創約 とある魔術の禁書目録(2)
まとめ
創約 とある魔術の禁書目録(4)
物語の概要
■ 作品概要
本作は、科学と魔術が交差する世界を描くアクションファンタジーの金字塔「創約」シリーズの第3巻である。
12月25日のクリスマス、新統括理事長に就任した一方通行が学園都市の暗部を一掃する計画「オペレーションネーム・ハンドカフス」を発動する。
この大規模な検挙作戦により、学園都市全域で追う者と追われる者の苛烈な死闘が幕を開ける。
物語は、作戦に動員された風紀委員の白井黒子の視点(表)と、命を狙われながらも体調不良の恋人・滝壺理后を救うために学園都市からの脱出を図る浜面仕上の視点(裏)から、同時並行で立体的に描き出される。
さらに、混乱に乗じて独自の思惑で動く双子の暗部や不気味な科学者、アンドロイドたちが現れ、学園都市最大の禁忌とされる内外の連絡路「カキキエ隧道」を巡る壮絶な争奪戦へと発展していく。
■ 主要キャラクター
- 白井黒子:常盤台中学の風紀委員。美琴とのクリスマスを期待していたが、暗部一掃作戦に駆り出され、警備員の楽丘豊富とバディを組んで最前線へ赴く。
- 浜面仕上:無能力者の少年。暗部一掃の標的となったため、高熱に苦しむ恋人の滝壺理后を連れて学園都市の外へ逃げるために奔走する。
- 滝壺理后:浜面の恋人。スタンショットの衝撃で体内の治療成分が分解され、かつて悩まされていた「体晶」の副作用による高熱と激痛が再発してしまう。
- 楽丘豊富:白井黒子とコンビを組んだ警備員。一見すると冴えない中年教師だが、その正体は暗部の戦闘技術を模した精鋭部隊「アグレッサー」に属する肉体強化の戦闘員である。
- レディバード:木原端数に従う赤い髪のアンドロイド。常温超伝導液体や特殊な山刀を操る圧倒的な強さを持つが、人工脳を維持するために「人間の脳を取り込み続ける」というおぞましい設計上の絶望を内包している。
- 木原端数:レディバードを従える「木原」の一員。他人の脳を捕食するアンドロイド技術を用いて、自身の研究のためなら子供の命すら躊躇なく使い潰す狂気の科学者である。
- ドレンチャー=木原=レパトリ:置き去りの子供たちを救うため「木原」を騙り、トレーラーで彼らと共同生活を送る青年。子供たちを地下から安全に逃がすため、自ら囮になる道を選ぶ。
- フリルサンド#G:ドレンチャーと行動を共にする人工幽霊。実体を持たず、視認した相手に継続的な損傷を与えて破壊する強力な能力を持つが、その正体は虚数学区から物資を取り出そうとした実験の失敗作である。
- 花露過愛(分解者)&花露妖宴(媒介者):あらゆる物質や人間を急速に崩壊・腐食させる能力を持つ、極悪な双子の姉妹。暗部一掃への報復として警備員分析センターなどを襲撃し、凄惨な破壊を撒き散らす。
- ヴィヴァーナ=オニグマ:拷問や処刑の歴史を研究する暗部の少女。途中で出会った浜面たちに協力し、滝壺にお灸による応急処置を施した後、彼らを救うために自ら致命傷を負って命を落とす。
■ 物語の特徴
- 「追う者」と「追われる者」による緊迫の二面描写: 秩序を守るために犯人を追う白井黒子と、生き残るために理不尽な追跡から逃れる浜面仕上の対照的な二つの視点が、クリスマスの一日に交錯する。双方の正義と本音がぶつかり合う重厚なドラマが、読者を物語へと引き込んでいく。
- 「ニコラウスの金貨」がもたらす混沌: 行動の成功確率を100%に固定する謎の魔術霊装が、警備員や暗部の双方にばら撒かれる。これにより、どんなに綿密に組み立てられた科学の秩序であっても、想定外の「暴発」や「不運な事故」によって容易に崩壊していくカオスな展開が描かれる。
- 極限状態で描かれる強い良心と死: 暗部編特有のグロテスクで救いのない死が連鎖する中で、自分の命や立場を投げ打ってでも子供たちを救おうとするドレンチャーや、他者から「ありがとう」と言われることを望んだヴィヴァーナなど、登場人物たちの泥臭くも尊い生き様が鮮烈な印象を残す。
- 学園都市最大の禁忌の暴き出し: 都市の地下深くで内外を結んでいた「カキキエ隧道」の真の姿が明かされる。それはただの抜け穴ではなく、現実世界へ実数化して染み出してしまった「虚数学区」の一部であり、世界を丸ごと破滅させかねない隠蔽された大失敗であったという設定が、物語に圧倒的なスケール感を与えている。
書籍情報
創約 とある魔術の禁書目録(3)
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA(電撃文庫)
発売日:2020年11月10日
ISBN:9784049135008
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あらすじ・内容
『暗部』と『警備員』の殺し合い。黒子は学園都市の闇に足を踏み入れる!
愛しのお姉様・御坂美琴と二人っきりで過ごす魅惑のクリスマスが、ついにこの手に……! と期待していた白井黒子だったが、気づけばなぜか彼女の隣には頭髪バーコードでメガネ装備の『警備員』のおじさんが……!?
聖なる夜、『風紀委員』の黒子に課されたのはオペレーションネーム・ハンドカフス、学園都市の『暗部』を全て潰す計画だった。そのリストの中には、浜面仕上や滝壺理后の名も含まれており……。追う者と追われる者、双方が生き残るために否応なく激突する中、ふとどちらもが感じた。……この計画は、何かが妙だと。
事態打破の鍵となるのは『学園都市最大の禁忌』という謎のフレーズで――!
感想
クリスマスという華やかな一日を舞台にしているのに、内容はかなり重い。
むしろ、街がクリスマスで浮かれているからこそ、その裏側で進んでいる《暗部》の一掃作戦が余計に不気味に感じられた。
今回は白井黒子と浜面仕上を中心に、学園都市が長年抱えてきた闇そのものをひっくり返すような物語である。
読んでいて感じたのは、
「悪人を排除すれば、それで街は綺麗になるのか」
という単純ではない問いだった。
白井黒子のクリスマスが開始早々ひどい
序盤はかなり笑った。
御坂美琴と甘いクリスマスを過ごすつもりだった白井黒子。
ところが肝心のお姉様は帰ってこない。
ベッドの上で腐りながら、用意していたクリスマス用品の数々を思い浮かべて悶絶している。
相変わらずである。
そこへ風紀委員の仕事が入る。
事件現場なら御坂美琴と遭遇できるかもしれない。
そんな不純な理由もありながら出動した白井が知らされたのが、
《オペレーションネーム・ハンドカフス》。
学園都市に存在する《暗部》を一斉に潰す作戦だった。
ここから雰囲気が一変する。
さっきまでクリスマスに浮かれていた少女が、いきなり大量の死人が出る世界へ放り込まれる。
この温度差がすさまじかった。
「暗部を潰す」という正義が怖い
今回特に印象に残ったのは、暗部側だけが恐ろしいわけではないことである。
本来なら警備員や風紀委員は、学園都市の治安を守る側だ。
しかし暗部一掃が始まると、次々と容疑者が死亡する。
しかも現場では、
事故だった。
抵抗された。
やむを得なかった。
そんな形で処理されていく。
白井自身も《ペットブリーダー》碧海華麗の死を目の前で見て、「本当にこれでよかったのか」と疑問を持ち始める。
一方、少し離れた場所から見ていた浜面は、その事故自体が楽丘豊富によって仕組まれた可能性に気付く。
暗部を消すためなら、表向きは正しい手続きを使いながら人間を殺してもよい。
そんな空気が学園都市全体へ広がっていく。
ここがかなり怖かった。
悪意を持った殺人鬼よりも、
「自分たちは正しいことをしている」
と思い込んでいる側の方が止めにくい。
正義と悪の境界が完全に崩れていく感覚があった。
浜面と滝壺の逃亡劇があまりにも過酷
そんな状況で追われるのが浜面仕上と滝壺理后である。
浜面は自分も暗部として処理される可能性を知り、滝壺と一緒に学園都市から逃げようとする。
ところが、逃げようとすればするほど状況が悪化していく。
滝壺は警備員に拘束される。
浜面はわざと自分も捕まって同じ詰め所へ潜入する。
どうにか滝壺を救出しても、今度は暗部側の怪物たちが襲撃してくる。
さらに逃亡先では、ベニゾメ=ゼリーフィッシュによって滝壺が電撃を受けてしまう。
この攻撃によって、体内に残っていた治療成分が分解され、かつて《体晶》に苦しんでいた頃の症状が再び現れる。
ここは読んでいてかなりきつかった。
浜面にとって一番守りたいのは滝壺である。
学園都市の未来でも、暗部の是非でもない。
ただ目の前にいる恋人を助けたい。
それなのに逃げ道を選ぶたび、別の危険へ突っ込んでしまう。
そんな焦りがずっと続く。
暗部同士ですら助け合えない泥沼
さらに酷いのが、追い詰められた暗部同士が団結するわけでもないことである。
普通なら共通の敵が現れたら協力しそうなものだ。
しかし実際には、自分だけが助かるために他人を利用する者もいる。
その代表がベニゾメ=ゼリーフィッシュだった。
スクープを撮るためなら標的同士をぶつける。
自分が逃げるためなら滝壺へ攻撃を向ける。
危機的な状況になっても、暗部は暗部のままなのである。
ここに妙な現実味を感じた。
地獄にいる人間が全員、同じ痛みを知っているから優しくなれるとは限らない。
むしろ余裕がなくなれば、最後の一席を奪い合う。
学園都市の暗部がなぜ長年消えなかったのか。
単純な悪人集団ではなく、複雑な利害関係と必要性の上に成り立っていたからなのだと感じた。
木原脳幹というゴールデンレトリバーが格好良すぎる
そんな殺伐とした物語の中で、妙な安心感を与えてくれたのが木原脳幹である。
見た目は完全にゴールデンレトリバー。
葉巻までくわえている。
普通ならギャグにしか見えない。
しかし中身は誰よりもハードボイルドだった。
地下へ迷い込んだ子供のリサコを助け、暴走した楽丘豊富と対峙する。
そして楽丘が自分の罪から逃げるため、無関係な少女まで《暗部》と決めつけて追い詰めていることを見抜く。
木原脳幹自身も決して善人ではない。
《木原》という名前の時点で、まともな存在ではないはずである。
それでも自分なりの線引きがある。
だからこそ、正義を掲げながらその線を踏み越えてしまった楽丘よりも、むしろ真っ当に見えてしまう。
この逆転した構図が面白かった。
犬なのに格好いい。
というより、本巻に出てくる人間たちの一部より、よほど筋が通っているように感じた。
楽丘豊富も単純な悪人ではなかった
最初はただの気弱そうな中年警備員にしか見えなかった楽丘豊富。
しかし物語が進むにつれて、かなり危うい人物だと分かってくる。
実は《アンチスキル=アグレッサー》として訓練された戦闘要員。
さらに過去には、家族を守るためとはいえ殺人と死体処理に関わった記憶まで抱えている。
暗部を排除する側に立ちながら、自分自身もその暗部と無関係ではなかった。
ここが皮肉だった。
暗部と表社会を完全に切り分けることなどできない。
白い側と黒い側が別々に存在しているのではなく、同じ人間の中にも両方がある。
だから一斉に「黒い人間だけを消す」という作戦そのものに無理があったのかもしれない。
学園都市最大の禁忌「カキキエ隧道」
後半では、物語の規模がさらに大きくなる。
浜面たちは《命綱》と呼ばれるデータから、学園都市の資材搬入量に不自然な差があることを知る。
暗部では、公式記録より遥かに多くの資材が消費されていた。
では、それらはどこから運ばれていたのか。
そこで浮かび上がるのが《カキキエ隧道》である。
これは単なる秘密の地下トンネルではない。
虚数学区から現実世界へ切り出された、本来なら存在しない空間だった。
科学の街が作った地下施設のはずなのに、もう科学だけでは説明できない。
しかも、その場所では子供たちを利用した人工幽霊の実験まで行われている。
暗部を一枚めくれば、さらにその下に別の暗部が出てくる。
まさに「大きな石をめくったら、想像以上のものが蠢いていた」という物語だった。
浜面が「逃げる」ことをやめた結末
浜面は最初、滝壺と一緒に学園都市から逃げようとしていた。
それは当然だと思う。
この街にいれば殺される。
恋人まで巻き込まれる。
なら逃げるしかない。
しかし物語の最後で、浜面はその選択を変える。
地下から外へ逃げる道がある。
それでも学園都市へ戻る。
そして黄泉川に対して、自分が犯した罪については償うと告げる。
同時に、暗部によって利用された被害についても放棄しない。
逃げるだけでは暗部から自由にはなれない。
過去をなかったことにするのでもない。
自分がしたことも、自分がされたことも、両方を抱えて表へ出る。
浜面らしい泥臭い答えだった。
ここまで逃げ回ってきたからこそ、この決断が印象に残った。
そして最後まで容赦がない
ようやく終わった。
そう思った直後である。
黄泉川のホルスターに収まったままの拳銃が突然暴発し、浜面を撃つ。
黄泉川は触れていない。
浜面自身も彼女の意思ではないと理解している。
そして倒れながら浜面が考えるのは、
滝壺や子供たちではなく、自分が撃たれたなら勝ちだ。
ということだった。
最後の最後まで浜面である。
それでも、以前預かったお守りを妹へ返せなかったことだけを後悔して意識を失う。
ここで終わるのか。
思わずそう言いたくなるラストだった。
読後の感想
『創約 とある魔術の禁書目録(3)』は、かなりエグい一冊だった。
クリスマス。
白井黒子のお姉様妄想。
そこから始まったはずなのに、気付けば学園都市のあちこちで人が死に、警備員組織まで崩壊寸前になる。
特に印象に残ったのは、
「正義の側に立っているから正しいとは限らない」
という部分である。
暗部には確かに危険な人間がいる。
しかし、そこにいる全員を一つの箱へ詰め込み、一斉に処理しようとした結果、今度は処理する側まで壊れていった。
人間を簡単に善悪へ分けられない作品だからこそ、この展開は『とある』らしいと感じた。
そして、その中で浜面は滝壺を守ろうと必死に走り続ける。
白井は自分たちの正義を疑いながらも、人を助けるため戦い続ける。
木原脳幹は、自分なりの美学を曲げない。
どれだけ世界が滅茶苦茶になっても、自分が何を守るのかだけは手放さない。
派手な能力戦以上に、そんな泥臭い部分が心に残った一冊であった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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創約 とある魔術の禁書目録(2)
まとめ
創約 とある魔術の禁書目録(4)
考察・解説
暗部一掃作戦
暗部一掃作戦(オペレーション・ハンドカフス)の全貌
『とある魔術の禁書目録』シリーズの『創約』編において、学園都市の根幹を揺るがした大事件である暗部一掃作戦(オペレーション・ハンドカフス)について、作戦の目的と一方通行の覚悟、暗部存続派による反発と打ち止めの誘拐、一斉検挙の展開と暴走、および警備員組織の瓦解と作戦の結末の各点から解説する。
作戦の目的と一方通行の「覚悟」
この計画は、学園都市の新統括理事長に就任した一方通行(アクセラレータ)が、街の平和を脅かし続けてきた暗部(ダークサイド)を根絶するために始動させた大規模な一斉検挙作戦である。
・一方通行の覚悟は凄まじく、計画に一切の例外を作らないための手本として、かつて自分が妹達(シスターズ)を一万人以上殺害した過去の罪を自ら暴き、警備員(アンチスキル)に自首した。
・彼はあえて鉄格子の中に入り、そこから統括理事長としての権限を行使して街を動かす道を選ぶ。
・自らがすべての非難を引き受けて罰を受けることで、妹達に日向を歩ける安全な世界を与えることが彼の真の狙いであった。
暗部存続派による反発と「打ち止め」の誘拐
暗部によって甘い汁を吸い、そこに利権を持っていた暗部存続派の統括理事や始末屋たちは激しく反発した。
・彼らは檻の中から動かない一方通行を脅すため、彼の最大のアキレス腱である打ち止め(ラストオーダー)の誘拐を画策した。
・この不満分子を裏で束ね、武器や資金を供給していた黒幕が、統括理事の一人である根丘則斗である。
・根丘はかつてレスキュー隊の精鋭として人々を救いながらも、救った人々が自己責任を問われて社会から切り捨てられていく現実に絶望し、傷ついた人々を隠すための優しい暗闇として暗部の存続に執着していた。
一斉検挙の展開と暴走
12月25日午後3時、作戦はフェイズ1(奇襲作戦)からフェイズ2(待ち伏せ・一斉確保)へと本格的に移行し、学園都市全域で警備員や風紀委員(ジャッジメント)を動員した大捕り物が展開された。しかし、この作戦は凄惨な泥沼の殺し合いへと変質していった。
・ターゲットの広がり:碧海華麗のような比較的浅い層の暗部だけでなく、かつて暗部に関わった無能力者の浜面仕上や滝壺理后までもが壊滅手配のリストに載せられ、容赦なく追いつめられた。
・ニコラウスの金貨による混沌:事象の成功確率を100%に固定する魔術霊装「ニコラウスの金貨」が警備員や暗部の双方にばら撒かれたことで、綿密に計算されたはずの作戦行動に不運な事故や暴発が頻発し、状況は完全に予測不能なカオスに陥った。
・過激な反撃:追い詰められた暗部の双子である花露過愛と花露妖宴が警備員の総合詰め所や科学分析センターを襲撃し、建物や人間ごと腐食させて爆破するなど、凄まじい破壊を撒き散らした。
警備員組織の瓦解と作戦の結末
作戦は、最終的に継続不能な大失敗という結末を迎えた。
・暗部の一掃を正義と信じて動いていた警備員は、目の前で生徒や子供たちが次々と血を流して破滅していく現実に耐えきれなくなった。
・彼らは自分たちが背負うべき必要のない責任と罪悪感に押しつぶされ、現場で相次いで自殺、あるいは精神に異常をきたして逃亡し、集団心理的なパニックが警備員組織全体へと伝染していった。
・さらに、科学捜査のラボが破壊され、頼みの綱であった壊滅手配のデータリンクも完全に失われたことで、オペレーション・ハンドカフスは完全に瓦解した。
・拘置所の鉄格子の前に現れたアンナ=シュプレンゲルや統括理事のヴァルアート=シグナルから、一方通行は表も裏もズタズタにした大失敗、あるいは純粋すぎたと冷酷に切り捨てられる結果となった。
まとめ
暗部一掃作戦(オペレーション・ハンドカフス)を巡る一連の全貌は、一方通行の身を捨てた覚悟と自首から始まり、暗部存続派による反撃と打ち止めの誘拐、作戦の暴走と混迷、そして警備員組織の崩壊に伴う完全な失敗に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
学園都市の暗部や不条理なシステムという暗闇を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立しようとした、新統括理事長による苛烈な挑戦と挫折の記録である。
理想に掲げた改革から、不満分子の反動、戦場のカオス化、組織の自滅、そして計画の破綻へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
ニコラウスの金貨
ニコラウスの金貨の全貌と物語への波紋
『創約 とある魔術の禁書目録(3)』のクリスマスにおいて、学園都市の全域にばら撒かれ、未曾有の混乱とパニックを引き起こしたキーアイテム「ニコラウスの金貨」について、概要と正体、基本ルールと制約、物語における影響と奇跡の皮肉、および依存からの脱却と自らの意思の各点から解説する。
ニコラウスの金貨の概要と正体
ニコラウスの金貨は、科学の街である学園都市の秩序を激震させた未知のキーアイテムである。
・外観:500円玉より少し大きく、ひげの老人の横顔が刻印された純金製のコインである。
・正体:魔術結社『薔薇十字』の重鎮アンナ=シュプレンゲル(R&Cオカルティクス)が、12月25日のクリスマスに学園都市へランダムに配布したクリスマス限定の魔術(霊装)である。
・魔術師の肉体に依存せず、地脈から直接力を吸い取って駆動するため、本質的には霊装よりも魔道書に近い性質を持つ。
基本ルールと制約
このコインには、世界の物理法則や確率論を強制的に書き換える異例のルールが存在する。
・成功確率を100%に固定する:願った行動や事象の成功確率を、本来の統計や物理的な計算シートを無視して100%(あるいは1000%)に強制固定する。
・1時間のチャージ時間:一度使用すると、金貨の縁にある光の円グラフが時計回りに一周満たされるまで、1時間は再使用できなくなる。
・能力者へのペナルティなし:学園都市の超能力者が使用しても、通常の魔術使用時に発生するような拒絶反応(血管や神経の破裂)のペナルティが発生しない。
・不可能なことは叶えられない:万能の道具ではなく、物理的・論理的に不可能なこと(例:もともとブラを着けていない絹旗最愛のホックを外す、すでに治療手段が失われた致命傷を治すなど)は実現できない。作中では「金庫を開けることはできても、中身が空っぽなら何も手に入らない」と例えられている。
・相殺(バッティング):1つの事象に対して2人の人間が同時に金貨の力をぶつけ合った場合、願いが相殺されて不発となる。
物語における影響と「奇跡の皮肉」
金貨がもたらした奇跡は、使用者たちの意思や運命を歪ませ、悲劇的な結末を次々と引き起こした。
・「猿の手」のような歪んだ成就:風紀委員の白井黒子は、金貨に美琴とクリスマスを過ごしたい、バディの楽丘豊富を誰かとチェンジして、と願った。この願いは、美琴と同じ避難先の病院に黒子自身も負傷して搬送され、楽丘が死亡するという、極めて最悪で歪んだ形で叶うこととなった。
・警備員(アンチスキル)組織の自滅と崩壊:金貨は警備員側にも密かにばら撒かれていた。彼らが作動の成否を金貨の安易な奇跡に依存し、使いどころを失敗して自暴自棄になった結果、不自然な事故死や暴発が多発した。子供たちが次々と自滅していく現実と罪悪感に苛まれた警備員は精神的パニックに陥り、組織全体の瓦解へと繋がった。
・科学の信奉者の最期(木原端数の死):浜面仕上に追い詰められた狂気の科学者・木原端数は、最後に足元に落ちていた金貨を拾い、浜面の銃を暴発させろ、と祈った。金貨は引き金を引いていないのに勝手に弾が出るという形で願いを叶えたが、その放たれた銃弾は端数自身の腹部を撃ち抜き、彼に絶望的な致命傷を与えて自滅させるという最悪の皮肉をもたらした。
依存からの脱却と「自らの意思」
金貨は、綿密に組み立てられた科学の秩序を容易に食い破る魔術の自由の象徴として猛威を振るった。
・しかし浜面仕上は、途中で未練なんかなくクソ金貨なんていらないと金貨を放り捨てた。
・彼は与えられた奇跡のレールの外側へと踏み出し、自分の権利で街に切り込むという自らの強い意思で行動することを決意した。
・仕掛け人であるアンナ=シュプレンゲルも、金貨の呪縛を自ら捨てて立ち上がった浜面を興味深い例外として面白そうに受け止めていた。
まとめ
ニコラウスの金貨の全貌を巡る一連の全貌は、地脈駆動の異例な霊装としての出現から始まり、成功確率100%固定という特殊なルール、白井黒子や警備員組織、木原端数らに及んだ歪んだ奇跡の行方、そして浜面仕上による依存の克服と自己意思の確立に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
安易な奇跡や運命の呪縛という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、狂乱の混乱劇と意志の勝利の記録である。
魔術の散布から、確率の書き換え、皮肉な自滅、道具の破棄、そして自立した歩みへと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
白井黒子と楽丘豊富
白井黒子と楽丘豊富の関係と辿った運命の全貌
『創約 とある魔術の禁書目録(3)』における白井黒子と楽丘豊富(らくおかほうふ)について、最悪の出会いと意外な心の交流、命を懸けた共闘と楽丘の別の顔、「分解者」花露過愛との戦いと運命の別れ、暴走およびニコラウスの金貨の呪い、そして結末の各点から解説する。
最悪の出会いと意外な心の交流
12月25日のクリスマス当日、白井黒子は前夜から行方不明の御坂美琴を心配して学生寮で落ち込んでいた。そこへ風紀委員(ジャッジメント)の合同捜査のオファーが舞い込み、事件現場なら御坂美琴に会えるかもしれないという動機で出動した。
・現場の後方支援車両で黒子の相棒(バディ)として指定されたのは、ハゲたバーコード頭にメガネをかけた、加齢臭の漂う冴えない中年教師の警備員(アンチスキル)・楽丘豊富であった。
・黒子は当初、激しい嫌悪感を示して距離を置こうとしたが、行動を共にする中で二人は心を通わせていった。
・楽丘は、学校を卒業しても学校という枠組みから離れられず、貯金も5万円以下という自らの私生活を自嘲気味に明かした。
・それでも母や妹が胸を張って自慢できる誰かになりたかったから警備員になったという彼の本音を聞いた黒子は、彼の人間性を強く認めた。
・自分の意志で力を役立てようとしているなら立派な公共への奉仕であると彼を励まし、黒子は彼のSNSの友人申請を受け入れ、二人は確かに繋がった。
命を懸けた共闘と楽丘の「別の顔」
楽丘は筋フィラメントを操作して肉体を一時的に異常増大させる、精鋭戦闘部隊「アンチスキル・アグレッサー」の戦闘員であった。
・黒子が暗部「ベニゾメ=ゼリーフィッシュ」の狙撃によって窮地に陥った際には、鋼鉄の鎧のような巨体へと肉体をブーストさせて突入し、ベニゾメを吹き飛ばして黒子を救い出した。
・一方で、楽丘の心の奥底には最初から不穏な影が落ちていた。
・最初の任務である「ペットブリーダー(碧海華麗)」の確保の際、逃亡を図った碧海がアクリル水槽に激突してデンキウナギに感電死する事故が発生した。
・一部始終を陰で見ていた浜面仕上は、楽丘が意図的に安全装置を無効化し、逮捕時の事故に見せかけて彼女を計画的に殺害したのではないかと疑っており、楽丘の歪んだ正義感や暗い本質が示唆されていた。
「分解者」花露過愛との戦いと運命の別れ
警備員化学分析センターを襲撃した「分解者」花露過愛との戦闘で、過愛がばら撒いた劇症型バクテリアに侵された黒子は瀕死の重傷を負い、ビルから転落した。
・ボロボロになった建材の山から楽丘によって引き上げられた黒子は、自分を心配する楽丘の胸ぐらを引きずり回すようにして言葉をぶつけた。
・家族が誇れる誰かになりたいから危険な警備員に志願したはずであるとし、ここで過愛を逃がさず次の犠牲を食い止めて胸を張れる自分になるよう強く促した。
・黒子に強く背中を押された楽丘は、彼女を安全な場所に寝かせ、過愛を追って下水へと走り出したが、これが二人の永遠の別れとなった。
暴走、そして「ニコラウスの金貨」の呪い
下水へ入った楽丘は、過愛が自らの身体を溶かして汚水となったなれの果てに遭遇した。そこで楽丘が隠していた最悪の過去の記憶が呼び覚まされた。
・それは、大切な家族を誰かの悪意から守るため、過去に木原平均を殺害してその死体を隠蔽したという、かつて彼自身が手を染めていた暗部の罪であった。
・善良な教師・警備員という自己認識を失い、自らも暗部であったという事実に絶望した楽丘は、精神を崩壊させて完全に暴走した。
・下水に迷い込んだ無関係な少女すらも暗部と決めつけて鋼管を振り回して襲おうとしたため、最後は木原脳幹によって始末された。
・黒子が作戦中にお守り代わりに持っていた魔術霊装「ニコラウスの金貨」に対し、御坂美琴と一緒にクリスマスを過ごしたいことや、楽丘とのバディを解消したい旨を願っていた。
・この願いは、金貨の力によって最悪な形で叶うこととなった。
・黒子自身が過愛のバクテリアに侵されて瀕死となったため、御坂美琴が入院しているのと同じ病院に搬送され、楽丘は下水で暴走の末に死亡したためバディから消滅した。
結末
深夜の病院で目を覚ました黒子は、楽丘が命懸けで下水から持ち帰ってくれた過愛の解毒剤のおかげで、奇跡的に生還を果たしていた。
・黒子は意識を取り戻すと、自分の今回の行動について真摯に内部監察を受けるべきだと考えていた。
・しかし、彼女の命を救った最大の恩人である楽丘豊富が、自らの罪の記憶に押しつぶされて暗部に呑まれ、この世から消し去られたという残酷な真実は、白井黒子には知らされないままとなった。
まとめ
白井黒子と楽丘豊富の関係と辿った運命を巡る一連の全貌は、ミスマッチな風紀委員と警備員のバディ結成から始まり、戦闘での共闘と正義の裏に潜む陰影、花露過愛戦での離別、楽丘の過去の罪の発覚と暴走・抹殺、そして金貨による残酷な願いの成就と真相を知らぬままの黒子の生還に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
学園都市の暗部や正義の歪みという不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立しようとした、公務への使命感と悲劇的な結末の記録である。
出会いから、相互理解、命懸けの追撃、隠された罪の露見、そして残された側の生還へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
浜面仕上と滝壺理后
浜面仕上と滝壺理后の逃亡劇と絆の全貌
『創約 とある魔術の禁書目録(3)』における浜面仕上と滝壺理后は、学園都市の過酷な暗部の闇に呑まれそうになりながらも、お互いを絶対的な心の支えとして手を取り合い、人間としての尊厳や良心を取り戻していく極めて強い絆で結ばれたコンビとして描かれている。彼らが辿った凄惨な逃亡劇と、その関係性の本質について解説する。
暗部一掃作戦の標的としての過酷な逃亡
クリスマスに始動した暗部一掃作戦(オペレーションネーム・ハンドカフス)により、かつて暗部に関わった無能力者の浜面仕上と、能力追跡の能力を持つ滝壺理后は、警備員の壊滅手配リストに載せられ、容赦なく追いつめられることになった。
・滝壺が警備員に確保され、総合詰め所へ連行されたことを無線で知った浜面は、彼女を救うため、自ら拳銃を持って警備員の車両に飛び降りることで現行犯逮捕され、同じ詰め所へ送られるという極めて無謀な手段を選んだ。
・留置場でアネリのサポートを得て脱獄した浜面は、滝壺が収容されている取調室を特定して再会を果たし、その場に現れた双子の暗部による殺戮から瀕死の白井黒子の命を救いながら、共に詰め所を脱出した。
滝壺の発熱再発と、浜面を奮い立たせる絆
滝壺は、かつて過剰に摂取した能力開発薬「体晶」による激しい拒絶反応の後遺症を抱えていた。
・治療薬によって症状は落ち着いていたが、逃亡先の遊園地で暗部カメラマンから高圧電流の電撃を浴びた際、体内の治療成分が分解されてしまい、再び高熱と激痛に蝕まれる致命的な発熱が再発してしまった。
・浜面は激しい焦燥感から安全な逃亡を諦めてでも医療を求めようとするが、滝壺は全身を高熱に蝕まれながらも浜面の唇に人差し指を当て、「逃げるのは良い、でもそれは何のため?希望から目を背けるためじゃない」と力強く彼を励まし、逃亡を続けるよう訴えた。
・その後、ヴィヴァーナ=オニグマが施したお灸による応急処置で一時的に熱を緩和させたものの、根本治療にはならず、街の外の一般的な医療機関での人工透析が必要であることが判明した。
「学園都市最大の禁忌」と他者を救う選択
二人は、偽造職人のテントから入手したカードサイズのハードディスクを解析し、大深度地下を通って学園都市の内外を繋ぐ非公式の搬入路であるカキキエ隧道(学園都市最大の禁忌)の存在を突き止め、脱図を図る。
・しかし、その最深部である円形貨物施設で彼らを待ち受けていたのは、暗部の大人たちに実験動物として消費されそうになっていた、置き去りの子供たちであった。
・子供たちを守るために命を落とした人物の尊厳ある生き様に魂を揺さぶられた浜面は、自分たちだけが安全に逃げ切る道を放棄し、子供たちを守るために圧倒的な実力を持つアンドロイドや敵の科学者へ挑むことを決意した。
・滝壺もその覚悟を共有し、自ら危険な囮を買って出ることで浜面をサポートし、過酷な死闘の末に敵を撃破して自滅へと繋げた。
逃亡の放棄と、直面した最 poorest な悲劇
子供たちを無事に列車で脱出させた後、浜面は、ただ暗い地下を歩いても暗部からは逃げられないと悟り、カキキエ隧道を渡って外の世界へ逃げ出すことをやめた。
・滝壺に身体を支えられながら地上へ戻った浜面は、黄泉川愛穂の前で両手を挙げ、自ら罪は償うと自首した。
・彼は、自分の意思に反してやらされてきた暗部への搾取に対して自分の権利でこの街に切り込むと宣言し、黄泉川もその協力を受け入れて滝壺の治療に必要な人工透析の準備を急ぐよう約束した。
・しかし、その希望に満ちた決意の瞬間、黄泉川のホルスターに収まっていた拳銃が誰の手も触れていないにもかかわらず突然暴発し、浜面の胸を撃ち抜くという悲劇が発生した。
・血の海に倒れ、滝壺の叫び声が遠のく中、浜面は、この弾丸が滝壺や子供たちに向かわなかっただけでも自分の勝ちだと納得の笑みを浮かべていた。
まとめ
浜面仕上と滝壺理后の逃亡劇と絆を巡る一連の全貌は、暗部一掃作戦による過酷な追及と救出のための自首から始まり、滝壺の発熱再発と互いを鼓舞する強い精神的支え、カキキエ隧道での子供たちの保護と死闘、そして逃亡を放棄した自首の決意と予期せぬ暴発による悲劇に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
過酷な暗部の仕組みや理不尽な暴力という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立しようとした、人間としての良心を貫く逃亡と自己犠牲の記録である。
追捕の危機から、病魔との闘い、他者を守るための決断、自発的な自首、そして突発的な悲劇へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
学園都市の禁忌
学園都市最大の禁忌の全貌とカキキエ隧道の真実
『創約 とある魔術の禁書目録(3)』において、物語の極限の謎として浮上し、学園都市を内側から崩壊させかねない真の暗部として暴かれた学園都市最大の禁忌について、禁忌の正体カキキエ隧道と噂の裏、質量保存の法則を無視する物資ロンダリング、科学の限界と虚数学区の恐怖、および一方通行の覚悟の各点から解説する。
禁忌の正体「カキキエ隧道」と噂の裏
学園都市の最も治安が悪い第一〇学区の大深度地下には、都市の内外を非公式に繋ぐ謎の搬入路・脱出路であるカキキエ隧道が、人知れず口を開けていた。
・都市伝説の噂話では、関わったら死ぬ電車や、赤ちゃんを詰め込むコインロッカー、どうしても捨てたいものを沈める地下の工事区画など、不気味な怪談話として囁かれていた。
・生き残りを賭けて学園都市からの脱出を望む暗部の人間たちは、このカキキエ隧道こそが、厳重な壁に囲まれた街から無事に外の世界へ抜け出すための唯一の命綱であると信じ、地下深くへと殺到した。
「質量保存の法則」を無視する物資ロンダリング
この隧道が最大の禁忌とされる第一の理由は、学園都市の裏側を維持するために行われていた物資のロンダリング(隠蔽工作)にある。
・学園都市の暗部や秘密研究機関は、日々膨大な量の軍用兵器や特殊資材、薬品などを消費・廃棄していた。
・しかし、厳重に壁に囲まれた学園都市が公式に外部から仕入れている資材の量と比べると、暗部が使用している資材量は物理的にあまりに多すぎた。
・そのままでは、外から持ち込んだ原材料の量よりも、中から吐き出される廃棄物の総量の方が何倍も多いという、質量保存の法則に反する異常事態が外部の目に触れ、都市の重大なスキャンダルとして発覚してしまう。
・これを防ぐため、学園都市はリサイクルを極端に推進して資材の流れをうやむやに偽装すると同時に、公式記録に一切残らないこのカキキエ隧道を通じて、規格外の資材や廃棄物を密かに搬入・処分していた。
・すなわち、暗部が研究を維持し、その存在を社会から完全に覆い隠すための暗黒のへその緒として機能していた。
科学の限界と「虚数学区」の恐怖
しかし、木原端数による解析により、この禁忌にはさらに恐ろしい真実が隠されていたことが明らかになる。
・実際には、カキキエ隧道などという土木建造物は最初からどこにも存在していなかった。
・かつて学園都市の研究者たちは、AIM拡散力場の集合体である虚数学区・五行機関(風斬氷華)から、風景の一部を切り取って新たな資源として現実世界へ直接実数化して取り出そうとする、超マクロな錬金術実験を企てていた。
・だが、その計画はコントロール不能に陥り、大失敗に終わる。その消し去ることのできない失敗した実験の名残りこそが、本来存在しないはずの空間が実数として現実世界に染み出してしまったカキキエ隧道の正体であった。
・自然半減期はおよそ一万二〇〇〇年とされ、現在でも放置されるしかない状態にある。
・もしもこの不安定な仮初めの空間や、虚数学区に潜む風斬氷華のような怪物が、何かの拍子に現実世界を押し潰すように実数化して転じれば、世界全体がグロテスクに変異して瞬時に破滅する危険性を孕んでいた。
・今日までこの世界が破滅を免れていたのは、ただその怪物が我々の世界に興味を示さなかったというただのラッキーに過ぎなかった。
一方通行(アクセラレータ)の覚悟
建設分野を握り、学園都市の地下施設を建設してきた統括理事ヴァルアート=シグナルにとっても、このカキキエ隧道だけは自らの科学の理屈では説明できない不気味な禁忌として恐れられていた。
・ヴァルアートは、一方通行が進める暗部一掃作戦によって追い詰められた暗部がこのカキキエ隧道に触れてしまえば、学園都市そのものが存続できなくなると警告した。
・しかし、新統括理事長に就任した一方通行は、その警告を意に介さなかった。
・彼は、この街がただで済むかどうかなんて関係ない、俺は暗部を潰すと言い放った。
・自身の背後に科学のルールから外れた悪魔の少女(クリファパズル545)を寄り添わせ、自らも禁を犯しながら、学園都市そのものを存続させることさえ前提に置かない圧倒的な覚悟で、街の膿を出し切る道を選んだ。
まとめ
学園都市最大の禁忌の全貌とカキキエ隧道の真実を巡る一連の全貌は、都市伝説の裏に隠された不気味な抜け穴としての浮上から始まり、暗部が使用する物資量を偽装するロンダリング機能、虚数学区の実数化失敗によるアンコントローラブルな空間の露呈、そして都市崩壊のリスクを顧みず暗部解体を断行する一方通行の覚悟に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
科学の慢心やシステム上の不条理という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立しようとした、街の暗部摘出と自己犠牲的決断の記録である。
禁忌の発見から、ロンダリングの暴露、実験失敗の真実解明、統括理事長の不退転の決意、そして旧体制の破綻へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
木原一族の暗躍
木原一族の暗躍と登場人物たちの動向
『創約 とある魔術の禁書目録(3)』において描かれる「木原一族」の暗躍、および彼らに関わる登場人物たちの動向について、木原端数の暗躍とレディバード、ドレンチャー=木原=レパトリの「偽りの木原」、木原脳幹の動向と美学の各点から解説する。
木原端数の暗躍とレディバード
木原端数は、学園都市のシステムを混乱に陥れた冷酷な研究者である。
・総合詰め所の襲撃とネットワーク汚染:痩せ細った老人の姿をした研究者であり、アンドロイド「レディバード」を従えて第一学区の警備員総合詰め所を襲撃した。詰め所の通信制御盤から「信号寄生(パラサイトハードウェア)」と呼ばれるナノデバイスを流し込み、学園都市全体の行政ネットワークや警備員同士の通信、カメラ・センサー網を麻痺させて大混乱を引き起こした。
・残虐なアンドロイド実験:レディバードの頭脳が自動増殖して破綻するのを防ぐため、置き去りの子供たちなどの大脳を捕食・移植させ、脳に適度なダメージを与え続けるという極めて非道な実験を行っていた。
・因果応報の最期:カキキエ隧道で浜面仕上に追い詰められた際、床に落ちていた「ニコラウスの金貨」を拾って「浜面の銃を暴発させろ」と祈った。金貨の力により引き金を引いていないのに銃弾が発射される形で願いが叶ったが、その放たれた銃弾は彼自身の胃袋を撃ち抜き、自滅する結果となった。
ドレンチャー=木原=レパトリの「偽りの木原」
ドレンチャー=木原=レパトリは、子供たちの命を守るためにその名を背負った人物である。
・子供たちを守るための偽装:第一〇学区の廃スタジアムにおいて、置き去り(チャイルドエラー)の子供たちをトレーラーで保護し、食事を与えて暮らしていた青年である。
・「木原」を名乗った真意:実際には本物の木原ではなく、暗部のVIP連中を恐れおののかせ、子供たちの身を守りながら学園都市外へ安全に逃がすための防壁として、あえて木原の悪名を騙っていた。
・最期:実験材料として子供を引き渡すよう要求した木原端数の提案を拒絶し、端数に向けて発砲した。しかし、レディバードに阻まれて致命傷を負い、最終的に浜面へ子供たちの未来を託して息を引き取った。
木原脳幹の動向と美学
木原脳幹は、独自の美学に基づいて行動する異例の存在である。
・ゴールデンレトリバーの姿をした木原:ゴールデンレトリバーの姿をしており、合理性だけでなくロマンを重んじる独自の美学を持った、木原一族の中でも異端の存在である。
・暴走した楽丘豊富の始末:過去に「木原平均」を殺害・隠蔽した罪の記憶と花露過愛の幻聴に苛まれ、無関係な子供までをも暗部と決めつけて襲おうとした警備員・楽丘豊富の前に立ちはだかった。脳幹は、自分の都合で手頃な弱者を悪性と決めつけて食い物にする歪んだ善人として楽丘を拒絶し、彼を始末した。
・アレイスターとの再会:作戦終息後の深夜、新宿の高層ビル屋上でベージュの修道服を着たアレイスターと再会し、すべての魔術を撃滅するために再び動くよう求めた。
まとめ
木原一族の暗躍と登場人物たちの動向を巡る一連の全貌は、木原端数による通信網麻痺と残酷な実験、レパトリによる偽りの名を利用した子供たちの保護と自己犠牲、木原脳幹による独自の審判とアレイスターとの再会に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
学園都市の狂気や不条理な実験という暗闇を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立しようとした、科学の影が生み出した多面的な交錯の記録である。
非道な実験から、偽称による防衛、歪んだ正義の処断、そして新たな脅威への始動へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
創約 とある魔術の禁書目録(2)
まとめ
創約 とある魔術の禁書目録(4)
登場キャラクター
学園都市(生徒・風紀委員・一般住民)
白井黒子
常盤台中学の生徒であり風紀委員を務める少女である。空間移動の能力を持つ。正義感から治安維持に奔走する。御坂美琴を深く慕っている。警備員と協力して暗部一掃作戦の捜査に参加する。
・所属組織、地位や役職
常盤台中学・生徒。風紀委員(ジャッジメント)。
・物語内での具体的な行動や成果
楽丘豊富と組んでペットブリーダーの廃ビルへ潜入した。詰め所で浜面仕上を確保した。過愛と妖宴の襲撃を受け爆発に巻き込まれた。化学分析センターで過愛の分解攻撃を受けて負傷した。過愛が操る動物の誘導経路を崩して追い詰めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
過愛の攻撃で命の危機に瀕するも生還した。自身の行動について内部監察を受ける覚悟を決めた。
御坂美琴
常盤台中学の生徒であり学園都市第三位の超能力者である。電撃を自在に操る。強い責任感を持つ。上条当麻や仲間たちの危機に対して自ら行動を起こす。
・所属組織、地位や役職
常盤台中学・生徒。超能力者(レベル5)第三位。
・物語内での具体的な行動や成果
食蜂操祈と協力して奉仕活動の監視網から脱出した。打ち止めを連れ去ろうとした舞殿星見と交戦した。舞殿の端末を解析して根丘則斗の暗部一掃阻止計画を暴いた。根丘との戦闘ではドクターヘリを破滅させて自作自演を防いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
激しい戦闘の末に負傷した。白井黒子と同じ病院に入院した。
食蜂操祈
常盤台中学の生徒であり学園都市第五位の超能力者である。精神を操作する能力を持つ。巧みな交渉術と計算高さを見せる。御坂美琴とは反発しつつも状況に応じて協力する。
・所属組織、地位や役職
常盤台中学・生徒。超能力者(レベル5)第五位。
・物語内での具体的な行動や成果
奉仕活動中に教師や黒子の認識を操った。美琴の脱走を補査した。美琴とともにビルの屋上へ避難した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
事件後に負傷した。御坂美琴と同室で病院に入院した。
初春飾利
風紀委員に所属する少女である。情報処理能力に長けている。
・所属組織、地位や役職
風紀委員(ジャッジメント)。
・物語内での具体的な行動や成果
白井黒子へ警備員との合同捜査を依頼した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
後方支援として事件の発生を伝えた。
半蔵
スキルアウトのメンバーである。忍者のような身のこなしを持つ。かつてのリーダーである駒場利徳の遺志を継いでいる。フレメア=セイヴェルンを守るため行動する。
・所属組織、地位や役職
スキルアウト。
・物語内での具体的な行動や成果
フレメアを連れて地下街へ逃げ込んだ。駆動鎧の攻撃で吹き飛ばされた。シールドAEDで意識を取り戻した。浜面仕上とともに個室サロンへ避難した。フレメアを浜面に託して仲間を探しに向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
追っ手からフレメアを守り抜くために奔走した。
郭
半蔵を気にかける人物である。半蔵の仕事に関わりサポートを行う。
・所属組織、地位や役職
スキルアウト関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
浜面仕上と再会して半蔵の抱える案件について話した。半蔵がフレメアを匿っている理由を伝えた。フレメアに迫る上層部からの危険を語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
半蔵と協力して隠れ家の情報を提示した。
リサコ
置き去り(チャイルドエラー)の子供たちの一人である。純真な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
置き去り(チャイルドエラー)。
・物語内での具体的な行動や成果
トレーラーの下でボールを探すうちに隠されたマンホールを発見した。ニコラウスの金貨を使って蓋を開けた。落とした防犯ブザーを取り戻すため地下へ降りようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
地下施設への入口を偶然発見した。
フレメア=セイヴェルン
フレンダ=セイヴェルンの妹である。無邪気な幼い少女である。駒場利徳や半蔵、浜面仕上から保護される。
・所属組織、地位や役職
一般小学生。
・物語内での具体的な行動や成果
新入生の駆動鎧に狙われて逃走した。浜面仕上と約束を交わした。大金庫の中へ匿われて安全を確保された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
暗部の抗争や新入生のターゲットとなった。浜面たちに守られた。
学園都市(統括理事会・暗部・関係者)
一方通行(アクセラレータ)
学園都市第一位の超能力者である。新統括理事長を務める。過去の罪に向き合う姿勢を持つ。暗部を一掃して妹達を安全な場所へ出すことを目指す。
・所属組織、地位や役職
学園都市・統括理事長。超能力者(レベル5)第一位。
・物語内での具体的な行動や成果
自らの罪を公表して自首した。鉄格子の中から暗部一掃作戦を指示した。新入生の工作車両を制圧してフレメアの情報を確認した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アレイスターから街の管理権限を受け継いだ。自ら拘束されながら街の改革を推進した。
浜面仕上
元スキルアウトおよび元「アイテム」の青年である。恋人の滝壺理后や周囲の人々を守るため行動する。不屈の意志を持つ。
・所属組織、地位や役職
元「アイテム」。元スキルアウト。
・物語内での具体的な行動や成果
携帯電話を切り滝壺と合流した。倒れた青年から遺品を預かった。警備員に自ら捕まり詰め所へ潜入した。過愛と妖宴の襲撃から白井を守るよう頼んだ。ニコラウスの金貨やハードディスクを活用して脱出を図った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
暗部と警備員の激突に巻き込まれた。滝壺とともに学園都市脱出を目指した。
滝壺理后
「アイテム」に所属する少女である。浜面仕上の恋人である。体調に不安を抱える。浜面を信頼して行動を共にする。
・所属組織、地位や役職
「アイテム」。
・物語内での具体的な行動や成果
警備員に確保されて詰め所へ連行された。浜面と再会して詰め所を脱出した。体調を崩したがお灸の処置を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
浜面とともに学園都市からの脱出を試みた。
麦野沈利
「アイテム」のリーダーである。学園都市第四位の超能力者である。粗暴な言動を取る。仲間への情を持つ。
・所属組織、地位や役職
「アイテム」・リーダー。超能力者(レベル5)第四位。
・物語内での具体的な行動や成果
フレンダの墓参りを訪れた。思いを整理した。警備員の捜索を避けてマンションから避難した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
暗部一掃の追跡を回避して潜伏を続けた。
絹旗最愛
「アイテム」に所属する少女である。窒素装甲を操る。独特の口調で話す。
・所属組織、地位や役職
「アイテム」。
・物語内での具体的な行動や成果
浜面を探すゲームを行っていた。黒夜海鳥と遭遇して対峙した。一方通行へ情報を提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
暗部一掃の追跡を免れて生き残った。
根丘則斗
十二人の統括理事の一人である。暗部への依存度が高い。自身の利益を守るため手段を選ばない。
・所属組織、地位や役職
学園都市・統括理事。
・物語内での具体的な行動や成果
舞殿星見へ打ち止め誘拐を命じた。科学理論を偽装して生命の樹の魔術を扱った。上条当麻や御坂美琴と交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
外部組織のR&Cオカルティクスと手を結んでいた。上条たちに敗北した。
エツァリ(海原光貴)
魔術結社から潜入していた魔術師である。海原光貴の姿を借りている。ショチトルたちを気にかける。
・所属組織、地位や役職
元グループ。
・物語内での具体的な行動や成果
病室でショチトルやトチトリを見舞った。暗部の束縛が弱まったことを実感した。事件の終息後に朝陽を眺めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
学園都市の闇の後退を感じながら生き延びた。
ショチトル
アステカ系の魔術師の少女である。病室で療養している。
・所属組織、地位や役職
元グループ。
・物語内での具体的な行動や成果
病室でエツァリと会話を交わした。エツァリが偽りの顔を使い続けることに苛立ちを見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
病院で療養を続けている。
ドレスの少女(心理定規)
暗部に属していたドレス姿の少女である。精神介入系の能力を持つ。
・所属組織、地位や役職
元スクール。
・物語内での具体的な行動や成果
詰め所の留置場に収容されていた。浜面仕上と留置場で再会した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
檻の中でそのまま生き延びた。
ベニゾメ=ゼリーフィッシュ
暗部専門のカメラマンを務める女性である。写真の力で人を破滅させることに執着する。
・所属組織、地位や役職
暗部専門のカメラマン。
・物語内での具体的な行動や成果
第六学区の遊園地で偽造職人を待ち伏せた。特殊機材で狙撃して偽造職人を射殺した。白井黒子の視界を乱して負傷させた。突入した楽丘豊富によって吹き飛ばされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
楽丘の攻撃を受けて倒された。
結標淡希
空間移動能力を持つ少女である。かつて暗部に所属していた。
・所属組織、地位や役職
元グループ。
・物語内での具体的な行動や成果
ファミレスで少女と食事を取った。事件後に死体安置所から姿を現した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
混乱する学園都市の現状を危ぶんだ。
雲川芹亜
智謀に長けた女子高生である。状況を冷静に分析する。
・所属組織、地位や役職
学園都市関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
事件の終息後に着ぐるみを脱いで姿を見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
混乱を生き延びた。
フロイライン=クロイトゥーネ
不死の存在である少女である。
・所属組織、地位や役職
不死の少女。
・物語内での具体的な行動や成果
眠り続けるフレメア=セイヴェルンを見守った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
事件後もフレメアの側に留まった。
アレイスター=クロウリー
学園都市の元統括理事長である。偉大な魔術師である。修道服を着た少女の姿で現れる。
・所属組織、地位や役職
元学園都市統括理事長。魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
新宿の高層ビル屋上で木原脳幹と再会した。ハンドカフスの失敗を新統括理事長の成長に必要な過程と見なした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
統括理事長の座を退いた後も静観を続けた。
花露過愛
分解者と呼ばれる双子の姉である。物質や人体を腐食させる力を持つ。街の破滅を望む。
・所属組織、地位や役職
暗部(分解者)。
・物語内での具体的な行動や成果
妹の妖宴とともに詰め所を襲い警備員たちを殺害した。化学分析センターを襲い酵素や細菌で建物を崩壊させた。白井黒子に劇症型の細菌を感染させた。自らの肉体を溶かして下水へ拡散した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自らの身を溶かして汚水へ拡散し消滅した。
花露妖宴
媒介者と呼ばれる双子の妹である。過愛とともに暗部の一掃へ反撃する。
・所属組織、地位や役職
暗部(媒介者)。
・物語内での具体的な行動や成果
姉の過愛とともに詰め所を襲撃した。警備員や建物を腐食させて破壊した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
過愛とともに学園都市に混乱をもたらした。
碧海華麗
ペットブリーダーと呼ばれる能力者である。動物の習性を変えて人を襲わせる。
・所属組織、地位や役職
暗部(ペットブリーダー)。
・物語内での具体的な行動や成果
廃ビルにビオトープを築いた。イナゴやガラガラヘビを操って白井黒子たちを迎撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作戦の初期に死亡した。
電話の声(学園太郎)
暗部で電話越しに指示を出していた青年である。
・所属組織、地位や役職
暗部関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
ビルから落下して死亡した。死亡する直前に浜面仕上にお守りを託した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
浜面へ偽造パスポートや遺品を託して息絶えた。
ヴィヴァーナ=オニグマ
暗部の研究者である女性である。
・所属組織、地位や役職
暗部研究者。
・物語内での具体的な行動や成果
第八学区で警備員に確保されそうになった。自分の研究が犯罪目的ではないと主張した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
警備員同士の相撃ちにより一人取り残された。
硬俄総太(工場否定)
偽造職人として知られる人物である。
・所属組織、地位や役職
暗部(偽造職人)。
・物語内での具体的な行動や成果
第六学区のシークレットレジデンスに潜伏していた。浜面から偽造パスポートを要求された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
交渉中にベニゾメ=ゼリーフィッシュに射殺された。
楽丘豊富
警備員の後方支援車両に所属する男である。筋肉を増大させる技術を持つ。
・所属組織、地位や役職
警備員(アンチスキル)。アンチスキル=アグレッサー。
・物語内での具体的な行動や成果
白井黒子と組んでペットブリーダーの廃ビルへ潜入した。ベニゾメの襲撃から白井を救出した。下水で肉塊となった過愛を発見した。青い試験管を届けて白井の命を救った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自らをアンチスキル=アグレッサーと明かした。命懸けで白井を助けた。
黄泉川愛穂
警備員の隊長を務める女性である。正義感が強い。保護者として少年少女を導こうとする。
・所属組織、地位や役職
警備員(アンチスキル)・隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
一方通行の自首を受け入れた。脱出を図る浜面仕上と対峙して大人を頼るよう諭した。浜面を撃った部下を激しく叱責した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
暗部一掃における警備員の暴走に強い衝撃を受けた。
木原一族・関係者
木原端数
木原一族の男である。粗暴な言動を取る。独自の目的で行動する。
・所属組織、地位や役職
木原一族。
・物語内での具体的な行動や成果
レディバードとともに第六学区の遊園地へ現れた。都市鉱山の秘密基地でレディバードの整備を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
レディバードに対して人間として振る舞うことを容認した。
レディバード
人工的に作られたアンドロイドの少女である。木原端数に従う。
・所属組織、地位や役職
アンドロイド。
・物語内での具体的な行動や成果
木原端数とともに遊園地や都市鉱山の秘密基地へ移動した。損傷した身体の整備を端数から受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自らを機械と主張しつつ端数への感情を示した。
ドレンチャー=木原=レパトリ
木原一族の男である。子供たちの世話を行う。
・所属組織、地位や役職
木原一族。
・物語内での具体的な行動や成果
廃スタジアムでフリルサンド#Gとともに置き去りの子供たちを世話した。クリスマス料理を用意した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
トレーラーハウスで子供たちと生活を共にした。
フリルサンド#G
ドレンチャーとともに活動する女性である。
・所属組織、地位や役職
木原関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
廃スタジアムで置き去りの子供たちの面倒を見た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ドレンチャーとともに子供たちの保護にあたった。
木原脳幹
ゴールデンレトリバーの姿をした木原一族の存在である。葉巻を好む。独自の美学を持つ。
・所属組織、地位や役職
木原一族。
・物語内での具体的な行動や成果
子供たちへ早く帰宅するよう促した。下水を利用して暗部一掃の混乱から脱出した。新宿の屋上でアレイスターと再会し協力を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自らの生存を偽装した。アレイスターとともに次なる行動へ向かった。
魔術結社『薔薇十字』・R&Cオカルティクス
アンナ=シュプレンゲル
薔薇十字の重鎮である。伝説の魔術師である。幼い少女から大人の美女へ姿を変える。
・所属組織、地位や役職
魔術結社『薔薇十字』・重鎮。R&Cオカルティクス運営者。
・物語内での具体的な行動や成果
スマートフォンでR&Cオカルティクスのサイトを更新した。黒い丸薬を使って大人の姿に変身した。拘置所の一方通行へスマートフォンの思想について語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
科学側と魔術側の境界を揺るがす存在として暗躍し始めた。
集団
置き去り(チャイルドエラー)の子供達
施設や大人から見捨てられた子供たちの集まりである。
・所属組織、地位や役職
一般児童集団。
・物語内での具体的な行動や成果
第一〇学区の廃スタジアムでドレンチャーやフリルサンド#Gから食事の支援を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
トレーラーハウス周辺で身を寄せ合って生活した。
警備員(アンチスキル)
学園都市の治安維持を担う教師たちの組織である。
・所属組織、地位や役職
治安維持組織。
・物語内での具体的な行動や成果
新統括理事長の指示で暗部一掃作戦を実行した。詰め所や化学分析センターで過愛たちの襲撃を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
暗部の反撃や通信網の遮断により混乱に陥った。
風紀委員(ジャッジメント)
校内の秩序や治安を守る生徒たちの組織である。
・所属組織、地位や役職
生徒治安組織。
・物語内での具体的な行動や成果
警備員と合同で暗部の一掃作戦や事件の捜査にあたった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
都市の混乱の中で捜査や救助に奔走した。
アンチスキル=アグレッサー
警備員の中でも訓練で凶悪犯役を担当する特殊部隊である。
・所属組織、地位や役職
警備員特殊部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
楽丘豊富が所属した。筋フィラメントの操作技術を用いてベニゾメを制圧した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
能力者への直接戦闘能力を発揮した。
創約 とある魔術の禁書目録(2)
まとめ
創約 とある魔術の禁書目録(4)
展開まとめ
序章 大きな石をめくってみたらこうなった OP. Hand_Cuffs .
白井黒子のクリスマス
十二月二十五日午後三時、白井黒子は御坂美琴が前夜から帰宅しないため、常盤台中学の学生寮で落ち込んでいた。そこへ風紀委員の初春から警備員との合同捜査を依頼され、事件現場なら美琴と遭遇できるかもしれないと考えて出動した。
楽丘豊富との合流
第七学区の治安の悪い一角へ向かった白井は、警備員の後方支援車両で楽丘豊富と組むよう命じられた。彼から、統括理事長交代によって隠されていた情報が解禁され、学園都市全域で暗部を一掃するオペレーションネーム・ハンドカフスが始まったと知らされた。
ペットブリーダーの捜索
白井と楽丘の担当は、動物を利用して脅迫や襲撃を行う碧海華麗、通称ペットブリーダーであった。白井の空間移動で廃ビルへ潜入すると、内部には昆虫、爬虫類、魚類など多様な生物を人工環境で育てる巨大なビオトープが並んでいた。
碧海華麗の迎撃
二人が上階へ進むと、碧海は大量のイナゴを操って白井を襲った。テレビの前に座っているように見えた人影もガラガラヘビの群れで作った偽物であり、碧海本人は別の場所から逃走を図っていた。彼女は生物の習性を科学的に変化させ、人を襲うよう調教していた。
碧海華麗の死
楽丘は逃げる碧海へ突然突進した。碧海が避けた拍子に飼育設備の壁が外れ、彼女はデンキウナギのいる水槽へ転落した。白井がイナゴを忌避剤で退けた時には、碧海は感電し、生物に身体へ入り込まれて絶命したと見られる状態になっていた。
暗部の現実
白井は碧海の死に衝撃を受けた。事件として適切に処理しただけでは済ませられない重さを感じながらも、自分を救った楽丘を責めることはできなかった。暗部とは、最善を尽くしても救いのない結果が押し寄せる世界なのだと実感した。
浜面仕上の疑念
一部始終を隠れて見ていた浜面仕上は、碧海が本来は殺人を避け、一般人を深部から遠ざける役割を担っていたことを知っていた。滝壺理后の治療薬を用意してくれる取引相手でもあり、浜面にとって碧海は暗部の中でも一線を守る人物であった。
仕組まれた事故
浜面は、碧海が白井たちを殺すつもりならもっと危険な生物を使えたはずだと考えた。そしてデンキウナギ用の安全策が機能しなかったことから、楽丘が密かに安全装置を無効化し、事故に見せかけて碧海を殺したのではないかと疑った。逮捕時の事故として処理されれば証拠も残りにくく、計画的な殺人を隠せる状況であった。
暗部一掃への恐怖
浜面のもとには、暗部と関係した者たちが次々に狙われているという連絡が届いた。テレビでは暗部の膿を出す動きが肯定的に報じられていたが、浜面はその裏で記録上は正当な形を保ったまま人々が消されていく危険を感じた。
ニコラウスの金貨
白井たちに見つかりそうになった浜面は、逃げ道となる鉄扉が開かず追い詰められた。そこで手元のニコラウスの金貨に扉を開けるよう願うと、閉ざされていた扉は即座に開いた。その金貨は、指定した事象の成功確率を一〇〇%へ固定する霊装であった。
学園都市からの脱出
浜面は、暗部一掃の流れが学園都市全体で進んでいるなら、滝壺を含む大切な人々にも危険が迫ると判断した。街の中に安全な場所はないと考え、ニコラウスの金貨を手に、滝壺とともに学園都市の外へ逃げる決意を固めた。
第一章 抉られたかさぶた City_Warfare.
ニコラウスの金貨
浜面仕上がクリスマスの朝に手に入れたニコラウスの金貨は、願った行動の成功確率を一〇〇%に固定する霊装であった。一度使うと一時間の充電が必要だが能力者でも副作用はなく、浜面は錆びた鉄扉を開けることで効果を実感していた。
暗部一掃からの逃走
警備員は特殊装備まで投入して暗部の一掃を進めており、浜面は自分も対象に含まれていると判断した。金貨の再使用には時間が必要なため、監視に使われるスマートフォンの電源を切り、まず恋人の滝壺理后と合流して学園都市から逃げることを目指した。
電話の声の最期
逃走中の浜面の前へ、暗部で指示を出す立場だった電話の声と思われる青年が高所から落下してきた。青年は死の間際、持っていたお守りを学園都市の外にいる妹へ返してほしいと頼んだ。浜面はその遺品や偽造パスポート、拳銃などを預かり、逃走を続けた。
無自覚な死の連鎖
警備員たちは暗部の被疑者が次々と死亡しても、自分たちが追い詰めた結果だと認識していなかった。浜面は、正義を掲げる側が間違いに気づかないまま人間を処理し続ける状況に恐怖し、学園都市では従来の常識が通じないと確信した。
白井黒子の疑念
白井黒子はペットブリーダーの死亡について内部監察を求めたが、作戦本部は捜査を止めず、暗部無力化の遅れを取り戻すため次の段階へ進もうとしていた。白井は事故だったのか疑い続けたが、楽丘豊富は暗部の一掃自体は必要だと主張した。
滝壺理后の拘束
浜面が新生アイテムのマンションへ戻ると、警備員による捜索の跡が残っていた。麦野沈利と絹旗最愛は逃げていたが、無線から滝壺が確保され、詰め所へ連行されたと知る。浜面は恋人を救うため、警備員の装備と情報を利用して詰め所への潜入を決めた。
白井黒子との遭遇
浜面は自ら捕まることで滝壺と同じ詰め所へ運ばれる道を選び、高所から警備員の後方支援車両へ落下した。白井は拳銃を持つ浜面を暗部の要注意人物として確保したが、浜面は抵抗を続けて拘束用担架で連行された。
留置場への潜入
浜面は狙い通り留置場へ送られ、そこでドレスの少女と再会した。外部に待機させたドローンをアネリに操作させ、没収を免れた荷物とニコラウスの金貨を回収した。さらに端末を乗っ取り、滝壺が収容されている場所を特定して留置場から脱出した。
楽丘豊富の警告
詰め所で白井と話す楽丘は、暗部は自然に生まれた学園都市の影であり、今回の作戦ではまだ生ぬるいと語った。その直後、施設全体の電力と通信が失われた。楽丘は、暗部を本気で一掃しようとした結果、本物の暗部が反撃に現れたのだと告げた。
過愛と妖宴
詰め所へ現れたのは、分解者の過愛と媒介者の妖宴という双子であった。二人は人体や装備、建物そのものを腐食させ、警備員たちを次々と殺害した。ペットブリーダーへの報復として詰め所を襲い、暗部一掃への制裁を始めたのである。
腐敗したロビー
白井は双子を止めるため一階へ空間移動したが、そこでは建物も人間も腐敗し、発生したメタン系のガスが充満していた。過愛と妖宴は腐敗させた人々ごとフロアを爆破し、白井は爆発に巻き込まれた。
滝壺理后との再会
停電と混乱を利用して浜面は滝壺のいる取調室へ到達した。警備員に押さえ込まれたものの、双子が放ったハサミムシの群れによって警備員は殺された。浜面はようやく滝壺と再会したが、そこへ負傷した白井が空間移動で逃げ込んできた。
浜面の嘆願
過愛と妖宴は白井を追って取調室へ現れた。浜面は自分たちではなく、倒れている白井だけは殺さないでほしいと頭を下げた。その行動を面白がった双子は白井を見逃し、暗部を消そうとすればどのような結果になるか語り継げと命じて立ち去った。
壊滅した詰め所
浜面と滝壺は白井へ応急処置を施し、詰め所からの脱出を始めた。施設内には腐敗した痕跡だけが残り、多くの警備員が命を落としていた。浜面は暗部と警備員の衝突がさらに激化すると考え、滝壺を連れて学園都市の外へ逃げる方針を固めた。
黄泉川愛穂との対峙
脱出途中、浜面たちは黄泉川愛穂と遭遇した。黄泉川は、大切な人を守るためであっても再び犯罪へ戻れば未来を自分で壊すことになると諭し、大人に任せるよう求めた。浜面は今の警備員全体を信用できないと反論しながらも、黄泉川を傷つけて突破することには迷った。
浜面への銃撃
浜面が答えようとした瞬間、別の警備員が彼の胸を銃撃した。浜面は窓を突き破って外へ落下し、滝壺も後を追った。白井が目を覚ました後、黄泉川は子供へ発砲した部下を激しく非難し、暗部だからという理由で命を軽視する警備員の異常さを突きつけられた。
各地の警備員壊滅
双子による襲撃は第七学区だけではなく、第八、第一七、さらに警備員組織の中枢にあたる第一学区にも及んでいた。指揮系統そのものが崩れかねない状況でも、楽丘は暗部を消すなら戦争をする覚悟が必要だと主張した。
空港への脱出計画
浜面は奪っていた防弾プレートによって銃撃を生き延び、雪の山へ落ちたことで墜落の衝撃も免れた。学園都市内部では誰に助けを求めても安全を保証できないと判断し、滝壺とともに第二三学区の空港から脱出することを決めた。
偽造パスポート
通常の外壁やゲート突破は不可能であるため、浜面は電話の声から預かった高品質な偽造パスポートに着目した。暗部には完全な身分証を作る職人が存在すると考え、その力を借りて滝壺と正規の乗客に紛れ、飛行機で学園都市を脱出する道を探ろうとした。
行間 一
拘置所のアンナ
アンナ=シュプレンゲルは拘置所で一方通行と向き合い、今回の騒動は本来の実験が終わった後に行った追加のデータ収集に過ぎないと語った。保護した者たちの新生活のために基金まで用意していたが、それも無駄になりそうだと告げた。
暗部切り捨てへの問い
アンナは、ビッグデータには無駄な情報などなく、過去の蓄積から新たな価値を見いだせると説明した。その上で、一方通行が暗部を切り捨てる決断をしたものの、本当にその価値や役割を理解した上で選んだのかと問いかけた。
崩壊の予告
アンナは、現在の惨状には理由があり、それを早期に特定できなければ状況はさらに崩れていくと警告した。今起きている被害さえまだ軽かったと思えるほど悪化すると示しながら、新統括理事長となった一方通行がなお本名を明かさないことをからかった。
第二章『暗部』 Ghost, Android, and…
第一学区の襲撃
第一学区の総合詰め所へ、護送車を奪ったレディバードと木原端数が突入した。レディバードは人工元素セインティウム製の山刀で銃弾や手榴弾を弾き返し、警備員を次々と殺害した。さらに木原端数は、施設内部から行政ネットワークへ信号寄生と呼ばれるナノデバイスを流し込み、通信や監視網を混乱させた。
アンチスキル=アグレッサー
統括理事側は、暗部の戦闘方法を再現する精鋭部隊アンチスキル=アグレッサーを投入した。しかし彼らの装備は木原側の技術より古く、レディバードは念動能力まで使って重装備の部隊を押し返した。木原端数は彼らを相手に二分間の戦闘をレディバードへ命じた。
第一七学区のフリルサンド
第一七学区では、フリルサンド#Gが警備員を一時間以上足止めしていた。彼女は実体を持たない存在であり、姿を認識した者の神経や認識を狂わせ、銃弾をすり抜けた。無人兵器の認識機能まで乱し、味方である警備員を踏み潰させながら、木原側の子供たちが逃げる時間を稼いでいた。
ヴィヴァーナ=オニグマ
第八学区では、暗部の研究者ヴィヴァーナ=オニグマが二人の警備員に確保されかけた。彼女自身は抵抗せず、自分の研究も犯罪目的ではないと訴えたが、警備員たちは好普性か嫌普性かで対立し、揉み合いの末に互いを撃って死亡した。ヴィヴァーナは一人取り残された。
木原脳幹
街では大型犬の姿をした木原脳幹が子供たちと行動していた。木原脳幹は暗部に属しながらも、平穏な家庭へ自ら踏み込むことはせず、子供たちへ早く帰るよう促した。一方で、統括理事側が木原を含む暗部を切り捨てた状況を冷静に見定めていた。
浜面とアネリの再接続
浜面仕上は隠していた滝壺理后の薬を回収し、再び起動したアネリから助力を得た。警備員側のネットワークが木原たちの攻撃で混乱したことで追跡の危険が低下し、アネリは電話の声が利用していた偽造職人、工場否定の情報を突き止めた。浜面と滝壺は身分証を得るため、第六学区へ向かった。
列車内の死
浜面と滝壺は混雑する列車に紛れて移動した。その途中、反対側のホームで暗部関係者と見られる男が列車に轢かれて死亡したが、周囲の乗客はすぐにSNSの噂話として消費した。浜面は、暗部に生きる者の死が娯楽のように扱われる現実へ強い反発を抱いた。
白井たちの移動
白井黒子、楽丘豊富、黄泉川愛穂らは壊滅した詰め所を離れ、第二学区の拠点へ向かった。警備員側の通信網は各地の襲撃で崩れ始めており、白井は双子の攻撃について自ら報告書をまとめ、敵の正体を分析しようとした。移動中、白井は楽丘の個人的な事情を知り、彼が自分なりの理由で公共のために働いていることを認めた。
遊園地の偽造職人
浜面と滝壺は第六学区の遊園地へ入り、シークレットレジデンスに潜む偽造職人・工場否定の拠点を探した。しかし現場には暗部専門のカメラマン、ベニゾメ=ゼリーフィッシュが待ち伏せしていた。彼女は偽造職人を餌に集まる大物を撮影し、その情報を売るか脅迫に使うつもりであった。
花露過愛と花露妖宴
ホテルでは分解者の花露過愛と媒介者の花露妖宴が身を休めていた。過愛は暗部一掃から逃げる気がなく、秩序を崩して街をかき回すことそのものを望んでいた。妖宴もその意向に同調し、二人は引き続き学園都市に混乱を広げる方針を選んだ。
木原端数の遊園地到着
木原端数とレディバードも工場否定を求めて第六学区へ現れた。途中で暗部の犯罪者たちを容赦なく殺害しながら進み、偽造職人を奪うため周囲の敵対者を全て排除する構えを取った。
レディバードの襲撃
ベニゾメが木原端数を撮影しようとしたところ、待ち伏せしていたレディバードが襲いかかった。ベニゾメは機械を腐食させる薬剤で山刀を奪わせるなど抵抗したが、レディバードは彼女を武器のように振り回し、浜面まで巻き込んだ。浜面は滝壺を守ろうとして戦闘へ巻き込まれた。
滝壺への電撃
ベニゾメは自分が逃げるため、レディバードの次の標的を滝壺へ向けようとし、スタンショットで滝壺を撃った。浜面は怒りからニコラウスの金貨でベニゾメを転倒させようとしたが、ベニゾメも同じ金貨を使って相殺したため失敗した。ベニゾメは浜面たちを見捨てて逃走した。
フリルサンドの救援
浜面が追い詰められたところへフリルサンド#Gが現れた。彼女は機械の認識を乱す性質でレディバードから浜面たちを見失わせ、浜面にショットガンで反撃させた。さらにレディバードが人間を模したアンドロイドであると説明し、浜面へ滝壺を連れて逃げるよう促した。
滝壺の薬の破損
浜面がスタンショットを止めた後も、滝壺の体調は悪化した。高圧電流によって体内の治療成分が分解され、かつて体晶に苦しんでいた頃と同じ症状が現れたのである。浜面は治療の必要性を感じたが、滝壺は捕まれば可能性そのものが失われるとして、逃走を続けるよう訴えた。
工場否定への逆戻り
浜面は、フリルサンドが自分たちと木原側を遠ざけたのは、工場否定を独占して取引するためだと推測した。そこで滝壺とともに引き返し、偽造職人のテントへ踏み込んだ。そこにはフリルサンドと関係する青年が先に交渉へ来ていた。
偽造職人の死
浜面は工場否定を人質にして偽造パスポートを要求したが、交渉の最中、偽造職人の頭部が突然吹き飛ばされた。遠距離から特殊な撮影機材と武器を使って狙撃したのは、逃げたはずのベニゾメ=ゼリーフィッシュであった。彼女は最高のスクープを得るため、再び争奪戦へ介入した。
行間 二
スマートフォンの利便性
拘置所のアンナ=シュプレンゲルは、一方通行へスマートフォンとパソコンの違いを語った。多くの機能を備えながら、詳しい説明を読まなくても直感的に使えることこそスマートフォン普及の強みであり、利用者へ苦労を感じさせない設計が重要だと述べた。
学園都市の継承
アンナは、一方通行が旧統括理事長から学園都市を受け継いだ際、コードの束を何らかの端末で渡されたことに触れた。そして、その端末がスマートフォンだった可能性を示しながら、受け継いだ機能を本当にどこまで理解しているのか問いかけた。
理解されない便利さ
アンナは、人間は便利で快適なものほど簡単なものだと見下しやすいと語った。R&Cオカルティクスが急速に広まったこともその心理を利用した結果であり、利用者はスマートフォンの通信やインターネットの仕組みさえ十分に理解しないまま使っていると指摘した。
身近な機器の死角
スマートフォンには、辞書に登録された雲母坂やAIが返答するゾルタクスゼイアンのように、利用者には由来や目的の分からない要素が存在していた。アンナは、それが単なる入力ミスや遊びなのか、意図的に組み込まれた機能なのかさえ利用者には判断できないとした。
未発見の脆弱性
アンナは、一方通行も学園都市の全機能を掌握しているとは限らないと示唆した。スマートフォンと同じく、受け継いだシステムの中には本人さえ知らない機能や弱点が残っている可能性があり、油断すれば未発見の脆弱性によって足をすくわれると警告した。
第三章 学園都市最大の禁忌 Safety_Zero, Control_Free.
スクープを狙うベニゾメ
ベニゾメ=ゼリーフィッシュは、決定的な写真を撮るためなら標的同士を衝突させることも厭わず、暗部に深く通じる技術を身につけていた。偽造職人の死をきっかけに浜面たちが争う瞬間を狙っていたが、背後へ空間移動してきた白井黒子に発見された。
滝壺理后の応急処置
浜面仕上は体調を崩した滝壺理后を案じる中、フリルサンド#Gと行動する青年から学園都市最大の禁忌という新たな脱出手段の存在を聞いた。偽造職人のテントを調べていると銀髪の袴姿の少女が現れ、滝壺を診察して灸で症状を一時的に緩和した。根本治療にはならなかったが、人工透析なら改善の可能性があると教えられた。
命綱のハードディスク
浜面たちは偽造職人の別のテントを捜索し、鍵付きの収納から命綱と記されたハードディスクを発見した。特殊な錠前を開けるため、袴姿の少女が持つニコラウスの金貨を借りて使用した。浜面は彼女にも借りができたと考え、滝壺とともに連れて逃げることにした。
白井黒子とベニゾメの銃撃戦
白井は空間移動を駆使してベニゾメを追ったが、ストロボや反射板、特殊な撮影装置によって視界と座標認識を乱され、狙撃弾で脇腹を負傷した。ベニゾメは写真によって人を破滅させた経験から撮影の力に取り憑かれており、自らの行為を正義と重ねていた。
楽丘豊富の正体
白井が狙撃銃を突きつけられたところへ、筋肉を異常に増大させた楽丘豊富が壁を破って突入した。彼はベニゾメを吹き飛ばして白井を救い、筋フィラメントを操作する技術を用いたアンチスキル=アグレッサーであることを明かした。本来は訓練で凶悪犯役を担当する戦闘要員であった。
過愛と妖宴の再始動
花露過愛と花露妖宴は逃走を選ばず、自分たちの居場所を守るため学園都市そのものを壊す方針を取った。暗部を善悪で分類する考えに価値を認めず、向かってくる警備員や風紀委員を排除しながら混乱を広げようとしていた。
都市鉱山への道
浜面たちは第六学区から脱出しながら、命綱のハードディスクを開くには特殊工具が必要だと知った。袴姿の少女は、第二三学区と第一一学区の境に大量の廃棄物が集まる都市鉱山があり、電子機器を解体して稼ぐ者たちなら工具を持っている可能性があると教えた。
木原端数の秘密基地
その都市鉱山では、木原端数とレディバードがスクラップの山に隠された秘密基地へ戻っていた。木原は損傷したレディバードを整備しながら、人工的に作られたアンドロイドであっても人間として振る舞ってよいと語った。レディバードは自分を機械として扱うよう求めながらも、木原以外には触れてほしくないという感情を示した。
置き去りの子供たち
第一〇学区の廃スタジアムでは、ドレンチャー=木原=レパトリとフリルサンド#Gが置き去りの子供たちを世話していた。二人は移動式のトレーラーで生活し、子供たちへクリスマスの食事を用意していた。偽造パスポートの入手には失敗していたが、脱出計画そのものはまだ失われていなかった。
リサコとニコラウスの金貨
子供のリサコは、仲間が隠したボールを探してトレーラーの下へ潜り込み、重いマンホールを見つけた。サンタからもらったニコラウスの金貨を使うと蓋が開き、地下へ続く通路が現れた。防犯ブザーを穴へ落としてしまったリサコは、それを取り戻すため一人で地下へ降りようとした。
分析センターへの襲撃
花露過愛と花露妖宴は警備員化学分析センターを襲撃した。警備員側はツインタワー構造を利用して二人を分断し、片方へ戦力を集中させる作戦を取ったが、過愛は大量のネズミやダニ、羽虫などを薬品で誘導し、警備員や無人兵器を次々と圧倒した。
白井黒子と花露過愛
白井は分析センターで過愛と再び対峙した。過愛は生物だけでなく酵素、細菌、湿気など様々な分解要因を利用して建物そのものを崩壊させ、カラスを利用した翼まで作って空中を移動した。白井は劇症型の細菌にも侵され、死が始まっていると宣告された。
分解者の弱点
白井は、過愛が動物を直接支配しているのではなく、薬品で好き嫌いの反応を誘導しているだけだと見抜いた。建物の窓を破って風を通し、空気中に作られた誘導経路を崩壊させると、過愛が操っていたネズミやカラスは制御を外れ、逆に彼女へ襲いかかった。
排水管への逃走
白井が金属矢で追撃した後、過愛の姿はネズミの群れから消えていた。近くには試験管の転がった流し台と細い排水管が残されており、白井は分解者である過愛なら自らの骨まで溶かして逃げた可能性を考えた。しかし直後、細菌に侵された白井自身も限界を迎え、鉄骨から足を踏み外した。
白井黒子の救出
高所から落下した白井黒子は、花露過愛が腐食させた建材の残骸に落ちたことで一命を取り留めた。楽丘豊富が彼女を引き上げると、白井は自分の治療よりも下水へ逃げた過愛の追跡を優先し、家族に誇れる人間になりたいなら役目を果たせと楽丘の背中を押した。
都市鉱山への到着
浜面仕上と滝壺理后は、命綱と記されたハードディスクを開く特殊工具を求め、第二三学区付近の都市鉱山へ向かった。途中で姿を消したヴィヴァーナ=オニグマを気にしつつも先へ進み、浜面がニコラウスの金貨へ工具の場所を尋ねると、スクラップに埋もれた金属コンテナと地下施設への入口が見つかった。
下水の花露過愛
楽丘は下水へ入り、透明な粘液の痕跡を追った先で、自らの肉体を溶かして肉塊となった花露過愛を発見した。過愛は元に戻れない状態でも自らの破滅を暗部の伝説として残そうとしていたが、やがて汚水へ身を投じ、その身体を広く拡散させた。
楽丘豊富の過去
汚水に溶けた過愛の声は、楽丘が暗部だけが使う追跡回避用の地下設備を知っていると指摘した。そこから楽丘の記憶が揺さぶられ、家族を守るために起きた過去の殺人と死体処理に関わる記憶が蘇った。善良な教師と警備員であるという自己認識は崩れ、楽丘は自らも暗部に染まっていた可能性に追い詰められた。
木原脳幹とリサコ
地下へ迷い込んだリサコは、暴走した楽丘に追われた末、木原脳幹に救われた。木原脳幹は防犯ブザーを返して地上への道を教え、自ら楽丘の前へ立ちはだかった。そして楽丘が聞いていた過愛の声は実在せず、罪の記憶に耐えられなくなった彼自身が作り出したものだと突きつけた。
木原脳幹の拒絶
木原脳幹は、家族を守るために過去の木原平均を殺した行為だけなら理解できたと語った。しかし罪から逃れるために無関係なリサコまで暗部と決めつけて追い詰めた現在の楽丘を拒絶し、自分が始末すべき相手だと宣告した。楽丘はなお暗部の排除に固執し、木原脳幹との戦いに入った。
ヴィヴァーナとリサコ
地下で迷っていたヴィヴァーナ=オニグマは、逃げてきたリサコと遭遇し、その直後に楽丘の襲撃を受けた。ヴィヴァーナは拷問や処刑の技術を応用して楽丘の鋼管を封じ、荷重を一点へ集中させて武器を破壊すると、痛覚の限界を利用して楽丘を気絶させた。リサコを無事に逃がしたものの、ヴィヴァーナ自身も戦闘前から重傷を負っており、吐血するほど消耗していた。
花露妖宴の崩壊
一方、花露妖宴は姉の過愛が自らを溶かしたと悟り、ニコラウスの金貨で地面を破って下水を噴き出させた。そして汚水に溶けた過愛を自分の体内で再び濃縮しようと大量に飲み込んだが、身体は耐えられず大量に吐血して倒れた。
警備員組織の瓦解
黄泉川愛穂は倒れた妖宴を確保し、さらに地上へ流れ着いた楽丘から、白井を救える可能性のある青い試験管を受け取った。しかしその直後、警備員たちは相次ぐ死と罪悪感に耐えられなくなり、自殺や逃亡、錯乱を始めた。壊滅手配のデータも失われ、科学捜査施設も破壊されたことで、オペレーションネーム・ハンドカフスは継続不能となった。
木原の地下ラボ
浜面と滝壺は、スクラップの下に隠された木原のラボへ入り、目的の特殊工具を発見した。命綱のハードディスクを開いて内部スイッチを切り替え、スマートフォンへ接続して解析を開始した。滝壺の体調は悪化していたが、二人は久しぶりの静かな時間を過ごしながら解析終了を待った。
レディバードの襲撃
解析中、ラボへ戻ったレディバードが浜面たちを発見し、山刀で襲いかかった。そこへ重傷のヴィヴァーナが現れ、特殊な煙を口内へ送り込んでアンドロイドの内部機構を狂わせた。レディバードは浜面たちへの攻撃を中断し、木原端数のもとへ戻るためその場を離れた。
ヴィヴァーナの最期
ヴィヴァーナは浜面たちを救った代償として致命傷を負っていた。浜面はニコラウスの金貨で彼女を治そうとしたが、金貨では不可能な事象を実現できず、彼女自身もすでに同じ願いを試して失敗していた。ヴィヴァーナは滝壺の症状を和らげる灸や専門書を浜面へ託し、誰かからありがとうと言ってもらいたかったと語った後、静かに息を引き取った。
命綱の解析完了
ヴィヴァーナの死を前に、浜面は学園都市から逃げることが本当に正しいのか迷った。その時、命綱のハードディスクの解析終了を告げる電子音が鳴った。浜面と滝壺は、ついに学園都市最大の禁忌へと繋がる情報に触れようとしていた。
行間 三
ヴァルアートの糾弾
拘置所を訪れた統括理事ヴァルアート=シグナルは、一方通行が進めたハンドカフスの失敗によって表も暗部も壊れ、学園都市の研究環境と治安維持機能が大きく損なわれたと非難した。暗部を排除すれば経済や研究まで立ち行かなくなると訴えたが、一方通行はその反発自体を予想していた。
建設分野と暗部の繋がり
一方通行は、統括理事たちの多くが暗部と無関係ではなく、誰が最初に自分へ噛みつくかを見極めていたと明かした。そして建設分野を握るヴァルアートが、木原をはじめとする暗部の研究施設や地下拠点を建設してきた人物だと指摘した。影響力の大きい者を排除すれば、周囲も同じ末路を恐れて暗部から離れていくと考えていたのである。
ヴァルアートの過去
ヴァルアートは、幽霊などの曖昧な噂によって不動産価値が暴落し、家族が自殺寸前まで追い込まれた過去を語った。そのため科学で説明できないものを徹底的に排除しようとし、必要なら危険な研究者にも資金を提供してきた。ただし学園都市最大の禁忌と呼ばれるカキキエだけは、彼にも理屈で説明できない存在だった。
学園都市最大の禁忌
ヴァルアートは、追い詰められた暗部が科学の枠から外れ、カキキエへ触れれば学園都市そのものが危険にさらされると警告した。しかし一方通行は、街が無傷で済むかどうかに関係なく暗部を潰すと断言した。
学園都市を捨てる覚悟
ヴァルアートは、一方通行の背後に悪魔の少女の姿を見たことで、彼自身が科学の街の禁を犯していると悟った。そして一方通行が統括理事長に就任した当初から、学園都市そのものを存続させることさえ前提にしていなかった可能性に気づいた。
第四章 魔王の仔 the_LIGHT.
帰還したリサコ
リサコは子供達のもとへ戻り、木原脳幹とヴィヴァーナに助けられたと話した。ドレンチャー=木原=レパトリとフリルサンド#Gは追跡を警戒しつつ、子供達を連れて学園都市最大の禁忌を目指して移動しようとしていた。一方、ソダテだけは自分達が実験対象として育てられている可能性に気づき始め、リサコだけでも逃がそうとしていた。
命綱に残された資材記録
浜面はヴィヴァーナから託された道具と本を使って滝壺にお灸を施し、高熱を一時的に抑えた。その後、命綱と記されたハードディスクを解析すると、暗部が消費する資材量が学園都市全体の正式な搬入量を大きく上回っている事実が判明した。さらに廃棄物の総量をごまかすため、リサイクルそのものが資材の出入りを隠す仕組みに利用されていた。
カキキエ隧道
解析を進めた浜面と滝壺は、暗部が公式記録に残らない経路から大量の資材を運び込んでいると知った。その経路は大深度地下を通って学園都市の内外を結ぶものであり、第一〇学区地下のカキキエ隧道へ繋がっていた。暗部にとっては研究を維持する生命線であり、同時に警備員にも把握されていない脱出路であった。
フリルサンド#Gの封鎖
カキキエ隧道には、さまざまな立場の暗部関係者が脱出を求めて集結していた。しかしフリルサンド#Gは、子供達へ危険が及ぶ可能性を排除するため、彼らを次々と殺害して通路を封鎖していた。浜面と滝壺はその惨状を目撃しながらも、引き返さず奥へ進んだ。
地下に現れた巨大貨物施設
鉄扉の先には、巨大な円形空間とターンテーブル、複数の線路、貨物列車を備えた地下施設が広がっていた。そこへ辿り着いた浜面はフリルサンド#Gを目にしただけで致命的な損傷を受けた。彼女は文明が生み出す莫大なエネルギーを利用して存在を維持し、視界に入った対象へ継続的な損傷を与える人工幽霊であった。
子供達を使った幽霊実験
滝壺はフリルサンド#Gの周囲にAIM拡散力場が存在しない異常に気づいた。さらに貨物列車には、大量の子供達がモーションセンサーを装着して収容されていた。彼らは幽霊の攻撃対象を選別する研究に利用されていたが、その事実を知らされていなかった。
木原端数とレディバード
そこへ木原端数とアンドロイドのレディバードが現れた。端数はフリルサンド#Gの性質を利用し、ピンホールカメラへ封じ込めて破壊した。そしてカキキエ隧道が単なる建設物ではなく、虚数学区から現実世界へ切り出された空間だと明かした。本来存在しない道が学園都市の内外を繋いでおり、虚数学区を利用して資源を取り出そうとした研究の失敗から生まれたものであった。
ソダテの覚悟
ソダテはリサコに、自分達が置き去りとして実験に利用されてきたと訴えた。これまで外部へ情報を残そうとしても誰にも届かなかったため、学園都市の外へ出れば研究者達の抑制がさらに失われると恐れていた。ソダテは自ら囮になる覚悟を決め、リサコだけでも逃がそうとした。
子供達を巡る決裂
木原端数はドレンチャー=木原=レパトリに列車への相乗りを認める代わりとして、子供を数人引き渡すよう要求した。レパトリは、自分が暗部へ入ったのは消費される子供達を救うためだったと明かして拒絶し、端数へ発砲した。しかしレディバードに阻まれて致命傷を負った。
レパトリの託した願い
レパトリは、子供達を守るために木原を名乗り、暗部の研究者を装いながら一人も犠牲にせず育てていた。偽造パスポートを求めたのも自分へ追跡を集中させ、子供達を地下から安全に逃がすためであった。死を前にした彼は浜面に子供達を託し、理由があるから守るのではないと言い残した。浜面はその生き方に打ちのめされながらも、彼の意思を引き継ぐと決めた。
走り出した貨物列車
浜面はアネリを使って貨物列車を動かし、子供達を五時方向の線路へ送り出した。だがソダテとリサコは取り残されていた。木原端数が二人を研究材料として連れて行こうとしたため、浜面は逃亡よりも彼らを守ることを優先し、暗部そのものへ挑む決意を固めた。
レディバードの正体
浜面と滝壺はレディバードと戦う中で、彼女が複数の能力を使う理由に気づいた。レディバードは純粋な機械だけで構成された存在ではなく、自分の人工脳を安定させるために人間の脳を取り込み続けるよう設計されていた。異物として取り込んだ脳の影響によって能力が変化しており、彼女自身は人間の被験者を不要にするための存在だと信じ込まされていた。
レディバードの絶望
自分が人間を救うためのアンドロイドではなく、人間を捕食しなければ維持できない存在だと知ったレディバードは絶望した。それでも設計された本能には逆らえず、ソダテとリサコを襲おうとした。浜面は設備を利用して妨害し、子供達を守りながらレディバードの弱点を探った。
煙幕と捕食装置
浜面はヴィヴァーナが以前レディバードへ攻撃を成功させた理由から、彼女のセンサーを乱せば防御反応を遅らせられると見抜いた。煙幕で感覚を狂わせ、体操服を被せたドラム缶を子供と誤認させて背中の捕食装置へ取り込ませた。そして開いた背中へ銃弾を撃ち込み、内部のドラム缶を爆発させた。
レディバードの最期
爆発によってレディバードは破壊された。浜面は、最後の瞬間に彼女自身の判断が揺らぎ、本物の子供ではなく偽物へ飛びついたのだと考えた。残された頭部は、もう誰も殺さなくて済むことに安堵したように笑っていた。
木原端数との決着
浜面は子供達を滝壺に任せ、木原端数へ銃を向けた。端数自身も生き延びれば次の研究を始め、さらに犠牲を増やすと理解していたため、浜面はレディバードを踏みにじった代償を払わせようとした。追い詰められた端数はニコラウスの金貨を拾い、浜面の拳銃を暴発させるよう願った。
ニコラウスの金貨の皮肉
金貨は願いを叶え、浜面が引き金を引いていないにもかかわらず銃弾を発射した。しかしその弾は木原端数自身の腹部を撃ち抜いた。端数は自ら頼った奇跡によって致命傷を負い、長く苦しんだ末に死亡した。科学を追究してきた彼は、最後には科学の外にある力へ縋り、その結果として命を落とした。
行間 四
ハンドカフスの終幕
アンナ=シュプレンゲルは、十二月二十五日に起きた一連の騒動が終わったと告げた。ハンドカフスは暗部を穏便に解体するはずだったが、ニコラウスの金貨という異物によって計画は崩れ、多くの人間が自ら危険な道へ踏み込んだ。アンナはその揺らぎを観察対象として楽しみ、金貨への依存を自ら捨てた者が一人だけいたことを興味深く受け止めていた。
魔術と科学の対比
アンナは今回の結果から、科学がどれだけ綿密な秩序を築いても、魔術の自由はそれを食い破って上書きできると語った。ニコラウスの金貨も魔術師本人ではなく地脈から力を得る存在であり、クリスマスの間だけ機能する特殊な魔術であった。
開いた鉄格子
アンナは金貨を鉄格子へ滑らせ、本来の錠前を無視して扉を開けた。科学の檻では魔術を閉じ込められないことを示すように、彼女は悠然と拘置所から出ようとした。
クリファパズル545の追撃
アンナが一方通行の房の前を通り過ぎようとした時、クリファパズル545が鉄格子を抜けて襲いかかった。アンナは去り際に彼によろしくと言い残した。
沈黙する一方通行
一方通行は壁にもたれたまま、最後まで何も語らなかった。ハンドカフスで掲げた小さな夢は崩れ、アンナが存在する限り同じ理想をそのまま実現することはできないという現実だけが残った。
終章 闇の産声は高らかに Over_the_C.Point, Now.
白井黒子の生還
深夜の病院で白井黒子は意識を取り戻していた。花露過愛によって体内へ入れられた異物は、楽丘豊富が命懸けで届けた青い試験管によって抑えられたらしく、白井は生還できたことを確認すると、自身の行動について内部監察を受ける必要があると考えた。
病室の御坂美琴と食蜂操祈
白井は同じ病院に御坂美琴がいることを知って歓喜したが、さらに同室には食蜂操祈までいたため態度を一変させた。二人が同時に負傷して入院していることに疑念を膨らませ、食蜂とも騒がしいやり取りを続けた。
木原脳幹とアレイスター
新宿の高層ビル屋上では、ベージュの修道服を着たアレイスターと木原脳幹が再会していた。木原脳幹は下水を利用して学園都市から脱出しており、暴走した楽丘豊富に倒されたように見せたことも偽装であった。一方、アレイスターはハンドカフスの失敗を新統括理事長の成長に必要な経験と捉え、介入する意思を見せなかった。木原脳幹はそんな旧友に、あらゆる魔術を撃滅するため再び働くよう求めた。
生き残った者達
事件の終息とともに、それぞれの場所で生き残った者達も姿を見せた。海原光貴を名乗るエツァリ達は朝陽を眺め、絹旗最愛や麦野沈利も追跡を逃れていた。ドレスの少女は檻の中で生き延び、雲川芹亜姉妹も着ぐるみを脱いでいた。フレメア=セイヴェルンは眠り続け、フロイライン=クロイトゥーネが見守っていた。結標淡希も死体安置所から姿を現し、混乱した学園都市の現状を危ぶんでいた。
蘇ったフリルサンド#G
カキキエ隧道では、木原端数に潰されたはずの菓子箱からフリルサンド#Gが再び姿を現した。彼女は死んだドレンチャー=木原=レパトリを見下ろすと、現実には存在しないカキキエ隧道を構成する巨大なAIM拡散力場を自身へ吸収し始めた。人工的な幽霊だったフリルサンド#Gは、漆黒の涙を流しながら巨大な怨霊へ変貌した。
地上へ戻った浜面仕上
浜面仕上はカキキエ隧道を利用して逃げず、滝壺理后や残った子供達とともに長い階段を上って学園都市へ戻った。そこで待っていた黄泉川愛穂に両手を挙げ、自分の罪は償う一方、暗部によって意思に反して利用された被害についても放棄せず、自らの権利として追及すると宣言した。黄泉川も警備員内部の問題を洗い出す必要を認め、浜面の協力を受け入れた。
滝壺と子供達への願い
浜面は最初に、悪化している滝壺の人工透析を手配してほしいと頼み、さらに貨物列車で学園都市外へ出た子供達の行方も追ってほしいと求めた。逃げるだけでは暗部から自由になれないと悟った浜面は、ここから自分の意思で過去と向き合おうとしていた。
誰も触れていない銃声
その直後、黄泉川のホルスターに収まったままの拳銃が突然暴発し、至近距離から浜面を撃った。黄泉川は銃に触れておらず、浜面も彼女の意思ではないと理解した。終わったと思っていた事件の背後で、なお見えない力が働いていたのである。
浜面仕上の最後の悔い
倒れた浜面は、銃弾が滝壺や子供達ではなく自分に向かったことを勝ちだと受け止めた。意識が遠のく中で彼が最後に思い出したのは、以前預かったお守りであった。浜面は、それを妹へ返すという約束を果たせなかったことだけを悔いていた。
創約 とある魔術の禁書目録(2)
まとめ
創約 とある魔術の禁書目録(4)
同シリーズ
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外伝


とある暗部の少女共棲

同著者シリーズ
ヘヴィーオブジェクトシリーズ

その他フィクション

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