物語の概要
■ 作品概要
本作は、異世界に転生した貧乏貴族の八男・ヴェンデリンの活躍を描くファンタジー小説の第12巻である。
前巻でリーグ大山脈に発掘された「大縦貫トンネル」の出口は、のどかで非常に貧しいオイレンベルク騎士爵領に繋がっていた。 領地を管理する能力がないオイレンベルク家は、トンネルの権利を放棄しようとする。
しかし、そこに領主の娘である凄腕の女冒険者カチヤが帰還し、利権の死守を求めて猛反対する。 カチヤは「自分に武芸で勝利し、かつトンネルを管理できる貴族の婿」を募る武芸大会を王都で開催する。
利権を狙う多くの貴族たちが破れ去る中、事態の収拾のためにヴェンデリンが対戦相手として指名される。 領地の利権調整と新たな婚姻を巡る、シリーズ第12弾の物語である。
■ 主要キャラクター
- ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター
- 本作の主人公である。 トンネル開通に向けた整地や基礎工事を魔法で精力的にこなした。 最終的に国王の命令によりカチヤと決闘し、彼女を圧倒して勝利を収める。 その結果、カチヤを7人目の妻として迎え、トンネルの管理権を一括して引き受けることとなった。
- カチヤ(カチヤ・フランク・フォン・オイレンベルク)
- オイレンベルク騎士爵家の娘である。 「神速のカチヤ」と呼ばれる19歳の凄腕の女冒険者でもある。 実家の発展とトンネル利権を守るため、自ら婿取り武芸大会を企画した。 戦闘能力は非常に高く、速度強化の魔法と双剣を操って戦う。
- ファイト・フランク・フォン・オイレンベルク
- カチヤの兄であり、オイレンベルク家の跡取り息子である。 争い事を嫌う温厚な性格で、マロイモの品種改良と栽培研究を何よりも愛している。 幼馴染のマリタと深く愛し合っており、彼女と結ばれるためなら領地を手放す覚悟を示す。
- グイード
- ヘルムート三十七世の甥にあたる真面目な青年貴族である。 不遇な境遇にあっても腐らずに剣の鍛錬を重ね、武芸大会ではカチヤを相手に最も善戦した。 大会後にトンネル警備隊長(法衣子爵)に任命され、幼馴染の婚約者カーヤとの結婚を叶える。
■ 物語の特徴
本作の大きな特徴は、カチヤの婿選びを巡るコミカルな心理戦と政治劇である。 武芸ではカチヤに勝てない文官系の貴族たちが、彼女の好意を引くために王都の路上でわざとぶつかるなどの「ベタな恋愛の小芝居」を次々と仕掛ける様子が滑稽に描かれている。 さらに、バウマイスター伯爵邸の門前で自作の愛の歌や詩、創作ダンスを披露する求婚者たちが続出し、カチヤやヴェンデリンたちを精神的に疲弊させるドタバタ展開が見どころとなっている。
また、主人公ヴェンデリンの**「リア充」に対する激しい嫉妬心**もユーモラスに描写されている。 ファイトとマリタ、グイードとカーヤといった「幼馴染同士の純愛結婚」を間近で見せつけられたヴェンデリンが、自身には存在しない甘酸っぱい過去を思い出しては、激しい羨望と怒りを爆発させるシーンが読者の笑いを誘う。
最終的には、管理能力のないオイレンベルク領をバウマイスター領に併合し、オイレンベルク家にはマロイモ栽培に最適な広大な代替地を提供して円満に移転させるなど、誰も不幸にしない現実的な政治的解決がなされる点も本作らしい魅力である。
書籍情報
八男って、それはないでしょう! 12
著者:Y.A 氏
イラスト:藤ちょこ 氏
出版社:KADOKAWA(MFブックス)
発売日:2017年12月25日
ISBN:9784040695990
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あらすじ・内容
どーんと構えて! 脳筋女冒険者カチヤは退かない!
リーグ大山脈を貫く縦貫トンネルの出口は、ド田舎であった。
昔のバウマイスター騎士爵領よりも貧しく見えるオイレンベルク騎士爵領に、得も言われぬ驚きを覚えつつも、トンネルの運営への協力を求める話を進めるヴェル。
だが、領民たちと一緒に畑を耕しながらささやかに仲良く暮らす彼らには荷が重かったらしく、領主側は全力で権利の譲渡を申し出てくる。
これにより、少々面倒ではあるもののヴェルとブライヒレーダー辺境伯家、王国の三者で管理運営するという流れに話はまとまった。しかし……。
「親父! 兄貴! 正気か! オイレンベルク家大躍進のチャンスなのに……!」
突如現れた領主の娘カチヤによって、根底を覆されるはめに。
毎度のことながら、ヴェルの心労が尽きない。さらなる面倒ごとに巻き込まれる予感の第12弾!
感想
前巻で発見した、リーグ大山脈を貫通する古代魔法文明時代の巨大トンネル。
これまでは高価な魔導飛行船に頼るしかなかったバウマイスター伯爵領への物流を、大きく変える可能性を持つ大発見である。
小さな商会でも参入できる。
大量の資材を運べる。
輸送費も下げられる。
領地開発がさらに進む。
これは大当たりだ。
……と思ったら、反対側の出口がとんでもない場所に繋がっていた。
トンネル出口の領主、人口三百人の騎士爵だった
出口があったのは、ブライヒレーダー辺境伯領ではない。
そこにあったのは、人口三百人ほどのオイレンベルク騎士爵領だった。
領主も跡取り息子も領民と一緒に畑仕事をするような家である。
屋敷にはメイドすらおらず、領主夫人がお茶を出してくれる。
見た目だけならかなり貧しい。
しかし実際には、生活に困窮しているわけではなかった。
特産品の《マロイモ》があり、食料にも困らない。
跡取りのファイトに至っては、剣よりも農業。
マロイモの品種改良や栽培研究に夢中で、土を口に入れて状態まで確認する。
この人、貴族というより農業研究者だな。
本人たちは今の生活で十分満足している。
そんなところへ突然、
「巨大トンネルの半分を管理してください」
と言われても困る。
そりゃそうだ。
利権は欲しい。でも管理できない
トンネルが生み出す利益は莫大である。
通行料を取れるだけでも大きい。
しかし、そのためには警備、補修、通行料徴収、密輸対策などを行わなければならない。
王国軍を合わせても、オイレンベルク側だけで千人規模の人員が必要になる。
人口三百人の領地なのに。
無理だろ。
そこでブライヒレーダー辺境伯に管理してもらおうとすると、
「小さな貴族から利権を奪った」
と思われかねない。
領地交換も同じである。
ただでさえヴェンデリンという巨大な寄子を抱えて得をしている辺境伯が、さらにトンネル利権まで手に入れれば、他の貴族から妬まれる。
王家直轄領にする案も難しい。
周囲全部がブライヒレーダー辺境伯領なので、将来の王家と辺境伯家の関係次第では禍根になりかねない。
何をやっても角が立つ。
大トンネルという宝物を発見したのに、
「誰が管理するの?」
だけで全然話が進まない。
この辺りが妙に現実的で面白かった。
利権というのは、持っているだけで幸せになれるものではないのだろう。
そこへ帰ってきたカチヤが全部ひっくり返す
ようやく、
「オイレンベルク家は別の土地へ移り、トンネル管理権をブライヒレーダー辺境伯家へ譲る」
という方向で話がまとまりかける。
そこへ帰ってきたのがカチヤである。
以前、ヴェンデリンたちと一緒にワイバーンや飛竜を狩っていた凄腕の女性冒険者。
なんと彼女は、
オイレンベルク騎士爵の娘だった。
そして、
「せっかく実家が飛躍する機会なのに、何で利権を手放すんだ!」
と反対する。
父親と兄は、
「農業できればいいよ」
というタイプ。
しかしカチヤは違う。
トンネルを使えばオイレンベルク家をもっと大きくできる。
爵位を上げることだってできる。
その可能性を簡単に手放したくない。
気持ちは分からなくもない。
ただ、兄ファイトは本当にマロイモを作りたいだけなのである。
兄妹なのに方向性が違いすぎる。
「私に勝った男を婿にする」で王都がお祭り状態
そこでカチヤが出した案が、
自分が婿を取ればいい。
その婿にトンネルを管理させればいい。
というものだった。
しかも婿の条件は、
自分との戦いに勝つこと。
いや、何でそうなる。
さらにこの話を王都の民衆の前で公表してしまう。
これによって王家や大貴族が裏で静かに利権調整することも難しくなる。
結果、
カチヤの婿取り武芸大会
という、とんでもないイベントへ発展する。
貴族たちも必死である。
武芸で勝てそうにない家は、美男子を接触させる。
偶然を装って助ける芝居をする。
屋敷の前で歌う。
詩を読む。
踊る。
もう何の大会なんだ。
それでもカチヤ本人は、
「自分より強い男」
という条件を曲げない。
そして肝心の武芸大会が始まる。
問題は、カチヤが強すぎたことだった
カチヤは《神速のカチヤ》と呼ばれるほどの冒険者である。
十五歳から十九歳までの四年間で一千万セント以上稼ぎ、ワイバーンや飛竜まで単独で倒す。
普通に考えれば、
貴族の若者では勝てない。
案の定、挑戦者は次々と敗北。
八人の挑戦者が全滅する。
最後に国王の甥グイードが比較的善戦するものの、結局カチヤの加速についていけず敗北。
誰も婿になれない。
ここまで民衆を巻き込んで大会を開いたのに。
どうするんだこれ。
……と思っていたら、お忍びで見ていた国王が出てくる。
そして、
ヴェンデリンに丸投げ。
笑った。
結局そこかよ。
トンネルを発見した。
政治的にも扱いやすい。
カチヤより遥かに強い。
全部まとめて解決できる人物。
確かにヴェンデリンしかいない。
完全に面倒事処理係になっている。
そして妻がまた一人増える
ヴェンデリンとカチヤの戦いは、さすがに実力差が大きかった。
カチヤも最大速度で必死に攻める。
しかしヴェンデリンは魔法障壁で防ぎ、サーベルを溶かし、武器を失わせて降参させる。
そして国王は、
カチヤを倒したヴェンデリンに彼女を娶るよう命じる。
巨大トンネルを見つけただけなのに。
最終的に、
土地が増えた。
トンネルの管理権も増えた。
妻まで増えた。
どうしてこうなった。
しかもカチヤ本人も、圧倒的に自分より強いヴェンデリンなら結婚相手として納得できる様子。
結果的には丸く収まっているのが、また何とも言えない。
読後の感想
『八男って、それはないでしょう!12』で面白かったのは、巨大トンネルそのものより、
「巨大な利益が突然、小さな領地へ落ちてきたらどうなるのか」
という部分だった。
普通なら、
利権が手に入った。
大金持ちだ。
よかった。
で終わりそうな話である。
しかしオイレンベルク家には、それを扱う人も金も経験もない。
本人たちも別に金持ちになりたいわけではなく、マロイモを育てて静かに暮らしたい。
そこへ利権だけが勝手に降ってくる。
利益が大きすぎるからこそ、簡単に譲ることもできない。
王家も辺境伯も、周囲の貴族からどう見られるかまで考えなければならない。
「あーでもない、こーでもない」
と大人たちが延々悩むのが、この巻では一番面白かった。
そこへカチヤが、
「じゃあ私が強い婿を取る!」
と突っ込んできて、全部をお祭り騒ぎへ変えてしまう。
そして最後は国王がヴェンデリンへ丸投げ。
政治的に複雑な問題だったはずなのに、最後は力で解決する。
実に『八男』らしい。
トンネルは無事開通し、オイレンベルク家はマロイモ栽培に向いた新天地へ移る。
ブライヒレーダー辺境伯領にも宿場や商業施設を作ることで利益が回る。
そしてヴェンデリンにはカチヤが加わる。
巨大トンネル一本から、ここまで話が広がるとは思わなかった。
領地開発と貴族社会の面倒臭さ、それを最後はコメディとして落とすところまで楽しめた第12巻だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
巨大トンネルの開通
大縦貫トンネル開通の全貌と経済・政治的変革
『八男って、それはないでしょう!』において、バウマイスター伯爵領と隣国ヘルムート王国の物流・経済の歴史を塗り替えることになった大縦貫トンネルの開通について、特定と発掘プロセス、驚異のロストテクノロジー、開通の瞬間とオイレンベルク領問題の勃発、カチヤの乱入と婿取り武芸大会による決着、および開通がもたらした絶大な経済・軍事効果の各点から解説する。
トンネルの特定と発掘プロセス
このトンネルは、ヴェンデリンたちが保護していた魔族の考古学者アーネスト・ブリッツが持つ、魔族の国に伝わる古代魔法文明時代の古地図を基にして特定された。
・発掘現場は、ヴェンデリンの兄パウルが治めるバウマイスター準男爵領からほど近い、リーグ大山脈の麓であった。
・ヴェンデリン、カタリーナ、アーネストの3人が、風魔法を用いたドリルなどの土木魔法を駆使し、山の斜面に堆積した膨大な土砂や木々を数日かけて慎重に削り取っていった。
・その地道な作業の末、ついに一万年以上も埋もれていた巨大な人工の入り口が姿を現した。
驚異のロストテクノロジー
この巨大トンネルは、古代魔法文明時代の天才魔道具職人であるイシュルバーク伯爵と、当時のバウマイスター領に存在したアキツシマ共和国が、人と金と技術を出し合って建設した国家的大事業の遺産であった。
・一万年が経過しても一切崩落せず、完全な状態で保存されていた。
・特殊素材と魔法の耐久性:通常のコンクリートに少量のオリハルコンやミスリル、十数種類の希土類を混ぜ合わせた特殊コンクリートに、極限鋼の鉄筋を通した極めて頑丈な構造を誇っている。さらに、イシュルバーク伯爵自身が施した「超状態保存」の魔法効果によって、内部は建設当時のまま美しく保たれていた。
・近代的な十車線道路:内部は片側五車線(合計十車線)の広大な舗装路があり、故障や事故に備えた避難車線まで完備されていた。
・避難車線の放置車両:避難車線には、古代魔法文明崩壊時の大災害の際、災害避難マニュアルに従って鍵を刺したまま整然と置き去りにされた多数の魔導四輪が当時の状態のまま残されていた。
・設備の復旧:トンネル天井には等間隔に魔導灯や換気用の空調設備があり、奥にある動力室で空になっていた巨大魔晶石にアーネストが魔力を補充したことで、すべての照明と空調が一瞬にして復活した。
開通の瞬間と「オイレンベルク領問題」の勃発
安全確認を終えたヴェンデリンたちは、反対側の出口を塞いでいた膨大な土砂をどけ、一万年ぶりに大縦貫トンネルを完全に再開通させた。
・しかし、トンネルを出た一行が直面したのは、のどかで牧歌的な農村風景と、そこで驚いて畑仕事の手を止める農民たちの姿であった。
・なんと、トンネルの反対側の出口が繋がっていたのは、ブライヒレーダー辺境伯領ではなく、人口わずか300人ほどの極貧の零細領地「オイレンベルク騎士爵領」であった。
・突然現れた大英雄ヴェンデリン一行に恐れおののき、土下座を繰り返す領主オイレンベルク卿やその息子ファイトに対し、ヴェンデリンはトンネルの管理権をアピールして大儲けできると提案した。
・しかし、彼らは管理する資金も、人員も、ノウハウも一切ないと全力で権利の譲渡を申し出て、これを拒否した。
カチヤの乱入と婿取り武芸大会による決着
オイレンベルク親子に代わり、ブライヒレーダー辺境伯家、バウマイスター伯爵家、ヘルムート王国の三者で管理運営する方向で話がまとまりかけた時、家を出て凄腕の冒険者として稼いでいた領主の娘カチヤが実家に飛び込んできた。
・カチヤは、実家が大躍進するチャンスを人様に譲るなど正気か、と猛反対し、世間の注目を味方につけるために王都の広場で、自分に武芸で勝利し、かつトンネルを運営できる能力や人脈を持つ者を婿にして利権を譲る、と宣言して婿取り武芸大会を開催した。
・貴族や王族の男たちがカチヤの圧倒的な強さの前に惨敗する中、お忍びで観戦していた国王の命令によってヴェンデリンが対戦相手として指名された。
・ヴェンデリンは圧倒的な魔法の実力でカチヤを撃破し、彼女を7人目の妻(婚約者)として迎えることとなった。
・領地併合と代替地提供:管理能力のない旧オイレンベルク領はバウマイスター伯爵領に併合された。その代わり、ブライヒレーダー辺境伯家からファイトたちが望むマロイモ栽培に最適なリーグ大山脈南側の斜面の広大な代替地がオイレンベルク家に用意された。
・土の魔法移送:ファイトたちが長年かけて育て上げたマロイモ畑の良質な土は、ヴェンデリンが魔法で丸ごと新しい領地へと移送し、新領地でのスムーズな再出発を支援した。
開通がもたらした絶大な経済・軍事効果
カチヤとの決闘から一週間、大突貫工事での舗装や整地を経て、大縦貫トンネルは盛大に開通式を迎えた。通行料は片道100セントと定められた。
・物流イノベーションと物価低下:これまでバウマイスター領への物資輸送は、高額な魔導飛行船による空路しかなく、大商会が利権を独占していた。陸路が確保されたことで、零細商会も安価に参入可能となり、領内の物価が劇的に低下し開発スピードがさらに加速した。
・ブライヒレーダー辺境伯領の活性化:旧オイレンベルク領と接するブライヒレーダー辺境伯領では大規模な宿場町の開発が始まり、辺境伯家の税収増加や家臣たちの不満解消にも繋がった。
・警備と安全の確保:武芸大会で健闘した王族のグイードが、国王から法衣子爵に任命され、警備隊長として就任した。これにより、王国軍とバウマイスター家警備隊が半分ずつ警備を担い、帝国の脅威や犯罪、密輸を防ぐ盤石な防衛体制が整えられた。
まとめ
大縦貫トンネル開通の全貌と経済・政治的変革を巡る一連の全貌は、古地図に基づくリーグ大山脈麓での土木魔法による掘削から始まり、超状態保存魔法や十車線構造に見るロストテクノロジーの復活、オイレンベルク騎士爵領への接続と権利譲渡の打診、カチヤによる武芸大会開催とヴェンデリンの勝利に伴う7人目の妻としての受入、そして代替地提供や土の魔法移送、物流改革と軍事警備体制の確立に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
地理的隔絶や利権争いという不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、超古代インフラの再有効化と王国・領地の劇的発展の記録である。
古地図の発掘から、ロストテクノロジーの再起動、境界を越えた接続、武芸大会の決着、そして新たな物流と防衛網の完成へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
零細貴族オイレンベルク家
オイレンベルク家の全貌と身の丈に合わない利権パニックの決着
『八男って、それはないでしょう! 12』において、バウマイスター伯爵領とブライヒレーダー辺境伯領の間に開通した「大縦貫トンネル」の出口に位置していた零細貴族オイレンベルク家について、オイレンベルク家の実態、一族のメンバー、特産マロイモ、巨大トンネル利権によるパニック、および円満な解決と再出発の各点から解説する。
オイレンベルク家の驚くべき実態:「ステルス貴族」
オイレンベルク家は、王国の標準から大きくかけ離れた超・零細騎士爵家として描かれている。
・規模と暮らし:人口はわずか300人ほどで、四方をブライヒレーダー辺境伯領に囲まれた非常に狭い農村地帯を治めている。領主の屋敷は大きな農家にしか見えないボロ屋であり、使用人を一人も雇っていない。そのため、領主夫人であるローゼが自ら来客にお茶を淹れ、領主やその家族も領民たちと一緒になって毎日泥にまみれて畑を耕して暮らしている。
・地図から消えていた領地:王国の公式地図作製の際の経費削減と確認不足(マイザー子爵の失態)によって、最新の地図ではオイレンベルク領一帯が省略され、すべてブライヒレーダー辺境伯領として記載されていた。
・他家との交流ゼロ:これまで一度も他の貴族家と婚姻を交わしたことがない。代々の当主は領内の名主の娘や近隣の町の娘を妻に迎えてひっそりと暮らしており、外部の貴族からその存在をまったく認知されていない「ステルス貴族」であった。
個性豊かな一族のメンバー
一族のメンバーの個性と特徴は以下の通りである。
・当主:ジギ・フランク・フォン・オイレンベルク:非常に気が弱く、腰が低い善良な領主である。大英雄であるヴェンデリンや、国王、閣僚といった雲の上の存在が自宅に続々と現れた際、極度の緊張と卑屈さから何度も土下座を繰り返し、最後には土下座をした姿勢のまま気絶してしまった。
・当主夫人:ローゼ:ふくよかで健康そうな女性である。卑屈になって気絶する夫や息子とは対照的に、国王を前にお茶や特産品の給仕を愛想よくこなすなど、いざという時には男性陣よりもはるかに度胸があり肝が据わった一面を見せた。
・嫡男(跡取り):ファイト・フランク・フォン・オイレンベルク:父親に似て争い事を嫌う非常に温厚な性格の青年である。特産品であるマロイモの品種改良と栽培研究に並々ならぬ情熱を注いでおり、畑の土を直接口に含んで状態を確かめるほどの専門知識を誇る。幼馴染である領内名主の娘「マリタ」と深く愛し合っており、トンネルの権利よりも彼女とのささやかで平穏な結婚生活を望んだ。
・長女:カチヤ・フランク・フォン・オイレンベルク(神速のカチヤ):実家を出て凄腕の女冒険者(飛竜殺し)として一千万セント以上を稼ぎ出した、一族唯一の武闘派にして規格外の逸材である。実家がトンネル利権を簡単に手放そうとしていることに猛反対し、自分を武芸で破り、なおかつトンネルを管理できる人脈を持つ者を婿にすると王都で武芸大会を開いて大騒動を巻き起こした。最終的に国王の命令で対戦したヴェンデリンに敗れ、彼の7人目の妻(婚約者)となった。
天下の絶品:特産「マロイモ」
オイレンベルク領が誇る唯一無二の特産品であり、サツマイモとジャガイモを足して二で割ったような見た目で、蒸すと非常に上品な甘みを発揮する。
・このマロイモは、山を越える飛竜やワイバーンが襲来しない古代の奇跡的な地形(斜面畑)と、夜朝の急激な気温差、特殊な土質が揃って初めて甘く育つ。
・そのため、他領では再現が不可能とされているオイレンベルク領限定の極めて希少な地方野菜である。
降って湧いた「巨大トンネル利権」とパニック
リーグ大山脈を貫く超巨大なロストテクノロジーの遺産「大縦貫トンネル」が発見された際、その北側の出口と山脈の書類上の実行支配権がオイレンベルク領に属していたことから、オイレンベルク家は一躍莫大な利権の当事者となってしまった。
・管理能力の限界:トンネルを運営するには、24時間年中無休で最低千人規模の警備兵や管理人員を雇い、税関や宿泊施設などを整備しなければならなかったが、人口300人の零細領地にはそんな資金・人員・ノウハウが完全に皆無であった。
・実家の乗っ取り危機:資金や人員を提供してもらう代わりに他領の有力貴族の娘をファイトの妻に迎え入れれば、実質的にその実家にオイレンベルク家が傀儡化(乗っ取り)される危険が極めて高かった。
バウマイスター伯爵による「円満な解決」と最高の再出発
この難題に対し、最終的にヴェンデリンとブライヒレーダー辺境伯、王国の間で、誰も不幸にしない完璧な政治的・現実的解決が図られた。
・領地併合と広大な代替地の提供:管理能力のない旧オイレンベルク領はバウマイスター伯爵領に併合され、トンネルの管理はバウマイスター家・辺境伯家・王国の三者が人員を出して共同で行うこととなった。その代わり、オイレンベルク家にはリーグ大山脈南側の斜面で、マロイモ栽培に適した旧領よりもはるかに広大で条件の良い代替地が用意された。
・前代未聞の土の魔法移送:ファイトたちが最も憂慮していたのは、長年かけて育て上げてきたマロイモ畑の秘伝の土壌を失うことであった。これに対し、ヴェンデリンが土木魔法をフルに駆使して、旧領の良質なマロイモ畑の土を根こそぎ丸ごと新領地へと運び出した。これにより、土造りに10年かかるプロセスをスキップし、移転後すぐに高品質なマロイモの生産を開始することに成功した。
・マロイモ加工産業のブランド化支援:ヴェンデリンは、オイレンベルク家がマロイモの品質維持と生産に専念できるよう、バウマイスター伯爵家のバックアップの元で干し芋、クッキー、プリン、酒などの加工品開発や、王都の菓子店への卸ルート開拓、優秀な商人の紹介など、彼らが農業で大躍進するための多大な内政・経済支援を約束した。
まとめ
オイレンベルク家の全貌と身の丈に合わない利権パニックの決着を巡る一連の全貌は、人口300人の「ステルス貴族」としてのボロ屋暮らしから始まり、マロイモ研究に没頭する農村一族の日常、大縦貫トンネル開通に伴う国家規模の利権パニック、カチヤの武芸大会騒動とヴェンデリンの勝利、そして旧領併合と土の魔法移送による新天地でのマロイモ産業ブランド化に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
零細領地の限界や突然の政争という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、身の丈に合った選択と手厚い内政支援による幸福な再出発の記録である。
地図からの消滅から、突然の利権浮上、土下座の混乱、魔法移送の支援、そしてマロイモ大躍進へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
地図の記載ミス
地図の記載ミスとマイザー子爵の失脚の全貌
『八男って、それはないでしょう!』の物語において、大縦貫トンネルの開通を巡って大騒動を引き起こした地図の記載ミスについて、記載ミスの発覚と驚きの事実、原因となったマイザー子爵の経費削減と手抜き、ミスがもたらした政治的大パニック、および激怒する重臣たちと責任者の末路の各点から解説する。
記載ミスの発覚と驚きの事実
ヴェンデリンたちがリーグ大山脈を貫く大縦貫トンネルを発掘し、ついに反対側の出口を切り開いた際、彼らの目の前に広がっていたのは、当初想定していたブライヒレーダー辺境伯領ではなく、のどかで貧しいオイレンベルク騎士爵領であった。
・手元にある最新の王国公式地図(今年度版)を確認すると、オイレンベルク領を含む周辺のいくつかの小領地がそっくり省略されており、すべてがブライヒレーダー辺境伯領として記載されていた。
・前年度までの地図には正しく記載されていたため、今年度の公式地図の作製において重大なミス(記載漏れ)があったことが明らかになった。
原因:マイザー子爵の「経費削減と手抜き」
この地図作製の実務責任者は、王国国土院という役所に所属する法衣貴族のマイザー子爵であった。
・地図の作製は、地形の細かな変化や領地の増減、領主の変更などを反映させなければならず、本来は膨大な手間と経費がかかる。
・そこでマイザー子爵は、少しでも経費を浮かせようと地図を作製する工房の変更を行った。
・しかし、その後のチェックや確認作業を怠った結果、オイレンベルク領のような極小の領地を必要性が薄いとして勝手に省略してしまうという、致命的な手抜きが発生した。
ミスがもたらした政治的大パニック
この地図を全面的に信頼していたヴェンデリンたちは、何の疑いもなくトンネル工事を進めてしまった。
・もし事前にオイレンベルク領の存在を把握していれば、開通前に地元の領主との調整や、利権・管理体制に関する根回しを進めることができたはずであった。
・しかし、地図のミスのせいで何の心の準備もしていなかったオイレンベルク親子は、突然一万人の警備兵を動員して二十四時間管理しなければならない巨大トンネルの利権という身の丈に合わない大役を押し付けられた。
・その結果、パニックを起こして土下座を繰り返す事態に陥ってしまった。
激怒する重臣たちと責任者の末路
地図作製の最高責任者であるエドガー軍務卿は、ブライヒレーダー辺境伯からの連絡を受けて大激怒した。
・軍務卿は自ら国土院に怒鳴り込み、マイザー子爵の首根っこを掴んでオイレンベルク邸の床に引きずり下ろし、土下座させて事情を追及した。
・通常であれば、このような記載漏れはよくある役所の細かいミスとしてうやむやに処理されていたかもしれなかった。
・しかし、今回はタイミングが最悪であった。このトンネル開通は、国王(ヘルムート三十七世)が最も注視する南部パウマイスター伯爵領の開発に直結する国家的大事業だったため、開通を遅らせる原因を作ったマイザー子爵の失態は、言い逃れのできない大問題となった。
・最終的にマイザー子爵は、公式には大病による療養目的という名目を立てられ、今の役職と当主の座を強制的に退かされる(事実上の失脚・強制隠居)という、極めて厳しい処分を下されることになった。
まとめ
地図の記載ミスとマイザー子爵の失脚を巡る一連の全貌は、トンネル開通先での公式地図記載漏れの判明から始まり、マイザー子爵の経費削減目的による工房変更とチェック怠慢、事前根回し不全によるオイレンベルク領主親子のパニック、そしてエドガー軍務卿の怒りと国家的大事業遅延に伴う失脚・強制隠居処分に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
行政の怠慢や不運なタイミングという不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確果たる意志によって完璧に確立するに至る、役所の不始末と厳罰処分の記録である。
省略の露呈から、手抜きの発覚、現場の混乱、責任の追及、そして職権剥奪による決着へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
カチヤの婿選び試合
カチヤの婿取り武芸大会の全貌と決着
『八男って、それはないでしょう!』第12巻におけるカチヤの婿選び試合(婿取り武芸大会)について、開催された経緯、貴族たちの小芝居、低調な予選と不正の摘発、本選でのカチヤの無双とグイードの善戦、国王の乱入、最終決戦、および決着と新たな婚姻の各点から解説する。
婿選び試合(武芸大会)が開催された経緯
大縦貫トンネルの北側出口がオイレンベルク騎士爵領に繋がっていることが判明した際、当主のジギや跡取りのファイトは、身の丈に合わない利権の管理を恐れて権利をブライヒレーダー辺境伯家に譲渡しようとした。
・しかし、実家を出て凄腕の冒険者(飛竜殺し)として稼いでいた長女のカチヤが帰郷し、この決定に猛反対した。
・彼女は、オイレンベルク家大躍進のチャンスを人様に譲るなど正気か、と主張し、自分が有能な婿を取り、その婿の実家のノウハウや資金力を使ってトンネルを共同管理すれば、実家を乗っ取られずに大躍進できると考えた。
・そこでカチヤは、以下の過酷な条件を掲げ、王都の広場で民衆に向けて婿取り武芸大会の開催を宣言した。
・カチヤ自身に武芸で勝利すること。
・トンネルを運営できる能力や人脈を持つ貴族であること。
・この宣言には、世間の注目を味方につけることで、大貴族や王家が水面下で利権を強引に奪い取る搦め手を封じる計算もあった。
大会前に繰り広げられた貴族たちの「小芝居」
武芸でカチヤに勝てない文官系や美男子の貴族子弟たちは、大会が始まる前にカチヤを自分に惚れさせて武芸大会を形骸化させようと、様々な搦め手を使って接近を試みた。
・わざとらしくぶつかる作戦:街中でわざとカチヤにぶつかり、落とした商品を弁償した上で自宅に招こうとするイケメン貴族や、わざとらしく転んで怪我を装う線の細い美男子が続出した。
・ヤラセのヒーローショー:劇団員を雇って荒くれ者のフリをさせ、カチヤに因縁をつけさせたところを、別の貴族が颯爽と現れて助けるという大根芝居が行われた。
・屋敷前でのアピール合戦:バウマイスター邸の門前に貴族たちが集まり、弦楽器を弾きながらのオリジナル愛の歌の熱唱、ポエムの朗読、さらには愛の創作ダンスなどを披露して近隣に騒音を撒き散らした。
・これらのアプローチにカチヤは呆れ果て、精神的に疲弊した結果、武芸大会当日までバウマイスター邸の庭でイーナたちと特訓する以外、屋敷に引きこもる羽目になった。
低調な予選と「替え玉・反則」の摘発
王都の王立コロシアムで武芸大会が始まったが、予選の内容は非常に低調なものであった。
・カチヤに勝てばトンネル利権が手に入るため多くの貴族子弟が集まったが、普段ろくに剣を握っていない文官系の志望者が多く、剣術の達人であるエルヴィンや近衛騎士団のワーレンから見れば、見るに堪えない下手なダンスのような試合が続いた。
・魔法剣の不発:古代魔法文明の非常に優秀な魔法剣を持ち出す貴族もいたが、本人の剣技が素人同然であったため、使いこなせずあっさり敗退した。
・替え玉の摘発:腕の立つ代理人を自分に変装させて出場させようとする者が後を絶たず、変装の魔道具や劇団のプロのメイクを使った替え玉が試みられたが、王宮の魔導師たちに魔力の流れを一発で見破られて全員が失格となった。
・最終的に、予選を勝ち抜いた8名の挑戦者が本選へと駒を進めた。
本選:カチヤの無双とグイードの善戦
本選では、カチヤが予選突破者8名と順に対決した。
・高位の貴族の若様たちはスピードを強化する魔法を操るカチヤの敵ではなく、大半の挑戦者は5分ともたずに一撃で剣を弾かれて惨敗した。
・その中で唯一、見事な戦いを見せたのが、国王の甥であるグイードという青年であった。
・彼は王族でありながら不遇な冷や飯食いの立場にあり、腐らずに真面目に剣の鍛錬を重ねていたため、カチヤを相手に最も長く、互角に近い攻防を繰り広げた。
・しかし、カチヤが加速の魔法の出力を最大に引き上げると、グイードはその神速に対応できず、最終的に剣を弾き飛ばされて敗北を喫した。
国王の乱入とヴェンデリンへの丸投げ
挑戦者8人全員がカチヤに敗北したことで、コロシアムを埋め尽くしていた観客からは、貴族たちの不甲斐なさに猛烈な大ブーイングが沸き起こった。
・このままでは勝者不在でトンネル利権問題が再び暗礁に乗り上げてしまうため、お忍びで観戦していた国王ヘルムート三十七世が突如としてリングに乱入した。
・国王は、観客を前に、これまでに多くの武勲を挙げ、帝国軍相手にも負けなしだったあの男に任せよう、と高らかに宣言し、観賓席にいたヴェンデリンを指名して、カチヤと決闘するよう命令をくだした。
・これには観客も大喜びで、バトルジャンキーな一面を持つカチヤも格好の獲物が現れたと笑みを浮かべてヴェンデリンと対峙した。
最終決戦:ヴェンデリン vs カチヤ
ヴェンデリンとカチヤの決闘は、魔法と神速の剣がぶつかり合う、この大会で最も見応えのある激戦となった。
・カチヤの突撃とヴェンデリンの見切り:カチヤは開始直後、最大出力の加速魔法を使って突進した。かつてのヴェンデリンなら慌てて巨大な障壁を張るところであったが、帝国でのアルフレッド師匠との死闘を経て成長した彼は、相手の進路を完璧に見極め、すれ違う瞬間だけ最小限の魔法障壁を張り、最小限の魔力で最初の一撃をかわした。
・青火蛇による武器破壊:ヴェンデリンは指先に、超高温を放つ小さな青い炎の蛇魔法「青火蛇」を出現させ、カチヤに飛ばした。カチヤは避けたものの、誘導する青火蛇は彼女の持っていた高価なサーベルに巻き付き、一瞬でドロドロに溶かしてしまった。
・予備武器と魔法の応酬:カチヤは諦めず、自身の魔法の袋から予備のサーベルを取り出して再度突撃し、投擲用ナイフを連続で投げつけて隙を作ろうとした。しかし、ヴェンデリンは火壁でナイフを溶かし、さらに岩槍、氷弾、ウィンドカッター、ファイヤーボールなどの多彩な魔法を連続して放ち、彼女に近づくことすら許さなかった。
・最大加速と決着:魔力が尽きかけたカチヤは、残るすべての魔力を振り絞って最大加速での突撃を敢行した。しかし、ヴェンデリンにあらかじめ体に纏わせていた魔法障壁に完全に阻まれ、渾身の一撃は無情にも弾き返された。体勢を崩したカチヤに対し、ヴェンデリンは火炎の魔法剣を振り下ろして再び彼女のサーベルを溶かし、さらにウィンドカッターで腰の魔法の袋を切り落として予備武器を奪った。頭上にいくつものファイヤーボールを滞空させられ、完全に武器と魔力を失ったカチヤは、ついに両手を挙げて降参した。
決着と新たな婚姻
決闘後、ヴェンデリンは魔法の熱や擦り傷を負ったカチヤの体を、水系統の治癒魔法で優しく丁寧に治療した。
・その際、彼が、お世辞ではなく、綺麗に生まれたのだから痕を残しては勿体ない、と声をかけたことで、男性への免疫がないカチヤは恥ずかしさから顔を真っ赤にして俯いてしまった。
・カチヤは完璧な実力差を見せつけられたことで、ヴェンデリンの竜殺しの英雄としての強さを心から認め、彼への嫁入りを納得した。
・国王から、カチヤを責任を持って娶るがよい、との命令が下されたことで、この一件は政治的にも完璧な解決を迎えた。
・管理権の完全掌握:オイレンベルク領はバウマイスター伯爵領へと併合され、大縦貫トンネルの管理・運営権はヴェンデリンが一括して所有することになった。
・カチヤの婚姻:カチヤはバウマイスター伯爵家の7人目の妻(婚約者)として迎えられた。
・グイードの救済:武芸大会で最も健闘したグイードは、国王から法衣子爵に叙爵され、トンネル警備隊長に任命されることで、長年の不遇から脱して幼馴染との結婚を叶えた。
まとめ
カチヤの婿取り武芸大会の全貌と決着を巡る一連の全貌は、トンネル利権保護を狙った婿取り武芸大会の開催宣言から始まり、求愛を巡る貴族たちの滑稽な小芝居、低調な予選と替え玉不正の即時摘発、本選でのカチヤの無双とグイードの健闘、お忍び国王の乱入によるヴェンデリン指名、青火蛇や魔法障壁を駆使した最終決戦でのカチヤ撃破、そしてオイレンベルク領の併合とカチヤの7人目の妻としての受入に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
利権争いや家格の制約という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的な武の証明と円満な政治的決着の記録である。
利権の対立から、条件の提示、不正の看破、英雄の指名、魔法の激突、そして新たな家族の受入へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
領地管理権の譲渡
領地(トンネル)管理権の譲渡・移譲の全貌と政治的解決
『八男って、それはないでしょう! 12巻』において、リーグ大山脈を貫く「大縦貫トンネル」の発見から始まった「領地(トンネル)管理権の譲渡・移譲」について、譲渡の背景、政治的障壁と三者管理案の限界、カチヤの乱入と婿選び試合による膠着、およびバウマイスター領への併合と円満解決の各点から解説する。
譲渡の背景:「零細貴族には重すぎる利権」
大縦貫トンネルが発見され、その北側出口が「オイレンベルク騎士爵領」に繋がっていることが判明した際、書類上の実効支配権はオイレンベルク家に属していた。しかし、この巨大な利権は、人口わずか300人の零細領地にとって致命的なお荷物であった。
・天文学的な運営コストと人員不足:トンネルを安全に稼働させるには、24時間年中無休で、不審者や密輸、テロ行為に対処するための最低千人規模の警備隊を雇用しなければならない。さらに、関税の徴収や利用者のための税関設備、宿場町や馬車待機場の整備も不可欠であったが、オイレンベルク家にはその資金・人員・ノウハウが完全に皆無であった。
・実家の乗っ取り(傀儡化)の危機:資金力のある他領の有力貴族から嫁を迎え、その実家から資金や人員を送り込んでもらえば管理は可能であったが、その場合は看板はオイレンベルク家だが、実態は奥さんの実家に乗っ取られるという傀儡化の危険性が極めて高かった。そのため、当主のジギや跡取りのファイトは、身の丈に合わない利権を恐れ、管理権の完全な譲渡を全力で申し出た。
生々しい政治的障壁と「三者管理案」の限界
オイレンベルク家が管理権を放棄しようとした際、隣接する大貴族ブライヒレーダー辺境伯家がこれを引き取るのが最も自然な流れであった。しかし、ここには王国貴族特有のやっかみや政治的な駆け引きが立ち塞がった。
・辺境伯への批判(他家への不当介入)の懸念:ブライヒレーダー辺境伯が直接オイレンベルク領に入って業務を代行したり、有利な条件で領地交換(転封)を行ったりすれば、周囲の貴族たちから、大貴族が立場の弱い零細貴族を脅して巨大なトンネル利権を不当に強奪した、という非難の雨霰を浴びる危険性があった。
・王国直轄地化の不可能性:王国が転封を命じてオイレンベルク領を直轄地にする案も浮上したが、周囲がすべてブライヒレーダー辺境伯領に囲まれているため、将来的に王国と辺境伯家との不和や緊迫状態を演出する輩が現れる懸念があり、国王ヘルムート三十七世自身が却下した。
・妥協としての三者共同管理案:これらを考慮し、一時的に「王国、バウマイスター伯爵家、ブライヒレーダー辺境伯家」の三者が均等に人員を出して警備・管理を分担し、オイレンベルク家側は公式に、うちでは管理できないため他家に任せる、という敗北宣言の言質を出させる政治的妥協案でまとまりかけた。
カチヤの乱入と「婿選び試合」による膠着
この妥協案に猛反対したのが、オイレンベルク家の長女であり、凄腕の女冒険者として名を馳せていたカチヤであった。
・彼女は、オイレンベルク家大躍進のチャンスを人様に譲るなど正気か、と実家に怒鳴り込み、自分を武芸で破り、なおかつトンネルを運営できる能力や人脈を持つ者を婿にして利権を譲る、と王都で婿取り武芸大会を宣言した。
・これは、世間の注目を味方につけることで、大貴族や王家が水面下で権利を強引に奪い取る搦め手を封じるための、小身な貴族なりの必死の抵抗策でもあった。
・しかし、彼女が強すぎたために挑戦者が全員惨敗し、事態は再び暗礁に乗り上げた。
バウマイスター領への併合という「完璧なハッピーエンド」
最終的に、お忍びで観戦していた国王の命令によりヴェンデリンが対戦相手として指名され、カチヤを魔法と圧倒的な実力で撃破したことで、この領地管理権の問題は決着した。
・管理権の一括譲渡と領地併合:カチヤを7人目の妻(婚約者)として迎えたことで、管理能力のなかったオイレンベルク領は正式にバウマイスター伯爵領へと併合され、大縦貫トンネルの管理・運営権はヴェンデリンが一括して掌握することとなった。これにより、権利の所在は完全にクリアになった。
・オイレンベルク家へのマロイモ代替地の提供:ヴェンデリンはファイトやジギたちの、静かにマロイモ栽培をして暮らしたい、という本質的な願いを最優先し、リーグ大山脈南側の斜面で、旧領よりもはるかに広大で条件の良い代替地を用意した。
・前代未聞の土の魔法移送による農業支援:農業において最も重要となる、ファイトたちが長年かけて育て上げたマロイモ畑の良質な土壌を、ヴェンデリンが超土木魔法によって丸ごと新領地へと移送した。これにより、土作りに10年かかるプロセスをスキップし、移転後すぐに高品質なマロイモの生産を再開させることに成功した。
・ブライヒレーダー辺境伯家への配慮と不満解消:トンネル利権をバウマイスター家に独占されたことによる辺境伯家内の不満や対立を防ぐため、旧オイレンベルク領内には警備施設のみを整備し、トンネル利用者向けの宿場町や大規模な商業施設などの開発権は、すべて隣接するブライヒレーダー辺境伯領に譲られた。これにより、辺境伯領も大規模な開発で潤い、税収が増加したことで、両家の無用な対立は完全に回避された。
まとめ
領地(トンネル)管理権の譲渡・移譲の全貌と政治的解決を巡る一連の全貌は、身の丈に合わない利権を恐れたオイレンベルク家の完全放棄の申し出から始まり、大貴族への批判懸念や王国直轄地の不都合による三者共同管理案の浮上、カチヤの乱入と婿取り武芸大会開催による一時的な混迷、そしてヴェンデリンの勝利に伴う旧オイレンベルク領のバウマイスター伯爵領への併合と土の魔法移送による代替地移転に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
過大な利権や貴族社会の思惑という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、内政的・政治的調停と円満解決の記録である。
管理不能の判明から、政治的対立、試練の克服、領地の併合、土の移送、そして開発権の分譲へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
登場キャラクター
バウマイスター伯爵家・関係者
ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター
本作の主人公である。
彼は日本人の商社マンから異世界に転生した。
魔法の才能に優れており、エリーゼたちの夫にあたる。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の当主を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
古代竜や属性竜のグレードグランドを討伐した。
魔法を用いて領地や未開地の土木開発を進める。
帝国の内乱において多くの敵を降伏させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
準男爵から男爵を経て、最終的に伯爵へと陞爵した。
王国と帝国において高い威信を誇る。
エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム
ヴェンデリンの正妻である。
彼女は「ホーエンハイム家の聖女」と称される治癒魔法使いだ。
人々への奉仕を尊ぶ誠実な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の正妻だ。
正教徒派カソリック教会の助司祭を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
戦場において多数の負傷者を治療した。
魔の森では広域浄化魔法を用いてアンデッドを消滅させる。
教会の孤児院で子供たちに裁縫や勉強を教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
高い知名度と人望を有している。
ホーエンハイム枢機卿の孫娘にあたる。
イーナ・ズザネ・ヒレンブラント
ヴェンデリンの側室候補である。
(※ソースには側室候補、あるいは将来婚姻する等の記述がある。)
彼女は赤い髪が特徴のしなやかな女性だ。
槍術に優れ、真面目で常識的な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の側室候補である。
ヒレンブラント家の三女だ。
・物語内での具体的な行動や成果
魔の森の探索において前衛として魔物を排除した。
バウマイスター準男爵家軍の編成時には幹部を務める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
身体強化の魔法を習得している。
実家はブライヒレーダー辺境伯の槍術師範を務める陪臣だ。
ルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェーク
ヴェンデリンの側室候補である。
彼女は実年齢よりも幼く見えるショートカットの女性だ。
魔闘流の使い手で、明るく前向きな性格をしている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の側室候補である。
オーフェルヴェーク家の三女だ。
・物語内での具体的な行動や成果
戦場において俊敏な動きで敵兵を圧倒した。
訓練において魔力探知能力を飛躍的に向上させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実家はブライヒレーダー辺境伯の魔闘流師範を務める陪臣だ。
強すぎる才能ゆえに実家では孤立していた。
ヴィルマエトル・フォン_アスガハン
ヴェンデリンの側室候補である。
(※ソース表記に従い「ヴィルマエトル・フォン・アスガハン」とする。)
彼女はエドガー軍務卿の養女にあたる。
大人しい外見に反して、大斧を操る怪力の持ち主だ。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の側室候補だ。
アスガハン準男爵家の一族である。
・物語内での具体的な行動や成果
戦斧を操りヴェンデリンの護衛を務めた。
未開地での狩猟において巨大熊の首を一撃で刎ねる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
極稀に現れる「英雄症候群」の体質を持つ。
過剰な食事摂取を必要とする。
カタリーナ・リンダ・フォン・ヴァイゲル
ヴェンデリンの側室候補である。
彼女は没落したヴァイゲル家の当主だ。
自己主張が激しいが、ウブな一面も持ち合わせている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の側室候補である。
ヴァイゲル準男爵家の当主を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
高度な風魔法を駆使して魔の森の探索を支援した。
土木魔法を用いて魔蔵庫の移築工事を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
名誉準男爵に叙せられ、御家再興を果たした。
ヴェンデリンに匹敵する強大な魔力を保有している。
エルヴィン・フォン・アルニム
ヴェンデリンの親友であり家臣である。
彼は剣の才能に恵まれた少年だ。
ハルカの婚約者にあたる。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の従士長である。
・物語内での具体的な行動や成果
帝国の巨大ゴーレムを「魔刀」で真っ二つに両断した。
バウマイスター準男爵家軍では名目上の代将を務める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ワーレンから剣術の推薦を受けるほどの実力を持つ。
実家はヘルムート王国西部の騎士爵家にあたる。
アマーリエ・フォン・マインバッハ
亡きクルトの未亡人である。
彼女はマインバッハ騎士爵家の次女だ。
丁寧で温和な性格をしており、実質的にヴェンデリンの側室となる。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の侍女長を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
本家においてヴェンデリンと密かに逢瀬を重ねた。
テレーゼに家庭料理の製法を教える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
クルトの死後はヴェンデリンの支援を受けている。
二人の息子を育てる母親だ。
カール
クルトとアマーリエの長男である。
彼はヴェンデリンの甥にあたる。
将来の騎士爵の後継者だ。
・所属組織、地位や役職
マインバッハ騎士爵家の後継者である。
・物語内での具体的な行動や成果
祖父のアルトゥルから剣術の稽古を受けた。
叔父であるヴェンデリンから帝国のお土産を受け取る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
成人後に新設される騎士爵領を継ぐ予定である。
現在は母の実家であるマインバッハ家に預けられている。
オスカー
クルトとアマーリエの次男である。
彼はカールの弟にあたる。
将来の従士長候補だ。
・所属組織、地位や役職
マインバッハ騎士爵家の一族である。
・物語内での具体的な行動や成果
兄と共に剣術の修行に励んだ。
叔父のヴェンデリンを慕う姿を見せる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
成人後はカールの従士長として兄を支える。
兄と共にマインバッハ家に預けられた。
ローデリヒ
バウマイスター伯爵家の家臣である。
彼はルックナー財務卿の弟が商人の娘に生ませた私生児だ。
実務能力が極めて高く、真面目で張り切りすぎる性格をしている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の家宰を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
バウルブルク建設などの領地開発計画をすべて取り仕切った。
武芸大会において槍術のみで予選の六回戦まで進む。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実父であるルックナー男爵からは認知を拒否されていた。
ルックナー財務卿の孫娘(コリンナ)との婚約が内定した。
ドミニク
エリーゼの幼馴染である。
彼女はバウマイスター伯爵家のメイド長にあたる。
しっかり者で、新人の教育係を務めている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家のメイド長だ。
・物語内での具体的な行動や成果
お館様の食事やオヤツの調理を担当した。
従妹であるレーアに対して厳しいメイド教育を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
母親はホーエンハイム家のメイド長を務めている。
最近結婚したばかりの新婚だ。
レーア
ドミニクの従妹である。
彼女はバウマイスター伯爵家の新人メイドだ。
お菓子が大好きな、少しお調子者の性格をしている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家のメイドだ。
・物語内での具体的な行動や成果
エルヴィンとハルカのデートに同行して町を案内した。
ドミニクの指導のもとでメイドとしての仕事を学ぶ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エルヴィンの側室候補としての立場を自覚している。
いつか自分もエルヴィンとデートしたいと願う。
ヘルムート王国(王宮・貴族・その他)
ヘルムート三十七世
ヘルムート王国の国王である。
彼はアームストロング導師の幼馴染を指す。
王国の最高指導者にあたる。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国の国王を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
古代竜を討伐したヴェンデリンに準男爵位を授与した。
カチヤの婿取り武芸大会においてヴェンデリンを対戦相手に指名する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
未開地の領地分割を視野に入れ、ヴェンデリンの動向を注視している。
クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング(アームストロング導師)
ヘルムート王国の王宮筆頭魔導師である。
彼は国王の幼馴染にあたる。
一個軍団に匹敵する魔力を持つ武闘派の魔法使いだ。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国の王宮筆頭魔導師だ。
子爵の爵位を持つ。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンと共にパルケニア草原の老地竜を討伐した。
帝国の内乱においては強大な魔力を駆使して前線で戦う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エリーゼの伯父にあたる。
甘いものが大好物である。
ブランターク・リングスタット
ブライヒレーダー辺境伯のお抱え魔法使いである。
彼はアルフレッドの師匠にあたる。
経験豊富で、現実的な思考を持つベテラン魔法使いだ。
・所属組織、地位や役職
ブライヒレーダー辺境伯家の筆頭お抱え魔法使いだ。
・物語内での具体的な行動や成果
魔力探知や風系統の障壁魔法でヴェンデリンたちの戦闘を支援した。
「逆さ縛り殺し」の探索においては指揮役を務める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
長年独身であったが、若いアガーテと結婚した。
エドガー軍務卿
ヘルムート王国の閣僚である。
彼は軍閥の重鎮を指す。
カイゼル髭を蓄えた軍人風の風貌をしている。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国の軍務卿だ。
侯爵の爵位を持つ。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴィルマを養女とし、ヴェンデリンの護衛兼側室として派遣した。
地図の記載ミスをしたマイザー子爵を捕らえて厳しく叱責する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
パウルやヘルムートの婚姻と独立を裏から支援した。
ルックナー財務卿
ヘルムート王国の閣僚である。
彼は財務閥の長を指す。
冷静沈着に実利を重視する人物だ。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国の財務卿だ。
侯爵の爵位を持つ。
・物語内での具体的な行動や成果
エーリッヒのブラント家への婿入りを支援した。
弟であるルックナー男爵の取り潰し処分を取り仕切る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
甥のローデリヒに自分の孫娘を嫁がせる約束を交わした。
ホーエンハイム枢機卿
教会の最高幹部である。
彼は「妖怪ジジイ」と称される老練な政治家だ。
エリーゼの祖父にあたる。
・所属組織、地位や役職
正教徒派カソリック教会の枢機卿だ。
子爵の爵位を持つ。
・物語内での具体的な行動や成果
エリーゼとヴェンデリンの婚約を迅速に成立させた。
カタリーナの御家再興に向けて王家やルックナー財務卿との裏交渉を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
教会を通じて王国全土に及ぶ情報ネットワークを握っている。
レーリヒ商務卿
ヘルムート王国の閣僚である。
彼は商業・通商関連の部門を統括する人物だ。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国の商務卿だ。
閣僚の地位にある。
・物語内での具体的な行動や成果
オイレンベルク邸に赴き、大縦貫トンネルの現地調査を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ベッケンバウアー
魔導ギルドの研究部長である。
彼は下着に異様な専門知識を持つ魔法使いだ。
・所属組織、地位や役職
魔導ギルドの研究部長を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンの魔力を用いた召喚魔法の実験を担当した。
召喚された下着の家紋から、それがフィリップ公爵家のものであると見抜く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実家は貴族御用達の下着専門の服飾店だ。
ワーレン
ヘルムート王国の近衛騎士団の中隊長である。
彼はエルヴィンの剣の師匠だ。
剣の才能に恵まれた人物を指す。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国の近衛騎士団中隊長だ。
・物語内での具体的な行動や成果
武芸大会において警備を行い、エルヴィンの成長を喜んだ。
凄腕の冒険者であるカチヤの実力を事前に探る任務を担う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エルヴィンに騎士団への仕官を勧めたが断られた。
マイザー子爵
ヘルムート王国の法衣貴族である。
彼は王国国土院という役所に所属する人物だ。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国の国土院実務責任者だ。
子爵の爵位を持つ。
・物語内での具体的な行動や成果
地図作製において経費削減のために手抜きをした。
その結果、オイレンベルク領を省略し、大きな政治問題を引き起こす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エドガー軍務卿に捕らえられ、のちに失脚処分となった。
エーリッヒ・フォン・ベンノ・バウマイスター
ヴェンデリンの五男の兄である。
彼はバウマイスター家で最も知的で優秀な人物だ。
・所属組織、地位や役職
ブラント準男爵家の当主を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
王都の下級官吏試験に合格し、ブラント家へ婿入りした。
バウマイスター準男爵家軍では参謀兼副将として実務を回す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新しく準男爵へ昇進し、将来の男爵位継承が内定した。
ヘルムート・フォン・ベンノ・バウマイスター
ヴェンデリンの四男の兄である。
彼は王都の警備隊員だ。
フリーデの夫にあたる。
・所属組織、地位や役職
王都バウマイスター準男爵家の当主だ。
王都警備隊に勤務する。
・物語内での具体的な行動や成果
王都近郊の森林や水源地の警護任務に励んだ。
王都バウマイスター家のフリーデと見合いを行い、婿入りする。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新たに準男爵の爵位を授与された。
イェルン
エーリッヒの長男である。
彼は生まれたばかりの赤ちゃんを指す。
・所属組織、地位や役職
ブラント準男爵家の一族だ。
エーリッヒの長男である。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンが残した遺言状において、第一位の継承権を与えられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アレクシス
ヘルムート(四男)の長男である。
彼は生まれたばかりの乳幼児を指す。
・所属組織、地位や役職
王都バウマイスター準男爵家の一族だ。
ヘルムート(四男)の長男である。
・物語内での具体的な行動や成果
お見合い会において、父親であるヘルムートの膝に乗せられていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
トーマス
バウマイスター伯爵家の警備隊長である。
彼は「トーマス・トイファー」と家名を改めた。
元ブロワ辺境伯家の陪臣の三男だ。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の警備隊指揮官を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
反乱未遂事件で捕らえられたが、クラウスの説得で仕官した。
武芸大会では一騎打ちにおいて実の兄を破る功績をあげる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実家から籍を抹消された後、新しい苗字「トイファー」を与えられた。
ニコラウス
バウマイスター伯爵家の家臣である。
彼は地理や状況の解説に優れた若い案内役だ。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の案内役だ。
・物語内での具体的な行動や成果
ゲルトの屋敷やブロートリッヒの地理に関する情報を提供した。
トーマスの推薦を受け、帝都での隠密行動に同行する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
元ブロワ辺境伯家の案内人であった。
ゲオルク
オイレンベルク騎士爵家の執事である。
彼は老人であり、農民のような服装をしている。
・所属組織、地位や役職
オイレンベルク騎士爵家の執事だ。
・物語内での具体的な行動や成果
大縦貫トンネルから現れたヴェンデリンたちを出迎えた。
領内に閣僚たちが続々と現れた際、過度な緊張から土下座をして微動だにしなくなる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
カーヤ(ポイス子爵家の次女)
グイードの婚約者である。
彼女はグイードを日頃から支える女性だ。
・所属組織、地位や役職
ポイス子爵家の次女だ。
・物語内での具体的な行動や成果
不遇な立場にあったグイードを陰で支え続けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
グイードがトンネル警備隊長に任じられたことで、結婚を叶えた。
オイレンベルク騎士爵家
ジギ・フランク・フォン・オイレンベルク
オイレンベルク騎士爵家の当主である。
彼は気が弱く、極めて卑屈な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
オイレンベルク騎士爵家の当主だ。
・物語内での具体的な行動や成果
大縦貫トンネルが開通した際、ヴェンデリンたちに土下座を繰り返した。
管理能力が皆無であるため、トンネルの権利譲渡を申し出る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
領地の併合に伴い、広大な代替地へ円満に移転した。
ローゼ
ジギ・フランクの妻である。
彼女はふくよかで健康そうな女性だ。
夫とは対照的に、いざという時には肝が据わっている。
・所属組織、地位や役職
オイレンベルク騎士爵家の当主夫人だ。
・物語内での具体的な行動や成果
屋敷に使用人がいないため、自らお茶や特産のマロイモの給仕を行った。
突然現れた国王ヘルムート三十七世に対しても、物おじせず愛想よく対応する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ファイト・フランク・フォン・オイレンベルク
ジギとローゼの長男である。
彼は争い事を好まない温厚な性格の青年だ。
マロイモの研究と栽培をこよなく愛している。
・所属組織、地位や役職
オイレンベルク騎士爵家の後継者である。
・物語内での具体的な行動や成果
マロイモの品質改良や栽培に精通し、農民への指導にあたった。
幼馴染のマリタと深く愛し合い、ささやかな生活を望む。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新領地において、ヴェンデリンが魔法で移送した土を使ってマロイモの栽培を再開した。
カチヤ・フランク・フォン・オイレンベルク
オイレンベルク家の長女である。
彼女は「神速のカチヤ」と呼ばれる凄腕の女冒険者だ。
実家を救うため、自ら婿取り武芸大会を開催する行動力を備えている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の七人目の側室候補だ。
元は凄腕の冒険者であった。
・物語内での具体的な行動や成果
冒険者として四年間で一千万セント以上の多額の資産を稼ぎ出した。
武芸大会の決勝戦において、ヴェンデリンと魔法を駆使した決闘を行い敗北する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
決闘に敗れたことで、ヴェンデリンの婚約者となった。
マリタ
ファイトの婚約者である。
彼女は領内の名主の娘だ。
・所属組織、地位や役職
オイレンベルク騎士爵領の名主の娘だ。
・物語内での具体的な行動や成果
ファイトと将来を約束し、彼の畑仕事を手伝い支えた。
お見合い写真の束が届いた際、ファイトを他家に奪われまいとオイレンベルク邸へ飛び込む。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
バウマイスター領併合と同時に、ファイトと無事に結婚を果たした。
ブライヒレーダー辺境伯家
アマデウス・フライターク・フォン・ブライヒレーダー
ブライヒレーダー辺境伯家の当主である。
彼は王国の南部一帯を統括する大貴族だ。
・所属組織、地位や役職
ブライヒレーダー辺境伯家の当主だ。
辺境伯の爵位を持つ。
・物語内での具体的な行動や成果
先代が起こした魔の森遠征の失敗による大打撃から、領地を再建した。
隠し子であるフィリーネの存在を知ると、涙を流して激しく溺愛する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴェンデリンの寄親としての立場を持つ。
フィリーネ
アマデウス・フライタークの隠し子である。
彼女は父親に似た銀髪が美しい十歳の少女だ。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の側室候補である。
・物語内での具体的な行動や成果
帝国の村で過ごしていたが、無料の巡回治療をきっかけに保護された。
エリーゼたちから貴族としてのマナーを優しく指導される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
成人後にヴェンデリンと婚姻することが決定した。
ミズホ公爵領
ハルカ・フジバヤシ
ミズホ伯国の精鋭である女剣士だ。
彼女は真面目で物腰が柔らかい性格をしている。
・所属組織、地位や役職
ミズホ公爵領(ミズホ伯国)の抜刀隊員だ。
エルヴィンの婚約者である。
・物語内での具体的な行動や成果
「魔刀」を操り、テレーゼやヴェンデリンたちの護衛任務を全うした。
お見合い会において、エルヴィンと幸せそうにデートを楽しむ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
将来的にエルヴィンの正妻となることが内定している。
ミズホ公爵
ミズホ公爵(トヨムネ・ミズホ)は、ミズホ伯国(公爵領)の指導者だ。
・所属組織、地位や役職
ミズホ公爵領の当主だ。
・物語内での具体的な行動や成果
自ら軍を率いてソビット大荒地に出兵した。
ヴェンデリンと交渉し、ウナギの「秘伝のタレ」の四分の一を譲り受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
内乱終結に伴い、公爵の爵位を公認された。
武芸大会参加者・イケメン貴族関係
マンフレート・ヴィフラム・フォン・ベンカー
カチヤにアピールを試みたイケメン貴族だ。
彼は、カチヤを惚れさせて武芸大会を避けようとした。
・所属組織、地位や役職
ベンカー男爵家の一族だ。
男爵の公子を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
王都の街中において、カチヤにわざとらしくぶつかる小芝居を仕掛けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実家は二代前に世襲職を失って困窮している。
アーベル・ヨハンネス・フォン・プラテス
カチヤにアピールを試みたイケメン貴族だ。
彼は、劇団員を雇って自作自演のヒーローショーを仕掛けた。
・所属組織、地位や役職
プラテス家の一族だ。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤが荒くれ者に絡まれているところを颯爽と助ける大根芝居を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
武芸ではカチヤに勝てないため、このような搦め手を用いた。
イクヌーク・フォン・アルトブレイン
彼はカチヤに求婚、あるいは武芸大会に参加した貴族である。
・所属組織、地位や役職
アルトブレイン家の一族だ。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤへの婿取り騒動、あるいは武芸大会に深く関わった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ブット・オイゼント・フォン・ルートニア
彼はカチヤに求婚、あるいは武芸大会に参加した貴族である。
・所属組織、地位や役職
ルートニア家の一族だ。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤへの婿取り騒動、あるいは武芸大会に深く関わる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
グイード
国王ヘルムート三十七世の甥にあたる真面目な青年だ。
不遇な環境にあっても、腐らずに剣の鍛錬を重ねた実直な人物である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王家の一族だ。
大縦貫トンネル警備隊の隊長を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
婿取り武芸大会の本選を勝ち抜き、カチヤを相手に最も互角の戦いを見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
国王の命令により「法衣子爵」に叙せられ、幼馴染のカーヤとの結婚を叶えた。
魔族
アーネスト・ブリッツ
魔族の国の考古学者である。
彼は白いタキシードにシルクハット、モノクル、ちょび髭が特徴の紳士だ。
自らの知識欲を何よりも優先する極めてマイペースな性格をしている。
・所属組織、地位や役職
魔族の国の一員だ。
考古学者を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
ニュルンベルク公爵に協力し、数々の古代遺産や兵器を修復・整備した。
魔力切れで動けないところを捕らえられ、大縦貫トンネルの特定に協力する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
現在は監視付きでバウマイスター伯爵領に匿われ、研究生活を送っている。
古代魔法文明
イシュルバーク伯爵
古代魔法文明の天才魔道具職人である。
彼は多くの画期的なロストテクノロジーの製作者だ。
・所属組織、地位や役職
古代魔法文明の魔道具職人だ。
伯爵の爵位を持つ。
・物語内での具体的な行動や成果
大縦貫トンネルの建設をアキツシマ共和国と共同で手がけた。
魔蔵庫や各種ゴーレムなどの高度な防御システムを設計する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼の設計した遺産は、現代でも多大な価値を維持している。
アルフレッド・レインフォード
ヴェンデリンの魔法の師匠である。
彼は心優しい一流の魔法使いだ。
・所属組織、地位や役職
元ブライヒレーダー辺境伯家のお抱え魔法使いだ。
・物語内での具体的な行動や成果
死後、英霊として呼び出されヴェンデリンと最後の決闘を行った。
生前に遺した屋敷や魔道具、膨大な財産はヴェンデリンへと引き継がれる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
愛弟子の成長を確信し、静かに成仏を果たした。
アーカート神聖帝国
ペーター・オスヴァルト・デリウス・フォン・アーカート
アーカート神聖帝国の新皇帝である。
彼は「平民皇子」と呼ばれる賢明で狡猾な青年だ。
・所属組織、地位や役職
アーカート神聖帝国の新皇帝だ。
・物語内での具体的な行動や成果
無血クーデターにより帝都を掌握した。
ニュルンベルク公爵の反乱を鎮圧し、講和条約を締結する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
選帝侯の多くが排除されたのちに、正式に新たな皇帝に即位した。
ニュルンベルク公爵
ニュルンベルク公爵(マックス・エアハルト・アルミン・フォン・ニュルンベルク)は、帝国内乱の首謀者だ。
彼は、大陸統一を夢見た軍事の天才である。
・所属組織、地位や役職
ニュルンベルク公爵家の当主を務める。
反乱軍の総大将を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
帝トを制圧し、巨大ゴーレムを起動させてヴェンデリンたちと決戦を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
決戦に敗れて致命傷を負い、テレーゼに見守られながら息を引き取った。
集団
農民たち
彼らは領地で農業に精を出す領民たちだ。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵領、あるいはオイレンベルク騎士爵領の領民だ。
・物語内での具体的な行動や成果
大縦貫トンネルが開通した際、突然現れたヴェンデリンたちを目撃して驚いた。
土木魔法によって整えられた畑を耕し、作物を栽培する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
警備隊
バウマイスター伯爵家の警備組織である。
彼らは治安維持に尽力する組織だ。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター伯爵家の警備部隊だ。
・物語内での具体的な行動や成果
大縦貫トンネルの警備や、放置された魔導四輪の所有権確保に努めた。
軍人貴族の子弟の加入により、戦闘力を大幅に向上させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
トーマスやニコラウス、モーリッツらが指揮を執っている。
竜闘団
有名な竜狩り専門の冒険者パーティである。
彼らは高いチームワークを誇る。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルドの竜狩り専門パーティだ。
・物語内での具体的な行動や成果
バウマイスター伯爵領におけるワイバーンや飛竜の駆除任務に参加した。
抜群のチームワークを誇り、ヴェンデリンたちと共闘する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リーダーのゴルフは、かつてローデリヒが所属していた際の先輩にあたる。
挑戦者たち
彼らはカチヤとの戦いに挑んだ貴族の子弟たちだ。
・所属組織、地位や役職
婿取り武芸大会の参加者だ。
・物語内での具体的な行動や成果
カチヤと対戦したものの、彼女の圧倒的な強さの前に全員が惨敗した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
変装や魔道具を用いた不正・替え玉を試みた者たちもいたが、すべて見破られて失格となった。
劇団員
彼らは芝居を生業とする人々だ。
・所属組織、地位や役職
王都周辺の芝居小屋の団員だ。
・物語内での具体的な行動や成果
プラテス家からアルバイトとして雇われた。
街中においてカチヤに因縁をつける荒くれ者の大根役を務める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
本物の荒くれ者ではないため、エリーゼやヴェンデリンにすぐ正体を見破られた。
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展開まとめ
第一話 そうすんなりと開通のわけがない
オイレンベルク領への出口
リーグ大山脈の縦貫トンネルを開通させたヴェンデリンたちは、出口が田畑ばかりの小さな農村に繋がっていることを知った。現れた領主ジギ・フランク・フォン・オイレンベルクは、息子ファイトや執事ゲオルクと共に零細な騎士爵領を治めていた。
卑屈なオイレンベルク親子
ヴェンデリンが名乗ると、オイレンベルク親子たちは突然土下座した。彼らは大英雄として知られるヴェンデリンを雲の上の存在と考えており、同じ王国貴族だと説明されても卑屈な態度を崩さなかった。
質素な暮らしとマロイモ
オイレンベルク邸は使用人もいないほど質素で、夫人ローゼが自ら茶を淹れた。茶請けとして出された特産のマロイモは、蒸しただけでも甘く、ヴェンデリンたちから好評を得た。オイレンベルク領は人口三百人ほどで、ブライヒレーダー辺境伯領に囲まれた小領地であることも判明した。
トンネル管理の拒絶
ヴェンデリンは、出口が領内にある以上、オイレンベルク家にもトンネルの警備や管理を担ってもらい、通行料で利益を得ればよいと提案した。しかし、オイレンベルク親子は自分たちには無理だと強く拒絶したため、ヴェンデリンはブライヒレーダー辺境伯とブランタークを呼び寄せた。
消えた小領地
ブライヒレーダー辺境伯が確認すると、最新の王国公式地図ではオイレンベルク領を含む周辺の小領地が省略され、ブライヒレーダー辺境伯領として記載されていた。前年までの地図には存在していたため、地図作製上の問題だと判明した。
マイザー子爵の失態
ブライヒレーダー辺境伯から連絡を受けたエドガー軍務卿は激怒し、地図作製責任者のマイザー子爵を問い詰めた。マイザー子爵は経費削減のため製作工房を変更した結果、確認不足によって小領地が省略されたと説明した。通常なら見過ごされる程度のミスだったが、王国南部開発に重要なトンネル開通を遅らせたため、彼は役職と当主の座を退くことになると見込まれた。
王国首脳の集結
問題解決のため、ヴェンデリンはルックナー財務卿、ホーエンハイム枢機卿、レーリヒ商務卿、ベッケンバウアーらを連れて戻った。さらに国王も自ら出向いたため、オイレンベルク親子は緊張のあまり再び土下座し続けた。
大トンネルの価値
会議では、片側五車線に照明や空調まで備えたトンネルが、魔導飛行船より安価な陸上輸送路として王国経済や安全保障に大きな価値を持つと評価された。開通後は警備、保守、通行料徴収、不審者や密輸への対策が必要となり、相当数の人員を常時配置しなければならなかった。
零細領地の限界
最大の問題は、人口三百人しかいないオイレンベルク領では、その規模の管理体制を構築できないことだった。王国軍の派遣にも限度があり、ブライヒレーダー辺境伯による業務代行は他家への介入と受け取られかねず、領地交換や王国直轄領化も政治的な問題を生むため採用できなかった。
持ち帰られた宿題
有効な解決策が見つからず、トンネルの調査期間を利用して各自が案を持ち帰ることになった。一方、会議で振る舞われたマロイモは国王や閣僚たちにも好評で、皆が土産として購入した。
気絶した領主親子
大トンネルの発見から国王や重臣たちの来訪まで、あまりに多くの出来事が一日に集中したため、オイレンベルク卿とファイトは最後まで土下座した姿勢のまま気絶していた。
第二話 オイレンベルク騎士爵領
ミズホ料理の夕食
トンネル管理の結論が出ないままヴェンデリンたちは屋敷へ戻り、同行したホーエンハイム枢機卿を夕食でもてなした。ミズホ料理は脂っこくなく年配者にも好評で、ホーエンハイム枢機卿は鮎やウルカなどを楽しみ、ミズホ公爵領との交易には大きな価値があると見ていた。
エリーゼの跡継ぎ
ホーエンハイム枢機卿はエリーゼに子供について尋ねた。これまでは新婚生活や帝国内乱を理由に避妊していたが、現在はやめており、ヴェンデリンも時間の問題だと答えた。広大なバウマイスター伯爵領を支える一族が少ないため、ホーエンハイム枢機卿は多くの子供を望んでいた。
アマーリエの立場
正式に屋敷へ移る予定のアマーリエも夕食に同席した。彼女は表向き侍女長となり、屋敷内では実質的な側室として扱われることになっていた。ホーエンハイム枢機卿はマインバッハ家の事情も把握しており、正妻であるエリーゼの序列を乱さない限り問題ないと認めた。
テレーゼへの警戒
夕食にはテレーゼも招かれていた。ホーエンハイム枢機卿は、元公爵で次期皇帝候補だった彼女がヴェンデリンとの間に子を作り、後継争いを起こす可能性を警戒した。テレーゼは権力闘争から離れたつもりだと応じたが、ホーエンハイム枢機卿は教会の情報網を通じて今後も様子を見る姿勢を崩さなかった。
オイレンベルク領の実情
ホーエンハイム枢機卿によれば、オイレンベルク卿は気弱だが善良な人物で、領民と共に農作業をしながら自給自足に近い暮らしをしていた。領内では特産のマロイモを売って現金収入を得ており、領民の生活にも大きな不満はなかった。
マロイモと跡取り息子
オイレンベルク卿の息子ファイトも父親に似て争い事を好まず、得意分野はマロイモの品種改良と栽培研究であった。親子にとっては現在の穏やかな生活こそ望むものであり、大規模なトンネル管理を任せるのは酷だとヴェンデリンたちは改めて感じた。
アーネストの扱い
ホーエンハイム枢機卿はアーネストの正体にも気づいていたが、遺跡調査を続けている限り大人しく、その成果も王国の利益になるため、ヴェンデリンのもとに置く現状を認めた。トンネルの学術調査中は、余計な貴族が入り込まないようヴェンデリンに警戒を頼んだ。
考古学助手の採用
ヴェンデリンたちはトンネルで調査中のアーネストを訪ねた。考古学への興味が薄い彼らに代わり、家臣の子弟から研究に関心のある若者を助手として配置し、監視も兼ねてアーネストを支援することにした。これにより、バウマイスター伯爵家が文化事業を支援する評価も得られることになった。
マロイモ畑のファイト
オイレンベルク領に戻ると、ファイトは斜面のマロイモ畑で農民に栽培指導をしていた。相変わらず低姿勢だったため、カタリーナやエリーゼは、今後他の貴族に利用されないよう少しずつ態度を改めるべきだと助言した。
マロイモ栽培の知識
マロイモの話になるとファイトは饒舌になり、種芋から芽を出した蔓を斜面の畑へ植え、気温差や土質、追肥を調整して甘みを引き出していると説明した。農民の畑では土を口に含んで状態を確かめ、適切な肥料まで指示するほど栽培に精通していた。
トンネル管理の不適任
ファイトの姿を見たヴェンデリンたちは、彼に千人規模の警備隊を率いさせ、トンネルを管理させるのは完全なミスマッチだと意見を一致させた。父親も同様であり、王国かブライヒレーダー辺境伯家が何らかの形で負担する必要があると考えた。
石焼きマロイモ
結論が出ない中、ヴェンデリンたちは試作した魔導式の焼き芋器でマロイモを石焼きにした。蜜が垂れるほど甘く仕上がり、全員から好評を得たため、エリーゼは菓子への利用も考え始めた。
オイレンベルク領での休息案
ヴェンデリンは、トンネル問題が動くまでオイレンベルク領でマロイモを楽しみつつ、近隣の飛竜やワイバーンを狩る生活でも悪くないと考えた。貴族として利権調整をしているように見せれば、他の仕事も回ってこないと期待した。
ローデリヒからの帰還命令
その考えを見透かしたようにローデリヒから連絡が入り、トンネル問題はすぐに動かないため、一旦屋敷へ戻って通常の仕事をこなすよう求められた。ヴェンデリンたちはオイレンベルク領での悠々とした生活を諦め、結論が先送りされたトンネル問題を残したまま帰還した。
第三話 二刀流ドラゴンキラーガール
アマーリエとの新生活
トンネル管理の問題が保留となった後、ヴェンデリンはアマーリエを屋敷へ迎えた。彼女は表向き侍女長、実質的には側室としてヴェンデリンの世話を始めたが、遠慮してお館様と呼んでいた。ヴェンデリンは以前どおりヴェル君と呼ぶよう命じ、二人は昔のバウマイスター騎士爵家での貧しい生活を懐かしく語り合った。
妻たちの嫉妬
アマーリエと親しく話すヴェンデリンを見たエリーゼたちは、朝の鍛錬後だからと次々にマテ茶を勧め、彼が飲みきれないほど飲ませた。理由がわからないヴェンデリンがテレーゼに相談すると、新参のアマーリエばかりを優先したように見えたため、妻たちが嫉妬したのだと指摘された。ヴェンデリンは当主として家族間の均衡にも配慮すべきだと諭され、反省した。
ワイバーンと飛竜の間引き
翌日、ローデリヒはリーグ大山脈周辺でワイバーンと飛竜の活動が活発化しているため、大規模な間引きが必要だと説明した。開発や魔導飛行船の往来によって竜たちが刺激された可能性があり、人への被害を防ぎつつ、竜狩りを生業とする冒険者の仕事を奪わない程度に数を調整する必要があった。
竜狩りの配置
複数の出現地点にはベテラン冒険者や竜狩り専門パーティが配置され、予定数まで素材の買い取り価格を上げることで効率よく間引く計画となっていた。ヴェンデリンたちは、エリーゼの治癒魔法を活かすため、人里から最も離れた地点を担当することになった。
暴走する魔導四輪
現場への移動では、初めて魔導四輪を運転したハルカが高速走行を始めた。さらにエリーゼも対抗心を燃やし、二人は抜きつ抜かれつの競争を続けた。乗せられたヴェンデリンたちは恐怖に耐えながら目的地へ到着し、エリーゼとハルカが運転すると極端な速度を求める性格になることを知った。
二人のドライブ計画
エリーゼとハルカは運転そのものを気に入り、今後も魔導四輪を楽しみたいと希望した。ヴェンデリンは二人だけなら問題ないと考えたが、エリーゼから夫婦で遠出するドライブを提案され、エルもハルカとの同行が避けられなくなった。二人の高速運転に付き合う未来を思い、ヴェンデリンとエルは憂鬱になった。
竜闘団との合流
現場では、竜狩り専門の大規模パーティ竜闘団のリーダーであるゴルフがヴェンデリンたちを迎えた。竜闘団は戦闘員だけでなく料理、装備整備、物資調達、経理などを担当する者も抱え、分業による集団戦を得意としていた。ローデリヒも以前この団に所属し、狩りと経理の両方で高く評価されていたことが判明した。
竜闘団の戦法
竜闘団は森の木々の間に特殊な金属網を張り、生きた大型動物や魔物を傷つけて血と鳴き声でワイバーンや飛竜を誘い込む戦法を用いていた。網に掛かった竜を弓や投擲槍で集中攻撃し、安全性と効率を高めていた。エリーゼは残酷さを感じながらも、人への被害を防ぐためにはやむを得ない方法だと受け入れた。
助っ人カチヤ
竜闘団にはカチヤという十九歳の女性冒険者が助っ人として参加していた。彼女は双剣と投擲用小剣を使い、速度を強化する魔法を組み合わせて戦う実力者であった。固定のパーティには属さず、各地で助っ人として活動しており、多くの冒険者と交流を持っていた。
マロイモとカチヤの故郷
夕食後、カチヤは故郷の特産だというマロイモを振る舞った。その故郷は偶然にもオイレンベルク領であった。ヴェンデリンたちはトンネル問題を伏せたまま話を合わせ、カチヤが慣れた方法でじっくり蒸したマロイモを味わった。彼女は実家について農家のようなものだと語ったが、少し言葉を濁した。
竜闘団の罠
翌朝、吊るした熊の血と鳴き声に誘われてワイバーンが現れ、二匹が網に掛かった。竜闘団は一斉に矢と槍を浴びせ、頭部の商品価値を落とさないよう心臓を狙って仕留めた。イーナも投擲した槍で一匹に致命傷を与えた。
カチヤの急襲
網を避けたワイバーンには、木の上で待ち伏せていたカチヤが対応した。魔法で落下速度を高めながら双剣で首を切り裂き、地面に激突する直前だけ浮力を生み出す魔法で衝撃を逃がしていた。ヴェンデリンたちは、その特殊な戦闘法と単独で竜を倒せる実力に驚いた。
本格化した竜狩り
血の臭いに引かれてワイバーンと飛竜が次々に現れ、竜闘団は網と遠距離攻撃で討伐を重ねた。負傷者も出たが、エリーゼの治癒魔法によって復帰できた。エルとハルカは弓、イーナは槍、ヴィルマは鉄弓で戦い、カチヤも網を抜けた竜を次々に仕留めた。
ヴェンデリンたちの出番
竜闘団が疲労したところで、ヴェンデリン、ルイーゼ、カタリーナが本格的に戦闘へ加わった。ヴェンデリンとカタリーナはウィンドカッターで竜の首を狙い、ルイーゼは木の上から飛び乗って首を折った。三人は討伐数を競う形となり、狩りはさらに加速した。
目標数の達成
ヴェンデリンたちは竜闘団と協力し、予定より多くのワイバーンと飛竜を討伐した。その結果、本来より短い四日間で担当区域の目標数を達成し、他の地点より早く任務を終えた。
ゴルフと竜闘団
解体場でローデリヒと再会したゴルフは、竜闘団の運営には戦闘力だけでなく指揮力や組織管理能力が必要だと語った。自身の子供には適性がないため後継にせず、実力ある者に譲るつもりであった。カチヤにも後継を勧めたが、彼女は一人で活動する方が性に合うとして断った。
カチヤの評価
カチヤはヴェンデリンたちの実力を高く評価し、とりわけエリーゼのような治癒魔法使いと行動できることは冒険者にとって大きな利点だと語った。単独行動が多いからこそ、後方支援の重要性を理解していた。
カチヤとの別れ
報酬を受け取ったカチヤは、結婚を勧めるゴルフの言葉を受け流し、そのままバウルブルクの町へ消えていった。オイレンベルク領出身である彼女が帰郷する可能性もあったが、トンネル問題は領主家の案件であり、領民であるカチヤには知らされていなかった。
領主としての任務完了
ヴェンデリンたちが屋敷へ戻った後、他の地点でも予定数の討伐が完了し、領民がワイバーンや飛竜に襲われる危険は大幅に低下した。ヴェンデリンは領主としての責務を果たしたが、オイレンベルク領とトンネル管理の問題だけは依然として解決しないままであった。
第四話 リア充なんて、明日隕石が落ちてきて死ねばいいと思う
アーネストの学術調査
ワイバーンと飛竜の間引きを終えた翌日、ヴェンデリンとエリーゼはトンネルを調査中のアーネストたちへ差し入れを届けた。管理問題が決着しない間も調査を続けられるアーネストは上機嫌で、次回はミズホ茶と菓子を望むなど相変わらずの態度であった。
マロイモ料理の試作
オイレンベルク領側へ戻ったヴェンデリンたちは、決定権を持つ王家やブライヒレーダー辺境伯から連絡がないため、マロイモの調理研究を進めていた。ハルカはヨウカンとキントン、エリーゼはケーキ、イーナはプリン、ルイーゼはクッキー、ヴィルマはスイートポテト、カタリーナはパイを作り、それぞれ好評を得た。
石焼きマロイモ
さまざまな菓子を食べ比べた結果、素材の甘さを最も生かした石焼きマロイモが一番美味しいという結論になった。ヴェンデリンはトンネル問題が進まない中でも、マロイモの調理法が発展したことには価値があると考えた。
ファイトへの縁談
そこへブランタークが大量の見合い写真を持って現れた。トンネルの存在とオイレンベルク領の価値が外部へ漏れたため、ファイトと娘や妹を政略結婚させようとする貴族が一斉に動き始めたのである。
オイレンベルク家の婚姻事情
オイレンベルク家はこれまで他の貴族家と婚姻せず、近隣の町や領内の名主の娘を妻に迎えてきたことが判明した。外部との交流がほとんどなかったため問題視されることもなく、ファイトにも領内の名主の娘で幼馴染の婚約者がいた。
幼馴染のマリタ
婚約者のマリタは、ファイトに貴族令嬢との縁談が来たと知り、自ら身を引こうとした。しかしファイトは、幼い頃から結婚を約束していたマリタ以外とは結婚しないと宣言し、二人は互いの意思を確かめて抱き合った。
女性陣の全面支持
エリーゼたちは二人の関係に感動し、縁談をすべて断ってでもマリタとの結婚を貫くようファイトを応援した。ハルカやカタリーナまで賛同し、やがてエルやブランタークも二人を支持する側へ回った。
ファイトの覚悟
ヴェンデリンは貴族としての現実を説き、トンネルを管理できないオイレンベルク家には他家との婚姻による支援が必要だと指摘した。しかしファイトは、マリタと結婚できるなら領地を手放し、代替地でマロイモを育てても構わないと答えた。マリタも生活が苦しくなっても同行すると決意した。
ヴェンデリンの嫉妬
周囲が二人を支持する中、ヴェンデリンだけが反対を続けたが、その本心は貴族としての慣習だけではなかった。幼馴染と幼い頃から結婚を約束していたファイトを羨み、自身にはそのような思い出がないことへの嫉妬から結婚を阻止したくなっていたのである。
二人への支援
ヴェンデリンの本音が露見すると、エルとブランタークは彼の反対をまともに取り合わなかった。見合い話もファイト本人の意思が優先されると判明し、ヴェンデリンも最終的には流される形でファイトとマリタの結婚を支援することになった。
第五話 ようやく解決したと思ったら、思わぬ事態に……
トンネル管理権の譲渡
オイレンベルク家はトンネルの管理を断念し、地理的条件からブライヒレーダー辺境伯家へ権利を譲る方針となった。王家との対立を疑われないよう、警備要員は王国、バウマイスター伯爵家、ブライヒレーダー辺境伯家が均等に負担し、代わりにオイレンベルク家にはマロイモ栽培に適した代替地と移転支援が用意されることになった。
次世代の統治体制
ブライヒレーダー辺境伯は、ヴェンデリンとローデリヒの役割分担を高く評価した一方、現在の体制は初代だから成立するものだと指摘した。将来はローデリヒの権限を複数の後継者へ分散し、ヴェンデリンの跡継ぎが家臣団を率いる恒久的な統治体制へ移行する必要があると考えられていた。
オイレンベルク領の移転
ブライヒレーダー辺境伯は、飛竜やワイバーンが来ず、マロイモ栽培に適した新領地を探すと約束した。ヴェンデリンも現在の畑の土を魔法で移送すると申し出たため、ファイトは長年かけて作った土を新天地へ持ち込めることを喜んだ。旧領地ではトンネル周辺の道路、宿泊施設、倉庫などの大規模整備が必要となるため、住民の移転は避けられない状況であった。
カチヤの帰還
話がまとまりかけたところへ、先日ともに竜を狩ったカチヤが飛び込んできた。彼女はオイレンベルク卿を父、ファイトを兄と呼び、自身がオイレンベルク家の娘であることを明かした。カチヤはトンネル利権を他家へ譲ることに強く反対し、実家の飛躍の機会を手放すべきではないと主張した。
トンネル管理の現実
ブライヒレーダー辺境伯は、トンネルには警備、税関機能、周辺施設の整備など膨大な資金、人材、ノウハウが必要だと説明した。オイレンベルク家単独では対応できず、ファイトが有力貴族の娘を妻に迎えて支援を受ければ維持は可能だが、その場合は実質的に妻の実家に家を乗っ取られる危険があった。
農業を選ぶファイト
ファイトは、トンネル利権よりも農業とマロイモ栽培を続けたいと望んだ。農地を買い増すというカチヤの案も、貴族同士の土地売買が禁止されているため成立しなかった。父と兄が現実を受け入れる一方、カチヤは家の躍進を諦めきれず、爵位を上げる好機だと訴え続けた。
カチヤの婿取り案
ファイトが他家から妻を迎えることを拒むなら、自分が有能な婿を取り、その人物にトンネル管理を任せればよいとカチヤは提案した。ブライヒレーダー辺境伯は無茶な案に困惑したが、カチヤは実家のために自ら貴族家の娘としての役割へ戻るつもりであった。
神速のカチヤ
ブランタークが冒険者ギルドから集めた情報によって、カチヤが十五歳から四年間で一千万セント以上を稼いだ若手の実力者であることが判明した。彼女は神速のカチヤと呼ばれ、ワイバーンや飛竜を単独で狩るほどの腕を持ち、高価な装備を揃えるだけの自己資金も蓄えていた。その資金力が、実家のトンネル管理に挑もうとする自信の一因となっていた。
オイレンベルク領の分裂懸念
カチヤが婿と外部人材を連れてトンネル経営を始めれば、農業を続けたいファイトや古参領民との対立が起こる危険があった。農地を失い、望まない仕事を押しつけられれば、領民が外へ流出し、従来のオイレンベルク領そのものが崩壊しかねないと懸念された。
公開された婿募集
カチヤは王都の広場で、オイレンベルク領の事情を公にしたうえ、自分の婿になる条件として自分との戦いに勝つことを宣言した。相手には戦闘力だけでなく、トンネルを運営できる能力や人脈も求めており、貴族に限定することで単なる力自慢も排除しようとしていた。
封じられた搦め手
カチヤが民衆の前でトンネル問題を公表したため、王家や大貴族が水面下で利権を調整することが難しくなった。本人は勢いで動いている面もあったが、結果として世間の注目を味方につけ、零細貴族であるオイレンベルク家が一方的に利権を奪われる展開を防いだ。
王城での対応
ヴェンデリンはコロシアムの手配と事情説明のため王城へ向かった。陛下や大臣たちはカチヤをじゃじゃ馬と評しつつ、彼女の条件を満たす貴族子弟が存在するのか頭を悩ませた。王家やブライヒレーダー辺境伯家の縁者を送り込む案も政治的な問題を抱えており、結局、一週間後にコロシアムで婿候補を選ぶ試合を開催することとなった。
婿選びの武芸試合
陛下は王族からも数名を参加させると決め、他の貴族たちからも候補者が集まることになった。ヴェンデリン側のトンネル開通準備は順調に進んでいたため、残る問題はカチヤに勝ち、なおかつオイレンベルク領とトンネルを安定して運営できる婿が現れるかどうかとなった。
第六話 王都に滞在することになったが、貴族ってのは手段を選ばないな
カチヤの居候生活
婿を武芸大会で決めるというカチヤの方針により、ヴェンデリンたちは王都のバウマイスター伯爵邸に滞在し、彼女を預かることになった。ヴェンデリンがトンネル工事で忙しく往復する一方、カチヤは屋敷で気ままに過ごしていた。
エルとの模擬戦
カチヤは剣士であるエルに勝負を挑み、高速の攻撃で翻弄した。エルは経験と技術で攻撃を凌ぎ、隙を見て反撃したため、勝負は引き分けとなった。カチヤはエルの強さを認め、さらに屋敷の女性陣とも戦いたがった。
連敗と急成長
カチヤはハルカに挑んだが、幼少期から鍛えた刀術と先読みの技術に敗れた。その後もイーナ、ルイーゼ、ヴィルマに連敗したが、負けるたびに相手の技術を吸収して急速に強くなった。ハルカとエルは、まともな剣術を習わず身体能力だけで強くなったカチヤの才能に危機感を抱いた。
女性陣との交流
カチヤは敗北を恨まず、相手を素直に称賛して鍛錬を楽しんだため、エリーゼたちともすぐに打ち解けた。幼少期から続けた農作業で培った体力も高く、連戦後も元気であった。実家を守ろうとする強引さはあったものの、普段はさっぱりした性格で付き合いやすい人物であった。
外出への警戒
エリーゼは買い物に出ようとするカチヤへ、一人での外出を禁じた。武芸大会で勝てない貴族が、誘拐や薬物、暗殺などの搦め手を使う可能性があったためである。カチヤは当初危険性を理解していなかったが、事情を説明されるとエリーゼの忠告を受け入れた。
最初の美男子
一行が王都へ買い物に出ると、貴族の青年マンフレート・ヴィフラム・フォン・ベンカーがカチヤにわざとぶつかり、壊れた品を弁償して自邸へ招こうとした。エリーゼは未婚女性をいきなり屋敷へ誘うのは不適切だとして割って入り、カチヤを連れてその場を離れた。
仕組まれた出会い
一行は、ベンカー男爵家がカチヤを美男子に惚れさせ、武芸大会を形骸化させようとしていると察した。ベンカー男爵家は世襲職を失って低迷しており、トンネル管理による再起を狙っていた。一方のカチヤは美男子に興味を示さず、自分より強い男性でなければ結婚するつもりはなかった。
続く小芝居
その後も、線の細い美男子がカチヤにぶつかろうとして怪我を装うなど、同じような接近が続いた。しかしエルやエリーゼが先回りして阻止したため、いずれもカチヤとの関係を築けずに終わった。武芸で勝てない貴族子弟が、恋愛による逆転を狙っていることは明白であった。
偽の荒くれ者
さらに三人の荒くれ者がカチヤへ因縁をつけたが、彼らは本物のならず者ではなく、雇われた役者らしかった。そこへアーベル・ヨハンネス・フォン・プラテスが現れ、予定どおり三人を退けてカチヤを救った形を作り、自邸へ招こうとした。しかしあまりに芝居が露骨だったため、エリーゼが強引に話を切り上げ、一行は屋敷へ戻った。
屋敷前の求愛
カチヤが外出しなくなると、今度は武芸に自信のない貴族子弟たちがバウマイスター伯爵邸の前に集まり始めた。ある者は弦楽器を弾きながら愛の歌を歌い、ある者は詩を朗読し、別の者は創作舞踊まで披露してカチヤへ求愛した。
閉じ込められたカチヤ
武芸では勝てない文官系や美男子の貴族子弟たちは、それぞれの得意分野でカチヤの気を引こうとした。しかしカチヤはそうした男性をまったく望まず、騒ぎを嫌がった。結局、武芸大会までの数日間、カチヤは庭でイーナたちと鍛錬する以外、屋敷からほとんど出られなくなった。
第七話 いよいよ武芸大会当日
武芸大会前夜
武芸大会を翌日に控え、カチヤに接触しようとする貴族子弟たちの騒ぎも六日目を迎えていた。ヴェンデリンは昼間をトンネル周辺の工事に費やし、検問所や休憩所、教会の建設予定地、街道などの整備を進めていた一方、エルはカチヤの護衛として王都屋敷に残っていた。
最後の夕食
屋敷ではエリーゼたちが夕食を作り、カチヤも料理を教わりながら未来の結婚生活を意識していた。王都観光と武芸大会見物を兼ねてテレーゼも滞在し、アマーリエとも親しくなっていた。カチヤは複数の妻を持つヴェンデリンの家庭に驚き、自分の父や兄が貴族としては特殊なのだと改めて感じていた。
兄への心配
カチヤは兄ファイトの婚約者マリタを嫌っているわけではなく、幼馴染として好意的に見ていた。しかし貴族家の跡取りなら正妻に貴族の娘を迎え、家を強くするべきだと考えていた。兄の頼りなさを心配したことも、カチヤが自ら婿探しに乗り出した理由であった。
テレーゼの解決案
テレーゼは、トンネルを発見したヴェンデリンが北側を含めてすべて管理し、オイレンベルク家には代替地を与える方法が最も単純だと考えた。必要な施設を隣接するブライヒレーダー辺境伯領にも配置すれば利益調整も可能であり、今のヴェンデリンに正面から反発する貴族も少ないと指摘した。
勝者不在への懸念
翌朝、王都のコロシアムにはカチヤを倒して婿となり、トンネル利権を得ようとする王族や貴族子弟が集まった。しかしエルやワーレンは、参加者の腕前を見てカチヤに勝てそうな者がいないと判断した。強い者にはトンネル管理の人脈や能力がなく、管理能力を持つ家の子弟には戦闘力が足りないという矛盾があった。
低調な予選
予選では剣術経験の乏しい参加者による拙い試合が続き、高価な魔法剣を用意した者たちも技量不足で敗退した。代理人を変装させて出場しようとした者まで現れたが、すべて見破られて失格となった。最終的に八名がカチヤへの挑戦権を得たものの、ワーレンは誰も勝てないと断言した。
観戦を楽しむ一同
ヴェンデリンたちのボックス席では、ブランタークと導師がミズホ酒を楽しみ、ブライヒレーダー辺境伯はフィリーネを可愛がっていた。ヴェンデリンたちもカールやオスカーらと積み木のゲームをして過ごし、武芸大会は次第に休日の娯楽のような雰囲気になっていた。
国王のお忍び観戦
ヘルムート三十七世も甥グイードの試合を見るため、護衛を連れて密かにボックス席へ現れた。国王が表立って応援すれば周囲がカチヤへ圧力をかける可能性があるため、お忍びで観戦していたのである。
八人の敗北
挑戦者たちは次々とカチヤに挑んだが、大半は五分ともたず敗北した。最後に残った国王の甥グイードだけは比較的善戦したものの、カチヤが加速を強めると対応できず、剣を弾かれて敗れた。八人全員が敗北し、観客からは貴族たちの不甲斐なさに激しいブーイングが起こった。
国王の決断
勝者が出なかったことで問題が再び暗礁に乗り上げると、国王は会場へ姿を現した。そしてトンネルを発見し、多くの武勲を挙げてきたヴェンデリンにすべてを任せると宣言し、カチヤと戦うよう命じた。観客はその決断に沸き、カチヤもヴェンデリンとの勝負を歓迎した。
ヴェンデリンとカチヤ
カチヤは最高速の加速で攻め込んだが、ヴェンデリンは最小限の魔法障壁で攻撃を防いだ。さらに青火蛇でサーベルを溶かし、火球、岩槍、氷弾、ウィンドカッターなどを使って接近を阻んだ。カチヤも連続加速や投擲用ナイフで応戦し、観客を沸かせた。
最後の突撃
魔力が尽きかけたカチヤは、残る力を振り絞って最大加速でヴェンデリンへ突撃した。しかし攻撃は体を覆う魔法障壁に完全に防がれた。ヴェンデリンは続けて火炎の魔法剣でサーベルを溶かし、魔法の袋も切り落として武器を奪った。
カチヤの降参
魔力も武器も失い、頭上には攻撃用の火球まで待機していたため、カチヤは敗北を認めた。ヴェンデリンは戦闘後に彼女の傷を治療し、傷痕が残らないよう配慮した。圧倒的な実力差を認めたカチヤは、ヴェンデリンのこれまでの戦績が伊達ではなかったと納得した。
トンネルと新たな婚姻
国王は、カチヤを倒したヴェンデリンに彼女を娶るよう命じた。これによりトンネル管理は王国とバウマイスター伯爵家を中心に行われ、警備兵も両者で分担する形となった。ヴェンデリンはトンネルという新たな資産を得る一方、予想外に妻まで増える結果を受け入れることになった。
第八話 トンネル開通
トンネル開通式
ヴェンデリンがカチヤとの勝負に勝ってから一週間後、急ピッチで工事が進められ、リーグ大山脈大縦貫トンネルは開通の日を迎えた。バウマイスター伯爵領側では必要最低限の工事がすでに終わっており、旧オイレンベルク領側もヴェンデリンが連日整備を進めたことで開通に間に合った。
旧オイレンベルク領の併合
トンネル北側の管理権を得たことで、旧オイレンベルク領はバウマイスター伯爵領へ併合された。オイレンベルク家には代替地として、リーグ大山脈南側にあるマロイモ栽培に適した、以前より広い土地を用意することになった。
ブライヒレーダー辺境伯領への配慮
旧オイレンベルク領には警備隊の施設を中心に整備し、利用者向けの宿場町や商業施設は隣接するブライヒレーダー辺境伯領に多く建設する方針となった。これにより、トンネル利権を得られなかったブライヒレーダー辺境伯家にも利益が生まれ、双方の対立を避けられる形となった。
新たな交易路
開通式には多くの商人や見物客が集まり、リボンが切られると大量の馬車がトンネルへ入っていった。片道百セントの通行料で魔導飛行船より安く、従来の山越えより安全で速いため、小規模な商人にもバウマイスター伯爵領で商売する機会が広がった。
新オイレンベルク領
新しいオイレンベルク領では、ファイトの希望を優先して住居より先にマロイモ畑の整備が始まった。ヴェンデリンは旧領の畑から良質な土を運び、新領地へ移したため、長年かけて作り上げた土壌を失わずに済んだ。ファイトはトンネル管理より農業を選び、マロイモの生産拡大に意欲を燃やした。
マロイモ産業の育成
ヴェンデリンは、競争相手の少ないマロイモをオイレンベルク家の柱にする方針を示した。生産量を増やしながら品質を維持し、干し芋や菓子、酒などの加工品を作り、王都の菓子店にも卸すことで収入を増やす構想であった。商人の紹介なども含め、バウマイスター伯爵家が新領地の発展を支援することになった。
カチヤの反省
開通式にドレス姿で参加したカチヤは、自分の行動が騒動を大きくしたことを反省していた。ブライヒレーダー辺境伯から、我を通すなら失敗した際の責任も負わなければならないと諭されると、先走りすぎたことを認めた。
カチヤの結婚観
カチヤは、凄腕の女性冒険者として結婚に不安を抱えていたと明かした。そのうえで、自分を圧倒して勝ったヴェンデリンなら夫として受け入れられると考え、試合後に綺麗だと言われたことも嬉しく感じていた。オイレンベルク卿とファイトも、カチヤが家のことを考えて動いた点は理解しつつ、安心して嫁ぐよう促した。
オイレンベルク家の再出発
オイレンベルク卿とファイトは、トンネル管理ではなく農業を続ける道に納得していた。カチヤとも関係を修復し、ファイトはマロイモを中心に領地を発展させる決意を固めた。
グイードの新たな職務
武芸大会でカチヤに最も善戦したグイードは、王国軍のトンネル警備隊長に任命され、法衣子爵となった。警備隊長職は世襲とされ、グイードはトーマスと連携しながら新たな任務を始めていた。
グイードの婚約者
グイードには、幼い頃から自分を支えてきたポイス子爵家の次女カーヤという婚約者がいた。独り立ちできたら結婚する約束をしており、今回の叙爵によってその願いが実現することになった。ヴェンデリンは、ファイトに続いて幼馴染との結婚を叶えるグイードを見て、内心で強い羨望を抱いた。
トンネル騒動の終結
トンネルは無事に開通し、警備体制や周辺の町づくりも進み始めた。オイレンベルク家は新領地で農業を続け、ブライヒレーダー辺境伯家にも利益が生まれ、グイードにも新たな立場が与えられた。長く続いた騒動はようやく収まり、ヴェンデリンには新たにカチヤという妻が加わる結果となった。
巻末おまけメイドの午後、王都屋敷滞在編
王都屋敷への呼び出し
レーアとドミニクは、トンネル問題に関わるカチヤを王都のバウマイスター伯爵邸で預かるため、急遽応援に呼ばれた。二人はヴェンデリンの瞬間移動によってパウルブルクから王都へ移動し、屋敷での仕事を始めた。
瞬間移動への驚き
初めて瞬間移動を体験したレーアは、その便利さに感激し、実家への帰省にも使えればと口にした。しかし、貴重な魔法を個人的な帰省に使う発想をドミニクに叱られ、いつもの調子でゲンコツを受けた。
レーアとドミニクのやり取り
荷解きの最中、レーアは冗談を重ねながらドミニクをからかった。ケーキ食べ放題の話題では、ドミニクから今後は必ず情報を教えるよう念を押され、二人は以前と変わらない気安い関係を見せていた。
屋敷前の求婚騒ぎ
王都屋敷の外には、カチヤに気に入られようとする貴族の子弟たちが連日集まり、歌や踊り、詩、絵などで懸命に自己アピールを続けていた。レーアはその出来栄えを酷評したが、ドミニクから相手は貴族であり、余計な発言が新たな面倒を招く可能性があると注意された。
外出できない日々
求婚者たちの騒ぎによって、エリーゼたちは買い物にも出づらくなり、レーアとドミニクが代わりに外出することが増えた。レーア自身もエルヴィンと王都で過ごす機会を期待していたが、ハルカでさえ外出を控えている状況では、デートを望める雰囲気ではなかった。
新しいメイド服と妄想
新しいメイド服を気に入っていたレーアは、エルヴィンが自分の姿に魅了され、そのまま恋愛関係へ進展する場面を延々と想像した。ところが、その話を聞いたドミニクだけでなく、屋敷の外にいた貴族たちまでレーアを気の毒そうに見つめており、レーアは自分より彼らの求婚行動の方が酷いと不満を募らせた。
叶わなかった王都デート
結局、レーアはエルヴィンと一度もデートできないまま、王都での仕事を終えてバウルブルクへ戻ることになった。エルヴィンとの正式な婚約を望む気持ちは変わらず、自分がいつ婚約者になれるのかと考えながら王都滞在を終えた。
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