魔導具師ダリヤはうつむかない 12巻レビュー
魔導具師ダリヤはうつむかないまとめ
魔導具師ダリヤはうつむかない 14巻レビュー
物語の概要
本作は、前世の記憶を持つ魔導具師ダリヤ・ロセッティが、魔導具作りを通じて周囲の人々を幸せにしていく異世界ものづくりファンタジーの第13巻である。
本巻では、ダリヤがヴォルフレードのために制作した「黒風の魔剣」が岩山蛇討伐で異常な戦果を挙げ、王城魔導具制作部との共同研究へと発展する。また、スライム養殖場の魔鳩被害に対しては、フェルモやランドルフと協力し、魔物の生態を利用した「魔鳩恐怖小屋」を建設して解決に導く。
物語の後半では、スカルファロット本邸への訪問が描かれる。ヴォルフレードの義姉ローザリアが抱える「魔力が光として視えるため、愛する家族の顔が見えない」という切実な悩みに対し、ダリヤは妖精結晶を用いた眼鏡を提案する。家付き魔導具師コルンバーノと技術を共有し、困難な付与を乗り越えて家族の笑顔を取り戻すまでが、本巻の大きな山場となっている。
主要キャラクター
ダリヤ・ロセッティ:前世の記憶を持つ魔導具師。魔導具への深い愛情と柔軟な発想で、技術的な課題のみならず人間関係の悩みも解決していく。
ヴォルフレード・スカルファロット:魔物討伐部隊の騎士であり、ダリヤの親友。本巻ではダリヤが作った人工魔剣を振るい、その性能を実証する。
ローザリア・スカルファロット:ヴォルフレードの義姉。特異な目の能力ゆえに孤独を抱えていたが、ダリヤの技術によって救われる。
セラフィノ・ザナルディ:王城魔導具制作部第三課の長であり大公。ダリヤの技術と特殊な体質(ブラックスライムの残滓)に強い興味を抱く。
物語の特徴
本作の最大の特徴は、魔法が存在する世界においても「ものづくり」の試行錯誤が詳細かつ論理的に描かれる点にある。特に本巻では、薄い付与を重ねる「ミルフィーユ付与」という新技術が確立され、職人たちの技術交流が熱く描かれている。
また、単なる便利道具の開発にとどまらず、魔導具が人の心の傷や身体的なハンデを埋める架け橋として機能する点が読者の感動を呼ぶ。ローザリアの視覚の問題を「変装」ではなく「認識の補助」で解決した展開は、ダリヤの優しさと職人としての矜持が融合した本作ならではの名場面である。
書籍情報
魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~13
著者:甘岸久弥 氏
イラスト:駒田 ハチ 氏
出版社:KADOKAWA
レーベル:MFブックス
発売日:2026年1月23日
ISBN:9784046855367
備考:紙書籍版、電子書籍版が同時発売。小冊子付き特装版もあり。
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あらすじ・内容
グイードと妻ローザリアが抱える苦悩。ダリヤが見出した希望の光は……?冒険者ギルドからの依頼や王城魔導具師との意見交換など、日々忙しく過ごす魔導具師のダリヤ。
誕生日も魔導具制作に勤しむ彼女の元に、贈り物を携えたヴォルフが訪れる。そこでグイードの妻ローザリアが自分を招いていると聞き、スカルファロット家を訪れることに。ダリヤは初めての本邸に緊張しながらも、温かい歓迎を受ける。
しかし、グイード夫妻との挨拶の直前、突如現れた氷の壁に道を塞がれ――。
「ヴォルフレードのフリをするなど許しません!」
ローザリアからの突然の敵意に困惑するダリヤとヴォルフ。誤解の原因は彼女の抱える秘密と『妖精結晶の眼鏡』にあるようで……!?
魔導具師ダリヤのものづくりストーリー、人の想いにふれる第十三弾、開幕!
工房の結束と魔鳩対策
三人の信頼と魔鳩恐怖小屋の完成
フェルモ・ガンドルフィは貴族対応への不安を抱いていたが、ダリヤ・ロセッティとヴォルフレード・スカルファロットの励ましにより、三人は対等な仲間としての信頼を深めた。その後、スライム養殖場で深刻化した魔鳩被害に対し、ランドルフ・グッドウィンの知識を借りて対策に乗り出した。フェルモが改良した小屋に罠餌とワイバーンの匂いを利用した仕掛けを施し、捕獲した魔鳩に徹底的な恐怖を植え付けることで撃退に成功した。
黒風の魔剣と王城での波紋
多重付与の成果と三課での発見
ダリヤはヴォルフレードのために人工魔剣「黒風の魔剣」を制作した。薄い付与を重ねる技術により耐久性を高めた剣は、岩山蛇討伐で異常な戦果を挙げ、王城魔導具制作部との共同研究へと繋がった。その後、ダリヤはセラフィノ・ザナルディ大公の招きで第三課を訪れた。保管されていた首無鎧がダリヤに反応したため魔力鑑定が行われ、過去の治療の影響で彼女の手にブラックスライムの魔力残滓が残っている事実が発覚した。
スカルファロット家の眼鏡
ローザリアの瞳と妖精結晶の輝き
ダリヤはスカルファロット本邸を訪問した際、ヴォルフレードの義姉ローザリアから攻撃を受けた。彼女は魔力が光として視えるため、人の顔を判別できずに誤認したのだった。ダリヤは解決策として妖精結晶を用いた眼鏡制作を提案し、技術を共有した。家付き魔導具師コルンバーノは重圧と幻覚の副作用を乗り越えて付与を成功させ、家族の顔を取り戻したローザリアは涙を流して喜んだ。
明日への活力と母の願い
ダリヤの帰還とヴァネッサの追憶
役目を終えて緑の塔へ戻ったダリヤは、ヴォルフレードからの差し入れに心を温め、増えたスライムにミズマリとアオマリと名付けた。彼女はヴォルフレードの誕生日を祝う計画を立て、前向きな気持ちで休息についた。一方、ヴォルフレードの母ヴァネッサは、かつて自身が魔剣を扱えなかった経験から、息子が戦場で生き残れるよう魔剣の探索と剣の指導に深い愛情と執念を注いでいたことが語られた。
感想
序盤は、ダリヤ(カルロも?)がきっかけで始まったスライム養殖場で深刻化した、魔鳩被害への対策が描かれた。
結局はフェルモが改良した小屋に罠餌を設置し、ランドルフの知識を借りてワイバーンの匂いをつけるという対策で決着した。本作はワイバーン素材を多岐にわたって活用する傾向があるが、まさか今回は「鳩避け」に使われるとは驚きだ。それ以前に、対峙した魔鳩のアグレッシブさは異常なほどであった。
こんなハトが日本に居たら怖いな。
また中盤では、作中で試行錯誤が続いていた人工魔剣がついに成功形となり、王城魔導具制作部との共同研究へと昇華された展開も感慨深い。
騎士たち(老若区別なく)が目をキラキラさせて夢中になってるシーンが脳裏によぎる。
この王城魔導具制作部への訪問で発覚した、ダリヤの特殊体質も見逃せない点だ。
かつての怪我で体内に残ったブラックスライムの粉末が原因で、首無鎧(デュラハン)の殻が反応したという事実は、今後の魔導具作りにどう影響していくかが物語の鍵になるだろう。
そう考えると、以前スライム養殖場でスライムたちが彼女に特異な反応を示したのも、この粉末の影響だったのではないかと腑に落ちる。
特にブラックスライムの反応は納得いった。
終盤では、スカルファロット家への訪問が描かれた。ヴォルフレードの義姉ローザリアとの面会を通じ、彼女が「魔力を光として認識してしまうため人の顔が判別できない」という問題を抱えていることが判明する。ダリヤは今回、妖精結晶を用いた眼鏡を作成することで、その難題を解決に導いた。 このエピソードは、魔導具による問題解決が家族の絆を深める結果につながり、非常に温かい物語として結実していた。
魔導具師ダリヤはうつむかない 12巻レビュー
魔導具師ダリヤはうつむかないまとめ
魔導具師ダリヤはうつむかない 14巻レビュー
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登場キャラクター
主要キャラクター
ダリヤ・ロセッティ
前世の記憶を持つ転生者であり、ロセッティ商会の商会長を務める魔導具師である。王城騎士団魔物討伐部隊の相談役も兼任し、魔導具開発を通じて周囲と信頼関係を築いている。
- 所属組織、地位や役職ロセッティ商会・商会長。王城騎士団魔物討伐部隊・相談役。
- 物語内での具体的な行動や成果スライム養殖場の魔鳩被害に対し、仲間と共に「魔鳩恐怖小屋」を作り解決した。ヴォルフレードのために「黒風の魔剣」を制作し、王城魔導具制作部との共同研究のきっかけを作った。また、スカルファロット家でローザリアのために妖精結晶の眼鏡を提案し、技術共有を行った。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項王城魔導具制作部第三課の長であるザナルディ大公に目をかけられる。首無鎧への接触により、過去の怪我に由来するブラックスライムの魔力残滓が手に残っていることが判明した。
ヴォルフレード・スカルファロット
スカルファロット伯爵家の四男であり、魔物討伐部隊に所属する騎士である。ダリヤとは深い信頼関係にあり、公私ともに彼女を支える存在だ。
- 所属組織、地位や役職スカルファロット伯爵家・四男。魔物討伐部隊・隊員。
- 物語内での具体的な行動や成果ダリヤが制作した人工魔剣を使用し、岩山蛇の討伐で多大な戦果を挙げた。ダリヤがザナルディ大公に魔物や魔付きと疑われた際、必死に擁護し人間であることを保証した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項圧倒的な戦闘力から、周囲の騎士より「魔王」と評されるようになった。家族の平和のため、実家の庭で「魔物ごっこ」に参加し、庭を荒らす一因となった。
フェルモ・ガンドルフィ
ガンドルフィ工房の工房長であり、腕利きの職人である。貴族への対応に不安を抱きつつも、仕事には真摯に取り組む実直な性格を持つ。
- 所属組織、地位や役職ガンドルフィ工房・工房長。
- 物語内での具体的な行動や成果自身の工房名を伏せる条件で、スライム養殖場の魔鳩対策に個人として協力した。乾燥小屋に風や匂いのギミックを追加し、魔鳩撃退の仕組みを完成させた。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項スカルファロット家武具工房の仲間として、ヨナスやダリヤとの信頼関係を深めた。
ヨナス
スカルファロット家武具工房の工房長であり、グイードやヴォルフレードの護衛も務める。魔付きであり、冷静な判断力で場を収める役割を担う。
- 所属組織、地位や役職スカルファロット家武具工房・工房長。
- 物語内での具体的な行動や成果魔鳩対策の連絡不備についてフェルモに謝罪し、関係を修復した。ローザリアがヴォルフレードを敵と誤認して作った氷壁を、火魔法で溶かし事態を収拾した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項魔鳩対策の情報共有不足を反省し、フェルモを正式な仲間として迎え入れた。
ランドルフ・グッドウィン
魔物討伐部隊の騎士であり、国境付近の事情や魔物の生態に詳しい。過去の人質経験から、孤独な存在に対して強い共感を抱く。
- 所属組織、地位や役職魔物討伐部隊・隊員。
- 物語内での具体的な行動や成果魔鳩の生態や弱点に関する知識を提供し、対策の立案に貢献した。群れから孤立した魔鳩を丁寧に洗浄して匂いを消し、群れへ帰還させた。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項助けた魔鳩に懐かれ、「魔鳩使い」という新たな二つ名が加わった。
セラフィノ・ザナルディ
オルディネ王国の王位継承権第三位を持つ大公であり、王城魔導具制作部第三課の課長である。研究熱心な性格で、身分にとらわれず有能な技術者を評価する。
- 所属組織、地位や役職王城魔導具制作部第三課・課長。大公。
- 物語内での具体的な行動や成果ダリヤとヴォルフレードを第三課へ招待し、不敬を問わない書付を渡した。「おいしいポーション」の開発や、首無鎧の解析など独自のプロジェクトを推進している。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項ダリヤの手に残る魔力残滓に興味を示したが、彼女の立場を守るために深入りを避ける配慮を見せた。
グイード・スカルファロット
スカルファロット伯爵家の当主代行(または実質的な当主)であり、ヴォルフレードの兄である。家族を深く愛し、政治的な駆け引きにも長けている。
- 所属組織、地位や役職スカルファロット伯爵家。
- 物語内での具体的な行動や成果ダリヤに対し、第三課へ引き抜かれないよう忠告し、貴族後見人として守る姿勢を示した。ローザリアの目の能力についてダリヤに守秘の神殿契約を求めた。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項妻ローザリアのために作られた眼鏡をかけ、彼女と見つめ合うことで夫婦の絆を再確認した。
ローザリア・スカルファロット
グイードの妻であり、強力な氷魔法の使い手である。魔力を光として認識する特異な目の持ち主で、人の顔を判別できない悩みを抱えていた。
- 所属組織、地位や役職スカルファロット伯爵家。
- 物語内での具体的な行動や成果擬態眼鏡をかけたヴォルフレードを敵と誤認し、氷壁を展開して攻撃態勢をとった。ダリヤの提案による妖精結晶の眼鏡を受け入れ、家族の顔を見るという願いを叶えた。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項眼鏡の完成により、夫や娘の顔をはっきりと認識できるようになった。
コルンバーノ
スカルファロット家の魔導具部門長を務める魔導具師である。当初はダリヤに対し対抗心を抱いていたが、その技術と姿勢を知り意識を改めた。
- 所属組織、地位や役職スカルファロット家魔導具部門・長。
- 物語内での具体的な行動や成果ダリヤから妖精結晶の眼鏡の製法を教わり、幻覚の副作用と闘いながら付与を成功させた。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項自身のプライドよりも主の笑顔を優先する職人としての誇りを取り戻した。
ウロス
王城魔導具制作部の部長であり、高魔力を持つ熟練の魔導具師である。部下の安全管理に厳しく、責任感の強い人物だ。
- 所属組織、地位や役職王城魔導具制作部・部長。
- 物語内での具体的な行動や成果ダリヤの「ミルフィーユ付与」を見学し、低魔力での多重付与の危険性を叱責した。その後、共同研究の可能性を認め、制度の壁を越えて協力体制を構築した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項ダリヤの技術に触発され、カルミネと共に薄い付与の猛練習を開始した。
カルミネ
王城魔導具制作部の副部長である。柔軟な思考を持ち、新しい技術や素材の導入に積極的である。
- 所属組織、地位や役職王城魔導具制作部・副部長。
- 物語内での具体的な行動や成果スライム成形戦闘靴の改良を行い、魔物討伐部隊への導入を進めた。ダリヤに特製の靴を贈呈し、彼女を魔導具制作部の見学へ誘った。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項ウロスと共に多重付与の研究に没頭し、制作部内の技術基準を引き上げた。
ヴァネッサ・スカルファロット
ヴォルフレードの母であり、元護衛騎士である。息子が騎士として生き残るために力を尽くしたいと願っている。
- 所属組織、地位や役職スカルファロット伯爵家。
- 物語内での具体的な行動や成果炎の魔剣のオークションに参加したが、起動条件を満たせず入手を断念した。幼いヴォルフレードに剣の稽古をつけ、共に鍛錬に励んだ。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項攻撃魔法を持たない息子のため、強力な魔剣を探し求める執念を見せた。
ドリノ・バーティ
魔物討伐部隊の騎士であり、ヴォルフレードの友人である。花街の女性に対し、複雑な感情を抱いている。
- 所属組織、地位や役職魔物討伐部隊・隊員。
- 物語内での具体的な行動や成果岩山蛇討伐後の解体作業で、ヴォルフレードとの実力差を痛感した。花街の「宵闇の館」に通い、想い人であるファビオラに救護院への寄付金を手渡した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項ファビオラとの関係を「半分夢の中」と割り切りつつも、大切に想い続けている。
戦闘 一覧
スカルファロット家別邸での相談
連絡用魔鳩への攻撃(過去の事例)
- 戦闘者:魔鳩 vs 連絡用魔鳩
- 発生理由:干したグリーンスライムを狙う魔鳩が、誤って連絡用魔鳩を攻撃対象としたため。
- 結果:連絡用魔鳩が撃ち落とされる被害が発生した。
スライム養殖場の魔鳩対策
ジャン所長による魔鳩の捕獲
- 戦闘者:ジャン所長 vs 侵入した魔鳩
- 発生理由:スライム養殖場への侵入を防ぐため。
- 結果:ジャン所長が魔鳩を捕まえて威圧し放したが、四日目で再挑戦してくる個体が出るなど効果は限定的であった。
魔鳩恐怖小屋と国境の騎士
身体強化を持つ魔鳩による施設襲撃
- 戦闘者:魔鳩(身体強化個体) vs スライム養殖場(研究員)
- 発生理由:魔鳩が餌(グリーンスライム)を求めて上空から急降下し、施設へ侵入しようとしたため。
- 結果:魔封銀で補強された金網を突破し、天井強化ガラスを割って侵入した。研究員が負傷した。
魔鳩恐怖小屋での撃退
- 戦闘者:魔鳩 vs 罠(魔鳩恐怖小屋の仕掛け)
- 発生理由:魔鳩を撃退し、二度と来たくないと思わせるための実験として、罠餌や不快な環境を用意した小屋へ誘導したため。
- 結果:魔鳩は不規則な風に妨害され、罠餌で体調を崩し、最終的にワイバーンの匂い付きの水を浴びせられ、トラウマを植え付けられて撃退された。
ジャン所長による王城の魔鳩への制裁
- 戦闘者:ジャン所長 vs 王城の魔鳩(過去にガラスを割った個体)
- 発生理由:対策の効果を確認中に現れた魔鳩が、以前強化ガラスを割った個体だと判明し、ジャンの怒りを買ったため。
- 結果:ジャンが魔鳩を捕獲し、加熱して匂いを強めたブラックワイバーンの皮で全身を念入りに撫で回し、恐怖を与えて放した。
ランドルフによる魔鳩の洗浄時の攻防
- 戦闘者:ランドルフ・グッドウィン vs 屋根の魔鳩
- 発生理由:ワイバーンの匂いをつけられ孤立した魔鳩を群れに戻すため、ランドルフが洗浄を試みた際、魔鳩が抵抗したため。
- 結果:魔鳩がランドルフの指を噛み続け流血させたが、ランドルフは身体強化で耐えきり、洗浄を完了させた。
誕生日と赤い花籠
ヴォルフレードによるドア破壊
- 戦闘者:ヴォルフレード・スカルファロット vs ダリヤの部屋のドア
- 発生理由:ダリヤが足の痺れで倒れていたのを緊急事態(発作や怪我)と誤認し、救助のために突入しようとしたため。
- 結果:ドアが蝶番ごと破壊された。
岩山蛇と魔王
上級冒険者と岩山蛇の戦闘(過去)
- 戦闘者:上級冒険者 vs 大型変異種の岩山蛇
- 発生理由:岩山蛇の討伐のため。
- 結果:火魔法で仕留めようとしたが息が長く暴れ回り、周囲の岩山蛇も誘発された。
山裾での岩山蛇との戦闘
- 戦闘者:冒険者たち vs 岩山蛇の群れ
- 発生理由:中域火魔法で山を焼いた結果、岩山蛇が山裾へ流出し、街道封鎖の必要が生じたため。
- 結果:冒険者が腕を囓られる被害が発生した。
魔物討伐部隊による岩山蛇殲滅戦
- 戦闘者:魔物討伐部隊(主にヴォルフレード・スカルファロット) vs 岩山蛇の群れ
- 発生理由:人の味を覚えた個体が出たため、山裾に流出した岩山蛇を殲滅する必要があったため。
- 結果:ヴォルフレードが黒風の魔剣を用いて一方的に岩山蛇を次々と切り刻み、刃こぼれもさせず連戦して殲滅した。
戦闘靴の報告会とミルフィーユ付与
付与見学時の魔力圧迫
- 戦闘者:ウロス(の魔力) vs ダリヤ・ロセッティ
- 発生理由:ウロスが高負荷の付与(剣壊しへの身体強化・耐久性上げ)を行った際、強風のような魔力の余波が発生したため。
- 結果:ダリヤは強風に押される錯覚と陽炎のような魔力の圧力を感じ、呼吸が浅くなるほどの負荷を受けた。
大公と王城魔導具制作部三課
魔羊フランドフランの暴走(過去)
- 戦闘者:魔羊フランドフラン vs 騎士二人
- 発生理由:跳躍力の研究対象である魔羊が暴れたため。
- 結果:騎士二人が跳ね飛ばされ、魔羊の蹄が扉にめり込んだ。
首無鎧接触時の護衛による威嚇
- 戦闘者:護衛騎士・メイド vs 首無鎧(の殻)
- 発生理由:ダリヤが首無鎧に触れた際、鎧が赤く発光するという予期せぬ反応を示したため、護衛たちが危険と判断した。
- 結果:護衛たちが抜剣し制止したが、ザナルディの指示とヴォルフレードの擁護により戦闘には発展せず、未遂に終わった。
魔剣の再検証とオルディネ大公の独白
グイードによるザナルディへの拒絶(過去)
- 戦闘者:グイード・スカルファロット vs セラフィノ・ザナルディ
- 発生理由:ザナルディが研究目的でヨナスの体を借りたい(腑分けして治癒する)と言い出したため。
- 結果:グイードが冗談交じりに床が鏡面になるほど凍結させて拒絶し、ザナルディを退けた。
閑話 宵闇の館と甘い夢
ドリノによるテーブル破壊(過去)
- 戦闘者:ドリノ・バーティ vs テーブル
- 発生理由:王城騎士団入団の祝宴で出自を侮辱され、怒りが爆発したため。
- 結果:テーブルを叩き割って相手を黙らせた。
スカルファロット家への訪問
ローザリアによる防衛行動
- 戦闘者:ローザリア・スカルファロット vs ヴォルフレード・スカルファロット(誤認)
- 発生理由:ローザリアが、擬態眼鏡をかけたヴォルフレードを「魔物か魔付きの刺客」と誤認したため。
- 結果:ローザリアが即座に氷壁を展開して廊下を封鎖したが、ヨナスが火魔法で氷壁を溶かし、誤解が解けたため戦闘には発展しなかった。
裏庭での魔物ごっこ
- 戦闘者:ヴォルフレード、グイード、ヨナス、護衛騎士たち vs 互い(参加者全員)
- 発生理由:親睦を深めるための「遊び」として始まったが、実力者同士が本気で身体強化を用いたため。
- 結果:実質的な狩りの様相を呈し、庭の芝生が抉れ花々が倒れるなど荒れ果てた。ローザリアの怒りを買う結果となった。
スカルファロット家の妖精結晶の眼鏡
コルンバーノによるレンズ破壊
- 戦闘者:コルンバーノ vs 妖精結晶・水晶レンズ
- 発生理由:妖精結晶への付与を試みたが、幻覚の副作用と魔力制御の難しさに敗北したため。
- 結果:妖精結晶は微塵となり、水晶レンズは四枚ひび割れた(コルンバーノの惨敗)。
番外編 母と息子の鍛錬と魔剣話~炎の魔剣~
ヴァネッサによる家と家族の防衛(過去)
- 戦闘者:ヴァネッサ・スカルファロット vs 誘拐を狙う魔物 / 襲撃者 / 侵入者
- 発生理由:スカルファロット家の家族を守るため。
- 結果:魔物を斬り、襲撃者を氷漬けにし、侵入者と打ち合って撃退した。
ヴァネッサの父と兄と森大蛇の戦闘(過去)
- 戦闘者:ヴァネッサの父と兄 vs 森大蛇
- 発生理由:森大蛇との戦いが発生したため。
- 結果:父と兄が亡くなり、村が移転することとなった。
ヴァネッサとバーレットの剣の指導(過去)
- 戦闘者:ヴァネッサ vs バーレット
- 発生理由:ヴァネッサがバーレットに弟子入りし、剣の指導を受けたため。
- 結果:初日は徹底的に転がされ叩き込まれ、ヴァネッサは動けなくなるまで倒された。
魔導具師ダリヤはうつむかない 12巻レビュー
魔導具師ダリヤはうつむかないまとめ
魔導具師ダリヤはうつむかない 14巻レビュー
展開まとめ
スカルファロット武具工房顔合わせ
挨拶を前にした服装への不安
ガンドルフィ工房の客間で、フェルモ・ガンドルフィは翌日の貴族への挨拶に向け、自身の服装が適切かどうか不安を口にしていた。ダリヤ・ロセッティとヴォルフレード・スカルファロットは問題ないと励ましたが、フェルモは庶民向けの貴族対応本の記述を気にして不安を拭いきれずにいた。急な立場の変化で胃を痛めた経験のあるダリヤは、その心情に強く共感していた。
三人の立場と関係性
ダリヤは前世の記憶を持つ転生者であり、現在はロセッティ商会の商会長や王城騎士団魔物討伐部隊の相談役を務めている。ヴォルフレードは伯爵家四男で人気の隊員だが、過去の経験から自身の立場を疎ましく思っていた。フェルモは腕利きの工房長であり、三人は昨年から仕事を通じて信頼を築いてきた仲間であった。
翌日の訪問と急ぎの案件
フェルモとダリヤはスカルファロット伯爵家別邸への訪問を控えており、急ぎの案件について相談される予定であった。泡ポンプボトルや温熱座卓の改良などが予想されたが、詳細は不明であった。同行できないヴォルフレードは悔やみつつも、無理な要求があれば保証人として支えると約束した。
深まった信頼と仲間意識
三人は緑の塔での初対面時にあった硬い空気を振り返り、魔導具開発を通じて距離が縮まったことを懐かしんだ。今では対等な仲間として笑い合える関係となり、ダリヤはその変化を喜びつつ、互いに支え合う意思を再確認して場は和やかに締めくくられた。
スカルファロット家別邸での相談
緊張の再燃と場の空気
スカルファロット家別邸の武具工房に到着したダリヤ・ロセッティとフェルモ・ガンドルフィは、貴族の場に再び強い緊張を覚えていた。特にフェルモは表情を硬くし、慣れない環境への戸惑いを隠せずにいたが、一方で同席したイヴァーノは落ち着いた態度を保ち、場を和ませていた。
相談の主と魔鳩問題の発覚
武具工房長ヨナスと冒険者ギルド副ギルド長アウグストが現れ、相談内容が明かされた。それはスライム養殖場を荒らす鳥、特に魔鳩への対策についてであった。干したグリーンスライムが魔鳩に狙われ、誤って連絡用魔鳩を撃ち落とす事例が発生しており、貴族間や国家間の問題に発展する危険性が示された。
霧の罠の限界と新たな対応
既存の噴霧罠である「霧の罠」は重量で作動する仕組みのため、軽量な魔鳩には適さないことが確認された。アウグストはこの問題に対し暫定的な猶予期間を得ていると説明し、その間に魔鳩が近寄らないような新たな仕組みの開発を求めた。
フェルモの覚悟と単独協力
フェルモは自身の工房名を伏せることを条件に、個人として協力を申し出た。これはリスクの大きさを理解した上での判断であり、ダリヤも武具工房の仲間として共に取り組む意思を示した。
説明不足への指摘と和解
フェルモはヨナスに対し、事前の説明がなかった点を指摘した。ヨナスは自身の判断ミスを認めて謝罪し、今後は情報共有を徹底すると応じた。互いの立場と信頼を再確認することで、関係は修復された。
仲間の増加という実感
別れ際、ヨナスはフェルモの姿を見送り、ダリヤを中心に「巻き込まれて巻き込む」関係が広がっていることを実感した。スカルファロット家武具工房という船に、また一人仲間が加わったのだと認識していた。
スライム養殖場の魔鳩対策
研究主任イデアの来訪と状況整理
スライム養殖場の研究主任イデアリーナ・ニコレッティが、冒険者ギルドから持ち込まれた魔鳩対策の件でロセッティ商会を訪れた。グリーンスライム乾燥エリアには以前から鳥害があったが、冬以降は野生の魔鳩だけでなく、王城や貴族の連絡用魔鳩も混在し始めたという。足環付きの魔鳩は原則として捕獲や駆除が禁じられており、鳥害として単純に排除できない事情が明らかになった。
現行対策の限界と被害の深刻化
屋外干しの周辺にはガラス屋根と細かな金網が設置されており、通常の鳥であればほぼ諦めるが、魔鳩の中には身体強化で金網を破る個体もいた。さらに狭い穴を無理に通って怪我をする個体まで現れ、対策が逆に事故を生む場面もあった。現状は信頼できる警備員に加え、元上級冒険者のジャン所長が侵入した魔鳩を捕まえて威圧し、放していたが、四日目で再挑戦してくる個体が出るなど効果は限定的であった。
情報収集の行き詰まりと助っ人の登場
ダリヤ達は魔導具での対応を検討するが、軽量で空から来る魔鳩への感知は難しく、有効な専門書も見つからなかった。メーナは運送ギルドの魔鳩がグッドウィン家由来だと語り、弱点を尋ねる案を出したが、関係者を不用意に巻き込めないとして見送られた。だが翌日、ヴォルフレード・スカルファロットがヨナスから事情を聞き、ランドルフを連れて緑の塔へ来訪し、魔鳩に関する知識提供を申し出たことで状況が動いた。
ランドルフの知識共有と魔鳩の性質
ランドルフは自身の知識が王都へ来る以前のものであると断った上で、魔鳩の基本生態を説明した。魔鳩は魔力による身体強化で飛び、個体によっては隠蔽魔法を持ち、群れで二つの巣を往復して餌場情報を共有するという。好む餌は魔力のある植物や小動物、虫型の魔物であり、薬草類も食べるとされた。さらに、糞や羽毛、匂いを徹底的に消す習性があり、強い酒で匂いを消すことも一定の効果を持つと語られ、すでに養殖場が餌場として認定されている可能性が示唆された。
対立回避と最終手段の提示
ヴォルフレードの質問に対し、魔鳩の死体を吊るす手法は報復的な糞害攻撃を招く可能性があるとして否定された。被害が長期化すると厄介であり、隣国では年単位で飼育場が襲われ続け、税収が二割減った記録もあると語られた。野生であれば群れごと殲滅した例もあったが、今回の状況では避けたい対応であった。代替案として、確実に効く可能性がある手段として翼を折ってからポーションで完全に治して返す方法が挙げられたが、ダリヤとヴォルフレードは強い抵抗感を示し、これは最終手段として位置付けることになった。
具体案の創出と試行方針の決定
ランドルフは魔鳩がワイバーンの皮や脱皮した薄皮の匂いを嫌うと説明したが、王都の魔鳩は経験がなく効果が落ちる可能性も示した。また、空蝙蝠の肉は飢えても食べないという性質があるため、肉の粉を干しスライムの一部に塗って味を忌避させる案が出た。さらに、鳥は風の乱れを嫌い、魔鳩は飛び立つ際に翼へ魔力を通すため、急な風の変化で動きが乱れる可能性があるとして、送風機で風の流れを作る案が検討された。ダリヤは捕まえた魔鳩にワイバーンの匂いを付着させて放し、群れから避けられる状況を作る案も提示し、三人は実地で試しながら効果を検証する方針を固めた。
今後の情報提携の芽生え
ランドルフは、問題が長期化しうる以上、情報共有の枠組みを作る必要があると述べ、ヨナスの許可が得られれば正式な情報提携と秘密保持契約を結ぶよう父へ進言すると申し出た。ダリヤは感謝を示しつつ、魔鳩も人間も「うまいものに釣られる」という共通点を自覚しながら、提案書の項目を頭の中で組み立て始めていた。
魔鳩恐怖小屋と国境の騎士
養殖場の拡張と異常な鳥害の現場
ダリヤ・ロセッティはヴォルフレード・スカルファロットと共に王都東のスライム養殖場を訪れ、建物が密集するほど増設された敷地を目の当たりにした。イデアリーナ・ニコレッティの案内で到着したグリーンスライム干し場では、金網を魔封銀で補強したにもかかわらず、極端な身体強化を持つ魔鳩が上空から急降下して天井の強化ガラスを割り、研究員が負傷する事態が発生していた。
不規則風乾燥小屋の構造と鳥避けの思想
もう一方の小屋はフェルモ・ガンドルフィが中心となって改良した「室内干し」実験場であった。ダリヤ試作の大型ドライヤーと不規則に動く金属筒が人間でも落ち着かないほどの風と音、光の乱反射を生み出していた。乾燥効率は改善し、温風と冷風の交互運転が良い粉を作ると判明したが、日光を取り込むための天井ガラスが魔鳩に破られるという課題は解決していなかった。
罠餌の導入とイデアの葛藤
小屋内のグリーンスライムはすべて罠餌として加工されていた。これはイデアの父であるニコレッティ商会長が提案したもので、空蝙蝠の粉末と舞踏花の花粉を混ぜたものである。舞踏花には吸えばふらふらと踊るように動いて倒れる毒性があり、イデアは父との関係を再構築しながら、この毒餌策を採用していた。
魔鳩の侵入と効き目の確認
観察中、魔鳩が二羽侵入した。風に妨害されながらも罠餌を食べた魔鳩は、やがて不快な鳴き声を上げて床で回転し始めた。もう一羽も食べ続け、悪食ぶりが際立った。罠の効果は確認できたが、見ている側の良心が痛む光景でもあった。
追加ギミックと完成する恐怖体験
フェルモはさらなる仕掛けとして、小屋の出口に小さな押し戸を設け、そこを通った鳥にワイバーンの抜け殻を漬け込んだ水を霧吹きでかける機構を用意していた。不規則な風で疲れ、餌で体調を崩し、最後に天敵の匂いを浴びせられるという、魔鳩にとって「二度と来たくない」トラウマを植え付ける設計が完成していた。
所長ジャンの登場と私刑寸前の対応
そこへスライム養殖場所長ジャンが現れ、対策の効果を評価した直後、ふらふらと出てきた魔鳩を捕獲した。その個体は以前ガラスを割った「王城の魔鳩」であり、ジャンは怒りを込めてブラックワイバーンの皮で魔鳩を念入りに撫で回した。加熱して匂いを強めた皮で全身を「歓迎」された魔鳩は悲鳴を上げ、ここに「魔鳩恐怖小屋」のコンセプトが確立された。
王城へ向かう馬車と薬草煎餅の火種
その後、ダリヤはヨナスと共に王城へ向かう馬車内で、養殖場の近況と新たな課題について共有した。ヨナスは内密の情報として、薬草煎餅を食べた魔鳩の飛行速度が大幅に向上したことを報告した。成果が大きすぎるため、開発者であるダリヤに注目が集まらないよう、ヨナスが防波堤となり情報を管理することが確認された。
定例会と叙爵前夜の情勢
魔物討伐部隊棟の定例会では、遠征用馬車の改良や、部隊と職人間の情報共有を円滑にする体制の変更が報告された。会議後、グラートとジルドからは叙爵を控えた貴族たちの事情が語られ、ダリヤは自身の準備不足に不安を覚えた。また、話題は二爵上がりを果たしたオズヴァルド・ゾーラにも及び、その立場と周囲の反応が示された。
屋根の上の追放者と残った罪悪感
帰路、ヴォルフレードは魔物討伐部隊棟の屋根に、以前ジャンに捕まりワイバーンの匂いをつけられた魔鳩が一羽で孤立しているのを見つけた。仲間から徹底的に避けられ、衰弱している様子に、ダリヤとヴォルフレードは罪悪感を抱き、翼を折るよりはましだと言い聞かせようとするも、その姿に言葉を詰まらせた。
ランドルフの記憶と共感
そこへ現れたランドルフ・グッドウィンは、国境付近での魔物被害の増加を報告しつつ、屋根の魔鳩に目を留めた。ダリヤの提案で洗浄することになり、ヴォルフレードが捕獲したが、魔鳩は抵抗もせず諦めたような目をしていた。ランドルフはその姿にかつて人質として他国へ渡り、孤独を抱えていた自身の過去を重ね、魔鳩を群れに帰してやりたいと強く願った。
洗浄と群れへの帰還
ランドルフは魔鳩に指を噛まれ流血しながらも、あえて身体強化で耐え、怯える魔鳩に語りかけながら丁寧に洗浄を行った。消臭石鹸と液体消臭剤を使い、最後に艶出し油まで塗って匂いを消し去った。夕暮れ時、鳩小屋の前に放たれた魔鳩は、匂いが消えたことで仲間に受け入れられ、無事に小屋へと戻っていった。
後日談と新たな二つ名
その後、助けられた魔鳩はランドルフに極端に懐くようになり、彼が通ると全力で飛んできて肩に乗るようになった。周囲はその様子に驚き、ランドルフには既存の二つ名に加え、新たに「魔鳩使い」という名が加わることとなった。
誕生日と赤い花籠
誕生日のセルフ罰ゲームと過剰な救出劇
ダリヤ・ロセッティはヴォルフレードの父であるスカルファロット伯爵へ贈る魔導ランタンの制作に没頭していた。底板の彫り作業に夢中になるあまり、正座で足が痺れて動けなくなってしまう。そこへ訪れたヴォルフレード・スカルファロットは、倒れ込んで動けないダリヤを見て緊急事態と誤解し、ドアを蝶番ごと破壊して突入した。ダリヤがただ足が痺れただけだと必死に説明し、ようやくヴォルフレードは落ち着きを取り戻したが、玄関ドアは失われ、冷たい外気が入り込む状況となった。
贈り物と誕生日ディナー
ヴォルフレードは一日早い祝いとして、薔薇やガーベラなどが入った赤い花籠と、叙爵式で使える氷の結晶を模したペンダントを贈った。ダリヤは感謝し、式で身につけることを約束した。その後、ヴォルフレードがドアを修理し、二人は夕食を共にすることになった。彼が持参したパイとチーズケーキは突入時の衝撃で少し形が崩れていたが、誕生日の食卓は豪華なものとなった。
兵舎で流行する罠パイ
持参されたパイは兵舎で流行しているロシアンルーレット形式のもので、八個のうち一つが激辛、一つが激甘という仕様であった。かつてランドルフ・グッドウィンが無言で完食し中身が不明だったという前例もあったが、今回はヴォルフレードが甘いものと辛いものの両方を引き当てた。ダリヤは甘いパイを味見して楽しみ、辛いパイを半分もらってワインと共に味わった。
スカルファロット本邸への招待
食事中、ヴォルフレードは義姉が後見人であるダリヤに会いたがっている件を伝えた。商会関係者のイヴァーノは既に面会を済ませており、ダリヤにも本邸でのランチ招待が提案された。ヴォルフレードたちは別邸の使用状況について適当な説明をするつもりであり、ダリヤは緊張から逃げ腰になりつつも、礼儀上断ることはできず承諾した。義姉は上品な貴族女性で氷の魔力が強く、視力が弱いため焦点が合うのに時間がかかるという人物像が共有された。
ヴォルフの誕生日と魔剣への渇望
話題は来月に控えたヴォルフレードの誕生日に移り、彼は欲しいものとして即座に魔剣を挙げた。ダリヤは別途眼鏡フレームを手配していたが、提案として騎士団の制式剣に耐久魔法を上掛けし、強度をわずかに上げる案を出した。数パーセントの上昇に過ぎないが、ヴォルフレードはそれを「自分の魔剣」と呼んで目を輝かせ、二人はその制作に向けて動き出した。
人工魔剣制作九回目 黒風の魔剣
剣の仕様確認と改造案の提示
ヴォルフレード・スカルファロットが長剣を分解したことで、刀身が黒塗りではなく黒鋼粉による加工であることが判明した。ベルニージの剣のように先端重心で加速を得る運用が話題となり、ダリヤ・ロセッティは魔力遮断と硬質化の付与に加え、試作として先端に紅金を貼る提案をした。さらに緑冠の羽根を用いて弱い風魔法を付与し、魔力を流すことで加速を得る仕組みを狙った。なお、使用する炎龍のウロコ粉は、ダリヤがウロス部長へのクラーケンテープ貼りの協力に対する返礼として入手したものであった。
付与の実行と限界への挑戦
刀身先端に紅金板を挟み、炎龍粉で溶着させると、緑冠の羽根は吸い込まれるように一体化した。続いて一角獣の角で魔力遮断、首長大鳥の嘴で硬質化を交互に重ねる作業に入った。ダリヤは魔力制御が上達していたが、極度の集中により体調への負担を感じていた。しかし、離席した際にこっそりと魔力ポーションを飲み、当初の予定を超えて八掛けまで付与を重ねた。その作業には、ヴォルフレードが無事に帰還することへの祈りが込められていた。
仕上げと外見の変化
柄も魔力拮抗を防ぐために一角獣の角で包み、先端には簡易的な研ぎを入れたが、本格的な研ぎ直しは後日ヨナス経由で依頼することとした。八回に及ぶ重ね掛けの結果、ヴォルフレードが好んだ先端の赤色はほぼ黒に戻り、角度によってわずかに赤みを帯びる程度となった。耐久性は通常の剣の二割増し程度が見込まれた。
性能確認と魔剣の命名
性能確認では、紅金の重みによる速度に加え、魔力を流すことで任意のタイミングで加速できることが確認された。切れ味も良好で、ヴォルフレードは体感で五割増しの性能だと評価した。ダリヤは報酬としてミルフィーユを希望し、名付けをヴォルフレードに委ねた。彼はこれを「黒風の魔剣」と名付け、自分専用の剣として他者には使わせないと宣言した。磨かれた黒い刀身の先端に浮かぶ赤の光沢を見て、ヴォルフレードはそれがダリヤの色であると呟いた。
岩山蛇と魔王
討伐の発端と殲滅戦の要請
大型変異種の岩山蛇を狙った上級冒険者が火魔法で仕留めようとしたが、息の長い蛇種のため暴れ回り、周囲の岩山蛇も誘発されてしまった。焦った冒険者が中域火魔法で山を焼いた結果、逃げた岩山蛇が山裾へ流出し、街道封鎖の戦闘で冒険者が腕を囓られる事態が発生した。人の味を覚えた個体が出たため、山裾の岩山蛇を殲滅する必要が生じ、魔物討伐部隊へ要請が入った。
殲滅戦の布陣とヴォルフレードの異常な戦果
作戦は魔導師と隊員たちが火と風で熱風を送り、土魔法の壁で出口を一つに絞って迎撃する形であった。しかし、実際には最前線のヴォルフレード・スカルファロットが黒い剣を風のように振るい、岩山蛇を次々と切り刻んでしまった。表皮が硬く通常なら剣の交換が必要な相手に対し、彼は刃こぼれもさせず連戦し続け、後方の隊員の出番を奪う形となった。その姿にドリノやランドルフ、周囲の先輩騎士たちは彼を「魔王」と評した。
魔剣の性能とカークの機転
ヴォルフレードの強さの理由は、遠征で初めて使用した剣にあった。刃先に金属を追加して先端重心化され、さらに耐久付与も施されていた。彼が嬉しそうに剣を扱う様子から、その追加付与がダリヤ・ロセッティによるものだと周囲は察した。グラート隊長が休憩を命じてもヴォルフレードは拒否したが、カークが「血の匂いが残ると女性は苦手だ」と告げると彼は硬直して従った。
解体作業とドリノの焦燥
殲滅後は解体作業に移行したが、ヴォルフレードによる切断面があまりに鮮やかで、ドリノは自身との実力差を痛感した。しかしグラートが解体が早く終われば内緒でいい酒を出すと褒賞を示したことで、ドリノは前向きに作業に取り組んだ。
夜営での語らいと進展のない恋
夜営での乾杯の際、ヴォルフレードは「剣以外でいいことはあったか」と問われ、ダリヤに「かっこいい」と言われたことを報告した。周囲は期待して聞き耳を立てたが、その後はただ食事をして帰っただけだと判明し、先輩騎士たちは落胆の色を隠せなかった。
ドリノの苦悩とグラートの過去
ドリノは花街の女性ファビオラへの想いを抱えており、ジスモンドから忠告を受けつつも諦めきれずにいた。相談を受けたグラートは自身の過去を語り始めた。かつて彼も花街の女性に惚れ込んだが、相手に毒草である「草ノ王」を酒に混ぜられ、生死の境を彷徨った経験があった。
隊長の助言と仲間の絆
グラートは、夢から醒めるのは難しいが周囲を見る努力をするよう諭し、もし砕け散っても拾ってくれる友がいると励ました。その言葉に救われたドリノは、もしもの時は再びこの酒を飲ませてほしいと頼み、グラートは瓶で準備すると応じて隊の絆を確認し合った。
戦闘靴の報告会とミルフィーユ付与
戦闘靴の改良報告と導入の決定
魔物討伐部隊棟の会議室で行われた報告会で、カルミネからスライム成形戦闘靴の四式目が提示された。軽量化と耐久性の向上に加え、爪先と踵を金属で補強する仕様が説明されたが、材料費と付与の手間により一足あたり三割のコスト増となることが課題として挙げられた。予算枠の厳しさが懸念されたが、グラート隊長は魔物素材の販売益などを充てることで分割納品を承認し、まずは赤鎧の隊員から順次導入されることが決定した。
ダリヤへの贈呈と遠征環境の改善
カルミネは記念として、重量軽減や硬質化など五重の付与を施した特製の靴をダリヤ・ロセッティに贈呈した。グラートたちはダリヤが近隣遠征に参加する際の安全確保になると述べ、ダリヤも乗馬練習への意欲を新たにした。また、野菜ジュース用の大型粉砕機の稼働や、遠征時の食料保存技術の向上が報告され、書類が羊皮紙から紙へと移行しつつある時代の変化も語られた。
剣の付与強化と魔導具制作部への同行
報告会後、ヴォルフレード・スカルファロットがダリヤを送る道中で、彼の剣の付与強度が話題となった。隊の標準的な強度が八であるのに対し、ダリヤが強化した剣は十一程度と見積もられた。その後、カルミネからウロス部長による騎士団の剣への付与見学に誘われ、ダリヤとヴォルフレードは魔導具制作部棟へ同行することになった。
付与見学と高魔力による圧迫感
ウロスの作業室では人払いがなされ、護衛用の「剣壊し」三本への付与が行われた。ミスリルの薄板と牛頭鬼の骨粉を用い、身体強化と耐久性を十五程度まで高めるという高負荷の作業であった。ダリヤは魔力酔いを防ぐ対策をして見学したが、強風に押されるような錯覚と陽炎のような魔力の圧力を感じ、呼吸が浅くなるほどの衝撃を受けた。
黒風の魔剣とミルフィーユ付与の評価
ダリヤは自身が付与したヴォルフレードの剣について意見を求め、ウロスはその構造を分析した。ダリヤが薄い付与を幾層にも重ねる手法を「ミルフィーユ」に例えて説明すると、ウロスは低魔力での過剰な重ね掛けは危険であると激昂した。しかし、ヴォルフレードが岩山蛇を多数斬っても刃こぼれがない実績を示したことで、実用面での価値は認められることとなった。
共同付与の可能性と制度の壁
ダリヤは低魔力の者が下地を作り、高魔力の者が上掛けする共同作業の可能性を提案した。ウロスは責任の所在や武具の規定といった制度上の壁を説明しつつも、部長権限を用いて研究を進める決断を下した。近衛用装備との差別化を図りつつ、討伐部隊向けには隊員専用の運用で工夫する方針が固まった。
功績の扱いと試作品による還元
ウロスはミルフィーユ付与をダリヤの功績として公表しようとしたが、ダリヤはこれを辞退した。また、ウロスによる引き抜きの誘いもヴォルフレードが制止した。カルミネは代案として、共同研究の成果を「試作品」として魔物討伐部隊へ安価に卸す方法を提示し、ウロスもこれに賛同して新たな目標に向けた研究を開始することで合意した。
新たな期待と憧れ
帰り際、ヴォルフレードが書類の手続きで足を止める間、ダリヤは先ほどの見学を振り返っていた。王城の優秀な魔導具師たちが協力してミルフィーユ付与を行えば、どれほど素晴らしい魔導具が生まれるだろうかと、彼女は未来への憧れと期待を口にした。
魔導具師の選別と研究体制の構築
部屋に残ったウロスとカルミネは、魔導具師たちの適性や相性を見極め、多重付与研究のためのグループ分けを進めた。王城魔導具師が複数で協力して付与を行うという前例のない計画に、多くの魔導具師が意欲を示して参加を希望した。
刻み付与の困難と執念
高魔力の者が魔力を薄く刻んで付与することは極めて困難であり、ウロスとカルミネも当初は苦戦を強いられた。しかし、ダリヤの技術と黒風の魔剣の性能を目の当たりにした二人は、従来の自分たちの技術に満足できなくなり、通常業務の合間を縫って鬼気迫る練習を続けた。
周囲の驚愕と基準の刷新
部長と副部長の圧倒的な練習量と技術向上は、研究に参加した他の魔導具師たちを驚愕させた。彼らが誇っていた薄さが霞むほど、二人はより緻密で薄い付与を目指しており、その姿勢は魔導具制作部全体の技術基準を一気に引き上げることとなった。
協力が生む価値と魔物討伐部隊への還元
魔力の大小を優劣ではなく協力のための要素と捉える「ミルフィーユ付与」の概念は、魔導具師たちの意識を変革した。互いに協力し研鑽を積む日々が続き、やがてその成果である高性能な試作魔導具が、魔物討伐部隊へ数多く届けられる未来が示唆された。
大公と王城魔導具制作部三課
階段事故と三課への招待
魔導具制作部棟で書類を落とし階段から転落した男をダリヤ・ロセッティが介抱したが、その正体はセラフィノ・ザナルディ大公であった。ヴォルフレード・スカルファロットの言葉で相手の地位を知ったダリヤは硬直するが、ザナルディは自身が課長を務める魔導具制作部三課への見学を提案し、ヴォルフレードの付き添いのもとで訪問することが決まった。
不敬免責の書付と上司としての姿勢
馬車の中でザナルディはダリヤの緊張を察し、手帳を破って「不敬を問わない」という署名入りの書付を渡した。自由に意見が言えない環境では良い物が作れないという彼の考えに、ダリヤは理想的な開発上司像を見出し、書付を大切に保管した。
塔の異様な光景と魔羊の騒動
三課の塔は苔むした外観や昼間から煌々と灯る魔導ランタンなど、独特の雰囲気が漂っていた。案内中、跳躍力の研究対象である魔羊フランドフランが暴れる場面に遭遇したが、ヴォルフレードが毛刈りの手伝いを提案し、ザナルディは時間外手当を出す形で正式に依頼する方針を固めた。
ピエリナの研究とグイードのレリーフ
二階ではウロス部長の姪ピエリナ・ウォーロックがヴォルフレードの顔の計測を熱望し、ザナルディもそれを許可した。ヴォルフレードは謝礼としての自身のレリーフ制作を拒否し、代わりに兄グイードのレリーフ制作を依頼したことで、ピエリナは歓喜し、ザナルディも倉庫の素材使用を許可した。
オウムの失言とおいしいポーション
三階では王や側近の声色で政治的な会話を再現するオウムに遭遇し、一同は聞かなかったことにして撤退した。続いて案内された地下では「おいしいポーション」の開発が行われており、ダリヤたちが試飲した「ポーション六十一番」はリンゴジュースのような風味で高評価を得た。ザナルディは子供への投与や貧困層への無料治癒を通じた被験者募集の計画を語り、実務的な解決策を示した。
首無鎧の反応と魔付き疑惑
地下の保管庫で「首無鎧の鎧」を見学した際、魔力反応がないとされる鎧の内側にダリヤが触れると、赤く発光する現象が起きた。護衛たちが警戒する中、ザナルディはダリヤに魔物や「魔付き」の疑いを向けたが、ヴォルフレードは必死に彼女が人間であると擁護した。
エラルドの鑑定と残滓の正体
副神殿長のエラルドが招集され、魔力鑑定が行われた結果、ダリヤは人間であると証明されたが、両手に魔物の残滓があることが判明した。原因は過去にブラックスライムの粉で負った火傷を治癒魔法で治療した際、魔力と粉が内側に残ったためと推測された。残滓を除去すると魔導具師としての魔力感覚が変わる恐れがあるため、そのままにすることが決定された。
実験への意欲と貧血の診断
ザナルディは首無鎧の反応を記録し、さらにブラックスライムの粉を用いた実験を提案して神殿への寄進を用意するなど、研究への執念を見せた。その後、ザナルディが自作した魔物寄せの道具に自身の血を使っていることから貧血が発覚し、エラルドによる治療指導が始まった。ダリヤとヴォルフレードはザナルディから再訪を歓迎されつつ、三課を後にした。
魔剣の再検証とオルディネ大公の独白
迎えの馬車とグイードの登場
三課の塔を出る頃には日が落ちていた。ヨナスが「工房で急な打ち合わせがある」としてダリヤたちを馬車に乗せたが、内部にはグイードが待っており、単に一緒に帰りたかったという本音を明かした。グイードはヴォルフレードに対し、四公爵級からの招待を受けた際の連絡不足をたしなめ、次回からは自分とグラート隊長の両名に言付けするよう指示した。
黒風の魔剣の返却と大公との関係
グイードは受付に預けていた黒風の魔剣をヴォルフレードへ返し、ザナルディからの「不敬を問わない」とする書付も確認した。グイードはザナルディを友として呼び捨てにする間柄であり、過去にザナルディがヨナスの体を研究目的で借りたいと言い出した際、冗談交じりに床を凍結させて拒絶した逸話を語った。
三課への牽制と政治的背景
グイードはダリヤに対し、三課には行かないよう釘を刺した。これは組織的な損失や後見人としての保護に加え、三課には独身男性が多く、ダリヤが結婚相手候補として狙われる懸念があるためであった。また、ヨナスとグイードはザナルディの政治的立場についても触れ、彼が王位継承権第三位でありながら外部魔力を持たないことや、本家筋からの批判、そして彼自身は王位も当主の座も望んでいないという複雑な事情を説明した。
ブラックスライム残滓の報告と魔剣の異常
ダリヤはグイードへ、手にブラックスライムの魔力残滓があることを報告し、グイードは口外しないことを約束した。続いて話題は魔剣の性能に移り、ヴォルフレードが岩山蛇を二十匹以上斬っても刃こぼれ一つしなかったことが報告された。ヨナスは即座に行き先を別邸に変更し、検証を行った結果、その異常な耐久性を確認した。ダリヤは多重付与の失敗について説明し、三人は謝罪したが、グイードはこれを咎めず、今後は別邸での検証を義務付けるという管理ルールを定めて場を収めた。
穏やかな食事と回復の時間
検証後、別邸では夕食が振る舞われた。グイードはステーキやパスタを囲みながら、話題を本や歌劇へと切り替えて場を和ませた。緊張と驚きの連続だった一日の終わりは、頼れる兄の配慮によって穏やかな歓談の時間として締めくくられた。
大公の独白と眠れない夜
一方、執務室に一人残ったセラフィノ・ザナルディは、興奮により本を読む気にもなれず、今日の出来事を反芻していた。いつもの日常が崩れ、眠れない夜を過ごしていること自体が、彼にとって今日という日が特別であったことを示していた。
ダリヤへの評価と観察
セラフィノはダリヤについて、華やかな経歴を持ちながらも真面目で慎重であり、自身が大公だと知った際に逃げ腰になった反応を好意的に評価していた。また、ヴォルフレードとの親密な様子から祝い事の存在を推測するなど、鋭い観察眼で二人の関係性を捉えていた。
研究者への敬意と自身の喜び
通常、見学に来る貴族たちは研究内容を理解せず、研究員自身を見ようとはしない。しかしダリヤとヴォルフレードは一人ひとりに礼を尽くし、心からの敬意を向けた。セラフィノにとって、部下の研究員たちが報われ、本心から笑顔を見せたことは何よりの喜びであった。「おいしいポーション」や「首無鎧」を見せたのも気まぐれではあったが、結果として彼自身も権力者ではなく一人の研究者として知的好奇心を満たす時間を過ごすこととなった。
稀少な事例と守るための距離
ダリヤが持つ「ブラックスライムの残滓」という稀少な事例はセラフィノの研究欲を刺激したが、彼は無理強いをせず、彼女を巻き込まない選択をした。それは彼女の強力な後見人たちとの摩擦を避けるためであり、同時に「魔導具師ロセッティ」としての才能を潰さないための配慮でもあった。
孤独な願い
セラフィノは久しぶりに腹の底から笑ったことを自覚し、明日からの首無鎧の解析に期待を膨らませた。最後にこぼれ落ちた「また縁があれば楽しい」という言葉は、誰にも聞かれることなく静寂の中に消え、権力者であり研究者でもある彼の孤独と、ささやかな希望を滲ませていた。
閑話 宵闇の館と甘い夢
花街の性質と嫉妬の自覚
ドリノ・バーティが向かったのは花街の中でも高額で、魔法による守秘契約を結ぶ「宵闇の館」であった。ここは享楽目的の遊び場というより、身分ある者が安全に弱音を吐ける場所として機能していた。ファビオラの部屋の前で先客とのやり取りを耳にしたドリノは、胸の痛みを覚えつつも背を向けた。部屋にあった鉢植えが友人からの贈り物だと説明されると、彼はそれを先ほどの男からのものだと連想し、自分以外の誰かが彼女の日常に深く関わっていることへの嫉妬を自覚した。
救護院への寄付とハンカチの重み
ファビオラから救護院の改築費の話を聞いたドリノは、騙されても構わないという覚悟で金貨を寄付として差し出した。彼はファビオラから贈られたハンカチを肌身離さず持っており、周囲からは騙されていると見なされていたが、ダリヤ・ロセッティだけはそれを肯定してくれた。その言葉はドリノにとって、自身の願いを支える救いとなっていた。
ファビオラの生い立ちと名の由来
ファビオラは「ファビオラ・グリーヴ」と名乗り、姓が必要な理由や養子縁組の事情を語った。彼女の名は「丈夫に長生きするように」という願掛けであり、幼少期に十分な食事を得られず救護院で育った過去が明かされた。淡々と語る彼女に対し、ドリノは幸せの基準が低いと感じ、彼女が生き延びるために感情を整理してきたことを悟った。
ドリノの過去と心の傷
ドリノには、王城騎士団入団の祝宴で出自を侮辱され、テーブルを叩き割った過去があった。しかし彼の心を真に凍らせたのは、その後の神殿での真偽判定の際に、父が「ずっと不安だった」と漏らしたことであった。母を疑ったのか自分を疑ったのか判然としないその言葉は、彼の心に深い傷を残していた。
承認による救済と現在の関係
初めて館を訪れ、守秘の場で酒と共に愚痴を吐き出した際、ファビオラはただ「とてもがんばったのね」と彼の努力を承認した。ドリノはそこで初めて他者の前で涙を流すことができ、彼女の存在に救われた。現在は愚痴よりも楽しい話を共有する仲となり、別れ際には彼女が刺繍を施した背縫いを受け取った。ドリノは今の関係が半分夢の中であることを理解しつつも、醒めても忘れたくないという想いを抱き続けていた。
スカルファロット家への訪問
ブラックスライムの残滓とミズマリの分裂
ダリヤ・ロセッティの手にはブラックスライムの魔力の残滓が残っており、付与への影響を考慮して除去できない状況にあった。確認のためブルースライムのミズマリに反応を試すと、左右の手に引き離した動きに呼応してミズマリが二体に分裂してしまった。これは意図しない結果であったが、タイミングが悪すぎたため、魔力の影響を疑わせる要因となった。
スカルファロット家本邸への移動と緊張
黒風の魔剣や王城での出来事が尾を引き、ダリヤにとって「気軽なランチ」は重圧のかかるものとなっていた。スカルファロット本邸の格式や整列した使用人たちの姿はダリヤに場違い感を抱かせ、ヴォルフレード・スカルファロットとの階級差を強制的に意識させた。
ヴォルフの歓迎とダリヤの笑顔
ヴォルフレードは型通りの挨拶でダリヤの緊張を解こうとし、さらに自分の生まれ育った家に彼女を呼べた喜びを言葉にした。その率直な気持ちに触れ、ダリヤは屋敷の威圧感よりも彼の個人的な想いを受け取り、心からの笑顔を返すことができた。
眼鏡の着用とお見合い避けの策
ヨナス・グッドウィンは、陞爵祝いの客に高等学院の令嬢がいる可能性を考慮し、ヴォルフレードに擬態用の眼鏡をかけさせた。さらに縁談を角を立てずに断るため「想い人がいる」という台詞を仕込もうとした。ヴォルフレードは嫌な顔で拒絶しつつもその言葉を復唱してしまい、ダリヤは居心地の悪さを感じた。
ローザリアの誤認と氷壁の展開
グイードと妻ローザリアに遭遇した際、ローザリアはヴォルフレードを魔物か魔付きの刺客と誤認し、即座に氷壁を展開して廊下を封鎖した。彼女はメイドに娘グローリアを護らせるなど実戦レベルの反応を見せた。誤認の原因は、擬態眼鏡をかけたヴォルフレードの緑の目が、彼女には異質に見えたためであった。
ローザリアの能力と誤認の解明
ヨナスが氷壁を溶かして場を収拾した後、ローザリアの特異な目の能力が明かされた。彼女は人の顔がはっきり視えない代わりに、魔力が色のついた光の重なりとして視えるという。通常は顔がぼやけて見えるが、今回は擬態眼鏡によってヴォルフレードの魔力が抑えられ、顔がはっきりと見えたことで異常事態と判断したのだった。
政治的リスクと神殿契約
グイードはこの能力が政治的リスクを孕むものであるとし、ダリヤに守秘の神殿契約を求めた。ダリヤは即座に了承し、泥酔や寝言での漏洩まで防ぐ条項を含めるよう提案した。グイードは彼女の慎重さと誠実さを高く評価した。また、この能力の前ではダリヤが魔力を隠すことは不可能であり、不利な状況が確定した。
ローザリアとの和解と甘い空気
ローザリアは自身の失態を恥じて退席しようとしたが、ダリヤはそれをグイードへの愛ゆえの行動だと肯定した。これに感動したローザリアとグイードは二人だけの世界に入り、周囲を置いてきぼりにした。その後の食事中も二人の仲睦まじさは続き、ヨナスはヴォルフレードに視界から外すよう助言して強制的に場を進行させた。
茶葉の試飲と新たな提案
食後、ローザリアはダリヤを茶葉選びに誘った。二人きりの空間でローザリアは家族の顔が見えない寂しさを吐露し、ダリヤは解決策として「グイード本人仕様の擬態眼鏡」を提案した。夫が夫に変装することで顔が見える可能性を示されたローザリアは興奮し、ダリヤの手を握りしめた。ダリヤは技術共有も申し出、二人の距離は一気に縮まった。
神殿契約の真意とヴォルフの認識
裏庭へ向かう途中、グイードはヴォルフレードに対し、ダリヤが結んだ神殿契約の重みを説いた。それは単に話さない約束ではなく、脅迫されても話せないように自らの口を封じる覚悟の証であった。ヴォルフレードはダリヤの決意に気づけなかった自身を恥じ、彼女への敬意を深めた。
裏庭での魔物ごっこと結末
裏庭では「魔物ごっこ」が始まったが、グイードとヨナスの参加により遊びは実質的な狩りの様相を呈した。ヴォルフレードは危険を分散させるために護衛騎士を増やしたが、結果として被害規模が拡大した。ダリヤは遠くで平和な遊びが行われていると誤認していたが、ローザリアの目には強大な魔力の光が衝突する危険な光景として映っていた。最終的に庭は荒れ果て、汗だくの男たちはローザリアの冷ややかな笑顔に迎えられることとなった。
スカルファロット家の妖精結晶の眼鏡
スカルファロット家での眼鏡制作
昼食会の翌々日、ダリヤ・ロセッティはスカルファロット家の別邸工房へ赴き、妖精結晶の眼鏡の制作技術を家の魔導具師へ直接教えることになった。叙爵式を控えて仕事は最小限に抑えられていたが、ルチア主導の準備と並行しての職務遂行であった。今回の眼鏡の目的は、ヴォルフレード・スカルファロットを隠すためではなく、ローザリアが家族の顔をはっきりと見るために、ヴォルフレード側の眼鏡レンズに彼の「金の目」を固定表示させることであった。
魔物ごっこの後始末と家庭の平和
ヴォルフレードが早期の完成を望んだ背景には、裏庭で行われた「魔物ごっこ」の顛末があった。庭を盛大に荒らしてローザリアから叱責され、全員で夜まで修復作業を行った経験が、彼にとって「我が家の平和」を取り戻す切実な動機となっていた。
コルンバーノの敗北と技術の重み
スカルファロット家の魔導具部門長コルンバーノは、長年ローザリアのためのレンズ開発に行き詰まっていたため、ダリヤの発想と技術に衝撃を受けた。ダリヤが去った後、彼は一人で妖精結晶への付与を試みたが、幻覚の副作用と魔力制御の難しさにより失敗を重ね、レンズを四枚割るという惨敗を喫した。
妖精結晶の悪夢とダリヤの覚悟
妖精結晶への付与は、付与者に最も恐れる幻覚を見せる副作用を伴う。ダリヤは作業中、倒れ伏すヴォルフレードの幻覚を見たが、それを恋情ではなく友人としての心配だと理性で定義し直し、動揺を抑え込んで付与を成功させた。レンズ上に咲いた虹色の花は、彼女の想いと技術の結晶であった。
ヨナスの介入とコルンバーノの解放
失意のコルンバーノの元へヨナス・グッドウィンが現れ、ダリヤの眼鏡は「彼女が見るヴォルフレードの目」そのものだと指摘した。さらにダリヤが求めていたのは技術的優位ではなく、「眼鏡を通じてローザリアが家族と笑い合えること」だったと伝えられ、コルンバーノは嫉妬や矜持といった重荷から解放された。
祈りへの転換と成功
コルンバーノは再び付与に挑み、主が傷つく悪夢を見たが、それを否定し主の強さを信じる「祈り」へと変えることで乗り越えた。魔力ポーションを飲み続け、二枚目の付与も成功させた彼のレンズには、青く染まった虹色の花が咲いた。彼は完成した妖精結晶をヨナスへ託し、スカルファロット家の笑顔を祈って工房での作業を終えた。
臆病な主とローザリアの涙
本邸では、グイードが完成した眼鏡をかけて鏡の前で逡巡していたが、ヨナスによって半ば強制的にローザリアの部屋へ連行された。グイードが恐る恐る眼鏡の出来を尋ねると、ローザリアは言葉を発することなく涙を流した。その反応だけで全てを悟ったヨナスたちは、静かにその場を立ち去った。
グローリアと魔物図鑑の夜
廊下で出会った幼いグローリアは、両親が大切な話をしていると知り、甘えたい気持ちを抑えて我慢した。ヨナスは代理として彼女に魔物図鑑を読み聞かせ、彼女がクラーケンに目を輝かせて寝落ちするまで付き添った。
護衛部屋の祝宴と未来への視線
夜更けの護衛部屋では、コルンバーノの成功を祝う宴が開かれていた。好物のパンケーキを食べる彼を仲間たちが囲み、悪夢のような苦闘は輝かしい現実へと上書きされた。次の研究案としてイヤリング型などの構想も語られ、ヨナスもまた、先輩であるドナとのやり取りを通じて自身の成長と変わらぬ絆を再確認し、祝宴の輪へと加わっていった。
スライムの名付けと温かな夕食
帰宅とヴォルフレードの差し入れ
妖精結晶の眼鏡制作を終えたダリヤ・ロセッティは、ヴォルフレード・スカルファロットに送られて緑の塔へ戻った。夕食の約束は疲労を理由に先延ばしにし、ヴォルフレードの目をまっすぐ見返せない自分をごまかしたまま別れた。ヴォルフレードは心配を隠さず、帰り道に店へ寄って温かい夕飯を買い、門前で手渡した。眼鏡越しでも変わらない金色の目が優しく温かく見えることにダリヤは救われ、兄達もこの眼鏡で笑えるという彼の言葉が、悪夢の冷えを薄めていった。
独りの帰宅と自己点検
塔に入った途端、抑えていたため息が漏れた。妖精結晶の付与による悪夢に振り回されたことを魔導具師として未熟だと反省し、父ならば乗り越えるしかないと言うだろうと想像した。明日は魔物討伐部隊の仕事でヴォルフレードとも会うため、気持ちを切り替えねばならないと自分に言い聞かせ、作業場の魔導ランタンを灯して帰宅の挨拶を呟いた。
増えたスライムと名付けの悩み
水槽にはブルースライムが二匹に増えて揺れていた。ダリヤは栄養液を倍量にして与え、以前からいるミズマリともう一匹の名付けが必要だと思い至った。しかし元は一つだったため区別の意味は薄く、番号で呼ぶのは味気ないと悩んだ。ヴォルフレードに頼めば格好いい二つ名がつきそうだが、呼びづらくなる未来や子供の名付けへの連想を危惧し、疲労による思考の乱れだと判断して自分で決めることにした。
観察するスライムとオレンジの皮
二匹のスライムがガラス前面に張り付いた姿は、まるでダリヤを観察しているように見えた。ダリヤはそれを追加の栄養液の催促と解釈しつつ、与えすぎは良くないというイデアの助言を思い出し、おやつとして干したオレンジの皮を与えた。二匹がそれぞれ溶かし始めたのを見て、方向性を揃えた名前を思いついた。
ミズマリとアオマリ
ダリヤは二匹にミズマリ、アオマリと呼びかけた。アオマリが大きく揺れて返事をしたように見え、ダリヤはそれを採用し、抗議は受け付けないと心の中で確定させた。
ヴォルフレードの誕生日への想い
ふと来月の九日がヴォルフレードの誕生日だと思い出した。自分が祝ってもらったのだから今度は祝いたいと考え、白ワインや好物、甘さ控えめのケーキ、ソルトバタークッキーなどを具体的に思い描いて笑顔になった。ヴォルフレードが誕生日祝いと受け取らないとしても、ダリヤが知っていて祝えるならそれでいいと結論づけた。
温かな夕食と明日のための休息
作業机の上の夕食を思い出し、冷める前に食べることを決めた。これ以上ヴォルフレードに心配をかけたくないため、しっかりと食事をして早く眠り、明日は元気に王城へ行って笑顔で挨拶をしようと考えた。ダリヤは温かい料理を抱きしめるように持ち、塔の二階へ上がっていった。
番外編 母と息子の鍛錬と魔剣話~炎の魔剣~
炎の魔剣のオークションと断念
冒険者ギルドで炎の魔剣のオークションが開かれ、ヴァネッサと夫レナートは参加を試みた。しかし参加条件は「魔剣を起動できること」であり、ヴァネッサは抜刀しても炎をまとわせることができず、資格を満たせないまま剣を返却した。背後で誰かが起動に成功するのを見送り、彼女はかつて見た「灰手」の騎士が操る炎の記憶と、魔剣は戦うための道具であるという認識を強くした。
息子ヴォルフレードの未来への願い
馬車の中でヴァネッサは、幼いヴォルフレードがあの剣を持てるほど育っていれば起動できたかもしれないとこぼした。攻撃魔法を持たない彼は貴族社会で「お飾りの騎士」にされやすい現実があり、両親は息子の将来を狭めないため、いつか使える魔剣を用意したいと願っていた。レナートは成人まで時間はあると励まし、二人は次の機会に希望を繋いだ。
スカルファロット家の関係とヴァネッサの過去
レナートには他に二人の夫人がいるが、家には確執がなく、ヴァネッサは家族として日常を共有していた。かつて彼女は淑女らしさを求めて体を壊したことがあったが、家族に泣かれたことで背伸びをやめ、本音で生きるようになった。現在は鍛錬に戻り、必要なときは実力で家を守ることもあるが、護衛騎士ドナヴィーロからは前に出るなと叱られ、元護衛騎士が護衛される側になる皮肉を感じていた。
アルテアとの出会いと友情
ヴァネッサはかつて護衛したアルテア・ラヴァニーノのことを思い出した。初等学院入学初日に教室を間違え、アルテアと出会ったことが二人の友情の始まりだった。公爵家令嬢と男爵家令嬢という身分差を越え、互いに名を呼び合う親友となった。アルテアはヴァネッサを軽んじる者を容赦なく切り捨てる強さを持ち、ヴァネッサにとっては一番の友であった。
恋愛観のズレと師匠バーレット
学年が上がりヴァネッサへの誘いが増えても、彼女は恋愛に興味を示さず、ラヴァニーノ邸の警護長バーレットの剣筋と人柄に惹かれていた。彼女は「できることなら何でもする」という不用意な発言で周囲に叱られつつも、バーレットに弟子入りし、徹底的な指導を受けることになった。アルテアは心配して見学を禁じられたが、代わりに護衛の少年が共に指導を受け、ヴァネッサには鍛錬仲間ができた。
帰路の甘さと母としての決意
馬車の中でヴァネッサは、夫レナートの家族への甘さに苛立ちつつも尊さを感じていた。屋敷前で彼を見送り、眠るヴォルフレードの元へ戻った彼女は、アルテアに魔剣探しを頼みたい誘惑に駆られたが、甘えるべきではないと踏みとどまった。目覚めたヴォルフレードを抱きしめ、彼の身体つきや資質から、魔剣があれば強い騎士として生きられると確信した。
鍛錬の約束と魔剣への執念
ヴォルフレードが剣を教えてほしいと願い、ヴァネッサは幼い頃の自分と重ね合わせた。魔法や魔剣が邪道と呼ばれようとも、強い方が生き残るのが現実である。彼女は息子を守るため、龍をも斬れる魔剣を探す意思を固めると同時に、まずはその腕を磨くべく、今日も共に鍛錬に励むことを告げた。
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