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フィクション(Novel)望まぬ不死の冒険者読書感想

小説「望まぬ不死の冒険者 3巻」レント存在進化する 感想・ネタバレ

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フィクション(Novel)

望まぬ不死の冒険者2巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者4巻

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どんな本?

望まぬ不死の冒険者』は、丘野優 氏による日本のライトノベル作品。
小説家になろうにて2016年9月22日より連載されており、オーバーラップノベルスより刊行されている。
イラストはじゃいあん 氏が担当。
物語は、銅級冒険者のレント・ファイナが水月の迷宮で龍に食われて不死の魔物として蘇るところから始まる。
レントは魔物を食らうことで進化していき、骨人から屍食鬼、下級吸血鬼となる。
レントは自分の境遇に苦しみながらも、冒険者としての夢を捨てずに、魔物と人間の狭間で生きることを決意する。
しかし、レントの存在は世界の秩序を揺るがす危険なものとして、様々な勢力の注目を集めてしままう。
この作品は、コミカライズやテレビアニメ化もされており、人気の高いファンタジー作品。
コミカライズ中曽根ハイジが作画を担当し、コミックガルドにて連載中。
テレビアニメは2024年1月より放送予定。

読んだ本のタイトル

#望まぬ不死の冒険者 3
著者:#丘野優 氏
イラスト:#じゃいあん  氏
出版社:オーバーラップノベルス
発売日 2018年5月25日
ISBN 978-4-86554-352-0

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あらすじ・内容

《タラスクの沼》で怪物タラスクを討伐し、無事に竜血花を採取したレント。
その沼でレントは、同じく竜血花の採取にやって来た奇妙な男・イザークと出会う。イザークは、都市マルトの運営に古くから関わるラトゥール家に仕えているという。
孤児院に竜血花を送り届けた矢先、レントは、ラトゥール家より竜血花の定期採取を破格の報酬で依頼される。
奇妙な依頼の詳しい話を聞くために、都市郊外にあるラトゥール家を訪れたレントだったが、目の前に現れたのは、広大な庭園迷路。
完全に迷ったレントの前に現れたのは、どこかつかみ所の無い雰囲気を醸し出す少女で……!?
「……諦めますか?」
強大な魔物と戦い、多くの謎を暴き、そして強くなる。
死してもなお遙かなる神銀(ミスリル)級を目指す、不死者レントの『冒険』、第3弾――!

望まぬ不死の冒険者 3
望まぬ不死の冒険者特設サイト

感想

タラスクの沼で出会った男、イザーク。
彼は主人のために竜血花を回収していると言う。
彼自身は主人の側を離れたくないとのことで、タラスクの沼で活動出来るレントに依頼を出したいと言う。
それを毒沼の中で承諾する異形の者の2人。
何気にシュールw

そして、依頼を終えて竜血花を孤児院のアリゼに渡す。
そして、発覚する使い魔のエーデルの有能さが際立つ。
眷属達を利用しての情報収集が凄かった。
そして、相変わらず偉そうなエーデルが癒しになるw

後日、イザークの主からの依頼を受けるために屋敷へ訪問するが・・・

庭園の迷路に迷ったレント。

どうやら試されてるらしい。

 それでも、なんだかんだとクリアしてお詫びに魔術具をくれるらしいが、、、

その宝物の中に吸血鬼の血があった。
8巻を読めば何であったのかわかるけど、その時はイザークの主、ラウラが吸血鬼で竜血花を定期的に摂取して力を制御しているとは、、

そんなラウラのと思われる吸血鬼の血と、ドローンみたいな飛行船の魔術具を貰う。

そして家に帰り、もらった吸血鬼の血を飲んだら進化してレッサーバンパイヤになった。

そしてボランティアで竜血花から精製した薬剤を使って孤児院の責任者のシスターを癒し。

魔法の才能があるとして、アリゼがロレーヌの弟子となりレントの魔術の妹弟子が爆誕する。

そして、彼女とロネーヌの魔術の指導を受けるのだが、、
レントの器用貧乏さが炸裂する。
初級のみだが、全系統の魔術を精密に扱える事が判明。

そして、アリゼも才能を開花させ魔法をある程度使える事が出来るようになる。

そんな彼等の住む都市、マルトに聖女が訪問して来た。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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望まぬ不死の冒険者2巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者4巻

考察・解説

タラスクの沼攻略

『不死者の万魔殿』において、孤児院からの竜血花採取依頼を受けたレントが、不死者としての自身の特性を存分に活かして危険な沼沢地帯を踏破し、その主である強大な亜竜タラスクを討伐して一攫千金を手にするまでの「タラスクの沼攻略」は、彼の冒険者としての実力を示す重要なエピソードである。

瘴毒が満ちる猛毒環境における不死者の優位性とゴブリンの掃討、老朽化した木造橋の床板踏み抜きによる沈没と毒沼水中戦、弱点である聖気を突いた主タラスクとの死闘、そして事前の予測に基づき大容量の魔法の袋を用いた周到な素材丸ごと回収にいたる全容は以下の通りである。

空気中にも瘴毒が満ちる極めて危険な場所と毒が無効化される屍鬼の身体能力

目的地であるタラスクの沼は、常に毒性を帯びた沼や湖が広がり、空気中にも瘴毒が満ちる極めて危険な場所である。

・通常であれば、毒無効の魔道具や聖気使いの同行、毒を防ぐ特別な装備が必須となる。

・しかし、屍鬼であるレントにはいかなる毒も一切効かず、瘴毒も全く問題にならなかった。

・泥の穴に潜んで遠距離から毒矢を射かけてくるゴブリンの待ち伏せに対しても、レントは強化された身体能力で容易に距離を詰め、単独で掃討することに成功した。

床板踏み抜きによる沼底への沈没と呼吸不要の特性を活かした聖気底上げ脱出

順調に進むレントであったが、毒沼に架かる老朽化した木造の橋を渡る際、その強化された脚力で床板を踏み抜き、沼の底へ沈んでしまう。

・呼吸が不要なため溺れることはなかったが、水中では巨大な魚の群れに襲われ、足に噛みつかれて引き回される事態に陥った。

・しかし、聖気を使って身体能力を底上げすることで危機を脱し、対岸へと放り出されて難を逃れた。

・なお、その間同行していた眷属の小鼠エーデルは、沼に落ちる前に素早く対岸へ渡り、主を放置して自分の食料(木の実)を集めており、レントを呆れさせた。

魔気融合術による首の鱗粉砕と弱点の聖気を纏わせた剣による首付け根の切断

竜血花の群生地へ近づいたレントは、ついに沼の主である巨大なタラスクと遭遇してしまう。

・亀のような甲羅と六本足を持つこの亜竜に対し、レントは魔力と気を融合させた強力な魔気融合術を剣に込めて首の鱗を粉砕するが、致命傷には至らなかった。

・しかし、タラスクの背中に登ったエーデルがレントから勝手に聖気を吸い上げ、光を纏って傷口へ体当たりを行った結果、傷から煙が上がりタラスクが激しく苦悶する。

・これを見たレントは、タラスクの弱点が聖気であることを悟った。

・タラスクが放つ毒のブレスは不死者であるレントとエーデルには無効であり、レントはブレスの隙を突いて接近し、聖気を纏わせた剣で傷ついていた首の付け根を見事に斬り落とし、討伐を果たした。

不運を予測した大容量魔法の袋の事前手配と胴体および首の丸ごと収納

銀級上位パーティでも苦戦するタラスクを倒したレントであったが、危険な生息地でのんびりと解体作業をする余裕はなかった。

・しかし、不運な自分がタラスクと遭遇する事態を予測していた彼は、事前に冒険者組合で金貨を支払い、大容量の魔法の袋を借りてきていた。

・レントはタラスクの胴体と首を丸ごと袋に収納した。

・これにより魔石や甲羅、毒腺などの高額素材を余さず確保することで、一攫千金を手にした。

・この過酷な攻略を乗り越えたことで、レントは目的であった竜血花の群生地へと無事に辿り着くことができた。

まとめ

タラスクの沼の攻略と主の討伐は、生身の人間には致命的となる毒環境や水中沈没といった逆境を、不死者の肉体特性と咄嗟の聖気運用によって勝利へと転換したレントの卓越した戦術の証明である。魔気融合術や眷属エーデルの機転によって見出した聖気の弱点を突き、巨大な亜竜を単独で仕留めた戦闘力は、彼の潜在能力の高さを示している。自身の不運を見越して大容量の魔法の袋を事前に用意し、高額素材を丸ごと確保した周到な管理能力を含め、この一連の攻略プロセスは、レントが悲願である神銀級冒険者へと昇華するための莫大な富と確固たる自信をもたらした決定的な転機であったことを厳密に証明している。

孤児院の支援

『不死者の万魔殿』において、主人公レントが「銅貨一枚」という破格の報酬で請け負った依頼から始まり、結果として病に伏せる院長を救い、孤児たちの未来を切り開く多角的な支援へと繋がった「マルト第二孤児院への支援」は、彼の損得を度外視した善意が大きな幸せをもたらす心温まるエピソードである。

病に倒れたリリアンを救うための竜血花採取と薬師ノーマンへの無償提供、地下室の巨大小鼠討伐と眷属化による害虫駆除を含めた衛生環境の改善、冒険者を目指すアリゼへの剣術指導およびタラスク素材売却金を原資とする武具資金の無利子貸し付けにいたる全容は以下の通りである。

ボランティアに近い伝統的な依頼の快諾とリリアン救済のための余剰採取

マルト第二孤児院の孤児たちが出した依頼は、報酬が銅貨一枚で、極めて危険なタラスクの沼での竜血花採取という内容であった。

・これは資金がない依頼主が出すボランティアに近い伝統的な依頼であり、誰も見向きもしなかったが、レントは依頼主が孤児たちであることを知り、快く引き受けた。

・孤児院を訪れたレントは、代表の少女アリゼから、孤児院の管理者である僧侶リリアンが邪気蓄積症という病に倒れ、その特効薬を作るために竜血花が必要だと知らされる。

・レントは過酷なタラスクの沼を見事に踏破して竜血花を持ち帰った。

・さらに、薬師ノーマンが貧民街の他の人々も救えるよう、余分に採取した竜血花を無償で提供した。

地下の巨大小鼠討伐と眷属化した番人によるゴキブリ等の自発的駆除

アリゼたちはリリアンに心配をかけないため、表向きは「孤児院地下の整理」という名目でレントを呼んでいた。

・レントはこの偽の依頼も実際にこなすことにし、地下室に潜んでいた巨大な小鼠を討伐する。

・その際、レントの血を口にした小鼠が彼の眷属となり、他の小鼠たちを従える能力を得たため、レントはこの眷属の小鼠を地下室の新たな番人として配置した。

・これにより、小さな子供たちが地下に入っても安全が確保された。

・さらに小鼠たちが孤児院内の害虫(ゴキブリなど)を一箇所に集めて自発的に駆除するようになり、孤児院の衛生環境も劇的に改善された。

宮廷魔術師級の才能を持つ少女への剣術伝授と稼げるようになってからの返済条件

レントは、アリゼが人のために働ける冒険者になりたいという夢を持っていることを知る。

・彼女の魔術の才能を見抜いたロレーヌが魔術と学問の師匠となる一方で、レントもまた彼女に剣術や冒険者としての基礎を教える約束を交わした。

・さらに、駆け出しの冒険者修行には武具が必要不可欠であるが、孤児のアリゼには資金がない。

・そこでレントは、タラスクの沼で討伐したタラスクの素材売却で得た資金を元手に、アリゼへ武具の購入資金を無利子で貸し付けることを申し出た。

・返済は冒険者になって稼げるようになってからという温かい条件であった。

完成した丸薬の服用による院長リリアンの順調な回復と涙の感謝

レントや協力者たちの尽力により、完成した丸薬を飲んだリリアンは体の怠さが抜け、順調に回復へと向かう。

・彼女は涙を流してレントや子供たちに深く感謝した。

・これにより、孤児院には明るい希望が戻った。

まとめ

マルト第二孤児院への多角的な支援は、銅貨一枚の依頼から始まったレントの善意が、結果としてひとつのコミュニティ全体の命と未来を救う巨大な成果へと拡大した一連のプロセスである。危険を顧みず採取した竜血花がリリアンの命を救い、地下室で獲得した眷属の小鼠が施設の安全と衛生環境を自発的に維持するシステムを構築した。さらに、アリゼの夢を経済的、技術的に支えるためにタラスク素材の富を惜しみなく投資したレントの姿勢は、彼がどれほど魔物の肉体に近づこうとも、その魂は気高く人間味に溢れた本物の冒険者であることを厳密に証明している。

ラトゥール家の指名依頼

『不死者の万魔殿』において、銅級冒険者となったレントがマルトの有力者であるラトゥール家から受けた「竜血花の定期採取依頼」は、彼の新たな存在進化のきっかけとなる重要なエピソードである。

孤児院の依頼から始まった執事イザークとの遭遇と指名依頼の背景、屋敷の入り口に広がる空間転移の罠を仕込んだ庭園迷路の突破、十二、三歳ほどの当主ラウラとの出会いと地下倉庫での魔導人形起動アクシデント、そして邪気蓄積症を患う彼女の病状抑制という真の目的と吸血鬼の血液を含む破格の報酬にいたる全容は以下の通りである。

タラスクの沼での執事イザークとの遭遇と冒険者組合を介した竜血花採取の指名依頼

レントは孤児院の依頼で訪れた「タラスクの沼」で、イザークハルト(イザーク)と名乗る男と出会う。

・彼はラトゥール家に仕える執事で、病に伏せる主のために希少な「竜血花」を採取しに来ていた。

・レントがソロでタラスクの沼を探索する実力を見たイザークは、冒険者組合を通して彼に竜血花の定期採取を指名依頼する。

・ラトゥール家はマルトの運営に古くから関わる由緒ある家系で、領主とも深いつながりがあり、冒険者組合でさえ無下に扱えないほどの権力と財力を持っている。

薔薇の生垣で構築された広大な迷路と太陽位置の変動および空間転移罠の看破

依頼の詳細を聞くためラトゥール家の屋敷を訪れたレントであるが、入り口の先には薔薇の生垣で作られた広大な庭園迷路が広がっていた。

・これは当主が趣味で集めた魔道具によって作られたもので、定期的に道順が変わるという厄介な代物であった。

・迷路の中では太陽の位置が角を曲がるたびに変わり、さらに空間転移の罠まで仕掛けられていた。

・レントは不死者としての研ぎ澄まされた感覚と観察力でこれらの罠を見抜き、苦労の末に見事迷路を突破して屋敷に辿り着いた。

十二、三歳の当主ラウラとの対面と地下魔道具倉庫での巨大ゴーレム暴走

迷路を抜けた先でレントを待っていたのは、十二、三歳ほどの少女であった。

・彼女こそがラトゥール家の当主、ラウラ・ラトゥールであり、今回の真の依頼主であった。

・魔道具収集を趣味とするラウラは、迷路を突破した褒美としてレントを地下の魔道具倉庫へ案内する。

・しかし、レントが不用意にガラクタの山に触れたことで、周囲の魔道具を取り込んで巨大な魔導人形(ゴーレム)が起動、暴走するアクシデントが発生した。

・レントは魔壁に閉じ込められながらも必死に攻撃を避け続け、間一髪のところでラウラが停止装置を作動させたことで事なきを得た。

当主が患う邪気蓄積症の進行抑制と存在進化に直結する吸血鬼の血液の譲受

ラウラ自身が「邪気蓄積症」を患っており、病状の進行を抑えるためには新鮮な竜血花を摂取し続ける必要があった。

・これまで執事のイザークが採取を担っていたが、彼の負担を減らして休養を与えるためにレントへ依頼した。

・ラウラは依頼の報酬として、通常の金銭に加えてレントが倉庫で気に入った迷宮産出品の「飛空艇の模型」を譲ることを約束する。

・さらにレントは、倉庫にあった魔物素材の中から自らの存在進化に必要だと直感した「吸血鬼の血液」も譲り受けた。

・この奇妙な依頼と報酬は、レントが屍鬼から次の段階へと進むための大きな転機となった。

まとめ

ラトゥール家による竜血花の採取依頼は、街の有力者の病を救うための重要な国家級任務であり、同時にレントの存在進化を決定づける運命的なイベントである。空間転移や巨大ゴーレムの暴走といった数々の試練を、不死者の鋭敏な感覚で乗り越えた実績が、当主ラウラとの深い信頼関係の構築へと繋がった。金銭や模型のみならず、ラウラの厚意によってレントの手へと渡った「吸血鬼の血液」は、彼が屍鬼という現世の軛を脱してさらなる高位の存在へと羽ばたくための最強のトリガーとなり、この風変わりな指名依頼がレントの冒険者人生における最大の転換点であったことを厳密に証明している。

吸血鬼への存在進化

『不死者の万魔殿』において、屍鬼となった主人公レントが人間に近い姿を取り戻し、神銀級冒険者という夢に近づくために果たした「吸血鬼への存在進化」は、彼の冒険者人生における劇的な変化のプロセスである。

ラトゥール家の報酬で得た吸血鬼の血液がもたらした進化の条件、常人なら発狂して死亡するほどの強烈な苦痛を乗り越えた精神的執着、生前の古傷や欠損が消え去り服を着れば人間と見分けがつかない容姿への変貌、そして背中の羽に魔力・気・聖気を流し込むことで発揮される三つの特殊能力にいたる全容は以下の通りである。

ロレーヌの血肉摂取に続く進化条件とラトゥール家地下倉庫からの吸血鬼の血液の選定

レントが屍食鬼から屍鬼へ進化した際、ただ魔物を倒すだけでなく「ロレーヌの血と肉を取り込む」という本能的な条件を満たしたことが進化の引き金になったと推測されていた。

・ラトゥール家の当主ラウラから依頼の報酬として魔道具倉庫に案内されたレントは、山積みの品々の中から吸血鬼の血液が入った水晶の瓶を見つける。

・吸血鬼の血は、飲めば永遠の命を得られるか廃人になるかの二択とされる劇薬であった。

・しかし、レントの本能はそれが次の存在進化に不可欠であると告げており、彼は迷わずそれを景品として選んだ。

内側から肉体を作り替える強烈な衝撃と神銀級への執着による精神崩壊の回避

ロレーヌの家に戻ったレントは、彼女に見守られながら吸血鬼の血液を飲み干した。

・血を口にした瞬間、体が内側から作り替えられるような強烈な苦痛と衝撃がレントを襲う。

・普通の人間であればその痛みに耐えきれず発狂して死んでしまうほどのものであった。

・すでに不死者となって精神の波が静かになっていたこと、そして何より神銀級冒険者になるという強い執着があったからこそ、レントは精神を崩壊させることなく気絶するだけで進化の過程を耐え抜いた。

乾いた屍鬼から滑らかな青白い肌への容姿変化と吸血意識時にのみ伸長する鬼歯

目覚めたレントの体は、以前の乾いて穴の空いた屍鬼の姿から劇的に変化していた。

・肌は青白いものの、生まれたばかりのように滑らかになり、生前の古傷や欠損もすべて完全に消え去っていた。

・吸血鬼の特徴である鬼歯(八重歯)が生えており、血を吸おうと意識したときにだけ伸びるようになっていることも確認された。

・これらの変化により、服を着ていれば人間とほとんど見分けがつかないほどの外見を取り戻すことに成功した。

肩甲骨下に生じた蝙蝠状の翼膜と魔力・気・聖気の流入がもたらす三つの効果

今回の進化で最も特異だったのは、肩甲骨の下あたりに蝙蝠のような翼膜(羽)が生えていたことである。この羽は意識して体内に収納することが可能であったが、レントが持つ3つの力を流し込むことでそれぞれ特殊な効果を発揮した。

・魔力:羽に注ぐことで体を低空に浮遊させることができる。

・気:注ぐ量に応じて前方に進むための推進力を生み出す。魔力と併用することで低空飛行が可能になる。

・聖気:羽が白く発光し、周囲の植物の生長を劇的に促進させる効果や、範囲治癒のような能力を発揮する。

まとめ

吸血鬼への存在進化とそれによる能力の獲得は、レントが怪物としての異形性を脱し、社会的な冒険者活動を再開するための決定的な転換点である。劇薬である吸血鬼の血液がもたらす激痛を神銀級への執着で耐え抜き、滑らかな肌と収納可能な翼膜を得たことで、外見上の人間化はほぼ完成に近づいた。ロレーヌによって一般的な分類には当てはまらない下級吸血鬼の特異個体と結論付けられた通り、魔力や気だけでなく本来は不死者と相反するはずの聖気までも羽に宿して奇跡を起こすハイブリッドな性能は、彼が既存の魔物の枠組みを超えた唯一無二の存在として夢へ突き進むための盤石な基盤となったことを厳密に証明している。

アリゼの魔術修行

『不死者の万魔殿』において、マルト第二孤児院の少女アリゼが「人のために働ける冒険者になりたい」という夢を叶えるため、銀級冒険者であり大博士でもあるロレーヌ・ヴィヴィエに弟子入りし、魔術の基礎を学び始めるエピソードは、彼女の冒険者としての成長の幕開けとなる重要な一幕である。

情熱を認められた弟子入りの経緯と宮廷魔術師クラスとされる潜在魔力の発見、他者の魔力流入を介した魔力の自覚プロセスの実践、レントの助言とコツの伝授によって果たされた初歩魔術「点火」の成功、そして魔力枯渇に備えた剣術や体術を含めた今後の冒険者修行への展望にいたる全容は以下の通りである。

金や出自を問わない魔術学問道への誘いと魔眼による潜在魔力見立て

レントとロレーヌが孤児院を訪れた際、ロレーヌはアリゼに対して、金や出自は関係なく情熱があるなら自分の弟子として魔術と学問の道を共に究めないかと提案する。

・アリゼは人のために働いてみたいと強い決意を示し、ロレーヌの弟子となることが決まった。

・熟練の魔術師であり魔眼を持つロレーヌが彼女の潜在魔力を見立てたところ、アリゼには非常に豊かな魔力があることが判明する。

・努力すれば宮廷魔術師くらいであれば目指せるほどの驚くべき才能を秘めていることが示された。

ロレーヌの手を握るアプローチと体内のどろどろした感覚の早期獲得

ロレーヌの家で開かれた第一回目の魔術講義には、アリゼだけでなく、改めて魔術の基礎を学びたいレントも同席して行われた。

・魔術を使うための第一歩は、自分の体の中にある魔力を自覚し、それを動かせるようになることである。

・自力で魔力を感じ取るのは非常に困難であるため、一般的な手法として、すでに魔力を扱える者(ロレーヌ)が魔力を流し込んで感覚をつかませるという方法がとられた。

・ロレーヌが手を握って魔力を流し込むと、アリゼはすぐにどろどろしたものが体の中に流れている感覚をつかむことに成功する。

・その感覚獲得の早さにロレーヌも感心した。

一点への集中とイメージの明確化による詠唱成功および指先の小火の灯火

魔力の感覚をつかんだアリゼは、次に初歩魔術の実践に挑む。長年、初歩魔術だけを使い続けてきたレントが手本として点火の魔術を実演した。

・レントは、一点に魔力を集めること、集めた魔力を安定して保つこと、どんな結果が起こるか明確にイメージすること、というコツを伝授した。

・レントの助言を受けたアリゼは、「火よ、我が魔力を糧にして、ここに顕現せよ……点火!」と詠唱を行う。

・見事に自分の指先に小さな火を灯すことに成功した。

・初めて自分で魔術を発動させたアリゼは、感動のあまり集中を切らして火を消してしまうが、魔術師としての確かな第一歩を踏み出した。

学者ではなく冒険者を目指す意志とタラスク素材売却金を原資とする武具調達計画

ロレーヌから火や水、土を自在に操る高度な魔術を見せられ、アリゼはさらに努力する決意を固める。

・魔術の基礎を学び始めたアリゼであるが、彼女の最終的な目標は学者ではなく冒険者である。

・そのため、今後は魔術だけでなく、魔力が枯渇した事態に備えてレントから剣術や体術、迷宮での素材採取の知識など、冒険者としての実践的な修行も受けることになった。

・レントは彼女のために、自身のタラスク素材の売却金を使って必要な武具を揃えてやる計画を立てている。

まとめ

アリゼの魔術修行の開始は、稀有な才能を持つ少女が理想の冒険者像に向かって歩み出す確かな足がかりであり、レントとロレーヌという二人の先達による導きが結実したエピソードである。ロレーヌの技術とレントの長年の経験に裏打ちされた基礎講義により、短期間で魔力を自覚して「点火」を成功させた実績は、彼女の持つ宮廷魔術師級の素質を十分に証明した。学者に留まらず実践的な剣術や体術、タラスク素材を原資とする武具の調達計画までを見据えたこの包括的な育成方針は、彼女が単なる魔術の使い手ではなく、過酷な迷宮の環境でも生き抜く万能な冒険者へと進化するための盤石な土台となったことを厳密に証明している。

タラスク素材の査定

『不死者の万魔殿』において、主人公レントが「タラスクの沼」で討伐した魔物の素材査定は、多額の資金を得ると同時に、目標である神銀級冒険者への道に繋がる有力な知己を得るきっかけとなった重要なエピソードである。

解体場責任者ダリオによる初期評価と素材の無傷さに対する驚愕、提携競売人から提示されたオークション予想額の倍額購入と引き換えの紹介条件、魔物としての正体露呈リスクと神銀級への足がかりとの間で揺れ動いたレントの決断にいたる全容は以下の通りである。

解体場責任者ダリオによる甲羅や毒腺が無傷である極めて良好な状態への驚愕

タラスクを討伐したレントは、冒険者組合の裏に併設されている解体場へ向かい、責任者であるダリオ・コスタに解体と売却を依頼した。

・レントが魔法の袋からタラスクを取り出すと、ダリオは首の根元にしか傷がなく、甲羅や毒腺が完全に無傷であるという極めて状態の良いタラスクに驚愕する。

・通常、タラスクを狩る際は遠距離からの攻撃で甲羅に傷がつくことが多いため、ここまで素材としての良さを殺さずに持ち込まれるのは非常に珍しいことであった。

・レントはダリオの手腕を信頼し、最も高く売れる方法での売却を完全に一任した。

提携競売人ステノ商会を介した顧客からのオークション予想落札額の倍額提示

後日、レントが冒険者組合を訪れると、受付のシェイラから解体場へ向かうよう案内される。

・ダリオから、タラスクの品質が良すぎたため、提携している競売人(ステノ商会)がオークションにかける前に特定の顧客へ直接持ち込みたいと言い出したという報告を受ける。

・さらにその顧客は、オークションでの予想落札額の倍額で購入する代わりに、タラスクを狩った冒険者を紹介してほしいという特殊な条件を提示してきた。

・ダリオは、その顧客が素材の価値を損なわずに仕留められる、気遣いのできる冒険者の知己を得たがっているのだろうと推測した。

屍鬼の正体発覚リスクに伴う葛藤と神銀級を見据えた面会承諾の決断

この申し出に対し、レントは強い葛藤を抱くことになった。

・レント自身は屍鬼という魔物であり、初対面の権力者や資産家と深い話をすれば正体が発覚し、討伐対象にされかねないという大きなリスクがあった。

・しかし同時に、目標である神銀級冒険者を目指す上では、財力や権力を持つ知己を得ることは依頼の質が上がり組合からも重用されることに繋がる大きなプラスになるとも理解していた。

・仲介するステノ商会が信用できる大店であることを確認したレントは、意を決して顧客との面会を承諾した。

・なお、タラスク以外の素材についてはすでにダリオが高値で売却を済ませており、レントはその売却益を受け取って懐を潤すことができた。

まとめ

タラスク素材の査定と売却交渉のプロセスは、レントの卓越した戦闘技術が最高級の資産価値として認められ、冒険者としての社会的地位を飛躍させる契機となった一幕である。魔物である自身の正体が露呈する危険性を考慮しつつも、神銀級冒険者への足がかりとして権力者との接点を選択したレントの決断は、彼の強固な意志を示している。ダリオの確かな解体技術とステノ商会の仲介によってもたらされた倍額購入の好条件、そして一連の取引で得た莫大な売却益は、レントの懐を潤すだけでなく、今後の活動規模を拡大するための極めて強固な基盤となったことを厳密に証明している。

聖女ミュリアスの来訪

『不死者の万魔殿』において、西方の大国で絶大な権勢を誇る宗教団体「ロベリア教」の聖女ミュリアス・ライザが、レントの拠点である辺境都市マルトへ向かうエピソードは、物語に大きな変化をもたらす重要な展開である。

神秘的な容姿と強大な聖気を操る聖女の能力、魔物増加による社会不安を好機と捉えた教団の布教目的、教義に対する深い疑念と旅に同行する監視役ギーリの存在にいたる全容は以下の通りである。

街一つを包み込む治癒の光を降らせる強大な聖気と教団内での淡々とした立場

ミュリアスは、神秘的な銀髪と紫の瞳を持つロベリア教の聖女である。

・唯一神ロベリアの加護を受け、治癒と浄化に特化した強大な聖気を操ることができる。

・その気になれば街一つを包み込むほどの治癒の光を降らせることも可能である。

・しかし、ロベリア教本部には彼女を鼻で笑うほど強力な聖者や聖女が多数存在するため、彼女は決して驕ることはない。

・神の教えを広めるための務めを淡々と果たしている。

東天教の信仰が根強いヤーラン王国へのロベリア教の布教活動命令と市民の囲い込み

彼女がヤーラン王国の都市マルトへ向かう主な目的は、ロベリア教の布教活動である。

・ヤーラン王国は古くから東天教の信仰が根強く、他宗派が入り込む余地が極めて少ない土地であった。

・しかし近年、魔物の増加によって人々の不安が高まっている。

・厳しい自己努力を求める東天教よりも、分かりやすい救いをもたらす宗教へ人々が流れ始めている。

・ロベリア教本部はこの社会不安を布教の絶好の機会と捉え、ミュリアスにマルト市民を集めて治癒と浄化の奇跡を見せ、説教を行うよう命じた。

突然発現した治癒能力への確信不足と不敬発言を牽制する神官ギーリの監視

聖女として奇跡を起こすミュリアスであるが、実はロベリア教の教義に対して深い疑念を抱いている。

・教団はすべての神霊の加護は唯一神ロベリアが形を変えて与えたものと教えている。

・しかし彼女自身は、ある日突然、怪我人を治せる気がしただけで力を得ており、それが本当にロベリア神からの加護なのか確信を持てていない。

・彼女が内心で抱く、自分は異端ではないかという迷いは教団上層部にも伝わっている。

・そのため、今回の旅には監視役として神官ギーリが同行している。

・暗殺者のような鋭い目つきで腰に刃物を下げるギーリは、かつて不用意な発言で処刑された英雄フォロストロアの話を引き合いに出し、聖女として信仰への疑念を生むような発言は控えるよう彼女に強く忠告する。

・ミュリアスは、その堅苦しい忠告の裏にあるギーリなりの気遣いを感じ取り、発言に気を付けると微笑んで応じた。

まとめ

聖女ミュリアスのマルト来訪は、既存の信仰地盤を揺るがす宗教的戦略であると同時に、不死者としての肉体を持つレントの存続を脅かしかねない巨大な波乱の予兆である。街全体を包み込むほどの強力な浄化・治癒スキルは、魔物としての性質を内包するレントにとって極めて致命的な脅威となる。ミュリアス自身が教理に迷いを抱き、監視役のギーリに牽制されながらもマルトへ足を踏み入れるプロセスは、この来訪が単なる異宗派の参入に留まらず、レントの隠蔽された生態や存在進化の行く末に多大な影響を及ぼす決定的な火種となることを厳密に証明している。

望まぬ不死の冒険者2巻
望まぬ不死の冒険者まとめ
望まぬ不死の冒険者4巻

登場キャラクター

主人公とその関係者

レント・ヴィヴィエ

物語の主人公であり、魔物へ変化してしまった冒険者である。神銀級冒険者になることを目指している。ロレーヌとは友人であり、アリゼの師匠を引き受けた。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合、銅級冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 《タラスクの沼》でタラスクを討伐し、《竜血花》を採取した。ラトゥール家の迷路を突破してラウラから飛空艇模型や吸血鬼の血液を受け取り、その血液を自ら飲み干している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 吸血鬼の血液を摂取し、下級吸血鬼の一種に存在進化した。身体の損傷が消えて滑らかな肌になり、背中には翼膜が生えている。

ロレーヌ・ヴィヴィエ

主人公の友人であり、彼を観察対象としている。アリゼに魔術を教える師匠となった。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合、銀級冒険者。学者。魔術師。

・物語内での具体的な行動や成果
 存在進化した主人公の身体や羽の能力を検証した。アリゼに魔力の扱い方や初歩魔術を指導している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 他人の魔力量を見ることができる魔眼を持つ。

エーデル

主人公の眷属である黒鼠である。孤児院の地下にいる魔物たちを従えている。

・所属組織、地位や役職
 主人公の眷属。小鼠たちの親分。

・物語内での具体的な行動や成果
 孤児院の地下室で小鼠たちを指揮し、他の小鼠からの襲撃を退けた。孤児院内の虫退治を行っている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 都市マルトの構造や隠し通路に関する情報収集網を構築した。主人公の存在進化の影響を受けている。

小鼠たち

孤児院の地下に住む魔物である。黒鼠を親分として従っている。

・所属組織、地位や役職
 エーデルの配下。

・物語内での具体的な行動や成果
 孤児院の地下室を守り抜いた。孤児院に発生するゴキブリなどの虫を退治している。都市マルトの隠し通路などの情報を集めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 親分から流れてくる魔力と気の影響により、存在進化が近い状態にある。

ラトゥール家

ラウラ・ラトゥール

都市マルトの運営に関わる名家の当主である。魔道具の収集を趣味としている。

・所属組織、地位や役職
 ラトゥール家・当主。

・物語内での具体的な行動や成果
 《邪気蓄積症》の治療のため、主人公に《竜血花》の定期採取を依頼した。迷路を抜けた主人公に飛空艇の模型と吸血鬼の血液を譲渡している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 莫大な財力とマルトでの影響力を持つ。

イザークハルト

名家に仕える執事である。当主に絶対的な服従を誓っている。

・所属組織、地位や役職
 ラトゥール家・執事。

・物語内での具体的な行動や成果
 《タラスクの沼》で主人公と出会い、《竜血花》の定期採取を指名依頼した。主人公に最高級の聖水を提供している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 主人公が依頼を受けたことで、過酷な労働から解放された。

門番

名家の門を守る男性である。実直で真面目な性格をしている。

・所属組織、地位や役職
 ラトゥール家・門番。

・物語内での具体的な行動や成果
 主人公に対して庭園迷路の仕組みを教えた。過去に自分が迷路を突破した際のエピソードを語っている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 以前は失業していたが、迷路を突破した結果として名家に雇用された。

冒険者組合

シェイラ

冒険者組合の受付を行う職員である。主人公と顔馴染みである。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合・職員。

・物語内での具体的な行動や成果
 主人公に名家からの指名依頼が入っていることを伝えた。タラスクの解体の件で主人公を解体場の責任者の元へ案内している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 主人公の肌が人間のようになっていることに気づき、驚きを示した。

ダリオ・コスタ

魔物の解体を行う責任者である。解体作業そのものを好む職人である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者組合・解体場の責任者。

・物語内での具体的な行動や成果
 主人公が持ち込んだタラスクを解体し、その状態を評価した。競売人から提示された買い手の条件について主人公に相談している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 タラスク以外の素材を高値で売却し、代金を主人公に渡した。

マルト第二孤児院

アリゼ

マルト第二孤児院で暮らす少女である。主人公と魔術師を師匠としている。

・所属組織、地位や役職
 マルト第二孤児院・孤児。主人公と魔術師の弟子。

・物語内での具体的な行動や成果
 主人公から《竜血花》を受け取り、依頼票に署名した。師匠から魔力の扱い方を学び、初歩魔術の《点火》を成功させている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 豊富な魔力を持ち、宮廷魔術師も目指せる才能があると評価された。

リリアン・ジュネ

マルト第二孤児院を管理する院長である。孤児たちから慕われている。

・所属組織、地位や役職
 マルト第二孤児院・院長。東天教・僧侶。

・物語内での具体的な行動や成果
 薬師から《邪気蓄積症》の治療薬を受け取った。孤児の少女が二人に弟子入りすることを許可している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 病気で臥せっていたが、薬を服用したことで体の怠さが抜け、起き上がれるようになった。

孤児院の子供たち

マルト第二孤児院に住む子供たちである。

・所属組織、地位や役職
 マルト第二孤児院・孤児。

・物語内での具体的な行動や成果
 少女と共に買い物の荷物を持って帰宅した。聖堂で主人公から飛空艇の模型を借りて操縦している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

医療従事者

ウンベルト・アベーユ

街で活動する治癒術師である。孤児院長の病状を診ていた。

・所属組織、地位や役職
 治癒術師。元冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 薬師と共に孤児院を訪れた。孤児院長に《邪気蓄積症》の治療薬が完成したことを報告している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去には冒険者として活動していた。

ノーマン・ハネル

貧民街などで自費で薬を出す薬師である。治癒術師の知人である。

・所属組織、地位や役職
 薬師。

・物語内での具体的な行動や成果
 主人公が採取した《竜血花》を用いて治療薬を調合した。孤児院長に丸薬を渡し、服用方法を説明している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 主人公から無償で追加の《竜血花》を提供され、他の病人を救う薬を作れるようになった。

ロベリア教

ミュリアス・ライザ

ロベリア教の聖女である。自らの信仰と与えられた加護の出所に疑問を抱いている。

・所属組織、地位や役職
 ロベリア教・聖女。

・物語内での具体的な行動や成果
 布教のために馬車で辺境都市マルトへ向かっている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 治癒と浄化に特化した強大な聖気を操る。教義への疑念から本部に警戒され、監視役をつけられた。

ギーリ

ロベリア教の神官である。聖女の監視役を担っている。

・所属組織、地位や役職
 ロベリア教・神官。

・物語内での具体的な行動や成果
 マルトでの布教活動の予定を聖女に伝えた。不適切な発言を控えるよう聖女に注意している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 腰に重い刃物を下げており、暗殺者のような雰囲気を漂わせている。

その他

馬車の御者

馬車を操る男性である。

・所属組織、地位や役職
 馬車の御者。

・物語内での具体的な行動や成果
 危険な沼から無事に戻った主人公に驚いた。次も自分を利用するよう声をかけている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

ロートネル子爵

都市マルト一帯を治める人物である。ラトゥール家と深い関わりがある。

・所属組織、地位や役職
 都市マルト・領主(子爵)。

・物語内での具体的な行動や成果
 文書内に直接的な行動の記載はない。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

競売人

ステノ商会に属する人物である。解体場の責任者と提携してオークションを行っている。

・所属組織、地位や役職
 ステノ商会・競売人。

・物語内での具体的な行動や成果
 タラスクの購入を希望する顧客の条件を解体場の責任者に提示した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項は記載されていない。

フォロストロア

かつて竜を退治したとされる人物である。

・所属組織、地位や役職
 英雄。

・物語内での具体的な行動や成果
 宴席で王を侮辱した結果、処刑された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 神官が聖女に忠告する際の引き合いとして名前を出している。

望まぬ不死の冒険者2巻
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望まぬ不死の冒険者4巻

展開まとめ

第一章 奇妙な男

花園での出会い

《竜血花》の群生地で人影を見つけたレントは、イザークと名乗る男性と出会った。イザークは冒険者ではなく、病床に伏す主人のため《竜血花》を定期的に採取している執事だった。互いの目的が同じと知り、二人は情報を交わした。

定期依頼の誘い

主人が《竜血花》を継続的に必要としている事情を聞いたレントは、保存方法については力になれなかった。しかしイザークはレントの実力を認め、正式な指名依頼として定期採取を依頼したいと申し出た。レントは話を前向きに考えることを約束し、イザークもレントを信頼した。

聖水の贈り物

別れ際、イザークは最高級の聖水をレントへ譲った。イザークはレントが聖気を扱えることや特別な力を持つことを見抜いていたが、それ以上は追及せず、今後の探索に役立ててほしいと送り出した。レントはイザークの底知れない実力と人柄を感じながら《タラスクの沼》を後にした。

冒険者組合への帰還

無事に都市マルトへ戻ったレントは、まず冒険者組合を訪れた。《竜血花》の依頼を完了させる前に、討伐したタラスクの解体を優先することに決め、受付のシェイラへ事情を説明した。

タラスクの査定

解体場で責任者ダリオへタラスクを見せると、傷の少ない極めて良質な素材であると高く評価された。毒腺や甲羅も無傷に近く、大きな価値になると保証され、レントは解体と売却を一任した。

孤児院への納品

孤児院へ向かったレントは、アリゼへ《竜血花》を届けた。薬師ノーマンは採取状態の良さに驚き、《邪気蓄積症》の薬を問題なく作れると太鼓判を押した。さらにレントは追加の《竜血花》も無償で提供し、多くの病人を救うために役立ててほしいと託した。

依頼の完了

アリゼは依頼票へ署名し、銅貨一枚の依頼は正式に完了した。誰も受けてくれないと諦めていた依頼を果たしてくれたことへ深く感謝し、レントが困った時には孤児院のみんなで力になると約束した。レントも困った時は頼ると応じ、互いに信頼を深めた。

冒険者への憧れ

リリアンを救えたことで目的は果たされたが、アリゼは冒険者になる夢を諦めないと語った。レントのように人のために行動できる冒険者を目標とし、レントも冒険者として生きるための心構えや修行の必要性を伝えた。

新たな約束

レントは時間のある時に剣術を教え、魔法についてはロレーヌを紹介すると申し出た。授業料は無利子で貸し付け、冒険者として稼げるようになってから返済する約束を交わし、アリゼも将来必ず返すと誓った。

鼠たちの活躍

待ち時間に地下室を訪れたレントは、エーデルと配下の《小鼠》たちが孤児院を守り続けていたことを知った。さらに都市中の《小鼠》から情報を集められる体制まで築いており、レントは思いがけず強力な情報網を手に入れたことを実感した。

ロレーヌへの相談

帰宅したレントは、アリゼへ魔法を教えてほしいとロレーヌへ頼んだ。ロレーヌは冗談を交えながらも依頼を快諾し、若い女性への接し方には気を付けるようレントへ忠告した。

照れるロレーヌ

レントは感謝の気持ちからロレーヌの容姿や人柄を真剣に褒め称えた。ロレーヌは呆れながらも内心では照れており、食事を運ぶために立った後、鏡に映る赤くなった自分の耳を見て酒のせいだと言い聞かせた。しかし、その足取りはどこか軽やかだった。

第二章 奇妙な依頼 

ラトゥール家の指名依頼

冒険者組合の指名依頼

レントが冒険者組合を訪れると、シェイラに奥の応接室へ案内された。彼女は、マルトの古い家系であり領主とも深い関係を持つラトゥール家から、レントへの指名依頼が入ったと伝えた。依頼内容は《タラスクの沼》で定期的に《竜血花》を採取することであり、依頼者欄には以前沼で出会ったイザークハルトの名があった。

謎多きラトゥール家

シェイラは、ラトゥール家が貴族ではないものの、マルトの運営に昔から関わってきた家であり、冒険者組合も粗相のないよう扱ってきたと説明した。レントは家の素性に疑問を抱いたが、イザークとの印象から依頼を断る気はなかった。シェイラは、レントが魔物であることを見抜かれる危険を心配したが、レントは仮面とローブで隠せると考え、依頼を受ける意志を示した。

薔薇の庭園迷宮

レントは依頼の詳細を聞くため、ラトゥール家を訪ねた。しかし屋敷へ続く庭は、薔薇の生垣で作られた巨大な迷路になっていた。門番は、この迷路が魔道具によって定期的に形を変えること、迷っても一定時間で入口へ戻れる道が現れることを説明した。さらに、かつて門番自身も迷路を突破し、景品の代わりに雇用を願って採用されたと語った。

紅茶を淹れる少女

迷路の中で迷ったレントは、薔薇に囲まれた広場で黒いドレスを着た少女と出会った。少女は諦めるかと尋ねたが、レントはもう少し進むと答えた。少女は休憩を勧め、魔道具のポットで紅茶を淹れた。そのポットは過去に淹れた茶葉の味を再現できる貴重な品であり、レントはラトゥール家の財力に驚いた。

呪われた仮面への関心

少女は、仮面をつけたまま紅茶を飲むレントを不思議がった。レントは仮面の口元だけに隙間を作って紅茶を飲み、それを見た少女は仮面に強い興味を示した。彼女は買い取りを申し出たが、レントは仮面が外せず、今の身を隠すためにも必要だったため断った。少女は深い思い出の品だと受け取り、話題を紅茶へ戻した。

迷路の仕掛け

少女と別れたレントは、門番と少女が口にした太陽をあてにするなという言葉の意味を考えた。角を曲がるたびに太陽の位置が変わることに気づき、さらに空間転移の仕掛けがあると見抜いた。レントは石を投げて転移地点を確かめ、そこから改めて地図を組み立てることで、ついに屋敷へたどり着いた。

ラウラ・ラトゥール

屋敷の前には、先ほどの少女とイザークが待っていた。少女はレントが迷路を突破したことを称え、景品としてラトゥール家の魔道具を一つ選ばせると告げた。そこで彼女は、自分こそがラトゥール家当主ラウラ・ラトゥールであると名乗った。レントも銅級冒険者レント・ヴィヴィエとして名乗り返した。

地下の魔道具倉庫

ラウラはレントを地下室へ案内した。そこには膨大な数の魔道具が用途や年代ごとに並べられていた。レントは飛空艇の模型に興味を示し、実際に操縦して空中を飛ばした。その模型は意識を乗せて空から周囲を見られる迷宮産出品であり、偵察にも使える品だったが、魔力消費が大きい欠点もあった。

暴走した魔導人形

レントが倉庫の一角に不用意に触れると、魔力を吸収した魔道具群が巨大な魔導人形として組み上がった。レントは魔壁に閉じ込められ、魔砲や巨体による攻撃を避け続けることになった。ロレーヌから聞いた魔導人形の知識を思い出したが、額に停止刻印はなく、外部装置に頼るしかなかった。レントは片腕を落として攻撃をしのぎ、ラウラが停止装置を見つけたことで危機を脱した。

吸血鬼の血液

魔道具選びを続けたレントは、魔物素材の中にあった吸血鬼の血液に強く引かれた。ラウラは、それが武具や魔法薬の触媒になる一方で、飲めば吸血鬼になれるという噂もあるが、多くは狂気や死に至ったと説明した。レントはその血液が自分の存在進化に必要なものではないかと感じ、知り合いの研究者が欲しがるかもしれないと偽って、それを景品に選んだ。

竜血花の正式依頼

地上へ戻ると、ラウラは本題として《竜血花》の定期採取依頼を切り出した。真の依頼主はラウラであり、彼女は《邪気蓄積症》のために新鮮な《竜血花》を摂取し続ける必要があった。これまでイザークが採取していたが、負担が大きいため、レントに任せたいという話だった。ラウラは依頼を受ける報酬として、金銭とは別に飛空艇模型も渡すと約束し、レントは依頼を正式に受けた。

飛空艇模型の贈与

帰り道、イザークはラウラの許可により、飛空艇模型を先にレントへ渡してくれた。庭園迷路はイザークの持つ石で道を開ける仕組みになっており、次回以降は門番を通じて迎えに来ると説明された。レントは模型を縮小して持ち帰り、次に来るときは《竜血花》の納品になると考えながら、ラトゥール家を後にした。

吸血鬼の血を前にした決意

翌日、レントはロレーヌの家で吸血鬼の血液を見せ、ラトゥール家での出来事を説明した。ロレーヌは吸血鬼の血液が危険な劇薬であり、飲んだ者の結末は悲惨なものばかりだと警告した。それでもレントは、自分の存在進化に必要だという感覚を捨てられなかった。ロレーヌは、レントが神銀級を目指すためなら最後には飲む男だと理解し、万一の時は自分が始末すると告げた。レントは覚悟を固め、瓶の蓋を開けて吸血鬼の血液を飲み干した。

第三章 新たなる存在進化 

存在進化とアリゼの弟子入り

吸血鬼の血液

レントは吸血鬼の血液を飲み干した直後、舌先に刺すような痛みを覚えた。全身には苦痛と衝撃が走り、体の内側から作り替えられていく感覚に襲われた。人間であれば正気を失うほどの苦痛だったが、すでに不死者であるレントは精神の揺らぎが小さく、何とか耐えていた。ロレーヌの姿を見て安心したレントは、やがて意識を手放した。

目覚めたレント

レントが目を覚ますと、ロレーヌがそばで吸血鬼の生態に関する本を読んでいた。ロレーヌは、レントが存在進化したと告げた。レントは手袋を外された自分の手を見て、以前の干からびた手ではなく、青白いながらも人間に近い肌になっていることを確認した。ロレーヌは鏡を用意し、レントにローブと仮面を外して体を確認するよう促した。

新しい身体

レントの体には穴や傷がなくなり、肌は滑らかに生まれ変わっていた。ロレーヌは、以前あった古傷まで消えていることを確認した。だが背中には小さな蝙蝠のような翼膜が生えており、レントは自分で見えなかったため驚いた。その羽は意識して動かせる一方、くすぐったさや驚きにも無意識で反応することが分かった。

羽の収納

レントは服の下で羽が動くと背中に何かが潜んでいるように見えると気づいた。ロレーヌは、羽を体内にしまえないか試すよう提案した。レントが強く意識すると羽は体内に収まり、服の上からもほとんど目立たなくなった。しかしロレーヌが驚かせると羽は反射的に飛び出し、レントは街中で露見しないよう注意が必要だと理解した。

羽の能力

レントは羽で飛べるか試したが、羽ばたくだけでは浮けなかった。魔力を込めると少しだけ浮かび、気を込めると強い推進力が発生した。最初は勢い余って壁に激突したが、調整すれば低空を移動できることが分かった。魔力と気を併用すると、飛膜に魔力、指骨に気が流れ、低空飛行が可能になった。

聖気の光

レントが羽に聖気を流すと、羽は白く柔らかく光った。最初はただ光るだけに見えたが、ロレーヌが近くのハーブの鉢を光に当てると、植物が成長した。さらにロレーヌが自分の指を傷つけて光にかざすと、傷は消えた。羽は聖気によって植物の成長促進と範囲治癒に近い効果を発揮すると分かったが、光が目立つため使いどころは限られた。

下級吸血鬼の可能性

ロレーヌは、レントの赤い瞳や鬼歯、血への反応から、吸血鬼であることはほぼ間違いないと判断した。ただし、羽のある吸血鬼は聞いたことがなく、通常の分類には当てはめにくかった。あえて分類するなら屍鬼の上位である下級吸血鬼の一種だが、レントは特異個体であるため、最終的に何へ進化するかは分からなかった。

孤児院への訪問

翌日、レントは飛空艇模型の操縦器を持ちながら、ロレーヌとともにマルト第二孤児院を訪れた。ロレーヌが扉のノッカーを使おうとすると金具ごと外れたため、レントは接着剤で修復してから扉を叩いた。出迎えたアリゼは、リリアンの薬が完成したと嬉しそうに知らせ、二人を孤児院の中へ案内した。

アリゼの決意

応接室で、ロレーヌはアリゼに自己紹介し、魔術と学問を教えるために来たと告げた。アリゼは孤児院の人間で金もないことを気にしたが、ロレーヌは学ぶ気と情熱があるなら歓迎すると答えた。アリゼは、リリアンのためだけでなく、レントのように人を助けられる冒険者になりたいと語った。ロレーヌはその言葉を受け、アリゼを弟子にすると認めた。

リリアンへの報告

レントとロレーヌはアリゼに案内され、病床のリリアンと会った。ロレーヌは、アリゼには魔術師として大きな才能があり、努力すれば宮廷魔術師も目指せるほどだと告げた。リリアンは驚きつつも、アリゼ本人が冒険者を望んでいることを知り、考え込んだ。その途中で、治癒術師ウンベルトと薬師ノーマンが薬を持って訪れた。

邪気蓄積症の治療薬

ウンベルトは、リリアンが《邪気蓄積症》に冒されていると告げた。リリアンは一度絶望しかけたが、ウンベルトは《竜血花》を使った治療薬がすでに完成しているため治ると説明した。薬師ノーマンは、丸薬を毎日飲み続ければ邪気が分解され、体外に排出されると伝えた。リリアンは薬を受け取り、治療の道が開けたことに涙を流して感謝した。

アリゼの秘密

リリアンは、孤児院の子供たちが自分のために依頼を出し、レントが《竜血花》を採取してくれたことを知った。アリゼは、リリアンに元気になってほしくて黙っていたと謝った。リリアンは責めるのではなく、アリゼやレント、ウンベルト、ノーマンの行動に深く感謝した。アリゼはそれを天使の導きだと受け止めたが、リリアンは皆の努力によるものだと語った。

聖堂の飛空艇

レントとロレーヌは、リリアンとアリゼが二人で話す間、孤児院の聖堂で待った。レントは子供たちに飛空艇模型を貸し、子供たちは順番に操縦して楽しんだ。ロレーヌは大切な模型を貸していいのかと尋ねたが、レントは皆が楽しんでいるなら構わないと答えた。

弟子入りの許可

しばらくして、リリアンとアリゼが聖堂へ戻ってきた。薬を飲んだリリアンは体の怠さが抜け、聖気も少し戻っていた。リリアンは、アリゼが冒険者として、魔術師として、学者としてレントとロレーヌに鍛えてもらうことを認めた。アリゼは二人に頭を下げて努力を誓い、レントはアリゼが冒険者になる意思を改めて確認せずにはいられなかった。

第四章 魔術 

魔術講義とタラスク素材の相談

第一回魔術講義

ロレーヌの家で、アリゼの魔術修行が始まった。レントも魔力が増えて魔術師として学べる状態になっていたため、アリゼと一緒に講義を受けた。ロレーヌは、魔術に必要なものは魔力であり、魔力が少なければ使える魔術も限られると説明した。

魔力を得たレント

アリゼは、レントが昔は生活魔術程度しか使えなかったことを知って驚いた。ロレーヌは、魔力は成長後ほとんど増えないが、霊薬や強力な魔物の討伐、神霊の加護などで増える例もあると説明した。レントは自分の魔力が急に増えた理由を運が良かったとごまかし、アリゼはそれで納得した。

魔力の自覚

ロレーヌは、魔術師になるには体内の魔力を感じ取り、動かせるようになる必要があると教えた。アリゼは最初は魔力を感じられず不安になったが、ロレーヌは自力で感じ取れる者は少なく、普通は師の魔力を流して感覚をつかむものだと説明した。レントはかつて、ゴブリン魔術師の魔術を受けて魔力を自覚した過去を語り、アリゼはその危険な方法を拒んだ。

アリゼの才能

ロレーヌがアリゼの手を取り魔力を流すと、アリゼはすぐに体内の魔力を感じ取った。ロレーヌはその速さに驚き、アリゼの魔力の多さと才能を認めた。アリゼは苦しみながらも魔力を動かそうとし、レントの挑発を受けてさらに続けることを選んだ。

初めての点火

ロレーヌは、詠唱、短縮詠唱、無詠唱の基本を説明し、レントに初歩魔術《点火》を実演させた。レントはうろ覚えの詠唱に不安を抱きながらも成功し、アリゼに魔力の集中と現象のイメージが大切だと助言した。アリゼも詠唱を行い、小さいながら指先に火を灯すことに成功した。

魔術の可能性

ロレーヌは、火や水、土を自在に操り、鳥や竜、建物や城の形を作って見せた。アリゼはその技術に感動し、ロレーヌとレントのようになれるよう努力すると誓った。こうして初日の講義は終わり、アリゼはロレーヌの教科書を持って孤児院へ帰った。

冒険者修行の準備

アリゼを見送ったあと、レントは次は冒険者としての修行をさせるつもりだとロレーヌに話した。剣術や森、迷宮での素材採取の知識を教えるには武具が必要だったが、レントには十分な金がなかった。そこで、タラスク素材の売却金を当てにして、冒険者組合へ向かった。

存在進化の報告

冒険者組合でシェイラに会ったレントは、下級吸血鬼の一種へ存在進化したことを伝えた。シェイラはレントの顔が以前に近づき、肌もきれいになっていることに驚いた。レントは仮面が外れないことや実力の変化を説明しにくいことから、当面はレント・ヴィヴィエとして活動を続けると決めた。

売却前の相談

レントはタラスクが売れたものと思っていたが、シェイラに解体場へ案内された。ダリオは、タラスクの品質が非常に良く、競売人がオークションではなく特定の顧客へ直接売りたいと言い出したと説明した。その顧客は推定落札額の倍額で買う代わりに、タラスクを狩った冒険者を紹介してほしいと条件を出していた。

紹介への迷い

レントは、魔物である自分が権力や財力を持つ人物と会う危険を考え、慎重になった。しかし、高品質な素材を扱える冒険者として知己を得ることは、神銀級を目指すうえでも悪くないと判断した。ダリオが競売人のステノ商会を信用できる相手だと説明したため、レントは会ってみることを承諾した。

素材売却金

ダリオは、タラスク以外の素材についてはすでに売却が終わっていると書類を見せた。どの素材も傷が少なく、品質が良かったため高値で売れたという。レントは、素材を傷つけない倒し方を研究してきた成果を褒められ、売却金を受け取って解体場を後にした。

エピローグ 

ロベリア教の聖女

辺境都市マルトへの道

ロベリア教はヤーラン王国では目立たない宗教だったが、西方の大国では大きな権勢を持つ宗派であった。マルトにも小さな教会があり、信者は多くないものの、高品質な聖水を扱うことで知られていた。しかし信者の少なさとは別に、ロベリア教はヤーラン王国でも諜報活動を怠っていなかった。

聖女ミュリアス・ライザは、馬車で辺境都市マルトへ向かっていた。彼女はアルス聖王国とは異なる野性味のある景色を眺めながら、ヤーラン王国の辺境を新鮮に感じていた。

聖女ミュリアス・ライザ

ミュリアスは銀髪と紫の瞳を持つ、ロベリア教の聖女であった。彼女は女神ロベリアの加護を受け、治癒と浄化に特化した聖気を操れた。その力は街一つを包む治癒の光を降らせられるほどだったが、ロベリア教本部には彼女以上の聖者や聖女が何人もおり、ミュリアスは驕らず務めを果たしてきた。

ヤーラン王国の宗教事情

ヤーラン王国では、古くから東天教が広く信仰されていた。東天教は信仰の負担が軽く、僧侶たちも高潔で質素だったため、他宗が入り込む余地は少なかった。他宗の神官たちは教義を広めようとしたが、上層部の腐敗や寄進を求める姿勢を見抜かれ、布教は進まなかった。

しかし近年、魔物の増加によって人々の不安が高まり、救いを分かりやすく説く宗教へ目が向き始めていた。ロベリア教にとっても、それは布教の機会であり、ミュリアスもマルトで治癒と浄化を行い、教えを広める役目を担っていた。

信仰への疑念

ミュリアスは聖女でありながら、ロベリア教の正しさに疑問を抱いていた。ロベリア教は、あらゆる神の加護を唯一神ロベリアが形を変えて与えたものだと説いていた。しかし、神霊の加護が本当に誰から与えられたものかを知る方法はほとんどなく、ミュリアス自身も、ある日突然人を治せる気がしただけであった。

そのため、彼女は自分の加護が本当にロベリアのものなのか確信できなかった。周囲の聖者や聖女が当然のようにロベリアを信じる中で、ミュリアスは自分が異端であると感じていた。

監視役ギーリ

ミュリアスの前には、監視役として神官ギーリが座っていた。ギーリは鋭い目つきと暗殺者のような雰囲気を持ち、腰には重い刃物を下げていた。ミュリアスは、余計なことをすればただでは済まないというロベリア教本部の意思を感じていた。

重い空気に耐えかねたミュリアスが訪問の目的を尋ねると、ギーリはロベリア教の布教のため、マルト市民を集めて治癒と浄化を行い、説教する予定だと答えた。ミュリアスは自分よりギーリが説教した方がよいのではないかと言ったが、ギーリは聖女として信仰への疑念を生む発言を控えるよう注意した。

フォロストロアの忠告

ギーリは、ミュリアスの率直すぎる発言を心配していた。彼は、かつて竜を退治した英雄フォロストロアが宴席で王を侮辱し、処刑された話を引き合いに出した。ミュリアスはそのたとえを面白く感じつつも、今の自分に当てはまる部分があることも理解した。

ミュリアスは気を付けると微笑み、ギーリはそれを祈っていると感情の薄い声で呟いた。

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