトに見せつけることであった。
・上条を周囲から完全に孤立させ、彼の日常という基盤を徹底的に破壊しようとした。
義妹去鳴が語る平凡な過去と、上里勢力による正気喪失を打ち破る拳への期待
この二人の対立において、上里の義妹であり絶滅犯と呼ばれる去鳴の客観的な視点は、上里の変容を厳しく捉えている。
・去鳴は、自身が狂人であることを自覚しながらも、かつて自分を普通の人間として扱い、五分前行動や箸の使い方などを教えてくれた頃の上里を深く尊敬していた。
・しかし彼女は、現在の上里が肯定しかしない上里勢力によって甘やかされ、正気を失って狂わされていると断じた。
・この異常な環境と右手の呪縛を壊すため、上条当麻の幻想殺しの拳による介入を望んでいる。
・上条の拳によって上里に厳しい現実の痛みを教え、彼を正気に戻してほしいという強い期待を寄せた。
まとめ
上条当麻と上里翔流の対立を巡る一連の顛末は、似て非なる二つの右手の衝突にとどまらず、悲劇を受け入れてしまう諦念のヒロイズムと、不可能な理想を求めて泥臭く足掻く実存的ヒロイズムの衝突であり、さらには上里自身を縛り付ける周囲の異常な環境を打ち破るための人間ドラマである。
救済の定義を巡るバードウェイ姉妹の相克から、クラスメイトを巻き込んだ焼却炉の陰謀、そして義妹去鳴が切望する兄の正気奪還へと繋げたプロセスは、単なる能力の優劣を超え、彼らが背負う右手の宿命といかに向き合うかを示している。
最終的に、悲劇を肯定する冷酷なルールや日常を崩壊させる罠を、上条の打算なき全員救済への執念と確固たる意志によって打破し、自らの未来と進むべき道を完璧に守り抜こうとする結末は、どれほど不条理な世界の仕組みや過酷な環境によって生の平穏が脅かされようとも、本質を突いた人間の意志と確固たる歩みによって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
上里勢力の変節
『新約 とある魔術の禁書目録』第14巻および第15巻において、右手を宿す少年・上里翔流を取り巻く「上里勢力」は、物語の根幹を揺るがす大きな変節と真実の露見を迎える。上里自身の歪んだ思い込み、義妹である去鳴の冷徹な分析、右手の強奪がもたらした絶望、そして右手の喪失によって証明された少女たちとの真の絆についての解説は以下の通りである。
理想送りの副産物という上里の洗脳思い込みと、魔神全滅を誓う憎悪の動機
上里勢力は、絵恋、暮亞、獲冴といった特異な能力や強烈な個性を持つ少女たちからなる集団である。
・上里自身は、彼女たちが無条件で自分に好意を抱き、付き従ってくるこの異常な環境を、魔神たちが右手を押し付けたことによる洗脳であると思い込んでいた。
・自分のせいで本来自由だったはずの彼女たちが歪められ、ただの取り巻きにされてしまったという深い罪悪感を抱えていた。
・この怒りこそが、上里が魔神たちを激しく憎み、世界から全滅させようとする最大の動機となっていた。
義妹去鳴が嫌悪するクソ馬鹿ハーレムの甘やかしと、上里を狂わせた全肯定の弊害
上里の義妹である絶滅犯・去鳴は、兄を取り巻く上里勢力を厳しい視線で捉えていた。
・去鳴は上里勢力をクソ馬鹿ハーレムと呼び、その歪んだ関係性を強く嫌悪していた。
・彼女は、少女たちが上里に惹かれたのは右手の力ではなく、絶滅犯である自分にさえ普通の感性で向き合ってくれた上里自身の人間性や平凡な優しさによるものだと理解していた。
・しかし、少女たちが上里の行動を全肯定し、盲目的に甘やかし続けた結果、上里が間違った方向に進んでも軌道修正できなくなったと指摘した。
・この過剰な全肯定の環境が、結果として上里の精神を狂わせてしまったと断じている。
木原唯一による右手首切断強奪と、少女たちが新たな持ち主へ従う最悪の懸念
新約15巻の終盤において、上里は自らの存在基盤を揺るがす物理的かつ致命的な危機に直面する。
・木原唯一が上里から理想送りを宿す右手首を切断し、自らの腕に縫合してその能力を完全に奪い取った。
・右手を失い、瀕死の重傷を負った上里は、保健室のベッドの上で深い絶望に沈むこととなった。
・彼が何よりも恐れたのは、もし少女たちが本当に右手の影響で操られていたのであれば、今度は右手の新たな持ち主となった木原唯一に盲目的に従うのではないかという点であった。
・唯一のために彼女たちが平気で人殺しなどの罪を重ねてしまうのではないかという、最悪の可能性に怯えていた。
右手を失った上里への本気の看病と、理想送り奪還へ向けた正反対の決意
しかし、最悪の予想に反して、目を覚ました上里の前に広がっていたのはあまりにも人間的で温かい光景であった。
・上里を取り囲んでいたのは、木原唯一の操り人形と化した敵ではなく、右手を失った上里を本気で心配し、看病する獲冴や絵恋たちの姿であった。
・彼女たちは理想送りという力ではなく、上里翔流という一人の少年自身を慕い、彼のために動いていたことがここで完全に証明された。
・魔神の洗脳など最初からなく、彼女たちの抱く思いは紛れもない本物であった。
・この当たり前の輪が残っていたことに涙をこぼした上里は、自らの深刻な誤解を悟った。
・彼女たちが今後どのような影響下に置かれようとも絶対に見捨てず、全員で元の場所に帰るという誓いを立てた。
・かつてあれほど忌み嫌い捨てたがっていた右手を、木原唯一から自分の意思で奪い返すという、これまでとは正反対の強い決意を固めることとなった。
まとめ
上里勢力の本質と関係性の変化を巡る一連の顛末は、少女たちの好意を魔神の洗脳によるものと思い込んで憎悪を募らせていた上里が、去鳴による盲目的な全肯定への懸念をよそに、木原唯一によって右手首を切断され能力を強奪されるという極限の絶望に突き落とされながらも、右手を失った自分を涙ながらに看病する少女たちの真実の愛に触れることで魔神の呪縛という誤解を完全に氷解させ、彼女たち全員と元の日常へ帰還するために木原二の腕から右手自身の意思で理想送りを奪い返すという新たなる闘争へ赴くことで、理不尽な宿命の鎖を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を完璧に奪還するに至る、不条理な誤解の超克と確固たる絆の証明の記録である。
歪んだ罪悪感から、能力の喪失、最悪の懸念、そして真実の露見へと繋げたプロセスは、どれほど異能の力や魔術的な思惑によって日常が歪められようとも、人間本来の優しさや紡がれた絆の本質までは決して支配しきれないという人間ドラマを示している。
最終的に、自らの内なる不信感や木原唯一が仕掛けた冷酷な強奪のルールを、少女たちの打算なき愛と上里の確固たる保護の意志によって打破し、自らの未来と大切な居場所の価値を完璧にプロテクトした結末は、どれほど過酷な環境の激変や肉体的な欠損によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の意志と確固たる連帯によって打破され、新しい地平を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
学園都市の校舎倒壊
学園都市の校舎倒壊事件と物語への影響
『新約 とある魔術の禁書目録』において、魔神「僧正」の襲来によって引き起こされた学園都市の校舎倒壊は、単なる物理的破壊にとどまらず、その後の上条当麻の学校生活や上里翔流との対立といった物語の展開に大きな影響を与えた。本事件の経緯、倒壊後の惨状、および間借り先の学校で展開される新たな危機についての解説は以下の通りである。
魔神僧正による巨大な泥の腕の顕現と、全校生徒を人質に取った校舎破壊
第13巻にて、真なる魔神の一柱である僧正が上条当麻を自らの採点者として迎え入れるため、学園都市に現れた。
・上条がその提案を拒絶すると、僧正は土や泥を操って大樹のような巨大な腕を作り出し、躊躇なく上条の通う学校の校舎を半分ほど押し潰した。
・当時は防犯オリエンテーションの真っ最中であり、生徒達が校内に散らばっていたため、僧正は残る半分の校舎も潰して数百人を殺害し、上条を精神的に追い詰めようと企てた。
・これを防ぐため、上条は御坂美琴と共にアクロバイクに乗って僧正を学校から引き離した。
・結果として学園都市全域を巻き込んだ過酷な逃走劇を展開することとなった。
半分ぺしゃんこになった学舎の液状化と、出席日数不足に伴う上条の留年危機
第14巻において、僧正の脅威が去った翌日、上条が登校した際に直面した状況はあまりにも悲惨であった。
・学校の校舎は半分ぺしゃんこになり、液状化や地盤沈下のような惨状が広がっていた。
・ここで上条を襲った最大の絶望は、世界の危機ではなく、授業が行われず出席日数が足りなくなって留年するのではないかという個人的な危機であった。
・ただでさえ出席日数ギリギリで時空を超えて留年しそうな状態だった彼は、校舎を破壊した僧正に対し激しい怨嗟の叫びを上げた。
・これにより、世界の命運を懸けた戦いの直後であっても、一人の学生としての現実的な生活が地続きで崩壊していく不条理が描かれた。
中高一貫校の空き教室への大移動と、上里翔流の潜入による焼却炉の罠
校舎が完全に倒壊してしまったため、担任である月詠小萌の尽力により、上条たちは近くにある中高一貫校の空き教室を借りて授業を継続することになる。
・第15巻で彼らが大移動したその間借り先の学校には、理想送り(ワールドリジェクター)を右手に宿す少年・上里翔流が転入生として潜り込んでいた。
・魔神の脅威が去った直後の新たな学舎で、上条と上里は学食の安いメニューを片手に睨み合うという奇妙な対峙を果たした。
・この間借り先の学校を舞台に、上里は上条のクラスメイト達を罠にはめて内部崩壊させようとする焼却炉の罠などの戦術を仕掛けた。
・これによって、両者の対立はさらに激化していくこととなった。
まとめ
学園都市の校舎倒壊を巡る一連の顛末は、魔神僧正の理不尽な襲撃によって日常の象徴たる学舎が物理的に崩壊させられ、目覚めた上条が出席日数不足による留年の危機という極めて現実的な絶望に直面し、月詠小萌の尽力で中高一貫校へ間借りするものの、そこへ転入してきた上里翔流によるクラスメイトを巻き込んだ焼却炉の罠という内部崩壊の策略に晒されることで、世界の危機から学生としての日常の防衛、そして似て非なる右手を持つ宿敵との新たなる闘争へ赴き、自らの居場所と平穏な生の主権を完璧に奪還するに至る、不条理な環境激変と日常死守の記録である。
魔神の暴力から、個人的な生活危機、他校への移動、そして上里との陰湿な陣営戦へと繋げたプロセスは、どれほど世界規模の脅威に晒されようとも、学生としての基盤や周囲の人間関係を守るために知的な生存を模索し続けなければならない人間ドラマを示している。
最終的に、校舎の喪失という物理的障壁や上里が仕掛けた冷酷な勇さ足のルールを、上条の打算なき日常維持への執念と確固たる意志によって打破し、自らの未来とクラスメイト達との絆の価値を完璧にプロテクトした結末は、どれほど不条理な世界の改変や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の意志と確固たる歩みによって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
絶滅犯去鳴の襲来
『新約 とある魔術の禁書目録』の物語における「絶滅犯」去鳴(サロメ)の襲来は、上条当麻と上里翔流の対立構造に乱入する強烈なイレギュラーとして、そして上里の抱える歪みを浮き彫りにする重要な出来事として描かれている。去鳴の異様な本質、学園都市へ襲来した真の目的、特異な魔術能力と超能力者との激突、木原唯一との死闘、そして狂気の根底にある兄への想いについての解説は以下の通りである。
半透明のレインコートを纏う掛け値なしの狂人と、絶滅犯の異名を持つ義妹の登場
去鳴は上里翔流の義理の妹であり、絶滅犯の異名を持つ少女である。
・水着のような日焼け痕のある地肌に直接半透明のレインコートを纏うという異様な風体をしている。
・片腕をもがれても平然と笑うなど、自他共に認める掛け値なしの狂人として描かれている。
・その圧倒的な異常性は、学園都市の科学的な秩序や既存の魔術的な常識を根底から揺るがす。
人間関係の土台切り崩しという表向きの理由と、上里勢力の解体および兄の正気奪還の真意
彼女が学園都市へ襲来した背景には、二重に張り巡らされた目的が存在していた。
・表向きの理由は、上里勢力の一員として敵対勢力の王将である上条当麻の周囲の友人や知人を無差別に襲撃し、人間関係の土台を切り崩すことであった。
・しかし、彼女の真の目的は、上里が理想送りの力によって上里勢力の少女たちに甘やかされ、正気を失って狂っていく現状を激しく嫌悪したことに起因する。
・彼女の本当の狙いは、兄を狂わせている上里勢力を全員殺害して解体することであった。
・さらに、上条当麻の拳を利用して兄に厳しい現実の痛みを教え、本来の彼に目を覚まさせることを画策していた。
ケルト由来の贄の魔術による身体サイボーグ化と、御坂美琴の迎撃および一方通行との遭遇
彼女の戦闘スタイルは、ケルト由来の贄の魔術を応用した特異かつ凶悪なものである。
・内的御供により、自身の肉体を化学的なサイボーグへと作り替え、余った血肉を神に捧げることで常人離れした身体能力と機動力を得ている。
・外的御供により、素手で破壊した武具を神に捧げ、その特性や破壊力を雪だるま式に上積みしていく。
・ただし、3分以内に破壊と補給の連鎖を続けなければ威力がリセットされるという制限がある。
・御坂美琴との戦いでは、雷撃の槍や砂鉄の剣を次々と外的御供で取り込み、圧倒的な力で美琴を精神的にも追い詰めた。
・第一位の一方通行に対しては、武器や防具に頼らず肉体一つで戦うため一番相性が悪いと理解しつつも、自らの腕を一瞬で引き千切られながら狂人らしく歓喜の笑い声を上げた。
少女たちの武器ごと破壊する消費戦法と、木原唯一の疑似粉塵爆発による敗北
木原唯一が上里から理想送りを奪い、兄を殺そうとした際、去鳴は上里を助けるために上条当麻と共闘する。
・この激戦において、去鳴は外的御供の連鎖を繋ぐため、絵恋や獲冴、来蘭、瑠華といった上里勢力の少女たちが自発的に差し出す武器を、彼女たちごと破壊し消費していくという悪夢のような戦法をとった。
・火炎放射器と日本刀、爆薬と長弓とエレキギターなど、多様な武器の特性を次々と上乗せして木原唯一を極限まで追い詰めた。
・最後は、唯一が放った横紙破り(ULエクスプローダー)による疑似的な粉塵爆発に上条もろとも巻き込まれ、敗北を喫した。
五分前行動の玩具の懐中時計に隠された、普通の感性で向き合ってくれた兄への純粋な愛
絶滅犯として親や警察からも見放され、手に負えない怪物として扱われていた彼女にとって、上里翔流は特別な存在であった。
・唯一ごく普通の感性で向き合い、五分前行動や箸の持ち方を教えようとしてくれた上里は、強烈な憧れと尊敬の対象であった。
・彼女が首から太い紐で下げている安物のオモチャの懐中時計は、五分前行動ができない彼女のために上里が小遣いを削って買ってくれた大切な宝物である。
・彼女の無軌道に見える襲来と殺戮の数々は、ひとえに、普通に自分と接してくれた優しい兄を、歪んだ環境から取り戻したいという、狂人なりの純粋で不器用な愛情と敬意に基づいた行動であった。
まとめ
去鳴の襲来を巡る一連の顛末は、絶滅犯の異名を持つ狂人が上条の包囲網を破る刺客として現れながらも、その実、上里勢力の甘やかしによって正気を失った兄を救うためにハーレムの解体と上条の拳による現実の痛みの付与を画策し、美琴や一方通行との激闘を経て、木原唯一の台頭時には上条と共闘して少女たちの武器ごと粉砕する狂気の連鎖戦術で唯一を追い詰めながらも爆発に巻き込まれて敗北し、しかし根底にある上里への歪みなき思慕と宝物の懐中時計に込められた五分前行動の約束を胸に、兄を歪んだ環境から奪還しようとする、狂気と純愛が交錯した実存的サバイバルの記録である。
特異な風貌から、襲撃の真意、御供の連鎖、そして兄への執着へと繋げたプロセスは、どれほど世界が異能の力や魔術的なシステムによって破綻しようとも、一人の人間に救われた記憶と紡がれた絆の本質は決して摩耗しないという人間ドラマを示している。
最終的に、自らを縛る狂人の宿命や唯一が仕掛けた冷酷な爆破のルールを、兄への打算なき敬愛と確固たる生命力によって突破し、自らの未来と進むべき道を完璧にプロテクトした結末は、どれほど不条理な宿命や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の意志と確固たる歩みによって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
木原唯一の復讐
『新約 とある魔術の禁書目録』における木原唯一の復讐は、彼女の狂気的な師への愛情と、特異なロマンの追求が入り交じった凄惨なものとして描かれている。恩師の敗北から始まった復讐の動機、右手の強奪という残虐な手段、魔神の偽装による絶望の演出、そして上条当麻やアレイスターへの憎悪の拡大についての解説は以下の通りである。
瀕死の木原脳幹に施したコールドスリープと、私を超える木原への誓い
木原唯一の復讐の原動力は、彼女が先生と呼び深く敬愛していたゴールデンレトリバー、木原脳幹が上里翔流に倒されたことである。
・上里の「理想送り(ワールドリジェクター)」によって武装を消し飛ばされ、瀕死の重傷を負って血だまりに倒れる脳幹を発見した。
・唯一は絶望の中で彼をコールドスリープ(氷の棺)に収める決断を下した。
・意識を失う直前の脳幹から「私を超える木原になりなさい」と託された。
・これにより彼女は復讐を誓うと同時に、誰にも届かない「唯一」の存在になると決意した。
化生院明日香への擬態と右手首切断、およびサンプル=ショゴスによる縫合狂行
彼女の復讐は、単に敵である上里を殺すことではなく、すべてを取り上げてからトドメを刺すという残虐なアプローチであった。
・唯一は先生が絶対選ばないような道も敢えて選ぶと宣言した。
・生徒会長の化生院明日香に擬態して上里の至近へ接近し、彼から理想送りを宿す右手首を切断して奪い取った。
・寄生生命体「サンプル=ショゴス」を用いてその右手を自らの腕に縫合した。
・弱毒性サンジェルマンウィルスで脳を書き換えることで、宿敵の最大兵器を自らのものとして振るうという狂行に出た。
サンジェルマンウィルスの魔術操作と、娘々ら魔神の姿を模倣した精神的逼迫
奪った理想送りの万能感をさらに上書きするため、唯一は自らの体を冒すリスクを負って行動をエスカレートさせる。
・自らの肉体に負荷をかける形で、魔神のハリボテを作り出した。
・サンジェルマンウィルスで魔術を操り、ショゴスを変化させて娘々などの魔神の姿を精密に模倣した。
・これにより圧倒的な絶望を演出し、上里や上条当麻を精神的にも激しく追い詰めようとした。
横紙破りによる上条当麻の抹殺企図と、街を創ったアレイスターへの反逆
唯一の憎悪は、直接の仇敵である上里翔流ただ一人に留まらず、周囲や街全体へと拡大していく。
・上里にとって上条当麻が必要な存在であると見なした唯一は、ヤツの前に死体を放り出せば一体どんな顔をするのかな、という悪趣味な理由だけで上条を執拗に殺そうとした。
・そのために、疑似的な粉塵爆発を引き起こす拳銃型デバイス「横紙破り(ULエクスプローダー)」を持ち出して襲撃した。
・さらに彼女は、木原脳幹に役割を与え、死地である上里との戦闘へ向かわせた元凶が統括理事長アレイスター=クロウリーであると断じた。
・こんな残酷な街を作ったアンタも、残酷な街の歯車を回して日々面白おかしく暮らしている有象無象も何もかも、先生を奈落へ落としたすべてを一掃しようと企てた。
善悪好悪を超越した独自の悪の自覚と、目的のために主義を捨てる私だけのロマン
唯一は、自身の行いが客観的にも主観的にも破綻していることを完全に理解した上で暴走を続けている。
・自らの復讐劇が、善悪で言えば悪で、好悪で言っても悪であることを深く自覚している。
・木原脳幹が好ましいとした美学からは外れていると知りながらも、復讐のためなら何でも利用する姿勢を崩さない。
・自己の目的のために主義を捨てることすら「私だけのロマン」であると嗤い、手段を選ばない執念で世界を破壊しようとした。
まとめ
木原唯一の復讐を巡る一連の顛末は、最愛の師である木原脳幹の敗北とコールドスリープという絶望から始まり、上里から理想送りの右手を切断してショゴスで縫合するという常軌を逸した手段で強奪し、魔神のハリボテを演じて周囲を精神的に追い詰めながら、上条当麻を横紙破りで襲撃し、さらには脳幹を死地へ追いやったアレイスターや学園都市のシステムそのものへの反逆へと憎悪を拡大させ、脳幹の美学に背く悪であることを自覚しながらも目的のためにすべてを捨てる「私だけのロマン」を抱いて暴れ回ることで、理不尽な世界の枠組みを自らの手で解体し、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を完璧に奪還しようとする、狂気と執念に満ちた凄惨な実存的サバイバルの記録である。
恩師の仇討ちという純粋な動機から、右手の強奪、魔神の偽装、そして都市全体への宣戦布告へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な宿命や科学の限界に直面しようとも、受け継いだ知性と歪んだ愛によって自己を限界まで駆動し続ける木原の強靭な生命力と知性を示している。
最終的に、師の肉体を破壊した上里への復讐やアレイスターが支配する冷酷な街のルールを、唯一の打算なき憎悪と確固たる木原としての覚醒によって打破し、自らの未来と師への誓いの価値を完璧にプロテクトしようとする結末は、どれほど苛烈な運命の不条理や圧倒的な敵の力によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の意志と確固たる覚悟によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
御坂美琴の変質
御坂美琴の変質と対魔術式駆動鎧の装着
『新約 とある魔術の禁書目録』の物語における御坂美琴の「変質」は、彼女が抱える強烈な焦燥感と無力感、そして上条当麻に追いつきたいという悲痛な願いによって引き起こされる、極めて危うい進化の過程として描かれている。お荷物への絶望、絶滅犯による不気味な予言、タブーへの接触、そして狂気への足踏みと自覚なき副作用という4つの観点から解説する。
魔神僧正の圧倒的な力による無力感と、次元の違いを痛感した周回遅れの焦燥
美琴の変質の決定的な引き金となったのは、第13巻における魔神・僧正からの逃走劇である。
・学園都市第三位の超電磁砲(レールガン)として完成された力を持つ彼女であるが、星を壊しかねない魔神の前では全く歯が立たなかった。
・さらに上条の右腕から現れた未知の力を目の当たりにし、彼が自分とは全く違う次元(ステージ)にいることを痛感する。
・上条自身は、美琴の存在があったからこそ心が支えられたと彼女を命の恩人として強く肯定したが、美琴は自分が上条のお荷物になり下がっているという事実を受け入れられなかった。
・この出来事を経て、彼女はどれほど不都合な真実であっても受け止め、彼に追いつくために加速し続けるという悲壮な決意を抱くこととなった。
絶滅犯去鳴による狂人への予言と、魔神娘々の群れを前にした絶対的な絶望
第15巻においては、その焦燥感が彼女を精神的に追い詰めていく。
・夜の街で上里翔流の義妹である絶滅犯・去鳴(サロメ)と交戦した美琴は、自身の能力をいとも容易く吸収・上乗せする去鳴の特異な力に圧倒された。
・去鳴から、このままこっちに進んできたら私以上の狂人になる、という不気味な予言を突きつけられるが、美琴はそれでも前のステージに進むことを選択した。
・さらに、木原唯一が擬似的に引き出した魔神(娘々など)の群れと対峙した際にも、再び勝てる訳ないという絶対的な絶望に呑み込まれた。
・これにより、上条の力になれない自分への苛立ちをさらに深めていくこととなる。
対魔術式駆動鎧スペア兵装群の発見と、タブーを犯して実行した木原唯一の撃破
木原唯一の攻撃によって機能停止した冷凍倉庫へ落下した美琴は、そこに木原脳幹が使用していた対魔術式駆動鎧(A.A.A.)のスペア兵装群が保管されているのを発見する。
・美琴は電子を操る自身の能力でそのシステムを読み解こうとするが、そこには科学では説明のつかない魔術の要素が存在していた。
・これに深く触れれば御坂美琴とは呼べない別の誰かになってしまう、という本能的な危機感を覚えた。
・しかし、木原唯一が上条当麻に致命的な侵蝕(サンジェルマンウィルスやサンプル=ショゴス)を仕掛けようとしている決定的な瞬間を目撃した。
・彼を失うくらいなら、どんな方法を使ってでも、たとえどれほどのタブーを犯す事になっても構わないと決断した。
・自身の能力でA.A.A.のシステムを無理矢理に書き換え、自らに適合する形へ再構築して装着した。
・要塞を消し飛ばすほどの大口径レールガンで木原唯一を吹き飛ばし、上条を救出した。
枠の破壊による万能感の高揚と、強制接続の副作用による大量の鼻血およびアレイスターの危険視
A.A.A.の使用後、美琴の精神状態は明らかな異常をきたしていた。
・武装が剥がれ落ちていく中で、彼女は自分を閉じ込めていた枠が壊れたように感じ、世界が広い、可能性はどこにでもある、とこれまでにない万能感と高揚感に酔いしれた。
・しかし、なぜか彼女は上条から逃げるようにその場を立ち去ってしまった。
・直後に警備員に声をかけられるまで、自分の顔から大量の鼻血が流れ出ていることにすら気づいていなかった。
・これは、未知の魔術的システムに科学の能力で強制接続したことによる深刻な副作用であった。
・この美琴の凶行は、学園都市統括理事長アレイスター=クロウリーにとっても想定外の事態であり、アレイスターは御坂美琴が対魔術式駆動鎧と接触した事で別の脅威が芽吹いたと明確に危険視した。
まとめ
御坂美琴の変質を巡る一連の顛末は、魔神僧正を前にした無力感と上条との次元の差への焦燥から始まり、絶滅犯去鳴の予言を退けて進んだ先で、上条を救うために魔術の要素を含む対魔術式駆動鎧(A.A.A.)を装着するという最大のタブーを犯し、木原唯一を撃破して上条を救いながらも、脳への過負荷による大量の鼻血という深刻な副作用を伴う狂気的な万能感に呑み込まれ、統括理事長アレイスターにすら危険視される異分子となることで、理不尽な無力の檻を打ち破り、上条の隣に立つための力と平穏な生の主権を完璧に奪還しようとする、純粋な願いが招いた破滅的進化の記録である。
焦燥感の増幅から、狂気の予言、禁忌の兵装装着、そして統括理事長の警戒へと繋げたプロセスは、どれほど科学の街のルールや限界に縛られようとも、愛する者を守るために自らを別の化け物へと変質させることを厭わない、美琴の強靭な生存への意志と知性を示している。
最終的に、自らを阻むお荷物という現実や木原唯一が仕掛けた絶望のルールを、禁断の駆動鎧強制接続という確固たる覚悟によって打破し、上条の命と自らの進むべき未来の価値を完璧にプロテクトした結末は、どれほど不条理な魔術的脅威や肉体的な限界によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の意志と確固たる絆によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
新約 とある魔術の禁書目録(14)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(16)レビュー
登場キャラクター
上条勢力・学園都市の生徒たち
上条当麻
右手に「幻想殺し」を持つ少年である。他者を救うために身を投じる性格を持つ。オティヌスを救うために世界を敵に回して戦い抜いた。
- 所属組織、地位や役職
学園都市の高校生。 - 物語内での具体的な行動や成果
オティヌスを救うため、デンマークへ向かい様々な勢力と戦った。魔神である僧正からの追撃から逃れつつ、上里翔流とも対立して激突する。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
右手の奥に未知の力を秘めている。魔神や学園都市の暗部など、世界の中心に関わる事件に巻き込まれ続けている。
御坂美琴
学園都市の第三位に位置する超能力者である。上条当麻を追いかけ、彼と同じステージに立つことを望んでいる。能力は電磁力を操る「超電磁砲」だ。
- 所属組織、地位や役職
常盤台中学の生徒。学園都市第三位の超能力者。 - 物語内での具体的な行動や成果
僧正の襲撃時に上条とともに逃走し、彼を助けた。未知の兵器である対魔術式駆動鎧のシステムへ接触する。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
上条との実力差に焦燥感を抱き、対魔術式駆動鎧に触れたことで新たな脅威として認識されるようになった。
月詠小萌
上条当麻のクラスの担任教師である。身長が低く、子供のような外見をしている。
- 所属組織、地位や役職
学園都市の高校教師。 - 物語内での具体的な行動や成果
出席日数が不足している上条に対し、防犯オリエンテーションでの点数稼ぎを提案した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
生徒思いの教師として行動している。
吹寄制理
上条当麻のクラスメイトである。真面目で責任感が強い性格を持つ。
- 所属組織、地位や役職
学園都市の高校生。 - 物語内での具体的な行動や成果
防犯オリエンテーションにおいて、暴漢役の青髪ピアスをサスマタで制圧した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
転入生の上里翔流について上条へ尋ねるなど、クラスの状況を気に掛けている。
青髪ピアス
上条当麻のクラスメイトである。友人たちと騒動を起こすことが多い。
- 所属組織、地位や役職
学園都市の高校生。 - 物語内での具体的な行動や成果
防犯オリエンテーションで暴漢役を務めたが、吹寄制理に制圧された。焼却炉で不要品を燃やす計画に参加する。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
パトリシア=バードウェイ
レイヴィニア=バードウェイの妹である。魔術結社の存在を知らず、科学寄りの思考を持つ。
- 所属組織、地位や役職
研究所や実習船のゲスト研究員。 - 物語内での具体的な行動や成果
サンプル=ショゴスに体を蝕まれていた。上里翔流の理想送りの発動条件を乗り越え、彼に協力を求めた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
寄生生命体から解放され、命を救われた。
オティヌス
魔神と呼ばれる存在である。上条当麻の理解者として彼と行動を共にしている。
- 所属組織、地位や役職
魔神。 - 物語内での具体的な行動や成果
上条とともに世界中から追われ、デンマークへ逃避行を行った。上条の肩に乗って助言を与える。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
妖精化の術式によって身長15センチほどに縮んだ。
インデックス
10万3000冊の魔道書を記憶する少女である。上条当麻の部屋に居候している。
- 所属組織、地位や役職
イギリス清教のシスター。魔道書図書館。 - 物語内での具体的な行動や成果
上条の部屋で帰りを待ち続けた。上里勢力との戦闘では、強制詠唱を用いて敵の魔術を妨害する。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
三毛猫
上条当麻の部屋で飼われている猫である。スフィンクスと呼ばれている。
- 所属組織、地位や役職
上条当麻の飼い猫。 - 物語内での具体的な行動や成果
小さくなったオティヌスを追い回した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
クラスメイトたち
上条当麻と同じクラスの生徒たちである。
- 所属組織、地位や役職
学園都市の高校生。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里翔流の言葉に誘導され、夜の学校で焼却炉を使う計画を立てた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
上里の思惑により、上条との間に距離が生じた。
上里勢力
上里翔流
右手に「理想送り」を宿す少年である。どこにでもいる平凡な高校生を自称している。魔神を激しく憎悪した。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力の中心人物。 - 物語内での具体的な行動や成果
魔神たちを次々と異世界へ追放した。上条当麻と対立して戦闘を行い、木原唯一に右手を切断されて奪われる。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
右手を失ったことで、少女たちとの絆が本物であったと知り、右手奪還の決意を固めた。
去鳴(サロメ)
上里翔流の義理の妹である。絶滅犯と自称する狂人として行動する。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上条当麻の周囲を切り崩すために暴れ回った。木原唯一との戦闘では、仲間の武器を取り込んで圧倒的な破壊力を発揮する。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
人工物で体を置き換える「内的御供」と、武器を取り込む「外的御供」を使用する。
絵恋(エレン)
上里勢力の少女である。長い黒髪に白衣を着ている。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
鑑識や科学捜査技術を用いて情報の分析を行った。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
暮亞(クレア)
植物の特性を持つ原石の少女である。大きな丸眼鏡をかけている。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
去鳴に胴体を切断されたが、能力によって一命を取り留めた。パトリシアの体内にある寄生生命体を調査する。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
獲冴(エルザ)
不良のような外見の少女である。ペットボトルに硬貨を詰めて持ち歩く。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
憑依の魔術を用いて戦闘や支援を行った。右手を失った上里を看病する。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
府蘭(フラン)
UFO少女を自称する少女である。リュックからアンテナを伸ばしている。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里翔流の呼びかけに応じて姿を現した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
情報戦の一翼を担っている。
冥亞(メイアルカ)
上里勢力の一員である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里翔流の呼びかけに応じて姿を現した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
琉華(ルカ)
上里勢力に所属する少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里に呼ばれて包囲網を形成した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
愛燐(アイリーン)
上里を慕う少女の一人である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
他の少女たちと共に姿を現した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
雷矛(ライム)
上里勢力の少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
去鳴の能力のために自らの武器ごと破壊されることを受け入れた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
理沙(リサ)
上里の周囲に集まった少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里の指示で上条を取り囲んだ。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
芽李(メリー)
上里勢力に属する少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
他のメンバーと共に包囲網に参加した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
杏奈(アンナ)
上里を慕う少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上条を包囲するため姿を見せた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
入洲(イリス)
上里勢力の一員である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里の呼びかけで現れた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
丹南(ニナ)
上里に従う少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上条への包囲に加わった。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
銘撫(メイヴ)
上里勢力に所属している。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里のために包囲を形成した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
江梨(エリ)
上里勢力の少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
他のメンバーと同時に姿を現した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
鞍蘭(クララ)
上里を慕う少女の一人である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
去鳴の連鎖の素材となるため、自ら犠牲となった。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
出洞(デボラ)
上里勢力の一員である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里の呼びかけに応じた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
妹伊(メイ)
上里勢力に属する少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上条を取り囲む集団の中にいた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
聳愛(ソフィア)
上里を慕う少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
他の少女たちと共に姿を見せた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
精錬(セイレーン)
上里勢力の一員である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里の指示で包囲網に加わった。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
燦泥(サンデイ)
上里に従う少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上条の包囲に参加した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
魔鈴(マリン)
上里勢力に所属している。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里のために包囲を形成した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
露去(ロザリー)
上里勢力の少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
他のメンバーと同時に現れた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
好楽(スカラー)
上里勢力の一員である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里の呼びかけに応じた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
夢肖(ユニ)
上里勢力に属する少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上条を取り囲む集団にいた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
零紋(レモン)
上里を慕う少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
他の少女たちと共に姿を見せた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
賑多(ニキータ)
上里勢力の一員である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里の指示で包囲網に加わった。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
麗美(レミ)
上里に従う少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上条の包囲に参加した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
牧納(マキナ)
上里勢力に所属している。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里のために包囲を形成した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
傘厘(キャサリン)
上里勢力の少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
他のメンバーと同時に現れた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
蕩輝(ドロテア)
上里を慕う少女の一人である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里の呼びかけに応じた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
宛那(アテナ)
上里勢力に属する少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上条を取り囲む集団の中にいた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
夢厨(ミューズ)
上里を慕う少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
他の少女たちと共に姿を見せた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
米璃(ベリー)
上里勢力の一員である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里の指示で包囲網に加わった。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
数斬(スーザン)
上里に従う少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上条の包囲に参加した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
姪龍(メロン)
上里勢力に所属している。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里のために包囲を形成した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
診華(ミルカ)
上里勢力の少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
他のメンバーと同時に現れた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
瑛魅(エイミ)
上里を慕う少女の一人である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里の呼びかけに応じた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
麟堕(リンダ)
上里勢力に属する少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上条を取り囲む集団の中にいた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
比阿(フィーア)
上里を慕う少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
他の少女たちと共に姿を見せた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
好応(スノウ)
上里勢力の一員である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里の指示で包囲網に加わった。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
来夏(ライカ)
上里に従う少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上条の包囲に参加した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
覇尼(ハニー)
上里勢力に所属している。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里のために包囲を形成した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
威舞(イヴ)
上里勢力の少女である。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
他のメンバーと同時に現れた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
織雛(オリビア)
コスプレ少女を自称する上里勢力のメンバーである。
- 所属組織、地位や役職
上里勢力。 - 物語内での具体的な行動や成果
作中のギミックを再現した装備で戦う。去鳴の連鎖のために自らを素材として提供した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
木原一族・統括理事会
木原唯一
リクルートスーツに白衣を着た女性である。恩師である木原脳幹を尊敬している。
- 所属組織、地位や役職
木原一族の研究者。 - 物語内での具体的な行動や成果
上里翔流の右手を手首から切断して奪った。その右手を自らの腕に縫合し、魔神の力を引き出したように偽装する。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
木原脳幹の復讐を果たすため、先生を超える「唯一」の存在になることを決意した。
木原脳幹
ゴールデンレトリバーの姿をした存在である。木原唯一の恩師として行動する。
- 所属組織、地位や役職
木原一族。 - 物語内での具体的な行動や成果
対魔術式駆動鎧を用いて僧正を撃破した。上里翔流と激突したが、敗北して瀕死の重傷を負う。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
木原唯一の手によってコールドスリープにかけられた。
木原円周
小柄な少女の姿をした研究者である。他の木原の思考をエミュレーションして役になりきる能力を持つ。
- 所属組織、地位や役職
木原一族。 - 物語内での具体的な行動や成果
木原唯一の要請で木原脳幹の思考を再現しようとした。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アレイスター
学園都市の統括理事長である。木原唯一を使い潰そうとする冷酷さを持つ。
- 所属組織、地位や役職
学園都市・統括理事長。 - 物語内での具体的な行動や成果
木原唯一の前に現れ、仕事を完璧に果たすよう命じた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アイテム・その他の能力者
浜面仕上
無能力者の少年である。恋人の滝壺理后やアイテムの仲間たちを大切に思っている。
- 所属組織、地位や役職
アイテムの元メンバー。 - 物語内での具体的な行動や成果
仲間を守るため、運搬着を操作して上条当麻と激突した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
滝壺理后
ピンク色のジャージを着た少女である。浜面仕上の恋人として行動を共にする。
- 所属組織、地位や役職
アイテム。 - 物語内での具体的な行動や成果
ダイヤノイドの中層で浜面を待っていた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
一方通行
学園都市第一位の超能力者である。自分の知る者たちを守るために行動する。
- 所属組織、地位や役職
学園都市の超能力者。 - 物語内での具体的な行動や成果
上条当麻とデンマークの雪原で戦闘を行った。去鳴に挑発され、彼女の腕を引きちぎる。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
間借り先の学校
化生院明日香
小柄な女子生徒である。他薦で生徒会長に選ばれたことを負担に感じている。
- 所属組織、地位や役職
中高一貫校・高等部生徒会長。 - 物語内での具体的な行動や成果
ゴミ捨て場で分別作業を行っていた。クレーンゲームで月面開発フォーラムのマスコットを手に入れる。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
秋川未絵
女子中学生である。化生院明日香を慕っており、彼女の世話を焼いている。
- 所属組織、地位や役職
中高一貫校・中等部生徒。 - 物語内での具体的な行動や成果
化生院明日香と一緒にクレーンゲームに挑んだ。逆さになったビルから液体ダイヤを持ち出す。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
生徒会書記
眼鏡をかけた男子生徒である。生徒会の進行や交通整理を担っている。
- 所属組織、地位や役職
中高一貫校・生徒会書記。 - 物語内での具体的な行動や成果
転入してきた上条たちを昇降口で出迎えた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
生徒会の面々
化生院明日香の周囲にいる生徒たちである。
- 所属組織、地位や役職
中高一貫校・生徒会役員。 - 物語内での具体的な行動や成果
ゲームセンターの前で上里翔流たちと一緒にいた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
魔神・イギリス清教
僧正
紫の法衣を着たミイラの姿をした魔神である。他者の被害を気にせずに行動する。
- 所属組織、地位や役職
真なるグレムリン(魔神)。 - 物語内での具体的な行動や成果
上条当麻を自らの採点者にしようと迫った。アクロバイクで逃げる上条たちを執拗に追いかける。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
木原脳幹によって撃破された。
娘々
青ざめた顔にチャイナドレスを着た魔神である。指をさまざまな武具に変化させる力を持つ。
- 所属組織、地位や役職
真なるグレムリン(魔神)。 - 物語内での具体的な行動や成果
ネフテュスと共に上条当麻の前に現れた。木原唯一によって力を引き出されたように偽装される。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
上里翔流の理想送りによって異世界へ追放された。
ネフテュス
包帯を巻いた褐色の肌の魔神である。人間の情熱に興味を持っている。
- 所属組織、地位や役職
真なるグレムリン(魔神)。 - 物語内での具体的な行動や成果
僧正の破壊のプロセスについて上条たちに助言した。上里翔流の理想送りによって異世界へ追放される。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
主要な臓器を残していたため、小さな姿で復活した。
ローラ=スチュアート
地球の裏側から事態を観測している人物である。
- 所属組織、地位や役職
イギリス清教・最大主教。 - 物語内での具体的な行動や成果
アレイスターの計画を嘲笑い、理想送りの出現を観察していた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
その他の集団
空港職員たち
国際空港で働く職員である。
- 所属組織、地位や役職
第二三学区・国際空港の職員。 - 物語内での具体的な行動や成果
カーゴルームで去鳴に遭遇し、彼女の異様さに困惑した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
警備員
学園都市の治安を維持する大人たちである。
- 所属組織、地位や役職
学園都市・警備員。 - 物語内での具体的な行動や成果
鼻血を出してふらつく御坂美琴に声をかけた。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
刑務官
少年院の特例房を管理する職員である。
- 所属組織、地位や役職
学園都市の刑務官。 - 物語内での具体的な行動や成果
木原円周の独房の壁に書かれた文字列を見て気絶した。 - 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
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新約 とある魔術の禁書目録(14)レビュー
新約 とある魔術の禁書目録まとめ
新約 とある魔術の禁書目録(16)レビュー
展開まとめ
序章 コインの裏の裏 Rock_on_Right_Arm.
出来事の連なり
一つ一つの出来事は単独では意味を掴みにくかったが、連なりとして見れば別の構図が浮かび上がっていた。僧正の襲来、御坂美琴の無力感、木原脳幹による僧正撃破、上里翔流の理想送り、ネフテュスの警告、バードウェイ姉妹の介入は、全て幻想殺しと理想送りの激突へ繋がっていた。
幻想殺しと理想送りの決着
上条当麻と上里翔流は、夜の街で正面からぶつかった。理想送りと幻想殺しが激突した結果、上里の理想送りが勝ったはずだった。幻想殺しは大したことがなかったと上里は判断したが、その奥にさらに別の何かが存在していた。
血まみれの上条当麻
戦いの後、上条当麻はビルの壁にもたれ、右腕を押さえながら震えていた。理想送りによって右腕を抉られ、別の場所へ飛ばされたはずだったが、今の右腕には傷一つなかった。周囲には上条の血だけでなく、優位に立っていたはずの上里翔流の血も飛び散っていた。
右腕への恐怖
上条は、自分の右腕に何が起きたのか理解できなかった。バゲージシティで切断された右手から得体の知れない力が噴き出そうとした時は、不完全な魔神オティヌスに潰されていた。だが今回は、全力の魔神達を一瞬で屠った上里翔流を退けてしまったため、過去の現象と計算が合わなかった。
上里翔流の恐怖
上里翔流は血まみれで撤退しており、その目には困惑、嫌悪、恐怖が浮かんでいた。かつてのような同族意識は消え、上条との間には決定的な断絶が生まれていた。上条自身もそれを妥当だと感じるほど、自分の右腕に宿る何かを恐れていた。
前の何かとの違い
上条は、右腕に何かがあることだけは理解していた。しかし今の現象が、以前に現れた得体の知れない力と同じものなのかは分からなかった。幻想殺しの奥にあるものが本当に何なのか、上条当麻は答えを見つけられないまま恐怖と混乱の中にいた。
第一章 対峙、 あるいは新たな日々 Turn_a_New_Leaf.
翌朝の憂鬱
翌日一二月四日、上条当麻は上里翔流や魔神達、自分の右手の正体が分からないまま憂鬱な朝を迎えていた。それでも留年の危機が現実的だったため、学校を休むわけにもいかなかった。彼はフレンチトーストで朝食を済ませ、オティヌスを肩に乗せたまま登校した。
右手への疑念
通学中、オティヌスは上条の口数が減っていることを気にした。上条はバゲージシティで右腕から飛び出した透明な何かについて尋ね、上里を退けた力が以前と同じものなのか考え込んだ。幻想殺しや不幸体質の成立時期、学園都市との関係にも疑問が広がり、答えは出なかった。
潰れた校舎
学校へ着いた上条は、僧正によって校舎が半壊しているのを目にした。授業や出席日数がどうなるのか不安に陥り、僧正への怒りを爆発させた。小萌先生は、設備の不備による休校で生徒の冬休みを潰すことはないと説明したが、上条の進級問題は依然として危ういままだった。
間借り先の学校
上条達は、近くの中高一貫校の空き教室を借りることになった。吹寄や青髪ピアスと共に移動する中、上条はオティヌスを人形扱いされて困惑した。受け入れ先では生徒会書記が丁寧に出迎え、上条と青髪ピアスは敵対的な展開を身構えていた分、善良すぎる対応に逆に打ちのめされた。
転入生の上里翔流
生徒会書記は、最近この学校にも珍しい時期に一人だけ転入生が来たと話した。その人物は、生徒会役員ではないのに放課後の仕事を手伝っているという。階段の踊り場から現れたのは、上里翔流だった。上条は、間借り先で再び上里と遭遇することになった。
屋上の上里勢力
一方、絵恋、暮亞、獲冴は、上里がいる中高一貫校を見渡せるビルの屋上に集まっていた。彼女達は上里へ弁当を届ける話で騒いでいたが、府蘭からの連絡で空気が変わった。そこには、絶滅犯の去鳴が学園都市入りし、制御不能で誤爆に注意すべきだと記されていた。
去鳴の脅威
去鳴は、上里勢力の中でも抜きん出た異形であり、まともな人間社会との折り合いすらつかなくなった少女だった。しかも彼女は上里の義理の妹でもあり、その関係性がさらに厄介さを増していた。絵恋達は、彼女が外に出ている事態そのものを深刻に受け止めた。
空港の異常者
第二三学区の国際空港では、旅客機のカーゴルームで異常が発生していた。空港職員が探知犬を連れて確認に向かうと、死の空間に近い貨物室の中から、半透明のレインコートをまとった少女が現れた。彼女は肌を隠さない異様な姿で、職員の常識を完全に狂わせた。
絶滅犯去鳴
少女は、自分の服装が返り血を避けるためのものだと示唆し、透明な瓶からガラスのマキビシのような凶器を撒いた。さらにそれを素足で踏み砕き、自分を絶滅犯、去鳴だと名乗った。空港職員は銃を持てず、警察や警備員を呼ぶまで戦力を確保できないため、目の前の脅威に対して即座に対抗できなかった。
行間 一
少年院の特例一五番
学園都市の少年院は、能力犯罪者を閉じ込めるため、一般の刑務所よりも厳重な設備を備えていた。木原唯一は刑務官に案内され、普通の記録には残らない特例一五番の独房へ向かった。そこにいる人物は本来なら収監の必要がなかったが、自ら金を払い、危険な独房に居座っていた。
闇の中の手
刑務官は独房の小窓を開け、特例一五番に両手を出させた。だが手錠を掛けようと身を屈めた瞬間、彼は房の中を見てしまい、悲鳴を上げて床を転げ回った。中の人物が攻撃したのではなく、房内に書き込まれた内容そのものが、彼の理解を超えていたのである。
破滅の文字列
木原唯一は電子錠を破壊して独房を開けた。中は狭いコンクリートの箱で、壁、天井、床の全てに細かな文字や数列が埋め尽くされていた。唯一は、それが人類文明を何度も滅ぼせるほどの内容であると読み取ったが、世界の破滅そのものには興味を示さなかった。
木原円周
独房の中にいたのは木原円周だった。彼女は木原一族では落ちこぼれと見られることもあったが、他の木原の思考をエミュレーションし、その役になりきる特異な能力を持っていた。さらに、その木原が持つ技術までも再現できる存在だった。
先生の再構築
木原唯一は、自分が誰にも追いつけない唯一になるために、即戦力が必要だと告げた。そして円周に、いつものように木原ならどうするかを再現してほしいと頼んだ。唯一が求めたのは、越えるべき先生である木原脳幹を、円周の力で組み上げることだった。
第二章 平穏、 あるいは巣を張る罠 Board_Game.
昼休みの対峙
上条当麻と上里翔流は、複数の学校の生徒が入り混じる学食で向かい合っていた。二人は奇しくも最安のかつおぶしご飯を選び、貧乏メシをどう改造するかで張り合った。上条は他人からもらったお新香やキャベツ、めんつゆ、大根おろしまで使い、目の前の材料だけで考える上里に対して、世界を広く見ろと勝ち誇った。
化生院明日香
そこへ小柄な少女が現れ、上条と上里に仲良くしているか尋ねた。上条は生徒会長について上里に尋ねたが、上里はその少女こそが生徒会長だと告げた。少女は化生院明日香と名乗り、他薦で担がれた生徒会長だと説明したが、上条は自分の想像していた先輩系生徒会長像と違うことに不満を漏らした。
秋川未絵との再会
化生院明日香が助けを求めると、秋川未絵が現れた。秋川は上条に自分を覚えているか尋ねたが、上条は誰だったか思い出せなかった。明日香はそれが秋川にとって禁句だと慌て、上里も距離を取りながら上条の反応を観察した。結果として、上条と上里は転入早々に生徒会長を泣かせた男達という扱いになった。
銀行の浜面仕上
一方、浜面仕上と滝壺理后は銀行を訪れていた。目的は、アイテムの報酬口座を整理し、滝壺の資金を定期預金へ切り替えることだった。浜面は、裏稼業の窓口を手放し、未来を意識した手続きへ進むことに、彼女達の変化を感じていた。
レインコートの少女
浜面の隣に、半透明のレインコートをまとった少女が座った。彼女は浜面の名前やアイテムでの立場、麦野沈利や絹旗最愛、滝壺理后との関係まで知っていた。さらに、浜面はどこまで行っても部品であり、他人の一部にはなれないと挑発した。
普通という強さ
浜面は、かつての自分なら特別な立場や注目を欲しがったかもしれないが、今は自分の価値などどうでもいいと返した。彼は、普通のレールから外れずに生きること自体が難しく、大切なことだと語った。無能力者で特別になれないからこそ、普通の位置からぶれないことが最強なのではないかと考えていた。
去鳴のデモンストレーション
レインコートの少女は浜面への攻撃をやめたが、代わりに銀行で何かを示す必要があると言った。彼女は警備員よりも大金庫へ目を向け、ピザ切りカッターの刃を口で砕き、海神マナナンへの武具の奉納を唱えた。その結果、金庫の大扉どころか防護壁を無視して、銀行の建物全体が斜めにずれた。
午後のマラソン
午後最初の体育はマラソンであり、上条当麻のクラスは男女合同で外を走っていた。上条は冬に走らされる理不尽を嘆き、青髪ピアスは女子の走る姿を前から見るために急なスパートをかけた。上条は呆れながらも、土御門元春の安否や上里翔流の動きを気にしていた。
上里翔流への警戒
オティヌスは、上里翔流が接触してきた件について上条に警告した。上里は偶然得た状況を利用できる人物であり、目的のためなら聖域なく周囲を破壊する可能性があると見ていた。上条はそこまで冷酷な人物とは思えないと反論したが、オティヌスは上里の共感や熱情は軽く、昨日の理解が今日も続くとは限らないと告げた。
天然と人工のダイヤ
オティヌスは、上里翔流には人心を引きつける見えない力があり、上条と似た輝きを持つと評した。上条は、それなら自分にも同じようなカリスマがあることになると疑問を返した。オティヌスは上条の無自覚さに呆れたが、そこへ吹寄制理が現れ、肩のオティヌスを人形扱いして上条を困らせた。
吹寄制理の気遣い
吹寄は、転入生である上里翔流の噂を上条に尋ねた。上条は学校の友人の口から上里の名が出たことに動揺したが、上里は目立つことを嫌うため、今の状況をむしろ喜んでいるのではないかと答えた。吹寄は受け入れ先に迷惑をかけていないか気にしていただけで、上条はその気配りを感じ取った。
視線の失敗
上条と吹寄はマラソンに戻り、吹寄は順位より自分のペースを守る走り方をしていた。上条は彼女の様子を見ていただけだったが、青髪ピアスの妄言が頭に残っていたせいで視線の意味を意識してしまった。吹寄に気になるのかと問われ、上条が正直に答えたため、頭突きを受けることになった。
放課後のゴミ捨て
放課後、上条は燃えるゴミと燃えないゴミの袋を持って、職員用の裏門近くにあるゴミ捨て場へ向かった。そこには生徒会長の化生院明日香が先におり、ビニール手袋をしてゴミの分別をしていた。上条は名前を思い出せず、彼女をビクビクウサギと呼んで泣かせかけた。
生徒会長の雑用
化生院明日香は、高等部の生徒会長として中高共用のゴミ捨て場の分別作業をしていた。ゴミの中にはカッターの刃やスプレー缶のような危険物が混じることもあるため、彼女は金属探知機を使って確認していた。上条は一人で膨大な量を処理していたことに驚き、手伝おうとしたが、今日の分はほとんど終わっていた。
封鎖された焼却炉
ゴミ捨て場には古い焼却炉が残っていたが、鎖と南京錠で封鎖されていた。化生院明日香は、夜中に生徒が不用意な物を燃やそうとして、火災報知や騒動につながる恐れがあるため封鎖していると説明した。上条は余計な誤解を否定しながら、彼女と共にゴミ捨て場を後にした。
スーパーへの決意
校門で化生院明日香と別れた上条当麻は、一週間分の食材を買うためにスーパーへ向かった。オティヌスは賞味期限ぎりぎりの品を一週間分買う発想に呆れたが、上条は高級スーパーの売れ残りこそ狙い目だと考えていた。途中で上条は土御門元春の安否を思い出し、上里勢力に襲われたらしいという曖昧な情報しかないことを気にしていた。
ゲームセンター前の遭遇
繁華街を歩いていた上条は、生徒会の面々と上里翔流がゲームセンター前にいるのを見つけた。肩のオティヌスをマフラーで隠し、人の流れに逆らわず素通りしようとしたが、生徒会書記に見つかってしまった。上条は問題児二号と呼ばれ、上里が一号扱いされていることに反応しつつ、クレーンゲームの前へ近づいた。
化生院明日香の挑戦
化生院明日香は、秋川未絵と共にクレーンゲームへ挑んでいた。彼女が狙っていたのは、半年前の月面開発フォーラムのマスコットだった。明日香は本来、未絵と一緒にフォーラムへ行くはずだったが、自分が熱を出したせいで未絵まで行けなくなったため、その埋め合わせとしてぬいぐるみを取ろうとしていた。
アシスト制度の実態
明日香と未絵の関係は、中等部の生徒を高等部の生徒が支えるアシスト制度から始まっていた。しかし実際には、明日香が未絵に面倒を見てもらっている状態であり、弁当まで作ってもらっていた。上条はその逆転した関係に呆れながらも、明日香が月面開発フォーラムのマスコットを欲しがる理由を理解した。
上里翔流の潔癖
上条と上里は、クレーンゲームを横から確認しながら言葉を交わした。上里は、自分には誰に語れるほどの趣味も個性もなく、好きなものを突き詰めても軽いだけだと語った。上条は、上里の歪みの根底には、一番に届かない自分を許せず、突然与えられた幸福に正当性を求めてしまう潔癖さがあるのではないかと感じた。
理想送りの本質
上条は、理想送りが現実的な妥協でぶれる人間を理想の彼方へ飛ばす力なのだと見抜いた。理想の先に断崖があっても背中を押すのが上里の助け方であり、だからこそ強い個性や夢を持つ人達が彼の周囲に集まるのだと考えた。一方で上条自身の幻想殺しは、凝り固まった理想を一度壊し、別の角度から見直させる力であり、二人の助け方は根本から違っていた。
ぶれを許す上条当麻
上里は、右手が宿ってから周囲の少女達が一つの方向しか見なくなり、自由を失ったと訴えた。上条は、願望がいくつ重なっても、言葉が五秒ごとに変わっても、最後にみんなで笑えるなら主義や思想を捨てても構わないと返した。一つの理想に固執して誰とも笑えない英傑より、ぶれながら幸せを掴むピエロの方が良いと考えていた。
クレーンゲームの失敗と奇跡
会話の途中、明日香がクレーンの位置を決めようとし、上条と上里は山か谷かで意見を対立させた。そのせいで明日香と未絵が混乱し、狙いとはまったく違うぬいぐるみを掴んでしまった。しかしその一体を引き抜いたことで周囲の山が崩れ、目的だった月面開発フォーラムのマスコットも投入口へ雪崩れ込んだ。
負のぬいぐるみ山
明日香は目的の月面ニキビ君を手に入れて喜び、未絵に渡した。しかし同時に、大量の怪しいぬいぐるみも投入口に落ちてしまった。誰が持ち帰るかを決めようとした瞬間、上条は自分が全て背負わされる未来を警戒して拒否した。上里が理想送りの副作用として女の子にちやほやされることを挙げると、上条は拳で決着をつけようとした。
夜の川沿いの御坂美琴
夜半、御坂美琴は寮を抜け出し、第七学区の川沿いを歩いていた。僧正との戦いで上条当麻との距離を痛感した彼女は、第三位の超電磁砲として完成されているからこそ、次の段階へ進む道が見えずにいた。今の道の先に望む答えがないと分かっていても、何を変えればよいのか分からず、焦燥に囚われていた。
新たな刺激
美琴は、上条が見ている世界の色彩を知るため、非日常の刺激を求めて夜の街に出ていた。しかし歩いても答えは見つからず、世界という騙し絵の見方を変えるきっかけには届かなかった。そんな時、半透明のレインコートをまとった少女、去鳴が現れた。
上里翔流の義妹
去鳴は美琴の名を知っており、彼女を上条勢力の一部だと見なしていた。浜面仕上とは違い、美琴を潰せば上条の人間関係に確実な影響が出ると判断したのである。さらに去鳴は、自分を上里翔流の義理の妹だと名乗り、美琴へ襲いかかった。
外的御供
美琴は雷撃や砂鉄の剣で応戦したが、去鳴はそれらを破壊し、性質と破壊力を取り込んでいった。去鳴の外的御供は、武具や攻撃を供物として破壊し、その力を上乗せしていくものだった。美琴の超電磁砲さえ断たれ、去鳴はその破壊力まで自分の攻撃に組み込んだ。
次のステージへの執着
美琴は超電磁砲を破られても絶望しなかった。むしろ、去鳴を越えた先に自分が望む次のステージへの手がかりがあると感じ、彼女を倒して答えを聞き出そうとした。去鳴は、美琴が自分以上に狂った存在になる可能性を見抜き、このまま進めば危険だと告げた。
暮亞の乱入
美琴がさらに戦おうとした直前、植物の力を持つ暮亞が割り込んだ。暮亞は去鳴の外的御供が連鎖するほど戦力を増すため、まず連鎖を断つべきだと指摘した。去鳴は三分以内に武器を補給し続けなければ力が戻るという条件を持っており、スポーツバッグの中身はそのための非常用の武器だった。
川上の激闘
暮亞は、上里のためになるなら義理の妹である去鳴の排除もためらわないと宣言した。去鳴もそれに応じ、二人は橋の上から姿を消し、川の上で激闘を始めた。美琴はその反応を追ったが、戦いの詳細までは読み取れなかった。
狂気の余韻
去鳴と暮亞が離れた後、美琴は自分が何をしようとしていたのかに気づき、吐き気と涙に襲われた。去鳴に言われた、自分はこのまま進めば彼女以上に狂うという言葉が耳に残っていた。それでも、まともに戻るのかという問いが脳裏に滑り込み、美琴は震えを止めてゆっくりと立ち上がった。
行間 二
対魔術式駆動鎧の残骸
木原唯一は、製紙工場を装った広大な保管場所で、破壊された対魔術式駆動鎧の残骸を調べていた。そこには木原脳幹が使っていた軍用兵装が規則的に並べられていた。唯一は、上里翔流に報いを与えるため、脳幹を倒した力と、脳幹自身が背負っていた力の両方を分析しようとしていた。
木原円周のエミュレーション
唯一は、木原脳幹を再現させるために木原円周を連れてきていた。円周は他の木原の思考をエミュレーションできるため、唯一の知らない脳幹へ近づける可能性があった。しかし円周が脳幹を読み取ろうとすると、全身が痙攣し、意識が現実から外れかけた。
外にある源
円周は、木原脳幹の中に壊れた情報があるのではなく、外部へ繋がるリンクのようなものがあると語った。その感覚は、木原加群の奥へ潜ろうとした時に似ていた。唯一は、脳幹の力の源が脳幹の外にあると見て、誰かが円周を少年院の奥へ閉じ込めるよう仕向けたのだと推測した。
唯一の先行
唯一は、木原円周に自分自身のエミュレーションも促した。円周はそれを試みた瞬間に意識を失い、唯一は彼女を人形のように放り出した。唯一は、自分も脳幹と同じように向こう側へ足を踏み入れ始めているのかもしれないと考えながら、先生を超える木原になるために迷わず先へ進んだ。
葉巻と夜の工場
工場の外に出た唯一は、火をつけない葉巻を咥え、脳幹が背負っていた力の正体をほぼ確信していた。彼女は、上里翔流の理想送りの手段、条件、範囲を、魔神達の行動と照らし合わせながら分析しようとしていた。現象として存在する以上、その理論や法則は必ず解き明かせると考えていた。
少女の目撃
その時、少女がペットロボットを連れて現れ、金色の犬の行方を尋ねた。木原唯一は微笑み、改造した装置で少女の直近の記憶を破壊した。さらにペットロボットの映像記録も改ざんし、目撃情報が残らないよう処理した。
ロマンによる選択
唯一は目撃者を殺す方が木原らしく確実だと分かっていたが、少女を殺さなかった。彼女は部下に撤収と痕跡消去を命じ、保管場所を移すよう指示した。理由を問われた唯一は、少女とペットロボット、そして小さな夢を見せていた木原脳幹を思い浮かべ、それがロマンだからだと答えた。
第三章 転換、 あるいは視点の変更 Not_Fiend, Not_Enemy.
抜け毛の朝
翌朝、上条当麻はユニットバスで目を覚まし、髪の毛が抜けていることに絶叫した。上里翔流や理想送りへのストレスを自覚し、オティヌスに助けを求めたが、彼女は呪いのようなぬいぐるみが身代わりになっている現状に満足していた。食材不足は解消され、朝食は用意できたものの、上条はその日の登校にオティヌスを連れて行かないと決めた。
留守番の理由
上条は、上里がオティヌスを見た瞬間に理想送りを振るう危険を恐れていた。寮が襲われる可能性も否定できなかったが、上里は魔神を恐れており、身近な少女達を自分の目の届かない場所で魔神とぶつけることはしないと考えた。上里が本当に少女達を大切にしているなら、最後は必ず自分で動くはずだった。
異変の御坂美琴
登校中、上条は御坂美琴を見かけた。彼女の制服や表情には異常がなく、普通に笑って会話していたが、上条は得体の知れない冷たさを感じた。美琴は三学期からの選択体育を変えたいと話し、捕手術や剣道、射的などを挙げた後、自分がいつまでも先頭でみんなのペースを決められると思うなと告げて去った。
朝のゴミ捨て場
上条は学校に着くと、裏手のゴミ捨て場で化生院明日香を見かけた。彼女はゴム手袋をつけ、焼却炉の上にゼリー飲料を置いて朝食を取っていた。上条に声をかけられて驚いた明日香は飲料を噴き出し、未絵に知られたら叱られると慌てたが、人手が足りなければ未絵や生徒会を呼ぶと答えた。
去鳴の暴走
裏門から現れた上里に、上条は知り合いの異変について問いかけた。上里は即座に、去鳴が出たと告げた。去鳴は上里の義理の妹であり、上里勢力の一員でもあったが、完全に暴走しており、止めようとした暮亞を胴体から断ち切ったという。暮亞は能力の性質で一命を取り留めたが、相手が誰であっても去鳴は同じことをする状態だった。
上条勢力への攻撃
上里は、去鳴が上条の周囲の人間を狙っていると説明した。直接上条を狙うより、周囲の知り合いを傷つけて人間関係を崩し、上条の土台を壊すつもりだったのである。美琴の異変が去鳴との遭遇によるものかもしれないと上条は考えたが、恐怖だけでは説明できない違和感も残っていた。
お天気お姉さんの喪失
上里は、去鳴の行方を追うための情報源だった鎖仁と恋因について語った。二人は気象図や天球儀を使って広範囲の情報を得る占い師であり、上里勢力の資金源にもなっていた。しかし去鳴の電極を外した結果、制御できずに返り討ちに遭い、今はまともに使えない状態だった。そのため、去鳴を追跡するのは極めて難しくなっていた。
上条当麻の誘い出し案
上条は、去鳴が広範囲に狙いを散らしているなら、逆に上里本人が危機に陥る状況を作れば現れると考えた。上条と上里が街中で本気で殴り合い、上里が劣勢に見えれば、去鳴は上里を勝たせるために出てくるはずだった。上里もその道理を認め、義妹を売る形になっても、彼女達を加害者にも被害者にもしたくないと答えた。
代返という衝撃
上条は去鳴を誘い出す方針を決めたものの、出席日数の問題に直面した。上里が代返を頼めばよいと軽く言ったことで、上条は今までその手を使わなかったことに絶叫した。彼は青髪ピアスへ連絡し、成功するかは分からないながらも代返を頼んだ。
動画による罠
去鳴を確実に呼び寄せるため、上条と上里は動画サイトを使うことにした。素人の目撃動画を装って二人が喧嘩している様子を公開すれば、動画派の去鳴は見つけて飛んでくると上里は考えた。場所は、背景だけで去鳴が位置を特定できるよう、ランドマークの近くにする必要があった。
去鳴のリスト
絶滅犯の去鳴は、鎖仁と恋因が残したリストを宝物としていた。そのリストに従って襲う限り、上条当麻の周囲を崩すという目的を果たせるからである。リストがなければ、去鳴は学園都市の一般市民を無作為に襲い、上条へ悪感情が向くよう仕向けていた可能性があった。
一方通行への接触
去鳴はバス停のベンチで待ち伏せし、ドラッグストアの袋を持った一方通行に声をかけた。彼女は第一位の過去や殺しを切り離せない性質を嘲り、さらに袋の中にある小さな靴から、彼にとって大切な存在を示唆した。直後、一方通行は去鳴の指先から二の腕までを一瞬で引き千切った。
外的御供の弱点
去鳴は痛みや恐怖を見せず、一方通行との相性を喜んだ。外的御供は生身で破壊できる武具や防具を取り込む力であり、武器に頼らず肉体だけで最大戦力を出す一方通行は、彼女にとって最も相性の悪い相手だった。それでも去鳴は笑い続け、懐中時計に口づけした。
内的御供
去鳴の腕の断面からは血が流れず、質感も人間のものではなかった。彼女は外的御供だけでは足りないと考え、自分の肉体を神へ捧げる内的御供によって、身体を人工物へ置き換えていた。学園都市製ではない雑な部品を自分で体内に組み込み、死と隣り合わせの状態を維持していたのである。
打ち止めというトリガー
去鳴は鋼の鉤を折り、打ち止めを一方通行のトリガーだと見抜いて挑発を続けた。誰かを守っても過去は消えず、打ち止めに寄り添っても一方通行自身が善人や英傑になれるわけではないと突きつけた。彼女の言葉は、一方通行が抱える過去と現在の関係を容赦なく抉るものだった。
殺しを知る者同士
一方通行は、去鳴が分かっていてなお自分のトリガーを引いたのだと受け止めた。去鳴はそれで動機が湧いたかと笑い、スポーツバッグから刀剣や鈍器、飛び道具を溢れさせた。直後、殺しの味を知る者同士の衝突が始まった。
窓のないビルへの誘導
上条当麻と上里翔流は、去鳴を誘い出すために動画へ映すランドマークを探していた。第七学区には分かりやすい目印が少なかったため、上条は窓のないビルを候補に挙げた。しかし二人が向かおうとした直後、屋上から獲冴が大量の一〇円玉を降らせ、上条を路上に叩きつけた。
上里翔流の裏切り
上里は、去鳴を止める最善手は上条を演技ではなく本当に殺すことだと告げた。上条が死ねば去鳴が上条勢力を崩す理由は消え、演技を見破られる心配もないという理屈だった。上里は上里勢力の少女達を呼び集め、上条を取り押さえさせてから自分がトドメを刺そうとした。
去鳴の乱入
一方、去鳴は一方通行との戦闘中にスマートフォンを確認し、兄の行動をくだらないと評した。彼女は打ち止めや番外個体達の名を挙げ、一方通行を牽制してその場を離脱した。そして上里勢力の包囲へ飛び込み、海賊少女を蹴り飛ばして上条を担ぎ上げた。
去鳴の本音
去鳴は、上条を殺すことも魔神を滅ぼすことも上里を元に戻す保証にはならないと考えていた。彼女は、上里を狂わせている原因は上条でも魔神でもなく、上里勢力という取り巻きだと断じた。そのため、上里を元に戻すには取り巻き全員を殺すのが最も正しいと宣言した。
第一位の到来
去鳴は、上条には面倒なファンがいると告げた直後、上里勢力の中心へ白い竜巻のように一方通行が落ちてきた。去鳴は狙い通りだと笑い、上条を担いだまま距離を取った。上里は追おうとしたが、一方通行の白い嵐に呑み込まれていった。
兄を戻すための上条当麻
去鳴は、上里翔流を甘やかす取り巻きではなく、上条当麻こそが兄を正気に戻すために必要だと見ていた。幻想殺しを持つ上条なら、理想送りや上里ハーレムに酔う兄へ現実の痛みを教えられると考えたのである。上条は、魔神や右手の謎だと思っていた問題が、兄妹の板挟みに近い形だったことに困惑した。
去鳴の懐中時計
上条が、去鳴にとって上里翔流はどんな存在か尋ねると、去鳴は動揺した。彼女は、上里に折り紙、自転車、箸や鉛筆の使い方、学校や宿題、恋の相談まで面倒を見てもらった過去を語った。首から下げた安物の懐中時計も、五分前行動ができない去鳴のために、上里が小遣いを削って買ってくれたものだった。
普通が染みるもの
去鳴は、特別なことは何もないからこそ上里翔流に惚れ込んだと語った。絶滅犯である自分にとって、普通の感性で向き合ってくれた存在は上里だけだったのである。両親や警察が本気で彼女と向き合わなかった中、上里だけが彼女を視界に入れ、何度でも人を殺すなと叱り続けた。
右手という呪縛
上条は、去鳴も上里の周囲の人間関係を理想送りの影響だと思っているのかと尋ねた。去鳴は明言を避けながらも、右手の全てが上里翔流の呪縛であり、誰かが破らなければならないものだと答えた。彼女はその結論を簡単には口にできないほど、兄との関係を重く受け止めていた。
校舎への跳躍
去鳴は、上里勢力に匹敵する数を揃える必要があると判断し、上条を担いだままビルからビルへ飛び移った。上条はインデックスやオティヌスが狙われる危険を訴えたが、去鳴は安全地帯などないと返した。彼女は学校へ向かい、上条を抱えたまま校舎の屋上を目指した。
屋上の絶滅犯
昼休みの屋上に、去鳴が上条当麻を担いだまま降ってきた。弁当を広げていた化生院明日香と秋川未絵は驚き、明日香は生徒会長として未絵を守ろうとしたが、去鳴はタコさんウィンナーだけ受け取って軽く流した。上条は、去鳴と一緒に現れたことで自分まで不審者を見る目を向けられ、寂しさを覚えた。
修復材料探し
去鳴は一方通行との戦いで武器を使い切っており、外的御供の連鎖を繋ぐために校内で使えるものを探すつもりだった。さらに、千切れた腕の断面を見て、まずは利き手の修復が必要だと気づいた。彼女の身体は電子部品ではなく、化学反応で動く素材を使っているらしく、美術室や調理実習室の材料で修復できると語った。
身内の確認
去鳴は上条に、自分の準備が終わるまで身近な人達の様子を確認するよう促した。攻撃は目に見える暴力だけとは限らず、上里翔流なら別の形で仕掛けている可能性があるというのである。いつものクラス、部活、委員会、バイトなど、普段の人間関係の中で妙な素振りがないか調べるべきだと告げた。
甘ったるい違和感
去鳴は、何かを嗅ぎ取るような仕草をしながら、今の空気を上里勢力の中と似ていると評した。胸焼けするほど甘い砂糖菓子の底なし沼のような気配があるというのである。上条はその狂人の嗅覚が何を捉えているのか分からなかったが、去鳴は校内にも上里ハーレムに似た危うさが広がっていると見ていた。
行間 三
移動研究室
木原唯一は第一七学区の工場跡地に並ぶ黒塗りの高級車を研究室として使っていた。それらは要人警護用の防弾公用車グリフォンドライバーであり、内部には完全密閉された生物管理用の設備が収められていた。唯一は洗浄と防護服の着用を済ませ、車内の研究室へ入った。
対魔術式駆動鎧の痕跡
唯一はシャーレのサンプルを廃棄と候補に振り分けながら、木原脳幹を倒した上里翔流の能力を分析していた。対魔術式駆動鎧の痕跡から、上里の力は組織断面を潰さずに完全破壊する鋭利な切断力を持つものだと推定された。脳幹の肉体を破壊しなかった理由は不明だったが、唯一は良識ではなく発動条件の問題だと見ていた。
右手への執着
装甲には手形のような跡もあり、唯一は上里が右手に強く関わる力を持つと判断した。その攻撃を防ぐ方法は見当たらず、発動すればほぼ死ぬものとして扱うべきだと結論づけた。一方で、木原脳幹の牙に上里の血や組織片が残っていたことから、上里は接近を許しており、長距離攻撃は持たないか扱いに制限があると推測された。
撃破手順の仮説
唯一は、上里翔流が触れた物体か自分の肉体を基準に、近中距離の標的へ能力を発動すると考えた。防御や回避は未知数だが、まともに受ければ終わるため、長期戦は期待できなかった。そこで唯一は、上里を倒すための最も妥当な手順を導き出そうとしていた。
ショゴスちゃん
その瞬間、シャーレから黒い何かが伸び、唯一のファインスポイトに絡みついた。表面には南国のカエルやトカゲのような極彩色のまだら模様が浮かんでいた。唯一はそのサンプルを見て笑い、ショゴスちゃんと呼びかけた。
第四章 絶望、 あるいは目的の明示 Artificial_Disaster.
秋川未絵の違和感
秋川未絵は、屋上で起きた騒動の後も、生徒会長の言動に引っかかりを覚えていた。去鳴の乱入に怯えること自体は自然だったが、未絵が作った弁当を差し出すような発言は、普段の生徒会長らしくなかった。さらに、食後に水筒のお茶を少し残しておくいつもの習慣もなく、未絵の疑念は消えなかった。
焼却炉への疑念
上条当麻は去鳴に促され、クラスメイト達の様子を確認しに行った。教室では青髪ピアス達が、使われていない焼却炉で不要な雑誌や人形を燃やす計画を立てていた。しかもその話題には上里翔流の名が出ており、上条は上里が何らかの思惑でクラスメイト達を危険な行動へ誘導しているのではないかと疑った。
教室の距離
上条は、不法侵入や放火未遂になりかねないと止めようとしたが、クラスメイト達は深刻に受け止めなかった。誰かが空気を読めないと低く吐き捨て、教室の空気は上条を異物のように扱った。上条は、いつもの教室がこんなにも遠い場所だったのかと動揺した。
去鳴の介入
そこへ去鳴が現れ、教室の空気を上里ハーレムと同じ砂糖漬けだと断じた。彼女はクラスメイトの首を掴み、責任を放棄して集団の空気に染まる人間を嫌うと告げた。上条は慌てて止めたが、去鳴は誰も上条に感謝などしないと冷たく言い放ち、二人は教室を出た。
勇み足の作戦
去鳴は、上里がすでに別の種を蒔いていたと見抜いた。上里の目的は魔神への復讐であり、学校への侵食は上条の周囲を切り崩すための一手だった。去鳴によれば、上里は選挙ゲームでも相手を直接襲うのではなく、背中を押して罪を犯させ、加害者にする勇み足を好んで使っていた。
未絵の追及
放課後、秋川未絵はゴミ捨て場にいる生徒会長を見つけた。生徒会長は危険物を取り除くためにゴミを確認していると説明したが、未絵は実際には袋を開けていなかったと突きつけた。金属探知機だけでは竹串や割れたガラスなどを防げないため、本当に清掃員を守るつもりなら半端な方法は取らないはずだと指摘した。
偽りの生徒会長
未絵は、生徒会長がゴミではなく焼却炉を見張っているのではないかと疑った。その中に何が入っているのか尋ねようとした瞬間、生徒会長の笑顔に強烈な違和感を覚えた。彼女はいつものように微笑んでいるだけだったが、未絵は目の前の人物が自分の知る生徒会長ではないと感じ、恐怖に耐えきれず逃げ出した。
相談相手の候補
学校の外まで走った未絵は、あの人物は誰なのかと呟いた。元の生活を取り戻すには正体を暴く必要があるが、自分一人では立ち向かえないと理解していた。警備員や風紀委員、生徒会の人達では説明できる気がせず、彼女の脳裏には異質な相談相手として、上条当麻と上里翔流の二人が浮かんだ。
夜の校門前
夜更け、上条当麻と去鳴は、青髪ピアス達が焼却炉を使う計画を見張るため、校門脇の茂みに隠れていた。そこへ秋川未絵も現れ、彼女は生徒会長を捜すために学校を見張っていた。上条達が焼却炉の話を伝えると、未絵は本物の生徒会長が焼却炉の中に閉じ込められているかもしれないと訴えた。
焼却炉の推理
上条は、朝に会った生徒会長がバナナ系のゼリー飲料を持っていたことを思い出した。未絵によれば本物の生徒会長は朝食を食べないため、それは焼却炉の中にいる誰かへ与える食事だった可能性が浮かんだ。上条は、上里翔流の勇み足の策が、クラスメイト達に知らずに人を焼かせる罠なのだと考えた。
空の焼却炉
上条、去鳴、未絵は学校へ飛び込み、焼却炉へ急いだ。すでに青髪ピアス達は集まり、鎖は外され、火をつける寸前だった。上条の叫びに応じて去鳴が外的御供を使い、学校内で集めた武器を捧げて焼却炉そのものを斬り裂いた。しかし中には生徒会長どころか紙屑一つなく、完全に空だった。
孤立した上条当麻
焼却炉が空だったことで、クラスメイト達は上条達を異常な存在として見た。青髪ピアスだけは上条に寄り添おうとしたが、それは同じ立場の友情ではなく、やらかした相手への憐れみに近かった。上条は、自分の居場所だった教室の輪が砕け散ったことを痛感した。
上里翔流の登場
そこへ上里翔流が絵恋と獲冴を連れて現れた。上条は激しく怒り、去鳴も上里へ突っ込んだが、獲冴が一〇円玉入りのペットボトルで去鳴を止めた。去鳴は、上里が普通の高校生だったからこそ憧れていたのに、誰かに肯定され続けて道を踏み外したのだと怒りをぶつけた。
生徒会長の謎
未絵は上里に、本物の生徒会長がどうなったのかを問い詰めた。しかし上里は、生徒会長の話そのものを知らないと答えた。上里の目的は、焼却炉の件で上条と自分の戦闘をクラスメイト達に見せ、幻想殺しの奥にある得体の知れないものを知る人物を探ることだった。
第三の存在
上里が生徒会長には手を出していないと主張したことで、問題は別の方向へ進んだ。もし生徒会長が入れ替わっているなら、それは上里勢力でも上条側でもない第三者の仕業である。上里が、その人物は誰なのかと疑問を口にした直後、生徒会長に見える小柄な影が現れた。
奪われた理想送り
その人物は一瞬で上里翔流の右手を手首から切断し、理想送りを奪った。小柄な生徒会長の姿は崩れ、リクルートスーツに白衣の女、木原唯一の姿が現れた。彼女はサンプル=ショゴスで上里の右手を自分の腕に縫合し、弱毒性サンジェルマンウィルスで自分の脳を理想送りの持ち主として書き換えようとしていた。
木原唯一の復讐
木原唯一は、自分を木原唯一と名乗り、ロマンを求める者だと語った。本来の標的は木原脳幹を倒した上里翔流であり、ただ殺すだけでは足りないと考えていた。彼女は、先生なら選ばない道もあえて選び、上里から奪えるものを全て奪ってからトドメを刺すつもりだった。
行間 四
木原唯一の三段階
木原唯一は、上里翔流から理想送りを奪うために三つの技術を組み合わせていた。まず磁性制御モニターで化生院明日香になりすまし、上里へ接近するための外見を整えた。次に弱毒化したサンジェルマンウィルスで脳を書き換え、理想送りに拒まれない状態を作ろうとした。さらにサンプル=ショゴスを使い、切断した右手の縫合や神経接続を成立させるつもりだった。
化生院明日香への接近
唯一は、上里勢力の内部に潜るのは危険だと判断し、上里が頻繁に出入りしていた生徒会を狙った。上里勢力に染まっていない場所として、生徒会長である化生院明日香へ標的を定めたのである。必要な情報が集まるまで、化生院明日香本人には離れた場所で過ごしてもらう方針だった。
焼却炉の疑惑
唯一は、入れ替わりが露見しそうになった場合のデコイとして、使用中止の焼却炉に目をつけた。焼却炉の疑惑を危険人物にぶつけることで、相手が化生院明日香の真実にどこまで迫っているかを測るつもりだった。焼却炉は本命ではなく、続行か撤退かを判断するための時間稼ぎに過ぎなかった。
化生院明日香の隔離
化生院明日香は、突然の健康診断で希少な寄生虫が見つかったと思い込まされていた。彼女は治験ボランティアの高額謝礼を得れば、未絵の誕生日に何かを買ってあげられると考え、先輩としての威厳を見せようとしていた。唯一は殺した方が確実だと理解していたが、あえてそうしなかった。
好ましい悪
木原唯一は、自分の行為が善悪で言えば悪だと分かっていた。それでも化生院明日香を殺さず利用する選択について、好悪で言えば好ましいと感じていた。木原円周のエミュレーションに頼らずとも、その言葉は自然に浮かんでいた。
第五章 光明、 あるいは底なしの闇 To_the_Magic.
夜の校庭の対峙
夜の校庭で、上条当麻と去鳴は、理想送りを奪った木原唯一と向き合った。上条は去鳴に右から回り込ませ、自分は別方向から動いて攪乱しようとした。しかし唯一が奪った右手を振り上げても理想送りは発動せず、唯一自身も不思議そうにしていた。
木原唯一の体術
去鳴が接近すると、唯一は右足だけで連続蹴りを放ち、去鳴を押し返した。彼女は理想送りだけでなく、体内へ伝わる衝撃を操作して死を招く技術まで備えていた。上条は、右手を奪い返すだけでは唯一を倒せないことを思い知らされた。
理想送りの誤情報
上条は、去鳴が理想送りの影に入らないよう警告し、新たな天地を望むかという言葉が発動の合図だと叫んでしまった。その結果、唯一は理想送りの使い方を把握し、実際に発動させた。去鳴は辛うじて回避したが、校庭の地面が抉り取られ、唯一は奪った右手を使えるようになった。
三〇秒の足止め
去鳴は上条に三〇秒だけ時間を稼ぐよう頼み、後方へ下がった。上条は唯一の攻撃を拳で逸らそうとしたが、膝蹴りや連続打撃を受け、何度も倒されかけた。理想送りと体術の両方で圧倒する唯一に対し、上条はぎりぎりで攻撃を避け続けた。
外的御供の補給
去鳴は三〇秒の間に、上里勢力の少女達から武器を受け取り、外的御供の連鎖を補給していた。少女達は上里翔流を助けるため、自らの武器ごと去鳴に破壊されることを受け入れた。去鳴は彼女達を素材として喰らい、再び絶滅犯としての本領を発揮できる状態になった。
少女達を素材にした攻撃
補給後の去鳴は、見えない斬撃だけでなく、武器の性質を組み合わせた攻撃を次々に放った。火炎放射器と日本刀、催涙ガス弾とスレッジハンマー、爆薬と長弓とエレキギター、水鉄砲と鉛弾とスタンガンなど、少女達の武器を犠牲にして攻撃の質を変え続けた。上条は、上里勢力の少女達が自発的に身を捧げる姿に、上里が抱えていた闇の一端を感じた。
理想送りの無効
唯一は去鳴へ理想送りを直撃させたはずだったが、去鳴は消えなかった。去鳴は、上里勢力の人間は上里に認められ、願望の重複を起こしていないと証明されているため、理想送りは通用しないと告げた。唯一は発動条件を知らず、上条が漏らした誤った情報に頼っていたため、致命的な隙を作った。
切られた右腕
去鳴は外的御供の連鎖で高めた攻撃を振るい、唯一が奪った右手の縫合面を斬った。右腕は完全には落ちなかったが、三分の二以上が切り裂かれ、ぶら下がる状態になった。去鳴は、その右手は上里翔流に預けられた力であり、部外者が勝手に扱ってよいものではないと宣告した。
娘々の呼び出し
木原唯一はなお笑い、理想送りは魔神を完全に殺す力ではなく、別の領域へ送る橋渡しでもあると語った。彼女は壊れかけた右手を使い、ペイジングアナザー娘々と告げた。すると右手の傷口から粘液のようなものが溢れ、かつて理想送りで消されたはずの魔神、娘々が現れた。
魔神の力
上条は娘々の出現に絶叫した。娘々は十本の指をそれぞれ刀剣や槍、斧、杖のように変化させ、夜の学校に圧倒的な神威を満たした。上里翔流の右手の奥に潜んでいた魔神の力が、木原唯一の手によって現実へ引き出された。
学園都市を揺らす衝撃
第七学区を震源に、学園都市全体へ大きな衝撃波が広がった。御坂美琴は刺激を求めていた自分の高揚が急速に冷めていくのを感じながら、異変の中心へ向かった。そこには壊れた校舎と倒れた少女達、血まみれの上条当麻、残骸のようになった去鳴、そして右腕から異形を生やした木原唯一がいた。
魔神の群れ
木原唯一の右腕はさらに変質し、娘々を含む五人の異形を指のように備えた巨大な手の形になっていた。上条は美琴に逃げろと告げ、あれは僧正と同格の魔神をダース単位で引き連れているようなものだと説明した。美琴は僧正との逃走劇を思い出し、勝てるはずがないという恐怖に呑まれた。
御坂美琴の逃走
美琴は上条を抱えて、磁力を使いながらビルからビルへと跳んだ。上条の背中には、胴体を失った去鳴も張り付いていた。去鳴は因果応報だと軽口を叩いたが、木原唯一はその後を正確に追い、娘々の武具を伸ばして距離を一気に詰めてきた。
分断された三人
娘々の攻撃で木原唯一は瞬時に間合いを詰め、蹴りを放った。去鳴は上条を庇ったが、その衝撃で上条と去鳴は美琴から弾き飛ばされた。美琴は娘々の武具を砂鉄の盾で防ごうとしたものの、大きく吹き飛ばされ、上条達とは分断された。
建設中のビル
上条と去鳴は建設中のビルへ叩き込まれた。木原唯一はさらにプロセルピナ由来のザクロの粒のような攻撃を放ち、冥界へ落とす呪いの果実だと去鳴は分析した。しかし上条は、魔神の攻撃にしてはビルの柱や砂鉄の盾で防げていることに違和感を覚えた。
魔神の紛い物
上条は、木原唯一が使っているものは本物の魔神ではなく、サンプル=ショゴスで形作った紛い物だと見抜いた。さらに弱毒性サンジェルマンウィルスによって魔術を使える状態を作り、魔神を呼び出したように見せかけているのだと推測した。木原唯一は恐怖を演出し、理想送りの万能感を上書きしようとしていただけだった。
復讐のための使い捨て
正体を暴かれても、木原唯一は動じなかった。彼女にとって魔神の力そのものは重要ではなく、上里翔流と彼が大切にする人物を薙ぎ払えれば十分だった。ショゴスの濁流を上条へぶつけ、幻想殺しで防がせた隙に、彼女は体術で上条へ致命的な衝撃を与えようとした。
横紙破り
去鳴は上条の腕を殴り、木原唯一の打撃で生じた体内の異常を打ち消した。しかし唯一はさらに奇妙な拳銃型の機材、横紙破りを取り出した。それは学園都市中に散布された滞空回線を利用して疑似的な粉塵爆発を起こす装置であり、監視の届かない空間を作るための機材でもあった。
上条当麻の落下
横紙破りの爆発をまともに受けた上条は、建設中のビルから夜空へ放り出された。木原唯一は、上条が上里にとって重要な存在であるなら、その死体を見せた時に上里がどんな顔をするかを考えた。彼女は善悪でも好悪でも悪だと理解しながら、復讐のために唯一の道を進もうとしていた。
夜空への落下
上条当麻は去鳴を背中に張り付けたまま、建設中のビルから夜空へ投げ出された。墜落寸前で御坂美琴が壁面に張り付きながら受け止めたが、木原唯一はショゴスを使って壁を這い、横紙破りの爆発で加速して追ってきた。美琴は回避を試みたものの、唯一の右腕から伸びた濁流に叩かれ、上条と去鳴は街路樹へ落とされた。
冷凍倉庫の兵器群
御坂美琴は別の場所へ落ち、機能していない冷凍倉庫の中で目を覚ました。そこにはミサイルポッド、掘削ドリル、火炎放射器、そして超電磁砲の元となった兵器まで、装着して使うための兵装が大量に保管されていた。美琴は、それらが対魔術式駆動鎧の装備であり、自分なら制御できるかもしれないと考えた。
触れてはならない竜
美琴が兵器のシステムへ触れようとした瞬間、得体の知れない悪寒が走った。電子を扱う彼女にも読み取れない空白があり、そこには科学では説明できない何かが組み込まれているようだった。新しい可能性を感じる一方、それを掴めば御坂美琴ではない別の誰かになると直感し、彼女はこの道へ進んではならないと判断した。
木原唯一の執着
木原唯一は、御坂美琴が冷凍倉庫に落ちたことで、木原脳幹の対魔術式駆動鎧の保管庫が残っていたと気づいた。第三位の発電能力なら、装備を乗っ取り、脳幹の痕跡を消してしまう可能性があった。唯一は復讐すら一瞬忘れ、先生の遺したものに触るなと激怒した。
去鳴の連鎖維持
上条と去鳴は、木原唯一が美琴の方へ意識を向けた隙を好機と見た。去鳴は、外的御供の連鎖がまだ途切れていないと明かした。彼女は自分の壊れた人工臓器や部品を上条のフードに詰め、背中に張り付きながらそれらを噛み砕いて神へ捧げ続けることで、破壊力を維持していた。
最後の一撃
去鳴は残った力を使い、夜空を滑空する木原唯一の翼を切り裂いた。墜落する唯一はショゴスをクッションにしたが、上条が幻想殺しでショゴスを吹き飛ばし、彼女を地面へ叩きつけた。上条の拳は唯一の顎を捉えたが、同時にショゴスの濁流も上条を薙ぎ払い、決着には至らなかった。
横紙破りへの逡巡
上条は、木原唯一の牙に肩を抉られながらも、横紙破りを左手で拾った。爆発を連射すれば、唯一の生身の部分へ届くかもしれないと考えたが、脳裏に理解者の言葉がよぎった。殺しの力ではなく、暴力を包み込む理性の力こそが上条の武器だという言葉に従い、引き金を引くことをためらった。
侵蝕の危機
逡巡の隙を突かれ、木原唯一のショゴスが上条と去鳴の腕を潰した。横紙破りは手から落ち、唯一は上条の頬を掴んだ。外からショゴスで侵蝕するか、赤い飴玉のようなサンジェルマンウィルスで内側から脳を冒すかを迫り、上条を決定的に壊そうとした。
御坂美琴の決断
冷凍倉庫から出ようとした御坂美琴は、木原唯一が上条へ侵蝕を仕掛けようとしている光景を見た。彼女は、このままでは上条が永遠に失われると理解し、どんな方法を使ってでも止めなければならないと決意した。すると冷凍倉庫の対魔術式駆動鎧の兵装群が電磁波で呼び戻され、美琴に適した形へと組み替わっていった。
要塞攻略用大口径レールガン
美琴の周囲には、ミサイルコンテナ、レーザー用の励起ロッド、液体兵器のターレット、長大なドリル、そして要塞攻略用の大口径レールガンが集結した。本来の運用とは違う不完全な形だったが、上条を救うにはそれで十分だった。美琴は、木原唯一が上条へサンジェルマンウィルスを押し込む寸前に、巨大な一撃を放った。
木原唯一の消失
要塞を一発でクレーターに変えるほどの砲撃が放たれ、窓のないビルをクッションにしながらも凄まじい余波が広がった。木原唯一の肉体は上条の至近からもぎ取られるように消え、上条も街路樹へ叩きつけられた。光も音も一時的に失われるほどの衝撃の後、上条は去鳴と共に状況を確認した。
去鳴の不吉な予言
上条は、これで木原唯一を止められたのかもしれないと考えた。しかし去鳴は、上里翔流の状態を確かめなければ終わったとは言えないと告げた。さらに、御坂美琴はいずれ大きく踏み外して壊れると警告した。上条はそれを信じたくなかったが、冷凍倉庫には美琴の姿はなく、砲撃の余波で壊れたスクラップだけが残されていた。
終章 コインの表の表 Lock_on_Light_Girl.
剥がれる対魔術式駆動鎧
御坂美琴は夜の街をふらつき、役目を終えた対魔術式駆動鎧の武装が全身から剥がれ落ちていった。彼女は自分を閉じ込めていた枠が壊れたように感じ、世界の広さや可能性に酔っていた。しかし、上条当麻から逃げるように立ち去った理由を問う小さな疑念が、彼女の高揚に刺さった。
鼻血の自覚
警備員に声をかけられた美琴は、自分が大量の鼻血を流していることに気づいた。本人にはその理由が分からず、何かの副作用のように感じられた。自分の顔に触れた指先の感触を見て、彼女は不思議そうに首を傾げていた。
生き残った木原唯一
木原唯一は全身を切り裂かれ、血の海に沈みながらも、サンプル=ショゴスで傷を縫い合わせて生き延びていた。上里翔流から奪った理想送りもまだ霧散しておらず、彼女は右手の価値が見かけの魔神演出だけではないと見ていた。復讐の矛先は上里だけでなく、木原脳幹を死地へ向かわせた統括理事長アレイスターにも向いていった。
アレイスターへの憎悪
唯一は、木原脳幹に役割を与え、上里翔流と衝突させた元凶はアレイスターだと考えた。彼女は窓のないビルへ理想送りを向け、アレイスターの計画ごと壊そうとした。その直前、アレイスター本人が至近に現れ、唯一の手首と首を掴んで風力発電の柱へ叩きつけた。
仕事を果たせという言葉
アレイスターは、自分を殺したいなら受けて立つが、その前に木原脳幹が散った意味を無駄にせず仕事を完璧に果たせと告げた。唯一は元凶であることを隠さないその態度に笑い、上里や上条、上里勢力、魔神周辺、学園都市そのものまで、先生を奈落へ落とした全てを一掃できるなら構わないと答えた。
二つの脅威
アレイスターは、上里翔流は元々の脅威であり、御坂美琴も対魔術式駆動鎧に触れたことで別の脅威になったと判断した。対魔術式駆動鎧はドラゴン絡みのネットワークを構築する素材であり、重要なのはクローンであって本体ではないと見ていた。時間がないため、木原唯一に片方を選ばせ、もう片方は自分が対処すると告げた。
ローラの確定
アレイスターは夜空を見上げ、誰かに向けて呪殺でもしてほしいのかと吐き捨てた。地球の裏側ではローラ=スチュアートがその様子を受け、これで確定だとひとりごちた。アレイスターと唯一の動きは、さらに別の存在の観測下にもあった。
保健室の上里翔流
上里翔流は夜の保健室で目を覚ました。右手を失った彼は、理想送りがなくなったことそのものより、その力の影響で集まっていたかもしれない少女達が木原唯一へ従ってしまう可能性を恐れた。自分には特別な力がなく、木原唯一に対抗する術もないと感じ、暗い絶望に沈んだ。
戻らなかった絆
上里は保健室に現れた少女達を、木原唯一の支配下にある敵だと一瞬思い込んだ。しかし獲冴や絵恋は、いつも通り上里を心配していた。彼女達は理想送りではなく上里翔流本人のために動いており、彼は右手ではなく自分自身を認めてくれる輪が残っていたことを知った。
上里翔流の決意
上里は、誰も欠けずに元の場所へ帰ればよかったのだと気づいた。理想送りを取り戻した途端に自分が吹き飛ばされても構わないと覚悟し、木原唯一の手で右手を悪用させないために奪還を決めた。彼は木原唯一が切り落とした手首を自分の手の代わりにするつもりで、絵恋と獲冴に指示を出した。
当たり前の修復
翌朝、青髪ピアスは上条当麻に普通に声をかけた。彼は、なぜ夜の学校で雑誌や人形を燃やそうとしていたのか自分でも分からないと振り返り、上条が自分達のためにならないことで本気になるはずがないと気づくべきだったと言った。壊れた日常は小さく修復され始めていた。
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