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フィクション(Novel)読書感想魔導具師ダリヤはうつむかない

小説「魔導具師ダリヤはうつむかない 5巻」感想・ネタバレ

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フィクション(Novel)

魔導具師ダリヤ 4巻レビュー
まとめ
魔導具師ダリヤ 6巻レビュー

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  1. ど物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
        1. ダリヤ・ロセッティ
        2. ヴォルフレード・スカルファロット(ヴォルフ)
        3. オズヴァルド・ゾーラ
        4. イヴァーノ・メルカダンテ
        5. グイード・スカルファロット
        6. ヨナス・グッドウィン
        7. ジャン・タッソ
        8. イデアリーナ・ニコレッティ(イデア)
  2. 読んだ本のタイトル
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
          1. 魔物討伐部隊、完全に魔物を食材として見始めてない?
          2. ダリヤにようやく「師匠」ができた
          3. ただし師匠、妻が三人いる
          4. ヴォルフ本人より周囲の方が分かっている
          5. そしてヴォルフの兄グイードと初対面
          6. 弟を大切にしている兄からすれば、かなりの高評価では?
          7. 今度はスライムを養殖するらしい
          8. ブラックスライムは養殖できるのだろうか?
          9. この世界、魔力は増やせばいいわけではないのか
          10. カルロの死を考えると、ちょっと怖い話でもある
          11. 5巻はダリヤの世界がまた一段広がった巻だった
          12. まとめ
  5. 考察・解説
      1. ストーリー・プロット
        1. 第1幕:夏祭りの夜と魔導具師の指導開始
        2. 第2幕:実技授業と息子のラウルエーレとの出会い
        3. 第3幕:ヴォルフの対人・護衛訓練と兄グイードの介入
        4. 第4幕:冒険者ギルド訪問とジャンの家庭相談
        5. 第5幕:スライム養殖場の見学と夜の宴
        6. 第6幕:森大蛇の出現と魔物討伐部隊の戦果
      2. 4. 主要な転換点
        1. 転換点1:オズヴァルドによるダリヤへの個人指導開始
        2. 転換点2:ヴォルフとヨナス・グイードとの対人手合わせ
        3. 転換点3:ジャンとオズヴァルドの蠍酒対談
        4. 転換点4:森大蛇の討伐と素材・肉の確保
      3. ダリヤを中心とした人物関係の変化
        1. オズヴァルド・ゾーラ
        2. グイード・スカルファロット
        3. ジャン・タッソ
        4. イヴァーノ・メルカダンテ
      4. 主人公の認識と周囲の評価
        1. 主人公(ダリヤ)自身の認識
        2. 周囲からの評価
        3. 認識の差が現れた場面
  6. キャラクター紹介
      1. ダリヤ・ロセッティ
      2. ヴォルフレード・スカルファロット
      3. オズヴァルド・ゾーラ
      4. イヴァーノ・メルカダンテ
      5. グイード・スカルファロット
      6. ヨナス・グッドウィン
      7. フェルモ・ガンドルフィ
      8. ジャン・タッソ
      9. イデアリーナ・ニコレッティ
      10. グラート
      11. エルメリンダ
      12. ラウル
      13. イレネオ
      14. カルロ・ロセッティ
  7. 戦闘 一覧
    1. 大豚牧場と大猪
        1. 大猪による柵破り
        2. 大猪討伐戦
    2. 魔物図鑑と人工魔剣制作五回目 ~破壊の魔剣 ~
        1. 人工魔剣「破壊の魔剣」の自壊
    3. 森大蛇の不運
        1. 棘草魔(ソーンイーター)討伐戦
  8. 展開まとめ
    1. 夏祭りとクラーケンテープ
        1. 緑の塔の夏祭り
    2. 魔導具師の先生
        1. オズヴァルドの授業
        2. 希少素材と魔力増強
        3. 妖精結晶の危険性
        4. ラウルとの出会い
    3. 大恩と護衛の先生
        1. グイードへの相談
        2. ヨナスとの手合わせ
        3. 冒険者ギルド
        4. アウグストへの礼
        5. ジャンとの和解
    4. スライム養殖場と蜜の酒
        1. イデアとスライム研究
        2. 命を素材にする仕事
        3. 蜜の酒の乾杯
    5. 既婚男子の酒
        1. ジャンとエルメリンダの再会
    6. 手紙の山と商会員
        1. 急成長するロセッティ商会
    7. 森大蛇の不運
        1. 魔物討伐部隊の遠征
    8. 友の兄とお茶会
        1. グイードの問い
        2. ヨナスとの交流
    9. 幕間 商会員と次期侯爵による茶会の二次会
        1. イヴァーノとグイード
    10. 魔物図鑑と人工魔剣制作五回目~破壊の魔剣~
        1. ヨナスの鱗と魔物図鑑
        2. 破壊の魔剣
    11. 幕間 商会員による下請け依頼
        1. オルランド商会との力関係
    12. 届け物と大先生の教え
        1. 増え続ける仕事
    13. 大豚牧場と大猪
        1. 牧場への小遠征
        2. 大猪の宴
    14. 番外編 父と娘の魔導具開発記録 ~魔導ランタンの飾り部分~
        1. ダリヤの魔力制御
        2. トビアスの弟子入り
  9. 魔導具師ダリヤはうつむかない 一覧
  10. その他フィクション

ど物語の概要

■ 作品概要

ロセッティ商会の商会長を務め、生活系魔導具を手がける魔導具師ダリヤ・ロセッティは、夏祭りを経て魔導具師としての学びと商会経営の新たな段階へと足を踏み入れた。
男爵にして高級魔導具師のオズヴァルド・ゾーラによる個人指導が始まり、情報管理や安全管理、希少素材の扱いに加え、人為的な魔力向上法に関する知識と技術を修得していく。
一方で、泡ポンプボトルや靴乾燥機、小型魔導コンロといった商会製品が爆発的なヒットを記録し、需要の急拡大に伴って冒険者ギルドや他商会との連携強化が進められた。
また、友人ヴォルフレード・スカルファロット(ヴォルフ)を介し、その兄で魔導部隊中隊長を務めるグイード・スカルファロットとの接点が生じる。
ヴォルフを守るための対人・護衛訓練を経て、グイードから「別れ話の対価(手切れ金)」を提示されるテストに対し、ダリヤが真摯かつ毅然とした拒絶の姿勢を示したことで、利害関係のない対等な友人として正式に認められた。
さらに、魔物討伐部隊の遠征中に遭遇した希少魔物「森大蛇」の討伐成功により、目標に据える護身用魔導具(金の腕輪)の自作に必要な最難関素材「森大蛇の心臓」を入手する。
本巻の終わりまでに、ダリヤは魔物討伐部隊の相談役および次年度の男爵昇進が内定し、商会の規模拡大と社会的立場の確立を着実に推し進めている。

■ 主要キャラクター

ダリヤ・ロセッティ
  • 立場・所属:  ロセッティ商会長、魔導具師(初期魔力8、学びを通して増加傾向)。
  • 本巻での主な役割:  オズヴァルドからの個人指導受講、各種魔導具開発(大海蛇の手鏡等)、スライム養殖場の見学、グイード・スカルファロットとの面会。
  • 重要な変化・行動:  秘密保持用魔導書への紅血設定の実施、護身用「金の腕輪」の受領、魔物討伐部隊相談役への就任および次年度の男爵昇進内定。
ヴォルフレード・スカルファロット(ヴォルフ)
  • 立場・所属:  魔物討伐部隊隊員、伯爵家四男、ロセッティ商会保証人。
  • 主人公との関係:  友人、商会保証人。
  • 主な役割・行動:  ダリヤとの交流、ダリヤを守るための対人戦・護衛技術の獲得を目的とした従者ヨナスおよび兄グイードとの手合わせ、森大蛇の討伐、グイードとの面会セッティング。
オズヴァルド・ゾーラ
  • 立場・所属:  ゾーラ商会長、魔導具師、男爵。
  • 本巻での主な役割:  ダリヤの指導者(先生)。希少素材の扱い、魔力制御、情報・安全管理、貴族社会での立ち振る舞いを伝授。長男ラウルエーレの教育、ジャン・タッソとの交流。
イヴァーノ・メルカダンテ
  • 立場・所属:  ロセッティ商会員。
  • 主な役割・行動:  商会業務の統括、貴族や他ギルドとの折衝、ダリヤの開発環境確保のためのサポート(後見人問題の整理、見合い打診の処理、オルランド商会等との下請け調整)。
グイード・スカルファロット
  • 立場・所属:  スカルファロット家長男(次期侯爵)、魔導部隊中隊長、上級魔導師。
  • 本巻での主な役割:  弟ヴォルフへの護衛(ヨナス)紹介、対人・魔法訓練の実施、ダリヤとの直接面会による真意確認(手切れ金テスト)の実施。
ヨナス・グッドウィン
  • 立場・所属:  グッドウィン子爵家次男、グイードの従者兼護衛、「魔付き」(右腕に赤銅のウロコ)。
  • 本巻での主な役割:  ヴォルフに対する実戦的な対人戦・護衛の指導。
ジャン・タッソ
  • 立場・所属:  冒険者ギルド素材管理部長(元上級冒険者)。
  • 本巻での主な役割:  過去の無礼な言動の謝罪、多忙による体調不良と家庭トラブル(妻の家出)の告白、オズヴァルドとの蠍酒を通じた対談と夫婦関係改善への行動。
イデアリーナ・ニコレッティ(イデア)
  • 立場・所属:  冒険者ギルド・スライム養殖場研究主任。
  • 本巻での主な役割:  スライム養殖場の案内、各種スライム(ブルー、グリーン、イエロー、レッド、ブラック、グレー)の生態説明、詳細な成分表データの提供。

読んだ本のタイトル

#魔導具師ダリヤはうつむかない  ~今日から自由な職人ライフ~ 5
(英語名:Dahlia in Bloom: Crafting a Fresh Start with Magical Tools)
著者:甘岸久弥  氏
イラスト:景 氏

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あらすじ・内容

弟子入りに商会支援。“人との繋がり”がダリヤを次のステージへ!

友人、商会、騎士団。仕事を通じて“人との繋がり”を広げていく女性魔導具師のダリヤ。
彼女は、新たにオズヴァルドから魔導具師としての教えを受け、素材となるスライムの養殖場では研究主任イデアと意気投合する。そしてヴォルフの兄・グイードや彼の従者ヨナスとの出会いによって、ダリヤの縁はますます広がっていき――。
「スライムの養殖成功と、これからの魔導具開発を祈って、乾杯」
微風布や泡ポンプボトルの流行に制作の下請け拡大と、ダリヤの自由気ままな魔導具開発は、彼女の想像を超えて王都の人々の暮らしを豊かにしていて!?
魔導具師ダリヤのものづくりストーリー、成長と発展の第五弾、開幕!

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 5

感想

遠征用魔導コンロが導入された魔物討伐部隊。

以前は遠征先で干し肉とワインを胃に流し込むような食生活だったはずなのに、今では倒した魔物をその場で焼いて食べる。

ついに魔物が「討伐対象」ではなく「食材」に見えてきたのでは?

実際、大猪を倒したらそのまま宴である。

魔導コンロ一つで遠征生活が変わりすぎだろう。

一方、人間関係でも大きな変化があった。

父カルロを突然亡くし、魔導具師としてまだ学ぶことの多いダリヤに、ついに「先生」と呼べる人物ができる。

さらにヴォルフの兄グイードとの初対面。

スライム養殖場という新しい魔導具素材の可能性。

5巻は派手な魔導具開発以上に、ダリヤの周囲に新しい人が増えていくのが印象に残る巻だった。

魔物討伐部隊、完全に魔物を食材として見始めてない?

遠征用魔導コンロが入ってからの魔物討伐部隊が面白い。

もちろん魔物討伐は命懸けである。

実際にダリヤも大猪との遭遇を通して、彼らが日常的に危険な仕事をしていることを改めて知る。

……のだが。

倒した大猪はそのまま食材へ。

魔導コンロを出して焼く。

そして宴。

以前の、

「干し肉とワインでとりあえず腹を満たす」

という遠征生活はどこへ行った。

温かい食事ができるようになった結果、

「倒した魔物、食べられるんじゃない?」

という方向へ討伐隊が進化しているように見えてしまう。

魔物がジビエ食材になってきた。

でも、これは結構大きな変化だと思う。

危険な仕事だからこそ、食事くらいは温かくて美味しいものを食べたい。

ダリヤが作った魔導具は戦闘力を直接上げるものではない。

それでも確実に騎士達の生活を変えている。

こういうところが『魔導具師ダリヤはうつむかない』の好きなところである。

ダリヤにようやく「師匠」ができた

そして今回、個人的にかなり大きいと思ったのがオズヴァルドとの関係である。

ダリヤには父カルロという優秀な魔導具師の先生がいた。

だが、その父親は突然亡くなってしまった。

当然、教えてもらえなかったことも大量に残っている。

ダリヤ自身に技術はある。

発想力もある。

実際に様々な商品を開発してきた。

それでも魔導具師として知らないことはまだまだある。

そんなダリヤに、ようやく新しい先生ができた。

これはかなり大きい。

オズヴァルドが教えるのは単純な魔導具の作り方だけではない。

希少な素材の扱い。

魔力制御。

情報管理。

安全管理。

さらには貴族社会で生きていくための知識まで。

ダリヤがこれまで自己流と父から教わった知識で進んできたことを考えると、ようやく次の段階へ進むための師匠が現れたように感じた。

ただし師匠、妻が三人いる

問題はオズヴァルドの家庭事情である。

妻が三人いる。

その状態で若い女性を弟子にする。

家族からしたら、

「もしかして新しい嫁?」

と警戒するのも分からなくはない。

ダリヤ本人にはそんな気は一切ない。

オズヴァルドも純粋に魔導具師として教えている。

しかもヴォルフまで一緒にいる。

それでもダリヤが帰った後、

「新しいお嫁さん?」

という話になるのが面白い。

そしてオズヴァルド側も、その方向へ進む気はない。

馬に蹴られたくないらしい。

……馬。

誰のことだろう。

金色の目をした黒髪の大型犬みたいな男が思い浮かぶのだが。

ヴォルフは馬ではなく黒犬だよな?

でも蹴られたら確実に痛そうではある。

ヴォルフ本人より周囲の方が分かっている

この作品を読んでいると毎回思う。

ダリヤとヴォルフ本人達より、周囲の人間の方が二人の関係を理解している。

本人達は、

「友人です」

である。

周囲は、

「はいはい」

という感じ。

大猪の宴でも、ヴォルフが危険な場面でダリヤを守ろうとする理由をダリヤは騎士道精神だと理解している。

周囲は別の意味を察している。

当人達だけ分かっていない。

もうこの構図が定番になってきた。

そしてヴォルフの兄グイードと初対面

さらに大きなイベントが、ヴォルフの兄グイードとの面会である。

ヴォルフにとって非常に大切な兄。

当然、弟の近くにいるダリヤがどんな人物なのか気になる。

しかもダリヤはロセッティ商会の会長で、ヴォルフはその保証人。

単なる友人だけではなく、仕事上でもかなり深い関係になっている。

兄としては確認しておきたいところだろう。

そこでダリヤは、グイードからある意味で試されることになる。

ヴォルフと離れるための対価を提示される。

普通なら相手が上位貴族というだけでも怖い。

それでもダリヤはきちんと拒絶する。

金銭的な利害でヴォルフと付き合っているわけではない。

ヴォルフとは対等な友人である。

そこを曲げなかった。

弟を大切にしている兄からすれば、かなりの高評価では?

そしてダリヤの対応を見て、グイード側も彼女を認めていく。

これが良かった。

グイードにとって重要なのは、

「ダリヤが優秀な魔導具師か」

だけではない。

弟ヴォルフのそばに置いて大丈夫な人物なのか。

こちらの方が重要だったのではないかと思う。

ヴォルフを利用しない。

金で態度を変えない。

立場の違いがあっても、友人として接する。

弟をかなり大切にしている兄からすれば、なかなかの高評価だろう。

しかも従者ヨナスもダリヤを見ている。

兄だけではなく、その周囲からもチェックされている感じが面白かった。

ダリヤ本人からしたら緊張するだけだろうけど。

今度はスライムを養殖するらしい

そして個人的にかなり気になったのがスライム養殖場である。

スライム。

養殖できるのか。

魔導具の素材として利用するため、グリーンスライムなどを育てていく。

しかも養殖場を仕切るイデアが、かなりダリヤと同類っぽい。

研究対象を見つけた人間の目をしている。

ダリヤと意気投合するのも納得だった。

こういう人をダリヤと組ませたら危ない。

「これを試してみませんか?」

「面白そうですね!」

で、どこまでも進んでしまう。

止める側が必要である。

ブラックスライムは養殖できるのだろうか?

当然気になるのがブラックスライム。

ダリヤ達自身も、

「ブラックスライムからの安全確保」

を祈って乾杯している。

グリーンスライムだけならまだ可愛らしい。

でも種類を増やしていけば、

「じゃあブラックスライムも……」

となりそうで怖い。

養殖できるのだろうか。

いや、できたとして本当に養殖していいのだろうか。

研究者というのは、

「危険だからやめよう」

ではなく、

「安全に研究できる設備を作ろう」

という方向へ行きそうなので油断できない。

イデアとダリヤが組んだことで、スライム養殖場が今後どんな場所になるのか非常に気になる。

この世界、魔力は増やせばいいわけではないのか

そして5巻で興味深かったのが魔力についてである。

普通のファンタジーなら、

「魔力が増える=強くなる=良いこと」

と考えてしまう。

ところが、この世界では単純ではないらしい。

魔力を増やす方法は存在する。

だが身体への負担も考えなければならない。

つまり、

「魔力が多ければ多いほど良い」

ではない。

ここが面白かった。

ダリヤ自身も魔力について学ぶことになるが、単純に数字を上げるだけではなく、自分の身体と相談しながら扱わなければならない。

ゲームのステータスのように、

「魔力+10! やった!」

では済まない世界なのである。

カルロの死を考えると、ちょっと怖い話でもある

そして父カルロのことを考えると、この設定は少し怖い。

優秀な魔導具師だったカルロ。

ダリヤへ多くの技術を教えながら、突然亡くなってしまった父親。

魔力を増やすことと身体への負担。

それを知ってしまうと、カルロの生き方まで少し違って見えてくる。

娘に技術を残したかった。

もっと教えたかったこともあっただろう。

それでも時間が足りなかった。

だからこそ今、オズヴァルドという新しい師匠が現れたことにも意味があるように感じる。

カルロが最後まで教えられなかったことを、別の魔導具師から学んでいく。

父親の代わりになるわけではない。

でも、止まっていたダリヤの「弟子としての時間」が再び動き始めたように感じた。

5巻はダリヤの世界がまた一段広がった巻だった

5巻を読んでいて印象に残ったのは、新しい人とのつながりが一気に増えたことだった。

オズヴァルドという師匠。

その家族。

ヴォルフの兄グイード。

従者ヨナス。

スライム研究をするイデア。

そして魔物討伐部隊との関係も、さらに深くなっている。

最初の頃のダリヤは、父を亡くし、婚約を解消し、緑の塔で一人になったところから始まった。

それが今では、困ったときに相談できる人がいる。

技術を教えてくれる師匠がいる。

一緒に商品を作る仲間がいる。

そして当然のように隣で酒を飲んでいるヴォルフがいる。

魔導具師として成長していること以上に、この人間関係の広がりが印象に残った。

まとめ

『魔導具師ダリヤはうつむかない』5巻は、ダリヤが魔導具師として新しい段階へ進む巻だった。

魔物討伐部隊では、遠征用魔導コンロのおかげで倒した魔物が食材へ。

大猪を倒したら肉パーティー。

討伐対象が完全にジビエへ近づいている。

一方のダリヤには、オズヴァルドという新しい師匠ができた。

父カルロから教わりきれなかった魔導具師としての知識を、ここからさらに学んでいくことになる。

そしてヴォルフの兄グイードとも初対面。

弟を大切にする兄からのチェックも無事通過したように見える。

さらにスライム養殖場。

ダリヤと同じ方向へ暴走しそうなイデアまで登場した。

グリーンスライムだけで終わるのか。

ブラックスライムまで養殖するのか。

非常に気になる。

ただ、それ以上に考えさせられたのが魔力だった。

この世界では、魔力は増えれば増えるほど良いわけではない。

力を手に入れることには身体への負担もある。

魔導具も同じなのかもしれない。

性能だけを追えばいいわけではない。

使う人間がいて、作る人間がいる。

無理をせず、安全に使えて初めて意味がある。

そう考えると、ダリヤが生活に寄り添う魔導具を作り続けていることにも、この作品らしさを感じる。

それにしても。

魔導コンロを渡したら、魔物討伐部隊が魔物を食材として見るようになった気がする。

ダリヤ。

次は調理器具を充実させたらダメだぞ。

あの人達、遠征ではなく本格的なジビエ料理会を始めそうだから。

魔導具師ダリヤ 4巻レビュー
まとめ
魔導具師ダリヤ 6巻レビュー

最後までお読み頂きありがとうございます。

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考察・解説

ストーリー・プロット

第1幕:夏祭りの夜と魔導具師の指導開始

オルディネ王国の夏祭りの夜、ダリヤは緑の塔の屋上でヴォルフ、イルマ、マルチェラと共に料理やエールを楽しみ、王城から放たれる魔導師達の火魔法による花火や国王の白い魔法鑑賞を行う。
ダリヤとヴォルフは来年の夏祭りも共に過ごす約束を交わす。後日、ダリヤはオズヴァルド・ゾーラの屋敷を訪れ、個人指導を開始する。
専用の魔導書への紅血設定(他人が開くと燃える仕掛け)を行い、情報管理と安全対策の重要性を学ぶ。
オズヴァルドから、金台座に一角獣の角(白)、二角獣の角(黒)、炎龍の鱗(赤)、森大蛇の心臓(緑)を埋め込んだ「金の腕輪」(完全防毒、混乱防止、石化防止、眠り薬やしびれ薬、媚薬無効の効果を持つ)を借り受け、希少素材(天狼等)の危険性や、人為的な魔力増強法(魔力枯渇後の魔力ポーション服用)について講義を受ける。
その過程で、亡き父カルロがかつて魔力を12まで引き上げていた事実を知る。

第2幕:実技授業と息子のラウルエーレとの出会い

オズヴァルドの指導のもと、希少素材である大海蛇の肺を用いた「大海蛇の手鏡」の作成実技が行われる。講義の合間、オズヴァルドが一時離席した際、ダリヤは庭でサルビアの蜜を吸っていたオズヴァルドの長男ラウルエーレ(ラウル)と遭遇する。共にサルビアの蜜を吸うことで共犯関係となり、打ち解ける。戻ってきたオズヴァルドを交え、ラウルも共に実技授業に参加することになる。オズヴァルドは以前から準備していた黒革の厚い本で、銀の文字で『ラウルエーレ・ゾーラ』と名前が刻印された専用の魔導書を手渡し、紅血設定を行わせる。二人の実技を通じて、ラウルの成長とゾーラ家における父子関係の好転が描かれる。

第3幕:ヴォルフの対人・護衛訓練と兄グイードの介入

ヴォルフは、ダリヤを守るための対人戦および護衛技術の必要性を感じ、兄グイードに相談する。スカルファロット家別邸での夕食後、グイードは自身の従者であり「魔付き」の騎士であるヨナス・グッドウィンを紹介する。屋敷の裏手でヴォルフとヨナスの模擬戦が行われる。天狼の腕輪を使用するヴォルフに対し、ヨナスは関節攻撃や蹴り、目つぶしや砂かけなど実戦的かつ容赦のない攻撃で圧倒する。さらにグイードが巨大な「氷盾」の魔法を披露し、ヴォルフに対し対人戦における自身の甘さとさらなる鍛錬の必要性を自覚させる。

第4幕:冒険者ギルド訪問とジャンの家庭相談

ダリヤとイヴァーノは二角獣の素材受け取りとアウグスト副ギルド長への挨拶のため冒険者ギルドを訪問し、小型魔導コンロや微風布のマフラーを寄贈する。
その後、過去に不躾な言動のあった素材管理部長ジャン・タッソと面会する。ジャンは過去の言動を謝罪し、ダリヤからの進物(火の魔石にまつわる文化的な誤解が生じかけるが解消)を受け取る。
ジャンの過酷な不摂生と妻の家出を知ったダリヤは、過労から急死した父カルロの姿を重ね合わせて体調を気遣うとともに、同じく酒好きで過去に苦い離婚経験を持つオズヴァルドをジャンに紹介する。
その夜、オズヴァルドの屋敷でジャンとオズヴァルドが蠍酒を酌み交わし、オズヴァルド自身の経験を踏まえた厳しい助言を受け、ジャンは男のプライドを捨てて妻の実家へ直接向かい、謝罪と具体的な改善案を提示する決意を固める。

第5幕:スライム養殖場の見学と夜の宴

ダリヤ、ヴォルフ、イヴァーノの3人は、研究主任イデアの案内で王都郊外のスライム養殖場を見学する。ブルー、グリーン、イエロー、レッドの各スライムの生育環境や生態を観察する中、別室に隔離されていたブラックスライムの部屋で、ヴォルフが放った「威圧」に反応したブラックスライムが跳躍し、内側の特注ガラスにヒビが入る事態が発生する。見学後、イデアから長年蓄積された詳細なスライム成分表のデータを提供されたダリヤは深く感謝し、研究費用の補助をイヴァーノに相談する。緑の塔に戻ったダリヤとヴォルフは、東酒を使ったチーズフォンデュとヴォルフが持参した希少な酒「スカルラットエルバ(蜜の酒)」を楽しみながら、「共存共栄」の乾杯を交わす。

第6幕:森大蛇の出現と魔物討伐部隊の戦果

魔物討伐部隊は草原で「棘草魔」の駆除作業を実施し、ヴォルフは大鎌を用いて迅速に作業を進める。作業完了後、草原に面した森から希少かつ強力な魔物「森大蛇(緑の王)」が出現する。隊員達は恐怖することなく、ダリヤが必要としている素材(心臓)であることや肉が珍味であることを確認し、全員で協力して足止めと討伐を行う。無事に心臓が傷なしで確保され、肉はダリヤ特製の焼き肉甘ダレで調理されて隊員の食糧となる。部隊長のグラートは自身の魔剣「灰手」を用いて森大蛇の干物を作成することを引き受け、部隊の士気向上と遠征中の食糧確保が果たされる。

4. 主要な転換点

転換点1:オズヴァルドによるダリヤへの個人指導開始
  • それ以前の状況:  ダリヤは父カルロから技術を学んでいたが、希少素材の危険性や高級魔導具の制作手順、貴族社会における情報・安全管理に関する知識が不足していた。
  • 出来事:  オズヴァルドが指導者となり、個別の講義と実技指導を開始した。
  • 変化:  秘密保持のための魔導書(紅血設定)や護身用の「金の腕輪」(完全防毒、混乱防止、石化防止、眠り薬/しびれ薬/媚薬無効)を取得し、安全管理意識と高度な魔法付与の知識を習得した。
  • 次への影響:  希少素材(天狼、大海蛇、二角獣等)の適切な加工手順を把握し、商会長としての危機管理能力が飛躍的に向上した。
転換点2:ヴォルフとヨナス・グイードとの対人手合わせ
  • それ以前の状況:  ヴォルフの戦闘訓練は対魔物に特化しており、人を守る護衛技術や対人戦における己の実力限界を客観的に把握していなかった。
  • 出来事:  グイードの紹介により、従者ヨナスとの手合わせおよびグイードの氷魔法に対峙した。
  • 変化:  ヨナスの実戦的で容赦のない攻撃の前に敗北し、自身の甘さと人間に対して殺気を出せない課題を痛感した。
  • 次への影響:  ヴォルフがヨナスからの継続的な指導を決意し、ダリヤを守るための力をより強く志向するようになった。
転換点3:ジャンとオズヴァルドの蠍酒対談
  • それ以前の状況:  ジャンは連日の超密スケジュールと不摂生により体調を崩しかけており、妻の家出に対して半ば諦めを抱いていた。
  • 出来事:  ダリヤの仲介により、オズヴァルドの屋敷で蠍酒を交えながら夜通し夫婦関係の相談を行った。
  • 変化:  オズヴァルドから男としてのプライドを捨てて妻に直接向き合い、具体策を提示すべきだという厳しい助言を受けた。
  • 次への影響:  ジャンが妻の実家へ自ら謝罪と話し合いに向かう決意を固め、ダリヤやオズヴァルドとの強い信頼関係が構築された。
転換点4:森大蛇の討伐と素材・肉の確保
  • それ以前の状況:  ダリヤがオズヴァルドに金の腕輪を返却・自作するためには希少素材「森大蛇の心臓」が必要であったが、遭遇機会が非常に限られていた。
  • 出来事:  魔物討伐部隊の遠征中、偶然出現した森大蛇を部隊全体で討伐した。
  • 変化:  最難関素材であった「森大蛇の心臓」が無傷で確保され、肉は甘ダレで調理されて隊員の食糧となった。さらに部隊長グラートが自身の魔剣「灰手」を用いて干物を作成することを快諾した。
  • 次への影響:  ダリヤが自力で「金の腕輪」を作成するためのキー素材が手に入り、部隊全体の食糧確保と士気向上、ならびにダリヤへの感謝が深まった。

ダリヤを中心とした人物関係の変化

オズヴァルド・ゾーラ
  • 開始時:  単なる魔導具師の先輩・他商会の会長同士。
  • 主な出来事:  個人指導の受講、危険管理・魔力向上・希少素材知識の伝授、息子ラウルを交えた授業。
  • 巻末時:  明確な「師弟子(先生と生徒)」の関係となり、商会経営や貴族対応も含めた深い信頼関係が成立。
グイード・スカルファロット
  • 開始時:  友人の兄であり、王城での説明会で便宜を図ってくれた高位貴族(直接の面識なし)。
  • 主な出来事:  ヴォルフの屋敷でのお茶会にて、グイードから「手切れ金(別れ話の対価)」の提示というテストを受け、それを辞退。
  • 巻末時:  ヴォルフの「利害関係のない大切な友人」としてグイードから正式に認められ、歓迎される関係となった。
ジャン・タッソ
  • 開始時:  過去に過労による暴言があった冒険者ギルドの部長と職人。
  • 主な出来事:  お詫びの品の受け渡し、火の魔石をめぐる誤解の解消、亡き父カルロの思い出の共有、オズヴァルドの紹介。
  • 巻末時:  互いに過去の摩擦や誤解を解消し、素材提供や相談を気兼ねなく行える良好な協力関係となった。
イヴァーノ・メルカダンテ
  • 開始時:  商会長と優秀な右腕(商会員)。
  • 主な出来事:  製品の爆発的ヒット(泡ポンプボトル、靴乾燥機、コンロ)による利益拡大処理、お見合いや後見人問題の整理、オルランド商会への対応についての議論。
  • 巻末時:  単なる能力の高い商会員を超え、ダリヤから商会の「半身」として絶大な信頼を寄せられる存在となった。

主人公の認識と周囲の評価

主人公(ダリヤ)自身の認識
  • 自身を「庶民出身の未熟な魔導具師」「運よくヒット商品が出た小さな商会の会長」と捉えている。
  • 自身の魔力(初期8)は低く、オズヴァルドや亡き父カルロに比べて能力や知識が大きく不足していると考えている。
  • 自身の容姿や立ち振る舞いについて「貴族社会や王城では華やかさに欠け、壁の花にしかならない」と評価している。
周囲からの評価
  • オズヴァルド:  繊細な魔力制御技術を持ち、筋が良い「模範生」。亡きカルロの優れた技術と精神を正しく継承している者。
  • グイード / ディールス侯爵(ジルド):  利益や家格に目が眩まず、ヴォルフを対等な友人として尊重する誠実な人物。後見人になりたがるほど価値を認められている。
  • 商業ギルド・他商会・世間:  泡ポンプボトル、靴乾燥機、遠征用コンロなどを生み出した「新進気鋭の天才魔導具師」。魔物討伐部隊の遠征環境を劇的に改善した「相談役」であり、来期男爵昇進が内定している注目株。
認識の差が現れた場面
  • 大量の手紙とお見合い打診(第7章):  ダリヤは自分にお見合いや商談の手紙が大量に来る理由がピンと来ていなかったが、イヴァーノから自身の社会的価値(自力で男爵内定、巨大な利益を生み出す商会長)の高さを突きつけられる場面。
  • オズヴァルドとの手鏡制作(第2章):  自身の作った手鏡に気泡ができたことを恥じ入っていたが、オズヴァルドからは初見でここまでの精度(平らな鏡面)を出せる繊細な魔力制御力を高く評価されていた場面。

キャラクター紹介

ダリヤ・ロセッティ

オルディネ王国で活動する魔導具師であり、ロセッティ商会の会長である。前世の記憶を持ち、生活を豊かにする魔導具の開発を行っている。ヴォルフレードとは夏祭りを共に過ごすなど、親しい友人関係を築いている。

・所属組織、地位や役職  ロセッティ商会・会長。  魔導具師。  魔物討伐部隊相談役。

・物語内での具体的な行動や成果  ポップアップトースターを試作したが、バネの調整不足でパンを飛ばしてしまった。  オズヴァルドの指導を受け、大海蛇の肺を使った手鏡の製作や、魔力の安全な増やし方を学んだ。  ガンドルフィ工房を訪れ、泡ポンプボトルの量産確認やクラーケンテープの技術指導を行った。  スライム養殖場を見学し、イデアリーナと飼育環境について意見交換を行った。  グイードからの質問に対し、金銭よりもヴォルフとの友情を優先する意志を示し、信頼を得た。  大豚牧場での昼食会に参加した際、大猪の襲来に遭遇した。  ヨナスから譲り受けた魔付きのウロコに興味を示し、恐怖を感じることなく受け入れた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  商会会長としてだけでなく、魔導具師としての技術向上に努め、貴族社会との関わりも深めている。  父カルロから受け継いだ魔力制御の技術が、現在の魔導具制作の基礎となっている。

ヴォルフレード・スカルファロット

魔物討伐部隊に所属する騎士であり、伯爵家の四男。ダリヤの良き理解者であり、魔導具開発の協力者でもある。

・所属組織、地位や役職  王城騎士団・魔物討伐部隊員(赤鎧)。

・物語内での具体的な行動や成果  夏祭りでダリヤと花火を見上げ、来年の再会を願った。  ハーピー討伐の際、さらわれた子供を救うために空中で跳躍を行った。  兄グイードの紹介でヨナスから護衛技術と戦闘訓練を受け、自身の未熟さを痛感した。  大豚牧場にて、柵を破って侵入した大猪を討伐した。  ダリヤと共に「破壊の魔剣」の実験を行ったが、魔剣は自壊した。  隣国の魔物図鑑を購入し、ダリヤと共に読むために塔へ置いた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  兄グイードとの関係が良好になり、家からの支援を受けられるようになった。  戦闘スタイルにおいて、筋力だけでなく技術や工夫の必要性を学んでいる。

オズヴァルド・ゾーラ

貴族であり、ゾーラ商会の会長を務める熟練の魔導具師。ダリヤの才能を認め、例外的に弟子として技術指導を行う。

・所属組織、地位や役職  ゾーラ商会・会長。  魔導具師。

・物語内での具体的な行動や成果  ダリヤに対し、希少素材の扱いや魔力の増やし方、安全管理について教授した。  冒険者ギルドでダリヤと会い、彼女の昇進を祝福した。  元冒険者のジャンを屋敷に招き、蠍酒を振る舞いながら夫婦関係の修復について助言した。  妻たちとの時間を大切にし、家庭円満を心がけている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ダリヤの師匠としての立場を確立し、彼女の成長を見守っている。  過去の苦い恋愛経験や失敗を教訓に、他者への助言を行っている。

イヴァーノ・メルカダンテ

ロセッティ商会の商会員。ダリヤの右腕として商会の運営や交渉を担当する。

・所属組織、地位や役職  ロセッティ商会・商会員。

・物語内での具体的な行動や成果  ダリヤの安全を考慮し、オズヴァルドの屋敷やスライム養殖場への訪問に同行した。  オルランド商会を訪れ、人員整理に乗じて優秀な従業員の引き抜きと業務提携を成功させた。  グイードの茶会に招かれ、ダリヤを裏切らないことを誓い、支援の約束を取り付けた。  商業ギルド内に商会部屋を確保し、事務員の増員を計画した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  商人としての覚悟を固め、貴族や他商会との交渉において商会の利益を確保している。

グイード・スカルファロット

ヴォルフレードの兄であり、上級魔導師。スカルファロット家の本邸で執務を行っている。

・所属組織、地位や役職  スカルファロット家・長男。  王城魔導部隊・中隊長。

・物語内での具体的な行動や成果  ヴォルフレードの願いを聞き入れ、ヨナスを護衛の師として紹介した。  訓練にて「氷盾」を使用し、ヴォルフレードの攻撃を完封して格の違いを見せた。  ダリヤを別邸に招き、ヴォルフとの関係における金銭的条件を問い質して彼女の人柄を確認した。  イヴァーノを呼び出し、情報の提供と引き換えに商会への支援を約束した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  弟ヴォルフの安全と幸福を願い、陰ながら支援と保護を行っている。

ヨナス・グッドウィン

グイードの従者であり、護衛。魔付きであり、身体の一部にウロコを持つ。

・所属組織、地位や役職  グイードの従者。

・物語内での具体的な行動や成果  ヴォルフレードに対し、実戦的で厳しい戦闘訓練を施した。  自身のウロコをダリヤに見せた際、彼女が興味を示したことに驚きつつも好感を抱いた。  ダリヤに魔付きのウロコを提供し、素材として活用させた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ダリヤの偏見のない態度に触れ、彼女を信頼できる人物として認めた。

フェルモ・ガンドルフィ

ガンドルフィ工房の工房主。職人気質の持ち主である。

・所属組織、地位や役職  ガンドルフィ工房・工房主。

・物語内での具体的な行動や成果  泡ポンプボトルの量産試作を行い、ダリヤに提示した。  ダリヤからクラーケンテープの貼り方を教わり、技術の習得に励んだ。  妻バルバラの回復を喜び、共に仕事ができることに満足している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ロセッティ商会との連携を深め、魔導具制作の重要なパートナーとなっている。

ジャン・タッソ

冒険者ギルドの素材管理部長。元冒険者。

・所属組織、地位や役職  冒険者ギルド・素材管理部長。

・物語内での具体的な行動や成果  過去の非礼をダリヤに謝罪した。  オズヴァルドの屋敷で蠍酒を飲み交わし、妻が出て行った家庭の事情を相談した。  オズヴァルドの助言を受け、妻の実家へ行って話し合う決意を固めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  オズヴァルドと意気投合し、彼を「先生」と呼ぶ間柄になった。

イデアリーナ・ニコレッティ

スライム養殖場の研究主任。スライムの研究に情熱を注いでいる。

・所属組織、地位や役職  スライム養殖場・研究主任。

・物語内での具体的な行動や成果  ダリヤたちに養殖場を案内し、各種スライムの特性や交配研究について説明した。  ダリヤと飼育環境や光合成の可能性について意見を交換した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  スライムへの愛着が深く、新種の研究に没頭している。

グラート

魔物討伐部隊の隊長。

・所属組織、地位や役職  魔物討伐部隊・隊長。

・物語内での具体的な行動や成果  大豚牧場での昼食会に参加し、大猪が出現した際には新人隊員に訓練の機会を与えた。  牧場主と交渉し、倒した大猪の肉の購入と代替の猪の寄贈を取り決めた。  遠征中の野営にて、部下たちと森大蛇の肉や酒を分かち合った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  部下育成の機を逃さず、臨機応変な指揮能力を発揮している。

エルメリンダ

オズヴァルドの第三夫人。元上級冒険者であり、「みじん切りのエル」の異名を持つ。

・所属組織、地位や役職  ゾーラ商会・関係者。

・物語内での具体的な行動や成果  冒険者ギルドでダリヤと会い、挨拶を交わした。  かつての仲間であるジャンと再会し、オズヴァルドに引き合わせた。  オズヴァルドとの生活に満足しており、彼との時間を大切にしている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  過去の名声を捨て、現在の平穏な生活を享受している。

ラウル

オズヴァルドの息子。

・所属組織、地位や役職  ゾーラ商会・関係者(オズヴァルドの息子)。

・物語内での具体的な行動や成果  庭でダリヤと出会い、サルビアの蜜を吸う話題で打ち解けた。  父の授業に参加し、ダリヤと共に魔導具制作を学んだ。  専用の魔導書を与えられ、技術習得に励んでいる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ダリヤを姉弟弟子のように慕い、魔導具師としての将来を期待されている。

イレネオ

オルランド商会の商会長。トビアスの兄。

・所属組織、地位や役職  オルランド商会・商会長。

・物語内での具体的な行動や成果  イヴァーノの訪問を受け、人員削減計画があることを明かした。  イヴァーノからの従業員引き抜きと業務提携の提案を受け入れた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  商会の存続を図るため、ロセッティ商会との協力関係を選択した。

カルロ・ロセッティ

ダリヤの亡き父であり、魔導具師。

・所属組織、地位や役職  元魔導具師。

・物語内での具体的な行動や成果  過去の回想にて、ダリヤに魔力制御の重要性を教え、トビアスを弟子として紹介した。  自身の魔力を無理に上げていたことが、ダリヤへの教訓として語られた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  彼の技術と教育方針が、現在のダリヤの活動に大きな影響を与えている。

魔導具師ダリヤ 4巻レビュー
まとめ
魔導具師ダリヤ 6巻レビュー

戦闘 一覧

大豚牧場と大猪

大猪による柵破り
  • 戦闘者:大猪(ワイルドボア) vs 牧場の柵
  • 発生理由:大猪が牧場の雌の大豚を求めて柵に体当たりしたため。
  • 結果:柵が破壊され、大猪が侵入した。これに呼応して雌の大豚たちも走り出した。
大猪討伐戦
  • 戦闘者:魔物討伐部隊(ヴォルフ、ドリノ、ランドルフ、新人隊員ら) vs 大猪(ワイルドボア)
  • 発生理由:牧場に侵入した大猪を制圧し、被害拡大を防ぐための緊急訓練として行われた。
  • 結果:ドリノが魔法で動きを止め、ランドルフが盾で阻止し、最終的にヴォルフが討ち取った。大猪はその後、食肉として利用されることになった。

魔物図鑑と人工魔剣制作五回目 ~破壊の魔剣 ~

人工魔剣「破壊の魔剣」の自壊
  • 戦闘者:人工魔剣(破壊の魔剣) vs (なし・自壊)
  • 発生理由:魔剣の実験中、机に置いた際の微妙な振動により、魔封銀が剥がれてしまったため。
  • 結果:剣は完全に分解され、失敗作となった。

森大蛇の不運

棘草魔(ソーンイーター)討伐戦
  • 戦闘者:魔物討伐部隊(ヴォルフ含む) vs 棘草魔(ソーンイーター)
  • 発生理由:人を襲うことはないが、旅人が巻き込まれる危険があるため、定期的な討伐作戦として行われた。
  • 結果:風魔法による加速を利用した効率的な作戦により、ヴォルフらが迅速に討伐した。薬の原料や防壁としての役割を残すため、完全な絶滅はさせなかった。

展開まとめ

夏祭りとクラーケンテープ

緑の塔の夏祭り

オルディネ王国の夏祭りの日、ダリヤはヴォルフ、イルマ、マルチェラと緑の塔の屋上で王城の花火を眺めた。魔導師達が火魔法で色鮮やかな光や炎龍を描き、最後には国王が小さな太陽のような純白の炎を夜空に放った。

四人は花火の後、小型魔導コンロで焼き鳥を焼き、屋台料理とエールを楽しんだ。ヴォルフとマルチェラが下町の酒場を巡った話や、魔力量について語る中、ダリヤは国王ほどの魔力ではクラーケンテープを扱えないのではないかと考え、周囲を困惑させた。

宴の後、イルマとマルチェラを見送ったダリヤとヴォルフは二人で片付けをした。ダリヤは父カルロを亡くした前年の夏祭りをほとんど覚えていないことに気づいた。ヴォルフが来年も一緒に飲めたらいいと話したため、二人は翌年の夏祭りも緑の塔で過ごす約束を交わした。ダリヤは今年の夏祭りだけは忘れないだろうと思った。

魔導具師の先生

オズヴァルドの授業

ダリヤはイヴァーノを伴い、オズヴァルドの屋敷で魔導具師としての授業を受け始めた。オズヴァルドは専用の魔導書をダリヤへ渡し、他人が無理に開けば燃える紅血設定を施させた。さらに、商会が大きくなれば設計書や開発情報を狙われる危険が増すとして、これまで無防備だったダリヤに情報管理と安全対策の必要性を教えた。

また、ヴォルフから贈られた毒消しの指輪だけでは不十分だとして、一角獣、二角獣、炎龍、森大蛇などの素材を使った状態異常防止の腕輪を貸した。ダリヤが同じものを作れるようになったら返却することになり、それも授業の目標となった。

希少素材と魔力増強

オズヴァルドは天狼の牙について、風魔法や音攻撃防止の効果を持つ一方、付与には大きな魔力を必要とし、途中で付与を止められない危険な素材だと説明した。変異種や特殊個体では必要魔力がさらに増えるため、扱う際には高位魔導師による鑑定や分割も必要だった。

さらに、魔力を使い切った状態で魔力ポーションを飲み、再び魔法を使うことで魔力量を増やす方法を教えた。ただし、安全に増やせる量には限界があった。ダリヤは父カルロが元々七程度だった魔力を十二まで上げていたと知り、父が危険を冒してまで魔導具制作へ挑んでいたことに衝撃を受けた。

一方、オズヴァルド自身の魔力は十一にも届いていなかった。それでも高度な技術と知識によって一流の魔導具師となっていたため、ダリヤは魔力量だけが魔導具師の価値を決めるものではないと理解した。

妖精結晶の危険性

妖精結晶は軍事や諜報にも利用される素材であり、複数を購入すれば王城や軍事関係へ進出すると思われる可能性があった。すでにオルランド商会へ四個発注していたダリヤに対し、オズヴァルドは自分の商会向けの品ということにして対応すると約束した。

妖精結晶の付与では、大切な者を失う幻覚を見ることが多かった。ダリヤが以前見た妖精の死は、妖精結晶に残された記憶だった可能性が高かった。オズヴァルド自身も妻達が去っていく幻覚を見ると話し、付与した夜は一人で過ごさない方がいいと忠告した。

ラウルとの出会い

大海蛇の肺を使った手鏡の制作中、ダリヤは庭でサルビアの蜜を吸っていたオズヴァルドの長男ラウルエーレと出会った。互いに子供時代と同じように蜜を吸ったことを秘密にすると約束し、距離を縮めた。

魔導具科に通うラウルはダリヤの仕事に強い興味を示した。ダリヤがオズヴァルドの技術を高く評価すると、ラウルは父を見る目を改めた。オズヴァルドも以前から息子用の魔導書を準備しており、ラウルをダリヤの授業へ参加させた。

大海蛇の付与では、ダリヤもラウルも初回としては高い技量を示した。授業をきっかけに距離のあった父子の関係も少し改善し、ラウルは今後も父から魔導具を学ぶことになった。

大恩と護衛の先生

グイードへの相談

ヴォルフは対人戦と護衛術を学ぶため、兄グイードへ相談した。グイードとの食事の中で、ヴォルフは西の森で傷だらけになった自分をダリヤが助けてくれた経緯を詳しく語った。

家名も素性も確認できない血まみれの男を一人旅の女性が助けたことを聞き、グイードは驚いた。さらに妖精結晶の眼鏡、天狼の腕輪、魔物討伐部隊への魔導具など、ダリヤから受けた恩をヴォルフが説明すると、グイードはダリヤをスカルファロット家にとっても恩人だと認めた。

ヴォルフは自分に何かあった場合、ロセッティ商会の保証人を代わってほしいとグイードに頼み、兄は承諾した。

ヨナスとの手合わせ

グイードは護衛術の教師として、自分の従者ヨナス・グッドウィンを紹介した。ヨナスは魔物の魔核を砕いたことで「魔付き」となっており、右腕に赤い鱗を持っていた。

ヨナスの戦い方は騎士道から外れ、剣だけでなく拳、蹴り、砂、周囲の物まで利用する実戦的なものだった。ヴォルフは天狼の腕輪を使っても翻弄され、自分が人間相手の戦いに慣れていないことを痛感した。

敗北したヴォルフはヨナスを先生と呼び、正式に指導を願った。さらにグイードとも手合わせしたが、兄が一瞬で作った巨大な氷盾を前に勝負にすらならなかった。自分の未熟さを理解したヴォルフは、隣にいる守りたい者を守れるほど強くなることを決意した。

冒険者ギルド
アウグストへの礼

ダリヤとイヴァーノは、魔物討伐部隊が倒した変異種の二角獣の素材を受け取るため、冒険者ギルドを訪れた。そこでオズヴァルド夫妻と偶然会い、ダリヤは魔物討伐部隊御用達商会の会長、相談役となったことを祝われた。

ダリヤは財務部への推薦状を書いてくれた副ギルド長アウグストに礼を述べ、小型魔導コンロと微風布を贈った。微風布はすでに貴族社会で流行し始めており、持っていること自体が一種の地位の象徴となっていた。

ジャンとの和解

素材管理部長ジャンは、以前ダリヤに強い口調で素材予定を聞き出したことを謝罪した。ダリヤも父カルロの開発によってジャンへ多大な負担をかけていたことを知っていたため、ロセッティ家として謝罪し、小型魔導コンロなどを贈った。

その際、ダリヤは火の魔石を別添えしたことで、知らずに告白と受け取られかねない贈り方をしてしまい、ジャンから注意された。

ジャンは激務で顔色を悪くし、家族も家を出ていた。亡き父と同じように、自分は丈夫だから大丈夫だと言うジャンを見て、ダリヤは無理をしないでほしいと訴えた。

ジャンが蠍酒を好むと知ったダリヤは、同じ酒を好むオズヴァルドを紹介した。オズヴァルドはすぐにジャンとの飲み会を取り決め、ダリヤは一人で悩まず誰かに相談してほしいと願った。

スライム養殖場と蜜の酒

イデアとスライム研究

ダリヤはヴォルフ、イヴァーノと王都東側のスライム養殖場を訪れた。案内役のイデアはスライム研究に情熱を注ぐ女性であり、ブルースライムやグリーンスライムだけでなく、異なる種類を同じ槽で育てる研究も行っていた。

ダリヤ達は養殖場で生まれた可能性がある灰色の変異種「グレースライム」を見た。イデアは研究費の多くを自費で負担し、スライムの溶解液による傷まで負いながら研究を続けていたため、ダリヤは支援を考えた。イヴァーノは個人の財布ではなく商会として支援し、冒険者ギルドや服飾ギルドも巻き込むことを提案した。

ダリヤとイデアは、スライムの特性をさらに研究すれば魔導具素材として利用できる範囲が広がると意気投合した。

命を素材にする仕事

帰宅後、ダリヤとヴォルフは魔物を倒すことや素材として利用することについて語った。ダリヤは父から、魔導具師は命を素材としてもらっていることを忘れてはならないと教えられていた。

ヴォルフも子供のゴブリンを討伐することをためらった経験を打ち明けた。二人は魔物を倒す側と利用する側という違いはあっても、命を奪って生きている点では変わらないと考えた。

蜜の酒の乾杯

ヴォルフはスカルファロット家で育てられている珍しい花から作られた蜜酒を持ってきた。花と黒ラットが互いに利用し合って生きることから、その花には共存共栄という意味があった。

甘い蜜酒を飲み、酔いが回ったダリヤは、末永く二人共に栄えることを願ってヴォルフと乾杯した。ヴォルフもまた、ダリヤと二人、末永く共に在れるよう小さく願った。

既婚男子の酒

ジャンとエルメリンダの再会

オズヴァルドに招かれたジャンは、迎えに来た第三夫人エルメリンダが冒険者時代の教え子だったことに気づいた。上級冒険者だった彼女は、かつてジャンから指導を受けていた。

その後、ジャンはオズヴァルドと蠍酒を飲みながら互いの過去を語った。オズヴァルドもかつて妻に弟子と駆け落ちされ、店を閉じることまで考えた経験を持っていた。そのため、家族との関係に悩むジャンの気持ちを理解できた。

オズヴァルドは夫婦関係では自分がしてやったことではなく、相手が何を望んでいたかを考える必要があると助言した。ジャンは妻の実家へ行き、自分が今後できることを具体的に示して話し合うことを決めた。

手紙の山と商会員

急成長するロセッティ商会

魔物討伐部隊の相談役となり、男爵叙爵が現実味を帯びたことで、ダリヤのもとには挨拶、取引希望、見合いなど大量の手紙が届いた。

さらに泡ポンプボトル、靴乾燥機、微風布などの売上が急速に伸び、倉庫や人員の不足が問題になった。ダリヤは商会が自分の想像以上の規模へ成長していることを知った。

防水布の生産不足に対し、イヴァーノはオルランド商会へ下請けを依頼する案を出した。トビアスとの過去を気遣い、ダリヤが望むならオルランド商会を潰すことすらすると告げたが、ダリヤはすでに終わったことだと答えた。

ダリヤは商会を支えているイヴァーノの働きを改めて評価し、給与を大幅に上げることを決めた。イヴァーノはその言葉に強く照れながらも、ロセッティ商会員として働き続けた。

森大蛇の不運

魔物討伐部隊の遠征

魔物討伐部隊は街道付近に増えた棘草魔を討伐した。ヴォルフは大鎌を自在に振るい、黒の死神と呼ばれる姿を見せた。

その後、隊は森大蛇とも遭遇した。討伐後の素材や肉は無駄なく利用され、遠征用コンロによって野営の食事も以前より大きく改善していた。

隊長グラートは、これまで遠征で失った仲間達のことを思いながら、今生きている者が食事や酒を楽しみ、前へ進むことを受け入れていった。ヴォルフから料理を勧められ、グラートも素直に宴へ加わった。

友の兄とお茶会

グイードの問い

ダリヤはヴォルフの兄グイードからスカルファロット家の別邸へ招かれた。グイードは西の森でヴォルフを救ったことや、その後の支援への礼を述べた。

しかし続いて、今後ダリヤがヴォルフの弱点となる可能性があるとして、もし別れてほしいと頼んだ場合、いくら必要かと尋ねた。ダリヤは金銭でヴォルフとの関係を決めるつもりはなく、友人として本人と話し合うと答えた。

グイードはその回答を受け、ダリヤという人物を確かめようとしていたことを明かした。ヴォルフも兄のやり方に不満を示したが、ダリヤは兄が弟を心配した結果だと受け止めた。

ヨナスとの交流

茶会にはヨナスも加わった。ダリヤは彼が魔付きであることを知り、その鱗を魔導具素材として興味深く見た。

ヨナスは自分の鱗を数枚ダリヤへ渡した。グイードはヨナスがダリヤへ興味を持ったのではないかと警戒したが、ヨナス自身はそのつもりを否定した。ダリヤを、ヴォルフが大切に守る花として遠くから見守ると考えていた。

幕間 商会員と次期侯爵による茶会の二次会

イヴァーノとグイード

ダリヤとの茶会後、グイードはイヴァーノも別室へ招いた。イヴァーノはグイードがロセッティ商会やダリヤについて詳しく把握しようとしていることを警戒した。

二人はダリヤに必要となる貴族社会での後ろ盾や護衛、商会の今後について話した。グイードは商会の機密を求めず、弟ヴォルフを支えるためにダリヤの好みなどを知りたいと語った。

グイードから強い圧力を向けられても、イヴァーノは屈しなかった。最後には、自分は死ぬまでロセッティ商会のイヴァーノ・メルカダンテであると宣言し、次期侯爵を相手に一歩も引かなかった。

魔物図鑑と人工魔剣制作五回目~破壊の魔剣~

ヨナスの鱗と魔物図鑑

ダリヤはヨナスからもらった赤い鱗について調べるため、ヴォルフと魔物図鑑を探した。魔付きという存在や魔物素材への興味はさらに広がり、人工魔剣研究にも利用できないかと考えた。

二人は武器屋で新たな長剣を選んだ。短剣より大型の剣へ付与することで、新しい技術を試すことにした。

破壊の魔剣

緑の塔で二人は長剣への複合付与に挑戦した。これまでの失敗やオズヴァルドから学んだ知識を活用しながら制作を進めた結果、強力な魔剣が完成した。

しかし、ヴォルフは完成した魔剣の名称に浪漫を求め、ダリヤへ延々と命名の魅力を語ろうとした。ダリヤはその感覚だけは理解できないとして拒否し、二人は魔剣作りでは気が合っても、名付けの趣味だけは相容れないことを再確認した。

幕間 商会員による下請け依頼

オルランド商会との力関係

イヴァーノは防水布の下請けを依頼するため、オルランド商会を訪れた。以前より人や荷物の動きが減り、商会の勢いが落ちていることがうかがえた。

イレネオはロセッティ商会からの仕事を受ける立場となり、かつてとは力関係が逆転していた。それでもイレネオは従業員や商会を守るため、仕事を受けることを選んだ。

イヴァーノは相手を必要以上に追い詰めず、下請けとして関係を結び直した。しかし、互いを名前で呼ぶようになった時、イヴァーノはかつて好敵手と思っていたイレネオが、すでに対等な位置にはいないことを実感した。

届け物と大先生の教え

増え続ける仕事

ロセッティ商会の部屋は書類で埋まり始め、商業ギルド内の部屋だけでは仕事を処理できなくなりつつあった。ダリヤは商会の成長に伴い、より広い場所や人員が必要になったことを実感した。

また、オズヴァルドの助言を受けたジャンは仕事量を減らしながら以前と変わらぬ成果を出せるようになり、体調も改善していた。

周囲では貴族の結婚や複数の夫人についての話題も増えた。ダリヤはヴォルフほどの人物なら望めば十人でも二十人でも妻を迎えられるだろうと真顔で語り、ヴォルフとイヴァーノを複雑な気分にさせた。

大豚牧場と大猪

牧場への小遠征

魔物討伐部隊の新人達の乗馬訓練を兼ね、ダリヤは東街道沿いの養豚牧場へ同行した。訓練というより燻しベーコンを受け取るための小旅行に近く、ダリヤは部隊の賓客用馬車に乗せられた。

しかし牧場付近では大猪が現れ、隊員達は対応することになった。ダリヤも魔物討伐部隊が日常的に危険と隣り合わせで仕事をしていることを改めて実感した。

大猪の宴

討伐された大猪はその場で食材となり、遠征用コンロで焼かれた。ダリヤは魔物の命を無駄にせず食べる隊員達と共に料理を楽しんだ。

ヴォルフが危険な場面で当然のようにダリヤを守ろうとする理由を説明した際、ダリヤはそれを騎士道精神なのだと理解した。周囲の者達は別の意味を察していたが、当人達には伝わらなかった。

ダリヤとヴォルフはむせた者へ水を取りに席を立ち、宴はにぎやかなまま続いた。

番外編 父と娘の魔導具開発記録 ~魔導ランタンの飾り部分~

ダリヤの魔力制御

高等学院卒業を控えたダリヤは、カルロから赤鬼葉を使った魔導ランタンの装飾部品の作り方を教わっていた。しかし魔力を均等に流すことが難しく、何度も失敗した。

カルロは娘の魔力制御を高い水準まで鍛えようとしており、一般的な魔導具師の基準では満足していなかった。

トビアスの弟子入り

その頃、カルロは仕事を通してトビアスと知り合った。真面目に魔導具へ取り組む青年を見込み、自分の弟子として迎えた。

ダリヤは突然できた兄弟子に一瞬だけ対抗心を見せた。その姿を見たカルロは、温和すぎる娘にも魔導具師としての意地があることを喜んだ。

カルロはダリヤとトビアスが兄弟子と妹弟子として支え合い、暮らしに役立つ魔導具を作り続けてほしいと願った。そして二人には、自分が求める水準を最低限超えてもらおうと考えた。

しかし、その基準自体が普通の魔導具師から見れば非常に高いことをカルロ自身は理解していなかった。その厳しい基準はダリヤへ受け継がれ、やがて彼女が一人前の魔導具師として成長するための土台となっていった。

魔導具師ダリヤ 4巻レビュー
まとめ
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