スポンサーリンク
魔導具師ダリヤはうつむかない

小説「魔導具師ダリヤはうつむかない 7巻」感想・ネタバレ

スポンサーリンク
魔導具師ダリヤはうつむかない

魔導具師ダリヤ 6巻レビュー
まとめ
魔導具師ダリヤ 8巻レビュー

スポンサーリンク
  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
        1. ダリヤ・ロセッティ
        2. ヴォルフレード・スカルファロット(ヴォルフ)
        3. イヴァーノ・メルカダンテ
        4. ランドルフ・グッドウィン
        5. ジルドファン・ディールス(ジルド)
        6. ルチア・ファーノ
        7. フォルトゥナート(フォルト)
        8. フェルモ
        9. オズヴァルド・ゾーラ
        10. マルチェラ・ヌヴォラーリ
        11. メーナ(メッツァナ)
        12. グラート・バルトローネ
  2. 読んだ本のタイトル
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
          1. 恐るべし、堕落座卓
          2. カルロも昔、亀になっていたのが笑う
          3. そして商人イヴァーノが見逃すはずがない
          4. そして魔剣作りも、とんでもないことになった
          5. 今まで苦労していた首長大鳥が、一撃でクビチョンパ
          6. そしてカークが魔剣を気に入ってしまった
          7. 「同じ物をもう一本作ればいいですよね?」じゃないんだよ、ダリヤ
          8. ついにスカルファロット家に武具開発部門まで
          9. ダリヤが作ると周囲の仕事まで増える
          10. グイード兄様の苦労が増えていく
          11. 7巻は「便利な物を作ったら社会が動き始めた」巻だった
  5. 考察・解説
      1. ストーリー・プロット
        1. 第1幕:魔導具師としての積み重ねと「疾風の魔剣」の制作
        2. 第2幕:身の回りの整理、過去の解消、そして甘味喫茶店での交流
        3. 第3幕:組織間の交錯(イヴァーノとジルドの会談、ギルド内の出来事)
        4. 第4幕:魔物討伐部隊の遠征と「疾風の魔剣」の実戦評価
        5. 第5幕:温熱座卓(堕落座卓)の開発と両ギルドを巻き込んだ商品化展開
      2. 主要な転換点
        1. 転換点1:人工魔剣「疾風の魔剣」の完成と実戦評価
        2. 転換点2:ダリヤおよびルチアとランドルフとの甘味喫茶会
        3. 転換点3:イヴァーノとジルドファン・ディールス侯爵の会談
        4. 転換点4:「温熱座卓(堕落座卓)」の開発とお試し会の実施
      3. ダリヤを中心とした人物関係の変化
        1. ヴォルフレード・スカルファロット(ヴォルフ)
        2. ランドルフ・グッドウィン
        3. 洋服店の副店長(初等学院の元同級生)
      4. 主人公の認識と周囲の評価
        1. 主人公自身の認識
        2. 周囲からの評価
        3. 認識の差が現れた場面
  6. キャラクター紹介
      1. ダリヤ・ロセッティ
      2. ヴォルフレード・スカルファロット(ヴォルフ)
      3. イヴァーノ・メルカダンテ
      4. オズヴァルド・ゾーラ
      5. ラウル
      6. グイード・スカルファロット
      7. ヨナス
      8. マルチェラ
      9. ルチア
      10. フォルトゥナート・ルイーニ(フォルト)
      11. ジルドファン・ディールス(ジルド)
      12. メッツェナ・グリーヴ(メーナ)
      13. ランドルフ
      14. カーク
      15. フェルモ
      16. レオーネ・ジェッダ
      17. ジャン・タッソ
      18. サミュエル
      19. カルロ・ロセッティ
      20. テリーザ・ランベルティ
  7. 戦闘 一覧
    1. 修羅場と名付け
        1. 公共の場での男女の衝突
    2. 疾風の魔剣と首長大鳥
        1. 首長大鳥の討伐
    3. 兄からのお叱りと疾風の魔弓
        1. 疾風の魔弓の性能テスト
        2. グレカーレの威嚇(未遂・威嚇)
  8. 展開まとめ
    1. 騎士と魔導具師の積み重ね
        1. 武器屋での積み重ね
        2. 魔力制御の修業
    2. 人工魔剣制作六回目~疾風の魔剣〜
        1. 疾風の魔剣
        2. ジャンの依頼
        3. グイードとヨナス
    3. 冬のコートと甘い菓子
        1. カルロの部屋の模様替え
        2. 冬のコート
        3. ランドルフの甘味
    4. 幕間 金の梟と紺の烏
        1. ジルドとのつながり
    5. 修羅場と名付け
        1. メーナの仲裁
        2. 温熱座卓の命名
    6. 疾風の魔剣と首長大鳥
        1. 遠征での実戦
        2. 甘味好きの隊員達
    7. 温熱座卓と鮭鍋
        1. ジャンのペンダント
        2. 温熱座卓と鮭鍋
        3. 服飾ギルドとの協力
        4. ジャンとオズヴァルド
    8. 温熱座卓見学
        1. 家具職人への依頼
        2. 各ギルドの高級温熱座卓
        3. ミネルヴァの提案
    9. 貴族の流儀と庶民の流儀
        1. フォルトとルチア
        2. イヴァーノとフォルト
    10. 白馬と黒馬
        1. 初めての乗馬
        2. 黒馬セネレ
    11. 兄からのお叱りと疾風の魔弓
        1. グイードの叱責
        2. 温熱座卓と携帯温風器
        3. 疾風の魔弓
    12. 幕間 それぞれの温熱座卓
        1. 広がる温熱座卓
    13. 番外編 父と娘の魔導具開発記録 ~温熱座卓初号機~
        1. 温熱座卓初号機
        2. カルロとテリーザ
        3. ダリヤの未来
  9. 魔導具師ダリヤはうつむかない 一覧
  10. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

ロセッティ商会会長であり魔導具師のダリヤ・ロセッティは、師であるオズヴァルド・ゾーラの下で魔力付与技術の鍛錬や商会運営を行いつつ、友人でありビジネスパートナーのヴォルフレード・スカルファロット(ヴォルフ)と共に人工魔剣制作の試行錯誤を継続していた。
状況の変化は、6回目となる人工魔剣制作での「疾風の魔剣」の完成と、亡父カルロの部屋の整理をきっかけとした暖房器具「温熱座卓(通称:堕落座卓)」の開発によってもたらされる。
「疾風の魔剣」は魔物討伐部隊の「首長大鳥」討伐遠征において一撃で標的を倒す実戦的な威力を証明し、部隊内における遠距離攻撃装備(大剛弓やミスリル線との複合運用)の構想へと展開する。
一方、「温熱座卓」は試作品の検証を行ったヴォルフや商会員、職人らをその圧倒的な快適性で魅了し、副会長イヴァーノ・メルカダンテの指揮のもと、商業ギルド、服飾ギルド、ガンドルフィ商会を巻き込む大型商材へと発展する。
さらに可変脚や吹き上げ機構を備えた「温熱卓」、背負い式の「携帯温風器」などの派生商品の構造改善が進められ、貴族層向け高級仕様から一般市場向け量産品に至る多角的な製造・販売体制が確立される段階に到達する。

■ 主要キャラクター

ダリヤ・ロセッティ
  • 立場・所属 : ロセッティ商会会長、二級魔導具師(前世の記憶を持つ転生者)。
  • 主人公との関係 : 主人公本人。
  • この巻での主な役割 : 「疾風の魔剣」の試作、亡父の部屋の改修、護身用および依頼品(一角獣)のペンダント制作、冬服・ハイヒールの購入、温熱座卓(および温熱卓・携帯温風器)の発案と機構設計。
  • この巻で起きた重要な変化や行動 : 魔力が「10」に上昇したことに伴う制御技術の調整と試行錯誤、初等学院卒業式時の元同級生(洋服店副店長)との因縁解消、温熱座卓および派生展開による商会事業の大幅な拡張指揮。
ヴォルフレード・スカルファロット(ヴォルフ)
  • 立場・所属 : オルディネ王国王城騎士団魔物討伐部隊員(赤)、伯爵家出身(外部魔法なし、身体強化魔法のみ)。
  • 主人公との関係 : ダリヤの友人・ビジネスパートナー。
  • この巻での主な役割 : 人工魔剣制作の実験協力、乗馬・護衛体制(八本脚馬での相乗りや夜犬の配置)に関する協議、遠征先での「疾風の魔剣」の検証、温熱座卓の体験と「堕落座卓」命名、背負い式「携帯温風器」の発案。
  • この巻で起きた重要な変化や行動 : 試作短剣(疾風の魔剣)を部隊遠征に持ち込んで後輩カークに託し実戦での実効性を実証。ランドルフらと共に部隊内での甘物嗜好(疲れとり)の定着や装備改善の足がかりを作る。
イヴァーノ・メルカダンテ
  • 立場・所属 : ロセッティ商会副会長(商業ギルド出身)。
  • 主人公との関係 : ダリヤの部下・ビジネスの右腕。
  • この巻での主な役割 : 王城財務部長ジルドファン・ディールス侯爵との交渉、両ギルド(商業・服飾)およびガンドルフィ商会との温熱座卓・温熱卓の商業的展開の統括。
  • この巻で起きた重要な変化や行動 : ジルドから自身の二つ名「紺の烏」や貴族社会の裏情報を知らされ、25年間の利子付き支援を取り付ける。温熱座卓の多角的商業戦略(一般向け・店舗向け・貴族層向け最高級仕様・来年型改良展開)を立案・指揮。
ランドルフ・グッドウィン
  • 立場・所属 : 王城騎士団魔物討伐部隊員、伯爵家出身。
  • 主人公との関係 : ヴォルフの同僚、ダリヤの知人。
  • この巻での主な役割 : 中央区でのダリヤおよびルチアとの遭遇、喫茶店での甘味同席、遠征先での実戦参加、部隊内における甘物嗜好の公言と普及。
  • この巻で起きた重要な変化や行動 : 他国留学時の経験から「武人・男性が甘いものを食べるのは恥ずかしい」という呪縛にとらわれていたが、ダリヤの肯定的な対話により解放され、堂々と甘物を楽しむ姿勢へと変化。
ジルドファン・ディールス(ジルド)
  • 立場・所属 : 王城財務部長、侯爵(騎士家系出身)。
  • 主人公との関係 : ロセッティ商会を裏で支援・監視する高位貴族。
  • この巻での主な役割 : イヴァーノとの対談、スカルファロット家や貴族・商会員(マルチェラ、メーナ等)の情報提供、グラートとの学生時代の思い出や過去の貸し(遠征用コンロによる20年越しの確執解消)の共有。
  • この巻で起きた重要な変化や行動 : ダリヤがグラートとの不和を解いた借りに対し、「25年間の利子付きの借り」としてロセッティ商会を長期的かつ全面に全面支援することを表明。
ルチア・ファーノ
  • 立場・所属 : 服飾師、ファーノ工房長、服飾ギルド服飾魔導工房長。
  • 主人公との関係 : ダリヤの友人。
  • この巻での主な役割 : 緑の塔の部屋の模様替え・インテリア提案、ダリヤの冬服およびハイヒール選びの同行、ランドルフへの服装指導、温熱座卓の布製品(上掛け・カバー・クッション)の開発。
  • この巻で起きた重要な変化や行動 : 服飾ギルド側の責任者として、商業ギルドに対抗した最高級仕様の温熱座卓カバー(魔蚕二重織・総刺繍・水晶天板等)の構想を立案。
フォルトゥナート(フォルト)
  • 立場・所属 : 服飾ギルド長、子爵。
  • 主人公との関係 : ビジネス提携先(微風布・靴の中敷き等)。
  • この巻での主な役割 : ルチアの引き抜き疑惑の確認、温熱座卓の機能検証・体験、服飾ギルドにおける量産および高級化路線の指揮。
  • この巻で起きた重要な変化や行動 : ルチアへの強い保護姿勢を露出。温熱座卓の誘惑(堕落力)に直面してその商品価値を認め、服飾ギルド内の職人・工房を総動員した大規模生産体制を構築。
フェルモ
  • 立場・所属 : ガンドルフィ工房長(後にガンドルフィ商会を立ち上げ)。
  • 主人公との関係 : 魔導具師・職人仲間。
  • この巻での主な役割 : 温熱座卓の構造改善(三段階可変脚・外部有線リモコン・吹き上げ式温熱卓)、小型温熱ユニット(携帯温風器)の筐体加工と軽量化。
  • この巻で起きた重要な変化や行動 : ダリヤの着想を職人技術で迅速に具現化し、妻の冷え性対策も兼ねてガンドルフィ商会としての出資・協調体制を確立。
オズヴァルド・ゾーラ
  • 立場・所属 : ゾーラ商会長、二級魔導具師。
  • 主人公との関係 : ダリヤの魔導具師としての師。
  • この巻での主な役割 : 海蟲の外皮を用いた魔力付与の実技指導、炎性定着の指輪(炎龍のウロコ)に関する情報共有、冒険者ギルドジャンへのダリヤの推薦。
  • この巻で起きた重要な変化や行動 : ダリヤの魔力が10へ上昇したことに伴う厳格な付与指導を行い、自身の学生時代の異名(「初恋のハンカチを収集する銀狐」)などの過去や広範な人脈を伝授。
マルチェラ・ヌヴォラーリ
  • 立場・所属 : ロセッティ商会保証人兼ダリヤの護衛騎士(元運送ギルド員)。
  • 主人公との関係 : ダリヤの友人・護衛。
  • この巻での主な役割 : カルロの部屋の不要品搬出・家具運搬、スカルファロット家でのマナー・騎士教育の履修、温熱座卓の資材買い出しとお試し会への参加。
  • この巻で起きた重要な変化や行動 : グイードおよびジルドの手により侯爵家の血筋に関する秘匿処理がなされ、ダリヤの正式な護衛騎士としての立場を強固にする。
メーナ(メッツァナ)
  • 立場・所属 : ロセッティ商会員(元商業ギルド職員、救護院出身)。
  • 主人公との関係 : ダリヤの部下・商会員。
  • この巻での主な役割 : 商業ギルド内における男女の二股騒動の仲裁、ダリヤとの名付けや身分差に関する対話、温熱座卓お試し会での飲食店・食料品店連携策の発案。
  • この巻で起きた重要な変化や行動 : 救護院時代に培った対人交渉術をいかんなく発揮し、温熱座卓とテイクアウト食・小型魔導コンロを組み合わせた多角的な販売施策を提示。
グラート・バルトローネ
  • 立場・所属 : 王城騎士団魔物討伐部隊長、侯爵。
  • 主人公との関係 : 商会の顧客・後援者。
  • この巻での主な役割 : 「首長大鳥」討伐遠征の指揮、ジルドとの長年の不和(20年越しの確執)の当事者。
  • この巻で起きた重要な変化や行動 : 遠征用コンロの導入を機にジルドとの関係が改善されたことを受け、遠征先での調理や甘物受容など、部隊内の労働環境改善や新装備の導入を後押しする。

読んだ本のタイトル

#魔導具師ダリヤはうつむかない  ~今日から自由な職人ライフ~ 7
(英語名:Dahlia in Bloom: Crafting a Fresh Start with Magical Tools)
著者:甘岸久弥  氏
イラスト:景 氏

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

オルディネの冬を暖める、ダリヤの開発した暖房器具とは――!?

新たな仲間を迎え、ロセッティ商会をさらに発展させていく女性魔導具師のダリヤ。
日々寒さを増していく晩秋の季節、彼女は開発途中だった『暖房器具』の制作を進めようと思い立つ。前世では馴染み深かったその暖房器具は、「手足が温まる」「酒が欲しくなる」「ずっと離れたくない」と、ヴォルフやロセッティ商会員たちをすぐさま虜にする。
「なんだこの、行動力も意志も奪う『堕落座卓』は……」
ダリヤが開発したその魔導具は、ギルドや商会の要人をも巻き込みながら、瞬く間にオルディネに広がっていき――!?
魔導具師ダリヤのものづくりストーリー、ぬくぬく冬支度の第七弾、開幕!

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 7

感想

恐るべし!

堕落座卓!

正式名称は「温熱座卓」なのだが、もう堕落座卓でいいと思う。

足元を暖める魔導具として作ったはずなのに、一度入ったら出られない。

ヴォルフだけではない。

イヴァーノ、フェルモ、メーナ、マルチェラまで次々と堕落していく。

冬の亀を増産している。

しかも恐ろしいのは、これが単なるギャグ魔導具で終わらないことだ。

イヴァーノが商機を見逃すはずもなく、商業ギルドや服飾ギルドまで巻き込み、一気に商品化へ。

ロセッティ商会はまたしても好景気のビッグウェーブに乗ってしまった。

さらにヴォルフと趣味半分で続けていた魔剣作りまで、とんでもない方向へ話が広がっていく。

ダリヤさん。

また仕事が増えていますよ。

恐るべし、堕落座卓

ダリヤが作った温熱座卓。

前世でいうところの、ほぼ「こたつ」である。

火と風の魔石を使って温風を送り、座卓に毛布を組み合わせる。

構造だけ聞けば、それほど大げさな魔導具には思えない。

しかし、その威力は絶大だった。

最初に餌食となったヴォルフが動けなくなる。

そして命名。

「堕落座卓」。

ひどい名前だが、的確すぎる。

さらに商会のみんなで鮭鍋を囲みながら試してみれば、見事に全員が堕落。

これは駄目だ。

冬の亀がどんどん増えていく。

カルロも昔、亀になっていたのが笑う

しかもダリヤが温熱座卓を考えたのは今回が初めてではない。

以前、小型の試作品を父カルロに使わせたところ、気に入りすぎて離さなくなってしまったらしい。

それどころか亀のように背負って移動しようとする。

それを見たダリヤは試作品を解体。

いや、なぜ解体した。

その時点で商品化していたら大ヒット商品になっていたのでは?

とはいえ、カルロとの思い出がある魔導具でもある。

父を亡くしてからは作る気になれなかったダリヤが、時間を経てもう一度形にできた。

笑える魔導具なのだが、そこに父親との思い出が入っているのが『ダリヤ』らしいところでもある。

そして商人イヴァーノが見逃すはずがない

ダリヤ本人は、

「冬に暖かく過ごせればいいな」

くらいの感覚で作っている。

しかしイヴァーノは違う。

これ、売れる。

即座に商業ギルド、服飾ギルド、ガンドルフィ商会まで巻き込み、量産へ向けて話が進んでいく。

しかも普通の温熱座卓だけでは終わらない。

脚の高さを変えられる仕様。

高級素材を使った貴族向け。

温風を吹き上げる温熱卓。

さらに携帯できる温風器。

一つの魔導具を作っただけなのに、そこから派生商品が次々と生まれていく。

ダリヤの工房、さらに好景気のビッグウェーブに乗っている。

本人は魔導具を作っているだけなのに、周囲の商人たちが勝手に市場を広げていくのが面白い。

そして魔剣作りも、とんでもないことになった

一方でヴォルフとの人工魔剣作りも続いている。

今回完成したのが「疾風の魔剣」。

これがかなり変わった武器だった。

二本の短剣をミスリル線でつなぎ、それを投げる。

短剣そのものに速度強化がかかっているうえ、二本の間に張られたミスリル線まで切断武器になる。

ヴォルフとダリヤとしては、

「今度の魔剣はうまくできた」

くらいの感覚だったのだろう。

ところが実戦で使ってみたら、とんでもない結果になった。

今まで苦労していた首長大鳥が、一撃でクビチョンパ

魔物討伐部隊が相手にしたのは「首長大鳥」。

体長約三メートル。

しかも空を飛ぶため、これまでは討伐するのも大変だった魔物である。

そこでヴォルフが疾風の魔剣を後輩のカークへ貸す。

カークは風魔法の使い手。

つまり、

疾風の魔剣+風魔法。

嫌な予感しかしない。

カークが短剣を投げる。

風魔法で推力と軌道を調整する。

二本の短剣の間にはミスリル線。

結果。

首長大鳥。

クビチョンパ。

……え?

終わり?

これまで空を飛んでいるせいで討伐に苦労していた魔物が、一撃で終わってしまった。

魔剣強すぎない?

そしてカークが魔剣を気に入ってしまった

当然、実際に使ったカークも疾風の魔剣を気に入る。

問題は彼が貴族だったこと。

しかも母方の祖父が前侯爵。

かわいい孫が、

「あの魔剣いいな」

となれば、お祖父ちゃんが動く。

前侯爵本人がスカルファロット家へやってきて、

「いくらかかっても構わないから譲ってほしい」

という話になってしまう。

いやいやいや。

ヴォルフとダリヤが趣味の延長みたいに作っていた魔剣ですよ?

それを前侯爵が買いに来た。

完全に話の規模がおかしくなっている。

「同じ物をもう一本作ればいいですよね?」じゃないんだよ、ダリヤ

ここでダリヤの感覚が相変わらずなのが面白い。

購入希望なら、

「同じものをもう一本作ればいい」

となる。

しかも急ぐなら翌日までに作れるという。

グイードからすれば、

「簡単に早く作れる、量産可能な魔剣という証明になるんだけど?」

という話である。

そりゃそうだ。

強力な飛行魔物を一撃で倒せる。

しかも比較的短期間で作れる。

当然、騎士団も食いつく。

風魔法の使い手や弓騎士たちも、

「これをもっと大型化したら?」

と考え始める。

ダリヤとヴォルフ。

完全に軍事技術を生み出してしまっている。

ついにスカルファロット家に武具開発部門まで

話が大きくなりすぎた結果、グイードが動く。

疾風の魔剣についてはスカルファロット家の武具開発部門の開発とし、ヨナス、ヴォルフの名前を前に出す。

ダリヤは制作協力者。

騎士団からの問い合わせもスカルファロット家が受ける。

こうすることで、ダリヤへ直接話が集中することを防ぐ。

そして魔剣の仕組みを応用した「疾風の魔弓」まで試作される。

二本の矢をミスリル線でつなぎ、遠距離から巨大な魔物を切断する。

……もう魔剣作りというより兵器開発になってきた。

最初はヴォルフのために、

「魔剣を作ってみよう」

というところから始まったはずなのに。

どうしてこうなった。

ダリヤが作ると周囲の仕事まで増える

7巻を読んでいて笑ってしまったのが、ダリヤが何かを作るたびに周囲の仕事まで増えていくところである。

堕落座卓を作る。

イヴァーノが商品化に走る。

フェルモが改良に巻き込まれる。

服飾ギルドが高級仕様を考える。

商業ギルドが販売へ動く。

ヴォルフと魔剣を作る。

魔物討伐部隊が盛り上がる。

カークが欲しがる。

前侯爵が買いに来る。

騎士団が注目する。

スカルファロット家が武具開発を担当する。

魔弓まで作られる。

本人はただ、

「これ便利そう」

「ヴォルフの役に立つ物を作りたい」

という感覚なのに、周囲ではどんどん巨大プロジェクトになっていく。

巻き込まれる人たちの嬉しい悲鳴が聞こえてくる。

グイード兄様の苦労が増えていく

そして一番大変なのはグイードではないだろうか。

弟とダリヤが魔剣を作っていた。

まあいい。

実戦で使った。

……報告してください。

一撃で大型魔物の首を落とした。

もっと詳しく報告してください。

前侯爵が買いに来た。

騎士団から開発者をスカウトしたいと言われた。

新兵器の開発話まで始まった。

だから早く報告してください!

という状態である。

ダリヤとヴォルフは悪気なく技術革新を起こす。

その後ろでグイードが政治的な問題を処理する。

最近、この構図が出来上がってきた気がする。

7巻は「便利な物を作ったら社会が動き始めた」巻だった

これまでのダリヤの魔導具は、身近な人を少し楽にするものという印象が強かった。

だが7巻では、その影響範囲がさらに広がっている。

温熱座卓は一人を暖める魔導具から、大規模な商品へ。

人工魔剣はヴォルフのための試作品から、魔物討伐部隊の装備開発へ。

ダリヤが作った物が、ダリヤの手を離れたところで発展し始めている。

そこが面白かった。

本人は相変わらず魔導具作りを楽しんでいるだけなのに、商売も技術も人脈も勝手に大きくなっていく。

そして周囲の人たちも、

「またダリヤが何か作ったぞ」

と巻き込まれていく。

でも、みんななんだかんだ楽しそうなのである。

特に今回の温熱座卓。

人を駄目にする魔導具を作っただけなのに、ロセッティ商会の新たな大型商材になってしまった。

恐るべし、堕落座卓。

今年の冬も、冬の亀が大量発生しそうである。

そしてダリヤの仕事も大量発生しそうである。

好景気なのはいい。

でも、そろそろ誰かダリヤと周囲の人たちに休みを与えてあげてほしい。

最後までお読み頂きありがとうございます。

魔導具師ダリヤ 6巻レビュー
まとめ
魔導具師ダリヤ 8巻レビュー

(PR)さらに詳しく知りたい方は、以下のリンクから書籍を購入できます。
ぜひご覧ください。

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

考察・解説

ストーリー・プロット

第1幕:魔導具師としての積み重ねと「疾風の魔剣」の制作

武器屋フロレスの店における長剣や身体強化魔法を巡る対話を通じ、ダリヤとヴォルフは武具制作の難しさと地道な鍛錬・勉学の積み重ねの重要性を再確認する。オズヴァルドの作業場では、海蟲の外皮粉末を用いた魔力付与の実技講義が行われ、ダリヤは自身の魔力が「10」に上昇したことによる制御の不安定さと技術の未熟さを痛感する。
緑の塔に戻ったダリヤは、6回目となる人工魔剣制作に着手。速度強化を持つ「緑冠の羽根」を刃に付与し、魔法同士の干渉を防ぐ「一角獣の角の粉」を組み込むことで、刀身が深い緑色に変わる短剣を完成させる。
さらに、魔力制御練習で作成した断面が平たいミスリル線と、ドアノック用の銀のリングを結合させた投擲・回収型の試作を実施。
庭での実験において、分厚い木板を一瞬で割り砕く凄まじい威力を確認する。
ヴォルフの要望を受け、2本の短剣をワイヤーで連結して同時に投擲・引き戻しができる仕様へと改修を施し、「疾風の魔剣」と命名。
この成功が後の魔物討伐部隊遠征における実戦投入へとつながっていく。

第2幕:身の回りの整理、過去の解消、そして甘味喫茶店での交流

亡き父カルロの四階の部屋を片付け、客間に改装したダリヤは、友人ルチアと共に中央区へ冬物の服や靴の買い物に出かける。
洋服店において、初等学院の卒業式時に「食事代を賭けていた」と暴言を吐いて去った元同級生(現・副店長)と再会。副店長は当時の己の非(断られた恥ずかしさによる虚勢)を認め深謝し、魔羊の革(軽量化付与)と魔蚕の裏地を用いた赤茶のコートを提案・販売する。
ダリヤが謝罪を受け入れたことで長年の胸の棘が解消される。その後、衝動買いした今世初の7cmハイヒールを試着して歩く中、大柄な武人であるランドルフ・グッドウィンと遭遇。
ルチアの服飾指導を経て3人で喫茶店に入り、焼きたてのアップルパイやタルト、スイートポテトなどを共にする。
他国での学生時代の経験から「武人・男性が甘いものを食べるのはおかしい」という呪縛にとらわれていたランドルフに対し、ダリヤは「男だから女だから関係なく、好きなものは好きでいい」と肯定。
ランドルフは素の笑顔を取り戻し、この価値観の解放が後の魔物討伐部隊内における「疲れとり」としての甘物文化定着の動機となる。

第3幕:組織間の交錯(イヴァーノとジルドの会談、ギルド内の出来事)

イヴァーノはロセッティ商会の立ち位置を確固たるものにするため、要塞のような構造を持つディールス侯爵邸を訪問し、王城財務部長であるジルドファン・ディールス侯爵と対談する。
ジルドは過去にダリヤが遠征用コンロを通じてグラートとの長年の不和(「20年越しの苦い酒」)を解消してくれた借りに対し、「25年間の利子付き」でロセッティ商会を長期的に全面支援することを表明。
マルチェラやメーナの経歴情報、貴族社会の裏事情、二つ名(イヴァーノは「紺の烏」、ダリヤは「水虫の女神」等)を教示する。
一方、商業ギルド内ではメーナが卓越した対人・交渉スキルを発揮して男女の二股騒動(修羅場)を鮮やかに収め、服飾ギルド長のフォルトはルチアがグッドウィン伯爵家に引き抜かれるのではないかと危惧してダリヤの元へ確認に訪れるなど、各組織の思惑と情報網が交錯していく。

第4幕:魔物討伐部隊の遠征と「疾風の魔剣」の実戦評価

魔物討伐部隊は、畑の土をがちがちに固め石礫の土魔法を放つ被害を及ぼす「首長大鳥」(体長約3メートル)の討伐遠征に向かう。
ヴォルフから「疾風の魔剣」を託された後輩のカーク(風魔法保持者)は、飛来した首長大鳥に対して風魔法で推力と軌道を補正しながら短剣を投擲。疾風の魔剣の速度強化と風魔法の相乗効果、さらにつなぎ合わせたミスリル線の切断力により、首長大鳥の首を一撃で切り落とすことに成功する。
隊員に怪我人を出すことなく討伐が完了し、遠征用コンロと直火を用いて肉を調理し祝杯をあげる。
この実績により、弓騎士のミロやカークから大剛弓や太いミスリル線を組み合わせた長距離攻撃装備の構想が出され、魔剣の有用性が実証されるとともに、ランドルフやカークの影響で部隊内に「疲れとり」としての甘物巡りブームが巻き起こる。

第5幕:温熱座卓(堕落座卓)の開発と両ギルドを巻き込んだ商品化展開

ダリヤはジャンの依頼による一角獣のペンダント(鈴蘭の彫刻、日長石、金の鎖)や自作の防犯ペンダント(岩山蛇の牙、夜犬の彫刻、一角獣の角)を仕舞った後、冷え込み対策および過去の失敗作の改良として、ローテーブル裏面に火と風の魔石による温風回路を取り付け、毛布と天板を重ねた「温熱座卓」を試作する。
訪れたヴォルフはその心地よさに体を丸めて「動けなくなる」と降伏し、「堕落座卓」と命名。
翌日、商会員らを交えた「お試し会」が開催され、鮭鍋を囲みながら試食・体験したイヴァーノ、フェルモ、メーナ、マルチェラ全員がその抗いがたい快適性(堕落力)の虜となる。
イヴァーノはこの暖房効果を巨大な商機と見抜き、商業ギルド(レオーネ、ガブリエラ)および服飾ギルド(フォルト、ルチア)へ即座に持ち込む。各ギルドは権利・量産体制の構築に動き、服飾ギルドは最高級仕様(魔蚕二重織・総刺繍・希少毛皮・水晶天板)を構想。
フェルモとの協力で三段階可変脚、有線リモコン、吹き上げ式「温熱卓」、さらには背負い式の「携帯温風器」(15cm角・厚さ2cm以下)へとバリエーションが急速に拡大し、大規模な量産化決定へと至る。

主要な転換点

転換点1:人工魔剣「疾風の魔剣」の完成と実戦評価
  • それ以前の状況 : 人工魔剣制作は過去5回とも失敗または不十分な出来にとどまっており、実戦での使用に耐えうる魔剣は完成していなかった。
  • 出来事 : 緑冠の羽根(風魔法・速度強化)、一角獣の角の粉(魔法干渉防止)、柄の風の魔石、鍔の水魔石、平たいミスリル線(ダリヤの魔力制御練習物)とワイヤーによる回収・切断機構を組み込んだ2本組みの短剣を制作した。
  • 変化 : 投擲することで凄まじい速度を発揮し、連結されたミスリル線が一刀両断の刃物効果をもたらす実戦的な遠距離武器が完成した。
  • 次への影響 : 魔物討伐部隊の遠征にて風魔法持ちのカークが使用し、危険な「首長大鳥」を一撃で討伐。部隊内における大剛弓やミスリル線を組み合わせた遠距離攻撃装備の構想へと発展した。
転換点2:ダリヤおよびルチアとランドルフとの甘味喫茶会
  • それ以前の状況 : ランドルフは他国留学時の経験から「武人・男性が甘いものを食べるのはおかしい」という思い込み(呪縛)にとらわれ、好物の甘物を公に口にできずにいた。
  • 出来事 : 中央区の喫茶店にてダリヤとルチアに誘われ同席し、焼きたてのアップルパイや各種タルト、スイートポテト等を味わった。ダリヤから「男だから女だから関係なく、好きなものは好きでいい」と肯定された。
  • 変化 : ランドルフは思い込みから解放され、堂々と甘いものを好きであると公言し摂取するようになった。
  • 次への影響 : 遠征先や帰還後の酒場でランドルフやカークが甘物を堂々と注文・宣伝し、魔物討伐部隊および王城全体に「疲れとり」としての甘物巡り習慣が急速に普及した。
転換点3:イヴァーノとジルドファン・ディールス侯爵の会談
  • それ以前の状況 : ディールス侯爵(財務部長)は遠征用コンロの件でダリヤに借りを感じていたが、直接的な協力関係の範囲や期間は不明確かであった。
  • 出来事 : イヴァーノがディールス邸を訪れ、ジルドと酒を酌み交わしながら過去のグラートとの因縁や貴族社会の情報について腹を割って話した。
  • 変化 : ジルドは「20年越しの苦い酒」を解決してくれたことに対する「25年間の利子付きの借り」として、ロセッティ商会を長期的に全面支援することを約束した。
  • 次への影響 : 高位貴族の圧力や情報戦に対する強力なバックボーンが確立され、商会運営および今後の事業展開の安全性が大きく高まった。
転換点4:「温熱座卓(堕落座卓)」の開発とお試し会の実施
  • それ以前の状況 : 冬の冷え込みが強まる中、室内の暖房は暖炉や強い火の魔石ストーブが主であり、足元を直接ピンポイントで温める安全な小型暖房器具は存在しなかった。
  • 出来事 : ダリヤがかつて挫折した試作品を改良し、座卓裏面に火と風の魔石による弱温風ユニットを取り付け、毛布と天板を被せた「温熱座卓」を作成。ヴォルフやイヴァーノ、フェルモらに鮭鍋と共に体験させた。
  • 変化 : 試した全員がその絶大な快適性(堕落力)により動けなくなり、一極集中型の安全な暖房機器としての圧倒的な商品価値が確認された。
  • 次への影響 : イヴァーノの手により商業ギルド・服飾ギルド・ガンドルフィ商会が一体となった大規模な生産・販売ラインが構築され、可変脚・有線リモコン付き温熱座卓、温熱卓、携帯温風器などの派生商品開発へと一気に波及した。

ダリヤを中心とした人物関係の変化

ヴォルフレード・スカルファロット(ヴォルフ)
  • 開始時 : 互いに気を遣い合いながら魔導具や魔剣の試作を楽しむ友人・ビジネスパートナー。
  • 主な出来事 : 「疾風の魔剣」の制作、スカルファロット家での乗馬・相乗り・護衛(八本脚馬や夜犬)についての検討、温熱座卓でのくつろぎと「携帯温風器」の共同開発。
  • 巻末時 : ヴォルフの兄グイードや従者ヨナスも交えた安全対策が肯定され、魔剣や暖房機器の開発を通じて公私ともに絶大な信頼と協力関係がより一層深化・定着した。
ランドルフ・グッドウィン
  • 開始時 : ヴォルフの同僚騎士であり、面識はあるものの個人的な交流は少ない状態。
  • 主な出来事 : 中央区の喫茶店でルチアと共に同席し、甘味を共に味わいながら「好きなものを肯定する」対話を行った。
  • 巻末時 : 互いに敬意を払い、個人的な嗜好を認め合う親しい知人・友人関係となった。
洋服店の副店長(初等学院の元同級生)
  • 開始時 : 初等学院の卒業式で「食事代を賭けていた」と暴言を吐いて去った因縁のある相手(疎遠)。
  • 主な出来事 : ルチアに連れられて訪れた洋服店で再会。副店長は当時の己の非(断られた恥ずかしさからの虚勢)を認め、深く謝罪して適正な赤茶のコート(魔羊革・魔蚕裏地)を提案・販売した。
  • 巻末時 : ダリヤが謝罪を受け入れたことで過去のわだかまり(胸の棘)が解消され、適度な距離感を持つ店員と客の関係へと正常化した。

主人公の認識と周囲の評価

主人公自身の認識
  • 自身を「赤髪に緑の目の地味な容姿」「運動神経やバランス感覚に乏しい」と捉えている。
  • 魔力が「10」に上がったものの、付与や制御の技術はオズヴァルド等の先達に比べてまだまだ未熟であり、知識と実技の積み重ねが必要不可欠であると考えている。
  • 試作した「温熱座卓」について、単に「ローテーブルに火と風の魔石をつけて足を温めるだけの簡単な暖房器具」であり、大げさなものではないと思っている。
周囲からの評価
  • ヴォルフ・仲間達 : 斬新で非常に役立つ魔導具(遠征用コンロ、靴乾燥機、疾風の魔剣、温熱座卓等)を次々と生み出す天才的かつ信頼できる魔導具師。
  • イヴァーノ・両ギルド長(レオーネ、ガブリエラ、フォルト) : 爆発的な需要と利益を生み出す「黄金の女神」。生活や市場の構造を一変させるアイデアの宝庫。
  • 市場・陰の噂 : 微風布や靴の中敷きなどの功績から「靴の番人」「食の改革者」「水虫からの救いの女神(水虫の女神)」などの異名・二つ名で噂されている。
認識の差が現れた場面
  • 「温熱座卓」のお試し会の場面 :
  • ダリヤの認識 : 自宅用の気軽な暖房機器として制作し、「足元がぬるいかもしれない」「構造が簡単だから大したことない」と考えていた。
  • 周囲の反応 : 試したヴォルフ、イヴァーノ、フェルモ、メーナ、マルチェラらは一様に「一度入ったら二度と出たくなくなる(堕落座卓)」とその抗いがたい魅力を実感。イヴァーノは即座に「人を縫い止める」「飲食店の回転率やテイクアウト、家具・布地・毛皮産業全体に影響を及ぼす超大型商品」と評価し、両ギルド長を巻き込んだ大規模商業展開へと発展させた場面。

魔導具師ダリヤ 6巻レビュー
まとめ
魔導具師ダリヤ 8巻レビュー

キャラクター紹介

ダリヤ・ロセッティ

オルディネ王国で活動する魔導具師であり、ロセッティ商会の会長。前世の知識と今世の魔法技術を融合させ、人々の生活を豊かにする魔導具を開発している。ヴォルフレードとは互いに信頼し合うパートナーであり、魔剣制作や素材採集を通じて絆を深めている。

  • 所属組織、地位や役職
    • ロセッティ商会・会長。
    • 魔導具師。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • オズヴァルドの指導のもと、ラウルと共に海蟲の外皮を用いた付与の訓練を行った。
    • ヴォルフレードと共に「疾風の魔剣」を制作し、風魔法による速度強化を実現した。
    • 暖房器具「温熱座卓」を試作し、ヴォルフやギルド関係者から高い評価を得た。
    • フェルモやヴォルフと協力して温熱座卓の改良を進め、携帯用温熱ユニット「携帯温風器」も考案した。
    • スカルファロット家別邸にて乗馬訓練を行い、ヴォルフから指導を受けた。
    • 亡き父カルロの部屋を片付け、将来の弟子のために客間として整備した。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • 温熱座卓の開発により、冬の生活様式を一変させる可能性を示した。
    • スカルファロット家との連携により、外部からの圧力から守られる体制が強化された。

ヴォルフレード・スカルファロット(ヴォルフ)

魔物討伐部隊に所属する騎士であり、伯爵家の四男。ダリヤの魔導具開発を全面的にサポートし、自らも実験台や使用者として貢献している。

  • 所属組織、地位や役職
    • 王城騎士団・魔物討伐部隊員(赤鎧)。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • 「疾風の魔剣」を使用して遠征に参加し、首長大鳥を撃墜する戦果を挙げた。
    • ダリヤが試作した温熱座卓の快適さに骨抜きにされ、その普及を提案した。
    • ダリヤに乗馬を教えるため、兄グイードに馬の借用を願い出た。
    • 元同僚サミュエルの店「黒鍋」を訪れ、友人として旧交を温めた。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • 魔剣の使用者として注目を集めているが、兄の計らいによりスカルファロット家の武具開発部門所属という形で守られている。

イヴァーノ・メルカダンテ

ロセッティ商会の商会員。ダリヤの商売を支える有能な交渉人であり、貴族や他ギルドとの折衝を担当する。

  • 所属組織、地位や役職
    • ロセッティ商会・商会員。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • ディールス侯爵家を訪れ、ジルドファンと面会して商会の挨拶を行った。
    • 温熱座卓を商業ギルド長や家具職人に紹介し、大量生産の体制を整えた。
    • ルチアに振られたフォルトゥナートを自宅に招き、友人として慰めた。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • 商人としての手腕を発揮し、ロセッティ商会の利益とダリヤの安全を守るために奔走している。

オズヴァルド・ゾーラ

熟練の魔導具師であり、ゾーラ商会の会長。ダリヤと息子のラウルに高度な魔導具制作技術を指導する。

  • 所属組織、地位や役職
    • ゾーラ商会・会長。
    • 魔導具師。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • ダリヤとラウルに対し、海蟲の外皮を用いた付与の実技指導を行った。
    • 炎龍や火山魚などの危険生物についての知識を共有した。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • 自身の技術を次世代に伝えるべく、厳しくも温かい指導を行っている。

ラウル

オズヴァルドの息子。父のもとで魔導具師としての修行を積んでいる。

  • 所属組織、地位や役職
    • ゾーラ商会・関係者。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • ダリヤと共にオズヴァルドの授業を受け、付与技術の習得に励んだ。
    • エルメリンダから礼儀作法を学んでいる。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • ダリヤを良き姉弟子として慕い、共に成長を目指している。

グイード・スカルファロット

ヴォルフレードの兄であり、スカルファロット家の次期当主。弟とダリヤを守るために家名を活用する。

  • 所属組織、地位や役職
    • スカルファロット家・長男。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • ヴォルフとダリヤを呼び出し、魔剣情報の漏洩対策として「スカルファロット家武具開発部門」の設立を伝えた。
    • ヴォルフに乗馬用の馬を手配し、ダリヤへの指導を許可した。
    • ヨナスに対し、温熱座卓での休息を勧めた。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • 弟たちの活動を裏から支え、貴族社会の荒波から守る防波堤となっている。

ヨナス

グイードの従者であり、護衛。魔付きであり、寒さに弱い体質を持つ。

  • 所属組織、地位や役職
    • グイードの従者。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • グイードから贈られた温熱座卓を愛用し、冬の寒さを凌いでいる。
    • 「疾風の魔弓」の試作を行い、弓騎士によるテストに立ち会った。
    • 炎龍のウロコの使用許可を出し、ダリヤの研究に協力した。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • 温熱座卓のおかげで快適な冬を過ごせるようになり、ダリヤに感謝している。

マルチェラ

ダリヤの友人であり、ロセッティ商会の関係者。

  • 所属組織、地位や役職
    • ロセッティ商会・関係者。
    • スカルファロット家・騎士(予定)。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • ダリヤの父カルロの部屋の片付けや家具の移動を手伝った。
    • 騎士としての礼儀作法を学んでいる。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • ダリヤやヴォルフとの関わりの中で、自身の役割と能力を高めようと努力している。

ルチア

ダリヤの友人であり、服飾ギルドの工房長。

  • 所属組織、地位や役職
    • 服飾ギルド・工房長。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • ダリヤの服選びを手伝い、彼女の魅力を引き出すコーディネートをした。
    • フォルトゥナートからの求婚を断り、自身の工房を持つ夢を優先した。
    • ダリヤの家で玉ねぎハンバーグを作り、互いの夢と友情を確認し合った。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • 貴族からの求愛よりも、自身の職人としての矜持を選び取る強さを見せた。

フォルトゥナート・ルイーニ(フォルト)

服飾ギルド長であり、子爵。ルチアに想いを寄せている。

  • 所属組織、地位や役職
    • 服飾ギルド長。
    • ルイーニ子爵。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • ルチアに求婚したが断られ、イヴァーノの家で自棄酒を飲んだ。
    • ルチアを側室や愛人にするのではなく、正妻として迎え入れることの難しさに苦悩している。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • イヴァーノとの交流を通じて、貴族と庶民の壁や自身の立場の重さを再認識している。

ジルドファン・ディールス(ジルド)

王城の財務部長であり、侯爵。

  • 所属組織、地位や役職
    • 財務部長。
    • ディールス侯爵。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • イヴァーノの訪問を受け入れ、ロセッティ商会との関係維持を確認した。
    • 自身がロセッティ商会に「借り」があるとし、支援を惜しまない姿勢を見せた。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • 過去のわだかまりを超え、ダリヤたちの活動を好意的に見守っている。

メッツェナ・グリーヴ(メーナ)

ロセッティ商会の商会員。

  • 所属組織、地位や役職
    • ロセッティ商会・商会員。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • 街中での恋愛トラブルを仲裁し、女性を励ました。
    • 洗練された動作でダリヤをエスコートし、貴族女性との交際経験を活かした振る舞いを見せた。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • 商会内での対人スキル担当として、その能力を発揮し始めている。

ランドルフ

魔物討伐部隊の騎士。甘いものが好き。

  • 所属組織、地位や役職
    • 魔物討伐部隊・騎士。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • 菓子店でダリヤたちと遭遇し、甘いものについての偏見を気にする様子を見せたが、ダリヤの言葉で救われた。
    • カークと共に屋台巡りを計画し、部隊内に甘党文化を広めた。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • 騎士としての強面な外見とは裏腹に、甘党という親しみやすい一面を持つ。

カーク

魔物討伐部隊の騎士。風魔法の使い手。

  • 所属組織、地位や役職
    • 魔物討伐部隊・騎士。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • 「疾風の魔剣」を使用して首長大鳥の翼を切り落とし、討伐に貢献した。
    • スカルファロット家から贈られた「疾風の魔剣」と手袋を受け取り、感激した。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • 新しい武器を得て、戦力の向上が期待されている。

フェルモ

ガンドルフィ工房の職人。

  • 所属組織、地位や役職
    • ガンドルフィ工房・職人。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • 温熱座卓の改良に参加し、機構の薄型化や強度の向上に貢献した。
    • 携帯用温熱ユニットの実用化に向けて尽力した。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • ロセッティ商会の技術パートナーとして、製品の品質向上に欠かせない存在となっている。

レオーネ・ジェッダ

商業ギルド長であり、子爵。

  • 所属組織、地位や役職
    • 商業ギルド長。
    • 子爵。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • イヴァーノから紹介された温熱座卓を体験し、その快適さを認めた。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • 新しい魔導具の価値を正当に評価し、流通を支援する立場にある。

ジャン・タッソ

冒険者ギルドの職員。

  • 所属組織、地位や役職
    • 冒険者ギルド・素材管理部長。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • 妊娠中の妻のために、一角獣のペンダントを追加注文した。
    • 妻のために酒を控えるなど、家庭を大切にする姿勢を見せている。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • ロセッティ商会の顧客として、ダリヤの魔導具を信頼している。

サミュエル

港近くのレストラン「黒鍋」の副店長。ヴォルフの元同僚。

  • 所属組織、地位や役職
    • レストラン「黒鍋」・副店長。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • 店を訪れたヴォルフを歓迎し、温熱座卓を導入した個室を提供した。
    • ヴォルフとの友人関係を大切にし、特別枠を用意している。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • 騎士を辞めて飲食業に転身し、成功を収めている。

カルロ・ロセッティ

ダリヤの亡き父であり、魔導具師。

  • 所属組織、地位や役職
    • 元魔導具師。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • 過去の回想にて、ダリヤが作った温熱座卓の初号機に入り、その快適さに感動した。
    • 若き日にテリーザと出会い、身分差や病を乗り越えて結婚した経緯が語られた。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • 彼の魔導具への情熱と家族への愛が、ダリヤのルーツとなっている。

テリーザ・ランベルティ

カルロの妻であり、ダリヤの母。故人。

  • 所属組織、地位や役職
    • 元男爵令嬢。
  • 物語内での具体的な行動や成果
    • 過去の回想にて、カルロに一目惚れし、情熱的にアプローチして結婚に至った。
    • ダリヤを出産後に病で亡くなったが、カルロと愛のある生活を送った。
  • 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
    • 彼女の存在がカルロの人生に彩りを与え、ダリヤという娘を残した。

魔導具師ダリヤ 6巻レビュー
まとめ
魔導具師ダリヤ 8巻レビュー

戦闘 一覧

修羅場と名付け

公共の場での男女の衝突
  • 戦闘者:ある女性 vs その恋人
  • 発生理由:恋人に他に女性がいることに女性が気付いたため。
  • 結果:公共の場で衝突が発生。居合わせたメーナが仲裁に入り、女性に助言を行うことで終結した。

疾風の魔剣と首長大鳥

首長大鳥の討伐
  • 戦闘者:魔物討伐部隊(ヴォルフ、カークら) vs 首長大鳥
  • 発生理由:遠征における魔物討伐任務のため。
  • 結果:風魔法が付加された短剣「疾風の魔剣」を使用。カークが首長大鳥の風切羽を狙って撃墜し、討伐に成功した。鳥の肉は食事に、羽毛は防寒具に利用された。

兄からのお叱りと疾風の魔弓

疾風の魔弓の性能テスト
  • 戦闘者:弓騎士たち vs (テスト用の標的と推測されるが記述なし)
  • 発生理由:試作武具「疾風の魔弓」の実用性を確認するため。
  • 結果:強大な威力が確認された。この結果を受け、風魔法の強化やその他の調整が検討されることになった。
グレカーレの威嚇(未遂・威嚇)
  • 戦闘者:白馬グレカーレ vs ダリヤ
  • 発生理由:乗馬がスムーズに進まないことにグレカーレが飽きてしまったため。
  • 結果:グレカーレがダリヤの髪を噛むという行動に出た。ヴォルフが厳しく叱ったことでグレカーレは威圧感に反応したが、本格的な衝突には至っていない。

展開まとめ

騎士と魔導具師の積み重ね

武器屋での積み重ね

ダリヤとヴォルフは武器屋を訪れ、店主フロレスから、魔物が強くなるにつれて武器にも改良が必要になっていると聞いた。魔剣について尋ねたヴォルフに、フロレスは強い付与武器を作るにも近道はなく、鍛冶師や騎士の鍛錬と同じく、ひたすら経験を積み重ねるしかないと語った。ダリヤとヴォルフは、人工魔剣も急がず作り続けることを確かめ合った。

魔力制御の修業

ダリヤはオズヴァルドの作業場でラウルと共に魔力制御を学んだ。二人は同じ魔力十で、最近魔力が上がったため制御に苦労していた。海蟲の粉へ均等に魔力を込める課題でも失敗を重ねたが、オズヴァルドは近道はなく、練習を重ねるしかないと教えた。

休憩中、ラウルは炎龍や火山魚を実際に見たいと目を輝かせた。元上級冒険者のエルメリンダから危険さを聞いても憧れを失わず、若い頃のオズヴァルドも同じことを考えていたと明かされた。

人工魔剣制作六回目~疾風の魔剣〜

疾風の魔剣

ダリヤとヴォルフは六回目の人工魔剣制作に挑んだ。短剣の刃へ、魔法加速して飛ぶ緑冠の羽根を付与し、柄にも風の魔石を入れ、一角獣の角で魔力干渉を防いだ。完成した短剣は振るだけで強烈な速度が乗り、投擲すると厚い板へ深く突き刺さった。

ヴォルフの提案で同じ短剣をもう一本作り、二本をミスリル線でつないだ。二本を投げると、その間のミスリル線まで刃となり、薪を滑らかに両断した。想定とは異なる武器になったものの、遠距離から魔物の脚や翼を狙える可能性が生まれ、ヴォルフは疾風の魔剣と名付けた。

ジャンの依頼

冒険者ギルドのジャンがロセッティ商会を訪れ、妊娠した妻の悪阻を和らげる一角獣のペンダントをダリヤへ依頼した。オズヴァルドの勧めによる依頼で、プロポーズに贈った鈴蘭の模様と、ジャンの目に近い色の日長石を使うことになった。

ジャンは以前より健康を取り戻し、妻との関係も修復していた。ダリヤはオズヴァルドを紹介したことが役立ったと知り、素直に喜んだ。

グイードとヨナス

ヴォルフはヨナスへ、以前ダリヤへ渡した炎龍の鱗をオズヴァルドが使ってよいか尋ねた。ヨナスは自由に使ってよいと答えた。

続いてダリヤの乗馬について相談すると、グイードはヴォルフ自身が教えることを勧めた。ヨナスも、知らない男性教師よりヴォルフの方がダリヤは安心できるだろうと同意した。

その後、グイードがヨナスへ魔付きの解呪を勧めると、ヨナスは強く反発した。魔付きでなくなれば現在の力を失い、グイードの護衛として役に立てなくなるためであった。ヨナスは自分を守ろうとするな、自分の仕事はグイードを守ることだと言い切った。グイードは発言を撤回し、長く主従と友人を兼ねてきた二人の関係は元へ戻った。

冬のコートと甘い菓子

カルロの部屋の模様替え

ダリヤはマルチェラとルチアに手伝ってもらい、カルロの寝室だった部屋を客間へ作り替えた。イルマとマルチェラ、将来生まれる双子も泊まれるよう、安全性を考えた寝具をそろえた。いつか自分の弟子が使う部屋になるかもしれないという思いも抱いていた。

冬のコート

ダリヤとルチアは冬服を買いに出かけた。店で、初等学院の卒業式にダリヤへ告白し、断られた腹いせに賭けだったと言った元同級生と再会した。

彼は実際には賭けなどしておらず、本当にダリヤへ好意を持っていたが、断られた恥ずかしさから酷い言葉を吐いたのだと謝罪した。ダリヤは過去のこととして謝罪を受け入れた。彼が勧めた赤みのある茶色の魔羊革のコートを購入し、店を出たダリヤは、胸に残っていた小さな棘が抜けたように感じた。

ランドルフの甘味

その後、ダリヤとルチアはランドルフと偶然会い、喫茶店へ誘った。隣国で育ったランドルフは、男性が甘い物を好むことを笑われる環境にいたため、人前で甘味を食べることをためらっていた。

ダリヤは、自分が酒を飲むことと同じように、男だから女だからと好きな物を我慢する必要はないと語った。ランドルフはその言葉を受け入れ、アップルパイやスイートポテトなどを楽しんだ。最後には遠慮を捨てて追加注文し、幸せそうな笑顔を見せた。

幕間 金の梟と紺の烏

ジルドとのつながり

イヴァーノはロセッティ商会の将来に備え、王城財務部長ジルドの侯爵邸を訪ねた。ジルドは、マルチェラが侯爵家の血筋につながることや、メーナの救護院時代からの経歴を調べており、その情報をイヴァーノへ渡した。

イヴァーノが支援の理由を探ると、ジルドはダリヤに二十年近く続いたグラートとの確執を解決してもらった借りを返しているだけだと答えた。その借りは利子込みで二十五年だと言い、今後も長くロセッティ商会を支える意思を示した。

二人は酒を飲みながら学院時代の話を始めた。ジルドは幼い頃からグラートの悪戯に巻き込まれ、高等学院では家出した彼を連れ戻し、殴り合いの喧嘩までした過去を語った。弟を魔物討伐部隊で失ったことで長くグラートと絶縁したが、今では再び酒を飲める関係に戻っていた。

イヴァーノは貴族達の学生時代や人間関係も教えられ、高位貴族との付き合いに必要な知識を増やした。

修羅場と名付け

メーナの仲裁

ダリヤとメーナは商業ギルド内で男女の激しい別れ話に遭遇した。メーナは女性を説得し、二股を続ける男へ執着するより、新しい人生へ進む方がよいと巧みに話した。

救護院育ちで若い頃から恋愛沙汰の仲裁をしてきたメーナには、人の感情を読む能力と会話術があった。ダリヤは商会員となった彼の別の才能を知った。

メーナからヴォルフとの関係を尋ねられたダリヤは、彼は恋人ではなく友人だと答えた。

温熱座卓の命名

ダリヤは以前カルロと試作した暖房器具を思い出し、温風を座卓の下へ送る温熱座卓を再び制作した。ヴォルフやイヴァーノ達に試してもらうと、温かさから誰も出たがらなくなり、堕落座卓と呼ばれ始めた。

ダリヤは温熱座卓という名称を守ろうとしたが、周囲には堕落座卓の呼び名が強く印象づけられた。

疾風の魔剣と首長大鳥

遠征での実戦

ヴォルフは遠征へ疾風の魔剣を持ち込み、実戦で試した。仲間達にはスカルファロット家の武器だと説明し、ダリヤの名を伏せた。

首長大鳥が現れると、ヴォルフは二本の短剣を投げ、つないだミスリル線で首を一撃で切断した。予想以上の威力に、弓騎士や風魔法使い達は強い関心を示した。

この仕組みを弓矢へ転用すれば、さらに遠距離から同じ攻撃が可能ではないかという話へ発展した。

甘味好きの隊員達

隊内ではカークをきっかけに甘い物の話題が広がった。男が甘味を好むことを隠していた隊員も多かったが、次第に好みを堂々と口にするようになった。

ランドルフと同様に、好きな物を我慢する必要はないという考えが隊内へ広まり、後には王城にも甘味を楽しむ男性が増えていった。

温熱座卓と鮭鍋

ジャンのペンダント

ダリヤは魔力制御の練習を続けた末、一角獣の角を加工し、ジャンから頼まれた鈴蘭模様のペンダントを完成させた。妻の悪阻は改善し、ジャンはダリヤへ改めて礼を述べた。

温熱座卓と鮭鍋

ヴォルフが塔を訪れると、ダリヤは試作した温熱座卓を見せた。最初は不思議がっていたヴォルフも、鮭鍋を食べながら座卓へ入ると、その快適さから動けなくなった。

ヴォルフは冬の需要を考え、急いで販売すべきではないかと提案した。ダリヤはイヴァーノやフェルモ達と相談し、量産方法、事故防止、交換部品、家具との組み合わせなどを検討した。

さらに足元だけを温める仕組みや、温風装置を背負える形にする試作へ発展し、携帯温風器も生まれた。ヴォルフも開発に加わったため、ダリヤ、フェルモ、ヴォルフの三人で利益契約を結ぶことになった。

服飾ギルドとの協力

温熱座卓に使う敷物や上掛けは、フォルトとルチアへ相談した。魔羊や狐などの毛皮、刺繍、色柄を利用すれば、庶民向けから貴族向けまで幅広い商品が作れると話が広がった。

ダリヤ達が実用性を重視する一方、フォルトとルチアは服飾師として美しさを追求し、水晶の天板から豪華な刺繍を見せる案まで考えた。

ジャンとオズヴァルド

ペンダントを受け取ったジャンは妻の回復を喜び、オズヴァルドへの尊敬をさらに深めていた。複数の妻達との関係を保つオズヴァルドについて、メーナは自由恋愛派として素直に感心した。一方、マルチェラは、自分にはイルマ一人だけで十分だと言い切った。

温熱座卓見学

家具職人への依頼

商業ギルドへ家具職人達が集められ、温熱座卓の実物を体験した。最初は奇妙な家具だと疑っていた職人達も、実際に中へ入ると快適さを理解した。

ロセッティ商会は座卓とテーブルを大量発注し、通常より高い納品価格や材料費前払いなど、職人側にも無理の少ない条件を提示した。職人達は新商品の制作を引き受けた。

各ギルドの高級温熱座卓

商業ギルドや服飾ギルドでは、一般販売品とは別に豪華な温熱座卓が作られた。黒檀、水晶、黒曜石、魔蚕の絹、金糸銀糸などが使われ、家具というより芸術品に近い品となった。

商品の保管場所や販売体制については、倉庫を持たないロセッティ商会だけでは対応できないため、商業ギルドと服飾ギルドとの共同販売へ進んだ。

ミネルヴァの提案

服飾ギルドでダリヤはフォルトの妻ミネルヴァと会った。ミネルヴァはルチアをフォルトの第二夫人として迎えたいと考えていることを明かした。

さらにダリヤにも、もしフォルトを夫候補として考えることがあるなら歓迎すると告げた。家や仕事に有益な女性を夫の第二夫人、第三夫人に迎えることを当然の選択肢として考えるミネルヴァを前に、ダリヤは自分とは貴族の世界そのものが違うことを実感し、爵位を受けることに初めて恐怖を感じた。

貴族の流儀と庶民の流儀

フォルトとルチア

フォルトはルチアを高級レストランへ招き、ミネルヴァが第二夫人の話をしたことを謝った。そして自分もルチアへ好意を持っていることを伝えた。

しかしルチアは、仕事を続け、自分の工房と店を持ちたいという望みを持っていた。貴族の第二夫人となれば、自分の生き方を変える可能性があるため、簡単に答えられる話ではなかった。

ルチアはフォルトを嫌っているわけではなく、仕事仲間として共に過ごす時間を楽しんでいた。それでも貴族と庶民の結婚に付随する条件の重さに戸惑った。

イヴァーノとフォルト

イヴァーノもフォルトと話し、ルチア本人が望まない形で話を進めるなら、自分は商会側として止める覚悟を持っていた。

フォルトはルチアの意思を無視するつもりはなく、自分の立場や家との関係も含めて悩んでいた。二人は下町の強烈な混合酒、酔いどれの後悔を飲みながら、それぞれの立場からルチアの将来を考えた。

白馬と黒馬

初めての乗馬

ダリヤはスカルファロット家で、ヴォルフから乗馬を教わった。白馬グレカーレへ乗ろうとしたものの、身体を持ち上げられず何度も失敗した。

ヴォルフは騎士として幼い頃から馬に乗っていたため、初心者への説明が不足していた。試行錯誤しながら補助し、ダリヤは少しずつ馬へ慣れていった。

黒馬セネレ

一方、扱いづらいとされていた黒馬セネレは、ヴォルフの強さを感じ取ると素直に従った。ヴォルフを自分の主だと認めたためであった。

セネレはヴォルフを押してダリヤへ近づけるような行動も取ったが、ヴォルフは寂しがっているのだと勘違いした。実際には、踏み出せない主の背中を押していただけであった。

兄からのお叱りと疾風の魔弓

グイードの叱責

グイードはダリヤとヴォルフを呼び出し、疾風の魔剣について報告が不十分だったと叱った。ヴォルフは首長大鳥を倒したことまでは伝えていたが、その威力を見たカーク達が新しい武器開発へ動き、前侯爵まで購入を希望する事態になったことを把握していなかった。

グイードは二人に、危険性や周囲への影響をもっと考え、何か起きた場合には必ず即座に正確な報告をするよう求めた。

温熱座卓と携帯温風器

話の中で、グイードとヨナスは温熱座卓や携帯温風器の存在も知った。携帯温風器はダリヤ、フェルモ、ヴォルフ三人の共同開発品として扱われていた。

炎龍の魔付きで寒さを感じやすくなっていたヨナスにとっても温熱座卓は有用であり、グイード達はその価値を理解した。

疾風の魔弓

疾風の魔剣の仕組みを応用した疾風の魔弓が、スカルファロット家の武具開発部門によって試作された。

グリーンワイバーンの骨の弓、二角獣の尾の弦、緑馬の骨の矢、二本の矢をつなぐミスリル線、風龍の鱗という希少素材が使われ、強い風魔法が付与された。

試射すると二本の矢とミスリル線が強力な切断攻撃を生み、遠距離から大型魔物を攻撃できる武器として期待された。魔物討伐部隊の装備が改善され、新人の脱落者も減っており、グラートは遠征用コンロを含むダリヤ達の成果を評価した。

幕間 それぞれの温熱座卓

広がる温熱座卓

ヴォルフは元同僚サミュエルの店「黒鍋」を訪れ、温熱座卓や温熱卓を紹介した。飲食店でも冬の設備として利用できる可能性が広がった。

一方、ヨナスは自室に六人用温熱座卓を置き、炎龍の魔付きになってから感じる身体の冷えが大きく和らぐことを実感した。あまりの快適さに、ダリヤへ鱗や牙まで礼として贈ろうかと考えるほど気に入った。

グイードも寝室に温熱座卓を置き、妻の膝枕と共に満喫していた。さらに自分に何かあった場合には娘が成人するまでヴォルフと共に支えてほしいとヨナスへ頼んだが、ヨナスは護衛である自分が先に死ぬはずだとして拒否し、むしろグイードへ酒や油物を控え、早く寝るよう求めた。

番外編 父と娘の魔導具開発記録 ~温熱座卓初号機~

温熱座卓初号機

過去、ダリヤは一人用の温熱座卓を試作し、カルロに体験させていた。座卓の下へ温風を送り毛布で覆うだけの仕組みだったが、カルロは腰や背中まで温まる快適さに夢中になった。

ダリヤはさらに持ち運べる形を考え、カルロへ背負わせる試作まで行った。温かく快適ではあったものの、見た目や安全性に問題があり、初号機は解体された。

カルロとテリーザ

その頃カルロには、ランベルティ伯爵家のテリーザから結婚を望む話が持ち込まれた。身分差を恐れたカルロは受け入れられず、彼女を傷つけてしまった。

その後、互いに会えなくなったことで、カルロは自分がテリーザを強く想っていたことを認識した。それでも身分や娘ダリヤの将来を考え、簡単には踏み出せなかった。

ダリヤの未来

カルロは、成長したダリヤがいつか自分のもとから離れていく日を思った。温熱座卓を再び作る頃、その隣にいるのは自分ではなく、未来の伴侶や子供かもしれないとも考えた。

それでも、ダリヤなら自分だけでなく多くの者を笑顔にするだろうと想像し、今は目の前にいる娘を喜ばせることだけを考え、共に食事の準備へ向かった。

魔導具師ダリヤ 6巻レビュー
まとめ
魔導具師ダリヤ 8巻レビュー

魔導具師ダリヤはうつむかない 一覧

その他フィクション

フィクションのまとめページの表紙画像(導入用)
フィクション あいうえお順

Share this content:

コメント

タイトルとURLをコピーしました