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棚架ユウ転生したら剣でした

小説「転生したら剣でした 14」感想・ネタバレ

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転生したら剣でした 14の表紙画像(レビュー記事導入用) 棚架ユウ

転剣13レビュー
まとめ
転剣15レビュー

Table of Contents

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
  6. 登場キャラクター
    1. 主人公一行
      1. 師匠
      2. フラン
      3. ウルシ
    2. 魔術学院(教職員・関係者)
      1. ウィーナレーン
      2. コルタンディルー
      3. 魔術学院の裏門の守衛
      4. イネス
      5. リデュア
      6. デッデン
      7. ホリアル
      8. ヤフィ
      9. ノリッツ
      10. ゼロスリード
      11. ロミオ・マグノリア
    3. 魔術学院(生徒)
      1. キャローナ・リヴァール
      2. クルダ・レンゲ
      3. サルッタ
      4. レルス
      5. マーチェス
      6. オスレス
      7. カーナ
    4. レイドス王国 / 黒幕
      1. 今のゼライセ
      2. 前のゼライセ
      3. チャードマン
    5. 冒険者ギルド関係者
      1. キアーラゼンのギルド受付嬢
      2. キアーラゼンのギルドマスター
      3. スイフト
      4. ジル婆さん
      5. ルル
      6. パルフィラン
      7. ロブレン
      8. ダゴール
      9. キナパーロ
      10. レディブルーのギルド受付嬢
    6. 旅の遭遇者・その他
      1. ディディーアンの門番兵
      2. ディディーアンの屋台のおっちゃん
      3. クランゼル王国の関所の兵士
      4. ベリオス王国の関所の管理官
      5. シェラー
      6. ディアーヌ
      7. レーン
      8. シエラ
      9. 相棒
      10. 緑 of 古木亭の女将
    7. 集団
      1. 順番待ちの商人たち
      2. 順番待ちの冒険者たち
      3. ディディーアンの警備兵たち
      4. レイク・マーダーの群れ
      5. 商業船団の冒険者たち
      6. セフテントの住民たち
      7. 魔術学院の生徒たち
      8. 上級クラスの生徒たち
      9. 特戦クラス of 生徒たち
      10. 更衣室の女生徒たち
      11. 新入生たち
      12. 人型魔獣たち
      13. レディブルーの住民たち
      14. 避難する要救助者たち
      15. 町の警備兵たち
  7. 展開まとめ
    1. プロローグ 前のゼライセ×今のゼライセ 
    2. 第一章 国境越え 
    3. 第二章 ヴィヴィアン湖 
    4. 間章 シエラ×???? 
    5. 第三章 レディブルー 
    6. 第四章 魔術学院 
    7. 第五章 狙われたゼロスリード 
    8. エピローグ 前のゼライセ×今のゼライセ 
  8. シリーズ 一覧
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

前巻での過酷な修行を終えて自信を深めた一行は、世界唯一の神級鍛冶師アリステアからの紹介状を携え、ベリオス王国にある「魔術学院」を目指して移動を開始する。
旅の途中で出会った貴族の少女カーナの護衛を引き受けて国境を越え、魔術学院に到着する。
しかし、そこでキアラの仇であるゼロスリードと遭遇したことで、フランは怒りに任せて襲撃する。
これが原因で、学院長であるハイエルフのウィーナレーンから圧倒的な大海魔術による制裁を受け、降参を余儀なくされる。
その後、ゼロスリードを保護している理由や、彼とロミオという子供が主従契約に近い命の繋がりで結ばれている事実を知り、フランは一時的に特別職員兼短期編入生として留まることとなる。
魔術学院での共同生活を送りながら、クラスメイトのキャローナらと親しくなっていくが、裏で糸を引く錬金術師ゼライセが放った「人造魔獣」(正体は魔人石を埋め込まれたかつての護衛ディアーヌら)と、レイドス王国の黒骸兵団第七席チャードマンによるゼロスリード奪還・襲撃に直面する。フランたちは、ロミオを傷つけないようゼロスリードを庇いながら死闘を展開し、師匠の「鋼糸への形態変形」や宿の精霊から授かった「言祝ぎ」の力を以て強敵を撃破。
ロミオとのわだかまりをわずかに氷解させ、次の「学外サバイバル実習」への旅立ちを控えた段階まで状況が進展する。

■ 主要キャラクター

師匠

  • 立場・所属:元人間の魂が転生した意思を持つ魔剣(インテリジェンス・ユニーク・ウェポン)。
  • 主人公との関係:フランの相棒であり、彼女を温かく、時に親心を持って見守る。
  • この巻での主な役割:フランの戦闘や魔術、鑑定を後方から支援する。チャードマン戦においては、過酷な無差別魔弾攻撃に対し、システム(アナウンスさん)の力を借りずに自らの体を数百本の「鋼糸」に形態変形させてすべてを正確に撃ち落とし、フランを窮地から救った。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:自らの剣としての特性や体を以前よりも深く把握できるようになり、システムエラーの元であった痛みを伴わずに、高度な形態変形と完全制御が可能になった。

フラン

  • 立場・所属:黒猫族の少女、ランクB冒険者。魔術学院の特別職員内定者かつ短期編入生。
  • 主人公との関係:師匠の装備者。
  • この巻での主な役割:魔術学院での教官兼生徒として、クラスメイトや教師陣と交流する。ゼロスリードとの遭遇時に怒りで暴走し、周囲の生徒を怯えさせたことを反省。チャードマン襲撃時には、かつて自分が負傷させてしまった(ゼロスリードを攻撃した際の反動)ロミオを救うため、身を挺してゼロスリードらを庇いながら戦った。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:無詠唱による光魔術や高度な気配遮断移動、極大級雷鳴魔術(トールハンマー)を駆使し、実力を示す。古樹の精霊の気配をわずかに感じ取れるほどに感覚を鋭敏にさせた。

ウルシ

  • 立場・所属:フランの従魔。新種「ラグナロク・ウルフ」。
  • 主人公との関係:フランの従魔。
  • この巻での主な役割:高い機動力や戦闘能力でフランを乗せて旅を牽引する。セフテントの模擬戦ではエースであるロブレンを圧倒。チャードマン戦では、全身をいくら切り裂いても即座に再生し続ける強敵ゴーレム(ディアーヌ)を、自らの影を媒介にした暗黒魔術「ボトムレスシャドウ」によって影の底へ引き摺り込み、完全に追放して勝利した。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:サイズ変更能力を巧みに使い、普段は可愛い小型犬サイズで女生徒たちに餌付けされつつ、有事には巨大化して凄まじい力を振るう。

カーナ

  • 立場・所属:モーリー商会の令嬢と名乗るが、実態は高貴な身分(鑑定では爵位表示なし、レベル30で魔術を扱う)。のちに魔術学院の基礎学科新入生となる。
  • 主人公との関係:国境の峠でワイバーンに襲われていたところを救われ、関所までの護衛を依頼した。フランを同年代の新入生と勘違いしていた。
  • この巻での主な役割:国境を越えて入国するための口実を提供(フランを護衛として雇うことで、関所での不審な尋問を回避)。黒猫族であるフランに対して一切の見下しや偏見を持たず、対等な立場で接したため、フランから深く気に入られる。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:無事に入国し、魔術学院に入学。学内でフランと再会し、お互いの素性を正しく共有し直して再会を約束する。

ディアーヌ

  • 立場・所属:カーナの護衛を務めていた女騎士。「紅旗騎士団」を名乗る。のちにゼライセによって強力な魔人石(アース・タイタン等)を埋め込まれ、意思を失った「鎧を纏う女性騎士像のゴーレム」(人造魔獣)の素体となった。
  • 主人公との関係:国境でフランに救われるが、冒険者を「守銭奴」と罵って対立。実力差を突きつけられて一度は恐怖に怯える。のちにゴーレムとして現れ敵対する。
  • この巻での主な役割:国境では冒険者への嫌悪感を示してフランを激怒させた。のちに、南征公への内部情報漏洩によって騎士団を追放された過去をゼライセに付け込まれ、元の体に戻れないことも知らされないまま「魔人石」を埋め込まれて魔獣化させられた。ゼロスリード奪還のため町を襲撃するが、ウルシに影の底へ葬られた。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:元はただの傲慢な落ちこぼれ騎士であったが、ゼライセの実験台(以前の歴史では魔剣製造の生贄)として完全に使い潰され、ウルシによって影の世界へ追放される最期を迎えた。

ウィーナレーン

  • 立場・所属:ベリオス王国魔術学院の学長。最強種族とされるハイエルフで、種族名は「亜神」。「青の淑女」や世界一の大海魔術師の異名を持つ。
  • 主人公との関係:フランの面接官。模擬戦の対戦相手。
  • この巻での主な役割:ゼロスリードに襲いかかったフランを圧倒的な大海魔術(神水創造、アクエリアス、ヤマタノオロチ等)で制裁し、降参させる。精霊の監視システムや、ロミオがゼロスリードと主従契約で結ばれている事実をフランに説明し、身を守るために特別職員兼短期編入生として留まるよう促す。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:フランの実力や魔術の腕前(学科長レベル)を絶賛し、自身の子孫がアマンダである事実(アマンダ自身からは嫌われている)を明かした。

ゼロスリード

  • 立場・所属:元邪人の傭兵。現在は魔術学院の臨時職員。
  • 主人公との関係:フランにとってはキアラの仇であり、憎悪の対象。
  • この巻での主な役割:邪気を封印され、行動を魔道具と精霊によって制限された状態で学院に保護されている。町でゼライセの人造魔獣やチャードマンに襲撃された際、ロミオを抱えて逃走する。フランが身を挺して自分たちを庇ったのを見て、力を封じられている状態にもかかわらず無理に一瞬だけ邪気を解放し、チャードマンの放った強力な爆炎を弱めてフランたちを救った。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:かつての荒々しい業火のような邪悪な気配は失われており、凪いだ海のように静かな雰囲気に変化している。ロミオを守ることに専念している。

ロミオ・マグノリア

  • 立場・所属:かつてゴルディシア大陸で邪神の欠片を守っていたマグノリア家の末裔である3歳前後の子供。
  • 主人公との関係:ゼロスリードと一方が傷つけばもう一方が傷つく主従契約を無意識に結んでいる。当初はフランを酷く恐れていた。
  • この巻での主な役割:ゼロスリードの傍にいたことで邪気汚染されており、学院で治療中。チャードマン襲撃時にフランによって守られ、ウルシに対して「ありがとう」と礼を述べた。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:フランに守られたことで、以前傷つけられた恐怖から少しだけ態度を軟化させ、フランの心のわだかまりを和らげるきっかけとなる。

チャードマン

  • 立場・所属:レイドス王国のアンデッド部隊「黒骸兵団」第七席(元第八席)。ワイズオーガドラウグル(死霊魔獣)。
  • 主人公との関係:同胞のアイスマンを倒したフランに強烈な興味を抱き、襲いかかる。
  • この巻での主な役割:ハイエルフの偵察とゼロスリードの身柄確保のために町へ侵入。ゼライセの魔獣たちを瞬時に蹂躙し、フランと激突する。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:進化薬を使用して圧倒的な威圧感と爆炎による自爆・加速突進戦法でフランを追い詰めるが、最終的にフランの黒雷と古樹の精霊の「言祝ぎ」による光を浴びて灰となって完全に消滅した。

ゼライセ

  • 立場・所属:錬金術師。
  • 主人公との関係:裏で魔人石を悪用して魔獣を放ち、ゼロスリードを狙う黒幕。
  • この巻での主な役割:本編には直接登場せず、プロローグおよびエピローグの「前のゼライセ×今のゼライセ」の対話で登場する。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:以前の歴史とは異なる歴史への分岐(バルボラでの魔石兵撃破数の変化、ディアーヌの生存ルート)を認識しつつ、魔人石を埋め込んだ実験体たちの失敗を踏まえ、現在はヴィヴィアン湖での大魔獣計画の大詰めを最優先として進める。

書籍情報

転生したら剣でした 13
著者:棚架ユウ 氏
イラスト:るろお
出版社:マイクロマガジン社(GCノベルズ
発売日:2022年9月30日
ISBN:9784867163405

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

修行を終え、強くなった師匠とフランはアリステアに依頼されていたベリオス王国の魔術学院に向かうことを決める。
フランが同年代の子と一緒に成長できればという師匠の思惑もあったのだが、学院には予想外の再会に加えて陰謀が渦巻いており……。
強さを求めた二人の旅路は新章に突入する!

転生したら剣でした 14

感想

魔狼の平原での修行を終えたフランと師匠は、ベリオス王国にある魔術学院を目指す。

目的は、アリステアの紹介で学院の臨時教官を務めること。

前巻では師匠自身の秘密に迫るかなり重い話だっただけに、今回は魔術学院という新しい舞台で少し雰囲気が変わる。

……と思っていたら、学院に到着早々フランが大暴れ。

最終的には臨時教官だけでなく、生徒としても学院に通うことになってしまう。

教えに来たんだよね?

何で制服着て授業受けてるの?

ただ、読み進めていくとこれが意外なくらい馴染んでいる。

普段は冒険と戦闘ばかりのフランが同年代の子供たちと過ごす姿が新鮮で、個人的にはかなり好きな巻だった。

魔術学院へ行く前から、相変わらず食べ歩いている

魔術学院へ一直線に向かうのかと思えば、そこはフランと師匠である。

ウルシなら一日かかる距離を一時間ほどで進めるのに、町や村へ寄って名物を食べ、料理まで習っているので、結局一週間ほどかかっている。

何をしに旅をしているんだ。

国境近くではチーズを食べ、ヴィヴィアン湖へ着けば魚料理を食べ歩く。

しかもフラン、チーズを食べすぎて最後には「飽きた」と言い出す。

あれだけ何でも食べるフランにも限界があったらしい。

途中で出会ったカーナも印象に残った。

冒険者を嫌う護衛のディアーヌとはかなり揉めたものの、カーナ自身はフランを黒猫族だからと見下さない。

同年代でありながらフランの威圧にも怯えず、値段交渉までしてくる。

フランが「カーナは面白い」と気に入ったのも分かる気がした。

今までのフランには、同年代の友人と呼べる存在がそこまで多くなかった。

だからこそ、この出会いが後の学院生活にも自然につながっていくように感じた。

臨時教官の面接へ来ただけなのに、学院長と本気で戦ってしまう

そして魔術学院に到着。

アリステアの紹介状もあるため、後は学院長ウィーナレーンの面接を受ければ臨時教官になれる。

普通ならここで「よろしくお願いします」となる。

ならないのがフランである。

学院内を歩いていたフランは、まさかのゼロスリードを発見。

その瞬間、ほぼ問答無用で襲いかかってしまう。

しかもゼロスリードを守ったのが、学院長のウィーナレーンだった。

結果、

臨時教官候補フランVS学院長。

面接どこ行った?

ウィーナレーンはハイエルフであり、精霊や大海魔術を操る規格外の存在である。

フランも剣神化や黒雷転動まで使って食らいつき、ウルシも参戦するが、最終的には降参することになる。

ただ、この戦いで面白かったのはフランの強さ以上に、その後だった。

ゼロスリードはロミオと特殊な契約でつながっている。

そのためフランがゼロスリードを斬ったことで、幼いロミオまで傷ついてしまった。

それを知ったフランはかなり落ち込む。

ゼロスリードへの憎しみだけで動いた結果、関係のない子供まで傷つけてしまった。

強くなったからこそ、自分の力をどう使うかまで考えなければならない。

ここはフランの成長を感じる部分でもあった。

教官なのに制服を着て授業を受けるフラン。何気に馴染んでない?

学院内で暴れたフランだったが、アリステアの紹介状やウィーナレーンの判断もあり、処分はかなり特殊な形に落ち着く。

フランは「特別職員内定者兼短期編入予定者」となった。

つまり教官であり、生徒でもある。

何だその肩書。

こうして制服姿のフランが誕生する。

これが思った以上に違和感がない。

特戦クラスでは生徒たちを相手に模擬戦を行い、当然のように全員をボコボコにする。

教官としては怖すぎる。

一方で、授業になると普通に席へ座り、興味のある精霊魔術について学ぶ。

魔獣学ではインビジブル・デスの死体を教材として出し、調理実習では班員たちに指示を出しながら料理を作る。

さらに女生徒たちには高級美容液を気軽に使わせ、カレーまで振る舞う。

気が付けばクラスメイトとの距離がかなり縮まっていた。

最初は模擬戦で完全に恐れられていたのに、話してみれば案外普通。

キャローナとも自然に隣へ座るようになっている。

フラン、何気に学院生活に馴染んでない?

冒険者として旅を続けてきたフランが、同年代の子供たちと一緒に授業を受け、料理を作り、話をする。

こういう時間を過ごせたこと自体が結構大きいように感じた。

本人は学院に残る気など全くなく、「冒険者の方が楽しい」と即答しているけど。

そこはやっぱりフランだった。

楽しい学院生活の裏で、ゼライセの実験が動き始める

もちろん学園生活だけで終わる巻ではない。

冒頭から「前のゼライセ」と「今のゼライセ」が登場し、以前とは歴史が変化していることを語っている。

ゼロスリードの行動も以前とは違い、フランの動きによって状況も少しずつ別の流れへ進んでいる。

この辺りはまだ謎が多い。

何が以前と違い、どこまで先の出来事を知っているのか。

一度読んだだけでは整理しきれない部分もあった。

そして学院都市では、人間を魔獣へ変えるゼライセの実験まで始まる。

フランは人型魔獣や黒骸兵団のチャードマンと戦いながら、今度は自分が傷つけてしまったロミオと、そのロミオにつながるゼロスリードまで守ることになる。

以前なら「ゼロスリードを守る」なんて絶対に考えられなかったはずだ。

それでもロミオを守るためなら、自分が攻撃を受けてでも庇う。

学院到着時に感情のまま襲いかかったフランと比べると、短い期間でも少し変わったように感じる。

そして戦いが終われば、また学院生活へ戻っていく。

強敵と戦い、カレーを作り、授業を受け、友達が増える。

臨時教官として招かれたはずなのに、気が付けば普通に学生生活まで楽しんでいるフラン。

こういう寄り道も悪くない。

むしろ戦ってばかりだったフランだからこそ、制服を着て同年代の子たちに混ざっている姿が妙に印象に残る一冊だった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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転剣13レビュー
まとめ
転剣15レビュー

考察・解説

主要な転換点

  • 転換点:国境の峠でのカーナ一行との出会いと護衛契約
    • それ以前の状況:ベリオス王国への厳格な入国制限を考慮し、目立たないように一般の街道を歩いて進もうとしていた。
    • 出来事:峠の途中でストーム・ワイバーンに襲われていたカーナ、シェラー、ディアーヌの三人を救い、侮蔑的な態度をとる女騎士ディアーヌを実力差で怯えさせ、関所までの護衛を引き受ける。
    • 変化:カーナが一度も黒猫族を見下さずに対等に接したことで、フランに深い好感を抱かせた。
    • 次への影響:関所でカーナの護衛として不審を避ける口実を得て無事に入国。のちに、カーナが魔術学院の新入生として学内で再会し、またディアーヌが魔人石を埋め込まれた人造ゴーレムとして町を強襲する原因となった。
  • 転換点:ヴィヴィアン湖での霊草採取と少年シエラとの遭遇
    • それ以前の状況:単に魔術学院へ向かう途中の一時的な経由地としてキアーラゼンを訪れていた。
    • 出来事:湖底でレイク・マーダーの群れとレイク・キラーを、草花を傷つけないように討伐。そこで、フランに強い殺意を向ける同年代の少年シエラに遭遇し、彼の持つ剣に異質な違和感を覚える。
    • 変化:大量納品を疑った冒険者たちに実物を示し、ジル婆さんとの面会を経て「馴れ合いを正すための模擬戦」をこなしたことで、フランとウルシの実力が地域全体に広く知れ渡った。
    • 次への影響:シエラが「前のフランと今のフラン」「ロミオ」についての因縁を示唆し、ゼライセが企むヴィヴィアン湖の大魔獣計画へ向けて力を蓄えていることが明らかになる。
  • 転換点:魔術学院でのゼロスリードとの遭遇とウィーナレーンの制裁
    • それ以前の状況:アリステアの紹介状を持参し、面接を受けるために穏やかに学院長室へと向かっていた。
    • 出来事:建物から出てきたゼロスリードに激激し、剣神化などを無断使用して奇襲。ウィーナレーンの大海魔術による制裁を受け、圧倒的な力量差の前に降参を余儀なくされる。
    • 変化:ゼロスリードとロミオが主従契約で繋がっており、自分がゼロスリードを傷つけた反動でロミオが大怪我を負っていた事実を知り、深く反省。
    • 次への影響:精霊の制裁システムから身を守るため、二週間の「特別職員兼短期編入生」として留まることになり、教官および生徒としての学院生活がスタートする。
  • 転換点:町での人造魔獣の強襲とチャードマンの乱入
    • それ以前の状況:学内生活や模擬戦、更衣室や調理実習でのカレー提供を経て、少しずつ周囲に馴染んで元気を取り戻していた。
    • 出来事:町で食べ歩き中、ゼライセの人造魔獣(ディアーヌら)の襲撃に直面し、ロミオとゼロスリードを雑貨屋で発見。さらに黒骸兵団の第七席チャードマンが乱入して戦闘が極限まで激化。
    • 変化:ゼロスリードを傷つけられず(ロミオが怪我をする)、ロミオを守るために身を挺して戦うという、二重の制約と過酷な消耗戦に追い詰められる。
    • 次への影響:師匠が自らを「鋼糸」に形態変形させてチャードマンの魔弾を完璧に迎撃する境地を拓き、古樹の精霊の言祝ぎが発動する。また、ロミオとのわだかまりが解消へ向かい、次の「学外サバイバル実習」への旅立ちを控える。

フランを中心とした人物関係の変化

  • カーナ
    • 開始時:峠でワイバーンから救った護衛対象。身分を「商会の令嬢」と偽る訳ありの相手であり、深く追及しないように距離を保っていた。
    • 主な出来事:野営中にお互いの冒険や仕事の価値観について語り合い、一度も黒猫族を差別せずに対等に接したことで好感を抱く。のちに魔術学院の新入生として再会し、お互いの素性を正しく共有し直す。
    • 巻末時:お互いに手を振って「また会おう」と約束を交わすなど、心温まる同年代の友人関係となった。
  • ディアーヌ
    • 開始時:峠でワイバーンから救ったが、冒険者を見下す無礼な言動を連発したため、フランが背後を一瞬で取って実力差を見せつけ恐怖させた険悪な関係。
    • 主な出来事:別れ際、カーナの父親が手配した借り物の騎士であると説明される。のちに、追放された過去をゼライセに利用されて魔人石を埋め込まれ、自立思考なき人造魔獣(女性騎士像のゴーレム)となってゼロスリードらを強襲。
    • 巻末時:ディアーヌ本人としての意識はなく、執拗にゼロスリードを狙うゴーレムとしてウルシのボトムレスシャドウにより影の底へ追放された。ゼライセの対話により、以前の歴史では魔剣製造の生贄にされていたことが明かされる。
  • キャローナ
    • 開始時:ギルドで「学則違反を犯して外套を着ていない基礎学科生」と勘違いされ、連れ戻されそうになったが、ギルマスにより誤解が解けてキャローナが深く謝罪した。
    • 主な出来事:特戦クラスのクラスメイトとして再会。模範演武や模擬戦で圧倒的な実力差に落ち込む彼女に「鍛えれば誰でも強くなる」と励まし、更衣室でエルザの高級美容液を分け与えたことで急激に距離を縮める。
    • 巻末時:ネクタイを代わりに結んでもらい、襟元を直してもらうなど、信頼を寄せる親しいクラスメイト関係。
  • ロミオ・マグノリア
    • 開始時:フランがゼロスリードを攻撃した反動で大怪我を負わされたことや、食堂で遭遇した際に一方的に怒りと怯えの籠った瞳で睨みつけられる険悪な関係。
    • 主な出来事:チャードマン襲撃時に、フランが身を挺してゴーレムの打撃を受けながら守り抜き、さらにゼロスリードと協力して爆炎を無傷で防ぎ切る。
    • 巻末時:ロミオはウルシに対して優しくお礼を言い、フランも彼の無事を見て安堵の笑みを浮かべるなど、わだかまりが氷解し、少しずつ心が通い始める関係。

主人公(フラン)の認識と周囲の評価

  • 主人公自身の認識
    • フランは自身を、前巻でアースラースや神竜化ベルメリアといった「超越者」たちの天変地異のような戦いを目の当たりにした経験から、まだまだ未熟で「弱い」と捉えている。もっと強くなって、自分だけでなく黒猫族全体をカバーする進化の呪いを解きたいと強く願っている。また、ゼロスリードへの怒りに任せて行動し、ロミオを負傷させたり周囲の生徒たちを殺気で怯えさせてしまったことを深く悔いている。
  • 周囲からの評価
    • 一般の生徒たち:最初は「か弱い獣人の少女」や「見た目だけで中身が伴わない駆け出し」と過小評価していたが、無詠唱魔術や隠密、模範演武での高さ十五メートルの土の尖塔を一発で溶かす雷鳴魔術「トールハンマー」や神速の空気抜刀術を目の当たりにし、圧倒的な実力者(怪物)として畏怖・敬意を抱く。
    • ウィーナレーンや教官たち:戦闘力だけで言えば「ランクA以上」、魔術の腕前は「学科長レベル」と高く評価。特別模擬戦教官として「生徒たちに本物の絶望を教え込み、いざという時の判断力を鍛えさせる適任者」として絶大な信頼を寄せている。
  • 認識の差が現れた場面
    • セフテントのギルドにおいて、フランが緋水草二百八本を納品し、「レイク・マーダーの群れを全滅させ、レイク・キラーも倒した」と事実を説明した際、黒猫族の少女にそんなことができるはずがないと周囲の冒険者たちから疑われた場面。実際にはフランは圧倒的な格上の強者であり、ギルド中央にレイク・キラーとレイク・マーダー三十匹分の皮を積み上げて呆然とさせ、ギルマスのジル婆さんが現れて異名持ち「黒雷姫」であるとバラしたことで、周囲の認識が劇的に覆された。

クライマックス

  • 発生原因:錬金術師ゼライセがゼロスリードの身柄確保(あるいは実験体の実証)のために放った人造魔獣(ディアーヌら)と、レイドス王国の黒骸兵団第七席チャードマンのハイエルフ偵察目的での町への侵入が重なったこと。
  • 当初の状況:町で食べ歩きをしていたフランとウルシが、巨大な禍々しい魔力を察知し、広場で鳥・牛・女性騎士像(ゴーレム)の魔獣が出現し、さらに男性が魔石を露出させて鼠魔獣に変貌する現場に直面する。
  • 登場人物それぞれの行動
    • フラン・ウルシ:逃げ遅れた住民を救助しながら、鳥人間の石化蹴りなどを迎撃。ゴーレムが狙う雑貨屋へ転移し、中にいるロミオと、力を魔道具で封印されたゼロスリードを発見。壁を破壊して避難経路を作る。
    • チャードマン:空から現れて鳥人間を染みに変え、牛人間を粉砕、鼠人間の首を掴む。アイスマンに勝ったフランに高揚し、ゼロスリードの確保とフランの捕食を狙って襲いかかる。
    • ゴーレム(ディアーヌ):フランに全身を細切れにされても即座に再生し、執拗にゼロスリードたちを狙って歩き続ける。
  • 予定外の出来事:チャードマンが「進化薬」を使用し、死の化身のような圧倒的な威圧感と、自身の体を爆発で傷つけながら急加速・急旋回する「爆炎加速スライド戦闘」を仕掛けてくる。
  • 危機:チャードマンがゼロスリードたちに向けて爆炎を放つ。ゼロスリードが傷つけばロミオも負傷するため、フランはゼロスリードを乱暴に引っ張ることもできず、敵を倒すだけの「剣神化」を自ら解除して射線へ割り込み、障壁で防ごうとしたが、爆炎の威力が想定を超えており防ぎ切れない局面に陥る。
  • 対応
    • ゼロスリード:自らロミオを抱え、一瞬だけ無理に邪気を解放して爆炎の威力を劇的に弱め、フランたちの防衛を支援。
    • 師匠:フランの絶対に皆を助けるという諦めない意志に呼応し、自らの体を数百本の「鋼糸」に形態変形させ、チャードマンの放った無数の爆炎魔弾を完璧に把握・制御してすべて撃ち落とした。
    • 古樹の精霊:アンデッドのチャードマンに黒雷の効きが悪い中、古樹の精霊から受けていた「言祝ぎの力(光)」が注ぎ込まれ、チャードマンを灰へと変えて崩壊・完全消滅させた。
    • ウルシ:再生し続けるゴーレムを組み敷き、自分の影を媒介にした「ボトムレスシャドウ」によって影の底へ沈めて完全に消滅・追放した。
  • 決着:ゼライセの魔獣たちと、黒骸兵団のチャードマンは完全に撃破・消滅され、ゼロスリードとロミオ、町は守り抜かれた。
  • その直後の結果:ゼロスリードは荒い息を吐いて倒れ、ロミオは怯えつつもウルシに礼を述べ、フランとも不器用な和解の一歩を踏み出す。フランは周辺の負傷者を回復魔術で治療し、ギルドや警備兵に対しても「模擬戦教官」という高い信用を証明する肩書によってすぐに無罪として処理された。

巻末時点の状況

  • 主人公(フラン、師匠、ウルシ)の居場所:ベリオス王国の精霊樹が宿る「緑の古木亭」に滞在している。
  • どのような立場になっているか:魔術学院の特別職員(特別模擬戦教官)および短期編入生としての役割をまっとうし、生徒たちから一定の親しみと畏怖、そして頼れる教官としての立場を築いている。
  • 主要人物との関係
    • キャローナや特戦クラスの生徒たちとは、模擬戦や美容液、魔獣学、調理実習のカレー提供を経て親しい関係を構築。
    • カーナとも新入生として学内で再会し、温かい関係を確認。
    • ロミオとは、襲撃から守り抜いたことで、かつて傷つけたことへの罪悪感が和らぎ、不器用ながらも歩み寄りが始まっている。
  • 解決した問題:ゼライセの手下や黒骸兵団第七席チャードマンの襲撃を完全に退け、ゼロスリードとロミオを守り抜いたこと。
  • 継続している問題
    • 錬金術師ゼライセが企む、ヴィヴィアン湖での大魔獣計画が最終段階(大詰め)に入っていること。
    • すべての黒猫族が進化できるよう、茨の道を歩んでさらなる高みを目指さねばならないこと。
  • 今後につながる要素:翌日から開始される、特戦クラスをはじめとする生徒たちの引率を兼ねた「学外サバイバル実習」。ヴィヴィアン湖で想定されるシエラやゼライセの計画との再接触。

転剣13レビュー
まとめ
転剣15レビュー

登場キャラクター

主人公一行

師匠

知性を持つ魔剣である。元は地球人の魂だ。彼は剣に転生した。相棒のフランを深く愛している。
・所属組織、地位や役職
 インテリジェンス・ウェポンに分類される。
・物語内での具体的な行動や成果
 魔狼の平原の台座で身体の修復に努めた。
 その最中に過去の記憶の一部を取り戻す。
 修復を終えて戦線に復帰した。
 チャードマンの魔弾を、鋼糸に変化して撃ち落としている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 以前よりも高度な形態変形と完全制御が可能になった。

フラン

黒猫族の少女である。強くなって種族の進化を目指している。彼女は師匠を心から信頼する。
・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド所属のランクB冒険者だ。
 魔術学院の特別職員に内定している。
・物語内での具体的な行動や成果
 始まりの街アレッサに帰還した。
 師匠の休眠中にも厳しい修行を重ねる。
 自力で剣聖技を使えるまでに成長を遂げた。
 チャードマンの爆炎からゼロスリードたちを守っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 「黒猫聖女」の異名で王都の人々から慕われた。
 最年少でランクB冒険者へと昇格している。

ウルシ

フランの従魔である。影を操る能力を備えた魔狼だ。彼女の隣で戦いたいと強く願っている。
・所属組織、地位や役職
 フランの従魔だ。
・物語内での具体的な行動や成果
 格上の魔竜に挑んだ。
 敗北により右後脚と右目を失う。
 フェンリルから力を譲り受けた。
 ラグナロク・ウルフへと進化を遂げる。
 人造魔獣ディアーヌを影の底へ沈めて追放した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 「唯一無二」などの称号が刻まれた。
 身体の大きさを瞬時に変える能力を得ている。

魔術学院(教職員・関係者)

ウィーナレーン

最強種族とされるハイエルフの女性である。「青の淑女」の異名を持つ。ベリオス王国魔術学院の学長だ。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院・学長。七賢者の一人だ。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロスリードを急襲したフランを拘束した。
 圧倒的な大海魔術によってフランを降参させる。
 ロミオの契約の秘密をフランへ明かした。
 フランを特別職員兼短期編入生として留まらせる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 世界最高の大海魔術師として広く知られている。

コルタンディルー

ウッドエルフの教官である。ゼロスリードの移送と監視を担当している。ウィーナレーンを敬愛する。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院、教官だ。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロスリードの移動時に入り口まで彼に同行した。
 フランの面接時に同席している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

魔術学院の裏門の守衛

裏門の警備を担当する男性である。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院・守衛だ。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランから提示された教員手帳を確認した。
 その内容に驚きつつも彼女の通行を許可している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

イネス

真面目なハーフエルフの女性教師である。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院、教師。特戦クラスの担任だ。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランを特別教官兼短期編入生としてクラスへ紹介した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

リデュア

実技を担当する教官である。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院、実技教官。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランの模範演武や全員模擬戦を見届けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

デッデン

生活指導などを担当する大柄な男性である。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院、生活指導教官。
・物語内での具体的な行動や成果
 生徒たちの制服の着こなしに注意を払っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ホリアル

知識豊富な獣人の老教官である。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院、魔獣学教官だ。
・物語内での具体的な行動や成果
 授業中にアースラースや神剣について質問した。
 黒猫族の進化が再評価されている歴史をフランに教える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ヤフィ

生活系授業を担当する女性教師である。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院、教師。
・物語内での具体的な行動や成果
 芝生グラウンドでの実習でフランたちに指示を出す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ノリッツ

食堂の調理師を務める恰幅の良い男性である。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院、食堂の責任者。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランからカレーマーボーのレシピを提供された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ゼロスリード

邪気の元傭兵である。精神を支配されていた。現在は魔術学院に保護されている。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院、臨時職員。
・物語内での具体的な行動や成果
 邪気を封じられた状態で生活した。
 町での襲撃時にロミオを庇って逃走する。
 チャードマンの爆炎を防ぐため一時的に邪気を解放した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ウィーナレーンにより行動を制限されている。

ロミオ・マグノリア

かつて邪神の欠片を守っていたマグノリア家の末裔である。
・所属組織、地位や役職
 マグノリア家の生き残り。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロスリードの傍に身を置く。
 チャードマンの襲撃時にフランに守られた。
 ウルシに対して「ありがとう」とお礼を伝える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ゼロスリードと主従契約を結んでいる。

魔術学院(生徒)

キャローナ・リヴァール

人当たりの良い、貴族出身の女生徒である。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院・生徒。特戦クラスだ。
・物語内での具体的な行動や成果
 ギルドでフランを基礎学科生と勘違いして声をかけた。
 模範演武でフランの圧倒的な魔術を目撃する。
 フランの制服の襟元を直してあげる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 フランのクラスメイトとして親しくなった。

クルダ・レンゲ

傲慢な態度を取る、侯爵家出身の女子生徒である。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院・生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランに対して上から目線で話しかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

サルッタ

貴族出身の男子生徒である。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院・生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 模擬戦でフランに挑んだ。
 彼女の圧倒的な実力の前に敗北している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

レルス

真面目な男子生徒である。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院・生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 魔獣学の授業でインビジブル・デスの姿を見て驚愕した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

マーチェス

魔術の習得に励む男子生徒である。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院・生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 模擬戦でフランに魔法を放とうとして、先に叩きのめされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

オスレス

平民出身の親しみやすい男子生徒である。
・所属組織、地位や役職
 魔術学院・生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 調理実習の班でフランと同班になった。
 自分の班のメンバーが料理下手であることを話している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 兵士長の息子だ。

カーナ

高貴な気品を備える少女である。モーリー商会の令嬢を演じる。
・所属組織、地位や役職
 クランゼル王国の商会の娘。新入生だ。
・物語内での具体的な行動や成果
 峠の頂上でワイバーンに襲われていたところを救われた。
 フランに対して差別せず対等に接した。
 魔術学院の学内でフランと再会している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 実際には高い身分の生まれである。

レイドス王国 / 黒幕

今のゼライセ

不敵な笑みを浮かべる、レイドス王国の強力な錬金術師である。
・所属組織、地位や役職
 レイドス王国・工作員。錬金術師。
・物語内での具体的な行動や成果
 プロローグやエピローグで前の時間軸の自分と対話を行った。
 魔人石を人間に埋め込み、実験を繰り返した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 時間の操作や歴史 of 分岐を認識できる能力を持つ。

前のゼライセ

もう一人の精神世界に存在する錬金術師である。
・所属組織、地位や役職
 レイドス王国・工作員。
・物語内での具体的な行動や成果
 今のゼライセに対して、以前の歴史での出来事を語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 今のゼライセと記憶を共有している。

チャードマン

レイドス王国の、ワイズオーガドラウグルのアンデッド騎士である。
・所属組織、地位や役職
 黒骸兵団・第七席(元第八席)。
・物語内での具体的な行動や成果
 レディブルーの街を襲撃した。
 フランに対して進化薬を使用し、圧倒的な爆炎加速突進戦法を仕掛けた。
 最後はフランの黒雷と言祝ぎの力を浴びて灰となる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アイスマンを倒したフランに強烈な対抗心を燃やしていた。

冒険者ギルド関係者

キアーラゼンのギルド受付嬢

キアーラゼンのギルドで働く、明るい人間の女性である。
・所属組織、地位や役職
 キアーラゼン冒険者ギルド・受付。
・物語内での具体的な行動や成果
 笑顔でフランを迎え、ギルド内を案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

キアーラゼンのギルドマスター

キアーラゼンのギルドを管理する男性である。
・所属組織、地位や役職
 キアーラゼン冒険者ギルド・ギルドマスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランの立ち寄りを確認した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

スイフト

不遜な態度を取る、キアーラゼンの受付男性である。
・所属組織、地位や役職
 キアーラゼン冒険者ギルド・受付。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランの実力を見抜けず、彼女を軽視した。
 のちにジル婆さんから激しく叱責された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 降格処分を言い渡されている。

ジル婆さん

厳しい態度を持つ、キアーラゼンのギルドマスターの老婆である。
・所属組織、地位や役職
 キアーラゼン冒険者ギルド・ギルドマスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 不手際を起こしたスイフトたちを大声で一喝した。
 フランに模擬戦の開催を依頼した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 小柄な体躯から強い威圧感を放つ。

ルル

キアーラゼンに所属する、丁寧な女性職員である。
・所属組織、地位や役職
 キアーラゼン冒険者ギルド・受付。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランのために緋水草採取依頼の手続きを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

パルフィラン

セフテントの船上ギルドを率いる、背の曲がった小柄な老翁である。
・所属組織、地位や役職
 セフテント冒険者ギルド・ギルドマスター。バルさん。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランの模擬戦を観戦した。
 彼女の実力を認めて丁寧に握手を交わした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 元は優秀な前衛戦士であった。

ロブレン

仲間思いの、セフテントに所属する槍使いの男性である。
・所属組織、地位や役職
 ランクB冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 自ら進んでウルシとの模擬戦を申し出た。
 ウルシの強烈な体当たりを受け、敗北を認めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 敗れる姿を示すことで、後輩の若手たちに危機感を運ぶ。

ダゴール

自らの力を試したがる、セフテントの冒険者である。
・所属組織、地位や役職
 ランクC冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランに模擬戦を仕掛け、一撃で吹き飛ばされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

キナパーロ

冷静な判断をする、レディブルーの責任者の男性である。
・所属組織、地位や役職
 レディブルー冒険者ギルド・ギルドマスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 キャローナがフランに絡んだ誤解を即座に解いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

レディブルーのギルド受付嬢

レディブルーのギルドで働く、親切な女性である。
・所属組織、地位や役職
 レディブルー冒険者ギルド・受付。
・物語内での具体的な行動や成果
 ギルマスのキナパーロに取り次ぎを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

旅の遭遇者・その他

ディディーアンの門番兵

ディディーアンの門を守る男性兵士である。
・所属組織、地位や役職
 ディディーアンの警備兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランの入国書類を検分した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ディディーアンの屋台のおっちゃん

ディディーアンでチーズなどを売る気前の良い男性である。
・所属組織、地位や役職
 個人商店の店主。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランに濃厚なチーズを試食させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

クランゼル王国の関所の兵士

クランゼルの関所を守る男性である。
・所属組織、地位や役職
 関所の警備兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 不法入国を試みる旅人がいないか周囲を監視した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし.

ベリオス王国の関所の管理官

不審な者を厳しく取り締まる、関所の管理人の男性である。
・所属組織、地位や役職
 関所の入国管理官。
・物語内での具体的な行動や成果
 嘘看破スキルを使用し、カーナたちへ不審な尋問を重ねた。
 フランが護衛であることを知り、最終的に入国を認めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 長年の経験に基づき、カーナたちの怪しい気品に目を光らせている。

シェラー

丁寧な態度を取る、カーナの従者の女性である。
・所属組織、地位や役職
 カーナの従者。
・物語内での具体的な行動や成果
 峠の頂上でワイバーンに襲われて怯えていた。
 フランに毒見役を務めてスープを食べさせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ディアーヌ

傲慢な、カーナの護衛を務める女騎士である。
・所属組織、地位や役職
 紅旗騎士団(元)。カーナの護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
 助けてくれたフランに対し、冒険者は卑しいと見下す発言を繰り返した。
 フランに一瞬で背後を取られ、その実力差に怯えた。
 のちにゼライセによって、アース・タイタンの魔人石を体内に埋め込まれた。
 女性騎士像のゴーレム(人造魔獣)として町を強襲した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 以前に内部情報を流したことで騎士団を追放されていた。
 最後は意思を失った状態で、ウルシの影によって追放された。

レーン

寂れた屋台を営む、両目の見えない気さくな女性である。
・所属組織、地位や役職
 キアーラゼンの料理人。
・物語内での具体的な行動や成果
 優れた調理技術で魚の素揚げを作ってフランに売った。
 魔力視覚などのスキルを用い、師匠が知性ある剣であることを感知するような仕草を見せる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 元は高位の魔術師であった。

シエラ

フランに対して強い殺意と怒りを向ける、同年代の少年である。
・所属組織、地位や役職
 キアーラゼンの冒険者。ランクE(史上最年少)。
・物語内での具体的な行動や成果
 湖底で霊草採取の際、フランへ殺気を放った。
 ゼライセを止めるために行動を企てる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 名は偽名である。
 「前のフラン」と「今のフラン」という因縁を口にする。

相棒

シエラを「相棒」と呼び、彼の腰に差さっている知性ある剣である。
・所属組織、地位や役職
 知性を持つ剣。シエラの装備。
・物語内での具体的な行動や成果
 殺気を出したシエラに注意を促した。
 魔術学院がヴィヴィアン湖に課外授業へ訪れ、ロミオが連れてこられると予測する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 かつての出来事について語り、ウィーナレーンたちに因縁がある模様。

緑 of 古木亭の女将

温和で親しみやすい、レディブルーの宿を営むエルフの老婆である。
・所属組織、地位や役職
 宿屋「緑 of 古木亭」の女将。
・物語内での具体的な行動や成果
 宿に精霊が宿っていることをフランに説明した。
 フランに古樹の精霊についての長い歴史を語って聞かせる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一五〇〇年前の創業者の孫に当たる。

集団

順番待ちの商人たち

・所属組織、地位や役職
 関所で入国を待つ商人たちの集まり。
・物語内での具体的な行動や成果
 歩いて関所へやってきた、フランとウルシの姿を怯えながら見守った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

順番待ちの冒険者たち

・所属組織、地位や役職
 関所で入国を待つ冒険者たちの集まり。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランたちの持ち物や、巨大なウルシの存在を警戒して注視した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ディディーアンの警備兵たち

・所属組織、地位や役職
 ディディーアンの警備隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 国境付近でのワイバーンなどの魔獣の襲撃に備え、巡回を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

レイク・マーダーの群れ

・所属組織、地位や役職
 ヴィヴィアン湖に生息する魔獣たちの群れ。脅威度E。
・物語内での具体的な行動や成果
 湖底に侵入したフランたちへ襲いかかろうとした。
 フランの光魔術と師匠の遠隔刀身分裂攻撃によって、三十匹すべて一瞬で全滅させられている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

商業船団の冒険者たち

・所属組織、地位や役職
 セフテントに所属する、船を護衛する冒険者たち。
・物語内での具体的な行動や成果
 最初は、模擬戦のためにやってきた幼いフランを訝しんで見つめた。
 フランがダゴールを、ウルシがロブレンを圧倒した事実を目撃して驚愕する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 最後は、強くなりたいと語り合って大いに盛り上がった。

セフテントの住民たち

・所属組織、地位や役職
 セフテントの街に暮らす一般住民。
・物語内での具体的な行動や成果
 商業船団に並ぶさまざまな店を訪れ、活気を見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

魔術学院の生徒たち

・所属組織、地位や役職
 ベリオス王国魔術学院の生徒たちの集まり。
・物語内での具体的な行動や成果
 登校してきた、制服姿のフランへ一様に驚きと注目を向けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

上級クラスの生徒たち

・所属組織、地位や役職
 魔術学院に在籍する、上級クラスの生徒たち。
・物語内での具体的な行動や成果
 フランが無詠唱で魔術を発動する姿や、高度な気配遮断移動を目の当たりにした。
 フランの実力を高く評価する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

特戦クラス of 生徒たち

・所属組織、地位や役職
 選りすぐりの精鋭が集まるクラスの生徒たち。
・物語内での具体的な行動や成果
 全員模擬戦において、模擬戦教官であるフランによって徹底的に叩きのめされた。
 本物の絶望的な実力差を体験している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 当初はフランを侮っていたが、のちに彼女を恐るべき実力者として認め、畏怖を覚える。

更衣室の女生徒たち

・所属組織、地位や役職
 魔術学院の特戦クラスなどの女子生徒たち。
・物語内での具体的な行動や成果
 最初はフランを恐れて距離を取っていた。
 フランから高級美容液を分けてもらい、態度を軟化させている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一気にフランとの距離を縮め、親しくなった。

新入生たち

・所属組織、地位や役職
 魔術学院に新たに入学した生徒たち。
・物語内での具体的な行動や成果
 学内を移動し、教職員たちの案内を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

人型魔獣たち

・所属組織、地位や役職
 ゼライセによって作られた、鳥・牛・ゴーレムの魔獣たち。
・物語内での具体的な行動や成果
 レディブルーの街を強襲した。
 逃げ惑う一般住民へ攻撃を仕掛けた。
 最後は、チャードマン、フラン、ウルシによってすべて撃破されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 体内に魔人石が埋め込まれている。

レディブルーの住民たち

・所属組織、地位や役職
 レディブルーに住む一般市民。
・物語内での具体的な行動や成果
 突如出現した人型魔獣たちから逃れるため、街中を必死に逃げ回った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

避難する要救助者たち

・所属組織、地位や役職
 魔獣の襲撃によって逃げ遅れた一般人。
・物語内での具体的な行動や成果
 雑貨屋などに隠れ、恐怖に震えながら救助を待っていた。
 のちに、フランや警備兵たちによって救出されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

町の警備兵たち

・所属組織、地位や役職
 レディブルーを守る警備の兵士たち。
・物語内での具体的な行動や成果
 戦闘後に現れ、要救助者の捜索と治療の支援を行った。
 フランへ事情聴取を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 フランが教官であることを知り、無罪として処理した。

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転剣13レビュー
まとめ
転剣15レビュー

展開まとめ

プロローグ 前のゼライセ×今のゼライセ 

変化した歴史

ゼロスリードの逃走

二人の人物は、ゼロスリードを取り逃がしたものの居場所は把握しているため、問題はないと考えていた。一方で、以前経験した歴史とは状況が変化し始めていることを確認した。

バルボラでの分岐

以前はフランが魔石兵を百体以上倒していたが、今回は数体に留まっていた。それでもゼロスリードが最初にこの国へ逃げ込み、冒険者たちを蹴散らして騒動を起こした点は共通していた。ただし、以前は多数の死者が出たのに対し、今回は負傷者だけであり、ゼロスリードの行動にも違いが生じていた。

ゼロスリードの研究価値

二人はゼロスリードを貴重な魔人化の成功例として高く評価し、捕らえて研究したいと考えた。以前にも彼を研究して新たな発見を得ていたため、今回も確保する価値があると判断した。

新型魔人石の実験

ゼロスリードを捕らえるため、二人は新型の魔人石を実験することにした。現状では約七割が暴走する不安定な代物であったが、周囲で騒動が起きることも含めて楽しもうとしていた。

魔術学院への警戒

ゼロスリードが自治区の魔術学院付近へ潜伏していた場合、ハイエルフの存在が障害になると考えられた。しかし二人は学院側にも人員を潜り込ませており、ゼロスリードを手に入れるためなら彼らを使い捨てにして大きな騒動を起こすことも厭わなかった。最後には互いを前の僕、今の僕と呼び合い、これから起こる事態を楽しむように笑い合った。

第一章 国境越え 

ディディーアンへの旅

フランたちは最大化したウルシの高速移動を利用しつつ、道中の町や村に立ち寄って名物料理を楽しみながら国境を目指した。ウルシは山や川を空中跳躍で越え、一日かかる距離も一時間ほどで走破できるまでになっていたが、食べ歩きや料理を習うため、旅には一週間ほどかかっていた。

ゼロスリードの噂

国境近くのディディーアンでは兵士が増員されており、数か月前にゼロスリードという賞金首が約百人の兵士を壊滅させたと聞いた。しかし死者は一人もおらず、師匠は無差別に人を殺していたゼロスリードらしくないと疑った。フランはキアラの言葉から復讐のために追うつもりはなかったが、近くにいる可能性を無視できず、ウルシに町を捜索させた。しかし匂いも残り香も見つからず、そのまま国境へ向かった。

クランゼル王国からの出国

フランたちはディディーアンを出て、クランゼル王国側の巨大な関所で出国手続きを済ませた。ランクBの冒険者カードとウルシの従魔証があったため手続きは短時間で終わった。ベリオス王国は入国管理が厳しく、関所を通らず入国すると重い処分を受ける可能性があるため、フランたちは正規の街道を歩いて国境の峠を越えることにした。

ストーム・ワイバーンの襲撃

峠の途中で、フランたちはストーム・ワイバーンに襲われている三人の女性を発見した。カーナという少女と、従者のシェラー、女騎士ディアーヌであった。ディアーヌが囮になろうとしていたところへフランが介入し、転移でワイバーンの上へ移動すると、魔石を一撃で貫いて討伐した。

カーナとの出会い

助けられた三人はフランの実力に驚いたが、彼女が冒険者だと知ると、シェラーとディアーヌは警戒や嫌悪を露わにした。それでもカーナは再びワイバーンに襲われる危険を考え、フランに護衛を依頼しようとした。
ディアーヌは冒険者を金に汚い野蛮人と決めつけ、報酬を払うことにも反発した。

ディアーヌとの対立

ディアーヌは護衛報酬として二千ゴルドを投げ渡したが、ランクB冒険者を雇うにはあまりに安かった。さらに金を下世話で下劣なものと罵ったため、フランは怒り、有り金を全部出すか依頼を諦めるか選べと迫った。ディアーヌが反発すると、フランは彼女の背後へ一瞬で回り込み、今なら死んでいたと実力差を示した。殺すつもりはなく脅しただけだったが、ディアーヌは恐怖で動けなくなった。

護衛契約

カーナはディアーヌを制止して謝罪し、事情を説明したうえで報酬を交渉した。彼女が提示した三万ゴルド余りは護衛依頼として妥当な額であり、フランはディアーヌに冒険者への悪口を言わせないことを条件に依頼を引き受けた。

カーナとの夜

日没後、フランは大地魔術で巨大な防壁を築いて野営地を整えた。カーナはフランの隣で食事を取り、冒険者になった理由や仕事について尋ねた。フランは強くなるために冒険者となり、怪我や強敵との戦いを苦しいとは思っていないと答えた。また、冒険者の本来の仕事は冒険であり、盗賊や魔獣から人々を守ることは本来騎士や兵士の役目だと考えていた。

力と義務

ディアーヌは力を持つ者には弱者を守る義務があると主張した。しかしフランは、助けたいから助けるだけであり、強いから助けるのではないと答えた。弱ければ人を見捨てるのか、任務でなければ騎士は人を救わないのかと問い返され、ディアーヌは言葉を失った。カーナは、冒険者にも悪人がいるという自身の認識に対し、騎士や貴族にも悪人はいるというフランの指摘を受け入れた。

ベリオス王国への入国

翌朝、フランたちはウルシに乗り、短時間でベリオス王国側の関所へ到着した。フランはランクB冒険者として問題なく認められたが、カーナたちはモーリー商会の令嬢と従者を名乗ったため、管理官に不審を抱かれた。それでもカーナの発言に嘘はなく、フランを正式な護衛として連れているように見えたことや、目的地が特別自治区だったことから入国を許された。

カーナの身分

関所を出た後、カーナはディアーヌが実際に騎士であり、父の伝手で借り受けた護衛だと明かした。フランはカーナの過去や身分を詮索せず、冒険者は過去を気にしないと答えた。ただ、ディアーヌが騎士を名乗り続ければ今後も疑われると心配して忠告した。カーナは関所で余計なことを言わなかったフランに感謝し、三人は別れた。

カーナへの好感

師匠がカーナを気に入った理由を尋ねると、フランは同年代であることに加え、カーナたちが黒猫族である自分を一度も弱者として扱わなかったことを挙げた。特にカーナは年齢や種族、身分に囚われず、フランの力にも怯えず対等に接してきた。フランはそんなカーナを面白い相手として認め、冒険者になればいいのにとまで評価していた。

キアーラゼンへの道

フランたちは魔術学院へ向かう途中、各地を見て回ることにした。国境近くの村で情報を集め、大湖ヴィヴィアン湖の畔にある町キアーラゼンへ向かった。フランは巨大な湖に感心したものの、すぐに名物の魚へ興味を移し、町へ着くと魚料理を食べ歩き始めた。

レーンの屋台

数ある魚の素揚げの中で、フランとウルシは寂れた屋台の商品を最も気に入った。店主のレーンは両目を失っていたが、聴覚や魔力視覚などを使い、見えているかのように料理や会計をこなしていた。フランは店の商品を大量に買い、レーンも最高売上だと喜んだ。師匠は鑑定した際、レーンに自分の存在そのものを見透かされたような違和感を覚え、その感覚を気にし続けた。

商業船団

キアーラゼンの冒険者ギルドでは、受付嬢からヴィヴィアン湖を巡る商業船団について聞いた。多数の船で交易、旅客輸送、漁業、娯楽、医療まで担う巨大な船団であり、内部には冒険者ギルドの支部まで存在していた。湖周辺の若い冒険者は船団で安全に経験を積むことが多く、駆け出しを育成する仕組みも整っていた。

ランクBへの驚き

受付嬢はフランを駆け出しだと思い込み、商業船団への所属を熱心に勧めた。しかしフランがランクAまで強くなれるのかと尋ね、ランクBの冒険者カードを見せると、受付嬢はようやく彼女の立場を理解して激しく動揺した。騒ぎを聞いて現れたギルドマスターが代わって対応することになった。

消える冒険者たち

ギルドマスターによれば、この地域では高ランク冒険者が少なく、強敵が現れた場合は自身や商業船団の冒険者が対処していた。最近は依頼から戻らない冒険者が増えており、原因不明のまま人手不足が進んでいた。ギルドマスターはフランが滞在してくれれば助かると考えたが、フランは魔術学院へ向かう予定を優先した。

北部三国の均衡

フランがベリオス王国と周辺国の関係を尋ねると、クランゼル王国とはレイドス王国への対抗上、互いに支え合う関係にあると説明された。一方、レイドス王国とは長年戦争を繰り返しており、国民感情も悪かった。しかしクランゼル、ベリオス、レイドスの三国が互いに牽制し合うことで、大きな均衡が保たれていた。

特別自治区とウィーナレーン

ベリオス王国がレイドスからの侵攻を受けにくい理由の一つが、魔術学院のある特別自治区だった。自治区を治めるハイエルフのウィーナレーンは、有事への参戦や学院の技術提供と引き換えに、自治や納税免除など多くの特権を認められていた。またヴィヴィアン湖の開発にも発言権を持ち、湖に住むとされる精霊を怒らせないよう監視する役割も担っていた。

第二章 ヴィヴィアン湖 

ヴィヴィアン湖の霊草採取

フランたちはキアーラゼンのギルドマスターから依頼を受け、ヴィヴィアン湖の湖底に生える緋水草を採取していた。この地域では商業船団を利用し、別の町のギルドでも採取依頼を納品できる仕組みが整えられていた。師匠が風の結界を張って湖底へ潜ると、透明な水と色鮮やかな水草や魚が広がる幻想的な景色に、フランたちも一時見入った。

レイク・マーダーの群れ

緋水草の周辺には、群れで狩りをする脅威度Eのレイク・マーダーが三十匹以上生息していた。フランは周囲の草花を傷つけないよう戦うことを望み、光魔術で影を作ると、ウルシが暗黒魔術で群れを拘束した。師匠は刀身を分割して全個体の魔石を貫き、短時間で群れを全滅させた。

湖底の少年

緋水草を採取していると、小舟から一人の少年が湖へ潜ってきた。フランと同年代ほどの少年は、フランを見るなり強い敵意と殺意を向けた。フランは採取場所を荒らしたことを怒っているのかと考えて霊草を差し出したが、少年の敵意は収まらなかった。それでも少年は攻撃せず、会釈して別の場所で採取を始めた。

レイク・キラーの襲来

そこへレイク・マーダーの上位種である脅威度Cのレイク・キラーが現れた。フランは最初の斬撃で仕留めきれず、魔獣は標的を少年へ変えた。少年は逃げずに剣を抜こうとしたが、ウルシが襟首を咥えて湖面へ退避させた。フランは霊草を傷つけないため大規模魔術を使わず、回転しながら突進するレイク・キラーを静かな神速の斬撃で真っ二つにした。

シエラの剣

救われた少年は礼を言わず、なおフランを睨み続けた。フランは少年本人よりも、彼が抜こうとしていた剣に違和感を覚えた。師匠の鑑定では特別強力な武器には見えなかったが、フランは何かを感じ取り、その正体に興味を抱いた。

セフテントと商業船団

翌日、フランたちは湖畔の町セフテントで商業船団の本隊に遭遇した。五十隻を超える大小の船が集まり、最大の旗艦は砦のような規模を誇っていた。町も船団の寄港によって大勢の人で賑わい、冒険者ギルドにも船団所属の冒険者が多数集まっていた。

大量の緋水草

フランはギルドで緋水草二百八本を納品した。採取困難な霊草が大量に持ち込まれたため受付は混乱し、周囲の冒険者たちも採取場所を知りたがった。フランがレイク・マーダーの巣で採取し、その群れとレイク・キラーまで倒したと説明すると、黒猫族の少女にできるはずがないと疑われた。

魔獣素材の山

証拠を求められたフランは、レイク・マーダー三十匹分とレイク・キラーの巨大な皮をギルド中央へ取り出した。冒険者たちは驚愕したものの、なお信じようとしない者まで現れ、騒ぎは収拾がつかなくなった。フランも全員を力で黙らせようと考え始めたところへ、ギルドマスターのジル婆さんが現れた。

ジル婆さんの叱責

ジル婆さんは一目でフランを異名持ちの冒険者だと見抜き、事情を聞くと、実力も確かめずフランを囲んだ冒険者たちを厳しく叱責した。彼らの行為は、フランが弱者ならリンチにもなりかねなかったとして全員に処分を命じた。さらにフランを黒雷姫と呼び、その名を知った冒険者たちを改めて驚かせた。

緋水草の分配

フランはジル婆さんに、魔術学院へ向かう途中であることを伝えた。ジル婆さんは不足している緋水草を周辺のギルドにも分配したいと頼み、フランも了承した。レイク・マーダーとレイク・キラーの皮も買い取ることになり、その後ジル婆さんはランクBのフランに別の依頼を持ちかけた。

冒険者船の模擬戦

依頼は、商業船団に所属する冒険者たちと模擬戦を行うことだった。ヴィヴィアン湖周辺では地域全体で冒険者を育成してきた結果、仲間同士の馴れ合いが強まり、若手の危機感や競争心が薄れていた。未帰還の冒険者も増えているため、ジル婆さんと冒険者船のギルドマスターであるパルフィランは、外から来た強者に実力差を見せてもらおうと考えていた。

湖に特化した冒険者たち

湖周辺の冒険者は、水中戦や水魔術など土地に適した能力には優れていたが、他地域では実力を発揮できない者も多かった。そのため外部では実際のランクより一段低く見られることさえあり、パルフィランたちはその状況を変えたいと考えていた。フランだけでなく、獣型魔獣との戦闘経験を与えるためウルシにも模擬戦への参加が求められた。

ダゴールとの模擬戦

フランの相手となったのは、槍聖術や水中戦向けの技能を持つランクC冒険者ダゴールであった。ダゴールは初手から本気で攻め、銛のような槍特有の攻撃でフランを楽しませた。しかし実力差は大きく、最後はフランが槍を弾き飛ばして勝利した。その光景に、フランの強さを見抜けなかった多くの冒険者が呆然とした。

ウルシとロブレン

続いて商業船団のエースであるランクB冒険者ロブレンが、自らウルシとの模擬戦を申し出た。自分が本気で敗れる姿を見せることで、後輩たちに危機感を持たせる意図もあった。高速戦闘の末、ロブレンは必殺の突きを放ったが、ウルシは穂先を牙で受け止めて槍を弾き、体当たりでロブレンを転倒させた。ロブレンは潔く敗北を認めた。

冒険者たちの熱気

フランとウルシの実力を目の当たりにした若手たちは衝撃を受け、高ランク冒険者たちは二人を称賛した。訓練場には強くなりたいという空気が広がり、冒険者たちは湖を守る精霊を讃える湖畔の乙女の歌まで歌い始めた。その歌では、右目がアメジスト、左目がエメラルドのような瞳を持つ金髪の少女姿の精霊がヴィヴィアン湖を守っていると伝えられていた。

偽名の少年シエラ

依頼終了後、フランは湖底で出会った少年についてジル婆さんに尋ねた。少年は十三歳ほどで、このギルド史上最年少でランクEとなった天才として知られていた。名はシエラと名乗っていたが、ジル婆さんは偽名だろうと考えていた。フランへ殺気を向けた理由や過去については分からず、その正体は不明のままであった。

間章 シエラ×???? 

シエラと相棒の因縁

シエラは湖底でフランに遭遇した後、相棒から冷静さを取り戻したか確認されていた。シエラは一時的に感情を抑えられず、レイク・キラーを倒せるほどの相棒の力を使おうとしてしまったことを謝った。相棒は、その力が知られれば悪目立ちし、自分を狙う者まで現れかねないと警告した。

前のフランと今のフラン

シエラはフランに強い苛立ちを抱いていたが、相棒から因縁があるのは前のフランであり、今のフランとは初対面なのだと諭された。シエラ自身も今のフランに罪がないことは理解していたものの、感情までは抑えきれなかった。

ヴィヴィアン湖への再訪

相棒は、以前と同じ流れならフランがウィーナレーンと共に再びヴィヴィアン湖へ来ると考えていた。魔術学院では毎年この時期に湖で特別な課外授業を行っており、その際にはロミオも連れて来られると見込んでいた。ロミオの話になると相棒も殺気を漏らし、シエラに落ち着くよう注意された。

ゼライセたちの捜索

シエラたちは本来、ゼライセたちを止めることを望んでいたが、いくら探しても居場所を突き止められずにいた。彼らが湖の中央へ出入りしていることは確信していたものの、そこはガーディアンに守られており、シエラたち自身では立ち入れなかった。そのため、今は相手が動くのを待つしかなかった。

今回こその決意

シエラはまず霊草採取の依頼を達成し、ランクアップして情報収集をしやすくしようとした。前とは違う結果を得るために力を付けてきたシエラと相棒は、今度こそ守り抜くと同じ決意を口にした。

第三章 レディブルー 

魔術学院への旅

フランたちは商業船団を離れ、魔術学院のあるレディブルーへ向かった。途中ではヴィヴィアン湖で水遊びを楽しみ、上空に浮かぶS級魔境・天龍の寝床を眺めた。そこにはランクAとされる天龍が棲んでいたが、姿を見ることはできなかった。やがて一行は、ハイエルフのウィーナレーンを称えて名付けられた学院都市レディブルーへ到着した。

レディブルーの迷路

レディブルーは細い路地や階段が入り組んだ迷路のような都市であった。フランは焼き菓子の匂いや面白そうな道に惹かれて大通りを外れ、ウルシと町の探索を楽しんだ。その途中、巨大な木が建物を貫く宿屋・緑の古木亭を発見し、フランはすぐに宿泊を決めた。

緑の古木亭

宿を営むエルフの老婆は、建物を貫く大樹には精霊が宿っており、傷つければ追い出すと説明した。フランは精霊に興味を持ち、良い子にしていれば会えるかもしれないと聞いて期待を膨らませた。宿は森のような香りに満ちており、フランとウルシはすっかり気に入った。

魔術学院への訪問

フランはアリステアの紹介状を持って魔術学院を訪れた。裏門の守衛に紹介状とランクBの冒険者カードを確認され、教師のコルタンディルーに案内された。学院は森や池、雪山まで備えた広大な敷地を持ち、多数の塔が巨大な校舎を形成していた。二千年以上前にウィーナレーンの研究所だった古塔も残されていた。

学院長不在

紹介状と冒険者カードは正式なものと確認されたが、最終面接を行う学院長ウィーナレーンは外出中であった。フランは緑の古木亭で待つことになり、学院長が戻れば連絡を受けることになった。

キャローナの勘違い

冒険者ギルドを訪れたフランは、魔術学院生のキャローナ・リヴァールから学院の基礎学科生と勘違いされた。外套を着ずに冒険者ギルドへ来た学則違反の生徒だと思われ、学院へ連れ戻されそうになったが、ギルドマスターのキナパーロが現れて誤解が解けた。キャローナはフランがランクBの異名持ちと知ると、自らの非礼を素直に謝罪した。

学院指定冒険者

キナパーロは、学院生が一定条件を満たせば冒険者として活動できることや、高難度依頼では学院指定冒険者の同行が必要になることを説明した。その資格を得るには能力や人格、過去まで調査され、最後にウィーナレーンの厳しい面接を通過する必要があった。フランも臨時教官となるため、その面接を受ける予定であった。

ウィーナレーンの評判

キナパーロによれば、ウィーナレーンは普段は優しい一方、怒らせれば非常に恐ろしい人物であった。大海魔術の使い手として、中級ダンジョンを大量の水で丸ごと水没させたこともあり、その力はランクS冒険者を超えるとも言われていた。さらにレディブルーの治安が良いのも、犯罪組織を背後関係ごと徹底的に潰してきたウィーナレーンの存在が大きかった。

精霊樹の宿

宿へ戻ったフランは、緑の古木亭の大樹が三千年以上生きる精霊樹であると知った。かつて弱っていた樹を宿の創業者とウィーナレーンが救い、人を観察することを好む精霊のために宿が建てられたのであった。宿へ入れるのは精霊に認められた者だけであり、フランもその一人であった。その夜、フランは誰かに見られているような視線を感じ、老婆から精霊に気に入られた可能性を告げられた。

学院長との面接

翌朝、学院職員が訪れ、帰還したウィーナレーンが面接を行うと伝えた。フランはその日の面接を選び、屋根伝いに一直線で学院へ向かった。コルトに案内されて学院内を進んでいた最中、フランは建物から出てきたゼロスリードを発見した。

ゼロスリードへの襲撃

フランは怒りと憎悪に支配され、覚醒と閃華迅雷を発動してゼロスリードへ突進した。剣神化と黒雷転動まで使用して背後へ回り込み、首を狙ったが、不可視の存在による攻撃で弾き飛ばされた。再び斬りかかると左腕を斬り飛ばしたものの、今度は強力な水の膜によって攻撃を阻まれた。

ウィーナレーンの制裁

ゼロスリードを守ったのは学院長ウィーナレーンであった。彼女は学院内で敵対行為を働いたフランを拘束するため、神属性を帯びた水を大海魔術で操った。フランは水球を斬り裂き、黒雷転動と天断でウィーナレーンの脇腹に傷を負わせたが、ウィーナレーンは自らの血まで操って反撃し、黒雷への対策や転移阻害も駆使してフランを追い詰めた。

ウルシの奇襲

フランは光で影を作り、そこからウルシを奇襲させた。次元牙はウィーナレーンの防御を貫いて両脚に重傷を与えたが、彼女はすぐに回復した。続いてフランと師匠はカンナカムイを放ったものの、ウィーナレーンは八体の水龍を生み出して雷を完全に消し去り、魔術師としての圧倒的な力量差を見せた。

フランの降参

ウィーナレーンは本気で戦えば学院への被害が大きくなるため、フランに降参を求めた。フランも勝利の見込みが薄く、師匠の耐久値も限界に近かったため、最終的に降参した。ウルシも水球に閉じ込められて制裁を受け、フラン、ウルシ、師匠の敵対行動が止まったことで学院の防衛行動は終了した。

怯えた学院生たち

戦闘後、ウィーナレーンは周囲の学院生たちをフランに見せた。フランがゼロスリードへ襲いかかった際の魔力と殺気を受け、多くの生徒が恐怖で動けなくなっていたのである。自分が関係のない生徒まで怯えさせたと理解したフランは、素直に謝罪した。

変わったゼロスリード

ウィーナレーンはゼロスリードの首の傷を神水で治療し、コルトに隔離施設へ連れて行かせた。ゼロスリードは以前とは違って非常に静かで、フランに襲われてもほとんど反撃しなかった。ウィーナレーンによって邪気と行動を封じられ、精霊からも監視されていたためであった。

ロミオとの契約

ウィーナレーンは、ゼロスリードを殺せない理由としてロミオ・マグノリアの存在を説明した。ロミオはゴルディシア大陸で邪神の欠片を守っていたマグノリア家の末裔であり、その血が濃く発現していた。ロミオとゼロスリードの間には、一方が傷つけばもう一方にも影響する主従契約に近い繋がりが無意識に結ばれていた。さらにロミオは長期間邪気に晒されて汚染されており、治療のためにもゼロスリードを近くに置く必要があった。

学院を守る精霊たち

魔術学院は守護精霊ベルトゥディーをはじめとする数百の精霊に守られていた。精霊たちは人間の善悪ではなく契約を基準に敵対者を判断し、学院関係者への敵対行為があればウィーナレーンに制裁を強制した。ゼロスリードもロミオを保護するため臨時職員という立場を与えられ、学院側の保護対象となっていた。

精霊への適性

フランはゼロスリードを守った上級精霊を僅かながら感じ取っていた。ウィーナレーンが別の精霊を示した際にもその存在を感知できたため、精霊術師としての才能がある可能性を指摘された。フランは精霊魔術の習得に興味を示し、精霊と接しながら意識し続けることが修行になると教えられた。

特別職員と短期編入

ウィーナレーンはフランへの制裁を弱めるため、その場でフランを特別職員内定者兼短期編入予定者として学院関係者扱いにしていた。アリステアの紹介状も強い効力を持っていたため、ゼロスリードへの殺人未遂や学院内での戦闘も、拘束と謝罪で収めることができた。その肩書をすぐに撤回すれば再び精霊の制裁対象になるため、フランは約二週間、職員と生徒として学院に留まることになった。

ウィーナレーンとの再戦

フランは学院に残ればゼロスリードを監視でき、精霊魔術の修行にもなるとして条件を受け入れた。さらに詫びとして希望を聞かれると、ウィーナレーンとの模擬戦を要求した。世界最強級のハイエルフの本気をもっと見たいというフランに、ウィーナレーンは苦笑しながら、いずれ応じると約束した。

第四章 魔術学院 

学院への正式な紹介

ウィーナレーンはフランを学院の職員たちに紹介するため、教員塔の職員室へ連れて行った。その途中、学院長でありながら子供を無条件に愛しているわけではないと明かし、アマンダが自分の子孫であることも語った。アマンダとの間には事情があり、好かれてはいないという。職員室ではフランが特別職員内定者兼短期編入予定者であり、上級クラスや特戦クラスの特別模擬戦教官を務めると発表された。さらにウィーナレーン自身を傷つけるほどの実力者だと説明され、教師たちは驚愕した。

特戦クラスへの編入

フランは生徒として特戦クラスに所属することになった。魔術の実力も学院で学科長を任せられるほどだと評価されたが、フラン自身は精霊魔術を学ぶことに興味を示した。精霊魔術は才能や精霊との相性に左右されるため選択授業となっており、ウィーナレーンはフランにその講座を受けるよう勧めた。特戦クラスの担当教師にも精霊魔術師がいるため、話を聞けることになった。

上級クラスへの挨拶

模擬戦教官のイネスに案内されたフランは、上級クラスなど複数の教室を回った。見た目だけではフランの強さを理解できない生徒たちに対し、フランは殺気で威圧するのではなく、光球で注意を逸らしてから気配を完全に消し、一瞬で教室後方へ移動した。生徒たちは無詠唱魔術と高度な隠密技術を目の当たりにし、フランの実力を理解した。

特別模擬戦教官の役割

イネスは特別模擬戦教官について、圧倒的な強者を生徒に体験させる役割だと説明した。生徒たちは実力差がどうにもならない相手と向き合い、硬直せず逃亡や交渉へ移れる胆力を身につける必要があった。ウィーナレーンでは力が強すぎて適切な模擬戦が難しく、前任者が辞めて以降は適任者がいなかったため、フランの着任は歓迎された。

学院寮と食堂

フランは学院の寮を勧められたが、精霊のいる緑の古木亭を気に入っていたため迷った。食事も判断材料となり、学院の食堂で昼食を試したものの、量と栄養は十分でも味は平凡であった。フランとウルシは一口で落胆し、最終的に寮には入らず緑の古木亭から通うことを決めた。

学院内の演習場

フランたちは学院内に設けられた雪山や岩山、湖、湿地などの演習場を見学した。雪山は氷雪魔術によって雪を作り続けることで維持され、雪上戦闘や登山訓練に利用されていた。学院には多くの魔術師がいるため、通常では難しい環境そのものを訓練用に整えることが可能であった。

ロミオの負傷

フランはゼロスリードやロミオへの面会を求めたが、イネスから止められた。ロミオはすでに目覚めていたものの、フランを怖がっていたのである。ゼロスリードとロミオの契約によって、フランがゼロスリードを斬った際の傷がロミオにも一部伝わり、三歳のロミオは大怪我を負っていた。傷は治療されたものの、フランは自分がロミオまで殺しかけたと知って強く落ち込んだ。

女将の言葉

宿へ戻ってもフランはロミオの件を引きずり、好物を前にしても食事に集中できなかった。女将は、失ったものは戻らなくても、その経験を糧にして生きていくしかないというエルフの言葉を伝えた。フランには難しかったが、美味しい食事は集中して食べた方がよいという言葉には納得し、ようやく食事へ意識を戻した。

古樹の精霊

食事中、フランは食堂に現れた古樹の精霊の存在を微かに感じ取った。女将によれば、精霊は落ち込んでいたフランを心配して姿を現し、エルフ以外には珍しいほど心を許していた。フランは精霊を直接見ることはできなかったが、精霊魔術や精霊眼の素質がある者だけが感じられる気配を捉えていた。精霊はフランを祝福し、一時的に悪いものを祓う力を与えてから樹へ戻った。

制服姿のフラン

登校初日、フランは特戦クラスの制服を着て学院へ向かった。濃紺のブレザーやチェックのスカートを身につけ、師匠も短剣サイズになって服の内側に収まった。生徒と教員を兼ねているため、正門では教員手帳を見せたことで守衛を戸惑わせたが、本人確認後は問題なく通された。制服姿のフランは多くの生徒から注目を集めた。

特戦クラスとの対面

フランは模擬戦教官室を経て特戦クラスへ案内された。そこには以前冒険者ギルドで会ったキャローナも在籍していた。イネスから、フランがランクBでありながらランクA級の戦闘力を持つ黒雷姫だと紹介され、生徒たちはようやく彼女が本物の特別模擬戦教官だと理解した。フランは教官の仕事がない時間は、同じクラスの生徒として授業を受けることになった。

模範演武

最初の模擬戦授業では、フランが自ら大地魔術で高さ十五メートルほどの尖塔を作り、それを標的にした。覚醒と閃華迅雷を使い、師匠と共にサンダーボルトやトールハンマーを撃ち込み、尖塔を大きく破壊した。さらに空気抜刀術で残った尖塔を一刀両断し、魔術だけでなく剣技でも圧倒的な力を示した。

ウルシのボトムレスシャドウ

ウルシも実力を示したがったため、フランが光と大地魔術で濃い影を作り出した。ウルシは暗黒魔術ボトムレスシャドウを発動し、尖塔の残骸を巨大な影の中へ飲み込んだ。生徒たちはフランだけでなく従魔のウルシまで規格外であると知り、言葉を失った。

特戦クラスとの模擬戦

演武に続き、フランは特戦クラス全員を相手に模擬戦を行った。生徒たちは複数のパーティに分かれ、防御魔術と連携攻撃で迎撃したが、フランは矢や魔術を斬り払いながら歩みを止めなかった。前衛の攻撃も瞬時に弾き、拳や蹴り、魔力放出で次々と無力化した。後衛も接近を許した時点で崩され、全員が短時間で倒された。

繰り返された敗北

フランは一度倒した生徒たちを気絶させず、再び立ち上がるよう促した。圧倒的な強者を前にしても思考を止めないことを学ばせるためであった。その後も生徒たちは何度もフランに挑み、最終的には一方的に叩きのめされた。さらにイネスは回復した生徒たちに二回戦まで命じ、一時間に及ぶ特別模擬戦が行われた。授業終了時、生徒たちは疲れ切っていたものの、悔しさを滲ませていた。

キャローナの決意

模擬戦後、キャローナは自分たちが冒険者を目指せるほどの実力を持つのかフランに尋ねた。フランは魔術の遅さや判断力、レベル不足、キャローナ自身が魔術師なのに前へ出すぎる点などを容赦なく指摘した。一方で、誰でも最初は弱く、鍛えれば強くなれるとも告げた。最弱種族とされる黒猫族のフラン自身が強者となっていることもあり、キャローナは鍛錬を続ける決意を新たにした。

高級美容液

女子更衣室では、フランがエルザから貰った美白美容液を使っていることが知られた。それは高位貴族でも入手困難な希少品で、女生徒たちは大きく反応した。美容に興味の薄いフランは気軽に皆へ使わせ、三瓶を短時間で使い切った。その結果、模擬戦でフランを恐れていた女生徒たちとの距離は一気に縮まった。

侯爵令嬢の横暴

更衣室では外国の侯爵令嬢クルダがフランに美容液を献上するよう要求した。キャローナは学院内では身分による横暴が許されないと警告したが、クルダは侯爵家の権威を主張した。付き添いのサルッタは事態の危険性を理解しており、慌ててクルダを拘束して謝罪した。フランは興味を示さず見逃したが、キャローナは学院では精霊が規則違反を監視しているため、こうした横暴は長続きしないと説明した。

魔獣学の授業

次の魔獣学では、現役の高位冒険者であるフランの経験を聞く特別授業となった。フランが最近倒した大物として脅威度Bのインビジブル・デスを挙げると、教師は強く興奮した。フランは実際に採取した鱗を見せ、さらに未解体のインビジブル・デス一体を次元収納から取り出した。

インビジブル・デスの解剖室

授業は急遽解剖室へ移され、十メートルを超えるインビジブル・デスの死骸が教材となった。教師と生徒たちは巨体や特殊な鱗を間近で観察し、フランは戦った際に厄介だった能力や攻撃方法を説明した。キャローナたちの反応に乗せられてフランも普段より饒舌になり、やがて男子生徒たちも質問へ加わった。模擬戦で恐れられていたフランは、実際に会話する中でクラスメイトたちとの距離をさらに縮めていった。

第五章 狙われたゼロスリード 

学院での調理実習への期待

フランは午後にしか模擬戦がない日、朝から授業を受けることになった。調理実習を楽しみにしていたが、自分で野外料理を作る授業だと師匠から聞かされると、フランも食事を期待していたウルシも一気に落胆した。学院ではキャローナとの距離が縮まり、フランは自然に彼女の隣へ座るようになっていた。

黒猫族の進化

獣人の講師ホリアルは、フランがいることから獣人の進化について授業を行った。これまで黒猫族は進化できないと教えられていたが、フランによって条件を満たせば進化可能な十始族の一つだと判明し、授業内容も改められていた。フランは黒猫族への認識が変わりつつあることを喜んだ。

獣人と魔術学院

ホリアルは、学院に獣人が少ない理由として、獣人は全体的に魔力が低く、地道な魔術修行を苦手とする傾向があると説明した。幼少期から戦闘訓練を始める者も多く、学校より実地経験を重視しやすかった。また、隣国クランゼル王国の方が冒険者を厚遇するため、戦闘職を目指す獣人がそちらへ流れる事情もあった。一方で種族ごとに得意属性があるため、適性を活かせば魔法戦士として鍛えることは可能だった。

神戻りと神獣人

授業は特殊進化へ進み、ホリアルは神が直接生み出した原初の種族へ近づく神戻りについて説明した。ハイエルフやエルダードワーフ、神魔人などが例として挙げられ、獣人にも十始族を超える神獣人の伝承が残っていた。神獣人は神剣に素手で勝ったとも伝えられていたが、フランはウィーナレーンや神剣を使うアースラースを実際に見た経験から、あり得ない話ではないと考えた。話題は神剣へ脱線し、フランは授業終了まで質問を受け続けた。

スカンクラクーンの調理実習

調理実習では、各班が臭いの強いスカンクラクーンを解体し、野外で食べられる料理を作る課題が出された。フランはキャローナ、レルス、マーチェス、オスレスの班へ加わり、経験を買われて指揮を任された。フランは鮮度や年齢を臭い、毛、目、舌などから見極め、最も状態の良い個体を選んだ。

悪臭に包まれた実習場

他の班では解体中に毒腺を傷つける者が続出し、強烈な硫黄臭が実習場へ広がった。フランは風魔術と結界で自分たちの周囲を守りながら、キャローナたちへ解体方法を説明した。班は毒腺を傷つけることなく短時間で解体を終えたが、肉そのものにも強い臭みがあり、普通に焼くだけでは食べられない状態だった。

カレーを使った野外料理

フランは師匠が作ったカレー粉を取り出し、班員たちと料理を始めた。土魔術の即席コンロや各種魔術を利用した疑似圧力鍋、高品質な調理器具を使い、カレー風味のチーズハンバーグ、生ジャーキー、肉味噌を包む料理、具だくさんのカレーを完成させた。フランは全てを一人で行わず、班員へ指示を出しながら共同作業を進めた。

教師を驚かせた料理

担当教師ヤフィは、スカンクラクーン特有の臭みが消えた料理に驚き、四品すべてを高く評価した。特にカレーには強く反応し、普段なら審査のため少量しか食べないにもかかわらず、勢いよく食べ続けた。他の班員にも料理は好評であり、余った分にはクラスメイトたちまで殺到した。フラン自身は師匠の料理と比較し、満足できる出来ではないと感じていた。

本物のカレー

昼食になると、フランは師匠が本気で作ったカレーを次元収納から取り出した。調理実習のカレーとの違いを疑ったキャローナも一口食べて、その味に驚いた。フランはキャローナや班員たちにもカレーを分け、最終的には周囲の生徒の視線に押されて寸胴ごと提供した。オスレスたちが配膳を手伝ったため混乱は避けられ、カレーは食堂中で大好評となった。

学食向けカレーマーボー

食堂の料理人ノリッツは騒ぎには怒りながらも、カレーそのものには強い関心を示した。しかし学院では予算と大量調理の制約があり、本来のカレーを再現できずに悩んでいた。そこで師匠は安価な山椒や醤油など現地の材料を使い、外国産香辛料を抑えたカレーマーボーを考案した。ノリッツは安く美味しく作れる料理を喜び、フランは謝礼の代わりに学院と取引する商会への紹介状を受け取った。

ロミオとの再会

食堂を出ようとしたフランは、三、四歳ほどのロミオと偶然顔を合わせた。ロミオはフランを見ると怒りと怯えの混じった目で睨みつけた。フランはその視線を以前どこかで見たような感覚を覚えたものの、思い出すことはできなかった。

学院生活と黒猫族への決意

数日が過ぎ、フランは教官として恐れられながらも、生徒としては学院に馴染んでいった。興味のある魔術や精霊の授業には真面目に参加した一方、本気で戦えない環境にはフランもウルシも鬱憤を溜めていた。師匠から学院に残る選択肢を示されても、フランは冒険者の方が楽しく、もっと強くなりたいとして断った。ホリアルの授業を通じ、自分だけではなく全ての黒猫族が進化できるようにしたいという思いを改めて強くしていた。

カーナとの再会

新入生の入学日に、フランは峠越えで同行したカーナと再会した。カーナは魔術学院への入学が旅の目的だったが、合格できる保証がなかったため伏せていたという。カーナは当初フランも新入生だと思っていたが、フランが特戦クラスに所属しながら教官も務めていると知って驚いた。二人は再会を喜び、また会う約束を交わした。

町に現れた人型魔獣

町で食べ歩きをしていたフランとウルシは、突然発生した巨大で禍々しい魔力を察知した。現場には鳥、牛、女性騎士像のような三体の人型魔獣がおり、さらに一人の男性が腹部から魔石を露出させた直後、鼠型の魔獣へ変貌した。全て鑑定結果が文字化けし、王都でファナティクスを鑑定した時と同じ異常が起きていた。

ゼライセの人造魔獣

鳥人間が住民を襲ったため、フランは救助しながら戦闘を開始した。鳥人間は格闘技と石化能力、牛人間と鼠人間は魔術を使い、ゴーレムは高い再生力と転移能力を備えていた。ゴーレムが狙った雑貨屋へ転移したフランは、中にロミオと力を封じられたゼロスリードがいることを知った。壁を破壊して避難路を作ったが、ゴーレムは執拗にゼロスリードたちを狙った。

ロミオを守るフラン

フランはゼロスリードが傷つけばロミオにも影響するため、ゼロスリードを乱暴に扱うこともできなかった。ゴーレムの攻撃から彼らを庇い、自ら拳を受けて吹き飛ばされても戦い続けた。ゴーレムを細切れにしても再生が止まらず、さらに他の魔獣もゼロスリードたちへ迫ったため、戦況は悪化した。

黒骸兵団のチャードマン

鳥人間がゼロスリードを襲う直前、空から現れた漆黒のアンデッドが鳥人間と牛人間を瞬時に倒した。その正体は黒骸兵団第八席、現在は第七席を名乗るチャードマンであった。フランがかつてアイスマンを倒したと知ると、チャードマンは強者との戦いを喜び、自らフランへ挑んだ。また、人型魔獣は錬金術師ゼライセの手下であり、チャードマン自身もゼロスリードを狙っていた。

進化薬による強化

チャードマンはアイスマンと同じ進化薬を使用し、威圧感と魔力を大幅に増大させた。拳へ爆炎を纏わせ、自身を爆発で傷つけながら急加速や急旋回を行う戦法でフランと激突した。高い再生能力を持つチャードマンは自傷を顧みず攻め続け、ゼロスリードとロミオを庇いながら戦わなければならないフランは思い切った攻撃ができず、戦いは拮抗した。

剣神化とゼロスリードの救援

周囲への被害が拡大したため、フランは閃華迅雷と剣神化を発動し、チャードマンの腕と足を瞬時に斬り落とした。しかしチャードマンがゼロスリードたちへ強力な爆炎を放つと、フランは彼らを見捨てる剣神化を自ら解除し、射線へ割り込んだ。爆炎を防ぎ切れないところへ、力を封じられていたゼロスリードが一瞬だけ邪気を解放して威力を弱め、フランたちを救った。

無差別攻撃と師匠の変化

追い詰められたチャードマンは多数の爆炎弾を町へ無差別に放った。フランは黒雷転動と魔術を駆使して全てを迎撃したが、並列思考と魔力を酷使して限界へ近づいた。さらに倍近い魔弾が放たれる中、フランの諦めない意志に呼応した師匠は剣としての感覚を深め、形態変形によって数百本の鋼糸へ変化した。それらを完全に制御し、全ての魔弾を撃ち落とした。

精霊の言祝ぎ

フランはチャードマンの心臓へ師匠を突き刺し、全力の黒雷を流し込んだ。しかしアンデッドへの効きが悪く、消耗戦では不利だった。その時、フランを緑色の光が包み、古樹の精霊から受けていた言祝ぎの力がチャードマンへ流れ込んだ。チャードマンは悲鳴とともに灰となって崩れ、完全に消滅した。

ウルシと不死身のゴーレム

一方のウルシは、再生し続けるゴーレムを拘束していた。自分の影を媒介にボトムレスシャドウを発動すると、暴れるゴーレムをそのまま影の中へ沈めた。再生能力では影の世界への追放を防げず、ゴーレムも姿を消したことで戦闘は終結した。

ロミオとの小さな和解

戦闘後、フランとゼロスリードは互いに助けられたことを不器用に認め合った。ロミオはまだフランを警戒していたが、ウルシには礼を言い、ウルシも優しく応じた。ロミオが無事だったことで、彼を以前傷つけてしまったことを背負っていたフランの表情は和らいだ。その後、フランたちは周辺の負傷者を探して回復魔術を施した。

襲撃後のフラン

警備兵の事情聴取では、学院の模擬戦教官というフランの肩書と多数の証言によって疑いはすぐに晴れた。学院側も建物の修理費を負担することになった。帰路で師匠は、最近のフランが戦いを求め、ロミオを身を挺して守った行動には、単なる戦闘欲だけではないものがあるのではないかと感じた。何かあれば話すよう促したが、フランは何も語らなかった。

緑の古木亭の最後の夜

学外サバイバル実習を翌日に控え、フランたちは緑の古木亭で最後の夜を過ごした。女将は豪勢な料理を用意し、フランとウルシは大量に食べた。その最中、古樹の精霊が別れを悲しんで姿を現し、フランはまだ見ることはできないものの、その存在を自力で感じられるまでになっていた。

精霊との未来

フランは精霊学で、精霊魔術はスキルの高さだけではなく精霊との相性や出会いに大きく左右されると学んでいた。精霊を感じられても視認には至らなかったが、女将はわずか十日ほどでここまで成長したフランなら、いずれ精霊と通じ合えると励ました。フランはチャードマンとの戦いを助けてくれた精霊へ感謝し、いつか必ず精霊と話せるようになると決意した。

エピローグ 前のゼライセ×今のゼライセ 

ディアーヌへの魔人石

ゼライセたちは、フランたちに倒されたディアーヌたちについて話し合った。ディアーヌには脅威度Cのアース・タイタンなどを混ぜた強力な魔人石を埋め込んでいたが、ゼロスリードを確保しようとする命令を辛うじて覚えていた程度で、期待したほどの力も思考力も発揮できなかった。他の三人は暴走し、さらに低い結果に終わっていた。

紅旗騎士団を追われたディアーヌ

ディアーヌは紅旗騎士団幹部の娘で、騎士団では下働きをしていただけだった。南征公から祖国のためだと持ちかけられ、犬猿の仲にある南征公へ紅旗騎士団の内部情報を漏らしたことで追放されていた。その後ゼライセに拾われ、手柄を立てれば紅旗騎士団へ戻してやると騙され、モーリーのもとへ潜入していた。ディアーヌ本人は、魔人石を埋め込まれれば元の体へ戻れないことも知らなかった。

変化した歴史

ゼライセたちにとって、学院都市にフランがいたことや、黒骸兵団の生き残りが介入したことは想定外だった。以前の歴史ではフランはウィーナレーンと行動していたものの、黒骸兵団は現れず、ディアーヌとフランが接触することもなかった。さらに以前のディアーヌは魔人石の実験体ではなく、魔剣製造の生贄に使われており、現在は過去とは異なる流れへ分岐していた。

魔人石と契約の欠陥

今回の失敗から、ゼライセたちは魔人石そのものだけでなく、施術と契約方法にも問題があると考えた。何も知らせず言いくるめて同意だけを得ても、本人が契約内容を理解していなければ契約魔術の効果が弱まり、魔人石との結びつきも不足していた。その結果、本来の魔人化ではなく魔獣化し、想定した力を発揮できなかった可能性があった。

ヴィヴィアン湖の計画

ゼライセたちは新たな実験体を送り込むことも考えたが、自分たちが直接動く案は退けた。ヴィヴィアン湖で進めている計画がすでに大詰めを迎えていたためである。二人は魔人石の改良を後回しにし、現在は大魔獣に専念することを決めた。

歴史に刻む悪名

二人はヴィヴィアン湖の計画が成功すれば、自分たちの望みも実現すると期待した。そして国を滅ぼした大悪人として、錬金術師ゼライセの名を歴史に刻むことを楽しげに語り合った。

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