小説「魔導具師ダリヤはうつむかない 4 巻」感想・ネタバレ

小説「魔導具師ダリヤはうつむかない 4 巻」感想・ネタバレ

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どんなラノベ?

転生者である魔導具師のダリヤ・ロセッティは、決められた結婚相手からの手酷い婚約破棄をきっかけに、自分の好きなように生きていこうと決意する。

前巻からのあらすじ

前巻

商業ギルドの全面的なバックアップの元、五本指ソックスと中敷、さらに泡ポンプボルトの商品化と量産化に踏み出す事になるのだが、、
人手が足りない。

父親から続く人脈に恵まれつつも持ち前の商品開発力でドンドン発展していく商会。

それを支える右腕となる人もギルドから移籍して来て、ヴォルフとは下ネタで盛り上がれるほど親しくなる。

それを偶然にもダリアに聞かれる不運はあるが、商品化は順調。

読んだ本のタイトル

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 4
(英語名:Dahlia in Bloom: Crafting a Fresh Start with Magical Tools
著者:甘岸久弥  氏
イラスト: 氏

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あらすじ・内容

ロセッティ商会、急発展! そしてダリヤに試練が訪れる!?

商会を立ち上げてからも、大好きな魔導具づくりに邁進する女性魔導具師のダリヤ。
ダリヤのロセッティ商会は、魔物討伐部隊との取引により思いがけぬスピードで王城へ出入りするまでに。軽量小型化した『遠征用コンロ』も新たに魔物討伐部隊への導入が検討され、これで遠征時の騎士達の食事環境が良くなれば、とダリヤはさらに奮起する。
しかし急発展する若手商会、しかも商会長は爵位を持たない庶民となれば、貴族から向けられる視線は好意的なものばかりでなく――。
「『飼い猫』がどこまでやれるかね?」「お言葉を撤回いただきたく思います」
商会長として、魔導具師として、貴族相手にダリヤ・ロセッティはその名を示す!
新たな商材、そして広がる新たな販路……『人工魔剣』の制作にもついに進展が!?
魔導具師ダリヤのものづくりストーリー、波乱の第四弾、開幕!

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 4

アニメ化

TVアニメ「魔導具師ダリヤはうつむかない」公式

感想

自分達の安全を護ってくれている魔獣討伐部隊が野営する時に暖かい物を食べて欲しい。

そのための魔道コンロだったが、それに横槍を入れる者が現れた。

財務を取り仕切る上位貴族者が個人的な恨みがあるらしい。

そんな貴族はヒロインにも侮辱的な言葉を投げかけた。

それに奮起するヒロインとそれをバックアップする討伐隊と商会の仲間達。

そして、上位貴族達財務系の貴族達のプレゼンをする事になったが、、

それが上手く行き過ぎたw財務系の貴族の心も救う素晴らしい結果に、、

魔道コンロの価格を抑えてコンロの裏には商会の名前を入れる。

この効果が凄過ぎた、、

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その他フィクション

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フィクション あいうえお順

アニメ

PV

TVアニメ「魔導具師ダリヤはうつむかない」公式
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OP

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ED

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備忘録

王城向け礼儀作法と緑の塔の姫君

ダリヤ・ロセッティは魔導具師として活動しており、彼女の前世と今世の職業には魔法や魔物が存在する。
彼女は魔導具を作成する際に、生活に密着した道具を作ることに重点を置いている。一方、ヴォルフレード・スカルファロットは騎士団の隊員であり、彼の仕事は魔物の討伐である。
ある日、ヴォルフレードからの靴の問題に対してダリヤが五本指靴下と靴の中敷きを提供し、それが好評であったために大量生産が決定し、彼女は商会長として王城の魔物討伐部隊へ正式に納品挨拶を行うことになった。
しかし、ダリヤとヴォルフレードは貴族の礼儀作法に苦労しており、その学びが難航していることが彼らの悩みの一つである。

魔導具店「女神の右目」を訪れたダリヤ、ヴォルフ、イヴァーノは、王城向けの礼儀作法を学ぶためオズヴァルドの指導を受ける。
店内での挨拶を経て、彼らはオズヴァルドの奥さんたちとも挨拶を交わし、その後礼儀作法の学習に移る。
オズヴァルドはダリヤに王城向けの礼儀作法を習得させるための厚い資料を提供し、ダリヤはその学習量に圧倒される。
同時に、オズヴァルドはダリヤが制作した魔導具に興味を示し、彼女の魔導具作りに対する理解と危険性について議論する。
彼はダリヤに魔導具師としてのさらなる指導を申し出るが、その際には秘密保持を条件とし、彼女の技術向上に協力することを約束する。

隣室で、オズヴァルドは盗聴防止の魔導具を起動し、ダリヤとの条件を確認した。
彼はダリヤを希少素材の付与や魔力値の増やし方、複合付与に関して教える予定である。
報酬は金貨五十枚で、利子なしの分割払いとされた。
教育場所はオズヴァルドの作業場であり、両者の安全確保のため、隣室にはそれぞれの家族が待機することになった。

また、オズヴァルドはダリヤに秘密保持を要求せず、教えた技術を彼女が自由に使うことを許可した。
彼はダリヤに対して、万が一の時には自分の息子に魔導具師としての教育を依頼することも打診し、ダリヤはこれを受け入れた。教育は王城での作法を覚えた後に開始されることとなり、週一回、数時間の授業が行われる予定である。

オズヴァルドの教え子としてのダリヤへの信頼と期待が語られ、彼女に対する教育の責任を重く感じていることが示された。
彼は過去に弟子に失敗しており、その経験からダリヤへの教育に特別な期待を寄せているようである。

店の前でダリヤとその一行を見送った後、エルメリンダがオズヴァルドにダリヤの美しさを語り、オズヴァルドは同意した。
夫婦である二人は夜空を見ながらワインを楽しむ約束をしていたが、オズヴァルドはどんな場合でも妻との約束を優先することを語った。

過去の苦い経験を振り返りながら、オズヴァルドは自分が若いときに経験した難事を思い出し、ダリヤの父カルロに救われたこと、そして彼に対して抱く「借り」について述べた。その後、彼は再婚し弟子もとったが、失敗が続いた。
彼は自身の過去と現在を省みながら、自分がどの程度妻たちを幸せにしているのか、自問自答していた。

エルメリンダはオズヴァルドがダリヤを第四夫人と考えていないかを問いただし、オズヴァルドはすぐに否定した。
しかし、彼女の萌葱色の目は疑いを含んでいた。
夫婦はお互いの趣味や好みについて軽く冗談を交わし、エルメリンダはオズヴァルドのことをまだ子供のようだと言って笑った。
最後に、エルメリンダがオズヴァルドにさらなる愛情を求め、オズヴァルドはそれに応えることを誓った。

ひき肉のラビオリもどきと魔女の家

ヴォルフとダリヤが魔導具店「女神の右目」から緑の塔へと帰る途中、イヴァーノを降ろした後、二人だけになった。
ダリヤはヴォルフに再び遠征用コンロのテストを依頼し、彼はこれに快く応じた。
塔に到着後、ダリヤは魔導ランタンで照明を確保し、二階の居間を明るく照らした。
夕食の準備中、ヴォルフは夏用の騎士服の必要性を話し、彼らは業務用口調で笑い合った。
ヴォルフが暑さの対処として、昔氷の魔石で背中がしもやけになった先輩の話をし、ダリヤは遠征用コンロを安価にするために努力すると約束した。

ダリヤは先にキッチンで料理をし、ヴォルフはリビングで彼女の作業を待っていた。ダリヤが作ったのは、彼女が「ひき肉のラビオリもどき」と説明したもので、実際にはギョウザである。二人は、ダリヤの改良型の遠征用コンロでギョウザを蒸し焼きにし、その後食事を楽しんだ。彼らは乾杯をし、ダリヤはヴォルフに様々なギョウザのフレーバーを提供した。ヴォルフは食べ物の質とダリヤの料理技術を高く評価し、二人はお酒を飲みながら楽しい時間を過ごした。また、ダリヤはオズヴァルドに師事することをヴォルフと話し合い、彼女が学びたい技術を習得するために彼に教わることを楽しみにしていた。ヴォルフもこのアイデアを支持し、二人はこれからもお互いを支え合うことを約束した。

ダリヤとヴォルフは、変異種の二角獣を研究材料として使うことについて話し合っている。ヴォルフが遠征で得た特別卸値で購入した二角獣の素材を、ダリヤは魔剣と魔導具の研究に活用することを計画している。ダリヤはヴォルフに対して感謝の意を示し、彼の提案を受け入れる。二人はそれぞれの専門知識と技術を生かしてお互いを支え合う関係を深めている。ヴォルフはダリヤの研究を支持し、彼女が有益な魔剣を作れるよう助言を提供する。また、ダリヤは自由に魔導具を作る楽しさを感じており、ヴォルフは彼女の創造力を尊重しているが、安全性を考慮することも強調している。二人は共同で問題に取り組み、将来的なリスクを最小限に抑える方法を模索している。

曇天の遠征

遠征中の魔物討伐部隊が野営を行っている。湿気た空気と曇天が夕暮れを包み込み、雨が降りそうな状況である。隊員たちは疲れながらもテントを設営し、少しでも休息を取る準備を整えている。しかし、遠征の厳しさは変わらず、一部隊員は軽い傷や体調不良に苦しんでいる。特に、食事の準備や衛生状態の管理に困難を感じており、遠征用コンロの導入が隊の状況を改善するかもしれないという希望を持っている。ヴォルフはこの遠征用コンロの価値を理解し、隊長への提案を考えているが、個人的な利益と見なされる可能性に悩むものの、隊員たちの福祉を最優先に考えている。

王城正規納品と魔物討伐部隊

ダリヤとその友人ルチアは、イヴァーノと共に王城へ向かっていた。ルチアは服飾の小物を作る工房で働いており、最近服飾ギルド長によって工房長に任命されたばかりである。一方、ダリヤはオズヴァルドの第一夫人カテリーナから王城向けの礼儀作法を学び、その指導のおかげで王城での振る舞いに自信を持てるようになっていた。イヴァーノもオズヴァルドの指導を受け、王城のことをよく理解できたと感じていた。

王城に到着後、ダリヤとルチアは魔物討伐部隊の隊員達と対面し、彼らから感謝された。特に、彼らが使っている靴下と中敷きが非常に好評で、足元の環境が大幅に改善されたとのことだった。隊長からは、製品がどれだけ彼らの生活に役立っているかを具体的に説明され、ダリヤとルチアはその効果に驚かされた。会議では、隊員たちがこれまで苦しんでいた水虫問題がほぼ解消されたとも聞かされ、彼らの日常生活がどれほど改善されたかが話された。

この訪問は、ダリヤとルチアにとって大きな経験となり、彼女たちの製品がどれだけ価値を持っているかを再認識する機会となった。また、魔物討伐部隊との関係が深まる一方で、新たなチャレンジと責任の重さを感じていた。

化粧直しから戻る途中でランドルフに感謝され、ダリヤは会釈を返す。ランドルフはダリヤが短期間で礼儀を覚えたことを称賛し、ダリヤも礼を言う。ヴォルフは商業ギルド長と服飾ギルド長を迎えに行っており、ダリヤの出迎えを希望していたが、隊長から他の仕事を任されていた。

応接室でジェッダ子爵、フォルトゥナート子爵が到着し、ヴォルフが案内する。その後、ロセッティ商会として正規納品の挨拶が行われ、ダリヤとルチアは羊皮紙の書類にサインをする。この納品により、ロセッティ商会は服飾ギルドから利益を得る形となり、安定した収入が見込まれる。

イヴァーノはロセッティ商会から靴乾燥機を贈ることを発表し、その便利さを説明する。靴乾燥機は遠征用ブーツや革靴、布靴などを傷めることなく乾燥させることができる。

会議の最中、フォルトゥナートはイヴァーノとの後日の会話を希望し、グラートはロセッティ商会の遠征用コンロを百台注文する意向を示す。ダリヤはこの提案に感謝し、イヴァーノも受注に向けて積極的に応じる。

馬車に乗り込んだダリヤとルチアは一息ついた。ルチアは少量のワインで頬が赤くなっており、服の着せ替えについて熱く語った。その話を聞いたイヴァーノは、不思議そうな顔をした。ダリヤはルチアに紙と鉛筆を手渡し、彼女が服のデザインを描くのを見守った。イヴァーノが恋愛について尋ねると、ルチアは異性に対してあまり興味がなく、服飾に情熱を注いでいると答えた。イヴァーノは、仕事に集中できる人材が望ましいと考えた。

馬車での会話は服と魔導具の話で盛り上がり、ルチアは服のデザインに夢中になり、ダリヤは魔導具の詳細に言及した。両者は自分の興味のある話題で意見が分かれ、互いに自分の興味のある店を一日かけて回ることを提案した。イヴァーノはこの会話を楽しみながら聞いていた。

幕間 服飾ギルド長と貴族の流儀

送り馬車の馬場で待っていた服飾ギルド長のフォルトゥナートは、イヴァーノと馬車で移動しながら、その日届いた靴乾燥機について感謝の意を示した。フォルトゥナートは、ロセッティ商会に興味を持っており、服飾ギルドへの登録を勧めたが、イヴァーノは人員が足りないために難しいと説明した。その後、馬車は貴族街の一角にある店に到着し、フォルトゥナートとイヴァーノは二人でワインを飲みながら話を続けた。フォルトゥナートはロセッティ商会への協力を申し出て、時々昼食会を提案したが、イヴァーノはその場を濁した。会話の中で、フォルトゥナートはイヴァーノに対してさりげなくロセッティ商会の情報を求め、イヴァーノはそれに応じる姿勢を見せた。最終的に、フォルトゥナートは自身の名を使った手紙を通じてロセッティ商会の製品を推薦することを約束した。

シメの塩スープパスタ

ヴォルフは赤熊を食べた後も食欲がなかったが、これは訓練中に盾が鳩尾に当たったためであると説明した。訓練では、ランドルフが魔物役を演じ、ヴォルフはそれを避ける練習をしていた。この過程で盾が跳ね上がり、ヴォルフは鳩尾に打撃を受けてしまったが、怪我はなかった。塔に戻った後、ダリヤはヴォルフに軽食を提供する計画で、簡単な塩スープパスタを作った。ヴォルフはこの料理を非常に楽しみ、ダリヤの手料理がどうしても美味しくなるのか不思議に思った。二人は遠征での食事についても話し合い、ヴォルフは塔での食事が特別であると感じていた。

ヴォルフが男爵位を得ることができるが、隊の先輩を飛び越えることに罪悪感を抱いており、また、怪我をしたことがなく、目立つだけで大きな貢献をしていないと自己評価している。また、男爵位を得ると、お見合いなどの増加を懸念している。一方、ダリヤも男爵位を得たいと思うようになっているが、ヴォルフと異なり、男爵になった後も現在の住まいに留まる予定である。ヴォルフはダリヤが男爵になっても、引き続き彼女の住む塔に訪れることを望んでおり、ダリヤもそれを歓迎している。

幕間 商業ギルド長と貴族の流儀

イヴァーノが商業ギルドを辞める寸前、ギルド長のジェッダ子爵から呼び出される。ジェッダ子爵の事務室で、イヴァーノはギルド副長のガブリエラに会い、昨晩の会話について質問される。イヴァーノは、服飾ギルド長フォルトゥナートとの会話の詳細を問われ、自分が受け取った防毒・防混乱・防媚の指輪の詳細を説明する。指輪の価値が自身の月給を超えることに驚き、その受け取りが適切であったか疑問を感じる。

ジェッダ子爵とガブリエラは、フォルトゥナートがイヴァーノを引き抜こうとしているのではないかと推測し、商業ギルドの保証人として彼らは対抗措置を議論する。彼らはフォルトゥナートに対して絹の価格を一時的に上げることで応じることに決定する。会話の末、ジェッダ子爵は自分を「レオーネ」と呼ぶことをイヴァーノに許可し、フォルトゥナートへの直接の対応はイヴァーノが行うことを提案する。会話は、イヴァーノがジェッダ家の保護のもとで成長し、将来的には独立することを目指すという内容で締めくくられる。

唐揚げと年上の男友達

緑の塔の二階で、ヴォルフとマルチェラが対面している。ヴォルフは眼鏡を外すと、その美貌が露わになり、マルチェラはその変装に気づく。二人は敬称を使わずに話し合い、マルチェラはヴォルフの美貌に関する苦労を理解する。一方、ダリヤとマルチェラの妻イルマは台所で料理をしており、夕食の準備中である。

マルチェラとヴォルフは庭で組み手をすることにし、イルマはダリヤにその状況を説明する。ダリヤはヴォルフが普段魔物討伐のために戦っていることから、彼がマルチェラに勝つだろうと予想する。イルマは自信を持ち、マルチェラが負けるとは思っていないが、ダリヤは心配している。二人が組み手を始めると、イルマとダリヤは料理を仕上げることに専念する。

ヴォルフとマルチェラは緑の塔の裏で組み手を行った。二人は攻撃魔法を使用しないことに同意し、腕輪を外して準備を整える。試合は、どちらかが背中をつけた時点で終了とする。ヴォルフはマルチェラに怪我をさせないよう注意しながら試合を進める。しかし、マルチェラの意外な力と速さにヴォルフは苦戦を強いられる。結果的に、身体強化を用いた力比べで互いに拮抗するも、最終的には遊びの打ち合いに楽しさを感じた。試合はお互いの呼吸が合う中で繰り広げられ、布が破れる音で一時停止した。夕暮れ時、二人はひどく破れた布を確認しつつ、ダリヤの怒りの声に気づく。ダリヤは彼らが喧嘩していると誤解し、二人は彼女をなだめるために説明を試みるが、状況を説明するのに苦労する。最終的には、ダリヤが先に塔に戻り、ヴォルフとマルチェラは彼女に謝罪するために後を追う。

二階に上がったとき、ダリヤはヴォルフに黒いTシャツを手渡し、彼がその服に着替えるように言った。ヴォルフとマルチェラはダリヤに謝罪し、ダリヤは彼らが服を破るほどの行動は不要だと返した。マルチェラはダリヤの提案に対して冗談を言い、イルマはさらにそれに乗じて提案をしたが、ダリヤは応じず、料理を続けるために台所へ戻った。ヴォルフとマルチェラはダリヤの気分を悪くしたことを認め、彼女が猫のようだと冗談を言った。イルマは昔のマルチェラを避けていた家の猫の話をした。マルチェラは猫に好かれるようになった方法として、好物を与えて撫でることを提案したが、ヴォルフにとっては参考にならなかった。食事の準備が整い、ヴォルフは皆でアルコールを飲む前にポーションで治療することを勧められた。ダリヤは皿洗いを手伝うことを条件にヴォルフとマルチェラに更なる料理の揚げ返しを約束した。最終的に、皆が食事を楽しんでいるところで、イルマは夫がヴォルフに悪影響を与えているのではないかと冗談めかして言った。

人工魔剣制作四回目 ~嘆きの魔剣 ~

食後、ヴォルフとマルチェラは一気に片付けを終え、さらに壁と床まで磨いたため、ダリヤは焦った様子だった。イルマは翌朝早く美容室での予約があるため、夫婦は帰宅した。その後、ヴォルフとダリヤは一階の作業場で人工魔剣の制作に取り組んだ。複合付与を行う計画で、魔封銀を使用して魔法干渉を防ぎながら、部品の組み立てを行った。すべての工程が成功し、剣は問題なく完成した。

その後の会話で、ヴォルフはダリヤにもっと親しみやすい口調で話すことを提案したが、ダリヤは貴族としての立場を考慮し、難しいと感じていることを明かした。また、ヴォルフは将来的にダリヤが男爵位を取得することを前提に、彼女との距離を縮めようと提案した。ヴォルフの提案に、ダリヤは驚きながらも、彼が男爵位を取得することによって同格になると考え、それに応じた。会話は軽快で、互いに魔剣制作の成功を喜んだ。

ヴォルフが帰宅しようとした際に突然雨が降り始めたため、ダリヤは彼にコートを提供しようとした。このコートは表が砂蜥蜴、裏がワイバーン皮でできた黒いコートで、ダリヤの父の形見である。しかし、ヴォルフはそのコートを借りることに気が引け、他のレインコートを提案された。ダリヤは女性向けの緋色、水色に紺の水玉、鈴蘭柄のレインコートを提案したが、最終的にヴォルフは冗談めかして元の黒いコートを再び借りることを選んだ。

友の誤解と微風布

ダリヤは王城に単独で訪れ、遠征用コンロと靴乾燥機の見積書を提出するためであった。予定ではイヴァーノと一緒に来るはずだったが、彼の仕事が忙しく、ダリヤが単独で行くこととなった。王城でヴォルフが訓練中であることを知り、ランドルフに案内されて魔物討伐部隊棟へ向かい、グラートと壮年の騎士が待っている部屋で見積書を渡した。そこで紅茶とチーズケーキが提供され、ダリヤは魔物や遠征についての話を聞いた。帰り際には、スカートにインクがついてしまうアクシデントがあったが、彼女は上着とスカートを逆にして問題を解決した。また、ドリノ・バーティという騎士と会話し、友達であるヴォルフの話題が出た。ドリノはダリヤに対して礼儀正しく話を進め、彼女はその応対に安心した。

夕暮れ時、ヴォルフは兵舎の自室で着替えていたが、ランドルフとドリノから飲みに誘われる。ドリノは不機嫌そうに靴の踵を床に打ちつけており、ヴォルフが部屋へ戻ろうとする間に、彼のコートについて話し始める。ヴォルフはかつてダリヤが森で男装して自分を助け、その後親しくなったことを説明しようとするが、ドリノはそれを誤解し、ダリヤを男と勘違いしている。

その後、ドリノは自身がダリヤに対して不適切な発言をしたことを悔やみ、謝罪する必要があると感じる。ヴォルフはドリノから何を言ったのかを問いただし、彼がダリヤに対して言った失礼な発言を知って激怒する。ヴォルフはドリノを壁に押し付けるが、ランドルフが介入し、彼らはその場を収める。最終的にドリノは直接謝罪するためにダリヤのもとへ行くことを決める。

ヴォルフはドリノを連れて、緑の塔へ行き、彼の発言に対する謝罪をダリヤに聞いてもらうために訪れた。ドリノはダリヤに対して深く謝罪し、自分の行動の理由を説明した。彼の誤解は、自身の過去の経験とヴォルフやランドルフとダリヤの親しさから生じたものである。ダリヤはドリノの謝罪を受け入れ、彼の行動の動機が友人への心配からだったことを理解し、許した。その後、ダリヤは夕食の用意があると言い、彼らを家に招き入れる。彼女のおもてなしを受け入れる形で、彼らは彼女の招きに応じることになった。

ダリヤはヴォルフとその友人たちを夕食に招待し、彼らに手作りの料理を提供した。料理は、子供っぽい装飾が施されていたが、彼らはそれを楽しんだ。特にヴォルフは彼女の努力を評価し、食事を気に入った様子だった。食後、ランドルフはダリヤに感謝の意を表し、ワインを注いだ。この行動は、彼が彼女の料理とおもてなしを高く評価していることを示していた。

ドリノは、食後の楽しい雰囲気の中で、いわゆる暴露大会を提案した。彼は自己紹介代わりに自身の第一印象を暴露し、始めはヴォルフを嫌な奴だと思っていたことを明かした。ヴォルフの性格についての話が進む中、ドリノは彼の過去のつきまといについて語ろうとしたが、ヴォルフはそれを遮った。彼らの会話は親密でありながらも、お互いについてよく知っている証であった。

一方で、ランドルフはヴォルフとカークの間の親密さについて言及し、その関係についての噂があることを示唆した。この話にはドリノも反応し、ヴォルフが後輩に対して親切であることを強調した。

その後の会話では、ドリノがダリヤに対して誤解を解くためにさまざまな暴露をしようとしたが、ダリヤはそれを遠慮した。ドリノとランドルフは、ダリヤが以前のインク事故についてメイドを弁償させるべきかどうか議論し、彼らはダリヤに対して十分な敬意を示した。

会話は、ヴォルフと彼の部隊が夏の遠征での服装の問題を解決しようとする話題に移り、ダリヤは以前試作したが失敗した服の話をした。彼女はその布が実際にどのように感じるかを説明するために、ヴォルフとランドルフに布を試着させ、そのくすぐったさを経験させた。これは、彼女の創造的な試みとその課題を示す一幕であった。

何年か前の夏、シャツに風魔法を付与すれば涼しいに違いないという短絡的な考えで試作された。父に説明すると、ダリヤが手洗いに行っている間に袖を通され、結果的にシャツを破って脱がされた。その後、同じシャツを父の要望で作り直すことになり、トビアスが笑いすぎて倒れたり、酔っ払いに対する罰ゲームに使えるという発想に至った。この経験から、風魔法を使った布を作ることを思いつき、騎士達もその効果に満足した。その後、騎士達との会話から、布の使用範囲や魔法の強弱の調整などのアイデアが生まれ、ダリヤは熱心にメモを取り始めた。しかし、製品化に際しては、イヴァーノに相談する必要があるとの指摘があり、騎士達もこの製品を隊以外に先に知られることを避けるよう注意を促した。その後、騎士達との会話や交流が続き、ドリノのからかいやヴォルフとランドルフのやり取りなど、和やかな雰囲気で夜が過ぎていった。

商業ギルドの二階にあるロセッティ商会の部屋で、ダリヤはイヴァーノと面会していた。イヴァーノはダリヤが作成した、涼しい布に関する仕様書と制作方法案を評価しながら、それに対して肯定的な反応を示している。これらの布は主に服のアンダーウエア用途を想定しており、服飾ギルドとの協力が必要とされる。また、この布の取り扱いには利権や貴族の関与が予想されるため、イヴァーノは商業ギルドや服飾ギルド、魔物討伐部隊と連携を取る提案をしている。

イヴァーノはダリヤに対して、共同開発を進めることで名誉と安全を確保する戦略を説明し、魔物討伐部隊には優先権を与え、ロセッティ商会を守るために関係者との良好な連携を促している。さらに、将来的にはヴォルフの兄が侯爵に昇格することを考慮に入れ、彼にも挨拶をすることを提案している。

イヴァーノはダリヤにも自身の健康を気遣うようにアドバイスし、ダリヤが水分を控えることに対して心配を表明している。また、ダリヤの安全のために王城への同行も申し出ている。このように、イヴァーノはダリヤの事業と健康に対して総合的な支援を提供している。

王城内の魔物討伐部隊棟は、新開発された涼しい布の導入により隊員たちからの喜びの声で満ちていた。ダリヤとイヴァーノはフォルト、ルチアとともに隊員たちからのフィードバックを受けており、特に帽子やマフラーに関する改善点が話されていた。多様な要望に対応するため、さまざまな風の強さの製品を提案することに決まった。

このプロジェクトはダリヤの商会と服飾ギルド、魔導師たちの協力の下、魔物討伐部隊の装備として最適化されていることが強調されていた。魔物討伐部隊のグラート隊長は、ダリヤの商会に窓口を依頼することで、貴族や高位者からの圧力を回避しようとしていた。

会話の中で、ジルドファン・ディールスという財務部長が登場し、ダリヤの商会への信頼について疑問を投げかけ、遠征用コンロの予算書の再提出を要求した。これに対し、ダリヤは直接説明することを選び、ジルドの挑発にも動じず、自身の立場を堅持した。この過程で、ダリヤの商会の信頼性と彼女の個人的な誠実さが試される形となっている。

ジルドが退出後、ダリヤは身動きできなくなるほどの圧迫感を感じ、隊員たちが彼女を守るべく怒りの声をあげていた。騎士がその場を取り締まり、不適切な発言をした隊員には訓練を命じた。グラート隊長は、ダリヤが直接財務部と対応することを支持し、ダリヤ自身も自分の商会の名誉を守るために、自ら対応することを決意した。また、ダリヤの事業に関する侮辱にも関わらず、グラート隊長は過去の負い目からジルドへの怒りを抑え、隊としてダリヤのサポートを続けることを誓った。最後に、ダリヤは自分の事業を守り抜くために堅く決意を新たにした。

幕間 夜会の迎えと初めての紅茶

ヴォルフはアルテアの夜会の迎え役を務めており、馬車で彼女の帰りを待つ日々を送っている。ある日、彼は落ち着かず、眠ることも食事もできなかった。ダリヤからアルテアへ贈る礼として選んだ小型魔導コンロを持って来ており、ダリヤが丁寧に包んだ贈り物をアルテアに渡した。また、ダリヤの服を汚したメイドの安否が気になり、そのことについて隊長と兄に相談している。夜会が終わり、ヴォルフはアルテアを馬車までエスコートし、アルテアと共に屋敷へ戻った。アルテアは、ヴォルフが関わった贈り物に対して気を使い、彼女自身が紅茶を淹れると宣言した。アルテアはヴォルフが他の女性と関わることに対して妬かないか確認し、ヴォルフはそれに対して心配することはあっても、止める権利はないと答えた。アルテアは自分の立場を利用してヴォルフの問題に口出ししないことを誓ったが、彼のために何かをすることは否定していない。

誰がための遠征用コンロ

商業ギルドにあるロセッティ商会の部屋で、ダリヤとイヴァーノが遠征用コンロのプレゼンと価格について議論していた。財務部が魔物討伐部隊の予算に厳しいのは過去に起きた横領事件が原因であることが分かる。イヴァーノは商会利益を削って価格を下げることに反対し、ダリヤに商会としての対等な取引の重要性を説いた。また、イヴァーノはダリヤが個人の情に流されていることを指摘し、彼女はそれを認めた。二人は、遠征用コンロの価格を下げる有効な方法についてさらに議論を続けることとなった。

翌日、王城に向かう馬車内で、緊張したダリヤは指先の震えを抑えながら、ガブリエラから励ましを受けていた。彼女はダリヤに笑顔を取り戻すよう促し、彼女が魔導コンロでプレゼンテーションを行う準備を整えた。王城への道中、イヴァーノも書類の確認に忙しい様子で、ダリヤは自身のドレスとプレゼンの準備に集中していた。

王城の会議室では、想定より多くの人々がプレゼンを聞くために集まっていた。ダリヤは遠征用コンロの機能と効果を説明し、特に魔物討伐部隊の効率向上と隊員の健康維持への寄与を強調した。彼女はまた、新しい遠征食のコストが増加することを認めつつ、長期的な節約と隊員の健康を重視することが予算面でも有益であると主張した。

プレゼン終了後、ダリヤは遠征用コンロの価格を議論し、ジルドを含む財務部員に対してコンロの価値を訴えた。さらに、遠征用コンロにロセッティ商会の名前を刻むことを代価として提案し、これが彼女の希望する「名誉」であると述べた。プレゼンは成功を収め、ダリヤは自らの使命と魔物討伐部隊への貢献に満足感を得た。

オルディネ王国の魔物討伐部隊は、過酷な遠征と危険な戦いを繰り返す騎士たちで構成されており、一般からの人気はあるものの、騎士団内では低い地位にあるとされている。部隊への配属は望まない者にとっては不本意なことが多く、生活の困難さから家族や恋人との関係が断たれることも少なくない。また、彼らは魔物を討伐することが当然と見なされ、その重圧は非常に大きい。

この状況を変えようと、ある魔導具師が彼らのために尽力し、自らの利益を犠牲にして魔導具を提供した。彼女はその行動を誇りとし、騎士団が彼女に深い敬意を表し、ダリヤが商会としての利益を少しでも減らすことなく、魔物討伐部隊への支援を続けることを決めた。彼女は、騎士団から商会への正式な関与を依頼され、承諾することで、その貢献が正式に認められることになった。

プレゼン後、中央棟の広い休憩室で食事会が行われた。ヴォルフが先頭に立ち、遠征用コンロと多数の小型魔導コンロが用意された。質素な遠征食と改善後の食事が提供され、参加者は食べ比べを行い、様々な食材を試した。その過程で、ロセッティ商会と財務部員の間の距離が縮まる様子が見られた。

一方、ダリヤはジルドに以前の侮辱発言を撤回してもらうために話しを持ちかけた。ジルドは容易に言葉を撤回し、さらには謝罪もした。その後、ジルドは退職することを示唆したが、ダリヤはそれを拒否し、代わりに魔物討伐部隊への予算配分の改善を願い出た。ジルドはこれを受け入れ、騎士団の現状についてもっと知るためにグラート隊長と話すことを約束した。

さらに、ダリヤは遠征用コンロを使って新しい遠征食のデモンストレーションを行い、その場でジルドとの対話が続いた。この会話を通じて、ダリヤの提案が認識され、双方に理解が深まる瞬間もあった。最終的には、ジルドが食事を楽しむ様子が描かれ、ダリヤはその貢献と人間性を評価された。

ダリヤとジルドの間で撤回と謝罪が交わされた後、ヴォルフは会場での交流を試みていたが、兄のような気遣いは自身には難しいと感じている。プレゼンと試食会の場を設けるために、ヴォルフの兄が関与していたことが明らかにされている。ダリヤはジルドと和解し、彼に対してもっと魔物討伐部隊の予算に理解を示すよう働きかけている。このプレゼン会では、ダリヤが提案した遠征用コンロの導入がテーマだった。ヴォルフとその同僚たちは、ダリヤの行動に感謝しており、彼女の支援を高く評価している。また、ダリヤが遠征用コンロの裏に名前を刻むことを浪漫的な行為と見なしていることが語られている。

幕間 意地っ張りとつながれた者

魔物討伐部隊のグラートと財務部のジルドは、財務部長室で重要な会話を交わした。グラートは推薦状を提出し、これがジルドに大きな影響を与えた。ジルドは、会議前にこれを提出しなかったグラートに問いただし、グラートは謝罪を表した。その後、グラートは自身の過去の病気と隔離されていた事情を明かし、ジルドの母との間の約束が解除されていないことを認めた。ジルドは、グラートの説明に対して理解を示すが、なぜこれまで直接対話がなかったのかを問うた。二人の間には、過去の絆がありながらも、互いに誤解される行動が多かったため、コミュニケーションが取りにくい状態であった。最終的に、ジルドはグラートによる行動の真意を理解し、予算配分に関する協力を約束する。この会話から、二人の間の距離が少しでも縮まったかのように見えるが、完全な和解には至っていないことが示唆される。

ジルドは学生時代からグラートを支え続けた友人であり、悪戯に巻き込まれても共に遊び、しばしば教師に叱られることもあった。ジルドの騎士道精神により、間違いには強く立ち向かい、グラートはそんな彼を時にからかいながらも支えた。高等学院では、グラートは実技が得意だったが学業は苦手で、ジルドの助けを借りて何とか卒業できた。二人は親友として互いに支え合い、成長していった。

ジルドは学業で優秀な成績を収める一方、グラートは家を出るほど家庭内で問題を抱えていたが、ジルドが彼を学院に戻すほどの強い絆で結ばれていた。ジルドは財務部への途を歩み、グラートは魔物討伐部隊へと進んだ。ジルドの弟が魔物討伐部隊への参加を望んだとき、ジルドは当初反対していたが、グラートの存在によって安心し、弟を託すことに同意した。

グラートはジルドの弟を守ると約束し、その責任を真剣に受け止めていた。しかし、ジルドの弟が貧血で落馬する事故を防げなかったことを深く悔いている。ジルドはこれを責めず、グラートを励ました。ジルドの提案により、遠征でカマスの干物が供給されるよう予算の調整を行うことになり、二人は未来に向けて新たな約束を交わす。

ダリヤという名の魔導具師

ダリヤは王城騎士団の魔物討伐部隊の御用達商会および相談役魔導具師として任命された。商会としては、騎士団に優先的に物品を供給し、騎士団から一定の保護を受けることになる。相談役としての立場は、通常「爵位候補」と見なされるため、ダリヤは男爵に叙される可能性が高いとされる。これにより、無理な取引を持ちかける者はおらず、貴族としての適切な扱いを受けることが期待される。

グラートの言及した「囲う」とは、魔物討伐部隊による保護のことを指す。通常、爵位の授与には推薦から査定を経て叙爵されるまで一年以上を要するが、ダリヤの場合は比較的速やかに進む見込みである。この急展開に、ダリヤは内心戸惑いつつも、フォルトにより爵位授与の準備を進められることになり、心の準備もないまま叙爵が現実のものとなる。

グラート隊長は隊員たちを一回り確認した後、たき火近くの防水布に腰を下ろした。隣でフライパンでハムエッグが作られており、安価な食材でも格別に美味しく感じる。ロセッティ商会長は、遠征前に「卵ケース」を作り、腐敗防止を付与して遠征に持参していた。この新しい容器は卵を一つも割らずに運ぶことができたため、今後は他の食材もこの方法で運ぶ可能性があると考えられる。

遠征食の進化を味わいながら、グラートは隊の環境が改善されたことに心から感謝している。かつては水や食料、過酷な環境が原因で隊員が亡くなることも多かったが、最近ではそのような死亡事故は大きく減少している。防水布や軽量なテント、乾燥中敷きなどの新しい装備のおかげで、隊員たちの生活環境が大きく改善された。これらの改善は、隊員たちの健康を守り、効率的な遠征を可能にしている。

食事中に、ロセッティ商会長がヴォルフと共に新しい食材を提供してくれる。彼女の革新的なアプローチに感謝するグラートは、今後も彼女の技術を魔物討伐部隊で活用していきたいと考えている。隊員たちの笑い声や談笑する声が、平和な時を感じさせ、グラートにとってはこの環境改善が隊員たちにとってどれほど価値があるかを再認識する瞬間である。

番外編  父と娘の魔導具開発記録 ~声渡りの魔導具 ~

カルロは娘のダリヤに「声渡り」と呼ばれる魔導具を紹介した。この魔導具は声の質を変えることができるもので、セイレーンの髪が材料として用いられている。セイレーンの髪は、ある歌手がセイレーンとの歌合戦に勝利して得たものであることをカルロは説明する。また、ダリヤがその魔導具を使う方法も教え、彼女が自分で試してみることを勧める。

その夜、カルロは胃薬を飲んでおり、ダリヤに心配される。彼は翌日の男爵会のために胃が痛いことを明かし、娘には声渡りの製作を試すように言う。会話の中で、カルロは男爵会でのエチケットや貴族間の付き合いの難しさを語る。彼はまた、男爵会の参加が名誉である一方で、礼儀作法に気を使う必要があることを示唆する。

カルロは「声渡り」という魔導具を開発したが、その途中でリーナ先生の勧めにより商品化し、声がれを持つ人々のために役立てることにした。しかし、その後、不快な予感を持ちながら学長室に呼び出され、そこで再び彼と会う。彼はカルロに対し、国のための魔導具作りを強く求めたが、カルロは人を傷つける魔導具を作ることを拒否した。

カルロは王城での給湯器の修理以外に王城関連の仕事をほとんど引き受けておらず、日々の魔導具開発に注力していた。しかし、最近になって、特に貴族向けではないにもかかわらず高容量で高温の給湯器に関する相談が続いていたことから、再び彼の存在を意識することになる。

ダリヤは魔導具師としての才能を発揮し始めており、カルロは彼女の才能が外部から狙われることを懸念していた。特に彼のような者に声をかけられる可能性を恐れていた。そのため、ダリヤを守るために、友人や仲間に頼むことを決意する。

ダリヤが「声渡り」を使ってカルロの声を模倣する場面では、父娘の間の温かい関係が描かれ、カルロは彼女が幸せで笑顔の多い人生を送れるよう願っている。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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