望まぬ不死の冒険者3巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者5巻
どんな本?
『望まぬ不死の冒険者』は、丘野優 氏による日本のライトノベル作品。
小説家になろうにて2016年9月22日より連載されており、オーバーラップノベルスより刊行されている。
イラストはじゃいあん 氏が担当。
物語は、銅級冒険者のレント・ファイナが水月の迷宮で龍に食われて不死の魔物として蘇るところから始まる。
レントは魔物を食らうことで進化していき、骨人から屍食鬼、下級吸血鬼となる。
レントは自分の境遇に苦しみながらも、冒険者としての夢を捨てずに、魔物と人間の狭間で生きることを決意する。
しかし、レントの存在は世界の秩序を揺るがす危険なものとして、様々な勢力の注目を集めてしままう。
この作品は、コミカライズやテレビアニメ化もされており、人気の高いファンタジー作品。
コミカライズは中曽根ハイジが作画を担当し、コミックガルドにて連載中。
テレビアニメは2024年1月より放送予定。
読んだ本のタイトル
#望まぬ不死の冒険者 4
著者:#丘野優 氏
イラスト:#じゃいあん 氏
あらすじ・内容
マルトでの生活を送る『不死者』であり冒険者のレント。
望まぬ不死の冒険者 4
その街に聖女と吸血鬼ハンターが現れたことにより、レントは自身の秘密がバレそうになるが、通常の判断方法では明らかにならないことが発覚する。
なおも疑いを隠さない吸血鬼ハンターの追求をかわし続けるレントは、ロレーヌからある提案を受ける。
自身の故郷で、ルーツを探ろうと。
その旅立ちの前に、街で出会った様々な人に一時の別れを告げに向かうレントだったが……。
強大な魔物と戦い、多くの謎を暴き、そして強くなる。
死してもなお遙かなる神銀(ミスリル)級を目指す、不死者レントの『冒険』、第4弾――!
感想
冒険者の弟子が出来たレントは弟子のアリゼの装備を贈るために材料を集めにダンジョンへ向かう。
魔獣タラスクを売った金で何か買って贈ろとしたのだが、、
タラスクの状態が良過ぎてなかなか値が付かず。
レントは金欠になっていたw
それなのでアリゼへのプレゼントは自分の足で素材を集める事にする。
そして、材料をロネーヌに渡して魔法使い用のロッドをつくってもらい。
武具は鍛冶屋のクロープに頼むつもりで保管する。
そして以前、タラクスを売った商人の元に行くと、ヴァンバイヤーを専門に狩る金級冒険者ニヴが来た。
ヴァンパイヤーと思われるレントを狩るために強引に絡んで来て、ヴァンパイヤに致命的な聖気を濃密に込めた炎をレントに放つが、、
元々聖気を持っているレントには効かず。
普通のヴァンパイヤなら悲鳴を上げて転げ回っている状態だが、レントはピンピンしておりヴァンパイヤである疑惑を回避する。
レントの最近の行動がヴァンパイヤの行動そのものだったらしく、感の良いニヴにロックオンされたレントには迷惑な話だったが、、
ヴァンパイヤハンターとして有名なニヴがヴァンパイヤではないと証明してくれた事で、レントはより動きやすくなる。
でも、ニヴにウザいくらい絡まれて、、
レントにも苦手な人がいると判明する。
最後までお読み頂きありがとうございます。
望まぬ不死の冒険者3巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者5巻
考察・解説
弟子の素材集め
弟子の素材集めにおける新月の迷宮探索と素材確保の成果
レントが初めての弟子となったアリゼに贈る初期武具や魔術媒体の素材を求め、《新月の迷宮》を探索した。レントが弟子のために行った素材集めの動機から迷宮での死闘、そして帰還後の素材選定にいたるまでの過程を解説する。
弟子アリゼのための武具と素材集めの動機
タラスクの売却金がまだ入らず金欠気味だったレントは、アリゼの武具(剣と軽鎧)と魔術媒体(短杖)を用意するため、自分で素材を採取して節約することを決意した。ロレーヌからも魔術媒体の作成に必要な魔石と木材の採取を頼まれる。弟子の初めての武具は師匠が用意するという古い慣習に従い、レントは《新月の迷宮》へと向かった。
浅層でのエーデルの活躍と豚鬼兵士討伐
迷宮の第一階層と第二階層では、レントの眷属となった小鼠エーデルが活躍した。エーデルは存在進化の影響で生えた飛膜で空を飛び、魔術まで使いこなしてゴブリンやスライムを討伐した。第二階層では、上位の魔物である豚鬼兵士三体に囲まれる局面もあったが、レントとエーデルの連携によってすべて討伐し、魔石などを回収した。
第三階層での灌木霊討伐と短杖の素材確保
第三階層の深い森で魔猿の群れを協力して倒した後、レントは短杖の素材となる灌木霊を探した。灌木霊は周囲の木に擬態しているため見分けるのが難しく、木を叩いて反応を探る方法をとった。襲いかかってきた灌木霊に対し、幹の目の奥にある霊体を魔力を込めた剣で突くことで討伐し、シラカバやエボニー、モミノキが変異した木材を確保した。
第四階層での魔鉄採掘と地亜竜との死闘
森魔狼の群れを倒して第四階層の岩山へ到達したレントは、蜥蜴人や鉱山ゴブリンを倒しながら坑道へ入り、アリゼの武具の材料となる魔鉄鉱石を採掘した。坑道の深部でボスの地亜竜と遭遇し、岩の盾と槍を操る巨体に苦戦するが、魔気融合術で柔らかい腹や首を切り裂いて討伐し、有用な素材を入手した。さらに古い採掘場へ進み質の良い魔鉄を採掘したが、下層で圧倒的な力を持つ大地竜の姿を目撃し、実力差を悟って帰還を決意した。
ロレーヌによる精錬と素材の選定
帰還後、レントはロレーヌに素材の鑑定と精錬を依頼した。集められた素材はロレーヌの手によって以下のように選定・処理された。
- アリゼの短杖の素材として、シラカバかモミノキの木材と、階層で得た魔石が選ばれた
- ロレーヌの錬金術により、魔鉄鉱石から純度の高いインゴットが精錬された
- 大地竜の魔力で変質した魔鉄は魔武具を作れる高級素材と判明したが、初心者のアリゼには強すぎるため保留となった
まとめ
レントは弟子のために危険な迷宮へ挑み、エーデルとの連携や自身の技術を駆使して貴重な素材を集めきった。ロレーヌの協力も得て揃えられたこれらの素材は、アリゼが冒険者と魔術師としての道を歩み始めるための重要な第一歩となった。
新月の迷宮探索
新月の迷宮探索におけるレントの戦闘と銅級昇格試験への軌跡
不死者となり「レント・ヴィヴィエ」という新たな身分で鉄級冒険者として再登録したレントは、自身の力を確かめ、銅級昇格への足がかりを掴むため《新月の迷宮》へと向かった。この探索の目的、戦闘の様子、そしてその結果について解説する。
探索の目的と迷宮の特徴
レントは鉄級冒険者としての初仕事に、「豚鬼(オーク)」の討伐および肉の納品依頼を選んだ。森に生息する豚鬼は群れで行動し武装しているが、迷宮内に湧出したばかりの個体は知能が低く単独行動が多いため、ソロのレントにとっては戦いやすい相手であった。
目的地である《新月の迷宮》は、浅層から複数の魔物が同時に襲ってくることが多く、本来はパーティでの探索が推奨される場所である。そのため、ソロで挑もうとするレントは周囲の冒険者から珍しい目で見られていた。
複数魔物との戦闘と実力の確認
屍鬼となった自分の力が格上の豚鬼に通用するか未知数だったレントは、まず浅い階層で骨人(スケルトン)やスライムを相手に実力を測ることにした。実際、複数体の魔物に囲まれると、一対一とは異なり弱点を突く隙をなかなか見つけられず苦戦を強いられた。しかし、豚鬼戦に向けて魔力や気を温存しつつ、地道に敵の数を減らしてほぼ無傷で勝利を収めた。この戦いで、装備の高い耐久性と自身の成長した戦闘能力を確認できた彼は、豚鬼とも戦える確信を得てさらに深層へと進んでいった。
豚鬼との死闘と解体
深層で遭遇した豚鬼は、鈍重な姿ではなく極限まで磨き上げられた筋肉の塊であり、剛力で棍棒を振るう危険な戦士であった。通常の攻撃では致命傷を与えられないと判断したレントは、盾の魔術を準備し、気で身体能力を限界まで強化して一撃必殺の構えをとった。豚鬼の恐ろしい突進に対し、冷静さを失わず胸に大きな隙を作った一瞬を逃さず剣を振り抜き、見事に一撃で討伐を果たした。
討伐後、レントはすぐさま血抜きを行い、ロースやヒレ、心臓など自身が消費する部位をマルトホオノキの葉で包んで切り取り、魔法の袋に収納した。こうして彼は、無事に依頼分である三体分の豚鬼の肉を確保した。
まとめ
帰路の途中、レントは若き駆け出し冒険者であるライズとローラの二人組が魔物と戦っている場面に遭遇した。彼らが堅実な連携でスライムとゴブリンを倒すのを見届けたレントは、介入することなく静かに迷宮を後にした。
今回の探索における主な成果は以下の通りである。
- 複数体の魔物との戦闘を通じて自身の高い戦闘能力と装備の耐久性を確認したこと
- 強敵である豚鬼三体をほぼ無傷で討伐し、依頼された肉の確保に成功したこと
- 鉄級では困難とされる実績を上げたことで、特例として即座に銅級昇格試験の受験資格を与えられたこと
鉄級冒険者では討伐が困難な豚鬼を三体も狩ってきたレントの実績は、冒険者組合から高く評価された。その結果、彼は鉄級のまま留め置かれるべきではないと判断され、次なるステップへの道を切り開くこととなった。
吸血鬼狩りの接触
吸血鬼狩りとの接触における試練と協力関係の構築
タラスク素材の売却のためにステノ商会を訪れたレントが、隣国で名を馳せる吸血鬼狩りの金級冒険者ニヴ・マリスと対峙することになった。予期せぬ対面から課された試練、疑いの背景と莫大な賠償、そして交わされた奇妙な約束にいたるまでの経緯を解説する。
ステノ商会での予期せぬ対面
タラスク素材の買い手と面会するため、レントはマルトの大商会であるステノ商会を訪れた。会頭であるシャール・ステノと話している席へ買い手として現れたのは、隣国で中級吸血鬼の群れを滅ぼしたことで名を知られる金級冒険者ニヴ・マリスと、ロベリア教の聖女ミュリアス・ライザの二人であった。吸血鬼への存在進化を果たしたばかりのレントにとって、吸血鬼狩りの二つ名を持つニヴは天敵とも言える最も遭遇を避けたかった相手であった。
聖女の祝福と聖炎の試練
ニヴはマルトの街に吸血鬼が潜んでいると疑っており、交渉相手のレントが吸血鬼ではないかと警戒していた。まずミュリアスがレントに浄化の聖気をかけたが、レント自身も聖気を持っていたため無傷でやり過ごした。さらにニヴは、自身の特技であり吸血鬼探しに特化した高位技術《聖炎》を用いて、強引にレントを白い炎で包み込んだ。吸血鬼であれば激しい苦痛を伴うはずの炎であったが、レントには熱さも苦痛も感じられず、結果としてニヴから吸血鬼ではないと判定された。レントは、自身が聖気を持っていなければ正体を暴かれていた可能性を悟り、かつての行いに感謝した。
疑いの背景と莫大な賠償
そもそもニヴがレントを疑ったのには、明確な理由が存在していた。その背景やレントにとっての利点は以下の通りである。
- 短期間で銅級に昇格したこと
- タラスクを単独で討伐したこと
- 人目の少ない時間に活動し、仮面とローブで姿を隠していること
これらの行動が吸血鬼の特徴とあまりにも一致していたため、強い警戒心を抱かれていた。疑いが晴れた後、ニヴは騙し討ちのような判別を行ったことへの謝罪として、タラスクの落札予想額を大幅に上乗せし、白金貨二十枚(金貨二千枚相当)を支払うと申し出た。レントは内心でその大金に驚きつつも、欲しかった大容量の魔法の袋を買うための資金になると考え、これを受け入れた。
まとめ
ニヴの真の目的は、一般的な吸血鬼狩りではなく、伝説やおとぎ話に登場する国崩しの魔物「黄昏の吸血鬼」を狩ることにあった。彼女はレントに対し、見た目では分からない黄昏の吸血鬼を探すため、勝てないと感じる吸血鬼に出会ったら連絡してほしいと依頼し、冒険者組合を通じた連絡先の記された紙を渡した。
レントは吸血鬼相手の技術と経験においてニヴが自分より優れていることを理解し、その条件でならと約束を交わし、握手をして一時的な協力関係を結ぶことになった。予期せぬ危機の局面は、結果として莫大な資金と強力な協力者を得る転機となった。
聖女と聖気の実態
聖女と聖気の実態における性質と使用者へのリスク
神聖な奇跡として人々に崇められる聖気は、その力の起源の曖昧さや使用者にもたらすリスクなど、複雑な背景を持つ要素である。聖気の性質、聖女の役割や葛藤、そして聖気を使用するリスクについて解説する。
聖気と聖女(聖人)の定義
聖気とは、神や精霊の加護によって得られる特殊能力である。人の傷や病気を治癒したり、不死系の魔物を浄化してかき消す力を有する。この力を持つ者はほとんどが聖職者であり、一定以上の強大な力を持つ者が宗教団体から「聖女」または「聖人」として認定され、尊崇の対象となる。
彼女らは布教活動において大きな力を発揮する存在であり、各地を巡って人々に無料で治癒の奇跡を施すことで、自らの宗教の偉大さを宣伝する役割を担っている。
聖気の獲得と信仰の乖離
聖気は神の加護とされているが、特別な場合を除き、どの神から加護を与えられたのかを明確に知る方法はほとんどない。
たとえば、ロベリア教の聖女ミュリアス・ライザは、ある日突然に怪我人を治せる気がしたという理由だけで力を得ている。そのため、それが本当に唯一神ロベリアの加護なのか確信を持てず、自身の信仰に疑念を抱いている。また主人公のレントも、深い信仰心があったわけではなく、気まぐれに寂れた祠を修理したことで精霊から聖気を得た。これらの事例から、聖気の獲得と本人の信仰心の深さは必ずしも一致しないことが判明している。
聖気の多様な効果
聖気は治癒や浄化が基本であるが、加護を与えた神霊の性質によってその効果や使い方は千差万別である。主な使用者の特徴と効果は以下の通りである。
- ミュリアス:治癒と浄化に大きく特化しており、街一つを包むほどの治癒の光を降らせることも可能である
- レント:植物系の精霊から加護を得たためか、治癒や浄化に加えて、植物の生長を劇的に促進させるという特殊な効果を持つ
- ニヴ・マリス:吸血鬼狩りの金級冒険者であり、膨大な聖気を持ち、その扱いに習熟した者にのみ宿る《聖炎》という神の炎を操る。これは吸血鬼には苦痛を与え、そうでない者には害を与えないため、吸血鬼の判別や退治に特化した能力として使われる
聖気は極めて貴重な力であり、十分な力があれば聖騎士団などに破格の条件で勧誘されるほどである。
まとめ
強大な聖気を持つ聖女や聖人であれば問題ないが、それほど強い聖気を持たない者が力を酷使すると、反動で体内に「邪気」を取り込んでしまうという危険がある。
これが蓄積すると《邪気蓄積症》という病を発症し、徐々に体を衰弱させてしまう。マルト第二孤児院の管理者である僧侶リリアンもこの病に倒れ、治療には希少な《竜血花》という特効薬が必要となった。聖気は人々を救う奇跡の力であると同時に、使用者自身を蝕むリスクも抱えた力と言える。
節約と金銭問題
望まぬ不死の冒険者における金銭問題と登場人物たちの節約・解決策
節約と金銭問題は、『望まぬ不死 of 冒険者』において、主人公レントやその他の登場人物たちの行動や選択に大きな影響を与える現実的で重要なテーマである。彼らが抱える金銭事情やその解決策について解説する。
レントの金銭事情と節約
万年銅級下位であったレントは、生前から決して裕福ではなく、日銭を稼いでは節約してこつこつと貯金をする生活を送っていた。彼が愛用している魔法の袋も、5年かけて資金を貯めて購入したものである。
屍鬼へと存在進化した後も、彼の金銭的な悩みは尽きない。一番の弟子のアリゼのための初期武具や冒険者道具、および自身の羽を隠すための特注の服を購入する予定であったが、タラスクの素材売却金がすぐに入らなかったため資金不足に陥る。そこでレントは節約のために、アリゼの武具の素材(魔鉄や灌木霊の木材など)を自ら《新月の迷宮》へ採取しに行くことを決意する。また、採取した魔鉄の精錬も、普通なら金貨が飛ぶような作業であるにもかかわらず、ロレーヌに無料で引き受けてもらい費用を浮かせている。
切実な金銭問題を抱える人々
レント以外にも、金銭問題に直面し、切実な行動をとる人々が描かれている。主な人物や組織の状況は以下の通りである。
- ロリス(赤竜亭の店主):経営不振により借金を重ね、来週までに金貨3枚、総額で金貨15枚を返済しなければ店を失う状況にあった。そのため、実力もないのに一攫千金を狙って迷宮へ入り、骨巨人に殺されかける。レントは彼を助け、金貨15枚以上の価値がある骨巨人の魔石を譲る代わりに、自身の買い物などを代行する協力者になってもらい、さらに店での飲食を無料にするという契約を結んだ
- マルト第二孤児院:運営母体である東天教は寄付を強制しないため常に資金難であり、孤児院の建物も老朽化が進んでいる。院長リリアンの病気(邪気蓄積症)を治す特効薬《竜血花》の採取依頼も、通常の相場では到底支払えないため、「銅貨一枚」というボランティア同然の報酬で冒険者組合に出すしかなかった。レントはこの依頼を無償の善意で引き受けただけでなく、アリゼが冒険者になるための武具購入資金も、出世払いという形で支援している
高価なアイテムと一攫千金
金欠に悩むことが多いレントだが、冒険者としての知識と機転で一攫千金を得る場面もある。タラスクの討伐にあたっては、自身の不運な体質を考慮し、事前に金貨を支払って冒険者組合から大容量 of 魔法の袋をレンタルするという投資を行った。結果的にタラスクを丸ごと収納して持ち帰ることに成功し、さらに吸血鬼狩りの金級冒険者ニヴ・マリスから、素材の買取代金および慰謝料として白金貨20枚(金貨2000枚相当)という莫大な報酬を手に入れる。これにより、レントは念願であった大容量の魔法の袋を購入する資金を得ることができた。
一方で、安物買いの銭失いの典型として、リナがレントのために買った仮面のエピソードがある。相場なら銀貨はするはずの金属製の仮面を、露店で「銅貨3枚」という怪しい安さに惹かれて購入してしまった結果、それが呪いのアイテムであり、レントの顔から外れなくなってしまったのである。
まとめ
金銭的な制約や節約への意識は、キャラクターたちの工夫や助け合いを生み出し、物語に現実味と人間ドラマの深みを与えている。
レントの周囲で発生した金銭問題とその対策をまとめると以下の通りである。
- 自身の資金不足に対しては迷宮での自力調達やロレーヌの協力を得ることで節約を徹底したこと
- 経営難のロリスや資金難の孤児院に対しては、魔石の譲渡や無償の依頼引き受けによって救済と相互協力を実現したこと
- 適切な投資によってタラスクの全回収を成功させ、最終的に莫大な報酬と念願のアイテムを手に入れたこと
これらのエピソードが示すように、金銭問題は単なる生活の困窮にとどまらず、新たな人間関係の構築や成長のきっかけとして機能していると言える。
エーデルの戦闘能力
エーデルの戦闘能力と迷宮探索における多彩な活躍
最弱クラスの魔物である「小鼠(プチ・スリ)」でありながら、主人公レントの眷属となったことで劇的な成長を遂げたエーデルは、上位魔物や強大なボスとも渡り合えるほどの高い戦闘能力を誇っている。レントの迷宮探索において主人を驚かせるほどの多彩な活躍を見せるエーデルの戦闘能力について解説する。
驚異的な機動力と飛行能力
エーデルはレントの存在進化の影響を受け、脇の下から後ろ足の先にかけてムササビのような飛膜を持っている。これを利用して滑空するだけでなく、空中で静止することも可能であり、羽を持て余しているレントよりも自由自在に空中を駆け回ることができる。
また、両足に魔力を込め、木を爪でえぐりながら物凄い速度で登り上がるという芸当も可能である。この身軽さを活かし、迷宮の第三階層では樹上にいる多数の魔猿(ケセム・コフ)を相手に単独で大立ち回りを演じ、次々と地面に叩き落とした。
必殺の高速回転体当たり
エーデルの基本的な物理攻撃は、自らの体を高速で回転させながら敵に突っ込み、相手をミンチにするという強烈な体当たりである。その破壊力はすさまじく、ゴブリンの頭部を破裂させるだけでなく、本来物理攻撃に強い耐性を持つはずのスライムすらも粉々に粉砕し、再生不能にしてしまうほどの威力を誇る。
強力な魔術の行使と実戦での成果
エーデルは特別な器官を持たない小鼠でありながら、魔力を直感的に操り、魔術を使用することができる。その具体的な特徴や実戦での活躍は以下の通りである。
- 威力を絞らなければ、素材を大きく傷つける風の刃や山ごと燃やしそうな火炎の弾を放つことができるほどの桁外れな威力を有すること
- 風の刃を用いて、上位魔物である豚鬼兵士(オーク・ソルジャー)の首を鮮やかに切り落としたこと
- 強敵である鉱山ゴブリンに魔術を当てて、レントが攻撃する隙を作り出す見事な魔法アタッカーとして機能したこと
聖気の吸収と対タラスク戦での活躍
エーデルの戦闘力と機転は、銀級上位パーティでも苦戦する強大な亜竜タラスクとの戦闘でも発揮された。エーデルはタラスクの巨体や六本足に踏まれることなく巧みに背中へ登り、眷属の繋がりを通じてレントから勝手に「聖気」を吸い上げて自身の体に纏わせた。
そのままタラスクの傷口に体当たりを敢行し、タラスクが苦悶の声を上げるほどのダメージを与えた。さらに、タラスクの反撃で吹き飛ばされた際も、吸収した聖気の力によって自らを治癒しており、無傷で生還するというタフさも見せた。
まとめ
元は十歳前後の子供でも倒せるほど弱い魔物であったエーデルであるが、レントの眷属となったことで、並の冒険者を凌駕するほどの高い戦闘力と多様な攻撃手段を獲得した。その成長スピードはあまりにも早く、主であるレント自身がこれ以上強くなられると俺の見せ場がなくなってしまうと内心で焦りを感じるほど、頼もしく自由奔放な戦力となっている。
望まぬ不死の冒険者3巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者5巻
登場キャラクター
主人公とその関係者
レント・ヴィヴィエ
神銀級冒険者を目指す不死者の青年である。ロレーヌとは友人関係にあり、孤児の少女アリゼの師匠を引き受けた。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・銅級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
アリゼの初期武具の素材を求め、《新月の迷宮》を探索した。豚鬼兵士や灌木霊、森魔狼、地亜竜などの強力な魔物を討伐している。タラスクの素材売却のためステノ商会を訪れ、吸血鬼狩りのニヴから《聖炎》による判別を受けた。自身の持つ聖気のルーツを探るため、故郷であるハトハラー村への帰郷を決意した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ニヴの《聖炎》に耐え抜き、吸血鬼ではないと判定された。
ロレーヌ・ヴィヴィエ
レントの友人であり、彼を研究対象とする学者である。アリゼに魔術を教える師匠でもある。
・所属組織、地位や役職
銀級冒険者。学者。魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
レントが迷宮から持ち帰った魔鉄鉱石を錬金術で精錬し、インゴットを作成した。レントの聖気の謎を解明するため、彼にハトハラー村へ帰郷するよう提案している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
かつてはレルムッド帝国で学長を狙える地位にいたが、権力闘争に疲れヤーラン王国へ移住した過去を持つ。
エーデル
主人公の眷属である小鼠である。
・所属組織、地位や役職
レントの眷属。
・物語内での具体的な行動や成果
レントの迷宮探索に同行し、ゴブリンやスライムを回転体当たりで倒した。魔術によって風の刃を放ち、レントの戦闘を支援している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
レントの存在進化の影響を受け、脇の下から足にかけて飛膜が生えて空を飛べるようになった。
アリゼ
レントとロレーヌを師匠に持つ孤児の少女である。
・所属組織、地位や役職
マルト第二孤児院・孤児。
・物語内での具体的な行動や成果
本文内に直接的な行動の記載はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
魔力量が多く、ロレーヌから魔術の基礎を学ぶ予定となっている。
リナとその関係者
リナ・ルパージュ
かつてレントに助けられた駆け出しの冒険者である。騎士になる夢のために実家を出た。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・銅級冒険者。ローグ家・元令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
レントから受けた助言を活かし、冒険者組合の講習に参加して知識と技術を身につけた。堅実に依頼をこなして実績を積んでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実力を認められ、同年代のパーティから加入の誘いを受けた。
イドレス・ローグ
リナの歳の離れた兄である。妹の良き理解者として振る舞う。
・所属組織、地位や役職
ローグ家・長男。王国第一騎士団・騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
リナに武術の基礎を教えた。裏町へ連れ出して世の中の現実を見せ、家を出るというリナの決断を支持している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
リナの両親
厳格な父と、娘の結婚を望む母である。
・所属組織、地位や役職
ローグ家・当主夫妻。
・物語内での具体的な行動や成果
リナが騎士を目指すことを認めず、結婚を強要した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
冒険者組合
シェイラ
冒険者組合の受付職員である。レントと親しい関係にある。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・職員。
・物語内での具体的な行動や成果
迷子になったペットを探すという依頼をレントに斡旋した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
レントの経歴をレルムッド帝国出身とする偽装に協力している。
ダリオ
解体場の責任者である。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・解体場職員。
・物語内での具体的な行動や成果
本文内に直接的な行動の記載はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ラトゥール家
ラウラ・ラトゥール
ラトゥール家の当主である。レントに信頼を寄せている。
・所属組織、地位や役職
ラトゥール家・当主。
・物語内での具体的な行動や成果
ハトハラー村へ向かうレントからの依頼中断の申し出を快諾した。聖気に関するラトゥール家の秘匿資料をレントに貸与することを提案している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
イザーク
ラトゥール家に仕える執事である。
・所属組織、地位や役職
ラトゥール家・執事。
・物語内での具体的な行動や成果
訪問したレントをラウラの待つ応接室へ案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
レントが不在の間、竜血花の採取依頼を代行する。
ラトゥール家の門番の男
ラトゥール家の門を守る男である。
・所属組織、地位や役職
ラトゥール家・門番。
・物語内での具体的な行動や成果
レントの話し方が流暢になったことに気付き、声をかけた。魔道具を操作してイザークを取り次いでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ステノ商会
シャール・ステノ
ステノ商会の会頭である。商人としての矜持を持ち、顧客を守ろうとする姿勢を見せる。
・所属組織、地位や役職
ステノ商会・会頭。
・物語内での具体的な行動や成果
タラスクの売却交渉のためレントを応接室に招いた。ニヴの要求から店と顧客であるレントを守るため同席し、自らも《聖炎》による判別を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ニヴの判別により、吸血鬼ではないと証明された。
ステノ商会の店員
物慣れた雰囲気を持つ細身の男である。
・所属組織、地位や役職
ステノ商会・店員。
・物語内での具体的な行動や成果
来店したレントを五階の応接室へ案内し、茶を提供した。のちにニヴたちを応接室へ案内している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ロベリア教
ミュリアス・ライザ
ロベリア教の聖女である。真面目で素直な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
ロベリア教・聖女。
・物語内での具体的な行動や成果
大教父の命令でマルトへ派遣された。ニヴに同行してステノ商会を訪れ、周囲の浄化とレントへの祝福を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
レントの体内に聖気を感じたが、最終的な判断はニヴの結果に従った。
ギーリ
目つきの鋭い神官である。子供の頃は冒険者に憧れていた過去を持つ。
・所属組織、地位や役職
ロベリア教・神官。
・物語内での具体的な行動や成果
マルトの教会の現状を憂うミュリアスを諭した。大教父からの指令を読み上げ、ニヴの供をするようミュリアスに伝えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
大教父
ロベリア教の最高権力者である。
・所属組織、地位や役職
ロベリア教・大教父。
・物語内での具体的な行動や成果
本文内に直接的な登場の記載はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ミュリアスをマルトへ派遣し、ニヴの供をするよう指令を出した。
アールズ
ロベリア教で多忙を極める聖者である。
・所属組織、地位や役職
ロベリア教・聖者。
・物語内での具体的な行動や成果
本文内に直接的な登場の記載はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ミリア
ロベリア教で多忙を極める聖女である。
・所属組織、地位や役職
ロベリア教・聖女。
・物語内での具体的な行動や成果
本文内に直接的な登場の記載はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
異端根絶騎士団の狩人たち
邪な魔物を狩る専門の集団である。
・所属組織、地位や役職
ロベリア教・異端根絶騎士団。
・物語内での具体的な行動や成果
本文内に直接的な登場の記載はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
エン教
ヴィルナ
水色の髪と深い青色の瞳を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
エン教・治癒の聖女。
・物語内での具体的な行動や成果
マルトの広場で大規模な治癒の光を降らせた。迷子になったペットのヤミノカの捜索をレントに依頼し、共に見つけ出している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
強力な聖気を持ち、怪我をした犬を瞬時に完治させた。
エン教の司祭
ヴィルナに仕える司祭である。
・所属組織、地位や役職
エン教・司祭。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴィルナに対して外出先を尋ねた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
その他
ニヴ・マリス
吸血鬼狩りへの強い執念を持つ冒険者である。
・所属組織、地位や役職
冒険者組合・金級冒険者。名誉男爵。
・物語内での具体的な行動や成果
レントを吸血鬼と疑い、《聖炎》による判別を行った。吸血鬼ではないと判断したのち、大金を支払って謝罪している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
クロープ
鍛冶屋の主である。
・所属組織、地位や役職
鍛冶屋《三叉の銛》・店主。
・物語内での具体的な行動や成果
本文内に直接的な登場の記載はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
レントが魔鉄を使った武具の作成を依頼する予定の人物として言及されている。
透けた少女
幼い容姿だが、大人びた表情を持つ謎の少女である。
・所属組織、地位や役職
不明。
・物語内での具体的な行動や成果
第四階層の坑道で、ローブの骨人に問いかけをしたのち消滅した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
骨人の幻影
かつてのレントと同じ姿をした骨人である。自分が何者か分からず混乱している。
・所属組織、地位や役職
不明。
・物語内での具体的な行動や成果
第四階層の坑道で、透けた少女と会話したのち消滅した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
傾城のアドネー
魅了の魔眼を持っていたとされる歴史上の人物である。
・所属組織、地位や役職
不明。
・物語内での具体的な行動や成果
本文内に直接的な登場の記載はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
王を誑かし、国を滅ぼしたと伝えられている。
ヤミノカ
ヴィルナにだけ懐く水竜の幼生体である。
・所属組織、地位や役職
ヴィルナのペット。神獣。
・物語内での具体的な行動や成果
迷子になりゴブリンと対峙していたが、レントたちに助けられた。レントに竜玉を吐き出して渡している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エン教において世界を救済する神獣とされている。
村の木工職人
ハトハラー村の職人である。
・所属組織、地位や役職
ハトハラー村・木工職人。
・物語内での具体的な行動や成果
本文内に直接的な登場の記載はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
冒険者になる前のレントに木工の基礎を教えたと回想で語られている。
望まぬ不死の冒険者3巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者5巻
展開まとめ
第一章 新月の迷宮へ
素材集めとリナの再出発
金策と素材集め
レントはタラスク全体の売却金を得られると思って予定を空けていたが、まとまった収入はまだ入らなかった。アリゼの武具や冒険者道具、自分の羽に対応した服を買うつもりだったが、資金不足で予定は崩れた。そこでレントは節約のため、アリゼの初期武具の素材を自分で採取することを思いついた。
師匠としての贈り物
レントがロレーヌに素材集めの考えを話すと、ロレーヌは無理に素材から集める必要はないと言いつつ、金策のためなら理解できると答えた。さらにロレーヌは、アリゼに魔術媒体を作らせるための魔石や素材も頼んだ。レントとロレーヌは、弟子の初めての武具や魔術媒体を師匠が用意する古い慣習に納得し、それぞれアリゼのために素材を集めることになった。
吸血鬼としての危険
レントは、タラスク素材の買い手と会う件についてロレーヌに相談した。ロレーヌは、吸血鬼であるレントが高価な素材として狙われる危険を警告した。レントは冗談めかして吸血鬼の価値を尋ねたが、ロレーヌは白金貨が動くほどだと答えた。レントは自分の血や肉片を売る考えを一瞬よぎらせたものの、血を飲んだ相手が下僕になる可能性を考え、その道を避けることにした。
新月の迷宮
レントはアリゼの素材を求めて《新月の迷宮》へ向かった。第一階層ではエーデルがゴブリンやスライムを相手に戦い、回転体当たりで次々と倒した。レントはエーデルを洗浄しながら、その戦い方が汚れやすく、今後の連携には別の攻撃手段も必要だと考えた。エーデルは魔術による斬撃を見せ、レントは自分の眷属が予想以上に成長していることを知った。
エーデルの変化
エーデルには、レントの存在進化の影響でムササビのような飛膜が生えていた。エーデルはその飛膜で滑空だけでなく空中静止もでき、レントより自由に空を動けた。レントは体重差や魔物としての本能が理由だろうと考えつつ、眷属の成長に複雑な気持ちを抱いた。
第二階層の豚鬼兵士
レントとエーデルは第二階層で豚鬼を探したが、エーデルが勝手に離れた先で三体の豚鬼兵士に囲まれていた。豚鬼兵士は通常の豚鬼より上位で、金属製の武具を持つ危険な魔物だった。レントはすぐに助けに入り、エーデルと連携して一体目を転倒させて首を落とした。残る二体も分断され、レントとエーデルはそれぞれ倒した。
豚鬼兵士の解体
レントは豚鬼兵士を解体し、魔石や食用部位、高く売れる部位を回収した。豚鬼兵士が第二階層にいたことから、存在進化や下層からの移動の可能性を考えた。迷宮の階層移動は《氾濫》や《大波》の前兆になることもあるため、レントは後でシェイラに報告するつもりでいた。
第三階層の魔猿
レントは第三階層へ進み、木々が視界を遮る暗い森に入った。そこで魔猿の群れに襲われた。魔猿は木や蔓を使って不規則に動き、レントは位置をつかめず苦戦した。エーデルは木を駆け上がって上空で魔猿と戦い、傷つけて地面へ落とした。レントは落ちてきた魔猿に止めを刺し、魔石を回収した。
灌木霊探し
レントは短杖の素材となる灌木霊を探した。灌木霊は普通の木に魔力が凝って生まれる魔物で、見分けが難しかった。レントは魔力視の道具を買わなかったことを後悔しつつ、それらしい灌木を叩いて反応を見る方法を選んだ。やがて一本の灌木が叫び声を上げ、枝や蔓でレントを攻撃してきた。
灌木霊の討伐
レントは蔓や枝を避けながら、灌木霊の弱点が幹の目にあたる空洞の奥にある霊体だと見抜いていた。通常なら幹を破壊して倒すが、それでは素材が減るため、レントは魔力を込めた剣で目の奥を突いた。灌木霊は悲鳴を上げ、霊体が霧散して倒れた。レントは素材として使える状態で灌木霊を確保できた。
冒険者リナ・ルパージュ
リナは、かつて顔に刺青のある優しい屍食鬼だったレントに救われたことを思い返していた。彼女はレントのために服や仮面を用意し、マルトへ入れる手助けをした。それは本来許されない行為だったが、リナは短い時間でレントを深く信用していた。
ローグ家の娘
リナはもともとローグ家の娘であり、兄イドレスに憧れて騎士を目指していた。しかし両親は女が騎士を目指すことを認めず、結婚こそが幸せだと考えていた。兄だけはリナの話を真剣に聞き、両親と交渉し、最終的に家を出るという選択肢まで示した。
兄の教え
兄イドレスは、リナを裏町へ連れ出し、平民の厳しい生活や女が一人で生きる現実を見せていた。リナはその経験から、世の中の厳しさを知った。同時に、自分には魔力と気の素養があり、兄から学んだ武術と合わせれば冒険者として生きていけると考えた。リナは覚悟を決め、家を出て冒険者になった。
マルトでの再出発
リナは王都周辺で冒険者として活動したが、依頼の難度が高く、思うように稼げなかった。やがてマルトへ移り、そこでの日々も厳しかったが、レントとの出会いが転機になった。レントは依頼の選び方、狩場、店、交渉方法などを教え、リナはその助言を活かして行動を変えた。
新しい仲間
リナは冒険者組合の講習に参加し、知識と技術を少しずつ身に付けた。依頼の達成率も上がり、やがて同年代の剣士と魔術師兼治癒術師の二人組から、パーティ加入の誘いを受けた。リナは条件を話し合い、その小規模な銅級パーティに加わることを決めた。
第二章 弟子の武具の素材を求めて
新月の迷宮第四階層と大地竜
灌木霊の追加採取
レントは灌木霊を狩り続け、シラカバのほかにエボニーやモミノキの木材も確保した。ブドウの木から変異した灌木霊は強酸性の果汁を撒き散らす厄介な相手であり、レントは酸が自分にも有効だと知った。エーデルの魔術は威力が強すぎて素材を傷つけるため、レントは今後自分で魔術を覚える必要を感じた。
森魔狼の群れ
第三階層の先で、レントは第四階層へ続く階段の周囲にいる森魔狼の群れを見つけた。五匹の森魔狼は連携と咆哮による強化を得意とするため、レントはリーダー格を狙って先手を取った。豚鬼肉で一瞬注意を逸らし、一匹を仕留めたことで連携を崩し、最後はリーダー格も含めてすべて倒した。
第四階層への道
森魔狼の毛皮や爪、牙を回収したレントは、残骸を埋め、血の匂いをエーデルの風魔術で散らした。自分が作った危険地帯を忘れないよう心に刻み、第四階層へ続く階段を下りた。そこには空中に浮かぶ岩山のような階層が広がり、細い一本道の先に蜥蜴人たちが現れた。
蜥蜴人との戦闘
レントは一本道で三体の蜥蜴人と戦った。最初の一体を吹き飛ばして後続にぶつけ、一体を奈落へ落としたが、残る二体は警戒して体勢を変えた。レントは足場の悪さを嫌い、槍を持つ蜥蜴人をすり抜けて背後の一体を落とし、最後の一体は岩山側の安全な場所まで誘導して首を落とした。
魔鉄の採掘
レントは岩山の坑道に入り、アリゼの剣と軽鎧に使う魔鉄を探した。安価な魔道具の板で魔鉄の反応を確かめ、ツルハシで採掘したが、入口近くの鉱石は不純物が多く質が悪かった。より深部へ進もうとしたところ、透けた少女とローブ姿の骨人らしき存在の幻影を目撃した。
坑道の幻影
少女はローブの人物に、どこから来たのかと問いかけた。ローブの人物は何も分からないと混乱し、フードの下から刺青のある骨人の顔を見せた。レントはかつての自分と同じ骨人の姿に驚き近づこうとしたが、少女と骨人の輪郭は薄れ、その場から消えた。レントは理由を掴めないまま、素材集めを優先することにした。
鉱山ゴブリン
レントは坑道で鉱山ゴブリンと遭遇した。鉱山ゴブリンは通常のゴブリンより体格がよく、武器と防具を扱う技術も高かったため、蜥蜴人より手ごわい相手だった。レントは両手斧に苦戦したが、エーデルの風の刃で注意が逸れた隙に剣を叩き込み、鉱山ゴブリンを倒した。
地亜竜の部屋
深部へ進んだレントは、ボス部屋らしき扉を見つけた。危険を感じつつも、逃げられる部屋だと判断して入ると、そこには幼体に近い地亜竜がいた。地亜竜は岩を盾や槍のように操り、レントの攻撃を防ぎながら巨体で突進した。レントは壁に叩きつけられながらも、背中に飛び乗り、腹を魔気融合術で切り裂いて弱らせた。
地亜竜の討伐
地亜竜は腹を裂かれても岩の槍を放ち続けたが、傷の深さで制御が乱れていた。レントはその隙を突き、魔気融合術を込めた剣で首を落とした。地亜竜の鱗、牙、爪、目、魔石は有用な素材だったが、魔法の袋の容量に限りがあったため、持ち帰るものを厳選した。
古い採掘場
地亜竜を倒した先には、大穴のような採掘場が広がっていた。レントが魔道具のスイッチを押すと周囲に明かりが灯り、鉱山ゴブリンが寄ってきた。レントはそれらを倒しながら採掘場を回り、質のよい魔鉄鉱石を集めた。
大地竜の気配
三か所目の採掘を終えたレントは、下層のフロアに巨大な存在を見つけた。それは街一つを壊せるほどの力を持つ大地竜であり、レントは力の差を悟って身動きできなくなった。大地竜は一瞬レントを見たように思えたが、そのまま岩盤を掘って去っていった。レントは死ななかったことに安堵し、過信を戒めて帰還を決めた。
ロレーヌへの報告
レントは冒険者組合に腐りやすい素材を納めたあと、ロレーヌの家へ戻った。ロレーヌは大地竜との遭遇に呆れつつ、生還を喜ぶべきだと話した。採掘場については、迷宮が作ったものではなく、古代の人工施設が迷宮に取り込まれたものだと説明した。ロレーヌは、同じように街が迷宮に取り込まれた例もあると語った。
ロレーヌの故郷
ロレーヌは、故郷のレルムッド帝国で学者として高い地位を狙えるほどの立場にいたと明かした。しかし周囲の足の引っ張り合いに疲れ、安らぎと刺激を求めてヤーラン王国へ来たのだと語った。レントは、ロレーヌがこの街にいてくれることを改めてありがたく思った。
素材の鑑定
翌朝、レントは採取した素材をロレーヌに見せた。ロレーヌは豚鬼兵士の魔石を見て、《氾濫》の前兆かもしれないと述べた。魔鉄鉱石の中には、大地竜の魔力を受けて黄みがかったものがあり、ロレーヌはそれが魔剣や魔鎧などの魔武具を作れる可能性を持つ高価な素材だと判断した。ただし、アリゼの初期装備には強すぎるため使わない方がよいとした。
短杖の素材
ロレーヌは、灌木霊の木材を確認し、アリゼにはシラカバかモミノキが向いていると判断した。エボニーは重く加工も難しいが、腕力のあるレントの短杖には向いているとした。魔石については、鉱山ゴブリン、豚鬼兵士、地亜竜のものが候補となり、最終的にはアリゼの好みも踏まえて選ぶことになった。
魔鉄の精錬
ロレーヌは錬金術で魔鉄鉱石を精錬し、純度の高い魔鉄のインゴットを作った。さらに、大地竜の魔力で変質した鉱石も分けて精錬し、黄みがかった特殊なインゴットにした。レントは無料でそこまでしてもらうことを申し訳なく思ったが、ロレーヌはレントという唯一無二の存在を研究できているため対価は十分だと答えた。
第三章 ステノ商会
ステノ商会と吸血鬼狩り
ステノ商会への訪問
レントはロレーヌに、商人相手には自分の体そのものが貴重品であることを忘れるなと忠告され、ステノ商会へ向かった。ステノ商会はマルトでも有数の大商会であり、店内には多くの客が出入りしていた。レントは仮面姿で目立つことを気にしつつも、タラスクを狩った冒険者として奥の応接室へ案内された。
会頭シャール・ステノ
ステノ商会の会頭シャール・ステノは、レントに無理を言ったことを謝罪し、商会の商品割引や便宜を約束した。レントは倍額でタラスクを買い取る話は冒険者にとってありがたいものだと応じた。シャールはレントについて調べており、無口で不愛想だが、迷宮での戦いぶりは銅級に収まらないと評されていることを伝えた。
偽りの出自
シャールはレントの出自を尋ねた。レントはロレーヌたちが用意した設定に従い、レルムッド帝国の機械都市アーヴァン出身だと答えた。孤児として育ったという話も交えたため、シャールは一応納得した。やがて、今回の取引相手であるニヴ・マリスとミュリアス・ライザが到着した。
吸血鬼狩りニヴ・マリス
ニヴ・マリスは、隣国で名を知られる金級冒険者であり、吸血鬼狩りとして有名だった。中級吸血鬼の群れを滅ぼした実績を持つ彼女の登場に、レントは強い危機感を覚えた。もう一人のミュリアス・ライザはロベリア教の聖女であり、聖気による祝福と浄化のために同席していた。
聖女ミュリアスの祝福
ミュリアスはレントに聖気の祝福を与えようとし、その反応からレントが聖気を使えることに気づいた。ニヴは、自分が命を狙われることが多いため、ミュリアスに周囲の浄化を頼んだと説明した。さらに、吸血鬼は聖気に弱く、自分にはそれを見分ける独自の方法があると語った。
聖炎の判別
ニヴはシャールに聖気の祝福を試し、白い聖炎で包んだ。シャールには聖炎は見えていなかったが、吸血鬼ではないと判定された。続いてニヴは、レントの拒否を聞かずに聖炎を放った。レントは避けようとしたものの命中し、白い炎に包まれたが、熱さも苦痛もなく、むしろ聖気が活性化するように感じた。
吸血鬼ではない判定
ニヴはレントも吸血鬼ではないと判断した。実際には吸血鬼であるレントは内心で驚いたが、表には出さなかった。聖炎は聖気の素養がない者には見えないため、シャールにはレントが一人で慌てて動いているようにしか見えていなかった。レントは、自分の聖気がなければ知らないうちに正体を暴かれていた可能性を悟った。
シャールの矜持
ニヴは、ロベリア教の威光を利用してシャールに会談を受け入れさせたことを明かした。シャールは店と従業員を守るために断り切れず、それでも顧客であるレントを守るため、自分も同席していた。レントは、シャールが商人としての矜持を持ち、危険を覚悟して場に残っていたことを知った。
新人冒険者の失踪事件
ニヴは、各地で新人冒険者の失踪が続いており、それが徐々に東へ移動していると説明した。いくつかの街では、失踪した冒険者が屍鬼として確認されていたが、冒険者組合の記録には残されていなかった。ニヴは、吸血鬼が関わっていると確信し、マルトにもその親玉がいると考えていた。
レントへの疑い
ニヴは、レントが短期間で銅級に上がり、タラスクを単独で狩り、人目の少ない時間に行動し、仮面とローブで姿を隠している点を怪しんでいた。その特徴は吸血鬼の行動として説明できたため、彼女はレントを強く疑った。結果として聖炎で吸血鬼ではないと判定されたため、ニヴは謝罪としてタラスクの買い取りに大きく色をつけると申し出た。
白金貨二十枚
タラスクの素材は、オークションなら最大で金貨四百枚ほどと見積もられた。ニヴは倍額の金貨八百枚に、騙し討ち同然の判別をした賠償を加え、最終的に白金貨二十枚、金貨二千枚を提示した。レントはあまりの大金に内心驚きつつも、魔法の袋を買う資金にできると考えて受け入れた。
魔法の袋の相談
レントが大容量の魔法の袋を欲しがっていると知り、ニヴは伝手で探せると申し出た。レントはニヴと深く関わることに抵抗を覚えたが、シャールも自分が探すと申し出た。レントはシャールの誠意を信じ、まずはステノ商会に探してもらうことにした。ニヴは、自分も別口で探しておくと告げた。
ニヴの依頼
ニヴは、レントが勝てないと感じる吸血鬼に出会ったら連絡してほしいと頼んだ。彼女は一般的な吸血鬼狩りは趣味に近いものだと語り、本当に追っているのは一体の特別な吸血鬼だと明かした。その名は、伝説やおとぎ話に登場する黄昏の吸血鬼であった。
黄昏の吸血鬼
ミュリアスは黄昏の吸血鬼はすでに討伐された存在だと反論したが、ニヴは墓所や討伐者の伝承が複数あるため、真偽は疑わしいと考えていた。黄昏の吸血鬼は国を崩すほどの伝説的な存在であり、レントも子供の頃から知っていた。ニヴは、その存在が知性によって姿を隠している可能性を語った。
神銀級への夢
話の流れで、レントは自分の目標が神銀級冒険者になることだと口にした。ニヴは自分とどちらが先に神銀級へ届くかと軽く応じ、ミュリアスもレントならいずれ到達してもおかしくないと述べた。シャールも、そうなったら店として支援したいと冗談交じりに語った。レントは夢を否定されなかったことに、不思議な感覚を覚えた。
握手と約束
ニヴは、黄昏の吸血鬼の見た目は分からないため、レントが勝てそうもない吸血鬼に出会ったとき連絡してほしいと改めて頼んだ。レントは、吸血鬼相手の技術と経験ではニヴが自分より優れていると理解し、その条件なら連絡すると約束した。二人は握手を交わし、ひとまず協力関係を結ぶ形になった。
閑話 聖女ミュリアス・ライザ
聖女ミュリアス・ライザ
辺境のロベリア教会
ミュリアス・ライザは、幼い頃に女神ロベリアの加護を受けた聖女として教会に迎えられ、修行を続けてきた。今回、彼女はロベリア教の威光を広めるため、アルス聖王国から都市マルトへ派遣された。しかしマルトのロベリア教会は小さく、住民の多くは信仰ではなく聖水や石鹸を買うために訪れているだけだった。
辺境布教の重責
ミュリアスは、マルトに布教するなら自分ではなく、アールズやミリアのような高位の聖者や聖女を派遣すべきだと感じた。だがギーリは、彼らは多忙で遠方へ派遣できず、マルトの現状を憂いた大教父がミュリアスを送ったのだと説明した。ミュリアスは荷の重さを感じながらも、自分の務めを果たそうと考えた。
ロベリア教と東天教
マルトでは、ロベリア教は平民よりも貴族や商人などの資産家に浸透していた。ロベリア教は寄進と引き換えに治癒を行い、東天教は寄進を求めず分け隔てなく力を与えていた。ミュリアスは東天教の在り方を立派だと感じながらも、金を払ってでも家族を救いたい者がいる現実も理解していた。
ニヴ・マリスへの同行命令
ギーリは、大教父庁からの指令として、ミュリアスが金級冒険者ニヴ・マリスの供をし、ある冒険者との交渉に同席するよう命じられたことを伝えた。ミュリアスは金級冒険者について詳しくなかったが、ギーリはニヴが吸血鬼狩りで有名な冒険者だと説明した。ニヴがロベリア教上層部に影響力を持つらしいことに、二人は困惑した。
吸血鬼狩りとの対面
翌日、ニヴ・マリスはマルトの教会を訪れた。彼女は明るく軽い調子で挨拶したが、ミュリアスはその奥に獲物を狙う怪物のような気配を感じた。ニヴは、交渉相手の冒険者が吸血鬼である可能性を疑っており、毒や罠に備えるため浄化の聖気を持つミュリアスの協力を求めた。
吸血鬼退治への協力
ミュリアスは、吸血鬼が街に紛れているという話に驚いた。ニヴは、吸血鬼は狡猾で人間社会に紛れ込むことがあると説明し、ロベリア教にも異端根絶騎士団のような専門の狩人がいるのだから協力は職務の一部だと述べた。ミュリアスは信仰への疑念を抱きつつも、人を守る聖女として協力を承諾した。
魅了の魔眼
ステノ商会に入る前、ニヴは吸血鬼が魅了の魔眼を持つことが多いと警告した。ミュリアスは、魅了の魔眼が人間社会を壊す危険な力であり、現代では魔術的な封印処置が行われるものだと知っていた。ニヴは、吸血鬼の魔眼は人間のものより強力な場合もあるため、決して油断しないよう告げた。
仮面の冒険者レント
ステノ商会の応接室で、ミュリアスはシャール・ステノと、骸骨の仮面をつけた冒険者レント・ヴィヴィエに会った。レントは暗いローブをまとい、隙のない姿勢で立っていた。ミュリアスは目を見てしまったことに不安を覚えたが、ニヴはまだ魅了の魔眼は発動していないと囁き、額を見るよう助言した。
聖気を持つレント
ミュリアスは挨拶と同時にレントへ聖気の祝福をかけたが、彼の体内にも聖気の輝きを感じた。吸血鬼が聖気を持つとは考えにくく、ミュリアスは疑いが晴れたのではないかと思った。しかしニヴは警戒を解かず、質問を続けたうえで、聖気の高位技術である《聖炎》による判別まで行った。
晴れた疑いと残る違和感
レントは《聖炎》による診断を切り抜け、ニヴは彼が吸血鬼ではないと判断した。ミュリアスも結果を受け入れたが、どこかしっくりこない感覚を抱いていた。ただ、それは勘に過ぎず、ニヴ自身も疑いは晴れたと認めたため、ミュリアスはそれ以上考えるのをやめた。
お人好しな冒険者
ニヴは謝罪としてレントに大金を支払い、さらに頼みごとまでした。レントは異様な外見に反して腰が低く、ニヴにも誠実に対応し、その依頼も了承した。ミュリアスは、レントが見かけによらず人のよい冒険者であると感じた。
続く吸血鬼探し
ステノ商会を出たあと、ニヴはレントを疑った理由は結局のところ勘だったと語った。これまで百発百中だった吸血鬼探しの勘が外れたと言いながらも、マルトに巣くう吸血鬼がいなくなったわけではないとした。そしてニヴは、翌日からもミュリアスに手伝うよう求め、ミュリアスは今回だけでは終わらないことに戸惑った。
エピローグ
聖気の源とハトハラー村
ロレーヌへの帰還報告
レントはステノ商会での話し合いを終え、ロレーヌの家に戻った。ニヴ・マリスとロベリア教の聖女ミュリアスに会ったことを話すと、ロレーヌは今のレントが最も会いたくない相手だと呆れた。レントは、《聖炎》による吸血鬼判別が自分に効かなかったため、結果的には幸運だったかもしれないと考えた。
吸血鬼ではない可能性
レントは、自分が本当に吸血鬼なのか疑問を口にした。ロレーヌは、レントが骨人や屍食鬼、吸血鬼のように見える進化を辿っているだけで、最初から通常の魔物とは異なる存在だった可能性もあると述べた。ただ、より分かりやすい理由として、レントが聖気を使えることが《聖炎》を無効化したのではないかと考えた。
祠の加護
レントの聖気は、故郷の村にあった古い祠を修理したときに芽生えたものだった。レントは、村人の多くが存在に気づいていないほど荒れていた祠を、蔦を払い、壊れた部分を直して整えたのだと語った。しかし、その祠に祀られていた神や精霊が何であるかは分からなかった。
ハトハラー村への提案
ロレーヌは、レントの聖気の正体を調べるため、故郷ハトハラー村へ行くことを提案した。レントは、往復に二週間ほどかかる遠い村であり、無駄足になるかもしれないと渋った。しかしロレーヌは、村の古老なら祠について何か知っている可能性があり、ニヴから距離を取る意味でも今はマルトを離れる価値があると説いた。
レント・ファイナとしての帰郷
レントは、ハトハラー村へ行くならレント・ヴィヴィエではなく、レント・ファイナとして戻るべきだと考えた。祠を修理した本人として話を聞く必要があり、偽名では不自然になるからだった。二重登録が露見する危険はあったが、冒険者組合では事情のある者の二重登録も黙認されがちであり、重大な罰にはならないだろうと判断した。
ラトゥール家への相談
レントは、竜血花採取の依頼を中断できるか相談するため、ラトゥール家を訪れた。門番は、以前より流暢に話すレントに気づいたが、レントは怪我が治ってきたのだと説明した。イザークに案内され、レントはラウラのもとへ通された。
依頼の中断
レントは、二週間ほど遠出する必要があるため、竜血花採取の依頼について相談した。ラウラは依頼を中断扱いにし、レントが戻ってから再開すればよいと答えた。タラスクの沼へ定期的に行き、竜血花を採取できる冒険者はほとんどいないため、ラウラにとってもレントに任せる以外の選択肢は少なかった。
祠を訪ねる目的
ラウラに行き先を尋ねられたレントは、ハトハラー村の祠を訪ねるつもりだと答えた。自分の聖気の加護がその祠から与えられたものであり、祀られている神霊を知りたいのだと説明した。ラウラは、神霊の正体を知ることで聖気の能力の幅が広がることもあると教えた。
聖気の資料
ラウラは、聖気には長い歴史と技術の積み重ねがあり、その多くは宗教団体に秘匿されていると説明した。そのうえで、ラトゥール家が所蔵する聖気に関する資料を貸すと申し出た。レントは危うい資料だと感じながらも、聖気を知る手がかりになると考え、ラウラの申し出を受け入れた。
番外編 治癒の聖女
聖女ヴィルナと水竜ヤミノカ
エン教の聖女
不死の体を得る少し前、レントはロレーヌから、エン教の聖女がマルトの広場で説教を行うと聞いた。上位の治癒系聖女が来ると知ったレントは、自分も聖気を使うため参考になるかもしれないと考え、ロレーヌと共に広場へ向かった。
広場の治癒の光
広場は予想以上の人混みで、レントとロレーヌは聖女の姿も声もほとんど確認できなかった。説教が終わると、広場全体に聖気の光が雪のように降り注いだ。レントはその規模に圧倒され、自分の聖気では到底及ばない力だと感じた。
少女ヴィルナの依頼
翌日、レントは冒険者組合でシェイラに呼び止められた。聖女の治癒を受けた冒険者たちが迷宮へ向かったため人手が足りず、少女ヴィルナのペット探しを頼みたいという話だった。ヴィルナはレントを指名し、レントは彼女の依頼を受けることにした。
蛇ヤミノカ
ヴィルナの探しているペットは、ヤミノカという名の蛇だった。ヤミノカは前日の聖女の集会で姿を消しており、ヴィルナは絵を見せて特徴を伝えた。レントはロレーヌの家に寄り、失せもの探しの魔道具を借りて、ヴィルナと共に街を捜索した。
怪我をした犬
魔道具の反応を追う途中、レントたちは壁際で怪我をした犬を見つけた。レントはわずかな聖気で化膿止めを施し、包帯を巻いた。するとヴィルナも聖気を使い、犬の怪我を完全に治した。レントは彼女も聖気を使えるのだと知ったが、ヴィルナは深く語らずヤミノカ探しを続けた。
壁の穴
治療された犬は、壁際に立てかけられた板の前で吠え、そこに穴があることを知らせた。その穴は街の外へ通じており、ヴィルナはヤミノカがそこから出たと考えて飛び込んだ。レントも後を追い、外でヤミノカと、それを狙うゴブリンを発見した。
ゴブリンからの救出
ヴィルナはヤミノカを守ろうとしてゴブリンの前に飛び出した。レントは魔力で身体を強化して間に入り、ゴブリンの棍棒を剣で弾いた。続けて首筋を斬り、ゴブリンを倒した。ヴィルナは無事で、ヤミノカも彼女の体に巻き付いていた。
ヤミノカの礼
冒険者組合に戻ると、シェイラは依頼達成を喜んだ。ヤミノカはレントの腕に巻き付き、手のひらに小さな石を吐き出した。ヴィルナはそれを礼だと説明し、何かあれば連絡してほしいと言い残して去った。
竜玉の鑑定
レントはヤミノカが残した石をロレーヌに鑑定してもらった。ロレーヌは、それが子供の竜が体内で作る竜玉であり、金貨五十枚ほどの価値があると見抜いた。レントは売らずに記念として持っておくことにし、鑑定料としてロレーヌの夕飯を作ることになった。
治癒の聖女ヴィルナ
ヴィルナはエン教の聖女であり、腕に巻き付いていたヤミノカは水竜の幼生体だった。エン教では水竜が終末の洪水から人々を救う存在とされ、ヤミノカはヴィルナに加護を与えた神獣でもあった。ヴィルナはレントに連絡先を伝え忘れたことに気づいたが、占術師として彼の未来に道が続いていることを見て、いずれ再会できると考えた。
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