小説【マケイン】「負けヒロインが多すぎる! 6」感想・ネタバレ

小説【マケイン】「負けヒロインが多すぎる! 6」感想・ネタバレ

どんな本?

「負けヒロインが多すぎる! 6」は、高校生活を送る主人公とヒロインたちとの複雑な関係を描くラブコメディの第6巻である。春の訪れとともに、主人公・温水和彦を取り巻くヒロインたちとの関係が一層深まり、彼の生活に大きな変化が訪れる。

負けヒロインが多すぎる!』は、雨森たきび 氏による日のライトノベル。
この作品は、第15回小学館ライトノベル大賞のガガガ賞受賞作『俺はひょっとして、最終話で負けヒロインの横にいるポッと出のモブキャラなのだろうか』を改題・改稿し、ガガガ文庫(小学館)にて2021年7月から刊行されている。
イラストはいみぎむる 氏が担当。

また、『マンガワン』(小学館)にて、いたち 氏によるコミカライズ版が2022年4月29日から連載中。『裏サンデー』(小学館)でも同年5月6日より連載されており。
2024年7月からテレビアニメが始まる。

物語は、自称「背景キャラ」の主人公・温水和彦が、ある日偶然クラスの人気女子・八奈見杏菜が同級生で幼馴染の男子生徒に振られている現場を目撃してしまうところから始まる。
それ以降、和彦は杏菜を含めた複数の負けヒロインたちと関わっていくこととなる。
この作品は、そうした「負けヒロイン」たちと、彼女たちを友人として見守る主人公による、青春ラブコメディ。

読んだ本のタイトル

負けヒロインが多すぎる! 
著者:雨森たきび
イラスト:いみぎむる

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あらすじ・内容

檸檬の退部危機に、温水は――?

先輩たちが卒業していく、春。

焼塩がこっそりと俺に耳打ちする。
「ぬっくん。あたしとデートしよっか」

……まさか、自分の高校生活にそんなイベントが起こるとは。
竹島水族館での初デート、やっかい娘たちとの攻防。

けど、そのときの俺は分かっていなかった。焼塩の抱えるもの、心の揺らぎ。
そしてまさか、彼女との“退部をかけた”100m一本勝負が待ち受けているなんて――。

大人気負け確ラブコメ、第6弾。――こんがり娘が運ぶ、春の嵐。

負けヒロインが多すぎる! 6
ガガガ文庫公式チャンネル-ガガガch!!!

檸檬の退部危機

主人公・温水和彦は、高校生活を楽しむ文芸部の一員であるが、ある日、檸檬から退部の相談を受ける。
檸檬は部活のプレッシャーや自身の将来について悩んでおり、部活を辞めようとしていた。
しかし、焼塩は温水和彦にデートの誘いをして彼の気を紛らわそうとする。

デートと心の揺らぎ

焼塩との初デートは竹島水族館で行われる。
焼塩はデートを通じて自分の気持ちを整理しようとし、温水和彦に心の揺らぎを見せる。
彼女は退部をかけた100メートル走の勝負を温水和彦に提案し、彼らの関係はさらに複雑になる。

放課後の出来事

放課後、スーパーマーケットでバレンタイン商戦の売れ残りチョコがホワイトデーコーナーに移されているのを見て、温水和彦は幼少期の思い出を回想する。
そこで同級生の八奈見杏菜と出会い、買い物を始める。
八奈見は温水和彦が志喜屋先輩に興味があるのではないかと疑い、二人の関係について問いただすが、温水和彦は否定する。

100メートル一本勝負

檸檬との100メートル走の勝負の日が来る。
温水和彦は多くの友人たちのサポートを受けながら、勝負に挑む。結果的に、檸檬は勝利を収め、彼女の決断に変化が生じる。
彼女は陸上部と文芸部の両方を続けることを決意し、全力で取り組むことを誓う。

卒業と新しい出会い

先輩たちの卒業が迫る中、温水和彦とヒロインたちはそれぞれの道を進む。檸檬の心の揺らぎや、焼塩とのデート、100メートル走の勝負を経て、温水和彦は新たな気持ちで新学期を迎えることになる。
彼らの関係がどう変わっていくのか、次巻への期待が高まる。

感想

今回の巻では、温水和彦を取り巻くヒロインたちとの関係がより一層複雑化し、彼の成長と共に描かれている。

まず、檸檬の退部危機が大きな見どころである。
文芸部に所属する温水和彦にとって、檸檬の退部は大きなショックであった。
しかし、檸檬が自分の将来に悩む姿は、共感できる部分でもある。
焼塩とのデートを通じて見せる温水和彦の優しさや、100メートル走の勝負に対する真剣さが、彼の成長を感じさせた。

また、放課後の出来事で描かれる八奈見杏菜とのやり取りも印象的であった。
温水和彦が幼少期の思い出を振り返るシーンや、バレンタイン商戦の売れ残りチョコがホワイトデーコーナーに移される場面は、細やかな感情描写が光っていた。
八奈見との会話から浮かび上がる、温水和彦の心の内側が丁寧に描かれており、彼の人間味をより深く感じることができた。

特に感動的であったのは、檸檬との100メートル一本勝負であった。
多くの友人たちに支えられながら挑む温水和彦の姿は、彼の決意と努力が伝わって来た。
檸檬が勝利を収めることで、彼女自身の決断に変化が生じ、陸上部と文芸部の両立を誓う姿は感動的で、彼女の成長も感じられた。

先輩たちの卒業が近づく中、温水和彦とヒロインたちの関係は新たな局面を迎える。
檸檬の心の揺らぎや焼塩とのデート、100メートル走の勝負を通じて、温水和彦は新たな気持ちで新学期を迎えることになる。
彼らの関係が今後どう変わっていくのか、次巻への期待が高まる。

この作品は、キャラクターたちの成長や彼らの複雑な関係性が巧みに描かれており、高校生活の青春を楽しむ人に特におすすめ。
温水和彦の成長やヒロインたちとの絆が温かく描かれており、感情移入しやすい内容となっている。
ユーモアとシリアスの絶妙なバランスが取れた本作は、最後まで読者を引き込む魅力に溢れていて。
次巻の新しい展開(二年生編?)が楽しみである。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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負けヒロインが多すぎる! 6巻

その他フィクション

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備忘録


放課後、スーパーマーケットでバレンタイン商戦の売れ残りチョコがホワイトデーコーナーに移されている。
主人公は、ひな祭りの商品を見ながら、幼少期の思い出を回想する。
そこで文芸部の同級生、八奈見杏菜と出会い、買い物を始める。
八奈見は主人公が志喜屋先輩に興味があるのではないかと疑い、二人が「恋人を作らない同盟」の一員であると指摘するが、主人公はそんな同盟の存在を知らない。

二人は月之木先輩の依頼でお菓子とジュースを買いに来ており、八奈見はカップ麵も買うべきかと提案する。
彼女はカップ麵を和食の一部として考えているようだが、最終的にはたい焼きと団子を買うことにする。
レジで、八奈見は月之木先輩が彼らに買い出しを依頼した理由を問う。
月之木先輩は大学受験で5つの大学に不合格となり、残り1つにも望み薄であることが明らかになる。
八奈見は、これがお祝いではなくヤケ食いのための買い出しであると結論づける。
二人は月之木先輩の浪人生活を優しく支えることを決める。

1敗目  潮風の告白

ツワブキ高校文芸部の部員たちは、西校舎の部室に集まっている。
部室に向かう途中、主人公と八奈見は、その日は楽しい話題だけを話すことに合意する。
部室では、小鞠が飾り付けをしており、古い仲間である月之木古都が久しぶりに訪れる。
月之木は卒業を控え、視力の問題で一時的にコンタクトレンズを試みたが、結局は眼鏡をかける。
彼女が大学に合格したことが明らかになり、主人公たちは彼女の合格を祝う。
その中で、小鞠は玉木慎太郎の受験がうまくいくことを願っている。
一方、月之木は、卒業後の新しい生活について考えており、部室での時間を楽しむ。
その後、焼塩が登場し、主人公にデートを提案する。

自宅に帰宅すると、主人公は階段を上がりながら焼塩からのデートの提案を思い返す。
部屋に入ると、佳樹がメジャーを手にしており、主人公の帰宅を歓迎する。
彼は主人公のブレザーを脱がせながら、夕食がブリ大根であることを告げる。
佳樹は部屋の模様替えを考えており、自分のベッドを主人公の部屋に置くことを提案するが、主人公はそれを拒否する。
過去のバレンタインデーには、佳樹と少し問題があったが、兄妹は互いを理解し合うようになる。
主人公はデートの服装について考え、虫に食われたり風で飛ばされたりした服について佳樹と話す。しかし、デートの予定を佳樹には伏せる。

日曜日、豊橋から快速で蒲郡駅近くの竹島水族館に到着した主人公は、焼塩にデートに誘われた理由を自問自答していた。
通常のデートとは異なり、一対一で密かに水族館へ行くこのシチュエーションに、主人公はただ焼塩の気分転換に付き合っていると結論づける。
しかし、水族館に着くと、焼塩の姿に一瞬気圧される。
焼塩はタイトなミニスカートとゆったりしたニットを着ており、そのスタイルが際立っていた。
二人が会話を交わす中、焼塩は主人公を引っ張りながら入場券を買うことを提案する。
主人公はこのデートが本気であることを認め、焼塩のデートの誘いが遊びではないことを悟る。

竹島水族館の展示室は一階部分のみであり、小さな空間であるが、人気の理由は職員による手書きのユニークな説明文にある。
特に食レポが評価されており、訪問者は魅力を感じている。焼塩はウツボの水槽に特に興奮し、多様な種類のウツボが展示されていることに驚いた。
水族館を進むにつれて、二人は生物の多様性について軽く話をする。
中央の通路には大きな水槽が設置されており、その上からも海の生物を観察できる。
焼塩と並んで見る中、静かな時間が流れ、二人は昨年の夏の出来事を思い出す。
焼塩の姿や香りに心が動かされる中、彼女のイヤリングが水面の光に反射して輝いていた。
二人は水面に映った互いの姿を見ながら、その場に静かに立ち続けた。

焼塩と共にカピバラの展示を眺めていると、彼女は昨年の夏の夜に二人で行った場所を思い出すと語り始める。
その夜は焼塩が綾野と話すために約束された場所へ向かうために共に歩いた夜であり、その思い出は彼女にとって重要なものとして残っている。
焼塩はその時の感情を現在も大切にしており、新たな恋には容易に進めない心情を持っている。
焼塩の視線は時折彼を感傷的な思考から引き戻し、二人の間にはちょっとしたからかいも交じる。
焼塩は得意げにポイントを数えつつ、ひょうきんな勝負を繰り広げる。
周囲の視線を感じつつ、焼塩とのやりとりは一時の騒ぎとなるが、最終的には焼塩が勝利を主張する。
デートの楽しさを新たに知り、二人は次の展示へと向かう。

人生初のデートを楽しんでいる様子が描かれている。
デート中のある時点で、彼は焼塩の姿が見えないことに気付き、深呼吸をして自分を落ち着かせる。
この間、焼塩とは幼稚な遊びを楽しんでいるが、そのことが二人の関係を親密にしていると感じている。
その後、焼塩は彼の視界に再び現れ、アシカショーを観るために屋外スペースに移動する。
ショーを見ている間、焼塩は子供のように興奮し、彼もそれに応える。
ショー後、焼塩は突然電話をすると言い出し、彼を一人残して去る。
その後、彼は焼塩が座っていた場所に落ちていた紙を拾い上げる。
それはデートのステップが書かれたもので、焼塩がデートに真剣であることを示していた。
最終的に二人は水族館で再び会い、目と目を合わせる遊びをする。
この一連の出来事は、彼らの関係がさらに深まっていることを示している。

焼塩とのデートは続いており、彼らは水族館のタッチコーナーを訪れている。
タッチコーナーにはタカアシガニがおり、彼はその大きさに驚いている。焼塩は彼の手を掴み、タカアシガニに触らせる。
その後、彼女は彼に以前見たデートのメモについて尋ねるが、彼は見たことを否定する。
続いて、オオグソクムシの展示に向かう提案があり、焼塩は彼を引っ張って行こうとする。
その途中、土産物売り場で聞こえた声が八奈見のものだと感じ、二人は声の主を探すが、見つけることができない。
その後、星の砂が入ったキーホルダーに興味を示すが、結局は購入しない。
エサやりコーナーで、二人はウミガメにエサをやりながら、焼塩は彼に今日のデートの重要性を再確認させる。
彼女は彼とのデートを重視しており、他の人の存在を気にせずに二人の時間を楽しむことを望んでいる。

水族館近くの住宅街で、焼塩と共に車の陰に身を隠している。
八奈見の声が聞こえ、さらに月之木と他の声が加わり、計画を練っている様子である。
やがて、他の声が遠ざかり、焼塩が立ち上がる。
焼塩はデートがまだ終わっていないと述べ、彼を引き留める。

次に、水族館近くの「竹島」という島への橋を渡っている。
焼塩は先を急ぎ、彼を急かすが、彼は疲れている様子である。
焼塩は神社への階段を登ることを提案し、彼を引っ張って進む。
彼は現実感が薄れる中、鳥居をくぐり階段を見上げるが、喫茶店の存在を期待しつつも、焼塩に拒否される。
彼が何か言う前に、焼塩は階段を駆け上がり始める。

階段を上りきった後、疲れ果てた彼は焼塩に押されて走り、息を切らしていた。
二人が八百富神社に到着し、彼は玉木先輩の合格を祈願し、焼塩は特に願い事をしなかった。
彼が他の女の子の話をして焼塩を怒らせる一幕があったが、すぐに彼女の機嫌は直った。
その後、焼塩は焼塩が願い事をしない理由を明かし、彼と一緒に境内を散策した。
焼塩は、文芸部に出席できなくなり、部活動が楽しくなくなっていると彼に打ち明けた。
最後に、彼女は彼に一緒に帰宅部に入ることを提案し、真剣に考えてほしいと伝えた。

Intermission  
私の目はごまかせません


JR東海道本線特別快速大垣行に乗車していた温水佳樹は、最愛の兄がデートに向かっていることに興奮気味であった。
彼女は兄がデートと認めなかった過去を持ちながらも、今回は「デート」がスマホの検索履歴にあったため確信していた。
彼女はデートの準備として父に勧められた服を選び、コーディネートも完璧に整えたが、デートの相手が誰かは分からなかった。
しかし、八奈見ではないことを確認し、小鞠か他の誰かだと考えていた。
蒲郡駅に到着し、黄色のパーカーを着た小鞠を発見し、彼女がデート相手であると推測した。
その場には八奈見も現れ、彼女たちがデートを監視しに来たことを明かした。
さらに、元副部長の月之木も加わり、彼女たちは温水のデートを楽しむ姿を監視することにした。
佳樹はこの状況を受け入れ、彼女たちと一緒に行動することを決めた。

2敗目 
涙の数だけ湿っぽい

休み明けの月曜日、教室は重苦しい雰囲気に包まれていた。
担任の甘夏が友人の恋愛話を始め、クラスメートたちはその話を聞いていた。
その中で、焼塩は窓際で他のことに気を取られていた。
甘夏は自分の恋愛経験と友人の成功を比較し、その不公平さについて話していた。
彼女の話は長引き、ついには枝毛を探し出す場面まで至った。
しかし、甘夏は3月と卒業式を前に、生徒たちに向けて暖かい言葉を残し、クラスが変わることを伝えた。
その後、HRが終了し、主人公は焼塩に話しかけたが、会話はうまく進まず、お互いに緊張した様子であった。
その場面をクラスメイトが静かに見守っていた。

学校から離れたファミレスにて、主人公は震えながらコーラを飲み、大盛りポテトを食べていた。
向かいには笑顔の姫宮と白目がちな八奈見が座っている。
姫宮は主人公と焼塩の会話について詳しく知りたがっており、主人公に圧力をかけている。
八奈見との関係性が話題に上がると、誤解が生じ、姫宮は主人公が八奈見と交際していると思い込んでいたが、実際にはそうではないということが明かされる。
その後、昨年の出来事についての誤解が指摘され、八奈見と主人公の間で認識の違いについての議論が交わされる。
結局、姫宮による判断を求める展開となり、八奈見は文芸部も関与していることから、第三者として小鞠の意見を求めることになる。
その時、店内の観葉植物の後ろで隠れていた小鞠が姫宮と初対面であることが判明する。

ファミレスにて、主人公は小鞠と共に食事しているが、小鞠は姫宮の強烈なキャラクターに圧倒されている。
姫宮は自己紹介後に乾杯を提案し、小鞠は緊張しながらそれに応じる。
八奈見は小鞠が緊張していることに気付き、彼女を気遣う。
一方、八奈見は小鞠にスマホでの会話を試みさせるが、小鞠はその場に適応しようと奮闘している。

八奈見は、主人公に対して焼塩との関係について問いただし、デートではなかったかと問題提起する。
主人公はただの相談だったと反論し、さらに焼塩が陸上部も辞めようとしていることを明かし、これに八奈見は驚く。
議論は焼塩のスポーツへの才能がもったいないという点に集中し、最終的には小鞠が場の雰囲気を和らげる。

食事中の出来事は結局、各々が焼塩との対話を試みることで解決を図る方向で一致する。
しかし、主人公はこの集まりで無実を証明しようとするが、八奈見は引き続き彼の行動を監視する姿勢を見せる。
最終的には、彼らは友好的に別れ、主人公は孤独に帰路につく。

豊橋駅南口広場で、主人公は謎のツワブキ女子とともにコーヒーショップで向かい合う。
店が交番の隣であるため、何かあった場合の安全を確保しやすい立地を選んでいる。
彼女は小柄でスポーツをしているような体型で、二層のイチゴとヨーグルトのドリンクを飲んでいる。
その後、彼女は突然、色仕掛けを試みたと発言し、周囲の10名程度の人々がそれを支持するかのように立ち上がり、主人公にエールを送る。

その女子は、陸上部部長の倉田であり、彼女は髪型を変えて主人公に自己紹介する。
突然のことに主人公は困惑するが、倉田は彼と焼塩が何かしらの関係にあると疑っており、彼女との関係について詳しく知りたがっている。
彼女は主人公を「色仕掛け」で試そうとしていたが、実際は部員たちと共に彼の行動を監視していた。

主人公は倉田と個別に話すことを提案し、彼女もそれに応じるが、会話はすぐに恋愛的なものへと誤解される。
主人公は自分と焼塩がただの友人であることを強調し、倉田はそれを信じることを決め、周囲の部員たちにも彼を詰め寄らないよう指示する。
最終的には倉田と主人公が店を出て、個別に話を進めることになる。

豊橋駅の西口である西駅界隈は、送迎車が並ぶ時間を除き、人通りが少なく静かである。
この一角で、主人公は倉田と歩きながら話をしている。
倉田は焼塩が男友達と親しくなったことから、部活を辞めるのではないかと誤解し、主人公を疑っていた。
主人公は、陸上部に顔を出していたことを認めるが、恋愛関係にはないと説明する。
倉田は恋愛禁止でない陸上部について触れ、焼塩が恋愛で問題を抱えるタイプではないかと危惧する。
また、主人公が浮気をしていると思われたことから、倉田は彼を焼塩から守るための行動を起こしていたことを認める。

倉田は、焼塩が陸上部だけでなく、文芸部も辞めることを提案したため、主人公と焼塩が共に部活を辞める計画を立てているかのように見えた。
これに対し、主人公は焼塩のためを思って倉田に相談していたと説明する。
その後、倉田は笑ってその考えが焼塩らしいと述べ、自身が陸上部を離れ中距離に転向した経緯を話す。
二人が話を終え、倉田が去る際には、主人公が焼塩に関して何か言うかどうかを尋ねるが、倉田は焼塩のファンであると答え、去っていく。

文芸部活動報告  
~特別号  小鞠知花『或る面白い女』

ファリア王立魔法学園の卒業パーティーは、豪華な館での舞踏会として開催された。
太宰は隣国のザーヴィット魔法学園の教師として、三島と共に参加していた。
太宰はこの場の皮肉を感じつつ、教職に就いている自分について考えていた。
その後、太宰と三島は、広間で踊っていた人々が散っていくのを見ながら、ドレスを着た少女と軍服の男、ギュスターが婚約破棄を宣言する場面に遭遇する。
この出来事は太宰に興味を引かせ、二人はその様子を近くで見ようと移動する。

シルヴィアと呼ばれる女性がギュスターの婚約破棄に対して、具体的な悪行の記録や調査書を要求し、それがないことに苛立ちを見せる。
この一連のやり取りが展開される中、シルヴィアはギュスターに婚約破棄の正しい手順を教えることを決意し、一緒に去る。
太宰はこの興奮するような出来事に呼応して、自分も何か新しいことを始めるべきだと感じ、教師を辞めて旅に出ることを決断する。
三島には教師を続けることを勧めながら、自分の旅の支度のための路銀を工面してもらうよう頼む。
この提案に三島はため息をつきながら承諾する。〜

その日の晩、文芸部の新歓計画について考えていた男は、部活紹介での事故を懸念し、八奈見に紙袋をかぶってもらうアイデアを思いつく。
その際、佳樹が突然現れて手当てを気にかけるが、男は風呂上がりに貼り直すと返答する。
佳樹は編み物に取り組んでおり、小さな靴下を作っていることが明らかになる。
佳樹は冗談交じりに自らを「佳樹ママ」と称し、男が焼塩さんと恋愛関係にあると勘違いしている。

この誤解に基づいて、佳樹は男と焼塩さんが恋人同士だと想像しているが、実際は男が岩場から落ちそうになったのを焼塩さんに助けられただけである。
男は佳樹の誤解を解こうとするが、佳樹はその誤解を楽しんでいるようだ。
このやりとりは、佳樹の想像力豊かな性格と男の日常に対する彼の反応を示しており、佳樹の無邪気さと男の現実的な対応が対照的に描かれている。

卒業式の朝、青い空の下で主人公は八奈見と東門前で出会う。
二人は在校生として卒業式のセンチメンタルな気分を共有し、主人公は八奈見に部活の集まりへの参加を誘う。
八奈見は、バスケ部の元キャプテンとの最後に
会いたいという要望を受け、断ったことを話す。
主人公は昼食の計画を考えつつ、八奈見の話に気を取られず、彼女の話題に関心がないことを気づかれる。

その後、二人は信号が変わり横断歩道を渡り、学校に向かう。
八奈見は卒業式で主人公が泣くかもしれないとからかうが、主人公は自分の性格を弁えて否定する。
そして、主人公は卒業式での自分たちの先輩たちの名前が呼ばれるのを聞きながら、自身の卒業式での感情を想像する。

式は順調に進み、卒業生の名前が次々と呼ばれる中、八奈見は感情に流されて涙を流す。
主人公は八奈見の感情に気を留めつつ、在校生代表の祝辞を聞き、卒業生たちへの別れの寂しさと名残惜しさを感じる。

卒業式が終了し、教室での最後のホームルームが行われる。
甘夏先生は、生徒たちに対して感慨深い表情を見せつつ、過去に自分が卒業式で男子生徒に連絡先を求められたエピソードを話す。
しかし、その話が進むにつれ、実際には彼らが別の女生徒に興味があったことに気づき、失望する。授業が終わり、生徒たちは教室を後にする。
主人公は八奈見と別れてから、卒業生が集まるユリノキの並木道に向かうことにする。
途中で袴田と会い、文芸部として小説を書いていることについて話をする。

その後、袴田は卒業生のボタンをもらう習慣について説明し、カップルであればリボンとボタンを交換することもあると教える。
主人公はこの風習に驚きながらも、卒業生たちが写真を撮ったりしている様子を見て、知り合いを探す。その中で、焼塩が目立たないようにしていることに気付く。

その後、古都は焼塩と会話を交わし、自分の過去の失敗や学生生活について語り合う。
古都は焼塩に自分の意思で行動するよう励ますとともに、後輩としての焼塩の成長を見守る決意を新たにする。
最後に、古都は焼塩を送り出し、彼女が自分の道を進むことを願う。

校舎を出た主人公は、卒業生でにぎわうユリノキの並木道を眺める。
そこでは様々な生徒が写真を撮り合ったり、校歌を歌ったりしていた。その中で、玉木先輩が現れ、彼は疲れた様子で主人公に声をかける。
玉木先輩は既にクラスの生徒たちと写真を撮り終えており、これから部室に行くと語る。
彼は第二ボタンがないことに気付かれ、苦笑いする。
それは知らない一年生の女子生徒が記念に欲しがったためである。
一方、玉木先輩は彼女とボタンの交換を忘れていたために焦り、主人公に代わりのボタンを求める。
主人公は玉木先輩のボタンを付け替える手伝いをするが、その間に不思議な感情に駆られる。
天愛星さんが何か用事があるかのように見えたが、主人公にはわけが分からず、その場を去る。
最終的に、玉木先輩と一緒に部室に向かうことになる。

ツワブキ高校の旧校舎にて、焼塩との待ち合わせが行われた。
非常階段にて二人が対面し、校舎から見えるグラウンドを背景に、焼塩の進路についての心境が語られる。
彼女は陸上部のエースとして期待されているが、自身の将来について疑問を感じており、部活を辞めようかと考えている。
彼女は競技を続けることの意義を見出せずにいるが、同時に他の選手への影響も気にしている。
最終的には、部活動を辞めることを決意しており、普通の学生生活を望んでいる。
彼女は一人で全てを決断することに不安を感じており、主人公に同じ道を歩むことを望んでいる。
しかし、主人公は彼女の決断に疑問を投げかけ、彼女が真に望んでいることを見極めるように促している。

Intermission  青くて赤い春

ツワブキ高校の保健室から出てきた月之木古都は、保健室で鼻血を出した馬剃天愛星の世話をしていた。
養護教諭の小抜小夜は古都と軽く会話を交わし、古都が学校を去ることについて話す。
その後、古都は校舎を後にし、偶然志喜屋夢子と出会う。
志喜屋は古都と写真を撮りたいと申し出、二人で生徒会室に向かう。
生徒会室での記憶を振り返りながら、二人は手を繋ぎ、古都は志喜屋に名古屋への招待を申し出る。
志喜屋は古都と一緒に寝ることを提案するが、古都はそれを断り、代わりにホテルを用意すると提案する。
最後には、生徒会室に向かい、放虎原ひばりの来訪を予期しながら会話を終える。

3敗目 サヨナラの季節

晴れた土曜日の昼下がり、豊橋市の陸上競技場で、温水は八奈見と共に特訓に励んでいた。
焼塩との100メートル走の勝負に向けて準備を進めるためだ。
温水がゴールしたときのタイムは16秒5で、目標である14秒5には程遠い。
八奈見はその進捗に疑問を持ち、温水はハンデがあるため問題ないと答える。
勝負は、温水がスタートしてから2.5秒後に焼塩がスタートし、先にゴールした方が勝ちとなる。

その後、小鞠が特訓の支援として手作りドリンクを持ってきたが、温水は疲労が限界に達しており、八奈見と小鞠に厳しいトレーニングを強いられた。
最終的にベストタイムは改善されず、温水は疲れ切って帰路につく。

その帰り道、温水は老舗の和菓子屋「大正軒」で綾野光希と会い、みたらしだんごを食べながら焼塩との関係や過去の出来事について話し合う。
綾野は、小学生時代に焼塩が競技に出続けていたエピソードを語り、それが今回の勝負にどう影響しているのかを考察する。
最後に朝雲千早が突然現れ、温水はその場を後にした。

月曜日の放課後、温水と八奈見は陸上部の練習を眺めていた。
特に短距離練習の様子に注目し、焼塩の姿は見えなかった。
八奈見は陸上部の友達にアドバイスを求めようと提案し、一方で、長い羊羹を丸ごと食べ始めた。
この行動には温水も驚いたが、八奈見はトレーニングに参加したと主張し、ダイエットの言い訳としていた。
最終的に羊羹を食べ過ぎて気分が悪くなり、温水はお茶を買いに行くことにした。

その後、倉田部長と出会い、彼女は温水が焼塩との勝負をすることを知っていた。
彼女は短距離のコーチを申し出たが、温水は焼塩が陸上部に戻りにくくなるのを避けたいと断った。
最後に八奈見は羊羹を残りを温水に戻し、温水はそれを受け取った。

翌日、雨が降る中で温水は現代文の授業に出席していた。
授業中、夏目漱石の『こころ』を学び、その中に含まれる複雑な人間関係について考えていた。
月之木先輩が残していったユニークな付箋を発見し、過去の記憶に思いを馳せながら、その付箋を取り扱った。
授業が終わると、文芸部員として知られる温水に、文芸関連のイベントのチラシが手渡された。
これには様々な高校生向けの文芸イベントが紹介されていた。

その後、教室で小鞠が突然涙を流し始め、八奈見が介入して状況を落ち着かせた。
小鞠は、玉木先輩の大学合格を喜んでいたことが涙の理由だった。
三人はこの喜びを共有し、放課後はお祝いの買い物に行く計画を立てた。
授業と個人的なドラマが交差する一日であった。

翌日の朝、温水はツワブキ高校のグラウンドでトレーニングを行っていた。
生徒会長の放虎原ひばりがコーチとして指導することになり、天愛星と桜井も同伴していた。
温水はウォーミングアップ後にタイムを測定し、以前よりタイムが落ちていたことを知る。
放虎原は温水の身体をチェックし、今後のトレーニングプランを提案した。
この計画には、初期の段階で筋力と体力の向上を目指し、走りの練習は後半に集中させることが含まれていた。

その後、温水は教室に戻り、八奈見と再会し、小鞠も現れた。
小鞠は温水にドリンクを渡すべきだったが、八奈見に渡してしまい、その後状況は少し気まずくなった。
トレーニングの日は朝から活動的であり、学校でのさまざまな対人関係も描かれていた。

その晩、自室でストレッチをしている温水の前に佳樹が現れた。
佳樹はホワイトデーのお返しとして、ヨーロッパの伝統菓子を含む贈り物を温水に渡した。
温水は礼を述べ、バレンタインの義理チョコについて考えていた。
その後、佳樹は温水のトレーニングを手伝うことを申し出て、二人で腹筋運動を行った。
佳樹は温水のスポーツに興味を示し、佳樹自身も洋裁を始めたことを話し、ベビーウェアを作りたいと述べた。
温水はそれを自分の時にとっておくように提案した。

金曜日の放課後、部室で温水は八奈見にホワイトデーのお返しとしてラッピングされた3つの袋を渡した。
八奈見は感嘆しながら、佳樹が作った砂糖菓子を試食し、美味しいと評価した。
二人はお菓子の名前を当てるゲームを行い、楽しい時間を過ごした。
小鞠が部室に現れ、温水を「敵」と宣言するが、場の雰囲気は和やかであった。
八奈見が持参した市販のクッキーも美味しいと好評で、小鞠も手作りのクッキーを持ってきた。
その後、八奈見と小鞠はお菓子を食べながら、温水が会長のトレーニングに励んでいることを話題にした。
温水は会長とのトレーニングが順調であることを説明し、筋トレのメニューを増やすなど努力している様子を伝えた。
ホワイトデーの日、温水は焼塩の家にお菓子を届けに行くが、気まずさを感じつつも焼塩の母に出迎えられた。

温水は焼塩檸檬の母親の家を訪れたが、焼塩檸檬は走りに行っており、温水は彼女の母親とリビングで対面した。
温水がホワイトデーのお菓子を渡すために来たことを説明し、彼女の母親は温水に紅茶とケーキを提供した。
焼塩檸檬が帰宅するまでの間、二人は会話を交わし、温水はその場を離れようとしたが、焼塩母は彼を留めた。
焼塩檸檬が帰宅すると、突然の彼の存在に驚いたが、母親は外出し、二人をリビングに残した。
気まずい雰囲気の中、ケーキを共有しながら、トレーニングや生徒会長との関係について話し合った。
その後、焼塩の妹と八奈見が現れ、場の雰囲気はさらに複雑になった。
八奈見は温水との関係を探る中で、二人の関係について冗談交じりに問い詰めた。
このやり取りを通じて、焼塩と温水はお互いの立場と感情について探り合うが、結局、お菓子のシェアが友情の一環であることを再確認した。

Intermission  
お付き合いには順番が大切です

豊橋駅ビル内の衣料品店を歩いていた温水佳樹と権藤アサミが、子供服の店頭で会話を交わしていた。
佳樹は子供服を見ながら、将来的にどんな服が自分に合うかを想像していたが、権藤は佳樹がすでに子供服のサイズを超えていることを指摘した。
佳樹は、自身の兄が恋人を得たことで、将来自分がおばになると話し、さらには兄の子供の面倒を見る覚悟を表明した。
この話に権藤は当惑し、今からその準備をする必要があるのかと問いただしたが、佳樹は子供の世話をすることを楽しみにしており、エア抱っこをしてその気持ちを表現していた。
権藤はこの状況に戸惑いつつも、佳樹の想像に対して理解を示そうと努めた。

4敗目 焼塩檸檬という女

八奈見からの敵対宣言から5日後、三学期の終業式が行われた。
通知表を受け取った生徒たちは次第に静かになり、甘夏先生は生徒たちが次年度には新しいクラスで出会うこと、そして新しいクラスに対する不安について話し始めた。
甘夏先生は教え子たちに対する感情を表に出し、生徒たちもその雰囲気に引き込まれた。
その後、教室では八奈見杏菜が登場し、クラスメートとの別れや新しいクラスでの変化について話し合い、クラス替えの噂についても言及した。
彼女はクラスが変わることによって起こる恋愛の変動を予想し、その中での自身の立場を冷静に分析した。

終業式の日に、グラウンド脇のプレハブでトレーニング機器を使用して筋トレをしていた。
会長の指導のもとで厳しいトレーニングをこなし、その後、足の筋力を鍛えるマシンでレッグカールを行った。
会長は、過去に中学時代の陸上大会で焼塩と対戦し、彼女の卓越した能力について語った。
その会話から、焼塩が文芸部を選んだ理由に会長が関心を持っていることが明らかになった。
トレーニングを終えた後、会長は自身も陸上のユニフォームに着替え、一緒にトレーニングをすることを提案した。
目標タイム14秒5で、次回のトレーニングから彼と一緒に走ることになった。

本格的なトレーニングが始まって5日目、彼は豊橋駅近くの喫茶店で午後のトレーニング計画を考えていた。
そこへ月之木先輩が現れ、近いうちに引越しすることを告げ、新しい住所のカードを渡した。
会話の中で、彼女は彼と焼塩の関係について軽く言及し、冗談めかして焼塩に恋愛感情があるかもしれないと示唆したが、後にそれはただの冗談だと訂正した。
彼はこの会話をクリームソーダを飲みながら静かに聞いていた。

勝負前日、彼は無関係の中学校のグラウンドで軽いトレーニングを行い、その後は放虎原会長の自宅で合宿をすることになった。
会長の自宅は和風の古い建物で、彼らはそこでリラックスして過ごしたが、天愛星さんが料理をしている間に小さなアクシデントがあったようだった。
彼は少しの間、日常生活のポンコツさを垣間見ることになった。

早くも夕食を終えた彼は、天愛星さんと一緒に食器を洗っていた。
天愛星さんは料理をすることに驚くが、彼は両親が共働きであるため料理を少しすると答えた。
事故で料理を一から作り直す羽目になったが、巻かないロールキャベツやきんぴらなどを作った。
その後、会長の提案で彼と桜井君は一緒に風呂に入ることになり、天愛星さんはこれに大きく反対するが、結局は会長と一緒に入ることに同意した。

風呂の中で彼は桜井君と交代で身体を洗い、二人で湯船につかる。
会長が高校で生徒会を選んだ理由や、彼女が陸上を辞めた背景について話す。
彼らは焼塩のことを話し合い、桜井君は会長が焼塩にとって特別な存在であることを示唆する。
彼らはお互いに感謝の意を表し、お互いの役割を交換する冗談を言い合ったが、最終的にはそれぞれの役割を維持することに同意する。

本番を前にした作戦会議が行われた。
和室で行われる会議には、湯上がりの香りとともに、緊張感が漂っていた。
放虎原会長はパジャマ姿で髪を結い、天愛星さんは風呂でのぼせたために畳に横になっていた。
また、志喜屋さんがベビードールと似た寝間着を着て入ってくる一幕もあり、天愛星さんが動揺するシーンがあった。

会議では、放虎原会長がプロジェクターを使ってこれまでの走りを振り返り、特に終盤のフォームの崩れが課題とされた。
息を止めてラストスパートをする戦略が提案され、本番ではラスト5mで息を止めることが決定された。
さらに、放虎原会長は目標タイムをすでに超えていることを明かし、明日の勝負に向けて早めに休むことにした。

夜中に目を覚まし、不安を感じながらも、会長の家では鍵をかけないことが思い出される。
彼は外に出ることを決意し、ゆっくりと玄関の扉を開けた。

深夜に散歩をし、隣県から続く長い砂浜の一部である表浜海岸に立った。
砂浜には白い壁状の構造物があり、そこにはマンガの吹き出しのような雲形の穴が開いていた。
星が美しく輝く夜空を見上げると、穴のフチに白い手が現れた。恐怖に固まるが、声を聞いて安心し、向こう側に回り込むと、志喜屋さんが座っていた。
夜空を一緒に眺めながら、彼女と静かに過ごす時間を楽しんだ。

話は変わり、志喜屋さんが帰る途中で急な坂を登るのが困難であることが明らかになり、彼女がおんぶを要求する。
苦笑しながらもおんぶをすることで合意し、その後は問題なく帰宅することができた。

3月27日の土曜日、午前8時にツワブキ高校のグラウンドで、俺と焼塩の間で約20日間の準備期間を経て決着をつける勝負が行われた。
俺は一人で現れ、焼塩はチームの3人と共に登場し、八奈見が挑戦的な視線を向けてきた。
八奈見は会長との関係を疑い、邪魔をするが、小鞠に制される。
俺と焼塩は互いに負けないと意気込み、スタート地点に立った。

スタートの合図はスマートフォンのアプリを使用し、「オンユアマークス」で準備し、「セット」で構え、ピストルの音で走り出すことになった。
焼塩は2.5秒後にスタートし、先にゴールした方が勝者となるルールだった。

走り始め、最初はリードを保っていたが、焼塩の追い上げを感じ、最終的にはゴールラインをほぼ同時に通過した。
結果は小鞠のスマートフォンで確認される中、疲労と緊張で意識が朦朧とする中、焼塩が俺に酸素缶を渡そうとしたが、それが額に直撃し、俺の視界は再び白く染まった。

焼塩との競争後、意識不明の状態でツワブキ高校の保健室に運び込まれた。
意識を取り戻すと、焼塩がそばにおり、投げた酸素缶が原因で倒れたことを告げられる。
焼塩は全体の状況を説明し、彼女が勝ったことが示唆される。
勝利後の計画として、彼女は陸上部と文芸部の両方を続けることを決意し、それ以上に全力を尽くすことを誓う。また、短距離走から中距離走への転向も発表される。
彼女は部活以外の青春は求めておらず、全国大会での優勝を目指していることが明らかになる。

文芸部活動報告  
~特別号  八奈見杏菜『君に決めた』

ある人物がいつものコンビニ前に立っているが、コンビニは現在改修中である。
彼女は前日に新しい棚が運び込まれるのを見ていたため、コンビニが再開することを知っている。
彼女は3種類のフライドチキンを取り出し、それぞれの味を比較しながら次にどのチェーンが入るかを予想しようとする。
彼女は全てのチキンに決定するも、同行の男性が食べたがっているかもしれないと感じる。
しかし、彼は食べかけのものが苦手で遠慮する。彼女は自分でチキンを食べ続け、男性に新しい店が開くまでの不安を感じさせる。〜

3月の最終日曜日、ツワブキ高校の南門前で一人立つ主人公は、春の訪れを感じつつ、八奈見や玉木先輩、月之木先輩との会話を楽しむ。
八奈見はダイエット中の昆布をかじり、彼らは様々な学生生活の思い出やこれからの計画について語り合う。
学校の同窓生たちが卒業して新たな場所へと旅立とうとしている時、主人公たちはお互いの未来について考え、不安や希望を共有する。
その中で、彼らは小さな誤解や内輪のジョークを解決しながら、友情を深めていく。
最終的に、彼らは卒業という新たな門出を前に、互いに別れを告げる。

 文芸部活動報告  
~特別号  焼塩檸檬『トコトコトコ』

ある子供が友達や家族より速く走ることを楽しみ、その速さで周りからの笑顔を得ることができた。
大きな街での競争では多くの速い人々に囲まれ、自分より速い人たちに次々と追い抜かれる経験をした。
このため、失敗への恐れから涙が止まらなくなったが、亀との競争を通じて、負けることへの恐怖を乗り越えた。
亀は何度も挑戦し、挑戦する理由を「君が泣いているから」と説明した。
この経験から、子供は後ろを振り返るのをやめ、見えなくても自分を支えてくれる人々がいることを感じ取り、自信を持って前に進むようになった。〜

エピローグ  ツワブキ高校 2年生

4月の最初の平日に、ツワブキ高校の西校舎で文芸部の部室へ向かう途中のシーンが描かれる。
新学期が始まり、部活紹介の準備に取り組む中、主要な部員が体育館で新入生にアピールする場面が予定されている。
特に焼塩は陸上部に復帰し、全国規模での活躍を目指す決意を固めており、文芸部での活動が難しくなっている。

部室では、プロテインを巡る小競り合いが発生しており、その騒動が紹介される。
プロテインの管理不足が陸上部内でのトラブルを引き起こしていることが焼塩から告発される。
この一幕を通じて、部員たちは新歓のアイデアを相談することになり、八奈見に紙袋をかぶせる提案が出される。
この提案は受け入れられず、結局は複数の部員が紙袋をかぶることになる。

最終的に、文芸部は2年生だけの部として新たなスタートを切ることが決定される。
新たな学年の始まりに際して、部員たちはこれまでの経験を活かしながら新しいチャレンジに取り組む覚悟を決めている。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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