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Y.Aフィクション(Novel)八男って、それはないでしょう!読書感想

小説【八男】「八男って、それはないでしょう! 11」感想・ネタバレ

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Y.A

八男10巻レビュー
八男まとめ
八男12巻レビュー

Table of Contents

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 帝国内乱の終結
    2. ウナギの蒲焼き
    3. 辺境伯の隠し子
    4. 大縦貫トンネル開通
    5. 領地の新産業
  6. 登場キャラクター
    1. バウマイスター伯爵家・関係者
      1. ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター
      2. エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム
      3. イーナ・ズザネ・ヒレンブラント
      4. ルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェーク
      5. ヴィルマエトル・フォン・アスガハン
      6. カタリーナ・リンダ・フォン・ヴァイゲル
      7. エルヴィン・フォン・アルニム
      8. フィリーネ
      9. アマーリエ・フォン・マインバッハ
      10. ローデリヒ
      11. カール
      12. オスカー
      13. ドミニク
      14. レーア
    2. ヘルムート王国(王宮・貴族・その他)
      1. ヘルムート三十七世
      2. 王太子殿下
      3. クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング(アームストロング導師)
      4. ブランターク・リングスタット
      5. エドガー軍務卿
      6. ルックナー財務卿
      7. ホーエンハイム枢機卿
      8. アルテリオ
      9. シュルツェ伯爵
      10. パウル・フォン・ベンノ・バウマイスター
      11. エーリッヒ・フォン・ベンノ・バウマイスター
      12. オットマー
      13. ジークハルト
      14. ルーディ
      15. ゴットハルト
      16. クラウス
      17. マインバッハ卿
      18. ニコラウス
      19. トーマス
      20. 川魚料理店「リバー」の店主
      21. 川魚料理店「リバー」の奥さん
      22. 川魚料理店「リバー」の息子たち
      23. 川魚料理店「リバー」の常連客
      24. 警備隊
      25. 陶工たち
      26. 農民たち
    3. アーカート神聖帝国
      1. ペーター・オスヴァルト・デリウス・フォン・アーカート
      2. テレーゼ・ジークリット・フォン・フィリップ
      3. アルフォンス・フォン・フィリップ
      4. ギルベルト・カイェタン・フォン・ボンホフ準男爵
      5. エメラ
      6. ベーテル子爵
      7. 皇后
      8. アーレー侯爵
      9. クリストフ・フォン・ブロワ
      10. フィリップ・フォン・ブロワ
      11. マックス・エアハルト・アルミン・フォン・ニュルンベルク
      12. 降伏した反乱軍(ニュルンベルク公爵家諸侯軍)
      13. 帝国軍兵士たち
      14. ミズホ商人
      15. 巡回治療を受けた村長
      16. 巡回治療を受けた村人たち
    4. ブライヒレーダー辺境伯家
      1. アマデウス・フライターク・フォン・ブライヒレーダー
      2. ブライヒレーダー辺境伯夫人
      3. ブライヒレーダー辺境伯の側室(他の夫人たち)
    5. ミズホ伯国・公爵領
      1. トヨムネ・ミズホ
      2. ハルカ・フジバヤシ
      3. タケオミ・フジバヤシ
      4. ミズホ伯国軍
      5. ミズホの料理人
      6. ミズホ家のお世話係(世話係の老人たち)
      7. ミズホ家のお世話係(世話係の女性)
    6. 魔族
      1. アーネスト・ブリッツ
    7. 古代魔法文明
      1. イシュルバーク伯爵
      2. アルフレッド・レインフォード
  7. 展開まとめ
    1. プロローグ 魔族
    2. 第一話 急に暇になったので、ウナギを焼いてみる
    3. 第二話 とある貴族の隠し子騒動
    4. 第三話 帝国内乱の終結
    5. 第四話 親子の再会を助ける
    6. 第五話 新産業の創出
    7. 第六話 接待旅行
    8. 第七話 トンネル騒動
    9. 巻末おまけメイド見習いレーアの奮闘(?)日記
  8. 同シリーズ
    1. 八男って、それはないでしょう!シリーズ
    2. 異世界帰りのパラディンは、最強の除霊師となるシリーズ
    3. 異世界帰りの勇者は、ダンジョンが出現した現実世界で、インフルエンサーになって金を稼ぎます!シリーズ
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

本作は、異世界に転生した貧乏貴族の八男・ヴェンデリンの活躍を描く人気ファンタジー小説の第11巻である。 長きにわたった隣国アーカート神聖帝国の内乱がようやく終結を迎える。
戦後処理を進める中で、ヴェンデリン一行は久しぶりの平和な日常を満喫する。 そんな折、褒美を貰って帰国するだけのヴェンデリンに、思わぬ「お土産」が引き渡された。
それは、寄親であるブライヒレーダー辺境伯の隠し子、銀髪の少女フィリーネであった。 さらに、保護した魔族の考古学者アーネストと共に古代の遺跡探索へと乗り出す。 リーグ大山脈を貫く超巨大な大縦貫トンネルを発掘し、領地のさらなる開発を進めていく物語である。

■ 主要キャラクター

  • ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター
  • 本作の主人公であり、バウマイスター伯爵を務めている。 内乱が終わり、買ったウナギで本格的な蒲焼きを作るなどして日常を楽しんだ。 引き取った辺境伯の隠し子フィリーネの面倒を見ることになる。 魔族アーネストの力を借りて、領内の未開地開発を大きく前進させた。
  • エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム
  • ヴェンデリンの正妻である。 「聖女」と呼ばれる高名な治癒魔法使いを指す。 巡回治療を率先して手伝い、高度な医療知識で多くの村人を救った。 身寄りのないフィリーネに、大貴族の令嬢としての礼儀作法を優しく教え込む。
  • フィリーネ
  • ブライヒレーダー辺境伯の隠し子である10歳の少女だ。 父親譲りの銀色の美しい髪が特徴である。 母親を亡くした後に村長に連れられてヴェンデリンの元へやってきた。 ヴェンデリンの新たな婚約者としてバウマイスター家に迎えられることが決定する。
  • アーネスト・ブリッツ
  • 魔族の国から密入国した考古学者である。 先の巨大ゴーレムの残骸から救出され、ヴェンデリンの管理(保護)下に置かれた。 自らの知識欲を満たすために遺跡探索や大縦貫トンネルの特定に協力する。
  • エルヴィン・フォン・アルニム
  • ヴェンデリンの親友であり家臣を務める少年だ。 ハルカ・フジバヤシと正式に婚約を交わしている。 大貴族の重臣となるため、ヴェンデリンと共に厳しいマナー教育を受けることとなった。

■ 物語の特徴

本作の大きな魅力は、過酷な戦争が終わり、平和な日常のドタバタが描かれる点である。 ヴェンデリンが前世の知識を活かして再現する「ウナギの蒲焼き」は、周囲の人間を瞬く間に虜にした。 タレの製法を巡ってミズホ公爵と壮絶な交渉(駆け引き)を繰り広げる場面は非常にコミカルである。

また、魔物の骨を利用した新産業「ボーンチャイナ」の創出も見どころだ。 独自の美しい乳白色の磁器を開発し、領内のドル箱特産品へと育て上げるプロセスが詳細に描写されている。

後半の目玉は、古代魔法文明の遺産である「大縦貫トンネル」の発掘である。 イシュルバーク伯爵が手がけた頑丈なコンクリート製トンネルは、交通の要衝として領地に巨額の富をもたらす可能性を秘めている。 しかし、トンネルを突き抜けた先は想定とは異なるのどかな農村であり、新たな火種を予感させる結末となっている。

書籍情報

八男って、それはないでしょう! 11
著者:Y.A 氏
イラスト:藤ちょこ 氏
出版社:KADOKAWAMFブックス
発売日:2017年6月24日
ISBN:9784040692746

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

お土産は隠し子!? 帰るだけでも一苦労!
帰るに帰れなかった内乱騒ぎが、ニュルンベルク公爵の敗北よってようやく沈静化するに至った。いまだ反抗的な一部の領民や家臣相手にペーターが奔走する反面、ヴェルは買ったウナギを焼いて食べるなどして、いつもの日常を取り戻していた。
だが、彼の人生において、平和な時期はそう長く続かない。あとは褒美を貰って帰るだけのヴェルに思わぬ「お土産」が引き渡されたのだ。
お土産は、フィリーネという銀髪の少女。なんでもブライヒレーダー辺境伯の隠し子だという。ようやく内乱が終わったのに、また面倒な話が舞い込んできなと肩を落とすヴェルなのであった……。
ところがどっこい、そんなフィリーネと妻たちにメイド服を着させて悦に浸ったり、生かしておいた魔族アーネストとの遺跡探索など、相変わらずの八男節! 心機一転の第十一幕!

八男って、それはないでしょう! 11

感想

長く続いた帝国の内乱も、ニュルンベルク公爵を倒したことでようやく終結した。

これでヴェンデリンたちも帰国して一息つける。

……と思ったのだが、戦争が終わったからといって、すべてがすぐ元通りになるわけではない。

旧ニュルンベルク公爵領の統治。

帝国軍の再編。

王国との講和。

褒賞の決定。

反乱勢力への対応。

戦後処理は山ほど残っている。

戦場では敵の大将を倒せば一気に話が進む。

しかし、その後の政治や生活の立て直しはそうはいかない。

むしろ戦争が終わってからの方が、地味で面倒な仕事は多いのかもしれない。

そんな重い状況の中で始まるのが、ブライヒレーダー辺境伯の隠し子騒動である。

ブライヒレーダー辺境伯に隠し子がいた

帝都近郊の村で巡回治療をしていたヴェンデリンたちの前に現れたのが、十歳の少女フィリーネだった。

彼女の母親は、かつて帝国を訪れたヘルムート王国の貴族との間に子供をもうけていた。

その父親を調べてみると、

ブライヒレーダー辺境伯。

ヴェンデリンの寄親である。

まさかここで、こんな爆弾が出てくるとは思わなかった。

しかも証拠として残っていたのが、辺境伯本人の恋文や愛の詩。

普段は知的で冷静な人物なのに、若い頃に書いた恋文を他人に読まれる。

これはキツい。

戦争よりダメージが大きいんじゃないか?

と思うくらい恥ずかしい過去が発掘されてしまう。

ただ、一番心配だったのはフィリーネの立場だった。

大貴族の隠し子である。

すでに正妻も子供もいる家へ突然連れて行かれて、

本当に歓迎されるのか?

冷たく扱われるのではないか?

と思っていた。

初めての娘にデレデレになる辺境伯

ところが実際にブライヒレーダー辺境伯家へ連れて行くと、予想とはかなり違った。

正妻はフィリーネをきちんと受け入れる。

男児ばかりだった辺境伯家にとって、フィリーネは初めての女の子でもある。

嫡男の立場を脅かす存在でもないため、大きな争いにもならなかった。

一安心である。

さらに面白かったのが父親本人。

フィリーネを見るなり、普段の冷静さが吹き飛ぶ。

完全に親バカ。

初めての娘が可愛くて仕方がない。

周囲が呆れるくらいデレデレになる。

あのブライヒレーダー辺境伯が?

というギャップがかなり面白かった。

ただし正妻は、外で子供を作ったことそのものより、

その娘を十年間放置していたこと

を厳しく叱る。

ここは意外と納得できた。

過去の関係を今さら全部責めても仕方がない。

しかし、娘が存在していた以上、父親としての責任は別である。

フィリーネが温かく迎えられたので安心した一方で、辺境伯はしばらく頭が上がらなそうだ。

そしてしれっと、

「成人したらヴェンデリンに嫁がせる」

という話まで進んでいる。

また嫁が増えるの?

本人の知らないところで、本当にどんどん話が進むな。

魔族アーネスト、領地に来てから生き生きしてない?

帝国から連れて帰った魔族アーネストも、そのままバウマイスター伯爵領に住むことになる。

アーネストはニュルンベルク公爵に協力していたとはいえ、本人の目的はあくまで遺跡調査。

戦争にも政治にも、ほとんど興味がない。

未発掘の遺跡さえ調べられればいい。

かなり迷惑な研究者である。

しかし、未開地だらけのバウマイスター伯爵領とは相性がいい。

次々と古代遺跡を発見していく。

ただし、ヴェンデリンたちが期待しているのは、

金。

魔道具。

便利な古代技術。

一方のアーネストは古代の宗教施設や文様を見つけて大喜び。

「学術的に大発見なのである!」

みたいなテンションなのだが、

ヴェンデリンたちからすれば、

「で、何か使えるものは?」

となる。

完全に価値観が違う。

このやり取りも面白かった。

そして、そんなアーネストがついに大当たりを引く。

リーグ大山脈を貫通する、

古代の巨大トンネル

である。

山脈を貫通するトンネルは、下手な財宝より価値がある

発掘されたトンネルは、とにかく規模がおかしい。

リーグ大山脈を貫通。

内部には広い道路。

魔導灯。

換気設備。

動力施設。

さらには大量の魔導四輪まで放置されている。

一万年以上前の施設なのに、超状態保存の魔法などによってかなり良好な状態で残っていた。

ヴェンデリンたちが探していたのは金銀財宝だったかもしれない。

しかし領主として考えれば、このトンネルは下手な財宝より遥かに価値がある。

これまでバウマイスター伯爵領へ大量の物資を運ぶには、リーグ大山脈が大きな障害になっていた。

飛行船を使えば越えられる。

しかし飛行船を持てるのは資金力のある大商会くらい。

当然、輸送できる量にも限界がある。

ところがトンネルが開通すれば話が変わる。

大量の資材を陸路で運べる。

輸送費も下がる。

物価も下がる。

領地開発に必要な資材も、今まで以上に搬入できる。

さらに面白いのが、商人の参入障壁まで下がることである。

飛行船を維持できる大手商会だけではなく、小規模な商会でもバウマイスター伯爵領まで商品を運べるようになる。

大手しか入れなかった市場に、小さな商会まで参入できる。

領地にとってはかなり大きな変化だと思う。

魔物を倒して宝箱を開けるより、

「物流ルートを一本通す」

方が領地全体には大きな利益になる。

こういうところが『八男』らしくて好きだった。

ファンタジーなのに、結局強いのは物流なのかもしれない。

数日進んで反対側を開けたら……農村?

巨大トンネルの入口を発掘したヴェンデリンたちは、内部の安全を確認しながら奥へ進んでいく。

距離は約四百八十キロ。

長い。

途中で動力設備を復旧すると、魔導灯や空調まで再起動する。

さらに警備隊を配置し、放置されていた魔導四輪を回収。

完全に遺跡探索というより、

高速道路の再開通工事みたいになってきた。

そしてついに反対側へ到達。

大量の土砂を取り除き、

一万年以上閉ざされていた出口を開通させる。

当然、

「山脈の反対側に出た!」

となるはずだった。

ところが目の前にあったのは、

のどかな農村。

……え?

そこなの?

もっと都市とか街道とかがあると思っていたのだが。

農作業をしていた人たちも、突然山から巨大な穴と謎の一行が出てきたのだから驚くだろう。

しかもヴェンデリンたち自身も、

「想定していた場所と違う?」

という状態。

巨大トンネル発見という領地開発上の大成果を出した直後に、

「ところで、ここどこ?」

みたいな終わり方になるのが面白かった。

読後の感想

『八男って、それはないでしょう!11』は、帝国内乱が終わった直後なのに、まったく暇にならない一冊だった。

ブライヒレーダー辺境伯の隠し子。

フィリーネとの親子再会。

魔族アーネストの遺跡調査。

そしてリーグ大山脈を貫通する巨大トンネル。

特に印象に残ったのは、

戦争で大活躍することより、トンネル一本を開通させる方が領地の将来には大きな影響を与えるかもしれない、

という部分だった。

輸送量が増える。

物価が下がる。

資材が入る。

小規模商会も参入できる。

人と物の流れが増える。

そうなれば、まだ開発途中のバウマイスター伯爵領はさらに大きくなっていくだろう。

最初の頃は魔法でドラゴンを倒したり、冒険者として稼いだりしていたヴェンデリン。

それが今では、

物流網を整備して、

新産業を作って、

人口を増やして、

交易を拡大する。

完全に領主の仕事になってきた。

そして最後には、トンネルの反対側に謎の農村。

巨大な物流ルートが開通したと思ったら、その出口がどこの領地なのかすら怪しい。

開通した瞬間から、また面倒事の匂いがしている。

戦争は終わった。

でもヴェンデリンが平穏に暮らせる日は、まだまだ来そうにない。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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八男10巻レビュー
八男まとめ
八男12巻レビュー

考察・解説

帝国内乱の終結

ニュルンベルク公爵の反乱の終結と戦後処理

『八男って、それはないでしょう!』において、隣国アーカート神聖帝国を揺るがした最大の内乱「ニュルンベルク公爵の反乱」の終結について、地下要塞での最終決戦と巨大ゴーレムの崩壊、ニュルンベルク公爵の最期、地下要塞の降伏と内乱の完全終結、および帝国の政変処理と講和条約の締結の各点から解説する。

最終決戦(地下要塞攻略)と巨大ゴーレムの崩壊

ニュルンベルク公爵は、数万の精鋭と大量の物資を古代の巨大地下要塞に集めて籠城した。

・帝国軍は、一ヶ月かけて開発した巨大決戦兵器「大魔砲」によって要塞を覆う魔法障壁を破壊し、内部へ突入した。
・最深部の巨大な扉の先では、ニュルンベルク公爵と彼に協力していた魔族の考古学者アーネストが立ち塞がった。
・魔族は、失われた古代の再生能力を備える全高二十メートルの巨大人型ゴーレム「大人型カラクリ魔人君」を起動させた。
・再生能力の無力化:テレーゼがフィリップ公爵家に伝わる古代の魔導噴進砲などを駆使し、巨大ゴーレムへ予備部品を供給する後方の設備を破壊して再生能力を奪った。
・魔族への過治癒:エリーゼが魔力供給源である魔族に対して、高濃度の治癒魔法を過剰に施す過治癒を繰り返したことで、魔族の身体を麻痺させ、ゴーレムへのエネルギー供給を弱めた。
・ゴーレムの両断:ヴェンデリンが膨大な魔力を一点に集中させた炎の魔法剣で胴体に亀裂を入れ、最後はエルヴィン(エル)がハルカから借りた魔刀を手に、ルイーゼによって弾き出されて一撃を加えたことで、巨大ゴーレムは縦に真っ二つに両断されて活動を停止した。

ニュルンベルク公爵の最期

コックピットから発見されたニュルンベルク公爵は、右腕と右脚を失う致命傷を負っていた。

・エリーゼの魔法があれば救命可能であったが、公爵は生きてペーター(平民皇子)の裁判で処刑されることを拒み、この場での死を強く望んだ。
・エリーゼは彼の意思を尊重し、せめてもの情けとして傷の痛みだけを取り除く応急処置を施した。
・静かに死を待つ間、公爵は傍らに寄り添うテレーゼと、幼い頃に二人で冒険者ごっこをして遊んだ思い出を語り合った。
・彼は千二百年続く大貴族を継ぐ重圧を血の呪いと表現し、望まぬ人生から逃れられない孤独と虚しさを紛らわせるために、大陸統一という無謀な野望へ走ったのだと本心を告白した。
・そして、自由な立場となったテレーゼを羨みながら、数十年後あの世で会おう、言い残して静かに息を引き取った。

地下要塞の降伏と内乱の完全終結

公爵の死後も、要塞の上層では反乱軍の家臣や兵士たちが、公爵が新兵器を取りに行った、と信じて頑強に抵抗を続けていた。

・そこでヴェンデリンは、ニュルンベルク公爵の遺体を彼らに示し、これ以上の戦闘が無意味であることを説得した。
・これによって反乱軍の指揮官も降伏を決断した。
・地下要塞攻略作戦の開始から十八時間後、すべての反乱軍が武器を置き、戦闘は完全に終了した。
・この最終決戦だけでも、帝国軍7,857名、反乱軍5,678名という非常に多くの戦死者を出す凄まじい犠牲を払ったが、これをもって長く続いた帝国内乱は完全に終息した。

帝国の政変処理と「講和条約」の締結

内乱は終わったものの、その後の戦後処理と政権の掌握もまた過酷なものであった。

・反乱勢力の一掃:ペーターの排除を目論んで暗殺を企てた皇后やその兄アーレー侯爵、そしてテレーゼの兄二人は、計画の失敗後に毒酒を煽って自裁(公式には病死)させられ、関係した貴族たちも改易や降爵処分となった。
・テレーゼの隠居と移住:テレーゼは兄たちの反乱の責任を取る形でフィリップ公爵位をアルフォンスに譲って強制隠居となり、のちにバウマイスター伯爵領へと静かに移住した。
・新皇帝ペーターの即位:他の選帝侯の多くが死亡または排除されたため、新皇帝選挙はペーターの信任投票という形で行われ、ペーターが正式に新しい皇帝(アーカート十七世)に即位した。
・両国の講和条約調印:その後、帝都の皇宮において、帝国代表ペーターとヘルムート王国代表の王太子による講和の儀が執り行われた。ニュルンベルク公爵による通信・移動妨害の責任を新帝国政府が謝罪・賠償することや、両国の交易拡大などが正式に締結され、一年以上におよぶ紛争状態は法的に幕を閉じたた。
・こうして内乱は終結し、ヴェンデリンは多大な戦功から王国では伯爵へと陞爵されたが、大貴族という逃れられない立場に翻弄されて破滅していったニュルンベルク公爵の生き様を目の当たりにしたことで、素直に勝利を喜ぶことができず、深く考えさせられることとなった。

まとめ

ニュルンベルク公爵の反乱の終結と戦後処理を巡る一連の全貌は、地下要塞での大魔砲投入と大人型カラクリ魔人君の激闘から始まり、致命傷を負ったニュルンベルク公爵の本心告白と静かな最期、遺体呈示による反乱軍の降伏受諾、そして皇后らの自裁処分やテレーゼの隠居、新皇帝ペーター即位と講和条約締結に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
血の呪いという大貴族の宿命や過酷な内乱の混乱という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、超兵器の破壊と生々しい国家再編の記録である。
地下要塞の激突から、ゴーレムの撃破、野望の死滅、反乱軍の投降、政権の再編、そして両国の国交正常化へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

ウナギの蒲焼き

ウナギの蒲焼きの再現と秘伝のタレの全貌

『八男って、それはないでしょう!』において、食に並々ならぬ執念を持つヴェンデリンが再現した「ウナギの蒲焼き」について、老舗川魚料理店「リバー」の救済、泥抜きの導入と蒲焼きの誕生、秘伝のタレの育成と集客戦略、および帝国内乱後のタレ争奪戦の各点から解説する。

始まりは老舗川魚料理店「リバー」の救済

内乱が終息したのち、ヴェンデリンが魔法の袋に保存していた蒲焼きのタレを入手した背景には、王都の老舗川魚料理店「リバー」の再建ドラマがあった。

・この店は、かつて孤児だった妻のヴィルマが自分で獲った川魚を卸し、代わりに食事をさせてもらっていた恩人の店であった。
・王都周辺での川魚料理は泥抜きをせずハーブだけで臭みをごまかして塩煮にするのが主流だったため、泥臭さが抜けず、時代の変化もあって深刻な客離れに苦しんでいた。
・ヴィルマから懇願されたヴェンデリンは、店主の確かな調理技術を見抜き、店舗の立て直しを決意した。

「泥抜き」の導入と「蒲焼き」の誕生

ヴェンデリンはまず、湧き水を利用して魔法で石造りの泥抜き専用の生簀を作成した。

・魚を一定期間絶食させて泥臭さを完全に抜くという、この世界にはなかった画期的な手法を導入した。
・これによって劇的に美味しくなった鯉やナマズの料理をクリアしたのち、本命であるウナギの蒲焼きの伝授へと進んだ。当時のこの世界でのウナギ料理は、輪切りにしてハーブと塩で煮込むというものであった。
・ヴェンデリンは店主にウナギの背開きと目打ちを教え、串に刺して白焼きにさせた。
・エリーゼが醤油、みりん、酒にウナギの頭と骨を加えて煮詰めた特製のタレを作り、エルが作った蒸籠で蒸して余分な脂を落とす関東風の調理法でふっくらとした蒲焼きを完成させた。
・最後にカタリーナがすり下ろした山椒を添えたウナ丼は、ウナギに苦手意識があったカタリーナをも虜にするほどの絶品となった。

「秘伝のタレ」の育成と集客戦略

ここでヴェンデリンは、何度もウナギをタレに浸して焼くことで、ウナギの脂と旨味がタレに溶け込み、減った分だけ新しいタレを注ぎ足していくことでタレ自体が計り知れない価値を持つお宝(秘伝のタレ)になると店主に教え、職人魂に火をつけた。

・店の外に設置した焼き台から蒲焼きの香ばしい匂いを街道へ流すという、匂いによる集客を実行した。
・この作戦は大成功を収め、匂いに釣られた通行人で店はたちまち満席となった。
・噂を聞きつけたブランターク、アルテリオ、さらには王宮から飛んできたアームストロング導師までもが絶賛し、店主は後にウナギ王と呼ばれるまでに大成功を収めた。
・ヴェンデリンは、このリバーでウナギの旨味が極限まで凝縮されたタレを分けてもらい、壺に入れて大切に保管した。

帝国内乱後の「タレ争奪戦」

この時分けてもらった極上のタレは、帝国内乱が終結したあとの駐屯地で再び活躍した。

・退屈な戦後処理の合間、ヴェンデリンはミズホ商人から仕入れたウナギを使い、保管していたタレで蒲焼きを作った。この匂いに誘われてやってきたのが、同じく暇を持て余していたミズホ上級伯爵(のちのミズホ公爵)であった。
・ミズホ側の優秀な料理人も加わり、蒸してから焼く関東風と、蒸さずに地焼きする関西風の食べ比べが行われ、その圧倒的な美味しさは駐屯地のミズホ人や帝国人の間で大ブームを巻き起こした。
・蒲焼きの美味しさに魅了されたミズホ上級伯爵は、ヴェンデリンの持つ旨味が凝縮されたタレを分けてほしいと猛交渉を開始した。
・ヴェンデリンは一度は断るものの、自分たちがウナギの在庫を提供したことでタレの旨味向上に貢献したという公爵の粘り強い掛け引きに根負けし、最終的に四分の一を譲り渡した。この譲られたタレが、のちにミズホ伯国中に広がるウナギ屋の基礎になったとされている。

まとめ

ウナギの蒲焼きの再現と秘伝のタレの全貌を巡る一連の全貌は、恩人である川魚料理店リバーの経営危機打開から始まり、生簀による泥抜きの導入と関東風調理によるウナギの蒲焼き完成、注ぎ足しによる秘伝のタレの育成とウナギ王の誕生、そして帝国内乱後の駐屯地での関西風・関東風食べ比べとミズホ上級伯爵へのタレの譲渡に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
異世界の旧態依然とした調理法や食の限界という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、前世知識を活用した食文化革新と外交的影響力の記録である。
泥臭い塩煮の打破から、秘伝のタレの完成、商売の繁盛、異国での再現、そして国境を越えた名産の誕生へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

辺境伯の隠し子

ブライヒレーダー辺境伯の隠し子フィリーネ騒動の全貌

『八男って、それはないでしょう! 11』において描かれた、ヴェンデリンの寄親であるブライヒレーダー辺境伯アマデウスの隠し子フィリーネを巡る騒動について、フィリーネの発見と出自、父親ブライヒレーダー辺境伯の判明と黒歴史の露秘、親子面会への準備とカモフラージュの失敗、正妻の意外な歓迎と突然の婚姻決定、および親子再会と辺境伯の過剰保護およびお仕置きの各点から解説する。

フィリーネの発見と出自

帝国の内乱が終結した後、新皇帝ペーターからの依頼で、ヴェンデリン、エリーゼ、カタリーナの3人は帝都周辺の村々で無料の巡回治療を行っていた。

・その夜、滞在先を訪れた村長から、フィリーネという10歳の銀髪の少女を引き取って王国へ連れ帰ってほしいと頼まれた。
・彼女の母親は、11年前の親善訪問団派遣時に帝都で王国貴族の世話役を務めたメイドであり、その貴族との間にフィリーネを身籠った。
・母親はフィリーネが幼い頃に病死しており、遠縁の村長が彼女を育てていたが、王国貴族であるヴェンデリンが村を訪れたことを機に、彼女の将来を思って素性を明かした。

父親ブライヒレーダー辺境伯の判明と「黒歴史」の露見

帝都に戻ったヴェンデリンたちがブランタークに相談し、村長から預かった証拠品を確認したところ、父親がブライヒレーダー辺境伯アマデウス本人であることが判明した。

・証拠品の中には、亡き母の日記帳のほか、辺境伯自身が送った情熱的な恋文、子供ができた場合の証明書、そして辺境伯家の家紋入りの豪華なナイフが残されていた。
・特に恋文に書かれていた「太陽のように美しい君」といった言葉や、日記に貼り付けられていた自作の愛の詩は、第三者にとって完璧な公開処刑ものであった。
・これを見た導師やエルは大爆笑し、女性陣からは冷ややかな目を向けられることになった。
・これにより、普段は知性派で通っている辺境伯の評価は大きく下落した。

親子面会への準備と「カモフラージュの失敗」

証拠が揃っていても、大物貴族の隠し子を引き取るには、正妻たちや家臣への説明・裏交渉など、政治的な根回しに時間が必要であった。

・その間、フィリーネはエリーゼたちに預けられ、貴族の令嬢としてのマナー教育を受けることになった。
・当初、ヴェンデリンたちは彼女を「新しく雇ったメイド見習い」に見せかけて素性を隠そうとし、大人びた彼女にメイド服を着せていた。
・しかし、ブライヒレーダー辺境伯特有の目立つ銀髪や、前回の訪問団時の噂を知っていたシュルツェ伯爵たちにより、半日も経たずに正体が判明した。
・後日、フィリーネに新作のメイド服を試着させて悦に浸っていたことが辺境伯本人に知られ、ヴェンデリンが釈明に追われる場面も生じた。

正妻の意外な歓迎と、突然の婚姻決定

面会当日、フィリーネは水色のドレスや銀を主体とした装飾品で着飾られ、いよいよブライヒレーダー辺境伯家で正妻と対面した。

・ヴェンデリンとエルは、フィリーネが下賤な平民の娘として正妻から冷遇され、いじめられるのではないかと邪推して小声で喋っていたが、運悪くその会話を正妻本人に聞かれてしまった。
・うろたえるヴェンデリンに対し、夫人は皮肉を言いつつもフィリーネを丁寧に迎え入れた。
・夫人の立場からすれば、フィリーネは女の子であるため、次の辺境伯となる自分の長男の地位を脅かすライバルにはならず、むしろ将来の政略結婚に利用できるため、優遇する価値が十分にあった。
・その上で、夫人は「成人後はヴェンデリンに嫁がせる(側室にする)」という将来の婚姻を当然のように告げ、非礼を誤魔化すのに必死だったヴェンデリンはこれを否定できず、意図せずフィリーネがヴェンデリンの新たな婚約者(6人目の妻)となることが決定した。

親子再会と、辺境伯の「過剰保護」と「お仕置き」

最後に姿を現したブライヒレーダー辺境伯は、普段の冷静さを完全に失い、涙を流しながらフィリーネのもとへ駆け寄った。

・一度も会えず、母親の死にも気づけなかったことを謝罪し、今後は不自由させないと約束して過剰な保護欲を見せた。
・しかし、その傍らで正妻は夫に対し、外で子供を作ったことよりも、その娘を10年間も放置して恥をかかせた責任を厳しく叱責した。
・さらに再発防止の牽制として、次に同じような浮気をやらかしたら、あの自作の詩集を世間に出版すると脅し、辺境伯は恐怖のあまり完全に沈黙させられることとなった。
・こうしてフィリーネは無事に父親に受け入れられ、ヴェンデリンの将来の妻としての立場を確立し、ブライヒレーダー辺境伯家の待望の女の子として、手厚く迎えられる新たな生活をスタートさせた。

まとめ

ブライヒレーダー辺境伯の隠し子フィリーネ騒動を巡る一連の全貌は、帝都周辺村落での巡回治療中の発見から始まり、愛の詩や恋文の発掘による辺境伯の黒歴史露呈、メイド服での正体隠蔽の即時破綻、正妻による即座の政略的受け入れとヴェンデリンへの婚約決定、そして涙の親子再会と自作詩集出版によるお仕置きに至るまで、その歩みを明瞭に示している。
血統の複雑さや貴族社会の醜聞という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、隠し子発覚と新たな婚約成立の記録である。
発見の依頼から、証拠の開示、正妻の冷徹な計算、親バカの炸裂、そして両家の将来的な繋がりの強化へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

大縦貫トンネル開通

バウマイスター伯爵領における大縦貫トンネル開通の全貌

『八男って、それはないでしょう! 11』において、バウマイスター伯爵領の未来を大きく変えることになる大縦貫トンネルの特定から開通に至る経緯、その驚異的な技術、内部での発見物、および領地に与える多大な影響について解説する。

特定と発掘の経緯

このトンネルは、帝国から連れ帰った魔族の考古学者アーネスト・ブリッツが持つ、魔族の国に伝わる古代魔法文明時代の古地図に基づいて特定された。

・発掘現場は、ヴェンデリンの兄パウルが治めるバウマイスター準男爵領に近い、リーグ大山脈の麓である。
・ヴェンデリン、カタリーナ、アーネストの3人が土木魔法を駆使し、山の斜面に積もった土砂や木々を慎重に掘り進め、数日間の作業の末に一万年以上埋もれていた巨大な入口を発掘することに成功した。

脅威のロストテクノロジー

この大縦貫トンネルは、古代魔法文明時代の天才魔道具職人イシュルバーク伯爵と、当時のバウマイスター伯爵領に存在したアキツシマ共和国が、人と金と技術を出し合って建設した国家的大事業であった。

・一万年以上もの時を経ても崩落せずに完全な状態を保っていた。
・特殊コンクリートと極限鋼の鉄筋:通常のコンクリートにごく少量のオリハルコンやミスリル、十数種類の希土類を混ぜて作られており、さらに内部には極限鋼製の鉄筋が通されている。
・超状態保存の魔法:イシュルバーク伯爵自身が施した強力な魔法効果により、コンクリートや内部の空間、設備が一切劣化せずに保存されていた。
・巨大な規模と設備:内部は片側五車線(合計十車線)の広さがあり、故障・事故車両用の避難車線まで完備されている。天井には魔導灯が等間隔に埋め込まれ、空気入れ替え用の換気設備もあった。奥にある動力室の魔晶石にアーネストが魔力を補充したことで、すべての照明と空調が復活した。

内部での発見物と警備体制

トンネル内には、古代文明の崩壊を招いた大災害からの避難時に、マニュアルに従って鍵を差したまま避難車線へ置き去りにされた多数の魔導四輪が、当時の状態のまま放置されていた。

・開通に合わせ、家臣のローデリヒはトーマスとニコラウスが率いる警備隊を迅速に派遣した。
・放置された魔導四輪の回収や、それらを用いた警備兵の運転訓練を実施した。
・最も重要である動力室の実効支配と所有権の確保を確実に行わせた。

開通がもたらす絶大な経済・内政効果

このトンネルの開通は、バウマイスター伯爵領に金銀財宝以上の巨額の富をもたらす可能性を秘めている。

・物流コストの激減:これまでバウマイスター領へのアクセスは高額な魔導飛行船による空路しかなく、飛行船を運用・維持できる一部の特権大商会しか参入できなかった。しかし、陸路(トンネル)が確保されたことで、零細商会も安価に参入可能となる。
・領地開発の劇的な加速:輸送経費の劇的な低下に伴い、物価が下がるとともに、開発に必要な資材が大量に搬入できるようになるため、今後の領地開発速度が著しく高まる。
・準男爵領の躍進:トンネルの入口に近いパウルの準男爵領にとっても、通過する旅人や商人を対象とした宿泊・休憩施設を運営することで、大きな富を得るチャンスが生まれた。

まとめ

バウマイスター伯爵領における大縦貫トンネル開通の全貌を巡る一連の全貌は、古地図に基づくリーグ大山脈麓での発掘作業から始まり、古代魔法文明の超状態保存魔法や十車線構造に見るロストテクノロジーの解明、放置魔導四輪の回収と警備隊による動力室の支配、物流コスト激減と開発加速がもたらす経済効果、そして未知の他家貴族領地への開通と新たな外交課題の浮上に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
地理的孤立や輸送コストの壁という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、古代インフラの再有効化と領地飛躍の記録である。
古地図の解読から、掘削の成功、ロストテクノロジーの復活、物流の改革、そして予期せぬ他領地接続への直面へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

領地の新産業

バウマイスター伯爵領における新産業創出の全貌

『八男って、それはないでしょう!』において、バウマイスター伯爵領に創出された主な新産業について、なんちゃってボーンチャイナ、新作メイド服、食品・調味料の加工産業、および繊維・漁具産業の各点から解説する。

なんちゃってボーンチャイナ(魔物の骨灰磁器)

開発の背景、製法と特徴、および管理体制は以下の通りである。

・開発の背景:領内開発の進展に伴い、衣類などの生産体制は整いつつあったが、重くて割れやすい陶磁器などの食器類が圧倒的に不足していた。他領からの輸送費は非常にお高く、領内では応急処置として開発で生じた木材の切れ端による木製食器が流行している状態であった。そこでローデリヒは、他領の有名窯からあぶれて領内に集まってきた優秀な職人たちを活かし、他領に売れる高級磁器を開発することを検討した。
・製法と特徴:ヴェンデリンはより白い磁器を作るため、18世紀イギリスの技術「ボーンチャイナ」の製法を応用した。魔の森での狩猟後にゴミとして廃棄されていた魔物の骨を焼いて骨灰にし、従来の領内の粘土に約30%以上混ぜ合わせた。配合比率はヴェンデリンが魔法を用いて何度も試行錯誤し、成分の微調整を行った。これを、かつて赤字の他領貴族から買い叩いておいた、魔力を燃料とする高級な魔導窯を使って焼き上げた。こうして完成した「なんちゃってボーンチャイナ」は、従来の王国製、帝国製、ミズホ製よりも白く、透明感を帯びていた。さらに、魔物の骨にわずかに残留していた魔力の影響で、上品な独特の光沢を持つという特徴があった。
・管理体制:この磁器は瞬く間にバウマイスター伯爵領のドル箱特産品となった。製法の流出やスパイ行為を防ぐため、ローデリヒは優秀な陶工たちを家臣として抱え込み、バウマイスター伯爵家の完全直営事業とした。彼らには世襲可能な地位と、売上に応じた歩合手当が支給された。ただし、最高級品用の粘土調整はヴェンデリンの魔法に頼らざるを得ず、彼の多忙を極める一因となった。

新作メイド服(店舗向けの華やかな制服)

開発の意図、実用と販売、および結果と波乱は以下の通りである。

・開発の意図:ローデリヒから次の産業アイデアを求められたヴェンデリンが考案した。従来の暗くて長いメイド服に対し、スカート丈を短くし、フリルを大幅に増やして黒以外の色違いを取り入れた改良型メイド服を服飾工房に試作させた。
・実用と販売:これは屋敷の使用人向けではなく、若い女性店員が給仕をする飲食店向けの制服として売り出された。華やかな制服で男性客を呼び込んで常連化させ、領内の服飾工房の活性化と税収増加を狙ったものである。
・結果と波乱:飲食店を中心に非常によく売れたものの、著作権という概念がない世界のため、すぐに類似品を他領に真似されて大きな利益にはならなかった。また、10歳の婚約者フィリーネにこのメイド服を試着させたことが父親のブライヒレーダー辺境伯に知られ、いかがわしい服を着せて喜んでいたのではないかと疑われて釈明に追われる事態を招いた。なお、バウマイスター伯爵邸の屋敷用としては、年齢の高い使用人にも配慮して落ち着いたデザインのものが別途採用された。

食品・調味料の加工産業

ココア・チョコレート、醸造調味料の量産化、および豆腐・納豆の展開は以下の通りである。

・ココア・チョコレート(バウマイスター印):魔の森で採集されるカカオの実を、アルテリオ商会を通じてバウマイスター印としてブランド化した。お菓子職人を囲い込んで高品質・高級路線に特化させ、王室や貴族向けに独占販売して莫大な利益を上げた。
・醸造調味料の量産化(味噌・醤油):ヴェンデリンが魔法で完成させた味噌や醤油の、魔法に頼らない製法をアルテリオ商会や酒蔵に委託した。彼らの手でミソ蔵などが新設され、量産化に成功した。これに付随してテリヤキソースやカレー粉の販売、さらには魔道具によるマヨネーズの量産工場建設にまで発展した。
・豆腐・納豆(トウフ・ナットウ):同じく大豆加工品としてトウフやオカラ、ナットウの販売を開始した。特にトウフやオカラは、肉や魚を使用しないため、厳しい戒律を持つ教会の懐古派や他の宗派の神官たちに精進料理の材料として爆発的に売れることとなった。

繊維・漁具産業(クモの糸の活用)

魔物繊維の輸出に関する動向は以下の通りである。

・魔物繊維の輸出:魔の森や未開地に生息する魔物「マダラ大クモ(ナンポウオオクモ)」の糸を特殊加工し、衣類の原料や、極細で非常に頑丈な釣り糸として開発した。
・この製品は高い実用性から王国貴族たちの間で非常に評判が良く、講和条約後の重要な輸出商品として取引されている。

まとめ

バウマイスター伯爵領における新産業創出の全貌を巡る一連の全貌は、魔物の骨灰を活用した「なんちゃってボーンチャイナ」の高級磁器化から始まり、飲食店向け改良型メイド服による服飾・外食産業の活性化、味噌・醤油や精進料理向け豆腐などの調味料・食品加工のブランド化、そしてマダラ大クモの糸を用いた頑丈な繊維・漁具製品の輸出拡大に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
未開発地の資源不足や技術・物流の限界という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、前世の知識と魔法を融合させた革新的な領地経営の記録である。
食器不足の解消から、直営管理、外食制服の考案、醸造の量産化、そして高付加価値商品の輸出へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

八男10巻レビュー
八男まとめ
八男12巻レビュー

登場キャラクター

バウマイスター伯爵家・関係者

ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター

バウマイスター伯爵家の当主である。
彼は元日本人の商社員から転生した。
エリーゼたちの夫にあたる。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家、当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 魔法を用いて領地の開発を行っている。
 古代竜や属性竜を討伐した。
 帝国の内乱において多くの戦果を挙げた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 男爵から伯爵へと陞爵した。
 膨大な魔力を保有している。

エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム

ヴェンデリンの正妻である。
彼女は「聖女」と称される治癒魔法使いにあたる。
ホーエンハイム枢機卿の孫娘を指す。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家、正妻。教会、助司祭。

・物語内での具体的な行動や成果
 戦場において多数の負傷者を治療した。
 孤児院で子供たちに料理や裁縫を教えた。
 過治癒魔法を用いて敵の動きを封じた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 高い知名度と人望を誇っている。

イーナ・ズザネ・ヒレンブラント

ヴェンデリンの側室候補である。
彼女は赤い髪が特徴の女性を指す。
槍術を得意とする。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家、側室候補。

・物語内での具体的な行動や成果
 魔の森の探索において前衛を務めた。
 バザーの売り上げ計算などの雑務を手伝った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 身体強化の魔法を習得している。

ルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェーク

ヴェンデリンの側室候補である。
彼女は小柄な体格の女性にあたる。
魔闘流の使い手を指す。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家、側室候補。

・物語内での具体的な行動や成果
 戦場において素早い身のこなしで戦った。
 魔の森での狩りや素材採集に参加した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔力探知能力が大幅に向上している。

ヴィルマエトル・フォン・アスガハン

ヴェンデリンの側室候補である。
彼女は英雄症候群の体質を持つ。
エドガー軍務卿の養女にあたる。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家、側室候補。

・物語内での具体的な行動や成果
 巨大な戦斧を操り護衛を務めた。
 魔の森で大量の果物を採集した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 常人を超える怪力を誇る。
 大量の食事を必要とする。

カタリーナ・リンダ・フォン・ヴァイゲル

ヴェンデリンの側室候補である。
彼女は没落貴族の令嬢にあたる。
ヴァイゲル準男爵の当主を指す。

・所属組織、地位や役職
 ヴァイゲル準男爵家、当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 高度な風魔法を用いて戦闘に参加した。
 魔の森での探索や整地作業を手伝った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 新たに準男爵の地位を得た。

エルヴィン・フォン・アルニム

ヴェンデリンの親友であり家臣である。
彼は優れた剣の才能を磨く少年を指す。
ハルカの婚約者にあたる。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家、従士長。

・物語内での具体的な行動や成果
 戦地で部隊の指揮を執った。
 魔刀を用いて巨大ゴーレムを両断した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ハルカと正式に婚約した。

フィリーネ

ブライヒレーダー辺境伯の隠し子である。
彼女は銀髪の少女を指す。
ヴェンデリンの新たな婚約者にあたる。

・所属組織、地位や役職
 ブライヒレーダー辺境伯家、一族。

・物語内での具体的な行動や成果
 巡回治療の際に保護された。
 エリーゼからマナー教育を受けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヴェンデリンの婚約者となった。

アマーリエ・フォン・マインバッハ

クルトの未亡人である。
彼女はマインバッハ家の次女にあたる。
カールの母親を指す。

・所属組織、地位や役職
 元バウマイスター騎士爵家、当主夫人。

・物語内での具体的な行動や成果
 夫の死後に子供たちを育てた。
 パウルの新領地への移住を決意した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヴェンデリンからの金銭的支援を受けている。

ローデリヒ

バウマイスター伯爵家の家臣である。
彼は元ルックナー男爵の庶子にあたる。
実務能力に長けている。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家、代官。

・物語内での具体的な行動や成果
 領地開発の計画をすべて取り仕切った。
 職人たちの世襲雇用制度を整えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ルックナー財務卿の孫娘との婚約が内定した。

カール

クルトとアマーリエの長男である。
彼はヴェンデリンの甥にあたる。
将来的な騎士爵の継承者を指す。

・所属組織、地位や役職
 マインバッハ騎士爵家、後継者。

・物語内での具体的な行動や成果
 祖父のアルトゥルから剣の稽古を受けた。
 マインバッハ家へ預けられることになった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 成人後に新設される騎士爵を継ぐ予定である。

オスカー

クルトとアマーリエの次男である。
彼はカールの弟にあたる。
将来の従士長候補を指す。

・所属組織、地位や役職
 マインバッハ騎士爵家、従士長候補。

・物語内での具体的な行動や成果
 兄と共に剣の修行に励んだ。
 兄を支えるための教育を受けている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 兄と同じくマインバッハ家に預けられた。

ドミニク

エリーゼの幼馴染である。
彼女はバウマイスター家のメイドにあたる。
新人の教育係を務める。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家、メイド。

・物語内での具体的な行動や成果
 お館様の食事やオヤツの調理を担当した。
 従妹であるレーアをメイドに推薦した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 新婚としての生活も送っている。

レーア

ドミニクの従妹である。
彼女は新人メイドにあたる。
お菓子が大好きな性格を指す。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家、メイド。

・物語内での具体的な行動や成果
 ドミニクから厳しいメイド教育を受けた。
 エルとハルカのデートに同行した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 将来の結婚相手を探している。

ヘルムート王国(王宮・貴族・その他)

ヘルムート三十七世

ヘルムート王国の国王である。
彼はアームストロング導師の親友にあたる。
王国の最高指導者を指す。

・所属組織、地位や役職
 ヘルムート王国、国王。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヴェンデリンの功績を称えて準男爵位を授与した。
 魔の森や未開地の開発を推進している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王国の最高権力者である。

王太子殿下

ヘルムート王国の王太子である。
彼は次期国王を指す。
目立たないが優秀な人物にあたる。

・所属組織、地位や役職
 ヘルムート王国、王太子。

・物語内での具体的な行動や成果
 アーカート神聖帝国との講和条約に調印した。
 ヴェンデリンの結婚式に出席した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 将来の王位継承者である。

クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング(アームストロング導師)

王宮筆頭魔導師である。
彼は一個軍団に匹敵する魔力を持つ魔法使いを指す。
エリーゼの伯父にあたる。

・所属組織、地位や役職
 ヘルムート王国、王宮筆頭魔導師。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヴェンデリンと共に老地竜を討伐した。
 戦場で肉弾戦を行い敵を圧倒した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王国の最強戦力の一角である。

ブランターク・リングスタット

ブライヒレーダー辺境伯のお抱え魔法使いである。
彼はヴェンデリンの魔法の指南役を務める。
アルフレッドの師匠にあたる。

・所属組織、地位や役職
 ブライヒレーダー辺境伯家、筆頭お抱え魔法使い。

・物語内での具体的な行動や成果
 魔力探知や風の障壁魔法で戦いを支援した。
 ヴェンデリンへ様々な助言を送った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 豊富な冒険者経験を有している。

エドガー軍務卿

ヘルムート王国の軍務卿である。
彼は軍閥の重鎮にあたる。
ヴィルマの養父を指す。

・所属組織、地位や役職
 ヘルムート王国、軍務卿。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヴィルマをヴェンデリンのもとへ派遣した。
 パウルやヘルムートの結婚を支援した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王国の軍事部門における有力者である。

ルックナー財務卿

ヘルムート王国の財務卿である。
彼は財務閥の長にあたる。
ローデリヒの伯父を指す。

・所属組織、地位や役職
 ヘルムート王国、財務卿。侯爵。

・物語内での具体的な行動や成果
 エーリッヒの就職や結婚を裏から支えた。
 ローデリヒに男爵家を継がせる工作を試みた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王国の財政部門における有力者である。

ホーエンハイム枢機卿

教会の最高幹部である。
彼は子爵にあたる。
エリーゼの祖父を指す。

・所属組織、地位や役職
 カソリック教会、枢機卿。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーゼとヴェンデリンの婚約を成立させた。
 カタリーナの御家再興の交渉に協力した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 教会や王宮における高い影響力を持つ。

アルテリオ

王都の商人である。
彼はブランタークの元冒険者仲間を指す。
ヴェンデリンの商業顧問にあたる。

・所属組織、地位や役職
 アルテリオ商会、当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 古代竜の素材売却の手続きを代行した。
 カレーやマヨネーズなどの商品を開発した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヴェンデリンの御用商人として成功している。

シュルツェ伯爵

王国の法衣貴族である。
彼は親善訪問団の代表を指す。

・所属組織、地位や役職
 ヘルムート王国、親善訪問団代表。伯爵。

・物語内での具体的な行動や成果
 クーデターの発生時に一時軟禁された。
 ヴェンデリンから借金をして軍勢を維持した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 無事に帰国を果たしている。

パウル・フォン・ベンノ・バウマイスター

ヴェンデリンの三男の兄である。
彼は警備隊の小隊長を務めていた。
新準男爵の当主を指す。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター準男爵家、当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 エドガー軍務卿の推薦で見合いを行い結婚した。
 バウマイスター準男爵領の開発を開始した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 新たに準男爵の地位を得た。

エーリッヒ・フォン・ベンノ・バウマイスター

ヴェンデリンの五男の兄である。
彼はブラント家の婿養子にあたる。
優秀な官吏を指す。

・所属組織、地位や役職
 ブラント準男爵家、当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 ミリヤムと結婚しブラント家を継承した。
 ローデリヒの補佐として領地開発を手伝った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 新しく準男爵へと昇進した。

オットマー

パウルの護衛である。
彼は警備隊の小隊長を務める。
大木槌の使い手を指す。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター準男爵家、家臣。

・物語内での具体的な行動や成果
 パウルと共に護衛として同行した。
 パウルの陪臣となることを承諾した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 将来の世襲地位が内定している。

ジークハルト

パウルの護衛である。
彼は警備隊の小隊長を指す。
剣の達人にあたる。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター準男爵家、家臣。

・物語内での具体的な行動や成果
 護衛としてパウルに同行した。
 自身の剣術を活かして護衛任務を全うした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 世襲可能な陪臣としての地位を得る予定である。

ルーディ

パウルの従兵である。
彼は食料品店の次男にあたる。
お世話係を指す。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター準男爵家、従兵。

・物語内での具体的な行動や成果
 領内においてパウルのお世話を担当した。
 食事会などの準備を手伝った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ゴットハルト

パウルの護衛である。
彼はフィリップス子爵の三男にあたる。
剣やナイフの使い手を指す。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター準男爵家、家臣。

・物語内での具体的な行動や成果
 護衛としてパウルに同行した。
 パウルの陪臣となることを承諾した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 将来の世襲地位が内定している。

クラウス

バウマイスター騎士爵領の名主である。
彼はレイラの実父にあたる。
極めて有能な策士を指す。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家、家臣(臨時)。

・物語内での具体的な行動や成果
 領内のバザー開催を提案した。
 東部からの反乱計画を事前に察知し解決に導いた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 バウマイスター騎士爵領を離れ、伯爵家の家臣となった。

マインバッハ卿

アマーリエの父親である。
彼は騎士爵の当主にあたる。

・所属組織、地位や役職
 マインバッハ騎士爵家、当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 娘のアマーリエとクルトの結婚を決定した。
 カールたちの養育を引き受けることを承諾した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 領地を維持する有力な地方貴族である。

ニコラウス

元ブロワ家の家臣である。
彼は案内役を指す。
ニコラウスと名乗る若者にあたる。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家、家臣。

・物語内での具体的な行動や成果
 ゲルトの屋敷への道案内を務めた。
 ブロートリッヒの地理に関する情報を提供した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 トーマスからの推薦を受けて仕官した。

トーマス

旧ブロワ組のリーダーである。
彼は下級陪臣騎士の三男にあたる。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家、警備隊指揮官。

・物語内での具体的な行動や成果
 反乱未遂ののちに捕虜となったが、改心して仕官した。
 警備隊の指揮を執り、エチャゴ草原の紛争に参加した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 正式な仕官に向けて努力を続けている。

川魚料理店「リバー」の店主

老舗川魚料理店の店主である。
彼はヴィルマの恩人にあたる。
腕のいい職人を指す。

・所属組織、地位や役職
 川魚料理店「リバー」、店主。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヴェンデリンから泥抜きの手法を教わった。
 ウナギの蒲焼きの製法を習得した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 のちに「ウナギ王」と呼ばれるほど大成功を収めた。

川魚料理店「リバー」の奥さん

「リバー」の店主の妻である。
彼女は共同経営者を指す。

・所属組織、地位や役職
 川魚料理店「リバー」、共同経営。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヴィルマが持ってきた川魚を食事と交換した。
 店の再建を陰で支え続けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

川魚料理店「リバー」の息子たち

店主の息子たちである。
彼らは父親の跡を継ぐ。

・所属組織、地位や役職
 川魚料理店「リバー」、従業員。

・物語内での具体的な行動や成果
 父親と共に川魚の調理や下ごしらえに従事した。
 泥抜きや蒲焼きの技術を学んだ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 将来の店舗運営を担う。

川魚料理店「リバー」の常連客

リバーを訪れる客である。
彼らは伝統的な川魚料理を好む。

・所属組織、地位や役職
 川魚料理店「リバー」、客。

・物語内での具体的な行動や成果
 再建後の美味しい川魚料理を堪能した。
 蒲焼きの匂いに釣られて多数来店した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

警備隊

バウマイスター家の警備組織である。
彼らは領内の治安維持を担う。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家、警備部隊。

・物語内での具体的な行動や成果
 大縦貫トンネルの警備を担当した。
 領内の治安や不法侵入者の監視にあたった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 軍人貴族の子弟の加入により戦力が強化されている。

陶工たち

バウマイスター領の職人たちである。
彼らは食器の製造を担う。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵家、直営窯の職人。

・物語内での具体的な行動や成果
 魔物の骨を混ぜた磁器の開発に従事した。
 なんちゃってボーンチャイナの量産に成功した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 家臣としての扱いと売上に応じた歩合手当を得た。

農民たち

領内の農業従事者である。
彼らは作物の栽培を指す。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター伯爵領、領民。

・物語内での具体的な行動や成果
 土木魔法によって区画整理された畑を耕した。
 大縦貫トンネルから現れた一行を目撃した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アーカート神聖帝国

ペーター・オスヴァルト・デリウス・フォン・アーカート

アーカート神聖帝国の新皇帝である。
彼は「平民皇子」と呼ばれる賢い皇子を指す。
ヴェンデリンの友人にあたる。

・所属組織、地位や役職
 アーカート神聖帝国、新皇帝。

・物語内での具体的な行動や成果
 無血クーデターにより帝都を掌握した。
 帝国宰相に就任し帝都防衛を指揮した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 正式に新たな皇帝へと即位した。

テレーゼ・ジークリット・フォン・フィリップ

フィリップ公爵家の女性当主である。
彼女は「解放軍」の総大将を務めた。
ヴェンデリンの友人にあたる。

・所属組織、地位や役職
 フィリップ公爵家、元当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 北方諸侯を率いてニュルンベルク公爵に抵抗した。
 公爵の死後に責任を取り強制隠居となった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 バウマイスター伯爵領へと移住した。

アルフォンス・フォン・フィリップ

テレーゼの従兄である。
彼はテレーゼの幼馴染を指す。
新たなフィリップ公爵にあたる。

・所属組織、地位や役職
 フィリップ公爵家、当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 ソビット大荒地での防衛を指揮した。
 テレーゼの隠居に伴い公爵家を継承した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 新しいフィリップ公爵として領地を治めている。

ギルベルト・カイェタン・フォン・ボンホフ準男爵

『剛力将軍』と呼ばれる武官である。
彼はポッペクの友人にあたる。
帝国軍の最高司令官を指す。

・所属組織、地位や役職
 新帝国軍、最高司令官。

・物語内での具体的な行動や成果
 ペーターのクーデターを軍事的に支援した。
 帝都防衛戦において突撃を指揮し勝利を収めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ベーテル子爵の反乱を迅速に鎮圧した。

エメラ

ペーターに仕える女性魔法使いである。
彼女はライトグリーンの髪が特徴である。
ペーターのボディーガードを指す。

・所属組織、地位や役職
 ペーター派、魔法使い。

・物語内での具体的な行動や成果
 ペーターの護衛として常に彼の近くに控えた。
 帝都防衛戦において魔法を行使した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 高い魔力と戦闘力を有している。

ベーテル子爵

帝国の貴族である。
彼は改易された貴族の仲間を指す。

・所属組織、地位や役職
 旧ニュルンベルク公爵派、貴族。

・物語内での具体的な行動や成果
 新皇帝ペーターの領地削減に不満を抱き反乱を起こした。
 しかしギルベルトによって鎮圧された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 処刑されて首を曝された。

皇后

前皇帝の正妻である。
彼女はペーターを冷遇していた。
アーレー侯爵の妹にあたる。

・所属組織、地位や役職
 旧皇帝派、皇后。

・物語内での具体的な行動や成果
 ペーターの無血クーデターにより軟禁された。
 ペーターの暗殺を画策したが失敗に終わった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 暗殺計画の発覚により処分された。

アーレー侯爵

前政権の閣僚である。
彼は諜報部門の最高責任者を指す。
皇后の兄にあたる。

・所属組織、地位や役職
 旧皇帝派、閣僚。

・物語内での具体的な行動や成果
 情報収集を怠り、敗戦後に職を辞した。
 妹である皇后の陰謀に関与した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 暗殺未遂の発覚により皇后と共に処分された。

クリストフ・フォン・ブロワ

元ブロワ辺境伯の次男である。
彼はフィリップの弟にあたる。
有能な文官を指す。

・所属組織、地位や役職
 王国軍組、指揮官。

・物語内での具体的な行動や成果
 敗戦した王国軍の残党を指揮した。
 エルの婚約交渉においてハルカをからかう余裕を見せた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 新しい役職への昇進がほぼ内定している。

フィリップ・フォン・ブロワ

元ブロワ辺境伯の長男である。
彼はクリストフの兄にあたる。
有能な武官を指す。

・所属組織、地位や役職
 王国軍組、指揮官。

・物語内での具体的な行動や成果
 敗残兵をまとめて戦列に加わった。
 エルの指揮訓練において助言を送った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 弟と共に王宮において高い評価を得た。

マックス・エアハルト・アルミン・フォン・ニュルンベルク

ニュルンベルク公爵である。
彼は帝国内乱を引き起こした首謀者を指す。
軍事の天才にあたる。

・所属組織、地位や役職
 ニュルンベルク公爵、反乱軍首謀者。

・物語内での具体的な行動や成果
 クーデターにより帝都を掌握した。
 巨大ゴーレムを駆りヴェンデリンたちと戦った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 敗北後に致命傷を負い、テレーゼに見守られながら息を引き取った。

降伏した反乱軍(ニュルンベルク公爵家諸侯軍)

マックスに仕えていた精鋭である。
彼らは地下要塞の陥落により降伏した。

・所属組織、地位や役職
 反乱軍、主力。

・物語内での具体的な行動や成果
 高い戦闘力を持ち、最後まで要塞の上層で抗戦した。
 マックスの死を知り、ヴェンデリンの説得を受けて降伏した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 武装解除を受けて後方へ移送された。

帝国軍兵士たち

正規の兵士たちである。
彼らは各戦局において戦闘に従事した。

・所属組織、地位や役職
 アーカート神聖帝国軍。

・物語内での具体的な行動や成果
 ニュルンベルク公爵討伐の戦いに参加した。
 ペーターのクーデターによって速やかに再編された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 高い士気と練度を保っている。

ミズホ商人

ミズホ伯国の商人である。
彼らは優れた工芸品や食品を扱う。
ヴェンデリンの取引相手にあたる。

・所属組織、地位や役職
 ミズホ商会。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヴェンデリンにウナギやホッポウサンゴを販売した。
 エルに高価な髪飾りを売りつけることに成功した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 交易の拡大により多くの利益を得ている。

巡回治療を受けた村長

帝国郊外の村の村長である。
彼はフィリーネの養父にあたる。

・所属組織、地位や役職
 帝国郊外の村、村長。

・物語内での具体的な行動や成果
 無料の巡回治療に感謝した。
 フィリーネがブライヒレーダー辺境伯の隠し子であることを明かした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 フィリーネを無事に王国貴族に引き渡した。

巡回治療を受けた村人たち

帝国郊外の住民である。
彼らは内乱によって多大な被害を受けた。

・所属組織、地位や役職
 帝国の村、領民。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーゼたちの無料の巡回治療を受けた。
 治癒魔法によって長年の怪我や病気を治療した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 新政権の支持を固める基盤となった。

ブライヒレーダー辺境伯家

アマデウス・フライターク・フォン・ブライヒレーダー

ブライヒレーダー辺境伯家の当主である。
彼はヴェンデリンの実家の寄親にあたる。
フィリーネの父親を指す。

・所属組織、地位や役職
 ブライヒレーダー辺境伯家、当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 領地の再建を若くして成し遂げた。
 隠し子フィリーネを涙ながらに溺愛した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 南部の有力な大貴族である。

ブライヒレーダー辺境伯夫人

アマデウスの正妻である。
彼女は冷静沈着な大貴族の妻にあたる。
フィリーネの義母を指す。

・所属組織、地位や役職
 ブライヒレーダー辺境伯家、正妻。

・物語内での具体的な行動や成果
 フィリーネを優しく迎え入れた。
 成人後にヴェンデリンと婚姻させることを決定した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 強い存在感を示している。

ブライヒレーダー辺境伯の側室(他の夫人たち)

アマデウスの複数の妻たちである。

・所属組織、地位や役職
 ブライヒレーダー辺境伯家、側室。

・物語内での具体的な行動や成果
 アマデウスとの間に男の子ばかりを産んだ。
 フィリーネが来た際にも大きな反対はしなかった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 正妻に次ぐ一定の地位を有している。

ミズホ伯国・公爵領

トヨムネ・ミズホ

ミズホ伯国の当主である。
彼は黒髪と黒目の民族の指導者を指す。
のちに公爵へと陞爵された。

・所属組織、地位や役職
 ミズホ伯国、当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 自ら一万の軍勢を率いてソビット大荒地に出兵した。
 ヴェンデリンからウナギの「秘伝のタレ」を交渉で入手した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 公爵としての地位を公認された。

ハルカ・フジバヤシ

ミズホ伯国の女剣士である。
彼女は抜刀隊に所属している。
エルの婚約者を指す。

・所属組織、地位や役職
 ミズホ伯国軍、抜刀隊。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヴェンデリンたちの護衛や連絡役を務めた。
 エルのアプローチを受け入れて婚約した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 将来的にエルの正妻となることが内定している。

タケオミ・フジバヤシ

ハルカの兄である。
彼はハルカを溺愛する剣士を指す。
エルのライバルにあたる。

・所属組織、地位や役職
 ミズホ伯国軍、抜刀隊。

・物語内での具体的な行動や成果
 エルとハルカの婚姻に反対した。
 ヴェンデリンと決闘して敗北した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 親族から叱責され、ハゼの釣行を欠席させられた。

ミズホ伯国軍

ミズホ伯国の精鋭である。
彼らは独自の魔道具や刀を装備する。

・所属組織、地位や役職
 ミズホ伯国、軍勢。

・物語内での具体的な行動や成果
 抜刀隊や魔銃隊の攻撃により敵に大打撃を与えた。
 ソビット大荒地や夜襲において活躍を見せた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 その高い実力から帝国軍から恐れられている。

ミズホの料理人

ミズホ伯国の料理人である。
彼らは魚介類の調理に長けている。

・所属組織、地位や役職
 ミズホ家、お抱え料理人。

・物語内での具体的な行動や成果
 釣れたてのハゼをその場で天ぷらや刺身に調理した。
 ヴェンデリンやミズホ公爵を和食でもてなした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 高い調理技術を誇っている。

ミズホ家のお世話係(世話係の老人たち)

ミズホ家のお世話を担う。

・所属組織、地位や役職
 ミズホ家、お世話係。

・物語内での具体的な行動や成果
 お茶を淹れるなど、客人のもてなしを行った。
 領内の風習や決まりに従って仕えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ミズホ家のお世話係(世話係の女性)

お世話を担う女性を指す。

・所属組織、地位や役職
 ミズホ家、お世話係。

・物語内での具体的な行動や成果
 宿舎の管理や客人の衣類の洗濯を担当した。
 ミズホ風の衣装でお世話にあたった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

魔族

アーネスト・ブリッツ

魔族の国の考古学者である。
彼は白いタキシードとシルクハットが特徴である。
遺跡探索のみを目的とする。

・所属組織、地位や役職
 謎の魔族。考古学者。

・物語内での具体的な行動や成果
 ニュルンベルク公爵に協力し、各種の古代兵器を修復した。
 大縦貫トンネルの特定に協力した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王国の監視付きでバウマイスター伯爵領に匿われている。

古代魔法文明

イシュルバーク伯爵

古代魔法文明の天才魔道具職人である。
彼は多くのロストテクノロジーの製作者にあたる。

・所属組織、地位や役職
 元古代魔法文明、天才魔道具職人。伯爵。

・物語内での具体的な行動や成果
 大縦貫トンネルの建設を手がけた。
 魔蔵庫や各種ゴーレムなどの高度な罠を作った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼の遺産は現代でも多大な価値を有している。

アルフレッド・レインフォード

ヴェンデリンの魔法の師匠である。
彼は元ブライヒレーダー辺境伯家のお抱え魔法使いを指す。

・所属組織、地位や役職
 元ブライヒレーダー辺境伯家お抱え魔法使い。

・物語内での具体的な行動や成果
 ターラントの英霊召喚によって敵として呼び出された。
 ヴェンデリンとの最後の真剣勝負を繰り広げた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 愛弟子の成長を喜びながら成仏した。

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八男10巻レビュー
八男まとめ
八男12巻レビュー

展開まとめ

プロローグ 魔族

魔族アーネストの生存

ヴェンデリンたちは巨大ゴーレムを倒した後、敵側にいた魔族の存在を忘れていたことに気づいた。瓦礫から現れた魔族は水ぶくれと麻痺で動けなかったものの、命に別状はなかった。再び暴れられる危険から処刑も検討されたが、魔族の国との外交問題や戦争に発展する可能性をテレーゼが指摘し、生かして拘束する方針となった。

考古学者アーネスト・ブリッツ

エリーゼの治療で動けるようになった魔族は、アーネスト・ブリッツと名乗る考古学者であった。アーネストは西の島にある魔族の国から単独で密入国し、ニュルンベルク公爵領の未発掘遺跡を調査するため、公爵と取引していた。遺跡探索を許可してもらう代わりに、発掘された魔道具の修理や整備を引き受けていたのである。

犠牲への無関心

ニュルンベルク公爵軍が使用した兵器の多くは、アーネストが修復した発掘品であった。しかし本人は、武器を使えるようにしただけで、それを使って人を殺した責任までは負えないと主張した。その態度にエルは激怒したが、ヴェンデリンは、アーネストが周囲への影響より遺跡研究を優先する学者なのだと理解した。

最下層の発掘品

ヴェンデリンたちはアーネストに案内させ、最下層に残された発掘品を確認した。そこには移動や通信を妨害する巨大装置があり、先の攻撃によって一部が破壊されていた。装置自体は不要とされたが、アーネストの助言で巨大な魔晶石など再利用可能な部品を回収してから処分することになった。

魔道具の回収

兵士たちは破壊されたブレス発生装置や巨大ゴーレムの残骸、試作ゴーレム、武器などを回収した。ヴェンデリンは、それらが帝国軍の過剰な強化に使われれば王国との新たな争いを招きかねないと考え、戦利品をすべて自分たちで確保した。アーネストには今後、技術解説や修理を行わせることになった。

アーネストの変装

ヴェンデリンはアーネストをペーターへ引き渡さず、魔族についての情報を得るため自分たちの管理下に置くことを決めた。アーネストは古代魔法文明時代の変装用魔道具である指輪を使い、どこにでもいる中年兵士の姿へ変装した。

ニュルンベルク公爵家軍の抵抗

最下層を離れたヴェンデリンたちは、なお戦闘が続く地下要塞を進んだ。ニュルンベルク公爵家館周辺では、家臣や兵士たちが自爆型ゴーレムやブレス発射装置を使って抵抗を続けており、公爵の死を告げられても信じようとしなかった。

ニュルンベルク公爵の遺体

ヴェンデリンはニュルンベルク公爵の遺体をそのまま反乱軍に示し、旗頭を失った以上、戦いを続けても野望は実現しないと降伏を促した。反乱軍内部では徹底抗戦を望む者と無意味な戦闘を避けようとする者に意見が分かれたが、最終的に指揮官が降伏を決断した。

帝国内乱の終結

ヴェンデリンたちは各地で残る反乱軍にも降伏を呼びかけ、地下要塞攻略開始から十八時間後、すべての反乱軍が武器を置いた。帝国軍は七千八百五十七名、反乱軍は五千六百七十八名の戦死者を出す大きな犠牲を払ったが、これによって帝国の内乱は終息した。

第一話 急に暇になったので、ウナギを焼いてみる

内乱後の休息

ニュルンベルク公爵の敗北で内乱が終わり、旧公爵領では帝国軍が統治と後始末を進めていた。主導権をペーターたちに譲ったヴェンデリン一行はミズホ伯国軍と共に待機し、久々の暇な時間を過ごしていた。その間、ヴェンデリンはミズホ商人から季節外れの高価なウナギを購入し、秘蔵していた蒲焼きのタレでウナ丼を作ろうとしていた。

珊瑚の髪飾り

同じ商人から、エルは貴重なホッポウサンゴの髪飾りを購入し、婚約指輪代わりとしてハルカに贈った。ハルカは喜んで受け取ったが、二人の婚約を諦めきれないタケオミは悔しそうに見守っていた。

川魚料理店リバー

蒲焼きのタレを手に入れた経緯は、ヴェンデリンが伯爵になって間もない頃に遡った。王都を訪れた一行は、ヴィルマが幼い頃から川魚を卸し、その代わりに食事をさせてもらっていた老舗の川魚料理店リバーを訪れた。ヴィルマは漁で生活を支えていた経験から、王都周辺では禁漁期間や小魚の放流、漁師の登録制度などが設けられていることも説明した。

古い味と客離れ

リバーでは鯉やナマズ、スッポン、ウナギなどの伝統的な川魚料理が出された。店主の臭みを消す技術は高かったものの、料理そのものは不味くない程度で、若者を惹きつける味ではなかった。かつて賑わっていた店も、今では昔ながらの味を求める高齢の常連客に支えられており、将来的な売り上げ減少が避けられない状態であった。

ヴィルマの願い

客離れの原因には、アルテリオ商会が王都で展開するから揚げや串揚げなど、新しい料理を提供する店の増加があった。その商売の元となる料理を広めたのがヴェンデリンだったため、ヴィルマは昔世話になったリバーを助けてほしいと頼んだ。エリーゼたちも賛成し、ヴェンデリンは店の立て直しに協力することになった。

川魚料理の刷新

ヴェンデリンは大資本の店と同じ料理で競うのではなく、リバーの強みである川魚を生かす方針を立てた。小魚や川エビのから揚げ、天ぷら、かき揚げ、南蛮漬け、甘露煮、味噌煮などを提案し、店主とエリーゼが試作した。長年の経験を持つ店主は新しい調理法をすぐに吸収し、高い技術で料理を完成させた。

泥抜き専用の生簀

ヴェンデリンは、店が川魚を泥抜きせず、ハーブだけで臭いを抑えていたことを知った。そこで豊富な湧き水を利用し、魔法で泥抜き専用の石造りの生簀を作った。魚を一定期間絶食させて臭みを抜く方法を店主に教え、一週間後に料理を改めて試すことになった。

新しい川魚料理

一週間後、泥抜きされた鯉やナマズ、スッポンを使って試作が再開された。鯉の味噌料理や丸揚げ甘酢餡かけ、ナマズの天ぷらや照り焼き、団子汁、スッポンの鍋やから揚げなどが作られ、以前とは比べものにならない味になった。ヴェンデリンは店主の腕前なら新しい料理を任せられると判断した。

蒲焼きへの準備

ヴェンデリンが本当に確かめたかったのは、店主がウナギの蒲焼きを作れるほどの技術を持つかどうかであった。店主が従来行っていたウナギの輪切り煮込みを聞いたヴェンデリンは、新しい料理として蒲焼きを教えることを決めた。一行は翌朝に備え、店の二階で早めに休んだ。

初めてのウナギ蒲焼き

翌朝、ウナギを焼く台や蒸籠を用意し、店主が背開きにしたウナギを白焼きにした。エリーゼは醤油、味醂、酒に焼いた骨と頭を加えてタレを作り、白焼きを蒸して余分な脂を落とした後、タレをつけて再び焼いた。ご飯にもタレをかけて蒲焼きを載せ、山椒を添えたウナ丼が完成した。

蒲焼きの大好評

完成した蒲焼きはヴェンデリンたちを驚かせるほど美味しく、ウナギが苦手だったカタリーナも含めて次々と食べ進めた。店主も従来の煮込みとは比較にならない味に感動し、家族を呼び寄せて大量のウナギを焼きながら技術を磨いた。骨煎餅や肝焼き、肝吸いも加わり、ヴィルマは六十杯ものウナ丼を平らげた。

受け継がれる蒲焼きのタレ

ヴェンデリンは、蒲焼きを何度も焼くことでウナギの脂と旨味がタレに蓄積し、減った分だけ新しいタレを継ぎ足して育てていく方法を店主に教えた。店を再建するうえで、このタレそのものが重要な財産になると説明され、店主はさらに意欲を燃やした。

匂いに集まる客

ヴェンデリンは大量に焼くウナギの香りを街道へ流し、通行人を店へ呼び込んだ。興味を持った人々がウナ丼を食べ始めると評判が広まり、店はたちまち満席となった。ヴェンデリンたちも注文や皿洗いを手伝い、かつて閑散としていた店は一転して活気に包まれた。

リバーの再出発

ブランタークやアルテリオ、導師まで匂いに誘われて来店し、新しい川魚料理と蒲焼きを絶賛した。アルテリオも醤油や味噌などの取引に商機を見出した。店主は川魚という特色を生かしながら新しい料理を取り入れ、家族と共に店を立て直す決意を固めた。後にリバーは支店を増やし、店主は蒲焼きの第一人者としてウナギ王と呼ばれるようになった。

ミズホ伯国での蒲焼き

話は内乱後の駐屯地へ戻り、ヴェンデリンたちはリバーから分けてもらったタレでウナギを焼いた。そこへミズホ上級伯爵が料理人と共に加わり、蒸してから焼く方法と、そのまま焼く方法の双方で蒲焼きを作った。どちらも好評で、ミズホ人や帝国人たちが次々と集まり、ウナギの蒲焼きは急速に広まっていった。

蒲焼きのタレ争奪戦

蒲焼きに魅了されたミズホ上級伯爵は、ヴェンデリンが持つ熟成されたタレを譲るよう求めた。ヴェンデリンはリバーで長くウナギの旨味を蓄えた貴重な品として拒んだが、ミズホ上級伯爵は自分が提供したウナギもタレの味を高めたと粘り強く交渉した。最終的にヴェンデリンは四分の一を譲り、そのタレがミズホ伯国に広がるウナギ屋の基礎となった。

第二話 とある貴族の隠し子騒動

巡回治療の依頼

旧ニュルンベルク公爵領の処理を残存部隊に任せて帝都へ戻ったヴェンデリンたちは、新皇帝となるペーターから帝都周辺の村で無料の巡回治療を行うよう頼まれた。内乱で被害を受けた住民への補償と新政権の支持固めが目的であり、エリーゼ、ヴェンデリン、カタリーナが治癒魔法使いとして参加することになった。

カタリーナのイメチェン

以前子供からおばちゃんと呼ばれたカタリーナは、今回は白いワンピースで若々しく見せようとした。しかし普段の縦ロールとの釣り合いが悪く、仲間たちから不評を受けた。本人は癖毛のため髪型を変えられないと主張し、結局いつもの服装へ戻った。

導師の治療担当

導師も治癒魔法の練習として同行を希望したが、彼の魔法は患者に抱きつかなければ発動できなかった。エリーゼは村人を怯えさせないよう、導師には負傷した帝国軍人の治療を任せることを提案し、本人も了承した。

村での無料治療

ヴェンデリンたちは帝都から半日ほどの村へ向かった。内乱で経済的に困窮した周辺地域では薬も高価だったため、治癒魔法による無料治療は歓迎された。周辺の村々からも患者が集まっており、エリーゼが全体を取り仕切り、ヴェンデリンが比較的重い患者、カタリーナが軽傷者を中心に治療した。

おばちゃんとお兄ちゃん

カタリーナは再び幼い子供からおばちゃんと呼ばれて落ち込んだ。ヴェンデリンは自分もおじさんと呼ばれるはずだと慰めたが、治療した子供からはお兄ちゃんと呼ばれたため、カタリーナの視線を受けることになった。

火傷跡の治療

最後に、顔に広い火傷跡を残した若い女性ハイディが治療を求めた。すでに傷自体は治っていたため、普通に治癒魔法を使っても跡は消せなかった。エリーゼは痛みを和らげたうえで火傷跡をナイフで削り、ヴェンデリンが強力な治癒魔法で皮膚を再生させた。跡は完全に消え、結婚を控えていたハイディと婚約者は安堵して感謝した。

村人たちの差し入れ

治療を終えた一行は村の空き家に泊まった。内乱で困窮する村に負担をかけないため食事の提供は求めなかったが、治療を受けた村人たちは野菜などを差し入れた。エリーゼたちはそれを使ってミソシチューやサラダを作り、持参していた肉などと共に夕食を囲んだ。

教会の医療知識

夕食では、火傷跡を一度削ってから再生させる治療法が話題となった。治癒魔法だけでは多大な魔力を必要とする症例でも、蓄積された医療知識を組み合わせれば中級程度の治癒魔法でも対応できた。ヴェンデリンは、教会が医療知識を持つことも人々から支持される理由だと理解した。

フィリーネの訪問

帰国や土産の話をしていた夜、村長が十歳の少女フィリーネを連れて訪れた。当初は何らかの接待か帝国貴族からの縁談かと思われたが、村長はフィリーネがヘルムート王国貴族の隠し子だと明かし、ヴェンデリンたちと一緒に帰国させてほしいと頼んだ。

王国貴族の隠し子

フィリーネの母親は十一年前の親善訪問団で王国貴族の世話役を務め、その相手との間にフィリーネを身籠っていた。母親は帰郷後に娘を産んだものの早くに病死し、遠縁の村長がフィリーネを育てていた。ヴェンデリンたちは村長が保管していた証拠を確認し、フィリーネを帝都へ連れて帰った。

ブライヒレーダー辺境伯の娘

帝都でブランタークに相談すると、フィリーネの父親がブライヒレーダー辺境伯アマデウス・フライターク・フォン・ブライヒレーダーであることが明らかになった。亡き母の日記には親善訪問時の関係が記され、辺境伯本人の恋文や、子供ができた場合には自分の子だと証明すると記した手紙、家紋入りのナイフも残されていた。

辺境伯の恋文

証拠として残されていた恋文や自作の愛の詩は非常に情熱的であったが、第三者から見ると恥ずかしい内容であった。導師やエルは大笑いし、女性陣からは冷ややかな評価を受けた。普段の知的な印象とは異なる過去が露見し、ブライヒレーダー辺境伯の評価は大きく揺らいだ。

親子再会への準備

証拠が揃っていても、フィリーネをすぐ辺境伯に会わせることはできなかった。辺境伯本人だけでなく妻たちや家臣への説明が必要であり、フィリーネにも大貴族の令嬢として最低限の礼儀を教える必要があった。そのためエリーゼが中心となって、しばらくフィリーネを預かることになった。

導師に懐くフィリーネ

フィリーネはブランタークを怖がる一方、普段は子供から恐れられがちな導師にはなぜか懐いた。導師もジェラートを買ってくるなど彼女を可愛がり、周囲を驚かせた。

隠し切れない素性

ヴェンデリンたちはフィリーネを新しいメイド見習いとして隠そうと考えた。しかしその日のうちにシュルツェ伯爵が彼女の正体を見抜いた。以前の親善訪問団に関係者が多く、ブライヒレーダー辺境伯特有の銀髪も目立っていたため、隠し子の噂は以前から存在していたのである。秘密が半日も保たなかったことで、ブランタークは辺境伯夫人たちへの説明を思って頭を抱えた。

第三話 帝国内乱の終結

凱旋前の身嗜み

帝国内乱の後始末と褒賞決定を待つ間、ヴェンデリンたちは経過報告のため王城へ戻ることになった。凱旋する大貴族として相応しい姿を求められたヴェンデリンは、エリーゼたちに髪や服装を整えられ、最後にアルフレッドの形見であるサークレットを身につけた。

アルフレッドのサークレット

サークレットには蓄えた魔力を必要に応じて利用する機能があり、アルフレッドが英霊として現れた際に装着していなかった理由についても話題となった。ブランタークは、アルフレッドがすでにヴェンデリンへ譲った品と認識していた可能性を挙げ、エリーゼはヴェンデリンを有利にするため意図的に再現しなかった可能性を考えた。ヴェンデリン自身は外見を気にして使用していなかったが、安全のため今後は身につけることになった。

王国への経過報告

王城へ戻ったヴェンデリンたちは、約一年分に及ぶ帝国内乱の報告書を国王へ提出した。国王は、内乱で疲弊した帝国に対して即座に戦争を仕掛けるより、謝罪と賠償を受けて講和し、王国の国力増強と発掘兵器への対策を進める方が得策だと考えた。

古代兵器とミズホ伯国

帝国では魔刀、魔砲、自爆型ゴーレムなど多数の古代兵器が実戦投入され、戦争の形が変化していた。王国側も鹵獲品を研究する一方、高い技術力を持ちながら帝国と一定の距離を置くミズホ伯国との交易や文化交流、婚姻を進め、将来的な友好関係を築く方針が検討された。

極限鋼の管理

ヴェンデリンしか作れない極限鋼は、新兵器の性能を大きく高める可能性があった。国王は流通を管理するため、バウマイスター伯爵領で使用する分を除き、残りを王国政府へ直接卸すよう命じ、他国や他貴族への直接販売を禁じる方針を決めた。

魔族アーネストの処遇

アーネストが一万年近く姿を見せていなかった魔族であり、莫大な魔力と高度な技術を持つ考古学者だと報告されると、王国首脳は対応に頭を悩ませた。国家への忠誠より地下遺跡の研究を優先し、ニュルンベルク公爵にも研究の見返りとして発掘兵器を提供していたため、拘束するより未発見の遺跡が多いバウマイスター伯爵領で研究させ、監視する方が現実的だと判断された。

変貌したパウルブルク

帝国での情報収集を続けるよう命じられたヴェンデリンは、移動魔法が復活したため一時的に自領へ戻った。一年ぶりのパウルブルクは町並みが数倍に広がり、多くの人々で賑わっていた。ローデリヒはヴェンデリンの帰還に感激して再びサバ折りを仕掛け、陛下の命令で領地運営を補佐していたエーリッヒとも再会した。

帝国からの報酬

帝国へ戻ったヴェンデリンは、ペーターから戦功への報酬が二十年分割で支払われると告げられた。反乱貴族から没収した財産で資金は確保できたものの、戦後復興を優先する必要があったためである。また、ニュルンベルク公爵の遺体を晒し首にせず丁重に扱ったことへの批判もあったが、ペーターはその処置が反乱軍の降伏を促したと評価した。

テレーゼの移住

ペーターは、政治的な対抗勢力として担ぎ出される危険があるテレーゼがバウマイスター伯爵領へ移住することを歓迎した。本人も権力に未練はなく、フィリップ公爵家の紋章入りの品や秘伝の魔道具を新当主アルフォンスへ返し、若いメイド一人だけを連れて移住する準備を済ませていた。

テレーゼとの買い物

ヴェンデリンは移住準備のためテレーゼの買い物に付き合った。平民や下級貴族程度の服や装飾品を選び、二人は喫茶店でケーキを食べながら、皇帝候補として過ごした過去や今後について語り合った。テレーゼは皇帝になることを望んでおらず、権力を失った現在の方が気楽で楽しいと話した。

新しい生活への期待

テレーゼはバウマイスター伯爵領で何をするかまだ決めておらず、まず自由な生活を楽しむつもりだった。時間ができたため料理も覚えたいと考え、ヴェンデリンはエリーゼたちから教わればよいと勧めた。帝国貴族としての立場をほぼ捨てたテレーゼに対し、ヴェンデリンは以前より気楽に接することができ、その魅力を改めて感じていた。

両国の講和

一週間後、帝都の皇宮でアーカート神聖帝国とヘルムート王国の講和が行われた。帝国側はペーター、王国側は王太子が調印し、ニュルンベルク公爵による移動と通信の妨害について帝国政府が謝罪と賠償を行うことや、交易を拡大する条件が正式に決められた。

戦争終結と通商拡大

王国は一度帝国軍に大敗しており、さらに帝国が多数の古代兵器を確保したことから、再侵攻よりも講和を急ぐ判断をしていた。帝国も戦後復興と国内の反乱対策を優先する必要があり、双方の利害が一致したのである。こうして一年以上続いた帝国内乱と、それに伴う両国間の紛争は正式に終結した。

第四話 親子の再会を助ける

バウマイスター伯爵領への帰還

講和と褒賞、王国への最終報告を終えたヴェンデリンたちは、一年以上ぶりにバウマイスター伯爵領へ戻った。領内ではバウルブルクや魔の森周辺の町が拡大し、冒険者による素材収集や農地開発、道路整備が進んでいた。ローデリヒが実務を取り仕切っていたが、エーリッヒはヴェンデリンが事前に基礎工事を進めていたからこその発展だと説明した。

戦功による威信

帝国内乱で大きな戦果を挙げたヴェンデリンは、王国貴族から強く畏敬される存在となっていた。その影響で領地へ干渉しようとする貴族も姿を消し、留守を預かっていたエーリッヒも楽だったと語った。一方、敗北したレーガー侯爵家は立場を失いつつあり、敗残兵をまとめて活躍したブロワ兄弟は高く評価されていた。

テレーゼの新生活

テレーゼはフィリップ公爵家との関係をほぼ断ち、領主館近くの屋敷でメイド一人と静かに暮らし始めていた。ローデリヒは念のため護衛を配置したが、政治的にはすでに過去の人物と見られており、大きな問題にはなっていなかった。

ヴェンデリンとエルのマナー教育

フィリーネが貴族令嬢としての教育を受けている話から、ヴェンデリン自身にも正式なマナーが必要だとローデリヒが判断した。さらに大貴族の重臣として公式行事へ出席するエルも対象となり、二人は揃って教育を受けることになった。しかし、魔法や剣ほど覚えはよくなく、後にかなり苦労することとなった。

アーネストの研究生活

魔族アーネストは屋敷奥の客間に置かれ、監視付きながら大量の資料に囲まれて研究生活を送っていた。本人はニュルンベルク公爵領の地下遺跡についてレポートを作ることに夢中で、逃亡する意思も見せなかった。エーリッヒは、帝国にも王国にも追われる立場となったアーネストが安全な研究環境を自ら捨てる可能性は低いと考えた。

フィリーネの面会準備

ブライヒレーダー辺境伯の隠し子であるフィリーネを父親と会わせるには、正妻たちや家臣との調整が必要だった。その間、エリーゼを中心に礼儀作法を教え、服装や身嗜みも整えられた。面会当日は水色のドレスや銀を主体とした装飾品が選ばれ、父親譲りの銀髪が目立つように仕上げられた。

正妻との対面

ブライヒレーダー辺境伯家で待つ間、ヴェンデリンとエルはフィリーネが正妻たちから冷遇される可能性を勝手に想像していた。ところが、その会話を正妻本人に聞かれてしまった。夫人は皮肉を交えながらもフィリーネを丁寧に迎え、銀髪や顔立ちを確認して夫の娘だと認めた。

フィリーネの婚姻話

ブライヒレーダー辺境伯夫人は、フィリーネが女児で嫡男の立場を脅かさないこともあり、喜んで家に迎える姿勢を見せた。そのうえで成人後はヴェンデリンに嫁がせるつもりだと当然のように告げた。先ほどの失言を誤魔化すことに必死だったヴェンデリンは否定できず、意図せず婚姻を了承する形となった。

父娘の再会

ブライヒレーダー辺境伯はようやく姿を現すと、普段の冷静さを失ってフィリーネへ駆け寄った。一度も会えず、母リィラも亡くなっていたことを詫び、今後は不自由させないと約束した。フィリーネも父親を受け入れ、親子は無事に初対面を果たした。

正妻の叱責

娘を溺愛し始めたブライヒレーダー辺境伯に対し、夫人は外で子供を作ったことより、その娘を十年間放置していた責任を厳しく追及した。さらに再発防止として、才能のない恋愛詩を次に同じことをすれば出版すると脅していた。夫人の怒りに圧倒されたヴェンデリンたちは早々にその場を離れた。

新たな婚約者

屋敷を出た後、ヴィルマの指摘でヴェンデリンはフィリーネとの婚姻を事実上了承してしまったことを改めて認識した。五年後には状況が変わるかもしれないと考えたものの、その可能性は低いと否定され、ひとまず今はフィリーネと父親の再会を実現できたことだけを喜ぶことにした。

第五話 新産業の創出

領地での穏やかな日常

フィリーネがブライヒレーダー辺境伯家に受け入れられ、アーネストも大人しく研究を続けていたため、ヴェンデリンたちはようやく普段の生活へ戻っていた。エルとハルカがバウルブルクへ出かけた話から、ヴェンデリンも妻たちと新市街地を巡る約束を交わした。

新たな産業の模索

ローデリヒは、開発終了後も領民の雇用を維持するため、新たな産業が必要だとヴェンデリンに相談した。領内では農業や漁業、魔の森の産物に加え、衣類の生産も進んでいたが、重く輸送費のかかる食器類は不足していた。そこで陶磁器を領内で生産し、高級品として外部にも販売できないか検討することになった。

魔物の骨を使った磁器

王国や帝国の磁器とミズホ製の焼き物を見比べたヴェンデリンは、より白い磁器を作る方法として、骨灰を粘土に混ぜるボーンチャイナを思い出した。余っていた魔物の骨を焼いて骨灰にし、配合を変えながら魔法で試作した結果、従来品よりも白い磁器を作ることに成功した。

窯の職人たち

ヴェンデリンはローデリヒに案内され、バウルブルク近郊の窯を訪れた。そこには有名窯で修業しながら家を継げず、外へ出た腕のいい職人たちが集められていた。彼らはヴェンデリンが用意した骨灰入りの粘土に強い興味を示し、新しい焼き物の製作に取りかかった。

なんちゃってボーンチャイナ

一週間後、窯では乳白色で透明感のある磁器が完成した。従来の王国製や帝国製、ミズホ製よりも白く、輸出品として通用する品質であったため、職人たちはさらなる改良を進めた。魔物の骨灰を使った磁器は、バウマイスター伯爵領の新たな特産品となった。

新しいティーセット

完成品の一つはバウマイスター伯爵家にも献上され、エリーゼは新しいティーポットやカップを日常的に使い始めた。白さと光沢によって絵柄も映え、エリーゼやハルカは高く評価した。さらにヴェンデリンが調べると、魔物の骨に残る僅かな魔力も独特の光沢に影響していた。

特産品の大成功

骨灰入り磁器は予想以上の人気となり、注文が殺到した。ローデリヒは製法流出を防ぐため、高級品を作る優秀な陶工たちを家臣として抱え、バウマイスター伯爵家の直営事業とした。しかし最高級品用の粘土調整はヴェンデリンに頼る部分が大きく、領内の土木工事と重なって彼の仕事はさらに増えてしまった。

新作メイド服

次の産業案を求められたヴェンデリンは、服飾工房に新しいメイド服を試作させていた。従来より短いスカートや多くのフリル、黒以外の色を取り入れたデザインであり、フィリーネや妻たちにも試着させた。女性たちは色違いの服を着たが、縦ロールを崩さないカタリーナだけは衣装との組み合わせが不自然になっていた。

店舗向けの制服

ヴェンデリンは新しいメイド服を屋敷用ではなく、主に飲食店の制服として売り出すことを考えていた。華やかな服を着た女性店員が男性客を呼び込み、服飾工房の売り上げや領内の税収増加につながると見込んだからである。一方、屋敷では年齢の高い使用人にも配慮し、従来型や落ち着いた改良型を残すことにした。

メイド服を巡る騒動

新作メイド服は領内の飲食店を中心によく売れたが、すぐに類似品が作られたため、大きな利益にはならなかった。さらにフィリーネに試着させたことがブライヒレーダー辺境伯に知られ、ヴェンデリンは娘にいかがわしい服を着せていたのではないかと疑われ、その釈明に時間を取られることとなった。

第六話 接待旅行

ミズホ公爵家の釣り接待

領地での生活が落ち着いた頃、ヴェンデリンたちはミズホ公爵家専用の河口へ招かれ、ハゼ釣りの接待を受けた。そこではミズホ公爵家と許可された者だけが漁を楽しめ、釣った魚はすぐに刺身や天ぷら、から揚げなどに調理された。ミズホ公爵は極限鋼や白い磁器の製法に関心を示しつつ、内乱後の息抜きも兼ねてヴェンデリンたちを招いていた。

帝国の復興と交易

帝国では内乱後も小規模な反乱が続き、ペーターやアルフォンスは多忙で釣行には参加できなかった。一方、王国と帝国の講和によって交易が再開され、独自の技術や産品を持つミズホ公爵領には王国側からも接近する動きが生まれていた。ミズホ公爵は交易拡大を歓迎しながら、帝国中央政府の苦労を語った。

エルとハルカの釣り

エルは餌のイソメを苦手とするハルカを手伝い、彼女が釣ったハゼを一緒に楽しんでいた。ハルカに天ぷらを食べさせてもらうエルの姿を見たヴェンデリンは嫉妬を覚えたが、エリーゼが自ら揚げた天ぷらを差し出したことで機嫌を直した。

天ぷら作りと大食い組

エリーゼは料理人から天ぷらの技術を学び、初挑戦ながら美味しく仕上げた。イーナとルイーゼも大量のハゼを揚げ続けたが、その原因は導師とヴィルマであった。二人は釣った端から大量のハゼを食べ、特に釣り慣れたヴィルマは圧倒的な速度で釣果を増やしていた。

カタリーナの大物勝負

フィリーネはブライヒレーダー辺境伯の代理としてミズホ公爵への挨拶を終えた後、カタリーナと釣りを楽しんでいた。カタリーナは魔法障壁まで利用して大物を狙い、二十七センチほどのハゼを釣って勝ち誇った。しかし直後、ヴィルマが三十センチ近い巨大なハゼを釣り上げたため、カタリーナは翌朝さらに大きな獲物を狙うと宣言した。

巨大ハゼの噂

川を管理する老人から、全長二メートルほどの巨大ハゼが何十年も生きているという噂を聞き、ヴェンデリンたちも翌朝の釣りに参加した。ヴィルマは巨大魚用の頑丈な仕掛けと大ミミズを準備し、導師、カタリーナ、フィリーネも巨大ハゼを狙った。

導師が釣った猪

導師は力任せに仕掛けを対岸まで飛ばしてしまったが、その大ミミズを食べた猪が針にかかった。導師は猪を川越しに引き寄せて仕留め、フィリーネだけは魚ではないその釣果にも素直に感心していた。

大型のシロ

巨大ハゼはなかなか現れなかったものの、カタリーナをはじめ全員が大型のシロを次々と釣り上げた。ヴィルマは一メートルを超える個体まで釣り、朝食や土産には十分な量が集まったため、一行は巨大ハゼを諦めて引き上げようとした。

川のボス

最後まで釣りを続けていたカタリーナが小さなシロコを釣り上げようとした瞬間、水中から巨大な魚が現れてそれを丸呑みにした。偶然その魚にも針がかかり、カタリーナは強烈な引きに耐えきれず、ヴェンデリンが身体強化を使って竿を引き継いだ。強引に巻き上げた結果、噂どおり全長二メートルを超える巨大ハゼが姿を現した。

巨大ハゼの放流

巨大ハゼは食用にするには大きすぎ、姿にも愛嬌が感じられた。フィリーネが長年この川を見守ってきた魚なら逃がしたいと願い、導師、ヴィルマ、カタリーナも賛成したため、一行は針を外して放流した。すると、さらに一回り大きな巨大ハゼが迎えるように現れ、二匹は寄り添うように川の深みへ泳いでいった。

エルの疑念

ゲストハウスへ戻ったヴェンデリンたちは巨大ハゼを逃がした話をエルに伝えたが、導師やヴィルマまで獲物を放すとは信じがたいと疑われた。ヴェンデリンは不満を覚えながらも、フィリーネとの小旅行や豊富な釣果を含め、楽しい接待旅行だったと振り返った。

誘われなかった義父たち

領地へ戻って土木工事をしていたヴェンデリンには、エドガー軍務卿から突然連絡が入り、釣行に誘わなかったことを怒鳴られた。さらにルックナー財務卿とホーエンハイム枢機卿からも遠回しに不満を伝えられ、次回は必ず誘うと約束することになった。

王太子からの催促

最後には王太子殿下からも直接連絡が入り、帝国との講和でヴェンデリンのために働いたのだから、自分も釣行に誘ってほしかったと訴えられた。ヴェンデリンは次回必ず声をかけると約束し、王太子が意外にもこうした誘いを待っている人物だと知った。自身と似たところを感じつつ、貴族も王族の前では前世の会社員と大差ないのかもしれないと考えた。

第七話 トンネル騒動

未発見地下遺跡の探索

アーネストは魔族の国に残る古代地図を基に、バウマイスター伯爵領内の未発見地下遺跡を特定していた。ヴェンデリンたちは案内された遺跡を次々と調べたが、最初に見つかったのは古代魔法文明以前の宗教施設であり、文化的価値は高くても財宝や魔道具は残っていなかった。

考古学者の価値観

アーネストは古い文様や宗教史に強い興味を示し、財宝のない遺跡にも大きな価値を見出していた。一方、ヴェンデリンたちは実利を求めていたため価値観は噛み合わず、連続する外れ遺跡に次第に落胆した。それでもアーネストが提供した情報は王国各地で未発見遺跡の発見につながり、考古学者たちには高く評価されていた。

大縦貫トンネルの情報

成果を求めるヴェンデリンたちに対し、アーネストはリーグ大山脈を貫く古代魔法文明時代の大縦貫トンネルを提示した。金銀財宝ではないものの、人と物資の輸送に利用できれば領地に莫大な利益をもたらす施設であったため、次の発掘目標に決まった。

パウルの領地

トンネルの入口候補はパウルのバウマイスター準男爵領近くにあった。パウルたちは、開通すれば領地が交通の要衝となり、宿泊や休憩施設などで利益を得られると期待した。ヴェンデリンは発掘前に父や甥たちとも再会し、久しぶりに家族と時間を過ごした。

アマーリエとの再会

アマーリエはエリーゼたちに茶を振る舞い、互いに穏やかな態度で会話を交わした。しかし、ヴェンデリンとの関係を知る者たちの間には微妙な緊張があり、ヴェンデリンだけが気まずさを感じていた。その後、アマーリエはカールとオスカーが将来の領主教育のため実家へ預けられる予定だと明かした。

アマーリエの事情

アマーリエの父は、新たな騎士爵領を成功させるため、孫たちを早くから教育し、余剰人口の受け皿を作ろうとしていた。その一方で、アマーリエがヴェンデリンの傍にいれば子供たちへの移動も容易になるため、娘とヴェンデリンの関係も利用しようとしていた。ヴェンデリンは事情を理解したうえで、アマーリエを自分の屋敷に迎えることを決めた。

妻たちの了承

ヴェンデリンはエリーゼたちに事情を説明して頭を下げたが、意外にも反対されなかった。彼女たちは、秘密の逢瀬を続けるより屋敷で正式に管理できる方が安全であり、アマーリエ自身にも強い反感はないと考えていた。アマーリエは表向きメイド長として屋敷に入る方針となった。

トンネル入口の発掘

翌日からヴェンデリン、カタリーナ、アーネストは山の斜面を魔法で掘り進めた。大量の木々や土砂を慎重に除去し、数日かけてついに人工物を発見した。さらに掘削を続けると、一万年以上埋もれていた巨大トンネルの入口が姿を現した。

古代の巨大トンネル

トンネルはイシュルバーク伯爵と古代のアキツシマ共和国が共同建設した国家的大事業であり、極限鋼の鉄筋と特殊コンクリート、超状態保存の魔法によってほぼ完全な状態を保っていた。内部には片側五車線の道路や避難車線、魔導灯、換気設備まで整備されており、すぐに利用できる可能性が高かった。

放置された魔導四輪

トンネル内には災害時に置き去りにされた多数の魔導四輪が残されていた。アーネストは、古代魔法文明崩壊時の大災害で住民が避難し、その後入口が埋まったため車両も保存されたと説明した。車内には当時の雑誌まで残されており、エルはヌードグラビアに夢中になった。

トンネル設備の復旧

一行は約四百八十キロ進んだ地点で動力設備を発見した。アーネストが空になっていた魔晶石へ魔力を補充すると、トンネル全体の魔導灯と空調が復活した。舗装路のおかげで魔導四輪も快適に走行でき、ヴェンデリンたちは反対側の出口を目指した。

警備体制の構築

トンネルの安全確認と並行して、ローデリヒはトーマスとニコラウス率いる警備隊を派遣した。放置車両の回収、魔導四輪の運転訓練、各所への警備兵配置が進められ、重要な動力室についてはバウマイスター伯爵家が確実に所有権を確保する方針となった。

反対側の掘削

安全確認を終えた一行は、反対側の出口を塞ぐ膨大な土砂を取り除いた。掘っても土砂が流れ込む状態が続いたが、作業を重ねてついに外から光が差し込み、大縦貫トンネルは一万年ぶりに再開通した。

山奥の農村

出口の先に広がっていたのは、予想していたブライヒレーダー辺境伯領らしい都市や街道ではなく、のどかな農村地帯であった。突然山肌から現れた巨大なトンネルと一行を見た農民たちは驚き、領主へ知らせるため走り去った。ヴェンデリンたちは、自分たちが想定とは異なる土地に出た可能性を感じるのであった。

巻末おまけメイド見習いレーアの奮闘(?)日記

レーアの焦り

レーアは、帝国内乱から戻ったエルヴィンがハルカと婚約していると知り、先を越されたと動揺した。ドミニクから、ハルカはミズホ公爵家との交流を担う立場であり、エルヴィンの正妻となる予定だと説明されると、自分は側室候補なのだと理解した。それでもレーアは、久しぶりに戻ったエルヴィンとデートしたい気持ちを捨てられなかった。

新市街案内の企み

レーアは、急速に拡張したバウルブルクの新市街なら自分の方が詳しいため、エルヴィンとハルカの案内役として同行できると考えた。しかし、使いの途中で寄り道や買い食いをして町に詳しくなったと自分から明かしてしまい、仕事をさぼっていたことがドミニクに発覚して叱られた。

二人の追跡

諦めきれないレーアは、デートに出かけたエルヴィンとハルカを追いかけた。偶然出会ったように装って合流するつもりだったが、ハルカに遠くから見つけられ、エルヴィンから声をかけられた。レーアは買い物の途中だったと誤魔化し、ハルカと自己紹介を交わした。

ハルカとの同行

新市街に詳しくないエルヴィンから店を尋ねられ、レーアは搾りたてのフルーツジュースを出す店を紹介した。ハルカからも一緒に来るよう誘われ、そのまま三人で町を回ることになった。レーアは、ハルカが物腰柔らかく、自分のようなメイドにも優しく接する女性だと知り、正妻となる相手への警戒を弱めた。

発展したバウルブルク

レーアは、新しく建てられたプロテスタント教会や、ヴェンデリンの竜退治を象った銅像がある記念公園などを案内した。さらに女性に人気の小物屋も紹介し、三人は新市街を楽しんだ。レーアは夕食までご馳走になり、ケーキや石鹸、髪飾りまで買ってもらって満足した。

ドミニクの追及

夜になって屋敷へ戻ったレーアは、エルヴィンとハルカに案内して土産まで貰ったと嬉しそうに報告した。しかし本来は短時間の買い物を頼まれただけで、しかも休日ではなかった。ドミニクから長時間戻らなかった理由や高級レストランでデザートをおかわりしたことまで追及され、レーアは言い逃れできず窮地に立たされた。

八男10巻レビュー
八男まとめ
八男12巻レビュー

同シリーズ

八男って、それはないでしょう!シリーズ

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