無自覚聖女 2巻レビュー
無自覚聖女 まとめ
無自覚聖女 4巻レビュー
物語の概要
■ 作品概要
本作は、アース・スター ルナから刊行された人気ファンタジー小説の第3巻である。 前巻においてカロリーナの持つ「神聖力」が明らかになり、その事実がついにセレスティア王国の上層部にも知れ渡る。
自国の衰退に焦る王国側は、偽の神託を利用してカロリーナを強引に奪還しようと動き始めた。
これに対抗するため、第二皇子エドワードと第一皇子ギルバートは手を組み、一連の元凶であるジョナサン大司教を失墜させるための大規模な計画を始動させる。
同時に、他国からの介入を防いでカロリーナの地位と安全を確立させる目的で、マルコシアス帝国においても公式の**「聖女候補の選定試験」**を導入することが決定される。
しかし、その陰でジョナサン大司教は試験の参加者へ魔力増幅の秘薬を渡し、カロリーナを敗北させようと最後の罠を仕掛けていた。
カロリーナが周囲の愛に支えられながら自らの「奇跡の力」を多くの人々に証明していく一方で、20年前に闇に葬られた「前聖女の死の真相」が白日の下に晒され、国家を巻き込んだ因果応報の劇的な決着が描かれる。
■ 主要キャラクター
- カロリーナ・ルビー・マルティネス:本作の主人公。エドワードと正式に結婚し、エメラルド宮殿で新生活を送る。教皇すら上回る規格外の神聖力を秘めており、手加減の特訓を経て帝国代表の選定試験に挑む。
- エドワード・ルビー・マルティネス:マルコシアス帝国第二皇子であり、皇家直属騎士団「烈火の不死鳥」の団長。カロリーナを心の底から深く愛している。選定試験の後に暴走したモニカから、炎の翼を広げて妻を命がけで救い出した。
- ギルバート・ルビー・マルティネス:マルコシアス帝国第一皇子。カロリーナを「師匠」と呼んで慕う。ジョナサンの告発に向けたセレスティア王国の極秘調査や、帝国の選定試験の準備および皇帝代理を精力的にこなす。
- テオドール・ガルシア:エドワードの補佐であり、騎士団副団長を務める優秀な天才魔法師。カロリーナに神聖力の制御訓練をスパルタで指導する一方、ジョナサンの決定的な悪事を暴いて神問裁判へ引きずり出した。
- マリッサ・キッシンジャー:キッシンジャー伯爵家の令嬢で、カロリーナの優秀な専属侍女。貴族会議での議案可決に協力するため、かつて自分を虐げた姉マリアと再会し、過去の所業をネタに取引を行ってブレイク公爵への説得を成功させる。
- オーウェン・クライン:クライン男爵家の次男であり、カロリーナの専属護衛騎士。マリッサと同様に休暇を利用して異母兄ドレイクと再会し、長年の誤解を解いて固い兄弟の絆を取り戻すとともに、貴族会議での賛成を取り付けた。
- ジョナサン・ミルズ(ジョナサン大司教):セレスティア王国の教会の元凶。カロリーナを利用して権力を得ようとするが、20年前の「聖女クローディア殺害事件」の隠蔽・主導が露見し、神問裁判により終身刑に処される。
- モニカ・アーレント:第一皇子派筆頭であるアーレント公爵家の長女。自他ともに認める帝国一の聖魔法使いだが、選定試験でカロリーナに惨敗し、取り乱して彼女の首を絞めるという大不敬騒動を起こして失墜した。
- フローラ・サンチェス:カロリーナの姉。妹が王国を去って自身の治癒能力が完全に衰えた事実を隠したまま、代表として「聖女試験」に出場する羽目になり、実力を得るために禁忌の「黒い玉」を使用する覚悟を決める。
- ネイサン・フィリップス:セレスティア王国国王。かつて心から愛しながらも悲劇的な死を遂げた前聖女クローディアの死の真相究明をギルバートに懇願し、20年越しの未練と後悔に墓前で別れを告げた。
■ 物語の特徴
- 手加減無用の「奇跡」が炸裂する、選定試験での圧倒的なカタルシス これまで無能扱いされてきたカロリーナが、周囲の期待に応えるために初めて自らの意思で神聖力を行使する。第一試験での骨折患者の「怪我跡ひとつ残さぬ一瞬での完治」や、第二試験での「特殊な泥水の約七割を真水へと変える浄化」など、他を圧倒する奇跡を見せつけて完全に実力を証明する姿は本作最大の盛り上がりである。
- 従者たちの「過去との決別」と、カロリーナを軸に深まる熱い絆 今回はカロリーナだけでなく、過去の家庭内虐待に苦しんできたマリッサとオーウェンの二人にも大きな焦点が当てられる。それぞれがトラウマの原因であった姉や兄と向き合い、自らの手で確執を解消し、カロリーナのために尽力して真の信頼関係を勝ち取るまでのサイドストーリーは非常に人間深く、心を揺さぶられる展開となっている。
- 前聖女の不審死をめぐるミステリーの解決と、姉フローラのさらなる闇堕ち 20年前に事故死と偽装された聖女クローディアの「大司教による殺害」という教会の腐敗が、ギルバートの調査と執念によって暴かれていく。悪行の限りを尽くしたジョナサン大司教が神問裁判で完全に断罪される一方で、妹に依存していたメッキが剥がれた姉のフローラが、禁忌の「黒い玉」に手を出して破滅へ突き進んでいくという対比が、次回への大きな緊張感を生み出している。
書籍情報
無自覚聖女は今日も無意識に力を垂れ流す 3
著者:あーもんど 氏
イラスト:あんべよしろう 氏
出版社:アース・スター(アース・スター ルナ)
発売日:2022年7月1日
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
カロリーナの持つ力が神聖力だということがセレスティア王国にも知られてしまい、
彼女を取り戻そうという動きが起こる。彼女を護るため、
エドワードとギルバートは元凶であるジョナサン大司教を失墜させる策を練る。
カロリーナの地位向上のため、
同時にマルコシアス帝国でも「聖女試験」を導入することになり――⁉
感想
『無自覚聖女は今日も無意識に力を垂れ流す3』を読了した。
前巻でカロリーナの持つ規格外の神聖力が判明し、本巻ではその力をどのように守り、社会の中で扱うのかが大きな問題となる。
これまでは、虐げられてきたカロリーナが帝国で愛され、自分の価値を取り戻していく物語だった。
しかし今回は、彼女の力が個人の問題ではなく、国家や教会を動かすほどの存在になったことで、政治と宗教の駆け引きが物語の中心へ移っている。
恋愛や救済の物語から、聖女の力を巡る制度作りへ進んだ点が印象的な一冊であった。
神聖力が判明した後の現実的な問題
カロリーナの神聖力は、土地や水を浄化し、作物を育て、魔物を遠ざけるほど強大である。
その価値が広く知られれば、帝国だけでなく、他国や教会が彼女を手に入れようと動くことは避けられない。
実際に、セレスティア王国のジョナサン大司教は、偽りの神託と聖女の歴史を利用して、カロリーナを祖国へ連れ戻そうとしていた。
カロリーナを一人の人間として心配しているのではない。
神聖力を利用し、自分の地位と権力を高めるために必要としているだけである。
出来損ないとして扱われていた頃には見向きもしなかった人々が、価値を知った途端に奪い合おうとする。
この身勝手さには強い不快感を覚えた。
帝国側は、カロリーナを守るためにジョナサン大司教を失脚させるだけでなく、世界規模の聖女制度を作ろうと考える。
そこで設立されるのが「聖女信仰協議会」である。
カロリーナを帝国が勝手に聖女へ任命するのではなく、各国の候補者が参加する選定試験を開催し、正式な手続きを通して地位を与える。
かなり大掛かりな計画だが、他国からの干渉を防ぐ方法としては分かりやすい。
神聖力を隠し続けるのではなく、公表したうえで制度によって守るという判断にも現実味があった。
政治と宗教が動く展開は分かりやすい
本巻では、聖女信仰協議会の設立、教会との交渉、貴族会議、選定試験と、物語の目的が明確に示される。
何を解決するために誰が動いているのかが分かりやすく、前巻までよりも話を追いやすかった。
また、ジョナサン大司教を排除するため、ギルバートがセレスティア王国へ入り、前聖女クローディアの死を調べる展開にも読み応えがある。
事故死とされていたクローディアは、実際にはジョナサンの不正を告発しようとしたために殺されていた。
長年隠されてきた事件を暴き、証人や証拠を集めて神問裁判へ持ち込む流れは、聖女制度の裏側にある暗さを感じさせる。
ジョナサンが終身刑となり、クローディアの無念が晴らされた点には安心した。
その一方で、国王ネイサンが彼女の不審死へ気付きながら、政治的な混乱を恐れて長年調査しなかった事実は重い。
国を守るためだったという事情は理解できる。
しかし、その決断によってジョナサンの悪事が続き、新たな被害者を生んだことも事実である。
権力を持つ者が問題を先送りした結果が、現在の混乱へつながっているように感じた。
レイモンドが語る親子の絆への違和感
本巻で特に引っ掛かったのは、カロリーナと父レイモンドの会話である。
神聖力や祖国の問題について黙っていたことを謝るカロリーナに対し、レイモンドは立場が違えば話せないこともあると理解を示す。
さらに、親子の絆は揺らがないと伝える。
カロリーナにとっては救いになる言葉であり、父を大切に思っている彼女が安心するのも理解できる。
ただ、読んでいる側としては素直に受け入れにくかった。
カロリーナが実家にいた頃、レイモンドは仕事を理由に家庭を顧みず、姉フローラから虐げられている娘の状況にも気付かなかった。
カロリーナが出来損ないと呼ばれ、自分には価値がないと思い込むまで追い詰められても、父親として十分に守れていない。
それにもかかわらず、カロリーナの力が明らかになった後に、親子の絆は永遠だと語られても、少し都合がよく感じてしまう。
レイモンドが娘を愛していなかったとは思わない。
しかし、愛情を持っていることと、親として責任を果たしたことは別の問題である。
過去の無関心や見落としに対する反省が十分に描かれないまま、温かい親子関係としてまとめられた点には物足りなさが残った。
ギルバートの不遜さが示す帝国の力
ギルバートの態度も印象に残った。
彼はセレスティア王国へ密かに入り、ネイサン国王を相手に対等どころか、上から押さえつけるような話し方をする。
第一皇子ではあるものの、この時点ではまだ皇太子に正式決定したわけではない。
それでも他国の国王に対して遠慮がなく、必要なら威圧する。
礼儀の面ではかなり不遜に見えるが、同時にマルコシアス帝国の影響力がどれほど強いのかも伝わってきた。
小国の国王より、大国の第一皇子の方が政治的に強い立場にある。
その力関係が会話の端々から見える。
ギルバートは病によって長く表舞台から離れていたが、情報収集や交渉では優れた能力を発揮する。
ジョナサンの不正を追い、クローディアの死の真相へ辿り着いた点からも、次期皇帝候補としての実力は十分に感じられた。
ただし、相手を見下すような態度が続くため、頼もしさよりも傲慢さが目立つ場面もある。
この人物が皇帝になった時、本当に他国と安定した関係を築けるのか、少し不安にもなった。
新たなライバル・モニカへの違和感
本巻では、新たな敵役としてモニカ・アーレント公爵令嬢が登場する。
モニカは帝国一の聖魔法使いと評価され、自分こそ聖女にふさわしいと信じている。
さらに、ギルバートの伴侶となることを望み、カロリーナへ強い敵意を向ける。
設定だけを見れば、カロリーナにとって強力なライバルになりそうな人物である。
しかし、実際には登場してから退場するまでがかなり早い。
また、公爵令嬢でありながら、ドレスではなくブラウスとスカートを身につけ、頭に花を飾っているという外見にも違和感があった。
活動的な人物や独自の価値観を持つ令嬢として描く意図があったのかもしれない。
それでも、帝国有数の公爵家の娘という立場を考えると、平民の少女のような装いに見えてしまい、人物像と身分がうまく結びつかなかった。
選定試験の物足りなさ
聖女候補を決める選定試験は、本巻の大きな見せ場である。
第一試験では骨折した人物の治療、第二試験では泥水の浄化が行われる。
カロリーナは神聖力の存在を完全に見せないため、手加減をしながら試験へ挑む。
それでも骨折だけでなく全身の傷を一瞬で治し、泥水もモニカを上回る量まで浄化して優勝する。
本物の力を持つカロリーナが正当に評価される展開には爽快感があった。
ただ、試験自体は予想以上に淡々としていた。
治療と浄化は聖女の能力を確かめる内容として分かりやすい。
しかし、カロリーナが圧倒的に有利であり、読者にも最初から勝利が見えているため、緊張感はあまり生まれない。
モニカがジョナサンから渡された灰色の玉で力を増幅しても、カロリーナは少し出力を上げるだけで勝利してしまう。
命を懸けるほどの試練や、力だけでは解決できない判断が必要な場面があれば、もう少し盛り上がったのではないかと感じた。
モニカの暴走と早すぎる退場
試験に敗れたモニカは、不正があったと思い込み、カロリーナへ襲い掛かる。
馬乗りになって首を絞めるという行動は、単なる嫌がらせではなく明確な殺人未遂である。
エドワードが炎の翼で飛び込み、モニカを殴り飛ばしてカロリーナを救う場面には勢いがあった。
しかし、モニカはそのまま拘束され、地下牢へ送られてしまう。
帝国一の聖魔法使いであり、公爵令嬢であり、ギルバートの伴侶を狙う新たなライバルとして登場したわりに、あまりにも早い退場である。
カロリーナとの長期的な対立や、ギルバートを巡る心理戦が続くと思っていたため、拍子抜けしてしまった。
最終的にモニカは貴族位を剥奪され、終身刑となる。
自尊心の強い彼女にとっては重い罰なのだろうが、物語上では使い捨ての悪役に近く感じられた。
もう少し時間をかけて、彼女がカロリーナへ執着する理由や、公爵家の中で育った背景を描いてほしかった。
真の敵はやはりフローラ
モニカが早々に退場したことで、本作の本当の敵はやはり姉のフローラなのだと改めて感じた。
フローラは、自分が聖女候補として評価されてきた理由が、カロリーナの神聖力による増幅だった可能性へ気付いている。
それでも、自分の実力ではなかったと認めることができない。
妹を虐げ、出来損ないだと決めつけてきた自分が、実はその妹の力に支えられていた。
この事実を受け入れれば、これまで築いてきた完璧令嬢としての自尊心が崩れてしまう。
その恐怖から、フローラはますます後戻りできないところへ進んでいる。
レイモンドからセレスティア王国の代表として聖女試験へ出るよう命じられても、力が衰えたことを正直に話せない。
そして最後には、ジョナサンの部下から渡された黒い玉を使う決意を固める。
黒い玉には命を失う危険がある。
それでも偽りの評価を守るために使用しようとする姿は、不気味であると同時に痛々しくも感じた。
フローラは単純に力を求めているのではない。
自分が優秀な姉であり、誰からも愛される存在だという虚像を失うことに耐えられないのだろう。
読後の感想
『無自覚聖女は今日も無意識に力を垂れ流す3』は、カロリーナを守るために政治と宗教の仕組みそのものを作り直す一冊だった。
聖女信仰協議会の設立やジョナサン大司教の神問裁判など、物語の目的は明確で、展開も分かりやすい。
虐げられた令嬢の救済物語から、国際的な聖女制度を巡る政治劇へ変化した点には、シリーズの広がりを感じた。
一方で、モニカという新たなライバルの扱いや、選定試験の盛り上がりには物足りなさが残る。
強敵として登場したはずのモニカが、試験に敗れた直後に暴走し、そのまま退場する流れは少し単純だった。
また、レイモンドとの親子関係も、カロリーナにとっては救いであっても、過去の扱いを考えると納得しにくい部分がある。
それでも、物語の最後にフローラが黒い玉を使う決意を固めたことで、次巻への期待は大きく高まった。
手加減しながらも聖女候補に選ばれたカロリーナと、禁じられた力へ手を伸ばすフローラ。
無意識に人を救ってきた妹と、自分の評価を守るために力を求める姉。
二人の生き方は、完全に正反対の方向へ分かれている。
カロリーナが本物の聖女として実の姉とどう向き合うのか。
そしてフローラが、自分の弱さや過ちを最後まで認めないまま破滅へ進むのか。
シリーズ最大の問題である姉妹の関係が、どのような決着を迎えるのかを見届けたくなる一冊であった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
無自覚聖女 2巻レビュー
無自覚聖女 まとめ
無自覚聖女 4巻レビュー
考察・解説
聖女信仰協議会の設立
聖女信仰協議会の設立と世界規模の制度改革の全貌
本作における「聖女信仰協議会」の設立について、設立の契機となったカロリーナ奪還計画への先手、教皇聖下の抱き込みと全面協力、他国を巻き込むための「聖火点火」の3枠ルール、貴族会議での可決と選定試験への変更、およびもたらされた多大な影響の各点から解説する。
設立の契機:カロリーナ奪還計画への「先手」
設立の直接の引き金となったのは、セレスティア王国のジョナサン大司教が企てたカロリーナの奪還計画であった。
・大司教はカロリーナの秘めた神聖力の価値に気づき、偽の神託とセレスティア王国が持つ聖女の歴史を利用して、彼女を強引に連れ戻そうと画策していた。
・これを知った帝国の皇族(エリック皇帝、ヴァネッサ皇后、ギルバート、エドワード、テオドール)は緊急の作戦会議を開いた。
・他国からカロリーナを奪われるのを防ぎ、彼女の地位と安全を揺るぎないものにするための恒久的な対抗策として、世界規模の聖女制度を創設し、その管理組織として「聖女信仰協議会」を設立する案がまとまった。
教皇聖下の抱き込みと全面協力
この世界において神聖力を扱う絶対的な教会のトップである第三十九代教皇メルヴィンの賛同を得ることは、協議会設立において必須条件であった。
・カロリーナ、エドワード、テオドールの三人は直接教会本部を訪れ、教皇聖下に協力を要請した。
・教皇は、神の愛し子であるカロリーナを守るため、また教会の腐敗を正すためにこの提案を快諾した。
・他の神官たちの定例会を経て、教会本部から発足と運営への全面協力を約束する手紙が届いたことで、計画は大きく前進した。
他国を巻き込むための「聖火点火」の3枠ルール
単に帝国が主導するだけでは他国の反発や介入を招くため、テオドールらは世界規模の組織として他国にも参加するメリットを与える制度設計を行った。具体的には、聖夜祭における「聖女による聖火点火」を行う役割を以下の3ヶ国に割り当てるルールを定めた。
・現聖女の所属国(1枠)
・抽選(クジ引き)(1枠):他国の不満を抑え、運命の女神が定めた結果として納得させるための措置。
・自然災害で最も困窮した国(1枠):作物の急激な枯死や魔物被害で滅亡の危機に瀕している祖国セレスティア王国を救いたいというカロリーナの隠れた願いに基づく設定であった。エドワードとテオドールも、これが困窮した人々を救うという教会の理念に合致するとして強く賛同した。
貴族会議での可決と「選定試験」への変更
協議会の設立案は、帝国の貴族会議にかけられた。
・エドワードやテオドールの政治工作、そしてカロリーナのために自らの過去の確執を乗り越えて実家の説得に動いたオーウェンやマリッサらの陰の尽力もあり、設立案は見事に可決された。
・しかし、帝国貴族たちからの強い反発もあり、当初の「皇帝が直接聖女候補を指名する」という案は却下された。
・代わりに、公正さを担保するための「聖女候補の選定試験(選定会)」を開催するという条件付きでの可決となった。
・これにより、ギルバート第一皇子が試験の準備を担当し、カロリーナは自らの強大な力を隠すためにテオドールから手加減の特訓を受け、試験に臨むこととなった。
もたらされた多大な影響
聖女信仰協議会の設立と、その過程でギルバートらによって暴かれたジョナサン大司教の不正(前聖女クローディア殺害事件の主導・隠蔽)は、社会的に大きなうねりを生んだ。
・ジョナサン大司教が神問裁判によって終身刑に処されて失脚したこと、そして世界規模の聖女信仰協議会が発足したことを機に、セレスティア王国が長年維持してきた独自の古い聖女制度が正式に廃止されるという、歴史的な大改革がもたらされた。
まとめ
聖女信仰協議会の設立と世界規模の制度改革を巡る一連の全貌は、カロリーナ奪還計画への対抗措置から始まり、教皇メルヴィンの抱き込みと全面協力の獲得、他国を巻き込む「聖火点火」の3枠ルールの制定、貴族会議での駆け引きと選定試験への変更、そしてジョナサン大司教の失墜とセレスティア王国の旧聖女制度廃止に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
他国の身勝手な奪還工作や閉鎖的な利権構造という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、真実の正義と国際的な制度再編がもたらした秩序確立の記録である。
外圧への危機感から、教会との連携、合理的な制度設計、貴族会議の突破、不正の撲滅、そして歴史的制度改革の断行へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
ジョナサン大司教の断罪
ジョナサン大司教の断罪と聖女クローディア殺害事件の真相の全貌
セレスティア王国のジョナサン大司教の断罪について、断罪の契機となった暴かれた20年前の暗殺事件、ジョナサンの捕縛と神問裁判、言い逃れを粉砕した決定的な証拠、および下された判決ともたらされた救済の各点から解説する。
断罪の契機:暴かれた20年前の暗殺事件
ジョナサン大司教は、金儲けや保身のために教会の慈善活動を廃止し、孤児院を支配して反抗的な神官を排除するなど、徹底的な教会の私物化を行っていた。
・20年前、当時の清廉な聖女クローディアがこの不正に気づき、王家への告発を予告したため、ジョナサンは口封じとして部下に彼女をテラスから突き落とさせ殺害した。
・これを転落による事故死と偽装して闇に葬っていた。
・他国へ嫁いだカロリーナを偽の神託を用いて強引に連れ戻そうとするジョナサンの動きを察知した帝国側は、第一皇子ギルバートを極秘裏にセレスティア王国へ派遣した。
・ギルバートは綿密な調査により当時の関係者たちの証言や証拠を確保し、教皇メルヴィンへジョナサンの悪事を告発することに成功した。
ジョナサンの捕縛と「神問裁判」
選定試験において、自身が魔力増幅薬を渡したモニカ・アーレントがカロリーナに惨敗し、大不敬騒動を起こして失脚すると、身の危険を感じたジョナサンは潜伏していたアーレント公爵家の別荘から逃亡を企てた。
・愛娘モニカの助命を懇願するリカルド公爵がジョナサンの居場所を明かしたため、教皇の命を受けた聖騎士によって即座に拘束され、教会本部へと連行された。
・教会本部の大聖堂にて、絶対的なトップである教皇メルヴィン立ち会いのもと、ジョナサンの神問裁判が開廷された。
言い逃れを粉砕した「決定的な証拠」
ジョナサンは最初、クローディアの死への直接的な関与を否定し、殺人の隠蔽に関わっただけだと主張して罪を軽くしようと画策した。しかし、以下の証拠と証人が言い逃れを完璧に粉砕した。
・関係者の生々しい証言:実行犯の神官バネッサ・ディゴリーはジョナサンの指示でクローディアをテラスから突き落としたと告白し、大金の受領書を提示した。大司教の元補佐ノーマン・エノックは殺害計画の立案や根回しを認め、ジョナサン直筆の委任状と隠し帳簿を提示した。目撃者の聖騎士ニルス・アランソンはクローディアが突き落とされる瞬間を目撃したと証言した。
・決定的な物証:目撃者であるニルスを口封じする際、ジョナサンがクローディア殺害の事実を他言しないことを約束させるために書かせた直筆の誓約書が提示された。ジョナサンは酒に酔って書いた、偽物だと主張したが、厳しい筆跡鑑定によってその言い逃れは完全に退けられた。
下された判決と、もたらされた救済
教皇メルヴィンに厳しく叱責されたジョナサンはついに罪を認め、破門の上、終身刑の重罰を言い渡された。
・彼は死ぬまで、極寒での水浴びや24時間の祈禱といった過酷な懺悔と苦行を続けることとなった。
・20年越しの未練と救済:クローディアを愛しながらも教会の闇を調査できず20年間深い後悔を背負い続けていたネイサン国王は、ギルバートによって真相が解明されたことに心から感謝し、納骨堂の彼女の墓前で初恋の相手に心穏やかな別れを告げることができた。
・聖女制度の廃止:ジョナサンの断罪と聖女信仰協議会の設立を機に、セレスティア王国が長年維持してきた古い聖女制度は正式に廃止され、教会の腐敗による新たな犠牲者を生まないための妥当な決定として受け入れられた。
まとめ
ジョナサン大司教の断罪と聖女クローディア殺害事件の真相を巡る一連の全貌は、教会の私物化と20年前の聖女暗殺事件の解明から始まり、逃亡を図ったジョナサンの捕縛と神問裁判の開廷、生々しい証言と直筆誓約書による言い逃れの粉砕、そして破門および終身刑の判決と旧聖女制度の廃止に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
教会の腐敗や長年の隠蔽という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、隠された罪悪の暴露と歴史的正義の実現の記録である。
暗蔽の露見から、追及の開始、決定証拠の突き付け、判決の降下、そして過去の未練の昇華へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
聖女候補の選定試験
聖女候補の選定試験と波乱の全貌
マルコシアス帝国で開催された聖女候補の選定試験について、選定試験の開催にいたる背景、参加者と試験前夜の不穏な暗躍、試験当日の攻防とカロリーナの圧倒的実力、および試験後の大波乱と過激派の失墜の各点から解説する。
選定試験の開催にいたる背景
当初、帝国側は他国からの干渉を防ぎカロリーナの身の安全を守るための恒久策として「聖女信仰協議会」を創設し、皇帝が直接彼女を聖女に指名する予定であった。
・貴族会議での強い反発に直面したため、公正な選定試験を開催して代表者を決めるという条件付きで協議会設立案が可決されるに至った。
・急な開催にあたり、準備は皇帝代理を務める第一皇子ギルバートが一手に引き受けた。
・カロリーナは自らの強大な神聖力を周囲に悟られないよう、副団長テオドールの指導のもとで徹底的に浄化の範囲を抑える手加減の特訓を行って本番へ臨むこととなった。
参加者と試験前夜の不穏な暗躍
選定試験には、帝国一の聖魔法使いを自負するモニカ・アーレント公爵令嬢、侯爵令嬢リリアンを含む4名が出場した。
・試験会場となったノーベルホールの廊下では、ギルバートの伴侶の座を狙うモニカが、魔力を持たないカロリーナを小国出身の田舎者と見下して道を塞ぐ小競り合いが起きたが、エドワードの威圧的な一喝によって退けられた。
・試験の裏では、セレスティア王国から極秘入国していたジョナサン大司教の陰謀が渦巻いていた。
・ジョナサンはカロリーナが聖女になれば奪還が難しくなると焦り、参加者を利用して彼女を敗北させようと画策した。
・使用者の魔力を一時的に跳ね上げる禁忌の薬を用意し、副作用の軽い灰色の玉をモニカに手渡し、さらに実力の劣る別の参加者には死の危険がある強力な黒い玉を渡して罠を仕掛けていた。
試験当日の攻防とカロリーナの圧倒的実力
試験は観客席が満席となるほど大勢の貴族が見守るなかで執り行われた。
・第一試験(怪我人の治療):骨折や全身に傷を負った協力者を制限時間30分以内に治療する内容である。他の参加者が治療に時間を要し、モニカが骨折を治して合格するなか、カロリーナは神聖力を用いて骨折のみならず全身の傷まで一瞬で完完治させ、協力者から涙ながらに感謝される圧倒的な結果を残して満点合格を果たした。なお、ロジャーズ伯爵令嬢は不合格となり、リリアン侯爵令嬢は辛うじて合格した。
・第二試験(泥水の浄化):巨大な透明の水槽に入れられた特殊な泥水を30分以内にどれだけ多く浄化できるかを競う試験である。カロリーナは特訓を活かし、手加減しながら浄化を進めた。しかし、カロリーナと互角に競うことに耐えられなくなったモニカが灰色の玉を服用して暴走し、水槽の5割を浄化して勝利を確信した。これに対抗するため、カロリーナは手加減を少し緩めて水槽の約7割を浄化し、モニカを完全に凌駕してみせた。
・結果として、リリアン侯爵令嬢が3位、モニカが2位となり、両試験とも1位を獲得したカロリーナが文句なしの優勝を飾り、帝国代表の聖女候補に選定された。
試験後の大波乱と過激派の失墜
敗北を受け入れられないモニカは、カロリーナが不正を働いたと被害妄想に陥り、狂乱してリリアン侯爵令嬢を突き飛ばすと、カロリーナに馬乗りになって首を絞め上げるという大不敬騒動を引き起こした。
・エドワードによる決死の救出:異変に気づいたエドワードは特別席のガラスを破壊し、燃え盛る炎の翼を広げて飛翔し、モニカを殴り飛ばしてカロリーナを救出した。酸欠で朦朧とするカロリーナを強く抱き締め、最愛の妻を失いかけた恐怖にエドワードは激しく動揺した。
・モニカと過激派貴族の一掃:拘束されたモニカは、憧れていたギルバート皇帝代理から完全敗北を認めず無様だ、惨めな負け惜しみと冷酷に切り捨てられて失墜した。モニカは貴族位を剥奪の上、平民と同じ扱いで牢獄での終身刑に処されることとなった。
・実父リカルド公爵は辞職し、第一皇子派筆頭であったアーレント公爵家は侯爵家へ降格、領地の一部を没収された。さらに、リカルド公爵が漏らした情報を基に、騎士団が過激派の潜伏先を家宅捜索し、謀反容疑で複数の貴族を一斉に捕縛した。これにより、長年帝国の火種となっていた第一皇子派の過激派勢力は完全に壊滅させられることとなった。
まとめ
聖女候補の選定試験と波乱を巡る一連の全貌は、貴族会議の妥協案として開催された背景から始まり、ジョナサン大司教による禁忌の薬を用いた暗躍、カロリーナの圧倒的な神聖力による連勝と優勝、そして敗北したモニカの狂乱騒動に伴う過激派貴族の一斉摘発に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
謀略や身勝手な過小評価という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、真実の実力発揮と帝国内部の病巣撲滅の記録である。
妨害工作の露出から、能力の証明、狂乱の制圧、そして反乱勢力の壊滅へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
モニカ公爵令嬢の暴走
モニカ・アーレント公爵令嬢の暴走と破滅の全貌
選定試験のクライマックスで描かれたモニカ・アーレント公爵令嬢の暴走について、暴走の背景である帝国一の自負と出来損ないへの侮蔑、焦りが生んだ禁忌であるジョナサン大司教の灰色の玉、精神的な決壊と不敬なる殺人未遂、および暴走の結末である黒の英雄の鉄槌と一族の没落の各点から解説する。
暴走の背景:帝国一の自負と「出来損ない」への侮蔑
モニカ・アーレントは、第一皇子派の筆頭貴族であり帝国の武力を象徴するアーレント公爵家の長女であった。
・帝国一の聖魔法使いという並外れた才能への絶対的なプライドを持っており、第一皇子ギルバートの伴侶となることを夢見ていた。
・魔力なしと蔑まれていた他国出身のカロリーナを小国出身の田舎者と激しく見下していた。
・カロリーナが選定試験に参加すること自体を無様および不快として、試験前から激しい敵対心を燃やしていた。
焦りが生んだ禁忌:ジョナサン大司教の「灰色の玉」
完璧な勝利を確信していたモニカであるが、選定試験に向けて不穏な焦りを抱き始める。
・そこに目をつけたのが、カロリーナを祖国へ奪還するために試験の妨害を目論んでいたジョナサン大司教であった。
・ジョナサンは、使用者の魔力を劇的に高める代わりに数日間の発熱を引き起こす禁忌の薬である灰色の玉をモニカに渡し、カロリーナを完敗させるようそそのかした。
・モニカは自らの実力だけでも勝てると豪語しつつも、万が一の保険としてこの薬を受け取り、大司教を潜伏先に匿う形で裏取引に応じた。
精神的な決壊と「不敬なる殺人未遂」
試験当日、モニカのプライドは完全に打ち砕かれることとなった。
・第一試験(治療):モニカも高い技術で骨折を完治させたものの、カロリーナが神聖力を用いて骨折だけでなく全身の擦り傷まで一瞬で完治させるという規格外の奇跡を披露し、圧倒的な差をつけられた。
・第二試験(泥水の浄化):手加減をしながら力を調整するカロリーナと互角に競う状況に耐えかねたモニカは、ついに隠し持っていた灰色の玉を服用して暴走した。
・魔力を爆発的に増幅させて泥水の5割を真水に変え、勝利を確信したモニカであったが、カロリーナは手加減を少し緩めて水槽の約7割を瞬時に浄化してみせ、モニカに完全な敗北を突きつけた。
・この完全敗北を受け入れられないモニカは、カロリーナが不正を働いたという激しい被害妄想に取り憑かれた。
・狂乱した彼女は、近くにいたリリアン侯爵令嬢を乱暴に突き飛ばすと、カロリーナに馬乗りになって首を絞め上げ、不正を認めるよう迫るという公衆の面前での暴挙に出た。
暴走の結末:黒の英雄の鉄槌と一族の没落
モニカの狂気の暴走は、最悪の形で決着を迎えることとなった。
・エドワードによる決死の救出:妻の危機に激怒したエドワードは、特別席のガラスを破壊し、不死鳥の如き燃え盛る炎の翼を広げて飛翔した。彼はカロリーナの首を絞めるモニカを躊躇なく殴り飛ばし、酸欠で意識を失いかけていた最愛の妻を救出した。
・憧れの君からの冷酷な宣告:拘束されたモニカは公爵令嬢の身分を盾に激しく抵抗したが、憧れの存在であったギルバート皇帝代理から完全敗北を認めず無様だ、惨めな負け惜しみと冷酷に切り捨てられ、完全に絶望して涙を流しながら地下牢へと連行された。
・過激派勢力の完全壊滅:モニカは貴族位を剥奪の上、平民と同じ扱いで牢獄での終身刑を言い渡された。父であるリカルド公爵は娘の責任を取って辞職し、アーレント公爵家は侯爵家へと降格され、領地の一部を没収された。
・リカルド公爵が皇室に提供した潜伏先の情報を基に騎士団が一斉捜索を行い、他国のジョナサン大司教が捕縛されただけでなく、帝国に潜んでいた過激派貴族が謀反容疑で一斉に検挙された。
まとめ
モニカ・アーレント公爵令嬢の暴走と破滅を巡る一連の全貌は、名門の自負とカロリーナへの過小評価から始まり、ジョナサン大司教との裏取引による禁忌薬の受領、選定試験での実力差の呈示と精神的狂乱による首絞め騒動、そしてエドワードの介入とギルバートによる冷酷な処断、さらには一族の没落と過激派の一網打尽に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
特権意識や嫉妬心という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、虚飾の傲慢に対する正義の制裁と帝国過激派粛清の記録である。
歪んだ執着から、不正の行使、暴走の発露、皇子の鉄槌、そして一族と派閥の壊滅へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
聖女クローディアの真相
聖女クローディアの死の真相とジョナサン大司教断罪の全貌
聖女クローディアの痛ましい死と裏に隠された衝撃の真相について、不審な事故死の全貌、暗殺の動機となった腐敗の口封じ、第一皇子ギルバートによる調査と決定的な証拠、および裁判での判決と救済の各点から解説する。
不審な「事故死」の全貌
約20年前、セレスティア王国の民から深く愛されていた聖女クローディアが、高所のテラスから転落して死亡する事件が発生した。
・事故死として処理されたものの、聖女の宮殿のテラスには高い鉄柵が設けられており、事故による転落は考えにくい状況であった。
・昼夜を問わず聖騎士によって厳重に警護されていたにもかかわらず、落下音を聞いた警備兵はいなかった。
・遺体は翌朝まで発見されず放置されていた。
・当時皇太子であったネイサン国王はクローディアに求婚していたが、彼女は教会に入るためにそれを辞退していた。
暗殺の動機となった腐敗の口封じ
ギルバート第一皇子の調査により、クローディアの死はジョナサン・ミルズ大司教の指示による冷酷な暗殺であったことが判明した。
・ジョナサンは自身の財産や権力を増やすため、セレスティアの教会を私物化していた。
・慈善事業を廃止し、孤児院を支配して洗脳した子供を聖騎士として育て、反発する神官を排除・奴隷として売買していた。
・クローディアは個人の予算で慈善活動を続け、ジョナサンの不正を突き止めた。
・王家へ不正を告発すると告げたため、ジョナサンは彼女をバルコニーから突き落とさせて口封じを行った。
第一皇子ギルバートによる調査と決定的な証拠
カロリーナを王国の奪還計画から守るため、ギルバートは極秘裏にセレスティアへ潜入し調査を開始した。
・即位直後で立場が弱く、教会との争いを恐れて調査を断念したネイサン国王は、20年間の悔恨を告白し、真相の解明をギルバートに託した。
・ギルバートは関係者の証言と決定的な証拠を確保した。
・実行犯である神官バネッサ・ディゴリーから、ジョナサンの指示で突き落としたという告白と報酬の受領書を入手した。
・計画者である元補佐ノーマン・エノックから、暗殺計画の立案の証言と隠し帳簿、ジョナサン直筆の委任状を入手した。
・目撃者である聖騎士ニルス・アランソンを口封じするために書かせた、殺害の口止めを記したジョナサン直筆の誓約書を押収し、筆跡鑑定で本人と特定した。
裁判での判決と救済
ギルバートとテオドールから圧倒的な証拠を提示された教皇メルヴィンは激怒し、ジョナサンの逮捕を命じた。
・教会本部の大聖堂で開かれた神問裁判において、ジョナサンは誓約書を偽物だと主張したものの、筆跡鑑定によって言い逃れは完全に打ち砕かれた。
・ジョナサンは破門のうえ終身刑を言い渡され、過酷な苦行と労働の中で残りの人生を送ることとなった。
・裁判後、ネイサン国王は納骨堂にあるクローディアの墓を訪れ、長年目を背けていたことを謝罪し、初恋の相手に穏やかな別れを告げた。
まとめ
聖女クローディアの死の真相とジョナサンの断罪を巡る一連の全貌は、偽装された事故死の不審点から始まり、教会の私物化を告発しようとした聖女の暗殺動機の露見、ギルバートによる証拠収集と実態解明、そして神問裁判での破門・終身刑の言い渡すと王の救済に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
教会の権力構造や隠蔽工作という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、歴史的事件の真相究明と正義の実現の記録である。
事故の再検証から、証拠の特定、証言の確保、裁きの執行、そして長年の無念の昇華へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
無自覚聖女 2巻レビュー
無自覚聖女 まとめ
無自覚聖女 4巻レビュー
登場キャラクター
セレスティア王国
レイモンド・サンチェス
フローラとカロリーナの父親にあたる。
彼は不器用ながらも娘たちを大切に思っている。
亡き妻のカレンを現在でも深く愛し続ける立場である。
・所属組織、地位や役職
セレスティア王国・サンチェス公爵家当主。宰相。
・物語内での具体的な行動や成果
ネイサン国王の公爵家への非公式な訪問を受け入れた。
カロリーナに帝国第二皇子エドワードとの結婚を打診する。
娘の意思を尊重して結婚を白紙に戻す提案も行った。
出発の日に生まれてきてくれたことへの感謝を直接伝えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
建国記念パーティーに国王の付き添いとして参加した。
仕事が非常に多忙で普段は屋敷を空けることが多い。
カロリーナが亡き妻の生き写しであると語っている。
カレン・サンチェス
レイモンドの妻であり、フローラとカロリーナの母親である。
彼女はすでにこの世を去っている。
真面目で努力家な性質として知られていた。
・所属組織、地位や役職
セレスティア王国・サンチェス公爵夫人(故人)。
・物語内での具体的な行動や成果
人徳があり多くの人々を惹きつけていた。
事業の成功や領地の発展に大きく貢献する。
カロリーナを出産した直後に病気にかかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
出産後の病がもとで亡くなっている。
死の直前まで誰も恨むことはなかった。
フローラ・サンチェス
サンチェス公爵家の長女である。
彼女は美貌と才能に恵まれ、次期聖女候補と目されていた。
妹を激しく敵視し、周囲に良い姉を演じる裏で蔑み続けている。
・所属組織、地位や役職
セレスティア王国・サンチェス公爵家の長女。次期聖女候補。
・物語内での具体的な行動や成果
夜会で骨折した女性を治療して周囲から称賛を浴びた。
妹を母の死の原因として責め立てる。
聖女試験の二次試験において泥水の浄化に大敗した。
実力を得るためジョナサンの部下から渡された黒い玉を使う決意を固める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
妹が王国を去った時期から自らの力が急激に衰退した。
自らの不調を隠して聖女信仰協議会の聖女試験へ出場することになる。
完璧な令嬢としての評判を守るためジョナサン大司教と取引を行った。
カロリーナ・ルビー・マルティネス
本作の主人公である。
彼女は自分に才能がない出来損ないだと思い込んで育った。
周囲の人々の温かさに触れることで自信を取り戻していく。
・所属組織、地位や役職
セレスティア王国・サンチェス公爵家次女。マルコシアス帝国・第二皇子妃。
・物語内での具体的な行動や成果
国のためにエドワードとの政略結婚を受け入れた。
襲撃の際に負傷したコレットを祈りによって完治させる。
避暑地での魔力検査で強大な神聖力を明らかにした。
ギルバートの病であるマナ過敏性症候群の治療に挑み症状を大幅に改善させる。
帝国での選定試験において一位を獲得して聖女候補に選ばれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実家では虐げられていたが教皇をも凌駕する神聖力の持ち主である。
彼女が去ったことでセレスティア王国は魔物の増加や疫病の発生に見舞われた。
エドワードと誤解を乗り越えて本当の両思いとなる。
ネイサン・フィリップス
セレスティア王国の国王である。
彼は気分屋な性格として知られている。
親友であるレイモンドを深く信頼している。
・所属組織、地位や役職
セレスティア王国・国王。
・物語内での具体的な行動や成果
非公式にサンチェス公爵家を訪問した。
カロリーナに帝国第二皇子エドワードとの結婚を依頼する。
ギルバートに二十年前の前聖女不審死事件の真相解明を懇願した。
ジョナサンの断罪後に前聖女の墓前で別れを告げる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
かつて愛した前聖女を守れなかったことに深い後悔を抱え続けていた。
自国で発生した作物の不作や魔物被害に深く頭を悩ませる。
ジョナサン大司教からカロリーナに関する提案を持ちかけられる。
ジョナサン・ミルズ
セレスティア王国の大司教である。
彼は金儲けや保身を第一に考える人物とされる。
聖女の力を利用して自らの地位と権力を高めようとする。
・所属組織、地位や役職
セレスティア王国・大司教。
・物語内での具体的な行動や成果
慈善活動の廃止や孤児院の支配を行った。
聖女試験に失敗したフローラに取引を持ちかける。
国王を訪問してカロリーナを王国へ連れ戻す計画を提案した。
選定試験の参加者に魔力増幅薬である灰色の玉を渡して暗躍する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
二十年前にクローディアを殺害した真相をギルバートらに暴かれた。
教皇メルヴィンにより破門宣告のうえ終身刑を言い渡される。
死ぬまで過酷な懺悔と苦行を続けることになった。
クローディア
二十年前に事故死したとされていたセレスティア王国の聖女である。
彼女は清廉で正義感の強い人物であった。
当時の王太子であったネイサンから深く愛されていた。
・所属組織、地位や役職
セレスティア王国・聖女(故人)。
・物語内での具体的な行動や成果
個人予算を用いて貧しい人々への慈善活動を続けた。
ジョナサンの教会の私物化や不正に気づき王家へ告発しようとする。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ジョナサンの指示によってテラスから突き落とされ殺害された。
死後は転落による事故死として処理されていた。
二十年後にギルバートらの調査によって名誉が回復される。
バネッサ・ディゴリー
セレスティア王国の教会の神官である。
彼女はジョナサンの手下として働いていた。
殺人の隠蔽に関わった罪の意識から生気のない顔をしている。
・所属組織、地位や役職
セレスティア王国の教会・神官。
・物語内での具体的な行動や成果
ジョナサンの指示を受けてクローディアをテラスから突き落とした。
神問裁判において罪を認め証言を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
殺害の実行犯として大金を受け取った際の受領書を証拠として提示した。
ノーマン・エノック
ジョナサン大司教の補佐を務めていた人物である。
彼は罪の意識から暗い面持ちを浮かべている。
大司教の命令に従って様々な計画に加担していた。
・所属組織、地位や役職
セレスティア王国の教会・大司教元補佐。
・物語内での具体的な行動や成果
クローディア殺害計画の立案や根回しを担当した。
ギルバートらにすべての罪を告白する。
神問裁判においてジョナサンの悪事を証明する証言を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ジョナサン直筆 of 委任状や隠し帳簿を証拠として提出している。
ニルス・アランソン
セレスティア王国の聖騎士を務めていた人物である。
彼はクローディアが突き落とされる瞬間を目撃した。
自らの命を守るために脅迫に屈していた。
・所属組織、地位や役職
セレスティア王国の教会・聖騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
クローディア殺害の現場を目撃する。
神問裁判において当時の状況を詳しく証言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ジョナサンから他言無用の誓約書を書かされていた。
この直筆の誓約書がジョナサンを断罪する決定的な証拠となった。
マルコシアス帝国
エリック・ルビー・マルティネス
マルコシアス帝国の現皇帝である。
彼は落雷を自在に操る最強の魔法剣士とされる。
新しく家族となったカロリーナを温かく歓迎した。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・皇帝。
・物語内での具体的な行動や成果
建国記念パーティーでエドワードとカロリーナの婚約を正式に宣言した。
カロリーナの功績を称えて新しい称号の授与を検討する。
セレスティア王国の復興支援を受け入れる決断を下した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
雷帝という異名で他国からも恐れられている。
年内に次期皇帝を決定する方針を宣言した。
ヴァネッサ・ルビー・マルティネス
マルコシアス帝国の現皇后である。
彼女は氷の才女と呼ばれる氷結魔法の使い手とされる。
義娘となったカロリーナを家族として深く慈しんでいる。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・皇后。
・物語内での具体的な行動や成果
カロリーナに対して帝国式の礼儀作法を熱心に指導した。
建国記念パーティーに向けて二百着のドレスを用意する。
お茶会を主催してカロリーナを義娘としてお披露目した。
他国への牽制のために聖女候補の選定試験を提案する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
冷たい無表情に見えるが実は非常に愛情深い人物である。
カロリーナに他の誰とも比べずに甘えるよう促した。
ギルバート・ルビー・マルティネス
マルコシアス帝国の第一皇子である。
彼は穏やかで人望の厚い人物とされる。
病を治療してくれたカロリーナを師匠と呼び慕っている。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・第一皇子。
・物語内での具体的な行動や成果
カロリーナの治療により症状が劇的に改善した。
極秘裏にセレスティア王国へ潜入しクローディアの死の真相を解明する。
ジョナサンの捜査や選定試験の準備を精力的にこなした。
病が完治に近づいている事実を隠して嘘の報告を続ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
マナ過敏性症候群のためダイヤモンド宮殿で隔離生活を送っていた。
治療を通じてカロリーナに強い執着(所有欲)を抱くようになる。
不倫疑惑の噂を自ら流してエドワードの嫉妬を煽った。
エドワード・ルビー・マルティネス
マルコシアス帝国の第二皇子である。
彼は戦好きの残虐な人物と恐れられていた。
実際は誠実で不器用な優しさを持つ紳士である。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・第二皇子。皇家直属騎士団「烈火の不死鳥」団長。
・物語内での具体的な行動や成果
炎上する馬車からカロリーナを抱き上げて救出した。
カロリーナのために新郎新婦の二人での共同入場を提案する。
選定試験の後に暴走したモニカを殴り飛ばして妻を救い出した。
避暑地においてカロリーナへの深い愛情を率率に告白する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
黒の英雄という悪評を過激派によって意図的に流されていた。
数多の戦場で武勲を重ねて高い支持を得ている。
カロリーナと誤解を乗り越えて本当の両思いとなった。
テオドール・ガルシア
エドワードの幼馴染にして補佐である。
彼は非常に頭の切れる優秀な天才魔導師とされる。
笑顔が胡散臭く腹黒い一面を持ち合わせている。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・子爵家次男。皇家直属騎士団「烈火の不死鳥」副団長。
・物語内での具体的な行動や成果
カロリーナに帝国史や魔法学の講義を行った。
カロリーナの神聖力をいち早く推測して操作訓練を指導する。
ギルバートの病状に関する嘘を暴きエドワード夫婦を両思いへと導いた。
ジョナサンの不正を証明して神問裁判に引きずり出す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
全属性持ちの天才として他国にも名が知れ渡っている。
資源を安定確保するためマリッサと政略的な婚約を結んだ。
ドレイク・クライン
クライン男爵家の長男である。
彼は実の弟であるオーウェンを陰ながら気遣っていた。
不器用で言葉足らずな性質である。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・クライン男爵家当主。外交官。
・物語内での具体的な行動や成果
義母の虐待からオーウェンを守るため陰で本や勉強道具を与えていた。
毎年レストランでオーウェンが来るのを待ち続ける。
オーウェンと再会して長年の誤解を解き和解を果たした。
弟の頼みを聞き入れて貴族会議の議案に賛成する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
父親から男爵家の当主の座を引き継いだ。
オーウェン・クライン
クライン男爵家の次男である。
彼は自由奔放で礼儀を拒む態度を取り続けていた。
カロリーナから過去の呪縛を指摘されて忠誠を誓う。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・クライン男爵家次男(私生児)。カロリーナの専属護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
狙撃から結界魔法を展開してカロリーナを無傷で守り抜いた。
マリエルの暴走に対しても毅然とした態度で対応する。
兄ドレイクと和解して貴族会議での賛成を取り付けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実父に殺されかけた際に結界魔法に目覚めて出奔した。
以前の不遜な態度を改めて完璧なマナーと敬語を身につけ復帰する。
マリッサ・キッシンジャー
キッシンジャー伯嬢である。
彼女は冷静沈着で実直な性格をしている。
帝国一の美女でありながら過去に諦めを抱いていた。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・キッシンジャー伯爵家三女。カロリーナの専属侍女(エメラルド宮殿侍女長)。テオドールの婚約者。
・物語内での具体的な行動や成果
カロリーナのメイクや着替えを完璧にサポートした。
別荘でマリエルに対して初めて本音をぶつけて拒絶する。
姉マリアを説得してブレイク公爵の賛成を取り付けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
かつて姉から激しい虐待を受けて虚しさを抱えていた。
エメラルド宮殿の侍女長としてカロリーナから深く信頼される。
マリア・ブレイク
キッシンジャー伯爵家の長女である。
彼女はかつて妹のマリッサを虐げていた。
夫への愛によって過去とは異なる穏やかな性質へ変化する。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・ブレイク公爵夫人。キッシンジャー伯爵家長女。
・物語内での具体的な行動や成果
マリッサからの要求を受け入れて夫の説得を約束した。
過去の過ちを涙ながらにマリッサへ謝罪する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ブレイク公爵家へ嫁いでいる。
夫であるフィンレーを心から愛している。
フィンレー・ブレイク
マルコシアス帝国の公爵である。
彼は清廉潔白で弱い者いじめを嫌う人物とされる。
妻となったマリアを深く愛している。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・ブレイク公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
マリアからの説得を受けて貴族会議の議案に賛成した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
帝国において非常に影響力のある大貴族である。
モニカ・アーレント
アーレント公爵家の長女である。
彼女は帝国一の聖魔法使いという絶対的なプライドを持つ。
第一皇子ギルバートの伴侶の座を執拗に狙っていた。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・アーレント公爵家長女。選定試験参加者。
・物語内での具体的な行動や成果
お茶会や試験会場の廊下でカロリーナを侮辱した。
泥水の浄化試験において魔力増幅薬である灰色の玉を服用する。
選定試験で敗北した後に狂乱してカロリーナの首を絞めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大不敬騒動を起こしたため貴族位を剥奪のうえ終身刑に処された。
憧れのギルバートから無様であると冷酷に切り捨てられる。
平民と同じ扱いで牢獄にて一生を終えることになる。
リカルド・アーレント
アーレント公ザー・アーレント公爵家の当主である。
彼は帝国の武力を象徴する『紅玉の竜王』団の団長を務める。
愛娘であるモニカにだけは非常に甘い。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・アーレント公爵。現当主。『紅玉の竜王』団団長。
・物語内での具体的な行動や成果
モニカの傷を癒す聖魔法を絶賛した。
娘の逮捕後にその助命を乞うため各方面に働きかける。
娘の助命と引き換えにジョナサンの潜伏先を皇室へ明かした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大不敬騒動の責任を取って自ら公職を辞職する。
アーレント公爵家は侯爵家へ降格され領地の一部を没収された。
過激派の動きを把握しながら黙認していた疑いを持たれている。
リリアン・ロバーツ
ロバーツ侯爵家の令嬢である。
彼女は選定試験の参加者の一人にあたる。
選定試験後の大不敬騒動に巻き込まれた。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・ロバーツ侯爵家令嬢。選定試験参加者。
・物語内での具体的な行動や成果
第一試験の治療において傷にわずかな突起を残すも合格した。
第二試験の泥水浄化において水槽の四分の一を浄化して三位となる。
暴走したモニカから乱暴に突き飛ばされて尻もちをついた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
選定試験で見事に三位の成績を収めている。
ヴァイオレット・ロジャーズ
ロジャーズ伯爵家の令嬢である。
彼女は選定試験の参加者の一人にあたる。
骨折治療の失敗により落胆する。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・ロジャーズ伯爵家令嬢。選定試験参加者。
・物語内での具体的な行動や成果
第一試験の治療において骨の接合に失敗した。
不合格を言い渡され悔しそうに拳を握りしめて退場する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
試験最初の退場者となり涙をのんだ。
コレット
平民出身の騎士である。
彼は正義感が強く誠実な人物とされる。
護衛対象のカロリーナを命がけで守り続けた。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・皇家直属騎士団「烈火の不死鳥」騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
山賊の襲撃から自らの盾となってカロリーナへの矢を切り落とした。
重傷を負うがカロリーナの祈りの力によって一瞬で完治する。
ダイヤモンド宮殿での治療に魔力なしの護衛兼案内役として同行した。
オーウェンに未完成のハンカチを渡すようカロリーナに提案する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
平民であるため苗字を所有していない。
オーウェンと違って非常に常識的な性質をしている。
メルヴィン・クラーク・ホワイト
マルコシアス帝国の教皇である。
彼は神聖力を扱う教会の絶対的なトップとされる。
神のお告げに従ってカロリーナと対面した。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・第三十九代目教皇。
・物語内での具体的な行動や成果
カロリーナの魔力検査結果を正しいと保証した。
カロリーナに宿る強大な神聖力の正体や発動条件を解き明かす。
神問裁判を執り行いジョナサンに終身刑を言い渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
神の愛し子であるカロリーナの前に跪いて敬意を表している。
自らの神聖力はカロリーナに比べれば雀の涙ほどだと語った。
デーヴィット
教会の神官である。
彼は皇室の客人を迎える案内役にあたる。
カロリーナに対して極度に恐縮していた。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国の教会・案内役の神官。
・物語内での具体的な行動や成果
皇城に馬車で到着した一行を出迎えた。
カロリーナたちを教皇の執務室まで案内する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カロリーナを気遣うあまり階段を上るのすら過剰に心配した。
ハーバート伯爵夫人
中立派の貴族である。
彼女はお茶会の主催者にあたる。
派閥対立に関わらず貴婦人たちを招いていた。
・所属組織、地位や役職
マルコシアス帝国・ハーバート伯爵夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
お茶会を主催してカロリーナやモニカを招待した。
途中で退出するカロリーナを見送る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
お茶会の会場として自らの客室を提供していた。
無自覚聖女 2巻レビュー
無自覚聖女 まとめ
無自覚聖女 4巻レビュー
展開まとめ
第一章
お茶会での牽制
カロリーナは貴族との関係を築くため、ハーバート伯爵夫人のお茶会に参加した。第一皇子派のモニカ・アーレント公爵令嬢から出自やエドワードとの夫婦仲を皮肉られたが、エドと愛称で呼び合うほど親睦を深めていると答え、嫌みに対抗した。
その最中、エリック皇帝から緊急の呼び出しが届いたため、カロリーナはお茶会を辞して皇城へ戻った。
レイモンドの極秘訪問
応接室には皇帝夫妻、エドワード、ギルバート、テオドールが集まっており、さらにセレスティア王国の宰相レイモンドが現れた。レイモンドは、ジョナサン大司教からカロリーナの神聖力と、それが失われたことで祖国に問題が起きた事実を知らされたと報告した。
ジョナサン大司教は教会と手を組み、偽の神託と聖女の歴史を利用してカロリーナを取り戻そうとしていた。セレスティア王国側は教会の暴走を防ぐため返答を保留し、情報提供の対価として帝国に復興支援を求めた。エリックはその要求を受け入れた。
聖女信仰協議会
帝国側はカロリーナを守るための作戦会議を開いた。まずジョナサン大司教の不正を暴き、神間裁判で失脚させる方針が決まり、その指揮は次期皇帝としての実力を試すためギルバートに任された。
さらに、他国からカロリーナを守る恒久策として、世界規模の聖女制度を設ける案がまとまった。各国の代表による聖女試験を開催し、カロリーナの神聖力を公表したうえで聖女の地位を確立する計画であり、組織名は聖女信仰協議会に決まった。
父への謝罪
会議後、カロリーナはエドワードに付き添われ、レイモンドを訪ねた。祖国の問題と神聖力について黙っていたことを謝罪すると、レイモンドは立場が違えば話せないこともあると理解を示し、親子の絆は変わらないと伝えた。
父の言葉によって罪悪感から解放されたカロリーナは、穏やかな時間を共に過ごした。
教皇聖下との交渉
翌日、カロリーナはエドワードとテオドールを伴い、教会本部を訪れた。三人は教皇聖下に、ジョナサン大司教の断罪と聖女信仰協議会の設立への協力を求めた。
教皇聖下は、不正の証拠が揃えばジョナサン大司教を処罰すると約束した。協議会については他の神官達の賛同が必要だったが、神の愛し子であるカロリーナを守るため、可能な限り協力すると誓った。
ジョナサン大司教の出国
数日後、テオドールはカロリーナに、ジョナサン大司教がセレスティア王国を出国したと報告した。大司教がカロリーナを説得し、奪還計画への協力を取り付けようとしていると考えたテオドールは、謁見を受け入れて時間を稼ぐよう命じた。
カロリーナは不安を抱きながらも役目を引き受けたが、大司教が魔導師を同行させているため、早ければ翌日にも到着すると聞かされ、急いで準備を始めた。
ジョナサン大司教の勧誘
ジョナサン大司教は神聖力を持つカロリーナを利用し、地位と権力を手に入れようとしていた。魔導師の力で帝都へ到着すると、すぐに謁見を申し込み、エメラルド宮殿の庭でカロリーナと対面した。
大司教は祖国の危機を救うにはカロリーナの特別な力が必要だと訴え、教会が全面的に支援すると持ち掛けた。カロリーナはテオドールの指示通り、混乱しているため考える時間が欲しいと答えた。大司教は拒絶されなかったことに満足し、カロリーナを操り人形にする野望を抱いたまま返答を待つことにした。
第二章
謁見後の安堵
ジョナサン大司教を怪しませず返事を先延ばしにしたカロリーナは、陰で見守っていたエドワードとテオドールから労われた。緊張で冷えた手を温めようとしたエドワードがガゼボを暑くし過ぎ、テオドールに咎められたため、三人は宮殿内へ戻った。
その後のティータイムで、教皇聖下から聖女信仰協議会の発足と運営に全面協力するとの手紙が届いた。カロリーナ達は第一関門を越えたことに安堵したが、一週間後の貴族会議で設立案を通す必要があるため、気を引き締め直した。
聖女クローディアの死
ギルバートはジョナサン大司教の不正を調べるため、密かにセレスティア王国へ入った。集められた資料から、二十年近く前に聖女クローディアがテラスから転落死した事件を見つけたが、厳重な警備や高い手摺りがある中で事故が起き、翌朝まで遺体が発見されなかったことに不審を抱いた。
ギルバートはネイサン国王を訪ね、クローディアとジョナサン大司教が不仲だったことを聞き出した。清廉なクローディアが大司教の不正を告発しようとしたため、殺害された可能性を考えた。
ネイサンは、即位直後で地盤が不安定だったため、教会との対立や内乱を恐れ、クローディアの死を調べなかったと告白した。さらに一人の男として彼女の無念を晴らしてほしいと頭を下げた。ギルバートは依頼を受けるとは言わなかったものの、真相を必ず解明すると約束した。
聖火点火の三枠
貴族会議を目前に控え、カロリーナ、エドワード、テオドールは聖女信仰協議会の最終調整を行った。聖女が聖火を点火する国は三ヶ国とし、一枠を現聖女の所属国、一枠を抽選、残る一枠を自然災害で最も困窮した国に与える方針が決まった。
カロリーナは祖国を救いたい意図を含む提案に不安を抱いたが、エドワードとテオドールは困窮した人々を救うという教会の理念に合うとして賛同した。二人の気遣いに、カロリーナは涙を堪えながら感謝した。
マリアへの要求
休暇を取ったマリッサは、かつて自分を虐げた姉マリアと再会した。マリアは夫フィンレーへの愛によって考え方を変えており、過去とは異なる穏やかな態度を見せた。
マリッサは、次の貴族会議でブレイク公爵が議案に賛成するよう説得してほしいと要求した。拒めば過去の虐待を公爵へ明かすと告げる一方、願いが叶えば一生口外せず、マリアを許すと約束した。
要求を受け入れたマリアは、これまでの行いを涙ながらに謝罪した。マリッサは謝罪を受け入れたものの、今はまだ許せないと伝え、願いを叶えることで許せるようにしてほしいと告げた。
兄弟の和解
オーウェンも休暇を利用し、異母兄ドレイクと再会した。ドレイクが毎年二人分の料理を用意し、来ないオーウェンを待ち続けていたと知った彼は、兄の意図に戸惑った。
ドレイクは、母の虐待を止められなかったことを謝罪した。力のない自分が庇えば虐待が悪化すると恐れ、大人になるまで待つしかなかったと説明し、陰ながら本や勉強の時間を与えていたことを明かした。
オーウェンは自分の努力が兄の心を動かしていたと知り、感謝を伝えた。二人は誤解を解いて兄弟の絆を取り戻し、ドレイクは貴族会議の議案に賛成してほしいというオーウェンの頼みも即座に受け入れた。
城への帰路
食事を終えて兄と別れたオーウェンは、同じく説得を終えたマリッサと偶然出会った。マリッサは父の協力には自信を持っていたが、マリアがブレイク公爵を説得できるかは分からないと語った。
オーウェンは、互いにカロリーナのため出来ることを尽くしたのだから、今はそれで十分だと励ました。二人は同じ主人に仕える仲間として互いを認め、共に皇城へ戻った。
第三章
貴族会議への不安
貴族会議当日、カロリーナは女人禁制の決まりによって参加できず、エメラルド宮殿で結果を待っていた。落ち着かない様子の彼女に、オーウェンとマリッサは休暇中に家族へ会い、会議の議案へ賛成するよう頼んだことを打ち明けた。
家族との再会
オーウェンは兄ドレイクと和解し、手紙を送り合う関係になったと喜んだ。今回の出来事がなければ兄を誤解したままだったとして、カロリーナへ感謝を伝えた。
マリッサは姉マリアを許せてはいなかったが、過去を悔いて変わろうとする姿を見られたことに後悔はなかった。二人が自分のために過去と向き合ったと知ったカロリーナは感謝し、オーウェンには刺繍入りのハンカチ、マリッサには手編みのマフラーを贈ると約束した。
協議会設立の可決
会議を終えたエドワードとテオドールは、聖女信仰協議会の設立案が可決されたと報告した。カロリーナは安堵したが、貴族達の強い反発によって聖女候補を皇帝が直接選ぶ案は変更され、公正な選定試験を行うことになっていた。
試験は五日後に開催され、準備はギルバートが担当することになった。カロリーナは聖女候補を目指して気合いを入れたが、テオドールから神聖力を悟られないよう手加減を求められ、不安を抱いた。
モニカの自信
選定試験への参加を決めたモニカは、帝国一の聖魔法使いとして自分の勝利を疑っていなかった。聖女となってギルバートの伴侶に近づくことを望み、参加するカロリーナを見下していた。
父リカルドの傷を聖魔法で治したモニカは、自身の力に衰えがないことを確かめた。訓練より体調を整えることを優先し、試験でカロリーナを圧倒する姿を思い描いた。
ジョナサンの焦り
聖女信仰協議会の設立とカロリーナの選定試験参加を知ったジョナサンは、皇室が自分の計画に気づいたと考えた。カロリーナが聖女となれば奪還が難しくなるため、試験参加者を利用して敗北させようと企てた。
ジョナサンは使用者の魔力を増幅する灰色と黒の玉を用意しており、副作用の軽い灰色の玉をモニカへ渡すことにした。
灰色の玉
ジョナサンからカロリーナの神聖力を聞かされたモニカは機嫌を損ねたものの、灰色の玉を受け取った。ジョナサンは、それを服用すれば魔力が増す代わりに数日間発熱すると説明し、選定試験でカロリーナに勝つよう求めた。
モニカは、ジョナサンが皇室から制裁を受ける可能性を知らせ、玉の詳細を教えるなら潜伏先を用意すると持ち掛けた。追い詰められていたジョナサンは取り引きを受け入れた。
黒い玉の切り札
モニカとの交渉を終えたジョナサンは、彼女が敗れた場合に備えて別の参加者にも玉を渡すことにした。実力の劣る白銀髪の女性には、死の危険がある黒い玉を使わせると決めた。
ジョナサンは部下に黒い玉を託し、カロリーナを敗北させるために出来る限りの手を打ったと自分に言い聞かせた。
第四章
神聖力の手加減訓練
カロリーナは選定試験で神聖力を悟られないよう、テオドールの指導で浄化の範囲を抑える訓練を続けていた。しかし、指定した一枚だけでなく周囲のタオルまで浄化してしまい、力の調整に苦戦していた。
告発準備の完了
コレットは、ギルバートがジョナサン大司教を告発するための証拠品と証人を確保したと報告した。テオドールは大人数を転移させる負担を覚悟し、ギルバート達を迎えに向かった。
聖女クローディアの真相
ギルバートは教会内部を調査し、神官達の証言から聖女クローディアが殺害された事実を突き止めていた。ジョナサンは慈善活動を廃止し、孤児院を支配して反抗する神官達を排除していた。クローディアは王家への告発を予告したため、口封じとして殺害され、事故死に偽装されていた。
教皇への告発
ギルバートとテオドールは証人達を教会本部へ移送し、教皇に事件の全容を告発した。教会の腐敗とクローディアの最期を知った教皇は怒りと悲しみを露わにし、調査員の派遣とジョナサンの捕縛を命じた。
逃亡したジョナサン
後日、ジョナサンは教会の追跡を逃れ、行方をくらませていることが判明した。エドワードは騎士団の派遣を提案したが、ギルバートは教会の面目を考慮し、しばらく捜査を任せるべきだと止めた。
ギルバートの発作
話の途中でギルバートはマナ過敏性症候群の症状を起こし、呼吸困難や発熱に襲われた。カロリーナが神聖力を注入すると体調は回復し、ギルバートは翌日の選定試験で必ず優勝するよう励ました。エドワードも対抗するように応援を伝え、カロリーナは二人の期待に応える決意を固めた。
モニカとの対面
試験当日、カロリーナ達は会場の廊下でモニカと遭遇した。モニカは道を塞ぎ、魔力を持たないカロリーナを遠回しに侮辱したが、エドワードに厳しく退くよう命じられた。カロリーナは忘れ物を口実にその場を離れ、対立の激化を避けた。
聖女候補の選定試験
ノーベルホールでは、ギルバートが皇帝代理として開会を宣言した。参加者は帝国一の聖魔法使いと評されるモニカを含む四名であり、皇子妃であるカロリーナの出場は観客達を驚かせた。
怪我人の治療
第一試験では腕を骨折した協力者を治療することになった。カロリーナは神聖力で骨折だけでなく全身の傷まで一瞬で完治させ、協力者から涙ながらに感謝された。他の参加者が治療に時間を要する中、カロリーナは圧倒的な結果を出し、文句なしの合格となった。
泥水の浄化
第二試験では特殊な泥水の浄化量を競った。カロリーナは訓練の成果によって浄化範囲を抑え、モニカの進み具合に合わせて力を調整した。
灰色の玉
カロリーナと互角に競うことへ耐えられなくなったモニカは、ジョナサンから渡された灰色の玉を服用した。魔力を増幅させたモニカは泥水の半分を浄化し、勝利を確信した。
カロリーナの優勝
カロリーナはモニカを上回るため、水槽の約七割を浄化した。第一試験でも満点を獲得していたため、帝国代表となる聖女候補に選ばれた。観客達はカロリーナへ祝福と拍手を送った。
モニカの暴走
敗北を受け入れられないモニカは、カロリーナが不正をしたと思い込み、リリアンを突き飛ばしてカロリーナに襲い掛かった。馬乗りになって首を絞め、不正を認めるよう迫った。
エドワードの救出
異変に気づいたエドワードは特別席を破壊し、炎の翼でカロリーナのもとへ飛んだ。モニカを殴り飛ばして妻を救出すると、酸欠で朦朧とするカロリーナを抱き締め、失うところだった恐怖を口にした。カロリーナはエドワードを宥めた後、安心して眠りについた。
モニカの失墜
騎士達に拘束されたモニカは、公爵令嬢であることを盾に抵抗した。しかし、ギルバートは完全敗北を認めず皇室の運営を疑う姿を無様だと切り捨てた。憧れていたギルバートから軽蔑され、聖女になる夢も彼の伴侶となる未来も失ったモニカは、涙を流しながら連行された。
第五章
カロリーナの目覚め
カロリーナはエメラルド宮殿の寝室で目を覚まし、付き添っていたエドワードに迎えられた。首の傷を軽く考えたが、死ぬ危険があったと強く叱られたため、エドワードが必ず助けてくれると信じているから恐怖を感じなかったと伝えた。
モニカの処分保留
テオドールから、モニカが皇城の地下牢に収監されていると知らされた。しかし、父親のリカルド公爵が助命のため各方面へ働き掛けており、処分は保留されていた。カロリーナは死刑を望まず、この機会にアーレント公爵家と過激派の関係を調べるよう提案した。
ジョナサンの捕縛
モニカの敗北と殺人未遂を知ったジョナサンは、アーレント公爵家の別荘から逃げようとした。しかし、娘の助命を図るリカルド公爵が居場所を明かしたため、教皇の命を受けた聖騎士に部下と共に拘束され、教会本部へ連行された。
神問裁判
ジョナサンは大聖堂で神問裁判に掛けられ、聖女クローディアの死への関与を問われた。当初は殺害を否定し、隠蔽に関わっただけだと主張したが、実行犯や計画担当者、目撃者が次々と証言した。さらに、ジョナサン直筆の誓約書と受領書、隠し帳簿が証拠として示された。
終身刑の判決
ジョナサンは証拠を偽物や酒に酔って書いたものだと言い逃れようとしたが、筆跡鑑定によって退けられた。教皇に叱責されてようやく罪を認めたものの、有罪とされ、破門のうえ終身刑を言い渡された。ジョナサンは死ぬまで懺悔と苦行を続けることになった。
クローディアの墓前
判決から三日後、ネイサンは教皇の許可を得て納骨堂を訪れ、クローディアの墓に花を供えた。彼は二十年経っても消えなかった想いを明かし、彼女の死の真相が解明され、ジョナサンが裁かれたことを報告した。
ネイサンの初恋
約三十年前、王太子だったネイサンは聖女資格を得るため王城を訪れたクローディアに一目で惹かれた。彼女が正式な聖女となると政略結婚を装って求婚したが、教会入りを望むクローディアから断られた。ネイサンは失恋後も彼女を忘れられず、想いを抱え続けた。
訃報と断念
国王に即位した直後、ネイサンはクローディアの不可解な死を知り、教会の調査を命じようとした。しかし、王国の地盤が不安定で、教会との対立が内乱や戦争を招く恐れがあったため、レイモンドに制止された。ネイサンはクローディアが守った国を乱せないと悟り、調査を断念した。
二十年越しの謝罪
ネイサンは地位が安定した後も、クローディアの死を認めることが怖く、真相から目を背け続けたと墓前で告白した。彼女を救えず、願いも叶えられなかったことを謝罪し、今も愛していると伝えた。そして、初恋の相手であるクローディアに別れを告げ、安らかな眠りを願って納骨堂を後にした。
第六章
聖女制度の廃止
選定試験から一週間後、カロリーナは届いた祝いの手紙や贈り物への返礼に追われていた。父レイモンドからの手紙で、聖女信仰協議会の設立とジョナサンの断罪を機に、セレスティア王国独自の聖女制度が廃止されると知った。カロリーナは長い歴史が終わることを惜しみながらも、新たな被害者を生まないための妥当な決定だと受け止めた。
アーレント公爵家の処分
エドワードとテオドールは、アーレント公爵家が侯爵家へ降格され、領地の一部を没収されたと報告した。同家は過激派と直接関係していなかったが、リカルド公爵はその動きを以前から把握しながら黙認していた疑いがあった。彼の情報を基に烈火の不死鳥団が捜索を行い、複数の伯爵家と子爵家を謀反容疑で捕縛していた。
モニカの終身刑
モニカは本来なら死刑となるところだったが、リカルド公爵が娘の責任を取って辞職したため、貴族位を剥奪されたうえで終身刑となった。エドワードは処分の軽さに納得できずにいたが、カロリーナは誇りを重んじるモニカにとって、平民として牢獄で一生を終える方が重い罰になると語った。エドワードはその言葉を受け入れ、カロリーナは自分のために尽力した二人へ感謝を伝えた。
フローラの疑念
セレスティア王国では、フローラが聖女信仰協議会とカロリーナの選出から、帝国側が神聖力の存在を把握していると推測していた。父レイモンドも真実を知っている可能性が高く、自分の功績とされた現象がすべてカロリーナの力だったと露見することを恐れた。築き上げた評判が崩れ、世界中から嘲笑される未来を想像したフローラは焦りを募らせた。
セレスティア王国の代表者
レイモンドはフローラを訪ね、聖女信仰協議会の聖女試験へセレスティア王国代表として出場させると告げた。フローラは、上層部がカロリーナの神聖力には気づいていても、自分の魔法がその恩恵で増幅されていた事実までは知らないのだと推測した。実力低下を明かせば代表を断れたが、妹の力に依存していたと認めることを拒み、出場を引き受けた。
黒い玉への覚悟
聖女候補となったフローラは、試験までに失った力を取り戻す必要に迫られた。後戻りできなくなった彼女は、ジョナサンの部下から渡されていた黒い玉を使い、禁忌に触れてでも実力を得る決意を固めた。
書き下ろし番外編 心配
守れなかった悔恨
モニカが連行された後、エドワードは気絶したカロリーナを抱き、首に残る痕を見ながら守れなかった自分を責めた。テオドールの指示に従って医務室へ急ぎ、カロリーナの体を揺らさないよう慎重に運んだ。
医務室での治療
テオドールはカロリーナを診察し、脈はやや速いものの命に別状はなく、すぐに治せると判断した。治癒魔法によって首の痕はほとんど消えたが、エドワードは僅かに残った赤い線にも不安を募らせた。テオドールは過度な治療を避け、自然治癒に任せるべきだと説明し、代わりに首へ包帯を巻いた。
目覚めを待つエドワード
過激派の襲撃を警戒したテオドールは、転移魔法でエメラルド宮殿へ戻る準備を始めた。エドワードは眠るカロリーナの手を握り、どんな叱責も受け入れるから、もう一度声を聞かせてほしいと願いながら目覚めを待った。
特別書き下ろし 幸せな記憶
幸せな幼少期
カロリーナが生まれる前、フローラは優しい母カレンと厳しくも愛情深い父レイモンドに囲まれ、不幸を知らずに育っていた。久しぶりのピクニックでは、母に麦わら帽子を直してもらい、家族と過ごす時間を心から楽しんでいた。
家族で作った花冠
フローラが花冠を作りたいと望むと、カレンは家族三人で花畑へ行こうと提案した。花冠作りを避けようとしたレイモンドも、家族との思い出を作りたいという本心を突かれて同行した。
カレンに作り方を教わったレイモンドは、不格好ながらも花冠を完成させた。フローラも自分で作った花冠を両親へ贈り、喜んでくれた二人と笑い合いながら、かけがえのない家族の思い出を刻んだ。
無自覚聖女 2巻レビュー
無自覚聖女 まとめ
無自覚聖女 4巻レビュー
同シリーズ




その他フィクション

Share this content:


コメント