物語の概要
■ 作品概要
本作は、異世界に転生した貧乏貴族の八男・ヴェンデリンの波乱に満ちた活躍を描くファンタジー小説の第13巻である。
大縦貫トンネルの開通式を終え、ヴェンデリンと新妻カチヤとの結婚式がオイレンベルク領で無事に執り行われた。
しかし、結婚式の存在すら知らされていなかったカチヤの魔法の師匠「ブリザードのリサ」が、自分を差し置いて先を越された(結婚された)ことに怒り、パウルブルクへと襲来する。
さらに鋭い観察力を持つリサは、結婚後にカチヤの魔力量が不自然に増加していることを見抜いて問い詰める。
カチヤとヴェンデリンの秘密(関係を持つと相手の魔力が増えること)を守るため、魔力に目覚めたばかりの元公爵テレーゼが割り込み、リサに一ヵ月後の魔法決闘を申し込むことで事態のうやむやを図る。
だが最終的には、ヴェンデリン自身がリサと決闘を行うことになり、さらなる面倒なトラブルへと発展していく。
■ 主要キャラクター
- ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター
- 本作の主人公である。 彼はカチヤとの結婚を終えたのも束の間、リサの襲来に見舞われる。 さらに4人の妻たちの同時妊娠が発覚し、家庭内の重大イベントに翻弄されることになる。 周囲の秘密を守るためにリサと魔法による決闘を行い、勝利したものの、さらなる厄介な責任を背負い込むことになった。
- カチヤ(カチヤ・フランク・フォン・オイレンベルク)
- ヴェンデリン of ベンノ・バウマイスターの7人目の妻となった凄腕の元女冒険者だ。 彼女は結婚したことで魔力量が目に見えて増加した。 そのため、師匠であるリサにその不自然さを追究されてパニックに陥る。 普段は気さくな性格をしており、新婚旅行では魔の森での狩猟を希望した。
- リサ(リサ・クレメンテ・ウルリーケ・エクスラー)
- 「ブリザードのリサ」の異名を持つ王都の高名な女性魔法使いだ。 彼女はカチヤの実質的な魔法の師にあたる。 普段は過激な衣装を着て強い大酒飲みを装っているが、素顔は極度の人見知りで甘党のオドオド系美女を指す。 決闘の末にヴェンデリンに敗れ、素顔を晒してしまったことで、彼に責任を取るよう要求して屋敷に居候し始める。
- テレーゼ・ジークリット・フォン・フィリップ
- 帝国の元フィリップ公爵である。 彼女はヴェンデリンと結ばれたことで隠されていた魔法の才能が目覚めた。 これにより、上級魔法使いへの特訓を開始する。 カチヤとヴェンデリンの秘密を守るため、リサに決闘を申し込んで時間を稼ぐ機転を見せた。
■ 物語の特徴
- リサの「表と裏」の二面性が生み出すコミカルなギャップ 普段は男性に舐められないように派手なメイクや衣装で武装しているリサだが、一度お風呂に入って素顔に戻ると、男性と直接話すこともできない極度の人見知りになる。このギャップと、アマーリエやカタリーナを「通訳」に挟みながらヴェンデリンに徐々に懐いていく姿が、読者に微笑ましくもコミカルな印象を与える。
- 妻たちの同時妊娠による、ヴェンデリンの「家庭の義務」の多忙化 主要な妻4人が同時に妊娠して悪阻で寝込んでしまうため、バウマイスター家の冒険者活動は一時休止となる。一方で、まだ妊娠していないテレーゼやカチヤが魔力増強と将来の子作りのためにヴェンデリンの寝室を奪い合い、彼の肉体的・精神的疲労がさらに増していく大家族コメディが描かれる。
- 一味違った「お仕事」エピソード(ガーランド男爵の被虐嗜好への協力) 領地経営の重圧に苛まれるイケメン貴族・ガーランド男爵が「女性から罵倒されること」でしかストレスを解消できない人物として登場する。ヴェンデリンが台本を書き、イーナや再び仮面(衣装)を被ったリサが全力で彼を罵倒して満足させるという、シリーズの中でも異彩を放つユーモラスな「内政・外交」が展開される。
書籍情報
八男って、それはないでしょう! 13
著者:Y.A 氏
イラスト:藤ちょこ 氏
出版社:KADOKAWA(MFブックス)
発売日:2018年4月25日
ISBN:9784040698687
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あらすじ・内容
草木も凍る嫉妬の炎! 先を越された熟練の魔法使いの猛威
トンネル騒動が落ち着き、ヴェルと妻となったカチヤとの結婚式がオイレンベルク領で挙げられた。ところが、結婚式はマロイモや特産品を使った料理が並び、物産展の様相を呈していた。
一方、新婚旅行に至っては、魔の森で狩りをしているだけにしか映らないものの、つつながく行事として消化されていった。
だが、予期せぬ地雷が眠っていた。
不運が重なって連絡が届かず、式の存在すら知らなかったカチヤの師、リサがお冠なのだ。式がどうこうではなく、ただ先を越されたのが腹立たしいのだという。
そんなリサから近々会いに行くという手紙を受け取ったカチヤは、不安な夜を過ごすはめになるのだった……。
テレーゼに魔法の才能!? それがなぜかリサとの決闘に発展! 大幅加筆と書き下ろし短編で送るドタバタの第十三弾!
感想
前巻のトンネル騒動を経て、カチヤを妻に迎えたヴェンデリン。
今回はその結婚式から始まる。
とはいっても、豪華絢爛な大貴族の式というより、オイレンベルク領らしいかなり素朴な結婚式だった。
マロイモやハチミツ酒が並び、領民たちが飲み食いし、商人たちはその場で商談まで始める。
途中から、
「これ、結婚式というより祭りか物産展じゃない?」
と思ってしまうくらい自由である。
でもカチヤ自身も、堅苦しい式よりこちらの方が合っている。
豪華なドレス姿なのに料理をつまみ食いしようとして怒られているあたりも、いつものカチヤだった。
新婚旅行なのに魔の森へ行くの?
結婚式が終われば、次は新婚旅行。
普通なら観光地へ行くのだろう。
しかしカチヤが希望したのは、
魔の森で三日間狩りをすること。
しかも二人きりではない。
エリーゼたちも、エルやハルカも一緒。
もう新婚旅行なのか、いつもの冒険者パーティなのか分からない。
ただ、カチヤらしいといえば実にカチヤらしい。
そこで見つけたのが《レインボージュエル》だった。
非常に素早いリス型の魔物を傷つけずに捕まえ、額から採取しなければならない希少品。
カチヤが新婚旅行の記念に欲しいと言ったことから、ヴェンデリンたちは捕獲に挑戦する。
ところが、これが思っていた以上に大変だった。
リスは目で追うことすら難しい。
捕まえるにはルイーゼとカチヤが木の上で待ち伏せし、他のメンバーが周囲の魔物と派手に戦って注意を逸らす必要がある。
一個採るだけでも面倒なのに、途中で、
「エリーゼたちの分も必要では?」
となる。
さらに、
「テレーゼとアマーリエとフィリーネの分もいる」
となる。
最終的な目標は十個。
三日間の新婚旅行が、ほぼ全部レインボージュエル採取で潰れた。
新婚旅行から帰ってきたのに心身ともに疲労困憊。
しかも翌日にはローデリヒから街道工事を頼まれる。
休みだったんじゃないの?
と思ったら、
「三日間休んでいましたが?」
みたいな扱い。
狩り続けてボロボロなんだけど。
こういうところ、本当にヴェンデリンらしい。
自分から無茶をすることも多いが、周囲も遠慮なく仕事を追加してくる。
結果、いつも過労気味になる。
平穏になったと思ったら「ブリザードのリサ」が来る
カチヤもバウマイスター伯爵家での生活に馴染み、ようやく落ち着いてきた。
……と思ったら、今度はカチヤの魔法の師匠がやってくる。
《ブリザードのリサ》。
カチヤが新人だった頃、魔法を使えるようになるまで厳しく指導してくれた恩人である。
ただしカチヤ本人は、
「あの修行をもう一度やるのは嫌だ」
というくらい怖がっている。
そして久しぶりに再会したリサは、すぐにカチヤの異変に気付く。
魔力量が増えている。
以前なら加速魔法を使い続ければ午前中で魔力が尽きていたのに、今では夕方まで保つ。
当然リサは、
「何をした?」
と追及する。
しかしこの魔力増加には、ヴェンデリンと関係を持った女性の中で魔法の才能が現れたり、魔力量が再び増加したりするという、とても他人には話せない秘密が関わっている。
こんなの女性冒険者たちに広まったら大変だろうな。
魔力を増やしたい女性がヴェンデリンのところへ殺到しかねない。
だから絶対に漏らせない。
しかしリサは優秀な魔法使いなので、誤魔化しても簡単には引き下がらない。
そこでテレーゼが一か月の時間を稼ぐ
リサの追及に割って入ったのがテレーゼだった。
魔法の才能が現れ始めたばかりのテレーゼが、リサへ決闘を申し込む。
一か月後。
それまでに自分を鍛えて戦う。
もちろん、テレーゼが本気でリサに勝てると思っているわけではない。
リサの興味を自分へ向け、カチヤやヴェンデリンの秘密から目を逸らす。
時間も稼げる。
この辺は、さすが元公爵という感じだった。
戦闘力ではなく、状況そのものを利用している。
そして一か月後。
テレーゼは短期間でかなり魔力を伸ばし、火魔法を中心に鍛えてリサへ挑む。
巨大なファイヤーボールを叩き込むものの、リサの《ブリザード》に相殺され、魔力を使い切って敗北。
ただし、ここからがテレーゼらしい。
リサが、
「勝ったんだから秘密を教えろ」
と言っても、
「そんな条件、決闘前に決めてないじゃろ?」
で終了。
一か月待ったのに。
魔術比べをして勝っただけ。
リサからすると何も得られていない。
そりゃブチギレるわ。
結局ヴェンデリンと決闘することになる
リサは当然納得しない。
カチヤの魔力増加についてさらに追及を続ける。
そこでヴェンデリンが、
自分が勝てば諦めて帰る。
リサが勝てば秘密を教える。
という条件で決闘を申し込む。
今度はちゃんと条件を決めた。
翌日、二人は魔法で真正面からぶつかる。
リサは《ブリザード》の異名通り、氷結魔法の達人。
周囲を凍らせてヴェンデリンの動きを封じようとする。
対するヴェンデリンも火魔法で冷気を打ち消しながら、逆に氷魔法を使う。
そして最後には、リサの周囲だけを極端な低温へ落とす。
枝や岩まで凍結して砕けていくほどの冷気。
これ以上は危険だと判断したリサが降参し、決闘はヴェンデリンの勝利で終わる。
派手な必殺技で吹き飛ばすというより、
「これ以上やったら本当に危ない」
と相手に理解させて降参させる。
魔力量の差もあるが、ヴェンデリンの魔法の使い方がかなり怖い。
最大の衝撃は、リサの正体だった
ただ、今回一番驚いたのは戦闘ではない。
決闘後である。
極端な温度変化の影響で、リサの衣服や装備が崩れてしまう。
その後、屋敷へ戻って風呂に入り、化粧を落として着替えたリサ。
そこで別人のようになる。
あの派手な化粧。
強気な言動。
目立つ服装。
酒豪のような振る舞い。
全部、本来の自分を隠すための演技だった。
実際のリサは、
重度の人見知り。
特に男性とはまともに話せない。
女性冒険者として舐められずに生き残るため、強気で派手な《ブリザードのリサ》を作り上げていたのである。
これは予想できなかった。
あれだけ、
「凍らせるよ!」
みたいな勢いで周囲を威圧していた人が、化粧を落とすとアマーリエの後ろに隠れる。
しかも本当は酒より甘い物が好き。
派手な衣装も本人の趣味というより、生き残るために作った鎧だった。
今までの印象が全部ひっくり返る。
強気な姿も、リサが生きるために必要だった
この設定は単なるギャップ萌えだけではなく、意外と重い。
冒険者の世界は男性が多い。
女性だからと舐められれば、仕事にも命にも関わる。
だからリサは、
強そうに見える格好をする。
酒を豪快に飲む。
強い言葉を使う。
自分から相手を威圧する。
そうやって《ブリザードのリサ》を作った。
本当は人と話すことすら苦手なのに。
演じ続けた結果、周囲からは本当に気の強い女性だと思われるようになった。
カチヤですら、本当のリサを知らなかった。
それだけ長い間、あの人格で生きてきたのだと思うと少し見方が変わる。
本人にとっては必要な仮面だったのだろう。
読後の感想
『八男って、それはないでしょう!13』は、前半と後半でかなり雰囲気が違う一冊だった。
前半はカチヤとの結婚生活。
新婚旅行。
レインボージュエル集め。
そして相変わらず休ませてもらえないヴェンデリン。
特に、
新婚旅行で魔の森へ行く。
三日間ひたすら魔物と戦う。
疲労困憊で帰宅。
翌日から土木工事。
という流れには笑ってしまった。
この人、休暇でも働いているようなものだろ。
後半は完全にリサの巻だった。
最初は、
「厄介な強キャラが来たな」
という印象だった。
カチヤの秘密へ執拗に迫り、テレーゼとも揉め、最後にはヴェンデリンと決闘する。
ところが、すべてが終わって化粧を落としたら、
重度の人見知り。
男性が苦手。
甘党。
これまで見ていた《ブリザードのリサ》は、生きるために作った人格だった。
この落差が一番面白かった。
強さだけではなく、
「強く見せなければ生きていけなかった人」
という面が見えてくることで、一気に人間味が出たように感じる。
そして決闘に負けて秘密を諦めるどころか、そのままヴェンデリンの屋敷に居着く方向へ進んでいる。
また女性が増えるのか?
という嫌な予感しかしない。
ヴェンデリンの周囲、巻を追うごとに本当に賑やかになっていくな。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
カチヤの結婚式
ヴェンデリンとカチヤの結婚式と新オイレンベルク領の宴の全貌
『八男って、それはないでしょう!』において、ヴェンデリンと7人目の妻となったカチヤとの結婚式について、結婚式が開催された経緯、領主屋敷の庭で行われたアットホームな挙式、および物産展と化した大宴会の各点から解説する。
結婚式が開催された経緯
大縦貫トンネルの利権問題が解決し、旧オイレンベルク領がバウマイスター伯爵領に併合されたのち、ヴェンデリンとカチヤの結婚式を行うことが決定した。
・カチヤ自身は派手な式を苦手としていたが、新天地(新オイレンベルク領)に移住してきたばかりの領民たちにバウマイスター伯爵家との強固な結びつきと支援をアピールし、安心させるために最低限の式を挙げることは領主としての重要な義務であった。
・挙式にあたっては、オイレンベルク家には大貴族のようなノウハウが皆無であったため、一番近くに領地を持つ実家のヘルマン兄さん(バウマイスター騎士爵家)の元を訪ねて協力を要請した。
・ヘルマンの妻マルレーネや、側室のユッタ、さらに本家から駆けつけたアマーリエ義姉さんやエリーゼたちが、式の数日前から現地に入って最低限貴族らしい式になるよう手伝いを行った。
領主屋敷の庭で行われたアットホームな挙式
新オイレンベルク領にはまだ教会が完成していなかったため、式は領主屋敷の庭に簡易的な祭壇を設けて行われた。
・お供え物とゆるい神父:祭壇にはオイレンベルク領で採れた野菜や果物、そして特産のマロイモや地元の酒が並べられた。神父はお供え用の神の水(酒)を、事前に不備がないか確認すると称してフライングで味見してしまい、エリーゼから苦言を呈された。
・カチヤのドレス姿とお転婆ぶり:ヴェンデリンが用意した豪華なドレスに身を包み、エリーゼたちに美しく着飾られたカチヤは、まるでお人形のように美しく領民をため息つかせた。しかし、式の直前にテーブルの上の料理をつまみ食いしようとしてイーナに怒られ、領民からはいつものカチヤだと笑われるなど、彼女らしいお転婆な姿で周囲を和ませた。
・ウブな花嫁:冒険者としての強さや気さくな性格に反し、男性への免疫がないカチヤは、誓いの口づけの直前に、経験ないから緊張してきた、とヴェンデリンに小声で漏らす初々しい一面を見せた。
・無事に誓いを立て、指輪の交換を終えたことで、二人は正式に夫婦となった。
「物産展」と化した大宴会
挙式が終わると、そのまま領民全員とバウマイスター騎士爵領からの有志が参加する大宴会がスタートした。この宴会は、両領地の特産品を競い合うアピール合戦、すなわち物産展の様相を呈することとなった。
・特産品コラボ料理:テーブルにはバウマイスター騎士爵領から持ち込まれた大量のハチミツやハチミツ酒、オイレンベルク領のマロイモが並んだ。特に、ハチミツを絡めたマロイモの大学イモは大好評で、両領地の女性たちがお互いにお菓子のレシピを教え合う微笑ましい光景が見られた。
・結婚式を商談に利用する男たち:招待されたブライヒブルクの大商会の商人たちを前に、ヘルマン兄さんとファイトはハチミツ酒やマロイモの今後の販路拡大についてその場で熱心に商談を開始した。商人たちは、ハチミツやマロイモを美味しい調理法の宣伝と一緒に売り込むというヴェンデリンのアイデアに大いに感心した。
・大人たちの泥酔:お祝いにかこつけて、お抱えのブランターク、アームストロング導師、さらには寄親のブライヒレーダー辺境伯までもがハチミツ酒で完全に出来上がって泥酔し、ダメな大人の見本を晒していた。
まとめ
ヴェンデリンとカチヤの結婚式と新オイレンベルク領の宴を巡る一連の全貌は、新領民へのアピールと支援確約を目的とした挙式決定から始まり、ヘルメットやアマーリエらの協力による準備、新屋敷庭園での素朴なローカル挙式と初々しい誓い、そして特産マロイモやハチミツ酒が交わる物産展型大宴会と商談の展開に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
大貴族の形式主義や厳格な儀式という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、アットホームな門出と地域経済活性化の記録である。
挙式の要請から、庭園での誓い、ドレスとお転婆の調和、大学イモの商談、そして領民総出の祝福へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
レインボージュエル採取
レインボージュエル採取の全貌と夫婦の絆
『八男って、それはないでしょう! 13』において、ヴェンデリンと新妻カチヤの新婚旅行を過酷な弾丸ツアーへと変貌させた「レインボージュエル採取」について、驚きの設定や希少性、採取作戦のきっかけ、おとり・待ち伏せ共同作戦の確立、目標増量の経緯、および過酷な結末の各点から解説する。
「レインボージュエル」の驚きの正体と希少性
魔の森で発見されたばかりのレインボージュエルは、王侯貴族や大金持ちがこぞって欲しがる極めて貴重な新種の宝石である。
・リスの目ヤニの結晶:この宝石は、魔の森に生息する全高50センチほどの小さなリス型魔物の額にある退化した第3の目の窪みに、長い年月をかけて溜まった目ヤニが結晶化して虹色に輝くようになったものである。
・殺傷厳禁のデリケートさ:リスを傷つけたり殺したりしてしまうと、ストレスからか額のレインボージュエルはただの茶色い塊へと変化し、価値が完全に失われてしまう。そのため、必ず無傷で生け捕りにし、額から丁寧に取り外す必要があった。
・次の結晶化には1000年:額からジュエルを採取されても、リス自体が死ぬことはなくそのまま森に解放されるが、リスの寿命は1000年以上あり、再び同じ大きさのジュエルが蓄積されるまでにはおよそ1000年もの歳月が必要とされていた。
採取作戦のきっかけ:軽い約束から始まった試練
カチヤとの結婚式を終えたヴェンデリンは、3日間の新婚旅行として、カチヤの希望で魔の森での狩猟にエリーゼたち全員で出かけることになった。
・そこでレインボージュエルの存在を知ったカチヤが、新婚旅行の記念に手に入ったら欲しい、と軽く口にし、ヴェンデリンも深く考えずに了解した。
・さらに、間もなくハルカと婚約する予定のエルも、ハルカへの婚約指輪代わりにプレゼントしたい、と参戦した。
「おとり・待ち伏せ共同作戦」の確立
いざ森に入ると、このリス型魔物は賢くて絶対に罠にかからず、その移動速度は目にも留まらぬ速さであった。
・ヴェンデリンの探知魔法ですら位置を捉えるのが精一杯で、肉眼での確認すら困難を極め、無理に捕まえようとしたエルが木に激突して治癒魔法をかけられる事態に陥った。
・そこで、一行は以下のような高度な連携作戦を考案した。
・待ち伏せ:俊敏さに優れたルイーゼとカチヤの2人が、リスの通り道になりそうな巨木の上で息を潜めて待ち伏せする。
・おとり(魔物の掃討):ヴェンデリン、イーナ、ヴィルマ、カタリーナたちが、下層で襲いかかってくる他の獰猛な魔物たちと派手に戦闘を繰り広げる。
・捕獲:下での大戦闘に気を取られ、警戒心が緩んで木の上を通り抜けようとしたリスを、ルイーゼとカチヤがタイミングを合わせて一瞬の隙を突いて無傷で生け捕りにする。
・この作戦は最初に見事な成功を収め、無事に2匹のリスからレインボージュエルを採取し、お礼に木の実を与えて森へ逃がしてやることができた。
「公平性」という名の過酷なノルマ(目標10個への大増量)
最初はカチヤとハルカの分で2個あればいいと考えていたヴェンデリンであったが、他の妻たちが貰えないとなると人間関係上のトラブルが起きるのではないかとエルから指摘された。
・さらにカチヤから、この場にいない他の女性陣の分も用意しなければ、特にブライヒレーダー辺境伯からヘソを曲げられるリスクを突かれた。
・その結果、全員を平等に扱うという責務のため、必要数は一気に膨れ上がった。
・ヴェンデリンの妻・婚約者9人分(エリーゼ、イーナ、ルイーゼ、ヴィルマ、カタリーナ、カチヤ、テレーゼ、アマーリエ、フィリーネ)と、エルの婚約者1人分(ハルカ)を合わせた合計10個が目標となった。
心身ともにボロボロになった新婚旅行の結末
目標が10個に増えたことで、新婚旅行の3日間はすべて過酷なレインボージュエル採取に費やされることとなった。
・毎回、リスの注意を引くためだけに広範囲の魔物を血に狂わせて呼び寄せ、戦闘を繰り返さなければならなかった。
・さらに、捕獲したリスがすでにジュエルを抜かれた後の個体であったり、ジュエルが十分に育っていない幼体であったりするハズレのケースも多く、そのたびに作戦をやり直す羽目になった。
・丸3日間、休む間もなく魔物と戦い、極限の集中力で待ち伏せを続けた結果、一行は疲労困憊となって屋敷に帰還した。
・ギルドの受付で売却を懇願されたが、エリーゼは、これは夫婦の絆を維持するために必要なものである、と断固として売却を拒否した。
まとめ
レインボージュエル採取の全貌と夫婦の絆を巡る一連の全貌は、リス型魔物の目ヤニの結晶という驚きの生態の解明から始まり、軽はずみな約束に端を発する狩猟の開始、おとりと待ち伏せを組み合わせた捕獲作戦の確立、妻たち全員への公平性を保つための目標10個への激増、そして丸3日間に及ぶ過酷な魔物戦を経ての全員分確保に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
家庭内の不和や過酷な採取条件という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、公平な愛の提示と命懸けの宝石採取の記録である。
軽い承諾から、作戦の立案、ノルマの膨張、極限の疲労、そして家族全員の笑顔へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
リサの襲来
ブリザードのリサの襲来と決闘の全貌
『八男って、それはないでしょう! 13』において、バウマイスター伯爵領に波乱をもたらしたブリザードのリサの襲来について、襲来のきっかけ、怯えるカチヤと周囲の対応、喫茶店での遭遇と魔力増加の追及、テレーゼの介入と1ヶ月後の決闘、決闘の結末とヴェンデリンの参戦、および衣服崩壊とリサの正体の各点から解説する。
襲来のきっかけ:新婚カチヤへの強烈な嫉妬
リサは、カチヤが十四歳で冒険者予備校に入った頃から彼女を指導してきた実質的な魔法の師である。
・二ヶ月間の長期依頼から王都へ戻ったリサは、妹分であるカチヤが自分を差し置いて先に結婚したという事実を知った。
・独身で結婚願望が強いリサは激しい衝撃と怒りを覚え、カチヤの結婚を確かめるため、手紙を送りつけてバウマイスター領へと向かった。
怯えるカチヤと周囲の孤立
手紙を受け取ったカチヤは、過去の厳しい指導の記憶から怯え始めた。
・独身の先輩を差し置いて先に結婚したという気まずさから、リサとの再会を激しく恐れた。
・カチヤはヴェンデリンやエリーゼたちに同席を懇願したが、一同から拒否され、屋敷に引きこもって現実逃避の日々を送ることとなった。
喫茶店での遭遇と「魔力増加」の追及
カチヤは外出を嫌がったが、何も知らない導師に連れ出され、パウルブルクの喫茶店へ向かった。
・そこで、ド派手なボディコン風の黒いショートドレスに赤いラメ入りマントを纏ったリサが突如として姿を現した。
・リサはカチヤの結婚を祝ったものの、カチヤの魔力量が以前に比べて大きく増加している事実を見逃さなかった。
・カチヤの魔力増加の理由を追及するリサに対し、ヴェンデリンたちは人目のない場所に移動するため、彼女を屋敷へと連れ帰った。
テレーゼの介入と1ヶ月後の決闘
カチヤとヴェンデリンの秘密を隠し、リサの追及を逸らすため、テレーゼ・フォン・フィリップが二人の間に割って入った。
・テレーゼはカチヤの魔力が増えたのは指導不足だと指摘し、年齢や結婚の話題でリサを挑発した。
・激怒したリサに対し、テレーゼとリサは1ヶ月後に魔法で決闘を行うことになった。
決闘の結末とヴェンデリンの参戦
1ヶ月の特訓を経て、テレーゼは魔力を増やして巨大なファイヤーボールを放つが、リサのブリザードに相殺され、魔力切れで降参した。
・勝ったリサは再びカチヤを追及しようとしたが、ヴェンデリンが妻を守るため遮り、自らリサとの決闘を申し出た。
・翌日の決闘は、お互いを氷魔法で凍らせ、温め合う魔力消耗戦となった。
・魔力量で圧倒するヴェンデリンが、前世の科学知識を用いた極低温魔法「絶対零度」や「液体空気」でリサの周囲を包囲し、彼女を降参させた。
衣服崩壊と、リサの「衝撃の正体」
決闘直後、ヴェンデリンが握手を求めて歩み寄った瞬間、急激な温度変化に耐えきれなかったリサの衣服や装備が崩れ落ちた。
・裸体を晒してしまったリサは、大声で泣き出してしまう。
・屋敷に連れ帰り、メイクを落としたリサは、テレーゼより若く見えるほどの可愛らしい童顔であった。
・アマーリエが事情を聞き出すと、リサは実は極度の人見知りで、特に男性とは直接話すこともできない性格であることが判明した。
・これまでの過激な服装や強気な口調、大酒飲みの態度は、他者に舐められないための自己催眠の演技に過ぎなかった。
・最後には、裸を見られた責任をヴェンデリンに取るよう要求し、大人しくなったままバウマイスター邸に居候することとなった。
まとめ
ブリザードのリサの襲来と決闘を巡る一連の全貌は、カチヤの結婚に対する強烈な嫉妬から始まり、パウルブルクでの突如たる遭遇と魔力増加への追及、テレーゼの介入による1ヶ月後の魔法決闘、極低温魔法を駆使したヴェンデリンの勝利、そして衣服崩壊をきっかけに明かされた極度の人見知りと自己催眠の虚勢という正体に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
他者からの舐められや素顔の露呈という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的な魔法戦と素顔の受容の記録である。
結婚の嫉妬から、追及の勃発、テレーゼとの決闘、極低温の制圧、演じた虚勢の崩壊、そしてバウマイスター邸への居候へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
テレーゼの魔法
テレーゼの魔法覚醒と成長プロセスの全貌
『八男って、それはないでしょう!』において、元フィリップ公爵であるテレーゼ・ジークリット・フォン・フィリップの魔法と魔力の覚醒、およびその成長プロセスについて、魔法の覚醒と隠された要因、類稀なる魔法の才能、火系統魔法への特化と戦術、魔力容量の急成長と決闘での真価、および決闘後のさらなる進化の各点から解説する。
魔法の覚醒と隠された要因
テレーゼは幼少期には魔法の才能を示さず、魔力を持たない人間として育った。
・二十歳を過ぎてから突如として魔法の才能に目覚めることとなった。
・この遅すぎる覚醒のきっかけは、ヴェンデリンと男女の関係を持ったことであった。
・ヴェンデリンには、関係を持った女性の潜在的な魔力を具現化・増大させる特別な特異体質(古代魔法文明時代の人工魔法使いの因子)が備わっている。
・これによって、テレーゼの中に眠っていた強力な魔法の才能が一気に引き出された。
類稀なる魔法の才能
テレーゼが備えていた魔法の資質は、周囲の熟練魔法使いをも驚かせるほど極めて高い。
・天性の魔力コントロール:魔力の循環訓練を、最初から他人と会話をしながら平然と行えるほどの器用さを見せ、カチヤから、あたいよりも圧倒的に才能がある、と驚嘆された。
・驚異的な習得速度:ヴェンデリンやブランタークの指導のもとで猛特訓を重ね、恐ろしいほどの速さで魔法を吸収し、ブランタークからも、知り合いにこんな天才がいるとはな、と絶賛された。
火系統魔法への特化と戦術
カチヤの魔法の師匠であるブリザードのリサとの決闘を控えたテレーゼは、短期間で最大の効果を上げるために火系統の魔法に集中して特訓を行った。
・火系統を選んだ理由:氷結系魔法の達人であるリサのブリザードに対抗するため、あえて対極の属性を選んだ。さらに、火魔法を見せることでリサを激高させ、冷静さを失わせて勝負を有利に運ぶという戦術的思惑もあった。
・一点突破の作戦:わずか一ヶ月という短い準備期間で多種の魔法を覚えるのは非効率であるため、リサの氷結魔法に対抗できる高威力の単一魔法を極める作戦を選択した。
魔力容量の急成長と決闘での真価
特訓開始時点でのテレーゼの魔力は中級の上であり、魔法の威力低下を防ぐためにヴェンデリンから贈られた杖を補助に用いていた。
・しかし、決闘当日までに彼女の魔力量は上級の下にまで急激に増大した。
・決闘の本番において、テレーゼはほぼ全ての魔力を注ぎ込み、温度と火力に極限まで拘った巨大な青白いファイヤーボールを放った。
・この火の玉は、最終的に直径十メートルに達するほどの破壊的な威力を具現化させた。
・結果としてはリサのブリザードに相殺され、魔力切れによって降参したものの、初心者がわずか一ヶ月で到達したとは到底信じられない魔法の深淵を示した。
決闘後のさらなる進化
リサとの騒動が落ち着いた後も、ヴェンデリンとの関係継続によってテレーゼの魔力は増え続け、最終的には上級の真ん中程度にまで達した。
・使える魔法の系統や種類自体は増えなかったものの、魔力の底上げによって魔法の発動回数と威力は大幅に強化された。
・これにより、一端の強力な魔法使いとしての地位を完全に確立した。
まとめ
テレーゼの魔法覚醒と成長プロセスを巡る一連の全貌は、ヴェンデリンとの関係を契機とした潜在魔力の覚醒から始まり、天性のコントロールと急速な習得スピードの露呈、リサ対策に絞った火系統一点突破の特訓、上級の下への魔力急増と直径十メートルの青白いファイヤーボールの行使、そして上級の真ん中へのさらなる進化に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
覚醒の遅れや短期間の特訓という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、驚異的才能の開花と魔法使いとしての自立の記録である。
遅咲きの目覚めから、特訓の開始、戦術の選択、大火力の具現、そして上級魔法使いへの到達へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
ヴェンデリンの重責
ヴェンデリンが背負う重層的かつ過酷な重責の全貌
『八男って、それはないでしょう!』の主人公であるヴェンデリン(一宮信吾)は、10代半ばという若さでバウマイスター伯爵家の当主となり、周囲からは「竜殺しの英雄(ドラゴンスレイヤー)」と称えられている。しかし、その華々しい立場の裏では、元平々凡々な日本の商社員としての許容量を遥かに超える、重層的で過酷な重責を背負い、日々心労を募らせている。彼が背負う主な重責について、いくつかの側に分けて解説する。
領主(当主)としての過酷な「土木・内政」の重責
ヴェンデリンは広大な未開地を含むバウマイスター伯爵領を治めているが、この開発を劇的に進めているのは、彼自身の規格外の魔力を駆使した土木魔法に他ならない。
・鬼の家宰による過酷な労働:領地経営の実務は極めて有能な家令(代官)ローデリヒに任せているが、ローデリヒの開発計画は一切妥協がない。ヴェンデリンは魔法のショベルとして、広大な平地の整地、治水、道路網、用水路、バウルブルクの基盤、さらには港の建設までを自ら魔法でこなさなければならず、連日魔力切れを起こしては工事現場で野営を余儀なくされるほど、馬車馬のように扱き使われている。
・特産品や新産業の創出責任:領民の雇用を守るために立ち上げた陶磁器(骨灰入り磁器)産業などにおいても、最高級品に必要な粘土の魔法調整はヴェンデリン個人に依存しており、開発工事の合間を縫って彼がその調整を行うなど、負担は増し続けている。
「王国の守護者・英雄」としての軍事・外交的重責
12歳にして古代竜や属性竜を討伐し、名声と爵位を手に入れたヴェンデリンであるが、大貴族の当主となったがゆえに、国家規模の軍事・政治問題に巻き込まれることになる。
・強制従軍と政治への縛り付け:王国では、どれほど未成年であっても、一度独立した貴族(当主)となれば王命による軍事行動へ従軍する義務が発生する(属性竜グレードグランドの討伐など)。
・帝国内乱への巻き込まれと死闘:隣国アーカート神聖帝国のクーデターの際には、ヘルムート王国の利益のために、事実上の傭兵として内乱に参戦させられる。そこでは、かつての師匠アルフレッドを英霊召喚で利用してくる敵と戦わねばならず、精神的にも極限の死闘を繰り返した。
・1,500人以上の敗残兵を養う負担:内乱下で敗残した王国軍の兵士1,500人近くをヴェンデリンが引き受けることとなり、彼らの衣食住、武器や防具の装備、さらには日々の小遣いに至るまで、すべてヴェンデリン自身の個人資産(魔法の袋に貯めた金など)から賄わなければならないという、理不尽極まりない金銭的・管理的重責も負わされた。
血のしがらみ「お家騒動」と遺族への責任
ヴェンデリンが背負う最も精神的に重い出来事が、生まれ故郷(バウマイスター騎士爵領)にまつわるお家騒動のしがらみである。
・幼少期からの「怠け者のふり」:バウマイスター騎士爵家において、幼少期から卓越した魔法の才能を隠し、働かない怠け者の八男を装うことを父や本家から求められていた。これは、本家の長男クルトを差し置いて優秀なヴェンデリンが跡継ぎに望まれることで発生するお家騒動を防ぐための、冷酷な貴族の秩序であった。
・兄クルトの自滅と遺族への配慮:しかし、この柵(しがらみ)は最終的に、ヴェンデリンを自分の地位を脅かす敵と逆恨みしたクルトの暴走と、魔道具「怨嗟の笛」による自滅という悲劇的な結末を招く。ヴェンデリンは、兄を死に追いやったことへの倫理的葛藤(クルトを支持していた本村落の保守派への対抗など)を抱えつつ、クルトの未亡人であるアマーリエや、幼い甥たちの将来を保証し、静かに引き取って養い続けるという血縁上の重い責任を背負い続けている。
多数の妻妾を養う「大家族の家長」としての私生活の重責
16歳にしてエリーゼ、カタリーナ、ヴィルマ、ルイーゼ、イーナの5人を同時に妻に迎え、さらにアマーリエとの密会(内縁関係)や、のちの妻カチヤなども加わり、彼の家庭は極めて賑やかであるが、そのバランス調整は胃が痛むほど繊細である。
・序列維持と嫉妬への気配り:妻たちの序列や人間関係の均衡(特に正妻エリーゼを立てること)に常に気を遣う必要があり、新参であるアマーリエとの関係が噂された際には、妻たちから無言のプレッシャー(大量のマテ茶を飲まされる)を受けるなど、家庭内での立ち回りにも細心の注意を払っている。
・魔力増強という国家機密級の体質:ヴェンデリンと深い関係(夜の営み)を持った女性は、魔力の上限が大幅に急増するという特別な体質(秘密)が発覚する。この事実が他国や他家に知られれば、自家の娘にも魔力を与えてほしいと強引な政略結婚を押し付けられるなどの深刻な政治的スキャンダルに発展するため、この極秘情報を命がけで隠し通さねばならないという、絶え間ない精神的重圧に晒されている。
まとめ
ヴェンデリンが背負う重層的かつ過酷な重責を巡る一連の全貌は、ローデリヒの徹底的な主導による土木・内政労働から始まり、国家の命運を分ける軍事従軍や敗残兵養育の金銭的負担、兄クルトの自滅と未亡人アマーリエ一族の引き取り、そして多数の妻妾の立ち回りと魔力増強体質の隠蔽に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
貴族社会の冷酷な制度や多大な義務という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的な魔力行使と誠実な責任遂行の記録である。
能力の顕現から、領地の開拓、不本意な参戦、家庭の調整、そして重責の受容へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
登場キャラクター
バウマイスター伯爵家・関係者
ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター
ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターはバウマイスター伯爵家の当主である。
彼の前世は日本の商社マンであった。
魔法使いとして高い実力を持ち、エリーゼたちの夫にあたる。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の当主を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤとの結婚式と新婚旅行を終えた。
新婚旅行の際には魔の森で十個のレインボージュエルを採取する。
カチヤの師匠であるリサと魔法で決闘し、勝利を収めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リサに勝利したことで、彼女から責任を求められた。
四人の妻が同時に妊娠したため、家長としての負担が増大する。
エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム
エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイムはヴェンデリンの正妻である。
彼女は「聖女」と称される治癒魔法の使い手だ。
誰に対しても優しい性格をしている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の正妻だ。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤに貴族としてのマナーを指導した。
新婚旅行に同行し、怪我をしたエルの治療を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴェンデリンとの子供を妊娠した。
悪阻のために一時的に活動を休止する。
イーナ・ズザネ・ヒレンブラント
イーナ・ズザネ・ヒレンブラントはヴェンデリンの妻である。
彼女は赤髪の槍使いだ。
読書を趣味とし、真面目な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の妻だ。
・物語内での具体的な行動や成果
新婚旅行に同行し、魔の森で魔物と戦った。
ガーランド男爵の要望を受け、彼を罵倒する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴェンデリンとの子供を妊娠した。
悪阻のため、しばらく静養する。
ルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェーク
ルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェークはヴェンデリンの妻である。
彼女は魔闘流の使い手だ。
明るく行動的な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の妻だ。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤにメイド服を着るよう勧めた。
新婚旅行では木の上で待ち伏せを行い、リスを捕獲する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴェンデリンとの子供を妊娠した。
悪阻によってしばらく休養する。
ヴィルマエトル・フォン・アスガハン
ヴィルマエトル・フォン・アスガハンはヴェンデリン의妻である。
彼女はエドガー軍務卿の養女だ。
大斧を操り、お菓子を好む。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の妻だ。
・物語内での具体的な行動や成果
新婚旅行の狩猟において前衛を務めた。
ギャルツネでの大食い勝負では導師に勝利する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
妊娠したエリーゼたちの看病を担当する。
カタリーナ・リンダ・フォン・ヴァイゲル
カタリーナ・リンダ・フォン・ヴァイゲルはヴェンデリンの妻である。
彼女は強力な風魔法を操る。
少しプライドが高いが、真面目な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の妻であり、ヴァイゲル家の当主だ。
・物語内での具体的な行動や成果
新婚旅行での狩猟に参加した。
カチヤとテレーゼに魔法の指導を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴェンデリンとの子供を妊娠した。
悪阻により、一時的に活動を休止する。
エルヴィン・フォン・アルニム
エルヴィン・フォン・アルニムはヴェンデリンの親友であり、家臣である。
彼はアルニム家の出身だ。
剣術に優れ、ハルカの婚約者にあたる。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の家臣だ。
・物語内での具体的な行動や成果
新婚旅行に同行し、魔物の討伐に参加した。
レーアとの初めてのデートを行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リサから一時的に尾行の対象とされた。
ハルカ・フジバヤシ
ハルカ・フジバヤシはエルヴィンの婚約者である。
彼女はミズホ公爵領の出身だ。
おとなしく、剣術に優れる。
・所属組織、地位や役職
エルヴィンの婚約者だ。
・物語内での具体的な行動や成果
新婚旅行に同行し、狩猟に参加した。
カチヤに基本的な刀技の指導を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エルヴィンとの結納を控えている。
アマーリエ・フォン・マインバッハ
アマーリエ・フォン・マインバッハはヴェンデリンの亡き兄の未亡人である。
彼女は二人の子の母親だ。
温和で世話好きな性格をしており、実質的にヴェンデリンの側室となっている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の侍女長を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤの結婚式の準備を手伝った。
人見知りのリサから本音を聞き出す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リサが男の人と話す際の通訳役を務める。
ローデリヒ
ローデリヒはバウマイスター伯爵家の家宰である。
彼は極めて高い実務能力を持っている。
領地開発に情熱を注ぐ人物だ。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の家宰を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
領内の街道拡張工事を計画した。
リサを罵り役から救うため、専門の女性を紹介する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
不採用リストを作成し、領内の防犯に努めている。
ドミニク
ドミニクはエリーゼの幼馴染である。
彼女はしっかり者のメイド長だ。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家のメイド長を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
従妹であるレーアの私服をチェックした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
現在は産休に入っている。
レーア
レーアはドミニクの従妹である。
彼女はバウマイスター伯爵家の新人メイドだ。
少し調子に乗りやすい性格をしている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家のメイドだ。
・物語内での具体的な行動や成果
エルヴィンとの初めてのデートに出かけた。
リサの尾行に対抗して、エルヴィンと親密な様子を見せる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
デートの最後に飲んだ辛口ワインで泥酔した。
カスパル
カスパルはドミニクの夫である。
彼は庭師を務めている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の庭師だ。
・物語内での具体的な行動や成果
導師が中庭に開けた大穴の埋め戻し作業を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
手際よく庭の修繕をこなした。
バウマイスター騎士爵家
ヘルマン・フォン・ベンノ・バウマイスター
ヘルマン・フォン・ベンノ・バウマイスターはヴェンデリンの実家の当主である。
彼はまじめな性格の貴族だ。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター騎士爵家の当主を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤの結婚式に参加し、準備を手伝った。
式場において、マロイモやハチミツの商談をまとめる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
オイレンベルク家と協力して新商品を開発する予定だ。
マルレーネ・フォン・ベンノ・バウマイスター
マルレーネ・フォン・ベンノ・バウマイスターはヘルマンの妻である。
彼女はしっかり者で、実家の内政を支える。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター騎士爵家の当主夫人である。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤの結婚式の準備を手伝うため、事前に現地入りした。
式場で特産のハチミツやお菓子を振る舞う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
お芋の料理に関心を示した。
ユッタ
ユッタはヘルマンの側室である。
彼女は素朴な田舎暮らしを好む。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター騎士爵家の側室を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤの結婚式に招待され、喜ぶ様子を見せた。
マルレーネと共に式の準備を支援する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
領地を離れて他領へ出かける機会を得た。
レオン
レオンはヘルマンの長男である。
彼はヴェンデリンの甥にあたる。
明るく活動的な少年だ。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター騎士爵家の跡取り息子だ。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンの語る冒メントを興味深く聞いた。
エリーゼの運転する魔導四輪に乗り、大喜びする。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
初めて領地の外へ出かける機会を得た。
クラーラ
クラーラはヘルマンの長女である。
彼女はレオンの妹だ。
幼いながらもしっかりとした少女である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター騎士爵家の一族だ。
・物語内での具体的な行動や成果
エリーゼたちとお菓子を食べながら談笑した。
魔導四輪のスピードをとても気に入る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
初めて町へ買い物に行く約束をヴェンデリンと交わした。
オイレンベルク騎士爵家
ジギ・フランク・フォン・オイレンベルク
ジギ・フランク・フォン・オイレンベルクはオイレンベルク家の当主である。
彼は気が弱く、謙虚な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
オイレンベルク騎士爵家の当主を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
新領地への移転を完了させた。
カチヤの結婚式を取り仕切る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
バウマイスター伯爵家との関係を強化した。
ファイト・フランク・フォン・オイレンベルク
ファイト・フランク・フォン・オイレンベルクはジギの息子である。
彼はマロイモの栽培に情熱を傾ける。
・所属組織、地位や役職
オイレンベルク騎士爵家の嫡男だ。
・物語内での具体的な行動や成果
新領地でのマロイモの栽培を再開した。
結婚式の宴会では商人たちと商談を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
マリタとの結婚を無事に終えた。
カチヤ・フランク・フォン・オイレンベルク
カチヤ・フランク・フォン・オイレンベルクはヴェンデリンの妻である。
彼女は「神速」の二つ名を持つ元冒険者だ。
気さくで、飾らない性格をしている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の妻を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
オイレンベルク領で結婚式を挙げた.
新婚旅行では魔の森でレインボージュエルを無傷で捕獲する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴェンデリンと結婚したことで魔力が増加した。
マリタ
マリタはファイトの妻である。
彼女はオイレンベルク領の名主の娘だ。
・所属組織、地位や役職
オイレンベルク騎士爵家の嫡男の妻だ。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤに神父の居場所を教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ファイトと無事に結婚した。
ヘルムート王国(王宮・貴族・その他)
王太子殿下
王太子殿下はヘルムート王国の王太子である。
彼は極めて有能だが、存在感が薄い特徴を持つ。
非常に寛容で、人柄を重視する人物だ。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国の王太子を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
お忍びでバウマイスター伯爵領を訪問した。
ヴェンデリンたちと共に狩猟を行い、鹿を仕留める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
不採用リストの判断についてローデリヒを高く評価した。
クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング
クリムト・クリストフ・フォン・アームストロングは王宮筆頭魔導師である。
彼は一個軍団に匹敵する魔力を持つ。
甘いものをこよなく愛する豪快な人物だ。
・所属組織、地位や役職
王宮筆頭魔導師を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤを強引に連れ出してギャルツネを訪れた。
リサに飲酒勝負を挑み、アクアビットを二十三本飲み干す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リサとの飲酒勝負に敗北し、悔しそうな様子を見せた。
アマデウス・フライターク・フォン・ブライヒレーダー
アマデウス・フライターク・フォン・ブライヒレーダーは王国の南部を支配する大貴族である。
彼はヴェンデリンの寄親にあたる。
内政や外交に優れた手腕を持つ人物だ。
・所属組織、地位や役職
ブライヒレーダー辺境伯だ。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤとヴェンデリンの結婚式の必要性を指摘した。
ガーランド男爵の被虐嗜好の背景をイーナに説明する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
オイレンベルク領の一部を譲り受け、トンネル周辺の開発を進める。
ブランターク・リングスタット
ブランターク・リングスタットはブライヒレーダー辺境伯のお抱え魔法使いである。
彼は経験豊富で、酒を愛するベテランだ。
・所属組織、地位や役職
ブライヒレーダー辺境伯家の筆頭お抱え魔法使いを務める。
・物語内での具体的な行動や成果
リサの人柄や噂についてヴェンデリンに教えた。
決闘の立会人や審判を務める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
勝負で余ったアクアビットをリサから譲り受け、深く感謝した。
ヘルルーガ・フォン・シュティール
ヘルルーガ・フォン・シュティールはシュティール子爵の妻である。
彼女は成金趣味で、息子のレオポルドを過剰に溺愛している。
・所属組織、地位や役職
シュティール子爵家の当主夫人を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
息子の不採用に抗議するため、バウマイスター邸を訪れた。
長時間の自慢話を展開し、再面接の機会を勝ち取る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
金貸しとして極めて優れた才覚を持ち、実家の財政を立て直した。
レオポルド・フォン・シュティール
レオポルド・フォン・シュティールはシュティール子爵夫人の六男である。
彼は極めて尊大で、具体的な実績のない「意識高い系」の青年だ。
・所属組織、地位や役職
シュティール子爵家の一族だ。
・物語内での具体的な行動や成果
仕官の再面接において、終始上から目線で自分をアピールした。
護衛のリサを「下品なオバさん」と公然と侮辱する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リサの怒りを買い、足元と両手を氷漬けにされて門前に晒された。
ガーランド男爵
ガーランド男爵は若くして爵位を継いだ領主である。
彼は極めて優れた統治能力を持つ。
しかし、ストレス解消のために女性から罵られることを好む。
・所属組織、地位や役職
ガーランド男爵家の当主を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
イーナに街中で声をかけ、自分を罵るよう懇願した。
リサからも激しい罵倒と足蹴りを受け、恍惚とする。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
罵られたことで、見事に日頃のストレスを完全に解消した。
リサ・クレメンテ・ウルリーケ・エクスラー
リサ・クレメンテ・ウルリーケ・エクスラーは王都の高名な魔法使いである。
彼女はカチヤの魔法の師匠だ。
普段は強気な姿で武装しているが、素顔は極度の人見知りだ。
・所属組織、地位や役職
王都の高名なフリーの魔法使いだ。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤの魔力増加の秘密を探るため、王太子の護衛を引き受けた。
ヴェンデリンとの決闘に敗北し、裸体を晒してしまう。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
裸を見られた責任をヴェンデリンに求め、彼の屋敷に居候し始めた。
ヨハン・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェーク
ヨハン・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェークはルイーゼの弟である。
彼は十五歳の若さで道場の実務を任されている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家魔闘流本道場の実務担当者だ。
・物語内での具体的な行動や成果
道場破りの来襲をルイーゼに報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
姉のルイーゼの指名により、魔闘流指南役家の創設に携わる。
ゼノス・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェーク
ゼノス・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェークはルイーゼの兄である。
彼はヨハンと共に道場を支える。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家魔闘流本道場の実務担当者だ。
・物語内での具体的な行動や成果
ヨハンと共に道場の運営や雑務をこなした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実質的な道場の運営権をルイーゼから託されている。
テルマ(バンバ・バババーン)
テルマ(バンバ・バババーン)は道場破りをしていた格闘家である。
大男だが、幼少期の事情から女性名「テルマ」をつけられた。
その名を理由に嘲笑された過去を持つ。
・所属組織、地位や役職
元道場破りであり、バウマイスター伯爵領魔闘流支部の師範を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
魔闘流本道場を襲撃したが、ルイーゼに一撃で敗北した。
支部道場で襲ってきた荒くれ冒険者たちを屈服させ、更生させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ルイーゼに実力を認められて正式に師範として雇用された。
壊した道場の修繕費は月賦で返済している。
アーカート神聖帝国
テレーゼ・ジークリット・フォン・フィリップ
テレーゼ・ジークリット・フォン・フィリップは帝国の元フィリップ公爵である。
彼女は非常に老練で、政治的な知略に優れる。
ヴェンデリンの愛人の立場にある。
・所属組織、地位や役職
帝国の元公爵であり、バウマイスター領のご隠居様だ。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤの秘密を守るため、リサに一ヵ月後の決闘を申し出た。
決闘では巨大な青白いファイヤーボールを放ち、魔力切れで降参する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴェンデリンとの男女の関係により、強大な魔法の才能が開花した。
展開まとめ
第一話 カチヤとの結婚式には見えにくいかもしれない
開通式後のカチヤ
トンネル開通式を終えたカチヤは、人目がなくなると窮屈なドレス姿を崩し、普段どおりの振る舞いに戻った。エリーゼから貴族令嬢としての作法を教わっていたものの、必要な場では問題なく振る舞えたため、ヴェンデリンはそれで十分だと考えた。
結婚式の必要性
ブライヒレーダー辺境伯は、カチヤとヴェンデリンにはまだ結婚式が残っていると指摘した。豪華な式は不要だったが、新領地へ移ったオイレンベルク領民に両家の結びつきを示し、バウマイスター伯爵家の支援を実感させるためにも、最低限の式は必要であった。
近隣領地との関係
新しいオイレンベルク領に最も近い貴族領が、ヴェンデリンの実家であるバウマイスター騎士爵領だったため、ヘルマンたちも結婚式へ招くことになった。ヴェンデリンは両領地を近隣同士として協力させる方針であり、ヘルマンたちにはオイレンベルク家へ貴族らしい結婚式の準備を教えてほしいと頼んだ。
ヘルマン家への挨拶
ヴェンデリンたちはバウマイスター騎士爵領を訪れ、ヘルマンにカチヤを紹介した。ヘルマンたちは結婚式への参加と準備の手伝いを快諾し、特産のハチミツやハチミツ酒も提供することになった。カチヤも気取らない態度ですぐに打ち解けた。
甥姪との交流
打ち合わせ後、ヴェンデリンたちはレオンやクラーラと食事や釣りを楽しんだ。領地の外へ出た経験がない二人は、オイレンベルク領での結婚式や町への外出を楽しみにし、ヴェンデリンも連れていくと約束した。
魔導四輪の再来
エリーゼとハルカが子供たちを魔導四輪に乗せると提案し、ヴェンデリンとエルは以前の高速運転を思い出して止めようとした。しかし二人の意志は強く、再び運転を任せることになった。後日、ヴェンデリンとエルは高速走行に苦しんだが、レオンとクラーラは大喜びし、また乗りたいと望んだ。
オイレンベルク領の結婚式
結婚式当日、領主屋敷の庭には料理、菓子、酒が大量に並べられた。オイレンベルク領とバウマイスター騎士爵領の女性たちに加え、エリーゼたちやアマーリエも準備を手伝い、両領地の特産品であるマロイモ、ハチミツ、ハチミツ酒も振る舞われた。
花嫁姿のカチヤ
豪華なドレスと装飾品を身につけたカチヤは領民を感嘆させたが、料理をつまみ食いしようとしてイーナに叱られ、すぐに普段どおりだと笑われた。領民たちは気安くカチヤをからかいながらも、その結婚を心から祝っていた。
土地に根付いた挙式
まだ教会が完成していなかったため、式は屋敷の庭で行われた。土地独自の習慣として野菜、果物、マロイモ、酒が祭壇に供えられ、地元の神父が式を取り仕切った。ヴェンデリンとカチヤは互いに誓いを立て、口づけと指輪の交換を終えて正式に夫婦となった。
宴会と領地交流
挙式後は堅苦しさのない宴となり、両領地の住民が料理や酒を楽しんだ。ヘルマンとファイトは商人たちと商談を始め、ハチミツやハチミツ酒、マロイモの販路拡大を話し合った。マロイモとハチミツを組み合わせた料理も好評で、商人たちは調理法と一緒に売り込む方法に注目した。
祭りのような祝宴
大人たちは酒を楽しみ、子供たちは珍しい料理や菓子を味わい、女性たちは調理法を教え合い、商人たちは新しい商機を探していた。結婚式というより祭りや物産展のような雰囲気になったが、カチヤは必要な儀式を終え、皆が楽しんでいるならそれでいいと受け入れていた。
第二話 新婚旅行とレインボージュエル
新妻カチヤのメイド服
結婚式から三日後、ヴェンデリンが朝食の席へ向かうと、カチヤがルイーゼに勧められた新しいメイド服姿で給仕をしていた。本人はひどく恥ずかしがっていたが、ルイーゼたちはカチヤに似合う姿を見たかったことに加え、そろそろ新婚旅行へ連れていくべきだとヴェンデリンに指摘した。
カチヤの新婚旅行
カチヤは国内各地を冒険者として回っていたため、観光地ではなく魔の森で三日間狩りをしたいと希望した。さらにヴェンデリンだけでなく、エリーゼたちやエル、ハルカも同行させ、これから共に暮らす家族との交流も深めようとした。ヴェンデリンたちはその希望を受け入れ、全員で魔の森へ向かった。
レインボージュエル
魔の森の冒険者ギルドでは、新たに発見されたレインボージュエルが話題になっていた。それは非常に素早いリス型魔物の額に生じる虹色の塊であり、無傷で捕らえて採取しなければ輝きを失う希少品であった。カチヤは新婚旅行の記念に手に入れば欲しいと話し、ヴェンデリンも贈ると約束した。エルもハルカへの婚約記念として入手を望んだ。
高速のリス
一行はリスの生息地へ向かったが、その動きはヴェンデリンたちでも姿を捉えられないほど速かった。エルは捕獲しようとして木に激突し、エリーゼの治療を受けた。さらに周囲の魔物も襲来したため、一行は大量の魔物と戦うことになった。
ルイーゼとカチヤの待ち伏せ
戦闘後、姿を消していたルイーゼとカチヤが木の上から現れ、それぞれリスを一匹ずつ無傷で捕獲していた。二人は巨木の上で気配を消して待ち伏せし、一行と魔物の戦闘に気を取られたリスを狙っていたのである。額からレインボージュエルを取り外したあと、リスには木の実を与えて解放した。
レインボージュエル採取作戦
一行は、ルイーゼとカチヤが待ち伏せし、他の者たちが周囲の魔物と派手に戦ってリスの注意を逸らす方法を繰り返した。しかし成功率は低く、捕獲してもすでに宝石を採られた個体や、まだ十分に育っていない個体もいた。大量の魔物との戦闘も必要となり、想像以上に過酷な作業となった。
全員分の宝石
当初はカチヤとハルカの分だけを考えていたヴェンデリンだったが、エリーゼたちとの公平を考え、妻たち全員分を確保する必要があると気づいた。さらにカチヤからテレーゼ、アマーリエ、フィリーネの分も必要だと指摘され、採取目標は十個まで増えた。
三日間の宝石狩り
新婚旅行の三日間は、すべてレインボージュエル採取に費やされた。一行は魔物との戦闘とリスの待ち伏せを繰り返し、心身ともに疲労しながら最終的に十個を確保した。ギルド職員から売却を求められたが、エリーゼは夫婦の絆に必要なものだとして断った。
レインボージュエルの贈り物
帰宅後、ヴェンデリンはアマーリエとテレーゼにもレインボージュエルを渡し、フィリーネにも届けることにした。女性たちは希少な宝石を喜び、エルとハルカも二人で得た宝石をどのアクセサリーにするか楽しそうに相談した。カチヤも新婚旅行と贈り物への感謝をヴェンデリンに伝えた。
新婚旅行後の土木工事
休息も束の間、ローデリヒはパウルブルク、オイレンベルク領、バウマイスター騎士爵領を結ぶ街道拡張工事をヴェンデリンに任せた。ヴェンデリンはカタリーナにも協力を求め、夫婦で工事を進めることになった。
工事現場のカチヤ
翌日からヴェンデリンとカタリーナが魔法による街道工事を始めると、カチヤも作業員たちの食事係として同行した。冒険者として培った気さくな対人能力で作業員たちとすぐに打ち解け、現場を離れる際には惜しまれるほど親しまれた。ヴェンデリンとカタリーナは、自分たちにはないカチヤの人付き合いの巧さを羨ましく感じた。
第三話 ブリザードのリサ
王都に戻ったリサ
長期依頼を終えて王都へ戻った高名な女性冒険者リサは、馴染みの酒場で二か月分の王都の出来事を聞いた。そこで、妹分として面倒を見ていたカチヤがオイレンベルク家の令嬢であり、トンネル管理を巡る騒動を起こした末、武芸大会でヴェンデリンに敗れて彼の妻になったと知った。
カチヤの結婚への衝撃
自分より年下のカチヤが先に結婚した事実に、独身のリサは大きな衝撃を受けた。事情を面白がった若い冒険者に嫁き遅れをからかわれると、リサは彼とテーブル一帯を氷漬けにして酒場を去った。その後も怒りが収まらず宿で不貞寝したが、夜中に目を覚ますと、カチヤの結婚が本当なのか自分の目で確かめようと手紙を書き、バウマイスター伯爵領へ向かうことを決めた。
カチヤの新婚生活
一方、結婚後のカチヤはヴェンデリンとの夫婦生活にも慣れ始め、以前から憧れていた腕枕も経験した。早朝にはヴェンデリンと鍛錬し、彼から瞑想による魔力制御を教わったあと、一緒に風呂へ入り、エリーゼたちと朝食を取る生活を送っていた。
バウマイスター家への馴染み
カチヤは豪華すぎない生活や、鍛錬、狩猟、豊かな食事を気に入り、エリーゼたちとも自然に打ち解けていた。特に米や味噌汁を気に入り、毎朝よく食べていた。テレーゼやアマーリエとも気兼ねなく接し、ヴェンデリンはカチヤが短期間で家族に馴染んだことを感じていた。
オイレンベルク家への役割
テレーゼは、カチヤがオイレンベルク家から嫁いだ以上、実家の状況にも気を配る必要があると教えた。資金だけでなく、街道整備、人手の紹介、新たな領民の確保など、必要な支援を夫であるヴェンデリンに求めることも妻としての役目だと説いた。カチヤは夫に頼ることへ抵抗を示したが、実家のために必要な支援を求めることは単なる我儘ではないと理解した。
オイレンベルク家の蓄財
オイレンベルク家は長年ほとんど他家と交流せず質素に暮らしてきたため、意外にも多額の財産を蓄えていた。持参金には二百年以上前の旧金貨まで大量に含まれており、ブライヒレーダー辺境伯を驚かせた。新領地ではその蓄えを使って開発を進め、隣接するバウマイスター騎士爵家ともハチミツやマロイモを使った新商品の製造を計画していた。
増え始めた魔力
結婚後、カチヤは自分の魔力量が明らかに増えていることに気づいた。以前は加速魔法を多用すれば午前中で魔力が尽きていたが、今では夕方まで使えるようになっていた。エリーゼは、ヴェンデリンと夫婦関係を持った女性の中には、魔法の才能が現れたり、成長が止まっていた魔力量が再び増えたりする者がいると説明した。
秘密の共有
カタリーナたちは、その事実を親兄弟にも話してはいけないとカチヤに念を押した。ヴェンデリンはテレーゼにも秘密を知られていたが、彼女を信用しているため問題ないとした。カチヤも、この情報が女性冒険者たちに知られれば、魔力を求めて大量の女性がヴェンデリンに迫る事態になると理解し、絶対に漏らさないと約束した。
女性冒険者の繋がり
カチヤは、女性冒険者たちには男性中心の世界で生き抜くための強い横の繋がりがあると説明した。独身女性同士で情報交換や助け合いを行っていたが、結婚したことで自分はその集まりから離れることになると寂しさも感じていた。特に新人時代から世話になった先輩冒険者リサには結婚式の招待状を送っていたものの、遠方で長期依頼中だったため参加できなかったという。
リサからの手紙
その話の最中、アマーリエがリサから届いた手紙をカチヤに渡した。差出人の名前を見た途端、カチヤは小動物のように震え始めた。手紙には、リサが結婚したカチヤの様子を見に来ると書かれていた。
カチヤとリサの過去
カチヤは十四歳で王都の冒険者予備校に入り、そこで初めて自分に魔力があると知った。しかし在学中は魔法を習得できず、冒険者になってからも苦戦していた。そんな時に出会ったリサが、同じ女性であるカチヤを親身に指導し、厳しい鍛錬の末に加速を中心とした現在の戦闘スタイルを身につけさせた。カチヤにとってリサは恩人であり、実質的な魔法の師匠でもあった。
姉御との再会への恐怖
リサへの恩義を認めながらも、過酷な修行を思い出したカチヤは彼女との再会をひどく恐れた。さらに、自分だけが先に結婚した状態で独身のリサと二人きりになることを最大の問題と考えていた。屋敷へ招くにはリサの身元確認が必要だったため、エリーゼたちは今回は外で会うべきだと判断した。
孤立したカチヤ
カチヤはヴェンデリンたちに同席を頼んだが、誰も独身の先輩女性冒険者と新婚の後輩が対面する場へ巻き込まれたがらず、全員が拒否した。最後に頼ったアマーリエにも断られ、カチヤはいつ現れるかわからないリサの影に怯えることになった。
第四話 リサ襲来
ブリザードのリサ
カチヤへの手紙が届いて数日後、ヴェンデリンはブランタークから、リサがブリザードのリサと呼ばれる高名な魔法使いであり、かつて自分も少し指導した相手だと聞いた。リサはカチヤの魔法の師であり、実力は非常に高い一方、気が強く結婚願望も強いが相手には恵まれていなかった。カチヤはいつリサが現れるかわからず、鍛錬に没頭して不安を紛らわせていた。
テレーゼの魔法の才能
中庭ではテレーゼが水晶玉を使い、自分に魔法の才能が現れていることを確かめた。幼い頃は魔法使いを夢見ながら才能を示さなかったが、今では水晶玉の反応が消え、魔力も感じられるようになっていた。ヴェンデリンと関係を持ったことで才能が顕在化したとわかり、テレーゼは魔法の鍛錬を始めることになった。
カチヤの新たな修行
魔力量が増えたカチヤも新しい魔法を覚えようとブランタークに指導を頼んだ。しかし、リサと再会すれば魔力の増加を見抜かれる可能性が高く、魔力を隠す方法も学ぶ必要が生じた。カタリーナも指導に加わり、テレーゼとカチヤの訓練を手伝うことになった。
導師の来訪
各地で講演を続けていた導師が、休日を利用して突然バウマイスター伯爵邸へ飛来した。着地の衝撃で庭に大穴を開けてエリーゼに注意されたものの、甘い物を求めて皆を外食へ誘った。一行はパウルブルクの喫茶店ギャルツネへ向かい、導師とヴィルマは巨大なバケツパフェで大食い勝負を始めた。
喫茶店でのリサとの再会
カチヤはリサと遭遇することを恐れて外出を嫌がったが、導師に連れ出された。店でようやくパフェを楽しみ始めた頃、派手な装いのリサが突然姿を現した。彼女はカチヤの結婚を素直に祝ったため、カチヤは安堵した。
魔力増加への追及
しかしリサはすぐに、以前よりカチヤの魔力量が大きく増えていることを指摘し、その理由を問い詰めた。カチヤは特訓の成果だと誤魔化そうとしたが、優秀な魔法使いであるリサには通用しなかった。ヴェンデリンたちは人目のある場所で話を続けることを避け、リサを屋敷へ連れ帰った。
リサとテレーゼの衝突
屋敷へ戻る途中から、リサとテレーゼは互いに挑発を重ねた。リサはテレーゼが成人後に魔力へ目覚めたことを不審がり、テレーゼはカチヤの魔力増加をリサの指導不足だとからかった。さらに年齢や結婚の話まで持ち出したことでリサは激怒し、周囲を凍らせるほどの冷気を放った。
一か月後の決闘
口論は収まらず、ついにリサとテレーゼは一か月後に魔法で決闘することになった。テレーゼは勝利できるとは考えておらず、リサの注意を自分へ向けてカチヤやヴェンデリンの秘密から逸らす狙いもあった。決闘までに最低限生き残れる実力を身につけるため、ヴェンデリンやブランタークたちの指導で集中訓練を始めた。
火魔法の集中訓練
テレーゼは急速に魔力量を増やし、多くの魔法を短期間で習得した。特にリサの氷結魔法へ対抗するため火系統を重点的に鍛え、相手を挑発して冷静さを失わせることまで戦術に組み込んでいた。一方のカチヤはハルカから剣術の基礎を学び、増えた魔力を戦闘能力向上へ結びつけようとしていた。
四人の妊娠
その最中、エリーゼ、イーナ、ルイーゼ、カタリーナの四人が妊娠した。悪阻のため冒険者としての活動は一時休止となり、アマーリエが経験者として彼女たちの世話を担った。ヴィルマとカチヤはまだ妊娠しておらず、テレーゼも将来子供を望んでいた。
テレーゼとカチヤの競争
決闘に備えたテレーゼは魔力増強のためヴェンデリンと過ごす時間を増やしていたが、新婚のカチヤもそれに不満を感じ始めた。毎日一緒に寝る必要はないと気づいたカチヤは、自分も早く子供が欲しいと主張した。テレーゼも同じ考えを示し、二人は争うことなくヴェンデリンとの時間を求める点で一致した。
増え続けるヴェンデリンの負担
リサとの決闘準備、テレーゼの魔力強化、カチヤとの新婚生活、妊娠した妻たちへの配慮が重なり、ヴェンデリンの負担はますます増えていった。彼は、決闘が終わっても状況は大して変わらないのではないかと考え、大勢の妻を持つ大貴族の生活の大変さを改めて実感した。
第五話 ブラックリスト
リサの情報探り
カチヤの魔力が結婚後に増えたことから、リサはヴェンデリンに秘密があると考えていた。テレーゼとの決闘まで三週間ほどあるため、バウルブルクの冒険者ギルドで近場の仕事を探したところ、バウマイスター伯爵家を訪れる高貴な人物の追加護衛を紹介された。ヴェンデリンへ近づく好機でもあり、リサは依頼を引き受けた。
王太子の来訪
一方、ヴェンデリンはローデリヒと仕官希望者の不採用リストを確認していた。そこへ以前から領地訪問を望んでいた王太子が、お忍びで訪れた。王太子は王国政府の危険人物リストも持参し、領地開発を支える人材選びについてローデリヒの判断を評価した。
王太子はヴェンデリンたちと狩猟を楽しむ予定であり、エリーゼたちも歓待のため同行した。テレーゼも誘われ、王太子は彼女とヴェンデリンの親しい関係にも寛容な態度を見せた。
護衛として現れたリサ
狩猟場へ向かう途中、追加護衛としてリサが姿を現した。カチヤは冒険者ギルドから護衛を雇ったと聞いた時点で嫌な予感を抱いていたが、それが的中した形であった。
リサは王太子の前では礼儀正しく振る舞い、高名な魔法使いとして信用を得た。カチヤの師匠だと知った王太子はさらに安心し、リサも一緒に狩猟へ参加するよう誘った。結果として、リサは合法的にヴェンデリンたちの傍へ留まることに成功した。
王太子との狩猟
狩猟では王太子が見事な弓の腕を披露し、ヴィルマやテレーゼも獲物を仕留めた。弓を苦手とするカチヤも、投擲用ナイフなら鹿を一撃で倒していた。
リサは魔力で氷の矢を作り、鹿を仕留めると同時にその体を氷で包んだ。獲物の鮮度を半日ほど保てる実用的な魔法であり、王太子はその技量を高く評価した。その結果、リサは王太子が王都へ帰るまで護衛を続けることになり、ヴェンデリンたちは彼女に監視される状況となった。
シュティール子爵夫人
狩猟から戻ると、バウマイスター伯爵邸の前でシュティール子爵夫人ヘルルーガが待っていた。彼女は不採用となった六男レオポルドを採用するよう求め、二時間以上にわたって息子の自慢話を続けた。
シュティール子爵夫人は金貸しとして優れた才覚を持ち、傾いていた子爵家の財政を立て直した人物であった。しかし末息子レオポルドを溺愛しており、その仕官先探しでは正常な判断を失っていた。長話に疲れたヴェンデリンは、気づかないうちにレオポルドの再面接を了承してしまった。
レオポルドの再面接
翌日、レオポルドはヴェンデリンたちの前で再面接を受けた。だが最初から尊大な態度で、自分なら領地開発を早められる、帝国や西部諸侯との関係も改善できると語り続けたものの、具体的な内容には乏しかった。
ヴェンデリンとローデリヒはその態度に辟易し、不採用を決めた。レオポルド自身は最後まで自分の才能を確信していた。
リサへの暴言
退室前、レオポルドは王太子の護衛をしていたリサに目を留めた。そして彼女を夜の蛾のような下品な年増と評し、王太子の評判を落とす存在だと公然と侮辱した。
さらに独身であることや年齢まで揶揄したため、リサの怒りは限界に達した。レオポルドは母親の人脈を持ち出して脅したが、リサは自分ほどの実力があればシュティール子爵家に嫌われても仕事には困らないと一蹴した。
氷漬けのレオポルド
激怒したリサはレオポルドの足元と両手を凍らせ、バウマイスター伯爵邸の敷地外にある正面門前へ晒した。さらに自分を侮辱したシュティール子爵家の息子を成敗したという張り紙まで掲げ、通行人の注目を集めた。
やがて息子を迎えに来たシュティール子爵夫人は悲鳴を上げ、リサと激しい罵り合いを始めた。リサはレオポルドに氷の帽子まで被せ、二人の争いは拘束の氷が溶けるまで続いた。
王太子の帰還
一連の騒動を見届けた王太子は、その後王都へ戻った。リサは高名な魔法使いとして仕事を失うことはなかったが、王太子が再び彼女を護衛として雇うことはなかった。
第六話 道場破り
魔闘流本道場の運営
ルイーゼの弟ヨハンは、兄ゼノスとともにバウルブルクの魔闘流本道場を運営していた。総師範であるルイーゼは実力こそ圧倒的だったが、指導や細かな運営には向かないため、実務は二人が担っていた。各地の支部にも、強さだけでなく指導力や運営能力を備えた門下生を師範として配置していた。
道場破りの来襲
本道場に強力な道場破りが現れ、門下生を次々と倒したため、ヨハンはルイーゼに助けを求めた。道場破りは自分の強さを売り込み、仕官先を得ようとする者も多かったが、今回はヨハンとゼノスでは勝てない相手であった。
ヴェンデリンも初めて見る本物の道場破りに興味を示し、ルイーゼたちと道場へ向かった。そこでは二メートル近い大男が門下生を負傷させ、床や壁まで壊していた。
バンバ・バババーンとの対決
バンバ・バババーンと名乗る男は、すでに五つの道場を破ったと豪語した。ヴェンデリンはその経歴に興奮したが、ルイーゼは道場の修繕費を気にしていた。
男は魔闘流だけを友として生きてきたと語り、ヴェンデリンは自分も昔は魔法だけが友だったと共感した。しかし門下生を傷つけ、設備まで壊した事実は変わらず、ヴェンデリンはルイーゼに撃退を任せた。
男が突進して拳を振るうと、ルイーゼは瞬時に背後へ回り込み、首筋への軽い手刀一発で気絶させた。
テルマの過去
エリーゼの治療で目を覚ました男は、本名がテルマだと明かした。両親が五人の男児を続けて亡くしたため、丈夫に育つよう女性名をつけられたが、その名を理由に幼い頃から嘲笑されていた。
テルマは周囲を見返すため魔闘流を鍛えたものの、農民出身だったため師範になれず、家柄に恵まれた後輩たちに先を越されていた。指導や運営も学んでいたが報われず、半ば自暴自棄になって道場破りを始めていた。
新たな師範候補
事情を聞いたルイーゼは、人手不足でもあり、実力のあるテルマを雇うことにした。ただし、壊した床や壁の修繕費は月賦で返済させることにした。
テルマは地方の支部道場で経験を積み、将来は本道場へ戻る条件で採用された。道場破りから一転して働き口を得たテルマは涙を流して感謝した。
窓の外の派手な女性
騒動が収まった後、テルマは道場の窓の外からヴェンデリンたちを窺う派手な女性の存在を尋ねた。ヨハンとゼノスも気づいていたが、ルイーゼは気にしない方がいいと答えた。
カチヤはその女性を見て、早く決闘の日が来てほしいとため息をついた。ヨハンたちは正体を知らないまま、その存在を気にかけていた。
支部道場の荒くれ者
テルマは魔の森近くの支部練習場へ赴任した。そこへ、師範を女だと思い込み、脅して講習料を奪おうとした二人の荒くれ冒険者が現れた。
しかし待っていたのは、身長百九十八センチ、体重百二十五キロのテルマであった。二人はその姿だけで怯み、逃げようとしたが、テルマは許さなかった。
テルマの厳しい指導
テルマは二人を道場破りとして屈服させ、そのまま特別訓練を受けさせた。将来ルイーゼの下で働くことを望んでいたテルマは、荒くれ者たちを更生させることで他の門下生からも信頼を得ようとした。
やがてテルマは、厳しいながらも素行の悪い弟子を立ち直らせる面倒見のよい師範として評価されるようになった。
第七話 決闘開始 ブリザードvs元女公爵様
リサとテレーゼの決闘
一ヵ月の特訓を終えたテレーゼは、魔力量を上級の下まで増やし、火魔法を中心に鍛えてリサとの決闘に臨んだ。妊娠したエリーゼたちも応援に加わる中、リサは彼女たちの若さと妊娠に苛立ちながら勝負を始めた。
先攻を譲られたテレーゼは、ほぼ全魔力を込めた巨大な青白いファイヤーボールを放った。リサはブリザードで迎撃し、激突によって大量の水蒸気が発生した。攻撃を相殺されたテレーゼは魔力切れとなり、あっさり降参した。
勝利条件の抜け穴
勝ったリサは魔力増加の秘密を教えるよう要求したが、テレーゼは決闘前に勝者への報酬や条件を決めていなかったと指摘した。リサは一ヵ月を費やしたにもかかわらず何も得られず、さらにカチヤの魔力も増えていることに気づいて追及した。
カチヤが秘密の存在を匂わせたため、ヴェンデリンは妻への無礼として間に入り、リサの追及を止めた。しかしリサが諦めず監視を続けると宣言したため、ヴェンデリンは自ら決闘を申し出た。ヴェンデリンが勝てば帰り、リサが勝てば秘密を教える条件で決着をつけることになった。
ヴェンデリンとリサの魔法戦
翌日、ヴェンデリンとリサの決闘が始まった。リサは周囲を凍結させてヴェンデリンを動けなくしようとしたが、ヴェンデリンは火魔法で冷気を打ち消し、逆に氷魔法で反撃した。
二人は互いを凍らせながら自身を温め続ける高度な消耗戦となった。魔力量ではヴェンデリンが圧倒的に有利であり、リサは次第に追い詰められていった。
絶対零度の包囲
ヴェンデリンはさらに、リサの周囲だけを極低温にする魔法を使った。枝や岩が瞬時に凍結して砕ける威力を見せられたリサは、これ以上の抵抗は危険だと判断して降参した。
しかしヴェンデリンが握手を求めて近づいた直後、急激な温度変化に耐えられなかったリサの衣服や装備が崩れ落ちた。裸体を晒してしまったリサは激しく動揺し、ヴェンデリンに見られたことで泣き出した。
素顔のリサ
屋敷へ戻ったリサは、風呂に入り、借りた服を着ると、それまでの派手な姿から一変した。化粧を落とした素顔は年齢より若く見え、性格も極端に大人しくなっていた。
アマーリエが事情を聞き出したところ、リサは元々ひどい人見知りで、特に男性とはほとんど話せなかった。冒険者として生きるため、派手な服装と化粧を身につけ、強気な女性を演じ続けていたのである。
さらにリサは、決闘後に裸体を見られた以上、ヴェンデリンに責任を取ってほしいとアマーリエを通じて伝えた。
屋敷でのリサ
リサはそのまま屋敷に滞在し、素顔の状態でも男性と接する訓練を始めた。魔法の鍛錬は真面目に続けたが、男性には直接話せず、アマーリエやカタリーナを通して意思を伝えていた。
特にブランタークや導師、エルを苦手としていた一方、ヴェンデリンには比較的警戒を見せなかった。そこで男性への人見知りを改善するため、王都へ出かけることになった。
王都での買い物
王都にはヴェンデリン、リサ、カチヤ、テレーゼ、アマーリエが同行した。洋品店では、貴族の妻として私服にも気を配るようテレーゼがカチヤを説教し、アマーリエはリサに落ち着いた服を選んだ。
リサは以前の派手な姿とは違う服装を気に入りながらも、ヴェンデリンに褒められると恥ずかしそうに俯いた。買い物は服だけでなく靴や装飾品まで続き、ヴェンデリンとカチヤは空腹を訴えながら長時間つき合うことになった。
甘党の素顔
遅い昼食では、カチヤがステーキを食べ、テレーゼも魔力増加によって以前より食事量が増えていることがわかった。一方、リサはパフェ、ケーキ、クレープを嬉しそうに食べていた。
カチヤは、これまでリサが強い酒と濃い味の料理ばかり好んでいたと思っていたが、それも強い冒険者を演じるための行動だった。本当のリサは酒を好まず、甘い物が大好きだった。
酒豪という演技
後日その話を聞いたブランタークも、リサが本当は酒好きではなかったことに驚いた。リサは女性冒険者として侮られないよう、大量の酒を飲める姿を演じていたのである。
ただし酒に非常に強い体質そのものは本物であり、以前から大量に飲んでもほとんど酔わなかった。
導師との飲酒勝負
その話を聞きつけた導師は、酒の強さでリサに勝負を挑んだ。エリーゼは危険だと止めたが、導師は譲らず、リサもヴェンデリンの頼みなら受けると了承した。
勝負にはアルコール度数の高いアクアビット五十本が用意された。導師は豪快に瓶から直接飲み、リサは氷を入れたグラスで一定の速度を保ちながら静かに飲み続けた。
底なしのリサ
序盤は導師が大きく先行したものの、次第にペースが落ちた。一方のリサは顔色すら変えず、最後まで同じ速度で飲み続けた。
導師が二十三本で限界を迎えたのに対し、リサは二十六本を飲み干して勝利した。残った一本をブランタークへ譲ると、彼は酒が残ったことを心から喜んだ。
勝負後、導師は大量の酒で食欲を失っていたが、リサはエリーゼが用意したバナナパイを大きめに切ってほしいと頼んだ。酒でも甘味でも完敗した導師は、珍しく肩を落とした。
第八話 変わったお仕事
新刊を求めるイーナ
イーナは人気小説の新刊を購入するため、休日を調整して早朝からパウルブルク最大の書店に並んだ。一時間待って開店すると入荷数は予想より少なかったが、イーナは最後の一冊を購入できた。
書店前の好青年
帰ろうとしたイーナは、貴族らしい美貌の青年から声をかけられた。ナンパを警戒したものの、青年の願いは自分を激しく罵ってほしいという意外なものであった。外見に反した要求にイーナは驚愕し、その場から逃れて屋敷へ戻った。
ガーランド男爵の事情
イーナの報告を聞いたヴェンデリンたちのもとへ、ブライヒレーダー辺境伯とブランタークが現れた。青年は二十三歳のガーランド男爵であり、父の病弱により幼少期から領地経営を担い、若くして優れた統治手腕を発揮してきた人物であった。
ガーランド男爵は、多くの領民が自分の命令に疑問を示さず従うことに恐怖を抱き、自分が権力者として道を誤らないためのストレス解消として、時折女性から激しく罵られていた。ブライヒレーダー辺境伯は、それを王が道化師から批判を受けることに近いものだと説明した。
罵り役のイーナ
ヴェンデリンは今後の貴族関係も考え、イーナがガーランド男爵を罵ることを了承した。さらに自ら罵倒の内容を考え、ブライヒレーダー辺境伯も言ってはいけない言葉を監修した。
屋敷を訪れたガーランド男爵は、イーナだけでなくリサにも罵られたいと望んだ。まずイーナが土下座した男爵を冷たい態度で罵ると、彼は久々に心の底から満足できたと感激して礼を述べた。
本命のリサ
リサは一度退室し、以前の派手な衣装と化粧を整えて強気な姿へ戻った。再び現れるとガーランド男爵を変態貴族と呼び、土下座した背中に足を乗せながら、領民が可哀想だと容赦なく罵り続けた。
ガーランド男爵はその扱いを喜び、十分ほど罵られると完全にストレスを解消した。用事を終えた彼は普段の爽やかな貴族へ戻り、満足して屋敷を去った。
二つの顔
ブライヒレーダー辺境伯は、人間には誰でも表とは異なる面があり、それを受け入れる寛容さも必要だと語った。イーナは、ガーランド男爵とリサという極端な例を立て続けに見たため、素直には賛同できなかった。
押しかける同好の士
後日、ガーランド男爵から話を聞いた同じ嗜好の貴族たちが屋敷へ押しかけ、リサに自分たちも罵ってほしいと懇願した。もう以前の姿に戻って仕事をするつもりのないリサは怯え、アマーリエの後ろに隠れてしまった。
ローデリヒの紹介
窮地を救ったのはローデリヒであった。浪人時代に水商売系の仕事を経験していた彼には、男性を罵って喜ばせる女性たちへの伝手があった。ローデリヒが代わりの女性を紹介すると貴族たちは喜び、リサは罵り役から解放された。
巻末おまけ メイド ブリザード
レーアの初デート
レーアはエルヴィンとの初デートを前に、産休中のドミニクから服装を確認された。ドミニクはレーアが調子に乗って暴走することを警戒し、あくまで顔合わせ程度に楽しむよう念を押した。レーアは冗談を交えて叱られながらも、清楚な服装で待ち合わせへ向かった。
リサの尾行
エルヴィンと合流したレーアは服装を褒められ、幸先のよいデートを始めた。しかし、カチヤの先輩であるリサが二人を尾行していることに気づいた。レーアは派手な姿のリサを悪の女魔法使いと決めつけ、デートを邪魔されまいと対抗心を燃やした。
フルーツサンドの喫茶店
二人は魔の森産果物を使ったフルーツサンドが評判の喫茶店へ入った。レーアはエルヴィンの好みや過去を知りながら距離を縮め、リサが近くで様子を窺っていると知ると、彼女を追い払う名目でエルヴィンにフルーツサンドを食べさせるなど、積極的に親密さを演出した。
アクセサリー選び
次に入ったアクセサリー店では、エルヴィンがレーアに似合うネックレスを選び、初デートの記念として贈ることになった。レーアは鏡の前で何度もネックレスを着けてもらい、恋人らしい時間を楽しんだ。一方、尾行を続けるリサは苛立ち、手にした商品を壊して弁償する羽目になった。
芝居小屋での密着
二人は芝居小屋へ向かったが、リサはなおも後方から監視を続けた。レーアはさらに対抗し、エルヴィンの肩に頭を載せて寄り添った。リサが震える姿を見て作戦成功と思い込んだものの、レーア自身は尾行を気にしすぎて芝居の内容をほとんど見ていなかった。
消えた甘口ワイン
夕食では、エルヴィンが高級レストランを予約していた。未成年のレーアは乾杯程度に甘口ワインを飲もうとしたが、店の甘口ワインは直前の客がすべて注文していた。レーアは、先回りしたリサが嫌がらせで飲み尽くしたのだと確信し、代わりに辛口ワインを選んだ。
楽しい初デート
リサの尾行や妨害が続いたものの、レーアとエルヴィンは一日を楽しく過ごし、次のデートも約束した。レーアは帰宅後、ドミニクに自分が上手くやったと報告したが、ドミニクはレーアとリサをどっちもどっちだと感じていた。
酔ったレーア
ドミニクは、リサの探索をレーアの強引な対抗行動が結果的に妨げたと考え、今後もリサへの対抗役としてレーアが有効かもしれないと思った。しかしレーアは、初めて飲んだ辛口ワインを気に入った結果すっかり酔い、ドミニクを双子と見間違えるほどになっていた。
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