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棚架ユウ転生したら剣でした

小説【転剣】「転生したら剣でした 11」感想・ネタバレ

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転生したら剣でした 11の表紙画像(レビュー記事導入用) 棚架ユウ

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Table of Contents

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. アシュトナー侯爵の陰謀
    2. 意思を持つ魔剣
    3. 王都での激戦
    4. 疑似狂信剣の脅威
    5. 鍛冶師ガルス捜索
  6. 登場キャラクター
    1. 主人公一行
      1. 師匠
      2. フラン
      3. ウルシ
    2. バルボラ・孤児院関係者
      1. ガムド
      2. レグス
      3. イオ
      4. シャルロッテ
      5. ゼロスリード
      6. ロミオ
      7. フェルムス
      8. フェルムスの弟子の男
      9. レンギル
    3. ウルムット・冒険者ギルド関係者
      1. ディアス
      2. エルザ
      3. エリック
      4. ケイン
      5. オーレル
      6. ルミナ
    4. 王都・冒険者ギルド関係者
      1. ステリア
      2. エリアンテ
      3. コダート
    5. 西風の剣
      1. ゼフィルド
      2. ウィン
    6. ベイルリーズ伯爵家関係者
      1. シドレ・ベイルリーズ
      2. ベルメリア・ベイルリーズ
      3. フレデリック
      4. コルベルト
    7. 王都の住民・裏社会関係者
      1. カルク
      2. ベッケルト・フース
    8. アシュトナー侯爵家・狂信兵関係
      1. ハムルス
      2. ゴードン
      3. ウェナリア・ゲール・アシュトナー
    9. 集団
      1. 快速艇の乗組員たち
      2. 孤児院の子供たち
      3. 竜膳屋の女性店員たち
      4. 竜膳屋の客たち
      5. ルシール商会の丁稚たち
      6. ルシール商会の従業員たち
      7. ルシール商会の商人たち
      8. ウルムットの冒険者たち
      9. 不良冒険者たち
      10. ウルムットの若い冒険者たち
      11. 避難待ちの観光客たち
      12. 避難待ちの商人たち
      13. 巡回の騎士や兵士たち
      14. 避難待ち of 獣人たち
      15. 迷路地区の酔客や娼婦たち
      16. ギルド内の冒険者たち
      17. 西風の剣の戦士たち
      18. 劇場のメイドさんたち
      19. 劇場の警備員たち
      20. 劇場の窓口の係員たち
      21. カルクの酒場の男たち
      22. カルクの酒場の護衛たち
      23. オルメス伯爵別邸の警備の兵士たち
      24. ベイルリーズ伯爵邸の兵士たち
      25. ベイルリーズ伯爵邸の使用人たち
      26. ベイルリーズ伯爵邸の密偵たち
      27. オークションの参加者たち
      28. 宿の従業員たち
      29. 宿の一般の金持ち客、その護衛たち
      30. 狂信の兵士たち
      31. ギルドに集まった冒険者たち
      32. 複数の屋敷や民家を襲う襲撃者たち
      33. 救出に駆けつけた冒険者たち
      34. 侯爵邸に突入した兵士たち
  7. 展開まとめ
    1. 第一章 久しぶりのクランゼル王国
    2. 第二章 王都の表と裏 
    3. 第三章 ガルス捜索 
    4. 第四章 侯爵の影
    5. 第五章 狂信の兵士たち 
    6. 第六章 侯爵邸 
    7. エピローグ 
  8. 転生したら剣でした 一覧
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

本作は、意思を持つ魔剣「師匠」と、黒猫族の少女「フラン」の冒険を描く無機物転生ファンタジーの第11巻である。
獣人国での騒動を解決した一行はクランゼル王国へと帰還し、かつて再会を約束した名誉鍛冶師ガルスの行方を追い始める。
彼が遺した不自然な鞘から「蠍獅子に睨まれた戦乙女のいる屋敷」ことオルメス伯爵別邸に囚われている可能性を突き止めた二人は、極秘裏に捜査を開始した。
しかしその背景では、アシュトナー侯爵家が神剣「狂信剣ファナティクス」の複製である「疑似狂信剣」を用いて強力な兵士を量産し、王都そのものを掌握しようとする国家反逆の陰謀が進んでいた。フランたちはベイルリーズ伯爵家や冒険者ギルドと手を組み、かつてない強大な反乱の渦へと身を投じていく。

■ 主要キャラクター

  • 師匠:元人間の魂を宿すインテリジェンス・ユニーク・ウェポンである。疑似狂信剣を破壊した際に「共食い」スキルが発動した。精神的な不快感に苛まれながらも、相手の能力を吸収して自己強化を遂げている。
  • フラン:黒猫族の少女であり、異名は「黒雷姫」である。ガルスや仲間たちを救い出すために立ち上がる。自らの肉体に極大な負荷を与える「潜在能力解放」を発動させ、強敵との決戦に挑んだ。
  • ウルシ:フランの従魔であるダークネス・ウルフである。影の中に潜み、さらわれたベルメリアの行先を正確に追跡するなど、高い能力を発揮する。一方で街中では巨大化しない約束を守ったため、戦闘で手痛い傷を負った。
  • ゼフィルド:国内に数人しかいないランクA冒険者の一人である。西風の剣のリーダーとして、高い実力を誇る。最後は自身の盾聖技により、フランが受けるはずだった潜在能力解放の代償を引き受け、命を落とした。
  • シドレ・ベイルリーズ伯爵:王都を守護する西門騎士団の長である。アシュトナー侯爵家の不穏な動きを極秘裏に捜査していた。かつて冒険者時代の獣王リグディスと轡を並けて戦った友人でもある。
  • ベルメリア・ベイルリーズ:ベイルリーズ伯爵の妾腹の娘で、半水竜人である。密偵としての教育を受け、陰ながら活躍していた。作戦の終盤にアシュトナーの襲撃者によって連れ去られ、ファナティクス本体に精神を侵食されてしまう。
  • フレデリック:半邪竜人の男性で、ベルメリアの守役を務める。戦闘力、隠密能力ともに高い水準を誇る。常に彼女を気遣い、命懸けで守り抜こうとする。
  • コルベルト:かつて武闘大会でフランと対峙したランクB冒険者である。武闘大会でデミトリス流の封印を解いたため、流派を破門された。しかし、拳聖術を極めるべく地道な修行を続けている。
  • エリアンテ:王都冒険者ギルドのマスターを務める半蟲人の女性である。複数の事件による大量の書類処理に追われ、精神的に追い詰められていた。しかし、アシュトナー侯爵家の悪行を止めるため、冒険者たちを率いて立ち上がる。
  • アシュトナー侯爵(ウェナリア・ゲール・アシュトナー):反乱の首謀者である。その実態は、かつて聖霊剣ホーリー・オーダーによって砕かれたはずの神剣「狂信剣ファナティクス」の意識に肉体を支配された傀儡であった。

■ 物語の特徴

本作の見どころは、クランゼル王国の王都を舞台に展開される「疑似狂信剣」による大規模な反乱劇である。神剣「狂信剣ファナティクス」のデッドコピー品である疑似狂信剣は、装着者を洗脳して狂信状態にする能力を持つ。
さらに、装着者自身の魔力を利用して周囲の魔術や放出系スキルを打ち消し、異常再生能力をも付与する。
これに対し、フランたちは魔力打ち消しの及ばない距離から物理攻撃を叩き込むなど、知恵を絞った戦い方を強いられた。超人化したアシュトナー侯爵との極限の戦いは、本作の大きなハイライトとなっている。
エピローグでは、ファナティクスに意識を奪われたベルメリアが王城の国王を狙って動き出す。さらに街の各所で百を超える疑似狂信剣が「神剣開放」して無差別な暴走を始めるという、絶望的な展開の中で幕を閉じた。

書籍情報

転生したら剣でした 11
著者:棚架ユウ 氏
イラスト:るろお
出版社:マイクロマガジン社(GCノベルズ
発売日:2021年3月31日
ISBN:9784867161241

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

猫耳少女と共に剣としてその銘を異世界に刻み込め! ネット小説大賞受賞の無機物転生ファンタジー!
獣人国での騒動を終え、バルボラに戻ってきた師匠とフラン。
ガルスとの再会の約束を果たすため、彼の行方を捜し始めるのだが、
悪評が立つ貴族に連れ去られたまま行方不明という噂しか聞くことが出来ずにいた。
怪しい殺人事件も巷では起きており、妙なキナ臭さを感じた二人は、その貴族の身辺調査へと乗り出し始めたのだが

転生したら剣でした 11

感想

獣人国での激戦を終え、クランゼル王国へ戻ってきたフランたち。

前巻までがかなり激しい戦いの連続だっただけに、今回はバルボラで知り合いたちを訪ねたり、カレーを食べたりしながら進んでいく序盤に少し安心した。

ただし、フランには大きな目的がある。

行方不明になっているガルスを探すことだ。

冒険者ギルド。

情報屋。

鍛冶師ギルド。

それぞれで情報を集めるものの、ガルス本人の行方は分からない。

ただ、ガルスを連れていったと思われるアシュトナー侯爵家が、王都で鍛冶に使える素材を集めているという。

ガルスは以前、王都のオークションで会おうとフランに伝えていた。

ならば、とりあえず王都へ行くしかない。

久しぶりのクランゼル王国なのに、最初から結構不穏である。

孤児院に現れたのが、まさかのゼロスリード

バルボラで印象に残ったのが、孤児院で聞かされた話だった。

フランが久しぶりに孤児院へ行くと、以前より警備もしっかりしており、子供たちも元気そうに暮らしている。

そこは安心した。

ところがシャルロッテから、

「二日前にゼロスリードが来た」

と聞かされる。

え?

あのゼロスリードが?

しかも一人ではない。

連れていたのは三歳ほどの少年ロミオ。

ミューレリアが最後に救おうとしていた、あのロミオである。

ゼロスリードは、

「亡くなった知人から託された子供だが、自分には育てられない」

として孤児院へ預けようとしたらしい。

ミューレリアを裏切った男が、その最期の願いだけは守ろうとしている。

どういう心境なんだろう。

ここはフランでなくても複雑になる。

ただ、実際にはロミオは孤児院へ預けられていない。

院長が引き取ろうとすると泣き叫ぶ。

イオたちでも駄目。

なのにゼロスリードが抱くと泣き止む。

完全に懐いている。

結局、院長から、

「もう少し一緒にいてあげたらどうか」

と言われ、ゼロスリードはロミオを連れて去っている。

以前の暴力的なゼロスリードとは雰囲気まで変わっていたという。

ミューレリアへの手向けなのか。

旅をするうちにロミオへ情が湧いたのか。

そこはまだ分からない。

でも、あのゼロスリードが子供から離れられなくなっているというだけでも、かなり印象に残った。

悪人だから何をしても悪人らしく振る舞う、という単純な描き方ではないのが面白い。

シリアスな話をした直後にカレーを食う

ゼロスリードについてかなり重い話をしていたはずなのだが、フランとウルシの注意は途中から厨房へ向いている。

理由は簡単。

カレーの匂い。

さっきまで、

「ゼロスリードはロミオをどうするつもりなんだ?」

と考えていたのに、

次の瞬間には孤児院の子供たちと一緒にカレーを食べている。

この切り替えの速さよ。

しかもイオのカレーがかなり美味しかったらしく、即座におかわり。

まあ、フランだからな。

と思っていたら、その後の目的地が元Aランク冒険者フェルムスの《竜膳屋》。

……さっきカレー食べたよね?

そこで出てきた新作が、

カレー竜骨スープ。

またカレーである。

それでもフランとウルシは普通に食べる。

しかも「最高」と高評価。

孤児院でカレーを食べた直後なんだけど?

もはやフランにとってカレーは食事というより別枠なのかもしれない。

フェルムスの弟子が作った料理も食べるのだが、フランは一口でフェルムス本人の料理ではないと気付く。

そして、

「忌憚のない意見を」

と頼まれた結果、容赦なく違いを指摘。

悪意は一切ない。

むしろ本人は真面目に答えているだけ。

だから余計に効く。

涙目になりながらメモを取る弟子には少し同情した。

満腹なのにケーキは別腹

さらにルシール商会へ行き、レンギル船長にも挨拶する。

目的の一つは当然、香辛料の補充。

この世界でもカレーがかなり広まってきたせいで、香辛料の価格まで上がっている。

フランたちにとっては死活問題だろう。

その待ち時間に出されたのがデコレーションケーキ。

さっき孤児院でカレー。

竜膳屋で大量の料理。

お腹はパンパン。

なのにケーキは普通に食べる。

師匠が心配すると、

「甘い物は別腹」

強い。

戦闘だけじゃなく胃袋も強い。

ただ、レンギル船長との会話では再び不穏な話が出てくる。

アシュトナー侯爵家がかなり苦しい状況に追い込まれているという。

セルディオの悪事が死後に告発され、その協力者たちも処分された。

国からも疑われ、財政面でも支払いが滞るほど弱っている。

そんな侯爵家が、ガルスを連れていった可能性がある。

しかも鍛冶用の素材まで集めている。

どう考えても怪しい。

ここからガルス捜索とアシュトナー侯爵家の問題が少しずつ繋がっていく感じがしてきた。

キアラの死を伝えるのもしんどい

王都へ向かう前に、フランはウルムットにも立ち寄る。

ディアスたちから受けていた、

「キアラを探してほしい」

という依頼の報告をするためである。

獣人国でキアラと再会した。

一緒に戦った。

黒天虎へ進化した。

そして最期を看取った。

それをディアス、オーレル、ルミナへ伝える。

三人の反応がそれぞれ違うのも印象的だった。

オーレルは涙を流しながらも、キアラが最後に笑っていたと聞いて納得しようとする。

ルミナは、キアラが念願だった進化を果たせたことを喜ぶ。

一方のディアスは、ゼロスリードへの復讐心を隠し切れない。

復讐など愚かなことだと本人も分かっている。

キアラが望んでいないことも理解している。

それでも、

「自分は割り切れる人間ではない」

と言う。

ここはかなり人間臭かった。

正しいことが分かっているから、感情まで正しく整理できるわけではない。

キアラは満足して死んだ。

だから復讐する必要はない。

理屈ではそうなる。

でも大切な人が死んだ原因となった相手を、

「本人が望んでいないから」

だけで簡単に許せるものでもないだろう。

そんなディアスの割り切れなさが印象に残った。

ガルスとの約束だったオークションへ

そしてフランは、ようやくクランゼル王国の王都へ向かう。

目的はガルスと約束していたオークション。

ただ王都へ入るだけでも四時間待ち。

さらに迷路のような路地で普通に迷子になる。

強さと方向感覚は別問題らしい。

その後もランクA冒険者ゼフィルドと模擬戦をしたり、王都冒険者ギルドの面々と知り合ったりしながら、ようやく武具オークションへ参加する。

そこで出品されたのが、

師匠が使っているものとほぼ同じ鞘。

明らかに師匠を意識した品だった。

フランはそれを落札。

さらに調べると、内部にガルスからの暗号が隠されていた。

つまりガルスは生きている可能性が高い。

ただし、普通に会いに来られない状況にいる。

ここまで、

「王都のオークションへ行けばガルスに会えるかもしれない」

という希望で進んできたのに、実際に届いたのは本人ではなく暗号。

嫌な方向に話が動き始めた。

読後の感想

『転生したら剣でした 11』は、獣人国での大きな戦いを終えた直後ということもあり、序盤はかなり日常寄りだった。

懐かしい場所へ戻る。

孤児院の子供たちと再会する。

カレーを食べる。

竜膳屋でも食べる。

ケーキも食べる。

フラン、本当によく食うな。

ただ、その日常の中へ、

ゼロスリードとロミオ。

キアラの死。

アシュトナー侯爵家。

ガルスの失踪。

という不穏なものが少しずつ混ざってくる。

特に気になったのはゼロスリードだった。

ミューレリアを裏切った。

フランたちとも敵対した。

それなのに、ミューレリアが救おうとしたロミオを連れてバルボラまで来ている。

しかもロミオから懐かれている。

何を考えているのか、まだ分からない。

だからこそ気になる。

そしてガルスについても、ようやくオークションで手掛かりが見つかった。

直接姿を現すのではなく、鞘へ暗号を仕込んで知らせてくる時点で、どう考えても普通の状況ではない。

カレーを食べ歩いている時は平和だったのにな。

フランたちが王都へ到着したことで、獣人国とは別の大きな騒動が始まりそうな第11巻だった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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転剣10レビュー
転剣まとめ
転剣12レビュー

考察・解説

アシュトナー侯爵の陰謀

アシュトナー侯爵の陰謀の全貌と王都テロ事件の記録

『転生したら剣でした』第11巻において、クランゼル王国の王都を震撼させたアシュトナー侯爵の陰謀について、陰謀の主犯とその正体、神剣の修復と大結界の私物化という目的、魔薬と疑似狂信剣の量産という手段、陰謀の露呈から決起および侯爵の最期、そして遺された最悪の爪痕の各点から解説する。

陰謀の「主犯」とその正体

アシュトナー侯爵(ウェナリア・ゲール・アシュトナー)の陰謀を裏で操っていた真の黒幕は、人間ではなく、かつて聖霊剣ホーリー・オーダーとの戦いで破壊されたはずの神剣「狂信剣ファナティクス」の意識であった。

・発掘された壊れたファナティクスは自らの肉体を修復するために侯爵を支配し、侯爵家の財力と権力を利用し始めた。
・「素体」としての侯爵の肉体:アシュトナー侯爵の体は、ファナティクスが完璧に憑依できるよう、約40年もの歳月をかけて魔薬や能力による肉体改造を施された特別な素体であった。その結果、本来は非戦闘員の文官貴族でありながら、剣聖術10や超人化などの強力なスキルを宿し、ランクS冒険者に匹敵する絶大な戦闘能力を得ていた。
・息子の犠牲:侯爵の妾腹の息子であるセルディオ・レセップスや、家臣の息子オーギュスト・アルサンドも、この計画のための実験台として利用され、魔薬による精神汚染やスキル付与の処置を受けていた。

陰謀の目的:神剣の修復と大結界の私物化

ファナティクスの究極の目的は、他国に存在する神剣を喰らい、取り込むことで、自らの破損した刀身を完全に修復することであった。

・名誉鍛冶師ガルスの拘束:アシュトナー侯爵家は、神級鍛冶師に最も近いとされるクランゼル王国名誉鍛冶師ガルスを領都の大結界具の補修という公共事業を名目に招聘し、実際には解放したと偽ってオルメス伯爵別邸に幽閉していた。ガルスは、神剣ファナティクスの修復や研究のための鍛冶作業に強制的に従事させられていた。
・国家への叛意:領都を覆う大結界具を私物化して完成させ、国との戦いにおける切り札としていつでも機能できるようにしていた。

恐るべき手段:「魔薬」と「疑似狂信剣」の量産

アシュトナー侯爵家は、捕らえた者たちを兵士として操るため、魔薬の投与と、ファナティクスのデッドコピー品である疑似狂信剣(エストック型)を用いた兵士(狂信兵)の量産を行っていた。

・精神の洗脳:行方不明になっていたランクB〜Cの冒険者や騎士たちに大量の魔薬を投与し、思考力を奪って洗脳を施した。
・疑似狂信剣による異能の付与:彼らの背骨に沿うように疑似狂信剣を突き刺すことで、装着者を狂信および潜在能力解放の状態に固定した。この兵士たちは、異常なまでの身体能力と再生能力を持つだけでなく、装着者の魔力を利用して、周囲の魔術や放出系スキル、回復を完全に打ち消す能力を発揮し、集団戦において絶大な脅威となった。

陰謀の露呈から決起、アンド侯爵の最期

ウルムットのダンジョンでのセルディオの暴走・死亡をきっかけに、冒険者ギルドマスターのディアスたちが動き、侯爵家が神剣探索を行っていた証拠を確保した。国からの疑惑と告発により侯爵家の勢力は徐々に削られていった。

・さらに、ガルスが落札された鞘に隠した暗号を頼りにフランたちがオルメス伯爵別邸を特定し、ベイルリーズ伯爵家が立ち入り捜査を準備したことで、アシュトナー侯爵(ファナティクス)は追い詰められた。
・言い逃れができないと悟った侯爵は、査察の前に王都各地に狂信兵の軍勢を放ち、大規模な市街地テロとベイルリーズ伯爵邸の襲撃を突如開始した。
・アシュトナー侯爵邸に突入したフランは、潜在能力解放状態となりランクS級まで能力を跳ね上げた侯爵と死闘を繰り広げた。
・最後は、潜在能力解放によって一時的に解放された黒雷転動で死角へ回り込み、天断と命を削る奥の手である黒雷神爪を放ち、アシュトナー侯爵の肉体と、その中にいたファナティクスの意識を切り裂いて焼き尽くすことに成功した。

遺された最悪の爪痕

アシュトナー侯爵(ファナティクス)は討たれたものの、彼らが仕込んだ陰謀の毒は、王都に最悪の形で残ることとなった。

・ベルメリアの肉体の乗っ取り:ミューレリアの真意を隠すための策略により、半邪竜人のフレデリックが重傷を負わされ、ベイルリーズ伯爵の娘であり竜の巫女の末裔である半竜人ベルメリアがさらわれていた。ファナティクス本体は、魔薬によってベルメリアの意識を眠らせてその精神を侵食し、彼女の肉体を直接操ることに成功する。ファナティクスは竜の巫女の血筋である彼女を操り、王都の本丸である王城の国王を自らの一部とすべく、侵攻を企て始めた。
・100を超える疑似狂信剣の「神剣解放」:王都各地に展開していた100人近い狂信兵たちが、ファナティクスによって一斉に神剣解放を実行された。これにより、彼らは潜在能力解放前のアシュトナー侯爵並みの凄まじい力を得て、寿命が尽きるまでの約3分間、街中で無差別な大破壊と虐殺をまき散らす暴走状態に突入した。

まとめ

アシュトナー侯爵の陰謀の全貌と王都テロ事件を巡る一連の全貌は、壊れた神剣「狂信剣ファナティクス」による侯爵の憑依と肉体改造から始まり、名誉鍛冶師ガルスの幽閉と神剣修復工作、魔薬と疑似狂信剣による狂信兵の量産、別邸特定に伴う王都大規模市街地テロの発動、フランの死闘による侯爵肉体とファナティクス意識の撃破、そしてベルメリアの肉体乗っ取りと100人超の狂信兵による神剣解放暴走に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
国家の乗っ取りや精神支配という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、不屈の闘志と破滅的テロ防衛の記録である。
ファナティクスの執念から、狂信兵の量産、市街地の混乱、黒雷神爪による制圧、そして王城侵攻の危機へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

意思を持つ魔剣

意思を持つ魔剣「師匠」の性質と多重構造の全貌

『転生したら剣でした』において、主人公である「師匠」に代表される意思を持つ魔剣(インテリジェンス・ウェポン)について、基本性質、内部に潜む複雑怪奇な多重構造、最大の特徴である自己進化とスキル共有、他の意思を持つ魔剣との対比、および兵器か相棒かという視点の各点から解説する。

意思を持つ魔剣「師匠」の基本性質

主人公である「師匠」は、元々は地球で暮らしていた30歳の独身男性(会社員)の魂が、死後に異世界の台座に突き刺さった一本の美しいロングソードに転生した存在である。

・五感と物理的な制約:肉体(手足、目蓋など)はないが、刀身を通じた皮膚感覚に似た触覚があり、周囲を視覚的に捉えることができる。
・念動と念話による自立:魔力を消費することで、自らの体を宙に浮かせて自在に飛行する「念動」や、他者の精神に直接語りかける「念話」を駆使して自立行動をとる。
・圧倒的な魔力伝導率:魔力を刀身にまとわせる効率を示す「魔力伝導率」が極めて高く(初期状態で「A」、のちに「S」へと進化)、魔力を込めることで攻撃力を飛躍的に引き上げることができる(伝導率Aは効率200%)。

師匠の内部に潜む「複雑怪奇な多重構造」

神級鍛冶師アリステアの解析により、師匠の内部は複数の意思や超高度なプログラムが絡み合う、極めて異質な多重構造であることが明らかになった。

・外身の器(廃棄神剣):師匠の物理的な身体は、神の金属「オレイカルコス」で作られており、かつて神域の知識を閲覧・干渉できたために神から破棄を命じられた廃棄神剣「智慧剣ケルビム」の器を再利用したものである可能性が極めて高いとされている。
・アナウンスさん(ケルビムの残滓):情報の解析やスキル発動の管理・演算補助を担う領域で、「智慧剣ケルビム」の残滓である。リッチ戦で力を酷使したことで激しく損傷し、現在は機能の一部が制限されている。
・謎の魂(魔石吸収の根源):剣の深部には、深く傷ついた魔獣(エンブレムや伝説から「フェンリル」と推測される)の魂が封じられている。師匠が魔石を吸収した際、その力は直接師匠ではなくこの謎の魂に流れ込み、回復した魂から師匠へと力が分け与えられていた。
・謎のシステム:神級魔道具師や神級錬金術師に相当する者が構築したとされる高度な魔術システムで、謎の魂の力を自己進化ポイントやランクアップ、装備者とのスキル共有に変換して管理している。
・最深部の封印:神級鍛冶師の解析すら完全に拒む領域があり、シードランで暴走しかけた「どす黒い魔力を放つナニか」が強固に封印されている。

最大の特徴「自己進化」と「スキル共有」

意思を持つ魔剣としての師匠は、装備者(フラン)を最強へと導くための唯一無二のシステムを保有している。

・魔石の吸収(捕食):魔獣を倒し、その心臓部にある魔力の結晶「魔石」を貫くことで魔力を吸収し、「魔石値」を溜めて自己進化(ランクアップ)を果たすことができる。この際、対象の魔獣が持っていたスキルを奪取・蓄積する。
・装備者登録とスキル共有:特定の使い手を「装備登録者」とすることで、師匠が蓄積している膨大なスキルを装備者と共有し、相手に付与することができる(同時に全ステータスの上昇効果ももたらす)。

他の「意思を持つ魔剣(神剣・魔剣)」との対比

作中には、師匠以外にも自らの意思や魂を宿した強力な武器が登場する。

・神剣「暴竜剣リンドヴルム」:メア(ネメア・ナラシンハ)が持つ神剣で、剣の内部に「リンド」という実体化可能な竜の魂(竜魂)を宿している。
・神剣「狂信剣ファナティクス」:斬った相手の精神を強制的に自らに統合・支配し、複数の肉体を一つの精神で操る恐るべき能力を持つ。しかし使い手自身の精神を肥大・暴走させ、使い潰してしまう極めて危険な神剣である。
・トリスメギストスの愛剣(インテリジェンス・ソード):ゴルディシア大陸において、天才錬金術師トリスメギストスが作り上げた意思ある武器で、現在も深淵喰らいと戦い続けているとされている。

まとめ

意思を持つ魔剣「師匠」の性質と多重構造を巡る一連の全貌は、念動や念話による自立行動と高い魔力伝導率を持つ基本性質から始まり、廃棄神剣ケルビムの器やアナウンスさん、謎の魂、魔術システム、最深部の封印が絡み合う複雑怪奇な内部構造、魔石吸収による自己進化と装備者フランとのスキル共有、そして他神剣との対比を経て「相棒」としての固い絆の確立に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
武器の概念や使い手を使い潰す非道な兵器構造という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、自己進化能力の発現と不可逆な信頼関係の記録である。
魂の転生から、スキルの共有、内部システムの紐解き、他の魔剣との対峙、そして唯一無二のパートナーシップの証明へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

王都での激戦

王都での激戦の全貌と決着の記録

『転生したら剣でした』第11巻において、クランゼル王国の王都を舞台に繰り広げられた「王都での激戦」について、激戦の勃発と狂信兵の脅威、ベイルリーズ伯爵邸での防衛戦、冒険者ギルドの決起と侯爵邸への突入、超人化したアシュトナー侯爵との死闘、天壁の最期と劇的な決着、および遺された最悪の爪痕とさらなる絶望の各点から解説する。

激戦の勃発と「狂信兵」の脅威

国家反逆の陰謀を進めていたアシュトナー侯爵家は、ベイルリーズ伯爵家による立ち入り査察を前にして開き直り、王都各地で突如として大規模な襲撃を開始した。

・彼らはまず、ベイルリーズ伯爵邸を包囲して外部からインフェルノ・バーストなどの極大魔術を放ち、屋敷を破壊しながら力ずくでの制圧を試みた。
・この襲撃を担ったのが、アシュトナー侯爵家によって量産された狂信兵の軍隊である。
・エストック型の疑似狂信剣:狂信兵たちは魔薬によって脳を破壊されて洗脳され、さらに背筋に沿って神剣「狂信剣ファナティクス」の模造品である疑似狂信剣を突き刺されていた。この剣の力により、彼らは常に潜在能力解放と狂信の状態に固定されていた。
・魔力打消し能力:狂信兵が発揮する最も厄介な異能は、装着者の魔力を利用して周囲の魔術、放出系スキル、回復を完全に打ち消す効果である。これにより、近接戦闘に長けた強者たちが異常な身体能力と再生能力を維持したまま襲いかかってくるため、魔術やポーションを封じられた兵士たちは一方的に蹂躙された。

ベイルリーズ伯爵邸での防衛戦

最初に襲撃を受けたベイルリーズ伯爵邸では、フランやコルベルト、ベイルリーズ伯爵らが応戦した。

・魔力打消し能力によって魔術が使えない不自由な状況下で、フランは敵の最精鋭に囲まれて窮地に陥った。
・フランは一気に決着をつけるべく、実戦では久しぶりとなる剣神化を発動した。
・剣の神の力を降ろし、神属性を付与した圧倒的な剣王技に匹敵する斬撃により、フランは四度剣を振るっただけで瞬時に敵の精鋭を殲滅した。しかし、1秒発動するごとに耐久値が1000以上減少する代償により、フランと師匠は肉体的・精神的に極限まで消耗することとなった。
・さらにこの戦闘の裏で、ベイルリーズ伯爵の娘であるベルメリアが何者かに連れ去られてしまった。
・彼女を追跡した従魔のウルシだったが、満身創痍の重傷を負って戻ることとなった。ウルシは王都の市街地で暴れて主人であるフランに迷惑をかけないよう、小型サイズのまま戦うという約束を忠実に守ったため、狂信兵の集団に阻まれて力を発揮できなかった。

冒険者ギルドの決起と侯爵邸への突入

ベイルリーズ伯爵は、騎士団長としての公務を優先するため、私情であるベルメリアの救出に向かうことを断念した。その代わり、コルベルトを通じて冒険者ギルドへ戦力の招集を依頼した。

・行方不明だった仲間が薬漬けにされ、狂信兵として使い潰されていた事実を知ったギルドマスター・エリアンテは激怒した。ギルドはベイルリーズ伯爵からの正式な依頼を受け、アシュトナー侯爵家との戦いに全面的に協力することを決断した。
・フランはエリアンテやコルベルト、さらに20人の中堅冒険者たちと共にアシュトナー侯爵邸へ急行した。
・現地で合流したフレデリックとウルシがベルメリアの匂いを追跡し、フランたちは侯爵邸の制圧を担当した。
・庭園の戦闘では、フランが魔力打消しの効果範囲外から、魔術と念動で極限まで加速させた槍を投擲する念動カタパルト戦法を敢行した。この必殺の一撃によって狂信兵の心臓を一突きで破壊し、敵を撃破した。
・フランの圧倒的な先制攻撃を見て冒険者たちは恐怖を克服し、コルベルトの卓越した武術も冴え渡って、庭園にいた狂信兵たちを速やかに制圧した。

超人化したアシュトナー侯爵との死闘

庭園を制圧した直後、屋敷の中から強大な魔力があふれ出し、壁を突き破って瀕死のゼフィルド(ランクA冒険者)が飛び出してきた。

・彼の率いる西風の剣の仲間4人は、屋敷内で待ち伏せていた敵によってすでに全員が殺害されていた。
・彼らを追い詰めたのは、狂信と超人化状態によって異様な強者へと変貌したアシュトナー侯爵本人であった。
・アシュトナー侯爵の肉体は、神剣「狂信剣ファナティクス」の意識に乗っ取られていた。侯爵の体は40年もの歳月をかけて魔薬や能力による肉体改造を施された特別な素体であり、剣聖術10や瞬間再生、生命強奪、溶鉄・火山魔術などを操る、獣王に迫る化物と化していた。
・フランは「閃華迅雷」と「トールハンマー」、師匠の「カンナカムイ」を織り交ぜて死闘を展開した。
・アシュトナー侯爵は圧倒的な身体能力とスキルを完璧に扱ってみせたが、戦闘の駆け引きにおいては僅かに綻びがあった。
・隙を窺っていたエリアンテ、コルベルト、ゼフィルドの一斉攻撃が侯爵に襲いかかり、盾による直撃が侯爵の首の骨を叩き折った。
・フランは転移からの最高の一撃「天断」を放ち、侯爵が防御に差し出した疑似狂信剣ごと、その肉体を一瞬で切り裂いた。

「天壁」の最期と劇的な決着

しかし、戦いはそこで終わらなかった。

・首の骨を折られ、天断によって切り裂かれながらも、潜在能力をさらに限界突破させた侯爵の神速の反撃がフランを襲った。
・侯爵の疑似狂信剣がフランの腹部を深々と貫通し、さらに強力な蹴りがフランの左脇腹を粉砕した。
・内臓を破壊されたフランは血反吐を吐きながら吹き飛ばされ、自力での再生が追いつかない絶体絶命の危機に陥った。
・この窮地において、アシュトナー侯爵が相打ちを狙って放った最後の突きに対し、ゼフィルドが動き出した。
・ゼフィルドは自らの盾聖技を使用し、フランを刺し貫いた致命的な負傷をすべて自らの肉体へと移し替えた。
・この自己犠牲により、フランの傷はまるでなかったかのように完全に無効化され、アシュトナー侯爵を撃破することに成功した。
・ゼフィルドはフランに「最後に、いい仕事ができました」と満足げな笑みを残し、静かに息を引き取った。
・死闘を終えたフランは、極限の疲労と反動によってその場に寝落ちしてしまい、エリアンテに背負われてギルドへと撤退した。

遺された最悪の爪痕とさらなる絶望

アシュトナー侯爵は討ち果たされたものの、王都の激戦はさらなる最悪の絶望へと突き進むこととなった。

・ベルメリアの精神侵食と王城侵攻:半竜人ベルメリアは、連れ去られた先で精神を完全に侵食され、神剣「狂信剣ファナティクス」本体によってその肉体を直接操られてしまう。ファナティクスはベルメリアの肉体を利用し、王都の本丸である王城の国王を自らの一部とすべく、王城への侵攻を開始した。
・100近い狂信兵の「神剣開放」:王都各地に展開していた100人近い狂信兵たちが、ファナティクスの意思によって一斉に疑似狂信剣の神剣開放を実行した。これにより彼らは、潜在能力解放前のアシュトナー侯爵に匹敵する凄まじい力を獲得し、残された数分の寿命と引き換えに、王都の街中で無差別な大破壊と虐殺をまき散らす暴走状態に突入した。

まとめ

王都での激戦の全貌と決着を巡る一連の全貌は、アシュトナー侯爵家による狂信兵軍団の市街地襲撃から始まり、魔力打消し環境下でのフランの「剣神化」行使、冒険者ギルドとベイルリーズ伯爵の結束による侯爵邸突入、超人化した侯爵との死闘とゼフィルドの自己犠牲「盾聖技」による奇跡の生還、そしてベルメリアの肉体を乗っ取ったファナティクスの王城侵攻と100超の狂信兵による神剣開放暴走に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
魔力封殺や破滅的テロという不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、極限の死闘と絆の記録である。
襲撃の勃発から、館の防衛、ギルドの決起、侯爵の制圧、天壁の散華、そして王城危機の到来へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

疑似狂信剣の脅威

疑似狂信剣の脅威と王都テロ事件の全貌

『転生したら剣でした』第11巻において、クランゼル王国の王都を未曾有の危機に陥れた疑似狂信剣の脅威について、宿主を異形へ変える狂信と潜在能力解放、最悪の異能である魔力打ち消しによる無効化能力、宿主に課される破滅的な呪い、および最終局面に起きた神剣開放の悪夢の各点から解説する。

宿主を異形へ変える「狂信」と「潜在能力解放」

疑似狂信剣は、神剣「狂信剣ファナティクス」の模造品(デッドコピー品)である。苦悶する男の顔が彫り込まれたエストック型の形状をしており、宿主の背骨(背中)に沿うように突き刺すことで、その機能を強制発揮させる。

・刺された宿主(狂信兵)は、強制的に狂信および潜在能力解放の状態に固定される。これによって生命力が削られ続ける破滅的な代償を負う代わりに、以下の異能を獲得する。
・肉体能力の劇的な向上と痛覚遮断。
・致命傷や切断された手足すら数秒で元通りにする異常再生能力。
・高位スキルの強制移植:背後にいるファナティクス本体の精神と繋がることで、宿主自身の才能に関わらず「剣聖術」や「高位魔術」などのスキルが距離を問わずリアルタイムで強制付与される。これにより、元々は戦闘能力の低い者であっても、一瞬にして高ランクの戦闘員へと変貌させられてしまう。

最悪の異能「魔力打ち消し」による無効化能力

疑似狂信剣が放つ最大の脅威が、宿主の魔力を利用して周囲の魔力を遮断・霧散させる魔力打ち消しの能力である。

・この打ち消し効果は極めて強力であり、対峙する敵側に以下の凄まじい行動制限を課す。
・敵側の放つ攻撃魔術や回復魔術、さらには回復ポーションの効力すら、ただの水のように無効化される。
・相手の自己修復能力や身代わりの腕輪の効力、さらには時空魔術による転移や従魔の影潜りといった高度なスキルすら強制的に封殺される。
・物理的対策:ただし、この能力は魔力打消しの効果範囲外から行われる物理的な攻撃には干渉できないという明確な弱点を持つ。フランたちはこの特性を見抜き、魔術を初速の加速時のみに限定して放つ「念動カタパルト(槍の投擲)」や、魔術に頼らない純粋な剣の技量(物理的な剣王術などの接近戦)によって狂信兵を撃破している。

宿主に課される破滅的な呪い

疑似狂信剣は一度装着されると、宿主に対して不可逆な死を強いる呪いの剣である。

・引き抜くことによる即死:疑似狂信剣を体から力ずくで引き抜くと、その瞬間に宿主は生命を失って即死する。
・限界突破による自滅:仮に引き抜かずに放置したとしても、潜在能力解放の反動により、いずれ自身の生命力が尽きて確実に死亡する。
・さらに、アシュトナー侯爵家はこれらの狂信兵をより従順な傀儡とするため、大量の魔薬を事前に投与して正気や思考力を奪い、剣の精神支配をより容易にするという非道な手段を用いていた。

最終局面に起きた「神剣開放」の悪夢

アシュトナー侯爵邸での決戦ののち、王都の各地に展開していた100人近い狂信兵たちの疑似狂信剣が一斉に神剣開放を実行された。これこそが、疑似狂信剣の有する究極にして最悪の切り札である。

・開放された宿主は、潜在能力解放前のアシュトナー侯爵(ランクS冒険者の獣王に迫る強者)に匹敵する凄まじい力を一時的に獲得する。
・彼らは寿命が尽きるまでの残り約3分間、強大な魔術や剣技を無差別に周囲に放ち続け、王都全体を瞬く間に火の海と阿鼻叫喚の地獄へと変えるという、文字通り最悪の無差別暴走テロを引き起こした。

まとめ

疑似狂信剣の脅威と王都テロ事件の全貌を巡る一連の全貌は、背骨への突き刺しによるスキル強制付与と狂信・潜在能力解放の状態固定から始まり、周囲の魔術・ポーション・転移等を封殺する魔力打ち消し能力の発揮、引き抜き即死や自滅を伴う不可逆な呪いの行使、そして王都各地における100人超の狂信兵による約3分間の神剣開放無差別テロの発生に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
強制支配や破滅的兵器の拡散という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、能力特性の解明と無差別暴走テロへの対峙の記録である。
模造の刺突から、異能の付与、魔力の遮断、物理攻撃による突破、そして神剣開放の暴走へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

鍛冶師ガルス捜索

鍛冶師ガルスの捜索と暗号解読の全貌

『転生したら剣でした 11』において描かれる鍛冶師ガルスの捜索について、捜索の始まりと王都への追跡、師匠の鞘に隠された暗号、暗号の解読とオルメス伯爵別邸の特定、ベイルリーズ伯爵家との共闘と幽閉の真実、および立ち入り捜査の猶予と急展開の各点から解説する。

捜索の始まりと王都への追跡

フランと師匠は、かつて再会の約束を交わした名誉鍛冶師ガルスを求め、クランゼル王国のバルボラへと帰還した。

・しかし、バルボラの鍛冶師ギルドや情報屋レグスへの調査でも、ガルスが「大貴族からの極秘依頼」で連れ去られたきり消息を絶っているという以上の手がかりは得られなかった。
・ただし、ガルスを招聘したとされるアシュトナー侯爵家が、王都において不自然に大量の鍛冶用金属素材を集めていることが判明する。
・フランたちは、ガルスと約束した王都の武具オークションに一縷の望みを託し、王都へと向かった。

「師匠の鞘」に隠された暗号

王都のオークションに参加したフランは、午後の特別出品において、現在師匠が使用しているものと瓜二つの鞘が出品されているのを発見した。

・サイズ調整魔術がかけられておらず「師匠の鞘」という銘がつけられたその品は、明らかにガルスが師匠に向けて発したメッセージであった。
・フランはこれを三万ゴルドで落札した。
・宿へ戻って調査した結果、以下の手順によって極秘の暗号が姿を現した。
・赤い糸の縫製:新しい鞘の先端内側にのみ赤い糸が使われており、その糸を解くことで「最高の剣に使われることを知恵の神に望む」というガルスからのメッセージが出現した。
・裏金具のメッセージ:師匠を実際に鞘に納めた際、背負い紐を留める金具の僅かな違和感に気づき、その金具の裏側に刻まれていた「蠍獅子に睨まれた戦乙女のいる屋敷」という暗号を発見した。

暗号の解読と「オルメス伯爵別邸」の特定

フランたちは王都冒険者ギルドのエリアンテに協力を仰ぐとともに、王都の裏社会に通じるカルクに秘密裏に調査を依頼した。

・カルクの迅速な調査により、暗号に完全に合致する場所が特定された。
・対峙する石像:アシュトナー侯爵邸のすぐそばにある「オルメス伯爵別邸」の向かいには、「ベイルリーズ伯爵邸」が存在していた。ベイルリーズ邸の門柱の天辺にはマンティコア(蠍獅子)の石像があり、その視線の先となるオルメス邸の庭の噴水には、ヴァルキリー(戦乙女)の石像が飾られていた。
・別邸の厳重な警戒:フランたちが夜間に別邸を確認し、師匠が上空から転移して庭の石像を目視したことで暗号の正しさが証明された。同時に、その屋敷には強力な結界が張られ、外部からの脱走を警戒するように多数の兵士が配備されている異常な事実も判明した。

ベイルリーズ伯爵家との共闘と幽閉の真実

別邸の周囲を探索中、フランたちはアシュトナー侯爵家を極秘に監視していたランクB冒険者コルベルト、および彼の雇い主である西門騎士団長シードラン・ベイルリーズ伯爵らと合流した。

・ベイルリーズ伯爵は、アシュトナー侯爵家の国家反逆容疑(神剣研究、違法な魔薬製造)を国の命で内偵していた。
・伯爵の調査と、フランがもたらした暗号の事実を突き合わせたことで、以下の真実が裏付けられた。
・「公式解放」の嘘:アシュトナー侯爵家側の公式記録では、ガルスは「領都の大結界具の補修」を完了した後にすでに解放されたことになっていた。しかし実際には、そのままオルメス伯爵別邸の隠し部屋や地下に幽閉され、神剣「狂信剣ファナティクス」の修復・研究のための鍛冶作業を強制されていた。
・最近の目撃情報:ベイルリーズ伯爵家の潜入者が、つい最近、一階の広間に連れ出されたガルスの姿を偶然目撃したことで、彼が現在も別邸に捕らわれていることが確実となった。

立ち入り捜査の猶予と急展開

ベイルリーズ伯爵は、名誉鍛冶師ガルスの拘束が国家反逆罪を完全に断罪する決定的な証拠になると確信し、公式な立ち入り捜査の準備を進めた。

・フランはガルスの命の安全と捜査の成功を第一に考え、単独での強行突入を自制し、一日の猶予を置いて伯爵の行動を待つことに同意した。
・しかしこの捜索劇は、最終的にアシュトナー侯爵(ファナティクス)側が捜査を察知して開き直り、ベルメリアを誘拐したうえで王都全域に大量の疑似狂信剣を刺した兵士を出撃させ、未曾有の大暴走テロを開始したことで、過絶な王都での激戦へと一気に雪崩れ込むこととなった。

まとめ

鍛冶師ガルスの捜索と暗号解読の全貌を巡る一連の全貌は、バルボラでの消息途絶からオークションでの「師匠の鞘」落札、金具裏に隠された「蠍獅子に睨まれた戦乙女のいる屋敷」の解読、石像の対峙関係に基づくオルメス伯爵別邸の特定、ベイルリーズ伯爵との共闘による公式解放の嘘と神剣修復強制幽閉の露呈、そして立ち入り捜査直前の侯爵側テロ勃発に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
幽閉や謀略という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、観察眼と連携による真実追究の記録である。
オークションの発見から、暗号の抽出、別邸の照合、幽閉の確認、そして激戦への突入へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

転剣10レビュー
転剣まとめ
転剣12レビュー

登場キャラクター

主人公一行

師匠

知性を持つ魔剣である。装備者であるフランを常に案じている。
・所属組織、地位や役職
 インテリジェンス・ユニーク・ウェポン。フランの装備。
・物語内での具体的な行動や成果
 アシュトナー侯爵を倒した。疑似狂信剣を破壊してスキルを吸収する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 改修によりスペックが向上した。

フラン

黒猫族の少女である。同胞の地位向上を目指して冒険を続けている。
・所属組織、地位や役職
 ランクC冒険者。異名は「黒雷姫」。
・物語内での具体的な行動や成果
 王都のオークションで鞘を落札した。アシュトナー侯爵の陰謀に立ち向かう。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 「剣王」の王級職に就いている。

ウルシ

フランの従魔である。影に潜む能力を持っている。
・所属組織、地位や役職
 フランの従魔。ダークネス・ウルフ。
・物語内での具体的な行動や成果
 ベルメリアの匂いを追跡した。狂信兵から攻撃を受けて負傷する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特別功労従魔勲章を授与されている。

バルボラ・孤児院関係者

ガムド

バルボラの冒険者ギルドを束ねる老人である。フランの実力を認めている。
・所属組織、地位や役職
 バルボラ冒険者ギルド・ギルドマスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 若手冒険者との模擬戦を企画した。フランへ王都のオークションの紹介状を渡す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 元ランクA冒険者である。

レグス

情報収集を得意とする冒険者である。フランに協力的な態度を示す。
・所属組織、地位や役職
 バルボラの冒険者。情報屋。
・物語内での具体的な行動や成果
 アシュトナー侯爵家が素材を集めている情報を伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 バルボラの都市内依頼を専門としている。

イオ

孤児院を支える世話役の女性である。料理の技術に長けている。
・所属組織、地位や役職
 バルボラ孤児院の世話役。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランへ特製のスープを振る舞った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 野菜くずから絶品スープを作る能力を持つ。

シャルロッテ

孤児院出身の勇敢な少女である。フランを慕っている。
・所属組織、地位や役職
 ランクE冒険者。戦舞士。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロスリードが孤児院を訪れたことをフランに伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 破邪のユニークスキルを所持している。

ゼロスリード

冷酷とされる賞金首の男である。しかしロミオを気遣う一面も見せる。
・所属組織、地位や役職
 元「狂戦士」の賞金首。
・物語内での具体的な行動や成果
 ロミオを連れて孤児院を訪れた。その後、ロミオと共に立ち去る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 かつてとは違い落ち着いた様子を見せている。

ロミオ

ミューレリアに託された幼い少年である。ゼロスリードと行動を共にしている。
・所属組織、地位や役職
 ミューレリアの遺言により託された子供。
・物語内での具体的な行動や成果
 孤児院でゼロスリードから離れると激しく泣いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

フェルムス

竜膳屋を営む元冒険者の男性である。フランの戦いぶりを認めている。
・所属組織、地位や役職
 竜膳屋・オーナー。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランに新作のカレー料理を振る舞った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 元ランクA冒険者である。

フェルムスの弟子の男

料理の修行に励む若い男性である。
・所属組織、地位や役職
 竜膳屋の弟子。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランに自身の作った料理を評価してもらった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

レンギル

大商会に所属する船長である。フランの実力を高く評価している。
・所属組織、地位や役職
 ルシール商会・船長。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランへ香辛料を販売した。アシュトナー侯爵家が支払いに困っている噂を伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 フランに商会のコインを渡している。

ウルムット・冒険者ギルド関係者

ディアス

飄々とした態度の老人である。キアラの安否を案じていた。
・所属組織、地位や役職
 ウルムット冒険者ギルド・ギルドマスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 セルディオの不正を告発した。フランを隠すための噂を流す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ランクA冒険者である。

エルザ

強烈な外見を持つランクB冒険者である。面倒見の良い性格をしている。
・所属組織、地位や役職
 ウルムット冒険者ギルド・ランクB冒険者。金剛闘士。
・物語内での具体的な行動や成果
 ギルド内で問題を起こした冒険者たちを縛り上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 実力は普通の冒険者の中でトップクラスである。

エリック

素直に行動する若い冒険者である。
・所属組織、地位や役職
 ウルムットの冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 エルザの指示に従って問題のある冒険者を医務室へ運んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ケイン

エリックと共に行動する若い冒険者である。
・所属組織、地位や役職
 ウルムットの冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 問題を起こした冒険者をエリックと共に運んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

オーレル

白犬族のガタイの良い老人である。キアラの古い知り合いである。
・所属組織、地位や役職
 ウルムットの元ランクB冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスと共にフランからキアラの報告を聞いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 白雪狼の進化種ではなく白狼である。

ルミナ

ダンジョンを支配する黒猫族の女性である。キアラのことを深く慕っていた。
・所属組織、地位や役職
 ウルムットのダンジョンマスター。黒虎。
・物語内での具体的な行動や成果
 人形に憑依してディアスたちと会合をしていた。キアラの死に涙を流した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 かつてキアラのために自身を犠牲にしようとしていた。

王都・冒険者ギルド関係者

ステリア

王都のギルドで発言権を持つ大柄な女性である。
・所属組織、地位や役職
 王都冒険者ギルド・受付。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランを黒雷姫だと見抜き、高ランク窓口へ案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 元高ランクの冒険者であると推測される。

エリアンテ

書類仕事に追われる半蟲人の女性である。貴族の横暴を嫌っている。
・所属組織、地位や役職
 王都冒険者ギルド・ギルドマスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランのためにオークションの参加資格を用意した。ガルスの捜索に協力する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アシュトナー侯爵家を非常に敵視している。

コダート

丁寧な態度で接する男性である。強い冒険者を尊敬している。
・所属組織、地位や役職
 ランクE冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランの代理人としてオークションで魔石を落札した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 元オークショニアであり、鑑定スキルを持っている。

西風の剣

ゼフィルド

高い実力と常識を備えた偉丈夫である。
・所属組織、地位や役職
 ランクA冒険者。「西風の剣」リーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランに模擬戦を申し込んだ。盾聖技によってフランの致命傷を自身へ移し替えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アシュトナー侯爵との死闘の末に命を落とした。

ウィン

立ち振る舞いの美しい上品な女性である。手練れの戦士でもある。
・所属組織、地位や役職
 ランクB冒険者。「西風の剣」メンバー。回復術師。
・物語内での具体的な行動や成果
 模擬戦ののち、フランたちと良好な関係を築いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 骨折程度ならかすり傷とみなす技術を持つ。

ベイルリーズ伯爵家関係者

シドレ・ベイルリーズ

鍛え上げられた肉体を持つ伯爵である。フランに友好的に接する。
・所属組織、地位や役職
 ベイルリーズ伯爵。西門騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果
 アシュトナー侯爵家の反逆罪を内偵していた。ガルスの調査を約束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 かつて獣王リグディスと共に戦った。

ベルメリア・ベイルリーズ

高い実力を持つ半水竜人の女性である。
・所属組織、地位や役職
 ベイルリーズ伯爵の娘。密偵。
・物語内での具体的な行動や成果
 コルベルトと合流中のフランを誤認して奇襲した。のちにアシュトナー侯爵邸で精神を侵食されて連れ去られる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 狂信剣ファナティクス本体に憑依されている。

フレデリック

常に冷静な半邪竜人の男性である。ベルメリアを深く気遣っている。
・所属組織、地位や役職
 ベルメリアの守役。
・物語内での具体的な行動や成果
 ベルメリアと共にフランを襲撃した。のちにウルシと共にベルメリアの追跡を試みた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ベルメリアの母である半竜人の警護役をかつて務めていた。

コルベルト

自力での修行に励む熱心な男性である。フランと親しい。
・所属組織、地位や役職
 ランクB冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 アシュトナー侯爵邸の監視をしていた。ギルドから戦力を集めるために走った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 デミトリス流武術を破門されている。

王都の住民・裏社会関係者

カルク

王都の裏社会に精通する男性である。フランの力量を恐れている。
・所属組織、地位や役職
 迷路地区の顔役。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランたちを大通りまで案内した。オルメス伯爵別邸の場所を特定した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 弱者眼という力量差を識別する魔眼を持っている。

ベッケルト・フース

アシュトナー侯爵の命令に従う男爵である。
・所属組織、地位や役職
 ベッケルト・フース男爵。侯爵の配下。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランへ魔剣を五〇〇〇万ゴルドで譲るよう交渉した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 フランの正体を正確に把握していなかった。

アシュトナー侯爵家・狂信兵関係

ハムルス

魔薬によって弱らされた男性である。
・所属組織、地位や役職
 ベイルリーズ伯爵家の密偵。アシュトナー侯爵家の狂信兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 地下通路でフランを襲撃した。戦闘後に死亡する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アンデッドソードの宿主にされていた。

ゴードン

アシュトナー侯爵家の配下である。
・所属組織、地位や役職
 アシュトナー侯爵の配下。
・物語内での具体的な行動や成果
 魔剣に操られてベイルリーズ伯爵邸の襲撃に加わっていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 戦闘後に遺体を回収された。

ウェナリア・ゲール・アシュトナー

不健康そうに痩せ細った老人である。
・所属組織、地位や役職
 アシュトナー侯爵。狂信兵の首謀者。
・物語内での具体的な行動や成果
 王都内で狂信兵を暴走させた。フランたちと死闘を繰り広げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 狂信剣ファナティクスの意識に乗っ取られていた。

集団

快速艇の乗組員たち

迅速な航行を担う集団である。
・所属組織、地位や役職
 快速艇の乗組員。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランたちをバルボラまで送り届けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

孤児院の子供たち

明るく暮らしている孤児の集団である。
・所属組織、地位や役職
 バルボラ孤児院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランとウルシの来訪を大歓迎した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アマンダの支援により生活環境が改善されている。

竜膳屋の女性店員たち

竜膳屋で働く店員たちである。
・所属組織、地位や役職
 竜膳屋・店員。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランたちに料理を配給した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

竜膳屋の客たち

竜膳屋の料理を楽しむ人々である。
・所属組織、地位や役職
 竜膳屋・客。
・物語内での具体的な行動や成果
 フェルムスたちの料理を味わった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ルシール商会の丁稚たち

商会で雑務をこなす少年たちの集団である。
・所属組織、地位や役職
 ルシール商会・丁稚。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランの来訪をレンギル船長に素早く伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ルシール商会の従業員たち

客への給仕を担当する人々である。
・所属組織、地位や役職
 ルシール商会・従業員。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランへお茶やデコレーションケーキを用意した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ルシール商会の商人たち

商会の中で交渉などを行う人々である。
・所属組織、地位や役職
 ルシール商会・商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 待合用のソファで質素なカップのお茶を飲んでいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ウルムットの冒険者たち

実力のある冒険者たちの集団である。
・所属組織、地位や役職
 ウルムット冒険者ギルド・所属冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランを黒雷姫だと気づいて注目した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

不良冒険者たち

駆け出しを狙って脅し取る悪質な集団である。
・所属組織、地位や役職
 ウルムットの不良冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランを取り囲み、路地へ連れ出そうとしたが撃退された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ウルムットの若い冒険者たち

エルザに従う若手の集団である。
・所属組織、地位や役職
 ウルムットの冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 倒れた不良冒険者たちを縛り上げて医務室へと運んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

避難待ちの観光客たち

王都への入場を待つ人々の集団である。
・所属組織、地位や役職
 王都への来訪者。
・物語内での具体的な行動や成果
 王都の門の前に長蛇の列を作っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

避難待ちの商人たち

王都の入場列に並ぶ商人の集団である。
・所属組織、地位や役職
 王都への来訪者。
・物語内での具体的な行動や成果
 列に並ぶ人々を相手に露店や簡易販売を行っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

巡回の騎士や兵士たち

行列の整理を行う集団である。
・所属組織、地位や役職
 王都警備隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 城壁に沿って並ぶ来訪者の整理や護衛をしていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

避難待ち of 獣人たち

黒雷姫への興味を抱きながら並ぶ獣人の集団である。
・所属組織、地位や役職
 王都の入場を待つ獣人たち。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランを黒雷姫であると確信し、敬意を払ってチラ見しに来ていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

迷路地区の酔客や娼婦たち

怪しげな雰囲気の中で過ごす集団である。
・所属組織、地位や役職
 迷路地区の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
 猥雑な通りで大声を上げたり、我が物顔で歩いたりしていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ギルド内の冒険者たち

ギルドで依頼を待つ人々である。
・所属組織、地位や役職
 王都冒険者ギルド・所属冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランとステリアおばさんのやり取りを遠巻きに観察していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

西風の剣の戦士たち

ゼフィルドに率いられた手練れの集団である。
・所属組織、地位や役職
 西風の剣のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランとゼフィルドの模擬戦に同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 全員がランクB冒険者で構成されている。

劇場のメイドさんたち

観客への給仕を行う女性たちの集団である。
・所属組織、地位や役職
 劇場の使用人。
・物語内での具体的な行動や成果
 オークション会場となった劇場で働いていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

劇場の警備員たち

オークションの品物を守る集団である。
・所属組織、地位や役職
 劇場の警備員。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランが近づくと、即座に警戒を強めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ランクC相当の実力者である。

劇場の窓口の係員たち

落札品の引渡し手続きを進める集団である。
・所属組織、地位や役職
 劇場の係員。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランから参加証を受け取り、落札品と現金の受け渡しをした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

カルクの酒場の男たち

酒場に集まる荒くれ者たちである。
・所属組織、地位や役職
 カルクの部下、客。
・物語内での具体的な行動や成果
 分体となった師匠を恐れ、道を空けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

カルクの酒場の護衛たち

カルクの周囲を守る護衛である。
・所属組織、地位や役職
 カルクの護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
 最初は師匠の分体を排除しようとしたが、カルクに制止された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

オルメス伯爵別邸の警備の兵士たち

厳重に屋敷を警護する兵士である。
・所属組織、地位や役職
 オルメス伯爵別邸の警備兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 外部からの脱走を警戒するように多数で内部を警戒していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ベイルリーズ伯爵邸の兵士たち

武闘派として鍛えられた兵士たちである。
・所属組織、地位や役職
 ベイルリーズ伯爵邸の私兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 襲撃時は狂信兵の襲撃に対処した。のちにアシュトナー侯爵邸へ突入する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 全員が武術や武技を扱える実力を持つ。

ベイルリーズ伯爵邸の使用人たち

客への給仕を担当する人々である。
・所属組織、地位や役職
 ベイルリーズ伯爵邸の使用人。
・物語内での具体的な行動や成果
 お茶や串揚げを客間へ運んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ベイルリーズ伯爵邸の密偵たち

情報を収集する隠密の集団である。
・所属組織、地位や役職
 ベイルリーズ伯爵邸の密偵。
・物語内での具体的な行動や成果
 オルメス伯爵別邸の広間でガルスの姿を目撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

オークションの参加者たち

魔石や武具を求める人々の集団である。
・所属組織、地位や役職
 オークションの来訪者。
・物語内での具体的な行動や成果
 特別な魔石の入札などで競り合った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

宿の従業員たち

客への丁寧なサービスを行う集団である。
・所属組織、地位や役職
 高ランク冒険者向けの宿の従業員。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランたちの宿泊の手配をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

宿の一般の金持ち客、その護衛たち

宿の食堂などで静かに過ごす集団である。
・所属組織、地位や役職
 宿の宿泊者。
・物語内での具体的な行動や成果
 宿の食堂などで過ごしていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

狂信の兵士たち

精神を操られて戦う危険な兵士である。
・所属組織、地位や役職
 アシュトナー侯爵家の狂信兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 王都の街中で大規模なテロを起こした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 疑似狂信剣が神剣開放して暴走した。

ギルドに集まった冒険者たち

ギルドで依頼を待つ人々である。
・所属組織、地位や役職
 王都冒険者ギルド・所属冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリアンテの呼びかけに応じて、アシュトナー侯爵邸への突入を承諾した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

複数の屋敷や民家を襲う襲撃者たち

※襲撃者たち。狂信兵に同じ。
・所属組織、地位や役職
 アシュトナー侯爵家の狂信兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 王都各所で無差別な大破壊と虐殺をまき散らした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

救出に駆けつけた冒険者たち

危険を承知で戦う冒険者の集団である。
・所属組織、地位や役職
 王都の冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 アシュトナー侯爵邸へ突入し、狂信兵を制圧した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 全員がランクD以上の実力を備えている。

侯爵邸に突入した兵士たち

戦闘で傷つく兵士たちの集団である。
・所属組織、地位や役職
 ベイルリーズ伯爵の配下の兵士。
・物語内での具体的な行動や成果
 屋敷の庭園で狂信兵によって多数が倒されていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

転剣10レビュー
転剣まとめ
転剣12レビュー

展開まとめ

第一章 久しぶりのクランゼル王国

ファナティクスの目覚め

三五八七年一〇月、遺跡から発掘された壊れた魔剣が、手にした侯爵へ語りかけた。魔剣は複数の意識を持つ存在で、自らを神剣だと認識しながらも名前を失っており、ホーリー・オーダーとの戦いで破壊された記憶を残していた。魔剣は侯爵の肉体を奪い、神剣を取り込んで自身を修復することを企て、侯爵家の力を利用し始めた。

バルボラへの帰還

快速艇での航海は何事もなく終わり、フランたちはジルバード大陸のバルボラへ戻った。船長から次元収納の能力を高く評価され、冒険者を辞めるなら商会の幹部として迎えると勧誘された。

広がったカレーブーム

バルボラではカレーが大流行しており、料理コンテストをきっかけにカレー師匠とフランの名まで広まっていた。多くの屋台が流行に便乗していたため味にはばらつきがあったが、フランとウルシはカレー風味の肉まんを気に入り、大量に購入した。

ガルスの手掛かり

冒険者ギルドのガムドや情報屋レグス、鍛冶師ギルドを訪ねたものの、ガルスの行方は分からなかった。ただし、ガルスを連れて行ったと疑われるアシュトナー侯爵家が、王都で鍛冶用の素材を大量に集めていることが判明したため、フランたちは王都での再会に望みをつないだ。

孤児院の再会

フランは孤児院を訪れ、イオやシャルロッテ、子供たちと再会した。アマンダの支援によって防犯や食事環境も改善されており、子供たちは明るく暮らしていた。フランとウルシは歓迎を受け、イオの作ったカレーを子供たちと一緒に楽しんだ。

ゼロスリードとロミオ

シャルロッテから、二日前にゼロスリードが三歳ほどの少年ロミオを連れて孤児院を訪れたと聞かされた。ゼロスリードは亡くなった知人から託された子供だとして預けようとしたが、ロミオは彼から離れると激しく泣き、抱かれると安心したため、院長はもうしばらく一緒にいるよう勧めた。ゼロスリードは以前とは違って落ち着いており、結局ロミオを連れて去っていた。

竜膳屋のカレー料理

フランとウルシはフェルムスの竜膳屋を訪れ、新作のカレー竜骨スープをはじめとする料理を堪能した。フェルムスの弟子が作った料理には違いを感じ取り、フランは求められるまま率直な改善点を伝えた。

アシュトナー侯爵家の苦境

ルシール商会では香辛料を仕入れるとともに、アシュトナー侯爵家の状況を聞いた。セルディオ・レセップスの悪事が死後に冒険者ギルドから告発され、関係していたギルドマスターも失脚していた。侯爵家は国からも疑惑の目を向けられ、財政面でも支払いの滞りが出るほど弱体化していた。

ウルムットへの帰還

フランたちは情報収集のためウルムットへ向かった。武闘大会での活躍から黒雷姫として広く知られており、人々の注目を集めた。事情を知らない不良冒険者三人に絡まれたが、フランは拳だけで全員を倒し、同時にまだ不安定なスキル制御の訓練にもなった。

ディアスたちとの再会

ギルドではエルザと再会し、ディアス、オーレル、さらに人形へ憑依していたルミナと面会した。ルミナはダンジョン運営について二人と協議しており、フランはキアラ捜索の指名依頼について三人へ報告することになった。

キアラの最期

フランは獣人国でキアラと再会し、共に戦い、進化を遂げた彼女を最期まで看取った経緯を語った。ディアスは深い悲しみを押し殺し、オーレルは涙を流しながらもキアラが満足して笑っていたことに救いを見いだした。ルミナもキアラが黒天虎へ進化できたことを喜び、三人はフランが最期を看取ったことへ感謝した。

ディアスの復讐心

キアラの死にゼロスリードが関わったと知ったディアスは、復讐は愚かだと理解しながらも、自分は割り切れない人間だと吐露した。フランはキアラが復讐を望んでいなかったことを伝えたが、ディアスの中にはゼロスリードへの強い憎悪が残った。

セルディオ事件の後始末

ディアスはセルディオの従者から証言を引き出し、魔薬などの証拠と合わせて告発していた。かつて証言を妨害できたアルサンド子爵は、嘘を見抜くスキルを失って失脚していたため、アシュトナー侯爵家は横槍を入れられなかった。セルディオに協力したギルドマスターたちも処分され、侯爵家の勢力は削られていた。

フランを隠す噂

ディアスはセルディオの死にフランが関わった事実をできる限り伏せ、人間の男やフォールンド、ディアス自身が倒したという複数の噂を意図的に流していた。そのため真実を特定しにくくしていたが、完全には隠せていない可能性もあり、アシュトナー侯爵家と接触する際には警戒するよう忠告した。

ミューレリアの顛末

フランたちはダンジョンへ戻り、ルミナにミューレリアの最期を伝えた。かつての主筋であり、邪神に人生を狂わされた存在でもあったミューレリアの死を聞き、ルミナは懐かしさと悔恨を滲ませながら静かに涙を流した。

混沌の女神の眷属

師匠はルミナと二人で話し、ミューレリアとの会話から自分が混沌の女神の眷属とされていることを明かした。ルミナによれば、神の眷属とは神自身が生み出した存在や、神から力を与えられた者を指した。混沌の女神の眷属として知られているのはダンジョンマスターやその配下だけであり、師匠もダンジョンと何らかの関係を持つ可能性が考えられたが、その正体までは分からなかった。

第二章 王都の表と裏 

王都への到着

フランたちはウルムットを出発して二日目の早朝、巨大な城壁に囲まれたクランゼル王国の王都へ到着した。オークション目当ての来訪者による長大な列に並び、露店を眺めたり、古今東西やリバーシで遊んだりしながら四時間を過ごして入都した。

王都の迷路

冒険者ギルドを目指したフランたちは、古い集合住宅と細い路地が入り組む地区で迷子になった。尾行していた青年に道を聞こうとすると、弱者眼でフランとウルシの力量を察していたカルクが青年を追い払い、自ら大通りまで案内した。

王都冒険者ギルド

王都の冒険者ギルドへ到着したフランは、受付のステリアから黒雷姫だと見抜かれ、高ランク用の窓口へ招かれた。ガムドの紹介状を見せると、ステリアはガムド、フェルムス、ディアス、エイワースがかつて竜を狩っていた伝説的なパーティだったことを熱心に語った。

西風の剣

ギルドマスターを待つフランの前に、ランクA冒険者ゼフィルド率いる西風の剣が現れた。ゼフィルドはフランの実力を認め、手合わせを申し込んだ。フランは名前すら知らなかったが、ゼフィルドはクランゼル王国でも数少ないランクA冒険者であり、西風の剣は全員が高位冒険者で構成された国内屈指のパーティであった。

ゼフィルドとの準備運動

地下訓練場へ移動すると、ゼフィルドは戦う前に入念なストレッチを始めた。フランも師匠から教わった準備運動を披露し、西風の剣の面々にも教えることになった。彼らはフランの厳しい指導にも素直に従い、その後改めて模擬戦へ臨んだ。

盾使いゼフィルド

フランは高速移動と剣撃、覚醒や魔術まで使って攻めたが、ゼフィルドは回避と盾、障壁を巧みに使い、一撃も許さなかった。フランが大地魔術で足場を崩して空中へ誘導し、強烈な斬撃を叩き込んでも、ゼフィルドは盾の操作によって衝撃を返した。

スパイラル・バッシュ

攻守が入れ替わると、ゼフィルドは盾を武器として使い、突進や打撃、剣を挟み込む技でフランを追い詰めた。さらに高速回転を加えたスパイラル・バッシュで師匠を弾き飛ばし、続く一撃でフランを大きく吹き飛ばした。フランも直前に蹴りを返してゼフィルドの腕を傷つけたが、内臓まで損傷したため敗北を認めた。

模擬戦の決着

ウィンの治癒によってフランは回復した。フランは敗北を悔しがるよりも盾使いとの戦いから多くを学べたことを喜び、ゼフィルドへ礼を述べた。いつか奥の手を使わずに勝てるほど強くなると宣言し、ゼフィルドも再戦を楽しみにした。

ギルドマスター・エリアンテ

模擬戦後、食事をしながら待っていたフランの前に、王都冒険者ギルドのマスターであるエリアンテが現れた。エリアンテは厳しい外見に反して気さくに接し、ガムドの紹介を受けたフランへ全オークションに参加できる資格を与えることにした。

オークションの仕組み

エリアンテは武具や魔石、魔獣素材、料理、魔道具など、品目ごとに専門オークションが開かれることを説明した。危険な武具や魔道具の流通を防ぐため、出品者だけでなく購入者にも審査があり、フランはガムドの推薦によって特別な参加資格を得た。

エリアンテの支援

女性高ランク冒険者が少ないことから、エリアンテはフランと良好な関係を築きたいと語った。特にアシュトナー侯爵家を強く嫌っており、王都で貴族との問題が起きた場合は小さなことでも相談するよう念を押した。また、従魔も泊まれる高ランク冒険者向けの宿を紹介した。

王都観光

オークションまでの間、フランはエリアンテの観光案を参考に王都を巡った。しかし、その半数はエリアンテ自身の趣味に偏った男性同士の恋愛作品ゆかりの場所であったため、偶然再会したゼフィルドに修正してもらった。フランは大神殿や王城、迷路状の薔薇園などを楽しんだ。

武具オークション

二日後、フランは武具オークションへ参加した。ガルスからの手紙に武具オークションと鞘について記されていたため、会場で接触を待つことが目的だった。しかし出品時刻を特定できず、普通席で朝から待ち続けた結果、フランは退屈して眠りかけていた。

師匠の鞘

午後の特別出品で、師匠がすでに使用している鞘と瓜二つの品が現れた。銘は師匠の鞘であり、サイズ調整機能もないことから、明らかに師匠専用を意識した品だった。フランは三万ゴルドで落札し、目くらましとして風除けの腕輪も四十七万ゴルドで購入した。

鞘に隠された暗号

宿へ戻って二つの鞘を比べると、新しい鞘の内部だけ赤い糸が使われていた。糸をほどくと、最高の剣に使われることを知恵の神に望むという文が現れた。さらに師匠を実際に納めたことで金具の違和感に気づき、その裏側から蠍獅子に睨まれた戦乙女のいる屋敷という暗号を発見した。

ガルス捜索の手掛かり

フランたちは蠍獅子をマンティコア、戦乙女をヴァルキリーと解釈したが、具体的な場所までは分からなかった。ガルスが直接場所を書かなかった理由から、何らかの監視下に置かれている可能性を考え、王都内の屋敷を探すため情報収集を始めた。

エリアンテとの協力

フランは冒険者ギルドへ戻り、暗号についてエリアンテへ尋ねた。当初は手掛かりが少なすぎて判断できなかったが、フランがアシュトナー侯爵家への嫌悪を確認したうえで、ガルスが同家に囚われている可能性を明かすと、エリアンテは積極的な協力を約束した。冒険者ギルド側でも暗号に該当する場所を探し、フランの情報は伏せることになった。

王都の治安

エリアンテはオークション期間中の王都に犯罪者が増えていると忠告した。フランは見つけた犯罪者を倒すつもりだったが、エリアンテはフランが暴れれば周囲の被害が大きくなるとして、できるだけ穏便に捕らえるよう強く頼んだ。

第三章 ガルス捜索 

蠍獅子と戦乙女の捜索

フランたちはガルスの暗号を手掛かりに王都を探したが成果を得られず、裏社会に詳しいカルクへ秘密裏に調査を依頼した。師匠は分体を使って正体を隠し、翌夜までに情報を集めるよう頼んだ。

カルクの情報

翌夜、カルクはオルメス伯爵別邸こそ条件に合う屋敷だと突き止めた。向かいのベイルリーズ伯爵邸にはマンティコアの石像があり、その視線の先となる別邸の庭には戦乙女の像が置かれていた。

オルメス伯爵別邸

エリアンテから正確な場所を教えられたフランたちは、夜に別邸を確認した。師匠が上空から庭を調べると戦乙女の像を発見し、暗号と一致した。屋敷には強力な結界が張られ、外から想像できないほど多数の兵士が内部を警戒していたため、ガルスが囚われている可能性はさらに高まった。

コルベルトの監視

周囲を探っていたウルシは、アシュトナー侯爵邸を監視する路上生活者に反応した。後を追うと、その正体はランクB冒険者コルベルトであった。フランたちは目的を確かめるため尾行を続けた。

ベルメリアとフレデリック

公園へ入ったところでフランたちは毒煙による奇襲を受けた。襲撃者は半水竜人のベルメリア・ベイルリーズと、半邪竜人のフレデリックであった。二人は高い隠密能力を持っていたが、フランと師匠は雷鳴魔術を連発して双方を麻痺させ、拘束した。

コルベルトとの合流

尋問を始めようとしたところへコルベルトが現れ、ベルメリアたちが仲間だと明かした。コルベルトはアシュトナー侯爵家の密偵を誘き出すため、あえて怪しい行動をしており、フランの尾行を敵のものと誤認した結果の戦闘であった。フランもガルスを捜している事情を明かし、互いにアシュトナー侯爵家を追っていることが分かった。

ベイルリーズ伯爵

コルベルトに案内されたフランは、彼の雇い主であるシドレ・ベイルリーズ伯爵と面会した。伯爵は西門騎士団長であり、かつて若き獣王と共に戦った間柄でもあった。獣王からフランを気にかけるよう頼まれており、フランに友好的な姿勢を示した。

アシュトナー侯爵家の捜査

ベイルリーズ伯爵は国の命令で、アシュトナー侯爵家による神剣研究、魔薬製造や密売、反逆の疑いを捜査していた。セルディオの事件を契機に侯爵家の不正が表面化し、捜査は最終段階に入っていた。

ガルスの拘束疑惑

フランはガルスがアシュトナー侯爵家に招聘された後、消息を絶ったことと、鞘に残された暗号を説明した。伯爵側の記録ではガルスは大結界具の補修後に解放されたことになっていたが、暗号がオルメス伯爵別邸を示していたことで、現在も拘束されている疑いが強まった。

一日の猶予

ベイルリーズ伯爵は配下を使って一日で調査すると約束した。ガルスが拘束されていれば国家反逆罪の明確な証拠になり、鍛冶に必要な物資の流れからも追跡できると考えていた。フランは独自の潜入を控え、一日待つことにした。

監視役と不穏な気配

伯爵はアシュトナー侯爵家にフランが監視されている可能性を考え、逆に相手の動きを探るため護衛兼監視役を付けた。宿へ戻る途中、フランとウルシは地下通路で師匠には感じられない不快な気配を察知した。

ハムルスの襲撃

地下通路でフランを待ち受けていたのは、狂信状態にある剣士ハムルスであった。彼はセルディオたちと同様の状態を示し、半壊した異様な魔剣を携えていた。魔剣は師匠の鑑定を拒み、師匠だけに強烈な嫌悪感を抱かせた。

自動する魔剣

戦闘ではハムルス本人が反応できない攻撃まで魔剣が勝手に防ぎ、主を操っているかのような動きを見せた。さらにハムルスは潜在能力解放状態となり、再生や筋肉肥大などの能力を得て、自傷さえ利用する異常な攻撃を繰り返した。

ハムルスの死

フランはハムルスの攻撃を見切り、ウルシの奇襲で魔剣を握る手を噛み砕かせた。魔剣を手放したハムルスは潜在能力解放による消耗に耐えきれず死亡した。師匠は魔剣を破壊しようとしたが、その刀身は非常に硬く、強力な一撃でも一部を欠けさせるにとどまった。

魔剣の逃走

傷ついた魔剣は念話のような絶叫を放ち、圧縮した魔力を噴射して単独で高速飛行した。追撃をかわしながら地下道を脱出し、逃走中に一般人を次々と傷つけたため、フランたちは追跡より救護を優先した。師匠は魔剣が高い知能を持ち、自身と同じく意思ある武器である可能性を強く疑った。

人払いの結界

魔剣が去ると、地下道に再び一般人が入ってきた。そこには一定以上の能力を持つ者以外に地下道そのものを認識させない強力な結界が張られており、フランとウルシが感じた違和感もその影響だった。

ハムルスの正体

護衛役としてフランを追っていたベルメリアとフレデリックが合流した。ハムルスの遺体を確認した二人は、彼がアシュトナー侯爵家を内偵中に行方不明となっていた同僚だと明かした。さらに遺体には大量の魔薬を投与された中毒症状が残っていた。

アンデッドソードの可能性

フレデリックは、人を操り能力を強化する特徴から、逃げた魔剣が死霊の憑依したアンデッドソードである可能性を挙げた。ただし通常のアンデッドソードは脅威度F程度であり、フランが強大だと感じるほどの個体は前例がなかった。ハムルスが魔薬で弱らされたうえで魔剣の宿主にされた可能性が浮上した。

消えた魔剣

ウルシも逃走した魔剣を追跡したが、空を高速で飛ぶ相手の匂いを追い切れず見失った。フランたちはアシュトナー侯爵家、魔薬、狂信状態、そして意思を持つ異常な魔剣のつながりを疑いながら、その行方を追う必要に迫られた。

第四章 侯爵の影

魔石オークション

ハムルスの襲撃翌日、フランたちはベイルリーズ伯爵家の調査を邪魔しないため、予定通り魔石オークションへ参加した。目立つのを避けるため元オークショニアの冒険者コダートを代理人に立て、脅威度の高い魔獣や人型魔獣の魔石を狙った。ゴブリンキングの魔石は収集家との競争で二〇〇万ゴルドまで高騰したが落札に成功した。

謎の魔石

鑑定不能品として出品された魔石を師匠はイビル・ゴブリン・ジェネラルの物だと見抜き、一二万ゴルドで落札した。さらにコダートの助力で狙っていた八つ中七つの魔石を入手し、伯爵級の悪魔の魔石も確保した。総額は一〇〇〇万ゴルド以上となったが、フランたちは大量の高品質な魔石を手に入れた。

ベッケルトの勧誘

会場を出たフランにベッケルト・フース男爵が接触し、師匠を五〇〇〇万ゴルドで譲るよう持ちかけた。フランが拒むと男は護衛を使って威圧し、さらに金額を一億まで吊り上げたが、その提示は虚偽であった。最後には平民であるフランを侮辱し、師匠を薄汚い剣と呼んで力ずくで奪うと脅した。

師匠への侮辱

師匠を貶されたフランは激怒し、王威をベッケルトだけに集中させて恐怖で屈服させた。さらに彼の手を握り潰してから治療し、外傷を残さなかった。騒ぎを察知したフレデリックが現れ、ベッケルトと護衛を引き取って背後関係を調べることとなった。

魔石の吸収

宿へ戻った師匠は落札した魔石を吸収し、魔石値一四二〇と十一個の新規スキルを得た。生命魔術の獲得によって複合属性六種が揃い、フランは称号「属性究めし者」と上位職と思われる魔究師の選択条件を満たした。ほかにも腐敗無効、重量超加、死霊退散、動物知識、捕食吸収、共食いなどを獲得した。

共食いの性質

ユニークスキル共食いは、同族を殺すことで力の一部を吸収する能力であった。師匠は自分にとっての同族が何を指すのか確認するため魔法武器を破壊したが、それらは対象にならなかったため、神剣やインテリジェンス・ウェポンなど、より近い存在が対象となる可能性が残った。

魔剣とベッケルトの調査

夜、ベルメリアたちが宿を訪れ、逃走した魔剣は発見できなかったと報告した。ベッケルトはアシュトナー侯爵の配下で、侯爵本人から狼の意匠を持つフランの魔剣を手段を問わず入手するよう命じられていた。ただし侯爵がフランの素性やガルスとの関係をどこまで把握しているかは判然としなかった。

ガルスの目撃情報

ベイルリーズ伯爵家の潜入者は、オルメス伯爵別邸でガルスの姿を目撃していた。居場所までは特定できなかったが、つい最近まで別邸にいたことは確認された。伯爵家は立ち入り捜査の準備を進めており、フランは単独で突入せず、その実施を待つことにした。

ベルメリアとの模擬戦

戦意を持て余したフランに対し、フレデリックはベルメリアとの稽古を提案した。ベルメリアは暗器、投擲、短剣を組み合わせて奇襲を仕掛け、煙幕や網も使ったが、経験と実力で勝るフランには通じなかった。何度倒されても立ち向かい続けたものの、最後は動けなくなって敗北した。

ベルメリアとフレデリック

ベルメリアはベイルリーズ伯爵と、ゴルディシア大陸に住む半竜人の女性との間に生まれた娘であった。幼い頃に父へ引き取られ、母は役目のためゴルディシアを離れられなかった。フレデリックは元々その母の警護役で、ベルメリアがクランゼル王国へ来た際に同行し、現在まで守役のような立場で仕えていた。

宿への奇襲

その夜、フランの部屋へ高位の火炎魔術が撃ち込まれた。フランたちは直前に転移して難を逃れ、中庭で半壊した魔剣を持つ男ゴードンと対峙した。ゴードンはハムルスと同じ狂信と潜在能力解放状態にあり、高い剣技と高速再生を備えていた。

師匠を狙うゴードン

フランはゴードンを生け捕りにするため魔剣を切り離そうとしたが、ゴードンは自ら師匠の刃を腹に受け、そのまま師匠を掴んで逃走を図った。魔剣はフランを足止めし、師匠とフランを分断したことから、襲撃の本当の標的が師匠であることが明らかになった。

魔剣の支配

単独で動いた魔剣はフランへ我ニ従エと命じ、精神支配を試みた。しかし精神異常耐性と支配無効によって効果は弾かれた。師匠はゴードンを拘束してフランの手元へ戻り、魔剣には斬った相手を支配する能力があると警戒した。

ゴードンの死

魔剣は再びゴードンを使い手にしようとしたが、フランたちに妨害された。すると魔剣はゴードンを背後から打ち砕き、自ら使い手を殺害した。その直後、ベルメリアを新たな宿主にしようと襲ったが、フレデリックが身代わりとなって斬られた。

剣王技・天断

精神耐性を持つフレデリックへの支配が失敗した隙に、フランは転移で魔剣へ接近した。師匠が魔力放出を透過させ、フランは剣王技・天断を放って魔剣の刀身をさらに切断した。しかしその瞬間、師匠の共食いが発動し、魔剣の力の一部が流れ込んだ。

共食いの代償

吸収された魔剣の力は師匠に強烈な嫌悪感を与え、思考もままならないほどの苦痛をもたらした。その隙に魔剣は再び逃走した。共食いによって師匠の保有魔力と耐久値はそれぞれ五〇上昇したが、今後このスキルを使うべきか迷うほど不快な感覚であった。

ゴードンの能力

フレデリックは遺体を確認し、ゴードンもアシュトナー侯爵家を内偵中に失踪した同僚だったと明かした。本来は槍使いで火炎魔術も使えなかったため、戦闘中に見せた剣聖術や火炎魔術は潜在能力解放だけでは説明できなかった。魔剣が装備者へ新たな能力を与えていた疑いが強まった。

インテリジェンス・ウェポン

魔剣が意思ある声を発し、人を支配していたことから、フレデリックはインテリジェンス・ウェポンの可能性に驚いた。彼によれば、ゴルディシア大陸ではトリスメギストスが自ら作り上げた意思ある愛剣と共に、現在も深淵喰らいと戦い続けていた。

魔剣の欠片

フランが切り落とした魔剣の刀身を師匠が調べると、自身の刀身に使われたオレイカルコスに似た素材だと感じられた。神級鍛冶師が同じような素材で作ったインテリジェンス・ウェポンであれば、共食いが発動したことにも説明がついた。欠片は詳しい調査のためフレデリックへ預けられた。

アシュトナー侯爵邸への逃走

追跡していたウルシは、魔剣がアシュトナー侯爵邸へ逃げ込んだと報告した。これにより侯爵家の関与はさらに濃厚となったが、証拠を固めず強行突入すれば捜査が失敗するため、フランは自制を求められた。

師匠と魔剣の違い

師匠は、自身と魔剣が意思ある武器であり、使い手を強化する一方で命を危険にさらす可能性まで似ていることに複雑な思いを抱いた。しかしフランは、使い手を自ら殺した魔剣と、常にフランを思って力を使う師匠は全く違うと断言した。師匠はその言葉を受け、魔剣との類似に抱いていた迷いを和らげた。

第五章 狂信の兵士たち 

ベルメリアの離脱

魔剣の襲撃後、フランたちはベイルリーズ伯爵の屋敷へ退避した。翌朝、ベルメリアは夜のオルメス伯爵別邸への捜査から外されたことに激しく反発し、涙を浮かべて部屋を飛び出した。ベイルリーズ伯爵は彼女の斥候としての能力を認めながらも、危険な任務には参加させないと決めていた。

ベイルリーズ家の事情

ベルメリアは武の名門であるベイルリーズ伯爵家の娘として戦闘訓練を受けていたが、半竜人であるためクランゼル王国では騎士になれず、密偵として育てられていた。伯爵は妾腹の娘であるベルメリアを本妻の子より優遇できない立場にありながら、唯一の娘として強く案じていた。そのため今回の任務から外した理由も、実力不足ではなく過保護によるものだった。

竜人への忌避

竜人は、かつてトリスメギストスを支持して世界規模の災厄を招いた歴史から、各国で忌種として扱われていた。クランゼル王国でも竜人や半竜人は騎士への叙勲や公的な要職への就任を認められていなかった。フレデリックたちは、竜人が最凶、蟲人が最狂、ハイエルフが最強と呼ばれるほど強力な種族であることも説明した。

屋敷への襲撃

ベルメリアが部屋へ戻った後、屋敷を複数の敵が包囲した。襲撃者は王都の貴族街にもかかわらず火炎、風、大地の魔術を一斉に撃ち込み、屋敷へ強行突入した。フランは裏口へ向かい、背中に奇妙な剣を刺された襲撃者たちと遭遇した。

疑似狂信剣

襲撃者の背中に刺さっていた剣を鑑定すると、疑似狂信剣と表示された。フランたちは、それがかつて知った神剣・狂信剣ファナティクスを模した存在だと考えた。疑似狂信剣は装着者を狂信状態と潜在能力解放状態にし、異常再生を与えるだけでなく、装着者の魔力を利用して周囲の魔術や放出系スキルを打ち消していた。

共食いによる吸収

フランが襲撃者を疑似狂信剣ごと斬ると、師匠の共食いが発動した。ただし以前の魔剣より力は弱く、吸収による不快感も小さかった。師匠は自己進化に頼らず強化できる機会を逃さないため、共食いを外さず戦い続けることを選んだ。

屋敷内の救援

襲撃者たちは魔術を自由に使う一方、周囲の魔術を封じたため、屋敷の兵士たちは苦戦していた。フランは疑似狂信剣を持つ敵を次々に倒し、負傷した兵士や使用人を回復した。人質を取った襲撃者には、魔力打ち消しの範囲外から念動カタパルトを放ち、頭部と疑似狂信剣を同時に破壊した。

剣神化

ベイルリーズ伯爵の執務室では、伯爵が複数の強敵に追い詰められていた。フランは伯爵を守りながら戦うため剣神化を発動し、剣聖術を極めた襲撃者四人をわずか四度の斬撃で倒した。圧倒的な力を得た代わりに、師匠の耐久値とフランの体力は大きく消耗した。

ベルメリアの誘拐

屋敷内の敵を排除しながらベルメリアの部屋へ向かうと、フレデリックが重傷を負って倒れていた。フランたちは彼を救命したが、ベルメリアは襲撃者によって意識を奪われ、すでに連れ去られていた。ベイルリーズ伯爵は娘を追いたい気持ちを抑え、まず屋敷に残る敵を排除することを選んだ。

襲撃者の正体

襲撃者は十五人に達し、屋敷側にも四十人以上の被害が出た。遺体を調べると、全員が大量の魔薬を投与されており、その中には行方不明になっていたランクB、Cの冒険者たちも含まれていた。魔薬で思考力を奪い、疑似狂信剣による支配を容易にしていた可能性が高まった。

ウルシの追跡

負傷したウルシが戻り、ベルメリアを連れ去った者たちを追跡した結果、彼女がアシュトナー侯爵邸へ運び込まれたことが分かった。しかし侯爵邸からは多数の疑似狂信剣の気配が感じられ、ウルシ自身がフランの突入を止めるほど危険な状況だった。

疑似狂信剣の兵団

ベイルリーズ伯爵は、今回の襲撃で十五人もの強者を使い潰したことから、アシュトナー侯爵家がさらに大量の疑似狂信剣を保有している可能性を指摘した。魔術やスキルを打ち消し、死を恐れず戦う強者の兵団が存在するなら、少人数での突入は無謀であった。

狂信剣ファナティクス

フランは疑似狂信剣が、破壊された神剣・狂信剣ファナティクスの模造品である可能性を説明した。その危険性と神剣由来の存在だと知ったベイルリーズ伯爵たちは、アシュトナー侯爵家が疑似神剣を量産している可能性に衝撃を受けた。

王都各地の戦闘

巡回兵が到着し、アシュトナー侯爵邸から背中に剣を刺した兵士たちが大量に出撃し、貴族街各所で戦闘を起こしていると報告した。侯爵家は捜査を待たず、自ら大規模な行動を開始していた。

救出部隊の編成

ベイルリーズ伯爵は騎士団長として市民の救援を優先し、自らベルメリア救出へ向かうことを断念した。その代わり、フレデリックを侯爵邸の偵察へ送り、コルベルトには冒険者ギルドから戦力を集めるよう命じた。依頼料は相場の倍、人数の上限も設けず、集まった冒険者を侯爵邸への突入と王都各地の戦闘に振り分ける方針となった。

コルベルトの破門

冒険者ギルドへ向かう途中、コルベルトは武闘大会でフランに勝つため封印を解除した結果、デミトリス流を破門されたと明かした。流派の長だけが持つ失伝のスキルによって、コルベルトのデミトリス流武術と武技は完全に消されていた。それでも彼はフランを恨まず、自力で拳聖術と拳聖技を磨き、いつか再び勝負すると笑った。

追い詰められたエリアンテ

冒険者ギルドでは、地下道、宿、貴族街の事件処理が重なり、エリアンテが大量の仕事に追われていた。フランがすべての事件に巻き込まれていたと知ると泣きながら怒ったが、今回の襲撃事情を聞くと即座にギルドマスターとしての態度へ戻った。

冒険者ギルドの参戦

コルベルトはベイルリーズ伯爵からの正式な依頼を示し、アシュトナー侯爵邸への突入と王都各地への支援を求めた。さらに襲撃者の中に行方不明だった冒険者が含まれていたことを知ったエリアンテは激怒した。冒険者を捕らえ、洗脳して使い潰していた可能性を受け、エリアンテはアシュトナー侯爵家との戦いに全面的に協力することを決めた。

第六章 侯爵邸 

アシュトナー侯爵邸への突入

フランはエリアンテ、コルベルトら二十人の冒険者とともにアシュトナー侯爵邸へ向かった。道中で狂信兵の潜在能力解放、異常再生、魔力打消し能力などを共有し、到着後はフレデリックとも合流した。しかしウルシがベルメリアの匂いが侯爵邸から離れていると察知したため、フレデリックとウルシが彼女を追い、フランたちは侯爵邸の制圧を担当した。

庭園の狂信兵

侯爵邸では先行した兵士たちが狂信兵によって多数倒されていた。フランは魔力打消しの範囲外から槍を魔術と念動で加速して投擲し、狂信兵を仕留めた。その姿を見て立ち直った冒険者たちは兵士と連携し、コルベルトも武術だけで狂信兵を翻弄して庭園を制圧した。

瀕死のゼフィルド

屋敷内部から巨大な魔力が放たれ、壁を突き破って瀕死のゼフィルドが飛び出した。仲間四人はすでに殺されており、彼を追い詰めた相手はアシュトナー侯爵だった。フランが回復した直後、異様に痩せ衰えた侯爵本人が屋敷から姿を現した。

超人化したアシュトナー侯爵

アシュトナー侯爵は狂信と超人化状態にあり、剣聖術や瞬間再生、生命強奪、魔力強奪など多数の高位スキルを持つ異常な強者へ変貌していた。元来は戦場経験の乏しい貴族だったにもかかわらず、獣王に迫る能力を得ており、人格も侯爵本人とは思えないほど変質していた。

ファナティクスの意識

侯爵は自らを俺たちと呼び、数百年前に聖霊剣ホーリー・オーダーによって破壊されかけた記憶を口にした。さらに疑似狂信剣へ自らの欠片を分け与え、スキルや経験を宿主へ移植していたことを明かした。アシュトナー侯爵は四十年かけて薬物と能力による改造を受けた特別な素体であり、セルディオやオーギュストも実験対象だった。

アシュトナー侯爵との激戦

侯爵は溶鉄魔術や剣聖術を組み合わせ、フランと互角以上の戦いを続けた。フランと師匠はカンナカムイを自分たちごと叩き込む戦法で侯爵に大打撃を与え、エリアンテ、コルベルト、ゼフィルドも生じた隙を突いて一斉攻撃を加えた。

天断による重傷

侯爵が周囲へ注意を向けた一瞬を利用し、フランは転移から剣王技・天断を放った。疑似狂信剣を切断し、侯爵の体も右肩から左脇まで斬り裂いたが、ファナティクスの反応は途絶えず、侯爵も瞬間再生によって立ち直ろうとした。

潜在能力解放した侯爵

追い詰められた侯爵は潜在能力解放を発動し、能力をランクS級まで引き上げた。フランは腹部を貫かれ、蹴り一発で屋敷の壁を突き破るほどの大打撃を受けた。生命と魔力を強奪され続けたため、長期戦では勝ち目が薄くなった。

フランの潜在能力解放

撤退を勧める師匠に対し、フランはエリアンテたちを守るため潜在能力解放を発動した。能力は大幅に上昇し、敏捷は千を超えた。さらに師匠との結びつきも強まり、互いの意思を指示なしで理解しながら戦える状態となった。

黒雷転動と天断

フランは一定の速度で攻撃を続けて侯爵に戦闘のリズムを覚えさせ、最後にその間合いを崩した。潜在能力解放によって使用可能となった黒雷転動で一瞬にして逆側へ回り込み、不完全な体勢から剣王技・天断を放った。その代償として全身の筋肉が断裂し、骨まで折れ始めた。

相打ちの突き

天断を避けられないと悟った侯爵は防御を一点に集中し、わずかな時間を稼いでフランへ決死の突きを放った。攻撃は確かにフランへ届いたはずだったが、なぜか傷もダメージも残らなかった。原因を確かめる暇もなく、フランは最後の攻撃へ移った。

黒雷神爪

フランはさらに黒雷神爪を発動し、師匠へ黒雷と神属性を纏わせた。天断で瀕死となっていた侯爵を斬り裂き、黒雷で全身を焼き尽くしたことで、ついにアシュトナー侯爵とその内部にいたファナティクスの意識を倒した。

共食いによる強化

侯爵の死と同時に共食いが発動し、師匠には強烈な不快感とともに大量の魔力が流れ込んだ。今回吸収した存在は量産型の疑似狂信剣とは格が違い、魔力と耐久値がそれぞれ三百増加した。

フランの瀕死

潜在能力解放を解除したフランは生命力も魔力もほぼ尽き、吐血して倒れた。師匠は残った魔力で治癒し、フランを叱った。フランは無断で潜在能力解放を使わないと約束したが、その代償が何であるかはまだ分からなかった。

ゼフィルドの代償

庭へ戻ると、ゼフィルドは回復魔術もポーションも効かない瀕死状態となっていた。彼は盾聖技によってフランへ向かった侯爵の最後の突きと、潜在能力解放による反動の一部を自らへ移し替えていた。フランが致命傷を受けなかったのは、ゼフィルドが身代わりとなったためだった。

天壁の最期

ゼフィルドはフランを責めず、仲間の仇を討てたことを喜び、反動の大きな力を今後は慎重に使うよう忠告した。フランは謝罪ではなく感謝を伝え、ゼフィルドは最後にいい仕事ができたと言い残して息を引き取った。

フランの休息

激戦の緊張が切れると、フランは蓄積した疲労に耐えられず眠り込んだ。王城方面ではなお複数の巨大な魔力がぶつかっていたが、今のフランが参戦すれば命を失う危険が高かった。エリアンテがフランを背負い、コルベルトがゼフィルドの遺体を抱えて冒険者ギルドへ戻ることになった。

エリアンテの過去

帰路でエリアンテは、かつて傭兵団の仲間を大量に失った経験を語った。撤退後に仲間の死を実感し、生き残った者同士で支え合ったからこそ今も生きていると振り返った。ゼフィルドも四十年連れ添った仲間の仇を討ち、満足して逝けたのかもしれないと話した。

神剣開放した狂信兵

冒険者ギルドを目前にした時、王都各所に百近い巨大な魔力が出現した。近くの路地から現れた狂信兵を鑑定すると、疑似狂信剣が神剣開放状態となっていた。宿主は潜在能力解放前のアシュトナー侯爵に匹敵する力を得ており、残された数分の命を使って無差別に魔術と剣技を放ち始めた。

新たな脅威

エリアンテが狂信兵を止めようと向かったが、その力では勝ち目が薄かった。眠るフランを抱えたまま、師匠はファナティクスがさらに大量の疑似狂信剣を神剣開放させた事実に戦慄し、これ以上フランを悲しませまいと敵への怒りを募らせた。

エピローグ 

ベルメリアの精神侵食

ベルメリアは暗闇の中で目覚め、そこが自身と何者かの精神が混じり合った場所だと知らされた。複数の声を持つ存在は、自分たちこそアシュトナー侯爵を支配していた側だと明かし、ベルメリアの内心にある父に愛されたい、強くなりたい、認められたい、すべてを投げ出したいという願望を次々と言い当てた。動揺したベルメリアは抵抗しようとしたが、次第に意識を失った。

竜の巫女の末裔

ベルメリアとの精神接続に成功した存在たちは、魔薬によって彼女を眠らせた。彼らはベルメリアを竜の巫女の末裔と呼び、その血筋なら超人化と並ぶ強力なスキルを使用できると期待した。半竜人であっても十分な力を引き出せると考え、ベルメリアの肉体を自分たちの意思で直接操る準備を進めた。

王城への侵攻

ベルメリアの精神を短時間で完全に喰らうことはできなかったため、疑似狂信剣ではなく本体が直接彼女を操ることになった。彼らはベルメリアの力を試す標的として王城を選び、国王を自分たちの一部として国そのものを支配しようと企てた。

ファナティクスの悲願

彼らの目的は、ホーリー・オーダーによって砕かれた自らの体を修復することであった。そのために神級鍛冶師か別の神剣を手に入れ、かつての力を取り戻そうとしていた。クランゼル王国さえ使い潰す覚悟で、ベルメリアを利用した王城攻略へ動き出そうとしていた。

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