物語の概要
■ 作品概要
本作は、生前に交通事故で命を落とした青年が異世界で「剣」として転生し、装備者である黒猫族の少女と共に冒険を繰り広げる無機物転生ファンタジーである。魔物が闊歩する危険な世界を舞台に、魔獣の魔石を吸収して自己進化する知性を持つ武器(インテリジェンス・ウェポン)と、虐げられた環境から成り上がりを目指す獣人の少女の絆と成長を描いている。
■ 主要キャラクター
- 師匠:生前の記憶を失い、美しい装飾が施された剣として転生した元人間の青年。魔石を吸収してスキルやステータスを無限に成長させる能力を持つ。面倒見が良く、フランの保護者兼相棒として、料理や戦闘サポートなど多方面で彼女を支える。
- フラン:両親を亡くし、奴隷として過酷な扱いを受けてきた黒猫族の12歳の少女。種族の悲願である「進化」を目指しており、寡黙だが強い意志とバトルジャンキーな一面を秘めている。
■ 物語の特徴
主人公が人間ではなく「剣」という無機物に転生している点が最大の特徴である。装備者であるフランとスキルを共有し、二人三脚で強敵に挑むスタイルが新しい。魔石を吸収してステータスを上げたり、敵のスキルを奪ったりするハクスラ的かつゲーム的な成長システムが読者の知的好奇心を刺激する。また、剣でありながら料理のスキルをカンストさせて美味しい食事を振る舞うなど、日常パートでのコミカルなやり取りも魅力の一つである。
読んだ本のタイトル
転生したら剣でした 1
著者:棚架ユウ 氏
イラスト:るろお 氏
出版社:マイクロマガジン社(GCノベルズ)
発売日:2016年7月30日
ISBN:9784896375749
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
剣としてその銘を異世界に刻み込め!猫耳少女と共に伝説を目指す無機物転生ファンタジー
気がつくと異世界に転生していた。普通の人間としてではなく、剣として。 さらに周りを見渡せば、魔物が闊歩する危険な草原地帯。身の危険を感じた主人公は自分の体を浮かせる能力を駆使して魔物を狩っていく。 そんな折、休憩として地面に刺さった瞬間、能力が発動しなくなり動かなくなってしまう。 途方に暮れる主人公の前に、奴隷姿の猫耳少女が突如として現れるのだが……。
転生したら剣でした 1
感想
タイトルで少し敬遠していた本作だが、無料だったこともあり軽い気持ちで読んでみた。すると、思いのほか引き込まれてしまった。
まず印象に残ったのは、序盤のハクスラ的な面白さである。
異世界転生モノによくあるように、いきなりヒロインと出会うわけではない。主人公は剣として転生し、単独で魔物を狩りまくる。スキルを次々と獲得し、着実に強くなっていく流れには、ゲームを進めているような爽快感があった。
しかし、調子に乗っていたところで、魔力を吸収されるエリアに刺さって身動きが取れなくなる展開には笑ってしまった。
無機物なので食事も必要ないはずなのに、暇を持て余して料理スキルをカンストさせるあたりも妙におかしい。剣なのに料理を極めるというズレた行動に、主人公の愛嬌を感じた。
そんな状況で出会うのが、奴隷のケモ耳少女である。
魔獣の足止めとして使い捨てられそうになった彼女が剣を引き抜き、そのまま魔獣を倒す場面には大きなカタルシスがあった。
さらに、戻ってきた奴隷商人が剣を寄越せと命令した瞬間、主人公が自律して商人を始末し、奴隷契約書を粉々にする展開は痛快だった。
名前を持たなかった二人が、互いに「フラン」と「師匠」と名付け合う場面も温かい。
ただの主従ではなく、これから共に生きていく相棒同士になったように感じられた。
師匠のスキルを共有することで、フランが圧倒的な強さを発揮する設定も面白い。小柄な少女が大剣を振るい、敵をなぎ倒していく姿には爽快感がある。
街道で商隊を助け、冒険者ギルドへ向かう流れも王道ながら楽しかった。
幼い見た目のせいで厳しい試験を受けることになるが、実力であっさり認めさせる姿は頼もしい。
その後、柄の悪い先輩冒険者に絡まれる場面も印象に残っている。
「剣を寄越せ」「奴隷として売る」と完全に犯罪者の発言をしているのに、本人たちに自覚が薄いのが滑稽だった。襲ってきた相手を正当防衛で返り討ちにし、容赦なく足を斬るフランの判断もなかなか苛烈である。
それに対して、ギルド職員が即座に治療費とクリーニング代を請求する流れには思わず笑ってしまった。
この世界の冒険者ギルド、かなり逞しい。
後半のゴブリン大量発生とダンジョン攻略では、フランのバトルジャンキーぶりが存分に描かれている。
一人で抜け駆けし、ホブゴブリンをヒャッハーしながら狩っていく姿は実に楽しそうだった。危険なはずなのに、本人があまりにも活き活きしているため、読んでいるこちらまで笑ってしまう。
最奥で待ち受けていた魔族との戦いは、しっかり緊張感があった。
ダンジョンマスターが魔獣ガチャで偶然引き当てた存在という設定には少し笑ったが、戦闘そのものはかなり熱い。死闘の末に魔石を砕いて討伐する展開には、フランと師匠のコンビとしての強さがしっかり表れていた。
そして、戦いの後のオチも良かった。
抜け駆けの罰として、ベテラン冒険者から一時間以上説教を受けるフラン。その間、師匠はただの剣のふりをしてやり過ごす。このズルさがたまらなく面白い。
最後は、膨れっ面になったフランの機嫌を取るため、師匠が料理スキルを活かして食事を作る。
血生臭い戦闘の後に、こうしたほのぼのした日常がある。その落差が本作の魅力なのだと感じた。
タイトルだけで敬遠していたのが少しもったいなかったと思えるほど、フランと師匠のコンビが楽しい一冊であった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
考察・解説
剣への転生
主人公は生前、スマートフォンのながら運転をしていた車に轢かれて死亡し、気がつくと異世界の平原で一本の美しい剣として転生している。目覚めた当初は手足や目の感覚がなく、自分が台座に突き刺さった剣であることを自然と理解する。最初は食事もできない無機物になったことに絶望感も抱くが、死んだはずの自分が意識を残せたことを幸運と捉え、剣としての第二の人生(剣生)で頂点を目指して楽しむべく、ポジティブに気持ちを切り替える。
インテリジェンス・ウェポンとしての能力
主人公の種族は「インテリジェンス・ウェポン」であり、最初から自らのステータスを確認することができる。能力の主な特徴は以下の通りである。
・「念動」のスキルを用いて肉体を持たずに空を自在に飛び回り、自ら敵に突進して斬りつけることができる
・精神で会話する「念話」や、破損しても自動で直る「自己修復」の初期スキルを備えている
・魔力の流れを感じ取る「魔法使い」といった多彩な能力を最初から保有している
魔石吸収とスキル獲得による自己進化システム
この剣は、倒した魔獣の体内にある「魔石」を刃で貫き吸収することで、「魔石値」を蓄積して自己進化(ランクアップ)し、攻撃力や保有魔力などを向上させることができる。育成システムには以下の要素がある。
・倒した相手のスキルを「メモリスキル」として奪い取り、自身にセットして使用できる
・魔術や感知系スキルなど、剣でありながら多種多様な能力を身につけて無限に成長していくことが可能である
装備者とのスキル共有とサポート
剣である以上、主人公は誰かに使ってもらうことを望んでいた。魔力を吸収する森で動けなくなっていたところを、奴隷の身分であった黒猫族の少女・フランに引き抜かれ、彼女の正式な武器となる。装備者のサポートに関する特徴は以下の通りである。
・「スキル共有」や「装備者ステータス上昇」といった能力を持っている
・自身の持つ強力なステータスと多彩なスキルを装備者に分け与えることで、レベルの低いフランを一騎当千の戦士へと変貌させる
まとめ
このように、剣への転生は単なる道具への変化ではなく、意思を持ち、自律行動で魔獣を狩り、スキルと魔力を吸収して成長していく特異な存在(魔剣)への生まれ変わりとして描かれている。後にフランからは「師匠」と名付けられ、彼女の目標である「進化」を叶えるための保護者兼相棒として、共に異世界を冒険することになる。
スキル収集と進化
「転生したら剣でした」において、主人公である剣(師匠)の成長の根幹を成すのが、倒した敵から能力を奪う「スキル収集」と、それによってランクアップしていく「自己進化」のシステムである。ただの武器にとどまらず、魔獣を狩るほど多彩なスキルと強大なステータスを獲得して無限に成長していく仕組みが、作品におけるチート級の能力を支えている。
スキル収集のメカニズム
主人公が持つスキル収集の特徴やルールは以下の通りである。
・魔獣の体内にある魔石を刃で貫き吸収することで、その魔獣が持っていたスキルを「メモリスキル」として奪い取ることができる(魔石を持たない普通の動物からはスキルを得られない)
・すでに所持しているスキルを持つ魔獣の魔石を吸収した場合、そのスキルの熟練度も吸収されてスキルレベルが上昇していく
・獲得した大量のメモリスキルを使用するには「セットスキル」として装備する必要があり、セットできる上限(メモリ)の範囲内で自由に付け替えることで状況に応じた能力を発揮できる
・鳥の翼や毒腺といった純然たる肉体の機能や器官に依存する能力は、ファンタジー的な特殊能力でない限り、剣の体では使用できない場合がある
・後にエクストラスキル「スキルテイカー」を獲得したことで、魔石を持たない人間(人類種)からも確率で直接スキルを奪うことが可能になり、収集の幅がさらに広がった
自己進化のメカニズム
蓄積した魔石値やポイントを用いた進化・強化の仕組みは以下の通りである。
・魔石を吸収して「魔石値」が一定値に達すると、自己進化(ランクアップ)が発生して攻撃力、保有魔力、耐久値の最大値が上昇し、同時に全回復する(強い魔獣ほど一度に得られる魔石値は大きい)
・ランクアップ時に獲得できる「自己進化ポイント」を消費することで、攻撃力上昇、保有魔力上昇、メモリ増加、相手の鑑定を防ぐ「鑑定遮断」などのボーナス能力を新規に取得できる
・任意のスキルのレベルを自己進化ポイントで強制的に上げることや、スキルを上位のものに進化させることが可能である
・レベル10に達してカンストしたスキルにポイントを注ぎ込むことで、より強力な「スペリオルスキル」に改変することもできる(ただし装備者とは共有できない剣専用スキルとなる)
まとめ
主人公が持つスキル収集と自己進化のシステムは、単なる能力の底上げにとどまらない。獲得した多彩な能力を装備者であるフランに分け与え、自己進化ポイントで的確に弱点を補強していく戦略的な運用こそが、異世界の強敵との戦いを勝ち抜く重要な鍵となっている。
黒猫族の少女フラン
「転生したら剣でした」において、主人公である剣(師匠)の装備者であり、共に冒険をするヒロインが黒猫族の少女・フランである。ただ強大な剣に守られるだけの存在ではなく、自らの限界に挑み、傷つきながら実戦経験を積むことで、師匠の力を自分自身の絶大な実力へと昇華させていく、恐ろしいスピードで成長を遂げる少女として描かれている。
過酷な境遇と進化への執念
フランの出自や目標に関する特徴は以下の通りである。
・獣人の一種である黒猫族の12歳の少女であり、黒猫族は獣人の中で進化を果たした者が過去におらず、最弱の雑魚種族と蔑まれている
・両親も進化を目指す旅の途中で命を落とし、自身も8歳の時に奴隷商人に捕らえられて名前すら奪われ、4年間過酷な扱いを受けてきた
・過酷な環境にあっても決して絶望せず、両親の遺志を継いで進化するという目標を強く胸に秘め続けている
師匠との出会いと絶対的な信頼
主人公との関係性やフランの人物像は以下の通りである。
・魔獣に襲われ死の淵にあった際、魔力吸収の森で地面に刺さっていた主人公を引き抜き、装備者となる
・剣に奴隷契約書を斬り裂いてもらい自由を得た後、自らをフランと名乗り、剣を師匠と名付けて共に歩み始めている
・普段は無口で無表情であるが、根は素直で、師匠の作る手料理(特にお肉)が大好きな年相応の可愛らしい一面を持っている
・黒猫族を侮辱する者には容赦せず、師匠がいれば死なないと言ってギリギリの死闘に身を投じるほどのバトルジャンキーな気質や強い覚悟も持ち合わせている
スキル共有による圧倒的な戦闘力
フランの持つ戦闘能力の特徴は以下の通りである。
・自身の初期ステータスは低いものの、師匠が狩りを通じて得た多彩な高レベルスキル(剣術、火魔術、ステータス上昇など)を共有されることで、ステータス以上の超常的な戦闘力を発揮する魔剣士となる
・アレッサの町での冒険者ギルド登録試験では、ランクCのベテラン戦士である試験官ドナドロンドを圧倒し、周囲の度肝を抜く実力を見せている
冒険者としての異例の躍進
作中における主な活躍と功績は以下の通りである。
・冒険者となって早々、100匹以上のゴブリンと上位種の群れを単独で殲滅するという偉業を成し遂げ、百戦錬磨などの強力な称号を獲得する
・突如出現したダンジョンにおいて、脅威度B相当の極めて強力な悪魔(デーモン)やダンジョンマスターを打ち倒す
・超大物喰いなどのチート級称号を得てレベルが一気に25へと急成長し、登録わずか数日でGランクからDランクへの異例の飛び級昇格を果たす
まとめ
過酷な過去を背負いながらも、フランは師匠との出会いによって自らの運命を切り開いていく。師匠から親心のような深い愛情と信頼を寄せられる彼女は、互いを補い合う最強の相棒として、進化という大きな目標に向かって突き進んでいる。
冒険者ギルドの依頼
「転生したら剣でした」の世界における冒険者ギルドの依頼システムは、冒険者の実力(ランク)に厳格に基づきながらも、緊急時には柔軟な対応が取られる仕組みになっている。初心者が段階的に経験を積めるようシステム化されている一方で、真の実力を持つ者には規程に縛られず重要な任務を任せる実力主義的な側面を強く持っている。
受注制限とランクアップの仕組み
冒険者が依頼を受ける際の基本的なルールや規定は以下の通りである。
・冒険者は自身の冒険者ランクの上下1つ差のランクまでの依頼しか受けることができない(例として、登録直後のGランク冒険者はGランクとFランクの依頼のみ受注可能である)
・一定の依頼をこなすことでランクアップ試験の受験資格が得られ、GランクからFランクに上がるためには最初に5つの依頼を達成する必要がある
・ギルドへの年会費などは発生しないが、一定期間内に自身のランクに応じた依頼を受けないでいると降格や除名の処分が下される厳しい規定が存在する
ランクごとの依頼内容
冒険者のランクに応じて、以下のように依頼の難易度や内容が異なっている。
・Gランク依頼:ヒール草などの薬草採取、イノシシ狩り、屋敷の草むしり、道路のゴミ拾いなど、戦闘リスクが低い雑用や簡単な仕事が中心で報酬も安価である
・Fランク依頼:ゴブリン5匹の討伐、牙ネズミ駆除、森でのキノコ採集など、難易度が上がり軽度の戦闘が含まれるようになる(フランと師匠が最初に受けた公式依頼も、G・Fランク共通のヒール草の採取である)
緊急事態における特別依頼とギルドの裁量
町や地域に重大な危機が迫った際には、通常ルールを超えたギルドマスターの権限による特例措置が取られる。
・ゴブリンの上位種が大量発生して「ゴブリンスタンピード」の危険が迫った際などには、ギルドから冒険者へ緊急招集がかけられ、脅威を排除するための大規模な特別依頼(討伐依頼など)が発令される
・実力のある冒険者を確保したいというギルド側の事情から、規定の依頼達成数を満たしていなくても、ギルドマスターの権限で特例としてランクを飛び級させる措置が取られることがある
・作中においてフランは、ゴブリンの大軍を単独で殲滅した実力を買われ、Gランクでは討伐依頼に参加できないというギルド側の都合もあって特例でFランクへ即座に昇格している
・さらにその後、ダンジョンで悪魔を単独撃破した功績により、一気にDランクへと飛び級昇格を果たすなどの異例の対応が取られている
まとめ
冒険者ギルドの依頼システムは、平時には冒険者の安全と段階的な成長を守るための厳格なランク制限として機能している。しかし、ひとたび重大な脅威が発生した際には、実力のある者を即座に引き上げて前線に投入する柔軟な能力主義へと切り替わる点が、この世界のギルド運営の大きな特徴である。
ダンジョンと悪魔討伐
「転生したら剣でした」の世界におけるダンジョンは、混沌の神が人類に課す試練として生み出される特殊な空間である。ダンジョンには核となるコアと、それを管理するダンジョンマスターが存在し、マスターを倒してコアを休眠状態にさせることで攻略が可能となる。作中でフランと師匠が初めて挑んだゴブリンのダンジョンと、その最奥で繰り広げられた悪魔との死闘、および攻略の経緯は以下の通りである。
ダンジョンマスターと悪魔の正体
ダンジョンの最奥に潜んでいた敵の構成と特徴は以下の通りである。
・ダンジョンマスターはレアゴブリンという非常に弱い個体であったが、ダンジョンのポイントを使用したモンスターガチャにより、脅威度Bに相当する極めて強力な悪魔(デーモン)を召喚していた
・召喚された悪魔はステータスが1000を超える超絶的な戦闘力を誇り、闇魔術や相手のスキルを奪う「スキルテイカー」といった凶悪な能力を保有していた
・悪魔は支配無効のスキルを持っていたため、マスターであるレアゴブリンの命令を完全には聞いていない状態であった
悪魔との死闘
最奥の部屋で繰り広げられた悪魔との戦闘では、フランは以下のような窮地に立たされることとなる。
・悪魔は影を利用した転移で背後を取り、フランの左腕を完全に切断するほどの致命傷を与える(直後に師匠の治癒魔術により即座に接合される)
・悪魔は対象のスキルを奪うエクストラスキル「スキルテイカー」をフランに向けて発動する
・フランが使用していたスキルはすべて装備品である師匠から共有されたものであったため、システム上の仕様により悪魔によるスキルの奪取は失敗に終わる
逆転の戦術と決着
正面からの打ち合いでは不利と判断した師匠とフランは、ダンジョンのルールを逆手に取った戦術を展開する。
・ダンジョンマスターが死亡すれば、そのダンジョンの魔獣である悪魔も消滅するというルールに目を付ける
・フランがあえて背後にいるダンジョンマスターを魔術で狙うことにより、悪魔をマスターを庇うための盾としてその場に釘付けにする
・防御に徹せざるを得なくなった悪魔に対し、フランが風魔術で師匠を投擲し、師匠が自身の念動カタパルトを最大出力で発動させて悪魔の障壁ごと身体を貫く
・悪魔の心臓にある魔石を直接粉砕して討ち取り、続けてマスターのレアゴブリンを一刀両断したことでダンジョン攻略が完了する
討伐後の成果と偽装工作
悪魔討伐によって得られた成果と、その後のギルド対策としての立ち回りは以下の通りである。
・悪魔の魔石を吸収した師匠は莫大な自己進化ポイントを得て、暗黒魔術やスキルテイカーなどの強力なスキルを多数獲得する
・フランもレベルが一気に25まで上昇し、超大物喰いやデーモンキラーといった強力な称号を獲得してGランクからDランクへの異例の飛び級昇格を果たす
・莫大な価値がある悪魔の死体を独占することで生じる周囲の嫉妬や恨みを回避するため、師匠の魔術で胸に大穴を開けて魔石は攻撃で粉々になって消滅したと偽装し、死体のみをギルドへ引き渡す冷静な対応を見せている
まとめ
このゴブリンダンジョンでの戦いは、フランと師匠にとって初めての本格的な死闘であり、同時にその名を大きく広げる契機となった。圧倒的な格上の強敵に対しても、ダンジョンの特性やスキル共有の仕様を冷静に分析し、機転と連携によって勝利を収めるという、二人の今後の戦闘スタイルの原点となるエピソードである。
登場キャラクター
主要キャラクター
師匠
生前の記憶を一部失い、異世界で意思を持つ剣として目覚めた存在である。自身を引き抜いたフランと契約し、彼女の保護者的役割を担う。多彩なスキルと魔術を駆使して戦闘をサポートする。
・所属組織、地位や役職
インテリジェンス・ウェポン。フランの装備品。
・物語内での具体的な行動や成果
魔獣の魔石を吸収してステータスやスキルを成長させた。フランにスキルを共有して戦闘能力を底上げし、調理や素材の解体も行う。ダンジョンでは悪魔の魔石を砕いて勝利に貢献する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
魔力伝導率Aという極めて高い性能を有する。念動による飛行能力や次元収納など、独自の能力を多数獲得している。
フラン
両親を亡くし奴隷商人に囚われていた黒猫族の少女である。種族の悲願である進化を目標に掲げる。師匠を装備したことで圧倒的な戦闘力を得る。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルド(アレッサ支部)。職業は魔剣士。
・物語内での具体的な行動や成果
魔獣に襲われた際に師匠を引き抜き、これを討伐して奴隷契約を解除した。冒険者登録試験で教官に一撃を入れ、森では百匹以上のゴブリンを単独で殲滅する。ダンジョンでは悪魔やダンジョンマスターを斬り伏せる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
登録後わずかな期間でGランクからDランクへの飛び級昇格を果たす。戦闘を通じて「百戦錬磨」や「超大物喰い」などの称号を獲得した。
奴隷商人一行
奴隷商人
フランたちを商品として運搬していた男である。奴隷を非情な手段で使役する。魔獣襲撃時には自己の保身を最優先とした。
・所属組織、地位や役職
商人。
・物語内での具体的な行動や成果
双頭の熊に襲われた際、奴隷を盾にして逃亡を試みた。魔獣を倒したフランから剣を取り上げ、彼女に暴力を振るう。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
激怒した師匠の念動による一撃を受け、頭部を貫かれて死亡する。
奴隷商没の部下
奴隷商人の指示で奴隷に命令を下す小男である。鞭を用いて奴隷を酷使する。
・所属組織、地位や役職
奴隷商人の部下。
・物語内での具体的な行動や成果
双頭の熊が襲撃してきた際、荷物を持たせるために奴隷を急かした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
双頭の熊の突進を受けて命を落とす。これによりフランを縛っていた命令が解除された。
奴隷たち
首輪の魔道具で行動を縛られていた人々である。フランもその一人として扱われていた。
・所属組織、地位や役職
奴隷。
・物語内での具体的な行動や成果
商人の命令に逆らえず、魔獣の足止めのために熊へ向かって走らされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フランを除き、熊の攻撃によって全員が死亡する。
冒険者ギルド(アレッサ)
クリムト
アレッサの冒険者ギルドを束ねるウッドエルフである。大精霊使いであり、アレッサの守護神と呼ばれる。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルド(アレッサ支部)マスター。
・物語内での具体的な行動や成果
フランの冒険者登録において手続きと説明を自ら行う。悪魔討伐後には騎士団副長からの不当な要求を退け、フランを保護した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
精霊を通じて他者の悪意を感知する能力を持つ。
ドナドロンド
鬼人の大戦士である。初心者を鍛える教官としての顔も持つ。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルド(アレッサ支部)。ランクC冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
フランの適性テストで試験官を務める。ゴブリン討伐戦では現場の冒険者たちをまとめ上げ、拠点の防衛を指揮する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
試験でフランの魔術と剣技の連携を受け、壁にめり込むほどの重傷を負うが合格を出した。
ネル
冒険者ギルドの受付嬢である。フランに対して友好的な態度をとる。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルド(アレッサ支部)受付嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
フランの依頼受注や高額な素材の買い取り手続きを担当する。難癖をつけてきたダムンたちに対し、正論で反論して退けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
宿の風呂場でフランと顔を合わせ、親しい関係を築く。
クラール
駆け出しの戦士である。リリーやユースタスとパーティを組む。
・所属組織、地位や役職
冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
森でゴブリンの群れに包囲されていたところをフランに救出される。ギルドへ戻り、ホブゴブリン出現の事実を報告する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フランへの恩義から、ギルド内で彼女が絡まれた際に擁護の声を上げた。
リリー
駆け出しの弓兵である。クラールのパーティメンバーとして活動する。
・所属組織、地位や役職
冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
ゴブリンの群れに襲撃され負傷していたが、フランの回復魔術によって治療を受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作中における地位の明確な変化は記載されていない。
ユースタス
駆け出しの魔術師である。クラールたちと共に行動する。
・所属組織、地位や役職
冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
魔獣の襲撃で大怪我を負っていたが、フランに回復されて一命を取り留める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作中における地位の明確な変化は記載されていない。
エレベント
ドワーフの男性である。アレッサを拠点にする中堅冒険者として活動する。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルド(アレッサ支部)。D級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
クラールたちの報告を受けて森へ駆けつける。フランが大量のゴブリンを単独で討伐した現場を確認し、彼女の実力を認める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ギルドマスターの指示を受け、シーフ系冒険者を現場へ案内する役割を担う。
ダムン
赤犬族の獣人である。傭兵から冒険者に転向した男として描かれる。
・所属組織、地位や役職
冒険者。職業は戦士。
・物語内での具体的な行動や成果
持ち込んだ素材の査定が低かったことに腹を立て、受付で騒動を起こす。大金を得たフランに因縁をつけて攻撃を仕掛けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フランの反撃によって両足を切断され、兵士に引き渡される結果となる。
アレッサの商人・住人
ランデル
人間族の商人である。アレッサへ向かう街道を行商ルートとする。
・所属組織、地位や役職
商人。
・物語内での具体的な行動や成果
ゴブリンに襲われていたところをフランに助けられる。彼女を馬車に乗せて町まで同行し、武器や素材の買い取りを行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
西の大通り沿いに自身の店舗を構えており、様々な商品を雑多に取り扱っている。
アレッサの門番
アレッサの町の入り口で警備を担当する男性である。ランデルの顔見知りとして登場する。
・所属組織、地位や役職
アレッサの門番。
・物語内での具体的な行動や成果
ランデルの馬車で到着したフランに応対し、仮入場証を発行する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フランが冒険者登録を済ませた後には、その事実を知って驚きを見せた。
ガルス
ドワーフの魔法鍛冶師である。冒険者のために安価で武器を提供する放浪の職人として知られる。
・所属組織、地位や役職
クランゼル王国名誉鍛冶師。
・物語内での具体的な行動や成果
フランの足捌きから実力を見抜き、師匠がインテリジェンス・ウェポンであることを看破する。フランに防具一式と師匠の鞘を格安で譲り渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
神眼や目利きのスキルを有し、師匠から受け取った高位素材でフランの特注防具を制作することになる。
服屋のお姉さん
婦人服専門店の店主である。元冒険者という経歴を持つ。
・所属組織、地位や役職
服屋の店主。
・物語内での具体的な行動や成果
フランに下着や肌着、冒険に適した衣類を見立てて販売する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フランたちに女性冒険者向けの宿を紹介し、便宜を図る。
宿屋の女性
女性冒険者が多く利用する宿で受付を担当する人物である。
・所属組織、地位や役職
宿屋の従業員。
・物語内での具体的な行動や成果
子供一人での宿泊を危ぶむが、フランのギルドカードを確認して宿泊を受け入れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作中における地位の明確な変化は記載されていない。
ルーファス
雑貨屋サーベルタイガーの店主である。元中級冒険者という過去を持つ。
・所属組織、地位や役職
雑貨屋の店主。
・物語内での具体的な行動や成果
フランたちに調味料や調理器具、日用雑貨などを販売する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
冒険者を引退して三年前に念願の店舗を開業した。
アレッサ騎士団
オーギュスト・アルサンド
人間族の子爵である。地位を金で買った俗物として町で嫌われている。
・所属組織、地位や役職
アレッサ騎士団・副長。
・物語内での具体的な行動や成果
ギルドに乱入し、悪魔の素材やフランの荷物を騎士団に供出するよう要求する。ギルドマスターに反論されて退散を余儀なくされる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ユニークスキル「虚言の理」を有していたが、師匠とフランのスキルテイカーによって能力を奪われる。
神々
太陽の神
世界を作り生命を生み出したとされる十柱の神の一柱である。他の親神たちと共に世界の基盤を構築する。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
作中において直接的な行動の描写はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
神話の伝承内で言及されるのみにとどまる。
銀月の神
世界と生命の創造に関わった十柱の神の一柱である。太陽の神らと共に世界の構築を担う。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
作中での具体的な行動は描かれない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
神話における世界の創世に関わる存在として語られる。
大海の神
初期の世界創造を担った十柱の神の一柱である。生命の誕生に寄与したとされる。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
物語の進行に直接関与する場面はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
創世神話の一部として名前が挙げられる。
大地の神
世界と生命を形作った十柱の神の一柱である。親神として世界の基盤に関わる。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
登場人物の会話の中で名前が出るのみである。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
具体的な影響力については神話の枠を出ない。
火焔の神
世界の創造に携わった十柱の神の一柱である。他の神々と共に生命を生み出す。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
本編内で直接姿を見せることはない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ガルスの語る伝承の中に登場する。
風雨の神
初期の創世に関わった十柱の神の一柱である。世界を構築した存在として扱われる。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
物語上での直接的な行動は描かれない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作中の神話において世界を作った神として記録されている。
森樹の神
世界と生命の創造を担った十柱の神の一柱である。大地の神らと共に基盤を築く。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
作中で具体的な行動を起こす描写はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
過去の伝承の中に存在が確認される。
獣蟲の神
生命の創造に関わった十柱の神の一柱である。他の親神たちと並び称される。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
物語の本編に直接関わることはない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
神話における創造神の一柱として語られる。
冥界の神
十柱の神の一柱であり、世界の理に関わる存在である。輪廻のシステムを構築する。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
作中において直接的な行動の描写はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
輪廻の輪を作り上げ、世界の理を完成させたと伝承される。
混沌の神
世界に混沌を振りまいた十柱の神の一柱である。世界の停滞を防ぐための必要悪として行動する。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
本編内に直接姿を現すことはない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
人類への試練としてダンジョンとダンジョンマスターを生み出す役割を担う。
邪神
元は戦の神であったが、世界支配を企んだ存在である。他の神々と争って倒される。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
直接登場はしないものの、過去の出来事が語られる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
バラバラにされた遺骸の呪いから邪人が生まれたとされている。
鍛冶の神
親神の後に世界を豊かにした子供の神の一柱である。世界に様々な物をもたらす。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
作中で具体的な行動をとる場面はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ガルスの神話解説において名前が挙げられる。
剣の神
七八柱いる子供の神の一柱である。親神の作った世界を広げる役割を持つ。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
本編の出来事に直接介入することはない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
伝承の中で剣に関わる神として認識されている。
闇の神
親神によって作られた世界に恩恵をもたらした子供の神の一柱である。七八柱の神々に含まれる。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
作中での行動描写は存在しない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
神話の一端としてその存在が語られる。
料理の神
世界に多様性をもたらした子供の神の一柱である。七八柱の神々の一角を成す。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
物語の進行に直接的な影響を与える描写はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作中の神話において名前が確認されるのみである。
魔獣・魔物
双頭の熊(ツインヘッド・ベア)
首を二つ持つ熊の姿をした魔獣である。脅威度Fのランクに位置する。
・所属組織、地位や役職
魔獣。
・物語内での具体的な行動や成果
魔力吸収の森で馬車を襲撃し、奴隷商人の部下や奴隷たちを殺害する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
師匠を装備したフランの剣技によって心臓を貫かれ、一撃で討伐される。
レッサー・ワイバーン
劣化亜竜に分類される魔獣である。極めて高い敏捷性と攻撃力を有する。
・所属組織、地位や役職
魔獣。
・物語内での具体的な行動や成果
夜の平原で上空から師匠を奇襲し、耐久値を削って刀身の一部を破壊する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
師匠の体当たりによって翼を切り飛ばされ、地上に落下して絶命する。
ゴブリン・キング
ゴブリンの群れを統率する上位個体である。多数の戦闘スキルを持つ。
・所属組織、地位や役職
魔獣(邪人)。
・物語内での具体的な行動や成果
平原の巣で群れを率いていたが、師匠の念動カタパルトを受けて頭部を貫かれる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ダンジョンの二層目でも登場するが、師匠の魔術の直撃を受けて黒焦げの死体となる。
ゴブリン・クイーン
ゴブリンの群れで繁殖を担う上位個体である。キングと共に群れの中心となる。
・所属組織、地位や役職
魔獣(邪人)。
・物語内での具体的な行動や成果
ダンジョンの二層目にキングと共に配置されていたが、戦闘描写の前に死亡する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
師匠の放った魔術の直撃を受け、キングと並んで黒焦げの死体として発見される。
グラトニー・スライムロード
水たまりに擬態する巨大なスライムの最上位種である。無限に成長する特性を備える。
・所属組織、地位や役職
魔獣(粘精)。
・物語内での具体的な行動や成果
エリア五で師匠と交戦し、強酸の弾丸や触手を用いて激しい攻撃を加える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
念動カタパルトと風魔術を合わせた師匠の一撃で魔石を砕かれ、次元収納などの能力を奪われる。
ドッペルスネイク
全長二〇メートルを超える巨大な蛇の魔獣である。分体創造のスキルを有する。
・所属組織、地位や役職
魔獣。
・物語内での具体的な行動や成果
自身の姿を模した分体を作り出し、地中に潜んで攻撃の機会をうかがう。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
狭い場所に隠れていたため力を発揮できず、本体を発見されて師匠に討伐される。
ブラスト・トータス
空気弾を連射する能力を持つ巨大な亀の魔獣である。広範囲の探知能力を備える。
・所属組織、地位や役職
魔獣。
・物語内での具体的な行動や成果
エリア五において、遠隔で爆発する空気弾の弾幕を師匠に浴びせる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
土魔術で体をひっくり返され、首を出した隙を師匠の突進で貫かれて絶命する。
タイラント・サーベルタイガー
巨体と極めて高い敏捷性を併せ持つ虎の魔獣である。振動を操るスキルで攻撃力を高める。
・所属組織、地位や役職
魔獣。
・物語内での具体的な行動や成果
空中跳躍を駆使して師匠に襲い掛かり、三時間に及ぶ激戦を繰り広げる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
師匠の進化した毒牙スキルによって毒状態にされ、徐々に弱って討伐される。
ダンジョンマスター(レアゴブリン)
ダンジョンの核と繋がりを持つゴブリンの個体である。魔獣を召喚する能力を有する。
・所属組織、地位や役職
ダンジョンマスター。
・物語内での具体的な行動や成果
悪魔やホブゴブリンを召喚してフランたちを排除しようと試みる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
悪魔が討伐された後、フランのオーラ・ブレードで腕を切り落とされ、首を斬られて死亡する。
悪魔(デーモン)
ダンジョンマスターのポイントで召喚された強力な魔獣である。高いステータスと暗黒魔術を操る。
・所属組織、地位や役職
悪魔伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
影を利用した転移魔術でフランの背後を取り、左腕を切断するなどの猛攻を加える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
マスターを庇って動きを止められた隙に、師匠の念動カタパルトで魔石を砕かれて消滅する。
ゴブリンの群れ
平原や森に出現する邪人の集団である。徒党を組んで行動する習性を持つ。
・所属組織、地位や役職
魔獣(邪人)。
・物語内での具体的な行動や成果
冒険者や馬車を襲撃し、フランと師匠に対しても大軍で押し寄せる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フランの実戦経験の糧となり、多数の魔石と素材を師匠たちに提供することになる。
ホブゴブリンたち
ゴブリンの上位種にあたる強力な魔獣である。群れの統率力を高める存在として現れる。
・所属組織、地位や役職
魔獣(邪人)。
・物語内での具体的な行動や成果
ゴブリンの群れを率いて冒険者を包囲し、ダンジョン内でも大軍を成してフランたちに立ち塞がる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フランの魔術と剣技の連携によって次々と討ち取られ、新たなスキルを師匠に与える。
アーミービートルの大群
青い甲殻を持つテントウムシ型の魔獣の集団である。リーダーの眷属召喚によって増殖する。
・所属組織、地位や役職
魔獣(妖蟲)。
・物語内での具体的な行動や成果
ダンジョンの隠し部屋で無数に湧き出し、フランと師匠を取り囲む。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フランの剣技と師匠の範囲魔術によって五分もかからず全滅する。
展開まとめ
プロローグ
目覚めと剣の身体
地平の朝日と沈む月
目覚めた男は暗さを感じた直後、左側から差し込む光に気づいた。視線の先では、薄暗い空の下に広がる地平線から太陽が昇ろうとしており、来光は虹のように煌めいていた。右側では巨大な銀の月が地平の向こうへ沈みかけており、男は三〇年間で見たことのない美しい光景に圧倒された。
死の記憶
男は自分が三〇年間生きていたと思ったことで、すでに死んだはずだと思い出した。最後の記憶は、スマホを見ながら笑う男が運転する真っ赤なオープンカーが猛スピードで突っ込んでくる場面であり、男はながら運転への怒りを抱いたところまで覚えていた。
頭に響く声
男が状況を考えていると、突然頭の中に声が響いた。その声は、これから大変だろうが頑張れと告げ、またなと言って消えた。男は呼びかけたが返事はなく、幻聴にしてははっきり聞こえた声の正体をつかめなかった。
剣となった身体
男は周囲を見ようとして、身体が動かないことに気づいた。手足や目蓋、目の感覚もなく、通常の身体とはまったく違っていた。視線を下げると、台座に突き刺さった一本の剣があり、男はそれが自分の身体だと自然に理解した。
六つの月
男は死後に剣へ転生したのかと考えた。刀身が台座に刺さっている感覚はあり、皮膚とは違う触覚のようなものもあった。さらに空を見上げると、赤、青、緑、紫、黄、桜色の六つの月が浮かんでおり、男はそこが少なくとも地球ではないと理解した。
第一章 大草原のぼっちな剣
剣としての自己進化
剣のステータス
剣となった男は、自分の状態を確認するために鑑定を試した。すると自身がインテリジェンス・ウェポンであり、鑑定、自己修復、念動、念話、スキル共有などを持つ存在だと分かった。名称は不明で、生前の名前だけが思い出せなかったが、他の記憶は残っていたため、いったん保留にした。
美しい剣の姿
男は自分の外見を確認し、白く輝く刀身に青い線が入り、金色の鍔や狼の彫り物を備えた豪華な剣であると分かった。だが、剣になったことで食事もゲームも恋愛もできない現実に落ち込んだ。それでも死んだはずの自分に意識が残ったことを幸運と考え、剣としての第二の人生を楽しもうと気持ちを切り替えた。
念動の飛行
男は遺跡の中心にある台座に突き刺さっており、周囲には朽ちた祠があった。念動を使うと自力で浮かべることが分かり、空中を飛び回った。しかし念動は魔力を消費し続けるため、魔力切れで落下した。魔力は大気中から少しずつ回復することも分かり、男は無闇に遠くへ行くのは危険だと理解した。
ゴブリンとの初戦闘
転生二日目、複数のゴブリンが現れ、男を台座から引き抜こうとした。ゴブリンに使われることを嫌った男は念動で抵抗したが、刀身に唾を吐かれて怒り、わざと抜かせてから反撃した。男はゴブリンたちを次々と斬り倒し、剣であるためか殺すことへの忌避感はなく、むしろ魔石を求めるような充実感を覚えた。
魔石とスキル吸収
男はゴブリンを倒した際に刀身が光ったことから、魔石を貫くと魔石値と相手のスキルを吸収できると気づいた。倒したゴブリンのスキルはメモリスキルとして記録され、セットすることで使用可能になった。さらに魔獣の体内には魔石があり、動物には魔石がないことも、六脚鼠やジャイアント・センチピードを調べて理解した。
平原での狩り
男はスキル収集と魔石値の獲得を目的に、遺跡周辺で魔獣を狩り始めた。魔獣を倒すたびに振動感知、毒の牙、魔力吸収、浮遊、鷹の目などを得ていった。特に浮遊は念動と相性がよく、飛行時間を大きく伸ばした。また、スキルとして吸収できる能力と、肉体の機能として備わる能力の違いについても考えた。
自己進化ランク二
男は魔石値が一〇〇を超えたことで自己進化し、ランク二になった。攻撃力、保有魔力、耐久値が上昇し、メモリ数も増えた。さらに自己進化ポイントを得たことで、保有魔力上昇や攻撃力上昇を取得し、自分が魔石を吸収し続ければさらに強くなれると確信した。
ゴブリン狩り
男はスキルが多彩なゴブリンを効率の良い獲物と考え、ゴブリンの巣を探した。直接探しても見つからなかったため、下っ端ゴブリンを尾行して巣穴に侵入した。巣の中で男は気配を消しながらゴブリンを次々に始末し、魔石を吸収していった。
ゴブリン・キングの巣
巣穴の奥には多数のゴブリンと、傷だらけの巨体を持つゴブリン・キングがいた。男は念動で一気に加速し、ゴブリン・キングの頭部を貫いて撃破した。続いて火魔術を持つゴブリン・メイジを倒し、魔術スキルを獲得した。統率者を失ったゴブリンたちは混乱し、男は上位種を優先して狩りながら、多くの魔石とスキルを得た。
夜の迷子
巣を出た男は夜になっていたため、台座の方向が分からなくなった。帰宅を諦めた男は、夜の平原で狩りを続けた。夜行性の魔獣から反響定位や気配察知などの探知系スキルを得て、さらに魔石値を溜めようとした。
レッサー・ワイバーン
調子に乗っていた男は、上空からレッサー・ワイバーンに襲われた。相手はこれまでの魔獣とは比べ物にならない速さと強さを持ち、軽く接触しただけで男の耐久値を大きく削った。男は反撃を試み、腹をかすめ、さらに鉤爪で弾かれながら右目を突いて刀身の一部を折られた。自己修復が働くことを確認した男は怒りを燃やし、ワイバーンの翼を狙って体当たりを仕掛けた。
森に囚われた魔剣
レッサー・ワイバーンの撃破
刀身の大半を失った男は、それでもレッサー・ワイバーンの翼を切り飛ばし、地面へ落下させた。首を折ったレッサー・ワイバーンは瀕死となり、男は耐久値が残りわずかだったことから、辛うじて勝利したと実感した。
自己修復の強化
男は折れた刀身では魔石を取り出せないため、自己修復を意識的に強めようとした。すると魔力を大量に消費する代わりに修復速度が上がり、刀身は短時間で完全に回復した。男はレッサー・ワイバーンの魔石を吸収し、苦戦に見合う成果を得た。
台座への帰還
翌日、男は上空から台座を探し、かなり遠くまで来ていたことに気づいた。台座の周辺には結界のような魔力が流れており、近づくほど魔獣が弱くなることも理解した。台座に戻った男は、そこを自分の家のように感じて落ち着いた。
火魔術の成功
男はゴブリン・メイジから得た火魔術を試したが、火魔術だけでは発動しなかった。検証の結果、魔術には魔力操作が必要だと分かり、ファイヤ・アローとファイヤ・シールドを発動できるようになった。威力は低かったが、男は自分で魔術を使えたことに満足した。
剣技と気力操作
男はゴブリン・キングから得たスキルも検証し、剣技には気力操作が必要だと分かった。剣技は気力を使う必殺技であり、ダブル・スラッシュやヘビー・スラッシュを使えるものだった。男はこれで強い魔獣との戦闘にも役立つと考えた。
平原での成長
男は魔獣を狩り続け、自己進化のランクを上げていった。魔石の質の違いも分かるようになり、邪人の魔石に強い満足感を覚えるようになった。オークや多様な魔獣から武器スキル、魔術、感知系スキルなどを得て、剣術と剣技も大きく強化された。
スライムとキャノン・トータス
男は酸を持つスライムの群れと戦い、火魔術と突進を組み合わせて魔石を狙った。その後、空気弾を撃つキャノン・トータスが現れたが、男は気流視覚で攻撃を見切り、上空から首を刎ねて倒した。しかしその血がさらに強い魔獣を呼び寄せた。
フレア・レオパルドとの遭遇
現れたのは巨大な赤い豹の魔獣、フレア・レオパルドだった。相手は高い敏捷性と火魔術を備えた強敵だったが、男はその強さを魔石値の多さと捉え、魔石を喰うために戦いを挑んだ。
エリア五の探索
フレア・レオパルドとの戦いから二日後、男は平原の外縁部をエリア五と名付けて探索を始めた。台座から離れるほど魔獣が強くなることを踏まえ、探知系スキルで警戒しながら進んだ。途中でゴブリンやイビル・ゴブリンを発見し、魔獣知識によって弱点や魔石の位置を確認できるようになった。
グラトニー・スライムロード
エリア五で男は、水たまりに擬態していた巨大なグラトニー・スライムロードと遭遇した。物理耐性や強酸粘体を持つ危険な相手だったため、男は触手を増やさせて魔石周辺の肉体を薄くし、念動カタパルト、風魔術、剣技を組み合わせた一撃で魔石を破壊した。勝利により大量の魔石値と、次元収納などの有用なスキルを得た。
ドッペルスネイクの分体
翌日、男は東エリアで巨大なドッペルスネイクを倒し、分体創造と分割思考を得た。分体創造で生み出されたのは剣の姿ではなく、生前の人間の姿だった。しかし制限時間が短く、能力もゴブリン以下だったため、実戦では囮程度にしか使えないと判断した。
ブラスト・トータス攻略
北エリアでは、空気弾を連射するブラスト・トータスと戦った。男は遠隔で爆発する空気弾に苦戦したが、土魔術で地下から接近し、アース・ウォールで亀を浮かせて転倒させた。甲羅から首を出した隙を突き、念動カタパルトで頭部を貫いて勝利した。
タイラント・サーベルタイガー
西エリアでは、巨大なタイラント・サーベルタイガーが最後のエリアボスとして立ちはだかった。硬い毛皮と振動系スキルに苦戦した男は、王毒牙を魔毒牙へ進化させて毒を与え、三時間かけて倒した。勝利により振動衝や振動牙を獲得し、自己進化ランクも上昇した。
森への進入
エリア五のボスをすべて倒した男は、平原の外側に広がる森を調査することにした。森には強い魔獣の気配がなく、男は警戒しながらも肩透かしを感じて中へ入った。開けた場所に着地した男は、粘土質の地面に刺さったまま抜けなくなった。
魔力を吸う森
男は念動や魔術、振動牙などで脱出しようとしたが、地面に魔力を吸収されてすべて発動できなかった。外に魔力を放つスキルが使えず、大気中の魔力も希薄で回復しないため、自力で抜け出す手段を失った。男は平原の強い魔獣が森へ進出しない理由も、この魔力吸収にあると考えた。
孤独な一ヶ月
男は森に刺さったまま時間を過ごし、最初は脱出方法を探したが、やがて誰かに抜いてもらうしかないと理解した。一〇日、一ヶ月と経つうちに人恋しさが増し、ゴブリンでもゾンビでもいいから抜いてほしいと願うほど追い詰められた。その間、料理や解体、火魔術などのスキルを強化し、自分を拾う価値のある魔剣だと心の中で訴えた。
横転した馬車
一ヶ月後、男は人間の声と馬車の振動を感じた。森から現れた幌馬車は目の前で横転し、商人らしき男と部下、首輪を付けられた奴隷たちが出てきた。男は奴隷を鞭で扱う小男に不快感を覚えたが、彼らが何かに追われていることも察した。
双頭の熊
商人たちの前に現れたのは、首を二つ持つ熊の魔獣だった。男は念話も使えず、地面から抜け出せないまま、その危機を見守るしかなかった。
第二章 剣と少女は出会った
フランとの出会い
奴隷商人の逃走
奴隷商人は双頭の熊から逃げるため、奴隷たちに足止めを命じた。奴隷たちは首輪の強制力に逆らえず、悲鳴を上げながら熊へ向かい、次々に殺されていった。師匠は声もかけられず、ただ見ているしかなかった。
黒猫族の少女
奴隷商人の部下が熊に殺されたことで、一人の黒猫族の少女が自由に動けるようになった。少女は地面に刺さった師匠を引き抜こうとし、師匠は触れている状態なら念話ができることに気づいた。少女は熊が迫る中で師匠を引き抜き、装備者として登録された。
初めての装備者
少女は師匠を装備したことで、スキル共有とステータス上昇の効果を受けた。剣術の補助を得た少女は、双頭の熊の心臓を一突きで貫き、あっさり倒した。師匠は少女を自分の装備者として強く意識し、今後も使ってほしいと考えた。
奴隷商人の死
戻ってきた奴隷商人は少女を叩き、師匠を奪い取った。地面から離れた師匠は念動を使えることに気づき、怒りのまま奴隷商人の頭部を貫いて殺した。師匠に罪悪感はなく、少女と今後の行動を相談した。
進化への願い
少女は黒猫族であり、獣人の進化を目標にしていた。黒猫族から進化した者は過去におらず、両親も進化を目指して命を落としていた。師匠は少女の願いを聞き、彼女を絶対に進化させると約束した。
フランと師匠
少女は奴隷契約によって名前を奪われていたが、元の名はフランだった。師匠は少女をフランと呼ぶことにし、フランはそれを受け入れた。さらにフランは剣の名を師匠と決め、師匠自身もその名を受け入れることになった。
奴隷契約の解除
フランの首輪は契約書を破ることで外せるものだった。商人の懐から契約書を見つけたフランは、自力では破れなかったため、師匠で契約書を斬った。契約書が断たれると首輪は外れ、フランは奴隷から解放された。
森からの旅立ち
フランと師匠は商人の荷物から金や道具、服を回収し、熊の死体も次元収納に収めた。フランは師匠を背負い、魔力吸収地帯である森を抜けた。師匠の装備効果により、フランの身体能力は大きく高まっていた。
町への道
フランは奴隷商人が東へ進んでいたことを覚えており、町がある方角を示した。道中で師匠は自身の能力やスキル共有についてフランに説明し、魔石を吸収して成長する仕組みも教えた。フランは魔石を師匠に吸収させ、二人は魔獣を狩りながら進んだ。
野営と役割分担
旅の途中、師匠は料理スキルを活かしてフランの食事を作り、フランは魔獣の解体を担当した。師匠は魔術や次元収納を使い、食材や素材を管理した。フランも師匠とのスキル共有によって、解体や魔術を使えるようになっていた。
街道の発見
三日目、フランと師匠は街道を見つけた。途中で待ち伏せしていたゴブリンを狩り、角や武器を回収した。さらにゴブリンに襲われていた商人ランデルを助け、情報と引き換えにアレッサまで馬車に乗せてもらうことになった。
ランデルの情報
ランデルは冒険者ランクや魔獣の脅威度、魔狼の平原について説明した。師匠は自分が過ごしていた平原がA級魔境であり、フェンリルの魔力によって中心ほど魔獣が弱くなる場所だと知った。また、自分がエリアボスを狩った影響で周辺の魔獣が活発化していた可能性にも気づいた。
アレッサへの入場
フランと師匠はランデルの馬車でアレッサに到着した。入場料を支払うため、道中で狩ったゴブリンの武器や魔獣素材をランデルに売り、仮入場証を得た。正式な身分証のため、フランは冒険者ギルドへの登録を目指した。
町の異種族
アレッサの町には人間だけでなく、獣人、エルフ、ドワーフなど多様な種族が歩いていた。師匠は初めて見る大きな町と異種族に興奮したが、市販の武器の攻撃力が自分より高いことを知り落ち込んだ。フランは師匠にはスキルがあると慰め、師匠はスキルで支える剣になると決意した。
冒険者ギルド
フランは冒険者ギルドで登録を申し込んだ。受付嬢は幼い少女が一人で登録を希望したことに戸惑ったが、フランは実戦形式の適性テストを受けることを選んだ。周囲の冒険者たちは、フランの外見から実力を疑っていた。
試験官ドナドロンド
試験官として現れたのは、鬼人の大戦士ドナドロンドだった。彼は高いステータスと強力な装備を持つ実力者で、フランと師匠は圧倒的な威圧感を受けながら試験に挑んだ。ドナドロンドは本気に近い勢いで攻撃し、フランは師匠の補助を受けながら回避と反撃を行った。
試験突破
師匠は土魔術でドナドロンドを足止めし、火魔術で視界を奪った。フランはその隙に剣技と振動牙を重ねた一撃を放ち、ドナドロンドの脇腹を貫いて壁まで吹き飛ばした。ドナドロンドは重傷を負いながらも合格を認め、フランの実力はギルドに衝撃を与えた。
ギルドマスター
試験後、フランはドナドロンドに連れられてギルド最上階へ向かった。そこで待っていたのは、ウッドエルフのギルドマスター、クリムトだった。師匠は鑑定によって、クリムトがドナドロンドを超える強力な魔術師であり、アレッサの守護神と呼ばれる実力者だと知った。
冒険者フラン
ギルドカードの発行
フランはギルドマスターのクリムトに名前と年齢を問われ、一二歳だと答えた。ドナドロンドと渡り合った実力から高齢の長命種だと疑われたが、フランは出自を明かさず黙秘した。クリムトは鑑定遮断を持つフランを厄介に感じながらも、実力を理由に登録を認めた。
魔剣士の職業
フランは登録用の水晶に魔力を登録し、職業を選ぶことになった。適性職業は剣士、魔剣士、瞬剣士、火炎術師など多数あり、クリムトたちは驚いた。師匠の助言を受けたフランは、剣技と魔術を併用できる中級職の魔剣士を選んだ。
ギルドの説明
フランは青銅色のギルドカードを受け取り、冒険者ランクや依頼の制限、ランクアップ、素材買い取りなどの説明を受けた。クリムトは試験内容を口外しないと約束したが、フランの実力ならいずれ注目されるとも告げた。
素材の高額買い取り
フランはゴブリンの角を換金したあと、師匠の次元収納から魔獣素材を出して買い取りに出した。ツインヘッド・ベアやクラッシュ・ボア、ロックバイソンなどの素材は状態が非常に良く、合計一九万五千ゴルドで買い取られた。師匠は予想以上の高額査定に驚いた。
絡んできた冒険者
素材代を受け取ったフランの前に、傭兵崩れの冒険者たちが立ちはだかった。彼らは自分たちのツインヘッド・ベアの査定が低かったことを不当だと騒ぎ、ネルに難癖をつけた。ネルは素材の傷や解体不足、腐敗によって価値が下がったのだと説明したが、男たちは聞く耳を持たなかった。
黒猫族への侮辱
男たちは矛先をフランに向け、黒猫族を雑魚種族だと侮辱し、金を奪おうとした。フランは両親の遺志と黒猫族の誇りを踏みにじられて怒り、男たちを犬公と呼び返した。男たちが武器を抜いたため、フランは正当防衛として行動を起こした。
冒険者たちの制圧
フランはオーラ・ブレードや振動弾を使い、男たちの足や顔面を次々に砕いた。残った相手も師匠を包んだままの打撃や拳闘技で倒し、殺さずに戦闘不能にした。ネルと周囲の冒険者たちはフランの正当防衛を認め、男たちは兵士に引き渡されることになった。
宿探しの失敗
ギルドを出たフランと師匠は宿を探したが、フランの身なりが貧しく、子供だけでは泊められないと断られた。師匠はまず装備と服装を整える必要があると判断し、冒険者向けの店が並ぶ広場へ向かった。
鍛冶師ガルス
広場でフランはドワーフの鍛冶師ガルスに声をかけられた。ガルスはフランの足捌きと視線から防具を探していると見抜き、師匠がインテリジェンス・ウェポンであることも看破した。師匠は警戒しつつ念話で応じ、ガルスの特別な目が鑑定遮断を越えて一部を見抜いたことを知った。
魔力伝導率の価値
師匠は自分の攻撃力が市販武器に劣ることを気にしていたが、ガルスから魔力伝導率の重要性を教えられた。師匠の魔力伝導率Aは非常に高く、魔力を込めれば一般的な武器を大きく上回ると分かった。師匠は自分がなまくらではないと知り、安堵した。
神剣の話
ガルスは師匠が魔剣として最高峰であり、神剣に近い可能性もあると語った。ただし神剣は天を裂き地を割るほどの超絶兵器であり、師匠は神剣と呼ぶには弱く、魔剣としては強すぎる中間的な存在だとされた。師匠は自分の由来について手がかりを得られなかったが、神級鍛冶師の存在を知った。
フランの防具
フランは軽い革系の防具を望み、ガルスは炎角牛のドレスアーマー、麻痺爪猫の手袋、毒劣飛竜のブーツ、ミスリルの耳輪を用意した。白と黒を基調にした装備はフランによく似合い、耐性効果も多かった。師匠の鞘も含め、ガルスは格安で売ることを承諾した。
高位素材の依頼
師匠は次元収納に入れていたタイラント・サーベルタイガー、ドッペル・スネイク、ブラスト・トータスなどの高位素材をガルスに見せた。ガルスは素材の価値に驚き、余剰分を買い取る形でフラン用の装備を作ることにした。完成には一ヶ月かかるが、フランは楽しみに待つことにした。
衣類と日用品
師匠はフランに女の子らしい身支度をさせるため、婦人服の店で下着、肌着、服、洗顔用の石鹸やタオルを購入した。元冒険者の店員は女性冒険者向けの商品を勧め、フランに合う実用的な衣類を選んだ。師匠は洗濯も教えなければならないと考えた。
初めての宿
フランは紹介された女性冒険者向けの宿に入り、ギルドカードを見せて一泊することができた。部屋は清潔で、ベッドや机、武具用の壁掛けまで備わっていた。フランはその部屋を豪華だと感じ、師匠についてきて良かったと喜んだ。
雑貨屋サーベルタイガー
フランと師匠は調味料や調理器具を買うため、雑貨屋サーベルタイガーを訪れた。店主のルーファスは元冒険者で、雑貨屋らしからぬ強さを持っていた。二人は塩、香草、砂糖、スパイス、食器などを買い込み、旅や野営の準備を整えた。
回復魔術の強化
宿に戻ったフランと師匠は、自己進化ポイントの使い道を相談した。剣技や分体創造、耐性系も候補に上がったが、フランを守るために回復魔術を強化することにした。その結果、治癒魔術が発生し、リジェネヒールやグレーター・ヒールを使えるようになった。
冒険者としての明日
回復手段を整えたフランと師匠は、翌日に冒険者ギルドで依頼を探すことを決めた。師匠はまずフランのレベルを上げることを考え、フランには今後やりたいことをゆっくり考えればいいと伝えた。フランは冒険者の仕事を楽しみにしながら、これからの可能性に思いを向けた。
第三章 冒険者ギルドとお約束
初依頼とゴブリン討伐
宿で迎えた朝
師匠は宿で初めての朝を迎え、フランを起こして着替えさせた。浄化魔術や水魔術で身支度を整え、食堂で朝食を取らせた。フランは宿の食事を美味しいと言いながらも、師匠の料理の方がずっと美味しいと伝え、師匠は依頼で町の外に出たら昼食を作ると約束した。
初めての依頼
フランと師匠は冒険者ギルドへ向かい、GランクとFランクの依頼を確認した。依頼内容は薬草採取やゴブリン討伐など地味なものだったため、フランはヒール草の採取依頼を選んだ。門を出た二人は森へ向かい、ヒール草だけでなく薬草やキノコ、木の実なども採取した。
包囲された冒険者たち
森の中でフランと師匠は、一三匹のゴブリンに囲まれた三人の冒険者を発見した。ゴブリンにはソルジャー、シーフ、アーチャーの上位種も混じっており、冒険者たちは負傷して危険な状態だった。フランと師匠は土魔術で先制し、上位種を含むゴブリンを短時間で撃破した。
駆け出し冒険者の救出
フランは負傷した冒険者たちをサークル・ヒールで回復させた。三人はクラール、リリー、ユースタスと名乗り、フランに礼を述べた。フランは上位種の素材だけを受け取り、彼らはゴブリンの上位種が複数いたことをギルドに報告するため急いで戻った。
レベルアップ
フランは上位種を含むゴブリン討伐でレベル四に上がった。魔剣士の職業効果により、腕力と魔力が大きく伸びていた。師匠はこのままレベルを上げようと励まし、フランも意欲を見せた。
ゴブリンの大軍
その後、フランと師匠はゴブリンを狩り続けたが、次第に敵の数が増え、一〇〇匹を超える群れに囲まれた。師匠は逃走を提案したが、フランは死なない限界の戦いで痛みと経験を得ることが必要だと考え、逃げることを拒んだ。師匠はフランの覚悟を認め、援護と回復に徹することにした。
実戦の成長
フランはゴブリンの群れに突撃し、傷を負いながらも戦い続けた。剣術スキルと肉体が実戦の中で噛み合い始め、動きや剣筋は急速に洗練されていった。師匠は回復と支援を続け、フランが痛みや乱戦に慣れ、実戦経験を積む姿を見守った。
百匹超えの殲滅
二時間の戦闘の末、フランはゴブリンの大軍を殲滅した。傷は回復していたが、体力は大きく消耗し、装備も激しく損傷していた。師匠はこの苦戦が必要なものだったと受け止め、魔石や武具、角を回収した。
ホブゴブリンの出現
戦利品の中には、ホブゴブリンから得た死霊魔術や毒魔術、詠唱短縮などの新スキルが含まれていた。ホブゴブリンが四匹いたことから、師匠はすでにゴブリン・クイーンが生まれ、繁殖が始まっている可能性に気づいた。二人は被害拡大を防ぐため、ギルドへの報告が必要だと判断した。
冒険者たちの到着
そこへクラールたちの報告を受けた冒険者たちが到着した。リーダーのエレベントは、一〇〇匹以上のゴブリンを単独で倒したフランに驚き、Dランク級の実力があると評価した。さらにホブゴブリンの死体を見て、ゴブリンスタンピードの危険が差し迫っていると判断した。
三つの称号
フランは戦闘後にレベル一二まで上がり、百戦錬磨、ゴブリンキラー、殺戮者の称号を得た。百戦錬磨は生命力と腕力を上げ、不退転のスキルを与える強力な称号だった。師匠は称号を得られない自分を少し残念に思いながらも、フランの成長を喜んだ。
ギルドへの緊急報告
フランたちはアレッサへ戻り、エレベントと共にギルドマスターへ報告した。ホブゴブリン四匹、上位種二〇匹、総数一三〇匹ほどのゴブリンを倒したと聞き、ドナドロンドたちはゴブリンスタンピードの前兆だと判断した。ギルドは冒険者を緊急招集し、巣の位置を探らせる準備に入った。
Fランク昇格
クリムトはフランをGランクのままにはしておけないと判断し、Fランクへの昇格を認めた。さらに今後の討伐依頼に参加してほしいと伝えた。フランは討伐への参加を望み、ギルドカードの表記がFに変わったことを喜んだ。
戦利品の売却
フランと師匠は防具修復の費用を得るため、ランデルの店を訪ねた。ゴブリンから回収した武器を売却し、一万三千ゴルドを得た。ランデルの店は雑多だったが、武器の査定は確かであり、二人は資金を確保した。
防具の修復
フランと師匠はガルスの店へ行き、損傷した防具の修復を依頼した。ガルスは防具の傷み具合に驚いたが、鍛冶魔術リペアで新品同然に直した。修復には魔水晶が必要で、同じ防具に繰り返すほど費用が高くなることも分かった。
夜のスキル検証
その夜、師匠は宿で新しく得たスキルを検証した。軽業や詠唱短縮、毒魔術、毒吸収を試し、死霊魔術ではゴブリンの死体からレッサーゾンビを作った。しかし気味の悪さと扱いづらさから、師匠はむやみに死霊魔術を使うのはやめようと考えた。
魔道具と素材整理
師匠はゴブリンから得た魔道具も確認した。攻撃力が少し上がるナイフや槌、腕力を上げる装飾品、防具、使用者登録のあるアイテム袋などがあったが、多くはすぐに使うほどではなかった。さらに採取した薬草や毒素材を整理し、翌日はランデルの店で用途を聞こうと考えた。
第四章 初めてのダンジョン
ダンジョン攻略と悪魔討伐
師匠の鞘
ホブゴブリン討伐遠征の当日、フランと師匠はガルスの鍛冶屋で完成した鞘を受け取った。黒い革製の鞘は師匠に強い安心感を与え、さらに縦に割れる仕掛けによって、念動だけで抜け出せるよう工夫されていた。師匠はその出来栄えを気に入り、ガルスに感謝した。
神話とダンジョン
ガルスは、ダンジョンが混沌の神による試練として生まれるものだと説明した。世界は八十八柱の神によって作られ、邪神はかつて戦の神だったが、世界支配を企んで倒され、その遺骸から邪人が生まれたとされた。ダンジョンはコアが生まれた際に近くの生物をダンジョンマスターとして取り込み、その性質によって難易度や方向性が変わるものだった。
討伐前のギルド
フランはギルドでネルと親しげに挨拶し、アレッサの高位冒険者の多くが魔狼の平原調査に出ていることを聞いた。ネルはランクA冒険者アマンダが不在であることや、騎士団副長が冒険者嫌いで応援要請を握りつぶした可能性を語った。ギルドには多くの冒険者が集まったが、人手不足のため低位冒険者も参加していた。
出発前の絡み
フランは討伐参加者の中で少年冒険者や傭兵崩れに絡まれた。彼らはフランを子供扱いし、さらに師匠を奪おうとしたが、ドナドロンドが割って入り騒ぎを止めた。ドナドロンドは傭兵たちを叱り、フランが戦力を減らす事態を避けたのだった。
ダンジョン攻略の説明
ドナドロンドは出発前にダンジョンについて説明した。ダンジョンコアを破壊するとダンジョンが死に、魔獣も消滅するが、マスターを倒してコアを休眠状態にすれば人間が利用できるようになるとされた。そのためギルドは基本的にコアを破壊せず、ダンジョンマスターの討伐を目指していた。
乱戦の始まり
冒険者たちがダンジョン前に拠点を作っている途中、入口からホブゴブリンが出現した。冒険者たちは乱戦に巻き込まれ、ドナドロンドを中心に応戦した。フランは駆け出し冒険者たちを助けながらホブゴブリンを斬り倒し、師匠も目立たないようにオーラ・ブレードで援護した。
洞窟への突入
フランは入口付近のホブゴブリンを魔術と剣技で蹴散らし、ドナドロンドたちより先にダンジョンへ入った。ダンジョンは洞窟型で、罠や特殊空間はないとされていたため、フランと師匠は人目を気にせず進んだ。師匠は魔術と鑑定で敵を選別し、有用なスキルを持つ魔石だけを吸収しながら進んだ。
キングとクイーン
二層目の広間で、フランと師匠はゴブリンキングとクイーンを発見した。師匠とフランは先制でフレアブラストを放ち、道を切り開くつもりだったが、その魔術が直撃してキングとクイーンは黒焦げになって倒れていた。しかし魔獣は消滅せず、先が続いていたため、真のダンジョンマスターは別にいると分かった。
アーミービートルの部屋
鉄の扉の先でフランと師匠は閉じ込められ、アーミービートルの大群と戦うことになった。虫型の魔獣は弱かったが数が多く、リーダーが眷属召喚で増やしていた。フランは喜々として戦い、師匠は念動で動きを封じて援護し、風魔術や硬化などのスキルを得た。
悪魔の出現
アーミービートルを殲滅すると隠し扉が開き、強大な魔力を持つ悪魔が現れた。悪魔はデーモンであり、暗黒魔術、魔力障壁、スキルテイカーなど危険な能力を持つ脅威度の高い存在だった。奥にはダンジョンマスターであるレアゴブリンもおり、悪魔はガチャで召喚されたが支配無効によって命令に従いきっていなかった。
悪魔との剣戟
フランは悪魔と激しく斬り結んだが、悪魔は影を利用した転移で背後を取り、フランの左腕を切断した。師匠は切断された腕を念動で戻し、グレーター・ヒールで接合した。影から現れる仕組みに気づいたフランは対応したが、悪魔の能力と地力は圧倒的で、戦況は厳しかった。
スキルテイカーの失敗
悪魔はフランの戦闘力を奪おうとしてスキルテイカーを使った。しかしフランのスキルは師匠から共有されたものだったためか、収奪は失敗した。悪魔は暗黒魔術を連発し始め、フランは回避を続けたが、決定打を与えられず不利な状況が続いた。
ダンジョンマスター狙い
師匠は、ダンジョンマスターを倒せば悪魔も消える可能性に気づいた。フランがダンジョンマスターを狙うと、悪魔は慌てて庇いに入り、その場から動けなくなった。師匠とフランは魔術を連続で放ち、悪魔に防御を強いた。
念動カタパルトの一撃
師匠はフランに自分を投げさせ、風魔術と念動カタパルトを組み合わせて悪魔の胴体へ突撃した。悪魔は迎撃しようとしたが、師匠は軌道を変えて障壁と左腕を貫き、心臓の魔石を断ち割った。悪魔は倒れ、師匠は大量の魔石値と自己進化ポイントを得た。
ダンジョンマスター討伐
悪魔を失ったダンジョンマスターは呆然とし、フランはその隙に右腕を斬り飛ばした。身代りの腕輪ごと腕が落ちたあと、フランは無慈悲に首を斬り、ダンジョンマスターを討った。ダンジョンコアは光を失ったが、地震のような変化は起きなかった。
悪魔素材の偽装
師匠は悪魔の死体をギルドに渡すことにし、魔石を吸収した事実を隠すため、心臓周辺を魔術で吹き飛ばして偽装した。悪魔の素材を独占すれば恨みを買うため、死体は提供し、剣と身代りの腕輪だけを回収した。フランは悪魔討伐で大きくレベルアップした。
町への帰還
ダンジョン攻略後、冒険者たちは疲労しながらも勝利を喜んで町へ戻った。死者は出たが、規模の割には被害が少なく済んだとされ、フランは多くの冒険者から感謝された。ドナドロンドには単独で突っ走ったことを叱られたが、フランは食事を要求して師匠に機嫌を直させた。
大幅な成長
師匠は悪魔の魔石によって自己進化ランクを上げ、攻撃力、魔力、耐久値、メモリが大きく増えた。暗黒魔術、魔力障壁、自動魔力回復、支配無効、スキルテイカーなど有用な能力も得た。フランもレベル二五となり、インセクトキラー、デーモンキラー、超大物喰い、ダンジョン攻略者などの称号を獲得した。
剣聖技とスキルテイカー
フランと師匠は自己進化ポイントを使い、剣技と剣術を一〇まで上げた。その結果、剣聖技、剣聖術、属性剣が追加された。さらにスキルテイカーも強化し、レベル一〇に到達させたことで、高レベルのスキルを確実に奪える強力な手段を得た。
ギルドマスターの確認
ギルドに戻ったフランは、クリムトに悪魔討伐の経緯を問われた。フランはダンジョンマスターを狙って隙を作り、悪魔を倒したと説明した。クリムトは悪魔の魔石についても確認したが、フランは魔石は消滅したと答えた。
副団長オーギュスト
その場にアレッサ騎士団副長のオーギュストが乱入し、悪魔の素材や魔石をフランが独占するのは許されないと主張した。彼は虚言の理を持ち、嘘を見破る力を悪用してフランを陥れようとした。さらに騎士団が討伐を無視していたにもかかわらず、利益の半分やフランの荷物まで要求した。
虚言の理の奪取
クリムトはオーギュストの要求を退け、騎士団長に確認すると告げた。オーギュストは慌てて退散しようとし、その隙に師匠はスキルテイカーで虚言の理を奪った。フランも続けて宮廷作法を奪い、二人はスキルテイカーがユニークスキルにも通用することを確認した。
Dランク昇格
クリムトはオーギュストへの注意を促したあと、フランにランクアップを告げた。悪魔単独撃破の功績により、フランはFからDへ飛び級することになった。受付では冒険者たちが最速昇級に騒ぎ、フランはボーナスを得たうえで皆に酒を奢り、師匠は一〇万ゴルドを飲まれたことに呆れた。
エピローグ
決意と夜食
眠るフラン
フランが眠ったあと、師匠は悪魔との激戦を振り返った。数ヶ月前まで会社員だった自分が、今は剣として魔獣と戦っている現実を思い返し、剣に転生したことも悪くないと感じ始めていた。魔法や超能力を振るう自分と、フランとの出会いが、異世界での生を充実したものにしていた。
五日間の重み
師匠はフランと出会ってからの五日間を思い返した。奴隷からの解放、枯渇の森の踏破、冒険者登録、ゴブリンとの死闘、ダンジョン攻略、悪魔とダンジョンマスターとの戦いが続き、五日間とは思えないほど濃密な時間だった。師匠はその日々に、生きている実感を強く覚えていた。
守りたい存在
師匠は眠るフランの毛布を念動で直しながら、彼女を守りたいという思いを自覚した。それは恋愛感情ではなく、保護者としての愛情に近いものだった。師匠は今なら地球へ戻れると言われても拒むだろうと考え、フランと共にこの世界で前に進み続けることを決意した。
夜の解体作業
フランと出会った翌日の夜、夕食後にフランは魔獣の解体を続けていた。師匠はほどほどにするよう声をかけたが、フランは解体に慣れてきて面白さを感じていた。フランは浄化魔術や水魔術も使いこなし始めており、共有されたスキルを急速に身につけていた。
タイラントサーベルタイガーの解体
師匠はフランのナイフでは解体できないタイラントサーベルタイガーを担当した。巨大な体と分厚い毛皮に苦労しながらも、念動と刀身を細かく操作して素材を傷つけないよう丁寧に剥いでいった。毛皮、骨、剣牙、鬣は価値のある素材であり、師匠はフランの生活費になるものとして慎重に扱った。
夜食の準備
フランが解体を続ける間、師匠は夜食を作ることにした。手持ちの調味料や小麦粉、野草、クラッシュ・ボア、ロックバイソン、タイラントサーベルタイガーの肉を使い、三種の肉を混ぜたハンバーグを作った。さらに味噌モドキや野イチゴ、山ぶどうでソースを作り、厚めのクレープで包んでトルティーヤ風ハンバーガーに仕上げた。
フランの食欲
師匠が呼ぶ前に、フランはすでに夜食の匂いに引かれて背後に立っていた。手を洗って準備を終えたフランは、トルティーヤ風ハンバーガーを一気に食べたが、それだけでは足りず、おかわりを求めた。師匠は追加でタイラントサーベルタイガーのステーキを焼き、フランの食べっぷりに作り甲斐を感じた。
芽生えた信頼
師匠は、フランがおかわりを求めたり、解体を続けたいと言い張ったりすることを嬉しく感じた。奴隷として生きてきたフランが、自分には我儘を言っても見捨てられないと信じ始めていると受け取ったからだった。師匠はその信頼を噛みしめ、絶対に裏切らないと心に誓った。
転生したら剣でした 一覧




















その他フィクション

Share this content:


コメント