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Y.Aフィクション(Novel)八男って、それはないでしょう!読書感想

小説【八男】「八男って、それはないでしょう! 14」感想・ネタバレ

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Y.A

八男13巻レビュー
八男まとめ
八男15巻レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. エルとハルカの結婚
    2. ミズホ山の夫婦巡礼
    3. 爆炎のキンブリー討伐
    4. 冒険者予備校の講師
    5. 三人の女子生徒弟子
  6. 登場キャラクター
    1. バウマイスター伯爵家・関係者
      1. ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター
      2. エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム
      3. イーナ・ズザネ・ヒレンブラント
      4. ルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェーク
      5. ヴィルマエトル・フォン・アスガハン
      6. カタリーナ・リンダ・フォン・ヴァイゲル
      7. リサ・クレメンテ・ウルリーケ・エクスラー
      8. エルヴィン・フォン・アルニム
      9. ハルカ・フジバヤシ
      10. アマーリエ・フォン・マインバッハ
      11. ローデリヒ
      12. ドミニク
      13. レーア
      14. アンナ
    2. フジバヤシ家(ミズホ公爵領)
      1. タケオミ
      2. カエデ
    3. ヘルムート王国(王宮・貴族・その他)
      1. クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング
      2. ブランターク・リングスタット
      3. エーリッヒ・フォン・ベンノ・バウマイスター
      4. レガート男爵
      5. ベイヤー男爵家の若い男
      6. エドガー軍務卿
      7. ホーエンハイム枢機卿
      8. リネンハイム
      9. ヘリック・クレーメンス・ハインケス
      10. アグネス・フュルスト
      11. シンディ
      12. ベッティ
      13. アグネスの父親
      14. ベッティの兄
      15. シンディの父親
    4. アーカート神聖帝国
      1. テレーゼ・ジークリット・フォン・フィリップ
    5. 魔族
      1. アーネスト・ブリッツ
    6. その他の貴族・関係者
      1. レンブラント男爵
      2. ロットナー男爵
      3. 爆炎のキンブリー
  7. 展開まとめ
    1. 第一話 夫婦の初共同作業
    2. 第二話 妹よ! 妨害行為本番
    3. 幕間一 謎の対極の魔法使い、爆炎のキンブリー
    4. 第三話 ヴェンデリン先生
    5. 第四話 サングラス
    6. 第五話 ヴェンデリン、花を贈る
    7. 第六話 ヴェンデリン、再び飲食店にテコ入れをする
    8. 第七話 過去の思い出と現実
    9. 第八話 教師生活でも、色々と面倒事が増える
    10. 巻末おまけメイドさんによる短期研修
  8. 同シリーズ
    1. 八男って、それはないでしょう!シリーズ
    2. 異世界帰りのパラディンは、最強の除霊師となるシリーズ
    3. 異世界帰りの勇者は、ダンジョンが出現した現実世界で、インフルエンサーになって金を稼ぎます!シリーズ
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

本作は、異世界に転生した貧乏貴族の八男・ヴェンデリンの波乱に満ちた活躍を描くファンタジー小説の第14巻である。
物語は、ヴェンデリンの親友であるエルヴィン(エル)とハルカの結婚式から始まる。
無事に式が執り行われたのも束の間、ハルカの兄である重度のシスコン・タケオミが、夫婦初の共同作業である「お札納めの巡礼」を密かに妨害して結婚を阻止しようと企む。
これに対し、ヴェンデリンやその妻たちは妨害を阻止すべく、夫婦巡礼を装って彼らの旅に合流する。
一方、妻たちの同時妊娠によって一時的に冒険者を休業したヴェンデリンは、王都の冒険者予備校で臨時講師を引き受けることになり、有能な生徒らと教え教えられの関係を築きながら、彼女らを巡る貴族の利権争いに巻き込まれていく。

■ 主要キャラクター

  • ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター
    • 本作の主人公である。妻たちが妊娠初期に入り冒険を休止したため、王都の冒険者予備校で臨時講師を務めることになる。
  • エルヴィン・フォン・アルニム(エル)
    • ヴェンデリンの親友かつ家臣である。本作でハルカと結婚するほか、メイドのレーアや故郷の幼馴染であるアンナも妻として迎えることになり、かつての失恋生活から一転して複数の妻を持つ立場へと変貌する。
  • ハルカ・フジバヤシ
    • エルの妻となるミズホ出身の女性剣士である。優れた内助の功を発揮し、無事に巡礼の儀式をやり遂げる。
  • タケオミ
    • ハルカの兄であり、妹に異常な執着を見せる抜刀隊の剣士である。エルの結婚を認められず巡礼を妨害しようとするが、すべて失敗に終わり、最終的には従妹のカエデとの婚約が成立したと周囲に誤解されてしまう。
  • カエデ
    • フジバヤシ家の分家の娘であり、12歳の少女である。タケオミの妨害工作を最初から見抜き、彼の企みを阻止しつつ既成事実化を狙って婚約者の座を勝ち取る。
  • アグネス・フュルスト
    • 予備校のクラスで最も優秀な眼鏡姿の女子生徒である。実家は老舗の眼鏡店を営んでおり、ヴェンデリンが考案した「サングラス」の製品化・販売によって商売を大繁盛させる。
  • シンディ
    • 予備校のクラスで最年少である12歳の女子生徒である。実家は大規模な生花店であり、ヴェンデリンから贈られたチグリジアの花言葉(私を愛して)から、彼が求愛したと周囲に盛大に勘違いされる。
  • ベッティ
    • 予備校でアグネスたちと三人組を組む優秀な女子生徒である。実家は客が入らずに困窮していたレストランだったが、ヴェンデリンのアドバイスによって立ち飲み店へと改装し、大繁盛させる。
  • リサ(ブリザードのリサ)
    • ヴェンデリンの妻となった高名な魔法使いである。一時的に臨時講師を務めたが、普段のスッピン姿では男性と会話ができず、以前のド派手な化粧と衣装に戻って生徒たちを威圧しながら講義をこなした。
  • キンブリー(爆炎のキンブリー)
    • リサと並び称される高名な魔法使いである。普段は物静かで愛妻家だが、家族への危機感や嫌な予感を覚えると、魔物の領域の八割を消し去る最終魔法「ビッグバンエクスプロージョン」を発動させる極端な一面を持つ。

■ 物語の特徴

  • コメディ色の強いエルヴィンの「多妻化」劇
    かつて失恋でボロボロだったエルが、ハルカに加えてメイドのレーア、幼馴染のアンナの3人を妻に迎えることになり、その急速なリア充化が描かれる。ヴェンデリンがその羨ましさから激しい「嫉妬砲」や嫌がらせ(ベッティの兄への鉱山送り発破など)を炸裂させるドタバタ劇が大きな魅力である。
  • タケオミのセコい妨害工作とカエデの驚異的な「外堀埋め」
    妹の結婚を阻止したいタケオミが、突風や投石、迅雷号(ツバメ)を使ってお札を飛ばそうと奮闘するが、ヴェンデリンたちの鉄壁の防御にことごとく跳ね返される。さらに12歳のカエデが、上官への根回しやお土産の巡礼饅頭を通じてタケオミとの婚約を完全に外堀から埋めていく頭脳戦がユーモラスに描写されている。
  • ヴェンデリンの「教師」としての成長と領地内政の加速
    魔力路や魔力袋のイメージ指導、魔法の圧縮技術など、実戦に即したヴェンデリンの指導は生徒たちから絶賛され、彼自身も教師生活にやりがいを感じ始める。また、ベイヤー男爵家のような悪質な貴族から優秀な生徒(アグネスたち)を守るため、パウルブルク支部の冒険者予備校開設を急速に前倒しして開校させるという、内政主導の機転も本作の見どころである。

書籍情報

八男って、それはないでしょう! 14
著者:Y.A 氏
イラスト:藤ちょこ 氏
出版社:KADOKAWAMFブックス
発売日:2018年8月25日
ISBN:9784040651316

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

ヴェンデリン、先生になる!
癖のある魔法使いリサが身内となり、賑やかさを増すバウマイスター伯爵家。
そんなすったもんだの日々を挟み、エルとハルカの結婚式がいよいよ明日へと迫っていた。
だが、和風な式場と和やかな雰囲気の中にあって、ただ一人殺気を帯びる者がいた。ハルカの兄、タケオミである。
限られた時間の中、彼は彼なりに思案を巡らせ、なんとか結婚を阻止できないかと足掻くのだが……。
一方、ヴェルは王都にある冒険者予備校の臨時講師を任されることとなった。
適任かどうかに疑問を持ちつつも、有能な生徒らと教え教われの関係を築き、その職務を全うしていく。
エルとタケオミ、ヴェルと教え子、悲しき男の生き様と次の世代の成長を描く第十四幕!

八男って、それはないでしょう! 14

感想

今回、個人的に一番よかったのはエルである。

第7巻では失恋してかなりボロボロになっていたのに、今ではハルカと結婚。

さらに幼馴染みのアンナまで押しかけてきて、レーアもエルとの結婚を狙っている。

……いつの間にこんなリア充になったんだ。

本当によかったな、エル。

一方のヴェンデリンも、妻たちが次々と懐妊。

喜ばしいことではあるのだが、その影響で自由に魔の森へ冒険へ行けなくなってしまう。

そこで始めたのが冒険者予備校の臨時講師。

ところが、こちらでも優秀な女子生徒三人に懐かれる。

エルだけではない。

ヴェンデリンの周囲も相変わらず女性関係が増えていく一冊だった。

エルとハルカの結婚を邪魔するシスコン兄

まずはエルとハルカの結婚。

ミズホで行われる結婚式は、白無垢や紋付き袴のような衣装に、神前式を思わせる儀式。

かなり日本っぽい。

そして結婚式そのものは無事に終わるのだが、ミズホではその後に「夫婦初の共同作業」が待っていた。

二人の名前が書かれた札を、ミズホ山環にある八ヵ所の祠へ納めて回る巡礼である。

四、五日から一週間ほどかかるので、巡礼そのものが新婚旅行のようなものになっている。

ここで問題になるのがハルカの兄タケオミ。

筋金入りのシスコンである。

表向きは結婚式を邪魔しなかったので、

「さすがに諦めたのかな?」

と思ったら全然諦めていなかった。

巡礼に失敗すれば、

「この結婚は神に祝福されていない」

として婚姻をひっくり返せる可能性がある。

そこでエルたちの札を飛ばす。

落とそうとする。

鳥に奪わせようとする。

水で濡らそうとする。

火口へ落とそうとする。

……セコい。

妹の結婚を邪魔するためだけに、抜刀隊で鍛えた技術をこんなことに使うなよ。

しかもヴェンデリンたちが妨害を警戒して同行しているので、全部阻止される。

エルとハルカ本人には気付かれないようにしなければならないため、タケオミも派手な手段を使えない。

結果として、凄腕の剣士による壮大な嫌がらせ大会みたいになっていた。

妹の結婚を邪魔していたら、自分の婚約が決まっていた

そんなタケオミより一枚も二枚も上手だったのがカエデである。

タケオミの企みを最初から見抜いて、一緒に巡礼についてくる。

表向きは協力しているようにも見える。

しかし実際には、

「ハルカ様の結婚を邪魔したら嫌われますよ」

と何度も忠告している。

そして最後の祠。

カエデが自分から姿を晒したことで、タケオミの変装までハルカにバレる。

終わった。

……と思ったら、ハルカは盛大に勘違いする。

兄はカエデとの婚前巡礼に来ている。

だから変装していたのだ、と。

タケオミも、

「妹の結婚を邪魔していました」

なんて言えるはずがない。

ハルカに嫌われるくらいなら、カエデとの婚約を認めるしかない。

しかもカエデはちゃっかり自分たちの札まで用意して、八ヵ所すべての祠へ納めていた。

さらにタケオミが一週間もの休暇を取れたのも、カエデが抜刀隊へ「婚前巡礼です」と話を通していたから。

完全に外堀を埋められている。

妹の結婚を邪魔しに来たはずなのに、自分まで結婚のための巡礼を終えている。

何をやってるんだ、この兄。

剣では強いのに、カエデにはまったく勝てそうにない。

第7巻で失恋していたエルが、気付けばリア充になっていた

そして本巻では、エルの女性関係もさらに賑やかになる。

ハルカと結婚したばかりなのに、まずレーアが側室候補として名乗りを上げる。

さらに現れたのが、エルの幼馴染みアンナ。

アンナは故郷で、かなり年上の名主の後妻にされそうになり、それを嫌ってエルを頼って逃げてきた。

最初のエルは、今の自分の立場を考えてアンナを故郷へ帰そうとする。

バウマイスター伯爵家の家臣である自分が勝手に匿えば、故郷との問題になると考えたからだ。

妙に真面目である。

しかし女性陣から、

「今のお前の立場なら、そこまで恐れる必要ないだろう」

と総ツッコミ。

最終的にアンナも受け入れることになる。

第7巻で恋に破れてボロボロだったエルを思い出すと、この変化がすごい。

ハルカと結婚。

レーアもいる。

さらに幼馴染みのアンナまでやってくる。

一時期は、

「エル、大丈夫か……」

と思っていたのに。

今では、

「お前、めちゃくちゃリア充じゃないか」

である。

よかったな、エル。

ただ、巻末などを見る限り、エルの周囲はまだ増えそうな気配もある。

ヴェンデリンだけではなく、親友までこうなるのが『八男』なのかもしれない。

冒険できないヴェンデリン、先生になる

一方のヴェンデリン。

エリーゼ、イーナ、ルイーゼ、カタリーナたちが妊娠したことで、これまでのようにドラゴンバスターズで気軽に魔物の領域へ行けなくなってしまう。

ヴェンデリンにとって冒険は仕事だけではなく、息抜きでもあった。

それができない。

領地にいれば土木工事。

休みも仕事。

この人、本当に働いているな。

そんな時に頼まれたのが、王都の冒険者予備校での臨時講師だった。

ここで意外だったのが、ヴェンデリンが先生として結構優秀だったこと。

本人は天才的な魔力量を持っているが、自分自身がアルフレッドから基礎を教わり、一つずつ練習してきた経験もある。

だから初心者に、

魔力をどう流すのか。

なぜ基礎訓練が必要なのか。

同じ魔力量でもどうすれば効率よく戦えるのか。

といったことを具体的に説明できる。

単純に、

「強い魔法を撃て!」

ではない。

冒険者なら素材を壊さず倒した方が稼げる。

長く働くためには魔力消費も抑えた方がいい。

かなり実践的である。

冒険者としての経験が、そのまま教師として生きているのが面白かった。

アグネス、シンディ、ベッティ。三人とも先生の先を狙ってない?

そしてヴェンデリンの授業で特に優秀だったのが、

アグネス。

シンディ。

ベッティ。

三人組の《マジカルトライアングル》である。

大野外遠足では、魔法と弓を上手く組み合わせて圧倒的な成績で優勝。

ヴェンデリンも約束どおり、高級フルーツパーラーへ連れていく。

本人としては、

「優秀な生徒を褒めている」

くらいの気持ちなのだろう。

しかし周囲から見ると、

「優秀な女魔法使い三人を弟子として囲い込もうとしていない?」

と見える。

そして本人たちも、どうも先生と生徒だけで終わるつもりがなさそうである。

アグネスは実家の眼鏡店。

シンディは実家の生花店。

ベッティは兄の飲食店。

ヴェンデリンがそれぞれの家族と関わり、商売まで助けてしまう。

すると家族側も、

「もしかしてうちの娘と……?」

となる。

本人にそんな意図はほとんどないのに、勝手に外堀が埋まっていく。

いつものヴェンデリンである。

しかも三人の側も、将来的な可能性をまんざらでもないと思い始めている。

先生、完全にロックオンされてない?

強引な貴族から守った結果、自領へ連れてくることになる

さらに厄介なのが、優秀な若い魔法使いを狙う貴族たちだった。

帝国内乱で魔法使いの有用性が改めて知られたことで、将来有望な生徒を自家へ囲い込もうとする動きが強くなっている。

中でも酷かったのがベイヤー男爵家。

アグネスたち三人を勝手に分割し、自分たちのパーティへ入れる。

領民にして自由を奪う。

そんなことまで一方的に言い出す。

本人たちの意思はどこへ行った。

最終的には、相手がヴェンデリン本人だと知って逃げていくのだが、問題そのものは残る。

そこで出てきたのが、

バウルブルクに冒険者予備校を作る

という案だった。

もともと計画されていた学校を前倒しで開校。

王都から希望する生徒を移す。

当然、アグネスたちも転校する。

これなら貴族たちから強引に囲い込まれる危険も減る。

問題解決。

……なのだが。

ヴェンデリンの領地に学校を作り、

ヴェンデリンがそこで教え、

三人もその学校へ転校してくる。

あれ?

これ、さらに距離が近くなってない?

守った結果、三人がもっとヴェンデリンの近くに来てしまった。

彼女たちからすれば最高の環境である。

読後の感想

『八男って、それはないでしょう!14』は、エルとヴェンデリンの女性関係が妙に印象に残る一冊だった。

何よりエル。

第7巻で失恋してボロボロになっていた頃から考えると、本当に状況が変わった。

ハルカと結婚し、その巡礼も無事に終了。

レーアも側室候補として動き、幼馴染みのアンナまで頼ってくる。

今度は女性関係で悩む側になっている。

よかったな。

本当に。

一方のヴェンデリンは、妻たちが妊娠して冒険へ行けなくなった結果、冒険者予備校の先生になる。

そこで三人の優秀な女子生徒に懐かれる。

しかも生徒本人だけではなく、その家族まで将来を期待し始める。

さらに危険な貴族から守るため、自領に学校まで作って三人を連れてくる。

本人は善意で動いているだけなのに、

なぜか自分から囲い込んでいるような状況になる。

相変わらずである。

エルはようやく恋愛面で報われ始めた。

ヴェンデリンはすでに妻が大勢いて、さらに子供まで次々と生まれる予定なのに、まだ女性関係の種が増えていく。

第14巻を読んで一番思ったのは、

「エルは本当によかった。でもヴェンデリン、お前はまだ増えるのか?」

だった。

シスコン兄の妨害から始まり、臨時講師、女子生徒、強引な貴族、学校の新設まで。

大きな戦争がなくても、相変わらず周囲が騒がしい一冊だった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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八男13巻レビュー
八男まとめ
八男15巻レビュー

考察・解説

エルとハルカの結婚

エルヴィンとハルカの結婚と巡礼の全貌

『八男って、それはないでしょう!』において、主人公ヴェンデリンの親友であり家臣でもあるエルヴィン・フォン・アルニム(エル)と、ミズホ公爵領出身の女剣士ハルカ・フジバヤシの結婚について、出会いと婚約に至る経緯、ミズホ式での和風結婚式、お札納めの巡礼とシスコン兄の妨害工作、カエデの奇策と結末、およびその後の多妻化とリア充への変貌の各点から解説する。

出会いと婚約にいたる経緯

エルとハルカの出会いは、帝国親善訪問団としてミズホ伯国を訪れた際に始まった。

・エルは、腰に魔刀を帯びた抜刀隊の優秀な女剣士であるハルカの姿を見た瞬間、恋に落ちた。
・ハルカに惚れたエルは、彼女から刀術を教わるなどして積極的に距離を縮めていった。
・しかし、ハルカの実兄であり、抜刀隊の優秀な剣士でもあるタケオミは極度のシスコンであった。
・自分より弱い男に妹は預けられない、と立ちはだかるタケオミに対し、エルの主君であるヴェンデリンが代わりに決闘を引き受けることになった。
・ヴェンデリンは魔法を駆使してタケオミの魔刀を用いた奥義を辛くも防ぎ、決闘に勝利した。
・これにより兄の許しを得たエルはハルカに求婚するが、恋愛に極めてウブなハルカは当初、これを剣術指南役としての雇用要請と勘違いするという一幕もあった。
・誤解が解けた後、エルはハルカにホッポウサンゴの髪飾りを婚約指輪代わりに贈り、無事に二人の婚約が成立した。

ミズホ式での和風結婚式

二人の結婚式は、ハルカの故郷であるミズホで行われた。

・挙式は神社と寺が融合したような厳かな和風の式場で行われ、ハルカは白無垢に似たミズホ服を、エルは紋付き袴に似た衣装を着用した。
・神官によるお祓いや、巫女の舞、夫婦で杯を交わす儀式など、前世の日本の神前式に酷似した形式で進行した。
・この時、バウマイスター伯爵家ではエリーゼ、イーナ、ルイーゼ、カタリーナの妻4人が同時に妊娠初期に入っていた。
・妊婦への瞬間移動魔法の使用は母体と胎児に悪影響を及ぼす懸念があるため、4人は王都で留守番となり、ヴィルマがその世話のために残った。
・そのため、ヴェンデリンは新妻のカチヤ、テレーゼ、そしてリサを伴ってミズホの挙式に出席した。
・結婚を一度は拒んでいた兄のタケオミも、親族席で静かに二人を見守り、式自体は滞りなく終了した。

試練:「お札納めの巡礼」とシスコン兄の妨害工作

結婚式を終えた二人に、ミズホの伝統的な儀式であるお札納めの巡礼という夫婦初の共同作業が課された。

・これは、盆地を囲むミズホ山環に点在する8カ所の祠に、二人の名が書かれた特別なお札を納めて回る儀式である。
・これを夫婦でやり遂げて初めて、神と周囲から正式な夫婦として認められるルールであった。
・通常は一週間ほどかけて山道を歩き、祠の近くにある宿に泊まりながら巡礼を行う。
・しかし、タケオミはこの巡礼を失敗させれば神の祝福がないという理由で、合法的に結婚を中止に追い込めると気づき、密かに妨害工作を企てた。
・タケオミの不穏な動きを察知したヴェンデリンたちは、エルたちの旅路を守るため、自分たちも夫婦巡礼の形を装って現地で合流した。
・タケオミはハルカにバレないよう、分家の12歳の少女カエデと夫婦のフリをして尾行し、様々な妨害を行った。
・最初の祠:タケオミが刀による突風を放ってお札を吹き飛ばそうとしたが、ジャンプしたカチヤによって空中でお札を回収され失敗した。
・二つ目の祠:崖の上から石を落としてお札を落とさせようとしたが、祠自体が落石で壊れており、巡礼者が下の祠を使用していたため実行すらできなかった。
・三つ目の祠:フジバヤシ家で飼うミズホツバメの迅雷号を放ってお札を攫わせようとしたが、前衛を務めていたヴィルマの野生的な殺気と威圧感に恐れをなしたツバメが逃げ出してしまい失敗に終わった。
・その他の祠:お札を水で濡らそうとする工作はリサの氷結魔法で凍らされ、火口へ飛ばそうとした風圧はテレーゼの防御によって防がれた。

カエデの奇策と驚きの結末

タケオミの妨害がことごとく失敗する中、タケオミに付き添っていた少女カエデは驚くべき頭脳戦を展開していた。

・最後の祠の手前で、カエデは自ら笠を外してハルカに姿を見せ、隣にいたタケオミの変装も暴いてしまった。
・そしてハルカに対し、タケオミ様とカエデが婚前巡礼に来た、と盛大に勘違いさせる嘘の報告を行った。
・実はカエデは、タケオミが抜刀隊から一週間の長期休暇を取得する際、上官に対してカエデとの婚前巡礼を行うためと裏で事前に根回しをしていた。
・さらにカエデは道中、タケオミの目を盗んで、事前に用意していた自分たちの札をしっかりと各祠に納め続けていた。
・ハルカに巡礼の妨害工作をしていたと知られれば一生ゴミクズ扱いされると恐れたタケオミは、この大誤解を否定することができなかった。
・結果、タケオミはエルたちの妨害に完全失敗しただけでなく、周囲の同僚や親族からカエデとの婚約が正式に成立したと扱われる状況に追い込まれて自滅した。
・こうして、エルとハルカは無事に8カ所の祠すべてにお札を納め終わり、神と周囲から祝福された本物の夫婦となった。

その後の「多妻化」とリア充への変貌

無事にハルカと結ばれたエルであったが、物語の後半には驚くべき急展開が待っていた。

・エルの実家近くにある商店の娘で、60歳近い名主の後妻にされそうになり王都へ逃げてきた幼馴染のアンナを妻(二人目)として迎えることになった。
・さらに、バウマイスター邸のメイドであり、エルの側室の座を狙っていたしっかり者の少女レーアとも正式に婚約が成立した。
・ハルカ自身も高い包容力を示し、エルの多妻化を快く祝福して受け入れた。
・かつて第7巻において、ブロワ辺境伯の隠し子カルラへの手痛い失恋によって精神的にボロボロになり、周囲から哀れまれていたエルであったが、ハルカ、アンナ、レーアという3人の美しき妻を同時に迎える大リア充へと変貌を遂げた。
・これには、自身も多くの妻を抱えるヴェンデリンからさえも、かつてのボッチ生活のトラウマを引きずって激しい嫉妬を浴びることとなった。

まとめ

エルヴィンとハルカの結婚と巡礼を巡る一連の全貌は、ミズホ訪問時の運命的出会いとヴェンデリンの代理決闘によるタケオミ撃破から始まり、白無垢風装束による和風結婚式の挙式、シスコン兄タケオミによる巡礼妨害工作の連発、カエデの頭脳戦によるタケオミ自滅とお札納めの完了、そしてアンナとレーアの加入による3人の多妻化達成に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
手痛い失恋や身内の執拗な妨害という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、不屈の愛の成就と夫婦の絆の記録である。
勘違いの求婚から、和風の誓い、セコい妨害の粉砕、巡礼の満願、そして羨望を集める多妻化へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

ミズホ山の夫婦巡礼

ミズホ山の夫婦巡礼の全貌とエル・ハルカの結婚成就

『八男って、それはないでしょう!』第14巻に登場する「ミズホ山の夫婦巡礼(お札納めの巡礼)」について、夫婦巡礼のシステムと社会的意味、タケオミの妨害工作とヴェンデリンたちの防衛、カエデの裏での頭脳戦とタケオミの自滅、およびヴェンデリンの巨大なお札の各点から解説する。

夫婦巡礼のシステムと社会的意味

ミズホにおいて、結婚式を挙げた夫婦は必ずこの巡礼を行わなければならない。

・巡礼のルールと内容:夫婦二人の名前、朱印、呪文が書かれた特別なお札を、ミズホ盆地を囲む長大な山脈「ミズホ山環」に点在する8箇所の祠に納めて回る。これらすべての祠にお札を納め終えることで、初めて神と周囲から正式な夫婦として認められる。
・期間と宿泊環境:山道は険しく、全行程を回るには通常四、五日から一週間ほどかかる。そのため、新婚夫婦は最低でも一週間の休みを取るのが一般的である。なお、道中のすべての祠の近くには夫婦向けの宿が整備されており、野宿の必要はない。これは巡礼と新婚旅行が合体したような一大行事として機能している。
・厳格な殺生禁止:巡礼中(山の中)は殺生禁止という厳しい戒律があり、宿での食事も肉や魚が一切出ない質素なものになる。
・失敗した場合のペナルティ:お札を紛失したり、怪我や病気で途中で断念したりすると巡礼失敗とみなされ、どれほど高貴な一族であっても婚姻自体が合法的に中止・破棄に追い込まれるというリスクを孕んでいる。

タケオミの妨害工作 vs ヴェンデリンたちの鉄壁の防衛

ハルカを溺愛する兄タケオミは、巡礼に失敗すれば結婚を中止にできるというルールを利用し、密かに妹の結婚を阻止しようと企んだ。

・しかし、その不穏な動きを察知したヴェンデリン、テレーゼ、リサ、カチヤ、ヴィルマは、エルとハルカを陰から守るため、自分たちも夫婦巡礼を装って山へと入った。
・タケオミは分家の12歳の少女カエデと夫婦のフリをしてエルたちを尾行し、各祠でハルカにバレないよう妨害工作を試みた。
・一カ所目の祠(突風策):タケオミが刀による風圧で、ハルカが木箱に納めようとしたお札を上空へ吹き飛ばした。しかし、抜群の反射神経を誇るカチヤが頭上高くジャンプしてお札をキャッチし、難を逃れた。
・二カ所目の祠(投石策・不発):巨岩の上にある祠へ登るエルを小石で狙い、お札を落とさせようと画策した。しかし、たまたまその祠が落石で壊れており、巡礼者は下の祠を使うよう案内されていたため、作戦自体が空振りに終わった。
・三カ所目の祠(ミズホツバメ襲撃策):タケオミがフジバヤシ家の飼いツバメ「迅雷号」を放ち、上空からお札を強奪させようと急降下させた。しかし、野生の狩人であるヴィルマが放った一瞬の凄まじい威圧感と殺気にツバメが恐怖し、そのまま逃げ去ってしまった。
・四カ所目の祠(水濡れ策):滝の近くにある祠で、滝の流れる向きを剣圧で変えてお札を濡らして台無しにしようとした。これは、リサが滝の水を一瞬で凍らせることで防御された。
・五カ所目の祠(火口落下策):お札を風で火山の火口に落とそうと試みたが、タケオミの行動を完全に読んでいたテレーゼが、お札の前に身を呈して立ちはだかり、風圧を遮断した。

カエデの裏での頭脳戦と、タケオミの自滅

タケオミの妨害がことごとく失敗に終わる中、タケオミを監視するために同行していた少女カエデは、さらに一枚上手の策略を巡らせていた。

・最後の祠を前にしてタケオミが次の策に窮していると、カエデは突然被っていた笠を外し、ハルカの前に姿を現してタケオミの変装も暴いてしまった。
・そして驚くハルカに対し、タケオミ様とカエデが、婚前巡礼に来たのです、と満面の笑みで告げた。
・実はカエデは、タケオミが抜刀隊から一週間の休暇を取る際、上官に対して裏でカエデとの婚前巡礼のためと説明し、スムーズに休暇の許可を通していた。
・タケオミがエルたちの尾行と妨害に必死になっている間、自分たち用の札を裏でしっかりと各祠に納め続けていた。
・ハルカに妹の結婚を邪魔しにきたと知られれば、一生ゴミクズ扱いされると恐れたタケオミは、このカエデとの婚約という誤解をその場で否定することができなかった。
・翌日、彼が出仕すると、カエデが事前に配った巡礼饅頭の効果もあり、抜刀隊全体からカエデとの婚約を祝福され、タケオミは完全に自滅・包囲される形でカエデを許嫁として受け入れる羽目になった。

ヴェンデリンの「巨大なお札」

この巡礼において、ヴェンデリン自身も妻たちから夫婦円満のご利益があるお札を納めてきてほしいと託され、代理で巡礼を行っていた。

・しかし、一般的なお札は夫婦2人の名前を書くのに対し、ヴェンデリンにはエリーゼ、カタリーナ、ヴィルマ、ルイーゼ、イーナなど多数の妻がいたため、お札のサイズが通常の4倍近い巨大なものになってしまった。
・書く名前や呪文、朱印も妻の数に比例して増えたため、神官に特注で制作してもらう代金(初穂料)も天文学的な高額となり、ここでも多妻ゆえのヴェンデリンらしいドタバタが描かれている。
・最終的に、エルとハルカは無事に8箇所の祠すべてにお札を納め終え、神と周囲に祝福された正式な夫婦となった。

まとめ

ミズホ山の夫婦巡礼の全貌とエル・ハルカの結婚成就を巡る一連の全貌は、ミズホ山環8箇所の祠を回る厳格な伝統儀式の開始から始まり、シスコン兄タケオミによるセコい妨害工作とヴェンデリン一行の鉄壁の防衛、裏で進行していたカエデの緻密な外堀埋めによるタケオミの婚約自滅、多数の妻を持つヴェンデリンの巨大お札騒動、そして8箇所の満願によるエルとハルカの正式な夫婦成立に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
妹離れできない肉親の妨害や伝統の厳しいペナルティという不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、仲間たちの団結と夫婦の絆の記録である。
妨害の察知から、護衛の遂行、カエデの奇策、タケオミの自滅、そして全祠満願へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

爆炎のキンブリー討伐

爆炎のキンブリーとの共同討伐作戦の全貌

『八男って、それはないでしょう!』に登場する「爆炎のキンブリー」に関して、まず重要な事実として、ヴェンデリンたちが爆炎のキンブリーを討伐したわけではない。

キンブリーは敵ではなく、国でもリサ(ブリザードのリサ)と並び称される超一流の味方魔法使いである。彼が関わった討伐とは、レンブラント男爵の妻の実家であるロットナー男爵領の魔物領域を解放するため、ヴェンデリンたちと共同でバーサークバード(怪鳥)の群れを討伐したエピソードを指す。

この、一見温和なマイホームパパでありながら、極端な爆発力を秘めたキンブリーとの共同討伐作戦の全貌について解説する。

「爆炎のキンブリー」という人物と驚くべき二面性

キンブリーは、使う魔法の派手さとは裏腹に、普段は非常に礼儀正しく常識的な人物である。しかし、彼には極端な二面性(ギャップ)が存在する。

・普段の姿(重度の愛妻家・子煩悩):彼は幼馴染の妻メリーと二人の娘を狂おしいほど愛している。他人に家族のことを聞かれると、嬉々として食いつき、ノンストップで2時間以上も家族の自慢話を語り続けるため、周囲をよく絶句させている。
・普段の戦闘スタイル(極めて精密な火魔法):二つ名は爆炎であるが、普段の狩りでは素材を傷つけないよう、魔力の消費を抑えて獲物の肺だけを焼いて窒息させるという、極めて緻密で無駄のない戦い方をする。
・本気の姿(危機感が生む「ビッグバンエクスプロージョン」):そんな彼がひとたび「これでは愛する家族に二度と会えなくなるかもしれない」という強い危機感や恐怖を覚えると、本能の赴くままに周囲をすべて消し去る最終広域爆発魔法「ビッグバンエクスプロージョン」を放つ。彼の爆炎という二つ名も、過去の紛争時に「早く家に帰って家族の顔が見たいから」という理由で、岩山を爆破して紛争を終わらせたことに由来している。

バーサークバード共同討伐の経緯

ロットナー男爵領にある魔物の領域は、帝国と王都を結ぶ街道整備の妨げとなっており、その解放が急がれていた。

・領域のボスは、鳥型の魔物バーサークバードである。最弱のボス部類ではあるが、知性が高く、中途半端に傷つけるとバーサーク化(狂暴化)して命を顧みずに襲いかかってくるため、一撃で仕留めなければならない厄介な魔物であった。
・現地に入ったヴェンデリンたちとキンブリーは、二手に分かれて討伐を開始する。
・しかし、ここでギルド側の重大な集計ミスが発覚する。事前の想定ではボスは50匹程度とされていたが、実際には数百匹規模に異常増殖していたのである。

衝撃の結末:すべてを灰にする「爆炎」

別ルートを進んでいたキンブリーは、想定を遥かに超える何百匹ものバーサークバードの群れに完全に包囲されてしまった。「このままでは家族に会えなくなる」と極限の恐怖を感じた彼は、本能的に最終魔法「ビッグバンエクスプロージョン」を発動させた。

・凄まじい爆風と炎により、バーサークバードの群れは一瞬で一掃されたが、同時に魔物の領域の約8割が完全に消し炭となって消滅した。
・失われたごちそう:ヴェンデリンとヴィルマは、討伐後にバーサークバードの肉で高級焼き鳥を作り、その卵で親子丼やプリンを作ることを何よりも楽しみにして meいた。しかし、キンブリーの容容赦ない爆炎によってお肉も卵もすべて消し炭(灰)になってしまい、二人は涙を呑むこととなった。
・本人のマイペースな去り際:これだけの大規模火災を起こし、開発予定の森や貴重な素材を丸焼けにしたにもかかわらず、キンブリー自身は仕事は終わったのでと全く反省も悪気もみせず、平然と妻と娘へのお土産を買って帰路についた。

まとめ

爆炎のキンブリーとの共同討伐作戦を巡る一連の全貌は、家族愛に満ちた普段の精密な戦い方から始まり、ギルドの集計ミスによる数百匹のバーサークバード包囲、極限の恐怖が生んだ最終広域爆発魔法「ビッグバンエクスプロージョン」の炸裂、そして領域8割の消滅と高級焼き鳥・卵料理の全滅に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
想定外の危機や過酷な戦場環境という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的火力による領域排除とマイホームパパの現実の記録である。
過密な自慢話から、討伐の開始、異常増殖の露呈、爆炎の全焼、そしてお土産携行の帰還へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

冒険者予備校の講師

ヴェンデリンの冒険者予備校臨時講師就任とバウルブルク支部の全貌

『八男って、それはないでしょう!』第14巻において、ヴェンデリンが王都の冒険者予備校で引き受けることになった臨時講師のエピソードについて、予備校における魔法講師不足の深刻な実情、超・実践的な講義内容、リサが代理を務めた恐怖のブリザード授業、および優秀な3人娘とバウルブルク支部への前倒し移転の各点から解説する。

予備校における「魔法講師不足」の深刻な実情

ヘルムート王国において、魔法使いの才能を持つ者は極めて稀である。そのため、現役で稼げる優秀な魔法使いは冒険者として最前線で活動するか、大貴族や大商会に高給で抱えられるのが一般的であった。結果として、薄給の冒険者予備校で講師を引き受ける魔法使いはほとんどおらず、予備校の魔法講師陣は慢性的に貧弱という問題を抱えていた。

・これ生までは、ヨハネスという90歳を超える老魔導師が長年講義を担当していたが、認知症が進行して魔法そのものを忘れ始めるという事態に陥り、孫が退職届を出して引退してしまった。
・後任が全く見つからず困り果てた予備校のヘリック校長は、ブランタークを介して、妻たちの同時妊娠で一時的に冒険者を休業していたヴェンデリンに週3回、約1年間の臨時講師を依頼した。

ヴェンデリン先生の「超・実践的」な講義内容

前任のヨハネス先生の授業は、認知症の影響もあって昔の冒険譚を語るだけだったり、具体的な指導がなくとにかく自力で感覚を掴めという職人気質な精神論ばかりだったため、生徒たちの多くは基礎訓練すら曖昧な状態であった。これに対し、ヴェンデリンは自身の経験やかつての師アルフレッドから受け継いだ理論、そして前世の科学的な知識を総動員して、極めて論理的で分かりやすい講義を行った。

・魔力路と魔力袋の視覚的なイメージ指導:魔法をスムーズかつ素早く発動させるための基礎である魔力路や魔力袋の拡張訓練について、市場で安価に手に入る猪の腸や猫の膀胱に魔法で水を流して膨らませる実演を行った。これにより、それまで曖昧だった魔力を体内で練る瞑想の具体的なイメージを生徒たちに植え付け、驚くほど理解を深めさせた。
・素材を傷つけない魔法の圧縮:大きなファイヤーボールをただ撃つだけでは、魔物の素材を焦がして商品価値を落とし、買い叩かれてしまう。そこで、魔力を節約しつつ仕留めるために、魔法をパチンコ玉や米粒サイズにまで圧縮して急所だけを正確に狙い撃つ技術を実演して教えた。これには、生活費を稼がなければならない貧しい予備校生たちも目の色を変えて熱心にノートを取った。
・戦車の理論を応用した傾斜・丸み魔法障壁:魔力が少ない中・初級の魔法使いにとって、全身を覆う魔法障壁の維持は魔力枯渇に直結する。そこで、前世の戦車の装甲板をヒントに、魔法障壁を45度ほど傾斜させたり、丸みを持たせたりすることで、受けた衝撃を受け流すという傾斜装甲の理論を実戦向けに伝授した。
・この有益で分かりやすい授業は生徒たちの間でまたたく間に評判となり、それまでは出席日数ギリギリしか出席しなかった生徒たちが、ヴェンデリンの講義の日にはほぼ全員が皆勤状態で出席するという熱狂ぶりを見せた。

リサが代理を務めた「恐怖のブリザード授業」

ヴェンデリンが領内の急速な土木工事でどうしても都合がつかない日、彼の代わりに新妻となった高名な魔法使いリサ(ブリザードのリサ)が臨時講師の教壇に立つことになった。

・しかし、リサにはスッピンだと極度の人見知りで、ヴェンデリン以外の男性とまともに会話ができないという致命的な弱点があった。
・案の定、最初は恥ずかしさからオドオドして声もまともに出せず、生徒たちから何を言っているか聞こえないと不満を向けられてしまう。
・パニックになったリサは一時教室を退出すると、10分後、かつてのド派手なボディコン風衣装とラメラメのマント、バブル期のメイク姿(武装モード)で帰ってきた。
・ブリザードのリサだ、クソガキ共、と叫びながら、おしゃべりな男子生徒の目の前の花瓶を瞬時にカチンコチンに凍らせて威圧する彼女の変貌ぶりに、教室内は阿鼻叫喚の恐怖に包まれた。
・しかし、ひとたび恐怖で統率された後の講義自体は水と風系統の非常に緻密で論理的な魔法理論であり、生徒たちからは内容は素晴らしかったが死ぬほど怖かったと泣きが入る結果となった。

優秀な3人娘と「バウルブルク支部」への前倒し移転

ヴェンデリンのクラスの中でも、特に優秀だったのがアグネス、シンディ、ベッティの3人娘(マジカルトライアングル)であった。

・アグネス:クラスで最も魔力が多い、眼鏡がトレードマークの真面目な学級委員長キャラである。
・シンディ:最年少12歳のオカッパ頭の少女である。実家は大商会の生花店である。
・ベッティ:実家は客が入らず困窮していた食堂である。ヴェンデリンのアドバイスで立ち飲み屋に改装し大繁盛した。
・彼女たちは予備校の大野外遠足(狩猟大会)で、ヴェンデリン直伝の魔法の矢や無駄のない立ち回りを駆使して圧倒的な成績で優勝を果たした。
・しかし、この活躍が仇となり、帝国内乱での魔法使いの活躍を見て自領にも魔法使いが欲しいと焦っていた欲深い下級貴族ベイヤー男爵家のドラ息子が現れ、彼女たちのパーティを強引に引き裂き、自分の領民に転籍させて金を搾取しようと脅しをかけた。
・これを知ったヘリック校長やヴェンデリンは激怒し、ベイヤー男爵家を即座にギルドのブラックリストに叩き込んだ。
・さらに、王都に留まっていてはまた別の有象無衆の貴族から卑劣な勧誘や魔の手が及ぶ危険があるため、ヴェンデリンはローデリヒに相談し、バウルブルクに建設中だった冒険者予備校バウルブルク支部の開校を急遽前倒し(わずか1週間で暫定開校)させた。
・アグネスたち3人娘をはじめ、王都の予備校にいた魔法使いクラスの生徒たちは、バウルブルクに行けば竜殺しのバウマイスター伯爵に守られ、さらにエリーゼ、カタリーナ、リサという大陸最高峰の魔法使いたちから直接指導が受けられるという夢のような環境に惹かれ、全員が喜んでバウルブルクへと転校していった。
・こうして、ヴェンデリンの先生生活は王都から彼自身の領地へと舞台を移し、バウルブルク支部の臨時講師として、次世代の魔法使いたちを育てる日々へと続いていくこととなった。

まとめ

ヴェンデリンの冒険者予備校臨時講師就任とバウルブルク支部の全貌を巡る一連の全貌は、慢性的な魔法講師不足の危機から始まり、前世の理論と実演を組み合わせた超実践的講義による生徒たちの熱狂、武装モードリサによる恐怖の代理講義、ベイヤー男爵家の強圧的勧誘に対するブラックリスト指定、そしてバウルブルク支部の電撃開校と生徒全員の転校に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
精神論や旧態依然とした指導体制、下級貴族の不当な圧迫という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、論理的教育の導入と次世代育成環境の整備の記録である。老魔導師の引退から、イメージ指導の開花、代理講義の混乱、不当勧誘の撃退、そして領地支部への全面移行へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

三人の女子生徒弟子

魔法使い3人娘(マジカルトライアングル)の全貌とヴェンデリン包囲網

『八男って、それはないでしょう!』第14巻において、一時的に冒険者を休業したヴェンデリンが王都の冒険者予備校で臨時講師を引き受けた際、彼のクラスでトップ3の実力を誇り、のちにヴェンデリンを「将来の旦那様候補」として熱烈にロックオンすることになる優秀な3人の女子生徒たち(通称「マジカルトライアングル」)について解説する。

彼女たちはただ優秀な教え子というだけでなく、それぞれがヴェンデリンの奇抜なアイデア(内政・商業改革)に巻き込まれ、実家を大繁盛させながらヴェンデリンへの想いを深めていく。この3人の女子生徒弟子(アグネス、シンディ、ベッティ)のプロフィール、特別なエピソード、ベイヤー男爵家からの救出とバウルブルクへの前倒し移転、そしてバウルブルクでの胃袋ロックオンと体重増加の悲劇の各点から全貌を明らかにする。

個性豊かな「マジカルトライアングル」のメンバー

アグネス・フュルスト、シンディ、ベッティのプロフィールとヴェンデリンとの特別なエピソードは以下の通りである。

・アグネス・フュルスト(学級委員長キャラ):ライトブラウンの髪を内巻きにした、眼鏡姿の知的な美少女である。クラスで最も魔力が多く、筆記試験でも優秀な成績を収める、実質的な学級委員長(まとめ役)を務めている。若すぎるヴェンデリンが「教師としての威厳」を出すために伊達眼鏡を買いに訪れた店が、彼女の実家である老舗の眼鏡店であった。
アグネスは「先生は眼鏡がなくても立派です」とヴェンデリンを感激させて伊達眼鏡を思いとどまらせ、代わりに彼が提案した「日光を遮る色つき眼鏡(サングラス)」を実家で共同試作・販売した。これが軍務系貴族や猟師の間で大ヒットし、実家の眼鏡店を大繁盛させた。
最初は純粋に尊敬していたものの、父親から「将来バウマイスター伯爵と結婚するのか?」とからかわれたことをきっかけに、密かに「チャンスがあればお嫁さんになりたい」と積極的になり始める。
・シンディ(最年少の有望株):12歳でクラス最年少のオカッパ頭の少女である。アグネスに肉薄する、クラス3位の魔力を持つ前途有望な魔法使いである。実家は王都の老舗大規模生花店を営んでいる。ヴェンデリンが妻たちへの贈り物として花を買いに彼女の店を訪れた際、お礼とチップ代わりにシンディ自身にも花を贈ることになった。しかし、花に疎いヴェンデリンが何も知らずに選んだのが「チグリジア」という花で、その花言葉は「私を愛して」であった。
これを知った彼女の父親や店員たちは「求愛された!」と大喜びし、バウルブルクへの支店進出計画まで立てて盛り上がった。シンディも最初は勘違いだと知って焦るが、家族がヴェンデリンとの結婚を大歓迎していることを知り、「お嫁さんになるのもいいかも」と前向きになり始める。
・ベッティ(しっかり者の妹):アグネスと並び立つ実力(クラス2位)を持つ、勝気でしっかり者な少女である。実家は客が入らずに困窮していたレストランであった。独創性のない店主の兄に呆れるベッティの姿を見たヴェンデリンは、店を「短時間利用・高回転率」の立ち飲み店へと改装するアドバイスを授け、さらにウナギ料理で成功したリバーの店主から川魚の仕入れを仲介した。
これが大繁盛し、兄は借金を無事完済することになる。ベッティは兄の借金の保証人になっていたが、実は「もし兄が借金を返せなくなったら、自分の身体を担保(借金返済の代わり)にして先生のもの(側室)になれるのではないか」という策略を密かに抱いていた。そのため、夜の片付け中に兄から「絶対に返すから!」と言われた際には、「返せなくても私は何とも思わない(むしろ返せない方が都合が良い)」と本気で願うなど、最も計算高い一面を見せている。

「ベイヤー男爵家」からの救出と、バウルブルクへの前倒し移転

大野外遠足(狩猟大会)で、ヴェンデリン直伝の魔法の圧縮技術や傾斜魔法障壁の理論を駆使し、圧倒的な成績で優勝した3人(マジカルトライアングル)。

・しかし、この活躍が仇となり、帝国内乱での魔法使いの功績を見て焦っていた貧乏貴族ベイヤー男爵家のドラ息子に目をつけられてしまう。
・ドラ息子は、彼女たちを強引に自分のパーティに引き込み、自分の領民(籍)に転籍させて、彼女たちが稼いだ金を実家に貢がせ、愛人として囲い込もうと脅してきた。
・これを知ったヘリック校長とヴェンデリンは激怒し、即座にベイヤー男爵家をギルドのブラックリスト(冒険者が寄り付かなくなる刑罰)に叩き込んだ。
・さらに、王都に留まっては有象無衆の有閑貴族にまた狙われると判断したヴェンデリンは、ローデリヒに相談し、バウルブルクに建設中だった「冒険者予備校バウルブルク支部」の開校を急遽前倒し(わずか1週間で暫定開校)させ、彼女たち魔法使いクラス全員を丸ごと転校させて自分の保護下に置くという、ウルトラCの解決策を実行した。

バウルブルクでの「胃袋ロックオン」と体重増加の悲劇

バウルブルク支部への転校後、3人娘はさらに積極的にヴェンデリンへのアプローチを強める。

・新設された予備校の寮ではまだ管理人(寮母)が不足していたため、メイドのレーアが彼女たちに炊事や洗濯の基本を教える「家事研修」を行うことになった。
・アグネスたちは、「自炊を完璧に覚えて、いつか大好きな先生(ヴェンデリン)に手料理を食べてもらう!」という強い意欲を持って、熱心に料理を学んだ。
・研修終了後、彼女たちは講義の合間を縫っては、順番に「手作りの料理やお菓子」をヴェンデリンの元へ差し入れるようになった。
・生徒たちが一生懸命に作ってくれた手料理を、優しい(かつ断れない)ヴェンデリンは毎回すべて完食してしまう。しかし、料理初心者の3人が作る料理は「間食にしては量が多すぎる」「素材本来の味を活かせず、甘みや脂の多い高カロリーな料理」ばかりであった。
・その結果、ヴェンデリンは短期間でみるみるうちに太ってしまい、これに激怒したメイド長のドミニクから、3人の教育担当であるレーアが「お館様を病気にする気ですか!」と強烈な拳骨(雷)を落とされるというオチがつくこととなった。

まとめ

マジカルトライアングルの全貌とヴェンデリン包囲網を巡る一連の全貌は、アグネス、シンディ、ベッティの個性溢れる実家救済(サングラス、チグリジア、立ち飲み店)から始まり、ベイヤー男爵家による過酷な脅迫とギルドのブラックリスト指定、バウルブルク支部の電撃前倒し開校と全員転校、そして家事研修を経ての差し入れによるヴェンデリンの体重増加に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
有閑貴族の理不尽な搾取や不条理な環境という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、商業・内政革新と師弟愛の記録である。
才能の発現から、実家の立て直し、不当脅迫の粉砕、保護下の移転、そして手作り料理による包囲網の形成へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

八男13巻レビュー
八男まとめ
八男15巻レビュー

登場キャラクター

バウマイスター伯爵家・関係者

ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター

本作の主人公である。
彼はバウマイスター騎士爵家の八男として生まれた。
彼は優れた魔法の才能を持っている。
後に、彼は新興のバウマイスター伯爵家を興した。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家の当主を務めている。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼はアンデッド古代竜を退治した。
 パルケニア草原の老地竜グレードグランドの討伐にも成功する。
 彼はその功績によって男爵、のちに伯爵に叙せられた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼は準男爵から男爵へ陞爵した。
 その後、彼は未開地の下賜にともない伯爵へと昇進する。

エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム

ヴェンデリンの婚約者であり、のちに正妻となる女性である。
彼女はホーエンハイム枢機卿の孫娘にあたる。
彼女は「聖女」と称される治癒魔法の使い手だ。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家の正妻だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女は教会や孤児院で奉仕活動を行った。
 彼女は怪我人や病人の治療を無償で引き受ける。
 彼女はヴェンデリンとともに悪霊の浄化を行った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女は「ホーエンハイム家の聖女」として王都で広く知られている。
 ヴェンデリンと結婚し、彼の正妻となった。

イーナ・ズザネ・ヒレンブラント

ヴェンデリンの幼馴染であり、彼の妻の一人である。
彼女は赤い髪が特徴のしなやかな女性だ。
彼女は槍術の使い手として知られている。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家の家臣だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女は冒メント予備校でヴェンデリンと出会った。
 彼女は彼のパーティメンバーとして魔の森の探索に参加する。
 彼女はエチャゴ草原の紛争にも従軍した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女の実家はブライヒレーダー辺境伯の陪臣にあたる。
 彼女はヴェンデリンの正式な家臣となり、のちに彼の妻となった。

ルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェーク

ヴェンデリンの幼馴染であり、彼の妻の一人である。
彼女は魔闘流という武術の使い手だ。
彼女は小柄で、活動的な性格をしている。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家の家臣だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女は魔の森の探索で前衛として活躍した。
 彼女はゴーレムとの戦闘で優れた格闘技術を見せる。
 彼女はカタリーナとの模擬戦でも戦った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女の実家はブライヒレーダー辺境伯に仕える陪臣である。
 彼女はヴェンデリンの家臣となり、のちに彼の妻となった。

ヴィルマエトル・フォン・アスガハン

ヴェンデリンの護衛であり、彼の妻の一人である。
彼女はエドガー軍務卿の養女にあたる。
彼女は「英雄症候群」という特異な体質の持ち主だ。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家の護衛だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女は戦斧を用いてヴェンデリンの護衛を務めた。
 彼女は魔の森や未開地での狩猟で活躍する。
 彼女はアームストロング導師との大食い競争で勝利を収めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女はアスガハン準男爵家の一族である。
 エドガー軍務卿の推薦によって、ヴェンデリンの妻となった。

カタリーナ・リンダ・フォン・ヴァイゲル

ヴェンデリンの妻の一人である。
彼女は風魔法を得意とする優秀な魔法使いだ。
彼女は没落したヴァイゲル家の再興を願っている。

・所属組織、地位や役職
 名誉準男爵だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女は魔の森の探索で風系統の魔法を駆使した。
 彼女はヴェンデリンと魔法の共同特訓を行う。
 彼女はエチャゴ草原の紛争で敵の魔法使いを捕らえた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女は名誉準男爵に叙せられ、御家再興を果たした。
 のちに、彼女はヴェンデリンの妻となる。

リサ・クレメンテ・ウルリーケ・エクスラー

「ブリザードのリサ」と呼ばれる高名な魔法使いである。
彼女はカチヤの魔法の師匠だ。
彼女は極度の人見知りという意外な性格を隠している。

・所属組織、地位や役職
 王都の高名なフリーの魔法使いだ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女は王太子の護衛を務めてバウルブルクを訪れた。
 彼女はヴェンデリンと魔法による決闘を行う.
 彼女はエチャゴ草原の紛争にも従軍した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女は決闘でヴェンデリンに敗北した。
 その後、彼女は彼の屋敷に居候することになる。

エルヴィン・フォン・アルニム

ヴェンデリンの親友であり、彼の家臣である。
彼は剣術に優れた才能を持っている。
彼はハルカやアンナ、レーアの夫となった。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家の従士長だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼は魔の森の探索で前衛を務めた。
 彼はハルカとの結婚のために夫婦巡礼をやり遂げる。
 彼はアンナを救うため、彼女を妻として迎えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼はアルニム騎士爵家の五男として生まれた。
 のちに、彼はバウマイスター伯爵家の従士長となった。

ハルカ・フジバヤシ

エルの妻の一人である。
彼女はミズホ公爵領出身の女剣士だ。
彼女はおとなしく、内助の功に優れている。

・所属組織、地位や役職
 ミズホ公爵領の抜刀隊員だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女はエルとの結婚式をミズホで挙げた。
 彼女は「お札納めの巡礼」を無事に完遂する。
 彼女はカチヤに基本的な刀技の指導を行った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女はエルの最初の妻となった。

アマーリエ・フォン・マインバッハ

ヴェンデリンの亡き兄クルトの未亡人である。
彼女はカールとオスカーの母親だ。
彼女は温和な性格で、実質的にヴェンデリンの側室となった。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家の侍女長だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女はクルトの死後、二人の子供を育てた。
 彼女はバウマイスター伯爵家で給仕役を務める。
 彼女は人見知りのリサから本音を聞き出した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女の実家はマインバッハ騎士爵家である。
 のちに、彼女はバウマイスター伯爵家の侍女長となった。

ローデリヒ

バウマイスター伯爵家の優秀な家臣である。
彼はルックナー財務卿の弟の私生児だ。
彼は極めて高い事務処理能力を持っている。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家の家宰だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼はバウルブルクの建設や道路網の整備を取り仕切った。
 彼は仕官希望者の不採用リストを作成する。
 彼は武芸大会において槍術で活躍した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼は数多くの不採用を乗り越え、ヴェンデリンに仕えた。
 のちに、彼はバウマイスター伯爵家の家宰へと昇進する。

ドミニク

エリーゼの幼馴染である。
彼女はバウマイスター伯爵家のしっかり者のメイド長だ。
彼女は新人の教育や屋敷の管理を行っている。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家のメイド長だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女はエリーゼのお供として仕えた。
 彼女は従妹のレーアに対して厳しいメイド教育を行う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女の母親はホーエンハイム家のメイド長である。
 のちに、彼女は産休に入った。

レーア

ドミニクの従妹である。
彼女はバウマイスター伯爵家の新人メイドだ。
彼女は少し調子に乗りやすい性格をしている。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家のメイドだ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女はエルヴィンとの初めてのデートに出かけた。
 彼女はアグネスたちに料理の基本を教える。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女はエルの側室(三人目の妻)としての婚約を成立させた。

アンナ

エルの幼馴染である。
彼女はエルの故郷の商店の娘だ。
彼女は六十歳近い名主の後妻にされそうになり、王都へ逃げてきた。

・所属組織、地位や役職
 エルの妻だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女は長距離馬車を乗り継いでバウルブルクに到着した。
 彼女はエルヴィンと涙ながらに再会を果たす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女はエルの二人目の妻として迎えられた。

フジバヤシ家(ミズホ公爵領)

タケオミ

ハルカの実兄である。
彼は極度のシスコンとして知られている。
彼は妹とエルの結婚を快く思っていない。

・所属組織、地位や役職
 ミズホ公爵領の抜刀隊員だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼はエルの結婚を阻止するため、巡礼の妨害工作を企てた。
 彼はカエデを連れてエルたちを尾行する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼はカエデの策略により、彼女との婚約を外堀から埋められた。

カエデ

フジバヤシ家の分家の娘である。
彼女は十二歳の賢い少女だ。
彼女はタケオミの行動を冷静に監視している。

・所属組織、地位や役職
 フジバヤシ家の一族だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女はタケオミの妨害工作を裏で妨害し、お札を納め続けた。
 彼女はハルカに対してタケオミとの婚前巡礼であると告げる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女はタケオミの上官へ事前に根回しを行い、彼の許嫁となった。

ヘルムート王国(王宮・貴族・その他)

クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング

ヘルムート王国の王宮筆頭魔導師である。
彼は「最終兵器」と称される武闘派の魔法使いだ。
彼は国王ヘルムート三十七世の幼馴染にあたる。

・所属組織、地位や役職
 ヘルムート王国の王宮筆頭魔導師だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼はヴェンデリンとともにパルケニア草原の老地竜を退治した。
 彼は帝国内乱において強力な魔法を用いて戦闘に参加する。
 彼はリサとアクアビットの飲み比べを行った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼はエリーゼの伯父にあたる。

ブランターク・リングスタット

ブライヒレーダー辺境伯のお抱え魔法使いである。
彼は経験豊富なベテラン魔法使いだ。
彼はヴェンデリンの魔法の良き相談相手となっている。

・所属組織、地位や役職
 ブライヒレーダー辺境伯家の筆頭お抱え魔法使いだ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼は魔の森のアンデッド浄化作戦で魔力補助を行った。
 彼は「逆さ縛り殺し」の探索で指揮を執る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼は長年独身であったが、若いアガーテと結婚した。

エーリッヒ・フォン・ベンノ・バウマイスター

ヴェンデリンの五男の兄である。
彼は非常に知的で、優秀な人物だ。
彼はブラント準男爵家の婿養子となった。

・所属組織、地位や役職
 ブラント準男爵家(のちに男爵家)の当主だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼は王都の下級官吏試験に合格した。
 彼はバウマイスター準男爵家軍の副将兼参謀を務める。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼は準男爵から、のちに男爵位を継承する予定だ。

レガート男爵

バウマイスター邸を訪れた若い貴族である。
彼はアポなしで突然現れた。
彼はヴェンデリンのまだ生まれていない娘との婚姻を申し出る。

・所属組織、地位や役職
 レガート男爵家の当主だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼はヴェンデリンを「義父上」と呼んで怒らせた。
 彼はヴェンデリンの風魔法によって大通りまで吹き飛ばされる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼は不審者として捕らえられ、のちに絶縁状を叩きつけられた。

ベイヤー男爵家の若い男

アグネスたちを強引に勧誘しようとした貴族である。
彼は非常に欲深く、傲慢な性格をしている。
彼はアグネスたちを自分のパーティに引き込もうとした。

・所属組織、地位や役職
 ベイヤー男爵家の一族だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼はアグネスたちを脅して、自分の領民に転籍させようとした。
 彼はヴェンデリンが「竜殺しの英雄」だと知り、慌てて逃げ出す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼の行動により、ベイヤー男爵家はギルドのブラックリストに入れられた。

エドガー軍務卿

ヘルムート王国の軍事部門を統括する重鎮である。
彼はカイゼル髭を蓄えた厳つい容貌をしている。
彼はヴィルマの養父にあたる。

・所属組織、地位や役職
 ヘルムート王国の軍務卿だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼はヴィルマを養女とし、ヴェンデリンの元へ派遣した。
 彼はパウルやヘルムートの仕官と婚姻を裏で支援する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼は軍務閥のトップとして大きな影響力を持っている。

ホーエンハイム枢機卿

カソリック教会の最高幹部である。
彼は「妖怪ジジイ」と恐れられる老練な政治家だ。
彼はエリーゼの祖父にあたる。

・所属組織、地位や役職
 正教徒派カソリック教会の枢機卿だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼はエリーゼとヴェンデリンの婚約を迅速にまとめた。
 彼はヴァイゲル家再興のために裏交渉を行う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼は教会を通じた強大な情報ネットワークを握っている。

リネンハイム

貴族向けの不動産を扱う商人である。
彼は派手な格好をしており、胡散臭い人物だ。
彼は瑕疵物件をヴェンデリンに紹介した。

・所属組織、地位や役職
 リネンハイム不動産の店主だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼は悪霊の出る瑕疵物件をヴェンデリンに浄化させた。
 彼はその報酬として、元王弟の屋敷を譲渡する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼は教会とも取引を行う実績を持っている。

ヘリック・クレーメンス・ハインケス

冒険者予備校の校長である。
彼はブランタークの若い頃の恩人にあたる。
彼は引退したヨハネスの後任としてヴェンデリンに臨時講師を依頼した。

・所属組織、地位や役職
 王都冒険者予備校の校長だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼は魔法講師不足に悩み、ヴェンデリンに交渉を行った。
 彼はベイヤー男爵家の嫌がらせに激怒する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 元は高名な冒険者であった。

アグネス・フュルスト

冒険者予備校の魔法使いクラスの生徒である。
彼女は眼鏡をかけた真面目な美少女だ。
彼女は実質的な学級委員長を務めている。

・所属組織、地位や役職
 王都冒険者予備校の生徒だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女は野外遠足で優れた成績を収めた。
 彼女の実家の眼鏡店でヴェンデリンのアイデアによる「サングラス」を開発する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女はベイヤー男爵家の脅威から逃れるため、バウルブルク支部へ転校した。

シンディ

冒険者予備校の魔法使いクラスの生徒である。
彼女は12歳でクラス最年少の少女だ。
彼女はアグネスに次ぐ魔力を持っている。

・所属組織、地位や役職
 王都冒険者予備校の生徒だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女は野外遠足で活躍した。
 彼女はヴェンデリンから「チグリジア」の花を贈られる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 花言葉の誤解により、彼女の家族からヴェンデリンの婚約者候補とみなされた。

ベッティ

冒険者予備校の魔法使いクラスの生徒である。
彼女は勝気でしっかり者な少女だ。
彼女の実家は客が入らず困窮していたレストランを営む。

・所属組織、地位や役職
 王都冒険者予備校の生徒だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女は野外遠足で優秀な成績を収めた。
 彼女の実家のレストランをヴェンデリンのアドバイスで立ち飲み屋に改装する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女は実家の借金保証人となっており、それを契機にヴェンデリンの側室になる計画を密かに抱いていた。

アグネスの父親

王都の老舗眼鏡店の店主である。
彼はアグネスの父親だ。
彼は娘の将来を気にかけている。

・所属組織、地位や役職
 眼鏡店の店主だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼はヴェンデリンのアイデアを元に「サングラス」を試作した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 サングラスの大ヒットにより、店を大繁盛させる。

ベッティの兄

レストランの店主である。
彼はベッティの兄だ。
彼は独創性に欠ける料理人である。

・所属組織、地位や役職
 レストランの店主だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼は店に客が入らずに多額の借金を抱えていた。
 彼はヴェンデリンのアドバイスで店を大繁盛させる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼は店の改装により、無事に借金を完済した。

シンディの父親

王都の老舗生花店の店主である。
彼はシンディの父親だ。
彼は商売に熱心な人物である。

・所属組織、地位や役職
 生花店の店主だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼はヴェンデリンが娘に「チグリジア」の花を贈ったことで求愛されたと勘違いした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 バウルブルクへの支店進出計画を立てて大喜びする。

アーカート神聖帝国

テレーゼ・ジークリット・フォン・フィリップ

帝国の元フィリップ公爵である。
彼女は知略に優れた魅力的な美女だ。
彼女はヴェンデリンの愛人の立場にある。

・所属組織、地位や役職
 元フィリップ公爵だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼女は帝国内乱において解放軍のトップを務めた。
 彼女はヴェンデリンの秘密を守るため、リサに決闘を申し込む。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼女は公爵位を退き、バウマイスター伯爵領へ移住した。
 ヴェンデリンとの男女の関係により、強力な魔法の才能に目覚める。

魔族

アーネスト・ブリッツ

魔族の国の考古学者である。
彼はちょび髭とモノクルが特徴 of 紳士だ。
彼は自分の研究を何よりも優先するマイペースな性格をしている。

・所属組織、地位や役職
 魔族の国の一員だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼はニュルンベルク公爵に協力し、古代の兵器を修復した。
 彼は捕らえられたのち、バウマイスター伯爵領に匿われる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼は監視付きながら、領内で地下遺跡の調査を行っている。

その他の貴族・関係者

レンブラント男爵

ヴェンデリンがお世話になっている大商人貴族である。
彼は非常に金持ちだ。
彼はヴェンデリンにロットナー男爵領の魔物領域解放を依頼した。

・所属組織、地位や役職
 レンブラント男爵家の当主だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼は妻の実家であるロットナー男爵家の開発を支援した。
 彼は中古住宅をバウルブルクに移築する手配を行う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼はヴェンデリンと強固な商業的信頼関係を築いている。

ロットナー男爵

王国の北部に領地を持つ貴族である。
彼はレンブラント男爵の妻の実家にあたる。
彼の領地は、中心部に魔物の領域があり、ドーナツ状になっていた。

・所属組織、地位や役職
 ロットナー男爵家の当主だ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼は領地発展のため、魔物の領域を解放して街道を作る計画を立てた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼の領地の一部が、ヴェンデリンたちとキンブリーによって解放された。

爆炎のキンブリー

リサと並び称される高名な魔法使いである。
彼は普段は温和な愛妻家だ。
しかし、彼は極限状態になると周囲をすべて消し去る魔法を放つ。

・所属組織、地位や役職
 王都の高名な魔法使いだ。

・物語内での具体的な行動や成果
 彼はロットナー男爵領でのバーサークバード討伐に参加した。
 彼はビッグバンエクスプロージョンで魔物の領域の約8割を消滅させる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼は非常に精密な火魔法の技術を持っている。

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八男13巻レビュー
八男まとめ
八男15巻レビュー

展開まとめ

第一話 夫婦の初共同作業

導師の二日酔い
リサとの酒量勝負に敗れた導師は、翌朝ひどい二日酔いに苦しんでいた。エリーゼは反省を促すため解毒魔法を使わず、導師は朝食も取れずに水を飲んでいた。一方、リサは平然と朝食を取り、屋敷での生活にも少しずつ慣れていた。
エルとハルカの結婚式
エルとハルカの結婚式がミズホで行われることになり、ヴェンデリンたちは瞬間移動で現地へ向かった。妊娠中のエリーゼ、イーナ、ルイーゼ、カタリーナは瞬間移動を避けて留守番となり、ヴィルマも彼女たちの世話のため残った。
ミズホの式は白無垢や紋付き袴に似た衣装、神官による祓い、舞や音楽、杯を交わす儀式など、日本の神前式に近い形式で進んだ。前日に行われた結納も無事に終わっており、ハルカの兄タケオミも表立った妨害はしなかった。
夫婦巡礼
結婚式後、エルとハルカには夫婦初の共同作業として、ミズホ山環にある八つの祠へ二人の名が記された札を納める巡礼が課された。通常は四、五日から一週間ほどかかり、各祠の近くには新婚夫婦向けの宿も整えられていた。
ヴェンデリンは二人に一週間の休暇を認め、巡礼を終えた後は新婚旅行として過ごしてよいと伝えた。エルとハルカは必要な装備をフジバヤシ家から借り、二人だけで巡礼へ向かうことになった。
タケオミへの疑念
バウマイスター伯爵領へ戻ると、テレーゼとリサはタケオミが巡礼を妨害する可能性を指摘した。巡礼に失敗すれば、結婚が神に祝福されていないという理由で婚姻そのものを覆せる可能性があったからである。
ヴェンデリンは当初疑っていたが、タケオミなら露骨に二人を襲わず、札を一枚でも納められなくする形で妨害できると理解した。ハルカの結婚を守るため、カチヤも協力を申し出た。
タケオミの企み
一方のタケオミは、幼い頃から慕ってくれたハルカへの執着を捨てきれず、巡礼を失敗させて結婚を阻止しようと考えていた。表向きはミズホ山環での修行を理由に休暇を取り、密かに旅支度を整えていた。
しかし、分家の娘カエデには企みを見抜かれていた。カエデはハルカの結婚を邪魔すれば一生嫌われると忠告したうえ、自分も修行を理由にミズホ山環へ同行すると宣言し、タケオミの計画は早くも狂い始めた。
巡礼への合流
ヴェンデリンはテレーゼ、リサ、カチヤ、ヴィルマを連れ、エルとハルカの巡礼へ合流した。表向きは、妊娠中で参加できない妻たちから託された札を納めるための夫婦巡礼であったが、本当の目的はタケオミの妨害を防ぐことだった。
妻の人数が多いためヴェンデリンの札は通常より大きなものとなった。一行はあえてエルたちと行動を共にし、自分たちの存在を見せることでタケオミを牽制する方針を取った。
最初の祠への道
ヴェンデリンたちは探知魔法でタケオミを探したが、魔法使いではなく気配を消す技術にも長けた彼を見つけられなかった。巡礼者も多く、一瞬の隙に札を奪われたり破壊されたりすれば、タケオミの目的は達成されてしまう。
事情を知らないエルとハルカには、留守番している妻たちから託された札を無事に納めたいだけだと説明し、ヴェンデリンたちは警戒を続けながら最初の祠へ向かった。

第二話 妹よ! 妨害行為本番

タケオミとカエデの偽装巡礼
タケオミはエルヴィンとハルカの巡礼を妨害するため、カエデと夫婦に見せかけて二人を尾行した。ヴェンデリンたちは単独の妨害者を探していたため、二人組で巡礼者に紛れたタケオミは発見を免れていた。
一方、カエデはハルカの結婚を妨害するタケオミをたびたび諫め、自分は将来タケオミの側室となり、分家を継ぐ子を産む予定だと平然と話した。タケオミはそれを否定しながらも、ハルカの結婚阻止を優先した。
最初の祠での突風
最初の祠で、タケオミは刀による風圧でエルヴィンたちの札を吹き飛ばそうとした。札は上空へ舞い上がったが、カチヤが素早く跳び上がって回収したため失敗した。
リサは不自然な突風からタケオミの妨害を察し、ヴェンデリンたちは以後、札への物理的な妨害を警戒することになった。
二つ目の祠と失敗した投石策
二つ目では、タケオミは巨岩の上にある祠へ向かうエルヴィンに小石を当て、札を落とさせようと考えた。しかし巨岩上の祠は落石で壊れており、巡礼者は下の祠を使うよう案内されていたため、策そのものを実行できなかった。
その夜、巡礼者向けの宿で夫婦を装っていたタケオミとカエデは同室を求められた。タケオミは動揺したが、部屋数の都合から同じ布団で眠ることになり、カエデに寄り添われて十分に眠れなかった。
迅雷号による札奪取
三つ目の祠では、タケオミはフジバヤシ家で飼育するミズホツバメの迅雷号を使い、札を奪わせようとした。迅雷号は札へ急降下したが、狩人であるヴィルマの威圧を感じて逃げ去った。
ヴェンデリンたちは札を狙った鳥もタケオミの仕業だと判断し、さらに警戒を強めた。
相次ぐ妨害の失敗
その後もタケオミは、滝の水で札を濡らす策や、火山の火口へ札を飛ばす策を試みた。しかし前者はリサが水を凍らせ、後者はテレーゼが札の前に立って風圧を防いだため失敗した。
巡礼四日目までに次々と策を潰され、タケオミには最後の祠で使える有効な手段が残っていなかった。
カエデの正体露見
最後の祠を前にタケオミが新たな策を考えあぐねていると、カエデは自ら笠を外してハルカに姿を見せた。その結果、隣にいたタケオミの変装も露見した。
しかしハルカは、二人が婚前巡礼に来たのだと勘違いした。タケオミは妨害目的を知られて嫌われることを恐れ、その誤解を否定できなかった。
カエデとの婚約成立
カエデは事前に用意していた札を各祠へ納め続けており、最後の祠でもハルカと共に札を納めた。さらにタケオミが長期休暇を取れたのも、カエデが抜刀隊の上官へ婚前巡礼だと説明していたためだった。
こうしてタケオミは、自分の企みを阻止されただけでなく、周囲からカエデとの婚約が成立したものとして扱われる状況に追い込まれた。
無事に終わった巡礼
エルヴィンとハルカは八つすべての祠に札を納め、巡礼を無事に終えた。ヴェンデリンたちも妻たちの名を記した札を納め終え、残りの日程を新婚旅行や観光に使える状態となった。
ヴェンデリンたちは、カエデが最初からタケオミの妨害を阻止しつつ、自分との婚約まで既成事実化するつもりだったと察した。
抜刀隊に広がった婚約話
翌日、タケオミが休暇を切り上げて出仕すると、すでにカエデとの婚約話は抜刀隊中に広まっていた。カエデが用意した巡礼饅頭まで配られ、同僚たちは当然のように婚約を祝福した。
タケオミは噂を覆すことも難しくなり、自分がなぜこの状況に陥ったのか理解できないまま、カエデとの婚約を周囲に認められる結果となった。

幕間一 謎の対極の魔法使い、爆炎のキンブリー

爆炎のキンブリー
ヴェンデリンは、リサと並んで高名な魔法使いとして知られる爆炎のキンブリーについてブランタークに尋ねた。ブランタークによれば、キンブリーは普段なら常識的で人柄もよく、妻と二人の娘を大切にする愛妻家であった。火と氷を得意とし、年齢や実力も近いリサとは男女の仲を噂されたこともあったが、リサはそれを否定した。
ロットナー男爵領の魔物領域
レンブラント男爵から、妻の実家であるロットナー男爵家の依頼がヴェンデリンに持ち込まれた。領地中央には小規模な魔物の領域があり、交通や農地開発の妨げとなっていたため、これを解放して帝国方面と王都方面を結ぶ街道を整備する計画であった。
ロットナー男爵家は税を一時免除して冒険者を集め、魔物を減らしていた。残る最大の問題は、領域のボスであるバーサークバードの群れであり、その討伐にはヴェンデリンたちとキンブリーが共同で当たることになった。
キンブリーとの対面
ヴェンデリン、エル、ヴィルマ、カチヤ、リサが現地を訪れると、キンブリーは温和で礼儀正しい人物として現れた。派手な姿をやめたリサにはすぐ気づかなかったが、魔力から本人だと見抜いた。
エルが妻について尋ねると、キンブリーは幼馴染の妻メリーと二人の娘の自慢話を始めた。愛妻家ぶりは想像以上で、ヴェンデリンたちは二時間ほど家族自慢を聞かされることになった。
精密な火魔法
魔物の領域へ入ったキンブリーは、熊型の魔物に小さな炎を送り込み、肺だけを焼いて窒息させた。素材を傷めず少ない魔力で倒すための技であり、爆炎という二つ名とは対照的な精密さを見せた。
キンブリーの二つ名は、過去の貴族同士の紛争で巨大な岩山を爆発魔法によって吹き飛ばしたことから付けられていた。
バーサークバードの異常増殖
その日のうちに、若い冒険者がバーサークバードを半端に傷つけて凶暴化させ、二十人以上の死傷者が出た。さらにボスの推定数は五十匹以上と判明し、ヴェンデリンたちは翌日に本格的な討伐へ向かった。
キンブリーは出発前から嫌な予感を覚えており、ヴェンデリンも超一流の冒険者が持つ勘を軽視せず、危険なら撤退できる態勢を取った。
リサの氷槍と群れの襲撃
ヴェンデリンたちは斥候役のバーサークバードを発見し、リサがアイスランスで頭部を貫いて一撃で仕留めた。それを合図に多数の仲間が押し寄せ、ヴェンデリンはウィンドカッター、リサは複数のアイスランス、ヴィルマは大斧で迎撃した。
しかし推定を大幅に超える群れが次々に現れ、百匹単位の集団まで接近した。ヴェンデリン側も防御を固めなければならない状況となり、単独行動していたキンブリーの側でも強大な魔力が膨れ上がった。
ビッグバンエクスプロージョン
直後、キンブリーが最終魔法ビッグバンエクスプロージョンを発動した。巨大な爆炎と爆風によってバーサークバードの群れは一掃され、魔物の領域の約八割まで焼失した。ヴェンデリンとリサは延焼を防ぐため消火に追われた。
バーサークバードの数は集計ミスによって大幅に少なく見積もられていたため、キンブリーの責任は問われなかった。結果として魔物の領域の解放は達成され、開発のための森林伐採も大幅に省ける形となった。
失われた鳥料理
一方、火災によって討伐したバーサークバードの肉や卵も焼失した。焼き鳥や卵料理を楽しみにしていたヴェンデリンとヴィルマは、素材を回収しなかったことを悔やんだ。
当のキンブリーは仕事が終わったと割り切り、妻と娘への土産を買うため平然と立ち去った。過去に岩山を吹き飛ばした時も、長引く紛争を早く終わらせて家族に会いたかったことが理由だったとリサから知らされた。
氷と爆炎の魔法使い
ヴェンデリンたちは、派手な外見と言動とは裏腹に仕事では精密で慎重なリサと、温和な家庭人に見えながら家族への危機感から大規模爆発を起こすキンブリーの対照的な性質を知った。
爆炎のキンブリーとブリザードのリサが相反する存在として知られている理由を、ヴェンデリンたちはバーサークバード討伐を通して実感した。

第三話 ヴェンデリン先生

赤ん坊への期待
ヴェンデリンは妊娠初期のエリーゼ、イーナ、ルイーゼ、カタリーナのお腹に耳を当て、覚えた聴音魔法まで使って胎児の心音を聞こうとした。しかし時期が早く、聞こえたのは母親たちの心音やルイーゼの腹の音だけであった。
胎児の性別を判定する特殊な聖魔法も存在したが、ヴェンデリンは習得できず、外部に頼むつもりもなかった。周囲から跡継ぎとなる男子を期待されるエリーゼたちに対し、ヴェンデリンは性別よりも無事に生まれることを望み、気楽に構えるよう努めた。
カタリーナの怒り
最後にカタリーナのお腹を確認したヴェンデリンは、胎児の心音ではなく彼女が少し太ったことに気づき、そのまま口にしてしまった。カタリーナは激怒し、ヴェンデリンは機嫌を直すため苦労することになった。
カチヤ、リサ、テレーゼからも女性に体重の変化を指摘するのは禁句だと注意され、ヴェンデリンに味方する者はいなかった。
大量の橋建設
ヴェンデリンはリサ、テレーゼ、カチヤ、アーネストとともに領内の橋建設を進めた。特殊コンクリートと極限鋼を用い、ヴェンデリンが川の流れを止め、テレーゼが川底を掘り、リサが念力で橋脚を精密に設置する分担で工事を行った。
新素材と魔法によって橋は驚異的な速さで完成し、ローデリヒの追加計画もあって、一ヵ月ほどで大小百近い橋が領内に架けられた。道路や港などの整備も進み、移住希望者が増えたため、ヴェンデリンにはさらに町や村の基礎工事が課されることになった。
ドラゴンバスターズの休止
エリーゼたち四人の妊娠に加え、ハルカまで妊娠したことで、ドラゴンバスターズは大幅な戦力不足となった。さらにキンブリーとの一件を受け、ヴェンデリンを少人数で魔物の領域へ出すことも禁止されていた。
導師も講演活動で忙しく、助っ人には期待できなかった。ヴェンデリンは当面冒険者活動を控え、領地開発を優先することになった。一方、リサは今後もパーティを助ける意思を示し、裸を見られた件についてヴェンデリンに責任を求めつつ、まずは関係を深めることを受け入れた。
考古学者アーネスト
アーネストはトンネル調査を終えると、部屋に籠って論文執筆に没頭していた。食事と入浴以外ではほとんど部屋を出ず、発掘結果の分析や領内の遺跡候補の整理を進めていた。
ヴェンデリンは、魔力の大きなアーネストを地下遺跡という研究対象で領内に留めておく方が安全だと考えていた。
冒険者予備校の臨時講師
ブランタークから、王都の冒険者予備校で臨時講師を務める依頼が持ち込まれた。高齢の正規魔法講師ヨハネスが物忘れの悪化で引退し、後任が見つからず困っていたためであった。
ヴェンデリンは週三回、エリーゼたちが出産するまで約一年間の臨時講師を引き受けた。初日は緊張のあまり、生徒たちから骨竜討伐や帝国内乱について質問を受けるだけで終わった。
魔法の基礎訓練
二回目以降、ヴェンデリンは師匠から学んだ基礎理論を中心に授業を始めた。前任のヨハネスは認知症が進み、以前から十分な講義ができていなかったため、多くの生徒は基礎訓練すら曖昧なままであった。
ヴェンデリンは猪の腸や猫の膀胱を使い、水を魔力に見立てて魔力路や魔力袋を広げるイメージを視覚的に説明した。魔力量が伸びなくなっても、魔力路を広げれば発動速度や制御力が改善すると教え、毎日の瞑想と基礎訓練の重要性を説いた。
実戦を意識した魔法指導
講義が進むと、ヴェンデリンは同じ魔力量でも魔法を圧縮すれば威力を高められることを実演した。大きなファイヤーボールより、小さく圧縮して急所を狙う方が魔物の素材を傷めず、冒険者として利益を得やすいと説明した。
火、水、風、土などの魔法も、単純な威力だけでなく発動速度、貫通力、消費魔力、仲間との連携まで考えて使うべきだと教えた。さらに冒険者稼業は長く続けられないため、将来まで見据えて効率よく稼ぐ必要があると伝えた。
講師としての評価
ヘリック校長はヴェンデリンの授業を高く評価した。高名な魔法使いは天才肌や職人気質が多く、初心者に基礎から体系立てて教えられる者が少なかったためである。
ヴェンデリン自身も、魔法使いの育成が個人の才能や師匠に依存しすぎている現状を知った。エリーゼも、治癒魔法使いは教会から手厚い指導を受ける一方、それ以外の魔法使いは自力や師弟関係に頼る場合が多いと説明した。
リサの変化
リサはテレーゼとカチヤの魔法指導を続け、カチヤは加速と風系統、テレーゼは土系統に高い適性を持つことがわかった。その説明の最中、リサは初めてヴェンデリンに直接、淀みなく話しかけた。
まだブランタークなど他の男性とは話せなかったが、ヴェンデリンとは普通に会話できるまで人見知りを克服していた。リサは土木工事にも積極的に参加し、テレーゼを指導しながら高い技術を発揮した。
講義後の狩り
講義を終えたヴェンデリン、ヴィルマ、カチヤは導師と合流し、予備校近くの食堂で名物のモツシチューを味わった。その後、王都近郊の魔物の領域へ向かい、久々に四人で狩りを行った。
魔力が増したカチヤも神速を活かして多くの魔物を仕留め、狩りは順調に終わった。導師は講演活動の疲れを晴らしつつ、帝国内乱の話よりもヴェンデリンとテレーゼの私生活を題材にした話が聴衆に好評だったと明かしたため、ヴェンデリンは自分の私生活が各地で笑い話として広められていたことを知った。

第四話 サングラス

先生らしい威厳
冒険者予備校の臨時講師となったヴェンデリンは、若さを補って教師らしい威厳を得る方法として眼鏡を思いついた。眼鏡をかければ知的で真面目に見えると考えたが、周囲からは、この世界では眼鏡は高価なため金持ちの象徴という印象が強いと指摘された。
それでもヴェンデリンは伊達眼鏡を求め、講義後にエル、カチヤ、ヴィルマと王都の眼鏡店へ向かった。
アグネスの実家
訪れた眼鏡店は、予備校でヴェンデリンの授業を受けているアグネスの実家であった。ヴェンデリンが教師らしい威厳を得るために眼鏡を欲しがっていると知ると、アグネスは眼鏡などなくても十分に立派な先生であり、これまでの誰よりもわかりやすく魔法を教えてくれると伝えた。
自分の授業準備や努力が生徒に認められていたことを知ったヴェンデリンは喜び、伊達眼鏡の購入をやめた。しかし店主を落胆させたことが気になり、代わりに狩猟や釣りで使える色つき眼鏡を作れないか提案した。
サングラスの試作
ヴェンデリンは余分な日光を遮れば眩しさを抑えられると説明し、眼鏡工房でガラス製レンズに色をつけた試作品を作った。アグネスの一族が営む工房は眼鏡製造の技術を代々守っており、その技術で試作品はさらに調整された。
数日後に完成した色つき眼鏡を狩猟で試すと、強い日差しの中でも視界が確保され、実用性は十分であった。ヴェンデリンたちは狩猟や釣りに有効な道具だと確認した。
サングラス姿の妻たち
屋敷では皆が試作品をかけ、似合うかどうかを楽しんだ。テレーゼ、イーナ、カタリーナにはよく似合った一方、カチヤやアマーリエ、ハルカなどには雰囲気が合わず、エルはハルカの姿を怖がった。
盛り上がる一同に対し、ヴィルマは本来は狩猟や釣りで日光を防ぐための道具だと冷静に指摘した。
新商品の発売
アグネスの父は、度を入れない色つき眼鏡なら通常の眼鏡より安価に作れるため、冒険者や猟師、漁師、狩猟を趣味とする貴族向けに販売したいとヴェンデリンへ申し出た。ヴェンデリンは自分が実際の加工をしたわけではないとして自由に販売することを認めた。
サングラスと名づけられた新商品は好評となり、度付きの商品やファッション用の眼鏡にも需要が広がった。他の工房にも模倣されたが、市場そのものが拡大したため、アグネスの実家も売り上げを伸ばした。
軍務系貴族のサングラス
やがて筋骨隆々の大男たちが大量にサングラスを買い求めるようになり、アグネスは怖い客が増えたとヴェンデリンに相談した。
その正体はエドガー軍務卿をはじめとする軍務系法衣貴族たちであった。狩猟好きの彼らはサングラスの評判を聞きつけ、実用品として購入していたのである。
アグネスの淡い期待
父から、ヴェンデリンが店を助けたことやアグネス自身の容姿を理由に、将来結婚する可能性を尋ねられると、アグネスは強く否定した。
しかし内心では、今は先生と生徒の関係でも、将来なら可能性があるかもしれないと思い始め、ヴェンデリンに会えることを楽しみにするようになった。
王城での着用禁止
その後、ホーエンハイム枢機卿から、エドガー軍務卿やアームストロング伯爵らが王城内でもサングラスをかけて自慢しており、国王から不気味で怖いと苦情が出ていると知らされた。
ヴェンデリンは城内での着用を禁止すれば済むと提案し、以後、王城ではサングラスの使用が全面的に禁止された。

第五話 ヴェンデリン、花を贈る

花の贈り物
講義後、ヴェンデリンはアグネスから、妊娠中の妻たちへの土産には花がよいと勧められた。花に詳しくないヴェンデリンは、同じクラスのシンディの実家が老舗の生花店だと知り、エルやカチヤとともに店へ向かった。
シンディの生花店
シンディの実家は、花だけでなく植木や園芸用品も扱う大規模な店であった。幼い頃から家業を手伝ってきたシンディは花に詳しく、名前すらほとんど知らないヴェンデリンたちに助言しながら花を案内した。
ヴェンデリンは最初にシレネを選んだが、花言葉が偽りの愛だと知って断念した。エルもシクラメンを選んだものの、嫉妬と猜疑心という花言葉だったため、二人とも女性への贈り物選びの難しさを思い知った。
導師の花束
そこへ導師が現れ、妻たちへの土産として赤いバラとカスミソウの大きな花束を四つ注文した。導師は普段家を空けることが多いため、寂しい思いをさせている妻たちへ定期的に花を贈っていた。
花とは縁遠そうな導師が手慣れた様子で豪華な花束を購入する姿を見て、ヴェンデリン、エル、カチヤは強い敗北感を覚えた。さらに導師が赤いバラを買い尽くしたため、ヴェンデリンたちは定番の花まで選べなくなった。
シンディに任せた花束
ヴェンデリンは自力で選ぶことを諦め、専門家であるシンディに妻たちへの花束を任せた。シンディは残った花を組み合わせ、エリーゼたちだけでなく、アマーリエ、テレーゼ、リサの分まで用意した。
ヴェンデリンは世話になった礼としてシンディにも自分で花を選び、ユリに似たチグリジアを贈った。その花言葉については知らないまま、妻たちへの花束を抱えて屋敷へ戻った。
妻たちの喜び
ヴェンデリンが花を持ち帰ると、エリーゼたちは事情をすべて説明してしまう彼らしさに呆れながらも、贈り物自体は喜んだ。
導師が赤いバラを買い占めた話には多くの者が驚いたが、テレーゼやアマーリエ、エリーゼは、導師が昔から女性や子供に優しく、妻たちへ定期的に花を贈る人物だと知っていた。ヴェンデリンとエルは、自分たちも導師ほど女性への気遣いを持つ必要があると認めた。
チグリジアの誤解
一方、シンディの実家では、ヴェンデリンから贈られたチグリジアの花言葉が私を愛してであることから、家族や店員たちが彼から求愛されたのだと勘違いした。
父たちは、シンディがヴェンデリンと結婚すればバウマイスター伯爵領へ店を広げられると将来の事業計画まで語り始めた。シンディはヴェンデリンにその意図がなかったと知っていたが、家族が自分と彼との結婚を歓迎していることを知り、今後もっと積極的にヴェンデリンと親しくなろうと考えた。

第六話 ヴェンデリン、再び飲食店にテコ入れをする

客のいないレストラン
ヴェンデリンは臨時講師の仕事を終えたあと、エル、カチヤと王都で昼食を取ることにした。三人は予備校から離れた場所で穴場の店を探し、客の姿がない小さなレストランへ入った。
料理は丁寧に作られていて普通に美味しかったが、ヴェンデリンは店が繁盛していない理由に気づいた。料理に欠点はないものの特徴がなく、わざわざ再訪したくなる理由がないため、リピーターが生まれていなかったのである。
ベッティと店主の兄
そこへ魔法使いクラスの生徒ベッティが食材を持って現れ、店主が彼女の兄だと判明した。ベッティは兄の料理人としての技術は認めながらも、独創性がなく、妹が狩った肉に頼る現状では店を続けるべきではないと厳しく指摘した。
店は亡き両親が残したものであったが、父は生前、兄に十分な修業を終えてから戻るよう言い残していた。しかし兄は父の死後、修業先を辞めて店を継ぎ、経営を悪化させていた。事情を知ったヴェンデリンは、店を立て直すことを決めた。
立ち飲み店への改装
ヴェンデリンはアルテリオの協力を得て、店を短時間利用向けの立ち飲み店へ改装した。酒と少数のつまみを中心にし、客の回転率を高めることで立地の悪さを補う方針であった。
冷奴、枝豆、漬物、揚げ物などに加え、川魚料理はウナギ料理で成功していたリバーの店主から仕入れることにした。さらに昼には日替わりの限定ランチを出し、安価な肉を煮込んだシチューを米と一皿に盛るなど、食材の無駄と手間を減らした。
店の再建
再開した店は初日から繁盛し、昼は日替わりランチ、夜は立ち飲み店として多くの客を集めた。店主は料理を改良しながら経営を続け、借金返済の見通しも立った。
ヴェンデリンたちが様子を見に行くと、店にはベッティの兄の幼馴染で婚約者でもあるローザが働いていた。ローザは店主よりもしっかりしており、ベッティも彼女がいれば兄を任せられると安心した。
その後、店主は借金を完済し、アルテリオ商店の傘下で複数の飲食店を経営するまでに成功した。経営面では妻となったローザの存在が大きく、彼女の方が業界で知られるようになった。
ベッティの思惑
夜、店の片付けを手伝っていたベッティは、兄とローザの親しい様子を見ながら、自分の将来の結婚相手を想像した。その時、頭に浮かんだのはヴェンデリンの顔であった。
兄の借金にはベッティが保証人となっていたため、返済できなければ将来は自分が返すことになる。ベッティは、自分が魔法使いとして稼げるようになっても返済できなければ、身体を担保にヴェンデリンのものになれるのではないかと考えた。
そのためベッティは、兄が借金を返せなくても構わないと口にした。兄は必ず返すと反発し、ローザにも叱られたが、ベッティだけは密かに返済不能になることを期待していた。

第七話 過去の思い出と現実

領内の命名問題
バウマイスター伯爵領では開発が急速に進み、町や村、河川、街道、港など新たに名付ける対象が大量に増えていた。領主であるヴェンデリンには命名する責任があり、住民の投票で決めようとしたが、ローデリヒから領主自身が決めるべきだと却下された。
ヴェンデリンはエリーゼたち妻の名前を町や村に使うことを思いつき、本人たちの了承を得た。正式な妻ではないテレーゼやアマーリエは戸惑ったものの、小規模な町村なら構わないと受け入れた。しかし、それでも必要な名前には到底足りず、ヴェンデリンは命名に頭を悩ませ続けた。
エルとレーアの婚約
休日、ヴェンデリンたちは屋敷の中庭で茶会を開いた。妊娠中のエリーゼたちやハルカも参加するなか、テレーゼはバウマイスター伯爵家の重臣となったエルに、側室を持たないのかと尋ねた。
そこでレーアが自ら名乗りを上げた。エルは即答を避けたものの、イーナやルイーゼに責められ、レーアとの結婚を考えていると認めた。その言葉を受けて周囲はすぐに婚約成立として話を進め、妊娠中のハルカもレーアを祝福した。
レガート男爵の求婚
茶会の途中、アポなしでレガート男爵が屋敷を訪れた。ヴェンデリンが正門まで出向くと、レガート男爵はまだ生まれてもいないヴェンデリンの娘を将来の妻にしたいと申し出た。
軽薄な態度で義父と呼ばれたヴェンデリンは激怒し、風魔法でレガート男爵を大通りまで吹き飛ばした。そして二度と相手にしないよう命じ、レガート男爵家への絶縁状を用意させることにした。
幼馴染アンナ
正門では同時に、エルへの面会を求める少女アンナが門番と話していた。彼女がエルの幼馴染だと知ったヴェンデリンは屋敷へ通し、エルと再会させた。
アンナはエルの故郷にある商店の三女で、幼い頃からエルと親しくしていた。かつて名主家の次男ベッカーと結婚する予定だったが、跡取りの死亡によってベッカーが後継者となり、婚約相手はアンナの姉へ変更された。さらに名主の妻も亡くなったため、アンナ自身は六十歳近い名主の後妻にされることになり、それを嫌ってエルを頼り逃げてきたのである。
エルの苦渋と女性陣の反発
エルは、現在の自分がバウマイスター伯爵家の家臣である以上、アンナを匿えば実家との争いになると考え、故郷へ戻るよう告げた。昔は結婚を口にしたこともあったが、今は立場が違うとしてアンナを突き放した。
しかしイーナやルイーゼたちはその判断を責め、エリーゼもバウマイスター伯爵家の重臣と小さな騎士爵家では力の差が大きく、そこまで恐れる必要はないと指摘した。カタリーナやヴィルマ、カチヤ、リサもアンナを受け入れるよう後押しした。
追い詰められたエルは、アンナに自分の傍にいてもいいと告げた。アンナは涙を流してその胸に飛び込み、エルは彼女も妻として迎えることになった。
三人目の妻
アンナを受け入れたあと、エルはレーアとアンナを連れてバウルブルクへ出かけた。妊娠中のハルカもそれを了承しており、三人で互いを知るための時間を過ごすことになった。
幼馴染から慕われていたエルにヴェンデリンは嫉妬したが、アマーリエから自分にも昔から彼女がいたと諭され、親友の幸せを祝うべきだと気持ちを切り替えた。こうしてエルはハルカ、レーア、アンナの三人を妻に迎えることとなった。
絶縁状とアルニム家への書状
アンナを正式に迎えるため、ヴェンデリンはテレーゼから貴族間の書状について教わった。まずレガート男爵には、今回の行為を理由に今後一切つき合わないという絶縁状を送り、関係する貴族にも事情を知らせることになった。
続いてアンナの件では、アルニム騎士爵家に許可を求めるのではなく、エルがアンナを妻に迎えることを一方的に通知する書状を送った。テレーゼは、相手が下位の騎士爵家であり、名主の後妻候補を巡る問題に過ぎないため、弱腰になる必要はないと助言した。
書状を受け取ったアルニム家から返事はなく、事実上の黙認となった。これによりエルがレーアとアンナを妻に迎える話も、そのまま進むこととなった。

第八話 教師生活でも、色々と面倒事が増える

一門拡大への期待

臨時講師を始めて三カ月が経ち、ローデリヒはバウマイスター伯爵家の繁栄には多くの子を成して一門を形成する必要があるとヴェンデリンに説いた。エリーゼ、イーナ、ルイーゼ、カタリーナに続き、ヴィルマとカチヤも妊娠しており、家臣たちは後継者不足の懸念がほぼ消えたことに安堵していた。

テレーゼも自ら避妊をやめて妊娠し、生まれた男子には新たな重臣家を任せる方針がローデリヒとの間で決まっていた。さらにリサもヴェンデリンの妻となって妊娠し、エリーゼたちと産着を縫いながら穏やかに過ごしていた。

ブリザードの臨時講師

妊娠が判明する前、リサはヴェンデリンに代わって冒険者予備校の臨時講師を務めた。しかし普段の姿では男性相手にまともに話せず、生徒たちから不満を向けられた。

そこでリサは以前の派手な衣装と化粧に戻り、ブリザードのリサとして教室に現れた。恐怖する生徒たちを威圧しながら講義を進めたものの、内容自体は理論的で非常に参考になるものであった。その後、ヴェンデリンはリサの希望を受け入れ、正式に妻として迎えた。

三十人の子供

ローデリヒはヴェンデリンに、分家創設や婚姻のため最低でも三十人の子供が必要だと迫った。ヴェンデリンはあまりの人数に呆れたが、新興のバウマイスター伯爵家では子供の嫁ぎ先や婿入り先に困らないという事情があった。

それでも生々しい話に耐えきれなくなったヴェンデリンは会話を切り上げ、王都の予備校へ向かった。

魔法障壁の工夫

予備校ではヴェンデリンの講義が評判となり、以前は欠席が多かった生徒たちもほぼ全員出席するようになっていた。ヴェンデリン自身も生徒たちとの交流を楽しみ、教師を続けることに魅力を感じ始めていた。

講義後、アグネスたちから魔法障壁について質問を受けたヴェンデリンは、障壁に傾斜をつけたり丸みを持たせたりすることで、同じ魔力量でも防御力を高められると実演した。生徒たちは実際に魔法を使いながらその理論を学んだ。

大野外遠足

ヘリック校長から、王都近郊の狩猟場で行われる大野外遠足の引率を頼まれたヴェンデリンは、エルと共に参加した。生徒たちはパーティごとに狩猟成果を競い、講師や冒険者たちは危険がないよう各地で監視を担当した。

ヴェンデリンとエルは担当区域の危険な大猪を先に仕留めたあと、生徒を監視しながら野草を採集して昼食を作った。その途中、アグネス、シンディ、ベッティの三人組と出会い、優勝したら王室御用達のフルーツパーラーで奢ると約束した。

マジカルトライアングルの優勝

遠足終了後の成績発表では、アグネスたち三人のマジカルトライアングルが二位以下を大きく引き離して優勝した。三人は魔法と弓を組み合わせ、最後まで安定した狩猟を続けていた。

ヴェンデリンは約束を守り、三日後に三人を高級フルーツパーラーのブリュンヒルトへ連れていった。三人は大量のスイーツを楽しみ、魔法の袋に土産まで詰めて満足した。ヴェンデリンも、生徒たちが喜ぶ姿を見て嬉しさを感じていた。

弟子を巡る憶測

屋敷へ戻ると、エルはヴェンデリンが三人を新たな妻候補として扱っているのではないかと疑った。イーナは、世間から見ればヴェンデリンが優秀な三人を弟子として囲い込もうとしているように見えるだろうと指摘した。

リサによれば、魔法使いの師弟関係に正式な登録はなく、本人同士の合意で成立するものであった。ヴェンデリンは三人を特別に囲い込むつもりはなく、卒業後の進路は本人たちに自由に決めてほしいと考えていた。

ベイヤー男爵家の勧誘

大野外遠足で活躍したアグネスたちは、他の生徒や貴族関係者から頻繁に勧誘されるようになった。その中でベイヤー男爵家の若い男が現れ、三人を分割して自分の指揮するパーティに入れると一方的に要求した。

ヴェンデリンが止めに入っても、男は自分が貴族だから従うべきだと主張し、三人を男爵領の領民にして利用する考えまで口にした。最後にはヴェンデリンを若い平民と勘違いして罰すると脅したが、相手がバウマイスター伯爵本人だと知ると逃げ去った。

魔法使いを狙う貴族たち

ヘリック校長はベイヤー男爵家の行為を冒険者ギルドへ報告し、ブラックリスト入りさせる方針を示した。近年は帝国内乱で魔法使いたちが大きな戦果を上げたため、貴族家による若い魔法使いへの勧誘が激しくなっていた。

特に貧しい貴族家の中には、女魔法使いを愛人として囲い込み、その収入を搾取しようとする者まで存在した。この状況を受け、ヘリック校長はバウルブルクで計画中だった冒険者予備校の開設を前倒しするよう求めた。

バウルブルク支部の開校

ヴェンデリンがローデリヒに相談すると、校舎や敷地はほぼ完成しており、手続きさえ早まれば開校可能だと判明した。冒険者ギルドや王国政府も対応を急ぎ、一週間後には冒険者予備校バウルブルク支部が暫定的に開校した。

王都から多くの生徒が転校を希望し、とりわけ魔法使いは全員が転校を申し出た。バウルブルク周辺では狩猟の機会が多く、エリーゼやカタリーナ、リサといった優秀な魔法使いから指導を受けられることも大きな魅力となっていた。

続く教師生活

新設された支部には約二百名が集まり、その三分の一近くを魔法使いが占める異例の構成となった。ヴェンデリンは王都とバウルブルク双方で魔法使いたちを指導することになり、臨時講師の仕事はさらに増えていった。

新校舎の前では、アグネス、シンディ、ベッティがヴェンデリンを迎えに来た。三人に手を引かれて講義へ向かうヴェンデリンは、その後もバウルブルク支部で臨時講師を続けることとなった。

巻末おまけメイドさんによる短期研修

寮生活の家事研修

完成間近の冒険者予備校パウルブルク支部では、寮を管理する人員が不足していたため、生徒たち自身が炊事や掃除、洗濯を行う必要があった。そこでレーアは、寮生活と将来の野営に必要な基礎的な家事を教える役目を任された。

しかし任意参加だったため、集まった生徒はアグネス、シンディ、ベッティの三人だけであった。ヴェンデリンは、冒険者に不可欠な自炊や洗濯を学ぼうとする生徒が少ないことに落胆したが、三人は野営や装備の管理にも役立つと理解しており、研修への意欲を示した。

三人のメイド服

レーアは料理でローブを汚さないよう、三人に予備のメイド服を着せた。ヴェンデリンが三人の姿を褒めると、アグネス、シンディ、ベッティは競うように自分も可愛いかと尋ねた。

レーアはその様子から、三人が単なる弟子以上の感情をヴェンデリンに抱いているように感じた。一方のヴェンデリンには、その意図を察している様子はなかった。

ポテトチップス作り

最初の料理実習では、レーアが包丁の扱いから教えた。三人はジャガイモの皮剥きや薄切りに苦戦しながらも徐々に上達し、最後は油で揚げてポテトチップスを完成させた。

レーアはさらに茶の淹れ方まで指導し、完成した料理を試食した。三人の出来はまだバウマイスター伯爵家の食卓に出せる水準ではなかったが、レーアは初心者としては合格だと評価した。三人も、いつかヴェンデリンに自分の料理を食べてもらうため、さらに練習すると意気込んだ。

野営料理との食い違い

ところがエルから、寮生活や野営に備える研修なのにポテトチップスしか作っていないと指摘された。レーアは慌ててフライドポテトへ切り替えたが、今度はヴェンデリンから、野営で大量の油を使うのは現実的ではないと指摘された。

そこへドミニクが現れ、レーアを拳骨で叱った。ドミニクは野営では素早く作れて十分な栄養が取れることが重要だと説明し、ジャガイモと肉を少量の油で炒め、水、ショウユ、砂糖で煮込む簡単な料理を作った。三人は簡単で美味しく、応用もしやすい料理として高く評価した。

ジャガイモのパンケーキ

立場を挽回しようとしたレーアは、テレーゼから教わったジャガイモ料理を披露した。千切りにしたジャガイモをフライパンで押し固めながら焼く簡単な料理であり、ヴェンデリンとエルからも好評だった。

チーズや肉を加えればボリュームも増やせるため、野営料理としても使いやすかった。レーアは勢いを取り戻し、三人への料理講習を続けた。

続いた料理指導

一カ月ほどすると寮母が決まり、寮生活のための料理研修は終了した。しかしアグネスたちは、ヴェンデリンに手料理を食べてもらいたいという理由から、その後もレーアに料理を習い続けた。

三人は次第に料理や菓子を作れるようになり、講義の合間にヴェンデリンへ持参するようになった。ヴェンデリンはそれらを残さず食べ続けたため、短期間で太ってしまった。

ヴェンデリンの体重増加

レーアは、初心者の三人が料理を多めに作り、甘味や脂の多いものになりがちだったことが原因だと説明した。ドミニクは、ヴェンデリンの健康を損なわないよう、すぐに作る量や料理内容を改めさせるようレーアを叱った。

レーアは今後改善すると答えながらも、少しふくよかなヴェンデリンも貴族らしくて悪くないと考えていた。

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